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リラグルチド、肥満糖尿病患者の減量に有効/JAMA

 過体重/肥満(BMI 27.0以上)の2型糖尿病患者へのリラグルチド皮下注3.0mg(商品名:ビクトーザ)1日1回投与は、プラセボと比較して56週の間、有意な体重減少が認められ、5%以上または10%超の減量達成者の割合も有意に多かったことが示された。英国・レスター大学のMelanie J. Davies 氏らが、二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、報告した。体重の5~10%減少は、2型糖尿病および糖尿病関連の合併症を改善することが示唆されているが、現時点では、安全性、有効性が認められた体重コントロール薬はない。著者は今回の結果を踏まえて、さらなる検討を行い、より長期的に有効性、安全性を評価する必要があるとまとめている。JAMA誌2015年8月18日号掲載の報告。リラグルチド3.0mg、1.8mg、プラセボを投与し体重減少について比較 試験は2011年6月~2013年1月にかけて9ヵ国(フランス、ドイツ、イスラエル、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、トルコ、英国[イングランド/スコットランド]、米国)の126施設で被験者を募り行われた。 被験者の適格基準は、BMI 27.0以上、18歳以上、経口血糖降下薬0~3種類(メトホルミン、チアゾリジンジオン系薬、SU薬)服用、体重安定、HbA1c 7.0~10.0%であった。 1,361例がスクリーニングを受け、試験適格であった846例が3群に無作為に割り付けられた。各群の被験者は、12週間のoff-drugフォローアップ後、56週間にわたり、1日1回の(1)リラグルチド皮下注3.0mg投与(423例)、(2)同1.8mg投与(211例)、(3)プラセボ投与(212例)の介入を受けた。また全員が食事制限(総エネルギー摂取量を500kcal/日減らすよう推奨)と運動プログラム(早歩きを週150分)を受けた。 主要エンドポイントは3つで、56週時点の相対的な体重変化、ベースライン体重より5%以上減少した被験者の割合、または同10%超減少した被験者の割合であった。3.0mg群は、10%超体重減少者についても有意な差 被験者のベースライン体重は、リラグルチド3.0mg群105.7kg、同1.8mg群105.8kg、プラセボ群106.5kgであった。また、各群の平均年齢は55.0/54.9/54.7歳、女性被験者割合が48.0/48.8/54.2%、平均BMIは37.1/37.0/37.4、糖尿病罹病期間は7.5/7.4/6.7年などであった。 56週間の体重減少は、リラグルチド3.0mg群が6.0%(6.4kg)、1.8mg群4.7%(5.0kg)、プラセボ群2.0%(2.2kg)であった。対プラセボ群の推定差はリラグルチド3.0mg群-4.00%(95%信頼区間[CI]:-5.10~-2.90%、p<0.001)、同1.8mg群-2.71%(同:-4.00~-1.42%、p<0.001)であった。 5%以上体重減少者の割合は、リラグルチド3.0mg群54.3%、1.8mg群40.4%、プラセボ群21.4%であった。同様に対プラセボ群の推定差は、32.9%(95%CI:24.6~41.2%、p<0.001)、19.0%(同:9.1~28.8%、p<0.001)であった。 10%超体重減少者の割合は、それぞれ25.2%、15.9%、6.7%で、同様に対プラセボ群の推定差は、18.5%(95%CI:12.7~24.4%、p<0.001)、9.3%(同:2.7~15.8%、p=0.006)であった。 安全性に関しては、胃腸障害の報告が、プラセボ群(39.2%)と比較してリラグルチド3.0mg群(65.2%)、同1.8mg群(56.2%)で多かった。膵炎の報告例はなかった。

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働く糖尿病患者の65%が薬をきちんと服薬せず

 日本イーライリリー株式会社は、フルタイム勤務で、複数の経口薬のみで治療中の40~50代の2型糖尿病患者、390名を対象に意識調査を実施、その結果を発表した。 調査の結果、働き盛りの糖尿病患者では、多忙や不規則な生活で必ずしも医師の指示通り服薬ができていないことが明らかになった。また、ライフスタイルに合わせた治療を望んでおり、外出先での服薬をなくしたり、服薬回数の多さを考慮することが、治療継続のポイントと考えていることがわかった。調査概要対象:2剤以上の経口薬のみで2型糖尿病治療中の40~59歳のフルタイム勤務の患者地域:全国  調査手法:インターネット調査有効回答数:390名(経口薬2剤服薬130名、3剤服薬130名、4剤以上服薬130名)調査時期:2015年7月28日~30日調査結果の概要【服薬の順守状況】Q 医師の指示通り治療薬を飲むことができていますか?(n=390) 「きちんと飲めている」(44.9%)、「たまに飲めない」(48.2%)、「半々で飲めない」(4.9%)Q どのタイミングで飲めないことが多いですか?(複数回答、n=215) 「平日の夕食後」(28.8%)、「休日の夕食後」(20.9%)、「休日の朝食後」(17.7%)Q 飲めない理由について当てはまるものを選択肢から選んでください(複数回答、n=215) 「外出先に持っていき忘れる」(57.2%)、「食事が不規則だったり一食抜いてしまう」(42.8%)、「忙しくて飲み忘れてしまうことがある」(33.5%)Q 目標血糖値を達成できていますか?(n=390) 「達成できている」(10%)、「まあまあ達成できている」(32.3%)、「どちらともいえない」(18.5%)【治療への積極的参加意識】Q 生活状況やスタイルに合う糖尿病治療があったらいいと思いますか?(n=390) 「はい」(93.6%)、「いいえ」(6.4%)Q 生活状況やスタイルに合う糖尿病治療について主治医と話したり、相談したことはありますか?(n=390) 「はい」(37.8%)、「いいえ」(62.2%)Q 前記の質問で主治医と相談しない理由は何ですか?(複数回答、n=227) 「薬の量や飲む回数が多いのは仕方がないから」(47.6%)、「なんとなく話しにくい」(24.2%)、「病院へいけない」(10.6%)【今後の治療について】Q 医師から注射薬の提案を受けたことはありますか?(n=390) 「はい」(10.5%)、「いいえ」(89.5%)Q 注射に対する抵抗感はありますか?(n=390) 「とてもある」(53.8%)、「ややある」(27.4%)、「どちらともいえない」(12.6%)Q 注射に抵抗感を感じる理由は何ですか?(複数回答、n=317) 「面倒そう」(62.8%)、「重症な感じがする」(56.8%)、「忙しい生活の中で飲み薬との両立が難しそう」(42.3%)Q よい血糖コントロールのため医師から2つの勧めがあった場合、どちらを選択しますか?(n=390) 「飲む回数が増えるが、治療効果の高い飲み薬の追加服薬」(87.2%)、「治療効果が高い週1回だけの注射薬の追加」(12.8%)Q 前記の質問で注射を選んだ理由について(複数回答、n=50) 「週1回ならできそう」(52.0%)、「効き目がありそう」(34.0%)、「服薬回数を増やしたくない」(32.0%)Q 働きながら糖尿病治療をするにあたり、どのようなことが継続していけるポイントですか?(複数回答、n=390) 「効果が実感できる薬」(54.9%)、「外出中に服薬したり、注射の必要がない」(52.1%)、「薬の回数が少ない」(44.4%)【まとめ】 今回の調査結果から、働き盛りのフルタイム勤務の2型糖尿病患者では、指示通りに処方された薬を飲めている患者は半数以下だった。また、半数以上の患者が目標血糖値の達成ができていないことが明らかになった。さらに、自身の生活状況や生活スタイルに合った治療を望んでいるものの、服薬の量や回数に関しては「仕方がない」と思っており、多くが医師などへの相談まで至っていないことが判明した。 注射に対する抵抗感は依然高く、医師から提案されたことがある患者もわずか1割程度だった。働きながら糖尿病治療を続けるには、「効果が実感できる薬である」、「外出中に薬を飲んだり、注射したりする必要がない」と回答していることから、今後の治療では、服薬回数やタイミングなどを相談し、働きながらもQOLが向上できるような治療を医療従事者と患者がコミュニケーションを取りつつ、進めていくことが期待される。日本イーライリリー株式会社のプレスリリースはこちら。(調査結果PDFがダウンロードされます)

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105)合併症が心配の患者さんを安心させる指導法【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者糖尿病と診断されてから合併症が心配で、心配で……。 医師確かに。急に思ってもみなかった糖尿病といわれると心配になりますよね(共感)。 患者そうなんです。 医師今、頭の中はどうなっていますか? 患者糖尿病のことで一杯です。 医師なるほど。本当は糖尿病以外にやらなければならないことも、たくさんあるんだけど、そこまで頭が回っていないということですね。 患者そうなんです。 医師この外来ではいい意味で手を抜く、つまり糖尿病と上手に付き合ってもらいたいと思っています。できれば、糖尿病と仲良くね。 患者そんな風に、いつかなれたらいいと思います。●ポイント糖尿病中心の生活ではなく、生活の一部に糖尿病があることを上手に伝えます

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第4回 メソッド・リザルトの示し方 ― 聴衆に解釈を任せるな

スライドの工夫で「何をどうやったか」をわかりやすくメソッド・リザルトのわかりやすさはスライドによるところが大きい。何も考えず作成された「独りよがりの」スライドが多いのだ。前回説明したように、聴衆の多くはそれほど集中して発表を聴いてくれていない。だからイントロと結論だけでも、「ふ~ん」と思って帰っていく。しかし、中には終始本気でプレゼンを聴いてくれている人もいて、その人たちに正しくメッセージを伝えるには、メソッド・リザルトで何をやってどうなったかを明快に示す必要がある。そして、本気で聴いてくれる彼らこそ、あなたにとって最も重要なaudienceだ。聴衆に解釈を任せるな!?メソッド・リザルトをわかりやすくするポイントはいくつかあるが、ここではとくに誤解が多い「聴衆に解釈を任せない」ことの重要性を強調したい。論文なら客観的に方法やデータを記述し、読者に解釈してもらうが、口頭発表では、聴衆が複雑な研究方法や結果をかみ砕いて理解する時間がないことを理解してほしい。だから「イイタイコト」に向かって一直線にハイライト部分だけを示す必要がある。これは電化製品のパンフレットと、数十秒で商品の良さを伝えるテレビCM広告のような関係だ。製品の細かなスペックについての説明はパンフレットの役割。CMはズバッと、その商品で何ができるのかを視聴者にイメージさせる。口頭発表でもイイタイコトを最も端的に表す形でデータを提示しよう。その背後には、いろいろな対照実験や複雑なことがあるだろうが、「データの解釈はこちらでキチンとやりました、その結果こうなりました」というおいしいところだけを見せる(図参照)。もちろんウソになってはいけないが、客観性を重視するあまり、データすべてを見せて「さあどうぞ、解釈してください」と言うのは無責任だし、結局何も伝わらない。画像を拡大する画像を拡大する左のスライドは「コントロール」をすべて示すことで、その実験の正当性も示している。右はあえてすべてのコントロールを取り払って、本当に示したい結果のみ(メッセージ)を示している。左は論文の図としてはふさわしく、右は口頭発表のスライドに向いている。次回は、何をやったのかをしっかり示す、ディスカッションとコンクルージョンについてです。講師紹介

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トランス脂肪酸だけが健康に悪いのか/BMJ

 飽和脂肪酸の摂取と、全死因死亡、心血管疾患(CVD)、冠動脈疾患(CHD)、虚血性脳卒中、2型糖尿病との関連は認められなかったが、そのエビデンスは限定的であることが示された。一方、トランス脂肪酸の摂取は、全死因死亡、総CHD発生、CHD死と関連していたが、それは工業型トランス脂肪酸の摂取が反すう動物由来トランス脂肪酸の摂取よりも多いためであることが示唆された。カナダ・マックマスター大学のRussell J de Souza氏らが、観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年8月11日号掲載の報告より。飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の健康アウトカムとの関連を評価 食事のアドバイスに関して、直近のシステマティックレビューおよびメタ解析の著者らは、飽和脂肪酸の摂取と過剰な心血管リスクとの関連性はないと主張している。また米国では最近、加工食品に部分水素添加植物性油脂を使用しないよう求めるポリシーアクションを採択した。一方で健康ガイドラインでは、これら栄養素の有害性エビデンスについて、代替栄養素にも焦点を当てて慎重にレビューと評価を行うことを定めており、今回研究グループは、飽和脂肪酸とトランス不飽和脂肪酸(すべて、工業型、反すう動物由来)の摂取と全死因死亡、CVD(発生および死亡)、CHD(発生および死亡)、虚血性脳卒中、2型糖尿病との関連を調べるシステマティックレビューとメタ解析を行った。 発行開始から2015年5月1日時点までのMedline、Embase、Cochrane Central Registry of Controlled Trials、Evidence-Based Medicine Reviews、CINAHLを検索。検索論文および既往レビューの参考文献も検索対象に含め、上記の関連について報告していた観察試験を選択した。2人のレビュワーがそれぞれデータを抽出し、試験のバイアスリスクを評価。多変量相対リスクをプールして、不均一性を評価し定量化した。潜在的出版バイアスを評価し、サブグループ解析も行った。エビデンスの質および結論の確実性の評価にはGRADEアプローチを用いた。飽和脂肪酸の低リスクエビデンスは「非常に低い」 飽和脂肪酸について適格基準を満たしプールされた前向きコホート試験は、3件(CVD死との関連試験)~12件(総CHDおよび虚血性脳卒中との関連試験)にわたっていた。比較検討は5件(CVD死との関連試験)~17件(総CHDとの関連試験)、被験者数は9万501例(CVD死との関連試験)~33万9,090例(虚血性脳卒中との関連試験)であった。 結果、飽和脂肪酸摂取と、全死因死亡(相対リスク:0.99、95%信頼区間[CI]:0.91~1.09)、CVD死(0.97、0.84~1.12)、総CHD(1.06、0.95~1.17)、虚血性脳卒中(1.02、0.90~1.15)、2型糖尿病(0.95、0.88~1.03)との関連はいずれも認められなかった。CHD死との関連は説得力がないとは言えないものであった(1.15、0.97~1.36、p=0.10)。 トランス脂肪酸についてプールされた前向きコホート試験は、1件(反すう動物由来の全死因死亡との関連試験)~6件(すべてのトランス脂肪酸の2型糖尿病との関連試験)。比較検討は2件~7件、被験者数は1万2,942例(反すう動物由来の2型糖尿病との関連試験)~23万135例(すべてのトランス脂肪酸の2型糖尿病との関連試験)であった。なお、工業型トランス脂肪酸と虚血性脳卒中および2型糖尿病との関連、また反すう動物由来トランス脂肪酸と虚血性脳卒中との関連については、プール可能な試験が得られなかった。 分析の結果、すべてのトランス脂肪酸摂取と、全死因死亡(1.34、1.16~1.56、p<0.001)、CHD死(1.28、1.09~1.50、p=0.003)、総CHD(1.21、1.10~1.33、p<0.001)との関係が認められた一方、虚血性脳卒中(1.07、0.88~1.28、p=0.50)、2型糖尿病(1.10、0.95~1.27、p=0.21)との関連は認められなかった。 工業型トランス脂肪酸との関連は認められたが反すう動物由来トランス脂肪酸との関連は認められなかったのは、CHD死(1.18[1.04~1.33、p=0.009] vs.1.01[0.71~1.43、p=0.95])、CHD(1.42[1.05~1.92、p=0.02] vs.0.93[0.73~1.18、p=0.55])であった。 一方で、反すう動物由来トランス脂肪酸と2型糖尿病では逆相関の関連がみられた(0.58、0.46~0.74、p<0.001)。 しかし、GRADEによる検討の結果、飽和脂肪酸とすべてのアウトカムとの関連の確実性は「非常に低い」もので、トランス脂肪酸とCHDアウトカムとの関連性の確実性は「中程度」であり、その他の関連については「非常に低い」か「低い」ものであった。 これらの結果を踏まえて著者は、「食事ガイドラインは、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸に代わる推奨主要栄養素が、健康に与える影響を十分に考慮すべきである」と述べている。

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テストステロンの補充は動脈硬化を進展させるか/JAMA

 テストステロンの長期投与がアテローム性動脈硬化に及ぼす影響は確立されていない。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShehzad Basaria氏らは、今回、TEAAM試験において、加齢に伴いテストステロン値が低下した高齢男性に対するテストステロンの3年投与は、アテローム性動脈硬化を進展させず、性機能や健康関連QOLを低下させないことを示した。近年、米国ではテストステロンを使用する高齢男性が増加しているが、長期投与のベネフィットやリスクは明らかではなく、心血管イベントとの関連については相反する結果が報告され、前臨床研究でも矛盾するデータが示されているという。JAMA誌2015年8月11日号掲載の報告より。長期投与の影響をプラセボ対照無作為化試験で評価 TEAAM試験は、高齢男性における潜在性のアテローム性動脈硬化の進展に及ぼすテストステロン長期投与の影響を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験(Solvay Pharmaceuticals社などの助成による)。 対象は、年齢60歳以上、朝(午前7~10時)の総テストステロン値が低値または低~正常値(100~400ng/dL)あるいは遊離テストステロン値<50pg/mLの男性であった。 被験者は、テストステロン(75mg)またはプラセボを3年間投与する群に無作為に割り付けられた。投与量は、テストステロン値が500~900ng/dLとなるように調節された。 主要評価項目は、アテローム性動脈硬化の指標である総頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)と冠動脈石灰化(CAC)スコアの複合アウトカムとし、副次評価項目は性機能、健康関連QOLなどであった。 2004年9月~09年2月に、米国の3施設に308例が登録され、テストステロン群に156例、プラセボ群には152例が登録された。IMT、CACスコアに変化なし、性機能、QOLは改善せず 患者背景は両群で類似しており、全体の平均年齢は67.6歳、高血圧が42%、糖尿病が15%、冠動脈疾患が15%、肥満が27%に認められ、43%がスタチンの投与を受けていた。平均総テストステロン値は、テストステロン群が307.2±64.3ng/dL、プラセボ群は307.4±67.4ng/dLだった。 IMTの変化率は、テストステロン群が0.012mm/年、プラセボ群は0.010mm/年で、年齢と施設で補正後の平均差は0.0002mm/年(95%信頼区間[CI]:-0.003~0.003、p=0.89)であり、両群間に有意な差を認めなかった。 また、CACスコアの変化率は、テストステロン群が31.4 Agatston単位/年、プラセボ群は41.4 Agatston単位/年で、補正後の平均差は-10.8 Agatston単位/年(95%CI:-45.7~24.2、p=0.54)であり、両群間に有意差はみられなかった。テストステロン群のテストステロン値の変化は、IMTや石灰化スコアの変化と相関しなかった。 両群間に、性欲(p=0.13)、勃起機能(p=0.10)、総性機能スコア(p=0.09)の差は認めなかった。また、身体機能や健康関連QOLにも有意な差はなかった。 総コレステロール(TC)、HDL-C、LDL-C、トリグリセライド、空腹時血糖値は両群間に差はみられず、国際前立腺症状スコア(IPSS)も同等であったが、ヘマトクリット(p<0.001)、ヘモグロビン(p<0.001)、前立腺特異抗原(PSA)(p=0.01)はテストステロン群で有意に高値であった。 著者は、「本試験の検出力はアテローム性動脈硬化の進展に限られ、心血管イベントを評価するものではないため、これらの知見は心血管におけるテストステロンの安全性を示すものではないことに留意すべき」と指摘している。

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トロポニンT値、2型糖尿病患者の心血管リスク予測に有用/NEJM

 心筋トロポニンT値は、2型糖尿病と安定虚血性心疾患の合併患者において、心血管系が原因の死亡、心筋梗塞、脳卒中の独立した予測因子であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBrendan M. Everett氏らによる検討の結果、明らかにされた。また、迅速血行再建術でメリットが得られる患者はトロポニンT値14ng/L未満であることも示された。心筋トロポニン値は、急性冠症候群患者において、緊急血行再建が有効の可能性がある患者を同定するために用いられている。研究グループは、安定虚血性心疾患患者においても、心筋トロポニン値を用いて心血管イベントリスクの高い患者を同定し、迅速な冠血行再建によるベネフィットを得られることが可能であるとの仮説を立て、その検証試験を行った。NEJM誌2015年8月13日号掲載の報告より。トロポニンT値と複合エンドポイントの関連を評価 検討は、「2型糖尿病におけるバイパス血管形成血行再建の検討(BARI 2D)」の登録患者を対象に行われた。被験者は、2型糖尿病と安定虚血性心疾患を有し、ベースラインで高感度アッセイによる心筋トロポニンT値測定を受けた2,285例であった。 研究グループは、トロポニンT値と複合エンドポイント(心血管系が原因の死亡、心筋梗塞、脳卒中)の関連性を調べ、その後、迅速血行再建術群に無作為に割り付けた場合に複合エンドポイントの発生率が低下するかどうかを、トロポニンT値の異常値(14ng/L以上)群と正常値(14ng/L未満)群で比較した。14ng/L以上群での迅速血行再建術はベネフィットなし 2,285例のうち、ベースラインでトロポニンT値が検出できた(3ng/L以上)のは2,277例(99.6%)。そのうちトロポニンT値が異常値であったのは897例(39.3%)であった。 5年複合エンドポイント発生率は、トロポニンT値異常群は27.1%、正常群は12.9%であった。 心血管リスク因子、糖尿病の重症度、心電図異常、冠動脈の解剖学的所見で補正後のモデルにおいて、トロポニンT値異常群の複合エンドポイント発生ハザード比は、1.85(95%信頼区間[CI]:1.48~2.32、p<0.001)と有意に高かった。 トロポニンT値異常を示した患者において、迅速血行再建術群に無作為に割り付けられた患者は、薬物療法単独群と比較して、複合エンドポイント発生率について有意な差はみられなかった(ハザード比:0.96、95%CI:0.74~1.25)。

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104)脱水予防は、「水」か「お茶」で!【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師この新しい薬(SGLT2阻害薬)の副作用として、膀胱炎など尿路感染症になるリスクが高まることが報告されています。患者他にはどんな副作用がありますか?医師糖分とともに水分も身体から出ていきます。つまり、脱水予防が大切です。とくに、薬を飲み始めてから最初の1ヵ月間は、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まることも報告されていますので、水分を積極的に摂取するように注意してください。患者はい。水分なら、何でもいいですか?医師いいえ。糖分が入っているコーラ、ジュース、砂糖入りの缶コーヒーやスポーツドリンクは控えてください。患者血糖値も上がりますしね。医師そうです。それに、ナトリウムを含んでいるダイエット飲料ではなく、できればお茶か水にしてください。患者はい。わかりました。●ポイントSGLT2阻害薬投与時には、脱水予防のためにお茶か水を積極的に摂取することを上手に説明します※お茶については、緑茶や紅茶以外のカフェインのないものを選ぶようにしましょう。1)Chao EC, et al. Nat Rev Drug Discov. 2010; 9: 551-559.

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コーヒー4杯/日以上で結腸がんの再発が減少?

 座りがちな生活や肥満、食事による糖負荷増大などの相対的インスリン過剰状態では、結腸がんの再発が増加することが観察研究で示されている。一方、コーヒーの高摂取が、2型糖尿病リスクの減少とインスリン感受性の増大と関連しているが、結腸がんの再発と生存率に対するコーヒーの影響は不明である。米国・ハーバード大学のBrendan J. Guercio氏らは、コーヒー摂取量とステージIII結腸がん患者の再発および死亡との関連を検討し、コーヒーの高摂取が結腸がんの再発や死亡の減少に関連する可能性を報告した。Journal of clinical oncology誌オンライン版2015 年8月17日号に掲載。 著者らは、ステージIII結腸がん953例について、術後化学療法中および終了後6ヵ月間におけるカフェイン入りコーヒー、カフェイン抜きコーヒー、ハーブティー以外の紅茶、その他128種類の摂取量を前向きに調査した。がんの再発率や死亡率におけるコーヒー、ハーブティー以外の紅茶、カフェインの影響についてCox比例ハザード回帰を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。・コーヒー(カフェイン入りおよびカフェイン抜き)を4杯/日以上を摂取する患者の結腸がん再発または死亡の調整ハザード比(HR)は、まったく飲まない患者に比べ、0.58(95%CI:0.34~0.99)であった(傾向のp=0.002)。・カフェイン入りコーヒーを4杯/日以上摂取する患者では、がんの再発または死亡リスクがまったく飲まない人と比べて有意に減少し(HR:0.48、95%CI:0.25~0.91、傾向のp=0.002)、カフェイン摂取量の増加もがんの再発または死亡を有意に減少させた(HR:5分位の両端で0.66、95%CI:0.47~0.93、傾向のp=0.006)。・ハーブティー以外の紅茶とカフェイン抜きコーヒーの摂取量は患者の転帰と関連していなかった。・コーヒー摂取量と転帰改善の関連は、他の再発や死亡の予測因子を通じて一貫しているようにみえる。

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Vol. 4 No. 1 HFpEF駆出率の保たれた心不全に対する診断と治療を考える

山本 一博 氏鳥取大学医学部病態情報内科HFpEFとは左室駆出率が保持された心不全(HFpEF:heart failure with preserved ejection fraction)という概念が定着してきたのはこの10年程度と日が浅く、いまだ全容は明らかとなっていない。疫学調査の結果から明らかにされている特徴は、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF:heart failure with reduced ejection fraction)と比較して高齢者と女性の占める割合が高いことである。地域住民を対象とした調査のなかで心不全患者のEFの分布をみると二峰性を示し、2つの峰の間にある“谷”に当たる位置のEFの値は、HFrEFとHFpEFを臨床的に分けているEFのカットオフポイントにあたる1)。このような結果をみるとHFrEFとHFpEFは異なる病態として扱うべきと考えられる。HFpEFの診断HFpEF診断の基本は心不全であることの臨床診断左室駆出率が保持されているが、左室拡張機能障害が認められるである。1. 心不全の臨床診断心不全に伴う自覚症状や他覚所見には、心不全に特異的なものがない。現在のところ血中Bタイプナトリウム利尿ペプチド(BNPないしNT-proBNP)の濃度が上昇している場合は、心不全に基づく症状や所見の可能性が高いと判断することになる。この基準値であるが、BNPでは100pg/mL、NT-proBNPであれば400pg/mLが目安になると思われる。2. 左室流入血流速波形を用いた拡張機能評価に関する誤解以前より左室流入血流速波形が拡張機能の指標として用いられてきたが、ここに大きな認識の誤りがある。左室駆出率が低下している症例においてE/Aは左室充満圧と正比例しE波の減衰時間(DT)は左室充満圧と負の相関を示すことから2)、拡張機能障害のために二次的に生じている左室充満圧上昇の検出を通じて間接的に左室拡張機能障害の評価に左室流入血流速波形は用いうる。一方、HFpEFのように左室駆出率が保持されている症例では、E/AやDTは左室充満圧と相関しない2)。つまり、左室流入血流速波形をワンポイントで計測しても、拡張機能障害のために二次的に起きてくる左室充満圧上昇の有無を判断することは不可能である。では、左室流入血流速波形のみを用いて直接的に拡張機能を評価できるか? 答えは「NO」である。E/Aの低下は拡張機能障害を表すかのようにいわれているが、これを裏づけるデータはほとんどない。1980年代にKitabatakeらが心疾患患者においてE/Aの低下やDTの延長が認められることを報告し3)、その後、左室拡張機能障害、特に弛緩障害が起きるとE/Aが低下しDTが短縮するという研究結果が報告されたこともあり、E/Aの低下とDTの延長を認めれば左室弛緩障害を有していると判断できると信じ込まれてきた。確かに左室弛緩障害が起きるとE/Aは低下しDTは延長するとはいえるが、E/Aが低下しDTが延長していれば弛緩障害が存在するとはいえない。これまでに行われてきた多くの臨床研究の結果をみると、E/Aと左室弛緩評価のゴールドスタンダードである時定数Tauとの間には相関を認めないとする報告がほとんどである。最近わが国で集められた臨床データをみても、E/Aが低下している症例であってもTauは異常値ではない症例が少なくないことが示されている4)。3. 左室駆出率が保持された患者における拡張機能評価これについては、確立した指標がない。現段階で受け入れられている、左室充満圧上昇の検出に用いうる指標としてパルスドプラ法で記録する左室流入血流速波形のE波と、組織ドプラ法で記録する急速流入期の僧帽弁輪部運動のピーク速度e’の比(E/e’)の上昇肺静脈血流速波形および左室流入血流速波形の心房収縮期波の幅の差の増加左房径/容積の増加E波とe’波の開始時間の差であるTE-e’、連続波ドプラにおいて左室流入血流速波形と左室流出路波形を同時記録して求める等容性弛緩時間IVRTの比(IVRT/TE-e’)の低下Valsalva法により急速前負荷軽減を行った際のE/Aの過大な低下などが挙げられるが、いずれの指標も単独で用いうるほどの信頼性はない。また、心エコー図検査は安静時にデータ収集を行っているので、これらを用いて診断できるのは病期がある程度進行し安静時から左房圧が上昇している患者のみである。安静時に左房圧は上昇しておらず、労作時に拡張機能障害により急激な左房圧上昇を来すために運動耐容能が低下している患者も少なくなく(図1)、このような患者を診断するには左室拡張機能(主に左室弛緩とスティフネス)を直接的に評価する必要がある。図1 労作時の左室拡張末期容積および拡張末期圧の変化のシェーマ画像を拡大する左室弛緩を直接的に評価しうる指標としてe’が挙げられる。e’は左室弛緩障害により減高し、簡便に記録できるので臨床的にも有用性が高い。また、弛緩障害はe’波の開始を遅らせるため、E波の開始とe’波の開始の時間差であるTE-e’もTauと相関すると報告されている。左房容積は左房圧と相関をするので、純粋に拡張機能だけを反映しているとはいえないが、左室拡張機能障害による慢性的な左房負荷を反映して左房が拡大することから、拡張機能評価における左房容積は糖尿病評価におけるHbA1cのような位置づけにあるとも考えられている5)。American Society of Echocardiographyから出されているガイドラインにおいて、拡張機能障害の有無を検出するfirst lineの指標として用いられているのはe’と左房容積である6)。一方、HFpEF発症には左室弛緩障害以上に左室スティフネス亢進が寄与しており、その評価が重要であると考えているが、確立した非侵襲的評価法がない。われわれは拡張期の左室壁心外膜面の動きに着目した7)。線形弾性理論に基づくと、“やわらかい”物質と“硬い”物質に圧を加えた場合、圧を加えた面の反対面の動きが前者に比べ後者では大となる。この法則を左室自由壁の拡張期の動きに当てはめ(図2)、かつ簡便化した定量的指標がであり、心筋スティフネス係数と有意な負の相関関係にある。DWS低値は糖尿病患者においてHFpEF発症の独立した危険因子であること8)、HFpEF患者においてDWSは、年齢、性、E/e’、左室駆出率、左室重量係数、肺動脈圧、血中BNP濃度とは独立した予後規定因子であることも明らかにした9)。ただし、まだ広く受け入れられている指標ではないので、今後の検討が必要である。間接的に左室拡張機能障害の存在を示唆する形態的な異常所見が左室肥大である。ただし、HFpEF症例の60%では左室肥大は存在しないので、左室肥大が存在しないからといって拡張機能障害を否定することはできない。図2 「やわらかい」左室自由壁と「硬い」左室自由壁のM-モード画像を拡大するHFpEFの治療基礎疾患として高血圧を有する患者では血圧コントロールが必須である。虚血性心疾患患者では、虚血が自覚症状の原因と判断されれば血行再建を行う。心房細動で心室レートが過剰に亢進している場合には、これを抑える薬剤を用いる。このような基礎疾患に対する治療ないし対症療法を除き、HFpEFに特異的な治療として有効性が確立しているものは現段階ではない。1. 利尿薬HFpEFの自覚症状に体液貯留が関与している場合は、自覚症状軽減を目的として、つまり代表的な対症療法として利尿薬を用いる。利尿薬の選択については、わが国で実施したJ-MELODIC試験の結果を考慮すると、短時間作用型のフロセミドよりも長時間作用型のアゾセミドを選択するほうが好ましい10)。利尿薬は、現在認識されているように単に自覚症状を軽減することだけを目的として使用する薬剤なのか否かを検討する余地がある。心不全入院歴がなく、かつ心不全症状を認めない患者において利尿薬を中断すると、1年以内に再開せざるをえなくなる患者が少なくない11)。われわれの検討において、HFpEF患者を多く含むクリニカルシナリオ1の病態を呈する急性心不全は冬季発症が多く(本誌p.17図を参照)、冬季に発症が増える危険因子はループ利尿薬を服用していないことであるという結果が導かれた12)。心不全増悪のほとんどは心拍出量の低下ではなくうっ血によるものであり、その原因となる左室充満圧上昇はある程度進行しなければ臨床所見として捉えることができない13)。したがって、現在のように症状を基準として利尿薬の投与を中止した場合、まだ左室充満圧が上昇している状況、つまり心不全発症リスクが十分に低下していない状況での利尿薬中止に至る。心不全の増悪を繰り返すことが、結果的に病態の悪化を招くことは広く知られているところであり、このような病態の“揺れ”を招かない心不全コントロールを行うには、安易な利尿薬の中止は避けるべきかもしれない。2. レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の阻害これまでの介入試験の結果に基づき、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の阻害はHFpEFには有効性が期待できないと結論づけられているが、果たしてその結論を安易に受け入れてよいものであろうか?アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)はHFpEFに対して無効であるという結果を提示したI-PRESERVE試験のサブ解析は、投与開始前のNT-proBNP値が低い患者ではARBは有用であることを示唆している14)。I-PRESERVE試験より軽症の患者を多く含むCHARM-Preserved試験では、ARBは心不全悪化による入院リスクを有意に低下させている15)。PEP-CHF試験では追跡1年経過後に多くの症例が割付治療から逸脱していたため90%の症例が割付治療を行っていた割付後1年目の時点での解析を行うと、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)投与群で1次エンドポイント発生率は低下傾向を認め、心不全入院は有意に減少し、NYHA心不全機能分類および6分間歩行も有意に改善した16)。さらに最近発表された大規模観察研究では、ACEIないしARBの服用はHFpEFの予後改善に結びつくとの結果が示されている17)。アルドステロンの作用を抑制するミネラロコルチコイド受容体拮抗薬のHFpEFにおける有用性を検討したTOPCAT試験は2014年に結果が発表された18)。スピロノラクトンは設定された1次エンドポイント(心血管死、突然死、心不全入院)の低下をもたらさなかったが、心不全入院は有意に減少させている。TOPCAT試験の対象患者もNYHAⅡ度の比較的軽症の患者が多い。以上の介入試験の主論文の結論からは、ARB、ACEI、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬はHFpEFに無効という意見が導かれるが、日常診療においてHFpEF患者の抱える大きな問題の1つが高い再入院率であることなども念頭においたうえでこのようなサブ解析の結果を眺めると、これらの薬剤に効果を期待できる患者群が存在すると推察すべきではないかと考える。3. β遮断薬HFrEF治療で有用性が確立しているβ遮断薬のHFpEFにおける効果を検討した介入試験はほとんど行われていなかったが、わが国で実施したJ-DHF試験の結果を2013年に発表した。カルベジロール投与群と非投与群の比較ではイベント発生率に差異を認めなかったが、カルベジロール群をカルベジロール投与量中間値の7.5mg/日で分けて検討したところ、7.5mg/日より大の投与群では心血管死ないし心血管系の原因による入院という複合エンドポイント発生率を有意に低下させていた(本誌p.18図を参照)19)。この結論はDobreらの観察研究から導かれた結論とも一致しており20)、現在進行中のβ-PRESERVE試験の結果が待たれる。4. 非心臓因子に着目した薬物治療HFpEFの重症化には非心臓因子も関与しており、その点に焦点をあてる治療法の有用性にも期待がかかる。しかしこれまでのところ、肺血管抵抗低下作用のあるphosphodiesterase-5阻害薬のシルデナフィル、貧血改善目的で使用されるエリスロポエチンには有用性が確認されなかった。おわりに以上、HFpEFの診断と治療について概説した。治療法については、ARBとneprilysin阻害薬の作用を有するLCZ696、イバブラジンなどの効果を検討する臨床試験が進行中であり、それらの結果に期待したい。文献1)Dunlay SM et al. Longitudinal changes in ejection fraction in heart failure patients with preserved and reduced ejection fraction. Circ Heart Fail 2012; 5: 720-726.2)Yamamoto K et al. Determination of left ventricular filling pressure by Doppler echocardiography in patients with coronary artery disease: critical role of left ventricular systolic function. J Am Coll Cardiol 1997; 30: 1819-1826.3)Kitabatake A et al. Transmitral blood flow reflecting diastolic behavior of the left ventricle in health and disease--a study by pulsed Doppler technique. Jpn Circ J 1982; 46: 92-102.4)Yamada S et al. Limitation of echocardiographic indexes for the accurate estimation of left ventricular relaxation and filling pressure: interim results of SMAP, a multicenter study in Japan (in Japanese). Jpn J Med Ultrasonics 2012; 39: 449-456.5)Douglas PS. The left atrium: a biomarker of chronic diastolic dysfunction and cardiovascular disease risk. J Am Coll Cardiol 2003; 42: 1206-1207.6)Nagueh SF et al. Recommendations for the evaluation of left ventricular diastolic function by echocardiography. J Am Soc Echocardiogr 2009; 22: 107-133.7)Takeda Y et al. Noninvasive assessment of wall distensibility with the evaluation of diastolic epicardial movement. J Card Fail 2009; 15: 68-77.8)Takeda Y et al. Competing risks of heart failure with preserved ejection fraction in diabetic patients. Eur J Heart Fail 2011; 13: 664-669.9)Ohtani T et al. Diastolic stiffness as assessed by diastolic wall strain is associated with adverse remodelling and poor outcomes in heart failure with preserved ejection fraction. Eur Heart J 2012; 33: 1742-1749.10)Masuyama T et al. Superiority of long-acting to short-acting loop diuretics in the treatment of congestive heart failure. Circ J 2012; 76: 833-842.11)Walma EP et al. Withdrawal of long-term diuretic medication in elderly patients: a double blind randomised trial. BMJ 1997; 315: 464-468.12)Hirai M et al. Clinical scenario 1 is associated with winter onset of acute heart failure. Circ J 2015; 79: 129-135.13)Gheorghiade M et al. Assessing and grading congestion in acute heart failure: a scientific statement from the acute heart failure committee of the heart failure association of the European Society of Cardiology and endorsed by the European Society of Intensive Care Medicine. Eur J Heart Fail 2010; 12: 423-433.14)Anand IS et al. Prognostic value of baseline plasma amino-terminal pro-brain natriuretic peptide and its interactions with irbesartan treatment effects in patients with heart failure and preserved ejection fraction: findings from the I-PRESERVE trial. Circ Heart Fail 2011; 4:569-577.15)Yusuf S et al. Effects of candesartan in patients with chronic heart failure and preserved left-ventricular ejection fraction: the CHARMPreserved Trial. Lancet 2003; 362: 777-781.16)Cleland JGF et al. The perindopril in elderly people with chronic heart failure (PEP-CHF) study. Eur Heart J 2006; 27: 2338-2345.17)Lund LH et al. Association between use of renin-angiotensin system antagonists and mortality in patients with heart failure and preserved ejection fraction. JAMA 2012; 308: 2108-2117.18)Pitt B et al. Spironolactone for heart failure with preserved ejection fraction. N Engl J Med 2014; 370: 1383-1392.19)Yamamoto K et al. Effects of carvedilol on heart failure with preserved ejection fraction: the Japanese Diastolic Heart Failure Study (J-DHF). Eur J Heart Fail 2013; 15: 110-118.20)Dobre D et al. Prescription of beta-blockers in patients with advanced heart failure and preserved left-ventricular ejection fraction. Clinical implications and survival. Eur J Heart Fail 2007; 9: 280-286.

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第3回 つかみバッチリ!プレゼン開始とイントロダクション

「つかみ」がなぜ重要か画像を拡大するプレゼン成功の鍵の9割を握るのが「つかみ」―プレゼンの開始からイントロダクションまでだ。なぜか? それは、聴衆のテンションは基本的に低いものであり、それでもまだ少し集中力が高いのがプレゼン開始時だからである(右図)。ここで聴衆の気持ちを狙い撃ちにしなければ、あとは低いテンションによって聞き流されてしまう。今回はプレゼンの文字通り「つかみどころ」を公開しよう。聴衆の気持ちをつかむ方法(1)―自分の問題だと思ってもらうつかみで大事なのは、「今からお話しする内容が自分自身に関わる問題だ」と聴衆に思ってもらうことだ。誰でも自分のことなら真面目に話を聴くものだ。そのためにはまず、誰(どういった知識レベル、バックグラウンドの人)が聴衆なのかを知らなければならない。同じ学会発表でも、若手中心か、専門家中心か、などで話すテーマは微妙に変わってくるべきだ。そして、そのテーマが聴衆のどういった問題・関心事と関係するかを考え、そこから話を始めるとよい。たとえば、英語プレゼンの講義を私がするとすれば、「皆さんの中で英語プレゼンを経験した方はおられますか?」と聴衆に直接尋ねて話題に引っ張り込むこともあれば、「英語プレゼンって、われわれ日本人にはやっぱり難しいですよね」と語りかけて間接的に共感を得ることもある。話の最初に「何があなたの問題か」を提示するのだ。聴衆の気持ちをつかむ方法(2)―すり鉢状に話題に引き込む画像を拡大するイントロダクションでは、(1)で示した「あなたの問題」からすり鉢状に本題に絞り込んでいく。「これがあなたの問題だ」「なぜそれが問題か」「どうすれば解決できるか」「だから私はこういう研究をしてみた」といった具合にテーマを絞る。実は、ここで前回解説した「魔法の7行ルール」でイイタイコトをはっきりさせる技術が効いてくる。話がどこに向かうか話し手自身が自覚しなければ、結局このような効果的なイントロダクションができないからだ。上手なつかみと、一貫した話の方向性があれば、聴衆はあなたの話にグイグイ引きつけられていくだろう。次回は、聴衆を中だるみさせないメソッド・リザルトの提示の仕方を解説する予定です。講師紹介

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ASPECT-cUTI試験:複雑性尿路感染症におけるセフトロザン/タゾバクタムの治療効果~レボフロキサシンとの第III相比較試験(解説:吉田 敦 氏)-401

 腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療は、薬剤耐性菌の増加と蔓延によって選択できる薬剤が限られ、困難な状況に直面している。セファロスポリン系の注射薬であるセフトロザンとタゾバクタムの合剤である、セフトロザン/タゾバクタムは、βラクタマーゼを産生するグラム陰性桿菌に効果を有するとされ、これまで腹腔内感染症や院内肺炎で評価が行われてきた。今回、複雑性尿路感染症例を対象とした第III相試験が行われ、その効果と副作用が検証され、Lancet誌に発表された。用いられたランダム化比較試験 成人に1.5 gを8時間ごとに投与を行った、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験であり、欧州・北米・南米など25ヵ国で実施された。膿尿があり、複雑性下部尿路感染症ないし腎盂腎炎と診断された入院例を、ランダムにセフトロザン/タゾバクタム投与群と高用量レボフロキサシン投与群(750mg /日)に割り付けた。投与期間は7日間とし、微生物学的に菌が証明されなくなり、かつ、治療開始5~9日後に臨床的に治癒と判断できた状態をエンドポイントとした(Microbiological modified Intention-to-treat:MITT)。同時に、合併症・副作用の内容と出現頻度を比較した。レボフロキサシンに対して優れた成績 参加した1,083例のうち、800例(73.9%)で治療開始前の尿培養などの条件が満たされ、MITT解析を行った。うち656例(82.0%)が腎盂腎炎であり、2群間で年齢やBMI、腎機能、尿道カテーテル留置率、糖尿病・菌血症合併率に差はなかった。また776例は単一菌の感染であり、E. coliがほとんどを占め(629例)、K. pneumoniae(58例)、P. mirabilis(24例)、P. aeruginosa(23例)がこれに次いだ。なお、開始前(ベースライン)の感受性検査では、731例中、レボフロキサシン耐性は195例、セフトロザン/タゾバクタム耐性は20例に認めた。 結果として、セフトロザン/タゾバクタム群の治癒率は76.9%(398例中306例)、レボフロキサシン群のそれは68.4%(402例中275例)であり、さらに尿中の菌消失効果もセフトロザン/タゾバクタム群が優れていることが判明した。菌種別にみても、ESBL産生大腸菌の菌消失率はセフトロザン/タゾバクタムで75%、レボフロキサシンで50%であった。合併症と副作用に及ぼす影響 セフトロザン/タゾバクタム群では34.7%、レボフロキサシン群では34.4%で何らかの副作用が報告された。ほとんどは頭痛や消化器症状など軽症であり、重い合併症(腎盂腎炎や菌血症への進行、C. difficile感染症など)はそれぞれ2.8%、3.4%であった。副作用の内容を比べると、下痢や不眠はレボフロキサシン群で、嘔気や肝機能異常はセフトロザン/タゾバクタム群で多かった。今後のセフトロザン/タゾバクタムの位置付け セフトロザン/タゾバクタムは抗緑膿菌作用を含む幅広いスペクトラムを有し、耐性菌の関与が大きくなっている主要な感染症(複雑性尿路感染症、腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎)で結果が得られつつある。今回の検討は、尿路感染症に最も多く用いられているフルオロキノロンを対照に置き、その臨床的・微生物効果を比較し、セフトロザン/タゾバクタム群の優位性と忍容性を示したものである。 しかしながら、ベースラインでの耐性菌の頻度からみれば、レボフロキサシン群の効果が劣るのは説明可能であるし、尿路の基礎疾患(尿路の狭窄・閉塞)による治療効果への影響についても本報告はあまり言及していない。そもそも緑膿菌も、さらにESBL産生菌も視野に入れた抗菌薬を当初から開始することの是非は、今回の検討では顧みられていない。また、腸管内の嫌気性菌抑制効果も想定され、これが常在菌叢の著しいかく乱と、カルバぺネム耐性腸内細菌科細菌のような耐性度の高いグラム陰性桿菌の選択に結び付くことは十分ありうる。実際に、治療開始後のC. difficile感染症はセフトロザン/タゾバクタム群でみられている。 セフトロザン/タゾバクタムをいずれの病態で使用する場合でも、その臨床応用前に、適応について十分な議論がなされることを期待する。販売し、いったん市場に委ねてしまうと、適応は不明確になってしまう。本剤のような抗菌薬は、適応の明確化のみならず、使用期間の制限が必要かもしれない。

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103)患者さんの野菜摂取を増やす解決法【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師1日に野菜を、何皿くらい食べていますか?患者そうですね。夜に1皿か2皿くらいですかね。医師なるほど。将来の健康のことを考えた場合、1日に5皿(350g)の摂取が大きな目標となります。患者5皿ですか。全然、足りないですね。医師もし、野菜を1皿(70g)増やすとしたら、朝昼晩のいつに増やされますか?患者そうですね。朝はご飯に味噌汁なので、具だくさんの味噌汁にしています。医師それはいいアイデアですね。お昼なら、どんなアイデアがありますか?患者お昼はコンビニで菓子パンやカップスープを買うことが多いんですが……サンドイッチにしても野菜はあまり入っていないし……。医師なるほど。たしかに、お昼に野菜を入れるのは難しいですね。ところで、コンビニに野菜は売っていますか?患者はい。カット野菜やきざんだ野菜を売っています。医師では、カップスープにそれらの野菜を入れると、具だくさんになりますよ。患者それはいいですね。早速、やってみます(うれしそうな顔)。●ポイント患者さんの食環境に配慮し、野菜の摂取量を増やす方法を一緒に探します

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唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ

 香辛料入り食品を習慣的に摂取すると、あまり食べない集団に比べ、全死因死亡のほか、がん、虚血性心疾患、呼吸器疾患による死亡が減少することが、China Kadoorie Biobank collaborative groupのJun Lv氏らの調査で示された。香辛料は、世界の食文化に不可欠の要素であり、食品の味や風味付け、彩り、保存食のほか医療用としても長い歴史を持つ。最近は、とくに味付けのための使用が増加しており、中国では全国的に唐辛子の消費量が多いという。一方、カプサイシンなど、香辛料の主要な生理活性成分は、種々の慢性疾患において有益な役割を果たすことが、実験的研究や地域住民研究で報告されている。BMJ誌オンライン版2015年8月4日掲載の報告より。約49万人を約350万人年追跡した前向きコホート研究 研究グループは、香辛料入り食品の習慣的な摂取状況と、全死因および原因別の死亡との関連を評価する地域住民ベースの前向きコホート研究を実施した(National Natural Science Foundation of Chinaの助成による)。 2004~2008年に、中国の地理的に多様な10地域で50万人以上の参加者の登録を行ったChina Kadoorie Biobankのデータを用いた。ベースライン時にがん、心疾患、脳卒中に罹患していた参加者を除く、30~79歳の48万7,375人(男性19万9,293人、女性28万8,082人)が解析の対象となった。 ベースライン時に、参加者は「前月に、香辛料入り食品をどのくらい食べましたか」と質問され、「まったくあるいはほとんど食べない」「数日のみ」「週に1~2日」「週に3~5日」「週に6~7日」の中から1つを選んで回答した。 「週に1~2日」「週に3~5日」「週に6~7日」と答えた者は、さらに「あなたが食べた香辛料入り食品に使用された香辛料の主な原料は何ですか」との質問に対し、「生唐辛子」「乾燥唐辛子」「唐辛子ソース」「唐辛子油」「その他」「不明」の中から回答した(重複回答可)。 香辛料入り食品をほぼ毎日(週6~7日)摂取している集団は、それ以外の集団に比べ、農村地域居住者や喫煙者、アルコール摂取者が多く、赤身肉や野菜、果物の摂取頻度が高かった。また、全体で最も摂取頻度の高い香辛料のタイプは生唐辛子(約8割)であり、次いで乾燥唐辛子(約6割)であった。 フォローアップは2004~2013年に行われ、フォローアップ期間中央値は7.2年(350万4人年)であった。この間に、男性1万1,820人、女性8,404人が死亡した。ほぼ毎日食べると全死因死亡のリスクが14%減少 香辛料入り食品の摂取頻度別の絶対死亡率は、週1日未満の群が1,000人年当たり6.1であり、週1~2日の群が4.4/1,000人年、週3~5日の群が4.3/1,000人年、週6~7日の群は5.8/1,000人年であった。 既知のリスク因子や可能性のあるリスク因子で補正後の全死因死亡率は、男女ともに摂取頻度と強い逆相関の関係を示した。全体では、週1日未満と比較した死亡の補正ハザード比(HR)は、週1~2日が0.90(95%信頼区間[CI]:0.84~0.96)、週3~5日が0.86(95%CI:0.80~0.92)、週6~7日は0.86(95%CI:0.82~0.90)であった。 香辛料入りの食品を週に6~7日食べる集団は、週に1日も食べない集団に比べ、全死因死亡の相対的リスクが14%減少した。 また、全体では、香辛料入り食品を週に6~7日食べる集団は、週1回未満の集団に比べ、がん死、虚血性心疾患死、呼吸器疾患死のリスクが有意に低かったが、脳血管疾患死や糖尿病死、感染症死には差がなかった。感染症死は、女性では週に6~7回食べる集団で有意にリスクが抑制されていた。 週に6~7日食べる集団で、生唐辛子とそれ以外(乾燥唐辛子、唐辛子ソース、唐辛子油、その他の香辛料)に分けてリスクを比較したところ、生唐辛子で有意なリスク抑制効果がみられ、それ以外では有意差のない項目として、がん死、虚血性心疾患死、糖尿病死が挙げられた。全死因死亡と呼吸器疾患死は、生唐辛子とそれ以外の香辛料ともに、リスク抑制効果が有意だった。 摂取頻度と全死因死亡の逆相関の関係は、アルコール摂取者よりも非摂取者で、より強力であった(交互作用検定:p=0.033)。 著者は、「観察研究であるため、因果関係は確定できない。これらの知見の一般化可能性を示すには、別の集団においてさらなる前向き試験を行う必要がある」とし、「エビデンスが蓄積されれば、推奨食品に加えられたり、ハーブ系の補助食品などの機能性食品の開発につながる可能性がある」と指摘している。

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脳卒中リスク、日本でも居住地の経済状況が影響

 地区の社会経済状況の水準を指標化したものを、地理的剥奪指標(areal deprivation index)という。これまで欧米の多くの研究で、この地理的剥奪が循環器疾患リスクに影響する因子であることが示されている。しかし、アジアにおける検討はこれまでなかった。今回、国立がん研究センターによる多目的コホート研究(JPHC研究)で、地理的剥奪指標と脳卒中死亡および発症リスクとの関連が前向き研究で検討された。その結果、居住地の剥奪指標が脳卒中の発症に影響することが明らかになった。著者らは「地区の社会経済状況は脳卒中リスクを減少する公衆衛生介入の潜在的なターゲットになりうる」としている。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年3月5日号掲載の報告。 対象となったのは、JPHC研究に参加した40~69歳の日本人男女9万843人。地理的剥奪指標に応じて、脳卒中の死亡率(平均追跡期間16.4年)、および発症率(同15.4年)の調整ハザード比を推定した。共用frailtyモデルを用いたCox比例ハザード回帰モデルを適用した。 主な結果は以下のとおり。・個人の社会経済的状況で調整後、脳卒中発症の調整ハザード比(95%CI)は剥奪指標の最低群(最も裕福な地区)を基準として、 低い順に1.16(1.04~1.29)、1.12(1.00~1.26)、1.18(1.02~1.35)、1.19(1.01~1.41)(最高群:最も貧しい地区)であった。・この関連性は、行動および心理社会的な因子(喫煙、飲酒量、身体活動、ストレス、婚姻状況)で減弱したものの、依然、有意であった。さらに、生物学的な心血管リスク因子(過体重、高血圧・糖尿病・高脂血症の既往歴)で調整することにより、この関連性は有意ではなくなった。・居住地の剥奪指標と脳卒中の死亡率には有意な関連性は認められなかった。

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第2回 魔法の7行ルールでイイタイコトをハッキリさせる

『7行ルール』とは?7行ルールは、1枚のスライドのタイトル部分を除いた部分を7行に収めるというシンプルなものです。何があろうと絶対に行数を7行に収めます。理由は、スライドの中の情報量に制限を設けるためです。背景には、「伝わる情報量は、伝えようとする情報量に反比例する」という法則があります。ちなみに日本語スライドの場合は『6行ルール』になります。日本語の場合、漢字が入るため、文字当たりの情報量が増えるからです。7行、6行という数字にそれほど大きな意味があるわけではありませんが、経験上とにかくそれくらいに収めるとスライドがわかりやすい、ということです。一度決めたら妥協せず、絶対に7(6)行ルールを守り抜く気合が重要です。7行ルールの実践7行に収めるためには、受動態を能動態に変えたり、熟語を単語に置き換えたりする英文上の圧縮に加えて、箇条書き、因果関係の矢印などのテクニックがあります(図参照)。7行ルール適応前画像を拡大する7行ルール適応例-1画像を拡大する7行ルール適応例-2画像を拡大する(適応例-1は箇条書き、適応例-2はさらに因果関係の矢印を駆使した例)なぜ『7行ルール』が魔法なのか?画像を拡大する7行に収めるために、かなりスライドの内容を吟味するはずです。その過程で、何が本当に必要な情報か、最初は自分でもはっきりわかっていなかったことがだんだんハッキリしてくるはず。そして、これをすべてのスライドに適応すると、プレゼンテーション全体でイイタイコトが、自分でも驚くほど明確になってきます。逆に言うと、プレゼンで本当は何が言いたかったのか、それまでどれほど無自覚に準備をしてきたかに驚くはずです。これこそまさに『7行ルールマジック』です。ぜひ実践の中で、その効果を確かめてください。次回は、英語プレゼンで相手の心をわしづかみ(?)にする「イントロダクション」を中心に解説する予定です。講師紹介

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ピオグリタゾンとがん(解説:吉岡 成人 氏)-397

日本人における糖尿病とがん 日本における糖尿病患者の死因の第1位は「がん」であり、糖尿病患者の高齢化と相まって、糖尿病患者の2人に1人はがんになり、3人に1人ががんで死亡する時代となっている。日本人の2型糖尿病患者におけるがん罹患のハザード比は1.20前後であり、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが増加することが、疫学調査によって確認されている。糖尿病によってがんの罹患リスクが上昇するメカニズムとしては、インスリン抵抗性、高インスリン血症の影響が大きいと考えられている。インスリンはインスリン受容体のみならず、インスリン様成長因子(IGF-1)の受容体とも結合することで細胞増殖を促し、がんの発生、増殖にも関連する。チアゾリジン薬であるピオグリタゾンとがん ピオグリタゾン(商品名:アクトス)は承認前の動物実験において、雄ラットにおける膀胱腫瘍の増加が確認されていた。そのため、欧米の規制当局により米国の医療保険組織であるKPNC(Kaiser Permanente North California)の医療保険加入者データベースを用いた前向きの観察研究が2004年から行われ、2011年に公表された5年時の中間報告で、ピオグリタゾンを2年間以上使用した患者において、膀胱がんのリスクが1.40倍(95%信頼区間:1.03~2.00)と、有意に上昇することが確認された。さらに、フランスでの保険データベースによる、糖尿病患者約150万例を対象とした後ろ向きコホート研究でも、膀胱がんのリスクが1.22倍(95%信頼区間:1.05~1.43)であることが報告され、フランスとドイツではピオグリタゾンが販売停止となった。また、日本においても、アクトスの添付文書における「重要な基本的注意」に、(1)膀胱がん治療中の患者には投与しないこと、(2)膀胱がんの既往がある患者には薬剤の有効性および危険性を十分に勘案したうえで、投与の可否を慎重に判断すること、(3)患者またはその家族に膀胱がん発症のリスクを十分に説明してから投与すること、(4)投与中は定期的な尿検査等を実施することなどが記載されるようになった。多国間における国際データでの評価 その後、欧州と北米の6つのコホート研究を対象に、100万例以上の糖尿病患者を対象として、割り付けバイアス(allocation bias)を最小化したモデルを用いた検討が2015年3月に報告された。その論文では、年齢、糖尿病の罹患期間、喫煙、ピオグリタゾンの使用歴で調整した後の100日間の累積使用当たりの発症率比は、男性で1.01(95%信頼区間:0.97~1.06)、女性で1.04(95%信頼区間:0.97~1.11)であり、ピオグリタゾンと膀胱がんのリスクは関連が認められないと報告された1)。KPNCの最終報告 今回、JAMA誌に報告されたのが、5年時の中間報告で物議を醸しだしたKPNCの10年時における最終解析である。ピオグリタゾンの使用と膀胱がんのみならず前立腺がん、乳がん、肺がん、子宮内膜がん、大腸がん、非ホジキンリンパ腫、膵臓がん、腎がん、直腸がん、悪性黒色腫の罹患リスクとの関連を、40歳以上の糖尿病患者約20万例のコホート分析およびコホート内症例対照分析で検証したものである。 その結果、ピオグリタゾン使用は、膀胱がんリスクの増加とは関連しなかった(調整後ハザード比1.06:95%信頼区間:0.89~1.26)と結論付けられた。 しかし、解析対象とした10種の悪性疾患中8種の悪性疾患とピオグリタゾンの関連は認められなかったものの、前立腺がんのハザード比は1.13(95%信頼区間:1.02~1.26)、膵がんのハザード比は1.41(95%信頼区間:1.16~1.71、10万例/年当たりの膵臓がんの粗発生率は、使用者で81.8例、非使用者で48.4例)であったことが報告されている。 チアゾリジンの膀胱がんを発症するリスクに対する懸念は払拭されたのか、前立腺がんと膵がんのリスクに関するデータは、偶然なのか、交絡因子の影響なのか、事実なのか……、また1つの問題が提示されたのかもしれない。

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事例65 入院中患者の診療所受診分すべての査定(返戻)【斬らレセプト】

解説事例では、審査支払機関から返戻があって初めて、受診した患者が入院中であったことがわかった。入院中の医療機関では、入院基本料などを算定しているため、その患者の全身管理に責任を持つとされ、特別な理由を除き他の医療機関では保険適用はできない。入院中の医療機関がDPC対象病院であり、返戻せんに「合議願います」との添え書きがあったために、幸いにも合議に応じてもらえたが、患者の勝手な受診には応じられないと合議に応じてもらえない場合には、患者に診療費と調剤薬局処方の相殺分のすべてを自費請求しなければならないなど、手数がかかることが予想される事例であった。患者やその家族の中には、どのような場合でも保険が適用になると思われている方は多い。この診療所では、受診中に入院中であることがわかれば、その場で入院中は保険で他院に受診できないため、自費であることを伝える対応を取っていた。今回のような事例の再発を防ぐために、他院入院中の受診に対しての注意を待合室に掲示した。

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102)1日に摂りたい野菜の量を簡単に!【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師将来の健康のことを考えると、野菜はたっぷり食べたいですね。患者どのくらい食べたらいいですか?医師それでは、両手でお茶碗の形にしてみてください。患者はい……(両手でお茶碗の形にする)。医師この両手に生野菜を小さく盛ると70g、温野菜なら片手で70g、小皿1皿分が70gになりますね。患者なるほど。医師糖尿病の人は、がんにもなりやすいといわれています。血糖値を下げるだけでなく、がんを予防するためにも1日に5皿分(350g)は摂りたいものですね。患者それなら、私は野菜不足です。もっと野菜を頑張って摂るようにします(気づきの言葉)。●ポイント日本の5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)運動の野菜料理5皿(1皿70g)を手ばかりを用いてわかりやすく説明1)Li M, et al. BMJ Open. 2014; 4 : e005497.

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