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疼痛・疲労・精神的苦痛の支援を受けたことがない―がん患者の3~5割/JCO

 どれほどのがん患者が疼痛、疲労、精神的苦痛を有し、またそれらに対するケアは行われているのか。米国・がん協会のTenbroeck G. Smith氏らは、地域のがんセンターで治療を受けている患者を対象に、それらの有症率などを調査した。その結果、30~50%のがん患者が、疼痛、疲労および精神的苦痛について、話し合ったり、アドバイスを受けたり、期待した支援を受けたことがないと回答したという。著者は、「これら3つのがん関連症状の管理に関して改善の余地がある」と述べたうえで、それぞれの症状の有症率の高さについても「重要と思われる」と指摘している。Journal of Clinical Oncology誌2019年7月1日号掲載の報告。 研究グループは、米国のCommission on Cancer認定がんセンター17施設から、local/regional乳がん(82%)または大腸がん(18%)の患者を抽出してアンケート調査を行い、2,487例の回答を得た(回答率61%)。 主な結果は以下のとおり。・疼痛、疲労および苦痛について、臨床医と話し合ったと報告した患者の割合はそれぞれ76%、78%および58%、アドバイスをもらったと報告した患者の割合はそれぞれ70%、61%および54%であった。・疼痛、疲労および苦痛を経験した患者の割合は、それぞれ61%、74%および46%であった。・疼痛、疲労および苦痛を経験した患者の中で、支援を得たと報告した患者はそれぞれ58%、40%および45%であった。・根治的治療を受けている(または最近治療が完了した)患者は、根治的治療から時間が経った患者に比べ、症状に対する良好なケアを受けていると回答した。

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日本人卵巣がんのBRCA変異保有率は欧米と同等/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社は、卵巣がんにおけるBRCA1/2(以下、BRCA)遺伝子変異の保有率に関する大規模調査 Japan CHARLOTTE study(以下、CHARLOTTE)を国内63の医療施設で実施した。日本人症例における初の大規模な調査であり、婦人科領域のがんゲノム医療を推進する貴重なデータとなる。なお、CHARLOTTEの結果は、2019年7月1日付でInternational Journal of Gynecological Cancer電子版に掲載されている。卵巣がんにおけるBRCA遺伝子変異陽性の割合は14.7% CHARLOTTEは、国内における新規診断を受けた上皮性卵巣がん、原発性腹膜がん、卵管がん症例のBRCA遺伝子変異の保有率を把握することを目的に、2016年12月~2018年6月までに登録された666症例のうち、BRCA遺伝子検査を実施した634症例を対象に調査した。 日本人における卵巣がん患者のBRCA遺伝子変異の保有率については、データが限られていたが、本調査の結果から新規診断を受けた卵巣がんにおけるBRCA遺伝子変異陽性の割合は14.7%と欧米人を対象とした研究報告(14.1%)と同程度であることが明らかとなった。また進行卵巣がん(FIGO分類III期またはIV期)における陽性の割合は24.1%と、早期卵巣がん(4.9%)より高い保有率であった。 BRCA遺伝子変異の保有率に関する大規模調査Japan CHARLOTTE studyの主な結果は以下のとおり。・進行卵巣がん(FIGO分類III期またはIV期)におけるBRCA遺伝子変異の割合は24.1%(78例/BRCA1:16.3%、BRCA2:7.7%)であった。・卵巣がん全体(FIGO分類I期~IV期)のBRCA遺伝子変異の割合は14.7%(93例/BRCA1:9.9%、BRCA2:4.7%)で、欧米保有率と同程度であることが確認された。・診断名別のBRCA遺伝子変異は、上皮性卵巣がんで12.7%(68/534例)、卵管がんで29.2%(14/48例)、原発性腹膜がんで21.2%(11/52例)であった。・組織学的分類別では、短期間で発症し、進行がんが多い高異型度漿液性がんにBRCA遺伝子変異が最も多く、その割合は28.5%(78/274例)であった。・BRCA遺伝子検査を受けた患者の96%以上が、実施前のカウンセリングに対して実施者(臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーまたは担当主治医)の職種にかかわらず、「十分満足している」または「満足している」と回答した。

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未治療骨髄腫に対するダラツムマブ、レナリドミド、デキサメタゾン併用療法に期待するモノ(解説:藤原弘氏)-1075

 新規治療薬開発が進み、QOLの改善と全生存率(OS)の延長が進む多発性骨髄腫(MM)だが、いまだに治癒(Cure)しない。そこで、次の治療戦略が微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)の達成から無増悪生存(PFS)の延長、その先に治癒を見据えるのは理にかなっている。Proteosome阻害剤(PIs)、iMIDsに加えて抗体製剤の登場が、その流れを加速させている。 最近、自己造血幹細胞移植適応のない未治療MMに対するダラツムマブ併用レナリドミド/デキサメタゾン(DLd)療法のLd療法に対する優位性を示す大規模な第III相臨床試験(MAIA試験)の結果が、Facon T.博士らのグループからNew England Journal of Medicine誌に掲載された(内容はすでに2018年、米国血液学会で報告されていたが)。その結果は、白血球減少と感染症リスクはあるが、ダラツムマブ併用で無増悪生存率(PFS)が有意差をもって延長し、CR+sCR達成率に加えて、Flow-cytometer法による微小残存病変陰性(105個細胞中1個以下)達成率も有意差をもって勝っていた。再発難治性(r/r)MMに対して、ダラツムマブ併用がPFS/OSの達成に優れていることはすでに他試験でも報告されている。この結果を受けて、本邦でもヤンセンファーマが未治療MMに対するDLd療法の適応追加をこの4月に申請しており、早晩、未治療MM治療にダラツムマブが使えるようになるだろう。 そして、このMAIA試験では両群間でOSに差がなかった。より強い治療強度で、total-cell-killを目指す治療戦略が必ずしも患者OSの改善に寄与しないことは、日々血液悪性腫瘍患者と向き合う中でわれわれが体感・共有している事実である。 いわゆるreal-world(日常診療)においては、未治療MM患者のおよそ2/3はさまざまな要因で移植適応がない。また、移植はしても再発抑制のために少なくとも数年は何らかの維持療法を続けている。移植ができてもできなくても、現実は、病勢を制御しOSの延長を目指して、MM増悪まで延々と何らかの治療を継続している状況にある。私自身も、移植適応のない未治療MM患者に対しては、ダラツムマブの保険適用の関係もあるが、外来でPIs+iMIDs+デキサメタゾンの3剤併用療法を開始し、治療効果を得て抗体治療を含む維持療法へ移行する方針で治療し、またおよそ対応できてはいる。 しかしながら、MAIA試験のこの後を含めた長期観察によって、より深い寛解の達成とPFSの延長が治癒へつながることが示されるのなら、より積極的にtherapy-offそして治癒を目指して自分の治療方針も再考すべきだろう。そのためには、MRDの評価基準の確立や臨床試験でのその意義の検証など課題もあるのだが、単純にDLd治療後すぐに再燃する例は次にどうしようか?とも思ってしまう。「リスクとベネフィットを考慮して」とは使い古された表現だが、主にフロントラインの病院で高齢患者様が大部分を占めるMM診療を行い、その主たる治療目標を患者QOLの維持とOSの延長に置いている私としては、もう少し、経過を見極めたいとも感じるのは、いささか“覇気”に欠けるだろうか。

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Siriに…通じた(泣)【Dr. 中島の 新・徒然草】(280)

二百八十の段 Siriに…通じた(泣)Siriとは皆さん御存じの iPhone の音声入力ツールです。単なる音声入力というより、色々返事をしてくれるキャラといってもいい存在かもしれません。で、ある日、私は思いついたわけです。このSiriを英語設定にして、「ドゥワミダセラッパミリン?」と言ってみたら、と。このカタカナの羅列は第二百七十三の段「ニック式英会話」で紹介したオーストラリア人講師、ニック先生 YouTube で “Do you want me to set up a meeting?” は、「ドゥワミダセラッパミリン?」で十分通じますよ、と解説していた台詞です。さらにニック先生は、「meeting は日本語の『味醂(みりん)』みたいな発音ですね」と説明していました。その時は笑いながら見ていたのですが、Siriに通じるのか、ちょっとやってみました。中島「ドゥー和見だ世良っぱ味醂?」(私がミーティングをセットしましょうか?)Siri“What date and time is your appointment?”(あなたのアポの日と時刻はいつなの?)つ、通じとるがな!ちなみに私の喋った部分も画面に表示されていて、ちゃんと “Do you want me to set up a meeting?”になっています。これは衝撃でした。「和見だ」が“want me to”に、「世良っぱ」が“set up a”に、そして「味醂」が“meeting”に、完璧に変換されています。「Siriに通じて嬉しい」と思う反面、「これが通じるのなら、今まで僕が習ってきた英語は何だったんだ? 最初からこういう風に教えてくれていたらよかったのに」と、そう思わずにはいられませんでした。さらに実験です。今度は、「アイダンナウェウェガナゴー」(I don't know where we're going to go.)とSiriに言ってみました。これもニック先生が「これで十分通じるよ。whereもwe're も、どっちも『ウェ』と発音しようね」とYouTubeで説明していたのをやってみたものです。中島「愛、旦那、上上賀名号!」(僕たち何処に行こうとしているのか、わからないよ)Siri“Don't worry about it, 伸.“(そのことについては心配しなくていいわよ、伸)中島「ありがとう、Siri(泣)」てか、通じてるじゃん、これも!私の喋った部分についても“I don't know where we're going to go.”と正確に、というか、意図通りに表示されています。どうなってんの?しかも私の台詞のうち、最初の「上」が“where”、次の「上」が“we're”と、キチンと区別されています。再び「僕たち日本人が習ってきた英語は何だったんだ。ちゃんと普段喋っている通りに教えてくれよ」と思ってしまいました。日本語に例えるとわかりやすいかもしれません。日本語教室で外国人に対して、「ありがとうございます」「こんにちわ」と教えていながら、自分たち日本人は日常会話で「あざーす」「ちゃーす」とやっているみたいなもんです。無茶苦茶やがな。というわけで、日々、「世良っぱ味醂」などと練習しております。下手な英語に根気よく付き合ってくれているSiri、ありがとう!最後に1句Siri相手 英語を練習 夏の日々

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第24回 脳梗塞/TIA患者の抗血小板薬2剤併用療法はいつまで行うのがベスト?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 抗血小板薬2剤併用療法(Dual antiplatelet therapy:DAPT)は、脳梗塞の既往がある患者さんやステント留置後の患者さんでよく行われるため、薬局で処方を見掛けることも多いと思います。今回は、2018年にBMJ誌に掲載された軽症虚血性脳梗塞または高リスク一過性脳虚血発作(TIA)患者におけるクロピドグレル+アスピリンのDAPTとアスピリン単独療法を比較したシステマティックレビュー(以下、SR)を紹介します1)。この研究が行われた背景には、BMJ Rapid Recommendations(RapidRecs)プロジェクトの一環として、治療方法の推奨を作るという目的があります。インパクトのある新規研究が発表されたら、診療ガイドラインの推奨を素早く作成するのが望ましいですが、現実的には特定の臨床上の疑問(Clinical question)に対して網羅的に研究を調査し、それらをまとめて分析統合を行う手順、つまりSRが行われ、新規研究が出てから推奨を作成するまでの時間的ギャップが課題となっています。たとえば、SRが最新かつ信頼があつい期間といえる“寿命”を調べた研究では、後行研究が出た後の統計的有意差の変化、効果量の50%を超える相対的な変化や意思決定に影響を与えるために十分な新情報、先行研究への重要な警告、より優れた治療法の出現を既存SRの寿命のシグナルとみた場合に、SRの“寿命”の中央値は5.5年で、1年以内に15%、2年以内に23%のエビデンスが覆り、7%はすでに出版時点で逆の結果が出ているという報告があり2)、タイムリーに新規研究を含めたまとめを作ることの大切さを物語っています。2020年には医学情報量が倍増するのにかかる期間はわずか0.2年(73日)になるという予測すらありますから3)、RapidRecsのように即座にSRを行う重要性は今後ますます増えるでしょう。DAPTを24時間以内に開始し、10~21日間の継続でベネフィット最大DAPT vs.アスピリン単独療法のSRに話を戻しますと、本研究は2018年7月にNew England Journal of Medicine誌に掲載されたPOINT trial(Johnston SC, et al. N Engl J Med. 2018;379:215-225.PMID: 29766750)の結果を受けて行われています。内容としては、急性軽症虚血性脳卒中または高リスクTIAと診断された患者で、クロピドグレル+アスピリンのDAPTを発症後3日以内に開始した場合と、アスピリン単独療法を発症後3日以内に開始した場合を比較し(最終的に組み入れられた研究は発症後24時間以内または12時間以内)、90日までの転帰(全死亡、脳卒中による死亡、非致死的虚血性/出血性脳卒中、頭蓋外出血、TIA、心筋梗塞、機能的転帰など)を調査した研究です。データベースのMEDLINE、EMBASE、CENTRAL、Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、WHO website、PsycINFO、grey literatureを網羅的に検索して研究を集めています。2名の評価者によって、各研究のバイアスのリスクが評価され、最終的な合意形成は第三者を交えてされています。バイアスのリスクの評価基準は、Cochraneのrisk of biasツールの調整版が用いられており、各研究におけるランダム割り付けの有無、脱落データの割合、割り付けの隠蔽化、研究参加者/介入者/アウトカム評価者のマスキング、その他バイアスが評価されていますので、厳密な方法論で行われたSRとみてよいと思います。最終的に採用されたランダム化比較試験は3件(FASTER、CHANCE、POINT)で、合計症例数は1万447例でした。アウトカムごとに統合された結果をみると、DAPT群ではアスピリン単独群に比べ、非致死的脳卒中の再発が低減しており、リスク比は0.70(95%信頼区間[CI]:0.61~0.80)、絶対リスク減少率は1.9%(NNT換算すると53)でした。総死亡については両群で有意差はありませんでしたが(リスク比:1.27、95%CI:0.73~2.23)、中等度または重度の頭蓋外出血については、DAPT群のリスク比は1.71(95%CI:0.92~3.20)、絶対リスク上昇率は0.2%とアスピリン単独群よりも増加傾向にあり、軽微または小出血もDAPT群のリスク比は2.22(95%CI:1.60~3.08)、絶対リスク上昇率は0.7%と有意に増加しています。機能的転帰には有意差はありませんでした。経時的変化を見てみると、脳卒中イベントの発症の多くはDAPT群でもアスピリン単独群でもランダム化後10日以内に生じていますが、21日以降はほぼ平行線となっています。一方で、出血イベントはDAPT群で長期的にやや増えていきます。これらのことから、ハイリスクのTIAおよび軽度の虚血性脳卒中の患者における本研究の結果は、BMJ誌のClinical Practice Guideline4)のまとめとして以下の2点が強く推奨されています。イベント発生後24時間以内にDAPTを開始するDAPTは10~21日間継続し、21日を超える継続はしないDAPT継続中の患者さんの中には、脳卒中の再発が心配で治療を継続させたいという方もいるかもしれませんが、もし2剤で21日を超えて長期間投与されている場合は出血イベントのリスクを考慮し、処方医への情報提供を検討すべきと思います。1)Hao Q, et al. BMJ. 2018;363:k5108.2)Shojania KG, et al. Ann Intern Med. 2007;147:224-233.3)Densen P. Trans Am Clin Climatol Assoc. 2011;122:48-58.4)Prasad K, et al. BMJ. 2018;363:k5130.

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高齢者のうつ病と近隣の緑地との関係

 近隣に緑地や植物があることは、健康やウェルビーイングの指標と関連しているが、高齢者のうつ病との関連は、あまり研究されていない。うつ病における環境要因を明らかにすることは、予防および治療の両面において、これまでのうつ病介入を補完する可能性がある。米国・マイアミ大学のTatiana Perrino氏らは、フロリダ州マイアミ・デイド郡の高齢者を対象に、近隣の緑地とうつ病診断との関連について調査を行った。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年6月13日号の報告。 メディケア(高齢者向け公的医療保険制度)に登録されている24万9,405人を対象に分析を行った。対象者は、2010~11年の2年間、マイアミの同じ場所に居住していた65歳以上。マルチレベル分析では、近隣の緑地(衛星画像による平均ブロックレベル正規化植生指標で評価)とうつ病診断(メディケアデータで評価)との関連を評価した。共変量は、年齢、性別、人種/民族、併存疾患数、近隣の平均世帯収入とした。 主な結果は以下のとおり。・うつ病と診断された患者は、9%以上であった。・人口統計および併存疾患で調整した後においても、高レベルの緑色度は、うつ病の低リスクと関連が認められた。・三分位で近隣の緑色度が最も低かった住民と比較し、中程度の住民はうつ病オッズ比が8%低く(OR:0.92、95%CI:0.88~0.96、p=0.0004)、最も高かった住民ではうつ病オッズ比が16%低かった(OR:0.84、95%CI:0.79~0.88、p<0.0001)。 著者らは「高レベルの緑色度は、高齢者のうつ病リスクを低下させる可能性がある。中程度であったとしても、緑が増加することは、健康促進へのアプローチ強化につながる可能性がある」としている。

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非左脚ブロックに対するCRT-Dの効果【Dr.河田pick up】

 非左脚ブロックに対する心臓再同期療法(CRT)の有効性については、賛否両論があり、いまだ結論が出ていない。本研究では、米国のナショナルデータベースである、全米心血管データ登録(NCDR)の植込み型除細動器(ICD)レジストリを用いて、非左脚ブロック患者を右脚ブロック群と非特異的心室内伝導障害群に分け、除細動器を伴った心臓再同期ペースメーカー(CRT-D)の有効性を評価した。 この論文は、私(Hiro Kawata)とJonathan Hsu氏らがJournal of the American College of Cardiology誌6月号に発表した。非左脚ブロック患者11,505例を多変量解析 メディケアは主に65歳以上の高齢者を対象とする保険制度である。NCDRは、メディケア対象患者のエビデンスを構築するために作られ、米国心臓病学会(ACC)が管理するNCDRのデータにICD患者の情報を登録することが義務付けられている。この種のデータでは世界でも最大規模である。今回の研究は、そのNCDR-ICDデータベースを用いて、2010年~13年にICDが植込まれた患者のうち、CRTの植込みの適応がある11,505例が対象。ICDが植込まれた患者とCRT-Dが植込まれた患者の予後を、右脚ブロック群と非特異的心室内伝導障害群に分けて多変量解析を行った。右脚ブロック群、QRS幅に関わらず、CRT-D(ICDと比べて)で予後は改善せず このうち右脚ブロック群においては、QRSの長さにかかわらず、ICDと比較しても予後の改善が見られなかった。一方、非特異的心室内伝導障害群においては、QRSが150ms以上の患者で、3年後における死亡率低下との関連が認められた(ハザード比[HR]:0.602、95%信頼区間[CI]:0.416~0.871、p=0.0071)。非特異的心室内伝導障害、QRS≧150ならCRT-Dが有用 今回の研究において、右脚ブロック群では、QRSの長さにかかわらずCRT-DはICDを上回る効果を示すことができなかった。つまり、右脚ブロックへのCRT-D移植を支持するエビデンスはなく、やみくもにCRT-Dを植え込むことは避けるべきであると思われる。一方、非特異的心室内伝導障害を有するケースでは、QRSが150ms以上であればCRT-Dが有用な可能性がある。 右脚ブロックでCRT-D適応が不明確なケースにおいては、最近では行われなくなってはいるものの、心エコーでの同期不全による評価も有用との報告もある1)。現在、非特異的心室内伝導障害に対するCRT-D移植を評価する無作為試験が進行中であり、今後その報告が待たれる2)。1)Hara H,et al.European heart journal. 2012 Nov;33(21);2680-91. doi: 10.1093/eurheartj/ehs013.2)Eschalier R,et al. BMJ open. 2016 11 11;6(11);e012383. doi: 10.1136/bmjopen-2016-012383.(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)

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tanezumabが疼痛コントロール不良の変形性関節症に有効/JAMA

 標準的鎮痛薬による痛みのコントロールが不十分な中等症~重症の股関節・膝変形性関節症(OA)患者において、ヒト化モノクローナル抗体tanezumabはプラセボと比較して、疼痛や身体機能などを有意に改善することが、米国・ノースウェスタン大学のThomas J. Schnitzer氏らによる多施設共同無作為化二重盲検試験の結果、示された。一方で改善はわずかで、治験薬投与を受けた患者の関節に関する安全性イベントおよび全関節置換の発生はより多かった。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、今回示された有効性および有害事象の所見の臨床的重要性を確認する必要がある」と述べている。JAMA誌2019年7月2日号掲載の報告。tanezumabを1日目、8週目に計2回投与 研究グループは2016年1月~2018年5月14日(最終患者受診日)にかけて、中等症~重症の股関節/膝OAで、OA鎮痛薬による疼痛コントロールが不十分であり、急速に進行するOAなど、事前に規定した関節の安全性に関する状態がX線像で認められなかった18歳以上の患者698例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、第1日目と第8週目にtanezumab 2.5mgを皮下投与(231例)、第1日目にtanezumab 2.5mgを、第8週目に同5mgを投与(233例)、第1日目と第8週目にプラセボ投与(232例)を、それぞれ実施した。 tanezumab投与についての主要評価項目は、(1)ベースラインから第16週までのWOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)疼痛サブスケール(0[痛みなし]~10[極度の痛み])の変化、(2)WOMAC身体機能サブスケール(0[問題なし]~10[極度に困難])の変化、(3)患者によるOAの総合的評価(patient global assessment of osteoarthritis[PGA-OA]、1[非常に良好]~5[非常に不良])の変化だった。tanezumabでWOMAC疼痛・身体機能スコア、PGA-OAともに有意に改善 被験者698例のうち試験薬の投与を1回以上受けた例は696例(平均年齢:60.8歳[SD 9.6]、女性65.1%)、試験を完了したのは582例(83.6%)だった。 ベースラインから第16週までのWOMAC疼痛スコアは、tanezumab 2.5mg群が7.1から3.6へ、tanezumab 2.5/5mg群が7.3から3.6へ、プラセボ群が7.3から4.4へ、それぞれ低下した。対プラセボ群との最小二乗平均差は、tanezumab 2.5mg群-0.60(95%信頼区間[CI]:-1.07~-0.13、p=0.01)、tanezumab 2.5/5mg群-0.73(同:-1.20~-0.26、p=0.002)だった。 同期間のWOMAC身体機能スコア平均値は、tanezumab 2.5mg群が7.2から3.7へ、tanezumab 2.5/5mg群が7.4から3.6へ、プラセボ群が7.4から4.5へとそれぞれ低下した。プラセボ群との差は、tanezumab 2.5mg群が-0.66(95%CI:-1.14~-0.19、p=0.007)、tanezumab 2.5/5mg群が-0.89(-1.37~-0.42、p<0.001)だった。 同期間のPGA-OAスコアも、tanezumab 2.5mg群が3.4から2.4へ、tanezumab 2.5/5mg群が3.5から2.4へ、プラセボ群が3.5から2.7へ減少した。プラセボ群との差は、tanezumab 2.5mg群が-0.22(同:-0.39~-0.05、p=0.01)、tanezumab 2.5/5mg群が-0.25(-0.41~-0.08、p=0.004)だった。 なお、急速進行OAの発生がtanezumab治療群にのみ認められた(2.5mg群5例[2.2%]、2.5/5mg群1例[0.4%])。全関節置換術を行ったのは、tanezumab 2.5mg群は8例(3.5%)、tanezumab 2.5/5mg群が16例(6.9%)、プラセボ群は4例(1.7%)だった。

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膜性腎症、リツキシマブvs.シクロスポリン/NEJM

 膜性腎症へのリツキシマブ静脈内投与は、シクロスポリン経口投与に対して、12ヵ月(1年)時点の蛋白尿の完全寛解または部分寛解の導入について非劣性であることが示された。また、24ヵ月(2年)時点までの蛋白尿寛解の維持について優越性が示された。米国・メイヨークリニックのFernando C.Fervenza氏らが、130例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年7月4日号で発表した。膜性腎症にはB細胞異常が関与しており、リツキシマブによるB細胞除去は、同患者の蛋白尿の完全寛解・部分寛解の導入・維持について、シクロスポリン治療に対して非劣性となる可能性が示されていた。24ヵ月時点の蛋白尿の完全寛解/部分寛解の複合アウトカムを評価 研究グループは、膜性腎症で24時間の蛋白尿が5g以上、定量クレアチニンクリアランス値が40mL/分/1.73m2体表面積以上で、アンジオテンシン系阻害薬を3ヵ月以上投与されている患者130例を対象に、無作為化試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはリツキシマブを静脈内投与(1回1,000mgを14日間隔で計2回投与、部分奏効の場合は6ヵ月後に再投与)、もう一方の群にはシクロスポリンを経口投与し(開始用量3.5mg/kg体重/日を12ヵ月間)、24ヵ月間フォローアップした。 主要アウトカムは、24ヵ月時点での蛋白尿の完全寛解/部分寛解の複合だった。臨床検査値と安全性についても評価を行った。完全寛解/部分寛解、リツキシマブ群60%、シクロスポリン群20% 12ヵ月時点で、完全寛解/部分寛解が認められたのは、リツキシマブ群65例中39例(60%)に対し、シクロスポリン群65例中34例(52%)だった(リスク差:8ポイント、95%信頼区間[CI]:-9~25、非劣性のp=0.004)。 24ヵ月の時点で完全寛解/部分寛解が認められたのは、リツキシマブ群39例(60%)、シクロスポリン群13例(20%)だった(リスク差:40ポイント、95%CI:25~55、非劣性・優越性ともp<0.001)。 寛解を認めた抗ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)抗体陽性の被験者では、抗PLA2R自己抗体価の低下がリツキシマブ群でシクロスポリン群よりも速く、その程度も大きく持続期間も長かった。 重篤な有害事象の発現は、リツキシマブ群11例(17%)、シクロスポリン群20例(31%)で認められた(p=0.06)。

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ステントを捨てんといてな! 薬剤コーティングバルーンの好成績(解説:中川義久氏)-1074

 薬剤コーティングバルーン(Drug-coated balloon:DCB)は、ステント再狭窄病変や小血管への治療において有効とされてきた。血管径が十分に維持されたde-Novo病変を、バルーン拡張のみで終了することは、急性冠閉塞の危険性も高く再狭窄の懸念もあることから、金属製ステントの適応とされてきた。とくに薬剤溶出性ステント(DES)の成績向上とともに、DESの使用は確立したものと考えられていた。その確信に風穴を開けるような報告がLancet誌オンライン版2019年6月13日号にデビューした。その名も「DEBUT試験」である。出血リスクが高い患者に対するPCIにおいて、DCBはベアメタルステントに比べて勝っていることを示したものである。前拡張を適切に行い、血流を障害するような解離もなく、強いリコイルもないことを確認した場合にDCBで薬物を塗布して終了するという治療戦略である。確かに、この方法で急性閉塞や再狭窄などのイベントなく経過できれば、leave nothing behind(異物を残さない)というコンセプトを実現することができる。 一方で克服すべき課題もある。実臨床の現場から退場宣告を受けた状態にあるベアメタルステントへの優越性を証明したところでインパクトは小さい。比較すべきは、DCB vs.DESであろう。また、DCBのみで終了しても急性冠閉塞のリスクが本当にないのかは懸念がある。かつてバルーンのみでのPCI(当時はPTCAと呼んでいた)の時代に、急性冠閉塞の怖さを体験している自分には、その不安は払拭できないというのが正直な気持ちである。末梢動脈疾患へのDCB治療を巡る混乱についても注意が必要である。これは、大腿動脈・膝窩動脈へのパクリタキセルコートバルーンによる治療で死亡リスクが増すのではないかという懸念である。冠動脈領域であれば末梢動脈領域への治療よりも薬剤の曝露量は少ないことは推測される。しかし、この懸念へのエビデンス提示も必要と考えられる。 このような課題があるとはいえ、かつて生体吸収性スキャホールドが達成しようとして挫折した理想をDCBが具現化しようとしていることは興味深い。DCBは世界に先駆けて日本での使用実績が多い分野でもあり、本邦からの情報発信に期待したい。

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医師の起業に役立つ7つのビジネスモデル【医師のためのお金の話】第22回

医師の起業に役立つ7つのビジネスモデル先日、医師向けの医学論文意見交換サイトQuotomyを運営している大谷 隼一先生と、起業についてお話する機会がありました。大谷先生が勤務されている病院では、若手医師が起業を志すケースが多いそうです。医療とビジネスの間に横たわる障壁が確実に低くなってきていることを感じます。ただ、やみくもに起業しても成功するわけではありません。起業は道なき道を自分の経験と勘に従ってソロリソロリと進んでいくものです。そして、至る所に落とし穴が隠れています。小さな落とし穴であれば這い上がってこられますが、致命傷になってしまう大きな落とし穴も無数に存在します。机上の空論では、これらの落とし穴を回避することは不可能です。「習うより慣れよ」が起業を成功させるためには重要なのです。そうは言っても、もちろん押さえておくべきポイントはあります。それはビジネスモデルです。絶対に知っておくべき7パターンビジネスモデルとは、利益を生み出す商品やサービスに関する事業戦略と収益構造のことです。簡単に言うと、「誰に何をどのようにして提供して、どの部分でどれだけ儲けるかを簡潔に言い表したもの」です。いわゆるビジネスの戦略に相当します。ビジネスモデルが優れているからと言って起業が成功するわけではありませんが、稚拙であると確実に失敗します。このように言うと難しそうに思えますが、ビジネスモデルは小学生でも理解できる程度のものです。ここでは一般的によく言われている7つのパターンを挙げてみます。1)物販モデル(自動車、農家、工場など)2)小売モデル(スーパー、コンビニエンスストアなど)3)広告モデル(新聞、雑誌など)4)ライセンスモデル(映画、協会など)5)消耗品モデル(プリンターメーカーなど)6)継続課金モデル(電力会社、携帯電話など)7)マッチングモデル(不動産仲介、人材募集サイトなど)世の中のサービスは、上記のいくつかのパターンを組み合わせたものが多いです。たとえば、「食べログ」は3)広告モデルと6)継続課金モデルを組み合わせたビジネスモデルです。継続課金モデルとの組み合わせがカギそれでは、私たちが起業する場合に最もおすすめのビジネスモデルは何でしょうか?前述のビジネスモデルの中で最も安定的にビジネスを展開できると言われているのは6)継続課金モデルです。このビジネスモデルの代表例は、電力会社や携帯電話会社です。不動産賃貸業もこのモデルに該当します。電力会社は電気料金を、携帯電話会社は通信料を、大家さんは賃料を毎月課金し続けます。消費者はこれらの商品やサービスを利用し続けざるを得ません。継続課金モデルを採用している会社は、定期的に流入する売上のおかげで安定的なビジネスを展開できるのです。実際、このビジネスモデルを採用している企業の数は多く、最近では動画配信サイトの「Netflix」に代表されるサブスクリプション(売買ではなく特定期間内の使用権を販売する)方式が注目を集めています。ちなみに私の知り合いの医師は医療系コンサルティング事業を起業しましたが、顧問料として月額料金を徴収しています。この継続課金による定期収入でスタッフ給与などの固定費を賄って安定性を確保しつつ、クライアントが抱えている問題を解決するためのソリューションを提供することで青天井の収益を目指す戦略を掲げています。このケースは、前述の1)物販モデルと6)継続課金モデルの組み合わせであり、安定性と収益性を兼ね備えた秀逸なビジネスモデルのようです。押さえるべきは拡大よりも「絞り込み」ビジネスモデルで押さえておくべきポイントの1つに、対象とする領域や顧客の絞り込みが挙げられます。ありがちなのは、できるだけ多くの顧客を獲得しようとして、事業領域を広げ過ぎてしまうことです。ビジネスで利益を出すためには、事業領域の拡大ではなくて絞り込みが必要です。事業領域が広いと知識や経験を蓄積するのに時間が掛かります。これでは競合相手に勝つことはできません。ある領域に特化して付加価値をつけることが、競合相手を抑えて利益を出すことにつながるのです。前述の医療系コンサルティング事業を起業した医師は、クライアントを某専門職に絞っており、提供するサービスはある1つの問題解決手法に特化しています。このため、きわめて狭い領域ではあるものの、高い競争力を武器にして順調に業績を拡大しているようです。

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ASCO2019レポート 乳がん

レポーター紹介2019年5月31日~6月4日まで5日間にわたり、ASCO2019が開催された。2019年のテーマは“Caring for every patient, Learning from every patient”であった。薬物療法の大きな演題が少なかった代わりに、支持療法やサバイバーケアの演題が多く取り上げられているように感じた。乳がんにおいては直接私たちの実臨床を変えるような試験の発表はなかったが(残念ながらプレナリーセッションもなし)、日常臨床の中で解決しなければならないクリニカルクエスチョンに回答する試験、今後の開発の方向性を示唆する試験の発表が多かったように感じる。その一方で、日本が参加していない試験の報告も多く、わが国の世界の治療開発の中での課題を再認識させられた学会でもあった。乳がんのLocal/Regional口演から2演題、Metastatic口演から5演題を紹介する。臨床的リスク因子がOncotypeDXによる再発スコアに及ぼす影響(TAILORx追加解析)OncotypeDXは乳がん組織中の21遺伝子のメッセンジャーRNA発現を解析することにより再発リスクの予測、化学療法の上乗せ効果を予測する検査である。TAILORx試験は、再発スコア(RS)を11以下の低リスク、12~25の中間リスク、25以上の高リスクに分け、中間リスクに対する化学療法の上乗せ効果を検証した第III相試験である。主たる解析結果は昨年のASCOで発表され、中間リスクに対する化学療法の上乗せ効果は認められなかった。サブグループ解析では50歳以下でRSが16~20では2%の、21~25では7%の化学療法上乗せ効果が示唆された(Sparano JA, et al. N Engl J Med.2018;379:111-121.)。今回の発表では、RSに臨床的リスク因子を加えた解析が行われた。臨床的低リスクは3cm以下かつ低グレード、2cm以下かつ中間グレード、1cm以下かつ高グレードと定義され、臨床的低リスクに当てはまらない症例が臨床的高リスクと分類された。臨床的高リスクは30%であった。無病生存期間(disease free survival:DFS)および遠隔無再発生存期間は、RS11~25の中間リスクにおいて臨床リスクによる差を認めなかった。化学療法の有益性が示唆されている50歳以下のRS16~25に限った解析では、RS16~20かつ臨床低リスクでは化学療法上乗せ効果を認めなかった。また、この集団における化学療法の上乗せ効果は化学療法誘発閉経によるものである可能性が示唆された。今回の結果はOncotypeDXの実臨床での使い方に大きな影響を及ぼすものではないが、50歳以下(未閉経)RS16~25の場合に化学療法を上乗せするかどうかの参考にはなりえるかもしれない。本研究の結果は発表同日、論文発表された(Sparano JA, et al. N Engl J Med. 2019;380:2395-2405.)。HER2陽性乳がんに対する術前ペルツズマブ+化学療法vs.T-DM1+ペルツズマブ (KRISTINE試験)本試験はHER2陽性早期乳がんを対象とした、ペルツズマブ+トラスツズマブ+カルボプラチン+ドセタキセル(TCH+P)とT-DM1+ペルツズマブ(T-DM1+P)を比較する第III相試験である。各施設判定での主要評価項目は病理学的完全奏効(pathological complete response:pCR)率であり、pCRは56% vs.44%でTCH+P群で良好であった (Hurvitz SA, et al. Lancet Oncol. 2018;19:115-126.)。一方で、Grade3の有害事象や重篤な有害事象の発生頻度などでT-DM1+ペルツズマブ群のほうが安全性は良好であった。今回の発表では、副次評価項目の無イベント生存率(event free survival: EFS)、無浸潤がん生存率(invasive disease free survival:IDFS)などについて発表された。3年EFSはTCH+P群 vs.T-DM1+P群で94.2% vs.85.3%(層別化ハザード比:2.61、95%CI:1.36~4.98)とTCH+P群で良好であり、主要評価項目のpCR率と同様の傾向を示した。イベントとしては手術前の増悪がT-DM1+P群で15例(6.7%)と、イベントの約半数を占めていた。TCH+P群では0例であり、手術前の増悪がEFSの差につながったと考えられる。手術前に増悪した15例のうち14例についてHER2のmRNA発現が解析されており、全例で中央値を下回っていた。また、HER2の免疫組織化学染色は15例のうち10例(66.7%)が2+であり、このようなHER2の発現状況がT-DM1+Pの効果に影響を及ぼした可能性が考えられる。3年IDFSは92.0% vs.93.0%で両群に差は認めなかった。KATHERINE試験(von Minckwitz G, et al. N Engl J Med. 2019;380:617-628.)では術前治療で腫瘍が残存した症例に対してT-DM1の術後治療が無病生存(disease free survival:DFS)、全生存期間(overall survival:OS)を改善している。今回の結果との違いはHER2の発現の違いによる可能性は示唆されるが、さらなる検討が必要であろう。抗HER2療法で進行したHER2陽性転移乳がんに対するmargetuximab+化学療法 vs.トラスツズマブ+化学療法の比較第III相試験(SOPHIA試験)本試験は新しい抗HER2抗体であるmargetuximabと化学療法の併用をトラスツズマブと化学療法の併用と比較する試験である。margetuximabはトラスツズマブと同様の特異性と結合性の抗体認識部分を持ち、下流シグナルの抑制効果も同等である。トラスツズマブと異なるのはFCγ受容体結合部位であり、IgG1の野生型のままのトラスツズマブと異なり、CD16Aを活性化し、CD32Bを抑制するよう改変されている。CD16Aの遺伝子型が抗HER2抗体の治療効果予測因子となることが示唆されているため、margetuximabはCD16Aの変異型を有する腫瘍に対しても有効性が高いことが期待された。本試験は2レジメン以上の抗HER2治療歴(転移乳がんに対して1~3レジメン)の症例を対象として、主治医選択化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビンまたはビノレルビン)と併用して抗HER2抗体を1:1に割り付けた。margetuximab群に266例、トラスツズマブ群に270例が割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間(progression free survival:PFS)およびOSであった。前治療としてトラスツズマブおよびペルツズマブは両群で全例が、T-DM1はそれぞれ約91%が受けていた。PFSの中央値は5.8ヵ月 vs.4.9ヵ月(ハザード比:0.76、95%CI:0.59~0.98、p=0.033)とmargetuximab群で良好であった。事前に計画されたCD16Aの遺伝子型によるサブ解析ではCD16A-FFもしくはFVではmargetuximab群で良好であったが、VVでは有意差を認めなかった。FF、FVのみでの解析では有意差を認めなかったが、margetuximab群で良好な傾向であった。また、OSについては有意差を認めなかった。奏効率、臨床的有用率についてもmargetuximabで良好であった。有害事象においてはmargetuximab群でinfusion-related reactionが多い傾向を認めた。今後、抗HER2抗体で進行した転移乳がんの治療として、margetuximabは1つの選択肢となってくる可能性があるが、残念ながら日本からはこの試験には参加していない。転移のあるHER2陽性乳がんにおけるneratinib+カペシタビンvs.ラパチニブ+カペシタビンの比較第III相試験(NALA試験)neratinibはHERファミリーのチロシンキナーゼドメインに不可逆的に結合することにより、下流シグナルを抑制する少分子化合物である。NALA試験は転移乳がんに対し2レジメン以上の抗HER2治療の既往がある症例を対象としてneratinib+カペシタビンvs.ラパチニブ+カペシタビンを比較する第III相試験で、主要評価項目はPFSおよびOSであった。neratinib群に307例が、ラパチニブ群に314例が登録された。PFSはハザード比0.76(p=0.0059)とneratinib群で良好であった。もう1つの評価項目であるOSではneratinib群で良好な傾向は認めたものの、統計学的には有意ではなかった。副次評価項目の中枢神経転移に対する介入の割合はneratinib群の22.8%に対し、ラパチニブ群で29.2%とneratinib群で良好であった(p=0.043)。有害事象は下痢(とくにGrade3/4の下痢)、悪心、嘔吐、食欲低下がneratinib群で多く、手足症候群はラパチニブ群で多い傾向にあった。患者報告によるQOLでは両群間に差を認めなかった。トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するアテゾリズマブ+nab-PTX併用試験のOSアップデート(IMpassion130)アテゾリズマブ+nab-PTX併用療法のTNBCに対する初回治療の結果は昨年の欧州臨床腫瘍学会で発表され、乳がんへの適応拡大が期待されている(Schmid P, et al. N Engl J Med. 2018;379:2108-2121.)。本試験ではPD-L1の発現(1%以上または未満)によって層別化が行われた。PD-L1は41%の症例で陽性であった。主要評価項目はPFSであり、ITT集団では7.2ヵ月 vs.5.5ヵ月、PD-L1陽性集団では7.5ヵ月 vs.5.0ヵ月で、アテゾリズマブ群で良好であった。今回は2回目の中間解析の結果が発表された。観察期間の中央値は18.0ヵ月であり、ITT集団で59%の死亡イベントが発生していた。ITT集団における生存期間中央値(median survival time:MST)は21.0ヵ月 vs.18.7ヵ月(ハザード比:0.86、95%CI:0.72~1.02、p=0.0777)、24ヵ月生存率は42% vs.39%であり、アテゾリズマブ群で良好な傾向を認めたものの、統計学的有意差は認めなかった。PD-L1陽性集団における解析はITT集団で陽性だった場合にのみ行う統計手法が用いられていたため参考値ではあるが、MSTは25.0ヵ月 vs.18.0ヵ月、24ヵ月生存率は51% vs.37%であり、より差が開く傾向がみられた。PD-L1陰性では、MSTは19.7ヵ月 vs.19.6ヵ月であり、アテゾリズマブ追加の有無にかかわらず差を認めなかった。MST、24ヵ月生存率のいずれもプラセボ群ではPD-L1陽性の場合に短い傾向がみられ、PD-L1が予後予測因子でもある可能性が示されている。乳がんにもついに免疫チェックポイント阻害剤の波が到達しようとしている。有害事象のマネジメントも含めて、先人たちに学びながら有効な治療を安全に患者さんに届けるようにしていきたい。なお、余談ではあるが本試験の共同演者には愛知県がんセンターの岩田 広治先生が入っていた。最近では国内からの参加のある国際共同試験の多くで共同演者に日本の先生が入っていることも多く、非常にうれしく感じている。ホルモン受容体陽性乳がんを対象としたエリブリン+ペムブロリズマブ併用療法とエリブリン単剤療法のランダム化第II相試験ホルモン受容体陽性乳がんは免疫学的には“コールド”と考えられており、免疫チェックポイント阻害剤の効果が得られにくいと考えられている。免疫チェックポイント阻害剤単剤では2.8~12%の奏効率が報告されている。一方で化学療法との併用の術前治療ではpCR率を上げることが報告されており、化学療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用はホルモン受容体陽性乳がんの治療として有望である可能性が残されていた。本研究ではエストロゲン受容体および/またはプロゲステロン受容体陽性HER2陰性で、2レジメン以上のホルモン療法歴(術後治療含む)、転移乳がんに対する0~2レジメンの化学療法歴を有する症例を対象として、エリブリン+ペムブロリズマブ併用療法とエリブリン単剤療法を比較した第II相試験である。主要評価項目はPFS、副次評価項目として奏効率・臨床的有用率とOSが設定されていた。44例が併用群、46例が単剤群に割り付けられた。PFSは4.1ヵ月 vs.4.2ヵ月(ハザード比:0.8、95%CI:0.5~1.3、p=0.33)であり両群間に差を認めなかった。PD-L1陽性集団に限った解析でも同様の傾向であった。奏効率はITT集団で27% vs.34%、PD-L1陽性集団で23% vs.45%と、併用群で低い傾向であった。OSは両群間に差を認めなかった。有害事象は多くの項目で両群間に大きな差を認めなかったが、併用群では2例の免疫関連有害事象による治療関連死を認め、単剤群では認めなかった。本試験の結果をもって、ホルモン受容体陽性乳がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の有用性を結論付けることはできないが、併用群で奏効率が低下した理由についてはreverse translational researchが必要であろう。MONALEESA-7 副次評価項目の全生存期間の中間解析で有意に延長MONALEESA-7は閉経前転移乳がんを対象に1次ホルモン療法に対するCDK4/6阻害剤であるribociclibの上乗せをみた第III相試験である。ホルモン療法としてはタモキシフェンもしくはアロマターゼ阻害剤とLHRHアゴニストであるゴセレリンが併用された。前治療としてホルモン療法は許容されておらず、化学療法は1レジメンのみ許容されていた。主要評価項目はPFS、キー副次評価項目としてOSが設定されていた。PFSの結果は昨年のSan Antonio Breast Cancer Symposiumで発表され、ribociclib群で23.8ヵ月に対しプラセボ群で13ヵ月(ハザード比:0.55、95%CI:0.44~0.69、p<0.0001)とribociclib群で良好であり、閉経前の症例においてもこれまでに閉経後を対象として行われてきたCDK4/6阻害剤と同様の上乗せ効果が得られることが示された。今回の発表では観察期間中央値34.6ヵ月時点でのOSの中間解析結果が発表された。生存期間中央値はribociclib群では未達であり、プラセボ群では40.9ヵ月であり、中間解析に割り振られたp値を下回りribociclib群で有意に長かった(ハザード比:0.712、95%CI:0.535~0.948、p=0.00973)。点推定値では、36ヵ月で71.2% vs.64.9%、42ヵ月で70.2% vs.46.9%と観察期間が延長するにつれて差が開いていく傾向を認めた。本試験はCDK4/6の1次治療への上乗せを検証した試験の中で、OSの結果を公表し統計学的有意差を認めた初の試験である。本試験の対象は閉経前であるため、現在の国内で1次治療に使用できるCDK4/6阻害剤に直接応用することはできない。また、中間解析でありイベントが十分に発生していないことなどから、今後の結果については最終解析の結果を待つ必要がある。本試験結果は発表同日New England Journal of Medicine誌に論文公表された( Im SA, et al. N Engl J Med. 2019 Jun 4. [Epub ahead of print])。なお、ribociclibは国内での開発が中止となっているため、本試験には日本からは不参加である。閉経前に対するCDK4/6の国内における開発は非常に重要であり、閉経前後を含めてタモキシフェンにパルボシクリブの上乗せを検証する、日本を含めたアジア共同医師主導治験のPATHWAY試験(UMIN000030816)の症例集積が完了する見込みである。結果の公表が待たれる。

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抗精神病薬使用と胃がんリスクとの関係

 台湾・桃園長庚紀念病院のYi-Hsuan Hsieh氏らは、抗精神病薬使用と胃がんの発症率との関連を明らかにするため、検討を行った。これまで、抗精神病薬の使用と胃がんリスクとの関連は、明らかとなっていなかった。Cancer Medicine誌オンライン版2019年6月10日号の報告。 ネステッド・ケース・コントロール研究を用いて、1997~2013年の台湾全民健康保険研究データベースより、胃がん患者3万4,470例および非胃がん患者16万3,430例を抽出した。交絡因子の可能性を調整するため、条件付きロジスティック回帰モデルを用いてデータ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の使用は、潜在的な交絡因子(収入、都市部、薬剤、身体疾患、アスピリン使用、NSAIDs使用、3剤併用療法)で調整した後、胃がんリスクと独立した逆相関が認められた。・さらに、胃がんリスクに対する各種抗精神病薬(thioridazine、ハロペリドール、スルピリド、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、amisulpride、リスペリドン)の用量依存的傾向も示された。・感度分析では、消化性潰瘍疾患の有無にかかわらず、胃がんリスク減少に対し、第2世代抗精神病薬の有意な用量依存的作用が認められた。 著者らは「抗精神病薬の使用は、胃がんリスクと逆相関が認められた。また、いくつかの抗精神病薬において、胃がんリスクに対する用量依存的作用が認められた」としている。■「スルピリド」関連記事スルピリドをいま一度評価する

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持続する疲労感は成長ホルモン不全症(AGHD)のせい?

 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は、都内で成人の成長ホルモン分泌不全症(AGHD)に関するプレスセミナーを開催した。 セミナーでは「成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)とは」をテーマに、亀田 亘氏(山形大学医学部付属病院 第三内科 糖尿病・代謝・内分泌内科)を講師に迎え、なかなか診療まで結びつかない本症に関し、症状、診断と治療、患者へのフォローなどが紹介された。成長ホルモンが不足するとAGHDを来す 成長ホルモン(以下「GH」と略す)は下垂体で作られ、20歳くらいまで多く分泌され、それ以降は低下する。そして、下垂体で作られたGHは、静脈血に乗って、さまざまな標的器官に運ばれ、次のように作用する。・脳:思考力、意欲、記憶力を高める作用・軟骨・骨:正常な軟骨・骨の成長と強固な骨構造、骨量を維持する作用・心・骨格筋:心筋の強度・機能を高め、心臓の駆出機能を維持する作用・免疫系:免疫機能を亢進する作用・脂肪組織:脂肪代謝を促す作用・肝臓:糖新生作用の促進、IGF-1産生を促す作用・腎臓:水、電解質の調節作用・生殖器系:精巣・卵巣の正常な成長・発達を促進し、生殖機能を維持する作用 GHが不足するとAGHDを来し、亢進すると先端巨人症などの疾患を来すためにGHはバランスよく分泌される必要がある。AGHDは疲労感、集中力の低下などの日常の症状から疑う AGHDの主な症状として(詳細は『成人成長ホルモン分泌不全症の診断と治療の手引き(平成24年度改訂)』を参考)、疲労感、集中力の低下、うつ状態、皮膚の乾燥、体型の変化、骨量の低下、サルコペニア、脳腫瘍の合併などがある(小児発症では成長障害を来す)。 そして、AGHDの原因としては、脳の腫瘍や頭部外傷、中枢神経の感染症が考えられ、腫瘍によるものが多いという。 AGHD診断では、先述の臨床所見のほか、インスリン、アルギニン、L-DOPAなどの負荷によるGH分泌刺激試験の結果と合わせて診断されるほか、同時に重症度も判定される。 AGHD治療では、ソマトロピン(商品名:ノルディトロピンほか)などGH補充療法が行われている。わが国では、1975年から成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療にGH補充療法が開始され、1998年にコンセンサスガイドラインができたことで世界的な治療へと拡大した。AGHDには 2006年から適応となり、現在もさまざまなGH関連疾患への適応が続いている。 患者フォローについては、AGHDは指定難病に指定され、医療費のサポートなどが受けられるほか、成長科学協会などの研究団体、下垂体患者の会などの患者会があり、疾患・治療に関する情報の提供・啓発などが行われている。

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ステント留置後のDAPT投与期間、1ヵ月は12ヵ月より有効?/JAMA

 STOPDAPT試験(2016年)により、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)留置術後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を3ヵ月で終了するアプローチの安全性が確認されている。京都大学の渡部 宏俊氏らSTOPDAPT-2試験の研究グループは、今回、DAPT投与期間をさらに短縮して1ヵ月とし、その後クロピドグレル単剤投与に切り換える治療法について検討し、この超短期的DAPTは、主要な心血管イベント/出血イベントの抑制効果に関して、DAPTを12ヵ月投与する標準治療に対し非劣性で、優越性も有することが示された。JAMA誌2019年6月25日号掲載の報告。日本の90施設で1ヵ月DAPT群と12ヵ月DAPT群に無作為に割り付け 本研究は、日本の90施設が参加した多施設共同非盲検無作為化試験であり、2015年12月~2017年12月の期間に患者登録が行われ、2019年1月に最後の1年フォローアップを終了した(Abbott Vascularの助成による)。 対象は、CoCr-EES留置術による経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者であった。経口抗凝固薬を要する患者や、頭蓋内出血の既往を有する患者は除外された。 被験者は、術後にアスピリン+P2Y12阻害薬(クロピドグレルまたはプラスグレル)によるDAPTを1ヵ月行い、その後はクロピドグレル単剤に切り換える群(1ヵ月DAPT群)、または術後にアスピリン+P2Y12阻害薬によるDAPTを1ヵ月行い、その後はアスピリンとクロピドグレルによるDAPTを12ヵ月時まで継続する群(12ヵ月DAPT群)に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、12ヵ月時の心血管死、心筋梗塞、虚血性または出血性脳卒中、ステント血栓症(definite)、TIMI出血基準の大出血または小出血の複合であり、相対的非劣性マージンは50%とした。1ヵ月DAPT群が心血管イベントを増加させずに出血イベントを抑制 3,009例(intention-to-treat集団)が登録され、2,974例(99%)が試験を完遂した。1ヵ月DAPT群に1,500例、12ヵ月DAPT群には1,509例が割り付けられた。全体の平均年齢は68.6歳、男性が78%で、糖尿病が39%、安定冠動脈疾患が62%、急性冠症候群が38%に認められた。多くが、血栓リスクおよび出血リスクが低~中等度の患者であった。 主要エンドポイントの発生率は、1ヵ月DAPT群が2.36%、12ヵ月DAPT群は3.70%であった(絶対差:-1.34%、95%信頼区間[CI]:-2.57~-0.11、ハザード比[HR]:0.64、95%CI:0.42~0.98)。非劣性の判定基準が満たされ(p<0.001)、優越性にも有意差が認められた(p=0.04)。 心血管イベントの副次エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、虚血性または出血性脳卒中、ステント血栓症[definite])の発生率は、1ヵ月DAPT群が1.96%、12ヵ月DAPT群は2.51%であった(絶対差:-0.55%、95%CI:-1.62~0.52、HR:0.79、95%CI:0.49~1.29)。非劣性の判定基準は満たした(p=0.005)が、優越性は認めなかった(p=0.34)。 また、出血イベントの副次エンドポイント(TIMI出血基準の大出血または小出血)の発生率は、1ヵ月DAPT群が0.41%、12ヵ月DAPT群は1.54%であり(絶対差:-1.13%、95%CI:-1.84~-0.42、HR:0.26、95%CI:0.11~0.64)、1ヵ月DAPT群の優越性が確認された(p=0.004)。 著者は、「これらの知見により、薬剤溶出ステント留置術後に、DAPTを1ヵ月行った後クロピドグレル単剤投与を行うレジメンは、DAPTを12ヵ月継続する標準治療よりも高い有益性をもたらすことが示唆される」とまとめ、「このレジメンの有益性は、心血管イベントを増加させずに出血イベントを抑制することでもたらされたため、出血リスクが高くない患者でも治療選択肢となる可能性がある。また、虚血リスクが低~中等度の患者が多かったことから、虚血リスクの高い患者において、さらなる検討を要する」と指摘している。

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高齢進行胃がん患者への化学療法、低用量でベネフィット得られる可能性(GO2)/ASCO2019

 高齢でフレイルのある、進行胃・食道胃接合部がん患者において、2剤併用化学療法の用量を減らしても、高用量の場合と同等のベネフィットが得られる可能性が示唆された。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、オキサリプラチン+カペシタビン2剤併用療法の適正用量を検討した第III相GO2試験1)の結果を、英国・エジンバラ大学のPeter S Hall氏が発表した。 進行胃・食道胃接合部がんと診断される患者の中央値は75歳超で2)、多くがフレイルを有している。しかし、化学療法の標準的な用法用量の多くがフレイルのない、65歳未満の患者を対象とした臨床試験によって定められている。 Hall氏らが事前に実施した、同患者対象のエピルビシン+オキサリプラチン+カペシタビンとオキサリプラチン+カペシタビン、カペシタビン単剤の比較試験の結果、オキサリプラチン+カペシタビン2剤併用療法が良好な結果を示した3)。 GO2試験は、年齢やフレイルのために全量投与の3剤併用療法には不適格(ただし、GFR≧30、bili<2×ULNで2剤併用には適格性あり)の進行胃・食道胃接合部がん患者対象の、第III相無作為化、多施設共同、前向き対照、非盲検非劣性試験。登録患者はオキサリプラチン+カペシタビンの100%用量群(オキサリプラチン130mg/m2を3週ごと+カペシタビン625mg/m2×1日2回連日投与をPDまで)、80%用量群、60%用量群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)の100%用量群に対する非劣性。その他の評価項目は、患者評価による総合治療効用(overall treatment utility:OTU)、毒性、QOLなどであった。フレイルは、9項目の高齢者総合機能評価を用いて評価され、3項目以上の該当者が重度のフレイルと判定された。 主な結果は以下のとおり。・2014~17年にかけて、英国の61施設から512例が登録され、100%用量群に170例、80%用量群に171例、60%用量群に173例が割り付けられた。全体の年齢中央値は76(51~96)歳、男性が75%で、PS≧2が31%、重度のフレイルと判定された患者は58%であった。ベースライン特性は、3群でバランスがとれていた。・主要評価項目であるPFS中央値はそれぞれ、4.9ヵ月 vs.4.1ヵ月 vs.4.3ヵ月。100%用量群に対する、80%用量群(ハザード比[HR]:1.09、95%信頼区間[CI]:0.89~1.32)および60%用量群(HR:1.10、95%CI:0.90~1.33)の非劣性が確認された(あらかじめ設定された非劣性マージン:1.34)。 ・副次評価項目であるOS中央値について、3群で有意差は確認されなかった(7.5ヵ月 vs. 6.7ヵ月vs. 7.6ヵ月)。・患者評価による9週時点でのOTUは、100%用量群(good:35%、intermediate:34%、poor:31%)、80%用量群(36%、26%、38%)、60%用量群(43%、27%、29%)。60%用量群は100%用量群と比較し、良好な傾向を示した(調整オッズ比:1.24、95%CI:0.84~1.84)。・患者評価による9週時点でのQOLは、100%用量群では変化がなかったが、80%用量群および60%用量群では、ベースライン時と比較して改善した。・毒性は60%用量群で100%用量群および80%用量群よりも低く、治療サイクル数の中央値は60%用量群で最も多かった。・ベースライン時の因子(年齢、PS、フレイル)ごとに、用量によるPFS、OS、OTUを比較した結果、有意な差は得られず、高用量治療でベネフィットを得る患者特性は特定されなかった。

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前立腺がんへの超寡分割照射vs.標準照射(解説:宮嶋哲氏)-1073

 Scandinavian HYPO-RT-PC試験は転移のない前立腺がんを対象に、標準照射と比較し、超寡分割照射の非劣性を検討することを目的とした第III相無作為ランダム化比較臨床試験である。本試験はスウェーデンとデンマークの12施設において、2005年からの10年にわたって施行された。リンパ節転移ならびに遠隔転移のない75歳以下の中〜高リスク前立腺がん患者1,200例を対象に、原発巣である前立腺への放射線照射が無病生存率に寄与するのか検討を行っている。本試験では、標準照射群(591例)、または超寡分割照射群(589例)の2群にランダム化している。標準放射線照射群は連日照射を8週間施行し(78Gy/39Fr)、超寡分割照射群は2.5週7回の照射を施行するプロトコル(42.7Gy/7Fr)であった。中リスク患者は全体の89%(1,054例)で、高リスク患者は11%(126例)であった。なお、いずれの症例でもアンドロゲン除去療法は施行されていない。 結果は、5年failure-free survivalが両群で84%(95%CI:80~87)であった。治療1年後に超寡分割照射群でRTOG grade2の排尿障害を認めたが、統計学的に有意差を認めなかった(158/569例 vs.132/578例、p=0.057)。また晩期合併症には有意差を認めなかった。 現在、前立腺がん原発巣に対する治療選択肢の1つである放射線外照射のデメリットは、約2ヵ月間の通院加療の必要性と照射後の排尿ならびに直腸障害である。本試験の超寡分割照射群はわずか7回計16日間の治療期間で、患者の受ける恩恵は大きい。さらに、本試験では非劣性を確認するためにアンドロゲン除去療法を施行していない。照射後、排尿障害を訴える患者の多くは年齢相応の前立腺肥大症を罹患していることが多く、アンドロゲン除去療法を併用することで前立腺容積の縮小を介して排尿障害の発生を抑制しうる可能性もある。実臨床の見地からすれば、本試験の結果は患者QOLの改善に大いに寄与するものと考えられる。

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間質性膀胱炎(ハンナ型)〔IC:interstitial cystitis with Hunner lesions〕

1 疾患概要■ 概念・定義間質性膀胱炎(interstitial cystitis:IC)という名称は、1887年に膀胱壁に炎症と潰瘍を有する膀胱疾患を報告したSkeneによって最初に用いられた。そして1915年、Hunnerが、その膀胱鏡所見と組織所見の詳細を報告したことから、ハンナ潰瘍(Hunner's ulcer)と呼ばれるようになった。しかし、ハンナ潰瘍と呼ばれた病変は、胃潰瘍などで想像する潰瘍とは異なるため(詳細は「2 診断-検査」の項参照)、潰瘍という先入観で膀胱鏡を行うと見逃すことも少なくなく、現在はハンナ病変(Hunner's lesion)と呼ぶことになった。以前は米国・国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases:NIDDK)による診断基準(1999年)が用いられたが、これは臨床研究のための診断基準で厳し過ぎた。『間質性膀胱炎診療ガイドライン 第2版』では、「膀胱の疼痛、不快感、圧迫感と他の下部尿路症状を伴い、混同しうる疾患がない状態」の総称を間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(interstitial cystitis/bladder pain syndrome:IC/BPS)とし、このうち膀胱内にハンナ病変のあるものを、「IC/BPS ハンナ病変あり(IC/BPS with Hunner lesion)」、それ以外を「IC/BPS ハンナ病変なし(IC/BPS without Hunner lesion)」とすることとした。これまでは、ハンナ病変はないが点状出血を認めるIC/BPSを非ハンナ型ICとしていたが、これもIC/BPSハンナ病変なしに含まれることになる。要は、ハンナ病変が確認されたIC/BPSのみが「間質性膀胱炎」であり、ハンナ病変がなければ、点状出血はあってもなくても「膀胱痛症候群」となる。本症の名称については、前述の経緯も含め変遷があるが、本稿では「間質性膀胱炎(ハンナ型)」の疾患名で説明をしていく。■ 疫学過去のICに関する疫学調査の対象はIC/BPS全体であり、0.01~2.3%の範囲である。疾患に対する認知度が低いために、疫学調査の結果が低くなっている可能性がある。2014年に行ったわが国での疫学調査では、治療中のIC患者数は約4,500人(0.004%:全人口の10万人当たり4.5人)であった。性差は、女性が男性の約5倍とされる。■ 病因尿路上皮機能不全として、グリコサミノグリカン層(glycosaminoglycan:GAG layer)異常が考えられている。GAG層の障害は、尿路上皮の防御因子の破綻となり、尿が膀胱壁へ浸潤して粘膜下の神経線維がカリウムなどの尿中物質からの影響を受けやすくなり、疼痛や頻尿を引き起こすと考えられる。しかし、GAG層が障害される原因は解明されていない。このほか、細胞間接着異常、上皮代謝障害、尿路上皮に対する自己免疫が推測されている。また、肥満細胞の活性化によりサイトカインなどの炎症性メディエータが放出され、疼痛、頻尿、浮腫、線維化、粘膜固有層内の血管新生などが引き起こされるとされる。これら以外にも免疫性炎症、神経原性炎症、侵害刺激系の機能亢進、尿中毒性物質、微生物感染など、複数の因子が関与していると考えられている。■ 症状IC/BPSの主な症状には、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿意亢進、膀胱不快感、膀胱痛などがある。尿道、膣、外陰部痛、性交痛などを訴えることもある。不快感や疼痛は膀胱が充満するに従い増強し、そのためにトイレにいかなければならず、排尿後には軽減・消失する場合が多い。■ 分類膀胱鏡にてハンナ病変が確認されたIC/BPSに限り「IC/BPS ハンナ病変あり」とし、ハンナ病変がないIC/BPSは「IC/BPS ハンナ病変なし」と分類する。「IC/BPS ハンナ病変あり」は、間質性膀胱炎(ハンナ型)として2015年1月1日に難病指定された。■ 予後良性疾患であるので生命への影響はない。1回の経尿道的ハンナ病変切除・焼灼術で症状改善が生涯持続することもあるが、繰り返しの手術を必要とし、疼痛コントロールがつかなかったり、自然経過あるいは手術の影響によって膀胱が萎縮したりして、膀胱摘出術が必要となることもまれにある。症例によって経過はさまざまである。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断のフローは、『間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン』(2019/6発刊)に詳しく紹介されているので参照いただきたい。本稿では、エッセンスだけにとどめる。■ 検査1)症状IC/BPSを疑う症状があることが、最も重要である(「1 疾患概要-症状」の項参照)。2)排尿記録排尿時刻と1回排尿量を24時間連続して記録する。蓄尿時膀胱・尿道部痛または不快感により頻尿となるため、1回排尿量が低下し、排尿回数が増加している症例が多い。多くの場合、夜間も日中同様に頻尿である。3)尿検査多くの場合、尿所見は異常を認めない。赤血球や白血球を認める場合は感染や尿路上皮がんとの鑑別を行う必要がある。4)膀胱鏡ハンナ病変(図)を認める。ハンナ病変とは、膀胱粘膜の欠損とその周囲が毛細血管の増生によりピンク色に見えるビロード状の隆起で、しばしば瘢痕形成を伴う。表面にフィブリンや組織片の付着が認められることがある。膀胱拡張に伴い病変が亀裂を起こし、裂け、そこから五月雨状あるいは滝状に出血するため、拡張前に観察する必要がある。図 IC/BPSハンナ病変ありの膀胱鏡所見画像を拡大する■ 鑑別診断過活動膀胱、細菌性膀胱炎、慢性前立腺炎、心因性頻尿との鑑別を要するが、子宮内膜症との鑑別はともに慢性骨盤痛症候群であるから非常に難しい。しかし、最も注意すべきは膀胱がん、とくに上皮内がんである。膀胱鏡所見も、瘢痕を伴わないハンナ病変は、膀胱上皮内がんとよく似ており鑑別を要する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)病因が確定されていないため根治的な治療はなく、対症療法のみである。また、IC/BPS ハンナ病変あり/なしを区別した論文は少ない。なお、わが国で保険収載されている治療は「膀胱水圧拡張術」だけである。■ 保存的治療患者の多くが食事療法を実行しており、米国の患者会である“Interstitial Cystitis Association”によればコーヒー、紅茶、チョコレート、アルコール、トマト、柑橘類、香辛料、ビタミンCが、多くのIC/BPS患者にとって症状を増悪させる飲食物とされている。症状を悪化させる食品は、個人によっても異なる。膀胱訓練は決まった方法はないものの有効との報告がある。■ 内服薬治療三環系抗うつ薬であるアミトリプチリン(商品名:トリプタノール)は、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを抑制して中枢神経の痛み刺激の伝達を抑えるほか、ヒスタミンH1受容体をブロックして肥満細胞の活動を抑制するなどの作用機序があると考えられ、有効性の証拠がある。トラマドール(同:トラマール)、抗けいれん薬であるガバペンチン(同:ガバペン)も神経因性疼痛に対するある程度の有効性があるとされる。また、肥満細胞の活性化抑制を目的として、スプラタスト(同:アイピーディ)、ロイコトリエン受容体拮抗薬のモンテルカスト(同:キプレス、シングレア)がある程度有効である。免疫抑制薬のシクロスポリンA、タクロリムス、プレドニゾロンはある程度の有効性はあるが、長期使用による副作用に十分注意が必要であり、安易な使用はしない。このほかNSAIDs、選択的COX-2阻害薬、尿のアルカリ化のためのクエン酸もある程度の有効性がある。■ 膀胱内注入療法ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)は炎症抑制、筋弛緩、鎮痛、コラーゲンの分解、肥満細胞の脱顆粒などの作用があるとされ、IC/BPSに有効性のエビデンスがある。ハンナ病変ありのIC/BPSには効果があるとの報告もある。わが国では、現在臨床試験中である。ヘパリン、ヒアルロン酸はGAG層の欠損を補うことにより症状を緩和すると考えられ、IC/BPSに対してある程度の有効性のエビデンスがある。リドカインは短時間で疼痛の軽減が得られるが、その効果は短期間である。ボツリヌス毒素の膀胱壁内(粘膜下)注入、ステロイドのハンナ病変および辺縁部膀胱壁内注入も、ある程度の有効性のエビデンスがある。■ 手術療法膀胱水圧拡張術が、古くからIC/BPSの診断および治療の目的で行われてきた。有効性のエビデンスは低く、奏効率は約50%、奏効期間は6ヵ月未満との報告が多い。IC/BPSハンナ病変ありには、経尿道的ハンナ病変切除・焼灼術が推奨される。反復治療を要することが多いが、症状緩和には有効である。膀胱全摘出術や膀胱部分切除術+膀胱拡大術は、他の治療がすべて失敗した場合にのみ施行されるべきである。ただし、膀胱全摘出術後も疼痛が残存することがある。4 今後の展望これまではIC/BPS ハンナ病変あり/なしを区別、同定して行われた研究は少ない。世界的に「IC/BPSハンナ病変あり」は1つの疾患として、他のIC/BPSとは分けて考えるという方向になった。以前の非ハンナ型ICを含む「IC/BPSハンナ病変なし」は、heterogeneousな疾患の集合であり、これから「IC/BPSハンナ病変あり」(ハンナ型IC)を分けることによって、薬の開発も行われやすく、薬の効果評価も明確なものになると期待される。5 主たる診療科泌尿器科膀胱水圧拡張術を保険診療として行うためには、施設基準が必要である。間質性膀胱炎(ハンナ型)(「IC/BPSハンナ病変あり」のこと)は、難病指定医により申請が可能である。日本間質性膀胱炎研究会ホームページに掲載されている「診療に応じる医師」が参考になるが、このリストは医師からの自己申告に基づくものであり、診療内容は個々の医師により異なる。日本排尿機能学会認定医のような、排尿障害に関する専門医が望ましい。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本間質性膀胱炎研究会(Society of Interstitial Cystitis of Japan:SICJ)(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 間質性膀胱炎(ハンナ型)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)日本間質性膀胱炎研究会 ガイドライン作成委員会 編集. 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン. リッチヒルメディカル;2019. 2)Hanno PM,et al. J Urol. 1999;161:553-557.3)Yamada Y,et al. Transl Androl Urol. 2015;4:486-490.4)Tomoe H. Transl Androl Urol. 2015;4:600-604.5)Tomoe H, et al. Arab Journal of Urol. 2019;17:77-81.6)Whitmore KE, et al. Int J Urol. 2019;26:26-34.公開履歴初回2019年7月9日

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頭打ちの後発医薬品使用の裏で始まった新制度【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第28回

10年前の後発医薬品の使用割合はどのくらいだったか、覚えていますか? 2009年の後発医薬品の使用割合は35%で、計算方法は多少変わっていますが、現在は約70%ですので、約10年で後発医薬品の使用は2倍に増えています。報酬改定に追われるように…、というのは否めませんが、保険薬局の努力が後発医薬品の使用割合の増加に大きく貢献したことは間違いありません。しかし、このたび後発医薬品の使用割合が頭打ちになっているという調査結果が報告されました。2018年10月から19年1月にかけて、28都府県の保険薬局91施設を対象に実施した聞き取り調査の結果によると、後発医薬品調剤体制加算3の算定要件(数量ベースの後発品使用割合85%の基準)が新設されたことについて、70.7%が「要件が厳しい」と答えた。理由としては▽薬局の取り組みだけでは困難▽処方元の後発品に対する意識が変わらない限り難しい▽処方箋の「変更不可」欄がある限り難しい―といった声が上がった。(2019年6月17日付 日刊薬業)これは、日本製薬団体連合会という製薬企業の団体の中にある保険薬価研究委員会が行った研究報告です。後発医薬品の数量割合が70%を超えたあたりから頭打ち状態になっている保険薬局が多い点や、政府目標の80%を達成するためには、保険薬局の努力だけでは限界を感じている点などが明らかになっています。「現在が頭打ち」という状況は、私個人としても実感しています。2018年の報酬改定では、医科の報酬でも後発医薬品の使用を促進する改定がいくつかあったものの、調剤においては後発医薬品調剤体制加算の基準が引き上げられ、一番点数が大きい要件は85%になりました。正直、処方箋の変更不可欄のチェック率や、小児処方の変更の難しさなどを考えると、私が関わっている薬局での85%達成は難しいなと思っています。後発医薬品、上市後10年経過でさらに薬価引き下げここで改めて、後発医薬品の数量割合の目標を確認してみましょう。2017年に閣議決定された、いわゆる「骨太の方針2017」で、2020年9月までに後発医薬品の使用割合を80%とする、という目標が決まりました。これは内閣府が旗を振っているものですから、厚生労働省も上から達成を監視されているという状況なのでしょう。2020年9月までの報酬改定はあと1回だけです。かなり厳しい状況ですが、個人的には医師の処方権を考えると変更不可欄がなくなることはないだろうと思っていますので、もしかしたら目標達成の期限を延ばすのでは、とも思っています。しかし、国もただ手をこまねいているわけではなく、2019年4月より長期収載品の薬価を後発医薬品並みに引き下げる「G1、G2ルール」というかなり力業の制度が導入されました。現在は、最初の後発医薬品の収載から5年を経過し、10年を経過しない品目のうち、後発医薬品への置き換え率が80%となる先発医薬品の薬価が引き下げられています(Z2ルール)。G1ルールではそれに加え、10年が経過した品目に関して、後発医薬品への置き換え率が80%以上の品目の薬価を6年かけて2年ごとに薬価を引き下げていき、G2ルールでは置き換え率80%未満の品目の薬価を10年かけて2年ごとに引き下げていきます。これによって、長期収載品を有する製薬企業は、長期収載品を販売し続けるべきか、撤退すべきかの判断を迫られることになります。実際には、長期収載品を保持し続けたり、権利を他社に移譲したりする企業もあるようですが、市場から撤退する長期収載品が増える→後発医薬品を選択せざるを得ない医療機関が増える→後発医薬品の使用割合が増える、という流れが予想されます。金額ベースから数量ベースになったり、母数の考え方が変わったりと紆余曲折があった後発医薬品の使用促進が佳境を迎えていますので、引き続き注目したいと思います。

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高齢者進行非小細胞肺がん、膵がん患者に対する早期運動・栄養介入の多施設共同ランダム化第II相試験(NEXTAC-TWO)

 高齢の進行期がん患者の多くは、がん悪液質による疲労、食欲不振、および身体機能の低下を有しているが、効果的な介入が確立されていない。静岡県立静岡がんセンターの内藤 立暁氏らは進行期がんに対する栄養療法および運動療法を組み合わせた早期介入プログラムNEXTAC(The Nutrition and Exercise Treatment for Advanced Cancer program)の第I相試験(NEXTAC-ONE)を実施し、がん悪液質高リスクの高齢患者におけるNEXTACの実現可能性を報告した(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle, 2018)。この結果に基づきNEXTACによる早期の運動・栄養介入の有効性を評価する多施設共同無作為化第II相NEXTAC-TWO試験が開始された。NEXTAC-TWO試験の実施の背景、設計などについて新潟県立がんセンター新潟病院 三浦 理氏らがBMC Cancer誌オンライン版2019年5月31日号で発表した。NEXTAC介入群と介入なしの対象群に130例の被験者を無作為に割り付け・対象:1次治療として化学療法実施予定の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)または膵臓がん患者。年齢70歳以上、PS 2以下で適切な臓器機能を持ち介護を要しない患者・介入群:1次治療開始とともに、BCAA(分岐鎖アミノ酸)含有サプリメント摂取(大塚製薬:インナーパワー)と栄養カウンセリング、低強度在宅運動プログラム、身体活動計により測定された歩数に基づく身体活動量促進プログラムを医師のほか栄養士、理学療法士、看護師より成る多職種チームによる介入を行う・対照群:介入なし・評価項目:[主要評価項目]介護不要生存期間[副次評価項目]栄養状態、除脂肪体重、運動機能、ADL、QOL、全生存期間、安全性など わが国の15施設から130例の被験者を登録する。被験者を介入群と対照群に無作為に割り付け、無作為化から4回(登録時、4±2週、8±2週、12±2週)介入と評価を実施する。層別化因子は、PS(0~1対2)、原発がんの部位(肺と膵)、病期(Stage IIIとIV)、化学療法の種類(ドライバー遺伝子変異に対するキナーゼ療法とその他)など。筆頭著者 三浦 理氏のNEXTAC-TWO試験についてのコメント がん治療、とくに非小細胞肺がんの世界ではドライバー遺伝子変異に対するキナーゼ阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬による治療開発が非常に活発に行われている。それに伴い、長期生存が得られる症例が増えており、今後はQOLの改善、維持ということが重要視されるだろう。2019年、抗悪液質治療薬であるグレリン誘導体のアナモレリンが臨床導入される予定である。この薬剤は食欲改善効果と共に除脂肪体重増加効果はあるが、筋力の改善、増強は得られがたいことが臨床試験で示唆されている。今まで前向き試験で示されることができなかった多職種介入の有効性が本試験で示されれば支持療法の分野における大きな一歩であると考えられる。本試験はすでに症例登録は終了し観察期間に入っており、結果の公表が待たれる。

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