サイト内検索|page:89

検索結果 合計:2798件 表示位置:1761 - 1780

1761.

地域別の脳卒中生涯リスク、東アジアで39%/NEJM

 2016年において世界全体の25歳以降の脳卒中生涯リスクは、男女ともに約25%であり、同リスクは地理的ばらつきがみられ、東アジア、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパで高率であった。米国・ワシントン大学のGregory A. Roth氏らGBD 2016 Lifetime Risk of Stroke Collaboratorsが、1990年と2016年の脳卒中生涯リスクについて調べ明らかにした。脳卒中生涯リスクは、限られた選択的集団で算出されているが、研究グループは、主要疾患有病率の包括的な研究データを用いて、地域別、国別、および世界全体レベルでの推算を行った。NEJM誌2018年12月20日号掲載の報告。GBD研究2016を用いて、25歳以上成人の累積生涯リスクを算出 研究グループは、世界の疾病負担(GBD)研究2016の脳卒中発症率の推定値と、脳卒中以外の全死因死亡の競合リスクを用いて、25歳以上成人における初発の脳卒中・虚血性脳卒中・出血性脳卒中の累積生涯リスクを算出した。 1990年と2016年の生涯リスクの推定値を比較し、また、GBD研究で使用されていた社会人口学的指標(SDI)の五分位分類に基づき各国をグループ分けし、グループごとのリスクを比較した。比較には、点推定値と不確定区間(推定値の2.5パーセンタイルから97.5パーセンタイルまで)を用いた。地域分類では東アジア(38.8%)が最も高率 2016年における世界全体の25歳以降の脳卒中推定生涯リスクは、24.9%(95%不確定区間[UI]:23.5~26.2)であった。男性は24.7%(同:23.3~26.0)、女性は25.1%(同:23.7~26.5)であった。 虚血性脳卒中リスクは18.3%、出血性脳卒中は8.2%であった。 高SDI国、高~中SDI国、低SDI国の脳卒中推定生涯リスクはそれぞれ23.5%、31.1%、13.2%で、高~中SDI国で最も高く、低SDI国で最も低かった。95%UIの重複は、これらのグループ間ではなかった。 GBDの地域分類で脳卒中推定生涯リスクが最も高かったのは、東アジア(38.8%)、中央ヨーロッパ(31.7%)、東ヨーロッパ(31.6%)であった。最も低かったのは、サハラ以南のアフリカ地域(11.8%)であった。 世界全体の脳卒中平均生涯リスクは、1990年は22.8%であったが、2016年は24.9%へと上昇し、相対的な上昇率は8.9%(95%UI:6.2~11.5)であった(脳卒中以外の全死因死亡の競合リスクを考慮して算出)。

1762.

非がん性慢性疼痛へのオピオイド、有益性と有害性/JAMA

 非がん性慢性疼痛に対するオピオイド使用は、プラセボとの比較において疼痛および身体機能の改善は統計学的に有意ではあるがわずかであり、嘔吐リスクは増大することが示された。また、オピオイド使用と非オピオイド使用の比較では、低~中程度のエビデンスであるが、疼痛、身体機能に関するベネフィットは同程度であった。カナダ・マックマスター大学のJason W. Busse氏らが、非がん性慢性疼痛のオピオイド使用に関する無作為化試験(RCT)のシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにした。非がん性慢性疼痛に対するオピオイドの有害性および有益性は、不明なままであった。JAMA誌2018年12月18日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析で、疼痛、身体機能、嘔吐について評価 研究グループは、CENTRAL、CINAHL、EMBASE、MEDLINE、AMED、PsycINFOのデータベースをそれぞれ創刊~2018年4月の間検索し、非がん性慢性疼痛に対するオピオイドとあらゆる非オピオイドを比較したRCTを特定した。2人のレビュアーがそれぞれデータを抽出。ランダム効果モデルおよびエビデンスの質評価のためにGrading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)を用いて評価した。 主要評価項目は、疼痛強度(スコア範囲は疼痛視覚アナログスケールで0~10cm、低値ほど良好であり、最小重要差[MID]は1cm)、身体機能(スコア範囲はSF-36の身体項目スコア[PCS]で0~100点、高値ほど良好であり、MIDは5点)、嘔吐の発生であった。疼痛は軽減、身体機能は改善も差はわずか 解析には、参加者2万6,169例を含む96件のRCTが包含された。参加者は、女性が61%、年齢中央値58歳(四分位範囲:51~61)で、RCTは25件が神経障害性疼痛、32件が侵害受容性疼痛、33件は中枢性感作(組織損傷を伴わない疼痛)、6件は混合性疼痛の試験であった。 プラセボと比較してオピオイド使用は、疼痛の軽減と関連していた(10cm疼痛視覚アナログスケールでの加重平均差[WMD]:-0.69cm[95%信頼区間[CI]:-0.82~-0.56]。MID達成に関するモデル化リスク差:11.9%[95%CI:9.7~14.1])。 また、オピオイド使用は、身体機能の改善と関連していた(WMD:100点SF-36 PCSのWMD:2.04点[95%CI:1.41~2.68]、MID達成に関するモデル化リスク差:8.5%[95%CI:5.9~11.2])。 一方で、嘔吐の増加とも関連していた(run-in期間中に有害事象を呈した患者を除外した試験についてオピオイド群5.9 vs.プラセボ群2.3%)。 オピオイドの疼痛および身体機能の改善との関連性について、エビデンスは低~中程度であるが、非ステロイド性抗炎症薬と比較して(疼痛のWMD:-0.60cm[95%CI:-1.54~0.34]、身体機能のWMD:-0.90点[95%CI:-2.69~0.89])、また三環系抗うつ薬と比較して(疼痛のWMD:-0.13cm[95%CI:-0.99~0.74]、身体機能のWMD:-5.31点[95%CI:-13.77~3.14])、および抗痙攣薬と比較して(疼痛WMD:-0.90cm[95%CI:-1.65~-0.14]、身体機能のWMD:0.45点[95%CI:-5.77~6.66])、いずれも同程度であることが示唆された。

1763.

脳梗塞後に抗うつ薬を内服しても機能向上は得られない、うつにはならない、骨折は増える(解説:岡村毅氏)-984

 脳梗塞後にはうつを発症しやすく(脳梗塞ではない同等の身体機能障害と比較しても多い)、脳梗塞後うつ(post-stroke depression)と言われるが、リハビリを阻害したり、自傷・自殺の原因となることもある重大な病態である。 これとは別に、脳梗塞後に抗うつ薬を内服すると、その神経保護作用から運動機能の向上がみられるという報告もある。 こういった問題に対して大規模研究で果敢に挑んだのが今回のFOCUS研究である。使用された抗うつ薬はSSRIの1つfluoxetineである。勘の鋭い人はおわかりかもしれないが、fluoxetineは海外における抗うつ薬の乱用や病気喧伝(なんでも病気のせいにして薬を売ろうとすること)の文脈で批判にさらされている現代文明を象徴する薬剤の1つである。商品名はプロザックといい、『Prozac Nation』という本も有名だ。なお、わが国では販売されていない。とはいえ、多く使われるのには理由があり、はっきり言って効果も有害事象も弱いため、このような対照研究で使われるのは合理的だろう。 3,000例以上の対象者を抗うつ薬内服と偽薬の2群に分けて6ヵ月以上みたが、残念ながらmodified Rankin Scaleにて測定した機能においては2群に差はない。 一方で、当たり前と言えば当たり前だが、脳梗塞後うつの発症は少ない。神経作用薬を投与する際に気を付けるべき痙攣や出血などは両群で差がない。さらに投与群では骨折が多いのだが、おそらく活動的になってリハビリに精を出したからかもしれない。SSRIによるふらつきのせいだ、あるいは骨が弱くなるんじゃないか、などという可能性だってゼロではないが、他の神経症状や転倒で差がないとなると、私ならリハビリが進んだためと考えるが…読者諸兄はいかがであろうか。 本論文を素直に読めば「抗うつ薬を内服しても生活機能面での効果はないのだから、予防的抗うつ薬投与は過剰だ」というものだ。一方で「脳梗塞後うつは生活の質に直結する重大な病態であり、予防できるのであれば内服しておけば安心だ」も理論上は残される。おそらく臨床現場では全例投与なんてことはありえないので、脳梗塞後うつの重大さを鑑みると少しでも兆候があれば早めに専門家にコンサルトする、あるいは治療を開始する、という文脈に依存した考え方をするべきだろう。

1764.

コリンエステラーゼ阻害薬を使用した新規認知症患者における抗コリン作用の影響

 臨床試験において、コリンエステラーゼ阻害薬開始後の抗コリン作用性負荷と治療変容との関連を評価した研究は、ほとんどない。韓国・嶺南大学校のYoung-Mi Ah氏らは、認知症治療の変容、せん妄、死亡率に対する抗コリン作用性負荷の影響を評価するため、検討を行った。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2018年12月3日号の報告。 韓国の国民健康保険サービスの高齢者コホートデータベース(Korean National Health Insurance Service Senior Cohort Database)より、2003~11年にコリンエステラーゼ阻害薬を開始した高齢者2万5,825例をレトロスペクティブに分析した。最初の3ヵ月間のAnticholinergic Cognitive Burden(ACB)の1日平均スコアが3超を、抗コリン作用性高負荷と定義した。治療変容、せん妄、死亡に対する抗コリン作用性高負荷の影響について、傾向マッチコホート7,438例におけるACB負荷最小群(ACBスコア1以下)との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・抗コリン作用性高負荷は、治療開始から最初の3ヵ月間で、認知症患者の約6.0%に認められた。・抗コリン作用性高負荷群は対照群と比較し、治療変容(34.9% vs.32.1%)、せん妄(5.6% vs.3.6%)、死亡(16.8% vs.14.1%)の割合が有意に高かった。・多変量Cox比例ハザード回帰分析では、最初の3ヵ月間でACB平均スコアが3超の集団には、治療変容リスク(ハザード比[HR]:1.12、95%信頼区間[CI]:1.02~1.24)、せん妄リスク(HR:1.52、95%CI:1.17~1.96)、死亡リスク(HR:1.23、95%CI:1.06~1.41)の有意な増加が認められた。 著者らは「抗コリン作用性高負荷は、コリンエステラーゼ阻害薬に対する治療反応に負の影響を及ぼし、ACB平均スコア3超が、認知症患者のせん妄および死亡の独立した予後因子であることが示唆された」としている。■関連記事認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連注意が必要、高齢者への抗コリン作用男性医師と女性医師によるコリンエステラーゼ阻害薬の処方実態比較コリンエステラーゼ阻害薬の副作用、全世界の報告を分析

1765.

頭を使わないと認知症になるっていうけど本当か?(解説:岡村毅氏)-983

 お待ちかねのBMJ誌のクリスマス号である。ご存じの方も多いと思うが、クスリと笑えるが、じわじわと効いてくる論文(きちんとした科学であることが大前提で偽科学はダメ)が満載のなんとも英国的な恒例行事である。 今回取り上げた論文は、英国・アバディーン市の1936年生まれの子供たちをなんと11歳の時点から継続的に知能テストし続けたという超長期縦断研究からの報告である。最新の調査は2013年であるから77歳に到達している。その結果、わかったことは大きく2つある。 第1は、時の流れには逆らえないということ。加齢により、どんな活動をしようが、教育歴を調整しようが(認知予備能の文脈)、認知機能は低下していく。 第2は、かすかに低下を緩やかにしたものは問題解決型の活動であって、知的活動ではないとのこと。 高齢者の外来をしていると、家で家族以外に誰とも話さずに低活動で過ごしている方もいる。それは究極的には個人の自由なのであるが、認知症などがある方が「閉じこもり→昼もコタツで寝てる→夜眠れない→せん妄や易怒性」という負のサイクルに陥っている場合は、地域活動やデイサービスなどを勧める。しかし「いいえ、私は美術館巡りをして頭を使っていますから」などと断られることもある。 そういうときは「どうぞ美術館に行き続けてください。応援します。でもね、毎日行っているわけではないでしょう。地域の活動とかデイサービスとかに行くと、いろいろな人がいて、いい人もいれば嫌な人もいて、いろいろな問題が起こって、そりゃあ楽しいことばかりではないですよ。でも学校も仕事もそうだったでしょう。いろいろな問題をみんなで解決していくと、生きてるって感じるし、頭にもいいんですよ」なんて言っていたことを思い出した。しばしばエビデンスというものは臨床知を追いかけているものだ。 さて、この論文はなんとなく無常観を漂わせているように思われる。これを読んで筆者は鴨長明の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。(中略)世の中にある人とすみかと、又かくの如し」を思い出した。年をとれば認知機能も徐々にその人なりに低下し、死が訪れる。人生は有限だからこそ、与えられた時間の中で精いっぱい善く生きようとするのだ。医療は死や認知機能低下を撲滅することはできないが、時にちょっとだけ遅らせたり、もっと重要なことは、善く生きるためのささやかなお手伝いはできるかもしれない。 では皆さま、良いお年をお迎えください。

1766.

顕微鏡的多発血管炎〔MPA:microscopic polyangiitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)は、抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)が陽性となる中小型血管炎である。欧米と比べ、わが国ではプロテイナーゼ3(proteinase3:PR3)ANCA陽性患者が少なく、ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase:MPO)陽性患者が多く、欧米よりも高齢患者が多いのが特徴である1,2)。多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA、旧ウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA、旧チャーグ・ストラウス症候群)とともに、ANCA関連血管炎(ANCA associated vasculitis:AAV)に分類される。■ 疫学平成28年度の指定難病受給者は9,610人であった。Fujimotoらは、AAV発症の地理的な相違を明らかにするために、日本と英国でのAAV罹患率の比較を行った。AAVとしては、100万人当たりの年間罹患率は、日本22.6、英国21.8で同等であったが、日本ではAAVの約80%をMPAが占める一方で、英国では6.5%のみであり、GPAが最も多く約65%であった3)。男女比は1:1~1:1.2とされている。■ 病因1)遺伝的背景日本人のMPAでは、HLA-DRB1*09:01陽性例が50%にみられ、健康対照群に比べて有意に多いことが報告されている1,4)。このHLA-DRB1*09:01は日本人の29%に認められるなどアジア系集団で高頻度に認められるが、欧州系集団やアフリカ系集団にはほとんど存在しない1,4,5)。このことが、日本でMPAやMPO-ANCA陽性例が多い遺伝的背景の1つと考えられる。さらにその後、DRB1*09:01とDQB1*03:03の間に強い連鎖不平衡が認められ、この両者がMPAと関連すること、逆に、DRB1*13:02はMPAとMPO-ANCA陽性血管炎の発症に対し抵抗性に関与している(MPO-ANCA陽性血管炎群に有意に減少している)ことが明らかとなった5,6)。2)血管炎発症のメカニズムBrinkmannらは、phorbol myristate acetate(PMA)で刺激された好中球が細胞死に至る際に、DNAを網状の構造にし、MPOやPR3などの抗菌タンパクやヒストンとともに放出する現象を見出し、その構造物を好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)と呼んだ7,8)。NETsは細菌などを殺し、自然免疫に関与しているが、その後ANCA関連血管炎患者の糸球体の半月体の部分に存在することが確認された8,9)。Nakazawaらは、プロピルチオウラシル(抗甲状腺剤)添加により生成されたNETsが、NETsの分解酵素であるDNase Iで分解されにくいこと、さらにこれを投与したラットがMPO-ANCA陽性の細胞増殖性糸球体腎炎を発症することを報告した8,10)。さらに、MPO-ANCAを有するMPA患者のIgGは、全身性エリテマトーデス患者や健常者よりも強くNETsを誘導すること、NETs誘導の強さは疾患活動性やMPO-ANCAのMPOへの結合性と相関していること、MPA患者血清のDNase I活性が低下していることが報告された8,11)。これらをまとめ、岩崎らは、MPA患者はDNase I活性低下などNETsを分解しにくい素因があり、感染や薬剤(プロピルチオウラシル、ミノサイクリン、ヒドラジンなど)1)が加わり、NETsの分解障害が起こり、NETsの構成成分であるMPOに対する抗体(MPO-ANCA)が産生されること、さらにANCAがサイトカインや補体第2経路によりプライミングされた好中球表面のMPOに強固に結合し、Fcγ受容体を介してさらに好中球を活性化させてNETsを放出し、血管壁を壊死させるメカニズムを提唱している8)。■ 分類腎型、肺腎型、全身型に分類されるが、わが国では、肺病変のみの症例も多数認められる。■ 症状発熱、食思不振などの全身症状、紫斑などの皮膚症状、関節痛、間質性肺炎、急速進行性糸球体腎炎などを来す。わが国では、欧米に比べ間質性肺炎の合併頻度が高い12)。EGPAほど頻度は高くないが、神経障害も認められる。■ 予後初回治療時の寛解率は90%以上で、24ヵ月時点での生存率も80%以上である。わが国では高齢患者が多いため、感染症死が多く、治療では免疫抑制をどこまで強くかけるかというのが常に問題になる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)検査所見としては、炎症所見、血尿、蛋白尿、円柱尿、血清クレアチニン上昇、MPO-ANCA陽性などを認める。診断には、厚生労働省の診断基準(1998年)が使用される(表)。表 MPAの診断基準〈診断基準〉確実、疑い例を対象とする【主要項目】1) 主要症候(1)急速進行性糸球体腎炎(2)肺出血、もしくは間質性肺炎(3)腎・肺以外の臓器症状:紫斑、皮下出血、消化管出血、多発性単神経炎など2) 主要組織所見細動脈・毛細血管・後毛細血管細静脈の壊死、血管周囲の炎症性細胞浸潤3) 主要検査所見(1)MPO-ANCA陽性(2)CRP陽性(3)蛋白尿・血尿、BUN、血清クレアチニン値の上昇(4)胸部X線所見:浸潤陰影(肺胞出血)、間質性肺炎4) 判定(1)確実(definite)(a)主要症候の2項目以上を満たし、組織所見が陽性の例(b)主要症候の(1)および(2)を含め2 項目以上を満たし、MPO-ANCAが陽性の例(2)疑い(probable)(a)主要症候の3項目以上を満たす例(b)主要症候の1項目とMPO-ANCA陽性の例5) 鑑別診断(1)結節性多発動脈炎(2)多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫症)(3)好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧称:アレルギー性肉芽腫性血管炎/チャーグ・ストラウス症候群)(4)川崎動脈炎(5)膠原病(SLE、RAなど)(6)IgA血管炎(旧称:紫斑病血管炎)【参考事項】1)主要症候の出現する1~2週間前に先行感染(多くは上気道感染)を認める例が多い。2)主要症候(1)、(2)は約半数例で同時に、その他の例ではいずれか一方が先行する。3)多くの例でMPO-ANCAの力価は疾患活動性と平行して変動する。4)治療を早期に中止すると、再発する例がある。5)除外項目の諸疾患は壊死性血管炎を呈するが、特徴的な症候と検査所見から鑑別できる。(吉田雅治ほか. 中・小型血管炎の臨床に関する小委員会報告.厚生省特定疾患免疫疾患調査研究班難治性血管炎分科会.平成10年度研究報告書.1999:239-246.)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)わが国では厚生労働省の血管炎に関わる3研究班合同のAAV診療ガイドラインと13,14)、腎障害を伴うAAVについての厚生労働省難治性腎疾患研究班によるエビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドがあり15)、欧米では、英国リウマチ学会(BSR)によるAAV診療ガイドラインがある16,17)。その後、3研究班合同のAAV診療ガイドライン18)が改訂された。■ 寛解導入療法厚生労働省3班のAAV診療ガイドラインでのMPAの治療アルゴリズムを図に示す。基本的には、ステロイド(GC)とシクロホスファミド(CY、[商品名:エンドキサン])の併用療法であるが、経口CYよりも静注CY(IVCY)が推奨されている。CYは年齢、腎機能などで減量を考慮する。欧米では、リツキシマブ(RTX、[同:リツキサン])がIVCYと同じポジションであるが、わが国では高齢患者が多いためにIVCYが推奨された。また、患者の状態によりメトトレキサート(MTX、[同:リウマトレックス])、ミコフェノール酸モフェチル(MMF、[同:セルセプト])、血漿交換なども推奨されている。GCの減量速度はAAVの再発に大きく関わっており、あまりに急速な減量は避けるべきである19)。図 MPA治療アルゴリズム(厚生労働省3班AAV診療ガイドライン)画像を拡大する*1GC+IVCYがGC+POCYよりも優先される。*2ANCA関連血管炎の治療に対して十分な知識・経験をもつ医師のもとで、RTXの使用が適切と判断される症例においては、GC+CYの代替として、GC+RTXを用いてもよい。*3GC+IVCY/POCYがGC+RTXよりも優先される。*4POCYではなくIVCYが用いられる場合がある。*5AZA以外の薬剤として、RTX、MTX*、MMF*が選択肢となりうる。*保険適用外■ 寛解維持療法厚生労働省3班のAAV診療ガイドラインでは、GC+アザチオプリン(AZA、[同:イムラン、アザニン])を推奨しており、そのほかの免疫抑制薬としてRTX、MTX、MMFが推奨されている。一方、難治性腎疾患研究班のRPGNガイドラインではRTXのかわりにミゾリビン(MZR、[同:ブレディニン])が推奨されている。やはりわが国のAAVは高齢者が多いこと、腎機能が低下するとMZRの血中濃度が上昇し、よい効果が得られることなどがその理由として考えられる。4 今後の展望2023年5月に改訂されたAAV診療ガイドラインによる治療の変化(とくにアバコパンについて)補体活性化の最終段階で産生される C5aRを選択的に阻害する経口薬アバコパン(商品名:タブネオス)は、ADVOCATE試験20)によりAAVに対する有効性および安全性を確認し、「顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症」を適応症として2022年6月に発売された。その後、2023年5月に改訂されたAAV診療ガイドラインにおいて、MPA/GPAの寛解導入治療でCYまたはRTXを用いる場合、高用量GCよりもアバコパンの併用を提案することが明記された。その他の薬剤ではMPA/GPAの寛解導入治療として、GC単独よりもGC+IVCYまたは経口CYを、GC+経口CYよりもGC+IVCYを、GC+CYと同列にGC+RTXを、GC+CYまたはRTXを用いる場合はGCの通常レジメンよりも減量レジメンを提案することが明記された18)。なお、アバコパンの添付文書には重大な副作用として肝機能障害が記載されている。その多くは投与開始から3ヵ月以内の発現であるが、それ以降に発現しているケースも報告されていることから、定期的なモニタリングが必要である。5 主たる診療科膠原病内科、リウマチ科、腎臓内科、呼吸器内科、皮膚科、神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 顕微鏡的多発血管炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)日本循環器学会. 血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版). 2018;54-60.2)佐田憲映.ANCA関連血管炎 顕微鏡的多発血管炎.日本リウマチ財団 教育研修委員会編. リウマチ病学テキスト 改訂第2版. 診断と治療社;2016.p.265-267.3)Fujimoto S, et al. Rheumatology. 2011;50:1916-1920.4)Tsuchiya N, et al. J Rheumatol. 2003;30:1534-1540.5)川崎 綾.顕微鏡的多発血管炎(1)疫学・遺伝疫学.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―. 日本臨牀社;2018.p.215-219.6)Kawasaki A, et al. PLoS ONE. 2016;11:e0154393.7)Brinkmann V, et al. Science. 2004;303:1532-1535.8)岩崎沙理ほか.小型血管炎(2)顕微鏡的多発血管炎の病理・病態.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―. 日本臨牀社;2018.p.220-225.9)Kessenbrock k, et al. Nat Med. 2009;15:623-625.10)Nakazawa D, et al. Arthritis Rheum. 2012;64:3779-3787.11)Nakazawa D, et al. J Am Soc Nephrol. 2014;25:990-997.12)Sada KE, et al. Arthritis Res Ther. 2014;16:R101.13)有村義宏ほか 編. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017. 診断と治療社;2017.14)Nagasaka K, et al. Mod Rheumatol. 2018 Sep 25.[Epub ahead of print]15)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 難治性腎疾患に関する調査研究班 編. エビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドライン2017. 東京医学社;2017.16)Ntatsaki E, et al. Rheumatology. 2014;53:2306-2309.17)駒形嘉紀.顕微鏡的多発血管炎(4)治療.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―.日本臨牀社;2018.p.232-237.18)針谷正祥、ほか. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023.診断と治療社:2023.19)Hara A, et al. J Rheumatol. 2018;45:521-528.20)Jayne DRW, et al. N Eng J Med. 2021;384:599-609.公開履歴初回2018年12月25日更新2024年7月11日

1767.

糖尿病患者の認知症リスク、活動的・社会的な生活で減らせるか

 糖尿病関連認知症に対する健康的な生活習慣の効果はまだわかっていない。今回、活動的な生活習慣と豊かな社会的ネットワークが糖尿病患者の認知症リスクの増加を防げるかどうか、スウェーデン・ストックホルム大学のAnna Marseglia氏らが検討した。その結果、活動的で社会的な生活習慣が、認知症リスクにおける糖尿病の有害作用を打ち消す可能性があることが示唆された。Diabetes Care誌オンライン版2018年12月6日号に掲載。 本研究は、Swedish National Study on Aging and Care in Kungsholmen(n=2,650)の認知症ではない高齢者の10年間の追跡調査。糖尿病は、病歴、薬剤使用、医療記録により、もしくはHbA1c 6.5%以上、HbA1c 5.7~6.5%(前糖尿病)で確定した。認知症は標準的な基準に従って専門医が診断した。「活動的な生活習慣」は、中程度~高レベルの余暇活動、もしくは社会的つながりとサポートが中程度~豊富な社会的ネットワークと定義された。認知症リスクのハザード比(HR)は、Cox回帰モデルから算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡調査中に246人に認知症が発症した。・前糖尿病(n=921)を除く糖尿病患者(n=243)は、糖尿病ではない参加者よりも認知症リスクが高かった(調整HR:2.0、95%信頼区間[CI]:1.4~2.9)。・糖尿病で余暇活動レベルが低い人(HR:4.2、95%CI:2.2~8.2)もしくは社会的ネットワークが乏しい人(HR:3.4、95%CI:1.9~6.1)は、余暇活動が中程度~高レベルもしくは社会的ネットワークが中程度~豊富な糖尿病でない参加者に比べて、認知症リスクが高かった。・糖尿病の参加者では、活動的な生活習慣(余暇活動レベルが高い、もしくは社会的ネットワークが豊富)が少ないリスク上昇と関連していた(HR:1.9、95%CI:1.1~3.4)。

1768.

知的活動、加齢による認知機能低下を予防せず/BMJ

 認知機能は行使することによって維持または強化が可能で、後年の認知機能低下も相殺する、ということを表す“use it or lose it”の考え方がある。しかし、英国・NHS GrampianのRoger T. Staff氏らが、498例を対象に15年追跡した前向き観察試験の結果、知的活動(intellectual engagement)は、加齢による認知機能低下への移行とは関連がないことが明らかにされた。一方で、後年の認知能力の向上とはわずかに関連が認められ、なかでも問題解決型の活動が、後年の認知能力の向上と最も関連していたという。BMJ誌2018年12月10日号(クリスマス特集号)掲載の報告より。認知能力を15年間、繰り返し測定 研究グループは、スコットランド北東部で自立した生活を送る1936年生まれの中高齢者498例を対象に、縦断前向き観察試験を行った。被験者は、1947年にスコットランド・メンタルヘルス調査(Scottish Mental Health Survey)を受けていた。 知的活動と、後年の認知能力と認知機能低下への移行との関連を検証した。典型的な知的活動について、質問票により評価。情報処理速度と言葉の記憶力の認知力測定値は、繰り返し15年間測定し、各認知テストについて1,200超の縦断的標本値群を得た。知的活動、幼少期の能力と教育にそれぞれ関連 知的活動は、後年の認知能力向上にわずかに関連が認められた。24ポイントスケールで、1ポイント上昇につき標準認知能力スコアは情報処理速度で0.97ポイント、記憶力では0.71ポイントの上昇が認められた(両者のp<0.05)。 とくに問題解決型の活動が、認知能力の向上に最も関連があった。1ポイント上昇につき、標準認知能力スコアの情報処理速度は0.43ポイント、記憶力は0.36ポイントの上昇が認められた(両者のp<0.05)。 一方、知的活動は、加齢による認知機能低下との関連は認められなかった。また、知的活動は、幼少期の能力(Pearson's相関係数0.35)、教育(同0.22)とそれぞれ関連が認められた(いずれもp<0.01)。

1769.

脳卒中後の機能回復にfluoxetineは有効か/Lancet

 急性脳卒中患者へのfluoxetineの6ヵ月毎日投与により、うつ病の発症は低下するものの骨折が増加し、機能的アウトカムの改善は得られない可能性が、英国・エディンバラ大学のMartin Dennis氏らが行ったFOCUS試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年12月5日号に掲載された。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)fluoxetineによる脳卒中後の機能的アウトカムの改善効果を示唆する小規模なプラセボ対照試験の結果が報告されており、コクランレビューでは、SSRIは脳卒中後の機能障害を抑制する可能性が示唆されている。しかし、これらのデータだけでは、治療ガイドラインの改訂には十分でなく、便益と有害反応が相殺される懸念も軽減されないという。6ヵ月後の身体機能をプラセボと比較 本研究は、英国の103施設が参加したプラグマティックな二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2012年9月~2017年3月の期間に患者登録が行われた(英国脳卒中協会と国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、臨床的に急性脳卒中と診断され、発症後2~15日の期間に無作為割り付けが行われ、割り付け時に神経脱落症状がみられた患者であった。 被験者は、fluoxetine 20mgまたはプラセボを毎日経口投与する群に割り付けられ、6ヵ月の治療が行われた。主要評価項目は、修正Rankinスケール(mRS、0[無症状]~6[死亡])で評価された6ヵ月時の身体機能とした。 3,127例が登録され、fluoxetine群に1,564例(平均年齢71.2[SD 12.4]歳、女性38%)、プラセボ群には1,563例(71.5[12.1]歳、39%)が割り付けられた。うつ病、気分障害も12ヵ月後には有意差が消失 6ヵ月時のmRS分類の分布は両群でほぼ同等であった(0:fluoxetine群7%、プラセボ群8%、1:19%、20%、2:10%、10%、3:33%、33%、4:8%、8%、5:14%、13%、6:8%、8%)。最小化変数で補正した共通オッズ比(OR)は0.951(95%信頼区間[CI]:0.839~1.079、p=0.439)だった。 Stroke Impact Scale(SIS)の9項目(筋力、手の機能、移動、日常生活動作、記憶、コミュニケーション、感情、参加、回復)は、いずれも両群間に差はみられなかった。また、疲労(SF36の「活力」で評価、p=0.6726)および健康関連QOL(EQ5D-5Lで評価、p=0.5866)にも差はなかった。気分障害(Mental Health Inventory[MHI-5]で評価)は、6ヵ月時にはfluoxetine群で良好であった(p=0.0100)が、12ヵ月時には差はなくなった。 6ヵ月時に新たにうつ病と診断された患者の割合は、fluoxetine群が13.43%(210例)と、プラセボ群の17.21%(269例)に比べ有意に低かった(p=0.0033)が、12ヵ月時には群間差は消失した。一方、6ヵ月時の骨折の発生率は、fluoxetine群が2.88%(45例)と、プラセボ群の1.47%(23例)に比し有意に高かった(p=0.0070)。生存を含め、12ヵ月時の他の副次評価項目にも両群間に有意な差は認めなかった。 著者は、「これらの結果は、脳卒中後のうつ病の予防や機能回復の促進を目的としたfluoxetineのルーチンの使用を支持しない」としている。

1770.

退職後も働く日本人、脳卒中・糖尿病の発症が遅い

 60歳以上の日本人男性の追跡調査の結果、現在の退職年齢を過ぎて働くことが健康にプラスの影響を与えることが示唆された。慶應義塾大学の岡本 翔平氏らが報告した。Bulletin of the World Health Organization誌2018年12月号に掲載。 著者らは、わが国の全国高齢者調査の公開されたデータから、60歳以上の男性1,288人を抽出し、死亡・認知機能低下・脳卒中・糖尿病の4つの健康アウトカムの発症について最大15年間追跡調査した。傾向スコア法を用いて、経済的、社会的および健康のデータを独立変数の形で組み込み、健康労働者効果を調整した。就労している人としていない人の健康アウトカムの時間差を計算し、退職年齢を過ぎて働くことによる健康について平均処置効果(ATE)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・就労している人はしていない人と比べて、寿命が1.91年(95%信頼区間:0.70~3.11)長かった。さらに、認知機能低下までの期間が2.22年(同:0.27~4.17)、糖尿病発症までの期間が6.05年(同:4.44~7.65)、脳卒中発症までの期間が3.35年(同:1.42~5.28)長かった。・自営業者と従業員の比較では、寿命は自営業者のほうが長かった。糖尿病や脳卒中の発症年齢については、従業員でのみ有意なベネフィットが認められたが、自営業者ではみられなかった。

1771.

認知症やパーキンソン病における幻視のマネジメント

 幻視は、認知症やパーキンソン病において発現する共通の症状であり、大幅な認知機能低下や機能低下と関連しているといわれているが、その最適なマネジメント戦略はよくわかっていない。英国・Papworth Hospital NHS Foundation TrustのPeter Swann氏らは、認知症やパーキンソン病における幻視の頻度や発現機序を再調査し、それらのマネジメントについてエビデンスベースで検討を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2018年11月6日号の報告。 1980年1月~2017年7月までにPubMedに掲載された研究を対象とし、システマティックレビューを行った。検索キーワードは、「幻視(visual hallucinations)」「レビュー(review)」「認知症またはパーキンソン病(dementia OR parkinson*)」とした。 主な結果は以下のとおり。・645件の研究の関連性についてスクリーニングし、最終的に89件の研究を抽出した。内訳は、メタ解析11件、ランダム化比較試験34件、その他の試験6件、関連レビュー多数であった。・他の精神症状と区別し、幻視を評価していた研究は、6件のみであった。・非定型抗精神病薬に関する研究は頻繁に行われていたが、パーキンソン病認知症におけるクロザピンを除き、その結果は不明瞭であった。・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が、幻視の治療に役立つ可能性があるとのエビデンスが、いくつか報告されていた。・全体として、ほとんどの治療に対するエフェクトサイズは小さく、長期フォローアップ研究はほとんど認められなかった。・治療においては、注意深くリスクを評価し、頻繁に見直しを行う必要がある。また、多くの患者は、治療することなく改善が認められた。・精神症状のグループ分けに一般的に使用される評価尺度を用いた幻視に関する研究データが不十分であった。 著者らは「幻視に関する特定の評価尺度や分析可能な他の評価尺度が欠如しており、現在の有効性や短期フォローアップによる小規模な研究に限定されていることから、将来における本分野の研究は重要である」としている。■関連記事認知症発症と関連する5つの精神症状認知症患者の精神症状に対し、抗不安薬の使用は有用か境界性パーソナリティ障害でみられる幻覚の正体は

1772.

てんかん治療患者の44%が高齢者

 今年も高齢者の意識消失による交通事故が後を絶たない。事故の原因疾患に関する報道はないものの、意識消失の原因となりうる心臓疾患や脳卒中、認知症、そして、てんかんなどについて検証される必要がある。2018年11月16日にエーザイ株式会社が「認知症と間違いやすい『高齢発症てんかん』」を開催し、4名の専門医(赤松 直樹氏[国際医療福祉大学医学部神経内科教授]、塩崎 一昌氏[横浜市総合保健医療センター地域精神保健部長]、久保田 有一氏[TMGあさか医療センター脳神経外科統括部長]、下濱 俊氏[札幌医科大学医学部神経内科講座教授])による解説、ならびに患者代表者(男性・65歳)による実体験の紹介が行われた。発作がわかりにくい高齢者てんかんとその特徴 医療者でも認識しづらい高齢者のてんかん。その理由を「高齢初発てんかんの半数は意識減損で痙攣をきたさない」と語る赤松氏は、『高齢発症てんかんとは』について講演。高齢者が発症するてんかん発作と患者割合について説明した。 高齢発症てんかんは側頭葉てんかんが半数以上を占め、治療にはカルバマゼピンや第二世代薬のラモトリギン、レベチラセタム、ペランパネル、ラコサミドが有効とされる。発作には“意識減損焦点発作”と“焦点起始両側強直間代発作”の2種類が存在するが、前者は認知症と誤認されやすいため、以下に主な症状を示す。高齢発症てんかん(側頭葉てんかん)の主な症状1)吐き気2)一点凝視3)口と手の自動症(口をくちゃくちゃ、手をもぞもぞ)4)動作の停止5)意識消失後のうろつき 1)~5)の順に徐々に発作が出現するが、「発作時間は30秒~3分程度と短く、5分以上継続することは少ない」と同氏はコメントした。 同氏主導で、2008年4月~2016年12月に実施した全国の急性期医療機関(DPC病院)から成る1,785万8,022人の医療情報データベースにおける後ろ向き研究によって、日本のてんかん患者の44%が65歳以上の高齢者であると判明した。また、「脳卒中後や認知症に併発することが多い」と特徴付けた同氏は、今後、久山町研究の結果を報告する予定である。抗てんかん薬が認知機能改善にも好影響 認知症治療の立場から『認知症診断におけるてんかんの現状』について講演をした塩崎氏は、てんかんに関する情報は、他の学会ガイドラインやテキストブックにおいて「十分な注意が払われていない」と嘆く。同氏の施設では、年間1,000件の物忘れ鑑別診断を行い、初回受診時には全例へ脳波検査を実施しているという。 同氏の外来は70~80歳代の高齢の受診者が大半を占める。軽度認知障害~初期アルツハイマー型認知症(AD)の診断が多いが、約1%の患者では主診断がてんかんであった。ところが、てんかんの存在を強く示唆する発作間欠期てんかん性放電(IED)が、側頭部で認められる症例は1%より多く、同氏は「てんかんの合併が疑われる患者は認知症外来に約5%存在した」と述べた。また、認知症患者にIEDが認められても、「認知機能低下が著しい場合、てんかんが合併しても認知症診断が優先される」ことを付け加えた。 IEDが記録できた患者50例に抗てんかん薬(AED)を投与し、MMSE下位項目を検証した結果、“注意・集中・計算”を反映するシリアル7課題が有意に改善した(AED投与前:2.76±1.85、AED投与後:3.64±1.59、p

1773.

日本人高齢者における幼少期の社会経済的状況と認知症の主観的症状との関係

 西洋諸国において、小児期の社会経済的な困難と認知症や認知機能低下との関連を示唆するエビデンスが増加している。しかし、非西洋諸国において、この関連性に関する研究は行われていない。東京大学の村山 洋史氏らは、地域社会に暮らす日本人高齢者における小児期の社会経済的な状態(SES)と認知症の主観的な症状との関連を調査し、この関連性が年齢や性別により変動するかを検討した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年10月20日号の報告。 東京都足立区の65歳以上のすべての住民13万2,005人を対象とした断面調査よりデータを抽出した。自己評価による認知症チェックシートを用いて主観的な症状を評価し、臨床認知症尺度(Clinical Dementia Rating:CDR)と比較し、検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・7万5,358件のアンケートデータを分析した。・潜在的な共変量で調整した後、小児期の低SESは、認知症の主観的な症状と関連している可能性が高かった。・小児期のSESと認知症の主観的な症状との関連は、年齢で有意な相互関係が認められたが、性別では認められなかった。・年齢層別分析では、小児期の低SESと認知症の主観的な症状との関連性は、65~74歳群よりも75歳以上群でより強く、この関連に対する年齢変化の影響を示唆している。 著者らは「小児期の低SESは、高齢期の認知症状に長期的な影響を及ぼし、この影響は、年齢により異なることが示唆された。この差異は、日本における社会的および歴史的(第2次世界大戦、戦後の混乱、その後の高い経済成長)な影響であると考えられる」としている。■関連記事小児期のストレスと将来の認知症発症との関連どのくらい前から認知症発症は予測可能かうつ病の治療転帰を予測するには、臨床的要因 < 社会経済的要因

1774.

世界で最も高齢化している日本における認知症の推定コスト

 認知症は世界的に重要な問題となっており、そのコストは、2015年で8,180億USドルと推定されている。そして、世界で最も高齢化の進む日本において、この問題は重要である。しかし、日本における認知症の社会的コストは、あまりよくわかっていない。慶應義塾大学の佐渡 充洋氏らは、社会的視点から認知症のコストを算出するため、検討を行った。PLOS ONE誌2018年11月12日号の報告。 有病率に基づくアプローチを用いて社会的視点からコストの推定を行った。コストを推定するためのパラメータの主なデータソースは、全国データベース、医療の利用には全国の代表的な個人レベルのデータベース、介護給付費等実態調査、長期の公的な介護の利用には個人レベルの2次データに基づく全国調査、非公式の介護の費用には同介護時間の調査結果であった。得られたパラメータより認知症コストを推定するために、確率論的モデリングを用いて分析を行った。また、将来のコスト予測も行った。 主な結果は以下のとおり。・2014年の日本における認知症の社会的コストは、14兆5,000億円(標準誤差[SE]:660億円)と推定された。・この内訳は、医療費1兆9,100億円(SE:49億1,000万円)、介護費6兆4,400億円(SE:632億円)、非公式の介護の費用6兆1,600億円(SE:125億円)であった。・認知症患者1人当たりの費用は、595万円(SE:2万7,000円)であった。・総費用は、2060年に24兆3,000億円に達し、2014年の1.6倍になると推定された。 著者らは「日本における認知症の社会的コストは非常に高く、この影響を緩和するための介入が必要とされる」としている。■関連記事日本における認知症の総合的なコスト~公式統計に基づく経時分析認知症による生涯コストはどのくらい?なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか

1775.

ローランドてんかんに対するレベチラセタムと従来薬の有効性比較

 レべチラセタム(LEV)はカルバマゼピン(CBZ)やバルプロ酸ナトリウム(VPA)と比較して、良性ローランドてんかんにおけるローランド発射(RD)を抑制する効果が優れていることが、山梨大学の金村 英秋氏らの研究によって明らかになった。Seizure誌2018年11月号に掲載。 中心・側頭部に棘波をもつ良性ローランドてんかんは、小児の特発性部分てんかんの1つである。本研究では、小児における非定型進化を予防するためのLEVの有効性を、従来の抗てんかん薬(AED)と比較するために、小児の良性ローランドてんかんにおける発作間脳波(EEG)上のRDの低減における、従来薬であるCBZおよびVPAとLEVの有効性を比較した。 患者は最初の単剤治療に基づいてCBZ群、VPA群、LEV群に分けられた。CBZ群とVPA群については後ろ向き研究、LEV群については前向き研究が実施され、RDの出現数をカウントし、発射頻度を計算した。ベースラインと比較して、AED処方時のEEG応答を完全消失と反応(RDの頻度が50%以上減少)に分類した。各AED治療群について、EEG反応者において完全消失または反応を達成するのに要する時間を評価した。 主な結果は以下のとおり。・奏効例の割合は、CBZ群で11.2%(10/89例)、VPA群で56.2%(41/73例)、LEV群で71.4%(25/35例)であった。・EEG応答の達成までに要した平均時間は、CBZ群で36.3ヵ月、VPA群で23.1ヵ月、LEV群で14.7ヵ月であり、CBZ群(p<0.001)またはVPA群(p<0.005)よりもLEV群で有意に速く達成された。・痙攣コントロールは、検討した3種類の薬剤すべてで有意差はなかった。

1776.

医師が選んだ"2018年の漢字"TOP5! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】

毎年恒例、12月の発表に向けて日本漢字能力検定協会が募集している「今年の漢字」。CareNet.comでは、一足早く会員の先生方に今年の漢字を選んでいただきました。「今年1年の世相を漢字1文字で表すとしたら、何を思い浮かべますか?」という質問に対し、ダントツで選ばれたのは、自然災害を連想させる「災」でした。それでは、「2018年の漢字」トップ5を発表します。発表にあたって、今年はケアネットの新入社員が筆を執りました。書を持つ5人も新入社員です。1位災第1位は群を抜いて多かった「災」2018年は、豪雪に始まり、各地での地震、西日本豪雨、酷暑、台風被害など、さまざまな自然災害が記憶に残る1年でした。なかには、被災した方からのコメントもあり、これを機に、医療現場や家庭での対応策を見直すべきなのかもしれません。 「災」を選んだ理由(コメント抜粋)今年は、地震、台風、土砂崩れなど自然災害が多かった。(60代 内科医/兵庫県)西日本豪雨災害にショックを受けたのと、他にも日本各地で地震、台風など多くの災害があった年だと思うから。(50代 内科医/広島県)今年1年、西日本豪雨、北海道地震、台風など自然災害続きで多くの方が被害に遭われた。そのことを忘れたくはないので。(50代 血液内科/福岡県)まさか自分も被災者になるとは思わなかった。(40代 内科/広島県)2位変昨年初登場し、今年は第2位にランクアップ。年号が変わることを筆頭にした国内の変化、トランプ大統領の動向など世界の変化、そして異常気象やプライベートの環境変化など、さまざまな「変」に対するコメントが寄せられました。平成が終わり、次の年号は何に決まるのでしょうか。 「変」を選んだ理由(コメント抜粋)いろいろと変化が大きかった。世界も安定しておらず、紛争、米国のトランプ大統領など、変化が大きかった。(60代 内科/新潟県)豪雪、猛暑などの気候等も含め「今までの常識だけでは対応できない」ことによく遭遇したという意味で。自身が臨機応変に対応できればという願いも込めて選びました。(50代 内科/福井県)初の米朝首脳会談、築地市場移転、平成最後の年など、変化する世の中であったから。(40代 消化器内科/福岡県)3位嘘第3位は4年ぶりに再登場の「嘘」。政治、マスコミ、教育、メーカーにおける虚偽に関するコメントが多く寄せられました。とくに、東京医大の入試減点問題は印象に残る先生も多かったのではないでしょうか。 「嘘」を選んだ理由(コメント抜粋)政治家の虚偽発言や、フェイクニュースの話題が多かった。(60代 神経内科/東京都)入試不正が印象に残ったから。(30代 精神科/福島県)日本をはじめ各国の指導者が平気で嘘をつき過ぎる。官僚や一流企業・大学も改竄、隠蔽、不正のオンパレード。(50代 皮膚科/東京都)4位乱第4位の「乱」は4年連続のランクイン。国内だけでなく、世界情勢も含めて「乱れている」「混乱している」という印象が強いようです。なかには、渋谷でのハロウィン騒ぎを連想させるコメントもありました。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)今の世の中あらゆるものが乱れている。(60代 外科/大分県)天災や不祥事などいろいろな騒動が目に付いたから。(30代 循環器内科/福岡県)天候、気象、災害、犯罪、秩序、政治などすべての分野で常識から外れた、乱れた出来事が多過ぎたから。(50代 総合診療科/青森県)5位暑第5位は、初登場の「暑」。7月半ばから8月にかけては気温40度超えの観測地点数が過去最多となり、各地で熱中症患者が多発しました。東京オリンピックに向けた暑さ対策も検討されており、納得のランクインです。 「暑」を選んだ理由(コメント抜粋)今年の夏が非常に暑かったから。(50代 泌尿器科/岐阜県)とにかく猛暑だった。(60代 リハビリテーション科/熊本県)猛暑で大変だった。(40代 小児科/静岡県)アンケート概要アンケート名 :『2018年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日    :2018年11月8日~15日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :526件

1777.

長期ベンゾジアゼピン使用者における認知症リスク~メタ解析

 ベンゾジアゼピン(BDZ)と認知症リスクに関する報告には、相反するエビデンスが存在する。中国・四川大学のQian He氏らは、BDZの長期使用と認知症リスクとの関連を調査するためにメタ解析を行った。Journal of clinical neurology誌オンライン版2018年10月26日号の報告。 2017年9月までの関連文献をPubMed、Embaseデータベースよりシステマティックに検索を行った。文献検索は、BDZの長期使用と認知症リスクとの関連を分析した観察研究にフォーカスした。プールされた率比(RR)および95%信頼区間(CI)は、ランダム効果モデルを用いて評価した。結果のロバスト性は、サブグループ解析および感度分析で確認した。 主な結果は以下のとおり。・症例対照研究6件およびコホート研究4件、合計10件の研究が抽出された。・BDZ使用患者の認知症発症のプールされたRRは、1.51(95%CI:1.17~1.95、p=0.002)であった。・認知症リスクは、半減期の長いBDZを使用している患者(RR:1.16、95%CI:0.95~1.41、p=0.150)およびBDZを長期使用している患者(RR:1.21、95%CI:1.04~1.40、p=0.016)において高かった。 著者らは「10件の研究をまとめた本メタ解析では、高齢者におけるBDZ使用が認知症リスクを有意に増加させることを示唆している。そのリスクは、半減期20時間超のBDZを使用する患者およびBDZ使用期間が3年超の患者において高かった」としている。■関連記事ベンゾジアゼピン使用に伴う認知症リスクに関するメタ解析ベンゾジアゼピンと認知症リスク~メタ解析ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

1778.

ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連性が示唆された

 ベンゾジアゼピンの使用は、メンタルに関連する混乱や遅延を潜在的に引き起こす可能性がある。これらのよく知られているベンゾジアゼピンの副作用は、認知症と診断されるリスクの増加と関連しているといわれている。韓国・成均館大学校のKyung-Rock Park氏らは、ベンゾジアゼピンと認知症との関連について評価を行った。International Journal of Clinical Pharmacy誌オンライン版2018年10月26日号の報告。ベンゾジアゼピン使用が認知症リスク増加と関連しているかを調査 2002~13年の韓国医療データベースよりデータを抽出した。ベンゾジアゼピン使用が認知症リスク増加と関連しているかを調査するため、Sequence symmetry analysis(SSA)を行った。新規のベンゾジアゼピン使用者と新規に認知症と診断された患者(ICD-10:F00~03、G30、G318)を定義した。ベンゾジアゼピンは、作用時間に基づき長時間作用型と短時間作用型の2群に分類した。結果の非因果的解釈の可能性を除外するため、抗うつ薬、オピオイド鎮痛薬、スタチンの使用者を活性比較者とした。関連性を同定するため、時間傾向調整順序比(ASR)と95%信頼区間(CI)を用いた。主要アウトカム指標は、ASRとした。長時間作用型ベンゾジアゼピン使用者は認知症リスクが高い 主な結果は以下のとおり。・ベンゾジアゼピン使用者は、認知症との関連が認められた(ベンゾジアゼピン:4,212対、ASR:2.27、95%CI:2.11~2.44)。・長時間作用型ベンゾジアゼピン使用者(長時間作用型:3,972対、ASR:2.22、95%CI:2.06~2.39)は、短時間作用型ベンゾジアゼピン使用者(短時間作用型:5,213対、ASR:1.88、95%CI:1.77~2.00)よりも、ASRが高かった。・本SSAでは、期間と反応との関連は認められなかった。 著者らは「本研究において、ベンゾジアゼピンと認知症との関連が示唆された。さらに、長時間作用型ベンゾジアゼピン系薬剤使用患者は、同薬剤の短時間作用型使用患者よりも、認知症リスクが高いと考えられる。この疫学的関連性の因果関係を明らかにするためにも、さらなる研究が求められる」としている。

1779.

男性医師と女性医師によるコリンエステラーゼ阻害薬の処方実態比較

 男性医師と女性医師では、患者をケアする方法にわずかではあるが重大な違いがあるといわれており、女性医師は、ベストプラクティスの推奨事項を遵守する傾向が強いとするエビデンスもある。カナダ・トロント大学のPaula A. Rochon氏らは、認知症のマネジメントにおいて推奨用量より低用量でのコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)による薬物療法を開始することで、男性医師と女性医師で処方実態に違いがあるかを検討した。PLOS ONE誌2018年10月22日号の報告。 対象は、カナダ・オンタリオ州に在住し、2010年4月~2016年6月に経口ChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)を新規に投与された66歳以上の認知症高齢者。医師の性別と推奨用量より低用量でのChEI治療開始との関連は、患者および医師の特徴で調整し、一般化線形混合回帰モデルを用いて分析した。データは、専門分野別に層別化を行った。副次的分析では、医師の性別と心臓スクリーニング、初期処方の期間短縮との関連性を分析した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は、男性医師5,811人、女性医師3,443人で、大多数はかかりつけ医であった(83%)。・女性医師は推奨用量よりも低用量でChEI治療を開始する傾向が強かった(調整オッズ比:1.43、95%CI:1.17~1.74)。・女性医師は男性医師と比較し、ChEI治療開始時の心臓スクリーニング(55.1% vs.49.2%、p<0.001)や初期処方の期間短縮(41.8% vs.35.5%、p<0.001)などの保守的な処方を実施する傾向が強かった。 著者らは「男性医師と女性医師では、ChEIの処方パターンにおいて統計学的に有意な差が認められ、女性医師の処方パターンは、より注意深く保守的である可能性が示唆された。今結果は、将来、推奨用量より低用量で治療を受けている患者において、良い結果が得られているかを判断するために役立つであろう」としている。■関連記事抗認知症薬処方前の甲状腺機能検査に関するレトロスペクティブ観察研究アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の安全性、専門家による評価なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかコリンエステラーゼ阻害薬の副作用、全世界の報告を分析

1780.

在宅医療で使う漢方薬の役割と活用法

 2018年10月24日、漢方医学フォーラムは、都内で第138回目のプレスセミナーを開催した。当日は、在宅医療における漢方薬の役割について講演が行われた。在宅医療は患者のレジリアンスを高める 講演では、北田 志郎氏(大東文化大学 スポーツ・健康科学部 看護学科 准教授/あおぞら診療所 副院長)を講師に迎え、「地域包括ケアシステムと漢方~“暮らしのなかでいのちを支える” 在宅医療で発揮される漢方薬の役割~」をテーマに講演が行われた。 同氏は、内科ローテートを修めた病院で東洋医学を専攻。以降、精神医学の診療に従事するとともに、中国に短期留学をし、漢方専門外来に従事するなど、漢方薬には深い造詣を持つ。 講演では、少子高齢化、多死化、高齢者の独居化が増加する日本社会で、地域包括ケアの重要性を強調。最新の治療機器、治療薬などで医療を提供し、健康長寿国であるにも関わらず、受益者である患者の医療制度への満足度は低く、提供している医療者は疲弊しきっていることに言及し、その原因を医療需要(患者の思い)と供給(医療者の思い)のミスマッチにあると指摘する。たとえば、終末期の患者を病院で看取ることは、本当に患者が望んでいることなのか、医療者の思いだけで医療の提供をしているのではないかと疑問を呈した。 具体的例として、80代の認知症患者を挙げ、自宅での終末期の過ごし方が患者の病状緩和やQOLの向上に役立ったと自験例を説明した。これを同氏は「レジリアンス(復元力・打たれ強さ)」と呼び、古い記憶をたどる傾向のある認知症では自宅だからこそ医療・介護に役立つ利点があると語る(ただし、在宅医療に拘泥することなく、病の軌跡の局面に応じて使い分けるべきだとも指摘する)。 また、在宅医療では、先端医療の導入が困難であり、治療手段も限定される中で、患者の暮らしと乖離しない技術として伝統医学との親和性を提案する。とくに高齢者の在宅診療では、「虚弱に対する補法」として、代替医療が真価を発揮する場になるという。高齢者への5つの漢方薬の使い方 『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015』(日本老年医学会 編集)では、「漢方薬・東アジア伝統医薬品」と別章を作り、クリニカルクエスチョンとして5剤について有効と記載している。 ガイドラインでは、「半夏厚朴湯」につき、「誤嚥性肺炎の既往をもつ患者における嚥下反射を改善させ、肺炎発症の抑制に有効である」とされている。また、エビデンスについても「有意に肺炎発症を減少させただけでなく、自力経口摂取維持にも有効」とされる。その他の方剤として、「抑肝散」が(アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性)に伴う行動・心理症状のうち易怒、幻覚、昼夜逆転、興奮、暴力など、いわゆる「陽性症状」に、「大建中湯」は脳卒中後遺症における機能性便秘ならびに腹部術後早期の腸管蠕動運動促進に、「麻子仁丸」は高齢者の便秘に、「補中益気湯」は慢性閉塞性肺疾患における自他覚症状、炎症指標および栄養状態の改善にそれぞれ有効とされている。 在宅医療で漢方を用いる意義について同氏は「老いること、死ぬことは生活に属し、現代医学による管理を緩めつつ、医療者に見放されることなく、在宅の生をまっとうする契機を得ることができる」と説明し、最後に「在宅医療における漢方の導入は『医療の根幹部とは何か』を模索する思考につながる」と思いを語り、レクチャーを終えた。

検索結果 合計:2798件 表示位置:1761 - 1780