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第204回 ワクチンマニアが最後の公費接種に選んだコロナワクチンメーカーは…

前回、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の無償ワクチン接種が3月31日で終了する件について書いた。私のような高齢者にも基礎疾患保有者にも該当しない人間が、接種が始まった2021年2月17日~2024年3月31日までの期間に新型コロナワクチンを接種できる最大回数は5回だ。やはり過去の連載でも触れたように、私は一昨年末に4回目のワクチン接種を完了。昨秋には5回目のオミクロン株XBB.1.5系統対応ワクチン接種券が届いていたが、ちょうど1年間隔、すなわち昨年12月末くらいに接種しようと考えていた。しかし、予定が合わず12月末の接種はお流れ。とりあえず年初の1月接種に計画を変更したが、能登半島地震の発生でそちらの取材に時間を割き、3月に入ってしまった。というわけで、今週前半に駆け込みで5回目接種を完了した。今回も前回と同じく東京都が開設した大規模接種会場の1つ、都庁北展望室会場を選んだ。前回は当時の最新流行変異株であるオミクロン株BA.4、BA.5系統対応ワクチンのうち、ファイザー製よりも承認が1ヵ月遅れたモデルナ製を接種できる数少ない会場の1つがここだった。モデルナ製にこだわったのは、接種後の抗体価がファイザー製より高めとの研究報告が多かったからである。そして今回再び同会場で接種したのは、昨年8月に承認された国産初のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンである第一三共製での接種を望んだ結果、やはりここになったというわけだ。この選択は、1、2回目はファイザー製、3、4回目はモデルナ製を選択したので、とりあえず第一三共製も試してみたいという、自称「ワクチンマニア」の好奇心に過ぎない。前回は新型コロナの感染症法5類移行前であり、接種予約サイトにアクセスしても最短で空きがあったのは約2週間先だったが、今回はアクセスした日の翌日接種でも予約可能だった。ただし、実際の予約日は、業務の都合などを考慮し、アクセス日の1週間後にした。接種日には予約時間の20分前に都庁1階に到着。前回は北展望室行きのエレベーター脇に比較的大きな受付ブースが設置され、接種券を提示して予約確認と検温を経てエレベーターに乗る流れだった。今回はエレベーター前の案内担当者から口頭で予約有無の確認があり、さらにそこで接種券と予診票を見せて非接触式体温計を使って検温。そのまま45階への直通エレベーターに乗り込む形に簡素化されていた。ちなみにここでやや“失態”。エレベーター前の案内担当者から「マスク、お持ちですか?」と聞かれ、ハッとした。マスクは持ち歩いているものの、最近は医療機関に入る時しか着用していなかった。慌ててカバンから取り出そうとするも、担当者から「これ使って良いですよ」とマスクの入った箱を差し出されてしまい、恥ずかしながらそこから“税金”マスクを1枚頂戴することになった。45階でエレベーターを降りると、誘導に従い、受付ブースに並ぶ。前回は1階に設置されていたブースがこちらに移動した模様だ。そこで接種券と予診票を渡し、氏名と生年月日を言うように指示され、受付担当者は私が告げた内容を耳で聞きながら、接種券を凝視して確認していた。その後、ノートPCを操作し、予約を確認。第一三共製の接種希望者とわかると、「オミクロン 第一三共 XBB.1.5 3~7回目」と印字された緑の紙を予診票に貼りつけるとともに、同じ紙が挿入されたネックストラップ付カードホルダーを首から下げるように指示された。さらに受付担当者は接種券と予診票の目視確認を2回繰り返し行った。無事に受付が済み、背後の予診室のほうを振り返ると、後ろにいた誘導担当者がこちらを見ながら「はい、第一三共のワクチンはこちらです」と、予診室へ案内してくれた。どうやらカードの色で接種ワクチンを判別しているらしい。これも前回同様、通り抜け式になっている予診室に着席すると、医師から再び氏名、生年月日を告げるよう指示される。医師は私が告げた氏名、生年月日を接種券・予診票と照合し、さらに記入した予診票のチェック項目を指でなぞりながら確認した。そのうえで、今現在の不調や過去の新型コロナワクチンやそのほかのワクチン接種後の不調の有無、過去2週間のワクチン接種歴を尋ねた。「なし」と回答すると、「今回のワクチン接種で何かお尋ねになりたいことはありますか?」と返答がきた。これも「とくになし」と答えると、そのまま予診室を通り抜けて接種室に移動するよう告げられた。わずか5歩ほどで、接種室へ到着。再び氏名、生年月日、接種ワクチン種類の確認を受け、袖をまくった右腕を差し出すと、アルコール消毒によるアレルギーはないかと聴取された。それも「なし」と答えると、消毒後数秒で「ちょっとチクッとしますね」と言われ、軽い圧力を感じた直後に「はい終了です」。接種部分に絆創膏を張られ、目前の机の下にある段ボール箱に私に使用した注射器が放り投げられた。今度はアナフィラキシーチェックの待機ブースに移動。前回同様パイプ椅子が並べられた開放空間だが、着席人数は前回の3割程度だろうか。前回までの新型コロナワクチン接種では、アレルギー体質ということも考慮し、念のため30分待機をお願いしていたが、これまでとくに副反応経験がないことから、今回は15分待機組入り。スマホで仕事の資料を読んでいるうちに、待機時間を1分過ぎていたことに気付く。慌てて席を立ち、最後に予診票と接種券を記録するブースへ。ここでいつものごとくWHO版、米・CDC版の2種類のイエローカードの記入もお願いする。今回のイエローカード対応は「はいはい」という感じでシステマティックに進んだ。保管用の接種券記録、イエローカードを返却してもらい、再びエレベーターで1階に到着。時間を確認すると、展望室に向かった時から換算してわずか19分。なんとそんな短い時間だったかと驚いた。接種者の減少も影響しているだろうが、オペレーションも磨きがかかっていた感じだ。そして接種から丸1日以上経過しても接種部位の軽い圧痛以外は何の変化もなし。いつも通りか。しかし、今春以降、私が接種する場合は完全な自費。1回あたりセンベロ10回分以上かかるという野暮な算盤を弾いてしまう。痛い出費になるが、止むを得ないと考えるしかない。

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高齢者への2価コロナワクチン、脳卒中リスクは?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するファイザー製またはモデルナ製のいずれかの2価ワクチンを接種後に脳卒中を発症した65歳以上の米国メディケア受給者において、接種直後(1~21日間)に脳卒中リスクが有意に上昇したことを示すエビデンスは確認されなかった。米国食品医薬品局(FDA)のYun Lu氏らが、自己対照ケースシリーズ研究の結果を報告した。2023年1月、米国疾病予防管理センター(CDC)とFDAは、ファイザー製の「BNT162b2」(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)を接種した65歳以上の高齢者における虚血性脳卒中に関する安全性の懸念を指摘していた。JAMA誌2024年3月19日号掲載の報告。2価コロナワクチン接種後に脳卒中を発症した65歳以上約1万例を検証 研究グループは、BNT162b2(ファイザー製)またはmRNA-1273.222(モデルナ製)いずれかの2価コロナワクチン接種後に脳卒中を経験した65歳以上のメディケア受給者1万1,001例を含む、自己対照ケースシリーズ研究を行った。本研究の期間は2022年8月31日~2023年2月4日である。 主として着目したのは2価コロナワクチン後の脳卒中であったが、高用量またはアジュバント付加型インフルエンザワクチンにも着目し、(1)いずれかの2価コロナワクチンを接種、(2)いずれかの2価コロナワクチンと同日に高用量またはアジュバント付加型インフルエンザワクチンを接種、(3)高用量またはアジュバント付加型インフルエンザワクチンを接種した場合における脳卒中リスク(非出血性脳卒中、一過性脳虚血発作、非出血性脳卒中または一過性脳虚血発作の複合アウトカム、または出血性脳卒中)を、ワクチン接種後1~21日または22~42日のリスクウィンドウと、43~90日の対照ウィンドウとの間で比較した。 脳卒中リスクについて、主要解析として2価コロナワクチン接種と、副次解析として高用量またはアジュバント付加型インフルエンザワクチンとの関連を評価した。製品によらず2価コロナワクチン接種直後の脳卒中リスク上昇は認めず いずれかの2価コロナワクチンを接種したメディケア受給者は、539万7,278例であった(年齢中央値74歳[四分位範囲[IQR]:70~80]、女性56%)。BNT162b2接種者は317万3,426例、mRNA-1273.222接種者は222万3,852例。 いずれかのワクチン接種後に脳卒中を発症した1万1,001例において、製品の違い、リスクウィンドウ(1~21日または22~42日)と対照ウィンドウとの比較評価で、非出血性脳卒中、一過性脳虚血発作、非出血性脳卒中または一過性脳虚血発作の複合、または出血性脳卒中との間に、統計学的に有意な関連は認められなかった(発生率比[IRR]の範囲:0.72~1.12)。高用量/アジュバント付加型インフルエンザワクチン併用接種者で有意な関連 いずれかのワクチン+高用量またはアジュバント付加型インフルエンザワクチンの併用接種後に脳卒中を発症した4,596例では、BNT162b2の場合、接種後22~42日のリスクウィンドウで、ワクチン接種と非出血性脳卒中との間に統計学的に有意な関連が認められた(IRR:1.20[95%信頼区間[CI]:1.01~1.42]、接種10万回当たりのリスク差:3.13[95%CI:0.05~6.22])。mRNA-1273.222の場合、接種後1~21日のリスクウィンドウで、ワクチン接種と一過性脳虚血発作との間に統計学的に有意な関連が認められた(IRR:1.35[95%CI:1.06~1.74]、接種10万回当たりのリスク差:3.33[95%CI:0.46~6.20])。 また、高用量またはアジュバント付加型インフルエンザワクチン接種後に脳卒中を発症した2万1,345例において、接種後22~42日のリスクウィンドウで、ワクチン接種と非出血性脳卒中との間に有意な関連が確認された(IRR:1.09[95%CI:1.02~1.17]、接種10万回当たりのリスク差:1.65[95%CI:0.43~2.87])。

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シナジス、RSウイルス発症抑制で製造販売承認(一部変更)取得/AZ

 アストラゼネカは、2024年3月26日付のプレスリリースで、抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体製剤「シナジス」(一般名:パリビズマブ[遺伝子組換え])について、RSウイルス感染症の重症化リスクの高い、肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症、神経筋疾患を有する乳幼児を新たに投与対象とする製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。 RSウイルスは、乳幼児の気管支炎や肺炎を含む、下気道感染の原因となる一般的な病原体であり、2歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれており、早産児や生まれつき肺や心臓などに疾患を抱える乳幼児に感染すると重症化しやすいとされている。シナジスは、これらの重症化リスクを有する乳幼児に対し発症抑制の適応としてすでに承認されている。 今回の承認は、森 雅亮氏(聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座 教授)が実施した医師主導治験の結果に基づく。シナジスの投与対象としてすでに承認されている疾患以外にも、その病態からRSウイルス感染症に対し慢性肺疾患と同等の重症化リスクが存在する疾患の存在が指摘されていた。そこで、日本周産期・新生児医学会が中心となり、関連学会である日本先天代謝異常学会、日本小児神経学会、日本小児呼吸器学会および日本小児外科学会から要望を集めた結果、換気能力低下および/または喀痰排出困難によりRSウイルス感染症が重症化するリスクの高い肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症または神経筋疾患を伴う乳幼児への追加適応が望まれていることがわかった。これらの疾患は国内推定患者数が少なく大規模臨床研究が困難であるため、医師主導治験が実施された。医師主導治験では、今回承認された疾患群における有効性、安全性、および薬物動態を検討し、いずれの疾患においてもRSウイルス感染による入院は認められなかった。 本治験を率いた森氏は、「今回の承認の基となった治験は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構が、革新的な医薬品・医療機器の創出を目的とした臨床研究や治験のさらなる活性化を目的とした研究を推進する“臨床研究・治験推進研究事業”に採択されている。これまで薬事承認のなかった重症化リスクの高い肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症、神経筋疾患を有する患者に対して、ようやく臨床の場でシナジスを広く使用できることをうれしく思う」と述べている。 松尾 恭司氏(アストラゼネカ 執行役員ワクチン・免疫療法事業本部長)は、「シナジスは、今まで日本においてRSウイルス感染症による重篤な下気道疾患の発症抑制に対する唯一の抗体薬として、多くの早産児や生まれつき肺や心臓などに疾患を抱える乳幼児の医療に貢献してきた。今回の承認により、これまでシナジスを投与できなかったハイリスクの乳幼児とそのご家族に対しても貢献できることを大変うれしく思う」としている。

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乳児HIV感染予防、母親のウイルス量に基づくラミブジン単剤投与が有望/Lancet

 小児の新規HIV感染の半数以上が母乳を介したものだという。ザンビア・University Teaching HospitalのChipepo Kankasa氏らは「PROMISE-EPI試験」において、ポイントオブケア検査での母親のウイルス量に基づいて、乳児へのラミブジンシロップ投与を開始する予防的介入が、小児のHIV感染の根絶に寄与する可能性があることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年3月11日号で報告された。ザンビアとブルキナファソの無作為化対照比較第III相試験 研究グループは、母親への抗レトロウイルス療法(ART)に加えて、母親のウイルス量のポイントオブケア検査に基づく乳児へのラミブジンによる出生後予防治療の期間を延長することで、出生後の感染の抑制が可能との仮説を立て、これを検証する目的で、ザンビアとブルキナファソの8施設で非盲検無作為化対照比較第III相試験を行った(英国保健省[DHSC]によるEDCTP2プログラムの助成を受けた)。 HIVに感染している母親と、Expanded Programme of Immunisation(EPI-2)に参加しており2回目の受診時にHIV未感染であった母乳による育児を受けている乳児(生後6~8週)を、介入群または対照群に無作為に割り付けた。 介入群は、Xpert HIVウイルス量検査を用いて母親のウイルス量を測定し、即座に得られた結果に基づき、母親のウイルス量が1,000コピー/mL以上の乳児には12ヵ月間、または授乳中止後1ヵ月間、1日2回のラミブジンシロップの投与を開始した。 対照群は、出生後のHIV感染予防のための国のガイドラインに準拠して対応した。 主要アウトカムは、出生後12ヵ月の時点での乳児のHIV感染とし、6ヵ月および12ヵ月時にHIV DNAのポイントオブケア検査を行った。評価は修正ITT集団を対象に行った。介入群のHIV感染乳児は1例、有意差はなし 2019年12月12日~2021年9月30日に、3万4,054例の母親がHIV検査を受けた。このうち、HIVに感染している母親と感染していない乳児の組み合わせ1,506組を登録し、介入群に753組、対照群にも753組を割り付けた。 ベースラインの母親の年齢中央値は30.6歳(四分位範囲[IQR]:26.0~34.7)であった。1,504例の母親のうち1,480例(98.4%)がARTを受けており、1,466例の母親のうち169例(11.5%)はウイルス量が1,000コピー/mL以上だった。 追跡期間中にHIVに感染した乳児は、介入群が1例、対照群は6例であった。100人年当たりのHIV感染の発生率は、介入群が0.19(95%信頼区間[CI]:0.005~1.04)、対照群は1.16(0.43~2.53)であり、両群間に統計学的に有意な差を認めなかった(p=0.066)。重篤な有害事象、HIV非感染生存にも差はない 重篤な有害事象を発症した乳児の割合は、介入群が8.2%、対照群は7.0%で、両群間に有意な差はなかった(p=0.44)。また、12ヵ月時のHIV非感染生存割合は、介入群が99.4%(95%CI:98.4~99.8)、対照群は98.2%(96.8~99.1)で、有意差はみられなかった(p=0.071)。 一方、探索的解析では、乳児におけるHIV感染が高リスク(母親のウイルス量≧1,000コピー/mL、出生後に予防治療を受けていない状態)の累積期間は、100人年当たり対照群が6.38年であったのに対し、介入群は0.56年と有意に優れた(p<0.001)。 著者は、「これらの結果は、既存の方法の組み合わせによって、母乳を介した感染をほぼゼロにすることが可能であることを強く示唆する」と述べるとともに、「本試験により、受診時にウイルス量の結果が得られるポイントオブケア検査の重要性が示された。出生後の感染を実質的に防止することで、小児のHIV感染の根絶が手の届くところに来ている」としている。

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がん罹患数が著増、がん死は減少~英国の25年/BMJ

 英国の年齢35~69歳の集団では、1993~2018年の25年間にがん罹患数が大きく増加したのに対し、がんによる死亡率は減少しており、この減少にはがんの予防(喫煙防止策、禁煙プログラムなど)と早期発見(検診プログラムなど)の成功とともに、診断検査の改善やより有効性の高い治療法の開発が寄与している可能性があることが、英国・Cancer Research UKのJon Shelton氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2024年3月13日号に掲載された。23部位のがんの後ろ向き調査 研究グループは、1993~2018年の英国の年齢35~69歳の集団における、23の部位のがんの診断数および死亡数を後ろ向きに調査した(特定の研究助成は受けていない)。 解析には、国家統計局、ウェールズ公衆衛生局、スコットランド公衆衛生局、Northern Ireland Cancer Registry、イングランド国民保健サービスなどのデータを用いた。 主要アウトカムは、がんの年齢調整罹患率と年齢調整死亡率の経時的変化とした。前立腺がんと乳がんが増加、ほかは安定的に推移 35~69歳の年齢層におけるがん罹患数は、男性では1993年の5万5,014例から2018年には8万6,297例へと57%増加し、女性では6万187例から8万8,970例へと48%増加しており、年齢調整罹患率は男女とも年平均で0.8%上昇していた。 この罹患数の増加は、主に前立腺がん(男性)と乳がん(女性)の増加によるものだった。これら2つの部位を除けば、他のすべてのがんを合わせた年齢調整罹患率は比較的安定的に推移していた。 肺や喉頭など多くの部位のがんの罹患率が低下しており、これは英国全体の喫煙率の低下に牽引されている可能性が高いと推察された。一方、子宮や腎臓などのがんの罹患率の増加を認めたが、これは過体重/肥満などのリスク因子の保有率が上昇した結果と考えられた。 また、罹患数の少ない一般的でないがんの傾向については、たとえば悪性黒色腫(年齢調整年間変化率:男性4.15%、女性3.48%)、肝がん(4.68%、3.87%)、口腔がん(3.37%、3.29%)、腎がん(2.65%、2.87%)などの罹患率の増加が顕著であった。男女とも胃がん死が著明に減少 25年間のがんによる死亡数は、男性では1993年の3万2,878例から2018年には2万6,322例へと20%減少し、女性では2万8,516例から2万3,719例へと17%減少しており、年齢調整死亡率はすべてのがんを合わせて、男性で37%(年平均で-2.0%)低下し、女性で33%(-1.6%)低下していた。 死亡率が最も低下したのは、男性では胃がん(年齢調整年間変化率:-5.13%)、中皮腫(-4.17%)、膀胱がん(-3.24%)であり、女性では胃がん(-4.23%)、子宮頸がん(-3.58%)、非ホジキンリンパ腫(-3.24%)だった。罹患率と死亡率の変化の多くは、変化の大きさが比較的小さい場合でも統計学的に有意であった。 著者は、「喫煙以外のリスク因子の増加が、罹患数の少ない特定のがんの罹患率増加の原因と考えられる」「組織的な集団検診プログラムは、がん罹患率の増加をもたらしたが、英国全体のがん死亡率の減少にも寄与した可能性がある」「この解析の結果は、新型コロナウイルス感染症の影響を含めて、がんの罹患率およびアウトカムの今後10年間の評価基準となるだろう」としている。

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第187回 医療事故の報告件数が増加傾向、分娩を含む手術が最多/医療安全調査機構

<先週の動き>1.医療事故の報告件数が増加傾向、分娩を含む手術が最多/医療安全調査機構2.マダニ感染症SFTS、ヒトからヒトへの感染、国内で初めて報告/国立感染症研究所3.看護師国家試験、合格率87.8%と4年ぶりに低下/厚労省4.不整脈手術中の医療過誤、福岡高裁が九州医療センターに約2億円の賠償命令5.同一の執刀医による肝臓がん手術後の3人の死亡事故を公表/東海中央病院6.コロナ補助金8,500万円を不正受給した病院に返還命令/福岡県1.医療事故の報告件数が増加傾向、分娩を含む手術が最多/医療安全調査機構日本医療安全調査機構は、医療事故調査・支援センターの2023年の年報を発表した。対象期間は2023年1月1日~12月31日。この期間に報告された医療事故件数は361件と前年より2割ほど増えた。新型コロナウイルス感染拡大時は、医療事故発生報告件数の減少が認められたが、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、医療事故発生報告件数に増加傾向がみられた。2015年10月の医療事故調査制度開始以来、2023年末までに2,909件の医療事故が報告され、その87.3%で院内調査が完了していた。年報によると、1施設当たりの医療事故発生報告件数が最も多かったのは「900床以上」(1床当たり0.53件)で、ついで多かったのが「600~699床」(1床当たり0.44件)と病床規模が大きな病院ほど1床当たりの事故件数が多い傾向が認められた。また、人口100万人当たりで最多の医療事故報告数を記録したのは宮崎県であり、医療事故の起因としては依然として「分娩を含む手術」が最も多くを占めていた。医療事故報告から院内調査結果報告までの期間は平均458.5日に短縮していた。センターへの調査依頼は遺族から21件、医療機関から7件であり、センターへの相談件数はコロナ禍前の水準を超える2,076件だった。これらのデータは、医療事故の正確な報告と透明性の向上、再発防止策の重要性を浮き彫りにしているだけでなく、医療施設での安全対策強化への取り組みがますます求められており、医療事故報告数が多いことが必ずしも医療安全に問題があるわけではなく、正しく報告する文化の醸成が重要であることが示されている。参考1)『2023年 年報』について(日本医療安全調査機構)2)医療事故調査・支援センター 2023年 年報(同)3)医療事故調査・支援センター 2023年 数値版(同)4)人口100万人あたり医療事故報告件数の最多は2023年も宮崎県、手術・分娩に起因する医療事故が依然多い!-日本医療安全調査機構(Gem Med)2.マダニ感染症SFTS、ヒトからヒトへの感染、国内で初めて報告/国立感染症研究所マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」のヒトからヒトへの感染例が国内で初めて確認されたことが、国立感染症研究所によって明らかにされた。2023年4月、90代男性患者がSFTSと診断された後、患者を担当した20代の男性医師が、患者の死後に行った処置により感染。医師は処置時にマスクや手袋を着用していたが、ゴーグルはしておらず、11日後に38℃の発熱などSFTSの症状が現れた。患者と医師のウイルス遺伝子が同一と判断され、これが国内初のヒトからヒトへの感染例と認定された。医師の症状は現在軽快している。これまで、SFTSのヒトからヒトへの感染は中国や韓国で報告されていたが、わが国での確認はこれが初めて。SFTSは、主にマダニに刺されて感染する感染症で、発熱や腹痛などを引き起こし、重症化すると死亡することもある。国立感染症研究所と厚生労働省は、医療従事者に対して患者の血液や体液に触れる可能性がある際の感染予防対策の徹底を改めて呼びかけている。参考1)本邦で初めて確認された重症熱性血小板減少症候群のヒト-ヒト感染症例(国立感染症研究所)2)マダニの媒介による感染症SFTS ヒトからヒトへ感染 国内初確認(NHK)3)マダニ感染症、国内初の人から人への感染確認…患者を処置した医師に症状(読売新聞) 3.看護師国家試験、合格率87.8%と4年ぶりに低下/厚労省厚生労働省は、第113回看護師国家試験の結果を発表した。これによると今年の合格率は87.8%で、4年ぶりに9割を下回ったことが明らかとなった。2月11日に実施された看護師国家試験は、6万3,301人が受験し、そのうち5万5,557人が合格した。新卒者の合格率は93.2%となり、新卒者の合格者数は5万3,903人だった。一方で、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師候補者の合格者は17人(受験者294人)だった。助産師および保健師の国家試験においても、助産師は98.8%、保健師は95.7%といずれも新卒者の合格率が高くなっていた。今回の結果は、国の医療人材育成の現状を示すと同時に、外国人看護師候補者に対する支援の必要性を改めて浮き彫りにしている。参考1)第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表(厚労省)2)看護師国家試験2024、新卒合格率は93.2%(リセマム)3)看護師国家試験、合格率87.8% 4年ぶりに9割を下回る(CB news)4)看護師国試、外国人候補者は17人合格(MEDIFAX)4.不整脈手術中の医療過誤、福岡高裁が九州医療センターに約2億円の賠償命令カテーテルアブレーション手術中の医療過誤をめぐる医療訴訟で、福岡高等裁判所は九州医療センター(福岡市)に約2億円の賠償命令を命じた。福岡県内の60代男性が不整脈の手術中に心停止し、その際の蘇生措置の遅延により低酸素脳症による意識障害の後遺症を負ったとして、約2億円の損害賠償を求めていた。1審では医療ミスを認めず訴えを退けたが、福岡高裁は控訴審判決で医師の過失を認め、1審判決を変更し約1億8,600万円の賠償を命じた。判決によると、男性は平成26年11月にカテーテルアブレーション治療中に心停止が発生し、医師らによる胸骨圧迫の蘇生措置の開始が遅れたため、約4分50秒間、脳への血流が停止状態にあったことが、男性の重い後遺症と因果関係があるとされた。この過失と後遺症の間の因果関係を認め、1審とは逆に男性側の訴えを認めた。男性の妻は医師の過失が認められたことに対して安堵のコメントを表明するとともに、病院には再発防止に努めるよう要望している。国立病院機構九州医療センターは判決文を精査した上で今後の対応を検討するとしている。参考1)心臓手術後寝たきり状態、国立病院機構に1億8,600万円賠償命令…請求棄却の1審判決を変更(読売新聞)2)手術中の医療過誤認める、国立病院機構に約2億円賠償命令「蘇生措置の開始に遅れ」(産経新聞)3)九州医療センターの過失認め 約2億円賠償命じる 福岡高裁(NHK) 5.同一の執刀医による肝臓がん手術後の3人の死亡事故を公表/東海中央病院岐阜県の東海中央病院(岐阜県各務原市)は、2016~2022年にかけて、同一の外科医が行った肝臓がんの手術により患者3人が死亡した医療事故を公表した。病院によると肝臓がんの手術中に大量出血が発生し、患者はいずれも出血性ショックで死亡した。執刀していた外科医は2023年6月に依願退職している。病院側は医療事故調査委員会の調査結果をもとに報告書をまとめ、医療事故調査・支援センターに再発防止策を含め報告した。報道によれば、病院側は3件のうち2件を医療事故と認めていなかったが、岐阜県の行政指導を受けて全件を医療事故として認定した。病院は、外部委員を含む調査委員会を設置し、再発防止策を公表した。これによると、施設内で対応可能な手術症例の明確化、術前・術後カンファレンス実施体制の構築、病院幹部への再教育などが含まれている。病院は患者の遺族に対して説明を行い、事故調査の結果を真摯に受け止め、医療の安全確保と再発防止に努めると表明した。参考1)当院で発生した医療事故について(東海中央病院)2)東海中央病院 患者3人が死亡する医療事故公表 岐阜 各務原(NHK)3)同じ外科医の手術中に患者3人死亡 各務原の東海中央病院で医療事故、肝切除の手術(中日新聞)4)同じ医師の手術で死亡事故3件、がん患者が肝切除で大量出血…2件は「事故でない」判断覆す(読売新聞)6.コロナ補助金8,500万円を不正受給した病院に返還命令/福岡県「飯塚みつき病院」(福岡県飯塚市)が、新型コロナウイルスに関連する補助金を不正に受給した問題で、福岡県から8,500万円余りの返還命令が出された。この補助金は、新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れるための病床確保や設備整備を支援する目的で提供されていたが、同病院は実際には患者受け入れのための体制が整っていないにも関わらず、不正に補助金を申請していたことが判明した。2022年9月~2023年9月にかけての不正申請により、約7,600万円がすでに交付されており、さらに加算金約900万円の支払いが求められている。会計検査院と県の実地検査で、病院が必要な看護師を配置していないことや、補助金申請に際して虚偽の申請書を作成していたことが明らかになった。とくに、病院では2022年度、新型コロナの患者を1人も受け入れておらず、感染症対策として必要な病棟工事や人工呼吸器の購入などに関する証拠もみつからなかったと報告されている。さらに、病院は今年2月、職員が大量に退職し、診療継続が困難な状況に陥っているため、高齢者を中心とした入院患者は、他の病院への転院を余儀なくされている。福岡県は、この問題を重要視し、不正行為を行ったと判断し、返還命令を出した。病院側は、不正申請の経緯について「前任者に聞かないとわからない」と説明しており、県は県警に情報を提供している。福岡県は、このような悪質な不正行為を許すことはできないとして、他の医療機関に対しても同様の不正がないか調査を進めることにしている。参考1)コロナ病床の補助金8,500万円不正受給…福岡県飯塚市の病院、22年度の患者受け入れゼロ(読売新聞)2)飯塚市の病院 県の新型コロナ補助金8,500万円余を不正申請(NHK)3)新型コロナウイルス感染症対策事業の不正行為の対応について (福岡県)

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第203回 コロナワクチン有償化へ、最も弊害を受ける関係者とは

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の生後6ヵ月以上の国民に対する全額公費でのワクチン接種がついに3月31日に終了する。2024年4月1日から新型コロナはインフルエンザと同じく個人での予防を主眼とする予防接種法のB類疾病となり、ワクチン接種の対象者を65歳以上の高齢者および60~64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される人、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染で免疫機能に障害があって日常生活がほとんど不可能な人とし、秋冬の定期接種へと切り替わる。これ自体は現状を考えれば、多くの医療従事者が納得するだろう。B類疾病となれば、ご存じのように定期接種対象者は無償とはいかない。厚生労働省が示した自己負担額の標準的な接種費用は7,000円である。ワクチン製造企業に対する非公開ヒアリングで希望小売価格を聞いた結果を踏まえ、ワクチン価格を1万1,600円とし、これに医師の手技料3,740円を加え、接種1回あたりの費用は1万5,300円程度と試算。国は接種1回あたり8,300円を助成金として自治体に交付する計画だ。また、従来からB類疾病の定期接種は、住民税非課税世帯や生活保護世帯の対象者は無償なため、これを念頭に市区町村には接種費用総額の3割を地方交付税として手当てする1)。ワクチン価格は私個人の予想からそう外れてはいなかったが、接種対象者の自己負担額はインフルエンザワクチンの約4倍。新規モダリティのワクチンであるため、この価格はある意味仕方ないが、消費者目線ではかなりに高いと言える。おそらく市区町村によっては、接種対象者の自己負担分も負担して無料にするところも出てくるだろうが、全体から見れば、おそらくそれは少数派ではないだろうか?こうなると定期接種対象者の中には接種の差し控えも増えてくるだろうと思われる。もっとも国内の高齢者の新型コロナワクチン接種率は3回目までで90%超、4回目以降の総接種回数も2024年3月17日現在9,364万7,589回であることを考えれば、この先1年程度の短期で見るならば、高齢者での感染拡大とそれに伴う重症者・死亡者の増加懸念はそれほど大きくはないだろうと個人的には受け止めている。ただ、長期的に見ると、やや違う見方ができる。とりわけ高齢者に関わる層の接種率の低下が不安要素の一つだ。代表格は若年の医療従事者と介護関係者だが、これまでのインフルエンザでの経験や個人あるいは所属組織の可処分所得から考えると、懸念すべきは後者の介護従事者である。医療従事者と比べても重症化リスクの高い高齢者に集中的に接する介護従事者の平均給与(手当・賞与を含む)は、厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇等調査結果」によると、同年12月時点で月額31万8,230円。国税庁による「令和3年分民間給与実態統計調査」の民間給与所得者の平均給与月額(同調査年額を月額換算)36万9,417円と比べれば、5万円以上の格差がある。ちなみに前述の介護職員の平均給与月額は、岸田 文雄首相が就任直後から介護・看護・保育従事者の賃上げを政権の重要方針に掲げ、介護従事者に関しては2022年2月から補助金、同年10月から介護職員等ベースアップ等支援加算を介護報酬に新設した後の結果である。実際、同調査結果からは前年同月と比べて平均給与月額は1万7,490円増えたが、それでもまだこれほどの格差があるのだ。この状態で介護従事者を任意接種にして1万5,000円以上の自己負担を求めるのはやや酷である。さらに今さら言うまでもなく、人によってはこの経済的負担に加え、接種後2~3日の倦怠感と発熱の副反応という肉体的負担を凌がなければならない。しかも、高齢者施設の経営状況は近年厳しさを増している。独立行政法人福祉医療機構が2月上旬に発表したデータによると、施設系サービスの代表格とも言える特別養護老人ホームのサービス活動収益対サービス活動増減差額比率(企業で言えば利益率に相当)は、2022年度で従来型が0.3%、ユニット型が4.1%。それぞれ前年度から1.1ポイント、0.7ポイント低下している。同年度の赤字施設割合は従来型が48.1%、ユニット型が34.5%で、いずれも前年度から拡大し、従来型の約半数が赤字となる極めて深刻な状況だ。施設側に介護従事者のワクチン接種を補助できる余裕はないと言ったほうがよいだろう。インフルエンザワクチンの接種に関しては、東京都目黒区のように高齢者施設を含む入所系福祉施設職員への接種補助を行っているケースもあるが、まだ稀な動きである。確かに現時点での高齢者の新型コロナワクチン接種率を考えれば、介護従事者の持ち込みによる感染・発症が発生しても、重症化は短期的には避けられるかもしれない。しかし、新型コロナでは感染・発症を繰り返すほど、後の重症化リスクが高まるとの報告もある。また、昨今の変異株に対し新型コロナワクチンの感染・発症予防効果は低下している。介護従事者などを通じて施設に繰り返し感染が持ち込まれれば、あまり良い結末は想像できないはずである。その意味で、とりわけ介護従事者の新型コロナワクチン接種に関しては、別枠の補助を設けたほうが望ましいのではないかと個人的には思わずにいられないのだが…。参考1)厚生労働省:新型コロナウイルスワクチンの接種について(令和6年3月15日)

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酒で顔が赤くなる人は、コロナ感染リスクが低い?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時、日本は欧米などと比較して人口当たりの感染率・死亡率が低かったことが報告されている1,2)。この要因としては、手洗いやマスクなどの感染予防策が奏効した、日本の高い衛生・医療水準によるものなどの要因が考えられているが、アジア人に多い遺伝子型も一因となっている可能性があるとの報告がなされた。佐賀大学医学部 社会医学講座の高島 賢氏らによって国内で行われた本研究の結果は、Environmental Health and Preventive Medicine誌に2024年3月5日掲載された。 日本人をはじめとした東アジア人には、アルコールを分解するアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)の活性が弱く、飲酒時に顔が赤くなる特性を持つ人(rs671変異体)が多い。研究者らは、遺伝子型と新型コロナウイルス感染の防御効果の関連を検証するため、rs671変異体の代替マーカーとして飲酒後の皮膚紅潮現象を用い、後ろ向きに解析した。調査はWebツールを使って2023年8月7~27日に行われ、参加者は感染歴、居住地、喫煙・飲酒歴、既往症などの質問に回答した。 主な結果は以下のとおり。・計807例(女性367例、男性440例)から有効回答を得た。362例が非紅潮群、445例が紅潮群だった。・2019年12月~23年5月の42ヵ月間の観察期間全体で、非紅潮群は40.6%、紅潮群は35.7%がCOVID-19に感染した。年齢、性別、居住地等で調整後、初感染までの時間は紅潮群のほうが遅い傾向があった(p=0.057)。・COVID-19による入院例は、非紅潮群は2.5%、紅潮群は0.5%であった。COVID-19感染および関連した入院リスクは、紅潮群で低かった(p=0.03および<0.01)。・日本人の多くがCOVID-19ワクチンの2回接種を終える前である2021年8月31日までの21ヵ月間では、紅潮群の非紅潮群に対するCOVID-19感染のハザード比は0.21(95%信頼区間:0.10~0.46)と推定された。 研究者らは、「本研究は、飲酒後の皮膚紅潮現象とCOVID-19の感染および入院のリスク低下との関連を示唆しており、rs671変異体が防御因子であることを示唆している。本研究は感染制御に貴重な情報を提供するとともに、東アジア人特有の体質の多様性を理解する一助となる」としている。

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新型コロナによる世界の死亡率と平均余命への影響/Lancet

 世界の成人死亡率は、2020年および2021年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に著しく上昇し、それまでの減少傾向が逆転した一方、小児死亡率は以前より緩やかではあるものの減少が続いていた。米国・保健指標評価研究所(IHME)のAustin E. Schumacher氏らGBD 2021 Demographics Collaboratorsが解析結果を報告した。COVID-19はパンデミックの最初の2年間に多くの人口統計学的指標に大きな影響を及ぼしたが、評価した72年間にわたる世界全体の保健医療の進歩は大きく、死亡率と平均余命は著しく改善していたという。また、低所得国では人口が安定または増加しているにもかかわらず、2017年以降、世界の人口増加の減速と共に、世界的に人口年齢構造の高齢化が続いていた。著者らは、「このような人口変動は、今後、保健医療制度、経済および社会に課題をもたらす可能性が高い」と指摘している。Lancet誌オンライン版2024年3月11日号掲載の報告。GBD 2021のデータを解析 2021年版の世界疾病負担研究(Global Burden of Disease Study:GBD)では、1950~2021年の204の国と地域、および811のサブナショナル地域について、とくに2020~21年のCOVID-19パンデミック中の死亡率と平均余命の変化に重点を置いて、新しい人口統計学的推計を提供している。 研究グループは、政府系ウェブサイト、統計年鑑、人口統計、大規模調査などから得た2万2,223のデータソースを用い死亡率を推定した。これらのデータソースの一部は、COVID-19パンデミックによる超過死亡の推定にのみ用いた。人口推計には2,026のデータソースを用い、移住、HIV流行の影響、紛争・飢餓・自然災害・パンデミックによる人口統計の不連続を推計するために追加のデータソースを用いた。時空間ガウス過程回帰モデル(ST-GPR)を使用して5歳未満児の死亡率を算出するとともに、成人(15~59歳)の死亡率も推定し、生命表を作成した。HIVの流行国では、HIV特異的死亡率の推定値により生命表を調整した。 2020年と2021年のCOVID-19パンデミックによる超過死亡率は、パンデミックがなかった場合に予想される死亡から、観察された全死因死亡を差し引いて算出した。全死因死亡のデータが得られなかった地域・年では、パンデミックに関する共変量を含む回帰モデルにより超過死亡率を推定した。人口規模は、階層ベイズコホートコンポーネントモデルを使用し、平均余命は年齢別死亡率と標準的な人口統計学的手法を使用して算出した。COVID-19パンデミック中の成人死亡率は増加、小児死亡率は緩やかな低下が続く 年齢標準化死亡率は1950~2019年の間に減少し(62.8%、95%不確定区間[UI]:60.5~65.1)、COVID-19パンデミック期間中に増加した(2020~21年:5.1%、95%UI:0.9~9.6)。一方、小児の死亡率は減少を続け、世界の5歳未満児の死亡数は、2019年は521万人(95%UI:450万~601万)であったのに対し、2021年は466万人(95%UI:398万~550万)であった。 2020年と2021年を合計すると、世界中で推定1億3,100万人が死亡(全死因)し、そのうちCOVID-19パンデミックによるものは1,590万人であった。パンデミックの少なくとも1年間の超過死亡率は、80の国と地域で人口10万人当たり150人を超えたが、20ヵ国では2020年または2021年の超過死亡率がマイナスとなり、これらの国ではパンデミック中の全死因死亡率が過去の傾向に基づく予想より低値であったことが示された。 世界の出生時平均余命は、1950年の49.0歳から2021年には71.7歳と、22.7歳上昇した。しかし、2019~21年の間は1.6歳低下しており、過去の傾向が逆転した。2019~21年の間に平均余命の上昇が確認されたのは、204の国と地域のうち32(15.7%)のみであった。 世界の人口は2021年に78.9億人に達したが、その時点までに204の国と地域のうち56は人口がピークに達し、その後は減少している。2020~21年に人口増加が大きかったのは、サハラ以南アフリカ(39.5%)と南アジア(26.3%)であった。また、2000~21年にかけて、15歳未満の人口に対する65歳以上の人口の比は、204の国と地域のうち188(92.2%)で増加した。

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ソーシャルワーカーの介入、HIV患者の退院後の受診改善/JAMA

 入院中のHIV感染患者への介入として、強化された標準ケアと比較して、退院後のHIVクリニックへの受診を促す連携型の患者管理(linkage case management)による介入は、退院後の死亡率を改善しないものの、受診までの期間を短縮し、抗レトロウイルス療法(ART)のアドヒアランスやウイルス量が抑制された患者の割合を改善することが、米国・Weill Cornell MedicineのRobert N. Peck氏らが実施した「Daraja試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年3月6日号で報告された。タンザニア20施設の無作為化試験 本研究は、HIVケアへの参加の障壁に対処するようにデザインされた連携型患者管理介入(Darajaと呼ばれる)が、タンザニアのHIV感染患者の退院後のアウトカムを改善できるか否かの検証を目的とする単盲検無作為化試験であり、2019年3月~2022年2月に同国北西部の20施設で参加者を募集した(米国国立精神保健研究所[NIMH]などの助成を受けた)。 ARTを受けていない、もしくは中止し、何らかの理由で入院したHIV感染患者500例(平均年齢37歳、女性76.8%)を登録し、Daraja介入を受ける群に250例、強化標準ケアを受ける群に250例を無作為化に割り付け、12ヵ月間追跡した。 Daraja介入群は3ヵ月間にわたり、ソーシャルワーカーによる最大5回の研修を病院、自宅、HIVクリニックで受けた。強化標準ケア群は、退院前にHIVカウンセリングとHIVクリニックの予約の仕方に関する支援を受けた。ART開始までの期間、受診の継続率も改善、介入関連の有害事象は発現せず 175例(35.0%)がCD4細胞数<100/μLで、402例(80.4%)はARTによる治療歴がなく、98例(19.6%)はARTを中止した患者であった。 12ヵ月後までに85例(17.0%)が死亡した(介入群43例、強化標準ケア群42例)。12ヵ月時点の全死因死亡率(主要アウトカム)は両群間に差を認めなかった(介入群17.2% vs.強化標準ケア群16.8%、ハザード比[HR]:1.01、95%信頼区間[CI]:0.66~1.55、p=0.96)。 一方、介入群は強化標準ケア群に比べ、初回のHIVクリニック受診までの期間(HR:1.50、95%CI:1.24~1.82、p<0.001)、ART開始までの期間(1.56、1.28~1.89、p<0.001)が有意に短縮した。 また、12ヵ月時のHIVクリニック受診の継続率(87.4% vs.76.3%、p=0.005)、ARTのアドヒアランス(81.1% vs.67.6%、p=0.002)、HIVのウイルス量抑制(HIV RNA<1,000コピー/μL)(78.6% vs.67.1%、p=0.01)の割合は、いずれも介入群で良好だった。 Daraja介入の1年間の平均費用は、立ち上げ費を含め1例当たり約22ドルであった。また、Daraja介入に関連した有害事象は認めなかった。 著者は、「低コストの患者管理介入により、HIVクリニックとの早期の連携とART開始が促進され、HIV患者の退院後の死亡率を低減できるとの仮説は確証できなかったが、退院後のHIVケアの継続を促すという効果が得られた」とまとめ、「これらの知見は、HIVの入院患者における連携型の患者管理に関して、その潜在的な役割を決定するのに役立つ可能性がある」としている。

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第186回 65歳以上のコロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円に/厚労省

<先週の動き>1.65歳以上のコロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円に/厚労省2.医師国家試験合格者、7年連続9,000人超え/厚労省3.進む医師の働き方改革、診療体制の縮小が課題に/厚労省4.地域医療構想の加速化、国がモデル推進区域を選定/厚労省5.ゲノム医療に共同提言、エビデンスなき遺伝子検査ビジネスに警鐘/医学会・日医6.労組結成後のストライキ、医療法人が職員に莫大な損賠を請求/大阪1.65歳以上のコロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円に/厚労省厚生労働省は、2024年度から65歳以上の高齢者を中心とした新型コロナウイルスワクチンの定期接種開始について、自己負担額が最大7,000円程度に設定することを発表した。これまで無料で提供されていたワクチン接種が、4月からは季節性インフルエンザワクチン同様、一部自己負担が必要な定期接種へと移行する。接種費用は、1回当たり約1万5,300円と見積もられ、このうち8,300円を国が市町村に助成し、残額を個人が負担する形となる。ただし、市町村による独自の補助がある場合、実際の自己負担額はこれより低くなる可能性がある。定期接種の対象は、65歳以上の高齢者と60~64歳で基礎疾患がある人に限られ、それ以外の人は任意接種として全額自費負担となるが、低所得者に対しては無料接種が継続される。厚労省は、新型コロナワクチンの価格が想定より3倍以上高額になることを受け、急激な自己負担額の増加を緩和するために追加助成を行うことを上記のように決定した。今後、新型コロナウイルスワクチンの接種は、年1回秋冬の接種となり、65歳未満で健康な人は4月以降、定期接種の対象ではなく任意接種の扱いとなるため、自己負担額は7,000円を超える見込み。参考1)コロナ定期接種、自己負担7,000円程度 24年度65歳以上(日経新聞)2)新型コロナワクチン、自己負担7,000円程度に 4月から国の助成で(毎日新聞)3)新型コロナ ワクチン定期接種の自己負担額 最大約7,000円で決定(NHK)4)コロナ定期接種、最大7千円負担 4月から65歳以上対象 厚労省(産経新聞)2.医師国家試験合格者、7年連続9,000人超え/厚労省2024年3月15日、厚生労働省は、2月に実施された第118回医師国家試験の結果を発表した。合格率は92.4%に達し、前年比0.8ポイント上昇、過去10年で最高を記録した。合格者数は9,547人で、7年連続で9,000人を超える結果となった。とくに、新卒者の合格率は95.4%で、全体の合格者数の中で9,048人を占めた。女性合格者は3,307人(全体の34.6%)、男性は6,240人で、男女別の合格率はそれぞれ91.7%、93.6%だった。学校別の合格率では、自治医科大学が新卒・既卒共に100%の合格率を達成し、このほか群馬大学医学部、名古屋大学医学部、東海大学医学部も新卒者の合格率が100%だった。ほかに高い合格率を示した学校では、国際医療福祉大医学部99.2%、兵庫医科大学99.1%、産業医科大学99.0%などがあった。合格基準については、必修問題の採点に一般問題を1問1点、臨床実地問題を1問3点とし、200点満点中160点以上が合格ラインとされた。また、一般問題と臨床実地問題はそれぞれ1問1点で、300点満点中230点以上が必要となった。今回の医師国家試験は、過去10年間で最も高い合格率を記録し、医療界への新たな人材の供給が期待されている。また、性別や大学別のデータは、今後の医療教育の改善や方針策定に役立つ貴重な情報となる。参考1)第118回医師国家試験の合格発表について(厚労省)2)医師試験9,547人合格 厚労省発表(東京新聞)3)医師国家試験、合格率92.4% 新卒の合格者は9千人を突破(CB news)4)第118回医師国家試験(2024年)合格発表…合格率92.4%(リセマム)5)医師国家試験2024、自治医科大学100%合格…学校別合格率(同)3.進む医師の働き方改革、診療体制の縮小が課題に/厚労省2024年4月の医師の働き方改革施行を控え、厚生労働省は、労働時間の上限規制に関する「C水準」の上限見直しを検討している。C水準は、研修医や高度な技能を目指す医師に適用される特例で、現在は年間1,860時間の上限が設けられている。厚労省は、医師の労働時間短縮推進と、地域医療の提供体制と働き方改革の関係に焦点を当て、具体的な対応策の検討を進めている。その一方で、「医療機関勤務環境評価センター」が受け付けた医師の労働時間短縮の取り組みに対する評価の申し込みは、想定を下回る483件に留まっている。これは、タスクシフトや労働基準監督署長による宿直許可取得など、働き方改革が進んだ結果とみられている。厚労省は、診療体制の縮小や派遣医師の引き揚げによる地域医療への影響を調査することで、改革の実施に伴う課題に対応していきたいとしている。また、全国約7,000医療機関を対象にした調査では、49医療機関で派遣医師の引き揚げによる診療体制の縮小が見込まれ、地域医療への影響が懸念されている。これに対し、厚労省は、地域医療の維持に向けた支援策を強化する方針。働き方改革の影響調査や都道府県との連携による医療機関の支援は、改革の進展に伴い重要性を増している。労働時間の短縮だけでなく、地域医療の維持と医師のスキルアップを両立させるための施策が求められ、これらの取り組みは、医師の働き方改革が単なる時間規制に留まらず、より質の高い医療サービスの提供と医師自身のキャリア発展を促す方向に進むことを示している。参考1)第19回医師の働き方改革の推進に関する検討会(厚労省)2)派遣医師の引き揚げで49施設が診療体制縮小の可能性-働き方改革準備状況調査(医事新報)3)医師の働き方改革“地域医療への影響調査を”厚労省検討会(NHK)4)医師働き方改革に向け都道府県-医療機関の連携深化、2024年4月以降も勤務医の労働環境・地域医療への影響を注視-医師働き方改革推進検討会(Gem Med)5)医師の時短評価受審申し込み483件、想定下回る 厚労省「働き方改革が進んだため」(CB news)6)C水準の上限見直し検討へ、厚労省方針 働き方改革推進の課題に「縮減のあり方」(同)7)診療体制縮小の見込み「あり」457カ所 医師の残業上限規制で、厚労省調査(同)4.地域医療構想の加速化、国がモデル推進区域を選定/厚労省厚生労働省は、3月13日に第8次医療計画等に関する検討会の分科会の地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループを開き、地域医療計画の進捗などについて討論した。第8次医療計画の策定に向けて、各都道府県に対して「推進区域」と「モデル推進区域」を指定し、支援を実施する方針を固めた。この後ワーキンググループでの了承を経て、厚労省は今後の詳細な計画を策定し、通知として各都道府県へ発出する予定。人口動態の変更を加味し、2次医療圏ごとに病床の必要量と実際の見込み病床数の乖離、医療提供体制の課題解決に向けた工程表作成など、地域ごとの取り組みには差がある。国は、これらの課題に対して「地域の医療提供体制の見える化」「都道府県が行うべき事項のチェックリスト作成」などの支援を提供することで、2025年の目標実現を促進する。とくに注目されるのは、地域医療構想の実現に向けた具体的な支援策。これには、地域別の病床機能などのデータの可視化、都道府県および医療機関の好事例の共有、地域医療介護総合確保基金などの支援策の活用方法の周知、都道府県や医療機関の取り組みを評価するチェックリストの作成と公表が含まれる。また、モデル推進区域では、伴走支援として技術的、財政的支援を実施する。この新方針に対する構成員からの意見も考慮され、推進区域やモデル推進区域の選定、医師働き方改革の影響の検討、ポスト地域医療構想に向けた準備など、今後の地域医療の提供体制構築に向けた課題と解決策が議論されている。参考1)第14回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(厚労省)2)地域医療構想実現に向けた取り組みはバラつき大、国が「推進区域、モデル推進区域」指定し支援実施-地域医療構想・医師確保計画WG(Gem Med)5.ゲノム医療に共同提言、エビデンスなき遺伝子検査ビジネスに警鐘/医学会・日医日本医学会と日本医師会は、3月13日共同で記者会見を開き、「ゲノム医療の推進に関する共同提言」を発表した。ゲノム研究の国際競争が激化する中、わが国の国家的な体制整備の遅れに対する危機感を表明し、オープンサイエンスの推進と大規模な基盤構築の必要性を強調している。また、ゲノム情報の取り扱いに関し、不当な差別を防ぐための罰則を含む法整備も求めた。2023年6月に公布されたゲノム医療推進法は、良質かつ適切なゲノム医療の提供を目的としている。日本医学会は142の分科会の意見を取り入れ、提言ではゲノム医療が医学・医療分野全体に関わる事項であることを強調、国家レベルでの大規模データ収集とその利活用の進め方、オープンサイエンスの理念の重要性を指摘している。また、ゲノム医療の推進が厚生労働省だけでなく、総務省、文部科学省、経済産業省など関連するすべての省庁にまたがる課題でもあるとしている。具体的な提案としては、ゲノム医療に関する特別法の制定、遺伝・ゲノムリテラシーの向上、遺伝子検査ビジネスの規制などが挙げられている。また、遺伝カウンセリング体制の充実やゲノム情報に基づく不利益や差別の防止に向けた罰則のある法律の策定も求められている。そして、提言では、ゲノム医療の安心・安全な提供とその推進に向けた国家的な取り組みの加速を促すもので、わが国が新たな科学立国としての地位を世界に示し、サイエンス分野での地位の維持と向上に直結するものであるとの視点から、具体的な行動計画の策定と実施が急務であると訴えている。参考1)ゲノム医療推進のため大規模な基盤構築を-日本医学会と日医が提言(医事新報)2)「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」に関する提言について(日本医学会・日本医師会)6.労組結成後のストライキ、医療法人が職員に莫大な損賠を請求/大阪大阪地域合同労働組合は、大阪市で開かれた記者会見で、クリニックの待遇改善を求めてストライキを行った男性組合員とその労働組合に対し、運営する医療法人から約8,400万円の損害賠償を請求されたことを公表した。この訴訟提起は、組合活動を抑圧する目的で行われたスラップ訴訟(訴訟による嫌がらせ)に当たると主張し、「組合つぶしの意図が明らかで不当である」と非難している。被告の男性組合員は、大阪にある精神科「ブレインクリニック」の職員で、2022年10月に同僚らと合理性のない基本給の減給廃止、昇給制度廃止の撤廃などの待遇悪化および診療方針の改善を求めて労働組合を結成し、大阪地域合同労組に加盟した。しかし、団体交渉での応答がゼロだったため、2023年8~11月にかけて、大阪および名古屋で合計6回のストライキを実施した。また、原告のクリニックは、発達障害の専門外来として経頭蓋磁気刺激治療(TMS)などの保険適用外の自由診療を提供していることが明らかにされている。医療法人による損害賠償請求は、労働者の組合活動を支援する大阪地域合同労組によって強く反発されており、今後の展開が注目されている。参考1)医療法人がストに損賠提訴 8,400万円、組合側反発(中日新聞)2)発達障害外来、学会の指針逸脱 クリニックが高額治療(共同通信)

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第202回 麻疹感染が拡大、“真の死亡率”が報道されていない?

昨今、国内での麻疹患者の確認が話題だ。今年に入り3月13日までに確認された麻疹患者は11人。わずか3ヵ月弱で昨年の報告数28人の3分の1以上に達している。日本での麻疹はほぼ輸入感染症の様相を呈しているため、コロナ禍による入国制限があった2020~22年各年の報告数は10人以下だった。もっとも麻疹が感染症法で全数報告となった2008年からコロナ禍前の2019年までの年間報告数は、最大が2008年の1万1,013人、最小が2015年の35人、それ以外の年は200人弱から700人超だったことを考えれば、現状はまだコロナ禍の入国制限の影響を引きずった一過性の減少と言えるだろう。実際、出入国在留管理庁の統計を参照すると、日本の年間出入国者は2022年が約1,353万人、2023年が約7,052万人で、コロナ禍前の2019年の1億264万人までは復活していない。加えて世界保健機関(WHO)から麻疹の排除認定を受けていないインド、インドネシア、中国、ロシアなど、従来から日本への入国者が多い国からの入国者もいまだ2019年水準から見て数分の1というレベルである。一方、国内事情を考えると気になるのが麻疹ワクチンの接種状況である。現在の麻疹ワクチン接種は、いわゆる風疹との混合ワクチンの2回接種がスタンダードとなり、概して言えば、定期接種対象者の接種率は1回目接種が95%以上、2回目接種が90%台前半だが、2018~22年の接種率は経時的に漸減傾向にあり、この5年間で2~3%低下している。2022年度の1回目接種率は95.4%、2回目接種率は92.4%で、集団免疫獲得の目安とされる95%を超えるのは香川県のみ。続いて北海道、鹿児島県、沖縄県は90%未満である。その意味で現在の状況はかなり警戒度を高めなければならないことは疑いようがない。メディア各社もこの現状と麻疹ウイルスの感染力の強さ、ワクチン接種の有効率の高さなどを盛んに報じている。これ自体は非常に良い傾向だと思っている。もっとも各社の報道を見ているとバラツキを感じるのも現実だ。私が気になっているのは2点。1点目はワクチン接種に関してだ。現在では2回接種が基本となっているが、2000年4月以前に生まれた人は1回接種だったため*、免疫獲得が不十分な人がいる。麻疹ワクチン接種1回以下の世代は現時点で全員が成人であり、未成年よりも行動半径が広く、この世代の確実な免疫獲得は感染拡大阻止の成否に直結すると言っても過言ではない。しかも、麻疹の場合、子供の病気で成人にはあまり関係ないと思っている人は想像以上に多いのも問題である。*1990年4月2日~2000年4月1日に生まれた人は特例措置で中学1年生、高校3年生相当年齢に2回目接種が実施されているが、受けていない人もいる。2点目は麻疹の死亡率に関する報道である。国内の報道を散見する限り、感染者1,000人当たり1人が死に至るとの報道がほとんどだ。これ自体は先進国に関する一般論では正しいが、あくまで一般論である。国立感染症研究所が公表している日本国内の感染状況の年報と厚生労働省の人口動態統計をもとに試算すると、この数字は高い年度だと約250人に1人の時もある。「そこまで細かくなくとも…」というご意見はあるだろう。しかし、人とは不都合な情報ほど都合よく解釈するものである。たとえば100人に1人の確率で起こる悪い事象の場合、多くの人は“自分にはそれが起こらない、99人のほうだ”と勝手に思い込んでいる。その意味では危機を身近に感じてもらうためには、やや恐怖訴求になってしまっても、起きているよりワーストな現実を伝えることも必要である。麻疹のような極めて感染力が強い感染症の場合、とりわけこのシナリオを適用するほうが向いているとさえいえる。そんなこんなで巷の報道を横目で眺めながら、隔靴掻痒の感を抱いている(もちろんこの点を踏まえて自分も一般向け記事を執筆しようと思っているが)。

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新規2型経口生ポリオワクチン(nOPV2)、有効性・安全性を確認/Lancet

 新規2型経口生ポリオウイルスワクチン(nOPV2)は、ガンビアの乳幼児において免疫原性があり安全であることを、ガンビア・MRC Unit The Gambia at the London School of Hygiene and Tropical MedicineのMagnus Ochoge氏らが、単施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。nOPV2は、セービン株由来経口生ポリオウイルスワクチンの遺伝的安定性を改善し、ワクチン由来ポリオウイルスの出現を抑制するために開発された。著者は、「本試験の結果は、nOPV2の認可とWHO事前認証を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年2月22日号掲載の報告。ガンビアの乳児および幼児で、有効性、ロット間の同等性、安全性を検討 研究グループは、ガンビアにおいて2021年2~10月に、生後18週以上52週未満の乳児と1歳以上5歳未満の幼児を登録した。 乳児は、nOPV2の3ロットのうちの1つ(各群670例)またはbOPVの1ロット(335例)の計4群に、2対2対2対1の割合で無作為に割り付けられた。また、nOPV2の3群のうち、それぞれ224例は2回投与群(1回目投与の28日後に同じロットのnOPV2を投与)に、bOPV群も同様に112例が2回投与群に無作為に割り付けられた。 幼児は、nOPV2(ロット1)群またはbOPV群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、28日間隔で2回投与を受けた。 免疫原性の主要アウトカムは、乳児におけるnOPV2ワクチン1回目投与28日後のポリオウイルス2型のセロコンバージョン(抗体陽転)率で、nOPV2の3群のうち各2群間のセロコンバージョン率の差の95%信頼区間(CI)が-10%から10%の範囲内にある場合、各ロットは同等であるとみなした。 忍容性および安全性の主要アウトカムは、投与後7日までの特定有害事象(solicited adverse events)、28日後までの非特定有害事象(unsolicited adverse events)、および投与後3ヵ月までの重篤な有害事象の発現率で、便中のポリオウイルス排泄量も調査した。全体で2回投与後の抗体保有率は93~96% 乳児2,346例が無作為に割り付けられ、2,345例がワクチンの投与を受け、2,272例が1回投与後の解析対象集団に、また746例が2回投与後の解析対象集団に組み入れられた。幼児は600例が無作為に割り付けられ、全例がワクチン投与を受けた。 乳児の1回投与群におけるセロコンバージョン率は、ロット1が48.9%、ロット2が49.0%、ロット3が49.2%であった。2ロット間のセロコンバージョン率の差の95%CIは、ロット1とロット2の比較で-5.5~5.4、ロット1とロット3の比較で-5.8~5.1、ロット2とロット3の比較で-5.7~5.2であり、ロット間の同等性が示された。 ベースラインにおいて血清陰性であった乳幼児におけるセロコンバージョン率は、乳児で1回投与後が63.3%(316/499例)(95%CI:58.9~67.6)、2回投与後が85.6%(143/167例)(79.4~90.6)、幼児ではそれぞれ65.2%(43/66例)(52.4~76.5)、83.1%(54/65例)(71.7~91.2)であった。 ベースラインにおいて血清陰性および血清陽性であった乳幼児における2回投与後の抗体保有率(血清中和抗体価が≧8を抗体保有と定義)は、乳児で92.9%(604/650例)(95%CI:90.7~94.8)、幼児で95.5%(276/286例)(92.4~97.6)であった。 安全性に関する懸念は認められなかった。1回目投与の7日後にポリオウイルス2型の排泄を認めた乳児は、187例中78例(41.7%)(95%CI:34.6~49.1)であった。

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第88回 麻疹以外でもKoplik斑が出る!?

イラストレインより使用先週も麻疹について取り上げましたが、東京都で感染者が報告されたことで、とうとう全国的にも麻疹が報道されるようになりました。私、先週からずっと言ってますからね!!「2峰目」前の診断が難しい麻疹は、症状でどこまで疑えるかがポイントになります。2峰性の経過なので、2峰目の発熱と発疹で「こりゃ麻疹やで!」ということになりますが、1峰目の発熱時にKoplikが口腔内にみられることがあり(写真1)、これが特異的な所見だと思われてきました。Koplikは、この所見が麻疹にみられることを発見した130年前の医師です(写真2)。「2峰目」前の診断が難しい麻疹は、症状でどこまで疑えるかがポイントになります。2峰性の経過なので、2峰目の発熱と発疹で「こりゃ麻疹やで!」ということになりますが、1峰目の発熱時にKoplikが口腔内にみられることがあり(写真1)、これが特異的な所見だと思われてきました。Koplikは、この所見が麻疹にみられることを発見した130年前の医師です(写真2)。       写真1. Koplik斑        写真2. Henry Koplik(1858~1927年)(Wikipediaより使用)写真1. Koplik斑写真2. Henry Koplik(1858~1927年)(Wikipediaより使用)2峰目で発見する前に麻疹らしいかどうかを判断する上で、Koplik斑は100年以上にわたって小児科医や内科医の間で「定番の所見」として君臨してきました。しかしながら、Koplik斑は感度や特異度についてまとまった報告がなく、他の感染症でも観察されるのではないかという見解もありました。Koplik斑の診断精度をみた国内3,000例以上の研究日本において、2009~14年にかけて、麻疹および麻疹が疑われる3,023例の全国調査が行われました1)。診断はPCRやRT-PCRを用いて行われ、合計3,023例が登録されました。このうち、Koplik斑が観察されたのは717例(23.7%)であり、麻疹と確定した症例の28.2%、風疹と確定した症例の17.4%、パルボウイルスB19感染症と確定した症例の2.0%にみられたのです。その他、アデノウイルス、ライノウイルス、ヘルペスウイルスでもKoplik斑が観察されました。この研究によると、麻疹の診断マーカーとしてのKoplik斑の感度は48%、特異度は80%と報告されています。つまり、風疹を含めた他のウイルス感染症でもKoplik斑が観察されるというわけです。もちろん周囲に麻疹の人がいれば事前確率は高くなりますが、一般的な発熱外来におけるKoplik斑は確実な所見とは言えないのかもしれません。参考文献・参考サイト1)Kimura H, et al. The Association Between Documentation of Koplik Spots and Laboratory Diagnosis of Measles and Other Rash Diseases in a National Measles Surveillance Program in Japan. Front Microbiol. 2019 Feb 18;10:269.

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コロナによる認知障害、症状持続期間による違いは?/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)へ感染し、症状が消失・回復しても、症状の持続期間にかかわらず軽度の認知機能障害が認められた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAdam Hampshire氏らが、オンライン評価による大規模コミュニティのサンプル調査(14万例超)の結果を報告した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の認知機能障害はよく知られているが、客観的に測定可能な認知機能障害が存在するか、またどのくらいの期間持続するかは不明だった。NEJM誌2024年2月29日号掲載の報告。イングランドの成人を対象に認知機能のオンライン評価を実施 研究グループは、イングランドの試験に参加した成人80万例に対し、認知機能のオンライン評価の実施を依頼し、8タスクの全般的認知機能スコアを推定した。 感染発症後に12週間以上持続する症状を有した患者は、客観的に測定可能な全般的認知機能障害があり、とくに直近の記憶力低下または思考や集中困難(ブレインフォグ)を報告した患者では、実行機能と記憶の障害が観察されるだろうと仮説を立て、検証した。起源株感染者は、変異株感染者より認知機能障害の程度が大きい オンライン認知機能評価を開始した14万1,583例のうち、11万2,964例が評価を完了した。重回帰分析の結果、COVID-19症状が4週間未満で消失・回復した患者や12週以上症状が持続するも消失・回復した患者は、非COVID-19群(SARS-CoV-2に非感染または感染が不確定)と比較し、同程度に軽度の全般的認知機能障害を有していた(それぞれ、-0.23 SD[95%信頼区間[CI]:-0.33~-0.13]、-0.24 SD[-0.36~-0.12])。 一方、12週以上症状が持続し、認知機能評価時点においても消失していなかった患者は、非COVID-19群と比較し、認知機能障害の程度が大きかった(-0.42 SD、95%CI:-0.53~-0.31)。 起源株やB.1.1.7変異株が優勢の期間にSARS-CoV-2に感染した患者は、その後の変異株感染者より認知機能障害の程度が大きかった(たとえばB.1.1.7変異株vs.B.1.1.529変異株:-0.17 SD、95%CI:-0.20~-0.13)。また、入院した患者のほうが、入院しなかった患者より認知機能障害の程度が大きかった(たとえばICU入院患者:-0.35 SD、95%CI:-0.49~-0.20)。 解析結果は傾向スコアマッチング解析を実施しても同様だった。症状が持続する患者は非COVID-19群に比べて、記憶、推理、実行機能のタスクで障害が大きく(-0.33~-0.20 SD)、これらのタスクは、記憶力低下、ブレインフォグなどの最近の症状と弱い相関が認められた。 今回の結果を踏まえて著者は、「認知機能障害の長期的な持続の有無および臨床的影響は、依然として不明である」と述べている。

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認知症発症の危険因子としてのコロナ罹患【外来で役立つ!認知症Topics】第15回

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まってから、コロナと認知症との関係という新たなテーマが生まれた。まず予防には3密だと喧伝された。その結果、孤独化する高齢者が増えたので、認知症の発症が増加しているという報告が相次いだ。つまり孤独という認知症の危険因子を、コロナが一気に後押ししたという考え方である。そうだろうなとは思いつつ、このエビデンスは乏しかった。それから次第に前向きの疫学研究から、コロナ罹患と認知症発症との関係を報告するものが出てきた。そして最近では、こうしたもののレビューも報告されるようになり、なるほど、こういうことかとポイントが見えてきた。そこで今回は、認知症発症の危険因子としてのコロナ罹患を中心にまとめてみたい。スペイン風邪と認知症の関連は?まず人畜共通感染症による第1のパンデミックとされる「スペイン風邪(Spanish Flu)」を連想した。というのは、コロナはスペイン風邪をしのぐ人畜共通感染症によるパンデミックをもたらしたからだ。スペイン風邪の原因は、トリインフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスの遺伝子が混ざり合った新型のウイルス(Influenza A virus subtype H1N1の亜系)だと考えられている。そこで1918年の第1次世界大戦当時に世界的に流行したこのスペイン風邪の認知症への影響はどうだったのかと調べてみた。説得力の強いものに、デンマークで1918年当時妊娠中の母親の胎内にあったヒトに注目し、対象とコントロールで合計28万人余りのデータを用いた研究がある1)。ここでは、該当者が62~92歳に達した期間において、あらゆる認知症性疾患についての発症に注目し、その相対危険度を調査している。その結果、スペイン風邪罹患と認知症発症の間には有意な関係はなかったとされる。この報告のように、どうも積極的に両者の関係を指摘する報告は乏しいようだ。コロナと認知症、追跡期間が長いほど発症率が上昇?さてコロナについて成された近年の報告のレビューが注目された2)。多くの研究結果からは、コロナに罹患することでアルツハイマー病を含むすべての認知症の発症率はおよそ2倍と考えられている。実際、これまでの報告の多くは、60歳以上のヒトにおいては、コロナに罹患することで、亜急性期、慢性期の認知症発症は確かに高まりそうだと報告している。もっとも、コロナ罹患による認知症発症への影響力は、他の呼吸器系のインフルエンザ感染や細菌感染と大差がないとの結論になっている。一方で興味深いのは、追跡期間の違いによる認知症の発症率の相違である。すなわち発症から3ヵ月間もしくは6ヵ月間追跡した研究に比べて、1年間追跡した研究では認知症の発症率が高くなっているのである。このことは、コロナによる認知症の発症は、罹患ののち長期間にわたって続くことを示唆している。また疫学から、なぜコロナが認知症とくにアルツハイマー病に関連するかについてのレビューも興味深い3)。まずコロナへの罹患しやすさについては、加齢が最大にして唯一の危険因子だとされる。そしてその背景として高血圧、糖尿病、心疾患など、いわゆる生活習慣病が考えられている。またこうした要因が、回復を遅くすることも事実である。さらに、最初に述べたような孤独化と普通の生活に戻れないことが高齢者においてうつ病や不安を生じる間接的な要因になることも関係しているだろうとされる。ところで、すでに認知症であった人が、パンデミックによって社会的な交流がなくなったり、ケアが手薄になったりしたことで死亡率が高まった可能性もあることが述べられている。実際、パンデミック時代になってから、コロナ感染の有無にかかわらず、認知症者の死亡率が25%も高まったことを報告したメタアナリシスもある4)。認知症発症の原因として注目される炎症こうしたコロナによる認知機能の低下や認知症発症の原因として最も注目されるのは炎症、とくにこれに関わるサイトカインであろう。このサイトカインとは、ある細胞から他の細胞に情報伝達するための物質である。その中でも有名なのは、インターフェロンやインターロイキンだろう。感染量が多くなるほど、サイトカインも大量に放出されるが、それが著しい場合はサイトカインストーム(免疫暴走)と呼ばれる。サイトカインストームが起こることで大脳組織の炎症が生じる結果、認知機能に障害が生じる。なお近年では、アルツハイマー病の病因仮説として、脳の炎症説は主流の1つとなっている。また別の説として、新型コロナウイルスは、微小血管に障害をもたらし、肺の組織を障害することによって、大脳への酸素の流れに支障を来すことに注目するものがある。さらには、新型コロナウイルスとアミロイドやタウとの関係にも注目するもの、あるいはアルツハイマー病の危険因子とされるAPOE4を介して発症に関係するという考えなどもある。いずれにせよ現時点において新型コロナウイルスと認知症の発症との関係について確立しているわけではない。今後の長期的なフォローアップにより、少しずつ解明が進んでいくと思われる。参考1)Cocoros NM, et al. In utero exposure to the 1918 pandemic influenza in Denmark and risk of dementia. Influenza Other Respir Viruses. 2018;12:314-318.2)Sidharthan C. COVID-19 linked to higher dementia risk in older adults, study finds. News-Medical.Net. 2024 Feb 9.3)Axenhus M, et al. Exploring the Impact of Coronavirus Disease 2019 on Dementia: A Review. touchREVIEWS in Neurology. 2023 Mar 24.4)Axenhus M, et al. The impact of the COVID-19 pandemic on mortality in people with dementia without COVID-19: a systematic review and meta-analysis. BMC Geriatr. 2022;22:878.

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第205回 コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる

コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる日本と韓国のそれぞれ1,200万例強と1,000万例強のデータを使った試験で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と自己免疫性炎症性リウマチ性疾患(AIRD)のリスク上昇が関連しました1,2)。自己抗原の許容が損なわれて生じる慢性の全身性筋骨格系炎症疾患一揃いがAIRDに属します3)。具体的には、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎(AS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症(SSc)、シェーグレン症候群、特発性炎症性筋炎、全身性血管炎がAIRDに含まれます。COVID-19患者がAIRDに含まれるそれら自己免疫疾患をどうやらより生じ易いことが先立ついくつかの試験で示唆されています。それらの試験はいずれも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者と非感染者の比較に限られ、インフルエンザなどの他のウイルス感染ではどうかは調べられていません。また、COVID-19後の長期の合併症の予防に寄与しうるワクチン接種などの影響の検討もなされていません。今回新たに発表された試験では、COVID-19後のAIRD発生率が非感染者に加えてインフルエンザ感染者とも比較されました。COVID-19後のAIRD発生率上昇がもし認められたとして、それがCOVID-19に限ったことなのか呼吸器のウイルス感染症で一般的なことなのかをインフルエンザとの比較により推し量ることができるからです。また、COVID-19ワクチンにSARS-CoV-2感染後のAIRD予防効果があるかどうかも調べられました。試験ではCOVID-19かインフルエンザの患者のそれらの診断から12ヵ月までの経過とそれらのどちらも感染していない人(非感染者)の経過を追いました。その結果、先立つ試験と同様にCOVID-19患者は非感染者に比べてAIRDをより被っていました。また、COVID-19患者のAIRD発生率はインフルエンザ患者より高いことも示されました。韓国と日本のCOVID-19患者のAIRD発生リスクは非感染者をそれぞれ25%と79%上回りました。また、インフルエンザ患者との比較ではCOVID-19患者のAIRD発生率がそれぞれ30%と14%高いという結果となっています。軽症のCOVID-19患者ではワクチン接種とAIRD発生率低下の関連が認められましたが、中等症~重症のCOVID-19患者ではワクチン接種のAIRD抑制効果は認められませんでした。また、より重症のCOVID-19患者ほどAIRDをより被っていました。COVID-19を経た患者、とくに重症だった患者の診察ではAIRDの発生に注意する必要があると著者は言っています。参考1)Kim MS, et al. Ann Intern Med. 2024 Mar 5. [Epub ahead of print]2)COVID-19 associated with increased risk for autoimmune inflammatory rheumatic diseases up to a year after infection / Eurekalert3)Kim H, et al. Semin Arthritis Rheum. 2020;50:526-533.

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第185回 国内外で広がるはしかの脅威、予防接種の呼びかけ/厚労省

<先週の動き>1.国内外で広がるはしかの脅威、予防接種の呼びかけ/厚労省2.地域包括医療病棟の導入で変わる高齢者救急医療/厚労省3.電子処方箋の導入から1年、病院での運用率0.4%と低迷/厚労省4.公立病院の労働環境悪化、公立病院の勤務者の8割が退職願望/自治労5.見劣りする日本の体外受精の成功率、成功率を上げるためには?6.ALS患者嘱託殺人、医師に懲役18年の判決/京都地裁1.国内外で広がるはしかの脅威、予防接種の呼びかけ/厚労省厚生労働省の武見 敬三厚生労働省大臣は、関西国際空港に到着したアラブ首長国連邦(UAE)発の国際便に搭乗していた5人から、はしかの感染が確認されたことを3月8日に発表した。この感染者は、2月24日にエティハド航空EY830便で関空に到着し、岐阜県で1人、愛知県で2人、大阪府で2人が感染していることが判明している。武見厚労相は、はしかの感染疑いがある場合、公共交通機関の利用を避け、医療機関に電話で相談するよう国民に強く呼びかけた。また、はしかは空気感染するため、手洗いやマスクでは予防が難しく、ワクチン接種が最も有効な予防策であることを強調した。はしかは世界的に流行しており、2023年の感染者数は前年の1.8倍の30万人を超え、とくに欧州地域では前年の60倍に当たる5万8,114人と大幅に増加している。国内でも感染が広がる可能性があり、すでに複数の感染者が報告されている。はしかには10~12日の潜伏期間があり、発症すると高熱や発疹が出現し、肺炎や脳炎などの重症化リスクがある。武見厚労相は、国内での感染拡大を防ぐために、ワクチン接種を含む予防策の徹底を呼びかけ、2回のワクチン接種で95%以上の人が免疫を獲得できるとされ、国は接種率の向上を目指しているが、2回目の接種率が目標に達していない状況。参考1)はしか、厚労相が注意喚起 関空到着便の5人感染確認(毎日新聞)2)はしかの世界的流行 欧州で60倍 国内も感染相次ぐ 国が注意喚起(朝日新聞)3)麻しんについて(厚労省)2.地域包括医療病棟の導入で変わる高齢者救急医療/厚労省厚生労働省は、2024年度の診療報酬改定について3月5日に官報告示を行ない、新たに急性期病床として設けられる「地域包括医療病棟」の詳細について発表した。この病棟は、とくに高齢者の救急搬送に応じ、急性期からの早期離脱を目指し、ADL(日常生活動作)や栄養状態の維持・向上に注力する。この病棟は、看護師の配置基準が「10対1以上」で、かつリハビリテーション、栄養管理、退院・在宅復帰支援など、高齢者の在宅復帰に向けて一体的な医療サービスを提供することが求められている。また、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職を2名以上、常勤の管理栄養士を1名以上配置することを求めている。地域包括医療病棟入院料は、DPC(診断群分類)に準じた包括範囲で設定され、手術や一部の高度な検査は出来高算定が可能とされ、加算ポイントとしては、入院初期の14日間には1日150点の初期加算が認められる。さらに、急性期一般入院料1の基準が厳格化され、急性期から地域包括医療病棟への移行を促す。この改定により、急性期病棟、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟という3つの機能区分が明確にされ、患者のニーズに応じた適切な医療提供の枠組みが整うことになる。この改革の背景には、高齢化社会における救急搬送患者の増加と、それに伴う介護・リハビリテーションのニーズの高まりがあり、地域包括医療病棟は、これらの課題に対応するため、急性期治療後の患者に対して継続的かつ包括的な医療サービスを提供することを目指す。参考1)地域包括医療病棟、DPC同様の包括範囲に 診療報酬改定を告示(CB news)2)新設される【地域包括医療病棟】、高齢の救急患者を受け入れ、急性期からの離脱、ADLや栄養の維持・向上を強く意識した施設基準・要件(Gem Med)3)令和6年度診療報酬改定の概要[全体概要版](厚労省)【動画】3.電子処方箋の導入から1年、病院での運用率0.4%と低迷/厚労省電子処方箋の運用開始から1年、全国の医療機関や薬局において導入が約6%にとどまっていることが明らかになった。とくに病院の運用開始率は0.4%と非常に低く、25道県では運用を始めた病院が1つもない状況。導入が進まない主な理由として、高額な導入費用、医療機関や薬局が緊要性を感じていないこと、さらには患者からの認知度の低さが挙げられている。電子処方箋は、医療のデジタル化推進の一環として導入され、医師が処方内容をサーバーに登録し、患者が薬局でマイナンバーカードか健康保険証を提示することで、薬剤師がデータを確認し、薬を渡す仕組み。これにより、患者の処方履歴が一元化され、重複処方の防止や薬の相互作用チェックなど、医療の質向上が期待されている。政府は、2025年3月までに約23万施設での電子処方箋の導入を目指しており、システム導入費用への補助金拡充などを通じて、その普及を後押ししていく。しかし、病院での導入費用が約600万円、診療所や薬局では55万円程度が必要であることが普及の大きな障壁となっている。3月3日時点で、電子処方箋の運用を始めた施設は計1万5,380施設に達しているが、そのうち薬局が全体の92.4%を占めており、医科診療所、歯科診療所、病院での導入は遅れている。厚労省は、診療報酬改定に伴うシステム改修のタイミングでの導入を公的病院に要請しており、導入施設数の増加を目指す。参考1)電子処方箋の導入・運用方法(社会保険診療報酬支払基金)2)電子処方箋導入わずか6% 運用1年、費用負担も要因(東京新聞)3)電子処方箋、病院の「運用開始率」0.4%-厚労省「緊要性を感じていない」(CB news)4.公立病院の労働環境悪化、公立病院の勤務者の8割が退職願望/自治労公立・公的病院で働く看護師、臨床検査技師、事務職員など約8割が現在の職場を辞めたいと考えていることが、全日本自治団体労働組合(自治労)の調査によって明らかになった。この調査は、47都道府県の公立・公的病院勤務者1万184人を対象に実施され、36%がうつ的症状を訴えていた。理由としては、業務の多忙、人員不足、賃金への不満が挙げられており、とくに「業務の多忙」を理由とする回答が最も多く、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行した後も、慢性的な人員不足や業務の過多が改善されていない状況が背景にあると分析されている。新型コロナ関連の補助金減額による病院経営の悪化と人件費の抑制も、問題の一因とされている。自治労は、業務量に見合った人員確保や公立・公的医療機関での賃上げ実施の必要性を訴えているほか、医師の働き方改革に伴い、医療従事者全体の労働時間管理や労働基準法の遵守が必要だとしている。参考1)公立病院の看護師ら、8割が「辞めたい」 3割超がうつ症状訴え(毎日新聞)2)公立病院の看護師など 約8割“職場 辞めたい” 労働組合の調査(NHK)3)「職場を辞めたい」と感じる医療従事者が増加-衛生医療評議会が調査結果を公表-(自治労)5.見劣りする日本の体外受精の成功率、成功率を上げるためには?わが国は「不妊治療大国」と称されながらも、体外受精の成功率は10%台前半に留まり、米国や英国と比べ約10ポイント低い状況であることが明らかになった。日経新聞の報道によると、不妊治療に取り組むタイミングの遅れが主な原因とされている。不妊治療の開始年齢が遅いことによる成功率の低下は、出産適齢期や妊娠についての正確な知識の提供が不足していることと関係しており、わが国の「プレコンセプションケア(将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと)」の取り組みが十分ではないことによる。わが国は、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療の件数が世界で2番目に多いにもかかわらず、出産数に対する成功率は低いままであり、この理由として年齢が上がるほど、成功に必要な卵子の数が減り、治療開始の遅れだけでなく、高齢になるにつれて卵子の質が低下することにも起因する。不妊治療の体験者からは、治療の長期化による心身への負担や、職場での理解不足による仕事と治療の両立の困難さが指摘されている。また、不妊治療について適切な時期に関する情報が不足していることも、問題として浮き彫りになっている。企業や自治体による不妊治療支援は徐々に広がりをみせているが、職場での不妊治療への理解を深め、支援体制を構築することが求められる。NPOの調査によれば、治療経験者の多くが職場の支援制度の不足を訴えており、不妊治療に関する休暇・休業制度や就業時間制度の導入が望まれている。参考1)不妊治療、仕事と両立困難で働き方変更39% NPO調査(日経新聞)2)不妊治療大国、日本の実相 体外受精の成功率10%台前半(日経新聞)3)プレコンセプションケア体制整備に向けた相談・研修ガイドライン作成に向けた調査研究報告書(こども家庭庁)6.ALS患者嘱託殺人、医師に懲役18年の判決/京都地裁京都地裁は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う女性への嘱託殺人罪などで起訴された被告医師(45)に対し、懲役18年の判決を下した。女性の依頼に応えて行ったとされる殺害行為について、被告は「願いをかなえた」ためと主張し、弁護側は自己決定権を理由に無罪を主張したが、裁判所はこれを退け、「生命軽視の姿勢は顕著であり、強い非難に値する」と述べた。判決では、「自らの命を絶つため他者の援助を求める権利は憲法から導き出されるものではない」と指摘、また、社会的相当性の欠如やSNSでのやり取りのみで短期間に殺害に及んだ点を重視した。被告の医師は2019年、別の被告医師と共謀し、女性を急性薬物中毒で死亡させたとされ、さらに別の殺人罪でも有罪とされた。事件について、亡くなった女性の父親は「第2、第3の犠牲者が出ないことを願う」と述べ、ALS患者の当事者からは、「生きることを支えられる社会であるべき」という訴えがされていた。判決は、医療行為としての嘱託殺人の範囲や自己決定権の限界に関する議論を浮き彫りにした。参考1)ALS嘱託殺人、医師に懲役18年判決 京都地裁「生命軽視」(日経新聞)2)ALS女性嘱託殺人 被告の医師に対し懲役18年の判決 京都地裁(NHK)3)「命絶つため援助求める権利」憲法にない ALS嘱託殺人判決、弁護側主張退ける(産経新聞)

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事例043 クレナフィン爪外用液10% 7.12gの査定【斬らレセプト シーズン3】

解説高血圧症で通院中の患者から「足の爪白癬にかかる薬が欲しい」と相談を受けました。目視で爪白癬を確認し、他院で真菌検査をされたことを患者に確認し、エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン爪外用液)を当院で投与したところ、多くの場合に病名不足を示すA事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定になりました。査定理由を調べるために添付文書をみました。効能または効果に関連する注意に「直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること」と記載されていました。レセプトには、「他院で検査済み」とコメントの記入があります。査定理由が見当たらないために、まずは他院の査定状況を調べてみました。複数医療機関において審査支払機関から「2年以内に細菌顕微鏡検査を行っていない場合、(クレナフィン投与は)医学的に必要性を認められない」との指摘があることがわかりました。今回の査定は、いつ検査が行われたのか不明だったために、この規定が適用され、病名不足ではなく、医学的に保険診療上の適用とならないと判断されたものと推測しました。医師には、検査の裏付けがない投与はできないことを伝え、投与が必要な場合には自院で検査を行うか、専門医への紹介をお願いしました。レセプトチェックシステムでは対応が遅れるために、薬剤処方時に検査の施行が必須であることを表示させて査定対策としました。なお、クレナフィン爪外用液7.12gについては、必要とする部位がレセプトに表示されていない場合、最大3本を超えた部分が認められていないことを申し添えます。

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新型コロナ公費支援、3月末で終了を発表/厚労省

 厚生労働省は3月5日付の事務連絡にて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療提供体制および公費支援について、予定どおり2024年3月末をもって終了し、4月以降は通常の医療体制とすることを発表した1)。新型コロナの医療提供体制については、2023年5月8日に5類感染症変更に当たり特例措置が見直され、同年10月に公費支援を縮小し、2024年3月末までが「移行期間」であった。4月以降、医療機関への病床確保料や、患者のコロナ治療薬の薬剤費および入院医療費の自己負担に係る支援、高齢者施設への補助などが打ち切りとなる。無料で行われてきた新型コロナワクチンの特例臨時接種も予定どおり3月末で終了する。新型コロナの特例的な財政支援の終了について記載された資料も公開された2)。医療提供体制の移行(外来・入院・入院調整) 外来医療体制については、移行期間に各都道府県が策定した移行計画に沿って、外来対応医療機関数のほか、かかりつけ患者以外に対応する医療機関数が拡充されてきた。4月以降は広く一般の医療機関による対応に移行し、外来対応医療機関の指定・公表の仕組みは3月末をもって終了する。 4月から病床確保料は廃止となる。2023年10月~2024年3月末の病床確保料の金額は、ICUの場合、特定機能病院等では1日17万4,000円、一般病院では1日12万1,000円。HCUの場合、一律1日8万5,000円。その他病床の場合、特定機能病棟等では1日3万円、一般病院では1日2万9,000円であった。 4月以降の新型コロナ患者の入院先の決定(入院調整)は医療機関間で行う。医療機関等情報支援システム(G-MIS)での受け入れ可能病床数および入院患者数が入力できる日時調査等の項目は残される。厚労省からの入力依頼は3月末で終了するが、4月以降は都道府県で必要に応じて管轄下の医療機関に対してG-MISの入力を依頼するなどの活用が可能だ。令和6年度診療報酬改定での感染症への対応 6月1日からの施行となる令和6年度診療報酬改定では、コロナに限らない感染症を対象とした恒常的な対策へと見直されるが、新型コロナを含む感染症患者への診療も一定の措置が取られる。新興感染症に備えた第8次医療計画に合わせ、診療報酬上の加算要件(施設基準)も強化される。 外来感染対策向上加算の医療機関を対象に、発熱患者等への診療に加算(+20点/回)や、とくに感染対策が必要な感染症(新型コロナ含む)の患者入院の管理を評価し、(1)入院加算の新設(+100~200点/日)、(2)個室加算の拡充(+300点/日)、(3)リハビリに対する加算の新設(+50点/回)が行われる。新型コロナ患者等に対する公費支援の終了 新型コロナ患者の治療費および入院医療費については、一定の自己負担ともに公費支援が継続されてきたが、3月末で終了する。4月以降は、他の疾病と同様に、医療保険の自己負担割合に応じて負担することとなるが、医療保険における高額療養費制度が適用され、所得に応じた一定額以上の自己負担が生じない取り扱いとなる。 3月末までは新型コロナ治療薬の薬剤費のうち、医療費の自己負担割合に応じて3割負担の人で9,000円、2割負担の人で6,000円、1割負担の人で3,000円という上限額が設けられ、これらの上限額を超える部分を公費で負担していたが、4月以降は公費負担を終了する3)。 4月以降の新型コロナ治療薬の1治療(5日分)当たりの薬価と自己負担額の目安は以下のとおり。・モルヌピラビル(ラゲブリオ):約9万4,000円 1割負担:9,400円、2割負担:1万8,800円、3割負担:2万8,200円・ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド):約9万9,000円 1割負担:9,900円、2割負担:1万9,800円、3割負担:2万9,700円・エンシトレルビル(ゾコーバ):約5万2,000円 1割負担:5,200円、2割負担:1万300円、3割負担:1万5,500円 入院医療費については、3月末まで高額療養費制度の自己負担額限度額から最大1万円の減額が行われていたが、4月以降は他の疾病と同様に、医療保険の負担割合に応じた通常の自己負担と、必要に応じて高額療養費制度が適用となる。 高齢者施設等については、約9割が医療機関との連携体制を確保し、感染症の予防およびまん延防止のための研修と訓練を実施していることが確認されたため、3月末までで新型コロナに関わる高齢者施設等への支援も終了する。令和6年度介護報酬改定において、今後の新興感染症の発生に備えた高齢者施設等における恒常的な取り組みとして、新興感染症発生時に施設内療養を行う高齢者施設等を評価する加算の創設などを行う。ゲノムサーベイランスは継続 そのほかの措置として、各自治体が実施しているゲノムサーベイランスについては、実施方法を見直したうえで4月以降も継続する方針で、引き続き行政検査として取り扱われる。また、自治体が設置している相談窓口機能について、今後の対応は各自治体の判断によるが、厚労省では4月以降も新型コロナ患者等に対する相談窓口機能が設けられる予定だ。新型コロナ緊急包括支援交付金(医療分)終了 新型コロナへの対応として、都道府県の取り組みを包括的に支援することを目的として行われてきた「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)」については、3月末で終了する。救急で新型コロナ対応として使用する個人防護具(PPE)について、都道府県や市町村が購入する場合の費用も本措置の補助対象であった。

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