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3年B組金八先生(続編)【令和の金八先生になるには? わがままにさせない!(同調させるスキル)】Part 3

「手」―調整力ある男子生徒が、金八先生の娘に恋をするエピソードがあります。金八先生は、その男子生徒の母親から彼が高校に合格したら彼女と交際させてほしいと懇願され、苦々しい顔をします。その後、金八先生は、亡き妻の遺影に「坂本金八、講師になって22年。初めてあいつだけは高校落ちろと心から願ってしまう」と漏らします。金八先生の人柄のダークな部分が分かりやすく描かれています。3つ目の部位は、「手」です。これは、調整力です。一般的に、調整力とは、リーダーが集団の内と外との利害関係の調整やメンバー同士の人間関係の調整であると思われています。今回注目するのは、さらにリーダーとメンバーとの人間関係の距離を調整することです。この真逆は、リーダーが、誰に対しても平等に同じ距離で接する状況です。そうなると、現場は良く言えば居心地良くなりますが、悪く言えば、ナメてきます。なぜなら、そのようなリーダーは、良く言えば聖人君子ですが、悪く言えばロボットです。やがてメンバーの自己主張が強まっていき、だんだんとリーダーの存在感が薄まり、リーダーシップは危うくなります。かと言って、リーダーがただ厳しく感情的にしていれば良いかというと、それだけでもうまく行かないです。大事なのは、メンバーや状況によってリーダーの機嫌が変わるということをメンバーに感じ取らせることです。それは、「歯向かうと私が何かするわよ」という力強いメッセージです。それでは、普段から調整力を高めるための具体的なスキルを3つ紹介しましょう。(1)手のひらを返す―温度差1つ目は、手のひらを返すことです。これは、メンバーや状況によってリーダーが態度を変えることです。この時のポイントは、個人的に接している時は、誰に対してもあくまで興味津々になり、細かく褒めるのは変わらないことです。これは、すでに観察力の説明で触れました。一方、集団の場では、手のひらを返して、優等生タイプには温かく接して、不適応なメンバーには冷たく接して、対応にあえて温度差をつくります。好き嫌いを見せて、感情的で人間臭い演出をします。ここで誤解がないようにしたいのは、温度差をつくると言っても、単にこちらが本当に感情的になってそうしないことです。逆に、メンバーに優劣の差がないと思っても、あえて温度差をつくる必要もあるでしょう。なぜなら、ここでは、温度差は目的ではなく手段だからです。温度差という戦略(手段)によって得られる成果(目的)が3つあります。まず、リーダーが一筋縄ではいかな手強い「ボスザル」であると印象付けられます。次に、その「サル山」のメンバーの優劣の序列ができあがります。最後に、劣位の不適応なメンバーを際立たせます。人は本質的には社会的な「動物」であり、序列がある状況で安心するという心理をうまく利用しています。さらに、今回特別に、この手のひら返しの大技を紹介しましょう。名付けて、「あえて気分屋」です。これは、コンピュータのように一貫して正確にメンバーを評価しないことで、メンバーにもっとがんばろうという動機付けを高めさせるスキルです。たとえば、優等生タイプにいつも温かく接するのではなく、10回に1回くらい不機嫌を装い、あえて冷たくすることです。すると、そのメンバーは、「いつも褒められるはずなのに、なぜ今は褒められないの?」「自分の何がまずかったのかな?」と不安になり、次にもっと褒められるように努力するようになります。逆に、不適応なメンバーにいつも冷たく接するのではなく、10回に1回くらい上機嫌を装い、あえて暖かく接することです。たとえ褒めることがまったくなくても、「良い線行ってるね」「惜しいなあ」「もったいないなあ」「あともう少しなんだけどなあ」などの言い方が使えます。すると、そのメンバーは、「いつもは褒められないのに、なぜ今は褒められるの?」「自分の何が良かったのかな?」とうれしくなり、次にもっと褒められるように努力するようになります。ポイントは、いくら優等生タイプでも、100点にしないことです。なぜなら、人はゴールに達すると努力を怠るからです。また、いくら不適応なメンバーでも、100点になるかもしれないと思わせることです。なぜなら、人はゴールが見えると努力を始めるからです。つまり、人はもともと狩りをする動物であり、あとちょっとで獲物を仕留められるという状況でやる気が高まるという心理(ギャンブル脳)をうまく利用しています。ただし、やりすぎると、理不尽に思われるので、ほどほどが肝心でしょう。(2)手を増やす―温度差の同調2つ目は、手(フォロワーの手のひら返し)を増やすことです。全員(集団)に向けて、発信力を持って批判を繰り返しつつ、不適応なメンバーへの冷たい態度を繰り返し見せることで、その態度が集団のお手本(集団規範)になります。こうして、フォロワーたちが不適応なメンバーに冷たい態度をするように仕向けることができます。さらに、フォロワーたちには、自分も身勝手なことをして従わなければ周りから冷遇されると思い込ませることもできます。人は本質的には社会的な「動物」であり、自分に味方がいない状況を一番恐れているという心理をうまく利用しています。ただし、集団的な冷遇は、やりすぎると、不適応なメンバーが集団心理のスケープゴート(いけにえ)になってしまい、いじめのリスクが高まります。よって、リーダーとしては、不適応なメンバーがわがままにならずに従うようになれば、また手のひらを返して集団場面でも温かく接するように仕向けることも重要です。逆に、不適応なメンバーが心を入れ替えて従っているのに、スケープゴートとして集団の結束に好都合だからと野放しにするのは、不適切と言えます。また、歓送迎会、納涼会、忘年会などの仕事以外の集まりを有効活用できます。このような集まりは、もちろんメンバーにとっては楽しむ場です。しかし、リーダーにとっては楽しむ場とは限りません。ましてやリーダーが酔っ払って、ふんぞり返って、一方的にメンバーに説教話を聞かせるというのは、リーダーシップとしてはNG行為です。もちろん結果的に楽しい場になれば良いですが、楽しさよりも優先することが3つあります。まず、メンバーの話を親身になってよく聞くことです。そうすることで、ガス抜きと同時に情報収集が果たせます。次に、リーダーが自分から動き、盛り上げ役を担うことです。そうすることで、集団の同調の心理を高めることができます。最後に、リーダーは一貫して良い人を演じて、人間味が溢れることを印象付けることです。そうすることで、特に不適応なメンバーに「職場でみんなの前では冷たいけど、私のことを理解してくれていて悪い人じゃない」と理解してもらえます。(3)手を出す―威嚇3つ目は、手を出すことです。これは、本当に手を出して暴力を振るうわけではもちろんないです。あくまで、リーダーがカンカンに怒っている様を実際にメンバーたちに定期的に見せることです。こうして、リーダーは怒らせると怖いというイメージをメンバーに植え付けられます。さらには、「いざと言う時は刺し違えるよ」というくらいの気迫もあればなお良いでしょう。大事なのは、リーダーはロボットではなく、生臭い人間であると思わせることです。この時のポイントは、3つあります。まず、ブチ切れる状況は、個人的に接している時ではなく、数人以上いる時であることです。次に、ブチ切れる内容は、隣の職場(集団)からひどい目に遭った話とか、ひいきのスポーツチームが負けたなど、集団内とは直接関係のないことであることです。最後に、ブチ切れた後にすぐに、「我を失っちゃったわ」と状況を振り返り、自覚していることをメンバーに分からせることです。これらは、パワーハラスメントのリスクを低めることにもなります。ここで誤解がないようにしたいのは、ブチ切れると言っても、単にこちらが本当に感情的になってそうしないことです。逆に、ブチ切れることがないと思っても、あえてブチ切れるネタを探す必要もあるでしょう。なぜなら、ここでは、ブチ切れるのは目的ではなく、威嚇という手段だからです。人は本質的には社会的な動物であり、威嚇されると大人しくなるという心理をうまく利用しています。その他、「昔はやんちゃだった」「昔はもっと怖かった」などの武勇伝を時々に織り交ぜて、ナメられないように伝説をねつ造するのも良いでしょう。金八先生が「27年間の教師生活で、殴った生徒は3人です。・・・でもね、本当に殴って良かったかどうか、ときどき手のひらじっと見つめながら、いまだに考え込むことがあります」と生徒全員の前で打ち明けるシーンがあります。令和の金八先生になるには?金八先生をモデルに、同調させるスキルを、3つの体の部位になぞらえて、それぞれ3つのスキルをまとめました。今回学んだことを踏まえると、リーダーはメンバーからどう思われたら良いかという冒頭の問いへの答えは、「恐い人だ」と常に恐れられるのではなく、「優しい人だ」と常に慕われるのでもないです。それは、「熱い人だ」と付いていきたいと思われることです。ただ、リーダーの皆さんの中には「褒めるところがないのに褒めるのは、うそ臭くなるから言いたくない」「わざと不機嫌なふりをするのは心苦しい」と思う人もいるでしょう。もちろんこのようなスキルを使わないで済むならそれに越したことはありません。むしろ、このような演出が行き過ぎると、友人関係(フレンドシップ)や恋人関係(パートナーシップ)などの二者関係においては不誠実に思われるでしょう。しかし、リーダーシップにおいては別です。なぜならそもそもリーダーシップにおいては、相手が多すぎて、そのすべての相手が納得する「正解」がないからです。それでも、リーダーは、不適応なメンバーをまとめて最大限の結果を出すことで前に進まなければならないからです。よって、皆さんのリーダーシップが危うくなっているのであれば、そして皆さんがまだリーダーをやり続けたいと思うのであれば、何を優先すべきかがおのずと分かるでしょう。つまり、リーダーシップにおいて大事なことは、「個人として何が正しいか」ではなく、「リーダーとして何が使えるか」ということです。このことに気付いた時、今回紹介したその使える何かによって、皆さんのリーダーシップをもっと高めていくことができるのではないでしょうか? そして、金八先生の「熱血」さの普遍的な意味を理解することができるのではないでしょうか?<< 前のページへ

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がん患者さんのための「男の整容本」ダウンロード可能に

 資生堂は2月4日、日本対がん協会の協力で小冊子「男の整容本」を発行した。がん治療の副作用による外見上の変化(肌や頭皮の乾燥、眉の脱毛など)は女性だけでなく、男性にも現れる。それらをカバーするために、化粧に不慣れな場合であっても試すことができるよう、簡単でわかりやすいテクニックや美容情報がまとめられている。 治療の進歩や早期発見により、がんと向き合って過ごす期間が長くなる傾向にあり、就労をしながら通院しているがん患者も増加している。「男の整容本」では、外出時やビジネスシーンなどで役立てられるよう、男性のために考えられたテクニックを全15ページでわかりやすくアドバイス。外見ケアを実際に体験した男性患者からの声として、「もうすぐ仕事に復帰するので、眉を描いたら、やっとスーツ姿の自分が想像できた」、「化粧に抵抗があったが、思っていたより自然で外出が気楽になった」などが紹介されている。<小冊子の概要>1. タイトル:「男の整容本」(ホームページからダウンロード可能)2. 内容: Section 1 男の眉メイク Section 2 男の肌色カバー Section 3 男の頭髪ケア Section 4 男の肌ケア Section 5 男の唇ケア Section 6 男の手指ケア3. 発行:2020年2月4日(火) *価格は無料 同社は2019年10月に女性向け美容情報の小冊子「がん患者さんのためのBeauty Book」を発行しており、こちらも上記ホームページからダウンロードが可能。また、医療従事者用の専用ページも設けられており、医療従事者向け・患者向けそれぞれの外見ケアセミナー(無料)への申し込みが可能となっている。

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境界性パーソナリティ障害とADHDの関係に対する環境の影響

 近年の研究において、小児期の注意欠如多動症(ADHD)から成人期の境界性パーソナリティ障害(BPD)への移行が示唆されている。一般的な遺伝的影響が知られているが、生涯を通じてある疾患から別の疾患へ移行する可能性に対する環境要因の影響に関するエビデンスは、ほとんどない。スペイン・Hospital Universitary Vall d'HebronのNatalia Calvo氏らは、ADHD児におけるBPD発症リスク因子として、小児期のトラウマの影響を検証するため、既存のエビデンスのレビューを行った。Borderline Personality Disorder and Emotion Dysregulation誌2020年1月6日号の報告。 文献検索には、PubMed、Science Direct、PsychInfoを用いた。疫学および臨床サンプルよりBPDとADHDとの関係および小児期のトラウマの影響に関する研究を選択した。 主な結果は以下のとおり。・検索条件に一致した研究は、4件のみであった。・すべての研究は、小児期のトラウマをレトロスペクティブに分析しており、ADHDの有無にかかわらず、BPD成人患者を最も頻繁に検討していた。・分析されたエビデンスは、小児期のトラウマ数と臨床的重症度の高さとの関連を示唆していた。・分析された研究のうち3件では、感情的および性的なトラウマを経験したADHD児において、成人期のBPD発症リスクの増加が認められた。 著者らは「ADHD児におけるトラウマイベント、とくに感情的なトラウマの経験は、成人期のBPD発症リスクの増加と関連する可能性が示唆された。しかし、このことをリスク因子と見なすには、縦断的研究のような、より多くの研究が必要とされる。これらの研究から得られたエビデンスは、両疾患に関連する機能障害を軽減するための早期介入プログラムを開発するうえで役立つかもしれない」としている。

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新型コロナウイルス肺炎、重症例の特徴と院内感染の実態/JAMA

 中国・武漢大学中南医院のDawei Wang氏らは、2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)肺炎(NCIP)の臨床的特徴(特に重症例)を明らかにするため、自院の入院患者138例について調査した。その結果、重症例では年齢が高く、高血圧や糖尿病といった併存疾患を有する割合が高く、呼吸困難や食欲不振を訴える患者が多かった。また、138例中57例(41.3%)で院内感染が疑われるという。JAMA誌オンライン版2020年2月7日号に掲載。 著者らは、2020年1月1~28日に同院で2019-nCoVが確認された全症例について後ろ向き調査を実施した。症例はRT-PCRで確認し、疫学的、人口統計学的、臨床的、放射線学的特徴および検査データを解析した。アウトカムは2020年2月3日まで追跡された。 主な結果は以下のとおり。・年齢中央値は56歳(22~92歳)で、75例(54.3%)が男性であった。・一般的症状として、発熱136例(98.6%)、倦怠感96例(69.6%)、から咳82例(59.4%)が報告された。・リンパ球減少症(リンパ球数:0.8×109/L[四分位範囲:0.6~1.1])が97例(70.3%)、プロトロンビン時間延長(13.0秒[同:12.3~13.7])が80例(58%)、LDH上昇(261U/L [同:182~403])が55例(39.9%)で認められた。・胸部CTは、全症例で両肺の斑状あるいはすりガラス状の陰影が認められた。・抗ウイルス薬治療(オセルタミビル)を124例(89.9%)が受け、抗菌薬治療を多くの患者が受けた(モキシフロキサシン:89例[64.4%]、セフトリアキソン:34例[24.6%]、アジスロマイシン:25例[18.1%])。また、グルココルチコイド療法を62例(44.9%)が受けた。・36例(26.1%)がICUに移された。理由は急性呼吸促迫症候群(ARDS)22例(61.1%)、不整脈16例(44.4%)、およびショック11例(30.6%)を含む合併症のため。・最初の症状から呼吸困難までの時間の中央値は5.0日、入院までは7.0日、ARDSまでは8.0日であった。・ICUで治療された患者(36例)は、ICUで治療されなかった患者(102例)と比較して、年齢が高く(中央値:66歳 vs.51歳)、併存疾患を有する割合が高かった(26例[72.2%] vs.38例[37.3%])。主な併存疾患は高血圧(21例[58.3%] vs.22例[21.6%])、糖尿病(8例[22.2%] vs.6例[5.9%])、心血管疾患(9例[25.0%] vs.11例[10.8%])など。また、呼吸困難(23例[63.9%] vs.20例[19.6%])、食欲不振(24例[66.7%] vs.1例[30.4%])が多くみられた。・ICUの36例のうち、4例(11.1%)が高流量酸素療法、15例(41.7%)が非侵襲的換気療法、17例(47.2%)が侵襲的換気療法を受けた(うち4例は体外式膜型人工肺に切り替え)。・2月3日時点で、47例(34.1%)が退院し、6例が死亡(全体の死亡率:4.3%)、残りの患者は入院中。・退院した患者47例において、入院期間の中央値は10日間であった(四分位範囲:7.0~14.0)。・57例(41.3%)が院内で感染したと推定され、その中にはすでに他の理由で入院していた17例の患者(12.3%)と40例の医療従事者(29%)が含まれる。・感染した患者のうち、7例は外科部門、5例は内科部門、5例は腫瘍科部門に入院していた。感染した医療従事者のうち、31例(77.5%)が一般病棟で、7例(17.5%)が救急部門で、2例(5%)がICUで勤務していた。

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トラスツズマブ エムタンシン既治療のHER2陽性転移乳がんに対するtrastuzumab deruxtecan(DESTINY-Breast01):単アームの第II相試験で奏効率は60.9%(解説:下村 昭彦 氏)-1184

 本試験は、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)既治療のHER2陽性乳がんにおけるtrastuzumab deruxtecan(DS-8201a, T-DXd)の有効性を検討した単アーム第II相試験である。主要評価項目である独立中央判定委員会による奏効率(objective response rate:ORR)は60.9%と非常に高い効果を示した。病勢制御率(disease control rate:DCR)は97.3%、6ヵ月以上の臨床的有用率(clinical benefit rate:CBR)は76.1%であった。 ご存じのように、2018年のASCOで第I相試験の拡大コホートの結果が発表され、HER2陽性乳がんにおいて奏効率が54.5%、病勢制御率が93.9%と非常に高い効果が報告され、治療効果が期待されていた薬剤の1つである。T-DXdは抗HER2抗体であるトラスツズマブにトポイソメラーゼ阻害剤であるexatecanの誘導体を結合した新しい抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate:ADC)製剤である。1抗体当たりおよそ8分子の殺細胞性薬剤が結合しており、高比率に結合されている。 HER2陽性転移乳がんの標準治療は、1次治療でペルツズマブ+トラスツズマブ+タキサン療法、2次治療でT-DM1が行われていることが多い。3次治療以降はトラスツズマブ+化学療法もしくはラパチニブ+化学療法などが行われることが多く、治療効果は限定的であった。こういった日本を含む世界の現状から、T-DXdは非常に期待されている薬剤であり、2019年12月には米国食品医薬品安全局による承認を受けている。国内でもすでに承認申請が行われており、早期の承認が待たれている。また、T-DXdは国内企業が開発しており、学会発表や論文の筆頭・共著に国内の研究者が多数参加していることが特徴である。 一方で注意も必要である。Grade3以上の有害事象は50%以上の症例で確認されている。血液毒性や悪心嘔吐が頻度の高い有害事象であるが、13.6%で薬剤性肺障害が報告されている(Grade3は1例のみ)。薬剤の特性として肺障害が起きやすいことは指摘されていたが、実際に投与された症例でも薬剤性肺障害の頻度が高いことが示されている。治療関連死のリスクもあるため、今後実臨床下で使用する際には十分薬物療法の経験を積んだ専門医が治療に関わる必要があるだろう。 現在、T-DM1後の症例を対象として抗HER2薬+化学療法と直接比較を行う第III相試験、T-DM1との直接比較を行う第III相試験が行われており、目を離せない薬剤である。

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ファンコニ貧血〔FA:Fanconi Anemia〕

1 疾患概要■ 概念・定義ファンコニ貧血(Fanconi Anemia:FA)は、染色体の不安定性を背景に、(1)進行性汎血球減少、(2)骨髄異形性症候群や白血病への移行、(3)身体奇形、(4)固型がんの合併を特徴とする遺伝病である。わが国の年間発生数は5〜10例で、出生100万人あたり5人前後である。臨床像としては、1)汎血球減少、2)皮膚の色素沈着、3)身体奇形、4)低身長、5)性腺機能不全を伴うが、その表現型は多様で、汎血球減少のみで、その他の臨床症状がみられないことや、汎血球減少が先行することなく、骨髄異形性症候群や白血病あるいは固型がんを初発症状とすることもある。それゆえ、臨床像のみで本疾患を確定診断するのは困難である。小児や青年期に発症した再生不良性貧血患者に対しては、全例に染色体脆弱試験を行い、FAを除外する必要がある。また、若年者において、頭頸部や食道、婦人科領域での扁平上皮がんや肝がんの発生がみられた場合や、骨髄異形性症候群や白血病の治療経過中に過度の薬剤や放射線に対する毒性がみられた場合にも、本疾患を疑い染色体脆弱試験を行う必要がある。 ■ 病因、病態FAは遺伝的に多様な疾患であり、現在までに、22の責任遺伝子が同定されている。わが国ではFANCA変異が全体の60%を占め、FANCG変異の25%がそれに続き、その他の変異は数%以下にすぎない。FANCD1、FANCJ、FANCNはそれぞれ家族性乳がん遺伝子のBRCA2、BRIP1、PALB2と同一であり、ヘテロ接合体はFAを発症しないが、家族性乳がん発症のリスクを持つ。遺伝形式は、FANCB、FANCRを除いて、常染色体劣勢遺伝形式を示す。FA蛋白質は、他のDNA損傷応答蛋白質と相互作用し、DNA二重鎖架橋を修復し、ゲノムの安定化を図っている。しかし、DNA修復障害と骨髄不全発症との関係は解明されていない。■ 臨床症状、合併症、予後FAの臨床像は、多様で種々の合併奇形を伴うが、まったく身体奇形がみられない場合も25%ほど存在する。色黒の肌、カフェオーレ斑のような皮膚の色素沈着、低身長、上肢の母指低形成、多指症などが最もよくみられる合併奇形である。国際ファンコニ貧血登録の調査によると10歳までに80%、40歳までに90%の患者は、再生不良性貧血を発症する。悪性腫瘍の合併も年齢とともに増加し、30歳までに20%、40歳までに30%の患者が骨髄異形性症候群や白血病に罹患する。同様に、40歳までに30%の患者は、頭頸部や食道、婦人科領域の扁平上皮がんなどの固型がんを発症する。発症10年、15年後の生存率は、それぞれ、85%、63%であった。わが国の小児血液・がん学会の統計では、移植を受けなかった30例の診断後10年生存率は63%であった。造血幹細胞移植を受けた患者は、非移植群と比較して、発がんのリスクが有意に高く、移植前治療としての放射線の照射歴や慢性GVHDの発症がリスク因子であった。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)FAを疑った場合には、図のように末梢血リンパ球を用いてマイトマイシンC(MMC)やジエポキシブタン(DEB)などのDNA架橋剤を添加した染色体断裂試験を行う。わが国においては検査会社でも実施可能である。また、FANCD2産物に対する抗体を用い、ウェスタンブロット法でモノユビキチン化を確認する方法もスクリーニング法として優れており、国内では名古屋大学小児科で実施している。上記のスクリーニング法では、リンパ球でリバージョンを起こした細胞が増殖している(体細胞モザイク)ために偽陰性例や判定困難例が生ずる。このときには100個あたりの染色体断裂総数だけでなく、染色体断裂数ごとの細胞数のヒストグラムが有用である。この場合の診断には、皮膚線維芽細胞を用いた染色体脆弱試験が必要となる。図 ファンコニ貧血を疑った場合の診断スキーム画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)FAには、免疫抑制療法の効果は期待できないが、蛋白同化ホルモンは、約半数の患者において有効である。しかし、男性化や肝障害などの副作用があり、造血幹細胞移植の成績の悪化を招くという報告もある。わが国で使用可能な蛋白同化ホルモン製剤としては、酢酸メテノロン(商品名:プリモボラン)のみである。現時点では、FAの患者にとって、造血幹細胞移植のみが唯一治癒の期待できる治療法である。通常の移植前処置で使用される放射線照射や大量シクロホスファミドの投与では移植関連毒性が強いので、従来は少量のシクロホスファミドと局所放射線照射の併用が標準的な前治療法として用いられてきた。しかし、非血縁者間骨髄移植や臍帯血移植は、拒絶や急性移植片対宿主病(GVHD)の頻度が高く、十分な治療成績は得られていなかった。しかし、最近になって、フルダラビンを含む前治療法が開発され、その予後は著明に改善がみられている。 最近、わが国から報告されたFAに対するHLA一致同胞あるいは代替ドナーからの移植成績は、2年全生存率がそれぞれ100%、96%に達している。4 今後の展望フルダラビンを含む前治療による造血幹細胞移植の開発により、造血能の回復は得られるようになったが、扁平上皮がんを中心とした2次がんのリスクが増大している。すでに、海外では遺伝子治療が実施されており、今後の発展が期待されている。5 主たる診療科小児科、血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター ファンコニ貧血(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働科学研究費補助金 特発性造血障害に関する調査研究班(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2020年02月10日

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第22回 カイ2乗検定とは? その2 期待度数とカイ2乗値【統計のそこが知りたい!】

第22回 カイ2乗検定とは?(その2) 期待度数とカイ2乗値前回(第21回)で解説したように、母集団における年齢層と有効・無効との関連性はカイ2乗検定で行います。それでは、順を追ってカイ2乗検定の説明をします。■データをクロス集計表にまとめる前回のクロス表を再掲します。表1は、ある新薬Xの有効性を、若年層(15~34歳)、中年層(35~64歳)、高齢層(65歳以上)別に調べた結果をまとめたクロス集計表です。表1 新薬Xの有効・無効の人数別と割合別■期待度数を求める表1のクロス集計表で、年齢層と有効・無効との関連がないのは、どのような場合かを考えてみましょう。それは表2のように、どの年齢層も全体(計)と同じ割合を示したときになります。表2 年齢層と有効性の関連このような割合となる人数は、各層の合計人数を用いて表3の計算によって求められます。表3 期待度数の計算求められた値を「期待度数」、元の人数を「実測度数」といいます。期待度数=縦計×横計÷総人数どの年齢層も同じになります。(表4)期待度数の縦%表の表5では、年齢層の割合も有効・無効で同じになります。表4 有効性の期待度数表5 年齢層別の期待度数■カイ2乗値を求めるクロス集計表の各セルの回答人数を「実測度数」といいます(表6)。実測度数が期待度数に近い値であれば関連性が弱く、かけ離れていれば関連性が強いと判断します。表6 実測度数と期待度数の比較表6の一致度を調べるために、個々のセルごとに次の計算をします。計算結果を表7に示します。表7 カイ2乗値の算出各セルの合計値は13.19となりました。この値を「カイ2乗値」といいます。この値が大きければ大きいほど、期待度数と元データが大きく異なっていることになります。期待度数は「もし関係がなかったら、きっとこうなるだろうという人数」のことでした。つまり、カイ2乗値が大きければ「年齢層と有効・無効には関係がありそうだ」とみなすことができるわけです。■p値による有意差判定カイ2乗値がいくらになれば「大きい」と判断できるのか、という基準は統計が定めた棄却限界値と比べることになります。クロス集計表のカテゴリー数によって自由度が異なることから、棄却限界値も異なる基準となりますが、今では簡単にp値に置き換える計算ができ、この事例の場合のp値は、0.0014となります。結果、この事例の場合は、p<0.05ですので、母集団においても年齢層と有効・無効とは関連があるといえることになりました。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション13 カイ2乗検定第4回 ギモンを解決!一問一答質問24 カイ2乗検定とは?

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法に反し、薬剤師以外の者に調剤させた薬局【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第17回

先日、大阪府が府内の薬局開設者に対して、業務改善を命じたと発表されました。事案の概要は以下のとおりです。当該薬局において、薬局の開設者及び管理者である徳野吉輝が薬剤師以外の者に対し、散剤の医薬品の直接計量、混合の調剤を行わせていた。当該行為に対しては、薬剤師が途中で確認を行っていたものの、健康被害の発生が否定できないことから、業務改善を命じた。※引用:薬局開設者に対する改善命令について(大阪府 報道発表資料)ご存じのとおり、昨年示された「調剤業務のあり方について」(薬生総発0402第1号平成31年4月2日厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長)を機に、調剤に関する業務に薬剤師以外の者の関わりが増え、今後の業務について検討している薬局も多いと思います。そのようなタイミングでの今回の処分に対し、驚きましたし、残念にも思います。違反として、0402通知に明記されている行為今回の事案がどのような経緯だったのかはわかりませんが、前記通知においては、「薬剤師以外の者が軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為は、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても、引き続き、薬剤師法第19条に違反すること。」と明記されており、このような処分はやむを得ないと考えられます。本通知については、これまでも述べてきたとおり、これによって薬剤師以外の者の活用が可能となったわけではありません(実際にこれまでも行っていた薬局もありました)。これまではっきりしていなかった行政の法解釈が示され、薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の基本的な考え方について整理したものです。ここに記載のない業務は行えないという趣旨ではありませんが、行政の見解が示された以上、少なくともこの通知の内容に従って業務を実施する必要があります。今回のように、散剤の直接計量や混合を薬剤師以外の者が行うことは、明確に否定されていますので、これに反することは言うまでもありません。薬剤師以外による取り揃えも要件を充足する必要があるもちろん、錠剤などの取り揃えであっても、通知の示す要件などを充足した運用をする必要があります。これらの要件などを無視して、単に薬剤師以外の者による取り揃えが可能となったと解釈して、やみくもに運用することは問題があります。なお、業務改善命令の内容は以下のとおりです。調剤を行うために必要な体制の確保(薬剤師の確保)保健衛生上支障が生ずるおそれがないよう、法令遵守体制を整備する観点から、調剤及び薬剤師以外の者の業務の実施に係る手順書の整備薬局に従事する薬剤師等に対する法令遵守及び上記手順書内容を含む研修の実施薬剤師以外の者が調剤した医薬品による健康被害がないことの確認通知に記載のある薬剤師以外の者への研修だけでなく、薬剤師などに対しても、研修の実施を命じています。今回の事例は、薬局の運用を検討する際には、当然ながら通知の内容を必ず確認し、通知に沿った運用をしなければいけないことを、あらためて実感する出来事でした。この通知による業界への影響が大きいからこそ、よりそう感じたようにも思います。参考資料1)薬局開設者に対する改善命令について(大阪府 報道発表資料)2)調剤業務のあり方について(薬生総発0402第1号平成31年4月2日厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長)

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先生方から寄せられたおすすめリンク集

おさえておきたい情報Gene Reviews Japan日本先天代謝異常学会難病情報センターMinds ガイドライン ライブラリ※サイト名 「Mindsガイドラインライブラリ」※運営者 「公益財団法人日本医療機能評価機構」日本難病・疾病団体協議会小児慢性特定疾病情報センター国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター小児慢性特定疾病情報センター国立循環器病研究センターNORD Rare Disease Video Libraryお役立ち情報福岡みらい病院 無動とすくみ足(パーキンソン病のウエアリングオフ)難病・希少疾患動画シリーズ【クラッベ病】生まれた弟が難病…確実に死ぬ運命から救った兄貴…【魚の鱗病】生まれた時から皮膚がない…「悪魔の子」と呼ばれる難病ポンペ病患者と家族のメッセージ動画長崎北病院パーキンソン病体操ふじのくに 難病患者さんのためのガイドブック&動画

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化学療法誘発性悪心・嘔吐にオランザピン5mgは有効か(J-FORCE)/Lancet Oncol

 オランザピンは、化学療法誘発性悪心・嘔吐にアプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾンの3剤からなる標準制吐療法への追加が推奨されるが、その用量は10mgである。オランザピン5mgは、複数の第II相試験で10mgと同等の活性と良好な安全性プロファイルが示されている。国立がん研究センター中央病院の橋本 浩伸氏らは、シスプラチンベース化学療法による悪心・嘔吐の予防における、オランザピン5mg追加の有効性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相J-FORCE試験を実施した。Lancet Oncology誌オンライン版2019年12月11日号掲載の報告。 J-FORCE試験は国内26施設で行われた。対象は、シスプラチン(50mg/m2以上)の初回治療を受ける、造血器悪性腫瘍を除く悪性腫瘍患者。年齢は20~75歳。ECOG PSは0〜2。対象患者は、アプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾンに加え、オランザピン5mg/日またはプラセボを投与する群に1対1に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、完全奏効(遅延期[24~120時間]において嘔吐がなく、レスキュー薬を使用しない)患者の割合とした。 主な結果は以下のとおり。・2017年2月9日~2018年7月13日に、710例の患者が登録された。・356例がオランザピン5mg群に、354例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。・完全奏効患者の割合は、オランザピン5mg群79%(354例中280例)、プラセボ群66%(351例中231例)と、オランザピン5mg群で有意に多かった(p<0.0001)。・オランザピン群で、治療に関連したGrade3の便秘、Grade3の傾眠がそれぞれ1例に発現した。 筆者らは、「標準制吐療法であるアプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾンへのオランザピン5mgの追加は、シスプラチンベース化学療法患者の新たな標準制吐療法となりうる」と述べている。

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ベンゾジアゼピンやZ薬と認知症リスク

 高齢化とともに、ベンゾジアゼピン(BZD)やZ薬の使用は大幅に増加する。しかし、BZDやZ薬は、認知症発症リスクに対する懸念事項となっている。台湾・国立陽明大学のLi-Yen Tseng氏らは、BZDやZ薬の半減期や併用を考慮し、その後の認知症発症リスクを評価するためコホート研究を実施した。Neurotherapeutics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。 対象は、台湾の全民健康保険研究データベースより抽出した、2003~12年に経口BZDまたはZ薬を新規で処方された65歳以上の高齢者。すべてのBZDは、さらなる比較を行うため、長時間作用型(20時間以上)または短時間作用型(20時間未満)に分類した。データは四半期ごとに集計した。薬剤の処方開始日から、死亡、認知症発症またはフォローアップ期間終了(2012年12月31日)のいずれか早いものまでを集計期間とした。フォローアップ期間中に発生した、血管性認知症を除くすべての認知症イベントを特定した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、26万502例。・短時間作用型BZD(調整オッズ比[aOR]:1.98、95%信頼区間[CI]:1.89~2.07)およびZ薬(aOR:1.79、95%CI:1.68~1.91)の使用患者は、長時間作用型BZD(aOR:1.47、95%CI:1.37~1.58)の使用患者よりも認知症リスクが高かった。・BZDまたはZ薬を2つ以上併用した患者は、これらの薬剤の単剤使用患者よりも認知症リスクが高かった(aOR:4.79、95%CI:3.95~5.81)。 著者らは「BZDやZ薬の使用は、認知症発症リスクを増加させる。とくに、短時間作用型BZD、Z薬および併用は注意が必要である。これらの結果を明確にするためにも、さらなる介入研究が求められる」としている。

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低用量アスピリン、早産と周産期死亡を抑制/Lancet

 低~中間所得国の未経産妊婦では、妊娠早期(6週0日~13週6日)に低用量アスピリンを投与することで、妊娠37週未満と34週未満の早産および胎児の周産期死亡の発生が改善されることが、米国・Christiana CareのMatthew K. Hoffman氏らが行った二重盲検プラセボ対照無作為化試験「ASPIRIN試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年1月25日号に掲載された。低~中間所得国では、早産は新生児死亡の原因として頻度が高い状態が続き、その負担は過度に大きいという。低用量アスピリンの妊娠高血圧腎症の予防に関するメタ解析により、とくに妊娠16週未満の時期に投与を開始すると早産の発生が低下する可能性が示唆されている。6つの低~中間所得国の無作為化試験 本研究は、6ヵ国(インド、コンゴ、グアテマラ、ケニア、パキスタン、ザンビア)の7施設が参加し、2016年3月23日~2018年6月30日の期間に患者登録が行われた(米国Eunice Kennedy Shriver国立小児保健発達研究所[NICHD]の助成による)。 対象は、18~40歳(コンゴ、ケニア、ザンビアは倫理審査委員会の許可があれば≧14歳の未成年者を含めた)の未経産の単胎妊娠女性であった。 被験者は、妊娠6週0日~13週6日の期間に、低用量アスピリン(81mg/日)またはプラセボの錠剤を投与される群に無作為に割り付けられた。妊娠36週7日または分娩まで、研究者、医療従事者、患者には治療割り付け情報がマスクされた。 主要アウトカムは、早産(妊娠≧20週0日~<37週0日の分娩数)の発生とした。早産11%、34週未満の早産25%、周産期死亡14%のリスク低減 1万1,976例(低用量アスピリン群5,990例、プラセボ群5,986例)の妊婦が登録され、1万1,544例(5,780例、5,764例)が主要アウトカムの解析に含まれた。>29歳は全体の2.2%であり、ベースラインの患者背景や国別の患者の割合は両群でほぼ同様であった。アドヒアランス(服薬順守率90%以上の患者の割合)は、低用量アスピリン群85.3%、プラセボ群84.4%であり、両群とも高かった。 妊娠37週未満の早産の割合は、低用量アスピリン群が11.6%(668/5,780例)と、プラセボ群の13.1%(754/5,764例)に比べ有意に低かった(リスク比[RR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.81~0.98、p=0.012)。 胎児の副次アウトカムのうち、周産期死亡(周産期[妊娠20週~産後7日以内]の死亡、1,000出産当たりの死亡数:45.7件vs.53.6件、RR:0.86、95%CI:0.73~1.00、p=0.048)、胎児消失(fetal loss、妊娠16~20週の死産と妊娠20週~産後7日以内の周産期死亡、1,000妊娠当たりの死亡数:52.1件vs.60.8件、0.86、0.74~1.00、p=0.039)、妊娠34週未満の早産(3.3% vs.4.0%、0.75、0.61~0.93、p=0.039)の割合は、いずれも低用量アスピリン群で有意に良好であった。 また、母親の副次アウトカムでは、高血圧性疾患(妊娠高血圧腎症、子癇、妊娠高血圧)を有する妊娠34週未満の早産(0.1% vs.0.4%、0.38、0.17~0.85、p=0.015)が、低用量アスピリン群で有意に良好だった。その他の副次アウトカムの発生は両群間で類似していた。 1つ以上の重篤な有害事象を発症した患者の割合(低用量アスピリン群14.0% vs.プラセボ群14.4%、p=0.568)には、両群間で差は認められなかった。母親の出血性合併症(分娩前の出血[0.6% vs.0.6%、p=0.815]、分娩後の出血[0.8% vs.0.7%、p=0.481]、上部消化管出血[0.1% vs.<0.1%、p=0.216])や、貧血(0.4% vs.0.4%、p=0.893)の発生にも差はみられなかった。また、母親の死亡(0.2% vs.0.2%、p=0.514)および新生児の生後28日以内の死亡(2.7% vs.3.2%、p=0.138)の頻度にも差はなかった。 著者は、「これらの知見は、既報のメタ解析の結果と一致する。今回の試験はサンプルサイズが大きいため、さまざまな低~中間所得国の多様な女性集団で、利益を明確に示すことができた」とし、「アスピリンは低コストで忍容性も高く、われわれのレジメンは世界のさまざまな臨床現場で容易かつ安全に導入が可能と示唆される」と指摘している。

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自然気胸の保存的治療、介入に劣らない/NEJM

 原発性自然気胸への保存的治療の有効性は、介入的治療に対し非劣性であり、重篤な有害事象のリスクはより低いことが、西オーストラリア大学のSimon G A Brown氏らが行った非盲検無作為化非劣性試験「PSP試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年1月30日号に掲載された。原発性自然気胸の治療では介入的なドレナージが行われることが多く、手術的介入へ進む場合もあるが、胸腔チューブ挿入には痛みが伴い、臓器損傷や出血、感染を引き起こす可能性がある。また、入院を要することも多く、手術には合併症や医療費の問題が伴う。一方、自然気胸への保存的治療を支持するコホート研究のエビデンスはあるが、介入的治療と比較した無作為化対照比較試験のデータはないという。自然気胸の介入的治療と保存的治療を再膨張で評価 本研究は、原発性自然気胸の治療において、保存的治療が介入的治療の許容可能な代替治療となるかを検証した試験で、オーストラリアとニュージーランドの39施設の参加の下、2011年7月~2017年3月の期間に患者登録が行われた(救急医療財団などの助成による)。 対象は、年齢14~50歳、合併症がなく、初めて診断された中等度~高度の片側性(肺の一方)の原発性自然気胸(Collins法で胸部X線画像上の32%以上)の患者であった。 被験者は、ただちに胸腔チューブを用いて気胸への介入を行う群(介入群)、または保存的に経過観察を行う群(保存的治療群)に無作為に割り付けられ、12ヵ月間の追跡が実施された。 主要アウトカムは、治療医の判定による8週間以内の肺の再膨張(胸部X線画像)とした。自然気胸の保存的治療の有用性に中等度のエビデンス 自然気胸患者316例が無作為化の対象となり、保存的治療群に162例(平均年齢26.1±8.7歳、男性87.7%)、介入群には154例(26.4±8.7歳、84.4%)が割り付けられた。 保存的治療群では、137例(84.6%)は介入を受けなかったが、25例(15.4%)がプロトコールで事前に規定された理由により気胸の治療のための介入を受けた。介入群では、10例(6.5%)がすべての介入を断り、これらの患者は保存的に治療された。8週目の評価が、56~63日に行われた患者が16例(保存的治療群11例、介入群5例)、9週目以降となった患者が6例(5例、1例)認められた。 データが得られなかった保存的治療群37例と介入群23例を欠測値として扱い、完全ケース分析を行ったところ、8週間以内に再膨張が達成されたのは、保存的治療群が125例中118例(94.4%)、介入群は131例中129例(98.5%)であり(リスク差:-4.1ポイント、95%信頼区間[CI]:-8.6~0.5、非劣性のp=0.02)、95%CIの下限値は事前に規定された非劣性マージン(-9ポイント)の範囲内であったため、保存的治療群の介入群に対する非劣性が示された。 感度分析では、8週目の評価を63日まで延長すると、再膨張は保存的治療群が136例中129例(94.9%)、介入群は136例中134例(98.5%)で達成され、非劣性は維持されていた(リスク差:-3.7ポイント、95%CI:-7.9~0.6)。一方、56日以降のすべての欠測データを治療失敗として補完して感度分析を行ったところ、再膨張が達成されたのは、保存的治療群が143例中118例(82.5%)、介入群は138例中129例(93.5%)であり(リスク差:-11.0ポイント、95%CI:-18.4~-3.5)、95%CIの下限値は非劣性マージンの範囲を超えていた。 X線画像所見で効果が得られるまでの期間中央値は、保存的治療群が30日(IQR:25~54)、介入群は16日(12~26)であった(ハザード比[HR]:0.49、95%CI:0.39~0.63)。また、8週目までに症状が完全に消失した患者は、保存的治療群が147例中139例(94.6%)、介入群は137例中128例(93.4%)であり(リスク差:1.1ポイント、95%CI:-4.4~6.7)、症状消失までの期間中央値はそれぞれ14.0日(95%CI:12~19)および15.5日(12~23)であった(HR:1.11、95%CI:0.88~1.40)。 有害事象は、保存的治療群が13例に16件、介入群は41例に49件認められた。保存的治療群は介入群に比べ、重篤な有害事象(3.7% vs.12.3%、相対リスク:3.30、95%CI:1.37~8.10)や12ヵ月以内の気胸再発(8.8% vs.16.8%、1.90、1.03~3.52)のリスクが低かった。 著者は、「主要アウトカムは、欠測データに関する慎重な仮定について統計学的に頑健ではなかったものの、原発性自然気胸の保存的治療の有用性に関して中等度のエビデンスがもたらされた」としている。

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新型コロナウイルス、国内3症例の経過と得られた示唆

 2月7日、日本感染症学会・日本環境感染学会は「新型コロナウイルス2019-nCoVへの対応について」と題し、学会員に向けた緊急セミナーを開催した(司会は日本感染症学会理事長 館田 一博氏、日本環境感染学会理事長 吉田 正樹氏)。 この中で、大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター センター長)は、「新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症 臨床・感染防止対策」とのテーマで、これまで同センターが診療した3症例の紹介と、そこから得た知見を紹介した。1例目33歳女性・主訴:咽頭痛、倦怠感 1月19日に武漢のホテルに1泊し、20日に来日。23日に咽頭痛出現。24日に1回目の受診。インフルエンザ迅速検査は陰性。初診時の診断は上気道炎。発熱が改善せず、27日に2回目の受診。胸部レントゲンで肺野に浸潤影を確認できず、2019-nCoV感染は否定的と判断。30日に3回目の受診。胸部レントゲンでは両側下葉にスリガラス影と浸潤影の出現があり即日入院。その後2019-nCoV感染が確定。2例目54歳男性・主訴:咽頭痛、鼻汁 2018 年 5 月から武漢に滞在中の日本人。2020 年1月27日から咽頭痛と鼻汁が出現。帰国した29日の飛行機内で軽度の悪寒が出現し、37.1℃の発熱と上気道症状が見られた。30日に2019-nCoV感染が判明、胸部レントゲン検査および胸部CT検査を行うがいずれも肺炎を示唆するような陰影なし。急性上気道炎と診断し、入院継続と経過観察。第6病日まで37℃台の発熱と倦怠感は継続、呼吸状態の悪化はなし。3例目41歳男性・主訴:発熱、咳嗽 2019年12月20日から武漢に仕事で滞在中の日本人、以前も何度も滞在歴がある。帰国した2020年1月31日から38℃の発熱と軽微な咳嗽が出現。発熱と上気道症状あり。2月1日2019-nCoV感染が判明。胸部CT検査で左肺突部と左肺舌区に一部浸潤影を伴うスリガラス影があり肺炎と診断。3日時点で37℃台の発熱はあるが呼吸状態の悪化はなし。※3症例の詳細や胸部レントゲン・CT画像を日本感染症学会サイトに掲載。最初の1週間は風邪との区別は困難、その後の経過を観察 3症例の病状と現在までの経緯を紹介したのち、大曲氏は「現時点において、論文などで紹介される2019-nCoV感染症患者の症状は、中国国内の重症患者から得たものが大半。日本国内でヒト-ヒト感染が広まって受診者が増加した場合、その多くを占めるであろう軽症患者の症状として、今回の3例を参考にしてほしい」と述べた。 軽症患者の臨床的特性としては、「症例数がまだ限られ、現時点で断定的なことは述べるには早すぎる」と断ったうえで、「私たちが診療した例に限れば、最初の1週間は軽い感冒とほぼ同じ症状で、微熱と倦怠感が主訴となり、この時点で2019-nCoV感染の診断は困難。そのまま良くなるケースもあれば、1週間経過時に呼吸苦を訴え、肺炎と診断されたケースもあった」と説明。「感冒様症状が1週間ほど続き、かつ患者の倦怠感が強い点は、通常の感冒やインフルエンザと経過とは明らかに異なるため、臨床的に疑うカギとなるかもしれない」とした。 さらに、中国から報告される症例は重症例が多く、軽症例が報告から漏れている可能性がある点に注目。中国以外の報告例には軽症例が多く、中国国内でも実際には軽症から重症まで幅広く発症していると考えられるため、軽症患者の臨床的特徴を検証する必要性があること、軽症者を母数に加えることで現在報じられている2019-nCoVの致死率が下がる可能性があることを指摘した。 加えて、今回の3例の患者は30~50代であり、「国内で高齢者が罹患した場合のデータはまだない。中国の例を見る限り高齢者は重篤化する危険が高いため、その点も注視したい」とした。 本セミナーの動画は後日、日本感染症学会のYou Tubeチャンネルで公開予定。

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Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 医療関連感染症編

第1回 医療関連感染症診療の原則と基本第2回 カテーテル関連血流感染症第3回 カテーテル関連尿路感染症第4回 院内肺炎第5回 手術部位感染第6回 クロストリジウム・ディフィシル感染症第7回 免疫不全と感染症第8回 発熱性好中球減少症第9回 細胞性免疫不全と呼吸器感染 あの医療者必携のベストセラー書籍「感染症プラチナマニュアル」のレクチャー版!岡秀昭氏による大人気番組「感染症プラチナレクチャー」の第2弾は医療関連感染症編です。医療関連感染症は、どの施設でも避けることのできない感染症であり、その対策にはすべての医療者が取り組まなくてはなりません。この番組では、医療関連感染症診療の原則と、その診断・治療・予防について臨床の現場で必要なポイントに絞って岡秀昭氏が解説していきます。2019年4月の診療報酬改定で、抗菌薬適正使用を推進するため、入院患者を対象とした「抗菌薬適正使用支援加算」が新設されています。その中心を担うAST(抗菌薬適正使用推進チーム)やICTはもちろん、その他の医療者の教育ツールとしてもご活用ください。さあ、ぜひ「感染症プラチナマニュアル2019」を片手に本番組をご覧ください。※書籍「感染症プラチナマニュアル」はメディカル・サイエンス・インターナショナルより刊行されています。該当書籍は以下でご確認ください。amazon購入リンクはこちら ↓【感染症プラチナマニュアル2019】第1回 医療関連感染症診療の原則と基本初回は、医療関連感染症診療の原則と基本について解説します。基本的に原則は市中感染症編と“いっしょ”です。この番組を見る前にDr.岡の感染症プラチナレクチャー市中感染症編 第1回「感染症診療の8大原則」をご覧いただくとより理解が深まります。ぜひご覧ください。入院患者の感染症は鑑別診断が限られるため、一つひとつ確認しながら進めていけば、診断は比較的容易です。まずは、その鑑別診断について、考えていきましょう。第2回 カテーテル関連血流感染症今回のテーマはカテーテル関連血流感染症(CRBSI:catheter related blood stream infection)です。重要なことは、医療関連感染のCRBSIは「カテーテル感染」ではなく、「血流感染」であるということです。そのことをしっかりと頭に入れておきましょう。番組では、CRBSIの定義、診断、治療そして予防について詳しく解説します。第3回 カテーテル関連尿路感染症今回のテーマはカテーテル関連尿路感染症(CAUTI:Catheter-associated Urinary Tract Infection)です。院内感染が疑われた患者さんに膿尿・細菌尿がみられたら尿路感染症と診断していませんか?とくに医療関連感染で起こる尿路感染症は、特異的な症状を呈さないことも多く、Dr.岡でさえ、悩みながら、自問しながら、診断する大変難しい感染症です。その感染症にどう立ち向かうか!明快なレクチャーでしっかりと確認してください。第4回 院内肺炎今回のテーマは院内肺炎(HAP:hospital-acquired pneumonia)です。医療関連感染である院内肺炎は診断が非常に難しく、また、死亡率が高く、予後の悪い疾患です。その中で、どのように診断をつけ、治療を行っていくのか、診断の指針と治療戦略を明快かつ、詳細に解説します。また、医療ケア関連肺炎(HCAP:Healthcare-associated pneumonia)に関するDr.岡の考えについてもご説明します。第5回 手術部位感染今回のテーマは手術部位感染(SSI:Surgical Site Infection)です。手術部位感染の診断は簡単でしょうか?確かに、手術創の感染であれば、見た目ですぐに感染を判断することができますが、実は「深い」感染はかなり診断が難しく、手術部位や手術の種類によって対応も異なります。もちろん、手術を行った科の医師が対応すべきことですが、基本的なことについて理解しておきましょう。第6回 クロストリジウム・ディフィシル感染症今回はクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI:Clostridium Difficile Infection)です。院内発症の感染性腸炎はほとんどがCDIであり、それ以外だと非感染性(薬剤、経管栄養など)になります。CDIの診断と抗菌薬治療、そして感染予防について、明快にレクチャーします。とくに抗菌薬選択に関しては、アメリカのガイドラインだけに頼らない、岡秀昭先生の経験を基にした臨床での対応方法をお教えします。第7回 免疫不全と感染症免疫不全だからといって、ひとくくりにして、一律に広域抗菌薬を開始したり、やみくもにβ-Dグルカンやアスペルギルス抗原をリスクのない患者で測定するようなプラクティスをしていませんか?本当に重要なのは、まずは、どのような免疫不全かを判断すること。そのうえで、起こりうる病態、病原微生物を考えていきましょう。第8回 発熱性好中球減少症今回は発熱性好中球減少症(FN: Febrile Neutropenia)についてです。発熱性好中球減少症は診断名ではなく、好中球が減少しているときにおこる発熱の状態のことです。白血病やがんの化学療法中に起こることがほとんどです。FNは感染症エマージェンシーの疾患ですので、原因微生物や、臓器を特定できなくても、経験的治療を開始します。どの抗菌薬で治療を開始すべきか、またどのように診断をつけていくのか、治療効果の判断は?そして、また、その治療過程についてなど、岡秀昭先生の経験を交え、詳しく解説します。第9回 細胞性免疫不全と呼吸器感染最終回!今回は細胞性免疫不全者の呼吸器感染(肺炎)について、解説します。細胞性免疫不全者の呼吸器感染は、多様な微生物が原因となりうるため、安易に経験的治療を行わず、まずは微生物のターゲットを絞ることが重要となります。番組では、原因となる微生物の分類、そして、臨床像やCT画像で微生物を鑑別するポイントや、必要となる検査など、臨床で必要となる知識をぎゅっとまとめて、しっかりとお教えします。

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新型コロナウイルス肺炎41例の臨床的特徴(解説:小金丸博氏)-1186

オリジナルニュース新型コロナウイルス、感染患者の臨床的特徴とは?/Lancet(2020/01/28掲載)論文に対するコメント: 2019年12月に中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(2019-nCoV)による感染症が世界中に拡大しつつあり、本稿執筆時点(2020年2月4日)で確定患者は2万人を超え、そのうち約400人が死亡したと報告されている。そんな中Lancet誌オンライン版(2020年1月24日号)より、2020年1月2日までに新型コロナウイルス肺炎で入院となった41例の患者背景、臨床症状、臨床経過、放射線画像検査の特徴などが報告された。結果の概要は以下のとおりだが、今回の報告は肺炎を発症し入院となった重症患者のまとめであり、自然軽快する軽症例は含まれていないことに留意しながら結果を解釈する必要がある。患者背景: 患者の73%が男性で、年齢の中央値は49.0歳(四分位範囲:41.0~58.0)だった。32%が何らかの基礎疾患(糖尿病、高血圧、心血管疾患など)を有していた。66%が感染源と推測されている華南海鮮市場と何らかの接点があった。男性が多い理由としては、海鮮市場の関係者が多く含まれていることが要因と思われる。臨床症状: 頻度の高い症状は、37.3℃以上の発熱(98%)、咳嗽(76%)、呼吸困難(55%)、筋肉痛または疲労感(44%)だった。ウイルス性肺炎であるためか喀痰は28%とそれほど多くなかった。下痢などの消化器症状の報告は少なく、鼻汁、咽頭痛などの上気道症状をほとんど認めなかったことも特徴的である。臨床経過: 重症例では、発症から約1週間で入院、8日目ごろに呼吸困難が出現、9日目ごろに急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を合併し、10日目以降に集中治療室(ICU)へ入室するという経過をたどった。合併症としてARDS(29%)、急性心障害(12%)、2次感染(10%)などを認めた。32%がICUへ入室し、15%が死亡した。軽症例を含めれば、合併症発生率や致死率は低下することが予想される。放射線画像所見: 胸部CT画像では、98%で両肺野に浸潤影を認め、非ICU入室患者ではスリガラス影が典型的な所見だった。治療: 全例に抗菌薬の投与、93%に抗ウイルス薬(オセルタミビル)の投与、22%に全身ステロイド投与が行われた。ステロイドの有用性については、さらなる症例の集積が必要である。また、新型コロナウイルス感染症に対して、抗HIV薬であるロピナビルとリトナビルの併用療法の有用性を検討するランダム化比較試験が開始されている。 本論文は、新型コロナウイルス肺炎の臨床的特徴を初めて記載したものである。今後さらに症例を蓄積していくことで、軽症例や無症候例の存在、伝染性、正確な致死率などが判明していくと思われる。 コロナウイルスはいわゆる「風邪」の原因ウイルスであるが、ヒトに対して強い病原性を示したSARSやMERSの原因ウイルスでもある。今までの報告からはSARSやMERSほど致命率は高くないと考えられるものの、まだ明らかとなっていないことが多く、今後の動向を注視したい。医療従事者への院内感染事例も報告されており、手指衛生や咳エチケットなどの標準予防策に加え、適切な経路別予防策の実施を心掛けたい。

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乳房温存術後の早期乳がん患者に対して加速乳房部分照射(APBI)は勧められるか?-RAPID試験の結果から(解説:岩瀬俊明氏)-1182

 加速乳房部分照射(Accelerated Partial Breast Irradiation:APBI)とは、乳房温存術後の乳房内再発の約70%以上の症例が切除後の腫瘍床周囲から発生することから、全乳房照射(Whole Breast Irradiation:WBI)の代わりに腫瘍床のみに部分照射を行う方法である。 メリットとしては1.線量を増加して短期間に照射を終えられる2.照射野を縮小することで有害事象を軽減できる3.短期間の治療により治療費を軽減できる(小線源治療を除く) デメリットとしては1.小線源治療や術中照射を選択した場合、手技の煩雑さや治療を受けられる施設が限られる2.長期的な有害事象、局所再発率や生存率が不明などが挙げられる。 現在乳がん診療ガイドラインでは“APBIは長期のエビデンスがまだ十分でなく、行わないことを弱く推奨する”とされている。一方で臨床の場では仕事または家族のケアのためにスケジュールを調整しながら放射線治療に通わなければならない乳がん患者は多く、APBIの潜在的な需要は大きい。 RAPID試験は乳房温存術後の2,135例の早期乳がん患者において乳房内再発(Ipsilateral Breast Tumor Recurrence:IBTR)を1次アウトカムに設定し、APBI後のIBTRがWBIに対して劣らない、という仮説に基づいたランダム化第III相非劣性試験である。非劣性マージンはハザード比の90%信頼区間の上限の2.02に設定された。結果としてAPBI群のハザード比は1.27(90%信頼区間:0.84~1.91)と非劣性が示され、2次アウトカムであるdisease-free survival、 event-free survival、overall survivalも両群で有意な差を認めなかった。一方で、APBI群では晩期有害事象の増加や整容性の低下が認められた。 本試験のポイントは以下のとおりである。1.対象が腫瘍径<3cm、リンパ節転移陰性、小葉がんは除外など、再発リスクが低い症例だった2.APBIは三次元外照射のみを用いた(総線量38.5Gyを10分割し、2回/日)3.晩期有害事象は乳房硬化と毛細血管拡張が多かった4.APBI後7年目の整容性の評価では、WBI群(15%)に対して約2倍のAPBI群の患者(31%)が整容性をFairまたはPoorと評価していた 本試験で示されたのは、APBI後のIBTRはWBIに劣らないものの、短縮治療のベネフィットは晩期有害事象と整容性に対してトレードオフの関係にある、ということであろう。今回長期予後が得られたことで、晩期有害事象と整容性の低下を許容できるならば、本邦でも再発低リスク乳がん患者に対して三次元外照射によるAPBIが治療の選択肢になる可能性はある。ただ、本試験にアジア人は1~2%しか参加しておらず、欧米人との体格の違いによるアウトカムへの影響は不明である。また試験デザインは異なるものの、NSABP B-39/RTOG 0413ではAPBIのWBIに対する同等性は示されなかった(別コラムを参照)。 現在整容性と晩期有害事象の改善を目的に、1回/日の三次元外照射を用いた試験が進行中である。今後も日本人に最適なAPBIの方法を臨床試験の枠内で検討していくことが望まれる。

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