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新型コロナとインフル、死亡率・症状の違いは?/BMJ

 季節性インフルエンザ入院患者と比較して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者は肺外臓器障害・死亡リスクの上昇(死亡リスクは約5倍)、および医療資源使用(人工呼吸器装着、ICU入室、入院期間など)の増加と関連していることが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによるコホート研究で明らかとなった。研究グループは、先行研究での季節性インフルエンザとCOVID-19の臨床症状や死亡率の比較は、それぞれ異なるデータおよび統計的手法を用いて行われ、「リンゴとリンゴ」での比較ではなかったとして、米国退役軍人省の入院データを用いて評価を行ったという。結果を踏まえて著者は、「本調査結果は、COVID-19と季節性インフルエンザの比較リスクに関する世界的な議論への情報提供になるとともに、COVID-19パンデミックへの継続的な対策に役立つ可能性があるだろう」と述べている。BMJ誌2020年12月15日号掲載の報告。米国退役軍人の医療データを用いて違いを検証 研究グループは、米国退役軍人省の電子医療データベース(1,255のヘルスケア組織[170の医療センター、1,074の外来クリニックなど]を含む)を用いて、コホート研究を行った。 2020年2月1日~6月17日にCOVID-19で入院した患者(3,641例)と、2017~19年に季節性インフルエンザで入院した患者(1万2,676例)に関するデータを用いて、両者の臨床症状と死亡のリスクの違いを比較した。 主要評価項目は、臨床症状、医療資源の使用(人工呼吸器装着、ICU入室、入院期間)、死亡のリスクで、doubly robust法を用いて傾向スコアを構築し、また、共変量を用いてアウトカムモデルを補正して評価を行った。死亡率の違いは、CKDまたは認知症の75歳以上、黒人の肥満、糖尿病、CKDで顕著 季節性インフルエンザ入院患者と比較してCOVID-19入院患者は、急性腎障害(オッズ比[OR]:1.52、95%信頼区間[CI]:1.37~1.69)、腎代替療法(4.11、3.13~5.40)、インスリン使用(1.86、1.62~2.14)、重度の敗血症性ショック(4.04、3.38~4.83)、昇圧薬使用(3.95、3.46~4.51)、肺塞栓症(1.50、1.18~1.90)、深部静脈血栓症(1.50、1.20~1.88)、脳卒中(1.62、1.17~2.24)、急性心筋炎(7.82、3.53~17.36)、不整脈および心突然死(1.76、1.40~2.20)、トロポニン値上昇(1.75、1.50~2.05)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値上昇(3.16、2.91~3.43)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値上昇(2.65、2.43~2.88)、横紋筋融解症(1.84、1.54~2.18)のリスクが高かった。 季節性インフルエンザ入院患者と比較してCOVID-19入院患者は、死亡(ハザード比[HR]:4.97、95%CI:4.42~5.58)、人工呼吸器の使用(4.01、3.53~4.54)、ICU入室(2.41、2.25~2.59)および入院日数の増加(3.00、2.20~3.80)のリスクも高かった。 COVID-19入院患者と季節性インフルエンザ入院患者100人当たりの死亡率の違いは、慢性腎臓病または認知症の75歳以上の高齢者と、黒人種の肥満、糖尿病または慢性腎臓病で最も顕著だった。

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第38回 イトラコナゾール睡眠薬混入事件、SNSの医師コメントが更なるリスクを生み出す?

まさに前代未聞というべき事態になっている。福井県のジェネリック医薬品企業・小林化工が出荷した抗真菌薬イトラコナゾールの一部ロットにベンゾジアゼピン系睡眠導入薬のリルマザホン(商品名:リスミーなど)の成分が混入。しかも混入量は1錠あたり最大で臨床使用量の2.5倍という高用量。この結果、12月23日時点で判明している健康被害は164件、このうち自動車などによる事故を起こした服用者は21人、緊急搬送・入院者(すでに退院した人も含む)は35人、さらに痛ましいことに70代女性が亡くなったことが報告されている(これ以外に1人の死亡が報告されているが、主治医が服用と死亡の間に因果関係が認められる可能性は低いとの見解を示している)。この事件では製造過程で目減りする成分を補充するため、医薬品製造販売承認書に記載のない中途での成分つぎ足しを実施していたことが発覚。現在までにつぎ足しの際に明らかに形状の違うイトラコナゾールとリルマザホンの容器を取り違え、そこで行われるはずのダブルチェックもなかったことが事件の原因と考えられている。また、一部では最終段階での品質管理で混入を疑わせるデータがありながら、そのチェックが不十分だったとも報じられている。この件についてSNSなどを概観した私見では、一般人と医療従事者ではやや受け止め方が違うと感じている。端的に言うならば一般人は医薬品そのものへの信頼性、医療従事者はジェネリック医薬品への信頼性をそれぞれ疑っているという印象だ。この違いは、一般向けの報道では今回の医薬品がジェネリック医薬品であることにあっさり言及する程度、中にはまったく触れていないことも少なくないためだろうと考えられる。一般向けに医療記事を書くことも多い私だが、事件発生以来、この件について書いて欲しいとのオーダーがあったら、書き方にかなり苦労するだろう思っている。なぜならこの件について平たく書こうとすればするほど、問題の製品がジェネリック医薬品であることに触れざるを得ず、どんなに気を付けて書いても読者の一部に「ジェネリック医薬品=粗悪品」という感情を抱かせかねないからだ。そしてそのような誤解をさせることは私にとって本意ではない。多くの医療従事者がご存じの通り、国は医療費抑制策の一環としてジェネリック医薬品の使用促進策を推進し、2017年6月の閣議決定で政府目標として2020年9月までに数量ベースでの使用割合80%達成を掲げ、これに伴う診療報酬の改定措置を行ってきた。代表格は各保険薬局のジェネリック医薬品の数量ベース調剤割合に応じて調剤料の加算報酬がつく「後発医薬品調剤体制加算」の設置だ。これにより医師による変更不可の指示がない限り、調剤の段階でジェネリック医薬品の代替が行われるようになり、実際の2020年9月時点の使用割合は78.3%と目標には達しなかったものの、もはや目標達成目前である。ちなみにこの件について一部の医療従事者から「お金のために薬局が嬉々としてジェネリックに変更している」と批判的な物言いも耳にしたことがあるが、この変更にあたって薬局側では目を皿にして各ジェネリック医薬品企業の安定供給レベルや品質などを吟味していることが多く、この作業が決して楽なものではないことは承知しているつもりだ。しかし、今回の事件が深刻化すればするほど、ジェネリック医薬品に対する国民や医療従事者の信頼度は低下し、ひいては前述の使用割合の低下にもつながりかねない。それに伴ってもともとジェネリック医薬品に対して良い感情を持っていない医療従事者、とりわけ医師からジェネリック医薬品批判が出てくるであろうことは想像に難くない。というか、もうすでにそれは出ている。内科医で芸能人でもある、おおたわ史絵氏のブログを引用した東京スポーツ新聞の記事である。この記事、一見するともっとものように頭に入って来る。ただ、誤解を招きやすい点がいくつかある。まず、「不正」という言葉の使い方だ。おおたわ氏は、医薬品製造販売承認書にない製造プロセス、いわば製造途中での成分のつぎ足しを「不正」と言っているのだろうが、一般読者にとってこうした細かい話はさっと触れられただけでは意味がわかるようでわからないことが往々にしてある。場合によってはつぎ足し時に取り違えたる「過失」と思われる行為が「不正」のように読めてしまう。こうした読み解き(読み違え)は、とりわけ「製薬会社=悪」「医師=悪」のような陰謀論的な考え方をする人にはありがちだ。そのうえで、そうした誤解に基づくSNSでの発信や拡散が行われてしまう危険性がある。次に気になるのがジェネリック医薬品について、「1つの薬に対してジェネリックは5つも10も存在することがあります。そのどれを選ぶか? 選択権は患者さんにはありません。実は我々医者にもありません。選択権を持っているのは薬局です。どこのメーカーのジェネリックを採用するかは薬局の裁量にかかっています」という記述である。一応、その後に薬局についてフォローしているものの、重ねて「医者も患者も選択権を持っていない」と強調しているため、まるで薬局に選択権があること自体やその選択内容が全体的に問題であるとの印象を与えてしまう。だが、それ以上にややミスリーディングではないかと感じてしまう点が、「ジェネリックと言う選択肢がこの国に現れてからずっと不安でした。多数の工場やメーカーが参入するほど、監視の目が行き届かなくなるからです」や「我々医師はみんないつかこんな事故、事件が起きると不安に思っていました」という、ある意味潜在的なジェネリック医薬品不信を述べている点である。同じような印象を持っている医師はほかにもいるだろうし、その感想を述べる自由はある。ただ、今回の事件は現時点では小林化工という一企業が有する構造的な問題として発生した、つまり小林化工特有の問題でたまたま事件が発生したのがジェネリック医薬品メーカーだったのか、ジェネリック医薬品メーカー全体が有する構造的な問題として発生したかはいまだ不明である。だが、この書き方はまさに私が懸念する「ジェネリック医薬品=粗悪品」という印象を抱かせてしまう。こんなことがきっかけでジェネリック医薬品を服用している患者が不安を感じ、医療機関や薬局に薬剤変更を求めて駆けつける、あるいはジェネリック医薬品の使用に積極的な医師や薬剤師をむやみに批判するという混乱は避けなければならない。メディアの報道が時に物議を醸し、医療従事者から「だからメディアは…」とおしかりを受けることも少なくない。だが、それでもなお患者にとって医療従事者、とりわけ医師の発言はメディア以上に重大な影響を与える。それは時として警察官が持つ拳銃や手錠と同等の権威・脅威を与えるものなのである。

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「ゾフルーザ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第32回

第32回 「ゾフルーザ」の名称の由来は?販売名ゾフルーザ®錠 10mgゾフルーザ®錠 20mgゾフルーザ®顆粒2%分包一般名(和名[命名法])バロキサビル マルボキシル(JAN)効能又は効果〈ゾフルーザ錠20mg、ゾフルーザ顆粒2%分包〉A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防〈ゾフルーザ錠10mg〉A型又はB型インフルエンザウイルス感染症用法及び用量通常、以下の用量を単回経口投与する。画像を拡大する警告内容とその理由1.本剤の投与にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。2.インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤の予防使用はワクチンによる予防に置き換わるものではない。禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2020年12月29日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年12月改訂(第6版)医薬品インタビューフォーム「ゾフルーザ®錠10mg・20mg/ゾフルーザ®顆粒2%分包」2)シオノギ製薬:製品情報一覧

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インフルエンザは1,000分の1、COVID-19余波でその他感染症が激減

 日本感染症学会と日本環境感染学会を中心に各医学会や企業・団体が連携し、感染症の予防に向けた啓発活動を行う共同プロジェクト「FUSEGU2020」は、2021年に開催が予定されるオリンピックを鑑み、注意すべき感染症と2020年の感染症流行の状況を解説するメディアセミナーを行った。 セミナーにおいて、防衛医科大学校内科学(感染症・呼吸器)教授の川名 明彦氏が「国際的マスギャザリングに向け、注意すべき感染症」と題した発表を行った。川名氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行を受け、その他の感染症の流行状況に大きな変化が生じている状況を紹介した。 オリンピックをはじめとした大規模イベント時にはインバウンド感染症(罹患した外国人の訪日を契機として持ち込まれた感染症)に警戒が必要となる。首都圏にとどまらず全国のホストタウンにおいても流行のリスクを踏まえ、事前の周知・対応が重要な感染症として結核・麻疹・デング熱・侵襲性髄膜炎菌感染症が挙げられた。 しかし、COVID-19拡大につれて海外との往来は制限され、東京オリンピックは延期が決定。緊急事態宣言に伴い外出自粛となり、宣言解除後もリモートワーク推進や会合自粛の流れが続いている。4月以降は訪日外国人数が例年の1,000分の1以下という極めて低い水準で推移しており、日常生活においては手洗い、マスク、換気、ソーシャルディスタンスの確保などが習慣化している。 こうした状況に伴い、今年はCOVID-19以外の主だった感染症の発症数が激減している。たとえば、インフルエンザの12月第1週の報告数は63(昨年同期:4万7,200)、流行の基準とされる定点当たりの新規患者数も0.01(同:9.52、流行開始の目安は1.0)と激減しており、冬の流行シーズンに入った現在も大規模な流行の報告はない。 ほかにも、2013年の流行時には年間1万4,344人、昨年も2,306人の感染者を出した風疹は12月第1週までの累計報告数が99人、昨年744人だった麻疹は同13人といずれも激減。人との接触機会の減少とともに、麻疹の場合は患者に訪日外国人の割合が多く、訪日者の減少が大きな要因として考えられるという。 川名氏は「患者の受診抑制による未診断、といった要因も考えられるため慎重な判断が必要だが、COVID-19感染防止対策が接触・飛沫感染を主な感染経路とするその他感染症の流行に抑制的に作用していることは間違いないだろう」と解説。一方で、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、梅毒となった性感染症については例年と比較した発症数に大きな変化はなく、「こうした感染症には異なる予防対策が必要になるだろう」とした。

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COVID-19へのシクレソニド、肺炎増悪抑制せず/国立国際医療研究センター

 COVID-19の治療薬候補として期待されているシクレソニドについて、肺炎のない軽症COVID-19患者90例を対象に肺炎の増悪抑制効果および安全性を検討した、全国21施設における多施設共同非盲検ランダム化第II相試験の結果、有効性が示されなかった。2020年12月23日、国立国際医療研究センターが発表した。米国含む海外にて実施されている検証的な臨床試験の結果も踏まえて判断する必要があるが、今回の研究結果からは無症状・軽症のCOVID-19患者に対するシクレソニド吸入剤の投与は推奨できないとしている。 気管支喘息の治療薬である吸入ステロイド薬シクレソニド(商品名:オルベスコ)は、SARS-CoV-2に対する「抗ウイルス活性」が非臨床試験で報告されており、また国内においてCOVID-19患者3例で症状改善を認めたとの報告があることから、国立国際医療研究センターが中心となって有効性および安全性を検討するための臨床試験を厚生労働科学研究として実施した。 肺炎のない軽症COVID-19患者90例をシクレソニド吸入剤投与群と対症療法群にランダム化。主要評価項目は、胸部CT画像による入院8日目以内の肺炎増悪割合、主な副次評価項目は鼻咽頭ぬぐい液のウイルス量の変化量であった。 その結果、肺炎増悪率は、シクレソニド吸入剤投与群41例中16例(39%)、対症療法群48例中9例(19%)であり、リスク差0.20(90%信頼区間:0.05~0.36)、リスク比2.08(同:1.15~3.75)、p=0.057であった。p値は両側有意水準10%を下回り、対症療法群と比べてシクレソニド吸入剤投与群で有意に肺炎増悪が多かった。 本剤は、厚生労働省が公開している「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」の第4版では「日本国内で入手できる薬剤の適応外使用」のその他の薬剤例として記載されており、「現在国内において特別臨床研究が実施されているほか、観察研究に関しても実施中」と紹介されている。

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COVID-19ワクチンの対象集団、国や地域による違いは?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種の対象集団の規模は、国や地域によって著しく異なっていることを、中国・復旦大学のWei Wang氏らが記述的研究で明らかにした。著者は、「国や地域レベルでの対象集団の分布は、ワクチンの優先順位や配分を公平かつ効率的に計画することの重要性を強調している」と述べたうえで、「各国は、地域の疫学、基礎となる公衆衛生、利用可能なワクチン量の予測、直接的または間接的な有益性をもたらすワクチン接種戦略の選択などに基づいて、さまざまな戦略と配分計画を評価すべきである」とまとめている。先行研究において、COVID-19ワクチンの公正な配分を保証する倫理的な枠組みについては説明がされている。そのうちの1つは、最適化アルゴリズムを用いて異なる目的に対する最適なワクチン配分戦略をモデル化しており、人口統計、職業または高リスク集団(エッセンシャルワーカーや既往歴のある人など)を対象としたワクチン接種プログラムに関する集団規模が必要と示されていた。BMJ誌2020年12月15日号掲載の報告。WHO加盟国194ヵ国についてワクチンの対象集団の規模を調査 研究グループは、世界保健機関(WHO)の加盟国194ヵ国について、各国の特性やワクチン接種の目的(必要不可欠な社会サービスの維持、COVID-19重症化の抑制、症候性感染症の減少、ウイルス感染の抑止)に基づいたCOVID-19ワクチン接種の対象集団の規模を評価した。 規模の推定には、職業、年齢、COVID-19重症化リスク因子、ワクチンの受け入れ、世界的なワクチン生産量で層別化された人口規模に関する国別データを使用し、これらのデータは公式ウェブサイト、メディア、学術論文などの多面的な検索より入手した。ワクチン接種の対象集団規模、目的や地域で大きく異なる COVID-19ワクチン接種対象集団の規模は、ワクチン接種の目的や地域ごとに著しく異なった。人口構造、基礎疾患の存在、エッセンシャルワーカーの人数が、地域や国レベルでの対象集団推定の大きな変動に関与した。 とくに欧州は、エッセンシャルワーカー(6,300万人、8.9%)および基礎疾患を有する人(2万6,590万人、37.4%)の割合が最も高かった。これら2つのカテゴリーは、それぞれ社会機能の維持およびCOVID-19の重症化抑制に不可欠である。 一方、東南アジアでは、健康成人(7万7,750万人、58.9%)の割合が最も高く、市中感染の抑制が重要な目的となることが示された。 ワクチン忌避は、将来的なCOVID-19ワクチン接種プログラムに影響する可能性があるが、文献レビューに基づくと、世界の人口の68.4%(95%信頼区間[CI]:64.2~72.6%)がCOVID-19ワクチン接種を受ける意思があり、ワクチン接種を希望する成人集団は37億人(95%CI:32億~41億)と推定された。

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COVID-19入院患者へのバリシチニブ+レムデシビル併用は有益/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で、とくに高流量酸素療法または非侵襲的換気療法を受けている入院患者において、バリシチニブ+レムデシビル併用はレムデシビル単独よりも回復までの時間を短縮し、臨床状態の改善を早めることが明らかになった。米国・ネブラスカ大学のAndre C. Kalil氏らが1,033例を対象に行った第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「ACTT-2試験」の結果で、著者らは、「この組み合わせ療法は重篤な有害事象の減少と関連していた」と報告している。COVID-19は調節異常の炎症との関連が示唆されている。ヤヌスキナーゼ阻害薬であるバリシチニブとレムデシビル併用の効果については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2020年12月11日号掲載の報告。 レムデシビルにバリシチニブを14日以内追加投与 研究グループは2020年5月~7月にかけて、8ヵ国、67ヵ所の医療機関を通じて、COVID-19で入院中の成人患者を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはレムデシビル(10日以内)+バリシチニブ(14日以内)を(併用群)、もう一方にはレムデシビル(10日以内)+プラセボを投与した(対照群)。 主要アウトカムは、回復までの期間だった。主な副次アウトカムは、15日時点の臨床状態だった。回復までの日数中央値、併用群は7日で1日短縮 無作為化を受けた患者は計1,033例だった(併用群515例、対照群518例)。 回復までの期間中央値は、併用群7日(95%信頼区間[CI]:6~8)、対照群8日(7~9)だった(回復に関する率比:1.16、95%CI:1.01~1.32、p=0.03)。15日時点の臨床状態の改善に関するオッズ比(OR)は、併用群が30%高かった(OR:1.3、95%CI:1.0~1.6)。 試験開始時に高流量酸素療法または非侵襲的換気療法を受けていた患者の回復までの期間中央値は、併用群10日、対照群18日だった(回復に関する率比:1.51、95%CI:1.10~2.08)。 28日死亡率は、併用群5.1%、対照群7.8%だった(ハザード比:0.65、95%CI:0.39~1.09)。重篤な有害事象の発現頻度は、併用群が対照群に比べて有意に低率だった(16.0% vs.21.0%、群間差:-5.0ポイント、95%CI:-9.8~-0.3、p=0.03)。また、新たな感染症の発生率も併用群が有意に低率だった(5.9% vs.11.2%、群間差:-5.3ポイント、95%CI:-8.7~-1.9、p=0.003)。

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第38回 「医師は辛いよ…」、開業医のワインパーティーでクラスター発生、主催した院長が陳謝

あらゆる飲み会が標的にされる2020年冬こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今回が本年最後の連載となりますが、皆さん、忘年会やっていますか?私も例年より回数がぐっと減って、記者仲間や昔の友人などと街で数回飲んだだけです。最近のマイブームは、飲み屋の口開け、17時くらいから飲むことです。お店もきれいですしお客さんも少ないので、感染予防にもつながります。もっとも最近は、17時に入っても、すでにお客さんが飲んでいる店も多く、一体口開けは何時なんだ、と思うことも度々ですが…。さて、菅 義偉首相が「Go To トラベル」一斉停止を決めた12月15日の夜に、大人数の会食に参加していたことが物議を醸しました。メンバーは自民党の二階 俊博幹事長、プロ野球ソフトバンクの王 貞治球団会長、俳優の杉 良太郎氏、タレントのみの もんた氏ら総勢8人、場所は銀座の高級焼肉店です。政府や新型コロナ対策分科会が、5人以上の会食や忘年会の自粛を求めている中、全員70歳以上(72歳の菅首相が一番若い)、しかもメンバー的にも不要不急の会食とみられ、まったく申し開きができない状況でした。 翌日、菅首相は珍しく「国民の誤解を招くという意味では真摯に反省している」と謝罪しました。しかし、私を含め、国民は別に何も“誤解”などしていないわけで、その弁明は相変わらずズレたものでした(謝罪した日の夜も日本料理店とフランス料理店をはしごしたとのことです)。菅首相が謝罪した12月16日の毎日新聞は、茨城県で起きた開業医主催の飲み会によるクラスター発生を報じています。時節柄、政治家の飲み会も問題ですが、医師も同様に問題視されるようです。クラスターの原因となった、となればなおさらです。医師で開業医なのに「自営業」と公表毎日新聞によれば、ことのあらましは以下のようなものです。茨城県が11月下旬に新型コロナウイルス感染症のクラスターと認定したつくば市内の会食に、医師が10人程度参加していたことが関係者への取材で判明。参加した医師のうち少なくとも4人が感染し、その結果7つの医療機関が11月末~12月上旬に休診や診療制限などの対応をとっていた、というのです。報道によれば、会食は土浦市内で診療所を開業する男性院長が主催、11月中旬につくば市の院長自宅で「ワイン会」と称して行われました。土浦市内の医師10人程度に、同市やつくば市の会社社長なども参加する、総勢37人の大パーティーだったとのことです。そして、参加者のうち30~60代の男女17人の感染が確認され、県がクラスターと認定しました。同紙が問題にしたのは、県はクラスターの発生を公表したものの、感染者に医師がいることを明らかにしなかった点です。県は17人を「会社員」「自営業」などと公表。このうち2人は「医療従事者」としていました。医療従事者として感染が発表された2人は土浦市内の男性医師と女性医師でした。さらに会食を開催した院長と石岡市内の男性医師も感染していたことが判明しましたが、県はこの2人の職業を「自営業」としていました。2人を自営業と公表したことについて県は、「本人が『自営業』と強く希望した」と説明しました。確かに「自営業」には違いないですが、普通、医療機関の経営者に使う言葉ではないですね。それこそ、国民の誤解を招きそうです。地域で感染が拡大している時期に大人数の医師が集まって飲み会を開いたことや、医師であるにもかかわらず自営業と公表させたことなどに批判が集まり、16日、感染から回復した主催者の院長は「心よりおわび申し上げます」と陳謝の談話を出すに至っています。また、茨城県の大井川 和彦知事は20日の臨時会見で、医師の職業を自営業にしたことについて「正確性を欠いた」と述べ、発表の仕方を見直す考えを示しています。つるんで飲むことが多い医師たち私も職業柄、医師と飲む機会が多くあります。個人的な印象ですが、医師、とくに開業医は地域の開業医仲間とつるんで飲むことが多いようです。それだけ、狭い世界に生きている、ということもありますが、医師の仲間同士で、それなりの高級店(接客する女性もそれなり)で飲むほうがいろいろな意味で安全、ということも言えると思います。昔、親しかった広島の開業医は、「流川で飲むときは決まった店にしか行かない。医者だとわかると近寄って来る人間がたくさんいるので、そういったリスクを避けるためでもある」と話していました。確かに当時連れて行ってもらった店はどこも有名店、高級店ばかりでした。今回のつくばのワイン会も、そうした意味合いから、地元の名士だけで飲むべく、自宅開催にしたのかもしれません(37人もお客さんを呼べる自宅、というのも驚きですが)。しかし、いかんせん時期が悪かったですね。なお、医師の飲み会によるクラスターは岩手県でも報告されています。読売新聞などの報道によると、12月7日、盛岡市内の飲食店で約20人の医師による飲み会が開かれ、参加した医師や、この飲食店に来ていた県職員らによるクラスターが発生しました。盛岡赤十字病院では、この会食に参加した40代の男性医師が診察した患者・元患者6人が感染したとのことです。恒例だから、という理由で例年通りの忘年会、新年会を開くと、そこにはクラスターという落とし穴があるかもしれません。いったん何かが起きれば医師はとくに世間から糾弾されてしまいます。年末年始、読者の皆さんもくれぐれも気をつけてください。

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COVID-19パンデミック中の霜焼け症状、病態生理が明らかに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下で報告が相次いだ「凍瘡様病変」の病態生理が明らかにされた。フランス・コートダジュール大学のThomas Hubiche氏らによる連続患者40例の前向きケースシリーズ研究の結果、ウイルス誘発型のtype I interferonopathyの症状を呈していることが示唆されたという。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。 COVID-19パンデミック下で凍瘡様病変を呈した患者コホートに関する、体系的、臨床的、組織学的および生物学的評価は、フランスのニース大学病院COVID-19学際的診療グループによって行われた。 対象患者は、皮膚生検、血管評価、生物学的解析、インターフェロンアルファ(IFN-α)の刺激と検出、および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)と血清学的解析などの一般および皮膚科学的検査を受け評価された。 主な結果は以下のとおり。・全体で、凍瘡様病変を呈した連続患者40例が評価に含まれた。・患者の大半は若者で、年齢中央値は22歳(範囲:12~67歳)、男性19例、女性21例であった。臨床所見は、主に爪先での凍瘡様病変で、再現性が高かった。・水疱性および壊死性への病変進行が11例で観察され、肢端紫藍症または足趾の冷えは19例(47.5%)報告された。・COVID-19症例に適合する基準が、発症前6週間以内に11例(27.5%)で認められた。・リアルタイムPCR(rt-PCR)検査の結果は、全症例で陰性であった。・全体では12例(30%)で、SARS-CoV-2の血清学的評価が陽性であった。また、24例(60.0%)でDダイマー値の上昇が認められた。・クリオグロブリン血症およびパルボウイルスB19の血清学的評価は、検査をしたすべての患者で陰性だった。・特徴的だった主な組織学的所見は、細静脈壁の肥厚と周皮細胞過形成を伴うリンパ球性炎症および血管損傷であった。・凍瘡様病変を呈する患者集団は、軽度~重度の急性COVID-19患者と比較して、in vitroでの刺激後にIFN-α産生の有意な増加が観察された。

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AZ社の新型コロナワクチン4試験統合中間解析で安全性・有効性確認/Lancet

 ChAdOx1 nCoV-19ワクチン(AZD1222)は、英国・オックスフォード大学で開発された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン。同大学のMerryn Voysey氏らは、このワクチンに関する進行中の4つの臨床試験の第1回目の統合中間解析を行い、安全性プロファイルは容認可能なものであり、COVID-19に対し有効であることを確認した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年12月8日号に掲載された。AZD1222は、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の細胞表面の構造蛋白である糖蛋白抗原(スパイク蛋白:nCoV-19)遺伝子を含む、チンパンジー由来の増殖能を欠失させたアデノウイルスベクター(ChAdOx1)から成る。2020年4月23日、英国で第I/II相試験(COV001)が開始され、その後、英国(COV002、第II/III相)、ブラジル(COV003、第III相)、南アフリカ共和国(COV005、第I/II相)で無作為化対照比較試験が進められている。2回接種の安全性・有効性を評価 今回の中間解析には、進行中の4つの盲検化無作為化対照比較試験のデータが含まれ、AZD1222の安全性と有効性の評価が行われた(英国研究技術革新機構[UKRI]、AstraZenecaなどの助成による)。 COV001試験の対象は年齢18~55歳の健康ボランティアであり、COV002試験ではSARS-CoV-2への曝露の可能性が高い職種も含まれた。COV003試験は、医療従事者などのウイルス曝露リスクの高い職種の登録に重点を置き、18歳以上の安定期の併存疾患を有する集団も含まれた。COV005試験にはHIV感染者も登録されたが、今回の解析には含まれず、年齢18~65歳の健康成人が対象とされた。 被験者は、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンを接種する群または対照群(髄膜炎菌A、C、W、Y結合型ワクチン[MenACWY]または生理食塩水)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。ChAdOx1 nCoV-19群は、5×1010(標準用量)のウイルス粒子を含むワクチンを2回接種され(SD/SDコホート)、英国の試験(COV001、COV002)の一部では、1回目に低用量、2回目には標準用量のワクチンが接種された(LD/SDコホート)。 主要アウトカムは、ウイルス学的に確定された症候性COVID-19とし、2回目の接種から14日以降にスワブが核酸増幅検査(NAAT)で陽性であることと、1つ以上の特定の症状(37.8℃以上の発熱、咳、息切れ、臭覚障害/味覚障害)がみられることと定義された。ワクチンの有効性は、年齢で補正した頑健ポアソン回帰モデルによる相対リスクの値を1から引いた値として算出した。データカットオフ日は2020年11月4日。ワクチン有効性:全体70.4%、SD/SD群62.1%、LD/SD群90.0% 2020年4月23日~11月4日までの期間に2万3,848例が登録され、有効性の主要中間解析には1万1,636例(英国のCOV002試験:7,548例[SD/SDコホート4,807例、LD/SDコホート2,741例]、ブラジルのCOV003試験:4,088例[すべてSD/SDコホート])が含まれた。 全体(SD/SD+LD/SDコホート)では、主要アウトカムの発生はChAdOx1 nCoV-19群0.5%(30/5,807例)、対照群1.7%(101/5,829例)であり、ワクチンの有効性は70.4%(95.8%信頼区間[CI]:54.8~80.6)であった。 2回とも標準用量を接種したSD/SDコホートでは、主要アウトカムの発生はChAdOx1 nCoV-19群0.6%(27/4,440例)、対照群1.6%(71/4,455例)であり、ワクチンの有効性は62.1%(95%CI:41.0~75.7)であった。また、初回は低用量で2回目は標準用量のLD/SDコホートでは、主要アウトカムの発生はそれぞれ0.2%(3/1,367例)および2.2%(30/1,374例)であり、ワクチンの有効性は90.0%(67.4~97.0)であった(p interaction=0.010)。 初回接種後21日目以降に、COVID-19による入院が10例認められ、いずれも対照群であった。このうち2例は重症COVID-19に分類され、死亡が1例含まれた。安全性の追跡調査は7万4,341例月(中央値3.4ヵ月、IQR:1.3~4.8)で行われ、重症有害事象は168例で175件発現し、ChAdOx1 nCoV-19群が84件、対照群は91件であった。ワクチン関連の可能性もあると判定された重症有害事象は3件で、ChAdOx1 nCoV-19群、対照群、割り付けがマスクされた群それぞれ1件ずつだった。 著者は、「免疫が広く行き渡るまでは、COVID-19の管理には身体的距離(physical distancing)を取ることと新たな治療法が必要である。この間に、有効なワクチンが重症化のリスクがある集団に使用されれば、世界的流行に大きな影響を及ぼす可能性がある。ウイルスベクターワクチンChAdOx1 nCoV-19は有効であり、現在の世界的流行において疾患管理に寄与する可能性があることが、初めて示された」としている。

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小林化工の抗真菌薬に2.5倍量の睡眠薬混入はなぜ?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第59回

※本原稿は2020年12月11日時点での情報をもとに作成しています。医薬品の自主回収はさまざまな理由によって行われるため、望ましいことではありませんが、回収自体はそれほど珍しくはありません。しかし今回、死亡例を含む多くの健康被害が起こってしまった回収事例が発生しました。福井県は12月4日、同県あわら市の製薬会社「小林化工」が、爪水虫など皮膚病の治療に使う経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」約10万錠分を自主回収すると発表した。製造過程で通常の服用量を超える睡眠導入剤成分が混入し、岐阜、大阪、佐賀の3府県で計12人に意識消失や強い倦怠感などの副作用が確認されたという。(2020年12月5日付 日本経済新聞夕刊)この製造過程で混入した睡眠導入薬とは短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬「リルマザホン塩酸塩水和物(以下、リルマザホン)」で、当然ながら通常は含まれることなどありえません。しかも、イトラコナゾール錠50mgの1錠中に、リルマザホンの最大量の約2.5倍という高用量が混入していました。イトラコナゾールの内服薬は、1日1回もしくは1日2回服用しますので、朝食後に服用することも多くあります。短時間作用型の睡眠薬を朝食後に服用し、そのまま車を運転して出勤…などと考えるとゾッとしますが、残念なことに、12月11日時点で重篤を含む健康被害は計133例に上り、死亡例も1例生じています。製薬会社のずさんな製造工程のために、患者さんに健康被害が生じるなどあってはならないことで怒りが込み上げてきます。混入した経緯としては、厚生労働省に事前に承認された手順ではないものの、薬の製造過程で原薬の量が減った際に小林化工の担当者が成分を後で追加していたとのことで、その際にリルマザホンが混入したとされています。これが本当であれば、医薬品医療機器等法の違反です。今回のイトラコナゾール錠の回収については、製造販売元である小林化工株式会社から患者用のFAQが出ていますので抜粋して紹介します(一部改変)。ロット番号が不明の『イトラコナゾール錠50「MEEK」』を持っていますが、服用していいですか?絶対に服用しないでください。このお薬を服用された方は、自動車や自転車などの運転や危険を伴う機械の操作は絶対にやめてください。どのロットが回収対象ロットですか?睡眠薬の成分(リルマザホン塩酸塩水和物)が混入していることが判明したロットは「T0EG08」のみですが、ほかのロットについても、すべて回収いたします(50mg製剤)。服用を中止した残薬はどうしたらよいですか?残薬については、処方元または入手した薬局に返却してください。費用などは補償してもらえるのでしょうか?薬代などの補償については、服用されていた製剤を回収し、代替処方が必要となる際に補償をさせていただきます。イトラコナゾール錠の50mg製剤は、すべてのロットを対象として患者さんの手元にあるものまで回収されます。100mgと200mg製剤は、リルマザホンの混入が認められていないとのことですので、患者さんの手元にあるものは回収しないようですが、承認書に記載のない工程で製造していたことが判明したため、医療機関にあるものは回収となります。なお、リルマザホンが混入している当該ロットが調剤された患者さんは全員が特定されていて、服薬中止の連絡が行われたとのことです。すでに服用してしまった患者さんも多くいると思いますが、これ以上被害が拡大しないことを切に願うとともに、原因がきちんと解明・公表されて二度と同じようなことが起こらないようにしてほしいと思います。

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第39回 より感染しやすい新型コロナウイルス変異株が英国で急増/ 重症COVID-19への幹細胞治療の試験結果が判明

より感染しやすい新型コロナウイルス変異株が英国で急増英国ケント州やロンドンでの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の増加を受けて同国の保健行政組織Public Health England(PHE)がいっそうの注意を傾けて調べたところ新たなSARS-CoV-2変異体が急速に広まっていることが判明し、VUI - 202012/01と名付けられたその変異体の感染例1,108人が先週13日までに確認されました1)。その1週間後のこの週末19日の記者会見でBoris Johnson(ボリス・ジョンソン)英国首相はロンドンやイングランド南部/東部でのCOVID-19急増は13日発表の新たな変異株のせいらしいとの見解を示しました2)。変異株感染は重病や死に至りやすいという謂われはいまのところないが、他のSARS-CoV-2感染よりも次から次にどうやら感染しやすいらしいと示唆されています。PHEが他と協力しての調査は進行中ですが、いまのところ重症度、抗体反応、ワクチン効果へのVUI - 202012/01の影響は示唆されていません3)。今年2月の遅くに南欧で見つかって今や世界で最も幅を利かせる先着のSARS-CoV-2変異株4)がスパイクタンパク質に614Gという変異を有するのに似て新参のVUI - 202012/01もスパイクタンパク質にN501Yという変異を有します。世界を席巻しているその614G変異ウイルスもVUI - 202012/01と同様に感染を広めやすいらしいことがNatureに最近発表された培養実験やハムスター実験で裏付けられています5)。その実験で614G変異ウイルスは培養気道上皮細胞や気道を模す3次元組織でより増えて居座ることができ、より感染力が高いと示唆されました。続いて614G変異株をハムスターに感染させたところ鼻の拭い液や気管で盛んに増えており、その結果は614G変異ウイルスが上気道により集まるという感染者所見に見合うものであり、どうやらより感染しやすいことを示唆しています。目下のCOVID-19予防ワクチンは614G変異ウイルスに先立つウイルス(614Dウイルス)を起源としており、614Dウイルス感染で生じる抗体が614G変異ウイルスも中和できるならワクチンは614G変異ウイルスにも通用しそうです。そこで研究者は614Dウイルスを感染させたハムスターの血清が614G変異ウイルスの細胞感染を防げるかどうかを調べました5)。その結果、血清は幸いにも614G変異ウイルスの細胞侵入や複製を防ぐ中和活性を発揮し、614G変異は目下のCOVID-19ワクチンの守備範囲にあると示唆されました4,5)。 英国で広まる新たな変異株VUI - 202012/01のCOVID-19ワクチン等の効果への影響はいまのところ示唆されていませんが、確実な答えを得る研究が進行中であると英国の最高医学責任者(CMO)・Chris Whitty氏は14日の声明で述べています6)。COVID-19の幹細胞治療remestemcel-Lの試験は残念な結果になった本連載の第6回で紹介した急性呼吸窮迫症候群(ARDS)合併COVID-19患者へのMesoblast社の間葉系幹細胞(MSC)薬remestemcel-L(レメステムセル-L)の第III相試験が途中解析され、残念ながら主要評価項目・30日間の死亡減少の達成は不可能と判断されました7)。すでに組み入れ済みの233人全員の計画に沿った検討が済むまで試験は続けられ、追跡期間最終の60日時点での人工呼吸器なしでの生存日数・生存率・集中治療日数・入院期間・心臓/神経/肺損傷の結果が後に判明します。先月の終わりにノバルティス社はCOVID-19やその他の病気に伴うARDS へのremestemcel-Lの用途の権利を得る合意を発表しています。同社は残りの試験結果をMesoblast社と共に解析し、有意義な情報を見つけ出してremestemcel-Lの今後の開発方針に役立てることを目指します。参考1)PHE investigating a novel strain of COVID-19/GOV.UK2)Prime Minister's statement on coronavirus (COVID-19): 19 December 2020 /GOV.UK 3)COVID-19 (SARS-CoV-2): information about the new virus variant/GOV.UK4)Baric RS. N Engl J Med. 2020 Dec 16. [Epub ahead of print] 5)Plante JA,et al . Nature. 2020 Oct 26.[Epub ahead of print]6)Statement from Chief Medical Officer, Professor Chris Whitty about new strain of Covid-19/GOV.UK7)Mesoblast Update on COVID-19 ARDS Trial/ Mesoblast

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新型コロナ、病床逼迫の診療現場から~呼吸器科医・倉原優氏が緊急寄稿

 各地で新型コロナ感染症の新規感染者数の増加が止まらない。7~8月にかけてのピーク時を超え、間違いなく現状は「第3波」の真っただ中にある。自治体独自の基準により「非常事態」を宣言している大阪府の状況について、CareNet.com連載執筆者の倉原 優氏(近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)が緊急寄稿した。大阪府コロナ第3波の現状 大阪府は、現在コロナ第3波の最終局面であると信じたいくらい新規入院患者数が増えている。指定感染症として診療しているので、必然的に病床が逼迫している。政府は12月17日、向こう1年間は現行の指定感染症扱いを継続するという見通しを発表した。医療者の一部にも、「5類感染症に変えるべき」という意見もある。ただ、COVID-19を5類感染症にすることにより、複数の病院で分散して診療されるようになり、追跡されない水面下で感染者が激増するため、医療崩壊への道をたどることになるのではという懸念がある。 大阪府は現状、重症病床以外を軽症中等症病床という枠組みで運用しているが、医療施設によっては、ほぼ軽症しか診なくなっていたり、当院のようにほぼ中等症病床化していたりする施設もある。普段から高齢者を多く診ている施設には、基礎疾患がある寝たきりの症例を担当してもらい、当院のような急性期病院には少し重症寄りの症例を担当してもらおう、という暗黙の住み分けはあるかもしれない。重症化の予測は可能か パンデミック当初から、重症化指標として、フェリチン・CRP・リンパ球数が報告されていた。軽症例が少ない当院では、6~7人に1人が重症化(高流量鼻カニュラ酸素療法[HFNC] or 気管挿管 or 死亡)しているが、後ろ向きにデータを取ると、いろいろなことが見えてきた(2020年11月までの約120人で検討)。 COVID-19患者のリンパ球絶対数は、おおむね1,000/μL前後で、重症化例で際立って低いという印象はない。圧倒的に差があるのがCRPで、非重症化症例の中央値が3.7mg/dL(IQR:1.0~7.6)、重症化症例の中央値は11.0mg/dL(IQR:7.1~15.3)だった(p<0.001)。フェリチンも、非重症化323.1ng/mL(IQR:114.1~840.8)、重症化787.5ng/mL(IQR:699.9~1407.3)と約2倍の開きがある(p=0.002)。これらが高い患者は、中等症病床から重症病床へ転院する可能性が高いと言える。ASTとALTについては、正常上限を10 IU/Lほど上回っていることが多く、その理由として胆管細胞にACE2があるからという説が有力だという。時に150~200 IU/L近くまで上昇しているケースがあり、そういう場合抗ウイルス薬はなかなか使いづらい印象である。また、呼吸器専門施設ということで、当院ではKL-6を多くの症例で測定しているが、非重症例250U/mL(IQR:190.8~337.8)、重症例333.5U/mL(IQR:261.0~554.1)と、重症例でII型肺胞上皮細胞の傷害が強いことがわかる(p=0.04)。 重症化した患者さんは全例、「両肺全葉」に肺炎像があった。含気が1葉か2葉に残っていれば気管挿管は回避できるかもしれないが、全葉が侵されていると換気する肺胞がなく、呼吸不全から気管挿管に至るということである。「入院時の胸部画像検査を見たとき、医師がゾっとするほど陰影が多い」という現象は、もしかしたら重症化の一番のリスク因子かもしれない。治療と気管挿管 抗ウイルス薬については、軽症~中等症Iでファビピラビル、中等症I~重症でレムデシビルを使うことが多いが、発症早期にこれらを投与して効果があるかどうかは、臨床で実感できない。理論的には効果があると信じているが、現状「投与しない」という選択肢はほぼない状況である(投与していない施設もあると聞くが)。 SpO2が低め(94%未満)あるいはすりガラス陰影(GGO)主体のフレッシュなCOVID-19の肺炎には、デキサメタゾンを積極的に使用しているが、それが急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に進展するのを抑制しているのかどうか、これも実感があるとは言い難い。入院時に広範囲にGGOがあるシビアなARDSでは、ステロイドパルス療法を適用して、早い段階で気管挿管に踏み切っている。エアロゾルボックスの使用は、ハードウェアを介した接触感染のリスクがあるため、いまだ議論の余地がある。また、RSI(rapid sequence induction)の技術を持っている医師が院内に常時いるわけではないので、当院では呼吸器センターの強みを生かした気管支鏡を用いた気管挿管を行うことも多い。咳嗽によって術者に飛沫が飛ばないというメリットがあるが、内視鏡なので洗浄が煩雑である。 気管挿管した場合、大阪府では重症病床に転院することになる。大阪府コロナ重症センターが稼働したとはいえ、実運用ベースでの病床使用率は75%を超えているので、転院してから数日後に抜管され、再び中等症病床に戻ってくるというケースが多くなっている。今後、患者数がさらに増えてくれば、中等症病床においても重症患者を診るケースが増えることを覚悟している。【倉原 優氏プロフィール】2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て、08年より現職。CareNet.comでは、「Dr. 倉原の“おどろき”医学論文」「Dr.倉原の“俺の本棚”」連載掲載中。

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日医・中川会長、Go Toトラベル一時停止を「率直に評価」

 日本医師会・中川 俊男会長は、16日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の増加に歯止めがかからない状況を受け、日本医師会の見解を述べた。菅総理と共にCOVID-19に対応する代表的な医療機関の内部を視察 中川氏は、14日に菅 義偉内閣総理大臣と共に新型コロナウイルス感染症対策で中核的な役割を担う国立国際医療研究センター(NCGM)を視察したことを報告した。特殊感染症病棟の病室内でECMOなど重症患者への対応、特殊防護具を着けた挿管訓練、タブレット端末を用いてICU病棟で活動する医療従事者の様子などを見学し、日々尽力いただいていることに感謝を申し伝えたという。 今回の視察は、中川氏が12月1日に菅総理と会談した際、直々にお願いし実現したもの。総理からは「国としてできる限りの支援を行う」との考えが改めて明確に示された。 また、同日(14日)は、Go Toトラベルを全国一斉に停止すると表明された日でもある。当初は新型コロナ流行終息後に実施予定だったGo Toトラベルが前倒しで行われたことに触れ、「国民の生命と健康を守ることが第一であり、徹底した感染防止対策こそが結果的には一番の経済対策になる」との考えを一貫して訴えてきたと説明。中川氏は、「今回、経済対策のバランスに苦慮されながら、菅総理がGo Toトラベル一時停止の結論を英断されたことを率直に評価したい」と述べた。 同氏は、「医療従事者にとって何より今一番の支援は、感染を極力広げないこと。最強の感染拡大防止策は、国民一人ひとりの日常の慎重な行動と所作であり、われわれのお願いが行動の自粛につながっていると実感している」として、来週のクリスマスを前に「今年は静かなクリスマス、Silent Nightで過ごしていただきたい」と国民に呼び掛けた。

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第35回 新型コロナワクチン接種、医療従事者は2月下旬から開始か

<先週の動き>1.新型コロナワクチン接種、医療従事者は2月下旬から開始か2.4月から感染予防策を徹底する医療機関の診療報酬を臨時引き上げ3.来年度の薬価引き下げ幅を0.8%緩和、4,300億円削減へ4.介護報酬改定2年連続引き上げ、5つの柱を軸に5.高齢者のポリファーマシー対策強化に向けた取りまとめ1.新型コロナワクチン接種、医療従事者は2月下旬から開始か新型コロナウイルスワクチンについて、来年2月下旬をめどに医療従事者への接種を始められるよう、厚生労働省から自治体に体制整備を指示したことが報道された。18日、ファイザーがビオンテック(ドイツ)と共同開発している新型コロナワクチンの製造販売承認申請を行ったことを受け、来年のワクチン接種スケジュールと優先接種対象者について議論が進んでいる。ファイザーのワクチンは、-70度以下での流通・保管体制が必要となる。政府はワクチン保管用に、-75℃のディープフリーザーを3,000台、-20℃のディープフリーザーを7,500台確保するなど体制を整える方針。新型コロナワクチン接種は、通常の定期接種と同様に、住民票所在地の市町村での接種を原則とし、各市町村は、接種対象者に対し、接種券(クーポン券)を発行する。対象者は接種券を医療機関に持参してワクチンを接種し、医療機関は接種券を市町村への費用請求に用いる。接種後、接種券と一体の接種済証が発行され、接種情報は市町村の予防接種台帳で管理・保存される。25日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会で、ワクチンの接種優先順についてなど、さらに具体的に議論される見込み。(参考)新型コロナワクチン 2月下旬の接種開始準備を指示 厚労省(NHK)新型コロナウイルスワクチンの接種体制・流通体制の構築について(厚労省)ファイザーとBioNTech、日本においてCOVID-19ワクチンの製造販売承認申請を発表(ファイザー)2.4月から感染予防策を徹底する医療機関の診療報酬を臨時引き上げ厚労省は、18日に開催された中央社会保険医療協議会で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を踏まえた診療に係る特例的な対応として、外来や入院を問わず、すべての診療に対して感染予防策の徹底を行った場合、2021年4~9月まで診療報酬を臨時で引き上げることを決めた。この改定により、初診・再診料は1回当たり5点、入院料は1日当たり10点の加算を算定できる。算定条件としては、すべての患者診療において、状況に応じて必要な個人防護具を着用した上で、感染防止に十分配慮して対応を実施する、COVID-19の感染予防策に関する職員研修を行うなどが求められる。(参考)新型コロナウイルス感染症への対応とその影響等を踏まえた診療報酬上の取扱いについて(厚労省)3.来年度の薬価引き下げ幅を0.8%緩和、4,300億円削減へ厚労省は、18日に開催された中央社会保険医療協議会において、来年度の薬価改定について討論した。2021年から毎年実施される薬価改定の品目ならびに改定幅について、乖離率が5%を超える品目(医療用医薬品のうち69%)を対象に、来年度の薬価改定(薬価の引き下げ)を行うこととした。ただし、COVID-19による影響があるのを考慮して、薬価の削減幅を0.8%緩和することを了承。この決定により、患者や保険者の負担は軽くなるが、新薬の開発コストが増加している中で、製薬企業にとっては経営上の打撃となる。日本医師会・中川 俊男会長は、従来から薬価財源は医療費本体に充当するのが基本で、「コロナ禍の現状において、国民の生命を守るために最前線で活動する医療機関支援の原資とするなど、診療報酬上で中間年に加算をし、医療費財源に充てるべき」との意見を16日の定例記者会見で発表している。(参考)全世代型社会保障検討会議の最終報告取りまとめなど最近の政府の動向について(日医)2021(令和3)年度薬価改定の骨子(案)(厚労省)4.介護報酬改定2年連続引き上げ、5つの柱を軸に18日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会において、2021年度介護報酬改定に関する審議報告がまとめられた。改定率は、前日の田村 憲久厚生労働相と麻生 太郎財務相による折衝でプラス0.7%と決められ、2回連続のプラス改定となった。今回の改定の5つの柱として、「感染症や災害への対応力の強化」「地域包括ケアシステムの推進」「自立支援・重度化防止に向けた取組の推進」「介護人材の確保・介護現場の革新」「制度の安定性・持続可能性の確保」を挙げ、これらを促進するような改定となる見込み。また、厚労省が廃止期限を設けていた介護療養型医療施設や有床診療所から介護医療院への移行促進なども含まれる。(参考)令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(案)(厚労省)5.高齢者のポリファーマシー対策強化に向けた取りまとめ厚労省は、17日に「高齢者医薬品適正使用検討会」を開催し、病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方をまとめた。ポリファーマシーは、単に服用薬剤数が多いことではなく、それに付随する薬物有害事象リスクの増加や、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下などの問題につながる状態。これに取り組み始める病院が、初期に直面するであろう課題を解決するためのスタートアップツールとしてまとめられた。また、第二部はポリファーマシー対策をある程度進めている病院が、業務手順書を整備し、業務をより効率的に行う参考資料としてまとめられている。この取り組みに揃えておくべき資料としては、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))について」「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015」が挙げられており、とくに高齢者の入院治療を行う病院に取り組み開始を求めている。(参考)病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方(案)(厚労省)第12回 高齢者医薬品適正使用検討会 資料(厚労省)

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第48回 学び直し!やさしい冠動脈の話【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第48回:学び直し!やさしい冠動脈の話2020年という年は、全世界が新型コロナウイルスに翻弄され続けた一年でしたね。ところで、ボクも含め、多くの循環器医にとって、“コロナ…検査”と言えば、抗原でもPCR検査でもなく、「冠動脈造影」のことだと思います。コロナリー・アンジオ、いわゆるCAG(coronary angiography)ね。循環器分野では、ごくごく基本的な検査のうちの一つです。皆さんは冠動脈について、どこまで理解してますか? “ドキ心”のメインは心電図の解説ですが、今回は循環器分野での「コロナ…検査」の話をしてみようと思います。“冠動脈の基礎のキソ”心臓が活動するのに必要な酸素や栄養を供給する冠動脈、英語でcoronary arteryといいますよね。そう、「コロナリー」です。「“corona”の語源的には心臓血管もウイルスも同じなんだよ」という話、耳にタコができるほど聞きました(笑)。たしかに、3本の血管が王冠(crown)に絡まるツタのように見えなくもありません。しかし、昔の人のイメージ力ってすごいな。そうくるか、ってレベルですよね? 今回のテーマは、“クイズ形式で冠動脈について楽しく基本を学びましょう”で、以前からご意見として頂戴していたものに答えるレクチャーです。冠動脈に関しては.実際、個々人でかなりバリエーションがあり、厳密な話は少し難しいと思います。また、読者のすべてが循環器の専門医ではないことを踏まえ、あまり微や細を論じることなく、あくまで“学び直し”として、大事な点に絞って解説していこうと思います。では、はじまり~。【問題1】冠動脈はどこから出ますか?解答はこちら右冠動脈:右冠尖、左(主)冠動脈:左冠尖解説はこちら最初は冠動脈の“はじまり”を問う問題からはじめましょう。循環器の医師が“カスプ”と呼ぶ構造物について理解しましょう。“冠動脈の起始部の原則”大動脈の根元(基部)は、若干膨らんでいて、ボク自身は3つのスズランの花のようなイメージを持っています。このスズランはカップ(cup)にも例えられ、間に“s”を足して「冠尖」([coronary]cusp)と呼ばれます。そして、3つのスズラン・カスプの部分を「バルサルバ洞」(Sinus of Valsalva)といい、冠動脈の出どころはここになります。具体的なCT画像を供覧しましょう(図1)。(図1)左右冠尖と冠動脈の起始部[冠動脈CT画像より]画像を拡大する(図1)Aの最も前方にある「右冠尖」(RCC)からは右冠動脈(RCA)が、その左の「左冠尖」(LCC)から左冠動脈(LCA)が出るというのが一般的です。右左そのままでしょ。左の血管は2本に分かれる前の部分であり、「左(主)冠動脈」ないし「左冠動脈主幹部」と呼ばれています1)。(図1)Bの3つの冠尖のうち、唯一、血管が出て行かないのが“ノンコロ”とか言われる「無冠尖」(noncoronary cusp)です。ここが最も後方に位置するわけです。図でも何も出ていませんよね?1):わが国では「LMT:left main trunk」という表現のほうが市民権を得ているように思いますが、海外ではLMCA(left main coronary artery)という言い方をよく見かける気がしてます。【問題2】冠動脈は何本あるか?解答はこちら2本(ないし3本)解説はこちら問題の答えに関しては2本ですかね。あるいは、3本だと答える人もいるかもしれませんが、どちらも正解だと思います。ボクは患者さんに「心臓には血管が3本あってね…」と説明することにしてますが、左も元々は1本ずつですから、ここは「2本」と思ってください。“冠動脈の基本的な本数”右冠動脈は「Cの字」の本幹部分を1本と捉えてください。実際は、最後にそこからヒゲのようなチョロが出ます。フランス語とかにありますよね、「Ç」っていう字。あんなイメージ(笑)。“セディーユ”とかっていうんですよね、たしか。左(主)冠動脈は左冠尖から出て、はじめは1本ですが、ほどなく左前下行枝と左回旋枝の2本に分かれて「逆Yの字」を形成するケースが普通です2)。正味は2本で構成されると考えられ、もちろんそれぞれ枝も出します。たとえば、冠尖からだいぶ上の(上行)大動脈から出たり、右冠動脈のくせに左冠尖から出たり…その逆なんていう起始異常はここでは放っておきましょう。まずはスタンダードを知ることが大事ですから。2):時に最初から2本別個に出て、主幹部がない人もいます。“ダブルバレル”(double barrel)とか、俗称ですが“豚鼻”なんて呼ぶ人もいるなぁ…たしかにそう見えます(笑)【問題3】「右冠動脈」「左冠動脈」以外の“第3の”冠動脈はあるか?解答はこちらときどき「ある」解説はこちら「あれ? コロナリーは、右と左に少なくとも最初は1本ずつ言ったじゃんか」そう思うのは最もで、実際、多くはその血管だけだと思います。でも、皆さん“第3の”冠動脈があるって人、時々いるの知っていますか? この“3番目”の称号は、最も有名なものとしては、左冠動脈に当てられ“クマデ(熊手)”のように、Y字に2本に分岐する左冠動脈のちょうど間を抜くように走る血管を持つ人がいます(図2)。20%、実に5人に1人と、まぁ多いワケ。日本だと“ハイラテ”(high lateral branch)「HL」と呼ばれる血管を指すことが多いです。ほかに、「Ramus Intermedius」なんていう名称の血管も、これと同一だと思われます(しかしここまで来ると覚えづらいですね)。そのほか、右冠動脈にもあるそうです。つまり、仮に右冠尖を内側から覗いたら、穴が2つかそれ以上あいているというケースです。ややマニアックですが、最初に分岐する円錐枝(conus branch)が右冠動脈と独立して冠尖から出るケースが2~3割ほどあるそうです(図2)。ただ、個人的には小さい血管なので、これを“第3の”(または2本目の右冠動脈)というのは抵抗があります。(図2)“第3の”冠動脈?画像を拡大するさらに、右室枝が右冠尖から直接出ることがあります。しかも複数枝が出たりもしたら、もはや「3」では済みませんね。ただ、こんな特殊な例を覚えておく必要はないでしょう。【問題4】右冠動脈は、(A:三尖・僧帽)弁を“巻く”ように(B:   )溝[右房と右室の間]を下方[尾側]に向かって“Cの字”を描くように走行する。最下面に至り、心室中隔面にきた時点で2本に分かれる。基本的な灌流域は、刺激伝導系、(C:右室・左室)および左室 (D:   )壁と考えておくと良い。解答はこちらA:三尖、B:右房室間、C:右室、D:下解説はこちら冠動脈の走行を理解するには、血管用に作られた溝について理解することが大事です。直交する道路で地理的な場所をとらえる“京都”的な考えであり、個人的には好きな思考法です(笑)。“冠動脈を理解するための2平面と溝”血管の話をしてるのに、なぜ溝(salcus)の話を持ち出すのって?…そう思いますよね。まあまあ、聞いてください。心臓を栄養するのが冠動脈の役割ですが、外側というか表面を走りつつ随所で枝を出します。腎臓や肝臓との違いは何でしょう? 直接中に入り込むのではなく、表面を伝って各所に外側から血液を提供する点です。このユニークな構造って…たしか、心臓と脳だけなんですってね。まず、冠動脈がどういう風に走っているのかを理解するのには大事な“平面”があります。これをおさえましょう。一つは心室中隔で、右室と左室とを分けている壁(面)、そして、もう一つは房室弁が乗っている平面です。房室弁とは、心「房」と心「室」をつなぎ目の「弁」ということで、ご存じ、三尖弁と僧帽弁があります。まぁ、言ってみたら“中隔面”と“房室面”ですかね(図3)。(図3)直交2平面を意識した右冠動脈の走行画像を拡大する実は、これらの面の一番外側(表層)に溝(ミゾ)3)があり、ここを冠動脈が走ります。3):個人的には“排水溝”のようなイメージ“右冠動脈の起始部の原則”このミゾを理解した上で、右冠動脈から考えていきましょう。右冠動脈は、右側の房室面のミゾ、正式には「右房室間溝」を“反時計回り”に走行します。三尖弁の周りをグルーッと大外に回って時計の“6時方向”(心臓の真裏)まで来れば“Cの字”完成です。道すがら、何本かの枝を出しますが、基本的に覚えておくべき重要なものは「右室」への枝になります。人によっては複数本ありますが、最低1本は鋭縁枝「AM:Acute Marginal branch」として知られます。三尖弁を回ってCの字の最終点、位置的には心室中隔一番後ろまで来ると、そのままの勢いで左室の裏側に回り込む枝(房室結節[または後側壁]枝)と“中隔面”の後ろ側のミゾ、すなわち「後室間溝」を走る枝(後下行枝)「PD」の2本に分岐するパターンが標準的だと思います。いいですか? “Cの字から2分岐”―これが右冠動脈のパターンです。房室結節(または後側壁)枝や後下行枝の灌流域は、反対の「左房室間溝」を走ってくる左回旋枝との“力関係”で決まります。右冠動脈と左回旋枝は互いに拮抗するのだと考えましょう。後室間溝を走り、左室の「下壁」へ血流を提供するのが後下行枝ですが、この部分は8~9割は右冠動脈が担うことが知られています。この枝は、心室中隔に突き刺さる枝を出し、後方3分の1を潅流する、なんて習いましたよね?4)4):前側の大半(目安:3分の2)は左前下行枝が担当する一方、房室結節や左室「側壁」や「後壁」と呼ばれるゾーンに侵入してゆく房室結節(または後側壁)枝は左回旋枝と“半分こ”か、むしろそちらに主導権を渡すことが多いようです。残りの細かい枝振りは循環器専門医でなければ不要ですが、一応載せておきましょう。【右冠動脈】(RCA:right coronary artery)*円錐枝(conus):右室流出路洞結節枝(sinus node):洞結節右室枝(RV):右室鋭縁枝(acute marginal)5):右室(自由壁)後下行枝(posterior discending):心室中隔(後1/3)房室結節枝/後側壁枝(AV nodal/posterolateral):房室結節ほか(側壁、後壁)*:「branch」は省略。以下同様5):循環器医が“アキュート・マージン”と呼んだりする。横隔膜を“なめる”ように沿って走り、右室の一部(側壁)を栄養する円錐枝については、専門家以外は暗記(意識すら)する必要はないと思いますが、最初の枝で肺動脈へとつながる右室の“ヤカンの注ぎ口”にあたる部分(右室流出路)を担当します。ほかに心房や、もっと大切なものとして、洞結節や房室結節にも血流を供給しているんですね。後二者とも回旋枝を経由した流れもあると思いますが、この2点は右冠動脈の影響が強いことが多く、右冠動脈閉塞時に徐脈性不整脈が起きやすいのにも納得でしょうか。右室枝は文字通り、そして鋭縁枝も右室に血流を供給します。標準的な右冠動脈造影をお示しします(図4)。(図4)右冠動脈造影画像を拡大するあまり煩雑にならないよう、“覚えなくて良い”と言った枝は(あえて)ラベルしていません。大筋でとらえると、房室弁に対峙するAでは頭に三尖弁を思い浮かべてたしかにCの字に回って最後に2分岐していますし、Bが心室中隔に向かい合う面で櫛(クシ)状の後下行枝がキレイに見えますね。【問題5】左冠動脈前下行枝は、(A:  )溝(右室と左室の間)を心尖部に向かって下っていく。途中、前方の(B:   )を栄養する何本かの中隔枝、および左室(C:   )壁などを灌流する対角枝を各々何本か出す。非常に発達している場合、心尖部から後室間溝に回り込み、左室(D:   )壁まで支配するケースも見られる。解答はこちらA:前室間溝、B:心室中隔、C:前、D:下解説はこちら左冠動脈のうち、左前下行枝から扱いましょう。これは、“3人戦隊!コロナ・レンジャー”ではセンターの赤色のヒーローです(笑)。もっとも大事な冠動脈のとも言えるこの血管の走行は非常にシンプルで理解しやすいです。“左前下行枝は冠動脈のエース”では、次に左冠動脈脈のうち前下行枝について話します。先ほども言ったように、左の冠動脈も最初は一本で、ちょっとして2本に分かれると考えましょう。そのうちの一本、冠動脈のエースと言えば、そう、左前下行枝です。循環器医は“エルエーディ”(LAD)とか略称で呼んだりしてますが、その血管はどういう走行、枝ぶりをしているのでしょうか。左前下行枝は、冠動脈のエースにふさわしく、ここが根元でやられると心臓の約半分がダメージを受けると言われています。非常に大事な血管です。ここでも、(心室)“中隔面”と“房室面”を意識しましょう(図5)。(図5)直交2平面を意識した左前下行枝の走行画像を拡大する左前下行枝は心臓のど真ん中、右と左の心室を分ける前側のミゾ、正確には「前室間溝」をレールとして使います。つまり、心室中隔の一番上、ダムで言う“天端”(マニア以外知らないかも…)を心尖方向に向かって下り落ちます。途中で出す枝の系統は大きく分けたら2通りあり、一つは心室中隔にグサッと突き刺さる「中隔枝」で、ここが右冠動脈の後下行枝を迎え撃つ前側3分の2くらいに血流を供給することになります。右冠動脈の後下行枝のちょうど反対側を走るので、これもクシのように見えるのが特徴です。左前下行枝の本幹以外のもう一系統はと言えば、対角枝(Dx)です。複数あったら(おおむね)出た順にD1、D2、D3…と表記し、“ダイアゴナル・ブランチ”なんて言いますかね。この枝は、左室の前面、つまり「前壁」を中心に、全例ではないものの(左)側方である「側壁」ゾーンを担当することもあります。画的に見ても、理解できると思います。さらに、とてつもなく大きな左前下行枝の話もしておきましょう。レールの終端である心尖部から後室間溝まで回り込むという例があり、その場合は左室「下壁」までを栄養してしまう“欲張り”ぶりを発揮することがあります。これはおさえておきましょう。“wrapped(あるいはwraps around)-LAD”というようです。ラップで“包み込む”感じね(笑)。以上、“エース”左前下行枝の走行は比較的シンプルで、灌流域に関してもバリエーションが比較的小さいと思います。【左前下行枝】(LAD:left anterior discending artery)中隔枝(septal):心室中隔(前2/3)対角枝(diagonal):左室前壁ほか(側壁)本幹:心尖ほか(下壁)【問題6】左回旋枝は、(A:三尖・僧帽)弁を“巻く”ように(B:  )溝(左房と左室の間)を走行し、右冠動脈の走行と対称的なイメージで良い。左室(C:   )壁および(D:   )壁が主な灌流域である。解答はこちらA:僧帽、B:左房室間、C:側・後、D:側・後解説はこちら最後に残った左回旋枝の走行を考えましょう。これも前述のミゾを理解していれば,走る場所はだいたいわかりますね?それを言葉で表現しただけの問題です。“左回旋枝は残りモノ担当”では、もう一本の左回旋枝のほうはどうでしょうか? これは通称“エルシーエックス”(LCX)、ないし“シーエックス”(Cx)という風に呼ばれます。基本的な理解としては、また例の溝の絵で、左回旋枝は、右冠動脈と反対側の「左房室間溝」を通って僧帽弁の周りを走ります。つまり、力士の“まわし”で例えますと、“右まわし”がRCA、“左まわし”がLCX、そしてLADは真ん中の“ふんどし”ないし“さがり”のような部分が守備範囲となるわけです。ボクの言ってる意味、わかります?そして、基本的に左回旋枝は、左室「側壁」、そして「後壁」に血流を送ることになります。これも左側方から後方に向かうイメージをつけておけばいいでしょう。左前下行枝と右冠動脈が担当する場所“以外”という、すき間産業的な印象を抱いてしまうのは、ボクだけでしょうか。主な枝は“オーエム”(OM:Obtuse Marginal)と呼ばれる鈍縁枝、そして右冠動脈にも似たような名前がありましたが、後側壁枝を出すと考えましょう。前者は主に「側壁」、後者は文字通り「側壁」+「後壁」ゾーンを流れると考えて良いと思います。まとめて“marginal branches”と呼んでしまえば、左側後方に向かうイメージそのものです。左回旋枝に関しても、枝振りをまとめておきましょう。【左回旋枝】(LCX:left circumflex artery)鈍縁枝(obtuse marginal)後側壁枝:側壁(・後壁)後下行枝(PD):下壁(左優位の場合)左冠動脈造影も標準的な画像を二方向で示しておきます(図6)。(図6)左冠動脈造影画像を拡大する図6の中隔面と平行なAでは、ジェットコースター的なLADの走行や中隔枝の様子がわかりやすいです。一方の房室面に対峙するBの断面は、前側壁に流れる対角枝と僧帽弁を巻き、ほとんど同じゾーンに枝を出す回旋枝の様子もわかってもらえると思います。このように考えると、冠動脈造影も別に難しいことはないわけです。“さいごに”今回は冠動脈の基本中のキホンを一緒に学びましたね。この知識が何に生かせるのかを述べて今回のレクチャーを終わろうと思います。それは次のまとめの図と関連します。(図7)冠動脈と心電図誘導[まとめ]画像を拡大する心電図の世界では“誘導”は“目”と言い換えるのでしたよね。この表は、「ST上昇」や「異常Q波」がどの誘導にあったら、「~壁梗塞」でどこの血管がつまっているという対応を示しています。今日学んだ知識を習得していれば、V2~V4誘導あるいはV1誘導を含めた「前壁(中隔)梗塞」の場合、閉塞した血管は左前下行枝かなぁと思えるでしょう。一緒にII、III、aVFにも「ST上昇」があったら、ドデカいLADなんだろうなぁ…なんて予想ができるはず。ほかに、「下壁梗塞」は単独なら概ね右冠動脈ですし、そのほか「側壁」や「後壁」が組み合わさっても、左回旋枝とのどちらかだろうなぁと予想ができると思います(現実的には心電図だけでの両者の厳密な鑑別は難しい) 。実際には、複数の血管の“力関係”が拮抗するゾーンもあるため、画一的かつ確実な予想は容易ではありません。もちろん、これはあくまでも“目安”です。心筋梗塞の患者さんに対峙したとき、心電図を使って詰まっている血管を当てる“ゲーム”が本題ではなく、その何倍、いや何十倍、やるべき大事な事がありますので、現実ではDr.ヒロはあまり“予想屋”はしないと心に決めています。以上、基本といいながら、冠動脈に関してまあまあちゃんとした知識をつけるレクチャーになったのではないでしょうか。年末年始を利用して復習してみてくださいね。本年もご愛読ありがとうございました。2021年からはペースは不定期となりますが、有用な情報が提供できれば嬉しいです。Young PM. AJR Am J Roentgenol. 2011:197;816-826.Villa AD, et al. World J Radiol. 2016:8;537-555.【古都のこと~延暦寺:文殊楼】前回に引き続き、今回も比叡山延暦寺の話をしましょう。今回ご紹介するのは「文殊楼」(もんじゅろう)で、国の重要文化財です。延暦寺発祥の地である東塔(とうどう)にあり…というか、根本中堂を出てすぐの長くてキツイ石段を登ったところにあります。ここは868年(貞観8年)、慈覚大師円仁が「常坐三昧院」として創建したもので*1、比叡山の総門(いわゆる正門)です。1668年(寛文8年)に焼亡した直後に再建されたものが現在のもので、唐様がちりばめられる中に和様も忘れない折衷様式となっています。楼上には文殊菩薩がまつられ、今では合格祈願スポットとしても有名です。谷崎潤一郎の小説*2にも登場するというのは知らなかったなぁ。“忍者屋敷”を思わせる階段を登るには手の力が相当いります。内部はもとより、全体的な佇まいも素敵。ぜひ、皆さんにも訪れて欲しい個人的お気に入りスポットです。*1:唐留学時代に修行した五台山の文殊菩薩堂に倣ったとされる。*2:『二人の稚児』。幼い頃から比叡山に預けられた千手丸と瑠璃光丸の兄弟が登場する。世間が恋しくなり脱走した兄は、残った弟も誘い出そうとするが、弟は御仏の恵みを受けるべく山に留まると返答する。手紙を届けた使者が崇高な瑠璃光丸を待ち続けた場所が文殊楼であった。

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COVID-19による静脈血栓塞栓症のアンケート結果/肺塞栓症研究会

 肺塞栓症研究会と日本静脈学会は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による静脈血栓塞栓症の発症有無に関する緊急アンケートを合同で実施し、総計77施設(1,243例)より回答を得た。その結果、肺塞栓症は5例(0.4%)、静脈血栓塞栓症は7 例(0.6%)に発症していたことが明らかになった。今回のアンケート調査では、COVID-19 症例の中で肺塞栓症を含む静脈血栓塞栓症と診断された症例は欧米に比してかなり少数だった。これを踏まえ、横浜南共済病院の孟 真氏率いる調査事務局の研究者らは、「“発症自体が本当に日本人で少ない”のか、“診断されていないだけ”なのかを判断する事は困難である。しかし、欧米の指針に準拠した予防対応が適切であるか、国内でのコホート/レジストリベース研究を含むさらなる研究を行うことが喫緊の課題」としている。 また、感染症指定医療機関の有無に関わらずCOVID-19症例の入院を受け入れている施設が多いものの、COVID-19症例での血栓症予防に関して、指針やマニュアルが存在する施設が少数であったことも明らかにしている。

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体験ルポ・新型コロナワクチン接種―米国の日本人医師が緊急寄稿

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの接種がついに始まった。世界に先駆け、英国で12月8日から、14日からは感染者数世界最多の米国でも医療・介護従事者に対し、優先的に接種が行われている。今回、米国・ワシントンDCの病院に勤務する日本人医師の安川 康介氏が、ワクチン接種の体験についてケアネットに緊急寄稿。日本においても来年には一般接種が開始されるとみられる中、同氏の体験をぜひ参考にしていただきたい。3月から感染者数急増、全員体制でもひっ迫する診療現場 米国FDAが12月11日、Pfizer社とBioNTech社が開発したmRNAワクチン(BNT162b2)の緊急使用を認めた。これを受けて、わたしが勤務するワシントンDCのMedStar Washington Hospital Centerにおいても、12月16日から医療従事者を対象にワクチン接種が始まった。本稿では、COVID-19に関するわたしの経験を振り返ると共に、ワクチン接種に対する個人的な所感について述べたい。 米国では3月以降に新型コロナウイルスの感染が急速に広がり、すでに29万人以上がCOVID-19で亡くなり、1日の死亡者が3,000人を超える日もある(12月13日現在)。わたしの病院でも、3月後半からCOVID-19による入院患者が増え始め、最初の約2週間で100人近い患者が入院し、一時期は常時200人近い患者が入院している状況が続いた。当初は、COVID-19専用病棟として1棟準備していたが、感染者数の増加に伴って専用病棟が次々と増え、ピーク時は約5病棟が感染者専用病棟となり、ICUの大部分も感染患者によって占められる状況であった。人員の再配置(redeployment)も必要になり、集中治療医や内科医の負担を減らすために他科の専門医やナース・プラクティショナーが「助っ人」として駆り出された。ピーク時よりも感染者が減少したものの、今ではCOVID-19診療がすっかり日常となっている。 COVID-19のさまざまな合併症については世界規模の研究で明らかになりつつあるが、3月以降、この感染症がいかに多種多様な症状・合併症を引き起こすかということを、研究論文のみならず実臨床からも多く学んだ。時に、急速に進む呼吸不全はもちろんのこと、消化器症状、肺塞栓症や脳梗塞、肝障害、腎不全など、COVID-19の恐ろしさを、同僚と共に目の当たりにしてきた。病院のスタッフでも、亡くなったり重症化したりする方もいた。深刻な症状を引き起こす一方で、軽症もしくは無症状で済むケースもまた少なくないことは確かであり、ウェブ上のCOVID-19関連の情報や意見はまさに玉石混交。医療のコミュニケーションの難しさについてもずいぶん考えさせられた。ワクチン接種はコロナと格闘してきた9ヵ月越しの「特別な日」 Pfizer/BioNTech社のmRNAワクチンを巡っては、その効果と安全性を検証した論文が12月10日付のNEJM誌に掲載され、その数日前から、FDAによる53ページに及ぶ詳細な報告書が閲覧可能となっていた。それによると、当該ワクチンの2回投与後の感染予防効果は約95%と高く、短期的な局所反応・全身反応を除いて重篤な副反応はまれであるとのことである。とはいえ、mRNAワクチンは今回初めて承認となるため、長期的およびまれな副反応については、注意深くモニタリングしていく必要がある。 さまざまな不確定要素があるが、それでも私が接種を決めた理由はいくつかあり、先述したワクチンの効果・安全性についての臨床試験の情報、自身の置かれている状況(コミュニティーにおける高い感染者数、勤務先でのCOVID-19診療)、自分が感染した場合、家族や患者、同僚への感染拡大を避けるため―などである。 12月16日(現地時間)、私の働く病院にてワクチン接種が開始された。病院は接種を推奨しているが、もちろん強制ではない。ワクチンの数量が現在のところ限られているため、院内職員でも優先順位が設けられ、COVID-19患者がとくに多い、救急科、集中治療、そして内科の医療従事者が先んじて受けることになった。事前に予約していた時間に病院内のワクチン接種会場に行くと、すでに数人の同僚が並んでいた。CDCからワクチン接種のカードが配られ、ワクチンに関する簡単な資料が渡された後、ワクチンの筋肉内注射を受けた。アレルギー反応が出ないか接種者全員が15分会場で観察され(ちなみにわたしにはアレルギー歴はない)、その後通常の仕事に戻った。その時点では、痛みはほとんどなかったが、数時間経つとインフルエンザワクチンを受けた時のような注射部位の痛みが生じた。夜になると、その痛みはやや増加し、翌日(現地時間で12月17日)もその痛みは持続しているものの、倦怠感・発熱・頭痛・悪寒などの全身症状はない。同僚の中には、受けた夜に発熱・発汗が生じた人もいたが、周りで受けた人のほとんどが主に注射部位の痛みがあった程度である。次の数ヵ月で米国では数百万人単位で今回のワクチンを受ける可能性があるので、日本で接種が開始される頃には、安全性についてより知見が蓄積していることだろう。今年3月以降、新型コロナウイルス感染者の方を日常に診療してきた。この9ヵ月を乗り越えてきた自分や同僚にとって、12月16日は特別な日となった。 2回目の接種は、2021年1月4日に予定している。次回、1回目の接種後から2回目の接種についてお伝えする。【安川 康介氏プロフィール】2007年慶應義塾大学医学部卒業。日本赤十字社医療センターにて初期研修を修了後渡米。ミネソタ州ミネソタ大学医学部内科レジデンシー、テキサス州ベイラー医科大学感染症フェローシップ修了。米国内科専門医・感染症専門医。現在は、ワシントンDCのMedStar Washington Hospital Centerにて、ホスピタリストとして勤務。

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特発性肺線維症へのST合剤、生存ベネフィット認めず/JAMA

 中等症~重症の特発性肺線維症(IPF)について、コトリモキサゾール(ST合剤:スルファメトキサゾールとトリメトプリムの合剤)はプラセボと比較して、死亡・肺移植または予定外の初回入院までの期間の複合アウトカムの発生を低下しないことが、英国・イースト・アングリア大学のAndrew M. Wilson氏らによる検討で示された。IPFは予後不良で治療法が限られており、肺微生物叢の変化による肺への細菌負荷が死亡率に関連するとされている。先行の小規模無作為化試験においてST合剤投与による臨床アウトカムの改善および優れた費用対効果が示唆され、また探索的解析で健康関連のQOLや酸素必要量の改善、および試験プロトコールを順守した被験者における12ヵ月間の死亡率低下が示されていたが、生存ベネフィットのエビデンスは確定されていなかった。JAMA誌2020年12月8日号掲載の報告。中等症~重症IPFへのST合剤の有効性、二重盲検プラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、中等症~重症IPF患者におけるST合剤の有効性を確定する、二重盲検プラセボ対照並行群比較無作為化試験を行った。被験者は、IPFで息切れ症状(MRC息切れスケールスコア>1)と肺機能障害(努力肺活量[FVC]予測値≦75%)を有する患者で、英国の間質性肺疾患専門医療センター39ヵ所で、2015年4月(最初の患者が受診)~2019年4月(最後の患者のフォローアップ完了)に342例が試験に参加した。 被験者は、1日2回960mgのST合剤を服用する群(170例)または適合プラセボを服用する群(172例)に無作為に割り付けられ、最短12ヵ月間および最大42ヵ月間のフォローアップを受けた。また、全患者に1日1回5mgの経口葉酸が投与された。 主要アウトカムは、死亡(全死因)・肺移植・予定外の初回入院までの期間であった。副次アウトカムは15項目で、主要エンドポイントの呼吸関連イベントの各項目、肺機能(FVCおよび肺ガス交換能)、患者報告のアウトカム(MRC息切れスケール、5段階EQ-5D質問票、咳重症度、Leicester Cough Questionnaire[LCQ]、King's Brief Interstitial Lung Disease[KBILD]質問票スコア)などであった。死亡・肺移植・予定外入院の複合アウトカムほか副次アウトカムも、有意差なし 無作為化を受けた342例(平均年齢71.3歳、女性46例[13%])において、283例(83%)が試験を完了した。フォローアップ期間中央値(四分位範囲)は1.02年(0.35~1.73)であった。 ST合剤群およびプラセボ群のイベント件数はそれぞれ、0.45(84例/186フォローアップ人年)、0.38(80例/209フォローアップ人年)で、ハザード比は1.2(95%信頼区間[CI]:0.9~1.6、p=0.32)であった。 その他のイベントアウトカム、肺機能、患者報告のアウトカムについても統計的有意差は認められなかった。有害事象は、ST合剤群696例(悪心89例、下痢52例、嘔吐28例、および発疹31例など)、プラセボ群640例(悪心67例、下痢84例、嘔吐20例、および発疹20例など)が報告された。

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第37回 差別・偏見問題から「マスク警察」の思考を考える

先日、ある専門家の講演を聞いていてハッと気づいたことがある。話とは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についての差別・偏見問題である。この専門家はCOVID-19以前に感染症で差別・偏見が発生していた背景要因を複数指摘したが、その中でもっとも腹に落ちたのが「潜在的な被差別構造」という要因だ。これは感染症の蔓延に関係なく、差別・偏見を受けやすい集団があり、一部の感染症はそうした集団で広がりやすい。このため社会で従来から存在した差別が感染症の蔓延で顕在化しやすいという論理である。この具体例を一つ挙げるならば、結核だろう。結核は従来から貧困層で感染が拡大しやすく、これに未知・不治の病への恐怖、医療措置としての隔離がもたらすマイナスイメージなどから、結核患者は忌み嫌われた。現在でもWHOの調査などでは、世界各国の推定結核罹患率と国民総所得は逆相関の関係にあり、先進国でハイリスク集団と指摘されるのはホームレス、受刑者、薬物中毒者など社会的には敬遠されがちな集団である。ちなみに講演をした専門家は社会全般に感染が広がるCOVID-19に関しては「潜在的な被差別構造」が必ずしも当てはまらないと話したが、逆に私はCOVID-19でもこの要因は合致するかもしれないという思いを強くした。なぜそのように思ったかと言うと、私自身がこれまで微妙に理解しがたい経験をしていたからである。その経験とはマスク着用を巡るものである。私はマスク着用を最小限にしている。屋外を歩く際にマスクは着用していない。というのは、もともと皮膚が弱く、不織布マスクなどを長時間着用していると口の周りのひどいかぶれにより日常生活で苦労するからである。政府の旧・新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が市民向けに発したメッセージでも屋内で人と会話する時、人と十分な距離が取れない時はマスクの着用を謳っているものの、屋外でのマスク着用はとくに推奨していない。感染症専門医に話を聞いても屋外で人と話をしない場合にマスクは不要と言う人がほとんどである。このような対応をしていると、路上で前方から歩いてくる人が私を避けたりすることなどは経験しているものの、マスクを着用するよう指摘する、いわゆる「マスク警察」と呼ばれる面々と出会ったことはない。厳密にいうと1人は出会ったことはあるが、それは私にではなく、コンビニの店員に向かって「マスクをしていない人がいる」と私を指していた人物がいたくらいである。一方、私の周囲ではマスク警察からかなり厳しい指摘を受けたという話はよく耳にするし、SNS上でもそうした話はあふれている。この違いはなぜだろうと従来からやや不思議に思っていたのである。だが、この専門家の指摘を受けて気づいたのである。少なくとも私の周囲でマスク警察に遭遇したことがあると話してくれた人(7人)はいずれも女性と未成年。Twitterを検索すると、それほど顕著ではないがやはり遭遇者には女性や未成年が多く、これに若年男性が加わる。大概彼らにマスク着用すべきと言うのは年長者のようだ。単純に言えば、指摘する側から見て弱い、反撃してこないと思われる、あるいは若年やそれに伴う「無知」と勝手に決めつけられているであろうケースがほとんどである。つまり私がマスク警察に遭遇しなかったのは、すでに頭部の両サイドに白髪が交じる五十路のおじさんで、小汚くて面倒臭そうと思われているからだと推定できる。また、本人はそういう自覚はないのだが、時々眼光が鋭すぎる、あるいは目つきが悪いと指摘されることがあるので、その影響もあるかもしれない。余談になるが、「小汚くて面倒くさそう」は自虐でも何でもない。20代の若い頃はむしろ電車や街頭で因縁をつけられることが多かった。前述の目つきが悪いという指摘と、私が身長167cmで、学生時代は体重が55.5kgしかない小柄なもやしっ子だったから「弱そう」「反撃してこないだろう」と思われていたのだろう。現在も身長はそのままで体重60kgなので、まだ小柄なほうに入るはずである。そう考えると、マスク警察の指摘(因縁?)がないのは、小汚くて面倒くさそうと思われているとしか考えられない。余談ついでに言うと、もともと勝気な私は若い頃に因縁をつけられた場合も黙っていることができず、周囲に聞こえるような大声で「何か問題でも?」と言いながら、間合いを詰めて相手に近寄っていたが、そうすると大概の相手は自分から去るか周囲が慌てて止めに入るという感じだった。この性格は、相手が嫌がることであっても報じる必要があれば堂々と、そして手を変え品を変え何度も質問するという今の職業に求められるスキルにそのまま繋がっている(笑)。そしてこの専門家の講演に対する参加者の質問に「新型コロナを受けての医療・介護従事者に対する差別には、医療従事者・介護従事者=女性が多い、と言うことも関係しているのではないだろうか?」というものがあり、専門家が「それもあるかもしれない」と答えていた。私もさもありなんと思ったものである。こうしてみると、実は今回のCOVID-19を巡る差別・偏見も新しい問題ではなく、古くからの苔むした差別・偏見が少なからずベースにあるのだろうと考えられる。だが、それ故に根深く、一朝一夕には解決できない問題だともいえる。差別・偏見を解消するための一つの手段は、当事者同士の対話と言うことになるのだろうが、それすらも接触を減らすというプリミティブな予防対策しか取れないこの環境では難しい。理解が一歩進んだと思う反面、現実で前に進めないというもどかしさ、ジレンマを感じずにはいられないのである。

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