PCOSの妊娠合併症、ミオイノシトールで軽減せず/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/09/22

 

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を有する女性の妊娠時におけるミオイノシトールサプリメントの摂取は、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症や早産の複合発生率を低下しなかった。オランダ・Amsterdam University Medical Center location AMCのAnne W. T. van der Wel氏らが無作為化試験の結果を報告した。PCOSの女性は妊娠時の合併症リスクが高いことが知られる。先行研究で、ミオイノシトールサプリメントの摂取は、これらのリスクを軽減する可能性があるとされていた。JAMA誌オンライン版2025年9月8日号掲載の報告。

妊娠8~16週目のPCOS女性を対象に二重盲検プラセボ対照無作為化試験

 研究グループは、PCOSの女性における妊娠時のミオイノシトールの毎日の服用が、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、早産の複合アウトカムのリスクを軽減するかどうかを評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。

 試験は、2019年6月~2023年3月に、オランダ国内の13病院(大学病院4、非大学教育病院9)で妊娠8~16週目のPCOS女性を登録して実施。最終フォローアップは2023年12月27日に完了し、解析は2024年7月に行われた。

 被験者は、ミオイノシトール2g+葉酸0.2mg含有の無味の粉末を1日2回摂取する群(ミオイノシトール群)、葉酸0.2mg含有の無味の粉末を1日2回摂取する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。両群で配布された粉末(小袋入り)は、見た目、味ともに同様だった。被験者は無作為化から出産まで1袋ずつを1日2回、食事に混ぜたり水やジュースに溶かしたりして摂取するか、直接摂取するよう指示された。

 主要アウトカムは、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、早産(妊娠37週目以前)の複合とした。

主要アウトカムのイベント発生率、25.0%vs.26.8%

 計464例(ミオイノシトール群230例、プラセボ群234例)が登録・無作為化された。平均年齢は31.5(SD 3.8)歳、18例(3.9%)がアジア人で395例(86.1%)が白人であった。

 ベースライン特性は、ミオイノシトール群がプラセボ群と比べて生化学的な高アンドロゲン血症の有病率が高かったこと(29.0%[53/183例]vs.18.5%[37/200例])を除き、両群に実質的な差はなかった。なお、主要アウトカムのデータは、ミオイノシトール群224例(97.4%)、プラセボ群228例(97.4%)について入手できた。

 主要アウトカムのイベント発生率は、ミオイノシトール群25.0%(56例)、プラセボ群26.8%(61例)であった(相対リスク:0.93、95%信頼区間:0.68~1.28、p=0.67)。

(ケアネット)