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抗精神病薬の治療反応に対する性差の影響

 統合失調症などの精神疾患は、男性よりも女性において予後が良好だといわれており、女性では、入院頻度が低い、自殺率が低い、法的問題への関与が少ない、家族や友人との人間関係が良好な場合が多い。この差異が、抗精神病薬による治療反応の性差に起因するかどうかは、よくわかっていない。カナダ・トロント大学のMary V. Seeman氏は、過去10年間の主要医療データベースより得られた、抗精神病薬の治療反応における性差に関する定量的および定性的文献について、批判的レビューを行った。Neuropharmacology誌オンライン版2019年5月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・女性に対する抗精神病薬の有効投与量を、男性で推奨されているガイドラインの用量よりも低用量とする必要があることに関しては、理論的な理由がある(とくにオランザピン、クロザピンに関して)。しかし、抗精神病薬の治療反応に影響を与える要因は、非常に多いため、明確な指針を示すことは困難である。・明確なことは、いくつかの抗精神病薬の副作用、たとえば男性よりも女性において体重増加が懸念されるといった点である。・また、女性では閉経後に抗精神病薬の投与量を増やす必要があることも明らかであり、女性の各生殖段階においても同様に、特別な投与を考慮することが必要である。 著者は「抗精神病薬を処方する際には、性差を考慮したテクニックが必要とされる」としている。

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経済毒性を日本人がん患者対象に要因別に評価した結果

 先ごろ約3,500万円の医薬品が登場し社会的関心を集めたが、高額な治療費・医薬品費がどのような“副作用”をもたらすのか。愛知県がんセンター中央病院の本多 和典氏らは、米国で開発されたがん患者の経済毒性(financial toxicity)を測定するツール「COmprehensive Score for Financial Toxicity:COST」の日本語版を作成し、これまで予備的研究として日本人がん患者におけるCOSTツールの使用可能性を少数例で評価していた。その実績を踏まえて今回、同氏らはCOSTツールを用いて日本人がん患者の経済毒性を評価する前向き調査を行い、日本人がん患者における経済毒性を要因別に評価した。著者は、「今回の結果は、日本におけるがん対策政策にとって重要な意味を持つだろう」とまとめている。Journal of Global Oncology誌2019年5月号掲載の報告。経済毒性が高い項目は非正規雇用やがんによる退職など 研究グループは、2ヵ月以上化学療法を継続している20歳以上の固形がん患者を対象に、アンケート用紙と医療記録を用い、COSTツールの質問項目に加えて社会経済的な項目に関するデータを収集して解析した。 日本人がん患者における経済毒性を要因別に評価した主な結果は以下のとおり。・191例に協力を依頼し、156例(82%)から回答を得た。・156例の内訳は、大腸がん77例(49%)、胃がん39例(25%)、食道がん16例(10%)、甲状腺がん9例(6%)、頭頸部がん4例(3%)、その他11例(7%)であった。・COSTスコア(低スコアほど経済毒性が高いことを示す)の中央値は21(0~41)、平均値±SDは12.1±8.45であった。・多変量解析の結果、COSTスコアと正の相関(すなわち経済毒性が低い)を示した項目は、高齢(β:0.15/歳、95%CI:0.02~0.28、p=0.02)と世帯貯蓄の多さ(β:8.24/1,500万円、95%CI:4.06~12.42、p<0.001)であった。・COSTスコアと負の相関(経済毒性が高い)を示した項目は、非正規雇用(β:-5.37、95%CI:-10.16~-0.57、p=0.03)、がんによる退職(β:-5.42、95%CI:-8.62~-1.37、p=0.009)、がんの治療費を何らかの方法で捻出(β:-5.09、95%CI:-7.87~-2.30、p<0.001)であった。

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軽症持続型喘息、ICSもLAMAも対プラセボで有意差なし/NEJM

 軽症持続型喘息患者の大多数は、喀痰中好酸球比率が低く、モメタゾン(吸入ステロイド)またはチオトロピウム(長時間作用性抗コリン薬)のいずれも反応性についてプラセボと有意差は認められないことが、米国・カリフォルニア大学のStephen C. Lazarus氏らによる、42週間の無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験「Steroids in Eosinophil Negative Asthma trial:SIENA試験」の結果、示された。軽症持続型喘息患者は、喀痰中の好酸球が2%未満と低値である場合がほとんどであり、このような患者に対する適切な治療法は明らかになっていなかった。結果を踏まえて著者は、「好酸球低値の患者において、吸入ステロイドと他の治療法を比較する臨床試験が必要であることが示唆される」と提言している。NEJM誌2019年5月23日号掲載の報告。米国24施設、12歳以上295例を対象にプラセボ対照試験 SIENA試験は、2014年7月~2018年3月に、米国・国立心肺血液研究所(NHLBI)のAsthmaNet consortiumに参加している24施設で実施された。対象は12歳以上の軽症持続型喘息患者295例で、喀痰中好酸球比率が<2%の好酸球低値群と≧2%の好酸球高値群に分け、どちらの群もモメタゾン、チオトロピウムおよびプラセボを投与順は無作為化して各12週間投与した。 主要評価項目は、好酸球低値群において事前に定義した反応性(response)を認めた患者割合の治療間の差で、プラセボvs.モメタゾンまたはプラセボvs.チオトロピウムを比較した。反応性の定義は、治療失敗、喘息コントロール日数(レスキュー剤のアルブテロール未使用、喘息治療薬の非併用、症状なし、救急外来受診なし、ピーク・フローがベースライン時の80%以上の日数)および1秒量からなる階層的複合アウトカムとし、統計学的有意水準は両側p<0.025とした。副次評価項目として、好酸球低値群と高値群の反応性を比較した。モメタゾンまたはチオトロピウムともに、vs.プラセボと有意差なし 295例中221例(73%)が好酸球低値群であった。 これら221例中、反応性が認められた患者割合は、プラセボvs.モメタゾンの比較では59%、プラセボvs.チオトロピウムの比較では60%であった。 しかしながら、反応性を認めた患者割合に治療間での有意差は認められなかった。モメタゾンvs.プラセボの比較における反応性を認めた患者(59%)の内訳比率は、モメタゾン群57%(95%信頼区間[CI]:48~66)、プラセボ群43%(95%CI:34~52)であった(p=0.14)。チオトロピウムvs.プラセボの比較(60%)については、チオトロピウム群60%(95%CI:51~68)、プラセボ群40%(95%CI:32~49)であった(p=0.029)。 一方、好酸球高値群で反応性に差がみられた患者における解析では、モメタゾンvs.プラセボの比較ではモメタゾンのほうが反応性を示した患者の割合がより高かったが(74% vs.26%)、チオトロピウムvs.プラセボの比較では差はなかった(57% vs.43%)。

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英国で脳卒中死亡率が半減、その要因は?/BMJ

 英国では、2001~10年の10年間で年齢調整脳卒中死亡率が半減したことが、英国・オックスフォード大学のOlena O. Seminog氏らによる英国内のデータベースを用いた解析の結果、明らかにされた。著者は「低下要因として、脳卒中の治療の進歩により死亡に至る患者が減少したことに起因していると思われる」と推測している。全体で致死率は40%低下し、致死率の低下は全年齢集団で確認された。また、脳卒中発生率も20%低下していたが、35~54歳では脳卒中発生率が増加しており、著者は「55歳より若い年齢層での脳卒中予防強化が大きな課題である」とも指摘している。英国で脳卒中死亡率が低下していることは知られていたが、この低下に影響している要因については明らかになっていなかった。BMJ誌2019年5月22日号掲載の報告。約79万例について脳卒中死亡率・発生率・致死率を評価 研究グループは、英国のhospital episode statistics(HES)とnational mortality statisticsの2つのデータベースを用い、2001年1月1日~2010年12月31日における、脳卒中で入院または死亡した20歳以上の成人79万5,869例のデータを解析した。 主要評価項目は、脳卒中死亡率、脳卒中発生率(脳卒中による入院、入院を伴わない脳卒中による死亡)、脳卒中後30日以内の致死率とし、統計解析にはポアソン回帰モデルを用いた。 79万5,869例のうち、男性は35万8,599例(45%)、女性は43万7,270例(55%)であった。10年間で脳卒中死亡率は半減、発生率は全体で20%低下するも55歳未満では増加 2001~10年の間に、脳卒中死亡率は55%、脳卒中発生率は20%、致死率は40%低下した。平均年変化は、脳卒中死亡率が男性-6.0%(95%信頼区間[CI]:-6.2~-5.8)、女性-6.1%(-6.3~-6.0)、脳卒中発生率が男性-1.3%(-1.4~-1.2)、女性-2.1%(-2.2~-2.0)、致死率が男性-4.7%(-4.9~-4.5)、女性-4.4%(-4.5~-4.2)であった。 死亡率と致死率は全年齢集団で低下したが、発生率は全年齢では低下していなかった。すなわち、脳卒中発生率は高齢者集団で低下したが、35~54歳では毎年2%上昇した。 死亡率の全低下のうち、71%が致死率(男性78%、女性66%)の低下に起因し、残りは脳卒中発生率の低下に起因していた。この2つの要因の寄与度は、各年齢集団で異なっており、55歳未満の若年者の死亡率低下は致死率の低下の結果であり、一方で高齢者(85歳以上)では、致死率と発生率の低下はほとんど平等に寄与していた。 なお、著者は、脳卒中の種類(出血性/虚血性)を分けて解析していないこと、脳卒中の重症度は不明であることなどを研究の限界として挙げている。

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令和の新時代にはベアメタルステント不要である(解説:中川義久氏)-1054

 新規の医療機器や薬剤を開発するときに、どのような項目を観察・測定して効果等を判定するかを定める必要がある。この評価項目のことをエンドポイントと呼び、有効性と安全性に大別される。冠動脈ステントの、有効性と安全性に関する一般的な認識は以下のものであった。ベアメタルステント(BMS)は、再狭窄が多く有効性は劣るが安全性に優れる。一方、薬剤溶出性ステント(DES)は、確実な再狭窄抑制効果から有効性は高いが安全性においてはBMSに劣る。それは、CypherとTAXUSに代表される第1世代DESでは、再狭窄抑制という有効性はあるが遅発性ステント血栓症に代表される安全性への懸念があったからである。このように、BMSとDESは、それぞれ「一長一短」があると理解されていた。 金属製の冠動脈ステントの進化は著しい。金属工学の粋を尽くした合金技術によりストラットは菲薄化し、薬剤の種類や搭載量のデータが集積され、薬剤放出をコントロールするポリマーも改良された。これらの技術を統合的に駆使して作製されたのが新世代DESである。BMSと第1世代DESの比較研究、第1世代DESと新世代DESの比較研究は数多くあり、メタ解析を含むエビデンスは蓄積されている。現在は臨床現場から第1世代DESは消え去っており、BMSと新世代DESだけが継続使用されている。一方で、BMSと新世代DESの比較についてはエビデンスが不足していた。このBMSと新世代DESを比較したランダム化試験のメタ解析の結果が報告された。その結果、新世代DESはBMSに対して安全性を棄損することなく有効性を示していた。つまり、新世代DESは、有効性と安全性の両面で優っていたのである。「一長一短」の対義語は「完全無欠」とされるが、金属製DESの完成度が高まっていることは間違いない。 多くの病院の心カテ室には、各種サイズを取りそろえたBMSが常時使用できるように「置き在庫」として準備されている現状がある。その大部分は留置されることなく使用期限切れで廃棄されていると聞く。この「置き在庫」と廃棄に由来する費用負担は膨大であり、医療費増大の一因ともなっている。このBMS「置き在庫」は本当に必要なのか熟考すべき時機である。BMSを選択する適応はすでになく、絶滅危惧種といっても過言ではない。平成とともにBMSの時代は終焉を迎え、令和の時代では不要だと断言したい。このメタ解析の結果は、医学的な見地からだけでなく経済的な視点からも日本のPCIへの課題を提起しているのである。

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トランプ大統領来日【Dr. 中島の 新・徒然草】(274)

二百七十四の段 トランプ大統領来日5月というのにいきなり夏になってしまったような日本の気候ですが、その炎天下の中、アメリカのトランプ大統領が令和最初の国賓として5月25日に来日しました。着いたその足で米大使公邸での夕食会に出席し、翌日はゴルフ、大相撲観戦、27日は天皇陛下に謁見と精力的な活動。政治家というのは、このくらいタフでなくては務まらないのでしょう。大相撲では、優勝した力士にアメリカ合衆国大統領杯を授与していました。しかし、トランプ大統領ってのは大男ですな。土俵の上でも全く位負けしていません。調べてみると、トランプ大統領が190センチ、優勝した朝乃山関が187センチなので、本当にデカイみたい。さて、米大使公邸でのトランプ大統領の挨拶はなかなか冴えていました。動画付き新聞記事 "トランプ氏、日米貿易「数ヵ月内に大きな発表を」" へのリンクを貼っておくので、皆さん、字幕を見ずに聴いてみて、うまくギャグを理解することができるか挑戦してみてください。私は何とか要所で笑うことができました。以下、私の訳でトランプ大統領のスピーチを紹介しておきます。The first lady and I are thrilled to be with you as we celebrate Japan's Reiwa era. Very special time.(令和という特別な時代を皆さん共に祝うことができて、妻と私はとても感動している)As you know the United States and Japan are hard at work negotiating a bilateral trade agreement which will benefit both of our countries.(ご存じの通り、米国と日本は双方共に恩恵を受けるための二国間貿易協定の交渉に取り組んでいる)I would say that Japan's had a substantial edge for many many years, but that's OK.(日本は長い年月の間、実質的に優勢だったと思う。まあ、それは良しとしておこう)Maybe, that's why you like us so much.(たぶん、そのせいで君たちはこんなにもわれわれを好いてくれているのだろうし)But we'll get it a little bit more fair, I think.(でも、これからはもう少し公正になるんじゃないかな)I think we’ll do that.(そうしようと思ってるんだ)全文は "Remarks by President Trump at a Reception with Japanese Business Leaders | Tokyo, Japan" というタイトルでホワイトハウスのホームページに出ています。笑いをとりつつ言いたいことを言う、このセンスは学ぶところ大ですね。私も精進しなくては。ということで最後に1句トランプ君 いつもの暴言 どこ行った?

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第23回 アジスロマイシン6日間連続投与はなぜ?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 だいぶ前の話ですが、患者さんから次のような質問を受けたことがあります。「咳が出ているので受診して、アジスロマイシン500mg(力価)を1日1回3日分処方されました。飲みきりましたが、咳が残っているので再度受診したところ、また同じ量を処方されました(受け取りはほかの薬局)。3日間の服用で7日間作用が続くと説明書に書いてあるのに、6日間も飲むことがあるのですか?」。疑義照会の対象だと思いますよね。実際、2回目の処方箋を持って行った薬局もその処方に対して疑義照会をしましたが、医師がその飲み方でよいと指示を出したため、それに従って調剤をしたとのことです。こうなるとそれなりに根拠がないと医師にも患者さんにも意見を言いづらいため、アジスロマイシンの6日間投与について調べてみました。添付文書の用法・用量に関連する使用上の注意の項には、「4日目以降においても臨床症状が不変もしくは悪化の場合には、医師の判断で適切なほかの薬剤に変更すること」とあります。また、薬物動態の項には、半減期が長く分布容積が大きいことから、服用8日目でも十分な組織濃度を保つと書かれています。そもそも、血中から薬剤が消失した後も組織にとどまり効果が持続するので1日製剤や3日製剤があるわけですが、副作用も同様に持続する可能性があるため注意が必要です。アジスロマイシンのインタビューフォームには、米国では5日間投与(初日500mg 1日1回、2~5日目250mg 1日1回)、英国など欧州諸国では3日間投与が適応となっている、とありますが、6日間投与の記載はありません。そうなると、たまたま疑義照会を受けた医師が誤って変更を却下した可能性も否めませんが、イレギュラーな服用方法の論文も調べてみました。1つ目が、上記の患者さんと対象疾患は異なりますが、急性副鼻腔炎に対して、アジスロマイシン500mg/日を1日1回3日間服用(AZM-3)または6日間服用(AZM-6)と、アモキシシリン500mg/クラブラン酸塩カリウム125mgを1日3回10日間服用(AMC)の群に分けた二重盲検ランダム化比較試験です1)。アジスロマイシン6日間服用群を設定しているのは、日数に幅を持たせて最適な服用スケジュールを見いだすという意図のようです。主解析項目は、急性細菌性副鼻腔炎症状の改善でした。急性副鼻腔炎症状を呈している合計936例の患者をランダムに上記3群に振り分け(AZM-3:312例、AZM-6:311例、AMC:313例)比較したところ、治療終了時の治療成功率はAZM-3:88.8%、AZM-6:89.3%、AMC:84.9%で、試験終了時における治療成功率はAZM-3:71.7%、AZM-6:73.4%、AMC:71.3%でした。AMC投与群の副作用発生率は51.5%であり、AZM-3(31.1%、p<0.001)またはAZM-6(37.6%、p<0.001)よりも高いという結果でした。最も多かったのが下痢で、吐き気、腹部膨満感と続き、副作用による中止はAZM-3で7例、AZM-6で11例、AMCで28例でした。6日間投与が検討されていることはわかりましたが、効果と副作用のバランスをみると、あえて6日間も服用する必要性はなさそうです。アジスロマイシンを長期服用して安全性に影響なし?次に、気管支拡張症に対するアジスロマイシンの予防的投与についてです2)。またしても今回の患者さんとは対象疾患が異なる試験ですが、痰、咳、肺炎などが症状として出やすい疾患ですので、こちらのほうが患者像は近そうです。1999年2月~2002年4月に外来を受診し、以下の基準を満たした患者でアジスロマイシンの予防的投与が検討されています。CTスキャンで気管支拡張症と診断されたほかの原因となりうる要因に対する対処がなされている過去12ヵ月以内に4回以上の経口または静脈投与の抗菌薬治療を必要とする感染性の増悪エピソードあり慢性症状のコントロール不良 などマクロライドアレルギー例や肝機能異常例は除外され、平均年齢51.9歳(範囲18~77)の39例が組み込まれました。投与スケジュールは、500mgを1日1回6日間服用し、次に250mgを1日1回6日間服用し、その後は250mgを毎週月曜日/水曜日/金曜日服用するという、これはこれでまたイレギュラーなスケジュールです。治療開始1ヵ月後に血液検査を実施し、肺機能検査は開始後少なくとも4ヵ月後までに行っています。少なくとも4ヵ月の治療を完了した33例において、経口抗菌薬を必要とする感染性増悪エピソードが1ヵ月当たり平均0.71から0.13まで有意に減り(p<0.001)、抗菌薬の静脈内投与の必要量も月平均0.08から0.003へと有意に減少し(p<0.001)、肺機能パラメータも改善傾向がみられています。副作用による中止は、肝機能低下2例、下痢2例、発疹1例、耳鳴り1例で、すべてが治療初月に発生しています。そのほかの副作用は軽度なものばかりで、主に胃腸症状でした。アジスロマイシンを予防的投与として長期間服用しても、安全性には特段の問題はなさそうですが、こちらの論文も6日間投与の有用性に強い根拠を持てるものではなく、結局医師の意図はわかりませんでした。実はその後、いろいろ調べたものの、正当と思える理由が見つからないまま処方医へ再確認したところ、追加の3日分は服用なしとなったというオチがあります。いろいろと論文を読んで調べてもそういうときもあります。調べたことは無駄にはなりませんし、調べてもわからないことがあると知ったことに意味があったのかもしれません。1)Henry DC, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2003;47:2770-2774.2)Davies G, et al. Thorax. 2004;59:540-541.3)ジスロマック錠 添付文書 2018年10月改訂(第24版)・インタビューフォーム 2018年12月改訂(第22版)

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リキッドバイオプシーの次なる展開は?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第7回

第7回 リキッドバイオプシーの次なる展開は?1)Rothwell DG, et al. Utility of ctDNA to support patient selection for early phase clinical trials: the TARGET study. Nat Med. 2019;25:738-743.その他、参考文献としてLeighl NB, et al. Clinical Utility of Comprehensive Cell-free DNA Analysis to Identify Genomic Biomarkers in Patients with Newly Diagnosed Metastatic Non-small Cell Lung Cancer. Clin Cancer Res. 2019 Apr 15. [Epub ahead of print]Akamatsu H, et al. Clinical significance of monitoring EGFR mutation in plasma using multiplexed digital PCR in EGFR mutated patients treated with afatinib (West Japan Oncology Group 8114LTR study). Lung Cancer. 2019;131:128-133.Lin CC, et al. Outcomes in patients with non-small-cell lung cancer and acquired Thr790Met mutation treated with osimertinib: a genomic study. Lancet Respir Med. 2018;6:107-116.Blakely CM, et al. Evolution and clinical impact of co-occurring genetic alterations in advanced-stage EGFR-mutant lung cancers. Nat Genet. 2017;49:1693-1704.Chae YK, et al. Detection of Minimal Residual Disease Using ctDNA in Lung Cancer: Current Evidence and Future Directions. J Thorac Oncol. 2019;14:16-24.Bettegowda C, et al. Detection of circulating tumor DNA in early- and late-stage human malignancies. Sci Transl Med. 2014;19;6:224ra24.肺がん領域ではEGFR-TKI耐性例におけるT790M変異検出目的で広く浸透したリキッドバイオプシー。最近では毎月のように論文発表がなされているが、今後どのような方向性が検討されているのか。最近の研究を基に解説する。1)について英国での前向き研究。2つのパートからなり、今回はリキッドバイオプシーの忍容性を組織診断と比較したパートA部分(100例)が報告された。他の検討項目として、cell-free DNA(以下、cfDNA)解析結果の信頼性、結果報告までの日数、臨床応用の可能性、費用が挙げられている。対象は進行期悪性腫瘍で、患者数の多い順に大腸がん、乳がん、非小細胞肺がん、原発不明がんとなっている(これらの合計が67例)。過去の化学療法歴の中央値は2であった。がん関連遺伝子641個を収載したパネルを用い、cfDNA検体の解析成功率は99%、組織検体の成功率は95%であった(late lineの患者が多く含まれていることもあり、組織検体の採取時期がやや古い:2/3の患者で1年以上前、36%の患者で3年以上前)。結果報告までの日数中央値は、cfDNAで33日(範囲20~80日)、組織検体で30日と、かなり遅い印象である。組織検体と血液検体の一致率(変異陰性例も含む)は74.5%。約2割では組織で検出された変異が血液では確認できなかった。何らかの変異が確認されたのは41例。乳がん、原発不明がん、小細胞肺がんでは80%以上の症例で変異陽性とされたが、まったく変異が陰性のがん腫もあり、がん種による陽性率の差が示唆されている。変異陽性例では対応する阻害剤の第I相試験に参加可能であったが、確認された41例のうち参加者は11例にとどまった(17例では施設で該当治験がなかったことが不参加の理由)。11例の奏効率は36%。非小細胞肺がん患者では13例中9例(69%)で何らかの変異が検出され、4例がEGFR阻害剤、1例がMEK阻害剤を投与された。解説多くのドライバー変異が同定され、それぞれに対応する分子標的薬がすでに保険承認されている肺がんと異なり、他がん腫ではバイオマーカーの同定、薬剤開発に苦労しているものもある。そのような状況において、低侵襲に広範囲な変異を確認できるリキッドバイオプシーの実用可能性を示したのが本論文である。ただし現場ではHER2/HER3変異陽性例に対するneratinibのバスケット試験(Hyman DM. Nature. 2018.)のように、cfDNAの結果のみでも参加可能な試験が増えており、診断精度という観点ではそれほど新規性が高いわけではない。ただし肺がんにおいてもオシメルチニブやALK阻害剤の多彩な耐性機序などが昨今明らかになっており、リキッドバイオプシーを用いた臨床研究の実現可能性や介入の対象などはより多くの議論が交わされていくと思われる。臨床への応用という観点で、本論文における1ヵ月という結果報告までの時間(turn-around time:TAT)はとても厳しいと思われるが、Guardant360を用いたLeighlらの最近の報告(Leighl NB. Clin Cancer Res. 2019.)では導入が進むにつれTATが短縮し、最終的な中央値は9日とされている。「近い将来、どのような対象について介入が必要か」であるが、昨今注目されている話題の1つは慢性骨髄性白血病(CML)など血液腫瘍で実地応用されている治療早期のmolecular responseが長期予後を予測するという知見であり、肺がんでも国内外を問わず、すでに多数の報告が出そろっている(Akamatsu H, Lung Cancer. 2019.、Lin CC, Lancet Respir Med. 2018.)。また早期症例も含め、リキッドバイオプシーを用いた再発予測が画像より早期に可能ではないか、という指摘も多くなされており(Blakely CM, Nat Genet. 2017.)、これらに対する介入が検討されている(ChaeYK, J Thorac Oncol. 2018.)。一方で、cfDNAの陽性率が進行期においても腫瘍量に比例することはかなり前から示されており(Bettegowda C, Sci Transl Med. 2014.)、本研究でも2割では組織検体でのみ変異が検出されていることに注意は必要である。リキッドバイオプシーは測定・結果返却のシステムさえ整えば、(費用は別として)臨床でのハードルが高くないため、今後はより多数例の大規模な解析が報告されると思われる。本論文の後半で示されているが、彼らはそうした情報をwebで共有する計画を進めており(eTARGET)、将来的にこうしたデータベースを基にした研究・臨床への応用が準備されているようである。適切なバイオマーカーを有する患者に対する分子標的薬の効果の高さは皆が認めるところであり、本邦でも早急にこのような試みが検討されるべきであろう。

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焦点性てんかん重積状態に対する薬理学的治療のレビュー

 てんかん重積状態(SE)は、罹患率や死亡率が高く、神経学的に急を要する。SEのタイプは、予後因子の1つであるといわれている。スペイン・Hospital Universitario Severo OchoaのN. Huertas Gonzalez氏らは、SE治療に関連するさまざまな学会や専門家グループの最新レコメンデーションおよび最新研究を分析し、焦点性SEのマネジメントに関する文献を評価した。Neurologia誌オンライン版2019年5月7日号の報告。 2008年8月~2018年8月に公表された成人の焦点性SEおよび他のタイプの薬理学的治療に関する研究をPubMedより検索した。 主な結果は以下のとおり。・SEの治療に関連するレビュー、治療ガイドライン、メタ解析、臨床試験、ケースレポートより、29件の出版物を特定した。・焦点性SEと全般性SEについて説明した報告は、3件だけであった。4件は焦点性SEのみに焦点が当てられており、7件はけいれん性と非けいれん性を分類し、焦点発作の有無を記録していた。・焦点性SEに対する推奨治療は、ステージI、IIの全般性SEに対する治療と変わらなかった。【静脈内投与可能な場合】ロラゼパムまたはジアゼパムの静脈内投与【静脈内投与不可能な場合】ミダゾラム筋肉内投与【発作が継続する場合】フェニトイン、バルプロ酸、レベチラセタム、ラコサミドの静脈内投与・難治性焦点性SE患者では、麻酔薬の使用をできるだけ遅らせるべきである。 著者らは「入手可能なエビデンスでは、焦点性SEに対する薬理学的治療は、全般性SEと異なるべきであることを示唆するには不十分である。より多くの患者を対象とした、さらなる研究が求められる」としている。

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日本人男女の喫煙と膵がんリスク~35万人の解析

 喫煙と膵がんリスクの関連はすでによく知られているが、アジアの大規模集団における詳細な前向き評価は少ない。今回、愛知県がんセンターの小栁 友理子氏らが、日本人集団における10研究をプール解析したところ、喫煙と膵がんリスクの関連に男女差がある可能性が示され、男性では禁煙が膵がん予防に有益であることが示唆された。Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版2019年5月21日号に掲載。 本研究では、10の集団ベースのコホート研究のプール解析を行った。各研究のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)についてCox比例ハザード回帰を用いて計算し、これらの推定値をランダム効果モデルと統合して要約HRを推定した。 主な結果は以下のとおり。・35万4,154人における469万5,593人年の追跡調査の間に、1,779人で膵がんが発症した。・男性(HR:1.59、95%CI:1.32~1.91)、女性(HR:1.81、95%CI:1.43~2.30)の両方で、生涯非喫煙者に比べて現在喫煙者で膵がんリスクが高かった。・環境中のタバコ煙曝露に関係なく、過去喫煙者や20pack-years以下の蓄積量でも、女性では有意に膵がんリスクが高かった。・傾向分析において、男性では10pack-yearsごとに膵がんリスクが有意に6%増加し、女性では有意ではないが6%増加した。・男性では、禁煙後5年で、膵がんリスクは生涯非喫煙者と同程度になったが、女性では禁煙によるリスク減少はみられなかった。

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COPDの増悪頻度に抗IL-5抗体の追加は影響せず/NEJM

 中等度~きわめて重度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)で、頻回の中等度または重度の増悪既往がある好酸球数220個/m3以上の患者において、抗インターロイキン-5受容体αモノクローナル抗体benralizumabのアドオン療法は、プラセボと比較してCOPD増悪の年率頻度を減少しないことが示された。米国・テンプル大学のGerard J. Criner氏らが、それぞれ1,000例超のCOPD患者を対象にした2つの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「GALATHEA試験」と「TERRANOVA試験」の結果を、NEJM誌2019年5月20日号で発表した。benralizumab 10~100mgを投与 GALATHEA試験とTERRANOVA試験では、臨床ガイドラインにのっとった吸入治療を受けているが頻繁に増悪を有するCOPD患者、それぞれ1,656例、2,254例を対象に試験を行った。好酸球数(220/m3以上 vs.220/m3未満)に基づく被験者比率は約2対1で、220/m3以上の被験者はそれぞれ1,120例、1,545例だった。 GALATHEA試験では被験者を無作為に3群に分け、benralizumab 30mg、同100mg、プラセボをそれぞれ投与した。TERRANOVA試験では、被験者を無作為に4群に分け、benralizumab 10mg、同30mg、同100mg、プラセボをそれぞれ投与した。投与は、初回から3回目までは4週ごと、その後は8週ごとに行った。 主要エンドポイントは、被験者のうちベースライン時の好酸球数220/m3以上群の、56週時点におけるCOPD増悪率比だった。COPD増悪率、benralizumab群で減少せず GALATHEA試験、TERRANOVA試験ともに、benralizumab群のプラセボ群に対するCOPD増悪率に有意差はなかった。 GALATHEA試験では、COPD増悪率はbenralizumab 30mg群が年率1.19(95%信頼区間[CI]:1.04~1.36)、100mg群1.03(同:0.90~1.19)、プラセボ群1.24(同:1.08~1.42)だった。対プラセボ群のCOPD増悪率比は、30mg群が0.96(p=0.65)、100mg群が0.83(p=0.05)と、有意差はなかった。 TERRANOVA試験でも、COPD増悪率は、benralizumab 10mg群が年率0.99(95%CI:0.87~1.13)、30mg群1.21(同:1.08~1.37)、100mg群1.09(同:0.96~1.23)で、プラセボ群1.17(同:1.04~1.32)だった。対プラセボ群のCOPD増悪率比は、それぞれ0.85(p=0.06)、1.04(p=0.66)、0.93(p=0.40)と、有意差はなかった。 なお、有害事象のタイプおよび頻度についても、benralizumab群とプラセボ群は類似していた。

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中等症~重症ARDS、早期神経筋遮断薬は無益か/NEJM

 中等症~重症の急性呼吸促迫症候群(ARDS)患者において、早期cisatracurium持続注入と深鎮静を行っても、ルーチンの神経筋遮断を行わず目標鎮静深度がより浅い通常治療を行った場合と比べて、90日院内死亡リスクは減少しないことが示された。米国・国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)が資金援助するPETALネットワーク(Clinical Trials Network for the Prevention and Early Treatment of Acute Lung Injury)が、1,000例超の患者を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。NEJM誌2019年5月19日号掲載の報告。両群ともに高PEEP時の戦略を含む人工呼吸管理を実施 研究グループは、中等症~重症のARDS患者(動脈酸素分圧/吸入酸素濃度比150mmHg未満、呼気終末陽圧[PEEP]8cmH2O以上と定義)を無作為に2群に分け、一方にはcisatracuriumの48時間持続注入と深鎮静を同時に行い(介入群)、もう一方にはルーチンの神経筋遮断は行わず目標鎮静深度がより浅い通常治療を行った(対照群)。人工呼吸管理に関する方針は両群で同一で、高PEEP戦略などを含んでいた。 主要エンドポイントは、90日時点のあらゆる院内死亡だった。90日院内死亡率、両群ともに約43% 本試験は、無益性を理由に2回目の中間解析後に中止となった。 2016年1月~2018年4月に、米国48病院で4,848例がスクリーニングを受けて、中等症~重症のARDSで、発症後間もない(発症後の経過時間の中央値7.6時間)1,006例が主要解析に包含された。 無作為化後48時間以内にcisatracuriumの持続注入を行ったのは、介入群501例中488例(97.4%)で、注入時間中央値は47.8時間、投与量中央値は1,807mgだった。対照群で48時間以内に神経筋遮断薬を投与されたのは、505例中86例(17.0%)で投与量中央値は38mgだった。 90日院内死亡率は、介入群42.5%(213例)、対照群42.8%(216例)であり、両群で同等だった(群間差:-0.3ポイント、95%信頼区間[CI]:-6.4~5.9、p=0.93)。 なお入院中、介入群は対照群に比べ身体活動度が低く、有害心血管イベントの発生率が高かった。3、6、12ヵ月時点に評価したエンドポイントに関する群間差は一貫して認められなかった。

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026)令和?平成? 院内の元号論争【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第26回 令和元年?平成31年? 院内の元号論争しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆いよいよ令和に入りましたが、職場での元号切り替えはスムーズにいきましたでしょうか!? デルぽんの勤務先の電子カルテはつつがなく移行し、各種書類の「平成」部分も、手書きで粛々と「令和」に訂正している次第です。さて、令和フィーバーも落ち着いてきたある日のこと。デルぽんが外来で書類仕事をしていると、ふとナースたちの雑談が聞こえてきました。話によると、院内の書類は基本「令和」で作成することに決定。ただし、看護部にまつわる書類だけは「平成」のまま作成するとのこと。令和元年は平成で統一させたかった看護部長が、「看護部だけでも平成でいく!」と独断で決めたようです。現場のナースたちは戸惑っているようでした。デルぽんは直接関わりのないことですが、「どこでも少なからずこういう意見の不一致はあるよな~」と感じた次第です。ちなみに、改元日以降に作成する文書ですが、平成のままでも有効なようです1)。デルぽんは院内の決まりに従い、提出書類は適宜「令和」に訂正するつもりですが、必ずしも直す必要はないのですね。今回の件で、ひとつ勉強になりました。改元は、何度も経験することではないですから、なるべく混乱を避けた対応が求められますね。院内の元号論争が平和的に解決されますように!それでは、また~☆参考1)改元に伴う元号による年表示の取扱いについて(平成31年4月1日新元号への円滑な移行に向けた関係省庁連絡会議申合せ)

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第21回 救急外来に担ぎ込まれた外傷の症例1【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

今回は、外傷(ケガ)の症例を呈示します。身体の表面の外傷だけではなく、外傷による脳出血や内臓の損傷、それから骨折などに対する根本的な治療は外科医が専門ですが、内科医も外傷の初期診療に携わることがあります。外科医の持っている手術などの技術のない内科医が、どのようなことに注意しながら外傷の初期診療を行っているか、薬剤師の皆さんにご紹介したいと思います。プロローグ本日、薬剤師のあなたは研修の目的で病院へとやってきました。研修を終えたあなたは、病院内の見学を許可され、救急外来に入ってきたところです。「最近具合が悪くて病院に搬送した患者さんが多いけど、救急外来ってどんなところなのかしら...」患者さんHの場合◎経過──1「おい!痛いって言ってるだろ!なにするんだ!やめろ!」(え!?)そんな声が聞こえてからまもなく、ストレッチャーに横たわった男性が救急外来に担ぎ込まれてきました。周りには医師や複数の看護師がいます。医師の名札には「内科」と書かれていました。運ばれてきた男性は大声で叫んでおり、ストレッチャーの上で起きあがろうとしたり、暴れたりしています。「大丈夫ですか!?ここは病院ですからね!ケガの状態をみますよ!」「うるさい!こら!痛いじゃないか!放せ!」複数の看護師や内科医は男性を押さえつけながら、衣服を脱がせ、心電図モニターや血圧計を装着しています。見ると、左下腿は変形し、実際に骨折した人を見たことのないあなたでも明らかに骨折していることがわかりました。(何?どうなってるの!?)モニター画面に映し出されたバイタルサインと意識レベルは表1の通りです。(あ、SpO2が低下している...!)あなたがそう思ったその時、「待機の外科と整形外科に連絡して」内科医がそう言うと、1人の看護師が電話機の方に向かいました。◎経過──2内科医が、ケガをした状況を目撃していた病院の職員から情報を聞きつつ、診療にあたっています。「酸素10Lで開始、静脈路確保して(生理食塩液の)点滴を全開で」《男性が受傷したところを目撃した病院職員からの情報》24歳の男性です。委託の清掃会社で働いています。先程、病院の窓の清掃中に、2階の窓から転落しました。足から落ちたのですが、花壇の縁石に左胸をぶつけたようです。目撃した職員が、すぐ近くを通りかかった医師を呼び止め、すぐに病院のスタッフを集めてストレッチャーで救急外来に運びました。内科医は、変形した左足を横目に、脈をとりながら胸や腹部の診察を行っています。傍らには超音波の機器が置いてあり、放射線技師がポータブルで胸部と骨盤のレントゲンを撮影し終わりました。「何やってんだ!痛いのはそこじゃない!足が痛いんだ...!」そう叫び終えるとその男性は1度嘔吐しました。するとまもなく静かになり暴れなくなりました。(やっと落ち着いたのかしら...)遠くで見ていたあなたはちょっと安心しました。しかし、そんなあなたとは対照的に、救急外来は慌ただしさを増し、内科医が指示を出しています。「メス、トロッカー※1、(気管)挿管の準備をはじめて!静脈路をもう1か所確保して!!」モニターに目を移したあなたは背筋がゾッとしました〈表2〉。※1:胸腔ドレナージチューブのことPrimary surveyとSecondary surveyとTertiary survey第2回バイタルサインの測定法で述べた通り、急を要するときというのは、気道・呼吸・循環に異常がある場合です。その評価をする目的でバイタルサインと呼ばれる5つの生命徴候(呼吸・脈拍・血圧・体温・意識レベル)をチェックします。これらの生理学的徴候に異常を来している場合に急を要すると判断しますが、これは、内因性の疾患(病気)に限らず外傷の診療でも同じことが言えます。外傷患者に対する初期診療は、3段階に分かれます。第1段階はprimary surveyと呼ばれ、生命を維持するのに必要な生理機能(気道・呼吸・循環・中枢神経)の評価と治療を行います。もしこの段階で異常があれば、この時点でどの臓器にどんな外傷がどの程度あるのかなど具体的に診断できていなくても、直ちに生命徴候の異常を改善するように治療を開始します。上記の生理機能が安定すれば、次は第2段階secondary surveyに移ります。詳しく受傷の状況や病歴などを確認し、頭からつま先、背部に至るまでくまなく全身の診察を行いCTなどの画像診断を含め各種検査を行って、どの臓器にどんな外傷がどの程度あるのかを具体的に検索します。もちろんこの段階で生命徴候の異常が出現すれば、primary surveyに逆戻りします。そして第3段階のtertiary surveyでは、見落としがないかどうかを再度確認します。初期診療においては、生命を維持するのに必要な生理機能の異常を素早く察知して、その異常を正常化させること(primary surveyとその段階での初期治療)が救命のために大切であることを強調したいと思います。

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一般内科医が知っておきたい他科の基本処置

このコンテンツは、離島・へき地医療に従事する医師をサポートするゲネプロの協力のもと、プライマリケアに従事する医師が身に付けるべき基本手技をお届けするスペシャル・プログラムです。なかなか接することのない他科の基本手技で、日常診療で役立つ手技を、この機会に学習ください。

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第1回 耳鼻科の手技 その1【一般内科医が知っておきたい他科の基本処置】

第1回 耳鼻科の手技今回の耳鼻科編では、「耳道の診察と耳垢・異物のクリーニング」と「鼻出血の止血処置」の2つの手技を学習します。「耳道の診察と耳垢・異物のクリーニング」では、おなじみの耳の解剖図をもとに診察時にどのように、どこを診るか、処置するときに気を付けるポイント、処置時のコツなど臨床の最前線で活躍する医師の知恵満載でお届けします。一見簡単そうな「鼻出血の止血処置」では、世間で言われている間違った方法に警鐘を鳴らし、本当に止血できる処置の手技をコンパクトに解説します。解説は飯塚 崇氏(高野台いいづか耳鼻咽喉科 院長)、監修はへき地・離島医療の助っ人ゲネプロ。【耳鼻科編 1】耳道の診察と耳垢・異物のクリーニング

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日本におけるADHD児に対する薬物療法の変化

 東北大学の吉田 眞紀子氏らは、日本におけるADHD児に対する薬物療法の傾向について調査を行った。Journal of Attention Disorders誌オンライン版2019年5月5日号の報告。 2005年1月~2015年12月の健康保険請求データ367万2,951例を用いて、ADHD児7,856例の薬物治療の傾向を調査した。 主な結果は以下のとおり。・2007年に承認されたメチルフェニデート徐放性製剤の処方割合は、2009年で31.4%に達し(調整オッズ比[AOR]:2.72、95%信頼区間[CI]:2.12~3.51)、その後は頭打ちとなった(AOR:0.96、95%CI:0.94~0.98)。・アトモキセチンの処方割合は、2008年の6.1%から2014年には21.8%に上昇した(AOR:1.12、95%CI:1.13~1.18)。・アリピプラゾールおよびラメルテオンの処方割合が増加していた(傾向のp<0.001)。 著者らは「ADHD児に対する薬物療法に変化が認められた。ADHD児に使用される治療薬の安全性を監視する必要がある」としている。

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食塩摂取と肥満の関連~日本と中国・英国・米国

 食塩摂取が過体重や肥満の独立した危険因子である可能性が、いくつかの研究で報告されている。しかし以前の研究では、1日食塩摂取量を推定するために24時間蓄尿ではなく単回尿や食事思い出し法を用いていること、単一国や単施設のみの集団でのサンプルといった限界があった。今回、中国・西安交通大学のLong Zhou氏らは、International Study of Macro-/Micro-nutrients and Blood Pressure(INTERMAP研究)のデータから、日本、中国、英国、米国における、2回の24時間蓄尿で推定した食塩摂取量とBMI(kg/m2)および過体重/肥満の有病率の関係を調査した。その結果、日本、中国、英国、米国のすべてで、食塩摂取量がBMIおよび過体重/肥満の有病率と関連することが示された。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2019年5月21日号に掲載。 本研究は、日本(1,145人)、中国(839人)、英国(501人)、米国(2,195人)における40~59歳の男女4,680人の横断研究のデータを用いた。食塩摂取量とBMIの関連における回帰係数(β)の計算は一般線形モデルを使用した。食塩摂取量が1日当たり1g多い場合の過体重/肥満のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。・エネルギー摂取量を含む潜在的な交絡因子を調整した場合、食塩摂取量が1日当たり1g多いとBMIは日本で0.28、中国で0.10、英国で0.42、米国で0.52高かった。・食塩摂取量が1日当たり1g多いと、過体重/肥満のオッズは日本で21%、中国で4%、英国で29%、米国で24%高く、すべてp<0.05であった。

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グルコサミン、心血管イベントを抑制/BMJ

 変形性関節症の痛みを軽減するためのグルコサミンの習慣的な補充療法が、心血管疾患イベントのリスクを低減しており、とくに喫煙者でその効果が高い可能性があることが、米国・テュレーン大学のHao Ma氏らによる前向きコホート研究で明らかとなった。研究の成果はBMJ誌2019年5月14日号に掲載された。グルコサミン補助剤を用いる補充療法は、変形性関節症の治療で一般的に使用されているが、疾患や関節痛の軽減への効果は議論が続いている。その一方で、最近の動物実験やヒトの横断研究により、心血管疾患の予防や死亡率の抑制において役割を担う可能性が示唆され、前向き研究のエビデンスが求められている。英国のUKバイオバンクのデータを前向きに解析 研究グループは、習慣的なグルコサミンの使用と心血管疾患イベントの関連の評価を目的に、前向きコホート研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 解析には、英国のUKバイオバンク(2006~10年に、年齢40~69歳の約50万人を登録)のデータを用いた。ベースライン時に、心血管疾患がなく、グルコサミンを含む補助剤の使用に関する質問票に回答した参加者46万6,039例を、2016年まで追跡した。 主要アウトカムは、心血管疾患イベント(心血管疾患による死亡、冠動脈疾患、脳卒中)の新規発生とした。心血管疾患イベント15%低下、喫煙者の有効性は偶然の可能性も グルコサミン使用群は8万9,985例(19.3%、平均年齢58.9[7.1]歳、女性63.6%)、非使用群は37万6,054例(80.7%、55.6[8.2]歳、54.0%)であり、使用群は年齢が高く、女性が多かった。 追跡期間中央値は7年で、この間に1万204件の心血管疾患イベントが新たに発生し、このうち心血管疾患による死亡が3,060件、冠動脈疾患イベントが5,745件、脳卒中イベントは3,263件だった。 年齢、性別、BMI、人種、生活習慣(喫煙、飲酒、身体活動など)、食事摂取、薬剤使用、他の補助剤使用などで調整すると、グルコサミン使用により、心血管疾患イベントが15%有意に低下した(補正後ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.80~0.90、p<0.001)。 また、心血管疾患による死亡は22%(補正後HR:0.78、95%CI:0.70~0.87、p<0.001)、冠動脈疾患イベントは18%(0.82、0.76~0.88、p<0.001)、脳卒中イベントは9%(0.91、0.83~1.00、p=0.04)、それぞれ有意に減少した。 さらに、冠動脈疾患は、非致死的(補正後HR:0.84、95%CI:0.77~0.91、p<0.001)および致死的(0.70、0.59~0.85、p<0.001)の双方が、グルコサミンにより有意に低下した。一方、脳卒中では、非致死的、致死的、虚血性、出血性のいずれにも有意差は認めなかった。 層別解析では、グルコサミンの使用と喫煙には、心血管疾患および冠動脈疾患に関して、有意な相互作用がみられた。すなわち、グルコサミン使用群のうち、元喫煙者で心血管疾患が15%(補正後HR:0.85、95%CI:0.79~0.94)、生涯非喫煙者で12%(0.88、0.82~0.97)、それぞれ低下したのに対し、現喫煙者では26%(0.74、0.63~0.87)と、さらにリスクが低下していた(pinteraction=0.02)。同様に、冠動脈疾患は、元喫煙者で18%(0.82、0.73~0.93)、生涯非喫煙者で12%(0.88、0.79~0.99)、現喫煙者では37%(0.63、0.51~0.79)と低下した(pinteraction=0.004)。現喫煙者での効果は、元喫煙者や生涯非喫煙者よりも強力だった。 著者は、「喫煙者での良好な結果は、偶然による可能性を排除できない」としたうえで、「喫煙者は炎症レベルが高いとされ、炎症ストレスが大きい集団では抗炎症薬の効果が高いとの仮説があることから、グルコサミンと喫煙の相互作用は生物学的にはありえると考えられる」と考察している。

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