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全般性不安障害の治療、22剤を比較/Lancet

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのApril Slee氏らは、全般性不安障害(GAD)の成人患者を対象とした、各種薬剤とプラセボを比較した無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行い、すべての薬物クラスでGADに有効な治療法があり、最初の治療薬での失敗が薬物療法を断念する理由にはならない可能性があることを報告した。GADは、日常の身体的・心理的・社会的機能に影響を与える疾患で、精神療法は費用やリソースが限られていることから薬物療法が第1選択となることが多いが、これまでの研究では利用可能なさまざまな治療薬の比較に関する情報が不足していた。Lancet誌オンライン版2019年1月31日号掲載の報告。大規模なシステマティックレビューとネットワークメタ解析を実施 研究グループは、MEDLINE、Web of Science、Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、Chinese National Knowledge Infrastructure(CNKI)、Wanfang data、Drugs@FDA、製薬会社の市販後登録などを用い、GAD成人外来患者を対象としたプラセボまたは実薬との無作為化比較試験を特定し、システマティックレビューとネットワークメタ解析を実施した。データは、すべての原稿および報告書から抽出された。 主要評価項目は、有効性(ハミルトン不安評価尺度[HAM-A]スコアの変化の平均差[MD])と、受容性(あらゆる原因による試験中止)とし、ランダム効果モデルによるネットワークメタ解析を用い、治療群の差とオッズ比を推定した。デュロキセチン、プレガバリン、ベンラファキシン、エスシタロプラムは有効で受容性あり 1994年1月1日~2017年8月1日に発表された試験のうち、1,992報がスクリーニングされ、89件の試験が解析対象となった。実薬22種類またはプラセボに無作為に割り付けられた2万5,441例のデータが組み込まれた。 プラセボと比較し、デュロキセチン(MD:-3.13、95%確信区間[CrI]:-4.13~-2.13)、プレガバリン(-2.79、-3.69~-1.91)、ベンラファキシン(-2.69、-3.50~-1.89)、エスシタロプラム(-2.45、-3.27~-1.63)は、比較的受容性が良好で有効であった。 ミルタザピン、セルトラリン、fluoxetine、buspirone、agomelatineも同様に、有効で受容性も良好であったが、これらは症例数が少なく結果は限定的であった。 HAM-Aの評価では、クエチアピン(MD:-3.60、95%CrI:-4.83~-2.39)が最も有効であったが、プラセボと比較した場合に受容性(オッズ比:1.44、95%CrI:1.16~1.80)に乏しかった。同様にパロキセチン、ベンゾジアゼピン系薬も有効であったが、プラセボと比較し受容性に乏しかった。 なお、報告バイアスのリスクは低いと考えられ、極力出版バイアスを避けるため、完了したすべての試験が組み込まれた。

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子宮頸がん、hrHPV検査が高検出率/BMJ

 子宮頸がんの1次検査として、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査では液状化検体細胞診(LBC法)と比較し、子宮頸部上皮内病変(CIN)のグレード3以上(CIN3)の検出率が約40%、子宮頸がんの検出率は約30%上昇し、3年後のCIN3以上の発生率は非常に低値で、検診間隔の延長を支持する結果が示された。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のMatejka Rebolj氏らが、イングランドのプライマリケアでのhrHPV検査による定期の子宮頸がん検診について検討した、観察研究の結果を報告した。15年以上にわたる無作為化比較試験で、現行の標準検査であるLBC法と比較し、CIN2以上の検出に関してhrHPV検査の優越性が示されたことから、他国では検診ガイドラインを改訂し、hrHPVトリアージ検査を併用したLBC法での1次検査から、LBC法のトリアージ検査を併用したhrHPV検査による1次検査に切り替えたところもある。イングランドでは、2019年末までの全国導入を目指しているという。BMJ誌2019年2月6日号掲載の報告。子宮頸がん検診を受けた女性約57万人で、LBC法とhrHPV検査のアウトカムを評価 研究グループは、2013年5月~2014年12月にプライマリケアで子宮頸がん検診を受けた女性57万8,547例を2017年5月まで追跡調査した。18万3,970例(32%)はhrHPV検査による検診を受けていた。 hrHPV検査とLBC法によるトリアージ検査を併用した子宮頸がんの定期検診を行い、hrHPV陽性でLBC陰性の女性に対しては、2回(12ヵ月、24ヵ月時)の早期再受診を推奨した。 主要評価項目は、コルポスコピー(子宮膣部拡大鏡診)受診紹介の頻度、早期再受診の順守、連続した2回の検査においてLBC法と比較した場合のhrHPV検査によるCIN2以上の検出であった。hrHPV検査で、子宮頸がんの検出率が約30%上昇 ベースライン時のhrHPV検査および早期再受診では、約80%以上がコルポスコピーを必要としたが(補正後オッズ比[aOR]:1.77、95%CI:1.73~1.82)、LBC法と比較し、CIN(CIN2以上でaOR:1.49[95%CI:1.43~1.55]、CIN3以上でaOR:1.44[95%CI:1.36~1.51])および子宮頸がん(aOR:1.27、95%CI:0.99~1.63)の検出頻度が高かった。 早期再受診の順守とコルポスコピー紹介受診は、それぞれ80%および95%であった。その後の子宮頸がん発生スクリーニング検査では、hrHPV検査を受けた女性(3万3,506例)のほうが、LBC法を受けた女性(7万7,017例)よりも、CIN3以上の検出がきわめて少なかった(aOR:0.14、95%CI:0.09~0.23)。

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脳梗塞急性期:早期積極降圧による転帰改善は認められないが検討の余地あり ENCHANTED試験

 現在、米国脳卒中協会ガイドライン、日本高血圧学会ガイドラインはいずれも、tPA静注が考慮される脳梗塞例の急性期血圧が「185/110mmHg」を超える場合、「180/105mmHg未満」への降圧を推奨している。しかしこの推奨はランダム化試験に基づくものではなく、至適降圧目標値は明らかでない。2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)では、この点を検討するランダム化試験が報告された。収縮期血圧(SBP)降圧目標を「1時間以内に130~140mmHg」とする早期積極降圧と、ガイドライン推奨の「180mmHg未満」を比較したENCHANTED試験である。その結果、早期積極降圧による「90日後の機能的自立度有意改善」は認められなかった。ただし、本試験の結果をもって「早期積極降圧」の有用性が完全に否定されたわけではないようだ。7日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、Craig Anderson氏(ニューサウスウェールズ大学、オーストラリア)とTom Robinson氏(レスター大学、英国)が報告した。早期積極降圧群とガイドライン順守降圧群を比較するも、想定した血圧差は得られず ENCHANTED試験の対象は、tPAの適応があり、脳梗塞発症から4.5時間未満で、SBP「150~185mmHg」だった2,196例である。74%がアジアからの登録だった(中国のみで65%)。平均年齢は67歳、NIHSS中央値はおよそ8。アテローム血栓性が45%弱、小血管病変が約30%を占めた。 これら2,196例は、「1時間以内にSBP:130〜140mmHgまで低下させ、72時間後まで維持」する「早期積極」降圧群(1,072例)と、ガイドラインに従い「SBP<180mmHg」へ低下する「ガイドライン順守」降圧群(1,108例)にランダム化され、オープンラベルで追跡された。 血圧は、ランダム化時に165mmHgだったSBPが、「早期積極」群で1時間後には146mmHgまでしか下がらなかったものの、24時間後に139mmHgまで低下した。一方「ガイドライン順守」群でも、1時間後には153mmHg、24時間後には144mmHgと、研究者が想定していた以上の降圧が認められた。ランダム化後24時間のSBP平均値は、「早期積極」群:144mmHg、「ガイドライン順守」群:150mmHg(p<0.0001)とその差は6mmHgしかなかった。1次評価項目では両群間に有意差を認めず その結果、1次評価項目である「90日後の修正ランキンスケール(mRS)」は、ITT解析、プロトコール順守解析のいずれにおいても、両群間に有意差を認めなかった。年齢、性別、人種、ランダム化時のSBP(166mmHgの上下)やNIHSS、脳梗塞病型などで分けたサブグループ解析でも、この結果は一貫していた。 ただし、頭蓋内出血のリスクは、「早期積極」群(14.8%)で「ガイドライン順守」群(18.7%)に比べ、有意に低くなっていた(オッズ比[OR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.60~0.94)。医師が「重篤な有害事象」と認識した頭蓋内出血も同様である(OR:0.59、95%CI:0.42~0.82)。なお、脳出血のORは0.79(95%CI:0.62~1.00)だった。 出血以外の有害事象は、群間に有意差を認めなかった。また、90日間死亡率は「早期積極」群:9%、「ガイドライン順守」群:8%だった。新たなランダム化試験を計画中 Robinson氏は、本試験の結果から、現行ガイドラインの大幅な変更を必要とするエビデンスは得られなかったと結論する一方、本試験の問題点として、1)両群の血圧差が小さかった、2)血管内治療の施行率が低かった、などを挙げ、至適降圧目標についてはさらなる検討が必要だと述べた。現在、大血管閉塞/血管内治療例のみを対象としたENCHANTED2試験を計画中だという。 本試験は、主としてオーストラリア政府機関と英国慈善団体から資金が提供され、そのほか、ブラジル政府機関、韓国政府機関、ならびにTakedaからも資金提供を受けた。 本研究は報告と同時に、Lancet誌にオンライン公開された。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「ISC 2019 速報」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

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志水太郎の診断戦略ケーススタディ

第1回 隠された病変(The Hidden Lesion)第2回 一周回って確診に(Circling Back for the Diagnosis)第3回 Aから始まりZで終る(Going from A to Z)第4回 眠れる巨人(A Sleeping Giant) 診断のメカニズムを解き明かした名著「診断戦略」。そこで示された戦術や技法を、臨床でどのように使えば効率的かつ正確な診断が行えるのか、ケーススタディ形式で解説します。扱う症例はNEJM(The New England Journal of Medicine)の名物コーナー「Clinical Problem-Solving」に掲載されたもの。難症例を前に、直観的思考はどうひらめくのか、どのタイミングでどんな鑑別のクラスターを開くのか、そして正解の疾患はそこにあるのか。普段は決して覗くことのできない“名医の診断過程”は必見です。「診断戦略」を使いこなすことができれば、あなたの診断も劇的に変わります!第1回 隠された病変(The Hidden Lesion)NEJMに掲載された「The Hidden Lesion」を題材に、診断戦略の扱い方をケーススタディ形式で解説。番組では症例の第1段落にあたる病歴と身体診察のみの情報から診断へ迫ります。第2回 一周回って確診に(Circling Back for the Diagnosis)NEJMのClinical Problem-Solvingから、28歳男性の右上・下腹部痛の症例を扱います。病歴と身体所見の限られた情報から、直観的思考と分析的思考を使って診断に迫っていく過程は必見!「前医の情報を鵜呑みにしてはいけない」、新たな診断戦略「EHTL」も登場します。第3回 Aから始まりZで終る(Going from A to Z)今回はNEJMのClinical Problem-Solvingから、3ヵ月間続く下痢を訴える70歳男性の症例を扱います。突如判明する南アジアへの渡航歴に戸惑いながらも、わずかな病歴から直観的思考と分析的思考を使って診断に迫っていく過程は必見です!A(abdominal pain)で始まるこの症例が行き着くZとは?第4回 眠れる巨人(A Sleeping Giant)最終回はNEJMのClinical Problem-Solvingから、腹痛と寝汗が主訴の71歳女性の症例を扱います。副鼻腔炎の既往、寝汗、体重減少などそれぞれの情報から「分析的思考」を展開して鑑別診断を列挙。最終診断にたどり着くと、すべての謎が解けるはずです。

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厳格な降圧でも認知症の増加はない(解説:桑島巖氏)-1004

 厳格な降圧は認知症と関連するという懸念が一部にあったが、本試験の結果はそれを否定する科学的根拠を示した大規模臨床試験として貴重である。 降圧目標値の120mmHgが従来目標の140mmHgに比して心血管イベント抑制効果が高いことを示した有名な米国SPRINT試験のサブ試験である。当初から認知症疑い(probable dementia)をエンドポイントに設定して施行したprospective studyであり、信頼性は高い。 認知症の評価はモントリオール認知評価(MoCA)、Wechslerメモリースケールを用いての学習と記憶評価、Digit Symbolコーディングテストによる処理スピードの評価の3段階の評価が訓練を受けた専門スタッフによって試験開始時と追跡期間中に行われている。 認知障害のレベルは、認知症なし、軽度認知症、認知症疑いの3つに分類されており、このうち認知症疑いの発現が本試験の主要エンドポイントとなっており、軽度認知症発現は副次エンドポイントに設定されている。当然ながら、主試験の主旨によって明らかな認知症症例や認知症治療中の症例は最初から除外されている。 結果は、主要エンドポイントである認知症疑いには厳格降圧群と緩和降圧群の間にわずかなところで有意差がつかなかった(ハザード比:0.83、95%Cl:0.67~10.4)。これは主試験の心血管イベントで有意差がついたために3.34年で中止されて統計パワーが不足したためと考えられる。 それでも副次エンドポイントである軽度認知症発現に関しては有意に抑制したとの結果である。 しかしながら本試験はあくまでもサブ試験であるだけにlimitationがいくつかある。前述の心血管イベントに有意差がついてしまったために認知症における結果が出る前に試験が中止されたこと以外に、頭部の画像診断に関する情報がないため、認知症のタイプとしてのアルツハイマー型なのか血管型なのかのタイプ別解析ができていないことなどは知りたいところではある。

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1ヵ月で2キロ痩せた【Dr. 中島の 新・徒然草】(259)

二百五十九の段 1ヵ月で2キロ痩せた今年の初めに第二百五十四の段「目標達成の方法」で、1ヵ月に1キロずつ痩せることと、英語のリスニング能力を向上させること、の2つを目標として宣言しました。前者については最初の1ヵ月で2キロも減っていたので、予想外の効果です。「このままいったら2ヵ月で4キロ、3ヵ月で6キロだぜ!」と言いたいところですが、そこまで私も甘ちゃんではありません。2ヵ月で3キロ、3ヵ月で4キロ、というのが現実的な目標設定でしょう。体重が5キロも軽くなればスーパーで買う米袋1つ分の荷物を下ろすわけですから、随分違います。身も心も軽くなり、何よりも腹が引っ込むはず。減量の具体的方法ですが、私はとくに無理な努力をしているわけではありません。腹七分目を心掛ける。炭水化物はほどほどにして、おかず中心の食生活を送る空腹感は温かいお茶を飲んでごまかす。耐え難い場合は、おにぎり1個だけ食べるできるだけ宴会をパスする。1回の宴会で3日分の努力がパーになるよく歩く。スマホで英会話講座を聴きながら歩くと一石二鳥とくに泳いだり筋トレしたりしているわけでもなく、誰にでも可能な方法です。最近、昼はローソンの「8種具材の包み焼」をよく食べていますが、たったの310キロカロリーなのに満腹感があります。とくにお好みソースの味が絶品!とはいえ、課題も残っています。つい間食をしてしまうこと出席すべき宴会もあること今後、これらについての対策も工夫しようと考えています。何か良い方法があれば、皆様のご意見をお寄せ下さい。最後に1句茶を飲めば 腹は膨れる とりあえず★今年のもう1つの目標である「英語のリスニング能力向上」についても、新たな進展があったので、次回、この連載で触れましょう。

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第17回 1回服用のインフルエンザ治療薬の実力は?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 インフルエンザは健康な人が罹患しても安静にしていれば自然軽快します。しかし、小児や高齢者、とくに基礎疾患のある高齢者などが罹患すると重篤化しやすく、学校や仕事への影響も大きいので、なかなか自然軽快に任せることは難しい疾患です。インフルエンザの特徴的な症状としては、急速な38度以上の発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感、そして上気道症状で、流行期にこれらの症状が出たら罹患が疑われます。発熱、咳、鼻汁などインフルエンザと診断する各所見ごとのオッズ比をみた研究1)では、とくに発熱のオッズ比が3.26(95%信頼区間[CI]:3.87~2.75)と最も高く、流行期に37.8度以上の発熱があればインフルエンザである割合が76.9%とされています。咳と発熱の両方がある場合は79.0%とさらに上がります。実際、解熱薬や咳止め薬が一緒に処方されるシーンも多いですよね。本当にインフルエンザか疑わしい場合や確定診断が必要な場合は迅速診断キットが使われます。159の研究で合計26のインフルエンザ迅速診断キットを評価したメタ解析2)では、プールされた感度および特異度は、それぞれ62.3%(95%CI:57.9%〜66.6%)、98.2%(95%CI:97.5%〜98.7%)でした。感度の高い検査が陰性ならその疾患を除外でき、特異度が高い検査が陽性ならその疾患を確定できます。キットによる差はありますが、感度が60%前後なので陰性でもインフルエンザの除外がしきれない一方で、特異度が98%前後と高いので、陽性ならほぼインフルエンザという判断になります。したがって、迅速診断キットで陰性であっても上記のようなインフルエンザが強く疑われる症状があれば薬物治療の適応になることもあります。バロキサビル群の症状改善はプラセボより速く、類薬と同等インフルエンザに適応のある治療薬としてノイラミニダーゼ阻害薬、麻黄湯や竹茹温胆湯があります。麻黄湯はインフルエンザA型の症状緩和に寄与するとする研究3)や、近年ではその成分のウイルス学的効果を示唆する研究4)もあり大変興味深いのですが、エフェドリンを含むので動悸、発汗など交感神経刺激作用には注意を要します。そして、今最も話題なのがキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性阻害作用を有するバロキサビル(商品名:ゾフルーザ)です。1回投与と簡便なため、処方が激増していますが、その実力はどうなのでしょうか。第II相と第III相の二重遮蔽ランダム化比較試験をまとめて1つの論文にしたものが出ているので紹介します5)。まずはそれぞれの対象患者ですが、第II相試験では、2015年12月~2016年3月にインフルエンザに罹患した20~64歳の日本人です。(1)38度以上の発熱、(2)少なくとも1つの全身症状、(3)少なくとも1つの呼吸器症状、(4)48時間以上症状が継続、(5)迅速抗原検査が陽性、の条件に該当する患者がバロキサビル10mg、20mg、40mgを服用した場合とプラセボを服用した場合の症状が改善するまでの時間をプライマリアウトカムとしています。第III相試験は、2016年12月~2017年3月にインフルエンザ様の症状がみられた12歳~64歳の米国人と日本人で、上記(1)~(4)の症状に該当する患者が組み入れられています。20〜64歳ではバロキサビル(1日目に1回、体重に応じて40mgまたは80mg、残りの4日間はプラセボを使用)、オセルタミビル(75mg、1日2回を5日間)またはプラセボとの比較で、12〜19歳ではバロキサビル(1日目に1回)とプラセボ(1日目に1回)で比較をしています。プライマリアウトカムは第II相試験と同様です。なお、添付文書上は小児の適応がありますが、この論文のみでは12歳未満の小児の服用についての有効性は判断できないので注意が必要です。主な結果を見ていくと、第II相試験では、プラセボ群の症状緩和に要した時間の中央値が77.7時間だったのに対して、バロキサビル10mg群では54.2時間、20mg群では51.0時間、40mgでは49.5時間でした。第III相試験では、症状緩和に要した時間の中央値はバロキサビル群が53.7時間、プラセボ群が80.2時間であり、その差は26.5時間でした。なお、バロキサビル群とオセルタミビル群では同等との結果となっています。バロキサビル耐性ウイルスについては、第II相試験で2.2%、第III相試験で9.7%(いずれもインフルエンザA型感染)で、変異型の場合は高率にウイルスが残存しました。すでに耐性ウイルスを懸念する声も聞こえていますので、むやみに使い過ぎるのも考えものかもしれません。また、これまで十分に確認できなかった、喘息および呼吸器疾患、内分泌疾患、心疾患など基礎疾患をもつ患者や65歳以上の高齢者などのハイリスク群を対象とした第III相試験でも、症状緩和に要した時間はプラセボ群に対する優越性を示しています6)。最後に、同じ1回投与の点滴であるペラミビル(商品名:ラピアクタ)にも触れておくと、こちらもおおむねオセルタミビルと解熱までの時間や症状の変化はほぼ同等の結果となっています7)。点滴なので、流行期に看護師さんの時間が取られるのは難点ではあります。バロキサビル、ペラミビルともに予防投与の可否について聞かれることもありますが、現時点ではエビデンスも適応症もないので原則促さないようにしておくが吉でしょう。一般論としては、これらに限らず1回で治療が終わる薬剤や週1回、月1回投与の製剤は服用が楽な一方で、副作用が出ても休薬対処がしづらいという二面性があることを認識して説明できるとよいかなと思います。1)Monto AS, et al. Arch Intern Med. 2000;160:3243-3247.2)Chartrand C, et al. Ann Intern Med. 2012;156:500-511.3) Nabeshima S, et al. J Infect Chemother. 2012;18:534-543.4) Masui S, et al. Evid Based Complement Alternat Med. 2017;2017:1062065.5)Hayden FG, et al. N Engl J Med. 2018;379:913-923.6)塩野義製薬プレスリリース7)Nakamura S, et al. Open Forum Infect Dis. 2017;4:ofx129.

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第5回 全身痛と関連痛【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第5回 全身痛と関連痛痛みは病気の兆候として最も多く、誰もが苦しむ原因となっています。そのために、患者さんは病院や診療所などを受診されます。血圧、脈拍、呼吸数、体温と共に、痛みは「第5のバイタルサイン」とも呼ばれております。近年、全身に痛みを訴えられる患者さんが増えておられます。全身痛と呼んでおりますが比較的若い患者さんが多くなってきたように感じられます。今回は、この全身痛を取り上げ、付随して関連痛を説明したいと思います。全身痛とは全身的に痛みを訴えられる患者さんの痛みを「全身痛」と呼んでいます。いろいろな部位に痛みを訴えられる患者さんや、全身にわたって痛みを訴えられる患者さんなど、その形態はさまざまです。また、重篤な身体疾患を持っていることもあるので注意が必要です。その中で全身痛から発見される疾患としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎・多発性筋炎、全身性強皮症、リウマチ性多発筋痛症などの膠原病があります。甲状腺機能低下症や有痛性糖尿病性ニューロパチーなどの内分泌疾患もあります。そのほか、ポストポリオ症候群や横紋筋融解症などの神経筋疾患も認められます。横紋筋融解症は、脂質異常症治療薬や抗神経病薬などによる薬剤性疾患によっても生じます。そして、悪性腫瘍では多発性骨髄腫、多発性転移、何より増して全身の骨関節痛、腰背部痛などが生じます。インフルエンザ、ウイルス性肝炎では全身の関節痛や筋肉痛、神経痛がみられます。うつ病、身体表現性疼痛(疼痛性障害、身体化障害など)、自律神経失調症などの精神・神経疾患でも全身痛を訴えます。とくにうつ病では、痛みの部位が変動するのが特徴です。その他、難治性疼痛疾患としての線維筋痛症(FM)(図1)や慢性疲労症候群(CFS)も現在、話題になっています。FMの診断では、(1)広範囲(右半身/左半身、上半身/下半身、体軸という身体の真ん中)の痛みが3ヵ月以上続いていること、(2)図1に示した18ヵ所(圧痛点といいます)を指で押して、11ヵ所以上で痛むことが条件となります。図1 FMの診断における18ヵ所の圧痛点画像を拡大する関連痛とは表層筋膜、アキレス腱、前脛骨筋腱、表在関節、靭帯、脛骨のような表在性の骨などの痛みは、局在性の痛みとして感じます。これに対してより深い部位にある腱、関節、骨などや筋肉内にあるような組織からの痛みは、遠く隔たった皮膚に投射されます。たとえば、上部胸椎の骨膜に刺激を受けた場合には、肩の上部にびまん性の痛みを感じます。また、内臓痛には関連痛が伴います。内臓痛そのものの局在性は不明確ですが、「関連痛」といって、同じ脊髄節支配の皮膚に投射されて痛む部位が明確に示されます。そして、この皮膚におきましては、疼痛過敏や異常知覚を伴ったり、筋肉の緊張、自律神経の異常興奮がみられることもあります(図2)。図2 内臓痛に伴い現れる関連痛の部位画像を拡大するいずれも痛みの部位と性質、随伴症状や検査所見などによって鑑別診断します。そして原疾患が疑われるようであれば、その治療を最重要として、それぞれの専門医に紹介します。原疾患が治癒しても痛みが持続する場合やとくに原疾患がない場合には、痛み治療が必要となります。次回は頭・頸部痛を取り上げます。1)花岡一雄ほか監修.日本医師会雑誌. 2014;143:120-121.2)山村秀夫ほか編. 痛みを診断する.有斐閣;1984.p.20-38.

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その呼吸器診療 本当に必要ですか? あるのかないのかエビデンス

悩める日常の呼吸器診療を助ける29のエビデンスと最適解呼吸器領域の日常臨床で、正論だと思われている診療の常識に対し、果たしてその診療は本当に必要なものなのか、ひょっとしたら不要ではないのかといったグレーゾーンの29テーマをピックアップして、著者独自の切り口で論を展開しています。エビデンスに基づき、終末期医療などさまざまな意見が共存するテーマについても、現状の知見やデータを提示しています。臨床現場で悩める若手呼吸器科医、内科医、ジェネラリストに向け、今後の診療において進むべき道筋を照らす1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    その呼吸器診療 本当に必要ですか?あるのかないのかエビデンス定価4,200円 + 税判型A5判頁数336頁発行2019年1月著者倉原 優Amazonでご購入の場合はこちら

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統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビュー

 ブレクスピプラゾールは、日本、米国、EU(成人患者対象)など、各国において統合失調症治療薬として承認されている、経口非定型抗精神病薬である。ニュージーランド・SpringerのJames E. Frampton氏は、統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビューを行った。Drugs誌オンライン版2019年1月22日号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・アリピプラゾールのように、ドパミンD2およびセロトニン5-HT1A受容体に対する部分アゴニスト作用と、セロトニン5-HT2A受容体に対するアンタゴニスト作用を有する薬剤である。・ブレクスピプラゾールはD2受容体への活性が低く、5-HT1A、5-HT2A、ノルアドレナリンα1B受容体への作用を併せ持つことで、アリピプラゾールよりも有害事象や錐体外路症状が少ないと推測される。・急性増悪を伴う統合失調症の成人患者に対するブレクスピプラゾール2~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、全体の症状および心理社会的機能において、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善が認められた。・維持療法におけるブレクスピプラゾール1~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、再発までの時間を有意に遅らせ、症状および機能の安定化または継続的な改善が認められた。・ブレクスピプラゾールは、一般的に忍容性が高かった。有害事象プロファイルでは、賦活化および過鎮静の発現率が低く、QT間隔および代謝パラメータの変化はわずかで臨床的に有意ではなく、中程度の体重増加が認められた。 著者らは「これまでの臨床的エビデンスによると、ブレクスピプラゾールにより、統合失調症の治療選択肢がより良い方向へ広がることが示唆された」としている。■関連記事日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの代謝パラメータや体重増加への影響

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扁平上皮NSCLC1次治療における抗EGFR抗体necitumumabの効果/Lung Cancer

 扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)のほとんどには上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor、以下EGFR)が発現しており、腫瘍形成に関与している。抗EGFR抗体necitumumabは、第III相SQUIRE試験でゲムシタビン・シスプラチンとの併用(GC+N)で進行扁平上皮NSCLCの1次治療における全生存期間(OS)を改善した。しかし、この試験では日本人患者は含まれていない。わが国の同じ患者集団の1次治療におけるGC+N療法を評価した多施設共同非盲検第Ib/II相試験の結果がLung Cancer誌2019年3月号に報告された。 第Ib相試験は第II相のゲムシタビンの推奨用量を決定する用量設定試験。第II相は、患者をGC+Nまたはゲムシタビン+シスプラチン(GC)に1:1で割り付けた無作為化比較試験。第II相パート・対象:未治療のStageIV扁平上皮NSCLC日本人患者・試験薬群:ゲムシタビン1,250mg/m2(day1、day8)+シスプラチン75mg/m2(day1)、+necitumumab 800mg(day8)、3週ごと。GCは最大4サイクル、necitumumabは進行または忍容できない毒性が発現するまで継続・対照薬群:ゲムシタビン1,250mg/m2(day1、day8)+シスプラチン75mg/m2(day1)、+necitumumab 800mg(day8)、3週ごと。最大4サイクル・評価項目:[主要評価項目]OS、[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、治療成功期間(TTF)など第II相パートの主な結果は以下のとおり。・181例の患者がGC+N群91例またはGC群92例に無作為に割り付けられた。・OS中央値はGC+N群14.9ヵ月、GC群10.8ヵ月とGC+N群で有意に改善された(HR:0.66、95%CI:0.47~0.93、p=0.0161)。・PFS中央値はGC+N群4.2ヵ月、GC群4.0ヵ月と改善が観察された(HR:0.56、95%CI:0.41~0.78、p=0.0004)。・ORRはGC+N群51%、GC群21%とGC+N群で良好であった(p<0.0001)。・生存はEGFR陽性腫瘍の患者においても、GC群に比べGC+N群で有意に延長した。・GC群に比べGC+N群で発現率が5%以上高かったGrade3以上の治療関連有害事象項目は、好中球減少(42% vs.35%)、熱性好中球減少症(12% vs.3%)、食欲減退(11% vs.4%)、ざ瘡様皮膚炎(6% vs.0%)であった。■参考Clinicaltrials.govWatanabe S, et al.Lung Casncer.2019;129:55-62.

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75歳超にもスタチン療法は有益か/Lancet

 スタチン療法は、年齢にかかわらず主要血管イベントを有意に抑制することが、28件の無作為化試験、被験者総数約19万例を対象にしたメタ解析の結果、明らかになった。閉塞性血管疾患の所見がすでにみられない75歳超の高齢者におけるベネフィットについては、直接的なエビデンスが不足していたが、その点に関して現在、さらなる試験が行われているという。オーストラリアの研究グループ「Cholesterol Treatment Trialists' Collaboration」が行った研究結果で、Lancet誌2019年2月2日号で発表された。スタチン療法は、さまざまな患者の主要血管イベントや血管死を抑制することが示されているが、高齢者における有効性および安全性は不確かである。研究グループは、年齢の違いによるスタチン療法の有効性を比較したすべての大規模スタチン試験からデータを集めてメタ解析を行った。被験者年齢群を6グループに分け有効性を検証 研究グループは、適格条件に満たした、被験者数1,000例以上で治療期間2年以上の無作為化試験28件を対象にメタ解析を行った。そのうち22試験(被験者総数13万4,537例)からは被験者の個人データを、1試験(同1万2,705例)からは詳細サマリーデータを、5試験(同3万9,612例)からは強化スタチン療法と非強化スタチン療法を比較した個人データを組み込み、解析を行った。 スタチン療法の主要血管イベント(主要冠動脈イベント、脳卒中、冠血行再建術など)、死因別死亡、がん罹患への効果を、LDLコレステロール値1.0mmol/L低下ごとにおける率比(RR)として推算した。 被験者の年齢により、55歳以下、56~60歳、61~65歳、66~70歳、71~75歳、75歳超の6つのグループに分類し、異なる年齢グループの相対リスク減少率を比較した。グループ間の不均一性(2群間の場合)や傾向(2群超の場合)に対しては標準χ2検定法を用いた。主要冠動脈イベントリスク減少は高齢により縮小傾向 28試験の被験者総数は18万6,854例で、うち75歳超は8%(1万4,483例)であり、追跡期間中央値は4.9年だった。 全体的に、スタチン療法/強化スタチン療法は、LDLコレステロール値1.0mmol/L低下につき、主要血管イベントを21%減少した(RR:0.79、95%信頼区間[CI]:0.77~0.81)。すべての年齢グループで主要血管イベントの有意な減少が認められ、その相対リスクの減少幅は、年齢が上がるにつれて縮減したが、その傾向は有意ではなかった(傾向のp=0.06)。 同様に、主要冠動脈イベントについてスタチン療法/強化スタチン療法は、LDLコレステロール値1.0mmol/L低下による相対リスクの低下率は24%(RR:0.76、95%CI:0.73~0.79)で、年齢が上がるにつれて有意に縮減する傾向が認められた(傾向のp=0.009)。 冠血行再建術リスクについては、同相対リスク低下率は25%(RR:0.75、95%CI:0.73~0.78)で、年齢による有意な違いはみられなかった(傾向のp=0.6)。全脳卒中(タイプを問わない)リスクについても、同相対リスク低下率は16%(RR:0.84、95%CI:0.80~0.89)で、年齢による有意な違いはみられなかった(傾向のp=0.7)。 心不全または透析患者のみが登録されていた4試験(これら被験者はスタチン療法の有効性は示されなかった)を除外後、主要冠動脈イベントについては、年齢上昇に伴う相対リスク低下の縮減はわずかだが認められたものの(傾向のp=0.01)、主要血管イベントについては、やはり有意差は認められなかった(傾向のp=0.3)。 血管疾患既往患者においては、年齢にかかわらず、主要血管イベントの相対的な低下はわずかに認められた(傾向のp=0.2)。一方で血管疾患が不明な場合は、若年者よりも高齢者のほうが、低下が小さいようだった(傾向のp=0.05)。 血管死の同相対リスク減少率は12%(RR:0.88、95%CI:0.85~0.91)だった。高齢群でリスク低下率の縮減傾向が認められたものの(傾向のp=0.004)、心不全と透析患者のみを対象にした試験を除き解析した結果では、有意な傾向は認められなかった(傾向のp=0.2)。 なお、スタチン療法/強化スタチン療法は、どの年齢グループにおいても、非血管死、がん死、がん罹患のいずれにも影響はみられなかった。

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脳卒中疑い、搬送中の経皮ニトロは有効か/Lancet

 脳卒中が疑われる患者に対する搬送中の経皮型ニトログリセリン(GTN)の投与は、機能的アウトカムを改善しないことが示された。死亡率や重大有害イベントの発生リスクも低減しなかった。英国・ノッティンガム大学のPhilip M. Bath氏らの研究グループ「The RIGHT-2 Investigators」が、1,100例超の被験者を対象に行った第III相のシャム対照無作為化試験の結果で、Lancet誌2019年2月6日号で発表した。ただし結果を踏まえて著者は、「英国救急隊員が搬送時の超急性期の場面で、脳卒中患者の同意を得て治療を行うことを否定するものではない」と述べている。高血圧は急性脳卒中によくみられ、不良なアウトカムの予測因子である。大規模な降圧試験でさまざまな結果が示されているが、超急性期の脳卒中に関する高血圧のマネジメントについては不明なままだった。90日後の修正Rankin Scaleスコアを評価 研究グループは2015年10月22日~2018年5月23日にかけて、多施設共同の救急隊員による救急車内でのシャム対照無作為化試験を行った。被験者は、4時間以内に脳卒中を発症したと考えられ、FAST(face-arm-speech-time)スコアは2または3、収縮期血圧値が120mmHg以上の成人だった。 被験者を無作為に2群に分け、一方の群には経皮型GTNを投与し(5mg/日を4日間)、もう一方の群には同様に見せかけたシャム処置を、いずれも救急隊員が救急車内で開始し、病院到着後も継続した。救急隊員は治療についてマスキングされなかったが、被験者はマスキングされた。 主要アウトカムは、90日後の7段階修正Rankin Scale(mRS)による機能的アウトカムのスコアだった。評価は治療についてマスキングされた中央施設の追跡調査員が電話で行った。分析は段階的に行い、まずは脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)と診断された患者について(コホート1)、次に被験者全員を対象に無作為化した患者について行った(コホート2)。mRSスコアに有意差なし、死亡や重大有害イベントも低下せず 試験は英国8ヵ所の救急車サービス拠点から救急隊員516人、被験者数1,149例(GTN群は568例、シャム群581例)が参加して行われた。 無作為化までの時間の中央値は71分(IQR:45~116)。被験者のうち虚血性脳卒中を発症したのは52%(597例)、脳内出血は13%(145例)、TIAは9%(109例)、脳卒中類似症例は26%(297例)だった。GTN群の入院時点の血圧値はシャム群と比べて、収縮期血圧値が5.8mmHg(p<0.0001)、拡張期血圧値が2.6mmHg(p=0.0026)、それぞれ低かった。 コホート1において、最終的に脳卒中またはTIAと診断された被験者におけるmRSスコアに有意差はみられなかった。GTN群の同スコアは3(IQR:2~5)、シャム群も3(同:2~5)、不良なアウトカムに関する補正後commonオッズ比(acOR)は1.25(95%信頼区間[CI]:0.97~1.60)で、両群間に有意差はみられなかった(p=0.083)。 コホート2でも、GTN群のmRSスコアは3(同:2~5)、シャム群も3(同:2~5)で、acORは1.04(95%CI:0.84〜1.29)と同等だった(p=0.69)。 死亡(治療関連の死亡:GTN群36例vs.シャム群23例、p=0.091)や重大有害イベント(188例vs.170例、p=0.16)といった副次的アウトカムも、両群で差はみられなかった。

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脳卒中後の至適降圧目標は「130/80mmHg未満」か:日本発RESPECT試験・メタ解析

 脳卒中後の血圧管理は、PROGRESS研究後付解析から「低いほど再発リスクが減る」との報告がある一方、PRoFESS試験の後付解析は「Jカーブ」の存在を指摘しており、至適降圧目標は明らかでない。 この点を解明すべく欧州では中国と共同でESH-CHL-SHOT試験が行われているが、それに先駆け、2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)のLate Breaking Clinical Trialsセッション(7日)において、わが国で行われたRESPECT試験が、北川 一夫氏(東京女子医科大学・教授)によって報告された。 登録症例数が当初計画を大幅に下回ったため、「通常」降圧に比べ、「積極」降圧による有意な脳卒中再発抑制は認められなかったものの、すでに報告されている類似試験とのメタ解析では、「積極」降圧の有用性が示された。通常降圧群と積極降圧群の脳卒中再発率の比較 RESPECT試験の対象は、脳卒中発症後30日~3年が経過し、血圧が「130~180/80~110mmHg」だった1,280例である。降圧薬服用の有無は問わない。当初は5,000例を登録予定だった(中間解析後、2,000例に変更)。 平均年齢は67歳、登録時の血圧平均値は145/84mmHgだった。初発脳卒中の病型は、脳梗塞が85%、脳出血が15%である。スタチン服用率は約35%のみだったが、抗血小板薬は約7割が服用していた。 これら1,280例は「140/90mmHg未満」を降圧目標とする「通常」降圧群(630例)と、「120/80mmHg未満」とする「積極」降圧群(633例)にランダム化され、非盲検下で平均3.9年間追跡された(心筋梗塞既往例、慢性腎臓病例、糖尿病例は「通常」群でも降圧目標は130/80mmHg未満)。 ランダム化1年後までに血圧は、通常群:132.0/77.5mmHg、積極群:123.7/72.8mmHgへ低下した。メタ解析では積極降圧で脳卒中再発率の低下が示される その結果、1次評価項目である「脳卒中再発」は、通常群の2.26%/年に対し、積極群では1.65%/年と低値になったが、有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.49~1.11)。ただし脳出血のみで比較すると、通常群(0.46%/年)に比べ、積極群(0.04%/年)でリスクは有意に低下していた(HR:0.09、95%CI:0.01~0.70)。 重篤な有害事象は、両群間に有意差を認めたものはなかった。 この結果を踏まえ北川氏は、すでに公表されている、脳卒中発症後の通常降圧と積極降圧を比較した3つのランダム化試験(SPS3、PAST-BP、PODCAST)とRESPECTを併せてメタ解析した(4,895例中636例で再発)。すると積極降圧群における、脳卒中再発リスクの有意な低下が認められた(HR:0.78、95%CI:0.64~0.96)。 RESPECT以外の上記3試験では積極降圧群のSBP目標値が「125~130mmHg未満」だったため、エビデンスは脳卒中後の降圧目標として「130/80mmHg未満」を支持していると北川氏は結論した。 本試験の資金は「自己調達」と報告されている(UMIN000002851)。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「ISC 2019 速報」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

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人間は株式投資でAIに勝てるか?【医師のためのお金の話】第17回

人間は株式投資でAIに勝てるか?AIの進化が凄いことになっています。最初に世界へ大きな衝撃を与えたのは、Googleの“AlphaGo(アルファ碁)”ではないでしょうか。2017年5月にGoogle傘下の企業DeepMindが開発した囲碁AIであるAlphaGoが世界最強棋士を破ったニュースは世界を駆け巡りました。そして、自動車産業では、AIによる自動運転はすでに規定路線となっています。実用化はいつ頃になるのかということだけが、論点となっているほどです。もちろん医療分野でも、多くの研究機関がAI開発にしのぎを削っており、私たちの日常診療にも近い将来AIが入ってくる可能性が高いです。GoogleのAlphaGoを見るとわかるように、AIの能力は人間をはるかにしのぐというのが一般的な認識です。このことは、私たち医師にとって大きな脅威になるかもしれません。それでは株式投資の分野ではどうでしょうか?株式市場では機械がメインプレーヤー株式市場においては、高頻度取引(High Frequency Trading:HFT)という機械取引がすでに市場を席巻しています。厳密には、現状のHFTはAIとは異なりますが、この領域では人間は機械に駆逐されてしまっています。株式市場では、一般社会に先行して人間ではなく機械がメインプレーヤーなのです。そして、将来的には、AIが株式市場を支配すると予想されています。株式市場においても、私たち人間が勝つことは難しくなると思う人も多いことでしょう。しかし、実際にAIを利用したファンドの運用成績は芳しくありません。少なくとも、現時点ではAIファンドの成績は散々なようです。それでは、AIが深層学習にさらに磨きをかけたらどうなるのでしょうか? 少なくとも、機関投資家ではAI化の流れは不可避です。このため、株式市場の大部分は、AIによる機械取引に置き換わることが予想されます。こうなると、株式市場全体がAI対AIという状況に移行します。この状況ではAI同士の喰い合いになるので、単一のAIだけが傑出した成績をあげることは難しくなります。つまり自分は自分には勝てないということです。変動率の大きさはチャンスの源泉機械取引が支配する株式市場は、従来と比べて市場の変動率が大きくなることが特徴です。このため、日経平均株価がたった1日で1,000円以上変動することが起こるようになりました。もちろん、日経平均株価が高値圏にあることも原因の1つです。しかし、変動率で考えても、過去の歴史ではあまり例を見ない特異な状況です。機械取引がメインプレーヤーになったために、株式市場の変動率が上昇していることは、実は人間にとって利益を得る機会が増えていることを意味します。変動率が大きいと、それだけ収益チャンスが増えるからです。人間はAIの能力には勝てないから、株式投資においても人間の出る幕はなくなると思われがちです。しかし実際には、機械取引が支配する株式市場では、むしろ人間の収益チャンスが増えているという現象が生じています。もちろん、このような市場の乱高下で利益を上げることができる人はごく少数であり、大多数の一般人には関係ないことだと思います。しかし、株式市場そのものがAIになっていくため、少なくともAIの優位性は無くなっていくのではないでしょうか?人間の活路は長期投資に短期投資においては絶対的にAIの優位性は高いですが、長期投資になってくるとAIの優位性は崩れてくるのではないかと予想しています。なぜなら、AIがメインプレーヤーとなるのはHFTに代表される短期市場だからです。機械が行う超高速取引に、人間はまったく追随できないので、この領域で人間がAIに勝つことは至難の業です。しかし、機関投資家の特性上、AIはこの領域にフォーカスせざるを得ない状況なので、長期取引投資に関してはAIの支配がさほど及ばない可能性があります。もちろん、長期投資にフォーカスしたファンドも組成されると思います。それでも全体を見渡すとHFTなどの高頻度取引がメインとなる状況に変わりはないので、そこに人間が勝てる要素があるのではないかと推察しています。

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第6回 体温、意識レベルの評価方法【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

薬剤師である皆さんが患者さんのご自宅を訪問する時、患者さんは慢性的な病態であることが多く、容態の急変はないと思いがちです。しかし、慢性疾患であっても、急に容態が変化・悪化することはあります。そのような時、主治医や訪問看護師にすぐに連絡した方がよいかどうか迷うことがあるかもしれません。今回は、急を要するか否かの判断の仕方と、その判断に必要なバイタルサインの測定法について紹介します。4─体温の測定方法通常は、腋窩体温計を用いて腋に挟んで測定しますが、汗で濡れている時には体温が低く計測されることがありますから、タオルなどで拭くなど注意が必要です。耳(鼓膜)で測定する体温計や、最近では皮膚に接触させることなく額で体温を測定できる機器もあります。正しい使い方をすればいずれを使用してもよいです。口腔内の温度は腋窩と比べ0.2〜0.5℃高いことや、朝方起床前後には体温は低く、身体の活動度の高い午後から夕方に上昇することなども知っておくとよいでしょう。また一般的に、体温が1℃上昇すると脈拍も10回/分ほど増加します。計測された体温は表4のように分類されます。表4 体温の評価5─意識レベルの評価方法独居の老人宅に訪問した時、患者さんが倒れていたという状況を考えてみましょう。びっくりしてしまいますが、近寄る前に、まず周囲の安全を確認してください。まさかガス漏れでは?吐物など感染の危険はありませんか。そんなことは滅多にないでしょうが、自分を危険な状態にさらしてはいけません。周囲が安全であれば声をかけてみましょう。返事がなければ、周りの人(近所の人)を呼んで119番通報してください。自分ひとりで何とかしようと思ってはいけません。呼吸と脈がなければ心肺蘇生法を開始しますが、この話はまた次回以降にしましょう。患者さんの家族から「今日は呼んでもなかなか返事をしてくれないのですが...」と相談された時には、意識レベルを評価してみましょう。意識レベルがいつもより低下しているようなら、医師・看護師への連絡が望ましいです。その際に、どの程度意識レベルが低下しているのかを伝えられるとよいと思います。意識障害の分類には(表5)、(表6)などの尺度がありますが、(表5)のJapan coma scaleが多く用いられています。以下に評価方法を示します。表5 意識障害の評価 (JCS:Japan coma scale)2,4)表6 意識障害の評価 (GCS:Glasgow coma scale)3)意識レベルを評価する(表5)I.刺激しないでも覚醒している状態眼を開けている時には、見当識障害(周囲の状況、時間、場所など自分自身が置かれている状況などが正しく認識できない状態)の有無や指示に従うことができるかどうかを調べます。「ここがどこかわかりますか?今日は何月何日ですか?」などに答えられなければ見当識障害がありますからI−2となります。「お名前を言ってみてください。生年月日はいつですか?」などに答えられなければ、I−3です。II.刺激で覚醒するが、刺激をやめると眠り込む状態眼を閉じていたら、呼びかけたり、ゆさぶったり、痛み刺激を与えたりします。これらで眼を開ければ、それぞれII−10、II−20、II−30です。患者さんの苦痛(痛み)を伴う手技などは、家族の目がありますから、よりよい関係を維持するためにも医師や看護師に依頼した方がよいと思います。III.刺激しても覚醒しない状態痛み刺激を与えても眼を開けない時には、その時の身体の動作で3段階に分類します。痛み刺激はこぶしで胸骨を押して与えますが、痛みを伴いますので、呼びかけや軽く肩をたたいても開眼しないような意識の障害があれば、その時点で主治医や看護師に連絡しましょう。日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編.高血圧治療ガイドライン2014.東京,ライフサイエンス出版,2014.太田富雄,他.急性期意識障害の新しいgradingとその表現方法.第3回脳卒中の外科研究会講演集.東京,にゅーろん社,1975,61-69.Teasdale G, et al. Assessment of coma and impaired consciousness: a practical scale. Lancet.1974; 2: 81-84.脳卒中合同ガイドライン委員会.脳卒中治療ガイドライン2009.東京,協和企画,2009.

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ASCO-GI2019レポート

レポーター紹介2019年1月17日~19日まで、米国・サンフランシスコにて米国臨床腫瘍学会消化器がん会議(ASCO-GI)が開かれた。今年は連日雨で、とくに1日目は風が強く、一部の国内線はキャンセルになるほど天候が良くなかった。そんな中、連日朝7時から始まるRapid-Fire Abstract Sessionには多くの聴衆が詰め掛けていた。本稿では、Oral Presentation、Rapid-Fire Abstract Session、Poster Presentationから注目すべき演題をいくつか紹介し、<マイコメント>として私見も述べさせていただく。KEYNOTE-181試験(abstract #2)進行性食道がんの2次治療として免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブが有効であるかを検証したKEYNOTE-181試験の結果が報告された。事前にプレスリリースされていたため、試験結果がpositiveであることはわかっていたが、詳細の発表について注目が集まった。1次治療後の進行性食道がん(扁平上皮がんまたは腺がん)628例が1:1にペムブロリズマブ群(200mg、3週ごと)と化学療法群(PTX、DTX、またはIRI)に分けられた。プライマリ・エンドポイントは3つ、PD-L1 CPS(combined positive score)≧10での全生存期間、扁平上皮がんでの全生存期間、全症例での全生存期間であった。扁平上皮がんの割合が、ペムブロリズマブ群63%、化学療法群65%、PD-L1 CPS≧10の症例は、それぞれ34%と37%であった。PD-L1 CPS≧10において、全生存期間中央値は9.3 vs.6.7ヵ月(HR:0.69、p=0.0074)で、ペムブロリズマブ群で有意に良好であった。一方、扁平上皮がんにおいては、8.2 vs.7.1ヵ月(HR:0.78、p=0.0095)とペムブロリズマブ群で中央値は良好であったが、事前に設定した統計解析上では統計学的に有意差がない結果となった。しかしながら、奏効率は良好で、PD-L1 CPS≧10で21.5% vs.6.1%、扁平上皮がんでも16.7% vs.7.4%とペムブロリズマブ群で高い奏効率であった。毒性評価においては、ペムブロリズマブ群においてこれまで同様の毒性がみられた程度であった。マイコメント統計学的にはPD-L1 CPS≧10症例だけにおいてペムブロリズマブの優越性が示されたが、扁平上皮がんにおいても臨床的有用性を認めるような結果であった。今後、本邦においてどのような対象に薬事承認がされるのかが注目される。PD-L1 CPS≧10であれば腺がんでもペムブロリズマブが有用であることになるが、CPS≧10におけるサブ解析では、腺がん症例におけるHRが1.0付近であり、有用であるかどうかには慎重な判断が必要であろう。CPS≧10かつ扁平上皮がん症例が確実な“responder”のようにみえる。ACTS-CC 02試験(abstract #484)本邦から大腸がん術後補助化学療法のレジメンを検証した第III相試験の結果が報告された。N2を有するHigh-risk StageIII結腸がんの症例を対象に、UFT/LV療法(5週ごと、5コース)とSOX(オキサリプラチン100mg/m2、3週ごと、8コース)療法が比較検証され、プライマリ・エンドポイントは無病生存期間であった。966例が1:1にランダム化され、UFT/LV群でStageIIIB/IIIC(TNM分類7th)が51%/48%、SOX群で49%/50%であった。フォローアップ期間中央値58.4ヵ月、396イベントが確認され、3年無病生存率は、それぞれ60.6% vs.62.7%でHR:0.90、p=0.278とSOXレジメンの優越性は証明されなかった。サブグループ解析では、Nファクター、Stageにおいて進行症例ほどSOX群が良好の傾向を認めたが、統計学的に有意な差は示されなかった。マイコメント本邦で汎用されているSOXレジメンが結腸がん術後補助化学療法レジメンとして加わるかを検証した重要な試験であった。残念ながらnegativeな結果となったが、StageIII結腸がんに対するオキサリプラチンの上乗せ効果が否定された結果ではないと判断する。オキサリプラチンの量が100mg/m2ではなく、130mg/m2であったらどうだったか? 『大腸治療ガイドライン』が2019年版に改訂されたが、補助療法のpreferredレジメンはCapeOXまたはFOLFOXである。TAS-102±Bev比較試験(abstract #637)デンマークからTAS-102にベバシズマブ(Bev)を上乗せする効果を検証した比較試験の結果が報告された。TAS-102+BevレジメンはC-TASK FORCE試験(Kuboki Y, et al. Lancet Oncol. 2017;1172-1181.)で有用性が示されているが、Bevの上乗せ効果に関してはこれまで比較試験がなく、エビデンスがない状態であった。80例の症例が、TAS-102群41例、TAS-102+Bev群39例にランダム化され、プライマリ・エンドポイントとして無増悪生存期間が評価された。両群とも約60%の症例が3次治療まで受けており、80~85%の症例で前治療までにBevが使用され、約60%がRAS変異型であった。無増悪生存期間中央値は、TAS-102群で2.6ヵ月、TAS-102+Bev群で5.6ヵ月、HR:0.51、p=0.01で統計学的有意にTAS-102+Bev併用群で良好であった。全生存期間中央値はそれぞれ6.7ヵ月、10.3ヵ月、奏効率は0%、3%であった。毒性評価では、TAS-102群に比べてTAS-102+Bev群で好中球減少、下痢、発熱性好中球減少症が多い傾向だった。この試験のほかに、TAS-102+Bevレジメンを評価した本邦の第II相試験の結果が2つ報告されていた。TAS-CC3試験(abstract #617)では奏効率6.3%、無増悪生存期間中央値4.5ヵ月、全生存期間中央値9.2ヵ月、BiTS試験(abstract #647)では奏効率0%、無増悪生存期間中央値4.3ヵ月、全生存期間中央値8.7ヵ月であった。マイコメントTAS-102+Bevレジメンは本邦のC-TASK FORCE試験で有効性が示されたものの、試験の症例数の少なさから施設によってはレジメン登録が難しいところもあったことであろう。Bev併用効果を検証した前向き試験が望まれていた中での大変貴重な試験結果である。少数例の第II相試験ではあるが、positiveな結果はTAS-102+Bevの日常臨床での使用を大きくサポートするものであり、本邦からの2つの第II相試験結果も既報と同様のものであることから、TAS-102+Bevはほぼ確立したレジメンとして考えてよいであろう。Prep-02/JSAP-05試験(abstract #189)切除可能膵がんにおける周術期治療に関する重要な試験結果が本邦より報告された。現在の標準治療である術後補助化学療法S-1に対して、術前ゲムシタビン+S-1(GS)併用療法(3週ごと)2コースの追加により予後延長効果が得られるかを検証した試験である。S-1治療群の2年生存率を35%、GS併用療法群の2年生存率を50%として、α-エラー0.05、パワー0.8で、両群で360症例が必要のところ、364症例が登録された。本試験は第II/III相試験であり、第II相試験パートでは切除率が検証され、S-1治療群(術前化学療法なし)82%のところGS併用療法群93%と良好な結果が示され、その後第III相パートに進んだ。S-1治療群180症例のうち129症例で治癒切除が施行され、GS併用療法群では182症例のうち140症例で治癒切除が施行された。プライマリ・エンドポイントの全生存期間中央値は、S-1治療群で26.65ヵ月、GS併用療法群で36.72ヵ月、HR:0.72(95%CI:0.55~0.94、p=0.015)で、術前GS併用療法の有用性が示された。手術に関するファクター(出血量、手術時間、合併症など)において両群に有意な差は認めなかった。病理学的評価では、pN1症例がS-1治療群で81.5%であったのに対し、GS併用療法群で59.6%と有意に低かった。また、再発形式では、肝転移再発が47.5% vs.30.0%とGS併用療法群で有意に低かった。マイコメント本邦の切除可能膵がんの標準治療を変えうる、とても重要な試験結果である。術前にGS療法2コースを行うことで、これほど大きな生存期間延長効果が得られたことは正直驚きであった。今後、日常臨床で本試験結果をどのように反映させるか、各施設での議論が必要になるが、試験結果の詳細・論文発表にも注目すべきである。まとめ今年は全体的に上部(1日目)や肝胆膵領域(2日目)に注目演題が集まっており、下部(3日目)の演題に話題性は乏しかったものの、日本からの臨床試験の発表もあり、蓋を開けてみれば連日面白い学会であった。食道がんの標準治療として今後免疫チェックポイント阻害薬が入ってくることや、本邦の膵がん診療の標準治療が変わりうる演題があり、これらの演題に関する今後の論文発表に注目すべきである。

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認知症のBPSDに対する治療の有効性・安全性比較~メタ解析

 認知症患者の行動と心理症状(BPSD)に対する薬理学的および非薬理学的治療の有効性、安全性を比較するため、中国・China Medical UniversityのBoru Jin氏らは、ランダム化データより直接的および間接的なエビデンスを用いて、検討を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2019年1月21日号の報告。 BPSDに利用可能なすべての介入のランダム化比較試験(RCT)のみを用いて、システマティックレビューおよびベイジアンネットワーク・メタ解析を行った。RCTは、PubMed、EMBASE、Cochrane library、CINAHLより検索した。有効性アウトカムは、Neuropsychiatric Inventory(NPI)およびCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて評価した。安全性アウトカムは、全有害事象(AE)、下痢、めまい、頭痛、転倒、悪心、嘔吐、脳血管疾患について評価した。 主な結果は以下のとおり。・RCT146件より、BPSD患者4万4,873例が検討に含まれた。・以下の薬剤のNPIは、プラセボより優れていた。 ●アリピプラゾール(MD:-3.65、95%CI:-6.92~-0.42) ●エスシタロプラム(MD:-6.79、95%CI:-12.91~-0.60) ●ドネペジル(MD:-1.45、95%CI:-2.70~-0.20) ●ガランタミン(MD:-1.80、95%CI:-3.29~-0.32) ●メマンチン(MD:-2.14、95%CI:-3.46~-0.78) ●リスペリドン(MD:-3.20、95%CI:-6.08~-0.31)・以下の薬剤のCMAIは、プラセボより優れていた。 ●アリピプラゾール(MD:-4.00、95%CI:-7.39~-0.54) ●リスペリドン(MD:-2.58、95%CI:-5.20~-0.6)・以下の薬剤の全AEリスクは、プラセボよりも高かった。 ●ドネペジル(OR:1.27、95%CI:1.07~1.50) ●ガランタミン(OR:1.91、95%CI:1.58~2.36) ●リスペリドン(OR:1.47、95%CI:1.13~1.97) ●リバスチグミン(OR:2.02、95%CI:1.53~2.70) 著者らは「薬理学的治療は、BPSDの第1選択治療とすべきである。アリピプラゾール、ハロペリドール、クエチアピン、リスペリドンなどの抗精神病薬は有効性を示し、メマンチン、ガランタミン、ドネペジルなどの抗認知症薬は、中程度の効果が認められた。各薬剤の安全性に関しては、許容できると考えられる」としている。■関連記事認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット認知症者のせん妄、BPSDにより複雑化患者の性格と認知症タイプでBPSDを予測可能:旭川医大

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FLAURA試験日本人サブセット、PFS19.1ヵ月/JJCO

 未治療のEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者においてオシメチニブと標準治療(ゲフィチニブまたはエルロチニブ)を比較した多施設二重盲検第III相FLAURA試験。全体ではオシメルチニブで有意に良好な無増悪生存期間(PFS)が示されたこの試験の日本人のサブセット解析がJapanese Journal of Clinical Oncology誌2019年1月1日号で発表された。 FLAURA試験・対象:未治療のEGFR変異陽性NSCLC患者・試験薬:オシメルチニブ 80mg/日・対照薬:標準的なEGFR-TKI(ゲフィチニブ250mg/日またはエルロチニブ150mg/日)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)、[副次評価項目]全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DoR)および安全性 日本人サブセットの主な結果は以下のとおり。・日本では、2014年12月から2017年6月までに、120例がオシメルチニブ65例またはゲフィチニブ55例に無作為に割り付けられた。・PFS中央値はオシメルチニブ群19.1ヵ月(95%CI:12.6~23.5)、ゲフィチニブ群13.8ヵ月(95%CI:8.3~16.6)であった(HR:0.61、95%CI:0.38~0.99、p=0.0456)。・OS中央値はどちらの治療群でも未達であった。・ORRはオシメルチニブ群75.4%、ゲフィチニブ群76.4%であった。・DoR中央値はオシメルチニブ群18.4ヵ月、ゲフィチニブ群9.5ヵ月であった。・Grade3以上の有害事象発現率はオシメルチニブ群47.7%、ゲフィチニブ群56.4%、Grade3以上の間質性肺疾患と肺臓炎発現は両群とも1例であった。 FLAURA試験における日本サブセットの有効性は、試験全体と一致した結果であった。■参考FLAURA試験(Clinical Trials.gov)FLAURA試験(N Engl J Med)■関連記事オシメルチニブ、FLAURA試験の日本人サブグループ解析/日本肺学会2017

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