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中等症~重症ARDS、早期神経筋遮断薬は無益か/NEJM

 中等症~重症の急性呼吸促迫症候群(ARDS)患者において、早期cisatracurium持続注入と深鎮静を行っても、ルーチンの神経筋遮断を行わず目標鎮静深度がより浅い通常治療を行った場合と比べて、90日院内死亡リスクは減少しないことが示された。米国・国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)が資金援助するPETALネットワーク(Clinical Trials Network for the Prevention and Early Treatment of Acute Lung Injury)が、1,000例超の患者を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。NEJM誌2019年5月19日号掲載の報告。両群ともに高PEEP時の戦略を含む人工呼吸管理を実施 研究グループは、中等症~重症のARDS患者(動脈酸素分圧/吸入酸素濃度比150mmHg未満、呼気終末陽圧[PEEP]8cmH2O以上と定義)を無作為に2群に分け、一方にはcisatracuriumの48時間持続注入と深鎮静を同時に行い(介入群)、もう一方にはルーチンの神経筋遮断は行わず目標鎮静深度がより浅い通常治療を行った(対照群)。人工呼吸管理に関する方針は両群で同一で、高PEEP戦略などを含んでいた。 主要エンドポイントは、90日時点のあらゆる院内死亡だった。90日院内死亡率、両群ともに約43% 本試験は、無益性を理由に2回目の中間解析後に中止となった。 2016年1月~2018年4月に、米国48病院で4,848例がスクリーニングを受けて、中等症~重症のARDSで、発症後間もない(発症後の経過時間の中央値7.6時間)1,006例が主要解析に包含された。 無作為化後48時間以内にcisatracuriumの持続注入を行ったのは、介入群501例中488例(97.4%)で、注入時間中央値は47.8時間、投与量中央値は1,807mgだった。対照群で48時間以内に神経筋遮断薬を投与されたのは、505例中86例(17.0%)で投与量中央値は38mgだった。 90日院内死亡率は、介入群42.5%(213例)、対照群42.8%(216例)であり、両群で同等だった(群間差:-0.3ポイント、95%信頼区間[CI]:-6.4~5.9、p=0.93)。 なお入院中、介入群は対照群に比べ身体活動度が低く、有害心血管イベントの発生率が高かった。3、6、12ヵ月時点に評価したエンドポイントに関する群間差は一貫して認められなかった。

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026)令和?平成? 院内の元号論争【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第26回 令和元年?平成31年? 院内の元号論争しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆いよいよ令和に入りましたが、職場での元号切り替えはスムーズにいきましたでしょうか!? デルぽんの勤務先の電子カルテはつつがなく移行し、各種書類の「平成」部分も、手書きで粛々と「令和」に訂正している次第です。さて、令和フィーバーも落ち着いてきたある日のこと。デルぽんが外来で書類仕事をしていると、ふとナースたちの雑談が聞こえてきました。話によると、院内の書類は基本「令和」で作成することに決定。ただし、看護部にまつわる書類だけは「平成」のまま作成するとのこと。令和元年は平成で統一させたかった看護部長が、「看護部だけでも平成でいく!」と独断で決めたようです。現場のナースたちは戸惑っているようでした。デルぽんは直接関わりのないことですが、「どこでも少なからずこういう意見の不一致はあるよな~」と感じた次第です。ちなみに、改元日以降に作成する文書ですが、平成のままでも有効なようです1)。デルぽんは院内の決まりに従い、提出書類は適宜「令和」に訂正するつもりですが、必ずしも直す必要はないのですね。今回の件で、ひとつ勉強になりました。改元は、何度も経験することではないですから、なるべく混乱を避けた対応が求められますね。院内の元号論争が平和的に解決されますように!それでは、また~☆参考1)改元に伴う元号による年表示の取扱いについて(平成31年4月1日新元号への円滑な移行に向けた関係省庁連絡会議申合せ)

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第21回 救急外来に担ぎ込まれた外傷の症例1【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

今回は、外傷(ケガ)の症例を呈示します。身体の表面の外傷だけではなく、外傷による脳出血や内臓の損傷、それから骨折などに対する根本的な治療は外科医が専門ですが、内科医も外傷の初期診療に携わることがあります。外科医の持っている手術などの技術のない内科医が、どのようなことに注意しながら外傷の初期診療を行っているか、薬剤師の皆さんにご紹介したいと思います。プロローグ本日、薬剤師のあなたは研修の目的で病院へとやってきました。研修を終えたあなたは、病院内の見学を許可され、救急外来に入ってきたところです。「最近具合が悪くて病院に搬送した患者さんが多いけど、救急外来ってどんなところなのかしら...」患者さんHの場合◎経過──1「おい!痛いって言ってるだろ!なにするんだ!やめろ!」(え!?)そんな声が聞こえてからまもなく、ストレッチャーに横たわった男性が救急外来に担ぎ込まれてきました。周りには医師や複数の看護師がいます。医師の名札には「内科」と書かれていました。運ばれてきた男性は大声で叫んでおり、ストレッチャーの上で起きあがろうとしたり、暴れたりしています。「大丈夫ですか!?ここは病院ですからね!ケガの状態をみますよ!」「うるさい!こら!痛いじゃないか!放せ!」複数の看護師や内科医は男性を押さえつけながら、衣服を脱がせ、心電図モニターや血圧計を装着しています。見ると、左下腿は変形し、実際に骨折した人を見たことのないあなたでも明らかに骨折していることがわかりました。(何?どうなってるの!?)モニター画面に映し出されたバイタルサインと意識レベルは表1の通りです。(あ、SpO2が低下している...!)あなたがそう思ったその時、「待機の外科と整形外科に連絡して」内科医がそう言うと、1人の看護師が電話機の方に向かいました。◎経過──2内科医が、ケガをした状況を目撃していた病院の職員から情報を聞きつつ、診療にあたっています。「酸素10Lで開始、静脈路確保して(生理食塩液の)点滴を全開で」《男性が受傷したところを目撃した病院職員からの情報》24歳の男性です。委託の清掃会社で働いています。先程、病院の窓の清掃中に、2階の窓から転落しました。足から落ちたのですが、花壇の縁石に左胸をぶつけたようです。目撃した職員が、すぐ近くを通りかかった医師を呼び止め、すぐに病院のスタッフを集めてストレッチャーで救急外来に運びました。内科医は、変形した左足を横目に、脈をとりながら胸や腹部の診察を行っています。傍らには超音波の機器が置いてあり、放射線技師がポータブルで胸部と骨盤のレントゲンを撮影し終わりました。「何やってんだ!痛いのはそこじゃない!足が痛いんだ...!」そう叫び終えるとその男性は1度嘔吐しました。するとまもなく静かになり暴れなくなりました。(やっと落ち着いたのかしら...)遠くで見ていたあなたはちょっと安心しました。しかし、そんなあなたとは対照的に、救急外来は慌ただしさを増し、内科医が指示を出しています。「メス、トロッカー※1、(気管)挿管の準備をはじめて!静脈路をもう1か所確保して!!」モニターに目を移したあなたは背筋がゾッとしました〈表2〉。※1:胸腔ドレナージチューブのことPrimary surveyとSecondary surveyとTertiary survey第2回バイタルサインの測定法で述べた通り、急を要するときというのは、気道・呼吸・循環に異常がある場合です。その評価をする目的でバイタルサインと呼ばれる5つの生命徴候(呼吸・脈拍・血圧・体温・意識レベル)をチェックします。これらの生理学的徴候に異常を来している場合に急を要すると判断しますが、これは、内因性の疾患(病気)に限らず外傷の診療でも同じことが言えます。外傷患者に対する初期診療は、3段階に分かれます。第1段階はprimary surveyと呼ばれ、生命を維持するのに必要な生理機能(気道・呼吸・循環・中枢神経)の評価と治療を行います。もしこの段階で異常があれば、この時点でどの臓器にどんな外傷がどの程度あるのかなど具体的に診断できていなくても、直ちに生命徴候の異常を改善するように治療を開始します。上記の生理機能が安定すれば、次は第2段階secondary surveyに移ります。詳しく受傷の状況や病歴などを確認し、頭からつま先、背部に至るまでくまなく全身の診察を行いCTなどの画像診断を含め各種検査を行って、どの臓器にどんな外傷がどの程度あるのかを具体的に検索します。もちろんこの段階で生命徴候の異常が出現すれば、primary surveyに逆戻りします。そして第3段階のtertiary surveyでは、見落としがないかどうかを再度確認します。初期診療においては、生命を維持するのに必要な生理機能の異常を素早く察知して、その異常を正常化させること(primary surveyとその段階での初期治療)が救命のために大切であることを強調したいと思います。

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一般内科医が知っておきたい他科の基本処置

このコンテンツは、離島・へき地医療に従事する医師をサポートするゲネプロの協力のもと、プライマリケアに従事する医師が身に付けるべき基本手技をお届けするスペシャル・プログラムです。なかなか接することのない他科の基本手技で、日常診療で役立つ手技を、この機会に学習ください。

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第1回 耳鼻科の手技 その1【一般内科医が知っておきたい他科の基本処置】

第1回 耳鼻科の手技今回の耳鼻科編では、「耳道の診察と耳垢・異物のクリーニング」と「鼻出血の止血処置」の2つの手技を学習します。「耳道の診察と耳垢・異物のクリーニング」では、おなじみの耳の解剖図をもとに診察時にどのように、どこを診るか、処置するときに気を付けるポイント、処置時のコツなど臨床の最前線で活躍する医師の知恵満載でお届けします。一見簡単そうな「鼻出血の止血処置」では、世間で言われている間違った方法に警鐘を鳴らし、本当に止血できる処置の手技をコンパクトに解説します。解説は飯塚 崇氏(高野台いいづか耳鼻咽喉科 院長)、監修はへき地・離島医療の助っ人ゲネプロ。【耳鼻科編 1】耳道の診察と耳垢・異物のクリーニング

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日本におけるADHD児に対する薬物療法の変化

 東北大学の吉田 眞紀子氏らは、日本におけるADHD児に対する薬物療法の傾向について調査を行った。Journal of Attention Disorders誌オンライン版2019年5月5日号の報告。 2005年1月~2015年12月の健康保険請求データ367万2,951例を用いて、ADHD児7,856例の薬物治療の傾向を調査した。 主な結果は以下のとおり。・2007年に承認されたメチルフェニデート徐放性製剤の処方割合は、2009年で31.4%に達し(調整オッズ比[AOR]:2.72、95%信頼区間[CI]:2.12~3.51)、その後は頭打ちとなった(AOR:0.96、95%CI:0.94~0.98)。・アトモキセチンの処方割合は、2008年の6.1%から2014年には21.8%に上昇した(AOR:1.12、95%CI:1.13~1.18)。・アリピプラゾールおよびラメルテオンの処方割合が増加していた(傾向のp<0.001)。 著者らは「ADHD児に対する薬物療法に変化が認められた。ADHD児に使用される治療薬の安全性を監視する必要がある」としている。

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食塩摂取と肥満の関連~日本と中国・英国・米国

 食塩摂取が過体重や肥満の独立した危険因子である可能性が、いくつかの研究で報告されている。しかし以前の研究では、1日食塩摂取量を推定するために24時間蓄尿ではなく単回尿や食事思い出し法を用いていること、単一国や単施設のみの集団でのサンプルといった限界があった。今回、中国・西安交通大学のLong Zhou氏らは、International Study of Macro-/Micro-nutrients and Blood Pressure(INTERMAP研究)のデータから、日本、中国、英国、米国における、2回の24時間蓄尿で推定した食塩摂取量とBMI(kg/m2)および過体重/肥満の有病率の関係を調査した。その結果、日本、中国、英国、米国のすべてで、食塩摂取量がBMIおよび過体重/肥満の有病率と関連することが示された。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2019年5月21日号に掲載。 本研究は、日本(1,145人)、中国(839人)、英国(501人)、米国(2,195人)における40~59歳の男女4,680人の横断研究のデータを用いた。食塩摂取量とBMIの関連における回帰係数(β)の計算は一般線形モデルを使用した。食塩摂取量が1日当たり1g多い場合の過体重/肥満のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。・エネルギー摂取量を含む潜在的な交絡因子を調整した場合、食塩摂取量が1日当たり1g多いとBMIは日本で0.28、中国で0.10、英国で0.42、米国で0.52高かった。・食塩摂取量が1日当たり1g多いと、過体重/肥満のオッズは日本で21%、中国で4%、英国で29%、米国で24%高く、すべてp<0.05であった。

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グルコサミン、心血管イベントを抑制/BMJ

 変形性関節症の痛みを軽減するためのグルコサミンの習慣的な補充療法が、心血管疾患イベントのリスクを低減しており、とくに喫煙者でその効果が高い可能性があることが、米国・テュレーン大学のHao Ma氏らによる前向きコホート研究で明らかとなった。研究の成果はBMJ誌2019年5月14日号に掲載された。グルコサミン補助剤を用いる補充療法は、変形性関節症の治療で一般的に使用されているが、疾患や関節痛の軽減への効果は議論が続いている。その一方で、最近の動物実験やヒトの横断研究により、心血管疾患の予防や死亡率の抑制において役割を担う可能性が示唆され、前向き研究のエビデンスが求められている。英国のUKバイオバンクのデータを前向きに解析 研究グループは、習慣的なグルコサミンの使用と心血管疾患イベントの関連の評価を目的に、前向きコホート研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 解析には、英国のUKバイオバンク(2006~10年に、年齢40~69歳の約50万人を登録)のデータを用いた。ベースライン時に、心血管疾患がなく、グルコサミンを含む補助剤の使用に関する質問票に回答した参加者46万6,039例を、2016年まで追跡した。 主要アウトカムは、心血管疾患イベント(心血管疾患による死亡、冠動脈疾患、脳卒中)の新規発生とした。心血管疾患イベント15%低下、喫煙者の有効性は偶然の可能性も グルコサミン使用群は8万9,985例(19.3%、平均年齢58.9[7.1]歳、女性63.6%)、非使用群は37万6,054例(80.7%、55.6[8.2]歳、54.0%)であり、使用群は年齢が高く、女性が多かった。 追跡期間中央値は7年で、この間に1万204件の心血管疾患イベントが新たに発生し、このうち心血管疾患による死亡が3,060件、冠動脈疾患イベントが5,745件、脳卒中イベントは3,263件だった。 年齢、性別、BMI、人種、生活習慣(喫煙、飲酒、身体活動など)、食事摂取、薬剤使用、他の補助剤使用などで調整すると、グルコサミン使用により、心血管疾患イベントが15%有意に低下した(補正後ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.80~0.90、p<0.001)。 また、心血管疾患による死亡は22%(補正後HR:0.78、95%CI:0.70~0.87、p<0.001)、冠動脈疾患イベントは18%(0.82、0.76~0.88、p<0.001)、脳卒中イベントは9%(0.91、0.83~1.00、p=0.04)、それぞれ有意に減少した。 さらに、冠動脈疾患は、非致死的(補正後HR:0.84、95%CI:0.77~0.91、p<0.001)および致死的(0.70、0.59~0.85、p<0.001)の双方が、グルコサミンにより有意に低下した。一方、脳卒中では、非致死的、致死的、虚血性、出血性のいずれにも有意差は認めなかった。 層別解析では、グルコサミンの使用と喫煙には、心血管疾患および冠動脈疾患に関して、有意な相互作用がみられた。すなわち、グルコサミン使用群のうち、元喫煙者で心血管疾患が15%(補正後HR:0.85、95%CI:0.79~0.94)、生涯非喫煙者で12%(0.88、0.82~0.97)、それぞれ低下したのに対し、現喫煙者では26%(0.74、0.63~0.87)と、さらにリスクが低下していた(pinteraction=0.02)。同様に、冠動脈疾患は、元喫煙者で18%(0.82、0.73~0.93)、生涯非喫煙者で12%(0.88、0.79~0.99)、現喫煙者では37%(0.63、0.51~0.79)と低下した(pinteraction=0.004)。現喫煙者での効果は、元喫煙者や生涯非喫煙者よりも強力だった。 著者は、「喫煙者での良好な結果は、偶然による可能性を排除できない」としたうえで、「喫煙者は炎症レベルが高いとされ、炎症ストレスが大きい集団では抗炎症薬の効果が高いとの仮説があることから、グルコサミンと喫煙の相互作用は生物学的にはありえると考えられる」と考察している。

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IV期NSCLCに対するEGFR-TKIと放射線療法の併用

 EGFR変異を有するIV期の非小細胞肺がん(NSCLC)における1次治療として、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)と胸部放射線療法を組み合わせた有効性と安全性が、前向き研究により検討された。 今回、中国・Xinqiao Hospitalがん研究所のLinPeng Zheng氏らが行った研究結果は、The oncologist誌オンライン版2019年4月30日号に掲載された。末期NSCLCにおける1次治療としてのEGFR-TKIと胸部放射線療法の併用は、原発性肺病変の長期管理を可能にするかもしれない。EGFR-TKIと胸部放射線療法の併用による客観的奏効率は50% 本試験は、当該施設において2015年1月~2018年3月までに401例の患者がスクリーニングされ、そこから抽出された10例の患者(男女各5例)を対象に行われた単群第II相臨床試験。 各患者は、EGFR-TKI療法の開始から2週間以内にEGFR-TKI(エルロチニブ150mg/日またはゲフィチニブ250mg/日)と胸部放射線療法(54~60Gy/27~30F/5.5~6週間)を受け、疾患の進行または治療継続が困難な有害事象のいずれかが現れるまで治療が続けられた。 IV期のNSCLC治療におけるEGFR-TKIと胸部放射線療法の併用を評価した主な結果は以下のとおり。・患者の年齢中央値は55歳(40〜75歳)、追跡期間の中央値は19.8ヵ月(5.8〜34ヵ月)だった。・1年間の無増悪生存率は57.1%、PFS中央値は13ヵ月、照射病変の進行までの期間中央値は20.5ヵ月だった。・客観的奏効率は50%であり、疾病コントロール率は100%だった。・Grade3以上の有害事象は、放射線肺臓炎(20%)および発疹(10%)だった。そのうち1例が肺炎の治療を拒否した後死亡したが、他の患者たちの肺臓炎は良好に管理され、再発しなかった。

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肺がん 海外学会レポート

ASCO、ESMOの重要トピックを紹介ASCOESMOASCO2019現地シカゴからオンサイトレビュー06/05 ASCO2019現地速報 肺がん(2)06/04 ASCO2019現地速報 肺がん(1)2018現地シカゴからオンサイトレビュー06/04 ASCO2018現地速報 肺がん(1)06/04 ASCO2018現地速報 肺がん(2)会員聴講レポート06/13 ASCO2018肺がん会員聴講レポートESMO2019現地バルセロナからオンサイトレビュー10/02 ESMO2019レポート現地速報 肺がん2018現地ミュンヘンからオンサイトレビュー10/24 ESMO2018レポート現地速報 肺がん会員聴講レポート11/26 ESMO2018レポート 肺がん

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慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー〔CIDP:chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy: CIDP)は、2ヵ月以上にわたる進行性、または再発性の経過を呈し、運動感覚障害を特徴とする免疫介在性の末梢神経疾患(ニューロパチー)である。診断は、主に臨床所見と電気生理所見に基づいて行われ、これまでにいくつかの診断基準が提唱されている。とくに有名なものとして、“American Academy of Neurology(AAN)”の診断基準と“European Federation of Neurological Societies/Peripheral Nerve Society(EFNS/PNS)”の診断基準の2つがあり、現在はEFNS/PNSの診断基準が頻用されている。■ 疫学わが国におけるCIDPの有病率と発症率は、EFNS/PNSの診断基準より以前に作成されたAANの診断基準を採用した調査によると、それぞれ10万人当たり1.61人と0.48人であった。AANの診断基準は、現在頻用されているEFNS/PNSの診断基準と比較すると、より厳格で感度が低いことから、実際の患者数はさらに多いと考えられる。■ 病因自己免疫性の機序が推測されているが、後述するように多様な病型が存在し、複数の病態が関与していると考えられており、詳細は明らかになっていない。病理学的にはマクロファージが、末梢神経系の髄鞘を貪食することによって生じる脱髄像が本疾患の特徴であり、髄鞘の障害が神経の伝導障害を引き起こすと考えられてきた(図1)1)。近年、CIDP患者の1割程度で、傍絞輪部の髄鞘終末ループと軸索を接着させる機能を持つneurofascin 155とcontactin 1に対する抗体が陽性となることが明らかになった。これらの抗体陽性例では、マクロファージによる髄鞘の貪食像がみられず、抗体の沈着によって傍絞輪部における髄鞘の終末ループと軸索の接着不全が生じることが明らかにされている(図2)2)。一方、古典的なマクロファージによる脱髄と関連した自己抗体はいまだ明らかになっていない。画像を拡大する髄鞘を囲む基底膜(矢頭)内に入り込んだマクロファージ(M印)の突起(矢印)が髄鞘を破壊している。有髄線維の軸索を★印で示す。腓腹神経生検電顕縦断像。酢酸ウラン・クエン酸鉛染色。Scale bar=1μm。画像を拡大する髄鞘の終末ループと軸索の間隙を矢印で、有髄線維の軸索を★印で示す。腓腹神経生検電顕横断像。酢酸ウラン・クエン酸鉛染色。Scale bar=0.3μm。■ 症状現在頻用されているEFNS/PNS診断基準では、2ヵ月以上にわたる慢性進行、階段状増悪、あるいは再発型の経過を呈し、四肢対称でびまん性の筋力低下と感覚異常を来すものを典型的CIDP(typical)と定義している。典型的CIDPでは感覚障害よりも運動障害が目立つ場合が多く、自律神経症候は通常みられない。感覚障害に関しては、四肢のしびれ感を自覚する場合が多いが、痛みを訴えることは少ない。CIDPに類似した症状を有する患者で痛みを訴える場合は、リンパ腫やPOEMS症候群や家族性アミロイドポリニューロパチーなどの他疾患の可能性を考慮して、精査を進める必要がある。また、次に述べるような左右非対称や遠位部優位の障害分布を呈するCIDP患者も存在する。■ 分類EFNS/PNS診断基準では、先に述べたようなtypical CIDPのほかに、非典型的CIDP(atypical CIDP)として、遠位優位型(distal acquired demyelinating symmetric:DADS)、非対称型(multifocal acquired demyelinating sensory and motor neuropathy:MADSAM)、局所型、純粋運動型、および純粋感覚型の5種類の亜型を挙げている。近年報告されるようになった抗neurofascin 155抗体と抗contactin 1抗体陽性の患者は、typical CIDPかDADSの病型を呈するが、経静脈的免疫グロブリン(intravenous immunoglobulin:IVIg)療法に対して抵抗性であり、感覚性運動失調や振戦が高率にみられるなどの特徴を有し、従来型のCIDPとは異なる一群と考えられるようになってきている。■ 予後多くの患者は免疫治療によって症状の改善がみられるが、再発性の経過をとることが多く、症状が持続することによって軸索障害も生じると考えられている。軸索障害が目立つ患者では、筋萎縮がみられるようになり、免疫治療への反応性が不良であることが知られている。また、治療抵抗性で重度の機能障害に陥ることもあり、なかには呼吸障害や感染症により死亡することもある。一方、短期間の治療で長期間の寛解が得られたり、自然寛解もみられることが知られており、CIDPの予後は多様である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)先に述べたtypical CIDP、DADS、MADSAM、局所型、純粋運動型、純粋感覚型といった臨床病型に照らし合わせながら、神経伝導検査、脳脊髄液検査、MRIなどの所見を併せて総合的に診断する。EFNS/PNS診断基準では、神経伝導検査所見に基づいた電気診断基準が定められており、伝導速度の遅延、終末潜時の延長、伝導ブロック、時間的分散、F波の異常など、末梢神経の脱髄を示唆する所見を見いだすことが重要である。脳脊髄液検査では、細胞数の増多を伴わない蛋白の上昇、いわゆる蛋白細胞解離がみられる。典型例の神経生検では節性脱髄、再髄鞘化、オニオンバルブなどの脱髄を示唆する所見と神経内鞘の浮腫がみられることがある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)CIDP患者に対する第1選択の治療としてはIVIg療法、副腎皮質ステロイド薬、血漿浄化療法があり、効果は同等といわれている。IVIg療法は効果の発現が早く、簡便に施行できることから、最初の治療として選択されることが多いが、一定の割合で無効例が存在することと、再発を繰り返す患者も多いことを念頭に置く必要がある。IVIg療法は、1回目に明らかな効果がみられない場合でも、2回目の投与で有効性を示す場合もあることから、無効と判断するには2回までの投与は試みる価値があるとされている。抗neurofascin 155抗体や抗contactin 1抗体陽性の患者は、IVIg療法に対する反応性が乏しい場合が多い反面、副腎皮質ステロイド薬や血漿浄化療法は有効とされている。これらの抗体の主な免疫グロブリンサブクラスはIgG4であり、免疫吸着療法はIgG4を吸着しにくいことを考慮に入れる必要がある。4 今後の展望先に述べたとおりIVIg療法は、効果発現が早く簡便に施行できることから臨床の現場で頻用されているが、再発を生じることが多く、再発の度に繰り返しのIVIg療法を必要とすることも多い。IVIg療法で再発を繰り返す場合には、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬の併用や血漿浄化療法への切り替えやIVIgの追加という選択肢もあるが、再発前にIVIgを定期的に投与する方法、すなわち維持療法の有用性も報告されており、わが国でも承認された。IVIgによる維持療法は疾患の増悪を未然に防ぎ、軸索障害の進行も抑制すると考えられることから、今後広く用いられるようになることが予想される。また、2019年3月に効能が追加され使用できるようになったハイゼントラ皮下注のように高濃度の免疫グロブリン製剤の皮下投与も、CIDPに対して有効であることが示されており、近い将来、治療の選択肢の1つとなることが予想される。5 主たる診療科脳神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報全国CIDPサポートグループ(患者とその家族および支援者の会)1)Koike H, et al. Neurology. 2018;91:1051-1060.2)Koike H, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017;88:465-473.公開履歴初回2019年5月28日

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保険薬局協会が「公平な調剤報酬」求め要望書を提出【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第25回

「非薬剤師による調剤が可能」と明らかにした「0402通知」の発出、財務省での社会保障の議論など、2020年度診療報酬改定に向けた動きが着々と進んでいます。その報酬改定に関して、日本保険薬局協会(NPhA)が要望書を提出しました。日本保険薬局協会は5月9日、2020年度診療報酬改定に向けた要望書を厚労省に提出したと発表した。2016年度調剤報酬改定以降、一定規模以上の規模の薬局グループに対して調剤基本料の減算の流れが続いていることを「複雑化し、不公正な状況をもたらしている」と指摘。そのうえで、地域支援体制加算の要件について触れ、「各薬局、薬剤師が果たしている機能に応じた公正な調剤報酬に改定するよう」求めた。(2019年5月13日付 ミクスOnline)日本保険薬局協会は、保険薬局が中心となって2004年に設立された団体です。2018年4月時点での会員数(法人数)は、賛助会員を合わせると477法人となっています。日本薬剤師会が、中小の薬局の会員が多く、病院も含めた薬剤師全体の職能団体であるのに対し、日本保険薬局協会は、比較的店舗数が多い中堅以上の保険薬局チェーンを中心とした団体といえます。この日本保険薬局協会が示した地域支援体制加算の要件とはどのようなものなのでしょうか。立地や法人の規模で算定できる地域支援体制加算は「不公平」まず、地域支援体制加算とは、2018年度改定で新設された加算で、それ以前の基準調剤加算を踏襲し、より地域医療に貢献する薬局を評価する目的で新設されたものです。しかし、ふたを開けてみると、調剤基本料1を算定する保険薬局とそれ以外の薬局における難易度には雲泥の差があり、算定の実態から「調剤基本料1を算定しなければ取れない加算」、さらには「調剤基本料1を算定していれば取れる加算」とまでいわれる点数となりました。日本保険薬局協会は、「地域医療への貢献実績がなくても立地や法人の規模で算定できる地域支援体制加算は公平ではない」と指摘し、調剤基本料1以外の場合の既存8要件に「健康サポート薬局」「24時間開局」「地域ケア会議などへの参加」「AMR対策に関する啓発活動」などを加え、そのうち8つの要件を満たすことで算定を可能とすることを要望しています。また、地域支援体制加算以外にも、以下のような要望を提出したと報じられています。かかりつけ薬剤師指導料の算定要件に関して、勤務時間を女性活躍の視点から32時間から30時間に緩和すること調剤基本料を決める処方箋集中率の計算において、在宅関連点数に関わる処方箋を含めること認知症患者に対する在宅業務の重要性を評価する加算制度の創設吸入薬の服薬指導加算の創設医療機関、薬局間におけるプロトコル締結、運用の推進およびその評価薬局薬剤師によるポリファーマシー介入に対する評価ICT技術の活用要は、日本保険薬局協会は、薬局の立地ではなく、それぞれの薬局の機能や薬剤師が果たしている業務について評価することを求めているといえます。薬局はその医療環境によって特色があって当然だと私は思っているので、吸入指導や認知症対応、AMR対策などさまざまな評価項目があるのはよいことなのではないかと思います。立地や会社規模は関係なく、機能で勝負するために薬局を地域に適した方向に舵取りするということは、患者さんにとっても、そして現場で頑張る薬剤師にとってもメリットがあることなのではないでしょうか。

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第10回 高齢者糖尿病の薬物療法(メトホルミン、SGLT2阻害薬)【高齢者糖尿病診療のコツ】

第10回 高齢者糖尿病の薬物療法(メトホルミン、SGLT2阻害薬)Q1 腎機能低下を考慮した薬剤選択・切り替え(とくにメトホルミンの使用法)について教えてくださいeGFR 30mL/分/1.73m2未満の腎機能低下例では、メトホルミン、SU薬、SGLT2阻害薬は使用しないようにします。腎機能の指標としては血清クレアチニン値を用いたeGFRcreがよく用いられますが、筋肉量の影響を受けやすく、やせた高齢者では過大評価されてしまうことに注意が必要です。このため、われわれは筋肉量の影響を受けにくいシスタチンC (cys)を用いたeGFRcysにより評価するようにしています。メトホルミンの重大な副作用として乳酸アシドーシスが知られており、eGFR 30mL/分/1.73m2未満でその頻度が増えることが報告されています1)。したがって、本邦を含めた各国のガイドラインでは、eGFR 30未満でメトホルミンは禁忌となっています。しかし30以上であれば、高齢者でも定期的に腎機能を正確に評価しながら投与することで、安全に使用できると考えています。各腎機能別のメトホルミンの具体的な使用量は、eGFR 60以上であれば常用量を投与可能、eGFR 45~60では500mgより開始・漸増し最大1,000mg/日、eGFR 30~45では最大500mg/日とし、eGFR 30未満では投与禁忌としています。なお、重篤な肝機能障害の患者への使用は避け、手術前後やヨード造影剤検査前後の使用も中止するようにします。心不全に関しては、メトホルミン使用の患者では死亡のリスクが減少することが報告されており、FDAでは禁忌ではなくなっています。ただし、本邦ではまだ禁忌となっているので注意する必要があります。また腎機能は定期的にモニターし、eGFRが低下するような場合には、上記の原則に従って減量する必要があります。また経口摂取不良、嘔気嘔吐など脱水のリスクがある場合(シックデイ時)には投与中止するようにあらかじめ指導しておくことが重要です2)。SGLT2阻害薬については、次のQ2で解説します。Q2 高齢者でのSGLT2阻害薬の適否の考え方は?近年、心血管リスクの高い糖尿病患者に対する、SGLT2阻害薬の心血管イベント抑制作用や腎保護作用が相次いで報告されています。SGLT2阻害薬は腎機能が高度に低下しておらず(eGFR≧30 mL/分/1.73m2が目安)、肥満・インスリン抵抗性が疑われる患者には適しており、これらの患者には、メトホルミンと同様に治療早期から使用しているケースも多いです。ただし、下記に挙げるさまざまな注意点があり、通常は75歳まで、最高でも80歳前後までの患者への投与を原則とし、80歳以上の患者にはとくに慎重に投与しています。75歳未満の患者では下記に留意し、対象患者を定めています:1.脱水や脳梗塞のリスクがあるため、認知機能やADLが保たれており飲水が自主的に十分できる患者かどうか(利尿薬投与中の患者ではとくに注意が必要)2.性器・尿路感染のリスクがあるため、これらの明らかな既往がないかどうか3.明らかなエビデンスはないが、筋肉量減少の懸念があるため、サルコペニアが否定的で定期的な運動を行えるかどうかそのほか、メトホルミンと同様に、シックデイ時には投与中止するようにあらかじめ指導しておくことが非常に重要です3)。Q3 認知症で服薬アドヒアランスが低下、投薬の工夫があれば教えてください認知症患者の服薬管理においては、認知機能の評価とともに、社会サポートがあるかどうかの確認が重要です。家族のサポートが得られるか、介護保険の申請はしてあるか、要支援・要介護認定を受けているかを確認し、服薬管理のために利用できるサービスを検討します。実際の投薬の工夫としては、以下に示すような方法があります。1.服薬回数を減らし、タイミングをそろえるたとえば食前内服のグリニド薬やαグルコシダーゼ阻害薬(α‐GI)にあわせて、他の薬剤も食直前にまとめる方法がありますが、そもそも1日3回投与薬の管理が難しい場合は、1日1回にそろえてしまうことも考えます。最近、DPP-4阻害薬で週1回投与薬が登場しており、単独で投与する患者にはとくに有用ですが、他疾患の薬剤も併用している場合にはむしろ服薬忘れの原因となることもあるので、注意が必要です。なお、最近ではGLP-1受容体作動薬の週1回製剤も利用できますが、これはDPP-4阻害薬よりも血糖降下作用が強く、さらに訪問や施設看護師による注射が可能なため、われわれは認知症患者に積極的に使用しています。2.配合薬を利用するDPP-4阻害薬とメトホルミンなど、複数の成分をまとめた薬剤が次々登場しています。配合薬は、服薬錠数を減らし、服用間違いや負担感を減らすと考えられますが、たとえば経口摂取不能時や脱水時などシックデイの状態のときにSU薬やメトホルミンなど特定の薬剤だけを減量・中止したいときに扱いづらいという欠点があり、リスクの高い患者にはあえて使用しないこともあります。3.一包化する服薬タイミングごとの一包化も服薬忘れの軽減に有用ですが、配合薬と同様、シックデイ時にSU薬などを減量・中止することが難しくなるため、リスクの高い患者には当該薬剤だけを別包にするケースもあります。2、3ともに、シックデイ時にどの薬剤を減量・中止するのか、医療機関に連絡させ受診させるのか、という点について、介護者を含めて事前に話し合い、伝えておくことが重要です。4.配薬、服薬確認の方法を工夫するカレンダーや服薬ボックスにセットする方法が一般的であり、家族のほか、訪問看護師や訪問薬剤師にセットを依頼することもあります。しかしセットしても患者が飲むことを忘れてしまっては意味がありません。内服タイミングに連日家族に電話をしてもらい服薬を促す方法もありますが、それでも難しい場合、たとえば連日デイサービスに行く方であれば、昼1回に服薬をそろえて、平日は施設看護師に確認してもらい、休日のみ家族にきてもらって投薬するという方法も考えられます。 1)Lazarus B et al. JAMA Intern Med. 2018; 178:903-910.2)日本糖尿病学会.メトホルミンの適正使用に関する Recommendation(2016年改訂)3)日本糖尿病学会.SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation(2016年改訂)

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第2回 医者が何かほかのことをやると結構珍しがってもらえる【外科医けいゆうの気になる話題】

第2回 医者が何かほかのことをやると結構珍しがってもらえる私が初めてオーディションというものを受けたのは、高校2年生の時。当時、テレビで『ハモネプリーグ(ハモネプ)』というアカペラコンテストが流行していて、それに応募したのです。結局予選落ちしてしまったのですが、その時、審査員に言われたセリフが、「リードボーカルはすごくうまい。でもオリジナリティがまるでない」でした。リードボーカルは私です。「すごくうまい」と言われて妙に自信をつけた私は、それ以後ボーカルコンテストやオーディションにチャレンジし続けることになります。私はもともと歌が好きで、ミュージシャンになりたいという夢を抱いていました。いや、今もなりたい気持ちは少しあります。医師になってからも、定期的にボーカルオーディションを受けました。予選を勝ち抜き、何度か全国決勝にも出ました。とにかく毎回驚かれました。「医者なのに何でこんな変なことやってるんですか?」と。陰で嘲笑もされていたでしょう。でも同時に思ったことは、「医者なのに」というのは1つの「下駄」であるということ。「医者なら忙しくて趣味を楽しむ暇もない」「医者は勉強ばかりして、ほかに特技などあるわけがない」という先入観は、「ほかのことをやっている医者」を珍しい存在にするのです。毎度奇異な目で迎えられる。その割には意外と歌唱力がある。「えっ何こいつ」という雰囲気になる。これは、オーディションにおいてほかの参加者よりはるかに高い「下駄」を履かせてもらっているようなものなんですね。だから戦いも有利になる。もちろん、決勝で勝てたことはありませんでしたし、決勝には必ずやって来る芸能事務所の関係者から声を掛けられることもありませんでした。私も、全国大会で入賞する人たちのとてつもない実力を見て、「あぁ、片手間でやって通用する世界じゃないんだな」と痛感しました。彼、彼女らの歌には、「私には歌しかない」という、逃げ道を断った者の強烈な熱がありました。医師免許という、わが国で生活していくのに圧倒的に有利な「保険」を後ろ盾に戦う私の姿は、何ともちっぽけに映ったことでしょう。恥ずかしいものです。ただ、この記事で私は恥をさらしたいわけではありません。「医者が何かほかのことをやっていると結構珍しがってもらえるよ」と言いたいのです。他人に興味を持ってもらえると、必ず人間関係は広がります。人付き合いの幅が広がって、知らない世界に触れられます。何より医師の先生方は、私などよりはるかに多趣味で多才な方が多い。ぜひ、いろいろとやってみて、同じ趣味を持つ医師以外の方々とつながってみてほしいなと思います。

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早期乳がんへの術前nab-PTX、DFSを改善/JCO

 GeparSepto試験では、早期乳がん患者のネオアジュバント治療として、アルブミン懸濁型パクリタキセルの週1回投与(weekly nab-PTX)が、従来の溶媒型パクリタキセルの週1回投与(weekly sb-PTX)に比べ、病理学的完全寛解率を有意に改善することが示されている。今回、ドイツ・Helios Klinikum Berlin-BuchのMichael Untch氏らは、本試験の長期アウトカムとして、invasive disease-free survival(iDFS)などを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月13日号に掲載。 本試験では、組織学的に確認された原発性乳がん患者を、weekly nab-PTX 150mg/m2(試験修正後は125mg/m2)またはweekly sb-PTX 80mg/m2に1:1の割合で無作為に割り付けた。両群とも、エピルビシン90mg/m2+シクロホスファミド600mg/m2を3週ごとに4サイクル投与した。HER2陽性例には、化学療法と並行して、トラスツズマブ(初期用量8mg/kg、その後3週ごとに6mg/kg)とペルツズマブ(初期用量840mg、その後3週ごとに420mg)の投与を1年間継続した。 主な結果は以下のとおり。・nab-PTX群606例、sb-PTX群600例で、計1,206例が治療を開始した。・追跡期間中央値49.6ヵ月(範囲:0.5~64.0ヵ月)以降、243のiDFSに関わるイベントが報告された(sb-PTX群143イベント、nab-PTX群100イベント)。・4年時点で、nab-PTX群ではsb-PTX群と比べて有意にiDFSが高かった(84.0% vs. 76.3%、ハザード比:0.66、95%CI:0.51~0.86、p=0.002)が、全生存率は有意な差はなかった(89.7% vs.87.2%、ハザード比:0.82、95%CI:0.59~1.16、p=0.260)。・治療関連末梢性感覚ニューロパチー(PSN)の長期フォローアップの結果、nab-PTX 150mg/m2と比べて125mg/m2でPSNが改善するまでの期間の中央値が有意に減少した。

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軽度認知障害や認知症を診断するためのACE-III日本語版のスクリーニング精度

 軽度認知障害(MCI)や認知症の早期発見は、適切な治療の迅速な開始と、疾患の悪化を防ぐために、非常に重要である。岡山大学の竹之下 慎太郎氏らは、MCIおよび認知症を診断するためのAddenbrooke's Cognitive Examination III(ACE-III)日本語版のスクリーニング精度について調査を行った。BMC Geriatrics誌2019年4月29日号の報告。 オリジナルのACE-IIIを翻訳して作成したACE-III日本語版を、日本人の集団に使用した。認知機能を評価するため、改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)およびミニメンタルステート検査(MMSE)を用いた。総対象者は389例(認知症:178例、MCI:137例、対照群:73例)であった。 主な結果は以下のとおり。・検出のための最適なACE-IIIのカットオフ値は、MCIで88/89(感度:0.77、特異性:0.92)、認知症で75/76(感度:0.82、特異性:0.90)であった。・ACE-IIIは、MCIまたは認知症の検出において、HDS-RおよびMMSEよりも優れていた。・ACE-IIIの内的整合性、再テスト信頼性、評価者間信頼性は優れていた。 著者らは「ACE-IIIは、MCIや認知症を検出するために有用な認知テストである。ACE-IIIは、臨床診断において、広く役立つと考えられる」としている。

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脳梗塞リスク有するAF患者への経皮的植込み型頸動脈フィルターの有用性は?【Dr.河田pick up】

 脳梗塞リスクが高いものの、経口抗凝固薬が適さない心房細動(AF)患者に対しては、異なった脳梗塞予防の戦略が必要となる。両側の頸動脈に直接植込むことができる、新規のコイル型永久フィルターは、径が1.4mm以上の塞栓を捕捉するようにデザインされている。 この論文は、Icahn School of Medicine at Mount Sinai(米、ニューヨーク)のVivek Reddy氏とHomolka Hospital(チェコ、プラハ)のPetr Neuzil氏がJACC誌オンライン版5月3日号に発表したものである。米国では新規のデバイスに対するFDAの審査が厳しく、治験に時間がかかる。そのため、不整脈分野においては最近、Reddy氏が新しいデバイスの試験をチェコで行うことが多く、このデバイスについても同様に、チェコをはじめとする欧州で治験が行われている。初のヒト臨床試験における頸動脈フィルター植込み これは多施設非無作為化試験で、頸動脈フィルターに関する初めてのヒト臨床試験である。両側の頸動脈にフィルターを安全に植込み、使用できるかを評価することを目的に実施された。対象は、心房細動を有し、CHA2DS2-VAScスコアが2以上、経口抗凝固薬が内服できず、総頸動脈サイズが4.8~9.8mm、30%を超える動脈狭窄が存在しない患者。超音波ガイド下で直接経皮的に頸動脈の穿刺を24ゲージの針で行うと、電動式のユニットがフィルターを押し出して頸動脈で広がるようになっている。患者は、アスピリンとクロピドグレルを3ヵ月内服し、その後はアスピリンを継続した。主要評価項目は、(1)手技の成功(両側の頸動脈に適切にフィルターが留置されること)、(2)30日間の主要有害事象、死亡、脳梗塞、出血、フィルターの移動、頸動脈の血栓や狭窄の発生の有無。頸動脈エコーは、手技後、退院前、1週間後、1、3、6、12ヵ月後に実施された。脳梗塞の発症なし、4例で血栓捕捉 試験には、4施設から25例が参加した。平均年齢は71±9歳、CHA2DS2-VASc スコアは4.4±1.0、参加者の48%に塞栓の既往があった。手技の成功率は92%(25例中23例)で、1例は片側の留置のみに終わった。デバイスや手技に関連した重大事象は認められなかった。穿刺部位における軽度の血腫が5例(20%)に認められた。平均6ヵ月のフォローアップ後、脳塞栓の発症は認められなかった。4例で、フィルターでの血栓捕捉が認められたが、それに伴う症状は認められなかった。全例において、ヘパリンの皮下投与により塞栓は溶解した。1例で、2度の非総頚動脈領域における軽度の脳梗塞が認められた。 筆者らは、脳梗塞予防のための植込み型頸動脈フィルターは、技術的に可能で、安全に実施できると結論付けている。■関連記事発作性心房細動に対する第2世代クライオバルーンの長期成績【Dr.河田pick up】心房細動患者への抗凝固薬とNSAID併用で大出血リスク上昇【Dr.河田pick up】スマートウオッチによる自動心房細動検知の精度は?【Dr.河田pick up】心房細動、サイナスになっても 脳梗塞リスク 高いまま/BMJ

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術後疼痛への長期使用リスク、トラマドールvs.他オピオイド/BMJ

 短時間作用型オピオイド系鎮痛薬トラマドールは、一般に他の同種のオピオイドに比べ安全性が高いと考えられているが、相対的にリスクが低いことを支持するデータはないという。米国・メイヨークリニックのCornelius A. Thielsらは、術後の急性疼痛の治療にトラマドール単剤を投与された患者では、退院後の長期オピオイド使用のリスクが、他の同種のオピオイドよりも、むしろわずかに高いことを示した。研究の成果はBMJ誌2019年5月14日号に掲載された。診療報酬データベースを用いて長期使用リスクを後ろ向きに評価 本研究は、米国の診療報酬データベースを用いた後ろ向き観察研究である(メイヨークリニック以外からの助成は受けていない)。 米国の民間保険およびMedicare Advantageの保険請求が登録されたOptumLabs Data Warehouseの、2009年1月1日~2018年6月30日のデータを用いた。対象は、待機的手術を受けたオピオイド投与歴のない患者であった。 術後にトラマドール単剤の投与を受けた患者と、他の短時間作用型オピオイドの投与を受けた患者で、退院後の長期的なオピオイド使用のリスクを比較した。「長期オピオイド使用」の定義は、文献上で一般的に使用されている次の3つを用いた。 (1)追加オピオイド使用(additional opioid use):術後90~180日における1回以上のオピオイドの調剤、(2)継続オピオイド使用(persistent opioid use):術後180日以内に開始され、90日以上持続する任意の期間のオピオイド使用、(3)CONSORT定義(CONSORT definition):術後180日以内に開始され、90日以上の期間に及ぶオピオイド使用のエピソードで、オピオイドの10回以上の調剤または120日分以上の補給のいずれか。他剤に比べ追加使用6%、継続使用47%、CONSORT 41%増加 適格基準を満たした44万4,764例のうち、35万7,884例が退院時に1剤以上のオピオイドを処方された。 術後に最も多く処方されたオピオイドはhydrocodone(1剤のオピオイドを調剤された患者の53.0%)であり、次いで短時間作用型オキシコドン(37.5%)、トラマドール(4.0%)、コデイン(3.1%)、ヒドロモルフォン(1.2%)、propoxyphene(1.2%)の順であった。 術後の長期オピオイド使用の未調整リスクは、追加オピオイド使用が7.1%(3万1,431例)、継続オピオイド使用が1.0%(4,457例)であり、CONSORT定義を満たしたのは0.5%(2,027例)だった。 トラマドール単剤の処方により、他の短時間作用型オピオイドの投与を受けた患者と比較して、追加オピオイド使用のリスクが6%有意に増加した(罹患率比の95%信頼区間[CI]:1.00~1.13、リスク差:0.5ポイント、p=0.049)。また、継続オピオイド使用の調整リスクは47%有意に増加し(1.25~1.69、0.5ポイント、p<0.001)、CONSORTの長期使用エピソードの調整リスクも41%有意に上昇した(1.08~1.75、0.2ポイント、p=0.013)。 術後にトラマドールと他の短時間作用型オピオイドが処方された場合は、CONSORT定義のリスクが40%有意に増加し(p=0.022)、長時間作用型オピオイドの処方では、継続オピオイド使用のリスクが18%(p=0.029)、CONSORT定義のリスクが69%(p<0.001)上昇した。 著者は、「連邦政府機関はトラマドールの再分類を考慮すべきである。急性疼痛にトラマドールを処方する際は、他の短時間作用型オピオイドと同様、十分に注意を払う必要がある」と指摘している。

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転移の少ない転移性前立腺がんで原発巣への放射線治療は生存期間を延長(解説:宮嶋哲氏)-1053

 STAMPEDE試験は、multi-armかつmulti-stageに設定した第III相ランダム化大規模比較臨床試験である。本試験は英国とスイスにおいて新たに診断された転移性前立腺がん2,061例(年齢中央値:68歳)を対象に、原発巣である前立腺への放射線照射が全生存期間延長に寄与するのか検討を行ったSTAMPEDE試験の1つである。本試験では、標準治療群、または標準治療+前立腺への放射線照射併用群の2群にランダム化している。放射線照射は連日照射を4週間(55Gy/20回)、または週に1回照射を6週間(36Gy/6回)継続するプロトコルであった。なお標準治療群はアンドロゲン除去療法であり、早期ドセタキセル導入も可能とした。ただし早期アビラテロン導入の症例は含まれていない。 結果は、failure-free survivalが標準治療+放射線照射併用群で延長した(ハザード比[HR]:0.76、95%CI:0.68~0.84)が、全生存期間は延長しなかった(HR:0.92、95%CI:0.80~1.06)。ただし、サブグループ解析では低転移量の転移性前立腺がん患者グループ(819例)において、標準治療+放射線照射併用群の全生存期間が延長していた(HR:0.68、95%CI:0.52~0.90)。一方、高転移量の患者グループ(1,120例)では、標準治療+放射線照射併用群の全生存期間は延長しなかった。なお高転移量は骨転移4ヵ所以上および内臓転移の両方、またはいずれかとして定義し、これ以外の転移は低転移量と定義している。 現在、新規転移性前立腺がんに対しては早期ドセタキセルやアビラテロンの有効性が示唆されているが、標準治療群にそれらの導入症例が少ないのが問題ではある。しかし、本試験により転移性前立腺がんに対する標準治療がアンドロゲン除去療法を中心とした薬物治療であったのに対し、転移量により患者を層別化し、転移量が少ない症例に対する治療方針が今後変わっていく可能性が予測される。転移量により前立腺がん患者を層別化して治療方針が変わっていくためにも、微小転移などの定義付けが今後重要になると思われる。

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第20回 腕試し! 心電図クイズで“おさらい”だ~続編~【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第20回:腕試し! 心電図クイズで“おさらい”だ~続編~ゴールデンウイークも終わり、時代は「令和」となりましたが、皆さん“五月病”になっていませんか? さて、前々回の心電図クイズが予想以上に好評で、休み中にもかかわらず、2019年最大の閲覧数をいただきました。実は、当初Dr.ヒロはもう2症例を用意しており、“お蔵入り”にするのも忍びなく、今回“おさらいクイズ~続編~”としてお届けすることにしました。では、さっそくチャレンジしてみましょう!症例提示175歳、女性。僧帽弁・三尖弁形成術、慢性AFに対するメイズ手術の既往あり。糖尿病、高血圧症にて内服加療中。数日前にインフルエンザAと診断。その後、食事が取れず、夜間の呼吸苦も出現した。徐々に下腿・顔面の浮腫が増悪、息切れでトイレ歩行も不可能となり救急受診し、感染を契機とした心不全増悪にて緊急入院となった。来院時36.3℃、血圧112/78mmHg、脈拍107/分・不整、酸素飽和度92%。入院時の心電図を示す(図1)。(図1)緊急入院時の心電図画像を拡大する【問題1】心電図(図1)の自動診断は「上室三段脈」となっている。調律に関して正しいものはどれか。1)正常洞調律2)心房期外収縮3)洞頻脈4)心房粗細動5)異所性心房調律解答はこちら4)解説はこちら「三段脈」(trigeminy)はまだ取り上げていませんが、「3心拍で1セット」の様式が周期的にくり返されるもので、典型的には「洞収縮-洞収縮-期外収縮」のように三拍ごとに期外収縮が出現するパターンです。当然ながら、この場合の基本調律はあくまでも「洞調律」です。この心電図も、油断すると肢誘導などは「洞収縮-洞収縮-心房期外収縮」と、「上室三段脈」のように見えます。…でも、これは間違い。自動診断は“悪魔のささやき”です(笑)。いつも“洞調律ありき”で見てしまうと、このようなミスをしてしまいます。胸部誘導では、このパターンは崩れていますし、第一、これは「洞調律」じゃないのです。R-R間隔も不整ですし、なんといっても“イチニエフの法則”が成り立っていません(第2回)。「非洞調律」を疑った時に注目すべきは…、そうV1誘導(第4回)。今回のV1誘導をみると…あるわあるわ、P波の乱れ打ち(図2)。(図2)V1誘導を抜粋画像を拡大する橙色の枠内だけでもコンスタントかつレギュラーな高頻度P波が確認できますし、QRS波に重なる「?」の部分にも、P波があると読みたいところです(ほかと若干QRS波形が異なる)。”2nd best”だった下壁誘導を見ても、II誘導ではわかりにくいですが、III、aVF誘導だと、それなりにノコギリ状の波(鋸歯状波)が見えなくもありません。この方のように開心術歴があるような場合、非典型的な「心房粗動」と呼ぶのが好まれますし、“細動混じり”ととらえて“粗細動”という表現も悪くありません。よって、「心房粗細動」(atrial flutter-fibrillation)を正解とします。【参考レクチャー】第2回『洞調律を知る』第4回『エイエフ(AF)診断できます?』【問題2】心電図(図1)の心拍数について、具体的な数値で述べよ。解答はこちら心拍数:約70/分(検脈法:肢誘導+胸部誘導[10秒])解説はこちら数値自体は“検脈法”で一目瞭然ですね(第3回)。R-R間隔が不整の場合には、左端から右端まで、肢誘導+胸部誘導の10秒間で検脈法をしたほうが正確です。「細動」と捉えれば「中等度の心室応答(ventricular response)を伴う」となりますし、「粗動」なら「房室伝導比2~4:1」という表現になります。“粗細動”を生かすのなら、『心拍数は約70/分と中等度の心室応答を伴う心房粗細動です』と表現できれば、ボク的には“満点”です。【参考レクチャー】第7回『心房細動の“心拍数”どう議論する?』症例提示284歳、男性。4日前に39.5℃の発熱で受診、肺炎と診断され入院となった。本日夜間の検温時に頻脈、酸素飽和度の低下(82%)があり、胸部圧迫感と呼吸苦も訴えたため、当直医にコールがなされた。胸部CT検査では、浸潤影悪化および心拡大・胸水貯留を認めた。以下に、急変コール時に記録された心電図(図3)および入院時の心電図(図4)を示す。(図3)急変コール時の心電図画像を拡大する(図4)入院時の心電図画像を拡大する【問題3】入院時心電図(図4)の心拍数と電気軸を求めよ。解答はこちら心拍数:84/分(検脈法:肢誘導[5秒]または肢誘導+胸部誘導[10秒])QRS電気軸:-70°(トントン法Neoによる)解説はこちらこれも簡単ですね。心拍数は“検脈法”(第3回)、QRS電気軸は“トントン法”(第9回、第11回)で、求めることができます。心拍数はR-R間隔が整なら左右どちらか5秒間の情報で十分です(もちろん10秒間数えてもOKです)。QRS電気軸は、aVR誘導を“トントン・ポイント”と考えるなら「-60°」(通常の教科書なら、これで正解でしょう)ですが、やや上向き波が優勢(-aVR誘導なら下向き波)に見えませんか? 肢誘導の円座標を思い浮かべれば、QRS波の向きの上下が転換するのは、Iと-aVRの間で、強いて言えば“-aVR寄り”(+20°)と考えるのがミソでしたね(“トントン法Neo”)。結果、求める軸は「-70°」と、見事に自動計測値とも一致します。【参考レクチャー】第3回『心拍数を求めよう』第9回『QRS電気軸で遊ぼう~トントン法の魅力~』第11回『QRS電気軸(完結編)~進化したトントン法は無敵!~』【問題4】入院時心電図(図4)の所見として正しくないものを2つ選べ。1)左軸偏位2)完全右脚ブロック3)第1度房室ブロック4)異常Q波5)右房拡大解答はこちら3)、5)解説はこちら“急変コール時”ではなく、“入院時”の心電図の読みを尋ねています(波形が違いますよね)。1)○:QRS波の向きが、I誘導:上向き、aVF(II)誘導:下向きなのでOKです。強い左軸偏位を伴っており、「左脚前枝ブロック」の合併と診断できます。2)○:QRS幅がワイド(0.12秒[120ms]以上)かつV1誘導(「RR’型」)、V6誘導(スラーを伴う「RS型」)が典型的な波形ですから「完全右脚ブロック」の診断に相違ありません。3)×:V1誘導などPR(Q)間隔が若干長めに見える誘導もありますが、明らかに“延長”と呼ぶレベル(目安:0.24秒[240ms])には届きません。4)○:V1~V3誘導は原則として下向き(陰性)波から始まってはいけません。V2、V3誘導の「q波」は幅が狭く、深さが浅くても異常Q波と考えられたらステキです。ほかにaVL誘導の幅広い「Q波」も指摘したいところです。もちろん「陳旧性心筋梗塞」を疑っても良いですが、ワンランク上の読み方をすれば、他所見との組み合わせで、V1ないしV2誘導で見られる「qR型」は右心系(多くは「右室」)負荷を示す所見と考えるべきかもしれません。鑑別は…そう、心エコーでね!5)×:下壁誘導(II、III、aVF)のP波高はいずれも普通で「右房拡大」ではありません。むしろ、II誘導で幅広の“2コブラクダ”的な2つのP波は「左房拡大」を疑わせますが、V1誘導のP波で後半の波が“深掘れ”でなく、診断基準には該当しません。【問題5】急変時心電図(図3)の解釈・対応について、正しくないものを2つ選べ。1)「S1S2S3パターン」であり、肺疾患や高度右室負荷を疑う2)不整脈などの心疾患の病歴の有無、投薬内容を確認する3)心電図の再検を指示する4)右胸心を疑って胸部X線画像をチェックする5)換気補助を行いつつ、ベラパミル点滴を指示する解答はこちら1)、4)解説はこちら急変コール時の心電図(図3)のみを見て「頻脈性心房細動」とだけ診断して動こうとする人には“真実”が見えていません。最も目立つ所見(R-R間隔の不整)だけ診断して、ほかを見落とす…そんな状態からの“脱却”サポートがDr.ヒロの真骨頂です。緊急時のように焦っている時こそ“基本”に忠実であるべき。常に全体を眺めるクセをつけましょう。調律もそうですが、4日前の“入院時”とQRS波形が全然違いますよね。AFのためP波を欠き、T波も見えない点がやや難しいですが、I誘導のネガティブQRS波にはピンと来て欲しいですね~。しかも“陽性aVR”、これは普通、まず出会わない所見でしたよね…(第5回、第6回)。そして、“おかしいと思ったら過去と比較せよ”。どんなに“しつこい”と言われてもボクは言い続けますよ(笑)。そういう意味では、過去にAFがあったか無かったか、病歴や薬剤、そのほかの治療歴も大事です(選択肢2)。冷静になって、その目で2つの心電図を比べたら、(1)I誘導がサカサマ、(2)II⇔III(入れ換わり)、(3)aVR⇔aVL(4)aVFは(ほぼ)不変、という条件を満たすではないですか!この4つの条件を覚えていますか? こんな時、最も高頻度なのは「電極の左右つけ間違い」です。肢誘導の上肢(右手・左手)のね(第5回)。これに悩んだら、もう一度自分の目で心電図を再検すべきです(選択肢3)。この症例患者は、不慣れなのか慌てたのか、ナースが電極の左右を誤っていました。鑑別すべき「右胸心」については、胸部誘導でQRS波形の“振幅”がV1からV6誘導に向かうにつれて漸減する典型パターンとは異なりますし、入院時心電図(図4)が強烈な否定材料です(選択肢4)。また、選択肢1に関して、「肺塞栓」などの右心系負荷などは否定しがたいところですが、やはりこの心電図を見てしまうと積極的には考えにくいでしょう。右室負荷を疑う「S1S2S3パターン」も正しく記録してこその所見です。普段から何でもむやみに人を疑うべきではありませんが、患者さんのためと思えば、常に厳しい眼力でいることは診断・治療を考える上で大切だと思います。“デキドク”(デキるDr.)なら、速やかに正しい心電図を記録し直して、同時に頻脈性AF、そして低酸素状態への対処を考えるべきです(選択肢5)。その際、もちろん心機能のチェックも必要ですね。【参考レクチャー】第5回『心電図、正しくとれてる?(前編)~鏡の中のマボロシ~』第6回『心電図、正しくとれてる?(後編)~自動診断の「側壁梗塞」にご用心!~』さて、“おさらい”クイズ続編の2症例・計5問、いかがだったでしょうか?おおむね、これまでの“ドキドキ心電図マスター”内で取り上げた内容でしたが、臨床に即した形式で作問したつもりです。高得点だった人は、だいぶ心電図に慣れ親しんできたのではないでしょうか? 今後、このような復習問題をときどき取り上げるつもりです。次回は、通常形式で「期外収縮」を再びピックアップしたいと思います。乞うご期待!【古都のこと~三室戸寺~】宇治市にある西国第十番札所、三室戸寺(山号:明星山)は、1200年以上前(宝亀年間)に光仁天皇の勅願で建立されました。“花の寺”とも称され、春~夏には、ぜひとも訪れたいスポットの一つです。4~5月はツツジやシャクナゲ、そして6月にはアジサイが庭園で満開となり、7~8月は本堂前にハスが花を咲かせます。この時期、京都市内では蹴上浄水場のツヅジが有名ですが、今回、ボクは元号が令和となって数日後にこちらを訪れました。山門を入ってすぐ、有名所に勝るとも劣らぬツツジ園が甘い香りを放っていました。花々に囲まれ茶屋で昼食をとり、思わず昼寝したくなるような最高の晴天のもと、お参りを済ませたのでした。

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