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レビー小体病のバイオマーカーとして期待される「脂肪酸結合タンパク質」

 高齢人口の世界的な増加は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)などの認知症や運動機能障害といった、加齢に伴う疾患の増加につながる。これらの障害に関連するリスク因子の正確な予測は、早期診断や予防に非常に重要であり、バイオマーカーは疾患の診断やモニタリングにおいて重要な役割を担う。α-シヌクレイノパチーなどの神経変性疾患では、特定のバイオマーカーが疾患の有無や進行を示す可能性がある。 東北大学の川畑 伊知郎氏らは、これまでの研究でα-シヌクレイノパチーにおける脂肪酸結合タンパク質(FABP)の病原性の影響を実証しており、本試験では、FABPがレビー小体病の潜在的なバイオマーカーとなりうるかを調査した。その結果、FABPは、レビー小体病の潜在的なバイオマーカーとして機能し、疾患の早期発見や鑑別の一助となる可能性が示唆された。International Journal of Molecular Sciences誌2023年8月26日号の報告。 AD、PD、DLB、軽度認知障害(MCI)それぞれの患者群、健康対照(CN)群において、FABPの血漿レベルを測定した。主な結果は以下のとおり。・FABP3の血漿レベルはすべての群で増加が認められたが、FABP5およびFABP7のレベルはAD群で低下傾向が認められた。・FABP2のレベルは、PD群で上昇していた。・相関分析では、高いFABP3レベルは、認知機能低下と関連していることが示唆された。・タウ、GFAP、NF-L、UCHL-1の血漿中濃度は、認知機能低下との相関が認められた。・疾患の鑑別にスコアリング法を適用すると、MCI vs.CN、AD vs.DLB、PD vs.DLB、AD vs.PDの高精度な鑑別が実証された。

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デュシェンヌ型筋ジストロフィー、高用量rAAV9遺伝子療法後の死亡/NEJM

 米国・イェール大学のAngela Lek氏らは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の27歳の男性患者において、dSaCas9(Cas9ヌクレアーゼ活性を不活化した“死んだ[dead]”黄色ブドウ球菌Cas9)-VP64融合を含有する組み換えアデノ随伴ウイルス血清型9(rAAV9)による治療を行った。投与後、患者は軽度の心機能障害と心嚢液貯留を発症し、遺伝子導入治療後6日目に急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と心停止を来し、その2日後に死亡した。研究の詳細は、NEJM誌2023年9月28日号で「短報」として報告された。5歳時に診断、18歳で自立歩行能力を失う 患者は5歳時にDMDと診断され、21年間にわたりdeflazacort 1.1mg/kg/日の投与を受けてきた。18歳時に自立歩行能力を失った。腕の機能が進行性に低下し、心肺機能障害が徐々に増強した。 2022年10月4日、患者はCRISPR-transactivator治療薬(CK8e.dSaCas9.VP64.U6.sgRNA)を含有するrAAV9ベクターの投与を受けた。その時点で、除脂肪筋肉量の割合が45%と低く、拘束性換気障害および軽度の左室収縮機能障害を伴う重度の全身性筋力低下を呈していた。その後、左室駆出率(LVEF)は維持されていたが、肺機能は経時的に低下した。治療を行わなければDMDの筋症状の悪化が予測され、代替療法がないことから、遺伝子治療の候補と判断した。自然免疫反応がARDSを引き起こした 導入遺伝子は、custom CRISPR-transactivator療法として皮質型ジストロフィンをアップレギュレートするように設計された。使用したrAAV9の用量は、体重1kg当たり1×1014ベクターゲノムと、高用量であった。予防的免疫療法として、リツキシマブ、グルココルチコイド、シロリムスの投与を行った。 ベクター投与後1日目に、患者は心室性期外収縮を発症し、引き続き血小板数が減少傾向を示し、BNPとN末端proBNPの値が上昇した。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値とアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値の上昇は、DMD患者に見られるように、クレアチンキナーゼ値の増加と比例した。γ-グルタミルトランスフェラーゼ値は正常だった。 3~4日目には、呼吸性アシドーシスを伴う無症候性高炭酸ガス血症が発現した。5日目には、心機能が悪化し、LVEFは45~50%に低下した。トロポニンI値が上昇し、心エコー図検査でタンポナーデの生理的特徴を示す心嚢液貯留が認められたため、患者は心筋心膜炎と推定された。6日目には、急性呼吸困難を呈し、胸部X線所見でARDSと左室収縮機能不全(LVEF:45~50%)を認めた。 この間、緩和的な治療として、グルココルチコイドの増量、エクリズマブ(抗C5モノクローナル抗体)、トシリズマブ(抗IL-6受容体モノクローナル抗体)、anakinra(IL-1受容体拮抗薬)の投与を行った。 患者は6日目に心肺停止となり、体外式膜型人工肺による治療を受けたが、2日後の遺伝子治療から8日目に、多臓器不全と重篤な低酸素性虚血性神経障害により死亡した。死後の検査では、重度のびまん性肺胞障害が認められた。肝臓における導入遺伝子の発現はわずかであり、臓器におけるAAV9抗体やエフェクターT細胞反応性は認めなかった。 著者は、「これらの所見は、高用量のrAAV9遺伝子治療を受けた進行性DMD患者において、自然免疫反応がARDSを引き起こしたことを示している」としている。この研究は、米国・Cure Rare Diseaseの助成を受けて行われた。

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事例033 ミグシス錠の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、片頭痛を訴える患者に処方したロメリジン(商品名:ミグシス)錠(以下「ミグシス」)がD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。傷病名も用量も添付文書に記載された範囲内であり、再度、添付文書をみてみました。投薬禁忌に、「頭蓋内出血又はその疑いのある患者」とあります。病名には1年前の開始日にて「脳出血」が記載されています。その他のコメントなどの記載はありません。したがって、投与禁忌病名が存在するため算定要件に合致しないとして、コンピュータ審査により査定となったものと推測できます。医師にこの旨を伝えて尋ねると、「レセプトチェックシステムで指摘はあったが、脳出血再発の兆候はなく開始日も1年前であり特段の治療も行われていない、そのままで良いものとして提出に回した」と返答を頂きました。現在治療中の保険診療に対して直接に係わらない病名は、無用の査定を招くために速やかに転記して整理をいただくか、「脳出血再発の兆候が無いためミグシス錠を投与」などと医学的に必要としたコメントを頂けるようにお願いしました。このように、医学上では適切であっても保険診療では不適切とされる事例は、多々あります。こうした査定を防ぐためには、レセプトチェックシステムにて明らかに保険診療の範囲を超えると指摘があった場合には、必ず修正もしくはコメントをいただけるように重ねて医師にお願いしました。

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実臨床における片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の有用性~メタ解析

 片頭痛は、中等度~高度な頭痛エピソードを特徴とする神経疾患である。カルシトニン遺伝子に特異的なモノクローナル抗体由来の新規薬剤の開発により、従来治療で効果不十分であった片頭痛患者にとって、新たな治療選択肢がもたらされた。ブラジル・パラナ連邦大学のVinicius L. Ferreira氏らは、片頭痛予防に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド抗体(抗CGRP抗体)の実臨床での効果を評価するため、観察コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の使用に関する実臨床を反映した観察研究のメタ解析の結果は、これまでのランダム化比較試験で報告された結果と同様であり、抗CGRP抗体の有効性が確認された。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2023年9月4日号の報告。 論文検索には、観察研究用の電子データベースを用いた。抗CGRP抗体(エレヌマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumabなど)を使用している成人片頭痛患者を対象に有効性アウトカム(1ヵ月当たりの平均片頭痛/頭痛日数の減少、片頭痛/頭痛日数が50%以上減少した患者の割合)が報告された研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニング後、データ抽出、定性的および定量的分析を行うため、47研究をメタ解析に含めた。・片頭痛に関して、1ヵ月当たりの平均片頭痛日数が50%以上減少した患者は54%(95%信頼区間[CI]:49~59)、1ヵ月当たりの平均片頭痛日数の減少は約7.7日(95%CI:8.4~7.0)であった。・頭痛に関して、1ヵ月当たりの平均頭痛日数が50%以上減少した患者は57%(95%CI:48~64)、1ヵ月当たりの平均頭痛日数の減少は約8.8日(95%CI:10.1~7.5)であった。・使用薬剤や片頭痛タイプを考慮したサブグループ解析は、これまでの結果と同様であった。

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実臨床における日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療

 片頭痛治療に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体フレマネズマブの有効性は、ランダム化比較試験で実証されているものの、実臨床での研究結果は、いまだ限られている。獨協医科大学の鈴木 紫布氏らは、リアルワールドにおける日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療の有効性および忍容性を明らかにするため、単一施設観察研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2023年7月6日号の報告。 対象は、6ヵ月間、毎月または四半期ごとにフレマネズマブ投与を行った反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)患者。主要アウトカムは、フレマネズマブ治療後の1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)および治療反応率の変化とした。副次的アウトカムは、治療6ヵ月時点での治療反応患者の予測因子を特定とした。また、他の抗CGRP抗体から切り替えを行った患者におけるフレマネズマブ治療の有効性を評価し、毎月投与群と四半期投与群におけるフレマネズマブの有効性を比較した。MMDは、頭痛日誌を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、1回以上のフレマネズマブ治療を行い3ヵ月以上のフォローアップ調査を実施した片頭痛患者127例(年齢:45.2±12.6歳、女性:96例)。・MMDのベースラインからの変化量は、1ヵ月後で-6.1±4.7日、3ヵ月後で-7.7±4.4日、6ヵ月後で-8.5±4.5日であった(各々、p<0.001)。・6ヵ月後の治療反応率は、以下のとおりであった。【EM群】50%以上:67.6%、75%以上:22.5%、100%:5.4%【CM群】50%以上:52.2%、75%以上:14.9%、100%:1.5%・フレマネズマブ治療は、他の抗CGRP抗体から切り替えを行った患者35例においても、有効であった。・毎月および四半期ごとのフレマネズマブ投与は、EM群およびCM群のいずれにおいても、MMD減少に対する同様の効果が認められた。・CM群の65.1%において、6ヵ月後にEMの寛解が認められた。・副作用発現率は9.5%であり、軽度であった。・1~3ヵ月のMMD50%以上減少は、6ヵ月後のMMD50%以上減少の適切な予測因子であった(感度:90.5%、特異度:80.6%、p<0.001)。 これらの結果から、著者らは「片頭痛患者に対する毎月および四半期ごとのフレマネズマブ投与による良好な有用性および忍容性が、リアルワールド研究において確認された」としている。

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認知症治療支援保険、東京海上日動とエーザイが共同開発

 東京海上日動火災保険とエーザイは認知症の早期発見や早期治療について経済的に支援するための「認知症治療支援保険」を共同で開発したことを、9月28日のプレスリリースにて発表した。アルツハイマー病による軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症に特化した補償は業界初となる。 9月25日に、エーザイとバイオジェンが共同開発したヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体レカネマブ(商品名:レケンビ点滴静注200mg、同500mg)が、「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果において厚生労働省より承認を取得した。認知症の約6割を占めるアルツハイマー病について、早期の治療介入により疾患の進行の抑制が期待できることから、認知症の早期発見や早期治療に備えることの重要性が増している。 レカネマブは、アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度認知症の患者が対象となるが、その判断にはアミロイドβ病理の確認を行うPET検査等を受ける必要がある。こうした検査・治療には、一定の自己負担を要する。認知症治療支援保険では、保険料月額1,370円で、(1)早期発見の支援として、初めて軽度認知障害(含む認知症)と診断確定された場合、アミロイドPET検査の費用等に充てる一時金30万円※と、(2)早期治療の支援として、初めてアルツハイマー病による軽度認知障害(含むアルツハイマー型認知症)と診断確定された場合、新たな治療薬による治療費用等に充てる一時金100万円※を補償するという(※本例は50~54歳男性の場合。契約条件によって異なる)。契約方式は、企業等を契約者とし、その構成員等が任意に加入する団体契約となる。 また、付帯サービスとして、エーザイが開発した認知機能(脳の反応速度、注意力、視覚学習および記憶力)のデジタルチェックツール「のうKNOW」を加入者に提供し、認知機能の低下を捉えることで、早期発見・早期治療への導線をサポートする。

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第183回 認知症を阻止するらしい神経細胞2種類を同定

認知症を阻止するらしい神経細胞2種類を同定アルツハイマー病(AD)の病変であるアミロイド蓄積がたとえあっても認知機能が維持されて認知症になりにくいことと関連する脳の神経細胞2種類が同定されました1,2)。それらの神経細胞が死なないようにする手段を新たな成果を頼りに開発できるかもしれません。ねばねばしたアミロイドタンパク質の脳での蓄積がADの病因と広く言われています。その蓄積がやがて垢のような塊になって神経を死なせ、ついには記憶や意識を損なわせるという考えです。しかし認知機能障害を被る高齢者の誰もが脳にアミロイド塊を有するというわけではありませんし、脳にアミロイドが蓄積していると必ずADが生じるというわけでもありません。それはなぜなのかを調べるべく米国・ピッツバーグ大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは数千人の高齢者の認知や振る舞いの推移を1994年から追っている試験・Religious Orders Study/Memory and Aging Project(ROSMAP)に目を向けました。AD病変や認知機能障害の程度がまちまちな死亡被験者427例の脳組織の前頭前皮質の細胞が活動遺伝子の配列を頼りに分類され、どこにどの細胞があるかを示す地図が作られました。その結果、認知機能全般がすこぶる良好な人に多く、逆に低下している人では乏しい細胞の集団2つが同定されました。その1つは統合失調症などの脳疾患と関連するタンパク質・リーリン(reelin)の遺伝子が発現している神経細胞、もう1つは体のあちこちの営みを調節するホルモン・ソマトスタチン(somatostatin)の遺伝子を発現する神経細胞です。認知機能が損なわれていない人ではADの特徴である脳のアミロイド大量蓄積があったとしてもそれらの神経細胞が脳に豊富に残っており、それらの細胞はAD発症を防ぐ役割をどうやら担うようです。ADの研究では電気信号を伝えて別の神経を活性化する興奮性神経細胞がもっぱら注目されてきました。しかし今回の研究で見つかった2種は興奮性神経とは正反対の抑制性神経です。抑制性神経は神経間の通信を止める働きを担います。少なくともいくらかの人のそれらリーリン/ソマトスタチン発現抑制性神経はAD病変によってとりわけ壊れやすいのではないかと研究者は考えています。今年の早くにNature Medicine誌に掲載されたリーリン遺伝子変異の報告3)はその考えを支持しています。リーリンの機能を底上げするその変異を有する男性は脳のアミロイド蓄積が半端なく大量にもかかわらず67歳になっても認知機能が正常でAD症状を示しませんでした。そういう先立つ成果があるのでリーリン発現神経に辿りついた今回の成果はそれほど驚くものではなく、一貫した成果が得られていることに安心していると研究者は言っています4)。これまでAD治療手段の開発といえば脳のアミロイド蓄積をどうにかする手段にもっぱら目が向けられていました。今回の結果はそうではなくADで壊れやすい脳細胞を守る手段を見つける取り組みを後押しするでしょう。個々の細胞の配列を読み取ってそれらの地図(atlas)を作った今回の成果は最新技術の賜物であるとカリフォルニアの研究所Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Instituteの神経科学者Jerold Chun氏は言っています4)。AD患者は神経が発火しすぎて生じる発作を生じやすいことが知られますが、それは抑制性神経損失のせいかもしれないと同氏は想定しています。今回の研究で作られた脳細胞の地図はどの研究者も使えるように公開5)されており、それを出発点にして研究の裾野が一層広まるでしょう。参考1)Mathys H, et al. Cell. 2023;186:4365-4385.2)Decoding the complexity of Alzheimer’s disease / Massachusetts Institute of Technology3)Lopera R, et al. Nat Med. 2023;29:1243-1252.4)The brain cells linked to protection against dementia / Nature5)Single-cell transcriptomic atlas of the aged human prefrontal cortex

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豆乳の摂取と認知症リスク低下との関連が認められた

 これまでの研究において、ミルク(milk)の摂取は認知機能低下を予防可能であるかが調査されてきた。しかし、その結果は一貫していない。その理由として、これまで研究の多くは、ミルクそれぞれの役割を無視していることが重要なポイントであると考えられる。そこで、中国・中山大学のZhenhong Deng氏らは、各種ミルクの摂取と認知症リスクとの関連を調査した。その結果、豆乳(soy milk)の摂取と認知症(とくに非血管性認知症)リスク低下との関連が認められた。Clinical Nutrition誌2023年8月30日号の報告。豆乳摂取者はすべての原因による認知症リスクが低かった 英国バイオバンクのデータベースより、ベースライン時に認知機能低下が認められなかった参加者を対象に大規模コホート研究を実施した。ミルクの主な種類(全乳、無脂肪牛乳、豆乳、その他の牛乳、ミルク摂取なし)は、ベースライン時に自己報告により収集した。主要アウトカムはすべての原因による認知症とした。アルツハイマー病および血管性認知症を副次的アウトカムに含めた。 豆乳ほか各種ミルクの摂取と認知症リスクとの関連を調査した主な結果は以下のとおり。・参加者30万7,271人(平均年齢:56.3±8.1歳)のうち、フォローアップ期間中(中央値:12.3年)にすべての原因による認知症を発症した人は、3,789人(1.2%)であった。・潜在的な交絡因子で調整した後、ミルク摂取なしの人と比較し、豆乳摂取者のみにおいて、すべての原因による認知症リスクの有意な低下が認められた(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.54~0.90)。・豆乳の非摂取者(全乳、無脂肪牛乳、その他の牛乳)と比較した場合でも、豆乳摂取者は、すべての原因による認知症リスクが低かった(HR:0.76、95%CI:0.63~0.92)。なお、認知症の遺伝的リスクとの相互作用は認められなかった(p for interaction=0.15)・豆乳摂取者は、アルツハイマー病リスクが低かったが(HR:0.70、95%CI:0.51~0.94、p=0.02)、血管性認知症リスクとの有意な関連は認められなかった(HR:0.72、95%CI:0.47~1.12、p=0.14)。・豆乳の摂取量や頻度との関連性を明らかにするためにも、さらなる研究が求められる。

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第179回 レカネマブで治療可能な患者数、独自試算してみると…

ついに9月25日、アルツハイマー病(以下、AD)を適応症とする抗アミロイドβ抗体薬のレカネマブ(商品名:レケンビ)が承認された。ADを適応症とする薬剤が承認されたのは2011年以来、12年ぶりのことだ。ただ、何度かこちらで書いているように、この薬をどのように使っていくかは大きな課題である。すでに9月27日に開催された中央社会保険医療協議会では、この薬剤を巡る薬価算定の方針に関する議論が始まり、やや緊迫感が漂う情勢だ。一足先に承認されたアメリカでの年間薬剤費は約390万円(9月28日時点の為替レートによる)。ADは患者数だけで見れば、生活習慣病並みの非常に巨大な規模。一体、どれだけの患者が投与対象になるのだろう? ここで極めてざっくりとした数字を考えてみたいと思う。まず、ご存じのように、レカネマブは軽度認知障害(以下、MCI)、軽度ADといった早期のADが対象である。現・九州大学医学研究院 衛生・公衆衛生学分野教授の二宮 利治氏らが2014年に行った「厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によれば、各年齢層の認知症有病率が 2012 年以降も一定であると仮定した場合、ADの患者数は、2025年に466 万人と推計されている。もちろんこれには軽度から高度までのすべての重症度を含む。同研究の推計によると、2025年時点で軽度認知症が占める割合は全体の41%。これを機械的にADにも当てはめると、その患者数は191万人となる。認知症患者の受診率は約7割と言われているので、これまた機械的に当てはめると、軽度AD患者のうち134万人が受診していることになる。もっとも軽度の場合は「歳のせい」で片付けて受診していないケースもまだあると考えられ、実際の受診者はこれよりも少なくなるだろう。とりわけ独居の場合はこの傾向が強いと考えられる。ここでさらに軽度ADの独居高齢者は、症状に気付きにくく、ほぼ受診はしないという仮定を置く。2019年の国民生活基礎調査によると、高齢者世帯の独居率が49.5%であり、これを加味すると、軽度ADの受診者は67万人になる。では、このうちの一体どれだけの人がレカネマブの処方を望むだろうか? 日本での薬価決定はこれからだが、アメリカの薬価をベースに考えるならば、3割負担ならば月間約10万円、70~75歳の2割負担ならば約7万円、75歳以上の1割負担ならば約3万円。もっとも隔週で通院し、高額な薬剤費を払うという前提では、患者自身や家族も相当程度コストパフォーマンスを意識するだろう。まず、実際に処方を検討するのは70歳前後が中心と考えるのが妥当な線ではないだろうか。そこで、レカネマブの処方を検討する層の月当たりの自己負担額を2割7万円と仮定する。総務省統計局によると、高齢者の家計に占める平均の保健・医療支出割合は約6%。裏を返せば、医療などにかけるお金が6%程度に収まるならば、高齢者では家計がなんとか回せるとも言える。そうなると単純に月収100万円程度、すなわち年収1,200万円以上はないと、レカネマブには手が届かない。もっとも軽度AD患者で年収1,200万円も稼げる人はそうそういないはずだ。おそらくは最後に預貯金を崩す、子供が費用を肩代わりするとするのが現実ではないだろうか? 厚生労働省の国民生活基礎調査では、年収1,200万円以上の世帯は約7%であり、これを前述の67万人に適用すると4万7,000人にまで絞り込まれる。もっともこの数字は経済性の観点のみで、患者と家族にとって、思っている以上に負担が大きい「隔週通院」というファクターは織り込んでいない。さらにこの薬剤の場合、厚生労働省による「最適使用推進ガイドライン」が作成されることはほぼ必定。同ガイドラインでは、定性的な表現ながらも必ず施設基準が設定される。今回のレカネマブの場合、陽電子放出断層撮影(PET)とアミロイド関連画像異常(ARIA)をチェックするMRIの撮影と読影に熟達した施設であることが求められると予想する。そこで日本核医学会のPET 撮像施設認証を受けている施設を参照すると、28都道府県の70施設弱しかない。これらを総合した私なりのきわめて粗い試算をすれば、軽度AD患者(MCIは除く)のうち、直近でレカネマブの処方を受けられる候補対象は1~2万人程度。現実はどうなるか、2~3年後に答え合わせをしてみようと思う。

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動かないと認知症になる?―人類史の視点から(解説:岡村毅氏)

 いわゆる「座位行動」の研究である。座位行動とは、座ることに代表されるエネルギー消費量が1.5メッツ以下の行動を指すもので、実際には座っているとは限らない。デスクに座ってコンピュータで作業をする、ソファでだらだらテレビを見る、床に寝転がって本を読む、などはすべて該当する。 厚生労働省によると、健康によいとされる3メッツ以上の中高強度身体活動は、1日の起きている時間のうち、わずか3~8%程度だという。一方で座位行動は起きている時間のうちの6割近くを占めるという(引用)。 これまでも自記式調査票を使った調査で、座位行動と総死亡、肥満、心血管系疾患、認知症、QOLなどとの関連が報告されていた。近年は活動量計が普及し、動かない時間を実際に測定できるようになってきた。本研究はその集大成的なものである。 本論文によると座位行動が多くなると認知症発症リスクが高くなる。ただし後述のように、かなり弱いエビデンスだと個人的には思う。なお、認知症になる前には座位行動が多いはずだという批判に対して、4年間の間隔を置いたランドマーク解析も行っている。また座位行動が多くとも激しい運動をしている人は健康なのではないかという批判に対して、強い運動も投入した多変量解析もしている。 気になるのは座位行動が少ないと、やはり認知症発症が多くなっていることだ。非常に重要な部分だと思うが、これについては特段の言及はされていないのは残念である。 この論文を人類史の立場から見てみよう。ヒトは直立二足歩行したことで進化したといわれている。手が使える、遠くまで見える、移動効率がよい、大きな脳を支えられる、といった明らかなメリットがある。一方で腰痛、難産、誤嚥などは二足歩行のデメリットだ。さらに複雑なことに、難産だからより早産になり、そうなると母子関係が緊密になり、家族や社会といったシステムが出来上がった、などといわれる。 そして科学が発展し、四足歩行→直立二足歩行→座位、となり今に至る、とも考えられる。そうなると座位行動研究は必然ではあるが、座位はダメとかそういった単純なものではない。 私がこれを読んで思ったのは、医者が外来をしている時間はどうなのだろうということだ。私は精神科医なので、精神科の外来を例に話をしよう。 精神科の外来は、あまり動かない。患者さんが変わるたびに体の方向のみが60度ずつ変わり続けるだけで1ミリも動かない医師もいることだろう。 一方で、頭の中はというと、激しく活動をしている。患者さんが入ってきた瞬間に、服装や整容を観察し、歩き方、表情などもチェックする。最初の数秒で診療のモードを決定する。診察に没入しつつ、診察をする自分と診察をされる患者さんを俯瞰する視点も維持する。診断や投薬といった知的作業をしつつ、情動面のケア、たとえば共感もしばしば行う。一方で無防備に共感してはならない場合もある(たとえば境界性パーソナリティー障害の一部など)。わざと興味のない様子で話を聞くことが多いが、ずっとそうだと診察にならないので、適切なタイミングと態度で「興味がないわけではない」というシグナルも発する。日本ではとてもたくさんの患者さんを診ないと赤字になってしまうので、患者さんが延々と話したら診察にならないし、他の患者さんも待たされて怒り出すだろう。なので、短い時間(3分診療)であっても患者さんが「自分の意思で言いたいことを全部話せた」と思えるような診察を、医師の側がうまくプロデュースする必要があり、緩急が重要だ。 治療の失敗は、自殺につながることもあるから、真剣勝負である。他の医師はどうなのか知らないが、精神科の外来はものすごくエネルギーを消費する。私などは、外来中は超覚醒状態である。もちろん外には一切出さず(むしろ能天気な表出を演出する)、終わったらどっと疲れる。しかし、これは上記研究の枠では「座位行動」であろう。 囲碁や将棋をしている時間もおそらく「座位行動」であろう。しかし頭の中は激しく活動していることだろう。 あるいは脳外科の先生がマイクロサージャリーをしている時間も「座位行動」であろう。3時間座っているが、たぶんエネルギーを大量に消費している。脳内の血管の立体構造を考えまくるだろうから、とても脳によさそうである。 というわけで、なかなか面白い論文だが、座位行動自体の内容まで踏み込んでいないことには注意しなければならない。簡易型脳波計などで覚醒状態を共変量に入れることができたら面白そうだがデバイスの開発が大変そうだ。 というわけで座位行動研究は、一見つまらないと思われがちなのだが、人類史の視点から見るととても面白い。そしてまだまだ発展途上である。最後に、もちろん一日中寝転がってポテチを食べながらテレビを見ていたら認知症を含むほとんどの疾患のリスクは上がりそうなので、基本的に座ってばかりだとよくないことは確実だ、と書いておこう。

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神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症〔HDLS:hereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroid〕

1 疾患概要■ 概念・定義神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症(HDLS:hereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroid)は、大脳白質を病変の主座とする神経変性疾患である。ALSP(adult-onset leukoencephalopathy with spheroid and pigmented glia)やCSF1R関連脳症(CSF1R-related leukoencephalopathy)と呼ばれることもある。本稿では、HDLS/ALSPと表記する。常染色体顕性(優性)遺伝形式をとるが、約半数は家族歴を欠く孤発である。脳生検もしくは剖検による神経病理学的検査により、HDLSは従来診断されていたが、2012年にHDLS/ALSPの原因遺伝子が同定されて以降は、遺伝学的検査により確定診断が可能になっている。■ 疫学HDLS/ALSPは世界各地から報告されているが、日本人を含めたアジア人からの報告が多い。HDLS/ALSPの正確な有病率は不明である。特定疾患受給者証の保持者は、2015年13人、2016年25人、2017年35人、2018年43人、2019年54人、2020年65人と年々増加傾向にある。HDLS/ALSPの有病率が増加している可能性は否定できないが、診断基準の策定など疾患についての認知度が高まり、確定診断に至る症例が増えたことが、患者数増加の要因だと思われる。しかしながら、確定診断にまで至らないHDLS/ALSP患者が依然として少なからず存在すると推察される。■ 病因HDLS/ALSPは colony stimulating factor-1 receptor(CSF1R)の遺伝子変異を原因とする。既報のCSF1R遺伝子変異の多くは、チロシンキナーゼ領域に位置している。ミスセンス変異、スプライスサイト変異、微小欠失、ナンセンス変異、フレームシフト変異、部分欠失など、さまざまなCSF1R遺伝子変異が報告されている。ナンセンス変異、フレームシフト変異例では、片側アレルのCSF1Rが発現しないハプロ不全が病態となる。中枢神経においてCSF1Rはミクログリアに強く発現しており、HDLS/ALSPの病態にミクログリアの機能不全が関与していることが想定されている。そのためHDLS/ALSPは一次性ミクログリア病と呼ばれる。■ 症状発症年齢は平均45歳(18~78歳に分布)であり、40~50歳台の発症が多い。発症前の社会生活は支障がないことが多い。初発症状は認知機能障害が最も多いが、うつ、性格変化や歩行障害、失語と思われる言語障害で発症するなど多彩である(図1)。主症状である認知機能障害は、前頭葉機能を反映した意思発動性の低下、注意障害、無関心、遂行機能障害などの性格変化や行動異常を特徴とする。動作緩慢や姿勢反射障害を主体とするパーキンソン症状、錐体路徴候などの運動徴候も頻度が高い。けいれん発作は約半数の症例で認める。図1 HDLS/ALSPで認められる初発症状画像を拡大する■ 予後進行性の経過をとり、発症後の進行は比較的速い。発症後5年以内に臥床状態となることが多い。発症から死亡までの年数は平均6年(2~29年に分布)、死亡時年齢は平均52 歳(36~84歳に分布)である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)脳MRI検査により大脳白質病変を認めることが、診断の契機となることが多い。頭部MRI所見は、初期には散在性の大脳白質病変を呈することがあるが、病勢の進行に伴い対称性、融合性、びまん性となる。白質病変は前頭葉・頭頂葉優位で、脳室周囲の深部白質に目立つ(図2A、B)。病初期から脳梁の菲薄化と信号異常を認めることが多く、矢状断面・FLAIRの撮像が有用である(図2C)。ただし、脳梁の変化はHDLS/ALSP以外の大脳白質変性症でも認めることがある。内包などの投射線維に信号異常を呈することもある。拡散強調画像で白質病変の一部に、持続する高信号病変を呈する例がある(図2D)。ガドリニウム造影効果は認めない。CT撮像により、側脳室前角近傍や頭頂葉皮質下白質に石灰化病変を認めることがある(図2E)。この所見は“stepping stone appearance”と呼ばれ(図2F)、HDLS/ALSPに特異性が高い。石灰化は微小なものが多いため、1mm厚など薄いスライスCT撮像が推奨される。HDLS/ALSPの診断基準としてKonno基準が国内外で広く用いられている。Konno基準に基づき、厚生労働省「成人発症白質脳症の実際と有効な医療施策に関する研究班」において策定された診断基準が難病情報ホームページに掲載されている(表)。図2 HDLS/ALSPの特徴的な画像所見画像を拡大する両側性の大脳白質病変を認める(A、B:FLAIR画像)。脳梁は菲薄化している(C:FLAIR画像)。拡散強調画像で高信号領域を認める(D)。CTでは微小石灰化を認める(E、F)。表 HDLS/ALSPの診断基準主要項目1.60歳以下の発症(大脳白質病変もしくは2の臨床症状)2.下記のうち2つ以上の臨床症候a.進行性認知機能障害または性格変化・行動異常b.錐体路徴候c.パーキンソン症状d.けいれん発作3.常染色体顕性(優性)遺伝形式4.頭部MRIあるいはCTで以下の所見を認めるa.両側性の大脳白質病変b.脳梁の菲薄化5.血管性認知症、多発性硬化症、白質ジストロフィー(ADL、MNDなど)など他疾患を除外できる支持項目1.臨床徴候やfrontal assessment battery(FAB)検査などで前頭葉機能障害を示唆する所見を認める2.進行が速く、発症後5年以内に臥床状態になることが多い3.頭部CTで大脳白質に点状の石灰化病変を認める除外項目1.10歳未満の発症2.高度な末梢神経障害3.2回以上のstroke-like episode(脳血管障害様エピソード)。ただし、けいれん発作は除く。診断カテゴリーDefinite主要項目2、3、4aを満たし、CSF1R変異またはASLPに特徴的な神経病理学的所見を認めるProbable主要項目5項目をすべてを満たすが、CSF1R変異の検索および神経病理学的検索が行われていないPossible主要項目2a、3および4aを満たすが、CSF1R変異の検索および神経病理学的検索が行われていない鑑別診断としては、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体顕性(優性)脳動脈症(cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarct and leukoencephalopathy:CADASIL)など多彩な疾患が挙げられる。HDLS/ALSPと診断された症例で、病初期に多発性硬化症が疑われ、ステロイド治療を受けた例が複数報告されている。HDLS/ALSPはステロイド治療に効果を示さないため、大脳白質病変と運動症状を呈する若年女性を診察した場合には、HDLS/ALSPを鑑別する必要がある。HDLS/ALSPのための診断フローチャートを図3に示した。臨床的な鑑別診断は必ずしも容易ではなく、遺伝学的検査により確定診断を行う。2022年4月にCSF1R遺伝学的検査が保険収載され、かずさ遺伝子検査室に検査委託が可能である。図3 HDLS/ALSP診断のフローチャート画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)系統的な治療法は確立していない。HDLS/ALSPの経過中に出現する症状に応じた対症療法が行われる。痙性に対しては抗痙縮薬、パーキンソニズムに対して抗パーキンソン薬の使用を考慮する。症候性てんかんには抗てんかん薬を単剤で開始し、発作が抑制されなければ、作用機序が異なる抗てんかん薬を併用する。4 今後の展望HDLS/ALSPに対する造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation:HSCT)が海外で行われている。現在までに15例のHDLS/ALSP患者がHSCTを受けている。HSCTを受けた約4割の症例で臨床的効果を認めている。ドナー由来の細胞がHDLS/ALSP患者脳に到達し、衰弱したミクログリアの機能を補完している可能性が考えられる。ミクログリア機能を回復される治験としてアゴニスト効果を有する抗TREM2抗体薬を用いた治験が海外で行われている。5 主たる診療科脳神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)かずさ遺伝子検査室(本症の遺伝学的検査を受託している)患者会情報Sister’s Hope Foundation(米国のHDLS/ALSPの患者会の英語ホームページ)(米国の患者とその家族および支援者の会/ホームページは英語)1)Konno T, et al. Neurology. 2018;91:1092-1104. 2)下畑享良 編著. 脳神経内科診断ハンドブック. 中外医学社;2021.3)池内 健ほか. 日本薬理学雑誌. 2021;156:225-229.4)池内 健ほか. 実験医学. 2019;37:118-122.5)池内 健. CLINICAL NEUROSCIENCE. 2017;35:1354-1355.公開履歴初回2023年9月28日

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第182回 コロナ入院患者の6割が数ヵ月後のMRI検査で複数臓器に異常あり

コロナ入院患者の6割が数ヵ月後のMRI検査で複数臓器に異常あり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者の3例に2例近い61%が退院から約半年ほど(中央値5ヵ月)の時点で複数臓器の異常を呈していました1,2)。英国のCOVID-19入院患者259例が参加したこれまでで最も詳しく調べたCOVID-19罹患後症状(long COVID)MRI画像診断試験の結果です。一般から募った感染していない対照群52例で複数臓器のMRI異常所見を呈していたのは3例に1例ほど(27%)のみでした。COVID-19入院患者の肺のMRI所見異常の割合は飛び抜けて高く、対照群に比べて約14倍も多く認められました。また、脳や腎臓の異常もCOVID-19入院患者により認められ、対照群に比べてそれぞれ約3倍と2倍多く生じていました。先立つ試験で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は心臓を損傷すると示唆されていますが、今回の試験で心臓異常が認められたCOVID-19入院患者と対照群の割合はどちらも5例に1例ほど(それぞれ21%と24%)で似たりよったりでした。肝臓の異常の割合も心臓と同様に大差ありませんでした。COVID-19後の心臓の炎症やそのほかの不調で病院に来る患者は確かにいます。心臓はCOVID-19で損傷こそすれ比較的早く回復するので今回の試験では心臓のMRI異常所見の検出が対照群とほぼ同じだったのかもしれません。あるいは、COVID-19と心臓の不調の関連はそもそもそれほど密接ではないのかもしれません。または、長引く心臓の不調を訴えるCOVID-19患者はMRIでは把握できないこともある不整脈などの病気やほかの臓器の不調を患っている可能性もあります。MRI所見は臓器の調子の目安になるとはいえ感染後の患者の症状をすっかり把握できるわけではありません。今回の試験で肝臓のMRI異常所見と胃腸や腹部の症状の関連は認められませんでした。腎臓や脳のMRI所見も同様で、患者の訴える症状と関連しませんでした。一方、肺のMRI異常所見は別で、咳や胸の苦しさと関連しました。また、心身がすこぶるすぐれない患者には複数臓器のMRI異常所見がより多く認められました。今回の試験のMRI検査で認められた臓器異常がCOVID-19に確かに起因していると判断することはできません。というのもCOVID-19前と後のMRI所見の比較なしでは感染前からすでに存在していた異常を識別することは不可能だからです。そのような結果解釈の注意点はさておき、COVID-19感染後の不調には専門分野の垣根を超えた包括的な手当てが必要なことを今回の結果は示しています。COVID-19で複数の臓器が支障を来す恐れがあるとの注意を持って治療に臨む必要があると米国・スタンフォード大学医学所属の著者Linda Geng氏は言っています3)。Geng氏らは試験のデータ集めを続けており、さらに240ほどのMRIスキャン結果が追加される予定です。COVID-19またはほかの病気のせいでさらなる入院治療が必要になる患者をMRI所見から予想できるかどうかも今後調べられます。もし予想できるなら、COVID-19が重症だった患者をMRI画像診断することで治療が改善し、さらには回復を早めることすら可能になるかもしれません。参考1)The C-MORE/PHOSP-COVID Collaborative Group. Lancet Respir Med. 2023 Sep 22. [Epub ahead of print]2)Longer-term organ abnormalities confirmed in some post-hospitalised COVID patients / University of Oxford3)Months after hospitalization for COVID-19, MRIs reveal multiorgan damage / Science

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アルツハイマー病の進行を予測するグリア活性化PETイメージング

 グリア活性化は、アルツハイマー病の病因であるといわれている。しかし、長期的な認知機能低下との関係は明らかになっていない。国立長寿医療研究センターの安野 史彦氏らは、アルツハイマー病患者の経年的な認知機能低下に対するグリア活性化PETイメージングとアミロイド/タウ病理の予後効果を比較するため、本研究を行った。その結果、グリア活性化PETイメージングは、脳脊髄液(CSF)によるアミロイド/タウ測定よりもアルツハイマー病の臨床的な進行の強力な予測因子であることを報告した。Brain, Behavior, and Immunity誌2023年11月号の報告。 対象は、軽度認知障害またはアルツハイマー病と診断された17例。全体的な認知機能の経時的な変化を評価した。ステップワイズ回帰分析を用いて、全体的な認知機能と記憶に対するCSFによるアミロイド/タウ測定とグリア活性化PETイメージング(11C-DPA-713-BPND)によるベースライン時の予測効果を評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体的な認知および記憶スコアの経時的変化の最終的な重回帰モデルでは、予測因子として11C-DPA-713-BPNDが含まれた。・CSF Aβ 42/40比およびp-タウ濃度は、最終モデルより除外された。・ステップワイズ回帰分析では、ベイズ因子に基づくモデル比較により、全体的な認知機能および記憶の低下の予測因子として、11C-DPA-713-BPNDが含まれることが示唆された。 著者らは、グリア活性化は、タウ誘発性の神経毒性や認知機能低下の主な原因であるため、アルツハイマー病の治療戦略として不適応なミクログリア反応を阻害できる可能性があるとしている。

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高齢者は1日10時間以上の座位行動で認知症リスク増/JAMA

 60歳以上の高齢者において、加速度計で評価した座位行動時間が長いほど全認知症発症率が有意に高いことが、米国・南カリフォルニア大学のDavid A. Raichlen氏らが実施した大規模コホート研究の後ろ向き解析の結果で示された。座位行動は心代謝性疾患および死亡と関連しているが、認知症との関連は不明であった。著者は、「さらなる研究を行い、座位行動と認知症リスクに因果関係があるのかどうかを調べる必要がある」と述べている。JAMA誌2023年9月12日号掲載の報告。UK Biobankの加速度計装着サブスタディから60歳以上の約5万人を解析 本研究は、前向きに収集されたデータの後ろ向き研究で、UK Biobank(イングランド、スコットランド、ウェールズに居住する成人の地域住民を登録)のデータが用いられた。加速度計を装着するサブスタディ(2013年2月~2015年12月)に参加し、利き手の手首に加速度計(AX3、Axivity製)を1日24時間、7日間装着することに同意した成人10万3,684人のうち、加速度計を装着した時点で認知症の診断を受けておらず、少なくとも3日間の有効な装着時間(1日16時間以上)があり、加速度計装着時に60歳以上であった4万9,841人について解析した。追跡調査は、イングランドでは2021年9月まで、スコットランドでは2021年7月まで、ウェールズでは2018年2月まで行われた。 手首に装着した加速度計の1週間のデータを、機械学習に基づいて解析した。主要解析では、1日の平均座位行動時間(覚醒時において30秒間の時間幅が2回以上連続し座位行動として分類されたものと定義、睡眠は座位行動時間に含まれない)を、副次解析では1日の平均座位時間、1日の最長座位時間、1日の平均座位回数を求め、これらと入院患者の病院記録および死亡登録のデータから得られた認知症診断との関連を、線形および3次スプライン関数を用いたCox比例ハザードモデルにより評価した。座位行動時間が10時間/日以上で認知症発症リスクが有意に増加 計4万9,841人の背景は、平均(±SD)年齢67.19±4.29歳、女性54.7%であった。 平均追跡期間6.72±0.95年の間に、414人が認知症と診断された。 さまざまな共変量を調整した完全調整モデルにおいて、1日の平均座位行動時間と認知症発症との間に有意な非線形の関連が認められた。1日の平均座位行動時間の中央値9.27時間/日に対する認知症のハザード比(HR)は、10時間/日で1.08(95%信頼区間[CI]:1.04~1.12、p<0.001)、12時間/日で1.63(1.35~1.97、p<0.001)、15時間/日で3.21(2.05~5.04、p<0.001)であった。また、1,000人年当たりの認知症発症頻度は、9.27時間/日で7.49(95%CI:7.48~7.49)、10時間/日で8.06(7.76~8.36)、12時間/日で12.00(10.00~14.36)、15時間/日で22.74(14.92~34.11)であった。 1日の平均座位時間(HR:1.53、95%CI:1.03~2.27、p=0.04、平均値0.48時間から1時間増加すると認知症症例が1,000人年当たり0.65[95%CI:0.04~1.57]増加)、および1日の最大座位時間(1.15、1.02~1.31、p=0.02、平均値1.95時間から1時間増加すると認知症症例が1,000人年当たり0.19[95%CI:0.02~0.38]増加)は、認知症発症リスクの増加と有意に関連していたが、1日の平均座位回数は認知症発症リスクの増加とは関連していなかった(HR:1.00、95%CI:0.99~1.01、p=0.89)。 なお感度分析(加速度計装着日から4年後を追跡調査開始日としたランドマーク解析)では、座位行動時間を調整後、1日の平均座位時間および1日の最大座位時間は、認知症発症と有意な関連は認められなかった。

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9月22日 ライソゾーム病の日【今日は何の日?】

【9月22日 ライソゾーム病の日】〔由来〕ライソゾーム病の研究・啓発活動を行う「Sakura Network Japan」が、本症の代表的な疾患であるファブリー病の原因遺伝子が、X染色体q22(キュウ・ニー・ニー)という語呂と疾患啓発のシンボルマーク『シルバーウイング』の活動開始が2012年9月22日であることから制定。関連コンテンツライソゾーム酸性リパーゼ欠損症【希少疾病ライブラリ】ファブリー病【希少疾病ライブラリ】ムコ多糖症I型【希少疾病ライブラリ】ニーマンピック病C1型へのHPβCDの可能性/Lancet

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緑内障ほか眼科疾患と認知症リスク~メタ解析

 一般的な眼科疾患と認知症との関係を調査するため、中国・Shenzhen Qianhai Shekou Free Trade Zone HospitalのJiayi Feng氏らは、コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、緑内障などの眼科疾患は、すべての原因による認知症やアルツハイマー病のリスク増加と関連している可能性が示唆された。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2023年7月29日号の報告。緑内障や白内障はすべての原因による認知症のリスク増加と関連 対象は、眼科疾患を有する患者。2022年8月25日までに公表された文献をPubMed、EMBASE、Web of Scienceなどのオンラインデータベースより、システマティックに検索した。緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、白内障とすべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症との関連を評価したコホート研究をメタ解析に含めた。ランダム効果モデルを用いてプールし、相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。不均一性の評価には、I2統計を用いた。サブグループ分析および感度分析を実施した。 緑内障などの眼科疾患と認知症との関係を調査した主な結果は以下のとおり。・研究25件、参加者1,141万709例をメタ解析に含めた。・AMD、緑内障、DR、白内障は、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病のリスク増加との関連が認められた。それぞれの統合された推定値は、以下のとおりであった。●すべての原因による認知症 【AMD】RR:1.29、95%CI:1.13~1.48 【緑内障】RR:1.16、95%CI:1.03~1.32 【DR】RR:1.40、95%CI:1.21~1.63 【白内障】RR:1.23、95%CI:1.09~1.40●アルツハイマー病 【AMD】RR:1.27、95%CI:1.06~1.52 【緑内障】RR:1.18、95%CI:1.02~1.38 【DR】RR:1.21、95%CI:1.04~1.41 【白内障】RR:1.22、95%CI:1.07~1.38・血管性認知症発症と眼科疾患との関連は、認められなかった。・サブグループ分析では、DRとすべての原因による認知症リスクとのメタ解析の結果と一致しなかった。・メタ回帰分析では、AMDとすべての原因による認知症、AMDとアルツハイマー病、緑内障とすべての原因による認知症、緑内障とアルツハイマー病との関連に、不均一な潜在的な原因として地理的要因が影響していることが示唆された。

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脳トレゲームで認知症を防げるか?【外来で役立つ!認知症Topics】第9回

デジタル化で急成長を遂げた「脳トレ」市場「脳トレ」は、今では日本におけるいわば現代用語として定着した観がある。大型書店に行けば、幅が数メートルになるような「脳トレ」コーナーの展示棚もある。そうした本をめくってみると、四字熟語、算数、間違い探し、点つなぎなどが主流である。これらは、どうも懐かしさや、勉強したという満足感をその読者に与えるようだ。実際、学習塾系や受験参考書を扱う出版社から発行されたものが少なくない。蛇足ながら、山川出版の日本史の教科書、研究社の『新々英文解釈研究』なども同じような意味からか、高齢者がよく購入すると聞く。いずれにしても、こうした脳トレ関連現象は日本独自なものかとも思われる。ところで認知症予防や軽度認知障害(MCI)・認知症の治療としての脳トレはさておき、記憶の鍛錬法には歴史がある。たとえば、記憶術として指や場所を用いるもの、記憶を高める儀式や香などは紀元前からあったようだ。筆者が1980年代以降の欧米や日本で経験したものでは、見当識障害を改善し現実認識を深めることを目的とするリアリティ・オリエンテーションや、場所法と呼ばれる記憶術などがあった。もっともどれもその実行は容易ではなかった。多くは紙を媒体としたドリル、またメモ書きとその習慣的見返しなどの指導が行われてきた。個人的には、どれもそう簡単に身に付くものではなかったという印象がある。現在、欧米における脳トレの主体はBrain TrainingとかCognitive Trainingと呼ばれ、その多くはインターネットを媒体とする。これらはComputer Based Cognitive Training (CBCTとか CCTと略)と総称される。そして高齢者のみならず働く現役世代も広く対象としている。加えて、うつ病や統合失調症のような精神疾患にみられる認知機能障害への効果も数多く報告されている。ゲームを製造する欧米の主立った会社は2000年以降に創立されたが、産業としての脳トレは短期間に急成長している。2005年当時にはわずかに200万ドルであった市場規模が、2013年には13億ドル、2022年には78億ドルの巨大産業にのし上がっている。脳トレによる認知症予防の検証が活発にとくに高齢者の認知症予防はこの市場の中でも大きな部分を占めるだろう。その大きな契機となったのが、2016年7月の国際アルツハイマー病学会(AAIC)で米国国立衛生研究所(NIH)と民間会社であるPosit Science社が行ったアメリカ国内での臨床試験の報告だろう。そこでは脳エクササイズである「スピードトレーニング」により、認知症のリスクが半減したと報告された。その後にも、退役軍人協会の会員を対象に運転技術についての効果が検証されている。ここでもこうしたトレーニングをやることで自損事故が半減したと報告されたのである。さて過去20年ほどの間に、高齢者を対象に多くのCCTによる介入研究がなされてきた。一言で高齢者と言っても、対象は認知症やMCIの人、あるいは知的健康人である。最近ではこうした研究のレビューやメタアナリシスも報告されている1,2,3)。その結果、概して「小さいながらも統計学的に有意な効果」が報告されている。そしていくつかに分類される認知機能のうち、非言語性の記憶、言語性記憶、作動記憶、視空間技術、処理速度に効果があるとされる。しかし遂行機能や注意については、有意な効果はほぼ得られていない。一方で、CCTの運営・実施方法についても検討されている。やっぱり、と思うのは、グループでやるトレーニングに比べ、個別トレーニングでは効果がないということである。一体感とか競争心などが大切だということだろう。また一見逆説的ながら、週に3回以上のトレーニングは3回以下に比べて効果が劣るとのことである。筋トレなどでも類似の注意をする指導者がいる。これは毎日のようにやると、飽きて新鮮味がなくなり、注意力や集中力が欠けてくるということなのだろうか?長期的な介入、認知機能分野の複合的な効果に期待一方で多くの問題点や課題も指摘されている。まず介入期間の問題である。多くはせいぜい3ヵ月程度であり、例外的に長いものでも1年程度である。これでは短期的な効果はともかく、年単位の長期効果、まして認知症予防効果などにはとても言及できない。次にタスク、つまり介入の内容や問題は、伝統的に、注意、記憶、地誌的機能など神経心理学的な観点に基づいて作成されてきた。そこでわかっているのは、たとえば注意のタスクをやれば注意の機能で改善があるというように、やった分野は確かに伸びることである。しかし注意をやれば記憶というほかの認知機能分野も伸びるのかといったトランスファー(転移)効果の問題が注目されてきた。これまでのところ、この効果は難しそうだと考えられている。そうしたことから、タスクは伝統的な個々の神経心理学的分野から発展させた複合的なものが、より効果的だと考えられつつある。終わりに、2018年にアメリカの神経学会によりなされたMCIについてのガイドライン4)では、具体的な対応法として2つだけが述べられている。まず、週2回、6ヵ月以上の運動である。そして「数は少ないが、認知トレーニングの有効性も報告されている」と記されている。このようなことから「脳トレ」には、臨床医学としてさらなる成長が期待される。参考1)Lampi A, et al. Computerized cognitive training in cognitively healthy older adults: A systematic review and meta-analysis of effect modifiers. Pros Med 2014;11: e1001756.2)Bonnechere B, et al. The use of commercial computerised cognitive games in older adults: a meta-analysis. Sci Rep. 2020;10:15276.3)Lampit A, et al. Computerized Cognitive Training in Cognitively Healthy Older Adults: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. medRxiv. 2020 Oct 11.4)Petersen RC, et al. Practice guideline update summary: Mild cognitive impairment: Report of the guideline development, dissemination, and implementation subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology. 2018;90:126-135.

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食事の質は片頭痛にも影響

 イラン・Isfahan University of Medical SciencesのArghavan Balali氏らは、食事の質と片頭痛との関連性について、評価を行った。その結果、食事の質の改善は、片頭痛の頻度、重症度、関連する問題などの片頭痛アウトカムの改善と関連している可能性が示唆された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2023年8月5日号の報告。 20~50歳の片頭痛患者262例を対象に、横断的研究を実施した。食事の質の評価には、Healthy Eating Index 2015(HEI-2015)およびAlternative Healthy Eating Index 2010(AHEI-2010)を用いた。食事の摂取量の評価には、168項目の食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。片頭痛のアウトカムには、臨床因子(重症度、期間、頻度、片頭痛に関連する問題)および血中一酸化窒素(NO)を含めた。食事の質と片頭痛アウトカムとの関連性は、線形回帰を用いて評価し、βおよび95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・HEI-2015では、関連する交絡因子で調整した後、HEIスコアが最も高い群(第3三分位)と最も低い群(第1三分位)との間において、片頭痛頻度の逆相関が認められた(β:-4.75、95%CI:-6.73~-2.76)。・AHEI-2010では、調整済みモデルにおいて、片頭痛頻度(β:-3.67、95%CI:-5.65~-1.69)および片頭痛に関連する問題(β:-2.74、95%CI:-4.79~-0.68)と逆相関が認められた。・AHEI-2010では、第2三分位と第1三分位との間において、片頭痛重症度の逆相関が認められた(β:-0.56、95%CI:-1.08~-0.05)。・食事の質とNOレベルとの関連は認められなかった(p>0.14)。・本メカニズムの解明には、今後の研究が求められる。

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睡眠の質を高めるため、多くの医師がしていることは?/1,000人アンケート

 2024年4月から医師の働き方改革の新制度がスタートするが、長時間労働に端を発する医師の過労問題は改善されていないのが現状である。そのような中、睡眠は健康管理の重要カテゴリーとして医学界を筆頭にさまざまな業界で注目されているが、長時間労働者の象徴とも言える医師は果たして睡眠時間を確保できているのだろうか―。そこで、ケアネットでは多忙を極める医師の睡眠時間の実態を調査するために「睡眠状況、睡眠への意識について」のアンケートを実施。回答結果を診療科別、年代別、病床数別に抽出した。平均睡眠時間/睡眠の質に満足、全体の48% 今回は平均睡眠時間(当直時を除く)や睡眠に対する満足度、気になっていることについてそれぞれ質問した。平均睡眠時間や睡眠の質に満足していると回答した割合が半数以上であった診療科は全9科(血液内科、皮膚科、泌尿器科、精神科/心療内科、神経内科、腎臓内科、総合診療科、耳鼻咽喉科、内科)であった。一方、満足している回答者が少なかったのは、眼科(25%)、産婦人科(30%)、放射線科(31%)と続き、臨床研修医(37%)も満足できていない実態が明らかになった。また、年代別の満足度を見ると70代以上(59%)、40代(50%)、60代(49%)と続いた。1日の平均睡眠時間、6時間が最多 経済協力開発機構(OECD)が33ヵ国を対象に行った「1日の睡眠時間(睡眠に充てる時間)」に関する調査によると、日本人の睡眠時間は7時間22分と33ヵ国平均(8時間28分)と比較しても1時間以上短い。さらに「スタンフォード式 最高の睡眠」の著者である株式会社プレインスリープ創業者/最高研究顧問の西野 精治氏らが調査した日本人の平均睡眠時間は6時間43分と報告されている。これらを参考に、ここでは「睡眠時間5時間以下を睡眠時間が短い」と定義すると、本アンケート全体では4人に1人が睡眠不足であり、血液内科、総合診療科、麻酔科、小児科などが該当した。ただし、血液内科においては睡眠時間が短くても現状に満足していると回答している人が多く、睡眠時間が長い=満足、につながるわけではないことも言えるのではないだろうか。ちなみに、こちらも年代で見てみると、睡眠への満足度が高かった70代の3割超は5時間睡眠であった。医師が睡眠時に気になっていること 続いて「医師自身が睡眠時において気にしていること」を尋ねたところ、回答者の2/3が睡眠中の悩みを抱えており、最も多かったのは中途覚醒で、50代以上の回答が多かった。そのほか、いびき、入眠障害も年齢層問わず悩みの種として挙げられた。睡眠の質向上のため、マットレスや枕にこだわる 今回のアンケートでは医師が睡眠のためにこだわっている物事、活用している物も聞いてみた。その結果、枕と回答した人が最も多く(397人)、オススメ商品として「テンピュール」「じぶんまくら」を多数が挙げていた。次にマットレス/布団(317人)と回答した人が多く、「エアウィーヴ」「コアラマットレス」「シモンズ」などが選ばれていた。また、睡眠のために、「ヤクルト1000」などの乳酸菌飲料やサプリメントの摂取、就寝時間や食事時間など時間管理を挙げる人も多かった。 なお、厚生労働省は今年3月、睡眠について気になっているけれど対処法がわからずに悩んでいる人、肥満、高血圧、糖尿病などの疾患がある人を含む幅広い人を対象に作成された『良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のこと』というパンフレットとともにその解説書を公開しており、患者への生活指導のみならず医師にも役立つツールなので、ぜひ参考にされたい。 このほか、医師の睡眠実態の詳細ほか、以下のアンケ―ト結果では医師が個人の見解でオススメする寝具、意識して取り入れている物の一覧も公開している。『医師の平均睡眠時間、睡眠への満足度は?』<アンケート概要>目的:睡眠が健康管理の重要なカテゴリーとして注目されていることから、多忙な医師の睡眠状況、睡眠に対する意識を調査した。対象:ケアネット会員医師 1,000人調査日:2023年8月24日方法:インターネット

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