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認知症に進行しやすい体型は

 軽度認知障害(MCI)者における認知症やアルツハイマー病(AD)への進行とBMIとの関連について、イタリア・ミラノ大学Luigi Sacco'病院のIlaria Cova氏らが調査を行った。Dementia and geriatric cognitive disorders誌オンライン版2016年3月31日号の報告。 メモリークリニックから得られたMCI者228例(平均年齢:74.04±6.94、女性57%)を2.40±1.58年追跡調査した。ベースライン時の身長と体重は、BMIの計算に用いた。主要評価項目は、認知症(DSM-IV基準)とAD(NINCDS-ADRDA基準)への進行とした。認知症、ADとBMIとの長期的関連性は、血管危険因子および疾患と神経画像プロファイルを含む共変量を包括的に調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・228例中、117例(51.3%)が認知症に進行した。・認知症のうち89例(76%)は、ADであった。・未調整および多変量調整モデルの両方において、高BMIは、認知症リスクの低下(多変量調整HR 0.9、95%CI:0.8~0.9)およびADリスクの低下(多変量調整HR 0.9、95%CI:0.8~0.9)と関連していた。・低体重は、すべての認知症タイプを増加させたが(多変量調整HR 2.5、95%CI:1.2~5.1)、ADとの関連は認められなかった(多変量調整HR 2.2、95%CI:0.9~5.3)。 著者らは「BMIにより、MCIから認知症およびADへの進行を予測できる。とくに、BMIが高いと認知症、ADのリスクが低下すること、低体重では認知症リスクが上昇することが示された。実臨床においてBMIを評価することで、MCIの予後予測の精度を向上させることができる」とまとめている。関連医療ニュース アルツハイマー病へ進行しやすい人の特徴は 早期アルツハイマー病診断に有用な方法は 日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは

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てんかん治療におけるベンゾジアゼピンの役割

 ベンゾジアゼピン(BZP)は、一般に抗不安薬、鎮静薬、抗けいれん薬として処方される薬剤である。米国・サウスアラバマ大学のJuan G Ochoa氏らは、てんかん治療におけるベンゾジアゼピンの役割をレビューした。Current treatment options in neurology誌2016年4月号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・BZPは、イオンチャネルを介してCI-コンダクタンスを増加させることによりGABAA受容体に作用し、中枢神経系の抑制を促進する。・BZPの臨床特性は、GABAA受容体の異なるサブユニットの組成に依存している。各サブユニットは、中枢神経系全体に存在する複数のサブタイプを有し、これらはすべて異なる臨床反応を示す。・BZPは、てんかん重積状態の第1選択薬である。BZPに対する治療反応は、治療までの期間が重要であり、てんかん重積状態が持続した場合は効果が損なわれる。・静脈内投与可能なてんかん重積状態に最も一般的に用いられるのはBZPのロラゼパム静脈内投与であるが、同様の有効性を有するミダゾラムの非静脈内投与を、代替治療として考慮すべきである。・外来患者の急性発作治療に用いられるBZPは、現在ジアゼパム注腸に限定されるが、別の投与経路の開発も進んでいる。・複数の抗てんかん薬でも効果不十分な難治性てんかん患者に対し、クロバザムやクロナゼパムは、発作の予防に有効な選択肢である。クロバザムは、GABAA受容体のα2サブユニットに親和性が高いため、鎮静の効果が少ない可能性がある。・慢性的なBZP使用による副作用としては、鎮静、耐性、一部の患者における中毒や乱用の可能性がある。関連医療ニュース てんかん重積状態に対するアプローチは ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する

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ニーマン・ピック病C型〔NPC : Niemann-Pick disease type C〕

1 疾患概要■ 概念・定義1, 2)ニーマン・ピック病は、多様な臨床症状と発病時期を示すがスフィンゴミエリンの蓄積する疾患として、1961年CrockerによりA型からD型に分類された。A型とB型はライソゾーム内の酸性スフィンゴミエリナーゼ遺伝子の欠陥による常染色体性劣性遺伝性疾患で、ニーマン・ピック病C型は細胞内脂質輸送に関与する分子の欠陥で起こる常染色体性劣性遺伝性疾患である。D型は、カナダのNova Scotia地方に集積するG992W変異を特徴とする若年型のC型である。■ 疫学C型の頻度は人種差がないといわれ、出生10~12万人に1人といわれている。発病時期は新生児期から成人期までと幅が広い。2015年12月の時点で日本では34例の患者の生存が確認されている。同時点での人口8,170万人のドイツでは101人、人口6,500万人の英国では86例で、人口比からすると日本では現在確認されている数の約5倍の患者が存在する可能性がある。■ 病因遺伝的原因は、細胞内脂質輸送小胞の膜タンパク質であるNPC1タンパク質をコードするNPC1遺伝子、またはライソゾーム内の可溶性たんぱく質でライソゾーム内のコレステロールと結合し、NPC1タンパク質に引き渡す機能を持つNPC2タンパク質をコードするNPC2遺伝子の欠陥による。その結果、細胞内の脂質輸送の障害を生じ、ライソゾーム/後期エンドソームにスフィンゴミエリン、コレステロールや糖脂質などの蓄積を起こし、内臓症状や神経症状を引き起こす。95%の患者はNPC1遺伝子変異による。NPC2遺伝子変異によるものは5%以下であり、わが国ではNPC2変異による患者はみつかっていない。■ 症状1)周産期型出生後まもなくから数週で、肝脾腫を伴う遷延性新生児胆汁うっ滞型の黄疸がみられる。通常は生後2~4ヵ月で改善するが、10%くらいでは、肝不全に移行し、6ヵ月までに死亡する例がある。2)乳児早期型生後間もなくか1ヵ月までに肝脾腫が気付かれ、6~8ヵ月頃に発達の遅れと筋緊張低下がみられる。1~2歳で発達の遅れが明らかになり、運動機能の退行、痙性麻痺が出現する。歩行を獲得できる例は少ない。眼球運動の異常は認められないことが多い。5歳以降まで生存することはまれである。3)乳児後期型通常は3~5歳ごろ、失調による転びやすさ、歩行障害で気付かれ、笑うと力が抜けるカタプレキシーが認められることが多い。神経症状が出る前に肝脾腫を指摘されていることがある。また、検査に協力できる場合には、垂直性核上性注視麻痺を認めることもある。知的な退行、けいれんを合併する。けいれんはコントロールしづらいこともある。その後、嚥下障害、構音障害、知的障害が進行し、痙性麻痺が進行して寝たきりになる。早期に嚥下障害が起こりやすく、胃瘻、気管切開を行うことが多い。7~15歳で死亡することが多い。わが国ではこの乳児後期型が比較的多い。また、この型では早期にまばたきが消失し、眼球の乾燥を防ぐケアが必要となる。4)若年型軽度の脾腫を乳幼児期に指摘されていることがあるが、神経症状が出現する6~15歳には脾腫を認めないこともある。書字困難や集中力の低下などによる学習面の困難さに気付かれ、発達障害や学習障害と診断されることもある。垂直性核上性注視麻痺はほとんどの例で認められ、初発症状のこともある。カタプレキシーを認めることもある。不器用さ、学習の困難さに続き、失調による歩行の不安定さがみられる。歩行が可能な時期に嚥下障害によるむせやすさ、構語障害を認めることが多く、発語が少なくなる。ジストニア、けいれんがみられることが多く、進行すると痙性麻痺を合併する。30歳かそれ以上まで生存することが多い。わが国でも比較的多く認められる。5)成人型成人になって神経症状がなく、脾腫のみで診断される例もまれながら存在するが、通常は脾腫はみられないことが多い。妄想、幻視、幻聴などの精神症状、攻撃性やひきこもりなどの行動異常を示すことが多い。精神症状や行動異常がみられ、数年後に小脳失調(76%)、垂直性核上性注視麻痺(75%)、構語障害(63%)、認知障害(61%)、運動障害(58%)、脾腫(54%)、精神症状(45%)、嚥下障害(37%)などがみられる。運動障害はジストニア、コレア(舞踏病)、パーキンソン症候群などを認める。■ 予後乳児早期型は5歳前後、乳児後期型は7~15歳、若年型は30~40歳、成人型は中年までの寿命といわれているが、気管切開、喉頭気管分離術などによる誤嚥性肺炎の防止と良好なケアで寿命は延長している。また、2012年に承認になったミグルスタット(商品名: ブレーザベス)によって予後が大きく変化する可能性がある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)ニーマン・ピック病C型の診断の補助のためにSuspicion Indexが開発されている。これらはC型とフィリピン染色で確定した71例、フィリピン染色が陰性であった64例、少なくとも症状が1つある対照群81例について、内臓症状、神経症状、精神症状について検討し、特異性の高い症状に高いスコアを与えたスクリーニングのための指標である。この指標は便利であるが、4歳以下で神経症状の出現の少ない例では誤診する可能性のあることに注意して使用していただきたい。現在、4歳以下で使えるSuspicion Indexが開発されつつある。このSuspicion Indexは、(http://www.npc-si.jp/public/)にアクセスして使用でき、評価が可能である。一般血液生化学で特異な異常所見はない。骨髄に泡沫細胞の出現をみることが多い。皮膚の培養線維芽細胞のフィリピン染色によって、細胞内の遊離型コレステロールの蓄積を明らかにすることで診断する。LDLコレステロールが多く含まれる血清(培地)を用いることが重要である。成人型では蓄積が少なく、明らかな蓄積があるようにみえない場合もあり注意が必要である。骨髄の泡沫細胞にも遊離型コレステロールの蓄積があり、フィリピン染色で遊離型コレステロールの蓄積が確認できれば診断できる。線維芽細胞のフィリピン染色は、秋田大学医学部附属病院小児科(担当:高橋 勉、tomy@med.akita-u.ac.jp)、大阪大学大学院医学系研究科生育小児科学(担当:酒井 規夫、norio@ped.med.osaka-u.ac.jp)、鳥取大学医学部附属病院脱神経小児科(担当:成田 綾、aya.luce@nifty.com)で対応が可能である。確定診断のためにはNPC1遺伝子、NPC2遺伝子の変異を同定する。95%以上の患者はNPC1遺伝子に変異があり、NPC2遺伝子に変異のある患者のわが国での報告はまだない。NPC1/NPC2遺伝子解析は鳥取大学生命機能研究支援エンター(担当:難波 栄二、ngmc@med.tottori-u.ac.jp)で対応が可能である。近年、遊離型コレステロールが非酵素反応で形成される酸化型ステロール(7-ケトコレステロール、コレスタン-3β、5α、6βトリオール)が、C型の血清で特異的に上昇していることが知られ、迅速な診断ができるようになっている1、2)。わが国では、一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療センター(担当者:藤崎 美和、衞藤 義勝、sentanken@mt.strins.or.jp、電話044-322-0654 電子音後、内線2758)で測定可能であり、連絡して承諾が得られるようであれば、凍結血清1~2mLを送る。さらに尿に異常な胆汁酸が出現することが東北大学医学部附属病院薬剤部から報告され9)、この異常も診断的価値が高い特異的な検査の可能性があり、現在精度の検証が進められている。診断的価値が高いと考えられる場合、また精度の検証のためにも、東北大学医学部附属病院へ連絡(担当者:前川 正充、m-maekawa@hosp.tohoku.ac.jp)して、凍結尿5mLを送っていただきたい。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ ミグルスタット の治療効果C型の肝臓や脾臓には、遊離型コレステロール、スフィンゴミエリン、糖脂質(グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド)、遊離スフィンゴシン、スフィンガニンが蓄積している。一方、脳では、コレステロールやスフィンゴミエリンの蓄積はほとんどなく、スフィンゴ糖脂質、とくにガングリオシッドGM2とGM3の蓄積が顕著である。このような背景から、グルコシルセラミド合成酵素の阻害剤であるn-butyl-deoxynojirimycin(ミグルスタット)を用いてグルコシルセラミド合成を可逆的に阻害し、中枢神経系のグルコシルセラミドを基質とする糖脂質の合成を減少させることで、治療効果があることが動物で確認された。さらに若年型と成人型のC型患者で、嚥下障害と眼球運動が改善することが報告され、2009年EUで、2012年わが国でC型の神経症状の治療薬として承認された。ミグルスタットは、乳児後期型、若年型、成人型の嚥下機能の改善・安定化に効果があり、誤嚥を少なくし、乳児後期型から成人型C型の延命効果に大きく影響することが報告されている。また、若年型のカタプレキシーや乳児後期型の発達の改善がみられ、歩行機能、上肢機能、言語機能、核上性注視麻痺の安定化がみられることが報告されている。乳児早期型では、神経症状の出現前の早い時期に治療を開始すると効果がある可能性が指摘されているが、乳児後期型、若年型、成人型の神経症状の安定化に比較して効果が乏しい。また、脾腫や肝腫大などの内臓症状には、効果がないと報告されている。ミグルスタットの副作用として、下痢、鼓腸、腹痛などの消化器症状が、とくに治療開始後の数週間に多いと報告されている。この副作用はミグルスタットによる二糖分解酵素の阻害によって、炭水化物の分解・吸収が障害され、浸透圧性下痢、結腸発酵の結果起こると考えられている。ほとんどの場合ミグルスタット継続中に軽快することが多く、ロペラミド塩酸塩(商品名:ロペミンほか)によく反応する。また、食事中の二糖(ショ糖、乳糖、麦芽糖)の摂取を減らすことでミグルスタットの副作用を減らすことができる。さらには、ミグルスタットを少量から開始して、増量していくことで副作用を軽減できる。■ ニーマン・ピック病C型患者のその他の治療について2)C型のモデルマウスでは、細菌内毒素受容体Toll様受容体4の恒常的活性化によって、IL-6やIL-8が過剰に産生され、脳内の炎症反応が起こり、IL-6を遺伝的に抑制することで、マウスの寿命が延長することが示唆されている5)。また、モデルマウスに非ステロイド性抗炎症薬を投与すると神経症状の発症が遅延し、寿命が延長することが報告されており6)、C型患者で細菌感染を予防し、感染時の早期の抗菌薬投与と抗炎症薬の投与によって炎症を抑えることが勧められる。また、教科書には記載されていないが、C型患者では早期に瞬目反射が減弱・消失し、まばたきが減少し、この結果眼球が乾燥する。この瞬目反射の異常に対するミグルスタットの効果は不明である。C型患者のケアにあたっては、瞬目反射の減弱に注意し、減弱がある場合には、眼球の乾燥を防ぐために点眼薬を使用することが大切である。4 今後の展望シクロデキストリンは、細胞内コレステロール輸送を改善し、遊離型コレステロールの蓄積を軽減させると、静脈投与での効果が報告されている3)。シクロデキストリンは、髄液の移行が乏しく、人道的使用で髄注を行っている家族もあるが、今後アメリカを中心に臨床試験が行われる可能性がある。また、組み換えヒト熱ショックタンパク質70がニーマン・ピック病C型治療薬として開発されている。そのほか、FDAで承認された薬剤のなかでヒストン脱アセチル化阻害剤(トリコスタチンやLBH589)が、細胞レベルでコレステロールの蓄積を軽減させること4, 7)や筋小胞体からCaの遊離を抑制し、筋弛緩剤として用いられているダントロレンが変異したNPCタンパク質を安定化する8)ことなどが報告され、ミグルスタット以外の治療薬の臨床試験が始まる可能性が高い。5 主たる診療科小児科(小児神経科)、神経内科、精神科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働省難治性疾患克服事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班 ライソゾーム病に関して(各論)ニーマン・ピック病C型(医療従事者向けのまとまった情報)鳥取大学医学部N教授Website(ニーマン・ピック病C型の研究情報を多数記載。医療従事者向けのまとまった情報)NP-C Suspicion Index ツール(NPCを疑う症状のスコア化ができる。提供: アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社)The NPC-info.com Information for healthcare professionals に入り、Symptoms of niemann pick type C diseaseにて動画公開(ニーマン・ピック病C型に特徴的な症状のビデオ視聴が可能。提供: アクテリオン株式会社)患者会情報ニーマン・ピック病C型患者家族の会(患者とその患者家族の情報)1)大野耕策(編). ニーマン・ピック病C型の診断と治療.医薬ジャーナル社;2015.2)Vanier MT. Orphanet J Rare Dis.2010;5:16.3)Matsuo M, et al. Mol Genet Metab.2013;108:76-81.4)Pipalia NH, et al. Proc Natl Acad Sci USA.2011;108:5620-5625.5)Suzuki M, et al. J Neurosci.2007;27:1879-1891.6)Smith D, et al. Neurobiol Dis.2009;36:242-251.7)Maceyka M, et al. FEBS J.2013;280:6367-6372.8)Yu T, et al. Hum Mol Genet.2012;21:3205-3214.9)Maekawa M, et al. Steroids.2013;78:967-972.公開履歴初回2013年10月10日更新2016年04月19日

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パーキンソン病治療はどう変わっていくか

 パーキンソン病は「予後が悪い」と説明する医師もいる。しかし、パーキンソン病の予後は決して悪くなく、さらに最近の治療法の進歩によってより良い方向へ変化しつつある。 2016年4月6日、アッヴィ合同会社主催のプレスセミナー「パーキンソン病治療の現状と将来への期待」が行われた。講師は順天堂大学脳神経内科 服部 信孝氏と、全国パーキンソン病友の会常務理事の高本 久氏だ。パーキンソン病治療は今どのような課題があり、今後どう変わっていくのか。セミナーの内容から解説していく。パーキンソン病治療の抱える課題 パーキンソン病の主症状は「手足のふるえ」「筋肉のこわばり」「動作の鈍化」「バランスが取りづらさ」といった運動症状である。一方で、パーキンソン病では「便秘」「睡眠障害」「抑うつ」「関節の変性」「嗅覚障害」といった症状もみられ、これらは非運動症状と呼ばれる。非運動症状は、患者にとってパーキンソン病の症状だとわかりにくいことがある。そのため、受診先に内科・精神科・整形外科を選んでしまい、5~6年間も適切な診断・治療を受けられない患者もいるという。このような患者を「正しい受診先へと導く」ことは今後の大きな課題である。 また、治療法についても課題が挙げられる。全国パーキンソン病友の会が行ったアンケートでは、半分以上の患者が現在の治療に満足しておらず、とくに重症例ではその割合が多い(図1)。また、新しい治療法に対する意識についての質問では、90%以上の患者が「新しい治療法を試したい」という意向を示した(図2)。このことから、パーキンソン病の患者、とくに重症例の患者ではより良い治療法へのニーズが高いという現状がうかがえる。  図1画像を拡大する  図2画像を拡大するパーキンソン病治療はどう変わっていくのか では、今後どのような治療法が期待されているか。現在、薬物治療の中心はL-dopa内服療法であり、多くの患者が症状の改善を実感している。しかし、薬剤が過剰であると「ジスキネジア※1」に、薬剤が効かない・不足していると「オフ※2」になってしまうこと、そして「薬が適切に効いている時間(オン※3)」は病状の進行につれて狭まっていくことが問題になっている。そのためジスキネジアやオフ時間が出にくい薬物療法、または薬物療法以外の治療法に期待が集まっている。 ジスキネジアやオフ時間が出にくいと期待される治療法が「持続性ドパミン刺激療法」だ。ドパミン刺激が持続的になされ、ドパミンの血中濃度が安定することでジスキネジア、wearing off※4といった運動合併症を緩和・発現防止すると考えられている。現在、日本ではレボドパ/カルビドパ合剤を、携帯型注入ポンプ・チューブを介して直接的に十二指腸へ投与する「持続的十二指腸内投与」の治療薬の承認申請も進んでいる。また、薬物療法で症状の改善に限界がある場合には、「脳深部刺激療法」が治療選択肢となる。脳深部に電極を、胸部に小型刺激電源を埋め込み、両者をリード線でつないで脳の奥深くに電流を持続的に流し刺激を与える。この治療法によりジスキネジアやwearing-offの改善が期待でき、薬剤増量が困難な患者における有用な一手となりうる。 「持続的十二指腸内投与」、「脳深部刺激療法」は双方ともパーキンソン病患者のより良い症状改善につながる治療法であるが、手術が必要になるなど、患者と医師にとってはややハードルが高いといえる。服部氏は「海外では治療効果が優先されるが、日本では安全性が重要視される。これらの治療法を行う際、患者や医師のフォローをどのように充実させていくかが課題だ」と述べた。  また、その他の新規治療法として「水素水飲用」「COQ10服用」によるUPDRS※5の改善といったトピックスが注目を浴び、研究が進められている。(図3参照)  図3画像を拡大する パーキンソン病は症状が進行すると非常に多くの薬剤を服薬する必要があり、患者に大きな負担がかかる。また高齢化社会に伴い、パーキンソン病患者は増加すると予想されている。患者により良い治療の選択肢を提案していくためにも、新規治療法の研究には関心が高まっていくだろう。※1 ジスキネジア:体や手足がくねくねと勝手に動くなどの症状(不随意運動)※2 オフ:薬の効果が切れている時間※3 オン:薬が適切に効いている時間※4 wearing off:薬剤の薬効時間が短縮して、薬剤服用前に症状が悪化する現象※5 UPDRS:パーキンソン病統一スケール(Unified Parkinoson's Disease Rating Scale)、パーキンソン病の重症度を点数で表す指標

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アミロイドβ凝集を継時的に観察する方法

 全世界で4,600万人以上の方がアルツハイマー病に苦しんでいる。多くの治療法が提唱されており、その1つにアルツハイマー病の主な原因の1つであると考えられているアミロイドβペプチド(Aβ)凝集を阻害する治療がある。多くの場合、in vitro研究では、細胞や組織中のAβ凝集モニタリングに限界があることから、抗アミロイド薬のスクリーニングが制限される。スペイン・バルセロナ大学のAlba Espargaro氏らは、in vivoでアミロイド蓄積などのバクテリアを用いて、リアルタイムにin vivoでのAβ凝集を追跡するためのシンプルながらも強力な方法を開発した。Scientific reports誌2016年3月22日号の報告。・バクテリア封入体(IBS)を染色するために、特定のチオフラビンS(Th-S)染色アミロイドを使用した。・この場合には、主にアミロイド構造でAβを形成した。・アミロイドに結合するTh-Sは蛍光量の増加につながり、モニターすることが可能である。・Th-Sの蛍光量の定量化により、継時的なAβ凝集および抗凝集薬の効果を追跡することができる。関連医療ニュース アルツハイマー病、進行前の早期発見が可能となるか 軽度認知障害からの進行を予測する新リスク指標 日本人アルツハイマー病、BPSDと睡眠障害との関連は

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日本人アルツハイマー病、BPSDと睡眠障害との関連は

 アルツハイマー病(AD)における睡眠障害はBPSD(認知症の行動と心理症状)に影響を与える可能性がある。大阪大学保健センターの壁下 康信氏らは、ADの異なるステージにおける、睡眠障害とBPSDとの関連を検討した。その結果、非常に初期のAD患者において、睡眠障害とBPSDとの強い関連が認められたことを報告した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2016年3月21日号の報告。 本調査は、日本における多施設レトロスペクティブ研究(J-BIRD)の一部である。分析対象は、AD患者684例。認知症のグローバル重症度は、臨床的認知症評価尺度(CDR)を用いて推定した。BPSDは、NPI(Neuropsychiatric Inventory)を用いて評価した。CDRのスコアに応じ、ADの異なるステージにおける、睡眠障害とBPSDとの関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。・684例中146例(21.3%)は睡眠障害を有していた。・睡眠障害を有する非常に初期のAD患者(CDR:0.5)では、睡眠障害のない患者と比較し、BPSDが有意に多かった。なかでも、不安、多幸感、脱抑制、異常運動行動のNPI4項目の有病率が高かった。・中等度のAD患者(CDR:2)では、過敏性の1項目のみが影響を受けていた。軽度AD(CDR:1)高度AD(CDR:3)では、いずれも影響を受けなかった。・重回帰分析は、さまざまなCDRスコアを有するAD患者で実施した。・非常に初期のAD患者では、睡眠障害の存在は高い総NPIスコアと関連していた(β=0.32、p<0.001)。・しかし、認知機能低下、年齢、性別、教育年数を含む他の要因は、NPIスコアとの有意な関連は認められなかった。・軽度または中等度のAD患者では、BPSDと有意に関連する要因はなかった。関連医療ニュース 日本人高齢者、運動でアルツハイマー病リスク軽減:九州大学 認知症者の向精神薬使用実態と精神症状発現状況 アルツハイマー病へのBZD、使用頻度の追跡調査

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フィーバー國松の不明熱コンサルト

第1回 循環器内科「パパッとエコーでわからないもの」 第2回 消化器内科「内視鏡、やってみたけど」 第3回 呼吸器内科「肺は大丈夫だけど、苦しい」 第4回 腎臓内科「腎臓がやられているというだけで…」 第5回 血液内科「骨髄検査は正常です」 第6回 神経内科「答えは脳ではない」 第7回 膠原病内科「それでもスティル病とは言えない」 第8回 感染症内科「ほかに何があるでしょうか?」 循環器、消化器、呼吸器…どんな臓器の専門医でも日々の専門診療のなかでなかなか原因が突き止められない「熱」に直面することがあります。そんな専門医が抱える不明熱を「熱」のスペシャリスト・フィーバー國松が徹底分析。各科で遭遇しやすいキホンの熱から、検査ではわからない困った熱まで、それらの鑑別方法、対処法を詳しく解説します。 国立国際医療研究センター病院で不明熱外来を担う講師は、院内外の各科からさまざまな不明熱のコンサルトを受け、日々、その発熱の原因究明に挑んでいます。本DVDで取り上げるのは、循環器、消化器、呼吸器、腎臓、血液、神経、膠原病、感染症の8領域。「熱」に自信を持って立ち向かえる!発熱診療の強力な手がかりをお届けします!第1回 循環器内科「パパッとエコーでわからないもの」第1回は循環器内科編。循環器内科でみられるキホンの不明熱、検査ですぐにはわからない困った不明熱を解説します。「循環器疾患で来たはずなのに発熱が続いている…」「救命後に下がらない熱…」特に入院中の患者によくみられる不明熱のさまざまな可能性と、原因究明のためのアプローチを、熱のスペシャリスト・國松淳和氏がご紹介します。第2回 消化器内科「内視鏡、やってみたけど」第2回は消化器内科編。自己免疫疾患から機能性疾患まで、幅広くさまざまな疾患を扱う消化器内科医が、しばしば遭遇する不明熱について解説します。内視鏡や生検では診断のつかない、困った熱の原因を探るためのヒントを紹介します。10歳代から20年以上続く発熱と腹痛の原因疾患とは…!?第3回 呼吸器内科「肺は大丈夫だけど、苦しい」第3回は呼吸器内科編。不明熱のコンサルトを受けることも多い呼吸器内科医が、本当に困る不明熱について解説します。呼吸器という限られた臓器のなかで感染症から、まれな悪性疾患まで、さまざまな疾患の可能性がありうる領域です。特に混乱しやすいのが、原因が呼吸器疾患でなかった場合…肺炎と肺炎随伴胸水と考えていた患者が、実は横隔膜下膿瘍だったなど。見落としがちな疾患をリストアップして紹介します。第4回 腎臓内科「腎臓がやられているというだけで…」第4回は腎臓内科編。腎臓内科で不明熱に遭遇した場合、熱源が疑えても「造影剤を使用しにくい」「試験的な投薬をしにくい」という問題があります。腎機能障害患者の不明熱に対して想起すべき鑑別疾患、絶対に行うべき検査について解説します。また、長期透析という特別な背景を持つ患者の不明熱については、どうアプローチすべきなのか!? 國松氏がコンサルトを受けた実際の症例も紹介。 第5回 血液内科「骨髄検査は正常です」第5回は血液内科編。「不明熱と血球減少」は臨床内科医にとって鬼門!そのため血球減少の相談が血液内科の先生に集中しがちです。そんな他科からのコンサルトや、基礎疾患のわからない外来患者を効率よく診断するために、血球減少を来すキホンの疾患リスト、ウイルス性疾患の鑑別点を紹介します。抗体検査はもちろん必要ですが、時として素早い臨床診断も重要です。第6回 神経内科「答えは脳ではない」第6回は神経内科編。”Help me! Help me!” は神経内科医が押さえておきたい熱が出る12病態の頭文字!病態ごとに想起すべき疾患名をリストアップして解説します。また、「循環器内科のまれで重篤な疾患」と勘違いされがちな感染性心内膜炎(IE)についてもレクチャー。心原性脳塞栓症の患者が来たら、まずはIEのハイリスク群からチェックしましょう!よくある疾患でも、その裏に隠れている疾患を見逃さないための注意が必要です。第7回 膠原病内科「それでもスティル病とは言えない」第7回は膠原病科編。発熱のコンサルトに慣れている膠原病科の先生は、その原因疾患が膠原病であれば困ることはありません。困るのはやはり、最大かつ永遠の好敵手であるリンパ腫!SLEや成人スティル病など、臨床診断を行う膠原病科医にとって、病理組織検査でなければ診断できないものこそ難問です。そんな膠原病科の不明熱について、熱のスペシャリスト國松淳和先生が、症例診断も交えて解説します。第8回 感染症内科「ほかに何があるでしょうか?」日頃から不明熱の精査に慣れている感染症内科の先生方が困るのは、感染症を検討し尽くしても診断のつかない不明熱!皮疹、高サイトカイン、菌血症様という代表的な症候から臨床診断するコツや、不明熱精査と同時に始める「不明熱治療」という考え方と方法について解説します。症例検討は、ほぼ無症候で40度以上の発熱を2年間も繰り返す12歳女児。その最終診断とは?

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高用量のドネペジル徐放性製剤、日本人に対する評価は

 ドネペジルは、軽度、中等度、高度のアルツハイマー病(AD)に対する治療薬として確立している。国際的研究では、認知機能において、ドネペジル徐放性製剤(SR)23mg/日はドネペジル即放性製剤(IR)10mg/日を上回る優れた有効性が実証されているが、中等度から高度ADにおける全般的機能についてはわかっていない。認知症介護研究・研修東京センターの本間 昭氏らは、日本人高度ADにおいて、ドネペジルSR23mg/日の効果が、同IR10mg/日を上回るかの検討を行った。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2016年3月11日号の報告。 本研究は、多施設無作為化二重盲検並行群間試験にて実施された。日本人高度AD外来患者を対象に、IR10mg/日継続群とSR23mg/日切り替え群とに無作為に割り付け、24週投与した。評価項目は、Severe Impairment Battery(SIB)、臨床面接による認知症変化印象尺度(Clinician's Interview-Based Impression of Change plus Caregiver Input:CIBIC-plus)と安全性とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、IR10mg/日継続群(166例)とSR23mg/日切り替え群(185例)に割り付けられた。・SR23mg/日切り替え群は、IR10mg/日継続群と比較し、SIB(LSMD:0.0、95%CI:-1.7~1.8、p=0.981)またはCIBIC-plus(LSMD:0.2、95%CI:0.0~0.4、p=0.080)において有意な差は認められなかった。・SR23mg/日切り替え群における一般的な有害事象は、食欲不振、嘔吐、下痢、挫傷であった。安全性所見については、ドネペジルにおける既知の安全性プロファイルと共通だった。 著者らは「日本人高度AD患者において、SR23mg/日への切り替えは、IR10mg/日継続と比較し、有効性評価項目で優れているとは言えなかった。日本では、高度AD患者に対し、10mg/日が承認されていることを考慮すると、現在の知見は、日本人の同患者に対しては10mg/日が最適な用量であることを示唆している」としている。関連医療ニュース 高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度? 中等度~高度のアルツハイマー型認知症に対するドネペジル+メマンチンの有効性/安全性の検討

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腎機能に基づくレベチラセタム投与量の調整:京都大学

 第2世代抗てんかん薬であるレベチラセタムは、部分発作の管理に使用される。投与量の約70%はそのまま尿中に排泄されるため、用量調節は個々の腎機能に基づくことが推奨されている。京都大学の伊藤 聡子氏らは、レベチラセタム治療のために、日常的にモニタリングされた血中濃度データを用いてレベチラセタムの母集団薬物動態モデルを開発した。Therapeutic drug monitoring誌オンライン版2016年2月24日号の報告。 対象患者は、2012年4月~13年3月に、京都大学病院で日常的に定常状態のレベチラセタム血中濃度が測定された患者。レベチラセタムの薬物動態における患者特性の影響は、非線形混合効果モデリング(NONMEM)プログラムを用い、評価した。 主な結果は以下のとおり。・225例から得られた、合計583件の定常状態の血中濃度を解析に使用した。・患者の年齢中央値は、38歳(1~89歳)であり、推定糸球体濾過率(eGFR)は、98mL(15~189mL)/分/1.73 mであった。・レベチラセタムの血中濃度-時間データは、1次吸収のone-compartmentモデルにより十分に説明された。・経口クリアランスは個々の体重やeGFRと非比例的に関連していた。・投与量の増加は、経口クリアランスを有意に増加させた。・モデル適合における改善は、任意の抗てんかん薬の共変量を含むことで観察されなかった。・体重70kg、正常腎機能の成人におけるpopulation mean法のクリアランスは、4.8L/h(500mg bid)、5.9 L/h(1,500mg bid)であった。 結果を踏まえ、著者らは「体重やeGFRと非比例的に関連する経口クリアランスは、腎機能の変化した小児から高齢者において、ルーチンに治療薬物モニタリングデータを予測することができる。腎機能に基づく投与量の調整は、同質の範囲でトラフとピークの濃度をコントロールすることが可能である」とまとめている。■関連記事日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用かてんかん重積状態に対するアプローチは医学の進歩はてんかん発症を予防できるようになったのか抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

2251.

てんかん重積状態に対するアプローチは

 てんかん重積状態と群発発作は、よくみられる神経救急状態である。ドイツ・ザールラント大学のArmin Bachhuber氏らは、ベンゾジアゼピン非応答のてんかん重積状態と群発発作の治療における異なる抗てんかん薬治療を比較評価するため、単施設後ろ向きコホート研究を行った。CNS neuroscience & therapeutics誌2016年3月22日号(オンライン版2016年2月4日)の報告。 著者らは、2007年1月~2012年7月にザールラント大学神経内科で、ジアゼパム換算20mg以上のベンゾジアゼピンに応答しないてんかん重積状態または群発発作により治療を受けた66例の診療記録をレビューした。エンドポイントは、第2、第3ラインの治療として使用したlacosamide、レベチラセタム、バルプロ酸、フェニトインの有効性、および7日後のグラスゴー・アウトカム・スケールを分析した。 主な結果は以下のとおり。・61例(92.4%)がてんかん重積状態であり、5例(7.6%)が群発発作であった。・比較薬は、発作抑制に等しく有効であった。・7日後のグラスゴー・アウトカム・スケールに有意な差は認められなかった(p=0.60)。 結果を踏まえ、著者らは「本結果は、てんかん重積状態や群発発作の治療における、レベチラセタム、バルプロ酸、lacosamideなど現在の抗てんかん薬による治療戦略を支持する」としている。関連医療ニュース てんかん重積状態の薬物療法はエビデンス・フリー・ゾーン 高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は てんかんと自殺企図、病因は共通している

2252.

てんかん発作を8分前に予知する技術を開発

 いつ起こるかわからない「てんかん発作」を心拍数の変動から予知する仕組みが開発された。熊本大学の山川 俊貴氏は、京都大学の藤原 幸一氏、東京医科歯科大学の宮島 美穂氏らとの共同研究で、脳の病気であるてんかんの発作を、脳波ではなく心電図を基に算出した「心拍変動」から高精度で予知することに成功した。本研究は、日常的に身につけることが可能(ウェアラブル)なてんかん発作予知システムの開発のため行われた。本研究結果により、発作によるけがや事故を防ぎ、患者さんが安心して暮らすことのできる社会の実現につながると期待が寄せられている。IEEE transactions on bio-medical engineering誌2015年12月24日号の掲載報告。  心拍数を用いたてんかん発作の予知においては、これまで変動解析手法による分析方法が用いられていたが、平常時と発作前の差がわかりにくい、個人差が大きいといった理由から、実用化は困難と考えられていた。 そこで研究グループは、多変量統計的プロセス管理(MultivariateStatistical Process Control:MSPC)という工学的手法で心拍数の揺らぎを解析した。対象としたのはビデオ脳波モニタリングのために入院した患者14例で、心電図データをMSPCによって解析した。 主な結果は以下のとおり。・91%の精度で発作を予知することが可能であることが示された(偽陽性頻度は1時間に0.7回)。・また、発作が起こる約8分前(494±262秒[平均±SD]前)に予知することが可能であることがわかった。 本研究の結果について、研究グループは「わかりやすく、偽陽性が少ないことから、高精度なてんかん発作の予知が可能であることが証明された」と結論付け、心臓のそばに取り付けるウェアラブル予知デバイスの開発を進めることにしている。 熊本大学プレスリリースはこちら(PDF)。

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ジカウイルスとギラン・バレー症候群の関連、初のエビデンス/Lancet

 ジカウイルスがギラン・バレー症候群を引き起こすという、初となるエビデンス報告が、Lancet誌オンライン版2016年2月29日号で発表された。仏領ポリネシアのタヒチにあるInstitut Louis MalardeのVan-Mai Cao-Lormeau氏らの研究グループが、症例対照研究の結果、報告した。Cao-Lormeau氏は、「ジカウイルス感染症が南北・中央アメリカ中に広がりをみせている。リスクに曝されている国では、ギラン・バレー症候群患者を集中的に治療するための十分なベッドを確保しておく必要がある」と警告を発している。仏領ポリネシアでは2013年10月~14年4月の間に、ジカウイルス感染症の大規模なアウトブレイクを経験。同期間中に、ギラン・バレー症候群の患者が増大したことが報告され、ジカウイルスとの関連が指摘されていた。アウトブレイク中の患者を対象に症例対照研究で関与を検証 研究グループは、ギラン・バレー症候群発症において、ジカウイルス感染症およびデング熱ウイルス感染症が関与しているかを調べる症例対照研究を行った。 症例は、前述したアウトブレイク期間中に、タヒチ島の首都パペーテにあるCentre Hospitalier de Polynesie Francaiseで、ギラン・バレー症候群と診断された患者とした(症例群)。 対照は、年齢・性別・住所でマッチした非発熱性疾患患者(対照群1:98例)、年齢でマッチした急性ジカウイルス感染症患者で神経症状はみられない患者(対照群2:70例)とした。 症例群、対照群の感染ウイルス特定には、RT-PCR法、蛍光抗体マイクロスフェア(microsphere immunofluorescent)法、血清中和アッセイ法などが用いられた。ギラン・バレー症候群の診断では、ELISA法および複合マイクロアッセイを用いて、血清糖脂質抗体の測定が行われた。ギラン・バレー症候群患者98%がジカウイルスIgM/IgG陽性 試験期間中にギラン・バレー症候群と診断された患者は42例であった。そのうち41例(98%)がジカウイルスIgMまたはIgG陽性であった。 症例群の全患者(100%)が、ジカウイルス中和抗体を保有していた。一方、対照群1(98例)における保有者は54例(56%)であった(p<0.0001)。 症例群のうちジカウイルスIgM陽性は39例(93%)で、また、37例(88%)は、神経症状発症の中央値6日(IQR:4~10)前に、ジカウイルス感染症に罹患したことを示唆する一過性の疾患を有していた。 症例群では、電気生理学的検査で軸索型(AMAN)の所見、および急速進行(急速進行初期[installation phase]中央値6[IQR:4~9]日、静止期[plateau phase]中央値4[3~10]日)の所見が認められた。呼吸補助を必要としたのは12例(29%)、死亡例はなかった。 ELISA法による血清糖脂質抗体陽性は、13例(31%)で認められた。そのうちGA1抗体保有者が最も多く8例(19%)の患者で認められた。また、入院時の糖アッセイでは19/41例(46%)が陽性を示した。なお、典型的なAMANに関連する抗糖脂質抗体を有していた患者はまれであった。 デング熱ウイルス感染症歴については、症例群(95%)と、2つの対照群(89%、83%)で有意差はみられなかった。

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医学の進歩はてんかん発症を予防できるようになったのか

 てんかんの新規発症の予防は、重要な公衆衛生上の問題であり、緊急のアンメットニーズである。しかし、その予防が進んでいるかは不明である。フィンランド・トゥルク大学のMatti Sillanpaa氏らは、この40年間の医学の発展による、フィンランドにおけるてんかん予防の進展を検討した。JAMA neurology誌オンライン版2016年2月15日号の報告。 504万人のフィンランドの長期的国家レジスタ研究を使用し、1973~2013年にフィンランドで新規にてんかんと診断された入院患者を検討した。てんかん患者は、2回以上の非誘発性発作の発生により定義した。本研究は、2015年7月に実施された。なお、フィンランドではてんかん患者は診断時にルーチンに入院していることから、てんかん発症のエビデンスが存在する。 主な結果は以下のとおり。・1973~2013年にフォローアップされたフィンランド人平均504万人のうち、10万792人がてんかんと同定された。・このうち、4万6,995人(47%)は、焦点てんかんであった。・研究に含まれた患者の平均年齢は、男性45歳(四分位範囲:24~65歳)、女性46歳(同:23~71歳)であった。・年齢範囲65歳未満のてんかん発症率に変化は認められなかった(1973年:10万人当たり60人、2013年:同64人)。・しかし、65歳超では、有意なてんかんの増加が認められた(1973年:10万人当たり57人、2013年: 同217人)。 著者らは「本研究では、この40年間で、65歳未満の新規てんかん発症が予防されたとのエビデンスは見受けられなかった。むしろ実際には、高齢者では、新規てんかん発症が約5倍に上昇していた」とまとめている。関連医療ニュース てんかんの原因遺伝子発見により臨床にどのような変化が起こったか 薬剤抵抗性てんかんに関する新たな定義を検証 てんかん重積状態の薬物療法はエビデンス・フリー・ゾーン

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アルツハイマー病の今後の治療戦略予測

 アルツハイマー病は、最もよく見られる進行性の神経変性疾患である。コリン作動性機能障害は主要な病理学的変化の1つであり、コリン作動性ニューロンの枯渇は、βアミロイドプラークや神経原線維変化といった十分に確立された毒性によって引き起こされる。コリン作動性機能障害は、アセチルコリンの合成と放出の減少の結果であり、ムスカリン性およびニコチン性のコリン作動受容体の機能を変化させる。また、コリン作動性変化、アミロイドβ産生やタウのリン酸化と2つの主要なアルツハイマー病の病理的特徴との間には直接的な相関が同定されている。イタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学のAnnamaria Confaloni氏らは、コリン作動性受容体の活性を調節できる新たなアロステリックやbitopicリガンドの同定を検討した。さらに、脳内で薬物を送達する薬物送達(drug delivery)法(ナノ粒子、リポソームなど)が、毒性や潜在的な副作用を低減するかも検討した。Current pharmaceutical design誌オンライン版2016年2月15日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・現在、多くの薬剤(たとえば、ドネペジル、リバスチグミンなど)が、アルツハイマー病に使用されていた。そして、ムスカリン性やニコチンアゴニストのような開発中のいくつかの薬剤は、コリン作動系を特異的にターゲットとしている。主なメカニズムは、神経毒性蛋白の集積を減少し、認知障害の原因であるコリン作動性の反応を改善するコリン作動性機能障害の改善を目指している。・有望なアプローチは、脳への薬物送達の改善、または既知もしくは新規の分子経路をターゲットとした新規化合物の開発である。・ナノ粒子やリポソームは、コリン作動系をターゲットとした化合物送達への利用にとくに焦点を当てた、従来の投与経路を克服する新規ナノテクノロジーツールとして評価されている。・最終的には、研究の新規フィールドでは、人工多能性幹細胞の使用が始まる。患者から直接細胞を入手することを可能にする技術は、無限に増殖することができ、感受性神経細胞サブタイプに分化できる。・このことは、アルツハイマー病の病理学的プロセスの理解を改善するために大きく貢献し、コリン作動性機能障害の先にある現在のアルツハイマー病の薬理学を高める可能性がある。・現在のレビューに記載された内容から、薬理学的研究と薬物送達のためのナノテクノロジーの手法、新規の特異的なモデルの同定を組み合わせることで、アルツハイマー病を含むさまざまな神経疾患の治療戦略を大いに改良し、向上させられる可能性がある。関連医療ニュース これからのアルツハイマー病治療薬はこう変わる 抗認知症薬の神経新生促進メカニズムに迫る:大阪大学 新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光

2256.

認知症の発症率が低下傾向:真打ち登場!(解説:岡村 毅 氏)-489

 Framingham Heart Study(以下フラミンガム心臓研究)から、認知症の発症率が時代とともに低下していることを示すデータが報告された。これまでも認知症発症率の低下を間接的に示す報告はあったが、本報告はフラミンガム心臓研究という古く巨大なコホート研究から得られた知見であり、信頼性は高い。 ただし、わが国においても同様にいえるかどうかに関しては、実証研究を待たねばならないだろう。また、仮に低下傾向であったとしても、今後認知症を持つ人の数は爆発的に増加すること(同時にすでに人口は減少局面にあり、若者はますます減ること)は決定的であり、著者らも考察の最後でいみじくも述べているが、狂喜乱舞するのではなく、「かすかな希望」をもたらす程度に考えたほうがよいだろう。 さて、フラミンガム心臓研究といえば、循環器領域で重大な結果を量産し続けるお化けスタディであるが、認知症に関しては、うつ症状の既往(若い頃のものでも)が認知症発症の危険因子という報告1)をまずは思い出す。近年は、ソーシャルネットワークの研究もよく目にする、つまり同性の友人が肥満だと肥満になるリスクが高まる2)とか、さらに幸福3)や孤独4)も凝集する(あるいは伝染する)とかいった類の報告である。ネットワークの先験性として、そもそも友人は遺伝的に近いのだ5)とまで報告されていた。素晴らしい研究だが、ここに至ると人間にとって自由とは何かと考えさせられてしまう。一方で批判もあるようで、BMJ誌は「同じ号で」批判の論文6)を載せており、「ダメな解析をしたら、ニキビ、身長、頭痛もソーシャルネットワークを通して伝染性しました(つまり、こんなのはでたらめです)」と述べていて、痛快な批判合戦である。まあ、私自身はこうした論文の解析方法は門外漢であり、以上はいち精神科医の単なる感想です。 フラミンガム心臓研究や、4大ジャーナルからは目が離せない。参考文献1)Saczynski JS, et al. Neurology. 2010;75:35-41.2)Christakis NA, et al. N Engl J Med. 2007;357:370-379.3)Fowler JH, et al. BMJ. 2008;337:a2338.4)Cacioppo JT, et al. J Pers Soc Psychol. 2009;97:977-991.5)Christakis NA, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014;111:10796-10801.6)Cohen-Cole E, et al. BMJ. 2008;337:a2533.

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アルツハイマー介護負担、日本と台湾での比較:熊本大学

 台湾におけるアルツハイマー病(AD)の介護負担は、日本と同様に緊急の社会的課題となっている。介護負担の比較は、それぞれの国における介護者の負担感を明確にする可能性がある。熊本大学の松下 正輝氏らは、日本と台湾のADに対する介護負担の比較を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2016年1月28日号の報告。 試験参加者は外来AD患者343人、日本の介護者230人および台湾の介護者113人。Zarit介護負担尺度(ZBI)の日本語版と中国語版を使用し、介護負担を評価した。初期解析では、各グループのZBIの因子構造を確認するため、探索的因子分析を行った。そして、複数グループ構造方程式モニタリング(MG-SEM)は、ZBIの測定不変性(たとえば構造不変性、計量不変性、スカラー不変性など)を評価するために使用した。最後に、日本と台湾のZBI潜在因子平均値を比較した。 主な結果は以下のとおり。・両グループにおいて、確証的因子分析では、「介護者の生活への影響」「恥ずかしさ/怒り」「依存関係」の3つの要因が抽出された。・MG-SEMでは、許容可能なモデルの適合を示し、部分スカラー不変性を認めた[CFI(comparative fit index):0.901、RMSEA(root mean square error of approximation):0.066]。・潜在因子平均値の比較では、台湾の介護者における「介護者の生活への影響」のスコアは、日本の介護者よりも有意に高かった(p=0.001)。・しかし、台湾の介護者の「依存関係」は、日本の介護者よりも低かった(p<0.001)。 結果を踏まえ、著者らは「部分測定不変性により、両国の潜在的因子平均値を比較することができた。比較の結果、日本と台湾では介護負担の感じ方に違いがある可能性が示唆された」としている。関連医療ニュース 複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加 認知症と介護、望まれる生活環境は 介護施設での任天堂Wiiを用いたメンタルヘルス

2260.

一次性進行型多発性硬化症における経口フィンゴリモド療法(INFORMS):第III相二重盲検プラセボ対照試験(解説:内山 真一郎 氏)-485

 一次性進行型多発性硬化症(MS)に、有効性が証明されている治療法は存在しない。フィンゴリモドは、経口のスフィンゴシン-1-リン酸受容体修飾薬であり、再発型MSに効果があるが、一次性進行型MSには試されたことがない。 INFORMS試験は、一次性進行型MS患者970例において、フィンゴリモド1.25mg/日またはプラセボを3~5年間投与して比較した、国際共同研究による二重盲検並行群間試験であったが、フィンゴリモドは、MSによる神経障害の進行を遅らせることができなかった。 フィンゴリモドは、中枢神経の炎症を抑制する効果があるが、一次性進行型MSは再発型MSに比べて炎症の関与が少なく、神経変性過程の関与が大きいために有効性が示されなかったと考えられる。一次性進行型MSには、再発型MSに用いられるような抗炎症戦略は有効性が期待しにくいので、今後は新たな治療戦略が必要になるであろう。

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