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小細胞肺がんの1次治療、アテゾリズマブ+化学療法の患者評価(IMpower133)/Ann Oncol

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)へのカルボプラチン+エトポシド(CP/ET)+抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用の1次治療に関する「IMpower133試験」の安全性および患者報告アウトカムの評価結果が、米国・メイヨー・クリニックのA.S. Mansfield氏らにより示された。アテゾリズマブ+CP/ETレジメンはプラセボ+CP/ETと安全性プロファイルが同様であり、患者報告の健康関連QOL(HRQoL)に重大な影響は与えないことが示された。結果を踏まえて著者は、「示されたデータは、ES-SCLC 1次治療としてのアテゾリズマブ+CP/ETのベネフィット・リスクプロファイルを明確に示すもので、同レジメンを新たな標準治療として支持することをさらに裏付けるものであった」とまとめている。Annals of Oncology誌2020年2月号掲載の報告。  IMpower133試験において患者は、CP/ETに加えてアテゾリズマブまたはプラセボの21日/サイクルを4サイクル受け(導入期)、その後アテゾリズマブまたはプラセボを、病勢進行またはベネフィットがなくなるまで投与された(維持期)。有害事象(AE)の評価と、治療期間中3週間ごとにEuropean Organisation for the Research and Treatment of Cancer(EORTC)の生活の質に関する質問票(Core 30[QLQ-C30]とQLQ-LC13)を用いた評価が行われた。  主な結果は以下のとおり。 ・全AEおよびGrade3~4のAE、重篤なAEの発現頻度は、両フェーズ(導入期、維持期)ともに、アテゾリズマブ群とプラセボ群で同程度であった。・免疫関連AEの発現頻度は、両フェーズともにアテゾリズマブ群でより高率であった。導入期は28% vs.17%、維持期は26% vs.15%であった。・免疫関連AEで最も発現頻度が高かったのは、発疹(導入期:11% vs.9%、維持期:14% vs.4%)、甲状腺機能低下症(4.0% vs.0%、10% vs.1%)であった。・生活の質低下に関連した患者報告に基づく治療関連症状の変化は、導入期では概して同程度であり、変化のほとんどは維持期で認められた。・患者報告に基づく機能およびHRQoLは、治療開始後に両群で改善したが、アテゾリズマブ群ではHRQoLの改善がより顕著かつ持続的に認められた。

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冠動脈疾患における抗血栓療法にフォーカスしたガイドラインを公開/日本循環器学会

 日本循環器学会は2020年3月13日、「2020年JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法」を学会ホームページに公開した。本ガイドラインは、2019年に発表された「急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)」と「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」の2つのガイドラインの抗血栓療法に関して、発表後に多くの重要なエビデンスや新たな概念が発表されたことから、この内容にのみ焦点を当て作成された。ガイドラインには周術期の抗血栓療法に関する項目が新設 今回の冠動脈疾患患者における抗血栓療法にフォーカスしたガイドラインでは、諸外国と異なっていると言われるわが国の虚血と出血のリスクバランスを考慮し、国内の臨床試験や大規模臨床研究を数多く引用し作成された。今回のアップデートにおける特徴は以下のとおり。1)2019年4月に欧米誌に同時掲載された学術研究コンソーシアムによる高出血リスク患者についてのコンセンサスドキュメント(Academic Research Consortium for High Bleeding Risk:ARC-HBR)を治療戦略のガイドとして採用2)ARC-HBRの評価基準を基に、低体重、フレイル、心不全、透析などのリスク因子を加味した「日本版HBR評価基準」を作成3)急性冠症候群(ACS)と安定冠動脈疾患を併せて冠動脈疾患全般における抗血栓療法とし、また実臨床に即して時系列に沿って項立て4)ガイドラインの必須項目に限定した簡易なフローチャートを作成5)「周術期の抗血栓療法」に関する項目が新設 出血リスクの評価方法については、2018年改訂版のガイドラインでは、ACS、安定冠動脈疾患ともにPRECISE-DAPTスコアが採用されたが、最近、提唱された高出血リスク(HBR)の概念が、出血リスクが高いと言われる東アジアでより実践的と考えられることから、本ガイドラインではHBRの概念が基本戦略として採用された。 今回の冠動脈疾患患者における抗血栓療法にフォーカスしたガイドラインでは他にも、Loadingのタイミングや薬剤選択が明記され、また、HBRをガイドにした抗血栓薬の投薬期間を定められた(短期DAPT後はP2Y12阻害薬単剤を推奨)。さらに、心房細動後のde-escalationについてはエビデンスに基づくものになっている。

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統合失調症患者に対するアリピプラゾール持続性注射剤の投与経路変更の受け入れ調査

 統合失調症患者の服薬アドヒアランスを改善するために、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬が使用される。しかし、日本ではまだ一般的ではない。現在、アリピプラゾールLAIの投与は、臀部筋肉内に加え三角筋内への投与が可能となっている。名城大学の亀井 浩行氏らは、アリピプラゾールLAIの投与経路を臀部から三角筋へ変更することによる、患者の受け入れ状況について調査を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2020年2月29日号の報告。 対象は、アリピプラゾールLAIの臀部筋肉内投与を6ヵ月以上行った統合失調症外来患者32例。三角筋内への投与に切り替えた3ヵ月後に、痛みや恥ずかしさの変化について評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・投与経路の切り替えは、32例中17例が選択した。・3ヵ月後、9例が満足のいく評価をし、三角筋内への投与を継続していた。・三角筋内投与へ切り替える際の主な理由は、臀部筋肉内投与に関連する注射部の痛みと恥ずかしさであった。・三角筋から臀部筋肉内投与へ戻す際の主な理由は、三角筋内投与で経験する痛みであった。 著者らは「注射部位を選択できることは、アリピプラゾールLAI使用の普及につながるであろう」としている。

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AIDS関連カポジ肉腫、有病率が高い地域での最適治療は?/Lancet

 資源が限られた地域における進行性AIDS関連カポジ肉腫に対する最適な治療戦略は「パクリタキセル+抗レトロウイルス療法(ART)」であることが、米国・AIDS Malignancy ConsortiumのSusan E. Krown氏らによる無作為化非盲検非劣性試験の結果、示された。非劣性の証明は事前に設定したマージンではできなかったが、「経口エトポシド+ART」および「ブレオマイシン+ビンクリスチン+ART」の両治療に対して優越性が示されたという。AIDS関連カポジ肉腫は、HIV患者の頻度の高い併存疾患および死亡の原因であるが、疾患頻度が最も高い低所得および中所得国では最適な治療レジメンについて系統的な評価がされていなかった。Lancet誌オンライン版2020年3月5日号掲載の報告。ブラジル、ケニアなど6ヵ国で3群を比較する無作為化非盲検非劣性試験を実施 研究グループは、AIDS臨床試験グループ(AIDS Clinical Trials Group)に参加しているブラジル、ケニア、マラウイ、南アフリカ共和国、ウガンダおよびジンバブエの11施設において、進行期AIDS関連カポジ肉腫を有するHIV患者を登録し、適格患者をART(エファビレンツ+テノホビル+エムトリシタビン併用)に加えて、ブレオマイシン+ビンクリスチン静脈投与、またはエトポシド経口投与を受ける治療群(介入群)、またはパクリタキセル静脈投与を受ける治療群(対照群)のいずれかに1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は48週時での無増悪生存期間(PFS)で、対照群と介入群を比較する非劣性マージンは15%とした。安全性は、治療を受けた全例で評価した。非劣性は証明できず、安全性への懸念から試験は早期中止 2013年10月1日~2018年3月8日に334例が登録された。なお、エトポシド+ART群への登録は、劣性に関するデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)の勧告に従って2016年3月に中止され、ブレオマイシン+ビンクリスチン+ART群への登録も劣性が明らかのため中止が勧告され、2018年3月8日に早期試験終了となった。 48週PFS率は、対照のパクリタキセル+ART群が、両介入群と比較して高かった。 48週PFS率の絶対差は、パクリタキセル+ART群(48週PFS率50%[95%CI:32~67]、59例)とエトポシド+ART群(20%[6~33]、59例)の比較で-30%(95%CI:-52~-8)であり、パクリタキセル+ART群(48週PFS率64%[95%CI:55~73]、138例)とブレオマイシン+ビンクリスチン+ART群(44%[35~53]、132例)との比較で-20%(95%CI:-33~-7)であった。両比較での95%CIが非劣性マージンをオーバーラップしていたため、非劣性は証明できなかった。 安全性解析(対象症例329例)における主な有害事象は、好中球減少(48例、15%)、血清アルブミン低下(33例、10%)、体重減少(29例、9%)、貧血(28例、9%)で、治療群間の発現頻度は同程度であった。

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COVID-19、ロピナビル・リトナビルで悪化例も/JAMA

 シンガポールでSARS-CoV-2感染が確認された最初の18例の臨床所見は、軽度の気道感染症が多く、一部の患者で酸素吸入を要し、抗レトロウイルス薬による治療の臨床転帰はさまざまであったという。シンガポール・国立感染症センター(NCID)のBarnaby Edward Young氏らが、同国SARS-CoV-2感染症例の最初の経験を報告した。SARS-CoV-2感染は2019年12月に中国湖北省武漢市で発生し、中国国外で持続的なヒトからヒトへの感染が世界的に広がっている。JAMA誌オンライン版2020年3月3日号掲載の報告。最初の18例の臨床経過やウイルス排出等を調査 研究グループは、2020年1月23日~2月3日にシンガポールの病院4施設において、PCR検査でSARS-CoV-2感染が確認された最初の連続症例18例について、記述的な症例研究を行った。最終追跡調査は2020年2月25日。 主要評価項目はSARS-CoV-2感染の確認とし、鼻咽頭スワブからのPCR cycle threshold(Ct)値、血液・尿・便からのウイルス排出などについて、臨床・検査・画像データを収集するとともに、酸素療法および集中治療の必要性、ロピナビル・リトナビルによる経験的治療の使用などの臨床経過をまとめた。ロピナビル・リトナビルで悪化する場合もあり PCR検査でSARS-CoV-2感染が確認された入院患者18例(年齢中央値47歳、女性9例[50%])において、上気道感染症の臨床症状を呈した患者が12例(67%)で、15例(83%)は鼻咽頭からのウイルス排出が7日以上持続していた。6例(33%)が酸素療法を必要とし、このうち2例が集中治療を必要とした。死亡例はなかった。 ウイルスは、PCR検査にて便(8例中4例、50%)および血液(12例中1例、8%)で検出可能であったが、尿では検出されなかった。 酸素療法を要した5例が、ロピナビル・リトナビルで治療された。5例中3例は解熱し、3日以内に酸素療法の必要性が減少したが、2例は進行性呼吸不全を伴い悪化した。ロピナビル・リトナビルで治療された5例中4例で悪心、嘔吐、下痢を、3例で肝機能異常を認めた。

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がん10年生存率57.2%に、80%以上のがん種も/全がん協調査

 国立がん研究センターの研究班は3月17日、全国がんセンター協議会(以下、全がん協)加盟の全国32施設における、全がんおよび部位別の、がん生存率最新データを公表した。前回調査と比較して、全がんの5年相対生存率は0.5ポイント増の68.4%、10年相対生存率は0.8ポイント増の57.2%であった。現在、10年生存率の算出と公開を行っているのは同研究班によるもののみで、部位別生存率において相対生存率(がんによる死亡)のほか、実測生存率(全死亡)も提示していることが特徴。<調査概要>収集症例:1997~2011年までに32施設で診断治療を行った68万9,207症例集計対象:[5年生存率]2009~11年に診断治療を行った症例のうち、以下の条件を満たした14万2,947症例(前回調査は2008~10年症例)[10年生存率]2003~06年に診断治療を行った症例のうち、以下の条件を満たした8万708症例(前回調査は2002~05年症例)集計基準:・15歳未満、95歳以上は除外・良性腫瘍、上皮内がん、0期、転移性腫瘍は除外・自施設診断自施設治療、および他施設診断自施設治療症例(診断のみは解析対象外)・下記の基準を満たした施設のデータのみを集計 臨床病期判明率60%以上 追跡率(予後判明率)90%以上5年相対生存率は前立腺、乳、甲状腺がんで90%以上 部位別(22種)・臨床病期別に、全症例と手術症例の5年生存率が算出された。全部位全臨床病期の5年相対生存率(全症例)は68.4%で、前回調査の67.9%からは0.5ポイント増でほぼ横ばい、初回調査(1997~99年)の61.8%からは徐々に改善傾向がみられている。部位別の5年生存率(相対生存率/実測生存率)について、主な結果は以下の通り:・5年相対生存率90%以上 前立腺(100%/88.6%)、乳(女)(93.7%/91.0%)、甲状腺(92.4%/88.7%)・5年相対生存率70%以上90%未満 子宮体(86.4%/83.9%)、大腸(76.8%/70.3%)、子宮頸(76.8%/75.0%)、胃(74.9%/67.6%)など・5年相対生存率50%以上70%未満 腎臓など(69.4%/63.9%)、膀胱(69.0%/60.6%)、卵巣(66.2%/64.7%)・5年相対生存率30%以上50%未満 食道(46.0%/41.7%)、肺(45.2%/41.2%)、肝(37.0%/33.1%)・5年相対生存率30%未満 胆のう胆道(28.6%/25.6%)、膵(9.9%/9.2%)10年相対生存率は前立腺、乳、甲状腺、子宮体がんで80%以上 部位別(18種)・臨床病期別に、全症例と手術症例の10年生存率が算出された。全部位全臨床病期の10年相対生存率(全症例)は57.2%で、前回調査の56.4%からは0.8ポイント上昇。部位別の10年生存率(相対生存率/実測生存率)について、主な結果は以下の通り:・10年相対生存率90%以上 前立腺(97.8%/72.3%)・10年相対生存率70%以上90%未満 乳(85.9%/80.9%)、甲状腺(84.1%/77.4%)、子宮体(81.2%/76.5%)・10年相対生存率50%以上70%未満 子宮頸(68.8%/65.6%)、大腸(67.8%/56.5%)、胃(65.3%/53.7%)、腎など(64.0%/54.5%)など・10年相対生存率30%以上50%未満 卵巣(45.3%/43.1%)、肺(30.9%/25.8%)、食道(30.9%/25.4%)・10年相対生存率30%未満 胆のう胆道(18.0%/14.8%)、肝(15.6%/12.8%)、膵(5.3%/4.5%) 研究班では、前回調査との比較において、多くの部位で5年および10年の生存率上昇を認める一方、低下している部位も含めて、臨床的に意味のある変化は認められないとしている。

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消火器を口腔内に噴射した男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第159回

消火器を口腔内に噴射した男性pixabayより使用私は、これまでの人生で一度だけ消火器を使ったことがあります。大学の学園祭で小さなボヤを起こして、消火器を使ったことがあるのです。ホースを持って、レバーをぐっと握るので、そうそう失敗することはないのですが、世の中には珍しい症例報告があるもので。高橋 洋子,他消火薬剤を口腔内に噴射し, 心停止に陥った1例.日本救急医学会雑誌. 2007;18(5):208-215.これは日本救急医学会雑誌の症例報告です。タイトルの通り、消火器を口腔内に噴射してしまったというものです。この症例は68歳の男性でした。統合失調症で入院している最中、施設の消火器を自ら口にくわえて噴射したそうです。直後から全身の発汗と四肢の冷感が出現し、武蔵野赤十字病院救命救急センターへ搬送されました。収縮期血圧が60mmHgのショック状態であり、血清カリウムは10.3mEq/Lまで上昇していたそうです。消火器は40%w/w(純度)の炭酸カリウム水溶液を主成分としており(1mL中に8mEqのカリウムを含有)、これが大量に体内に吸収される可能性があります。この症例も、搬送されてから38分後に心肺停止になったそうです。また消火器はpH11.6という強アルカリ性の溶液が充填されており、強い粘膜障害が予想されます。本症例では幸いにも消化器粘膜に重度の障害はなかったそうですが、気道・食道の両方に腐食障害を起こすリスクがあるので注意が必要です。実際に気道に吸引した重症例が報告されています1)。本症例は、2時間以上にわたって心肺蘇生が行われ、CHDF等の集中治療によって救命できたそうです。ドイツでも消火用パウダーを自殺目的に飲み込み、重度のアシドーシスに陥った症例が報告されており2)、本症例のように精神科疾患がある患者さんや自殺企図のある人では、消火器ですら危険になりうるため注意が必要ですね。1)Morita S, et al. Respiratory failure by inhalation of a fire extinguisher. J Trauma.2005 Aug;59(2):504.2)Becker TS, et al. Life-threatening metabolic acidosis after ingestion of fire extinguisher powder. Anaesthesist.2018 Sep;67(9):674-678.

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長時間作用型アリピプラゾールに関するコホート研究

 アリピプラゾール月1回投与(アリピプラゾール持効性注射剤:AOM)を使用した統合失調症治療の機能およびウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)に対する有効性について、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのDaniel Schottle氏らが実臨床での評価を行った。BMC Psychiatry誌2020年2月22日号の報告。 本研究は、6ヵ月間の多施設プロスペクティブ非介入研究として実施された。対象は、経口薬による治療から9.7(±22.3)ヵ月後にAOMへ切り替えを行い症状が安定した統合失調症患者242例(平均年齢:43.1±15.1歳、男性の割合:55%)。評価項目は、機能の全体的評価尺度(GAF)、患者のウェルビーイング(WHO-5精神健康状態表)、AOMの有効性と忍容性に関する患者および臨床医の評価とした。また、治療関連有害事象(TRAE)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の平均GAFスコアは47.0±13.9であった。患者は、機能に重大な障害を経験していることが示唆された。・治療中に60.2±17.0へと継続した改善が認められ、4週間後には強力かつ有意な改善が認められた。・ベースライン時において、患者のウェルビーイングは低く、WHO-5の平均スコアは10.6±5.6であった。・治療中に患者のウェルビーイングの継続的な改善が認められ、4週間後には強力かつ有意な改善が認められた。エンドポイントのスコアは15.4±5.5であり、6ヵ月間で4.8±6.9の改善が認められた。・これらの結果を層別化すると、35歳以下の患者でより顕著な効果が認められた(GAF:p<0.05)。・AOMの有効性および忍容性の評価では、患者(89.2%、93.7%)、臨床医(91.4%、96.8%)ともに良好/非常に良好と評価された。・TRAEの発生は、まれであった。 著者らは「統合失調症患者、主に安定している患者に対するAOM治療の開始は、機能やウェルビーイングへの有意な効果を示し、この効果は35歳以下の患者でより顕著であった。実臨床における本結果は、これまでのランダム化試験の結果を支持するものである」としている。

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COVID-19治療薬スクリーニングのための原薬提供など、各社対応/製薬協

 日本製薬工業協会(製薬協)は3月18日、治療薬スクリーニングのための原薬提供など、会員各社の新型コロナウイルス感染対策への取り組み(3月10日時点の会員会社の開示情報)について発表した。 会員各社は、厚生労働省事務連絡「新型コロナウイルス感染症の治療に用いる医薬品のスクリーニングに用いる原薬の提供依頼について」を受け、国立感染症研究所(感染研)における「新型コロナウイルス感染症の治療に用いる医薬品の基礎的なスクリーニング計画」に協力し、感染研での治療薬スクリーニングのために化合物原薬または関連論文を提供している。 また、厚生労働省事務連絡「新型コロナウイルスに関連した感染症発生に伴う医薬品原料等の確保について」の要請に応じ、医療用医薬品の安定供給のために、中国で製造されている医薬品の原料などの在庫状況および今後の製造の見通しなどの確認、必要に応じた別の製造ルートの確保など、安定供給に向けて尽力している。 なお、日本製薬工業協会では、新型コロナウイルス感染による被災救済の一環として、COVID19治療・予防研究開発を支援するためにGISAID(Global Initiative on Sharing All Influenza Data、所在地:ドイツ)に5万ユーロ(約600万円)を拠出した。

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PCR検査を巡る不適切事例、内容と今後改善すべき点は/日本医師会

 3月18日の日本医師会定例会見において、「新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を巡る不適切事例」の調査結果が報告された。釜萢 敏氏(同会感染症危機管理対策室長)、横倉 義武氏(同会会長)が登壇し、調査結果を受けての今後の対策等について説明した。併せて、医療機関の現場で「職場から新型コロナウイルス陰性の証明をとってくるように言われた」という労働者の事例が発生していることに触れ、正しい情報の周知および医療機関と各都道府県の協働を求めた。検査しないことが“不適切”とされた事例とは 同報告は、2月26日~3月16日に全国47の都道府県医師会から得られた回答に基づく。この間に26医師会から計290件が報告された。同調査での“不適切”の定義について釜萢氏は、「国のPCR検査実施要件に基づき、医師が臨床的・総合的に判断して必要としたにもかかわらず、実施されなかった事例」と説明した。290件の内訳は以下の通り:北海道7件/宮城県4件/秋田県3件/栃木県2件/群馬県10件/埼玉県20件/千葉県1件/東京都36件/神奈川県41件/長野県4件/静岡県6件/愛知県13件/三重県1件/滋賀県6件/京都府3件/大阪府47件/兵庫県27件/岡山県5件/広島県11件/山口県6件/徳島県11件/福岡県3件/佐賀県5件/長崎県2件/熊本県15件/鹿児島県1件 精査はこれからの状況としつつ、不適切事例の具体例として、「肺炎の症状があり、場合によってはCT検査も実施の上で、医師が必要と判断したにもかかわらず、人工呼吸器の必要性がない状況であるために、もう少し経過を見てくれと言われたという例などがある」と同氏は説明。検査体制の整備が間に合っていないことによる1日の検査件数の限界に原因があったと考えられ、保険適用後、検査につながりやすい方向に改善されつつあるという。新たな受診窓口の設置も視野に、地域ごとの対策が急務 厚生労働省発表の3月15日時点での帰国者・接触者相談センターへの相談件数は計18万4,982件。うち帰国者・接触者外来での受診者は7,961件(4.3%)、PCR検査実施は5,797件(3.1%)に留まる1)。民間検査会社等での検査も始まり、釜萢氏は今後改善されていく見通しであるとした。今回の調査結果についても、目的は特定の保健所の対応を批判するものではなく、各地域ごとに精査し、状況の改善に資する形で活かしていくと話した。 電話相談のみで検査の必要性を判断することの難しさについても認識しているとし、都道府県医師会と連携して、適切な感染防護対策を講じた上で、対面で直接相談・診察できる窓口の設置も検討していくと話した。検体採取まで行うものではなく、診察主体で検査が必要な患者のセレクションを行う位置づけだという。 そのほか、抗体検査については国立感染症研究所で開発が進められているほか、輸入製品にも有望なものがあるとし、PCR検査と同等の検査能力が確認されたものについては、国としても積極的に採用していく流れであるとした。 横倉氏は、医療用マスクや防護具等の不足について、引き続き日本医師会として働きかけていく方針であるとし、医療機関が疲弊する状況を何とか避けなければならないと強調した。業者による対応拒否など、風評被害による病院の衛生面での弊害が出ている状況も指摘。神奈川県では、行政と各病院が毎日連絡を取り合い、医療資源の流通や状況について専属チームを作って把握・対応をはじめているとし、各都道府県でこのような独自の協力・対応を行っていくことが重要と呼びかけた。

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自分自身の物忘れ対策【Dr. 中島の 新・徒然草】(315)

三百十五の段 自分自身の物忘れ対策高齢の患者さんが多いせいか、物忘れの訴えばかりです。こちらも物忘れが多くなったので、診断よりももっぱらアドバイス。患者「最近、物忘れがひどくなって。年のせいでしょうか?」中島「僕もですよ。年とるほど忙しくなって覚えることが増えるし記憶力は悪くなるしで仕方ないですね。若いときは手帳なんか持っていませんでしたからね」患者「先生まだ若いでしょう!」中島「いやいやそんなことないです。忘れないように何でもメモするんですわ」メモをとるという行為にもコツが必要です。「電話」とだけ書いていても、後で見ても何のことやら思い出しません。「〇〇さんに何時に△△という用件で電話すること」と文章で書かないとダメですね。さらにメモした紙を捨てないようにもする必要があります。財布の中のレシートの裏なんかにメモすると、何かの拍子に捨ててしまいます。なので、捨てる前に裏を確認する癖をつけておかなくてはなりません。物忘れのほかにあるのが勘違いとか思い出せないというもの。以前、マイクロソフト創業者の名前が出てこなかったことがあります。ようやくのことで思い出したときは、もう人として終わった気分になりました。読者の皆さんは大丈夫ですか?有名人の名前なら笑い話で済みますが、職場の知人の名前が出てこないのは困ります。とくに、なぜか関係ない名前で上書きされてしまっている時。知人「あ、中島先生、お久しぶりです」中島「うーん、うーん、『瀬戸』やなくて……」知人「篠田(仮名)ですよ」中島「そうか、篠田さんやった!」一体、瀬戸と篠田の間にどんな共通点があるのか、自分でもわかりません。しかし、篠田という名前を思い出そうとすると「瀬戸」が出てきて邪魔をするのです。というわけでスマホにメモしています。「<篠田> だ <瀬戸>ではない」人名だけで10行ほどこんなメモが入っています。正しい方を先に書くのがコツといえばコツ。固有名詞だけではなく一般名詞でも同じような現象があるので、これもメモします。「<メンタルモデル> だ <マインドイメージ>ではない」そもそもマインドマップとかマインドセットならともかく、マインドイメージなどという言葉が存在するのか?正確に言えば一発で伝わるのに、知らないと回りくどい表現になる言葉も色々あります。決済用普通預金:ペイオフ対策に必要なもの初診時選定療養費:紹介状なしの初診で余分に支払うお金これらもスマホにメモしています。後は私にとっての永遠の課題、英単語です。<refrain:控える> だ <叫ぶ>ではないかの有名な曲のタイトルから、つい「叫ぶ」と勘違いしがちですが、これは間違い。というわけで、これもスマホ行き。もはや物忘れ対策も工夫して楽しむ対象になってしまいました。読者の皆様はいかがでしょうか?最後に1句 物忘れ 工夫で乗り切れ 年とれど

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T1N0肺がん、縮小手術の候補となるのは?

 日本人の早期肺がんの肺葉切除に関するエビデンスが示された。神奈川県立がんセンターの伊藤 宏之氏らは、薄切CTに基づき臨床病期T1N0肺がん患者の肺葉切除後の長期アウトカムを評価し、consolidation tumor ratio(胸部薄切CT上、最大腫瘍径に対する充実性成分の比=C/T比)0.5以下および腫瘍径3cm以下の患者は、予後良好で縮小手術の候補である可能性を示唆した。Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery誌オンライン版2020年1月11日号掲載の報告。 研究グループは、肺葉切除を受けた肺腺がん患者543例の病理データを収集し、C/T比と腫瘍径によって以下の4グループに分類し、10年間の全生存率、無再発生存率を調査した。・グループA:C/T比≦0.5で腫瘍径≦2cm・グループB:C/T比≦0.5で腫瘍径≦3cm・グループC:C/T比>0.5で腫瘍径≦2cm・グループD:C/T比>0.5で腫瘍径2~3cm 主な結果は以下のとおり。・肺葉切除を受けた543例全体の10年全生存率は80.4%、10年無再発生存率は77.1%であった。・グループ別の10年全生存率は、グループAで94.0%、グループBで92.7%、グループCで84.1%、グループDで68.8%であった。・グループ別の10年無再発生存率は、それぞれ94.0%、89.0%、79.7%、66.1%であった。・グループA+Bは、グループC+Dより10年全生存率が良好で(ハザード比[HR]:2.78、95%信頼区間[CI]:1.45~5.06)、10年無再発生存率も良好であった(HR:2.74、1.55~4.88)。・グループAでは、再発は認められなかった。 進行中のJCOGの試験において、区域切除の生存に関する肺葉切除との非劣性が確認されれば、区域切除は標準治療に入るであろうと筆者らは述べている。

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アルツハイマー病の認知機能やBPSDに対するスギの香りの影響

 秋田大学の高橋 裕哉氏らは、嗅覚神経刺激によりアルツハイマー病(AD)患者の認知症状が改善するかについて、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年2月9日号の報告。 嗅覚機能障害のないAD患者を抽出するため、スティック型嗅覚同定能力検査を実施した。次に、これらの患者を介入群(19例)と対照群(17例)にランダムに割り付けた。嗅覚神経刺激の効果を評価するため、介入群には、スギからのアロマ成分を添加した消毒エタノールを用い、対照群にはアロマ成分を添加しないエタノールを用いた。両群ともに、8週間の介入を行い、治療前後の認知機能および行動機能の評価を行った。評価には、Neuropsychiatric Inventory(NPI)、Zarit介護負担尺度日本語版(J-ZBI)、アルツハイマー病評価尺度-認知行動(ADAS-cog)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・介入群は、対照群と比較し、4週目と8週目のNPIスコアおよびJ-ZBIの有意な改善が認められた。・ADAS-cogのスコアでは、有意な差は認められなかった。 著者らは「スギの香りは、アルツハイマー病患者の周辺症状(BPSD)を改善し、介護負担を軽減する可能性がある。この介入は、その有効性に加え、手順がシンプルで侵襲性が低いため、価値のある非薬物療法となりうる可能性が示唆された」としている。

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FDA、二ボルマブ・イピリムマブ併用、肝細胞がんに迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、3月10日、ソラフェニブ既治療の肝細胞がん患者に対するニボルマブとイピリムマブの併用療法を迅速承認した。 この併用療法の有効性は、ソラフェニブ治療で進行した、または不耐性の肝細胞がん患者を対象に実施された多施設コホート非盲検試験CheckMate-040のコホート4で調査された。合計49例の患者に、イピリムマブ3mg/kgとニボルマブ1mg/kgを3週間ごと4サイクル、その後ニボルマブ240mgを2週間ごと、疾患進行または忍容できない毒性が発現するまで投与した。 主要有効性評価項目は、盲検化独立中央委員会評価の全奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)であった。ORRは33%(n=16、CR4例、PR12例)であった。DoRは4.6〜30.5ヵ月以上で、奏効患者の31%は24ヵ月以上効果が持続した。 ニボルマブとイピリムマブの併用による一般的な副作用(20%以上)は、疲労、下痢、発疹、そう痒症、嘔吐、筋骨格痛、発熱、咳、食欲減退、嘔吐、腹痛、呼吸困難、上気道感染、関節痛、頭痛、甲状腺機能低下症、体重減少、めまいであった。

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COVID-19患者、ウイルス排出期間中央値が20日/Lancet

 新型コロナウイルスへの感染が確認された成人入院患者について調べたところ、高齢、高Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコア、Dダイマー値1μg/L超が、院内死亡リスク増大と関連することが示された。また、生存者のウイルス排出期間中央値は20.0日であった。中国・北京協和医科大学付属医院のFei Zhou氏らが、患者191例について行った後ろ向きコホート研究を報告した。Lancet誌オンライン版2020年3月9日号掲載の報告。1月末までに退院・死亡した患者を比較 研究グループはCOVID-19患者について、疫学的および臨床的特性は報告されているが、死亡リスク因子やウイルス潜伏期間など詳細な臨床経過は十分に描出されていないことから今回、後ろ向き多施設コホート研究を行った。 対象は、中国湖北省武漢市の金銀潭病院とWuhan Pulmonary Hospitalに入院し、2020年1月31日までに退院または死亡した18歳以上の患者。患者に関する人口統計学的特性、臨床、治療、ウイルスRNA検出のために連続的に採取された検体に関する情報などの検査データを電子医療記録から抽出し、生存者と非生存者の比較を行った。 単変量および多変量解析を行い、入院中の死亡と関連したリスク因子を調べた。年齢1歳増加で死亡リスクは1.1倍に 解析対象患者は191例(金銀潭病院135例、Wuhan Pulmonary Hospital 56例、年齢中央値56.0歳[範囲:18~87]、男性62%)で、そのうち137例が退院し、入院中の死亡は54例だった。 対象患者のうち91例(48%)は併存疾患があり、そのうち高血圧症が最も多く58例(30%)、糖尿病36例(19%)、冠動脈性心疾患15例(8%)だった。 多変量解析の結果、院内死亡リスク増大と関連していたのは、入院時において、高齢(1歳増加当たりのオッズ比[OR]:1.10、95%信頼区間[CI]:1.03~1.17、p=0.0043)、高SOFAスコア(OR:5.65、95%CI:2.61~12.23、p<0.0001)、Dダイマー値が1μg/L超(同:18.42、2.64~128.55、p=0.0033)だった。 生存者におけるウイルス排出期間中央値は20.0日(IQR:17.0~24.0)であったが、非生存者は死亡までCOVID-19の起因ウイルス(SARS-CoV-2)が検出可能だった。なお生存者においてウイルス排出が観察された最長期間は37日だった。 結果を踏まえて著者は、「医師が患者の予後不良を予見可能なリスク因子として、初期段階で高齢、高SOFAスコア、Dダイマー値が1μg/L超であることだ」と述べるとともに、「ウイルス排出が長期にわたることは、今後の感染患者の隔離および最適な抗ウイルス治療戦略の理論的根拠となる」とまとめている。

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ARDSの目標PaO2値、55~70mmHgの生存率/NEJM

 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の患者に対し、動脈血酸素分圧(PaO2)の目標値を55~70mmHgに制限した酸素療法は、PaO2目標値を90~105mmHgにした酸素療法に比べ、28日生存率が上昇しないことが、フランス・フランシュ・コンテ大学のLoic Barrot氏らが行った多施設共同無作為化試験の結果、示された。ARDS患者に対する酸素療法のPaO2目標値は、55~80mmHgとすることを米国国立心肺血液研究所のARDSネットワークは推奨しているが、同閾値の妥当性を前向きに検証したデータは不足していた。研究グループは、同閾値の下限値目標がARDS患者のアウトカムを改善すると仮定して検証試験を行った。NEJM誌2020年3月12日号掲載の報告。 PaO2目標値90~105mmHgとの比較で28日後の全死因死亡率を比較 研究グループは2016年6月~2018年9月にかけて、フランス13ヵ所のICU部門を通じてARDS患者を無作為に2群に分け、一方の群には制限的酸素療法(PaO2目標値:55~70mmHg、パルスオキシメーター測定による酸素飽和度[SpO2]:88~92%)を、もう一方の群には非制限的酸素療法(同90~105mmHg、96%以上)を、それぞれ7日間実施した。 人工呼吸管理戦略は、両群ともに同様だった。主要アウトカムは、28日時点の全死因死亡だった。安全性への懸念、群間有意差が出ない可能性から試験は早期に中止 本試験は被験者を205例登録した時点で、安全性への懸念と、主要アウトカムで2群間に有意差が出る可能性が低いとのデータ・安全性モニタリング委員会の判断により、早期に中止となった。 適格基準を満たさなかった4例を除き、28日時点の死亡は、制限的酸素療法群99例中34例(34.3%)、非制限的酸素療法群102例中27例(26.5%)だった(群間差:7.8ポイント、95%信頼区間[CI]:-4.8~20.6)。 90日時点の死亡は、それぞれ44.4%、30.4%で、制限的酸素療法群で有意に高率だった(群間差:14.0ポイント、95%CI:0.7~27.2)。年齢、PaO2/FiO2比、SAPS IIIスコア(Simplified Acute Physiology Score III)で補正後の、90日総死亡に関する制限的酸素療法群のハザード比は1.62(95%CI:1.02~2.56)だった。 なお、制限的酸素療法群で腸間膜虚血イベントが5件認められた。

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ICUにおける予防的なPPI投与はH2RAと比べて死亡抑制効果があるのか?(解説:上村直実氏)-1204

 ICUに入院して人工呼吸器を装着される患者の多くに対して、致死的な出血性ストレス潰瘍の発症を予防する目的でプロトンポンプ阻害薬(PPI)またはヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)が使用されている。従来、上部消化管出血予防に対する有用性はH2RAに比べてPPIのほうが優ることが報告されている。しかし、PPIによる予防戦略が院内死亡率の低下についてもH2RAに比べて有用性が高いかどうかは明確になっていない。今回、オーストラリア、カナダ、英国、アイルランド、ニュージーランドの5ヵ国50施設のICUが参加したRCTの結果、上部消化管出血の予防には従来通りH2RAよりPPIが有効であるが、院内死亡率に関しては両者に差がないことがJAMA誌オンライン版に報告されている。 本研究で使用された研究デザインは「非盲検クラスター・クロスオーバー無作為化試験」であり、日本ではなじみの薄いものである。すなわち、本試験では、地域別ないしは施設ごとに使用する薬剤であるPPIとH2RAの使用する順番をランダムに決定し、さらにはその両薬剤をスイッチする時期に関して担当医師の裁量を加味するという複雑なデザインである。 研究結果として、地域ごとの治療反応に統計学的に有意な不均一性が存在することが明らかとなり、PPIとH2RA両薬剤の上部消化管出血予防に対する有用性がそれぞれの地域や施設において異なる結果となっていることは、本研究結果の解釈を難しいものとしている。さらには参加した国々における人種や医療に対する姿勢などの違いによるバイアスの存在が示唆されるなど、本研究自体の信頼性に疑問を呈する臨床論文になったように思われた。日本国内や国際臨床試験に参加する場合には、得られる結果を見越して研究デザインを十分に練ることが重要であることを学んだ論文である。

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シェアード・ディシジョン・メイキングをシェアしたい!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第21回

第21回 シェアード・ディシジョン・メイキングをシェアしたい!今回は、シェアード・ディシジョン・メイキング(Shared decision making)を紹介したいと思います。皆さんご存じのように、EBMは根拠(evidence)に基づく(based)医療(medicine)の頭文字です。最良の治療方針を決定するには、エビデンスに基づいて判断しなければなりません。そのエビデンスを構築する土台が臨床研究です。臨床研究は、介入研究と観察研究に大別されます。ランダマイズ研究は介入研究の代表です。患者を2つのグループにランダム化し、一方には新規の治療や薬物の介入を行い、他方には従来から行われている治療を行います。一定期間後に病気の罹患率・生存率などを比較し、介入の効果や安全性を検証します。ランダマイズ研究では、どのような患者を研究に組み入れるか、逆に除外するかという参加基準を設定して研究を遂行します。そこから得られるエビデンスのレベルは高く、EBMの中核を構成します。レジストリ研究は、観察研究の1つで、研究対象となる疾患の患者の情報を順次データベースに登録し、使用した薬物や治療法による経過の優劣について、統計学的に比較するものです。ランダマイズ研究とレジストリ研究の意味を考えさせられる面白いデータを紹介しましょう。EAST試験のサブ解析の論文です(Am J Cardiol 1997; 79: 1453-59)。20年以上昔の古い臨床研究ですが、循環器領域の医師だけでなく、すべての医療関係者に知っていてほしい興味深い内容です。お付き合いください。EAST試験は冠動脈多枝疾患に対する血行再建法を比較するランダマイズ試験です(N Engl J Med 1994; 331: 1044-50)。参加基準を満たし組み入れ可能と判断された842例中、実際にCABGかPCIいずれかにランダム化されたのは392例でした。残り450例は、担当医と患者が相談し、個々の事例にあわせて最善と思われる血行再建法が選択されました。このランダム化されなかった患者は、レジストリ群として登録され解析されました。その結果、レジストリ群の3年生存率は96.4%で、ランダム化群の 93.4%と比較して有意に優れていたのです。EAST研究の本来の目的は、CABGとPCIの比較ですが、ランダム化したどちらの群の治療成績よりも、レジストリ群の治療成績が優れていたのです。この解釈は難しいですが、ランダム化してCABGとPCIの優劣に決着をつける以前に、医師は個々の患者の状態に合わせて、CABGとPCIの適切な選択ができていたことを意味します。医師の存在価値が証明された素晴らしい内容です。このレジストリ群では、「Shared decision making」が実践されていた可能性が高いと、自分は推察しています。EBMに基づいて確実性の高い治療法が選択できる場合には、「Informed consent」で問題はありません。治療法間の差が明確ではなく、絶対的に優れている治療法がない場合には、「Shared decision making」の出番です。これは決してEBMを否定するものではなく、治療法の優劣に不確実性のある場合に用いられる手法です。医療者と患者がエビデンスを共有(シェア)して一緒に治療方針を見つけ出していく手法で、「共有意思決定」とも称されます。数字としての治癒率や生存率の数値の優劣だけでなく、各治療法への患者の希望(選好: preference)や価値観も総合して、適切な治療法を一緒に考えていくものです。循環器領域だけでなく、治療法の選択肢が増えているがん治療の現場で、必要とされていくことが予測されます。ぜひとも、この「Shared decision making」を皆様とシェアしたいと思い紹介しました。今回は少し重い内容になってしまい、本コラムのテーマでもある猫の出番がないことが残念です。お許しください。

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