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扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんの特徴は:国立精神・神経医療研究センター

 国立精神・神経医療研究センターの木村 有喜男氏らは、片側性の扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんについて、臨床的、形態学的および病理学的特徴を明らかにする検討を行った。23例のMR画像を分析した結果、皮質形成異常が扁桃体腫大の病理診断の1つとなりうること、また一部の患者では皮質形成異常が側頭極にまで及んでいる可能性があることなどを報告した。Journal of Neuroimaging誌オンライン版2014年3月5日号の掲載報告。 本検討は、23例の側頭葉てんかんで同側性の扁桃体腫大を伴う患者の、臨床データおよび画像データをレトロスペクティブに検討した。23例のうち14例についてはFreeSurferおよびvoxel based morphometry(VBM)により、3.0テスラMRI画像データが入手できた対照20例との比較で形態学的な分析を行った。また手術例2例については病理学的検討も行った。 主な結果は以下のとおり。・被験者は2例を除き、薬物療法にて無発作または劇的改善をみた。・手術例の病理学的検討から、いずれも扁桃体から同側の側頭極まで皮質形成異常が認められたことが示された。・FreeSurferにより、患側と健側とに有意な扁桃体容積差が認められた。・VBMにより、患者14例のうち7例で(50%)、扁桃体腫大側における側頭極の灰白質量に有意な増大が認められた。関連医療ニュース ベンゾジアゼピン部分アゴニスト、新たなてんかん治療薬として期待 新規の抗てんかん薬16種の相互作用を検証 日本の高齢者てんかん新規発症、半数以上が原因不明:産業医大

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認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット

 多くの認知症患者において精神症状や抑うつを含むBPSDがみられる。抗精神病薬が適応外使用でしばしば処方されているが、それらは著明な副作用を発現しうる。さらに、抗精神病薬の薬効を比較した前臨床試験はきわめて少なく、新規薬物療法の開発は遅れていた。ポーランド・Adamed社のMarcin Kolaczkowski氏らは、認知症患者にみられるBPSDに対して処方される抗精神病薬の有用性を検討するため、ラットを用いて抗精神病薬8剤の抗うつ活性および認知障害を検討した。Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology誌オンライン版2014年3月6日号の掲載報告。 研究グループは、新規薬剤の前臨床評価の基礎として、抗精神病薬8剤(クロルプロマジン、ハロペリドール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾール、ルラシドン、アセナピン)の抗うつ活性、認知障害をラット行動試験により比較検討。MK-801誘発活動亢進の抑制、強制水泳試験(FST)、受動回避(PA)、自発運動、カタレプシーなどを調べた。 主な結果は以下のとおり。・8剤ともMK-801試験において抗精神病様活性を示したが、その他の試験モデルでは薬剤の種類により多様なプロファイルを示した。・リスペリドンは、MK-801試験で活性を示した用量のうち、いくつかの用量でPA行動を抑制した。これに対し、クロザピン、オランザピン、ルラシドン(国内未承認)、アセナピン(国内未承認)は、用量による作用の違いはほとんど(またはまったく)みられなかった。また、アリピプラゾールは、PA行動を抑制しなかった。・FSTにおいても、以下のような多様な作用が認められた。クロルプロマジンは活性を示さず、その他の薬剤の大半は狭い用量範囲で不動性を軽減した。クロザピンは抗精神病活性と重複する広い用量範囲で不動性を軽減した。・第2世代抗精神病薬によるカタレプシーの発現傾向は小さかったが、いずれも著明な鎮静を惹起した。・以上のように、現在処方可能な第2世代抗精神病薬の大半は、治療用量とほとんど変わらない用量で認知および運動の副作用を引き起こすことが示された。それらは、臨床データと矛盾しない結果であった。・本研究は、BPSDに対する有望な薬剤の開発にあたり、in vivoにおける比較研究の基礎的知見を提供するものである。関連医療ニュース 認知症患者の興奮症状に対し、抗精神病薬をどう使う? 認知症高齢者5人に1人が抗コリン薬を使用 認知症に対する非定型抗精神病薬処方、そのリスクは?

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日本発!MRIはパーキンソン病患者の黒質体積損失を検出できる──メタ解析の結果──

 パーキンソン病患者において、黒質体積の損失を知るためには、MRIのT1強調画像で得られる体積測定が最も感度の高い方法であることが、徳島大学大学院の佐光 亘氏らによって明らかとなった。Journal of Parkinson's disease誌オンライン版2月27日号掲載の報告。 パーキンソン病は、黒質におけるドパミン作動性ニューロンの変性を伴う。しかしながら、MRIが黒質体積の損失を検出できるかは、今なお議論を引き起こす問題である。著者らは、この問題を明らかにするために、メタ解析を用いて、黒質緻密部の体積測定について研究している論文結果を統合した。 文献検索の結果、8報が該当した。黒質体積は、健常者とパーキンソン病患者間の標準化平均差(SMD)として表した。また、サブグループ解析は、黒質体積測定のための適切な条件を同定するために行った。結果の不均一性をもたらす変動割合を算出し、I2として表した。 主な結果は以下のとおり:・8つの試験には、172例の健常者と193例のパーキンソン病患者が含まれていた。・全体的な結果では、同種試験において健常者に比べパーキンソン病患者で黒質体積が有意に小さいことが示された(SMD:-0.65、p<0.0001、I2: 47%)。・サブグループ解析の結果、3つのアプローチ(厚み/面積/体積)のうち、体積測定が最適であることが示された(厚み:SMD:-0.35、p=0.18、I2: 測定不能 / 面積:SMD:-0.39、p=0.14、I2: 0% / 体積:SMD: 0.82、p=0.0006、I2: 56%)。・T1強調画像による体積測定が、より大きな効果量をもたらした(T1強調画像による体積測定:SMD: -1.11、p<0.00001、I2: 36% / T1強調画像以外での体積測定:SMD: -0.32、p=0.04、I2: 0%)。

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脳SPECTで判明、脳が引き起こす慢性腰痛

 近年、腰痛患者では局所脳血流の異常がみられることや、慢性腰痛は脳の可塑的な病態生理学的変化と関連していることが示唆されている。今回、昭和伊南総合病院の中村 幸男氏らは、慢性腰痛と急性腰痛患者の脳SPECT所見を比較し、両者に違いがあることを明らかにした。慢性腰痛患者では、小脳でコントロールされている無意識の疼痛行動が前頭前野の機能障害によって出現しているのかもしれないとまとめている。Journal of Orthopaedic Science誌オンライン版2014年2月5日号の掲載報告。 研究グループは、構造的異常のない慢性腰痛患者と腰椎椎間板ヘルニアに伴う急性腰痛患者における脳血流について比較した。 慢性腰痛群は、MRIで腰椎の構造的異常がなく(もしくは軽微で)、かつDSM-IV-TRの疼痛性障害(慢性)の基準を満たす患者とした。急性腰痛群は発症後3ヵ月以内でMRIにより腰椎椎間板ヘルニアが認められた患者とし、全例に脳SPECT検査を行った。 主な結果は以下のとおり。・慢性腰痛患者7例と、急性腰痛患者7例を対象とした。・慢性腰痛群では、前頭葉の前頭前野(両側)の有意な血流低下と小脳後葉の有意な血流増加が認められた。・SPECT所見と統計解析により、急性腰痛症または慢性腰痛症を有する患者における、脳血流の違いが明らかになった。・これらの結果から、慢性腰痛患者では、前頭前野の機能障害が、小脳でコントロールされている無意識の疼痛行動の出現につながっている可能性が示唆された。

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第23回 非専門医に求められる医療水準の範囲

■今回のテーマのポイント1.神経疾患で一番訴訟が多い疾患は脳梗塞であり、争点としては、治療の遅れおよび診断の遅れが多い2.非専門科に求められる医療水準は、専門科において求められる水準よりも低い3.ただ、非専門科においても一般医学書程度の知識は要求される事件の概要X(71歳、女性)は、高血圧症などにてY病院循環器科外来(A医師)を受診していました。また、平成20年11月に追突事故に遭い、同事故の影響で左手指にしびれがでたこと、そのためリハビリ中であることをA医師に伝えていました。平成21年3月3日午後9時頃、持ち帰り用の食品を受け取るため、自宅付近の居酒屋を訪れ、代金を支払おうと財布から硬貨を取り出そうとしたところ、左手から硬貨を落とし、それを拾おうとしてはまた落としてしまいました。居酒屋の経営者夫妻は、Xのその様子および、Xの顔面の片側が垂れ下がっていたのをみて、同店で以前、脳梗塞を発症した客の様子と似ていたことから、救急車を要請しました。居酒屋に到着した救急隊員は、Xの状況について、椅子に座っており、意識清明、顔色正常、呼吸正常であること、歩行不能であったが、他自覚症状もなく、四肢のしびれや麻痺もなく、頭痛、嘔気、めまいもないことから、TIA(一過性脳虚血発作)疑いとしてかかりつけのY病院に受け入れ依頼をしました。Y病院受診時のXは、意識清明で、血圧166/110、歩行障害はなく、腱反射、瞳孔反射ともに正常でした。当直のB医師(消化器外科医)は、当時、TIAには意識障害があると思っていたため、XはTIAではないと判断し、ちょうど翌日、A医師の外来受診予定であったことから、夜間で十分な検査ができないので、翌日検査を受けるように伝え、異常時は再診するように伝えた上、Xを帰宅させました。翌4日、A医師が診察したところ、バレー徴候もなく、フィンガー・トゥ・ノーズテストも異常所見はなく、また、心音、呼吸音に問題はなく、末梢浮腫も認めませんでした。脳梗塞の診断のため、頭部MRI、MRAおよびDWI(拡散強調画像)を施行しましたが、陳旧性脳梗塞を認めるものの、新鮮な脳血管障害は認められませんでした。A医師が現症状を尋ねたところ、Xは「どうもありません。」と答えたことから、前日に原告が小銭を取りこぼしたのは、平成20年11月の追突事故による左手指のしびれのためと考え、従前の処方のみで経過観察としました。ところが、Xは、3月18日早朝、自宅で倒れているところを家族に発見され、Z病院に救急搬送されたところ、脳梗塞と診断されました。Z病院にて治療およびリハビリテーションを行ったものの、Xには、中等度の感覚性失語、右片麻痺により、要介護3級の状態となりました。そこで、Xは、Y病院に対し、遅くとも3月4日の段階でTIAと診断し、抗凝固療法などを行うべきであったとして、約8,050万円の支払いを求める訴訟を提起しました。事件の判決■原告一部勝訴(440万円)被告は、当時の医療水準では、非専門医療機関、非専門医に対しては、適切な問診を行い、TIA又はその疑いがあることを診断する義務があるというレベルまでは要求できないと主張し、P医師(被告側鑑定医)は、おおむね以下の内容の意見を述べている。各ガイドラインは、専門医及び一般内科医用とされているが、まず専門医の脳卒中治療を標準化し、それから一般内科医へ広がっていくように期待されているものであり、非専門医は通常見ないものであり、本件当時は、上記ガイドライン2009は出ておらず、もし出ていたとしても、非専門医がこれを知らなくても全くおかしなことではない。平成23年3月に一般内科医を対象としたアンケートでも、上記ガイドラインを読んだのは4分の1以下というのが実情である。TIAは、非専門医に正確に理解されておらず、非専門医の「TIA疑い」と診断した患者の多くはTIAではなく、実際にTIAであったケースは1割以下である。今日においても、非専門医が、単なる失神をTIAだと誤解している例がある。TIAの定義や診断については、専門医の間でもコンセンサスは得られていない。TIAにおける脳梗塞発症リスクの指標にABCD2スコアがあるが、今日においても非専門医には浸透していない。そのため、本件当時、非専門医がこれを知らなくても全く不思議なことではなく、不勉強だということでもない。しかしながら、P医師の上記意見は、次のとおり、いずれも採用できない。前記認定の一般的知見は、ガイドライン2009を待つまでもなく、今日の診断指針、メルクマニュアル等の極めて一般的な文献に基づいて認定し得るものであって、ガイドラインに関するP医師の意見はその前提を欠くものである。また、医療水準は医師の注意義務の基準となるものであって、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではない(最高裁判所平成8年1月23日第三小法廷判決・民集50巻1号1頁参照)。一般的な医学書にはTIAに関する記載がある以上、その記載程度の知識は非専門医でも得ておくべきであるから、そのような知識の獲得を怠り、TIAに関する間違った認識の下に行った診療行為は、他にも、TIAである旨の誤診が多く見られたり、単なる失神をTIAだと誤解した例があったからといって正当化されるものではない。さらに、被告は、TIAの定義や診断については専門医の間でもコンセンサスが得られておらず、また、ABCD2スコアは非専門医には浸透していないともいうが、定義について、専門家の間に、異論があるとしても、前記認定の一般的知見に基づく定義等は、平成2年以来、一般的に承認されているものであり、前記認定を妨げるものではない。また、ABCD2スコアは、TIAから脳梗塞発症のリスクを予測するための指標であり、TIA又はその疑いがあるか否かの診断に影響するものではない。以上によれば、P医師の上記意見によっても、医療水準についての前記判断は左右されないというべきであり、このような見解に沿った被告の前記主張は採用できない。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(福岡地判平成24年3月27日判時2157号68頁)ポイント解説■神経疾患の訴訟の現状今回は、神経疾患です。神経疾患で最も訴訟となっているのは脳梗塞です(表1)。脳梗塞に対し、近年、抗凝固療法(血栓溶解療法)が行われるようになったことから、診断・治療の遅れによって予後に大きな変化が生じうるようになりました。その結果、表2をみていただければわかるように、昨今、訴訟となる事例が増加しており、争点も診断の遅れ、治療の遅れが中心となっています。ただ、訴訟となり始めたのが最近であることからか、原告勝訴率は低く、今回紹介した事例においても、原告勝訴はしていますが、認容額は請求額の5.5%ほどであり、実質的には原告敗訴ともいえる内容となっています。医療の進歩により、訴訟が増加することは皮肉ではありますが、その一方で現在の裁判所は慎重な判断をしているといえそうです。■非専門科に求められる医療水準今回の事例で問題となったのは、非専門科の医師にどこまでの医療水準が求められるかという点です。夜間、患者を診察したのが消化器外科医(B医師)で、翌朝外来にて診察したのが循環器内科医(A医師)であり、両者とも神経内科を専門としていません。そして、ともにTIAに関する認識が乏しかったため、抗凝固療法を行わず、かといって神経内科を受診させることもしませんでした。民事医療訴訟における過失とは、第1回で解説したように、「人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は、その業務の性質に照らし、危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのであるが(最判昭和36年2月16日民集15巻2号244頁)、具体的な個々の案件において、債務不履行又は不法行為をもって問われる医師の注意義務の基準となるべきものは、一般的には診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である(最判昭和57年3月30日民集135号563頁)。そして、この臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく、診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものであるが(最判平成7年6月9日民集49巻6号1499頁)、医療水準は、医師の注意義務の基準(規範)となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない」(最判平成8年1月23日民集50巻1号1頁)を指します。したがって、非専門科に求められる医療水準は、「専門科に求められる医療水準よりは低いのですが、かといって平均的医師が行っている医療慣行と常に一致するわけではなく、より高い水準が求められることもある」ということになります。本件訴訟において、被告側は非専門科におけるTIAの認識、診断の難しさを主張しましたが、判決では、一般医学書に記載されている程度の疾患概念の理解については、非専門科にも求められるとしました。本判決およびその他の判例からみた非専門科に求められる具体的な医療水準としては、「最新のガイドラインの内容を熟知することまでは必要ないが、一般的な医学書程度の知識は非専門科でも得ておくべきである」とする傾向があります(図)。非専門科においてまで高度な医療水準が求められるとなると、救急医療の崩壊を導くことは、2000年代の苦い経験です。ただ、その一方で、非専門科とはいえ、プロフェッションである医師に対し、一定程度の水準は求められるのは当然といえます。常に刷新し続ける医療において、この微妙なさじ加減につき、個別具体的な事例を通じて司法と医療の相互理解を継続していくことが、何より肝要と思われます。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)最高裁判所平成8年1月23日第三小法廷判決・民集50巻1号1頁福岡地判平成24年3月27日判時2157号68頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。最判昭和36年2月16日民集15巻2号244頁最判昭和57年3月30日民集135号563頁最判平成7年6月9日民集49巻6号1499頁

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The long and winding road(コメンテーター:岡村 毅 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(180)より-

すでにご承知とは思うが、アルツハイマー型認知症とは認知症の原因疾患の中で最も多くを占める代表的認知症疾患である。脳内にアミロイドβ蛋白が蓄積し、そののちにリン酸化タウ蛋白が蓄積することが病態生理の中心とされている。これはアミロイドカスケード仮説などと呼ばれる。私達がすでに使っているドネペジルなどの認知症治療薬は、この病態仮説とはあまり関係がない「対症療法薬」にすぎない。 そこで現在、このアミロイドカスケードの病態の本丸に作用する薬が開発されている・・・というのが、これまで患者さんや家族にしていた大体の説明である。これからは「しかし、それは完全に失敗している」と付け加えなければならないかもしれない。このBapineuzumabに関しては、APOEの有無を考慮し2つのフェーズ3トライアルを施行したものの、いずれも認知機能に差が出ないという完全なる敗北である。ADNI研究が明らかにしたように、前駆期にすでにアミロイドの病理は完成しており、発症以降の介入は無理があるのかもしれない。絶望的なまでに大きな課題が残された。 よく言われることだが、認知症はこれから私達の社会が直面する最重要の課題である。経済負担も膨大である。病院中心から地域包括ケアへ、急性期から慢性期へ、生命維持から質を考慮した終末期医療へ、などの医療体制の大転換も必要そうだ。 つまり、私たちの社会の総力戦なのである。その中で私達の精鋭部隊(神経学や薬学の優秀な研究者の皆さん)を投入したアミロイド戦線は大いに異状ありということだ(私は平和主義者であるが、わかりやすくするための比喩としてこのような表現を許していただきたい)。今後は根本治療薬の開発の揚げ足を取るような動きもあるかもしれない。しかし、私は「世界中の薬学・神経学者の皆さん、雑音に惑わされず、頑張って!」と声を大にして応援したい。未来の患者さんたちの幸福のために日夜自己犠牲をいとわず働いている研究者の方が意気消沈してしまうことを危惧する。根本治療薬は、すでに30代半ばの私にはおそらく恩恵のない話であるが、私の子供の世代の認知症予防にはきっと役立つだろう。 私は認知症ケアや社会的排除の研究者の端くれであるが、今回のBapineuzumabの敗戦を見て、薬学・神経学の戦友たちに心からのエールを送りたい。社会的支援に関しては、例えばホームレス支援団体が斬新なモデルで高齢者地域支援を始めるなど、イノベーションがおきつつある。しかし創薬を疎かにしてはならない。(くどいようだが)総力戦なのである。嵐の夜もあるかも知れないが、根本治療薬という長く困難な道は、きっと患者さんの幸福に辿り着く道である。

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アルツハイマー病の焦燥性興奮にシタロプラムは有効か/JAMA

 アルツハイマー病とみられ焦燥性興奮(agitation)を呈し心理社会的介入を受けている患者に対して、SSRI薬のシタロプラムの追加治療は、焦燥性興奮および介護者の負担を有意に減少することが、米国・ロチェスター大学医歯学部のAnton P. Porsteinsson氏らによるプラセボ対照の無作為化試験の結果、示された。ただし、認知機能や心臓への有意な有害作用もみられ、臨床で用いることが可能な用量には限界があることも判明した。先行研究でシタロプラムは、認知症の焦燥性興奮や攻撃性に対する有効性が示唆されていたが、エビデンスは限定的であり、著者らは有効性および安全性、忍容性の検討を行った。JAMA誌2014年2月19日号掲載の報告より。186例を+シタロプラム群、+プラセボ群に無作為化し9週間治療 研究グループは、アルツハイマー病患者における焦燥性興奮に対するシタロプラムの有効性評価を主要目的とする、無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験「Citalopram for Agitation in Alzheimer Disease Study(CitAD)」を行った。試験には副次目的としてシタロプラムの、「機能」「介護者負担」「安全性」「認知機能的安全性」「忍容性」をキーとした各影響を調べることも含まれた。 CitAD試験には、2009年8月~2013年1月に米国とカナダの8つの大学病院から、アルツハイマー病とみなされ臨床的に焦燥性興奮がみられた186例の患者が登録。被験者は、心理社会的介入+シタロプラムを受ける群(94例)またはプラセボを受ける群(92例)に割り付けられ、9週間治療を受けた。シタロプラムの投薬量は開始時10mg/日から、治療反応と忍容性に基づき3週間で30mg/日まで増量された。 主要評価項目は、18点評価のNeurobehavioral Rating Scale agitation subscale(NBRS-A)および修正版Alzheimer Disease Cooperative Study-Clinical Global Impression of Change(mADCS-CGIC)のスコア評価であった。その他のアウトカムとして、Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)、Neuropsychiatric Inventory(NPI)のスコア、日常生活動作(ADL)、介護者負担、認知機能安全性(MMSEの30点評価による)、有害事象についても評価した。焦燥性興奮と介護者負担は有意に軽減、しかし認知機能と心臓に有意な有害作用も 被験者は、平均年齢78~79歳、女性46%、89%が地域居住者で、直近5年間に認知症と診断された患者であった。 両群とも90%超が9週間の治療を完了した。またシタロプラム群で投薬量30mg/日を受けた被験者は78%、20mg/日は15%だった。 結果、NBRS-AとmADCS-CGICいずれのスコアも、シタロプラム群がプラセボ群と比べて有意な改善を示した。9週時点でのNBRS-Aスコアの推定両群差は-0.93(95%信頼区間[CI]:-1.80~-0.06、p=0.04)だった。mADCS-CGICによる評価では、シタロプラム群はベースライン時から40%の中等度~顕著な改善を示した。プラセボ群は同26%で、シタロプラムの推定治療効果(特定CGIC項目の改善オッズ比[OR])は2.13倍(95%CI:1.23~3.69、p=0.01)とされた。 シタロプラム群は、CMAIと総NPIのスコア、介護者負担も有意に改善したが、NPIサブスケールの焦燥性興奮、ADLの改善、またロラゼパム(商品名:ワイパックスほか)の緊急投与の低減については有意差はみられなかった。 さらに、シタロプラム群では、認知機能の悪化が有意で(-1.05点、95%CI:-1.97~-0.13、p=0.03)、QT間隔延長が有意であった(18.1ms、95%CI:6.1~30.1、p=0.01)。 著者は、「アルツハイマー病とみられる焦燥性興奮のある患者において、心理社会的介入に加えてシタロプラム治療を行うことは、プラセボとの比較で焦燥性興奮と介護者負担を有意に軽減した。ただし、認知機能および心臓への副作用から投与量は30mg/日が限度であると思われる」とまとめている。

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日本発!イストラデフィリンに抗うつ効果~学習性無力感ラットでの実験

 イストラデフィリンが、脳内モノアミン伝達とは無関係なアデノシンA2A受容体活性の調節を介して、抗うつ様効果を発揮することがラットによる実験で明らかとなった。協和発酵キリン研究本部の山田 浩司氏らの検討によるもので、パーキンソン病の運動症状に加え、うつに対する新たな治療選択肢となる可能性が示唆された。Psychopharmacology誌オンライン版2月2日号掲載の報告。 アデノシンA2A受容体拮抗薬であるイストラデフィリンは、パーキンソン病動物モデルおよびパーキンソン病患者における運動機能障害を改善する。さらに、いくつかのA2A受容体拮抗薬は、強制水泳試験及び尾懸垂試験などでうつ病を誘発したげっ歯動物において、抗うつ様効果を発揮することがわかっている。 著者らは、学習性無力感モデルのラットを使って、うつ様行動に対するイストラデフィリンの効果を調査した。 主な結果は以下のとおり:・急性期・慢性期におけるイストラデフィリンの経口投与は、三環系抗うつ薬のデシプラミンと選択的セロトニン(5 -HT)再取り込み阻害薬であるフルオキセチンによる慢性治療に匹敵する有効性を示しながら、逃避不可能な電撃(IES)が引き起こす逃避のあきらめを有意に改善した。・A1受容体選択的拮抗薬のDPCPXではみられなかったが、A1/A2A受容体の非特異的拮抗薬であるテオフィリンと中等度の選択的拮抗薬であるCGS15943の両剤で、IESが引き起こす逃避のあきらめを改善した。・イストラデフィリンによる逃避反応の増強は、A2A特異的アゴニストであるCGS21680の局所注射(側坐核、尾状核被殻、視床下部の室傍核への局所注射)により効果が失われたが、A1特異的アゴニストであるR-PIAの側坐核への局所注射では、効果が失われなかった。・また、 5-HT2A/2C 受容体拮抗薬のメチセルジドやα2拮抗薬ヨヒンビン、またβ遮断薬のプロプラノロールのいずれも、イストラデフィリンによってもたらされた逃避反応の改善に影響を与えなかった。

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新薬が不承認となる最大の原因は有効性の欠如だった(コメンテーター:折笠 秀樹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(176)より-

 米国FDAによる過去12年間の承認審査に関するレトロスペクティブ調査である。302件の新薬申請のうち151件(50%)はすんなり承認されたが、残る151件は書類の再提出を求められ、71件は最終的には承認、80件は不承認であった。本調査は再提出を求められた151件について、最終的に承認されたか否かの原因を探った。一発承認の要因について言及がなかったのは残念である。 どうして再提出をしても不承認となったかというと、それは有効性に致命傷のあった割合が有意に高かった(承認:28/71=39%、不承認:61/80=76%)。安全性においては両者に差はなかった(承認:37/71=52%、不承認:43/80=54%)。安全性の懸念が浮き彫りになることは申請時にはまずありえないので、これは当然な結果であると言える。 有効性といっても、不適切なエンドポイントの使用や成績が不良であったことが不承認の原因であった。循環器・神経内科領域で手こずっている実態も明らかになった。それは、がん領域などに比べエンドポイントが多様であることが原因と思われる。用量設定が不適切な場合も不承認につながりやすいようだった。 再提出を求められる場合には、最終的に承認されたにしても、上市が1年以上も遅れてしまっている。したがって、用量設定及びエンドポイント設定については、フェーズIII試験を開始する前に当局と事前相談したほうが良いだろう。

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レストレスレッグス症候群におけるプレガバリンの可能性/NEJM

 レストレスレッグス症候群(RLS、むずむず脚症候群、Willis–Ekbom病)の治療薬として、プレガバリン(商品名:リリカ)はプラセボよりも有意に治療アウトカムを改善し、プラミペキソール(同:ビ・シフロールほか)に比べ症状の増強(augmentation)が少ないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRichard P Allen氏らの検討で確認された。RLSの症状はプラミペキソールなどの短時間作用型ドパミン作動薬によって軽減するが、長期間投与すると医原性の悪化(症状の増強)の原因となる可能性がある。プレガバリンは、鎮痛作用および抗痙攣作用を有する非ドパミン作動性の薬剤であり、最近、無作為化試験でRLSに対する効果が示されている。NEJM誌2014年2月13日号掲載の報告。プレガバリンの有用性を無作為化試験で評価 研究グループは、RLSに対するプレガバリンの有用性を評価する二重盲検無作為化試験を実施した。対象は、年齢18歳以上、国際RLS(IRLS)研究グループ判定基準で中等度~重度のRLSと診断され、主に夜間に発現する症状が月に15日以上みられ、6ヵ月以上持続している患者とした。 これらの患者が、プレガバリン300mg/日(52週)群、プラミペキソール0.25mg/日(52週)群、プラミペキソール0.5mg/日(52週)群、またはプラセボを12週間投与後に無作為に割り付けた実薬を40週投与する群のいずれかに無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、1)12週投与後のプレガバリンとプラセボのIRLS研究グループ評価スケール(0~40点、スコアが高いほど症状が重度)、2)改善度の臨床全般印象(Clinical Global Impression of Improvement; CGI-I)の「きわめて大きく改善(very much improved)」または「大きく改善(much improved)」の割合、3)プレガバリンとプラミペキソールの40週または52週投与後の症状増強の発現であった。主要評価項目がすべて改善、長期投与の制限因子も 2008年12月~2011年6月に、欧米の102施設から719例が登録され、プレガバリン群に182例、プラミペキソール0.25mg群に178例、同0.5mg群に180例、プラセボ群には179例が割り付けられた。ベースラインの患者背景や治療完遂率は、各群間に差はみられなかった。 12週の投与後のIRLSスケールの平均スコアは、プレガバリン群がプラセボ群に比べ4.5点低下し、有意な改善効果が認められた(p<0.001)。プラミペキソール0.5mg群も、プラセボ群より3.2点低下したが(p<0.001)、0.25mg群では改善効果はみられなかった(p=0.36)。 CGI-Iで症状が「きわめて大きく改善」「大きく改善」の患者の割合も、プレガバリン群がプラセボ群よりも有意に良好であった(71.4 vs. 46.8%、p<0.001)。プラミペキソール0.5mg群も、プラセボ群に比べ有意に改善したが(p=0.002)、0.25mg群では改善効果は認めなかった(p=0.439)。 40週または52週投与後の全体の症状増強率は、プレガバリン群がプラミペキソール0.5mg群よりも有意に低かったが(2.1 vs. 7.7%、p=0.001)、0.25mg群との間には有意差はなかった(2.1 vs. 5.3%、p=0.08)。 治療中止の理由となった有害事象の発現率は、プレガバリン群(27.5%)がプラミペキソール群(0.25mg群18.5%、0.5mg群23.9%)よりも高かった。頻度の高い有害事象として、プレガバリン群でめまい(21.4%)、眠気(17.6%)、疲労(12.6%)、頭痛(12.1%)が、プラミペキソール群では頭痛、悪心、疲労、鼻咽頭炎が認められた。 有害事象の94.0%が軽度~中等度であり、重篤な有害事象は37例(50件)にみられた(プレガバリン群11件、プラミペキソール0.25mg群20件、0.5mg群12件、プラセボ群7件)。また、自殺念慮が11例に認められた(プレガバリン群6例、プラミペキソール0.25mg群3例、0.5mg群2例)。 著者は、「プレガバリンは、プラセボに比べ治療アウトカムを有意に改善し、症状増強率はプラミペキソール0.5mgよりも有意に低かった」とまとめ、「自殺念慮や眩暈、眠気が、プレガバリンの長期投与の制限因子となる可能性もある」と指摘している。

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農薬によるパーキンソン病発症リスクの高い遺伝子多型は

 環境毒物によるパーキンソン病発症機序を考えるうえで、アルデヒド脱水素酵素(以下ALDH)の阻害が、とくに遺伝的に脆弱な集団において重要であることが、米国・UCLAデイヴィッド・ゲフィン医科大学院のArthur G Fitzmaurice氏らによって明らかとなった。Fitzmaurice氏らは今回の結果から、パーキンソン病の発症率を減らす、もしくはその進行を遅らせるための潜在的な介入の可能性を示唆している。Neurology誌2014年2月4日号掲載の報告。 本研究の目的は、環境もしくは遺伝による神経細胞ALDHの変化が、疫学的研究においてパーキンソン病発症リスクの増加に関連しているかどうかを検討することであった。 神経細胞のALDH活性を阻害しうる農薬を同定するために、生体外(ex vivo)で実施する新しい分析法が開発された。同定された農薬は、集団ベースの症例対照研究であるParkinson's Environment & Genes (PEG) Studyにおいて、パーキンソン病との関連を調べるために用いられた。ミトコンドリアALDH2遺伝子における共通変異は、遺伝子多型による農薬の影響をみるための効果測定の調節(統計的な相互作用)を評価するための遺伝子型として用いられた。 ※PEG研究:UCLAを中心とした複数の研究グループが共同で実施している、農業用の化学物質とパーキンソン病との関連を調べるための臨床試験http://www.ph.ucla.edu/peg/index.html 主な結果は以下のとおり:・試験対象となった金属配位性ジチオカルバミン酸化合物のすべて(例:maneb、ziram)、2-イミダゾール化合物(benomyl、triflumizole)、2-ジカルボキシミド化合物(captan、folpet)、および1-有機塩素系化合物(dieldrin)が、おそらく代謝副産物(例:二硫化炭素、チオホスゲン)を経て、ALDH活性を阻害した。・スクリーニングした15種類の農薬は、ALDHを阻害しなかった。・ALDHを阻害する農薬への曝露は、パーキンソン病発症のリスクを2倍から6倍に増加させ、とくにALDH2の遺伝的変異をもつ群では、パーキンソン病発症リスクが高かった。

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殺虫剤でアルツハイマー病リスクが増加

 米国・ラトガース大学のJason R. Richardson氏らは、アルツハイマー病(AD)患者では殺虫剤成分の代謝物であるジクロロジフェニルジクロロエチレン(DDE)濃度が上昇していることに着目し、血清DDE濃度とADとの関連、およびアポリポ蛋白E(APOE)遺伝子型の関与を明らかにするためケースコントロール研究を行った。その結果、血清DDE高値はADのリスク上昇と関連していること、APOEε4アレルを保有する例でその関連が強くみられることを報告した。JAMA neurology誌オンライン版2014年1月27日号の報告。 遅発性ADの原因はいまだ不明であるが、遺伝的、環境的およびライフスタイルなどの要因が複合して発症に関与していると思われる。これまで、限られた疫学研究により、職業上の殺虫剤への曝露がADと関連していることが示唆されていることから、研究グループは以前、20例という少数例の検討ではあるが、AD患者で殺虫剤のジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)の代謝物であるDDEの血清濃度が上昇していることを報告した。本研究では、血清DDE濃度とADとの関連、およびその関連にAPOE遺伝子型が関与しているか否かを検討した。エモリー大学アルツハイマー病研究センターおよびテキサス大学サウスウェスタンメディカルスクール・アルツハイマー病センターから、AD例ならびに対照例を抽出しケースコントロール研究を行った。AD86例と対照79例において、血清DDE濃度を測定。Mini-Mental State Examination(MMSE)スコアによりADの診断と重症度を評価し、APOE4との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・AD例の血清DDE濃度(平均[SEM]:2.64[0.35]ng/mgコレステロール)は、対照(同:0.69[0.1]ng/mgコレステロール、p<0.001)と比較して3.8倍高かった。・DDE値の最高三分位におけるAD発症のオッズ比は、4.18(95%CI:2.54~5.82、p<0 .001)で、MMSEスコアは、より低スコアであった(-1.605、範囲:-3.095~-0.114、p<0 .0001)。・APOEε4アレルを保有するサブ集団のDDE値の最高三分位におけるMMSEスコアは、 APOEε3アレルを保有するサブ集団に比較して、-1.753ポイント低かった(相互作用p=0.04)。・血清DDE濃度と脳内DDE濃度との間に強い関連がみられた(ρ=0.95)。・ヒト神経芽細胞腫細胞にDDTまたはDDEを曝露させると、アミロイド前駆体蛋白レベルの増加がみられた。・以上のことから、血清DDE濃度の上昇はADリスクの増加と関連し、APOEε4アレルがより強く関与していることが推察された。DDTとDDEがアミロイド前駆体蛋白レベルを上昇させたことは、DDE曝露とADとの関連の妥当性を裏付ける知見と言える。血清DDE濃度が高く、APOEε4アレルを保有している例の特定が、ADの早期発見につながる可能性がある。関連医療ニュース アルツハイマー病、アミロイドβ蛋白による“炎症反応”が関与 日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは 複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加

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認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か

 英国・ロンドン大学のVasiliki Orgeta氏らは、認知症に対する標準的ケアに精神療法を追加することで、併存することの多い不安や抑うつに有効であるか否かを明らかにするため、システマティックレビューを行った。その結果、抑うつおよび医師評価による不安は精神療法により軽減すること、その一方で自己評価あるいは介護者評価による不安の軽減には有効性を認めなかったことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年1月22日号の掲載報告。 認知症および軽度認知障害(MCI)を有する者は不安や抑うつを非常によく経験するため、精神的な介入が有用な治療とされてきた。また最近の研究で、認知症およびMCIではwell-beingの改善を目的とした精神療法の機会が限られていることが示唆されている。したがって、アウトカム改善および将来的な実臨床での推奨という観点から、精神療法の有効性に関するエビデンスを把握するためのシステマティックレビューは有用だと考えられる。このような背景からOrgeta氏らは、認知症またはMCIにおける不安および抑うつの軽減を目的とした精神療法の有効性を評価するため、レビューを行った。 Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group Specialized Registerおよび公開・未公開データの情報も検索し、認知症またはMCIに対する標準的ケアまたはプラセボ(計画的でない突発的な対応:コントロール群)と、それらに精神療法を追加した場合を比較検討する無作為化対照試験(RCT)をレビューの対象として選択した。試験の選択、データの抽出、試験のバイアス評価は、2名のレビュワーが独立して行った。公表されている記事から情報が得られない場合は、著者をたどってさらに調査した。 主な結果は以下のとおり。・RCT 6件の認知症被験者439例についてレビューを行った。MCIはいずれの試験にも含まれていなかった。試験実施国は数ヵ国にわたり、認知症患者は地域在住または施設に入所中であった。・試験のバイアスが低かったのは1件のみで、残りの5件については、無作為化、盲検化、結果の報告に関する偏りなどのためバイアスリスクは不明または高かった。・認知行動療法(CBT)、対人関係療法およびカウンセリングの方法は、試験によりさまざまであった。・特別な精神療法を含め、数種類の介入を行っていた試験が2件あった。精神療法を追加した比較群では、標準的ケアに加えて注意-制御教育プログラム、診断のフィードバックや診断サービスなど、標準的ケアに比べやや多くのサービスが提供された。・メタ解析により、うつ(6試験、439例、平均標準差[SMD]:-0.22、95%信頼区間[CI]:-0.41~-0.03、エビデンスの質中等度)および医師評価による不安(2試験、65例、平均差[MD]:-4.57、95%CI:-7.81~-1.32、エビデンスの質は低)において、精神療法のポジティブな効果が示された。・一方、自己評価による不安(2試験、SMD:0.05、95%CI:-0.44~0.54)、介護者評価による不安(1試験、MD:-2.40、95%CI:-4.96~0.16)においては、精神療法のポジティブな効果は示されなかった。・患者QOL、日常生活動作(ADL)、神経精神症状、認知機能、介護者評価による抑うつ症状などの副次評価項目については、ベネフィットとハームのバランスがとれていた。ただし、試験の大半はこれらアウトカムの評価を行っていなかった。・有害事象の報告はなかった。・認知症の標準的ケアに精神療法を追加することで、うつ症状の軽減、医師評価による不安の軽減につながるというエビデンスが認められ、精神療法は患者のwell-beingを改善しうると考えられた。最も効果的な治療法の検討、ならびにMCIへの精神療法の有効性を評価するには、さらに質の高い研究が求められる。関連医療ニュース 認知症高齢者5人に1人が抗コリン薬を使用 認知症患者の約2割にせん妄が発現 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学

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糖尿病患者はパーキンソン病発症リスク低い!?

 糖尿病とパーキンソン病。両疾患の異種性にもかかわらず、症例対照研究の結果、糖尿病患者ではパーキンソン病の発症率が低い可能性が、中国・温州医科大学のLin Lu氏らによって示唆された。著者は、この関連性を明確に理解するために、より多くの研究が行われるべきとしている。PloS One誌1月21日号掲載の報告。 糖尿病が、パーキンソン病のリスクを増加させるかどうかについては定かではない。このメタ解析の目的は、糖尿病とパーキンソン病発症リスクとの関連性について評価した症例対照研究のエビデンスを統合することにある。 糖尿病とパーキンソン病との関連性を評価した症例対照研究を特定するため、7つのデータベースで検索を行った。本研究の方法論の質は、ニューキャッスル・オタワ・スケールを用いて評価した。すべてのデータは、Review Manager 5.15.1ソフトウエアを用いて分析した。性別、地理的位置、対照群、喫煙、糖尿病治療薬の処方と糖尿病罹病期間によって層別化したサブ解析も、同様のソフトウエアを用いて分析された。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析の基準を満たした研究は14報あり、パーキンソン病患者計2万1,395 人、対照被験者は計8万4,579人にのぼった。・両疾患の異種性にもかかわらず、糖尿病患者ではパーキンソン病発症リスクが低かった(オッズ比: 0.75、95%信頼区間: 0.58~0.98)。・サブ解析では、北米からの研究、一般市民を対照群とした研究、非喫煙者、およびアンケートや自己申告に基づく糖尿病患者群においても、やはり負の相関があることが示唆された。・性別および、糖尿病罹病期間で層別化した結果、有意な関連性は認められなかった。・欧州およびアジア患者、病院対照群を対照とした研究、喫煙者、医療記録や医師の診断に基づく糖尿病患者群、および糖尿病でのインスリン処方について層別化した場合でも、関連性は認められなかった。

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てんかん治療の改善は健康教育から始まる

 てんかん治療の格差は貧困国において最も大きい。ケニア・KEMRI(Kenyan Medical Research Institute)のFredrick Ibinda氏らは、健康教育プログラムにより治療アドヒアランスが改善するのか、無作為化試験にて評価を行った。農村地帯への1日の介入で行われた検討の結果、健康教育がてんかんに関する知識を向上することが示された。しかし1日だけの教育では、アドヒアランスの改善には結びつかなかったことも判明し、著者は「継続的な教育がアドヒアランスを改善する可能性があり、さらなる研究が必要である」と述べている。Epilepsia誌オンライン版2014年1月21日号の掲載報告。 ケニアの農村地帯への1日健康教育プログラム(キリフィてんかん教育プログラム)の有効性について検討した無作為化試験は、738例のてんかん患者を介入群と非介入(対照)群に割り付けて行われた。主要アウトカムは、抗てんかん薬(AED)のアドヒアランス状況で、血中薬物濃度(標準的な血液アッセイで測定、検査技師は割り付けをマスキング)にて評価した。副次アウトカムは、てんかん発作の頻度とKilifi Epilepsy Beliefs and Attitudes Scores(KEBAS)(訓練された介入スタッフにより行われた質問アンケートで評価)であった。データは、ベースライン時と介入群への教育介入後1年時点に集め分析した。また事後解析として、修正ポアソン回帰分析にて、アドヒアランス改善(AEDのベースライン時の非至適血中濃度からの変化で評価)、発作の減少、KEBASの改善に関連した因子を調べた。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時と介入後1年時点の両時点で評価が行われたのは581例であった。・試験終了時点で血液サンプルが入手できたのは、介入群105例、対照群86例であった。解析は、最もよく服用されていたAED(フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン)について行われた。・結果、AED血中濃度ベースのアドヒアランスについて、介入群と対照群で有意差はみられなかった(オッズ比[OR]:1.46、95%信頼区間[CI]:0.74~2.90、p=0.28)。自己報告でみた場合も同様であった(同:1.00、0.71~1.40、p=1.00)。・一方で、介入群のほうが対照群よりも、てんかんの原因についての伝承、民間療法、ネガティブなステレオタイプに対する固定観念を持っている人が有意に少なかった。・発作の頻度については、差がなかった。・ベースライン時とフォローアップ時のデータを比較した結果、アドヒアランス(血中濃度で評価)は介入群(36%から81%、p<0.001)、対照群(38%から74%、p<0.001)ともに有意に増大した。・発作頻度が減少した(直近3ヵ月で3回以下)患者数は、介入群は62%から80%(p=0.002)、対照群67%から75%(p=0.04)と増大した。・治療アドヒアランスの改善(両群を統合して検討)は、てんかんリスクについてのポジティブな信条への変化(リスク比[RR]:2.00、95%CI:1.03~3.95)、および非伝統的宗教的信条への変化(同:2.01、1.01~3.99)と明らかな関連がみられた。・発作頻度の減少は、アドヒアランスの改善と関連していた(RR:1.72、95%CI:1.19~2.47)。・KEBASのポジティブな変化は、高次教育を受けたことと関連していた(非教育との比較でのRR:1.09、95%CI:1.05~1.14)。・以上のように、健康教育はてんかんについての知識を改善するが、1回だけではアドヒアランスは改善しないことが示された。しかしながら、将来的な検討で継続的教育はアドヒアランスを改善する可能性がある。関連医療ニュース ベンゾジアゼピン部分アゴニスト、新たなてんかん治療薬として期待 日本の高齢者てんかん新規発症、半数以上が原因不明:産業医大 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か

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抗アミロイド療法は発症後では遅すぎる?/NEJM

 抗アミロイドβ(Aβ)モノクローナル抗体バピヌズマブは、アルツハイマー病(AD)関連のバイオマーカーを改善するが、臨床アウトカムの改善はもたらさないことが、米国・バトラー病院のStephen Salloway氏らの検討で示された。バピヌズマブは、軽度~中等度AD患者を対象とした第II相試験において、プラセボに比べてPET画像上のアミロイドを減少させ、脳脊髄液(CSF)中のリン酸化タウを低下させたことから、標的への到達および神経変性の減弱効果が示唆されていた。NEJM誌2014年1月23日号掲載の報告。APOEε4対立遺伝子の有無別の2つのプラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、軽度~中等度AD患者に対するバピヌズマブの有用性の評価を目的とする2つの二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施した。1つはアポリポ蛋白E(APOE)ε4対立遺伝子のキャリアを対象に、米国の170施設の参加の下で2007年12月~2012年4月に行われ、もう1つはAPOEε4対立遺伝子非キャリアを対象に、米国、カナダ、ドイツ、オーストリアの218施設が参加して2007年12月~2012年6月に進められた。 対象は、年齢50~88歳、ADの診断基準を満たし、MRI上でAD所見を認め、軽度~中等度認知機能低下がみられ、虚血の徴候が低い患者とした。キャリアの試験ではバピヌズマブ0.5mg/kg(13週ごと6回=78週、静脈内投与)またはプラセボを投与する群に、非キャリアの試験ではバピヌズマブ 0.5mg/kg、1.0mg/kgまたはプラセボを投与する群に、患者を無作為に割り付けた。 主要評価項目は、アルツハイマー病評価スケールの認知機能評価11項目(ADAS-cog11、0~70点、点数が高いほど認知機能が良好)および認知症機能障害尺度(DAD、0~100点、点数が高いほど身体機能障害は低い)のスコアの変化とした。副次評価項目は、Pittsburgh compound Bを用いたPET画像上のアミロイド所見(PIB-PET)およびCSF中のリン酸化タウ濃度とした。抗アミロイド療法は発症後では遅すぎる? キャリア1,090例(バピヌズマブ群:658例、プラセボ群:432例)および非キャリア1,114例(0.5mg群:314例、1.0mg群307例、プラセボ群493例)が有効性解析の対象となった。 主要評価項目は有意な群間差を認めなかった。APOEε4対立遺伝子キャリア試験ではベースラインから78週までのADAS-cog11スコアおよびDADスコアの差(バピヌズマブ群-プラセボ群)は、それぞれ-0.2(p=0.80)および-1.2(p=0.34)であり、非キャリア試験ではバピヌズマブ0.5mg/kg群がそれぞれ-0.3(p=0.64)、2.8(p=0.07)、1.0mg/kg群は0.4(p=0.62)、0.9(p=0.55)であった。 安全性に関する重要所見として、バピヌズマブ群でアミロイド関連画像異常としての浮腫がみられ、用量およびAPOEε4対立遺伝子の数が多くなるに従って頻度が高くなった。非キャリア試験で当初設定されていた2.0mg/kg群は、これが原因で早期中止となった。 キャリアではPIB-PETおよびCSF中のリン酸化タウ濃度が、バピヌズマブ群で有意に改善した(それぞれp=0.004、p=0.005)が、非キャリアでは1.0mg群のリン酸化タウを除き有意な改善は認めなかった(0.5mg群:p=0.19、p=0.98、1.0mg群:p=0.47、p=0.009)。 著者は、「バピヌズマブは、APOEε4対立遺伝子キャリアではバイオマーカーを改善させたが、臨床アウトカムの改善はもたらさなかった」とまとめ、「アミロイドの蓄積は症状発現のかなり以前に始まっており、抗アミロイド療法は認知症が発症してから開始したのでは遅すぎて、臨床経過には影響を及ぼさない可能性がある」と指摘している。

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新規抗アミロイドβ抗体薬、アルツハイマー病への効果示せず/NEJM

 新たに開発された抗アミロイドβ(Aβ)抗体ソラネズマブは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能および機能的運動能力を改善しないことが、米国・ベイラー医科大学のRachelle S Doody氏らが行ったEXPEDITION 1およびEXPEDITION 2試験で示された。ソラネズマブはネズミ抗体のヒト化アナログ製剤で、Aβの中枢神経(CNS)から末梢循環への流出を促進することから、ADに有効な可能性が示唆されていた。NEJM誌2014年1月23日号掲載の報告。認知機能、身体機能の改善効果を2つの無作為化試験で評価 EXPEDITION 1およびEXPEDITION 2試験は、軽度~中等度AD患者に対するソラネズマブの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験。年齢55歳以上、うつ状態を認めず、軽度の認知機能障害がみられる患者を対象とした。ソラネズマブ(400mg、静脈内投与)は、4週ごとに18ヵ月投与し、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンの併用は許容された。 主要評価項目は、アルツハイマー病評価スケールの認知機能評価11項目(ADAS-cog11、0~70点、点数が高いほど認知機能が良好)およびアルツハイマー病共同研究日常生活動作評価(ADCS-ADL、0~78点、点数が低いほど身体機能が低い)の、ベースライン時から80週までのスコアの変化とした。 EXPEDITION 1試験の解析が終了後、EXPEDITION 2試験の主要評価項目として軽度AD患者におけるADAS認知機能評価14項目(ADAS-cog14、0~90点)の再解析を行った。発症前~軽度患者に限定してさらなる検討を EXPEDITION 1試験には1,012例(ソラネズマブ群506例、プラセボ群506例)、EXPEDITION 2試験には1,040例(521例、519例)が登録された。治療完遂率は、それぞれ73.1%、73.1%、77.9%、77.1%で、主な治療中止理由は有害事象であった。 両試験共に、主要評価項目の有意な改善効果は得られなかった。EXPEDITION 1試験におけるADAS-cog11スコアの変化の差(ソラネズマブ群-プラセボ群)は、-0.8点(95%信頼区間[CI]:-2.1~0.5、p=0.24)、ADCS-ADLスコアの差は-0.4点(同:-2.3~1.4、p=0.64)であり、EXPEDITION 2試験ではそれぞれ-1.3点(95%CI:-2.5~0.3、p=0.06)、1.6点(同:-0.2~3.3、p=0.08)であった。 ADAS-cog14スコアの群間差は、軽度AD患者が-1.7点(95%CI:-3.5~0.1、p=0.06)であり、ソラネズマブ群で良好な傾向がみられたが、中等度AD患者は-1.5点(95%CI:-4.1~1.1、p=0.26)だった。 両試験の安全性データの統合解析では、アミロイド関連画像異常として浮腫がソラネズマブ群の0.9%、プラセボ群の0.4%(p=0.27)にみられ、出血がそれぞれ4.9%、5.6%(p=0.49)に認められた。 著者は、「ソラネズマブは軽度~中等度AD患者の認知機能および機能的運動能力を改善しなかった」とし、「抗アミロイド戦略の有用性を見極めるために、軽度AD患者やバイオマーカー検査で脳のアミロイド蓄積が確認されている無症状の患者を対象に、本薬剤のさらなる検討を進める必要がある」と指摘している。

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認知症予防効果を降圧薬に期待してよいのか

 最近の研究において、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)には降圧効果だけでなく、認知症に対する薬効もあることが示唆されている。はたして、ARBに認知症予防効果を期待できるのか。台湾国立大学のWei-Che Chiu氏らはこの答えを明らかにすべく同国住民ベースのコホート研究を行った。その結果、ARBは、血管系リスクが高い人の認知症リスクを低減することが示唆された。また、累積投与量が高い患者ほど、認知症およびそのサブタイプ(アルツハイマー病等)に対して、より高い予防効果がみられたという。Journal of Hypertension誌オンライン版2014年1月8日号の掲載報告。 研究グループは、認知症およびそのサブタイプへのARBの効果を調べることを目的に、台湾国民健康保険の研究データベースを利用した住民ベースのコホート研究を行った。ペア適合したARB服用患者と非服用患者、合計2万4,531例について、1997~2009年に個別に追跡して認知症発症例を特定し、ARBと認知症、アルツハイマー病、血管性認知症の関連を分析した。評価は、Cox比例ハザート回帰分析にて、ハザード比と95%信頼区間(CI)を算出して行った。 主な結果は以下のとおり。・11年の追跡期間中に認知症の発症が特定されたのは、ARB服用群1,322例(5.4%)、非服用群2,181例(8.9%)であった。・認知症およびサブタイプ別にみたARB服用群の多変量補正ハザード比は、認知症0.54(95%CI:0.51~0.59)、アルツハイマー病0.53(同:0.43~0.64)、血管性認知症0.63(同:0.54~0.73)であった。・累積投与量については、1日量1,460以上の患者で、同値未満の患者と比べて、有意なリスク減少がみられた(ハザード比:0.37vs. 0.61、p<0.05)。関連医療ニュース 新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光 スタチン使用で認知症入院リスク減少 認知症に対するアロマテラピー、効果はあるか

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アルツハイマー病とがん死亡リスクの関連~前向き研究(NEDICES)より

 これまでの研究で、アルツハイマー病とがんリスク低下との関連が示されているが、ほとんどの研究は診断未確定の認知症例を除外している。スペイン・12 de Octubre大学病院のJuan Pablo Romero氏らは、高齢者5,278人を含む集団ベースの前向き研究(NEDICES)で、まず検証がなされている方法で認知症の症状がある人々を選別したうえで、認知症が疑われる患者を臨床検査で確認するという2段階の調査方法を用いて、がんによる死亡とアルツハイマー病およびそれ以外の認知症との関連を検討した。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2014年1月21日号に掲載。 著者らは、地域在住の認知症患者および認知症ではない被験者を同定、12.5年間(中央値)追跡し、その後、死亡した被験者の死亡診断書を調査した。 主な結果は以下のとおり。・合計1,976人(47.1%)が死亡し、そのうち、アルツハイマー病と推定される患者(possible/ probable AD)は277人、アルツハイマー病以外の認知症患者は126人であった。・アルツハイマー病と推定される患者(5.8%)やアルツハイマー病以外の認知症患者(6.3%)では、認知症ではない人(26.5%)より、がん死亡が有意に少なかった。・未調整のCoxモデルにおいて、非認知症者と比べたがん死亡の相対リスク(RR)は、アルツハイマー病患者で0.45(p=0.002)、アルツハイマー病以外の認知症患者で0.62(p=0.179)であった。・さまざまな人口統計学的要因と併存疾患を調整したCoxモデルにおいて、がん死亡の相対リスクは、アルツハイマー病患者で0.50(p=0.028)、アルツハイマー病以外の認知症患者で0.97(p=0.942)であった。

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複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加

 高齢者や認知症患者の介護を担うインフォーマル介護者(公的機関や専門職によるサービスや支援以外の介護を行う者、以下:家族介護者)が世界的に増加している。家族介護者による良好な服薬管理は、健康アウトカムの改善と、介護を受ける人々の施設入所数減少に寄与する。しかしながら、このような介護領域の実情はほとんど知られていない。オーストラリア・ウーロンゴン大学のRobyn Gillespie氏らは、高齢者や認知症患者の服薬管理を行っている家族介護者の役割について文献レビューを行った。その結果、薬物療法レジメンの複雑化などを背景に家族介護者による服薬管理がしばしば困難な状況に陥っていることを明らかにし、十分な情報提供やトレーニング、サポートの重要性を示唆した。Journal of Clinical Nursing誌オンライン版2013年12月20日号の掲載報告。 本研究では、地域において高齢者や認知症患者の服薬管理を行っている家族介護者の役割について言及している文献についてナラティブレビューを行った。代表的な研究論文を特定するため、2000年1月から2013年4月までに英語で発表された文献を適格とし、オンラインデータベースを基に複数のキーワードを用いて検索し、参考リストおよび主な引用論文およびインターネット検索を行った。 得られた主な知見は以下のとおり。・家族介護者の役割は複雑化しており、とくに認知症患者の介護は、(1)薬物療法レジメンの複雑化、(2)介護者と介護を受ける人との関係性、(3)保険制度、(4)情報やスキル習得機会の欠如、などの理由からいっそう困難であることが示された。・地域において、高齢者や認知症患者の服薬管理は、家族介護者に委ねられている頻度が高かった。・家族介護者には、より多くの情報源が必要であるとともに、服薬マネジメントの特別なスキルと知識が求められることが判明した。また、介護を受ける者の認知機能が低下している場合には、服薬マネジメントはいっそう複雑なものとなっていた。・認知機能障害者を含む高齢者においては、家族介護者の安全かつ効果的な服薬管理が大きく期待される。・看護師は、地域の高齢者や認知症患者の家族と接する機会が多く、重要な情報源になるとともに、介護者のトレーニングならびにサポートのソースとなる可能性が示唆された。関連医療ニュース 認知症患者のニーズを引き出すのに有効なツール:神奈川県立保健福祉大学 高齢者介護ロボット、認知症対応でも効果を発揮できる? 認知症高齢者5人に1人が抗コリン薬を使用

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