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<先週の動き>1.新型コロナ感染、全国で徐々に増加 43都道府県で前週を上回る/厚労省2.オンライン診療の実績、4割が「不眠症」偏りを懸念/厚労省3.日本の病院の4割が洪水浸水想定区域内に立地/日本病院会4.電子処方箋システムの導入進捗率わずか2%/厚労省5.病院でレジオネラ症集団感染2人死亡、空調設備が感染源か/宮城県6.カテーテル治療後の患者死亡問題、外部機関による調査を開始/神戸徳洲会病院1.新型コロナ感染、全国で徐々に増加 43都道府県で前週を上回る/厚労省厚生労働省によると、全国約5,000の定点医療機関から10日~16日までの新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は計5万4,150人で、1ヵ所当たりの平均は11.04人だった。前週比では20.8%増加し、43都道府県で前週を上回った。とくに西日本を中心に感染が広がっている傾向がみられる。新たな入院患者数は6,952人で前週から増加しており、感染の広がりに警戒が必要とされている。夏場の人の移動やイベントの増加により、さらなる感染拡大が懸念されている。専門家は亜型ウイルスの広がりに注意し、高齢者や基礎疾患を持つ人への感染リスクを低減する対策が重要だと指摘している。参考1)コロナ定点、前週比1.20倍=43都道府県で増加-厚労省(時事通信)2)新型コロナ、全国でじわじわ増加 専門家に聞く夏場の注意点は?(朝日新聞)3)コロナ感染、定点で拡大 1機関あたり10人超、5類移行後で初(日経新聞)2.オンライン診療の実績、4割が「不眠症」偏りを懸念/厚労省厚生労働省は、7月20日に中央社会保険医療協議会(中医協)「入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開き、オンライン診療について検討した。この中で、オンライン診療の実績において再診料や外来診療料の傷病名の約4割が「不眠症」であり、初診料でも2割超を占めることが明らかとなり、オンライン診療の使い方が偏っている可能性を指摘する声も上がった。また、患者の近くに看護師がいる場合(D to P with N)のオンライン診療を推進する意見が相次いだ。D to P with Nのケースでは看護師の介在により予測範囲内の治療や新たな症状への検査が可能で、とくに離島や地方でのオンライン診療に有効とされている。厚労省では、オンライン診療について適切な評価を検討し、看護師の活用方法についても具体的に検討を行いたいとしている。参考1)オンラインでの再診の約4割が「不眠症」 対面診療が5割未満の医療機関で(CB news)2)患者の近くに看護師がいるオンライン診療推進「検討」中医協・分科会で厚労省(同)3)令和5年度 第4回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(厚労省)3.日本の病院の4割が洪水浸水想定区域内に立地/日本病院会日本病院会によると、全国の主な病院の約40%が河川氾濫による洪水浸水想定区域内に立地していることが判明した。近年の豪雨災害では、浸水被害を受けた病院の医療体制が継続できないケースが増えている。そのうち、5メートル以上の深さを想定した浸水区域内に立地している病院は11施設存在していた。厚生労働省では、浸水対策に取り組む医療機関に補助制度を設け、病院を守る取り組みを支援している。災害拠点病院の中には、止水板を設置して浸水を防ぐなど、独自の対策を講じる病院もある。厚労省は補助制度の周知を広め、多くの医療機関で浸水対策が進むよう促している。参考1)病院の4割が洪水浸水想定区域内に、11施設は5m以上…豪雨で被災するケース相次ぐ(読売新聞)2)浸水被害も含めた、新たな医療機関の事業継続計画(BCP)策定に資する研究(厚労省)4.電子処方箋システムの導入進捗率わずか2%/厚労省今年の1月から全国で本格的に導入が始まった電子処方箋システムについて、導入している医療機関や薬局がわずか2%に止まり、目標達成は厳しい状況となっていることが判明した。厚生労働省の資料によると、全国の医療機関・薬局のうち約2万3千ヵ所に対して、導入済みはわずか4,690ヵ所で、そのほとんどが薬局となっていた。医療機関で電子処方箋の導入が進まない理由として、医療従事者の資格証明書「HPKIカード」の発行に時間がかかっているほかに、医療機関側の導入費用の負担が大きいため導入を見送っていることや、利点が周知されていない状況がある。その一方で、利用申請を完了させた医療機関や薬局は計5万5,999ヵ所であり、そのうち実際に運用開始しているのは計4,870ヵ所。運用は「マイナ保険証」への対応に必要なオンラインの資格確認システムを活用しており、患者本人の同意を得られれば複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された医薬品の情報が参照できる。政府は2025年3月までに電子処方箋の普及を目指しており、第2フェーズで普及を加速する計画だが、オンライン資格確認システムの運用には問題も相次いでいる。参考1)電子処方せん対応の医療機関・薬局についてのお知らせ(厚労省)2)電子処方箋、導入わずか2%=運用半年、実績伸び悩む-厚労省「目標達成、厳しい」(時事通信)3)電子処方箋システム、計5.6万ヵ所が利用申請 厚労省集計、運用開始は計4,870ヵ所(CB news)5.病院でレジオネラ症集団感染2人死亡、空調設備が感染源か/宮城県宮城県大崎市の永仁会病院でレジオネラ症に感染した患者6人が集団発生し、そのうち80代の男性患者と40代の女性患者の2人が死亡した。感染の原因は空調設備にみつかったレジオネラ属菌で、2基の冷却塔からは通常の目安よりも最大97万倍の濃度の菌が検出された。宮城県で初の集団感染として、感染に注意するよう専門家は呼びかけている。レジオネラ菌は湿気の多い場所に多く生息しており、今年になって2月に老舗の温泉旅館でも検出され全国で報道されており、医療機関や介護施設でも設備機器の適切なメンテナンスが必要となる。参考1)レジオネラ菌による感染症の発生について(永仁会病院)2)病院でレジオネラ菌に空気感染か、2人目の死者…大崎市の永仁会病院(読売新聞)3)宮城の病院でレジオネラ菌、2人死亡1人重症 目安値の68万~97万倍(産経新聞)4)病院の患者6人がレジオネラ菌に感染 大崎(NHK)6.カテーテル治療後の患者死亡問題、外部機関による調査を開始/神戸徳洲会病院兵庫県神戸市の神戸徳洲会病院にて、特定の男性医師が行ったカテーテル治療の後に複数の患者が死亡したとされる問題で、病院は内部調査委員会を立ち上げ、さらに外部の専門家による調査を依頼することを発表した。カルテの記載不備や患者の死亡後の報告体制に問題があったことが判明しており、治療を受けた患者数は約100人に上るとされている。病院では医療事故による過失を含めて調査を進めるとしている。参考1)今回の一連の報道につきまして(神戸徳洲会病院)2)「カテーテル治療後に死亡」告発、神戸徳洲会病院が外部調査へ(読売新聞)3)カテーテル後に複数患者死亡 病院 第三者機関の検証を依頼へ(NHK)4)「カテーテル治療後に複数死亡」外部に検証依頼へ 神戸徳洲会病院の調査委「妥当性を検討していく」(神戸新聞)