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第11回 コロナ禍を盾に、日医会長選は“全面戦争”の様相

6月27日に投開票される日本医師会の会長選挙。立候補を表明している、現職で5選を目指す横倉 義武氏(75歳)と、副会長の中川 俊男氏(68歳)の両陣営が「キャビネット(副会長・常任理事の推薦候補)」を明らかにした。そこから見えるのは、大票田である東京・大阪の分裂と、どちらが当選しても日医の団結にヒビが入りそうだということだ。中川陣営は6月8日に公表したキャビネットで、副会長(定数3人)推薦候補に、現職の今村 聡氏(東京)と松原 謙二氏(大阪)に加え、全日本病院協会会長の猪口 雄二氏(東京)を推薦した。常任理事(定数10人)推薦候補には、現職の小玉 弘之氏(秋田)、道永 麻里氏(東京)、石川 広己氏(千葉)、平川 俊夫氏(福岡)の4氏を替え、都道府県医師会の副会長・常任理事の神村 裕子氏(山形)、橋本 省氏(宮城)、宮川 政昭氏(神奈川)、渡邊 弘司氏(広島)を入れる構想を明らかにした。残りの釜萢 敏氏(群馬)、長島 公之氏(栃木)、松本 吉郎氏(埼玉)、羽鳥 裕氏(神奈川)、城守 国斗氏(京都)、江澤 和彦氏(岡山)は続投させる方針だ。一方、横倉陣営は6月10日にキャビネットを公表。副会長推薦候補には、現職の今村氏を続投させるほか、新たに愛知県医師会会長の柵木 充明氏、大阪府医師会会長の茂松 茂人氏を加えた。常任理事推薦候補は現職の石川氏だけを替え、元東京都医師会副会長の近藤 太郎氏を選んだ。中川氏が自らと同様に中央社会保険医療協議会(中医協)や社会保障審議会(社保審)の委員を務めた猪口氏を副会長推薦候補にした意味は何か。ある医療関係者は「開業医と中小病院の連携で、診療報酬をしっかり取っていこうという姿勢の表れでは」と話す。一方、両キャビネットから情報担当の石川氏が共通して外されたのは、「医療のIT化関連の施策に後ろ向きだからではないか」と前述の医療関係者は推測する。また副会長選を巡っては、東京都・大阪府両医師会が分裂しそうだ。都医師会出身の今村氏は両陣営のキャビネットに副会長推薦候補として名を連ねたが、6月10日の記者会見で今村氏は、「横倉会長が立候補を決断され、その後に私に『手伝え』と言われた。しかし、中川先生からはそうした話がなく、メディアを通してキャビネットの陣容を知り、大変驚いた」と述べ、横倉キャビネットとしての立場を明らかにした。一方、6月7日の中川陣営の記者会見において、東京都医師会長の尾崎 治夫氏が「正義は中川先生にある」と応援理由を説明している上、中川キャビネットの副会長推薦候補の猪口氏は都医師会会員でもあることから、都医師会の票が割れることは必至だろう。また大阪府医師会では、2018年の役員選で横倉氏がクビのすげ替えを図った松原氏(府医師会理事)が中川キャビネットの副会長推薦候補に入っている一方、府医師会会長である茂松氏が横倉キャビネットの副会長推薦候補になっており、府医師会の票も割れそうだ。中川氏は「横倉執行部の本流の後継者」を強調、日医の従来路線を維持しながら変革する方針を説明している。一方、横倉会長は中川氏との違いについて、「基本的に随分考えが違う。私はしっかりと相手の話を聞いて、こちらの主張もしっかりと通す。一方的に我々の理念だけを通すことはありえない」と批判めいた発言をしている。中川氏は中医協や社保審などで強面に出る人物として知られているが、横倉氏は以前、「私の右腕」と持ち上げていた。“かませ犬”的な存在として中川氏を筆頭副会長に置いていたのかと勘繰りたくなる。横倉氏の1回目の会長選は3人で争う選挙だったが、2回目以降は厳しい選挙戦はしていない。その1回目でさえ「割と爽やかな選挙をしていた」と述べている。しかし今回は、中川陣営が6月7日に開いた記者会見に、10都道府県医師会、3市医師会の会長らが参加。東京・大阪の医師会も分裂している中、危機感を抱いているらしい。予定していなかった東京選対事務所を急きょ6月14日に開いたり、中川氏と支持者を批判する“怪文書”が出回ったり(横倉陣営の発信と見られる)しているのだ。今度ばかりは「爽やかな選挙」とはいかないだろう。新型コロナが依然油断ならない状況のなか、一丸となるべき医師会が、間違っても内部のいざこざで機能不全に陥るなんてことがないようお願いしたいところだ。

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統合失調症発症に関連する小児期の緑地環境と遺伝的要因

 小児期における緑地環境との接点が、後の統合失調症発症リスクを低下させることは、これまでの研究で示唆されてきた。この関連に遺伝的要因は関係するのか、または2つのリスク因子が相加的に作用するのかは、よくわかっていない。デンマーク・オーフス大学のKristine Engemann氏らは、統合失調症発症に対する小児期の緑地環境と遺伝的要因との関連について調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年5月16日号の報告。 ランドサット衛星画像からの正規化植生指数(NDVI)に基づく住居レベルの緑地との小児期の接点推移値と、デンマークのiPSYCHサンプルから得られた1万9,746の遺伝子型の多遺伝子リスクスコアに基づく遺伝的易罹病性推定値を組み合わせることにより、統合失調症発症のハザード比(HR)を調査した。デンマーク国内の健康、居住地、社会経済的地位(両親の社会経済的地位、精神疾患の家族歴)に関するデータを用いて、交絡因子で調整後のHRを推定した。 主な結果は以下のとおり。・調整HRは、NDVIの最低位と比較し最高位では統合失調症発症リスクが0.52倍(95%CI:0.40~0.66)に低下し、多遺伝子リスクスコアが最高位の小児では、統合失調症発症リスクが1.24倍(95%CI:1.18~1.30)であることを示した。・NDVIは、遺伝的易罹病性尺度の分散の1.45%(95%CI:1.07~1.90)で説明でき、統合失調症の多遺伝子リスクスコアは1.01%(95%CI:0.77~1.46)であった。・遺伝的および環境的要因を組み合わせた場合の多遺伝子リスクスコアは、2.40%(95%CI:1.99~3.07)であった。両要因の相互作用は示唆されなかった(p=0.29)。 著者らは「統合失調症発症リスクは、緑地環境との接点と遺伝的要因の相加的な関連が認められ、NDVIと統合失調症との間には、遺伝的および環境的な相互作用は認められなかった」としている。

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オリゴ転移乳がん、局所併用療法 vs.全身療法(OLIGO-BC1)/ASCO2020

 日本、中国、韓国によるアジア圏での国際後ろ向きコホート研究の結果、オリゴ転移乳がんに対する局所療法と全身療法併用の生存に対するベネフィットが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、がん研究会有明病院の上野 貴之氏がOLIGO-BC1試験の結果を発表した。・対象:ABCガイドラインで定義されたオリゴ転移を有する乳がん患者(転移個数が少なく[5個以下]、サイズが小さい、腫瘍量の少ない転移疾患。転移臓器の数は定義されていない)・主な除外基準:脳、胸膜、腹膜への転移、あるいは切除不能な皮膚および胸壁への再発症例/胸水貯留を認めた症例/生理的腹水を超えて腹水貯留を認めた症例/心外膜液貯留を認めた症例/同側乳房内再発症例/他臓器の浸潤がんの既往がある症例/重篤な併存症(心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、自己免疫疾患など)を有する再発症例・試験群:局所療法(外科的切除、放射線療法、焼灼療法および経カテーテル動脈(化学)焼灼療法など)と全身療法(化学療法、内分泌療法、抗HER2療法など)の併用・対象群:全身療法のみ・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS) ※以前の報告から5年OSを50%、40%とそれぞれ仮定した場合、両側の有意水準で併用療法の優位性を検出するために、少なくとも698例、検定力80%が必要とされた[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、長期的なPFSおよびOSを定義する臨床的、解剖学的および病理学的分析、局所療法に関連する重篤な有害事象 主な結果は以下のとおり。・2018年2月~2019年5月に1,295例が登録され、除外基準に基づき1,200例が分析対象(中国、日本、韓国からそれぞれ573、529、98例)とされた。・HR+HER2-が526例(44%)、HR+HER2+が189例(16%)、HR-HER2+が154例(13%)に、HR-HER2-が166例(14%)、その他は161例(13%)であった。・オリゴ転移数1が578例(48%)、2が289例(24%)、3が154例(13%)、4が102例(9%)、5が77例(6%)であった。・内臓転移のみが387例(32%)、骨転移のみが301例(25%)、局所再発のみが83例(7%)、局所領域再発は25例(2%)、複数部位の転移が404例(34%)であった。・局所療法および全身療法は495例、全身療法は705例で行われた。・追跡期間中央値4.9年における、5年OS率は併用療法59.6%、全身療法41.9%(p<0.01)。調整後のハザード比(HR)は0.60(95%信頼区間[CI]:0.51~0.71)であった。・多変量解析の結果、全身療法の種類(化学療法-内分泌療法:HR0.59[0.44~0.78])、若年(20~39歳:HR0.72[0.59~0.88]、40~49歳:HR0.72[0.60~0.86])、ECOG PS0(HR0.68[0.55~0.86])、ステージI(HR0.72[0.54~0.96])、非トリプルネガティブ乳がん(HR+HER2-:HR0.82[0.64~1.04]、HR+HER2+:HR0.68[0.52~0.90]、HR-HER2+:HR0.76[0.57~1.02])、転移部位の少なさ(1:HR0.71[0.59~0.86]、2:HR0.95[0.78~1.18])、局所再発(HR0.69[0.49~0.97])、無病生存期間の長さ(≦1:HR2.01[1.52~2.68]/4≦:HR1)が、予後良好因子であった。

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多発性骨髄腫導入療法、カルフィルゾミブ3剤併用療法 vs.ボルテゾミブ3剤併用療法(ENDURANCE)/ASCO2020

 米国・メイヨー・クリニックのShaji K. Kumar氏は未治療の多発性骨髄腫への導入療法として、従来から標準療法として用いられているプロテアソーム阻害薬ボルテゾミブとレナリドミド、デキサメタゾンの3剤併用療法(VRd)と、ボルテゾミブに代えて新規次プロテアソーム阻害薬のカルフィルゾミブを使用する3剤併用療法(KRd)を比較した無作為化第III相比較試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。・対象:前治療歴がない多発性骨髄腫患者1,087例(PS 0~2)。FISH法によるt(14;16)、t(14;20)、17p13 欠失、LDHが正常上限の2倍以上の高リスク群、形質細胞性白血病患者、Grade2以上の末梢神経障害を有する患者、NYHA心機能分類III~IV度の心不全患者などは対象から除外・試験群:カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン、4週ごと最大9サイクル(KRd群、545例)・対照群:ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン、3週ごと最大12サイクル(VRd群、542例) 両群36週間の治療終了後、レナリドミド維持治療継続群とレナリドミド2年間維持治療群に1:1に2度目の割り付け・評価項目:[主要評価項目]導入療法での無増悪生存期間(PFS)、維持治療での全生存期間(OS)[副次評価項目]寛解率、微小残存病変(MRD)陰性率、増悪までの期間、OS、毒性[その他]導入療法期間中と終了後にQOL評価 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値はVRd群34.4ヵ月、KRd群34.6ヵ月で有意差はなかった(ハザード比[HR]:1.04、95%CI:0.83~1.31、p=0.742)。・70歳以上のPFS中央値はVRd群37ヵ月、KRd群28ヵ月であった。・サブグループ解析では、70歳以上、男性でVRd群が良好だった。・厳格な完全寛解(sCR)はVRd群が4.0%、KRd群が5.9%、完全寛解(CR)はそれぞれ10.8%、12.4%、非常に良い部分寛解(VGPR)はぞれぞれ49.9%、55.5%、部分寛解(PR)はそれぞれ19.5%、12.9%であった。・OS中央値は両群とも未達(HR:0.98、95%CI:0.71~1.36、p=0.923)、3年OS率はVRd群が84%、KRd群が86%であった。・Grade3以上の治療関連有害事象発現率はVRd群59.4%、KRd群65.6%(p=0.038)、非血液毒性発現率はVRd群41.4%、KRd群48.3%だった(p=0.024)。 今回の結果から、Kumar氏は「新規診断の多発性骨髄腫に対する導入療法としてはVRdが依然として標準治療である」と述べた。

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COVID-19対応で市民へ9つの提言/日本感染症学会・日本環境感染学会

 6月15日、日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏)と日本環境感染学会(理事長:吉田 正樹氏)は、連名で新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」という)に関して一般市民向けに「第一波を乗り越えて、いま私たちに求められる理解と行動」と題する提言を発表し、ホームページで公開した。 今回の提言では、本年初頭からのCOVID-19の感染流行とわが国のたどった経過を振り返るとともに、先に発表された「新型コロナウイルス感染症に対する注意事項」とあわせて市民が知っておいてほしいCOVID-19の特徴や今後の生活様式などについて9項目が提示されている。 とくに危惧される第二波について、到来は不明としながらも「11月以降の秋から冬にかけて増加することを想定しておかなければならない」と指摘、その際には「決してパニックになることなく、冷静に対応していくことが極めて重要」と注意を促している。また、社会問題化している医療者・感染者への差別や偏見についても「社会全体としての連携・協力が必須」とし、学会でも引き続き活動を行うと表明している。 提言の最後には、「世界的な広がりを見せるCOVID-19を抑え込むには、私たち一人一人の理解と行動が極めて重要」と市民への協力を求めている。求められる理解と行動の9項目1.COVID-19の世界的な感染の広がりはまだ続いています。2.会話や発声による感染伝播のリスクが明らかになりました。3.いわゆる“3密”を避ける生活様式が求められています。4.高齢者は重症化するリスクが高いことに注意しなければなりません。5.PCR等遺伝子検査に加え、抗原検査、抗体検査が検討されています。6.無症状感染者を介して水面下で感染が広がるリスクがあります。7.メリハリをつけた感染対策が求められています。8.第二波は来るのか? 来るとすればいつ頃、どのくらいの規模で?9.差別や偏見のないように。

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ディスアナプシスは高齢者のCOPDリスクを増大/JAMA

 気道サイズと肺胞の大きさが不均衡のディスアナプシスは、高齢者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)と有意に関連しており、肺の大きさに比して下気道樹径が小さいほどCOPDのリスクが大きいことも示された。米国・コロンビア大学のBenjamin M. Smith氏らが、2件のコホート試験と1件のケースコントロール試験を基に、後ろ向きコホート試験を行い明らかにしたもので、結果を踏まえて著者は、「ディスアナプシスはCOPDのリスク因子と思われる」とまとめている。COPDの主要なリスクとして喫煙があるが、COPDリスクの大部分は不明のままである。研究グループは、高齢者において、CT画像診断で確認したディスアナプシスがCOPDの発生およびCOPDにおける肺機能低下と関連しているかを調べる検討を行った。JAMA誌2020年6月9日号掲載の報告。ディスアナプシスと、COPD発症率やCOPD患者の肺機能低下との関連を検証 研究グループは、2010~18年に米国6ヵ所で行われた「アテローム性動脈硬化症の多民族研究(MESA)肺試験」(被験者数2,531例)と、2010~18年にカナダ9ヵ所で行われた「カナダコホート閉塞性肺疾患」(CanCOLD、被験者数1,272例)の2件のコミュニティーベースのサンプル、および2011~16年に米国12ヵ所で行われたCOPDのケースコントロール試験「COPDの部分母集団と中期アウトカム尺度に関する試験」(SPIROMICS、被験者数2,726例)を基に、後ろ向きコホート試験を行い、CT画像診断で確認したディスアナプシスと、高齢者のCOPD発症率や、COPD患者における肺機能低下との関連を検証した。 ディスアナプシスは、標準的な解剖学的部位19ヵ所で測定した幾何学的平均気道内腔を、肺容積で割り定量化した(気道/肺比)。 主要アウトカムはCOPDの発症率で、気管支拡張薬投与後の1秒率(FEV1:FVC)が0.70未満で、呼吸症状を伴う状態と定義した。副次アウトカムは、肺機能の縦断的変化だった。 全分析結果について、人口統計学的要因や標準的COPDリスク因子(喫煙や受動喫煙、職業性・環境汚染、喘息)で補正を行った。気道/肺比の格差、FEV1低下幅には関連せず MESA肺試験被験者2,531例の平均(SD)年齢は69歳(9)で、女性は1,334例(52.7%)だった。COPD患者は237例(9.4%)で、平均(SD)気道/肺比は0.033(0.004)、平均(SD)FEV1低下幅は-33mL/年(31)だった。COPDを有していなかった被験者2,294例において、追跡期間中央値6.2年の間に新たにCOPDを発症したのは、98例(4.3%)だった。 気道/肺比が最高四分位群の被験者と比べて、最低四分位群のCOPD発症率は有意に高率だった(1,000人年当たり9.8 vs.1.2、率比[RR]:8.12、95%信頼区間[CI]:3.81~17.27、率差:8.6/1,000人年、95%CI:7.1~9.2、p<0.001)。一方で、FEV1低下幅について有意差はみられなかった(−31 vs.−33mL/年、群間差:2mL/年、95%CI:-2~5、p=0.30)。 CanCOLD試験被験者1,272例の平均(SD)年齢は67歳(10)、女性は564例(44.3%)だった。追跡期間中央値3.1年の間にCOPDを発症したのは、113/752例(15.0%)、平均(SD)FEV1低下幅は-36mL/年(75)だった。 気道/肺比が最高四分位群の被験者と比べて、最低四分位群のCOPD発症率は有意に高率だった(1,000人年当たり80.6 vs.24.2、RR:3.33、95%CI:1.89~5.85、率差:56.4/1,000人年、95%CI:38.0~66.8、p<0.001)。一方で、FEV1低下幅について有意差はみられなかった(-34 vs.-36mL/年、群間差:1mL/年、95%CI:-15~16、p=0.97)。 SPIROMICS被験者のうち、追跡期間中央値2.1年でCOPDを発症したのは1,206例で、平均(SD)年齢は65歳(8)、女性は542例(44.9%)だった。そのうち気道/肺比が最低四分位群の平均(SD)FEV1低下幅は-37mL/年(15)で、MESA肺試験被験者の低下と有意差はなかった(p=0.98)。一方で、最高四分位群の低下幅は、MESA肺試験被験者の低下幅と比べて有意に大きく、低下が急速に起きていたことが判明した(-55mL/年[SD 16]、群間差:-17mL/年、95%CI:-32~-3、p=0.004)。

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心臓リハビリ、冊子&電話フォローで完了率増/BMJ

 心筋梗塞発症後、2次予防のための心臓リハビリテーション実施と薬物療法について、患者に対してその重要性を示し実施と服薬を促す冊子の郵送と電話によるフォローアップを行うことで、心臓リハビリテーションの実施率は有意に増加したことが示された。一方で、服薬のアドヒアランスは増加しなかった。カナダ・Women's College HospitalのNoah M. Ivers氏らが2,632例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、著者は、「介入を強化することで服薬アドヒアランスが改善されるのかを調べること、また心臓リハビリテーションの実施と服薬アドヒアランスとの関連を調べることが必要である」と述べている。BMJ誌2020年6月10日号掲載の報告。MI歴のある患者に、冊子を定期的に郵送し電話でフォローアップ 研究グループは2015年9月~2016年5月にかけて、カナダ・オンタリオ州9ヵ所の心臓治療センターを通じて、アウトカム評価を盲検化した無作為化比較試験を行い、心筋梗塞を発症した2,632例を対象に、2次予防治療のアドヒアランスを改善する介入とその効果を検証した。 被験者を無作為に1対1対1の3群に分け、(1)従来の治療(通常ケア群876例)、(2)心筋梗塞歴のある患者やその家族と一緒に作成した、心筋梗塞後のリハビリテーションや長期の服薬アドヒアランスを促す冊子の5回にわたる郵送(冊子のみ介入群878例)、(3)同冊子の郵送と、郵送後の電話によるフォローアップ(完全介入群878例)をそれぞれ実施した。電話によるフォローアップでは、最初に自動応答システムで治療を順守していない患者を特定し、訓練を受けた医療者が必要に応じてフォローアップを行った。介入は、調整は中央で行ったが、配信は各病院から行われた。 主要アウトカムは2つで、心臓リハビリテーションの完了と、服薬のアドヒアランス。アドヒアランスは、2次予防のための4種の推奨薬(スタチン系薬、抗血小板薬、β遮断薬、アンジオテンシン系阻害薬)の服用状況について、0~4段階(0:過去7日間で服用しなかった推奨薬なし[0種]~4:同服用しなかった推奨薬はすべて[4種])で測定・評価した。データは12ヵ月時点で、盲検化された評価者によって、患者の自己申告および医療管理データベースから集められた。リハビリテーション完了率、完全介入群37%に対し通常ケア群27% 被験者2,632例の平均年齢は66歳、男性は71%であった。 回答を得られた被験者における心臓リハビリテーションの完了率は、通常ケア群27%(643例中174例)、冊子のみ介入群32%(628例中200例)に対し、完全介入群は37%(531例中196例)だった(補正後オッズ比[OR]:1.55、95%信頼区間[CI]:1.18~2.03)。 一方で、服薬アドヒアランスは、通常ケア群、冊子のみ介入群、完全介入群でいずれも有意差はなかった。1年後の服薬アドヒアランスが0、1、2、3、4種の割合はそれぞれ、通常ケア群が12.2%、8.4%、13.1%、30.3%、36.1%、冊子のみ介入群は12.5%、6.8%、13.6%、30.2%、36.8%、完全介入群は11.7%、6.0%、14.4%、32.9%、35.0%で、冊子のみ介入群vs.通常ケア群のORは0.98(95%CI:0.81~1.19)、完全介入群vs.通常ケア群のORは0.99(0.82~1.20)だった。

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新型コロナ、日本人の抗体保有調査の結果を発表/厚労省

 2020年6月16日、厚生労働省は3都府県で6月1日より実施していた新型コロナウイルスの抗体保有調査の結果を発表。その結果、大半の人が抗体を保有していないことが明らかになった。本調査は日本での抗体保有状況の把握のため、2020年6月1~7日にかけて東京都・大阪府・宮城県の一般住民それぞれ約3,000名を無作為化抽出して行われた。対象者は本調査への参加に同意した一般住民(東京都1,971名、大阪府2,970名、宮城県3,009名、計7,950名)。 本調査では陽性判定をより正確に行うため、2種の検査試薬(アボット社、ロシュ社)の両方において陽性が確認されたものを「陽性」とした。 主な結果は以下のとおり。・各自治体の抗体保有率は、東京都:0.10%(2人)、大阪府:0.17%(5人) 、宮城県:0.03%(1人)だった。・5月31日時点での累積感染者数は、東京都:5,236人(0.038%)、大阪府:1,783人(0.02%)、宮城県:88人(0.004%)だった。 ・上記を踏まえると、各自治体の抗体保有者は累積感染者数と比較すると多いが、依然として大半の人が抗体を保有していなかった。・モコバイオ社の試薬による測定値は参考値として記載されており、それぞれ、東京都:1.07%、大阪府:1.25%、宮城県:1.20%だった。 なお、厚生労働省は「本事業は国全体として過去に新型コロナウイルスに感染した人の割合を推定するものであり、個別に現在の感染を診断するための調査ではない。現時点でこれらの抗体の性質(体内での持続期間や、2回目の感染から守る機能があるかどうか)は確定していない」としている。

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FDA、小細胞肺がんにlurbinectedinを承認

 FDAは、2020年6月15日、プラチナベース化学療法中/後に進行した転移のある小細胞肺がん(SCLC)の成人の治療について、lurbinectedin(Jazz PharmaceuticalsおよびPharmaMar)を迅速承認した。 この承認は、プラチナベース化学療法後に進行したSCLCの成人105例を対象とした、非盲検多施設単一群試験の単剤治療データに基づいている。この研究では、lurbinectedinの研究者評価の全奏効率は35%、奏効期間中央値は5.3ヵ月であった。lurbinectedinの頻度の高い(≧20%)治療関連有害事象は、白血球減少症、リンパ球減少症、疲労、貧血、好中球減少症、クレアチニン増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、グルコース増加、血小板減少症、悪心、食欲低下、筋骨格痛、アルブミン減少、便秘 、呼吸困難、ナトリウムの減少、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加、嘔吐、咳、マグネシウムの減少、下痢であった。

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医学生向け・医師国家試験の勉強法(1)【森野コジカの研修医室からこんにちは!】第3回

第3回 医学生向け・医師国家試験の勉強法(1)皆さんこんにちは! 研修医になって2ヵ月、やっと褒められることも増えてきた森野コジカです。今回から、医学生の皆さんに向けて、コジカ流・国試の勉強法を何回かに分けてお伝えしようと思います!まず、1人で勉強するうえで、大切だと思うのは以下の2つです!(1)予備校予備校に頼らず参考書だけでやりたい派もいるかと思いますが、断然予備校(ビデオ講座)の利用をおすすめします! 教材はどこでもいいのですが、ポイントは、「これにする!」と決めた“1つを信じ抜くこと”です。コジカも、国試直前期は「アレがイイ」、「コレがイイ」などという周りの噂に惑わされ、ほかの教材に手を出しそうになったこともありました。でも、アレコレ手を出さず、1つでいいので極めることが合格の秘訣だと思っています。(2)復習(リマインド)何はともあれ、ベースは知識! 復習を繰り返して、知識を定着させることが重要です。国試を解くうえで、最低限必要な知識だけでも膨大な量があるので、覚えるのに一苦労ですよね。コジカは効率よく覚えるために、スマホのアプリを使って定期的にリマインドをかけていました。忘却曲線に合わせて自動で復習を促してくれるので、最小限の時間で定着させることができます。そのうち復習の量が膨大になって、気付けば丸1日かけて復習をしている、という感じになりますが、それでOKです!その分、アウトプットは模試や各予備校の予想問題で鍛えていました。以上が、コジカが国試を乗り越えて大事だったなと思う基本的な勉強法です。次回は、模試や勉強会などについてお伝えしようと思います!

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MRワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第1回

ワクチンで予防できる疾患(疾患について・疫学)ワクチンで予防できる疾患、VPD(Vaccine Preventable Disease)は、数えられるほどしかない。しかし、世界ではいまだに多くの子供や大人(時に胎児も)が、ワクチンで予防できるはずの感染症に罹患し、後遺症を患ったり、命を落としたりしている。わが国では2012~2013年の風疹大流行(感染者約17,000人)に引き続き1)、2018~2019年にも流行した(感染者5,000人以上)。その影響もあり、日本は下記期間において世界3位の風疹流行国となっている2)(図1、表1)。風疹ワクチンのもっとも重要な目的は先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrom:CRS)の予防である。それには、風疹が流行しないよう、風疹含有ワクチン接種により集団免疫を高めることが何より重要である。図1 2019年3月~2020年2月(1年間)の風疹発生数と発生率(100万人当たり)画像を拡大する表1 風疹患者数(上位10ヵ国)Global Measles and Rubella Monthly Update (Accessed on April 24, 2020)より引用画像を拡大する一方、麻疹は、世界で約14万人の命を奪う(2018年推計)ウイルス感染症である。麻疹の死亡率は先進国でさえも約1,000人に1人といわれており、重症度の高い感染症である。感染力も強いため、風疹と同様、予防接種により高い集団免疫を獲得する必要がある。しかし、日本国内での麻疹の散発的流行はいまだ絶えない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る緊急事態宣言が解除された今なお、予防接種は不要不急だと考え接種を控えるケースが見受けられる。しかし「ワクチンと新型コロナウイルスと検疫」でも述べられているように、予防接種(特に小児)は適切な時期に受けることが重要であり、接種を延期する必要はない。過度な制限や自粛により、予防できるはずの感染症に罹患してしまうことは避けなければならない3)。麻疹・風疹の概要VPDの第1弾として、「麻疹・風疹」を取り上げる。麻疹・風疹ワクチンともに、経済性、安全性、有効性に優れており費用対効果も高い。日本国内における麻疹・風疹の感染流行の首座は、小児よりも青年・成人である。そのため、あらゆる年代、あらゆる受診機会に触れるプライマリケア医からの啓発が、非常に重要かつ効果的である。麻疹について1)麻疹の概要感染経路:空気感染、飛沫感染、接触感染潜伏期:10~12日周囲に感染させうる期間:症状出現1日前~解熱後3日間感染力(R0:基本再生産数):12-18感染症法:5類感染症(全数報告、直ちに届出が必要)学校保健安全法:第2種(出席停止期間:解熱後3日経過するまで)注)R0(基本再生産数):集団にいるすべての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、一人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表す。つまり、数が多い方が感染力は強いということになる。2)麻疹の臨床症状麻疹の特徴は、感染力の強さと重症度の2つである。空気感染する感染症は、麻疹以外では結核と水痘がある。感染力を表すR0(アールノート)は、インフルエンザが1-2、COVID-19が1.3-2.5(5月時点)なので、麻疹はこれらの約10倍に相当する極めて強い感染力をもつ。典型的な麻疹の臨床経過は、10~12日程度の潜伏期ののち、3つの病期を経る。感染力がもっとも強いカタル期(2~4日間)には、高熱、上気道症状、目の充血、コプリック斑などが出現する。その後、一旦解熱し、再度高熱(二峰性発熱)と全身性の紅斑(発疹期)が拡がる(3~5日間)。発疹が出て3~4日後に徐々に解熱し回復する(回復期)。麻疹に対する免疫をもたない人が感染すると、約3割に合併症が生じ、肺炎や脳炎、中耳炎、心筋炎などを来す。肺炎や脳炎は2大死亡原因と言われ、乳児では麻疹による死亡例の6割が肺炎に起因する。まれではあるが罹患してから数年後に発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という重篤な合併症を来すこともある。病歴や臨床症状から疑い、血清学的検査(IgM抗体、IgG抗体など)やPCR検査(咽頭、尿など)などにより確定診断をする(詳細は「医療機関での麻疹対応ガイドライン 第7版」4)を参照)。特異的な治療法はないため、対症療法が中心である。3)麻疹の疫学麻疹の感染者は、全数報告が開始された2008年が約1万1,000例だったが、2009年以降は、毎年数十~数百例の報告数である。2016年は165例、2017年は186例、2018年282例と続き、2019年は744例と多かった。かつては5歳未満の小児が主な感染者であったが、2011年頃からは20~30代の患者が半数以上占めている5)。2019年は感染者の56%が20~30代であり、主な感染者は接種歴のない乳児を除いて、30代をピークとした成人であることがわかる(図2、3)。図2 年齢群別接種歴別麻疹累積報告数 2019年第1~52週(n=744)画像を拡大する図3 年齢別麻疹累積報告数割合 2019年第1~52週(n=744)国立感染症研究所 感染症発生動向調査 2020年1月8日現在より引用画像を拡大する4)麻疹の抗体保有率抗体保有率は麻疹の感受性調査として、ほぼ毎年国立感染症研究所より報告されている。抗体価はあくまで免疫能の一部を表しているに過ぎないため、抗体価が基準を満たせば良い、という単純な話ではない(総論第4回 「抗体検査」参照)。しかし、年代と抗体保有率との相関性をみることで、ある程度の傾向が把握できるため紹介する。麻疹の抗体保有率(PA法16倍以上:図4赤線)は1歳以上の全年代で95%以上を維持しているが、修飾麻疹を含めた発症予防可能レベルは128倍以上が望ましい6)(図4:緑線)。10代と60代以上で128倍の抗体価を下回る人が多く、注意が必要である。また、すべての年代で128倍未満のものがいることから、輸入麻疹による感染拡大の危機は常につきまとうことになる。図4 麻疹の抗体価保有状況 2019年感染症流行予測調査より(2020年2月暫定値)国立感染症研究所 2019年感染症流行予測調査(2020年2月暫定値)より引用画像を拡大するわが国は2015年3月27日にWHOによる麻疹排除認定を受けた。麻疹排除認定の定義とは「質の高いサーベイランスが存在するある特定の地域、国等において、12ヵ月間以上継続した麻疹ウイルスの伝播がない状態」とされている。これは土着の麻疹ウイルスが国内流行しなくなった状態を意味するだけであり、土着でない、海外から持ち込まれた“輸入麻疹”は、麻疹排除認定後も、2020年現在まで国内で散発的にみられている(図5)。近年の代表的な事例として、2018年には海外からの旅行者を発端とした沖縄での集団感染(101例)や、2019年にはワクチン接種率の低い三重県の宗教団体関係者を中心とした集団感染(49例)などがある。その感染力の高さから4次や5次感染を来した事例も複数報告されている7)。その他、医療関係者、教育関係者、空港職員などが感染した事例も多く、不特定多数の人に接触しうる職種は特に、あらかじめワクチン接種により免疫を獲得しておくことが重要である。図5 麻疹累積報告数の推移 2013~2020年第15週 (2020年4月15日現在)国立感染症研究所 感染症発生動向調査より引用画像を拡大する麻疹はアジア・アフリカ諸国を始め、世界各国で流行が続いており、2019年は40万人以上が罹患したと報告されている。一方で、わが国への出入国者数は年々増加し、年間5,000万人を超えている。つまり、日本全体が麻疹に対する強固な集団免疫を獲得しないと、世界各国とのアクセスが容易な現代においては、“ふと”やってくる輸入麻疹を防げないのである。風疹について1)風疹の概要感染経路:飛沫感染、接触感染潜伏期:14~21日周囲に感染させうる期間:発疹出現前後1週間感染力(R0:基本再生産数):5-7感染症法:5類感染症(全数報告、直ちに届出が必要)学校保健安全法:第2種(出席停止期間:発疹が消失するまで)2)風疹の臨床症状風疹は、比較的予後の良い急性ウイルス感染症である。しかし、妊婦が風疹に罹患すると、その胎児に感染し、先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome:CRS)が発生する可能性がある(後述)。風疹の主な感染様式は、風邪やインフルエンザと同様に飛沫感染であり、感染力は比較的強い(R0は5-7)。風疹の臨床経過について。2~3週間の潜伏期の後、軽い発熱と淡い全身性発疹が同時に出現する。その他、耳下や頸部リンパ節腫脹も特徴的で、関節痛を伴うこともある。発疹は3~5日程度で消失するため、風疹は“三日はしか”とも言われる。風疹ウイルスに感染した成人の約15%は不顕性感染(感染していても症状がでない)であり、たとえ症状がでても軽度なことも多い。そのため、自分が感染していることに気付かず、他人に感染させてしまう可能性がある。診断方法:臨床症状から疑い、血清検査(IgMやIgGなど)にて確定診断を行う。治療:CRSも含め、風疹に特異的な治療法はなく対症療法が中心となる。そのため、ワクチンがもっとも有効な予防方法となる。予後は基本的には良好だが、時に血小板減少性紫斑病や脳炎を合併することがある。3)先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome:CRS)冒頭で述べたように、日本では2012~13年および2018~19年に風疹が流行した。2012~13年には17,000人以上の風疹感染者と45人のCRSが、2018~19年には5,000人以上の風疹感染者と5人のCRSが届出された。妊婦の風疹感染により流産や胎児死亡が起こりうることから、より多くの妊婦と胎児が風疹感染の犠牲となった可能性がある。CRSとは、風疹に対する免疫が不十分な妊婦が、妊娠中に風疹に罹患し、経胎盤感染により胎児が罹患する症候群である。3大症状は難聴、先天性心疾患、白内障であり、その他、肝脾腫、糖尿病、精神運動発達遅滞などを来す。妊婦(風疹に対する免疫が不十分な場合)の風疹感染によるCRS発生率は妊娠週数によって異なり、妊娠初期の感染は80%以上と非常に高率である(妊娠4~6週で100%、7~12週で約80%、13~16週で45~50%、17~20週で6%、20週以降で0%8))。2012~13年に発生したCRS45人の追跡調査で、11人が死亡していたことがわかり、致死率は24%と報告された。そのほとんどが重度の先天性疾患が死因となった1)。一方、CRS児の母親の年代は14~42歳と幅広く、風疹含有ワクチン接種歴が2回確認された母親はいなかった(接種歴1回が11例、なしが19例、不明が15例)。妊娠可能年齢の女性に対する風疹ワクチンの2回接種がいかに重要であるかがわかる。また、4例の母親には妊娠中に感染症状がなかった(31例は症状あり、10例は不明)ことから、不顕性感染によるCRSであったことが推測される。CRSもワクチンで予防できるVPDである。また、風疹流行は、妊婦にとって脅威である。妊娠可能年齢の女性やそのご家族には、積極的に風疹ワクチン2回の接種歴を確認し、不足回数分の接種を推奨いただきたい。4)風疹の疫学と抗体保有率近年の風疹流行の首座は成人(感染者の9割以上)であり、中でも20~50代の男性が約7~8割を占める9)。これらの年代は働き盛り、かつ子育て世代でもあることから、職場や家族内感染が主な感染源と推定された10)。一方、女性の感染者では妊娠可能年齢の20~30代が女性感染者全体の6割を占め、CRS予防の観点からも、憂慮すべきデータである。抗体保有率も上記の年代で低いことがわかる(図6)。風疹抗体価についてはHI法8倍以上(図6:赤線)で陽性とされるが、感染予防には16倍以上(図6:黄線)、さらにはCRS予防には32倍以上(図6:青線)が望ましい。男性については30~50代において抗体価が低いことがよくわかる。近年の風疹流行の首座の年代である。この年代で抗体価が低いのは、後述する過去の予防接種制度の煽りを受けたことが原因であり、昨年度から全国で開始された「風疹第5期定期接種」の対象年齢(1962~1979年生まれ)が含まれる。一方、女性では、HI法8、16倍以上の抗体保有率は高いものの、CRS予防に望ましい32倍以上(図6:青線)の抗体保有率は妊娠可能年齢(10~40代)では7~8割にとどまる。やはり小児期に2回の定期接種が義務付けられていなかった年代が含まれており、男性のように成人に対する定期接種制度はないため、日常診療における接種歴の確認が重要となる。図6 男女別の風疹抗体保有率 2018年画像を拡大する国立感染症研究所 年齢別/年齢群別の風疹抗体保有状況、2018年より引用画像を拡大する妊娠可能年齢の女性やその家族には、あらかじめ風疹ワクチンでの予防措置を講じておくことが非常に重要である。ワクチンの概要(効果・副反応、生または不活化、定期または任意、接種方法) 1)麻疹・風疹ワクチン(表2)画像を拡大する効果(免疫獲得率)麻疹ワクチン:1回接種により免疫獲得率93~95%以上、2回接種で97~99%3)風疹ワクチン:1回接種による免疫獲得率は95%、2回接種では約99%11)副反応:一部(10~30%)に軽度の麻疹様発疹や風疹様症状(発熱、発疹、リンパ節腫脹、関節痛など)を伴うことがあるが、いずれも軽度で数日中に消失する一過性のものである。その他、ワクチン接種による一般的な副作用以外に、MRワクチンに特異的な副反応報告はない。禁忌:発熱や急性疾患に罹患中の人、妊婦、明らかな免疫抑制状態にある人、このワクチンによる重度のアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を呈した既往がある人注意事項:生ワクチン接種後は、2ヵ月間は妊娠を避ける。ただし、この期間に妊娠しても、母体や胎児に問題が生じた報告はない。また、輸血製剤またはガンマグロブリン製剤投与後は6ヵ月の間隔をあけてから接種する。麻疹風疹(MR)ワクチンは、2006年から小児に対して2回の定期接種(1期、2期)が定められた。1期(1歳)の接種率は目標の95%以上を維持しているが、2期(5~6歳)についてはいまだ93~94%で推移している12)。あらゆる機会を利用してキャッチアップを行うことにより、すべての人が生涯で計2回のワクチン接種が受けられるような啓発や取り組みが喫緊の課題である。2)麻疹の緊急ワクチン接種麻疹患者との接触者で、麻疹に対する免疫がない人は、接触後72時間以内に麻疹含有ワクチンを接種することで、発症を予防できる可能性がある(緊急ワクチン接種)4)。1歳未満の乳児でも、生後6ヵ月以降であれば曝露後接種は可能である(自費)。しかし、この場合は母親からの移行抗体によりワクチンウイルスが中和されてしまう可能性もあるため、必ず1歳以降で2回の定期接種を受ける必要がある。3)接種のスケジュール(小児/成人)麻疹・風疹ワクチンは、いずれも1歳以上で生涯計2回接種することで、麻疹・風疹ウイルスに対する免疫能を高率に獲得できる。血清検査で診断された罹患歴がなければ、不足回数分の接種を推奨する。ウイルス抗体価の測定は必須ではない。理由は前述の「抗体検査」で述べられたとおりであり、改定された日本環境感染学会のワクチンガイドラインでも同様の考えに基づくアルゴリズムが提示されている13)。抗体価は参考値として測定することはあっても、あくまで接種歴の方が重要度としては高い。よって、抗体価を測定せずに、接種歴の情報を元に接種回数を決めてよい。接種歴がわからない(もしくは、接種した記憶はあるが、記録がない)場合は、接種しすぎることによる害はないため「接種歴なし」として、1ヵ月以上の間隔をあけて、2回の接種を推奨する。4)小児期に2回の麻疹・風疹ワクチン接種が定期接種となった年代麻疹・風疹(それぞれ単独)ワクチン:2000年4月2日生まれ以降の人(表3)は、小児期に麻疹・風疹含有ワクチンが定期接種化されている年代である。ただし、1990年4月2日生まれ~2000年4月1日生まれまでの人(特例措置の年代)の接種率は80%台と低かった。どの年代においても接種歴の確認が重要である。特例措置:麻疹または風疹ワクチンの2回目を、中学1年生(第3期)と高校3年生相当(第4期)に対象者を拡大して5年間の期間限定で接種が行われた。表3 出生年月日および性別別の早見表:麻疹(上段)、風疹(下段)画像を拡大する5)成人に対する風疹第5期定期接種14)1962年4月2日生まれ以降~1979年4月1日生まれの年代(41~58歳)は、小児期の予防接種制度の影響で、小児期に風疹含有ワクチンを2回接種する機会がなかった。そのため、先述したように風疹抗体保有率が低く、風疹流行の首座となってしまった。この世代に対して、2019年度から全国で該当者(風疹含有ワクチンの接種歴がなく罹患歴もないなど)には無料で風疹の抗体価測定を行い、抗体価が不足している場合(HI法8倍以下)は、無料でMRワクチンを接種できる“風疹第5期定期接種”が開始された。しかし、2020年4月時点でクーポン券を使用した抗体検査実施率は16.2%、予防接種実施割合は3.4%と低迷している15)。プライマリケア医による能動的な情報提供、啓発が望まれる。日常診療で役立つ接種のポイント(例:ワクチンの説明方法や接種時の工夫)繰り返しになるが、麻疹・風疹ともに、罹患歴がなければ1歳以上で生涯2回の接種が必要である。接種歴がないまたは不明の場合は、接種しすぎることによる害はないため、任意接種であれば、1ヵ月あけて2回の接種を推奨する。麻疹または風疹のいずれか一方のみの接種を希望する人がいた場合、2回の接種歴が記録で確認できなければ、MRワクチンでの接種を推奨する。下記、MRワクチン接種を負担なく啓発できる工夫について何点かご紹介する。1)外来における工夫(1)小児の受診時受診理由に関わらず、母子手帳の提出をルーチン化する。電話予約時に一言添える、受付時や看護師の予診時などに提出をお願いする。これを習慣化すると、受診者全体に徐々にその文化が根付いていく。医師が診療前後に母子手帳の接種記録を確認し、不足しているものがあれば推奨する。ワクチンスケジュールの知識がある看護師などが担当してもよい。(2)カルテ記録プロブレムリストに「ヘルスメンテナンス」または「予防接種歴」を追加する。医師自身がリマインドできるシステムを作る。外来で扱う主要なプロブレムが落ち着いたときに、患者さんに一言接種歴の確認をするだけでも良い。余裕ができたときに、不足しているワクチンについて紹介、接種の推奨をする。(3)ポスターを掲示するワクチン接種についてのポスターを待合室に掲示する。リーフレットとして配布してもよい15)。2)積極的にワクチン接種を推奨したい対象者(1)妊娠可能年齢の女性とその家族あらゆる感染症は、妊婦の流産早産に関連しうる。CRSを含めたVPDとそのワクチンについて情報提供する。特に、妊娠中は接種が禁忌となる生ワクチン(風疹・麻疹・水痘・ムンプス)について、妊娠前にあらかじめ免疫をつけておくことが重要であることを情報提供する。妊娠希望の女性に対して、MRワクチン接種の助成がある自治体も多い。自治体によっては、そのパートナーにも助成を出しているところもある。あらかじめ自身の自治体の助成制度の確認を行い、該当者がいれば渡せるように当該ページを印刷しておくとよい。(2)風疹第5期定期接種の対象者(41~58歳:2020年4月中旬時点)接種率の低さから、自宅に風疹対策のクーポン券(無料で受けられる風疹抗体検査の受診券)が届いていても、それに気付いていない、またはその重要性を知らず放置している例も多いことが考えられる。定期接種の対象である年代については、受付などで、対象者であることを示す札や目印を作成し、受診時に医療スタッフから制度利用の推奨・案内をできるようにしておくとよい。自宅に定期接種のクーポン券が届いていないかどうか事前に確認し、検査を推奨する。届いていなければ地域の保健所に問い合わせるよう促せば対応してくれる。(3)海外渡航予定のある人海外では麻疹流行国が多数ある。渡航先に関わらず、海外渡航時はルーチンワクチンをキャッチアップする良い機会である。あれば母子手帳をもとに、なければ麻疹を含めたVPDについてしっかり話し合う。長期出張の場合は会社からの補助がでないか、家族同伴の場合は家族の予防接種状況も含めて、安心かつ安全な海外渡航となるよう、サポートする。(4)不特定多数の人と接触する職業(空港など)・医療職・教育関係者などこれらの職業の人は、感染リスクが高く、感染した場合の公衆衛生学的なインパクトも大きい。これらの職業に携わる人には、積極的にワクチン接種歴の確認をし、不足回数分の接種を推奨する。今後の課題・展望世界では、世界保健機関(WHO)などにより、麻疹および風疹排除を加速させる活動が進められている(Global Vaccine Action Plan 2011-2020)。わが国では、2015年に認定された麻疹排除認定を取り消されることがないよう、小児定期接種の高い接種率(1、2期ともに95%以上)を目指すと同時に、海外から麻疹ウイルスを持ち込まれても、国内流行につながらない高い集団免疫を目標にしなければいけない。風疹については、2014年3月に厚生労働省が「風疹に関する特定感染症予防指針」を策定した。この指針は、早期にCRSの発生をなくし、2020年度までに風疹排除(適切なサーベイランス制度のもと、土着株による感染が1年以上確認されないこと)を達成することを目標としている(なお、2020年1~4月の風疹感染者数は73人とCRSが1人、4~5月は3人、CRSは0人15,17))。プライマリケア医には、既存の制度(自治体の助成制度や風疹第5期定期接種など)の積極的利用の促進、また、日常診療内で幅広い年代に対する能動的な啓発および接種歴の確認・推奨を行うことが望まれる。参考となるサイト(公的助成情報、主要研究グループ、参考となるサイト)こどもとおとなのワクチンサイト予防接種啓発ツール 厚生労働省1)2012~2014年に出生した先天性風疹症候群45例のフォローアップ調査結果報告(IASR;Vol.39:p33-34.)2)Global Measeles and Rubella Monthly Update(pptx). Measeles and Rubella Surveillansce Data WHO (Accessed on March,2020)3)新型コロナウイルス感染症に対するQ&A 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会(2020年4月20日更新)4)医療機関での麻疹対応ガイドライン第7版 国立感染症研究所 感染症疫学センター (2018年4月17日)5)国立感染症研究所 病原微生物検出情報 麻疹[2019年2月現在](IASR Vol.40.p.49-51.)6)国立感染症研究所 病原微生物検出情報 麻疹の抗体保有状況2018年(IASR.Vol.40.p.62-63.)7)多屋馨子. モダンメディア. 2019;65:29-37.8)Ghidini A,et al. West J Med. 1993;159:366-373.9)風疹および先天性風疹症候群の発生に関するリスクアセスメント第3版(国立感染症研究所 2018年1月24日)10)風疹流行に関する緊急情報:2019年12月25日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター)11)風疹Q&A[2018年1月30日改定](国立感染症研究所)12)麻疹風疹予防接種の実施状況(厚生労働省)13)医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版(日本環境感染学会)14)風疹の追加的対策 専用ページ(厚生労働省)15)風疹に関する疫学情報 2020年4月8日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター )16)予防接種啓発ツール(厚生労働省)17)風疹に関する疫学情報 2020年6月3日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター)講師紹介

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「アリナミンF」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第4回

第4回 「アリナミンF」の名称の由来は?販売名5mgアリナミン®F糖衣錠25mgアリナミン®F糖衣錠50mgアリナミン®F糖衣錠※注射剤は内服薬のインタビューフォームと異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください。一般名(和名)5mgアリナミンF糖衣錠フルスルチアミン(JAN)25mg・50mgアリナミンF糖衣錠フルスルチアミン塩酸塩(JAN)効能又は効果○ビタミンB1欠乏症の予防及び治療○ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺 機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働等)○ウェルニッケ脳症○脚気衝心○下記疾患のうちビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合神経痛筋肉痛、関節痛末梢神経炎、末梢神経麻痺心筋代謝障害便秘等の胃腸運動機能障害術後腸管麻痺ビタミン B1欠乏症の予防及び治療、ビタミン B1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給、ウェルニッケ脳症、脚気衝心以外の効能・効果に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。用法及び用量5mgアリナミンF糖衣錠通常、成人には1日量1〜6錠(フルスルチアミンとして5〜30mg)を1回1〜2錠ずつ、 1日1〜3回に分けて食後直ちに経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。25mgアリナミンF糖衣錠通常、成人には1日量1〜4錠(フルスルチアミンとして25〜100mg)を1日1〜3回に分けて食後直ちに経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。50mgアリナミンF糖衣錠通常、成人には1日量1〜2錠(フルスルチアミンとして50〜100mg)を1日1〜2回に分けて食後直ちに経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由該当しない※本内容は2020年6月17日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2016年10月改訂(改訂第3版)医薬品インタビューフォーム「5mgアリナミン®F糖衣錠、25mg・50mgアリナミン®F糖衣錠」2)武田テバ薬品:製品情報一覧

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第11回 クラスター発生の永寿総合病院、「支援・寄付一覧」から見えてきたものは?

院長がホームページで謝罪こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。さて、東京では、都民に警戒を促すための“東京アラート”が解除され、ロードマップも「ステップ3」に移行、あとは6月18日の都知事選公示を待つだけとなりました。しかし、案の定、14日(日)と15日(月)には、都内で新たに50人近くの新型コロナウイルス感染者が確認されています。このロードマップ、患者数や医療機関の状況を勘案したものというよりは、小池百合子都知事の政治日程を優先したものだったのでは…と勘ぐりたくもなります。もっとも、お笑い芸人の不倫報道や、都知事選関連の報道を見ていると「ウィズ・コロナ」の日常が徐々に始まっている、ということなのでしょう。さて、今回気になったのは、新型コロナウイルスによる国内最大規模のクラスターが発生した永寿総合病院(東京都台東区)のサイトに6月2日に掲載された「永寿総合病院への励ましやご支援ありがとうございます」のお知らせと、続いて6月8日に掲載された湯浅 祐二院長による「診療再開にあたって」の一文です。同病院で新型コロナウイルス感染症が発生したのは3月20日前後。発熱のあった2人の入院患者を起点として院内感染が起きました。対応が後手に回った結果、医療体制が危機的状況に陥り、これまでに計214人が感染し、入院患者43人が死亡しています。感染症対策はしっかりと行っていたが不十分だった感染が明らかになって約2カ月半超、6月8日掲載の「診療再開にあたって」の文章の冒頭で湯浅院長は、「入院中の患者様及び職員に多数の感染が発生し、私どもに求められている地域医療の中核病院としての役割を果たせない状況となり、地域の皆様をはじめ、多くの方々に大きな不安を与えてしまいましたことを大変申し訳なく思っております」と謝罪、亡くなった患者やその家族に対してお詫びの言葉を述べた上で、同病院で発生した新型コロナウイルス感染症の集団感染の経緯や今後の対策について報告しています。詳細は同病院サイトをお読みいただきたいと思いますが、43人という多数の死亡者を出したことについては、「お亡くなりになった患者様のうち約半数が、血液疾患で入院中の方々で、その他にも進行した悪性腫瘍を有する方、抗がん剤治療中の方、様々な疾患のあるご高齢の方が多く、アビガンやフサンなどの薬剤を早期より使用しましたが、救命することができませんでした。特効薬のない現状では、個々の免疫力が病状の経過を大きく左右することを痛感いたしました」と、がん患者が多かったことが要因の1つだと分析しています。さらに、院内の感染症対策については、「当院は、病床400床の全26科からなる急性期総合病院であり、これまでは、こうした施設に求められる感染防止対策を着実に実行していると考えておりました。インフェクションコントロールドクターの資格を持つ医師3名や感染制御専門の資格を持つ看護師、薬剤師、検査技師などからなる感染制御チームも精力的に活動しておりました。それにもかかわらず今回のような新型コロナウイルス感染症の急速な拡大が起きた原因につきまして、厚生労働省クラスター対策班による分析結果を踏まえて重点を整理し、今後の対策について記すことにいたします」としたうえで、「感染拡大の原因と今後の対策」について「新型コロナウイルス感染症の早期診断」「基本的感染予防策」「職員間の感染予防策」「病棟の利用方法」の4つの側面から詳述しています。PCR検査設備を持たないために迅速な診断ができなかったこと、これまでも職員のマスク着用と手指消毒を励行してきたが不十分な点があったことなど、同病院の反省点や教訓は、他の医療機関にとっても今後の新型コロナウイルス感染症対策に参考になるでしょう。多種多様な支援者、ジャニーズの名前もさて、同じく同病院のサイトに6月2日に掲載された「永寿総合病院への励ましやご支援ありがとうございます」というお知らせも、とても興味深い内容となっています。このお知らせには「ご支援・ご寄附の内訳」の一覧表が添付されているのですが、その支援者や支援物資の多種多様さには、ある種の感動さえ覚えました。300件を超える支援は、地元の医療機関や企業、個人からのマスクや寄付金に始まり、地域の飲食店からの弁当やお菓子、東京都以外の企業からのマスクやフェイスシールド、そして遠くは沖縄県の個人からの現金の寄付もあります。また、ジャニーズグループや中居 正広氏など、何人かの芸能人と思しき人の名前もあります。一覧表からは、最大規模のクラスターを発生させたにもかかわらず、同病院を支えていかなければ、と考えた地元の人たちの熱意が伝わってきます。さらには同病院の院内感染の報道を見て、支援を行った人が全国にたくさんいたこともわかります。おそらく、この一覧表を作ったのは同病院の事務方の職員でしょう。院内感染対策に忙殺される中、日々届く支援物資や寄付とその送付者(支援者)を、1件も漏らすまいと記録していったに違いありません。そうした、診療とは直接関係ないところで行われた愚直な作業は、同病院の真面目な経営姿勢の表れだと言えるかもしれません。湯浅院長は「診療再開にあたって」の最後を、「永寿総合病院を、感染症に負けない、皆様に安心して医療を受けていただける病院として再生させ、発展させてまいりたいと思っております。今後ともご支援下さいますよう、心よりお願い申し上げます」と結んでいます。同病院が信頼を回復できる日は、意外と近いのかもしれません。

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入院を契機にADLが低下した患者の処方薬見直し【うまくいく!処方提案プラクティス】第22回

 今回は、入院を契機にADLが低下し、それまでの服用薬を見直した事例を紹介します。患者さんの生活様式が変わることでそれまで必要だった薬剤が不要になるケースもありますので、処方薬を点検して、現在の状態と処方薬の必要性が合致しているかを確認しましょう。患者情報90歳、女性(施設入居)基礎疾患:心房細動、高血圧、骨粗鬆症訪問診療の間隔:2週間に1回副作用歴:エドキサバン服用による歯茎と鼻出血のため服用中止処方内容1.エルデカルシトールカプセル0.75μg 1カプセル 分1 朝食後2.テルミサルタン錠40mg 1錠 分1 朝食後3.アムロジピン錠5mg 1錠 分1 朝食後4.アレンドロン酸錠35mg 1錠 分1 起床時 週1回土曜日5.スボレキサント錠15mg 1錠 分1 夕食後6.酸化マグネシウム錠330mg 1錠 分1 夕食後7.経腸成分栄養剤(2−2)液 750mL 分3 朝昼夕食後(入院中の新規開始薬)本症例のポイント患者さんは施設入居中に急性巣状腎炎と細菌性誤嚥性肺炎を発症し、入院することになりました。入院前は車いすで生活していたものの、トイレや食事も自分で行っていましたが、入院中はほぼベッド上で過ごし、トイレや食事介助が必要になるなどADLが低下しました。また、食事摂取が進まず、嚥下機能も低下したため、末梢静脈栄養が行われましたが、退院に向けた内服への切り替えとして経腸成分栄養剤(2−2)液が開始されました。退院後の訪問診療の同行の際に気になる点がいくつかあったため、まとめることにしました。1.嚥下機能低下により錠剤の服用が困難嚥下機能が低下し、錠剤の服用が困難となりました。とくにアレンドロン酸錠を起床時に上体を起こして飲むことが難しく、無理な服用から食道潰瘍のリスクにもつながる懸念がありました。注射薬への変更、もしくは骨折リスクが低いようであれば中止を提案することにしました。なお、ビスホスホネート製剤を中止した場合、活性型ビタミンD3製剤単独での治療効果も限定的であることから両剤とも中止が望ましいと考えました。2.降圧薬の服用により低血圧に入院前の血圧は、おおむね収縮期/拡張期:130〜140/70〜80で推移していましたが、ADL低下に伴い食事摂取がほとんどなくなり、血圧の低下がありました。このまま服用を続けると低血圧を起こして転倒のリスクもあるため、降圧薬の中止が妥当と判断しました。3.日中の傾眠からスボレキサントを変更スボレキサントは湿度と光の影響を受けるため粉砕不可ですので、代替薬を考えることにしました。また、看護師より日中の傾眠が強くて食事摂取が安定しないので、もう少しマイルドな薬に変更できないかという相談もありました。そこで、睡眠−覚醒リズムの改善と昼夜のメリハリ、夜間睡眠に加えて朝や日中の症状改善効果のあるラメルテオン錠を粉砕して対応することを検討しました。処方提案と経過訪問診療同行時に、医師に上記3点について口頭で相談したところ、内服薬を少なくすることで誤嚥のリスクも減らすことができるから夕食後の薬のみにまとめよう、と了承を得ました。降圧薬に関しては、食事摂取量が安定してきたところで再度血圧評価をして、再開についてはそこで再検討することになりました。内服薬変更後の血圧推移は、収縮期/拡張期:120〜130/70〜80の幅で推移しており、夜間の中途覚醒や入眠障害などもなく経過しました。食事摂取量は、経腸成分栄養剤(2−2)液を70〜80%ほど摂れるようになってきました。現在、引き続き食事摂取量や血圧推移、内服薬の服用状況をモニタリングしています。Avenell A, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2014;2014:CD000227.Reid IR, et al. Lancet. 2014;383:146-155. 矢吹拓 編. 薬の上手な出し方&やめ方. 医学書院;2020.

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CDK4/6i治療歴のあるHR+/HER2-進行乳がん、alpelisib併用が有効性示す(BYLieve)/ASCO2020

 CDK4/6阻害薬を含む治療歴のあるホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんに対し、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法が、臨床的有効性を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が第II相BYLieve試験の結果を発表した。・対象:CDK4/6阻害薬を含む治療後に増悪した、PIK3CA遺伝子変異陽性、ECOG PS≦2、測定可能病変あるいは溶骨性病変を有する、男性あるいは女性(閉経後/閉経前)のHR+/HER2-進行乳がん患者 ・試験群(コホートA):直前の治療としてCDK4/6阻害薬+アロマターゼ阻害薬(AI)の投薬を受けた患者 alpelisib 300mg/日+フルベストラント500mgを1サイクル28日でDay1に投与(1サイクル目のみDay1、15)※BYLieve試験ではコホートB(直前の治療がCDK4/6阻害薬+フルベストラントの患者、alpelisib+レトロゾールを投与)およびコホートC(AIで増悪後全身化学療法を受けた患者または直前の治療が内分泌療法だった患者、alpelisib+フルベストラントを投与)についても登録中。今回はコホートAの結果について発表された。・評価項目:[主要評価項目]RECISTv1.1に基づく6ヵ月時点の各コホートでの無増悪生存率[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、PFS2、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2017年8月14日~2019年12月17日に、少なくとも6ヵ月以上の追跡期間のある患者127例がコホートAに登録された(追跡期間中央値は11.7ヵ月)。このうち、PIK3CA遺伝子変異陽性が確認された121例が解析対象とされた。・ベースライン特性は女性が100%、年齢中央値は58歳(範囲:33~83)。白色人種63.8%、アジア人種9.4%、黒色人種4.7%。ECOG PS 0が62.2%であった。・転移病変に対する治療歴数0(術後療法としてCDK4/6阻害薬を投与)が11.8%、1が70.1%、2が16.5%、3が1.6%。転移病変に対する内分泌療法歴数0が11.8%、1が77.2%、2が11.0%であった。・試験登録時のprimary endocrine resistance(転移・再発乳がんに対する一次内分泌療法を開始して6ヵ月以内にPD、または術後内分泌療法を開始して2年以内の再発)症例が20.5%を占めていた。・6ヵ月時点の無増悪生存率は50.4%(95%信頼区間[CI]:41.2~59.6)となり、あらかじめ設定された95%信頼区間の下限(>30%)を超え、臨床的有効性が示された。・PFS中央値は7.3ヵ月(95%CI:5.6~8.3)であった。・ORRは17.4%、CBRは45.5%。CRは0例、PRは21例、SDは55例であった。・Grade 3以上の有害事象は、高血糖28.3%、発疹9.4%、下痢5.5%など。有害事象による治療中止は20.5%で起き、治療中止につながった有害事象で最も多かったのは皮疹であった(3.9%)。・抗ヒスタミン薬を事前に投与されなかった患者(117例)で皮疹が発生しなかったのは53.0%だったのに対し、事前に投与された患者(10例)では70.0%で発生せず、またGrade 3以上の皮疹の発生率も低かった(21.4% vs.10.0%)。同様の傾向がSOLAR-1試験でも観察され、予防的抗ヒスタミン剤が皮疹の発生と重症度を低下させる可能性があることが示唆された。・米国Flatiron Health Foundation Medicineのデータベースを利用した、リアルワールドデータとのマッチド解析の結果、リアルワールドでの標準治療と比較して、コホートAの治療法はPFSを改善した。 SOLAR-1試験において、CDK4/6阻害薬による治療歴のあった少数のサブグループでは、alpelisib併用群で6ヵ月時点の無増悪生存率は44.4%、PFS中央値は5.5ヵ月であった。研究者らは、今回のBYLieve試験からの報告はSOLAR-1試験の結果をサポートするもので、CDK4/6阻害薬治療後のalpelisibとフルベストラントの併用療法が、臨床的に意味のある有効性と管理可能な毒性を示したとまとめている。

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HER2+胃・胃食道接合部腺がん患者におけるトラスツズマブ デルクステカン(DESTINY-Gastric01)/ASCO2020

 HER2高発現の胃・胃食道接合部(GEJ)腺がんにおける抗HER2抗体複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のオープンラベル多施設無作為化第II相試験DESTINY-Gastric01の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、国立がん研究センター東病院の設樂 紘平氏により発表された。今回はHER2陽性(IHC 3+またはIHC 2+/IS+)で、トラスツズマブを含むレジメンで進行したプライマリコホートの報告。・対象:2ライン以上の前治療歴があるHER2陽性(IHC 3+またはIHC 2+/IS+)胃/GEJ腺がん・試験薬:T-DXd 6.4mg/kg 3週ごと(T-Dxd群)・対照薬:医師選択による化学療法(イリノテカンまたはパクリタキセル)(PC群)・評価項目:[主要評価項目]独立中央委員会(ICR)評価による奏効率(ORR)[副次評価項目]全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、ICR評価の確定ORR(4週間持続)、奏効期間(DoR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・全66施設(日本48、韓国18)から患者187例が登録され、T-DXd群(n=125)またはPC群(n=62)に2:1に無作為に割り付けされた。・前治療レジメン数中央値は2、86%がタキサン、72%がラムシルマブ、33%がPD-(L)1阻害薬の治療を受けていた。・データカットオフ時の治療継続は、T-DXd群22.4%、PC群の4.8%であった。・ORRは、T-DXd群51.3%、PC群は14.3%と、有意にT-DXd群で高かった(p<0.0001)。・確定ORRは、T-DXd群42.9%、PC群は12.5%であった。・DCRは、T-DXd群82.5%に対し、PC群62.5%であった(P=0.0005)、DoR中央値は、T-DXd群11.3ヵ月に対し、PC群3.9ヵ月であった。・OS中央値は、T-DXd群12.5ヵ月に対し、PC群8.4ヵ月と、T-DXd群で有意に延長した(HR:0.59、95%CI:0.39〜0.88、p=0.0097)。・PFS中央値は、T-DXd群5.6ヵ月に対し、PC群3.5ヵ月であった(HR:0.47、95%CI:0.31〜0.71)。・両群で一般的なGrade3以上の有害事象(AE)は、好中球減少、貧血、および白血球数減少であり、T-DXd群でより頻度が多かった。薬物関連死亡は、肺炎による1件がT-DXd群で発現した。T-DXdによるILDは9.6%に発現し、内訳はGrade1 3例、Grade2 6例、Grade3 2例、Grade4 1例、Grade5なし、であった。

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新型コロナ、医療者のメンタルヘルスをどう守る?/日本精神神経学会提言と会員アンケート

 日本精神神経学会は、新型コロナウイルス感染症に関連し、学会員を主な対象としたメンタルヘルス関連の提言を行っている。これまでに出された提言は以下の3つ。1)親子・学校・女性のメンタルヘルスのサポート役割を担う学会員向け2)働く人のメンタルヘルスケアや産業保健体制に関する提言3)「コロナ関連自殺」予防について 精神科・心療内科を専門とする学会員に向け、新型コロナウイルス感染症がメンタルヘルスにおよぼす影響や、診療にあたっての注意点をまとめている。産業医として企業に対して感染予防対策や新しい働き方に関連するアドバイスをする際に役立つ内容も多い。「メンタルヘルスの専門家として今知っておくべきこと」を中心にまとめられているが、提言には「医療者自身のメンタルヘルスをいかに保つか」という内容も多く含まれている。 2)の提言内では「特に医療や介護現場などではメンタルヘルス不調の発生が強く危惧される」とし、個人防護服(PPE)を着たままの診療による身体的疲労や緊張の継続による精神的疲労の双方が懸念され、さらに新型コロナの専門病棟ではこれら疲労に加え、対応人員不足やPPE不足などへの危惧が継続的に発生している、と指摘。「当初は責任感や緊張感から普通に勤務できているように見えていても、対応期間が長引くにしたがい心身の疲弊症状として、抑うつ症状などの精神症状や不眠や頭痛などの身体化症状が顕在化」する、と警告している。こうしたメンタルヘルス不調を念頭に置いた産業保健活動が求められるが、そうした体制の確立が難しい小規模事業者などに対しては、早期から行政が介入・支援することが必要だ、と訴えている。 3)の提言内でも「このたびの感染防止対応は、ほとんどの医療スタッフにとって通常経験したことのない、複雑に絡み合う複数のストレス要素を伴っています。心身の不調が起きるのが当然といえば当然です。(略)会員の皆様も、精神医学やメンタルヘルスに精通しているからといって例外ではないのだということを忘れないでください」と注意を促している。会員アンケートでもストレス傾向が明らかに 2020年5月中旬、ケアネットが医師会員1,000人を対象に行ったメンタルヘルスをテーマにしたアンケート(新型コロナは日常診療にどう影響?勤務医1,000人に聞いたストレス・悩みの理由)からも、医療者が大きなストレス下に置かれていることが明らかになった。「COVID-19感染リスクに自身・スタッフがさらされることに不安を覚える」と答えた回答者は57.4%と6割近く、「COVID-19感染リスクに自身・スタッフがさらされることに不安を覚える」(57.4%)、「学会や勉強会などの直接的なコミュニケーションの機会が失われた」(55.6%)といった回答も半数を超えた。 医療現場のストレスマネジメントに詳しい国際医療福祉大学大学院 心療内科学教授の中尾 睦宏氏は、この結果を踏まえ、専門家の立場からアドバイスを寄せた。「アンケートには『臨床心理士を配置した』『メンタル相談の専門窓口を設けた』といった回答が寄せられており、医療現場の素早い対応は評価できる。しかし、医療者には責任感が強く、弱音を吐くことが苦手な人も多い。オンラインのミーティングや勉強会などの正しい情報共有に加え、カジュアルなコミュニケーションや愚痴を吐き出しやすい環境づくりが長期的なメンタルヘルス対策につながるはず」と述べている。【会員医師アンケート】新型コロナは日常診療にどう影響?1,000人に聞いたストレス・悩み【アンケート結果を解説】今、医療者が知るべき・やるべきメンタル対策

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出産前後のうつ病を予防するための心理的介入~メタ解析

 出産前後のうつ病は、有病率が高く、深刻な影響を及ぼすため、その予防は重要である。これまでのシステマティックレビューおよびメタ解析では、周産期うつ病リスクを有する女性に対する心理学的介入の有効性が示唆されている。しかし、出産前の一般的な予防に焦点を当てた研究は、あまりなかった。東京大学の安間 尚徳氏らは、周産期うつ病に対する出産前の心理学的介入の影響(とくに一般的な予防に焦点を当て)を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年5月12日号の報告。 2019年1月28日までの公開されたランダム化比較試験を、4つの電子データベース(Cochrane Controlled Register of Trials[CENTRAL]、Embase、PubMed、PsycINFO)より検索した。まず、12人の研究者がタイトルとアブストラクトのスクリーニングを行い、独立した2人の研究者が、それぞれ全文レビューを行った。メタ解析については、Review Manager 5.3 for Windowsを用いてランダム効果モデルを実施した。サブグループ解析は、認知行動(CB)療法をベースとした介入に関する研究について実施した。 主な結果は以下のとおり。・最初に検索された研究は、1万3,026件であった。・重複を削除した後、9,919件がスクリーニングされ、最終的に18件が選択基準を満たした。・メタ解析では、出産前の心理学的介入は、出産前後のうつ病に対し有意な効果を示した(不均一性は中~高レベル)。 ●出産前のうつ病:SMD=0.28(95%CI:0.11~0.44)、不均一性I2=61%(p=0.01) ●出産後のうつ病:SMD=0.37(95%CI:0.08~0.66)、不均一性I2=84%(p<0.001)・サブグループ解析では、出産前のCB療法ベースの介入は、出産前のうつ病に対し有意な効果が認められたが(不均一性は高レベル)、出産後には認められなかった。 ●出産前のうつ病:SMD=0.53(95%CI:0.13~0.94)、不均一性I2=85%(p=0.001) ●出産後のうつ病:SMD=0.45(95%CI:-0.03~0.92)・本研究は、英語で発表された研究のみを対象としており、また出産前後のうつ病の評価にはさまざまな方法が用いられているため、研究全体の不均一性が高レベルであった。 著者らは「出産前の心理学的介入は、出産前後のうつ病に対し一般的な予防効果が期待できる。しかし、含まれた研究の方法論的な質があまり高くないため、決定的な結果とはいえない。今後、適切に設計された研究によるエビデンスが求められる」としている。

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ペムブロリズマブ+化学療法による小細胞肺がん1次治療の結果は?(KEYNOTE-604)/ASCO2020

 米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのCharles M. Rudin氏は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する1次治療における化学療法へのペムブロリズマブ併用効果を比較するプラセボ対照無作為化二重盲検第III相試験KEYNOTE-604の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。化学療法単独に比べ、無増悪生存期間(PFS)は有意に改善するものの、全生存期間(OS)は有意差が示されなかったと報告した。・対象:期待余命3ヵ月以上で臓器機能が保持され、脳転移のない未治療のStage IVのES-SCLC患者、PS 0~1(453例)・試験群:ペムブロリズマブ200mg+化学療法(カルボプラチン/シスプラチン+エトポシド)、21日ごと4サイクル(ペムブロリズマブ群、228例)・対照群:プラセボ+化学療法(同上)(プラセボ群、225例)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価によるPFS、OS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効持続期間(DoR)、安全性 PFS優越性の閾値は、one-sided p=0.0048、OS優越性の閾値は、one-sided p=0.0128であった。 主な結果は以下のとおり。・ITT集団での中間解析のPFS中央値はペムブロリズマブ群4.5ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.61~0.91、p=0.0023)であった。・ITT集団での最終解析のPFS中央値はペムブロリズマブ群4.8ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.60~0.88)であった。・ITT集団での最終解析のOS中央値はペムブロリズマブ群10.8ヵ月、プラセボ群9.7ヵ月(HR:0.80、95%CI:0.64~0.98、p=0.0164)であった。・最終解析でのORRはペムブロリズマブ群70.6%、プラセボ群61.8%であった。・DoR中央値はペムブロリズマブ群が4.2ヵ月、プラセボ群が3.7ヵ月であった。・As treated集団での有害事象は、Grade 3/4はペムブロリズマブ群が76.7%であった。

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転移のない去勢抵抗性前立腺がん、エンザルタミド追加でOS延長/NEJM

 転移のない去勢抵抗性前立腺がんで、前立腺特異抗原(PSA)値の急激な上昇がみられ、アンドロゲン除去療法を受けている患者において、エンザルタミドの追加はプラセボと比較して、全生存(OS)期間を10ヵ月以上延長し、死亡リスクを27%低下させることが、米国・Weill Cornell MedicineのCora N. Sternberg氏らの検討「PROSPER試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年6月4日号に掲載された。エンザルタミドは経口アンドロゲン受容体阻害薬であり、本試験の初期結果では、無転移生存期間を有意に延長したと報告されている。この時点では、OSのデータは十分でなく、2つの治療群ともOS期間の中央値には到達していなかった。今回は、OSの3回目の中間解析(最終解析)の結果が報告された。併用効果を評価するプラセボ対照無作為化試験 本研究は、32ヵ国の300以上の施設の独立審査委員会によって承認された国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2013年11月~2017年6月の期間に患者登録が行われた(PfizerとAstellas Pharmaの助成による)。 対象は、転移のない去勢抵抗性の前立腺がん(従来の画像検査とPSA倍加時間≦10ヵ月で判定)の男性で、アンドロゲン除去療法を継続している患者であった。 被験者は、アンドロゲン除去療法に加え、エンザルタミド(160mg、1日1回)またはプラセボを投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは無転移生存であり、副次エンドポイントはOS期間、PSA増加までの期間、PSA奏効率、安全性などであった。今回は、OS期間と有害事象のデータが示された。OS期間:67.0ヵ月vs.56.3ヵ月、後治療までの期間も延長 1,401例が登録され、エンザルタミド群に933例(年齢中央値74歳、PSA倍加時間中央値3.8ヵ月)、プラセボ群(73歳、3.6ヵ月)には468例が割り付けられた。フォローアップ期間中央値は48ヵ月だった。 2019年10月15日(データカットオフ日)の時点で、エンザルタミド群の288例(31%)、プラセボ群の178例(38%)が死亡した。エンザルタミド群では、前立腺がんによる死亡が178例(19%)、前立腺がん以外の原因による死亡は110例(12%)であり、プラセボ群ではそれぞれ136例(29%)および42例(9%)だった。 OS期間中央値は、エンザルタミド群が67.0ヵ月と、プラセボ群の56.3ヵ月に比べ有意に延長した(死亡のハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.61~0.89、p=0.001)。エンザルタミド+アンドロゲン除去療法は、プラセボ+アンドロゲン除去療法に比べ、死亡のリスクを27%抑制した(0.73、0.61~0.89、p=0.001)。事前に規定されたサブグループのほとんどで、エンザルタミド群のOS期間がプラセボ群よりも良好であった。3年生存率は、エンザルタミド群80%、プラセボ群73%だった。 エンザルタミド群はプラセボ群に比べ、新たな抗悪性腫瘍薬による後治療の開始が有意に遅かった(HR:0.29、95%CI:0.25~0.35)。抗悪性腫瘍薬の初回使用までの期間中央値は、エンザルタミド群が66.7ヵ月、プラセボ群は19.1ヵ月であった。また、試験薬中止後に1つ以上の抗悪性腫瘍薬による後治療を受けた患者は、エンザルタミド群が310例(33%、治療中止例の56%)で、プラセボ群は303例(65%)だった。 曝露歴で補正したGrade3以上の有害事象の発生率は、100人年当たりエンザルタミド群が17件、プラセボ群は20件であり、両群で類似していた。また、エンザルタミド群の有害事象は、既報のデータと一致しており、とくに疲労(46%)と筋骨格系イベント(34%)が多かった。 著者は、「最近の研究では、アンドロゲン受容体阻害薬は、転移のない去勢抵抗性前立腺がん患者の転移までの時間を遅らせるだけでなく、OSを改善するとのエビデンスが増えており、今回の結果は、同様のエビデンスを1つ加えるものである。エンザルタミドは、転移のない、および転移のある去勢抵抗性前立腺がんの両方で生存期間を延長することが示された」としている。

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