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日本におけるベンゾジアゼピン長期使用に関連する要因

 ベンゾジアゼピンやZ薬(BZD)の長期使用は、現在の臨床ガイドラインで推奨されていないものの、実臨床において引き続き行われている。東京医科歯科大学の高野 歩氏らは、日本における長期BZD使用率とそのリスク因子について調査を行った。BMJ Open誌2019年7月26日号掲載の報告。 本研究は、健康保険データベースを用いたレトロスペクティブコホート研究である。対象は、2012年10月1日~2015年4月1日の期間にBZD使用を開始した18~65歳の外来患者8万6,909例。そのうち、初回BZD使用日に手術を行った患者762例および8ヵ月間フォローアップを行っていない患者1万2,103例を除く7万4,044例を分析した。新規BZD使用患者の8ヵ月以上の長期使用率を調査した。患者の人口統計、診断、新規BZD使用の特徴、長期BZD使用の潜在的な予測因子について評価を行った。長期使用と潜在的な予測因子との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・新規BZD使用患者のうち、8ヵ月以上連続してBZDを使用していた患者は、6,687例(9.0%)であった。・長期処方は、気分障害、神経障害、がん、精神科医による処方、複数の処方箋、初回処方時の睡眠薬および中間型BZD使用と有意な関連が認められた。 著者らは「新規BZD使用患者の9%は、8ヵ月以上BZDが使用されていた。処方医は、初回BZD処方時に長期使用のリスク因子に注意する必要がある」としている。

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がん患者が言い出せない、認知機能障害への対応策/日本臨床腫瘍学会

 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害(cancer-related cognitive impairment;CRCI)は海外で研究が進みつつあるものの、国内での認識は医療者・患者ともに低い。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「がんと関連した認知機能障害:病態解明・診断・治療/ケアはどこまで進んだか」と題したシンポジウムが開かれ、国内外の知見が紹介された。本稿では、橋本 淳氏(聖路加国際病院 腫瘍内科)、谷向 仁氏(京都大学大学院医学研究科)による発表内容を中心に紹介する。がん患者の認知機能障害は治療前で2~3割、治療に伴い最大7割以上 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害は、現時点で有効な評価方法や治療は確立されていないが、がんそのものによる肉体的・精神的影響によって治療前からみられるもの、化学療法や手術、内分泌療法などの治療に伴ってみられるものがあると考えられている。橋本氏は、乳がん、卵巣がん、消化器がんなどにおける海外の報告を紹介。治療前は20~30%の患者で1)、化学療法に伴うものとして17~75%の患者でみられたという報告がある(報告により認知機能の評価法が異なり、幅のある結果となっている)2~3)。 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害の症状としては、記憶、集中力、処理速度や実施能力の低下が報告されている。“頭に霧がかかったよう”と表現するがん患者も多いという。リスクファクターとしては、化学療法と関連する因子(血液脳関門の透過性、用量、併用療法など)のほか、年齢、閉経状態、遺伝学的因子(ApoE、COMD、BDNF)、放射線療法歴、もともとの認知予備能などが報告されているが、認知機能障害のメカニズムを示す明確なエビデンスは現状存在しない。がん化学療法と認知機能障害との関連をアンケート調査 谷向氏は、がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害に着目するきっかけとなった症例を紹介。精神科医として緩和医療科で診察した乳がん患者(外来化学療法受療中)が、「ガスをつけっぱなしで外出してしまうことが何度かある」と話し、危機感を覚えたという。 そこで同氏は、乳がん患者会の協力を得て化学療法受療の有無と7項目の認知機能障害との関連についてアンケート調査(n=173)を実施。作業スピードが遅くなった、ものごとに集中できなくなった、不注意が増えたなどの6項目で、化学療法の有無による有意差がみられた。さらに、これらの自覚する認知機能障害について、「他者から指摘された」ことは有意に少なく、認知機能障害の項目数が増えるほど抑うつスコア(HADS)が上昇した4)。 一方で、同氏は医師62人を含むがん診療に携わる医療者約400人対象のアンケート調査も実施した。その結果、診療/面接時に毎回あるいは時々のいずれかで症状の有無を患者に「確認する」と答えた割合は、痛み・だるさ・眠気といった身体症状については80%以上、気分の落ち込み・不安といった精神症状についても65%以上だったのに対し、物忘れ・不注意・集中力低下といった認知症状については20~30%に留まっていた。がん患者の認知機能障害への感度が高くないMMSEやMOCA-J 医療者の間で理解が進まない原因の1つに、MMSEやMOCA-Jといった一般的な認知機能のスクリーニング法では、ほぼ満点の例があるなど、がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害への感度が高くないという点がある。橋本氏は、がん患者用QOL尺度であるFACT-Cogや、作業効率や言葉の想起の低下などを検出しやすいTMT、COWA、HVLT-Rなどが推奨されていることを紹介した。 谷向氏は、がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害の症状が軽微で、非健忘症状として現れることが多いがゆえに、家族にも医療者にも気づかれにくく、二次的な不安や抑うつなどにつながる可能性を指摘。「もう半年くらい症状が続いているが、笑われてしまうかと思って相談できなかった」という患者の言葉を紹介した。予後が改善し、社会復帰を視野に入れるがん患者が増えていく中で、作業効率の低下などは大きな障壁となりうる。同氏は、医療者側が認知機能障害にも気をかけておくとともに、そのような症状があれば相談してほしいとあらかじめ患者や家族に伝えること、認知機能障害の背景を丁寧に鑑別することの重要性を強調した。 谷向氏は連携する仲間と共同し、患者・家族に対してがんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害に関する啓発用パンフレットを作成している。認知機能障害の症状チェックリストなどを盛り込んだこのパンフレットはこちらからダウンロード可能となっている。

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10~16歳の2型DMにリラグルチド追加は有効?/NEJM

 2型糖尿病の小児・思春期患者(10~17歳)において、メトホルミンへのリラグルチド(1.8mg/日)追加投与は、基礎インスリン投与の有無にかかわらず、52週間にわたり血糖コントロール改善の効果があることが示された。ただし、消化器系有害事象の発現頻度がかなり高かった。米国・イェール大学のWilliam V. Tamborlane氏らが、135例を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年8月15日号で発表した。メトホルミンは、疾患初期の若い2型糖尿病患者の大半にとって選択肢として承認された血糖コントロール薬である。一方で、メトホルミン単独治療を受けていると血糖コントロールが早期に不能になることが観察されている。若い2型糖尿病患者においてリラグルチドの追加(基礎インスリンの有無を問わず)の安全性および有効性は明らかになっていなかった。26週二重盲検の後、26週間非盲検延長 研究グループは、10歳以上17歳未満の2型糖尿病患者135例を無作為に2群に分け(1対1)、リラグルチド(最大量1.8mg/日)またはプラセボの皮下投与を行った。試験は、26週間の二重盲検期間と、その後26週間延長しての非盲検下期間を設定して行われた。 被験者の選択基準は、BMIが85thパーセンタイル超で、糖化ヘモグロビンが7.0~11.0%(食事療法と運動療法のみの治療下の場合)、または6.5~11.0%(基礎インスリンの有無を問わずメトホルミン治療を受けている場合)とした。 試験期間中は、全被験者にメトホルミンが投与された。 主要エンドポイントは、26週以降の糖化ヘモグロビン値のベースラインからの変化値だった。副次エンドポイントは、空腹時血糖値の変化などだった。安全性は、全試験期間を通して評価した。糖化ヘモグロビン値、リラグルチド群で0.64ポイント低下、プラセボ群は上昇 被験者135例のうち134例が、リラグルチド(66例)またはプラセボ(68例)を1回以上投与された。両群の人口動態的特性は類似していた(平均年齢は14.6歳)。 主要エンドポイントの26週時点の解析では、糖化ヘモグロビン値はリラグルチド群で0.64ポイント低下した一方、プラセボ群は0.42ポイント増加した。推定治療差は-1.06ポイントだった(p<0.001)。同差は、52週時点までに-1.30ポイントに増大した。 空腹時血糖値は、リラグルチド群では26週時と52週時で共に低下したのに対し、プラセボ群では上昇していた。 有害事象が報告された患者数は両群間で類似していたが(リラグルチド群56例[84.8%]、プラセボ群55例[80.9%])、全有害事象発生率と消化器系有害事象の発生率はリラグルチド群で高かった。

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中年~晩年期の高血圧症、認知症リスクが増大/JAMA

 中年期~晩年期に高血圧症の人や、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の人は、中年期~晩年期に正常血圧の人に比べ、認知症を発症するリスクが約1.5~1.6倍高いことが明らかにされた。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のKeenan A. Walker氏らが住民ベースのコホート試験で明らかにした。晩年期の血圧値と認知機能の関係は、過去の高血圧症やその慢性化によると考えられている。また、高血圧が続いた後の晩年期の血圧低下は、不良な認知機能アウトカムと関連している可能性も指摘されていた。JAMA誌2019年8月13日号掲載の報告。4コミュニティの45~65歳を計6回追跡 研究グループは、米国内4ヵ所のコミュニティ(メリーランド州ワシントン郡、ノースカロライナ州フォーサイス郡、ミシシッピ州ジャクソン、ミネソタ州ミネアポリス)に住む45~65歳を対象に1987~89年から試験を開始し、3年ごとに、1996~98年まで4回にわたり被験者を対面で診察した。その15年後の2011~13年には5回目の、2016~17年には6回目の診察を行い、詳細な神経認知評価を行った。血圧測定は、1~5回目の診察時にそれぞれ行った。最終追跡は2017年12月31日。 中年期~晩年期の正常血圧、高血圧症(収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧90mmHg超)、低血圧症(収縮期血圧90mmHg/拡張期血圧60mmHg未満)と、認知症、軽度認知障害、認知機能低下との関連を検証した。 主要アウトカムは、介護者による観察尺度AD8(Ascertain Dementia-8)、電話による6項目スクリーナー、退院サマリーや死亡診断書の診断コード、6回目診察時の神経認知評価に基づく、5回目診察時以降の認知症発症だった。副次アウトカムは、6回目診察時の軽度認知障害だった。中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症、軽度認知障害は1.65倍に 被験者数は4,761例で、そのうち女性は2,821例(59%)、979例(21%)が黒人。5回目診察時の平均年齢は75(SD 5)歳で、1回目診察時の平均年齢範囲は44~66歳、同5回目は66~90歳だった。5回目と6回目の診察の間に認知症を発症したのは、516例(11%)だった。 認知症罹患率は、中年期~晩年期の正常血圧群(833例)は1.31/100人年(95%信頼区間[CI]:1.00~1.72)、中年期に正常血圧で晩年期に高血圧症の群(1,559例)は1.99/100人年(1.69~2.32)、中年期~晩年期に高血圧症の群(1,030例)は2.83/100人年(2.40~3.35)、中年期に正常血圧で晩年期に低血圧症の群(927例)は2.07/100人年(1.68~2.54)、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の群(389例)は4.26/100人年(3.40~5.32)だった。 中年期~晩年期に高血圧症の群や、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の群は、同期間に正常血圧の群に比べ、認知症発症リスクはいずれも高く、ハザード比(HR)はそれぞれ、1.49(95%CI:1.06~2.08)と1.62(1.11~2.37)だった。晩年期の血圧値にかかわらず、中年期の高血圧症の持続と認知症リスクには関連が認められた(HR:1.41、95%CI:1.17~1.71)。 中年期~晩年期に正常血圧の群と比べて、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の群では、軽度認知障害のリスクが高かった(患者37例、オッズ比:1.65、95%CI:1.01~2.69)。血圧パターンと晩年期の認知機能変化との有意な関連は認められなかった。

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Stage IV NSCLC 1次治療のデュルバルマブ+tremelimumab、NEPTUNE試験の最終結果/AstraZeneca

 AstraZenecaは2019年8月21日、未治療のStageIV非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療におけるデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と抗CTLA4抗体tremelimumabの併用を評価した第III相NEPTUNE試験の最終の全生存(OS)結果を発表した。 NEPTUNE試験は、Stag IV NSCLC患者の1次治療において、デュルバルマブとtremelimumabの併用と化学療法を比較した国際無作為化非盲検試験。対象はEGFRまたはALK変異のないPD-L1発現NSCLC患者(非扁平上皮および扁平上皮)。主要評価項目は、20 mut/Mb以上と定義された高腫瘍変異負荷(TMB)患者のOSである。 主要評価集団であるTMB20mut/Mb以上の患者において、デュルバルマブとtremelimumabの併用は、化学療法と比較して主要評価項目のOSを達成しなかった。併用群の安全性と忍容性プロファイルは、過去の試験と一致していた。 AstraZenecaは、今後の医学学会で発表するため、全データを提出するとしている。

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健康長寿の秘訣は「不飽和脂肪酸」―2型糖尿病患者でも明らかに(解説:小川大輔氏)-1104

 多くの疫学研究により、赤身肉、ラード、バターなどに含まれる飽和脂肪酸は動脈硬化症や死亡のリスクを上昇させ、反対にオリーブ油、キャノーラ油、大豆油などの植物油や魚油に含まれる不飽和脂肪酸はこれらのリスクを低下させることが知られている。しかしこれまでの報告では一般人を対象としており、糖尿病患者を対象とした研究はなかった。 今回米国の2つのコホートの解析により、2型糖尿病患者における食事中の脂肪酸と死亡率を調査した結果がBMJ誌に掲載された1)。2型糖尿病患者1万1,264例の解析により、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取は全炭水化物と比較し全死亡および心血管死のリスク低下と関連することが明らかになった。また、飽和脂肪酸からのエネルギーの2%を総PUFAに置き換えると、全死亡のリスクが12%低下すると報告された。 糖尿病のガイドラインでは飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えることが推奨されているが2)、これは一般集団のデータを基にしており、糖尿病患者における食事中の脂肪と心血管死および総死亡との関連は不明であった。今回の研究の著者の一部は、以前に今回と同じ2つのコホートを解析し、飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えると死亡リスクを下げられること、また不飽和脂肪酸を摂ることで、心血管疾患、がん、神経変性疾患、呼吸器疾患による死亡リスクも低下することを報告している3)。今回の研究では対象を2型糖尿病患者に絞ることにより、これまで不明であった点を明らかにした。 血糖コントロール状況や糖尿病の重症度が評価されていないことや、食事やライフスタイルが自己申告であることには注意が必要である。また米国での研究であり、わが国の糖尿病患者を対象とした大規模なコホート研究が望まれる。

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情報を発信し、世界にキャッチアップせよ【Doctors' Picksインタビュー】第1回

肺がんを専門とし、治療法の急速な進化を最前線で経験してきた光冨 徹哉氏。関連学会のトップを歴任した際には、臨床と研究をつなぎ、各方面に情報を発信する取り組みを行ってきた。そして、2019年からは世界肺学会のプレジデント(理事長)を務める。米国に留学し、世界の研究者と交流してきた経験から、日本の研究の現状に対して強い危機感を持っているという。――肺がん治療における、大きなトレンドを教えていただけますか?肺がん治療はここ20年でダイナミックに変化しました。かつて、進行・転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)は、患者さんの半数が約1年の間に亡くなるという予後不良のがんでした。それが、90年代後半から遺伝子変異を標的にした分子標的薬が登場し、目覚ましい効果を上げました。とくに、2002年に国内承認されたEGFRの分子標的薬ゲフィチニブの登場は衝撃的でした。それまで長年肺がん治療に関わってきましたが、一部の患者とはいえ、初めて“効く薬”に出会えた、と感じたものです。もっとも当初は遺伝子変異が効果予測因子となることはわかっておらず、変異検査が一般臨床に組み込まれるのにはだいぶ時間を要しましたが…。現在ではEGFRやALKなど特定の遺伝子変異のあるNSCLC患者の生存期間は3年以上に延びました。さらに、2018年にノーベル賞を受賞された本庶 佑先生によって腫瘍免疫におけるPD-1の役割が解明されたことにより、ニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害薬も臨床で使われるようになっています。こちらの治療ではまだ一部ではありますが、5年以上の長期にわたってがんがコントロールされている症例があることが特徴的です。現在では、抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬を適切に選び、ある場合には組み合わせて患者さん個々人に合わせたかたちで使うという、治療の個別化が研究の大きなテーマとなっています。――2014年からの4年間は日本肺学会の理事長を務められ、2019年の年末からは世界肺学会(International Association for the Study of Lung Cancer:IASLC)のプレジデントに就任のご予定です。トップとして、どのようなことに取り組もうとお考えですか。治療方法が急速に進化、変化している状況ですので、しっかりと情報収集・発信を行っていきたいですね。日本肺学会では専任の広報担当者を置き、医師や患者に対する発信力を高めてきました。2019年12月に開催する日本肺学会学術集会でも、患者や家族向けのプログラムを作るなど、積極的な啓発活動を行おうとしています。IASLCでは、まだ欧米の研究者の発言力が強い面があるので、中国・韓国などと連携しながら、アジアの研究や研究者に光を当てる機会を増やしたいと考えています。また、近年は薬物治療の発展が目覚ましく、そこに目が行きがちですが、予防、診断、外科、放射線、緩和、さらに看護など、あらゆる職種の人がメンバーとしてのメリットを感じられるような学会にしていきたいですね。――情報を発信する立場になられて、普段していることや気を付けていることをお聞かせください。Twitterで海外の著名な医師や海外ジャーナルのアカウントをフォローしています。フォロー先には留学時代や学会でのリアルの知り合いもいますが、がん関連組織のトップなど、直接には知らない人もいますよ。興味がある標的療法や免疫療法の分野は、とくに重点的に研究者をフォローしています。プロフィールのリンクをたどればその人が発表した論文を読めますし、Twitter内の会話を見れば、新しい論文の意味を深く理解できます。話題に付随した関係者も一緒に見つかるので、気になった人を都度、追加でフォローしています。学会の直後や発表中に、聴講者が発表スライドをTwitterに投稿していることもあります。これは日本ではあまり見ない光景ですよね。現地の温度感を共有しつつ最新情報を得られるのでありがたいと思います。Twitterの情報で価値があると感じたものは、Facebookで知り合いに紹介する、医師がニュースに関するコメントを寄せ合うサイトDoctors’Picksに投稿するなど、二次的な活用もしています。私は立場上、学会や製薬会社からの情報が手に入りやすい立場にありますが、若手や中堅の方は実務に忙しく、それどころではない方もおられるでしょう。研究も論文数も増加の一途で、自分の専門分野ですら、すべての情報に目を通すことは難しい。一方で、新たな治療法や新薬が続々登場し、臨床の常識が数年で一変する時代でもあります。だからこそ、信用できる「情報の目利き」を確保し、彼ら彼女らのフィルターを通ったものを確実にチェックする、という方法で情報収集を効率化できると思います。そして、有益な情報源と出会うためには、自分も情報を発信していたほうがいい。情報は出せば入ってくるものですから。欧米の研究者・医師は総じて日本人より発信に積極的です。私も今のところ、Twitterは情報収集メインなので大きなことは言えませんが、もっと積極的に発信する人が増えるとよいと思います。日本の医師は概して炎上リスクに敏感で、それも大事なことだとは思いますが、中傷などに気を付ければ、そう大きな問題となることはないと思います。それよりも、医師仲間やそれを超えた社会に対し、自分の考えや研究・実践をアピールすることは、これまで以上に重要な意味を持つようになってきていると感じています。――教育者として医学生や若手研究者と接して、お感じになることは?やはり国際学会で大事なのは英語です。昔に比べれば、インターネットもあるし、航空券も安くなって海外との距離は格段に近くなったと思うのですが、それにしては英語力がそう伸びているわけでもないような気もします。概して、積極的に留学を希望する学生も少ない印象です。ずっと国内で日本人だけを診療して生きていく、というのであればよいのかもしれませんが、そんな時代でもないでしょう。先日、私たちの大学に中東・オマーンから短期留学生が来ましたが、非常に積極的で優秀でした。母国でも医学教育は英語で受けているので、コミュニケーションもまったく問題ありません。医学の世界の公用語は英語であり、隣国の中国、韓国の人とコミュニケーションをとるためにも必須です。このままでは日本は世界とさらに差がついてしまう、と危機感を覚えます。“医学のガラパゴス化”を危惧すると言ったら言い過ぎでしょうか。世界との差は、研究の面でも顕著です。たとえば、米国のTCGA(The Cancer Genome Atlas:がんゲノムアトラス)プロジェクト※1。NCI(米国国立がん研究所)が主導し、あらゆるがんにおけるゲノム解析を行っています。先進的な分野に目をつけ、10年以上にわたって数百億円規模の予算を掛けた国家プロジェクトとして実行する、そのスケール感には圧倒されます。そして何より、研究成果であるデータの大半を一般に公開し、世界中の誰もが使えるようにしている点が素晴らしい。米国もいろいろ問題があるとは思いますが、こうした寛容さは素晴らしいですね。翻って、日本では予算規模も少なく、さまざまなことに対する規制が多過ぎます。たとえば、一般社団法人NCD(National Clinical Database)では手術数やリスクなどの外科系データを収集しています。ですが、私たちがこのデータを研究で利用しようとすると用途やデータの出し方を細かく指定し、解析済みデータを提供してもらう必要があるのです。研究では生データを探索的に解析することで新たな視点や気付きが生まれるものですが、その自由度はありません。科研費においても、設定される研究スパンは3~5年程度が多く、短期で成果を出さねばならないという意識が働くので、研究自体が小粒かつ近視眼的になる側面が否めません。実際、2000年代半ばから、日本の論文は質量ともに急速に低下しています※2。――日本が再び世界でプレゼンスを高めるためには、何が必要でしょうか?即効性のある処方箋はありませんが、まずは医師が危機感を共有し、世界の情報を集め、キャッチアップしていくことからではと思います。語学力を高め、国際的な共同研究に参加することも重要でしょう。ここ10年で急速に力を付けてきた隣国の中国の研究者から学ぶことも多いと思います。※12006年に開始された大型がんゲノムプロジェクト。2018年までに33種のがん種について10,000を超える腫瘍の分子および臨床情報のデータセットについて、網羅的なゲノム解析を完了させた。※2文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)「科学研究のベンチマーキング」このインタビューに登場する医師は医師専用のニュース・SNSサイトDoctors’ PicksのExpertPickerです。Doctors’ Picksとは?著名医師が目利きした医療ニュースをチェックできる自分が薦めたい記事をPICK&コメントできる今すぐこの先生のPICKした記事をチェック!

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アドヒアランス不良のカリウム薬の中止提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第3回

 今回は、長期間にわたってカリウム薬を服用していたことに着目した症例です。患者さんより聴取した不満を契機に医師へ血液検査結果を基にした中止提案を行い、中止後の検査値や自覚症状に問題がないことを医師および患者さんと確認し、無事に中止することができました。患者情報外来患者、70歳、女性、身長:154cm、体重:52kg現病歴:高血圧、骨粗鬆症投薬時に、毎食後の服薬が苦痛で、L−アスパラギン酸カリウムの服用をよく忘れるとの相談あり(医師には伝えていない)。市販薬やサプリメントの使用はなし。食事は規則正しく1日3食で、食事摂取量にむらはなし。処方内容(1、3の内科からの処方薬は10年以上服用中)1.テルミサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後2.アルファカルシドールカプセル0.25μg 1カプセル 分1 朝食後3.L−アスパラギン酸カリウム錠300mg 3錠 分3 毎食後症例のポイント患者さんは上記1と3の処方薬を長年服用していますが、L−アスパラギン酸カリウムを毎食後に服用することを苦痛に感じていました。たびたびあった服用忘れを医師には伝えていなかったため、アドヒアランスが良好だということを前提に処方が継続されている可能性がありました。L−アスパラギン酸カリウムは、薬剤性低カリウム血症のカリウム補給に用いられることが多くあります。低カリウム血症の原因となる薬剤として、漢方薬(芍薬甘草湯など市販薬にも成分として含まれるので要注意)や利尿薬(とくにループ利尿薬)、グリチルリチン酸、インスリンが挙げられますが、この患者さんの処方内容からは薬剤性の低カリウム血症が生じている可能性は低いと考えられました。患者さんから聞き取った範囲では、1日3食しっかりと食事を摂取していることから、食事でカリウムが著しく不足しているとも考えにくいです。直近の血液検査結果を持参してもらうと、アドヒアランス不良であったにもかかわらず、血清カリウム値は4.5mEq/Lと充足しており、中止しても大きな影響はないと推察しました。医師に血液検査結果と患者さんの希望について話をしてみたところ、そもそもL−アスパラギン酸カリウムの処方を開始したのは前医のため処方意図がわからないこと、血清カリウムなどのL−アスパラギン酸カリウムの評価を失念されていたことが発覚し、L−アスパラギン酸カリウムの処方が中止となりました。その際、次回診察の際にカリウム値の採血を提案しました。低カリウム血症とは、血清カリウム値が3.5mEq/L未満の場合であり、2.5~3.0mEq/Lが中等症、2.5mEq/L未満は重症と定義されている。2.5mEq/L未満の重症ないし急速な低下時には、心臓(不整脈)、筋肉(筋力低下・倦怠感・麻痺・筋痙攣)、消化管(イレウス・食欲不振・嘔気)、腎臓(多尿・腎機能障害)などに症状が出現する。とくにジギタリス製剤服用中の患者では致死的不整脈が起こりやすいので、血清カリウム値のモニタリングが重要となる。処方提案と経過L−アスパラギン酸カリウムの中止から1ヵ月後に患者さんが再来局されました。血液検査で血清カリウム値は4.1mEq/Lと基準値内であり、食欲不振や倦怠感・筋力低下による症状などの低カリウム血症に基づく症状もありませんでした。患者さんは薬局に相談したことで負担となっていた薬剤を中止できたことを喜んでくださり、信頼関係の構築にもつながって血圧・血液検査の提示や相談の機会も増えました。

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アルコール摂取が心血管疾患に及ぼす影響

 アルコール使用は、非感染性疾患の予防および修正可能な因子であり、飲酒量によっては心血管系に複雑な影響を及ぼす。英国・バーミンガム大学のEd Day氏らは、アルコール使用と心血管疾患との関連性について検討した。Addiction誌2019年9月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・観察研究やプロスペクティブ研究では、少量のアルコールを摂取する人は、禁酒者と比較し、心血管および全死亡リスクが一貫して低いことが示唆されている(J曲線)。・潜在的なベネフィットの最大値は、女性の場合、標準ドリンクサイズ0.5~1杯/日(純エタノール:7~14g)で全死亡リスクが18%低下(95%信頼区間[CI]:13~22%)、男性の場合、1~2杯/日で全死亡リスクが17%低下(95%CI:15~19%)であった。・しかし、全体的なアルコールの有害作用は有益な効果をはるかに上回り、エタノールの平均消費量10g/日で早期死亡リスクが確実に増加する。・血圧は定期的なアルコール摂取により用量依存的に上昇し、高血圧(140/90mmHg超)の相対リスクは、エタノール50g/日で1.7、100g/日で2.5であった。・わずか1ヵ月の禁酒により、血圧値の低下が期待できる。・過度なアルコール摂取は、心臓の機能が正常な人であっても、急性心臓不整脈の発症と関連が認められる。・心房細動は、慢性的な大量アルコール摂取に関連する最も一般的な不整脈であり、アルコール量が14g/日を超えると、その後1杯(エタノール14g)当たり相対リスクが10%増加する。・エタノールとその代謝物は心筋細胞に毒性を有しており、アルコール性心筋症は非虚血性拡張型心筋症の全体の1/3を占める。 著者らは「アルコール摂取が少量ではない人に対するスクリーニングと簡便な介入により、心血管合併症発症の予防が可能である。心血管疾患を有する人は、アルコール摂取量を減らすことで改善が期待できる。アルコール性心筋症患者では、治療を最適化するため、禁酒を目指すべきである」としている。

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医師は仕事でSNSを使っている? 会員医師アンケート

「仕事上で最も利用している」のはYouTube 多くの人が日常的に使っているソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。人によっては、仕事上の情報収集・情報発信の目的で利用しているケースもある。では、医師の場合、研究や日常診療に役立つ情報を収集するために、どのSNSを利用しているのだろうか。ケアネットでは、2019年7月にCareNet会員医師を対象にSNS利用動向についてのアンケートを行った。 アンケートは、2019年7月4日(木)~19日(金)の期間にインターネットで行われ、会員医師400人(20~30代・40代・50代・60代以上の各年代100人)から回答を得た。 SNSの種類をFacebook、Twitter、Instagram、YouTubeの4つに絞ったうえで、それぞれについて「書き込み・投稿する」「閲覧のみ」「まったく利用しない」を選択してもらった(仕事上の利用動向調査を主目的としたため、プライベートでの利用が多いことが想定されるLINEは選択肢から除外した)。次に「4つのうち、仕事上で最も利用しているSNS」を選択してもらい、併せてその理由を聞いた。 「書き込み・投稿する」と回答した人が最も多かったSNSはFacebookで14.2%、続いてTwitterで9.7%だった。特徴的な結果となったのがYouTubeで、「書き込み・投稿する」と答えた人は9.2%とTwitterと大きな差はなかったが、「閲覧のみ」と答えた人が71.5%と、ほかのSNSと比べて突出して多かった。 「仕事上で最も利用しているSNS」への回答でもYouTubeが57%と最も多く、その理由しては「動画が診療に役立つ」との声が多く挙がった。一方、「仕事上では利用しない」「エビデンスの乏しい情報が多い」と情報の正確性を危惧し、「利用には慎重になる」という意見もあった。 アンケート結果の詳細や自由記述で挙げられた具体的な理由などは、以下のページで掲載中。医師は仕事でSNSを使っている? 会員医師アンケート

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夜間・24時間血圧が、死亡リスク上昇と関連/JAMA

 夜間および24時間血圧の上昇は、死亡や心血管アウトカムのリスク上昇と関連し、他の診察室ベースの血圧や自由行動下血圧で補正しても、このリスクの上昇は維持されることが、ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のWen-Yi Yang氏らの検討で明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌2019年8月6日号に掲載された。血圧は、全死亡および心血管特異的な致死性・非致死性のアウトカムの既知のリスク因子とされる。一方、血圧インデックス(測定法、測定時間)がこれらのアウトカムと強い関連を有するかは不明だという。IDACOのデータを用いた縦断的コホート研究 研究グループは、血圧インデックスと、死亡および複合心血管イベントの関連を評価する目的で、縦断的な住民ベースのコホート研究を行った。 解析には、International Database on Ambulatory Blood Pressure in Relation to Cardiovascular Outcome(IDACO)に登録されたデータを用いた。対象は、1988年5月~2010年5月の期間に開始され、2006年8月~2016年10月の期間に最終フォローアップが行われた欧州、日本を含むアジア、南米の研究に参加した成人1万1,135例であった。 看護師/医師が測定した血圧、自動診察室血圧の評価を行い、24時間血圧、昼間(欧州と南米は午前10時~午後8時、アジアは午前8時~午後6時)または夜間(欧州と南米は午前0時~午前6時、アジアは午後10時~午前4時)の血圧、およびdipping比(夜間血圧を昼間血圧で除した値)について検討した。 主要アウトカムは、血圧の20/10mmHg上昇ごとの死亡または心血管イベントのリスクとし、多変量で補正したハザード比(HR)を算出した。心血管イベントは、心血管死、非致死的な冠動脈イベント、心不全、脳卒中の複合とした。曲線下面積(AUC)の変化により、モデル性能の改善を評価した。心血管リスク推定の至適な測定値の可能性 1万1,135例の年齢中央値は54.7歳(IQR:41.6~67.3)、女性が49.3%であった。アジア人が1,887例(17.0%)含まれた。追跡期間中央値13.8年の時点で、2,836例(18.5/1,000人年)が死亡し、2,049例(13.4/1,000人年)が心血管イベントを発症した。 全死亡および心血管イベントは、すべての測定法および測定時間において単回測定の収縮期血圧と有意な関連を示した(いずれもp<0.001)。たとえば、夜間収縮期血圧に関しては、全死亡のHRは1.23(95%信頼区間[CI]:1.17~1.28)、心血管イベントのHRは1.36(1.30~1.43)であり、24時間収縮期血圧ではそれぞれ1.22(1.16~1.28)、1.45(1.37~1.54)であった。また、自動診察室血圧の収縮期血圧では、全死亡のHRは1.08(1.04~1.12)、心血管イベントのHRは1.19(1.14~1.24)だった。 夜間収縮期血圧および24時間収縮期血圧と主要アウトカムの関連は、他のすべての収縮期血圧インデックスで補正しても、有意な差が維持されていた(HRの範囲:1.17[95%CI:1.10~1.25]~1.87[1.62~2.16])。 単回収縮期血圧インデックスを含む基本モデルは、死亡のAUCが0.83、心血管アウトカムのAUCは0.84を達成した。他の血圧インデックスを含む基本モデルに、24時間または夜間収縮期血圧を加えると、全死亡のAUCの改善が0.0013から0.0027に、複合心血管アウトカムのAUCの改善は0.0031から0.0075に増加した。一方、24時間または夜間収縮期血圧を含むモデルに、すべての収縮期血圧インデックスを加えても、モデル性能は改善されなかった。 これらの知見は、拡張期血圧に関しても、一致して認められた。 著者は、「24時間および夜間血圧は、他の血圧インデックスと比較して、モデル性能の改善度は統計学的に小さいものの、心血管リスクの推定において至適な測定値と見なしうると考えられる」としている。

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エヌトレクチニブ、NTRK固形がんとROS1肺がんでFDA承認

 2019年8月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、NTRK融合遺伝子陽性でほかの治療法がない固形がんに対して、ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブを迅速承認した。同時に、転移のあるROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対しても承認している。 NTRK陽性がんの有効性は、ALKA、STARTRK-1、STARTRK-2の3つの多施設単群臨床試験のいずれかでエヌトレクチニブを投与された54例の成人患者で検討された。54例の独立評価委員による全奏効率(ORR)は57%(95%CI:43~71)であった。奏効期間(DOR)は、患者の68%が6ヵ月以上は、45%が12ヵ月以上であった。登録が多かったのは、肉腫、NSCLC、乳腺類似分泌がん、乳房、甲状腺、大腸であった。 ROS1陽性NSCLCの有効性は、上記の3つの試験でエヌトレクチニブが投与された51例の成人患者で調査された。ORRは78%(95%CI:65~89)で、DORは患者の55%で12ヵ月以上であった。  エヌトレクチニブの重篤な有害事象は、うっ血性心不全、中枢神経系への影響、骨格部骨折、肝毒性、高尿酸血症、QT間隔延長、視力障害であった。頻度の高い(発現率20%以上)有害事象は、疲労、便秘、味覚異常、浮腫、めまい、下痢、悪心、感覚異常、呼吸困難、筋肉痛、認知障害、体重増加、咳、嘔吐、発熱、関節痛、および視覚障害であった。

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アファチニブ→オシメルチニブのシ―クエンス、T790M変異NSCLCでOS45ヵ月(GioTag)/ベーリンガーインゲルハイム

 ベーリンガーインゲルハイムは、2019年8月2日、GioTag研究の中間解析結果を発表した。同研究では、初回治療のアファチニブに続きオシメルチニブを投与することにより、Del19変異陽性患者において、約4年間(45.7ヵ月間)の全生存期間(OS)を示した。 GioTag研究は、第1および第2世代のEGFR-TKIに対する耐性メカニズムであるT790M獲得遺伝子変異を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、アファチニブに続いてオシメルチニブを投与する治療法を評価したリアルワールドの後ろ向き観察研究。 前回のGioTag研究結果では、2年および2.5年間のOS率が示された。今回その後の解析として、最新データの評価が行われた。リアルワールドの臨床環境で、アファチニブ40mgで投与を開始したEGFR T790M獲得遺伝子変異陽性のNSCLC患者において、OS中央値は45.3ヵ月間、アップデート解析での2年OS率は82%となった。 Del19変異陽性患者の全生存期間(OS)中央値はより長く、45.7カ月であった。アファチニブとオシメルチニブを用いたシークエンシャル治療について、更新された治療期間中央値は、全体で28.1ヵ月、Del19変異陽性患者では30.6ヵ月であった。

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透析患者のEPO抵抗性貧血の解決になるか(解説:浦信行氏)-1102

 同時報告の保存期CKDでも述べたように(「保存期CKD患者の貧血治療が経口薬で」)、roxadustatは経口投与の低酸素誘導因子(HIF)の分解酵素阻害薬であり、結果的にHIFを安定化させて内因性エリスロポエチン(EPO)の転写を促進して腎性貧血の改善を促す。併せて、ヘプシジンの産生を抑制して、鉄利用を高める作用も持つ。 今回の透析例における第III相の結果は、EPO製剤投与群と比較して貧血改善効果は同等であった。従来のEPO製剤は、高用量を要するEPO抵抗性の症例が存在する。今回の検討ではCRPの値で2群に分けて検討しており、CRP高値群では反応性の低下からEPOの用量を多く必要としたが、roxadustat群ではCRPの高低にかかわらず良好な反応を示し、炎症に左右されない効果を発揮することが明らかとなった。 ところで、保存期CKDの成績ではあるが、従来のEPO製剤での治療でHb値を13g/dL以上にすると死亡や心不全による入院のリスクが増加し(CHOIR試験)、脳卒中リスクが増加する(TREAT試験)可能性が報告されている。しかし、リスクと相関していたのはHb値よりも高用量のEPO製剤であったとされる。この点からもHIF刺激薬は有利である可能性がある。ちなみに、炎症がヘプシジンを増加させるので、両治療群でCRP高低の2群間のヘプシジンの差を比較すると、機序の1つの解明につながる可能性があるが、残念ながらそのような解析結果は示されていない。 一方、やや気に掛かるのは、HIF刺激薬群で有害事象による中止と中断例が多いことである。本来EPO製剤投与群を2群に分けて試験に入っているので、EPO製剤による有害事象例や中断例が事前に除外されている結果なのかもしれないが、これら有害事象と中断を合わせた脱落率が15%であることは、やはり気に掛かる。

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1日1回服用で脳内の神経伝達物質の働きを強める小児AD/HD治療薬「ビバンセカプセル20mg/30mg」【下平博士のDIノート】第31回

1日1回服用で脳内の神経伝達物質の働きを強める小児AD/HD治療薬「ビバンセカプセル20mg/30mg」今回は、中枢神経刺激薬「リスデキサンフェタミンメシル酸塩カプセル(商品名:ビバンセカプセル20mg/30mg)」を紹介します。本剤は、ドパミン/ノルアドレナリン遊離促進・再取り込み阻害薬で、1日1回の服用で血中濃度を持続的に維持し、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の症状を改善します。<効能・効果>本剤は、小児期におけるAD/HDの適応で、2019年3月26日に承認され、12月3日に発売されています。なお、本剤の使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間は、他のAD/HD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用します。<用法・用量>通常、小児にはリスデキサンフェタミンメシル酸塩として30mgを1日1回、朝に経口投与します。症状により1日70㎎を超えない範囲で適宜増減しますが、増量は1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgを超えない範囲で行います。<副作用>承認時における安全性評価対象症例172例中、臨床検査値異常変動を含む副作用は154例(89.5%)に認められました。主なものは、食欲減退136例(79.1%)、不眠78例(45.3%)、体重減少44例(25.6%)、頭痛31例(18.0%)、悪心19例(11.0%)でした。<患者さんへの指導例>1.この薬は、脳内の神経伝達物質の働きを強めることで、注意力散漫、衝動的で落ち着きがないなどの症状を改善します。2.睡眠に影響を与える恐れがあるため、午後の服用は避けてください。3.めまい、眠気、視覚障害などが起こることがあるので、危険を伴う作業や場所ではお子さんから目を離さないようにしてください。4.まれに自殺したい気持ちが現れることが報告されているので、いつもと違う様子を見かけたら、速やかに医療機関に連絡してください。5.本剤を適正な治療以外の目的で使用あるいは他人へ譲渡してはいけません。6.この薬の治療における役割や依存性などの危険性について、わからないことや不安なことがあれば、いつでも医師または薬剤師に相談してください。<Shimo's eyes>本剤は、中枢神経刺激系AD/HD治療薬であり、d-アンフェタミンとL-リジンのプロドラッグ製剤です。投与後に体内で徐々に活性体であるd-アンフェタミンに変換されることで、急激な血中濃度上昇を抑制し、その血中濃度を維持します。わが国における既存のAD/HD治療薬としては、中枢神経刺激薬としてメチルフェニデート徐放錠(商品名:コンサータ)、非中枢系としてアトモキセチン(同:ストラテラカプセル)およびグアンファシン(同:インチュニブ錠)が発売されています。国内では、以前よりアンフェタミン類の薬物乱用が問題となっており、過去にはメチルフェニデート即放性製剤の不適正使用が社会問題化したこともあるため、徐放性製剤であるメチルフェニデート徐放錠が開発されました。メチルフェニデート徐放錠は不適正な使用を防止するため、薬物依存を含むリスクを十分管理できる医師・医療機関、調剤責任者のいる薬局でのみ取り扱われるよう流通管理の厳格化などの必要な措置を講じることが求められています。本剤およびメチルフェニデートを取り扱う薬局・調剤責任者は、厚生労働省からの留意事項通知に基づいて「ADHD適正流通管理システム」への登録が必要です。なお、本剤は覚せい剤原料に指定されているため、薬局での管理には注意が必要です。本剤は、使用実態下における乱用・依存性の評価が行われるまでの間、他のAD/HD治療薬では効果不十分な場合にのみ変更で使用することができます。なお、承認時の臨床試験において、6歳未満および18歳以上の患者における有効性・安全性は確立していないため、18歳以上の患者への適応はありません。18歳未満から服用を開始し、かつ治療上の有益性が認められる場合のみ投与が可能です。相互作用については、高血圧クリーゼを避けるためにMAO阻害薬を投与中または投与中止後2週間以内の患者には禁忌です。また、炭酸水素ナトリウムなど、尿のpHをアルカリ化する薬剤を併用すると、本剤の活性体であるd-アンフェタミンの腎排泄が抑制されて作用が増強し、逆にアスコルビン酸などの尿のpHを酸性化する薬剤を併用すると作用が減弱するので、それぞれ併用注意となっています。本剤の大量投与時や曝露量増加によって細胞外セロトニン濃度が高まると、不安や発熱、震えなどを引き起こすセロトニン症候群が生じる恐れがあるため注意が必要です。注意事項が多いですが、服薬指導が一方的な情報提供にならないよう、患者さんやご家族の理解度をしっかり確認しつつ話を進めましょう。参考PMDA ビバンセカプセル20mg/ビバンセカプセル30mgADHD適正流通管理システム

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第12回 低血糖、シックデイ、アドヒア―注射剤にまつわる問題への対処法【高齢者糖尿病診療のコツ】

第12回 低血糖、シックデイ、アドヒア―注射剤にまつわる問題への対処法前回に引き続き、GLP-1受容体作動薬とインスリンそれぞれについて、高齢者での使い方のポイントをご紹介します。低血糖や、GLP-1受容体作動薬での消化器症状、そしてきちんと打てているかが心配な注射剤のアドヒアランスについて、状態を確認する方法と対処法をまとめます。Q1 低血糖や消化器症状、シックデイが心配。どのようにコントロールしますか?1)低血糖について高齢者では発汗・動悸といった典型的な低血糖症状が出づらく、めまいや脱力感が前面に出る場合が多く、低血糖症状が見逃されることがあります。また、低血糖症状がせん妄として現れることもあり、注意が必要です。インスリン使用者あるいはGLP-1製剤にSU薬やグリニド薬を併用している例では、低血糖のリスクがあるため、定期受診時に非典型的な症状も含めて症状の有無を確認します。また、HbA1cの下限も意識し、過度のコントロールにならないようにインスリンやSU薬、グリニド薬を減量します。2)消化器症状について肥満の非高齢者では好ましいGLP-1受容体作動薬の食欲低下作用ですが、高齢者では脱水やサルコペニアを惹起する可能性があり、食思不振や過度の体重減少に注意が必要です。そのため、筋肉量が少ないと予想される「やせ型」の高齢者にはあまりいい適応ではありません。週1回のGLP-1受容体作動薬は消化器症状が比較的出づらいといわれていますが、リスクはあるため、定期外来受診時は食欲と体重の推移に注意する必要があります。3)シックデイについて水分や炭水化物の摂取などの一般的なシックデイ対応が前提ですが、ここでは注射製剤の取扱いについて記述します。GLP-1受容体作動薬は血糖依存性にインスリン分泌を促進するため、基本的には食事量が少なくても中止する必要はありませんが、嘔気などの消化器症状が強い場合は増悪させる危険性があるため中止します。持効型や中間型などの作用時間の長いインスリンは中止しないことが原則です。とくに、1型糖尿病などインスリン依存状態の場合は、たとえ食事摂取ができなくとも持効型製剤は絶対に中止しないように指導します。2型糖尿病でインスリン分泌能が保たれている場合には投与量を減量する場合もあります。超即効型製剤は、食事(炭水化物)量に応じ調整(例:食事摂取量が半量ならインスリン半量など)するように指導し、紙に書いて渡していますが、高齢者では対応困難な場合が多く、強い症状が半日以上続く、24時間以上経口摂取ができないなどといった場合1)は医療機関を受診するように指導しています。Q2 手技指導のポイントがあれば、教えてください。1)自己注射の可否の判断認知機能の低下した高齢者にとって新たに注射手技を獲得することは非常に困難です。DASC-8や時計描画試験を含むMini-Cogなどを用いて認知機能をスクリーニングし(第4回参照)、本人への指導を行うかを検討します。本人が難しい場合には介護者への指導を行うことになりますが、老々介護の世帯も多く、介護者への指導も難しいこともあり、インスリン分泌能が保たれている場合には、訪問看護やデイケアの看護師が行う週1回のGLP-1製剤が有用な選択肢として考えられます。また、注射自体は患者本人が可能なものの、インスリンの準備やその単位設定が困難な場合があるので、注射手技の一部を介護者に依頼することもよくあります。2)自己血糖測定本人や介護者が注射手技は獲得できても、自己血糖測定が困難な場合もあるため、指導状況をみながら自己血糖測定の指導を行うかどうか検討します。GLP-1製剤のみを使用している場合で、低血糖リスクが少ないと判断した場合は、血糖測定は必須ではありません。インスリン注射の場合で血糖測定が困難なときには、低血糖回避のため、やむを得ず血糖コントロール目標を緩和することがあります。自己血糖測定が可能な場合には、低血糖を回避するために、食前または眠前の血糖値100mg/dL未満が継続する場合にその前の責任インスリンの減量(1~2単位)を考慮します。また、血糖値の変動が大きい場合には、インスリンボールができていないかどうかを確認し、固くない場所に注射するように指導します。3)注射のアドヒアランス自己注射を行えていた例でも、加齢に伴って打ち忘れがあったり、注射の実施が困難になったりする場合もあります。明らかな誘因がなくコントロールが悪化したときは、注射の打ち忘れと注射手技を確認します。とくに眠前の持効型インスリンは、つい早く寝てしまって、打ち忘れが起こりやすいので、朝食前や夕食後に変更することがあります。外出や旅行の際のインスリンの打ち忘れも起こりやすいので、あらかじめバッグに予備の注射薬を入れておくように指導します。インスリン注射は実施できていても単位を間違えることが懸念される場合は、多少の血糖上昇には目をつぶり、毎回のインスリン量を同じにする、10単位など覚えやすい単位数に設定するなどの工夫をすることもあります。インスリン単位数は処方箋の記載だけでなく、必ず紙に書いて(多くは自己血糖記録用紙に)渡すようにし、外来受診時に何単位打っているかを患者さんに答えてもらって、単位数の間違えがないかを確認しています。独居で介護者がいない場合は低血糖リスクを極力下げるため、血糖管理目標を緩和します。訪問看護を導入すると、インスリンの残量を確認することで実際に打てているかどうかをわかることがあります。インスリン注射が必要であるが、自己管理が困難で、かつ介護者が不在の場合は外来での対応は困難であり、入院あるいは短期入所のうえ環境調整が必要です。入院・入所を拒否された場合でも、説得を続けながら地域包括支援センターなどに相談します。1)日本老年医学会・日本糖尿病学会編著. 高齢者糖尿病診療ガイドライン2017.南江堂;2017.

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