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日本人高齢者の認知症発症率に対する感覚障害の影響

 認知症および認知症の周辺症状(BPSD)は、高齢者の介護の必要レベルに影響を及ぼす。高齢者では、加齢に伴い感覚障害の発生率が上昇し、認知症の発症を加速させる。大勝病院の丸田 道雄氏らは、視覚障害(VI)、聴覚障害(HI)などの感覚障害とBPSDおよび認知症の発症率との関連について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。 日本のある都市における2010~17年の介護保険データを用いて、レトロスペクティブ研究を実施した。2010年時点で認知症でなかった高齢者2,190人を、感覚障害の4つのカテゴリー、VI群、HI群、VIとHI両方の感覚障害(DSI)群、感覚障害なし(NO)群に分類した。認知症の発症率は、カプランマイヤー生存分析およびlog-rank検定を用いて調査した。NO群と比較した、感覚障害に関連する認知症発症リスクは、Cox比例ハザード分析を用いて調査した。4群間のBPSD有病率は、ピアソンのχ2検定を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・HI群(log-rank χ2:10.42、p<0.001)とDSI群(log-rank χ2:39.92、p<0.001)は、NO群と比較し、認知症の累積発症率が高かった。・DSI群はHI群と比較し、認知症の累積発症率が高かった(log-rank χ2:11.37、p=0.001)。・Cox比例ハザード分析では、感覚障害の中でDSIが認知症発症に対する最も大きなリスク因子であることが示唆された(ハザード比:1.45、95%CI:1.22~1.71、p<0.001)。・VI群は、そのほかの群と比較し、昼夜逆転の有病率が有意に高かった。 著者らは「感覚障害を有する高齢者では認知症の発症率が高く、DSIは最もリスクが高いことが示唆された。また、VIを有する高齢者では、認知症の発症時に昼夜逆転を呈する可能性が高いことが示唆された」としている。

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CVD患者へのAKCEA-APO(a)、用量依存的にLp(a)値低下/NEJM

 リポ蛋白(a)値が高く心血管疾患を有する患者に対して、肝細胞直接作用型アンチセンスオリゴヌクレオチドAKCEA-APO(a)-LRx(APO(a)-LRx)の投与は、用量依存的にリポ蛋白(a)値を低下することが示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のSotirios Tsimikas氏らが、286例を対象に行った第II相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、明らかにされた。リポ蛋白(a)値は遺伝的に規定されており、上昇が認められる場合は心血管疾患および大動脈弁狭窄症のリスク因子となることが報告されている。しかしリポ蛋白(a)値を降下させる承認治療薬はないのが現状である。NEJM誌オンライン版2020年1月1日号掲載の報告。6ヵ月後のリポ蛋白(a)値のパーセント変化を比較 研究グループは、心血管疾患の診断を受け、リポ蛋白(a)値が60mg/dL(150nmol/L)以上の18~80歳の患者を対象に試験を行った。 被験者を、APO(a)-LRxを20mg、40mg、60mg(いずれも4週ごと)、20mgを2週ごと、または20mgを毎週投与する5群に無作為に割り付けた。各群の6分の1の被験者には実薬ではなくプラセボを皮下投与した(いずれも投与期間は6~12ヵ月間)。 リポ蛋白(a)値の測定は、アイソフォームに依存しない試験法で測定。主要エンドポイントは、リポ蛋白(a)値のベースラインから6ヵ月後(4週ごと投与群は25週時点、より頻回投与群は27週時点)のパーセント変化とした。リポ蛋白(a)値、用量依存的に35~80%減少 適格患者286例が、2017年3月27日~2018年1月16日に無作為化を受けた。被験者の平均治療期間は実薬群が31.6±11.5(中央値32.1)週間、プラセボ群が31.2±12.0(34.0)週間で、約60%が65歳未満、女性が30%超であった。6群(実薬5群とプラセボ群)のベースラインのリポ蛋白(a)値の中央値は、204.5~246.6nmol/Lだった。 APO(a)-LRx投与は、用量依存的にリポ蛋白(a)値を低下することが認められた。20mg(4週ごと)投与群の平均パーセント低下値は35%、40mg(4週ごと)投与群は56%、20mg(2週ごと)投与群は58%、60mg(4週ごと)投与群は72%、20mg(毎週)投与群は80%だったのに対し、プラセボ群は6%だった(対プラセボのp=0.003~<0.001)。 なお、血小板数や肝機能・腎機能値、インフルエンザ様症状については、APO(a)-LRx群とプラセボ群で有意差はなかった。最も頻度の高い有害事象は注射部位反応だった。

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高出血リスク重症例への予防的PPI・H2RAは有用か/BMJ

 出血リスクの高い成人重症患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)およびH2受容体拮抗薬(H2RA)の予防的投与は非投与群と比較して、消化管出血について臨床的に意味のある減少をもたらす可能性が示された。中国・首都医科大学のYing Wang氏らがシステマティックレビューとメタ解析を行い明らかにしたもので、リスクの低い患者ではPPIおよびH2RAの予防的投与による出血の減少は意味のないものであり、また、これらの予防的投与は、死亡率や集中治療室(ICU)滞在期間、入院日数などのアウトカムとの関連は認められなかった一方、肺炎を増加する可能性が示されたという。消化管出血リスクの高い患者の大半が、ICU入室中は胃酸抑制薬を投与されるが、消化管出血予防処置(多くの場合ストレス性潰瘍の予防とされる)については議論の的となっている。BMJ誌2020年1月6日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析、GRADEシステムでエビデンスの質も評価 研究グループは、重症患者に対するPPI、H2RA、スクラルファートの投与、または消化管出血予防(あるいはストレス潰瘍予防)未実施のアウトカムへの相対的影響を患者にとって重要であるか否かの観点から明らかにするため、Medline、PubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、試験レジスタおよび灰色文献を2019年3月時点で検索し、システマティックレビューとメタ解析を行った。 成人重症患者に対し、PPI、H2RA、スクラルファートあるいはプラセボまたは予防的投与未実施による消化管出血予防について比較検討した無作為化試験を適格とした。2人のレビュアーがそれぞれ適格性について試験をスクリーニングし、データの抽出とバイアスリスクの評価を行った。また、パラレルガイドライン委員会(BMJ Rapid Recommendation)がシステマティックレビューの監視を行い、患者にとって重要なアウトカムを同定するなどした。 ランダム効果ペアワイズ/ネットワークメタ解析を行い、GRADEシステムを用いて、各アウトカムに関するエビデンスの質を評価。バイアスリスクが低い試験と高い試験の間で結果が異なった場合は、前者を最善の推定であるとした。高出血リスク群では、患者に恩恵をもたらす? 72試験、被験者合計1万2,660例が適格として解析に組み込まれた。 出血リスクが最高リスク(8%超)の患者と高リスク(4~8%)の患者については、PPIおよびH2RAの予防的投与は、プラセボまたは非予防的投与に比べて、臨床的に意味のある消化管出血を減少する可能性が示された。PPIのオッズ比(OR)は0.61(95%信頼区間[CI]:0.42~0.89)で、最高リスク患者では同リスクは3.3%減少、高リスク患者では2.3%減少した(確実性・中)。また、H2RAのORは0.46(0.27~0.79)で、最高リスク患者では4.6%減少、高リスク患者では3.1%減少した(確実性・中)。 一方でPPI、H2RA投与はいずれも、非予防的投与と比べて肺炎リスクを増加する可能性が示された(PPIのOR:1.39[95%CI:0.98~2.10]、5.0%増加)(H2RAのOR:1.26[0.89~1.85]、3.4%増加)(いずれも確実性・低)。また、死亡率との関連は認められないと考えられた(PPIのOR:1.06[0.90~1.28]、1.3%増加)(H2RAのOR:0.96[0.79~1.19]、0.9%減少)(いずれも確実性・中)。 そのほか予防的投与による、死亡率、クロストリジウム・ディフィシル感染症、ICU滞在期間、入院日数、人工呼吸器装着期間への影響を支持する結果は、エビデンスがばらついており示されなかった。

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進展型小細胞肺がんに対するペムブロリズマブ+化学療法の成績(KEYNOTE-604)/Merck

 Merck社は、2020年1月6日、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)1次治療におけるペムブロリズマブと化学療法併用の第III相KEYNOTE-604試験において、主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。 同研究では、ペムブロリズマブと化学療法(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)併用は、化学療法単独(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)と比較して統計的に有意なPFSの改善がもたらした(HR:0.75、95%CI:0.61~0.91)。全生存(OS)についてはペムブロリズマブ併用患者で改善が認められたが、事前に指定された統計学的基準を満たさなかった(HR:0.80 、95%CI:0.64~0.98)。同試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは、以前に報告されものと同様であった。試験結果は今後の医学会議で発表され、規制当局と議論するとしている。 KEYNOTE-604試験では、453例が登録され、ペムブロリズマブ+化学療法またはプラセボ+化学療法に無作為に割り付けられた。複合主要評価項目はOSとPFS、副次評価項目は、客観的奏効率、奏効期間、安全性と生活の質(QoL)など。

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完全人工膵臓実現へのさらなる一歩(解説:住谷哲氏)-1167

 数年前に米国FDAは、世界初のclosed-loop insulin delivery systemであるMiniMed 670G(Medtronic)を認可した。これは基礎インスリン分泌basal insulin deliveryのみを自動化したものでhybrid closed-loop systemと呼ばれている。本試験で用いられたのは、基礎インスリン分泌に加えて高血糖時の補正インスリンcorrection bolusも自動化した新しいclosed-loop systemである。 人工膵臓artificial pancreasはグルコース濃度を感知するセンサー、投与インスリン量を計算するアルゴリズム、インスリンを注入するポンプの3つから成る。本試験で用いられたのはそれぞれDexcom G6 CGM(Dexcom)、Control-IQ Technology(Tandem Diabetes Care)、t:slim X2インスリンポンプ(Tandem Diabetes Care)を組み合わせたシステムである。Control-IQ Technologyの基礎となったアルゴリズムinControlは米国・バージニア大学で開発され、後にTypeZero Technologiesに引き継がれたが、同社は近年Dexcomと合併した。t:slim X2インスリンポンプは唯一のタッチパネル式のインスリンポンプであり、その使いやすさから市場を伸ばしている。人工膵臓開発の分野は競争が熾烈で、これら複数の企業と米国のバージニア大学が共同で実施したInternational Diabetes Closed Loop(iDCL)trialが本試験である。 コントロール群はDexom G6とインスリンポンプを組み合わせたSAP(sensor-augmented pump、低血糖時に基礎インスリン注入を中断する機能は装備していない)を使用した。したがって本試験はSAPとclosed-loop systemとの比較になる。主要評価項目は目標血糖値(70~180mg/dL)を維持した時間とした。結果は予想どおりclosed-loop群で主要評価項目が改善していた。重篤な低血糖の頻度も両群で差はなかった。 完全人工膵臓が実現すれば、機器を装着するだけで指先を穿刺する血糖測定なし、インスリン注射なしで、ほぼ正常な血糖値を維持することが可能となるだろう。今回用いられたシステムでは、自己血糖測定による補正が不要なDexcom G6を用いることで患者は指先の穿刺から開放された。さらに基礎インスリン注入に加えて高血糖時の補正インスリン注入が自動化されたが、食事前のprandial bolusは現在でも患者自身が制御する必要がある。しかし昨今の人工知能の急速な進歩を考えると、遠くない将来にこの点も解決されるだろう。

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3年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 1

今回のキーワード恐怖(ノルアドレナリン)自信自尊心受容私メッセージアンガーマネジメントコーチングアサーション皆さんは、相手をどう叱って良いか分からなくて困ったことはありませんか? その相手は、職場の部下や後輩? それとも子どもでしょうか? そもそもなぜ叱るのでしょうか? 一方で、私たちは、できることなら叱らないで済ませたいと思います。叱るデメリットは何でしょうか? そのデメリットを踏まえて、どう叱るのが良いでしょうか? 相手によっては、同じように叱っても無効になったり逆効果になる時は? そして、叱る行為にどうフォローできるでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、学園ドラマの金字塔「3年B組金八先生」を取り上げます。金八先生と言えば、誰もが思い浮かべる「熱血教師」です。彼は、中学校の教員で、国語教師。学級担任をしている3年B組に巻き起こる暴力、いじめ、不登校、リストカット、妊娠、ドラッグ、性同一性障害などのさまざまな問題に、まさに体当たりで解決しようとします。そんな彼の姿に、生徒たちは心を打たれ、人間的に成長していくのです。体当たりで生徒や親に向き合う彼のやり方は、令和の時代には、スクールコンプライアンスの点でそぐわないと思う人もいるでしょう。だとしても、彼は叱る上で私たちが忘れかけていた一番大事なものを教えてくれます。彼が叱る時の心のあり方には、令和の時代にこそ再評価するべき普遍性があります。彼の名セリフを振り返りながら、叱る心理を掘り下げ、子どもにも大人にも使える叱るスキルをご紹介します。そして、私たちが令和の時代にバージョンアップした金八先生になるにはどうしたら良いか一緒に考えてみましょう。金八先生はなぜ叱るの? ―叱ることならではの学習効果叱るとは、人間関係(集団)において、目上の人が目下の人の望ましくない言動を指摘することです。金八先生が生徒を叱るのは、叱ることによって、望ましくない行動を抑え、望ましい行動を促すという意図があります(正の罰因子による行動療法)。なお、叱ることは、恐怖(ノルアドレナリン)の刺激であるため、その学習効果は高く、即効性があります。一方、褒めることは報酬(ドパミン)の刺激であるため、その学習効果は比較的に低くなり、即効性がないために繰り返す必要があります。この違いこそが、叱ることならではの学習効果と言えます。つまり、部下や子どもに二度と同じ過ちをして欲しくないと思った時、褒めているだけでは間に合わず、どうしても限界があるのです。これが、叱る心理です。叱るデメリットは?叱ることによる学習効果が分かりました。しかし、これは叱る側の金八先生の視点です。叱られる側の生徒にとってはどうでしょうか? 叱ることによるデメリットは、大きく3つあります。1つ目は、当たり前ですが、相手が恐怖を感じることです。とくに、大声で怒鳴られたらなおさらです。2つ目は、相手が自分はできないと自信を失うことです。とくに、一方的に言われたらなおさらです。これは、周り(集団)から「できる」仲間として認められなくなる恐怖でもあります(承認の喪失)。3つ目は、相手が自分はだめだと自尊心を損なうことです。とくに、なじられたり皮肉を言われたらなおさらです。これは、自分の味方がいなくなる恐怖でもあります(関係性の喪失)。令和の金八先生ならどう叱る?-3つの基本要素叱ることによる3つのデメリットが分かりました。叱る学習効果を高めるには、これらの叱るデメリットを最小限にする必要があります。これが、叱るスキルです。この点を踏まえて、ここから、叱るために必要な基本要素を3つにまとめてみましょう。(1)受け止める1つ目は、まず受け止めることです(受容)。これが最も大事な叱ることの極意です。これは、金八先生の根底に流れているマインドで、私たちが忘れがちなポイントです。これには、さらに3つの要素があります。a.言い分を聞く-確認金八先生は、クラスで問題が起きるたびに生徒たちの話をよく聞いています。1つ目は、相手の言い分を聞くことです。たとえば、部下がミスをした時、叱る瞬間の第一声は何でしょうか? 「なにやってんだ!?」「だめじゃないか!」という怒鳴り声で一方的になっていませんか? または、幼児の子どもがお友達を押し倒した時、またはうそをついた時に、「押すのだめ!」「うそつくのだめ!」とすぐに命令していませんか?そうではなくて、まずは「どうしたの?」「何が起きたの?」と相手に状況を説明させて、言い分を聞くことです。これは、たとえこちらが事前にその状況を分かっていたとしてもです。それくらいの心の余裕がこちら側にあることが重要です。これは、同時に、相手にも振り返る心の余裕を与えることになります。ちなみに、もし相手が何事もなかったかのように振る舞った場合はどうでしょうか? たとえば、子ども同士のいじめの場面に遭遇した時、「何やってる?」と聞いても、「遊びです」としか答えないなら、どうしましょうか? このままスルーするといじめを黙認したことになります。その時は、一歩突っ込んで、「○○くんを痛くさせようとしてなかった?」とストレートに聞いて揺さぶることです。いじめた子が否定しても、いじめられた子が認めたら、さらに介入ができます。いじめた子もいじめられた子も否定した場合(実際よくあるパターンですが)、「そうなの? 良かった~。だって、痛くさせてるように見えたからね」「でも、誤解を招くから、この『遊び』はやらないでね」と一方的にならずにけん制をすることができます。このような言い分の確認によって、無用な恐怖を相手に抱かせにくくなります。b.相手の気持ちになる-共感金八先生は、「みんな不安を抱えて生きているんですねえ。苦しいことを素直に苦しいと言えば、周りの人間から変だと言われる。…いじめも登校拒否もあって当たり前なんですよ。癒しが必要なんです、子どもたちも、世間も。大丈夫だ、がんばろう、明日はきっといいことがある。そう言ってくれる誰かが必要なんですね」(第4シリーズ第7話)と同僚に語ります。2つ目は、相手の気持ちになることです。これは、「どんな気持ちだったの?」「どんな気持ちになったの?」と聞き出すことです。たとえば、「うっかりしてた」「いらいらしてた」「嫌だった」「悔しかった」「悲しかった」などの気持ちだったら、一旦その気持ちを受け止め、「それほどの気持ちだったのね」「そんな気持ちになったのね」と伝えます。これは、たとえその気持ちを聞くまでもないと思ったとしてもです。そして、たとえその気持ちにこちらがあまり納得できていなかったとしてもです。その時は、「あなたはそう思うのね」「そんな気持ち(考え方)もあるよね」と言うこともできます。相手が答えられなかった場合は、「びっくりしたね」と中立的な言葉で代弁もできます。また、「悪かったなあと思った?」と助け船も出せば、スムーズな謝罪につなげられます。ちなみに、まだ言い分が言えない乳幼児の子どもの場合、とくに「イヤイヤ期」(第一次反抗期)で、すぐに何でも「だめ!」と連呼していませんか? そういう時は、「そのおもちゃが欲しかったんだね」「怒っちゃったんだね」「でもそんなことしちゃだめだよ」と伝えます。これは、その子の心の様子を言葉にして代弁しています。そうすることで、感情には名前があることを理解させ、セルフコントロールを促すことができます。このような共感によって、「あなたは大切」「私はあなたの味方」というメッセージを伝えることができて、自分の味方がいなくなる恐怖を相手に抱かせにくくします。これは、「共感叱り」と言えます。c.相手を認めている-承認金八先生は、「僕の生徒はどの子もみんなすばらしいです。何ていうか、教えられることが多いというか、秘めたる可能性の固まりというか」(第2シリーズ第5話)と言います。3つ目は、相手を認めていることです。これは、相手を承認していることを前提にすることです。たとえば、「体調悪いの?」「最近、疲れてる?」「何かやむを得ない理由があった?」「いつもはできてるのに、今回はどうしたの?」「あなたらしくないによう見えるけど」と不思議がります。さらに、「もともと能力高い人だと思ってたから」「最近すごい成長してると思ってたから」「自分の力を軽く見てる?」と褒めの要素を付け加えることもできます。このような承認によって、「あなたは必要」「私はあなたの理解者」というメッセージを伝えることができて、周り(集団)から「できる」仲間として認められなくなる恐怖を相手に抱かせにくくします。(2)教える2つ目は、教えることです。これは、金八先生の長セリフの説教から分かるように、叱ることそのものです。これには、さらに3つの要素があります。次のページへ >>

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3年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 2

a.自分の気持ちを伝える-私メッセージ金八先生は、「人間、勝手に死んじゃいかん。なあ、さっき誰かの発言で死んだほうがましだとかいう発言があったけれど、君たちはまだ15歳。死ぬなんて言葉をそう簡単に使うなよ!」(第4シリーズ第4話)と生徒たちに説教をする名シーンがあります。ただし、これは、令和ではストレートすぎます。令和の金八先生なら、どう言うか考えてみましょう。1つ目は、自分の気持ちを伝えることです。これは、先ほど説明したように、まず相手の気持ちを受け止めていることが大前提です。また、伝えるのは、相手の問題点ではなく、あくまで自分の気持ちです。たとえば、部下が無断欠勤した時、「そんなんじゃだめだ!」「社会人として失格だ!」とは決して言わないことです。代わりに、「(無断欠勤して)あなたから連絡がなくて困った」「残念」と伝えることです。幼児の子どもなら、「○○くんが叩いた子、痛がってる。かわいそう」「○○くんが叩くのを見るのは悲しい」と伝えます。そして、「~してくれると嬉しい」という提案につなげます。このように、とくにネガティブなことを伝える時は、主語が「あなた」(あなたメッセージ)ではなく、「私」(私メッセージ)であることによって、「相手が悪いと決め付けているわけではない」というメッセージを伝えることができます。よって、先ほどのセリフは、令和の金八先生なら、共感と合わせて、こう言うでしょう。「死にたいほどつらかったんだね」「でも、きみが死ぬなんて言葉を使うと私は悲しい」また、リストカットや援助交際に対して、令和の金八先生なら、どう言うでしょうか?「見ていて私は悲しい」「あなたをとても大事だと私は思っているから」「私は止めたい」つまり、「(あなたが)やめなさい」ではなく、「(私が)止めたい」という私メッセージを使うことです。b.相手の行動にフォーカスする-限定金八先生は、「加藤はミカンじゃないんです。米倉先生が言っていました。『腐ったミカンが1個あると、箱のミカンがみんな腐ってしまう。だから腐ったミカンは早めに放り出す』。これが荒谷二中の論理です。しかし、人間つらい目に遭って、あっちこっちぶつけていたら、そりゃあ風通しが悪くなってどこか腐ってきますよ。でも、人間の精神が腐りきることなんてことは絶対にないんです。」(第2シリーズ第6話)、「我々はミカンや機械をつくっているんじゃないんです!我々は毎日人間をつくっているんです!」(第2シリーズ第24話)と力説します。2つ目は、相手の行動にフォーカスすることです。これは、叱るのは、相手の存在そのもの(人格)ではなく、相手の問題行動に限定することです。よって、先ほどの「無断欠勤は社会人として失格だ!」や「うそついて、なんて悪い子なの!」という言い方は、すでにNGです。そうではなくて、「無断欠勤は問題」「うそはだめ」のように、行動に限定して伝えることです。また、理由を尋ねる時、「なんでやったの?」という問いただしではないほうが良いです。そうではなくて、「何があなたをそうさせたの?」と聞くことです。さらに、「あなたのぐずぐず虫(遅刻癖)をどうやったら飼い馴らせそう?」のように、相手の問題行動を、相手の人格とは別の「○○虫」のようにキャラ付けするのも良いでしょう(外在化)。さらに、相手が納得していない場合、「どの部分が受け入れにくい?」のように、理解を促すために争点を絞ることもできます。「時間だけは守って」のように解決すべき点を絞ることもできます。このように、限定することによって、主観的で抽象的なメッセージではなく、客観的で具体的、そして建設的なメッセージを伝えることができます。これは、「限定叱り」とも言えます。c.怒ったふりをする-インパクト金八先生は、「人間として卑怯じゃないか? よく聞きなさい。いじめはやめなさい。もういっぺん言うぞ。いじめはよせ。先生なんべんでも言うぞ。いじめはよせ。」(第4シリーズ第11話)と生徒たちを叱ります。3つ目は、怒ったふりをすることです。これは、感情的に本気で怒るのではないです。あくまで、理性的に怒ったふりをすることです。「叱るのと怒るのは違う」「叱っては良いけど怒ってはだめだ」とよく聞きます。厳密に言えば、これは、「叱る側にとっては怒ってはだめだが、叱られる側にとっては怒られている感覚が良い」と言えます。なぜなら、叱ることによる最大の学習効果は、恐怖だからです。怒られたという恐怖の刷り込みがなければ、叱ることによる学習効果は期待できなくなるからです。大事なのは、一定の恐怖によるインパクトを与えつつも、相手の自尊心と自信は保つように配慮することです。たとえば、わざと相手をフルネームでゆっくり大きな声で呼ぶことです。人と人との関係として真剣であることが伝わります。そのためには、相手のフルネームを覚えている必要があります。また、「どういうことだね?」「教えてくれまいか?」「よく聞いてくれるかい?」と仰々しく威厳を持たせた言い回しを使うことです。これはただ事ではないという切迫感が伝わります。逆に言えば、感情を殺して「これはルールですから」と理性的に淡々と伝えても、相手の気持ちを揺さぶることはできません。怒りとして伝わらないと、ロボットのように怒らない人だとナメられることもあるでしょう。このように、インパクトを持たせることによって、問題点に対しての真剣さ、切迫感、重みを伝えることができます。これは、金八先生の生徒を思いやる「熱血」につながります。ちなみに、注意点として、怒ったふりから本当に怒りのスイッチが入らないようにすることです。その取り組みとして、以前(2019年9月)にご紹介したマインドフルネスが役立ちます。また、いったんスイッチが入ってしまったら、主に3つの対策が使えます(アンガーマネジメント)。1つ目は、10まで数えることです。これは、怒りのピークは6秒程度だからです。2つ目は、水を飲むことです。これは、飲水が緊張緩和(副交感神経の活性化)を誘発するからです。3つ目は、その場から立ち去ることです(タイムアウト)。これは、怒り刺激の対象が視界から見えなくなるからです。(3)考えさせる金八先生は、クラスのいじめ問題で、いじめ加害者にその自覚がないことに気付き、自分がいじめ役になってロールプレイを行います。そして、いじめがどれだけひどいことか生徒たちに考えさせます(第4シリーズ第4話)。3つ目は、考えさせることです。これは、叱るというよりは、諭すことになります。一方的な説教ではなく、双方向的な対話です。これが、令和の金八先生のスタイルと言えるでしょう。これには、さらに3つの要素があります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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3年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 3

a.決めさせる-納得1つ目は、決めさせることです。これは、正解を相手に命令・指示をすることではないです。命令・指示は、先ほどの「教える」ことです。「決めさせる」とは、あくまで解決案として相手に提案して、相手に採用するかを決定させるプロセスを踏んで、納得してもらうことです。たとえば、「○○するのはどう?」のような提案や、「○○すればうまく行くんじゃない? どうだろう?」のように安心させる言い回しもあります(保証)。幼児の子どもなら、「お友達のもの盗るの、良いこと?悪いこと?」とあえて問うことです。そして、「悪いこと」と答えたら、「なんで?」と尋ね、理由付けさせることです。「○○くんは、お友達を叩いたね。逆に、○○くんが叩かれると、どう思う?」このように、納得させることによって、自分で考えて行動することを促すことができます。逆に言えば、強制された場合は納得していないので、受け身になり、怒られない最低限のことしかやらなくなり、形だけになってしまいがちになります。b.選ばせる-民主主義2つ目は、選ばせることです。これは、先ほどのようにやるかやらないか、良いか悪かという単純な場合ではなく、行動の程度に選択肢がある場合、それぞれのメリットとデメリットを相手に検討させて、譲歩するプロセスを踏んでもらうことです。たとえば、思春期の子どもなら、「勉強か部活か?」、「ゲームする時間はどれくらいか?」などの意見の違いが出てきた場合です。「部活(またはゲーム)には、○○の良さ(メリット)はあるけど、△△(デメリット)の心配がある。どう思う?」「バランスをどうする?」「うまく行かなかった時は?」「時間を守れなかった時のペナルティは?」などの細かい項目の選択肢を提示し、選んでもらいます。このような民主主義によって、自分で考えて行動することを促すことができます。c.説明させる-コーチング3つ目は、説明させることです。これは、問題点の状況から解決策の内容までのすべてを説明してもらうような働きかけです。たとえば、「何が起きたの?」から始まり、「どう思う?」「なぜだと思う?」「じゃあ、どうすればいい?」などの質問しか基本的にしないことです。もし相手の言った解決策がずれていたら、「それは実現可能?」「本当にあなたが望んでいること?」「そうすることで、最終的にどうなりたい?」と掘り下げます。これは、コーチングに通じるやり方です。このようなコーチングによって、自分で考えて行動することを促すことができます。ちなみに、リストカットをする子が「やったらすっきりする」と答えた時、令和の金八先生なら、どう言うでしょうか?「すっきりする他の方法は何だろう?」令和の金八先生なら誰を叱る?叱るために必要な基本要素を3つにまとめました。ただし、相手によっては、同じように叱っても、無効になったり逆効果になることがあります。ここから、相手の年齢と性格によって場合分けをして、叱るための基本要素のバランスや叱り方のバリエーションを見極めてみましょう。<< 前のページへ

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第11回 対人義務化!改正薬機法の波にどう乗るか?【噂の狭研ラヂオ】

動画解説2019年11月27日に参院本会議で可決された改正薬機法。「対物から対人へ」という流れのなか、今回の法改正ではついに薬剤師の服薬後のフォローが義務化され、薬局開設者にはその環境を整備することを義務としています。この波にどう乗るか?狭間先生が医師、そして薬局経営者の立場から解説します!

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うつ病予防の主要ターゲットとしての入眠障害

 うつ病は、世界中で問題となる疾患の1つであり、再発率が高いため、うつ病発症を予防することが重要である。メタ解析において、不眠症が、うつ病の修正可能なリスク因子であることが示唆されていたが、これまでの研究では、不眠症がうつ病前の残存症状なのか、うつ病の併存症状なのかについては、十分に考慮されていなかった。オランダ神経科学研究所のTessa F. Blanken氏らは、睡眠障害がうつ病のリスク因子であるかを検討するため、6年間のプロスペクティブ研究を実施した。Sleep誌オンライン版2019年12月2日号の報告。 対象は、うつ病および不安症に関するオランダの研究より、これまでにうつ病を経験していない参加者768例。合計6年間にわたり、4回の反復調査を実施し、フォローアップを行った。ベースライン時の不眠症の重症度、短時間睡眠、個々の不眠症に関する問題が、フォローアップ期間中にうつ病発症を予測したかを評価するため、Cox比例ハザード分析を用いた。個々の不眠症に関する問題の中に、直接的な予測因子があるかを評価するため、ネットワークアウトカム分析の新しい手法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・6年間のフォローアップ期間中にうつ病を発症した参加者は、141例(18.4%)であった。・うつ病発症の予測は、睡眠時間ではなく、不眠症の重症度との関連が認められた(HR:1.11、95%CI:1.07~1.15)。この関連は、個々の不眠症に関する問題の中で、入眠障害により推進された(HR:1.10、95%CI:1.04~1.16)。・ネットワークアウトカム分析では、同様の結果が得られ、入眠障害に関する問題のみが、うつ病発症を直接的に予測した。 著者らは「入眠障害は、うつ病発症のリスク因子であることが示唆された。うつ病を予防し、世界的な負担を軽減するために、各不眠症状の中で、入眠障害をターゲットとした治療が有益な可能性がある」としている。■「うつ病軽減」関連記事うつ病患者、入浴がうつ症状を軽減

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左冠動脈主幹部狭窄、PCIはCABGより5年臨床転帰不良/Lancet

 左冠動脈主幹部病変の血行再建術では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は冠動脈バイパス術(CABG)に比べ、5年時の臨床転帰が不良であることが、デンマーク・オーフス大学病院のNiels R. Holm氏らが行った「NOBLE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月23日号に掲載された。PCIは近年、左冠動脈主幹部病変を有する患者の血行再建において、標準治療のCABGに代わり使用機会が増えている。本研究では、追跡期間中央値3.1年の時点で、これら2つの介入法の死亡率は類似するが、PCIでわずかに高かったと報告されている。主要有害心/脳血管イベントを評価する非劣性試験 本研究は、欧州北部9ヵ国の36の病院が参加した非盲検無作為化非劣性試験であり、2008年12月9日~2015年1月21日の期間に患者登録が行われた(Biosensorsの助成による)。今回は、追跡期間中央値5年時の成績が報告された。 対象は、安定狭心症/不安定狭心症、急性冠症候群で、左冠動脈主幹部の入口部、mid-shaftまたは分岐部に、目視で>50%の狭窄または冠血流予備量比(FFR)≦0.80の病変を有し、これ以外の非複雑病変が3つ以下の患者であった。 被験者は、PCIまたはCABGを受ける群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、主要有害心/脳血管イベント(MACCE)であり、全死因死亡、手技に伴わない心筋梗塞、再血行再建術、脳卒中の複合とした。PCIのCABGに対する非劣性は、MACCEが275件発生後のハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限値が1.35を超えない場合と定義された。副次エンドポイントは、全死因死亡、手技に伴わない心筋梗塞、再血行再建術であった。死亡に差はないが、心筋梗塞と再血行再建術はCABGで良好 1,201例が登録され、PCI群に598例、CABG群には603例が割り付けられた。両群とも592例ずつがintention-to-treat解析の対象となった。追跡期間中央値4.9年の時点で、主要エンドポイントの評価に十分な検出力を持つイベント数に達した。 ベースラインの年齢中央値は、PCI群66.2歳(IQR:9.9)、CABG群66.2歳(9.4)で、女性がそれぞれ20%および24%含まれた。糖尿病がPCI群16%、CABG群15%に認められた。血行再建術の臨床的適応は、安定狭心症がPCI群82%、CABG群83%であった。左冠動脈主幹部狭窄が分岐部の患者はPCI群81%、CABG群81%であった。また、SYNTAXスコアの平均値は、それぞれ22(SD 8)点および22(7)点だった。 Kaplan-Meier法によるMACCE発生の推定値は、PCI群が28%(165イベント)、CABG群は19%(110イベント)であった。HRは1.58(95%CI:1.24~2.01)であり、PCIの非劣性は示されず、CABGの優越性が確認された(p=0.0002)。 また、全死因死亡の発生率はPCI群9%、CABG群9%(HR:1.08、95%CI:0.74~1.59、p=0.68)であり、両群間に差は認めなかった。一方、手技に伴わない心筋梗塞の発生率はそれぞれ8%および3%(2.99、1.66~5.39、p=0.0002)、再血行再建術の発生率は17%および10%(1.73、1.25~2.40、p=0.0009)と、CABG群で有意に良好であった。なお、脳卒中の発生率はそれぞれ4%および2%(1.75、0.86~3.55、p=0.11)だった。 SYNTAXスコアが低い集団(1~22点、52%)のMACCE発生率は、PCI群27%、CABG群14%(HR:2.05、95%CI:1.41~2.98、p=0.0001)と、CABG群で良好であった。一方、同スコアが中間の集団(23~32点、40%)では、PCI群30%およびCABG群25%(1.24、0.87~1.77、p=0.30)、同スコアが高い集団(≧33点、9%)では、それぞれ33%および25%(1.41、0.68~2.93、p=0.40)であり、両群間に差はみられなかった。 著者は、「左冠動脈主幹部病変がみられ、これ以外の狭窄の数が限定的な患者の血行再建術においては、ハートチーム(heart team)による治療が適切と考えられる場合は、PCIとCABGの死亡率はほぼ同様の可能性がある。多枝病変で、とくに糖尿病を合併する場合は、CABGのほうが死亡率が低いため好ましく、PCIは急性冠症候群で好ましい手技と考えられる。PCIとCABGの双方が適応の患者では、個々の手技に関連する便益とリスクに関する十分な情報が必要となる」としている。

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医学研究者に週末や休日はあるか/BMJ

 医学研究者は、全般に週末や祝日、深夜の時間外労働(論文の投稿、査読結果の報告)の割合が高いが、国によって差がみられ、この傾向は経時的にほとんど変化していないことが、オーストラリア・クイーンズランド工科大学のAdrian Barnett氏らの調査で明らかとなった。大学の格付け順位表は、研究者に「論文を発表せよ、しからずんば去れ(publish or perish)」を促す管理手段として活用されている。研究者は、研究と論文執筆の要請に応えるために長時間働いていると考えられ、学術および臨床における過重労働には苦言も多いという。BMJ誌2019年12月19日号クリスマス特集号の「Shiny Happy People」より。投稿論文と査読報告の送信日時を解析 研究グループは、就業時間外における投稿論文および査読報告の提出の状況を調査し、その経時的な変化について検討する目的で観察研究を行った(筆頭著者は、オーストラリア国家保健医療研究会議[NHMRC]の助成を受けた)。 解析には、ロンドン市を拠点とする2つの国際的な医学ジャーナル(BMJ誌、BMJ Open誌)の投稿システムのデータを用いた。2012年1月1日~2019年4月5日の期間(2,651日間)に提出された研究論文と査読報告の送信日時を解析した。 主要アウトカムは、週末(土曜日、日曜日)、国民の祝日(地域の祝日は除く)、早朝・深夜の時間帯の投稿論文および査読報告の提出とした。ロジスティック回帰を用いて提出の確率を推定した。回帰モデルにはベイジアン・パラダイムを使用し、95%確信区間(credible interval:CI)を算出した。日本は週末、祝日、午前0時前後の提出の確率が高い 4万9,464本の投稿論文および7万6,678本の査読報告が解析に含まれた。以下に示すように、時間外労働の割合は高く、同一の週の平日と比較して、週末および祝日は労働の平均確率が高かった。 週末に提出される確率は、投稿論文(平均確率:BMJ誌0.14[95%CI:0.12~0.15]、BMJ Open誌0.14[0.13~0.15])および査読報告(0.18[0.16~0.20]、0.18[0.17~0.20])の双方において、2誌とも同じ値であった。週末に提出される確率は、査読報告が投稿論文に比べて高かった。 祝日に提出される確率は、査読報告(平均確率:BMJ誌0.13[0.11~0.15]、BMJ Open誌0.12[0.11~0.13])が投稿論文(0.08[0.07~0.10]、0.10[0.08~0.11])よりも高かった。 週末と祝日に提出された投稿論文および査読報告の平均確率には、2誌とも経時的な変化は認められなかった。 BMJ誌への週末と祝日の投稿論文の提出の確率は、国によって明確な差が認められた。たとえば、週末の提出は、インドが最も低く中国が最も高かった(日本は26ヵ国中6番目に高い)。祝日の提出は、カナダが最も低くベルギーが最も高かった(日本は21ヵ国中4番目に高い)。 中国は、2誌への週末の投稿論文および査読報告の確率(0.22~0.23)が最も高かったが、祝日(0.08~0.12)は低かった。北欧諸国(ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデン)は週末の労働の確率(0.10~0.17)が最も低い国に含まれ、平日および日中の提出の確率が最も高かった。ベルギーは祝日の労働の確率が最も高かった(0.09~0.18)。 日本は、投稿論文および査読報告の提出の確率が、週末(0.15~0.20)および祝日(0.08~0.18)の双方で、高い傾向が認められた。 1日のうち提出の頻度が高い時間帯は、就業日の終わり(午後3~5時)であった。正午付近も提出が集中しており、おそらく昼食中に仕事をする研究者が多いことを反映している可能性がある。また、中国と日本は、午前0時前後に投稿論文および査読報告を提出する確率が最も高かった。 著者は、「時間外労働は国によって差があり経時的な変化がないという結果は、『過重労働の文化(culture of overwork)』は文字どおりの意味であり、比喩的な表現ではまったくないことを示す。『週末(weekend)』という言葉は、多くの研究者にとって、誤った名称である」としている。

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Dr.林の笑劇的救急問答15

第1回 この腹痛!原因がわからない第2回 コワい腹痛!お腹が柔らかいのに?第3回 身じろぎできない腹痛!急性腹症?第4回 痛みに波がある腹痛!腸閉塞? 15年目に突入の今シーズンは「腹痛」がテーマ!原因がわからない!診断できない!そんな腹痛を「胃腸炎」や「便秘」とゴミ箱診断していませんか?確かに腹部救急は難しく、診断に時間がかかります。救急を受診した腹痛患者のうちおよそ1~2割が診断不能で、さらに、そのうち2割が悪化すると言われています。重大な腹痛を見逃さないために、いろいろな原因を想起できるようになりましょう。上巻では血管系の疾患、急性腹症、腸閉塞などを中心に、腹痛のさまざまな原因とその対処法について解説します。見つけるポイントはどこか、何をもって疑うか、そして、そのときに取るべき対応は?ピットフォール満載の爆笑症例ドラマと、Dr.林のわかりやすい講義で楽しく、しっかりと学んでください。第1回 この腹痛!原因がわからない救急を受診する腹痛患者のうち、診断不能なのは10~20%程度といわれています。身体診察で、腹部が柔らかいからといって、「重大な腹痛であることを除外していませんか?確かに腹膜刺激症状は重要な所見ですが、腹膜刺激症状が出ない疾患で、命に係わる疾患もあります。血管系の疾患もその1つ。見逃さないためのポイントをしっかりと学んでください。第2回 コワい腹痛!お腹が柔らかいのに?腹膜刺激症状は、腹痛診療の根幹をなす身体所見です。しかしながら、腹膜刺激症状が出ないコワい疾患も多数あり、それらをしっかりと頭に入れておくことが必要です。今回は、まずは、それらの疾患はどのようなものがあるのかを考え、その中でもとくにコワい「血管系疾患の腹痛」について解説します。見逃さないための診断のコツやポイント、CTをとるべきタイミングと読み方についても詳しくお教えします。つ・ま・り、今回も楽しく学べます!  ↑   この意味は番組でご確認ください!第3回 身じろぎできない腹痛!急性腹症?今回の腹痛のテーマは「急性腹症」、主に腹膜炎について取り上げます。急性腹症は、いかに早く診断し、治療するかの時間との勝負です。腹痛患者のそれぞれの状態や疾患による痛がり方、腹膜刺激症状の出方、身体診察の仕方など、なぜそうなのかの理由も含めて林寛之先生がしっかりとお教えします。これであなたも急性腹症に強くなれるはず。そうすれば、1人でも多くの患者の命を救うことができます。第4回 痛みに波がある腹痛!腸閉塞?今回のテーマは「腸閉塞」。腸閉塞は機械的な閉塞のことで、イレウス(麻痺性)とは異なる疾患であることをまず理解しておきましょう。腸閉塞は術後の癒着による閉塞が最も多く、痛みが間欠的、手術歴あり、排便・排ガスがないという典型的な病歴であれば、腸閉塞を強く疑うことは難しくありません。しかしながら、そのほかにも、ヘルニア、がんなど、さまざまな原因によって引き起こされます。それぞれのパターンの腸閉塞を想起できるよう、どのように病歴を聴取し、診察していくのか。Dr.林が詳しく、わかりやすく解説します。身体所見であるHowship-Romberg徴候や、造影CT画像のbeak sign、Whirl signなど、診断に有用なポイントもしっかりとお見せします。

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消化管間質腫瘍〔GIST : Gastrointestinal Stromal Tumor〕

1 疾患概要■ 概念・定義消化管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumor: GIST)は、主に消化管に発生し、紡鐘型(spindle)または類上皮型(epithelioid)の形態の腫瘍細胞からなる間葉系腫瘍である。多くの場合(95%)、KITとDOG1タンパク質を発現する。■ 疫学一般に日常診療で遭遇する臨床的GISTの頻度は、洋の東西を問わず年10万人に1人程度である。発症・発見年齢の中央値は60歳で、中高年に好発し、発生頻度に性差はない。※ただし、“GISTの芽”ともいわれる顕微鏡的GIST(microGIST)は、中高年の約1/3の人の胃に認められ、内視鏡検診を行うと成人の約1,000人に1人程度の頻度で胃粘膜下腫瘍(SMT)を認め、その約半数がGISTと考えられている。すなわち、microGISTや数mmのGISTのほとんどは、臨床的に問題となるGISTになることはない。■ 病因KIT遺伝子(80%)、PDGFRA遺伝子(10%)の活性化型突然変異が主な原因。それぞれの変異のhot spotは、KITはエクソン 11、9、17、13、PDGFRAはエクソン18、12、14である。KIT・PDGFRA以外に、NF-1遺伝子やSDH遺伝子群(コハク酸脱水素酵素を構成する4つの遺伝子)の失活でも生じ、KITやPDGFRAの下流の蛋白質の遺伝子(RAS、BRAF、PI3KCA)変異でも生じる。また、非常にまれではあるが、NTRK fusionsなどのいくつかの融合遺伝子変異でもGISTは発生する。GISTの遺伝子変異検索は、KIT陰性のGISTの確定診断、ならびにイマチニブなどの分子標的治療薬の効果予測バイオマーカーとして有用である。■ 症状GISTは粘膜下に存在し、浸潤性増殖を示さないため、進行するまでほとんど症状を示すことがない。わが国では半数の患者が、がん検診で無症状のまま「消化管粘膜下腫瘍」として発見される。三大症状は、貧血・消化管出血、腹痛、腫瘤触知である。部位特異的には、食道GISTでは嚥下障害、直腸GISTでは排便・排尿障害がみられる。■ 分類臨床的分類としては表1に示すいくつかのリスク分類が用いられる。これらリスク分類は、いずれも外科手術術後の再発リスクをよく反映しており、術後フォローの頻度や術後アジュバント治療の選択指針として用いられる。画像を拡大する画像を拡大する■ 予後完全切除後の予後は、世界規模の疫学調査から、5年無再発生存率70%、生涯再発リスクは40%程度と見込まれる。切除不能、再発、転移GISTの予後(全生存の中央値)は、無治療で1.5年、イマチニブ(商品名:グリベック)やスニチニブ(同:スーテント)、レゴラフェニブ(同:スチバーガ)を適切に用いると5~7年である。術後再発に関連する因子は、次のとおりである。1)腫瘍細胞分裂像数(mitosis/50HPF)2)腫瘍径(cm)3)腫瘍発生部位(予後の良い順に、胃>小腸・大腸・食道>消化管外)4)腫瘍破裂(腫瘍破裂の定義は文献5を参照)2 診断 (検査・鑑別診断も含む)初診時、GISTは多くの場合、消化管粘膜下腫瘍あるいは腹部腫瘤として発見される。発見時には消化管造影検査(バリウム検査)や内視鏡検査が行われていることが多い。精密検査では、超音波内視鏡検査(EUS)や針生検を行うEUS-FNAは胃、食道、近位十二指腸、直腸のSMTの組織学的確定診断には有用である。MDCT(multi-detector CT)は、腫瘍の進展範囲を診断し、悪性度を推定する上で有用で、MRIは食道や直腸のGIST診断に有用である。なお、GISTの最終診断は組織採取の上、病理組織学的に行われる。病理診断には、HE染色に加え、KIT、DOG1蛋白質の発現確認が重要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)切除可能なGISTの治療第1選択は外科的完全切除である。完全切除不能(局所進行、転移、再発)GIST治療の第1選択は、標的治療(first lineはイマチニブ〔商品名:グリベック〕、second lineはスニチニブ〔同:スーテント〕、third lineはレゴラフェニブ〔同:スチバーガ〕)である(図1)。画像を拡大する1)外科治療肉腫の外科治療の原則は、次のとおり。(1)肉眼的に安全なマージン(肉眼的断端陰性)を確保(2)偽被膜損傷を回避した外科的完全切除(3)予防的あるいは系統的リンパ節郭清術は不要(4)臓器機能温存を考慮した部分切除を推奨肉腫の外科治療の原則と手術の安全性を守る限り、開腹・腹腔鏡手術の別は必ずしも問わない。術後、再発抑制目的で、高リスクGIST(あるいは腫瘍破裂を伴うGIST)の場合は、イマチニブアジュバント治療を3年間行うことが推奨される(推奨度B)。原発GISTで切除可能ではあるものの、他臓器合併切除が必要と予想される場合や大きな侵襲で術後合併症が予想される場合は、組織検査でGISTであることを確認後、術前に6ヵ月程度のネオアジュバント治療が行われることもある(推奨度C)。ネオアジュバント治療症例の完全切除後には、アジュバント治療が推奨される。2)標的治療(1)イマチニブ標準投与量は400mg/日で、中断や減量は病勢進行を招く可能性があり、重篤な有害事象がない限り避ける。イマチニブ治療では6ヵ月以上続くSDもPRとほぼ同等の予後改善効果を持ち、腫瘍進行(PD)を認めない限り治療を継続する。イマチニブの無増悪生存期間(PFS)の中央値は2年で、約80%の進行GISTに治療効果を認める。有害事象で多いものは、浮腫、皮膚炎、消化器症状、血液毒性である。(2)スニチニブイマチニブ耐性GISTに用いられる。スニチニブはマルチターゲット阻害薬で、50mg/日を4週間服用後、2週間休薬を1サイクルとして治療を行い、有害事象によっては、適宜減量ないし休薬する。PFSの中央値は約8ヵ月で、clinical benefit rate (CBR)は40%である。有害事象で、高血圧、手足症候群、全身倦怠感、血球減少(好中球と血小板)、消化器症状が認められ、とくに第1サイクルは重篤な有害事象に注意を要する。(3)レゴラフェニブレゴラフェニブもマルチターゲット阻害薬で、160mg/日を3週間服用後、1週間休薬を1サイクルとして治療を行う。PFSの中央値は約5ヵ月で、CBRは50%である。同じマルチターゲット阻害薬のスニチニブと同様の有害事象を認める。(4)治療効果判定GISTで用いられるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による標的治療の治療効果判定には、造影CTが有用である。判定基準は、基本的にRECIST基準を用いる。イマチニブ治療効果に関しては、GISTで時に用いられるChoi基準を参考に早期に効果判定ができる(図2)。PETやPET-CTは、造影CTでの判断の補助として用いられることがあるが、PETの効果判定への保険適応は、現時点では認められていない。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する4 今後の展望現時点で、薬事承認を目指した第III相試験は、欧米ではforth-lineでripretinibとavapritinibの治験が行われており、わが国ではTAS-116の治験が行われている。TRK fusion遺伝子陽性のGISTに対してはエヌトレクチニブ(同:ロズリートレク)が承認され、また他のTRK阻害剤の治験も行われている。5 主たる診療科消化器内科(とくに粘膜下腫瘍と診断されたとき)、消化器外科、腫瘍内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報NPO法人 稀少腫瘍研究会(一般利用者向け、医療従事者向けにまとまった情報)特定非営利法人 GISTERS(一般利用者向け、医療従事者向けにまとまった情報)European Reference Networks(医療従事者向けにまとまった情報)患者会(日本)GIST・肉腫患者と家族の会「GISTERS.net」患者会(海外)The European Network of Sarcoma Patient Advocacy GroupsThe Life Raft Group1)Corless CL, et al. Nat Rev Cancer. 2011; 11: 865-878.2)日本治療学会、日本胃学会、GIST研究会編.GIST診療ガイドライン.第3版.金原出版;2014.p.1-68.3)Demetri GD, et al. J Natl Compr Canc Netw. 2010; 8(suppl 2): S1-41.4)Casali PG, et al. Ann Oncol. 2018;29:iv68-iv78.5)Nishida T, et al. Ann Surg Oncol. 2019;26:1669-1675.公開履歴初回2013年02月28日更新2020年01月14日

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改正薬機法が薬局に及ぼす影響総まとめ【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第39回

2020年は診療報酬改定や薬価改定など、さまざまなイベントがめじろ押しです。今回は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正法が薬局に及ぼす影響について、いま一度考えてみたいと思います。1.薬剤師・薬局の在り方の見直し薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化薬剤師が、調剤時に限らず必要に応じて患者さんの薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う「服薬後のフォロー」が義務となり、医師への薬剤の使用に関する情報提供が努力義務となります。これまでは来局時や在宅訪問時でのみ患者さんと接していた薬剤師もいたと思いますが、今後は調剤後も継続的に患者さんをフォローし、フィードバックすることが求められます。「必要に応じて」「努力義務」ではありますが、ぜひ今後の薬剤師の役割として積極的に取り組み、「薬剤師はお薬を渡すだけ」というイメージから脱却しましょう!地域連携薬局と専門医療機関連携薬局医薬分業の推進、高齢化、在宅医療の増加に伴い、薬局・薬剤師も他職種と連携して地域の特性に応じた適切な役割を果たすために、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の認定制度が設けられます。「地域連携薬局」は入退院時に医療機関と情報共有したり、在宅医療で地域の薬局と連携したりしながら一元的・継続的に対応し、「専門医療機関連携薬局」はがんなどの専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応します。それぞれの機能に関する基準を満たしたうえで、都道府県知事の認定を受ける必要があります。まだ一般の方にはなじみのない名称だと思いますが、今後は病態に合わせて患者さん自ら薬局を選択する時代になりそうです。立地の良さに甘えることなく、役割を明確に打ち出して目指す薬局の体制づくりが必要です。オンライン服薬指導これまでもオンライン服薬指導は実証的に一部の地域で行われていましたが、医薬品の処方時に行われる薬剤師による服薬指導は、対面により行うことが法律で明記されていました。今回の改正により、テレビ電話などで患者さんの状態を確認しながら広く行うことが可能になります。具体的な手段は、今後の厚生労働省令において定められるとのことですが、薬局が遠い地域や忙しくて薬局に行く時間のない患者さんの利便性が向上しそうです。2.添付文書の電子的な方法による提供の原則化、医薬品等の包装等へのバーコード等の表示の義務付けこれまで、添付文書は容器や被包に記載できる場合を除いて医薬品に同梱することが義務付けられていました。しかし、今後は電子的な方法による提供が基本となり、最新の添付文書をWebサイトなどで確認することになります。そのため、最新の添付文書情報へアクセスするためのQRコードが容器などに記載されます。紙の添付文書の利便性は高いため、慣れないうちは印刷して手元に置きたくなるかもしれませんが、添付文書は頻回に改訂されることもあるため、電子的な方法でもすぐにアクセスできるか確認しましょう。3.信頼確保のための法令遵守体制の整備の義務付け残念ながら、昨年も医薬品の信頼に関わる事件がいくつかありました。そこで、薬局や医薬品製造業者・製造販売業者における法令遵守体制の整備が求められており、薬事に関する業務に責任を有する役員の設置、従業員に対して法令遵守のための指針の提示、法令遵守のための体制づくりなどが義務付けられます。課徴金の設定も予定されているので注意が必要です。これら改正薬機法の施行スケジュールは、3段階に分けられています。改正薬機法公布日から1年以内:「薬剤師・薬局の在り方の見直し」改正薬機法公布日から2年以内:「薬剤師・薬局の在り方の見直しのうち、機能別薬局等の認定」「添付文書の電子的方法による提供」「ガバナンスに関する改正内容および課徴金制度」改正薬機法公布日から3年以内:「バーコード等の表示」2015年10月に策定された「患者のための薬局ビジョン」が具体化されるという流れになっています。大変なこともあるかと思いますが、今年一年も信頼される薬局・薬剤師を目指して頑張りましょう。

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HPVワクチンの接種推進の取り組み

 11月30日・12月1日に開催された「第23回 日本ワクチン学会学術集会」(会長:多屋馨子〔国立感染症研究所〕)では、「サーベイランスから対策へ 有効性と安全性の両輪で考えるワクチン元年」をテーマに、臨床、疫学、製造開発、行政関係などから参加者が一堂に会して開催された。 同集会では、インフルエンザやMRワクチンはもちろん、来年10月より定期接種化される予定のロタワクチンなどに関する発表も行われた。 本稿では、2013年より積極的接種勧奨が差し控えられているHPVワクチンについて取り上げる。HPVワクチン接種のコツは丁寧な情報提供 HPVワクチンは、将来発生する子宮頸がんの予防として接種が行われるワクチンである。子宮頸がんは、予防接種で防げる病気(Vaccine Preventable Diseases:VPD)として先進国では広く接種が行われ、その有効性、安全性も確認されている。わが国では、2013年に定期接種化されたが、全国で慢性疼痛などの症状が報告され、現在に至るまで積極的接種勧奨は差し控えられている。 こうした状況に対し、地域における取り組みとして「静岡県小児科医会 予防接種協議会によるHPVワクチン接種推進プロジェクト」について、田中 敏博氏(静岡県小児科医会 予防接種協議会/静岡厚生病院 小児科)がレポートした。 同協議会は、県内の予防接種地域差の均てん化と情報交換のために設立され、重点課題として2017年はB型肝炎とおたふくかぜワクチンを、2018年にはHPVワクチンを取り上げて、その推進に取り組んできた。 HPVワクチンに関しては主な活動として、医療者向けの勉強会・講演会の実施、シンポジウムの開催(録画DVDの配布)、各種調査研究を行っている。 同協議会が運営し、一般公開している接種件数データベースを紹介した。静岡県内ではHPVワクチンの接種件数は回復しつつあることがわかるという。また、このデータベースでは、記載された各症例のエピソードがコメント共有として閲覧可能で、接種に臨むにあたっての思いや副反応情報などを把握することができる。 こうした活動を踏まえて、外来では、HPVワクチン接種対象者に対し、「積極的な呼びかけ」「見える化したデータ紹介」「接種機会の的確な把握」「接種後の細かいフォロー」などを行うことで、子宮頸がんとその予防のためのワクチンに対する意識を高めていくことができると説明した。 最後に同氏は、「定期接種であるHPVワクチンの接種推進には、医療者が積極的に働きかけを行うことが出発点である。接種を躊躇しているのはむしろ医師の側である」と指摘した。

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長期介護施設入居者の不眠症やベンゾジアゼピン使用と転倒リスク

 高齢者の負傷の主な原因である転倒は、長期介護施設の入居者において、とくに問題となる。中国・復旦大学のYu Jiang氏らは、長期介護施設の入居者を対象に、睡眠の質や睡眠薬の使用が転倒に及ぼす影響について評価した。このような研究は、中国ではこれまでほとんど行われていなかった。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2019年11月21日号の報告。 対象は、上海の中心部にある25の長期介護施設より募集した605例。睡眠の質と睡眠薬の使用に関するベースライン調査、転倒および転倒での負傷に関する1年間のフォローアップ調査を実施した。単変量および多変量解析には、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・605例(女性の割合:70.41%、平均年齢:84.33±6.90歳)のうち、1年間の転倒の発生率は21.82%、転倒による負傷の発生率は15.21%であった。・不眠症は19.83%、睡眠薬の使用は14.21%に認められた。・潜在的な交絡因子で調整した後、不眠症は転倒リスクの増加と有意な関連が認められた(調整リスク比:1.787、95%信頼区間:1.106~2.877)。・ベンゾジアゼピン使用は、転倒による負傷リスクの増加と有意な関連が認められた(調整リスク比:3.128、95%信頼区間:1.541~6.350)。 著者らは「長期介護施設に入居する高齢者においては、不眠症とベンゾジアゼピン使用のいずれもが、転倒や負傷リスクの増加と関連していることが明らかとなった。転倒を予防するためには、睡眠の質を改善するための非薬理学的介入、より安全性の高い睡眠薬の使用、ベンゾジアゼピン使用者への管理強化が必要とされる」としている。

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紫外線は乳がん予防に有効か~メタ解析

 太陽紫外線(UVR)曝露が乳がん発症リスクを減少させるという仮説がある。今回、カナダ・クイーンズ大学のTroy W. R. Hiller氏らが行った系統的レビューとメタ解析から、夏の数ヵ月間に太陽の下で1日1時間以上過ごすことで、乳がん発症リスクを減らせる可能性が示唆された。Environmental Health Perspectives誌2020年1月号に掲載。 本研究では、Medline、EMBASE、Web of Scienceで太陽UVRへの曝露と乳がんリスクの関連を調査した研究すべてを検索し、太陽の下で過ごした時間と周囲のUVR(居住地の太陽の強さ)の推計値を使用して個別に分析した。関連はランダム効果モデルのDerSimonian-Laird法を用いて推定し、異質性はサブグループ解析とI2統計量で調べた。 主な結果は以下のとおり。・14件の研究が系統的レビューの対象に、そのうち13件がメタ解析の対象になった。うち8件が北米で実施された研究であった。・生涯もしくは成人期に夏の数ヵ月間、1日1時間以上太陽の下で過ごすと、1時間未満と比べて乳がんリスクが減少した(統合相対リスク[RR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.77~0.91)。・太陽の下で過ごす時間が1日1時間未満と比べて、2時間以上(RR:0.83、95%CI:0.75~0.93)と1時間以上2時間未満(RR:0.83、95%CI:0.78~0.89)において同等の保護効果がみられた。・青年期での曝露(RR:0.83、95%CI:0.71~0.98)は、45歳以上での曝露(RR:0.97、95%CI:0.85~1.11)よりも乳がんリスクが低かった。・周囲のUVRは、乳がんリスクと関連していなかった(RR:1.00、95%CI:0.93~1.09)。

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B細胞NHLへのR-CHOP、4サイクルvs.6サイクル/Lancet

 60歳以下の低リスク中悪性度(アグレッシブ)B細胞非ホジキンリンパ腫患者の治療において、リツキシマブとシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone(R-CHOP)併用療法の4サイクル投与は6サイクル(標準治療)に対し、有効性が非劣性で、毒性作用は治療サイクルが少ない分、抑制されることが、ドイツ・ザールラント大学のViola Poeschel氏らGerman Lymphoma Allianceが行った「FLYER試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年12月21/28日合併号に掲載された。国際予後指標(IPI)の年齢調整リスク因子がなく、非bulky病変(腫瘍最大径<7.5cm)を有するアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者では、6サイクルのR-CHOP様レジメンの予後はきわめて良好と報告されている。一方、多くの患者にとって、このレジメンに含まれる6サイクルの細胞傷害性薬剤の併用療法(CHOP様)は過剰治療となっている可能性があるという。5ヵ国が参加した非劣性試験 本研究は、5ヵ国(デンマーク、イスラエル、イタリア、ノルウェー、ドイツ)の138施設が参加した多施設共同非盲検無作為化第III相非劣性試験であり、2005年12月2日~2016年10月7日の期間に患者登録が行われた(Deutsche Krebshilfeの助成による)。 対象は、年齢18~60歳で、StageI/II、血清乳酸脱水素酵素(LDH)濃度が正常、全身状態(ECOG PS)が0/1であり、非bulky病変(腫瘍最大径<7.5cm)を有するB細胞非ホジキンリンパ腫患者であった。 被験者は、R-CHOP 4サイクルに加えリツキシマブを単独で2回投与する群(4サイクル群)、またはR-CHOPを6サイクル投与する群(6サイクル群)に無作為に割り付けられた。1サイクルは21日であった。リツキシマブの用量は375mg/m2(体表面積)とした。精巣リンパ腫を除き、放射線治療は計画されなかった。 主要評価項目は、3年時の無増悪生存(PFS)率とし、intention-to-treat集団で解析が行われた。非劣性マージンは-5.5%とした。安全性の評価は、1回以上の投与を受けた患者を対象とした。3年PFS率:96% vs.94%、完全寛解率:91% vs.92% 592例が登録され、588例(4サイクル群293例[年齢中央値 49歳、女性 40%]、6サイクル群295例[47歳、39%])がintention-to-treat解析の対象となった。B症状が4サイクル群で多かった(9% vs.3%)。588例中499例(85%)がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であった。 追跡期間中央値66ヵ月(IQR:42~100)の時点における3年PFS率は、4サイクル群が96%(95%信頼区間[CI]:94~99)、6サイクル群は94%(91~97)であった。群間差は3%で、95%CIの下限値は0%であり、非劣性マージン(-5.5%)よりも高く、4サイクル群の6サイクル群に対する非劣性が確認された。 治療終了時に、4サイクル群267例(91%)、6サイクル群271例(92%)が完全寛解を達成し、それぞれ8例(3%)および11例(4%)が部分寛解で、6サイクル群の1例(<1%)が不変であった。治療中の増悪は両群3例(1%)ずつで認められた。 3年無イベント生存率は、4サイクル群が89%、6サイクル群も89%であり、3年全生存率はそれぞれ99%および98%だった。 また、事後解析では、5年PFS率は4サイクル群94%、6サイクル群94%、5年無イベント生存率はそれぞれ87%および88%、5年全生存率は97%および98%であった。 全体で40例が増悪または再発した。治療終了時の完全寛解/不確定完全寛解例での再発は、4サイクル群が11例(4%)、6サイクル群は13例(5%)であり、部分寛解例の再発はそれぞれ2例(25%)および2例(18%)だった。完全寛解/不確定完全寛解の再発例24例のうち、4例(17%)は登録から1年以内に、8例(33%)は2年以内に再発した。 4サイクル群(293例)では血液学的有害事象が294件、非血液学的有害事象が1,036件発現したのに比べ、6サイクル群(295例)ではそれぞれ426件および1,280件であり、4サイクル群で少ない傾向が認められた。重篤な有害事象は、4サイクル群48例、6サイクル群45例にみられた。感染症は、それぞれ116例(Grade3/4は22例)および156例(同23例)で発現した。6サイクル群で治療関連死が2例認められた。 著者は、「R-CHOP療法は、有効性を損なわずに、化学療法の施行数を減らすことができる」としている。

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