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中国と日本の医学研究者は週末や深夜に仕事をする人が多いようだ(解説:折笠秀樹氏)-1169

 2012年から2019年にかけて、BMJ/BMJ Open誌に論文が投稿された日時を調べた。加えて、同誌の査読が提出された日時も調べた。週末や深夜に提出されることも多々あり、医学研究者の仕事は9時5時とは限らない現実が明らかになった。国別に分析したところ、中国と日本はダントツで週末や深夜に仕事をする人が多かった。 BMJもBMJ Openも大差がなかったので、BMJのデータを見ると、週末・祝日に論文投稿した割合は22%であった。査読提出の割合は31%であった。週末は7分の2(28%)なので、論文執筆は平日に行っているほうが多いが、週末でも22%の割合で仕事をするのはサラリーマンでは考えにくい。論文は本務に位置付けられるが、査読はそうではないので、査読のほうは時間外に行われがちなのだろう。 投稿・提出の日時は著者の住所をもとに、時差を調整した。しかし、これは投稿・提出した日時であって、作業をしていた日時かどうかはわからない。作業は日中に行っていても、最後にもう一度見直して送ることが多いと思う。それが週末や深夜になったのかもしれない。自宅から送付した可能性もあるだろう。しかし、その時刻に仕事していたことは確かだろう。 著者は自国から投稿・提出したと仮定しているが、自国で作業していたかどうかわからない。出張先で仕事していたかもしれない。診療・研究・授業・会議から解放された出張先ですることは大いにあるだろう。 中国や日本の研究者で、週末や深夜に仕事をする人が多いのはうなずける。欧米人はあまり時間外に仕事をしないようである。米国留学していたときも、遅くまで勉強しているのはアジア人だった。欧米人はとっとと帰っていた。中国や日本では男性研究者が多いことも、こうした結果を生んだ原因だと思った。男性は家事をしない人が多いため、深夜まで仕事できるからだ。

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ドイツの何が良かったのか【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第2回

ブンデスリーガ、半端ねぇ!当初は漠然と海外への臨床留学を希望していました。チャンスがあれば、いつでもいってやろうと思っていたのですが、チャンスが向こうから転がってくるなんてことはありませんでした。そんな中、心臓血管外科の専門医を取得した頃から、「積極的に自分から動かなくては」と少し焦る様になりました。経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)をはじめ、ドイツでは、当時日本ではまだ認可が下りていなかった治療が沢山行われていて、「今ドイツが熱い!」と常々耳にしていました。そこで、休みを利用して一度ドイツの医療施設の見学をしようと考え、人伝にミュンヘンの心臓センターに留学中の先生を紹介してもらい、初めてドイツに足を踏み入れました。ちょうどその頃街では、クリスマス・マーケットが始まっていました。今ならドイツ医療のいいところも悪いところも沢山語れますが、見学した当時は、何の知識も持ち合わせていませんでした。病院見学の前後に観光をしたのですが、すごく楽しかったです。当時は、バイエルン・ミュンヘンが強豪チームとも知らずに、サッカー観戦なんかしちゃったりして。偶然にもドイツへ向かう直前に学生時代の友人と飲み会があって、「次、生まれ変わったらサッカー選手になって大稼ぎしたいなー」と、何も考えずに話していたのですが…初めて生で観たブンデスリーガは想像を絶する凄さと迫力でした。試合後にユニフォームを脱いだときの選手のガタイも物凄く、「俺なんか7回生まれ変わっても絶対無理だな…」と先の発言を反省することになりました。現地で見たドイツの医師のこだわりドイツの病院見学も素晴らしいものでした。はじめにTAVIの見学をさせてもらったのですが、当時は世界でもまだ珍しかった術式だったこともあり、世界中から見学者が病院に訪れていました。スタッフの皆さんもとても親切で、「あ~、TAVI観に来たんでしょ。じゃあ、そこに立っといて。全部見渡せるから」「今から弁をセットするね。これを間違えたら私、一発でクビだから」と流れるようなトーク。術者の先生も実況付きで解説してくれ、「見学者の対応に慣れてるな~」という印象でした。また、これ以上に強く心に残ったのは、心臓外科医たちの技術に対するこだわりでした。通常の開心術も数例見学させてもらいましたが、みなさん手術が上手く「この人たちにとって手術が上手くなることは、当たり前のことなんだろうな」と見学させてもらいました。手術のチェックポイントを細かく語るベテラン医師と、真剣に耳を傾ける若手医師。最新の技術などを柔軟に取り入れる一方で、時間をかけて習得する技術を大事にしている姿勢がよく伝わってきました。そして、「こういう場所で修行できたら楽しいだろうなー」とドイツでの臨床留学が目標になりました。その後ドイツには、散々苦しめられることになるのですが…第一印象が良かったこともあって、ドイツを(そこまでは)嫌いになることなく頑張り続けることができました。

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嚥下障害のある患者にも使用できるパーキンソン病貼付薬「ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32mg/40mg」【下平博士のDIノート】第41回

嚥下障害のある患者にも使用できるパーキンソン病貼付薬「ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32mg/40mg」今回は、経皮吸収型ドパミン作動性パーキンソン病治療薬「ロピニロール塩酸塩経皮吸収型製剤」(商品名:ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32mg/40mg、製造販売:久光製薬、発売:協和キリン)を紹介します。本剤は、嚥下能力の低下した患者や消化管障害がある患者にも使用でき、家族や介護者が管理しやすいパーキンソン病治療薬として期待されています。<効能・効果>本剤は、パーキンソン病の適応で、2019年9月20日に承認され、2019年12月17日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはロピニロール塩酸塩として1日1回8mgから始め、必要に応じて1週間以上の間隔を空けながら8mgずつ増量します。胸部、腹部、側腹部、大腿部または上腕部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替えます。なお、年齢、症状により、1日量64mgを超えない範囲で適宜増減することができます。<副作用>国内臨床試験において、760例中478例(62.9%)に、臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、適用部位紅斑124例(16.3%)、適用部位そう痒感103例(13.6%)、傾眠86例(11.3%)、悪心80例(10.5%)、便秘46例(6.1%)およびジスキネジア43例(5.7%)などでした(承認時)。なお、重大な副作用として、前兆のない突発的睡眠(0.7%)、極度の傾眠(頻度不明)、幻覚(3.6%)、妄想(0.4%)、興奮(0.1%)、錯乱(頻度不明)、せん妄(0.7%)などの精神症状、悪性症候群(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は震えや筋肉のこわばり、日常生活動作・運動能力の低下などのパーキンソン病の症状を改善します。2.お風呂の後などタイミングを決めて、毎日1回同じ時間に薬を貼ってください。新しい薬を貼る前には、必ず前回の薬を剥がしてください。3.胸部、腹部、脇腹、太ももまたは上腕部のいずれかに貼りますが、かぶれなどを防ぐために毎回貼る場所を変えてください。かゆみやかぶれが現れたときは、医師や薬剤師に相談してください。4.この薬は、貼っている部位の温度が上がると薬の作用が高まる恐れがあります。テープを貼った部分が過度の直射日光やあんか、カイロ、湯たんぽ、サウナなどで熱くならないようにしてください。5.耐え難い眠気が突然現れることがあるため、この薬を使用中は自動車の運転や機械の操作、高所作業など、危険を伴う作業はしないでください。6.医師の指示なしに使用量を変更・中止すると、症状が悪化することがあるので、指示どおりに使用してください。<Shimo's eyes>ロピニロールはパーキンソン病の治療薬として広く用いられている成分で、既存薬として内服薬の速放錠と徐放錠が発売されています。ロピニロールの経皮吸収型製剤である本剤は、「ロピニロール」を「貼る」ということからハルロピと命名されました。パーキンソン病に用いる経皮吸収型製剤としては、ロチゴチンパッチ製剤(商品名:ニュープロパッチ)に次ぐ2剤目となります。パーキンソン病患者では、自律神経症状として胃排出能低下などの消化管障害が多いことが報告されています。そのため、経口薬では吸収が遅延して薬効の発現に影響し、オフ時間が生じることが懸念されています。本剤は経皮吸収型製剤であるため、消化管障害の影響を受けず、血中濃度が安定しやすいと考えられます。副作用としては、現在すべてのドパミン作動薬の添付文書では、「重要な基本的注意」として突発的睡眠の注意喚起がなされています。また、これらの薬剤は急に減量または中止すると悪性症候群、薬剤離脱症候群が現れることがあるので、患者さんのアドヒアランス確保は薬剤師の重要な責務と考えられます。投与量については、少量から使い始め、悪心、嘔吐などの消化器症状や血圧などを観察しながら、1週間以上の間隔を空けて増量します。本剤には5種類の規格があり、用量によっては2種類の規格が処方されることがありますので、貼り間違えることがないよう丁寧に説明しましょう。テープには日付を記入することができ、使用状況を目視で確認できるため、家族や介護者が管理しやすいという利点があります。患者用資材では、貼付部位を10ヵ所に区分してローテーションする方法が示されていますので、それらの資料も活用するとよいでしょう。参考1)PMDA ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32mg/40mg

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果物や野菜の摂取とうつ病との関連

 うつ病は、世界的に主要な精神疾患である。韓国における成人のうつ病有病率は、2006年5.6%、2011年6.7%、2013年10.3%と増加が認められる。韓国・建国大学校のSe-Young Ju氏らは、韓国人成人のうつ病の有病率と野菜や果物の摂取との関連を調査するため、韓国の全国データを用いて検討を行った。Journal of Health, Population, and Nutrition誌2019年12月3日号の報告。 2014年の韓国国民健康栄養調査(KNHANES)に参加した19歳以上の成人4,349人のデータを用いて検討を行った。うつ病の評価には、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。食物や栄養の摂取量は、24時間思い出し法を用いて評価した。食物摂取量は、18の食物グループに分類した。統計分析は、SPSS Ver.23.0を用いた。PHQ-9の項目の内的整合性を評価するため、クロンバックのα係数を用いた。うつ病のオッズ比は、複数の交絡因子で調整した後、ロジスティック回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・全対象者におけるうつ病有病率は、8.7~4.7%であり、野菜や果物の摂取量が増加するにつれ減少が認められた。・うつ病有病率は、野菜や果物の摂取量が増加するにつれ、男性で6.4%から2.5%へ、女性で11.4%から6.6%へ減少した。・野菜や果物の摂取量とうつ病有病率との間に逆相関が認められ、オッズ比は、交絡因子で調整せずとも逆相関を示した。・年齢、エネルギー摂取、肥満、喫煙、飲酒、ストレス、外食の頻度、朝食、フードセキュリティーで調整した後、野菜や果物の摂取量が増加するほど、うつ病有病率が有意に低いことが示唆された。 著者らは「本研究は、韓国国民における野菜や果物の摂取とうつ病との関連を調査した最初の研究である。この関連についての根拠を明らかにするためには、さらなる疫学研究が必要である」としている。

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前糖尿病状態から糖尿病にならないために

 前糖尿病者において、肥満かどうかにかかわらず体重を増やさないことで糖尿病発症リスクを最小限にできることが、国立国際医療研究センターのHuan Hu氏らの研究で示唆された。体重を減らすことは肥満者が前糖尿病状態から正常血糖に戻るのに役立つ一方、体重を維持することは非肥満者が正常血糖に戻るのに役立つ可能性があるという。Clinical Nutrition誌オンライン版2019年12月25日号に掲載。 本研究では、最大8年間、毎年健康診断を受けた2万2,945人の前糖尿病者のデータを使用し、糖尿病に進行した人、前糖尿病のままの人、正常血糖に戻った人におけるBMIと腹囲の変化を調査した。糖尿病の発症は、米国糖尿病学会(ADA)の基準により定義した。観察期間中に糖尿病に進行しなかった人は、最後の健康診断データに基づいて、「前糖尿病のまま」または「正常血糖に戻った」と分類された。BMIと腹囲の変化は、広範囲の共変量を調整して、反復測定の線形混合モデルを使用して評価した。 主な結果は以下のとおり。・研究期間中、2,972人が糖尿病に進行し、4,706人が正常血糖に戻り、1万5,267人が前糖尿病のままであった。・糖尿病に進行した人の平均BMIは、糖尿病診断の7年前から1年前に大きく増加し(年間変化率:0.20 [95%信頼区間:0.15~0.24] kg/m2/年)、前糖尿病のままであった人(0.06 [0.04〜0.08] kg/m2/年)の約3倍(p<0.001)で、最初の健康診断時のBMIとは関係なかった。・正常血糖に戻った人における平均BMIの変化率は-0.04(-0.09〜0.002)kg/m2/年で、肥満者(-0.16 [-0.28〜-0.05] kg/m2/年)を除いてほぼ変化がなかった。・糖尿病を発症した人の腹囲の年間変化率は0.38(0.32〜0.45)cm/年で、前糖尿病者(0.05 [0.03〜0.08] cm/年)の約7倍だった(p<0.001)。・正常血糖に戻った人のうち、中枢性肥満ではない人は平均腹囲が変わらず(-0.02 [-0.06〜0.03]cm/年)、中心性肥満の人は減少がみられた(-0.40 [-0.47〜-0.32] cm/年)。

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パウダーの会陰部使用は卵巣がんと関連?/JAMA

 米国で行われた4つの前向きコホート研究の女性被験者のデータをプール解析した結果、会陰部でのパウダー使用と卵巣がん発生に、統計的に有意な関連はなかったことを、米国・国立環境衛生科学研究所のKatie M. O’Brien氏らが報告した。ただし今回の検討では、リスクのわずかな増大を同定する検出力は不足していた可能性があるとしている。これまで会陰部でのパウダー使用と卵巣がんの関連性について、ケースコントロール試験で関連ありとの報告がなされていたが、コホート試験による検証はされていなかった。米国では最近、パウダーに含まれる鉱物のタルクに関連した訴訟およびメディア報道が高まっており、研究グループは今回の検証を行ったという。JAMA誌2020年1月7日号掲載の報告。米国4コホート女性参加者のデータをプール解析 一部の女性は会陰部にパウダーを、直接あるいは下着や生理用ナプキン、タンポンなどを介して塗布している。大半のパウダー製品にはタルクが含まれており、発がん作用のあるアスベストを含む発がん物質として最初に調査された。1976年に米国拠点の全化粧品製造会社がアスベストの使用禁止に同意をしたが、その後、国際がん研究機関(IARC)が、あくまで“可能性”だが、タルクが主成分のボディパウダー使用は、がんを発症させるエビデンスがあるとの結論を下した。 今回研究グループは、Nurses' Health Study(試験登録1976年、フォローアップ1982~2016年、8万1,869例)、Nurses' Health Study II(1989年、2013~17年、6万1,261例)、Sister Study(2003~09年、2003~17年、4万647例)、Women's Health Initiative Observational Study(1993~98年、1993~2017年、7万3,267例)に参加した女性被験者の前向き観察データをプール解析し、会陰部でのパウダー使用と卵巣がんの関連を推定した。 会陰部でのパウダー使用について、「使用あり(ever use)」「長期間使用(20年以上)」「頻繁に使用(週1回以上)」の状況を調べ、自己申告の卵巣がん発症との関連を調べた(主要解析)。Cox比例ハザードモデルを用いて、共変量補正後ハザード比(HR)を95%信頼区間(CI)とともに算出し評価した。パウダー使用と卵巣がん発症との関連HRは1.08 プール解析に包含された女性25万2,745例(ベースラインの年齢中央値57歳)のうち、38%が会陰部でのパウダー使用について自己申告していた。そのうち長期間使用は10%、頻繁に使用は22%であった。使用ありは39%。 フォローアップ中央値11.2年(リスク集団380万人年)において、卵巣がんを発症したのは2,168例であった(10万人年当たり58例)。 卵巣がん罹患率は、10万人年当たり使用あり群61例、使用なし群55例であった(70歳時点の推定リスク差:0.09%[95%信頼区間[CI]:-0.02~0.19]、推定HR:1.08[95%CI:0.99~1.17])。頻繁に使用vs.使用なしの推定HRは1.09(95%CI:0.97~1.23)、長期間使用vs.使用なしの推定HRは1.01(0.82~1.25)であった。 10の変数について行ったサブグループ解析では、いずれの比較検証においても不均一性について統計的な有意差はなかった。ただし、生殖器の開存性有無(子宮摘出や卵管結紮の既往有無)で検証したサブグループ解析では、会陰部でのパウダー使用と卵巣がんリスクに関するHRは、開存性あり群1.13(95%CI:1.01~1.26)、なし群0.99(0.86~1.15)で、両者間の不均一性に関するp値は0.15であった。

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新型コロナウイルスに関連する患者への対応について/厚生労働省

 中国・湖北省武漢市当局は1月20日現在、新型コロナウイルスの感染者が136人増えて198人となり、3例の死亡が確認されたことを発表している。 一方わが国でも、神奈川県内の医療機関を受診した武漢市の滞在歴がある肺炎患者において、国内で初めて新型コロナウイルス陽性の結果が確認された。厚生労働省が発表している患者の情報は以下のとおり。■患者概要・年代:30代・性別:男性・居住都道府県:神奈川県・症状:1月3日から発熱あり。6日に帰国し、同日に医療機関を受診。10日から入院。15日に症状が軽快し、退院。・滞在国:中華人民共和国(湖北省武漢市)・滞在国での行動歴:本人からの報告によれば、「武漢市の海鮮市場(華南海鮮城)には立ち寄っていない」とのこと。ただし中国において、詳細不明の肺炎患者と濃厚接触の可能性がある。■疑い患者に関しても、保健所へ相談など慎重な対応を 日本医師会に向けて、厚生労働省健康局結核感染症課から「新型コロナウイルスに関連した肺炎患者の発生に係る注意喚起について」(令和2年1月17日 事務連絡)が発出されている。 新型コロナウイルスに関連した肺炎の疑いがある患者への対応に当たっては、「中国湖北省武漢市で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に対する対応と院内感染対策」を参考に、画像検査などで肺炎と診断された場合には、「疑似症サーベイランスの運用ガイダンス(第三版)」における「重症」の定義に合致しない場合でも、同サーベイランスの運用について保健所へ相談するよう呼び掛けている。

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自信あると思わせる強い肯定的表現に惑わされないでほしい(解説:折笠秀樹氏)-1168

 研究結果を報告するとき、どのような肯定的用語で表現していたかを調べた。男性研究者で多かったのは、(1)Novel(新規)、(2)Unique(唯一)、(3)Promising(有望)などであった。女性研究者が優位に使っていたのは、Supportive(支持)だけであった。女性のほうが控えめなため、肯定的表現をほとんど使っていなかったことがわかった。 この15年間でどれくらい肯定的表現を使うようになったかというと、インパクトファクター(IF)10点以上の臨床医学誌では1.8倍に増えていた。そうでなくても1.4倍に増えていた。そういえば、NEJM誌の投稿規定の冒頭に3条件が示されている。(1)Accuracy(正確性)、(2)Novelty(新規性)、(3)Importance(重要性)である。こうしたことを満たすために、強い肯定的表現を使うのかもしれない。 一流の(IF>10)臨床医学誌では、男性研究者のほうが強い肯定的表現を20%も多く使っていた。そうでない雑誌では、男女間で肯定的表現の使用率は変わらなかった。強い肯定的表現を使うのは男性に多いこともあるが、一流誌ではそうした表現を使わないと採択されにくい現実もあるだろう。また、強い肯定的表現を使った論文は注目されやすいため、引用される回数が増え、それが高IF論文へつながるのだと思う。 女性と並んでアジア人も控えめな人が多いとされるが、アジア人男性は強めの表現を使わないと採択されにくいことを学習し、近年は変わってきたと思う。女性はどうしても強めの表現をするのを躊躇するためか、なかなか一流誌に採用されにくい状況が続いている。 見た目や強い表現で左右されるのは個人的には望まない。中身がなくても、人はパフォーマンスでだまされやすい。雑誌編集者には、強くてインパクトのある表現にだまされないようにしてもらいたい。IFを上げたいがために、強い肯定的表現を著者へ求めるということは避けてもらいたい。

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第18回 冬の救急では、これを忘れずに!【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)冬の救急では一酸化炭素中毒を鑑別に!2)疑ったら血液ガスで評価し酸素投与を!3)心電図も忘れずにチェック!【症例】34歳男性。ベトナムからの留学生で、飲食店のバイト中に気分が悪くなり休んでいた。控え室で症状は改善傾向にあったため仕事を再開していたが、嘔気、頭痛を認め同僚が救急要請。テキスト●搬送時のバイタルサイン意識清明血圧124/75mmHg脈拍102回/分(整)呼吸22回/分SpO299%(RA)体温36.5℃瞳孔2.5/2.5mm+/+既往歴、内服薬:定期内服薬なし忘れた頃にやってくる一酸化炭素中毒(CO中毒)CO中毒は冬に多い中毒で、急性中毒死亡原因の第1位、自殺遂行手段の第2位です。一酸化炭素は不完全燃焼の結果発生し、酸素の240倍もヘモグロビンと結合しやすいのが特徴です。CO-Hbを形成し、Hbの酸素運搬能を障害するため、低酸素血症となり呼吸困難をはじめとしたさまざまな症状を引き起こします1)。ピットフォールとして、通常のパルスオキシメーターでは見逃され、SpO2は保たれているように表示されます(CO-Hbを測定できるものもあります)。一般的な症状は表のとおりです。息切れや呼吸困難以外に、頭痛、嘔吐、めまい、意識障害など多彩な症状で来院するため、頻度が高くなる冬場には、常に意識して病歴を聴取する癖を持っておくとよいでしょう。表 CO中毒の症状画像を拡大するCO中毒かな?と思ったら火災現場からの搬送など疑わしい場合には、酸素を投与しつつ、血液ガスを確認します。環境が改善されていれば、時間とともにCO-Hbの数値は低下するため、絶対的な指標にはなりませんが、上昇が認められる場合には有用な所見となります。成人の正常時は0.1~1.0%程度、喫煙者では6%以上となり、ヘビースモーカーの場合には15%前後まで上昇します。妊婦や胎児では生理的に増加することが知られています。一般的に、非喫煙者では3%を超える場合、喫煙者では10~15%を超える場合にはCO中毒と診断します2)。CO中毒を疑った場合には高流量酸素の開始です。通常の空気ではCOの半減期は300分程度ですが、高流量酸素マスクを使用すると90分、100%高圧酸素では30分とされています1)。高圧酸素は施行できる施設が限られるため、高流量酸素マスクを取りあえず開始すればOKです。血液ガスだけでなく心電図もチェックCO中毒で心筋虚血を認めることがあります。中等症以上の症例の30%程度に心電図やトロポニンの上昇を認めることがあり、非侵襲的な検査でもあるため、中等症以上の症状を認める場合には、心電図を確認し、異常がないかをみておくとよいでしょう。CO中毒は、遅発性脳症など曝露後1~2週間ごろから記憶障害や失認などの症状を認めることがあります。過度に心配する必要はありませんが、経過を見ることも大切であり、何より早期に疑い対応する必要があります。鑑別に挙がらず、再度同様の環境に曝露されることは避けなければなりません。CO中毒、その原因は?今回の症例のように、火の取り扱いに伴う環境の問題のみであれば、換気などで再発を防止すればよいですが、その背景に練炭自殺などの希死念慮が関与している場合には、そちらの介入を行う必要があります。冒頭で述べたように自殺遂行手段として頻度が高く、症状が軽いから大丈夫といって帰すのではなく、うつ病など患者背景を意識した対応を行いましょう。1)Clardy PF, et al : Carbon monoxide poisoning. Post TW(Ed), UpToDate, Waltham, MA[Online] Available at: https://www.uptodate.com/contents/carbon-monoxide-poisoning(Accessed on December 14, 2019.)2)Ernst A, et al. N Engl J Med. 1998;339:1603-1608.

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第36回 本物?ニセモノ?下壁誘導Q波を見切るエクセレントな方法(後編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

本物?ニセモノ?下壁誘導Q波を見切るエクセレントな方法(後編)だいぶ遅くなりましたが、皆さま、新年明けましておめでとうございます。2018年8月末から隔週で続けていた本連載を2020年1月からは1回/月ペースでお届けすることになりました。引き続き“価値ある”レクチャーを展開していく所存ですので、今年も“ドキ心”をよろしくお願いします。さて、今回も 昨年に引き続き、下壁誘導(II、III、aVF)のQ波をどう考えるか、Dr.ヒロと一緒に心電図の“技巧的”な記録法を学びましょう。第35回と同じ症例を用いて解説し「異常Q波」のレクチャーを終えたいと思います。では張り切ってスタートです!症例提示48歳、男性。糖尿病にてDPP-4阻害剤を内服中。泌尿器科より以下のコンサルテーションがあった。『腎がんに対して全身麻酔下で左腎摘除術を予定しています。自覚症状はとくにありませんが、術前心電図にて異常が疑われましたので、ご高診下さい』174cm、78kg(BMI:25.6)。血圧123/72mmHg、脈拍58/分・整。喫煙:15~20本×約30年(現在も喫煙中)。術前検査として記録された心電図を示す(図1)。(図1)術前外来の心電図画像を拡大する【問題1】心エコーでは左室下壁領域の壁運動低下があった(第35回参照)。本症例の「陳旧性下壁梗塞」の有無について、Q波の局在、ST-T変化の合併以外に、心電図上の注目ポイントを述べよ。解答はこちら平常時と深吸気時記録の比較解説はこちら症例は前回と同じ、腎がんに対して摘除術が予定された中年男性です。“ニ・サン・エフ”のいわゆる下壁誘導に「異常Q波」ありと読むのでした。“周囲確認法”的にはST-T異常も伴わず、本人に問診しても強い胸痛イベントの記憶もないため、フェイクQ波だと思いたいところではあります。しかし、心エコーで局所壁運動異常、背景に糖尿病もあるため、「無症候性心筋虚血(梗塞)」の線も捨てきれないという悩ましい状況なわけです。あくまでも術前ですから、冠動脈CT、心臓MRI(CMR)や核医学(RI)などの“大砲検査”に無制限に時間をかければいいというものでもありません。あくまでも腎がんの手術をつつがなく終えてもらうことが当座の目標です。大がかりでコストもかさむ検査をする前に、実は“一手間”かけて心電図をとるだけで、下壁Q波が本物かニセモノかを見抜ける場合があるのです。“深呼吸でQ波が消える?”いつか、皆さんにこの“ドキ心”レクチャーで紹介しようと思っていた論文*1があります。イタリアからの報告で、既知の冠動脈疾患(CAD)がない50人(平均年齢68歳、男性54%)を対象としています。これらの男女は見た目“健康”ですが、複数の冠危険因子、脳梗塞や末梢動脈疾患(PAD)の既往があり、下壁誘導にQ波が見られるという条件で選出されています(II:18%、III:98%、aVF:100%)。ちなみに、海外ではこうした“下壁Q波”は、一般住民でも1%弱(0.8%)に認められるそうです*2。全例に心エコーとCMRを行い、下壁にガドリニウム(Gd)遅延造影が見られた時に“本物”の下壁梗塞と認定されました。と、ここまでは至極普通なのですが、この論文がすごいのは、以前からささやかれていた「ニセモノの下壁Q波は深呼吸で“消える”」という、いわば“都市伝説”レベルの話が検証されているのです! 皆さん、こんな話って聞いたことありますか?方法はとても簡単です。安静時と思いっきり息を吸った状態(deep inspiration)の2枚、心電図を記録します。深吸気時でも変わらずQ波なら、それこそ真の「異常Q波」と見なし、下壁梗塞のサインと考えるのです。ちなみにQ波が“消える”とは、完全に消失することではなく、診断基準(第33回)を満たさなくなるという意味とご理解ください。このシンプルなやり方に“アダ名”をつけるのが、Dr.ヒロの得意技(笑)。言いやすい“深呼吸法”と名付けました。“本物なQ波の確率を高める所見はあるか?”この研究、実際の結果はどうだったのでしょうか? CMRで本当に下壁梗塞が検出されたのは50人中10人(20%)でした。単純にQ波が3つの誘導中2つ以上、それもほとんどサンエフ(III、aVF)だけなら、 “打率”は2割と低いわけです。単純に下壁梗塞の有無で各種因子が比較されましたが、有意なものはありませんでした。「有意」(p<0.05)に届かなかったものの“おしい”感じだったのは、1)男性、2)II誘導にQ波あり、3)ST-T所見の合併ありの3つです。性別(男性)は確かに冠危険因子の一つですし、背景疾患も含めて意識したいところです。ただ、これは“決定打”にはなりません。残りの2つも大事です。その昔「II誘導にQ波があったら高率に下壁梗塞あり」と習った記憶がありますが、この論文では半数弱(40%)にとどまりました(「なし」の場合の13%より確かに高率でしたが)。もう一つのST-T所見の合併、これは「ST上昇」や「陰性T波」であることが多いです。以前取り上げた心筋梗塞の「定義」を述べた合意文書でも、「幅0.02~0.03秒」の“グレーゾーン”でも、「深さ≧1mm」かつ「同誘導で陰性T波」なら本物の可能性が高まると述べられています。常日頃から漏れのない判読を心がけている立場としては、Q波「だけ」で考えないのは当然で、“周囲確認法”として多面的に考えることで“打率”が向上すると思っています(有意にならなかったのは、サンプル数が少ないためでしょうか)。“深呼吸法の実力やいかに”さて、いよいよ“深呼吸法”のジャッジです。次の図2をご覧ください。(図2)“深呼吸法”の識別能力画像を拡大する図中の「IQWs」とは、「下壁Q波」(Inferior Q-waves)の意味で、「MI」は「心筋梗塞」(myocardial infarction)です。“深呼吸法”で異常Q波が「残った」10人中、本物が8人。 なんと“打率”が8割にアップしました。よく見かける2×2分割表を作成し、感度、特異度を求めるとそれぞれ80%、95%になるわけです。しかも、特筆すべきは心エコーでの局所壁運動異常(asynergy)は各50%、88%であったこと。あれっ? 深吸気した心電図のほうが心エコーより“優秀”ってこと?…そうなんです。もちろん、単純に感度・特異度の値だけで比較できるものではありませんが、論文中ではいくつかの検討が加えられ、最終的に「“深呼吸法”は心エコーよりも下壁梗塞の診断精度が良かった」というのが、本論文の結論です。どうです、皆さん! “柔よく剛を制す”ではないですが、心電図を活用することで心エコー以上の芸当ができるなんて気持ちいいですよね。“判官贔屓”(はんがんびいき)と言われそうですが(笑)。ここで下壁誘導のQ波についてまとめておきましょう。■下壁誘導Q波の“仕分け方”■心筋梗塞の既往(問診)、冠危険因子の確認は必須III誘導「のみ」なら問題なし(お隣ルール)II誘導のQ波、ST-T所見の有無も参考に(周囲確認法)深吸気で“消える”Q波はニセモノの可能性大(深呼吸法)“実際に深呼吸法やってみた”心電図に限りませんが、新しい事柄を知った時、すぐに“実践”してみることで、その知識は真に定着するというのがボクの信条の一つです。早速、症例Aと症例Bを用いて“深呼吸法”を試してみました。【症例A】68歳、男性。他院から転医。糖尿病、脂質異常症、高血圧症あり。既往に心筋梗塞あり。【症例B】63歳、男性。術前心電図異常で紹介。高血圧症あり。以前から階段・坂道で息切れあり。臨床背景からは、【症例A】は本物な感じがしますが、【症例B】は、にわかに判断は難しいような気がします。皆さんはどう思いますか? 実際に“深呼吸法”も含めて行った心電図の様子を示します(図3)。(図3)自験例で“深呼吸法”やってみた画像を拡大するまず、安静時の心電図を見てみましょう。【症例A】では、II誘導を含めて下壁誘導すべてにQ波がありますが、陰性T波の随伴はありません(a)。一方の【症例B】は、Q波はIII、aVF誘導のみですが(QS型)、III誘導に陰性T波ありという状況です(c)。さて、“深呼吸法”の結果はどうでしょうか。息を深く吸うことで、幅・深さともに若干おとなしくなることにご注目ください。しかも、「息こらえ」のためか筋電図ノイズが混入して見づらくなるという特徴がありますよ。【症例A】ではII、III、aVF誘導ともQ波が残るので、がぜん”本物”度が増します。一方の【症例B】はどうでしょう?…III誘導は「QS型」のままですが、aVF誘導ではQ波がほぼ消えて「qr型」となったではありませんか! こうなると、もはや“お隣ルール”に該当せず、III誘導のみの“問題がない”パターンであることが露呈しました。実際の“正解”をまとめます。【症例A】は50歳時に右冠動脈中間部を責任血管とする急性下壁梗塞の既往があり、一方の【症例B】では、心エコーはほぼ正常で冠動脈CTでも有意狭窄はありませんでした。何度か述べているように、心電図だけですべてを判断するのは危険ですし、【症例B】のように一定のリスク、胸部症状や本人希望などに沿った総合的な判断から冠動脈精査を行うことは決して悪くないです。ただ、“深呼吸法”は実ははじめから“大丈夫”の太鼓判を押してくれていたことになります。ウーン、改めてすごいな。“おわりに”話を冒頭の症例に戻します。この方は心エコーとRI検査で左室下壁に異常があり、 “深呼吸法”でもII、III、aVFそれぞれでQ波は顕在でした。この患者さんの冠動脈造影(CAG)の結果 (図4)を見ると、左冠動脈には狭窄はありませんでしたが、右冠動脈の中間部で完全閉塞(図中赤矢印)、いわゆる“CTO”(Chronic Total Occlusion)と呼ばれる「慢性閉塞性病変」でした(左冠動脈造影で側副血行路を介して右冠動脈末梢が造影されています[図中黄矢印])。つまり、今回の中年男性は“本物”の下壁梗塞だったのです。(図4)48歳・男性のCAG画像を拡大するところで話は変わりますが、皆さんは「ブルガダ心電図」*3をご存じでしょうか。多くの臨床検査技師さんは、V1~V3誘導で「ST上昇」を見たら、「第1肋間上」での記録も残してくれ、これはだいぶ浸透しています。そこで提案。「下壁、とくにIII・aVF誘導にQ波があったら“深吸気”時の記録を追加する」をルーチンにしませんか?…とまぁ、とかく“欲張り”なDr.ヒロなのでした。Take-home Message下壁誘導の「異常Q波」を見たら、本物かニセモノか考えよう!冠危険因子、既往歴、II誘導のQ波やST-T変化の随伴とともに深呼吸法が参考になるはず。*1Nanni S, et al. J Electrocardiol. 2016;49:46-54.*2Godsk P, et al. Europace. 2012;14:1012-1017.*3『遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017年改訂版)』【古都のこと~智積院~】令和2年最初の『古都のこと』は、智積院(ちしゃくいん)から始めます。ここは「東山七条」と呼ばれるゾーンで、有名な三十三間堂や京都国立博物館のすぐ近くです。「あれっ、~寺じゃないの?」…そうなんです。ボクもそう思いました。正式名称は五百仏山根来寺(いおぶさん ねごろじ)智積院。一時退廃していた真言宗の「中興の祖」とされる興教大師が修行の場を根来山に移してから「学山」として栄え*1、室町時代後期(南北朝時代)に創建された学頭寺院の名称が「智積院」です。いわゆる「お坊さんの“学校”」なんですね。でも、これは和歌山県の話です。現在の東山の地に移ったのは、「根来衆」の“黒歴史”*2が関係しています。徳川家康から秀吉を祀る豊国神社と祥雲禅寺*3の地を拝領してからは、江戸時代以降「学問寺」としての位置を取り戻しました。さらに、明治時代の廃仏毀釈や根本道場(勧学院)・金堂*4の火難など不幸の歴史を辿りながら明治33年(1900年)に智山派総本山となった歴史を知ると、“学問”がつなぐ絆の強さに感動します。広大な敷地にボクは大学のキャンパスに漂う“自由”の気風をイメージし、既に離れた母校を懐かしみました。また、素敵な庭園とともに、敷地内にある宝物館には、国宝である長谷川等伯らによる障壁画『桜図』『楓図』(国宝)*5が拝める特典もありますよ。勧行体験のできる宿坊がリニューアル(2020年夏頃)したらまた来たいなぁと思うDr.ヒロなのでした。*1:弘法大師入定(高僧の死)後300年、荒廃した高野山に大伝法院(学問所で学徒の寮も兼ねた)を創建、宗派内の対立で同じ和歌山県内の根来山に修行の場を移し、教学「新義(真言宗)」を確立した。*2:いつしか“書物”を“火縄銃”に持ち替えた僧兵は種子島伝来の鉄砲を操ったという。天正13年(1585年)、豊臣秀吉による“根来攻め”により山内の堂塔が灰燼に帰し、当時の智積院住職であった玄宥(げんゆう)僧正が難を逃れたのが京都東山であった。*3:秀吉が夭逝した愛児鶴松(棄丸)の菩提を弔うため建立した。*4:宗祖弘法大師(空海)の生誕1200年の記念事業として昭和50年(1975年)に再建された。*5:中学・高校時代に誰しも一度や二度は図説で見たであろう“金ピカ”の障壁画に出会える。安土桃山時代らしい絢爛豪華さで、自分が想定したよりもスケールが大きくビックリ!

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幼少期のペットとの生活とその後の統合失調症や双極性障害のリスク

 統合失調症や双極性障害などの重篤な精神疾患には、幼少期の環境が関連しているといわれている。幼少期に猫や犬などの家庭用ペットと生活することが、これらの環境要因に影響を及ぼす可能性がある。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のRobert Yolken氏らは、生まれてから12年間における猫や犬などの家庭用ペットとの生活と、その後の統合失調症または双極性障害の診断との関連について調査を行った。PLOS ONE誌2019年12月2日号の報告。 本研究は、統合失調症患者396例、双極性障害患者381例、対照群594例を対象としたコホート研究。猫や犬などの家庭用ペットとの生活に関連する統合失調症または双極性障害の発症リスクは、社会人口統計学的共変量を用い、Cox比例ハザードモデルおよび多変量ロジスティック回帰モデルを使用し算出した。 主な結果は以下のとおり。・家庭内での犬との生活は、その後の統合失調症診断リスクの有意な低下と関連が認められた(ハザード比:0.75、p<0.002)。・さらに、出生時および出生から最初の数年間での犬との生活において、統合失調症の相対リスクの有意な低下が認められた。・家庭内での犬との生活は、双極性障害リスクとの有意な関連は認められなかった。・家庭内での猫との生活は、その後の統合失調症または双極性障害の診断リスクと有意な関連は認められなかったが、両疾患ともにリスクの増加傾向が認められた。 著者らは「幼少期および小児期の家庭用ペットとの生活は、その後の精神疾患発症に変化を及ぼす可能性があることが示唆された」としている。

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術前化療で乳房温存療法が適応になる割合は(BrighTNess)/JAMA Surgery

 StageII~III乳がんでは乳房温存療法を可能にするべく術前化学療法が実施されることが多い。今回、米国・Brigham and Women's HospitalのMehra Golshan氏らは、BrighTNess試験の2次解析からトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において術前化学療法により53.2%が乳房温存療法の適応になったことを報告した。また、北米では乳房温存治療適応患者でも乳房温存率が低く、生殖細胞系BRCA(gBRCA)変異のない患者での両側乳房切除率が高いことがわかった。JAMA Surgery誌オンライン版2020年1月8日号に掲載。 本研究は、多施設二重盲検無作為化第III相試験(BrighTNess)において事前に示されていた2次解析である。BrighTNess試験には、北米、欧州、アジアにおける15ヵ国145施設において、手術可能なStageII〜IIIのTN乳がんで術前化学療法開始前にgBRCA変異検査を受けた女性634例が登録された。登録患者をパクリタキセル+カルボプラチン+veliparib、パクリタキセル+カルボプラチン、パクリタキセル単独に無作為に割り付け、12週間投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミドを4サイクル投与した。乳房温存療法の適応については、術前化学療法の前後に外科医が臨床およびX線写真により評価した。データは2014年4月1日~2016年12月8日に収集し、2018年1月5日~2019年10月28日に2次解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・634例(年齢中央値:51歳、範囲:22〜78歳)のうち、604例で術前化学療法前後の評価が可能であった。・ベースラインで乳房温存療法が不適応と判断された141例のうち、75例(53.2%)が術前化学療法後に適応となった。・全体として、術前化学療法後、乳房温存療法の適応と判断された502例のうち、342例(68.1%)が実際に乳房温存療法を受けた。このうち、乳房温存療法が非適応から適応に変わった75例では42例(56.0%)が実際に温存治療を受けた。・欧州およびアジアの患者は、北米の患者より乳房温存療法実施率が高かった(オッズ比:2.66、95%CI:1.84~3.84)。・gBRCA変異陰性で乳房切除術を受けた患者の対側乳房予防切除実施率は、北米の患者が70.4%(81例中57例)と、欧州およびアジアの患者の20.0%(30例中6例)に比べて高かった(p<0.001)。

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高濃度PM2.5への長期曝露、脳卒中リスクを増大/BMJ

 大気中の相対的に高濃度の微小粒子状物質(PM2.5)への長期の曝露により、低濃度PM2.5への長期曝露に比べ、初発脳卒中とそのサブタイプの発生率が増加することが、中国・北京協和医学院のKeyong Huang氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2019年12月30日号に掲載された。北米や欧州では、大気中のPM2.5への長期曝露は、相対的に低濃度(典型的には、≦25μg/m3)であっても、脳卒中の発生と関連することが示されている。一方、大気中の高濃度PM2.5への長期曝露(通常、低~中所得国でみられる)と脳卒中の発生との関連を示すエビデンスはないという。PM2.5長期曝露と脳卒中の関連を評価するコホート研究 研究グループは、大気中のPM2.5への長期曝露が、脳卒中の発生に及ぼす影響を調査する目的で、地域住民ベースの前向きコホート研究を行った(National Key Research and Development Program of Chinaなどの助成による)。 解析には、中国の15省で実施されたPrediction for Atherosclerotic Cardiovascular Disease Risk in China(China-PAR)計画のデータを用いた。ベースライン時に脳卒中のない11万7,575人が解析に含まれた。 主要アウトカムは、全脳卒中、虚血性脳卒中、出血性脳卒中の発生とした。高曝露量はリスクが53%増加 ベースラインの全体の平均年齢は50.9(SD 11.8)歳で、41.0%が男性であった。PM2.5への曝露量で4群(31.2~54.5μg/m3、54.6~59.6μg/m3、59.7~78.2μg/m3、78.3~97.0μg/m3)に分けて、脳卒中の発生を比較した。 参加者の居住地住所における2000~15年の長期的なPM2.5曝露量の平均値は64.9μg/m3(範囲:31.2~97.0)であった。追跡期間90万214人年の間に、3,540例の初発脳卒中が発生し、そのうち63.0%(2,230例)が虚血性脳卒中、27.5%(973例)は出血性脳卒中であった。 曝露量が最も低い群(<54.5μg/m3)と比較して、最も高い群(>78.2μg/m3)は初発脳卒中のリスクが増加しており(ハザード比[HR]:1.53、95%信頼区間[CI]:1.34~1.74)、虚血性脳卒中(1.82、1.55~2.14)および出血性脳卒中(1.50、1.16~1.93)についても増加が認められた。 PM2.5濃度が10μg/m3増加するごとに、初発脳卒中のリスクが13%(HR:1.13、95%CI:1.09~1.17)増加し、虚血性脳卒中のリスクは20%(1.20、1.15~1.25)、出血性脳卒中のリスクは12%(1.12、1.05~1.20)増加した。 長期的なPM2.5への曝露と初発脳卒中には、ほぼ直線的な曝露-反応関係が認められ、これは全脳卒中および2つのサブタイプのいずれにおいてもみられた。 著者は、「これらの知見は、中国だけでなく他の低~中所得国でも、大気汚染や脳卒中予防に関連する環境および保健双方の施策の開発において、意義のあるものである」としている。

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開発中のluspatercept、低~中等度リスクMDSの貧血を軽減/NEJM

 環状鉄芽球を伴う比較的リスクが低い骨髄異形成症候群(MDS)で、定期的に赤血球輸血を受けており、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)に抵抗性または反応する可能性が低い、あるいは有害事象でこれらの製剤を中止した患者の治療において、luspaterceptは貧血の重症度を低下させることが、フランス・パリ第7大学のPierre Fenaux氏らが行った「MEDALIST試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年1月9日号に掲載された。ESA治療が無効の貧血を伴う比較的リスクが低いMDSの患者は、一般に赤血球輸血に依存性となる。luspaterceptは、SMAD2とSMAD3のシグナル伝達を抑制して赤血球の成熟を促すために、トランスフォーミング増殖因子βスーパーファミリーのリガンドと結合する組み換え融合蛋白で、第II相試験で有望な結果が報告されている。輸血非依存期間を評価するプラセボ対照無作為化試験 本研究は、11ヵ国65施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2016年3月~2017年6月に患者登録が行われた(CelgeneおよびAcceleron Pharmaの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、WHO基準で環状鉄芽球を伴うMDSで、国際予後判定システム改訂版(IPSS-R)の定義で超低リスク、低リスク、中等度リスクの病変を有し、定期的に赤血球輸血(割り付け前の16週に、≧2単位/8週)を受けており、ESAに抵抗性または反応する可能性が低い、あるいは有害事象でこれらの製剤を中止した患者であった。 被験者は、luspatercept(1.0~1.75mg/kg体重)またはプラセボを3週ごとに皮下投与する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、1~24週における8週間以上の輸血非依存の状態とし、主な副次評価項目は1~24週および1~48週の双方における12週間以上の輸血非依存とした。主要評価項目:38% vs.13% 229例が登録され、153例がluspatercept群、76例はプラセボ群に割り付けられた。全体の年齢中央値は71歳(範囲26~95)で、63%が男性であった。IPSS-R基準による病変の重症度別の患者割合は、超低リスクが10%、低リスクが72%、中等度リスクが17%だった。 24週時に、8週間以上の輸血非依存が観察された患者の割合は、luspatercept群が38%と、プラセボ群の13%に比べ有意に良好であった(p<0.001)。 24週時と48週時に12週間以上の輸血非依存を達成した患者の割合は、いずれもluspatercept群がプラセボ群よりも高かった(1~24週:28% vs.8%、1~48週:33% vs.12%、いずれもp<0.001)。 また、24週時と48週時に16週間以上の輸血非依存を達成した患者の割合は、いずれもluspatercept群がプラセボ群よりも良好だった(1~24週:19% vs.4%、1~48週:28% vs.7%)。 luspatercept関連の全Gradeの有害事象のうち、とくに頻度が高かったのは、疲労(27%)、下痢(22%)、無力症(20%)、悪心(20%)、めまい(20%)であった。Grade3/4の有害事象は、luspatercept群42%、プラセボ群45%に認められた。1つ以上の重篤な有害事象は、それぞれ31%および30%にみられた。有害事象の発現率は経時的に低下した。 著者は、「luspaterceptがSMAD2とSMAD3のシグナル伝達系に及ぼす作用の正確なメカニズムは完全には解明されていないが、輸血非依存や赤血球反応、ヘモグロビン値上昇の期間を延長することから、本試験の対象患者に有用な臨床効果をもたらすことが示唆される」としている。

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筋トレですべてを解決する本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第26回

【第26回】筋トレですべてを解決する本Testosterone(テストステロン)さんというTwitter界では有名な社長が書いた本です。2020年1月現在、Twitterフォロワー数が100万人に迫るバケモノアカウントです。『筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法』Testosterone/著.U-CAN.2016私は筋トレがキライですし、自己啓発本もキライです。しかし、テストステロン社長の本だけは違った。タイトルから勘違いされることが多いですが、決して筋トレのノウハウ本ではなく、筋トレを通じていかに良い人生を送るかという、これまで開拓されてこなかったジャンル。私たち勤務医だけでなく、働く人たち全員がぶち当たる悩みを解決するための手段として、彼は筋トレを紹介しています。1ページに1つの格言が載っていて、それを解説していくという文章構成になっています。「○○で悩んでいませんか? それ実は筋トレで解決します」というパターンで進んでいくので、なかやまきんに君のギャグを見続けているような錯覚を覚えるでしょう。しかし、そのプロセスはどこぞのコンサルよりもはるかに説得力があるものです。そして、なぜか不思議なことに、読むと元気になって無性に筋トレがしたくなってくるのです。私が「イイネ!」と思ったものを2ツイート分抜粋して、紹介します。“人生はメンタルゲームだ。心が実現可能とみなせばどんな事でも実現可能だ。常識が君の心に歯止めをかける。心が限界を感じれば成長はそこまでだ。心が限界を感じなければ成長は一生止まらん。常識に惑わされるな。自己暗示をかけてリミッターをはずせ。「常識で俺を測るんじゃねえ」という態度で生きろ。”“周囲の期待に応えようと自分を偽るな。自分らしく生きて、それでもまだ君の事を好きだと言ってくれる人を大切にして生きればいい。自分偽って好かれたって仕方ないだろ? 一匹狼上等だ。自分を偽るのではなく、心の底から変わりたいって思う日が来る。その時は勇気を出して頑張れ。手始めに筋トレから。”悩みごとを溜め込みがちな医師の皆さんは、ぜひ手に取って読んでみてください。「今日は元気出ないなぁ」というときに、パラパラとめくると、クスっと笑って元気が出る本です。松岡修造さんの日めくりカレンダーに近いものがある。この本を出版したあと、テストステロン社長は「超 筋トレが最強のソリューションである 筋肉が人生を変える超・科学的な理由」など、多数の著書を刊行しています。いずれも似たような内容ですが、手始めに一冊というのであれば、処女作である本書をオススメします。筋トレと自己啓発本がキライな私が面白いと言っているのだから、筋トレや自己啓発本が好きな人はツボるはずです。『筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法』Testosterone/著出版社名U-CAN定価本体1,200円+税サイズB6判刊行年2016年

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統合失調症患者の代謝機能に対する18種類の抗精神病薬の比較

 抗精神病薬による治療は、代謝異常と関連しているが、各抗精神病薬によりどの程度代謝の変化が起こるのかはよくわかっていない。また、代謝調節不全の予測因子や代謝の変化と精神病理学的変化との関連も不明である。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのToby Pillinger氏らは、抗精神病薬による代謝系副作用の比較に基づきランク付けを行い、代謝調節不全の生理学的および人口統計学的予測因子の特定を試み、抗精神病薬治療による精神症状の変化と代謝パラメータの変化との関連について調査を行った。The Lancet Psychiatry誌2020年1月号の報告。 MEDLINE、EMBASE、PsycINFOより、2019年6月30日までに報告された統合失調症の急性期治療に対する18種類の抗精神病薬とプラセボを比較した盲検ランダム化比較試験を検索した。体重、BMI、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、グルコースの濃度に関して、治療誘発性の変化を調査するため、ランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。代謝の変化と年齢、性別、民族性、ベースライン時の体重、ベースライン時の代謝パラメータレベルとの関連を調査するため、メタ回帰分析を実施した。症状の重症度変化と代謝パラメータの変化との相関を推定することで、代謝の変化と精神病理学的変化との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・6,532件の引用のうち、ランダム化比較試験100件(2万5,952例)が抽出された。・治療期間の中央値は、6週間であった(四分位範囲:6~8)。・プラセボと比較した各パラメータの平均差は以下の範囲であった。 ●体重増加:ハロペリドール:-0.23kg(95%CI:-0.83~0.36)~クロザピン:3.01kg(95%CI:1.78~4.24) ●BMI:ハロペリドール:-0.25kg/m2(95%CI:-0.68~0.17)~オランザピン:1.07kg/m2(95%CI:0.90~1.25) ●総コレステロール:cariprazine:-0.09mmol/L(95%CI:-0.24~0.07)~クロザピン:0.56mmol/L(95%CI:0.26~0.86) ●LDLコレステロール:cariprazine:-0.13mmol/L(95%CI:-0.21~-0.05)~オランザピン:0.20mmol/L(95%CI:0.14~0.26) ●HDLコレステロール:ブレクスピプラゾール:0.05mmol/L(95%CI:0.00~0.10)~amisulpride:-0.10mmol/L(95%CI:-0.33~0.14) ●トリグリセライド:ブレクスピプラゾール:-0.01mmol/L(95%CI:-0.10~0.08)~クロザピン:0.98mmol/L(95%CI:0.48~1.49) ●グルコース:lurasidone:-0.29mmol/L(95%CI:-0.55~-0.03)~クロザピン:1.05mmol/L(95%CI:0.41~1.70)・グルコース増加の予測因子は、ベースライン時の多い体重(p=0.0015)および男性(p=0.0082)であった。・民族性においては、非白人は、白人と比較し、総コレステロールのより大きな増加と関連していた(p=0.040)。・症状重症度の改善は、以下のパラメータ変化との関連が認められた。 ●体重増加:(r=0.36、p=0.0021) ●BMI増加:(r=0.84、p<0.0001) ●総コレステロール増加:(r=0.31、p=0.047) ●HDLコレステロール減少:(r=-0.35、p=0.035) 著者らは「代謝性副作用に関して抗精神病薬間で顕著な差が認められた。プロファイルが良好であった薬剤は、アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazine、lurasidone、ziprasidoneであり、不良であった薬剤は、オランザピンとクロザピンであった。抗精神病薬誘発性の代謝変化に関する予測因子は、ベースライン時の多い体重、男性、非白人であり、精神病理学的改善は代謝障害との関連が認められた。本知見を考慮し、治療ガイドラインを更新する必要があるが、抗精神病薬を選択する際には、患者、介護者、主治医の臨床状況を鑑み、個別に治療選択肢を検討すべきである」としている。

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尿酸値を本気で下げる方法とは?

高尿酸血症の治療には食生活を中心とした生活習慣改善が欠かせないが、無症状の場合も多く、継続的に取り組むことは容易ではない。患者を“本気にさせる”尿酸値を下げる方法や、乳酸菌による尿酸値の上昇抑制効果とは? 2019年11月29日、「疾病リスクマーカーとして注目すべき尿酸値に関する新知見」と題したメディアセミナー(主催:明治)が開催された。久留 一郎氏(鳥取大学大学院医学系研究科)、野口 緑氏(大阪大学大学院医学系研究科)、藏城 雅文氏(大阪市立大学大学院医学研究科)が登壇し、高尿酸値と疾病リスクの関係や患者指導のポイント、生活習慣改善にまつわる新旧のエビデンスについて講演した。高尿酸値で怖いのは痛風より合併症、尿酸値を下げないと全身で臓器障害を引き起こす 尿酸値が7.0mg/dLを超える高尿酸血症患者のうち、痛風発作を起こすのは約1割。残り9割は無症候性だが、痛風以上に心配すべきは合併症で、高尿酸値は心血管代謝疾患発症のリスク因子となる。高尿酸値と各疾患の関連は数多く報告されているが、合併症のない日本人の無症候性高尿酸血症患者を対象とした5年間のコホート研究では、男女問わず高血圧、脂質異常症、CKDの発症リスクと関連したほか、男性の肥満、女性の糖尿病の発症リスクと関連したことが明らかになっている1)。久留氏は「症状のない場合でも、5年間でこれらの疾患発症リスクが増加してしまうことは見逃せない」と指摘した。 同時に、尿酸はヒトにとって必要不可欠な物質でもある。血中に存在し、生理的濃度(5.0mg/dL程度)で血管内皮機能の維持に働いているとされ、2.0mg/dL以下の低尿酸血症の状態は避けなければならない。しかし、尿酸が血中に溶けることができる限界濃度は7.0mg/dLで、それ以上に尿酸値が高まると関節だけでなく、全身の細胞内に取り込まれて臓器障害を引き起こす。その機序としては、細胞内に蓄積した尿酸により活性酸素が産生されるルート、体内での尿酸合成に伴いキサンチンオキシダーゼ(XO)が活性化されて活性酸素が増加するルートの2つが考えられるという。患者を本気で尿酸値を下げる気にさせる“具体的で実感が湧く”情報とは 続いて登壇した野口氏は、尼崎市に保健師として在任中、独自の指導方法などによって毎年数例あった職員の脳・心血管疾患での在職死亡を“0”にした経験を持つ。尿酸値を下げる方法として、健診結果の数値を見せて、ただ「減らしてください」と言っても行動にはつながりにくく、いかに具体的なイメージを持ってもらうかが重要と強調した。 たとえば高尿酸血症の場合は、「痛風発作につながる可能性がある」と言われても患者は想像がつかないことが多い。しかし「血管をどう傷つけるか」を説明すると反応があるといい、そもそも尿酸はどんな物質で、体内のどこをどうめぐり、最終的に痛みにつながる可能性があることを図示した指導用資料を活用しながら、「何が原因となって体内でどうダブついてしまうのか」を説明するという。 米国でスタチン服用経験のある1万例以上を対象に、尿酸値を下げる治療を中断しないための条件を調査した研究では、「食事や運動の相談」「web情報」といった方法論の伝達だけでは継続者は少なく、「治療の説明に対する満足」「治療コントロール目標の説明に対する同意」「心臓や動脈に対する影響の説明」といった項目で、中断が継続を上回っていた2)。尿酸値上昇にサウナ+ビールはてきめん、尿値値を下げるには豆乳よりも牛乳? 尿酸値を下げるための具体的な生活指導の方法としては、高プリン食(肉類・魚介類など)を極力控えること、十分な水分摂取(尿量2,000mL/日以上)、アルコール(特にビール)の制限、軽い有酸素運動などが推奨されている3)。藏城氏は、関連のエビデンスをメカニズムと併せていくつか紹介。自転車エルゴメーターと尿酸値の関連を調べた研究では、実施時間が長くなるほど尿酸値が上昇し4)、激しい運動は尿酸値を下げるのとは真逆の効果をもたらすと説明した。アルコール摂取に関しては、低プリン発砲酒でも尿酸値は上昇するものの、その幅は通常のものよりも低く抑えられる5)、サウナ+ビールの組み合わせは脱水とプリン体摂取とにより大きく尿酸値が上昇する6)といったデータが紹介された。 逆に摂取が推奨されるものの1つが乳製品で、痛風の発症抑制に有効であることが報告されている7)。手軽に摂取できる牛乳は有用だが、豆乳では血中尿酸値を下げる効果が確認されなかったという8)。同氏はこの背景として、牛乳にはプリン体が含まれないが、豆乳には含まれることが影響しているのではないかと話した。乳酸菌が腸内でプリン体を栄養源として利用か 最後に藏城氏は、乳酸菌による尿酸値の上昇抑制効果について、新たなデータを紹介。プリン体の吸収抑制効果に着目して選定された乳酸菌(Lactobaccillus gasseri PA-3;以下PA-3株)を含むヨーグルトと、通常のヨーグルトの抑制効果を比較した結果について解説した。20歳以上の健康な男性14人対象のプラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験の結果、ともに1日1パック(112g)のヨーグルトを摂取した場合、食後(プリン体摂取後)30分、60分時において、PA-3株を含むヨーグルトが、通常のヨーグルトと比較して尿酸値の上昇量を有意に抑制した9)。 同氏は、同じ乳製品でも、牛乳と乳酸菌による尿酸値抑制メカニズムが異なる可能性を指摘。牛乳の場合は、摂取後の尿中の尿酸排泄量が増加するが、PA-3株では尿中排泄量の変化はみられなかった。しかし血清尿酸値は抑制されていることから、「乳酸菌は消化管からのプリン体吸収抑制に寄与し、腸管内でプリン体を取り込み、増殖のための栄養源として利用している可能性がある」と話した。■参考1)Kuwabara M, et al. Hypertension. 2017 Jun;69:1036-1044.2)Cohen JD, et al. J Clin Lipidol. 2012 May-Jun;6:208-15.3)日本痛風・核酸代謝学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版.診断と治療者;2018.4)Yamamoto T, et al. Horm Metab Res. 1994 Aug;26:389-91.5)Yamamoto T, et al. Metabolism. 2002 Oct;51:1317-23.6)Yamamoto T, et al. Metabolism. 2004 Jun;53:772-6.7)Choi HK, et al. N Engl J Med. 2004 Mar 11;350:1093-103.8)Dalbeth N, et al. Ann Rheum Dis. 2010 Sep;69:1677-82.9)Kurajoh M, et al. Gout and Nucleic Acid Metabolism. 2018;42:31-40.

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癒着関連の再入院リスク、腹腔鏡 vs.開腹/Lancet

 腹腔鏡手術により癒着に関連した再入院の発生は減少するが、癒着に関連した再入院の全体的な負荷は高いままであることを、オランダ・Radboud University Medical CenterのPepijn Krielen氏らが、後ろ向きコホート試験「SCAR試験」の結果、明らかにした。癒着は腹部手術後の長期的な合併症の最も一般的な要因で、腹腔鏡手術により癒着形成が減少する可能性はあるものの、低侵襲手術の長期的な癒着関連合併症への影響は不明なままであった。著者は、「今後、腹腔鏡手術がさらに増加すると母集団レベルでの影響はさらに大きくなる可能性があり、術後の癒着関連合併症の発生を減少させるためには次のステップが必要である」とまとめている。Lancet誌2020年1月4日号掲載の報告。腹部/骨盤内手術例7万2,270例について、癒着に関連した再入院を解析 研究グループは、2009年6月1日から2011年6月30日の期間で、Scottish National Health Serviceの検証済みデータを用いて後ろ向きコホート試験を実施した。対象は、年齢を問わず腹腔鏡または開腹による腹部/骨盤内手術を受けた患者7万2,270例で、2017年12月31日まで追跡調査を行った。 主要評価項目は、5年時の腹腔鏡手術および開腹手術における癒着に直接関連した再入院の発生。再入院については、癒着に直接関連した障害(例:癒着剥離、癒着性小腸閉塞)による再入院、癒着に関連した可能性がある障害(例:分類不能の小腸閉塞)による再入院、癒着による合併症の可能性がある手術(例:虫垂切除後の結腸右半切除術)のための再入院に分類した。 統計解析は、手術の解剖学的部位別の再入院サブグループ解析を行い、Kaplan-Meier法によりサブグループ間の差異を評価した。また、術式が癒着関連再入院の独立した有意なリスク要因であるかを検討するために多変量Cox回帰解析を行った。癒着に直接関連した再入院は、開腹手術に比べ腹腔鏡手術で約30%減少 7万2,270例のうち、2万1,519例(29.8%)が腹腔鏡手術を、5万751例(70.2%)が開腹手術を受けていた。7万2,270例において、術後5年以内の再入院は、癒着に直接関連した障害による入院が2,527例(3.5%)、癒着に関連した可能性がある障害による入院が1万2,687例(17.6%)、癒着による合併症の可能性がある手術のための入院が9,436例(13.1%)であった。 癒着に直接関連した再入院の発生は、腹腔鏡手術群2万1,519例中359例(1.7%[95%信頼区間[CI]:1.5~1.9])、開腹手術群5万751例中2,168例(4.3%[4.1~4.5])であった(p<0.0001)。癒着に関連した可能性がある障害による再入院の発生は、腹腔鏡手術群2万1,519例中3,443例(16.0%[15.6~16.4])、開腹手術群5万751例中9,244例(18.2%[17.8~18.6])であった(p<0.005)。 多変量解析の結果、腹腔鏡手術群は開腹手術群と比較して、癒着に直接関連した再入院が32%減少(ハザード比[HR]:0.68、95%CI:0.60~0.77)、癒着に関連した可能性がある再入院が11%減少(0.89、0.85~0.94)した。術式、悪性腫瘍、性別および年齢も同様に、癒着関連再入院の独立したリスク因子であった。

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