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認知症の人と抗精神病薬、深層を読む(解説:岡村毅氏)

 実はこれは20年以上も延焼している問題だ。認知症の人のBPSD(行動心理症状)、たとえば自傷や他害、激しいイライラや怒り、幻覚といった症状は、本人にも介護者にも大変つらい体験である。非定型抗精神病薬(パーキンソン症候群などが比較的少ないとされる第2世代の抗精神病薬、具体的にはリスペリドン以降のもの)が精神科領域で使われ始めると、時を同じくして老年医学領域でも使われ始めたのは当然であった。もちろん、これは患者さんをいじめようと思って処方されたのではない。しかし、どうも肺炎や心不全などの有害事象につながっているのではということが指摘され始め、2005年に米国のFDAが死亡リスクを「ブラックボックス」で指摘してからは、使うべきではない、とされてきた。さまざまなガイドラインでも、認知症の人に抗精神病薬は使ってはならないとされている。 日本では、悪い医師が本当は処方してはならない抗精神病薬を処方して、けしからんという文脈で使われることが多い。 とは言うものの、実際には世界中で使われている。そもそも英国でもハロペリドールとリスペリドンはBPSDに対して正式に使える。 この論文は、英国のプライマリケアのデータベースを用いて、認知症と診断された人について、その後に抗精神病薬が処方された人と処方されていない人を比べたら、された人の肺炎、血栓症、心筋梗塞、心不全などのリスクが高くなったという報告である。やはり使うべきではない、という論文である。 大きなデータを扱う公衆衛生の論文では仕方がないが、いろいろ限界はある。そもそも用量がわからないデータである。一部の人が過剰に多い用量を出されており、それがリスクを上げている可能性は否定できない。また認知症に新たになった人を組み込むために、「認知症診断はついてないがドネペジルを処方されている人は除いた」とある。これは私が英国の臨床を知らないだけかもしれないが、意味がわからない。認知症でない人にドネペジルを処方することなどあるのだろうか? データセットの粗さを示しているのかもしれない。またBPSDの程度もわからない。身体疾患が悪化しているときは高次機能にも影響し、攻撃性が増すなどBPSDとして発現する可能性もある。因果はわからない。 と文句をつけたが、抗精神病薬をなるべく使うべきではない、というのは今や医療現場では常識である。 以下はあくまで個人の印象だが、シンプルに高齢者に慣れている医師は、抗精神病薬はあまりにも危険なのでなかなか使わない。どうしても使わねばならない時に、期間を限定して乾坤一擲に使う。めちゃくちゃに使っているのは、あまり高齢者に慣れていない医師が多いように思われる。 そもそも年を取って心も体も弱ってBPSDが出るのは、人間の本性であり「治せる」ものではない。老いて施設に入ることになった人においては、悲しみ、怒り、焦燥はあって当たり前で、いかに顕在化させないか、行動化させないか、ということだけが論点だ。 環境を変える(認知症の人に過ごしやすい物理環境にする、スタッフの接し方を認知症の特性を踏まえたものにする)ことが最重要である。それでもダメなら漢方、あるいは抗精神病薬以外の処方、それでもダメなら期間限定で抗精神病薬だろう。 こう書くと非道な医師だといわれてしまうかもしれないが、介護スタッフが暴力を振るわれたり、あるいは家族が疲弊したりするのを看過するほうが、よほど非道であろう。 というわけで結論は、「認知症の人に抗精神病薬は出すべきではない。肺炎や血栓症や心疾患のリスクが増えることは臨床家なら知っているし、今回の論文でも改めて示された。しかし、ケアが崩壊して本人もケアラーも破綻するくらいなら期間限定で使う」ということになろう。 延焼は止まらないようだ。だが、こうやって悩み続けるというのも「治せない」ことが前提であることが多い老年精神医学の、基本姿勢かもしれない。最後に「認知症の高齢者に抗精神病薬を処方するからには、しっかり悩み、苦しみながら処方せよ」と言っておこう。

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日本人高齢者の認知症発症を予測するバイオマーカー

 九州大学の小原 知之氏らは、血漿アミロイドβ(Aβ)42/40、リン酸化タウ(p-τ)181、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)と認知症リスクとの関連を評価し、これらの血漿バイオマーカーが、一般的な高齢者集団の認知症発症予測の精度向上につながるかを調査した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2024年4月12日号の報告。 非認知症の65歳以上の地域在住日本人高齢者1,346人を対象に、5年間のプロスペクティブフォローアップ調査を実施した。血漿バイオマーカーは、超高感度オートELISA Simoa HD-X Analyzerを用いて、定量化した。認知症リスクに対する各血漿バイオマーカーレベルのハザード比を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は、151例(アルツハイマー病:108例、非アルツハイマー病:43例)であった。・血漿Aβ42/40レベルの低下および血漿p-τ181レベルの上昇は、アルツハイマー病発症と有意な関連が認められたが(p for trend<0.05)、非アルツハイマー病との関連は認められなかった。・一方、GFAPおよびNfLの血漿レベルの高さは、アルツハイマー病および非アルツハイマー病のいずれにおいても、有意な関連が認められた(p for trend<0.05)。・これら4つの血漿バイオマーカーを認知症リスクモデルの合計スコアからなるモデルに追加した場合、認知症発症の予測精度が有意に向上した。 著者らは、「日本人高齢者において、血漿Aβ42/40およびp-τ181は、アルツハイマー病の特異的マーカーであり、血漿GFAPおよびNfLは、すべての原因による認知症の潜在的なバイオマーカーである可能性が示唆された。さらに、これらのバイオマーカーの測定は、臨床現場における認知症発症リスクの特定に有用であり、比較的低侵襲な方法であると考えられる」としている。

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認知症を予防する食品は?栄養、3つの小話【外来で役立つ!認知症Topics】第17回

「フレンチパラドックス」が赤ワインブームに火をつけた知人とレストラン等で食事をするとき、「ではワインでいこう」となることがある。銘柄などに詳しくない人の集まりなら、「赤か白か」程度の選択になる。このような場合、十中八九が赤で決まる。この20年近くはそうなったと思う。それ以前、筆者が20代から40歳頃にかけてはまったく逆だった。渋くて重い赤ワイン好きなどはまず例外的、ほぼ皆が甘く軽やかな味の白を選ぶのが常だった。それが1995年以降に逆転して今に続く赤ワインブームが定着する。その原因がフレンチパラドックスである。パラドックス、矛盾とは? 赤ワインで有名なフランスのボルドー地方などでは、動物性脂肪の摂取が多いのに冠状動脈疾患の発症率が少ないことを指す。加えて認知症の発症も少ないことが一流医学雑誌で報告された。そこに赤ワインが関係する可能性が指摘された。さらに白ワインに比べて赤ワインに多く含まれる抗酸化物質ポリフェノールに鍵があると考えられた。日本のマスコミでは、「みのもんた」による赤ワイン健康法のTV番組などもあって、わが国の赤ワイン人気は一気に爆発した。「まごたちわやさしい」バランスの良い地中海食さて外来で、「認知症にならない、脳に良い食品は何か?」と尋ねられることは多い。そこで筆者は、数年に1度は、認知症、予防、栄養などのキーワードでレビューを探して、読んでいる。最近の結論としては次のようになる。「TVのコマーシャルでやっているようなサプリではありません。食品の個々の栄養素とか成分でもないそうです。食材と栄養の組み合わせ、ここから相乗的に効果が生まれるようです」。つまり「まごたちわやさしい※」のようにまんべんなくバランス食を、ということだ。※「まごたちわやさしい」とは、バランスの良い食事の考え方で、取り入れたい食材の頭文字からできた言葉(ま:豆類、ご:ごま・ナッツ類、た:卵、ち:チーズ・乳製品、わ:わかめ・海藻類、や:野菜、さ:魚、し:しいたけ・キノコ類、い:いも)。そのような食事の代表は地中海食だろう。これについては、少なくとも疫学的に循環器疾患そして認知症の予防効果がある。つまり認知症ではない人における知的低下率を減少させ1)、アルツハイマー病の発症率を低下させるとレビューがなされている2)。このように疫学的に確立した食事パターンは地中海食しかない。この地中海食を患者さんに説明する際は、「動物性脂肪中心のいわば欧米食とは違う。欧米食に、魚や野菜という伝統的な和食風をアレンジ」とその特徴をまとめる。また地中海食の特徴とされる食品のうち、日本人には馴染みが薄い食品として以下を紹介している。精白されていない全粒穀物、豆類、ナッツ、そしてオリーブオイル、これらを摂取するのも良いかもしれないと説明する。なお最近では、地中海食は伝統的に孤食ではないことに注目するものもある。脳に不可欠なオメガ3不飽和脂肪酸を摂れる食品は?さて地中海食も和食も、1つのポイントが必須脂肪酸のオメガ3不飽和脂肪酸にあると思う3)。ヒト脳の60%は脂肪でできている。それだけに脂肪酸は脳の統制と機能を決定する最重要物質と考えられている。とくに必須脂肪酸は、健康維持のために必要であるにもかかわらず、体内では作れないため食事から摂取する必要があるものをいう。必須脂肪酸としては、オメガ6不飽和脂肪酸のリノール酸、オメガ3不飽和脂肪酸のα-リノレン酸が代表である。これらは脳の神経細胞膜の重要成分であるだけでなく、神経伝達物質を合成したり細胞膜の流動性を維持したりすることに関与している。さらに免疫機能の構成分子にも関与する。ヒト脳の成長は5、6歳頃には終了するが、必須脂肪酸のうちオメガ3不飽和脂肪酸は、その後も脳の発達に重要である。とくに食事から摂るDHA(ドコサヘキサエン酸)は網膜と大脳皮質には必要で、これがあって視力と脳の発達が可能になると考えられている。なおアルツハイマー病者では、脳の海馬、大脳皮質、小脳において必須脂肪酸が不足すると症状がさらに悪くなるという報告もある。こうした必須脂肪酸を食事から上手に摂取するなら、DHAやEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富なサンマ、サバ、マグロなど青魚が良いことが知られている。ところがオメガ3不飽和脂肪酸を含む植物油はあまりない。その例外は、シソ油、エゴマ油である。なおエゴマ油は、シソ科の植物“エゴマ”の種子を搾った油、シソ油は、シソの実を搾った油である。図. 脂肪酸の分類画像を拡大する赤ワインの認知症予防効果、現在の評価は?終わりに、赤ワインが認知症予防になるという説への現在の評価は、あまり信憑性がないとしている。酒を称賛する言葉に「酒は百薬の長」があるように、飲み方次第では赤ワインもそうだろう。そこで「赤ワインの適切な飲酒量は?」との質問には、なにかの医学雑誌で読んだTwo glasses of wine(約230mL≒日本酒1合のアルコール)とお答えしている。参考1)Sofi F, et al. Am J Clin Nutr. 2010;92:1189-1196.2)Singh B, et al. J Alzheimers Dis. 2014;39:271-282.3)Dighriri IM, et al. Cureus. 2022;14:e30091.

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片頭痛患者における睡眠障害併存が中枢性感作に及ぼす影響

 片頭痛患者では、睡眠障害が見られることが多く、このことがQOLに影響を及ぼす。また、中枢感作は、片頭痛の重症度や慢性化と関連している可能性がある。獨協医科大学の鈴木 圭輔氏らは、併存する睡眠障害の数が中枢感作の影響を介して頭痛関連障害に及ぼす影響を調査した。Frontiers in Neurology誌2024年2月26日号の報告。 連続した片頭痛患者215例を対象に、横断的研究を実施した。不眠症の定義は、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)総スコア5超とした。レム睡眠行動障害の可能性は、RBDスクリーニングスコア5以上と定義した。日中の過度な眠気の定義は、エプワース眠気尺度(ESS)スコア10以上とした。睡眠時無呼吸症候群の疑いの定義は、いびきまたは睡眠時無呼吸症候群の症状が3夜/週以上とした。中枢感作の評価には、Central Sensitization Inventory(CSI)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・片頭痛患者でみられた睡眠障害は、レストレスレッグス症候群(25.6%)、不眠症(71.6%)、日中の過度な眠気(34.4%)、睡眠時無呼吸症候群(10.2%)、レム睡眠行動障害の疑い(21.4%)であった。・1つ以上の睡眠障害が認められた片頭痛患者は、87.0%であった。・睡眠障害のない状態を基準とした多項ロジスティック回帰分析では、調整係数を補正したのち、3つ以上の睡眠障害が併発すると、片頭痛評価尺度(MIDAS)スコアの有意な上昇が認められた。・媒介分析では、他の変数を調整した後、睡眠障害の数の増加は、MIDASスコアに直接的な影響を及ぼし、CSIスコアとの間接的な関連が示唆された。 著者らは、「片頭痛関連障害と複数の睡眠障害との関連性が認められており、これは部分的に中枢感作により媒介されている可能性が示唆された」としている。

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マヨネーズをオリーブ油にすると認知症死亡が14%低下

 オリーブ油の摂取と認知症関連死亡との関連はわかっていない。今回、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのAnne-Julie Tessier氏らが、9万人超の前向きコホート研究を実施したところ、オリーブ油を1日7g超摂取する人は、まったく/ほとんど摂取しない人と比べて、食事の質によらず認知症関連死亡リスクが3割近く低いことがわかった。また、1日5gのマヨネーズを同量のオリーブ油に置き換えると、認知症関連死亡リスクが14%低下すると推定された。JAMA Network Open誌2024年5月6日号に掲載。 この前向きコホート研究は、Nurses' Health Study(NHS)の女性とHealth Professionals Follow-Up Study(HPFS)の男性を対象とし、ベースライン時に心血管疾患もしくはがんではなかった9万2,383人を28年間(1990~2018年)追跡した。オリーブ油摂取量は食物摂取頻度調査票で4年ごとに調査し、「摂取なし/月1回以下」「0g/日超4.5g/日以下」「4.5g/日超7g/日以下」「7g/日超」の4群に分類した。食事の質はAlternative Healthy Eating IndexとMediterranean Diet scoreに基づいた。認知症関連死亡は死亡記録から確認した。多変量Cox比例ハザード回帰を用いて、遺伝的因子・社会人口統計学的因子・生活習慣因子などの交絡因子で調整したハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・参加者9万2,383人のうち女性は6万582人(65.6%)、平均年齢は56.4歳だった。・28年(218万3,095人年)の追跡期間中、4,751人が認知症関連で死亡した。・アポリポ蛋白Eε4(APOEε4)対立遺伝子がホモ接合体の人は、認知症関連死亡リスクが5〜9倍高かった。・オリーブ油の7g/日超摂取は、摂取なし/月1回以下に比べて、認知症関連死亡リスクが28%低く(調整後統合HR:0.72、95%CI:0.64~0.81、傾向のp<0.001)、さらにAPOEε4で調整後も一貫していた。・食事の質による交互作用は認められなかった。・代替分析において、5g/日のマヨネーズを同量のオリーブ油に置き換えると認知症関連死亡リスクが14%(95%CI:7~20)低下し、5g/日のマーガリンを同量のオリーブ油に置き換えると8%(同:4~12)低下すると推定された。他の植物油やバターをオリーブ油に置き換えた場合は有意ではなかった。 著者らは「この結果は、心臓の健康だけでなく認知関連の健康のために、オリーブ油や他の植物油を選択する現在の推奨を広げるものだ」としている。

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超加工食品、摂取量が多いと死亡リスク増大~30年超の調査/BMJ

 超加工食品の摂取量が多いほど、がんおよび心血管疾患以外の原因による死亡率がわずかに高く、その関連性は超加工食品のサブグループで異なり、肉/鶏肉/魚介類をベースとした調理済みインスタント食品のサブグループでとくに強い死亡率との関連性が認められたという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のZhe Fang氏らによる、追跡期間30年超のコホート研究で示された。超加工食品は健康に悪影響を及ぼすことが示唆されているが、長期間にわたり食事評価を繰り返し行う大規模コホートでの超加工食品摂取による死亡率への影響に関するエビデンスは限られていた。BMJ誌2024年5月8日号掲載の報告。米国の女性看護師と男性医療従事者、合計約11万4,000例を追跡 研究グループは、米国11州の女性正看護師が対象のNurses' Health Study(1984~2018年)、全50州の男性医療従事者が対象のHealth Professionals Follow-Up Study(1986~2018年)を基に、ベースラインでがん、心血管疾患、糖尿病の既往がない女性7万4,563例および男性3万9,501例を対象として、超加工食品の摂取と死亡との関連を調べた。 超加工食品の摂取量は、4年ごとに実施される食物摂取頻度調査で評価した。 主要アウトカムは全死因死亡、副次アウトカムはがん、心血管疾患、その他の原因(呼吸器疾患、神経変性疾患を含む)による死亡で、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて超加工食品摂取量との関連について、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定し評価した。がん、心血管疾患による死亡とは関連なし 追跡期間中央値34年間において、計4万8,193例(女性3万188例、男性1万8,005例)の死亡が記録された。死因別では、がん1万3,557例、心血管疾患1万1,416例、呼吸器疾患3,926例、神経変性疾患6,343例であった。 超加工食品摂取量の最低四分位範囲(中央値3.0サービング/日)群と比較して、最高四分位範囲(中央値7.4サービング/日)群では、全死因死亡リスクが4%高かった(HR:1.04、95%CI:1.01~1.07、傾向のp=0.005)。一方で、がん(0.95、0.91~1.00)ならびに心血管疾患(1.05、0.99~1.11)による死亡との関連は認められなかった。その他の原因による死亡リスクは9%有意に高かった(1.09、1.05~1.13、傾向のp<0.001)。 超加工食品摂取量の最低四分位範囲群および最高四分位範囲群の全死因死亡率は、それぞれ10万人年当たり1,472例および1,536例であった。 超加工食品のサブグループ別では、肉/鶏肉/魚介類をベースとした調理済みインスタント食品(加工肉など)が最も全死因死亡リスクとの関連が強く(HR:1.13、95%CI:1.10~1.16)、砂糖または人工甘味料入り飲料(1.09、1.07~1.12)、乳製品ベースのデザート(1.07、1.04~1.10)、全粒穀物を除く超加工パン・朝食用食品(1.04、1.02~1.07)も、全死因死亡リスクの増大と関連していた。 Alternative Healthy Eating Index-2010(AHEI-2010)スコアで評価した食事の質と超加工食品摂取量については、AHEIスコアの各四分位範囲内では超加工食品の摂取量と死亡率との間に一貫した関連は観察されなかったが、超加工食品摂取量の各四分位範囲内では、食事の質と死亡率との間に逆相関が認められた。

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ゴルフや水泳がALSリスクを上昇させる?

 ゴルフ、ガーデニングや庭仕事、木工、狩猟などの余暇活動は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症リスク上昇と関連している可能性があるという研究結果が、「Journal of the Neurological Sciences」2月15日号に掲載された。 米ミシガン大学アナーバー校のStephen A. Goutman氏らは、ALS患者400人と健康対照者287人を対象に、趣味、運動、余暇活動に関連するリスクを調査した。 解析の結果、ALS診断の5年前にゴルフ(オッズ比3.48)、レクリエーションダンス(同2.00)、ガーデニングや庭仕事(同1.71)をしていたことが、ALSに関連するリスクであることが分かった。リスクと関連したその他の曝露には、個人または家族での木工活動参加(同1.76、2.21)、個人での狩猟や射撃への参加(同1.89)があった。ALSの生存および発症に関連する曝露はなかった。発症年齢の早さは、診断の5年前の水泳(3.86歳)および重量挙げ(3.83歳)と関連していた。女性では、ALSと有意な関連を示した余暇活動はなかった。 Goutman氏は、「製造業や貿易業に従事しているなどの職業的リスク因子が、ALSのリスク上昇に関連していることはすでに知られているが、余暇活動もこの疾患にとって、重要かつ修正可能なリスク因子である可能性があることを示す文献が増えている」と述べる一方、患者にこれらの活動をやめるよう助言するのは時期尚早である、との注意を促した。

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日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスク~JPHC研究

 果物や野菜には、ビタミンC、α-カロテン、β-カロテンなどの抗酸化ビタミンが豊富に含まれている。果物や野菜の摂取が認知症リスクに及ぼす影響を評価したプロスペクティブ観察研究はほとんどなく、結果には一貫性が認められていない。筑波大学の岸田 里恵氏らは、日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスクとの関連を調査した。The Journal of Nutrition誌オンライン版2024年4月8日号の報告。 2000~03年(ベースライン時)に50~79歳の4万2,643例を対象としたJPHCプロスペクティブ研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)においてフォローアップ調査を実施した。食事による果物および野菜の摂取量、関連する抗酸化ビタミン(α-カロテン、β-カロテン、ビタミンC)の摂取量は、食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いて収集した。認知障害の診断は、2006~16年の介護保険制度における認知症に係る日常生活障害の状況に基づいて行った。認知障害に関するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、潜在的な交絡因子で調整した後、エリア層別Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。摂取量の最低四分位と比較した最高四分位の多変量HRを算出した。 主な結果は以下のとおり。・4,990例で認知障害が認められた。・男女ともに、果物および野菜の総摂取症と認知症リスクとの間に逆相関が認められた。 【男性】多変量HR:0.87(95%CI:0.76~0.99)、p-trend=0.05 【女性】多変量HR:0.85(95%CI:0.76~0.94)、p-trend=0.006・抗酸化ビタミンの中でビタミンCの摂取量は、男女ともに、認知症リスクとの逆相関が認められた。 【男性】多変量HR:0.71(95%CI:0.61~0.84)、p-trend<0.001 【女性】多変量HR:0.76(95%CI:0.67~0.86)、p-trend<0.001 著者らは、「果物や野菜、ビタミンCの食事による摂取は、男女ともに認知障害のリスク低減につながる可能性が示唆された」としている。

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レビー小体型認知症における抗コリン負荷と長期認知機能低下との関連

 トルコ・University of Health SciencesのCemile Ozsurekci氏らは、レビー小体型認知症(DLB)患者における1年間のフォローアップ期間中の抗コリン負荷(ACB)と認知機能変化との関連を調査するため、コホート研究を実施した。Clinical Neuropharmacology誌2024年3・4月号の報告。 対象には、DLBと診断され、tertiary geriatric outpatient clinicに入院した患者を含めた。認知機能、機能的パフォーマンス、栄養状態の評価は、ベースライン時、フォローアップ期間中の6ヵ月目、12ヵ月目に評価した。ACBを評価し、ACB≧1とACB=0に層別化した。 主な結果は以下のとおり。・研究には、DLB患者112例(平均年齢:79.3±6.8歳、女性の割合:50.9%)を含めた。・対象患者の平均投薬数は5.1±4、多剤併用患者の割合は56.9%、抗コリン負荷が認められた患者の割合は55.2%であった。・ACB≧1群は、ACB=0群よりも、ベースライン時の手段的日常生活活動(IADL)スコアが低かった(p=0.014)。・Barthel指数とIADLスコアは、ACB≧1群では経時的な反復測定により有意な減少が認められたが、ACB=0群ではIADLスコアの減少のみが認められた(各々、p<0.001)。・認知機能スコアおよびミニメンタルステート検査(MMSE)スコアのサブドメインについては、両群間で有意な差は認められなかった。・従属変数の反復測定により、ACB≧1群のオリエンテーションサブドメインの時間経過による有意な悪化が認められた(p=0.001)。・多変量回帰モデルでは、ACBスコアは認知機能障害および機能障害に有意な影響を及ぼさないことが示唆された。 著者らは「DLB患者に対する抗コリン薬の使用は、機能状態や認知機能に悪影響を及ぼし、潜在的に罹患率を増加させる可能性があるため、慎重な評価が求められる」としている。

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後期早産期の出生前ステロイド、6歳以降の神経発達に影響なし/JAMA

 後期早産リスクを有する母親への出生前コルチコステロイド投与は、6歳以上の小児期の神経発達アウトカムに有害な影響を及ぼさない。米国・コロンビア大学のCynthia Gyamfi-Bannerman氏らが、2010~15年に国立小児保健発達研究所Maternal-Fetal Medicine Units(MFMU)ネットワークの17施設で実施された二重盲検プラセボ対照試験「Antenatal Late Preterm Steroids(ALPS)試験」に参加した母親から生まれた児に関する、前向き追跡試験の結果を報告した。ALPS試験は、妊娠34~36週における出生前のベタメタゾン投与が早産児の短期呼吸器合併症の発症率を有意に低下させることを明らかにし、米国における臨床実践を変えた。しかし、ベタメタゾン投与後に新生児低血糖症のリスクが増加することも認められており、長期的な神経発達アウトカムへの影響に関心が寄せられていた。JAMA誌オンライン版2024年4月24日号掲載の報告。後期早産期の出生前ステロイド投与を受けた母親から生まれた6歳以上の小児を調査 ALPS試験(以下、親試験)では、妊娠34週0日~36週5日で後期早産(36週6日までの出産)リスクの高い母親を、ベタメタゾン(12mg)群またはプラセボ群に割り付け筋肉内投与した(24時間経過後も出産しなかった場合は2回目を投与)。 本追跡試験では、2011~16年にMFMUネットワークの13施設のうち1施設に登録され、追跡試験に同意した母親から生まれた6歳以上の小児を適格として、2017年12月~2022年8月に登録し、前向きに調査した。 主要アウトカムは、Differential Ability Scales, 2nd Edition(DAS-II)の全般的概念化能力(General Conceptual Ability:GCA)スコアが85点未満(平均より1 SD低いことを示す)の子供の割合であった。副次アウトカムは、DAS-IIのクラスター(言語能力、非言語的推論能力、空間認識能力)スコア、粗大運動能力分類システム(Gross Motor Function Classification System:GMFCS)のレベル2以上の割合、対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale:SRS)のtスコア65点超の割合、および子供の行動チェックリスト(Child Behavior Checklist:CBCL)のスコアとした。すべてのアウトカムで、ベタメタゾン群とプラセボ群で差はなし 親試験で無作為化された母親2,831例の出生児のうち、追跡試験に登録されたのは1,026例で、登録時の年齢中央値は7歳(四分位範囲[IQR]:6.6~7.6)であった。このうち、949例(ベタメタゾン群479例、プラセボ群470例)がDAS-IIの評価を完了した。母親の人種や年齢などの背景、新生児の特徴は、親試験で認められたように新生児低血糖症がベタメタゾン群で多かったことを除き、両群間で類似していた。 主要アウトカムのDAS-II GCAスコア85点未満の割合は、ベタメタゾン群17.1%(82/479例)、プラセボ群18.5%(87/470例)であり、差はなかった(補正後相対リスク:0.94、95%信頼区間[CI]:0.73~1.22)。また、いずれの副次アウトカムも差は認められなかった。 逆確率加重法を用いた事後感度分析、ならびに追跡不能となった小児も含めた感度分析においても、結果は同様であった。

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第32回 起きたら麻痺、治療の選択肢は?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)脳梗塞の治療の選択肢と適応条件を理解しよう!2)Wake-up strokeのマネジメントを理解しよう!【症例】75歳男性。意識障害。普段であれば7時には起床するが、起きて来ないため奥さんが様子を見に行くと反応乏しく、救急要請。●来院時のバイタルサイン意識20/JCS血圧178/96mmHg脈拍89回/分(不整)呼吸20回/分SpO295%(RA)体温36.4℃瞳孔3.5/4 +/+右上下肢の麻痺を認める既往歴高血圧、脂質異常症内服薬定期内服薬なし脳卒中の現状脳卒中には大きく脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血が含まれますが、わが国で最も頻度が高いのは脳梗塞で全体の75%を占めます。この20年間で脳卒中診療は大きく変貌し、その中でも脳梗塞は血栓溶解療法、血栓回収療法の確立によって、症状、予後の劇的な改善を認める症例も珍しくありません。しかし、どちらの治療も時間的制限があるため、早期に脳梗塞を疑い、診断、治療へと繋げる必要があります。脳梗塞の治療の選択血栓溶解療法は、発症後4.5時間以内の脳梗塞が適応であるため、発症後明らかにそれ以上時間が経過している場合は適応外です。これに対し血栓回収療法は、当初発症6時間以内でしたが、いまでは16時間、24時間以内と適応症例の時間が延びています。もちろん、患者の基礎疾患やADLなども加味して治療を選択しますが、以前のように発症から4.5時間以内か否かではなく、血栓回収療法の適応があるか否かも判断できる必要があります。血栓回収療法の適応のある脳梗塞は、以前は内頸動脈や中大脳動脈などの主幹動脈閉塞で、DWI-ASPECTS≧6でしたが、最近では発症6時間以内であればASPECT3~5点の症例や後方循環系の脳梗塞にも拡大しています1-3)。詳細について本稿では割愛しますが、治療適応の症例が拡大傾向にあることを知り、可能な限り治療の選択肢を逃さぬようマネジメントする必要がありますWake-up stroke皆さん1日どれくらい寝ていますか? 8時間程度の睡眠時間を確保したいところですが、実際は6時間程度という方が多いのではないでしょうか。大多数の人が1日の約1/4~1/3を睡眠に費やしています。そのため、脳梗塞も就寝中に起きることは珍しくありません。睡眠中に脳卒中を発症し、起床時にその症状を初めて認識する状態を“wake-up stroke”と言います。Wake-up stroke症例は、血栓溶解療法や血栓回収療法の適応はないのでしょうか? 後者は前述の通り適応があることは理解できると思いますが、血栓溶解療法はどうでしょうか?Wake-up strokeの割合は、脳梗塞全体の14〜27%程度です4,5)。起床時からの症状で最終未発症時刻(最後に普段通りであった時間)が就寝前であれば、4.5時間以上の時間が経過しているため血栓溶解療法の適応はなしかというと、必ずしもそうとは限りません。朝方にトイレに行ったであろう物音を同居の家族が確認している、朝起きてこないため様子を見に行ったときには着替えた状態であったなど、発症からそれ程時間が経っていないことが示唆される場合もあります。このあたりを意識して病歴を確認するようにしましょう。また、最近ではMRI-DWI/FLAIR mismatchを利用し、血栓溶解療法の適応か否かを判断することもあります。MRIの拡散強調像(DWI)では脳梗塞発症30分〜1時間で高信号になりますが、FLAIRでは4〜6時間で陽性となります。この差を利用し、DWIで高信号であるもののFLAIRでは異常所見が確認できない場合には、発症から4.5時間以内と判断し、血栓溶解療法を考慮するわけです6)。冒頭の症例、就寝したのは22時前後のようですが、その後の経過は正確には把握できませんでした。奥さんの話では、トイレに行った音が聞こえたような…と曖昧な返答はあったものの、それのみでは発症時間は不明確ですよね。頭部CTでは特記異常所見を認めず、MRIを撮影し、血栓溶解療法を行うこととなりました。さいごに脳梗塞の治療はめまぐるしく進歩しています。脳卒中専門の施設では、脳梗塞の疑い症例に対して最先端の画像や人員を駆使して対応していることも多いとは思いますが、診療所や救急外来では限られた人数で並行して多くの患者さんを診ていることでしょう。医療者自身の対応の遅れによって、治療の選択を減らさないようにしましょう。1)日本脳卒中学会、ほか. 経皮経管的脳血栓回収用機器適正使用指針 第4版. 2020.2)Yoshimura S, et al. N Engl J Med. 2022;386:1303-1313.3)Xu J, et al. Stroke Vasc Neurol. 2023;8):1-3.4)Fink JN, et al. Stroke. 2002;33:988-993.5)Mackey J, et al. Neurology. 2011;76:1662-1667.6)日本脳卒中学会脳卒中医療向上・社会保険委員会静注血栓溶解療法指針改定部会. 静脈血栓溶解(rt-PA)療法適正治療指針 第3版.2019.

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慢性疾患治療薬のサロゲートマーカーでの効果判定、エビデンスの強さは?/JAMA

 非腫瘍性慢性疾患の治療薬に関して、米国食品医薬品局(FDA)の承認を裏付ける臨床試験の主要エンドポイントとして使用された代替マーカー(サロゲートマーカー)の半数以上が、この代替マーカーを用いて評価した治療効果と臨床アウトカムとの関連を検討したメタ解析が公表されておらず、少なくとも1つのメタ解析を確認したサロゲートマーカーも、その多くが臨床アウトカムとの関連について高い強度のエビデンスを欠いていることが、米国・エモリー大学のJoshua D. Wallach氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月22日号で報告された。代替マーカーを用いた臨床試験のメタ解析を系統的に要約 研究グループは、非腫瘍性慢性疾患の治療薬に関して、代替マーカーを用いて評価した治療効果と臨床アウトカムとの関連性の強さを検討した臨床試験のメタ解析(メタ解析、系統的レビューとメタ解析、統合解析)から得られたエビデンスの要約を目的に系統的レビューを行った(Arnold Ventures to the Yale Collaboration for Regulatory Rigor, Integrity, and Transparency[CRRIT]の助成を受けた)。 解析には、FDAの成人代替エンドポイント表(FDA Adult Surrogate Endpoint Table)に掲載され、2023年3月19日の時点でMEDLINEに登録されていた文献から得た32の固有の非腫瘍性慢性疾患の臨床試験で、主要エンドポイントとして使用されていた37の代替マーカーのデータを用いた。 これらの慢性疾患と代替マーカーの組み合わせには、たとえばアルツハイマー病におけるアミロイドβ、喘息における呼気1秒量(FEV1)、慢性腎臓病(CKD)における血清クレアチニン値、HIV-1における血清HIV抗体などが含まれた。59%で、代替マーカーで評価した効果とアウトカムの関連を検討したメタ解析がない 21の慢性疾患の22(59%)の代替マーカーについては、適格なメタ解析が同定できなかった。一方、14の慢性疾患の15(41%)の代替マーカーについては、少なくとも1つのメタ解析を特定した。メタ解析の総数は54件で、1つの代替マーカー当たりのメタ解析数の中央値は2.5件(四分位範囲[IQR]:1.3~6.0)だった。 また、1つのメタ解析に含まれた試験数中央値は18.5件(IQR:12.0~43.0)、患者数中央値は9万56例(2万109~17万14)であった。高い強度のrまたはR2を示したのは17% 54件(14件[26%]は製薬企業による助成を受けた)のメタ解析では、代替マーカーと臨床アウトカムの109件の組み合わせについて報告していた。 このうち少なくとも1つの相関係数(r)または決定係数(R2)の報告が行われていたのは59件(54%)で、少なくとも1つのrまたはR2が高い強度(r≧0.85またはR2≧0.72)に分類されていたのは10件(17%)であった。 これに対し、残りの50件(46%)では、傾き(slope)、効果推定値(effect estimate)、メタ回帰分析(meta-regression analysis)の結果のみを報告しており、このうち少なくとも1つの統計学的に有意な結果を示したのは26件(52%)だった。 著者は、「これらの知見は、FDAによる慢性疾患治療薬の承認に使用される可能性のある代替エンドポイントを支持するエビデンスの要約を、一般に公開することの重要性を強調するものである」としている。

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2024年の医師のコロナワクチン、接種する/しないの二極化進む/医師1,000人アンケート

 新型コロナワクチンの全額公費による接種は2024年3月31日で終了した。令和6年度(2024年度)は、秋冬期に自治体による定期接種が開始される。定期接種の対象となるのは65歳以上、および60~64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される人、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な人で、対象者の自己負担額は最大で7,000円となっている。なお、定期接種の対象者以外の希望者は、任意接種として全額自費で接種することとなり、2024年3月15日時点の厚生労働省の資料によると、接種費用はワクチン代1万1,600円程度と手技料3,740円で合計1万5,300円程度の見込みとなっている1)。この状況を踏まえ、医師のこれまでのコロナワクチン接種状況と、今後の接種意向を把握するため、主に内科系の会員医師1,011人を対象に『2024年度 医師のコロナワクチン接種に関するアンケート』を4月1日に実施した。 Q1では、コロナの診療に現在携わっているかについて聞いた。「診療している」が79%、「診療していない」が21%だった。年代別で「診療している」と答えた割合は、40代(86%)、60代(83%)、30代(81%)の順に多かった。診療科別では、血液内科(94%)、呼吸器内科(94%)、救急科(92%)、総合診療科(90%)、腎臓内科(88%)、神経内科(88%)、内科(85%)、小児科(83%)、消化器内科(81%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(80%)、臨床研修医(80%)の順に多かった。年齢が低い医師ほど、コロナに感染した割合が高い Q2では、これまでの新型コロナの感染歴を聞いた。感染したことがある医師は全体の45%、感染したことがない/感染したかわからない医師は55%であった。感染したことがある医師は年齢が低いほど、感染した割合が高く、20代は60%、30代は55%、40代は51%、50代は44%、60代は35%、70代以上は24%だった。臨床数別では、病床数が多いほうが感染した医師の割合が高く、20床以上で感染したのは49%、0~19床では34%だった。また、コロナ診療状況別では、コロナを診療している医師では47%、診療していない医師では37%に感染歴があった。昨年は20~40代の接種率が50%弱 Q3では、2023年秋冬接種でのXBB.1.5対応ワクチンの接種状況を聞いた。全体では「接種した」が58%、「接種していない」が42%だった。年代別で「接種した」と答えた割合は、多い順に70代以上(77%)、60代(72%)、50代(61%)、20代(50%)となり、30代(45%)と40代(48%)は50%未満であった。コロナ診療状況別の接種率は、診療している医師は62%、診療していない医師は46%であった。前年の傾向を引き継ぎ、接種する人と接種しない人の二極化進む Q4では、2024年度にコロナワクチンを接種する予定かどうかを聞いた。全体では「接種する予定」が33%、「接種する予定はない」が41%、「わからない」が26%となった。年代別では、「接種する予定」と答えた割合が過半数となったのは70代以上(56%)のみで、ほかは多い順に60代(44%)、50代(31%)、40代(28%)、20代(28%)、30代(23%)であった。30代では「接種する予定はない」が54%となり過半数を占めた。2023年コロナワクチン接種状況別で、2023年に接種した人では「2024年度に接種する予定」が53%、「2024年度に接種する予定はない」が16%となった。対して、2023年に接種していない人では、「接種する予定」が6%、「接種する予定はない」が74%となり、今回のアンケートで最も顕著な差が認められ、医師のなかでもコロナワクチンを接種する人と接種しない人の二極化が進んでいることがわかった。 Q5では、自身が受ける2024年度のコロナワクチンの費用は、病院負担か自己負担のどちらになるか、これまでのインフルワクチンなどの対応を踏まえ推測を交えて聞いた。「おそらく全額病院負担」が22%、「おそらく一部自己負担」が22%、「おそらく全額自己負担」が23%、「わからない」が33%となり、全体的に均等な割合となった。2024年度にワクチンを接種する予定の人のうち「全額病院負担」35%、「一部自己負担」29%、「全額自己負担」16%だったのに対し、接種する予定はない人は「全額病院負担」12%、「一部自己負担」20%、「全額自己負担」30%であった。ワクチンの必要性や高額な治療薬について、患者にどう説明するか Q6の自由回答のコメントでは、新型コロナに関して現在困っていることや知りたい情報を聞いた。主な回答は以下のとおり。ワクチンについて・ワクチンで感染予防が成り立たないのは明白。ただし重症予防は十分成り立っていたと思うので、高齢者と持病多い人は無料で受けられるようにしてほしい(40代、循環器内科)・接種の必要性をよく質問されるが、正直な所、自分も勧めてよいのか迷っている(40代、小児科)・今後新たに使用可能となるワクチンの種類とその効果など(60代、内科)・公費負担が終了すると被接種者は減少すると思われるが、今後の流行予測は?(70代以上、内科)・医療従事者のワクチン接種費用について(50代、内科)治療薬について・抗ウイルス薬の値段が高い事の説明をどうするか(60代、内科)・コロナ治療薬の処方が減り、対症療法が増えると思う(70代以上、内科)・抗ウイルス薬の適応と思われる患者さんが、高額のため投薬拒否された時のことを考えると頭が痛い(50代、消化器内科)流行状況、院内対策などについて・現在の感染状況の情報発信が少なくなり、新型コロナ感染症に対する世間の認識が乏しくなり、感染増加を招いていること(40代、呼吸器内科)・感染対策の立場として、職場での接種をどうするか悩んでいる(40代、感染症内科)・発熱外来の体制に悩んでいる(30代、呼吸器内科)・後遺症に関する診断(40代、呼吸器内科)アンケート結果の詳細は以下のページで公開中。2024年度 医師のコロナワクチン接種に関するアンケート

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アルツハイマー病に対するレカネマブ10mg/kg隔週投与の有効性と安全性~メタ解析

 アルツハイマー病は、60歳以上で多くみられ、認知症の中で最も多く、記憶力や認知機能を著しく損なう疾患である。世界におけるアルツハイマー病の患者数は2050年までに3倍になると予想されており、効果的な介入を開発することは急務とされる。アミロイドβを標的としたモノクローナル抗体であるレカネマブは、アルツハイマー病の進行抑制に期待される薬剤の1つである。ポジティブな臨床試験での結果は、患者に希望を与えており、疾患の理解と介入の可能性を拡大させるために進行中の研究を加速させる。エジプト・アレクサンドリア大学のKarim Abdelazim氏らは、知見のアップデートのために、レカネマブ10mg/kgにおける有効性および安全性に焦点を当て、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neurological Sciences誌オンライン版2024年4月3日号の報告。 この包括的なアプローチは、現在の文献のギャップに対処し、研究格差の精査、今後の調査に導くことを目的とした。厳格な包括/除外基準を適用し、研究の詳細、参加者情報、介入の詳細を評価するため、Cochrane risk of bias toolを用いた。統計分析には、Rソフトウエアを用い、リスク比および平均差を算出した。また、不均一性と出版バイアスも評価した。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析では、アルツハイマー病における認知機能アウトカムに対するレカネマブ(10mg/kg隔週投与)の有意なポジティブな影響が確認された。・研究全体では、ADCOMS、CDR-SB、ADAS-cog14スコアの一貫した低下が認められており、有効性に対する信頼区間は狭く、有意な不均一性が認められない薬剤であることが示唆された。・治療薬との因果関係が否定できない副作用(TEAE)には、有意な差が認められなかったが、レカネマブと関連するアミロイド関連画像異常(ARIA)では、ARIA-E(アミロイド関連画像異常[脳浮腫や脳胞液の貯留])およびARIA-H(微小出血や脳表ヘモジデリン沈着)リスクの上昇がみられることがあり、臨床現場での慎重な安全性モニタリングの必要性が示唆された。 著者らは、「レカネマブの有効性は確認されているものの、レカネマブと関連するベネフィットとリスクとのバランスの取れた評価が求められるため、アルツハイマー病の認知機能改善に対してレカネマブを使用する際に、本報告は重要な洞察を与えるであろう」としている。

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認知症患者の抗精神病薬使用、複数の有害アウトカムと関連/BMJ

 50歳以上の認知症患者において、抗精神病薬の使用は非使用と比較し脳卒中、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞、心不全、骨折、肺炎および急性腎障害のリスク増加と関連していることが、英国・マンチェスター大学のPearl L. H. Mok氏らによるマッチドコホート研究で示された。有害アウトカムの範囲は、これまで規制当局が注意喚起を行っていたものより広く、リスクが最も高かったのは治療開始直後であったという。BMJ誌2024年4月17日号掲載の報告。50歳以上の認知症患者約17万4千例のデータを解析 検討には、英国のプライマリケア研究データベースのClinical Practice Research Datalink(CPRD)AurumおよびGOLDのデータが用いられた。これらのデータベースは、入院、死亡、社会的格差など他のデータと連携している。 1998年1月1日~2018年5月31日に、初回認知症診断日から1年以上CPRDに登録されている50歳以上の成人を対象とし(最初の認知症の診断コードが記録される以前に抗コリンエステラーゼ薬が処方されている患者、診断以前の1年間に抗精神病薬を処方されている患者は除外)、初回認知症診断日以降に抗精神病薬を使用した患者と、初回認知症診断日が同じ(または診断日から56日後まで)で抗精神病薬を使用していない患者(最大15例)を、incidence density samplingを用いてマッチさせた。 主要アウトカムは、脳卒中、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞、心不全、心室性不整脈、骨折、肺炎、急性腎障害とした。抗精神病薬使用期間で層別化し、抗精神病薬使用群と非使用群の累積発生率を用いて絶対リスクを算出。また、観察不能な交絡の可能性を検出するため、関連性のないアウトカム(陰性対照)として虫垂炎と胆嚢炎についても検討した。 計17万3,910例(女性63.0%)の認知症成人が適格条件を満たし、試験に組み入れられた。認知症診断時の年齢は平均82.1歳(SD 7.9)、中央値83歳であった。このうち、研究期間中に抗精神病薬を処方された患者は3万5,339例(女性62.5%)であった。肺炎、急性腎障害、静脈血栓塞栓症、脳卒中、骨折、心筋梗塞、心不全の順にリスクが高い 抗精神病薬使用群は非使用群と比較して、心室性不整脈を除くすべてのアウトカムのリスク増加と関連していた。現在の抗精神病薬使用(過去90日間の処方)に関する有害アウトカムのハザード比(逆確率治療重み付け[IPTW]で調整)は、肺炎2.19(95%信頼区間[CI]:2.10~2.28)、急性腎障害1.72(1.61~1.84)、静脈血栓塞栓症1.62(1.46~1.80)、脳卒中1.61(1.52~1.71)、骨折1.43(1.35~1.52)、心筋梗塞1.28(1.15~1.42)、心不全1.27(1.18~1.37)であった。陰性対照(虫垂炎と胆嚢炎)については、リスク増加は観察されなかった。 心室性不整脈と陰性対照を除くすべてのアウトカムの累積発生率は、抗精神病薬使用群において非使用群より高く、とくに肺炎の絶対リスクおよび群間リスク差が大きかった。抗精神病薬投与開始後90日間における肺炎の累積発生率は、抗精神病薬使用群で4.48%(95%CI:4.26~4.71)に対し、非使用群では1.49%(1.45~1.53)であり、群間リスク差は2.99%(2.77~3.22)であった。

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新年度、あなたの医局は増えたor減った?/医師1,000人アンケート

 新年度がはじまり、新人を迎えた職場も多い。医師の就職を語るうえで欠かせないものに「医局」の存在がある。ケアネット会員医師を対象に、医局への所属状況や選択理由、最近の医局員数の増減などについて、30~50代・200床以上の医療機関の勤務者を対象とし、オンラインのアンケート形式で聞いた。 「Q1. 現在、医局に所属していますか?」の問いに、「はい」と答えたのは73%。200床以上という中規模以上の病院に勤務している医師であっても、3割近くが医局に所属していない現状が明らかになった。年代別にみると30代は8割近くが医局に所属しているが、年代が高くなるにつれ所属者の割合が減り、50代は7割だった。 「Q2. 所属医局を選んだ『一番の決め手』は何ですか?」(単一回答)との問いには、「専門医を取得しやすい」が31%と最多で、「研究時間・症例数など研鑽機会や実績が多い」(17%)、「医局の雰囲気が良い、尊敬する医師がいる」(15%)、「職場やキャリアに多様性がある」(10%)が続いた。「年収が高い」を選んだ人は4人(0.4%)のみだった。「その他」で挙げられた理由としては、「出身大学・地元だから」との回答が多かったほか、「当時は医局に入ることが当然だったから」「流れで/なんとなく」といった消極的な回答も目立った。 「Q3. 5年前と比較した、医局員総数の増減」を聞いたところ、「増えた」との答えが25%、「変わらない」が30%、「減った」が27%と、3分する結果となった。診療科ごとに見ると、内科・循環器内科・呼吸器内科などの「内科系」は「減った」が27%だったのに対し、外科・呼吸器外科・呼吸器外科などの「外科系」は「減った」が32%、多忙とされることの多い「救急科・産婦人科・小児科」は「減った」が30%と、いずれも内科系よりも減った割合が高かった。一方で、リハビリ科・眼科・皮膚科など「その他」の診療科では「減った」が23%と最も少なく、反対に「増えた」が26%と最も多かった(「内科系」も同率)。 「Q4. 近年の新規入局者が医局を選ぶにあたり、『最も重視すること』は何だと思いますか?」(単一回答)との問いに対し、1位は「専門医を取得しやすい」(24%)で、Q2で聞いた「自分が医局を選んだ理由」と同じだったが、その割合はQ2よりも低かった。2位は「医局の雰囲気が良い、尊敬する医師がいる」(18%)、3位が「研究時間・症例数など研鑽機会や実績が多い」(13%)と、Q2の回答と順位が入れ替わった。Q2の「自分が医局を選んだ理由」ではほとんど選ばれることのなかった「時間外労働や雑務が少ない」(7%)や「年収が高い」(3%)も一定数が選択しており、「若手医師は自分とは異なる価値観を持っている」と考える中堅医師が多いようだ。 年代別に見ると、新規入局者に年齢の近い30代では「専門医取得」や「医局の雰囲気」を選択した人が多かったのに対し、50代では「研究時間・症例数など研鑽機会や実績がある」を選択した人が多く、さらに年代が上がるにつれ「わからない」との回答者も増えており、ジェネレーションギャップを感じるベテラン医師の姿も浮かび上がった。 最後に自由回答で「Q5. 医局の思い出、入局者を増やす施策や若手育成の工夫など」を聞いたところ、医局に所属するメリットとして「論文執筆や後輩指導を学ぶことができた」「いろいろな施設で経験を積むことができた」といった回答が目立った。一方でデメリットしては「雑務が多い」「しがらみがあって自由に勤務先を選べない」という回答が多かった。現状の改善策としては、「育成制度の整備など、若手医師が魅力的に思うような環境をつくる」「医局運営に関する金銭面の透明性を確保」「ワークライフバランスや収入面の条件を、詳しく正確に情報開示する」といったさまざまな提言が寄せられた。―――――――――――――――アンケートの詳細は以下にて公開中『新年度、医局の動向は?』―――――――――――――――<アンケート概要>内容:新年度を迎えたタイミングで、医局への所属状況や選択理由、医局への思いなどについて聞いた。実施日 :2024年4月9日実施方法:インターネット対象  :ケアネット会員医師 1,013人(30~50代、200床以上の医療機関の勤務者)

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コロナ禍以降、自宅での脳卒中・心血管死が急増/日本内科学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行期において、自宅や介護施設での脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患による死亡が増加し、2023年末時点でも循環器疾患による死亡のトレンドが減少していないことが、白十字会白十字病院 脳血管内科の入江 克実氏らの研究グループによる解析で明らかになった。本研究は、4月12~14日に開催された第121回日本内科学会総会・講演会の一般演題プレナリーセッションにて、入江氏が発表した。コロナ拡大後は自宅での脳梗塞による死亡が顕著に増加 入江氏によると、国内での総死亡数の推移データにおいて、2023年末時点でもCOVID-19流行前と比べて超過死亡は増加しているという。COVID-19の5類移行後はピークアウトしつつあるが、2023年では12万人ほどの超過死亡が見込まれ、その主な死因としてCOVID-19や脳卒中などの循環器疾患の増加が認められる。しかし、2017~22年度のDPC対象病院における脳卒中などの循環器疾患死亡数の推移データによると、死亡数が大きく増加している傾向は認められない。そのため本研究では、同時期の病院外での循環器疾患による死亡の推移を検討した。 本研究では、政府統計e-Stat人口動態統計を用い、死亡場所別に2013~22年の総死亡数と循環器疾患死亡数を抽出した。死亡場所は、病院/診療所、介護施設/老人ホーム、自宅に分類した。主な疾患ごとにCOVID-19拡大前(2013~19年)の死亡数から回帰直線を求め、2020年以降の推計値を算出し、実測値との差分を超過死亡とした。都道府県別にも同様の抽出を行い、COVID-19前後で自宅死亡数とその増減率を比較検討した。 コロナ前後で死亡場所別に総死亡数と脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患死亡数を抽出した主な結果は以下のとおり。・総死亡の死亡場所について、2013~19年までは病院/診療所、介護施設/老人ホーム、自宅のいずれも±3%内で、死亡数の推移に大きな変化はみられない。しかし、コロナ拡大後、病院外では死亡数が増加し続け、2022年の超過死亡率は、自宅では35%、介護施設/老人ホームでは23%に増加していた。一方、病院/診療所では、2020~21年に-5%まで一過性の減少を示したが、2022年には元のトレンドに戻った。・脳梗塞による死亡では、2013~19年の病院、介護施設、自宅のいずれも±6%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、自宅ではとくに顕著に48%に増加し、介護施設では13%、病院では7%に増加していた。・脳出血による死亡では、2013~19年の病院、介護施設、自宅のいずれも±5%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、自宅では13%、介護施設では17%に増加していた。一方、病院では2020~21年では-5%まで減少し、2022年では-2%であった。・心筋梗塞による死亡では、2013~19年の病院、介護施設、自宅のいずれも±3%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、病院で16%まで増加し、他の疾患とは異なる傾向が認められた。介護施設では23%、自宅では12%と病院外の死亡も増加している。・心不全による死亡では、2013~19年ではいずれの場所でも±7%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、自宅では33%、介護施設では12%に増加していた。病院では2020~21年に一過性の減少を示し、2022年には元のトレンドに戻った。・都道府県別にみた脳卒中による自宅死亡数では、コロナ前後の変化に地域差が見られ、とくに大阪府(30%増)と群馬県(30%増)での自宅死亡率が増加していた。・都道府県別にみた心疾患による自宅死亡数では、とくに福岡県(61%増)と神奈川県(38%増)での自宅死亡率がコロナ前後で増加していた。 入江氏は本結果について、「コロナ流行期における循環器疾患による病院外死亡数の増加は、サージキャパシティの不足によるものなのか、病院との連携による在宅看取りが進んでいるためなのか、地域ごとに医療逼迫の振り返りをする必要がある。なお、本研究は2022年までのデータを示しているが、2023年11月までのデータから推計しても、死亡率はいまだに高いと予想されている。コロナに関連するフレイルへの対応に加えて、脳梗塞に対しては頭打ちとなっているDOAC処方への対策、心筋梗塞に対してはPCI介入の遅れについての検証など、コロナ禍での診療抑制の影響が残っていないか再検討が望ましい」と述べた。

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BPSDが死亡リスクに及ぼす影響~日本人コホート研究

 認知症の行動・心理症状(BPSD)は、認知症の初期段階から頻繁にみられる症状であり、軽度認知障害(MCI)でも出現することが少なくない。しかし、BPSDが予後にどのような影響を及ぼすかは不明である。国立長寿医療研究センターの野口 泰司氏らは、認知障害を有する人におけるBPSDと死亡率との関連を踏査した。Journal of epidemiology誌オンライン版2024年3月23日号の報告。 2010~18年に国立長寿医療研究センターを受診した、初回外来患者を登録したメモリークリニックベースのコホート研究であるNCGG-STTORIES試験に参加した、MCIまたは認知症と診断された男性1,065例(平均年齢:77.1歳)および女性1,681例(同:78.6歳)を対象に、縦断的研究を実施した。死亡関連の情報は、参加者または近親者から返送された郵送調査より収集し、最長8年間フォローアップ調査を行った。BPSDは、ベースライン時にDementia Behavior Disturbance Scale(DBD)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に死亡した患者は、男性で229例(28.1%)、女性で254例(15.1%)であった。・Cox比例ハザード回帰分析では、DBDスコアが高いほど、男性で死亡リスク増加との有意な関連が認められたが(最適四分位スコア群と比較した最高四分位スコア群のハザード比:1.59、95%信頼区間[CI]:1.11~2.29)、女性では認められなかった(同:1.06、95%CI:0.66~1.70)。・DBDの項目のうち死亡リスクの高さと関連していた項目は、日常生活に対する興味の欠如、日中の過度な眠気、治療拒否であった。 著者らは、「認知機能低下が認められる男性において、BPSDと予後不良との潜在的な関連性が示唆された」としている。

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準備万端、講義上々!【Dr. 中島の 新・徒然草】(526)

五百二十六の段 準備万端、講義上々!日本は筍を食べる数少ない国なのだとか。この季節、筍や蕗を食べると五体に染み渡る気がします。自分も同じ土から生まれてきたんだと感じるのはこんな時ですね。さて新年度から、看護学校で神経解剖を教えることになりました。これまで神経解剖を担当していた先生が「そろそろ終わりにしたい」と引退したからです。一方、私のほうは、昨年度まであまり得意でもない神経内科を教えていました。これを新任の神経内科医にバトンタッチしてホッとしていたところだったのですが……実際、脳神経外科と神経内科は似ているようで違っています。認知症やてんかんは脳外科でもよく遭遇しますが、筋萎縮性側索硬化症とか筋ジストロフィーに出くわしたことはほとんどありません。見たことのない疾患をあたかも知っているかのように教えるのは、内心忸怩たるものがありました。ついにその思いから解放される時が来たわけです。引き継いでくれた神経内科医は熱心な人で「何か先生から受け取っておくスライドとかはありますか」とか「準備には何時間くらいかけるものでしょうか」とかいろいろと尋ねられました。素人スライドなんかをお渡ししても迷惑をかけるだけなので「とくにありません」と答えておきます。講義の準備にかける時間については「最初に手間暇かけてスライドを作っておけば、次年度から楽ですよ」とアドバイスし「手抜きするとなぜか学生にバレてしまいますよ」と付け加えました。かの神経内科医は「聞いておいて良かったです」と喜んでおられたのですが、どこまでも真面目な人のようです。さて、看護学校の講義について自分が心掛けていることを、ちょっと述べておきましょう。読者の皆さんの中には、私と同じような立場の先生もおられることと思います。1. 全体の中のどの部分を講義しているかを明確に示す神経解剖といってもいろいろな階層があります。情報の入出力を担うシステムとしての神経系なのか、上位・下位ニューロンの話なのか、最小単位にあたる細胞体と軸索について述べているのか。講義で論じているのがどの階層なのかを学生に示しておけば、見通しよく話ができるというもの。2. できるだけ教科書に沿って教える私自身は教科書に出て来る図や表の見方を中心に教えています。結局、講義というのは学生が教科書を理解するための手ほどきではないでしょうか。3. 神経解剖の知識が実際にどう役立つのかを示す単に神経の名前や伝達物質の名前を暗記するだけでは面白くありません。まさに自分が医学生の時がそうでした。だから個々の知識が臨床のどの場面で役立つのかを示すことが大切です。とはいえ、必ずしもピッタリの例を思いつくわけではありません。そんな時は、国家試験にどういう形で出題されるかを示すと良いかと思います。そうすれば学生にとっても現世利益になるというもの。ただし、看護師国家試験だけだと神経解剖の過去問の数は限られています。なので薬剤師とか理学療法士など、他の医療職の国家試験から引用するといいですね。活動電位とか跳躍伝導だけでも、たくさんの問題があります。しかもありがたいことには、解剖なんてものは変わりません。多分1,000年先でも人体の構造は同じはず。病気の治療法が目まぐるしく変わるのとは大違いです。というわけで最初の講義。準備に何時間かけたかわかりません。多分、合計で12時間とか24時間とか。その甲斐あってか学生のレスポンスは非常に良く、講義が終わってからも質問の列が……案外、学生の質問が共通だったのには驚かされました。シナプス伝達と跳躍伝導の違い、脱分極と再分極の違い、などです。次の講義の冒頭はFAQに対する回答から始めるべきかもしれない、と思わされました。それにしても学生を相手にしていると、こちらも気を若く保つことができそうで、ありがたいことです。最後に1句解剖を 筍パワーで 講義する

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レビー小体型認知症、受診診療科により治療ニーズが異なる

 大阪大学の池田 学氏らは、レビー小体型認知症(DLB)患者とその介護者の治療ニーズおよびその治療ニーズに対する主治医の認識が、患者が受診している診療科により異なるかを調査した。Alzheimer's Research & Therapy誌2024年3月14日号の報告。 多施設共同横断的観察調査研究のサブ解析を実施した。患者が受診している診療科に応じて、精神科群、老年内科群、神経内科群に分類した。患者と介護者の治療ニーズを「最も苦痛を感じている症状」と定義し、それぞれの回答頻度をまとめた。 主な結果は以下のとおり。・サブ解析には、精神科群134例、老年内科群65例、神経内科群49例の患者および介護者のペアが含まれた。・3群間で統計学的に有意な差が認められた項目は、次のとおりであった。●年齢などの患者特性●初期症状ドメイン●コリンエステラーゼ阻害薬、レボドパ、抗精神病薬、抑肝散の使用●ミニメンタルステート検査(MMSE)、Neuropsychiatric Inventory-12(NPI-12)、MDS-UPDRS Part IIおよびIIIの合計スコア・3群間で患者の治療ニーズに違いは認められなかったが、残留分析において、神経内科群では、パーキンソニズムが他の症状よりも問題であることが示唆された(p=0.001)。・3群間で介護者の治療ニーズに有意な差が認められた(p<0.001)。・患者に最も苦痛を与えた症状について、患者と主治医の一致率は、精神科群で42.9%(κ=0.264)、老年内科群で33.3%(κ=0.135)、神経内科群で67.6%(κ=0.484)であった。・介護者に最も苦痛を与えた症状について、介護者と主治医の一致率は、精神科群で54.8%(κ=0.351)、老年内科群で50.0%(κ=0.244)、神経内科群で 47.4%(κ=0.170)であった。 著者らは「DLB患者とその介護者の治療ニーズは、受診している診療科により異なることが示唆された。主治医は、専門分野に関係なく、このようなニーズに対する治療の必要性を認識していない可能性がある」としている。

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