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日本における統合失調症治療、最新の推奨事項〜エキスパートコンセンサス

 従来の統合失調症薬物治療ガイドラインは、日常診療における臨床的に重要な問題すべてに対して十分に対応できていなかった。関西医科大学の嶽北 佳輝氏らは、現在の臨床状況を反映させるため、日本臨床精神神経薬理学会(JSCNP)の2021年専門家コンセンサスを改訂することを目的とし、本研究を実施した。Schizophrenia誌オンライン版2026年6月2日号の報告。 JSCNPおよび日本神経精神薬理学会(JSNP)に所属する精神科専門医154人が、臨床的に関連性の高い21の状況における治療選択肢を9段階リッカート尺度(1=「強く反対」、9=「強く賛成」)を用いて評価した。 主な内容は以下のとおり。・回答率は44%であった。・主な症状別の推奨される第1選択薬は以下のとおりであった。【陽性症状】リスペリドン、ブレクスピプラゾール、オランザピン、パリペリドン、ブロナンセリン【陰性症状および認知機能低下】アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール【うつおよび不安】アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン【滅裂思考】ブレクスピプラゾール、アリピプラゾール、オランザピン【興奮および攻撃性】オランザピン、リスペリドン【社会的統合】アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、ルラシドン【錐体外路系副作用または糖尿病の高リスク】ブレクスピプラゾール、クエチアピン、アリピプラゾール・遅発性ジスキネジアに対しては減量または薬剤変更を検討する。・再発を繰り返し、患者の要望、アドヒアランス不良の場合には、長時間作用型注射(LAI)抗精神病薬の導入適応となりうる。・治療抵抗性統合失調症に対してはクロザピンへの切り替えが第1選択となる。・副作用対策として、抗精神病薬の減量および単剤療法への簡略化の両方が最も重要な要因として挙げられた。・第2世代抗精神病薬は、ほとんどの場合第1選択薬または第2選択薬として評価された。一方、第1世代抗精神病薬は、おおむね第3選択薬として評価された。 著者らは「これらの推奨事項は、既存のエビデンスだけでは十分に対応できない臨床的に困難な状況における治療選択と共同意思決定(SDM)のための実践的な指針となる」としている。

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最も老化しにくい睡眠時間は?

 睡眠時間が短いことだけでなく、長すぎることも、多くの臓器の生物学的老化の加速指標と関連していることが報告された。生物学的老化の進行が最も緩やかな傾向は、1日の睡眠時間が6.4~7.8時間の人に見られるという。米コロンビア大学ヴァジェロス医学校のJunhao Wen氏らの研究によるもので、詳細は「Nature」に5月13日掲載された。 この研究では、英国で約50万人の一般住民を対象に行われている大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータを用いて、睡眠時間とさまざまな臓器の老化との関連性が検討された。睡眠時間は自己申告により評価された。一方、臓器の老化については、画像検査データ(in vivo imaging:生体内イメージング)、および、血漿中のタンパク質や代謝産物の網羅的なデータを機械学習により解析して、脳や心臓、肺、肝臓などの17の臓器・システムを含む23種類の「生物学的老化時計」を作成して評価した。 この研究手法について、論文の上席著者であるWen氏は、「例えば肝臓では、タンパク質、代謝産物、画像データなど複数の情報に基づく老化時計が構築されている。これらを活用することで、睡眠と老化時計との関連の有無を調べることができる」と解説している。 このような解析の結果、睡眠時間と多くの臓器の老化との間に、U字型の関連があることが明らかになった。一晩の睡眠時間が6時間未満の人や8時間以上の人は、指標上の生物学的老化が全身的に加速している傾向が見られた。最もリスクが低い老化パターンを示したのは、一晩に6.4~7.8時間の睡眠を取っていると報告した人たちだった。 また、睡眠不足は、うつ病、不安症、肥満、2型糖尿病、高血圧、心臓病など、多くの疾患のリスク上昇と関連していた。他方、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息などの肺疾患、および胃炎や逆流性食道炎などの消化器疾患は、睡眠時間が短すぎる場合と長すぎる場合のいずれにおいても、発症リスクの上昇と関連していることが判明した。 研究者らは、「今回の研究結果は睡眠が脳の健康だけでなく、全身の機能といかに深く結びついているかを浮き彫りにしている」と述べている。またWen氏は、「われわれの研究結果は、睡眠が脳や体全体の臓器の健康維持、代謝バランスや免疫システムの維持などにおいて、重要な役割を果たしているという考え方を裏付けるものだ」と総括。その上で、「今後の研究では、睡眠習慣の改善が、さまざまな臓器における生物学的老化を遅らせるのに役立つかどうかを検証していく」と付け加えている。

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実測GFRおよび推定GFRと、死亡・腎不全との関連/JAMA

 スウェーデンの成人において、実測糸球体濾過量(mGFR)が60mL/分/1.73m2の場合、90mL/分/1.73m2と比較して全死因死亡率および腎不全の発生率が高く、慢性腎臓病(CKD)の定義に用いられる現在の推定GFR(eGFR)の閾値60mL/分/1.73m2が支持されることが示された。また、mGFRと死亡との関連は、血清クレアチニン(cr)値と血清シスタチンC(cys)値に基づき算出したeGFR(すなわちeGFRcr-cys)で最もよく反映されていたが、cr値に基づくeGFRcrは死亡リスクを過小評価し、cys値に基づくeGFRcysは過大評価となることが示された。オランダ・ライデン大学医療センターのEdouard L. Fu氏らが、後ろ向き観察コホート研究の結果を報告した。eGFRの低下は死亡および腎・心血管イベントの発生増加と関連しているが、腎機能評価の精度はmGFRよりも低いとみなされている。一方でmGFRとアウトカムの関連も依然として明らかになっていない。JAMA誌オンライン版2026年6月4日号掲載の報告。死亡・腎不全との関連を、mGFRとeGFRcr・eGFRcys・eGFRcr-cysで比較 研究グループは、2011年1月1日~2021年12月31日に、スウェーデンのストックホルムにおいて専門医の判断によりmGFR検査が施行され、mGFR測定から30日以内に血清クレアチニン値および血清シスタチンC値の測定が行われた18歳以上の成人6,174例を対象とした。 一般的に、mGFR検査の適応となる患者は、薬剤投与量決定のために正確なGFRを必要とする患者(がん化学療法など)、肝硬変患者、腎移植のレシピエントまたは生体腎ドナー、およびeGFRcrとeGFRcysが不一致の患者などで、これらに該当する患者を適格とした。透析を受けている患者、またはmGFRが0mL/分/1.73m2未満もしくは150mL/分/1.73m2超の患者は除外された。 mGFRは、カロリンスカ大学病院臨床化学部門において、イオヘキソール静脈内投与後の単回採血検体を用い、Jacobsson式による血漿クリアランスに基づき算出された。eGFRについては、慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD-EPI)の2021年式を用いてeGFRcrおよびeGFRcr-cysを、2012年式を用いてeGFRcysを算出した。 主要アウトカムは、全死因死亡および腎代替療法(透析開始または腎移植と定義)を要する腎不全とし、各種GFR値とアウトカムとの関連を、年齢、性別、BMI値、既往歴、治療薬、および尿中アルブミン/クレアチニン比で補正したハザード比(HR)を用いて評価した。mGFRは死亡・腎不全の発生と有意に関連、mGFR評価とほぼ一致したのはeGFRcr-cys 解析対象6,174例の患者背景は、年齢中央値59歳(四分位範囲[IQR]:43~69)、男性3,686例(60%)、女性2,488例(40%)で、主な併存疾患は高血圧2,765例(45%)、がん1,998例(32%)、糖尿病1,244例(20%)、心不全651例(11%)であった。 追跡期間中央値5.9年(IQR:3.0~8.8)において、1,977例(32%)が死亡し、426例(6.9%)が腎代替療法を要する腎不全に至った。 全死因死亡率(1,000人年当たり)はベースラインのmGFR(mL/分/1.73m2)が90で22.4件に対し、60、45、30および15mL/分/1.73m2ではそれぞれ27.6件、32.5件、37.4件および42.7件、補正後HRはそれぞれ1.21(95%信頼区間[CI]:1.14~1.28)、1.41(95%CI:1.30~1.52)、1.62(95%CI:1.49~1.76)、1.85(95%CI:1.62~2.11)であり、mGFRの低下は全死因死亡の発生率の増加と有意に関連していた。 腎代替療法を要する腎不全についても同様で、mGFRの低下はその発生率の増加と関連しており、発生率(1,000人年当たり)はベースラインのmGFR(mL/分/1.73m2)90の0.4件に対して、60、45、30および15ではそれぞれ1.2件、3.6件、14.9件、72.2件へ増加し、補正後HRはそれぞれ2.85(95%CI:2.06~3.94)、8.77(95%CI:5.81~13.24)、38.5(95%CI:24.69~59.90)、200.3(95%CI:129.1~310.9)であった。 実測・推定GFR値が90mL/分/1.73m2未満の患者において、eGFRcrはmGFRと比較し死亡率との関連性を有意に過小評価していたのに対し(例:実測・推定GFR値60での死亡のハザード比の比[RHR]:0.87、95%CI:0.79~0.95)、eGFRcysはmGFRより死亡率との関連性を有意に過大評価していた(例:実測・推定GFR値60での死亡のRHR:1.17、95%CI:1.08~1.27)が、eGFRcr-cysはmGFRと差がなかった(例:実測・推定GFR値60でのRHR:1.03、95%CI:0.96~1.10など)。

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中等度~重度肥満者、週1回GLP-1/グルカゴン二重作動薬mazdutideの減量効果/JAMA

 中等度~重度の肥満を有する中国人成人において、GLP-1/グルカゴン受容体二重作動薬mazdutideの9mg週1回60週間皮下投与により、プラセボと比較して消化器系の有害事象が多かったものの、臨床的に意義のある体重減少が認められたことを、中国・Peking University People’s HospitalのLeili Gao氏らが、同国の27施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「GLORY-2試験」の結果で報告した。肥満は世界的な問題であり、中国においても公衆衛生上の大きな課題となっていた。JAMA誌オンライン版2026年6月7日号掲載の報告。2型糖尿病不問の肥満成人対象に、mazdutide 9mgの有効性と安全性をプラセボと比較 GLORY-2試験の対象は、BMI値30以上で、食事療法および運動療法のみによる減量に少なくとも1回失敗し(自己申告)、スクリーニング前3ヵ月間の体重が安定している(自己申告で変動が5%以下)、18歳以上の成人であった。 スクリーニングの3ヵ月以上前に2型糖尿病と診断され、スクリーニング時にHbA1cが7.0~10.0%、空腹時血糖値が11.1mmol/L以下で、スクリーニング前2ヵ月以上食事療法と運動療法のみ、または最大3種類の経口糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬およびDPP-4阻害薬を除く)の安定用量で治療を受けていた場合は、組み入れ可能とした。 研究グループは、適格被験者をmazdutide 9mg群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、食事療法(低カロリー食)および運動療法(150分/週の中強度の運動)の順守に加えて、それぞれ週1回60週間皮下投与した。 主要エンドポイントは2つで、ベースラインから60週時までの体重の変化率、5%以上体重減少を達成した被験者の割合であった。 有効性および安全性の解析は、主要解析集団(試験薬を少なくとも1回投与された、すべての無作為化された被験者)を対象とし、有効性のエンドポイントは、治療レジメン推定(治療順守不問で60週時におけるプラセボに対するmazdutideの平均治療効果を表す)、および有効性推定(試験薬投与を60週間完了した場合のプラセボに対するmazdutideの平均治療効果を表す)の2つの解析が行われた。60週時の体重変化率はmazdutide 9mg群-16.65%、プラセボ群-1.50% 2023年12月~2024年6月に593例がスクリーニングを受け、うち462例が登録・無作為化され、主要解析対象集団には試験薬を投与された461例(mazdutide群307例、プラセボ群154例)が組み入れられた。 461例の背景は、女性295例(64.0%)、平均年齢33.9歳(SD 8.4)、平均体重94.0kg(SD 13.8)、平均BMI値34.3(SD 3.2)で、74例(16.1%)が2型糖尿病を有しており、399例(86.6%)は2型糖尿病以外の体重関連合併症を1つ以上有する被験者であった。 ベースラインから60週時の体重の平均変化率は、治療レジメン推定値でmazdutide群-16.65%(95%信頼区間[CI]:-18.19~-15.12)、プラセボ群-1.50%(95%CI:-3.43~0.43)であり、群間差は-15.15%(95%CI:-17.22~-13.09、p<0.001)であった。 5%以上体重減少を達成した被験者の割合は、治療レジメン推定値でmazdutide群84.3%(95%CI:80.0~88.5)、プラセボ群33.1%(95%CI:25.5~40.6)であり、群間差は51.6%(95%CI:43.0~60.1、p<0.001)であった。 両主要エンドポイントの有効性推定値は、治療レジメン推定値と類似していた。 有害事象はmazdutide群で98.7%、プラセボ群で93.5%に発生した。主な試験治療下における有害事象は、嘔吐(mazdutide群53.1%、プラセボ群1.3%)、悪心(同46.9%、3.2%)、下痢(同39.4%、6.5%)で、ほとんどは軽度~中等度であった。試験中止に至った有害事象は、mazdutide群で2.9%に認められたが、プラセボ群では報告されなかった。

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統合失調症の肥満に関連するリスク因子が判明〜メタ解析

 中国・Chongqing Mental Health CenterのJianmei Long氏らは、統合失調症患者における肥満の発生率およびその影響因子を調査するため、メタ解析を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2026年4月27日号の報告。 複数のデータベース(PubMed、Web of Science、Embase、Cochrane Library、CNKI、Wanfang Data、VIP Database、SinoMedを含む)より、包括的な文献検索を実施した。検索対象は、2025年5月26日までのすべての論文とした。メタ解析は、RevMan 5.4およびStata 18.0ソフトウェアを用いて実施した。 主な結果は以下のとおり。・18件の研究(統合失調症患者9,351例)が解析対象となった。・本メタ解析では、統合失調症患者における肥満の発生率は33.0%であった。・肥満リスク上昇と有意な関連(p<0.05)が認められた因子は次のとおりであった。【女性】オッズ比(OR):1.14、95%信頼区間(CI):1.10〜1.20【高血糖】OR:1.08、95%CI:1.04〜1.12【糖尿病】OR:2.36、95%CI:1.79〜3.10【高トリグリセライド血症】OR:1.13、95%CI:1.08〜1.18【高LDLコレステロール血症】OR:1.88、95%CI:1.45〜2.44【オランザピン使用】OR:7.40、95%CI:4.98〜11.00【抗精神病薬併用】OR:3.19、95%CI:2.31〜4.41【定型抗精神病薬使用】OR:1.46、95%CI:1.18〜1.82【非定型抗精神病薬使用】OR:1.70、95%CI:1.42〜2.03【赤血球増多】OR:2.80、95%CI:1.60〜4.90【低HDLコレステロール血症】OR:1.75、95%CI:1.41〜2.16 著者らは「現在のエビデンスによると、統合失調症患者における肥満の主なリスク因子は、女性、高血糖、糖尿病、高トリグリセライド血症、高LDLコレステロール血症、オランザピン使用、抗精神病薬併用、定型抗精神病薬使用、非定型抗精神病薬使用、赤血球増多、低HDLコレステロール血症であることが示唆された。臨床医は、統合失調症患者における肥満の発症を抑制し、生活の質を向上させるために、早期スクリーニングとターゲットを絞った介入を実施すべきである」と結論付けている。

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コントロール不良の2型糖尿病、週1回皮下投与のretatrutideが有効/Lancet

 食事療法および運動療法のみではコントロール不十分な2型糖尿病成人患者において、retatrutide単独療法はプラセボと比較し、血糖コントロールおよび体重減少に関して有意な改善を示し、有害事象のプロファイルは既知のGLP-1受容体作動薬と一致していた。カナダ・LMC Diabetes and EndocrinologyのHarpreet S. Bajaj氏らが、米国、メキシコおよびインドの48施設で実施した40週間の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TRANSCEND-T2D-1試験」の結果を報告した。retatrutideは、GIP、GLP-1およびグルカゴンの3つのホルモンの受容体作動薬で、2型糖尿病、肥満、および関連する合併症を対象に臨床開発が進められている。Lancet誌2026年6月13日号掲載の報告。retatrutideの3用量をプラセボと比較、週1回40週間皮下投与 TRANSCEND-T2D-1試験の対象は、食事療法および運動療法のみでは血糖コントロール不良の18歳以上の2型糖尿病患者で、HbA1c値が7.0~9.5%、BMI値23以上、スクリーニング前90日間およびスクリーニング期間中に血糖降下薬を使用しておらず、インスリン療法歴がなく、スクリーニング前少なくとも90日間体重が安定していること(自己申告で変動が5kg以下)とした。 研究グループは適格患者を、retatrutide 4mg群、9mg群、12mg群またはプラセボ群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、週1回40週間皮下投与した。retatrutide群は全例2mgより投与を開始し、計画に従い割り付けられた維持用量(4mg、9mg、または12mg)に達するまで4週ごとに増量した。 主要エンドポイントは、ベースラインから40週時のHbA1cの変化量で、retatrutide各用量群のプラセボ群に対する優越性を両側有意水準0.0167として検証した(全体でα=0.05を各比較に分割)。重要な副次エンドポイントは、ベースラインから40週時の体重の変化率などであった。 主要エンドポイントおよび重要な副次エンドポイントについては、両側有意水準0.05でファミリーワイズの第1種の過誤確率を厳密にコントロールするため、グラフィカルアプローチを用いて検定を行い、多重性を調整した。HbA1c変化量の推定治療群間差は、-0.88~-1.12% 2024年4月10日~2025年4月21日に、930例がスクリーニングを受け、537例が無作為化された(retatrutide 4mg群134例、9mg群133例、12mg群136例、プラセボ群134例)。 ベースラインの患者背景は、女性296例(55%)、男性241例(45%)、平均年齢48.8歳(SD 12.1)、HbA1c7.9%(1.1)、2型糖尿病の罹病期間2.5年(4.4)、BMI値35.8(7.0)であった。490例(91%)が40週間の治療を完了し、504例(94%)が本試験を完了した。 ベースラインから40週時のHbA1cの変化量の治療レジメン推定値は、retatrutide 4mg群-1.69%(SE 0.11)、9mg群-1.86%(0.10)、12mg群-1.94%(0.08)に対し、プラセボ群は-0.81%(0.12)であった。 プラセボ群に対する推定治療群間差は、retatrutide 4mg群-0.88%(95%信頼区間[CI]:-1.18~-0.59)、9mg群-1.04%(95%CI:-1.32~-0.76)、12mg群-1.12%(95%CI:-1.39~-0.85)であり、retatrutide全用量群でプラセボ群と比較し、有意差が認められた(いずれもp<0.0001)。 ベースラインから40週時の体重の平均変化率は、retatrutide 4mg群-11.5%(SE 0.7)、9mg群-13.9%(0.8)、12mg群-15.3%(0.8)に対し、プラセボ群は-2.6%(0.5)であり、retatrutide群のプラセボ群に対する推定治療群間差はそれぞれ-8.9%(95%CI:-10.5~-7.2)、-11.3%(95%CI:-13.1~-9.5)、-12.7%(95%CI:-14.4~-11.0)であった(いずれもp<0.0001)。 retatrutide群で最も発現割合が高い有害事象は、軽度~中等度の消化器系イベント(下痢、悪心、嘔吐)であり、主に用量漸増期間中に発現した。 有害事象による試験中止は、retatrutide 4mg群3例(2%)、9mg群6例(5%)、12mg群7例(5%)に認められたが、プラセボ群では認められなかった。重症低血糖は報告されなかった。 試験期間中に死亡が2例報告されたが(いずれもretatrutide 4mg群)、試験薬とは関連がなかった。

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糸球体疾患によるCKD、フィネレノンが有用/JAMA

 糸球体疾患を有する非糖尿病性慢性腎臓病(CKD)患者において、フィネレノンにより腎機能低下の抑制、アルブミン尿の減少、および腎不全または著しい腎機能低下リスクの減少が認められた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBrendon L. Neuen氏らFIND-CKD Investigatorsが、24の国・地域で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「FIND-CKD試験」の、事前に規定された探索的解析結果を報告した。糸球体疾患は、CKDおよび腎不全の主たる原因である。非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノンは、CKDにおける腎機能低下のリスクを低減するが、糸球体疾患に起因するCKD患者における有効性は不明であった。著者は、「今回得られた知見は、糸球体疾患を有する患者集団における腎機能の維持において、フィネレノンが重要な役割を果たすことを示唆するものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年6月5日号掲載の報告。非糖尿病性CKD患者対象試験の探索的解析 FIND-CKD試験の対象は、18歳以上のCKD患者である。CKDの定義は、(1)推算糸球体濾過量(eGFR)が25mL/分/1.73m2以上60mL/分/1.73m2未満、かつ尿中アルブミン/クレアチニン比が200mg/g以上500mg/g未満、(2)eGFRが25mL/分/1.73m2以上90mL/分/1.73m2未満、かつ尿中アルブミン/クレアチニン比が500mg/g以上3,500mg/g未満、とし、登録前4週間以上レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬)の安定かつ最大耐用量を服用しており、スクリーニング時の血清カリウム値が4.8mmol/L以下とした。 1型および2型糖尿病を有する患者、HbA1cが6.5%以上、駆出率低下を伴う症候性心不全を有する患者などは除外された。 適格患者をフィネレノン10mg群、同20mg群、プラセボ群に無作為に割り付け、RAS阻害薬の安定かつ最大耐用量に加えてそれぞれ1日1回経口投与した。 主要アウトカムは、ベースラインから32ヵ月時までのeGFRの年間平均変化率(総eGFRスロープ)で、探索的評価項目として糸球体疾患を有する患者集団(治験責任医師により糸球体疾患と診断された対象者)における総eGFRスロープ、ベースラインから12ヵ月時までの尿中アルブミン/クレアチニン比の変化、腎不全またはeGFRの40%以上の持続的な低下の複合アウトカムなどを事前に設定した。フィネレノン群で腎不全またはeGFR40%以上低下の複合リスクが26%減少 無作為化された1,584例のうち、903例(57.0%)が糸球体疾患を有していた。このうち416例(46.1%)が免疫グロブリンA腎症、215例(23.8%)が巣状分節性糸球体硬化症、90例(10.0%)が膜性腎症であった。糸球体疾患を有する患者集団は、平均年齢51.1歳(SD 13.6)、女性362例(40.1%)、アジア系558例(61.9%)、平均eGFRは48.8mL/分/1.73m2、尿中アルブミン/クレアチニン比の中央値は839.6mg/gであった。 糸球体疾患を有する患者集団において、ベースラインから32ヵ月時までの総eGFRスロープは、フィネレノン群で-3.50mL/分/1.73m2/年、プラセボ群で-4.23mL/分/1.73m2/年であった(群間絶対差は年間0.73mL/分/1.73m2、95%信頼区間[CI]:0.22~1.24)。 また、フィネレノン群ではベースラインから12ヵ月時までの尿中アルブミン/クレアチニン比が42%(95%CI:35~48)低下し、腎不全またはeGFRが40%以上低下するリスクをプラセボと比較して26%低減した(100患者年当たり7.42件vs.9.60件、ハザード比:0.74、95%CI:0.57~0.97)。

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第322回 遅々として進まぬタスクシフト、「臨時的」に「輸液」に限った訪問看護ステーションヘの薬剤配置をもっと緩和せよと日本維新の会

日本医師会の松本会長が3期目へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。日本医師会は6月27日の定例代議員会で、任期満了に伴う役員改選を行いました。会長選は現職の松本 吉郎氏(埼玉)以外に届け出はなく、3期目続投が決まりました。副会長、常任理事など、ほかの役職の届け出もすべて定数通りでこちらも無投票でした。いずれも無投票となるのは坪井 栄孝元会長が3期目を決めた2000年以来とのことです。松本会長になる前の何回かの日医会長選は結構泥臭い戦いが繰り広げられていましたが、診療報酬本体の改定率が30年ぶりに3%超えの3.09%となった”実績”を前に、さすがに現職に反旗を翻す勢力は現れなかったということなのでしょう。松本会長は山口県出身の71歳。浜松医大卒業後、埼玉県医師会理事・常任理事、大宮医師会長、日本医師会常任理事を経て、2022年から現職を務めています。ちなみに、1982年まで25年間も日医会長を務めた武見 太郎氏以降、日医会長を3期以上務めた人物は、羽田 春兔氏(4期)、坪井氏(4期)、横倉 義武氏(4期)、松本会長の4人しかいません。次の2年を無事乗り切れば、松本会長は歴史に残る“大会長”の仲間入りということになります。ということで、日本医師会の新体制も決まり、遅れていた財政制度審議会・分科会の通称「春の建議」(政府の経済財政運営と改革の基本方針[骨太の方針]を見据えた意見書)も6月26日にやっと出て、現時点で医療政策の方向性をリサーチするためのイベントは、残るは「骨太の方針」だけとなりました。通常は5月に出ているはずの「春の建議」もなかなかに読ませる内容になっていますが、今回は、6月16日、日本維新の会が「骨太の方針」に向けて行った提言に興味深い項目がありましたので、その内容を紹介したいと思います。日本維新の会が骨太に向けて「医療・介護、労働分野における社会実装の加速」を提言日本維新の会は6月16日、規制改革などを求める提言を城内 実規制改革担当相と遠藤 敬首相補佐官(連立合意政策推進担当)に提出しました。「日本再起への次なる一手~規制改革を中核とする経済成長戦略~」と題する提言書は、2025年10月の連立政権合意「日本再起への12本の矢」に続く次なる改革の柱として打ち出すもので、「副首都の実現に向けた官民連携・規制緩和の活用」「AI時代における社会実装の加速」などの各論項目とともに、「医療・介護、労働分野における社会実装の加速」も中心的な各論項目に加えられています1)。その中では、1)医療等データの利活用の抜本的拡大 、2)医療現場におけるタスクシフト・タスクシェアの推進 、3)医療AIの社会実装、4)医療法人の経営に関する制度の在り方の検討、5)かかりつけ医機能の強化に向けた総合診療科の制度的位置づけの見直し──の5点を提言しています。「訪問看護ステーションへの薬剤配置が認められていないため、患者ごとに予測される薬剤を事前に処方するという非効率な運用が常態化」私が注目したのは、2番目の「医療現場におけるタスクシフト・タスクシェアの推進」です。提言では、現状、医師から看護師へのタスクシフトについては、特定行為研修制度の下で一定の進展が見られるとしつつ、「看護師から介護職へのタスクシフトは依然として進んでいない。例えば、介護職による胃ろうからの栄養投与は認められている一方で、内服薬の投与は看護師でなければ行うことができず、合理的な区分とは言い難い」と指摘、そして、「訪問看護ステーションへの薬剤配置が認められていないため、発熱等の急変時に解熱剤等を即時に提供することができず、患者ごとに予測される薬剤を事前に処方するという非効率な運用が常態化している」とステーションにおける現状の問題点を挙げた上で、「政府は、医療現場におけるタスクシフト・タスクシェアの推進を、政府の規制改革の重要課題として位置づけ看護師から介護職への業務範囲の合理的な見直し、訪問看護ステーションへの薬剤配置等に取り組むべきである」としています。3年前、日本薬剤師会は「薬剤師の調剤権の侵害」として大反対訪問看護ステーションへの薬剤配置問題については、3年前、2023年の本連載「第162回 止められない人口減少に相変わらずのんきな病院経営者、医療関係団体(後編)『看護師に処方権』『 NP国家資格化』の行方は?」でも取り上げました。この時は、政府の規制改革推進会議で議論が進められている、訪問看護ステーションに配置可能な医薬品の拡大案について、日本薬剤師会の山本 信夫会長(当時)が「配置可能薬を拡大するということについては断固反対という立場だ」と語ったというニュースとともに、規制改革推進会議での議論の状況を紹介しました。当時、規制改革推進会議では「薬局の遠隔倉庫」案などが検討されていました。薬剤師はオンラインで訪問看護ステーションに配置された薬剤を遠隔管理(倉庫室温、ピッキングの適切性、在庫など)し、薬局がステーションに随時医薬品を授与。一方、ステーションの看護師は、必要に応じて医師の指示内容を薬局と共有、処方箋の写しに基づいてステーションの倉庫から薬剤をピッキング、患者に投薬するというスキームでした。しかし、こうした案に対し、当時の日本薬剤師会は「薬剤師の調剤権の侵害」として大反対していたのです。なお、規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキング・グループの中には一定の条件下で訪問看護師が処方箋を発行して投薬できるようにする、という大胆な規制緩和策を提案する委員もいました。2025年12月の通知で「臨時的な対応」として訪問看護ステーションへの輸液の配置が認められるそれが3年前のことですが、訪問看護ステーションへの薬剤配置は依然十分な形では実現していません。この問題は、2022年の秋から内閣府の規制改革推進会議のワーキング・グループで検討されてきた問題で、2025年5月に出された「規制改革推進に関する答申」では、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供」として取り上げられ、「地方公共団体や関係団体等に対する要請や、個別の患者の状態や状況に応じ、在宅患者の療養を担う医師、薬剤師、訪問看護師等の協議の下、在宅患者の急な状態変化への対応のために必要な医薬品として、新たな品目(例:輸液)を事前に訪問看護ステーションに配置することを可能とする」と、2025年度中に所要の措置を講ずるとしていました。そして、2025年12月25日付の通知「指定訪問看護事業者における医薬品の取り扱いについて」2)が発出され、まずは輸液を対象にして、あくまでも「臨時的な対応」として訪問看護ステーションへの薬剤配置が認められました。「医師から看護師へのタスクシフト」も不十分では?3年前には「訪問看護師に処方箋を発行できるようにせよ」という意見すらあったにもかかわらず、「臨時的な対応」で輸液のみ配置というところに、規制改革の難しさ、壁の厚さを感じます。日本維新の会の今回の提言は、「発熱等の急変時に解熱剤等を即時に提供することができず、患者ごとに予測される薬剤を事前に処方するという非効率な運用が常態化している」と、輸液にとどまらず、広くコモンディジーズに用いる解熱剤等も配置できるようにせよ、と言っているわけです。無薬局地域の存在や、夜間・休日に非対応の薬局が少なくないことから考えても、まったくの正論と言えるでしょう。ところで、日本維新の会は、「医師から看護師へのタスクシフトについては、特定行為研修制度の下で一定の進展が見られる」としていますが、本当にそうでしょうか?たとえば米国では、ナースプラクティショナー(NP)に一定の処方権を与えている州もあります。そうした状況と比べても、日本の看護師へのタスクシフトの不十分さは明らかです。その延長線で言えば、老人保健施設など高齢者施設の施設長は、最新医学に疎いことの多いリタイア前の老齢医師ではなく、高齢者医療の教育を受けた看護師が務めてもいいと思うのですがいかがでしょう。NP創設に一貫して反対してきた日本医師会は断固反対だとは思いますが。参考1)日本再起への次なる一手~規制改革を中核とする経済成長戦略~/日本維新の会2)指定訪問看護事業者における医薬品の取扱いについて/厚生労働省

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アレルギー性鼻炎はアルツハイマー病のリスク因子?

 神経炎症は、アルツハイマー病(AD)の病態形成に関与していることから、公衆衛生上の懸念が高まっている。一般的な慢性炎症性疾患であるアレルギー性鼻炎は、全身性炎症の一因となり、ADリスクに影響を及ぼす可能性がある。台湾・台北医学大学のShih-Han Hung氏らは、アレルギー性鼻炎の既往歴とその後のAD発症との関連を詳細に評価するため、台湾の大規模かつ代表的なコホートを用いて検討を行った。Scientific Reports誌オンライン版2026年5月2日号の報告。 台湾の国民健康保険研究データベース(LHID2010)を用いた本ケースコントロール研究では、初めてADと診断された65歳以上のAD群4,681例および傾向スコアマッチングで抽出された対照群1万4,043例を対象とした。アレルギー性鼻炎の既往歴は、耳鼻咽喉科専門医による診断を含む、2回以上の臨床診断と定義した。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、潜在的な交絡因子を調整した後、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な内容は以下のとおり。・AD群におけるアレルギー性鼻炎の既往歴を有する割合は、対照群と比較し、有意に高かった(25.29%vs.21.01%、p<0.001)。・人口統計学的変数、社会経済的地位、地理的要因、併存疾患(高脂血症、糖尿病、冠動脈疾患、難聴、高血圧を含む)で調整を行った結果、アレルギー性鼻炎の既往歴はAD発症リスクの上昇と強い関連が認められた(調整OR:1.279、95%CI:1.182~1.384)。・この関連性は、男性(調整OR:1.196、95%CI:1.053~1.358)と女性(調整OR:1.339、95%CI:1.210~1.482)の両方において統計学的に有意であった。 著者らは「本研究において、アレルギー性鼻炎の既往歴とアルツハイマー病発症リスク上昇との間に有意な関連性が認められることを示唆している。これらの知見は、慢性末梢炎症が神経変性に関連する可能性のある因子であることを浮き彫りにしている」としている。

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高齢の糖尿病を有する人の薬物治療の限界はどこか/日本糖尿病学会

 第69回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:下村 伊一郎氏[大阪大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科学 教授])が、5月21~23日の日程で、大阪国際会議場、リーガロイヤルホテル大阪をメイン会場に開催された。 今回の学術集会は「IMAGINE いのち輝く 糖尿病の医療・医学を共に目指して」をテーマに、41のシンポジウム、143の口演、ポスターセッション、会長特別企画による講演、特別企画「糖尿病とともに生活する人々の声をきく」などが開催された。 高齢の糖尿病を有する人では、糖尿病本態だけでなく、心血管障害や認知障害、運動器障害などさまざまな疾患を併存しているケースが多く、治療薬の選択やアドヒアランスのフォローなど考慮することが多岐にわたる。実臨床ではどのように診療を進めるべきであろうか。そこで本稿では、シンポジウム34「超高齢時代のダイアベティス治療はいかにあるべきか」(日本糖尿病学会・日本糖尿病協会合同シンポジウム)より清野 祐介氏(藤田医科大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科学/関西電力医学研究所糖尿病研究センター)の「超高齢2型糖尿病の至適な薬物治療の限界」の講演概要をお届けする。治療薬の工夫が重要な高齢の糖尿病を有する人 高齢の糖尿病を有する人では、糖尿病は高血糖、低血糖、フレイル、サルコペニア、認知機能低下の危険因子となる。また、加齢による肝機能、腎機能の低下がみられることから治療薬の選択では、バランス調整が必要になる。『糖尿病治療ガイド2024』(編集:日本糖尿病学会)では、高齢の糖尿病を有する人の治療の留意点を示しており、「低血糖を避けながら、高血糖をおだやかに是正することが必要」としている。また、糖尿病合併症や他の疾患との併存が多く、服薬数が多くなるのも特徴である。 このような多剤併用はアドヒアランスの低下を来し、高血糖や重症低血糖など致死的なリスクが高くなる。そのために服薬回数の減少や服薬タイミングの統一、一包化、配合薬の選択などが行われているが、緊急時の対応への準備も必要となる。日本糖尿病学会と日本老年医学会が共同制作した『高齢者糖尿病診療ガイドライン2023』(編集:日本老年医学会)では、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」が示されており、3つのカテゴリー別と重症低血糖が危惧される薬剤(インスリンやスルホニル尿素薬[SU薬]など)の使用の有無で、HbA1cの目標値と下限値が示されている。現段階で、超高齢の糖尿病を有する人にこのHbA1cの目標値があてはまるかどうかは不明である。よく理解しておきたい糖尿病治療薬の高齢の患者への影響 糖尿病の治療において、体重を減らすことは、インスリン感受性や糖代謝を改善するのに効果的とされているが、高齢の糖尿病を有する人では、筋肉量や骨量の低下があり、配慮する必要があるとされる。また、高齢の糖尿病を有する人に糖尿病治療薬を使用する際の懸念点としては、たとえばα-グルコシダーゼ阻害薬では服用回数が多い、SGLT2阻害薬では体重減少、チアゾリジン薬では心不全の増悪や女性では骨折リスクの増加、ビグアナイド薬では腎機能低下時に乳酸アシドーシスのリスクの出現、GLP-1受容体作動薬では体重減少、SU薬やグリニド薬では単独で低血糖のリスクが高くなるなどが挙げられる。そのほか、高齢の糖尿病を有する人に頻用されているDPP-4阻害薬では、演者の経験としては便秘など消化器症状の頻度も高く、重症例では腸閉塞を来す例もみられたという。とくに高齢の糖尿病を有する人は、在宅で診療をされている患者が多く、主治医が適切なタイミングでこうしたリスクを防ぐことができるか課題であると指摘する。高齢の糖尿病を有する人にはSU薬とDPP-4阻害薬の使用が多い 糖尿病治療薬の使用などについて、清野氏らが行った多施設共同研究の一端に触れた。この研究では、65歳以上の糖尿病、慢性腎疾患、そのいずれかまたは両方の疾患の患者を対象としたもので、参加施設は糖尿病、腎臓病の専門医を中心とした多職種連携が行われている施設。参加者は1,355例で、65~74歳は767例、75~84歳が523例、85歳以上が65例。これらの参加者のBMI、骨格筋量(SMI)、HbA1c、eGFRなどの数値を計測した。 その結果、85歳を区切りとしてみると、85歳以上では握力、筋力が65~84歳群との比較で顕著に低下していた。使用されている治療薬について85歳以上では体重減少に働くようなSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬の使用頻度が低くなっていた。また、乳酸アシドーシスのリスクからビグアナイド薬、心不全のリスクからチアゾリジン薬の使用頻度も低い一方で、SU薬とDPP-4阻害薬は高頻度で使用されていた。また、予想に反してグリニド薬、α-グルコシダーゼ阻害薬の使用が多く、その理由として「参加者の自己管理能力が高かったことが推定される」と述べた。 本研究では、糖尿病診療支援が整った医療施設で食事療法も薬物療法もしっかりでき、通院や歩行にも問題がない参加者を対象としていることから、このような結果につながったと推察している。しかし、実臨床の現場では、通院ができずに糖尿病非専門医による在宅医療を受けているケースが多く、治療薬剤の選択、血糖マネジメントの目標をどこにおくのかなど糖尿病学会の推奨があまり知られていないこと、あるいは超高齢の糖尿病を有する人の治療に関するガイドラインがないことが現状の問題点となっていると述べた。さらに90歳以上の2型糖尿病を有する人を対象とした大規模臨床試験は皆無であり、複雑な背景をもつ症例への的確なアプローチをいかに構築するかが課題であると指摘した。高齢の糖尿病を有する人の治療最適化には多職種・在宅医療連携が重要 高齢の糖尿病を有する人の症例を1つ挙げ、介護施設などでの診療の難しさを説明した。症例は施設入所している91歳女性(要介護3)で認知症があり、車いすを使用、BMIは15.7でやせ型。インフルエンザで突然の意識障害があり、救急搬送された。来院時の血糖値は35mg/dLで急性低血糖にてブドウ糖静脈投与で意識回復をした。普段は、DPP-4阻害薬と少量のSU薬を服用している。腎機能は保たれているがHbA1cは5.4%であり、高齢者にとっては過度な管理で、低血糖のリスクが予想される症例だったという。日常から糖尿病をきちんと診療できる環境ではないことが予想され、治療目標、とくに下限目標の情報が診療する人、介護する人にきちんと行き届いていないのではないかと警鐘を鳴らす。また、在宅医療など超高齢糖尿病を有する人の診療現場では糖尿病専門医が予想していないような治療上の悩みも多々見受けられる。そこで、日本糖尿病協会(JADEC)では、「JADEC在宅医療・介護支援Q&A集」を作成するとともに、在宅・介護の診療現場からの質問を募っている。清野氏は、今後、こうした診療現場の情報を集積し、在宅・介護の診療現場用のJADECカードシステムによる糖尿病支援ツールセットを作成していく必要があると提言を行った。 高齢の糖尿病を有する人の治療では、『高齢者糖尿病診療ガイドライン』があるものの、90歳以上の超高齢者を対象としたエビデンスは乏しい。実臨床では認知機能、ADL、介護力が治療を規定するが、高齢者では厳格な血糖管理より低血糖回避と何よりも患者の生活維持が重要だと考える。 おわりに清野氏は、「今後の高齢の糖尿病を有する人の診療では、患者の体重や握力測定など定期的な確認も大切であり、治療の最適化には多職種・在宅医療連携が重要になる」と語り、講演を終えた。

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基礎インスリン治療中の2型DM、CagriSemaがHbA1cと体重を改善/Lancet

 2型糖尿病の基礎インスリン療法は、血糖コントロールが不十分になることが多く、これが体重増加や低血糖リスクの増大と関連するとされる。CagriSemaは、cagrilintide(長時間作用型アミリン受容体作動薬)とセマグルチド(GLP-1受容体作動薬)の固定用量配合薬で、相互補完的な異なる機序を介して血糖コントロールに有益な効果をもたらす可能性が示唆され、両薬とも低血糖のリスクを増大させずに体重減少効果を示し、セマグルチドは心腎への有益な効果も確認されている。米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのJulio Rosenstock氏らは「REIMAGINE 3試験」において、基礎インスリン療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者において、プラセボと比較してcagrilintide/セマグルチド配合薬の追加が、臨床的に意義のある糖化ヘモグロビン(HbA1c)値の低下とともに、顕著な体重減少をもたらし、低血糖リスクは増加しないことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2026年6月7日号で報告された。2種の用量を評価する無作為化第III相試験 REIMAGINE 3試験は、日本を含む6ヵ国46施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験(Novo Nordiskの助成を受けた)。2024年3~11月に、年齢18歳以上、スクリーニングの180日以上前に2型糖尿病と診断され、メトホルミンの有無を問わず、安定した1日1回の基礎インスリン療法を受けており、HbA1c値が7.0~10.5%、BMI値25以上の参加者を登録した。 被験者(274例、平均年齢59.0[SD 10.2]歳、女性115例[42%]、アジア人125例[46%])を、cagrilintide/セマグルチド(各2.4mg)配合薬(90例、各2.4mg配合薬群)、cagrilintide/セマグルチド(各1.0mg)配合薬(93例、各1.0mg配合薬群)、各用量の適合プラセボ(91例)の皮下投与を週1回受ける3つの群に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、ベースラインから40週までのHbA1c値の変化量とした。2つの用量とも平均HbA1c値<7.0%を達成 ベースラインの全体の2型糖尿病の平均罹患期間は14.9(SD 7.6)年、平均体重は88.2(SD 17.9)kg、平均BMI値は31.6(SD 5.9)、平均HbA1c値は8.8(SD 1.0)%であった。234例(85%)がメトホルミンの投与を受けていた。 40週時のHbA1c値の平均変化量は、プラセボ群が-0.66%(SE 0.11)であったのに対し、cagrilintide/セマグルチドの各2.4mg配合薬群は-2.33%(SE 0.08)、各1.0mg配合薬群は-2.10%(SE 0.08)であり、プラセボ群との推定群間差は各2.4mg配合薬群が-1.68%ポイント(95%信頼区間[CI]:-1.95~-1.41、p<0.0001)、各1.0mg配合薬群は-1.44%ポイント(95%CI:-1.71~-1.17、p<0.0001)と、いずれも低下幅が有意に大きかった。40週時の平均HbA1c値は、各2.4mg配合薬群が6.45%、各1.0mg配合薬群が6.68%といずれも7.0%未満を達成した(プラセボ群は8.13%)。 また、プラセボ群に比べ2つの用量のcagrilintide/セマグルチド群はいずれも、40週時の平均HbA1c値<7.0%の達成率(各2.4mg配合薬群59.2%[95%CI:51.8~66.6]、p<0.0001、各1.0mg配合薬群53.7%[95%CI:46.0~61.4]、p<0.0001)、同平均HbA1c値<6.5%の達成率(54.2%[95%CI:47.4~61.0]、p<0.0001、42.2%[95%CI:35.1~49.3]、p<0.0001)、40週時の空腹時血糖値の変化量(-1.6mmol/L[95%CI:-2.2~-1.0]、p<0.0001、-1.2mmol/L[95%CI:-1.9~-0.5]、p=0.0013)、同基礎インスリンの1日用量の変化量(-20U[95%CI:-24~-16]、p<0.0001、-20U[95%CI:-24~-16]、p<0.0001)が有意に良好であった。体重が10~12%減少、重度低血糖の報告はない ベースラインから40週までの体重の変化量は、プラセボ群が+1.1%(SE 0.4)であったのに対し、各2.4mg配合薬群は-12.0%(SE 0.7)、各1.0mg配合薬群は-10.4%(SE 0.7)であり、プラセボ群との推定群間差は各2.4mg配合薬群が-13.1%(95%CI:-14.7~-11.5、p<0.0001)、各1.0mg配合薬群は-11.6%(95%CI:-13.2~-9.9、p<0.0001)と、いずれも大きな差を認めた。 安全性プロファイルは、GLP-1受容体作動薬の薬剤クラスおよびcagrilintideのこれまでの安全性データと一致していた。有害事象は、各2.4mg配合薬群の80%(72/90例)、各1.0mg配合薬群の71%(66/93例)、プラセボ群の71%(65/91例)で報告された。そのほとんどが軽度または中等度の胃腸障害であった。 また、重度の低血糖の報告はなかった。各1.0mg配合薬群で、治療とは関連のない死亡を1例(悪性腫瘍)認めた。 著者は、これらの知見は、「1日1回の基礎インスリン療法への追加療法としてcagrilintide/セマグルチド配合薬を使用すると、血糖コントロールを有意に改善できることを裏付けるもの」「基礎インスリンに加えてさらなる治療強化を行う場合に、体重増加や低血糖のリスク、治療の複雑化による制限を受けやすい患者集団において、とくに臨床的に意義深いものである」としている。

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超音波パッチでハイリスク妊娠の異常を早期発見へ

 お腹の中で胎児と臍帯が絶えず動いていても、それらを連続的かつ自動的にモニタリングできるウェアラブル超音波パッチ(UPatch)に関する研究成果が報告された。このパッチには柔軟性があり、腹部に貼り付けて使用するもので、取得された超音波データはケーブルを介してコンピューターへ送信される。妊婦62人を対象とした今回の試験では、このパッチが従来の超音波診断装置とほぼ同等の性能を示すことが確認された。研究グループは、このパッチによりハイリスク妊娠において異常を早期発見できる可能性があると見ている。米スタンフォード大学医学部麻酔学・周術期医療・疼痛医学分野のGeonho Park氏らによるこの研究結果は、「Nature Biotechnology」に5月26日掲載された。 通常の超音波検査では、専門的な訓練を受けた検査技師がプローブを操作して対象を追跡し続けなければならず、また、決められた時間内に胎児の様子をその時点のスナップショットとしてしか評価できないという欠点があった。これに対して研究グループが開発したUPatchには、超音波画像から血管などの対象構造を自動認識する技術が用いられており、胎児または母親が体位を変えても臍帯が自動追跡される。パッチは、臍帯を構成する主要な3本の血管(2本の動脈と1本の静脈)を画像化でき、胎児の主要動脈の血流も測定できる。さらに、頭囲、腹囲、脚長を追跡して胎児の体重の推定にも利用できる。 今回の研究では、2カ所の医療施設の妊婦62人を対象に、UPatchによる妊娠モニタリングの有効性を検討した。対象には、正常妊娠の妊婦だけでなく、SGA(在胎週数に比して小さい)児やLGA(在胎週数に比べ大きい)児を有する妊婦や、妊娠糖尿病や妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧症の妊婦も含まれていた。 その結果、UPatchの測定値は、携帯型の臨床用超音波装置による測定値と良好に一致することが確認された。さらに、52人分の連続モニタリングデータを解析した結果、データはそれぞれの周産期の状態の特徴をよく反映していることも示された。 研究グループによると、1例では、UPatchが妊娠の継続と児の救命に貢献したという。Park氏はニュースリリースで、「彼女は妊娠28週で、分娩にはまだかなり早い時期だった。最初の検査では、胎児の心拍数は正常だった。しかし、血流のシグナルにはかなりの異常が認められた」と述べている。超音波データでは、臍帯内の血流に大きな変動が認められた。健康な妊娠では、この時期の血流は通常安定していることから、これは問題が生じている可能性を示す兆候と考えられた。同氏は、「装置に不具合がある可能性を疑い、全てを確認したが、装置自体に問題はなかった。そこで、その場にいた医師らにデータを見せたところ、胎児が危険な状態にある可能性が高いとの見解で一致した」と話す。 その後の追加検査により、胎盤に異常が生じていたことが確認され、その4日後に帝王切開を実施した。出生した児は、新生児集中治療室(NICU)での治療を受けた後、良好な経過をたどった。Park氏は、「ウェアラブル超音波技術は、これまで不可能だった形で継続的な胎児モニタリングを可能にし、妊娠転帰を改善する可能性を秘めている」と述べている。 研究チームは現在、UPatchの有効性についてさらなる検証を進めている。スタンフォード大学医学部のハイリスク妊娠専門産科医であり、今後の検証研究に参加予定のJane Chueh氏は、「胎盤の機能不全が疑われる症例では、胎児の健康状態を評価する上で臍帯動脈血流は重要な指標の一つである。現在、ハイリスク妊娠の患者では、医師が必要な情報を必要なタイミングで得ることが難しい場合があるが、このデバイスによって、その情報をはるかに容易に取得できるようになるのではないか」とコメントしている。

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糖尿病の心血管疾患1次予防のアスピリン【日常診療アップグレード】第59回

糖尿病の心血管疾患1次予防のアスピリン問題66歳女性。6ヵ月前に2型糖尿病と診断され、メトホルミンとセマグルチドを使用中である。自覚症状はない。他に高血圧と脂質異常症がある。父親は55歳で心筋梗塞を発症している。その他の服用薬はアトルバスタチンとリシノプリルである。バイタルサインは、血圧122/74mmHg、脈拍数78回/分である。BMIは28である。その他の所見に異常はない。LDLコレステロール67mg/dL、HbA1c 6.5%。アスピリンを処方するか迷ったが、このまま経過を観察することとした。

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英語論文を理解する方法(後半)【タイパ時代のAI英語革命】第15回

前回に続き、英語の論文をChatGPTを使って深く読む方法をお伝えします。3)Results(結果)を読み解くResultsは、研究から得られたデータや事実を記述するパートです。このセクションには筆者の意見や解釈は基本的に含まれず、客観的な結果のみが示されています。そのため、文章構造は比較的シンプルであり、日本語の医学論文を読める方であれば英語論文でも読みやすい部分といえるでしょう。ただし、論文を読み慣れていない方にとっては、数字や英語の専門用語が多く、読みづらいと感じることもあります。そのような場合は、以下のプロンプトを活用することで、情報を正確に整理・把握しやすくなります。注意点として、ChatGPTを利用する際、まれに表現された数値と実際の本文の数値にわずかなズレが生じることがあります。これは、生成AIが数値処理にやや弱いという性質によるものであり、結果の検証には必ず元の論文の本文と照らし合わせて確認することを推奨します。プロンプト例あなたは英語医学論文の査読アシスタントです。私は医療者ですが、この論文の専門外です。PDFファイルから抽出したmanuscriptのResults部分のみを対象にしてください。#手順1.Resultsの本文を段落ごとに分け、[P1], [P2], …と番号を付与。2.解析タスクを順に実施。引用は原文の短いフレーズ(最大30語以内)+段落番号を併記。#解析タスクA.研究対象の記述(症例数、群分け、脱落数など)B.アウトカム(primary outcomeの結果、secondary outcomesの結果、なければ「記載なし」)C.数値の整理(effect size、信頼区間、p値など、表形式でまとめてもよい)D.図表の内容(本文で言及されている場合のみ要約)E.有害事象・安全性関連の結果F.結果のばらつき・サブ解析#出力フォーマット1.日本語翻訳:Results全文の日本語訳2.要約:数行で簡潔に3.詳細解析:解析タスクの見出しごとに整理(段落番号付き)4.用語、数値ミニ辞書:本文で初出する英略語・英語の専門用語、主要統計量・数値の意味を簡潔に日本語で補足#制約-本文にない事実は書かない-本文以外の外部知識は使わない-不明点は「記載なし」と明記-解釈や考察は一切加えない-簡潔な日本語、箇条書き中心-数字や結果は正確に整理して記載-Markdown形式で出力4)Discussion(考察)を読み解くDiscussionは、論文の「核」あるいは「華」ともいえる重要なセクションです。ここでは筆者がResultsのデータや既存研究、医学的背景知識などを総合して、自らの意見や解釈を述べます。この部分を読み解くことで、その論文が医学・臨床においてどのような意義を持つのか、また今後の研究にどのような方向性を示唆しているのかを理解しやすくなります。以下に、Discussionセクションを読み解くためのプロンプトをご紹介します。プロンプト例あなたは英語医学論文の査読アシスタントです。私は医療者ですが、この論文の専門外です。PDFファイルから抽出したmanuscriptのDiscussion部分のみを対象にしてください。#手順1.Discussion本文を段落ごとに分け、[P1], [P2], …と番号を付与。2.解析タスクを順に実施。引用は原文の短いフレーズ(最大30語以内)+段落番号を併記。#解析タスクA.主な結果の要約(著者が本文でどうまとめているか)B.他研究との比較(既存文献との一致・不一致)C.結果の臨床的・学術的意義(本文の記載に限定)D.本研究の強み(なければ「記載なし」)E.限界(Limitationsを明記)F.今後の課題、将来の研究への示唆#出力フォーマット1.日本語翻訳:Discussion全文の日本語訳2.要約:数行で簡潔に3.詳細解析:解析タスクの見出しごとに整理(段落番号付き)4.用語ミニ辞書:本文で初出する英略語・英語の専門用語のみを簡潔に日本語で解説#制約-本文にない事実は書かない-本文以外の外部知識は使わない-不明点は「記載なし」と明記-簡潔な日本語、箇条書き中心-Markdown形式で出力Conclusion(結論)の扱いについて多くの医学論文にはConclusion(結論)セクションが含まれていますが、ここには新たな情報や複雑な議論はほとんど登場しません。基本的には、論文全体で筆者が伝えたいポイントを数文で簡潔にまとめたものです。したがってこの部分については、「このConclusionを日本語に翻訳してください」といったようなシンプルな日本語訳プロンプトだけで十分です。以上で、「英語医学論文を読み解くためのAI活用術」は終了です。これらのプロンプト例を上手に使いこなすことで、専門外の分野でも、医学論文を深くかつ正確に理解することが可能になります。ぜひ、論文抄読会や臨床研究、日常診療の情報収集に役立ててください。英語の医学論文を読めるようになったら、次回からは「英語医学論文を執筆するためのAI活用術」を紹介します。

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食直前投与が困難な血糖スパイクの患者、薬物動態から最適なα-GIを選択【うまくいく!処方提案プラクティス】第73回

 今回は、施設在住の高齢糖尿病患者の血糖スパイクに介入した事例を紹介します。担当医からα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)追加の方針が示されたものの、施設では食直前投与が困難という制約があり、薬物動態の観点から最適な薬剤を提案しました。施設や在宅の現場では、薬効だけでなく、その患者の生活環境で本当に飲み続けられるかを考えることが処方提案の出発点になります。患者情報90歳、男性(施設入居中)基礎疾患2型糖尿病(2021年~)、高血圧症、便秘症、心房中隔瘤、前立腺肥大症(2023年~)既往歴尿路感染症による入院ADLほぼ自立認知機能問題なし服薬管理施設職員が管理(キーパーソンは妹)介入時の検査値HbA1c 7.1%薬学的管理開始時の処方内容1.リナグリプチン錠5mg 1錠 分1 朝食後2.テルミサルタン・アムロジピン配合錠AP 1錠 分1 朝食後3.シロスタゾールOD錠50mg 2錠 分2 朝・夕食後4.ルビプロストンカプセル24μg 2カプセル 分2 朝・夕食後5.イメグリミン錠500mg 2錠 分2 朝・夕食後6.デュタステリドカプセル0.5mg 1カプセル 分1 朝食後7.ミラベグロン錠25mg 2錠 分1 朝食後本症例のポイント本患者は尿路感染症で入院し、その際に糖尿病の管理方針が変更となりました。それまで服用していたSGLT2阻害薬が休薬となり、DPP-4阻害薬(リナグリプチン)単剤に切り替えられた状態で施設に入居しました。退院時の血糖コントロールは空腹時90~130mg/dL、食後180mg/dL前後とおおむね良好でしたが、施設入居後のモニタリングで食後血糖が313mg/dLに達する血糖スパイクが確認されました。心房中隔瘤を有し、心血管リスクも考慮が必要な患者であることから、食後高血糖の是正は重要な課題となりました。施設では食直前投与が困難担当医よりα-GI追加の意向が示され、候補としてボグリボースが挙がりました。しかし、ここで問題となったのが施設の服薬管理の制約です。施設では食事直前に薬を渡すことが難しく、食直前投与の薬剤の追加には現実的な壁がありました。ボグリボースやアカルボースは、食物とともに腸内に存在して初めて二糖類の消化・吸収を阻害するため、食直前投与が必須とされています1)。食後に投与した場合は消化・吸収が先行してしまい、治療効果が著しく減弱します。つまり、もし食後投与になってしまうと、処方は出たが効かないという状況になりかねません。この問題を解決するために、私はα-GIの中でも薬物動態が異なるミグリトールに着目しました。ミグリトールは他のα-GIとは異なり、小腸上皮に直接吸収されてα-グルコシダーゼを阻害する機序をもちます2)。この特性により、食後投与でもAUCは食前投与と同等であることが報告されており3)、施設の制約下でも十分な効果が期待できると判断しました。他の合併症との相性さらにもう1つのポイントとして、患者の合併症との相性がありました。患者はルビプロストンを服用している便秘症の患者です。ミグリトールは他のα-GIと比較して便秘よりも下痢を来しやすい特性があります2)。便秘傾向のある患者においては、この副作用プロファイルがむしろ適していると考えられました。医師への提案と経過担当医に対して、以下の内容をメディカルケアステーション(ICT)にて情報提供しました。【現状報告】施設の服薬管理上、食直前投与が困難な環境である。ボグリボースやアカルボースは食直前投与が必須であり、食後投与では効果が減弱する。【懸念事項】食直前投与が守られない場合、α-GI本来の食後血糖抑制効果が得られず、血糖スパイクの改善につながらない可能性がある。【提案内容】食後投与でも効果が保持されるミグリトール錠50mg 2錠 分2 朝夕食後への変更(超高齢、腎機能低下を考慮して2錠朝夕食後に減じる設計としました)。消化器副作用プロファイルが便秘症の患者に適している。担当医より提案が採用され、ミグリトール錠50mg 2錠 分2 朝夕食後に変更となりました。施設スタッフには食後投与のタイミングと、腹部膨満感や排便状況の悪化(下痢)の観察ポイントについて情報共有を行いました。ミグリトール開始1ヵ月後より食後血糖は200mg/dL前後へと改善傾向を示しました。2ヵ月の管理期間を通じて低血糖・消化器症状の著明な増悪は認められず、HbA1cは6.8と改善傾向で推移しました。施設での服薬管理上の問題も生じず、アドヒアランスは良好に維持されました。考察:この事例から学んだこと処方提案においては、何を提案するかと同じくらいその患者の環境で本当に実行できるかどうかが重要となります。薬効・薬物動態・患者背景・生活環境を掛け合わせて考える視点が、施設や在宅の現場ではとくに求められます。今回の症例は、薬剤師ならではの視点が患者のアドヒアランスと治療効果の両立につながった一例です。 1) 日本糖尿病学会編. 糖尿病治療ガイド2024. 文光堂;2024. 2) ミグリトール錠50mg「BMD」インタビューフォーム 3) Ito H, et al. J Diabetes Investig. 2014;5:165-170.

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美容目的でのチルゼパチド使用に伴う正常血糖ケトアシドーシス

 糖尿病や肥満のない若年女性が、美容目的でチルゼパチドを使用した後、正常血糖ケトアシドーシスを来したという症例報告がなされた。監物 諒相氏、沖田 朋憲氏(大阪けいさつ病院)らが、JCEM Case Reports誌2026年4月8日号で報告した。監物氏、沖田氏らは、チルゼパチド使用後の食欲低下や重度の消化器症状に伴う急性のカロリー不足が、ケトアシドーシス発症に関与した可能性を指摘し、美容目的の適応外使用に注意を促している。2回目投与後に悪心・嘔吐・下痢が発現 症例は20代の日本人女性。糖尿病、飲酒歴、糖質制限食の実施はなかった。身長156cm、体重58.9kg、BMI 24.2kg/m2であった。美容目的の体重減少を目的に、美容クリニックを通じてチルゼパチドを使用し、継続的な医学的管理を受けないまま、チルゼパチド2.5mgを週1回、計2回自己投与した。 初回投与後から食欲低下と摂食量低下を認め、2回目投与後に強い悪心、嘔吐、下痢が発現した。症状は4日間持続し、近医でブドウ糖含有輸液を受けた後、大阪けいさつ病院へ搬送された。来院時の体重は53.8kg、BMI 22.1kg/m2であり、約10日間で約5kg減少していた。身体所見では蒼白、疲労感に加え、発熱(38.4℃)を認めた。pH正常でもアニオンギャップ開大 入院時検査では、pH 7.41、HCO3- 17.7mmol/L、アニオンギャップ25.9mmol/L、β-ヒドロキシ酪酸5.5mmol/L、アセト酢酸1.4mmol/L、血糖196mg/dL、HbA1c 5.5%であった。pHは正常範囲内であったが、HCO3-低下、アニオンギャップ開大、ケトン体著明高値といった所見から、高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスと判断され、嘔吐に伴う代謝性アルカローシスの合併も示唆された。 血糖値は196mg/dLと軽度高値を示したが、正常血糖ケトアシドーシスの血糖基準である250mg/dL以下であった。インフルエンザウイルスおよび新型コロナウイルス抗原検査は陰性で、画像検査や血液・尿・便の細菌学的検査でも明確な感染は同定されなかった。以上から、チルゼパチド使用と時間的に関連した正常血糖ケトアシドーシスと判断された。輸液とインスリンで速やかに改善 治療として、生理食塩水による補液の後、ブドウ糖含有輸液、電解質補正、持続静注インスリンが行われた。インスリン投与は24時間継続され、入院翌日には代謝性アシドーシスが改善し、血清ケトン体も速やかに基準範囲内まで低下した。一方、悪心・嘔吐はしばらく持続した。輸液は5日間継続され、入院4日目に通常食を再開、入院6日目に薬剤なしで退院した。 退院2週間後の外来では、消化器症状の再燃はなく、食欲も回復していた。75g経口ブドウ糖負荷試験では、空腹時血糖88mg/dL、120分値101mg/dLであり、耐糖能は正常であった。このため、搬送時の軽度高血糖は、身体ストレスや搬送前のブドウ糖含有輸液の影響と考えられた。急性のカロリー不足が誘因か 著者らは、本症例の病態について、チルゼパチドによる食欲低下と重度の消化器症状により急性の異化状態が生じたことが関与している可能性を指摘した。加えて、発熱や生理的ストレス、脱水、急激な体重減少、さらにGIP受容体作動を介した脂質代謝への影響が、ケトーシスを増幅した可能性もあると考察している。 本症例報告について、筆頭著者および共同著者である監物氏、沖田氏にコメントを求めたところ、以下の回答が得られた。【監物氏・沖田氏のコメント】 本症例は1例の症例報告であり、チルゼパチド使用との因果関係を直接証明するものではありません。一方で、チルゼパチド使用中に強い消化器症状や摂食低下が持続する場合には、正常血糖ケトアシドーシスを念頭にケトン体やアニオンギャップも確認する必要があることを示唆しています。 チルゼパチドは適正使用下では重要な治療薬ですが、美容・痩身目的での安易な使用は重篤な健康被害につながる可能性があります。本報告が、チルゼパチドの適正使用の推進と、重篤な有害事象の早期発見・早期対応に役立つことを期待しています。

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関節リウマチでは効かなかったIL-17阻害薬がリウマチ性多発筋痛症で有効―REPLENISH試験(解説:金子 開知 氏)

 リウマチ性多発筋痛症は高齢者に多くみられ、肩や股関節周囲の強い疼痛と朝のこわばりを特徴とする。グルココルチコイドが著効する一方で再燃率が高く、長期グルココルチコイド投与による感染症、骨粗鬆症、糖尿病などの有害事象が大きな課題となっている。 REPLENISH試験では、再燃したリウマチ性多発筋痛症患者381例を対象にIL-17A阻害薬セクキヌマブの有効性および安全性を評価した。その結果、52週時の持続寛解率はセクキヌマブ群で約41%とプラセボ群(20%)の約2倍に達し、累積グルココルチコイド投与量も有意に減少した。感染症や過敏症反応はセクキヌマブ群でやや多く認められたものの、安全性プロファイルに大きな懸念は認められなかった。 リウマチ性多発筋痛症では近年、IL-6阻害薬が海外で有効性を示し、炎症性サイトカインを標的とした治療への期待が高まっている。一方、本試験でとくに注目されるのは、関節リウマチでは十分な効果を示せなかったセクキヌマブがリウマチ性多発筋痛症で有効性を示した点である。一般にリウマチ性多発筋痛症は高齢発症関節リウマチとの鑑別が問題となることも多いが、今回の結果はリウマチ性多発筋痛症と関節リウマチの免疫学的背景が異なることを示唆する。すなわち、関節リウマチでは主要な治療標的とならなかったIL-17/Th17経路がリウマチ性多発筋痛症の病態形成に重要な役割を果たしている可能性が示された。現在、日本ではリウマチ性多発筋痛症に対して承認された生物学的製剤はなく、本試験はグルココルチコイド依存からの脱却を目指す新たな治療戦略として注目される。

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以下の症例に対する前医の処方箋には「替えるべきポイント」が2つ隠れている。あなたは見抜けるか?【高齢者処方のデザイン】第3回

以下の症例に対する前医の処方箋には「替えるべきポイント」が2つ隠れている。あなたは見抜けるか?【症例】患者82歳・男性2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、慢性腎臓病(G3a)、慢性腰痛症の既往あり。HbA1c 6.4%、eGFR 55mL/分/1.73m2。2型糖尿病に対してグリメピリド、ピオグリタゾン、メトホルミンの3剤を内服中。高血圧に対してニフェジピンを内服中。脂質異常症に対してアトルバスタチンを内服中。早朝に冷や汗、動悸、倦怠感などの症状あり。自宅での簡易血糖測定で血糖値55mg/dLと低血糖を認め、救急車で搬送された。診察上、両下肢に下腿浮腫を認める。【Before:前医の処方箋】A)グリメピリド1mg 1日1回 朝食後B)ピオグリタゾン15mg 1日1回 朝食後C)メトホルミン500mg 1日2回 朝・夕食後D)ニフェジピン40mg 1日1回 朝食後E)アトルバスタチン10mg 1日1回 朝食後【ヒント】低血糖の原因となりやすい薬剤は何か。高齢者で避けるべき経口血糖降下薬について注目する。下腿浮腫の原因について、薬剤性の可能性はないか。A)グリメピリド1mg 1日1回 朝食後B)ピオグリタゾン15mg 1日1回 朝食後C)メトホルミン500mg 1日2回 朝・夕食後D)ニフェジピン40mg 1日1回 朝食後E)アトルバスタチン10mg 1日1回 朝食後【ヒント】低血糖の原因となりやすい薬剤は何か。高齢者で避けるべき経口血糖降下薬について注目する。下腿浮腫の原因について、薬剤性の可能性はないか。 1) By the 2023 American Geriatrics Society Beers Criteria Update Expert Panel. J Am Geriatr Soc. 2023;71:2052-2081. 講師紹介

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CKD合併糖尿病へのセマグルチド、心血管疾患の既往を問わず腎予後を改善(FLOW)

 2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)を併発している患者を対象に、GLP-1受容体作動薬セマグルチドの腎機能への影響を評価したFLOW試験のサブグループ解析の結果、セマグルチドは既往の心血管疾患や将来的なリスクにかかわらず、腎予後および生存を一貫して改善したことが、米国・University of Washington School of MedicineのKatherine R. Tuttle氏らによって示された。Journal of the American College of Cardiology誌2026年6月2日号掲載の報告。 FLOW試験は、2型糖尿病とCKDを有する患者集団において、セマグルチドの腎機能障害進行への影響を検討した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験。参加者をSGLT2阻害薬などを含む標準治療に加えて、セマグルチド1.0mgを週1回皮下投与する群またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、主要腎疾患イベント(透析、移植、eGFR<15mL/分/1.73m2の発生、eGFRのベースラインから50%以上の低下、腎臓関連または心血管関連の死亡の複合)とした。全死因死亡は副次的評価項目の1つであった。 主な結果は以下のとおり。・合計3,533例を中央値3.4年間追跡した。ベースライン時の平均年齢は66.6±9.0歳、女性が30.3%、平均eGFRは47.0±15.1mL/分/1.73m2、尿中アルブミン/クレアチニン比の中央値は567.6mg/gであった。・ベースライン時点で、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有していた患者が33.9%、心不全を有していた患者が19.2%、ASCVDや心不全の既往がない患者のうち10年間の心血管疾患発症リスクが高い(PREVENT予測式≧20%)患者が66.5%であった。・セマグルチド群では、プラセボ群と比較して、全体集団において主要評価項目である主要腎疾患イベントのリスクが24%低かった(1,767例中331例vs.1,766例中410例、ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.66~0.88、p=0.0003)。・セマグルチド群では、ASCVDの有無、心不全の有無、心血管疾患発症リスクの高低にかかわらず、一貫して主要腎疾患イベントのリスクが低かった。各サブグループにおけるセマグルチド群vs.プラセボ群のHRは以下のとおり。 -ASCVDあり群0.80 vs.なし群0.74(交互作用のp=0.62) -心不全あり群0.67 vs.なし群0.79(交互作用のp=0.40) -心血管疾患高リスク群0.73 vs.低リスク群0.73(交互作用のp=0.99)・3年間で1件の主要腎疾患イベントを予防するための治療必要数(NNT)は、ASCVD群で22、心不全群で13、心血管疾患発症高リスク群で17であった。・セマグルチドは、全死因死亡のリスクについても同様に一貫した低下をもたらした。 -ASCVDあり群0.82 vs.なし群0.78(交互作用のp=0.79) -心不全あり群0.75 vs.なし群0.81(交互作用のp=0.74) -心血管疾患高リスク群0.71 vs.低リスク群0.82(交互作用のp=0.63)・いずれのサブグループにおいても、セマグルチド群はプラセボ群に比べ、eGFRの年間低下速度を有意に抑制し、高感度C反応性蛋白(hsCRP)を約30%低下させた。 これらの結果より、研究グループは「セマグルチドは、2型糖尿病およびCKDを有する患者にとって、腎機能・心血管機能・生存の総合的なベネフィットをもたらすため、重要な治療戦略となりうる」とまとめた。

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コントロール不良な2型DM、orforglipron vs.ダパグリフロジン/Lancet

 メトホルミンでコントロール不十分な2型糖尿病患者において、orforglipron 3mg、12mgおよび36mgは、ダパグリフロジン10mgに対して、ベースラインから40週時のHbA1cの平均変化量に関して非劣性および優越性を示した。米国・Consano Clinical ResearchのMichelle Welch氏らACHIEVE-2 Trial Investigatorsが行った第III相多施設共同非盲検(部分盲検)無作為化試験「ACHIEVE-2試験」の結果で示された。安全性プロファイルは、有害事象による試験中止率の高さを含め、GLP-1受容体作動薬クラスの既知の報告と一致していた。著者は、「orforglipronは2型糖尿病の有効な経口治療薬として、選択肢の1つとなりうることが裏付けられた」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年6月8日号掲載の報告。6ヵ国で試験、40週時点の非劣性を評価 ACHIEVE-2試験は、6ヵ国(中国、ドイツ、メキシコ、ポーランド、台湾、米国)の73施設で実施された。対象は、メトホルミン(1,500mg/日以上)で血糖コントロール不十分(HbA1c:7.0~10.5%)、かつBMI値23.0以上で体重が安定している(±5%)2型糖尿病成人患者であった。 研究グループは適格患者をorforglipron 3mg群、12mg群、36mg群、またはダパグリフロジン10mg群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回40週間経口投与した。orforglipron群は、全例1mgより投与を開始し、4週時に3mgへ増量した後、割り付けられた用量に達するまで4週ごとに最大2倍増量した。なお、orforglipron群における投与量については盲検化されたが、ダパグリフロジン群への割り当てについては盲検化されなかった。 主要エンドポイントは、ベースラインから40週時のHbA1cの変化量で、orforglipron各用量のダパグリフロジンに対する非劣性(非劣性マージン0.3%)について評価した。 有効性の解析は無作為化されたすべての患者を対象とし、治療レジメン推定値(試験治療の中断や追加の血糖降下薬の開始有無にかかわらず、治療期間中に得られたすべてのデータ)に基づき、これを主要推定値とした。 安全性は、試験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者を対象に評価した。orforglipron全用量群のダパグリフロジン10mg群に対する非劣性および優越性を検証 2024年1月10日~2025年9月26日に、1,404例がスクリーニングを受け、962例が無作為化された(orforglipron 3mg群240例、12mg群241例、36mg群241例、ダパグリフロジン10mg群240例)。 ベースラインの患者背景は、女性474例(49%)、平均年齢56.1歳(SD 11.5)、HbA1cは8.14%(1.04)、2型糖尿病の罹病期間8.0年(6.7)、BMI値32.6(6.6)であった。 ベースラインから40週時のHbA1cの変化量の治療レジメン推定値について、orforglipron全用量群でダパグリフロジン10mg群に対する非劣性が認められた。同変化量は、orforglipron 3mg群-1.23%(SE:0.08)、12mg群-1.50%(0.08)、36mg群-1.56%(0.09)であり、ダパグリフロジン10mg群は-0.81%(0.07)であった。 ダパグリフロジン10mg群に対する推定治療群間差は、orforglipron 3mg群-0.42%(95%信頼区間[CI]:-0.62~-0.23)、12mg群-0.70%(95%CI:-0.90~-0.49)、36mg群-0.75%(95%CI:-0.96~-0.55)であり、orforglipron全用量群のダパグリフロジン10mg群に対する非劣性および優越性が認められた(すべてのp<0.0001)。 最も発現割合が高い有害事象は、軽度~中等度の消化器系イベント(悪心、下痢、嘔吐、便秘など)で、orforglipron 3mg群47%(112/240例)、12mg群46%(112/241例)、36mg群54%(130/241例)に認められたのに対し、ダパグリフロジン10mg群は12%(29/240例)であった。重症低血糖は報告されなかった。 試験薬投与中止は、orforglipron 3mg群15%(35/240例)、12mg群18%(44/241例)、36mg群20%(47/241例)、ダパグリフロジン10mg群6%(14/240例)であり、orforglipron群でより多く認められた。

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