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認知症予防に有効な“4種の運動”の組み合わせ【外来で役立つ!認知症Topics】第19回

認知症に限らず、運動が心身の健康に良いとすることに反対する者はいないだろうと思っていた。ところが運動は良くないと言った人がいる。それは自動車王と言われるフォード自動車の創立者ヘンリー・フォードだ。彼は「君が健康なら運動する必要はない。君が病気なら運動などをしてはいけない」という有名な台詞を残している。さて1999年に、アーサー・F・クレーマーという学者が、Nature誌に1ページの記事で「早歩きのような有酸素運動が脳の健康に良い」という研究報告をした1)。これを端緒に、最近まで認知症予防の運動といえば有酸素運動という時代になった。ところが近年、米国スポーツ医学会からこれに関するパラダイムシフトがあった。それによれば、高齢者において有酸素運動のみではなく、レジスタンス運動(筋トレ)、また片足立ちのようなバランス運動の3つをやってこそ、運動の効果が生まれるとされる2)。レジスタンス運動といえば筋力をアップ、またバランス運動は認知機能への効果もさることながら高齢者に多い転倒予防にはとても大切だろう。また私自身はデュアルタスク運動も欠かせないと思う。エビデンスが確立した有酸素運動まず有酸素運動による前頭葉が関わる認知機能への効果は、この20年余りになされた多くの臨床研究から確立したものと考えていいだろう。レジスタンス運動は遂行機能に効果的レジスタンス運動とは、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動。たとえばスクワットや腕立て伏せ、ダンベル体操など。10~15回程度の回数を反復し、それを1~3セット無理のない範囲(2~3日に1回程度)で行うことが勧められる。というのは、これは標的筋肉に負荷を集中する運動なので、その筋肉に疲労が残るだけに、十分な回復期間が必要になるわけだ。その効果は筋力・筋の持久力アップから体幹支持筋強化まで及ぶ。また、メタアナリシスから認知機能、とくに遂行機能への効果があると報告されている3)。注意すべきは循環器系への配慮。有酸素運動では動脈硬化度が一時的に低下するのに対し、レジスタンス運動の後では動脈硬化度が60分間にわたって増加する。レジスタンス運動中の一過性の循環器応答として、血圧の著しい上昇が古くから知られている。バランス運動は転倒予防にも静岡社会健康医学大学院大学の田原 康玄氏らの研究によれば、片足で20秒以上体のバランスを保てない人は、それができる人に比べて大脳の小血管の傷害の危険性が高く、認知機能が低下しているという4)。田原氏は、片足立ちのバランスが悪い人は、これが大脳疾患や認知機能の低下を示唆しているものとして注意を払うべきだと言う。この研究参加者は、841人の女性と546人の男性(平均年齢67歳)。参加者は片足立ちの測定と共に大脳のMRIを撮像し、大脳の小血管の状態が調べられた。その結果、20秒以上片足立ちできない人は大脳の小血管傷害(ラクナ梗塞や微小血管からの出血)が多くみられた。この結果から、「加齢に伴い増加する微小血管の傷害は動脈の可塑性を阻害するため、脳血流に悪影響を及ぼす」と考えられている。それはさておき、高齢者の転倒による大腿骨頸部骨折の重要性は深く広まった。その予防法として、ヒッププロテクターは一時世界的に注目され、わが国では柔道の受け身が注目されたこともある。しかし、決め手となる予防法はまだないようだ。その点、バランス運動は決め手にならないまでも、転倒を減らしてくれるものと期待される。デュアルタスク運動で脳を活性化さて近年、臨床研究の蓄積からデュアルタスク運動が、認知機能が健全な人はもちろん、認知症予備軍の軽度認知障害(MCI)の人や認知症の人にも有効とされる。その効果として、認知機能の改善のみならず運動、日常生活動作、QOLの改善まで報告されている。認知への効果からみると、デュアルタスクをやる時に生じる「まごつき」がポイントだろう。「まごつき」とは、思うように指示を実行できない自分への気づきからくる「おかしい、こんなはずでは、…エエィ!」という焦りだろう。そこでトライアルを繰り返し、ようやく「やった!!」に至るまでに繰り返す心の状態が「まごつき」だ。この「まごつき」こそ、これまでは使われていなかった神経細胞や神経回路を新たに活性化させることが期待できる。デュアルタスクに際しては、まず課題に示された運動を真似しようと企画(計画)し、また、自分が動作にした時「これで本当にいいのか?」と管理・制御するはずだ。ここまでのプロセスには「作動記憶」が関与する。ここまでの過程で要となるのは注意の分割だ。さらにこうした課題を正しくやり続けるには、集中・注意の持続が欠かせない。以上の働きでは、前頭葉付近の構造、とくに背側前運動野や頭頂間溝などが重要とされる。前頭葉は脳の司令部ともいわれるが、これは側頭葉や頭頂葉など他の重要な働きをする脳部位に指令を出してくれる場所という意味だ。米国スポーツ学会の高齢者向けの運動ガイドライン2)では、有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動の3つに、デュアルタスクあるいは太極拳まで加えた多種類の運動をバランス良くやることで、体力・知力の維持・増強のみならず、転倒事故の予防にもつながる可能性を強調している。参考1)Kramer AF, et al. Ageing, fitness and neurocognitive function. Nature. 1999 Jul 29;400(6743):418-419.2)2018 Physical Activity Guidelines Advisory Committee. 2018 Physical Activity Guidelines Advisory Committee Scientific Report. Washington, DC: U.S. Department of Health and Human Services, 2018.3)Landrigan JF, et al. Lifting cognition: a meta-analysis of effects of resistance exercise on cognition. Psychol Res. 2020 Jul;84(5):1167-1183.4)Tabara Y, et al. Association of postural instability with asymptomatic cerebrovascular damage and cognitive decline: the Japan Shimanami health promoting program study. Stroke. 2015 Jan;46(1):16-22.

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枕とふらつき【Dr. 中島の 新・徒然草】(539)

五百三十九の段 枕とふらつきついに大阪でも梅雨明け宣言が出ました。2024年の梅雨明けは7月21日で例年より2日遅いそうです。梅雨入りが例年より15日遅かったので、梅雨自体の期間は13日短かったということになりましょうか。この計算で合ってますかね?さて、灼熱の炎天下。総合診療科を受診した男性は40歳前後。主訴はふらつきで、かれこれ1年くらい症状があるそうです。この方が言うには、立っているとふらつきが強く、座ると少しマシ、寝るとほぼ感じないとのことでした。また自転車に乗っている時にはあまり感じないけれども、USJのミニオン・ハチャメチャ・ライドに乗った時に一番ふらつきが強かったとのこと。奥さんと小学生の子供さんはケロッとしていたのに、ご本人にとってはこれ以上ないくらい目が回って気分が悪くなったのだそうです。ふらつきについては、これまでたくさんの医療機関を回り、複数回の頭部MRIを撮影したけど、とくに問題はなかったとのこと。持参された他院の頭部MRIを私が見ても、とくに異常はなさそうでした。一般的に私の考えるふらつきというのは、脳に入力される複数の情報の統合がうまくいっていない状況ではないかと思います。これらを箇条書きにすると以下のとおり。目から入る視覚情報三半規管から入る頭の向きの情報手足や背中から入る深部知覚の情報これらの情報が、脳の中で矛盾なく統合された状態の時に、人間はふらつきを感じないわけです。ところが閉眼によって視覚情報が遮断されたり、三半規管の不具合があったり、頚椎症などのために手足からの深部知覚がうまく脳に伝わらなかったりすると、ふらつきを感じてしまいます。また脳自体の問題で、情報の統合がうまくいかないということもあるでしょう。で、いろいろな身体所見から「ひょっとして頚椎に問題があるのかも?」と思った私は、全脊椎MRIを撮影することにしました。しかし頚椎は軽いヘルニアがある程度でした。また胸腰椎もとくに問題はありません。一方、この患者さん。私の初回と2回目の診察の間に、ご自分で探し出した整体に行っておられたのです。果たして整体の効果やいかに?患者さんに尋ねてみた結果は予想外のものでした。整体では背骨を触って「頚椎と腰椎の前弯が消失していますね」と言われたのだそうです。実際、全脊椎MRIではストレートネックになっており、腰椎もストレート気味でした。これがふらつきの原因かもしれない、と思った患者さんは頚の下に枕を入れて寝るようにしたそうです。それまでは枕をせずに寝ていたのだとか。枕を使うと、ふらつきが随分マシになったそうです。一体、そういうことがあるのか?私自身はあまり経験がないのでネットで調べてみました。確かに「ストレートネックは頭痛やめまいの原因になる」といった記載が数多くみられます。その多くは整形外科というよりも、整骨院のホームページになるのですが。原因やメカニズムが何であれ、治ったらOKです。整体でどのような施術をするのか、そしてその結果はどうなのか。虚心坦懐にフォローしてみようと思います。最後に1句梅雨明けて 枕をしたら 快調だ

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“記憶のための薬”で治療してほしい【こんなときどうする?高齢者診療】第3回

老年医学の型「5つのM」で診察をするときに、「認知機能」は1つ目のMとして重要な項目です。皆さんもこんなケースに出合っていませんか?80歳男性。他院で軽度認知機能障害(MCI)と診断されている。2年前に受けた画像検査で「全体的な脳萎縮と脳室周囲白質に中等度の高信号」が認められている。日常生活動作(IADL)のうち、とくに金銭や自分の内服薬をマネジメントすることがより困難になり、妻とともにサービス付き高齢者住宅への転居を検討中。持病は高血圧、高脂血症。“記憶のための薬”で治療できるか知りたいと来院。認知機能に関して、治療薬に期待する患者や家族は少なくありません。患者の疑問に答える前に、軽度認知機能障害と認知症の違いを押さえておきましょう。軽度認知障害:約10%が認知症に移行軽度認知機能障害(Mild Cognitive Impairment)は、以前と比べて認知機能の低下がある状態を指します。具体的には、本人・家族から認知機能低下の訴えがあるものの、日常生活機能はほぼ正常で、ADLは自立しており、認知症ではないものとされています。1)MCIの段階から認知機能の維持や回復が見込める場合もありますが、1年の間にMCI患者の約10%、10人に1人は認知機能障害が進行し、認知症に移行する2)ことは疫学的に重要な視点です。認知症:進行性かつ不可逆。いずれ死に至る病認知症の診断基準はDSM-5に譲り3)、認知症患者を診るときに役立つ3つの特徴を押さえておきましょう。まず、認知症は物忘れとイコールではありません。記憶障害のみならず、注意、言語、時間や空間の認知、他人の感情を察知する能力など多岐にわたる認知機能に障害が出現します。2つ目に、認知症は進行性です。“子どもの成長の逆回し”と捉えるとわかりやすいでしょう。子どもは成長とともに日常生活の中で1人でできることが増えていきますが、認知症ではできないことが増えていきます。誰かのためにしていた仕事や家事、次に金銭や薬の管理といった日々の活動、続いて入浴や衣服の着脱など自分の身の回りのことと、サポートが必要となることが増えていき、最終的には食事を口に運ぶことや、嚥下や排泄などの生きるために最低限必要なことが、1人でできなくなっていくプロセスです。3つ目に、認知症は不可逆でいずれ死に至る病です。現在のところ薬剤や非薬剤的な介入で認知機能障害の進行を緩徐にすることはできても、根本的に認知症を治すことはできません。薬の効果は限定的。ではどうするか?薬を使うかどうかに関わらず、老年医学の型「5つのM」を用いて、現状を俯瞰してみましょう。Matters Most(本人が困っていること、大切にしていること、心配なことなど)に注目し、詳しく話を聞いてみることがよいきっかけになります。薬への期待以上によい介入をするためには、患者が何に困っているか、何が心配なのかなどの解像度を上げることが重要です。そのヒントは、認知症は「認知機能が働きにくくなったために生活上の問題が生じ、暮らしにくくなっている状態」4)と捉えることです。この表現の引用元である「認知症世界の歩き方」は医学書ではありませんが、認知症患者がどのような生活をしているか具体的にわかりやすく描かれています。私自身も読んでみて、患者の生活をより想像しやすくなり、診療・ケアがしやすくなるヒントがたくさんちりばめられていた、おすすめの一冊です。認知症、MCIいずれであっても、 “暮らしにくくなっていること”に注目すると、その原因や本人と家族が困っていることを想像しやすくなります。ここをスタート地点に介入やサポートの方法を探ると、薬剤投与以外にできることが見えやすくなります。このようなケースでも5つのMを活用してみてください!おすすめ図書認知症世界の歩き方 筧裕介 ライツ社.2021参考1)厚生労働省.生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネット.2)M Bruscoli, et al. Int Psychogeriatr. 2004 Jun;16(2):129-140.3)American Psychiatric Association. Diagnosticand statistical manual of mental disorders, Fifth Editon.DSM-5 Arlington, VA. American Psychiatric Association. 20134)筧裕介.認知症世界の歩き方.ライツ社.2021

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線維筋痛症、治療用スマホアプリで症状改善/Lancet

 線維筋痛症の成人患者の管理において、スマートフォンアプリを用いて毎日の症状を追跡するアクティブコントロール群と比較して、アプリを用いたアクセプタンス・コミットメント療法(ACT)によるセルフガイド型のデジタル行動療法は、患者評価による症状の改善度が優れ、デバイス関連の安全性に関するイベントは発生しないことが、米国・Gendreau ConsultingのR. Michael Gendreau氏らが実施した「PROSPER-FM試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。 PROSPER-FM試験は、米国の25の地域施設が参加した第III相無作為化対照比較試験であり、2022年2月~2023年2月に患者のスクリーニングを行った(Swing Therapeuticsの助成を受けた)。 年齢22~75歳、初発の線維筋痛症と診断された患者275例(女性257例[93%]、白人229例[83%])を登録した。スマートフォン用の治療アプリ(Stanza)を用いたデジタルACT群に140例(年齢中央値49.0歳[四分位範囲[IQR]:40.5~59.0])、症状追跡アプリと、健康関連および線維筋痛症関連の教育資料へのアクセスを提供するアクティブコントロール群に135例(同49.0歳[41.0~57.0])を割り付けた。治療割り付け情報は、統計解析の担当者を除き、マスクされなかった。 主要エンドポイントは、12週の時点における症状の変化に対する患者の全般的印象度(patient global impression of change:PGIC)の改善とし、ITT解析を行った。PGICは、患者の自己評価に基づく治療の全般的な有益性の尺度であり、7つのカテゴリ(著しく改善、かなり改善、最小限の改善、変化なし、最小限の悪化、かなり悪化、著しく悪化)から患者が選択した。「最小限の改善」以上:70.6% vs.22.2%、「かなり改善」以上:25.9% vs.4.5% 12週の時点で、PGICの「最小限の改善」以上を達成した患者の割合(主解析)は、アクティブコントロール群が22.2%(30/135例)であったのに対し、デジタルACT群は70.6%(99/140例)と有意に良好であった(群間差:48.4%、95%信頼区間[CI]:37.9~58.9、p<0.0001)。 また、同時点におけるPGICの「かなり改善」以上の患者の割合は、アクティブコントロール群の4.5%(6/135例)と比較して、デジタルACT群は25.9%(36/140例)であり、有意に優れた(群間差:21.4%、95%CI:13.0~29.8、p<0.0001)。 改訂版Fibromyalgia Impact Questionnaire(FIQ)のベースラインから12週までの総スコアの変化(最小二乗平均)は、アクティブコントロール群が-2.2点であったのに対し、デジタルACT群は-10.3点と改善度が有意に高かった(群間差:-8.0点、95%CI:-10.98~-5.10、p<0.0001)。デバイス関連の有害事象の報告はない デバイス関連の有害事象は、両群とも報告がなかった。最も頻度の高い有害事象は、感染症および寄生虫症(デジタルACT群28%、アクティブコントロール群25%)であり、次いで精神障害関連イベント(14% vs.14%)だった。 全体的な患者満足度は、デジタルACT群が80%、アクティブコントロール群は85%であり、それぞれ80%および79%が当該アプリを再度使用すると回答した。 著者は、「線維筋痛症に対するデジタルACTによる介入は、安全かつ有効な治療選択肢であり、ガイドラインで推奨される行動療法を受ける際の実質的な障壁に対処可能と考えられる」としている。

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医師がAIでChatGPTのほかに利用しているのは/医師1,000人アンケート

 2022年11月の対話型AI「ChatGPT」の公開を皮切りに、さまざまな生成AIサービスがリリース&アップデートされ、活用が進んでいる。論文検索や翻訳、スライド作成など、医師の仕事にも活用の可能性が広がる中、CareNet.comでは会員医師1,026人を対象に、生成AIの現在の使用状況についてアンケートを実施した(2024年6月25日実施)。AIを「現在使用している」と回答した医師は約2割 AIの現在の使用状況について聞いた結果、「現在使用している」と回答したのは21%。AIの「使用経験はあるが、現在は使用していない」が22%、「過去、現在ともに使用していない」が57%であった。年代別にみると、AIを「現在使用している」と回答した医師の割合は20代・30代では28~29%だったのに対し、40代では19.8%、50代では15.2%と年代が高くなるごとに減少した。 診療科別にみると、AIを「現在使用している」と回答した医師の割合は救急科(50.0%)、総合診療科(36.4%)、神経内科・血液内科・リハビリテーション科(いずれも33.3%)で高かったのに対し、腎臓内科(3.2%)、耳鼻咽喉科(7.1%)、産婦人科(11.1%)などでは低い傾向がみられた。医師がAIを使用していない理由で最も多かったのは? AIを「現在使用していない」と回答した医師に対し、その理由を聞いたところ、「使いこなすのが難しそう/難しいと感じた」が44.5%と最も多く、「習得に時間がかかりそう/かかると感じた」が28.0%、「必要性を感じない」が25.2%と続いた。 「現在使用している」と回答した医師に対し、AIを実際どんな作業に活用しているかについて聞いたところ、「論文検索・データベース化」が45.8%と約半数を占め、「論文要約」(44.4%)、「翻訳」(36.0%)、「文章校正」(31.3%)、「抄録・論文の文案作成」(22.9%)と続き、その他の自由記述欄では「アイデア出し」や「シフト表作成」なども挙がった。 一方で「現在使用していない」と回答した医師にAIをどんな作業に活用したいかについて聞いた結果、「論文検索・データベース化」(11.9%)、「論文要約」(11.6%)、「翻訳」(10.8%)、「文章校正」(7.1%)と現在使用している医師と同様の傾向がみられたが、その次に多かったのは「スライド作成」(5.9%)であった。医師が実際に使用しているAIサービスは? 「現在使用している」と回答した医師に対し、実際使用しているAIサービスを聞いたところ、「ChatGPT」は87.4%とほとんどの医師が使用しており、「Microsoft Copilot」(18.2%)、「Claude」(12.1%)、「Gemini」(11.7%)、「Perplexity」(8.4%)と続いた。「LUMIERE」、「Runway」、「Midjourney」、「Stable diffusion」などの動画・画像生成系AIは医師の使用者が少なかった。 「現在使用していない」と回答した医師に使用したいAIサービスを聞いた結果、同じく「ChatGPT」が56.0%と最も多く、「Microsoft Copilot」(6.5%)、「Gemini」(5.0%)、「Claude」(4.6%)とおおよその傾向は現在使っている医師と同様であったが、「使ってみたいサービスはとくにない」との回答も37.8%みられた。AIの有料版は使用していない医師が6割、一方で月額1万円以上との回答も AIを「現在使用している」と回答した医師に対し有料版使用の有無を聞いたところ、64.2%が「有料版は使用していない」と回答した一方、月額3,000円未満を支払っていると回答したのは15.1%、3,000円以上5,000円未満が14.2%、5,000円以上1万円未満が4.7%、1万円以上が1.9%だった。 アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。「生成AI、いま実際どのくらい使っていますか?」 医師1,000人に聞きました

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アルツハイマー型認知症のアジテーションに対する新たな選択肢〜マウスモデル評価

 ブレクスピプラゾールは、アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)に対し米国食品医薬品局(FDA)で初めて承認された治療薬である。アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの発生頻度は高く、患者および介護者にとって大きな負担となる。ブレクスピプラゾールの有効性、安全性、忍容性は、臨床試験により実証されている。大塚製薬のNaoki Amada氏らは、動物実験におけるブレクスピプラゾールのアジテーション緩和作用の結果を報告した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2024年6月25日号の報告。 2つのアルツハイマー型認知症マウスモデルを用いて、ブレクスピプラゾールの効果を検討した。攻撃性試験であるレジデント・イントルーダーテストでは、5〜6ヵ月齢のTg2576マウスを用いて、テストの1時間前に溶媒またはブレクスピプラゾール(0.01または0.03mg/kg)の経口投与を行った。自発運動活性測定試験では、6ヵ月齢のAPPSL-Tgマウスを用いて、測定開始前日の夕方に溶媒またはブレクスピプラゾール(0.01または0.03mg/kg)を経口投与し、3日間測定した。 主な結果は以下のとおり。・レジデント・イントルーダーテストでは、Tg2576マウスは、非Tgマウスと比較し、攻撃回数が有意に多く、初回攻撃までの期間がより短かった。・Tgマウスでは、ブレクスピプラゾール(0.03mg/kg)投与により、初回攻撃までの期間が有意に延長し、攻撃回数の減少傾向が認められた。・6ヵ月齢以上のAPPSL-Tgマウスと非Tgマウスをフェーズ(フェーズI:ツァイトゲーバー時間[ZT]12〜16、フェーズII:ZT16〜20、フェーズIII:ZT20〜24)ごとに比較したところ、APPSL-Tgマウスは、フェーズIIおよびフェーズIIIでの運動量が有意に高く、アルツハイマー型認知症における午後遅くにみられるアジテーションの臨床観察と相関していた。・ブレクスピプラゾール(0.01または0.03mg/kg)投与により、APPSL-TgマウスのフェーズIIIでの過剰な運度の有意な減少が認められた。 著者らは「Tgマウスにおける攻撃行動の抑制、夜間の過剰な運度の減少は、ブレクスピプラゾールの臨床試験で実証されているように、アルツハイマー型認知症のアジテーションに対する治療効果を示唆するものである」としている。

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パーキンソン病の構音障害、音声治療LSVT LOUDが有効/BMJ

 パーキンソン病患者の構音障害の治療において、Lee Silverman音声治療(Lee Silverman voice treatment:LSVT)は、国民保健サービスの言語聴覚療法(NHS SLT)を行う場合やSLTを行わない場合(非介入)と比較して、構音障害の影響の軽減に有効であり、またNHS SLTは非介入と比較して有益性はないことが、英国・ノッティンガム大学のCatherine M. Sackley氏らPD COMM collaborative groupが実施した「PD COMM試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年7月10日号に掲載された。英国41施設の無作為化対照比較試験 PD COMM試験は、英国の41施設で実施した実践的な非盲検無作為化対照比較試験であり、2016年9月~2020年3月に参加者を募集した(英国国立衛生保健研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成を受けた)。 特発性のパーキンソン病と診断され、発話または発声の問題を有する患者388例を登録した。LSVT LOUDを受ける群に130例(平均年齢69.9歳、女性30%)、NHS SLTを受ける群に129例(69.7歳、22%)、SLTを行わない非介入群(対照群)に129例(70.2歳、26%)を無作為に割り付けた。 LSVT LOUDは、対面または遠隔で行う50分のセッションで構成され、週4回、4週間行い、自宅での練習は、治療日は1日1回、5~10分まで、非治療日は1日2回、15分までとした。NHS SLTの施行時間は、患者の必要に応じて担当のセラピストが決定し、練習も許容された。 主要アウトカムは、無作為化から3ヵ月の時点での自己申告によるvoice handicap index(VHI)の総スコアとし、ITT解析を行った。VHIは、患者報告によるコミュニケーションの困難さの影響を評価する尺度であり、0~120点(点数が低いほど状態が良好)でスコア化した。VHIの感情、機能、身体的側面でも同様の結果 VHI総スコアの平均値は、LSVT LOUD群がベースラインの44.6点から3ヵ月後には35.0点に、NHS SLT群は46.2点から44.4点に、対照群は44.3点から40.5点に低下した。 対照群に比べLSVT LOUD群は改善度が有意に良好で(補正後群間差:-8.0点、99%信頼区間[CI]:-13.3~-2.6、p<0.001)、NHS SLT群との比較でもLSVT LOUD群の改善度は有意に優れた(-9.6点、-14.9~-4.4、p<0.001)。 一方、NHS SLT群と対照群の間には有意差を認めなかった(補正後群間差:1.7点、99%CI:-3.8~7.1、p=0.43)。 VHIのサブスケールである感情的側面(LSVT LOUD群vs.対照群[p<0.001]、LSVT LOUD群vs.NHS SLT群[p<0.001]、NHS SLT群vs.対照群[p=0.78])、機能的側面(それぞれp<0.001、p<0.001、p=0.97)、身体的側面(p=0.04、p=0.003、p=0.38)についても、同様の結果が得られた。有害事象(主に声のかすれ)はLSVT LOUD群で多い 有害事象は、LSVT LOUD群で36例(28%)に93件、NHS SLT群で16例(12%)に46件発生し、対照群では発現しなかった。有害事象の大部分は声のかすれであり、NHS SLT群(45件)に比べLSVT LOUD群(80件)で多かった。重篤な有害事象の報告はなかった。 著者は、「本試験の結果は、臨床的意思決定の指針となるエビデンスをもたらし、パーキンソン病患者における言語聴覚療法のリソースの使用を最適化する必要性を強調するものである」「本試験の知見はまた、言語聴覚療法の提供が介護者に及ぼす影響についても詳しく検討するよう促すものであり、介護者を含むさらなる研究が、パーキンソン病患者に対する今後の言語聴覚療法によるケアを最適化する可能性がある」としている。

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事例004 在宅用膀胱留置カテーテルの査定【斬らレセプト シーズン4】

解説定期的に訪問診療を行っている寝たきりの患者です。訪問診療時に排尿困難を訴えていたため導尿を行い、家族に膀胱留置用カテーテルの扱い方を指導しました。患者自らが導尿を実施できないため「C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料」(以下「同管理料」)を選択して算定しています。訪問診療時に使用した医療材料は、膀胱留置に使用した1本と、次回の訪問診療までに最低限必要と思われる6本を加えた計7本です。「C163 特殊カテーテル加算」の要件を満たさないことから在宅材料として出来高算定しました。この在宅材料がD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)で査定となりました。査定事由を確認するため、同指導料ならびに在宅材料の算定要件を再確認してみました。特段の査定理由をみつけることができませんでした。返戻や査定の過去のファイルを見返しましたところ、以前に類似した事例の返戻があったことをみつけました。返戻理由には「膀胱留置用ディスポーザブルカテーテルを使用する場合には、排尿困難な状態を有する病名が必要となります」とありました。レセプトの傷病名を再確認しました。「脳出血術後左片麻痺」のみの表示です。この病名の示す身体状況の範囲は広く、確実に排尿困難な状態にあることを表してはいません。過去事例と同じ事由にて査定となったことが推測できます。医師には、膀胱留置用カテーテルを算定する場合、必ず「排尿困難」がわかる病名を付けていただくようにお願いしました。レセプトチェックシステムにおいてもチェックがかかるように改修して査定対策としています。

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口臭と認知症との関連〜11年間の国内フォローアップ調査

 社会的交流の頻度が低いと潜在的な認知症リスクが増加する。口臭はアルツハイマー病を含む認知症リスクを増加させる可能性がある。東京医科歯科大学のDuc Sy Minh Ho氏らは、口臭と認知症との関連を調査した。Journal of Alzheimer's Disease Reports誌2024年5月17日号の報告。 秋田県・横手市のJPHCプロスペクティブ研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)を用いて、検討を行った。対象は、2005年5月〜2006年1月に歯科検診および自己申告調査を行った56〜75歳の1,493人。認知症発症のフォローアップ調査は、2006〜16年の介護保険データを用いて行った。口臭のレベルに応じて、口臭なし群、軽度の口臭群、重度の口臭群に分類した。口臭が認知症に及ぼすハザード比を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。感度分析には、逆確率重み付けCoxモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は65.6±5.8歳、女性の割合は53.6%であった。・フォローアップ調査終了時の認知症発症率は全体で6.4%(96例)、重度の口臭群で20.7%であった。・フォローアップ調査(1万5,274.133人年)を通じて、1,000人年当たりの認知症の平均発症率は6.29であった。・最も発症率が高かった群は、重度の口臭群であった(1,000人年当たり22.4)。・交絡因子で調整したのち、重度の口臭群は、口臭なし群と比較し、認知症発症の危険性が3.8倍(95%信頼区間[CI]:1.5〜9.4)増加した。・逆確率重み付けCoxモデルでは、調整済み限界ハザード比が4.4(95%CI:1.2〜16.4)であり、同様の傾向が確認された。 著者らは「より大規模なサンプルサイズによる検討が必要とされるものの、本研究において、口臭と認知症発症との有意な関連性が認められた」としている。

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日本における頭痛障害、片頭痛の有病率調査の正確性は

 疫学データを収集するために実施されるアンケート調査は、誤分類を起こす可能性がある。大阪・富永病院の竹島 多賀夫氏らは、頭痛に関するアンケートを分析し、どの質問が片頭痛以外の分類につながっているかを評価した。BMC Neurology誌2024年5月25日号の報告。 19〜74歳の個人医療請求データと組み合わせた匿名調査をDeSCヘルスケアより入手し、一次性頭痛障害(片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛、その他の頭痛障害)の患者割合を調査した。片頭痛を判定する6つの基準を用いて、その他の頭痛障害を有する人が、アンケートにどのように回答したかを調査した。 主な結果は以下のとおり。・回答者2万1,480人のうち、頭痛があると回答した人は7,331人(34.0%)であった。・片頭痛が691人(3.2%)、緊張型頭痛が1,441人(6.7%)、群発性頭痛が21人(0.1%)、その他の頭痛障害が5,208人(24.2%)であると回答した。・その他の頭痛障害を有する人を分析すると、上位3つの基準は、頭痛関連症状+疼痛部位(7.3%)、頭痛関連症状+日常生活における頭痛重症度の変化(6.4%)、頭痛関連症状+疼痛部位+日常生活における頭痛重症度の変化(8.8%)であった。・頭痛関連症状は、肩こり(13.6%)、首こり(9.4%)、悪心・嘔吐(8.7%)、光恐怖症(3.3%)、音恐怖症(2.5%)であった。 著者らは、「質問票で診断された片頭痛の有病率は、予想よりもはるかに低く、その他の頭痛障害の有病率は、予想よりも高かった。これは、誤分類によるものであり、問診で明らかになるはずの片頭痛の特徴のいくつかをアンケートで特定できていなかったことが原因であると考えられる。そのため、アンケートは慎重に設計する必要があり、医師は患者との半構造化面接を行う際の質問の仕方や記録方法について教育を受ける必要があり、これを実践することで、光恐怖症や音恐怖症などの症状についてもより正確な情報が得られる可能性がある」としている。

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早期アルツハイマー病におけるレカネマブの安全性〜第III相試験

 アルツハイマー病(AD)は、世界における医療制度、患者、家族に多大な負担を強いる高齢化に伴う主要な健康問題である。早期ADに対しFDAが承認しているアミロイドベータ(Aβ)標的抗体であるレカネマブは、可溶性Aβ凝集体に高い親和性を示す薬剤である。一方、可溶性Aβ凝集体は、単量体や不溶性フィブリルよりも神経毒性が高いことが示唆されている。レカネマブは、複数の臨床試験において、忍容性が良好であると報告されているが、プラセボと比較し、アミロイド関連画像異常(ARIA)および注射部位反応の発生リスクが高いことが問題となる。米国・コロンビア大学のLawrence S. Honig氏らは、早期アルツハイマー病におけるレカネマブの安全性について、第III相試験であるClarity AD試験の結果を報告した。Alzheimer's Research & Therapy誌2024年5月10日号の報告。 Clarity AD試験は、早期AD患者を対象に18ヵ月のレカネマブ治療の有効性、安全性を評価した多施設共同二重盲検プラセボ対照並行群間試験(コア試験)であり、非盲検延長試験(OLE試験)が実施された。対象患者は、レカネマブ群(レカネマブ10mg/kg隔週投与)またはプラセボ群に1:1でランダムに割り付けられた。安全性の評価には、バイタルサイン、身体検査、有害事象、臨床検査パラメータ、12誘導心電図モニタリングを含めた。ARIAの発生は、研究全体を通じMRIにより局所と中央の両方でモニタリングを行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、コア試験参加者1,795例およびレカネマブを1回以上投与した1,612例(コア試験+OLE試験)。・Clarity AD試験では、おおむね忍容性が良好であり、コア試験におけるレカネマブ関連の死亡例はなかった。・OLE試験の死亡例は9例であり、そのうち4例は試験治療に関連する可能性があると判断された。・コア試験+OLE試験における死亡例は24例であり、そのうち脳出血(ICH)は3例であった。コア試験ではプラセボ群で1例、OLE試験ではレカネマブ群で2例(組織プラスミノーゲン活性因子:1例、抗凝固療法中:1例)のICHが認められた。・コア試験+OLE試験において、レカネマブ群で最も多く認められた有害事象は、注射部位反応(24.5%)であり、次いでヘモジデリン沈着を伴うARIA脳微小出血(16.0%)、COVID-19(14.7%)、浮腫を伴うARIA(ARIA-E:13.6%)、頭痛(10.3%)であった。・ARIA-EおよびARIA-Hは、主にレントゲン画像で軽度〜中程度であった。・ARIA-Eは、一般的に治療後3〜6ヵ月以内で発生し、ApoE e4キャリア(16.8%)でより多く、ApoE e4ホモ接合(34.5%)で最も多かった。 著者らは「レカネマブは、一般的に忍容性が良好であるが、有害事象では注射部位反応、ARIA-H、ARIA-Eが認められた。臨床医、参加者、介護者は、最適なケアを行うためにも、これらのイベントに対するモニタリングやマネジメントについて、より理解する必要がある」としている。

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もし過去に戻れたらどの診療科を選ぶ?後輩には勧める?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省が2024年3月19日に公表した「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果では、全国の医師数は34万3,275人で、前回調査(2020年)と比べて1.1%増加した。本調査では、前回調査時と比べて美容外科、アレルギー科、産科、形成外科などの診療科で医師数の増加がみられた。一方、気管食道外科、小児外科、外科、心療内科、耳鼻咽喉科などの診療科では医師数の減少がみられた(詳細は関連記事参照)。この結果には、ワークライフバランスや年収、やりがい、キャリアなどを含めた診療科への満足度が影響している可能性も考えられる。そこで、CareNet.comでは40~50代の医師1,005人を対象に、診療科への満足度に関するアンケートを実施した(2024年5月24~31日実施)。本アンケートでは、現在の診療科にどれだけ満足しているか、もし医学生や研修医に戻れるとしたらどの診療科を選ぶか、自身の診療科を医学生や自分の子供などに勧めるかを聞いた。医師の約4分の3が現在の診療科に満足 現在の専門の診療科について満足度を聞いたところ、「非常に満足」が20.7%、「満足」が54.4%であった。これらを合わせると約4分の3(75.1%)が満足していた。一方、「非常に不満」は0.7%、「不満」は3.5%であり、現在の診療科への不満を有している医師は少ないことが明らかになった。これらの結果について、診療科別に大きな違いはみられなかった。診療科を選び直せても現在の診療科を選ぶのは63.1%、人気は内科 次に、「もし医学生や研修医に戻れるとしたらどの診療科を選ぶか」を聞いた。その結果、「現在の診療科を選ぶ」と回答したのは63.1%であった。この割合は、皮膚科(76.3%)、救命救急科(73.5%)、精神科/心療内科(69.8%)、産婦人科(67.7%)、外科(67.7%)などで高かった。 また、「現在の診療科以外」を選択した371人について集計した結果、内科(12.9%)、皮膚科(7.3%)、放射線科(5.4%)、外科(5.1%)、美容外科(5.1%)が人気であった。医師は選ばないとの回答も2.7%あった。主な理由は以下のとおり。【内科を選んだ理由】・いろいろな症例がみられる(40代、精神科/心療内科)・手術はしたくない(50代、循環器内科)・開業を目指す(50代、腎臓内科)・自分の健康に寄与するから(40代、小児科)【皮膚科を選んだ理由】・目に見えて効果がわかるから(40代、神経内科)・開業もしやすい。ランニングコストが少ない(40代、腎臓内科)・美容皮膚科に携わりたいから(40代、整形外科)【放射線科を選んだ理由】・放射線治療がますます進歩すると考えているから(50代、脳神経外科)・主治医にならないから(40代、救命救急科)・若いころに戻るならば、リモート診療、AIの発達に向けて動いてみたいと思えたから(40代、精神科/心療内科)【外科を選んだ理由】・なり手が少なく社会的な意義が高そう(40代、糖尿病・代謝・内分泌科)・将来AIの台頭で、機械では代用できない技術が重宝されると思うため(40代、放射線科)・外科に憧れがある(40代、消化器内科)【美容外科/美容皮膚科を選んだ理由】・健康な方をより元気にする科であるため(40代、総合診療科)・保険診療はもう嫌(40代、内科)・お金と時間がありそうなイメージ(40代、脳神経外科)・美容に興味があるから(50代、精神科/心療内科)自身の診療科を勧めるのは26.6%、勧めないのは18.3% また、「医学生や自分の子供などに自身の診療科を勧めるか」を尋ねた。その結果、「強く勧める」が7.4%、「勧める」が19.2%であり、合わせて約4分の1(26.6%)が自身の診療科を勧めるという結果であった。一方、「強く勧めない」は5.3%、「勧めない」は13.0%であり、合わせて約5分の1(18.3%)は自身の診療科を勧めないという結果であった。 この結果を診療科別にみると、自身の診療科を勧める(「強く勧める」と「勧める」の合算)と回答したのは、内科系が31.9%と多い傾向にあり、外科系(23.9%)、産婦人科・小児科・救命救急科(21.9%)は少ない傾向にあった。外科系の診療科のなかでも、脳神経外科(6.3%)、外科(12.9%)、消化器外科(15.2%)などで少ない傾向にあった。 勧めない(「強く勧めない」と「勧めない」の合算)と回答したのは、内科系が13.4%と少ない傾向にあり、外科系(22.3%)、産婦人科・小児科・救命救急科(23.1%)は多い傾向にあった。こちらも外科系のなかで、脳神経外科(34.4%)、消化器外科(27.3%)、外科(22.6%)が多い傾向にあった。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。現在の診療科の満足度は?過去に戻れるならどの診療科を選ぶ?/医師1,000人アンケート

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天候や天気の変化で身体の不調を感じる人は6割超/アイスタット

 梅雨の時期や台風、季節の変わり目では、気圧や天気の変化により頭痛や関節痛など身体に不調を起こす「気象病(天気痛)」が知られ、次第に市民権を得つつある。最近では天気予報でも気圧予報がレポートされ、身近なものとなっている。 こうした気象病の実態と日常生活での関連を調査するためにアイスタットは、「気象病(天気痛)に関するアンケート」を6月に行った。調査概要形式:Webアンケート形式調査期間:2024年6月10日回答者:セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している20~59歳の有職者300人アンケート概要・気象病(天気痛)の診断チェックリストで、該当が1個以上ある人は5割超・「気象病だと思う」は1割、「持っている気がする」は3割弱、「気象病だと思わない」は6割・気象病の有無にかかわらず、気候・天気の変化で身体の不調を感じる人は約6割・「気象病だと思う人」と「そうと思わない人」の生活習慣の違い第1位は「ストレスをためやすい」・気象病の有無は「雨が降る前」「高湿度」「台風接近」「貧血症状」「気温急降下」が影響〔気象病の有無にかかわらず、気候や天気の変化で身体の不調を感じた人の特徴を以下に示す〕・発症の第1位「雨が降る前・雨が降りそうなとき」、第2位「湿度が高いとき」・症状の第1位「頭痛」、第2位「倦怠感(だるさ)」、第3位「疲労感」・経験した時期は、「1~2年前」が最多で、気象庁の平均気温経年変化データと一致・日常生活や仕事に影響する人は7割・医療機関で診療を受けた人は約2割・気象病対策の第1位「市販の薬を飲む」、第2位「ひたすら耐える」・和らげるために使用する薬は、第1位「鎮痛剤」、第2位「漢方薬」気象病への対処の多くは「市販薬服用」と「耐えること」 質問1で「気象病(天気痛)の診断チェックリスト(11項目)に該当するもの」(複数回答)を聞いたところ、「あてはまるものはない」が47.0%、「春や秋、梅雨など季節の変わり目に体調を崩しやすい」が18.3%、「『もうすぐ雨が降りそう』『気圧が変化しそう』というのが何となくわかる」「雨が降る前に頭痛を感じることがある」が同率で17.3%だった。「春や秋、梅雨など季節の変わり目に体調を崩しやすい」の回答属性では、「40代」「女性」「四国・中国・九州・沖縄地方」で最も多かった。 質問2で「気象病(天気痛)を持っているか」(単回答)を聞いたところ、「いいえ」が61.7%、「持っている気がする」が26.7%、「はい」が11.7%だった。診断リストのチェック数との関連では、「はい」の人は「3個以上」、「持っている気がする」の人は「2個」、「いいえ」の人は「0個」が最も多いという結果だった。 質問3で気象病(天気痛)の有無に関わらず、「気候や天気の変化で身体の不調を感じることはあるか。ある場合、どのような気候・天候か」(複数回答)を聞いたところ、「とくになし」が43.3%、「雨が降る前・雨が降りそうなとき」が24.7%、「湿度が高いとき」が24.0%の順で多かった。この回答を不調の有無別に分類すると、気候や天気の変化で身体の不調を感じる人は56.7%、そうでない人(とくになし)は43.3%だった。 以下、質問8までは「気候などの変化で身体不調あり」と回答した170人を対象にしたアンケート結果となる。 質問4で「質問3で回答した『気候や天候が原因で起こる身体の不調』は、どのような症状か」(複数回答)を聞いたところ「頭痛」が49.4%、「倦怠感(だるさ)」が37.1%、「疲労感」が27.6%の順で多かった。気象病の有無(自己診断)との関連では、「気分の浮き沈み」「疲労感」を回答した人は「気象病でない」ほど多く、「頭痛」「吐き気・嘔吐」を回答した人は「気象病を持っている気がする人」ほど多かった。 質問5で「質問3で回答した『気候や天候が原因で起こる身体の不調』を経験した時期すべて」(複数回答)を聞いたところ、「1~2年前」が50.6%、「最近」が48.2%、「3~4年前」が45.9%の順で多かった。気象庁発表の「日本の年平均気温偏差の経年変化(1898~2023年)」と今回の結果「不調を経験した時期の推移」を比較したところ、共に推移が上昇していることから、気候や天気の変化が原因で起こる身体の不調の増加は、地球温暖化も要因の1つと推測できた。 質問6で「質問3で回答した『気候や天候が原因で起こる身体の不調』は、日常生活や仕事にどの程度影響するか」聞いたところ、「少し影響する」が59.4%、「ほとんど影響しない」が28.8%、かなり影響するが10.0%の順で多く、日常生活や仕事に影響する人は約7割いることが判明した。気象病の有無(自己診断)との関連では、「支障を来す」「かなり影響する人」と回答した人は「気象病である人」ほど多く、自覚がある人ほど気候や天候の変化が日常生活や仕事に影響があることがうかがえた。 質問7で「質問3で回答した『気候や天候が原因で起こる身体の不調』で、お医者さんに診てもらったことはあるか」(単回答)聞いたところ、「ない」が82.9%、「ある」が17.1%だった。気候・天気の変化による不調で医療機関を受診する人が約2割いることが明らかとなった。また、受診した人の属性では「男性」「20・30代」が多かった。 質問8で「気候や天候の変化が原因による体調不良を起こしたときの対策」(複数回答)を聞いたところ、「市販の薬を飲む」が32.4%、「ひたすら耐える」が27.6%、「本格的に寝る・睡眠をしっかりとる」が23.5%の順で多かった。回答属性の多さでは、「市販の薬を飲む」で「40代」「女性」が多く、「ひたすら耐える」で「50代」「男性」が多く、「本格的に寝る・睡眠をしっかりとる」で「40代」「男性」が多かった。 質問9で気候・天気の変化による身体の不調の対策で「市販薬」「処方箋薬」を使用すると回答した65人を対象に「気候などの変化で身体不調を起こしたとき、和らげるために使用する薬(市販薬、処方薬を問わず)」(複数回答)を聞いたところ、「鎮痛剤」が86.2%、「漢方薬」が12.3%、「抗めまい薬」が10.8%の順で多かった。回答属性の多さでは、「鎮痛剤」で「20・30代」「女性」、「漢方薬」で「40代」「男性」、「抗めまい薬」で「20・30代」「男性」が多かった。 質問10で「気象病に関連しそうな13項目で生活習慣・行動であてはまるもの」(複数回答)を聞いたところ、全体回答で「長時間のスマホ・パソコンの使用」が41.0%、「当てはまるものはない」が28.3%、「ストレスをためやすい」が25.3%の順で多かった。「気象病である・持っている気がする人」と「そうでない人」の生活習慣・行動の違いを「%差」から調べた結果、第1位は「ストレスをためやすい」の22.4%差、第2位は「『頭痛』『肩こり』『腰痛』がよく起こる」の19.0%差、第3位は「貧血の症状がある」の18.7%差の順番だった。

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糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1RA vs.DPP-4i vs.SU薬

 65歳以上の2型糖尿病患者9万例弱を最長10年間追跡した結果、GLP-1受容体作動薬を服用する患者では、スルホニル尿素(SU)薬やDPP-4阻害薬を服用する患者よりも認知症の発症リスクが低かったことが、スウェーデン・Karolinska InstitutetのBowen Tang氏らによって明らかになった。eClinicalMedicine誌オンライン版2024年6月20日号掲載の報告。 これまでの研究により、2型糖尿病患者は認知症の発症リスクが高いことが報告されている1)。一部の血糖降下薬は、プラセボまたはほかの血糖降下薬との比較において、2型糖尿病患者の認知障害および認知症のリスクを低減させる可能性が示唆されているが、相反する報告もあり、さらなる研究が求められていた。そこで研究グループは、糖尿病を有する高齢者の認知症リスクに対する3つの薬剤クラス(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SU薬)の影響を比較するため、スウェーデンの全国登録から取得したリアルワールドデータを用いて、2010年1月1日~2020年6月30日に臨床試験を模した逐次試験エミュレーション(sequential trial emulation)を実施した。 対象は、65歳以上で2型糖尿病を有し、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬またはSU薬の投与を開始したスウェーデン居住者であった。認知症の既往や過去1年間に研究対象の薬剤クラスを服用したことがある参加者は除外した。基準を満たした参加者を、最初の月をベースラインとして試験に毎月組み入れた。 主な結果は以下のとおり。●ベースラインでGLP-1受容体作動薬(1万2,351例)、DPP-4阻害薬(4万3,850例)、SU薬(3万2,216例)が処方された8万8,381例が含まれた。平均年齢はそれぞれ71.62歳、74.78歳、74.21歳であった。●平均追跡期間は4.3年で、追跡期間中に4,607例が認知症を発症した。GLP-1受容体作動薬開始群では278例(発症率は1,000人年当たり6.7)、DPP-4阻害薬開始群では1,849例(11.8)、SU薬開始群では2,480例(13.7)であった。●ITT解析において、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の開始群では、SU薬開始群と比較して認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のハザード比(HR):0.69(95%信頼区間[CI]:0.60~0.79、p<0.000) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:0.89(95%CI:0.82~0.97、p=0.0069)●GLP-1受容体作動薬開始群は、DPP-4阻害薬開始群と比較しても認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.77(95%CI:0.68~0.88、p<0.0001)●パー・プロトコル解析において、GLP-1受容体作動薬開始群は、SU薬およびDPP-4阻害薬の開始群と比較して認知症リスクが有意に低かったが、DPP-4阻害薬開始群とSU薬開始群との間には有意な差は認められなかった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のHR:0.41(95%CI:0.32〜0.53、p<0.0001) ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.38(95%CI:0.30〜0.49、p<0.0001) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:1.07(95%CI:0.98〜1.17、p=0.13)

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低用量コルヒチン、脳梗塞の再発を予防せず/BMJ

 軽症~中等症の非心原性脳梗塞または一過性脳虚血発作の急性期患者の治療において、プラセボと比較して抗炎症薬コルヒチンの低用量投与は、90日以内の脳卒中再発リスクを減少させず、重篤な有害事象の発生にも差はないことが、中国・首都医科大学のJiejie Li氏らCHANCE-3 Investigatorsが実施した「CHANCE-3試験」で示された。研究の詳細は、BMJ誌2024年6月26日号に掲載された。中国の多施設共同無作為化プラセボ対照試験 CHANCE-3試験は、中国の244の病院で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照試験であり、2022年8月~2023年4月の期間に患者を登録した(中国国家重点研究開発計画などの助成を受けた)。 年齢40歳以上、軽症~中等症の脳梗塞または一過性脳虚血発作と診断され、高感度C反応性蛋白(CRP)濃度≧2mg/Lの患者8,343例(脳梗塞7,411例[88.8%]、一過性脳虚血発作932例[11.2%])を登録した。 これらの患者を、標準的な基礎治療に加え、症状発現から24時間以内にコルヒチンを投与する群に4,176例、プラセボ群に4,167例を無作為に割り付けた。コルヒチンは、1~3日目に0.5mgを1日2回投与し、それ以降は0.5mgを1日1回投与した。 有効性の主要アウトカムは無作為化から90日以内の新規脳卒中(脳梗塞、出血性脳卒中)、安全性の主要アウトカムは投与期間中の重篤な有害事象とし、ITT解析を行った。血管イベント、修正Rankin尺度>1にも差はない ベースラインの全体の年齢中央値は66.3歳、37.6%が女性であった。高感度CRPの中央値は4.8mg/L、症状発現から無作為化までの時間中央値は14.6時間だった。 90日以内に新たに脳梗塞または出血性脳卒中を発症した患者は、コルヒチン群が264例(6.3%)、プラセボ群は270例(6.5%)と、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.83~1.16、p=0.79)。 また、90日の時点での血管イベント(脳卒中、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、血管死の複合)(コルヒチン群7.1% vs.プラセボ群7.4%、HR:0.96[95%CI:0.82~1.13]、p=0.64)、脳梗塞(6.2% vs.6.3%、0.98[0.82~1.16]、p=0.79)、脳卒中または一過性脳虚血発作(6.8% vs.7.0%、0.98[0.83~1.15]、p=0.79)、修正Rankin尺度>1の患者(10.4% vs.10.6%、オッズ比:0.99[0.86~1.14]、p=0.86)にも、両群間に有意差はなかった。下痢、腹部膨満、肝機能異常が有意に多い 重篤な有害事象は、コルヒチン群で91例(2.2%)、プラセボ群で88例(2.1%)にみられた(p=0.83)。このうち、死亡(コルヒチン群0.8% vs.プラセボ群1.1%、p=0.21)、心血管死(0.5% vs.0.7%、p=0.23)、非心血管死(0.4% vs.0.4%、p=0.60)、消化器イベント(0.2% vs.0.2%、p=0.80)にも差を認めなかった。 有害事象は、コルヒチン群で910例(21.8%)、プラセボ群で888例(21.3%)に発現した。下痢(1.7% vs.0.7%、p<0.001)、腹部膨満(0.5% vs.0.2%、p=0.05)、肝機能異常(ALTまたはASTが正常上限値の3倍以上)(0.3% vs.0.1%、p=0.03)が、コルヒチン群で有意に多かった。 著者は、「先行研究と一致して、下痢、腹部膨満、肝機能異常の発生に差がみられたが、本試験では投与期間が短かったこともあり、全体的な発生率は低かった」と述べるとともに、「これらの知見は、アジア人患者以外の集団には一般化できない可能性がある」としている。

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中等度~重度の外傷性脳損傷アウトカム、非制限輸血vs.制限輸血/NEJM

 貧血を伴う重度の外傷性脳損傷患者において、非制限輸血戦略は制限輸血戦略と比較して6ヵ月後の不良な神経学的アウトカムのリスクを改善することはなかった。カナダ・ラヴァル大学のAlexis F. Turgeonらが、無作為化比較試験「Hemoglobin Transfusion Threshold in Traumatic Brain Injury Optimization pragmatic trial(HEMOTION試験)」の結果を報告した。重度の外傷性脳損傷患者のアウトカムに対する制限的輸血戦略と非制限輸血戦略の有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版、2024年6月13日号掲載の報告。6ヵ月後の神経学的アウトカム不良について比較検証 HEMOTION試験は、カナダ、イギリス、フランス、ブラジルの神経集中治療専門の外傷センター34施設で実施された、PROBE(Prospective Randomized Open Blinded End-Point)デザインの試験である。 研究グループは、中等度または重度の外傷性脳損傷(グラスゴー昏睡尺度[GCS、スコア範囲3~15で低スコアほど意識レベルが低いことを示す]スコア3~12)および貧血(ヘモグロビン値10g/dL以下)の18歳以上の患者を、非制限輸血戦略群(非制限群)と制限輸血戦略群(制限群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 非制限群では、ヘモグロビン値が10g/dL以下で、制限群ではヘモグロビン値が7g/dL以下で赤血球輸血を行った。 主要アウトカムは、拡張グラスゴー転帰尺度(Glasgow Outcome Scale-Extended[GOS-E]、スコア範囲:1[死亡]~8[上位の良好な回復])の評価に基づく6ヵ月後の不良なアウトカムであった。ベースライン時点で各患者の予後を3つのリスクレベル(最悪、中間、最良)に分類し、6ヵ月後のGOS-Eスコアがそれぞれ3、4、5以下であった場合に不良なアウトカムと定義した。 副次アウトカムは、6ヵ月以内の死亡、機能的自立度(Functional Independence Measure[FIM])、QOL(EQ-5D-5Lなど)、うつ病(Patient Health Questionnaire-9[PHQ-9])などであった。主要アウトカムに両群で有意差なし 2017年9月1日~2023年4月13日に、計742例が無作為化され(各群371例)、722例が主要アウトカムの解析対象集団となった。集中治療室(ICU)におけるヘモグロビン値(中央値)は、非制限群では10.8g/dL、制限群では8.8g/dLであった。 不良なアウトカムは、非制限群では364例中249例(68.4%)、制限群では358例中263例(73.5%)に認められた(制限群と非制限群の補正後絶対群間差:5.4%、95%信頼区間[CI]:-2.9~13.7)。 6ヵ月死亡率は非制限群26.8%、制限群26.3%(ハザード比:1.01、95%CI:0.76~1.35)であった。6ヵ月時の生存例において、非制限群は制限群と比較し機能的自立度やQOLの一部で良好なスコアが得られたが、輸血戦略と死亡率またはうつ病との間に関連性は認められなかった。 静脈血栓塞栓症の発現率は各群8.4%で、急性呼吸窮迫症候群は非制限群で3.3%、制限群で0.8%に発現した。 なお、著者は研究の限界として、貧血患者のみを募集し、より重度の外傷脳損傷患者を対象としたこと、ベースラインでいくつかの予後変数を含む両群間の不均衡が確認されたこと、治療の割り付けに関して診療チームに対する盲検化はできなかったことなどを挙げている。

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アイカルディ症候群〔AS:Aicardi syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義アイカルディ症候群は、1965年にJean Aicardiによって報告された神経疾患である。脳梁欠損、脈絡網膜裂孔、点頭てんかん (infantile spasm) を典型的な3主徴とし、主に女児に認められる。なお、Aicardi-Goutie(eはアクサン・グラーヴ)res症候群とは別の疾患である。■ 疫学まれな疾患であり、正確な頻度は不明である。民族差はないと言われており、欧米では9~17万人に1例程度との報告がある。■ 病因現時点で不明である。患者の大部分が女児であることから、X染色体顕性遺伝(男児では致死性)または常染色体上の限性発現遺伝子の異常により女児にのみ発症するとも考えられている。■ 症状脳梁欠損、脈絡網膜裂孔、点頭てんかんを典型的な3主徴とするが、必ずしも3つがそろっているとは限らない。また、この3主徴以外にもさまざまな大脳形成異常、視神経の異常、その他のタイプのけいれん、さまざまな重症度の知的障害、側弯などの骨格異常が認められる。1)神経症状てんかんは、大部分の症例(>95%)に認められる。大部分の症例は1歳未満に発症する。点頭てんかんは早期にみられ、経過中にさまざまなタイプの薬剤治療抵抗性てんかんを発症する。脳波所見として、非対称性のサプレッション・バーストや両半球間の解離を伴う非同期の多巣性てんかん様異常がよくみられる。頭部MRIでは脳梁の異形成があり、大部分は完全脳梁欠損であるが、部分欠損の場合もある。主に前頭葉と傍シルビウス裂領域の多小脳回や厚脳回は典型的である。脳室周囲と皮質内の異所性灰白質もよくみられる。大脳の左右非対称、脈絡叢乳頭腫、脳室拡大、第3脳室や脈絡叢の脳内嚢胞がしばしばみられる。2)眼症状本症候群の特徴である脈絡膜裂孔は、網膜色素上皮とその下にある脈絡膜の白色または黄白色での円形で、境界部にさまざまな濃さの色素沈着を伴う、境界明瞭な色素脱失領域であり、視神経周囲の球後極に集簇することがある。 3)頭蓋顔面症状特徴的な顔貌として、短い鼻尖、鼻先が上向きで鼻梁の角度が小さい前顎骨、大きな耳、まばらな眉毛が含まれる。斜頭、顔面非対称性、時に口唇口蓋裂も報告されている。4)骨格症状半椎体、ブロック椎体、癒合椎体、肋骨の欠損などの肋椎体の異常はよくみられる。患者の1/3が著しい側弯症になる可能性がある。5)消化器症状便秘、胃食道逆流、下痢、摂食障害が認められる。管理上、てんかんの次に大きな問題となる症状である。6)悪性腫瘍腫瘍の発生率が増加することが示唆されている。良性腫瘍として脈絡叢乳頭腫や脂肪腫など、悪性腫瘍として血管肉腫、肝芽腫、髄芽腫、胚性がん、奇形腫など、さまざまなまれなタイプの腫瘍が報告されている。7)成長身長は7歳、体重は9歳まで一般集団と同じ程度であるが、それ以降になると一般集団より低くなるとの報告がある。8)内分泌思春期早発症、思春期遅延症の報告がある。■ 分類とくになし。■ 予後生命予後は不良である。個人差が大きくけいれんの重症度にもよる。平均余命は8.3歳との報告がある一方、寿命の中央値は18.5歳との報告がある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は臨床所見のみで行う。症状がそろっていれば男児でも診断される。1999年に報告されたAicardiによる診断基準案は以下の通りである。古典的3徴候の存在が本症候群の診断となる。古典的3徴候の2つに加え、少なくとも2つの他の主要な特徴または補助的な特徴の存在は、本症候群の診断を強く示唆する。■古典的3徴候での診断【古典的3徴候】点頭てんかん (infantile spasms)特徴的な脈絡膜裂孔脳梁欠損(部分的な場合もある)【主な特徴】皮質奇形(多くは小脳回)脳室周囲および皮質下の異形成症第3脳室および/または脈絡叢周囲の嚢胞視神経・視神経乳頭のコロボーマまたは低形成【支持特徴】椎骨および肋骨の異常小眼球症もしくは他の眼症状“Split-brain” 型脳波肉眼的大脳半球非対称性■研究班による診断基準わが国の研究班においても以下のような診断基準が提唱されている。【A.症状】●主要徴候1.スパズム発作[a]2.網脈絡膜ラクナ(lacunae)[b]3.視神経乳頭(と視神経)のcoloboma、しばしば一側性4.脳梁欠損(完全/部分)5.皮質形成異常(大部分は多小脳回)[b]6.脳室周囲(と皮質下)異所性灰白質[b]7.頭蓋内嚢胞(たぶん上衣性)半球間または第3脳室周囲8.脈絡叢乳頭腫●支持徴候9.椎骨と肋骨の異常10.小眼球または他の眼異常11.左右非同期性’split brain’脳波(解離性サプレッション・バースト波形)12.全体的に形態が非対称な大脳半球a.他の発作型(通常は焦点性)でも代替可能b.全例に存在(またはおそらく存在)【B.検査所見】1.画像検査所見:脳梁欠損をはじめとする中枢神経系の異常(脳回・脳室の構造異常、異所性灰白質、多小脳回、小脳低形成、全前脳胞症、孔脳症、クモ膜嚢胞、脳萎縮など)がみられる。2.生理学的所見:脳波では左右の非対称または非同期性の所見がみられる。ヒプスアリスミア、非対称性のサプレッション・バーストまたは類似波形がみられる。3.眼所見:網脈絡膜ラクナが特徴的な所見。そのほか、視神経乳頭の部分的欠損による拡大、小眼球などがみられる。4.骨格の検査:肋骨の欠損や分岐肋骨、半椎、蝶形椎、脊柱側弯などがみられる。【C.鑑別診断】以下の疾患を鑑別する:線状皮膚欠損を伴う小眼球症。先天性ウイルス感染。<診断のカテゴリー>A-1、2、4を必須とし、さらにA-5、6、7、8のいずれかの所見を認めた場合に診断できる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)根本治療法はなく、対症療法のみである。スパズム発作と薬剤治療抵抗性けいれんの管理が必須である。診断時からの理学療法、作業療法、言語療法の開始が望ましい。側弯に伴う合併症予防のための適切な筋骨格系のサポートと治療が必要である。また、成長、栄養状態、発達の経過、呼吸機能と誤嚥のリスク、側弯の程度などについての定期的な評価が必要である。4 今後の展望原因遺伝子は未同定であるが、今後同定された場合には、発症のメカニズムが解明され、治療法が確立することが望まれる。5 主たる診療科小児神経科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病センター アイカルディ症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター アイカルディ(Aicardi)症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Gene Reviews Aicardi syndrome(医療従事者向けのまとまった情報)OMIM Aicardi syndrome(医療従事者向けのまとまった情報)1)Adam MP, et al(eds). GeneReviews. 1993.2)Kroner B, et al. J Child Neurol. 2008;23:531-535.3)Aicardi, et al. International Pediatrics. 1999;14:5-8.4)加藤光弘. てんかん症候群 診断と治療の手引き(日本てんかん学会編集). メディカルデビュー;2023.p.21-25.5)「稀少てんかんに関する調査研究」班 アイカルディ症候群 診療ガイドライン(第2版)公開履歴初回2024年7月4日

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脳梗塞発症後4.5~24時間、tenecteplase vs.標準治療/NEJM

 大血管閉塞による脳梗塞で、ほとんどが血管内血栓除去術を受けていない中国人患者に対する発症後4.5~24時間のtenecteplase投与は、標準治療と比較して、90日後に機能障害を有する患者の割合が少なく生存率は同程度であった。中国・首都医科大学のYunyun Xiong氏らが、同国58施設で実施した第III相無作為化非盲検評価者盲検試験「TRACE-III試験」の結果を報告した。tenecteplaseは、脳梗塞発症後4.5時間以内の脳梗塞急性期に対する有効な血栓溶解薬であるが、発症後4.5時間以降の有効性に関するデータは限られていた。NEJM誌オンライン版2024年6月14日号掲載の報告。90日後のmRSスコア0または1の割合を比較 研究グループは、年齢18歳以上、最終健常確認時刻から4.5~24時間の脳梗塞で、発症前の修正Rankinスケール(mRS)スコア0または1(範囲:0[障害なし]~6[死亡])、NIHSSスコア6~25(範囲:0~42、高スコアほど重度の神経学的障害を示す)、中大脳動脈M1/M2部または内頸動脈の閉塞を有し、灌流画像で救済可能組織が確認され、血管内血栓除去術を受けることができない患者を、tenecteplase群または標準治療群に無作為に割り付けた。 tenecteplase群では0.25mg/kg(最大25mg)を5~10秒間で静脈内投与し、標準治療群では治験責任医師の判断で抗血小板療法を行った。 有効性の主要アウトカムは、ITT集団における90日後のmRSスコア0または1で定義される機能障害なしの割合であり、安全性のアウトカムは治療後36時間以内の症候性頭蓋内出血、全死因死亡などであった。アウトカムの評価は各施設の認定臨床医が盲検下で行った。主要アウトカムはtenecteplase群が有意に良好も、症候性頭蓋内出血は増加 2022年1月~2023年11月に1,469例がスクリーニングを受け、このうち516例が登録された(tenecteplase群264例、標準治療群252例)。救済治療として血管内血栓除去術が行われた患者は2%未満(tenecteplase群4例,標準治療群5例)であった。 90日後のmRSスコアが0または1の患者の割合は、tenecteplase群33.0%、標準治療群24.2%で、tenecteplase群において高かった(相対比率:1.37、95%信頼区間[CI]:1.04~1.81、p=0.03)。 治療後36時間以内の症候性頭蓋内出血はtenecteplase群で8例(3.0%)、標準治療群で2例(0.8%)に発生した(相対比率:3.82、95%CI:0.82~17.87)。90日時点の全死因死亡率はそれぞれ13.3%、13.1%であった。

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高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024

高齢者に関わるすべての医療介護福祉専門職へ!超高齢社会を迎えたわが国では、CGAによる包括的・全人的な評価と、それに基づいた個別化された医療・ケアの提供が求められている。多職種協働により取り組む必要があり、CGAはその共通言語となる。本ガイドラインは、医師だけではなく高齢者に関わる医療介護福祉関係の多職種向けに作成した。診療やケアに幅広く活用いただきたい。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024定価1,980円(税込)判型B5判頁数102頁発行2024年6月編集長寿医療研究開発費「高齢者総合機能評価(CGA)ガイドラインの作成研究」研究班日本老年医学会国立長寿医療研究センターご購入はこちらご購入はこちら

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片頭痛女性における頭痛重症度と炭水化物品質指数との関係〜横断的研究

片頭痛女性における炭水化物品質指数(CQI)と頭痛の重症度、障害、持続期間との関連を調査するため、イラン・テヘラン医科大学のHaniyeh Jebraeili氏らは、横断的研究を行った。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2024年5月28日号の報告。 18〜45歳の女性266例を対象に、147項目の食品摂取頻度質問票(FFQ)を用いて、調査を行った。CQIの定義には、食物繊維摂取量、食事のグリセミックインデックス(DGI)、全粒穀物/全穀物比、固形炭水化物/全炭水化物比の4つの基準を用いた。対象患者から、身体測定、ビジュアルアナログスケール(VAS)、片頭痛評価尺度(MIDAS)、頭痛の持続期間を収集し、評価した。 主な結果は以下のとおり。・CQIの高アドヒアランス群は、低アドヒアランス群と比較し、中程度の頭痛(オッズ比[OR]:0.45、95%信頼区間[CI]:0.21〜0.94、p=0.03)、重度の疼痛(OR:0.39、95%CI:0.18〜0.82、p=0.01)のORが低かった。・潜在的な交絡因子で調整したのち、CQIのアドヒアランスが最も高い群は、最も低い群と比較し、重度の疼痛が78%低下(OR:0.22、95%CI:0.09〜0.55、p=0.01)、中程度の疼痛が63%低下した(OR:0.37、95%CI:0.16〜0.84、p=0.01)。・CQIの高アドヒアランス群は、頭痛の持続時間のORが低かった(OR:0.54、95%CI:0.31〜0.96、p=0.03)。・交絡因子で調整したのちでも(OR:0.59、95%CI:0.35〜1.002、p=0.05)、有意な関連性が維持された(p<0.05)。・交絡因子を調整したにも関わらず、CQIとMIDASスコアとの有意な関連は認められなかった(p>0.05)。 著者らは、「CQIのアドヒアランスが高いほど、片頭痛患者の重症度および頭痛の持続時間の軽減が認められた。これらの結果を確認するためにも、さらなる研究が求められる」としている。

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