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美女と野獣【実はモラハラしていた!? なぜされるの?どうすれば?(従う心理)】

今回のキーワードDVモラルハラスメント恐怖罪悪感同情同調性ストックホルム症候群課題の分離みなさんは、交際相手や妻(または夫)から、ラインやメールの返事が遅いと毎回怒られますか? 居場所や行動を全て事前に伝えるというルールが強いられていますか? 携帯やパソコンを覗かれるのを許していますか? 実は、これらの束縛は全てDVやモラルハラスメントの可能性があります。とくに交際中の場合は、デートDVと呼ばれます。なぜ束縛するのでしょうか? 逆に、なぜ従ってしまうのでしょうか? そして、どうすれば良いでしょうか? これらの疑問を解き明かすために、今回は、従う心理をテーマに、映画「美女と野獣」を取り上げます。この映画を通して、「真実の愛」の裏に隠された教訓を知り、従う心理と従える心理を進化心理的に掘り下げ、より良いパートナーシップ、仕事関係、家族関係をいっしょに考えていきましょう。ストーリーで説かれた真実の愛の教訓は?ある美しくも薄情な王子が、罰として魔女の魔法によって野獣の姿に変えられてしまいます。その魔法が解かれるのは、バラの花びらが全て落ちる前に、誰かを心から愛し、そして愛されることでした。しかし、彼は、野獣の姿をした自分を愛する人などいるわけがないと嘆き、自分のこれまでの薄情な行いを悔やみます。そして、心を閉ざし、城にこもります。月日が流れ、やがて、ベルという美しい女性が城に迷い込みます。彼女は、城から逃げ出しますが、狼に襲われそうになったところに、野獣が身を挺(てい)して彼女を救います。その後、彼女は、野獣の優しく繊細な心の美しさに心惹かれていきます。同時に彼も彼女の聡明な心の美しさに惹かれていきます。そんな中、ガストンというベルに好意を寄せる村一番のハンサムで腕っぷしのある男性が、城に押しかけます。彼は、野獣を退治してベルを自分のものにしようとしていたのでした。しかし、ガストンがうぬぼれ屋で自分勝手なことをベルは見透かしていました。最後に、ガストンはいなくなり、ベルと野獣は結ばれます。すると、呪いは解けて、ベルの前には美しい王子が現れます。真実の愛が実ったという、とてもドラマチックな古典的名作です。それでは、まず、このストーリーのナレーションで説かれた真実の愛の教訓を、3つあげてみましょう。(1)見かけにだまされない1つ目は、「見かけにだまされない」ことです。野獣になる前の王子は、寒さをしのがせてくれと乞う、やつれた老女を見て冷たく突き放しています。また、ガストンは、ベルを手に入れるため、ベルの父親を見殺しにしようとしたり、平然とうそをついています。つまり、見かけの美しさによって、心の美しさを磨くことをおろそかにしてしまうということでもあります。(2)美しさは心にある2つ目は、「美しさは心にある」ことです。野獣は、見た目は怖いですが、心は優しく知的です。ベルは、読書家で村では変わり者で浮いた存在でしたが、とても賢く行動力があります。2人は相性が良いのです。お互いにその本質を見極めています。(3)心から愛し愛される3つ目は、「心から愛し愛される」ことです。ガストンは、ベルを自分の思い通りの女性にしようと一方的です。対照的に、野獣は、村にいる父親の身を心配するベルに「すぐに行ってやれ」と言います。ベルがいなくなると、もとの人間に戻れなくなることを野獣は覚悟しています。野獣は、ベルを愛しているからこそ、彼女を手放したのでした。その後に、城に戻ってきたベルは、ガストンに銃で撃たれようとする野獣を守ろうとします。野獣とベルは、自分のことよりも相手のことを考えています。なぜ従うの? ―「真実の愛」の裏に隠れた教訓このストーリーから、真実の愛とは、見かけではなく、心の美しさによって、愛し愛されることであるという教訓を学びました。ただし、メンタルヘルスの視点からは、さらに「真実の愛」の裏に隠れた教訓があります。つまり、このストーリーで説かれる「真実の愛」には、良さと同時に危うさもあります。それは、従う心理です。なぜ従うのでしょうか? ここから、その心理を3つに分けて、掘り下げてみましょう。(1)恐怖ベルの父親が城のバラを1本摘んだことを理由に、野獣は、盗みの罪として父親に終身刑を一方的に言い渡し、城に監禁します。それを知ったベルが自ら申し出て、父親の身代わりとして監禁されます。その後、ベルは野獣と一緒に食事をすることを拒むと、野獣は「私を拒むなら何も食わすな」と怒って召使いに言い放ち、ベルを脅しています。1つ目の従う心理は、最初、ベルが野獣に恐怖を抱いていることです。それは、殺されるかもしれないというレベルの恐怖です。風貌が野獣だからといって、このような振る舞いは人間として決して許されません。もともとのファンタジー仕立てが私たちの目を曇らせていますが、現実的に考えると、野獣がやっていることは、明らかに理不尽で不当です。法律的には、逮捕・監禁罪、強要罪、脅迫罪などが成立します。心理学的に言えば、この恐怖によって、服従の心理が意識的にも無意識的にも発動されると言えます。顔色をうかがい、腫れ物に触るようにビクビクして接したり、ご機嫌取りになります。なぜなら、そのほうが生き残る確率が高まるからです。逆に言えば、従わせる心理は、相手に恐怖を植え付ける怒りっぽさです。たとえば、殴る、蹴るなどの身体的な暴力、怒鳴る、叫ぶ、金切り声を上げる、些細なことで急に怒り出す、脅すなどの心理的な暴力、そして行動制限です。(2)罪悪感ベルは、父親の盗みの罪については申し訳なく思っています。また、自分が逃げ出したことで、結果的に野獣が大けがをしたため、負い目を感じて、野獣を連れて城に引き返しています。そして、野獣から「(自分が大けがしたのは)おまえが逃げたせいだ」と責められながら、献身的に野獣を看病します。ベルは「脅すから逃げたのよ」と言い返しますが、「(脅したのは、行くなと言った)西の塔へ行くからだ」とさらに責められます。最終的に、ベルは命がけで狼から救ってくれた野獣に感謝します。その後に、ベルは父親に会うため村に帰る許しを得て、野獣にまた感謝します。2つ目の従う心理は、その後、ベルが野獣に誤った罪悪感を抱いていることです。たとえどんなにひどい言いがかりだとしても、潜在的な恐怖によって、それを受け入れやすくなります。すると、罪悪感が芽生えてきます。よくよく考えると、自分を監禁していた野獣が痛手を負っているわけなので、実は逃げ切れる最大のチャンスでした。そうしないで、わざわざ引き返しています。さらに、野獣の看病までしています。また、ベルは野獣に感謝していますが、よくよく考えると、野獣はもとの人間に戻るためにベルに気に入られることが必要なので、ベルを救ったのは当然のことです。ベルがそれを知っていれば素直に感謝はできません。また、監禁がもともと不当であるため、それが解かれても感謝する必要は本来ありません。心理学的に言えば、この罪悪感によって、誤った感謝の心理が意識的にも無意識的にも発動されると言えます。たとえば、「ごめん」と「ありがとう」を同じ状況で使うことがあるように、罪悪感と感謝は背中合わせの心理とも言えます。逆に言えば、従わせる心理は、相手に罪悪感を植え付けるひがみっぽさです。たとえば、「あなたのせいだ」と責任を押し付けたり、「謝罪が足りない」「感謝が足りない」「あなたはだめな人だ」とけなすことです。(3)同情ベルは、日用品に姿を変えられた召使いたちから、「(最後の花びらが落ちると)ご主人様(野獣)はずっと野獣のまま、おれたちはアンティークになる」と教えられます。ベルは「助けてあげたい」「魔法を解く方法は?」と尋ねますが、「心配しなくていい」「自分たちの問題は自分たちで解決する」と言われ、神妙な顔になります。また、ベルが城から去る時、野獣は「時々、自分を思い出してほしい」と言って、願ったものが映る魔法の鏡を渡します。3つ目の従う心理は、やがてベルが野獣に行き過ぎた同情を抱くことです。野獣がけがで瀕死になって弱っている姿と相まって、「かわいそう」「気の毒だ」という気持ちが芽生えています。また、城に監禁していること以外については、野獣は、城の図書館を案内するなど、ベルに優しく接しています。やがて野獣がベルを城から解放したのも、ベルを愛していたからという見方もできますが、このままだとベルに心から愛されないと諦めたからという見方もできます。逆に、そうしたことで、ベルは野獣に心を許すようになります。さらに、野獣は、わざわざ魔法の鏡を渡して、自分のこれからも見てもらおうとあわよくばの同情を誘っています。心理学的に言えば、この同情によって、誤った好意の心理が意識的にも無意識的にも発動されると言えます。また、同情という共感により、監禁という身体的な近さだけでなく、心理的な近さも増していると言えます。これは、身体的にも心理的にも近ければ近いほどより親しみがより沸いてくる心理(社会的交換理論)につながります。逆に言えば、従わせる心理は、相手に同情を引き出す卑屈さです。たとえば、「自分はだめだ」「どうせ自分なんか」と自己否定したり、「自分はキレやすいから」「自分は不器用だから」「自分は弱いから」「自分は心配性だから」と言い訳がましいことです。これは、下手(したて)に出れば好感が持たれる心理(アンダードッグ効果)や、「寝てないアピール」「体調不良アピール」など自分から不利な状況を公言して同情や理解を得る心理(セルフハンディキャッピング)につながります。さらには、「自分はそういう人間」「あなたならそれを分かってくれるはず」と依存的になれば、相手から「自分なら助けられる」という心理を引き出せます(共依存)。従う心理 ―ストックホルム症候群王子は、魔女の魔法によって、野獣に姿を変えられました。そして、野獣とベルが結ばれたことで、魔法が解けました。ただ、先ほどの「真実の愛」の裏の従う心理は、もう1つの「魔法」とも言えそうです。これは、精神医学的には、ストックホルム症候群と呼ばれます。ストックホルム症候群は、1970年代にスウェーデンの首都ストックホルムで実際に起きた銀行強盗の人質立てこもり事件を語源としています。当時、2人の男性の銀行強盗が、4人の銀行員の人質とともに約40m2の金庫室の一室に6日近く立てこもりました。人質たちは無事に解放されましたが、奇妙なことに、その後に彼らが強盗たちをかばおうとして警察に非協力的になったのです。さらに驚くべきことに、人質の1人の女性は、もともとの婚約を破棄してまで、刑務所にいた犯人との関係を続けました。このように、ストックホルム症候群とは、誘拐や人質事件で監禁された被害者が加害者に連帯感や好感を持つ状態であると定義されます。その後、FBIは、ストックホルム症候群が生じる4つの前提条件を示しています。それは、(1)人質と監禁者が、狭い場所でほかから隔離されて長時間を過ごすこと、(2)人質が殺されるかもしれないという恐怖を抱くこと、(3)命が助かったのは監禁者のおかげだと感じること(感謝)、(4)監禁する点を除いては、監禁者が人質を優しく扱っていること(共感)です。(1)は、「美女と野獣」のストーリーの設定に重なります。(2)(3)(4)は、先ほどの「真実の愛」の裏の3つの危うい心理に重なります。また、FBIの調査によれば、ストックホルム症候群が生じるのは人質事件の被害者の8%であることが分かっています。人質事件などによる監禁自体がまれな状況であることを踏まえると、一般人の発症率や有病率としてはさらに低くなります。よって、ストックホルム症候群は、単独の病名として、WHOの診断マニュアル(ICD-11)やアメリカ精神医学会の診断マニュアル(DSM-5)には記載がありません。分類するとしたら、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の「向こう見ずな自己破壊的行動」、または解離性障害の「威圧的説得による同一性の混乱」などの診断基準が当てはまります。ただし、監禁という特殊な状況に限定しないと、実はとてもありふれた心理状態です。あまりにもありふれているので、逆に病的な状態であると本人たちに自覚されにくくなります。たとえば、夫からDVを受けている妻が、「本当は良い人」との理由で警察に協力することを拒むことです。さらには、DV容疑で拘留された夫のために、妻が保釈金を用意することです。また、親から虐待を受けている幼い子どもが、「ママ(パパ)が好きだから」との理由で親をかばうことです。高齢の親からモラハラを受けながら介護する家族(主に子ども)が、「見放したらかわいそう」との理由で、変わらず献身的に介護を続けることです。上司からパワハラを受けている部下が、「仕返しが怖い」「どうせ変わらない」との理由で、ハラスメントの窓口に行かないことです。なぜ従う心理は「ある」の?これまで、従う心理になぜなるのかというメカニズムをご紹介しました。それでは、そもそも従う心理はなぜ「ある」のでしょうか?それと対になる、従える心理と合わせて、その答えを進化心理学的に探ってみましょう。約6,500万年前に霊長類が誕生し、約2,000万年前には類人猿が誕生し、群れをつくりました。当時から、体格が良くて腕力のあるオスがボスとして偉そうに振る舞い、そうではないオスはヒラとしてかしこまって振る舞い、序列関係を維持する行動が進化しました(社会性)。約700万年前に人類が誕生して、男性(父親)は狩りをして、女性(母親)は子育てをして、助け合うことで家族をつくりました。300~400万年前にはアフリカの森からサバンナに出て、猛獣から身を守り、より大きな獲物を捕まえるために、家族同士が血縁関係で助け合うことで村をつくりました。当時から、夫婦、親子、親戚などの人間関係において、それぞれの相手とうまくやっていこうとする心理が進化しました(社会脳)。その1つが、周りに合わせようとする心理です(同調性)。これが、従う心理の起源です。従う心理とは弱いほうが強いほうに従うことであり、逆に従える心理は強いほうが弱いほうを従えることです。現代でも、同調圧力という言葉があるように、私達は、何となく強く言う相手に、振る舞いや考え方を意識的にも無意識的にも合わせようとします。そして、そのほうが、心地良く感じてしまいます。「長いものには巻かれろ」「勝ち馬に乗る」「勝てば官軍」という言い回しが分かりやすいです。とくに男女間の親密で閉じた二者関係において、従う心理と従える心理は高まりやすくなります。たとえば、従う心理としては、「尽くすのが愛」「何でも聞いてあげるのが愛」「まず相手が第一」「相手の気持ちを分かってあげて当然」「自分は何があっても付いていくべき」「自分の秘密を知らせる義務がある」などが挙げられます。一方、従える心理としては、「尽くされるのが愛」「何でも聞いてもらうのが愛」「まず自分が第一」「自分の気持ちを分かってくれて当然」「相手は何があっても付いてくるべき」「相手の秘密を知る権利がある」などが挙げられます。このように、進化的にも文化的にも、従う心理と従える心理は共に、男女をより結び付け、生存と生殖に有利に働く無意識の心理戦略になっていたと言えるでしょう。ただし、約200年前の産業革命により、個人主義や平等主義が広がりました。さらに、1990年以降の情報革命により、従う心理が強い人はDV、ハラスメント、ストーカーの被害者として社会的に認知され、本人に自覚されるようになりました。最近ではMeToo運動として注目もされています。一方、従える心理が強い人は、その加害者としての自覚がなかなか追い付いていないのが現状です。彼らが「そんなつもりはなかった」「愛があるから良いと思っていた」とよく言うように、従える心理が無意識的に強く発動していたとも言えるでしょう。これは、「逆ストックホルム症候群」と言えるかもしれません。どうすれば良いの?ストーリーは、ベルがお姫様になるというハッピーエンドです。ハッピーエンドだから、ベルがストックホルム症候群であろうとなかろうと良いじゃないかとも思われます。ただ、結末は本当にハッピーでしょうか? 問題は、さらに先の結末です。もともとベルを監禁していた王子(野獣)が、そのままでベルを大切にできるでしょうか? つまり、裏の結末は、ベルがDVやモラハラのリスクのある相手と結婚生活を送ることです。それでは、ベルと王子は、どうすれば良いでしょうか? ここから、従う心理を踏まえて、DVやモラハラを予防するために、パートナーシップとしてお互いが守るべきルールを3つ挙げてみましょう。(1)安全 ―相手を脅かさない野獣は、ベルを監禁した上に、会食を拒否されると、食事を与えないと理不尽に怒り、ベルを脅していました。そして、ベルは、恐怖を抱いていました。1つ目のルールは、相手を脅かさない、つまり安全です。相手が思い通りにならないことをはじめ、どんなことが理由でも、相手の安全を脅かすことは暴力です。そうならないためには、ベルが会食をすることと野獣が脅すことを切り離すことです。そして、ベルが会食に応じてくれるために、野獣は脅しではない別の対応をすることです。みなさんの中に、ベルは身代わりとして自分から監禁されることを望んだわけだから野獣は悪くないと考える人はいますでしょうか? ここで、最も強調したいのは、そもそもどんな理由であっても、たとえベルがどんなことをしても、ベルの安全を脅かすことをしてはいけないということです。つまり、相手の行動と自分の行動は別と考えることです(課題の分離)。相手のアクション(行動)は相手の課題です。相手のアクションに対して、自分がどういうリアクション(行動)をするかは自分の課題です。誰の課題かを分けることで、その行動の責任を誰がとるのかをはっきりさせることができます。たとえば、「手を上げたのは相手が自分を怒らせたからだ」、または「自分を怒らせた相手も悪い。悪いのは自分だけじゃない」と言う人がいます。この理屈は成り立つでしょうか? まったく成り立たないです。なぜなら、暴力を振るうか振るわないかは100%自分の課題だからです。自分の課題は、暴力じゃないリアクションをすることです。その刺激となった相手の行動については、相手の課題として、また別に話し合いをすることが必要です。また、別れを切り出された時に、「別れるなら殺すよ」と言う人も同じです。以上のように、相手を脅かすことは、殴る、蹴るなどの身体的な暴力だけでなく、怒鳴る、叫ぶ、金切り声を上げる、些細なことで急に怒り出す、脅すなどの心理的な暴力も挙げられます。よって、自分が従わせる心理を抑えるためには、怒りっぽさをまず自覚することです。逆に、自分が従う心理を抑えるためには、まず恐怖を自覚して、「あなたが怖いです」「それはDVです」と相手に理性的に伝え、やめてもらうことです。(2)自尊心 ―相手をけなさない野獣は、自分が大けがをしたのは、ベルが脱走したからだとひがみっぽく責めていました。そして、ベルは罪悪感を抱いていました。2つ目のルールは、相手をけなさない、つまり自尊心です。自分がうまくいかなかったことを理不尽に相手のせいにしたり、そもそも相手の欠点をけなすことはモラハラです。よって、そうならないためには、野獣が大けがをしたこととベルが脱走した意図を切り離すことです。野獣が大けがをしたのは、野獣が狼からベルを守るという行動を自ら選んだからです。それ自体はすばらしいことです。確かに、ベルの脱走は野獣が大けがをするきっかけにはなりましたが、ベルは頼んでいないですし、ましてや仕向けてもいないです。野獣に大けがをさせるつもりは、ベルにまったくないです。つまり、相手の行動と相手の気持ちは別と考えることです。たとえば、「大丈夫って言ったけど、本当は大丈夫じゃなかった。それを察しなかったあなたが悪い」と言う人がいます。この理屈は成り立つでしょうか? 成り立たないです。なぜなら、大丈夫ではなかった責任は、大丈夫と言って助けを不要とした自分自身にあるからです。自分の言動は自分の責任です。そのほかとしては、「気が利かない」「察してくれない」「その努力が足りない」と繰り返し相手をなじることです。また、「俺がこんなにしてあげてるのに」「私がこんなにあなたのことを思ってるのに」と恩着せがましく見返りを求めることです。さらに、「俺のことを大事にしていない」「あなたの私を好きっていう気持ちに心がこもっていない気がする」と、抽象的なことについて問い詰めることです。ちなみに、別れる時には「今までの時間とお金を返して」と迫ることです。気が利くか、察するか、大事に思うか、心をこめるかなどの相手の気持ちは、相手の「持ちもの」です。相手が感じることを、自分が指図することはできません。相手の気持ちを支配しようとすることはモラハラです。「気持ちをくんでくれたらうれしい」と自分の気持ちを伝えることはできますが、相手がそれをするかしないか、できるかできないかは相手の課題であり、自分の課題ではないです。自分の課題としては、相手にしてほしい行動があるなら、まず具体的に説明してお願いすることです。それをどう感じるか、どうするか決めるのは相手の課題です。以上のように、相手をけなすことは、「あなたのせいだ」と理不尽に責任を押し付けるだけでなく、「申し訳なさが感じられない」「感謝が足りない」「あなたはだめな人だ」とおとしめることも挙げられます。よって、自分が従わせる心理を抑えるためには、まずひがみっぽさを自覚することです。逆に、自分が従う心理を抑えるためには、まず謝った罪悪感を自覚して、「それは理不尽です」「それはモラハラです」と相手に理性的に伝え、やめてもらうことです。(3)自由 ―相手を縛らない野獣は、自分の境遇に卑屈になっていました。そんな野獣に、ベルは同情を寄せて城にとどまっていました。しかし、野獣の愛の告白に対して、ベルは「自由がないのに幸せになれる?」と漏らしています。3つ目のルールは、相手を縛らない、つまり自由です。自分を愛してもらうために、相手の自由を縛ることは、束縛というDVです。確かに、野獣はやがてベルに親切で優しくしており、安全は守られるようになりました。しかし、監禁を続けている点では自由が侵害されています。そうならないためには、自分を愛してもらうことと相手の自由を縛ることを切り離すことです。そして、野獣は最初からベルの自由を侵害しない別の形で、気に入ってもらうアプローチをすることです。つまり、自分の行動と自分の気持ちは別と考えることです。たとえば、「私は心配性。あなたのことが心配だから、私はあなたのLINEの履歴を全部見る権利がある」と言う人がいます。この理屈は成り立つでしょうか? 成り立たないです。なぜなら、いくら心配だからと言って、相手のプライバシーを侵害することはDVに当てはまるからです。また、自由の侵害に抵抗された場合、「私の気持ちはどうなるの?」「そう考える私の自由はないの?」とさらに言う人もいます。もちろん、自分にどんなことでも考える自由はあります。ただし、相手の自由を縛る行動をしてしまうこととは別にするということです。相手には相手自身の行動を自己決定する自由があります。別れを切り出された時に、「俺は納得していない」「俺の気持ちはどうなるんだ?」と言う人も同じです。これは、ストーカーの心理です。そして、その後に相手から無視された場合は、「俺に逆らうのか?」とストーカー殺人に発展することすらあります。また、「別れると死ぬよ」「それくらい私はあなたを愛している」と言う人も同じです。これは、いわゆる「狂言自殺」の心理です。自分が納得できないことをはじめ、どんな理由があろうとも、相手の気持ちが離れているなら関係は終わりであるということです。そのほかとしては、冒頭にも触れましたが、LINEやメールの返事が遅いと怒る、居場所や行動を全て事前に伝えるというルールを押し付ける、携帯やパソコンをのぞくなどです。さらには、スマホにGPSアプリを入れるよう迫る、交友関係や服装に口出しなどもあります。以上のように、相手を縛ることは、「自分はだめだ」「どうせ自分なんか」との自己否定や、「自分はキレやすいから」「自分は不器用だから」「自分は弱いから」「自分は心配性だから」と言い訳がましいことから始まります。よって、自分が従わせる心理を抑えるためには、まず卑屈さを自覚することです。逆に、自分が従う心理を抑えるためには、まず行き過ぎた同情を自覚して、「それは束縛というDVです」と相手に理性的に伝え、やめてもらうことです。「真実の愛」とは?このストーリーで説かれる真実の愛の教訓は、それ自体はすばらしいです。最後に、今回ご紹介したその裏に隠された教訓を重ねてみましょう。それは、怒りっぽさ、ひがみっぽさ、卑屈さの「見かけにだまされない」ことです。恐怖、誤った罪悪感、行き過ぎた同情という従う心理をよく理解した上で「心から愛し愛される」ことです。そして、安全、自尊心、自由をお互いに守る「美しさは心にある」ということです。この映画を通して、「真実の愛」をよく理解することで、古典的名作の奥深さを知るだけでなく、より良いパートナーシップ、さらにはより良い仕事関係や家族関係も築くことができるのではないでしょうか?1)みんなが知らない美女と野獣:セレナ・ヴァレンティーノ、講談社、20172)デートDV予防学:伊田広行、かもがわ出版、20183)あなたも心理学者!:ジョエル・レヴィー、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2015

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第27回 特養での配薬与薬ミスを防ぐ9つの鉄則【週刊・川添ラヂオ】

動画解説多くの高齢者が入所する特別養護老人ホームでは薬の配り間違いや、飲み間違いが少なくありません。今回から3週にわたり特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドラインをもとに、配薬与薬ミスの予防についてお話しします。まずは特養での投薬時、薬を与える患者さんの顔を一人ひとりちゃんと見ていますか?看護師さんと処方せんだけを確認してダンボールで届けるだけなんて言語道断です!

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Dr.倉原の呼吸にまつわる数字のはなし

意味がわかる、使いこなせる、「なるほど!」になる誰かに話したくなる呼吸のプチトーク44。ちょっと意外で、でもナットクの数字たちを紹介します。日常のケア・診療で身近な「呼吸不全診断のためのPaO2値」から、考えたこともなかった「呼吸器疾患で長い病名の文字数」まで、Dr.倉原が繰り出す呼吸の“数字学”。あなたはどこまで知っていますか? 日々の臨床に役立つ知識が自然に身につく一冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    ナース・研修医のためのDr.倉原の呼吸にまつわる数字のはなし定価2,000円 + 税判型A5判頁数176頁発行2019年2月著者倉原 優(国立病院機構 近畿中央呼吸器センター 内科)Amazonでご購入の場合はこちら

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強直性脊椎炎に新たな治療薬

 2019年1月30日、ノバルティスファーマ株式会社は、同社が製造販売(共同販売:マルホ株式会社)するセクキヌマブ(商品名:コセンティクス)が、昨年12月21日に指定難病である強直性脊椎炎への効能効果の追加承認を取得したことから都内でメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、強直性脊椎炎の概要のほか、患者を交えてパネルディスカッションが行われ、医療者、患者双方から診療の課題などが語られた。強直性脊椎炎の付着部炎症への治療に注目 はじめに「強直性脊椎炎(AS)の病態と新たな治療選択肢~IL-17阻害薬~」をテーマに亀田 秀人氏(東邦大学医学部 内科学講座 膠原病学分野 教授)を講師に迎え、ASの診療概要とセクキヌマブの効果について解説が行われた。 ASは、脊椎関節炎の中でも体軸関節の炎症が主体となる代表疾患であり、リウマチなどと比較しても、若年での発症が多いとされている。また、「本症はHLA-B24の白血球の型が関係していると推定され、この陽性者はわが国で3万人程度と推計されているが、本症の指定難病受給者証所持者は3千人程度にとどまっている。陽性者イコール発症するわけではないが、見過ごされている患者もいる」と亀田氏は指摘する。 診断では、1984年の改訂ニューヨーク基準が使用され、3つの臨床基準とX線検査基準とでASを確定診断する1)。日常診療では、炎症性背部痛とくに腰痛の兆候が重要所見であり、画像診断ではX線とMRIで行うが、MRIの方が仙腸骨の描出が優れていると診断でのポイントを語った。また、ASでは腱や靭帯の付着部の炎症が起こるとされ、痛みを伴い、患者のQOLを著しく低下させ、こうした痛みの管理も必要とされる。 ASの治療目標としては、根治療法が現在ない以上、疾患との共生にむけ、「病状のコントロール、構造破壊の予防、身体機能の正常化を通じて、健康に関連したQOLと社会参加を最大にする」ことが挙げられる。 治療では、薬物療法と運動・理学療法が主体となり、痛みにはNSAIDsが、体軸の炎症には生物学的製剤であるTNF阻害薬などが使用される。また、患者には、疾患への教育と運動の励行、そして、禁煙なども指導される。 とくに薬物療法では、付着部炎症への治療が注目され、IL-17Aが炎症反応に関与する免疫応答に関わることから抗IL-17A抗体製剤の開発が行われてきた。開発されたセクキヌマブは、当初、乾癬の適応から始まり、海外と国内で2つの第III相二重盲検比較試験(MEASURE1およびMEASURE2)が行われ、今回適応に強直性脊椎炎が追加された。 MEASURE1は、活動性AS患者を対象に有効性と安全性を評価する2年間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照、第III相臨床試験。主要評価項目は、ASAS20反応基準で20%以上の改善を達成した患者の割合を指標とし、16週時点のプラセボに対するセクキヌマブの優越性を評価(プラセボ群に割付けられた患者は、16週時点のASAS20反応率に基づき、非反応例は16週、反応例は24週目にセクキヌマブ75mgまたは150mg投与に再割付)。 その結果、16週の時点での ASAS20達成率は,セクキヌマブ皮下投与 150mg群、75mg群、プラセボ群でそれぞれ 61%、60%、29%であった(P<0.001)ほか、患者の約80%で、208週間の治療を通して投与開始時と比較し、脊椎にX線像上の骨所見の進行を示されないことが示唆された(modified Stoke Ankylosing Spondylitis Spinal Score[mSASSS]X線評価尺度を指標)。安全性は良好で、重篤な有害事象では心筋梗塞、胆石症、腹部リンパ節膨脹などが報告されたが、薬剤と関連する死亡例は報告されなかった。また、MEASURE2もASAS20反応基準で20%以上の改善率、安全性ともにほぼ同様の結果が得られ、薬剤に起因する死亡例はなかった。 以上から、亀田氏は「ASは早期診断が難しい脊椎関節炎であり、画像検査の適切な活用が重要となる」と語るとともに、ASの病態では付着部炎が中心的な役割を果たしていることを指摘し、「付着部炎を誘導するIL-17Aを阻害するセクキヌマブのような新しい生物学的製剤は治療への有用性が高い」と述べ、講演を終えた。強直性脊椎炎への関心が高まることを期待 続いて町 亞聖氏をファシリテーターに、強直性脊椎炎患者の銭谷 有基氏、多田 久里守氏(順天堂大学 膠原病・リウマチ内科学 准教授)の3人が登壇し、同社が2018年9月に行ったアンケート調査結果などを基にパネルディスカッションが行われた。 はじめにアンケート調査結果が多田氏から報告され、7割以上の患者が確定診断まで2ヵ所以上の複数医療機関を受診していること、誤診として「ヘルニア」「腰痛症」などが多いこと、半数以上の患者が医師に症状を伝えるうえで(症状が一定化しないため)言葉にするのが難しいと感じていること、また半数の患者がASと診断されてほっとしていることなどが報告された(回答者はASと診断された男女103例/インターネット調査)。 この内容を受けて多田氏は「X線に変化が出づらく診断がつかないのが問題で、腰の痛みが指標となる。特徴的な腰痛と眼病変、皮膚の痛みから本症を疑うことができるかがカギとなる。患者は、痛みの量化、場所、表現の難しさから発信が難しいと思われるので『痛み日記』などをつけることで医療者に身体の状態を理解してもらう工夫ができる」と診療でのポイントを述べた。 また、強直性脊椎炎患者である銭谷氏からは、患者の思いとして周囲の友人や関係者へ自分の痛みを理解してもらうのが難しかったことで、精神的につらい思いをしたこと、患者・患者家族がよく病気を理解することが大切であることなどが語られた。 最後に多田氏からは「ASの診断ができるように医療者への啓発が大事。セクキヌマブの登場で本症への関心が高くなればと思う。誤診や過重診断がないように、迷ったら専門医へ紹介していただきたい」とコメントし、銭谷氏は「痛みと付き合っていき、同じ患者のために何かできればと思う」と抱負を述べ、パネルディスカッションを終えた。■参考文献1)van der Linden S, et al. Arthritis Rheum .1984;27:361-368.

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血圧レベル別の脳卒中・冠動脈疾患死亡の生涯リスク~EPOCH-JAPAN

 生涯リスク(lifetime risk、以下LTR)は、生涯に対象疾患を罹患する確率であり、長期的な絶対リスクを示す。アジア人集団において、詳細な血圧分類別の脳卒中死亡および冠動脈疾患(coronary heart disease、以下CHD)死亡のLTRを算出した研究は存在しない。今回、日本の主要な循環器疫学コホート研究の個人レベルのデータを統合した大規模統合データベースEPOCH-JAPANを用いたことにより、血圧レベル別の脳卒中死亡およびCHD死亡のLTRが明らかになったことを、東北医科薬科大学の佐藤 倫広氏らが報告した。本研究で算出されたLTRは、とくに10年間の循環器疾患死亡率が低い若年の高血圧患者に対して、早期の生活習慣是正と降圧治療開始の動機付けに役立つだろう、と結論している。Hypertension誌2019年1月号に掲載。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、13コホート、10万7,737人の日本人(男性42.4%、平均年齢55.1歳)が含まれた。・平均追跡期間15.2±5.3年(155万9,136人年)の間に、脳卒中で1,922人が死亡し、CHDで913人が死亡した。・アウトカム以外の死亡を競合リスクとして調整後、35歳時点の脳卒中死亡およびCHD死亡の10年リスクは、それぞれ1.9%以下および0.3%以下であった。・35歳時点の脳卒中死亡LTR(男性/女性)は、至適血圧群で6.1%/4.8%、正常血圧群で5.7%/6.3%、正常高値血圧群で6.6%/6.0%、I度高血圧群で9.1%/7.9、II度高血圧群で14.5%/10.3%、III度高血圧群で14.6%/14.3%であった。・CHD死亡LTRも、血圧の上昇とともに高値を示したが、脳卒中死亡LTRよりも低かった(7.2%以下)。・脳卒中またはCHDによる死亡のLTRは、基準年齢が若年ほど高値を示した。

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重度の精神疾患患者における脂質異常症と抗精神病薬に関するメタ解析

 重度の精神疾患患者は、抗精神病薬の悪影響に関連している可能性のある代謝系の問題への罹患率やそれに伴う死亡率の上昇を来す。第2世代抗精神病薬(SGA)は、第1世代抗精神病薬(FGA)と比較し、脂質代謝異常とより関連が強いと考えられているが、このことに対するエビデンスは、システマティックレビューされていなかった。英国・East London NHS Foundation TrustのKurt Buhagiar氏らは、重度の精神疾患患者における脂質異常症リスクについて、SGAとFGAの評価を行った。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2019年1月24日号の報告。 主要な電子データベースより2018年11月までの研究を検索した。対象研究は、重度の精神疾患患者に対するSGAとFGAを直接比較し、脂質代謝異常を主要アウトカムまたは第2次アウトカムとして評価した横断研究、コホート研究、症例対照研究、介入研究のいずれかとした。エビデンスは、PRISMA(システマティックレビューおよびメタ解析のための優先的報告項目)ガイドラインに従ってレビュー、評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・18件の研究が抽出された。・SGAとFGAにおける脂質異常症の報告は矛盾しており、研究間のばらつきが大きく、完全な定性的合成のみが実行可能であった。・クロザピン、オランザピン、リスペリドンについては、限られたメタ解析を実施するに十分なデータがあった。各薬剤ともに、FGAと比較し、脂質異常症の事例性(caseness)との関連が少し高かったが、異質性の高さが認められた(すべてI2>50%、p<0.05)。 ●クロザピン(オッズ比:1.26、95%信頼区間[CI]:1.16~1.38) ●オランザピン(オッズ比:1.29、95%CI:0.89~1.87) ●リスペリドン(オッズ比:1.05、95%CI:0.80~1.37)・クロザピンは、トリグリセリド増加とも関連が認められたが(標準平均差:0.51、95%CI:0.21~0.81、I2>=5.74%)、コレステロールとの関連は認められなかった。・オランザピンとリスペリドンは、ハロペリドールと比較し、コレステロールまたはトリグリセリドの統計学的に有意な増加との関連が認められなかった。 著者らは「研究デザインや方法論には、かなりの違いが認められた。抗精神病薬による脂質代謝異常への影響におけるSGAとFGAの相対リスクを決定するには、薬剤ごとにさまざまな悪影響を引き起こす可能性があるため、臨床的に明らかにすることは難しい可能性がある。したがって、SGAかFGAかの焦点を当てるよりも、特定の抗精神病薬の脂質代謝リスクを考慮することが重要である」としている。■関連記事非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か抗精神病薬、日本人の脂質異常症リスク比較:PMDA統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析

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心不全は非心臓手術後の死亡リスクを増大/JAMA

 待機的非心臓手術を受けた心不全患者は、症状の有無にかかわらず、同様の手術を受けた非心不全患者に比べ術後90日死亡リスクが有意に高いことが、米国・スタンフォード大学のBenjamin J. Lerman氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年2月12日号に掲載された。心不全は、術後死亡の確立されたリスク因子であるが、左室駆出率(LVEF)や心不全の症状が手術アウトカムに及ぼす影響は、いまだ十分には知られていないという。後ろ向きコホート研究の約61万例のデータを解析 研究グループは、さまざまな心エコー所見(左室収縮機能不全)および臨床上(症状)の重症度を呈する心不全患者の非心臓手術後の死亡リスクを非心不全患者と比較し、手術の複雑さの程度でリスクに差があるかについて検討を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 米国のVeterans Affairs Surgical Quality Improvement Projectのデータベース(2009~16年)を用いて、待機的非心臓手術を受ける成人患者を対象とした後ろ向きコホート研究のデータを収集した。 合計60万9,735例の診療記録を同定し、術後1年間のフォローアップのデータを解析した。主要アウトカムは術後90日死亡とした。 心不全の病歴を有する患者は4万7,997例(7.9%、平均年齢68.6[SD 10.1]歳、1,391例[2.9%]が女性)であり、非心不全患者は56万1,738例(92.1%、59.4[13.4]歳、5万862例[9.1%])であった。粗死亡率:非心不全1.22%、心不全5.49%、有症状10.11%、無症状4.84% 術後90日時の粗死亡率は、心不全患者が5.49%(2,635例)、非心不全患者は1.22%(6,881例)であり、多変量で補正した術後90日死亡率は心不全患者が有意に高かった(補正後絶対リスク差[RD]:1.03%、95%信頼区間[CI]:0.91~1.15%、補正後オッズ比[OR]:1.67、95%CI:1.57~1.76)。 非心不全患者と比較した心不全症状の有無別の術後90日死亡リスクは、症状を呈する心不全患者(粗死亡率:10.11%[597/5,906例]、補正後絶対RD:2.37%、95%CI:2.06~2.57%、補正後OR:2.37、95%CI:2.14~2.63)、および無症状の心不全患者(4.84%[2,038/4万2,091例]、0.74%、0.63~0.87%、1.53、1.44~1.63)のいずれにおいても有意に高かった。 また、非心不全患者に比べ、無症状で左室収縮機能が保たれた(LVEF≧50%)心不全患者(粗死亡率:4.42%、補正後絶対RD:0.66%、95%CI:0.54~0.79%、補正後OR:1.46、95%CI:1.35~1.57)、および心不全症状がみられ、重度左室収縮機能不全(LVEF<30%)の心不全患者(14.91%、5.87%、5.30~6.44%、3.67、2.98~4.52)でも、術後90日死亡リスクが上昇していた。心不全と術後死亡率の関連は、30日、90日、1年の時点でほぼ同様であった。 一方、粗死亡率および心不全-死亡関連の双方には、手術の複雑度の違いによって有意な差が認められた。心不全患者の術後90日時の粗死亡率は、手術の複雑度が標準の場合は4.62%、中等度では6.26%、高度では10.34%であり、非心不全患者ではそれぞれ0.66%、1.89%、6.19%であった。心不全患者と非心不全患者の補正後絶対RDは、複雑度が標準の手術では1.29(95%CI:1.22~1.37)、中等度では1.69(1.48~1.94)、高度では1.80(0.08~3.60)だった。 著者は、「これらのデータは、非心臓手術を受ける心不全患者との術前の話し合いの際に有益となる可能性がある」としている。

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性差の記述、生物医学研究で依然少ない/Lancet

 臨床医学や公衆衛生学では性差関連報告を含む論文が増えているが、生物医学研究の分野では依然として少なく、筆頭および最終著者が女性の論文は性差関連の記述を含む確率が高いことが、米国・インディアナ大学のCassidy R. Sugimoto氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2019年2月9日号に掲載された。性差は、遺伝学、細胞学、生化学、生理学的なレベルで存在することが、臨床および前臨床研究で示されているが、医学研究の対象への女性の組み入れは不十分とする多くの調査結果がある。医学研究への組み入れの男女間の格差は、その研究結果の、集団全体における効用性を著しく低下させる。一方、女性研究者の不足も指摘されているが、科学における女性の不足が、研究への組み入れや研究報告における男女格差と関連するかを評価した調査はほとんどないという。性差関連報告の推移、その著者のジェンダーとの関係性を検討 研究グループは、生物医学研究から臨床医学、さらに公衆衛生学に及ぶ健康科学全般の論文において、性差に関連する報告(sex-related reporting)はどの程度行われているか、および性差関連報告において著者のジェンダーはどのような役割を担っているかについて、学際的な計量書誌学的解析を行った(Canada Research Chairsの助成による)。 1980~2016年の期間にWeb of ScienceとPubMedにインデックスが作成された1,150万件以上の論文を調査した。特定の性差関連のMedical Subject Headings(MeSH)を含む研究を抽出するためのキーワードとして、“sex-related reporting”を使用した。 さらに、2008~16年に発表された論文について、ジェンダー割り当てアルゴリズムを用い、筆頭著者および最終著者のジェンダーを、その氏名に基づいて割り当てた。筆頭著者および最終著者のいずれかのジェンダーが決定できない論文は除外した。論文は3つの専門分野(生物医学研究、臨床医学、公衆衛生学)に分類された。 記述統計および回帰分析を用いて、著者のジェンダーと性差関連報告の関係性を評価した。インパクトファクターの低い学術雑誌への掲載が多い 1980年1月1日~2016年12月31日の期間に、性差に関連する記述を含む論文は、臨床医学では59%から67%に、公衆衛生学では36%から69%に増加した。これに対し、生物医学研究では大幅に少ないままであり、2016年でも31%だった。 性差関連報告が最も多い専門分野は、生殖医学(97%)、産婦人科学(96%)、泌尿器科学(83%)であり、最も少ないのは血液学(49%)、免疫学(42%)、薬学(24%)などの細胞や生化学に重点的に取り組む臨床医学の分野であった。 筆頭著者または最終著者が女性であることと、性差関連報告には正の相関がみられ、いずれの著者も女性の論文は性差の記述の確率が最も高く、オッズ比(OR)は1.26(95%信頼区間[CI]:1.24~1.27)であった。著者数も性差の記述と関連し、著者が2倍になると性差関連報告のORは1.96(1.94〜1.97)となった。 また、性差関連の記述のある論文は記述のない論文に比べ、インパクトファクターの低い学術雑誌に掲載される傾向が強かった。たとえば、2016年の出版物では、女性と男性の双方の記述がある論文は、掲載された学術雑誌のインパクトファクターが-0.51(95%CI:-0.54~-0.47)と低かった。 著者は、「科学の現場におけるジェンダー格差や、学術雑誌および組織レベルの性差関連報告に関する施策の欠如は、基礎研究から臨床研究への効率的な橋渡し(translation)を阻害する可能性がある」とし、「厳格かつ有効性の高い医学研究を生み出すには、科学の現場および研究対象集団(細胞株からげっ歯類、そしてヒトまで)における多様性がきわめて重要である」と指摘している。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用療法、去勢抵抗性前立腺がんに奏効を示す(CheckMate-650)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2019年2月14日、転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者におけるニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法を評価した第II相CheckMate-650試験の中間解析データを発表した。 CheckMate-650試験は、mCRPC患者を対象に、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の安全性と有効性を評価する進行中の非盲検第II相臨床試験。試験は2つのコホートで構成されている。コホート1は、化学療法による治療歴がなく、第2世代ホルモン療法による治療後に病勢進行した無症候性または症候がほとんどない患者。コホート2はタキサン系抗がん剤による化学療法後に病勢進行した患者。患者は、ニボルマブ1mg/kgおよびイピリムマブ3mg/kgを計4回投与され、その後、ニボルマブ480mgを4週間ごとに投与された。主要評価項目は、奏効率(ORR)および画像診断による無増悪生存期間など。 中央値11.9ヵ月の追跡期間において、コホート1の患者32例のORRは25%であった。 また、中央値13.5ヵ月の追跡期間において、コホート2の患者30例のORRは10%であった。両コホートにおいて、腫瘍遺伝子変異量が高レベル(中央値以上)の患者や相同組換え修復異常の患者など、特定の患者のサブグループでより高いORRが示された。 全体的な安全性プロファイルは、これまでに報告されているニボルマブ・イピリムマブ併用療法の同じ投与スケジュールの試験と一貫していた。Grade3~5の治療関連有害事象は、コホート1の患者群の42%、コホート2の患者群の53%で発現した。 データは、2019年米国臨床腫瘍学会、泌尿器がんシンポジウムにおいて発表されている。

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揚げ物フェチの死亡リスクは上昇する可能性高い?(解説:島田俊夫氏)-1009

 私達は生きるために、食物を摂取することによりエネルギーを獲得している。ところが、現代社会では、昔と異なり自宅で食事をする習慣が希薄になり、外食産業への依存が増していることは明らかな事実である。なかでも揚げ物は、調理の簡便性や嗜好の視点から好まれる傾向がある。とくにファストフードの普及で、フライドチキン、フライドポテト1)らが、世界中の多くの国々において、日々の生活の中で愛用されている。このような食生活環境の変化の中で、揚げ物、とくにフライドチキンや魚介類フライの摂取量増加が死亡リスク高めている可能性を、米国・アイオワ大学のYangbo Sun氏らが、閉経後女性を対象とした大規模前向きコホート研究(Women’s Health Initiative:WHI)のデータ解析結果から明らかにし、揚げ物による深刻な死亡率への影響を2019年1月23日のBMJ誌に報告した。この論文に関して私的見解をコメントする。研究要約 全米40ヵ所の臨床施設で、1993年9月~1998年9月にかけWHIに登録された50~79歳の女性10万6,966例を対象として、2017年2月まで追跡調査が行われた。自己記入式食事調査に基づき、揚げ物摂取と死亡リスクの関連性、揚げ物の種類と健康被害の大きさ、揚げ物がなぜ死亡率上昇につながるのかを調査・検証した。結果 揚げ物をまったく食べない人は、揚げ物を食べる人に比べ、多変量調整ハザード比(HR)は全病因死亡率で1.08(95%信頼区間[CI]:1.01~1.16)、心血管死亡率で1.08(95%CI:0.96~1.22)と有意であった。 フライドチキンを1週間に1食分以上食べる人のHRは全病因死亡率で1.13(95%CI:1.07~1.19)、心血管死亡率で1.12(95%CI:1.02~1.23)と有意であった。魚介類揚げ物のHRは全病因死亡率で1.07(95%CI:1.03~1.12)、心血管死亡率で1.13(95%CI:1.04~1.22)と有意であったが、がん死亡率上昇に関しては、揚げ物の総摂取量・種類別摂取量ともに関連性を認めなかった。コメント 揚げ物が全病因死亡率、心血管死亡率を増加させるとの報告は、大きな反響を社会に及ぼす可能性がある。本研究のみでは、揚げ物と死亡率の上昇の因果関係を解明することは難しいが、報告を深刻に受け止め、外食では揚げ物の摂取は極力控えることが現段階での予防策として好ましいと考える。揚げ物に使う油の使いまわしによる油質の劣化(酸化)・変性を引き起こすこと、およびサクサクした食感を出すために好んで使用されているトランス脂肪酸の添加が、このような事態に深く関与している可能性が推測される。家庭での新鮮な油の使用で同様の結果が起こるか否かは疑問で、さらなる検証が必要である。即断するのではなく、今のところは古い油や油の使いまわしを避け、油種吟味および揚げ物を食べる機会を減らす配慮が必要と考える。疑わしきは回避することが保身につながると考える。揚げ物過剰摂取の健康被害への警鐘と受け止めるべきメッセージではないか。しかしながら、異なる結果報告もあり、結論を出すには時期尚早かもしれない2)。

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バベシア症に気を付けろッ! その2【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。さて、前回は誰も興味がないと思われる超マニアックなバベシア症について語りました。しかしッ! 日本の医療従事者もバベシア症について知っておかなければならない時代が来ているのですッ!突然ですが、症例提示をしてよろしいでしょうか?原因不明の溶血の正体は何?症例:40歳日本人男性主訴:発熱、溶血現病歴:X年1月31日39℃台の発熱が出現2月2日ヘモグロビン尿が出現2月6日溶血性貧血の診断でA病院にてヒドロコルチゾン900mg/日の点滴と赤血球輸血を施行3月20日退院3月29日再びヘモグロビン尿が出現4月3日再入院しヒドロコルチゾン900mg/日を再開。溶血は改善したが原因精査のためB病院転院既往歴:出血性胃潰瘍でX-1年12月28日(A病院入院約1ヵ月前)に入院。赤血球10単位、FFP3単位の輸血を施行節足動物曝露:なし身体所見:体温 36.8℃、脈拍90/分、血圧152/84mmHg眼球結膜に黄疸あり、眼瞼結膜に貧血あり、表在リンパ節を触知せず、心肺異常なし、腹部圧痛なし、肝脾を触知せず、下肢に軽度の浮腫を認める血液検査:WBC 14,100/µL、RBC 1.87×106/µL、Hb 6.5g/dL、Ht 19.8%、Plt 25×104/µL、BUN 20mg/dL、Cre 0.68mg/dL、TP 5.7g/dL、Alb 2.9g/dL、T-BiL 1.6mg/dL、GOT 89IU/L、GPT 51IU/L、LDH 4,266IU/L、CRP 1.37mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.1mEq/L、CL 106mEq/L尿検査:尿蛋白(+)、尿潜血(4+)、尿糖(-)症例患者の感染ルートはどこださて、この原因不明の溶血(再生不良性貧血として治療したが再燃)と、2ヵ月の経過で続く発熱、体重減少の症例…診断は何だと思いますでしょうか? まあ、ここまで来といてバベシア症じゃなかったら怒られると思うんですが、そうです、バベシア症なんです!日本人ですよ? 海外渡航歴なしですよ? 本症例は日本国内発の初のバベシア症症例です1)。末梢血ギムザ染色を行い、図のような赤血球内に寄生するバベシア原虫の所見が得られ確定診断に至っています。画像を拡大するこの患者さんはマダニからの感染ではなく、出血性胃潰瘍のため輸血をした際にバベシア症に感染したと考えられています。この供血者についても判明しており、海外渡航歴のない方による供血だったそうです。つまり、日本国内でもバベシア症に感染する可能性があるのですッ!国内に潜むバベシア症このわが国初のバベシア症が報告された兵庫県2)だけでなく、北海道、千葉県、島根県、徳島県などでもこのB.microti様原虫(Babesia microti-like parasites)を持つ野生動物が見つかっており、ヤマトマダニからも分離されています3)。あー、ちゃばい。つまり、すでに日本のマダニだの野生動物だのは、バベシア原虫を持っているということです。いつ感染してもおかしくないって話です。でも、すでにマダニや動物が持っているなら、1例だけじゃなくもっとたくさんの症例が報告されていても、おかしくないはずですよね。そうなんです。もっと患者がいてもいいのに(よかないけど)、報告されていないんです。しかし、興味深い論文がありますのでご紹介します。千葉県の房総半島で1,335人のボランティアの方から採血をしたところ、その1.3%でバベシア原虫に対する抗体が陽性だったというのですッ4)! そう、われわれは気付かないうちにバベシアに感染しているのかもしれないのですッ!というわけで、必ずしも日本では診ることがないとも言い切れないバベシア症についてお話いたしました。国内第2例目を診断するのは、あなたかもしれないッ!次回は「先進国イタリアでまさかのマラリア流行かッ!?」というお話をいたします。1)松井利充ほか. 臨床血液. 2000;41:628-634.2)Saito-Ito A, et al. J Clin Microbiol. 2004;42:2268-2270.3)Tsuji M, et al. J Clin Microbiol. 2001;39:4316-4322.4)Arai S, et al. J Vet Med Sci. 2003;65:335-340.

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統合失調症患者におけるプラセボ効果~RCT複合分析

 慶應義塾大学の久保 馨彦氏らは、統合失調症患者におけるプラセボ効果を予測するため、プラセボ反応患者の特徴を調査し、プラセボによる早期改善の最適基準について探索を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌2019年2月号の報告。 抗精神病薬の二重盲検試験9件において、プラセボ群にランダム化された統合失調症患者672例のデータを分析した。6週目のプラセボ効果(PANSSスコア25%以上低下)と年齢、性別、学歴、ベースライン時のPANSS合計スコアまたはMarder 5項目スコア、1週目のPANSSスコア減少率との関連を調査するため、多重ロジスティック回帰分析を行った。また、プラセボ効果に対する1週目改善の予測力を調査した。 主な結果は以下のとおり。・1週目のPANSS合計スコアの減少率およびベースライン時のMarder思考解体スコアの低さは、その後のプラセボ効果と有意な関連が認められた。・1週目のPANSS合計スコアにおいて、プロトコルごとの分析における10%減少またはLOCF分析における15%の減少が、最も高い予測力を示した。 著者らは「これらの知見は、統合失調症患者を対象とした試験デザインを最適化するために、早期に潜在的なプラセボ反応患者を識別するうえで有益である」としている。■関連記事抗うつ薬の臨床試験におけるプラセボ効果に関する解析うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差

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ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用、腎細胞がんで継続的な生存ベネフィット示す(CheckMate-214)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2019年2月14日、第III相CheckMate-214試験の最新の結果を発表した。同データでは、未治療の進行または転移のある腎細胞がん(RCC)患者において、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)と低用量イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法が、引き続き長期生存ベネフィットを示した。 CheckMate-214試験は、未治療の進行または転移のあるRCC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法をスニチニブと比較評価した無作為化非盲検試験。併用療法群の患者は、ニボルマブ3mg/kgおよびイピリムマブ1mg/kgを3週間間隔で計4回投与され、その後ニボルマブ3mg/kgを2週間間隔で投与された。対照群の患者は、スニチニブ50mg/日を4週間投与後2週間休薬を病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続した。試験の主要評価項目は、中~高リスク患者における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、および奏効率(ORR)。 最短30ヵ月の追跡調査において、ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用療法群に無作為に割り付けられた中~高リスクの患者は、スニチニブ群と比較して、引き続き有意なOSの延長を示した。また、30ヵ月時点で、ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用療法を受けた中~高リスクの患者における治験担当医によるORRは、最短17.5ヵ月時点での前回の解析結果と比較して、改善が示された。・OS:中~高リスクの患者の30ヵ月生存率は、ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用療法群で60%、スニチニブ群では47%であった(HR:0.66、95%CI:0.54~0.80、p<0.0001)。・ORR:ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用療法群で42%、スニチニブ群で29%であった(p=0.0001)。・完全奏効(CR)率:ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用療法群で11%、スニチニブ群で1%であった。 ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用療法を受けたIntention-To-Treat(ITT、すべて無作為化)集団においても同様の結果が示され、有意な改善が認められた。・OS:ITT集団の30ヵ月生存率は、ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用療法群で64%、スニチニブ群では56%であった(HR:0.71、95%CI:0.59~0.86、p=0.0003)。・ORR:ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用療法群で41%、スニチニブ群で34%であった(p=0.015)。・CR率:ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用療法群で11%、スニチニブ群で2%であった。 併用療法の全体的な安全性は、最短17.5ヵ月の追跡調査の解析結果および両剤のRCC患者におけるこれまでに報告された試験と一貫しており、長期の追跡調査でも新たな安全性シグナルや薬剤に関連する死亡例は発生しなかった。 データは、2019年米国臨床腫瘍学会、泌尿器がんシンポジウムにおいて発表されている。■関連記事進行性腎細胞がんの1次治療、ニボルマブとイピリムマブ併用が有効/NEJM

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幼児期のペットはアレルギーにどう影響

 ここ数年、わが国では猫ブームが続いている。2月22日は「猫の日」として認知され、全国で猫に関するイベント、グッズの販売などが行われている。こうしたペットは、私たちの健康にどのような効果をもたらしてくれるのだろうか。 スウェーデン・イエーテボリ大学のBill Hesselmar氏らは、幼児期からのペット飼育がその後のアレルギーリスクを軽減するか、また、ペット数とどう関係するか検討を行った。PLOS ONE誌2018年12月19日号の報告。 研究では2つのコホートとして、MolndalおよびKirunaの7~8歳の子供(1,029例)への横断的アンケートベース研究と、小児科医から喘息についてアレルギーの臨床的評価がされたVastra Gotaland県の8~9歳までの子供(249例)の出生コホートについて、喘息とアレルギーに関する検証済みの質問により調査された。 主な結果は以下のとおり。・生後1年の間に家庭内で猫や犬の飼育数が増えるにつれ、アレルギー症状(喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹のいずれか)がより少なくなる、相関関係がみられた。・横断的コホートでは、ペットがいない子供の49%(前年32%[p=0.006])にアレルギーがあるのに対し、5匹以上ペットがいる子供のアレルギー発症は0だった(p=0.038)。・同じパターンが出生コホートでみられ、花粉だけでなく動物への感作も、家庭内での動物数の増加とともに減少していた。 著者らは「7~9歳の小児におけるアレルギー性疾患の罹患率は、生後1年の間に同居するペットの数が多いほど減少し、猫と犬によってアレルギーの発生から保護される、『ミニ農場』効果が示唆される」と述べている。

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早期乳がん術後化療、dose-intenseが有益/Lancet

 早期乳がんの術後化学療法において、治療サイクル間隔の短縮、あるいは同時投与ではなく逐次投与により用量強度を高めるレジメンは、他の原因による死亡を増加させることなく、乳がんの10年再発リスクおよび死亡リスクを低下させうることが、英国・オックスフォード大学のEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)らの検討で明らかとなった。治療サイクルの間隔短縮や低用量の同時投与よりも、むしろ十分量の逐次投与による細胞傷害性化学療法の用量強度の増強は、有効性を高めるのではないかと考えられていた。Lancet誌オンライン版2019年2月7日号掲載の報告。早期乳がん女性患者3万7,298例、患者レベルでのメタ解析を実施 研究グループは、早期乳がんにおける用量強化(dose-intense)化学療法と標準スケジュール化学療法の相対的な利点とリスクを検証する目的で、2週ごと投与vs.3週ごと投与、およびアントラサイクリン系とタキサン系の逐次投与vs.同時投与の比較試験について、患者レベルでのメタ解析を実施した。 主要評価項目は、再発と乳がん死で、年齢、リンパ節転移状態および試験で層別化した標準intention-to-treat log-rank解析により、dose-intense療法と標準スケジュール療法の初回イベント率(RR)を算出した。 特定された33試験のうち26試験から個々の患者データが提供され、無作為化された4万70例のうち3万7,298例(93%)がメタ解析に組み込まれた。大半の女性が70歳未満、リンパ節転移陽性で、抗悪性腫瘍薬の総使用量は2群で類似していた。コロニー刺激因子はdose-intense療法でより多く用いられていた。dose-intense療法で、乳がん10年再発/死亡リスクが約10~15%低下 26試験全体では、乳がん再発率はdose-intense療法群が標準スケジュール療法群より低かった(10年再発リスク:28.0% vs.31.4%、RR:0.86、95%信頼区間[CI]:0.82~0.89、p<0.0001)。10年乳がん死亡率(18.9% vs.21.3%、RR:0.87、95%CI:0.83~0.92、p<0.0001)、および全死因死亡率(22.1% vs.24.8%、RR:0.87、95%CI:0.83~0.91、p<0.0001)も同様であった。再発のない死亡も、dose-intense療法群で減少が認められた(10年リスク:4.1% vs.4.6%、RR:0.88、95%CI:0.78~0.99、p=0.034)。 2週ごと投与と3週ごと投与を比較した7試験(1万4例)では、2週ごと投与で再発率が低下した(10年リスク:24.0% vs.28.3%、RR:0.83、95%CI:0.76~0.91、p<0.0001)。アントラサイクリン系とタキサン系の逐次投与と同時投与を比較した6試験(1万1,028例)では逐次投与で再発率が低く(10年リスク:28.1% vs.31.3%、RR:0.87、95%CI:0.80~0.94、p=0.0006)、投与間隔短縮と逐次投与を比較した6試験(6,532例)でも投与間隔短縮で再発率が低かった(10年リスク:30.4% vs.35.0%、RR:0.82、95%CI:0.74~0.90、p<0.0001)。 dose-intense療法における再発率低下は、エストロゲン受容体陽性および陰性患者のいずれにおいても顕著で(p<0.0001)、他の患者特性や腫瘍特性で有意差は確認されなかった。

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英国の心不全診断後の生存、改善はわずか/BMJ

 21世紀に入り、心不全と診断された後の生存期間は、わずかに改善しているのみで、がんなど他の重篤な疾患と比べると遅れをとっており、貧困の度合いによる生存期間の格差も広がっていることが示された。英国・オックスフォード大学のClare J. Taylor氏らが、英国のプライマリケアにおける地域住民を対象としたコホート研究の結果を報告した。心不全患者は増加の傾向にあり、英国では92万人が患っているとされる。心不全患者の生存率は低いが、長期にわたる生存傾向を調べた研究では一貫した結果が得られていなかった。BMJ誌2019年2月13日号掲載の報告。心不全患者約5万6,000例と対照者約28万例で生存率を推定 研究グループは、心不全患者の短期/長期生存率の信頼できる推定値を報告し、診断された年・入院・社会経済的集団ごとの経時的な傾向を評価する目的で、英国のプライマリケアの電子診療録を含むデータベース(Clinical Practice Research Datalink:CPRD)を用い、2000年1月1日~2017年12月31日に新たに心不全と診断された45歳以上の患者5万5,959例、ならびに患者と年齢・性別をマッチさせた対照者27万8,679例を特定し解析した。入院記録はHospital Episode Statistics、死因については国家統計局とリンクしたデータを使用した。 主要評価項目は全死因死亡で、1年・5年・10年時点の生存率と死因を検証し、診断された年・入院・社会経済的集団ごとの時間的傾向を評価した。心不全診断後の生存率の改善はわずか、貧困度が生存期間に影響 1年・5年・10年時点の生存率は、それぞれ6.6%(2000年74.2%→2016年80.8%)、7.2%(2000年41.0%→2012年48.2%)、および6.4%(2000年19.8%→2007年26.2%)上昇していた。 研究期間中に、心不全患者群では3万906例の死亡が確認され、これらのうち死亡診断書に心不全と記載されていたのは1万3,093例(42.4%)、うち2,237例(7.2%)は心不全が主要死因であった。 心不全と診断された時期に入院を必要としなかった患者において、生存期間が延長した(群間差中央値:2.4年、5.3年vs.2.9年、p<0.001)。貧困度が最も低い人々と最も高い人々の間では、生存期間中央値で2.4年の差があることが確認された(11.1年vs. 8.7年、p<0.001)。 著者は、心不全患者の生存期間に対する薬剤・医療機器・移植の影響を検証できていないことや、さまざまな併存症が心不全の診断を難しくしている可能性があることなど、研究の限界を挙げたうえで、「すべての社会経済的集団に対して、プライマリケアにおいて適時な診断と治療開始を成し遂げる新しい戦略を、将来的な研究と政策の優先事項とすべきである」とまとめている。

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