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アクリルネイルの流行で接触皮膚炎が急増

 (メタ)アクリレートは強力な感作性物質で、アレルギー性接触皮膚炎(ACD)の原因となるが、アクリルネイルの需要増に伴いACDの発症頻度が高まっている。これまで(メタ)アクリレートは、英国および欧州のbaseline patch test seriesで日常的に検査されていなかった。しかし、明らかな曝露歴のある患者に対する(メタ)アクリレートのパッチテストを予備検査として行った結果では、陽性率の高さが示唆されている。英国・Royal United HospitalのSophie Rolls氏らは、今回の検討結果から、英国のbaseline patch test seriesに2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)2%ワセリンの追加を推奨するとした。著者は、「短鎖(メタ)アクリレート系は(メタ)アクリレートアレルギー患者のほとんどで検出される傾向があるため、これらの標準化を推奨する」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2019年1月31日号掲載の報告。 研究グループは、baseline patch test seriesに2-HEMA 2%含有ワセリンを追加することで、治療可能な(メタ)アクリレートによるACDを検出できるかを検討した。対象者は(メタ)アクリレート曝露の既往歴を有する患者、または2-HEMA陽性患者で、2016~7年に英国の15施設の皮膚科において、8種類の短鎖(メタ)アクリレート系のアレルゲンを選択的に検査した。 主な結果は以下のとおり。・5,920例がbaseline patch test seriesのパッチテストを連続して受けた。うち669例は短鎖(メタ)アクリレート系テストも受けた。・5,920例中102例(1.7%)は2-HEMAに、140例(2.4%)は1つ以上の(メタ)アクリレートに陽性反応を示した。・2-HEMAがbaseline patch test seriesから除外されていた場合、5,920例中36例(全患者の0.6%)で(メタ)アクリレートアレルギーが見逃されていた可能性が示された。・(メタ)アクリレートのうち陽性反応が最も出たのは、2-HEMA(102例、1.7%)で、次いで、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(61例、1%)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(57例、1%)であった。

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減量に朝食摂取は本当に有効か/BMJ

 朝食の摂取は、その習慣の有無にかかわらず、体重減少の戦略としては有効とはいえない可能性があるとの研究結果が、オーストラリア・モナシュ大学のKatherine Sievert氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年1月30日号に掲載された。規則的な朝食の摂取は、低BMIと関連し、体重増加に対する防御因子であることが、多くの観察研究で示唆されている。一方、これまでに得られた朝食摂取に関する無作為化対照比較試験のエビデンスは、一貫性がないという。規則的朝食摂取と体重の関連をメタ解析で評価 研究グループは、高所得国の住民において、規則的な朝食の摂取が体重の変化およびエネルギー摂取に及ぼす影響を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(研究助成は受けていない)。 医学データベースを用いて、1990~2018年の期間に報告された文献を検索した。また、2018年10月に、世界保健機関(WHO)の国際臨床試験登録プラットフォームの検索ポータルを検索し、未発表および進行中の試験を同定した。 対象は、朝食の摂取と非摂取を比較し、体重またはエネルギー摂取量の評価を行った高所得国の無作為化対照比較試験とした。 2人のレビュアーが個別にデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。変量効果を用いてメタ解析を行った。試験の質が低く、結果の解釈には注意が必要 日本の1件を含む13件(並行群間比較試験7件、クロスオーバー試験6件)の試験が解析の対象となった。7件は体重の変化を、10件は1日のエネルギー摂取量の評価を行っていた(4件は両方)。 体重変化のメタ解析では、朝食抜きの参加者は朝食摂取者に比べ、わずかだが体重が減少していた(平均差:0.44kg、95%信頼区間[CI]:0.07~0.82)が、試験結果にはある程度の非一貫性(inconsistency)が認められた(I2=43%)。 また、1日の総エネルギー摂取量のメタ解析では、朝食抜きの参加者は、朝食摂取者に比べ摂取量が少なく(平均差:259.79kcal/日、95%CI:78.87~440.71)、抜いた朝食分のエネルギーを昼食や夕食などの他の食事で補っていないことが示唆された。しかしながら、試験結果には、実質的な非一貫性がみられた(I2=80%)。 解析対象の試験はすべて、1つ以上のドメインでバイアスのリスクが高いまたは不明であり、平均フォローアップ期間が短かった(体重変化の試験:7週[範囲:2~16週]、エネルギー摂取量の試験:2週[24時間~6週])。試験の質は、ほとんどの試験が低いと判定されたため、結果の解釈には注意を要すると考えられる。 著者は、「成人の体重減少に朝食を推奨する場合は、逆効果となる可能性にも留意する必要がある」と指摘し、「体重管理のアプローチにおける朝食摂取の役割の検討では、今後、質の高い無作為化対照比較試験を行う必要がある」としている。

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C型肝炎撲滅、2030年の世界目標に向けた介入の有効性/Lancet

 直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral:DAA)の開発がもたらしたC型肝炎治療の大変革は、公衆衛生上の脅威としてのこの疾患の世界的な根絶に関して、国際的な関心を生み出した。これを受け2017年、世界保健機関(WHO)は、2030年までに根絶との目標を打ち出した。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAlastair Heffernan氏らは、WHOのC型肝炎ウイルス(HCV)根絶目標について現状の達成状況を調査した。Lancet誌オンライン版2019年1月28日号掲載の報告。6つのシナリオに基づく介入拡大の世界的な影響を評価 研究グループは、世界的なHCV蔓延に及ぼす公衆衛生的介入の影響を評価し、WHOの根絶目標の条件を満たしているかを検証する目的で、数学的モデルを用いた検討を行った(Wellcome Trustの助成による)。 世界190ヵ国におけるHCV蔓延の動的伝播モデルを開発した。モデルには、人口統計学的要因、注射薬物使用者(PWID)、現行の治療・予防計画の適用範囲、疾病の自然史、HCV有病率、HCVに起因する死亡のデータが組み込まれた。 HCV感染の伝播リスクを低減し、治療機会を改善し、スクリーニングを受ける機会を増やす介入拡大が、世界に及ぼす影響を推定するために、以下の6つのシナリオに基づいて評価を行った。 (1)現状維持:既存の診断・治療レベルに変化がない、(2)介入1:血液安全性と感染管理の推進、(3)介入2:PWIDの健康被害の削減(harm reduction)、(4)介入3:診断時のDAA提供、(5)介入4:診断数を増やすためのアウトリーチ・スクリーニングの実施、(6)DAA非導入:治療をペグインターフェロンと経口リバビリンに限定(DAA使用の影響の調査のため)。HCV感染削減目標、死亡削減目標の達成は2032年か PWIDを除く人口における伝播リスクを80%削減し、健康被害削減サービスの適用範囲をPWIDの40%に拡大する介入により、2030年までに、1,410万件(95%確信区間[CrI]:1,300万~1,520万)の新たな感染が防止される可能性が示された。 また、すべての国で診断時にDAAを提供すると、肝硬変および肝がんによる64万件(95%CrI:62万~67万)の死亡が予防可能であることが示唆された。 ベースライン(2015年)と比較して、予防、スクリーニング、治療介入から成る包括的な対策は、1,510万件(95%CrI:1,380万~1,610万)の新たな感染と、150万件(140万~160万)の肝硬変および肝がんによる死亡を防止し、これにより感染率が81%(78~82)抑制され、死亡率は61%(60~62)低下すると推定された。 これは、WHOのHCV感染削減目標の80%に相当するが、死亡削減目標の65%には達しておらず、目標達成は2032年となる可能性が示された。 世界的な疾病負荷の低減は、予防介入の成功、アウトリーチ・スクリーニングの実践とともに、中国、インド、パキスタンなどの主要な高負荷国における進展に依存することが明らかとなった。 著者は、「HCVの疾病負担の削減には、すべての国において、併用治療とともに、血液安全性と感染管理の推進、PWIDの健康被害削減サービスの拡大と創設、大規模なHCVスクリーニングのさらなる改善が必要である」としている。

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無症候性の頸動脈高度狭窄例に対するCASで、CEAと転帰の差を認めず:CREST/ACTⅠメタ解析

 米国では、頸動脈インターベンションの最大の適応は無症候性の高度狭窄だという。しかし、米国脳卒中学会など関連14学会による2011年版ガイドラインでは、外科高リスク例を除き、無症候性頸動脈高度狭窄例に対しては、頸動脈ステント留置術(CAS)よりも頸動脈内膜剥離術(CEA)が推奨されている。 しかし同ガイドライン策定後、CREST試験とACTI試験という2つの大規模ランダム化試験において、末梢塞栓保護下CASは、死亡・脳卒中・心筋梗塞抑制に関し、CEAに対する非劣性が示された。 2019年2月6~8日に、米国・ハワイにて開催された国際脳卒中会議(ISC)では、これら2試験の個別患者データをメタ解析した結果が報告され、CAS施行後の転帰はさまざまな評価項目においてCEAと有意差がないと確認された。7日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、Jon Matsumura氏(ウィスコンシン大学、米国)が報告した。評価項目を事前設定のうえ、個別患者データを用いてメタ解析 本メタ解析は両試験の研究者が合意のもと、あらかじめ評価項目を定めたうえで(後述)、個々の患者データを用いて行われた。ACTⅠ試験では80歳以上が除外されていたため、CREST試験参加2,502例中試験開始時に80歳未満だった1,091例と、ACTⅠ試験に参加した1,453例が、今回のメタ解析の対象となった。 試験開始時における、CAS群(1,637例)とCEA群(907例)の患者背景は、CAS群で喫煙者が有意に多い(25.6% vs.21.8%、p=0.033)以外、有意差はなかった。平均年齢は68歳で、65歳以上が約70%を占めている。1次評価項目でCASとCEAに有意差は認められず これらをメタ解析した結果、本解析の1次評価項目とされた「周術期の死亡・脳卒中・心筋梗塞、ランダム化後4年間の同側性脳卒中」(CREST試験と同様)の発生率は、CAS群:5.3%、CEA群:5.1%となり、有意差を認めなかった(p=0.91)。ただしその内訳は、脳卒中(CAS群:2.7% vs.CEA群:1.5%)と死亡(同、0.1% vs.0.2%)、4年間同側性脳卒中(同、2.3% vs.2.2%)には群間差を認めなかったものの(いずれもNS)、心筋梗塞に限ればCAS群が0.6%と、CEA群の1.7%に比べ有意に低値となっていた(p=0.01)。 次に、2次評価項目とされたランダム化後4年間の「脳卒中非発生生存率」だが、同様に、CAS群:93.2%、CEA群:95.1%で有意差はなかった(p=0.10)。「全生存率」で比較しても同様だった(CAS群:91% vs.CEA群:90.2%、p=0.923)。 本メタ解析は、デバイス製造・販売会社からのサポートは受けていない。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「ISC 2019 速報」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

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血友病〔Hemophilia〕

血友病のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■概要血友病は、凝固第VIII因子(FVIII)あるいは第IX因子(FIX)の先天的な遺伝子異常により、それぞれのタンパクが量的あるいは質的な欠損・異常を来すことで出血傾向(症状)を示す疾患である1)。血友病は、古代バビロニア時代から割礼で出血死した子供が知られており、19世紀英国のヴィクトリア女王に端を発し、欧州王室へ広がった遺伝性疾患としても有名である1)。女王のひ孫にあたるロシア帝国皇帝ニコライ二世の第1皇子であり、最後の皇太子であるアレクセイ皇子は、世界で一番有名な血友病患者と言われ、その後の調査で血友病Bであったことが確認されている2)。しかし、血友病にAとBが存在することなど疾患概念が確立し、治療法も普及・進歩してきたのは20世紀になってからである。■疫学と病因血友病は、X連鎖劣性遺伝(伴性劣性遺伝)による遺伝形式を示す先天性の凝固異常症の代表的疾患である。基本的には男子にのみ発症し、血友病Aは出生男児約5,000人に1人、血友病Bは約2万5,000人に1人の発症率とされる1)。一方、約30%の患者は、家族歴が認められない突然変異による孤発例とされている1)。■分類血友病には、FVIII活性(FVIII:C)が欠乏する血友病Aと、FIX活性(FIX:C)が欠乏する血友病Bがある1)。血友病は、欠乏する凝固因子活性の程度によって重症度が分類される1)。因子活性が正常の1%未満を重症型(血友病A全体の約60%、血友病Bの約40%)、1~5%を中等症型(血友病Aの約20%、血友病Bの約30%)、5%以上40%未満を軽症型(血友病Aの約20%、血友病Bの約30%)と分類する1)。■症状血友病患者は、凝固因子が欠乏するために血液が固まりにくい。そのため、ひとたび出血すると止まりにくい。出産時に脳出血が多いのは、健常児では軽度の脳出血で済んでも、血友病児では止血が十分でないため重症化してしまうからである。乳児期は、ハイハイなどで皮下出血が生じる場合が多々あり、皮膚科や小児科を経由して診断されることもある。皮下出血程度ならば治療を必要としないことも多い。しかし、1歳以降、体重が増加し、運動量も活発になってくると下肢の関節を中心に関節内出血を来すようになる。擦り傷でかさぶたになった箇所をかきむしって再び出血を来すように、ひとたび関節出血が生じると同じ関節での出血を繰り返しやすくなる。国際血栓止血学会(ISTH)の新しい定義では、1年間に同じ関節の出血を3回以上繰り返すと「標的関節」と呼ばれるが、3回未満であれば標的関節でなくなるともされる3)。従来、重症型の血友病患者ではこの標的関節が多くなり、足首、膝、肘、股、肩などの関節障害が多く、歩行障害もかなりみられた。しかし、現在では1回目あるいは2回~数回目の出血後から血液製剤を定期的に投与し、平素から出血をさせないようにする定期補充療法が一般化されており、一昔前にみられた関節症を有する患者は少なくなってきている。中等症型~軽症型では出血回数は激減し、出血の程度も比較的軽く、成人になってからの手術の際や大けがをして初めて診断されることもある1)。■治療の歴史1960年代まで血友病の治療は輸血療法しかなく、十分な凝固因子の補充は不可能であった。1970年代になり、血漿から凝固因子成分を取り出したクリオ分画製剤が開発されたものの、溶解操作や液量も多く十分な因子の補充ができなかった1)。1970年代後半には血漿中の当該凝固因子を濃縮した製剤が開発され、使い勝手は一気に高まった。その陰で原料血漿中に含まれていたウイルスにより、C型肝炎(HCV)やHIV感染症などのいわゆる薬害を生む結果となった。当時、国内の血友病患者の約40%がHIVに感染し、約90%がHCVに感染した。クリオ製剤などの国内製剤は、HIV感染を免れたが、HCVは免れなかった1)。1983年にHIVが発見・同定された結果、1985年には製剤に加熱処理が施されるようになり、以後、製剤を経由してのHIV感染は皆無となった1)。HCVは1989年になってから同定され、1992年に信頼できる抗体検査が献血に導入されるようになり、以後、製剤由来のHCVの発生もなくなった1)。このように血友病治療の歴史は、輸血感染症との戦いの歴史でもあった。遺伝子組換え型製剤が主流となった現在でも、想定される感染症への対応がなされている1)。■予後血友病が発見された当時は治療法がなく、10歳までの死亡率も高かった。1970年代まで、重症型血友病患者の平均死亡年齢は18歳前後であった1,4)。その後、出血時の輸血療法、血漿投与などが行われるようになったが、十分な治療からは程遠い状態であった。続いて当該凝固因子成分を濃縮した製剤が開発されたが、非加熱ゆえに薬害を招くきっかけとなってしまった。このことは血友病患者の予後をさらに悪化させた。わが国におけるHIV感染血友病患者の死亡率は49%(平成28年時点のデータ)だが、欧米ではさらに多くの感染者が存在し、死亡率も60%を超えるところもある5)。罹患血友病患者においては、感染から30年を経過した現在、肝硬変の増加とともに肝臓がんが死亡原因の第1位となっている5)。1987年以後は、輸血感染症への対策が進んだほか、遺伝子組換え製剤の普及も進み、若い世代の血友病患者の予後は飛躍的に改善した。現在では、安全で有効な凝固因子製剤の供給が高まり、出血を予防する定期補充療法も普及し、血友病患者の予後は健常者と変わらなくなりつつある1)。2 診断乳児期に皮下出血が多いことで親が気付く場合も多いが、1~2歳前後に関節出血や筋肉出血を生じることから診断される場合が多い1)。皮膚科や小児科、時に整形外科が窓口となり出血傾向のスクリーニングが行われることが多い。臨床検査でAPTTの延長をみた場合には、男児であれば血友病の可能性も考え、確定診断については専門医に紹介して差し支えない。乳児期の紫斑は、母親が小児科で虐待を疑われるなど、いやな思いをすることも時にあるようだ。■検査と鑑別診断血友病の診断には、血液凝固時間のPTとAPTTがスクリーニングとして行われる。PT値が正常でAPTT値が延長している場合は、クロスミキシングテストとともにFVIII:CまたはFIX:Cを含む内因系凝固因子活性の測定を行う1)。FVIII:Cが単独で著明に低い場合は、血友病Aを強く疑うが、やはりFVIII:Cが低くなるフォン・ヴィレブランド病(VWD)を除外すべく、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)活性を測定しておく必要がある1)。軽症型の場合には、血友病AかVWDか鑑別が難しい場合がある。FIX:Cが単独で著明に低ければ、血友病Bと診断してよい1)。新生児期では、ビタミンK欠乏症(VKD)に注意が必要である。VKDでは第II、第VII、第IX、第X因子活性が低下しており、PTとAPTTの両者がともに延長するが、ビタミンKシロップの投与により正常化することで鑑別可能である。それでも血友病が疑われる場合にはFVIII:CやFIX:Cを測定する6)。まれではあるが、とくに家族歴や基礎疾患もなく、それまで健康に生活していた高齢者や分娩後の女性などで、突然の出血症状とともにAPTTの著明な延長と著明なFVIII:Cの低下を認める「後天性血友病A」という疾患が存在する7)。後天的にFVIIIに対する自己抗体が産生されることにより活性が阻害され、出血症状を招く。100万人に1~4人のまれな疾患であるがゆえに、しばしば診断や治療に難渋することがある7)。ベセスダ法によるFVIII:Cに対するインヒビターの存在の確認が確定診断となる。■保因者への注意事項保因者には、血友病の父親をもつ「確定保因者」と、家系内に患者がいて可能性を否定できない「推定保因者」がいる。確定保因者の場合、その女性が妊娠・出産を希望する場合には、前もって十分な対応が可能であろう。推定保因者の場合にもしかるべき時期がきたら検査をすべきであろう。保因者であっても因子活性がかなり低いことがあり、幼小児期から出血傾向を示す場合もあり、製剤の投与が必要になることもあるので注意を要する。血友病児が生まれるときに、頭蓋内出血などを来す場合がある。保因者の可能性のある女性を前もって把握しておくためにも、あらためて家族歴を患者に確認しておくことが肝要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)従来は、出血したら治療するというオンデマンド、出血時補充療法が主体であった1)。欧米では1990年代後半から、安全な凝固因子製剤の使用が可能となり、出血症状を少なくすることができる定期的な製剤の投与、定期補充療法が普及してきた1)。また、先立って1980年代には自己注射による家庭内治療が一般化されてきたこともあり、わが国でも1990年代後半から定期補充療法が幅広く普及し、その実施率は年々増加してきており、現在では約70%の患者がこれを実践している5)。定期補充療法の普及によって、出血回数は減少し、健康な関節の維持が可能となって、それまでは消極的にならざるを得なかったスポーツなども行えるようになり、血友病の疾患・治療概念は大きく変わってきた。定期補充療法の進歩によって、年間出血回数を2回程度に抑制できるようになってきたが、それぞれの因子活性の半減期(FVIIIは10~12時間、FIXは20~24時間)から血友病Aでは週3回、血友病Bでは週2回の投与が推奨され、かつ必要であった1)。凝固因子製剤は、静脈注射で供給されるため、実施が困難な場合もあり、患者は常に大きな負担を強いられてきたともいえる。そこで、少しでも患者の負担を減らすべく、半減期を延長させた製剤(半減期延長型製剤:EHL製剤)の開発がなされ、FVIII製剤、FIX製剤ともにそれぞれ数社から製品化された6,8)。従来の凝固因子に免疫グロブリンのFc領域ではエフラロクトコグ アルファ(商品名:イロクテイト)、エフトレノナコグ アルファ(同:オルプロリクス)、ポリエチレングリコール(PEG)ではルリオクトコグ アルファ ペゴル(同:アディノベイト)、ダモクトコグ アルファ ペゴル(同:ジビイ)、ノナコグ ベータペゴル(同:レフィキシア)、アルブミン(Alb)ではアルブトレペノナコグ アルファ(同:イデルビオン)などを修飾・融合させることで半減期の延長を可能にした6,8)。PEGについては、凝固因子タンパクに部位特異的に付加したものやランダムに付加したものがある。付加したPEGの分子そのもののサイズも20~60kDaと各社さまざまである。また、通常はヘテロダイマーとして存在するFVIIIタンパクを1本鎖として安定化をさせたロノクトコグ アルファ(同:エイフスチラ)も使用可能となった。これらにより血友病AではFVIIIの半減期が約1.5倍に延長され、週3回が週2回へ、血友病BではFIXの半減期が4~5倍延長できたことから従来の週2回から週1回あるいは2週に1回にまで注射回数を減らすことが可能となり、かつ出血なく過ごせるようになってきた6,8)。上手に製剤を使うことで標的関節の出血回避、進展予防が可能になってきたとともに年間出血回数ゼロを目指すことも可能となってきた。■個別化治療以前は<1%の重症型からそれ以上(1~2%以上の中等症型)に維持すれば、それだけでも出血回数を減らすことが可能ということで、定期補充療法のメニューが組まれてきた。しかし、製剤の利便性も向上し、EHL製剤の登場により最低レベル(トラフ値)もより高く維持することが可能となってきた6,8)。必要なトラフ値を日常生活において維持するのみならず、必要なとき、必要な時間に、患者の活動に合わせて因子活性のピークを作ることも可能になった。個々の患者のさまざまなライフスタイルや活動性に合わせて、いわゆるテーラーメイドの個別化治療が可能になりつつある。また、合併症としてのHIV感染症やHCVのみならず、高齢化に伴う高血圧、腎疾患や糖尿病などの生活習慣病など、個々の合併症によって出血リスクだけではなく血栓リスクも考えなければならない時代になってきている。ひとえに定期補充療法が浸透してきたためである。ただし、凝固因子製剤の半減期やクリアランスは、小児と成人では大きく異なり、個人差が大きいことも判明している1)。しっかりと見極めるためには個々の薬物動態(PK)試験が必要である。現在ではPopulation PKを用いて投与後2ポイントの採血と体重、年齢などをコンピュータに入力するだけで、個々の患者・患児のPKがシミュレートできる9)。これにより、個々の患者・患児の生活や出血状況に応じた、より適切な投与量や投与回数に負担をかけずに検討できるようになった。もちろん医療費という面でも費用対効果を高めた治療を個別に検討することも可能となってきている。■製剤の選択基本的には現在、市場に出ているすべての凝固因子製剤は、その効性や安全性において優劣はない。現在、製剤は従来型、EHL含めてFVIIIが9種類、FIXは7種類が使用可能である。遺伝子組換え製剤のシェアが大きくなってきているが、国内献血由来の血漿由来製剤もFVIII、FIXそれぞれにある。血漿由来製剤は、未知の感染症に対する危険性が理論的にゼロではないため、先進国では若い世代には遺伝子組換え製剤を推奨している国が多い。血漿由来製剤の中にあって、VWF含有FVIII製剤は、遺伝子組換え製剤よりインヒビター発生リスクが低かったとの報告もなされている10)。米国の専門家で構成される科学諮問委員会(MASAC)は、最初の50EDs(実投与日数)はVWF含有FVIII製剤を使用してインヒビターの発生を抑制し、その後、遺伝子組換え製剤にすることも1つの方法とした11)。ただ、初めて凝固因子製剤を使用する患児に対しては、従来の、あるいは新しい遺伝子組換え製剤を使用してもよいとした11)。どれを選択して治療を開始するかはリスクとベネフィットを比較して、患者と医療者が十分に相談したうえで選択すべきであろう。4 今後の展望■個々の治療薬の開発状況1)凝固因子製剤現在、凝固因子にFc、PEG、Albなどを修飾・融合させたEHL製剤の開発が進んでいることは既述した。同様に、さまざまな方法で半減期を延長すべく新規薬剤が開発途上である。シアル酸などを結合させて半減期を延長させる製剤、FVIIIがVWFの半減期に影響されることを利用し、Fc融合FVIIIタンパクにVWFのDドメインとXTENを融合させた製剤などの開発が行われている12)。rFVIIIFc-VWF(D’D3)-XTENのフェーズ1における臨床試験では、その半減期は37時間と報告され、血友病Aも1回/週の定期補充療法による出血抑制の可能性がみえてきている13)。2)抗体医薬これまでの血液製剤はいずれも静脈注射であることには変わりない。インスリンのように簡単に注射ができないかという期待に応えられそうな製剤も開発中である。ヒト化抗第IXa・第X因子バイスペシフィック抗体は、活性型第IX因子(FIXa)と第X因子(FX)を結合させることによりFX以下を活性化させ、FVIIIあるいはFVIIIに対するインヒビターが存在しても、それによらない出血抑制効果が期待できるヒト型モノクローナル抗体製剤(エミシズマブ)として開発されてきた。週1回の皮下注射で血友病Aのみならず血友病Aインヒビター患者においても、安全性と良好な出血抑制効果が報告された14,15)。臨床試験においても年間出血回数ゼロを示した患者の割合も数多く、皮下注射でありながら従来の静脈注射による製剤の定期補充療法と同等の出血抑制効果が示された。エミシズマブはへムライブラという商品名で、2018年5月にインヒビター保有血友病A患者に対して認可・承認され、続いて12月にはインヒビターを保有しない血友病A患者においてもその適応が拡大された。皮下注射で供給される本剤は1回/週、1回/2週さらには1回/4週の投与方法が選択可能であり、利便性は高いものと考えられる。いずれにおいても血中濃度を高めていくための導入期となる最初の4回は1回/週での投与が必要となる。この期間はまだ十分に出血抑制効果が得られる濃度まで達していない状況であるため、出血に注意が必要である。導入時には定期補充を併用しておくことも推奨されている。しかし、けっして年間出血回数がすべての患者においてゼロになるわけではないため、出血時にはFVIIIの補充は免れない。インヒビター保有血友病A患者におけるバイパス製剤の使用においても同様であるが、出血時の対応については、主治医や専門医とあらかじめ十分に相談しておくことが肝要であろう。血友病Bではその長い半減期を有するEHLの登場により1回/2週の定期補充により出血抑制が可能となってきた。製剤によっては、通常の使用量で週の半分以上をFIXが40%以上(もはや血友病でない状態「非血友病状態」)を維持可能になってきた。血友病Bにおいても皮下注射によるアプローチが期待され、開発されてきている。やはりヒト型モノクローナル抗体製剤である抗TFPI(Tissue Factor Pathway Inhibitor)抗体はTFPIを阻害し、TF(組織因子)によるトロンビン生成を誘導することで出血抑制効果が得られると考えられ、現在数社により日本を含む国際共同試験が行われている12)。抗TFPI抗体の対象は血友病AあるいはB、さらにはインヒビターあるなしを問わないのが特徴であり、皮下注射で供給される12)。また、同様に出血抑制効果が期待できるものに、肝細胞におけるAT(antithrombin:アンチトロンビン)の合成を、RNA干渉で阻害することで出血抑制を図るFitusiran(ALN-AT3)なども研究開発中である12)。3)遺伝子治療1999年に米国で、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた血友病Bの遺伝子治療のヒトへの臨床試験が初めて行われた15)。以来、ex vivo、in vivoを問わずさまざまなベクターを用いての研究が行われてきた15)。近年、AAVベクターによる遺伝子治療による長期にわたっての安全性と有効性が改めて確認されてきている。FVIII遺伝子(F8)はFIX遺伝子(F9)に比較して大きいため、ベクターの選択もその難しさと扱いにくさから血友病Bに比べ、遅れていた感があった。血友病BではPadua変異を挿入したF9を用いることで、より少ないベクターの量でより副作用少なく安全かつ高効率にFIXタンパクを発現するベクターを開発し、10例ほどの患者において1年経た後も30%前後のFIX:Cを維持している16-18)。1回の静脈注射で1年にわたり、出血予防に十分以上のレベルを維持していることになる。血友病AでもAAVベクターを用いてヒトにおいて良好な結果が得られており、血友病Bの臨床開発に追い着いてきている16-18)。両者ともに海外においてフェーズ 1が終了し、フェーズ 3として国際臨床試験が準備されつつあり、2019年に国内でも導入される可能性がある。5 主たる診療科血友病の診療経験が豊富な診療施設(診療科)が近くにあれば、それに越したことはない。しかし、専門施設は大都市を除くと各県に1つあるかないかである。ネットで検索をすると血友病製剤を扱う多くのメーカーが、それぞれのホームページで全国の血友病診療を行っている医療機関を紹介している。たとえ施設が遠方であっても病診連携、病病連携により専門医の意見を聞きながら診療を進めていくことも十分可能である。日本血栓止血学会では現在、血友病診療連携委員会を立ち上げ、ネットワーク化に向けて準備中である。国内においてその拠点となる施設ならびに地域の中核となる施設が決定され、これらの施設と血友病患者を診ている小規模施設とが交流を持ち、スムーズな診療と情報共有ができるようにするのが目的である。また、血友病には患者が主体となって各地域や病院単位で患者会が設けられている。入会することで大きな安心を得ることが可能であろう。困ったときに、先輩会員に相談でき、患児の場合は同世代の親に気軽に相談することができるメリットも大きい。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)患者会情報一般社団法人ヘモフィリア友の会全国ネットワーク(National Hemophilia Network of Japan)(血友病患者と家族の会)1)Lee CA, et al. Textbook of Hemophilia.2nd ed.USA: Wiley-Blackwell; 2010.2)Rogaev EI, et al. Science. 2009;326:817.3)Blanchette VS, et al. J Thromb Haemost. 2014;12:1935-1939.4)Franchini M, et al. J Haematol. 2010;148:522-533.5)瀧正志(監修). 血液凝固異常症全国調査 平成28年度報告書.公益財団法人エイズ予防財団;2017. 6)Nazeef M, et al. J Blood Med. 2016;7:27-38.7)Kessler CM, et al. Eur J Haematol. 2015;95:36-44.8)Collins P, et al. Haemophilia. 2016;22:487-498.9)Iorio A, et al. JMIR Res Protoc. 2016;5:e239.10)Cannavo A, et al. Blood. 2017;129:1245-1250.11)MASAC Recommendation on SIPPET. Results and Recommendations for Treatment Products for Previously Untreated Patients with Hemophilia A. MASAC Document #243. 2016.12)Lane DA. Blood. 2017;129:10-11.13)Konkle BA, et al. Blood 2018,San Diego. 2018;132(suppl 1):636(abstract).14)Shima M, et al. N Engl J Med. 2016;374:2044-2053.15)Oldenburg J, et al. N Engl J Med. 2017;377:809-818.16)Swystun LL, et al. Circ Res. 2016;118:1443-1452.17)Doshi BS, et al. Ther Adv Hematol. 2018;9:273-293.18)Monahan PE. J Thromb Haemost. 2015;1:S151-160.公開履歴初回2017年9月12日更新2019年2月12日

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今こそ風邪診療を見直す時【Dr.倉原の“俺の本棚”】第14回

【第14回】今こそ風邪診療を見直す時最近、TwitterなどのSNSで「風邪診療に抗菌薬を処方する医師はいかがなものか」みたいな論調が高まっていて、風邪診療を見直すブームがまたやってきそうな気がします。こういうのって1年おきくらいに流行がありますね。風邪に抗菌薬をやみくもに処方する医師は、ヤブといわれても仕方がない時代になりました。『かぜ診療マニュアル 第2版』山本 舜悟/編著. 日本医事新報社. 2017私が風邪診療において最も推薦している本が、この『かぜ診療マニュアル』です。群を抜いてコレ。何がなんでもコレ。絶対コレ。私の研修医時代の指導医だった山本 舜悟先生が編著をされていますが、別に山本先生をヨイショしようとかそんな意図はありません。落ち着いた立ち居振る舞いの中に熱い闘志がみなぎっている先生で、右も左もわからぬヒヨコ研修医にとってアレが一般的な医療だと思っていました。しかし、音羽病院でかなりレベルの高い診療を目の当たりにしていたことを後から知り、タイムマシンに乗って過去に戻れないものかと悔やんだものです。風邪ってエビデンスがないようで、ある程度わかっているところもあるモヤっとした疾患で、我流で診療している医師も多いと思います。しかしこの本は、どの診断・治療にエビデンスがあるのか・ないのか、という観点を示してくれており、実臨床に即座に応用できるのです。漢方薬の代表的な使い方も明記されており、私みたいな漢方素人には助かる一冊に仕上がっています。小児の風邪が別項目で記載されているため、子供も大人も診るクリニックドクターにとってはバイブルみたいな本になるんじゃないですかね、コレ。市中肺炎のことをレクチャーしてくれる指導医はいても、風邪のことをレクチャーできる指導医はなかなかいません。この本は、風邪診療のノウハウを惜しみなく出しているレクチャーが200回分くらい詰まった一冊です。なんとなく総合感冒薬やレスピラトリーキノロンを処方している医師は、これを読まなければこの先も間違った医師人生を送りかねません。この本を読んで、己の診療を見直しましょう。2013年に第1版、2017年に第2版が出ているので、2021年に第3版をぜひとも期待したいところです。『かぜ診療マニュアル 第2版』山本 舜悟/編著出版社名日本医事新報社定価本体4,000円+税サイズA5判刊行年2017年■関連記事Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャー

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MRと自由に話せない時代がやってきた!【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第18回

薬局において、最新情報の収集は業務のキモです。情報提供元の1つである製薬会社で変化がありそうです。MR認定センターは1月29日、昨年12月に実施した第25回MR認定試験の結果を発表した。受験者数は2,539人で、そのうち1,927人が合格。合格率は75.9%だった。前回と比べると受験者数は▲677人、合格者数は▲319人で、それぞれ過去最少となった。(2019年1月30日付 RISFAX)製薬会社の医薬情報担当者であるMRの認定試験は毎年12月に実施されます。最近ではMS(医薬品卸会社の営業担当者)が受験することもありますが、主に新人MRが受験することから、受験者数には製薬会社がMRとして採用した人数が反映されていると考えられます。その受験者数が過去最少であったということは、MRとして採用される人数が減ったということなのでしょう。ここ数年、MRの新卒採用数は減少傾向にありますが、なぜそのようなことが起こっているのでしょうか。考えられる1つ目の理由は、製薬会社の厳しい経営状態です。ご存じのとおり、日本では医療用医薬品は薬価制度をとっています。その薬価は基本的に2年に1度引き下げられるため、長期収載品を多く抱える製薬会社はだんだん収益確保が難しくなります。毎年改定が始まれば、さらに厳しい環境になることも予想できます。また、後発医薬品の普及やスペシャリティ領域の新薬が増えたことなどもあり、製薬会社はMRを多く抱えることを避けるようになりました。2つ目の理由として、ここ数年、医療用医薬品のプロモーション活動に関する行動基準が厳格化されていることも考えられます。業界の自主ルールに加えて、2018年9月25日には、厚生労働省から「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が発出されました。このガイドラインでは、適正に情報提供を行ううえでの要件や、経営陣の責務がまとめられています。接待禁止などのこれまでの自主規制でもジワジワとMR数や業務に影響がありましたが、このガイドラインによってさらにプロモーションに制限がかかり、MR数減少の傾向は続くのではないかと思います。MRとの会話は録音・録画される!?MR数が減少すると薬局への訪問が減るため、タイムリーに情報を入手することが難しくなることは容易に想像できますが、このガイドラインによって入手できる情報の質まで変わるかもしれません。このガイドラインでは、社内の審査で適切と認められた資材以外は用いてはならないと定められており、MRオリジナルの資材やパワーポイントなどは使用できなくなります。気の利いたMRはわかりやすい資材を独自に作っていましたが、今後は作成不可です。また、プロモーション現場のモニタリングも義務化されるため、MRの情報提供時に不適切なプロモーションを行っていないか録音・録画させることも考えられます。自分が監視されていることから医療者とコミュニケーションを図ることに消極的になり、決められた資材だけを置いて帰るMRが増えるのではないかとも危惧されます。MRに質問したとしても、おそらく正確性と適切性を重んじて、回答のスピードは遅くなるでしょう。MRが直接回答するのではなく、本社の情報提供部門などから改めて回答をするという場面も増えるのではないでしょうか。MR数の減少や適切な情報提供のための規制強化がやむを得ないこともわかりますが、私はわりとコミュニケーションをとりたいタイプなので、なんだかやりにくいなぁと思わざるを得ません。

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ビビらず当直できる 内科救急のオキテ

ひとり当直でも大丈夫! 救急外来で“いま何をすべきか”正しい判断力が身につくひとり当直でも大丈夫!当直で必要なのは「いま何をやるべきか」の正しい“判断”です。15症例をベースに救急外来で必要な考え方を学ぶことで、正しい判断力が身につきます。「心筋梗塞の初期症状は?」「肺血栓塞栓症を見逃さないためには?」あなたは自信を持って答えられますか?画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    ビビらず当直できる 内科救急のオキテ定価3,600円+税判型A5判頁数180頁発行2017年8月著者坂本 壮Amazonでご購入の場合はこちら

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ISC 2019 速報

ISC(国際脳卒中学会議)が、米国・ハワイにて2月6~8日に開催されました。Late-Breakingの発表を含めた主要トピックスの中から、事前投票で先生方からの人気の高かった上位6演題のハイライト記事をお届けします。ISC 2019注目演題一覧※(掲載予定)の演題は変更となる場合がございます。2月6日発表演題Dual Antiplatelet Therapy Using Cilostazol for Secondary Stroke Prevention in High-risk Patients: The Cilostazol Stroke Prevention Study for Antiplatelet Combination (CSPS.com)高リスク患者における二次性脳卒中予防のためのDAPT:抗血小板薬併用療法のシロスタゾールによる脳卒中予防試験(CSPS.com)について2月7日発表演題Treatment of Carotid Stenosis in Asymptomatic, Non-Octogenarian, Standard Risk Patients with Stenting versus Endarterectomy: A Pooled Analysis of the CREST and ACT I Trials無症候性の標準リスク患者の頸動脈狭窄症治療における治療ステント留置術と動脈内膜摘出術の比較:CRESTおよびACT I試験の統合解析A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control in Patients with a History of Stroke: The Recurrent Stroke Prevention Clinical Outcome (RESPECT) Study脳卒中歴のある患者における集中的血圧コントロールと標準的血圧コントロールの無作為化試験:再発性脳卒中予防臨床転帰(RESPECT)研究Main Results of the Enhanced Control of Hypertension and Thrombolysis Stroke Study (enchanted) of the Early Intensive Blood Pressure Control After thrombolysis急性期脳梗塞例に対する、SBP「<130-140mmHg」と「<180mmHg」による、90日後の「死亡・要介助」への影響を比較するRCTThe New Generation Hydrogel Endovascular Aneurysm Treatment Trial (HEAT): Final Results新世代ハイドロゲル血管内動脈瘤治療試験(HEAT):最終結果MISTIE III Surgical Results: Efficiency of Hemorrhage Removal Determines mRSMISTIE III手術成績:非外傷性頭蓋内出血に対する、低侵襲手術がmRSに与えた影響J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とはJ-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

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4月の添付文書記載要領改正、実物の記載例公表

 2019年4月から、医療用医薬品の添付文書は、新たな記載要領に準拠したものに順次切り替わる。2019年2月5日、厚生労働省 医薬品・医療機器等安全性情報360号を公表し、改正記載要領に基づく医療用医薬品添付文書の特徴を、実物の記載例とともに説明した。新設「特定の背景を有する患者に関する注意」に各項目が集約 改正記載要領では、添付文書の項目に固定番号を付与することになった。記載が定められている事項に該当がない場合は欠番となる。また、新たな添付文書記載要領では「特定の背景を有する患者に関する注意」が新設される。この項には、廃止される「原則禁忌」および「慎重投与」の一部が移行になるほか、「高齢者への投与」、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」、「小児等への投与」が集約される。小児・授乳に関する注意の文言が変更 新添付文書記載要領では、小児等において「安全性は確立していない」との表現は使わず、「小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない」といった試験実施の有無の記載に変更される。また、授乳に関する注意の文言については、単に乳汁移行が認められたという理由だけでは「授乳を避けさせること」との記載をせず、「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている」といった記載を用いるという。副作用発現率は「臨床成績」に移行 新たな添付文書記載要領では副作用の項について、これまでの添付文書に記載があった「副作用等発現状況の概要(臨床試験における副作用発現率)」を「臨床成績」の項に移行する。そして、項の冒頭には「次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い(中略)適切な処置を行うこと」という文言が記載され、その下の項目には「重大な副作用」、「その他の副作用(表形式)」と続く。冒頭の文言は、各項では繰り返さない。 新たな添付文書記載要領の経過措置期間は2024年3月末までの5年間であり、当面の間、新旧両方の記載要領に基づく添付文書が混在することになる。一方、添付文書情報の提供については、医薬品医療機器等法改正に向けたとりまとめで、「添付文書の製品への同梱を廃止し、電子的な方法による提供を基本とすることが適当である」とされている。現在、2019年通常国会への改正法案提出を目指して議論が重ねられている。

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発作性心房細動に対する第2世代クライオバルーンの長期成績【Dr.河田pick up】

 STOP AF PAS (Sustained Treatment of Paroxysmal Atrial Fibrillation Post-Approval Study)は、薬剤抵抗性の発作性心房細動に対するクライオバルーンの長期的な安全性と有効性を評価した、北米における最初の前向き、多施設共同の試験である。米国・ノースウェスタン大学のBradley P. Knight氏らのグループが、JACC.Clinical Electrophysiology誌2018年12月号オンライン版で発表した。 本試験は、第1世代クライオバルーンが発作性心房細動の治療に承認された際に、米国食品医薬品局(FDA)から求められた試験である。この試験が開始された直後に第2世代のクライオバルーンの販売が開始された。344例の患者、前向き、多施設、フォローアップ期間は3年間 この研究は無作為化を行っていない。344例の患者が、第2世代クライオバルーンを用いた肺静脈隔離の施行へ登録された。手技に関連した安全性と、心房細動、症候性心房粗動および心房頻拍の3年間における再発を評価した。30秒以上持続する心房性不整脈が確認された場合、治療の失敗と判断された。36ヵ月での心房細動の非再発率68.1%、心房性頻脈の非再発率は64.1% 急性期の肺静脈隔離は99.3%(1,341/1,350)で達成された。平均フォローアップ期間は34±7ヵ月。重大な合併症の発生率は5.8%で、そのうち横隔神経障害は3.2%の頻度で生じたが、1例を除き36ヵ月までに回復した。術後36ヵ月において、11.7%の患者が“Pill in the pocket (頓服)”での服用を含む、抗不整脈薬を使用していた。心房細動の発生がなかったのは12ヵ月で81.6%、24ヵ月で73.8%、36ヵ月で68.1%であった。心房細動、症候性心房粗動および心房頻拍のいずれの発生もなかったのは、12ヵ月で79.0%、24ヵ月で70.8%、36ヵ月で64.1%であった。36ヵ月の時点で、80.9%の患者が2度目のアブレーションを受けていなかった。 これまで、36ヵ月時点での第2世代クライオバルーンを用いた発作性心房細動に対する肺静脈隔離の成績は報告が少ない。ベルギー・Pedro Brugada氏らのグループが、70例の患者について第2世代クライオバルーンの38ヵ月でのフォローアップ結果を報告しているが、その報告では71.5%の患者が抗不整脈薬なしで心房細動の再発がなかった1)。今回の発表は、この結果と同等の結果であり、3年後における心房細動の非再発率は65~70%と推測される。ただし、これらの結果は術後のモニターの仕方で大きく変わり、見逃しを考えると、実際の非再発率はこれより低いと考えられる。横隔神経障害は36ヵ月までほぼ改善、合併症発生率は許容できる水準 第2世代クライオバルーンを用いたアブレーションは、発作性心房細動に有効で、36ヵ月時点で64%の患者で心房性不整脈(心房細動、心房粗動、心房頻拍)の再発が認められなかった。この結果をみると、高周波アブレーションや第1世代クライオバルーンを用いたアブレーションに比べて、再発率が著明に改善したというわけではない。 クライオバルーンを用いたアブレーションで、懸念となる横隔神経障害については、第1世代クライオバルーンを用いたFIRE and ICE studyでは退院時の発生率が2.7%であった。今回の第2世代クライオバルーンを用いたSTOP AF PASでは、その発生率が3.2%であったが、36ヵ月の時点で症状が続いていた患者は1例(0.3%)のみであった。脳梗塞は0.3%、心嚢液貯留は0.9%、肺静脈狭窄は0.6%、左房食道瘻、死亡は0%であり、第2世代クライオバルーンを用いたアブレーションの合併症発生率は、許容できる範囲にあると考えられる。■参考1) Takarada K et al, J Interv Card Electrophysiol. 2017 Jun;49:93-100.

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うつ病に対する早期治療薬変更戦略の有効性予測因子

 抗うつ薬治療を2週間実施しても症状改善が認められないうつ病患者では、治療失敗リスクが高い。以前の研究において、ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツのNadine Dreimuller氏らは、非改善うつ病患者において、通常治療(TAU)と早期治療薬変更(EMC)でアウトカムに差がないことを、ランダム化試験で報告していた。今回、EMC戦略における高い寛解率の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2019年1月14日号の報告。 対象は、2週間のエスシタロプラム治療でうつ症状改善が認められなかった患者(HAMD-17うつ病尺度20%以下の減少)192例。対象患者は、EMC群(すぐに高用量ベンラファキシンXR治療へ切り替え)97例またはTAU群(28日目までエスシタロプラムを継続後、改善が認められない場合にベンラファキシンXRへ切り替え)95例にランダムに割り付けられた。初めに、寛解率の予測可能な因子は、患者の特徴、精神病理学的特性、うつ病のサブタイプについてロジスティック回帰分析を行った。次に、最初の分析で有意な関連性が認められた予測因子を治療群ごとにBonferroni-Holm補正前のカイ二乗検定により分析を行った。すべての分析は、Bonferroni-Holm法により補正した。 主な結果は以下のとおり。・最初の分析では、多重検定の補正後、統計学的に有意な差は認められなかった。・2回目の分析では、試験開始時に薬物治療歴を有する患者の寛解率は、EMC群(24.2%)がTAU群(8.6%)よりも高かった(p=0.017、Bonferroni-Holm補正後有意水準:p=0.025)。・また、再発患者では、TAU治療によるベネフィットが少なかった(p=0.009、Bonferroni-Holm補正後有意水準:p=0.025)。・年齢、性別、発症年齢、精神医学的または身体的併存疾患、その他のうつ病サブスコアは、寛解率の予測因子ではなかった。 著者らは「最初の分析では、統計学的に有意な差は認められなかったが、2回目の分析では、過去の薬物治療歴を有する患者、再発患者、初回うつ病エピソード患者において寛解率に有意な差が認められた。そのため、特定のサブグループのうつ病患者に対するEMC戦略が寛解率を高めるかを、より大規模かつプロスペクティブな試験において検討する価値がある」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRIなどで効果不十分なうつ病患者、新規抗うつ薬切り替えを検証SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

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関節リウマチ、3つのnon-TNF型生物学的製剤を比較/BMJ

 関節リウマチの成人患者の日常診療では、リツキシマブ(Bリンパ球枯渇薬)およびトシリズマブ(IL-6受容体阻害薬)が、アバタセプト(T細胞共刺激標的薬)に比べ2年アウトカムが良好であることが、フランス・ストラスブール大学病院のJacques-Eric Gottenberg氏らが実施した前向きコホート研究で示された。これら3つの非腫瘍壊死因子(non-TNF)型生物学的製剤はいずれも関節リウマチに、プラセボに比べ優れた効能を有すると報告されているが、これらを比較した無作為化対照比較試験はなく、今後も直接比較試験が行われる可能性はほとんどないという。BMJ誌2019年1月24日号掲載の報告。3つのレジストリの関節リウマチ患者データを前向きに解析 本研究は、関節リウマチの治療における3つのnon-TNF型生物学的製剤の効果と安全性を比較する目的で、フランス・リウマチ学会と3つのレジストリに参加した研究者の協働で行われた(Bristol-Myers Squibb、Roche、Chugaiの助成による)。 解析には、2005年9月~2013年8月の期間に、フランスの53の大学および54の大学以外の臨床センターが参加するフランス・リウマチ学会の3つの患者レジストリ(AIR、ORA、REGATE)の1つに登録された関節リウマチ患者のデータを用いた。 対象は、年齢>18歳、米国リウマチ学会の診断基準(1987年版)を満たし、重度の心血管疾患や活動性/重度の感染症、重度の免疫不全がなく、24ヵ月以上のフォローアップが行われた患者であった。 主要アウトカムは、治療成功を維持した24ヵ月時の薬剤治療継続とした。治療不成功の定義は、(1)全死因死亡、(2)試験薬の投与中止、(3)新たな生物学的製剤または従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の併用治療の開始、(4)コルチコステロイドの用量が、ベースラインと比較して、連続する2回の受診時に>10mg/日の増量となった場合であった。 治療効果の群間差を定量化するために、治療成功維持生存期間差(life expectancy difference without failure:LEDwf、制限付き平均生存時間[restricted mean survival time:RMST])の差)および治療成功維持生存期間比(life expectancy ratio without failure:LERwf、RMSTの比)を算出した。3つの生物学的製剤の安全性プロファイルには差がない ベースラインの3つの生物学的製剤群の背景因子は、非重み付けコホート(3,162例)では罹患期間、がんの病歴、リウマチ因子陽性、疾患活動性、従来型DMARD併用、コルチコステロイド投与に差がみられたが、重み付けコホート(3,132例)ではバランスがとれていた。 重み付けコホートでは、24ヵ月時の治療成功維持生存率は、リツキシマブ群が68.6%、アバタセプト群が39.3%、トシリズマブ群は63.4%であった。また、治療成功維持生存期間は、それぞれ19.8、15.6、19.1ヵ月だった。 LEDwfは、リツキシマブ群がアバタセプト群に比べ4.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:3.1~5.2)長く、トシリズマブ群はアバタセプト群よりも3.5ヵ月(2.1~5.0)長かった。また、LERwfはそれぞれ1.26(1.18~1.35)および1.22(1.12~1.33)であった。 リツキシマブ群とトシリズマブ群の比較に関する不確かさ(uncertainty)は実質的なものであった(LEDwf:-0.7、95%CI:-1.9~0.5、LERwf:0.97、0.91~1.03)。 重み付けコホートでは、24ヵ月時の1つ以上の重篤な有害事象(感染症、主要有害心血管イベント[MACE]、がん、死亡)の発現率は、リツキシマブ群が14.5%、アバタセプト群が16.2%、トシリズマブ群は11.6%であった。また、重篤な有害事象を伴わない生存率は、それぞれ85.0%、83.4%、86.7%で、重篤な有害事象なしの平均生存期間は22.1、21.8、22.3ヵ月であり、3組の2群間の比較ではいずれも有意な差を認めなかった。 著者は、「リツキシマブおよびトシリズマブの高い薬剤治療継続率は、良好な安全性プロファイルよりも、むしろ高い有効性に関連すると考えられる」とし、「これらの結果は、罹患期間が長く1剤以上の生物学的製剤の投与を受けている難治性の患者に適応され、生物学的製剤未投与で罹患期間が短い患者には適応されない」と指摘している。〔2月13日 記事の一部を修正いたしました〕

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TG低下とLDL-C低下、有益性はほぼ同等/JAMA

 アポリポ蛋白B(アポB)値の単位変化当たりのトリグリセライド(TG)値低下の臨床的有益性は、LDLコレステロール(LDL-C)値低下とほぼ同等であり、アポB含有リポ蛋白粒子の減少の絶対値と比例する可能性があることが、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年1月29日号に掲載された。TGとコレステロールは、いずれもアポB含有リポ蛋白粒子によって血漿中に運ばれる。血漿TG値の低下により、心血管イベントのリスクはLDL-C値の低下と同程度に低減するかとの疑問への確定的な回答は得られていないという。63研究のメンデル無作為化解析でCHDリスクを評価 研究グループは、リポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子のTG低下バリアントおよびLDL受容体(LDLR)遺伝子のLDL-C低下バリアントと、アポBの単位変化当たりの心血管疾患リスクとの関連を評価する目的で、メンデル無作為化解析を実施した(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 解析には、1948~2017年の期間に北米および欧州で行われた63件のコホート研究および症例対照研究に参加した患者のデータを用いた。LPLおよびLDLRの遺伝子スコアと関連する血漿TG値、LDL-C値、アポB値の評価を行った。 主要アウトカムは、アポB含有リポ蛋白の10mg/dL低下当たりの冠動脈性心疾患(CHD:冠動脈死、心筋梗塞、冠動脈血行再建)のオッズ比(OR)とした。個々のアポB含有リポ蛋白のリスクへの影響は同程度 65万4,783例(平均年齢62.7[SD 8.1]歳、51.4%が女性)が解析に含まれ、このうち9万1,129例がベースライン時にCHDに罹患していた。 アポB含有リポ蛋白10mg/dL低下当たりのLPL遺伝子スコアは、TG値の69.9mg/dL(95%信頼区間[CI]:68.1~71.6、p=7.1×10-1363)の低下およびLDL-C値の0.7mg/dL(0.03~1.4、p=0.04)の上昇と関連した。これに対し、アポB含有リポ蛋白10mg/dL低下当たりのLDLR遺伝子スコアは、LDL-C値の14.2mg/dL(13.6~14.8、p=1.4×10-465)の低下およびTG値の1.9mg/dL(0.1~3.9、p=0.04)の低下と関連を示した。 このようにTG値およびLDL-C値の変動には違いがみられたが、LPL遺伝子スコアおよびLDLR遺伝子スコアと、アポB含有リポ蛋白10mg/dL低下当たりのCHDリスクの低下との関連はほぼ同じであった(LPL遺伝子スコア OR:0.771、95%CI:0.741~0.802、p=3.9×10-38、LDLR遺伝子スコア:0.773、0.747~0.801、p=1.1×10-46)。 多変量メンデル無作為化解析では、アポB値の差で補正すると、TG値およびLDL-C値とCHDリスクとの関連はなくなったが、アポB値とCHDリスクの関連は維持されていた(TG値 OR:1.014、95%CI:0.965~1.065、p=0.19、LDL-C値:1.010、0.967~1.055、p=0.19、アポB値:0.761、0.723~0.798、p=7.51×10-20)。 著者は、「すべてのアポB含有リポ蛋白粒子(TG rich VLDL粒子、その代謝物であるレムナント、LDL粒子)は、ほぼ同程度の心血管疾患リスクへの作用を有し、結果として、TG値やLDL-C値、これら双方の低下の臨床的有益性は、実際のTG値やLDL-C値の変化にかかわらず、アポB含有リポ蛋白の変化の絶対値と比例する可能性がある」としている。

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アスピリンまたはクロピドグレルへのシロスタゾール併用、日本人脳梗塞の出血リスクを増やさず再発抑制:CSPS.com試験

 虚血性脳血管障害に対する長期の抗血小板薬2剤併用は、脳卒中を抑制せず大出血リスクを増やすとされている。これは大規模試験MATCH、CHARISMAサブスタディ、SPS3で得られた知見に基づく。 しかし、これらのランダム化試験で検討されたのは、いずれもアスピリンとクロピドグレルの併用だった。ではCSPS 2試験においてアスピリンよりも出血リスクが有意に低かった、シロスタゾールを用いた併用ではどうだろう――。この問いに答えるべく、わが国で行われたのが、ランダム化非盲検試験CSPS.comである。その結果、アスピリン、クロピドグレル単剤に比べ、それらへのシロスタゾール併用は、重篤な出血リスクを増やすことなく、脳梗塞を有意に抑制することが明らかになった。2019年2月6~8日に、米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)初日のOpening Main Eventにおいて、豊田 一則氏(国立循環器病研究センター病院・副院長)が報告した。アスピリンまたはクロピドグレル単剤服用の脳梗塞再発高リスク例が対象 CSPS.com試験の対象は、非心原性脳梗塞発症から8~180日以内で、アスピリンまたはクロピドグレル単剤を服用していた、脳梗塞再発高リスク例である。「再発高リスク」は、「頭蓋内主幹動脈、あるいは頭蓋外動脈に50%以上の狭窄」または「2つ以上の虚血性イベント危険因子」を有する場合とされた。なお、心不全や狭心症、血小板減少症を認める例などは除外されている。 これらは、アスピリン単剤(81または100mg/日)あるいはクロピドグレル単剤(50または75mg/日)を服用する単剤群と、それらにシロスタゾールを加えた併用群にランダム化され、盲検化されず追跡された。当初は4,000例を登録する予定だったが、アスピリンまたはクロピドグレルへのシロスタゾール併用群の有用性が明らかになったため早期中止となり、「単剤」群:947例と「併用」群:932例の比較となった。 平均年齢は70歳。全例日本人で、女性が約30%を占めた。高血圧合併例が85%近くを占めたが、血圧は「135mmHg強/80mmHg弱」にコントロールされていた。また、5%強に虚血性心疾患の既往を認め、30%弱が喫煙者だった。 再発高リスクの内訳は、頭蓋内主幹動脈狭窄が30%弱、頭蓋外動脈狭窄が15%弱となっていた。シロスタゾール併用群では脳梗塞再発率が有意に低下 19ヵ月(中央値)の追跡期間中、1次評価項目である「脳梗塞再発率」は、アスピリンまたはクロピドグレルへのシロスタゾール併用群で2.2%/年であり、単剤群の4.5%/年よりも有意に低値となった(ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.31~0.76、ITT解析)。脳梗塞に、症状が24時間継続しなかった一過性脳虚血発作(TIA)を加えても同様で、併用群におけるHRは0.50の有意な低値だった(95%CI:0.33~0.76)。 一方、「脳出血の発生率」は併用群で0.4%、単剤群は0.5%で、リスクに有意差はなかった(HR:0.77、95%CI:0.24~2.42)。 また解析した16のサブグループのいずれにおいても、アスピリンまたはクロピドグレルへのシロスタゾール併用に伴う「脳梗塞再発減少」は一貫していた。 一方、安全性評価項目の1つであるGUSTO基準の「重大・生命を脅かす出血発生率」は、併用群が0.6%/年、単剤群で0.9%/年となり、有意差は認められなかった(HR:0.66、95%CI:0.27~1.60)。頭蓋内出血も同様で、有意差はなかった(併用群:0.6%/年vs.単剤群:0.9%/年、HR:0.66、95%CI:0.27~1.60)。  「有害事象発現率」は、アスピリンまたはクロピドグレルへのシロスタゾール併用群で有意に高かった(27.4% vs.23.1%、p=0.038)。とくに心臓関係の有害事象で、増加が著明だった(8.4% vs.1.8%。p<0.001)。 一方「重篤な有害事象」に限れば、発現率は併用群のほうが低かった(9.3% vs.15.0%、p<0.001)。大きな差を認めたのは、神経系(4.7% vs.8.3%、p=0.002)と消化器系0.2% vs.1.2%、p=0.022)である。 なお併用群ではおよそ5分の1が、試験開始半年以内に試験薬服用を中止していた。主な理由は頭痛と頻脈だった。 本試験は、循環器病研究振興財団と大塚製薬株式会社の資金提供を受けて行われた。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「ISC 2019 速報」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

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電子タバコは禁煙に役に立つか?(解説:桑島巖氏)-1003

 最近は、タバコの代わりに電子タバコを使っているという人が多くなっている。禁煙の手法として、ニコチンの量を徐々に減らす「ニコチン代替療法」と電子タバコで禁煙を目指すという2つの方法がある。 本研究はどちらの方法が1年後の禁煙率が高いかをランダム化試験で比較した論文である。 このコメントの読者である多くの医療関係者は非喫煙者が多いと思われるので、少し電子タバコについての予備知識が必要であろう。 普通のタバコは、煙を吸うのに対して、電子タバコは水蒸気を吸い込むという点が大きな違いである。したがって普通のタバコは、タバコの葉を燃やすことで生じる臭いや有害物質を発生する。 一方電子タバコはタバコの葉を使用せずに、e-リキッドといわれる液体を電力で熱することで生じる水蒸気を吸い込み、その臭いを自分の好みに合わせて楽しむことができるのが売りである。 電子タバコといってもすべてが完全にニコチン・フリーではなく、少量のニコチンを含有しているものもあり、本研究で用いられた電子タバコには18mg/mLのニコチンが含まれている。 一方ニコチン代替療法には、パッチ、ガム、スプレーなどのほか、わが国ではバレニクリン製剤(商品名:チャンピックス)という錠剤も使用されている。 さて、本研究は886名の喫煙者をニコチン代替療法群と電子タバコ群にランダマイズして、試験開始時、開始4週、52週の時点での喫煙状況とタバコの有害物質の1つである一酸化炭素の排泄量を測定した。 1次エンドポイントである1年時の禁煙率は、電子タバコ群が18%で、ニコチン代替療法群の9.9%に比して有意に高かった。この結果から禁煙には電子タバコが有用であるというのが本論文の結論であるが、しかし1年時の禁煙者といっても、電子タバコを続けていた人が80%もいたということは、はたして禁煙に成功したと言えるであろうか。電子タバコもニコチンは含まれており、完全に無害とは言えないのである。喫煙者はニコチンの血中濃度が一定に達して、主観的に満足感が得られるまで喫煙する傾向があるとされる。 一方ニコチン代替療法群で、1年後にニコチン代替療法を継続していたのは9%にすぎない。ということはある意味では禁煙できた人が多いという解釈もできるのである。 さらに喉や口腔の炎症などの副作用は電子タバコ群のほうが高率に認められたというから、電子タバコ自体が咽頭に対して刺激性を有しているのであろう。 またとくに注目すべきは、本研究の両群とも被検者の約75%が過去にニコチン代替療法を経験した症例である。つまり何度も禁煙療法を繰り返すリピーターであることから、本当に禁煙が達成できたかどうかはもう少し長いスパンで観察しなければならないのであろう。 いずれにしろ電子タバコの安全性は確立されていない。 最後に日本呼吸器学会から、下記のような声明を紹介する。1. 非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は健康に悪影響をもたらす可能性がある。2. 非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用者が呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動喫煙による健康被害が生じる可能性がある。従来の燃焼式タバコと同様に、すべての飲食店やバーを含む公共の場所、公共交通機関での使用は認められない。

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4年間薬を横領していた薬剤科長 そこから浮かび上がること【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第10回

2019年1月、福井県の総合病院に勤務していた薬剤科長が、2018年7月に懲戒解雇処分されたと報道がありました。病院の運営母体によると、この元薬剤科長は、2014年から約4年間にわたり抗がん剤などの医薬品を病院から持ち出し、そのうちの一部を転売していたとのことです。病院は、業務上横領と医薬品医療機器等法違反の疑いで、2018年9月に刑事告訴したようです。さて、このような医薬品における業務上横領の事件は、多くないとはいえ、時々問題になるように思います。責任を持って医薬品を扱うべき薬剤師が問題を起こしてはいけないのは当然ですが、医薬品と身近に関わる薬剤師だからこそ起こりうる問題とも言えるかもしれません。当事者である薬剤師の遵法意識の低さが問題として捉えられがちですが、本件では、多額の被害にもかかわらず、病院は医薬品の着服が行われていた事実を4年もの間察知することができませんでした。在庫異常は内部監査で発見されたようですが、患者の命を預かる医療機関として、長期間気付けなかった医薬品の管理体制には、問題があったと言わざるをえません。実際、この病院の院長も、管理監督を怠ったとして戒告処分とされているようです。薬機法改正で議論される組織ガバナンスの強化本年予定されている薬機法改正でも、薬局などにおける不正事案を受け、医薬品・医療機器などの製造・流通・販売に関わる者に対するガバナンスについて議論がなされています。問題が起こらなければ、勤務する個人に管理を任せてもいいと思われるかもしれませんが、組織として活動していく以上、このような問題は起こりうるとの認識は持っておくべきです。そのため、病院・薬局でも、起こりうるリスクを想定して、適切にモニタリングできるような管理体制の構築をしておく必要がありますし、万一問題が発生している可能性がある状況が発覚すれば、適切な対応をしなくてはなりません。本件を例にすると、在庫管理を1人に任せないことが大事なのがわかりますし、定期的に担当者以外が確認するというダブルチェックシステムなどを設け、在庫状況に問題がある場合には、即時に原因調査などの対応をすべきだったと思われます。今回の報道では病院名も公表されており、通院している患者に対してはとくに不安を与えることになったでしょう。また、横領された医薬品などが転売されれば、不当な目的に利用される恐れもあります。このような問題を未然に防ぐことができる管理体制を病院・薬局のいずれでも意識して構築すべきであり、個々の薬剤師も、コンプライアンスの意識を高め、業務に励む必要があるでしょう。

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