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COVID-19、PCR検査検体採取の実際/日本臨床微生物学会

 2020年3月5日、日本臨床微生物学会は「COVID-19緊急Webセミナー」を行った(司会は舘田 一博氏[東邦大学医学部 微生物・感染症学講座 教授]・大塚 喜人氏[亀田総合病院 臨床検査部 部長])。 Web配信形式で行われた本セミナーは、臨床検査に関わる医療従事者(医師、臨床検査技師、看護師等)を対象として、PCR検査の検体採取時の注意点、保管・輸送方法、検査結果の解釈等について周知を図る目的で開催された(準備ができ次第、 学会サイトで動画公開予定)。 最初に、細川 直登氏(亀田総合病院感染症科 部長)が「診断に必要な検査と検体採取時の注意点」について発表を行い、COVID-19の下記の基本事項を確認した。・初期症状は、一般の感冒症状と区別がつかない・潜伏期は2~14日と推測(米疾病対策センター[CDC]データによる)・潜伏期にも感染性がある・無症状病原体保有者も存在・発症後1週間程度で、呼吸困難を発症する症例に注意(胸部単純レントゲンで浸潤影が見られない肺炎が多い) そのうえで、細川氏は「COVID-19疑いの確度を上げるには胸部CTが有効。これまでに発表された論文によると両肺の胸膜側にすりガラス影が出ることが特徴的で、問診とCTで疑い患者を絞り込むことが大切だ」と強調した。鼻腔からの上気道検体採取が現実的 PCR検査の検体には上気道検体と下気道検体がある。・上気道検体-鼻咽腔スワブ…咽頭スワブよりも感度が高い。-咽頭スワブ…鼻咽腔スワブができない場合に実施。・下気道検体-喀痰…乾性咳嗽が多く、そもそも出ないことが多い。-気管支肺胞洗浄(BAL)…感染リスクがあり、ほとんど行われていない。 この状況を踏まえ、「現段階では鼻咽腔から採取することが多いと考えられる」(細川氏)。【検体採取時の注意点】 検体採取は感染防止手技のトレーニングを受けたものが行うことが原則となる。・スワブは「ウイルス培養用」を使う(「細菌培養用」は不可)。 ・検体採取前に患者情報(氏名・年齢・性別・検体種別)を記入する。 ・鼻咽腔検体採取の場合…鼻腔に対してまっすぐに挿入。咽頭後壁にあたった状態で5秒間待つ。・ラインを目安に綿棒を試験管のフチで折る(折った後の検体側を手で触れないように注意する)。キャップをして完了。 細川氏は「厚労省通知にある発熱等の要件は『PCR検査をしなければならない基準』ではない。臨床経過が合致し、CTで肺炎を疑う症例にはPCR検査を行い、検査結果と患者の状況が矛盾するときはほかの鑑別を検索し、それが否定されたときPCR再検査を選択する、という流れになるだろう。当院でも、すりガラス影が出た患者のPCR検査結果が陰性で、その後に心不全だったことがわかった、という症例を経験した」と述べた。採取後の保管・搬送時にも注意 続いて、三澤 成毅氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院 臨床検査技師長)が「臨床検体の取り扱いと各検査時の対応」を発表した。【検体採取後の注意点】・検体採取後の環境は0.1%次亜塩素酸ナトリウムで浸したペーパータオルで拭き取る。・使用済み器材やPPEはビニール袋に入れ、感染性産廃用ボックスに廃棄する。・採取後の検体は診療エリアに保管せず、臨床検査部門へ提出する(提出できない場合は、汚染物専用保冷庫を準備)【検体搬送時の注意点】・検体は3重包装(一次容器:検体容器、二次容器:密閉できるプラスチック袋[吸収剤を入れる]、三次容器:プラスチック製の堅牢な容器)・容器には、新型コロナウイルス感染症疑い患者の検体であることを明示し、ほかの医療スタッフが認識できるようにする。・新型コロナウイルス感染症疑いの患者検体は、世界保健機構(WHO)による「感染性物質の輸送規制に関するガイダンス」分類の「カテゴリーB」にあたり、その搬送規定に従う(厚生労働省「病原体等の国内輸送について)。・輸送ルートは、ほかの患者とできるだけ接触しない導線を選ぶ。採取前にPPE着脱法の確認を 検体採取前にはPPE(個人防護服)を装着する必要がある。とくに外す際に感染が起きやすいので事前に練習が必要である。【装着時の順番と注意点】1)ガウン・手指衛生をする・長袖、膝までの長さのものを使用・袖はまくりあげない2)マスク・鼻あて部を小鼻にフィットさせる・プリーツを伸ばし、鼻から顎までを覆う。3)ゴーグル・フェイスシールド・眼と顔が完全に覆われるように装着。4)手袋・手首が露出しないようガウンの袖口までを覆う。【外す時の順番と注意点】1)手袋・手首部分の外側をつまみ、手袋を中表にして外す。・手袋を外した指先でもう一方の手袋の内側に差し入れ、手袋を引き上げるように外す。・2枚の手袋をひとかたまりにして破棄する。2)ゴーグル・フェイスシールド・外側は汚染されているので、フレーム部分や両側をつまんで外す。・そのまま破棄する。3)ガウン・ひもを外し、ガウンの外側に触れないように首と肩の内側から手を入れて中表にしながら脱ぐ。・脱いだガウンは小さく丸めて破棄する。4)マスク・外側は汚染されているので決して触れず、ゴムやひもをつまんで外し、そのまま破棄する。・手指衛生を行う。※気管吸引液を採取するようなエアロゾルが発生する手技の場合はN95マスク着用を推奨N95マスクは、フィットテストにより最適な製品を選び、使用時シールチェックで確認する。(三澤氏の資料より抜粋)・セミナー動画では9分30秒前後から細川氏による装着解説動画あり。・日本環境感染学会「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第2版」においては脱着時に手袋とガウンを一緒に脱ぐとされているが、いずれの方法でも可●マニュアル・教育ツール・手引き【日本臨床微生物学会】医療者向け動画配信/新型コロナウイルス感染症に対する個人防護具の適切な着脱方法~医療従事者が新型コロナウイルス感染症に感染しないために~・臨床材料の取扱いと検査法に関するバイオセーフティーマニュアル-SARS疑い患者-・新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染(疑いを含む)患者検体の取扱いについて【国立感染症研究所】・2019-nCoV (新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル【日本環境感染学会】・日本環境感染学会教育ツールVer.3(感染対策の基本項目改訂版)【職業感染制御研究会】・安全器材と個人用防護具【WHO】・Rational use of personal protective equipment for coronavirus disease 2019 (COVID-19): Interim guidance, 27 February 2020・Laboratory biosafety guidance related to coronavirus disease 2019 (‎COVID-19)‎: interim guidance, 12 February 2020

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COVID-19、空気・環境表面・PPEからの感染リスクは?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における医療機関内での感染が懸念されているが、環境汚染の程度と感染リスクの関係は明らかになっていない。シンガポール国立感染症センターのSean Wei Xiang氏らは、患者が隔離されている部屋と控え室、診察にあたった試験担当医師のPPE(個人用保護具)からサンプルを収集、その汚染程度を調査した結果をJAMA誌オンライン版2020年3月4日号のリサーチレターに報告した。 2020年1月24日~2月4日、COVID-19患者3例が隔離されている部屋と浴室において、1例は定期清掃前、2例は定期清掃後にサンプルを採取した。部屋の接触頻度の多い部分は5,000ppmのジクロロイソシアヌル酸ナトリウムで清拭(1日2回)、床は1,000ppmのジクロロイソシアヌル酸ナトリウムで清拭した(1日1回)。2週間の隔離期間のうち採取を実施したのは5日間だった。 主な結果は以下のとおり。・1例目(清掃後の採取):病状は中等度、咳と発熱、息切れがあった。発症後4日目と10日目に採取。患者は清掃後も症状を示していたが、全サンプルが陰性だった。・2例目(清掃後の採取):病状は中等度で咳と発熱、喀痰があった。発症後8日目と11日目に採取。8日目は症状があり、11日目は無症状だった。全サンプルが陰性だった。・3例目(清掃前の採取):症状は咳だけで、3例中最も病状が軽かった。発症後5日目に採取。居室15ヵ所(換気扇あり)中13ヵ所(87%)、トイレ5ヵ所(便器、洗面台、ドアハンドル)中3ヵ所(60%)が陽性となり、控え室と廊下は陰性だった。・靴の表面からの採取サンプルは1点のみ陽性で、ほかはすべて陰性だった。・空気からの採取サンプルはすべて陰性だった。 著者らは、「空気のサンプルは陰性だったが、排気口のサンプルは陽性であり、ウイルスを含む飛沫が空気の流れで通風孔に運ばれて溜まった可能性がある」と指摘。さらに清掃後に採取した2例の全サンプルが陰性だったことを受け、「新型コロナウイルス感染者の飛沫や便による汚染環境が感染経路になり得ることを示唆すると同時に、環境衛生と手指衛生を厳守する必要性を裏付けるものだ」としている。 なお、本試験の限界として、ウイルスの生存能力を実証するための培養は実施されなかったこと、方法論に一貫性がなくサンプルサイズが小さかったこと、採取された空気は全体のほんのわずかに過ぎなかったことを挙げている。

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魚油サプリ、全死因死亡と心血管疾患死リスクを低下/BMJ

 魚油サプリメントの摂取は、全死因死亡および心血管疾患(CVD)死亡のリスク低下と関連し、一般集団においてCVDイベントに対して最低限の有益性をもたらす可能性があることが示された。中国・南方医科大学のZhi-Hao Li氏らが、大規模前向きコホート研究の結果を報告した。魚油サプリメントは、英国やその他の先進国でよく用いられており、最近の無作為化比較試験13件を対象としたメタ解析で、オメガ3脂肪酸サプリメントと比較して、わずかではあるが有意なCVDの予防効果が示唆された。ただし無作為化試験での魚油サプリメント摂取は、理想的な管理下で評価されたものであり、結果を大規模かつ多様な集団に一般化することは難しいことから、研究グループは、リアルライフ設定での大規模コホート研究で評価を行った。BMJ誌2020年3月4日号掲載の報告。42万人超の大規模前向きコホート研究 研究グループは2006~10年にUK Biobankに登録された参加者のうち、ベースラインでCVDあるいはがんを有していない40~69歳の男女42万7,678例について、2018年末まで追跡調査した。全参加者は、魚油を含むサプリメントの常用に関する質問票に回答した。 主要評価項目は全死因死亡、CVD死亡、CVDイベントとし、Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。高血圧者で関連性はより強い ベースラインで42万7,678例中13万3,438例(31.2%)が魚油サプリメントを常用していた。 非常用者に対する常用者の多変量補正ハザード比(HR)は、全死因死亡が0.87(95%信頼区間[CI]:0.83~0.90)、CVD死亡が0.84(95%CI:0.78~0.91)、CVDイベントが0.93(95%CI:0.90~0.96)であった。CVDイベントに関しては、高血圧症を有する参加者においてこの関連性はより強い傾向があった(交互作用p=0.005)。 著者は、研究の限界として魚油サプリメントに関する詳細情報(用量、剤形、使用期間)の記録がなかったこと、残余交絡因子あるいは逆の因果関係が存在する可能性などを挙げたうえで、「今後、さらなる研究で魚油サプリメントの用量が臨床的に意味のある効果にどのように影響を及ぼすかを調べる必要がある」とまとめている。

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新薬上市にかかる研究開発費用を推定/JAMA

 英国・ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのOlivier J. Wouters氏らは、一般公開されているデータを用い新薬の上市に必要な研究開発投資を推定した。同氏らの検討はこれまでと異なり、解析対象製品が幅広く、公開されている利用可能なデータを反映していること、および基礎とした仮定コスト算出法が違うことだという。その条件を満たした新薬63製剤について調べた結果、研究開発投資額は中央値で約10億ドル、平均値で約13億ドルであったという。直近の研究では、新薬開発の平均費用は3億1,400万~28億ドルと推定され、議論の的となっていた。JAMA誌2020年3月3日号掲載の報告。2009~18年にFDAで承認された新薬の研究開発費用を解析 研究グループは、新薬の市場導入に必要な研究開発費を推定するため、2009~18年の期間に米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したすべての新薬について、データを解析した。データは、新薬の前臨床および臨床試験の実施に関し、臨床試験の成功率に関する公表データも含め、米国証券取引委員会、Drugs@FDA、ClinicalTrials.govのデータベースから入手した。 主要評価項目は、FDAに承認された新薬の研究開発費用の中央値および平均値で、実質資本コスト率(投資家にとっての必要利益率)を年10.5%として資本化(信頼区間[CI]値はブートストラップ法で算出)して評価した。すべての金額は2018年の米国ドルで報告されていた。新薬63製剤の研究開発費用、中央値で約10億ドル、平均値で約13億ドルと推定 当該期間中にFDAが承認した新薬および生物学的製剤は355製剤であった。研究開発費用のデータが利用可能であったのは63製剤(18%)で、開発した企業は47社であった。 失敗した試験の費用を会計処理後、新薬の上市に必要な研究開発投資の中央値は9億8,530万ドル(95%CI:6億8,360万~12億2,890万)、平均投資額は基準分析で13億3,590万ドル(10億4,250万~16億3,750万)と推計された。 治療領域(薬剤5種以上の領域)ごとの推計中央値は、神経系薬の7億6,590万ドル(95%CI:3億2,300万~14億7,350万)から、抗悪性腫瘍薬および免疫調整薬の27億7,160万ドル(20億5,180万~53億6,620万)の範囲であった。 データは、より小規模の企業、希少疾病用医薬品、特定の治療領域の製品、画期的新薬、迅速承認薬および2014~18年の期間に承認された製品について、入手しやすかった。解析の結果は、臨床試験の成功率、前臨床試験の支出および資本コストのさまざまな推定値を用いる感度解析で変化した。 著者は研究の限界として、FDAに承認された製剤の多くでデータを利用できなかったこと、企業ごとに研究開発費用に関する報告が一貫していなかったことなどを挙げている。

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早期発症統合失調症のアウトカム予測因子~10年間のフォローアップより

 早期発症統合失調症(EOS)のアウトカム不良の予測因子は、発症年齢の若さであると考えられているが、これを裏付ける疫学データは十分ではない。中国・北京大学のLingzi Xu氏らは、発症年齢に焦点を当て、EOS患者の長期的アウトカムと機能障害の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2020年2月14日号の報告。 2006年に入院したEOS患者118例(ベースライン時の平均年齢:13.3±2.3歳)を連続登録した。インタビューを完了した患者は、65例であった。ベースラインデータを、入院患者のカルテより収集し、フォローアップ調査を、主に患者家族への電話インタビューを通じて実施した。フォローアップ時の全体の機能測定には、WHODAS 2.0を用いた。アウトカムには、教育、雇用、婚姻、身体的健康、その後の診断と治療、患者機能を含めた。単変量および多変量回帰モデルを用いて、アウトカムの予測因子を評価し、機能的アウトカムに対する発症年齢の影響を分析する際の交絡調整には、傾向スコアを用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップデータを入手できた65例中3例は、フォローアップ時に死亡した。・治療中止は、5例(8%)であった。・診断の安定性は、76%であった。・フォローアップ時にクロザピンを使用した患者の割合は、24%であった。・過体重は、男性で61%、女性で55%に認められた。・肥満は、男性で29%、女性で32%に認められた。・経済的に自立していた患者は16例(26%)、仕事をしていなかった患者は34例(55%)であった。・結婚歴があった患者は、13例(21%)であった。・WHODASスコアの中央値は15(IQR:2~35)であり、標準値(population norms)の78パーセンタイルにほぼ相当していた。・より良い機能の予測因子は、外交的な性格(p=0.01)、疑い深い性格(p=0.02)、高い教育レベル(p=0.001)であった。・発症年齢は、いずれの機能とも関連が認められなかった(単変量モデル:p=0.24、多変量モデル:p=0.17、最終リスク因子モデル:p=0.11、または交絡因子を調整するために傾向スコアを用いた場合)。 著者らは「EOS患者の長期的な機能アウトカムは、一般的に考えられていたよりも影響が少なかった。統合失調症の発症年齢は、EOS患者の長期的な機能アウトカムを予測するものではない」としている。

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どハマリした漫画【Dr. 中島の 新・徒然草】(314)

三百十四の段 どハマリした漫画ちまたのニュースは新型コロナウイルス一色ですが、今回は少し話題を変えたいと思います。私も年をとったせいか文字を読むのが面倒になり、もっぱらスマホで漫画を読んでいます。最近読んで面白かったのは2つ。『ブラックガールズトーク』(マキノマキ 著、小学館)と、『僕の妻は感情がない』(杉浦次郎 著、KADOKAWA)です。前者は、文字通りガールズトークをそのまま漫画にしたもので、職場や私生活の人間関係のドロドロを描いています。「ガッハッハ!」とストレートに笑えるものから、毒のあり過ぎるものまでいろいろな話の短編集ですが、すべてオチがあるのが救いです。とくに面白かったのは、「CASE.1 自称サバサバ系の女」という話で、自らを「サバサバしている女子」と称しながらも、単なる無神経な女性が自滅していく様を描写しています。とくにスカッとさせられるクライマックスが秀逸でした!後者の『僕の妻は感情がない』のほうは、恋愛経験値の足りない男子の妄想をそのまま描いたような漫画です。中古で安く買ってきた家事ロボットのミーナちゃんに、主人公のタクマが惚れて結婚してしまいます。ミーナちゃんはロボットなので感情がなく、タクマとのやり取りが一々ズレているのですが、そこが面白いところ。しかし、プログラムにバグがあるのか、感情がないはずなのに電子レンジに対抗しようとしたり、自分の失敗に微かに表情を曇らせたりします。これから本格的にタクマと恋愛関係に発展……するのだろうと思いますが、まだ第1巻しか出ていないのでよくわかりません。もしかすると、この漫画は令和の大ヒットになるのではないかという気がします。仕事や人生に疲れたときに読んでみましょう。最後に1句 ロボットが アイドルとなる 令和かな 

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ドイツの病院で働いてわかったこと【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第5回

上級医と研修医の間の大きな隔たりドイツの医療界は完全にヒエラルキー社会です。ピラミッドの頂点にシェフと呼ばれる偉い医師がいて、構成員は大きく上級医(Oberarzt)と研修医(Assistenzarz)に分かれます。専門医のことは“Facharzt”と言います。病院によってはシニアドクター(Aberarzt)とAssistenzarztの間にFacharztと言うポジションがあったりもします。そして、上級医と研修医の間には大きな隔たりがあります。研修医の間はタコ部屋に放り込まれ、みんなでパソコンの取り合いをしながら病棟業務を行います。一方で、上級医は個室を与えられて、自分のペースで仕事をやってます。具体的な数字は知りませんが、多分、給料も相当高い感じだと思います。画像を拡大するやさしいドイツの医療者システムドイツには「医師のための労働組合」なるものが存在しています。待遇の向上を巡ってストライキだって起こしちゃいます。この労働組合によって、研修医の給料は一律に定められています。給料の額は、日本の後期研修医くらいのイメージです。年次ごとに給料は上がっていき、これは病院を変わっても継続されるそうです。ドイツでは、あくまでも「医師も一人の労働者である」といった視点で取り扱われます。有給休暇もしっかり取れますし、病欠も簡単に取れます。2週間まとめて有給を取った後、なぜかみんな1週間くらいの病気をします。3週間くらい病院に来なくなってしまいます。病欠だったはずなのに、オーストリアでスキーをしている写真がFacebookにアップされていたことがありますが、まあ見て見ぬふりをしました。ロシア人の同僚は、ドイツではなぜか多い「休暇後体調不良症候群」だと言って舌打ちしていました。ただ、病欠で抜けても、特に非難するわけでもなく、粛々と開いた穴を周りでフォローする作業を行います。自分にも他人にも優しいのが、ドイツの医療者システムと言えます。

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視力と認知症との関係

 視力の低下と認知症リスクとの関連を調査した縦断的エビデンスの結果は一致していない。香港中文大学のAllen T. C. Lee氏らは、誤分類、逆因果関係、健康上の問題や行動による交絡因子に関連するバイアスとは無関係に、高齢者の大規模なコミュニティーコホートにおける視力低下と認知症発症率との関連を調査した。The Journals of Gerontology誌Series Aオンライン版2020年2月11日号の報告。中等度から重度の視覚障害は認知症の潜在的な予測因子である可能性 ベースライン時に認知症でない地域在住高齢者1万5,576例を対象に、認知症発症について6年間フォローアップを行った。認知症診断は、ICD-10または臨床的認知症尺度(CDR)1~3に従って実施した。ベースラインおよびフォローアップ時の視力評価には、スネレン視力表を用いた。人口統計(年齢、性別、教育、社会経済的地位)、身体的および精神医学的併存疾患(心血管リスク、眼科的状態、聴覚障害、運動不足、うつ病)、ライフスタイル(喫煙、食事、身体活動、知的活動、社会活動)についても評価した。 視力低下と認知症発症率との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・6万8,904人年以上のフォローアップ期間中に、1,349例が認知症を発症した。・ベースライン時の視力低下は、人口統計、健康上の問題、ライフスタイルで調整した後でも、また3年以内の認知症発症を除外した場合でも、6年後の認知症発症率の高さと関連が認められた。・正常な視力の高齢者と比較した、視力低下の重症度別の認知症ハザード比は、以下のとおりであった。 ●軽度視力低下の認知症ハザード比:1.19(p=0.31) ●中等度視力低下の認知症ハザード比:2.09(p<0.001) ●重度視力低下の認知症ハザード比:8.66(p<0.001) 著者らは「中等度から重度の視覚障害は、認知症の潜在的な予測因子およびリスク因子である可能性がある。臨床的な観点から、視力が低下している高齢者に対する認知症リスク評価のさらなる必要性が示唆された」としている。

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NSCLCの術後補助化学療法、適正レジメンは?(TORG 0503)/Lung Cancer

 日本発の、非小細胞肺がん(NSCLC)術後補助化学療法の適正レジメンが示された。完全切除されたStage IB、IIおよびIIIAのNSCLCでは、術後補助化学療法が標準治療であるが、これまで最適な化学療法レジメンは決定されていない。日本医科大学呼吸器内科の久保田馨氏らは、これらの患者において望ましいプラチナベースの第3世代レジメンを選択する「TORG0503試験」を実施した。その結果、ドセタキセル+シスプラチン併用療法とパクリタキセル+カルボプラチン併用療法が、術後補助化学療法として安全に施行できることが示された。結果を踏まえて著者は、「次の臨床試験では、対照としてドセタキセル+シスプラチン併用療法を選択する」と述べている。Lung Cancer誌オンライン版2019年3月号の掲載報告。 研究グループは、完全切除されたStage IB、IIA、IIB、IIIAのNSCLC患者を、ドセタキセル(60mg/m2)+シスプラチン(80mg/m2)併用療法を3サイクル行う群(A群)と、パクリタキセル(200mg/m2)+カルボプラチン(AUC 6)併用療法を3サイクル行う群(B群)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は2年無再発生存割合、主な副次評価項目は全生存期間(OS)、有害事象(忍容性、毒性)などとした。 主な結果は以下のとおり。・111例(A群58例、B群53例)が無作為に割り付けられた。両群の患者背景は類似していた。・3サイクルの化学療法を完遂した患者の割合は、A群で93%(54/58例)、B群で92%(49/53例)であった。・両群で治療に関連した死亡は認められなかった。・2年無再発生存割合は、A群で74.5%(95%信頼区間[CI]:68.6~80.4)、B群で72.0%(95%CI:65.7~78.3)であった。・また、5年無再発生存割合はA群で61.6%、B群で46.0%であった。・2および5年OSは、A群で89.7%および73.9%、B群で86.9%および67.5%であった。

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エリブリン治療における乳がん患者のOS予測因子は?(EMBRACE試験)

 局所進行または転移を有する乳がん(MBC)患者へのエリブリン治療における、全生存期間(OS)の予測因子が評価された。これまでに、好中球・リンパ球比(NLR)がエリブリン治療における無増悪生存期間(PFS)の予測因子となる可能性が示唆されている。兵庫医科大学の三好 康雄氏らによる、Breast Cancer誌オンライン版2020年3月5日号掲載の報告より。エリブリン治療による乳がん患者のOS予測因子としてベースライン時のリンパ球絶対数が示唆される 研究グループは、アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む前治療歴のあるMBC患者に対する、エリブリンと主治医選択薬(TPC)の有効性を比較した第III相EMBRACE試験のPost-Hoc解析を実施。ベースライン時のリンパ球絶対数(ALC)およびNLRとOSの関連が両群で評価された。 エリブリン治療におけるOSの予測因子を評価した主な結果は以下のとおり。・ベースライン時のALCとNLRは、それぞれ751例(エリブリン群500例 vs.TPC群251例)、713例(エリブリン群475例 vs.TPC群238例)で評価可能であった。・ベースラインALC≧1,500/μLの患者で、エリブリン群はTPC群と比較してOSを有意に延長した(ハザード比[HR]:0.586、95%信頼区間[CI]:0.437~0.784、p<0.001)。・ALC<1,500/μLの患者では、エリブリン群とTPC群の治療法による有意差はみられなかった(HR:1.002、95%CI:0.800~1.253、p=0.989)。・単変量および多変量解析の結果、ベースラインALCがエリブリン治療患者におけるOSの潜在的な予測因子として特定された。・OSの相互作用解析は、カットオフ値として1,500/μLを支持した。・カットオフ値3のNLRは、エリブリン群におけるOS延長と関連した。しかし、同様の結果がTPC群でも観察され、明らかな相互作用効果は確認できず、NLRはエリブリン群におけるOSの特定の予測因子ではなく、一般的な予後予測因子である可能性が示唆された。 著者らは、本研究からはベースラインALCがエリブリン治療によるMBC患者のOS延長の独立した予測因子であることが示唆され、追加の侵襲的処置を必要とせずに評価できるため、臨床的に有用な可能性があると考察している。

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大手製薬企業、他業種と比べ収益性は高いのか/JAMA

 2000~18年の大手製薬会社35社の収益性は、代表的な他業種の米国上場企業357社と比べて有意に高いが、その差について、会社の規模、会計年度、研究開発費を考慮すると、必ずしもそうとは断言できないというエビデンスが示された。米国・ベントレー大学のFred D. Ledley氏らによる検討の結果で、著者は「大手製薬会社の収益性に関するデータは、医療をより利用しやすくする根拠に基づく施策を作成するために重要とはいえるだろう」とまとめている。JAMA誌2020年3月3日号掲載の報告。売上総利益、EBITDA、純利益を比較 研究グループは、大手製薬会社35社と、S&P 500種指数の該当企業357社について、2000~18年の年次会計報告書の横断研究を行った。利益率を比較し、大手製薬会社がその他業種の大企業と比べ、収益性が高いとするエビデンスを究明した。 主要アウトカムは、売上高と、年間収益の3つの指標である売上総利益(売上高-売上原価)、EBITDA(主事業からの税引き前利益:支払利息、税金、減価償却費、償却費を含まない収益)、純利益(すべての収益と支出の差)。2000~18年までの累積や、年間の利益率(マージン)を算出して比較した。純利益マージン、大手製薬13.8%で他業種大手7.7% 2000~18年にかけて、大手製薬会社35社の合計累積売上高は11.5兆ドル、売上総利益は8.6兆ドル、EBITDAは3.7兆ドル、純利益は1.9兆ドルだった。 一方、S&P 500・357社の合計は、それぞれ130.5兆ドル、42.1兆ドル、22.8兆ドル、9.4兆ドルだった。 二変量回帰モデルによる解析の結果、大手製薬会社はS&P 500・357社に比べ、年間利益率の中央値は有意に高かった。総利益マージンは76.5% vs.37.4%(群間差:39.1%、95%信頼区間[CI]:32.5~45.7、p<0.001)、EBITDAマージンは29.4% vs.19%(10.4%、7.1~13.7、p<0.001)、純利益マージンは13.8% vs.7.7%(6.1%、2.5~9.7、p<0.001)だった。 ただし、会社の規模、会計年度を補正し、また研究開発費を報告している企業に絞った回帰モデルでの解析では、それらの差は縮小することが示された。総利益マージンの群間差は30.5%(95%CI:20.9~40.1、p<0.001)、EBITDAマージンの群間差は9.2%(5.2~13.2、p<0.001)、純利益マージンの群間差は3.6%(0.011~7.2、p=0.05)だった。

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COVID-19、入院時の発熱例は4割程度/NEJM

 発生から当初2ヵ月間に新型コロナウイルスへの感染が確認された1,099例の臨床的特徴を調べたところ、入院時に発熱が認められたのは43.8%にとどまり、また胸部CT検査で異常所見が認められたのは56.4%と、熱症状や肺の異常所見が認められない患者が多かったという。中国・広州医科大学のWei-jie Guan氏らによる調査報告で、NEJM誌オンライン版2020年2月28日号で発表された。なお本報告は3月3日に内容が更新されている。入院患者1,099例のICUへの入室、人工呼吸器の使用、死亡を調査 研究グループは、2020年1月29日までに中国本土30の省・自治区等の病院552ヵ所に入院した、新型コロナウイルスへの感染が検査で確認された1,099例について、その臨床的特徴を調査した。 主要複合エンドポイントは、集中治療室(ICU)への入室、人工呼吸器の使用、死亡だった。咳症状は約68%、下痢は少なく3.8% 対象患者の年齢中央値は47歳、女性は41.9%だった。 主要複合エンドポイントの発生は67例(6.1%)で、うちICU入室が5.0%、侵襲的人工呼吸器使用が2.3%、死亡は1.4%だった。 患者のうち野生動物との接触歴があったのは1.9%のみだった。武漢市非居住者のうち、72.3%に武漢市居住者との接触歴があり、そのうち31.3%に同市への訪問歴があった。 最も多い症状は発熱で、入院時に認められたのは43.8%で、入院中には88.7%に認められた。次いで咳症状が67.8%にみられた。下痢症状は概して少なく3.8%だった。潜伏期間の中央値は4日(四分位範囲:2~7)だった。 入院時の胸部CT所見で、肺すりガラス状陰影が認められたのは56.4%だった。非重症患者877例中157例(17.9%)と重症患者173例中5例(2.9%)では、X線またはCTによる異常が認められなかった。入院時にリンパ球減少症がみられたのは83.2%だった。

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低用量アスピリンの投与で低・中所得国における早産率が有意に低下―日本でも大規模周産期センターでは一考の価値あり(解説:前田裕斗氏)-1198

 早産は低・中所得国においては新生児死亡の大きな原因の1つであり、予防戦略が最も大事な分野である。一方、早産率自体は世界全体ではここ10年でほぼ横ばいであり、予防についてもなかなか有効な戦略が見いだせていない現状がある。低用量アスピリンは周産期医療においては妊娠高血圧症候群の予防目的に用いられることが多いが、最近になって胎盤形成期における抗炎症作用から早産についての予防効果も叫ばれるようになってきている。そうした背景を基に、今回の研究ではインド、パキスタンやアフリカ諸国を対象に、アスピリン投与による早産の予防効果を見た大規模RCTが行われた。結果の詳細は別稿に譲るが、アスピリン投与群で有意に早産率が低下(34週未満、37週未満ともに)、とくに妊娠高血圧症候群を伴う34週未満の早産率が有意に低下した。また、死産、周産期死亡率も低下した。一方で妊娠高血圧症候群の頻度そのものは低下しなかった。 アスピリン投与による予防効果を見た大きな研究はほかに二つある。1つは妊娠高血圧腎症(高血圧症候群の重症型)の高リスク患者を対象にした研究を集めたメタアナリシスであり、34週未満、37週未満の早産でともに早産率の有意な低下を認めた。もう1つの研究は妊娠高血圧腎症の低リスク患者約2,500例を対象としたRCTであり、こちらは34週未満の早産率の有意な低下を認めたが、37週未満の早産率低下については有意な差を認めなかった。今回の研究では早産率が全体の11~13%、34週未満の早産が約3%、妊娠高血圧症候群が約6%であり、明らかな高リスク集団ではないため、対象集団に問題ありということではない。先行研究と比べてもサイズが大きく、介入の手軽さからしても低・中所得国の早産予防戦略については一石を投ずる論文といえるだろう。 さて、日本においてこの結果は適応可能だろうか。日本における早産率は約6%と本研究の集団よりも低く、妊婦健診をはじめとした周産期管理自体も異なるため、論文のように日本ですべての妊婦にアスピリンを投与することの利点があるかどうかははっきりしない。一方で妊娠高血圧症候群を伴う34週未満の早産率が減少したことや、先行研究のメタアナリシスを考えれば、妊娠高血圧症候群のリスクが高い妊婦、つまり高齢初産、高度生殖医療での妊娠、糖尿病や高血圧合併妊娠などが多い分娩施設ではこの戦略をとる価値がある可能性が高い。周産期センター、とくに5都府県のような妊婦の高年齢化が進む地域では検討してもよいのではないだろうか。日本では妊娠高血圧症候群の予防として保険適用が通っていないこともあり積極的に処方されない傾向もあるが、低用量アスピリンの処方に対するハードルを下げる時期がきているのかもしれない。

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経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)と外科的大動脈弁置換術(SAVR)の5年の治療成績はどちらが優れているか?(解説:許俊鋭 氏)-1199

 TAVRとSAVRの大規模前向き無作為化試験であるPARTNER cohort Aでは、高度外科手術リスク症例に対する5年死亡率でTAVRのSAVRに対する非劣性(67.8% vs.62.4%、p=0.76)が示され(Mack MJ, et al. Lancet. 2015;385:2477-2484.)、CoreValveでは1年死亡率(14.2% vs.19.1%、p=0.04)においてTAVRの優位性が示された(Adams DH, et al. N Engl J Med. 2014;370:1790-1798.)。両者の血行動態の比較でTAVRのほうがSAVRよりも体表面積補正を行った有効弁口面積(iEOA)は大きく、prosthesis-patient mismatch(PPM)の発生率は小さいが、一方、大動脈弁周囲逆流が高率にみられる(Hahn RT, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;61:2514-2521.)ことから、長期予後の検討は今日的検討課題と考えられる。 本Makkar論文(Makkar RR, et al. N Engl J Med. 2020;382:799-809.)はPARTNER 2 cohort A trialにおける中等度の外科手術リスク症例に対するTAVRとSAVRを比較したものであるが、死亡率または後遺症の残る脳卒中発生率(47.9% vs.43.4%、p=0.21)に有意差はなかった。mild以上の大動脈弁周囲逆流はTAVRで高率(33.3% vs. 6.3%)であり、再入院率(33.3% vs.25.2%)および大動脈弁再手術率(3.2% vs.0.8%)もTAVRで高率であった。TAVRにおける高率の大動脈弁周囲逆流発生率は再入院率や大動脈弁再手術率に大きく影響しており、さらに長期の経過観察で死亡率に影響を与える可能性は大きい。Italian OBSERVANT studyの5年の成績を報告したBarbanti論文(Barbanti M, et al. Circ Cardiovasc Interv. 2019;12:e007825.)では、第1世代のデバイスを用いたTAVRはSAVRに対して5年死亡率(35.8% vs.48.3%、p=0.002)および心臓および脳血管の重大な有害事象(42.5% vs.54.0%、p=0.003)のリスク増加がみられた。Tzamalis論文(Tzamalis P, et al. Am J Cardiol. 2020 Jan 28. [Epub ahead of print])でも、第1世代のデバイスを主に用いた6年以上の治療成績比較で、重度の構造的弁劣化(SVD:10.5% vs.4.5%、p=0.159)および大動脈弁逆流(4.7% vs.0%、p=0.058)はTAVRで高率であり、TAVRで6年生存率(40.7% vs.59.6%、p<0.001)は低かった。 デバイスの進歩とともにTAVRの治療成績は向上し、より低リスク症例に適用されていくと考えられるが、より低リスク症例に適用された場合、5年生存率・10年生存率などの長期成績が問題となる。第1世代のデバイスでは1~2年の短期成績においてTAVRの非劣性あるいは優位性が報告されてきたが、主として残存大動脈弁周囲逆流が長期成績を低下させる可能性がきわめて大きく、今後、長期成績の慎重な評価が必要と考えられる。

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新型コロナをきっかけに!今すぐやるべき「お金の対策」【医師のためのお金の話】第30回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。2020年3月11日は、東日本大震災発生から丸9年にあたる日です。さまざまな追悼・復興祈念行事も10年目となる来年を機に縮小が予定されるものも多いと聞き、被災者の方の胸中は複雑ではと感じます。さて、東日本大震災のような大規模災害を予測することは困難であり、ある日突然起こります。新型コロナウイルス肺炎で皆さんも今体験されているように、危機は突然やってきます。各種の防災マニュアルを見ると「外部の救援が到着するまでの3日間を生き延びること」がメインテーマとなることが多いようです。確かに、自分や家族の命を守るためには「3日が大事」というのは理解できますが、実際に助かったら4日目以降の生活も考えなければなりません。「まずは命を守る」の後には現実の生活が待っており、大規模災害では発生直後の対策に加えてそれ以降の生活防衛も重要です。新型肺炎では都市封鎖も! 命の次に大切なのは「お金」と「情報」中国発の新型コロナウイルス肺炎では、武漢という東京に匹敵する人口を抱えた大都市が封鎖されました。これなど、まさに想定外の事態です。都市活動が停止すると、どんなことが起こるでしょうか? 武漢では外出すらままならない状態が続き、社印やインターネットバンキングのワンタイムパスワード端末をオフィスに取りに行くことができずに資金繰りに窮する中小企業が多く出たそうです。資金がショートすると倒産してしまう企業経営ほどではないにせよ、個人もお金がなければ生活が困難になります。「都市封鎖なんて中国でしか起こらないでしょ?」と思われるかもしれませんが、実際にイタリアでも地区封鎖が行われました。状況次第では日本でも実行される可能性はゼロではありません。こうしたことを念頭に置いて、命の次に大事な「お金」と「情報」の管理を考えておく必要があります。私が実践する、お金と情報を防衛する「3つの対策」以下、私がとっている3つの対策を紹介しましょう。対策1)複数の決済手段を用意する大規模災害において最も脆弱なのは、電気・ガス・水道、それに鉄道やデータサービスといった社会インフラです。「物理的に存在するもの」は災害に弱い、と言わざるを得ません。では、災害に対して比較的強いものは何でしょうか? いろいろな考え方がありますが、私は「バーチャルなもの」ほど災害に対する耐性が強くなると考えています。銀行口座1つとっても、実店舗の通帳だけよりもインターネットバンキングやデビットカードなどの選択肢もあるほうが有利です。もちろん、災害発生直後は電源が喪失してブラックアウトする可能性も高いので、手元にある程度の現金を準備しておく必要はあるでしょうが、国家機能が維持されている限り、災害発生から数日すれば復旧する可能性が高いでしょう。災害時に多額の現金を持ち歩くことは安全面からも望ましくありません。このように決済手段は1つではなく、複数所有していることが望ましいのです。さらに言えば「PayPal」など国境をまたいだ決済手段も持っておくと、大規模災害やテロ事件に際しても比較的安心できるはずです。対策2)地震保険に加入する1995年に発生した阪神・淡路大震災の時には、地震保険に加入している世帯がわずか9%だったことが問題になりました。2018年時点の世帯加入率は32.2%まで上昇しましたが、まだ過半数に届きません。世帯加入率には賃貸世帯も分母に含まれますが、そのことを差し引いても低いと感じます。私は住居系物件を購入したら地震保険の加入は必須だと考えています。事業系物件であれば地震保険が割高で事実上加入できないこともあるのですが、住居系物件の地震保険は、政府の政策の一環として損益度外視の保険料体系となっています。大規模災害で家財のみならず所有物件まで失ってしまったら再起は相当難しいでしょう。住宅ローンがない方も火災保険と地震保険には加入しましょう。対策3)クラウドで情報を管理するお金の管理以外では、業務を継続できるかどうかも重要なポイントです。とくに私のように個人で仕事をしている方や開業医の先生にとっては死活問題でしょう。紙ベースの情報管理では、大規模災害が発生するとひとたまりもありません。江戸時代の商家では火事になると売り上げや顧客の情報が書かれた「大福帳」を井戸に投げ込んでから逃げた、といわれています。業務を継続するうえで情報ほど価値のあるものはなく、大規模災害に際して死守するべきものの筆頭に挙げられます。私自身は、文献や手術のコツを記載した長年の「備忘録」をはじめ、仕事関係の資料はほぼ100%クラウドに電子データとして保管しています。開業医の方は、ぜひ「クラウド型電子カルテ」を利用しましょう。紙カルテが災害に弱いことはもちろんですが、電子カルテであっても、サーバーにデータを保管する形式だと火災や津波でサーバーを失ったら終わりです。この点クラウド型であれば、大事な診療情報を安全に保管できます。最近では従量課金制のリーズナブルなサービスも提供されています。これで端末やサーバーが破損しても致命的なダメージは避けられます。物理的なバックアップを取っておいても大規模災害の前にはほぼ無力。普段から情報の電子化を進め、災害に強い体制を整えましょう。

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第15回 非薬剤師への業務引き渡し成功のカギは?【噂の狭研ラヂオ】

動画解説早くから登録販売者など非薬剤師との協働を始めていたまえはら薬局。調剤業務に関しても0402通知以前からタスクシフトを進めていた。薬剤師は当初、業務の一部を非薬剤師に引き渡すことに抵抗を感じていたが、今では薬剤師が対人業務に避ける時間を作り出せているという。成功のポイントは「機械化」だと前原理佳社長は語る。

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東日本大震災プロスペクティブ研究:事前のソーシャルサポートと災害後のうつ病予防

 国立保健医療科学院の佐々木 由理氏らは、2011年の東日本大震災による高齢者の抑うつ症状を緩和するために、災害前のソーシャルサポートが有効であったかについて検討を行った。Scientific Reports誌2019年12月19日号の報告。 対象は、災害の7ヵ月前に日本老年学的評価研究の一環としてベースライン調査を完了した岩沼市在住の65歳以上の高齢者3,567例。フォローアップ調査は、災害から2.5年後に実施した。分析対象者2,293例の災害前のソーシャルサポート(emotional & instrumental help)の授受を4つの項目を用いて測定した。抑うつ症状は、GDS(カットオフ値4/5)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・災害前にソーシャルサポートの授受があった高齢者は、授受がなかった高齢者と比較し、災害後に抑うつ症状を発症する可能性が有意に低かった(ARR:0.70、95%CI:0.56~0.88)。・災害による被害を受けた高齢者における抑うつ症状の発症リスクは、ソーシャルサポートの授受があった高齢者で1.34(95%CI:1.03~1.74)、授受がなかった高齢者で1.70(95%CI:1.03~2.76)であった。 著者らは「災害からの心理的回復力を養うために、ソーシャルサポートの強化が役立つ可能性がある」としている。

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FDA諮問委員会、ラムシルマブのEGFR変異陽性肺がん1次治療を支持/イーライリリー

 イーライリリー・アンド・カンパニーは、2020年2月26日、米国食品医薬品局(FDA)抗腫瘍薬諮問委員会(ODAC)が、第III相試験(RELAY試験)の結果に基づいたEGFR遺伝子変異陽性を有する未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたラムシルマブ+エルロチニブ併用療法の有効性と安全性を検討し、バランスが取れたリスク・ベネフィットが示されたことを支持する投票数が不支持を上回ったこと(支持:6、不支持:5)を発表。 ODACは、FDAで審査中のラムシルマブの生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)に基づき、第III相RELAY試験から得られた安全性および有効性データを審査した。RELAY試験で、ラムシルマブ+エルロチニブ併用療法は、プラセボ+エルロチニブ療法と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長した。また、同試験で認められた安全性プロファイルは、ラムシルマブやエルロチニブに関してこれまで得られている安全性プロファイルと一貫していた。プラセボと比較してラムシルマブ群で 5%以上高く発現し、5%以上の発現割合で認められたGrade3以上の有害事象は、高血圧、ざ瘡様皮膚炎(ざ瘡様発疹)、および下痢であった。 EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者の1次治療におけるラムシルマブ+エルロチニブ併用療法は欧州委員会(EC)では2020年1月に承認されている。また、国内でも承認事項一部変更承認申請を行っている。

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中等~重症ARDSへのIFNβ-1aは?/JAMA

 中等症~重症の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者の治療において、インターフェロン(IFN)β-1aの6日間静脈内投与はプラセボと比較して、死亡と人工呼吸器非装着日数を合わせた複合スコアを改善しないことが、イタリア・ボローニャ大学のV Marco Ranieri氏らによる「INTEREST試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年2月25日号に掲載された。ARDSの基盤となる主要な病態生理学的イベントは制御不能な炎症反応であり、その結果として、肺における血管漏出(vascular leakage)の増加に伴って肺胞-毛細血管関門の上皮と内皮の損傷がもたらされる。一方、上皮と内皮の細胞に発現しているCD73は、アデノシン産生を調節する酵素であり、IFNβ-1aはCD73をアップレギュレートすることで血管漏出を防止し、白血球動員を抑制するという。死亡と非装着日数の複合をプラセボと比較する無作為化試験 本研究は、欧州8ヵ国の74の集中治療室(ICU)が参加した二重盲検無作為化試験であり、2015年12月~2017年12月の期間に患者登録が行われた(Faron Pharmaceuticalsなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ベルリン定義で中等症~重症のARDSで、24時間以内に動脈血酸素分圧(PaO2)/吸入酸素濃度(FiO2)などのARDS判定基準を満たし、診断から48時間以内に試験薬の初回投与が可能な患者であった。 被験者は、1日1回、IFNβ-1a(10μg)またはプラセボを静脈内投与する群に無作為に割り付けられ、6日間の治療を受けた。 主要評価項目は、28日時の生存と人工呼吸器非装着日数の複合エンドポイントとした。28日以内の死亡を-1点とし、28日時の生存例を0点(第28日も人工呼吸器を装着)から27点(第1日に人工呼吸器から離脱)でスコア化した。28日死亡率、人工呼吸器非装着日数にも差はない 301例(平均年齢58歳、女性34.2%)が無作為割り付けの対象となった。296例(98.3%)が試験を完遂し、主解析の対象とされた(IFNβ-1a群144例、プラセボ群152例)。 28日複合スコア中央値は、IFNβ-1a群が10日(IQR:-1~20)、プラセボ群は8.5日(0~20)であり、両群間に有意な差は認められなかった(絶対群間差:0日、95%信頼区間[CI]:-1~1、p=0.82)。 28日死亡率(IFNβ-1a群26.4% vs.プラセボ群23.0%、絶対群間差:3.4%、95%CI:-8.1~14.8%、p=0.53)、28日ICU内死亡率(25.7% vs.23.0%、2.7%、-8.8~14.1、p=0.62)、28日ICU外院内死亡率(0.9% vs.0%、0.9%、-10.7~12.1、p=0.37)、90日死亡率(32.6% vs.31.6%、1.0%、-10.4~12.5、p=0.86)、人工呼吸器非装着日数中央値(10日[IQR:0~20]vs.8.5日[0~20]、絶対群間差:0日[95%CI:0~1]、p=0.47)、ICU治療なしの生存日数中央値(6日[0~16]vs.3.5日[0~15]、0日[0~0]、p=0.34)などにも、差はみられなかった。 試験期間中に、74例(25.0%)が治療関連有害事象を経験した(IFNβ-1a群41例[28.5%]vs.プラセボ群33例[21.7%])。最も頻度の高い治療関連有害事象は、IFNβ-1a群が発熱(13例[9.0%])および横紋筋融解症(5例[3.5%])であり、プラセボ群は発熱(5例[3.3%])およびトランスアミナーゼ上昇(6例[3.9%])であった。 著者は、「これらの知見は、中等症~重症ARDS患者の管理におけるIFNβ-1aの使用を支持しない」としている。

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COVID-19の予防ワクチンの開発始動

 3月4日、アンジェス株式会社は、大阪大学と新型コロナウイルス(COVID-19)の予防ワクチン共同開発のプレス発表会を行い、ワクチン開発の経緯、今後の見通しなどを説明した。 セミナーでは、同社代表取締役社長の山田 英氏が今回の大阪大学との開発事業について、過去にDNAプラスミド製品を上市した実績から開発を行うこととなった経緯を説明した。なお、ワクチンの構築・製造は、タカラバイオ株式会社が担当する。安全、安価、汎用性のあるDNAワクチン つぎに森下 竜一氏(大阪大学大学院医学研究科臨床遺伝子治療学 教授)が、「新型コロナウィルス 予防ワクチンの開発について」をテーマに、開発されるワクチンの仕組みや完成までの見通しを解説した。 今回、COVID-19の予防を目指すワクチンはDNAワクチン。DNAワクチンとは、対象とする病原体のタンパク質をコードする環状DNA(プラスミド)を接種することで、病原体たんぱく質を体内で生産し、病原体に対する免疫を付与するワクチンである。その特徴として、危険な病原体を一切使用しないため、安全かつ短期間に製造(大腸菌培養)でき、今回のCOVID-19のような感染症へのワクチンには最適だという。参考までに、プラスミドを製品化した治療薬は、、HGF遺伝子治療薬(ベペルミノゲンペルプラスミド)がある。 今回開発されるワクチンは、COVID-19のウイルス表面に発現するスパイクたんぱく質遺伝子をコードしたDNAワクチンであり、ワクチンを投与することにより体内でDNAからスパイク状たんぱく質が発現する。すると被接種者の免疫が、スパイクたんぱく質抗原として認識し、スパイクたんぱく質に対する液性・細胞性免疫が誘導されることで、ウイルスに感染しにくくなったり、重症化が抑えられる効果が予想される。また、安全性についても、10年以上前から行われている12種類のDNAワクチンの臨床試験では、1,400例以上の健康な人に投与されたが、懸念される事態は報告されていないという。最短6週でワクチン製造へ 森下氏によると開発に必要なCOVID-19の遺伝子情報は、「すでに厚生労働省、国立感染症研究所などから入手している」という。開発のプロセスとして、ウイルスの遺伝子情報でプラスミドを作成し、ラットなどの感染モデルで薬効・薬理試験を行う。医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準(GMP)を経て、ウサギなどで安全性試験を行い、研究新薬規制(IND)クリアした後に、臨床試験へと移る。DNAプラスミド法では、2週間でワクチンを製造、品質保証試験に1ヵ月(4週間)必要となり、最速でプラスミド作成から6~8週でワクチン供給が可能になるという。 最後に森下氏は、「従来の半年近く供給まで時間が必要な鶏卵法、細胞培養法と比べても、大幅な期間短縮でワクチンの供給ができ、安く、簡易な設備で安定製造ができるメリットは大きい」と期待を語った。

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