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蒸留酒、ワイン、ビール、最も悪い生活習慣に関係するのはどれ?

 好きな酒の種類が、その人の生活習慣を知る手がかりになる可能性を示す研究結果が報告された。ビール好きの人は、ワインや蒸留酒などを好む人と比べて不健康な生活習慣を送っている人が多いことが明らかになったという。米テュレーン大学医学部研修医プログラムのMadeline Novack氏らによるこの研究結果は、米国肝臓学会議年次学術集会(AASLD 2024、11月15~19日、米サンディエゴ)で発表され、「Nutrients」に11月13日掲載された。 Novack氏は、「米国では、アルコールの過剰摂取が肝硬変の主な要因となっている。また、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)も急増している」と話す。同氏はまた、「これらの肝疾患は併存することも多く、管理や予防には生活習慣の改善が重要だ。そのためには、飲酒と栄養不良の関係について理解することから始める必要がある」とAASLDのニュースリリースの中で述べている。 Novack氏らは今回の研究で、飲酒習慣がある1,917人の米国成人(平均年齢46.8±0.8歳、男性56.5%)の全国調査データを分析した。調査の回答者は、食習慣に関する詳細な質問に答えていた。 調査では、回答者の38.9%がビールのみ、21.8%がワインのみ、18.2%が蒸留酒/カクテルのみ、21.0%が複数種類の酒を飲むと回答していた。また、飲んでいる酒の種類にかかわらず、飲酒習慣のある人で食事の質の評価指標である健康食指数(HEI、100点満点)で、十分に健康的な食生活と見なされる80点を達成している人はいなかった。 ビールのみを飲む人は、ワイン、または蒸留酒/カクテルのみを飲む人、複数種類の酒を飲む人と比べて、世帯収入と食事の質が低く、身体活動量が少なく、喫煙者が多い傾向が認められた。具体的には、ビールのみを飲む人では、貧困ラインの閾値を下回る人の割合が高く(12.7%、ワインのみ飲む人5.7%、蒸留酒/カクテルのみ飲む人9.6%、複数種類の酒を飲む人6.0%、以下、同順で記載)、HEIが低く(49.3点、55.1点、52.8点、52.6点)、喫煙者の割合が高く(27.8%、10.0%、19.9%、15.3%)、身体活動量が十分な人の割合が少なかった(42.2%、59.8%、46.1%、59.3%)。さらに、ビールのみを飲む人は、1日当たりの総カロリー摂取量が最も多かった。 Novack氏は、ビールのみを飲む人に多く認められた、食事の質の低さ、身体活動量の少なさ、喫煙といった生活習慣要因は、すでに過度の飲酒習慣があり、肝疾患の発症リスクがある人の健康に大きな影響を与える可能性があることを指摘している。 またNovack氏は、飲む酒の種類によってどんな食品を食べるかが決まる傾向があることも、食事の違いを生んでいる可能性があるとの見方を示している。その例として、ビールは食物繊維が少なく炭水化物が多い食品や、加工肉などとともに飲まれがちである一方で、ワインは肉や野菜、乳製品と一緒に飲む場合が多いことを同氏は指摘している。また、食品の種類によって特定のアルコール飲料を飲みたくなることも、要因の一つとして考えられると同氏は付け加えている。例えば、揚げ物や塩分の多い食べ物は、ワインや蒸留酒よりもビールを飲みたい気持ちにさせる可能性が高いとしている。

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事例009 アミノレバンEN配合散の査定【斬らレセプト シーズン4】

解説肝硬変フォロー中の患者に対して肝不全用成分栄養剤のアミノレバンEN配合散(以下「同散」)を投与したところ、A事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定となりました。突合点検結果連絡書にての連絡であったために、査定が当院の責によるものなのか査定理由を調べてみました。同散の添付文書による効能・効果には「肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態の改善」とあります。肝硬変は慢性肝不全に分類されます。肝硬変に伴う栄養状態の改善を目的に投与もできるのではないかと考えられます。しかしながら、肝硬変の病名のみでは、肝性脳症が伴っているかどうかはわかりません。肝性脳症を伴っていることが、レセプトデータの病名や症状詳記などから確実に読み取れることが必要なのです。コンピュータ審査では、症状詳記などが記載されていない場合、添付文書に記載された内容とレセプト内容を事務的に判定されています。したがって、今回の事例では、病名もしくは症状詳記などの記載がなかったため、「病名不足」と判定されてA事由にて査定となったものと推測できます。レセプトチェックシステムには登録されており、アラームも表示されていました。今後はアラームに従い、肝性脳症の付与が必要なことを周知して査定対策としています。同様の事例を精査したところ、「アルコール性肝硬変、慢性肝炎、C型慢性肝炎」のいずれかの病名にて「肝性脳症」が記載されていない場合にも査定となっていたことを報告いたします。

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LCAT欠損症〔Lecithin-cholesterol acyltransferase deficiency〕

1 疾患概要■ 概念・定義1966年、角膜混濁、貧血、蛋白尿を呈し、慢性腎炎の疑いで33歳の女性がノルウェー・オスロの病院でみつかった。腎機能は正常ではあるが、血清アルブミンはやや低く、血漿総コレステロール、トリグリセリドが高値で、コレステロールのほとんどはエステル化されていなかった。腎生検では糸球体係蹄に泡沫細胞が認められた。その後、患者の姉妹に同様の所見を認め、遺伝性の疾患であることが疑われた。その後、ノルウェーで別の3家系がみつかり、後にこれらの患者は同一の遺伝子異常を保有していた。患者は血中のレシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性を欠損しており、NorumとGjoneによりこの疾患が家族性LCAT欠損症(Familial LCAT deficiency:FLD)と名付けられた。後にCarlsonとPhilipsonによって魚眼病(Fish eye disease:FED)が報告された。LCATは、血漿リポタンパク質上のコレステロールのエステル化反応を触媒し、この反応はHDL上とアポリポ蛋白(アポ)B含有リポ蛋白(LDLとVLDL)上の両方で起こる。前者をα活性、後者をβ活性と呼ぶ。LCAT蛋白のα活性とβ活性の両者を欠損する病態がFLD、α活性のみを欠損する病態がFEDと定義されている。現在これらはいずれもLCAT遺伝子の変異による常染色体潜性遺伝性疾患であることが知られており、LCAT機能異常を原因とする脂質代謝異常とリポ蛋白異常を介してさまざまな合併症を引き起こす1-3)。わが国では、2015年7月1日に指定難病(259)として認定されている。■ 疫学FLDおよびFED症例の大部分はヨーロッパで報告されており、FLD症例報告数は男性が多い。ヘテロ接合体の地理的分布は、FEDとFED患者にみられる分布と同じである。興味深いことに、ヘテロ接合体の性別分布は、FED変異とFLD変異のヘテロ接合体の男女比は同等であると報告されている。角膜混濁はほぼすべてのFLDおよびFED患者に認められる。HDL-C値は、FLDとFEDの両者で一様に低く、ほとんどの患者で10mg/dL未満である。FLD症例の85%以上は報告時に蛋白尿を呈しているが、FED症例では蛋白尿は報告されていない。FLD患者のほとんどは貧血を合併している。臨床学的に明らかな動脈硬化性心血管疾患は、FLD患者の10%程度、FED患者の25%程度で報告されている。■ 病因第16番染色体短腕に存在するLCAT遺伝子の変異が原因である。単一遺伝子(LCAT遺伝子)の変異による先天性疾患であり、常染色体潜性遺伝形式をとり、既報では100万人に1人程度の頻度であると述べられている。わが国において同定されている遺伝子変異は20種類程度ある。■ 症状LCAT欠損症の典型的な臨床所見を表に記載した。表 LCAT欠損症の典型的臨床所見画像を拡大するLCAT活性測定法は外因性(HDL様)基質を用いる方法でα活性を評価できる。内因性基質を用いる方法では、血中の総エステル化活性(Cholesterol esterification rate:CER)が評価できる。これらを併用することで、FLDとFEDの鑑別が可能である。1)脂質代謝異常LCATによる血漿リポ蛋白上のコレステロールのエステル化反応は、アポA-IやEなどのアポリポ蛋白の存在を必要とする。FLDやFEDにおけるLCAT活性の低下はHDL-Cの顕著な減少を引き起こし、未熟なHDLが血漿中に残り、電子顕微鏡観察で連銭形成として現れる。このHDLの成熟や機能の障害に伴ってさまざまな合併症が引き起こされる。2)眼科所見角膜混濁はしばしば本症で認識される最初の臨床所見であり、幼少期から認められる。患者角膜実質に顕著な遊離コレステロールとリン脂質の蓄積が観察される。FLDよりもFEDにおいてより顕著である。本症では中心視力は比較的保たれているものの、コントラスト感度の低下が顕著であり、患者は夜盲、羞明といった自覚症状を訴えることがある。3)血液系異常赤血球膜の脂質組成異常により標的赤血球が出現し溶血性貧血が認められる。赤血球の半減期が健常人の半分程度である。また、溶血のため血糖値と比較してHbA1cが相対的に低値となる。4)蛋白尿、腎機能障害幼少期から重篤になるケースは報告されていないが、蛋白尿から進行性の腎不全を発症する。FEDでは一般に認められない。患者LDL分画に異常リポ蛋白が認められ、それが腎機能障害と関連することが示唆されている。5)動脈硬化前述のように動脈硬化性心血管疾患を合併することがある。しかし、これまでに行われている研究の範囲では、LCAT欠損が動脈硬化性心血管疾患のリスクとなるかどうかはどちらとも言えず、はっきりとした結論は得られていない。■ 予後本症の予後を規定するのは、腎機能障害であると考えられる。特定のFLD変異を有する1家系を中央値で12年間追跡調査した研究によると、ホモ接合体ではeGFRが年平均3.56mL/min/1.73m2悪化したのに対し、ヘテロ接合体では1.33mL/分/1.73m2、対照では0.68mL/min/1.73m2であった4)。また、これまでの症例報告をまとめた最近の総説において、FLD患者は年平均6.18mL/min/1.73m2悪化していると報告されている3)。18例のFLD患者を中央値で12年間追跡調査した研究では、腎イベント(透析、腎移植、腎合併症による死亡)は中央値46歳で起こると報告されている5)。これらの報告から、典型的な症例では、蛋白尿を30歳頃から認め、腎不全を40〜50歳で発症すると考えられる。FLDとFEDに共通して、角膜混濁の進行による患者QOLの低下も大きな問題である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 一般検査角膜混濁、低HDL-C血症が本症を疑うべき主な臨床所見である。さらにFLDでは蛋白尿を認める場合がある。HDL-Cはほとんどの症例で10mg/dL未満である。LCATがコレステロールのエステル化を触媒する酵素であることから、総コレステロールに占めるエステル化コレステロールの割合(CE/TC)が低下する。CE/TCはFLDで著減するのに対し、α活性のみが欠損するFEDは大きく低下することはない。■ 特殊検査1)脂質検査HDLの主要なアポリポ蛋白であるアポA-I、A-IIが低下する。血清または血漿中LCAT活性の低下が認められる。LDL分画を中心として異常リポ蛋白が同定される。2)眼科検査Slit-lamp examination(細隙灯検査)により上皮を除く角膜層に灰白色の粒状斑が観察される。本症の患者の中心視力は、比較的保たれているケースが多い一方で、コントラスト感度検査で正常範囲から逸脱することが報告されている。■ 腎生検FLDが疑われる場合は腎生検が有用である。糸球体基底膜、血管内皮下への遊離コレステロールとリン脂質の沈着が認められる。泡沫細胞の蓄積、ボーマン嚢や糸球体基底膜の肥厚が観察される。電子顕微鏡観察では毛細管腔、基底膜、メサンギウム領域に高電子密度の膜構造の蓄積が認められる。■ 確定診断遺伝子解析においてLCAT遺伝子変異を認める。以下に本症の診断基準を示す。<診断基準>本邦におけるLCAT欠損症の診断基準を難病情報センターのホームページより引用した(2024年7月)。最新の情報については、当該ホームページまたは原発性脂質異常症に関する調査研究班のホームページで確認いただきたい。A.必須項目1.血中HDLコレステロール値25mg/dL未満2.コレステロールエステル比の低下(60%以下)B.症状1.蛋白尿または腎機能障害2.角膜混濁C.検査所見1.血液・生化学的検査所見(1)貧血(ヘモグロビン値<11g/dL)(2)赤血球形態の異常(いわゆる「標的赤血球」「大小不同症」「奇形赤血球症」「口状赤血球」)(3)異常リポ蛋白の出現(Lp-X、大型TG rich LDL)(4)眼科検査所見:コントラスト感度の正常範囲からの逸脱D.鑑別診断以下の疾患を鑑別する。他の遺伝性低HDLコレステロール血症(タンジール病、アポリポタンパクA-I欠損症)、続発性LCAT欠損症(肝疾患(肝硬変・劇症肝炎)、胆道閉塞、低栄養、悪液質など蛋白合成低下を呈する病態、基礎疾患を有する自己免疫性LCAT欠損症)二次性低HDLコレステロール血症*1(*1 外科手術後、肝障害(とくに肝硬変や重症肝炎、回復期を含む)、全身性炎症疾患の急性期、がんなどの消耗性疾患など、過去6ヵ月以内のプロブコールの内服歴、プロブコールとフィブラートの併用(プロブコール服用中止後の処方も含む))E.遺伝学的検査LCAT遺伝子の変異<診断のカテゴリー>必須項目の2項目を満たした例において、以下のように判定する。DefiniteB・Cのうち1項目以上を満たしDの鑑別すべき疾患を除外し、Eを満たすものProbableB・Cのうち1項目以上を満たしDの鑑別すべき疾患を除外したもの3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 臓器移植腎移植は一時的な腎機能改善には効果があるが、再発のリスクがある。角膜移植も同様である。■ 食事および薬物治療低脂肪食により腎機能障害の進展が遅延した症例がある。腎機能の増悪の予防や改善を目的とした薬物療法が行われた症例がある。いずれも対症療法であり、長期の進展予防効果や再発の可能性は明らかでない。■ 人工HDL(HDL-mimetic)人工HDLの輸注により腎機能の低下が遅延し、腎生検では脂質沈着がわずかに減少したと報告されている。■ 酵素補充療法組換え型LCAT蛋白の輸注によるものと、遺伝子治療による酵素補充療法が考えられる。1)組換え型LCAT製剤米国で組換え型LCATの臨床試験が1例実施され、脂質異常の改善とともに貧血、腎機能の改善が認められたが、その効果は2週間程度であった。繰り返し投与が必須であり、また、臨床試験期間中に組換え型LCATの供給が不足し、当該患者は透析治療に移行したと報告されている。2)遺伝子治療遺伝子治療は、より持続的な酵素補充が可能であると考えられる。LCAT遺伝子発現アデノ随伴ウイルスベクターが動物実験で評価されている。わが国で脂肪細胞を用いたex vivo遺伝子細胞治療が、臨床試験段階にある。投与された1例において、LCAT活性は臨床試験期間を通じて患者血清中に検出されている。これらは長期の有効性が期待される。4 今後の展望FLDとFEDの診断には、代謝内科、眼科、腎臓内科など複数の診療科の関与が必要であること、また、本疾患が自覚症状に乏しいことなどにより診断が遅れる、もしくは診断に至っていない患者がいると考えられる。わが国では、現状LCAT活性の測定や遺伝子検査は保険適用対象外であり、このことも医師が患者を診断することを困難にしている。現在、遺伝子組換え製剤の輸血や遺伝子・細胞治療によるLCAT酵素補充療法が開発中である。近い将来、これらの治療法が実用化され、患者のQOLが改善されることが期待される。5 主たる診療科代謝内科、眼科、腎臓内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働省難治性疾患政策研究事業(原発性脂質異常症に関する調査研究)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本動脈硬化学会ガイドライン「低脂血症の診断と治療 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版」(2023年6月30日発行)(医療従事者向けのまとまった情報)千葉大学医学部附属病院【動画】LCAT欠損症について【動画】LCAT欠損症の治療について未来開拓センター(いずれも一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報LCAT欠損症患者会(患者とその家族および支援者の会)1)Santamarina-Fojo S, et al. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th edn. 2001;2817-2833.2)Kuroda M, et al. J Atheroscler Thromb. 2021;28:679-691.3)Vitali C, et al. J Lipid Res. 2022;63:100-169.4)Fountoulakis N, et al. Am J Kidney Dis. 2019;74:510-522.5)Pavanello C, et al. J Lipid Res. 2020;61:1784-1788.公開履歴初回2024年9月12日

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D型肝炎へのbulevirtide、PEG-IFN上乗せが有効/NEJM

 慢性D型肝炎に対して、bulevirtide+ペグインターフェロン アルファ-2a(PEG-IFNα-2a)の併用療法はbulevirtide単独療法と比べて、治療後24週時点のD型肝炎ウイルス(HDV)RNA陰性化率の評価において優れることが示された。フランス・パリ・シテ大学のTarik Asselah氏らが第IIb相非盲検無作為化試験の結果を報告した。bulevirtide単独療法は慢性D型肝炎患者におけるウイルス学的奏効をもたらすことが、第III相試験において示されている。また、PEG-IFNα-2aは本疾患へ適応外使用されているが、両薬の併用によりウイルス学的抑制が強化され、慢性D型肝炎患者の投与期間を限定した治療となりうるのかは明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2024年6月6日号掲載の報告。治療終了後24週時点のHDV RNA陰性化率を評価 研究グループは、PCRによりHDV RNA陽性、スクリーニング時のALT値が正常上限値の1倍超10倍未満である18~65歳の慢性D型肝炎患者を、以下の4群に1対2対2対2の割合で無作為に割り付けた。(1)PEG-IFNα-2a(180μg/週)を48週間皮下投与(PEG-IFNα-2a単独群)、(2)bulevirtide 2mg/日の96週間皮下投与+前半48週間はPEG-IFNα-2a(180μg/週)を皮下投与(bulevirtide 2mg+PEG-IFNα-2a併用群)、(3)bulevirtide 10mg/日の96週間皮下投与+前半48週間はPEG-IFNα-2a(180μg/週)を皮下投与(bulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群)、(4)bulevirtide 10mg/日を96週間皮下投与(bulevirtide 10mg単独群)。 すべての患者が、治療終了後48週間フォローを受けた。 主要エンドポイントは、治療終了後24週時点のHDV RNA陰性化率とした。主要比較は、bulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群vs.bulevirtide 10mg単独群で行われた。HDV RNA陰性化率はbulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群46%、bulevirtide 10mg単独群12% 175例が無作為化され、治療を受ける前にPEG-IFNα-2a単独群に割り付けられた1例が同意を撤回。PEG-IFNα-2a単独群24例、bulevirtide 2mg+PEG-IFNα-2a併用群50例、bulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群50例、bulevirtide 10mg単独群50例が割り付けられた治療を受けた。 患者の人口統計学的およびベースライン特性は、おおむね治療群間でバランスがとれていた。男性・白人が多く、平均年齢は41歳。約3分の1の患者が肝硬変に罹患。ほぼ全員(97%)がHDV遺伝子型1型で、79%がHBV遺伝子型D型であった。また84例(48%)は過去にIFN療法を受けていた。 治療終了後24週時点でHDV RNA陰性化率は、PEG-IFNα-2a単独群17%、bulevirtide 2mg+PEG-IFNα-2a併用群32%、bulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群46%、bulevirtide 10mg単独群12%であり、主要比較の群間差は34%ポイント(95%信頼区間:15~50、p<0.001)であった。 治療終了後48週時点のHDV RNA陰性化率は、それぞれ25%、26%、46%、12%であった。 最も多くみられた有害事象は、白血球減少症、好中球減少症および血小板減少症であったが、有害事象の大半はGrade1または2だった。

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cirrhosis(肝硬変)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第4回

言葉の由来肝硬変は英語で“cirrhosis”で、「サロースィス」というような発音になります。語源は、ギリシャ語で「褐色がかった黄色」を意味する“kirrhos”と、「状況」を表す“-osis”という接尾辞を組み合わせた単語です。“cirrhosis”という単語は、フランスのルネ・ラエンネック医師が1819年に発表した論文中で初めて使用されました。病気の肝臓が「褐色がかった黄色」に見えることから、この名前が付けられたとされています。それ以前から肝硬変の病態は認識されており、英国の病理学者たちはその100年ほど前からほかの病名を使用していましたが、かの有名なウィリアム・オスラー医師が1900年代に出版した教科書、“The Principles and Practice of Medicine”で“cirrhosis”の呼称を用いたことから、広く使われるようになったとされています。ちなみにこのラエンネック医師は、皆さんが毎日使っている「あるもの」を発明したことで有名です。それはなんと、聴診器です。当時は患者の身体に直接耳を押し当てる「直接聴診法」が一般的でしたが、ラエンネック医師は子供たちが長い中空の棒を使って遊ぶ様子からインスピレーションを得て、木製の中空の円筒を作成しました。それを患者の胸に押し当てて聴診する「間接聴診法」を開発したのです。彼はその円筒を“stethoscope”(聴診器)と名付け、現代の聴診器の先駆けとなりました。この聴診器の発明に関する論文を1819年に発表したのですが、その論文の中の脚注で使用したのが“cirrhosis”という病名だったのです。興味深い歴史ですね。併せて覚えよう! 周辺単語黄疸Jaundice腹水Ascites腹水穿刺Paracentesis低アルブミン血症Hypoalbuminemia女性化乳房Gynecomastiaこの病気、英語で説明できますか?Cirrhosis is a condition in which a liver is scarred and permanently damaged. Scar tissue replaces healthy liver tissue and prevents a liver from functioning normally.講師紹介

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低用量アスピリンは肝脂肪を減らすか?~MASLD対象RCT/JAMA

 脂肪性肝疾患の1つであるMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)は、進行すると肝硬変や肝細胞がん、その他の合併症のリスクが高まるとされている。しかし、本邦においてMASLDに対する治療薬として承認されている薬剤はなく、治療法の開発が望まれている。アスピリンは前臨床研究や観察研究において、MASLDから肝線維化や肝細胞がんへの進展を抑制する可能性が示されており、MASLDの治療薬候補の1つと考えられている。そこで、米国・マサチューセッツ総合病院のTracey G. Simon氏らの研究グループは、海外第II相プラセボ対照無作為化比較試験を実施し、肝硬変を伴わないMASLDに対する低用量アスピリンの治療効果を検討した。その結果、低用量アスピリンは肝脂肪量を減少させることが示された。本研究結果は、JAMA誌2024年3月19日号にPreliminary Communicationとして掲載された。 本研究は、肝硬変のないMASLD患者80例を対象とした。対象患者を低用量アスピリン群(1日1回81mg)とプラセボ群に無作為に1対1の割合で割り付け、6ヵ月投与した。主要評価項目は、投与6ヵ月時点におけるMagnetic Resonance Spectroscopy(MRS)に基づく肝脂肪量の変化であった。主要な副次評価項目は、投与6ヵ月時点におけるMRSに基づく肝脂肪率の変化、MRSに基づく肝脂肪量30%以上減少の達成率、Magnetic Resonance Imaging-Proton Density Fat Fraction(MRI-PDFF)に基づく肝脂肪量の変化および肝脂肪率の変化であった。 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目の投与6ヵ月時点におけるMRSに基づく肝脂肪量の変化は、プラセボ群が3.6%であったのに対し、低用量アスピリン群は-6.6%であり、低用量アスピリン群が有意に減少した(群間差:-10.2%、95%信頼区間[CI]:-27.7~-2.6、p=0.009)。・投与6ヵ月時点における肝脂肪率の変化は、プラセボ群が30.0%ポイントであったのに対し、低用量アスピリン群は-8.8%ポイントであり、低用量アスピリン群が有意に減少した(群間差:-38.8%ポイント、95%CI:-66.7~-10.8、p=0.007)。・MRSに基づく肝脂肪量30%以上減少の達成率は、低用量アスピリン群がプラセボ群と比較して有意に高かった(42.5% vs.12.5%、p=0.006)。・MRI-PDFFに基づく肝脂肪量・肝脂肪率の変化も、低用量アスピリン群がプラセボ群と比較して有意に優れた(それぞれp=0.004、p=0.003)。

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第206回 脂肪肝疾患(NASH/MASH)治療薬を米国FDAが初承認

脂肪肝疾患(NASH/MASH)治療薬を米国FDAが初承認米国FDAが3月14日に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)治療薬を初めて承認しました1,2)。米国のMadrigal Pharmaceuticals社が開発したresmetirom(商品名:Rezdiffra)が、第III相試験(MAESTRO-NASH)の1年時点の肝生検結果を基に取り急ぎ承認(Accelerated approval)されました。resmetiromは1日1回の経口服用薬で、NASH患者の肝臓で不調となる甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)のアゴニストです。resmetiromが担うTHR-β活性化は肝臓のトリグリセリド(中性脂肪)を減らすことが知られています。第I相試験の段階でresmetiromは健康な被験者のトリグリセリドを多ければ60%低下させました3)。米国でおよそ150万例もが患うNASHは、昨年に世界の肝疾患専門家や患者団体が集まって決めた病名であるMASH(metabolic dysfunction associated steatohepatitis)に改められました2)。とはいえFDAは引き続きNASHを採用しており、resmetiromの添付文書の効能・効果は肝線維化が中等度~高度(肝線維化ステージF2-3)であるものの肝硬変ではないNASH患者に対して、食事療法や運動療法とともに同剤を投与することとなっています(以下FDAに倣ってNASHを使用)。難儀な肝生検は幸いにもその使用に際して必要ありません。MAESTRO-NASH試験で病理学者2人(病理学者AとB)が生検組織を検討した結果によると、肝線維化F2-3の非肝硬変NASH患者の1年間のresmetirom経口服用で、少なくとも4例に1例ほどが肝線維症の改善や脂肪性肝炎の消失を達成できるようです。詳しい結果は以下のとおりです4)。画像を拡大するresmetiromは含量60mg、80mg、100mgの3つの錠剤が承認され、80mg錠は体重が100kg未満の患者、100mg錠は体重が100kg以上の患者向けとなっています。クロピドグレルなどの若干のCYP2C8阻害作用を有する薬剤と併用する場合には減量が必要で、その場合体重100kg未満の患者は60mg錠、体重100kg以上の患者は80mg錠を服用します。強力なCYP2C8阻害薬との併用はできません。resmetiromの1年間分の薬価は4万7,400ドル(700万円強)で5)、同剤の最大年間売上は50億ドルを超えうるとアナリストの1人は予想しています6)。その達成のためには、進行中のMAESTRO-NASH試験の最長54ヵ月のresmetirom治療が死亡、肝移植、重大な肝イベント(腹水、脳症、胃食道静脈瘤出血を含む肝代償不全、肝硬変への進展、MELDスコア上昇)をプラセボに比べて減らすことを示して、取り急ぎの承認を本承認にする必要があるでしょう。その本勝負の結果はClinicalTrials.gov登録情報によると約4年後の2028年1月に判明します7)。肝硬変をすでに患うNASH患者の死亡、肝臓移植、腹水、脳症、胃食道静脈瘤出血、MELDスコア上昇がresmetiromで減ることを示すための第III相試験(MAESTRO-NASH-OUTCOMES)も進行中で、その結果は来年2025年8月に判明する見込みです8)。参考1)FDA Approves First Treatment for Patients with Liver Scarring Due to Fatty Liver Disease / PRNewswire2)Madrigal Pharmaceuticals Announces FDA Approval of Rezdiffra (resmetirom) for the Treatment of Patients with Noncirrhotic Nonalcoholic Steatohepatitis (NASH) with Moderate to Advanced Liver Fibrosis / GlobeNewswire3)Taub R, et al. Atherosclerosis. 2013;230:373-380.4)Prescribing Information:Rezdiffra5)Rezdiffra (resmetirom) FDA Approval Conference Call March 2024 / Madrigal Pharmaceuticals6)US FDA approves first drug for fatty liver disease NASH / Reuters7)MAESTRO-NASH試験(ClinicaltTrials.gov)8)MAESTRO-NASH-OUTCOMES試験(ClinicaltTrials.gov)

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日本人NASH患者の臨床的特徴~5年間のRWDを用いた症例対照研究

 得津 慶氏(産業医科大学公衆衛生学 助教)らが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)およびそれに関連する患者の臨床的特徴を調べるため、国民健康保険ならびに後期高齢者レセプトデータベースといったReal World Data(RWD)を用いて症例対照研究を行った。その結果、NASHの診断定義を満たした患者では非NASH患者に比べてBMIが有意に高いことが示唆された。また、女性、脂質異常症、高血圧症、胃食道逆流症(GERD)、2型糖尿病の罹患割合はNASH群で高く、NASHは肝硬変や肝がんのリスク上昇と関連していたことも示唆された。BMJ Open誌2023年8月22日号掲載の報告。 研究者らは、2015年4月~2020年3月までにNASH(ICD-10の分類表記K75.8[非アルコール性脂肪性肝炎]、K76.0[その他の炎症性肝疾患/その他の脂肪肝])と診断された患者をNASHの診断定義を満たす患者として非NASH患者と照合させ、性別、生年月日、居住地域に従ってランダムに選択した。1次および2次アウトカムの測定値(年齢、性別、BMI、NASH関連の併存疾患、生活習慣病など)の患者背景間の関係についてオッズ比(OR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・NASH患者545例(男性:38.3%)と非NASH(対照)患者18万5,264例(同:43.2%)を抽出した。各群の年齢中央値は68歳(四分位範囲:63.0~75.0)と65歳(同:44.0~74.0)であった。・BMIはNASH患者のほうが対照患者よりも有意に高かった(25.8kg/m2 vs.22.9kg/m2、p<0.001)。・女性、高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病の割合はNASH患者のほうが高かった。さらに、NASHは肝硬変のリスク増加と関連しており(OR:28.81、95%信頼区間[CI]:21.79~38.08)、次に肝臓がんのリスクが高かった(OR:18.38、95%CI:12.56~26.89)。・NASHとうつ病(OR:1.11、95%CI:0.87~1.41)、不眠症(OR:1.12、95%CI:0.94~1.34)、慢性腎臓病(OR:0.81、95%CI:0.58~1.34)のリスクとの間には有意な関連はみられなかった。 これまでの国内研究報告1)にてNAFLD患者の特徴(中年男性と高齢女性の有病率が高い)は示されていた。NASHに関する今回の研究を通じて、本研究者らは「日常診療において、性別や年齢の違いを考慮し、肝臓がんのリスクやNASHに関連するそのほかの生活習慣関連の併存疾患に細心の注意を払う必要がある」としている。

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NASH治療アプリで肝線維化を食い止め、国内第III相試験開始/CureApp

 いまだに治療法のない生活習慣病であるNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の光明の一筋となるか―。CureAppは研究開発中の未承認医療機器であるNASH治療アプリ(以下、本アプリ)の国内第III相臨床試験を2024年1月より開始したことを2月20日の記者会見にて公表した。 本治験は、NASHと診断された患者のうち、生活習慣指導により治療効果が期待できると医師が判断した患者を対象に、治験実施医療機関にて本アプリを併用する診療群(介入群)と医師による生活習慣指導シートと体重記録シートを併用して診療する群(対照群)にわけて、登録後48週時点での有効性と安全性を検証する。主要評価項目は、登録後48週時点における肝線維化の増悪を伴わないNASHが改善した患者の割合(NASHからnon-NASHになった割合)。肝硬変・肝がんリスクに影響する肝線維化の進展をアプリで抑制 NASHは潜在患者数が糖尿病より多いといわれ、肝がんや心血管疾患などの重篤な疾病に繋がる「生活習慣病」の1つである。世界各国の製薬企業もNASH治療薬の開発に注力しているが、現時点で有効な治療法は見つかっていない。これまでは脂肪肝の改善が強調されてきたが、肝線維化を食い止めることが肝硬変・肝がんリスクの抑制につながることが今では明らかになっている。早期に肝線維化を発見し、患者の生活習慣の改善を図れるかどうかが鍵となることから、行動変容に有効とされるアプリはNASH治療との親和性が高いと考えられる。 また、NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)にも、「食事・運動療法による体重減少はNASHの病態を改善させる」と明記されており、7%以上の体重減少によりNASHの肝脂肪化や炎症細胞浸潤、風船様肥大といった病態を軽減できるという具体的な減量目標も明らかとなっている。さらに、本アプリによる治療空白期間の体重管理は、患者のみならず医療者の負担軽減にもつながる可能性がある。 本アプリに期待することについて、岡上 武氏(済生会吹田病院名誉院長/本治験統括アドバイザー)は「体重を7%減らすことで肝線維化もワンランク下がることが明らかになっている。このアプリを使うことで体重を減らすことが非常に重要になる」とコメント。また、建石 良介氏(東京大学大学院医学系研究科消化器内科学 准教授/本治験調整医師)は「肝線維化の進展には時間がかかるため、患者が病院受診する50~70代にはすでに線維化が進行している。早期発見して進行を食い止めるためにはセルフコントロールが重要で、アプリによる治療はそこにアプローチして全身状態とともに肝線維化を改善することが目標となる。また、NASHの治療を行う上で、患者の生活習慣の修正や体重減少を促すことが重要だと理解されつつも、診療時間以外の治療空白期間において患者自身が生活習慣を是正し、長期間継続・維持することは極めて困難である。医療者にとっても治療空白期間の患者状態をアプリから確認できることは意義がある」とコメントした。 なお、本アプリを将来的に多くの患者に届けるために、CureAppは今回の治験開始に向けて2022年にサワイグループホールディングスと共同開発契約を締結している。

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第183回 新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する医療費の公費支援を2024年3月末で終了し、4月から通常の医療体制に完全移行する方針を発表した。これまで、COVID-19の治療薬や入院医療費に関しては、患者や医療機関への一部公費支援が継続されていたが、4月からは他の病気と同様に保険診療の負担割合に応じた自己負担が求められるようになる。COVID-19への公費支援は、治療薬の全額公費負担が2021年10月より始まり、昨年10月には縮小された。また、患者は年齢や収入に応じ、3,000~9,000円の自己負担をしていた。4月からは、たとえば重症化予防薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)を使用する場合、1日2回5日分の処方で約9万円のうち、3割負担であれば約28,000円を自己負担することになる。また、月最大1万円の入院医療費の公費支援や、コロナ患者用病床を確保した医療機関への病床確保料の支払いも終了する。COVID-19の感染状況は改善傾向にあり、定点医療機関当たりの感染者数が12週ぶりに減少している。これらの背景から、政府は公費支援の全面撤廃と通常の診療体制への移行が可能と判断した。さらに、次の感染症危機に備え、公的医療機関などに入院受け入れなどを義務付ける改正感染症法が4月から施行される。参考1)新型コロナの公費負担、4月から全面撤廃へ…治療薬に自己負担・入院支援も打ち切り(読売新聞)2)新型コロナ公費支援 3月末で終了 4月からは通常の医療体制へ(NHK)3)新型コロナ公費支援、3月末で完全廃止 厚生労働省(日経新聞)2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省厚生労働省は、飲酒による健康リスクを明らかにするため、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表した。初めて作成されたこの指針では、純アルコール量に着目し、疾患別に発症リスクを例示している。大腸がんのリスクは1日20g以上の純アルコール摂取で高まり、高血圧に関しては少量の飲酒でもリスクが上昇すると指摘されている。純アルコール量20gは、ビール中瓶1本、日本酒1合、またはウイスキーのダブル1杯に相当。ガイドラインによると、脳梗塞の発症リスクは、男性で1日40g、女性で11gの純アルコール摂取量で高まる。女性は14gで乳がん、男性は20gで前立腺がんのリスクが増加する。さらに、男性は少量の飲酒でも胃がんや食道がんを発症しやすいと報告されている。とくに女性や高齢者は、体内の水分量が少なくアルコールの影響を受けやすいため、注意が必要。また、女性は少量や短期間の飲酒でもアルコール性肝硬変になるリスクがあり、高齢者では認知症や転倒のリスクが一定量を超えると高まる。ガイドラインでは、不安や不眠を解消するための飲酒を避け、他人への飲酒を強要しないこと、飲酒前や飲酒中の食事の摂取、水分補給、週に数日の断酒日の設定など、健康への配慮としての留意点も挙げている。厚労省の担当者は、「体への影響は個人差があり、ガイドラインを参考に、自分に合った飲酒量を決めることが重要だ」と強調している。参考1)健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(厚労省)2)ビールロング缶1日1本で大腸がんの危険、女性は男性より少量・短期間でアルコール性肝硬変も(読売新聞)3)飲酒少量でも高血圧リスク 健康に配慮、留意点も 厚労省が初の指針(東京新聞)3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大愛知医科大学(愛知県長久手市)は、大学入学共通テストを使用した医学部入学試験の過程で、PC操作ミスにより本来2次試験の受験資格を有していた80人の受験生を誤って不合格としていたことを発表した。この問題は、SNS上で受験生間の投稿を通じて疑問が提起され、その後の大学による確認作業で明らかになった。受験生は、自己採点結果から「自分より点数が低い友人が合格している」といった内容をSNSに投稿していた。操作ミスは、大学入試センターから提供された成績データを学内システムに転記する際に発生したもので、一部受験生の点数が実際よりも低く記録されてしまったことが原因。発覚後、同大学は該当する80人の受験生に対し、予定されていた2次試験への参加資格があることを通知し、さらに受験できない者のために別の日程も設定した。この事態を重くみた大学は、「受験生に混乱を招いたことを深くお詫びする」との声明を発表し、今後のチェック体制の見直しを約束し、2度と同様のミスが発生しないようにするとしている。参考1)令和6年度医学部大学入学共通テスト利用選抜(前期)における 第2次試験受験資格者の判定ミスについて(愛知医大)2)愛知医科大学 医学部入試で80人を誤って不合格に PC操作ミスで(NHK)3)愛知医科大、PC操作ミスで80人誤って不合格…SNSで結果疑う投稿相次ぎ大学が確認し判明(読売新聞)4)「自己採点で自分より低い友人が合格」愛知医科大、判定ミスで80人不合格に(中日新聞)4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構日本専門医機構は、2024年2月19日の定例記者会見で、2024年度に研修を開始する専攻医の採用予定数が9,496人と発表し、過去最多であることを明らかにした。2023年度の9,325人から増加し、とくに整形外科で93人、救急科で66人の増加がみられる一方、皮膚科では51人、外科では25人の減少が確認された。同機構理事長の渡辺 毅氏は、外科専攻医の減少は問題であると指摘している。専攻医数の増加は、東北医科薬科大学や国際医療福祉大学の医学部新設とその卒業生の専攻医登録が影響しているとされ、とくに医師不足が指摘されている外科は微減傾向にあるものの、救急科では増加が予想されている。また、専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センター(神戸市)でのサイトビジット(現地調査)を実施する予定であり、専攻医の心身の健康維持や時間外勤務の上限明示などの環境整備が適切に行われているかを目的に調査が行われる。渡辺氏は、「得られた知見を将来の専攻医研修プログラムや専門医制度の整備指針の改善に生かしたい」と述べている。専攻医遺族が甲南医療センター側を提訴しているため、訴訟に影響が出ないような日程での実施を目指している。参考1)2024年度専攻医、整形外科や救急科で増加(日経メディカル)2)来年度の専攻医、昨年度比150人増の9,500人(Medical Tribune)5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県小牧市民病院(愛知県)が、医師や薬剤師を含む約277人の職員に対して、夜勤や土日祝日の当直業務で適切に支払われていなかった時間外勤務手当の差額約8億円を支給することを発表した。これは、病院の医師の働き方改革を機に勤務や手当の見直しが行われた際に、複数の医師からの指摘を受けて発覚、本来、労働実態に応じて支給されるべき時間外手当が、一律の定額で支給されていたことが問題となったもの。病院側は、2023年4月からこの問題を調査し、約4年分の差額を医師、薬剤師、放射線技師などの職員に支払うことを決定した。また、3月以降は時間外勤務手当を適切に支給する制度に改めることも発表した。これまでの誤った運用は「慣例に従っていた」との理由から起こったとしている。さらに、病院は夜間や休日の手当の見直しも発表し、2020年4月~2024年2月までの間に当直業務に従事した職員に対して、法律で定められた賃金よりも過小だった手当の差額を支給する。病院側はこれまで、労働基準法に基づいた時間外勤務手当の支給が必要な場合、特例措置として「宿日直許可」を労働基準監督署に申請する必要があることを知らなかったと述べている。この措置により、病院は正規の時間外勤務手当とこれまで支給してきた手当との差額を職員に支給し、法律に準拠した形での勤務条件の改善を目指す。差額の支払いについては、市議会定例会に補正予算案を提出し、支払いは5月下旬に行われる予定。参考1)時間外手当、差額8億円支払いへ 医師ら277人に 愛知の市民病院(朝日新聞)2)小牧市民病院、夜間・休日手当見直しへ 20年以降の差額も支給(中日新聞)6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター夜間や休日に医師の往診をWebやアプリから依頼できるサービス「みてねコールドクター」が、診療報酬の改定により条件が厳格化されるため、3月31日をもって終了することが発表された。このサービスは、子供の医療助成制度適用で都内では自己負担0円(交通費別)で利用が可能で、約400人の医師が登録・在籍し、夜間・休日の急病時に最短30分で自宅に医師を派遣し、その場で薬を渡すことができた。2022年にはミクシィとの資本業務提携を経て、サービス名に「みてね」のブランドを冠し、とくに子育て世代から高い評価を得ていた。今回の診療報酬改定では、医療従事者の賃上げなどに充てるための基本報酬の引き上げが注目されていたが、往診サービスについては「普段から訪問診療を受けていない患者」への緊急往診や夜間往診の診療報酬が低下し、この変化に伴い「みてねコールドクター」はサービスの終了を決定した。同社は、今後の市場の変化を見据えての決定であると説明しており、オンライン診療や医療相談サービスは継続する。診療報酬の改定では、救急搬送の不必要な減少や医療現場の負担軽減を期待していたが、実際には小児科領域の往診が主であり、コロナ禍での特殊な状況下では多くの人にとって救いとなった。しかし、保険診療の方向性としては、緊急時のみに駆けつける医師ではなく、日常を支えるかかりつけ医の強化が求められている。参考1)往診のサービス提供終了のお知らせ(コールドクター)2)往診アプリ「みてねコールドクター」往診終了 診療報酬改定で(ITmedia NEWS)3)「みてねコールドクター」の往診サービスが終了に(Impress)4)人気の“往診サービス”が突然の終了、理由は「診療報酬改定」なぜ?(Withnews)

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肝線維化を伴うNASHへのresmetirom、52週での有用性/NEJM

 肝線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に対し、開発中のresmetiromの80mgおよび100mg投与はプラセボとの比較において、NASH消失および肝線維化ステージの1段階以上の改善に関して、優れていることが示された。米国・Pinnacle Clinical ResearchのStephen A. Harrison氏らが、第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「MAESTRO-NASH試験」の結果を報告した。NASHは進行性の肝疾患で、現在までに承認された治療薬はない。resmetiromは、肝指向性の経口選択的甲状腺ホルモン受容体β作動薬で、先行する第IIおよび第III相試験で、成人NASHに対する有効性、安全性を支持するデータが示されていた。NEJM誌2024年2月8日号掲載の報告。52週時点の肝線維化の悪化のないNASH消失などを比較 MAESTRO-NASH試験は、肝生検でNASHと診断された肝線維化ステージ(F0:肝線維化なし~F4:肝硬変)F1B、F2、F3の成人患者を対象に、resmetiromの有効性と安全性を評価する第III相試験で現在も進行中である。被験者は、1日1回のresmetirom 80mgまたは同100mgもしくはプラセボを投与されるよう無作為に1対1対1の割合で3群に割り付けられ、追跡評価を受けた。 本報告は52週時点の結果を報告するものである。同時点の主要エンドポイントは2つで、肝線維化の進展を伴わないNASH消失(非アルコール性脂肪性肝疾患[NAFLD]活動性スコア[範囲:0~8、高スコアほど重症であることを示す]が2ポイント以上低下など)と、NAFLD活動性スコアの悪化を伴わない肝線維化ステージの1以上の改善(低下)であった。NASH消失や肝線維化ステージ1以上の改善はresmetirom群で約24~26% 主要解析には、被験者計966例が含まれた(resmetirom 80mg群は322例、100mg群323例、プラセボ群321例)。 肝線維化の進展を伴わないNASH消失を認めた被験者の割合は、プラセボ群9.7%に対して、80mg群25.9%、100mg群29.9%であった(プラセボ群と比較した両resmetirom群のp<0.001)。NAFLD活動性スコアの悪化を伴わない肝線維化ステージ1以上の改善が認められた被験者の割合は、プラセボ群14.2%に対して、80mg群24.2%、100mg群25.9%であった(同比較のp<0.001)。 LDLコレステロール値のベースラインから24週目までの変化量は、プラセボ群+0.1%に対し、80mg群-13.6%、100mg群-16.3%であった(同比較のp<0.001)。 安全性の評価では、プラセボ群と比べてresmetirom群で下痢(プラセボ群15.6%、resmetirom 80mg群27.0%、100mg群33.4%)と悪心(12.5%、22.0%、18.9%)の発現頻度が高かった。重篤な有害事象の発現率は、3群間で同程度であった(11.5%、10.9%、12.7%)。

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医療者へのワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】総論 第6回

はじめここでは特定のワクチンではなく、医療機関で働く医療者に対して接種が推奨されるワクチンを一括して扱う。本稿の対象は、医療機関で働き患者と対面での接触がある職員(医師、看護師、各種技師、受付事務員など)に加え、医療現場で実習を行う医療系学生(医学生、看護学生など)である。以降は、まとめて「医療職員」と記載する。医療職員は、常にさまざまな病原体にさらされている。伝染性疾患の患者は、そうと知らずに治療を求めて病院を訪れるし、易感染性状態にある免疫弱者も同じ空間に密集しうる。これら両者に対応する医療職員も、また、常に病原微生物に曝露されている。したがって、医療職員が感染すると、自身が感染症患者になるだけでなく、無関係な来院者や入院患者へ2次感染を起こす原因にもなりうる。これを回避するためにワクチンがある(ワクチンで予防できる)感染症(VPD)については最大限に対策する必要がある。以上の観点から、対象となるのは以下のVPDとなる。1.空気感染もしくは飛沫感染するVPD2.接触感染または針刺しが原因となるVPD3.一部の医療従事者で必要となるVPD4.曝露後対応を要するVPDワクチンで予防できる疾患(疾患について・疫学)1.空気感染もしくは飛沫感染するVPD1)麻疹、風疹、ムンプス、水痘(1)いずれも代表的なVPDで、飛沫やエアロゾルによる強烈な感染力がある。ムンプス以外は定期接種に指定されているが、海外からの持ち込みなどもあり根絶には程遠い状況にある。(2)近年は医学部などの卒前教育課程でワクチン接種が推奨される医療系学生も増えてきたが、記録の確認は確実に行っておく必要がある。医療資格を持たない事務系職員も忘れずに対応する必要がある。2)季節性インフルエンザ(1)インフルエンザウイルスによる流行性感冒。A型とB型があり、それぞれ流行の度に表面抗原も微妙に異なる。(2)わが国では晩秋から春にかけて流行することが多いが、沖縄を含む熱帯地方では年間を通じて循環している。海外との往来や温暖化により、流行時期は増えている。(3)感染既往やワクチン接種による免疫は発症を予防するほど十分でないため、ワクチンを接種しても罹患するなど個人レベルでは恩恵を実感しにくいが、集団としてはワクチン接種率が高いほど疾病負荷が減るため有益性がある。3)SARS-CoV-2(COVID-19)(1)2019年末から世界的パンデミックを起こしたコロナウイルス。2023年現在はオミクロン株派生型が主流で、軽症にとどまることが多いもののエアロゾル感染を起こすため強い感染力がある。4)百日咳(1)飛沫により感染する細菌感染症。成人が感染すると乾性咳が長く続き、新生児が感染すると致死的な経過を取ることがある。以上から、新生児と接触がある成人に免疫付与するコクーニング(cocooning)による新生児感染予防が推奨されている。2.接触感染または針刺しが原因となるVPD1)B型肝炎(1)ヒトのあらゆる体液(汗を除く)から感染するウイルス性疾患で、15年以上の経過で肝硬変や続発する肝がんの原因となる。(2)世界保健機関(WHO)が1992年からuniversal vaccinationキャンペーンを展開して感染抑制が進んだ地域も多い中、わが国は定期接種化が2016年と世界的には後発であり、高齢者の陽性キャリアはいまだ多い。3.一部の医療者のみ考慮の対象となるVPD1)破傷風(1)土中の芽胞菌である破傷風菌が損傷皮膚に感染して起こす疾患で、発症後の死亡率は30%と高い。肉眼で確認できない微細な損傷でも感染が成立する。(2)屋外で転倒する可能性を考えれば全住民に免疫付与が望まれるが、医療機関での業務として考えた場合、土壌に触れる業務がある職員(清掃職員、園芸療法に関わる者など)で接種完遂が求められる。2)髄膜炎菌(1)飛沫感染によって細菌性髄膜炎を起こす。集団生活や人の密集状態で、時に集団発生することが知られている。(2)救急外来や病理検査室のように、曝露を受ける可能性が高い部署では職員に対して接種を勧める。4.曝露後対応を要するVPD(曝露後緊急接種に用いる)1)MR、水痘(1)麻疹と水痘への曝露があった場合、すみやかに追加接種(72時間以内だが早いほど良い)することで、免疫がなくても高い発症阻止効果が期待できる。(2)風疹とムンプスでは曝露後接種の有効性は示されていないが、曝露の時点でワクチン接種歴が明らかでなければ将来利益も考慮して接種を推奨する。2)HBV(B型肝炎ウイルス)(1)接種未完了者がHBV陽性体液に曝露された場合、免疫グロブリンに加えてHBVワクチン1シリーズ(3回)接種を開始することで感染を予防できる可能性がある。3)破傷風(1)屋外での外傷により発症リスクが懸念される場合、追加接種を行う。医療職員が未接種である可能性は低いが、その場合は免疫グロブリン投与も必要となる。ワクチンの概要(効果、副反応、生または不活化、定期または任意・接種方法)1)MR、ムンプス、水痘(1)上記いずれも生ワクチンであり、MRと水痘は現在国の定期接種となっているが、1回接種だった時代もあり、接種回数が不足している可能性がある。2)季節性インフルエンザ(1)4価の不活化ワクチン(A型2価+B型2価)が最も一般的。成人はシーズン前に1回接種。(2)上記の通り、個々人の発症や重症化を予防する効果は高くないが、集団発生の確率を減らすことで疾病負荷を軽減するために接種が推奨される。3)SARS-CoV-2(COVID-19)(1)パンデミック対策として各種ワクチンが緊急開発・供給された中、初めて実臨床使用されたmRNAワクチンが、現時点までもっとも安全かつ有効なワクチンである。(2)2023年現在、野生株とオミクロン株の2価ワクチンが流通している。(3)伝統的なワクチンに比べて発熱や疼痛などが強い傾向はあるものの、重篤な副反応はとくに多いとはいえず、安全性は他のワクチンと大差はない。4)百日咳、破傷風(1)3種または4種混合として定期接種化されている不活化ワクチン。(2)免疫能を維持するために10年ごとの追加接種が望ましいとされているが、追加分は定期接種に設定されていないため、可能なら医療機関で職員の接種時期を把握しておき、接種を知らせたい。接種のスケジュールや接種時の工夫いずれのワクチンについても、接種歴を確実に記録し、必要な追加接種が遅れずに実施できるように努める。1)MR、ムンプス、水痘(1)「生後1年以降に2回の接種」が完遂の条件。間隔が長くても問題ない。(2)上記を満たさない・記録が確認できない場合は、不足分を接種する。(3)2回接種が必要な場合、1ヵ月以上時間を空ける。(4)混合ワクチンにより3回以上の接種となる成分があっても問題ない。(5)接種前後での抗体検査は必要ない。2)百日咳、破傷風(1)小児期の基礎免疫が完遂している場合、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(商品名:トリビック)を1回接種する。(2)小児期の基礎免疫が不明なら、基礎免疫として0、1、2ヵ月で3回接種する。(3)破傷風の単独ワクチンを接種していても、百日咳の免疫付与が必要ならトリビックを接種して良い。3)季節性インフルエンザ(1)一般的な4価の不活化ワクチンは、流行前に1回接種する。(2)添付文書上は皮下注とされているが、効果や副作用の観点からは筋注が望ましいため、実臨床では「深い皮下注」を心がけると良い。4)SARS-CoV-2(COVID-19)(1)院内感染対策の一環として、医療職員は都度すみやかに接種を行うことが望ましい。日常診療で役立つ接種ポイント(例:ワクチンの説明方法や接種時の工夫など)業務上の必要性から職員へ接種を勧める観点から、以下の点に留意したい。職種により事前の説明を調整する接種費用は医療機関が負担する接種記録は人事記録として保管する妊娠や治療などが接種不可の理由になることから、ワクチン接種情報はプライバシー保護の対象として対応する。たとえば、「集団一斉接種をしない」、「接種対象者名簿を公開しない」など。年次健康診断や新人オリエンテーションと一緒に接種するなど、業務への影響を最小限に抑える工夫をする曝露後接種の取り扱いは、あらかじめ院内感染予防マニュアルに手順を明記しておく。そうすることで、発生報告からワクチン接種まで迅速に処理され接種時期を逃さない。参考となるサイト環境感染学会医療者のためのワクチンガイドライン 第2版/第3版こどもとおとなのワクチンサイト講師紹介

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第80回 外来で増えた「私も抗MDA5抗体ですか?」

Unaplashより使用八代 亜紀さんが、抗MDA5抗体陽性の間質性肺炎増悪のため逝去されました。東日本大震災のときに被災地に行って歌っていたのが印象的でした。彼女が亡くなってからというもの、膠原病関連間質性肺疾患で通院している患者さんから「私も八代 亜紀さんのように肺炎が急速に悪化しないでしょうか?」「私も抗MDA5抗体陽性でしょうか?」という質問が増えました。確かに心配になりますよね。ただ、現在通院している人が実は抗MDA5抗体陽性でした、ということは今の日本の診療ではほとんどないと思います。たぶん。抗MDA5抗体陽性の皮膚筋炎は通称、CADM(Clinically amyopathic dermatomyositis:筋症状のない皮膚筋炎)と呼ばれていますが、その他の膠原病と比較して重症の間質性肺炎を起こしやすい特徴があります。この抗体が陽性になった場合、「スイッチが入る」と表現する医師が多いです。同抗体が測定されないと診断しようがないのは事実ですが、皮膚筋炎をみたときにはチェックしておきたいですし、手の潰瘍やGottron徴候・逆Gottron徴候があるのに抗核抗体が陰性ならば疑う必要があります1)。そして、この疾患を診療していくうえで、とにかく重要なのはフェリチンと考えられます。抗MDA5抗体陽性例では、フェリチン高値(≧500ng/mL)は死亡リスクが高くなり、高いほど予後不良になっていきます2)。「同じ病気」で死去したとされるのが美空 ひばりさんです。Wikipediaによると、最後の1年では「脚の激痛と息苦しさで、歌う時はほとんど動かないままの歌唱であった。この頃すでに、ひばりの直接的な死因となった『間質性肺炎』の症状が出始めていたとされており、立っているだけでも限界であったひばりは、歌を歌い終わるたびに椅子に腰掛け、息を整えていたという。」と記載されています。当時は抗MDA5抗体なんて知る由もなかった時代ですし、膠原病関連間質性肺疾患でさえ存在があまり知られていなかったと思われます。ただ、彼女は肝硬変やCOPDも合併していましたし、亡くなる数年前から症状が出ていることから、「同じ病気」とは断定できないと思っております。参考文献・参考サイト1)Chen F, et al. Anti-MDA5 antibody is associated with A/SIP and decreased T cells in peripheral blood and predicts poor prognosis of ILD in Chinese patients with dermatomyositis. Rheumatology international. 2012;32:3909-3915.2)Goto T, et al. Clinical manifestation and prognostic factor in anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody-associated interstitial lung disease as a complication of dermatomyositis. Rheumatology. 2010 Sep;49(9):1713-1719.

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第69回 傾向スコアマッチング法とは【統計のそこが知りたい!】

第69回 傾向スコアマッチング法とは傾向スコアマッチング法(propensity score matching methods)は、1983年に、ポール・ローゼンバウム(Paul Rosenbaum)とドナルド・ルービン(Donald Rubin)の2人が発表した解析方法です。臨床研究を行う際、目的変数と目的変数に関わる因子についての関係を調査・解析する方法として、単変量解析(1変量解析)と多変量解析(2~3つ以上の変数)があります。変数が2つの場合は2変量解析(相関分析)です。単変量解析とは、目的変数に関わる因子(説明変数または共変量)が1つの場合の解析です。基本統計量(平均値/標準偏差)、t検定、カイ2乗検定、ログランク検定(カプランマイヤー曲線)などがあります。多変量解析とは、説明変数や目的変数が2つ以上ある場合の解析です。たとえば、目的変数が「ある重篤な疾患で手術治療をした患者の生存・死亡」、説明変数が「年齢・性別・BMI・発症から手術までの時間・手術中輸血量」の5因子のような場合です。このように、多変量解析に用いるいくつかの説明変数は目的変数に直接関わるだけではなく、説明変数間同士でも影響し合っている場合が多くあります。これを「交絡因子」と言い、交絡した因子は、しばしば解析の妨げになります。この交絡因子の影響を効果的に取り除くための手法の1つに「傾向スコアマッチング法」があり、近年多く使用される解析法となっています。交絡因子は、調べようとする因子以外の因子で、結果(目的変数)に影響を与えるものであり、交絡因子であるための3つの条件としては、(1)交絡因子は問題となっている目的変数に影響を与える可能性のある因子(2)問題となっている要因(原因)と関係がある(3)問題となっている要因と結果の因果連鎖の中間変数ではないがあります。■事例で探る交絡因子簡単な事例で解説します。健康診断で肝臓機能の検査値の1つにγ-GTPがあります。γ-GTPは肝臓や胆管の細胞がどれくらい壊れたかを示す指標で、検査値が成人男性の場合100(基準は50)を超えると、肝硬変、肝がん、脂肪肝、胆道疾患の可能性があるといわれています。表1のデータは100人の成人男性について、γ-GTP、飲酒量(1ヵ月に飲酒する日数)、喫煙有無、ギャンブル嗜好(7件法)を調べたものです。表1 成人男性100人のγ-GTP、飲酒量、喫煙、ギャンブルの調査データ画像を拡大するそれでは、表1のデータを用いて以下の3つを検証してみましょう。(1)飲酒量はγ-GTPに関係があるかを検証する。(2)喫煙有無はγ-GTPに関係があるかを検証する。(3)ギャンブル嗜好はγ-GTPに無関係であることを検証する。■γ-GTPの2群間の有意差検定γ-GTPの「50以上」を群1=高群、「49以下」を群2=低群として、γ-GTP(2群)のデータを作成しました。1)飲酒量の平均は、高群16.2(日)、低群11.0(日)で高群が低群を5.2ポイント上回った。p値0.0037<0.05より高群は低群に比べ有意に高いといえます。このことから、飲酒量はγ-GTPに関係があることが検証できました。2)喫煙有無において「有り」の割合は、高群45.0%、低群18.3%で高群が低群を26.7ポイント上回った。p値0.0037<0.05より高群は低群に比べ有意に高いといえます。このことから、喫煙有無はγ-GTPに関係があることが検証できました。3)ギャンブル嗜好程度の平均は、高群4.03(点)、低群3.17(点)で高群が低群を0.86ポイント上回った。p値0.0252<0.05より高群は低群に比べ有意に高いといえます。ギャンブル嗜好程度はγ-GTPに無関係と思われていたが関係性があるという結論になりました。■相関分析(表2)(1)飲酒量とγ-GTPとの相関係数は0.6658(p値<0.05)で、飲酒量はγ-GTPへの影響要因といえます。(2)喫煙有無はγ-GTPとの相関係数0.3076(p値<0.05)で、喫煙有無はγ-GTPへの影響要因といえます。※喫煙有無は距離尺度ではないですが、「喫煙しない」を0点、「喫煙する」を1点として距離尺度に変換して相関係数を算出しました。(3)ギャンブル嗜好とγ-GTPとの相関係数は0.3580(p値<0.05)で、ギャンブル嗜好はγ-GTPへの影響要因といえます。表2 表1データの相関分析表相関関係を図1に示します。図1 変数の相関関係「γ-GTPとギャンブル嗜好」の相関は0.36、「γ-GTPと喫煙有無」は0.31で前者の方が高い。ギャンブル嗜好の方が喫煙有無より、γ-GTPに影響度が高いといえるでしょうか?「喫煙有無とギャンブル嗜好」の相関は0.37、「飲酒量とギャンブル嗜好」の相関は0.30でどちらも相関関係がみられ、喫煙する人、飲酒量が多い人ほどギャンブル嗜好程度が高いといえます。ギャンブル好きだからγ-GTPが高いのではなく、ギャンブル好きは喫煙し、飲酒量が多いからγ-GTPが高いと推察できます。「γ-GTPとギャンブル嗜好」の相関0.36は見かけの相関といい、「γ-GTPとギャンブル嗜好」の真の関係は喫煙有無や飲酒量の影響を除去したものでなければなりません。このような真の関係を把握する方法の1つに、傾向スコアマッチング分析があります。■傾向スコアマッチング分析とは高群は多量飲酒者や喫煙者が多く、低群は少量飲酒者や非喫煙者が多い。このような状況でギャンブル嗜好程度の平均について高群と低群を比較すれば「ギャンブル嗜好と飲酒量や喫煙は相関関係がある」ので、ギャンブル嗜好の程度は高群の方が低群より高くなるのは当然の結果となってしまいます(表3)。表3 高群と低群の比較と平均のまとめギャンブル嗜好程度の平均を高群と低群で比較する際、両群の飲酒量や喫煙有無が同等であれば真の比較ができるようになります。すなわち、高群と低群で飲酒量や喫煙有無が似ているサンプルだけを取り出して比較すればよいわけです。具体的には両群から似ている要素を持つデータをみつけてペアにすることです。※統計学において異なるサンプルで,似ている要素(交絡因子)をもつデータをみつけてペアにすることを「マッチング」と言います。14人について、飲酒量・喫煙有無から各サンプルがγ-GTP高群となる確率を求めてみましょう(表4)。両群から確率が似ている(同じ)サンプルをみつけてペアにします。高群6人、低群8人においてペアは3人である。選ばれた3人は、「飲酒量・喫煙有無」の状況(傾向)が似ている人であるということになります。確率を「傾向スコア」と言います。同じような傾向を持つ人をペアにする方法を「傾向スコアマッチング」と言います。表4 事例の傾向スコアマッチングの結果傾向スコアは,目的変数を高群=1,低群=0、説明変数を交絡因子である飲酒量、喫煙有無にしてロジスティック回帰を行うことで求められます。ロジスティック回帰で導かれる各サンプルの判別スコアを傾向スコアとします。マッチングされたペアデータについて、検証したい原因項目(具体例はギャンブル嗜好程度)と目的変数(γ-GTP)について相関検定や有意差検定を行います。交絡因子の傾向スコアでマッチングしペアを見つけ、ペアデータについて目的変数と原因変数の関係を検証する方法を「傾向スコアマッチング分析」と言います(図2)。図2 傾向スコアマッチング分析の整理■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問9 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その1)質問9(続き) 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その2)質問11 多変量解析とは何か?(その1)質問11 多変量解析とは何か?(その2)

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原発性胆汁性胆管炎(PBC)に対するelafibranorの有用性と安全性(解説:上村直実氏)

 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、自己免疫学的機序による肝内小葉間胆管の破壊を特徴とする慢性胆汁うっ滞性肝疾患であり、徐々に肝硬変から肝不全へ移行するとともに肝がんをも引き起こすことのある疾患で、わが国の難病に指定されている。最近の診断技術や治療の進歩により肝硬変まで進展する以前に胆管炎として診断されるケースが多くなり、2016年にそれまで使用されていた原発性胆汁性肝硬変から原発性胆汁性胆管炎と病名が変更されている。進行期の症状としては掻痒感や黄疸が特徴的であるが、その前には無症状であることが多く、日本における患者数は中年の女性を中心として約5~6万人に上ると推定され、稀な疾患というわけではない。 治療法としてはウルソデオキシコール酸(UDCA)が標準治療薬で、肝硬変が進み肝不全になった場合には肝移植が究極の救命法であったが、最近、病気の進行を抑制するために高脂血症の治療薬であるベサフィブラートとUDCA併用療法の有効性が報告され、厚生労働省研究班による『PBC診療ガイドライン2023』にも推奨されている。ただし、わが国でベサフィブラートは高脂血症にのみ保険適応があるため、高脂血症を合併しないPBCに対しては、臨床研究として投与することが適切となっている。 今回は、UDCAに不応性のPBCに対してペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)α、およびδのデュアルアゴニストであるelafibranorの有効性を検証した国際共同RCTの結果が、2023年10月のNEJM誌に報告された。プラセボと比較して投与52週目には、胆道系酵素やビリルビンなどの血清学的異常が有意に改善していた。長期投与により、さらなる改善が期待される結果である。ちなみにelafibranorはインシュリン抵抗性を改善して、糖尿病、高脂血症および非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)に対する有用性が示されて、今後の臨床応用が期待されている薬剤である。 このようにUDCAのみでなく胆管炎から肝硬変への進展を抑制する薬剤が次々と開発され、PBCの予後が大幅に改善されることが切望される。最後に、ベサフィブラートやelafibranorは米国のFDAで承認されており、いまだにPBCに対して保険適用となっていない日本においても、迅速な承認が期待される。

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DOAC内服AF患者の出血リスク、DOACスコアで回避可能か/ESC2023

 心房細動患者における出血リスクの評価には、HAS-BLEDスコアが多く用いられているが、このスコアはワルファリンを用いる患者を対象として開発されたものであり、その性能には限界がある。そこで、米国・ハーバード大学医学大学院のRahul Aggarwal氏らは直接経口抗凝固薬(DOAC)による出血リスクを予測する「DOACスコア」を開発・検証した。その結果、大出血リスクの判別能はDOACスコアがHAS-BLEDスコアよりも優れていた。本研究結果は、オランダ・アムステルダムで2023年8月25日~28日に開催されたEuropean Society of Cardiology 2023(ESC2023、欧州心臓病学会)で発表され、Circulation誌オンライン版2023年8月25日号に同時掲載された。 RE-LY試験1)のダビガトラン(150mgを1日2回)投与患者5,684例、GARFIELD-AFレジストリ2)のDOAC投与患者1万2,296例を対象として、DOACスコアを開発した。その後、一般化可能性を検討するため、COMBINE-AF3)データベースのDOAC投与患者2万5,586例、RAMQデータベース4)のリバーロキサバン(20mg/日)投与患者、アピキサバン(5mgを1日2回)投与患者1万1,1945例を対象に、DOACスコアの有用性を検証した。 以下の10項目の合計点(DOACスコア)に基づき、0~3点:非常に低リスク、4~5点:低リスク、6~7点:中リスク、8~9点:高リスク、10点以上:非常に高リスクに患者を分類し、DOACスコアの大出血リスクの判別能を検討した。また、DOACスコアとHAS-BLEDスコアの大出血リスクの判別能を比較した。【DOACスコア】<年齢> 65~69歳:2点 70~74歳:3点 75~79歳:4点 80歳以上:5点<クレアチニンクリアランス/推算糸球体濾過量(eGFR)> 30~60mL/分:1点 30mL/分未満:2点<BMI> 18.5kg/m2未満:1点<脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、塞栓症の既往> あり:1点<糖尿病の既往> あり:1点<高血圧症の既往> あり:1点<抗血小板薬の使用> アスピリン:2点 2剤併用療法(DAPT):3点<NSAIDsの使用> あり:1点<出血イベントの既往> あり:3点<肝疾患※> あり:2点※ AST、ALT、ALPが正常値上限の3倍以上、ALPが正常値上限の2倍以上、肝硬変のいずれかが認められる場合 主な結果は以下のとおり。・RE-LY試験の対象患者5,684例中386例(6.8%)に大出血が認められた(追跡期間中央値:1.74年)。・ブートストラップ法による内部検証後において、DOACスコアは大出血について中等度の判別能を示した(C統計量=0.73)。・DOACスコアが1点増加すると、大出血リスクは48.7%上昇した。・いずれの集団においても、DOACスコアはHAS-BLEDスコアよりも優れた判別能を有していた。 -RE-LY(C統計量:0.73 vs.0.60、p<0.001) -GARFIELD-AF(同:0.71 vs.0.66、p=0.025) -COMBINE-AF(同:0.67 vs.0.63、p<0.001) -RAMQ(同:0.65 vs.0.58、p<0.001) 本研究結果について、著者らは「DOACスコアを用いることで、DOACを使用する心房細動患者の出血リスクの層別化が可能となる。出血リスクを予測することで、心房細動患者の抗凝固療法に関する共同意思決定(SDM)に役立てることができるだろう」とまとめた。

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新リスクスコア、肝関連アウトカムを高精度で予測/Lancet

 スイス・チューリッヒ大学のMiquel Serra-Burriel氏らは、一般集団における肝線維症および関連疾患の長期アウトカムを高い精度で予測可能な「LiverRiskスコア」を開発した。同スコアの予測能は従来のFIB-4指数よりも高いことが示され、著者は、「個々人を肝リスクに応じて層別化可能であり予防的ケアに有用である可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年8月9日号掲載の報告。開発したリスクスコアに基づき4群に分類し識別能、予後予測能などを検証 研究グループは、超音波エラストグラフィーで肝線維症の評価を受けた一般集団のうち、既知の肝疾患を有していなかった6ヵ国の個人参加者を集めた国際前向きコホート(スコアモデル作成コホート)を用いて「LiverRiskスコア」を開発した。同スコアには、年齢、性別と6つの標準的な検査数値などを盛り込んだ。 LiverRiskスコアの選択的カットオフ値(6、10、15)に基づき、スコアモデル作成コホートを、最小リスク、低リスク、中程度リスク、高リスクの4群に分類した。 同モデルの識別能と較正能について、一般集団から作成した2つの前向き外部コホートで検証。さらに、既知の肝疾患を有していなかった参加者(UK Biobankコホート)を中央値12年間フォローアップし、同スコアの肝関連アウトカムの長期予後予測能を検証した。肝疾患、関連死や入院、肝がんリスクの特定に効果的 参加者は計1万4,726人で、内訳はスコアモデル作成コホート6,357人(43.2%)、第1外部検証コホート4,370人(29.7%)、第2外部検証コホートは3,999人(27.2%)だった。 LiverRiskスコアは、スコアモデル作成コホートと外部検証コホートで肝硬変を正確に予測し、従来の線維症の血清バイオマーカーであるFIB-4指数よりも予測能が高いことが、受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)で示された(LiverRiskスコアのAUC:0.83[95%信頼区間[CI]:0.78~0.89]vs.FIB-4指数10kPaのAUC:0.68[0.61~0.75])。 LiverRiskスコアは肝関連死や入院、肝がんリスクの特定に効果的であり、肝関連アウトカムに関するリスクグループ層別化を可能とするものだった。 肝関連死に関する、高リスク群の最小リスク群に対するハザード比は、471(95%CI:347~641)だった。また10年肝関連死の予測に関する総AUCは、LiverRiskスコアが0.90(95%CI:0.88~0.91)だったのに対しFIB-4は0.84(0.82~0.86)だった。

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2型糖尿病の肝硬変、GLP-1受容体作動薬により死亡リスク減

 肝硬変は2型糖尿病と関連していることが多いものの、肝硬変患者を対象とした2型糖尿病治療に関する研究はほとんどない。今回、台湾・Dr. Yen's ClinicのFu-Shun Yen氏らは2型糖尿病の肝硬変患者を対象にGLP-1受容体作動薬による治療の長期アウトカムを調査した。その結果、2型糖尿病の肝硬変(代償性)患者がGLP-1受容体作動薬を使用した場合、死亡、心血管イベント、非代償性肝硬変、肝性脳症、肝不全のリスクが有意に低くなることが示された。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年6月16日号掲載の報告。2型糖尿病の肝硬変患者はGLP-1受容体作動薬による治療で死亡リスク減 研究者らは台湾の国民健康保険研究データベースを用い、傾向スコアマッチング法により2008年1月1日~2019年12月31日のGLP-1受容体作動薬の使用者と未使用者467組を選定した。 2型糖尿病の肝硬変患者を対象にGLP-1受容体作動薬による治療の長期アウトカムを調査した主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間は、GLP-1受容体作動薬の使用者で3.28年、未使用者で3.06年だった。・それぞれの死亡率は、1,000人年当たり27.46例と55.90例だった。・多変量解析の結果、GLP-1受容体作動薬の使用者は未使用者に比べ、死亡(調整ハザード比[aHR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.32~0.69)、心血管イベント(aHR:0.6、95%CI:0.41~0.87)、非代償性肝硬変(aHR:0.7、95%CI:0.49~0.99)、肝性脳症(aHR:0.59、95%CI:0.36~0.97)、肝不全(aHR:0.54、95%CI:0.34~0.85)のリスクが低いことが示された。・GLP-1受容体作動薬の累積使用期間が長いほど、GLP-1受容体作動薬を使用しなかった場合よりもこれらのリスクが低くなった。

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加糖飲料を毎日摂取、肝がんリスク・肝疾患による死亡を増大/JAMA

 閉経後女性において、砂糖入り飲料の1日1杯以上摂取者は1ヵ月3杯以下の摂取者と比べ、肝がん罹患率および慢性肝疾患死亡率が高率であることが示された。一方で人工甘味料入り飲料の摂取量については、両リスク共に増大はみられなかったという。米国・サウスカロライナ大学のLonggang Zhao氏らが、約10万人規模の50~79歳の閉経後女性からなる前向きコホートを追跡し明らかにした。米国では成人の約65%が砂糖入り飲料を毎日摂取しているという。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究で今回示された所見を確認し、その関連性について生物学的経路を明らかにする必要がある」と述べている。JAMA誌2023年8月8日号掲載の報告。肝がんと慢性肝疾患死亡の発生率を比較 研究グループは米国40ヵ所の臨床施設で、1993~98年にWomen's Health Initiativeに登録された50~79歳の閉経後女性9万8,786例からなる前向きコホートを、2020年3月1日まで追跡した。砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料の摂取と、肝がん罹患率および慢性肝疾患死亡率との関連を調べた。 砂糖入り飲料摂取は、ベースラインで行った食品摂取頻度質問票で評価し、通常のソフトドリンクとフルーツドリンク(フルーツジュースは含まない)の合計で定義した。人工甘味料入り飲料摂取は、3年フォローアップ時に測定が行われた。 主要アウトカムは、(1)肝がん罹患率、(2)慢性肝疾(非アルコール性脂肪性肝疾患[NAFLD]、肝線維症、肝硬変、アルコール性肝疾患、慢性肝炎で定義)による死亡だった。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、肝がん罹患率と慢性肝疾患死亡率に関するハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出。人口統計学的因子およびライフスタイル因子などの潜在的な交絡因子は補正した。追跡期間中央値20.9年、6.8%が1日1杯以上の砂糖入り飲料を摂取 追跡期間中央値20.9年間において、207例が肝がんを呈し、148例が慢性肝疾患で死亡した。ベースラインでは被験者の6.8%が1日に1杯以上の砂糖入り飲料を摂取しており、3年フォローアップ時では13.1%が1日1杯以上の人工甘味料入り飲料を摂取していた。 砂糖入り飲料摂取量が1日1杯以上の人は同摂取量が1ヵ月3杯以下の人と比べて、肝がんリスク(18.0 vs.10.3/10万人年[傾向のp=0.02]、補正後HR:1.85[95%CI:1.16~2.96]、p=0.01)、慢性肝疾患死リスク(17.7 vs7.1/10万人年[p<0.001]、1.68[1.03~2.75]、p=0.04)がいずれも有意に高かった。 一方で人工甘味料入り飲料摂取については、1日1杯以上の人は1ヵ月3杯以下の人と比べて、肝がんリスク(11.8 vs.10.2/10万人年[p=0.70]、補正後HR:1.17[95%CI:0.70~1.94]、p=0.55)、慢性肝疾患死亡リスク(7.1 vs.5.3/10万人年[p=0.32]、0.95[0.49~1.84]、p=0.88)のいずれも有意な増加がみられなかった。

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C型肝炎にDAA治療成功も死亡率高い、その理由は/BMJ

 インターフェロンを使用せず直接作用型抗ウイルス薬(DAA)で治療に成功したC型肝炎患者では、一般集団と比較して死亡率が高く、この過剰な死亡の主な要因は薬物や肝臓関連死であることが、英国・グラスゴー・カレドニアン大学のVictoria Hamill氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年8月2日号に掲載された。カナダと英国の3地域のコホート研究 本研究は、ブリティッシュコロンビア州(カナダ)、スコットランド(英国)、イングランド(英国)の3つの地域のデータを用いた住民ベースのコホート研究である(研究資金は主に、責任著者のHamish Innes氏[グラスゴー・カレドニアン大学]が英国のMedical Research Foundationから受けたウイルス性肝炎フェローシップの報奨金が充てられた)。 対象は、インターフェロンフリーの抗ウイルス薬治療の時期(2014~19年)に、C型肝炎の治療に成功(ウイルス学的著効[SVR]を達成)した2万1,790例であった。 これらの参加者を肝疾患の重症度で、肝硬変なし(肝硬変前)、代償性肝硬変、末期肝疾患(ESLD)の3つの群に分けた(イングランドは肝硬変とESLDのみ)。追跡調査は、抗ウイルス薬治療の終了後12週の時点から開始し、死亡日または2019年12月31日に終了した。 主要アウトカムは、粗死亡率と年齢・性別標準化死亡率、および標準化死亡率比であり、年齢、性別、年度で調整した一般集団と比較した。ポアソン回帰分析で、全死因死亡率と関連する因子を同定した。3地域とも、肝疾患の重症度の上昇と共に死亡率増加 追跡期間中に1,572例(7%)が死亡した。主な死因は、薬物関連死(383例、24%)、肝不全(286例、18%)、肝がん(250例、16%)だった。 粗全死因死亡率(1,000人年当たりの死亡数)は、ブリティッシュコロンビア州が31.4(95%信頼区間[CI]:29.3~33.7)、スコットランドが22.7(20.7~25.0)、イングランドが39.6(35.4~44.3)であった。また、標準化死亡率はそれぞれ31.4(95%CI:29.3~33.7)、28.6(24.7~32.5)、38.5(34.1~42.9)だった。 全死因死亡率は、各コホートおよびすべての重症度の群において、一般集団に比べC型肝炎治療成功者でかなり高かった。たとえば、ブリティッシュコロンビア州の全死因死亡率は、肝硬変のない集団では一般集団の約3倍(標準化死亡率比:2.96、95%CI:2.71~3.23、p<0.001)、肝硬変の集団では約4倍(3.96、3.26~4.82、p<0.001)、ESLDの集団では10倍以上(13.61、11.94~15.49、p<0.001)であった。 また、スコットランドとイングランドでも同様に、疾患の重症度が上がるに従って全死因死亡率の標準化死亡率比が高くなり、いずれも有意な差が認められた(すべてのp<0.001)。 回帰分析では、高齢、最近の薬物乱用による入院、アルコール乱用による入院、併存疾患が死亡率の上昇と関連していた。 著者は、「これらの知見は、直接作用型抗ウイルス薬の効果を最大限に発揮させるためには、C型肝炎の治療が成功した後も、継続的な支援と追跡調査が必要であることを強調するものである」としている。

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