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自閉スペクトラム症と統合失調症の鑑別症状

 自閉スペクトラム症(ASD)と統合失調症(SZ)は、類似症状を呈する異種性の神経発達障害である。米国・イェール大学のDominic A. Trevisan氏らは、ASDとSZの重複および鑑別する症状の特定を試みた。Frontiers in Psychiatry誌2020年6月11日号の報告。 対象は、成人のASD患者53例、SZ患者39例、定型発達者40例。すべての対象者に、ASD評価のための半構造化観察検査(ADOS-2)および陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)による評価を行った。ADOSの感度と特異性は、診断カットオフ値を用いて評価した。群間の重複症状の分析には、IQと性別分布による群間差をコントロールした後、ANOVA、ROC曲線、ANCOVAを用いた。 主な結果は以下のとおり。・成人のASDとSZの鑑別にADOSは有用であったが、DSM-VでASD基準を満たさないSZ患者では、偽陽性率が高かった。・SZ患者の特異性が低い理由を特定するため、ASDとSZの症状を正の症状(異常行動あり)と負の症状(通常行動なし)に分類した。・ASDとSZでは、典型的な社会的およびコミュニケーション上の行動の欠如に関連する負の症状に重複が認められたが、疾患特有の正の症状では違いが認められた。・ASDでは、反復繰り返し行動や常同的な言語のスコアが高く、SZでは、幻覚・妄想などの精神病性症状のスコアが高かった。 著者らは「ASDとSZの鑑別では、正の症状に焦点を当てることが有用である可能性が示唆された。ASD症状を正と負に分類するための標準化された測定法は開発されていないが、実行可能な臨床ツールであると考えられる」としている。

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マスク着用で医療者のCOVID-19抑制効果が明らかに/JAMA

 マサチューセッツ州最大の医療システムで12の病院と75,000人超の従業員を抱えるMass General Brigham(MGB)は、2020年3月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において、医療従事者(HCW:health care workers )のCOVID-19の前兆に対する体系的な検査やサージカルマスクを着用した全HCWと患者に対してユニバーサルマスキングを含む多面的な感染対策の研究を実施した。その結果、MGBでのHCWのマスク着用習慣がHCW間の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性率の有意な低下に関連していたと示唆された。また、患者-HCWおよびHCW同士の感染率低下に寄与する可能性も明らかになった。JAMA誌2020年7月14日号リサーチレターでの報告。 研究者らはマスク着用の病院方針とHCW間の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率との関連性を評価するため、2020年3月1日~4月30日の期間にPCR検査を受けた患者に対して直接的または間接的ケアを行ったHCWを特定した。 1)HCWのユニバーサルマスキング実施前期間(2020年3月1〜24日)2)患者のユニバーサルマスキング実施移行期間(2020年3月25日〜4月5日)と症状発現が認められた際の追加期間(2020年4月6〜10日)3)ユニバーサルマスキング介入期間(2020年4月11〜30日) 陽性率は全HCWの最初の検査結果での陽性を分子とし、検査2回目以降での陽性は除外した。分母には検査を一度も行っていないHCWとその日に検査を行ったHCWが含まれた。解析には重み付き非線形回帰分析を使用した。 主な結果は以下のとおり。・HCW:9,850人のうち、1,271人(12.9%)がSARS-CoV-2陽性だった。・陽性者の年齢中央値は39歳、73%は女性だった。また、陽性者の職種内訳は、医師・研修医(7.4%)、看護師・医師助手(26.5%)、医療技術者・看護助手(17.8%)、その他(48.3%)だった。・介入前のSARS-CoV-2陽性率は、0%から21.32%と指数関数的に増加し、加重平均は1日あたり1.16%増加、倍加時間( Doubling Time) は3.6日だった(95%信頼区間[CI]:3.0~4.5)。 ・介入期間中の陽性率は14.65%から11.46%に直線的に減少し、加重平均は1日あたり0.49%減少した。また、 slope の傾きは1.65%変化し(95%CI:1.13~2.15%、p<0.001 )、介入前と比較して、1日あたり大きく減少した。

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ACE阻害薬とARB、COVID-19死亡・感染リスクと関連せず/JAMA

 ACE阻害薬/ARBの使用と、高血圧症患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断率、またはCOVID-19と診断された患者における死亡率や重症化との間に、有意な関連は認められなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のEmil L. Fosbol氏らが、デンマークの全国登録を用いた後ろ向きコホート研究の結果を報告した。ACE阻害薬/ARBは、新型コロナウイルスに対する感受性を高め、ウイルスの機能的受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の発現が亢進することによりCOVID-19の予後が悪化するという仮説があったが、今回の結果から著者は「COVID-19のパンデミック下で臨床的に示唆されているACE阻害薬/ARBの投与中止は、支持されない」とまとめている。JAMA誌2020年7月14日号掲載の報告。COVID-19患者の後ろ向きコホート研究と高血圧患者のコホート内症例対照研究で 研究グループは、COVID-19患者の予後を調査する目的で、2020年2月1日以降にCOVID-19と診断された患者(ICD-10の診断コードで確認)を特定し、診断日から2020年5月4日まで追跡した(後ろ向きコホート研究)。主要評価項目は死亡、副次評価項目は死亡または重症COVID-19の複合アウトカムで、ACE阻害薬/ARB使用群と非使用群を比較した。使用群は、診断日前6ヵ月間にACE阻害薬/ARBが1回以上処方された患者と定義した。 また、COVID-19の感受性を調査する目的で、デンマークのすべての高血圧症患者を2020年2月1日~5月4日まで追跡し、コホート内症例対照研究を行った。主要評価項目はCOVID-19の診断で、Cox回帰モデルによりCOVID-19との関連性のACE阻害薬/ARBと他の降圧薬で比較した。使用歴の有無で有意差なし 後ろ向きコホート研究には、COVID-19患者4,480例が組み込まれた(年齢中央値54.7歳、四分位範囲:40.9~72.0歳、男性47.9%)。1例目の診断日は2020年2月22日、最後の症例は2020年5月4日、ACE阻害薬/ARB使用群は895例(20.0%)、非使用群は3,585例(80.0%)であった。 30日死亡率は、ACE阻害薬/ARB群18.1%、非使用群7.3%であり、ACE阻害薬/ARB群で高かったものの有意な関連は認められなかった(年齢、性別、病歴で補正したハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.67~1.03)。死亡または重症COVID-19の30日発生率は、ACE阻害薬/ARB群31.9%、非使用群14.2%であった(補正後HR:1.04、95%CI:0.89~1.23)。 コホート内症例対照研究では、高血圧症の既往があるCOVID-19患者571例(年齢中央値73.9歳、男性54.3%)(COVID-19患者群)と、年齢と性別をマッチさせたCOVID-19を有していない高血圧症患者5,710例(対照群)を比較した。ACE阻害薬/ARBの使用率はCOVID-19患者群で86.5%、対照群は85.4%であった。 ACE阻害薬/ARBの使用は他の降圧薬使用と比較し、COVID-19罹患率との有意な関連は認められなかった(補正後HR:1.05、95%CI:0.80~1.36)。

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急性脳梗塞/TIA、チカグレロル+アスピリン併用で予後改善/NEJM

 軽症~中等症の急性非心原性虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)で、静脈内または血管内血栓溶解療法を受けなかった患者において、チカグレロル+アスピリン併用療法はアスピリン単独療法と比較し、発症後30日時点の脳卒中/死亡の複合アウトカムの発生が低下した。米国・テキサス大学オースティン校のS. Claiborne Johnston氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「THALES試験」の結果を報告した。先行研究では、チカグレロルはアスピリンと比較して、脳卒中/TIA後の血管イベントまたは死亡の予防という点で良好な結果は示されておらず、脳卒中予防に対するチカグレロル+アスピリン併用療法の有効性は十分検討されていなかった。NEJM誌2020年7月16日号掲載の報告。虚血性脳卒中/TIA患者約1万1,000例を対象に試験 研究グループは、米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)のスコアが5未満(範囲:0~42、スコアが高いほど重症度が高い)の軽症~中等症の急性非心原性虚血性脳卒中、またはTIA患者で、血栓溶解療法または血栓除去を実施していない1万1,016例を、発症後24時間以内にチカグレロル(180mg負荷投与後に90mgを1日2回)+アスピリン(初回投与300~325mg、その後75~100mg/日)併用群、またはプラセボ+アスピリン群に1対1の割合で無作為に割り付け(チカグレロル併用群5,523例、アスピリン単独群5,493例)、それぞれ30日間投与した。 主要評価項目は30日以内の脳卒中または死亡の複合アウトカム、副次評価項目は30日以内の虚血性脳卒中の初回再発および身体障害で、主要安全性評価項目は重度出血(GUSTO出血基準)とし、intention-to-treat解析を実施した。チカグレロル併用により、脳卒中または死亡の複合アウトカムのリスクが低下 主要評価項目のイベントは、チカグレロル併用群で303例(5.5%)、アスピリン単独群で362例(6.6%)発生した(ハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.71~0.96、p=0.02)。虚血性脳卒中は、チカグレロル併用群で276例(5.0%)、アスピリン単独群で345例(6.3%)発生した(HR:0.79、95%CI:0.68~0.93、p=0.004)。障害の発生率については、両群間で有意差は認められなかった。 重度出血は、チカグレロル併用群で28例(0.5%)、アスピリン単独群で7例(0.1%)発生した(p=0.001)。

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第17回 ALS患者の嘱託殺人で医師逮捕、日本緩和医療学会が見解を表明

<先週の動き>1.ALS患者の嘱託殺人で医師逮捕、日本緩和医療学会が見解を表明2.コロナ余波による医業収入の落ち込み、回復の兆し見えず3.不正入試問題の東京医大、元理事長に1億円の申告漏れが発覚4.新型コロナワクチン、入手や流通は国が一元対応する方針5.今年度の薬価調査、規模縮小の上で実施へ1.ALS患者の嘱託殺人で医師逮捕、日本緩和医療学会が見解を表明23日、指定難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者から依頼を受け、薬物を投与し殺害したとして、2人の医師が嘱託殺人の疑いで逮捕された。報道によると、昨年11月30日、京都市中京区の患者宅に知人を装って訪問し、急性薬物中毒で死亡させた疑い。患者の遺体からは、鎮静作用のあるバルビツール酸系の薬物が検出されており、京都府警は、胃瘻チューブから薬物を投与したとみている。なお、医師らは偽名を使うことで身元が発覚しないよう警戒し、計画的に準備していた模様。逮捕された医師のうち1人は、海外の大学の医学部を卒業したとして医師国家試験を受け医師免許を取得していたが、京都府警が調査したところ、医学部の卒業の事実を確認できなかった。今後、倫理的な観点からも大きな問題となるとみられる。この事件を受け、日本緩和医療学会が、「いわゆる積極的安楽死や⾃殺幇助が緩和ケアの⼀環として⾏われることは決してありません」などとの見解を25日に表明した。なお、今回逮捕された医師 2人は本学会の会員ではない。(参考)逮捕された医師は元厚労省官僚 「高齢者は社会の負担」優生思想 京都ALS安楽死事件(京都新聞)ALS嘱託殺人事件 医師2人は偽名で女性宅訪問か(NHK)筋萎縮性側索硬化症の患者に対して2名の医師が嘱託殺⼈罪の疑いで逮捕された件について(日本緩和医療学会)2.コロナ余波による医業収入の落ち込み、回復の兆し見えず日本医師会は22日に定例記者会見を開き、新型コロナウイルス感染症対応下での医業経営の状況について発表した。これによると、2020年5月の入院外保険収入の対前年同期比は病院で11.6%減、診療所で20.2%減であった。また診療所の中には、小児科、耳鼻咽喉科では総点数が50%以上減少したと報告した施設も存在した。1ヵ月単月でも、有床診療所で360万円減、無床診療所で120万円減(小児科は300万円)の赤字。これに対し、医療法人、感染防止策を行う有床診療所には上限200万円、個人開業医、無床診療所には上限100万円の補助金があるが、いずれも1回限りであるなど対応は十分とは言えない。初診料算定回数の対前年同月比は、3月、4月、5月と減少し続けており、5月には病院、診療所とも3~4割減と、回復の兆しが見られていないままだ。(参考)新型コロナウイルス感染症対応下での医業経営の状況―2019年及び2020年3~5月レセプト調査―(日本医師会)3.不正入試問題の東京医大、元理事長に1億円の申告漏れが発覚一昨年の不正入試問題が発覚した東京医科大学の前理事長が、入試の前後に受験生の親から個人的に受け取っていた謝礼をめぐって、東京国税局からおよそ1億円の申告漏れを指摘されていることが25日明らかとなった。この事件では、女子学生や浪人生の入試採点において、合否判定を不利にするような操作が長年続けられたことが明らかになっており、前理事長は辞任している。国税局は、前理事長に一昨年までの5年間でおよそ1億円、前学長も同様に謝礼を受け取ったとして、4年間で数百万円の申告漏れを指摘し、両者ともすでに修正申告したとみられる。(参考)東京医大の前理事長 1億円の申告漏れ 不正入試の謝礼(NHK)4.新型コロナワクチン、入手や流通は国が一元対応する方針政府は、国際的に開発競争が続く新型コロナウイルスワクチンの入手や国内流通について、「安全保障上の重要課題」として、首相官邸主導の元、国家安全保障局が一元的に対応することとした。年内に、ワクチン確保を含む感染症対策の充実対策を盛り込むとしているが、議論の結論をまとめた文書は特定秘密保護法に基づく特定秘密にも指定されており、現時点では具体策などは不明である。(参考)新型コロナ NSS、ワクチン確保 安保戦略改定、一元対応へ(毎日新聞)5.今年度の薬価調査、規模縮小の上で実施へ22日に開催された中央社会保険医療協議会総会において、「2020年の薬価調査」について、規模を縮小した上で実施する方針を固めた。今後、9月を対象月とする調査の実施に向けて準備が進む。これまで、新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、医療機関や薬局・卸事業者による納入価格交渉も十分にできていないため、対応が困難であると反対していたが、薬価調査の実施方針が政府から示されたため、条件付きでの調査実施を了承した。2021年度の薬価改定が実施されるかは、あらためて検討される見込み。(参考)令和2年度医薬品価格調査(薬価調査)について(中医協)

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第16回 治療編(1)薬物療法・その3【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第16回 治療編(1)薬物療法・その3前回は、神経障害性疼痛への緩和適応を有する薬物について説明しました。今回は、侵害受容性疼痛に対して使用されているオピオイドについて説明しましょう。オピオイドには、麻薬指定を受けていない薬物と、麻薬指定薬とがあります。麻薬は、国の指定によって「麻薬」になります。したがって、同じ薬でも麻薬としての扱いは国によって異なります。オピオイドを使用している患者さんが外国に旅行される場合、訪問国の麻薬事情を調べておく必要があります。ここでは、わが国における非麻薬系のオピオイドとして、トラマドール製剤とブプレノルフィン貼付薬について解説します。(1)トラマドール<作用機序>オピオイド受容体への作用と、下行性抑制系の賦活効果を示すノルアドレナリン・セロトニンの再取り込みの阻害作用によって、鎮痛効果を発揮します。<投与上の注意>通常の鎮痛薬では効果が得られない非がん性慢性疼痛の患者さんでは、1日2回投与が基準です。25mg錠と50mg錠がありますが、基本的には25mg×2で開始します。高齢者には、就寝前投与25mg1錠から開始し、患者さんが薬物に慣れたら朝夕の25mg×2に増量します。通常、とくに副作用や疼痛緩和効果が見られなければ、25mg×4、50mg×4と順次増量していきます。最大投与量は、400mg(50mg×8/日)です。副作用としては、嘔気・嘔吐、食欲低下、便秘、口渇、ふらつき、傾眠、意識消失などがあります。肝機能障害にも注意が必要です。(2)トラマドール塩酸塩徐放錠(商品名:ワントラム)<作用機序>トラマドール製剤なので、本質的に上記と同様です。<投与上の注意>トラマドールの必要投与量が25mg×4になるようであれば、ワントラム1錠(トラマド-ル100mg含有)が便利です。これはトラマドールの徐放剤であり、トラマドール25mgが1日4回の経時的投与されているのと同様の血中濃度を維持でき、しかも1日1回の投与ですので、患者さんにとってもコンプライアンスの維持が容易になります。(3)トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤錠(商品名:トラムセット)<作用機序>上記トラマドールの作用機序に、アセトアミノフェンの作用機序が加わります。すなわち、中枢性プロスタノイドの抑制、内因性下行性抑制系セロトニン系の活性化、内因性オピオイドの増加などの鎮痛機序がアシストされることが推定され、トラマドール単独に比較して、より疼痛緩和効果が期待できます。<投与上の注意>トラマドール37.5mgとアセトアミノフェン325mgとの配合薬です。非がん性慢性疼痛では、1回1錠、必要に応じて1日4回投与します。基本的には、投与間隔を4時間は空けるようにします。最大投与量は1回2錠、1日8錠までとなっています。投与を中止する際には、トラマドール製剤なので、いずれも漸次減量していきます。アセトアミノフェンを別に投与する場合には、必ず、トラムセットに含まれているアセトアミノフェンの含有量を計算し、4,000mg/日を超えないように注意してください。アセトアミノフェンの副作用に肝機能障害がありますので、長期投与する場合は、いずれにしても肝機能をモニタリングすることが重要です。(4)ブプレノルフィン(商品名:ノルスパン テープ)<作用機序>オピオイド受容体への作用は部分的作動性ではありますが、親和性は強く、強力な鎮痛作用を示します。皮膚から吸収される1週間貼付の徐放剤です。同じ貼付部位での1週間貼付剤なので、皮膚への影響により掻痒を訴え、剥がすと発赤が認められる場合があります。そのために、1週間ごとに貼付部位をローテーションしていきます。<投与上の注意>投与に際しては、e-ラーニングの習得が必要です。保険適応症例は、腰痛症と変形性関節症のみです。また、現在のところ2週間分の処方しかできないので、患者さんの受診は最長2週間ごとになります。最大投与量は20mg/週(20μg/時)です。5、10、20mgの貼付薬があり、痛みの強度により、投与量を決めていきます。そのため、基本的には5mg貼付薬から開始し、1~2週間ごとに投与量の増減を行い、適切な貼付量を決めていきます。貼付開始後および増量後には、3日程度の観察期間が必要です。副作用としては、トラマドールと同様に嘔気・嘔吐、食欲低下、便秘、口渇、頭痛、ふらつき、傾眠、意識消失など、通常のオピオイドに見られる症状があります。1週間という長期間貼付なので、掻痒、発赤などの皮膚症状が見られることがあり、貼付部位をローテーションすることが重要です。以上、痛み治療の第2段階における薬物を取り上げ、その作用機序、投与における注意点などを述べさせていただきました。痛みの患者さんに接しておられる読者の皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。次回はさらに痛みの程度が強くなった場合に使用する強力な麻薬性オピオイドについて解説します。1)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S156-S1572)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S1553)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S154

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すべての診療科に関わる!タバコ問題を自分事にするために知っておきたいこと(2)(最終回)【新型タバコの基礎知識】第21回

第21回 すべての診療科に関わる!タバコ問題を自分事にするために知っておきたいこと(2)(最終回)Key Points喫煙者も煙を吸わされる非喫煙者もどちらもタバコの被害者新型タバコの登場で新たな対立が起きている医療者のあるべき姿を目指して、タバコ問題を自分事に重要な観点の一つは、タバコを吸う人がタバコの一番の被害者であるということです。タバコによって最も大きな害を被ることとなるのは喫煙者です。多くの人は、受動喫煙で被害を受ける非喫煙者こそ一番の被害者だと考えています。喫煙者が加害者であって、非喫煙者だけが被害者だと主張する人もいます。しかし、それは対立が誘導された結果だと気付いてほしいと思います。タバコを吸う人も、タバコの煙を吸わされる人も、どちらもタバコの被害者です*1。自治体や医療機関などで禁煙支援やタバコ対策に取り組んでいる人達が、タバコを吸う人にひどいことを言われたとか、あからさまに嫌な態度をとられたとか、辛いことがあっていやになるという話をよく聞きます*2。逆に、タバコを吸う人が、病院や路上で馬鹿にされたり、ひどい扱いを受けたりしたという話も聞きます。対立するのではなく、お互いの歩み寄りが必要ですが、なかなかうまくいきません。タバコを吸う人と吸わない人が対立すればするほど、タバコ会社が望んだ状況になってしまいます。対立すればするほど、タバコを吸う人は、タバコを吸わない人や禁煙を勧める人の言うことに耳を傾けなくなり、禁煙から遠ざかってしまうのです。*1:受動喫煙問題においては、喫煙者が加害者であり、非喫煙者が被害者だという構図もある。喫煙者は被害者だけでなく、加害者にもなってしまう。ぜひ喫煙者は、加害者とならないように受動喫煙を起こさないように努めてほしい。*2:タバコ対策をしっかり進めることは大変だと同意する。筆者もできる限り協力すると約束する。皆で励ましあって助け合ってやっていってほしい。新型タバコの登場により、新しい対立が起きてしまっています。新型タバコに関する認識の違いから対立が生じてしまっているのです。また、禁煙支援やタバコ対策の現場においても、新型タバコがハーム・リダクションとして機能するかどうか(第9回、第10回記事参照)、意見が対立しています。問題が複雑で難しければ難しいほど、考えや意見がまとまらず、対立が継続してしまいます。新型タバコ問題は、まさしく複雑で難しい問題です。さらには、実際の健康リスクについて、長期追跡の結果はしばらくは分からない状態が続きます。新型タバコ問題について見解が分かれ、タバコ対策の専門家も対立させられています。これがタバコ会社が意図して作り出した状況だとしたら、タバコ会社の大成功と言えるでしょう。この対立の社会的デメリットは計り知れません。喫煙者と非喫煙者、そしてすべてのタバコ対策の専門家集団が、対立するよりも協力して、タバコの害から逃れる道を模索していくことが必要です。医療者のあるべき姿を目指して、タバコ問題を自分事に医療者にとって、新型タバコを含めたタバコ問題は決して他人事では済まされません。タバコによりすべての診療科の疾患が増加もしくは増悪すると分かっています(図の疾患リスト参照)。この図のリストは単に一つの研究があるというわけではなく、複数の研究によりリスクの増大が確認されて、確実に喫煙によりリスクが増加すると考えられる疾患が羅列されています。実際に喫煙により増える病気は、まだ研究が少ないだけで、この他にもたくさんあると考えられます。画像を拡大する2002年に欧米の学会が発表した21世紀の医師憲章に掲げられた基本原則の一つは、「『患者の健康・幸福の追求』、すなわち、患者の健康・幸福を守ることを何よりも優先し、市場や社会からの圧力に屈してはならない」です。これをタバコ問題に当てはめれば、医療者はタバコ問題を放置しようとするさまざまな圧力に屈せず、患者の幸せのために禁煙支援・禁煙指導に努めなければならない、となるものと考えられます。喫煙はニコチン依存症であり、本人の意思だとは必ずしも言えません。もしも、医療者がタバコを吸っている患者に禁煙を勧めなければ、患者の健康・幸福を守る姿勢とは大きく乖離することとなってしまうのではないでしょうか。タバコ問題を自分事にして関心を持ち続けなければ、タバコ問題をきちんと理解することはできません。タバコ問題はとても複雑であり、タバコ問題の長い歴史に加えて、タバコ産業という意図的にタバコ対策を妨害してきた組織があることも問題を難しくしています(第20回記事参照)。一般的に医学や保健学の授業で簡単に伝えられるような表層的なタバコ問題の内容から、タバコ問題の深い闇に気付くことはできません。タバコ問題には、タバコ産業という明確な妨害者が存在するという特徴があり、世の中が歪められていると認識しなければ見えてこない部分があり、多くの人が騙されてしまっています。その延長線上に新型タバコ問題があります。医療現場においても、皆さんのエフォートを禁煙支援・禁煙指導に少しだけ割いて頂き、協働して新型タバコ時代のタバコ対策に取り組んでいきたいと考えています。最後に、タバコ問題を自分事にしてもらうための動画(タイで作られたテレビCM動画およそ2分)をご紹介します。喫煙者だけでなく、医療者やすべての人にタバコ問題を自分の問題として考えてもらうキッカケにできると考えています。いつも大好評をいただいている感動的動画です。是非ご覧ください。~Fin~

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チラシの情報を真に受けやすい患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第35回

■外来NGワード「チラシは信じないようにしなさい!」(次から相談しなくなる)「そんなものは効果ありません!」(頭ごなしに否定する)「もっと食事に気を付けなさい!」(話題をそらす)■解説 現在の治療や結果に満足できていない患者さんは、怪しいチラシの健康食品などに手を出しがちです。しかし、「そんなチラシは信じないようにしなさい!」と頭ごなしに否定すると、患者さんは二度と医師にチラシの情報について相談しようとは思わなくなるでしょう。正しい健康情報については、情報を入手するだけでなく、それを批判的に吟味して、自分のために正しく活用できることが「ヘルスリテラシー」です。ところが、チラシは読者の購入意欲をくすぐるように、巧妙に作られています。とくに、患者さんはチラシの写真(ビフォーアフターなど)と体験談を信じやすいのですが、その真偽は定かでなく、よく見ると「この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません」などのただし書きが付いています。しかし、患者さんはその部分に気付いていないことも多いです。「〇〇が治る」などの表現は広告の規制対象となるため、チラシには遠回しに薬のような効果があると誤解を招く表現がよく使われています。患者さんにはチラシの内容をうのみにしないように伝えておくとよいでしょう。 ■患者さんとの会話でロールプレイ患者先生、これ飲んでもいいですか?(チラシを見せながら)医師どれどれ…?(興味を示す)患者これを飲むと、糖尿病が治るって書いてあるんです。医師なるほど(じっくり見る)。このチラシをよく読むと、体験談が載っているだけで、「糖尿病が治る」とは書いていないですね。患者あら、本当ですね!医師それに、初回限定価格だとか、まとめ買いで安くなるなんて、元の値段はいくらなんですかね。患者…元は、かなり安いかもしれませんね。医師そうですね。普段飲んでいる薬より高価な割には、効果が見込めないかも。患者ハハハ…。医師ところで、こういうチラシを信じる者はどうなると思いますか?患者「信じる者は救われる」とかですか?医師いえいえ、「信」+「者」=「儲」かるです。(字を書きながら)患者本当だ! なるほど、信者は儲けに利用されているんですね。もっと気を付けてチラシを読むようにします。■医師へのお勧めの言葉「正しいチラシの捉え方を覚えておくといいですよ!」「普段飲んでいる薬より高価な割には、効果が見込めないかもしれません」

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小児精神疾患における80種の向精神薬の安全性~メタ解析

 精神疾患は、小児期や青年期にしばしば発症する。小児精神疾患の治療に適応を有する向精神薬はさまざまあり、適応外での使用が往々にして行われる。しかし、これら向精神薬の副作用については、発達途上期間中であることを踏まえ、とくに注意が必要である。イタリア・パドヴァ大学のMarco Solmi氏らは、小児および青年の精神疾患に対する抗うつ薬、抗精神病薬、注意欠如多動症(ADHD)治療薬、気分安定薬を含む19カテゴリ、80種の向精神薬における78の有害事象を報告したランダム化比較試験(RCT)のネットワークメタ解析およびメタ解析、個別のRCT、コホート研究をシステマティックに検索し、メタ解析を行った。World Psychiatry誌2020年6月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・ネットワークメタ解析9件、メタ解析39件、個別のRCT90件、コホート研究8件が抽出され、分析対象患者は33万7,686例であった。・78の有害事象について20%以上のデータを有していた薬剤は以下のとおりであった。 ●6種の抗うつ薬:セルトラリン、エスシタロプラム、パロキセチン、fluoxetine、ベンラファキシン、vilazodone ●8種の抗精神病薬:リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ルラシドン、パリペリドン、ziprasidone、オランザピン、アセナピン ●3種のADHD治療薬:メチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシン ●2種の気分安定薬:バルプロ酸、リチウム・これらの薬剤のうち、カテゴリごとにより安全なプロファイルを有していた薬剤は以下のとおりであった。 ●抗うつ薬:エスシタロプラム、fluoxetine ●抗精神病薬:ルラシドン ●ADHD治療薬:メチルフェニデート ●気分安定薬:リチウム・入手可能な文献より、安全性の懸念が最も高かった薬剤は以下のとおりであった。 ●抗うつ薬:ベンラファキシン ●抗精神病薬:オランザピン ●ADHD治療薬:アトモキセチン、グアンファシン ●気分安定薬:バルプロ酸・カテゴリごとに最も関連が認められた有害事象は以下のとおりであった。 ●抗うつ薬:悪心・嘔吐、有害事象による中止 ●抗精神病薬:過鎮静、錐体外路症状、体重増加 ●ADHD治療薬:拒食、不眠 ●気分安定薬:過鎮静、体重増加 著者らは「本結果は、臨床診療、研究、治療ガイドライン作成を行ううえで役立つであろう」としている。

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新型コロナワクチン、米の第I相試験で全例が抗体獲得/NEJM

 米国・国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)とModerna(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)が共同で開発中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)mRNAワクチン「mRNA-1273」の、第I相臨床試験の結果が発表された。全例で中和抗体が検出され、試験中止について事前に規定した安全性に関する懸念は発生しなかった。米国・カイザーパーマネンテ(Kaiser Permanente Washington Health Research Institute)のLisa A. Jackson氏らmRNA-1273 Study Groupによる報告で、著者は「結果は、本ワクチンのさらなる開発を支持するものであった」とまとめている。NEJM誌オンライン版2020年7月14日号掲載の報告。25μg、100μg、250μgを28日間隔・2回投与 研究グループは2020年3月16日~4月14日にかけて、18~55歳の健康な成人45例を対象に、第I相の用量漸増非盲検試験を行った。被験者を15例ずつ3群に分け、mRNA-1273ワクチンを、25μg、100μg、250μgのいずれかの用量で28日間隔・2回投与した。2回投与後の全身性有害事象、25μg群54%、100μg・250μg群は全例 1回投与後(29日目)の抗体反応は高用量群ほど高く、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によるS-2P抗体の幾何平均抗体価(GMT)は、25μg群が4万227、100μg群が10万9,209、250μg群が21万3,526だった。 2回投与後(57日目)のELISAによるS-2P抗体のGMTは、25μg群が29万9,751、100μg群が78万2,719、250μg群が119万2,154と上昇した。これらは、SARS-CoV-2感染回復者のGMTの14万2,140を上回っていた。 また、2回接種後、評価が行われた全被験者において、血清中和抗体は2通りの方法(pseudotyped lentivirus reporter single-round-of-infection neutralization assay[PsVNA]とplaque-reduction neutralization testing[PRNT])で検出された。同検出値は、感染回復期血清検体パネルの上半分値とほぼ同等だった。 被験者の半数以上で認められた有害事象は、疲労感、悪寒、頭痛、筋肉痛、注射部位痛だった。2回投与後の全身性有害事象の頻度は高く、低用量の25μg群では7/13例(54%)、100μg、250μg群では全員(それぞれ15例、14例)と高用量群で高かった。250μg群の3例(21%)では、1つ以上の重篤有害事象が報告された。

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CABGの10年転帰、橈骨動脈vs.伏在静脈グラフト/JAMA

 冠動脈バイパス術(CABG)を行う際、橈骨動脈グラフトの使用は伏在静脈グラフトに比べ、複合心血管アウトカムの発生リスクは低いことを、米国・Weill Cornell MedicineのMario Gaudino氏らが、5件の無作為化比較試験(被験者総数1,036例、追跡期間中央値10年)についてメタ解析を行い明らかにした。これまで、観察試験では、橈骨動脈グラフト使用のほうが伏在静脈グラフト使用よりも、臨床的アウトカムを改善する可能性が示唆されていたが、無作為化試験では確認されていなかった。JAMA誌2020年7月14日号掲載の報告。5ヵ国、5試験を対象にメタ解析 研究グループは、CABGを受けた患者における長期追跡後の橈骨動脈グラフトvs.伏在静脈グラフトの臨床的アウトカムを比較するため、MEDLINE、Embaseを基にシステマティック・レビューを行い、被験者レベルのプール解析を行った。 検索により774試験を抽出し、38試験の試験結果全文をレビュー。適格基準を満たした、オーストラリア、イタリア、セルビア、韓国、英国の5ヵ国で行われた5試験についてメタ解析を行った。被験者の試験への参加は1997~2009年で、追跡完了は2019年だった。 主要アウトカムは、複合アウトカム(死亡、心筋梗塞、再血行再建術)で、副次アウトカムは死亡または心筋梗塞とした。1,036例を中央値10年間追跡 被験者総数は1,036例で、無作為化により橈骨動脈グラフトによるCABGを行ったのは534例、伏在静脈グラフトは502例だった。平均年齢は、橈骨動脈グラフト群66.6歳、伏在静脈グラフト群67.1歳で、男性の割合はそれぞれ70.4%と69.9%だった。無作為化を受けた被験者のうち、10年間の追跡を完了したのは90.9%(942例)だった。 追跡期間中央値10年(四分位範囲:10~11)で、主要アウトカム発生が認められたのは、橈骨動脈グラフト群220例(41/1,000人年)、伏在静脈グラフト群237例(47/1,000人年)で、橈骨動脈グラフト群が有意に低率だった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.61~0.88、p<0.001)。 副次アウトカムの死亡または心筋梗塞の発生も、188例(35/1,000人年)vs.193例(38/1,000人年)と橈骨動脈グラフト群で有意に低率だった(HR:0.77、95%CI:0.63~0.94、p=0.01)。

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自分で自分の帝王切開をやってしまった女性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第167回

自分で自分の帝王切開をやってしまった女性pixabayより使用私の指導医のFacebookページで知った論文なのですが、衝撃的だったので紹介したいと思います。Molina-Sosa A, et al.Self-inflicted cesarean section with maternal and fetal survival. International Journal of Gynecology & Obstetrics. 2004; 84 (3): 287-290. doi:10.1016/j.ijgo.2003.08.0182000年3月のことでした、40歳のメキシコ人女性が、出産間近の状態でしたが、病院に行くことができませんでした。夜から陣痛が始まり、かなり強くなってきました。そこで何を思ったのか、彼女は、刃渡り15cmはあろうかという包丁を取り出し、自分の腹部へザクッ!!キャーーーーー!!!まず、ほかにやれることはなかったのか……。右季肋部から恥骨部にかけて、17cmほど、包丁で皮膚を切り裂きました。もちろんこれ、麻酔なしでやったんでしょうね……。案の定、ハサミで臍帯を切断した後、いったん意識を失ってしまいました。その後、意識が回復し、4kmほど離れた病院に搬送されたそうです。そして、外科的修復が必要な状態にあったため、さらに高次病院へ搬送されました。その後、手術は無事に終了し、彼女は退院したそうです。現在は、親子ともに幸せに暮らしているとか。めでたしめでたし。それにしても、包丁で切った場所が消化器系ではなくて、子宮だったのが幸いでしたね。腕に自信がある皆さんも、ブラックジャックじゃないんですから、自分で自分の手術をしないように気を付けてくださいね。ちなみに、過去の自己帝王切開22例をまとめた珍しいレビューがあります1)。22例のうち7例は、自分の子供を殺そうとして(もはや帝王切開とは違いますね…汗)、4例には精神障害があり、8例は痛みがひどすぎて我慢できずに……ということのようです。1) Szabó A, et al. Auto-Caesarean section: a review of 22 cases. Arch Womens Ment Health. 2014 Feb;17(1):79-83.

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第16回 世界が嘱望の新型コロナ予防ワクチン試験、質が伴うスピード感?

7月に入り第2波ではないかと噂されるほど感染者が急増している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。いま、医療従事者も一般人も一番待ち望んでいるのが予防ワクチンの登場だ。そのような中、開発中のワクチンの中では最も先行していると言われるアストラゼネカ社とオックスフォード大学の第I/II相試験結果がLancet誌に掲載1)され、メディアもこれを取り上げている。オックスフォード大のワクチン、初期の治験で効果確認(朝日新聞)新型コロナ ワクチン臨床で抗体 英・中のチーム発表(毎日新聞[共同通信配信記事])コロナワクチン臨床試験、治験者95%で抗体4倍増…英製薬大手が中間発表(読売新聞)英アストラゼネカのワクチン「強い免疫反応」 初期治験(日本経済新聞)4本の記事を比べると、読売以外は「有望」「期待」という用語を使っており、この記事を読み「いよいよワクチンが登場してくるのか」と期待を膨らませる人は少なくないはずだ。今回の試験は、COVID-19ワクチン候補を髄膜炎菌ワクチンと比較した被験者1,077例の無作為化単盲検比較試験で、うち10例は無作為化の対象とせず、ワクチンのブースター(28日の間隔を置いた2回接種)投与を受けている。また、一部の被験者ではワクチンの副反応軽減目的でアセトアミノフェンの投与が行われている。この結果、投与14日後には新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)のスパイクタンパク質に特異的なT細胞反応がピークに達し(n=43)、投与28日後のSARS-Cov-2のスパイクタンパク質に対するIgG抗体量の上昇(n=127)が確認された。抗体量は一部の単回投与例とブ―スター投与例では56日後まで上昇し続けた。また、投与28日後のSARS-Cov-2のスパイクタンパク質に対する中和抗体反応は91%(n=35)で認められ、ブースター投与9例では全例で確認されたとのこと。主な有害事象は疲労感(アセトアミノフェン非投与群70%vs.アセトアミノフェン投与群71%)と頭痛(同68%vs.61%)。このほかには筋肉痛、不快感、熱感、悪寒など(発現率は50~60%前後)で、重篤なものは認められなかった。このようにしてみると、まだ第I/II相試験ということもあり、抗体量の測定などが行われたn数も少なく、個人的には前向きには捉えられるものの、まだまだプリミティブな結果だと受け止めている。ただ、この各紙を一覧すると、細かいことを書いたらそもそも読んでもらえないという一般向け紙面の限界もあり、漠然とした希望だけを持ってしまいかねない。もっともこの中でも朝日新聞は研究チームの会見コメントとして、まだ課題も多く先行き不透明なものであることを強調している。Lancet誌の論文内ではこの点について、まず被験者の年齢中央値が35歳であることを指摘している。第I/II相試験ゆえにこうした年齢中央値になるのはやむを得ないが、COVID-19で重症化、死亡リスクが高いとされる集団の一つは高齢者である。実際、米国医師会雑誌(JAMA)に中国の国立疾病予防管理センター(中国名:中国疾病預防控制中心[中国CDC])のグループが発表した新型コロナ感染者4万4,672人の解析データ2)では、40歳代までの致死率は最大でも0.4%に過ぎないが、50歳代では1.3%、60歳代で3.6%、70歳代で8.0%、80歳代以上では14.8%と右肩上がりに上昇する。このためワクチンが登場した暁には高齢者は優先接種の対象となる可能性は高い。だが、B型肝炎ワクチンに代表されるように加齢とともに抗体価を獲得しにくいワクチンもあるため、今後高齢者を対象とした試験が必要になるはずだ。また、研究グループは論文内でベクターとして使用しているアデノウイルスに対する抗体の影響評価も必要と指摘している。そして、この試験は今年の4月23日~5月21日までに行われたもので、主要評価項目は接種後6ヵ月間のCOVID-19発症抑制と重篤な有害事象の発現率である。単純計算すれば試験終了は11月末になり、データの解析はその後ということになる。ただ、従来からアストラゼネカ社は9月には供給を開始したい旨を公表している。国内外で特例承認のようなスキームを活用すると思われるが、2009年の新型インフルエンザと違い、これまでまったくワクチンのなかったコロナウイルスに対してこのスピードはすごいと思う以上に、「???」「大丈夫?」と思ってしまう。私は最近、こうした仕事柄もあり医療に無縁な人から「新型コロナのワクチンっていつぐらいまでにできる?」と尋ねられることはよくあるが、以前から「まあ極めて順調に行って、来春ぐらいじゃない? でもできない可能性も十分あるよ」と答えている。少なくとも今回の結果を見てもこの答えに変更はない。参考1)Folegatti PM, et al. Lancet. 2020 Jul 20.[Epub ahead of print]2)Wu Z,et al. JAMA. 2020 Feb 24.[Epub ahead of print]

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精神科入院患者のリハビリテーション、マインドフルネスグループの導入効果

 精神科リハビリテーションサービスを受けている患者は、複雑な長期にわたる問題を抱えており、しばしば治療抵抗性といわれる。このような患者では、統合失調症などのメンタルヘルス診断と合わせて、複雑なトラウマ歴、アルコール依存や薬物乱用、認知障害が頻繁にみられる。治療抵抗性統合失調症の治療では、クロザピン療法以外の効果的な治療法は知られていないが、マインドフルネスがストレス体験に対処する能力を向上させることが予備的エビデンスで示されている。英国・エディンバラ大学のAudrey Millar氏らは、マインドフルネスプラクティスグループが、入院患者のリハビリ環境下で許容できる治療介入であるかについて検討を行った。また、ウェルビーイングのモニタリングも実施した。BMC Psychiatry誌2020年6月20日号の報告。 マインドフルネスプラクティスグループは、精神科病院の15床のリハビリテーション病棟で実施した。A区では3回/週、5ヵ月間実施し、B区では1回/週、18ヵ月間実施した。介入は、臨床心理士より行った。A区では、Warwick-Edinburgh well-being scaleを用いたウェルビーイングの測定も行った。介入の許容可能性に関する補足情報として、患者、グループファシリテーター、スタッフより定性的インタビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・A、B区ともに1回以上参加した患者は約3分の2(65%および67%)、定期的に参加した患者は約3分の1であった。・ウェルビーイングへの影響は認められなかった。・質的インタビューでは、参加した患者には多くのベネフィットがあり、グループが病棟内の治療文化を強化する可能性が示唆された。 著者らは「臨床ガイドラインでは、精神疾患と診断されたすべての患者に心理療法が利用されるべきであることが示唆されているが、入院患者のリハビリテーションでの心理療法の利用は困難な場合がある。マインドフルネスプラクティスグループは、許容可能な介入であり、治療抵抗性精神疾患に対するマインドフルネスの有効性を検討するためのさらなる研究は価値がある」としている。

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糖尿病患者にエクササイズ動画を配信/ノボ ノルディスク ファーマ

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を抱える患者の診療の手控えに加え、不要不急の外出への遠慮から外での運動機会も減少している。とくに糖尿病では、運動療法は患者にとって食事療法・薬物療法と並ぶ治療の3本柱の1つであり、運動不足により血糖値のコントロール不良が憂慮されている。 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は、こうした状況に鑑み、糖尿病患者の健康維持を目的とした「自宅で簡単にできるエクササイズ動画」を制作し、7月より配信を開始した。糖尿病である元エアロビクス世界チャンピオンが動画で実演 糖尿病患者向けエクササイズ動画は、日本糖尿病協会(理事長:清野 裕)の監修のもと、自身も1型糖尿病である元エアロビクス世界チャンピオンの大村 詠一氏がエクササイズ内容を考案し、自ら動画で実演しているもの。 動画の種類は、糖尿病を持つ「子供向け」、「初級編」を各3編、「中級編」4編と、誰でもできる「準備運動/ストレッチ編」3編を加えた計13本。糖尿病患者向けの各動画は3~4分と短く、毎日無理なく続けやすいエクササイズの内容が配信される。 これらの動画は、同社の糖尿病サイト、日本糖尿病協会ならびに同社の公式YouTubeチャンネルで順次公開される予定。糖尿病患者向けエクササイズ動画の内容と配信日・糖尿病患者向けエクササイズ動画の特徴(1)「準備運動/ストレッチ編」気持ちよく体を伸ばす、肩・首回りをほぐす運動など(2)「初級編」高齢者の方ができるよう座位を中心にしたエクササイズなど(3)「中級編」テレワーク疲れを解消する椅子と机を用いたエクササイズ、美しい姿勢を保つためのエクササイズなど(4)「子供向け」ジャンプ力やバランス力を高めるエクササイズや頭の体操にもなる運動、など・糖尿病患者向けエクササイズ動画公開スケジュール 公開中:「準備運動/ストレッチ編」3編 7月27日(月)頃:「初級編」、「中級編」、「子供向け」各1編 7月31日(金)頃:「初級編」、「中級編」、「子供向け」各1編 8月7日(金)頃:「初級編」、「子供向け」各1編、「中級編」2編

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COVID-19、1割が軽症でも嗅覚・味覚異常が1ヵ月継続

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状として、嗅覚や味覚の異常が多く報告されている。またCOVID-19を巡っては、回復後1~2ヵ月もなお諸症状がしつこく残るケースが多いことも、これまでの研究で明らかになっている。本研究は、イタリア・パドヴァ大学のPaolo Boscolo-Rizzo氏ら研究グループが、2020年3月19日~22日、同国Treviso Regional HospitalにおいてRT-PCR 検査でSARS-CoV-2陽性と診断された18歳以上の軽症患者202例を対象に、嗅覚・味覚障害の経過を連続的に評価したもの。JAMA otolaryngology-head & neck surgery誌オンライン版2020年7月2日号での掲載。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に調査した202例中、187例(92.6%)が追跡調査を完了した。103例(55.1%)が女性で、年齢の中央値は56歳。・ベースライン時に嗅覚あるいは味覚異常を報告したのは113例だった。このうち55例(48.7%、95%信頼区間[CI]:39.2~58.3)は、発症から4週間後には症状が完全に解消し、46例(40.7%、95%CI:31.6~50.4)は症状の改善が見られた。・嗅覚あるいは味覚異常が継続、または悪化したのは12例(10.6%、95%CI:5.6~17.8)だった。 本研究では、COVID-19の後遺症としての嗅覚・味覚異常は、患者の約9割で完全に解消または改善していたが、1割の患者では、発症から4週間後もなお症状を有していた。

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ダウン症候群とアルツハイマー型認知症の深い関係(解説:岡村毅氏)-1262

 ダウン症候群の人(通常は2本ある21番染色体を3本持っている人)は比較的早期からアルツハイマー型認知症になりやすいことは昔から知られていた。アルツハイマー型認知症の病理の中核にある「アミロイドβ」の前駆体の遺伝子は、まさに21番染色体に存在するので、理論上も合致する。家族性アルツハイマー型認知症も21番染色体に連鎖することが知られている。ダウン症候群とアルツハイマー型認知症は、21番染色体が鍵という点でつながっている。 この論文では、多数のダウン症候群の人に詳細な認知機能検査を行うと同時に、さまざまなバイオマーカー(血液、脳脊髄液、脳機能画像、脳構造画像)を測定し、ダウン症候群の人々におけるアルツハイマー型認知症の病理の進展を分析したものである。 本研究は横断研究であるが、ADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)のような思想で認知症の病理の進展に迫っている。 これにより、ダウン症候群の人ではアルツハイマーの病理が早期に始まり非常にゆっくりと進行していくことがわかった。最も早く(30歳ごろ)変化が始まるのは血漿ニューロフィラメント軽鎖と脳脊髄液アミロイドβ比であり、それは実際に発症する20年以上前である。 さて近年、アルツハイマー型認知症の根本治療薬開発のために、プレクリニカル期(アミロイドはたまり始めているが症状はまだない時期)から先制的にアミロイドを減らすような薬剤が試されてきた。しかし成果はまだ出ていない。著者らは、ダウン症候群の人々がこのような介入の受益者であると論じている。同時に、治験においては説明と同意の問題から排除されているとしている。そして、本研究で彼らが経験したさまざまな(時には痛いし面倒だし)検査を現実に受けることができたのであるから、治験に参加することも可能だとも述べている。 最後に、答えの出ないことを語ってこのコラムを終えよう。著者らはダウン症候群の人が科学の進歩を享受できていないと述べており、私はその善き意思を疑うつもりは毛頭ない。同時に、今後ダウン症の人を対象にして認知症の治験が多く行われるようになる時に、人間の尊厳が脅かされないかという不安もある。実は私は学生時代にダウン症候群などを持つ子供たちに水泳を教えるボランティアをやっていた(こう見えても水泳部だったのだ)。とはいえ「倫理的にどうよ?」というのがいつも正義とは限らない。得るものも確かにあるのだから、学生時代に私の接した親御さんたちは「この子が将来認知症になって苦労しないために治験に参加します」と、本人たちも「役に立てるならどうぞ」とあっさりと言いそうな気もする。きちんと本人とも対話して、オープンに進めるべきだ、としか言いようがない。そういう点では最近の外国雑誌に多いpatient and public involvementが(見落としていなければ)この論文に載っていないことが気になる。いまこそ出番じゃないか…と思うのだが。私の少ない経験では、ダウン症候群の当事者や家族の会などは活発だし、きちんと説明して納得したらきっと応援してくれると思う。 なお3月21日は「世界ダウン症の日」です。

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中田式英語勉強法【Dr. 中島の 新・徒然草】(333)

三百三十三の段 中田式英語勉強法最近、よく聴く YouTube が中田 敦彦のユーチューブ大学です。彼は慶應大学卒業のお笑い芸人。さすがに凡百のユーチューバーに比べて話が面白い。歴史、政治、文学、どの動画も勉強になります。教育系ユーチューバーを自称するのももっともです。その中田がついに日本人共通の課題、英語勉強法に挑みました。どうすれば海外ドラマを字幕なしで理解し、外国人と楽しく談笑できるのか?英語勉強法の書籍を数冊読んだ結果、2つの流派があるとのことでした。1つは、単語、読む、書く、聴く、話すの順に学ぶというもの。もう1つはその逆の順。中田のお勧めは後者。というのも、海外ドラマに出てくる英単語の80%は350語で足り、90%に拡げても2,000語でいいからだそうです。つまり我々はこれ以上、単語を覚えず、直ちに喋れ、聴け、というのが彼の主張。その勉強法としては、字幕付きの日常英語のシャドーイングが最適だそうです。喋っている人に少し遅れて、自分も声を出して発音を真似する学習法。使う教材は、わざわざ買わなくても YouTube に無数にあります。確かにそうだ、その通り!でも、ここでふと思うわけですね、私は。教材になる動画は無限でも、どうやれば自分に合ったものを探せるのか?検索するのに膨大な時間がかかります。でも彼はちゃんとお勧めの動画を紹介してくれています。“Nas Daily” というもの。1〜5分程度の短い動画がメイン。全部で1,000本以上になります。テーマは億万長者になった青年、北朝鮮旅行記、なぜ私はタバコを吸わないのか、などです。英語字幕は最初から画面に出ています。勉強法としては、1回目:何も見ずにリスニングに挑戦2回目:画面と字幕を見て聴き取れなかった所を確認3回目:字幕を見ながらシャドーイング4回目:何も見ずにシャドーイングといったところでしょうか。いくつか動画を見たのですが、確かに辞書はほとんどひきませんでした。自分が興味を持てるテーマも必ず見つかります。動画の長さが短めなのもいい。あまり長いと途中で脱落してしまいますから。ということで、もう何回目になるかわからない画期的英語勉強法の紹介。果たして続けることができるのか、中島!しばらく努力してみます。最後に1句ナス・デイリー 真似して喋れば ペラペラに?

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第16回 医師不在で議論進むオンライン初診、裏には経済界の皮算用が?

政府にとって都合良く専門家集団を使うのは、新型コロナウイルスの専門家会議(現・分科会)だけではないようだ。今回のコロナ禍で、初診からのオンライン診療が可能となったが、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(座長=山本 隆一・医療情報システム開発センター理事長)の構成員から上がった反対意見の多くは無視された形だ。オンライン診療のガイドラインを定期的に見直していた検討会は3月11日、新型コロナ対策の方向性を出していた。しかし、内閣府の規制改革推進会議(議長=小林 善光・三菱ケミカルホールディングス会長、元経済同友会代表幹事)から「初診対面原則の見直し」などの要請を受け、急きょ4月2日に検討会(ビデオ通話によるオンライン形式)が開かれた。構成員に開催が知らされたのは2日前、具体的な議題や資料が明らかになったのは会議開始の10分前だったという。会合の検討内容は、「継続した発熱等、新型コロナウイルスへの感染を疑う患者の治療」と「軽度の発熱、上気道症状、腹痛、頭痛等について、対症療法として解熱剤等の薬を処方」だった。議論の焦点となったのは、初診でオンライン診療を認めるケースとして、以下の4項目が妥当か否かであった。(1)既に診断され、治療中の慢性疾患で定期受信中の患者に対し、新たに別の症状についての診療・処方を行う場合(2)過去に受診歴のある患者に対し、新たに生じた症状についての診療・処方を行う場合(3)過去に受診歴のない患者に対して診療を行う場合(4)過去に受診歴のない患者に対し、かかりつけ医などからの情報提供を受けて、新たに生じた症状についての診断・処方を行う場合そもそも、新型コロナの感染症はPCR検査などをしないでは診断できない。責任感のある医師ならば、過去に一度も診ていない患者をオンラインで判断することにはためらいがあるだろうし、患者としてもオンライン診療のみで判断されることに不安を感じるだろう。ある構成員は「オンライン初診でできるのは『相談』と『受診勧奨』で、『診療』にまでは至らないのではないか」と現実的な意見を述べている。実際、オンライン診療を行っている医師も含め、医療関係者が大半を占める構成員の多くは、(3)を認めることに反対した。しかし2日後、官邸と規制改革推進会議は検討会の反対意見を無視し、新型コロナが収束するまでの時限措置とはいえ、(3)についてもオンラインの「診療」を認めることを決めた。同会議は企業人と学者が委員の大半を占め、医師の代表はおろか、医療現場を知る委員もほとんどいない。にもかかわらず、同会議は7月2日、オンライン初診の恒久化を見据えた、さらに踏み込んだ検討を安倍 晋三首相に答申。経団連も9日、同様の趣旨の提言書を公表した。新型コロナの院内感染を防ぎたい医療人が声を上げるのならわかるが、企業人がオンラインの初診診療に前のめりになるのはなぜなのか。社員のテレワーク化に伴う対応という側面もあるかもしれないが、オンライン診療に対応する医療機関は、7月1日時点で約1万6,000施設(厚労省調べ)と少なく、伸びしろの大きい分、医療機関による専用機器やアプリなどの購入による経済効果も期待しているのではないだろうか。経済優先の結論ありきでの専門家への諮問は、専門家に対し非礼であるだけでなく、国民の健康と命を犠牲にする「規制改革」と称した“悪巧み”とさえ受け取れる。

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