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EMPA-REG OUTCOME試験:糖尿病治療薬久々の朗報~治療学的位置付けは今後の課題~(解説:景山 茂 氏)-438

 慢性疾患の治療において、短期間の薬効を示す指標(surrogate endpoint)と長期間の治療による予後を示す指標(true endpoint)が乖離することが最初に示されたのは、1970年のUGDP研究である。この研究では、スルホニル尿素類のトルブタミド(商品名:ラスチノン)はプラセボおよびインスリンに比較して死亡率、とくに心血管死が有意に高いことが示された。その後、同研究により、現在は用いられていないビグアナイド類のフェンホルミンについてもトルブタミドと類似の結果が示された。その後も、チアゾリジンジオン類のロシグリタゾンについて、心筋梗塞を増やす可能性が示唆されている。 糖尿病特有の合併症である細小血管障害は、血糖コントロールと密接な関係があることが示されている。一方、大血管障害については、DCCT/EDICおよびUKPDSでは、良好な血糖コントロールが大血管障害を改善することを示したが、VADT、ACCORD、ADVANCEの数年間の臨床試験では大血管障害の予後改善を示せなかった。 このような状況の中で、米国FDAは2008年に企業向けのガイダンスで、糖尿病治療薬については治験段階から心血管イベントの収集をしてメタ解析ができるよう求めている。 さて、今回のEMPA-REG OUTCOME試験は予想外の良い結果が示された。本試験では、心血管疾患のハイリスク患者に対して、標準治療にエンパグリフロジンの上乗せは、プラセボよりprimary outcome(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中から成る複合エンドポイント)を有意に減少させることを示した。この臨床試験は、薬効のメカニズムを検討するものではないが、なぜこのような結果が得られたかは考察する必要があろう。primary outcomeについては、グラフからは試験開始3ヵ月後から群間の乖離が認められる。primary outcomeの構成要素にはなっていないが、心不全による入院は試験開始後間もなく群間に差が認められる。 これらの成績からは、エンパグリフロジンの利尿作用が心不全の予防と改善に効果を及ぼしたことが推測される。そして、これが心血管死の減少に寄与した可能性が考えられる。HbA1c、体重、腹囲、収縮期・拡張期血圧、HDLC、尿酸にエンパグリフロジンの効果が認められているが、少なくとも短期間の心血管イベントの発症には、これらの因子の改善よりも水およびNaの利尿効果が予後改善には有効であったと考えるのが妥当ではないだろうか。 さて、本試験のprimary outcomeは複合エンドポイントであり、その構成要素の組み合わせは妥当なものである。複合エンドポイントは、当該治療の全般的な治療効果がみられるという利点がある一方、その構成要素となっている事象への作用の方向性が異なる場合は、解釈が難しくなるという欠点がある。単一エンドポイントではサンプルサイズが大きくなり、追跡期間が長くなるので、試験の実施可能性の観点から複合エンドポイントが採用されることも多い。 EMPA-REG OUTCOME試験では、これらの構成要素に同様な効果がもたらされたわけではなく、エンパグリフロジンは心血管死と非致死性心筋梗塞を減少させる方向に働いているが、脳卒中についてはむしろ増やす方向に作用しているようにみえる。これについては、今後の研究を待たねばならない。 今回の試験成績は、予想を超えた素晴らしい結果であるが、ぜひSGLT2阻害薬について、同様の成績を示す臨床試験がもう1つ欲しいところである。その折には、EMPA-REG OUTCOME試験により示されたSGLT2阻害薬の心血管疾患抑制効果はより確かなものとなり、効果がclass effectか否かも明らかになるであろう。 また、SGLT2阻害薬の治療学的位置付けを検討する研究が望まれる。今回はあくまで心血管疾患のハイリスク患者に標準治療に上乗せした場合、エンパグリフロジンはプラセボより心血管疾患の予防効果が優れていたという成績である。今後は、SGLT2阻害薬をより早い段階から用いた場合の、より一般的な糖尿病患者における効果の検討が望まれる。また、大血管障害のみならず細小血管障害に関する検証も必要であろう。 ともすればsurrogate endpointとtrue endpointが乖離するというparadoxicalな結果が懸念される糖尿病治療薬において、EMPA-REG OUTCOME試験は久々の朗報である。今後の検討に期待したい。関連コメントEMPA-REG OUTCOME試験の概要とその結果が投げかけるもの(解説:吉岡 成人 氏)リンゴのもたらした福音~EMPA-REG OUTCOME試験~(解説:住谷 哲 氏)EMPA-REG OUTCOME試験:SGLT2阻害薬はこれまでの糖尿病治療薬と何が違うのか?(解説:小川 大輔 氏)EMPA-REG OUTCOME試験:それでも安易な処方は禁物(解説:桑島 巌 氏)

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高齢者の服薬、併存疾患の組み合わせの確認を/BMJ

 米国・イェール大学医学部のMary E Tinetti氏らは複数の慢性疾患を有する高齢者の、ガイドラインに基づく服薬と死亡の関連を調べた。その結果、とくに心血管薬の生存への影響は、無作為化試験の報告と類似していたが、β遮断薬とワルファリンについて併存疾患によりばらつきがみられたことを報告した。また、クロピドグレル、メトホルミン、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、生存ベネフィットとの関連がみられなかったという。結果を踏まえて著者は、「併存疾患の組み合わせによる治療効果を明らかにすることが、複数慢性疾患を有する患者の処方せんガイドになるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年10月2日号掲載の報告より。頻度の高い4疾患併存の高齢者の服薬と死亡の関連を調査 研究グループは、65歳以上の代表的サンプルを全米から集約した住民ベースコホート研究Medicare Current Beneficiary Surveyで、複数慢性疾患を有する高齢者のガイドライン推奨による服薬と死亡を調べる検討を行った。 被験者は、2つ以上の慢性疾患(心房細動、冠動脈疾患、慢性腎臓病、うつ病、糖尿病、心不全、脂質異常症、高血圧症、血栓塞栓症)を有する高齢者8,578例で、2005~2009年に登録、2011年まで追跡した。 被験者は、β遮断薬、Ca拮抗薬、クロピドグレル、メトホルミン、RAS系阻害薬、SSRI、SNRI、スタチン薬、サイアザイド系利尿薬、ワルファリンを服用していた。 主要評価項目は、疾患を有しガイドライン推奨薬を服用していた患者の、非服用患者と比較した死亡に関する補正後ハザード比で、頻度の高い4疾患を有していた患者における死亡補正後ハザード比とした。単疾患では抑制効果が高くても4併存疾患では減弱があることを確認 全体で、各疾患を有する患者の50%以上が、併存疾患にかかわらずガイドライン推奨薬を服用していた。 3年間の追跡期間中の死亡例は、1,287/8,578例(15%)であった。 心血管薬では、β遮断薬、Ca拮抗薬、RAS系阻害薬、スタチンは、対象疾患に関する死亡を抑制することが認められた。たとえば、β遮断薬の補正後ハザード比は、心房細動を有する患者では0.59(95%信頼区間[CI]:0.48~0.72)、心不全患者では0.68(同0.57~0.81)であった。 これら心血管薬の補正後ハザード比は、4つの併存疾患を有する被験者でも類似した値がみられたが、β遮断薬は4併存疾患の組み合わせによりばらつきがみられた。0.48(心房細動/冠動脈疾患/脂質異常症/高血圧)から、0.88(うつ病/冠動脈疾患/脂質異常症/高血圧)にわたっていた。 一方、クロピドグレル、メトホルミン、SSRI、SNRIでは、死亡の抑制効果はみられなかった。 また、ワルファリンは、心房細動(補正ハザード比:0.69、95%CI:0.56~0.85)、血栓塞栓症(0.44、0.30~0.62)を有する患者で、死亡リスクの抑制が認められたが、頻度の高い4併存疾患患者では、その抑制効果が減弱することが確認された。0.85(心房細動/冠動脈疾患/脂質異常症/高血圧)から、0.98(心房細動/うつ病/脂質異常症/高血圧)の範囲にみられた。

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統合失調症患者にはもっと有酸素運動をさせるべき

 初回エピソードの統合失調症患者のメタボリックシンドロームおよび代謝異常の有病率は、健常対照と比較して有意に高く、また1年間の治療フォローアップ中にいずれも有意な増大が認められたことが、デンマーク・オーフス大学病院のL. Nyboe氏らによる検討の結果、示された。さらに、メタボの有意なリスク因子として、有酸素運動の不足を示唆する所見もみられたという。結果を踏まえて著者らは、「健康的なライフスタイルを、精神科治療およびリハビリテーションの一部として推進していかなくてはならない」と提言している。Schizophrenia Research誌2015年10月号の掲載報告。 研究グループは、メタボリックシンドローム(MetS)と代謝異常の有病率について、初回エピソード統合失調症患者と年齢・性別で適合した健康対照と比較すること、また、治療1年間のMetSの変化、さらにMetSの予測因子について調べた。MetSは、国際糖尿病連合(IDF)の基準に基づく腹囲、血圧(BP)、トリグリセライド(TG)、高密度リポタンパク質(HDL)、空腹時血糖値で特定した。また、被験者の、身体的活動度、有酸素運動、喫煙、食習慣、睡眠障害、抗精神病薬および向精神薬の情報についても入手。ベースライン、フォローアップ1年時点で評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、初回エピソード統合失調症(FES)患者99例、健常対照50例であった。・FES患者は健常対照と比較して、MetSのベースライン有病率が高かった(p=0.07)。・また、各代謝異常のベースライン有病率も高く、腹囲(p<0.01)、TG(p<0.01)、HDL(p=0.017)、空腹時血糖値(p=0.04)は有意に高値であった。・FES患者は試験期間中、MetS(p=0.03)の有病率、および腹囲(p=0.04)、TG(p=0.01)が有意に増大した。・抗精神病薬および身体活動度の低さが、MetS増大と有意に相関していた。・多変量解析では、有酸素運動の少なさが、代謝異常やMetSの最も強固で有意な予測因子であった。関連医療ニュース 統合失調症患者の運動増進、どうしたら上手くいくか うつ病へのボルダリング介入、8週間プログラムの成果は 子供はよく遊ばせておいたほうがよい  担当者へのご意見箱はこちら

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日本糖尿病学会:ワークショップ「輝け!女性糖尿病医」を開催

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医をpromoteする委員会」は10月30日、日本糖尿病学会 中国四国地方会 第53回総会内で、ワークショップ「輝け!女性糖尿病医」を開催する。ワークショップ 「輝け!女性糖尿病医」開催概要【日時】10月30日(金) 18:20 ~ 19:10【会場】米子コンベンションセンター 6F 第7会議室(日本糖尿病学会 中国四国地方会 第53回総会:D会場)交通アクセス情報はこちら【座長】藤川 るみ氏(グランドタワー メディカルコート)【講師】片岡 仁美氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)【主催】日本糖尿病学会「女性糖尿病医をpromoteする委員会」【共催】日本医師会 なお、学会ホームページ内「女性糖尿病医サポートの取り組み」では、同ワークショップ開催にあたって「企画者からのメッセージ」を掲載している。以下の「関連リンク」より閲覧可能。関連リンク「おすすめのイベント情報 :第53回中国四国地方会」(日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」内)

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事例75 ピタバスタチンカルシウム(商品名:リバロ)錠1mgの査定【斬らレセプト】

解説事例では、高脂血症の患者に対してピタバスタチンカルシウム(リバロ®)錠1mgを処方したところ、A事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定となった。同錠の添付文書をみてみると、効能・効果には「高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症」とある。使用上の注意には、「適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で、本剤の適用を考慮すること」と記載されていた。傷病名欄の高脂血症と効能・効果に記載された傷病名との不一致と判断されたことが査定事由であった。コンピューター審査では、効能・効果に記載された傷病名そのものが記載されていないと、原則として査定対象となる。明らかに医学的に対象であると判断しての投与であっても、レセプト上で妥当性の判断ができないと機械的に査定となる。効能・効果と不一致の場合の対策としては、あらかじめ医学的必要性を記載して、人の目の点検に委ねることが必要である。

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112)2つ同時の行動が認知症予防に効果的!【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、最近物忘れが多くて、認知症にならないかと心配で……。 医師そうですか。認知症予防のために、具体的にどんなことをされていますか? 患者認知症予防になるっていうサプリメントがあって、友人に勧められて飲もうかなと思ったりしてるんですけど……。 医師それよりも、もっといい方法がありますよ。 患者それは何ですか?(興味津々) 医師頭と体を同時に使うことです。歩くことでよいアイデアがひらめきます。頭を使いながら歩いたり、運動したりするといいですよ。ただし……。 患者ただし? 医師歩きスマホは、事故の原因となりますので、だめですよ。 患者はい。わかりました。●ポイント認知症予防には、「デュアルタスク(2つのことを同時に処理する能力)を鍛えることが大切」と伝えると同時に、「歩きスマホの危険性」も喚起します 1) Doi T, et al.J Gerontol A Biol Sci Med Sci.2012;67:790-795. 2) Oppezzo M, et al. J Exp Psychol Learn Mem Cogn.2014;40:1142-1152. 3) Yamada M, et al. Age Ageing.2011;40:516-519.

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糖尿病患者 喫煙で総死亡リスクが1.55倍に

 能動喫煙は、糖尿病患者の総死亡および心血管イベント発症リスクの上昇と有意に関連することが、中国・華中科技大学のAn Pan氏らの研究により明らかになった。また、禁煙した群では、現在喫煙している群と比べて、これらリスクの低下が認められた。この研究結果は、糖尿病患者に禁煙を勧めるための強力なエビデンスとなると考えられる。Circulation誌オンライン版2015年8月26日号の報告。 糖尿病患者の喫煙率は依然として高く、糖尿病の管理においては、喫煙関連の超過死亡および罹患リスクを定量化することが重要である。そのため著者らは、糖尿病患者の能動喫煙による総死亡リスクおよび心血管イベントリスクを評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。 2015年5月にMEDLINEとEMBASEを検索し、ランダム効果モデルを用いて、多変量調整後の相対リスクをプール解析した。合計 89件のコホート研究を解析対象とした。 主な結果は以下のとおり。・喫煙と関連するプール解析の結果、調整後の相対リスク(RR)は、総死亡率で1.55(95%CI:1.46~1.64、48件、被験者1,132,700例、死亡109,966例)、心血管死亡率で1.49(95%CI:1.29~1.71、13件、37,550例、死亡3,163例)であった。・また、すべての心血管疾患(16件)の相対リスクは1.44(95%CI:1.34~1.54)であり、冠動脈疾患(21件)で1.51 (95%CI:1.41~1.62)、脳卒中(15件)で1.54 (95%CI:1.41~1.69)、末梢動脈疾患(3件)で2.15 (95%CI:1.62~2.85)、心不全(4件)で1.43(95%CI:1.19~1.72)であった。・一度も喫煙したことのない生涯非喫煙群と比べた、過去に喫煙していた群の相対リスクは、総死亡率で1.19(95%CI:1.11~1.28)、心血管死亡率で1.15(95%CI:1.00~1.32)、心血管疾患で1.09(95%CI:1.05~1.13)、冠動脈疾患で1.14(95%CI:1.00~1.30)とやや上昇したが、脳卒中リスクは上昇しなかった(RR 1.04、95%CI:0.87~1.23)。

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重度肥満の男子で心血管代謝系リスクが増大/NEJM

 小児および若年成人では、重度の肥満は心血管代謝系のリスク因子の保有率を増大させ、とくに男子でその傾向が強いことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のAsheley C Skinner氏らの検討で示された。近年、米国では小児・若年成人の重度肥満の有病率が上昇し、この年齢層の心血管および代謝系の健康状態への懸念が高まっているが、心血管代謝系のリスク因子の保有状況はよく知られていない。また、小児・若年成人では、過体重・肥満者はリスク因子の保有率が高いことが指摘されているが、従来の単一カテゴリーによる肥満分類では、肥満の多彩な重症度を説明するのは難しいという。NEJM誌2015年10月1日号掲載の報告。肥満を3クラスに分け、3~19歳のリスク因子保有率を評価 研究グループは、小児・若年成人における肥満の重症度と心血管代謝系のリスク因子の関連を評価するために、全米健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて解析を行った。1999~2012年のNHANESの対象となった3~19歳の過体重または肥満の小児・若年成人のデータを横断的に解析し、肥満の重症度別に心血管代謝系リスク因子の保有率を評価した。 過体重・肥満のカテゴリーは、米国疾病予防管理センター(CDC)の成長曲線に基づく年齢別・性別のBMIのパーセンタイルに従って以下の4つに分類した。過体重(BMIの≧85~<95パーセンタイル)、クラスI肥満(≧95パーセンタイル~95パーセンタイルの<120%)、クラスII肥満(95パーセンタイルの120~140%またはBMI≧35のいずれか低いほうの値)、クラスIII肥満(95パーセンタイルの≧140%またはBMI≧40のいずれか低いほうの値)。 総コレステロール(≧200mg/dL)、HDLコレステロール(<35mg/dL)、LDLコレステロール(≧130mg/dL)、トリグリセライド(≧150mg/dL)、血圧(8~17歳:年齢・性・身長別の標準化血圧表の≧95パーセンタイル、18、19歳:≧140/90mmHg)、糖化ヘモグロビン(12~19歳、HbA1c>5.7%)、空腹時血糖(12~19歳、≧100mg/dL)の異常値は、標準的な定義を用いた。肥満重症度が高いほどリスク因子保有率が上昇 BMIが85パーセンタイル以上の小児・若年成人8,579例(3~5歳:13.3%、6~11歳:36.8%、12~19歳:50.0%、男子:52.0%)のうち、過体重は46.9%、クラスI肥満は36.4%、クラスII肥満は11.9%、クラスIII肥満は4.8%であった。 全体として、わずかな例外を除き、心血管代謝系の変量の平均値は男女共に肥満の重症度が高くなるほど高く、HDLコレステロールは肥満の重症度が高いほど低かった。また、数値は全般に男子が女子よりも高かった。 年齢層別には、3~5歳はサンプルサイズが小さいため推定値の解釈には注意を要するが、6~11歳ではほとんどのリスク因子の保有率が肥満の重症度が高いほど高く、12~19歳ではLDLコレステロール以外のすべてのリスク因子の保有率が肥満の重症度が上がるほど上昇した。 年齢、人種/民族、性別で補正した多変量一般線形モデルによる解析では、クラスI肥満に比べクラスIII肥満において、HDL-C低値、収縮期/拡張期血圧高値、トリグリセライド高値、HbA1c高値のリスクが高かった。 予想されたとおり、過体重の小児・若年成人はクラスI肥満に比べ、ほとんどのリスク因子の保有率が低かった。 著者は、「標準的な肥満分類にクラスII肥満のカテゴリーを導入すると、HDLコレステロール、収縮期血圧、血糖の異常値のリスクが最も高い集団の同定に有用であり、クラスIII肥満のカテゴリーを導入すれば、トリグリセライド、拡張期血圧、HbA1cの異常値のリスクが最も高い集団の同定に役立ち、とくに男子において重要な情報をもたらす可能性がある」と指摘している。

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高齢の治療抵抗性うつ病、アリピプラゾール増強療法が有効/Lancet

 高齢の治療抵抗性うつ病患者に対し、アリピプラゾールを用いた増強薬物療法が有効であることが、米国・ワシントン大学のEric J Lenze氏らの検討で示された。高齢者では、治療抵抗性の大うつ病の頻度が高く、生命を脅かす可能性があるが、増強薬物療法のベネフィットとリスクはほとんど知られていないという。アリピプラゾールは第2世代の非定型抗精神病薬で、18~65歳(平均年齢30歳)のうつ病患者において選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の増強療法として有効であることが報告されている。Lancet誌オンライン版2015年9月24日号掲載の報告。非寛解例への増強療法の有用性をプラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、治療抵抗性の高齢うつ病患者の2次治療におけるアリピプラゾールによる増強療法の有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した(米国国立精神保健研究所などの助成による)。 対象は、年齢60歳以上、治療抵抗性うつ病(中等度以上の症状を伴う大うつ病エピソード:モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度[MADRS]スコア≧15点)と判定され、SNRIであるvenlafaxine徐放性製剤(150~300mg/日)による1次治療で寛解が達成されなかった患者とした。 被験者は、アリピプラゾール(初回用量2mg/日から漸増、目標用量10mg/日、最大用量15mg/日)を追加投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、12週の治療が行われた。データベース管理者と薬剤師にのみ治療割り付け情報が知らされた。 寛解達成例は、寛解の安定性を評価するために、さらに12週のフォローアップが行われた。患者は、治療期間中は1~2週ごとに、追加フォローアップ期間中は2~4週ごとに受診した。 主要評価項目は寛解とし、最後の2回の受診時にいずれもMADRSスコア<10点を達成し、かつ割り付け時のスコアから2点以上低下した場合と定義した。 2009年7月20日~13年12月30日までに、北米の3施設にvenlafaxine治療(468例)で寛解に至らなかった181例(39%)が登録され、91例がアリピプラゾール群に、90例はプラセボ群に割り付けられた。自殺念慮が少なく、体脂肪、脂質、血糖、インスリンに影響せず 全体の年齢中央値は66.0歳(四分位範囲:62.8~70.5)、70歳以上が27%含まれ、女性が57%を占めた。糖尿病が15%、高血圧が54%にみられ、試験薬以外の処方薬剤数中央値は5剤(同:3~8)だった。 ベンゾジアゼピン系薬剤の処方例は40%、再発うつ病は71%、うつ状態の初回発症年齢中央値は40.0歳(四分位範囲:20.0~57.0)、うつ病エピソードの罹患期間中央値は104.0週(同:35.0~364.0)、割り付け時のMADRSスコア中央値は23.0(同:18.0~28.0)であり、venlafaxineの用量は全例が300mg/日であった。 寛解達成率は、アリピプラゾール群が44%(40/91例)であり、プラセボ群の29%(26/90例)に比べ有意に良好であった(オッズ比[OR]:2.0、95%信頼区間[CI]:1.1~3.7、p=0.03、治療必要数[NNT]:6.6、95%CI:3.5~81.8)。 初回寛解までの期間もアリピプラゾール群で良好であり、アリピプラゾールの最終用量中央値は、寛解達成例が7mg/日、寛解非達成例は10mg/日だった。また、12週の治療により、MADRSスコアがアリピプラゾール群で9.2点低下したのに対し、プラセボ群のスコア低下は5.9点だった。 重篤な有害事象はアリピプラゾール群の4例(4%)、プラセボ群の2例(2%)に、有害事象による治療中止はそれぞれ3例(3%)、3例(3%)に認められた。割り付け時に自殺念慮がみられなかった患者における新規の自殺念慮の発現率は、21%(13/61例)、29%(19/65例)であった。 アリピプラゾール群の1例が割り付け後5週時に自殺した。これは新たに発現した自殺念慮や副作用によるものではなかったが、担当医は長期に残存した自殺念慮の結果と結論付けた。 錐体外路症状では、アカシジアがアリピプラゾール群の26%、プラセボ群の12%にみられたが、中等度~重度はそれぞれ5%、2%で、最終受診時まで持続したのは6%、2%だった。ジスキネジアはアリピプラゾール群では認めず、プラセボ群は2%にみられ、パーキンソニズムはそれぞれ17%、2%に発現した。 一方、アリピプラゾール群はプラセボ群よりも体重が増加した(p<0.0001)が、総体脂肪に差はなかった(p=0.064)。また、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセライド、血糖、インスリン濃度の変化率には、両群間に差を認めなかった。 著者は、「処方時にはアカシジアやパーキンソニズムに注意する必要があるが、うつ病の寛解や自殺念慮が少ないことのベネフィットは、これら一般に軽度な有害事象のリスクを上回るものである」としている。

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発作性夜間血色素尿症〔PNH : paroxysmal nocturnal Hemoglobinuria〕

発作性夜間血色素尿症のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■ 定義発作性夜間血色素尿症(発作性夜間ヘモグロビン尿症、paroxysmal nocturnal hemoglobinuria: PNH)は、血管内溶血を特徴とする後天性の血液疾患で、PIG-A遺伝子に変異を有する造血幹細胞がクローン性に増加するために発症する。■ 疫学欧米におけるPNHの発症頻度は100万人あたり15.9人とされているが、わが国では100万人あたり3.6人ときわめてまれである〔1998年(平成10年)度の厚生労働省の疫学調査研究班による〕。男女比はほぼ1:1で、わが国における診断時年齢は20~60代(平均年齢45.1歳)と、広く分布する。欧米例では血栓症の合併が多いのに対し、わが国では造血不全症状が主体になることが多い。■ 病因PIG-A遺伝子に変異があると、GPIアンカー型の膜蛋白の発現が低下する。補体制御蛋白CD55やCD59もGPIアンカー型膜蛋白であり、PIG-A遺伝子の変異があるとその発現が低下する。このように、PIG-A遺伝子変異のためにCD55やCD59の発現を欠失した血球をPNH型血球と呼ぶ。PNH型血球は補体に対する感受性が高まっており、血管内溶血を生じやすい。PNH型血球が選択されて増加する機序は完全には解明されていないが、まずPIG-A遺伝子変異の入った造血幹細胞が免疫学的な攻撃を免れて相対的に増加し、さらに何らかの別な遺伝子異常が加わってクローン性に増加するものと考えられている。■ 症状典型的には、血管内溶血による貧血と褐色尿(ヘモグロビン尿)が症状の主体となる。溶血性貧血に伴い、全身倦怠感、労作時の息切れ、黄疸がみられる。ウイルス感染などによって補体が活性化されると溶血発作が生じ、急激な貧血の進行をみる。溶血で生じたヘモグロビン尿は、腎障害を引き起こし、むくみなどが生じる。また、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの血栓症をしばしば合併する。わが国のPNH患者は造血不全を合併する頻度が高く、貧血に加えて白血球や血小板数の減少がみられることがある(汎血球減少)。汎血球減少がみられる患者においては、感染症や出血のリスクも増加している。■ 分類1)臨床的PNH:溶血所見がみられるもの古典的PNH:末梢血のPNH型血球の比率が高く、溶血症状あるいは血栓症状が顕著。骨髄不全型PNH:骨髄が低形成で汎血球減少を呈する型。再生不良性貧血―PNH症候群とも呼ばれる。混合型PNH2)PNH型血球を有する骨髄不全症:明らかな溶血所見を欠くが、末梢血に少数のPNH型血球が検出され、再生不良性貧血あるいは骨髄異形成症候群の診断基準を満たすもの。PNH型血球陽性の骨髄不全症では、抗胸腺免疫グロブリンやシクロスポリンなどによる免疫抑制療法に反応して血球が増加することが多い。■ 予後わが国におけるPNH患者の診断後の平均生存期間は32.1年、50%生存期間も25.0年と長く、慢性の疾患といえる。この間、溶血発作を反復したり、造血不全、腎障害などが徐々に進行したりするため、QOLは必ずしもよくない。死亡原因としては出血、感染、血栓症が多く、骨髄異形成症候群などの造血器腫瘍への移行、腎障害、および血栓症が予後を大きく左右する。近年、中等症以上の患者に対して、補体C5に対するヒト化モノクローナル抗体のエクリズマブ(商品名:ソリリス)が積極的に用いられるようになった。こういった治療法の進歩によって、患者のQOLと生命予後の改善が期待されている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 主な検査と診断血液検査、尿検査によって血管内溶血の所見を確認する。貧血、網状赤血球数増加、血清LDH値上昇、血清間接ビリルビン値上昇、血清ハプトグロビン値低下、尿潜血(ヘモグロビン)反応陽性は、血管内溶血を疑う所見である。PNHの診断には、フローサイトメトリーを用いたPNH型血球(CD55、CD59を欠損する血球)の検出が不可欠である。古典的なHam試験と砂糖水試験は、最近ではフローサイトメトリーにとって代わられている。FLAER法を用いたフローサイトメトリーでは、非常に高感度にPNH型血球を定量できる(保険診療外)。さらに骨髄検査によって、PNH型血球陽性の造血不全症(再生不良性貧血や骨髄異形成症候群)との鑑別や、PNHの病型分類を行う。■ 重症度分類と指定難病特発性造血障害に関する調査研究班では、溶血所見に基づいた重症度分類を作成している。これによると、ヘモグロビン7g/dL未満または定期的な赤血球輸血を必要とする貧血か、あるいは血清LDHが正常上限の8~10倍程度の高度な溶血を認める場合を「重症」、ヘモグロビン10g/dL未満の貧血か、あるいは血清LDHが正常上限の4~5倍程度の中等度の溶血を認める場合を「中等症」とし、これに該当しない場合を「軽症」としている。ただし、血栓症の既往があれば、溶血の程度に関わらず「重症」とされる。平成27年1月から、PNHは「難病患者に対する医療等の法律」による指定難病となった。これにより、中等症以上の患者の医療費負担が大幅に軽減されるようになった。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)PNHの根治を目指す治療法は同種造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植)のみであるが、この治療法自体のリスクが大きいために、適応は若年で、かつ重症の骨髄不全症を伴う場合に限られる。さまざまな感染症が溶血発作の引き金になるため、日常生活では感染症の予防が重要である。溶血が長期にわたると、尿から鉄が失われるために鉄欠乏になったり、需要の増大のために葉酸欠乏になったりするので、血清フェリチン値や葉酸値をみながら鉄や葉酸の補充を検討する。溶血発作時には少量の副腎皮質ステロイドを用いることがあるが、糖尿病の発症や易感染性などの副作用のため、長期的な使用の有用性については意見が分かれる。貧血が高度の場合は赤血球輸血を行う。溶血により生じた遊離ヘモグロビンによる腎障害を防止するためには、輸液や利尿剤を用いるほか、高度の溶血発作時には人ハプトグロビン(商品名:ハプトグロビン)を投与することもある。血栓症の予防と治療には、ヘパリンやワーファリン製剤による抗血栓療法を行う。骨髄不全型PNHでは、蛋白同化ホルモンや免疫抑制剤が用いられる。最近、保険適用となったエクリズマブ(同:ソリリス)は、補体溶血を抑制することによって、貧血をはじめとするさまざまな臨床症状を劇的に改善する。この薬剤には血栓症の予防効果もみられる。重症例では積極的適応、中等症では相対的適応とされる。ただし、エクリズマブ治療導入の際には、点滴治療を定期的、継続的に行う必要があること、エクリズマブを中止する際には高度の溶血発作が生じうること、髄膜炎菌など一部の感染症に対する免疫能の低下が起こりうること、および高額な薬剤であることを十分に説明し、髄膜炎菌に対するワクチンの接種を行ってから開始する。エクリズマブ治療開始後に、LDHが低下したにもかかわらず貧血の改善が乏しい場合には、赤血球の膜上に蓄積した補体による血管外溶血あるいは骨髄不全の合併を考える。エクリズマブ治療には、PNHに合併した骨髄不全の改善効果は期待できない。PNH患者の妊娠に関しては、血栓症による流産のリスクが高く、また貧血もしばしば高度になる。平成26年度に、特発性造血障害調査に関する調査研究班および日本PNH研究会によって「妊娠ガイドライン」が作成された。このガイドラインでは、妊娠前の治療状況や血栓症の既往の有無によって、ヘパリンあるいはエクリズマブの使用が推奨されている。4 今後の展望病態面では、PNH型血球クローン増加の機序、血栓症がみられる機序などに関し、さらなる研究の進展が期待される。治療に関しては、エクリズマブの登場によってPNHの治療戦略が刷新された。今後、エクリズマブ不応例への対応や、血管外溶血が顕在化してくる症例に対する治療、妊娠管理などに関して、さらなる知見の集積と指針の充実が待たれる。現在、エクリズマブ以外にも補体系を標的とした新薬の開発が進んでおり、今後、PNH患者のQOLや予後のさらなる改善が期待される。5 主たる診療科血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 発作性夜間ヘモグロビン尿症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)特発性造血障害調査に関する調査研究班(診療の参照ガイドがダウンロードできる)日本血液学会(血液専門医研修施設マップで紹介先の候補を検索できる)日本PNH研究会(患者向けと医療者向けのかなり詳しい情報)患者会情報NPO法人PNH倶楽部(PNH患者と家族の会)公開履歴初回2013年02月28日更新2015年10月13日

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片頭痛の頻度と強度、血清脂質と有意に相関

 片頭痛は心血管疾患、とくに脂質異常症のリスク増加と関連していることが報告されているが、これまで片頭痛の重症度と血清脂質との関係を調べた研究はなかった。イタリア・G.D'Annunzio UniversityのClaudio Tana氏らは、小規模な後ろ向き研究において、総コレステロールおよびLDL-コレステロール値が、片頭痛の頻度および強度と有意な正の関連があることを明らかにした。また、片頭痛予防薬による治療後に、これら血清脂質値が有意に減少していることを初めて明らかにした。著者は「本研究は予備的研究であり、今後は前向き比較試験によって確認されなければならない」とまとめている。Pain Practice誌2015年9月号(オンライン版2014年7月10日号)の掲載報告。片頭痛発作の頻度および強度とコレステロールには直接的な線形相関 研究グループは、片頭痛患者52例(前兆あり17例、前兆なし36例)を対象に、片頭痛予防薬による3ヵ月間の治療前後の、片頭痛重症度と血清脂質との関連について評価した。 コレステロールと片頭痛の関連についての主な研究結果は以下のとおり。・片頭痛発作が月8回以上の高頻度群(HF群)および強度が数値的評価スケール(NRS)で5以上の重度群(HI群)では、月8回未満の低頻度群(LF群)およびNRSが5未満の軽度群(LI群)と比較して、総コレステロールおよびLDL-コレステロールがいずれも有意に高値であった[総コレステロール:HF群 vs.LF群(p<0.0001)、HI群 vs.LI群(p<0.0001)/LDL-コレステロール:どちらもp<0.0001]。・治療による片頭痛発作の頻度および強度の有意な低下は、総コレステロールおよび LDL-コレステロールの有意な減少と関連していた(p<0.001)。・片頭痛発作の頻度および強度と、血清脂質との間には、直接的な線形相関が認められた(総コレステロールと頻度、総コレステロールと強度、LDL-コレステロールと頻度、およびLDL-コレステロールと強度との相関はいずれもp<0.0001)。・前兆の有無では、評価パラメータに差はなかった。

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正常眼圧緑内障の乳頭出血、血小板機能低下で発見されやすい?

 正常眼圧緑内障にみられる乳頭出血は、血小板機能の低下と関連していることが、韓国・成均館大学のSeong Hee Shim氏らの前向き横断研究によって明らかになった。著者は「乳頭出血を有する正常眼圧緑内障患者では、血小板凝集が遅れて出血が長引き吸収が遅延するため、乳頭出血が検出されやすい可能性がある」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2015年9月14日号の掲載報告。 研究グループは、正常眼圧緑内障と乳頭出血を有する患者(NTG・DH+群)120例、乳頭出血のない正常眼圧緑内障患者(NTG・DH-群)75例、および健常者(対照群)120例、合計315例を対象に、視野検査、カラー眼底写真撮影、光干渉断層計(OCT)検査を行うとともに、血小板機能アナライザー(PFA-100システム)を用いてコラーゲン/エピネフリン閉塞時間を測定した。 主な結果は以下のとおり。・コラーゲン/エピネフリン閉塞時間は、NTG・DH+群141.92±53.44秒、NTG・DH-群124.60±46.72秒、対照群114.84±34.84秒で、NTG・DH+群が他の群と比較して約14~24%長かった(一元配置分散分析、p<0.001)。・NTG・DH+群の活性化部分トロンボプラスチン時間も、対照群より長かった。・ステップワイズ多重ロジスティック回帰分析の結果、コラーゲン/エピネフリン閉塞時間の延長のみが独立して乳頭出血と関連していることが明らかとなった(年齢、性別、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、糖尿病、高血圧、低血圧、心疾患、甲状腺機能低下症、片頭痛、脳卒中、脂質異常症で調整したオッズ比=2.94、95%信頼区間:1.40~6.17)。・血小板機能を年齢別に3群で比較したときも同様の傾向が観察された。

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治療抵抗性高血圧、スピロノラクトン追加が有効/Lancet

 スピロノラクトン(商品名:アルダクトンAほか)は、通常の降圧治療を受けている治療抵抗性高血圧患者への追加薬剤として高い効果を発揮することが、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのBryan Williams氏らが実施したPATHWAY-2試験で確認された。国際的なガイドラインでは、3つの推奨降圧薬(ACE阻害薬/ARB、カルシウム拮抗薬、サイアザイド系利尿薬)の最大耐用量による治療でも、目標血圧でコントロールができない場合を治療抵抗性高血圧と定義している。スピロノラクトンは治療抵抗性高血圧に有効であることが、メタ解析で示唆されているが、既存のエビデンスの質は低いとされ、他の降圧薬と比較した試験はこれまでなかったという。Lancet誌オンライン版2015年9月20日号掲載の報告。3剤とプラセボを切り換えて上乗せするクロスオーバー試験 PATHWAY-2試験は、「治療抵抗性高血圧の多くは過度のナトリウム貯留によって引き起こされ、それゆえスピロノラクトンは利尿薬以外の薬剤を追加するよりも降圧に有効である」との仮説を検証する二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験(英国心臓財団/国立衛生研究所の助成による)。 対象は、年齢18~79歳、最大耐用量の3剤併用療法(ACE阻害薬/ARB+カルシウム拮抗薬+サイアザイド系利尿薬)を3ヵ月以上継続しても、座位収縮期血圧≧140mmHg(糖尿病罹患者は≧135mmHg)、家庭収縮期血圧(4日で18回測定)≧130mmHgの患者とした。 これらの患者は、ベースライン時に投与されていた降圧薬に加え、スピロノラクトン(25~50mg)、ビソプロロール(5~10mg)、放出調節型ドキサゾシン(4~8mg)、プラセボの1日1回経口投与を、クロスオーバーデザインであらかじめ決められた順に施行する群に無作為に割り付けられた。 各薬剤は12週ずつ投与。低用量を6週間投与し、倍量に増量してさらに6週間投与した。耐用不能な患者は次の薬剤に移行した。ウォッシュアウト期間は設けず、試験期間はプラセボ導入期間を含め1年であった。 階層的主要評価項目として、スピロノラクトンとプラセボ間の平均家庭収縮期血圧の差を評価し、有意差がある場合はスピロノラクトンと他の2剤の投与期を合わせた家庭収縮期血圧の差を、次いでスピロノラクトンと他の個々の2剤との家庭収縮期血圧の差の評価を行った。 2009年5月15日~14年7月8日の間に、英国12ヵ所の2次医療機関および2つのプライマリケア施設で335例が登録。ベースラインの平均年齢は61.4±9.6歳、男性が69%で、家庭血圧は収縮期が147.6±13.2mmHg、拡張期が84.2±10.9mmHg、心拍数は73.3±9.9拍/分、診察室血圧はそれぞれ157.0±14.3mmHg、90.0±1.5mmHg、心拍数は77.2±12.2拍/分であった。すべての比較で良好な降圧効果、高用量で効果が高い フォローアップ不能であった21例を除く314例をintention-to-treat集団とした。285例がスピロノラクトン、282例がドキサゾシン、285例がビソプロロール、274例がプラセボの投与を受け、全治療を完遂したのは230例だった。 スピロノラクトンは、平均家庭収縮期血圧をプラセボよりもさらに8.70mmHg(95%信頼区間[CI]:7.69~9.72、p<0.0001)低下させ、有意差が認められた。 また、スピロノラクトンによる家庭収縮期血圧の降圧効果は、ドキサゾシンとビソプロロール投与期よりも4.26mmHg(95%CI:3.38~5.13、p<0.0001)大きかった。個々の薬剤との比較では、スピロノラクトンはドキサゾシンよりも4.03mmHg(同:3.02~5.04、p<0.0001)、ビソプロロールよりも4.48mmHg(同:3.46~5.50、p<0.0001)有意に低下させた。 スピロノラクトンの降圧効果は、前投与薬の種類にかかわらず、低用量よりも高用量でさらに3.86mmHg(p<0.0001)大きかった。また、全体で、219例(68.9%)が目標血圧(家庭収縮期血圧<135mmHg)を達成した。 最も有効な4th-lineの薬剤を予測するために、血漿レニン値と家庭収縮期血圧低下の関連を評価したところ、ベースラインの血漿レニン値にかかわらずスピロノラクトンの降圧効果が最も優れ、レニン値が低いほど個々の患者における降圧効果が優れる可能性が高い(逆相関)ことが示された。 スピロノラクトンによる有害事象の発現率は19%で、重篤な有害事象は2%に認められた。有害事象による治療中止は1%にみられたが、腎機能障害、高カリウム血症、女性化乳房による治療中止の頻度は他の薬剤やプラセボとの間に差はなかった。6例(2%)で、血清カリウム値が6.0mmol/Lを超えた(最大値は6.5mmol/L)が、いずれも1回のみであった。 著者は、「血漿レニン値とスピロノラクトンの降圧効果の逆相関の関係は、治療抵抗性高血圧の発症におけるナトリウム貯留の関与を示唆する」と指摘し、「本試験の知見は、今後、世界的にガイドラインの改訂や実地臨床に影響を及ぼすと考えられる」としている。

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111)逆転の発想で指導する認知症予防法【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、最近物忘れが多くて、認知症にならないかと心配で……。 医師なるほど。食事の面では認知症にならないために、どんなことに気を配っておられますか? 患者魚がいいっていうんで、なるべく魚にしようと思っているんですが、なかなか摂れないので、サプリメントを飲んだり、ココナッツオイルがいいっていうんで、買おうかと思ったら売ってなくって……。 医師なるほど。高齢になると食が細くなり、栄養不足になりがちです。魚、野菜、果物など栄養が不足し、体重が減る傾向にあります。ところが、中年では……。 患者中年では? 医師栄養不足よりも過剰摂取が問題となります。甘いものなど高カロリーの食品、菓子パンなど飽和脂肪酸の多いものによる肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、認知症のリスクとなります。 患者なるほど。摂りすぎもよくないですね。これから気をつけます(納得した顔)。●ポイント食べるのではなく、摂り過ぎないことでの認知症予防をわかりやすく説明します 1) Witte AV, et al. Proc Natl Acad Sci U S A.2009;106:1255-1260.

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中高年高血圧症例では足関節上腕血圧比測定を考慮する必要はあるか?(解説:冨山 博史 氏)-429

概要とコメント 本研究は、英国において1990年から2013年までプライマリケアで電子媒体に登録された、30~90歳の成人422万例の医療記録データを、前向き研究(平均観察期間7年)として解析した。前向き研究開始時に、末梢動脈疾患(PAD)非合併例は420万4,190例であり、PAD合併例は1万8,296例であった。前者では、経過中に4万4,239例(1.1%)でPADを発症し、収縮期血圧20mmHg上昇に伴い、PAD発症リスクは63%高まることが示された。 これまで血圧とPADの関係は、断面研究で検討した報告が多く1)、大規模な前向き研究が少ないため、PAD発症に対する血圧上昇のリスクとしての重要性は十分明らかでなかった。422万例を対象とした本前向き研究にて、血圧上昇がPAD発症の独立したリスクであることが示された。高血圧のPAD発症リスクとしての重要性を示す結果である。 一方、PAD合併例(1万8,296例)では、7年の経過観察中に7,760例(42.5%)で心血管イベント発症を認めた。その内訳では、従来の冠動脈疾患、脳卒中に加え、慢性腎臓病(24.4%)、心不全(14.7%)、心房細動(13.2%)の発症が多いことが新たに示された。PADでは、わが国の検討も含め20~40%の症例に腎動脈狭窄を合併することが報告されている2)。今後、こうした腎動脈狭窄のCKD発症への影響を検証する必要がある。また、PADでは血管床全体が硬化しており、中心血行動態異常が生じていると推察される。中心血行動態異常は心不全発症のリスクであり3)、今後、PADで心不全が発症する機序を明確にする必要がある。研究成果の臨床応用と限界 2007年に発表されたTASC IIでは、PAD発症リスクとしての高血圧の相対危険度(オッズ比:1.5~2)は、DM/喫煙(オッズ比:3前後)より弱いと述べている4)。本研究における重要な知見は、血圧上昇に伴うPAD発症のハザード比は70歳以上では1.4であるのに対し、40~69歳では1.8前後と上昇することである。さらに、本研究ではオッズ比は算出していないが、考察においてサブグループ解析の結果より、収縮期血圧20mmHg上昇によるPAD発症のリスクは、喫煙と同等と推察している。 一般に、PAD合併を考慮する(足関節上腕血圧比測定を考慮する)症例として、70歳以上、50~69歳でかつ喫煙または糖尿病を合併する症例が挙げられる4)。2013年、日本循環器学会「血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン」では、高血圧症例において足関節上腕血圧比測定を考慮する症例として、65歳以上、またはJSH2009脳心血管リスク層別化で高リスクの症例を推奨している5)。しかし、最近のガイドラインを踏まえても6)、どのような病態の高血圧症例で足関節上腕血圧比測定を考慮すべきか、十分に明確ではなかった。本研究の結果は、50~69歳で未治療高血圧例および血圧コントロール不良の症例においてもPAD合併を考慮し、適切な問診、下肢動脈触診を実施し、可能であれば足関節上腕血圧比を測定することの有用性を示唆する。 TASC IIでは、PAD症例は40~50%に冠動脈疾患、20~40%に脳卒中を合併すると報告している4)。本研究では7年の経過観察中に1万8,296例中3,415例(19%)で冠動脈疾患、脳卒中または心不全の発症を認めた。本結果は、PAD診断時にほかの心血管疾患合併のない症例でも、慎重な経過観察が重要であることを支持する。 本研究の限界として以下が挙げられる。 (1)PADの診断は間欠跛行で実施されているが、無症候性PAD(足関節上腕血圧比0.90未満だが無症状)の頻度は間欠跛行を有する症例の3~4倍とされる。近年、わが国を中心に、オシロメトリック法を用いて足関節上腕血圧比が簡便に測定されるようになり、無症候性PADを診断する機会が多くなってきた7)。本研究の結果をこうした無症候性PADに応用できるかは不明であり、また、疾患診断が電子記録媒体での評価であることも研究の限界である。 (2)本研究では、収縮期血圧・拡張期血圧上昇とPAD発症の関連は、正常血圧域から認められた。本研究の著者らは、血圧低下がPAD発症を予防すると推論を述べている。しかし、研究対象症例で降圧薬服用は観察開始時9.9%、終了時28.7%であり、積極的な血圧治療がPAD発症予防に有用であるかは検証できない。参考文献はこちら1)Meijer WT, et al. Arch Intern Med. 2000;160:2934-2938.2)Endo M, et al. Hypertens Res. 2010;33:911-915.3)Chirinos JA, et al. J Am Coll Cardiol. 2012;60:2170-2177.4)Norgren L, et al. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2007;33 Suppl 1:S1-75.5)日本循環器学会ほか.循環器病の診断と治療に関するガイドライン2013(2011-2012年度合同研究班報告)血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン(JCS 2013).6)Vlachopoulos C, et al. Atherosclerosis. 2015;241:507-532.7)Koji Y, et al. Am J Cardiol. 2004;94:868-872.

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EMPA-REG OUTCOME試験:それでも安易な処方は禁物(解説:桑島 巌 氏)-428

 この結果をみて真っ先に連想したのは、高血圧治療薬で、利尿薬がCa拮抗薬、ACE阻害薬、α遮断薬などよりも優れた心血管合併症予防効果を証明したALLHAT試験である。利尿作用が心不全悪化を防いだために全体を有利に導き、心疾患合併症例における利尿薬の強さをみせた試験であった。 EMPA-REG試験でも、利尿作用を有するSGLT2阻害薬が虚血性心疾患で心機能が低下した症例での心不全死を抑制したと考えやすい。しかし、心血管死の内訳をみると必ずしもそうではないようである。心不全の悪化による死亡は10%前後にすぎず、心臓突然死や心原性ショックも広い意味での心不全死と捉えると40%を占めることになり、本剤の利尿作用の貢献も考えられる。しかし、「その他の心血管死」とはどのような内容なのかが明らかでない限り、エンパグリフロジンがどのような機序で心血管死を減らしたのかを推定するのは難しい。 しかし、本試験で重要なことは、致死的、非致死的を含めた心筋梗塞と脳卒中発症はいずれも抑制されていないことである。不安定狭心症は急性心筋梗塞と同等の病態であり、なぜこれを3エンドポイントから外したか不明だが、これを加えた4エンドポイントとすると有意性は消失する。したがって、本試験はSGLT2阻害薬の優位性を証明できなかったという解釈もできる。本試験の対象は、すでに高度な冠動脈疾患、脳血管障害、ASOを有していて循環器専門医に治療を受けているような糖尿病患者であり、実質的には2次予防効果を検証した試験での結果である。試験開始時に、すでにACE阻害薬/ARBが80%、β遮断薬が65%、利尿薬が43%、Ca拮抗薬が33%に処方されている。糖尿病治療にしてもメトホルミンが74%、インスリン治療が48%、SU薬も42%が処方されており、さらにスタチン薬81%、アスピリンが82%にも処方されており、かつ高度肥満という、専門病院レベルの合併症を持つ高度な治療抵抗性の患者を対象にしている。 このことから、一般診療で診る、単に高血圧や高脂血症などを合併した糖尿病症例に対する有用性が示されたわけではない。 本試験における、エンパグリフロジンの主要エンドポイント抑制効果は、利尿作用に加えて、HbA1cを平均7.5~8.1%に下げた血糖降下作用、そして体重減少、血圧降下利尿作用というSGLT2阻害薬が有する薬理学的な利点が、肥満を伴う超高リスク糖尿病例で理想的に反映された結果として、心血管死を予防したと考えるほうが自然であろうと考える。臨床試験という究極の適正使用だからこそ、本剤の特性がメリットに作用したのであろう。 本試験を日常診療に活用する点で注意しておくことは、1.本試験はすでに冠動脈疾患、脳血管障害の既往があり、近々心不全や突然死が発症する可能性が高い、きわめて超高リスクの糖尿病例を対象としており、診療所やクリニックでは診療する一般の糖尿病患者とは異なる点。2.本試験の結果は、臨床試験という究極の適正使用の診療下で行われた結果である点。3.心筋梗塞、脳卒中の再発予防には効果がなく、不安定狭心症を主要エンドポイントに追加すると有意性は消失してしまう点。したがって、従来の糖尿病治療薬同様、血糖降下治療に大血管疾患の発症予防効果は期待できないという結果を皮肉にも支持する結果となっている。 本試験が、高度の心血管合併症をすでに有している肥満の治療抵抗性の糖尿病症例の治療にとって、福音となるエビデンスであることは否定しないが、この結果を十分に批判的吟味することなく、一般臨床医に喧伝されることは大きな危険性をはらんでいるといえよう。本薬の基本的な抗糖尿病効果は利尿という点にあり、とくに口渇を訴えにくい高齢者では、脱水という重大な副作用と表裏一体であることは常に念頭に置くべきである。企業の節度ある適正な広報を願うばかりである。関連コメントEMPA-REG OUTCOME試験の概要とその結果が投げかけるもの(解説:吉岡 成人 氏)リンゴのもたらした福音~EMPA-REG OUTCOME試験~(解説:住谷 哲 氏)EMPA-REG OUTCOME試験:SGLT2阻害薬はこれまでの糖尿病治療薬と何が違うのか?(解説:小川 大輔 氏)

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第8回 底力をつけるにはやはりコレ!英語力を磨くには?

英語のロジックを身に付ける第1回では「英語に惑わされるな」「メッセージを伝えることが大切」と力説した。しかし、もちろん英語が大切でないはずはない。英語プレゼン力を底上げしたいなら、英語力を磨いて損はない。画像を拡大するでは、どこに力点を置くのか? リスニング? スピーキング? どれも大切だが、あえて何が一番大切かと聞かれれば、私は「英語のロジック」と答えることにしている。要はイイタイコトを最初に言う癖をつけるということだ。日本語は「起承転結」のロジックだ。多くの日本人には、この奥ゆかしい伝統が染みついている。しかし、この奥ゆかしさは英語プレゼンでは邪魔になる。起承~くらいで「コイツ、何言ってんの?」と思われてしまう。英語のロジックは「結論・理由・転・結」だから、みんな最初に結論が出てくると期待している。それが来ないと「???」となってしまうのだ。英語のロジックを身に付けるには、意識して訓練するしかない。普段の日本語の会話やメールでも、とにかく結論を最初に述べる癖をつけることだ。さらに、本格的にこの「結・理由・転・結」の論理展開を強化したければ、TOEFLのエッセイを書く練習がお勧めである。練習問題のたくさん載った参考図書が多く出回っている。これをしっかり訓練すると骨太な英語ロジック力が身に付くし、それは英会話、簡潔明瞭な質疑応答や論文執筆にも大いに役に立つこと請け合いである。英語のロジックでは最初に結論を述べることでゴールを示す。そして、どうやってそのゴールにたどりつくかを説明し、最後にもう一度念を押す。もう気が付いたかもしれないが、考え方は、8回にわたってお送りしてきた今シリーズに一貫して流れている。1枚のスライドも、プレゼン全体も1つのゴール=イイタイコトにベクトルを合わせる。7行ルール(第2回)も究極的にはそのためにある。イイタイコトに始まりイイタイコトに終わるのだ。英語上達に最も重要な3つのこと「英語のロジック」を身に付ける以外にも、やることはたくさんある。発音やリスニングにもコツはあるし、単語力も増やしたい。基本的には1つのこと(たとえば単語の勉強)だけをやるのではなく、読んだり、聞いたり、話したり、書いたり、いろいろやりながら全体として英語力アップを図るのがいい。画像を拡大するそうしたこともすべて含めてだが、英語上達に最も重要なことは結局、継続することに尽きると思っている。英語の学習法に関してさまざまな意見や説があり、それに振り回されがちだし、それが業界では商売のネタになっている感もある。焦る気持ちが、もっといい方法はないか? と浮気心をくすぐるかもしれない。だが、お金をかけていろいろなことに手を出している人には、半年以上、毎日英語を勉強したことがありますか? と問いたい。何だかんだ言っても、とにかく継続すること―これほど効果が確実な英語上達法はほかにないのではないだろうか。8回にわたって英語プレゼンの上達法を述べてきましたが、いかがでしたか? 皆さんの英語プレゼン、そして将来に少しでも役立てば幸いです。もっと詳しく知りたい方は、CareNeTVの同名のプログラム、そして拙書『流れがわかる英語プレゼンテーションHow To』(メディカルレビュー社)をご参照ください。講師紹介

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新システム人工膵臓、長期使用の有用性を確認/NEJM

 クローズドループシステムの人工膵臓の、長期使用の有用性が報告された。1型糖尿病患者を対象とした検討で、これまでのセンサー併用型ポンプ療法と比較して血糖コントロールを改善し、低血糖の発生は低く、成人被験者では血糖値の低下に結びついたという。英国・ケンブリッジ大学のHood Thabit氏らが、小児・青年25例と成人33例を対象とした12週間使用について検討を行い報告した。在宅療法としてのクローズドループシステムの人工膵臓の長期使用の可能性、安全性および有効性については、これまで確認されていなかった。NEJM誌オンライン版2015年9月17日号掲載の報告。1型糖尿病、成人33例と小児・青年25例を対象に12週間使用を評価 試験は、被験者が自宅で自由に生活している状況下で、クローズドループインスリン投与法とセンサー併用型ポンプ療法を比較して行われた。 検討は、2件の多施設無作為化対照試験にて実施され、被験者は58例(小児・青年25例、成人33例)であった。 クローズドループシステムは、成人被験者には昼夜にわたって、小児・若年者被験者には夜間に使用。クローズドシステムを12週間使用し、センサー併用型ポンプ療法(対照)を同一期間使用し評価した。 主要エンドポイントは、成人被験者については血糖値が70~180mg/dL、小児・青年については同70~145mg/dLであった時間割合とした。目標血糖値達成時間割合が11.0ポイント有意に増大 成人被験者において、目標血糖値達成の時間割合は、クローズドループシステム群67.7±10.6%、対照群56.8±14.2%で、クローズドループシステム群のほうが11.0ポイント(95%信頼区間[CI]:8.1~13.8)有意に増大した(p<0.001)。 また、平均血糖値は、クローズドループシステム群のほうが有意に低かった(差:11mg/dL、95%CI:6~17、p<0.001)。同様に、血糖値63mg/dL未満期間に関する曲線下面積(AUC)(39%低減、95%CI:24~51、p<0.001)、平均HbA1c値(差:0.3%、0.1~0.5、p=0.002)も有意に低かった。 小児・青年被験者では、目標夜間血糖値達成割合は、クローズドループシステム群が24.7ポイント(95%CI:20.6~28.7)有意に多かった(p<0.001)。 また、平均夜間血糖値は、29mg/dL(同:20~39)有意に低く(p<0.001)、昼夜血糖値63mg/dL未満期間に関するAUCは42%有意に低かった(95%CI:4~65、p=0.03)。 重度低血糖の報告は、クローズドループシステム群で3件発生した。1件は成人で、バッテリーの低下によるものであった。小児・青年群の報告例2件は第三者の支援を必要としたが入院とはならなかった。

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脳出血再発抑制に降圧は有効。それでもRCTは必要(解説:石上 友章 氏)-425

 マサチューセッツ総合病院のAlessandro Biffi氏らは、脳出血のサバイバー(90日以上生存者)を対象にして、その再発抑制に関する降圧治療の影響を調べて報告した。その結果、『降圧治療』および『血圧管理の質』が、脳葉型(lobular type)脳出血、非脳葉型(non-lobular type)脳出血のいずれのタイプの脳出血においても、再発抑制に有効であることが明らかになった。『血圧管理の質』については、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)による脳出血の2次予防の推奨血圧(非糖尿病者:SBP<140mmHg、DBP<90mmHg、糖尿病者:SBP<130mmHg、DBP<80mmHg)を基準にして、二項変数として「適切」、「不十分」とした。 この結果は、ガイドライン遵守による降圧治療の正当性をリアルワールドの実臨床データで証明するとともに、細動脈硬化によらない脳葉型の脳アミロイド血管障害(Cerebral Amyloid Angiopathy:CAA)によるとされる脳出血であっても、降圧治療が有効であることを示すことができた。 脳内出血サバイバーを対象にした単施設のコホート試験であることから、本研究は著者らが本文中に明言するように、試験結果の解釈は仮説提示に留まっている。観察研究は、さまざまなバイアスリスク(選択バイアス、実行バイアス、検出バイアス、症例減少バイアス)を持っている。本研究では、『小脳出血』を脳葉型、非脳葉型に分類できないという理由から除外しているが、もしデータ化しているのであれば、重要な情報となりうることから、解析に含めることが望ましかった。量反応関係の証明については、『降圧・アウトカム』間に、図に示すような関係が認められているが、降圧に限定した解析では、交絡因子をどれだけ解消することができたのか疑問が残る。本研究を仮説提示に留めるとするのであれば、より多くの情報を用いて仮説化していく試みがあってもよかった。本邦でも、MINDSの診療ガイドライン作成マニュアルでは、観察研究のエビデンスの強さの評価にあたっては、『弱(C)』から始めることが推奨されている。したがって、本研究によって明らかにされたCQに対する回答は、本論文の掉尾を飾る下記の一文に集約されるだろう。“These data suggest that randomized clinical trials are needed to address the benefits and risks of stricter BP control in ICH survivor.”画像を拡大する

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