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脳梗塞、一過性脳虚血発作発症後の脂質管理はどの程度まで(解説:吉岡成人氏)-1164

脳卒中治療ガイドライン2015 脳梗塞は適切な内科治療が行われなければ、最初の1年で10人に1人が再発する。一方、TIAも発症後90日以内の脳卒中発生率は15~20%である。脳梗塞、TIAの再発予防においては、抗血栓療法と内科的リスク(血圧、脂質、血糖)の管理が重要である。日本における『脳卒中治療ガイドライン2015』においても、脳梗塞患者の慢性期治療における脂質異常のコントロールが推奨されており、高用量のスタチン系薬剤は脳梗塞の再発予防に有用であると記されている(グレードB:行うように勧められる)。また、低用量のスタチン系薬剤で治療中の患者においてはEPA製剤の併用が脳卒中の再発予防に有効であることも併記されている(グレードB)。LDL-Cを70mg/dL未満に管理することの有用性と問題点 脳梗塞、TIA発症後の患者におけるLDL-Cの管理をどの程度にすべきかについての臨床研究が、NEJM誌オンライン版(2019年11月18日号)に掲載された。 3ヵ月以内に脳梗塞ないしは15日以内にTIAを発症した成人患者を対象として、フランスの61施設、韓国の16施設が参加した無作為化並行群間試験で2,860例が登録されている。LDL-Cを90~110mg/dLに管理する高目標群と70mg/dL未満に管理する低目標群の2群に分け、主要エンドポイントを複合心血管イベント(脳梗塞、心筋梗塞、冠動脈ないしは頸動脈の緊急血行再建術を要する新たな徴候、心血管死)として治療の有用性を検討した結果が示されている。追跡期間の中央値は3.5年(フランス5.3年、韓国2.0年)で、期間中に高目標群では平均LDL-C値が136mg/dLから96mg/dLとなり、低目標群では135mg/dLから65mg/dLとなった。追跡期間においてLDL-C値が目標域に維持されていた割合は高目標群で32.2%、低目標群で52.8%であった。 主要エンドポイントの発症率は高目標群で10.9%(2.98/100人・年)、低目標群で8.5%(2.27/100人・年)であり、厳格に脂質管理を行う群でのリスクの低下が示された(補正後ハザード比HR:0.78、95%信頼区間:0.61~0.98)。 サブグループ解析では、フランスの施設では低目標群で優位なリスク減少が認められ(HR:0.73、95%信頼区間:0.57~0.95)、韓国の施設ではHR 1.11と群間における差がなかった。また、既往に脳梗塞があった群では低目標群で有意にリスクが減少した(HR:0.67、95%信頼区間:0.52~0.87)が、TIA群ではリスクの減少は認められなかった(HR:2.06、95%信頼区間:1.03~4.12)。さらに、頻度は少なく、有意差はないものの、頭蓋内出血は低目標群で多く(1.3% vs.0.9%、HR:1.38、95%信頼区間:0.68~2.82)、観察期間中の糖尿病の発症率も低目標群で高かった(7.2% vs.5.7%、HR:1.27、95%信頼区間:0.95~1.70)。厳格なLDL-C管理は有用なのか 脳梗塞患者の再発予防に、厳格なLDL-C管理はどの程度有用なのであろうか。観察期間の長短がフランスと韓国での脂質管理の有用性に差異をもたらしたのであろうか、人種差は関連がないのであろうか。また、脂質の管理が示す再発予防の効果に関して、脳梗塞の患者とTIAの患者で異なっているのは、基礎となる病態が脳梗塞とTIAとで違ったものだからなのだろうか。LDL-Cを厳格に管理することと頭蓋内出血や新規の糖尿病の発症は統計学的に有意ではないが、臨床の現場では、どのように対応すべきなのであろうか。 主要エンドポイントが385例に達するまで継続する予定のevent-driven試験であったが、運営資金の不足により277例で早期中止となってしまったようである。日本人の脳梗塞患者、TIA患者における再発予防のためのLDL-C値はいかにあるべきか、その指針となる新たな臨床試験が必要なのかもしれない。

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第22回 コンビニ食材でミートファースト実践【実践型!食事指導スライド】

第22回 コンビニ食材でミートファースト実践医療者向けワンポイント解説食事の最初に野菜を食べることを「ベジファースト」と言います。この方法は血糖値の上昇を緩やかにし、余分な脂質の吸収を阻害する働きが期待できるとして、多くの方が実践している方法です。また、「最初に野菜を食べる」という意識を持つことで、不足しがちな野菜の摂取量を増やし、満腹感を高めることで食べ過ぎの予防、また栄養バランスを整える働きがあります。この血糖値の上昇を緩やかにする目的の「●●ファースト」という方法には、ほかにも「ミートファースト」「ソイファースト」などがあります。実際、ミート(肉類)を最初に食べることで、肉類に含まれるタンパク質や脂質によりインクレチンと総称される消化管ホルモンの分泌応答が増強され、食後の血糖値上昇が抑制されることが明らかになっています。インクレチンはインスリン分泌を促進するホルモンで、GIPやGLP-1があります。GLP-1は、グルカゴンの分泌抑制、胃内容物の排出遅延の働きがあり、食後の血糖値上昇を抑制します。つまり、インクレチンを分泌させることは、食後の血糖値を抑えるのに大きな効果があると言えます。関西電力医学研究所糖尿病研究センターの桑田 仁司氏らによる研究1)では、2型糖尿病患者および健常者に対してクロスオーバー試験を行い、サバの水煮や牛肉の網焼き(エネルギーと栄養素比率は、サバの水煮と同等)を米飯に先んじて摂取することが、食後の血糖値上昇を等しく抑制することを明確にしました。ベジファーストは、食物繊維が消化管からの糖の吸収を緩やかにして、食後血糖値の上昇を抑制しますが、ミートファーストはインクレチンの分泌を促すことでの効果も期待できるため、両食事法を合わせて実行することがお薦めです。コンビニで手軽に食べられるミート(ここではくくりを大きくし、タンパク質も含めました)を探してみました。冷蔵品として挙げられるのは、ゆで卵、豆腐、納豆、サラダチキンなどがあります。中でも、ゆで卵、豆腐、納豆は比較的価格も安価で、常備・実践しやすい食材です。コンビニのレジ周りにある食品は、ローストチキンや焼き鳥など種類が増えており、ミートファーストが手軽に実践できる食品が多くあります。唐揚げなどの揚げ物では、脂質過多が気になりますが、脂質の少ないささみなどを使った焼き鳥などの商品は、低脂肪、高タンパク質の摂取が期待できます。お菓子やつまみでもミートファースト(正確には魚や乳製品、卵などタンパク質が多く含まれる食品)が実践できます。おつまみコーナーにあるイカの燻製や食べる小魚、うずらの卵、ヨーグルト、牛乳や豆乳、チーズを選択することも良いでしょう。ミートファーストだからと、肉や魚を余分に摂取するのではなく、食事の一部として考えることが大切です。また、ミート(肉類など)を最初に食べた後は、ベジタブル(野菜)を食べることで、さらに血糖値上昇の抑制効果が期待できます。年明けの体重が増加しやすい時期、まずは実践しやすい食事療法として、ミートファースト、セカンドベジを試してもらうのはいかがでしょうか?1)Kuwata H, et al, Diabetologia. 2015 Dec 24.[Epub ahead of print]

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ウルソの特性を生かしたアドヒアランス改善提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第12回

 今回は、患者さんの服薬管理方法に着目し、用法をまとめたことでアドヒアランスが改善した事例を紹介します。分3内服の典型薬剤であるウルソデオキシコール酸の意外な特性を活かした処方提案ですので参考になれば幸いです。患者情報70歳、女性(施設入居)基礎疾患:原発性胆汁性肝硬変、心不全、糖尿病、逆流性食道炎内服管理:自己管理処方内容(介入時)1.ウルソデオキシコール酸100mg 3錠 分3 毎食後2.ラベプラゾール錠10mg 1錠 分1 朝食後3.フロセミド錠40mg 1錠 分1 朝食後4.インスリンリスプロ注 1日3回 毎食直前 朝4−昼4−夕4単位5.インスリングラルギン注 1日1回 就寝前 6単位本症例のポイント施設入居時、残薬だけで3ヵ月は生活できるほど大量に薬が余っていました。血糖コントロールは当然不良でしたが、患者さんに危機感はなく、「血糖自己測定(SMBG)は家事の際にしみて痛いから嫌だ」、「毎食後の注射は煩わしいから嫌だ」と訴えていました。薬剤師の訪問開始後、治療の必要性を伝えたり手技を確認したりしたものの、それでも毎回のように残薬があり、インスリンリスプロの単位数は4-4-4→6-6-4→6-6-6と、だんだん増量となっていきました。そうこうしているうちに、HbA1cは15.6まで上昇し、医師より血糖管理不良の判断がなされ、インスリングラルギンの単位数が16単位へ増量となりました。なお、ウルソデオキシコール酸については、昼・夕分はほとんど手が付けられておらず、肝機能も悪化気味でした。インスリン注射をきちんと打てていない理由は何かあらためて探ってみたところ、この患者さんは間食が大好きで、一日中何かしら食べていることが判明。さらに、インスリン単位数を上げているので間食を増やしてもいいのだと都合よく解釈し、実際には打っていないこともわかりました。そのような治療意識の低さが日々の内服薬の服薬アドヒアランスにも影響していました。患者さんの問題点を整理すると、(1)患者さんの病識不足による血糖管理不良、(2)内服アドヒアランス不良に伴う肝機能・心不全の悪化の2点だと考えました。患者さんにとって現状で何が一番負担かを聴取すると、毎食前のインスリンと毎食後の内服薬だという話を聞くことができました。ほぼすべてが負担と感じている状況ですが、服薬回数を減らすことでアドヒアランス向上につながる可能性があると思い、ウルソデオキシコール酸の服薬回数に着目しました。ウルソデオキシコール酸(UDCA)の薬理作用<利胆作用>:細胞障害性の胆汁酸トランスポーター発現→胆汁量増(胆汁うっ滞改善作用)<置換作用>:細胞障害の強い疎水性胆汁酸とUDCA(親水性:細胞障害なし)と置き換わることによる肝障害の軽減上記の置換作用は、投与回数ではなく総投与量が相関しているため、1日1回にまとめることは可能。ただし、消化器系副作用が増加するという報告もあるため注意が必要。このことから、ウルソデオキシコール酸を朝にまとめることで内服回数を1日1回に減らすことが可能と考えました。また、根本の問題である血糖管理も、インスリンリスプロ注をほとんど使用していないためであり、朝の内服に合わせたインスリングラルギンによる治療管理の提案と間食の節制などの指導を行うこととしました。処方提案と経過医師にトレーシングレポートを用いて、ウルソデオキシコール酸を朝にまとめることと、インスリングラルギンを朝単回にしてリズムを作るのはどうか提案しました。医師もコンプライアンスについて問題視していたため、まずはきちんと内服とインスリンを打つことが先決との返答をいただき、承認を得ることができました。その後、ウルソデオキシコール酸とほかの内服薬の服用タイミングがそろったことから一包化しました。すると、内服管理が朝のみになったことで本人の負担が軽減され、飲み忘れることがなくなりました。また、内服とインスリンの使用機会も同一となり、インスリンを確実に打てるようになりました。血糖推移も血糖管理手帳によると300~400台から120~200台まで改善しました。結果が良くなってきたことで、患者さんの意識が少しずつ変化し、今ではかなり自信がついたと感じています。間食をダラダラ食べ続けることが減ったことも影響していると考えます。なお、ウルソデオキシコール酸の投与回数を1回/日にまとめたことで消化器系副作用が懸念されていましたが、胸焼けや悪心などの症状の出現はなく経過しています。上垣佐登子ほか. 肝臓. 2007;48:559-561.

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アトピー性皮膚炎患者の全がんリスクは?

 アトピー性皮膚炎(AD)とがんの関連性についてはさまざまな見解がある。カナダ・トロント大学のLily Wang氏らは、一般集団と比較したAD患者のがんリスクを明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。観察的エビデンスとして、ADはケラチノサイトがんおよび腎がんのリスク増大と関連する可能性がある一方、肺・呼吸器系がんとの関連性は低い可能性が示されたという。結果を踏まえて著者は「さらなる研究を行い、現行エビデンスの不均一性と限界に焦点を当て、ADとがんリスクの関連性の基礎を成すメカニズムを解明する必要がある」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年12月11日号掲載の報告。 研究グループは、一般集団と比較したAD患者の非皮膚・皮膚がんのリスクを評価した。MEDLINE(1946年~)、Embase(1980年~)を2019年1月3日時点で検索し、「NEOPLASMS」「neoplas」「tumo」「cancer」「malignanc」および「Dermatitis, Atopic」「dermatit」「neurodermatit」「eczema」「disseminated」「neurodermatit」などの単語を含む論文を特定。観察試験(コホートおよびケースコントロール)でAD患者のがん推定リスクを対照(一般市民または非AD患者)と比較して報告していた論文を適格とし、包含した。 2人のレビュアーがそれぞれデータを抽出し、ROBINS-I評価ツールを用いて観察曝露試験を修正し、バイアスリスクを評価した。抽出したデータはランダム効果モデルを用いてプールし、標準化罹患率比(SIR)またはオッズ比(OR)を95%信頼区間(CI)値とともに算出した。不均一性についてCochrane Q統計およびI2統計を用いて評価した。 本研究の主なアウトカムは、SIRまたはORで評価したがんリスクとした。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューとメタ解析には、住民ベースコホート試験8(572万6,692例)とケースコントロール試験48(11万4,136例)が包含された。・コホート試験間で、ADとケラチノサイトがん(5試験、pooled SIR:1.46、95%CI:1.20~1.77)、腎がん(2試験、1.86、1.14~3.04)、中枢神経系がん(2試験、1.81、1.22~2.70)、膵がん(1試験、1.90、1.03~3.50)に統計的に有意な関連が認められた。・48のケースコントロール試験間において、AD患者の中枢神経系がん(15試験、pooled OR:0.76、95%CI:0.70~0.82)、膵がん(5試験、0.81、0.66~0.98)のORは、コホート試験で高い発生率が認められたにもかかわらず、統計的に有意に低かった。・ケースコントロール試験では、肺・呼吸器系がんのORも低いことが示された(4試験、pooled OR:0.61、95%CI:0.45~0.82)。・ADとその他のがん(メラノーマを含む)の関連性を認めるエビデンスは見いだせなかった。・なお、その他多くのがんの試験では、データのプールの妨げとなるかなりの不均一性があり、包含試験間には中等度~重度のバイアスリスクが存在した。

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日本人統合失調症患者における1年間の禁煙変化

 岡山県・たいようの丘ホスピタルの樋口 裕二氏らは、日本人の統合失調症患者の喫煙者における禁煙への意欲や行動に関するフォローアップ調査を実施した。BMC Psychiatry誌2019年11月21日号の報告。 参加者は、2016年4月1日時点で1年以上通院しており、過去6ヵ月以内に2回以上受診していた20~69歳の統合失調症外来患者。2016年にプールされた患者680例よりランダムに抽出した420例を対象にベースライン調査を行い、現在の喫煙状況や禁煙段階を含む喫煙行動に関して2017年までフォローアップ調査を実施した。禁煙段階の分布と変化、1年後の喫煙者および非喫煙者数、自然主義的な1年間の禁煙フォローアップによる禁煙率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン調査の回答者350例中、現喫煙者は113例、元喫煙者は68例であった。・現喫煙者113例中、104例(92.0%)が1年間フォローアップされた。禁煙に関心があった患者は79例(70.0%)であったが、ベースライン時に禁煙治療を受けた患者は7例のみであった。・フォローアップされた104例中、1年後に禁煙を達成していた患者は6例(5.8%)のみであった。・ベースライン時に6ヵ月以内に禁煙する意向を示した患者25例中、1年間禁煙を継続する意向を維持した患者は6例(24.0%)、禁煙の意向を維持できなかった患者は16例(64.0%)であった。 著者らは「統合失調症患者の喫煙者の多くは、禁煙に関心を持っているが、治療を受け、実際に禁煙できる患者はほとんどいないことが明らかとなった。統合失調症患者の喫煙者には禁煙治療のオプションを含め、適時の介入が必要とされる」としている。

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患者団体と製薬企業とのつながりとは/BMJ

 オーストラリア・シドニー大学のLisa Parker氏らは、患者団体と製薬企業の間の相互作用を調べる質的研究を行った。疾患別に存在する患者団体の多くが、製薬企業から資金提供を受けているが、患者団体は、患者および介護者に対する支援やアドボカシー、情報提供において重要な役割を担っている。また、医療および製薬の政策において影響力のあるアドボケイト(代弁者)としての地位を増しており、研究グループは、両者間の相互作用の解明を試みた。その結果、相互作用としての「asset exchange(資産交換)」の問題が明確になったという。BMJ誌2019年12月12日号掲載の報告。質的研究で、患者団体と製薬企業との関係性を調査 検討は、患者団体の代表者の観点から製薬企業のスポンサーシップをどのように見ているのか、また相互作用がどのように、なぜ、いつ発生するのかを調べることで、相互作用の質を理解し報告することを目的とした。 研究には、製薬企業と多様なレベルの資金提供でつながりのある、オーストラリアの23の患者団体から27人が参加。患者団体は、一般的な医療消費問題や疾患別の話題にフォーカスしている、地域または全国規模の団体であった。 調査は、倫理学の理論(グラウンデッドセオリー)で知られている経験的・質的インタビュー研究法を用い、インタビューでの聞き取りをデータカテゴリーにコード化して分析した。調査結果は、データを描出し解き明かすために新しい概念カテゴリーに編成され、また引用符でサポートされた。資金提供を受ければ、何らかの見返りを求められることに留意すべき 患者団体と製薬企業の関係性のタイプとして、製薬企業のスポンサーシップに対する姿勢の違いによる4つのタイプが特定された。 支配的な関係性(dominant relationship)のタイプは、ビジネスパートナーシップとして成功したタイプといえ、患者団体は企業の人間と密接な協力関係を築いていることが示された。このタイプの患者団体は、企業の悪影響の可能性を認識しつつ、企業の影響を回避する戦略があるとの自信を示していた。 その他の患者団体は、不十分(unsatisfactory)または未発達(undeveloped)な関係性であることが示され、いくつかの患者団体(すべて一般医療消費団体)は、製薬企業とは基本的な関心事が対立しており、自分たちのミッションと相いれないものであることを示した。 患者団体は、自分たちと製薬企業の間の相互作用は、団体のメンバーが興味を示す可能性がある新薬を会社が手にしたときにより多く発生していると報告した。 また、企業の資金提供を受け入れた患者団体は、企業と“asset”(資産)の交換に関わっていることが明らかになった。患者団体は、金銭、情報、アドバイスを受け取るのと引き換えに、企業にマーケティングや主要なオピニオンリーダーとの関係構築の機会を与えることや、医薬品の入手や助成金に関する企業のロビー活動に協力したり、治験への参加者集めを支援したり、企業の信頼性を強化することに関与していた。 著者は、「製薬企業のスポンサーシップについての患者団体の幅広い見方について理解することは、両者間のあらゆる倫理的懸念を特定し統制しようとする患者団体にとって役立つものとなるだろう」と述べるとともに、「製薬企業から金銭を受け取っている患者団体は、“返礼”として特定の資産を要求される可能性があることを想定しておくべきである」と指摘。続けて「活発にマーケティングを行う機会があると見なした患者団体への製薬企業による選択的な資金提供は、患者団体本来の活動を製薬企業の関心事にねじ曲げて向かわせる可能性があり、企業の代理人としてアドボカシーを発揮し、医療政策にも影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らした。

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中国で原因不明の肺炎59例、厚労省が注意呼び掛け

 中国・湖北省武漢市で、先月中旬から下旬にかけて、原因となる病原体が特定されていない肺炎の発生が複数報告されている。厚生労働省によると、現在までにヒト-ヒト感染は明らかになっておらず、爆発的な広がりが懸念される段階ではないが、引き続き情報収集を進めている。 国立感染症研究所などが今月5日時点でまとめた内容によると、症例数は59例で、臨床徴候と症状は主に発熱。いずれも2019年12月12日~29日に発症したとみられ、このうち7例が重症となっている。感染経路は不明であるが、ヒト-ヒト感染については明らかな証拠がなく、医療従事者における感染例も確認されていない。発生場所の疫学的な特徴としては、海鮮市場と関連した症例が多いとのこと。当該の海鮮市場(華南海鮮城)は、野生動物を販売する区画もあるが、現在は閉鎖中という。 なお、現段階でインフルエンザ、鳥インフルエンザ、アデノウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)および中東呼吸器症候群(MERS)の可能性はいずれも否定されている。 日本は年末年始の休暇を利用した海外渡航者が一段落したところだが、中国では人の出入りが大きく増える春節(旧正月の大型連休)を2週間後に控えている。厚労省健康局結核感染症課は、「現段階においては、人から人への感染が確認されていないので、通常の診療で対応できると考える。ただし、咳や発熱等の症状がある患者が来院したら、直近の渡航歴はしっかり確認していただきたい。また、インフルエンザなどが否定され、原因が明らかでない肺炎患者を診察した際には、各自治体に報告してほしい」と話している。

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第5回 サルコペニアを合併する高齢患者に必要な心リハとは?【今さら聞けない心リハ】

第5回 サルコペニアを合併する高齢患者に必要な心リハとは?今回のポイント高齢心不全患者では半数以上でサルコペニアを合併しているサルコペニアは生活の質を低下させるだけでなく、生命予後の不良因子である高齢心不全患者こそ、心リハでの積極的介入が重要第2回でも紹介しましたが、心臓リハビリテーション(以下、心リハ)は、現在、心筋梗塞や狭心症だけではなく心不全患者にも保険適用となっています。日本人口の高齢化に伴い、心不全患者が増加し続けており、2020年には120万人を超えると予想されています。最近の日本の急性心不全入院患者の多施設前向き研究では、心不全入院患者の年齢中央値は80歳でした1)。さて、読者の皆さまは、高齢の急性心不全入院患者に心リハを行うべきと考えるでしょうか? よく内科医の方から、『高齢の急性心不全患者では足腰の問題もあり、エルゴメータやトレッドミルの運動ができないので、心リハは適応外ではないですか?』『急性心不全入院患者では循環動態が不安定なので、できるだけ負担をかけないために安静にしているほうがいいのでは?』といった質問を受けます。果たして、高齢の急性心不全入院患者では安静が良いのでしょうか? このような患者は、退院後も運動療法が適応外なのでしょうか?心リハ=エルゴメータ運動ではない通常、心リハの運動療法では、大腿四頭筋群を中心に使う律動的な運動を行いやすいエルゴメータ運動が用いられます。しかし、当然ながらエルゴメータの上で座位を保持できるバランス力に加え、自転車こぎ運動ができる最低限の筋力・持久力が必要になります。エルゴメータでは負荷量を調整できますが、通常のエルゴメータには機器の重みとして最低10W(ワット)の負荷がかかります。このため、10Wの負荷で持久的な自転車こぎ運動ができる患者でなければ、通常のエルゴメータによる有酸素運動の適応にはなりません。高齢者に限らず、重症心不全患者などで運動耐容能が高度に低下し通常のエルゴメータ運動ができない場合には、椅子からの立ち上がり運動(スクワット)やつま先立ち運動(カーフレイズ)などのごく軽度の筋力トレーニングを行ってもらいます。このような筋力トレーニング5~10回を1セットとして1日に頻回に行う方法により、体幹・下肢の筋量増加を目指します(「少量頻回」の原則)。また、このような患者では、歩行をはじめ日常生活動作(ADL)が不安定な患者も多いので、歩行訓練や移乗訓練などADL訓練を行います。いわゆる廃用症候群のリハビリと似たトレーニング内容となりますが、心不全患者ではリスク管理が重要です。リハビリを実施する際には、心電図モニタリング・血圧・Borg指数を確認し、専門医の監督のもとで行います。急性心不全では安静臥床が適切か?急性心不全により循環動態が悪化している際には安静が必要です。病状によっては、トイレ動作ですら、さらなる循環動態の悪化を招くことがあります。しかし、最近では循環動態のモニタリング機器の性能が格段に向上し、循環器救急患者のリハ中のリスク管理が容易になりました。そのような中で、リスク管理下での超急性期リハの安全性や有効性が検討された結果、現在では急性心不全患者でも「初期治療により循環動態の改善が認められれば、速やかに心リハを開始すべきである」と考えられています。安静臥床は筋萎縮だけでなく、せん妄や・無気肺・肺炎・自律神経機能異常などの合併症を来しやすく、それらの合併症により、治療は一層複雑化してしまいます。したがって、超急性期の心リハでは、初期治療により循環動態および自覚症状の改善傾向を認めたら速やかに(できれば治療開始後48時間以内に)リハ介入し、ベッド上あるいはベッド周囲での運動を開始することを目指します。循環動態・自覚症状の速やかな改善は心不全患者の長期予後とも関連することが知られており、早期の循環動態改善を目指した治療薬も開発が進められています。これらの治療に並行した早期リハ介入は、とくにサルコペニアに陥りやすい高齢心不全患者にとって重要です。近年の臨床研究にて、心不全患者の体重減少、すなわちサルコペニアはADLを低下させるだけではなく、生命予後不良因子であることがわかっています2)。心リハでサルコペニアの進行を予防することは、心不全患者のADLのみならず生命予後にも関わる重要な介入であるといえます。とくに高齢心不全患者では同化抵抗性によりトレーニングを行っても筋肉量が増加しにくいことや社会的事情により回復期の通院心リハへ参加することが困難なことも多いため、入院中に低下した筋量・身体機能を退院後に回復させることは容易ではありません。介護を要する高齢患者の増加を防ぐために、また介護負担を少しでも軽減するために、入院中の心リハがカギとなると考えられます。最後に臨床の現場では、入院中に積極的なリハがないまま、退院日前日まで“原則安静”とされている心不全患者が多いようです。退院後、患者は必要に応じて身体を動かす必要がありますが、医師の大半はそれに無関心で、「きつい活動は控えましょう」の一言のみ。疾患管理において安静や運動制限が本当に重要と考えるのであれば、入院中から患者がどの程度の身体活動を症状・循環動態の悪化なく行えるのかを医学的に評価した上で、退院時に「あなたはここまでの活動は問題なくできますが、これ以上のきつい活動は控えてくださいね」というように具体的に指導するべきではないでしょうか。高齢者診療に関わる医療者は、安静のもたらす功罪について今以上に意識を高める必要がありそうです。<Dr.小笹の心リハこぼれ話>「心リハ=エルゴメータ運動ではない」と書きましたが、運動耐容能の低下した高齢心不全患者では通常のエルゴメータ運動が困難でも、ストレングスエルゴ8®(アシスト機能付きエルゴメータ)や、てらすエルゴ®(仰臥位用負荷量可変式エルゴメータ)などを用いれば、自転車こぎ運動が可能になることも多く、当院でもこれらの機器を用いて高齢心不全患者に対して有酸素運動の指導を行っています3)。また、当院では導入していませんが、アームエルゴ®など上肢を使うエルゴメータもあります。患者ごとに適切な運動の種類を検討することも運動処方のポイントです。運動に用いる器具はいくつかバリエーションを用意し、どのような器具を用いるのか、患者ごとに指導できると良いですね(図1)。画像を拡大する1)Yaku H, et al. Circ J. 2018;82:2811-2819.2)Anker SD, et al. Lancet. 2003;361:1077-1083.3)Ozasa N, et al. Circ J. 2012;76:1889-1894

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心拍数を下げて心臓の負担を減らす慢性心不全治療薬「コララン錠2.5mg/5mg/7.5mg」【下平博士のDIノート】第40回

心拍数を下げて心臓の負担を減らす慢性心不全治療薬「コララン錠2.5mg/5mg/7.5mg」今回は、HCN(hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated)チャネル遮断薬「イバブラジン塩酸塩錠」(商品名:コララン錠2.5mg/5mg/7.5mg、小野薬品工業)を紹介します。本剤は、心臓の伝導性、収縮性、再分極および血圧に影響を与えず、心拍数を減少させる新規慢性心不全治療薬として期待されています。<効能・効果>本剤は、洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全(β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)の適応で、2019年9月20日に承認され、2019年11月19日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはイバブラジンとして1回2.5mgを1日2回食後経口投与します。1回投与量は2.5mg、5mg、7.5mgのいずれかとし、増量する際は2週間以上の間隔を空けて段階的に調節します。目標とする安静時心拍数は50~60回/分とし、目標値を超える場合は段階的な増量、下回るまたは徐脈関連症状(めまい、倦怠感、低血圧など)が認められた場合は段階的な減量が必要です。なお、本剤は次のいずれかの患者に対して投与を検討します。β遮断薬の最大忍容量を投与されても安静時心拍数が75回/分以上の患者β遮断薬に対する忍容性がない、もしくは禁忌など、β遮断薬を使用できない患者<副作用>国内第III相試験(ONO-1162-03試験)および海外第III相試験(SHIFT試験)において、本剤が投与された安全性評価対象3,359例のうち、636例(18.9%)に副作用が認められました。主な副作用は、徐脈122例(3.6%)、光視症95例(2.8%)、胃腸障害47例(1.4%)、心不全27例(0.8%)、霧視15例(0.4%)でした。なお、心拍数減少を含む徐脈(8.0%)、光視症(同上)、霧視(同上)、房室ブロック(0.6%)、心房細動(0.3%)、心電図QT延長(0.2%)が、重大な副作用として報告されています(承認時)。<患者さんへの指導例>1.この薬は、心臓の過剰な働きを緩やかにすることで、心臓の負担を軽減して心不全の悪化を防ぎます。2.暗い部屋で突然稲妻のような光が見えたり、目がチカチカしたり、視界がかすんで見えたりするような症状が生じることがあります。これらの症状が認められた場合は、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないでください。3.めまい、立ちくらみ、息切れ、脈が飛ぶ、動悸などの症状が現れたら、すぐに医師に連絡してください。4.このお薬は、妊娠・授乳している女性には使うことができません。妊娠を希望する場合は主治医に相談してください。<Shimo's eyes>慢性心不全の患者さんでは、十分な血液量を拍出できない心臓の働きを補うために、心拍数が高くなることがあります。それが長期間継続すると、日常生活に支障が生じるのみならず、予後にまで悪影響を及ぼすことが知られています。本剤は、心臓の洞結節に発現するHCNチャネルを阻害することで、心臓のペースメーカー電流を抑制して心拍数を減少させます。対象となる患者さんは、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けていて、安静時心拍数が75回/分を上回る方に限定されますが、副作用や禁忌によってβ遮断薬が使用できない場合も可能です。本剤の効果が期待できるのは、心臓が正常なリズムを示す洞調律を保った患者さんであり、洞不全症候群や洞房ブロックなどの患者さんは禁忌です。また、収縮期血圧が90mmHg未満または拡張期血圧が50mmHg未満の低血圧、重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)の患者さんにも使用できません。本剤はCYP3Aの基質であるため、強力なCYP3A阻害作用を持つイトラコナゾール、クラリスロマイシンなどのほかにも、中等度のCYP3A阻害作用に加えて心拍数減少作用を持つベラパミル、ジルチアゼムとは併用禁忌です。副作用の眼症状発現について、本剤は洞結節のHCN4チャネルに加えて、視細胞のHCN1チャネルを阻害することが原因の1つと考えられています。光視症、霧視を認めた場合は、本剤の減量や投与中止を含めた対応を提案しましょう。なお、2019年9月現在、本剤は「慢性心不全」に関連する効能・効果について、100以上の国または地域で承認されています。参考1)PMDA コララン錠2.5mg/5mg/7.5mg

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うつ病から双極性障害、認知症へ診断転換する患者像

 大分大学の寺尾 岳氏らは、うつ病と診断された後、双極性障害、最終的に認知症と診断が転換される患者の特徴について、関連文献の定性的レビューを行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2019年11月19日号の報告。 うつ病から双極性障害、認知症と診断転換される患者の特徴について定性的レビューを行った主な結果は以下のとおり。双極性障害と認知症に対してリチウムが効果・うつ病患者は、かなりの割合で躁および/または軽躁エピソードを発現し、その結果、診断が双極性障害へと転換されていた。・さらに、双極性障害患者の多くは、認知症を発症していた。・これまでの研究では、うつ病の早期発症にグリコーゲン合成酵素キナーゼ3β(GSK-3β)の遺伝的変異が関連していることが示唆されていたが、双極性うつ病の可能性のあるサブセットとして、3つのSNP(rs334555、rs119258668、rs11927974)が特定された。・とくに、GSK-3βの他のプロモーターSNP(rs334558)は、うつ病、双極性障害、認知症と関連していることが報告されている。・加えて、GSK-3を阻害することが報告されているリチウムは、一般的に双極性障害に対する効果が認められており、最近では認知症に対する効果も報告されている。 著者らは「うつ病から双極性障害、そして最終的に認知症へと診断が縦断的に転換する患者には特徴があり、GSK-3がこれらの疾患や診断転換の原因である可能性が示唆された」としている。

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急性心不全、包括的な血管拡張薬投与は予後を改善するか?/JAMA

 急性心不全(AHF)患者に対する血管拡張薬の早期集中・継続的な投与戦略について、通常ケアと比較して、180日時点の複合アウトカム(全死因死亡およびAHFによる再入院)を改善しないことが、スイス・バーゼル大学のNikola Kozhuharov氏らによる国際共同非盲検無作為化盲検エンドポイント試験「GALACTIC試験」の結果、示された。通常、一定用量で投与する血管拡張薬の単剤・短期投与では、AHF患者のアウトカムは改善されない。研究グループは、AHF患者の確立されている血管拡張薬について、個別化された用量漸増にて早期集中・継続的な投与という治療戦略の有効性を検証した。JAMA誌2019年12月17日号掲載の報告。通常ケアと比較し、180日時点の全死因死亡またはAHF再入院を評価 試験には、スイス、ブルガリア、ドイツ、ブラジル、スペインの3次または2次医療機関10病院にAHFで入院した788例が登録された。呼吸困難を伴い、血漿ナトリウム利尿ペプチド値上昇、収縮期血圧100mmHg以上が認められ、一般病棟で治療を受けることが計画された患者であった(2007年12月登録開始、2019年2月フォローアップ完了)。 被験者は、入院期間中に早期集中・継続的な血管拡張薬の投与戦略を受ける群(介入群、386例)または通常ケアを受ける群(対照群、402例)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 介入群には、血管拡張薬の最大限および継続的な投与が行われた。具体的には48時間にわたる個別化された用量での舌下および経皮性の硝酸塩投与、低用量の経口ヒドララジン投与と、ACE阻害薬、ARB、sacubitril-バルサルタンの迅速漸増投与を組み合わせた包括的な実利的アプローチであった。 主要エンドポイントは、180日時点の全死因死亡またはAHFによる再入院の複合とした。介入群30.6%、対照群27.8%、補正後ハザード比1.07 無作為化を受けた788例のうち781例(99.1%、年齢中央値78歳、女性36.9%)が、試験を完了し主要エンドポイントの解析に含まれた。180日時点でフォローアップを完了したのは779/781例(99.7%)であった。 主要エンドポイントの発生は、介入群117例(30.6%)、対照群111例(27.8%)であった(絶対群間差:2.8%[95%信頼区間[CI]:-3.7~9.3]、補正後ハザード比[HR]:1.07[95%CI:0.83~1.39]、p=0.59)。死亡はそれぞれ55例(14.4%)、61例(15.3%)であった。 最も頻度が高い臨床的に重大な有害事象は、低カリウム血症(介入群23% vs.対照群25%)、腎機能の悪化(21% vs.20%)、頭痛(26% vs.10%)、めまい(15% vs.10%)、低血圧症(8% vs.2%)であった。

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修行の地はドイツの何処にある?【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第1回

学生の街“グライフスヴァルト”から初めまして!現在、ドイツで心臓外科医をしております、安 健太と申します。これからドイツから医療や生活などさまざまな情報をお届けします。ベルリンから北へ向かうこと200km。緯度でいうと北海道のさらに北、サハリン島の北部くらいに位置する“グライフスヴァルト”という街に私は現在住んでいます。バルト海に面した歴史の古い港街で、城壁があって、大きな3つの教会があります。かつて海からはバイキングが、南からはナポレオンが攻めてきたらしいです。教会の壁には、ナポレオンが放った大砲が空けた穴が残っていたりします。今はグライフスヴァルト大学という総合大学を中心に街が広がっていて、街には若い学生が沢山います。夜な夜なビール片手に、クラブを渡り歩く姿が見られ、「まあ、学生は、日本と本質は変わらんよなー」と思って眺めています。ドイツの医療の問題現在のドイツ、といいますかヨーロッパ全体で、移民問題は大きな社会現象となっています。その一方で、深刻な医師不足に悩まされるドイツは、海外から医師の力を借りないわけにはいかず海外医師をどう扱うのか、非常に苦しいジレンマの中で落とし所を探そうとしています。そんな状況下で、私は移民医師としてドイツに入り込むことになったわけです。この2~3年、ドイツで医療活動を行うための必要な資格を得るための行政手続きは、大混乱を極めました。酷いときは、週に2回くらいホームページ上の情報が更新され、もはや役所の人ですら理解していない始末でした…。最近は、ようやく落ち着いてきて、大体どの州もおおむね似通ったルールで、統一されつつあります(ドイツは連邦国家なので、実は医師免許や労働許可は、各州が独自のルールに則って発行します。難易度・内容共にまったく別の試験に合格して得た医師免許が、ドイツ全土で通用するというおかしな事態になっています)。ドイツでは、給与よりも休暇を大事にします。医師も十分な休暇が取れます。業務量は無理がないとまではいえませんが、日本とは比較にならないくらい緩いです。「休みを取るためには人手が必要だから、外国人医師でもいいから雇いたい」というスタンスです。連載では、日本と比較したドイツの医療システムのこと、ドイツで外国人医師として働くことなどについて、「来てみないとわからなかったこと」を中心にレポートしていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

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ワクチン接種における副反応、副反応疑い報告制度と救済制度【今、知っておきたいワクチンの話】総論 第2回

はじめにワクチンの予防接種は、個人と集団(社会)を感染症から守るために重要な予防的措置である。しかし、ほかの医薬品と同様に副作用が起こるリスクはゼロではなく、極めてまれではあるが、不可避的に健康被害が起こり得る。そのため、私たち医療者はワクチン接種における副作用(副反応)とその報告制度、健康被害時の救済制度について理解し、ワクチン接種を受ける方(被接種者)やその保護者に対して予診の際にこれらについて説明し、副反応や健康被害が発生した際にはサポートできるようにしておく必要がある。「有害事象」「副作用」「副反応」は何が違う?「有害事象」「副作用」「副反応」、これらはワクチン接種に関連して使用される用語だが、使い分けができているだろうか(表1)。「有害事象」や「副作用」は、ワクチンを含む医薬品や手術などの医療行為に関連して使用され、「副反応」はワクチン接種に関連した事象に限定して使用される。いずれも「ワクチン接種をしたあとに起こった症状」に対して使用される用語だが、しばしば混同されている。とくに一般の方やマスメディアでは、誤解して使用や理解されていることがあり、医療者として注意が必要である。(図1)1)有害事象因果関係の有無を問わず、ワクチン接種など医薬品の投与や手術や放射線治療など医療行為を受けたあと患者(被接種者)に生じた医療上のあらゆる好ましくない出来事のこと。医療行為と有害事象との間に時間的に関連がある、前後関係はあるが、因果関係の有無は問わないということになる。そのため有害事象には、ワクチン接種後に偶然あるいは別の原因で生じた出来事も含まれる。しばしば、この時間的な前後関係をただちに因果関係であるかのようにメディアが報じたり、一般の方がそのように誤解していることに注意する。2)副作用治療や予防のために用いる医薬品の主な作用を主作用といい、主作用と異なる作用を副作用という。広義の副作用(side effect)には、人体にとって有害な作用と有害でない(好ましい、肯定的な)作用の両方が含まれる。一般的には医薬品による副作用に対しては、有害な作用である狭義の副作用(adverse drug reaction)が用いられる。医薬品と副作用の間には前後関係があり、また、副作用は医薬品の「作用」であるため、医薬品と副作用(による症状)の間には、因果関係があるということになる。3)副反応ワクチン接種の主作用(ワクチン接種の目的)は、ワクチン接種によって免疫反応を起こし、ワクチンが対象とするVPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで防げる病気)に対する免疫を付与することである。一方、ワクチン接種に伴う、免疫の付与以外の反応や接種行為による有害事象を副反応という。言い換えると副反応とは「ワクチン接種による(狭義の)副作用と接種行為が誘因となった有害事象」のことである。そのため、ワクチン接種と副反応の間には前後関係があり、因果関係があるということになる。表1 有害事象、副作用、副反応の違い画像を拡大する図1 有害事象、副作用、副反応の概念図画像を拡大する副反応・有害事象の要因と症状副反応・有害事象の主な要因と症状を表2に示す。表2 副反応・有害事象の主な要因と症状画像を拡大する1)不活化ワクチン一般的な副反応として、接種した抗原・アジュバンドやワクチン構成成分などで誘起された炎症による局所反応(発赤、硬結、疼痛など)や全身反応(発熱、発疹など)がある。また、数10万〜100万分の1の確率とまれではあるが重篤な副反応として、アナフィラキシーや血小板減少性紫斑病、脳炎・脳症などがある。医療者はこれらの副反応について、事前に被接種者や保護者に説明を行う。とくに頻度の高い一般的な副反応については、症状出現時の対応(表3)まで含めて説明する。また、接種後のアナフィラキシーなどに対応するため、接種後30分は院内で経過観察を行う。2)生ワクチン弱毒化したワクチン株による感染、つまり病原性の再獲得によって生じる副反応がある。なお、局所の発赤や発熱などの高頻度な副反応は、軽微な症状であるため、単独では予防接種後副反応疑い報告基準(後述)における医療者の報告義務規定にはあたらない。表3 高頻度な副反応の経過と対応画像を拡大する予防接種後副反応疑い報告制度とは予防接種後副反応疑い報告制度とは、予防接種法に基づき、「医師などが予防接種を受けた者が一定の症状を呈していると知った場合に厚生労働大臣に報告しなければならない(報告義務がある)制度」である。この制度は、予防接種後に生じる種々の身体的反応や副反応疑いについて情報を収集し、ワクチンの安全性について管理・検討を行い、国民に情報を提供すること、および今後の予防接種行政の推進に資することを目的としている。本制度は、2013年の法改正により大幅に変更され、2014年11月から副反応疑い報告(予防接種法)と医薬品・医療機器等安全性情報報告(医薬品医療機器等法)の報告先は独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)に一元化され、報告の方法が簡素化された。報告基準1)定期接種の場合予防接種法に基づいて報告基準があり、ワクチン(対象疾患)ごとに報告すべき症状、症状発生までの時間(期間)が規定されている(表4)。この報告基準にある症状(「その他の反応」を除く)について、それぞれに定められている時間までに発症した場合は、因果関係の有無を問わず、医師などは報告する義務がある。「その他の反応」については(1)入院、(2)死亡または永続的な機能不全に陥るおそれがある場合で、それが予防接種との因果関係が疑われる症状について報告する。また、報告基準にある症状でこの時間を超えて発生した場合でも、因果関係が疑われるものについては「その他の反応」として報告する。2)任意接種の場合定期接種の場合のような報告基準はなく、医師などは予防接種後副反応疑い報告書に症状名を記載する。表4 報告基準の例(一部抜粋)画像を拡大する報告方法予防接種後副反応疑い報告書を厚生労働省のWebサイトよりダウンロードし記入、または国立感染症研究所のWebサイトより入力アプリをダウンロードし、報告書PDFを作成、印刷し、PMDAへFAX(FAX番号:0120-176-146)にて送信する。これら報告の流れを図2に示す。図2 予防接種後副反応疑い報告の流れ画像を拡大する救済制度についてきちんと説明していますか?インフルエンザワクチンの任意接種用の予診票の医師記入欄には「本人又は、保護者に対して、予防接種の効果、副反応及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済について説明しました。」と記載がある。あなたは被接種者や保護者に対して、ワクチン接種における救済制度についてきちんと説明ができているだろうか。予防接種後の健康被害に対する救済制度前述のとおり、予防接種は感染症から個人と社会を守るための重要な施策であるが、極めてまれに健康被害が起こり得る。そのため、予防接種によって健康被害を受けた方に対する特別な配慮が必要であり、公的な救済制度が設けられている。救済制度は一律ではなく、定期接種、任意接種によって異なることに注意する。いずれの場合も給付の請求者は健康被害を受けた本人や家族であるため、医師は救済制度を紹介し、診断書や証明書の作成に協力する。ワクチン接種と健康被害との間に因果関係が認められた場合に救済給付が実施される(表5)。表5 予防接種後の健康被害救済制度の違い画像を拡大する給付の種類には、(1)医療機関での治療に要した医療費や医療手当(医療を受けるために要した諸費用)、(2)障害が残った場合の障害児養育年金または障害年金、(3)死亡時の葬祭料および一時金、遺族年金があるが、各制度によって給付額は大きく異なる。なお、国内未承認ワクチン(いわゆる輸入ワクチン)に対しては、輸入業者が独自の補償制度を設定している場合もあるが、これらの公的な制度は適応されないことにも注意する。1)定期接種の場合:予防接種健康被害救済制度予防接種健康被害救済制度は、予防接種法に基づく定期の予防接種(定期接種)により健康被害を受けた方を救済するための公的な制度である。定期接種を受けた方に健康被害が生じた場合、対象となる予防接種と健康被害との因果関係があるかどうかを疾病・障害認定審査会で個別に審査し、厚生労働大臣が因果関係を認定した場合は、市町村長は健康被害に対する給付を行う。給付の内容は、定期接種のうちA類疾病(B型肝炎、Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症、ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ、結核、麻しん・風しん、水痘、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス感染症)とB類疾病(インフルエンザ、高齢者の肺炎球菌感染症)で異なる。B類疾病による健康被害の請求の期限は、その内容によって2年または5年となっているため、とくに留意する。なお、健康被害について賠償責任が生じた場合であっても、その責任は市町村、都道府県または国が負うものであり、当該医師は故意または重大な過失がない限り、責任を問われるものではない。2)任意接種の場合:医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構法(PMDA法)に基づく公的な制度である。これらの制度は、医薬品などを適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による入院が必要な程度の疾病や日常生活が著しく制限される程度の障害などの健康被害を受けた方に対して、医療費などの給付を行い、被害を受けた方の迅速な救済(民事責任との切り離し)を図ることを目的としている。どちらの制度が適用されるかは、健康被害の内容や原因によって異なるが、申請窓口はいずれもPMDAであるため、患者や家族から健康被害の相談を受けた際にはPMDAの相談窓口(電話番号:0120-149-931)を紹介する。被接種者・保護者への説明資料以下のような一般の方向けの資料を活用する。日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」〔予防接種の副反応と有害事象〕医薬品副作用被害救済制度リーフレットまとめ「有害事象」「副作用」「副反応」はしばしば混同されて使用されており、医療者としてこれらの違いを理解する。医師などには予防接種後の副反応を疑った際に報告する義務がある。報告制度は定期接種、任意接種によって異なるが、報告先はPMDAに一元化されている。予防接種後の健康被害に対する公的な救済制度は、定期接種、任意接種によって異なるが、いずれもその請求は本人・家族が行うため、医療者はこれらの制度を紹介しサポートする。副反応疑い報告制度と救済制度制度の詳細については、「参考になるサイト」に示した、それぞれ厚生労働省やPMDAのWebサイトおよび『予防接種必携』1)を参照していただきたい。1)予防接種実施者のための予防接種必携 令和元年度(2019).公益財団法人予防接種リサーチセンター.2019.2)藤岡雅司ほか. 予防接種マネジメント. 中山書店;2013.3)中山久仁子編集. おとなのワクチン. 南山堂;2019.参考になるサイト1)予防接種後の有害事象.予防接種基礎講座〔2017年3月開催資料〕(厚生労働省)2)予防接種後副反応疑い報告制度(厚生労働省)[予防接種法に基づく医師等の報告のお願い][予防接種法に基づく副反応疑い報告(医療従事者向け)]3)予防接種後副反応疑い報告書〔別紙様式1〕(厚生労働省)4)「予防接種後副反応疑い報告書」入力アプリ(国立感染症研究所)5)予防接種健康被害救済制度(厚生労働省)6)医薬品副作用被害救済制度(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構〔PMDA〕).[制度の概要][医療関係者向け][一般の方向け]7)日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」予防接種の副反応と有害事象(日本小児科学会)講師紹介

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がんや心血管疾患による死亡リスクに対する不眠症の影響~メタ解析

 不眠症が死亡率と関連する可能性を示唆するエビデンスが蓄積されつつある。しかし、これらの調査結果に一貫性は認められていない。中国・蘭州大学のLong Ge氏らは、不眠症と死亡率との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌2019年12月号の報告。 18歳以上の成人を対象に不眠症、不眠症状と死亡リスクとの関連を評価したプロスペクティブコホート研究を、MEDLINE、EMBASEよりシステマティックに検索した。ランダム効果メタ解析を用いてサマリーハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。また、エビデンスの質は、GRADEシステムを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・159万8,628例(男性の割合:55.3%、平均年齢:63.7歳)を含むコホート研究29件が抽出された。フォローアップ期間の中央値は、10.5年であった。・入眠困難、熟眠困難は、すべての原因による死亡リスクの増加と有意な関連が認められた。 ●入眠困難 HR:1.13、95%CI:1.03~1.23、p=0.009、信頼性:中程度 ●熟眠困難 HR:1.23、95%CI:1.07~1.42、p=0.003、信頼性:高度・また、心血管疾患による死亡リスクとの有意な関連も認められた。 ●入眠困難 HR:1.20、95%CI:1.01~1.43、p=0.04、信頼性:中程度 ●熟眠困難 HR:1.48、95%CI:1.06~2.06、p=0.02、信頼性:中程度・入眠困難とすべての原因による死亡リスクとの関連は、中高年に限定的であった(信頼性:中程度)。・不眠症、睡眠維持困難、早朝覚醒と、すべての原因による死亡リスクおよび心血管疾患による死亡リスクとの関連は認められなかった。・不眠症状とがん関連の死亡リスクとの関連は認められなかった。

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インフルエンザ様疾患にも抗インフル薬が有益か/Lancet

 インフルエンザ様疾患でプライマリケア医を受診し、通常治療に加えオセルタミビルの投与を受けた患者は、通常治療のみの患者に比べ、平均で1日早く回復し、高齢で症状が重く、併存疾患があり症状持続期間が長い患者では回復までの期間が2~3日短縮することが、英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らの調査で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月12日号に掲載された。欧州のプライマリケアでは、インフルエンザ様疾患への抗ウイルス薬の処方はまれだという。その主な理由は、プライマリケアの実臨床では抗ウイルス薬の効果はないとの認識があること、また、独立の臨床試験で、とくに利益を得ると予測される患者が特定されていないこととされる。欧州15ヵ国のプライマリケア施設が参加した実際的臨床試験 本研究は、欧州15ヵ国のプライマリケア施設で行われた実際的な非盲検無作為化対照比較試験であり、2016年1月15日~2018年4月12日の期間に患者登録が実施された(欧州委員会第7次研究開発枠組計画の助成による)。 対象は、年齢1歳以上、インフルエンザ様疾患でプライマリケア施設を受診した患者であった。インフルエンザ様疾患は、季節性インフルエンザ流行期に、自己申告による突然の発熱がみられ、1つ以上の呼吸器症状(咳、喉の痛み、鼻水、鼻づまり)および1つの全身症状(頭痛、筋肉痛、発汗/悪寒、疲労感)を伴い、症状持続期間が72時間以内と定義された。被験者は、通常治療+オセルタミビルまたは通常治療のみを行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは患者報告による回復までの期間とした。回復は、発熱、頭痛、筋肉痛が軽減または消失し、通常の日常活動への復帰が達成された場合と定義された。便益はインフルエンザ感染の有無にかかわらない 3回の季節性インフルエンザ流行期に3,266例(2015~16年:495例、2016~17年:1,225例、2017~18年:1,546例)が登録された。オセルタミビル群に1,629例、通常治療群には1,637例が割り付けられ、主要エンドポイントの解析にはそれぞれ1,533例(94%)および1,526例(93%)が含まれた。 ベースラインの年齢層別の患者割合は、両群とも12歳未満が14%、12~65歳が80%、65歳以上が6%であった。オセルタミビル群の56%、通常治療群の55%が女性だった。3,059例中1,590例(52%)が、PCRによりインフルエンザ感染症と確定された。 全体の回復までの期間は、オセルタミビル群が通常治療群に比べ短かった(ハザード比[HR]:1.29、95%ベイズ信用区間[BCrI]:1.20~1.39)。事前に規定された36のサブグループ(年齢層、症状の重症度、併存疾患の有無、症状持続期間で分類)のうち30サブグループのHRの範囲は1.13~1.72であり、類似していた。 オセルタミビルによる推定平均便益は、全体では1.02日(95%BCrI:0.74~1.31)であり、オセルタミビル群のほうが約1日回復が早かった。便益のサブグループ解析では、12歳未満/症状が重症でない/併存疾患なし/症状持続期間が短い集団の0.70日(95%BCrI:0.30~1.20)から、65歳以上/症状が重症/併存疾患あり/症状持続期間が長い集団の3.20日(1.00~5.50)までの幅が認められた。 インフルエンザ感染患者におけるオセルタミビル群の推定平均便益のHRは1.27(95%BCrI:1.15~1.41)、非感染患者のHRは1.31(1.18~1.46)であり、感染の有無にかかわらずオセルタミビルによる類似の便益が示された。 抗菌薬の使用割合(オセルタミビル群9%、通常治療群13%)は、オセルタミビル群で低く、家族内の新規感染(39%、45%)も少なかった。一方、医療機関への再受診(3%、4%)、X線で確定された肺炎(47%、57%)、市販のアセトアミノフェン(60%、64%)またはイブプロフェン(38%、41%)含有薬の使用の割合には差がなかった。 嘔吐/悪心の新規発症または増悪が、オセルタミビル群で21%(325/1,535例)に認められ、通常治療群の16%(248/1,529例)に比べ頻度が高く、症状軽減までの期間も長かった(HR:0.94、95%CI:0.86~1.01)。これ以外の症状は、オセルタミビル群のほうが迅速に軽快した。 重篤な有害事象は29件(オセルタミビル群12件、通常治療群17件)報告された。オセルタミビル群では、2件がオセルタミビル関連と考えられたが、残りの10件は関連がなかった。 著者は、「併存疾患を有し、体調不良が長く続く症状が重い患者や高齢患者では、オセルタミビルにより2~3日早い回復の可能性があるため、本薬を考慮してよいと考えられる」としている。

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一般市民によるAED、不成功でも神経学的転帰改善/Lancet

 院外心停止(out-of-hospital cardiac arrest:OHCA)患者への自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)を用いた一般市民による除細動(public-access defibrillation:PAD)の実施は、AEDを使用しない場合に比べ、その場では自己心拍再開が達成されなかったとしても、その後の神経学的転帰を改善する可能性があることが、国立循環器病研究センターの中島 啓裕氏ら日本循環器学会蘇生科学研究グループの調査で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年12月21日号に掲載された。日本では、ショック適応リズムを伴うOHCA患者へのPADの80%以上は、救急隊(emergency medical service:EMS)の現地到着前に、持続的な自己心拍再開には至らないという。これら患者の神経学的および生存転帰は知られていなかった。PADを受けた患者と受けなかった患者を比較するコホート研究 研究グループは、OHCA患者を対象とする日本の全国的な地域住民ベースの前向きレジストリ(ウツタイン様式)のデータを後ろ向きに解析するコホート研究を実施した(特定の研究助成は受けていない)。 対象は、ショック適応リズムを伴うOHCAで、市民によって目撃され、バイスタンダー(救急の現場に居合わせた人)による心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation:CPR、胸骨圧迫、補助呼吸)を受けたが、EMSが現地に到着する前に自己心拍再開に至らず、医療機関に搬送された患者であった。これらの患者のうち、AEDによるPADを受けた患者と、これを受けなかった患者の予後を比較した。 主要評価項目はOHCAから30日時の良好な神経学的転帰、副次評価項目はOHCAから30日時の生存とした。良好な神経学的転帰は、脳機能カテゴリー(Cerebral Performance Category:CPC)のスコア1(機能良好)または2(中等度障害)と定義された。搬送遅延のリスクがあっても、市民によるCPR+PADを推進すべき 2005年1月1日~2015年12月31日の期間に、129万9,784例がOHCAと確定された。EMS到着前に、PADの有無にかかわらず自己心拍再開を達成した患者は除外された。最終的に、EMS到着前に、CPR+PADを受けたが自己心拍再開に至らなかった2,242例(8.0%、PAD群)と、CPRのみを受けたが自己心拍再開に至らなかった2万5,087例(89.5%、非PAD群)が解析に含まれた(合計2万7,329例)。 ベースラインの平均年齢は、PAD群60(SD 17)歳、非PAD群64(16)歳(p<0.0001)、男性がそれぞれ85%および79%(p<0.0001)を占めた。傾向スコアマッチングにより、PAD群の1,483例(66.1%)と、非PAD群の1,483例(5.9%)をマッチさせた(両群とも、平均年齢61[17]歳、男性84%)。 30日時に良好な神経学的転帰を達成した患者の割合は、未補正(PAD群845例[38%]vs.非PAD群5,676例[23%]、オッズ比[OR]:2.07、95%信頼区間[CI]:1.89~2.26、p<0.0001)および傾向スコアマッチング後(546例[37%]vs.425例[29%]、1.45、1.24~1.69、p<0.0001)のいずれにおいても、PAD群で有意に優れた。 また、30日時の患者の生存割合も同様に、未補正(PAD群987例[44%]vs.非PAD群7,976例[32%]、OR:1.69、95%CI:1.55~1.84、p<0.0001)および傾向スコアマッチング後(650例[44%]vs.553例[37%]、1.31、1.13~1.52、p<0.0001)の双方で、PAD群が有意に良好だった。 患者が倒れてから、バイスタンダーまたはEMSによって初回のショックが行われるまでの時間中央値は、PAD群が非PAD群よりも有意に短かった(未補正p<0.0001)が、バイスタンダーが救急通報をするまでの時間(同p<0.0001)および病院到着までの時間(同p<0.0001)はPAD群のほうが長かった。傾向スコアマッチング後も、ほぼ同様の結果だった。 救急通報を受けたEMSが現地に到着して患者への対応を開始するまでの時間別の良好な神経学的転帰の達成について解析したところ、6分未満(OR:1.41、95%CI:1.09~1.84)、6~10分(1.71、1.51~1.94)、10分以上(1.84、1.43~2.36)のいずれにおいても、PAD群が有意に優れた。 著者は、「この新たな知見は、たとえ病院到着時間の遅延のリスクがあっても、院外心停止患者に一般市民が心肺蘇生と除細動を積極的に行うことを推進するとともに、地域におけるPADプログラム導入のさらなる拡大を支持するもの」としている。

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コントロール不良な気管支喘息へのトリプル合剤吸入療法について(解説:小林英夫氏)-1163

 気管支喘息治療の基本が吸入ステロイド薬であることは、標準医療として認知されている。日本では1978年に吸入ステロイド薬としてアルデシンとベコタイドが導入された。その後、吸入ステロイドだけでは良好なコントロールが得られずβ2刺激薬の追加吸入を要する症例に対し、吸入ステロイド+吸入β2刺激薬の2剤合剤であるアドエアが1998年にスウェーデン、2007年に日本で、シムビコートが2000年にスウェーデンで、日本では2010年に発売となった。またシムビコートは2012年にSMART療法(シムビコートを定期吸入と悪化時頓用とする用法、CLEAR!ジャーナル四天王-845「持続型気管支喘息におけるSMART療法について」)の適応も取得した。 そして長時間作用型抗コリン薬を加え3剤へと含有成分が増えれば効果も強まるであろうことは、高血圧や糖尿病に例を取るまでもなく感覚的に推測しえよう。また3つの吸入薬を各々別々に吸入したり、デュアル(2剤)薬の合剤にもう1種を吸入するという手順をトリプル製剤1つで完了できることも、利便性が向上し、アドヒアランスも改善する。すでに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するトリプル製剤の有効性について、ケアネット ジャーナル四天王2018年2月22日配信記事や2018年11月15日配信記事において紹介されてきた。 筆者のトリプル製剤使用における危惧として、診断・病態の把握が不十分な症例にも第1選択として過剰投与されてしまうことが挙げられる。イタリアでの開業医データベースでは、COPD症例の21%にトリプル製剤が処方されていたとされる(Vetrano DL, et al. Respir Med. 2019;154:12-17.)。21%が適正かどうか評価しかねるが、筆者には少々多すぎるように感ずる。また、トリプル製剤内の各薬剤含有量はワンパターンしか販売されていないので、症例に応じた投与量調整が困難である。病態の安定が得られた後に、どのように治療法をステップダウンしていくのかも明らかではない。滅多に経験しないが吸入ステロイドは肺炎のリスクになることも報告されており、本研究でも有害事象として記載されている。 注意点として、日本で販売されているトリプル製剤の適応はCOPDのみで、現状では気管支喘息は適応外であり、ただちに日常使用できない。ただしCOPDと気管支喘息の合併病態であるACO(asthma COPD overlap)には処方可能であろう。また、本邦発売の2製品について優劣は不明だが、ビレーズトリは加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)で、テリルジーはドライパウダー製剤であるため、吸入手技や吸入時刺激感などが異なることにも留意しておきたい。

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腎機能低下2型糖尿病患者においてメトホルミンはSU薬に比べて心血管イベントを減少させる(解説:住谷哲氏)-1161

 乳酸アシドーシスに対する懸念から、腎機能低下2型糖尿病患者に対するメトホルミン投与は躊躇されることが多い。しかし現在ではeGFR≧30mL/分/1.73m2であれば、用量調節によりメトホルミンの投与は可能とするのがコンセンサスとなっている。2016年にFDAが勧告したのを受けて本邦でも今年になって添付文書が改訂され、重度腎機能障害eGFR<30mL/分/1.73m2が禁忌であり、中等度腎機能障害eGFR 30~60mL/分/1.73m2は慎重投与となった。しかしこれは乳酸アシドーシス発症に対する安全性に基づいたものであり、中等度腎機能患者に対してメトホルミンを投与することで心血管イベントなどの真のアウトカムが改善するか否かについての議論ではない。 これまでに腎機能低下2型糖尿病患者におけるメトホルミンの真のアウトカム改善効果をみたRCTは存在しない。前向きコホート研究としては有名なREACH Registryがあり、そこではASCVD合併2型糖尿病患者におけるメトホルミンによる総死亡抑制効果は、腎機能低下の有無にかかわらず一貫して認められた1)。さらにREACH Registryを含んだ6つの観察研究のシステマティックレビューにおいても、腎機能低下2型糖尿病患者においてはメトホルミン投与により総死亡が減少することが報告されている2)。 本試験は米国の国立退役軍人保健局(VHA)の医療サービスを受けている患者の中で、メトホルミンまたはSU薬のいずれかの単剤治療を受けている患者が中等度腎機能異常と診断された時点から前向きに観察を開始したユニークなデザインになっている。その結果は、主要評価項目であるMACEはSU薬投与群に比較してメトホルミン投与群において有意に減少していた。 本試験の結果からは、腎機能低下2型糖尿病患者においてメトホルミンがSU薬以外の血糖降下薬に比較してMACEを減少させるか否かは当然ながら明らかではない。同様の試験デザインを用いて、SU薬以外の血糖降下薬とメトホルミンとの比較を検討することが今後の課題だろう。とくに初回治療患者にDPP-4阻害薬が投与されることの多いわが国においては新たな知見が得られることが期待される。

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trastuzumab deruxtecan(DS-8201)、米国で乳がんの承認取得/第一三共

 第一三共とアストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ)は、2019年12月23日、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)trastuzumab deruxtecanについて、米国食品医薬品局(FDA)より「転移乳がんに対する治療として2つ以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性の手術不能又は転移乳がん」を適応として販売承認を取得したと発表。 本適応は、T-DM1治療を受けたHER2陽性の再発・転移乳がんを対象としたグローバル第II相臨床試験(DESTINY-Breast01)の奏効率および奏効期間の結果に基づき、迅速審査のもとで承認された。本適応での承認取得は条件付きであり、第III相臨床試験における臨床的有用性の検証が必要となる。同剤については、2019年10月にFDAより承認申請が受理されていた。

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