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事例040 特定疾患処方管理加算の漏れ【斬らレセプト シーズン3】

解説診療所のレセプト点検にてよく指摘させていただく事例です。主病の「高コレステロール血症」は、「B000 特定疾患療養管理料」(以下「管理料」)算定対象です。「高コレステロール血症」に対する投薬があれば「F400 注4・注5 特定疾患処方管理加算」(以下「加算」)が算定できます。投与日数が28日分以上であるので「加算」2が月1回算定できます。同月に「加算」1を算定していた場合には、「加算」1を取り消して「加算」2を算定します。この「加算」の算定要件は、生活習慣病などの厚生労働大臣が別に定める疾患(告示「特掲診療料の施設基準等」別表第1)を主病とする患者について、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の管理(全身管理)を行うことを評価した「管理料」と同じです。対象疾病に対する投薬があれば必ず算定ができます。事例では、「高コレステロール血症」が別表1に表示されていないから算定ができないと誤解されていました。別表第1には、結核、悪性新生物など、32の病名が表示されています。この病名は「疾病、傷病及び死因の統計分類基本分類表(ICD-10)」から設定された3桁の病名分類です。この下位に続く傷病名が「管理料」と「加算」の対象となります。「高コレステロール血症」は、別表第1に示された「E78 リポ蛋白代謝障害及びその他の脂質血症」の下位「E78.0 純正型高コレステロール血症」に分類されて該当となります。また、医療機関で呼称される疾病名が異なっていても、医学的内容が同様である場合は対象となりますが、できる限り標準病名を使用することが望ましいとされています。

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「GLP-1受容体作動薬ダイエット」に興味を持った患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第43回

■外来NGワード「あなたには使えません」(保険適用について説明せず)「この薬を使えば、痩せますよ!」(食事と運動療法について説明せず)■解説最近、「GLP-1ダイエット」という言葉が注目を集めています。SNSでは、単品ダイエット、脂肪燃焼スープ、食事時間制限、レモンコーヒーなどとともに、「GLP-1ダイエット」というワードが頻繁に検索されています。GLP-1受容体作動薬は、血糖依存的にインスリン分泌を促進し、グルカゴン抑制や胃内容物排出遅延を介して血糖改善作用を発揮するだけでなく、食欲抑制を通じて減量効果も期待されます。肥満症を対象とした「セマグルチド(商品名:ウゴービ皮下注)」の適応は、高血圧、脂質異常症、または2型糖尿病を有し、かつ食事療法や運動療法が不十分な場合、かつBMIが27以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害がある、またはBMIが35以上の患者に限定されています。ところが、「GLP-1ダイエット」では、「初診からオンラインで診察可能、自宅で手軽に実施でき、食事制限や運動不要で、太りにくい体質になる」などといった宣伝文句が並んでいます。一部には自己調整可能な投与量を強調するものも見受けられます。そのうえ、自由診療であるので価格が高額である一方で、副作用については詳細な説明が不足しています。その結果、副作用が発生した場合には、保険診療の医療機関を受診する必要が生じます。そして、自由診療においてGLP-1受容体作動薬が処方されることで、本来必要な糖尿病患者への供給が追いつかないとの指摘もあります。また、自由診療で処方された患者は、適切なライフスタイルの改善方法について充分な説明がなされていないため、薬を中止した際のリバウンドを心配しています。こうした「GLP-1ダイエット」の問題点について適切に理解し、説明することが重要です。■患者さんとの会話でロールプレイ患者この間、SNSを検索していたら、「GLP-1ダイエット」というのがでてきたのですが、どうですか?(糖尿病がない肥満者)医師最近、美容の世界や個人輸入している人もいるそうですね。患者痩せるんですか?医師正しく使えばね。ただし、自己流は禁物です。患者副作用はありますか?医師もちろん。薬ですから、副作用はありますよ。吐き気や嘔吐、胃腸障害など…。あと、専門家の指導のもとで薬の量を調整しないと、低血糖などで救急搬送された例もあるそうですよ。患者えっ、それ怖いですね。医師それに、薬を止めたら、体重がリバウンドするかもしれませんからね。患者確かに、ただ単に薬を飲むだけじゃ、痩せないということですね。医師そうです。こういった肥満症治療薬は食事療法と運動療法の補助として使います。そうすることがリバウンド予防になります。患者食事と運動はどんなことに気を付けたらいいですか?(興味深々)■医師へのお勧めの言葉「ただ、薬を飲むだけでは痩せることはできませんし、止めたらリバウンドは必至です。肥満症治療薬は食事療法と運動療法の補助として使います。その方が、最小限の薬になって副作用も少ないですし、薬を止めた際にもリバウンド予防につながります」 1)Ansari H UI H, et al. Endocr Pract. 2023:23;758-759.Endocr Pract. 2023 Nov 27.[Epub ahead of print]2)日本肥満学会、肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント3)最適使用推進ガイドラインセマグルチド(遺伝子組換え)

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朝食摂取とうつ病との関係

 うつ病は、食生活、社会的因子、生活習慣といった多くの要因と関連しており、重大かつ患者数が多い、世界的な公衆衛生上の問題である。中国・吉林大学のFengdan Wang氏らは、朝食の摂取、食事性炎症指数(DII)とうつ病との関連を評価し、朝食の摂取がうつ病に及ぼす影響に対しDIIがどのように関与しているかを調査した。Journal of Affective Disorders誌2024年3月号の報告。 対象は、2007~18年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した2万1,865人。朝食の摂取、DII、うつ病との関連の分析には、二項ロジスティック回帰分析と媒介効果分析を用いた。食事による炎症は、DIIに従い炎症誘発性食と抗炎症性食に分類した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は47.24±0.28歳であった。・2回の回想法で、2回とも朝食摂取を報告した参加者(A群)は77.6%、1回でのみ朝食摂取を報告した参加者(B群)は16.3%、朝食摂取を報告しなかった参加者(C群)は6.1%であった。・炎症誘発性食、朝食抜きは、うつ病のリスク因子であった。・共変量で調整した後、B群はA群と比較し、うつ病のオッズ比が高かった(オッズ比:1.54、95%信頼区間:1.20~1.98)。・心血管疾患(CVD)および糖尿病でない参加者を対象とした層別化および感度分析においても、これらの関連は強固であった。・DIIは朝食摂取とうつ病との関連を仲介しており、B群の26.15%、C群の26.67%において認められた。 著者らは、研究の限界として、因果関係を明らかにしているわけではなく、データが限られているため薬物使用に関する交絡因子を考慮していない点を挙げたうえで、「朝食を抜くとDIIが上昇し、うつ病リスクが高まる可能性がある」とし、「本結果は、うつ病リスクの軽減には定期的な朝食、抗炎症性食の摂取が重要であることを裏付けるものである」とまとめている。

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インスリン療法を行っている妊娠中の糖尿病に、メトホルミンを追加することの意義は?(解説:小川大輔氏)

 妊娠前から2型糖尿病と診断されている方でも、妊娠後に糖尿病と診断された方でも、妊娠中の糖尿病の管理は食事療法とインスリン療法が基本となる。日本では妊婦に対するメトホルミンの投与は禁忌とされているが、海外では使用が可能となっている。糖尿病合併妊娠あるいは妊娠糖尿病患者を対象に、インスリン療法に加えてメトホルミンを追加した際の新生児期の有害事象に対する効果を検討した結果がJAMA誌に発表された1)。 米国17ヵ所の医療機関で、妊娠前に2型糖尿病と診断されている、または妊娠23週以前に妊娠糖尿病と診断されたインスリン治療中の被検者831症例を対象に、メトホルミン1,000mgを投与する群(メトホルミン群)と、プラセボを投与する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要アウトカムは周産期死亡、早産、新生児低血糖、在胎不当過大児あるいは在胎不当過少児、光線療法を必要とする高ビリルビン血症といった新生児複合有害事象であった。 多く認められた有害事象は早産、新生児低血糖、在胎不当過大児であり、主要アウトカムの発生率はメトホルミン群71%、プラセボ群74%と有意差はなかった。副次アウトカムも両群間で有意差を認めなかった。ただ、新生児複合有害事象の1つである、在胎不当過大児についてはメトホルミン群で有意にイベントが少なかった。著者らはこの効果について、さらなる検討が必要であると考察している。 今回の試験で、妊娠糖尿病あるいは2型糖尿病の妊婦に対し、メトホルミン追加投与による新生児有害アウトカムの抑制効果は示されなかった。インスリンを用いて厳格に血糖を管理すれば新生児の有害事象は減るので、その状況でメトホルミンを上乗せしてもさらなる効果は期待できないのかもしれない。しかし、インスリン療法にメトホルミンを追加することにより、新生児低血糖、在胎不当過大児、妊娠高血圧などのリスクが低下し、また早産や在胎不当過少児、周産期死亡などの有害事象は増加しないというメタ解析の報告もある2)。妊娠糖尿病でも肥満合併例やインスリン抵抗性の強い妊婦を対象として、インスリン療法にメトホルミンを併用する試験が行われることを期待したい。

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第197回 セマグルチドと自殺念慮は関連せず

セマグルチドと自殺念慮は関連せずGLP-1受容体作動薬の自殺リスクが取り沙汰されていますが、併せて180万例強の電子カルテ解析で幸いにもノボ ノルディスク ファーマのセマグルチド使用患者の自殺念慮はほかの糖尿病薬や抗肥満薬使用患者に比べて多くなく、むしろ少なめでした。今月5日にNature Medicine誌に掲載された解析結果です1)。2つの集団が解析され、その1つは2021年6月~2022年12月にセマグルチドかほかの抗肥満薬が処方された米国の肥満か太り過ぎの約24万例(24万618例)の医療記録の解析です2)。被験者の大半の23万2,771例は先立って自殺念慮を被ったことがなく、残り7,847例は過去に自殺念慮を生じたことがありました。自殺念慮の経験がなかった患者にセマグルチド処方後6ヵ月間に認められた自殺念慮の発生率、すなわち初発率は0.11%、自殺念慮の経験があった患者のセマグルチド処方後6ヵ月間のその再発率は7%ほどでした。一方、ほかの抗肥満薬処方患者の自殺念慮の初発率と再発率はどちらもより高く、それぞれ0.43%と14%でした。2017年12月~2021年5月にセマグルチドかほかの糖尿病薬が投与された2型糖尿病患者160万例弱(158万9,855例)の医療記録を使ったもう1つの解析も同様の結果となりました。セマグルチド投与群の自殺念慮の初発率と再発率はそれぞれ0.13%と10%、ほかの糖尿病薬投与群の自殺念慮の初発率と再発率はより高くそれぞれ0.36%と18%でした。2型糖尿病へのセマグルチド使用は2017年に米国で承認されているので、より長期の経過の比較が可能です。そこで最大3年間の経過を比較したところ、差は縮まってはいたもののセマグルチド投与群の自殺念慮初発率はやはりより低く保たれていました。セマグルチドと自殺念慮が生じ易くなることの関連をそれらの結果は支持していません。一方、セマグルチドが自殺念慮を生じ難くすると決めつけることはできなさそうですが、もしそうであるなら体重減少が心理的によい影響をもたらすことによるのかもしれませんし、まだ知られていないメカニズムによるのかもしれません3)。先週11日に米国FDAはセマグルチドなどのGLP-1作動薬と自殺念慮や自殺行為の関連の調査の途中経過を発表しました。幸い、Nature Medicine誌の報告と一致し、GLP-1作動薬と自殺念慮や自殺行為の因果関係は示されていないとひとまず判断されています4)。ただし若干のリスクの恐れ(small risk may exist)の払拭には至っておらず、FDAの検討は続いています。今後の課題としてより長期のセマグルチド使用と自殺念慮の関連を調べる必要があるとNature Medicine誌報告の著者は言っています2)。また、自殺念慮から一線を越えた自殺企図(suicide attempt)との関連の検討も必要です。参考1)Wang W, et al. Nature Medicine. 2024 January 5. [Epub ahead of print] 2)Semaglutide associated with lower risk of suicidal ideations compared to other treatments prescribed for obesity or type 2 diabetes / NIH3)No link between popular weight loss drugs and suicidal thoughts, health records suggest / Science4)Update on FDA’s ongoing evaluation of reports of suicidal thoughts or actions in patients taking a certain type of medicines approved for type 2 diabetes and obesity / FDA

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高齢者RSV感染における予防ワクチンの意義(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

 原著論文 Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Protein Vaccine in Older Adults./NEJM―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2023年夏以降、急性呼吸器感染症として新型コロナに加え、季節性インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV:respiratory syncytial virus)の3種類のウイルス感染に注意すべき新時代に突入した。興味深い事実として、新型コロナが世界に播種した2020年度にはインフルエンザ、RSVの感染は低く抑えられていたが、2021年度以降、両ウイルス感染は2019年以前のレベルに戻りつつある。この場合、インフルエンザは11月~1月、RSVは7月~8月に感染ピークを呈した。 本邦にあっては、RSVは主として幼児/小児の感染症として位置付けられており、ウイルス感染症の有意な危険因子である高齢者に対する配慮が不十分であった。本論評では、高齢者RSV感染に適用される新たな遺伝子組み換えProtein-based vaccine(RSVPreF3 OA、商品名:アレックスビー筋注用、グラクソ・スミスクライン)とGene-based vaccine(mRNA-1345、Moderna)に関する治験結果を基に、高齢者RSV感染症の全体像について考察する。RSVの分子生物学 RSVは1956年に同定されたParamyxovirus科のPneumovirus属に分類されるウイルスである。エンベロープを有する直径150~300nmのフィラメント状の球形を示す一本鎖(-)RNAウイルスで、10種の遺伝子をコードする15,000個の塩基からなる。RSVにあって宿主細胞との接着、侵入を司るのがウイルス表面に発現する1,345個のアミノ酸配列を有するF蛋白(膜融合前F蛋白)である(コロナウイルスのS蛋白に相当)。RSVは表面抗原であるG蛋白の違いによってA型とB型の2種類の亜型に分類されるが、両者の膜融合前F蛋白には明確な差を認めない。RSVの自然宿主はヒトを中心とする哺乳動物である。高齢者RSV感染の疫学 すべての新生児において母親と同程度のRSV抗体(母体からの移行抗体)が認められるが、その値は徐々に低下し、生後7ヵ月目以降のRSV抗体は生後に起こった新規自然感染に由来する(生後2年までに、ほぼ100%が新規感染)。それ以降、生涯を通して再感染を繰り返す。RSV感染の最大の脅威は生後3ヵ月以内の乳児、未熟児、先天性心疾患を有する小児であることは間違いないが、近年、成人、とくに、高齢者におけるRSV感染の重要性が指摘されている。 欧米の検討では、看護施設に入所中の高齢者のうち年間で5~10%がRSVに罹患、うち10~20%が肺炎を合併、2~5%が死亡すると報告されている。さらに、65歳以上の高齢者にあってA型インフルエンザによる死亡が毎年3.7万人であるのに対し、RSVによる死亡は毎年1万人(インフルエンザの約30%)に達すると報告されている。18歳以上の成人を対象とした検討では、基礎疾患として喘息、COPD、糖尿病、冠動脈疾患、うっ血性心不全を有する人のRSV感染による入院比率は、基礎疾患を有さない人に比べ有意に高いことが示されている。高齢に加え、上記の基礎疾患は新型コロナ、季節性インフルエンザ感染の増悪因子としても作用するので、ウイルス性呼吸器感染症の普遍的危険因子として念頭に置く必要がある。インフルエンザ感染との比較において、RSV感染のほうが入院した症例の肺炎合併頻度、基礎疾患として存在する喘息、COPDの増悪頻度が高いことが示されている。 本邦においては、RSV感染が小児科定点からの報告のみであり、本邦独自の成人データは集積されていない。2024年以降、3種のウイルスによる急性呼吸器感染症の本邦における重要性を確立するためには、RSV感染症に関する情報収集は成人を含めた広範囲な対象に広げる必要があり、早期の法的整備を望むものである。先進国のデータからの外挿値ではあるが、本邦の60歳以上の高齢者におけるRSV感染による入院者数は毎年6.3万人、死亡者数は4.5千人と推定されている(Savic M, et al. Influenza Other Respir Viruses. 2023;17:e13031.)。RSVワクチン開発の軌跡 RSVに対するワクチン製造は1960年代に開始され、当初は不活化されたRSVを生体に導入する不活化ワクチンが中心であった。しかしながら、不活化ワクチンを用いた臨床治験の結果は悲惨なものであった。失敗の原因は、不活化ワクチンの導入によってウイルス殺傷能力の低い不適切IgG抗体が産生され抗体依存性感染増強(ADE:Antibody dependent enhancement of infection)が発生したためである。それ以降の検討で、RSVが宿主細胞に侵入する際に本質的な働きをする膜融合前F蛋白の重要性が明らかにされ、それを標的として20世紀後半から現在に通じるモノクローナル抗体薬(mAb)、ワクチンの製造が開始された。まず初めに、膜融合前F蛋白に対する遺伝子組み換えmAbであるパリビズマブ(商品名:シナジス、アストラゼネカ)が実用化され、種々のハイリスクを有する新生児、乳児、幼児のRSV感染に伴う下気道感染の重症化阻止治療薬として使用されている(本邦承認:2002年1月)。現在、パリビズマブの半減期を延長させたニルセビマブの開発が進行中である。 新型コロナ発生に伴い、高度の蛋白・遺伝子工学手法を駆使した数多くのワクチンが作成されたことは記憶に新しい。新型コロナに対するワクチンは2種類に大別され、1つ目はGene-based vaccineであり、標的S蛋白をコードするmRNAをヒトに直接導入するもの(ファイザーのコミナティ、モデルナのスパイクバックスなど)、2つ目はProtein-based vaccineあるいはSubunit vaccineと定義されるもので、S蛋白に関する遺伝子情報をヒト以外の細胞に導入しS蛋白を生成、それをヒトに接種するものであった(ノババックス[武田]のヌバキソビッドなど)。2017年以降、以上と質的に同様のワクチンが、RSVの膜融合前F蛋白を標的として作成され始めた。高齢者に対する治験結果が報告されているProtein-based vaccineとしては、アレックスビー筋注用(GSK)とアブリスボ筋注用(ファイザー)がある。アレックスビー筋注用は2023年9月に、60歳以上の高齢者に対するRSV予防ワクチンとして本邦で製造承認された(米国での承認は2023年5月)。2023年12月、GSKはアレックスビー筋注用の適用を50歳以上の成人に拡大する申請を厚労省に提出した。 米国においては、アブリスボ筋注用も60歳以上の高齢者に使用可能である(2023年8月承認)。しかしながら、アブリスボ筋注用の特記事項は、本ワクチンを妊娠24~36週の妊婦に1回接種し、母体で作られた抗体を胎児に移行させるという斬新な方法が提示されたことである(米国での承認:2023年8月)。この方法によって新生児のRSV感染に由来する重症下気道感染を予防できるようになった(生後3ヵ月以内のRSV感染による重症化予防率:81.8%、生後6ヵ月以内の重症化予防率:69.4%)。本邦にあっては、アブリスボ筋注用は母体/新生児用として認可されているが(2023年11月)、高齢者用としては認可されていないことに注意する必要がある。 RSV膜融合前F蛋白を標的とした高齢者用のGene-based vaccineとしてmRNA-1345(Moderna)の開発が進められている。2023年現在、本ワクチンは、米国、スイス、オーストラリアなどにおいて製造承認の申請が始まっているが、本邦においても2024年度内に製造申請がなされるものと予測される。高齢者におけるRSVワクチンの予防効果 Papiらは60歳以上の高齢者2万4,966例を対象としたアレックスビー筋注用に関する国際共同プラセボ対照第III相試験の結果を報告した(Papi A, et al. N Engl J Med. 2023;388:595-608.)。中央値が6.7ヵ月の追跡期間においてRSVの下気道感染全体に対する有効率(予防効果)は82.6%であった。RSV感染の重症化因子(COPD、喘息、慢性心不全、糖尿病、慢性心血管疾患、慢性腎臓病、慢性肝疾患)を有する対象での下気道感染症に対する有効率は94.6%であった。これらの結果は、アレックスビー筋注用が高齢者のRSV感染全体に対して臨床的に意義ある予防効果を発揮することを示す。RSV-A型に対する下気道感染に対する有効率は84.6%、RSV-B型に対する有効率は80.9%と両亜型間でほぼ同等の有効率を示した。 Wilsonらは60歳以上の高齢者3万5,541例を対象としたmRNA-1345に関する国際共同無作為化二重盲検第III相試験の結果を発表した(Wilson E, et al. N Engl J Med. 2023;389:2233-2244.)。追跡期間の中央値は3.7ヵ月でRSV関連下気道感染に対する予防有効率は83.7%であった。基礎疾患の有無、RSV亜型による予防有効率に明確な差を認めなかった。以上より、Gene-based vaccineであるmRNA-1345のRSV感染抑制効果はProtein-based vaccineアレックスビー筋注用と同等であり、2024年度内に本邦を含め世界各国で承認されるものと期待される。 高齢者に対するRSVワクチンにあって今後の課題の1つがワクチンの年間接種回数である。しかしながら、RSVにあっては年1回の流行ピークが同定されているので、その時期に合わせた年1回のワクチン接種で十分だと論者らは考えている。RSVに関するもうひとつの課題は抗ウイルス薬の確立で早期の開発が望まれる。

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映画「かがみの孤城」(その2)【実は好きなことをさせるだけじゃだめだったの!?(不登校へのペアレントトレーニング)】Part 2

(2)大人扱いする―自信こころの母親は、こころが城に通っている間に家にいないことに気付き心配して指摘します。しかし、こころから「監視されるの好きじゃない」と言い返されると、その後は、それ以上言わず、本人に任せるようになります。2つ目は、大人扱いすることです。ここで、その方法を具体的に4つ挙げてみましょう。a.プライバシー尊重1つ目は、プライバシーの尊重です。たとえば、部屋の掃除という口実で、勝手に持ち物を確認したり、日記を見たりしないことです。携帯電話を持たせている場合、勝手に見ないことです。ここで、「心配だから確認したい」と思う人はいますでしょうか? これは、子供扱いです。本人が「大人になりたい」という自我を削ぐことになります。そして、信頼関係も損ねてしまいます。もしも、皆さんが大人扱いする感覚がよくわからない場合は、ホームステイ中の外国人の若者だったらどう接するかと想像したらいいでしょう。もはや文化が違うわけです。相手の文化を尊重して、こっちの文化を押し付けることはできないです。親切に接して、決して勝手に携帯電話をのぞき見しないでしょう。それくらいの距離感が必要であるということです。b.大人トーク2つ目は、大人のトークです。たとえば、親が話しかけても子供が無愛想な時、「その態度は何なの?」と叱る(攻撃)のではなく、それ以上何も言わないという黙認(非主張)でもなく、フラットな大人の関係を意識して、ほどほどに伝えることです。具体例は表3をご覧ください。なお、これは、心理学ではアサーションと呼ばれています。この詳細については、関連記事3をご覧ください。c.お小遣い歩合制こころは、他のメンバーへのお誕生日プレゼントを自分の財布から支払っていました。こころはお小遣いをもらっているようです。実は、お小遣いは、子供を心理的に自立させるためにも効果的なツールであると言われています1)。一方で、不登校の相談を受ける時、お小遣いについて確認すると、多くの親がお小遣いをあげていない、つまり必要に応じて親の判断でお金を渡していることが判明しています。そうではなくて、このお小遣いに仕組みをつくる必要があります。3つ目は、お小遣い歩合制です。具体例は図1をご覧ください。ポイントは、親の判断や気分でお小遣いをあげないこと、つまりお小遣いのルール化です。まず、あらかじめベースのお小遣いを設定します。そして、たとえばフリースクールに行けたら1日プラス〇円と設定するのです。これは、大人の給料(報酬制)と同じです。心理学的には、トークンエコノミー(行動療法)と呼ばれています。これを本人がある程度納得する形で提案し、一緒に署名します(契約制)。定期的に見直して、項目や金額設定を変更する話し合いも行います(交渉制)。こうすることで、「何もしなくてもお金がもらえる」「なくなったらねだればいいや」という子供っぽい発想がなくなります。そして、「がんばったら自由に使えるお金が増える」「計画的にお金を使おう」という発想が生まれます。そうなるためにも、安易にお金を渡さないことも必要です。d.家庭のルールづくりこころの家には、ゲーム機がありませんでした。原作では、こころが不登校になってから父親が一方的にゲーム機を取り上げてしまったと説明されていました。確かに、ゲーム機やスマホを最初から家に置かないようにするのも1つのやり方です。ただし、ただ一方的に取り上げるだけでは子供扱いです。それでは、ゲームやスマホの時間制限をお小遣い歩合制の項目に入れるのはどうでしょうか? 残念ながら、機能しないでしょう。なぜなら、子供はその分を損してもやり続けるからです。それくらい、ゲームやスマホは依存性が強いのです。夜遅くまでゲームに熱中していれば、朝起きられないのは当たり前です。こんな時、親が本人を無理やり叩き起こして学校まで送迎するのはどうでしょうか? これも明らかに子供扱いです。「親が起こして連れてってくれるからいいや」とますます子供っぽい発想になります。そこで、最後にして最重要なのが、家庭のルールづくりです。具体例は図2をご覧ください。このポイントは、 まずペナルティの設定です。そして、ある程度納得してもらうために、ゲーム依存症のリスクがどれほどのものか根拠(データ)を示すとともに、家族の目標、つまりビジョンを示すことです。また、「家族で助け合う」というビジョンを入れておくと、先ほどのお小遣い歩合制によって「お金がもらえないなら家事は手伝わない」という発想を予防することもできます。さらに、なるべく家族全員に署名してもらいます。つまり、立会人の存在です。ルールが機能するためには、ペナルティの設定と同時に、それをチェックする周りの目が必要になります。これは、ルールを課される子供だけでなく、ルールを課す親にも向けられているという点で、とてもフェアで妥当なものになるでしょう。家庭のルールづくりの一番の目的は、ゲームやスマホなどの家庭内の娯楽の制限です。娯楽という点では、テレビも含まれます。こころは、城に招かれる前、1日中テレビを見ていました。家庭は、確かに安心できる場所であることが必要ですが、楽しい場所である必要はありません。むしろ、「家にいてとても楽しい」と思っている子供がそれよりも娯楽が少ない学校やフリースクールに行くわけがないことは容易に想像できます。「家にいると退屈だ」と子供に思わせることが必要になります。その方が、そんな家を早く出て自立したいと思うでしょう。「それじゃかわいそうだ」と思う人はいますでしょうか? この発想も子供扱いです。私たち親は、自立できる人を育てる責任があります。それが最優先されます。その責任がある以上、不登校の子供に家庭内の娯楽の制限をすることはやはり必須になります。ちょうど、糖尿病の子供にお菓子やジュースなどの嗜好品を制限するのとまったく同じです。そうしないのは、やはり「教育ネグレクト」と言わざるをえません。つまり、大人扱いをするとは、本人がどんな行動を選択するかの自由を与えると同時に、その行動への責任を教え、責任を取る練習をさせることであることがわかります。よく言われるように、自由と責任はセットです。この責任とは、最終的には自分の人生を自分で生きる責任です。逆に言えば、成人したら、経済的な援助は基本的にできない、病気になるなど困ったときに一時的に限ることをあらかじめ伝える必要があります。また、「ゲームをやらせろ」と暴れる場合は、もはや対応の限界です。暴行や器物破損として警察に通報を必要があることを本人に冷静に伝える必要もあります。つまり、家庭のルールは社会のルールにつながっています。なお、このような限界設定は、やはりその前に味方になるという信頼関係を十分に築いていることが大前提です。この信頼関係がなければ、そもそも家庭のルールを守ろうとする気が子供に起こらないでしょう。このようにして、もともとの自尊心を土台として、さらに大人扱いすることで、「自分はできる」(can)という有能感を育み、自信(自己効力感)を高めることができます。これが、中核として必要になります。(3)夢を語り合う―自我こころの両親は、二人とも仕事をしていました。しかし、夕食などで、とくに仕事については話題にしていませんでした。実は、話してほしい話題があります。3つ目は、夢を語り合うことです。ここで、その方法を具体的に3つ挙げてみましょう。a.背中語り1つ目は、背中を見せる、つまり背中語りをすることです。まず、親が、仕事をはじめボランティアなども含めた社会参加をどうしていて、どうなりたいのかという「夢」(ビジョン)をさりげなく語っていることです。これは「味方になる」の方法の1つである雑談の延長です。たまに愚痴は言いつつも、やはりがんばっていることを夫婦で語り合っていることです。いつか行ってみたい場所、いつか会ってみたい人たちなども語るのも良いでしょう。逆に言えば、親が仕事の愚痴を吐いてばっかりでつまらなさそうにしているだけでは、子供は大人になって仕事をがんばりたいとは思わなくなるでしょう。これは、心理学的にはモデリングと呼ばれています。思春期の子供は親の言うことは聞かなくなりますが、親のまねは知らず知らずにしてしまうということです。b.タイムマシン2つ目は、タイムマシンに乗せるです。これは、タイムマシンに乗って未来の自分を見にいったら、どんな自分が見れるか想像しもらうことです。何歳でどんな場所にいて、どんな格好や表情をしているか、誰とどんな話をしているか、細かく聞き出すことです。さらに、それを子供に書き出してもらって、その紙を張り出すことを提案します。絵が得意なら、絵にして飾るのも良いでしょう。夢(未来)を語るとは、自分の人生に責任を感じていくプロセスでもあります。すると、じゃあ今どうすればいいのかがおのずと沸き起こってきます。それは、夢(目的)を叶えるために少なくとも学校に行くことは必要だと気付くことです。こうして、自分で決めて行動することで、自分の行動に責任を持つようになります。それが自分の生き方に納得するという自我同一性(アイデンティティ)につながっていきます。この働きかけは、心理学的にはタイムマシンクエスチョン(ブリーフセラピー)と呼ばれています。ポイントは、未来の自分の視点に立たせ、考えさせることです。ちなみに、視点は、未来の自分だけでなく、理想の自分、尊敬する人(ロールモデル)に置き換えることもできます。具体例は、表4をご覧ください。この考えさせるかかわりの詳細については、関連記事4をご覧ください。c.意味づけ3つ目は、意味づけることです。これは、うまく行かないことや嫌なことがあっても、それを「これは夢(目的)を叶えるために必要なんだ」と意味づけることです。夢を具体的に描けていれば、これが可能になります。「試練」「次にうまくやるためのリハーサル」などと伝えることもできます。これは、「味方になる」でご紹介したポジティブ返しでもあります。実際の研究では、人はストレスがあることによって、自ら成長していくこともわかっています。心理学的には、ストレス関連成長(SRG)と呼ばれています。つまり、うまく行かないことや嫌なことは、成長するためにはむしろある程度必要であるという考え方です。これは、悔しさという心理の機能です。この点で、親が失敗させないように先回りして指示したり、嫌な思いをさせないように人間関係を制限するのは、逆効果であるということです。この詳細については、学校環境の影響度として、関連記事5をご覧ください。なお、夢を語ったり意味づけしてもらうためには、「味方になる」の方法の1つである良いところ探しから、本人が自分の強み(リソース)を自覚していることが大前提です。そして、「大人扱いする」の方法の1つである家庭のルールづくりから、本人が自分の人生を自分で生きる責任を自覚していることも大前提です。この強みや責任の自覚がなければ、いくら夢を聞いても、「わからない」「思いつかない」としか答えなかったり、「つまんない大人になってる」としか言わないでしょう。このように、先ほどの有能感を中核として、夢を語り合うことで、「やりたい」(want)、「なりたい」(want to be)という自分の人生への責任感を育み、個人的そして社会的な自我(アイデンティティ)を確立することができます。これが、仕上げとして必要になります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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クリスマスケーキが健康増進に寄与?/BMJ

 デザートは、何世紀にもわたってクリスマスのお祝いで重要な役割を担っているが、中世イングランドのプディングがかなり健康的なものだったのに比べ、最近は不健康な食材を含むレシピが多くなり、死亡や疾病のリスクに関して懸念が示されている。米国・エモリー大学のJoshua D. Wallach氏らは、英国のテレビ料理番組「ブリティッシュ・ベイクオフ(The Great British Bake Off)」の、クリスマスデザートのレシピに使用されている食材の健康への影響を調査した。その結果、死亡や疾病のリスク増加と関連する食材よりも、むしろリスク減少と関連のある食材のほうが多いことが明らかになったという。BMJ誌2023年12月20日号クリスマス特集号「CHAMPAGNE PROBLEMS」掲載の報告。アンブレラレビューのアンブレラレビュー 研究グループは、「ブリティッシュ・ベイクオフ」のクリスマスデザートに含まれるさまざまな食材の健康上の有益性と有害性の評価を目的に、観察研究のメタ解析のアンブレラレビューを収集し、それらのアンブレラレビューを行った(特定の研究助成は受けていない)。 「ブリティッシュ・ベイクオフ」のウェブサイトと医学関連データベース(Embase、Medline、Scopus)を用いて、クリスマスデザートに使用する食材と死亡または疾病リスクとの関連を評価した観察研究のメタ解析に関するアンブレラレビューの文献を収集した。48件のレシピに含まれる17の食材グループのリスクを評価 「ブリティッシュ・ベイクオフ」のウェブサイトに掲載されているクリスマスデザート(ケーキ、ビスケット、ペストリー、プディング/デザート)のレシピは48件で、一意の値で178品目の食材が含まれた。これらを17の包括的な食材グループ(バター、精粉、砂糖、卵、塩、着色料/香料、果物、アルコール、ミルク、ナッツ類、コーヒーなど)に分類した。 46編のアンブレラレビューにおいて、食材グループと死亡または疾病のリスクの関連について363件の要約が報告されていた。これらの要約された関連性のうち、149件(41%)が有意であり、そのうち110件(74%)は死亡または疾病のリスクを減少させ、39件(26%)はリスクを増加させると推定された。 食材グループがリスクを減少させた110件の要約のうち、32件(29%)はがんの発生率または死亡率、20件(18%)は神経学的または脳の疾患、16件(15%)は心血管疾患の発生率または死亡率であった。また、リスクを増加させた39件の要約のうち、22件(56%)はがんの発生率または死亡率、5件(13%)は自己免疫疾患、4件(10%)は神経学的または脳の疾患だった。果物、コーヒー、ナッツ類を含むレシピが多い 死亡または疾病のリスク減少と関連のある食材グループのうち、最も多かったのは果物(44/110件、40%)で、次いでコーヒー(17/110件、16%)、ナッツ類(14/110件、13%)の順であった。一方、死亡または疾病のリスク増加と関連のある食材グループでは、アルコール(20/39件、51%)の頻度が高く、次いで砂糖(5/39件、13%)であった。 著者は、「観察的栄養学研究の限界に関する懸念を脇に置くことができるなら、われわれは喜んで、クリスマスには誰もがケーキを食べられると報告するだろう」としている。

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teplizumabの登場で1型糖尿病治療は新たなステージへ(解説:住谷哲氏)

 膵島関連自己抗体が陽性の1型糖尿病は正常耐糖能であるステージ1、耐糖能異常はあるが糖尿病を発症していないステージ2、そして糖尿病を発症してインスリン投与が必要となるステージ3に進行する1)。抗CD3抗体であるteplizumabはステージ2からステージ3への進行を抑制することから、8歳以上のステージ2の1型糖尿病患者への投与が2022年FDAで承認された。しかし、現実にはステージ2の1型糖尿病患者がすべて診断・管理されているわけではなく、臨床的に1型糖尿病を発症したステージ3の患者が多数を占めている。 teplizumabがステージ2と同様にステージ3の患者でも有効か否かについては、これまでに実施された複数の第I、II相臨床試験のメタ解析で、その有効性が示唆されていた2)。そこで実施されたのが第III相となる本試験PROTECT (Provention Bio’s Type 1 Diabetes Trial Evaluating C-Peptide with Teplizumab)である。 teplizumabは1コース12日間投与で26週後に2コース目が実施された。主要評価項目は、78週後に実施された食事負荷試験後のC-ペプチドAUCのベースラインからの変化量とされた。結果はプラセボ群に比較して、teplizumab投与群ではC-ペプチド値が有意に高値であった。副次評価項目であるインスリン投与量、HbA1cの変化量などには有意差を認めなかったが、主要評価項目が達成されたので本試験の結果はpositiveである。つまり、teplizumabは発症直後の1型糖尿病患者のβ細胞機能を維持する可能性があると考えられる。 わが国の1型糖尿病の発症率は欧米に比べると低い。欧米では2015年に1型糖尿病発症の自然史(ステージング)の概念が導入されたが、わが国では、ほとんど認知されていないのではないだろうか。1型糖尿病は発症予防可能な疾患になりつつある。わが国での発症率から考えて、ステージ2からステージ3への進行を抑制する薬剤としてのteplizumabが承認されなくても大きな問題はないだろう。しかし、teplizumabが発症直後の1型糖尿病患者のβ細胞機能保持薬として欧米で承認されれば、わが国でも早急に承認されることが期待される。

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効果的なFreeStyleリブレのスキャン回数が明らかに/京都医療センターほか

 糖尿病の血糖管理において、先進糖尿病デバイスとして持続血糖モニター(CGM)が活用されている。CGMには間歇スキャン式(isCGM)とリアルタイムCGMの2方式がある。間歇スキャン式では、上腕の後ろに装着されたセンサーをワイヤレスでスキャンすることでグルコース値が測定でき、リーダーやスマートフォンを使用する手軽さが魅力的だ。海外の先行研究では、スキャンの頻度が増すほど、HbA1cやTIR(time in range)などの血糖管理指標が改善すると報告されている。そのエビデンスに基づいて、これまでは「できるだけ多くスキャンするように」という指導がされてきたが、70~180mg/dLのTIR70%超を達成する最適なスキャン回数は明らかではなかった。 坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのFGM-Japan研究グループ(全9施設)は日本人1型糖尿病211例(平均年齢50.9±15.2歳、男性40.8%、糖尿病期間16.4±11.9年、CGM使用期間2.1±1.0年、平均HbA1c7.6±0.9%)を対象に、過去90日間のグルコース値データから、TIRを算出し、ROC曲線から最適なスキャン回数を明らかにするとともに、そのスキャン回数に与える要因も明らかにした。Diabetology International誌2023年9月12日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・平均スキャン回数は10.5±3.3回/日。・スキャン回数はTIRと正の相関、TAR(time above range)と負の相関があったが、TBR(time below range)とは有意な相関は認められなかった。・スキャン回数は低血糖不安-行動スコアと正の相関があり、一部の血糖変動指標(ADRR[average daily risk range]、%CV[coefficient of variation]など)と負の相関があった。・運動習慣のある者は、ない者に比べてスキャン回数が有意に多かった。・TIRが70%超に対するスキャン回数のAUCは0.653で、最適なカットオフ値は1日に11.1回のスキャンだった。 坂根氏は、「今までは『できるだけスキャンしなさい』と患者に指導することが多かったが、本研究から目標血糖を達成するために3食前後、起床と就寝時、間食や運動前後など、12回のスキャンを推奨するエビデンスが得られた。また、運動習慣がある人はスキャン回数が多いことや、スキャン回数が多い人ほど低血糖に対する対処行動が多いという結果はリブレを用いた糖尿病療養指導に大いに役立つと考えられる」と述べている。

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第194回 能登半島地震、被災地の医療現場でこれから起こること、求められることとは~東日本大震災の取材経験から~

木造家屋の倒壊の多く死因は圧死や窒息死こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。元日に起きた、最大震度7を観測した能登半島地震から9日が経過しました。最も被害が大きかった石川県では、1月9日現在、死者202人、負傷者565人、安否不明者102人と発表されています。1月8日現在の避難者数は2万8,160人とのことです。テレビや新聞などの報道をみていると、木造家屋の倒壊の多いことがわかります。その結果、死因は圧死や窒息死が大半を占めているようです。道路の寸断などによって孤立している集落がまだ数多く、避難所の中にも停電や断水が続いているところもあります。さらには、避難所が満員で入所できない人も多いようです(NHKニュースではビニールハウスに避難している人の姿を伝えていました)。本格的な冬が訪れる前に、被災した方々が、まずは一刻でも早く、ライフラインや食料が整った避難所やみなし避難所(宿泊施設等)への避難できることを願っています。東日本大震災との大きな違い1995年に起きた阪神・淡路大震災では、約80%が建物倒壊による圧死や窒息死でした。このときの教訓をもとに組織されたのがDMATです。しかし、2011年に起きた東日本大震災では津波の被害が甚大で、死亡者の8〜9割が溺死でした。震災直後、私は被災地の医療提供体制を取材するため宮城県の気仙沼市や石巻市に入りましたが、阪神・淡路と同じような状況を想定して現地入りしたDMATの医師たちが、「数多くの溺死者の前でなすすべもなかった」と話していたのを覚えています。今回の地震は、津波の被害より建物倒壊の被害が圧倒的に多く、その意味で震災直後のDMATなどの医療支援チームのニーズは大きいと考えられます。ただ、道路の寸断などで、物資や医療の支援が行き届くまでに相当な時間が掛かりそうなのが気掛かりです。これから重要となってくるのは“急性期”後、“慢性期”の医療支援震災医療は、ともすれば被災直後のDMATなどによる“急性期”の医療支援に注目が集まりますが、むしろ重要となってくるのは、その後に続く、“慢性期”の医療支援だということは、今では日本における震災医療の常識となっています。外傷や低体温症といった直接被害に対する医療提供に加え、避難所等での感染症(呼吸器、消化器)や血栓塞栓症などにも気を付けていかなければなりません。その後、数週間、数ヵ月と経過するにつれて、ストレスによる不眠や交感神経の緊張等が高血圧や血栓傾向の亢進につながり、高血圧関連の循環器疾患(脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離、心不全など)が増えてくるとされています。そのほか、消化性潰瘍や消化管穿孔、肺炎も震災直後に増えるとのデータもあります。DMAT後の医療支援は、東日本大震災の時のように、日本医師会(JMAT)、各病院団体や、日本プライマリ・ケア連合学会などの学会関連団体が組織する医療支援チームなどが担っていくことになると思われますが、過去の大震災時と同様、単発的ではなく、長く継続的な医療支援が必要となるでしょう。ちなみに厚生労働省調べでは、1月8日現在、石川県で活動する主な医療支援チームはDMAT195隊、JMAT8隊、AMAT(全日本病院医療支援班)9隊、DPAT(災害派遣精神医療チーム)14隊とのことです。避難所や自宅で暮らす高齢者に対する在宅医療のニーズが高まる医療・保健面では、高血圧や糖尿病、その他のさまざまな慢性疾患を抱えて避難所や地域で暮らす多くの高齢者の医療や健康管理を今後どう行っていくかが大きな課題となります。そして、避難所や自宅で暮らす住民に対する在宅医療の提供も必要になってきます。東日本大震災では、病院や介護施設への入院・入所を中心としてきたそれまでの医療提供体制の問題点が浮き彫りになりました。震災被害によって被災者が病院・診療所に通えなくなり、在宅医療のニーズが急拡大したのです。この時、気仙沼市では、JMATの医療支援チームとして入っていた医師を中心に気仙沼巡回療養支援隊が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応。その支援は約半年間続き、その時にできた在宅医療の体制が地域に普及・定着していきました。奥能登はそもそも医療機関のリソースが少なかった上に、道路が寸断されてしまったこと、地域の高齢化率が50%近いという状況から、地域住民の医療機関への「通院」は東日本大震災の時と同様、相当困難になるのではないでしょうか。東日本大震災が起こった時、気仙沼市の高齢化率は30%でした。今回、被害が大きかった奥能登の市町村の高齢化率は45%を超えています(珠洲市50%、輪島市46% 、いずれも2020年)。「気仙沼は日本の10年先の姿だ」と当時は思ったのですが、奥能登は20年、30年先の日本の姿と言えるかもしれません。テレビ報道を見ていても、本当に高齢者ばかりなのが気になります。東日本大震災では、被災直後からさまざまな活動に取り組み始めた若者たちがいたのが印象的でした。しかし、これまでの報道を見る限り、被災者たちは多くが高齢で“受け身”です。東日本大震災や熊本地震のときよりも、個々の被災者に対する支援の度合いは大きなものにならざるを得ないでしょう。プライマリ・ケア、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、多職種による医療・介護の連携これからの医療提供で求められるのは、プライマリ・ケアの診療技術であり、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、そしてさまざまな多職種による医療・介護の連携ということになるでしょう。東日本大震災、熊本地震、そして新型コロナウイルス感染症によるパンデミックで日本の医療関係者たちは多くのことを学んできたはずです。日本医師会をはじめとする医療関係団体の真の“力”が試される時だと言えます。ところで、被災した市町村の一つである七尾市には、私も幾度か取材したことがある、社会医療法人財団董仙会・恵寿総合病院(426床)があります。同病院は関連法人が運営する約30の施設と共に医療・介護・福祉の複合体、けいじゅヘルスケアシステムを構築し、シームレスなサービスを展開してきました。同病院も大きな被害を被ったとの報道がありますが、これまで構築してきたけいじゅヘルスケアシステムという社会インフラは、これからの被災地医療の“核”ともなり得るでしょう。頑張ってほしいと思います。耐震化率の低さは政治家や行政による不作為にも責任それにしても、なぜあれほど多くの木造住宅が倒壊してしまったのでしょうか。1月6日付の日本経済新聞は、その原因は奥能登地方の住宅の低い耐震化率にある、と書いています。全国では9割近くの住宅が耐震化しているのに対して、たとえば珠洲市では2018年末時点で基準をクリアしたのは51%に留まっていたそうです。ちなみに輪島市は2022年度末時点で46%でした。耐震化は都市部で進んでいる一方、過疎地では大きく遅れているのです。その耐震基準ですが、建築基準法改正で「震度5強程度で損壊しない」から「震度6強〜7でも倒壊しない」に引き上げられたのは1981年、実に40年以上も前のことです。きっかけは1978年の宮城県沖地震(当時の基準で震度は5、約7,500棟の建物が全半壊)でした。仙台で学生生活を送っていた私は、市内で地震に遭遇、ブロック塀があちこち倒れまくった住宅街の道路を自転車で下宿まで帰ってきた記憶があります。各地域(家の建て替えがないなど)や個人の事情はあるとは思いますが、法改正後40年経っても耐震化が進んでおらず、被害が大きくなってしまった理由として、政治家(石川県選出の国会議員)や行政による不作為もあるのではないでしょうか。もう引退しましたが、あの大物政治家は石川県にいったい何の貢献をしてきたのでしょうか。お金をかけてオリンピックを開催しても、過疎地の住民の命は守れません。いずれにせよ、全国各地の過疎地の住宅の耐震化をしっかり進めておかないと、また同じような震災被害が起こります。政府にはそのあたりの検証もしっかりと行ってもらいたいと思います。

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新規アルドステロン合成酵素阻害薬、CKDでアルブミン尿を減少/Lancet

 過剰なアルドステロンは慢性腎臓病(CKD)の進行を加速するとされる。米国・ワシントン大学のKatherine R. Tuttle氏らASi in CKD groupは、基礎治療としてレニン・アンジオテンシン系阻害薬の投与を受けているCKD患者において、SGLT2阻害薬エンパグリフロジンとの併用でアルドステロン合成酵素阻害薬BI 690517を使用すると、用量依存性にアルブミン尿を減少させ、予期せぬ安全性シグナルを発現せずにCKD治療に相加的な効果をもたらす可能性があることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年12月15日号で報告された。2回の無作為化を行う29ヵ国の第II相試験 本研究は、日本を含む29ヵ国で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2022年2月~12月に、run-in期を終了した参加者の無作為割り付けを行った(Boehringer Ingelheimの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、CKDの診断を受け、2型糖尿病の有無は問わず、推算糸球体濾過量(eGFR)が30~<90mL/分/1.73m2、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が200~5,000mg/g、血清カリウム値が4.8mmol/L以下で、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の投与を受けている患者であった。 714例をrun-in期に登録し、エンパグリフロジン(10mg)群に356例、プラセボ群に358例を無作為に割り付け、8週間の経口投与を行った。引き続き、このうち586例(エンパグリフロジン群298例、プラセボ群288例)を、それぞれ3つの用量(3mg、10mg、20mg)のBI 690517またはプラセボを追加で経口投与(1日1回、14週間)する4つの群に無作為に割り付けた(全8群)。アルドステロン値も大きく低下 ベースライン(2回目の無作為化時)の全体の平均年齢は63.8(SD 11.3)歳、女性196例(33%)、非白人244例(42%)であり、平均eGFR値は51.9(SD 17.7)mL/分/1.73m2、UACR中央値は426mg/g(四分位範囲[IQR]:205~889)であった。 朝の起床時第一尿で測定した、UACRのベースラインから14週時の治療終了までの変化率(主要エンドポイント)は、プラセボ群が-3%(95%信頼区間[CI]:-19~17)であったのに対し、BI 690517単剤の3mg群は-22%(-36~-7)、同10mg群は-39%(-50~-26)、同20mg群は-37%(-49~-22)であった。 また、エンパグリフロジンにBI 690517を追加した場合のUACRの変化率も、BI 690517単剤と同程度の低下を示した(プラセボ群:-11%[95%CI:-23~4]、3mg群:-19%[-31~-5]、10mg群:-46%[-54~-36]、20mg群:-40%[-49~-30])。 血漿アルドステロン値(曲線下面積)は、14週時までにBI 690517の用量依存性に低下し、最大用量(20mg)では、プラセボ群と比較して単剤群で-62%(95%CI:-76~-41)、エンパグリフロジン併用群で-66%(-75~-53)となった。高カリウム血症の多くは介入を要さず BI 690517の安全性プロファイルは、エンパグリフロジン併用の有無にかかわらず許容できるものであった。投与期間中に4例が死亡したが、試験薬関連と判定されたものはなかった。また、重度の薬物性肝障害やケトアシドーシスは認めなかった。 高カリウム血症は、エンパグリフロジンの有無にかかわらず、プラセボ群では6%(9/147例)に発生したのに対し、BI 690517 3mg群で10%(14/146例)、同10mg群で15%(22/144例)、同20mg群では18%(26/146例)に認めた。また、高カリウム血症の多くは介入を要さず(86%[72/84例])、致死性のものはなかった。 とくに注目すべき有害事象としての副腎機能低下症は、BI 690517群で436例中7例(2%)、プラセボ群では147例中1例(1%)にみられた。 著者は、「アルドステロン合成酵素阻害薬とSGLT2阻害薬の併用により、臨床的に意義のあるアルブミン尿の改善が得られた。このアプローチは、今後、CKDの大規模な臨床試験で検討すべき有望な併用療法となる可能性がある」としている。

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米国の包括的プライマリケア+、手挙げ診療所は増収/JAMA

 包括的プライマリケアプラス(Comprehensive Primary Care Plus:CPC+)は、サービス利用率の低下および急性期入院医療費の減少と関連していたが、5年間の総支出額の減少とは関連していなかったことが、米国・MathematicaのPragya Singh氏らによる検討で示された。CPC+は米国の18地域で導入された最大の検証済みプライマリケア提供モデル。その健康アウトカムとの関連を明らかにすることは、将来の転換モデルを設計するうえで重要とされていた。JAMA誌オンライン版2023年12月15日号掲載の報告。CPC+介入5年間のアウトカムの変化をCPC+診療所と対照診療所で比較 研究グループは、差分の差分回帰モデルを用い、CPC+診療所(介入群)および対照診療所(対照群)の出来高払いメディケア受給者に関して、ベースライン(CPC+導入前年の2016年)とCPC+導入後各年(2017~21年の5年間)のアウトカムの変化を比較した。 介入群には、2017年にCPC+開始を申請し、最低限の医療提供およびその他の適格要件を満たした、track 1の1,373ヵ所(受給者154万9,585人)およびtrack 2の1,515ヵ所(受給者534万7,499人)の診療所が組み込まれた。2つのtrackには、他の支払機関よりも高額な報酬(さらにtrack 2のほうが高額)、出来高報酬の選択肢(track 2のみ)、医療提供要件(5つのCPC+機能[アクセスと継続性、ケアマネジメント、包括性と調整、患者・介護者とのエンゲージメント、計画的ケアと地域住民の健康])の設定(track 2は、さらに複雑なニーズを持つ患者を適切にサポートできるようtrack 1の基準に加えて高度な医療提供アプローチ提供の要件あり)、データのフィードバック、学習の機会提供、医療情報技術サポートといった介入が行われた。 対照群は、介入群と類似の出来高払いメディケア受給者、診療所およびサービスニーズの特性を持つよう傾向スコアのマッチングと再重み付けが行われ、CPC+導入地域の近接地域から、track 1に5,243ヵ所(受給者534万7,499人)、track 2に3,783ヵ所(受給者450万7,499人)の診療所が組み込まれた。 事前に規定された主要アウトカムは、年換算したメディケアパートAおよびBの受給者1人当たりの月額医療費(per beneficiary per month:PBPM)で、副次アウトカムは主な支出(入院、外来、医師など7項目)、利用指標(急性期入院、救急外来受診など8項目)、請求ベースでみた医療の質の指標(糖尿病に関する推奨サービス、乳がん検診、予定外の再入院など27項目)などであった。CPC+は、総支出額の変化や、医療の質の変化と関連せず CPC+の患者背景は、白人87%、黒人5%、ヒスパニック3%、その他の人種5%(アジア/その他の太平洋諸島およびアメリカ先住民を含む)であった。CPC+患者の85%は65歳以上で、58%が女性であった。 CPC+は、総支出額(PBPM)の目に見える変化とは関連していなかったが(track 1:1.1ドル[90%信頼区間[CI]:-4.3~6.6]、p=0.74/track 2:1.3ドル[-5~7.7]、p=0.73)、高額な報酬など支出の増加と関連していた(track 1:13ドル[7~18]、p<0.001/track 2:24ドル[18~31]、p<0.001)。 副次アウトカムでは、CPC+は導入1年目で救急外来受診の減少と関連し、2年目以降では急性期入院および急性期入院費の減少と関連していた。その関連性は、メディケア共同節減プログラム(Medicare Shared Savings Program)にも参加している診療所およびCPC+システムに依存はしていない診療所で、より好ましい関連性が認められた。また、CPC+は、請求に基づく医療の質の指標の有意な変化とは関連していなかった。 著者は、「CPC+と共同節減プログラムとの相乗効果は、コスト削減のインセンティブが専門分野全体で調整されていれば、転換モデルがより成功する可能性があることを示すものである」と述べ、「さらなるプライマリケアの転換モデルの適合および検証を行うとともに、モデルがよりよく機能するよう大きな視点で検討していく必要がある」とまとめている。

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原発性胆汁性胆管炎(PBC)に対するelafibranorの有用性と安全性(解説:上村直実氏)

 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、自己免疫学的機序による肝内小葉間胆管の破壊を特徴とする慢性胆汁うっ滞性肝疾患であり、徐々に肝硬変から肝不全へ移行するとともに肝がんをも引き起こすことのある疾患で、わが国の難病に指定されている。最近の診断技術や治療の進歩により肝硬変まで進展する以前に胆管炎として診断されるケースが多くなり、2016年にそれまで使用されていた原発性胆汁性肝硬変から原発性胆汁性胆管炎と病名が変更されている。進行期の症状としては掻痒感や黄疸が特徴的であるが、その前には無症状であることが多く、日本における患者数は中年の女性を中心として約5~6万人に上ると推定され、稀な疾患というわけではない。 治療法としてはウルソデオキシコール酸(UDCA)が標準治療薬で、肝硬変が進み肝不全になった場合には肝移植が究極の救命法であったが、最近、病気の進行を抑制するために高脂血症の治療薬であるベサフィブラートとUDCA併用療法の有効性が報告され、厚生労働省研究班による『PBC診療ガイドライン2023』にも推奨されている。ただし、わが国でベサフィブラートは高脂血症にのみ保険適応があるため、高脂血症を合併しないPBCに対しては、臨床研究として投与することが適切となっている。 今回は、UDCAに不応性のPBCに対してペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)α、およびδのデュアルアゴニストであるelafibranorの有効性を検証した国際共同RCTの結果が、2023年10月のNEJM誌に報告された。プラセボと比較して投与52週目には、胆道系酵素やビリルビンなどの血清学的異常が有意に改善していた。長期投与により、さらなる改善が期待される結果である。ちなみにelafibranorはインシュリン抵抗性を改善して、糖尿病、高脂血症および非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)に対する有用性が示されて、今後の臨床応用が期待されている薬剤である。 このようにUDCAのみでなく胆管炎から肝硬変への進展を抑制する薬剤が次々と開発され、PBCの予後が大幅に改善されることが切望される。最後に、ベサフィブラートやelafibranorは米国のFDAで承認されており、いまだにPBCに対して保険適用となっていない日本においても、迅速な承認が期待される。

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軽度の肥満は健康の印、GLP-1作動薬の効果は高度肥満者で示されているにすぎない(解説:名郷 直樹 氏)-1766

肥満に厳しい世の中 世の中は肥満に厳しくやせに寛容だ。なぜそんなことになっているのか。肥満と死亡の関係について言えば、日本人のコホート研究のメタ分析の結果で、BMIで23から25のあたりで死亡率が最も低くなっていると報告されている1)。ちょっと太めのほうが健康なのである。それにもかかわらず、ちょっと腹が出ている程度の肥満をメタボと呼び、軽度の肥満をもむしろ不健康と捉えている情報が大部分だ。体重維持が可能な薬だが、体重は代用のアウトカムにすぎない やせの人を太らせる薬の臨床試験はないが、肥満のリスクばかりを強調する中、やせ薬として話題の薬、GLP-1作動薬の臨床試験が立て続けに報告されている2,3)。 1つは、BMIの平均が30程度の肥満者を対象に、36週間のGLP-1作動薬チルゼパチド投与の後、継続群と中止群にランダム化し、52週までフォローして88週までの体重変化を評価している。結果は継続群の体重変化が5.5%減少に対し、中止群では14%増加という結果である。体重変化の差とその95%信頼区間は、-19.4%(-21.2%~-17.7%)と、薬の継続は体重維持に有効である。 しかし、しょせん体重は代用のアウトカムである。高血圧についての血圧、糖尿病についての血糖、コレステロールについてのLDL、がんについての画像所見と同じである。テレビCMの緑茶のコマーシャルで「体脂肪の減少が認められるというエビデンスがあります」なんてやっているが、体脂肪の減少もまた代用のアウトカムにすぎない。体重減少の維持という代用のアウトカムで効果が示されたとしても、健康につながっているかどうか不明である。真のアウトカムでどうか そこへ、心血管疾患が予防できるかどうかという真のアウトカムで評価したランダム化比較試験が発表された3)。BMIの平均が33の肥満者を対象に、GLP-1作動薬セマグルチド投与群とプラセボ群を比較し、1次アウトカムとして心血管死亡、非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞の複合アウトカムで効果を検討している。結果はハザード比0.80、95%信頼区間0.72~0.90と、真のアウトカムでの有効性を示す結果である。GLP-1作動薬は体重を減らし、それを維持するだけでなく心血管疾患も予防するという結果である。 しかし、これらの研究の対象者はBMI 33、一例を挙げれば160㎝、85㎏という肥満者である。代用のアウトカムについての情報ばかりが先行して流され、対象者の肥満の程度が明らかにされず、軽度の肥満者に関する効果が不明な中、幅広く減量によって心血管疾患が予防できる、などという情報が流される状況は改善が必要である。 これらの論文から言えることを最後にまとめておこう。BMI 25という軽度の肥満者は長生きである。また、GLP-1作動薬はBMI 30という高度肥満者を対象に効果が示されているにすぎない。

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肥満症へのチルゼパチドの効果、36週で中止vs.投与継続/JAMA

 過体重または肥満の集団において、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)/グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)共受容体作動薬であるチルゼパチドは、36週間の投与で20%以上の体重減少をもたらし、投与を中止すると体重が大幅に増加したが、投与継続により初期の体重減少を維持あるいはさらに増強することが、米国・Weill Cornell MedicineのLouis J. Aronne氏らが実施した「SURMOUNT-4試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年12月11日号に掲載された。36週の導入期間後に、投与継続とプラセボに無作為化 SURMOUNT-4試験は、4ヵ国(アルゼンチン、ブラジル、台湾、米国)の70施設が参加した第III相投与中止臨床試験であり、2021年3月~2023年5月に実施された(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。 本試験では、非盲検下にチルゼパチド(最大耐用量として10mgまたは15mg、週1回)を36週間皮下投与する導入期間の後、被験者を盲検下にチルゼパチドを継続する群またはプラセボに切り換える群に無作為に割り付け、52週間投与した。 対象は、BMI値が30以上、またはBMI値27以上で糖尿病を除く体重関連合併症(高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸、心血管疾患)を少なくとも1つ有する、年齢18歳以上の患者であった。 主要エンドポイントは、無作為化(36週目)から88週目までの52週間の体重の平均変化量とした。主な副次エンドポイントは、導入期間中の体重減少分の80%以上を88週目に維持していた患者の割合などであった。投与継続で体重がさらに5.5%減少 670例(平均年齢48歳、女性473例[70.6%]、白人80.1%、平均体重107.3kg、平均BMI値38.4、平均ウエスト周囲長115.2cm)が36週の導入期間を完了し、チルゼパチド継続群335例、プラセボ群335例に割り付けられた。チルゼパチド導入期間中に、体重は平均で20.9%減少した。 36週目から88週目までの体重の平均変化量は、プラセボ群が14.0%増加したのに対し、チルゼパチド継続群は5.5%減少し、有意な差を認めた(群間差:-19.4%、95%信頼区間[CI]:-21.2~-17.7、p<0.001)。 88週目に、導入期間中の体重減少分の少なくとも80%を維持していた患者の割合は、プラセボ群が16.6%(55例)であったのに対し、チルゼパチド継続群は89.5%(300例)と有意に優れた(p<0.001)。また、36週目から88週目までのウエスト周囲長の変化量は、プラセボ群が7.8cm増加したのに対し、チルゼパチド継続群は4.3cm減少し、有意に良好だった(p<0.001)。88週投与で体重25.3%減少、ウエスト22.4cm減少 0週目から88週目までに、体重(チルゼパチド継続群25.3%減少vs.プラセボ群9.9%減少、p<0.001)とウエスト周囲長(22.4cm減少vs.9.0cm減少、p<0.001)は、チルゼパチド継続群で有意に改善した。 36週目から88週目までに最も頻度の高かった有害事象は消化器イベントで、プラセボ群よりもチルゼパチド継続群で高頻度(下痢[10.7% vs.4.8%]、悪心[8.1% vs.2.7%]、嘔吐[5.7% vs.1.2%])であったが、多くが軽度~中等度だった。とくに注目すべき有害事象として、チルゼパチド継続群では悪性腫瘍(3例[0.9%]、プラセボ群も3例[0.9%])、主要有害心血管イベント(3例[0.9%])、重度または重篤な消化器イベント(6例[1.8%])、低血糖症(2例[0.6%])を認めた。 著者は、「これらの結果は、体重の再増加を予防し、体重減少の維持とこれに伴う心代謝系への有益性を保持するためには、チルゼパチドの投与を継続する必要があることを強調するものである」とし、「1年間プラセボに切り換えた後でも、体重が9.9%減少していた点は注目に値するが、心代謝系のリスク因子の最初の改善効果はほぼ消失しており、このような短期治療による長期の有益性とリスクを解明するために、さらなる研究を要する」と指摘している。

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痩身目的のオンライン診療でのトラブルが急増/国民生活センター

 痩身目的での糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬)の不適切処方が問題視され、厚生労働省などから適正使用への注意喚起がなされている。さらに最近では、痩身をうたうオンライン診療でトラブルが急増し、国民生活センターが警鐘を鳴らしている1)。 同センターへ寄せられた年度別相談件数では、2021年度は49件、2022年度は205件、2023年度は10月31日までで169件と多く、21年から22年では約4.2倍も急増していた。 痩身目的などのオンライン診療に関する相談では、処方薬、副作用の説明や基礎疾患の問診が十分でないまま、初診時に数ヵ月分が処方されるなど、不適切なケースがあると同センターは報告している。こうした不適切処方では、副作用などのフォローが十分ではないために、処方を受け、不調を訴えて一般の医療機関へ来院する患者も散見され、センターでは消費者に注意を喚起している。キャンセルできない、処方薬で副作用などの事例 同センターに寄せられた相談事例としては、「オンライン診療後のダイエット用の薬が糖尿病治療薬だった」「基礎疾患の問診も不十分なまま糖尿病治療薬を勧められた」「他剤との相互作用、副作用の説明がなく、キャンセルもできない」などの事例があった。また、「既往があるが問診がなされず、処方薬を1ヵ月服用したところ、頭痛・吐き気・めまいなどの副作用が現れたため、解約を申し出たが拒否された」などの実害が生じている事例も報告されている。相談事例からみる特徴や問題点【処方薬、副作用の説明や基礎疾患の問診が不十分】 自由診療では、医師は施術に伴う副作用や合併症のほか、施術費用および解約条件、効果の個人差などを丁寧に説明することが求められているが、多くの事例でこれらの説明が不十分。 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(厚生労働省作成)2)では、初診の場合には、基礎疾患などの情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方を行わないこととされているが、初診で基礎疾患などの確認が不十分なまま数ヵ月分の処方がなされているケースがある。さらに、2型糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬)を痩身目的で処方(不適正使用)しているケースがあり、同指針が遵守されているとは考えにくい。【特定商取引法に基づく取消しや解約が難しいケースがある】 痩身目的の治療で契約期間が数ヵ月間の継続コース(処方薬の定期購入)を勧められ、数十万円の契約をしているケースが多くある。オンライン診療の結果、医師の判断で薬の処方の当否や薬の種類、数量を決めて処方している場合、契約申し込みのケースによっては「特定申込み」に該当せず、定期購入と同様の仕組みであっても、特定商取引法に基づく取消しができない場合がある。【運営事業者と医師の責任の所在がわかりにくい】 運営事業者と医師の責任の所在がわかりにくいケースがあるため、診察や処方薬などにかかる説明は誰が行うのか、誰が処方薬の販売者なのか、トラブルが生じた際、誰がどういった責任を負い、どこに問い合わせればいいのかなどについて、消費者にとってわかりにくくなっている。消費者への4つのアドバイス【痩身目的などのオンライン診療を受診するときは、処方薬も含め医師からしっかり説明を受ける】 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、医学的な必要性に基づかない体重減少目的に使用されうる糖尿病治療薬の処方など、不適正使用が疑われるような場合に処方することは不適切とされている。痩身目的などのオンライン診療を受診するときは、治療内容や処方薬、副作用などのリスク、万が一のときの対応などに関し、医師からしっかり説明を受ける。持病があり、通院や服薬をしている人は、主治医に相談するなど、とくに慎重に検討することが大切。【糖尿病治療薬は痩身目的の使用に関し、安全性と有効性は確認されていない】 糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬)が痩身目的で使われていることがあるが、これらの薬は2型糖尿病の治療を目的として承認されている。これらの薬に関する美容・痩身・ダイエットなどを目的とする不適正使用については、安全性と有効性は確認されていない。【解約条件などを申し込み前によく確認】 痩身目的などのオンライン診療の受診後に処方薬を購入する場合、定期購入になっているケースが多くある。解約できる場合でも条件が付されていることが多く、申し込み前によく確認する必要がある。解約の申し入れ先や副作用が出た場合の連絡先などについてもよく確認する。【トラブルにあった場合は、消費生活センターなどに相談】 契約に不安を感じたり、解約時にトラブルになったりした場合には、1人で悩まず最寄りの消費生活センターや消費者ホットラインの188(いやや!)へ相談。もし、副作用などの症状が出た場合、速やかに最寄りの医療機関を直接受診。

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食塩摂取量はどこまで減らせばいいのだろうか?(解説:石川讓治氏)

 食塩摂取量がきわめて少ない民族においては高血圧の有病率が低いことが報告されてから、食塩摂取量の減少を試みる介入研究が幾つかされてきた。DASH研究において食塩6g/日以下にすることで有意に血圧低下が認められることが示され、現在の各国の高血圧治療ガイドラインにおいては食塩摂取量を1日6g以下にすることを推奨している。しかし、わが国の食塩摂取量は1日12~13g程度で、まだまだ目標レベルに程遠いのが現実である。本研究は、ナトリウム摂取量2,200mg(食塩として5.59g)/日の1週間継続、ナトリウム摂取量500mg(食塩として1.27g)/日の1週間継続をクロスオーバーデザインで行い、24時間平均自由行動下血圧の違いを評価した研究である。結果として、低ナトリウム食によって4mmHgの平均血圧低下が認められた。低ナトリウム食で73.4%の参加者で平均血圧が低下しており、食塩感受性が46%の参加者に認められている。低ナトリウム食の降圧効果は、対象者の年齢、性別、人種、高血圧の有無、ベースラインの血圧値、糖尿病、肥満度には影響を受けなかった。わずか1週間の減塩で血圧低下が起こることは非常に驚きであり、今後の患者指導で有用なデータであると考えられた。 本研究のナトリウム摂取量から換算した食塩摂取量は各群5.59g/日と1.27g/日である。日常臨床における高ナトリウム(食塩)摂取量ではなく、ガイドラインに沿った食塩摂取量と極端に少ない食塩摂取量の比較試験であることに注意が必要である。食塩摂取量の目標値6g/日以下も難しいわが国の現状で、この目標値を達成することは至難の業であると思われた。本研究の参加者の平均年齢は61歳であり、64%が黒人であった。本研究では両群に有害事象の有意差は認められなかったが、非高齢者を中心に行われた研究で、食塩感受性が高いとされる黒人を多く含む研究であったことにも注意が必要である。後期高齢者の動脈スティフネス亢進を背景とした高血圧患者において、1.27g/日の食塩摂取を安全に行うことができるのか今後の検討が必要であると思われた。

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妊娠糖尿病、インスリン+メトホルミン vs.インスリン単独/JAMA

 2型糖尿病を有するまたは妊娠初期に2型糖尿病と新規に診断された妊婦において、インスリン療法にメトホルミンを追加しても新生児の複合有害アウトカムは減少しなかった。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のKim A. Boggess氏らが、米国の17施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「MOMPOD試験」の結果を報告した。既往または妊娠初期に診断された2型糖尿病を有する妊婦には、インスリンの投与が推奨されるが、インスリンへのメトホルミンの追加により新生児の有害アウトカムが改善する可能性が示唆されていた。JAMA誌2023年12月12日号掲載の報告。妊娠22週までの2型糖尿病(新規診断を含む)を有する妊婦が対象 研究グループは2017年6月~2021年11月に、単胎妊娠10週0日~22週6日で2型糖尿病を有する、または23週より前にインスリンを必要とする糖尿病と診断された、18~45歳の成人女性を対象とした。施設、妊娠週数(18週未満、18週以上)、糖尿病診断時期(既往、妊娠初期)で層別化し、メトホルミン(1,000mg)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。全例がインスリンの投与を受け、それぞれ割り付けられた試験薬を出産まで1日2回経口投与した。 主要アウトカムは、周産期死亡(妊娠10~20週の胎児死亡、20週以上の死産、または出生後28日以内の新生児死亡)、妊娠37週以前の早産、新生児低血糖、出生時外傷(臍動脈pH<7.05、肩甲難産)、光線療法を必要とする高ビリルビン血症、在胎不当過大児、在胎不当過小児、2,500g未満の低出生体重児といった、新生児複合有害アウトカムであった。 事前に規定した副次アウトカムは、母体の低血糖と出生時の新生児脂肪量。また、主要アウトカムに関して、母体のBMIが30未満vs.30以上、2型糖尿病既往vs.妊娠初期の2型糖尿病診断、無作為化時の妊娠週数18週未満vs.18週以上23週未満で、サブグループ解析を行うことが事前に規定された。新生児複合有害アウトカムの発生率は71% vs.74% 2017年6月~2021年11月に、スクリーニングを受けた2,667例中831例が無作為化された。695例が出産し追跡調査を完了した後、データ安全性モニタリング委員会は無益性により試験の中止を勧告し、登録は同年11月に中止された。追跡調査は2022年5月に終了した。 無作為化された831例のうち、試験薬を少なくとも1回服用した794例が主要解析に組み入れられた(メトホルミン群397例、プラセボ群397例)。平均(SD)年齢は32.9(5.6)歳、234例(29%)が黒人、412例(52%)がヒスパニックであった。 主要アウトカムの発生は、メトホルミン群で280例(71%)、プラセボ群で292例(74%)に認められ、両群間に有意差はなかった(補正後オッズ比[OR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.63~1.19)。 両群において多く認められた主要アウトカムのイベントは、妊娠37週以前の早産(それぞれ34%、37%)、新生児低血糖(39%、42%)、および在胎不当過大児(26%、36%)であった。在胎不当過大児については、プラセボ群と比較したメトホルミン群でのイベントが少なかった(補正後OR:0.63、95%CI:0.46~0.86)。 事前に規定された副次アウトカム、ならびにサブグループ解析は、両群間で同等であった。 なお著者は、「インスリンへのメトホルミンの追加で観察された在胎不当過大児のオッズ比減少の効果については、さらなる検討が必要である」と述べている。

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