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最新鋭のがん患者用手引きHPで公開-静岡がんセンター

 近年、がん治療の分野では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新薬が次々に発売されている。また、多剤併用による治療、外来患者の増加により、治療・副作用対策の指導が複雑なものになりつつある。そんな折、2019年2月25日に静岡県立静岡がんセンターは、これらの問題を解決するべく、「処方別がん薬物療法説明書【患者さん向け】」をホームページ上に公表した。 この説明書は、抗がん剤治療の全貌がわかるように作成されている。そして、これを患者に渡すのは医師であり、がん薬物療法の決定後、治療前に患者へ手渡しされる。その後、薬剤師や看護師がその冊子を用いて、必要に応じて説明を行うそうだ。 今回作成されたのは、同センターにおいて使用頻度が高い70療法91冊(消化器、呼吸器、皮膚科)。ニボルマブなど新薬との併用療法についても公開されており、そのほかのがん種の冊子については、順次拡大を予定しているとのこと。<特長>◆その1:病気の種類別、使用する薬の組み合わせ別に冊子が作成されているこれからがん薬物療法を受ける、または、すでに受けている患者やその家族向けに、がん薬物療法の理解を深め副作用の対処が行えるよう、病気の種類・使用する薬の組み合わせ別に治療スケジュールや注意事項、副作用とその対処法、医療者に報告する目安などが1冊にまとめられている。◆その2:がん薬物療法を受ける際に患者・家族が心構えできる治療の概要、どんな副作用がいつ現れるのかなどを治療前に理解してもらえるよう、主な副作用の現れやすい時期や頻度が一覧表になっている。◆その3:副作用の対処法がわかる 副作用の対処と工夫(病院への連絡の目安、予防を含めた具体的対処法)が写真を交えて記載されているため、治療を行う前に、生活の見通しや副作用対策を患者自らが立てやすくなっている。◆その4:地域の医療関係者が患者への指導の参考として活用できるすべての冊子は同じ構成で作られているため、患者・家族、そして医療者が効率よく利用できるようになっている。 同センターの広報担当者によると、「これまでこのような類の手引きは存在していない。医師、看護師、薬剤師などの医療従事者が共通して使用することで、患者さんの抗がん剤治療の副作用に対する理解が深まるのではと考えている」。■参考静岡県立静岡がんセンター:処方別がん薬物療法説明書【患者さん向け】

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うつ病や不安症状に対する食事療法~メタ解析

 不適切な食生活は、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。しかし、食事介入療法が気分やメンタルに及ぼす影響に関するエビデンスは、十分に評価されていない。オーストラリア・西シドニー大学のJoseph Firth氏らは、食事介入療法がうつ病や不安症状に及ぼす影響を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。Psychosomatic Medicine誌オンライン版2019年2月5日号の報告。 臨床的および非臨床的集団を対象とし、食事介入療法のうつ病および/または不安症状の変化について検討した2018年3月までのすべてのランダム化比較試験(RCT)を、主要電子データベースより検索した。対照群と比較した食事介入療法のエフェクトサイズ(Hedges' g、95%信頼区間[CI])を算出するため、ランダム効果メタ解析を用いた。不均一性の潜在的な原因は、サブグループおよびメタ回帰分析を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたRCTは16件、対象者数は4万5,826例であった。対象者の大多数が非臨床的うつ病サンプルでの調査(15件)であった。・それでもなお、食事介入療法は、抑うつ症状を有意に減少させた(g=0.275、95%CI:0.10~0.45、p=0.002)。・質の高いエビデンス(g=0.321、95%CI:0.12~0.53、p=0.002)および非介入群(g=0.308、95%CI:0.02~0.60、p=0.038)、介入対照群(g=0.174、95%CI:0.01~0.34、p=0.035)と比較した場合においても、同様の結果が認められた。・食事介入療法の不安症状に対する効果は認められなかった(k=11、n=2,270、g=0.100、95%CI:-0.04~0.24、p=0.148)。・女性を対象とした研究では、うつ病と不安症状に対する食事介入療法の有意な効果が認められた。 著者らは「食事介入療法は、うつ症状軽減のための新規介入療法として期待される。メンタルヘルスの改善や根本的なメカニズムを探求し、臨床および公衆衛生において食事介入療法を導入する効果的な計画の確立のためにも、今後の研究が必要とされる」としている。■関連記事うつ病治療と食事パターンストレスやうつ病に対する朝食の質の重要性食生活の改善は本当にうつ病予防につながるか

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血糖コントロールに有効な携帯型デバイス/Lancet

 d-Navインスリン・ガイダンス・システム(Hygieia)は、血糖値を測定してその変動を記録し、自動的に適切なインスリン量を提示する携帯型デバイス。2型糖尿病患者では、医療者による支援に加えてこのデバイスを用いると、医療支援のみの患者に比べ良好な血糖コントロールが達成されることが、米国・国際糖尿病センターのRichard M. Bergenstal氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年2月23日号に掲載された。インスリン療法は、用量の調整を定期的かつ頻回に行えば、最も有効な血糖コントロールの方法とされるが、多くの医師にとってほとんど実践的ではなく、結果としてインスリン量の調整に不均衡が生じているという。米国の3施設が参加、デバイスの有無でHbA1cの変化を比較 本研究は、血糖コントロールにおけるd-Navの有用性の検証を目的とする無作為化対照比較試験であり、2015年2月~2017年3月の期間に米国の3つの糖尿病専門施設で患者登録が行われた(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所のプログラムの助成による)。 対象は、年齢21~70歳、2型糖尿病と診断され、HbA1c値が7.5~11%、直近の3ヵ月間に同一のインスリン療法レジメンを使用している患者であった。BMI≧45、心臓・肝臓・腎臓の重度の障害、過去1年以内に2回以上の低血糖イベントを認めた患者は除外された。 被験者は、d-Navと医療者による支援を併用する群(介入群)または医療者による支援のみを行う群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。両群とも、6ヵ月のフォローアップ期間中に、3回の面談による診察と4回の電話による診察を受けることとした。 主要目標は、ベースラインから6ヵ月までのHbA1c値の変化の平均値とした。安全性については、低血糖イベントの頻度の評価を行った。HbA1c値の低下:1.0% vs.0.3% 2型糖尿病患者181例が登録され、介入群に93例(平均年齢61.7[SD 6.9]歳、女性52%)、対照群には88例(58.8[8.5]歳、45%)が割り付けられた。平均罹病期間はそれぞれ16.1(SD 7.3)年、15.3(6.0)年で、ベースラインのHbA1c値は8.7%(SD 0.8)、8.5%(0.8)、体重は100.2kg(SD 17.1)、101.1kg(17.2)だった。 HbA1c値のベースラインから6ヵ月までの変化は、介入群が1.0%低下したのに対し、対照群は0.3%の低下であり、両群間に有意な差が認められた(p<0.0001)。 6ヵ月時にHbA1c<7%を達成した患者の割合は、介入群が22%と、対照群の5%に比べ有意に良好であった(p=0.0008)。また、ベースライン時のHbA1c<8%の患者の割合は、介入群が23%、対照群は32%とほぼ同等であったが(p=0.16)、6ヵ月時にはそれぞれ62%および33%に増加し、有意な差がみられた(p<0.0001)。 低血糖(<54mg/dL)の頻度は、介入群が0.29(SD 0.48)イベント/月、対照群は0.29(1.12)イベント/月であり、両群で同等であった(p=0.96)。重症低血糖は、6ヵ月間にそれぞれ3イベント(介入との関連の可能性が示唆されるのは1イベント)および2イベント(いずれも介入との関連はない)が認められた。 体重は、6ヵ月間に介入群で平均2.3%増加し、対照群の0.7%の増加に比べ増加率が高かった(p=0.0001)。 著者は、「この携帯デバイスは、2型糖尿病患者において安全かつ有効なインスリン量の調整を可能にすることが示された。今後、これらの知見の確証を得て、その費用対効果を検討するために、大規模な医療システムにおいて評価を行うためのアプローチが求められる」としている。

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進行卵巣がん、後腹膜リンパ節郭清は必要か/NEJM

 進行卵巣がんの手術において、腹腔内腫瘍が肉眼的に完全切除され、術前・術中ともにリンパ節が正常な患者への骨盤・傍大動脈リンパ節の系統的郭清は、非郭清例と比較して全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間のいずれをも延長させず、術後合併症の頻度は高いことが、ドイツKliniken Essen-MitteのPhilipp Harter氏らが行ったLION試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年2月28日号に掲載された。肉眼的完全切除例に対する骨盤・傍大動脈リンパ節の系統的郭清がもたらす生存への有益性は、その可能性を示唆する後ろ向きの解析がいくつかあるが、無作為化試験のエビデンスは限られているという。郭清の有無でOSを比較する無作為化試験 研究グループは、進行卵巣がん肉眼的完全切除例における骨盤・傍大動脈リンパ節の系統的郭清に関する前向き無作為化対照比較試験を実施した(Deutsche ForschungsgemeinschaftとAustrian Science Fundの助成による)。 対象は、年齢18~75歳、新規に進行卵巣がん(国際産婦人科連合[FIGO]分類IIB~IV期)と診断され、全身状態(ECOG PS)が0/1で、肉眼的完全切除を受け、術前・術中ともにリンパ節が正常の患者であった。 手術中に、肉眼的完全切除が達成された患者が、リンパ節郭清を受ける群または受けない群に無作為に割り付けられた。参加施設は試験参加前に、手術技術に関する基準を満たすことが求められた。主要評価項目はOS期間であった。OS:65.5ヵ月 vs.69.2ヵ月、PFS:25.5ヵ月 vs.25.5ヵ月 2008年12月~2012年1月の期間に、647例が無作為化の対象となり、リンパ節郭清群に323例(年齢中央値:60歳[範囲:21~83]、FIGO Stage IIIB/IV:80.8%)、非郭清群には324例(60歳[23~78]、75.3%)が割り付けられた。リンパ節郭清群における切除リンパ節数中央値は57個(骨盤リンパ節35個、傍大動脈リンパ節22個)だった。 OS期間中央値は、リンパ節郭清群が65.5ヵ月と、リンパ節非郭清群の69.2ヵ月との間に有意な差を認めなかった(リンパ節郭清群の死亡のハザード比[HR]:1.06、95%信頼区間[CI]:0.83~1.34、p=0.65)。また、PFS期間中央値は、両群とも25.5ヵ月であった(リンパ節郭清群の病勢進行または死亡のHR:1.11、95%CI:0.92~1.34、p=0.29)。 リンパ節郭清群では、退院時の抗菌薬治療を要する感染症(25.8% vs.18.6%、p=0.03)およびリンパ囊胞(無症状:4.3% vs.0.3%、p<0.001、有症状:3.1% vs.0、p=0.001)が有意に多かった。また、重篤な術後合併症として、術後60日以内の再開腹(12.4% vs.6.5%、p=0.01)および死亡(3.1% vs.0.9%、p=0.049)の頻度が有意に高かった。 術後の全身治療として、プラチナ製剤+タキサン系薬剤±ベバシズマブが、リンパ節郭清群の80.5%、リンパ節非郭清群の83.9%で施行された。 著者は、「この、前向きに無作為化され、十分な検出力を有する国際的な多施設共同試験の結果は、進行卵巣がんにおけるリンパ節郭清の役割に関する長年の議論にレベル1のエビデンスを付与するとともに、臨床エビデンスの創出における適切な研究方法の使用の重要性を繰り返し強調するものである」としている。

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新規のアミノグリコシド系抗菌薬plazomicinの複雑性尿路感染症に対する効果(解説:吉田敦氏)-1013

 腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の薬剤耐性は、現在、われわれが日常最も遭遇する薬剤耐性と言ってよいであろう。たとえば本邦で分離される大腸菌の約4割はフルオロキノロン耐性、約2割はESBL産生菌である。実際に複雑性尿路感染症の治療を開始する際に、主原因である腸内細菌科細菌の抗菌薬耐性をまったく危惧しない場合は、ほぼないと言えるのではないだろうか。そして結果としてβラクタム系およびフルオロキノロン系が使用できないと判明した際、残る貴重な選択肢の1つはアミノグリコシド系であるが、腎障害等の副作用が使用を慎重にさせている点は否めない。 今回の検討では、腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症例をアミノグリコシド系であるplazomicin群(1日1回静脈内投与)とメロペネム群にランダムに割り付け、少なくとも4日間以上続けた後、およそ8割の例で経口抗菌薬に変更し、合計7~10日の治療期間としている。なお投与開始から5日目、および15~19日目の臨床的、微生物学的改善がプライマリーエンドポイントとして設定された。そして結果としてplazomicinはおおよそメロペネムに劣らなかったが、特に15~19日目における臨床的、微生物学的改善率がplazomicin群において高かった。 本検討において最も関心が持たれる点はおそらく、(1)薬剤耐性菌の内訳と、それらへの効果、(2)plazomicinの副作用の有無と程度、(3)経口抗菌薬による影響、そして(4)再発に対する効果ではないだろうか。今回の検討例ではレボフロキサシン耐性は約4割、ESBL産生は約3割、カルバペネム系耐性(CRE)は約4%であるから、本邦の現在よりやや耐性株が多い。そしてESBL産生菌、アミノグリコシド(AMK、GM、TOBのいずれか)耐性株ともにplazomicin群がメロペネム群よりも微生物学的改善率が高かった。検討例はクレアチニンクリアランスが30mL/min以上の者であるが、うち30~60mL/minが35%、60~90mL/minが38%、90mL/min以上が26%を占める。このような集団でのCr 0.5mg/dL以上の上昇例がplazomicin群で7%、メロペネム群で4%認められた。一方、経口抗菌薬の第1選択はレボフロキサシンであるが、実際にはレボフロキサシン耐性株分離例の60%でレボフロキサシンが選択されていた。また治療後の無症候性細菌尿と、それに関連する再発がplazomicin群で低かった。 ほかにも結果解釈上の注意点がある。まず微生物学的改善の基準は、尿路の基礎状態にかかわらず、治療前に尿中菌数が105CFU/mL以上であったものが、治療後104CFU/mL未満になることと定義している点である。尿中菌数とその低下は基礎状態にも左右されるし、実際の低下度合いについては示されていない。さらに微生物学的改善の評価における重要な点として、当初から検討薬に耐性である例は除外されていることである(plazomicin感性は4μg/mL以下としている)。また治療前に感性であったものが、治療後に耐性になった例はplazomicin群の方がやや多かった。 以上のような注意点はあるものの、多剤耐性菌が関わりやすい複雑性尿路感染症の治療手段として有用な選択肢が増えた点は首肯できると言えよう。なおplazomicinはアミノグリコシド修飾酵素によって不活化されにくい点が従来のアミノグリコシドに勝る利点であるが、リボゾームRNAのメチル化酵素を産生するNDM型カルバペネマーゼ産生菌には耐性であり1)、ブドウ糖非発酵菌のPseudomonas、Acinetobacterについては従来のアミノグリコシドを凌駕するものではないと言われている2)。反面、尿路感染症では関与は少ないが、MRSAに対する効果が報告されている3)。本邦への導入検討に際しては、本邦の分離株を対象とした感受性分布ならびに耐性機構に関するサーベイランスが行われるのが望ましいと考える。そのような検討が進むことに期待したい。

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第10回 意識障害 その8 原因不明の意識障害の原因の鑑別に「痙攣」を!【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)原因不明の意識障害では“痙攣”の可能性を考えよう!2)“痙攣”の始まり方に注目し、てんかんか否かを見極めよう!3)バイタルサイン安定+乳酸値の上昇をみたら、痙攣の可能性を考えよう!【症例】80歳男性。息子さんが自宅へ戻ると、自室の机とベッドとの間に挟まるようにして倒れているところを発見した。呼び掛けに対して反応が乏しいため救急要請。●搬送時のバイタルサイン意識100/JCS血圧142/88mmHg脈拍90回/分(整)呼吸18回/分SpO295%(RA)体温36.2℃瞳孔3/3mm+/+今回は“痙攣”による意識障害に関して考えていきましょう。痙攣というと、目の前でガクガク震えているイメージがあるかもしれませんが、臨床の現場ではそう簡単ではありません。初療に当たる時には、すでに止まっていることが多く、痙攣の目撃がない場合には、とくに診断が難しいのが現状です。そのため、意識障害の原因が「痙攣かも?」と疑うことができるかが、初療の際のポイントとなります。痙攣の原因として、大きく2つ(てんかんor急性症候性発作)があります。ここでは、わが国でも100人に1人程度認める、てんかん(症候性てんかん含む)の患者さんの痙攣をいかにして見抜くかを中心に考えていきましょう。いつ痙攣を疑うのか?皆さんは、いつ意識障害の原因が痙攣と疑うでしょうか? 今まで述べてきたとおり、意識障害を認める場合には、ABCの安定をまずは目標とし、その後は原則として、低血糖、脳卒中、敗血症を念頭に対応していきます。これらは頻度が高いこと、血糖測定や画像検索で比較的診断が容易なこと、緊急性の高さが故の順番です。痙攣も今まさに起こっている場合には、早期に止めたほうがよいですが、明らかな痙攣を認めない場合には時間的猶予があります。痙攣の鑑別は10's rule(表)の9)で行います1)。●Rule9 疑わなければ診断できない! AIUEOTIPSを上手に利用せよ!AIUEOTIPSを意識障害の鑑別として上から順に鑑別していくのは、お勧めできません。なぜなら、頻度や緊急度が上から順とは限らないからです。また、患者背景からも原因は大きく異なります。そのため、AIUEOTIPSは鑑別し忘れがないかを確認するために用いるのがよいでしょう(意識障害 その2参照)。見逃しやすい原因の1つが痙攣(AIUEOTIPSの“S”)であり、採血や画像検査で特異的な所見を必ずしも認めるわけではないため、原因が同定できない場合には常に考慮する必要があるのです。「原因不明の意識障害を診たら、痙攣を考える」、これが1つ目のポイントです。画像を拡大する目撃者がいない場合痙攣を疑う病歴や身体所見としては、次の3点を抑えておくとよいでしょう。「(1)舌咬傷、(2)尿失禁、(3)不自然な姿勢で倒れていた」です。絶対的なものではなく、その他に認める所見もありますが、実際に救急外来で有用と考えられるトップ3かと思いますので、頭に入れておくとよいでしょう。(1)舌咬傷てんかんによる痙攣の場合には、20%程度に舌外側の咬傷を認めます。心因性の場合には、舌咬傷を認めたとしても先端のことが多いと報告されています2)。(2)尿失禁心因性や失神でも認めるため絶対的なものではありませんが、尿失禁を認める患者を診たら、「痙攣かも?」と思う癖を持っておくと、鑑別し忘れを防げるでしょう3)。(3)不自然な姿勢で倒れていたてんかん、とくに高齢者のてんかんは局在性であるため、痙攣は左右どちらかから始まります。左上肢の痙攣が始まり、その後全般化などが代表的でしょう。意識消失の鑑別として、失神か痙攣かは、鑑別に悩むこともありますが、失神は瞬間的な意識消失発作で姿勢保持筋が消失するため、素直に倒れます。脳血流が低下し、立っていられなくなり倒れるため、崩れ落ちるように横になってしまうわけです。それに対して、痙攣を認めた場合には、左右どちらかに引っ張られるようにして倒れることになるため、素直には倒れないのです。仰向けで倒れているものの、片手だけ背部に回っている、時には肩の後方脱臼を認めることもあります。「なんでこんな姿勢で? なんでこんなところで?」というような状況で発見された場合には、痙攣の関与を考えましょう。その他、痙攣を認める前に、「あー」と声を出す、口から泡を吹いていたなどは痙攣らしい所見です。そして、時間経過と共に意識状態が改善するようであれば、らしさが増します。目撃者がいる場合患者が倒れる際に目撃した人がいた場合、(1)どのように痙攣が始まったのか、(2)持続時間はどの程度であったか、(3)開眼していたか否かの3点を確認しましょう。(1)痙攣の始まり方この点はきわめて大切です。失神後速やかに脳血流が回復しない場合にも、痙攣を認めることがありますが、その場合には左右差は認めません。これに対して、てんかんの場合には、異常な信号は左右どちらかから発せられるため、上下肢左右どちらかから始まります。「痙攣は右手や左足などから始まりましたか?」と聞いてみましょう。(2)持続時間一般的に痙攣は2分以内、多くは1分以内に止まります。これに対して心因性の場合には2分以上続くことが珍しくありません。(3)開眼か閉眼かてんかんの場合には、痙攣中は開眼しています。閉眼している場合には心因性の可能性が高くなります4,5)。痙攣を示唆する検査所見痙攣の原因検索のためには、採血や頭部CT検査、てんかんの確定診断のためには脳波検査が必須の検査です。ここでは、救急外来など初療時に有用な検査として「乳酸値」を取り上げておきましょう。乳酸値が上昇する原因として、循環不全や腸管虚血の頻度が高いですが、その際は大抵バイタルサインが不安定なことが多いです。それに対して、意識以外のバイタルサインは安定しているにもかかわらず乳酸値が高い場合には、痙攣が起こったことを示唆すると考えるとよいでしょう。原因にかかわらず、乳酸値が高値を認めた場合には、初療によって改善が認められるか(低下したか)を確認しましょう。痙攣が治まっている場合には30分もすれば数値は正常化します。さいごに痙攣の原因はてんかんとは限りません。脳卒中に代表される急性症候性発作、アルコールやベンゾジアゼピン系などによる離脱、ギンナン摂取なんてこともあります。痙攣を認めたからといって、「てんかんでしょ」と安易に考えずに、きちんと原因検索を忘れないようにしましょう。ここでは詳細を割愛しますが、てんかんを適切に疑うためのポイントは理解しておいてください。本症例では、病歴や経過から痙攣の関与が考えられ、画像診断では陳旧性の脳梗塞所見を認めたことから、症候性てんかん後のpostictal stateであったと判断し対応、その後脳波など精査していく方針としました。次回は「原因が1つとは限らない! 確定診断するまでは安心するな!」を解説します。1)坂本壮. 救急外来 ただいま診断中!. 中外医学社;2015.2)Brigo F, et al. Epilepsy Behav. 2012;25:251-255.3)Brigo F, et al. Seizure. 2013;22:85-90.4)日本てんかん学会ガイドライン作成委員会. 心因性非てんかん性発作に関する診断・治療ガイドライン.てんかん研究. 2009;26:478-482.5)Chung SS, et al. Neurology. 2006;66:1730-1731.

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重度アルコール離脱症候群に対する早期集中ベンゾジアゼピン療法

 アルコール離脱症候群(AWS)治療の現在のエビデンスでは、symptom-triggered therapyが支持されている。早期段階での集中的なベンゾジアゼピン(BZD)治療は、ICU在室期間を短縮させるといわれているが、在院日数への影響については、よくわかっていない。米国・カリフォルニア大学のJin A. Lee氏らは、最初の24時間での集中的なBZD治療がAWS患者の在院日数を短縮させるかどうかについて、介入前後コホート研究により検討を行った。Clinical Toxicology誌オンライン版2019年2月7日号の報告。 対象は、重度AWS患者。介入前コホート(PRE)は、2015年1~11月に入院した患者とし、鎮痛尺度(Richmond Agitation-Sedation Scale:RASS)に基づき、ジアゼパムおよびフェノバルビタールの漸増によるsymptom-triggered therapyを行った。介入後コホート(POST)は、2016年4月~2017年3月に入院した患者とし、最初の24時間(導入相)でジアゼパムおよびフェノバルビタールの漸増療法を行い、その後72時間(終了相)ですべての治療を終了させた。重度AWSの定義は、ジアゼパム30mg超を必要とする患者とした。集中治療の定義は、AWS診断後24時間以内の総ジアゼパム投与量の50%超とした。AWSの非興奮症状、ジアゼパム追加用量を評価するためRASSの補助としてSHOT尺度を用いた。主要アウトカムは、在院日数とし、副次的アウトカムは、ICU在室日数、BZD使用、人工呼吸器未使用日数とした。 主な結果は以下のとおり。・AWSプロトコルを用いて治療した患者532例中、113例が重度AWSであった。・PRE群75例、POST群38例の年齢、性別、AWS歴、疾患重症度は均一であった。・集中治療を受けたPOST群では、かなりの差が認められた(51.3%vs.73.7 %、p=0.03)。・POST群では、在院日数(14.0日vs.9.8日、p=0.03)およびICU在室日数(7.4日vs.4.4日、p=0.03)において、有意な短縮が認められた。 著者らは「重度AWS患者の対する早期集中マネジメントは、ICU在室期間や在院日数の減少させることが示唆された」としている。■関連記事アルコール依存症に対するナルメフェンの有効性・安全性~非盲検試験ベンゾジアゼピン耐性アルコール離脱症状に対するケタミン補助療法アルコール関連での緊急入院後の自殺リスクに関するコホート研究

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糖尿病患者への禁煙指導/糖尿病学の進歩

 喫煙は、血糖コントロール悪化や糖尿病発症リスク増加、動脈硬化進展、がんリスク増加などの悪影響を及ぼす。禁煙によりこれらのリスクは低下し、死亡リスクも減少することから禁煙指導は重要である。3月1~2日に開催された第53回糖尿病学の進歩において、聖路加国際病院内分泌代謝科の能登 洋氏が「喫煙と糖尿病合併症」と題して講演し、喫煙と糖尿病発症・糖尿病合併症・がんとの関連、禁煙指導について紹介した。タバコ1日2箱で糖尿病発症リスクが1.5倍 糖尿病患者の喫煙率は、日本の成人における喫煙率とほぼ同様で、男性が31.9%、女性が8.0%と報告されている。男女ともに30代がピークだという。喫煙は、血糖コントロール悪化、糖尿病発症リスク増加、HDL-コレステロール低下、動脈硬化進展、呼吸機能悪化、がんリスク増加、死亡リスク増加といった悪影響を及ぼす。喫煙による糖尿病発症リスクは用量依存的に増加し、国内の研究では、1日当たり1箱吸う人は1.3倍、2箱吸う人は1.5倍、発症リスクが増加すると報告されている。また、受動喫煙でも同様の影響があり、受動喫煙による糖尿病発症リスクは、国内の研究ではオッズ比が1.8と報告されている。 喫煙による糖尿病発症機序としては、コルチゾールなどのインスリン抵抗性を増やすホルモンの増加や、不健康な生活習慣(過食や運動不足)で内臓脂肪の蓄積を引き起こしインスリン抵抗性が惹起されることが想定されている。さらに、喫煙者は飲酒する傾向があるため、それも発症に関わると考えられる。また喫煙は、脂肪組織から分泌されるサイトカインやリポプロテインリパーゼに影響を与え、糖代謝や脂質代謝にも直接悪影響を与える。さらに、ニコチンそのものがインスリン抵抗性を惹起することが想定されている。禁煙後の糖尿病発症リスクの変化、体重増加の影響は? では、禁煙した場合、糖尿病発症リスクはどう変化するのだろうか。禁煙後半年から数年は、ニコチンによる食欲抑制効果の解除、味覚・嗅覚の改善、胃粘膜微小循環系血行障害の改善により体重が増加することが多く、また数年後には喫煙時の体重に減少することが多い。体重増加は糖尿病のリスクファクターであるため、禁煙直後の体重増加による糖尿病リスクへの影響が考えられる。実際に禁煙後の糖尿病発症リスクを検討した国内外の疫学研究では、禁煙後5年間は、糖尿病発症リスクが1.5倍程度まで上昇するが、10年以上経過するとほぼ同レベルまで戻ることが報告されている。さらに、禁煙後の体重変動と糖尿病発症リスクを検討した研究では、禁煙後に体重が増加しなかった人は糖尿病発症リスクが減少し続け、体重が10kg以上増えた人は5年後に1.8倍となるも、その後リスクが減少して15~30年で非喫煙者と同レベルにまで下がること、また禁煙後の体重増加にかかわらず死亡率が大幅に減少することが示されている。能登氏は「禁煙して数年間は糖尿病が増加するリスクはあるが体重を管理すればそのリスクも減少し、いずれにしても死亡リスクが減少することから、タバコをやめるのに越したことはない。禁煙するように指導することは重要であり、禁煙直後は食事療法や運動療法で体重が増えないように療養指導するべき」と述べた。 喫煙と糖尿病合併症との関連をみると、とくに糖尿病大血管症リスクとの関連が大きい。また、糖尿病によってがんリスクが増加することが報告されているが、喫煙によって喫煙関連がん(膀胱、食道、喉頭、肺、口腔、膵臓がん)の死亡リスクが4倍、なかでも肺がんでは約12倍に増加するため、糖尿病患者による喫煙でがんリスクは一層高まる。また、糖尿病合併症である歯周病、骨折についても喫煙と関連が示されている。禁煙は「一気に」「徐々に」どちらが有効か 禁煙のタイミングについては、喫煙歴が長期間であったとしても、いつやめても遅くはない。禁煙半年後には、循環・呼吸機能の改善、心疾患リスクが減少し、5年後には膀胱がん、食道がん、糖尿病の発症リスクが減少することが示されている。 では、どのような禁煙方法が有効なのだろうか。コクランレビューでは、断煙法(バッサリやめる)と漸減法(徐々にやめる)の成功率に有意差はなかった。短期間(6ヵ月)に限れば断煙法の禁煙継続率が高いという報告があるが、個人差があるため、まず患者さんの希望に合わせた方法を勧め、うまくいかなければ別法を勧めるというのがよいという。代替法としてはニコチンガムやパッチなどがあるが、近年発売された電子タバコ*を用いる方法も出てきている。最近、禁煙支援で電子タバコを使用した場合、ニコチン代替法より禁煙成功率が1.8倍高かったという研究結果が報告された。能登氏は、「煙が出るタバコの代わりに電子タバコを吸い続けるというのは勧めないが、禁煙するときに電子タバコを用いた代替法もいいかもしれない」と評価した。 能登氏は最後に、「糖尿病とがんに関する日本糖尿病学会と日本学会による医師・医療者への提言」から、日本人では糖尿病は大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスク増加と関連があること、糖尿病やがんリスク減少のために禁煙を推奨すべきであること、糖尿病患者には喫煙の有無にかかわらず、がん検診を受けるように勧めることが重要であることを説明した。がん検診については、聖路加国際病院では患者さんの目につく血圧自動測定器の前に「糖尿病の方へ:がん検診のお勧め」というポスターを貼っていることを紹介し、講演を終えた。*「電子タバコ」は「加熱式タバコ」(iQOS、glo、Ploom TECHなど)とは異なる

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オピオイド使用障害に持効性ブプレノルフィン注が有用/Lancet

 オピオイド使用障害治療の月1回皮下注薬であるRBP-6000(徐放性ブプレノルフィン:BUP-XR)について、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験の結果、プラセボと比較してオピオイド断薬率が有意に高く、忍容性も良好であることが示された。米国・Indivior社のBarbara R. Haight氏らが報告した。BUP-XRは、月1回投与によりオピオイド乱用の薬物嗜好を遮断するブプレノルフィン血中濃度を維持し、同時に離脱症状や渇望症状をコントロールすることから、医療現場ではBUP-XRの投与が中毒や乱用等も軽減することが期待されていた。Lancet誌2019年2月23日号掲載の報告。BUP-XRの2つの用量についてオピオイド断薬率をプラセボと比較 研究グループは2015年1月28日~11月12日に、米国の36施設で、18~65歳の治療を要する中等度~重度オピオイド使用障害(DSM-5)患者を、ブプレノルフィン/ナロキソン舌下フィルム剤による最長2週間の非盲検導入試験に登録し、その後、適格患者についてBUP-XR300mg/300mg(300mg×6回注射)、BUP-XR300mg/100mg(300mg×2回+100mg×4回注射)、またはそれぞれのプラセボ群に4対4対1対1の割合で音声自動応答/Web応答システムを用いて無作為に割り付けた。いずれも28日ごとに投与するとともに、個別に週1回の薬物療法のカウンセリングを行った。ブプレノルフィンの追加投与は不可とした。 有効性の主要評価項目は、尿検査陰性および5~24週におけるオピオイド不正使用の自己報告で確定したオピオイド断薬率である。オピオイド断薬率は、プラセボ5%に対しBUP-XR両群で約41~43% スクリーニングされた1,187例中665例が導入試験に登録され、504例がBUP-XR300mg/300mg(201例)、BUP-XR300mg/100mg(203例)、またはプラセボ(各群50例、計100例)の投与を受けた。 オピオイド断薬率(平均±SD)は、BUP-XR300mg/300mg群41.3±39.7%、BUP-XR300mg/100mg群42.7±38.5%、プラセボ群5.0±17.0%であった(BUP-XR両群でp<0.0001)。BUP-XR投与中に非オピオイド系薬の代償的使用は確認されなかった。 主な有害事象は、頭痛(BUP-XR300mg/300mg群8%、BUP-XR300mg/100mg群9%、プラセボ群6%)、便秘(それぞれ8%、9%、0)、悪心(18%、9%、5%)、注射部位の掻痒感(9%、6%、4%)であった。注射部位反応はBUP-XRの投与を受けた患者の5%以上で報告されたが、その多くが軽度で治療を制限するものではなく、BUP-XRの安全性プロファイルはオピオイド使用障害に対する他のブプレノルフィン製剤と一致していた。

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プライマリケアでの抗菌薬処方、推奨期間を超過/BMJ

 英国では、プライマリケアで治療されるほとんどの一般感染症に対し、抗菌薬の多くがガイドラインで推奨された期間を超えて処方されていたことが、英国公衆衛生庁(PHE)のKoen B. Pouwels氏らによる横断研究の結果、明らかとなった。プライマリケアにおける抗菌薬の使用削減戦略は、主に治療開始の決定に焦点が当てられており、抗菌薬の過剰な使用に、どの程度治療期間が寄与しているかは不明であった。著者は、「抗菌薬曝露の大幅な削減は、処方期間をガイドラインどおりにすることで達成できる」とまとめている。BMJ誌2019年2月27日号掲載の報告。13適応症に対する抗菌薬の実際の処方期間とガイドラインの推奨期間を比較 研究グループは、英国プライマリケアの大規模データベース(The Health Improvement Network:THIN)を用い、2013~15年にプライマリケアで13の適応症(急性副鼻腔炎、急性咽頭炎、急性咳嗽/気管支炎、肺炎、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪、急性中耳炎、急性膀胱炎、急性前立腺炎、腎盂腎炎、蜂窩織炎、膿痂疹、猩紅熱、胃腸炎)のうち、いずれか1つに対して抗菌薬が処方された93万1,015件の診察を特定し、解析した。 主要評価項目は、ガイドラインの推奨期間よりも長く抗菌薬が処方された患者の割合と、各適応症に対する推奨期間を超えた合計処方日数であった。呼吸器感染症では80%以上がガイドラインの推奨期間超え 抗菌薬が処方された主な理由は、急性咳嗽/気管支炎(38万6,972件、41.6%)、急性咽頭炎(23万9,231件、25.7%)、急性中耳炎(8万3,054件、8.9%)、急性副鼻腔炎(7万6,683件、8.2%)であった。 上気道感染症と急性咳嗽/気管支炎への抗菌薬処方が、全体の3分の2以上を占めており、これらの治療の80%以上がガイドラインの推奨期間を超えていた。一方で、注目すべき例外としては、急性副鼻腔炎の治療で9.6%(95%CI:9.4~9.9%)のみが推奨期間の7日を超えており、急性咽頭炎については2.1%(95%CI:2.0~2.1%)のみが同10日を超えていた(最新の推奨期間は5日間)。女性の急性膀胱炎に対する抗菌薬の処方では、半分以上が推奨期間よりも長く処方されていた(54.6%、95%CI:54.1~55.0%)。 大半の非呼吸器感染症では、推奨期間を超えて抗菌薬が処方された割合は低値であった。抗菌薬を処方した診察93万1,015件において、ガイドラインの推奨期間を超えて抗菌薬が処方された期間は約130万日間であった。

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死と隣り合わせの日々を超えて(解説:岡村毅氏)-1012

 集中治療室(ICU)では、患者は緊迫した部屋の中でさまざまな機械につながれる。陽の光は当たらず、時間もわからないこともある。睡眠は浅くなり、感覚は麻痺してゆく。患者はコミュニケーションができない状態であることもある。しかし自分以外の多くの患者が苦しみ、時に亡くなることはよくわかる。それはあまりにも苛烈な体験である。生き延びて無事に退院しても、「今も自分がそこにいるような体験をする」「多少似ているだけのものをも回避する」「常に覚醒し休まらない」といった事態が起きる。心的外傷後ストレス障害(PTSD)である。 これに対して実際的で合理的なアプローチをしたのが本研究である。看護師が専門家の指導の下PTSDについて学び、環境を改善し、簡単な認知行動療法的な介入をするというものである。 PTSDというと精神分析的な深い介入をイメージする方も多いかもしれないが(そのような謎のヴェールに包まれた精神医学介入はとても魅力的に聞こえるが)、ここでは専門家の指導の下であえて実装可能な「浅い」介入をしている。簡単に言えばICUを少しでもストレスのない環境にしようとしているとも言える。 実は筆者も1年ほど救命センターで働いたことがある(およそ20年近く前の昔話をすることをお許しいただきたい)。そのころの救急はとてもマッチョな世界だった…今はまったく違うだろうが。最高に頭脳を使わねばならない救急専門医の指導医の方々は、とても真摯な方々であったが、(人生をすべて捧げているというのに)正当に遇されているといえず、寝不足の中で単純肉体労働すらさせられ、疲弊しておられた。そういう環境ではゆっくりと「ここは厳しい治療の場だ」「つらくても頑張るべき」「強いものが生き残る」という世界観がわれわれを支配しようとする。もちろん患者さんにそんな態度をするスタッフはいないが、スタッフが疲弊しているとそういう雰囲気は自然とにじみ出てしまう。私のささやかな個人的経験を普遍化してはならないが、集中治療の現場を少しでもしなやかなものにしようとする本研究の価値を伝えるにあたり、少しでも説得力を持たせるために個人的な経験を少し記した。 本研究では残念ながら介入によってPTSD症状に有意な改善はなかった。ICUでの日々はそれほどまでに苛烈な体験だということなのであろう。でもこういう小さな変化が重要なのだ。たとえば精神科医としての私は診察室の座る位置、パソコンモニターの角度、椅子の高さなどの細部は診察前に必ず修正する。つまらないことであるが、こういう小さな変数が重要であることを知っているからだ。そしてこれらは数秒で介入可能なのである。本研究は「できることをする、小さなことでも、一歩一歩進む」そういう研究である。この研究グループは賢く、現実的だ。

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リアル悪夢【Dr. 中島の 新・徒然草】(262)

二百六十二の段 リアル悪夢前回のブログが、なぜか人気記事のランキングに入り、なんと2位までいったので驚きました。おそらくは担当者のつけた「学会発表でのブーイング」というタイトルがうまく、人々の興味をひいたようです。たぶん読者の皆様には、・「学会発表でのブーイング!」って?・何か珍発表でもして恥をかきよったんか!・どれどれ、ひとつどんな大惨事になったのか読んでやろうと期待されたのでしょう。内容は悪夢の話だったので、実際にブーイングにさらされたわけではありません。ガッカリさせてしまった人には謝ります。すみません。さて、実は本当に人前で話をして大失敗したことがあります。思い出したくもないリアル悪夢ですが、今回は恥を忍んでその時の経験を述べましょう。もう何十年も前、学生時代の事です。医学部に入ってきた新入生に対して、各クラブが宣伝する時間が設けられました。そこで、私も卓球部に新人を獲得すべく出かけていったのです。ところが、何を話すのかをまったく考えておらず、ぶっつけ本番でしゃべってしまいました。今思えば、これが大間違い。大阪という土地柄、何か面白い事をいって笑わせたモノが勝ちであり、何一つ笑いをとれなかったモノは負けなのです。それぞれが会場を爆笑させながら勧誘する中、何も気の利いたことの言えなかった私は、一敗地に塗れてしまいました。「中島さんのことやから、きっと面白いに違いない!」「いつものギャグが炸裂するぞ」そう思って見物に来ていた後輩たちの期待を見事に裏切ってしまいました。あまりの不甲斐なさに私の出番の直後、彼らが「この中で卓球の経験のある人はいませんか?」「ちょっとでも卓球に興味のある人は手を上げてください」と呼びかけたのですが、冷え切った会場からは何の反応もなし、まったくのゼロ。全然ダメだった私のプレゼンテーションに比べて、素晴らしかったのはラグビー部でした。会場の新入生の中に何人かサクラを忍ばせておき、質疑応答させたのです。勧誘者「以上で私の話は終わりです。何か質問はありませんか?」サクラ1「はい! ラグビーは練習がキツイと聞いていますけど」勧誘者「まったくそんな事はありません。大丈夫です」サクラ2「初心者でもついていけますか?」勧誘者「全員が初心者です。心配しなくていいですよ」サクラ3「ラグビー部に入りたくなってきました」勧誘者「大歓迎です。一緒に頑張りましょう」サクラ1「僕も入りたいです!」サクラ2「僕も入れてください!」勧誘者「よし、今夜は大歓迎会だ」サクラ全員「やった!」完全に会場の心をつかんでしまった鮮やかなやりとりを横目に、私は決意しました。「これからはどんな簡単なスピーチでも必ず原稿を準備するぞ」と。以来、あらかじめ分かっている場合は声に出して練習を重ね、急に指名された時などでも、簡単に4つか5つのキーワードをメモしておき、途中で詰まったときに備えています。何事も準備が大切ということですね。どうか読者の皆様も心掛けてください。最後に1句準備せず 本番臨めば 地獄待つ

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ASCO-GU2019レポート 前立腺がん

レポーター紹介ASCO-GU 2019に参加してきました。ASCO-GU前夜にレストランで前列左から鈴木先生(東邦大学医療センター佐倉病院 教授)杉元先生(香川大学教授)、後列左から松原先生(国立がん研究センター 東病院)、私(三好:横浜市立大学附属市民総合医療センター)、加藤先生(香川大学)2019年2月14日~16日のスケジュールで、ASCO-GU 2019が開催されました。学会正式名称はGenitourinary Cancers Symposium 2019、場所は今年もサンフランシスコ Mosconeセンターです。学会参加者は年々増えていて2016年3,320人、2017年3,409人、2018年4,300人、今年の参加者は4,400人とのことです。抄録の55%が米国外からで、総数765件、疾患別では前立腺がんの抄録が最多で進行前立腺がん232件、限局性前立腺がん151件だそうです。全体の約半数が前立腺がんの抄録のようです。今回は1泊4日での参加でしたので初日に行われた前立腺がんのsessionしか聴講できませんでした。この中から気になる注目演題3つを取り上げたいと思います。ARAMIS:efficacy and safety of darolutamide in nonmetastatic castration-resistant prostate cancer.(Poster Session A, board A4)【Abstract No.:140】First Author:Karim FizazinmCRPC(非転移性去勢抵抗性前立腺がん)におけるdarolutamide(本邦未承認)の有効性を示した第III相ランダム化比較試験、ARAMIS試験の結果です。nmCRPCはsurvivalが比較的長く、OSに代わる適切なsurrogate endpointがないために、これまで臨床試験が組まれなかった経緯があります。しかしながら米国にて年間5~6万人のnmCRPC患者発生があるとの推計もあり、nmCRPCの治療はunmet needsとされてきました。FDAにおいてmetastasis-free survival(MFS)がOSのsurrogate endpointとして設定され、それに基づいてapalutamide(本邦未承認)(SPARTAN試験)、enzalutamide(PROSPER試験)のnmCRPCにおけるMFS改善効果が2018年に報告されました。今回発表されたのはdarolutamideです。darolutamide はapalutamide、enzalutamideと同様に新規抗アンドロゲン薬に分類される薬剤です。今回darolutamide(ARAMIS試験)のMFS改善効果が発表され、同日N Engl J Medに報告されています。背景:nmCRPCの治療としてapalutamide、enzalutamideがありますが、fall、fracture、other adverse eventsとの関連が報告されています。darolutamideはapalutamide、enzalutamideとは構造が異なり、blood-brain barrierを通過しにくいため、中枢神経系への副作用が少なく忍容性が改善される可能性があると報告されています。また、darolutamideはARへのaffinityは高く、GABA-Aへの親和性や薬物相互作用が低いと報告されています。ARAMIS試験trial design:PSADT10ヵ月未満のハイリスクnmCRPC 1,509例を2:1にランダム化したdarolutamide1,200mg+ADT vs.プラセボ+ADTの比較試験のprimary endpointはMFSです。MFSは遠隔転移または死亡と定義されています。画像検査は16週間ごとに行われ、もしbaselineの状態がindependent reviewで遠隔転移と診断されると、baseline eventとしてカウントされます。secondary endpointはOSなどです。患者:PSADTは6ヵ月以下のハイリスク症例が両群とも約7割、Bone-sparing agentの使用は3~6%です。結果:primary endpointであるMFSはHR:0.41(95%CI:0.34~0.50)、p

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ナッツ摂取、糖尿病患者でCVD・全死亡減:大規模前向きコホート

 心血管疾患(CVD)合併や早期死亡の予防に、ナッツ類(とくに木の実)の摂取を増やすことは、糖尿病診断後いつからでも遅くはないのかもしれない―。これまで、CVDをはじめとした慢性疾患発症に対するナッツ摂取の効果が報告されてきたが、2型糖尿病とすでに診断された患者に対するナッツ摂取の長期的ベネフィットについては、エビデンスが十分ではなかった。米国・ハーバードT.H.Chan公衆衛生大学院のGang Liu氏らが、看護師健康調査(1980~2014年)と医療従事者追跡調査(1986~2014年)の参加者のうち、ベースライン時あるいは追跡期間中に2型糖尿病と診断された1万6,217例について行った試験で明らかにしたもので、Circulation Research誌オンライン版2019年2月19日号で発表した。 本研究は、ナッツ摂取量と冠動脈疾患(CHD)や脳卒中を含むCVDリスク、全死因死亡率と疾患特異的死亡率の関連を調べることを目的として行われた。ナッツ摂取は総量のほか、木の実やピーナッツといった、特定種類の摂取量についても検討された。なお、ナッツ摂取量は食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価され、2~4年ごとに更新された。 主な結果は以下のとおり。・延べ追跡期間は22万3,682~25万4,923人年。その間に3,336例がCVDを発症し、5,682例が死亡した。・総ナッツ摂取量の増加は、CVD発生率および死亡率低下と関連した。・週5サービング(1サービング=28g)以上のナッツ摂取量が多い参加者は、月に1サービング未満の少ない参加者と比較して、総CVD発生率(多変量調整後のハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[95%CI]:0.71~0.98、傾向のp=0.01)、CHD発生率(HR:0.80、95%CI:0.67~0.96、傾向のp=0.005)、CVD死亡率(HR:0.66、95%CI:0.52~0.84、傾向のp<0.001)、全死因死亡率(HR:0.69、95%CI:0.61~0.77、傾向のp<0.001)が低かった。・総ナッツ摂取量は、脳卒中発症やがんによる死亡率と有意な関連はみられなかった。・木の実(クルミ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、マカダミア、ヘーゼルナッツなど)の摂取量が多いほど、総CVDおよびCHD発生率、CVDとがんによる死亡率、全死因死亡率が低下していた。一方、ピーナッツ摂取量の増加は、全死因死亡率の低下のみと関連していた(すべて、傾向のp<0.001)。・糖尿病と診断後に総ナッツ摂取量を変えなかった参加者と比較して、診断後に摂取量を増やした参加者は、CVDリスクが11%、CHDリスクが15%低かった。また、CVD死亡率は25%、全死因死亡率は27%低かった。・これらの関連は、性別/コホート、糖尿病診断時のBMI、喫煙状態、糖尿病罹患期間、糖尿病診断前のナッツ摂取量、または食事の質によって層別化されたサブグループ分析においても持続した。■関連記事ナッツを毎日食べる人ほど健康長寿/NEJM本当にナッツが血糖改善するか?

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尿失禁が生命予後に影響?OABに早期介入の必要性

 わが国では、40歳以上の約7人に1人が過活動膀胱(OAB)を持ち、切迫性尿失禁を併せ持つ割合は70%を超えると推定されている。定期通院中の患者が症状を訴えるケースも多く、専門医以外でも適切な診療ができる環境が求められる。 2019年2月28日、OAB治療薬「ビベグロン錠50mg(商品名:ベオーバ)」の発売元であるキョーリン製薬とキッセイ薬品が共催したメディアセミナーにて、吉田 正貴氏(国立長寿医療研究センター 副院長 泌尿器外科部長)が講演を行った。本セミナーでは、「OABの病態と治療―新たな治療選択肢を探るー」をテーマに、高齢のOAB患者を取り巻く現状と薬物療法について語られた。“過活動膀胱”もしくは“低活動膀胱”を持つ高齢者が増加 OABとは、尿意切迫感を必須症状とし、しばしば昼間/夜間頻尿や切迫性尿失禁を伴う症状症候群である。発症率は加齢とともに上がり、ホルモン変化、神経疾患や局所性疾患、生活習慣病など、さまざまな要因が関与すると考えられている。とくに最近では、下部尿路への血流の悪さが発症要因の1つとして注目されている。 吉田氏は、高齢者におけるOAB診療の問題点として、加齢に伴う副作用(口内乾燥、便秘)の発生頻度増加、フレイルとサルコペニア、認知症への影響、多剤服用の4つを提起した。さらに、高度の慢性膀胱虚血は、排尿筋の活動低下“低活動膀胱”を引き起こす。これは、近年増加しているため、高齢者に抗コリン薬を使用する際にはとくに注意が必要だという。フレイルと尿失禁による生命予後の悪化が危惧される 続いて、高齢者のフレイルと尿失禁の併発による生命予後への影響が語られた。これまでに、65~89歳の尿失禁有症者は尿禁制者に比べ、フレイルへ分類される可能性が6.6倍にもなること1)や、フレイルは1年以内の尿失禁発症の予測因子となり、尿失禁は1年後の死亡リスク上昇につながる恐れがあること2)などが海外で報告されている。 尿失禁がある患者は、臭いやトイレの近さを気にするため引きこもりがちになり、筋力が低下しやすいことを指摘し、「高齢者のフレイルや尿失禁は、生命予後にかかわる可能性があり、OAB患者の尿失禁にはとくに早期に介入していく必要がある」と強調した。高齢者のOAB治療における薬剤選択は慎重に行うべき 今回紹介されたビベグロンは、国内で2番目のβ3受容体作動薬で、膀胱の伸展を増強する。国内第III相比較試験では、プラセボ群に対して、1日の平均排尿回数を有意に減らし、すべての排尿パラメータを改善するなどの結果を収め、世界で初めてわが国で承認された薬剤だ。長期投与における安全性と有効性も確認されており、過活動膀胱診療ガイドライン(2015)の次回改定では、既存の同効薬ミラベクロンと同様の推奨グレードになる見通しだという。 同氏は、高齢者OAB患者に対する薬物療法の注意点について、ガイドラインに記載される6項目を紹介した。1.少量で開始し、緩やかに増量する2.薬剤用量は若年者より少なくする(開始量の目安は成人量の4分の1~2分の1)3.薬効を短期間で評価する:効果に乏しい場合は漫然と増量せず、中止して別の薬に変更4.服薬方法を簡易にする:服薬回数を減らす5.多剤服用を避ける:認知症患者ではとくに注意が必要6.服薬アドヒアランスを確認する:在宅患者では、一元的な服薬管理と有害事象の早期発見が重要 最後に、「高齢社会でOAB患者は増加しているが、これは健康寿命の延伸を抑制する一因となっている。高齢者の診療に当たって、多剤服用はフレイルの増悪因子であり、安易な薬剤の追加には注意が必要。とくに、抗コリン薬は認知機能やせん妄にも影響する恐れがあるため、患者の状況をしっかり確認して、慎重に治療薬を選択してほしい。β3受容体作動薬は、抗コリン作用を持たないため、高齢者にも比較的安全に使用できる可能性がある」と締めくくった。

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心不全患者への在宅移行支援、予後は改善せず/JAMA

 心不全入院患者に対する、看護師などによる患者中心の在宅移行支援は、入院中の担当医の裁量の下で行われる通常ケアと比べて、再入院や救急受診などの複合臨床アウトカムを改善しなかったことが、カナダ・Population Health Research InstituteのHarriette G. C.Van Spall氏らによる、約2,500例を対象に行ったクラスター無作為化試験の結果、示された。在宅移行支援は心不全患者のアウトカムを改善可能とされるが、これまで系統的な検証は行われていなかったという。ただし、今回の試験はカナダ・オンタリオ州で行われたものであることを踏まえて著者は、「ほかのヘルスケアシステムや地域で有効かどうかのさらなる検討が必要だろう」と述べている。JAMA誌2019年2月26日号掲載の報告。退院後のセルフケア教育やかかりつけ医への受診予約などを提供 研究グループは、在宅移行支援モデル「Patient-Centered Care Transitions in HF(PACT-HF)」の有効性を評価する目的で、2015年2月~2016年3月にかけて、カナダ・オンタリオ州の10病院で、心不全で入院した2,494例の成人患者を対象に試験を行った。対照期からある時点で介入期へ移行するステップ・ウェッジ(stepped-wedge)法でのクラスター無作為化試験を行い、2016年11月まで追跡した。 同グループは試験対象病院を無作為に2群に分け、一方を介入群(1,104例)として、退院時に看護師が患者に対し、セルフケア教育と個別的に作成された退院サマリーの提供を行い、退院後1週間以内のかかりつけ医への受診予約を手配した。また高リスク患者に対しては、看護師による組織的な訪問看護と心機能に関する外来ケアを行った。 もう一方は対照群(1,390例)として、在宅移行期のケアについては入院中の担当医の裁量に任せた。 主要アウトカムは、階層的に順位付けて評価した複合アウトカムで、(1)退院3ヵ月時点で評価したあらゆる再入院・救急受診・死亡の複合(第1複合アウトカム)、(2)30日時点のあらゆる再入院・救急受診(第2複合アウトカム)だった。 副次アウトカムは、退院準備に関する「B-PREPARED」スコア(範囲:0[最良]~22[最少])、移行期ケアの質に関する指標「3-Item Care Transitions Measure:CTM-3」(範囲:0[最も悪い]~100[最良])、生活の質に関する指標「5-level EQ-5D:EQ-5D-5L」(範囲:0[死亡]~1[健康状態最良])、質調整生存年(QALY、範囲:0[死亡]~0.5[6ヵ月時点で健康状態最良])だった。退院準備や移行期ケアの質などは向上 被験者2,494例は、平均年齢77.7歳、1,258例(50.4%)が女性だった。 主要アウトカムの発生について、第1複合アウトカムは介入群49.4%(545件)、対照群50.2%(698件)と、両群で有意差はみられなかった(ハザード比[HR]:0.99、95%信頼区間[CI]:0.83~1.19)。第2複合アウトカムも、それぞれ27.5%(304件)、29.3%(408件)と有意差はみられなかった(HR:0.93、95%CI:0.73~1.18)。 一方、副次アウトカムについて、6週時点の平均B-PREPAREDスコアが、介入群16.6 vs.対照群13.9(群間差:2.65[95%CI:1.37~3.92]、p<0.001)、平均CTM-3スコアが76.5 vs.70.3(6.16[0.90~11.43]、p=0.02)と有意差が認められた。平均EQ-5D-5Lスコアも、6週時点で0.7 vs.0.7(0.06[0.01~0.11]、p=0.02)、6ヵ月時点で0.7 vs.0.6(0.06[0.01~0.12]、p=0.02)と有意差があった。しかし、6ヵ月時点の平均値QALYは0.3 vs.0.3(0.00[-0.02~0.02]、p=0.98)で有意差は認められなかった。

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小児ピーナッツアレルギー、経皮免疫療法は有効か/JAMA

 4~11歳のピーナッツアレルギーの患児に対するピーナッツパッチを用いた経皮免疫療法は、プラセボ投与と比べて、12ヵ月時点の評価でピーナッツへの耐性が強化された患児の割合が21.7ポイント高かった。米国・コロラド大学デンバー校のDavid M. Fleischer氏らが356例の患児を対象に行った、第III相プラセボ対照無作為化比較試験の結果で、JAMA誌オンライン版2019年2月22日号で発表された。ピーナッツアレルギーについては承認された治療法がまだない。今回示された結果について研究グループは、「事前に規定した“肯定的な試験結果”としての信頼区間(CI)下限値を満たさなかった。しかし、そもそも達成すべき下限値の臨床的な妥当性については議論の余地がある」と述べている。250μgピーナッツ蛋白含むパッチを使用 研究グループは2016年1月8日~2017年8月18日にかけて、5ヵ国の31医療機関を通じて、4~11歳のピーナッツアレルギー患児356例を対象に試験を行った。 対象児は、重度アナフィラキシー歴がなく、300mg以下のピーナッツ蛋白の誘発用量投与によるプラセボ対照二重盲検食物負荷試験で他覚症状が認められた場合に登録された。 被験児を無作為に2群に分け、一方には250μgのピーナッツ蛋白を含むピーナッツパッチを(パッチ群)、もう一方にはプラセボパッチを(プラセボ群)、いずれも12ヵ月間貼付した。 主要アウトカムは、ベースラインと12ヵ月時点の食物負荷試験で確認されたピーナッツ蛋白誘発用量(高用量で症状発現/即時に過敏性反応が発現)をベースとした、両群のresponderの割合(%)の差だった。responderの定義は、ベースラインの誘発用量10mg以下の場合は介入後の誘発用量300mg以上とし、ベースラインの同用量10~300mgの場合は介入後の同用量1,000mg以上とした。 また、主要アウトカムの95%CI下限値15%以上を、「肯定的な試験結果」として事前に規定した。 そのほか、治療関連有害イベント(TEAE)を集めて有害イベント評価を行った。responderはパッチ群35%、プラセボ群14% 被験児356例の年齢中央値は7歳、男児の割合が61.2%で、試験を完了したのは89.9%、治療アドヒアランス平均値は98.5%だった。 responderの割合は、プラセボ群13.6%に対し、ピーナッツパッチ群では35.3%と有意に高率だった(群間差:21.7%、95%CI:12.4~29.8、p<0.001)。しかし、CI下限値は事前規定の15%を下回っていた。 主にみられたTEAEはパッチ貼付部反応で、パッチ群95.4%、プラセボ群89%で認められた。あらゆる原因による貼付中止の発生率は、パッチ群10.5%、プラセボ群9.3%だった。

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統合失調症患者の認知機能に対するNMDA受容体増強薬のメタ解析

 いくつかのN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体増強薬は、統合失調症の認知機能に対して有望な薬剤であるといわれている。しかし、その研究結果は矛盾している。台湾・中国医薬大学のChun-Hung Chang氏らは、認知機能に対するNMDA受容体増強薬の効果について、最新のメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2019年2月7日号の報告。 統合失調症患者の認知機能に対するNMDA受容体増強薬の効果に関して、2018年9月までの研究を、PubMed、コクラン比較臨床試験レジストリおよびシステマティックレビューより検索した。認知機能評価尺度を用いた二重盲検ランダム化プラセボ試験を含んだ。追加のNMDA受容体増強薬との比較を行うため、ランダム効果モデルを用いた。認知機能スコアは、ベースライン時とその後のレベルを比較し、NMDA受容体陽性モジュレーターを、標準化平均差(SMD)、95%信頼区間(CI)を用いて評価した。ファンネルプロットとI2統計を用いて、不均一性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・25件の研究より、1,951例が抽出された。・全体的な認知機能に対するNMDA受容体増強薬の効果は、プラセボと比較して小さく、有意ではなかった(SMD:0.068、95%CI:-0.056~0.193、p=0.283)。・30~39歳の患者を対象とした試験において、有意な効果が認められた(SMD:0.163、95%CI:0.016~0.310、p=0.030)。・男性において、全体的な認知機能に対するNMDA受容体陽性モジュレーターのより小さな効果が認められた。・認知領域のサブグループメタ解析では、N-アセチルシステイン(NAC)の作業記憶に対する有意な効果が認められた(相互作用に対するp値:0.038、SMD:0.679、95%CI:0.397~0.961、p<0.001)。 著者らは「本メタ解析では、全体的な認知機能に対するNMDA受容体増強薬の有意な効果は認められなかった。しかし、サブグループ解析では、比較的若い統合失調症患者に対するNMDA受容体増強薬の効果、およびNACの作業記憶に対する効果が示唆された。これらの認知領域を評価し、そのメカニズムを明らかにするためにも、より大規模なサンプルによる追加試験が求められる」としている。■関連記事統合失調症の認知機能に対するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬2つのNMDA受容体拮抗薬、臨床像はなぜ異なるのか統合失調症の認知機能障害、コリン作動系薬の可能性

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