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聴診器を消毒していますか?ぱくたそより使用ラエンネックが聴診器を発明してから、約200年が経ちましたが1)、臨床でまだまだ活躍している聴診器。形状や性能は進化しましたが、まさか自分が開発したものが200年先まで使われているとはラエンネックも予想していなかったでしょう。さて、聴診器を介して病原微生物がアウトブレイクすることはまれな現象と思いますが、明らかに接触感染対策が必要とされる患者さんでも、消毒されていないことがしばしばあります。聴診器が微生物によって汚染されるのは間違いないので、できる限りこまめに聴診器を消毒したいものです。聴診器、血圧計のマンシェット(カフ)などのノンクリティカル器具は、はっきりと目に見える汚染がなくとも、患者ごとにアルコール系消毒薬注で清拭を行うべきというのが世界的な常識です。さて、聴診器の消毒ってどのくらいの頻度で行われているのでしょうか? 過去の文献をいくつかひも解いてみると、ある事実が見えてきました。Bukharie HA, et al.Bacterial contamination of stethoscopes.J Family Community Med. 2004 Jan;11(1):31-3.サウジアラビアのとある病院のスタッフから集めた100本の聴診器を調査したところ、消毒頻度は毎日が21%、週に1回が47%、年に1回が32%という散々な結果でした。毎日消毒していない人が8割近くいるということになります。とくに医師30人のうち、15人(50%)は「一度も消毒したことがない」と回答していました。Merlin MA, et al.Prevalence of methicillin-resistant Staphylococcus aureus on the stethoscopes of emergency medical services providers.Prehosp Emerg Care. 2009 Jan-Mar;13(1):71-4.これも救急部からの報告で、50本の聴診器を前向きに調べたところ、スタッフの32%は最後にいつ聴診器を消毒したのかさえ覚えていなかったそうです。スタッフが覚えている日が古いほど、聴診器はMRSAに汚染されやすいと報告されました。Tang PH, et al.Examination of staphylococcal stethoscope contamination in the emergency department (pilot) study (EXSSCITED pilot study).CJEM. 2011 Jul;13(4):239-44.3施設の救急スタッフ100人の聴診器を調べた前向き観察コホート研究です。患者さんを診察する前後で消毒できていたのは、全体の8%だけだったそうです。Saunders C, et al.Factors influencing stethoscope cleanliness among clinical medical students.J Hosp Infect. 2013 Jul;84(3):242-4.医療先進国であるイギリスの医学校では、回答者の22.4%は聴診器を一度も消毒したことがなく、すべての患者診察の後に聴診器を消毒していたのは、わずか3.9%という結果でした。Sahiledengle B.Stethoscope disinfection is rarely done in Ethiopia: What are the associated factors?PLoS One. 2019 Jun 27;14(6):e0208365.エチオピア21施設576人の医療従事者に対する調査によると、39.7%は聴診器使用後に毎回消毒を実施していました。しかし、34.6%はまったく消毒していなかったそうです。消毒の習慣すらない人がかなり多いことが示されました。Bansal A, et al.To assess the stethoscope cleaning practices, microbial load and efficacy of cleaning stethoscopes with alcohol-based disinfectant in a tertiary care hospital.J Infect Prev. 2019 Jan;20(1):46-50.インドの三次医療施設における調査では、62人の医療従事者のうち53%が「消毒をしたことがない」と回答しました。消毒の習慣がない、ではなく、したことがないというのです。さて、いろいろな文献を紹介しましたが、要は「みんな聴診器ほとんど消毒しないじゃん!」ということです。時間もないし、面倒くさいんですね、たぶん。これらは、われわれも身につまされるデータではないでしょうか。1)Atalic B. 200th Anniversary of the Beginning of Clinical Application of the Laennec's Stethoscope in 1819. Acta Med Hist Adriat. 2019 Jun;17(1):9-18.