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Evidence Based Medicine追求への神髄を見た(解説:岡慎一氏)-1092

 ホルモン薬を使った避妊方法はいくつかある。その中で、黄体ホルモン製剤であるメドロキシプロゲステロン酢酸エステル剤の筋注薬(DMPA-IM)は、避妊には有効であるが、30年来の観察研究からHIV感染のリスクを高める可能性があるとされていた。とくに、2つのメタアナリシスの結果では、この避妊法は他の方法に比べ40~50%もHIV感染リスクを高めるとされていた。しかし、WHOの見解では、対象となった多くの論文は、重大なlimitationを抱えており、有効で安全な避妊法の質の高いエビデンスを出すためには、追加の研究が必要であると結論付けた。 問題はここからである。この研究では、Evidenceを追究するために、どの避妊法がHIV感染率を高めるのかを比較するRCTを行ったのである。対象者は、避妊を希望するsexually activeな若い女性である。倫理的な問題はかなり議論されたようである。3つの方法を比較しているが、各群2,600人以上を組み入れている。もちろん、HIVに感染しないためのsafer sex promotion packageも十分行っている。DMPA-IM群には、4.19/100PYのHIV感染が起こり、他の2群3.94/100PY、3.31/100PYよりやや高めに見えるが、3群間に有意な差はなかった。この結果から、EBMとしてガイドラインには、3つの避妊法はいずれも有効で、HIV感染予防を一緒に行うことが推奨されるであろう。アフリカの女性にとって避妊も大事である。あっぱれな研究である。

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第25回 心電図の壁~復刻版~(後編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第25回:心電図の壁~復刻版~(後編)さて、前回に引き続き復刻版の『心電図の壁』*をお届けします。Dr.ヒロの自伝的回想録から、心電図に苦手意識を持つ人の困難を乗り越えるためのヒントになるようお届けします。では、後半戦のはじまり~!*杉山裕章. 内科医の道[電子版エッセイ]. 医学書院;2012.第48回. (※2018年に公開終了)3年目からは循環器レジデント生活だった。有名な先生もいる病院で、今度こそ心電図を教えてもらえるかと思った。でも、当時は専門医取得に向けての研修カリキュラムなども明確ではなく、上司の先生は皆あまりに多忙過ぎだった。しかも、大半のレジデントにとって紙カルテから抽出したデータを用いて学会発表をする、あるいは作りたての院内データベースを使って論文を書くことが“ステータス”であり、多くの者たちがそれを競った。けれども、当時の自分は、レジデントとして知りたいこと・やりたいことを別の部分に見いだしていた(理由はいくつかあるが、生来のヘソ曲がりが悪く作用したのか!?)。当然、データ集計も滞りがち、統計解析も“数遊び”に思えてしまい、なぜかあまり興味がわかなかった(その後、大学院生になった時、一から学び直すのに苦労したが)。結果、また一つ“劣等生”の称号が増えたのかもしれなかった。ただ、この病院で初めて本格的な不整脈の世界に触れた。ちょうど国内で普及し始めた植込み型除細動器(ICD)や両心室ペーシングを用いた心臓再同期療法(CRT)、さらにCARTO®などの三次元マッピングシステムや心房細動を含むカテーテルアブレーション…見るモノ聞くモノすべてが新鮮だった。同僚たちが冠動脈造影やインターベンション(PCI)のとりこになるなか、かつてマニアック路線だった不整脈分野の技術革新を肌で感じ、基本技能の習得に邁進することができた。しかしながら“道”は決して容易ではなかった。現在の日常臨床に広く浸透した12誘導心電図は体表から記録される、いわば“地上”の情報だが、“地下”で起きている電気現象を観察する心臓電気生理学検査(EPS)1)の存在が自分にとっては新たなハードルとなった。しかも、“地上”の心電図は静止画だが、“地下”の世界は動画だった。今ではほとんど何の苦労もなく理解できる心内心電図にも目が泳いだ。何でも出だしにつまずく自分は、カンファレンスで発表しなくてはならない不整脈解析にも当初は5〜6時間くらいかかった2)。横に座って丁寧に教えてくれる“個別指導”的な先生などはおらず(そういうのも何だかムズがゆく感じる性分だが…)、ほとんど独学のOJT(On-the-Job training)に近かったと思う。文字通りの真っ暗闇からスタートした“地下”探索は、体表面心電図の“壁”よりもさらに苦しいものだった。現在も業界のトップを走る大家の先生に、「先生、そんなレベルだと一生EPなんて読めるようにはならないと思うよ」と言われひどく落ち込んだ記憶が今も時々思い起こされる。でも、なぜかここでも諦めなかった。2年ほど続けると、12誘導心電図の“地上”情報だけを見せられても、その裏、すなわち“地下”でどんな現象が起きているかが想像できるようになった。院内では優秀な同僚たちにだいぶと水をあけられたが、“心電図の壁”が崩落する音が微かに聞こえた気がした。今思い返せば、心の耳に聞こえた独特の感覚は、おぼろげながら“何か”をつかんだ瞬間だったのだと思う。いつしか、心電図も不整脈もそれほど怖くはなくなっていた。今、不整脈をどう考えるかを伝える時、なるべくわかりやすい形で“地下”の世界を紹介しようと思っているのも、この経験からだ3)。1:いわゆるイーピー(EP:電気生理学)・スタディと呼ばれている検査で、カテーテルアブレーションでの基本情報ともなる。心臓の中に留置した電極カテーテルから記録する「心内心電図」という理解で良く、10~20、時には30近いカラフルな波形が同時に画面上に描かれる。2:週に2~3件を担当するなか、1症例にこれだけの時間をかけていたとは…“電気部屋”と呼ばれた解析装置のある部屋に深夜、週末問わずに入り浸った。元々こもるタイプなのかもしれないな、ボクは(笑)3:個人的には、専門性の高い心内心電図を誰もが習得すべき内容だとは思わない(循環器専門医でも苦労する人が多い)。ただ、それをデフォルメしたラダーグラム(laddergram)は、“動く地下”の様子を静止画にしたもので、不整脈心電図の理解に有用である。これが理解できると、心臓の中で今どんな電気の流れが起きているのか、想像力もかき立てられワクワクする。その後、自身の出た大学に戻った。不整脈中心の臨床業務もこなしたが、大学院生にはレジデント時代よりも時間に余裕があった。執筆業が加速したのもこの時期だ。また、某企業のホルター心電図解析センターで判読レポート作成のアルバイトも始めた。数年間で4,000件以上のホルター冊子と向き合うこととなり、ささやかながら研究成果4)、書籍化5)にもつながる貴重な体験だった。EPSとも12誘導とも異なる視点で心電図を眺め続けたのも能力アップにつながったように思う。いつしか心電図が“大好き”に変わっていた。三度の飯より、いや、それどころか決して裏切らない“友達”にすら思えた。そして、ある時ふと心電図の「読み方」はどう形成されるのかに興味を持った。そんなことをマジメに相談する人は誰もいなかったので、一人であれこれ考えた。自分が過去に感じた“心電図の壁”を感じている人が決して少なくないことも既に知っていた。苦労しているのは皆同じなのだ、と。でも何故? 学生時代から研修医、レジデント時代まで、自分が心電図にここまで苦労したか振り返ってみると、それは“art”としての「読み方」を伝える授業や実習などがないのが原因ではないか。医学教育がブームになっており、ジェネラリスト志向が高まる中でも、心電図に関する新しい教育システムの話はあまり耳にしない6)。4:膨大な件数をスピーディにこなすため、音声認識ソフトを用いて所見付けを行い、その有用性を報告した。杉山 裕章ほか. 心電図. 2011;31:158-164.や杉山 裕章ほか. 心電図. 2012;32:239-247.など。5:『個人授業 心電図・不整脈 ホルター心電図でひもとく循環器診療』の執筆につながった。6:「令和」時代の現在でも、状況はあまり大きく変わらないように思う。この気づきが、ボクの提唱する「心電図の読み“型”」の基盤である。心電図が読める人の頭の中には、これが正常、という心電図波形の“テンプレート”ができている。それを自分の目の前の心電図と瞬時に比較して、必要な部分だけ“異常”として抽出するカンのようなものを習得している7)。そのやり方・手順は個人それぞれで、自分には明文化できないけれど、一度、心電図と友達になった人は決して見落としがない。この“テンプレート”をどう作っていくか、何をどう比べればいいのかなどが口承伝授されにくいのではないか。ちまたにあふれている所見や診断基準の羅列本はもちろん、“ココだけ”や“速効”、あるいは“わずかな時間で”と、うたうテキスト8)では心電図“テンプレート”は築かれないと思う9)。絶対に。「読み方」に徹底的にこだわった講義や教科書が必要だと思う。先般述べた心電図ゼミや添削指導の類いが、学部や初期研修医・レジデントの教育過程に取り入れられるべきだ10)。波形の各パーツ別に“テンプレート”との差異を抽出する作業は訓練せずして決して身につかず、場数はもちろん、相応の個人努力が必要だ。それを乗り越えた人だけが心電図のうまみを享受しており、そうでない人にとっての心電図は、友達の正反対、永遠に“距離を置きたい存在”以外の何ものでもないのだ。 7:肢誘導の上肢電極の左右つけ間違いを扱った回でも、これを踏まえた表現を登場させているボクとしては、それが心電図の「正常」を知るということなのだと思う。 8:でも、悲しいかな。魅力的な表紙やキャッチーなタイトルの心電図本がAmazonランキングなどでも上位となる傾向がある…。 9:この後、「“正常”な心電図とは何か?」を突きつめた名作(他著)も出版されており、ぜひとも探し求めて欲しい。10:一部の大学医学部や実績・人気のある研修病院では行われているところもあると聞く。このall or none的な状況を何とか打破できないものか。自分は人よりたくさん回り道をしたと思うが、特別“鈍感”だっただめか、あまり“心電図の壁”を強く意識せず、心電図と友達になるプロセスでは最終的に挫折せずに済んだ。心電図ゼミやそのほかの経験も含め、部分的にはラッキーな出来事もあったからかもしれない。ただ、人によってはこうしたチャンスに恵まれないこともあるだろう。丁寧な指導医11)だってどこにでもいるわけじゃない。つまり、運なのか…?いや、否。現在の臨床医学における心電図の汎用性・簡便性・有用性などを考えれば、それじゃダメじゃないかと思う。すべての医師に一定の心電図診断能力が問われているのだ。今もしも、劣等生が経験した、人一倍の苦労の先に得たartたる心電図の「読み方」をカタチにできたら…誰もがきっと今よりずっとスムーズに“心電図の壁”を乗り越えられるのではないか? それは来年10年目を迎える自分の新しい目標の一つになった。「心電教育学」12)と勝手に名付けているが、「読み方」を身体に染み込ませるような新しい教育システムが今後重要視され、そのためのツールが開発されて欲しい13)。何事も一歩を踏み出さなくては始まらない。たとえ“1”でも“0”に比べると無限大倍なのだ14)。11:現在では、DVDやオンライン教材があって素晴らしい!12:残念ながらこの言葉はあまり流行らず、いつしかボク自身も口にするのを忘れていたが、これを機にまたハッと思い出し、わが専門分野の一つとして標榜したいくらいだ(笑)13:この時点で実は『心電図のみかた、考え方[基礎編]』、および『同[応用編]』の原稿がほぼ完成しており、確固たる意志を遠巻きに表明していた。これは教科書であり、講義としては、本連載の『Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター』がボクなりのアンサーの1つ。14:「とにかく一歩踏み出せ」-作業興奮に自分がdriveされたら勝機あり。これが仕事におけるボクのモットーの1つ。人の評価や評判を気にするあまり、せっかくの熱意・才能を無駄にしてしまうのは実にもったいないから。今後「心電教育学」が発展することで、より多くの人が“心電図の壁”を克服できる日が来ることを切に願う。当然ながら、微力ながら自分自身も努力してゆきたいと鼻息を荒くしている。近い日に“その日”が来ることを夢見て。(執筆:2012年7月12日)さて、2回に分けてお送りした『心電図の壁』、いかがだったでしょうか。“プロジェクトX”(中島みゆきの『地上の星』が聞こえてきそうな…)ばりに、劣等生がゼロから“心電図の壁”に挑み、それを乗り越えた過程が、いま心電図や不整脈に悩む方への参考になったらと願っています。Take-home Message正常な心電図波形の“テンプレート”を頭の中にインプットしよう。波形のパーツごとに異常を抽出する練習をくり返すべし-“系統的判読”の重要性きちんと勉強すれば心電図は決して裏切らない“友達”になる!【古都のこと~鷺森神社~】「寺社を散歩するなら早朝」-鷺森(さぎのもり)神社(左京区修学院)で試してみましょう。修学院離宮や曼殊院(門跡)にほど近く、平安時代(貞観年間:859-877)創建の由緒ある神社1)です。到着は6時。「おはようございます」、まずは境内の掃除されている方にごあいさつ。続いて本命、スサノヲノミコト2)にお参りを済ませます。お賽銭、ガラガラ鈴、二礼二拍手一礼。そして振り向くと圧倒的な存在感の御神木が目に飛び込んできます。近づいて周囲の柵に目をやると「区民誇りの木スギ」の説明書きが! 名前そのほかスギに縁のある人なら少しだけ気分が上がります。そして、移動中は大きく息を吸い込みます。静かで深遠な空気は朝だけしか味わえません。鳥居をくぐってここまで約20分。春は桜、夏は青モミジ、そして秋は紅葉で楽しませてくれるでしょう。さぁ、帰ってシャワーを浴びれば極上の休日が始まります。1)もとは比叡山麓にあり、修学院離宮山林中(応仁の乱)を経て、江戸時代(元禄年間:1688-1704)に現在地(鷺の社)に遷座された。2)この神社の八重垣は、祭神であり古事記・日本書紀などに登場する「素戔鳴尊(スサノヲノミコト)」による日本最古の和歌『八雲立つ 出雲八重垣 妻籠(つまご)みに八重垣作る その八重垣を』にちなむ。八岐大蛇(やまたのおろち)から櫛名田比売(くしなだひめ)を救い、姫を妻に得て須賀に新宮を構える際に詠んだ和歌と伝わる。

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加熱式タバコから有害物質は出ない?【新型タバコの基礎知識】第5回

第5回 加熱式タバコから有害物質は出ない?Key Points加熱式タバコから出る有害物質の量は、紙巻タバコと比べて、少ない物質もあるが、そうではない物質もある。加熱式タバコに含まれる有害物質の種類は、紙巻タバコと同様に多い。現在のところ、アイコスやプルーム・テックといった加熱式タバコ製品が今までのタバコ製品よりも害が少ないという証拠はありません。しかし、加熱式タバコから出る有害物質に関する学術論文が次々に発表されてきており、徐々に、加熱式タバコについて判断を下すための資料、科学的根拠、疫学データ等が集まってきています。まず、紙巻タバコの煙に含まれる有害物質について簡単に触れたいと思います。タバコの煙を専用の機械で分析すると、紙巻タバコの煙には、5,000種類以上の化学物質が含まれていることが分かります。そのうちの70種類は、発がん性があるとされている物質です。従来からの紙巻タバコに含まれる代表的な有害物質は、ニコチンや一酸化炭素、ベンゼン、ホルムアルデヒドといったものです。表1は、国際がん研究機関(IARC)や世界保健機関(WHO)がタバコに関して研究および調査すべきと指摘している、代表的な有害物質の一覧です。IARCグループとは、世界的に収集された科学的根拠に基づき発がん性の有無について判定した発がんリスク分類のことであり、グループ1とは十分な証拠があるため「ヒトに対して発がん性がある」と判定されていることを示します。グループ2Bは「ヒトに対する発がん性が疑われる」であり、グループ3は「ヒトに対する発がん性について分類することができない」を指します。WHO-9とは、WHOが2008年にタバコにおいて低減させるべき9つの有害物質として取り上げたものです。2012 年に米国食品医薬品局(FDA)は、タバコ製品やタバコの煙に含有され、害を引き起こす可能性があるとして、93種類の有害物質のリスト(FDAリスト)を発表し、タバコ会社に物質量を測定し報告するように求めました。リストの中のほとんどの物質で発がん性が認められ、呼吸器系や心血管系の障害、胎児の発育や脳の発達への障害を引き起こす物質も含まれています。画像を拡大するでは、加熱式タバコではこれらの有害物質の量はどうなっているのでしょうか?有力な情報源の1つとして、日本の保健医療科学院の欅田らの研究グループによる実験結果があります。基準となる紙巻タバコおよび、アイコス専用スティックから出る有害物質の量が、それぞれ調べられています(表2)。画像を拡大する紙巻タバコ1本あたり、ニコチンが2,100μg、一酸化炭素が33.0mg、ベンゼンが110μg、ホルムアルデヒドが41μg、タバコ特異的ニトロソアミンが 838.2ng、グリセロールが1,800μg、粒子状物質総量(タール)として34mg、出ていることが分かりました。一方、アイコス・スティック1本当たりでは、ニコチンが1,200μg、一酸化炭素が0.44mg、ベンゼンが0.66μg、ホルムアルデヒドが4.8μg、タバコ特異的ニトロソアミンが 70.0ng、グリセロールが4,000μg、粒子状物質総量としては39mg出ていると分かりました。ここでは、まずは、多くの種類の有害物質がアイコスからも検出された、という事実が重要だと考えます。次に、アイコス以外も含めた加熱式タバコと紙巻タバコの比較をみてみましょう。加熱式タバコに含まれる有害物質の量に関する報告は、しばらくの間、タバコ会社からの情報だけでしたが、2017年以降にはタバコ会社とは独立した研究機関から研究成果が報告されるようになってきました。表3は、これまでに報告された加熱式タバコと紙巻タバコに含まれる有害物質の量を比較した文献の結果一覧です。画像を拡大するここでは、8本の文献からの結果を横に並べています。一番左の文献を例として、表の見かたを説明します。Schallerらによる2016年の研究は、タバコ会社のフィリップモリス社の研究者が実施した研究であり、アイコスのレギュラースティック(表中のR.IQOS:メンソールではないもの)および3R4Fという名前の基準となる紙巻タバコのそれぞれから出る有害物質の量をHCI法という分析手法で測定し、基準となる紙巻タバコから出るそれぞれの有害物質の量を100%とした場合にアイコスのレギュラースティックから出る有害物質の量が何%に相当するのか、という値が%で表されています。たとえば、ベンゼンの量は1%未満であり、一酸化炭素は1%、ホルムアルデヒドは11%、ニコチンは73%、グリセロールが203%、粒子状物質総量が122%だったことを示します。100%より小さな値は加熱式タバコから出る物質の量の方が少ないこと、100%より大きな値は加熱式タバコから出る物質の量の方が多いことを表しています。研究機関の欄をみると、タバコ会社の研究が多くを占め、タバコ会社以外ではベルン大学や日本の保健医療科学院で研究が実施されたと分かります。タバコ会社は自社に都合のいい結果だけを報告する場合があり、データを読み解くうえで注意が必要になります。最も多く調べられたアイコス(R.IQOS)の結果について比べてみると、タバコ会社による結果と保健医療科学院での結果で大きな違いは認められません。ベルン大学の研究では他の研究とはやや異なる値が観察されていますが、分析方法の違いがその原因として考えられます。ベルン大学の研究だけ、異なる条件で研究が実施されていたためです。それぞれの化学物質の量(%)をみると、加熱式タバコでは紙巻タバコと比較して、1%未満~1%程度とかなり少ない物質(1,3-ブタジエン、ベンゼン、一酸化炭素など)、3~9%程度に減っている物質(アクロレイン、ベンゾ[a]ピレン、N-ニトロソノルニコチンなど)、10~100%未満と減っている物質(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ニコチン)、100%前後で同量の物質(粒子状物質総量)、100%以上と増えている物質(水、グリセロール)があることがわかります。一律に有害物質が減少しているわけではないのです。“紙巻タバコと比べて有害物質が約90%低減されている”とのタバコ会社の宣伝文句のとおり、ベンゼンやアクロレインなどは確かに少ないと言えるでしょう(表2、表3)。しかし、ホルムアルデヒドやニコチンなど、そんなに減っていない物質もあることがわかります。さらには、プロピレングリコールやグリセロールなど、加熱式タバコの方がかなり多くなっている物質もあるのです。粒子状物質総量(タール)については、加熱式タバコには紙巻タバコとほぼ同じ量が含まれていました。ただし、ほぼタールが同じ量とは言っても、タールの内容がだいぶ違うことに注意が必要です。加熱式タバコではグリセロールがかなり多くを占めており、プルーム・テックではプロピレングリコールも多いという結果が出ています。このことが意味する健康被害については第7回の記事で説明する予定です。第6回は「加熱式タバコに含まれる未知の物質」です。

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ミネブロ錠:3剤目のミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬

2019年5月13日、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬、ミネブロ錠(一般名:エサキセレノン)が高血圧治療薬として新たに販売開始となった。高血圧治療に残された課題日本の高血圧患者は4,300万人と推計され、そのうち治療によって適切に血圧がコントロールされているのはわずか1,200万人。残りの3,100万人は治療をしていてもコントロール不良、もしくは治療を行っていないという。このような状況の中、日本高血圧学会は2019年に、5年ぶりの改訂となる「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」を発表し、高血圧対策を進めていく必要性を訴えた。今回の改訂では合併症のない75歳未満の成人、脳血管障害患者、冠動脈疾患患者は130/80mmHg未満に、75歳以上の高齢者は140/90mmHg未満に、それぞれ降圧目標値が10mmHgずつ引き下げられている。降圧目標達成のためには個人レベルでの取り組みだけでなく、社会全体での積極的な取り組みが必要であることが強調されており、降圧目標達成率や疾患啓発など、高血圧治療に課題が残されていることがうかがえる。新しく登場したミネブロ錠は高血圧治療の新しい選択肢となり、課題解決に寄与する可能性がある。MR拮抗薬の作用機序について尿細管に存在するMRへ、アルドステロンが過剰に結合し続けると、尿中のナトリウム再吸収とカリウム排泄を促進させ、循環血量の増加により、血圧が上昇する。ミネブロ錠はMRをブロックし、ナトリウム排泄を促進することで血圧低下効果を発揮する。このMRをブロックするという作用機序から、食塩感受性高血圧の患者さんや原発性アルドステロン症の患者さんで有効性を示すことが期待されている。国内臨床試験成績:中等度腎機能障害に使えるMR拮抗薬国内第III相試験において、I度またはII 度の本態性高血圧症患者を対象に、単剤および他の降圧薬との併用の両方で試験が行われた。単剤投与では2.5mgを1日1回、12週間投与した結果、収縮期血圧は13.7mmHg低下し、エプレレノン(投与量:50mg)に対する非劣性が検証された。また、長期投与試験では52週を通して安定した降圧効果の持続が確認されただけでなく、ARBやCa拮抗薬との併用でも観察期に比べて有意な降圧効果を示している。さらに、中等度腎機能障害を合併した患者やアルブミン尿を有する2型糖尿病を合併した患者を対象とした試験では1.25mgを1日1回投与し、どちらの患者でも収縮期血圧は10mmHg以上低下している。ARBやCa拮抗薬を用いても降圧目標を達成できず、あと10mmHg程度を下げたいケースに追加する薬剤として良いだろう。そして、最大の特徴の1つは、これまでのMR拮抗薬では禁忌であった中等度腎障害の患者にも使用できるようになっている点である。ただし、副作用である高カリウム血症には注意が必要であり、とくに腎機能が低下している患者では、注意を払いながら使用していくことが求められる。カリウム値のモニタリングを行うなどして、患者に合わせて投与量を調整しながら使用していくことが重要となってくる。今後の可能性ミネブロ錠は単独投与、併用投与どちらでも10mmHg以上の血圧低下効果を示している。今後は、あともう少し血圧を下げたい場合や、これまでMR拮抗薬を使いたいが使えなかった症例において、新しい選択肢の1つとなるのではないか。さらに、MR拮抗薬はアルドステロンの作用を阻害するため、腎臓や心臓などの臓器保護効果を示す可能性があり、ミネブロ錠は高血圧症以外の適応拡大を目指して、糖尿病性腎症患者を対象とした第III相臨床試験が進められている。

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PD-1阻害薬のILD、GGOタイプは予後不良?/日本臨床腫瘍学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、非小細胞肺がん(NSCLC)に有効かつ持続的な効果をもたらすが、ICIによる間質性肺炎(ILD)は致死的となる場合もある。しかし、ILDの画像パターンと抗腫瘍効果、さらに患者の生存との関係は明らかになっていない。新潟大学の渡部 聡氏らはPD-1阻害薬治療患者によるILDの放射線学的特徴と臨床結果の後ろ向き観察試験を実施し、その結果を第17回日本臨床腫瘍学術集会で報告した。 2016年1月~2017年10月に、Niigata Lung Cancer Treatment Group(11施設)の診療記録から、1~3次治療でPD-1阻害薬投与を受けたNSCLC患者を評価した。ILDは各施設の担当医が診断し、画像データを元に独立した1名の放射線科医と2名の呼吸器科医がILDの画像分類を行った。リードタイムバイアスを最小限にするため、PD-1阻害薬開始43日時点(PD-1阻害薬開始からILD発症までの中央値)でのランドマーク解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・231例がPD-1阻害薬治療を受けており、ILD発症は33例(14%)であった。・扁平上皮がんの割合はILD非発症群32%に対しILD発症群では52%とILD発症群で有意に高かった。組織型以外の患者背景は両群で同様であった。・ILD発症33例の画像パターンは、COP(cryptogenic organizing pneumonia-like)16例、GGO(ground glass opacities)16例、NOS(pneumonia not otherwise specified)1例であった。・ランドマーク解析による無増悪生存期間(PFS)中央値は、ILD発症群未達、ILD非発症群8.6ヵ月とILD発症群で有意に長かった(p=0.032)。・全生存期間(OS)中央値は、ILD発症群14.8ヵ月、ILD非発症群24.5ヵ月と両群間に差はみられなかった(p=0.611)。・ILDパターン別のOS中央値は、COP未達、GGO7.8ヵ月、NOS3.3ヵ月であり、COPとGGOの比較ではCOPで有意に長かった(COP対GGO、p=0.018)。・ILD発症後のOS中央値は、COP未達、GGO7.3ヵ月、NOS3.3ヵ月であり、COPとGGOの比較ではCOPで長い傾向にあった(COP対GGO、p=0.05)。 渡部氏らは、この試験の結果から、ILDのパターンとPD-1阻害薬治療後の予後に関連が示唆されるとの見解を示した。

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術前化学療法を受けた乳がん患者の術後上肢リンパ浮腫、リスク因子は?/JAMA Surgery

 乳がん患者の術後リンパ浮腫に関して、従前にない知見が示された。これまでのリンパ浮腫に関する大部分の研究は、対象集団が不均一で術後補助化学療法を受けた患者に重点を置いているが、米国・ミズーリ大学コロンビア校のJane M. Armer氏らは、術前化学療法と乳がん手術+腋窩リンパ節郭清を受けた患者のリンパ浮腫について検討。ACSOG Z1071研究の登録患者について解析を行い、長期の術前補助化学療法と肥満がリンパ浮腫の発現と関連していることを明らかにした。著者は、「このようなリスク因子を有する患者では、リンパ浮腫のサーベイランスを強化することが有益であろう」とまとめている。JAMA Surgery誌オンライン版2019年7月17日号の掲載。 研究グループは、リンパ節転移陽性乳がん患者で術前化学療法と腋窩リンパ節郭清後のリンパ浮腫に関連する因子を調べる目的でコホート研究を行った。 対象は、2009年1月1日~2012年12月31日の間にACSOG Z1071研究に登録された、診断時にリンパ節転移を有する18歳以上のcT0-T4N1-2M0乳がん女性患者である。2018年1月11日~2018年11月9日にデータを分析した。全例、術前化学療法、乳房手術および腋窩リンパ節郭清を受け、術前化学療法完了時および術後36ヵ月まで6ヵ月間隔で、前向きにリンパ浮腫の測定および症状の評価が行われた。 主要評価項目はリンパ浮腫で、自覚症状(上肢が重いまたは腫れている)、上肢体積10%以上増加および上肢体積20%以上増加の3つの定義で評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は486例で、平均年齢は50.1歳であった。・3年後のリンパ浮腫累積発現率は、自覚症状評価で37.8%、上肢体積10%以上増加で58.4%、上肢体積20%以上増加で36.9%であった。・BMI増加(HR:1.04、95%CI:1.01~1.06)、および術前化学療法の期間が144日以上(HR:1.48、95%CI:1.01~2.17)が、リンパ浮腫の自覚症状と関連していた。・上肢体積20%以上増加の発現率は、術前化学療法の期間が144日以上(HR:1.79、95%CI:1.19~2.68)の患者で高かった。 ・上肢体積10%以上増加の発現率は、リンパ節切除個数30個以上(HR:1.70、95%CI:1.15~2.52)で最も高く、転移陽性リンパ節の数とともに上昇した(HR:1.03、95%CI:1.00~1.06)。・多変量解析の結果、肥満(HR:1.03、95%CI:1.01~1.06)がリンパ浮腫の自覚症状と、術前化学療法の期間(HR:1.74、95%CI:1.15~2.62)が上肢体積20%以上増加と、有意に関連することが示された。

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統合失調症患者の自殺企図の頻度~観察研究のメタ解析

 自殺企図は、自殺および将来の潜在的な死亡リスクに影響を及ぼす重要な指標である。しかし、自殺企図の有症率は、研究間でばらつきがある。中国・マカオ大学のLi Lu氏らは、統合失調症患者の自殺企図の有症率を調査するため、メタ解析を実施した。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年6月7日号の報告。 各データベース(Embase、PsycINFO、PubMed、Web of science、Cochrane)よりシステマティックに検索を行った。統合失調症患者の自殺企図の有症率に関するデータを、ランダム効果モデルを用いてプールした。 主な結果は以下のとおり。・対象は、35研究、統合失調症患者1万6,747例であった。・自殺企図のプールされた生涯有症率は26.8%(95%CI:22.1~31.9%、I2=97.0%)であり、発症後1年間、1ヵ月、全体の自殺企図の有症率は、それぞれ3.0%(95%CI:2.3~3.7%、I2=95.6%)、2.7%(95%CI:2.1~3.4%、I2=78.5%)、45.9%(95%CI:42.1~49.9%、I2=0%)であった。・自殺企図の有症率の有意な高さと関連していた因子は、早期発症(Q=4.38、p=0.04)、高所得国(Q=53.29、p<0.001)、北米、ヨーロッパ、中央アジア(Q=32.83、p<0.001)であった。 著者らは「統合失調症患者の自殺企図は、とくに発症年齢が若く、高所得の国や地域で生活する人に多く見られる。臨床ケアの一部として、定期的なスクリーニングや効果的な予防法が実施されるべきである」としている。

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高血糖の脳梗塞患者、強化血糖コントロールは有効か/JAMA

 高血糖を有する急性期虚血性脳卒中患者の治療において、最長72時間の強化血糖コントロールは標準治療と比較して、90日時に機能アウトカムが良好な患者の割合に差はないことが、米国・バージニア大学のKaren C. Johnston氏らが行った「SHINE試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年7月23日号に掲載された。急性期虚血性脳卒中患者では、高血糖は不良な転帰と関連するが、高血糖への強化治療の効果は知られていないという。ベースラインのNIHSSスコア別に、90日時のmRSを評価 本研究は、米国の70施設が参加した無作為化臨床試験であり、2012年4月~2018年8月の期間に63施設から1例以上の患者が登録された(米国国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、発症から12時間以内の虚血性脳卒中で、高血糖がみられ、米国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)のスコア(0~42点、点数が高いほど神経症状が重度)が3~22点の患者であった。 被験者は、コンピュータによる意思決定支援ツールを用いた持続静脈インスリン注入を受ける強化治療群(目標血糖値:80~130mg/dL[4.4~7.2mmol/L])、またはスライディングスケールに基づき、必要に応じて6時間ごとにインスリンを皮下投与する標準治療群(80~179mg/dL[4.4~9.9mmol/L])に無作為に割り付けられ、最長で72時間の治療が行われた。 有効性の主要アウトカムは、90日時の修正Rankinスケール(mRS、0[無症状または完全な回復]~6[死亡]点)に基づく良好なアウトカムとした。良好なアウトカムは、ベースラインのNIHSSスコアが3~7点の患者は90日時のmRSが0点、8~14点の患者は0~1点、15~22点の患者は0~2点と定義した。 事前に規定された中間解析の基準により、2018年8月、試験登録は無効中止となった。8割が糖尿病合併、重症低血糖の発現は有意に高い 1,151例(平均年齢66[SD 13.1]歳、女性529例[46%]、糖尿病920例[80%])が割り付けの対象となり、1,118例(97%)が試験を完遂した。23%がラクナ梗塞、50%が軽症脳梗塞(NIHSS:3~7点)で、再灌流療法は68%で行われていた。ベースラインの血糖値中央値は188mg/dL(10.4mmol/L)であった。 治療中の平均血糖値は強化治療群が118mg/dL(6.6mmol/L)、標準治療群は179mg/dL(9.9mmol/L)であった。 良好なアウトカムは、強化治療群が581例中119例(20.5%)で、標準治療群は570例中123例(21.6%)で達成され、両群間に有意な差はみられなかった(補正相対リスク 0.97、95%信頼区間[CI]:0.87~1.08、p=0.55、補正前リスク差:-0.83%、95%CI:-5.72~4.06)。 主な副次アウトカム(90日時の良好なNIHSSスコア、90日時の良好なBarthelインデックススコア、90日時の脳卒中特異的QOLスコア)は、いずれも両群間に有意な差はなかった。 低血糖または他の有害事象により早期に治療が中止された患者の割合は、強化治療群が581例中65例(11.2%)、標準治療群は570例中18例(3.2%)であった。 重症低血糖(<40mg/dL[<2.22mmol/L])は強化治療群の15例(2.6%)に認められ、標準治療群では発現しなかった(補正前リスク差:2.58%、95%CI:1.29~3.87、p<0.001)。 著者は、「これらの知見は、高血糖の急性期虚血性脳卒中患者における強化血糖コントロールの使用を支持しない」としている。

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低~中所得国の高血圧ケア、その継続性は?/Lancet

 低~中所得国(LMIC)では、高血圧ケアを継続中の患者が、どの段階でケアを受けなくなるかに関する全国調査のエビデンスが少ない。一方、この情報は、保健医療サービス介入の効果的な対象の設定や、高血圧ケアの改善の進展評価において重要だという。米国・ハーバード公衆衛生大学院のPascal Geldsetzer氏らは、LMICにおける高血圧ケアの中断の現況を調査・評価し、Lancet誌オンライン版2019年7月18日号で報告した。44のLMICで4段階の高血圧ケアカスケードを評価 研究グループは、44ヵ国のLMICにおいて、ケアの過程(ケアの必要性から治療の成功まで)の個々の段階でその消失を評価することにより、4段階の高血圧ケアカスケード(血圧測定、高血圧の診断、治療、高血圧コントロール)の達成状況を、国別および集団別に検討する目的で、横断研究を実施した(Harvard McLennan Family Fundなどの助成による)。 最新のWHO Stepwise Approach to Surveillance(STEPS)などのデータセットを用いて、44のLMICにおける2005年以降の個人レベルの集団ベースのデータを収集し、統合した。国別および4地域別(中南米/カリブ海、欧州/地中海東岸、東南アジア/西太平洋、サハラ以南のアフリカ)に解析を行った。 高血圧は、血圧が140/90mmHg以上、または高血圧の薬物療法の報告があることとした。高血圧患者のケアカスケードとして、(1)かつて血圧測定を受けた、(2)高血圧と診断された、(3)高血圧で治療を受けた、(4)高血圧のコントロールが達成された者の割合を算出した。 これらの高血圧ケアカスケードを、年齢、性別、教育、世帯収入、BMI、喫煙状況、国、地域別に評価した。線形回帰モデルを用いて、各カスケードの段階別に、1人当たり国内総生産(GDP)に基づく国のパフォーマンスを推定することで、パフォーマンスが95%予測区間(prediction interval)の範囲外の国を同定した。血圧測定73.6%、診断39.2%、治療29.9%、コントロール10.3% 110万507例(年齢中央値39.5歳[範囲34.8~44.5]、女性割合中央値58.2%[53.2~62.5])が解析の対象となった。このうち19万2,441例(17.5%)が高血圧であった。 高血圧患者のうち、73.6%(95%信頼区間[CI]:72.9~74.3)が血圧測定を受けたことがあり、39.2%(38.2~40.3)が調査以前に高血圧と診断されており、29.9%(28.6~31.3)が治療を受け、10.3%(9.6~11.0)で高血圧のコントロールが達成されていた。 中南米/カリブ海地域は、4つのケアカスケードすべての割合が最も高く、サハラ以南のアフリカは4つすべてが最も低かった。高血圧コントロールの達成率が5%未満の国の割合は、サハラ以南のアフリカ地域が16ヵ国中10ヵ国(63%)であったのに対し、東南アジア/西太平洋地域は8ヵ国中3ヵ国(38%)、欧州/地中海東岸地域は10ヵ国中1ヵ国(10%)、中南米/カリブ海は10ヵ国中0ヵ国(0%)だった。 4つのすべてのケアカスケードの達成が、調査年の1人当たりGDPに基づく予測値を実質的に上回っていたのは、バングラデシュ、ブラジル、コスタリカ、エクアドル、キルギス、ペルーであった。これに対し、4つのカスケードがすべて予測値を有意に下回っていたのは、アルバニア、インドネシア、タンザニア、ウガンダ、南アフリカ共和国だった。 女性、年齢が高い、調査時に非喫煙、世帯収入が多いことは、単変量および多変量解析の双方で、4つのケアカスケードの達成と正の相関を示した。また、学歴が高いことは、多変量解析において4つのケアカスケードの達成との関連が認められた。 著者は、「今回の研究は、LMICにおける高血圧の保健医療の施策やサービスの計画および対象設定に関して、重要なエビデンスをもたらす」とし、「LMICの中には他のLMICに比べ実質的に高血圧ケアカスケードの達成が良好な国が存在する理由や、異なる環境でケアカスケードを最も効果的に改善する方策を知るには、さらなる研究が求められる」と指摘している。

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続・アブレーションはお嫌いですか?(解説:香坂俊氏)-1089

 心房細動に対するカテーテルアブレーション(CA)が患者予後そのものを改善するか?ということについては、以前CASTLE-AF研究が発表された際にも当シリーズでコメントさせていただいた。CASTLE-AFは「重症心不全のAF患者」を対象とした無作為ランダム化試験(RCT)であり、コントロール群と比較しCA群で死亡・心不全入院が約4割減少するという衝撃的なまでの予後改善効果を提示した(第847回)。では、より一般的な「心不全でないAF」に対するCAの効果はどうなのか? 同稿の最後にも記したが、そこは長らくCABANAという名前の他施設共同国際臨床試験の結果が待たれていた(南国的でゴキゲンな名称であるが、試験が行われたのは北米)。 今回、そのCABANA試験の結果が満を持して発表された(JAMA誌に2報同時に掲載され、第1報は患者予後に関する主解析であり[予後改善効果はなし]、第2報はQOLを扱ったものであった[CAにQOL改善効果あり])。 自分が今回担当させていただくのは後者のQOLに関する論文の講評である(前者に関しては小田倉先生が説明されている)。先ほどさっくりと述べたとおり、コントロール群(抗不整脈薬のみを使用)と比較しCA群でQOL改善の方向で確かに統計的な有意差はついた。だが、今回自分がポイントとして取り上げたいのは、そのQOL改善の程度である。 CABANA研究では AFEQT(※)という質問表を使って患者QOLの評価が行われている。このAFEQTを用いてCA群でのQOL改善の態度は12ヵ月で 5.3ポイントというものであった(95%信頼区間は3.7~6.9)。専門的な話となるが、だいたいAFEQTの5ポイントの増減は、心房細動生活スケール(EHRA:※※)のクラス1つ分の変動と同様と考えられており、確かにこれは臨床的にも有意な変化といえる。※AFEQT(Atrial Fibrillation Effect on QualiTy-of-life)とは心房細動患者に特化したQOLを評価するために開発された質問紙表であり、心房細動による症状(4問)、日常生活の制限(8問)、治療の不安(6問)の3つの項目から全体のQOLスコアを算出する仕組みをとっている(0〜100点:0点が最もQOLが悪く、100点が最もQOLが良い)。実際の質問紙表では上記の3項目に治療の満足度(2問)に関する質問を加えた20問から構成され、すべての質問の回答に要する時間は約5~10分程度である(http://www.afeqt.org)。※※ EHRAスケール1.無症状2.心房細動の症状に困っているが、通常の日常生活に影響はない3.高度の心房細動の症状により、通常の日常生活に影響を与えている4.通常の日常生活を送るのが困難であるしかし、この論文をさらに読み進めてみると、実に興味深いグラフが後半に提示されている。長期的に見ると12ヵ月時点の5.3ポイントという差は、2群間(抗不整脈薬のみのコントロール群とCA群の間)で次第に縮まり、60ヵ月後の時点では2.6 ポイント差にまで縮小している。この変化はCA群でQOLが低下したわけではなく、薬物治療群で持続的にQOLが改善してもたらされたものであるが、2.6ポイントという差に臨床的な意味があるかどうかというところはかなり議論が分かれるところであろう。 CABANA試験を語るうえで、抗不整脈にアサインされた群のCAへのクロスオーバー率(27.5%)がしばしば問題点として指摘されるが、このことについては抗不整脈薬をまず使ってみて、そしてその後にCAが必要になったほうが27.5%だった、と解釈するのが妥当ではないだろうか(そのように診療を行ってもハードエンドポイントに差はつかない)。これは安定狭心症に対するPCIの予後改善効果を検証したCOURAGE試験でも同様の議論が行われ、こちらでもハードエンドポイントに差がないことから、今では最初にOptimized Medical Therapy(至適薬物療法)を行ってから必要に応じてPCIを考えるという診療パターンでよいとされている。 このほかに、CABANA試験は非盲検の臨床試験であることもLimitation(限界)として指摘されており、ランダム化された後に両群ともに治療への期待からより自身のQOLを高く評価してしまった可能性がある(この傾向は侵襲の度合いが強いCA群でより顕著であったと考えられる)。なお、この点を克服するにはシャム手技(sham procedure)を取り入れた試験のデザインが必要である。 「歴史は繰り返す」というが、CAがたどってきた道は安定狭心症に対するPCIがたどった道によく似ている。安定狭心症に対するPCIの純粋な予後改善効果はCOURAGE試験によって否定され(2007年)、その後同試験のサブ解析によりQOLの改善効果も限定的(2~3年の短期的なもの)であることが示された(2008年)。また、昨年報告されたORBITA試験では、sham procedureを取り入れてPCIの効果をコントロール群と比較した場合、その短期的なQOLの改善効果すらプラセボ効果によってもたらされた可能性が高いことが指摘されている。 PCIがその力をフルに発揮するのは、急性心筋梗塞をはじめとするACSの症例に対してであり、こちらははっきりと予後改善効果がRCTによって示されている。CAも心不全例に関しては同様であるが、心不全のないAFに対するCAの選択は(安定狭心症に対するPCIと同様)慎重であるべきだろう。「CAでAFを根治できる」などという説明は行うべきではなく、少なくとも予後改善でなくQOL改善を目的とするという説明の仕方がフェアであるように思われる。QOLが維持できているAF患者さんに対するCAの用途は、今回の結果を見てみてもきわめて限定的であるといえるのではないか。謝辞 本稿の作成に当たっては当科の池村 修寛医師の協力を得た。池村医師はAFEQTを用いた研究で成果を挙げており(Ikemura N, et al. JAMA Netw Open. 2019;2:e191145.、Ikemura N, et al. Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2019;12:e005573.)、氏の協力なくしてCABANA試験のQOL解析に関する本質的な洞察は不可能であった。この場を借りて感謝を申し上げたい。

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人工呼吸器からのウィーニング方法についての検討(解説:小林英夫氏)-1091

 病態が改善してきた人工呼吸器装着症例において、どのような手順でウィーニングを成功させるかというテーマは、数十年前から議論されてきたが今もって完全な結論は得られていない。本論文を簡潔化すると、圧制御換気(pressure support換気)がTピース換気よりも人工呼吸から離脱しやすいようである、と結論している。この結論は、近年の多くの論文、総説と同様の結果であり、解説者も特段の異論は有していない。 さて、集中治療領域は別にして、大半の本サイト閲覧氏にとって人工呼吸は日々関わることのない特殊分野であろう。圧制御換気は吸気時に一定圧を機械で補助する方式、Tピース換気はT字型に組み合わせたチューブを取り付ける昔ながらの方式である。これまで種々の見解が報告されてきたが、今世紀の論文では圧制御換気優位とする見解が主流で、2017年の米国胸部・呼吸器学会合同作成ガイドラインも圧制御換気優位としていた(Ouellette DR, et al. Chest. 2017;151:166-180. 、Girard TD, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2017;195:120-133. )。しかしその後もウィーニング関連研究は続き、本論文はJAMA当該号のEditorialで取り上げられた。一般論では、人工呼吸は非生理的であり可及的早期に解放すべき手技であるが、拙速な離脱は病態再悪化に結び付いてしまう。適切なタイミングとウィーニング法の選択が求められるが、多数の検討でも最終結論に至っていない。その理由には、多様な原疾患が混在する対象群、他臓器障害の程度、ウィーニング後治療が標準化されていない、制御圧の値が種々、対象群をランダマイズしても治療法は盲検ではない、自発呼吸トライアル時間も未定、など未解決要素が多々存在する。現実的には難しいものの、これらのバイアスを解消できる研究がなされなければ、本論文のような繰り返しが続くのであろう。同時に、人工呼吸管理の適応病態自体もこれまで以上に検討すべき重要課題である。 なお、人工呼吸器から離脱することはweaning、ウィーニング、ウイニングなどとの記載が一般的であったが、上記2017年のガイドラインではliberation(解放)との表現を用いている。

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新型タバコで急性好酸球性肺炎になった人【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第144回

新型タバコで急性好酸球性肺炎になった人いらすとやより使用急性好酸球性肺炎(AEP)といえば、初めて喫煙をした若い男性が起こす強いアレルギー性肺炎で、末梢血や気管支肺胞洗浄液中の好酸球比率は数十%に及びます。全身性ステロイド投与によって著明に改善するので、予後は極めて良いです。呼吸器内科医としては、「初めての喫煙」というキーワードで必ず鑑別に挙げなければならない疾患です。基本的には燃焼式の紙巻きたばこによって起こるのですが、電子タバコや加熱式タバコでも起こりうるという症例が報告されています。Thota D, et al.Case report of electronic cigarettes possibly associated with eosinophilic pneumonitis in a previously healthy active-duty sailor.J Emerg Med. 2014;47:15-17.1例目はこれまで既往歴のない水兵さんです。電子タバコを吸った直後にAEPになり、ステロイドと抗菌薬で治療されました。海外の電子タバコは、日本では基本的に輸入以外では用いられず、加熱式タバコとは別物です。海外では、リキッドタイプのものが主流です。Arter ZL, et al.Acute eosinophilic pneumonia following electronic cigarette use.Respir Med Case Rep. 2019;27:100825.2例目は、電子たばこを吸い始めて2ヵ月目に呼吸不全で救急搬送された18歳女性です。ICUに入室するほどひどい状態でしたが、ステロイド投与してわずか6日目に退院したそうです。Kamada T, et al.Acute eosinophilic pneumonia following heat-not-burn cigarette smoking.Respirol Case Rep. 2016;4:e00190.3例目は、加熱式タバコによって起こった急性好酸球性肺炎の日本の症例報告です。加熱式タバコ開始から6ヵ月後に急性好酸球性肺炎を起こし、入院しました。加熱式タバコによる急性好酸球性肺炎は、実はこの症例が世界初の報告とされています。内因性に急性好酸球性肺炎を起こしやすい患者さんが、たまたま偶発的に新型タバコを始めた後に同疾患を発症したのかどうかは、疫学的研究を立案しないことにはわかりません。ですが呼吸器内科医としては、紙巻きタバコを止められないときの代替案として新型タバコを提示したくはないですね。

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アジアの非喫煙女性の肺腺がんの危険因子

 アジアの非喫煙女性において、結核が肺がん発生の危険因子であることを支持する研究結果が、米国・国立がん研究所のJason Y. Y. Wong氏らにより報告された。この研究は、Female Lung Cancer Consortium in Asiaにおける結核ゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果を用いて、結核への遺伝的な感受性が非喫煙者の肺腺がん発生に影響するかどうか調査したものである。Genomics誌オンライン版2019年7月12日号に掲載。 本研究では、5,512例の肺腺がん症例と6,277例のコントロールのGWASデータを使用し、結核関連遺伝子セットと肺腺がんとの関連をadaptive rank truncated product法によるパスウェイ解析を用いて評価した。なお、遺伝子セットは、以前の結核GWASでの遺伝的変異体と関連が知られている、もしくは示唆される31個の遺伝子から成る。続いて、以前の東アジアの結核GWASでの3つのゲノムワイドの有意な変異体を用いて、メンデルランダム化により結核と肺腺がんとの関連を評価した。 その結果、結核関連遺伝子セットと肺腺がんとの関連が認められた(p=0.016)。さらに、メンデルランダム化で、結核と肺腺がんとの関連が示された(OR:1.31、95%CI:1.03~1.66、p=0.027)。

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がん慢性疼痛の薬物治療に有意な差/JCO

 がん慢性疼痛に処方するオピオイドの効果は、どれでも同じではないようだ。中国・雲南省第一人民病院のRongzhong Huang氏らは、Bayesianネットワークメタ解析にて、がん慢性疼痛治療について非オピオイド治療を含む有効性の比較を行った。その結果、現行のがん慢性疼痛治療の有効性には、有意な差があることが示されたという。また、特定の非オピオイド鎮痛薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)について、オピオイドと同程度の有効性を有する可能性が示唆されたことも報告した。がん慢性疼痛にはオピオイドが主要な選択肢となっている。一方で多くの非オピオイド鎮痛薬は現在、その有効性について公表されたエビデンスが少ないまま、がん慢性疼痛に処方されているという。Journal of Clinical Oncology誌2019年7月10日号掲載の報告。 検討は、がん慢性疼痛の治療において、あらゆる全身性薬剤による治療および/またはそれらの組み合わせを比較している無作為化対照試験(RCT)を、電子データベースを検索して行われた。 主要アウトカムは、オッズ比(OR)で報告されている全体的な有効性とし、副次アウトカムは、標準化平均差(SMD)で報告されている疼痛強度の変化とした。 主な結果は以下のとおり。・検索によりRCT81件、患者1万3例、11種の薬物治療のデータを、解析に包含した。・大部分のRCT(80%)は、バイアスリスクが低かった。・全体的な有効性が高い薬物クラスは上位から、非オピオイド鎮痛薬(ネットワークOR:0.30、95%確信区間[CrI]:0.13~0.67)、NSAIDs(0.44、0.22~0.90)、オピオイド(0.49、0.27~0.86)の順であった。・上位にランクされた薬物は、リドカイン(ネットワークOR:0.04、95%CrI:0.01~0.18、累積順位曲線下表面解析[SUCRA]スコア:98.1)、コデイン+アスピリン(0.22、0.08~0.63、81.1)、プレガバリン(0.29、0.08~0.92、73.8)であった。・疼痛強度の低減については、プラセボに対して優越性を示す薬物クラスを見いだせなかった。・一方で、プラセボに対して優越性を示す薬物で上位にランクされたのは、ziconotide(ネットワークSMD:-24.98、95%CrI:-32.62~-17.35、SUCRAスコア:99.8)、dezocine(-13.56、-23.37~-3.69、93.5)、ジクロフェナク(-11.22、-15.91~-5.80、92.9)であった。

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頭蓋内圧亢進の診断に非侵襲的手法は有用か?/BMJ

 重症患者の頭蓋内圧亢進の診断において、身体所見(瞳孔散大、グラスゴー・コーマ・スケール[GCS]の最良運動反応が3以下の異常姿勢、GCS合計8以下の意識レベル低下)、画像診断(脳底槽の消失、正中偏位)、および非侵襲的検査は、いずれも診断精度が乏しく、頭蓋内圧亢進の除外診断にこれらの検査を単独で用いるべきではないことが示された。カナダ・オタワ大学のShannon M. Fernando氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。頭蓋内圧亢進の確定診断には侵襲的なモニタリングが必要であるが、出血や感染などの合併症が懸念され、すべての状況で利用できるわけではないことから、臨床医はしばしば非侵襲的検査に頼らざるを得ないが、これらの診断精度は不明であった。著者は、「頭蓋内圧亢進が強く疑われる場合は、個々の非侵襲的検査の結果にかかわらず、侵襲的頭蓋内圧モニターの留置が可能な施設へ搬送し治療する必要があろう」とまとめている。BMJ誌2019年7月24日号掲載の報告。身体所見、CT、超音波検査などの精度を比較検証 研究グループは、重症患者の頭蓋内圧亢進を診断するための、身体所見、CT、超音波検査による視神経鞘径(ONSD)、経頭蓋超音波ドプラ法による拍動係数(TCD-PI)の精度を比較検証することを目的とした。Medline、EMBASE、PubMedなどを含む6つのデータベースを用い、2018年9月1日までに発表された、重症患者を対象に身体所見、画像診断および非侵襲的検査の精度を検証した英語論文を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。 侵襲的頭蓋内圧モニターによる頭蓋内圧(ICP)20mmHg以上、あるいはICP上昇の術中診断を参照基準とした。2人の評価者がそれぞれデータを抽出し、診断精度研究の質評価ツール(QUADAS-2)を用いて研究の質を評価するとともに、階層サマリーROC モデルを用いて要約推定値を算出した。 検索により40件の研究、計5,123例がメタ解析に組み込まれた。非侵襲的検査の感度と特異度は高くない 頭蓋内圧亢進診断における身体所見の感度/特異度(95%CI)は、瞳孔散大が28.2%(16.0~44.8)/85.9%(74.9~92.5)、異常姿勢が54.3%(36.6~71.0)/63.6%(46.5~77.8)、GCS合計8以下が75.8%(62.4~85.5)/39.9%(26.9~54.5)であった。 CT所見の感度/特異度は、脳底槽の消失が85.9%(58.0~96.4)/61.0%(29.1~85.6)、あらゆる正中偏位が80.9%(64.3~90.9)/42.7%(24.0~63.7)、10mm以上の正中偏位が20.7%(13.0~31.3)/89.2%(77.5~95.2)であった。超音波検査によるONSD測定のROC曲線下面積(AUROC)は、0.94(0.91~0.96)であった。 また、TCD-PIのAUROCは個々の研究で0.55~0.72であり、頭蓋内圧亢進の検出力は乏しいことが示唆された。

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長期透析患者の貧血、roxadustat vs.エポエチンアルファ/NEJM

 透析を受ける中国人患者の貧血治療において、経口roxadustatは非経口製剤のエポエチンアルファに対して非劣性であることが示された。中国・上海交通大学医学院のNan Chen氏らが、roxadustatの有効性および安全性を評価した第III相無作為化非盲検実薬対照比較試験の結果を報告した。roxadustatは、経口投与が可能な低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬で、赤血球造血を刺激し鉄代謝を調整することが実証されている。透析施行中の貧血患者に対する治療薬として、標準治療である赤血球造血刺激因子製剤と比較した場合の有効性と安全性に関して、さらなるデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2019年7月24日号掲載の報告。エポエチンアルファ投与中の透析患者約300例を対象に無作為化試験を実施 研究グループは、エポエチンアルファ治療を6週間以上受けている透析患者を、roxadustat群またはエポエチンアルファ群に2対1の割合で無作為に割り付け、週3回26週間投与した。各群、ヘモグロビン(Hb)値が10.0~12.0g/dLに維持されるよう投与量を調整し、鉄剤投与はレスキュー療法以外での使用は控えることとした。 主要評価項目は、投与23~27週におけるベースラインからの平均Hb値変化量であった。roxadustat群とエポエチンアルファ群の群間差の両側95%信頼区間(CI)の下限が-1.0g/dL以上の場合に非劣性とした。また、有害事象および臨床検査値異常により安全性を評価した。 合計305例が無作為化され(roxadustat群204例、エポエチンアルファ群101例)、256例が26週間の治療を完遂した(それぞれ162例、94例)。ベースライン時の平均Hb値は10.4g/dLであった。roxadustatの有効性は、エポエチンアルファに対して非劣性 投与23~27週におけるベースラインからの平均Hb値変化量(±SD)は、roxadustat群0.7±1.1g/dL、エポエチンアルファ群0.5±1.0g/dLで、群間差0.2±1.2g/dL、95%CIは-0.02~0.5であり、roxadustatの非劣性が検証された。 エポエチンアルファ群と比較してroxadustat群では、トランスフェリン値の増加(群間差:0.43g/L、95%CI:0.32~0.53)、血清鉄の維持(群間差:25μg/dL、95%CI:17~33)、トランスフェリン飽和度低下の抑制(群間差:4.2ポイント、95%CI:1.5~6.9)が認められた。 27週時において、総コレステロール値の低下は、roxadustat群がエポエチンアルファ群より大きく(群間差:-22mg/dL、95%CI:-29~-16)、LDLコレステロール値も同様であった(群間差:-18mg/dL、95%CI:-23~-13)。平均ヘプシジン値の低下も、roxadustat群(-30.2ng/mL、95%CI:-64.8~-13.6)がエポエチンアルファ群(-2.3ng/mL、95%CI:-51.6~6.2)より大きかった。 有害事象は、roxadustat群で高カリウム血症および上気道感染症、エポエチンアルファ群で高血圧の発現頻度が高かった。

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日本における青年期うつ病のマネジメント

 日本において、小児うつ病患者に対し承認されている抗うつ薬治療は、今のところ存在しない。北海道大学の齊藤 卓弥氏らは、日本で治療を受けている青年期うつ病の有病率を推定し、その際に使用される薬理学的治療、さらに小児うつ病治療の専門医の中で満たされていないニーズについて調査を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2019年7月3日号の報告。 本調査は、臨床診療における医師間のインターネット調査として、2014年11月に実施した。青年期うつ病患者を治療する可能性のある医師731人と、過去12ヵ月間で青年期うつ病患者に対し薬物療法を行った医師161人を対象とした。青年期うつ病患者に対し薬物療法を行った医師161人の内訳は、内科医60人、精神科医73人、日本児童青年精神医学会、日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会のいずれかの認定専門医28人であった。対象者は、うつ病患者、薬物療法、処方薬に関するアンケートに回答した。 主な結果は以下のとおり。・有病率データの推定では、日本には異なる医療専門分野に約55万人の青年期うつ病患者がおり(うつ病患者全体の10%)、これらの患者の約64%が薬物療法を受けていた。・青年期うつ病に対する薬物療法は、主に精神科医により行われていた(62%)。・最も一般的な第1選択薬は、セルトラリン(23%)であり、次いで抗不安薬(17%)、フルボキサミン(13%)であった。また、抗精神病薬は7%であった。 著者らは「日本における青年期うつ病の有病率は、高いことが示唆された。青年期うつ病患者は多くの医療分野で診察されており、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬を含むさまざまな薬物療法が一般的に行われている。日本人青年期うつ病に対し承認された治療法の医学的ニーズがあると考えられる」としている。

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トラスツズマブを用いた術後補助療法は6ヵ月間で十分か?‒PHARE試験の結果から(解説:岩瀬俊明氏)-1085

 これまでHER2陽性早期乳がんに対するトラスツズマブを用いた術後補助療法の標準投与期間は12ヵ月とされていたが、心毒性、高額な医療費、また長期の通院等のデメリットが憂慮される。そのため治療期間を短縮するオプションがいくつかの臨床試験で検討されてきたが、コンセンサスは得られていない。以上の背景から、本試験はHER2陽性早期乳がんにおいて12ヵ月のトラスツズマブ治療に対して6ヵ月の治療効果を第3相ランダム化非劣性試験で比較した。 最終解析の結果、6ヵ月治療群の無病生存のハザード比は12ヵ月治療群に対して1.08(95%CI:0.93~1.25、p=0.39)と、信頼区間全体で事前に設定した非劣性マージンの1.15をクリアすることができなかった。また各臨床因子を用いたサブグループ解析では、短縮治療のベネフィットが得られる集団を特定することができなかった。心毒性に関しては2群間で有意な差は認めなかった(6ヵ月治療群 vs.12ヵ月治療群)。以上の結果より、筆者らは現時点では12ヵ月治療が標準治療であると結論づけている。 本試験はnegative studyであり、SOLD、Short-HER、HORGなど以前に行われた同様の臨床試験の結果を支持するものであった。一方で、本試験と同様のデザインで行われたPERSEPHONE試験(別コラムで解説)の非劣性マージンは1.32と設定され、本試験の結果を当てはめると非劣性は証明される。本試験での非劣性マージンはHERA試験で得られた85%の2年無病生存を83%まで許容するように設定されたが、どこまでリスクを許容するかは患者を交えた臨床現場での判断が必要である。実臨床では再発リスクの少ないHER2陽性早期乳がんまたは心リスクが懸念される患者には、リスクとベネフィットを説明したうえで短縮治療を提示することもオプションとして十分ありうるだろう。PERSEPHONE試験の結果を鑑みながら、引き続き短縮治療の恩恵を受ける集団の特定、バイオマーカー検索等が必要と考えられる。

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オンライン英会話再び【Dr. 中島の 新・徒然草】(283)

二百八十三の段 オンライン英会話再び昔、私がオンライン英会話で勉強をしていたこと(百三十三の段)、最近は女房が頑張っていることは以前に述べました(二百七十の段)。スカイプを使ってフィリピン人の講師に教えてもらうシステムですが、いつの間にか私はやらなくなっていました。ところが先月から、スマホを使って<CAMBLY>という別のオンライン英会話を始めました。こちらは講師が全員ネイティブというのがウリで、私の場合、1回の授業が15分です。実際にやってみると、確かに当たった講師は全員が英語圏出身の人たちでした。面白いのは、色々な国に住んでいる講師がいるということです。フィリピンに住んでいるカナダ人、トルコに住んでいるアメリカ人、ついには東京に住んでいるイギリス人まで登場しました。この先生は日本人女性と結婚し、7歳の娘さんがおられます。家では英語で、外では日本語で喋っているのだとか。今のところ特に固定した講師がいないので、毎回、自己紹介から始めています。中島「日本の大阪からです」講師「そいつはいい」中島「大阪を知ってますか?」講師「知ってるよ、行ったことないけど」大阪の知名度もまあまあってとこでしょうか。中島「職業は医師です」講師「すごーい」中島「専門は neurosurgery(脳神経外科)です」講師「Oh, OK」ちょっと引かれているような気が。講師「ちょっときいていいかな?」中島「ええ」講師「手術の対象は何になるわけ? 脊髄とか末梢神経とか脳とか」中島「脳ですね」講師「Oh, OK」脳ってのは、どこの国でも禁断の臓器なのかもしれません。講師「脳の手術って難しいんだろうね」中島「ええ、やはり自分が術者の時はプレッシャーがありますね」こういう簡単な表現が難しいのです。そもそも「プレッシャーがある」ってのは、何ていうのかな。講師「なんだって医者になったんだい」中島「高校の成績が良かったからですね」これまた出てきません。「高校の成績が良かった」って、どない言ったらエエねん。後で調べたら、"my grades were excellent in high school" という表現が見つかりました。でも、こんな英語で詰まっているようでは「成績が良かった」というのも全然説得力がありません。苦難は続きます。中島「医学部を受験してみようかなって言ったら、引っ込みがつかなくなって」この「引っ込みがつかない」というのも言われんがな。"I was backed into a corner." という表現を後で知りました。これは「要らんこと言って追いつめられてしまった」というニュアンスか?というわけで15分間、汗だくの英会話ですが、簡単な表現が難しい!ウンウン唸りながらその場をしのぎ、後でネットを調べます。「ホントはこう言ったら良かったのか」などと考え、今度は英作文に挑戦。外国人相手に流暢な英語を喋っている自分を頭に思い描いて、文字にするわけです。これを<IDIY>という英文添削サイトで直してもらうのですが、今度は冠詞や複数形がボロボロ。まあ、実際の会話では冠詞や複数形の間違いくらいは大目に見てもらえるでしょう。やはり、言いたい事がパッと英語で出てくるか否かの問題ですね。亀のようにノロノロと進む毎日ですが、とりあえず1ヵ月続けることを目標にしたいと思います。最後に1句汗だくで ウンウンうなる 英会話

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