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EF低下心不全へのダパグリフロジン、心不全増悪・心血管死リスク大幅減/NEJM

 駆出率(EF)が低下した心不全患者に対し、標準治療に加えたSGLT2阻害薬ダパグリフロジンの投与は、糖尿病の有無にかかわらず、心不全増悪および心血管死のリスクを有意に低下することが示された。英国・グラスゴー大学のJohn J. V. McMurray氏らが、 4,744例の患者を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化試験で明らかにした。2型糖尿病(DM)患者では、SGLT2阻害薬が心不全の初発入院リスクを低下することが示されている。その機序はグルコースとは独立していると考えられており、研究グループは、2型DMの有無を問わず、EF低下心不全患者におけるSGLT2阻害薬の作用に関するデータを集めるため本試験を行った。NEJM誌オンライン版2019年9月19日号掲載の報告。心不全増悪または心血管死を比較 研究グループは、NYHA心機能分類II~IVでEFが40%以下の心不全患者4,744例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはダパグリフロジン(1日1回10mg)を、もう一方にはプラセボを、推奨されている治療に加えて投与した。 主要アウトカムは、心不全増悪(心不全の静注療法を要する入院もしくは緊急受診)または心血管死の複合だった。心不全増悪の初回発生リスク、ダパグリフロジン群で3割減 追跡期間中央値18.2ヵ月において、主要アウトカムの発生は、プラセボ群502/2,371例(21.2%)に対し、ダパグリフロジン群は386/2,373例(16.3%)だった(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.65~0.85、p<0.001)。 初発の心不全増悪は、プラセボ群326例(13.7%)、ダパグリフロジン群237例(10.0%)だった(HR:0.70、95%CI:0.59~0.83)。心血管死はそれぞれ273例(11.5%)、227例(9.6%)で(同:0.82、0.69~0.98)、全死因死亡は329例(13.9%)、276例(11.6%)だった(同:0.83、0.71~0.97)。 糖尿病の有無による所見の違いはみられなかった。循環血液量減少や腎機能不全、低血糖に関連した有害事象の発現頻度も、両群間で差はなかった。

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ribociclib+フルベストラント、HR+/HER2-閉経後乳がんでOS延長(MONALEESA-3)/ESMO2019

 ホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)の閉経後進行乳がんに対する、ribociclib+フルベストラント併用療法の有効性を検討した第III相MONALEESA-3試験の最新結果が発表され、全生存(OS)期間を有意に延長したことが明らかになった。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、米国・David Geffen School of MedicineのDennis J. Slamon氏が発表した。ribociclibについては、HR+/HER2-の閉経前進行乳がんにおいて、内分泌療法との併用がOSを有意に延長したことがMONALEESA-7試験により示されている。・対象:未治療または1ラインの内分泌療法を受けた、閉経後女性または男性のHR+/HER2-進行乳がん患者・試験群:以下の2群に2対1の割合で無作為に割り付け ribociclib群:ribociclib(600mg/日を3週投与、1週休薬)+フルベストラント(500mg、28日を1サイクルとして1サイクル目のDay 1、Day 15、それ以降はDay 1) 484例 プラセボ群:プラセボ+フルベストラント 242例・評価項目: [主要評価項目]RECIST v1.1評価に基づく無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]OS、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2019年6月3日のデータカットオフ時点で、153例(ribociclib群121例、プラセボ群32例)が投薬継続中であった。追跡期間中央値は39.4ヵ月。・OS中央値は、ribociclib群NRに対しプラセボ群40.0ヵ月で、ハザード比(HR):0.724、95%信頼区間(CI):0.568~0.924、p<0.00455であった。あらかじめ規定された境界値(p<0.01129)を下回り、ribociclib群における優越性が示された。・サブグループ解析の結果、1次治療(NR vs.45.1ヵ月、HR:0.700、95%CI:0.479~1.021)、早期再発および2次治療(40.2 vs.32.5ヵ月、HR:0.730、95%CI:0.530~1.004)の患者でともにribociclib群のOSにおけるベネフィットが確認された。肺、肝転移の有無を含む、すべてのサブグループでOSにおけるベネフィットは一貫していた。・PFS中央値についてもアップデートされ、初期解析結果と一致する結果が報告された(20.6ヵ月vs.12.8ヵ月、HR:0.587、95%CI:0.488~0.705)。治療ライン数によらずribociclib群でPFS中央値の延長が確認され、1次治療の患者では、プラセボ群19.2ヵ月に対しribociclib群で33.6ヵ月に達している(HR:0.546、95%CI:0.415~0.718)。・後治療については、ribociclib群の81.5%、プラセボ群の84.7%で何らかの治療が行われた。ribociclib群で多かったのは内分泌療法単独(26.0%)、化学療法単独(23.2%)、プラセボ群で多かったのは内分泌療法+その他(29.2%)、化学療法単独(20.1%)であった。後治療としていずれかのラインでほかのCDK4/6阻害薬の投与があったのは、ribociclib群11%、プラセボ群25%であった。・初回化学療法までの期間中央値は、ribociclib群でNR、プラセボ群29.5ヵ月でribociclib群で長かった(HR:0.696、95%CI:0.551~0.879)。・PFS2(無作為化から最初の後治療後の増悪あるいは死亡までの期間)中央値は、ribociclib群39.8ヵ月に対しプラセボ群29.4ヵ月で、HR:0.670、95%CI:0.542~0.830であった。・約40ヵ月の追跡期間において、ribociclib群で新たに報告された有害事象はなく、安全性プロファイルは以前の報告と一貫していた。ribociclib群で多くみられたGrade3/4の有害事象は、好中球減少症(57.1% vs.0.8%)、肝胆道系障害(13.7% vs.5.8%)、QTc延長(3.1% vs.1.2%)であった。

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第19回 噛む回数を増やすメリットと簡単実践方法【実践型!食事指導スライド】

第19回 噛む回数を増やすメリットと簡単実践方法医療者向けワンポイント解説肥満や糖尿病の予防に対して、「よく噛みましょう」「1口30回噛みましょう」と伝えられることがありますが、早食い癖のついている人にとって「よく噛むこと」は、実行しにくい行動です。よく噛むためには「噛むメリット」を知り、「噛めるメニュー」を選ぶコツが必要です。●噛むメリットとは何か?1)唾液が出て口内が清潔になる噛むことは唾液の分泌を促します。唾液には食べ物のカスや細菌を洗い流す作用があり、虫歯や歯周病予防につながります。2)消化がスムーズ唾液に含まれる消化酵素のアミラーゼには、デンプンを分解し消化吸収を高める働きがあります。また、咀嚼運動により刺激され、胃液の分泌を助けます。3)満腹感が得やすい噛むことにより満腹中枢が刺激されます。また、腸管から分泌されるGLP-1やPYY(ペプチドYY)*による刺激が迷走神経から視床下部へ伝達され、摂食が調整されます。健常人を対象にした実験で、咀嚼回数が多いほど、GLP-1やPYYの血中の濃度が高くなるという結果があります。*:摂食抑制に機能する消化管ホルモン4)肥満や糖尿病のリスク低下消化促進や満腹中枢の刺激などの働きが合わさることで、食べる量が調整され、肥満の予防、糖尿病のリスク低下につながります。5)脳を刺激し活性化咀嚼刺激を与えることにより、脳を刺激し記憶力や集中力を高める働きがあることがわかっています。また、マウスモデルでは成長期における咀嚼刺激の低下が、顎の骨や咀嚼筋の成長を抑制し、海馬をはじめとする脳神経系の発達を妨げることで、記憶や学習機能を障害する可能性もが示唆されています。その結果、記憶や認知症の治療や予防につながり、咀嚼機能の維持や強化に有効であると期待されています。●噛むための簡単実践方法i)箸を使うスプーンやフォークを使うことで、1口の量が大きく、流し込み食べをしやすくなります。箸の動作を意識することでひと口の量が調整され、また、動きがでることで噛む回数を増やすことができます。ii)丼・麺などの単品ものよりも定食スタイルにする丼物や麺類は同じ味が続きやすく、味の変化が少ないことで満足度を下げ、食べる速度を上げがちです。定食スタイルで箸を使うことにより、口中で味の変化が起こり、ゆっくりと味わうことがしやすくなります。iii)いろいろな食材を取り入れる食感の変化のなさ、柔らかさも噛む回数を減らす原因です。単品で食べるより、違う食材をプラスする意識をもてば、噛む回数を増やすことができます。たとえば、「白飯にふりかけを合わせるよりも、しらす干しや納豆をのせる」「唐揚げ単品よりも千切りキャベツを添える、パンで挟む」など、ひと手間で噛む回数と満足度を変えることができます。iv)食材は大きく切る・細かくしない・加工は少なく食材が大きく切られているほうが、当然ながら噛む回数を増やすことができます。また、食感があることが重要です。ハンバーグなどやわらかい料理よりもステーキなどを選ぶことで、噛みごたえを増やすことができます。v)素材のままを1品加える味が濃いと噛まずに飲みこみやすくなりますが、素材のままの味わいのものは、味を感じようと自然と噛む動作が増えます。たとえば、チャーハンは早食いできても、炊いただけの玄米ご飯は早食いできない、といったところです。自然と噛めるメニューを加えることは、実は、栄養バランスが自然と整う方法でもあります。

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第7回 松本 尚先生に聞く、医療ドラマ監修の極意(後編)【外科医けいゆうの気になる話題】

第7回 松本 尚先生に聞く、医療ドラマ監修の極意(後編)医療の現実をドラマで表現するには―テレビならではの制約救急の現場では頻繁に遭遇する ものの、ドラマでは使えないテーマがあるそうです。1つはスポンサーとの関係で扱えないもの。交通事故、そして薬物中毒です。「ドラマの場合はとくに、自動車メーカーがスポンサーになっていることが多い。そうすると交通事故を扱えない。だからだいたい刺さるか、落っこちるか、というのばかりになってしまう」というのです。確かに前編に挙げた過去の事例も、「刺さる」ものですね。現実には薬物中毒の症例は多く、とくに洗剤や薬の多飲はよく経験されるそうです。ところが、これもスポンサーに洗剤やせっけんのメーカーが付いているため、こうした身近な薬物中毒はテーマに選べない。「覚せい剤中毒の設定も医学的には面白いけれど犯罪がらみになってしまうからNG」とのことでした。「事件モノ」も一度も扱っていないテーマの1つだそうです。「誰かに刺されるとか撃たれるというのも考えたけれど、それをやると犯人のほうに視聴者の目線が行ってしまう。なぜ刺したのか、とか、刺した人はどうなったのか、とか。そして『医療ドラマ』ではなくなってしまう」と指摘されたとのことでした。スペシャルでは列車の脱線事故、2ndシーズンでは飛行機の墜落事故が描かれましたが、制作側には「放送までに万が一同じような事故が現実に起こったら放送できなくなる」という怖さがあったそうです。ちなみに登場した飛行機についても、「美術さんが世界中に飛んでいるエアラインのデザインを調べて、絶対にないというものを作っていた」とのことでした。物語の主題を“医療”に据え続けるには、裏側にこんな事情や工夫があったのですね。想像していたよりもはるかに制限が多く、ドラマ制作の大変さを痛感しました。リアルとエンタメとのせめぎ合い実際の医療現場の常識を、ドラマの中でどう表現するかというのも、医療監修で関わって苦労をした点だそうです。『コード・ブルー』1stシーズンの最終回で多数傷病者が出るシーンがあります。この頃、救急医療界では「多数傷病者が出たらDMATが出動する」という習慣が根付き始めており、松本先生は「当然DMATを出さないといけない」と考えていたものの、制作側からはすぐにはOKが出なかったそうです。「登場人物を増やしたくないし、話がややこしくなると。あれは何? あの人は誰? と視聴者が混乱してしまうから。それに、DMATのユニフォームが主人公たちとは違うので視聴者がまた混乱してしまう」。「そもそも、ドラマとしては翔北救命センターの医師だけで対応させたい。でも50~60人も傷病者が出ているのに、たかだか5~6人の医師で何とかなるわけがない。それはおかしいから、そこにDMATがいるようにしてほしいという話をした」。リアリティーと視聴者へのわかりやすさの狭間でせめぎ合いがあり、けんかに近いくらいやりとりをしたとのことでした。最終的には、「DMATのユニフォームを着た人を後ろで活動させる。セリフももちろんない。でもとにかくユニフォームが見えて、その人たちに混ざって翔北の医師たちが活躍しているように見えればいい」という形に落とし込んだ、ということです。医師が見ても文句を言えないリアリティーを松本先生がドラマを通して最も強く意識したことは、「同業者が絶対文句を言えないようにしなくちゃいけない」ということでした。「医学的な説明はドラマの中ではできなかったとしても、後で聞かれたときに全部説明できるように、同業者からおかしいと言われないように作ると決めていた」というのです。それを実現するために、すでに出来上がった脚本にアドバイスをするのではなく、脚本制作から作品に関わり、多くのシーンで現場に赴いて指導したという松本先生。ドラマへのこだわりに、私は感嘆しました。通常は、話の筋を作る段階から医療監修が入るのはまれだそうです。「業界の慣例に捉われずここまで深く関わらせてくれたプロデューサーに感謝しています」とおっしゃる松本先生と制作陣との関わりもまた、ドラマのようで印象に残りました。ドラマが視聴者に与える影響は非常に大きいものです。描写の仕方によっては、業務に支障を来たしかねないほど大きな誤解を与えてしまうリスクもあります。一方で、多くの人に医療のことを正しく理解してもらうという目的では、ドラマというエンターテインメントは、その垣根を低くしてくれる素晴らしいツールだとも思っています。今回は、リアリティーを追求しつつエンターテイメントとしても魅力的な作品に仕上げていくことを目指した松本先生の熱意と努力を今回垣間見ることができたと感じます。前編を読む

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ビスホスホネート製剤を噛み続ける患者の中止提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第6回

 服用状況を確認すると、意外な薬の飲み方をしているケースがしばしばあります。今回は、施設職員向けの勉強会を契機に副作用リスクを発見できた症例を紹介します。患者情報施設入居(5年目)、80歳、女性現病歴:骨粗鬆症、高血圧症、便秘症、アルツハイマー型認知症血圧推移:140/70台既往歴:大腿骨頸部骨折(78歳時)2週間に1回の往診あり(薬剤師も同行)処方内容1.アムロジピン錠5mg 1錠 分1 朝食後2.オルメサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後3.エルデカルシトールカプセル0.75μg 1錠 分1 夕食後4.酸化マグネシウム錠330mg 2錠 分2 朝夕食後5.アレンドロン酸錠35mg 1錠 分1 起床時 毎週土曜日症例のポイントこの患者さんは、アルツハイマー型認知症のため短期記憶が乏しく、入居時より施設職員が内服薬を管理していました。2年前に転倒、大腿骨頸部骨折のため入院し、骨粗鬆症が指摘されたためエルデカルシトールとアレンドロン酸の内服が開始となりました。しかし、その入院を契機に認知機能低下がさらに進行し、食事や排泄は全介助が必要になり、自立歩行も困難で臥床の時間が長くなったと施設職員から情報提供がありました。ある日、施設職員に向けて粉砕不可の薬についての勉強会を薬剤師主導で実施したところ、「この患者さんは内服薬を口にするとすべて噛み砕いてしまうが問題ないか」という相談がありました。アレンドロン酸などのビスホスホネート内服薬は、粉砕や分割することで口腔粘膜や食道に付着し、潰瘍などの刺激性症状を引き起こす可能性が知られており、薬剤の中止や剤形の変更が必要と考えました。患者は服用時に薬を噛み砕くことが習慣になっており、このままアレンドロン酸を継続すると、潰瘍発生の可能性がある。また、臥床の時間が長く、週1回の内服とはいえ、アレンドロン酸を服用するために起床直後に上体を起こしてその後30分間維持することは、患者、施設職員ともに負担に感じていた。アレンドロン酸の代替薬として、ビスホスホネート製剤の注射薬(月1回投与)があるが、ADLを考えると積極的な適応をどこまで優先させるか検討が必要である。エルデカルシトールは内容物が液状であり、脱カプセルや噛み砕くのに不適であるため、粉砕不可薬であり、服用しやすい剤形としてアルファカルシドールへの変更も検討したい。処方提案と経過その後の往診にて、患者さんがアレンドロン酸を含むすべての薬剤を服用時に噛み砕いていることや30分以上上体を起こしていることが負担となっていることを、医師に報告しました。リスク回避を目的にアレンドロン酸の処方中止または注射薬への変更と、エルデカルシトールをアルファカルシドールに変更することを提案したところ、ビスホスホネート製剤の積極的な治療適応ではないため、アレンドロン酸は中止となりました。エルデカルシトールはアルファカルシドールに変更したうえで、定期服用薬は本人が服用しやすいよう粉砕調剤の指示を受けました。現在、患者さんは服用薬によるむせ込みもなく施設で生活を続けています。

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適切な治療法を届けたい、「バセドウ病治療ガイドライン2019」

 バセドウ病は1,000~2,000人に1人に発症する疾患であり、日常診療において遭遇率の高い疾患の1つである。なかでも、若い女性では約300人に1人が罹患しているとされ、妊娠中の検査で判明することも少なくない。 2019年5月、日本甲状腺学会によるバセドウ病治療ガイドラインが8年ぶりに改訂。本書は専門医だけではなく非専門医やそのほか医療者のバイブルになることを目的として作成されていることから、吉村 弘氏(伊藤病院/バセドウ病治療ガイドライン作成委員会委員長)に一般内科医にも知ってもらいたい改訂ポイントや「バセドウ病治療ガイドライン2019」の特徴について聞いた。バセドウ病治療ガイドライン2019はFCQを新設 今回の「バセドウ病治療ガイドライン2019」の改訂では、FCQ(Foreground Clinical Question)を新設し、クリニカルクエスチョンをFCQ6項目とBCQ(Background Clinical Question)39項目の2つに分けて記載している。これについて吉村氏は、「FCQの項を設けたガイドラインは日本では数少ない。FCQは今現在の課題や結果が出ていない事項に対して、世界中のエビデンスを基にして作成するので、ガイドライン本来の役割を果たす項である。ForegroundをMindsに従って翻訳すると“前景的”となるが、読者が意味を取りやすいよう“発展的”重要検討課題とした」と説明。なお、FCQは、推奨度を「強く推奨する」「弱く推奨する」「推奨なし」の3段階で、推奨決定のためのエビデンス総体の質(確信性)のグレードは、「強」「中」「弱」「とても弱い」の4段階で示されている。 一方、教科書的な内容を記載しているBCQは、推奨ではなく、エビデンスに基づく回答や解説などで構成されている。同氏は非専門医に向けて、「ガイドラインすべてを把握するのは労力が必要。まずは、BCQの回答と解説を熟知してほしい」とコメントした。 また、「バセドウ病治療ガイドライン2019」のBCQには妊娠中の管理はもちろんのこと、「バセドウ病患者の生活指導」「特殊な病態と合併症の治療」「手術」に関する項目が盛り込まれているほか、「ヨウ素を多く含む食品」など、BCQに該当しない内容がコラムとして記載されているので、非専門医がバセドウ病合併患者を対応する際にも有用である。「バセドウ病治療ガイドライン2019」の妊娠中の治療方針における変更点 妊娠兆候がある人は、産婦人科による甲状腺疾患の有無を確認する血液検査が必須である。そのため、同氏の所属病院には産婦人科からの紹介も多く、同氏の調べによると「不妊治療を行っている人の2~3割に甲状腺の精査が必要」という。 さらに、バセドウ病の治療は妊娠の有無にかかわらず、すべての患者に薬物治療が必要になることから、日本甲状腺学会は妊娠前~妊娠中の薬物治療への対応に注意を払っている。たとえば、今回の「バセドウ病治療ガイドライン2019」では妊娠中のバセドウ病の治療方針と管理方法(BCQ37)について、「器官形成期である妊娠4週から妊娠15週、とくに妊娠5週から妊娠9週はMMI(チアマゾール)の使用は避ける。妊娠16週以降はMMIを第一選択薬とする」と変更されている。これについて同氏は、「エビデンスを検索するかぎり、MMIの影響については妊娠10週までしか報告されていない。しかし、一般的な薬物の影響を考慮して、「バセドウ病治療ガイドライン2019」では妊娠5~15週でのMMIの使用回避を記載した」と改訂時の留意点をコメント。加えて、「バセドウ病の場合は、永続的に疾患と付き合っていかなければならず、挙児希望のある患者、とくに131I内用療法後の男性への指導については現時点ではエビデンスが乏しいため、FCQ6に対応法を盛り込んだ」と述べた。 最後に同氏は「FCQ2、4、6は、とくに重要な項目なので注目してほしい」と強調した。<バセドウ病治療ガイドライン2019の主な変更点>FCQ1:妊娠初期における薬物治療は、第一選択薬として何が推奨されるか?(変更前)推奨なし・MMIは妊娠4~7週は使用しないほうが無難(変更後)抗甲状腺薬が必要な場合はPTU(プロピルチオウラシル)を使用、MMIは妊娠5週0日から9週6日まで避けるべきFCQ2:無顆粒球症にG-CSFは推奨されるか?(変更前)推奨なし(変更後)無症候性で顆粒球数100/μL以上では低用量のG-CSFを外来で試験投与可能、顆粒球数100/μL未満は入院のうえ高用量のG-CSF投与が推奨FCQ3:抗甲状腺薬服薬中および治療後にヨウ素制限を行うか?(変更前)食事性ヨード摂取の制限を勧める必要はない(変更後)行わないFCQ4:18歳以下のバセドウ病患者に131I内用療法は推奨されるか?(変更前)慎重投与[他の治療法が選択できないとき](変更後)6~18歳以下でほかの治療法が困難である場合のみ容認、5歳以下は禁忌FCQ5:授乳中のバセドウ病患者にMMI、PTU、無機ヨウ素は推奨されるか?(変更前)PTU300mg/日以下、MMI10mg/日以下であれば授乳を制限する必要はない(変更後)PTU、MMIは変更なし、治療量の無機ヨウ素薬は可能な限り避けるFCQ6:131I内用療法後、挙児計画はいつから許可するか?(男性の場合)(変更前)推奨なし、6ヵ月以上期間を置く(変更後)4ヵ月過ぎてからの挙児計画推奨[強い]、6ヵ月過ぎてからの挙児計画推奨[弱い]

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統合失調症の認知機能に対する身体能力の影響

 統合失調症患者では、神経認知機能と身体能力が低下することがわかっているが、これら2つの因子の関連性を示すエビデンスは十分ではない。韓国・翰林大学校のJiheon Kim氏らは、統合失調症患者のさまざまな身体的パフォーマンスと認知機能との関連について、他の障害に関連する臨床症状を考慮したうえで、調査を行った。European Psychiatry誌2019年9月号の報告。 対象は、統合失調症患者60例。心肺持久力と機能的可動性の評価には、それぞれ踏み台昇降、supine-to-standing(STS)テストを用いた。実行機能とワーキングメモリの評価には、それぞれストループ課題、スタンバーグワーキングメモリ(SWM)課題を用いた。臨床症状の評価には、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、うつ病自己評価尺度(BDI)、特性不安尺度(STAI)を用いた。神経認知に関連する予測因子を特定するために、関連する共変量で調整し、多変量解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・重回帰分析では、踏み台昇降は、ストループ課題(β=0.434、p=0.001)およびSWM課題(β=0.331、p=0.026)の時間と強い関連が認められ、STSテスト時間は、ストループ課題(β=-0.418、p=0.001)およびSWM課題(β=-0.383、p=0.007)の精度と強い関連が認められた。・他の臨床的相関を制御した後、総コレステロール値は、ストループ課題の精度と関連が認められた(β=-0.307、p=0.018)。・臨床症状とストループ課題またはSWM課題との関連は認められなかった。 著者らは「統合失調症患者の身体能力と神経認知機能との関連が示唆された。これらの因子は、修正可能であることを考慮すると、統合失調症患者に対する運動介入は、認知機能改善に役立ち、それにより機能や予後の改善につながる可能性がある」としている。

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オピオイド誘発性便秘わが国の実態(OIC-J)/Cancer Medicine

 オピオイド誘発性便秘(OIC)は、オピオイド疼痛治療で頻繁にみられる副作用だが、その発生率は報告によりさまざまで、十分に確立されているとはいえない。この発生率のばらつきは、臨床試験および横断研究におけるOICの診断基準の複数があることも要因である。 近年、大腸疾患の基準であるRome IVがOICの基準に取り入れられた。そのような中、Rome IV基準を用いた日本人がん性疼痛患者におけるOICの発生率を検討した多施設共同前向き観察研究の結果がCancer Medicine誌8月号で発表された。 対象は、オピオイド疼痛治療を行っている安定した⽇本⼈がん患者(20歳以上、ECOG PS0〜2、便秘なし)。主要評価項目はROME IV診断基準によるOIC発症割合(14日間の患者の日記入力による)。副次評価項⽬は、Bowel Function Index(BFI、スコア28.8以上)、⾃発的排便回数([spontaneous bowel movement、以下SBM]、週3回以下)、医師診断によるOIC発症割合、および予防的便秘薬投与の有無によるOICの回数である。観察期間中の便秘治療は許容されていた。 主な結果は以下のとおり。・2017年1月5日~2018年1月31日に220例の患者が登録された。・平均モルヒネ相当量は22mg/日であった。・Rome IV基準によるOICの累積発生率は56%であった(95%CI:49.2〜62.9)。1週目の発生率は48%、2週目では37%であった。・予防的便秘薬を投与された患者のOICの累積発生率は48%(38.1〜57.5)で、投与されなかった患者65%(55.0〜74.2)に比べて低かった。・Rome IV以外の診断基準を用いた2週間累積OIC発症率は、BFIで59%(95%CI:51.9~66.0)、SBMで45%(95%CI:38.0~51.8)、医師診断61%(95%CI:54.3~68.1)であった。 オピオイド開始前の週あたりのBMの頻度は、OICの発生に最も影響力のある因子であった。便秘症に対する予防薬の利用は、OICの発生率の減少に対する中程度の効果と関連していた。報告されたOICの発生率は、関与する診断ツールに応じて変動した。

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周期性再分極動態、高値であるほどICDが有益/Lacnet

 周期性再分極動態(periodic repolarisation dynamics)は、虚血性/非虚血性心筋症患者において、予防的な植え込み型除細動器(ICD)の植え込み術に関連する死亡の予測に有用であることが、ドイツ・ミュンヘン大学病院のAxel Bauer氏らが行ったEU-CERT-ICD試験のサブスタディーで示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年9月2日号に掲載された。1次予防としてICDの植え込み術を受けた心筋症患者では、患者管理や技術の進歩に伴い悪性不整脈の発現は減少しているが、非虚血性心筋症では全死因死亡は改善されないとの報告があり、ICDの価値は一部のサブグループに限定される可能性が示唆されていた。また、約4人に1人が10年以内にデバイス感染症や不適切なショック(inappropriate shock)などの深刻な合併症を経験するという。周期性再分極動態は、心臓の再分極不安定性の交感神経活動に関連する低周波変動を定量化する新たな電気生理学的マーカーである。EU 15ヵ国44施設の非無作為化試験 本研究は、欧州連合(EU)の15ヵ国44施設が参加した医師主導の前向き非無作為化対照比較試験のサブスタディーであり、2014年5月~2018年9月の期間に患者登録が行われた(欧州共同体第7次枠組み計画の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、虚血性または非虚血性心筋症で、左室駆出率が低下し(≦35%)、1次予防としてのICD植え込み術のガイドライン判定基準を満たす患者であった。 ICD植え込み群の患者は手術の前日に、保存的管理を受ける患者(対照群)は試験登録の当日に、盲検下に24時間ホルター心電図上の周期性再分極動態の評価が行われた。 主要エンドポイントは、全死因死亡とした。傾向スコアと多変量モデルを用い、死亡に関して周期性再分極動態とICDの治療効果の交互作用が評価された。予防的ICD植え込み術の決定に役立つ可能性 1,371例が登録された(ICD群968例、対照群403例)。非無作為化デザインにもかかわらず、ベースラインの臨床的因子や人口統計学的因子は両群間でよくバランスがとれていた。平均年齢はICD群が61.5(SD 11.8)歳、対照群は62.7(11.7)歳で、女性はそれぞれ18%および19%であった。主な心疾患は虚血性心筋症で、ICD群は699例(72%)、対照群は249例(62%)が本症であった。β遮断薬が、それぞれ917例(95%)、376例(93%)で使用されていた。 フォローアップ期間(ICD群2.7年[IQR:2.0~3.3]、対照群1.2年[0.8~2.7])中に、ICD群は138例(14%)が、対照群は64例(16%)が死亡した。ICD群は対照群と比較して、死亡率が43%有意に低かった(補正後ハザード比[HR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.41~0.79、p=0.0008)。 周期性再分極動態は、ICDが死亡に及ぼす影響と交互作用を示し(p=0.0307)、予測が可能であることが示唆された。周期性再分極動態の値が低いと、ICDは生存利益がないか、ほとんどなかったが、高くなるに従ってICDの生存利益は持続的に増加した。 カットオフ値は示されなかったが、ICD関連の死亡は、周期性再分極動態が7.5deg以上の患者では75%低下(199例、ICD群の対照群に対する補正後HR:0.25、95%CI:0.13~0.47、p<0.0001)したのに対し、7.5deg未満の患者では31%の低下(1,166例、0.69、0.47~1.00、p=0.0492)であり、死亡に関する有益性は前者で大きかった(交互作用のp=0.0056)。また、治療必要数は、周期性再分極動態7.5deg未満の患者が18.3件(95%CI:10.6~4,895.3)、7.5deg以上の患者は3.1件(2.6~4.8)だった。 これらの知見と一致して、周期性再分極動態はICD群における適切なショック(appropriate shock)の、有意で独立の予測因子であった(補正後HR:1.30、95%CI:1.08~1.56、p=0.0050)。 著者は「周期性再分極動態は、予防的ICD植え込み術に関して、治療決定の支援として役立つ可能性がある」としている。

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アベマシクリブ+フルベストラント、HR+/HER2-乳がんのOS延長(MONARCH-2)/ESMO2019

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんを対象とした、CDK4/6阻害薬アベマシクリブ+フルベストラントの併用療法とフルベストラント単独療法との比較試験(MONARCH-2試験)の結果が、スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・スタンフォード大学のGeorge W.Sledge氏によって発表された。MONARCH-2試験でアベマシクリブ群のOS中央値が9.4ヵ月延長・国際共同二重盲検第III相比較試験・対象:HR陽性HER2陰性乳がんで、術前ホルモン療法中か術後ホルモン療法の12ヵ月以内に再発・病勢進行(PD)が認められた症例、または進行再発がんに対する1次内分泌療法中のPD症例(閉経状況問わず。進行再発がんに対する化学療法薬の投与は認められていない)・試験群:アベマシクリブ150mg×2回/日+フルベストラント500mg/回(アベマシクリブ群)・対照群:プラセボ×2回/日+フルベストラント500mg/回(プラセボ群)・アベマシクリブ群とプラセボ群に2対1の割合で割り付け・評価項目: [主要評価項目]主治医判定による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]全生存期間(OS) [探索的解析]化学療法施行までの期間 MONARCH-2試験の主要評価項目のPFSについては、過去に統計学的に有意にアベマシクリブ群が有効であることの発表がなされていた。今回は副次評価項目であるOSの発表がメインであり、これは事前に規定された中間解析の結果である。 MONARCH-2試験の主な結果は以下のとおり。・今回のアップデートでもPFS中央値はアベマシクリブ群16.9ヵ月、プラセボ群9.3ヵ月、ハザード比(HR):0.536、95%信頼区間(CI):0.445~0.645、p<0.0001とアベマシクリブ群の有意性が再現されていた。・データカットオフは2019年6月20日で、観察期間中央値は47.7ヵ月。登録症例数はアベマシクリブ群で446例、プラセボ群で223例の合計669例であった。この時点ではまだアベマシクリブ群の17%、プラセボ群の4%の症例で投薬が継続中であった。・OS中央値は、アベマシクリブ群で46.7ヵ月、プラセボ群で37.3ヵ月と9.4ヵ月の延長が見られ、HRは0.757(95%CI:0.606~0.945)、p=0.0137とアベマシクリブ群が有意にOSを延長していた。この中間解析では、統計学的に意味のあるp値は0.0208と設定されており、今回の解析結果はこれを下回っていた。・探索的解析である化学療法までの期間中央値は、アベマシクリブ群50.2ヵ月、プラセボ群22.1ヵ月で、HR:0.625(95%CI:0.501~0.779)、p<0.0001と、有意にアベマシクリブ群で延長していた。・投薬中止後の治療は、分子標的薬がアベマシクリブ群28.5%、プラセボ群43.9%、内分泌療法がアベマシクリブ群41.7%、プラセボ群57.0%で行われ、化学療法がアベマシクリブ群44.8%、プラセボ群61.0%で行われた。逐次的にCDK4/6阻害薬の投与を受けたのは、アベマシクリブ群で5.8%、プラセボ群で17.0%であった。・安全性については、既報と同様の内容であり、新たな有害事象の発現はなかった。

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12週間ごとに投与する新規乾癬治療薬「スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL」【下平博士のDIノート】第34回

12週間ごとに投与する新規乾癬治療薬「スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL」 今回は、ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤「リサンキズマブ(商品名:スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL)」を紹介します。本剤は、初回および4週時の後は12週ごとに皮下投与する薬剤です。少ない投与頻度で治療効果を発揮し、長期間持続するため、中等症から重症の乾癬患者のアンメットニーズを満たす薬剤として期待されています。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の適応で、2019年3月26日に承認され、2019年5月24日に発売されています。<用法・用量>通常、成人にはリサンキズマブとして、1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与します。なお、患者の状態に応じて1回75mgを投与することができます。<副作用>尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の患者を対象とした国内外の臨床試験(国際共同試験3件、国内試験2件:n=1,228)で報告された全副作用は219例(17.8%)でした。主な副作用は、ウイルス性上気道感染27例(2.2%)、注射部位紅斑15例(1.2%)、上気道感染14例(1.1%)、頭痛12例(1.0%)、上咽頭炎10例(0.8%)、そう痒症9例(0.7%)、口腔ヘルペス8例(0.7%)などでした。150mg投与群と75mg投与群の間に安全性プロファイルの違いは認められていません。なお、重大な副作用として、敗血症、骨髄炎、腎盂腎炎、細菌性髄膜炎などの重篤な感染症(0.7%)、アナフィラキシーなどの重篤な過敏症(0.1%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、乾癬の原因となるIL-23の働きを抑えることで、皮膚の炎症などの症状を改善します。2.体内の免疫機能の一部を弱めるため、ウイルスや細菌などによる感染症にかかりやすくなります。感染症が疑われる症状(発熱、寒気、体がだるい、など)が現れた場合には、速やかに医師に連絡してください。3.この薬を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹、風疹、麻疹・風疹混合、水痘、おたふく風邪など)の接種はできないので、接種の必要がある場合には医師に相談してください。4.入浴時に体をゴシゴシ洗ったり、熱い湯船につかったりすると、皮膚に過度の刺激が加わって症状が悪化することがありますので避けてください。5.風邪などの感染症にかからないように、日頃からうがいと手洗いを心掛け、体調管理に気を付けましょう。インフルエンザ予防のため、流行前にインフルエンザワクチンを打つのも有用です。<Shimo's eyes>乾癬の治療として、以前より副腎皮質ステロイドあるいはビタミンD3誘導体の外用療法、光線療法、または内服のシクロスポリン、エトレチナートなどによる全身療法が行われています。近年では、多くの生物学的製剤が開発され、既存治療で効果不十分な場合や難治性の場合、痛みが激しくQOLが低下している場合などで広く使用されるようになりました。現在発売されている生物学的製剤は、本剤と標的が同じグセルクマブ(商品名:トレムフィア)のほか、抗TNFα抗体のアダリムマブ(同:ヒュミラ)およびインフリキシマブ(同:レミケード)、抗IL-12/23p40抗体のウステキヌマブ(同:ステラーラ)、抗IL-17A抗体のセクキヌマブ(同:コセンティクス)およびイキセキズマブ(同:トルツ)、抗IL-17受容体A抗体のブロダルマブ(同:ルミセフ)などがあります。また、2017年には経口薬のPDE4阻害薬アプレミラスト(同:オテズラ)も新薬として加わりました。治療の選択肢は大幅に広がり、乾癬はいまやコントロール可能な疾患になりつつあります。本剤の安全性に関しては、ほかの生物学的製剤と同様に、結核の既往歴や感染症に注意する必要があります。本剤の投与は基本的に医療機関で行われると想定できますので、薬局では併用薬などの聞き取りや、生活指導で患者さんをフォローしましょう。本剤は、初回および4週後に投与し、その後は12週ごとに投与します。国内で承認されている乾癬治療薬では最も投与間隔が長い薬剤の1つとなります。通院までの間の体調を記録する「体調管理ノート」や、次回の通院予定日をLINEの通知で受け取れる「通院アラーム」などのサービスの活用を薦めるとよいでしょう。参考日本皮膚科学会 乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2019年版)アッヴィ スキリージ Weekly 体調管理ノート

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高齢者における魚摂取量と認知症発症リスクの関連~大崎コホート2006

 魚類は、認知機能低下を予防する多くの栄養素を含んでいる。したがって、習慣的な魚類の摂取は、認知症発症リスクの低下に寄与する可能性が示唆されている。しかし、認知症発症と魚類の摂取を調査したプロスペクティブコホート研究は少なく、それらの調査結果は一貫していない。東北大学の靏蒔 望氏らは、魚類の摂取量と認知症発症リスクを評価するため、大崎コホート研究のデータを用いて検討を行った。The British Journal of Nutrition誌2019年9月3日号の報告。 ベースライン時に65歳以上であった大崎市在住の住民を対象に、食物頻度アンケートを実施し、魚類やその他の食物摂取に関するデータを収集した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の推定には、多変量調整Coxモデルを用いた。魚類の摂取量を四分位に分け、最も少ない群をQ1、最も多い群をQ4とし、Q1を基準に認知症発症リスクを検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象者1万3,102例中、5.7年のフォローアップ期間後における認知症発症は1,118例(8.5%)であった。・Q1と比較した認知症発症HRは、Q2で0.90(95%CI:0.74~1.11)、Q3で0.85(95%CI:0.73~0.99)、Q4で0.84(95%CI:0.71~0.997)であった(傾向性p値=0.029)。・フォローアップ期間の最初の2年間で認知症と診断された人およびベースライン時に認知機能が低下していた人を除外した場合でも、同様の結果が得られた。 著者らは「健康な高齢者において、魚類の摂取量が多いと認知症発症リスクが低いことが認められた。本知見は、習慣的な魚類の摂取が、認知症予防に有益であることを示唆している」としている。

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シニアに必要な視力の健康

 9月11日、バイエル薬品株式会社は、都内において「人生100年時代の生き方・老い方会議~100年ずっと見える人生のために~」をテーマに講演会を開催した。 第2回となる今回のテーマは「見えることの重要性」で、講演会では一般のシニア約100名を前に、眼科医師による眼の健康とシニアの生き方の講演や現役で活躍するシニアの代表が登壇し、健康に生きる秘訣などを語った。 同社では、今後も世界各国でヘルシーエイジング(健康的で幸せに歳を重ねていく)活動の応援を推進するとしている。視力が弱ると認知症も増える 講演では飯田 知弘氏(東京女子医科大学医学部眼科 教授)を講師に迎え、「人生100年時代を生き抜くための『眼の健康』」をテーマに、高齢化に伴う眼の疾患について説明した。 これからの人生は100年時代であり、政府も「いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会」を目指し、シニアのさまざまなチャレンジを後押ししていると説明し、そのためには「健康」であることが重要と述べた。 健康を保つポイントとして、健康寿命と平均寿命には差がある(男性9.13年、女性12.68年)ことを示し、この差を短くすることが重要と指摘した。また、シニアにとって認知症は大きな問題である。世界保健機関(WHO)が策定した「認知症予防指針」によれば、「有酸素運動」「多量の飲酒を避ける」「血圧を維持」「血糖コントロール」「体重を一定に保つ」「適度な休息」など12項目があり、わが国も認知症施策推進大綱を発表し、本格的に取り組みを開始したことを説明した。同じく、認知症の発症関連リスクとして「難聴」「高血圧」「肥満」「喫煙」「うつ」など9つの因子があり、これらの抑制ができれば発症を35%抑制できると語った1)。 一方で、視力と認知症の関係について研究した藤原京スタディにも触れ、加齢とともに視力不良と認知症が増加し、視力不良の患者では認知症の発症割合が約2~3倍高いことを指摘した2)。シニアは気を付けたい白内障、緑内障、加齢黄斑変性 次に眼の働き、仕組みについて触れ、わが国の視覚障害の原因疾患は、緑内障(28.6%)、網膜性色素変性(14.0%)、糖尿病網膜症(12.8%)、黄斑変性(8.0%)、 脈絡網膜萎縮(4.9%)の順で多く、その中でもシニアの視力障害では、「白内障、緑内障、加齢黄斑変性」の3つが挙げられると同氏は指摘した。 「白内障」は、水晶体が濁ることで起きる視力障害で60歳を過ぎると80%以上、80歳を過ぎると100%で症状が認められる。主な自覚症状として、かすみ目、明るいところで見えにくい、ピントや眼鏡が合わない、2重3重に見えるなどがある。 「緑内障」は、眼圧が高くなり、視神経が障害される疾患。主な自覚症状として、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする。正常眼圧でも起こるケースもあり、日本人に多いという。自覚症状に乏しく、気付きにくいため、定期的な眼科受診が勧められる。 「加齢黄斑変性」は、50歳以上で、加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が起こる疾患。欧米では成人の失明原因の1位となっている。主な自覚症状として、視野の中心部が歪む変視症や視野の中心部が黒くなる中心暗点がある。 これらの疾患の治療では、手術が必要となるが、白内障手術により視力が回復することで、認知機能の改善が認められた報告3) もあり、健康の維持には、視力の維持も重要であると指摘した。 同氏は、まとめとして100歳まで健康な視力を維持するために、「病気のことをよく知る」「定期的に眼科受診」「早期発見、早期治療が大切」と3項目を示し、「『人生100年時代』生き生きとした生活を送るためには眼の健康が大切」と強調し、講演を終えた。 この後、シニア代表として中村 輝雄氏(中村印刷所 代表取締役社長)が登壇し、自社が開発した「水平開きノート」(http://nakaprin.jp/)製作の軌跡、眼が健康であればシニアも「働ける、学べる、夢が持てる」と体験談を披露した。■文献1) Livingston G, et al. Lancet. 2017;390:2673-2734.2) Mine M, et al. Biores Open Access. 2016;5:228-234.3) Ishii K, et al. Am J Ophthalmol. 2008;146:404-409.■参考バイエル薬品株式会社 Healthy Aging

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コメディカルによる地域包括ケア、心血管イベント抑制に効果/Lancet

 地域の状況を熟知したプライマリケア医と患者家族、地域住民の支援の下で、医師以外の医療従事者(NPHW)が行う包括的なケアは、血圧コントロールと心血管疾患リスクを実質的に改善することが、カナダ・マックマスター大学のJon-David Schwalm氏らが行ったHOPE 4試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年9月2日号に掲載された。高血圧は、世界的に心血管疾患の主要な原因である。高血圧のコントロールは、その有益性が証明されているにもかかわらず、十分に実施されていないという。Schwalm氏らは、コントロール不良および新規に診断された高血圧患者では、降圧治療とともに、地域の状況を詳細に分析して得られた他のリスク因子を改善する包括的なアプローチが、通常ケアに比べ有効性が高いとの仮説を立て、検証を行った。2つの中所得国30地域のクラスター無作為化試験 本研究は、NPHW、プライマリケア医、患者家族、有効な薬剤の提供から成るケアのモデルが、心血管疾患のリスクを実質的に低減するか否かの検証を目的に、2014~17年の期間にコロンビアとマレーシアの30地域(15地域ずつ)で実施された地域住民ベースのクラスター無作為化対照比較試験である(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成による)。 30地域は、介入群と対照群に無作為に割り付けられた。介入群では、(1)NPHWが、タブレット型コンピュータ内の簡易な管理アルゴリズムと指導プログラムを用いて心血管疾患リスク因子の治療を行い、(2)医師の監督下でNPHWが無料の降圧薬およびスタチンを推奨し、(3)治療支援者として患者家族または友人が、服薬や健康的な行動の順守を改善する手助けを行った。対照群では通常治療が行われた。 主要アウトカムは、フラミンガムリスクスコア(FRS)によるベースラインから12ヵ月までの心血管疾患10年リスク推定値の変化の差とした。SBP<140mmHg達成の変化は2倍以上に 30地域(1,371例)のうち14地域が介入群(644例、平均年齢65.1歳[SD 9.1]、女性58%)に、16地域は対照群(727例、65.8歳[9.7]、54%)に割り付けられた。1,371例中1,299例(生存例の97%、介入群607例、対照群692例)が12ヵ月のフォローアップを完遂した。 ベースラインにおいて対照群で、喫煙者(7.8% vs.9.4%)と糖尿病患者(32% vs.37%)が多かった。全体の参加者の多く(1,008例、73.5%)が高血圧既往で、降圧薬を服用していたが血圧はコントロールされていなかった。残りの参加者は新規に診断された高血圧患者であった。 FRSの10年心血管疾患リスクのベースラインから12ヵ月までの変化は、介入群が-11.17%(95%信頼区間[CI]:-12.88~-9.47)、対照群は-6.40%(-8.00~-4.80)であり、両群間の変化の差は-4.78%(-7.11~-2.44)と、介入群で有意に良好であった(p<0.0001)。介入群におけるFRSの相対的減少率は34.2%だった。 介入群は対照群と比較して、12ヵ月時の収縮期血圧(SBP)の変化が11.45mmHg(95%CI:-14.94~-7.97)低く、総コレステロール値が0.45mmol/L(-0.62~-0.28)、LDLコレステロール値は0.41mmol/L(-0.60~-0.23)低下した(いずれもp<0.0001)。また、12ヵ月時の血圧コントロール(SBP<140mmHg)達成の変化は、介入群が対照群の2倍以上であった(69% vs.30%、p<0.0001)。 一方、血糖値、HDLコレステロール値、禁煙率、体重には両群間に有意な差はみられなかった。 介入群で18件の重篤な有害事象が発現したが、いずれも試験関連薬が原因ではなく、17件(94%)では患者が服薬を継続していた。死亡、心筋梗塞、脳卒中、これらの複合、心血管疾患による入院は、いずれも両群間に有意な差はなかった。 著者は、「HOPE 4戦略は効果的かつ実用的であり、2つの中所得国において、一般に医師が行う現在の戦略と比較して、実質的に心血管疾患を低減する可能性がある」としている。

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転移TN乳がん、GEM/CBDCAにtrilaciclib追加でOSが大きく改善/ESMO2019

 強力なCDK4/6阻害薬であるtrilaciclibは、その作用機序および前臨床試験から骨髄毒性の抑制および抗腫瘍作用の改善効果が期待されている。今回、転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対する多施設無作為化非盲検第II相試験において、ゲムシタビン/カルボプラチン(GEM/CBDCA)にtrilaciclibを追加することにより、全生存期間(OS)を有意に改善したことが報告された。一方、主要評価項目である好中球減少症の有意な抑制効果は示されなかった。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Texas Oncology-Baylor Sammons Cancer CenterのJoyce O'Shaughnessy氏が発表。なお、本試験結果はLancet Oncology誌オンライン版9月28日号に同時掲載された。・対象:再発/転移乳がんに対して0~2レジメンの化学療法を受けたmTNBC患者・試験群:以下の3群に無作為に割り付け グループ1:GEM/CBDCA(Day1、8) 34例 グループ2:GEM/CBDCA(Day1、8)+trilaciclib(Day1、8) 33例 グループ3:GEM/CBDCA(Day2、9)+trilaciclib(Day1、2、8、9) 35例 病勢の進行(PD)もしくは不耐の毒性発現まで21日ごとに投与・評価項目: [主要評価項目]GEM/CBDCAによる好中球減少症の抑制(1サイクル目におけるGrade4の好中球減少症の期間、治療期間におけるGrade4の好中球減少症の発症) [副次評価項目]奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、OSなど 主な結果は以下のとおり。・52.0%がECOG PS 0、37.3%が化学療法を受けていた。・追跡期間中央値は10.5ヵ月(範囲:0.1~25.8ヵ月)であった。・薬物曝露期間の中央値は、グループ1(3.3ヵ月、4サイクル)に比べ、グループ2(5.3ヵ月、7サイクル)およびグループ3(5.5ヵ月、8サイクル)で延長した。・1サイクル目のGrade4の好中球減少症の平均日数、治療期間におけるGrade4の好中球減少症の患者割合とも有意な差がみられず、trilaciclibによる骨髄抑制の有意な改善は認められなかった。・ORRは、グループ1の33.3%に対して、グループ2(50.0%)、グループ3(36.7%)とも有意な差はなかった。・PFSは、グループ1に対してグループ2(HR:0.60、95%信頼区間[CI]:0.30~1.18、p=0.13)およびグループ3(HR:0.59、95%CI:0.30~1.16、p=0.12)で有意な改善は認められなかったが、グループ2と3の合計では改善傾向がみられた(HR:0.59、95%CI:0.33~1.05、p=0.063)。・OSは、グループ1に対してグループ2(HR:0.33、95%CI:0.15~0.74、p=0.028)、グループ3(HR:0.34、95%CI:0.16~0.70、p=0.0023)、グループ2と3の合計(HR:0.36、95%CI:0.19~0.67、p=0.0015)とも有意に改善した。・trilaciclib関連の重篤な有害事象はみられなかった。

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ザンタック自主回収、海外での発がん性物質検出受け予防的措置―GSK

 グラクソ・スミスクライン(GSK、東京都港区)は、9月26日付でH2受容体拮抗薬「ザンタック」(一般名:ラニチジン塩酸塩)の一部製品につき、自主回収を発表した。海外において、発がん性物質であるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたとの報告を受け、同社では既に製品の出荷を停止し、調査・分析を進めている最中だが、予防的措置として自主回収に踏み切った。 自主回収の対象製品は、「ザンタック錠75」「ザンタック錠150」「ザンタック注射液50mg」「ザンタック注射液100mg」。 これまでの経緯としては、欧州医薬品庁(EMA)、米国食品医薬品局(FDA)などにおいて、ラニチジン塩酸塩の製剤および原薬から、微量のNDMAが検出された旨が発表され、厚生労働省が9月17日付で国内の製造販売業者に対し、ラニチジン塩酸塩の分析を進めると共に、同製剤及び原薬の新たな出荷を行わないよう指示していた。 GSKでは、諸外国において、当該国の規制当局と協議の結果、回収に至るケースが発生していることや、同社が同製剤を製造委託している海外工場から、欧州における販売を中断する旨の通告があったことを踏まえ、このたびの自主回収を決めた。同社では、ラニチジン塩酸塩の安全性監視活動は定期的に行っており、これまでに発がん性を示唆する事象は認められていないという。 一方、厚労省は17日付で、ラニチジン塩酸塩を服用している患者や医療機関等への対応について、各都道府県の衛生主管部宛てに文書を発出している。

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蛇足の教え(解説:今中和人氏)-1116

 SYNTAX試験は冠動脈3枝病変ないし主幹部病変症例に対する、バイパス手術と薬剤溶出ステントを比較した、まさにランドマークとなる多施設ランダム化試験で、予定観察期間の5年成績が公表されたのは2014年。死亡のほかに心筋梗塞、脳卒中、再血行再建などが解析され、ある程度の複雑病変(3区分でintermediateとなるSYNTAXスコア23以上)の症例にはバイパス手術が適切であると明瞭に示す、キレイな結果であった。 循環器領域だけでも「この議論、いつまでやるんですか?」という案件はさまざまあれど、冠動脈疾患に対する治療法選択はその横綱格。SYNTAX試験の最終結果を見て、私などは「やっとこれで結論が出た」と半ば安堵する思いだったのだが、寡聞に過ぎた。あれから5年経ち、生命予後をさらに5年追跡したSYNTAX extended survival、すなわちSYNTAXES試験がこの論文である。 生死だけとはいえ、80以上の施設にまたがる合計1,800人の患者さんの94%を10年も追跡・集計するのがいかに大変だったか、頭が下がる思いだが、何せ追跡項目は総死亡「だけ」なので心臓死以外が大量に含まれ、MACCE等はまったく不明で、学術的価値はSYNTAXとは比較するべくもない。そもそも治療時点で平均年齢65歳、80%は男性の患者である。欧米諸国の多くで男性の平均年齢は70代後半なので、治療後10年間でバイパス群もPCI群も約1/4が死亡し、有意差はなかった(HR:1.17)が、この間のイベントや、ましてQOLはまったく不明である。サブグループ解析では、3枝病変患者ではバイパス群の生存率が有意に良好(HR:1.41)だが、主幹部病変患者では有意差なし(HR:0.90)。SYNTAXスコアで言うと、低スコア(HR:1.13)と中スコア(HR:1.06)患者の10年生存率に有意差はなく、高スコアのみバイパス群が有意に良好(HR:1.41)だった。 極端な話、65歳の患者群を35年追跡すれば生存率は極限まで低下するわけで、総死亡だけをいたずらに長期に観察すると、かえって本質が見えなくなる。そんな雑な議論に終始したこのSYNTAXESは、ズバリ「蛇足プロジェクト」の感が強いが、SYNTAXで1年・3年・5年と開いていった両群の生存率の差が、5年目以降もますます開いてゆくわけではなかったのは興味深い。ただ今回、それ以上の教えをいただいた。 確かに総死亡のみの議論はまったく不十分で、治療後の患者が入退院を繰り返してよいわけがなく、われわれはバイパスが良いだのPCIが良いだのと、治療法の差を論じている。だが私も時々、他病死した方の御遺族から「最期、心臓がなかなか止まらなくて…素晴らしい手術をしていただいたんだとよくわかりました」なんて言われることがある。これまでそういうコメントに対して深く考えてこなかったが、心臓死だろうが他病死だろうが、要するにその方は亡くなっているのである。すると最適の心臓治療だったかどうかは、もちろん、どうでもよいわけではないが、鍵を握るというほどでもなかったのだ。本論文の結果は、われわれが熱く議論している「差」というのは、一部の患者以外では、わずか10年の歳月にあっさり飲み込まれる程度の「差」だ、ということを示している。 今後もわれわれは最適な治療方針を追求してゆくべきだし、治療方針提示に当たっては、日本人は欧米人より平均寿命が長いので、SYNTAX試験の患者年齢より数年、上乗せして考えるべきだと考えるが、それにしても人はいずれ死を迎えることは厳然たる事実である。たとえば、び漫性と言うほどではない病変の後期高齢者がバイパス手術をひどく嫌がった場合、PCIや薬物治療だって十分妥当性のある選択肢で、「イヤイヤ、あなたはバイパス手術『じゃなきゃダメです』」みたいな説得は、実にイケてない。ガイドラインの弾力的な適用を心がけたい。

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178)「明日からダイエット」が必ず失敗する理由【糖尿病患者指導画集】

患者さん用:ダイエットはいつから?説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師最近、体重の変化はどうですか?患者ダイエットは明日からやります…!医師ハハハ。「今日のところは・・・」と食欲を優先してしまう人は太りやすいそうですよ。患者えっ、そうなんですか。今日は帰りに好きなものを食べて、明日から頑張ろうと思っていました。医師ちなみに、子どもの頃、夏休みの宿題は、最初に片付けてから遊ぶタイプでしたか? それとも最後に追い込むタイプでしたか?患者後者です。家族に手伝ってもらっても間に合わないことがありました・・・。医師ダイエットも同じで、先延ばしにしてもいいことはないですよ。患者じゃあ、どうしたらいいんですかね。医師いい方法がありますよ。「今日からダイエットする!」と、家族や友人に宣言するんです。ここに、「ダイエット宣言書」として、日付と名前を書いてみましょう。患者なるほど。じゃあ今日から・・・、いえ、今からダイエットします!●ポイントダイエットを先延ばししてしまう人には、家族や友人の前で「ダイエット宣言」をしてもらいましょう。

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第29回 検脈法ふたたび~“妙技”をブラッシュアップせよ【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第29回:検脈法ふたたび~“妙技”をブラッシュアップせよここしばらく『心電図の壁』のエッセイや『空飛ぶ心電図』での対談などの企画が続きましたが、久しぶりに“いつもの”心電図レクチャー形式に戻りましょう。今日にでも出会いそうな症例を題材に、心電図クイズに続いて、心拍数の計算法に関して再考します。Dr.ヒロの最近の“気づき”を皆さんはどう考えるかなぁ。では、はじめましょう!症例提示64歳、男性。関節リウマチ、COPD(チオトロピウム吸入、テオフィリン内服)にて通院中。主訴は発熱と労作時呼吸苦。3月某日、定期受診当日の夕方より熱発、翌日いったん解熱するも再発した。息切れも増強したため来院した。やせ型。体温38.4℃、血圧145/87mmHg、脈拍103/分・整、酸素飽和度91%(室内気吸入)だが軽労作にて容易に80%台前半となる。WBC:18,720/μL、CRP:>20mg/dL。胸部X線で右下肺野の透過性低下あり。インフルエンザ迅速検査は陰性。受診時の心電図を示す(図1)。(図1)救急受診時の心電図画像を拡大する【問題1】心電図所見として正しいものを2つ選べ。1)心房細動2)右軸偏位3)左房拡大4)時計回転5)ST低下解答はこちら2)、4)解説はこちらCOPDの典型的な身体所見(やせ型、男性、熱発、呼吸困難)ですね。多くの方が、上気道感染や肺炎などによる急性増悪を第一に考えると思います。それでOKですが、こんな時でも心電図はとられるわけで、その読みを問うています。ええ、もちろん「系統的判読」です(第1回)。1)×:「心房細動」の診断基準を復習しましょう。「R-R不整」と「洞性P波を欠く代わりにf波(細動波)」でしたね(第4回)。一見してR-R間隔は整で、II誘導などでQRS波の手前に明瞭なP波がコンスタントに確認できます。2)○:QRS電気軸の定性判定は、IとaVF(またはII)誘導に着目でした(第8回)。I:下向き、aVF(II)誘導:上向きのパターンは「右軸偏位」ですね。QRS波高が変動*1して、やや難しいですが、“トントン法Neo”を駆使して「+100°」ないし「+105°」(“トントン・ポイント”はIと-aVR間でI寄り)と言えたら最高です(第11回)。3)×:これはDr.ヒロお得意の“左右違い”(笑)。正解は「右房拡大」です。診断基準を整理しておきましょう(図2)。(図2)右房拡大の診断基準画像を拡大する教科書そのほかでは、「II、III、aVF、V1、V2*2のいずれかの誘導でP波高2.5mm以上」という基準がよく示されますが、これはかなりハードルが高く、めったに満たしません。「右房拡大」ではP波が“ホッソリ”かつ“ツンッ”と尖った形になることが一番の特徴なので(尖鋭化)、こうした“人相”ならぬ“波相”にまず反応しましょう。その上でどれか1つでもP波が2mm以上なら積極的に診断する姿勢をボクは推奨しています。4)○:正常ではV1からV6誘導に向かうにつれてR波は増高、S波は減高してゆき、真ん中(V3~V4)あたりで入れ替わります(移行帯)。V5誘導時点でも“下向き”(R<S)な場合に「時計回転」と言います。いくつか原因があり、その一つは今回のようなCOPDなどの慢性肺疾患です。5)×:ST偏位は、基線(T-P/T-QRS/Q-Qライン)に対するJ点(QRS波の「おわり」)の相対位置で決まります(第14回)。“(スター)ト”のプロセスでは、目の“ジグザグ運動”で肢誘導から胸部誘導まで漏れなくST偏位をチェックしましょう。本例ではST低下・上昇いずれもありません。*1:V1誘導でとくに顕著なQRS波高の変動(QRS amplitude variation)は「呼吸」による影響が強いとされ、3秒強のサイクルは呼吸促迫状態なのかとボクなら推察します。QRS波が減高する部分が吸気相に一致し、その際、膨張した肺によりV1誘導が心臓から最も遠ざかることで理解されるようです。*2:ニサンエフ(下壁誘導)は“兄弟”で、V1とV2は“お隣さん”のイメージ。ともに波形が類似すること多し。【問題2】自動診断は「高度な頻脈」となっているが、正確な調律診断は何か? 具体的な心拍数とともに述べよ。解答はこちら135/分(新・検脈法)、洞(性)頻脈解説はこちら心電図に自信のない人がついつい頼ってしまいがちな自動診断。これを見ることについて、基本的にボクは全然OKだと思います。慣れないうちは、自分なりの判読に漏れがないかのチェックにも使えるので、積極的に“カンニング”しようと薦めているくらいです(笑)。ただし、以前よりだいぶ精度が上がっているとはいえ、機械は“万全”ではないのです。この方の自動診断には「高度な頻脈」の記載があるだけで、そのほか調律に関係するものはありません。自身で判定する際には基本に忠実に、はじめの“レーサー(R3)・チェック”を適用すれば答えは簡単です。正確に調律診断をすることも大切ですが、今回は心拍数の計算法に関して“検脈法”から最近感じたことを述べたいと思います。“「高度な頻脈」に喝!”皆さんが普段使っている心電計は、大半が国産メーカー製のはず。そこでしばしば見られる「高度な頻脈(または徐脈)」という診断表示*3は、心拍数がおおむね「120/分超」か「40/分未満」の時に出ることが多いようです。ただ、この「高度な~」は、調律でも不整脈の名称でもないんです。穏やかな日曜の朝、スポーツ選手のプレイに「喝!」という長寿番組がありますが(笑)、Dr.ヒロ的にはこの表現に“喝”!…これは「診断」ではありません。以前から言いたかったのはこのことだったんです。「調律」と「心拍数」は常にセットです。基本調律を述べずに心拍数の速い・遅いだけを宣言するような診断と、ほかの心電図所見を同列で語るから紛らわしくなるのです。機械(≒心電計)が診断できない時こそ人間の目が必要なんです。R-R間隔は整で5mm四方の太枠マスがほぼ2つ分ですから、“300の法則”(第3回)的には150/分に近い「頻脈」です。しかも、“イチニエフの法則”(第2回)にピッタリのP波がコンスタントにいるから…そう、「洞調律」ですね。2つをあわせて「洞(性)頻脈」*4、これが正しい調律診断です。*3:「極端な」という表現を用いるメーカーもあり。*4:循環器学用語集(第3版)では「性」はなく「洞頻脈」が「sinus tachycardia」の正式な表現とされる。“あとは心拍数を求めよう”「心拍数○○/分の洞(性)頻脈です」こう述べるべく、あと知りたいのは心拍数の数字だけ。“ドキ心”レクチャー受講生なら、“検脈法”でしょ。R-R間隔が整なら肢誘導か胸部誘導のどっちか片方(5秒間)かでQRS波を数えればいいわけでした(第3回)。肢誘導に11個、胸部誘導に12個とカウントすれば、132/分(肢誘導のみ)、144/分(胸部誘導のみ)、138/分(肢誘導+胸部誘導)のいずれかの数値となるでしょう。いずれの方法でも、心拍数は「130~140/分」程度だとわかります。検脈法を用いる時、“不整脈”がある場合は基本的に10秒間カウントすべし、というのがDr.ヒロ流。ここで言う「不整脈」とは、R-R間隔の整・不整ではなく“レーサー・チェック”の3項目のいずれかが正常でない場合*5を想定しています。ですから、通常の検脈法では、138/分、四捨五入して「心拍数約140/分の洞(性)頻脈です」と述べることになるでしょう。基本的にはこれで正解です。*5:今回は心拍数が「50~100/分」の正常範囲から外れるので「不整脈」に該当すると考えて欲しい。“両端が気になって仕方ない”「高度な頻脈(徐脈)」に対するネガティブ・キャンペーンと正しい調律診断をしてレクチャーを終えてもいいのですが、ボクが本当に伝えたいことは別にあります。検脈法を適用していたある日、ふと“端っこ”が気になったんです。肢誘導と胸部誘導から一つずつ、今回の心電図からIII誘導とV4誘導を抜き出してみましょう(図3)。(図3)気になる“両端”の心拍たち画像を拡大するオリジナルの検脈法では(1)、(3)、(4)は1個のQRS波とカウントし、(2)はノーカウントになります。一部分しかなくても、1周期まるまるある心拍と同じ扱いでいいんだろうか…そう悩んだのです。“両端が気になったワケ”以前から検脈法で求めた心拍数と心電計の表示する値とが、まぁまぁズレるなぁと感じる時がありました。たとえば次の心電図を見てください(図4)。(図4)検脈法の“弱点”?画像を拡大する肢誘導にはQRS波が4つあります。一方、胸部誘導のほうはどうかと言うと、最後の最後にちぎれた“見切れ”QRS波がありますね。これをどうカウントしますか? オリジナル検脈法では、これも立派に「1拍」とカウントして、4+4で計8個、これを60秒(1分)に換算して「48/分」です。一方の自動診断では「43/分」となっています。「検脈法」は驚くほどに正確な心拍数を提供してくれるんです、大半のケースでは。その“実力”を知っているがゆえ、ボクにはこのズレが大きく感じるのです。“たかが5”とはいえ、48と43の差は“されど5”と感じてしまうのはビビリだから?…いや否。なんとかこれを乗り越えようと、最近になってオリジナル検脈法を“改良”することにしたのです。名付けて“新・検脈法”。■新・検脈法のルール■1)「QRS-T」全体を“1組”として心拍と見なし、一部でも欠けていたらQRS波0.5個とカウントする2)「P波だけ」はカウントしない心拍数が1分間の「心室」拍動回数である以上、P波は無視してQRS波+T波に注目しようと思いました。心室の脱分極・再分極を表して常に“2つで1組”の「QRS-T」を“1心拍”とみなすルールです。ほんのちょびっと見切れていても、9割方あり残りわずかに足りない場合でも“恨みっこなし”。すべて「0.5個」分の心拍と数えるのがミソです。もう一度、心電図(図4)に戻りましょう。肢誘導と胸部誘導の境界はIIとV2間の微妙なギャップ部分であり、このラインまでに肢誘導4拍目はT波の“おわり”がギリギリ滑り混んでいますから、肢誘導のQRS数は4個でOKです。一方の胸部誘導は“見切れている”最後の1拍は“半分カウント”ですから「3.5個」です。4+3.5で計「7.5個」と考えれば…そう心拍数は「45/分」です。これで心電計の数値との差が2に縮まりました。これならDr.ヒロ的にも許容範囲です。今回の心電図(図1)に対しても“新・検脈法”を用いてみましょう。図3の(1)、(3)は「1個」、(2)は「0個」、そして(4)は「0.5個」分の心拍となります。すると肢誘導11個、胸部誘導11.5個(最後だけ0.5個)となるので、全部で22.5個と思えば、6倍して…「135/分」。なんと心電計の計算にぴったり一致しました! ちなみに、0.5があっても、6倍ないし12倍で算出するため、“新・検脈法”による心拍数は必ず整数で算出されるので安心です。“腕比べをやってみた”Dr.ヒロのふとした妄想から誕生した“新・検脈法”ですが、本当か?…そう悩んだらほかの人に相談するより、まず自分で確かめるまで決して納得しないのがDr.ヒロの悪いところ(笑)。心拍数に関しては、心電計の計算値が常に正しいと考えて、数千にも及ぶ“杉山ライブラリー”の心電図から抽出した計100例(洞調律45例、期外収縮20例[PAC:10例、PVC:10例]、心房細動20例、その他15例)を用いて“腕比べ”をしてみました。「しかし、果たしてそこまでやる必要あるの?」という批判も聞こえてきそうですが…その結果を表にして示します(表1)。(表1)画像を拡大する皆さんは結果をどう見ますか? 平均値、中央値や最大・最小値どれをみても“イイ線いってる”感じです。“半分(0.5個)カウント”の影響か、新・検脈法のほうがオリジナルの検脈法よりも小さい値で見積もるようです。フィッティングに関しては、最終列の「決定係数」、いわゆるR2値を見ると、両者とも99%以上の高精度の予測能力があると言えますでしょうか。煩雑さの面では、オリジナル法よりも“一手間”加わる新・検脈法の方でわずかにR2値が高く見えてしまうのは開発者の性、いや“親心”でしょうか。でも、こうした結果を得るちょっと前から、臨床研究で心電図を扱う場合にも、ボクは手動計算の心拍数値は新・検脈法で求めるようにしています。あくまでも印象として、こちらのほうが従来法よりも精度が上がっている気がするからです。皆さんはどう思われるでしょうか? “新・検脈法”に関するご意見・ご感想をお寄せいただけたら嬉しいです。Take-home Message「高度な頻脈(徐脈)」という診断は不要!~調律と心拍数で表現せよ。「T-QRS」を1組と見て“見切れQRS波”を「0.5拍」でカウントする“新・検脈法”が多少手間でも有用かも!?【古都のこと~随心院門跡~】随心院門跡(山科区)は、古来より「小野郷*1」として、そして現在も小野と呼ばれる場所にあり、地下鉄(東西線)に乗れば市内中心部から30分程度で行くことができます。正暦二年(991年)、“雨僧正”仁海(にんがい)*2の開基とされ、もとは牛皮山曼荼羅寺*3と言ったそう。その後、増俊阿闍梨(ぞうしゅんあじゃり)が曼荼羅寺(まんだらじ)の子房として随心院を建立し、後堀河天皇から宣旨を受け「門跡」となりました(寛喜元年:1229年)。総門をくぐってすぐ右方には「小野梅園」があり、ここもオススメ観梅スポットの一つです(早春以外も緑が溢れる)。長屋門から入って庫裡(くり)を通って書院の襖絵や調度品を楽しみ、普段は開かない薬医門を内側から眺めると独特の趣を感じました。回廊を少し歩けばお目当ての庭が姿を現します。コンパクトながら池をたずさえ、縁側から見える奥深い緑の景色が実に目に映えます。さぁ、これからは紅葉シーズン。あまり人混みのない“ひっそり系”ながら、母親への愛情に溢れた由緒ある寺院に一緒に来られたら、良い親孝行になるでしょう。*1:三宅八幡宮(左京区上高野)の回で登場した「小野郷」とは異なる。*2:宮中からの勅命でしばしば請雨の法を行った。“雨降らし”の達人の意味か。*3:仁海僧正は一夜の夢に牛に生まれ変わった亡母を見て、飼養したが日なくして死んだ。それを悲しみ、その皮に両界曼荼羅の尊像を描いて本尊にしたことにちなんだ名称。

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