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うつ病から双極性障害への転換に対する早期予測因子~コホート研究

 うつ病と双極性障害は、どちらも主要な気分障害であるが、治療戦略や予後が異なる。双極性障害患者では、初期でみられるうつ症状によりうつ病と診断されうることが、その後の治療結果に影響を及ぼす可能性がある。これまでの研究では、うつ病と診断された患者のうち、時間経過とともに双極性障害を発症する患者が少なくないと示唆されている。このような双極性障害は、治療抵抗性うつ病の一因となる可能性がある。台湾・国立中正大学のYa-Han Hu氏らは、人口ベースのコホート研究を実施し、10年間のフォローアップ期間中にうつ病から双極性障害へ診断が変更された患者の割合およびその危険因子について調査を行った。さらに、うつ病から双極性障害へ転換するリスク層別化モデルの開発を試みた。JMIR Medical Informatics誌2020年4月3日号の報告。 台湾全民健康保険研究データベースを用いて、2000年1月~2004年12月に新規でうつ病と診断された患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。すべてのうつ病患者を、次のいずれかの条件を満たすまでフォローアップした。(1)精神科医による双極性障害の診断、(2)死亡、(3)2013年12月まで。すべてのうつ病患者を、フォローアップ期間中の双極性障害への転換に従って、転換群または非転換群に振り分けた。うつ病から双極性障害へ転換するリスク層別化モデルを作成するため、最初の6ヵ月間の6つの変数(患者の特性、身体的合併症、精神医学的合併症、ヘルスケアの使用状況、疾患重症度、向精神薬の使用)を抽出し、決定木分析(classification and regression tree:CART法)を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、うつ病患者2,820例。・フォローアップ期間中に双極性障害と診断された患者は536例(19.0%)であった。・CART法により双極性障害転換リスクの有意な予測因子は、以下の5つであった。 ●最初の6ヵ月間で使用された抗精神病薬の種類 ●最初の6ヵ月間で使用された抗うつ薬の種類 ●精神科外来通院の合計回数 ●受診1回当たりに使用されたベンゾジアゼピンの種類 ●気分安定薬の使用・双極性障害への転換に関し、このCART法によるリスクによって、高リスク群、中リスク群、低リスク群に分類可能であった。・高リスク群では、うつ病患者の61.5~100%は双極性障害と診断された。・低リスク群では、うつ病患者の6.4~14.3%のみが双極性障害と診断された。 著者らは「CART法により、双極性障害へ転換する5つの有意な予測因子が特定された。これらの予測因子を用いた単純なプロセスにより転換リスクの分類は可能であり、本モデルは双極性障害の早期診断のために日々の臨床診療に適用可能である」としている。

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オンコマイン、エヌトレクチニブのROS1肺がんのコンパニオン診断に追加申請/サーモフィッシャー

 サーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループは、2020年5月13日、非小細胞肺がん(NSCLC)の4種のドライバー遺伝子を検出し、12種類の分子標的薬の同時適応判定を可能とする、次世代シーケンシング(NGS)技術を用いたコンパニオン診断システム「オンコマイン Dx Target Test マルチ CDx システム」について、厚生労働省に医療機器の製造販売承認事項一部変更申請を行ったと発表。ROS1およびTRK阻害薬である中外製薬のエヌトレクチニブ(商品名:ロズリートレク)の、ROS1融合遺伝子変異に対するコンパニオン診断システムとしての承認を目指す。 オンコマイン Dx Target Test マルチ CDxシステムは、測定項目として非小細胞肺がんの4ドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)を網羅するコンパニオン診断システムであり、ROS1融合遺伝子変異については、現在、クリゾチニブのコンパニオン診断システムとして用いられている。

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COVID-19診療の手引きの改訂版を公開/厚生労働省

 5月18日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、全国の関係機関ならびに医療機関に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 2 版」を事務連絡として発出した。 同手引きの第1版は、3月17日に発出されているが、第2版となる改訂版では、国内外の最新知見を更新し、ページ数も約2倍となるなど、大幅に改訂されている。約3割の患者で嗅覚異常、味覚異常がある 追加された項目として「臨床像」では、「初期症状はインフルエンザや感冒に似ており、この時期にこれらとCOVID-19を区別することは困難である」とし、「嗅覚障害・味覚障害を訴える患者さんが多いことも分かってきた。イタリアからの報告によると約3割の患者で嗅覚異常または味覚異常があり、特に若年者、女性に多い」など追加の症状が述べられている。 「合併症」では、「若年患者であっても脳梗塞を起こした事例が報告されており、血栓症を合併する可能性が指摘されている。また、軽症患者として経過観察中に突然死を起こすことがあり、これも血栓症との関連が示唆される。小児では、川崎病様の症状を呈する事例もあることが欧米から報告されている」と血栓に関する注意も追加された。 「重症化マーカー」では、(1)D ダイマーの上昇、(2)CRP の上昇、(3)LDH の上昇、(4)フェリチンの上昇、(5)リンパ球の低下、(6)クレアチニンの上昇などが挙げられるが、「全体的な臨床像を重視して、臨床判断の一部として活用する必要がある」としている。 「薬物療法」では、「日本国内で入手できる適応薬」としてRNA合成酵素阻害薬 レムデシビル(2020 年5 月7日に特定薬事承認)を示すとともに、「日本国内で入手できる薬剤の適応外使用」として「RNA合成酵素阻害薬 ファビピラビル」「吸入ステロイド薬 シクレソニド」「蛋白質分解酵素阻害剤 ナファモスタット」「ヒト化抗IL-6 受容体モノクローナル抗体 トシリズマブ」「同 サリルマブ」を紹介している。目次 第2版1 病原体・臨床像伝播様式/臨床像/重症化マーカー/画像所見2 症例定義・診断・届出症例定義/病原体診断/抗原検査/抗体検査/届出3 重症度分類とマネジメント重症度分類/軽症/中等症/重症4 薬物療法5 院内感染対策個人防護具/換気/環境整備/廃棄物/患者寝具類の洗濯/食器の取り扱い/死後のケア/職員の健康管理/非常事態におけるN95マスクの例外的取扱い/非常事態におけるサージカルマスク、長袖ガウン、ゴーグルおよびフェイスシールドの例外的取扱い6 退院・生活指導退院等基準/生活指導引用・参考文献 診療の手引き検討委員会・作成班は「はじめに」で、「再流行のリスクもあり、予断を許しません。本手引きが広く医療現場で参考にされ、患者の予後改善と流行の制圧の一助となることを期待します」と活用を呼び掛けている。

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COVID-19治療薬「拙速な特例的承認」に懸念、日医有識者会議が緊急提言

 日本医師会COVID-19有識者会議は5月18日、「新型コロナウィルス感染パンデミック時における治療薬開発についての緊急提言」と題し、有事といえども科学的根拠の不十分な候補薬を、治療薬として承認すべきでないとする旨の声明を発表した1)。 声明では、特別承認制度により5月7日付で国内初のCOVID-19治療薬となったレムデシビル(商品名:ベクルリー)の承認過程に言及。米国立衛生研究所アレルギー感染症研究所(NIH/NIAID)が主導し、日本からも登録参加した国際共同臨床試験(ACTT1試験)において、「周到な研究デザインのもとにレムデシビルの効果を証明」しており、「高いエビデンス・レベルでCOVID-19に対する有効性が確認された初めての薬剤」であると強調している。 一方で、治療薬候補として現在複数の薬剤が検討されているが、「有事だからエビデンスが不十分でも良い、ということには断じてならない」と指摘。「COVID-19のように、重症化例の一方で自然軽快もある未知の疾患を対象とする場合には、症例数の規模がある程度大きな臨床試験が必要」と提言している。 これに加え、著名人が既存薬の服用によりCOVID-19の症状が改善したことを公表したり、“有効”とされる既存薬の使用を巡って扇動的に報じたりするマスコミの姿勢にも疑問を呈し、「エビデンスが十分でない候補薬、特に既存薬については拙速に特例的な承認を行うことなく、十分な科学的エビデンスが得られるまで、臨床試験や適用外使用の枠組みで安全性に留意した投与を継続すべき」との見解を示している。 COVID-19を巡っては、国内外で新規治療薬の研究・開発が進められる一方、国内では、新型・再興型インフルエンザ治療薬として2014年に承認されたファビピラビル(商品名:アビガン)を転用、COVID-19治療薬として月内にも早期承認を目指すことを政府が明言している。また、厚生労働省は5月12日付で、COVID-19に関する医薬品の承認審査の際、公的な研究事業により実施される研究の成果において医薬品等の一定の有効性および安全性が確認されている場合には、治験等の臨床試験成績の提出を承認後でも可とする旨の通知を出している2)。

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COVID-19軽~中等症、早期の3剤併用療法が有効/Lancet

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者に対し、早期に開始したインターフェロン(INF)-β-1b+ロピナビル・リトナビル配合剤+リバビリンの3剤併用療法は、ロピナビル・リトナビル配合剤単独療法に比べ、SARS-CoV-2ウイルス陰性化までの期間および入院期間を有意に短縮し、安全性にも問題がないことが確認された。香港・Queen Mary HospitalのIvan Fan-Ngai Hung氏らが、127例の入院患者を対象に行った第II相の多施設共同前向き非盲検無作為化試験の結果を報告した。COVID-19パンデミックを制圧するため、効果的な抗ウイルス薬治療を見いだすことに1つの重点が置かれている。今回の結果について著者は、「さらなる臨床研究で、INF-β-1bをバックボーンとする2剤併用抗ウイルス薬療法の検討も行う必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2020年5月8日号掲載の報告。鼻咽頭スワブによるRT-PCR検査で陰性化までの期間を比較 研究グループは2020年2月10日~3月20日に、香港の6病院を通じて、ウイルス検査でCOVID-19が確認され入院した18歳以上の患者127例を対象に試験を行った。INF-β-1b+ロピナビル・リトナビル配合剤+リバビリンの3剤併用抗ウイルス薬療法と、ロピナビル・リトナビル配合剤単独療法を比較し、その有効性と安全性を評価した。被験者の症状の程度は、軽症~中等症だった。 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方にはロピナビル400mg・リトナビル100mg、リバビリン400mgをいずれも12時間ごと14日間投与し、併せてINF-β-1b 800万IUを隔日3回投与した(3剤併用群、86例)。もう一方の群には、ロピナビル400mg・リトナビル100mgを12時間ごとに14日間投与した(対照群、41例)。 主要エンドポイントは、鼻咽頭スワブによる逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査の結果でSARS-CoV-2ウイルスが陰性化するまでの期間とし、ITT解析で評価した。陰性化に関する3剤併用群のハザード比は4.37 発症から治療開始までの期間中央値は、5日(IQR:3~7)だった。 鼻咽頭スワブ検査でSARS-CoV-2ウイルスが陰性化するまでの期間中央値は、対照群12日(IQR:8~15)に対し、3剤併用群は7日(同:5~11)と有意に短かった(ハザード比:4.37、95%信頼区間:1.86~10.24、p=0.0010)。 有害事象は吐き気や下痢などが認められたが、両群間で有意差はなかった。対照群の1例が、肝炎のため治療を中止した。試験期間中の死亡は報告されなかった。

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アテローム性動脈硬化症の2次予防、P2Y12阻害薬単独療法は?/Lancet

 脳血管障害、冠動脈・末梢動脈疾患などアテローム性動脈硬化症の2次予防において、P2Y12阻害薬の単独療法はアスピリン単独療法と比べて、心筋梗塞リスクを2割近く低減し、脳卒中リスクは同等であることが示された。イタリア・Humanitas UniversityのMauro Chiarito氏らが、これまでに発表された無作為化比較試験を対象にシステマティック・レビューと、被験者総数約4万2,000例についてメタ解析を行った結果を報告した。しかし、著者は、「心筋梗塞の予防に必要な治療数(NNT)が高値であること、全死因死亡や血管死への効果がみられないことから、P2Y12阻害薬の単独療法の臨床的妥当性には議論の余地がある」と述べている。Lancet誌2020年5月9日号掲載の報告。主要な科学論文データベースと関連学会アブストラクトなどをレビュー 研究グループは、2019年12月18日時点でPubMed、Embase、BioMedCentral、Google Scholar、Cochrane Central Register of Controlled Trialsを検索し、脳血管障害、冠動脈疾患、末梢動脈疾患の患者に対する2次予防治療としてのP2Y12阻害薬単剤療法をアスピリン単剤療法と比較した無作為化比較試験について、システマティック・レビューを行った。加えて、検索した論文の参考文献や、2017~19年に関連学会で発表された試験のアブストラクトについても調査を行った。 ランダム効果モデルでオッズ比を算出し、治療効果の比較をした。主要エンドポイントは2つで、心筋梗塞と脳卒中の発生とした。主な副次エンドポイントは、全死因死亡、血管死だった。試験間の異質性をI2検定で評価し検証した。P2Y12阻害薬による心筋梗塞予防、NNTは244 検索により、9件の無作為化比較試験が特定され、総被験者4万2,108例を解析に包含した。そのうちP2Y12阻害薬群に割り付けられたのは2万1,043例、アスピリン群は2万1,065例だった。 P2Y12阻害薬群はアスピリン群に比べ、心筋梗塞リスクがわずかだが有意な低下が認められた(オッズ比[OR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.66~0.99、I2=10.9%)。 一方で、脳卒中リスクについては両群間で差はみられなかった(OR:0.93、95%CI:0.82~1.06、I2=34.5%)。全死因死亡リスク(0.98、0.89~1.08、0%)、血管死リスク(0.97、0.86~1.09、0%)についても同等であった。 重大出血リスクについても、両群間で差はなかった(OR:0.90、95%CI:0.74~1.10、I2=3.9%)。 P2Y12阻害薬単剤療法の心筋梗塞予防に関するNNTは244だった。 これらの試験結果は、P2Y12阻害薬の種類を問わず一貫していた。

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SARS-CoV-2 は便中に長く排泄される(解説:浦島充佳氏)-1230

 対象は2020年1月から3月の間、中国・浙江省にて痰ないし咽頭深くの粘液より採取した検体にてPCRを用いて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の確定診断を受け入院した連続症例96例(軽症:22例、重症:74例)である。SARS-Cov-2ウイルスRNA量を、呼吸器、便、血清、尿検体のウイルス量のCt値で定量解析している。 以下がポイントである。1. 検出場所  痰・唾液中検出割合:100% 研究対象定義  便中検出割合:59%  血清中検出割合:41%  尿中検出割合:1例のみ2. 検出期間  痰・唾液中:18日(13~29日)  便中検出割合:22日(17~31日)  血清中検出割合:16日(11~21日)3. 重症度  重症:21日(14~30日)発症後2~3週がピーク  軽症:14日(10~21日)発症後2週がピーク4. 他のウイルス量増多の因子  60歳以上  男性 SARS-CoV-2ウイルスが便中に最も長く検出されたことは注目に値する。呼吸器から検出されるウイルスは会話や咳などを介した飛沫で感染するが、便中では接触感染が考えられる。重症例では発症後2~3週間がウイルス排泄のピークとなることから、院内感染や高齢者施設では、排泄物の扱いやトイレの清掃には細心の注意を払うべきであろう。 中国・武漢の医師らが新型コロナウイルス肺炎で入院した138例についてまとめている1)。138例中57例(41.3%)が院内感染と思われた。17例(12.3%)は新型コロナウイルス肺炎以外の理由で入院していた患者、40例(29.0%)は医療スタッフであった。外科病棟に入院していた腹部症状を認めた1人の患者から10人以上に感染させたと思われる。患者間でも感染が広がった。少なくとも4人の患者が同じ病棟で感染を広げている。4人すべての患者は非定型の腹部症状を示していた。138例中、下痢は14例(10%)に認められる。院内で感染した患者は重症化しやすい傾向にあった。ICUに入院する重症化リスクは院外感染で入院した患者の2.4倍である。 また血清中でも想像以上の頻度でウイルスが検知されていた。無症状者では理論上ウイルス血症になりにくいとは思われるが、軽症でも25%にみられていることから、COVID-19流行地での献血は要注意かもしれない。1)Wang D, et al. JAMA. 2020;323:1061-1069.

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降圧薬の処方内容はCOVID-19予後に影響するか?(解説:冨山博史氏)-1231

はじめに COVID-19発生から半年近くが過ぎようとしている。しかし、まだまだ収束そして終息にも時間を要する。COVID-19では肺炎に加え、脳心血管疾患、血栓症など生命に影響する重大な合併症を発生する。そうした合併症は、高齢者や脳心血管疾患・悪性疾患など基礎疾患を有する症例で多い。ゆえに、そうした症例における合併症発生予防に細心の注意を払う必要がある。中国では高血圧症例でCOVID-19症例の予後が不良であることが報告された1)。SARS-CoV-2ウイルスの細胞内侵入にはangiotensin converting enzyme 2(ACE2)が重要な役割を果たす。このため、renin-angiotensin系に影響する降圧薬ACE inhibitor(ACEi)やangiotensin II receptor blocker(ARB)がACE2発現に影響し、ウイルス侵入を増悪させることが懸念されていた。しかし、懸念はあくまで仮説であり、3月13日発表の欧州高血圧学会Position Statement of the ESC Council on Hypertension on ACE-Inhibitors and Angiotensin Receptor Blockersでは、同危険性の十分な根拠がないため両降圧薬のむやみな中止・変更は控えるように推奨された。今回の知見 2019年12月から2020年3月の期間で、欧州、北米、アジアで計169の病院にCOVID-19で入院した8,910例を対象とした多施設共同登録研究が実施された2)。#COVID-19の診断:咽頭ぬぐい液のPCR検査で感染を診断#解析方法:入院後転帰の院内死亡例と生存例で降圧薬処方内容を含む臨床背景を比較#結果とコメント:生存例(8,395例、平均年齢49歳)、院内死亡例(515例、平均年齢56歳)であり、院内死亡例は高齢で男性が有意に多かった。また、これまでの報告と同様、院内死亡例で冠動脈疾患、心不全、不整脈(心疾患の院内死亡のODDS比は約2倍)、糖尿病、脂質異常症、慢性閉塞性肺疾患(院内死亡のODDS比は約3倍)、現在喫煙の合併比率が有意に高かった(脳卒中に関しては評価されていない)。本検討では、高血圧合併頻度は生存例(2,216/8,395例:26.4%)と院内死亡例(130/515例:25.2%)で有意な差を示さなかった。これは上述の中国の報告1)と異なる結果である。そしてACEiおよびARBの処方率は、生存例{ACEi(754/8,395例:9%)、ARB(518/8,395例:6.2%)}、院内死亡例{ACEi(16/515例:3.1%)、ARB(38/515例:7.4%)}であり、ARB処方頻度は両群に差はなく、ACEiはむしろ生存例での処方頻度が高かった。 本試験は、短期間の登録研究であり、すでにCOVID-19の症例である。ゆえに、COVID-19がすでに診断されている症例では、感染に関連する病態増悪を懸念してACEi・ARBの他の降圧薬への変更は必要ないことが支持される。同様の結果はイタリアからも報告されている3)。今回の研究では、ACEiおよびARBのCOVID-19の易感染性については検証されていない。しかし、同イタリアの研究では両降圧薬が易感染性にも影響しない可能性を報告している3)。 中国と欧米では蔓延するSARS-CoV-2ウイルスの亜型が異なる。この差異が高血圧合併の感染性への影響に関連した可能性は否定できない。ゆえに、今後、武漢株での感染例においても高血圧合併の有無および降圧薬の予後への影響について検証する必要がある。追記:ACE2について SARS-CoV-2ウイルスは細胞表面の受容体ACE2を介して細胞内に取り込まれる。ACE2は、膜内存在性蛋白で気管支、肺、心臓、腎臓、消化器等の多くの組織に発現している。ACE2はACE(angiotensin Iからangiotensin IIへ変換する酵素)と構造が類似しているが、別の作用を有し、angiotensin IIからangiotensin-(1-7)への変換を行う。このangiotensin 1-7は降圧や心血管保護作用を有すると考えられている。

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第20回 シンプルに考えよう! 高K血症のマネジメント【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)Hi-Phy-Vi(History,Physical,Vital signs)をcheck!2)心電図を速やかにcheck!3)カルシウム製剤、GI療法で速やかに介入を!【症例】75歳男性。来院当日の起床時から嘔気を自覚した。自宅で様子をみていたが症状は改善せず、食事を摂ることもできないため、救急外来を独歩受診した。●受診時のバイタルサイン意識清明血圧98/75mmHg脈拍52回/分(整)呼吸22回/分SpO296%(RA)体温36.3℃瞳孔2.5/2.5mm +/+既往歴高血圧、慢性腎臓病高K血症の定義と重症度Kの値が5.5mEq/L以上の場合に高K血症と定義されます。重症度分類は表1の通りです。6.5mEq/L以上を中等症、7.5mEq/Lを重症とするものもありますが、迅速に対応する必要があるため、まずは表1のようにおさえておきましょう。駆血や溶血の影響で高くなることもありますが、再検しなければ真実はわかりませんので、K値が6mEq/Lを超えたらまずいと考え対応するとよいでしょう1,2,3)。表1 高K血症の重症度分類画像を拡大する高K血症の症状:いつ疑うのか?1)症状高K血症と聞いて、具体的な症状を思い浮かべることができるでしょうか? 筋力低下や麻痺、動悸などは典型的な症状といわれますが、救急搬送症例など比較的重症な症例では出会うものの、walk-in症例やクリニックなどでは、倦怠感や脱力、食思不振、感覚異常など、何ともいえない、不定愁訴的な症状を訴え、「え? この症状で?」という機会も多いものです4)。2)バイタルサイン高K血症に絶対的なバイタルサインの変化はありませんが、重篤なサインとして徐脈が挙げられます。徐脈である場合には鑑別に高K血症を挙げる癖をもっておくとよいでしょう。また、血圧が低めの場合にも脈拍に注目し、血圧が低いにもかかわらず脈まで遅い場合には積極的に疑うと良いでしょう。“ショック+徐脈”として表2は頭に入れ、そのようなバイタルサインであれば、特に(1)~(3)を意識して、まずは心電図を確認することが超重要です5)。表2 SHOCK+徐脈画像を拡大する3)基礎疾患腎機能が正常であれば、通常は余分なKは尿中に排泄されるため高K血症となることはまずありません。腎機能が悪い、もしくは悪い可能性のある患者さんをいかに見出すかがポイントとなり、そのような患者さんでは、常に高K血症の可能性を意識して対応することがポイントとなります。初診の患者さんに対して、既往症や治療中の病気を確認しても、なかなか「慢性腎臓病で治療中です」とは返答はありません。「腎臓が悪いと言われたことはありませんか?」と確認するとよいでしょう。4)内服薬ACE、ARB、抗アルドステロン薬(スピロノラクトン)など高K血症の原因となり得る薬剤を確認しましょう。前述の通り、原則として腎機能が正常であれば、Kを多く含むものを摂取しても高K血症にはなりませんが、腎機能障害さらには薬剤などの影響で、本来の機能に変化が認められる場合にはK値は上昇し得ます。表3の薬剤を内服していないか確認しましょう6,7)。表3 高K血症の原因となりうる薬剤画像を拡大する高K血症のアプローチ5)具体的には、上記のことを意識しながら以下のSTEPで対応します。STEP1バイタルサインをcheck!STEP2心電図をcheck!STEP3代謝性アシドーシスの有無をcheck!STEP4腎機能障害の有無をcheck!(急性or慢性、腎前性or腎性or腎後性)STEP5内服薬をcheckSTEP6偽性高K血症の可能性を忘れずに!詳細は割愛しますが、重要なことはまず疑うこと、そして重症度を見積もるためにも心電図は必ず早期に確認することです。再検結果がすぐに判明する状態であれば溶血の可能性も考慮し対応すればよいですが、再検が困難ないし時間がかかる場合には、患者背景と心電図結果から治療を介入しマネジメントするしかありません。治療高K血症に対する治療はいくつかありますが、どこでも施行可能で、まずやるべき治療は(1)カルシウム製剤(グルコン酸カルシウム)の投与、(2)グルコース・インスリン療法(GI療法)です。この2つは自身で必ずできるようになっておかなければなりません。(1)グルコン酸カルシウムKの数値は下げませんが、高K血症によって引き起こされかねない不整脈など心臓への影響に対して用います。緩徐に静注し、その後の心電図の変化をフォローします。(2)GI療法Kの大半は細胞内に存在します。ブドウ糖とセットでKは細胞内へ移行するため、GI療法を施行し、Kを一時的に細胞内へ押し込み時間を稼ぐのです。クリニックや救急外来においてある50%ブドウ糖は主に20mLのシリンジタイプだと思いますので、私は以下の通りに使用することが多いです。低血糖は避ける必要があるため、血糖値のフォローも忘れないようにしましょう。投与方法:50%ブドウ糖40mL+速効型インスリン8U(リスクが高い場合には4U)※リスクが高い場合:腎機能障害なし、糖尿病の既往なし、治療前の血糖値≦150mg/dL高K血症は早期に治療介入する必要がありますが、そのためには早期に疑う必要があります。また、数値とともに心電図変化が非常に大切です。症状やバイタルサイン、さらには基礎疾患や内服薬から疑い、速やかに初療を行えるようになりましょう。グルコン酸カルシウム、GI療法施行後は、患者背景(腎機能や内服薬)や利尿の有無によって、対応は異なります。以前から腎機能障害を指摘されている場合で尿が出ない、または代謝性アシドーシスを認める場合には、透析が必要になるでしょう。腎後性腎障害の影響であれば、尿道バルーンなどで閉塞を解除すれば、その後速やかに改善することが多いでしょう。初療を行いつつ、原因検索を行い対応する訳ですが、考えながら動かなければ対応が遅れてしまうのが高K血症です。どこでも出会う可能性があり、対応を整理しておきましょう。1)Clinical Practice Guidelines for management of acute hyperkalemia in adults. UK Renal association:2014.2)Long B, et al. J Emerg Med. 2018;55:192-205. 3)Pepin J, et al. Emerg Med Pract. 2012;14:1-17.4)Montford JR, et al. J Am Soc Nephrol. 2017; 28:3155-3165.5)坂本壮. 救急外来ただいま診断中. 中外医学社:2015.6)Ben Salem C,et al. Drug Saf. 2014;37:677-692.7)坂本壮、安藤裕貴. あなたも名医! 意識障害. 日本医事新報社. 2019.p.85-101.

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事例002 アーチスト錠の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説カルベジロール(商品名:アーチスト錠)には対象傷病名によって異なる用法用量が設定されており、禁忌も複数設定されていて慎重投与を要する薬剤です。そのために、査定の多い薬剤の1つです。事例を見てみます。調剤薬局にて調剤されたアーチスト錠に対する処方内容照会(突合点検結果連絡票)が届きました。医療機関の処方箋内容と調剤薬局の調剤内容に相違がなければ、「医療機関の責として診療報酬から相殺する」との連絡です。審査結果の理由を見ると、レセプト記載の傷病名から適応外と判断されたことがわかります。傷病名欄には、本態性高血圧と気管支喘息が記載されていました。アーチスト錠の添付文書によると、気管支喘息患者への使用は禁忌です。医師によると、当該患者の気管支喘息は査定月以前に治療の必要が無い状態にあったため、血圧コントロールを優先して投与されたとのことでした。ところがレセプト上では傷病名が削除されておらず、症状詳記もありませんでした。これでは気管支喘息が治療不要な状態であることはレセプトからは読み取ることができません。したがって、添付文書に沿わない投与と判断されて査定となったものと推測できます。電子レセプトでは、入力されたデータのみによるコンピュータ判断が優先されます。不必要な傷病名は速やかに削除すべきです。また、保険診療として認められるか否かは別として、必要があって医師の判断で行った診療内容があれば、レセプトとは別に症状詳記で補い、審査員の目視判断を仰ぐことも査定の防止に有効な手段の1つとなります。

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第7回 リモート出演で気になったタレントの“ナメクジ腫れ”

こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。5月14日、47都道府県のうち39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されました。残る宣言の対象区域は北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫の8都道府県ですが、政府は5月21日を目処に解除の可否を改めて判断するとのことです。そんな自粛解除の流れの中、最近気になったのが、テレビのバラエティ番組に出ている女性タレントの顔です。タレントが自宅からリモート出演するバラエティ番組が増えていますが、ある若手女性タレントの目の下、いわゆる「下眼瞼」と呼ばれる部分が、ナメクジが付いたように腫れているのです。気になり出すとそこばかり目が行くもので、ここ2週間ばかりの間にもう1人、“ナメクジ腫れ”が生じている女性タレントを見つけました。“ナメクジ腫れ”の正体はいったい何でしょう? 知人に聞いたところ、「うかつなことは言えないけれど、ヒアルロン酸注射か二重(ふたえ)手術の痕では」との見立てでした。つまり、彼女たちはつい最近、美容整形の手術を受けたのではないか、というわけです。「不要の医療ではないが、不急の医療」私自身は美容整形の現場を取材したことはほとんどないので、「タレントも仕事が暇になったので、美容整形を受けに行ったのかな」と思っていただけなのですが、先週、あるニュースを読んでコロナの影響はこんなところにまで、と驚きました。それは共同通信が配信し、日本経済新聞(5月12日)や地方紙に掲載された「美容整形『多くは不急、今は控えて』」というニュースです。そのニュースによれば、記者が複数の美容関係者に取材したところ、新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛が続く中、美容整形を申し込む人が増えている、とのこと。記事は、「在宅勤務や休校、マスク着用で、手術後の顔の腫れや容姿の急変を他人に知られずに済むためではないか」と分析、「大学などが休みになり始める1月後半から予約が増えるのは例年通りだが、今年はとくに予約申し込みが多い」とのことでした。記事では、ある美容外科のケースも紹介、医療資材の不足から、消毒液の入手が困難な時期もあり、施術で通常10枚ほど用意するガーゼも2~5枚に制限、半分に切って使ったこともあった、としています。実際、外出自粛が続いた結果、今年の春の美容整形人気は本当のようです。日本美容外科学会はホームページで、一般の人に対して「美容医療をお受けになろうとお考えの方へ  新型コロナウィルス(COVID-19)感染予防に関するお願い」を掲示、「美容医療は不要の医療ではありませんが、多くの方にとって不急の医療と考えます」として「今お考えの美容医療は感染が収束するまでお待ちいただきたい」と訴えています。学会が「不急の医療」と言ってしまっている点が、なかなか興味深いです。一方、同学会は会員の医療機関にも、「美容外科診療の対応について」として、「待機可能な侵襲的美容外科治療を希望する患者に対しては、事態が収束に向かうまでは、実施内容の低侵襲化、あるいは実施の延期や中止を検討する」「新型コロナウィルス感染患者の治療に必要な医療資源(医療物資、輸液、抗生剤、ベンチレーター、医療スタッフ等)を感染症指定医療機関等へ供給することを最優先に考え、使用を最小限にすること」の2点を提言しています。国難と呼ばれる事態に不急の自由診療美容整形のプチブームに、私がとやかく言うことはありません。ただ、一つ気になったのは、美容整形外科の医師たちは、新型コロナウイルス感染症で医療リソース(モノもヒトも)が全国的に払底する時期にどう動いていたか、ということです。急性期病院勤務の医師は病院で新型コロナウイルスと戦い、都道府県医師会・郡市区医師会の医師は行政検査の委託を受け、PCR検査に携わるなどしています。たとえば、東京都医師会はPCR検査の体制を強化しようと、かかりつけ医の紹介で検査を受けられる「PCR検査センター」の設置を進めています。美容整形外科は自由診療がほとんどですから、地域の医師会に加入している医師も少ないでしょう。そうなると、ほとんどの美容整形外科医は、新型コロナウイルス感染症の診断・治療とは何の接点もないまま、自らの日常診療を続けていると思われます。先の日本美容外科学会の会員への呼びかけも「提言」となっており、会員に何らかのアクションを要請するものでもないからです。日本は自由標榜制なので、医師が自分の専門に美容整形外科を選ぶことは何の問題もありません。ただし、医師の教育・養成には相当の税金が投入されていることを考えると、“国難”と呼ばれる事態において、不急の自由診療だけに注力する医師の姿勢には、いささか疑問を覚えます。もっとも、新型コロナウイルス感染症の診断数がピークの頃、外来診療を止めてしまっていた、うちの近所の診療所(何科まではここでは書きません)も同類かもしれませんが…。

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高齢者特有のリスクを考慮した抗ヒスタミン薬の提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第20回

 今回は、抗ヒスタミン薬の追加提案について紹介します。高齢者で抗ヒスタミン薬を選択する際には、鎮静やせん妄などのリスクを十分に考慮する必要があります。経過をフォローすることで、漫然投与も防ぎましょう。患者情報75歳、男性(施設入居)基礎疾患:高血圧症、便秘症訪問診療の間隔:2週間に1回処方内容1.オルメサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後2.酸化マグネシウム錠500mg 2錠 分2 朝夕食後3.センノシド錠12mg 1錠 分1 夕食後4.d-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mg 3錠 分3 朝昼夕食後(今回追加)5.ヘパリン類似物質油性クリーム 50g 1日2回 全身に塗布(今回追加)6.ジフルプレドナート軟膏 10g 1日2回 体幹部位に塗布(今回追加)本症例のポイントこの患者さんは、全身の乾燥と体幹部に強い痒みを伴う湿疹があり、夜間も痒くて眠れないので飲み薬も出してほしい、という訴えを訪問診療の同行時に聴取しました。そこで医師より、しっかりとした作用が必要なのでd-クロルフェニラミンマレイン酸塩錠2mgを1日3回でどうかという相談がありました。ここでの処方薬のポイントは3点あります。1.高齢者における第1世代抗ヒスタミン薬のリスク第1世代の抗ヒスタミン薬は、中枢神経を抑制して鎮静作用が強く生じることがあります。この患者さんが眠れないと訴えたことから、鎮静作用を期待している可能性もありますが、抗コリン作用などに伴う口渇や便秘、認知機能低下、せん妄があり、高齢者ではリスクが大きいと懸念されます。2.第2世代抗ヒスタミン薬の代謝と排泄経路、鎮静作用代替薬として、よりH1受容体に選択的に作用する第2世代抗ヒスタミン薬を検討しました。多くの薬剤が発売されていますが、高齢者では肝・腎機能などの低下を考慮して、安全に使用できる薬剤が望ましいです。また、鎮静の強さも各薬剤で違いがありますので、鎮静作用が比較的弱いフェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチンが適切と考えました。3.併用薬との相互作用相互作用の面では、現在服用中の酸化マグネシウムとフェキソフェナジンは併用注意です。酸化マグネシウムがフェキソフェナジンの作用を減弱させるため候補から外れました。服用回数の少なさも薬剤選択の大きなポイントですが、ロラタジンもエピナスチンも1日1回ですので、今回は腎臓への負担の少ないエピナスチンが妥当と考え、医師に提案しました。処方提案と経過医師には、冒頭の処方内容では、鎮静が強く生じて転倒するリスクがあり、口渇や便秘、認知機能低下、せん妄リスクもあることを伝えました。代替薬として、エピナスチン錠20mg(後発品)を提示し、服用薬との薬物相互作用もなく、腎機能への影響も少なく、服用回数も1回で済むことを紹介しました。医師からは、高齢者での第1世代抗ヒスタミン薬のリスクを軽視するわけにはいかないと返答があり、提案のとおりに変更されました。患者さんはエピナスチン錠を服用開始した翌日の夜には掻痒感が改善し、よく眠れたと聴取することができました。2週間後には皮疹もきれいに治っていたことから、エピナスチン錠を中止し、保湿剤によるスキンケアのみを継続することを医師に提案しました。この提案も採用され、保湿剤のみとなりましたが現在も経過は良好です。抗ヒスタミン薬は漫然と飲み続けているケースも多く見受けられますが、継続的にフォローして、治療終了を判断することも重要と考えます。画像を拡大する※2020年5月時点の薬価※肝・腎:肝機能低下、腎機能低下でそれぞれ血中濃度上昇の可能性あり1)各薬剤のインタビューフォーム2)「透析患者に対する投薬ガイドライン」, 白鷺病院.3)谷内一彦ほか. 日耳鼻. 2009;112:99-103.

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COVID-19の流行による性生活の変化

 トルコ・Esenler Maternity and Children's HospitalのBahar Yuksel氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がトルコ人女性の性行動にどのように影響するのかを評価するため、COVID-19流行前に行われた研究データと流行中のデータを用いて観察研究を行った。その結果、性的欲求と性交頻度はCOVID-19流行中に大幅に増加したが、性生活の質は大幅に低下したことが明らかになった。さらに、COVID-19の流行は妊娠に対する欲求の減少、女性の避妊低下、および月経不順の増加に関連することが示された。International Journal of Gynecology & Obstetrics誌オンライン版5月11日号掲載の報告。 2020年5月13日時点、トルコの感染者数は14万1,475人、死者数は3,894人と感染者は世界で9番目に多い。 研究者らは性交の頻度、妊娠の欲求、女性の性機能指数(FSFI:Female Sexual Function Index)、避妊法、月経不順について、COVID-19流行中と流行6〜12ヵ月前とを比較した。 主な結果は以下のとおり。・性交の平均頻度について、流行中と流行前で比較したところ、流行中に大幅に増加した(2.4 vs.1.9、p=0.001)。・流行前は19人(32.7%)が妊娠を望んでいたが、流行中は3人(5.1%)に減少した(p=0.001)。・一方、流行前と比べ、流行中の避妊具などの使用は有意に減少した(24 vs.10、p=0.004)。・月経不順は流行前よりも流行中で多くみられた(27.6% vs.12.1%、p=0.008)。・FSFIを流行前と流行中とで比較したところ、 流行前のほうが有意に高かった(20.52 vs.17.56、p=0.001)。

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高齢者のがん、発症前に歩行速度が急激に減少

 高齢者におけるがん診断前と後におけるサルコペニアの尺度の減少度をがんではない高齢者と比較した場合、診断前に歩行速度の減少度が大きいことがわかった。米国・アラバマ大学のGrant R. Williams氏らが報告した。JAMA Network Open誌2020年5月1日号に掲載。 著者らは、サルコペニアの3つの尺度(四肢除脂肪量[ALM]、握力、歩行速度)について、がんと診断された高齢者の診断前の減少度と診断後の減少度を、がんではない高齢者の減少度と比較し、さらにサルコペニアの尺度とがん患者の全生存率および主な身体障害との関連を評価した。 このコホート研究は、Health, Aging, and Body Composition研究の参加者(ペンシルベニア州ピッツバーグおよびテネシー州メンフィスとその周辺の白人のメディケア被保険者とすべての黒人居住者のランダムサンプルから募集した70~79歳の地域住民3,075人)を対象とし、1997年1月から2013年12月まで17年間観察した。データは2018年5月~2020年2月に分析した。年に一度、ALM、握力、歩行速度を調査し、線形混合効果モデルを使用して、それぞれの変化についてがん発症者の診断前と診断後、非がん発症者で比較した。さらに、サルコペニアの尺度とがん診断日からの全生存および主な身体障害との関連について、多変量Cox回帰を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・3,075人のうち、男性が1,491人(48.5%)、黒人が1,281人(41.7%)、平均年齢は74.1(SD:2.9)歳であった。・研究開始から7年の間に515人(16.7%)ががんを発症した。多いがんは前立腺がん(117人、23.2%)、大腸がん(63人、12.5%)、肺がん(61人、12.1%)、乳がん(61人、12.1%)で、165人(32.0%)に転移が認められた。・がん発症者の診断前の各尺度の減少率は、非がん発症者と比べ、歩行速度では大きかった(β=-0.02、95%CI:-0.03~-0.01、p<0.001)が、ALM(β=-0.02、95%CI:-0.07~0.04、p=0.49)、握力(β=-0.21、95%CI:-0.43~0、p=0.05)は差がなかった。・がん発症者の診断後の各尺度の減少率は、非がん発症者に比べ、ALMでは大きかった(β=-0.14、95%CI:-0.23〜-0.05、p<0.001)が、握力(β=-0.02、95%CI:-0.37〜0.33、p=0.92)、歩行速度(β=0、95%CI:-0.01〜0.02、p=0.51)は差がなかった。・転移のある患者では、がん診断後のALMの減少率が最も大きかった(β=-0.32、95%CI:-0.53〜-0.10、p=0.003)。・歩行速度が遅いと、死亡率が44%増加(HR:1.44、95%CI:1.05〜1.98、p=0.02)、身体障害が70%増加(HR:1.70、95%CI:1.08〜2.68、p=0.02)したが、ALMや握力が低い場合には死亡率と身体障害の増加は認められなかった。

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ハンセン病、低中所得国では家庭内接触者の検出介入が必須

 歴史的に最も古くから知られる感染症といわれるハンセン病は、今では治療法が確立し、最も感染力の弱い感染症ともいわれている。ブラジル・Fundacao Oswaldo CruzのCamila Silveira Silva Teixeira氏らは、ハンセン病の発生は世界的には減少傾向にあるが、低中所得国では依然として対策が必要な感染症であるとして、同国における新規症例の状況と家庭内感染の実態を、1億人規模の住民ベースのコホート研究から明らかにした。ハンセン病患者の家庭内接触者(とくに多菌型ハンセン病患者が家族にいる接触者、および高齢の接触者)は、ハンセン病のリスクが増大する可能性が示唆されたという。結果を踏まえて著者は「コンタクトスクリーニング(接触者の検出)といった保健衛生上の介入が、とくにそのような集団をターゲットとして必要と思われる」とまとめている。JAMA dermatology誌オンライン版2020年4月15日号掲載の報告。 研究グループは、ハンセン病と診断された患者の家庭内接触者における、ハンセン病の新たな症例検出率を推定し、関連するリスク因子を調べる検討を行った。 本研究は、100 Million Brazilian Cohortに登録された家族と全国ハンセン病レジストリをリンクした住民ベースコホート研究で、2007年1月1日~2014年12月31日に集められたデータを解析した。 ハンセン病と診断された患者の家庭内接触者を家族単位で、1人目のハンセン病罹患家族(プライマリ家族)が検出および登録された時期から2人目の罹患家族が検出されるかを、2014年12月31日まで追跡した。プライマリ家族の臨床的特性と、家庭内接触者の社会人口統計学的因子を踏まえて、2018年5月~12月にデータの解析を行った。 主要評価項目は、リスク集団である家庭内接触者10万(リスク人年)当たりの新たなハンセン病症例の推定検出率であった。また、2人目の罹患家族の発生と曝露リスク因子の関連を、州および世帯特有のランダム効果を考慮したマルチレベル混合効果ロジスティック回帰法を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・ハンセン病患者1万7,876例が検出され、その家庭内接触者4万2,725例(女性2万2,449例[52.5%]、平均年齢22.4歳[SD 18.5])を対象に検討が行われた。・家庭内接触者における新規症例の検出頻度は、10万リスク人年当たり636.3例(95%信頼区間[CI]:594.4~681.1)であった。15歳未満では、10万リスク人年当たり521.9例(95%CI:466.3~584.1)であった。・発症の関連オッズ比(OR)が高かった因子は、プライマリ家族が多菌型ハンセン病に罹患している場合であった(補正後OR:1.48、95%CI:1.17~1.88)。・家庭内接触者が50歳以上の場合、リスクの増大が認められた(補正後OR:3.11、95%CI:2.03~4.76)。・ハンセン病の検出と、非識字または就学前の教育レベルには、負の相関がみられた(補正後OR:0.59、95%CI:0.38~0.92)。・小児の家庭内接触者では、男児でリスクが高いことが認められた(補正後OR:1.70、95%CI:1.20~2.42)。

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ペースメーカー・ICDの再利用、感染・死亡リスクは高くない/NEJM

 ペースメーカーや除細動器の入手は、医療資源が限られている地域では大きな問題となる。カナダ・モントリオール心臓研究所のThomas F. Khairy氏らは、医療サービスが十分でない国で、再滅菌したペースメーカーや除細動器を再使用した患者と、新しいデバイスを使用したカナダの対照群の患者の比較を行い、2年後の感染症やデバイス関連死の発生に有意な差はなかったと報告した。研究の成果は、NEJM誌2020年5月7日号に掲載された。富裕国の患者から死後に摘出した植込み型心臓デバイスを再滅菌して再使用する試みが進められているが、感染リスクが不確実であることが懸念されている。マッチさせた新デバイス植込み群と比較 1983年、モントリオール心臓研究所では、再生されたペースメーカーと植込み型除細動器(ICD)を再滅菌し、医療サービスが十分でない国で再使用するために送り届けるプログラムが策定された。その後、市全体の取り組みとして発展しており、2003年には、アウトカムを追跡する前向き登録システム(Heart to Heart registry)が創設された。 このプログラムで再利用デバイスの植込み術を受けた医療サービスが十分でない国の患者を、カナダで新しいデバイスの植込み術を受けた対照患者と1対3の割合でマッチさせた。 主要アウトカムは感染またはデバイス関連死とした。他の原因による死亡を、競合リスクとしてモデルに加えた。感染症発生率:2.0% vs.1.2%、デバイス関連死は認めず 再利用デバイス群は1,051例(平均年齢63.2±18.5歳、女性43.6%)であった。国別の割合は、メキシコが36.0%、ドミニカ共和国が28.1%、グアテマラが26.6%、ホンジュラスが9.3%であった。モントリオールで新たなデバイスを植え込まれた対照群は3,153例(64.4±17.4歳、43.6%)だった。 全体で、85%がペースメーカーを、15%がICDを植え込まれ、リードは1本が55.5%、2本が38.8%、3本は5.7%であった。 再利用デバイス群におけるデバイス植込みの適応症は、房室ブロックが687例(65.4%)、洞結節機能不全が134例(12.7%)、駆出率低下を伴う心不全が98例(9.3%)などであった。 フォローアップ期間2年の時点で、感染は再利用デバイス群が21例(2.0%)、対照群は38例(1.2%)で発生した(ハザード比[HR]:1.66、95%信頼区間[CI]:0.97~2.83、p=0.06)。デバイス関連死は認められなかった。 デバイス植込みから感染の発生までの期間中央値は、再利用デバイス群が66日(IQR:42~239)、対照群は61日(24~200)であった。 最も頻度の高かった病原体は、黄色ブドウ球菌(再利用デバイス群13/21例[61.9%]、対照群23/38例[60.5%])で、次いで表皮ブドウ球菌(3/21例[14.3%]、9/38例[23.7%])が多かった。 著者は、「倫理的な障壁があるため、高所得国ではデバイス再利用の無作為化試験の実施は難しい。医療サービスが十分でない国では、無作為化試験を行う努力が続いているが、十分な資金の確保、試験参加とフォローアップに必要な基幹設備の提供、心臓植込み型電子デバイスやリードの提供の確保など、いくつかの課題が残されている」と指摘している。

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SSRI治療抵抗性強迫症に対する抗精神病薬増強療法の比較

 強迫症(OCD)は、人口の2.5%に影響を及ぼす原因不明の慢性的な精神疾患である。強迫症に対する従来の治療は、適切な治療反応が認められている。また、一部の研究において、抗精神病薬、グルタミン酸作動薬、リチウム、buspironeなどの増強療法により、治療反応の改善が報告されている。イラン・Mashhad University of Medical SciencesのAli Talaei氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療抵抗性OCD患者に対する抗精神病薬増強療法としてのアリピプラゾールおよびクエチアピンの有効性、安全性の評価を行った。Canadian Journal of Physiology and Pharmacology誌2020年4月号の報告。 OCD患者には、まずSSRIで12週間の治療を行った。12週間後のYale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)スコアが16以上の場合、アリピプラゾール群またはクエチアピン群のいずれかにランダムに割り付け、さらに12週間の治療を行った。 主な結果は以下のとおり。・研究開始時点での、年齢、性別、教育、婚姻状況、Y-BOCSスコア、臨床全般印象度(CGI-S)スコアに両群間の有意な差は認められなかった(p>0.05)。・両群ともに、1ヵ月後の結果は、2、3、4ヵ月と比較し、有意な差が認められた(p<0.001)。 著者らは「アリピプラゾールおよびクエチアピンは、SSRI治療抵抗性OCD治療において効果的かつ忍容性の高い増強療法である可能性が示唆された。アリピプラゾールは、迅速な治療反応が得られる可能性があり、より効果的であると考えられる」としている。

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第8回 話して生じる飛沫は空中を8分間漂い、新たなCOVID-19感染の火種となりうる

はしか(麻疹)、インフルエンザウィルス、結核菌等の呼吸器ウイルスは咳やくしゃみで放たれた飛沫を介して感染を広げます。飛沫のもとである口腔液に大量に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が存在することが発症患者1)のみならず無症状の患者2)でも確認されており、おそらくSARS-CoV-2も飛沫に収まって浮遊できるでしょう。普通に話しても飛沫が生じることは、咳やくしゃみによる飛沫ほどは広く知られておらず、話したときに生じてしばらく浮遊しうる直径30μm未満の飛沫の意義はこれまで蚊帳の外に置かれていました。しかし米国NIH支部の国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(NIDDK)の研究者らの試験結果によると、その認識は改める必要があるようです。先週水曜日にPNAS誌に掲載されたその報告によると、話したときに生じる飛沫は空中に8分間は浮遊し、新たなSARS-CoV-2感染の火種になるおそれがあるといいます3,4)。研究者は被験者に“stay healthy(健康でいよう)”というフレーズを25秒間繰り返し言ってもらい、そのときに発生する飛沫の浮遊(30cm落下)時間半減期を測定しました。その時間が8分間であり、話して生じた飛沫の直径はおよそ4 μm、口を出る前の乾燥前の粒子の直径は12μm以上と推定されました。この結果によると、1分間大声で話せば、ウイルスを含有する少なくとも1,000粒の飛沫が8分を超えて空中に留まり、その量はそれらを吸い込んだ誰かにCOVID-19を誘発しうるレベルだといいます。今回の研究を実施した研究チームは、話しているときの飛沫を撮影した結果を先月4月中旬にNEJM誌に報告しており5)、その試験では、布マスクをして話せば前方への飛沫の発散を抑えられることが示されています。アメリカ疾病管理センター(CDC)も推奨するマスク着用が、SARS-CoV-2の広がりを遅らせうる大事な役割を担うことを、前回のその報告と今回のPNAS報告は示していると、NIDDK広報担当者は米国の新聞USA TODAY紙に話しています6)。マスクの効果に関するこれまでの試験を集めて検討したPNAS誌投稿査読前報告7,8)の著者の見解はさらに揺るぎなく、公共の場でのマスク着用は、皆が守ればSARS-CoV-2の広まりを確実に防ぐ(Public mask wearing is most effective at stopping spread of the virus when compliance is high)と結論しています。参考1)Chan JF,et al. J Clin Microbiol. 2020 Apr 23;58.2)Wolfel R,et al. Nature. 2020 Apr 1. [Epub ahead of print]3)Droplets from Speech Can Float in Air for Eight Minutes: Study / TheScientist4)Stadnytskyi V,et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2020 May 13. [Epub ahead of print]5)Anfinrud P,et al. N Engl J Med. 2020 Apr 15. [Epub ahead of print]6)Simply talking in confined spaces may be enough to spread the coronavirus, researchers say / USAToday7)If 80% of Americans Wore Masks, COVID-19 Infections Would Plummet, New Study Says / VanityFair8)Face Masks Against COVID-19: An Evidence Review. Preprints. Version 2 : Received: 12 May 2020

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低分子ヘパリン皮下注射の選択のない日本に応用できるか?(解説:後藤信哉氏)-1228

 静脈血栓症は難しい。抗凝固薬の使用が一般化したのは肺血栓塞栓症の生命予後改善効果確認後であった。新規の経口抗凝固薬の適応拡大試験を施行するのであれば、「生命予後」を有効性の一次エンドポイントとしたい。しかし、重症例をランダム化比較試験に取り込むことは難しい。静脈血栓の再発などを代替的エンドポイントにせざるを得ない。静脈血栓症の定義は難しい。客観的に確認された血栓があっても予後には影響がないかもしれない。本研究のイベントの詳細がsupplementに記載されているが、悪性腫瘍の診断のために施行したCTにて見いだされた血栓なども含まれる。無症候の静脈血栓の臨床的意味は正直わからない。しかも、open labelの試験である。アピキサバンの適応拡大を目指した試験としての意味はあるかもしれないが、臨床的意味は不明とせざるを得ない。 対象症例は平均67歳と比較的高齢である。4%程度の症例に重篤な出血合併症が起こる。日本では低分子ヘパリンとしてのデルタパリンの自己皮下注射は施行されていない。日本の実態であれば入院中のヘパリンと退院後のワルファリンが標準治療であろうか? 生命予後を有効性の一次エンドポイントとして現在の標準治療と低分子ヘパリンの皮下注射の比較試験を日本にて実施できるとよい。事前に賭けろと言われたら、現在の治療で十分と答える。心房細動の脳卒中の場合も、脳卒中・全身塞栓症が最大の問題と考えてランダム化比較試験を施行した。しかし、各種試験、観察研究は死亡率の高さを示した。静脈血栓でも真に避けたいイベントは死亡と思う。低分子ヘパリン、アピキサバンが静脈血栓症の死亡率を下げるか否かの仮説検証が行われれば標準治療の転換につながると考える。

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