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菜食とメンタルヘルスリスク

 これまでの研究では、うつ病、不安、ストレスなどのメンタルヘルスの問題への菜食の影響については、一貫した結果が得られていない。イラン・テヘラン医科大学のMohammadreza Askari氏らは、菜食とうつ病、不安、ストレスとの関連についての理解を深めるため、システマティックレビューを実施した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2020年9月4日号の報告。 2020年7月までの研究を、Scopus、PubMed、Web of Scienceより検索した。成人を対象に菜食のうつ病、不安、ストレスへの推定リスクを検討したプロスペクティブコホート研究および横断研究を分析に含めた。エフェクトサイズの統合には、固定効果モデルおよびランダム効果モデルを用いた。主な結果は以下のとおり。・菜食とうつ病、不安、ストレスとの関連を評価した研究13件(コホート研究:4件、横断研究:9件)が抽出された。・10件の研究における統合エフェクトサイズでは、菜食とうつ病との関連は認められなかった(統合エフェクトサイズ:1.02、95%CI:0.84~1.25、p=0.817)。・4件の研究における統合エフェクトサイズでは、菜食と不安との関連は認められなかった(統合エフェクトサイズ:1.09、95%CI:0.71~1.68、p=0.678)。・ストレスに関するデータは不十分であった。 著者らは「菜食とうつ病または不安との有意な関連は認められなかった。メンタルヘルスに対する菜食の影響をさらに調査するためには、今後のコホート研究が求められる」としている。

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TNF阻害薬・MTX服用者、COVID-19入院・死亡リスク増大せず

 COVID-19の治療法確立には、なお模索が続いている。米国・ウェストバージニア大学のAhmed Yousaf氏らは、エビデンスデータが不足している生物学的製剤および免疫抑制剤のCOVID-19関連アウトカムへの影響を、多施設共同リサーチネットワーク試験にて調べた。5,351万人強の患者の医療記録を解析した結果、腫瘍壊死因子阻害薬(TNFi)および/またはメトトレキサート(MTX)曝露のあるCOVID-19患者は非曝露のCOVID-19患者と比べて、入院や死亡が増大しないことが示されたという。結果について著者は「COVID-19と生物学的製剤の使用に関する現行ガイドラインは、厳密な統計学的解析ではなく主として専門家の見解(opinion)に基づくものである。今回のわれわれの試験結果は、TNFiやMTXの使用を継続することを支持し、COVID-19関連アウトカムが不良となる可能性の懸念による治療の中断に異を唱えるものである」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年9月11日号掲載の報告。TNF阻害薬および/またはMTX治療群と非治療群を3万2,076例で比較 研究グループは、TNF阻害薬および/またはMTXを服用する患者について、COVID-19関連アウトカムのリスクが増大するかどうかを調べる大規模比較コホート試験を行った。 試験では、リアルタイム検索と解析で、COVID-19と診断された成人患者について、TNF阻害薬および/またはMTX治療群と非治療群を比較。入院および死亡の尤度を、交絡因子に関する傾向スコアマッチングの有無別群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・5,351万1,836例の患者記録を解析した。・そのうち3万2,076例(0.06%)が、2020年1月20日以降にCOVID-19に関連する診断を受けたことが記録されていた。・214例のCOVID-19患者が、TNF阻害薬またはMTXへの最近の曝露が確認され、3万1,862例のCOVID-19患者は、TNFiまたはMTXに非曝露であった。・傾向マッチング後、入院および死亡の尤度について、TNF阻害薬および/またはMTX治療群と非治療群で有意差はなかった。入院のリスク比は0.91(95%信頼区間[CI]:0.68~1.22、p=0.5260)、死亡のリスク比は0.87(0.42~1.78、p=0.6958)であった。・本検討は、すべてのTNF阻害薬が同様の影響をもたらすとは限らない、という点で限定的である。

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早期乳がん術後補助療法でのパルボシクリブ追加、iDFS改善せず(PALLAS)/ESMO2020

 ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の早期乳がんの術後補助療法として、標準的な内分泌療法にCDK4/6阻害薬パルボシクリブを追加しても、無浸潤疾患生存期間(iDFS)を有意に改善できなかったことが、第III相オープンラベルPALLAS試験で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのErica L. Mayer氏が発表した。 転移を有するHR陽性/HER2陰性乳がんにおいては、内分泌療法にパルボシクリブを追加することにより無増悪生存期間(PFS)が改善する。このPALLAS試験では、早期乳がんの術後補助療法においても、パルボシクリブの追加でアウトカムが改善するかどうかを検討した。3年iDFSはパルボシクリブ併用群88.2%、内分泌療法群88.5% ・対象:Stage II/IIIのHR陽性/HER2陰性乳がん患者(診断後12ヵ月以内、内分泌療法による術後補助療法開始後3ヵ月以内)・試験群:パルボシクリブ(125mg1日1回、3週投与1週休薬、2年間)+標準的内分泌療法(少なくとも5年)・対照群:標準的内分泌療法(少なくとも5年)単独・評価項目[主要評価項目]iDFS[副次評価項目]非乳房由来の2次がんを除くiDFS、遠隔無再発生存期間(DRFS)、局所無再発生存期間、全生存期間(OS)、安全性 パルボシクリブを早期乳がんの術後補助療法に追加することによりiDFSが改善するかを検討した主な結果は以下のとおり。・2015年9月~2018年11月に5,760例(年齢中央値52歳)が登録され、パルボシクリブ併用群と内分泌療法群に1対1で無作為に割り付けられた。・Stage IIB/IIIの症例が4,729例(82.1%)と多くを占め、化学療法歴のある患者も4,754例(82.5%)と多かった。・観察期間中央値23.7ヵ月において、3年iDFSはパルボシクリブ併用群88.2%、内分泌療法群88.5%(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.76~1.15、p=0.51)と有意差は認められなかった。また、臨床的高リスクグループ(リンパ節転移4個以上[N2以上]、もしくはリンパ節転移1~3個でT3/T4かつ/またはG3)を含め、臨床病理学的なサブグループのいずれにおいても差が認められなかった。・3年DRFSについても、パルボシクリブ併用群89.3%、内分泌療法群90.7%(HR:1.00、95%CI:0.79~1.27、p=0.9997)と、差が認められなかった。・有害事象は、パルボシクリブ併用群99.4%、内分泌療法群88.6%に発現した。Grade3/4の有害事象は、パルボシクリブ併用群で最も多かったのは好中球減少症(61.3%)であった。全Gradeの有害事象は、血液毒性、疲労、上気道感染症、貧血、悪心、脱毛、下痢でパルボシクリブ併用群のほうが多かった。・パルボシクリブ併用群では、早期中止例が42.2%と多く、データカットオフ時点でパルボシクリブを継続していた患者は25.5%、予定された治療期間を完了した患者は32.3%であった。・パルボシクリブ併用群における早期中止例の64.2%が有害事象関連によるものだった。24ヵ月時点の早期中止率は、パルボシクリブ併用群6.9%、内分泌療法群6.3%で差がなかった。

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夜間低酸素血症のCOPDへの長期夜間酸素療法は有効か/NEJM

 カナダ・ラヴァル大学のYves Lacasse氏らINOX試験の研究グループは、夜間に動脈血酸素飽和度低下を認めるものの長期酸素療法の適応ではない慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、長期夜間酸素療法の有用性を評価した。試験は、患者の登録が継続できず早期中止となったため検出力が不十分であり、長期夜間酸素療法の有効性に関して結論は得られなかった。COPDを有し、慢性的に日中に重度低酸素血症を呈する患者では、長期酸素療法により生存率が改善する。しかしながら、夜間のみの低酸素血症の管理における酸素療法の有効性は知られていない。研究の詳細は、NEJM誌2020年9月17日号に掲載された。4ヵ国28施設が参加したプラセボ対照無作為化試験 本研究は、4ヵ国(カナダ、ポルトガル、スペイン、フランス)の28施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2010年11月~2015年1月の期間に患者登録が行われた(カナダ国立保健研究機構の助成による)。 対象は、喫煙歴のあるCOPDで、試験登録の少なくとも6週間前には病態が安定し、6ヵ月以上は喫煙しておらず、夜間酸素飽和度が低下した患者であった。夜間酸素飽和度低下は、夜間パルスオキシメトリーによる記録時間(就寝時)の30%以上が酸素飽和度(Spo2)90%未満であることと定義された。試験登録時に、Nocturnal Oxygen Therapy Trial(NOTT)の判定基準で長期酸素療法の適応となる可能性が高い患者は除外された。 被験者は、在宅夜間酸素療法を受ける群または偽酸素濃縮器から室内空気を吸入する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、intention-to-treat(ITT)集団における全死因死亡またはNOTT基準で長期酸素療法の適応の複合とした。 計画されていた600例のうち243例が無作為割り付けされた時点で、患者の募集とその継続が困難となったため、募集は中止された。3年時の主要アウトカム:39.0% vs.42.0% 夜間酸素療法群に123例(平均年齢69±8歳、男性65.9%)、プラセボ群には120例(69±9歳、64.2%)が割り付けられた。192例(79.0%)が、試験登録時の2回の夜間パルスオキシメトリー検査で夜間酸素飽和度低下の基準を満たした。 3年間で53例(夜間酸素療法群27例、プラセボ群26例)が介入を中止し、4年までにさらに3例(2例、1例)が中止した。 フォローアップ期間3年の時点で、ITT集団におけるNOTTの長期酸素療法適応基準を満たすか死亡した患者の割合は、夜間酸素療法群が39.0%(48/123例)、プラセボ群は42.0%(50/119例)であった(群間差:-3.0ポイント、95%信頼区間[CI]:-15.1~9.1、p=0.64)。 また、フォローアップ期間4年の時点でのtime-to-event解析では、NOTTの長期酸素療法適応基準を満たすか死亡した患者の割合は、夜間酸素療法群が47.5%(57/120例)、プラセボ群は54.0%(61/113例)であった(群間差:-6.5ポイント、95%CI:-18.9~5.9、ハザード比[HR]:0.87、95%CI:0.61~1.25、p=0.44)。死亡(HR:0.98、95%CI:0.60~1.63)およびNOTTの長期酸素療法適応基準に適合(0.87、0.57~1.34)のいずれにも両群間に差はなかった。 COPDの急性増悪や全原因による入院、QOLの経時的な変化にも、両群間に差は認められなかった。また、試験期間中に、介入の直接的な関与による重篤な有害事象の報告はなかった。 著者は、「データの信頼区間が広いことは、酸素療法の有益性を排除するものではないが、本試験単独および既報の他試験の結果を合わせて検討しても、夜間酸素療法の明確な臨床的有益性は示されていない」としている。

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遺伝子型ガイドのP2Y12阻害薬選択は本当に無効なのか?(解説:中川義久氏)-1288

 血小板凝集では、周囲からの刺激に反応してADPが血小板から放出され、これが血小板のADP受容体P2Y12を介してさらなる血小板凝集の連鎖を引き起こす。この受容体へのADPの結合を阻害し、血小板の凝集と血栓の形成を抑制する代表的な薬剤がチエノピリジン系抗血小板薬である。BMSが導入された時期には、第1世代チエノピリジン系抗血小板薬のチクロピジンのみであった。現在では副作用の発生頻度がチクロピジンよりも少ない第2世代チエノピリジン系薬剤であるクロピドグレルが多く使用されている。クロピドグレルは肝臓のCYP2C19で代謝されて活性化するが、CYP2C19の遺伝子多型により薬効が異なる。代謝能の低い遺伝子型である機能喪失型(loss-of-function:LOF)を持つ患者では効きが弱い、すなわち血小板凝集が十分に抑制されない。プラスグレルは第3世代のチエノピリジン系薬剤である。チカグレロルはADP受容体阻害薬ではあるが、チエノピリジン系ではなく、シクロペンチルトリアゾロピリミジン系薬剤に分類される。この新規のADP受容体阻害薬である、プラスグレルとチカグレロルは、CYP2C19遺伝子多型による低反応性はない。 PCI後の抗血小板薬の選択を、CYP2C19のLOFの有無に基づいて行う「TAILOR-PCI試験」の結果が2020年8月25日付のJAMA誌に掲載された。これは3月のACC.20/WCCのLate-Breaking Clinical Trialsセッションで発表された内容が論文化されたものである。 遺伝子型ガイド群ではCYP2C19のLOF保有者にはチカグレロルを、従来治療群にはクロピドグレルを投与している。LOF保有者のみを解析対象としている。全患者にアスピリンが投与され、DAPTが継続されている。12ヵ月時点の心血管死・心筋梗塞・脳卒中・ステント血栓症・重度虚血再発の複合で定義される主要評価項目は、遺伝子型ガイド群で4.0%、従来治療群で5.9%に認められ、ハザード比:0.66、p=0.06と有意差はなかった。副次評価項目である出血イベントにも有意差は認められなかった。本研究の公式の解釈は、遺伝子型ガイドのP2Y12阻害薬の選択戦略は無効ということになる。 しかし、本当に遺伝子型ガイドによる個別化した治療戦略に意味がないと言い切ってもよいであろうか? 本試験の後付け解析ではあるが、初期3ヵ月に限ればハザード比:0.21、p=0.001と、遺伝子型ガイドが主要評価項目の発生を8割近く抑制している。イベント発生のリスクの高い時期でなければ差異は表出されない可能性がある。この研究が計画されたのは2012年であり、2013~18年と6年間も時間を要している。この間にDESは進化し、植込み技術の向上も相まってステント血栓症は激減した。このイベント率の低下によって研究デザインのパワーが不足することになった可能性もある。 PCI術後にDAPTを中止し単剤とする場合に、アスピリンを中止しADP受容体阻害薬のみを継続する方向への動きがある。またDAPT期間そのものが短縮化している。その代表的な研究がSTOPDAPT-2試験(Watanabe H, et al. JAMA. 2019;321:2414-2427.)である。単剤投与であれば、一層と遺伝子型ガイドによって有効な薬剤を選択する価値が高まる可能性もある。 少なくとも、この「TAILOR-PCI試験」の結果から、遺伝子型ガイドによるP2Y12阻害薬を選択する治療戦略には意味がないと、結論付けることはできない。CYP2C19のLOF保有者が多いとされる日本から決着をつける研究が望まれる。

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J-TOPのオンライン活動 シリーズ がんチーム医療(3)【Oncologyインタビュー】第21回

出演:国立国際医療研究センター がん総合診療センター 乳腺・腫瘍内科 下村 昭彦氏  :鳥取大学医学部附属病院 腫瘍内科 陶山 久司氏  :横浜南共済病院 薬剤科 橋口 宏司氏  :千葉大学医学部附属病院 看護部 藤澤 陽子氏がんチーム医療の推進を目的として活動する 「J-TOP(Japan Team Oncology Program)」。どのようにしたら良好なチーム医療を実現することができるのか。J-TOPのメンバーを中心に議論するシリーズ対談。第2回はコロナ下の現在ならではの話題、オンライン活動について。

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病院が赤字続き!? 原因を知るために、まず見るべきものは?【今さら聞けない!医療者のための決算書の読み方】第1回

<登場人物>田中の転職後、しばらく会っていなかった2人だが、久しぶりに宮路から田中に連絡が入り、2人は食事に行くことになった。どうやら宮路は田中に相談したいことがあるようだ…。宮路田中さん、久しぶり。実は来年から福岡に帰って実家の病院を継ぐことになったんだ。田中前から「いずれは帰らなきゃ」って言ってたよね。いよいよか…。寂しくなるなぁ。宮路そうなんだよ…。それでね、実を言うと実家の病院、ここ数年赤字続きなんだ。オレはこれまで臨床一筋で、経営のことなんて一切やってこなかったから、財務のこともよくわからなくてさ。おやじもそのあたり疎いし…。まずは何から勉強すればいいのかな?田中おお、数字嫌いの宮路さんからまさかそんな言葉が聞けるとは…!それなら、まずは病院の収益の構造から見てみようか。田中からの解説医療機関の財務状況を知りたいとき、見るべきものは3つ。それは、1)賃借対照表(B/S)2)損益計算書(P/L)3)キャッシュフロー計算書だ。これら3つを合わせて財務諸表、もしくは決算書と呼んでいる。1)賃借対照表:ある時点における資産や負債の状況を表す2)損益計算書:一定期間における収支の結果を表す3)キャッシュフロー計算書:その名のとおり、現金の動きを表す田中だから宮路さんが悩んでいる「赤字」の状態や原因を知るためには、まずは2)の損益計算書を見る必要があるんだ。医療機関の損益計算書の中身は、「医業部分(ピンク部分)」と「医業外部分(ブルー部分)」に分けることができる。医業部分とは、診療など医療行為に関わる収益や費用であり、医業外部分とは、医療行為によらない収益や費用だ。たとえば補助金収益や土地や建物の賃貸事業や小売り事業に関わるものがこれに当たる。これらの医業・医業外の収益と費用を合算すると、全体の経常利益を計算することができる。医療機関の損益計算書は「医業部分」と「医業外部分」から成り立つ(単位:億円)当然、医療機関の主要事業は診療であり、医療機関の収支は「医業部分」がその多くを占めている。医業利益(損失)は「医業収益-医業費用」なので、医業利益を確保して病院を黒字にするには医業収益を増加させるか医業費用を抑える必要がある。医業収益の内訳は主に入院収益と外来収益に分けられる。医業収益の内訳は入院収益と外来収益(単位:億円)これをさらに分解すると、入院収益=患者1人当たりの入院収益×入院患者数外来収益=外来単価×外来患者数となる。入院収益の部分をさらに細かく分けてみると、患者1人当たりの入院収益=入院患者1人1日当たり単価×平均在院日数入院患者数=病床数×病床稼働率

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第27回 日本のCOVID-19死亡率が低いのはα1-アンチトリプシンのおかげ?

日本、中国、韓国、タイ、ベトナム、カンボジア、マレーシア等のアジアの国で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡率が比較的低いことに関心が集まっていますが、理由はいまだ不明です。サハラ以南アフリカのいくつかの国でCOVID-19発症やその死亡率が低いことも注目に値します。おそらくその背景にはSARS-CoV-2の検査が広まっていないことや海外からの入国者が少ないことがあるでしょうが、それぞれの国に特有の遺伝的特徴も寄与しているかもしれません。SARS-CoV-2はヒト細胞のセリンプロテアーゼTMPRSS2の助けを借りて別の細胞表面タンパク質ACE2に結合して細胞に侵入します。セリンプロテアーゼ阻害薬・ナファモスタットやカモスタットはTMPRSS2を阻害することが分かっており、COVID-19患者へのそれら薬剤の臨床試験が進行中です。ヒトの血液中の主なセリンプロテアーゼ阻害タンパク質・α1-アンチトリプシン(AAT)もナファモスタットやカモスタットと同様にTMPRSS2を阻害することが最近の研究で確認されています1)。遺伝子変異のせいでAATが乏しい人が多いイタリアのロンバルディ地域ではCOVID-19感染率が高く2)、AAT欠乏の人の割合とCOVID-19感染率が関連するのではないかと考えられています。そこでイスラエルのテルアビブ大学の研究者3人は67ヵ国のデータを使い、AAT欠乏を招く一般的な遺伝子変異とCOVID-19流行の関連を世界規模で調べてみました。その結果イタリアでの疫学データと同様の傾向があり、AAT欠乏変異保有者が多い国ほどCOVID-19死亡率が高く、逆に少ない国ほどCOVID-19死亡率が低い事が示されました3,4)。たとえばスペインはCOVID-19死亡率が高く、100万人あたり640人がCOVID-19で死亡しており、1,000人あたり17人がPiZという主たるAAT欠乏変異を有していました。イタリアも同様で、100万人あたり620人がCOVID-19で死亡し、1,000人あたり13人に変異がありました。一方、COVID-19死亡率が世界で最も低い国々の一つ日本のPiZ変異保有は無視できるほど少なく、COVID-19死亡率はスペインの71分の1の100万人あたり9人です。興味深いことに、日本でCOVID-19が少ないことやCOVID-19重症化阻止との関連が示唆されているBCGワクチン接種は血中のAATを増やします5)。AATは抗ウイルス作用に加えて抗炎症作用もあります。副腎皮質ステロイド(コルチコステロイド)・デキサメタゾンはCOVID-19入院患者の死亡を防ぐことが示されていますが、AATの抗炎症作用はどうやら副腎皮質ステロイドの上を行きます6)。AATが生理濃度でヒト気道上皮へのSARS-CoV-2感染を阻害することも確認されており7)、COVID-19患者への吸入AAT投与の臨床試験(NCT04385836)8)がサウジアラビアで進行中です。参考1)Alpha 1 Antitrypsin is an Inhibitor of the SARS-CoV2-Priming Protease TMPRSS2. bioRxiv. May 05, 20202)Vianello A,et al. Arch Bronconeumol. 2020 Sep;56:609-610. 3)Shapira G, et al. FASEB J. 2020 Sep 22.4)Carriers of two genetic mutations at greater risk for illness and death from COVID-19 / Eurekalert 5)Cirovic B, et al. ell Host Microbe. 2020 Aug 12;28:322-334.e5. [Epub ahead of print]6)Schuster R,et al. Cell Immunol. 2020 Oct;356:104177.7)Alpha-1 antitrypsin inhibits SARS-CoV-2 infection. bioRxiv. July 02, 2020. 8)Trial of Alpha One Antitrypsin Inhalation in Treating Patient With Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2)(ClinicalTrials.gov)

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初回エピソード統合失調症の治療開始の遅延に対する患者の性格や家族の影響

 統合失調症では、精神疾患の未治療期間が重要な予後の指標である。韓国・全南大学校のAnna Jo氏らは、統合失調症の治療開始の遅延に対する患者の性格や家族関係の影響について調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2020年9月2日号の報告。 初回エピソード統合失調症と診断された患者169例より、データをプロスペクティブに収集した。患者の性格はビッグファイブ性格尺度(BFI-10)を用いて調査し、家族関係は家族機能測定尺度(FACES-III)を用いて評価した。患者の臨床的特徴を評価するため、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および社会的職業的機能評定尺度(SOFAS)を用いた。未治療期間の定義は、精神症状の最初の出現から適切な抗精神病薬治療の開始までの時間とした。対象患者は、未治療期間3ヵ月(カットオフ中央値)で2つのグループに分類した。主な結果は以下のとおり。・未治療期間は、平均12ヵ月、中央値3ヵ月であった。・未治療期間の長さは、年齢の高さ、PANSSスコアの高さ、SOFASスコアの低さと関連が認められた。・自殺企図の頻度は、未治療期間が長い患者群で高くなる傾向が認められた(p=0.055)。・未治療期間が長い患者では、BFI-10の誠実性が有意に高く、FACES-IIIの凝集性と適応性が有意に低かった。・ロジスティック回帰では、未治療期間が長いほど、BFI-10における高レベルの誠実性、FACES-IIIにおける凝集性の低さとの有意な関連が認められた。 著者らは「未治療期間の長さは、家族の凝集性の低さや患者の誠実性の高さと関連していることが示唆された。精神症状が発現した際、患者のメンタルヘルスサービスへのアクセスに関して、家族が重要な役割を果たしているであろう」としている。

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COVID-19重症化予測する5つの血中マーカー同定/国際医療研究センター

 国立国際医療研究センターは9月24日、COVID-19患者から得られた経時的な採血検体により予後予測が可能な分子マーカーの探索を進めた結果、重症・重篤化するケースに共通する5つの因子を特定したと発表した。COVID-19を巡っては、患者の約8割が軽症のまま回復し、残りの約2割が重症・重篤化することがわかっているが、現段階では予後を予測する有効な手段がないため、COVID-19患者全員を隔離もしくは入院させて経過を観察する必要がある。本結果により、重症・重篤化予備軍に注力した経過観察が可能になり、医療資源の有効活用につながることが期待される。研究をまとめた論文は、2020年9月14日付(日本時間)でGene誌オンライン版に掲載された。 本研究では、COVID-19患者28例の採血検体を使い、病態の経過に沿った液性因子の経時的変化について網羅的解析を実施した。その結果、軽症回復者と重症化患者を分けることが可能な因子として、CCL17、IFN-λ3、CXCL9、IP-10、IL-6を同定した。CCL17は、将来の重症者では、感染初期の軽症時から基準値よりも低く、その後重症化するまで低い値が続いた。一方で、軽症者では健常者とほぼ同じ値だった。残りの4因子は、感染初期では軽症者と将来の重症者に違いはないものの、重症化した患者では、数日前から急激に値が上昇することがわかった。 併せて、これら5つの因子がCOVID-19重症化に特異的かどうかについて、ほかの疾患群(C型慢性肝炎、児童精神疾患、2型糖尿病、慢性腎不全、慢性心不全、間質性肺炎、関節リウマチ)から得られた血液で確認した。その結果、CCL17が低い値を取るのは、COVID-19重症者のみだった。IFN-λ3は、C型慢性肝炎で一部高い値を示したが、COVID-19重症者で統計学的に有意に高い値を示した。CXCL9とIP-10についても、COVID-19重症者で特徴的に高い値を示した。IL-6は関節リウマチで高い値を示すことがあったが、COVID-19重症者で統計学的に有意に高い値を示した。これらの結果からも、5つの因子がCOVID-19重症化患者を早期発見および囲い込みに有用である可能性が示された。 同センターでは今後、国内において多施設共同による前向き試験を実施し、実臨床での有効性についてさらに検証を進めていく予定。

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心停止状態での搬送、現場蘇生法継続に比べ生存退院率が低い/JAMA

 院外心停止(OHCA)患者の心停止状態での搬送は、現場での蘇生法継続に比べ退院時の生存割合が低く、神経学的アウトカムも不良であることが、カナダ・St. Paul's HospitalのBrian Grunau氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年9月15日号に掲載された。救急医療システム(EMS)におけるOHCA患者の蘇生処置中の病院搬送に関しては、さまざまな見解が存在する。蘇生法を施行中の心停止状態での搬送が、現場での継続的な蘇生法の実施と比較して有益性が高いか否かは明らかにされていないという。北米10施設のレジストリのデータを解析 研究グループは、北米の10施設が参加した地域住民ベースの前向きレジストリのデータを用いて、心停止状態での搬送と現場での蘇生法継続による転帰の改善効果を比較した(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 Resuscitation Outcomes Consortium(ROC)Cardiac Epidemiologic Registryから、EMSによる治療を受けた非外傷性の成人OHCA患者のデータを前向きに、連続的に収集した。登録期間は2011年4月~2015年6月で、フォローアップは退院または死亡まで実施された。 心停止状態で搬送された患者(曝露群)と、同時期に難治性の心停止(心停止状態での搬送のリスクがある)を発症した患者(非曝露群)を、時間依存性の傾向スコアを用いてマッチさせ、心停止状態での搬送(心拍再開[ROSC]前に開始された搬送と定義)と、現場での蘇生法継続を比較した。 主要評価項目は退院時の生存とし、副次評価項目は退院時の良好な神経学的アウトカム(修正Rankin尺度<3点)であった。傾向マッチの退院時生存:4.0% vs.8.5%、良好な神経学的アウトカム:2.9% vs.7.1% 4万3,969例が解析に含まれた。年齢中央値は67歳(IQR:55~80)、37%が女性であった。 86%は私的な場所で心停止を発症し、49%は現場にバイスタンダーまたはEMSによって目撃され、22%はショック適応で、97%は院外で2次救命処置を受けた。1万1,625例(26%)が心停止状態で搬送され、3万2,344例(74%)はROSC達成または蘇生法が終了するまで現場で処置を受けた。 全体の退院時生存割合は、心停止搬送群が3.8%、現場蘇生法群は12.6%であった(リスク差:-8.8%、95%信頼区間[CI]:-8.3~-9.3)。傾向マッチコホート(2万7,705例)の退院時生存割合は、心停止搬送群(9,406例)が4.0%、現場蘇生法群(1万8,299例)は8.5%であった(リスク差:-4.6%、95%CI:-5.1~-4.0)。 良好な神経学的アウトカムの達成割合は、全体(心停止搬送群2.6% vs.現場蘇生法群10.2%、リスク差:-7.6%、95%CI:-8.2~-7.0)および傾向マッチコホート(2.9% vs.7.1%、-4.2%、-4.9~-3.5)のいずれにおいても、心停止搬送群で低かった。 傾向マッチコホートのサブグループ解析では、ショック適応(リスク比:0.55、95%CI:0.45~0.68)、ショック非適応(0.63、0.53~0.74)、EMS目撃(0.58、0.50~0.66)、EMS非目撃(0.32、0.25~0.41)の心停止患者のすべてで、心停止搬送群は現場蘇生法群よりも退院時生存割合が低かった。 著者は、「これらの知見は、院外心停止患者に蘇生処置を施行しながらの病院への搬送を、ルーチンに行うことを支持しない。観察研究デザインの潜在的な交絡の存在により、これらの結果は限定的なものとなる」としている。

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アテゾリズマブ+パクリタキセル、TN乳がん1次治療でPFS改善せず(IMpassion131)/ESMO2020

 転移を有する/切除不能な局所進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対する1次治療として、アテゾリズマブ+パクリタキセルの併用療法は、無増悪生存期間(PFS)の有意な改善を認めなかった。英国・Mount Vernon Cancer CentreのDavid Miles氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験IMpassion131の結果を報告した。IMpassion131ではアテゾリズマブ+パクリタキセル併用でPFS有意に改善せず・対象:進行乳がんに対する化学療法または全身療法歴のない、転移を有する/切除不能な局所進行TNBC患者([ネオ]アジュバント化学療法後≧12ヵ月、ECOG PS≦1)・試験群:以下の2群に2対1の割合で無作為に割り付けアテゾリズマブ併用群:28日を1サイクルとし、アテゾリズマブ(840mgを1、15日目投与)、パクリタキセル(90mg/m2を1、8、15日目投与) PD-L1陽性191例/ITT集団431例※各サイクル少なくとも最初の2回は、デキサメタゾン8~10mgを投与プラセボ群:28日を1サイクルとし、プラセボ+パクリタキセル(90mg/m2を1、8、15日目投与) PD-L1陽性101例/ITT集団220例・層別化因子:タキサン治療歴、VENTANA PD-L1 SP142アッセイによるPD-L1発現状況(<1% vs.≧1%)、肝転移の有無、地域(北米 vs.西欧/オーストラリア vs.東欧/アジアvs.南米)・評価項目:[主要評価項目]PD-L1陽性患者およびITT集団における治験責任医師評価によるPFS(PD-L1陽性患者で達成された場合にITT集団で解析を行うことを事前に規定)[副次評価項目]PD-L1陽性患者およびITT集団における全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、安全性など IMpassion131の主な結果は以下のとおり。・両群のベースライン特性はバランスがとれており、PD-L1≧1%の患者は全体の45%であた。・2019年11月15日データカットオフ時点におけるPD-L1陽性患者でのPFS中央値は併用群6.0ヵ月 vs.プラセボ群5.7ヵ月(層別ハザード比[HR]:0.82、95%CI:0.60~1.12、ログランク検定p=0.20)で、併用による有意な改善はみられなかった。・ITT集団でのPFS中央値は併用群5.7ヵ月 vs.プラセボ群5.6ヵ月(層別ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.70~1.05、p値は検出せず)であった。・タキサン治療歴やPD-L1発現状況、肝転移の有無などPFSのサブグループ解析結果も、PD-L1陽性患者全体と同様の傾向で、併用によるベネフィットがみられる因子はみられなかった。・治験責任医師評価による未確定のORRは、PD-L1陽性患者で併用群63.4% vs.プラセボ群55.4%、ITT集団で53.6% vs.47.5%であった。・2020年8月19日データカットオフ時点におけるOS中央値は、PD-L1陽性患者で併用群22.1ヵ月 vs.プラセボ群28.3ヵ月(層別HR:1.12、95%CI:0.76~1.65)。ITT集団で19.2ヵ月 vs.22.8ヵ月(層別HR:1.11、95%CI:0.87~1.42)であった。・安全性プロファイルは各薬剤の既知のリスクと一致していた。 ディスカッサントを務めた米国・UNC Lineberger Comprehensive Cancer CenterのLisa Carey氏は、PD-L1陽性患者でベネフィットを示したアテゾリズマブ+ナブパクリタキセル併用のIMpassion130試験とIMpassion131試験との間でなぜ結果に差が生じたのかについて考察。試験対象の患者背景に大きな差異はみられず、パクリタキセル投与時に前投与されるステロイドが免疫チェックポイント阻害薬の効果に影響を及ぼす可能性に言及した。しかし、ペムブロリズマブ+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンのうちいずれか)併用の有効性を評価したKEYNOTE-355試験ではPFS改善が報告されており、引き続き検討が必要とした。

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がん局所治療薬アキャルックスが承認取得/楽天メディカルジャパン

 9月25日、楽天メディカルジャパンは、がん細胞を壊死させる新しい局所治療薬「アキャルックス点滴静注250mg」(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム、以下アキャルックス)について、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部」を効能・効果として製造販売承認を取得したと発表した。本剤と組み合わせて用いる医療機器レーザ装置「BioBladeレーザシステム」(以下BioBlade)については9月2日に製造販売承認を取得している。アキャルックスは、2019年4月に先駆け審査指定制度対象品目の指定を受け、2020年3月に条件付き早期承認制度のもと承認申請していた。本剤が製造販売承認を取得したのは日本が初となる。 アキャルックスは、キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体(IgG1)であるセツキシマブと光感受物質である色素IRDye 700DX を結合させた抗体薬物複合体からなる点滴静注用の注射剤で、BioBladeはアキャルックスと組み合わせて使用するレーザ装置である。本治療では、アキャルックスががん細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合し、BioBladeによって波長690nmのレーザ光照射により活性化させたIR700が光化学反応を起こし、がん細胞の細胞膜を傷害することにより殺細胞効果を示すと考えられている。海外第I/IIa相試験における奏効率は43.3% 今回の承認は、海外における第I/IIa相試験(39例)および国内における第I相試験(3例)の結果に基づく。 第I/IIa相試験は、切除不能な外国人局所再発頭頸部がん患者(手術、放射線療法、プラチナ製剤による化学療法の治療効果が不十分と判断された患者)39例を対象に安全性・有効性などを検討した多施設非盲検試験で、米国で実施された。本剤640mg/m2を2時間以上かけて点滴静注し、投与終了21~27時間後にレーザシステムを用いて、標的病変に光照射する治療を4~8週間隔で最大4サイクルまで実施した。副作用は、30例中25例(83.3%)に発現し、主な副作用は、顔面浮腫、疲労、紅斑、嚥下障害が各5例(16.7%)、末梢性浮腫、発疹、舌浮腫、口腔咽頭痛、腫瘍疼痛が各4例(13.3%)であった。奏効が認められたのは30例中13例(43.3%)で、完全奏効が4例(13.3%)、部分奏効が9例(30.0%)であった。 国内第I相試験は、切除不能な日本人局所再発頭頸部がん(手術、放射線療法、プラチナ製剤による化学療法の治療効果が不十分であり、標準的な治療の選択肢がないと担当医が判断した患者)3例を対象に安全性・有効性などを検討した非盲検試験で、国内1施設で実施された。本剤640mg/m2を2時間以上かけて点滴静注し(Day 1)、投与終了20~28時間後(Day 2)にレーザシステムを用いて標的病変に光照射する治療を1サイクル実施した。3例全例に副作用が認められ、適用部位疼痛3例(100%)、顔面浮腫、適用部位浮腫、限局性浮腫、舌炎、血圧上昇、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、肝機能異常が各1例に認められた。3例中2例(66.7%)が部分奏効(PR)、1例は病勢進行(PD)であった。 現在、国際共同第III相試験が実施されており、日本では製造販売後臨床試験として継続する。また、日本では胃がん・食道がんを対象とした医師主導型治験が実施されている。アキャルックス製品概要製品名:アキャルックス点滴静注250mg一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム製造販売承認取得日:2020年9月25日効能・効果:切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部用法・用量:通常、成人にはセツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え)として、1日1回640mg/m2(体表面積)を2時間以上かけて点滴静注する。点滴静注終了20~28時間後にレーザ光を病巣部位に照射する。製造販売元:楽天メディカルジャパンBioBlade製品概要製品名:BioBladeレーザシステム一般名:PDT半導体レーザ製造販売承認取得日:2020年9月2日使用目的又は効果:切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部に対して使用することを目的としたレーザ装置であり、以下の医薬品と組み合わせて使用する。(併用医薬品) 一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え) 販売名:アキャルックス点滴静注250mg製造販売元:楽天メディカルジャパン

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第24回 マイナンバー普及へスピードアップ、医療機関は迅速にシステム準備を

<先週の動き>1.マイナンバー普及へスピードアップ、医療機関は迅速にシステム準備を2.菅新内閣、厚労大臣に田村氏が再任、三原氏が副大臣に3.厚労省、令和3年度の概算要求は過去最大規模に4.病院における看護師の特定行為、広告が可能に?5.福祉医療機構、経営難の医療機関へ貸付限度額引き上げを発表1.マイナンバー普及へスピードアップ、医療機関は迅速にシステム準備を菅首相は、25日に行われた行政のデジタル化を推進する会議において、マイナンバーカードの普及をさらに加速させるために、未取得者に対してQRコードを送付するなど対策を行い、2022年度末にほぼ全員が所持する対策を進めることとした。医療機関においては、マイナンバーカードを使ってのオンライン資格確認等システムの稼働を来年度から本格的に始動させることがすでに決まっており、データヘルス改革が本格化するとみられる。なお、オンライン資格確認や特定健診情報の閲覧は2021年3月から、薬剤情報の閲覧は2021年10月から開始される。さらにその2年後には介護保険被保険者証としての利用開始も予定されている。オンライン資格確認を円滑に導入するため、医療機関・薬局での初期導入経費(システム改修など)については、医療情報化支援基金による補助金を活用できるため、診療所、薬局は1台まで、病院は3台まで無償提供される。この申込み手続きを行うため、支払基金は医療機関・薬局向け専用ポータルサイトを今年7月に開設しており、2021年3月までに顔認証付きカードリーダーを確実に届けてもらうためには、下記のサイトからアカウント登録を行い、申請が必要。(参考)オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)(厚労省)オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係 医療機関向けポータルサイト(社会保険診療報酬支払基金)2.菅新内閣、厚労大臣に田村氏が再任、三原氏が副大臣に安倍 晋三前首相の退任後、第99代 内閣総理大臣に任命された菅 義偉首相は、厚生労働大臣に田村 憲久氏を再入閣させ、副大臣には参議院議員である山本 博司氏と三原 じゅん子氏をそれぞれ指名した。田村大臣は17日の記者会見で、今後の厚労省の取り組みについて、オンライン診療の恒久化の検討を進めるほか、不妊治療の保険適用、後期高齢者の医療費の自己負担、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行などの対策を進めることを明らかにした。(参考)令和2年9月17日付 田村大臣会見概要(厚労省)3.厚労省、令和3年度の概算要求は過去最大規模に2021年度の政府予算編成に当たり、厚労省の概算要求額が過去最大規模となることが報道により明らかとなった。一般会計は、前年度当初予算比34億円増の32兆9,895億円で、新型コロナへの緊急対応に必要となる経費は未定で、金額については今後、財務省との折衝の後決定される見込み。なお、医政局の要求額は2,247億8,500万円と2020年度の当初予算額に比べて、16億3500万円増。この中には、医師の地域間・診療科間偏在などの対策として、認定制度を活用した医師少数区域などにおける勤務の推進事業のほか、地域医療構想の実現のために必要とされる病床機能再編支援事業、かかりつけ医機能の強化・活用にかかる調査・普及事業など、新規項目も見られ、今後の展開が注目される。(参考)令和3年度 概算要求の概要(厚生労働省医政局)4.病院における看護師の特定行為、広告が可能に?24日に開催された「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」において、チーム医療の促進や働き方改革の推進の一環で、看護師の特定行為(看護師が手順書に従って実施する診療補助)について、広告可能とする議論がされた。2024年度から規制される医師の時間外労働時間の上限規制が適用されるため、チーム医療と医師業務のタスクシフトを進めるためと考えられるが、一部の構成員から「一般の患者が深く理解できるか」といった懸念が出され、再検討した上で次回の会議に再提示することとなった。このほか、新たな報告項目の追加・修正を検討項目として、外国人患者受け入れ体制の中で、「外国人患者の受け入れに関する総合的な対応の実施有無」、「診療時に対応することができる外国語の種類」、「多言語音声翻訳システムの利用有無」について、最初の項目は病院のみ義務化、残る2つは診療所、歯科診療所、助産所も含めすべて義務とする内容が議論されたが、これについても構成員から意見が出され、次回に持ち越しとなった。(参考)第15回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会(厚労省)看護師の特定行為、業務内容が広告可能に 厚労省検討会で大筋合意、詳細ルールは次回以降(CBnewsマネジメント)5.福祉医療機構、経営難の医療機関へ貸付限度額引き上げを発表新型コロナウイルスの影響で経営難に直面する医療機関に対して、政府系金融機関の独立行政法人 福祉医療機構(WAM)は、長期運転資金の医療貸付の融資条件を拡充した。医業収益が前年同月と比べて3割以上減少した月が1ヵ月以上ある医療機関への貸付金の限度額として、病院は10億円まで(従来は7.2億円)、診療所は5,000万円(従来は4,000万円)まで引き上げた。また無利子貸付の上限枠や無担保貸付の上限枠に関しても、病院に対してはそれぞれ2億円、6億円と引き上げを行っている。医療機関に対する支援は福祉医療機構のほか、経済産業省の持続化給付金のほか、日本政策金融金庫、全国信用保証協会、商工組合中央金庫などさまざまな団体が受け付けている。(参考)福祉貸付における新型コロナウイルス感染症対応のための経営資金のお手続きのごあんない(WAM)【助成金・給付金・融資など情報一覧】新型コロナウイルス感染拡大により影響を受ける事業者様へ(CBnews編集局作成)

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NSTEMIは、高齢者だからこそ積極的に治療を!(解説:中川義久氏)-1287

 皆さんもご存じのように、急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)は、不安定狭心症(unstable angina:UA)、非ST上昇型心筋梗塞(Non ST-segment elevation myocardial infarction:NSTEMI)、ST上昇型心筋梗塞(ST-segment elevation myocardial infarction:STEMI)の3つに分類される。可能な限り早急なprimary PCIが有効なSTEMIに対して、NSTEMIでは治療のタイミングについて判断が必要である。PCI施行を含む積極的な治療を施行するタイミングは2つに大別される。早期に造影検査およびインターベンションを行う侵襲的治療戦略と、保存的な治療を優先し侵襲的治療のルーチンとしての実施を回避する初期保存的治療戦略(非侵襲的治療戦略)である。TIMIリスクスコアやGRACE ACSリスクモデルなどの、リスク評価法に基づいて治療戦略を決定することが推奨されている。このように選択肢がある中でも、早期に侵襲的治療を施行する有用性が高いとの報告が増加していた。しかし、高齢者はこれらのエビデンスを構築するための臨床試験から除外されることが常であり、明確な方針は明らかではなかった。 80歳以上のNSTEMI患者においても、侵襲的治療が非侵襲的治療と比べて優れていることを示した「SENIOR-NSTEMI試験」の結果が、Lancet誌2020年8月29日号に掲載された。累積5年死亡率は、侵襲的治療で36%、非侵襲的治療55%と、ハザード比:0.68、(95%CI:0.55~0.84)で侵襲的治療戦略が有意に優れていた。さらに、侵襲的治療は、心不全による入院発生頻度も有意に低下させていた。5年時の死亡を3割以上も減少させる意義は大きい。高齢者だからこそ積極的な戦略をとるべきともいえ、高齢者であれば保存的治療が一番という安易な選択を戒めるものであろう。 この試験はランダマイズ研究ではなく、日常の診療のデータを登録した中から、プロペンシティ・スコア(傾向スコア)を用いて解析している。ここでプロペンシティ・スコア解析を復習しよう。多変量解析の1つである、ロジスティック回帰法を用いて全患者に対して、その患者が侵襲的治療を受ける確率を計算する。この確率の値が、「プロペンシティ・スコア」であり0から1の間の数値をとる。侵襲的治療を受ける確率が同じ「0.6」という値であっても、実際には侵襲的治療を受けた患者も存在すれば、非侵襲的治療を受けた患者も存在する。これをペアにして比較することによって、あたかも患者をランダマイズしたかのように背景因子をそろえて比較することができる。「SENIOR-NSTEMI試験」のmethodには興味深い記載がある。侵襲的治療を受ける確率が非常に高い患者と、非常に低い患者は、解析から除外したというのだ。議論の余地なく、誰がみても侵襲的治療が良いと思われる患者が存在することを事前に了解しているのである。逆に、誰がみても侵襲的治療がそぐわない患者の存在も同様に認定している。この試験の結果から侵襲的治療が優れているという結論が導かれたように思う方もいるかもしれないが、この試験を実施するまでもなく、侵襲的治療に適した患者や、適していない患者が存在するのである。 ランダマイズ試験では、いずれかの治療に割り付けられれば従わねばならない。このため、どちらの選択肢に割り付けられても支障の少ない患者が多く参加する。ある治療法が適していると皆が考える患者の参加は少ない。このようにランダマイズ試験の弱点もあることを知る必要がある。高齢者という、ランダマイズ試験の難しい患者であるからこそ、プロペンシティ・スコア解析の意義を感じた「SENIOR-NSTEMI試験」であった。

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医業承継とは?「買い手の急な辞退」という落とし穴に注意せよ!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第1回

第1回 医業承継とは?「買い手の急な辞退」という落とし穴に注意せよ!漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継とは、後継者不在のクリニックを第三者へ譲渡し、新院長のもとで継続することです。一般のビジネスでいうところの事業承継ですね。買い手からすると、医療機器などの設備が揃っているため開業の初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。医師の皆さんは、クリニックを譲り受けて開業する側の「買い手」、自分が開業したクリニックをほかの医師に譲渡する「売り手」の双方の立場になる可能性があるわけです。私たちは、これまで医業承継のさまざまな側面におけるお手伝いをしてきました。医業承継は下記のようなステップで進めていくことが一般的です。医業承継の基本の流れと要する期間画像を拡大する医業承継は「お見合い結婚」とよく似ています。結婚相談所を通じてよい相手を探し、お見合いをして、お互いの合意がとれたら婚約、婚姻と続きます。このステップでとくに注目いただきたいのは、ステップ 5の「基本合意契約の締結」です。このステップは結婚でいうところの「婚約」に当たります。つまり、クリニックの売り手と買い手が面談し、お互いに「この人がいいです」と決定するプロセスです。このステップ 5を経た後は、原則、売り手は、ほかの買い手候補者と接触することができなくなります。そして、その後のステップ 6の「買収監査」とは、買い手による売り手の「身辺調査」(言い方はちょっと悪いですが…)、つまりは患者の人数や施設の状況が売値に見合っているかどうかを分析する段階に入ります。つまり、ステップ 5を境に、それまで「選ぶ側」であった売り手の立場が逆転し、買い手の交渉力が強くなります。そしてステップ 7の「最終契約の締結」が行われる前までは、買い手は「破談」(医業承継の辞退)ができるのです。 そして、この「辞退」、実はそう珍しいことではありません。辞退の理由はケース・バイ・ケースですが、「医局からの強力な引き止めに遭った」「家族からの強硬な反対に屈した」「最後の最後で開業の決心がつかない」といった理由が大きなところでしょうか。ここでも、「結婚」と似た人間心理が働きます。婚約(=基本合意契約の締結)をするまでの買い手は「ほかの候補者と競い合っている」状況であり、「何としてでもこの人(クリニック)を自分のものにしたい」と焦っています。しかし、いざ婚約まで話が進むと、嬉しさの反面、いわゆる「マリッジブルー」に見舞われるのです。初めて経営者になることのリスクや不安に向き合い、細かい点が気になり始めます。そして、最後の最後で「やっぱり辞退したい」となってしまうのです。買い手は多額の譲渡金を支払うので、逡巡するのも当然といえば当然なのですが…。私たちの調査では、成約までに売り手は平均3人の買い手(後継者候補)と面談をしています。ここからの学びは、「売り手は複数の候補者と面談したほうがよい」ということです。ほかの候補者との接点があれば、最有力の買い手に辞退されてしまってもあまり焦らずに済みます。また、面談後に買い手が意向を伝えるまでの期間は平均して「2週間~1ヵ月」(図表参照)です。ここであまりに時間がかかる場合には、買い手に何か不安や懸念が発生している可能性があり、売り手は買い手が辞退する可能性を視野に入れておく必要があります。買い手の急な辞退…。残念なことではありますが、完全には避けられないことでもあります。売り手はそのことを念頭に置きつつ、話を進める必要があるのです。

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第20回 高齢者の肥満、食事・運動療法の方法と薬剤選択は?【高齢者糖尿病診療のコツ】

第20回 高齢者の肥満、食事・運動療法の方法と薬剤選択は?Q1 肥満症を合併した高齢者糖尿病ではどのような食事・運動療法を行うべきですか?食事・運動療法を行うにはまず、膝関節疾患や心血管疾患の有無をチェックし、認知機能、身体機能(ADL、サルコペニア、フレイル・転倒)、心理状態、栄養、薬剤、社会・経済状況、骨密度などを総合的に評価します。80歳以上の肥満症では治療によって血管障害や死亡のリスクを減らせるというエビデンスに乏しくなります。しかしながら、減量によって疼痛が軽減され、QOLが改善されるということも報告されていますので、膝関節痛などがある場合は減量を勧めてもいいと思います。肥満症を合併した糖尿病患者ではレジスタンス運動を含めた運動療法と食事療法を併用することが大切です。肥満症の高齢者に食事療法と運動療法の両者を併用し、減量を行うと、食事療法単独または運動療法単独と比べて、身体機能とQOLが改善します。有酸素運動とレジスタンス運動の両者を併用した方がそれぞれ単独の運動よりも歩行速度などの身体能力の改善効果が認められます。レジスタンス運動は肥満症の人は一人で行うことが困難な場合が多いので、介護保険のデイケア、市町村の運動教室などを利用し、監視下で運動することがいいと思います。また、体重による負荷を軽減する運動としてはプール歩行やエアロバイクなどを勧める場合もあります。また、高齢者の肥満では運動療法を行わず、食事療法のみで減量すると骨格筋量や骨密度が減少するリスクがあります。一方、適切なエネルギー量を設定し、運動療法を併用することにより筋肉量、身体機能、および骨密度を低下させることなく減量が可能であるとされています。Look AHEAD研究では高齢糖尿病患者を対象に運動を中心とした生活習慣改善と体重減少を行った介入群では、対照群と比べて、歩行速度が速く、SPPBスコアで評価した身体能力が有意に高いという結果が得られています。介入群は歩行速度低下のリスクが16%減少しました1)。とくに、65歳以上の高齢糖尿病患者でSPPBスコアの改善効果がみられました。食事のエネルギー摂取量に関しては、肥満があるとエネルギー制限を行うことになりますが、過度の制限によるサルコペニア・フレイル・低栄養の悪化に注意する必要があります。肥満高齢者にレジスタンス運動にエネルギー制限を併用した群では運動のみの群に比し体重減少とともに除脂肪量の減少がみられたが、歩行能力や要介護状態は改善し、筋肉内脂肪の減少を認めたという報告があります2)。この結果は減量によって筋肉内の脂肪をとることが筋肉の質を改善することにつながることを示唆しています。「糖尿病診療ガイドライン2019」においては、高齢者では[身長(m)]2×22~25で得られた目標体重に身体活動の係数をかけて総エネルギー量を計算します。J-EDIT研究では目標体重当りのエネルギー量が約25kcal/kg体重以下と35kcal/kg体重以上の群で死亡リスクの上昇がみられ、過度のエネルギー摂取もよくないことが示唆されています3)。高齢者でも肥満があり、減量が必要な場合には目標体重は[身長(m)]2に低めの係数(22~23)をかけて目標体重を求め、目標体重当たり25~30 kcalの範囲でエネルギー量を設定することが望ましいと考えています。一般のサルコペニア・フレイルに対してはタンパク質の十分な摂取(1.0~1.5㎏/㎏体重)が推奨されています。肥満やサルコペニア肥満がある場合のタンパク質摂取に関しては、まだ十分なエビデンスがありませんが、タンパク質は十分に摂取した方がいいという報告があります。膝OAがある高齢糖尿病女性の縦断研究でも、タンパク質の摂取が1.0g/㎏体重以上を摂取した群の方が膝進展力低下や身体機能低下が少ないという結果が得られました(図1)4)。サルコペニア肥満がある高齢女性を低カロリーかつ正常タンパク質(0.8g/㎏体重)摂取群と低カロリーかつ高タンパク質(1.2g/㎏体重)摂取群に割り付けて3ヵ月間治療した結果、骨格筋量の指標は正常タンパク質群では減少したのに対し、高タンパク質摂取群では有意に増加していました5)。したがって、肥満症のある高齢糖尿病患者では、少なくとも1.0g/㎏のタンパク質をとることが望ましいと思われます。画像を拡大するQ2 肥満症を合併した高齢糖尿病、薬物療法は何に注意が必要ですか?個々の病態に合わせて薬物選択を行いますが、肥満があるので、インスリン抵抗性を改善する薬剤を主体に治療します。体重減少を目的にする場合にはメトホルミン(高用量)、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬が使用されます。メトホルミンはeGFR 30ml/min/1.73m2以上を確認して使用し、eGFR 60ml/min/1.73m2以上を確認できれば少なくとも1,500㎎/日以上の高用量で使用します。SGLT2阻害薬は、心血管疾患合併例で、血糖コントロール目標設定のためのカテゴリーI(認知機能正常でADL自立)で積極的に使用し、カテゴリーIIでは運動や飲水ができる場合に使用するのがいいと考えています。GLP-1受容体作動薬は消化器症状に注意して使用します。いずれの薬剤を使用する場合もレジスタンス運動を含む運動を併用し、サルコペニア肥満やフレイルを予防することが大切です。1)Houston DK, et al . J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2018;73:1552-1559.2)Nicklas BJ, et al. Am J Clin Nutr. 2015;101:991-999.3)Omura T, et al. Geriatr Gerontol Int. 2020;20:59-65.4)Rahi B, et al. Eur J Nutr. 2016; 55:1729-1739. 5)Muscariello E, et al. Clin Interv Aging. 2016;11:133-140.

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