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COVID-19死亡例、肺病理所見の特徴は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行における主な死因は進行性呼吸不全であるが、死亡例の末梢肺の形態学的・分子的変化はほとんど知られていないという。ドイツ・ヴィッテン・ヘアデッケ大学のMaximilian Ackermann氏らは、COVID-19で死亡した患者の肺組織の病理所見を調べ、インフルエンザで死亡した患者の肺と比較した。その結果、COVID-19患者の肺で顕著な特徴として、重度の細胞膜破壊を伴う血管内皮傷害がみられ、肺胞毛細血管内の微小血栓の有病率が高く、新生血管の量が多いことを確認した。NEJM誌2020年7月9日号掲載の報告。インフルエンザ例の剖検肺、非感染対照肺と比較 研究グループは、COVID-19で死亡した患者の剖検時に得られた肺の形態学的・分子的特徴を、インフルエンザで死亡した患者の肺および年齢をマッチさせた非感染対照肺と比較した(米国国立衛生研究所[NIH]など助成による)。 COVID-19で死亡した患者7例(女性2例[平均年齢68±9.2歳]、男性5例[80±11.5歳])、インフルエンザA(H1N1)感染に続発した急性呼吸促迫症候群(ARDS)で死亡した患者7例(女性2例[62.5±4.9歳]、男性5例[55.4±10.9歳])、年齢をマッチさせた非感染対照(肺移植ドナー)10例(女性5例[68.2±6.9歳]、男性5例[79.2±3.3歳])の肺組織が、解析の対象となった。 肺の評価は、7色免疫組織化学的解析、マイクロCT画像、走査型電子顕微鏡、血管鋳型法、遺伝子発現の直接多重測定法を用いて行われた。ACE2発現細胞が多い、微小血栓9倍、新生血管量2.7倍に インフルエンザ肺炎患者の肺は、COVID-19患者の肺に比べて重く(平均重量:2,404±560g vs.1,681±49g、p=0.04)、非感染対照肺(1,045±91g)はインフルエンザ肺(p=0.003)およびCOVID-19肺(p<0.001)に比べ軽かった。 1視野当たりのアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)発現細胞数は、非感染対照群の肺胞上皮細胞(0.053±0.03)と毛細血管内皮細胞(0.066±0.03)ではまれであったが、これに比べCOVID-19群とインフルエンザ群の肺胞上皮細胞(0.25±0.14、0.35±0.15)、および毛細血管内皮細胞(0.49±0.28、0.55±0.11)では多く認められた。ACE2陽性リンパ球は、非感染対照群の血管周囲組織や肺胞内にはみられなかったが、COVID-19群とインフルエンザ群では認められた(0.22±0.18、0.15±0.09)。 COVID-19群とインフルエンザ群の末梢肺の組織パターンでは、血管中心性炎症所見として、血管周囲のT細胞浸潤を伴うびまん性肺胞傷害が認められた。また、COVID-19群の肺では、このほかに、内皮細胞内の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)の存在と細胞膜破壊を伴う重度の血管内皮傷害に基づく特徴的な血管像が確認された。 249個の遺伝子に関して炎症関連遺伝子発現の多重解析を行ったところ、79個の炎症関連遺伝子がCOVID-19群の肺にのみ発現していたのに対し、インフルエンザ群の肺にのみ発現していたのは2つだけで、7つの遺伝子は両群で共通に発現していた。 一方、COVID-19群の肺血管の組織学的解析では、微小血管障害を伴う広範な血栓がみられた。肺胞毛細血管内の微小血栓の有病率は、COVID-19群がインフルエンザ群の9倍であった(血管腔面積1cm2当たりの平均血栓数:159±73個vs.16±16個、p=0.002)。 また、COVID-19群の肺では、重積型血管新生による新生血管の量がインフルエンザ群の2.7倍であり(1視野当たりの新生血管数:60.7±11.8 vs.22.5±6.9)、非感染対照群(2.1±0.6)と比べても密度が高かった(p<0.001)。発芽型血管新生の量も、インフルエンザ群に比べCOVID-19群で多かった。 COVID-19群では、重積型血管新生による新生血管の量は、入院期間が長くなるに従って増加した(p<0.001)のに対し、インフルエンザ群では経時的な重積型血管新生の増加が少ないか、まったく増加しなかった。同様のパターンが、発芽型血管新生でも認められた。 323個の遺伝子に関して血管新生関連遺伝子発現の多重解析を行ったところ、69個の血管新生関連遺伝子はCOVID-19群の肺にのみ発現し、26個の遺伝子はインフルエンザ群の肺にのみ発現しており、45個の遺伝子は両群で共通に発現していた。 著者は、「内皮細胞内のSARS-CoV-2の存在は、内皮傷害には血管周囲の炎症だけでなくウイルスの直接的な作用の関与が示唆される」と指摘し、「これらの知見の普遍性と臨床的意義を明らかにするには、さらなる研究を要する」としている。

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アトピーのそう痒、nemolizumab+外用薬で改善/NEJM

 アトピー性皮膚炎の治療において、nemolizumabと外用薬の併用は、プラセボと外用薬の併用に比べそう痒が大幅に減少し、湿疹面積・重症度指数(EASI)スコアや皮膚科学的生活の質指数(DLQI)も良好であるが、注射部位反応の発現率はnemolizumabで高いことが、京都大学の椛島 健治氏らが実施した「Nemolizumab-JP01試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年7月9日号に掲載された。nemolizumabは、アトピー性皮膚炎のそう痒と炎症に関与するインターロイキン(IL)-31受容体Aのヒト化モノクローナル抗体であり、投与は皮下注射で行われる。本薬は、第II相試験でアトピー性皮膚炎の重症度を軽減すると報告されている。そう痒の低減効果を評価する日本の無作為化第III相試験 本研究は、アトピー性皮膚炎と中等度~重度のそう痒がみられ、外用薬に対する反応が不十分な日本人患者を対象とする16週間の二重盲検無作為化第III相試験で、2017年10月に開始され、2019年2月にデータ解析が行われた(マルホの助成による)。 被験者は、外用薬併用下に、nemolizumab(60mg)を4週ごとに16週まで皮下投与する群、またはプラセボを投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは,そう痒の視覚アナログ尺度(VAS)のスコア(0~100点、点数が高いほどそう痒が重度)のベースラインから16週目までの平均変化率とした。 副次エンドポイントは、4週目までのそう痒VASスコアの変化率の推移、EASIスコア(0~72点、点数が高いほど重症)の変化率、DLQIスコア(0~30点、点数が高いほど日常生活への影響が大きい)が4点以下の患者の割合、不眠重症度指数(ISI)スコア(0~28点、点数が高いほど重症)が7点以下の患者の割合、および安全性などであった。有害事象の頻度は同じ、多くが軽度~中等度 215例が登録され、nemolizumab群に143例(年齢中央値39.0歳[範囲:13~73]、男性65%)、プラセボ群には72例(40.5歳[13~80]、67%)が割り付けられた。ベースラインのそう痒VASスコアの中央値は75.4点、EASIスコア中央値は23.2点であった。全例が事前に外用薬の投与を受けており、88%は経口抗ヒスタミン薬を投与されていた。 16週の時点で、そう痒VASスコアのベースラインからの最小二乗平均の変化率は、nemolizumab群が-42.8%と、プラセボ群の-21.4%に比べ有意に改善された(群間差:-21.5ポイント、95%信頼区間[CI]:-30.2~-12.7、p<0.001)。また、4週までのそう痒VASスコアの平均変化率は、nemolizumab群が−34.4%であり、プラセボ群の−15.3%に比し良好であった(-19.3ポイント、-26.6~-11.9)。 16週までのEASIスコアの平均変化率(nemolizumab群:-45.9% vs.プラセボ群:-33.2%、群間差:-12.6%、95%CI:-24.0~-1.3)、16週時にDLQIスコア≦4点の患者の割合(40% vs.22%、17%、2~31)、16週までにDLQIスコアが4点以上低下した患者の割合(67% vs.50%、17%、3~31)、16週時にISIスコア≦7点の患者の割合(55% vs.21%、33%、17~48)も、nemolizumab群で優れた。 有害事象は、両群とも71%で発生した。ほとんどが軽度~中等度で、重度の有害事象はnemolizumab群で3例(メニエール病、急性膵炎、アトピー性皮膚炎)に認められた。薬剤の投与中止の原因となった治療関連有害事象は、nemolizumab群の3例で4件(アトピー性皮膚炎、メニエール病/円形脱毛症、末梢性浮腫)発現した。 最も頻度の高いとくに注目すべき有害事象はアトピー性皮膚炎の増悪で、nemolizumab群で24%、プラセボ群では21%に発現した。注射関連反応の発現率は、nemolizumab群が8%で、プラセボ群の3%よりも高かった。 著者は、「本試験では、16週以降のnemolizumabの効果の持続性と安全性は検討しておらず、これら課題を明らかにするためには、より長期で大規模な試験を行う必要がある」としている。

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無症状者でも唾液を用いたPCR検査が可能に/厚労省

 新型コロナウイルスへの感染を調べる検査について、厚生労働省は7月17日より、無症状者に対しても、唾液を用いたPCR検査(LAMP法含む)および抗原定量検査※を活用可能とすることを発表した1)。ただし、簡易キットによる抗原検査については今後研究を進める予定で、現状唾液検体の活用は認められていない。これまで、PCR検査、抗原定量検査ともに唾液検体については、発症から9日目以内の有症状者のみ活用が認められていた。※6月25日保険適用。簡易キットよりも感度が高いが、専用の測定機器が必要2)。 今回の決定は、都内で無症状者を対象に、唾液を用いたPCR検査および抗原定量検査と、鼻咽頭拭い液PCR検査結果を比較し、高い一致率を確認したことを受け3)、7月15日開催の第44回厚生科学審議会感染症部会の審議を経て、活用可能と判断されたことに基づく。 同部会では、「研究結果および感染管理の観点から、無症状者に対し、現状の鼻咽頭検体に加えて、唾液検体を用いることは可能と考える」と結論づけたうえで、「一般的に検査について感度・特異度ともに 100%でない以上、これまでと同様に陰性であっても、感染していないことの証明にはならない点に留意が必要であることを被験者に十分説明し、被験者の検査後の行動に留意を求めていくことが必要」とまとめている4)。唾液を用いたPCR検査と鼻咽頭ぬぐい液の比較結果 唾液を用いたPCR検査およびLAMP法検査について、鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査と比較した結果、90%程度の陽性者一致率・陰性者一致率ならびに一致率が確認された:(鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査結果との)陽性者一致率 唾液を用いたPCR検査:91.9% 唾液を用いたLAMP検査:86.5%陰性者一致率 唾液を用いたPCR検査:88.9% 唾液を用いたLAMP検査:92.6%一致率 唾液を用いたPCR検査:90.1% 唾液を用いたLAMP検査:90.1% なお、鼻咽頭ぬぐい液PCR検査で陽性であり、唾液PCRまたは唾液LAMP検査で陰性となった症例については、いずれも、検査時点で鼻咽頭ぬぐい液中のウイルス量はきわめて少ないことが確認された(Ct値が39以上)。他方、鼻咽頭ぬぐい液PCR検査で陰性にもかかわらず、唾液PCRまたは唾液LAMP検査で陽性となった症例ではいずれも、検査時点での唾液中のウイルス量は少ないことが確認された(Ct値が33以上)。 唾液を用いた抗原定量検査と鼻咽頭ぬぐい液の比較結果 唾液を用いた抗原定量検査について、鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査と比較した結果、陽性者一致率は約76%、陰性者一致率は100%、一致率は約90%であった。なお、鼻咽頭ぬぐい液PCR検査で陽性であり、唾液抗原定量検査で陰性となった症例(9例)のうち、鼻咽頭ぬぐい液では9例中7例、唾液では全例について検査時点でのウイルス量が少ないことが確認された(Ct値が34以上)。

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大学の昇進人事で出産や病気による休業期間の考慮には驚いた(解説:折笠秀樹氏)-1258

 アカデミア、つまり大学における昇進基準に関する調査報告です。生物医学の教師陣が昇進あるいはテニュア(終身雇用)の基準ですが、指針を持つ大学は92/146(63%)でした。ランキングの高い大学ほど持っていました。 従来型と非従来型の昇進基準について調査しています。従来型としては、1)論文、2)著者の順序、3)インパクトファクター(IF)、4)研究費獲得、5)名声です。私たちの基準もほぼ同じだと思います。教授の基準で見ると、論文(95%)、研究費(67%)、名声(47%)、著者順(34%)、IF(28%)の順でした。まあ納得できる結果かと思います。 非従来型の基準としては、1)引用索引DBの使用割合、2)データ共有の割合、3)オープンアクセス論文の割合、4)研究登録の割合、5)報告ガイドラインの遵守割合、6)研究結果共有の割合、7)休業期間の考慮割合です。こちらはあまり聞いたことがありません。研究者としての姿勢を問うた基準のようです。同じように教授の基準で見ると、休業考慮(35%)、引用索引(28%)、研究共有(2%)、データ共有(1%)、残りは0%でした。出産や病気などによる休業期間を考慮しているのが35%というのは驚きでした。 教授昇進に関して、従来型の基準は3個(中央値)、非従来型の基準は1個(中央値)でした。従来型は論文、研究費、名声が上位3位です。非従来型は1個のようですが、休業か引用索引かどちらかなのでしょう。 休業期間を昇進の際に考慮しているのは、教授選考だけでなく、助教・准教授・テニュアすべてで35~50%と高いです。女性には出産の負担が多いため、女性ならではの実情を配慮した基準になっています。日本では決まり文句、「男女共同参画を推進しています。女性研究者の積極的な応募を期待します」を目にします。これはマイノリティ配慮の方針だと思われますが、女性だからといった配慮より、研究に携われなかった期間を考慮するほうが公平に感じます。日本でも、応募書類に休業期間とその理由を含めるべきかもしれません。

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第16回 乳腺外科医の有罪判決、日本医師会・東京保健医協会などが強く抗議

<先週の動き>1.乳腺外科医の有罪判決、日本医師会・東京保健医協会などが強く抗議2.健康保険証のオンライン資格確認が来年から可能に3.循環器病対策推進基本計画の骨子案、2040年までに健康寿命の3年延伸など4.生活保護受給者の医療扶助、頻回受診対策などの検討が開始5.コロナ感染拡大が続き、今後の社会経済活動はどうなる?1.乳腺外科医の有罪判決、日本医師会・東京保健医協会などが強く抗議足立区・柳原病院の乳腺外科医が準強制わいせつ罪に問われ、13日の控訴審で言い渡された懲役2年の実刑判決をめぐって、日本医師会の今村 聡副会長は見解を示した。裁判では、独自の基準でせん妄や幻覚の可能性を否定した原告側の医師の見解を採用したこと、全身麻酔からの回復過程で生じるせん妄や幻覚は通常の医療現場でも生じていること、検察側が根拠としたDNA鑑定などの証拠がずさんな検査に基づくことなどを指摘し、控訴審の有罪判決に強く抗議した。同様に、東京保健医協会からも、「医師団体としても一般市民としても絶対に許容できない」として、抗議の見解を声明として発表している。(参考)乳腺外科医控訴審判決に関する日医の見解について(日本医師会)東京高裁 第10刑事部の乳腺外科医裁判逆転有罪判決に対する声明(東京都保険医協会)2.健康保険証のオンライン資格確認が来年から可能に厚生労働省は、オンラインで健康保険証の確認ができるように、健康保険法施行規則の改正に乗り出すことを決定し、省令案を公表した。本年10月に施行予定であり、医療機関などで療養の給付を受ける際、被保険者はマイナンバーカードをカードリーダーにかざすことで、資格確認することが可能となる見込み。なお、オンライン資格確認や特定健診情報の閲覧は2021年3月から、薬剤情報の閲覧は2021年10月から開始される予定。医療機関向けのカードリーダーは、「医療機関等向けポータルサイト」で申し込むことができる。医療情報化支援基金により補助されるため、原則医療機関の負担は生じない。(参考)医療情報化支援基金に関するポータルサイト開設のお知らせについて(厚労省)オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)(同)オンライン資格確認で健康保険法施行規則改正へ 厚労省が省令案公表、10月に施行予定(CBnews)3.循環器病対策推進基本計画の骨子案、2040年までに健康寿命の3年延伸など厚労省は、16日に第5回循環器病対策推進協議会を開催し、第1期循環器病対策推進基本計画案をとりまとめた。2019年12月に施行された「脳卒中・循環器病対策基本法」に基づいて策定され、国の循環器病対策の基本的な方向について明らかにするものである。主に「循環器病の予防や正しい知識の普及啓発」、「保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実」、「循環器病の研究推進」の3つの施策を実施することにより、「2040年までに3年以上の健康寿命の延伸及び循環器病の年齢調整死亡率の減少」を目指す。(参考)循環器病対策推進基本計画(案)(厚労省)循環器病対策の現状等について(同)4.生活保護受給者の医療扶助、頻回受診対策などの検討が開始厚労省は「医療扶助に関する検討会」の第1回会合を15日に開催した。これは、2019年12月に閣議決定された「新デジタル・ガバメント実行計画」において、個人番号カードを利用したオンライン資格確認について、2023年度の導入を目指し検討を進めることとなっている。このため、生活保護受給者の医療扶助資格について、オンライン資格確認導入に向けた議論が開始される。今年中に取りまとめ、年度内を目処に頻回受診対策などの議論が行なわれる見込み。(参考)第1回 医療扶助に関する検討会(厚労省)5.コロナ感染拡大が続き、今後の社会経済活動はどうなる?東京都では連日多くの新型コロナウイルス感染者が確認されており、経路不明者も多い。一方、政府は22日から開始されるGo Toキャンペーンの内容や条件について、直前に変更を発表したが、再度の緊急事態宣言については否定するコメントを出すなど、難しい状況が続いている。感染拡大の防止対策として、PCR検査の積極的な実施、保健所の体制強化、感染防止のガイドライン徹底などを事業者に求め、利用者にはガイドラインを守った店の利用を求めている。海外のように再度の規制強化には動いてはいないが、屋内のイベント開催における人数制限の撤廃などを見直す可能性もある。さらに、夜の繁華街などに立ち入り検査を行うことや、新型コロナ対策特別措置法の再改正などにより、今後新しい動きが出てくる可能性は高い。(参考)接待伴う飲食店対応 経済再生相 1都3県知事に協力要請 コロナ(NHK)コロナ感染防止図り 社会経済活動の段階的な引き上げ目指す(同)

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第43回 心電図中級への道:右心系を“チラ見”するテクニック(後編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第43回:心電図中級への道:右心系を“チラ見”するテクニック(後編)前回は「心室肥大」、なかでも右室に関して肥大の病態について考えました。心電図は肥大の診断精度の面では心エコーに及びませんが、実臨床で右室肥大(RVH)を思わせる所見に出くわした時、どう考え対処すれば良いのかを考えていきましょう。実際の心電図を用いてDr.ヒロなりの実用的な診断手順を丁寧にレクチャーします!【問題1】歩行時の息切れを主訴に紹介受診した80歳、女性。膠原病の加療中。来院時心電図(図1)に関して、以下の文章を埋めよ。基本調律は、心拍数約80/分の(A:異所性心房調律、洞調律、心房細動)である。QRS電気軸は(B:  )°と(C:正常軸、左軸偏位、右軸偏位)を示し、V1誘導に「高いR波」を(D:認めない、認める)。また、同誘導には“ストレイン型”を思わせるST-T変化を(E:認めない、認める)。また、V5、V6誘導で(F:R≒S、R>S、R<S)の所見も認められる。右房拡大の所見は(G:認めない、認める)。以上から総合するに、本心電図は「右室肥大」と診断(H:できない、できる)。(図1)来院時の心電図画像を拡大する解答はこちらA:洞調律、B:120(130)、C:右軸偏位、D:認める、E:認める、F:R<S、G:認めない、H: できる解説はこちら今回は実際の心電図を用いて前回から引き続き「右室肥大」(RVH)について考えてみたいと思います。Dr.ヒロ流の心電図の系統的判読(第1回)に触れつつ解説していきましょう。Aこれは“イチニエフの法則”そのものですね(第2回)。B出た!電気軸の数値を求める問題。これは“トントン法”でしょう。aVRが“トントン・ポイント”(TP)で良ければ「+120°」、もう少し欲張ってaVL、Iに続いて「-aVR」はまだ下向き、TPは続くIIよりも「-aVR」サイドと読んで「+130°」と答えてくれたら熱心な“ドキ心”受講生ですかね(トントン法Neo、第9回、第11回)。CQRS波がIは下向き、II(aVF)は上向きです(第8回)。D「右軸偏位」とともに「RVH」診断の根幹をなす所見です。絶対値では「7mm」ですが、本来「rS型」(第17回)が標準的なV1誘導にあって、陽性(上向き)成分がこれだけ目立つのは異常です(波形はやや非典型の「qRS型」です)。E「ストレイン型」という言い方はあまり推奨されませんが、説明や理解には好都合です。“寝そべった2の字”を思い出してください(第39回)。FV5やV6では本来左室収縮をモロに反映した“ご立派”なR波がテッパンですが、これが逆転(R<S)してしまうのが「RVH」の特徴の1つです。G左室肥大(LVH)でも「左房拡大」は参考所見でした(第39回)。心臓そのものを直接画像化して診断する心エコーとは異なる、心電図なりの“苦肉の策”は、周囲(心房)の状況から推察するというものです。う~ん、なんか“探偵”チックですね(笑)H以上から心電図(図1)は「RVH」に該当します。精査の結果、膠原病に起因する肺高血圧症を認める症例でした。“とにかくニガテなんです”問題1はどうでしたか? 日々の臨床現場で皆さんが遭遇する心電図には、“(ごく)たまに”このようなモノが混じります。ここでは問題を“穴埋め”としましたが、実際ノーヒントでこうした考察が自然にできますか? そうです。実臨床にはヒント付きの問題文も“選択肢”もないのです。う~ん…それが冒頭で『RVH心電図の克服は“中級”へのパスポート』と述べた理由です。意外に難しいんですよ、実際。かつてのボクもそうでしたが、“時たま”しか出会わない異常な所見にアンテナを作動させ、拾い集めた所見を総合して「RVH」と診断するのは難しい、というかニガテだという方は少なくないと推察します。しかし、人間だけではなく、心電図自体も「RVH」の診断が得意ではないんです。一部に特異度はまずまずとする報告がありますが1)、とにかく感度が低いんです。心エコーに比べて心電図による「左室肥大」の診断力は見劣りしますが、「RVH」となるとそれに輪をかけて差が開くわけです。この理由はいくつかありますが、一番大きいのは左室と右室の重量の差からくる“筋力”(より正確には筋量)の違いです。医学部生の時、心臓のサイズはたしか“握りこぶし”(手拳大)くらい、重さは約300gと習いました(ボクは今でも患者さんにそう説明しています)。では、心室つまり右室や左室の重さってどうなんでしょう? もちろん、性別や体格(骨格筋量)にもよるでしょうね。海外データでは心室中隔を除いた「自由壁」(free wall)と呼ばれる部分の場合、右室は約45g、左室はその2.5倍くらいと報告されています2)。現実的には心室中隔も左室の“所有物”ですから、左室の重量は右室の3倍超であることがわかります。心電図の世界では、波高が心筋重量を反映するので、この比を信じるのなら私たちが普段目にするQRS波形は、“8割方”ほぼ左室成分で構成されていると考えられるわけです。「肥大」の心電図は極論したら “目立つ”(QRS)波形になるということなので、RVHが成立するには、ちょっとやそっとの筋量アップではダメで、正常な左室でも3倍超、左室に肥大があればさらに高いハードルを乗り越える必要があるわけです。もともとの頻度の差に加えて、左室の影響で“薄まって”しまい、程度が弱いものは心電図に表出しにくいというRVHの背景を知っておきましょう。■「RVH」心電図が難しいワケ■1)もともと疾患(病態)頻度が低く見慣れない2)左室の影響で所見が薄まりがち3)「右脚ブロック」とややこしい最後の「右脚ブロック」とややこしいという点は、同じことを意識されている方も多いかもしれません。かつてのボクも似ている所見にかなり困惑した記憶があります。この点について次回に詳しく述べたいと思います。“2大所見から押さえよう”悲観的な話ばかりするのはボクの本意ではありません。稀にでも出くわした時、ビシッと見逃さずに「RVH」と指摘するための基本からお話します。拙著から抜粋した図をご覧ください(図2)。(図2)代表的なRVHの心電図基準画像を拡大する左室の場合もそうでしたが、単一の心電図所見で「RVH」の診断を下すことはできず、複数の所見の“合わせ技”が基本となります。左室肥大では、あの“浪費エステ”として有名なRomhilt-Estesポイントでも注目点が5つくらいありましたよね(笑)。基本はそれの“左⇔右チェンジ”を行えばいいのです。まずは必須の2所見から。■1:右軸偏位-これはほぼマスト(MUST)1つ目は「右軸偏位」です。定性的には、QRS波の「向き」がI誘導で下向きとなります。基本的には“右軸偏位なくしてRVHなし”と考えてもらってOKなくらい重要な所見です。「左室肥大」では「左軸偏位」は補助基準の一つであったのと対照的です。これは、しばしば右室と左室の“綱引き”で例えられますが、普通なら「1人 vs. 3人」で試合している圧倒的不利な状況なはずが、自分のゾーン(右方)に引っ張り込んでいるという状況は、「RVH」があるなら相当のもんだということ。実は「+110°以上」という条件もついているのですが、“トントン法Neo”を知らない場合は、自動計測結果に頼らざるを得ないでしょう(第11回)。「左軸偏位」で「-30~0°」なら“軽度の”と呼んだように、正常者(とくに若年者)でも時に認める「+90°+α」くらいの軽い変化ではなく、ガッツリ右軸に向いていることが重要だというわけです。「右軸偏位」では、普通はII(とaVF)のQRS波は上向きですが、「RVH」がキツイ例ではここも下向きになることがあります。“ドキ心”では「高度の軸偏位」ゾーンに該当しますが、その場合は右側から“振り切れて”この領域に達したという「強い右軸偏位」ととらえるようです。代表的には「S1S2S3パターン」というI、II、IIIすべてで陰性成分が優勢となる所見も右心系負荷を示唆する所見の一つですが、軸偏位と関連付けて覚えておけば良いと思います。■2:V1はキーとなる誘導2つ目は波高に関してです。これも「肥大」では大切な所見です。ボクは人間の選り好みは基本しませんが、こと誘導に関しては「V1誘導」がかなり好きです。不整脈から波形診断まで随所で活躍してくれるブイワン君は「RVH」でもキーとなる誘導です。もちろんそれは、位置的に右室のド真ん前に電極を貼るからです。左室肥大では「(左室)高電位」が特徴でしたが、“左方面”の代表であるV5(またはV6)の反対側に視点を移しましょう。それが“右方面の雄”V1で見られます。V1誘導では、正常ですと「rS型」(右室パターン)が見られるのですが(第17回)、「RVH」では普段小さい「r波」が高い「R波」に“変身”します。絶対値では「7mm以上」ですが、定性的な「RV1>SV1」*1も相対的なR波増高ととらえてください3)。*1:「R>S in (lead) V1」や「R:S ratio in V1>1」などの表現もすべて同義。この所見は、Dr.ヒロ流の判読語呂合わせでは、“クルッと”の“ル”でスパイク・チェックをする時に行うと良いでしょう。側胸部誘導(V4~V6)の波高や全体的な振幅に加えて胸部誘導は「R波の増高過程」(R-wave progression)を確認しますよね? V1から下方に行くに連れ徐々にR波は大きくなり、逆にS波はすぼんでいくというヤツです。はじめは小さい「r波」であるはずが、スタート(V1)からいきなりドンッと7mmもあると、目にギョッときます。これで気づいてください。そのほか、何かと足し算が好きで“そこのライオン”でも登場したSokolow & Lyonペアの「RV1+SV5(V6)>10.5mV」という基準4)まで知っている人は少々マニアックかな。現実的には11mm以上ですが…。昔に比べて格段に記憶力の衰えたDr.ヒロはこうした細かな数字を逐一覚えられません。先ほどの心筋重量が右室は左室の3~4分の1だと知っておいて、「左室肥大」の基準Sokolow-Lyon index「SV1+RV5(V6)≧35mV」や単体の「RV5(V6)≧25~30mm」(諸家で多少の差あり)の数値を同じくらいの“縮尺”にして考えるというイメージ作戦で「10.5」も「7」も何とかなっております(笑)。これらの所見を1つでも満たす場合、個人的には“右室高電位(差)”とでも呼びたいところなんですが、正式には「高いR波(V1)」という所見になります。■3:「高いR波」インスピレーションこれはおまけです。V1誘導で「高いR波」を見た時に考える病態を5つ言えますか? ボクがレジデントか大学院生になりたての頃、ある先生に質問されました。解答は以下通り。■高いR波(V1誘導)を見たら何を考える?■右室肥大(RVH)(陳旧性)後壁梗塞WPW症候群(A型)完全右脚ブロック反時計回転(小児・若年成人≒正常亜型)実はコレ、見逃しやすい疾患の“備忘録”的にも使えるんです。当時とても感動したように思います。後年、BMJ誌でほぼ同様のリストが列挙されていた5)ことに“身震い”し、それ以来、決して忘れることはありません。それぐらいインパクトのある内容だと思います。“補助所見も知っておくと強い”「RVH」に関しては上の2つはほぼ“must”と言える所見です。そのほか以下の所見も参考にしてください。■「RVH」の参考所見■(a)2次性ST-T変化(V1ほか:右前胸部誘導)(b)V5、V6で“目立つ”S波(c)右房拡大(d)R peak time(V1)≧0.04秒(40ms)(a)いわゆる“ストレイン型”ですね。右室への圧負荷で求心性肥大を呈する場合が典型的で、「高いR波」が出るV1誘導でこれも確認すれば良いでしょう。心電図所見としては、“お隣”(V2)以下、V3くらいまで(右前胸部誘導)見られることもあります。(b)上記1の「高いR波」所見を反対側から見るイメージですか。V1・V2の「R波」は反対側(V5・V6)で言う「S波」で、そこが出張ってきます。まぁ結局同じことととらえても悪くないですが、「RVH」では胸部誘導が上から下までS波が目立ち、V5(またはV6)でも「R<S」(反時計回転)というケースをまとめ(図2)の3つ目の条件として挙げています。心電図(図1)の胸部誘導も全部「rS型」になっていますでしょ。これがポイントなんです。「deep S(-wave)」と呼べる絶対値基準の「10mm」(V5)、3mm(V6)はメチャクチャ余裕がある方だけでOKです。ボクはV5で勝負することにしているので、前者は“1cm”として頭に記憶させています。(c)これも「左室肥大」の時の「左房拡大」を“左⇔右チェンジ”するだけです。負荷が心室から心房へ波及することを想定しています。II、III、aVF(下壁誘導)やV1(V2)誘導でP波高が高くなるのでした。(d)「左室肥大」でQRS幅がややワイドになる、という話をしましたが、その時に“(delayed onset of) intrinsicoid defletion”や“R peak time”と呼んだQRS波の「はじまり」~「頂点」までの時間です。これが1mm(0.04秒[40ms])以上*2でやや右室興奮が“もたつく”様子を反映していると考えて下さい。ただしQRS幅全体としては幅広(wide)の基準(0.12秒[120ms]:横幅3mm)には至らないことも大事です(右脚ブロックとの大きな違いがココ)。*2:正確には>0.035秒[35ms]。“本日のまとめ”今回の原稿を書くにあたり、愛用している教科書や論文・ガイドライン4)、6)、7)を見直してみました。ただ、「RVH」の心電図については、明快に統一された診断基準を見つけることはできませんでした。「右軸偏位」と「高いR波(V1誘導)」の2つを中核に、「+α的な補助所見が何個あったら」みたいなのもありません。国内の心電計メーカーの自動診断法も参照しましたが、人間にはおよそわかりにくい数値基準であることを除いては類似の要素を組み合わせたスコアリングシステムが採用されているようでした。という訳で、Dr.ヒロは普段どのように「RVH」の心電図と向き合っているのかを図式化してみました。LVHの解説に際して作成したような実践的なフローチャート(図3)を提示してレクチャーを終わろうと思います。もちろん論文レベルのエビデンスはないですし、そういう意味で「信じるか否かはアナタ次第」(笑)という面がぬぐえませんが…。一人の若き“心電図職人”のアタマの中がどんなものか興味本位で見てもらったら幸いです。(図3)Dr.ヒロオリジナル右室肥大[RVH]の診断フローチャート画像を拡大するはじめに「wide QRS」、とくに「右脚ブロック」はひとまず除いて議論する点と、やはり「RVH」と診断するには中核2所見を中心に全体的に3つ以上は基準を満たして欲しいと思っています。ここでも得意の「あり」(definite)と「疑い」(probable)で自分なりの“重みづけ”もしています。「右軸偏位」と「高いR波(V1)」のどちらを先に見るかですが、Dr.ヒロ流ではQRS波のスパイク・チェックを「向き」「高さ」「幅」の順で捉えていきます。まず「右軸偏位」に気づいて右心系負荷を疑い、次に「高さ」で胸部誘導のR波増高過程を確認してください。その段階で「高いR波(V1)」もあったら、いよいよ「右室肥大(RVH)」が怪しいという風に考えましょう。補助所見の中では、(図2)で取り上げたV1(またはV2)“ストレイン所見”(2次性ST-T変化)とV5・V6での「深いS波」が特に重要ですが、もともと感度が低いわけですから、病歴・背景疾患や心エコー・MRI・CTなど、ほかの画像所見などもしながら考える姿勢を身に付けることで臨床的に深い洞察が可能になると信じています。では、また次回。次回は「右脚ブロック」での状況などを話したいと思います!Take-home Message心電図による「右室肥大」(RVH)の診断感度は低く、過剰な期待は禁物!「右脚ブロック」と混同せず、「右軸偏位」と「高いR波(V1)」に補助所見、自動診断結果や他の画像検査も合わせて総合的に判断するのが大事。1:Lehtonen J, et al. Chest. 1988;93:839-842. 2:Doherty NE 3rd, et al. Am J Cardiol. 1992;69:1223-1228. 3:Myers GB, et al. Am Heart J. 1948;35:1-40. 4:Sokolow M, et al. Am Heart J 1949;38:273-294.5:Harrigan RA, et al. BMJ. 2002:324:1201-1204. 6:Hancock EW, et al. Circulation 2009;119:e251-61.7:Buxton AE, et al. J Am Coll Cardiol 2006;48:2360-2396.【古都のこと~今宮神社】新型コロナウイルスが猛威を振るう中、アマビエという疫病退散の妖怪が話題になりましたね。長い歴史において多くの疫病に悩まされるたびに人々は祈りを捧げてきましたが、今宮神社(北区)も鎮疫の神として有名です。ボクが京都に移住してまだ間もない頃、市内(紫野付近)を運転中、道路沿いに一際目立つ楼門の存在感に圧倒された記憶があります。今まさに行きたい―そう思ったある日に早起きして訪れました。この地には平安遷都よりも前から摂社・疫神社*1があったとされます。994年(正暦5年)、一条天皇は二基の神輿(みこし)とともにその疫神を船岡山に奉安し、神慮を慰め悪疫退散を祈る御霊会(ごりょうえ)*2を斎行しました。その後、再び疫病の流行った1001年(長保3年)、現社地に新たに三柱*3を祀る神殿(本社)を建造し、「今宮社」と名付け御霊会を営まれました。これが今宮神社の創祀なのですが、1000年以上経っても“新しい宮”の名称が残っていることに感動しつつも、今なお疫病に苦しめられる我々の現状に複雑な気持ちも介在します。本社と摂社それぞれにお参りし、平成29年10月の台風被害により解体となった今宮の大鳥居の再建もお祈りし、休日の職務に向かいました。*1:祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)。*2:古くは疫病などの災いは、不慮の死を遂げた人の御霊(怨霊)に由来すると考えられており、これを鎮め災厄を祓うための儀礼。この紫野御霊会が今宮祭の起源とされる。*3:御祭神である大己貴命(おおなむちのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと)、奇稲田姫命(くしなだひめのみこと)。

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ASCO2020レポート 老年腫瘍

レポーター紹介高齢がん患者を包括的に評価&サポートする診療の有用性を評価した臨床試験1)高齢がん患者を包括的に評価&サポートする診療社会の高齢化に伴い、がんを罹患している高齢者(以下、高齢がん患者)は増加し続けている。これまで、がん治療については腫瘍科医が、高齢者の一般診療については老年科医が別々に行ってきたが、この連携は必ずしも十分でなかった可能性がある。高齢者総合的機能評価(comprehensive geriatric assessment:CGA)は、老年医学領域では日常的に行われている、患者が有する身体的・精神的・社会的な機能を多角的に評価し、脆弱な点が見つかれば、それに対するサポートを行う診療手法である2)。具体的な評価項目(ドメイン)としては、生活機能、併存症、薬剤、栄養、認知機能、気分、社会支援、老年症候群(転倒、せん妄、失禁、骨粗鬆症など)である(表1)。画像を拡大するがん領域ではCGAに慣れている医療者が少ないため、まずは評価だけでも実施してみる、というのが世界的な流れであった(注:がん領域では、CGAから「総合的」が抜け、高齢者機能評価[geriatric assessment:GA]と表記されることが多い)。さまざまな研究の結果、GAは、1)重篤な有害事象を予測する因子になりうる、2)生命予後を予測する因子になりうる、3)通常の診療では気付かない障害を明らかにする、4)治療方針を決定する際の参考情報となる、ことが示された。この結果、国内外のガイドラインでは、高齢がん患者に対してGAを実施することが推奨されている3,4)。しかし、がん領域ではGAによる「評価」ばかりが注目されており、「脆弱性に対するサポート」は注目されてこなかった。今回いよいよ、がん領域でもGAによる評価だけでなく、脆弱性に対するサポートも含めた診療の有用性を評価すべくランダム化比較試験が施行され、その結果がASCO2020で発表された。「GAの結果とサポート方法を患者と医療者に伝える診療」の有用性を評価した多施設共同クラスター・ランダム化比較試験米国のMohileらは、「通常のがん診療」と比較して、「GAの結果とサポート方法を患者と医療者に伝える診療」が、重篤な有害事象発生割合を減らすか否かを検討するために、多施設共同クラスター・ランダム化比較試験を実施した。主な適格規準は、70歳以上、根治不能III期またはIV期の全がん種、治療前に行われたGAで少なくとも1つに障害がある、がん薬物治療が予定されている、などであった。standard armは通常診療(治療前に行われたGAの結果すら伝えない通常の診療)であり、test armは介入ケア(GAを実施し、その結果とサポート方法の提案を患者と医療者に伝える診療)であった。なお、国内外のガイドラインでGAが推奨されているにもかかわらず、standard armがGAを実施しない通常診療とされている理由は、現時点では、米国でも日常診療でGAを実施していないためである。介入ケア群での提案内容については、現時点では公表されておらず、また介入ケア群では、あくまで提案を伝えるのみであり、提案によって治療法を変更するよう強制したものではなかった。試験デザインとして、「施設」をランダム化するクラスター・ランダム化デザインを採用した。これは、通常の試験のように「患者」を両群に割り付けると、同じ医療者または同じ施設にもかかわらず、患者によって異なるアプローチを取ることになり、患者によっては不満を募らせる可能性があること、医療者がどちらか良い印象を持った診療を行ってしまうことで診療の効果が薄まることが予想されたためである。primary endpointは3ヵ月以内にGrade3~5の有害事象を経験した患者の割合、secondary endpointは6ヵ月時点での生存期間などであった。2013年から2019年にかけて、41施設が登録された(患者数:718例)。通常診療群と比較して介入ケア群では、消化器がんが多く(30.9% vs.38.1%)、肺がんが少なく(31.4% vs.18.1%)、黒人が多く(3.3% vs.11.5%)、既治療例が多かった(22.7% vs.30.8%)。Grade3~5の有害事象は、通常診療群で71.0%、介入ケア群で50.1%であり、介入ケア群で有意に低かった。相対リスク比(RR)は0.74(95%CI:0.63~0.87、p=0.0002)であり、この差はほとんどが非血液毒性によるものであった(RR:0.73、95%CI:0.53~1.0、p<0.05)。secondary endpointの1つである6ヵ月時点での生存期間は、通常診療群で74.3%、試験診療群で71.3%であった。介入ケア群では、1コース目でより多くの患者が強度を下げた治療を受けた(35.0% vs.48.7%)。治療開始3ヵ月以内の投与量変更は介入ケア群のほうが少なかった(57.5% vs.42.1%)。Mohileらは、GAの結果とサポート方法を患者と医療者に伝えることで、生存期間を大きく損なうことなく、Grade3~5の有害事象を減らした、1コース目での治療強度の低下でこれらの結果を説明できる可能性がある、と結論付けている。感想「GAの結果とサポート方法を患者と医療者に伝える診療」が、重篤な有害事象発生割合を減らすことが示された。現時点では、具体的なサポート方法が公表されていないため、最も重要な部分がわからないが、丁寧に高齢者を評価してサポートすれば、重篤な有害事象が減少するのは理解しやすいと思われる。一方、Mohileらは、「生存期間を大きく損なうことなく、Grade3~5の有害事象を減らした」と結論付けているが、これは全面的に受け入れられないと考える。今回公表されたのは「6ヵ月」時点での生存期間であり、余命が短い高齢者とはいえ、「6ヵ月」時点の生存期間だけを比較して、生存期間は同じくらいであったというのは無理があるように思う。追跡期間は1年とのことなので、今後1年時点の生存期間に大きな差がないかは確認する必要はあるだろう。また、本試験の特性上、施設をクラスター・ランダム化するしかなかったので仕方ないとはいえ、がん種や治療レジメンなどの背景因子が両群でそろっていない状態での群間比較であるため、有害事象や生存期間などの結果を全面的に信じることはできないと考える。しかし、「通常のがん診療」と「GAの結果とサポート方法を患者と医療者に伝える診療」を比較する場合はクラスター・ランダム化比較試験を選択するのは間違いではなく、それが故に背景因子がそろわないことはやむを得ないともいえる。つまり、今後もこれ以上、質の高い臨床試験は現れない可能性があることになる。したがって、今回の結果をうのみにしないまでも、Mohileらの結論に臨床的な違和感を覚えないのであれば、「高齢がん患者にとってつらいGrade3~5の非血液毒性が減り、そこまで生存期間が短くならない可能性がある」ということくらいは言ってもよいかもしれない。参考1)Gupta Mohile S, et al. ASCO 2020.2)健康長寿診療ハンドブック―実地医家のための老年医学のエッセンス―3)NCCN GUIDELINES FOR SPECIFIC POPULATIONS: Older Adult Oncology4)Wildiers H, et al. J Clin Oncol. 2014;32:2595-2603.

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M-1グランプリ(続編・その1)【実はツッコミはセラピー!?】Part 1

今回のキーワード教える行動療法支える支持療法考えさせる認知行動療法前回は、お笑いのボケについて詳しく分析しました。今回は、ツッコミです。なぜツッコミをするのでしょうか? 前回に、ボケがメンタルヘルスで見られる症状に重なることを指摘しましたが、実は、ツッコミは、メンタルヘルスで行われるセラピーに重なります。今回は、そのスタイルをテレビ番組の「M-1グランプリ」でのネタを通して、精神医学的に分類し、普段目にしないそれぞれのセラピーをイメージアップしてみましょう。なお、お笑い芸人の表記は通称として、敬称は省略しています。なぜツッコミするの?お笑いのツッコミとは、ボケ(異常)を指摘する(=突っ込む)ことです。そして、ツッコミする理由は、笑いどころを見ている人に分かりやすく伝えるためです。ここから、そのツッコミのスタイルを大きく3つに分けてみましょう。教える1つ目は、教えるスタイルです。これは、主に3つ挙げられます。(1)罰して分からせる―行動療法・カミナリの「どつき漫才」(2017)ボケ:「この世の中で一番強い生物って何だと思う?」ツッコミ:「クマだな」(中略)ボケ:「実はね。(自分は)ホオジロザメだと思うんだ」(中略)「だってクマは水中で息できないから溺れちゃう。そこをホオジロザメが食べちゃう。よって、ホオジロザメが一番強いんです!」ツッコミ:(ボケの頭を平手で思いっきり叩き)「バトルフィールドが海前提の話だな!」→ボケを叱る(=どつく)。これは、ツッコミ(罰)が与えられることで、悪い行動(ボケ)が減るというセラピーに当たります(正の罰)。いわゆる「アメとムチ」のムチです。実際のメンタルヘルスでは、抗酒剤がこれに当てはまります。抗酒剤とは、この内服中は、飲酒すると気持ち悪くなる作用があります。よって、アルコール依存症の人は、気持ち悪くなることで、飲酒しなくなります。・オードリー若林の「すかしツッコミ」(2008)春日:「皆さん、夢でお会いして以来ですね」若林:「だいぶ、寝汗かいたと思いますけどね。今日も楽しく漫才をやっていきたいなと思いますけどね」→あえて取り合わない(=すかす)。ツッコミ(この場合はご褒美)がなくなる(与えられない)ことで、悪い行動(ボケ)が減るというセラピーに当たります(負の罰)。実際のメンタルヘルスでは、行動制限がこれに当てはまります。落ち着かないなら、自由を制限します。よって、発達障害の子どもは、自由がなくなることで、暴れなくなります(タイムアウト)。1つ目は、罰して分からせることです。これは、セラピーの中で、行動療法に分類されます。行動療法とは、罰や報酬によって行動を変えていくセラピーです(オペラント条件づけ)。なお、体罰、暴力、ハラスメントに敏感な時代の流れから、従来の「どつき漫才」は受け入れられなくなってきています。「どつく」にしても、身体的には叩くふりや腕を引っ張るなどマイルドなスタイルに変わってきています。ちなみに、トム・ブラウン(2018)は、頭を叩いたあとに、ぺたっと手をくっつけて痛そうに見えない工夫をしています。逆に、この分類でまだツッコミのスタイルとして使われていないのは、褒めることです。たとえば、ベタにボケるところで真面目になること(ある意味ボケ)で、びっくりして褒めるというツッコミをすることです。これは、ご褒美がもらえることで、良い行動(真面目)が増えるというオーソドックスなセラピーに当たります(正の強化)。これは、「アメとムチ」のアメです。また、同じく、ベタにボケるところで真面目になること(ある意味ボケ)で、激しくどつくツッコミ(罰)ができずに肩すかしになる展開です。「すかしボケ」と名付けられそうです。これは、ツッコミ(罰)が与えられないことで、良い行動(真面目)が増えるというセラピーに当たります(負の強化)。分かりやすい例は、拷問です。実際のメンタルヘルスでは、最初から行動制限を行うことです。ルールを守っているなら、少しずつ自由が拡大します。よって、発達障害の子どもは、自由が得られることでルールを守るように学習するようになります。(2)説明する―心理教育・ナイツ(2008)ボケ:「ヤホーってサイトで調べてきたんですけど」ツッコミ:「ヤフーね。ヤフーって読むんだわ、あれ」→丁寧に説明・フットボールアワー後藤の「たとえツッコミ」一発ギャグがスベった芸人に「おまえ、ようそんなギャグ出せたな。陶芸家やったら割ってるヤツやで」→分かりやすく説明2つ目は、説明することです。これは、セラピーの中では、心理教育に分類されます。クライエントに、心理状態についての説明、内服継続が必要な理由、家族の対応の仕方などを説明することです。逆に、この分類でまだツッコミのスタイルとして使われていないのは、現実を突き付ける(直面化)、矛盾を問い詰める(知性化)、細かく口出しする(過干渉)などが挙げられます。やりすぎると、ツッコミがボケになっていくおもしろさもあるでしょう。(3)主張する―アサーション・南海キャンディーズ山ちゃん(2004)相方のしずちゃんについてのツッコミレパートリー「だめだ、俺、こんな状況、生まれて初めてだ…」「ナイスざわざわ」「やばい、涙で明日が見えない」「あれ、左から妖気を感じる」→受け入れやすい言い方3つ目は、主張することです。これは、セラピーの中では、アサーションに分類されます。これは、ネガティブなことを伝える時に、主語が「あなた」(あなたメッセージ)ではなく、「私」(私メッセージ)であることによって、「あなたが悪いと決め付けているわけではない」というメッセージを伝えることです。 次のページへ >>

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M-1グランプリ(続編・その1)【実はツッコミはセラピー!?】Part 2

支える2つ目は、支えるスタイルです。これは、セラピーの中では、支持療法に分類されます。支持療法とは、味方になることによってクライエントの自尊心を満たすセラピーです。主に3つのスキルが挙げられます。 (1)受け止める―受容・ハライチの「ノリボケ漫才」(2009)岩井:「ペットを飼いたい。飼いたいペットの条件みたいなものはある。やっぱねえ、大人しいペットがいい」澤部:「まあまあねえ、周りでわあわあ騒ぐよりはねえ、かわいらしいですからねえ」(中略)岩井:「空気読むペット」澤部:「別れ話とかしてるときにきゃんきゃん来られてもね、空気読め、バカってなりますからね」(中略)岩井:「食べられるペット」澤部:「最悪な。最悪、最悪食料が底を突いたらな。あいつ、食べよ」→ナンセンスなボケに対してツッコミせずに、乗っかってさらにボケる。必死に食らいつく澤部の様子におかしさがあります。ちなみに、ノリボケとは違い、ノリツッコミは、一時的にボケに乗っかりますが、最後はツッコミするので、教えるスタイルに分類されます。1つ目は、肯定も否定もせず、そのまま受け止めることです。これは、受容というスキルです。「そう感じたんですね」とクライエントを受容するのは、セラピーの基本中の基本です。(2)一緒に感じる―共感・モノマネ→特徴をデフォルメすることで共感を呼ぶ。・テツandトモの「何でだろう」(2002年)トモ:「♪何でだろう~何でだろう(中略)集合写真をみんなで撮って、できあがった写真を見ると、必ずこんなヤツがいる。目が半開きになってるヤツ~♪」テツ:トモの周りでリズムに合わせてキレのある動きをし続けて、変顔をする→「あるあるネタ」。さらに、リズム芸、顔芸、モノマネとのコンビネーション。・レギュラーの「あるある探検隊」松本:「あるある探検隊♪あるある探検隊♪秋田のなまはげ怖すぎる。あるある探検隊♪あるある探検隊♪リストラされても絶好調」西川:「ちょ、ちょ、ちょっと待てや。それ『あるある』か?」→「あるあるネタ」。ただし、「あるある」と言っておきながら、まったくありえないこと、つまり「なしなしネタ」を適度に織り交ぜることで、予定調和を崩している。「あるある」というツッコミと見せかけたボケであることがポイント。2つ目は、一緒に感じることです。これは、共感というスキルです。厳密に言えば、共感するのは、ボケとツッコミの間よりも、ツッコミと見ている人の間です。「そういうことありますよね」とクライエントに共感するのも、セラピーの基本です。(3)耳を傾ける―傾聴・笑い飯の「ダブルボケ漫才」(2009)西田:「きみは本当に鳥が好きなんだね。私が鳥人だよ。人間の体に鳥の頭が付いてるだろ」(中略)「友達の証にこのタキシードの胸元を開いて、人間の体と鳥の頭のちょうど境目を見せてあげるよ」哲夫:「子ども、変なトラウマなるやろ」「こんどは俺がやる」(中略)「鳥進一だよ。見てごらん。ぼくは森進一の胴体に鳥の頭が付いてるんだよ」西田:「なんやそれ?」→お互いにボケる。お互いに多少ツッコミしつつ聞き流す。「言いっ放し聞きっ放し」で、反論をしたり結論を出さない、噛み合わなくても話をし続けるのが特徴。自助グループなどの集団療法やママ友グループの会話に近い。・スリムクラブの「ゆったり漫才」(2010)・笑い飯の「ダブルボケ漫才」(2009)内間:(お葬式で)「故人とはどのようなご関係で?」前田:「町で1回…見たことがあります」内間:「…(戸惑いの表情)。非常識です」→ツッコミのスピードが遅すぎる。ツッコミが、間(ま)でボケる。漫才のスピード化の真逆を行くという漫才スタイルで、予定調和を崩している。3つ目は、ゆっくりと間を取ったり話を聞き続ける姿勢を見せるなどして耳を傾けることです。これは、傾聴のスキルです。「そうなんですね」「なるほど」とクライエントに傾聴するのも、セラピーの基本です。 << 前のページへ | 次のページへ >>

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M-1グランプリ(続編・その1)【実はツッコミはセラピー!?】Part 3

考えさせる3つ目は、考えさせることです。主に3つ挙げられます。これは、認知行動療法に分類されます。認知行動療法とは、考え方(認知)に働きかけて、感じ方(感情)や行動を変えていくセラピーです。主に3つの特徴を紹介します。(1)一緒に考える・ミルクボーイの「リターン漫才」(2019)ボケ:「うちのオカンが好きな朝ご飯の名前を忘れたらしく」ツッコミ:「ほな俺がオカンの好きな朝ご飯、一緒に考えてあげるから」ボケ:「甘くてカリカリしてて、牛乳とかかけて食べるやつ」ツッコミ:「そりゃコーンフレークやないか。その特徴は完全にコーンフレークやないか」ボケ:「死ぬ前の最後のご飯もそれでいいと言っている」ツッコミ:「ほなコーンフレークと違うか。人生の最後がコーンフレークでええわけないもんね。コーンフレークはね、まだ寿命に余裕があるから食べてられんのよね。コーンフレーク側もね、最後のご飯に任命されたら荷が重いよ」→広げるツッコミ。ボケを真面目に理解しようとするあまりに、ツッコミが振り回されているおかしさがあります。(2)プラス面に目を向ける・ぺこぱの「肯定ツッコミ」(2019)ボケ:「どうも~ぺこぱのしゅうぺいでーす!」(ツッコミの前に立つ)ツッコミ:「いや、かぶってる…なら俺がよければいい」(中略)ボケ:(タクシー運転手になって)「ぶーん、どーん!」ツッコミ:「いやー痛ってーな…て言えてる時点で無事で良かった。無事であることが何より大切なんだ。時を戻そう」ボケ:「ぶーん、どーん!」ツッコミ:「いや、2回もぶつかる…ってことはおれが車道側に立っていたのかもしれない。もう誰かのせいにするのはやめにしよう」→ボケを否定せずに何とか理解しようとするツッコミ。ツッコミでありながら見た目、しゃべり方、動きが奇妙というボケ。2つ目は、プラス面に目を向けることです。これは、リフレーミングというスキルです。セラピスト(ツッコミ)にスキがあったりわざとぼけることで、クライエントの主体性を引き出すことができます。(3)俯瞰する・マヂカルラブリー(2018)野田クリスタル:フレンチのマナーについてシミュレーションをすると言って、何かになりきった演技をする。村上:「ねー、もう違うよね、ねー。地面に魔方陣描いて、自分の血を垂らすなんて。何を召喚しようとしてる?化け物みたいなやつ出てきちゃってる」→ボケの状況を説明し続けるツッコミ・FUJIWARA藤本「全然ウケへんやんけ、これ!」「自信満々に言ったのにスベったやんけ!」「なんやねん、この変な空気!」→セルフツッコミ・オードリー(2008)春日:「風呂だけにかくせき(客席)をゆざませて(湯冷めさせて)…」若林:「噛んでんじゃねえよ!」春日:「おまえが何とかしろよ!」若林:「できねーよ。これ何とかできたら、もっと最初から来れるだろ決勝に!」→ボケが噛んでしまったことに対して、即興的(即興風?)に自分たちの漫才自体にツッコミを入れる。「メタ漫才」と呼ばれます。3つ目は、俯瞰することです。これは、マインドフルネスに通じます。マインドフルネスとは、自分自身を実況生中継すること(メタ認知)で意識を研ぎ澄まし冷静になることです。 << 前のページへ

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事例006 漢方薬・柴苓湯エキスの査定【斬らレセプト シーズン2】

解説今回は、複数社から販売されている漢方薬全般によくある査定をお届けします。事例では瘢痕拘縮の改善に「柴苓湯」が著効したとの研究論文を参考に投与されていました。柴苓湯の添付文書を見ると、その適応には瘢痕拘縮の記載がありません。そのため、投与根拠である傷病名に適応病名が無いとして医学的に保険診療適用は認められないとA査定になったものです。多くの漢方薬では保険適用の承認時に、症状緩和を目的とした表現が多用されています。ここまでなら大丈夫と幅広く処方され、査定の対象となる事例をよく見かけます。保険診療では、共助と患者に対する医療安全を基本に、「保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下「療担」)」第19条において、「厚生労働大臣の定める医薬品以外の原則使用禁止」が定められています。この表現の中には、「医薬品に承認された効能・効果・用法・用量など」も含まれます。それを超えた使用は、療担第18条において特殊療法等に分類され原則禁止とされています。また、傷病名に対する適応が認められていないと査定対象となります。まれに、レセプトの当初請求時に医学的必要性が詳記されている場合には、保険診療の適用から外れていても、医師の裁量権が認められることもあります。関連学会のレポートなどで、いかに良い成果発表があったとしても、必ず保険診療の適用があるか確かめてから投与されることが、査定を減らすために必要となります。

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単極性と双極性うつ病における自殺念慮の比較

 青年期の単極性うつ病(UD)と双極性うつ病(BD)における自殺念慮や自殺企図のリスクについて、米国・Griffin Memorial HospitalのRikinkumar S. Patel氏らが検討を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年6月15日号の報告。 対象は、米国入院患者サンプルより抽出した12~17歳の青年患者13万1,740例(UD:92.6%、BD:7.4%)。自殺行動のオッズ比(OR)を算出するため、人口統計学的交絡因子および併存疾患で調整したロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・入院患者全体で、自殺念慮が14.5%、自殺企図が38.6%に認められた。いずれもUD患者で高かった。・女性は、男性と比較し、自殺企図の割合が高かった(OR:1.13、95%CI:1.09~1.16)。・交絡因子で調整した後、UD患者はBD患者と比較し、自殺企図のORがわずかに高く(OR:1.06、95%CI:1.02~1.11)、自殺念慮のORは1.2倍高かった(95%CI:1.11~1.26)。・自殺企図が認められた患者では、93.2%がBD、6.8%がUDであった。・自殺企図の大部分は、BDの入院女性患者(74.6%)で認められた(UD:67.3%)。 著者らは「自殺行動を最小限に食い止める適切な治療を行うには、UDとBDの早期鑑別診断が重要であり、治療ガイドラインに基づいたマネジメントやさらなる研究が求められる」としている。

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早期乳がんの全乳房5分割照射、10年後の結果(FAST)/JCO

 早期乳がんに対する術後寡分割放射線療法において、従来の50Gy/25回/5週レジメンの晩期有害事象の軽減の観点から、総線量を減らした週1回5分割レジメンを検討した多施設無作為化第III相FAST試験。今回、放射線治療後5年の乳房の外観変化と10年の正常組織への影響(NTE)と腫瘍アウトカムについて、英国・University Hospitals of North Midlands NHS TrustのAdrian Murray Brunt氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年7月14日号に掲載。 本試験では、50歳以上の低リスク浸潤性乳がん(pT1-2 pN0)の女性を、乳房温存手術後の全乳房照射のレジメンを、50Gy/25回/5週、30Gy/5回/5週(週1回6.0Gy)、28.5Gy/5回/5週(週1回5.7Gy)の3群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、2年後と5年後の写真での乳房外観の変化、副次評価項目は医師によるNTE評価と局所腫瘍制御であった。縦断的分析によるオッズ比(OR)でレジメンを比較した。 主な結果は以下のとおり。・2004~07年に英国の放射線治療センター18施設から915例が組み入れられた。・適格患者862例中615例(71%)で5年後の写真を入手できた。・写真での外観変化について、50Gyに対するORは、30Gyで1.64(95%CI:1.08~2.49、p=0.019)、28.5Gyで1.10(95%CI:0.70~1.71、p=0.686)であった。・写真の評価項目におけるα/β推定値は2.7Gy(95%CI:1.5〜3.9 Gy)で、28Gy(95%CI:26〜30Gy)/5回は50Gy/25回と同一効果をもたらすと推定された。 ・医師評価による中程度または著しい乳房NTE(萎縮、硬結、毛細血管拡張、浮腫)について、50Gyに対するORは、30Gyで2.12(95%CI:1.55~2.89、p<0.001)、28.5Gyで1.22(95%CI:0.87~1.72、p=0.248)であった。・追跡期間中央値9.9年までに、同側乳がんが11例に発生し(50Gy:3例、30Gy:4例、28.5Gy:4例)、96例が死亡した(50Gy:30例、30Gy:33例、28.5Gy:33例)。 今回の報告において、10年時のNTE率は従来の50Gy/25回と比べて、28.5Gy/5回で有意な差はなかったが30Gy/5回では高かった。著者らは、「今回の結果により、治療後3年時に発表した、全乳房放射線療法の週1回5分割照射がNTEに関して従来のレジメンと放射線生物学的に同等であることを示した結果が確認された」と述べている。

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関節リウマチへの生物学的製剤、有益性/有害性の違いは?/BMJ

 メトトレキサート(MTX)が無効の関節リウマチ患者の治療では、MTXとの併用における各種の生物学的製剤の有益性および有害性の差はわずかであり、長期的な直接比較試験がないことが分析を困難にしていることが、ドイツ・医療品質・効率性研究機構(IQWiG)のKirsten Janke氏らの検討で示された。関節リウマチの疾患活動性のコントロールについては、メタ解析で、MTX単剤に比べほとんどの生物学的製剤とMTXの併用療法が優れることが示されているが、各生物学的製剤の相対的な有益性および有害性については議論が続いている。この主題に関する既報のネットワークメタ解析では、患者集団の異質性や、主要なアウトカム(臨床的寛解、低疾患活動性など)の定義が最新でないなどの問題があり、結論には至っていないという。BMJ誌2020年7月7日号掲載の報告。個々の患者データの再解析の総計結果を含むネットワークメタ解析 研究グループは、十分な類似性のある患者集団において、主要なアウトカムの現在の定義に基づいて、関節リウマチの治療における生物学的製剤の有用性を比較する目的で、系統的レビューを行い、再解析された個々の患者データの総計結果を含むネットワークメタ解析を行った(IQWiGの助成による)。 データの収集には、2017年までに実施された研究の治験総括報告書と、研究スポンサーから提供された関節リウマチの主なアウトカムに関する個々の患者データの再解析から得られた総計結果、および2017年2月までに発足したデータベースとレジストリーが使用された。 解析には、試験期間が24週間以上で、MTXが無効となった後、MTXとの併用で生物学的製剤による治療を受けた成人(年齢18歳以上)の関節リウマチ患者を対象とし、患者関連アウトカムを評価した無作為化対照比較試験が含まれた。各併用療法間で、有意差のあるアウトカムはほとんどない MTX治療の失敗後に生物学的製剤とMTXの併用療法が行われた45件の研究が同定された。治験総括報告書と、個々の患者データの再解析の総計結果データを統合することで、ネットワークメタ解析において十分な類似性のある患者集団と、均質な研究結果をもたらす広範な解析が可能となった。 解析には、8つの生物学的製剤(アバタセプト、アダリムマブ、anakinra、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、トシリズマブ)とMTXの併用に関する35件の研究が含まれた。 これらの解析では、各併用療法間に、アウトカムに関して統計学的に有意な差はほとんど示されなかった。たとえば、anakinraは他の7つの製剤に比べ、臨床的寛解(臨床的疾患活動性指標[CDAI]≦2.8)や低疾患活動性(CDAI≦10)に関する有益性が少なく、セルトリズマブペゴルは他の7つの製剤に比し、重篤な有害事象や感染症に関する有害性が大きかった。 また、いくつかのアウトカムは、95%信頼区間(CI)がきわめて広く、これは8つの生物学的製剤間に未確認の差が存在することを示唆している可能性があるが、低疾患活動性や重篤な有害事象、感染症については、95%CIの広さはさほど顕著ではなかった。 さらに、直接比較試験がないため、結果は主に間接比較と限られた数の研究に基づいており、最近、承認されたヤヌスキナーゼ阻害薬を解析に含めることはできなかった。 著者は、「長期的な直接比較が行われていないことが、分析の妨げとなっていた」とし、「個々の患者データの再解析によって重要な情報が増加したことから、個々の患者データを日常的に活用できようにすることが求められる」と指摘している。

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75歳以上のCVD1次予防にスタチン導入は有効か/JAMA

 アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のない75歳以上の米国退役軍人(多くが白人男性の集団)では、新規スタチンの導入により、全死因死亡と心血管死のリスクが低下し、ASCVD発生のリスクも改善することが、米国・退役軍人局ボストン保健システムのAriela R. Orkaby氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年7月7日号に掲載された。ASCVDの発生率と有病率は加齢とともに上昇し、死亡、QOL低下、医療費増加の主な原因となっている。世界的なASCVD負担の大部分を高齢者が占めるにもかかわらず、予防や治療のガイドラインのエビデンスとなる臨床試験への高齢者の参加はほとんどない。また、米国では、スタチンはASCVDの1次予防の支柱となっているが、ガイドラインでは75歳以上の患者におけるスタチンの役割は、主にデータが少ないことを理由に、曖昧なままだという。75歳以上で、スタチンの役割を評価する後ろ向きコホート研究 研究グループは、75歳以上の退役軍人を対象に、死亡およびASCVDの1次予防におけるスタチンの役割を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(筆頭著者は米国国立老化研究所などの助成を受けた)。 解析には、2002~12年の期間に、ASCVDを有していなかった年齢75歳以上の患者の受診に関する退役軍人保健局(VHA)のデータを用いた。フォローアップは2016年12月31日まで継続された。 これらのデータを、メディケアやメディケイドの保険請求および薬剤データと関連付けた。対象はスタチンの新規使用患者に限定され、使用歴のある患者はすべて除外された。 Cox比例ハザードモデルを用いてスタチンの使用とアウトカムの関連を評価した。解析では、ベースラインの背景因子のバランスを取るために、傾向スコアによる重み付けを用いた。 主要アウトカムは、全死因および心血管疾患による死亡とした。副次アウトカムは、ASCVDイベント(心筋梗塞、虚血性脳卒中、冠動脈バイパス術[CABG]/経皮的冠動脈インターベンション[PCI]による血行再建)の複合であった。心筋梗塞・虚血性脳卒中には差がない 32万6,981例(平均年齢81.1[SD 4.1]歳、97%が男性、91%が白人)が解析に含まれ、このうち試験期間中に5万7,178例(17.5%)が新たにスタチン治療を開始した。平均フォローアップ期間6.8(SD 3.9)年の時点で、全体で20万6,902例が死亡し、このうち5万3,296例が心血管疾患で死亡した。 全死因死亡の発生は、スタチン使用群が1,000人年当たり78.7件と、非使用群の98.2件に比べ有意に低かった(重み付け発生率差[IRD]/1,000人年:-19.5、95%信頼区間[CI]:-20.4~-18.5、ハザード比[HR]:0.75、95%CI:0.74~0.76、p<0.001)。 また、心血管疾患による死亡も、スタチン使用群が1,000人年当たり22.6件、非使用群は25.7件であり、使用群で有意に低下した(重み付けIRD/1,000人年:-3.1、95%CI:-3.6~-2.6、HR:0.80、95%CI:0.78~0.81、p<0.001)。 複合ASCVDアウトカムのイベント発生は12万3,379例で、スタチン使用群は1,000人年当たり66.3件、非使用群では70.4件と、使用群で有意に少なかった(重み付けIRD/1,000人年:-4.1、95%CI:-5.1~-3.0、HR:0.92、95%CI:0.91~0.94、p<0.001)。 複合ASCVDアウトカムのうち、心筋梗塞(2万4,951例、スタチン使用群13.2% vs.非使用群12.6%、p=0.94)および虚血性脳卒中(3万5,630例、18.4% vs.18.2%、p=0.20)の発生には両群間に差はみられなかったが、CABG/PCIによる血行再建(7万4,362例、35.2% vs.39.2%、p<0.001)の発生は、スタチン使用群で有意に少なかった。 著者は、「高齢患者のASCVDの1次予防におけるスタチン治療の役割を、より信頼性の高いものにするには、無作為化臨床試験を含め、さらなる研究を要する」としている。

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あまりにも過酷な勤務体制(解説:野間重孝氏)-1257

 本研究は医師の長時間労働を改善することにより医療事故の発生率を引き下げることができるという仮説のもとに、研修2年目・3年目のレジデントを対象として、ICUにおける24時間以上の長時間連続勤務を行う群(対照群)と16時間以内の日中・夜間の交代制スケジュールで勤務する群(介入群)との間で、重大な医療ミスの発生頻度を比較したものである。 評者は現在の米国のレジデントの研修体制について疎いのだが、本研究に違和感を覚えたのは、このような過酷な勤務体制が米国の研修体制では普通に受け入れられているのだろうかという点に強い疑問を持ったからである。24時間以上の勤務については言うまでもないが、交代制とはいえ16時間の連続ICU勤務というのは十分に過酷な勤務体制であると思われるからだ。Appendixに目を通しても実際の勤務表は載せられていないので、両群ともにどのような休息の取り方をしながらの勤務であったのか明らかではないが、少なくとも(研修期間中はともかくとして)長く勤務できる体制であるとはとても思えない。 本研究では対照群と介入群との間で予期せぬ成績の逆転がみられ、受け持ち患者数を交絡因子として補正したところ両群で差が認められなかったというのだが、両群ともに十分に過重労働であることを考えると、この比較にそもそも意味があったのだろうか。実際、重大医療ミスの発生が対照群で79.0件/1,000患者、介入群で97.1件/1,000患者となっているが、これがとてつもなく高い割合であることは理解されるだろう。少なくとも評者はこのような施設に自分の子弟の治療を依頼したくはない。 わが国でもいわゆる働き方改革が叫ばれて久しい。しかし、労働時間の短縮、労働日数の削減は生産性の向上があって初めて実行できるものである。しかし医療の世界では生産性の向上は簡単には図れない(そもそも医療における生産性とは何かという定義から難しい)。しかし改革は難しかったとしても、そこにはおのずから常識というものが存在する。評者は循環器内科が専門であるが、緊急PCIのなかった研修医時代、急性心筋梗塞の患者が入院すると何日か交替でCCUに泊まり込んでいたものだった。それでも仲間同士で話し合って、余りに過重な勤務にはならないように協力し合ったものだった。 この論文評が、評者が米国の医師研修体制に無知であるために的外れなものになっていた場合はただちに謝罪させていただくが、ごく素直に論文を読むと上記のような感想しか出てこないのだが、いかがだろうか。

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医学生向け・医師国家試験の勉強法(2)【森野コジカの研修医室からこんにちは!】第4回

第4回 医学生向け・医師国家試験の勉強法(2)こんにちは! 森野コジカです。今回は国試編第2回、模試や勉強会についてお伝えします。(1)模試各予備校が模試を実施していますが、やはりある程度は受けたほうがいいです。ただ、コジカは受けまくった結果、復習が追いつかず無駄にしてしまった回もあるので、自分のペースと相談しながら受けるのがベストだと思います。(2)勉強会コジカは直前期、仲の良い友達と一緒に平日2時間ずつやっていました。毎日同じ時間に集まるので、生活リズムを保つのに役立ったと思います。勉強会では、主に模試の復習をしていました。自分とは違う視点を吸収できるので、とてもためになりました!また、勉強だけでなく、進捗状況や出題予想などの情報交換の場としても最適です。ただ、1人でやったほうが捗る方は、それでもいいかもしれません。とにかく自分の勉強ペースを崩さず、ストレスを溜めず国試に臨むことが大切だと思います。(3)友人関係などマッチングや友人、恋人関係など、6年生ならではの悩みがたくさんあると思います。コジカは、直前期を国試最優先にできるよう、先回り先回りで行動していました。研修病院への書類送付や卒業旅行の準備などは、早めに済ませるとよいと思います。そして何より、自分の勉強・生活がブレないようにすることが大事! 国試当日は何が起こるかわかりません。風邪をひくこともあるかもしれません…。そうなってもなんとか乗り切れるように、万全の準備が必要です。国試直前はとても不安になる時期なので、「自分はここまでやったから大丈夫!」と、少しでも自信を持てるように、着々と準備をしていきましょう。自分の将来の姿を思い描きながら、頑張ってください!

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第15回 コロナ禍での面談で自己啓発本に溺れるMRの多さが浮き彫りに?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる受診患者減少が医療機関の経営を直撃していることは繰り返し伝えられている。従来、医療は景気の波や社会情勢などに左右されにくい安定職種と考えられてきたものの、今回は院内・院外での感染回避のため、社会全体で外出自粛のような非常に原始的な戦略がとられた結果、慢性疾患患者を中心とする受診抑制という予想もしなかった事態にさらされた。同時に、この事態は医療機関周辺の患者以外のステークホルダーにも影響を及ぼしている。代表例が製薬企業、とりわけ医療機関を訪問し、医師に直接自社製品の情報提供を行う医薬情報担当者(MR)だ。彼らが感染源となって医療機関で感染者が発生した場合、業界全体の信用低下となってしまうこともあり、2~4月にかけて各社とも訪問を自粛するようになった。この訪問自粛を契機に各社とも盛んに行っているのがMicrosoft Teams、Zoom、Cisco WebexなどのWeb会議システムを通じた医師とのリモート面談である。企業によっては、チャットボットを利用したリモート面談予約機能を備えたり、AIを利用した音声での情報提供などを行ったりしている。医師にとっては自分が聞きたい時間に聞きたいことが聞ける、MRにとっては移動の手間暇がないメリットが挙げられる。もっとも、新型コロナパンデミック以降、知り合いの医師やMRに接触するたびにリモート面談の“使い心地”を尋ねているのだが、双方ともになかなかの“鬼門”だという。結局、こうしたシステムを利用して話すことは日時を設定したアポイントメント面談と同じで、互いに身構えて向き合わなければならない。全体の傾向を代表していそうな個別感想を紹介すると次のようになる。「結局、病院内でMRさんが出待ちして声をかけられるのは自分たちもある種、気が楽だったんですよ。とくに聞くべき情報がない時は歩きながら形式的な会話をして『ごめん、今日は忙しいんで』とほどほどに切り上げればいいし、ちょうど聞きたいことがあったら『ねえねえ…』と聞けばいいし。Webシステムを使って1週間先の日時のアポイントメントを入れたいと提案されると、『なんか聞きたいことあったっけ? まあ、今は思い当たらないし、別にいいや』となっちゃうんですよね」(30代:循環器内科医)「難なくリモート面談ができる医師というのは、ほとんどが普段から対面でそこそこ以上に話せる関係ができている医師です。結局、人間関係ができているので、その時々に応じてコンタクト手段を変えることができるということ。だから、今春に転勤で担当医療機関が変わった他社のMRなんかを見ていると苦労してますよね」(30代:外資系製薬企業MR)昨今では厚生労働省がMRによる不適正な情報提供を是正するため「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」を策定し、一部ではMR不要論もささやかれている。では、本当にMRは不要なのだろうか? このコロナ禍の最中に私が接触した医師たち(ざっと30人程度)に尋ねた結果を総合すると、「いなくてもめちゃくちゃ困ることはないが、いたほうがいい」という何とも曖昧な結果となった。ある基幹病院勤務の産婦人科医が絶妙な言い方をしてくれた。「簡単に言うと、風呂の蓋なんですよね。『要る(風呂に入る)時に要らなくて、要らない(風呂を出る)時に要る』みたいな。何か聞きたいことがある時ほど院内にいなくて、忙しくて話をしている時間もない時に限って『先生、先生』って追いかけてくるみたいな。でも聞きたいことがあると言ってもその内容は千差万別で、わざわざMR本人にメールや電話をしたり、製薬企業のDI部門に電話して聞きたいことも多かったり。だから結局、アポを取ってもらってまで訪問してもらうほどではないんです。なんかうまくかみ合わず難しいんですよね」では、MRから聞けるならばぜひ聞きたい情報は何かと尋ねると、意外にも共通していたのは“ほかの医師がどのような処方を行っているか”。「医学部の同級生や研修医時代の同期などに聞いても同じような悩みを抱え、彼らから答えは得られない。しかも、いわゆるKOL医師が講演会などで語る処方の考え方は建前であることも多く、必ずしも参考にはならない」(40代精神科医)からだという。要は、医師は必ずしも自分の処方に自信満々というわけではないということだ。もっともこうしたほかの医師の処方に関する情報をどの程度提供できるかは、製薬業界の自主基準(プロモーションコード)や各社のコンプライアンスに照らすと微妙な側面もある。ただ、いずれにせよ医師側は「今までのような訪問頻度は必要ない」という点でほぼ一致する。そして直接面談の一部がリモート面談に置き換わるだけでなく、医療機関によっては今回の訪問自粛を契機にMR訪問の意義を再検討し、今まで以上に訪問規制をする動きも容易に想像できる。最終的にはMRと医師のコンタクト総量そのものが減少することは必至だろう。もっともMRから聞きたい情報とて、どんなMRからでもいいというわけではない。大学病院の消化器内科で長らく勤務し、現在は開業する50代の医師は次のようにもらした。「基本的にMRの皆さんは一様に賢くて真面目なんですよね。でも、それだけなんですよ。話を聞くと、いろいろとセミナーに行って勉強している人も少なくないのに深みを感じない。非常に酷な言い方をすれば、頭は良いはずなのに教養は高くない。たとえば、私たち医師は多様な患者さんに接して単純にエビデンスで割り切れないことを数多く経験している。在宅医療をやっている開業医は亡くなる患者の看取りもするので生や死のことも考える。そんなことはMRの皆さんは百も承知なはずなのに、なぜか話していて、彼らに共感することも、彼らに共感されたと感じることもないんです。うるさいこと言っていると思われるかもしれないけど、どうせ直接面談するならそうした感性が共有できるMRさんと面談したいですよね」知り合いの製薬企業関係者には不快に思われてしまうかもしれないが、実は私はこの言葉に大きくうなずいてしまった。しかもこのコロナ禍の最中にそれを顕著に感じた瞬間があった。外出自粛で在宅勤務の人が増え、Web上ではこの退屈な雰囲気の中で楽しみながら人とつながるという動きが顕在化した。それがZoomなどを利用したオンライン飲み会であり、SNS上であるテーマについて人をつないで投稿する“バトン”である。このバトンの一つに自分が感銘を受けた本の表紙を1週間にわたって紹介する「ブックカバーチャレンジ」というものがあった。私自身も私の周囲もFacebookでブックカバーチャレンジの投稿をしていたが、私がFacebookでつながっている製薬企業関係者(私のつながっている友達の2割弱)の取り上げる本にはある種の共通した特徴があった。それは老いも若きも紹介する本は、事実上、ビジネスハウツーや自己啓発系に著しく偏るのである。少なくとも私のFacebook上では他の業界の人と比べ、あまりにも顕著過ぎた。これをn=1の事例と言ってしまえばそれまでだが、実は似たような経験は過去にもある。私は製薬産業や医療業界に関わるある研究会の裏方を務めているが、そこで開催する講演会では、まさにハウツー的なテーマではすぐ満席になるが、倫理などやや概念的なテーマになるとあっという間に閑古鳥が鳴く。さらに言えば、私の見立てでは製薬業界の人はかなりの比率でMBA(経営学修士)の取得を目指す人が目立つ。要は“人に勝つため”のテクニックに異常なまでに興味を示す。あまりに“現金”過ぎて思わず笑ってしまうほどだ。だが、医療はいま大きな変革期にある。これまではどちらかというとエビデンスという名の正義に押しやられていた患者個人の価値観が台頭し、国内の医療制度では「地域包括ケア」という概念が登場している。端的に言えば、医療の中に多様化の波が押し寄せ、“解”は一つではなくなっている。しかし、製薬企業関係者はその波に逆行するかのように、やたらと唯一絶対の“解”を求めているかのようだ。しかも、その求める“解”とは患者や医療をより高めるものというよりは、あまりにも自分を高みに置くことにより過ぎているように映る。そんなこんなでふと思い出した言葉がある。それはイギリスの経済学者アルフレッド・マーシャルがケンブリッジ大学教授となった際に唱えた「Cool head but warm heart(冷静な頭脳と温かい心)」。経済学とはお金の動きも含め、世の経済現象を探求する学問。ロンドンの貧民街を目にしたマーシャルは、冷静に経済を分析することで苦難にあえぐ人々を助けるのが経済学者の矜持だと指摘したのである。ちなみに経済学の世界では有名なケインズ経済学で有名な経済学者ジョン・メイナード・ケインズはこのマーシャルの直弟子である。この“warm heart”は共感と読み解くことができる。泥臭いと言われるかもしれないが、私はAI時代、直接面談減少時代に生き残れるMRに必要な資質の一つはこの“warm heart”なのではないかとの意を強くしている。

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扁平上皮肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法による1次治療の最終解析(KEYNOTE-407)/JTO

 扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)について、ペムブロリズマブ+化学療法の1次治療は引き続き、予後良好であることが示された。スペイン・Universidad Complutense & CiberoncのLuis Paz-Ares氏らが、化学療法未治療の転移を有する扁平上皮NSCLC患者を対象とした無作為化比較試験「KEYNOTE-407試験」の最終解析のアップデート、および2次治療での進行に関する解析を行った。今回の解析でも、ペムブロリズマブと化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセル)の併用による全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の改善は維持されていた。また、無作為化から2次治療における病勢進行(PD)または死亡までの期間であるPFS-2も、良好であることが示されたという。KEYNOTE-407試験の今回の解析結果を踏まえて著者は、「PFS-2の解析結果からも、転移を有する扁平上皮NSCLCに対する1次治療の標準治療としてペムブロリズマブ+化学療法併用が支持される」とまとめている。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年6月26日号掲載の報告。今回の解析でもペムブロリズマブ併用群でOSが有意に改善 KEYNOTE-407試験では、化学療法未治療の転移のある扁平上皮NSCLC患者559例を、化学療法+ペムブロリズマブ併用群(278例)および化学療法+プラセボ併用群(281例)に無作為に割り付け追跡評価した。 KEYNOTE-407試験の第2回中間解析においてペムブロリズマブ併用の有効性が認められたことから、プラセボ併用群の患者はPDが確認された時点で、ペムブロリズマブ単剤投与にクロスオーバー可とされた。 主要評価項目はOSとPFSであり、PFS-2を探索的評価項目とした。 KEYNOTE-407試験の今回の解析結果は以下のとおり。・追跡期間中央値14.3ヵ月において、OS中央値はペムブロリズマブ併用群17.1ヵ月、プラセボ併用群11.6ヵ月であり、ペムブロリズマブ併用群で臨床的に意義のある改善が認められた(ハザード比[HR]:0.71、95%CI:0.58~0.88)。・PFS中央値も同様に、ペムブロリズマブ併用群8.0ヵ月、プラセボ併用群5.1ヵ月であり、ペムブロリズマブ併用群で臨床的に意義のある改善が認められた(HR:0.57、95%CI:0.47~0.69)。・PFS-2は、1次治療でペムブロリズマブ併用群に無作為化された患者のほうが良好であった(HR:0.59、95%CI:0.49~0.72)。・Grade3~5の有害事象は、ペムブロリズマブ併用群で74.1%、プラセボ併用群で69.6%に認められた。

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