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日本人の妊娠出産による摂食障害再発や産後うつ病

 出産可能年齢の女性における摂食障害(ED)発症についての研究が行われている。しかし、妊娠中および出産後の女性を対象とした長期フォローアップ研究は、あまり行われていない。東邦大学の牧野 真理子氏らは、妊娠中および出産後のED再発とED完全寛解の女性における産後うつ病について調査を行った。BMC Pregnancy and Childbirth誌2020年5月27日号の報告。 1994~2004年に診療所外来を受診したED患者1,008例のうち、ED寛解および妊娠した女性は55例であった。このうち、研究への参加に同意した患者は25例(神経性過食症[BN]21例、神経性食欲不振症[AN]4例)であった。最終的に、流産した患者を除く24例が研究に含まれた。対象患者は、妊娠中と出産後の両方で2週間ごとに面接を受けた。EDおよび産後うつ病の診断には、Eating Attitudes Test-26(EAT-26)、エジンバラ産後うつ病評価尺度(EPDS)を用いた。統計分析には、両側独立検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・妊娠中にEDを再発した患者は16例(67%)、出産後にEDを再発した患者は12例(50%)であった。・産後うつ病が認められた患者は12例(50%)、低体重児出産は4例(33%)で認められた。・産後うつ病が認められなかった患者では、低体重児出産は認められなかった。・産後うつ病群と非産後うつ病群の間に、出生時体重の有意な差は認められなかった(p=0.065)。 著者らは「妊娠中および出産後の女性では、EDの再発率や産後うつ病の発症率が高いことが明らかとなった。妊娠中および出産後の綿密なEDモニタリングが求められる」としている。

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内臓脂肪指数は大腸がん発症の予測因子~日本人コホート

 内臓脂肪蓄積は大腸がん発症に関連しているが、内臓脂肪蓄積と機能障害のマーカーである内臓脂肪指数(VAI)と大腸がん発症との関連についての報告はない。今回、京都府立医科大学の岡村 拓郎氏らが、大規模コホートNAGALA研究で検討した結果、VAIの最高三分位群において大腸がん発症リスクが有意に高いことが示された。BMJ Open Gastroenterology誌2020年6月号に掲載。 本研究では、2万7,921人(男性1万6,434人、女性1万1,487人)の参加者をVAIによって三分位に分けた。VAIは、男性では(腹囲/(39.68+1.88×BMI))×(トリグリセライド/1.03)×(1.31/HDLコレステロール)、女性では(腹囲/(36.58+1.89×BMI))×(トリグリセライド/0.81)×(1.52/HDLコレステロール)で算出した。性別、年齢、喫煙、飲酒、運動、ヘモグロビンA1c、収縮期血圧で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間(中央値4.4年)中に、116人が大腸がんを発症した。・単変量解析では、最低三分位群と比較して、中間および最高三分位群における大腸がん発症のハザード比(HR)は1.30(95%信頼区間[CI]:0.76~2.28、p=0.338)および2.41(同:1.50〜4.02、p<0.001)で、最高三分位群で有意に高かった。・共変量の調整後、中間および最高三分位群における大腸がん発症のHRは1.27(95%CI:0.73〜2.23、p=0.396)および1.98(同:1.15〜3.39、p=0.013)で、最高三分位群で有意に高かった。 著者らは「VAIは大腸がん発症の予測因子になりうる。大腸がんの早期発見のために、VAIが高い人に大腸がん検診を勧めるべき」と結論している。

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高齢患者のポリファーマシー、電子的支援ツールで改善/BMJ

 多剤併用(ポリファーマシー)は高齢者で一般的にみられ、不適切な薬剤が含まれることや、潜在的な害を伴うことが多いとされる。ドイツ・Witten/Herdecke UniversityのAnja Rieckert氏らは、多剤併用高齢患者における潜在的不適切薬剤処方(potentially inappropriate prescribing)を改善するための電子的意思決定支援ツールを新たに開発し、その有効性を実臨床で評価した。結果は、このツールにより、予定外の入院と24ヵ月以内の死亡について決定的な効果は確認されなかったものの、患者アウトカムに悪い影響を及ぼすことなく薬剤数の削減が達成されたという。BMJ誌2020年6月18日号掲載の報告。4ヵ国の総合診療医が参加した実践的クラスター無作為化試験 研究グループは、PRIMA-eDS(polypharmacy in chronic diseases: reduction of inappropriate medication and adverse drug events in older populations by electronic decision support)と呼ばれる電子的意思決定支援ツール(https://www.prima-eds.eu)を開発し、その使用が不適切な多剤併用の減少につながり患者関連エンドポイントの改善をもたらすかを評価する目的で、実践的なクラスター無作為化対照比較試験を行った(第7次欧州連合研究開発枠組計画の助成による)。 このツールは、個々の患者データと最新の最良エビデンスに基づく包括的な薬剤レビューを自動的に生成し、医師が減薬(deprescribing)を行う際に、それを支援するものである。 2013年5月~2015年9月の期間に、4ヵ国(オーストリア、ドイツ、イタリア、英国)の5つの研究センターで、試験に参加する総合診療医(診療所)の募集が行われた(グループ診療の場合、参加は1人の医師に限定)。 参加医師は、複数の慢性疾患を有し、8剤以上の薬剤(他の医師が処方した薬剤や非処方箋医薬品を含む)を定期的に使用している75歳以上の患者を11人登録するよう求められた。 患者登録とベースラインデータの収集が終了後、参加医師は電子的支援ツールを用いて診療を行う群(介入群)または通常治療を行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、予定外の入院または24ヵ月以内の死亡の複合とした。主な副次アウトカムは、薬剤数の削減であった。ITT解析で差はなし、PP解析では有意差あり 2015年1月~10月の期間に、359の診療所で3,904例が登録された。介入群に181の診療所と1,953例が、対照群には178の診療所と1,951例が割り付けられた。ベースラインの全体の患者の平均年齢は81.5(SD 4.4)歳、女性が2,240例(57.4%)で、平均使用薬剤数は10.5(2.4)剤、平均診断名数は9.5(4.9)件であった。 主要アウトカムは、介入群が871例(44.6%)、対照群は944例(48.4%)で発生した。追跡不能例(介入群126例[6.5%]、対照群111例[5.7%])をアウトカム達成例に含めたintention-to-treat解析では、両群間に有意な差は認められなかった(介入群997/1,953例[51.0%]vs.対照群1,055/1,951例[54.1%]、オッズ比[OR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.73~1.07、p=0.19)。欠測値の多重代入法またはCox回帰による感度分析でも、この知見を支持する結果が得られた(ハザード比[HR]:0.93、95%CI:0.82~1.05、p=0.24)。 一方、受診患者に限定したper-protocol解析では、主要アウトカムは介入群で有意に良好であった(OR:0.82、95%CI:0.68~0.98、p=0.03)。 また、最終受診時の薬剤数は、介入群で有意に少なかった(発生率比:0.95、95%CI:0.94~0.97、p<0.001)。ベースラインからの総薬剤数の変化を用いた感度分析では、これを支持する結果が得られた(平均変化量について介入群:-0.42 vs.対照群0.06、補正平均群間差:-0.45、95%CI:-0.63~-0.26、p<0.001)。 死亡(介入群19.5% vs.対照群18.8%、p=0.96)、予定外の初回入院(48.4% vs.50.7%、p=0.36)、予定外入院の期間(7.89日vs.8.47日、p=0.79)、1回以上の骨折(3.0% vs.2.3%、p=0.17)などには、両群間に有意な差はみられなかった。 著者は、「これは、電子的意思決定支援ツールのより広範な導入、できれば電子カルテ内に統合した形での導入を支持する十分な強度を持つエビデンスと考える」としている。

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高齢1型糖尿病患者における低血糖の抑止とCGM(持続血糖モニター)(解説:吉岡成人氏)-1253

 35年前の本邦における疫学調査では、1型糖尿病の患者は進展した網膜症や末期腎症などの合併症の頻度が高く死亡リスクが高いと報告されている(糖尿病. 1985;28:833-839.)。しかし、近年、インスリン製剤や注入器の進化、さらにはCGMなどの導入により血糖コントロールが改善し、合併症や併発症の早期発見、早期治療が可能となったことも相まって、1型糖尿病のQOLや生命予後が良好なものとなっている。その一方で、罹病期間が長く、高齢となった1型の糖尿病の患者が徐々に増加しており、加齢に伴って引き起こされる無自覚低血糖、認知機能の低下、転倒骨折、不整脈による突然死などが臨床の現場で大きな問題となっている。CGMによって高齢1型糖尿病の低血糖の頻度は減少するか 皮下組織のグルコース濃度を持続的に測定し、リアルタイムでその結果を確認できる機器(isCGM:intermittently scanned continuous glucose monitoring)を用いた場合と、従来の、血糖測定器を用いて1日4回の血糖測定(SMBG)を行う場合で、低血糖の頻度に差があるのか否かを検討した成績が、JAMA誌2020年6月16日号に掲載された。 60歳以上の1型糖尿病203例を対象に、CGM群(103例)とSMBG群(100例)に無作為に1対1の割合で割り付け、無作為化後7週、15週、25週後に来院し、患者自身が測定値を確認できないCGMを1週間装着し、その際のグルコース濃度が70mg/dL未満を示した時間の割合を主要評価項目として、54mg/dL未満、60mg/dL未満の低血糖、高血糖、HbA1c、認知機能などを副次評価項目として検討している。 対象となった患者は、中央値で年齢68歳、罹病期間36年、白人が93%、インスリンポンプを使用している患者が53%、HbA1cは7.5%であった。 グルコース濃度70mg/dL未満の時間(中央値)は、CGM群でベースラインが5.1%(73分/日)、追跡期間では2.7%(39分/日)、SMBG群でベースラインが4.7%(68分/日)、追跡期間では4.9%(70分/日)であり、統計学的に有意な差を認めた(補正後の時間差:-1.9%[-27分/日])。副次評価項目でもCGM群では、54mg/dL未満、60mg/dL未満の低血糖の頻度も減少し、250mg/dLを超えるグルコース濃度の頻度も減少し、HbA1cもCGM群では7.6%から7.2%へと有意な改善を示した。重症低血糖はCGM群1例、SMBG群10例であった。日本における診療の現場で、この研究をどのように捉えるか 今回報告された研究では、罹病期間36年、平均年齢68歳の1型糖尿病が研究の対象となっている。罹病期間が長く、高齢の1型糖尿病ではあるが、約半数はすでにインスリンポンプを使用し、大学院修了者が約30%と高学歴で、年収10万ドルを超える患者も20%以上含まれている。専門的な治療を受けており、社会経済状況が安定した状態にあり、観察前のHbA1cも7.5%ときわめて良好な血糖コントロール状態を維持している。 日本でも、確かに、このような範疇に入る1型糖尿病の患者は一定の割合で存在する。しかし、臨床の現場では、独居や老々介護の中で認知機能が徐々に低下し、低血糖を頻発し、たびたび救急搬送をされることも少なからず経験される。訪問看護師が、週に2~3回患者のもとを訪れ、インスリンの注射手技を確認することしかできない、高齢者施設に入居することを提案しても、そこでは1日2回以下でなければインスリン注射に対応できないといわれ、医療従事者が頭を抱えて憂鬱な思いに駆られることもある。 CGMを利用して低血糖の時間が少なくなることは臨床的に有用なことではあるが、日本において高齢の1型糖尿病が今後ますます増加していくことを考えると、医療のシステム、社会全体のケアのシステムが少しでも改善することこそが、CGMやSMBGよりも大切なのではなかろうかと思われる。

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カリウムイオンを補足する非ポリマー型高K血症治療薬「ロケルマ懸濁用散分包5g/10g」【下平博士のDIノート】第53回

カリウムを便中に出す非ポリマーの高カリウム血症治療薬「ロケルマ懸濁用散分包5g/10g」今回は、高カリウム血症改善薬「ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(商品名:ロケルマ懸濁用散分包5g/10g、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。本剤は、体内に吸収されない非ポリマーの無機陽イオン交換化合物で、消化管内のカリウムイオンを選択的に捕捉して便中に排泄させることにより、血清カリウム値を低下させます。<効能・効果>本剤は高カリウム血症の適応で、2020年3月25日に承認され、2020年5月20日より発売されています。なお、本剤は効果発現が緩徐であるため、緊急の治療を要する高カリウム血症には使用できません。<用法・用量>通常、成人には開始用量として1回10gを水で懸濁して1日3回、2日間(血清カリウム値や患者の状態に応じて最長3日間まで)経口投与します。以後の維持量は1日1回5gですが、血清カリウム値や患者の状態に応じて1日1回15gを超えない範囲で適宜増減できます。なお、増量を行う場合は5gずつとし、1週間以上の間隔を空けます。血液透析施行中の場合は、初回から1回5gを水で懸濁して、非透析日に1日1回経口投与します。なお、最大透析間隔後の透析前の血清カリウム値や患者の状態に応じて、1日1回15gを超えない範囲で適宜増減します。<安全性>本剤承認の根拠となった主要な第III相試験(非透析患者を対象としたHARMONIZE Global試験、J-LTS試験および慢性血液透析患者を対象としたDIALIZE試験)において確認された主な副作用は、浮腫、体液貯留、全身性浮腫、末梢性浮腫、末梢腫脹、便秘(いずれも10%未満)などでした(承認時)。なお、重大な副作用として、低カリウム血症(11.5%)、うっ血性心不全(0.5%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.このお薬は、消化管内で吸収される前のカリウムを吸着し、便とともに排泄することで、血液中のカリウム値を低下させます。2.分包された薬剤を容器にすべて出してから、約45mL(大さじ3杯)の水と合わせて服用します。この薬は水に溶けないため、よくかき混ぜて、沈殿する前に飲んでください。飲んだ後に容器に薬が残っていたら、水を追加して再度かき混ぜてすべて服用してください。3.飲み忘れた場合は、1回飛ばして、次に飲む時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲まないでください。4.いつもと違う手足のだるさ、力が抜ける感じ、筋肉のこわばり、呼吸のしにくさ、めまい、動悸などがある場合は、薬が効き過ぎている可能性があるため、すぐにご連絡ください。<Shimo's eyes>通常、カリウムは腎臓から排泄されて血中のカリウム値は一定の範囲に保たれますが、慢性腎臓病患者や透析患者では、腎機能の低下によりカリウム排泄が低下するため、高カリウム血症を発症しやすくなります。高カリウム血症に用いる既存のカリウム吸着薬としては、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム製剤(商品名:ケイキサレート)およびポリスチレンスルホン酸カルシウム製剤(同:カリメート、アーガメイトゼリーなど)があり、いずれもポリマーで構成された陽イオン交換樹脂製剤です。既存薬には独特の味と舌触りがあり、投与量が多いことも相まって、患者さんが継続服用するのが困難な場合があります。飲みにくさを改善するために、ゼリー製剤やフレーバーが開発されているだけでなく、複数の医療機関から飲みやすさの工夫に関する研究結果も報告されています。また、ポリマー性吸着薬は水分によって膨張するため、便秘や腹痛、腹部膨満感などの懸念があります。本剤は国内初となる非ポリマー無機陽イオン交換化合物で、消化管内のカリウムイオンを選択的に捕捉して便中に排泄させます。無味無臭の白色粉末で、開始時は10gを1日3回経口投与であるものの、3日目からは通常5gを1日1回となり、服用量・回数共に比較的少ないため、アドヒアランスの向上が期待できます。本剤の相互作用については、胃内pHの上昇によって、アゾール系抗真菌薬、チロシンキナーゼ阻害薬などの溶解性低下が起きることがあるので、注意が必要です。生活指導としては、腎臓への負担を少しでも減らすために、カリウムを多く含む食品の過剰摂取に注意することや、茹でたり水にさらしたりするなどの調理方法の工夫を伝えましょう。参考1)PMDA 添付文書 ロケルマ懸濁用散分包5g/ロケルマ懸濁用散分包10g

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第15回 COVID-19でも顕在化か、ワクチン不信/血液脳関門の定説を覆す結果!?

COVID-19ワクチン接種予定の米国人はわずか2人に1人~ワクチン信用の底上げが必要1月20日に米国で初めて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染(COVID-19)が確認されるやいなや、反ワクチン活動家はすぐに腰を上げ、そんなウイルスは実在せず、ワクチンで稼ぐためのでっちあげだとのツイッターを投稿しはじめました1)。それから半年近くが過ぎ、世界の科学者たちはCOVID-19ワクチン開発に勤しみ、反ワクチン活動家からの大量の誤った情報は増加の一途を辿っています。そういった情報に惑わされることなく、COVID-19ワクチンを受け入れてもらうための土壌作りを今からはじめる必要があると健康情報の専門家は言っています。実際、今のままだと米国でのCOVID-19ワクチンの普及はあまり期待できそうにありません。最近の調査でCOVID-19ワクチンが使えるようになったら接種すると答えたのはわずかに2人に1人(49%)のみでした。5人に1人(20%)は接種しないと答え、約3~4人に1人(31%)は決めかねていると答えました。そのような調査結果を背景にして、アメリカ疾病管理センター(CDC)はワクチンの信用底上げに取り組むことを計画しています。ワクチン不信は米国に限った問題ではなく、世界の健康機関もワクチンに反対する人々を翻意させるためのあの手この手の取り組みをしています。世界保健機関(WHO)もそれを承知であり、2019年にはワクチン拒否を最も心配な10の公衆衛生問題の1つに数えています。ワクチン不信を取り除くためには、反ワクチン活動家も使うツイッター等のソーシャルメディアを駆使したデジタル世界での取り組みも必要でしょうが、電話でのワクチン接種案内等の血の通った地道な働きかけがより有効かもしれないとノースカロライナ大学の行動科学者Noel Brewer氏はScienceに話しています。また、公衆衛生機関はさまざまな人の輪のリーダーと話して意思疎通をはかり、ワクチンを医療機関に来てもらって接種するのではなく職場や店舗に自ら出向いていって接種することも検討すべきだろうとジョンズホプキンス大学の医学人類学者Monica Schoch-Spana氏は言っています。定説に反し、老化するほど血液脳関門はタンパク質を通し難くなる~若い脳ほど取り込みが旺盛血液脳関門(BBB)は老化につれてより通過しやすくなるとこれまで考えられていましたが、どうやらそうとも限らないようで、若い健康なマウスの脳は血液中のタンパク質を思ったより多く受け入れており、老化は脳に入る血漿タンパク質をむしろ減らすと分かりました2,3)。今回の研究では、マウスの生来の血漿中タンパク質一揃いに印を付けてその行き先を追跡しました。その結果、若いマウスの脳にはこれまでの想定以上の量の血漿タンパク質が移行しました。それらのタンパク質は神経回路とおそらく相互作用しており、全身のタンパク質の有り様は行動や情緒などの神経機能を変化させるようです。今回のような生来のタンパク質ではない、作り物の標識分子を用いたかつての実験では、老化につれてBBBは通過しやすくなることが示されていましたが、生来のタンパク質の動向を追った今回の研究では逆に老化マウスの脳は血漿タンパク質を受け入れ難くなっていました。老化した脳にタンパク質が入り難いことに寄与するBBB経細胞輸送の変化も、今回の研究では把握されています。血液中のタンパク質がBBBの内皮細胞を横断して脳に入る経路は、目当てのタンパク質を取り込む受容体が携わる経細胞輸送が若い頃には優勢ですが、老化すると受容体の媒介がめっきり減って受容体を介さないやみくもな経細胞輸送が優勢になります。ゆえに老化すると脳に入り込むタンパク質はより雑多になり、老化した脳は目当てのタンパク質を若い頃のようにはおそらく受け取れなくなります。過去の作り物の分子を用いた実験ではおそらくやみくもな経細胞輸送のみが測定されていたため、若い脳への血漿タンパク質移行量が過少になっていたようです。若い脳で優勢と今回の研究で判明した受容体媒介経細胞輸送は脳への治療薬投与に利用されています。たとえば米国サンフランシスコ拠点のバイオテック企業Denali Therapeutics社はBBBのトランスフェリン受容体に運ばれて脳に届く薬DNL310を開発しており、ハンター症候群小児対象の第1/2相試験(NCT04251026)が間もなく始まる予定です4)。ALPLというタンパク質を阻害するとトランスフェリン受容体を介した経細胞輸送が向上しうることが今回の研究で判明しており、ALPL阻害剤とDNL310の併用は一層効果的かもしれません。また、ALPLは老齢マウスの脳ほど発現が多く、ALPL阻害は高齢者脳へのトランスフェリン受容体を介した治療薬運搬にとりわけ役立ちそうです。参考1)Just 50% of Americans plan to get a COVID-19 vaccine. Here’s how to win over the rest / Science 2)Unexpected amount of blood-borne protein enters the young brain / Nature3)Andrew C Yang,et al. Nature.2020 Jul 1. [Epub ahead of print]4) Denali Therapeutics Announces Publication of Two New Papers Describing Its Blood-Brain Barrier Delivery Technology in Science Translational Medicine / GlobeNewswire

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「コロナ疲れ」が単なる疲労で済まされない理由

 コロナ禍において、日本でも「コロナ不安」「コロナ疲れ」という言葉がメディアやSNS上で散見される。現在、米国では国民の約半数がこの状況下でメンタルヘルスに支障をきたし、ワシントンポスト紙の調査によれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行拡大によるストレスレベルは2009年のリーマン・ショック時よりも高くなっているー。2020年6月18日、2020年度第1回メディアセミナーがWeb開催され、堀江 重郎氏(順天堂大学大学院医学系研究科泌尿器外科学教授/日本抗加齢医学会 理事長)が「Stay Homeのアンチエイジング」と題し、コロナ疲れがDNAレベルにもたらす影響やその対策法を語った(主催:日本抗加齢医学会)。コロナ疲れの回避策として心のアンチエイジング 「コロナ疲れ」とは、COVID-19というストレッサー(脅威)に対して心理的な闘争・逃走反応が続くことで、次第にネガティブ感情が増幅して生じる状態である。堀江氏はコロナ疲れの原因の1つに在宅勤務(テレワーク)を挙げ、「『3密』(密閉、密集、密接)を回避した新しい生活様式を遂行するうえで推奨されているが、テレワークの増加に伴い、プライベートと仕事の空間が混在し、長時間労働になることでワーク・ライフ・バランスに悪影響を及ぼすことが研究報告されている1)」と問題点を指摘した。この研究結果によると、ワーク・ライフ・バランスが崩壊することで、燃え尽き症候群になりやすく、仕事や人生への満足感が減ることが明らかになっていることから、コロナ疲れの回避策として「心のアンチエイジングが重要」と同氏は述べた。 一般的なアンチエイジング対策には、加齢に伴い増加する酸化ストレスをいかに抑制させるかが鍵となるが、心のアンチエイジングを保つための有用な方法として、同氏はセルフ・コンパッションを推奨。セルフ・コンパッションとは、「あらゆる人の幸せを願う」「あらゆる人の苦しみがなくなることを願う」「あらゆる人の幸せを喜ぶ」「偏りのない平静で落ち着いた心」という、ダライ・ラマ14世の教えである。これにより、他人のために何かをしようとする前に自分自身を労ろうという考え(自分への優しさ、共通の人間性の認識、マインドフルネス)を意識することで、幸福感や打たれ強さ、つながり感が増幅し、ストレス・うつ・不安になりにくい体質が形成されることが明らかになってきている。セルフ・コンパッションの効用をまとめると、1)幸福感を高める、2)ストレスを減少させる、3)レジリエンス(回復力、弾性)が高い、4)自己改善のモチベーションが高く自分らしい人生を送れる、などがある。近年、セルフ・コンパッションの概念を持つ人はテロメアが長いことも報告されており、抗加齢医学の研究でも重要な役割を果たすとされている。「コロナ疲れ」だけで済ませてはいけない理由 遺伝子の老化度を示すテロメアの長さはセルフ・コンパッションにより保たれる。その一方、コロナ疲れのような心理的ストレスの影響を大きく受けている人ほどテロメアは短縮し、動脈硬化や心臓病の発症リスクが高くなる。過去に性差を比較した研究2)では、男性のほうが女性よりも早くテロメアが短くなることも報告されている。これらを踏まえ、テレワークをする男性が、寿命延伸やテロメアの長さを死守するため「コロナ疲れ」を単なる「疲れ」で済ますのは、リスクが大きいのかもしれない。 最後に同氏は「テレワークの増加により中年期以降のうつの増加も懸念される。酸化ストレスが免疫を抑制し、心理的ストレスがそれを助長することから、自宅でもハツラツと過ごすために、まずは自分自身をいたわるセルフ・コンパッションを学んでほしい」と締めくくった。

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急性期統合失調症における抗精神病薬の投与量~メタ解析

 急性期統合失調症における抗精神病薬の最適な投与量については、あまり知られていない。慶應義塾大学の竹内 啓善氏らは、急性期統合失調症における抗精神病薬の最小有効量(MED)について調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年5月16日号の報告。 これまでのシステマティックレビューより、各抗精神病薬のMEDを特定した。次に、急性期統合失調症における固定用量の抗精神病薬単剤療法を含む二重盲検プラセボ対照ランダム化試験を特定し、同一薬剤でMEDと高用量の比較を行った。研究の選定は、第2世代抗精神病薬とハロペリドールの用量反応性を調査した最近のメタ解析より行った。研究中止、精神病理、錐体外路症状、治療に伴う有害事象に関するデータを抽出した。各抗精神病薬のMED、MEDの2倍量、MEDの3倍量を比較するメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・26研究、5,618例が解析に含まれた。・MEDと高用量(2倍量、3倍量)との有効性の違いにより、研究中止について有意な差が認められた。・精神病理については、高用量はMEDと比較し、陽性症状および総症状の改善効果が優れていた。・副作用については、MEDと比較し2倍量でパーキンソン症状、下痢が多く、3倍量でアカシジア、傾眠、嘔吐が多かった。 著者らは「急性期統合失調症に対する抗精神病薬の使用において、臨床医は、MEDの2倍量または3倍量の投与が可能であるが、副作用については注意深くモニタリングする必要がある」としている。

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腎性貧血患者に新たな治療選択肢を提供/グラクソ・スミスクライン

 6月29日、グラクソ・スミスクライン株式会社は、腎性貧血の経口低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬ダプロデュスタット(商品名:ダーブロック)の製造販売承認を世界に先駆け、日本で最初に取得したと発表した。腎障害で苦しむ患者は約1,100万人 腎臓は、エリスロポエチンなどのホルモンを産生することで赤血球の産生を促進するが、腎障害を有する患者では腎臓が十分な量のエリスロポエチンを産生できなくなることから、腎性貧血がよく起こる。また、腎機能の低下に伴い、腎性貧血の有病率も高くなる。現在は、主に赤血球造血刺激因子(ESA)注射剤による治療が行われている。 現在わが国では慢性腎臓病(CKD)ステージ3~5の患者は1,090万人推定され、このうち約32%に貧血が見られるという。世界中では10人に1人がCKDに罹患しているとされており、2017年には本症が原因で100万人を超える人々が亡くなっている。経口投与で患者のアドヒアランスを向上させ得る 今回製造販売承認されたダプロデュスタット(以下「本剤」という)は、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素の阻害薬で、透析の有無に関わらず、成人の腎性貧血を効能・効果とした治療薬。酸素を検知するプロリン水酸化酵素を阻害することで、低酸素誘導因子を安定化し、高地で身体に生じる生理学的作用と同様に、赤血球産生や鉄代謝に関与するエリスロポエチンやその他の遺伝子の転写を誘導すると考えられている。本剤は、ESA注射剤と異なり、経口投与が可能で、低温保管の必要性がない新しい治療選択肢として開発された。 今回の承認は、主にわが国で実施された第III相試験における有効性および安全性の結果に基づいており、国内で実施された3つの第III相試験の概要は以下の通り。•ESA注射剤で治療中の血液透析患者271例を対象とした52週間のダプロデュスタットとダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)の比較試験•CKDステージ3~5の保存期患者(ESA注射剤による治療の有無は問わない)299例を対象とした52週間のダプロデュスタットとエポエチンベータペゴル(遺伝子組換え)の比較試験。この試験には、腹膜透析患者56例も含まれる(全例がダプロデュスタットを投与)•ESA注射剤で治療されていない血液透析患者28例を対象とした24週間の試験(全例がダプロデュスタットを投与) これらのほか、現在、心血管イベントを評価項目とする2つのアウトカム試験ASCEND-DとASCEND-NDを含むグローバル第III相プログラムが進行中であり、これらの試験結果は世界各国における承認申請に使用される予定。ダーブロックの概要製品名:「ダーブロック錠」(1mg・2mg・4mg・6mg)一般名:ダプロデュスタット効能または効果:腎性貧血用法及び用量:[保存期慢性腎臓病患者]・赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合 通常、成人にはダプロデュスタットとして1回2mgまたは4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。・赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合 通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。[透析患者] 通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。承認取得日:2020年6月29日製造販売:グラクソ・スミスクライン株式会社販売:協和キリン株式会社なお、薬価・発売日は未定。

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早期DKD併発1型糖尿病、尿酸値低下でも腎機能改善せず/NEJM

 1型糖尿病と早期~中等度の糖尿病性腎臓病(DKD)を有する患者において、アロプリノールの3年投与により血清尿酸値を36%低下させても、腎アウトカムに関して臨床的に意味のある利益のエビデンスは得られなかったとの研究結果が、米国・ハーバード大学医学大学院のAlessandro Doria氏らが実施した「PERL試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年6月25日号に掲載された。血清尿酸の高値は、DKDリスクを増加させることが示唆されている。1型糖尿病と早期~中等度のDKDを併発する患者では、血清尿酸値をアロプリノールで低下させると、糸球体濾過量(GFR)の低下が緩徐化される可能性があるという。3ヵ国16施設が参加した無作為化試験 本研究は、3ヵ国(米国、カナダ、デンマーク)の16施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、アロプリノールで血清尿酸値を低下させることで、早期DKDを併発する1型糖尿病患者の腎機能低下を遅延できるかを検証する目的で行われた(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所[NIDDK]などの助成による)。 対象は、1型糖尿病で、推算GFRが40.0~99.9mL/分/1.73m2体表面積であり、DKDの定義(アルブミン尿[尿中アルブミン排泄率:20~3,333μg/分]または過去3~5年間にGFRが年間3mL/分/1.73m2以上低下の所見または既往歴を有する)を満たし、血清尿酸値が4.5mg/dL以上の患者であった。 被験者は、9週間の導入期間ののち、アロプリノールまたはプラセボの経口投与を受ける群に無作為に割り付けられた。アロプリノールは、100mg/日を4週間投与された時点で、推算GFRが≧50mL/分/1.73m2の患者は400mg/日に調整され、25~49mL/分/1.73m2の患者は300mg/日、15~24mL/分/1.73m2の患者は200mg/日を投与された。 主要アウトカムは、3年の介入期間と2ヵ月の休薬期間の終了後におけるベースライン値で補正したGFRとした。GFRはイオヘキソールで測定した。副次アウトカムには、イオヘキソールに基づくGFRの年間低下率や休薬期間後の尿中アルブミン排泄率などが含まれ、安全性の評価も行われた。休薬期間後のGFRは同じ、重篤な有害事象にも差はない 530例(平均年齢51.1±10.9、男性66.2%)が登録され、アロプリノール群に267例、プラセボ群には263例が割り付けられた。 ベースラインの全体の平均糖尿病罹病期間は34.6±12.3年、イオヘキソールによる平均GFRは68.0±16.9mL/分/1.73m2、平均推算GFRは74.7±19.1mL/分/1.73m2、平均血清尿酸値は6.1±1.5mg/dL、平均糖化ヘモグロビン値は8.2±1.3%であった。90.0%がレニン-アンジオテンシン系阻害薬による治療を受けていた。 介入期間中に、アロプリノール群の平均血清尿酸値は6.1mg/dLから3.9mg/dLへ低下し(ベースラインから36%の低下)、休薬期間終了後はベースラインとほぼ同じ値(5.9mg/dL)に上昇した。プラセボ群は6.1mg/dLから変化しなかった。 休薬期間終了後のイオヘキソールによる平均GFRは、両群とも61.2mL/分/1.73m2で、群間差は0.001mL/分/1.73m2(95%信頼区間[CI]:-1.9~1.9、p=0.99)であり、両群間に有意な差は認められなかった。 イオヘキソールによるGFRの平均年間低下率は、アロプリノール群が-3.0mL/分/1.73m2、プラセボ群は-2.5mL/分/1.73m2であり(群間差:-0.6mL/分/1.73m2、95%CI:-1.5~0.4)、有意差はなかった。一方、平均尿中アルブミン排泄率は、アロプリノール群がプラセボ群に比べ、休薬期間終了後には40%(95%CI:0~80)、介入期間終了後は30%(0~60)高かった。 重篤な有害事象は354件(アロプリノール群171件、プラセボ群183件)発生した。重篤な有害事象が1件以上発生した患者の割合は両群でほぼ同等で(93/267例[34.8%]、82/263例[31.2%])、これらのイベントが原因で試験薬を中止した患者の割合も同様であった(16例[6.0%]、11例[4.2%])。重篤な有害事象はまれであったが、致死的重篤な有害事象が発生した患者の数はアロプリノール群で多かった(10例、4例)。 著者は、「尿中アルブミン排泄率は、アロプリノール群がプラセボ群よりも不良であることが示唆されたが、アロプリノールの安全性を懸念する前に、他のDKD患者コホートで、この知見を独立的に検証する必要がある」としている。

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第14回 新型コロナウイルス拡大、日本の超過死亡は?

<先週の動き>1.新型コロナウイルス拡大、日本の超過死亡は?2.新型コロナウイルス感染症対策分科会、専門家会議副座長の尾身茂氏が分科会長に3.相次ぐオンライン診療の初診での恒久化を求める声4.医療機関のインターネット広告違反、美容・歯科で数多く5.医師少数区域経験認定医師の広告が許可へ1.新型コロナウイルス拡大、日本の超過死亡は?6月26日、厚生労働省より2020年4月までの人口動態統計が発表された。これによると、今年4月の死亡者数は11万3,362人で前年度4月の11万2,939人と比べると423人・0.4%の増加だった。今年1~4月の累積死亡者数を前年同時期と比較すると、1万444人・2.1%の減少となり、コロナウイルス感染拡大に伴う超過死亡は、欧米と比較してほぼなかったと考えられる。海外、とくに欧米においてはコロナウイルス感染拡大による超過死亡が報告されているが、我が国ではPCRの実施体制の不備が懸念されていたものの、幸いにも超過死亡が記録されることはなく、第1波の感染拡大が収束した。今後、第2波の襲来や冬場のインフルエンザウイルスの流行期での感染拡大が懸念されるだけに早期の感染防御やPCRの検査体制拡充が求められる。(参考)人口動態統計速報Excess Deaths Associated with COVID-19(CDC)2.新型コロナウイルス感染症対策分科会、専門家会議副座長の尾身茂氏が分科会長に政府は、7月3日の新型コロナウイルス感染症対策本部(持ち回り形式で開催)において、「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の廃止を決定し、新たに特別措置法に基づいて「新型コロナウイルス感染症対策分科会」を設置することを正式決定した。この初会合は7月6日に開かれることとなっており、構成員は18人、医師や保健所の代表、全国知事会、メディアの代表などが含まれ、専門家会議で副座長を努めた尾身 茂・地域医療機能推進機構理事長がトップを務める。初回は、東京都を中心とした感染状況や PCR検査の拡充、感染者データの取り扱いなどが取り上げられる予定。(参考)政府のコロナ対策分科会メンバー一覧 経済学者や知事、マスコミも産経新聞3.相次ぐオンライン診療の初診での恒久化を求める声7月2日に開催された第8回規制改革推進会議にて、「規制改革推進に関する答申」が取りまとめられ、デジタル分野の規制改革の提言を提出された。答申案では、新型コロナウイルスの感染拡大の中、新しい生活様式への転換が求められるため、デジタル技術を徹底的に活用できるよう規制改革を行う必要があるとしたうえでデジタル時代の規制・制度のあり方や書面・押印・対面規制の見直しを求めている。医療・介護分野では、初診も含めたオンライン診療の全面解禁やスイッチOTC化の促進に向けた推進体制の充実、介護アウトカムを活用した科学的介護の推進を求めており、今後、議論を重ねていく見込み。また、同日、自民党の行政改革推進本部(塩崎 恭久本部長)が首相官邸を訪れ、菅 義偉官房長官にデジタル分野の規制改革の提言を提出した。デジタル規制改革を求める中で、オンライン診療及び遠隔教育についての効果検証を行い、恒久化していくことが求められる。(参考)第8回規制改革推進会議 規制改革推進に関する答申自民党 行政改革推進本部 デジタル規制改革ワーキンググループ4.医療機関のインターネット広告違反、美容・歯科で数多く7月2日に開かれた「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」において、厚生労働省は医療機関のホームページに起因する美容医療サービスに関する消費者トラブルが発生し続けているのに対して2017年から行っているネットパトロールの結果を報告した。この中で、1万300サイトについて通報受付を受け、1,253施設の974サイトが審査対象となり、919サイトを運営する医療機関に対して、通知を行い、717サイトが改善したことを報告された。さらに、2018年6月の改正医療法施行後の医療法における広告規制の改正施行後の現状を踏まえ、全国一律の基準で運用できるよう監視指導体制の強化が必要としている。(参考)医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会5.医師少数区域経験認定医師の広告が許可へ7月2日に開催された「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」において、医師偏在対策の一環として「医師少数区域等で一定期間勤務した医師」を厚生労働大臣が認定し、認定された医師である旨を広告することを可能とする、医療広告ガイドライン指針の追記について合意した。これは今年の4月1日から施行された改正医療法・医師法に伴う関係政令等の整備の一環で、地域の医師偏在の解消を目指して、医師少数区域(人口10万対医師数に地域住民や医師の年齢構成などを加味した新たな指標を用いて、医師配置が下位3分の1となる地域)等での勤務にインセンティブを付与し、医師偏在の解消を狙うもの。若手医師の場合、4月1日以降に初期臨床研修を開始した医師が対象となり、総合的な診療能力の獲得のために地域医療への参画が求められるなど、即効性は期待できない。一方、医師免許を取得から9年以上経過した医師については、断続する勤務合計が180日に達すれば条件を満たすため、医師偏在解消のきっかけとなることが期待される。(参考)医療法及び医師法の一部を改正する法律の施行について(通知)

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恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード【これで「コロナ離婚」しなくなる!(レクリエーションセラピー)】Part 1

今回のキーワード「ポジティブ合戦」社会的報酬ピグマリオン効果認知(マインドセット)健康(ウェルビーイング)幸福感(主観的ウェルビーイング)マズローの動機(欲求)のピラミッドポジティブ心理学コロナ禍の中、親の在宅勤務や子どもの自宅学習が増え、家族が家にいる時間が増えたことで絆が強まる…と思ったら、実際は、逆でした。その距離感に戸惑い、夫婦げんかや親子げんかが増えています。そして、モラハラやDVが社会問題となり、「コロナ離婚」という言葉が生まれています。このようにならないためには、どうすれば良いでしょうか?その答えが、今回紹介するカードゲーム「恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード」です。今回は、いつもとは違い、シネマセラピーのスピンオフバージョン「レクリエーションセラピー」をお送りします。このゲームは、一言で言うと、ファミリーやカップル向けの「ポジティブ合戦」です。それでは、なぜポジティブなセリフを言い合うとポジティブになるのでしょうか? なぜポジティブになると幸せになるのでしょうか? そもそもなぜ私たちは幸せになりたいのでしょうか? これらの答えを、このゲームに触れながら、進化心理学的に解き明かします。ネガティブになりがちな今だからこそ、ポジティブになることについて考え、「コロナ離婚」しない、幸せな夫婦のあり方、家族のあり方を一緒に探っていきましょう。 なんでポジティブなセリフを言い合うとポジティブになるの?このゲームのアイテムは、ポジティブなセリフが書かれた48枚のカードと30枚のチップを使います。ルールは、プレイ人数2~4人で、毎朝1~5枚ずつカードを引いて、そのカードに書かれたセリフを1日の間で「対戦相手」にどれだけ言えるかを1週間単位で競います。また、自分が引いたカードを「対戦相手」にアピールしてそのセリフを言ってもらうと、お互いにポイントになります。毎日の夕食の時など一緒にいる時に「対戦結果」を集計し、ポイントのチップをゲットして、勝敗を決めます。このゲームをし続けるうちに、プレイヤーはだんだんとポジティブになっていきます。ここから、この心理メカニズムを3つに分けて、ご説明しましょう。(1)言われると心地良く感じるたとえば、「素敵だね」というカードがあります。こう相手から言われると、どうなるでしょうか?1つ目は、私たちが美味しいものを食べた時と同じように、ポジティブなことを言われると心地良く感じるからです。これを心理学では、社会的報酬と言います。さらに、相手からポジティブに見られると、自分も相手をポジティブに見るようになります。これを心理学では、魅力の返報性(互恵性)と言います。(2)言われるとその良さを再認識するたとえば、「思いやりがあるね」というカードがあります。こう相手から言われると、どうでしょうか?2つ目は、ポジティブなことを言われるとその良さを再認識するからです。これを心理学では、リソースの発見と言います。これは、自尊心や自信を高めることにつながり、ポジティブになります。また、期待されるという暗示的な効果によって、その良さを生かすことに意識が向いて、実際にそのようになっていきます。これを心理学では、ピグマリオン効果と言います。なお、ピグマリオンとは、ギリシア神話に登場する彫刻家です。彼に恋をした石像が、その彼の期待に応えようと本物の人間の女性になったというストーリーにちなんでいます。日本のことわざの「ひょうたんから駒」や「嘘から出た真」にも通じます。(3)言い続けると癖になるたとえば、「一緒にいられて嬉しいな」というカードがあります。こう自分が言おうとすると、どうなるでしょうか?3つ目は、ポジティブなことを言い続けると癖になるからです。これは、カードのセリフを言うタイミングを見極めようと、そのセリフが頭の中を占めるようになることです。そして、相手の良さを探し出す発想が自分自身にも向き、自分も自分の良さに気付き、ポジティブ思考の「癖」が身に付きます。この考え方の「癖」を心理学では、認知(マインドセット)と言います。ある心理学者(ジェームズ・ランゲ)が、「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しい」という名言を残しています。言い換えれば、「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しい」です。これは、「笑う門には福来たる」という日本のことわざにも通じます。つまり、私たちは行動を変えることで、思考パターン(認知)を変えるができます。この思考パターンは、まさにスポーツや楽器演奏と同じく、練習すればするほどうまくなります。これは、心理カウンセリングでよく行われる認知行動療法です。認知とは、心のあり方そのものです。もっと言えば、どういう生き方をしたいのか、生き方そのものとも言えるでしょう。 なんでポジティブになると幸せになるの?幸せとは、健康(ウェルビーイング)と言い換えられます。ここから、ポジティブになると得られる健康を3つに分けて、紹介しましょう。(1)精神的な健康たとえば、「いつもそばにいるよ」というカードは、「自分は大丈夫」という自尊心(自尊感情)を高めます。「センスがいいね」というカードは、「自分はできる」という自信(自己効力感)を高めます。そして、「ワクワクするね」というカードは、「自分はこうしたい」という積極性(内発的動機付け)や目標意識(自己実現)を高めます。これの心理によって、たとえストレスにさらされても、解決しようと働きかけるようになります(ストレスコーピング)。これは、裏を返せば、心が折れにくくなります(レジリエンス)。1つ目は、うつ病などの精神障害を発症しにくくなる、つまり精神的な健康です。なお、レジリエンスの詳細については、末尾の関連記事1をご参照ください。(2)身体的な健康精神的な健康によって、ストレスを減らすことは、脳血管疾患や心血管疾患のリスクを減らします。また、免疫力を維持して、がんのリスクも減らします。2つ目は、寿命が延びる、つまり身体的な健康です。実際に、「修道女研究」によって、若年期にポジティブであることは長寿の傾向になることが示されています。これは、アメリカのある教会の修道女180人の若年期の日記の中にあるポジティブワードの割合を分析した研究です。結果として、順位付けた4つのグループの間で明らかな生存率の違いが判明しました。なお、修道女である理由は、質素な食事量、適度な運動、喫煙や飲酒などの嗜好品の禁止などが徹底されており、生活習慣が完全にコントロールされているからです。(3)社会的な健康たとえば、「あなたがいてくれて良かった」というカードは、「自分は周りから大切にされている」という自尊心(集団的アイデンティティ)から「周りを大切にしたい」という愛他性(利他性)を高めます。また、「人の心を動かせる人だね」というカードは、「自分たちは社会の役に立てる」という自信(集団的効力感)を高め、「自分たちは世の中の役に立ちたい」という社会貢献(向社会性)につながります。これが制度化されたものが、ソーシャルサポートであり福祉です(コミュニティ・レジリエンス)。3つ目は、ソーシャルサポート(福祉)が充実する、つまり社会的な健康です。実際に、宗教に入信している人は、一般の人よりも寿命が平均7年長いことが分かっています。その理由として、宗教というコミュニティに属することで、精神的な健康だけでなく、助け合いによるソーシャルサポートも得られることが指摘されています。また、対人魅力の研究によると、結婚相手に選ばれるのは、ネガティブな人よりもポジティブな人であることが分かっています。つまり、ポジティブであることは、それだけ社会、そして子孫が繁栄することが示唆されます。次のページへ >>

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恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード【これで「コロナ離婚」しなくなる!(レクリエーションセラピー)】Part 2

なんで幸せになりたいの?-幸福感はなんで「ある」の?そもそもなぜ幸せになりたいのでしょうか? あまりにも当たり前すぎて、考えたことがないかもしれません。幸せになりたいとは、幸福感を追い求めることです。つまり、言い換えれば、幸福感(主観的ウェルビーイング)はなぜ「ある」のでしょうか? その答えは、進化心理学的に言えば、生存、生殖、社会性(包括適応度)を促進し、集団的により多くの遺伝子を残せるからであると言えるでしょう。ここから、幸福感の心理の起源を進化心理学的に5つの段階に分けて探ってみましょう。さらに、それぞれの段階にマズローの欲求5段階説とポジティブ心理学(セリグマンによる)の「幸せのための5つの条件(PERMA)」を重ね合わせてみましょう。(1)快感約10数億年前に太古の原始生物が海で誕生してから、臭いや見た目でエサを見つけたら、ドパミンが活性化することで、より覚醒して近付くように進化しました。これが、報酬の起源です。この報酬によって食欲や性欲などが満たされることで、快感が得られます。また、獲物を追って無我夢中になっている瞬間にも、先行的に快感が得られます(報酬予測)。これは、擬似的な「狩り」「戦い」「冒険」であるスポーツや旅行にも通じます。やっているそれ自体が楽しいのです。1つ目の段階は、快感です。これは、マズローの1段目の「生理的欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、「没頭(Engagement)」に重なります。さらには、「フロー」(チクセントミハイ)という概念にも重なります。なお、快楽の心理の詳細については、末尾の関連記事2をご参照ください。(2)安全感約5億年前に魚類が誕生し、海の中を動き回るようになってから、天敵からいち早く逃げるために、警戒センサー(扁桃体)が進化しました。これが、不安の起源です。この不安の感度が下がる、つまり不安を感じにくくなるのは、脳内のセロトニンの活性が高まっている時です。そして、この不安(危険)が少ないことで、安心・安全が得られます。2つ目の段階は、安全感です。これは、マズローのピラミッドの2段目の「安全欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、はっきり当てはまるものはないです。(3)自尊心約2億年前に哺乳類が誕生してから、子どもはその母親からの乳によって育てられるように進化しました。子どもは、母親から無条件に守られます。この愛情によって、特定の相手とつながりたいという感覚が生まれます。これが、愛着の起源です。この愛着が高まるのは、愛情を注ぐ母親(人類では父親も)と愛情を浴びる子どもの脳内のオキシトシンが連動して活性化する時であることが分かっています。約700万年前に人類が誕生し、約300万年前にアフリカの森からサバンナに出てから、家族を中心とする親族の集団(部族)をつくるようになりました。すると、オキシトシンは、親子の愛着だけでなく部族の絆を強める役割も果たすようになりました。こうして、この愛着や絆によって、大切にされているという自尊心が得られるようになりました。3つ目の段階は、自尊心(自尊感情)です。これは、マズローの3段目の「愛情欲求、所属欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、「関係性(Relation)」に重なります。(4)自信約300万年前に人類が部族で助け合う仲間であると認識したときに、ドパミンが活性化して心地良く感じるようにも進化しました。これが、社会的報酬の起源です。「好きだから助け合える」とよく言われます。しかし、社会的報酬の心理メカニズムを踏まえると、逆です。むしろ「助け合うと思うから好きになる」のです。これが、先ほどの魅力の返報性(互恵性)の起源です。この社会的報酬によって、仲間から役に立つと認められているという自信が得られます。4つ目の段階は、自信(自己効力感)です。これは、マズローの4段目の「承認欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、「達成(Achievement)」に重なります。(5)自己実現約20万年前に現生人類(ホモ・サピエンス)が誕生し、複雑な発声ができるように喉(のど)の構造が進化しました。約10万年前から、言葉を使って、ものごとや出来事を関連付けたり、意味付けるようになりました。これが、概念化の起源です。この概念化によって、世界中の人たちや未来の子孫たちの幸せにも思いをめぐらすようになりました。すると、自尊心や自信を育む愛情や承認は、もはや受け取るものではなく、与えるものになります。そして、そこに幸福感を見いだすことができます。たとえば、それは、子育てや後進の育成、社会貢献をすることへの喜びです。これは、先ほど紹介した社会的な健康につながります。こうして、自分は最終的にどうなりたいのかという自分が生きる意味や生きた証を考えるようになりました。5つ目の段階は、自己実現です。これは、マズローの5段目の「自己実現欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、「人生の意味(Meaning)」に重なります。さらには、「実存」という哲学用語にも重なるでしょう。 このカードゲームの使い道は?今回、カードゲームを通して、幸福感の起源まで迫りました。このカードゲームは、幸福感の大きな要素となる自尊心、自信、自己実現の心理を高めるセリフが盛り込まれています。このゲームは、ファミリーやカップルで楽しむだけでなく、夫婦カウンセリングやスクールカウンセリングでの「家族のルールづくり」(行動療法)のアイテムの1つとしても使うことができます。また、メンタルヘルス分野のデイケアのレクリエーションセラピーの1つとして使うこともできます。さらには、学校教育の分野や子育ての分野でも教材としても広く役立てることもできるでしょう。 ■関連記事ショーシャンクの空に【心の抵抗力(レジリエンス)】[改訂版]「カイジ」と「アカギ」(後編)【ギャンブル依存症とギャンブル脳】1)実践 ポジティブ心理学:前野隆司、PHP新書、20172)ポジティブなこころの科学:堀毛一也、サイエンス社、2019 << 前のページへ

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事例005 特定疾患療養管理料の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説今回は、定期的にフォローしている患者の「特定疾患療養管理料」(以下「同管理料」)が査定された事例をお届けします。査定連絡票には、事由Dとして、「退院後1月以内は算定できません」とコメントがありました。点数表の同管理料の項を確認してみると、「初診の日又は当該保険医療機関から退院した日からそれぞれ起算して1ヵ月を経過した日以降に月2回算定できる」とあります。さらに調べてみると、患者は当院の他診療科に3月30日・31日と2日間だけ入院されていました。4月30日を除き、同管理料は算定できません。会計担当者はこのことを知っていましたが、処方(箋)料に特定疾患処方管理加算が算定されていることから、同管理料のもれを疑い外来カルテのみを参照、算定要件を満たしていると判断して修正入力したものでした。処方(箋)料の特定疾患処方管理加算は、同管理料の算定要件とは異なり、退院後1ヵ月以内でも算定できます。日常的に対として算定できる項目でも、算定要件の違いを理解して確認する必要があります。今回は、当該保険医療機関(自院)を退院した患者に対する事例であり、他院を退院した患者の場合は、退院日から1ヵ月以内でも算定できることを申し添えます。

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開発中の遅発型ポンペ病治療薬の有効性/サノフィ

 サノフィ株式会社は、6月16日、酵素補充療法剤として現在開発中のavalglucosidase alfa(以下「本剤」という)が、遅発型ポンペ病の患者の臨床症状(呼吸障害と運動性の低下)に対し臨床上意義ある改善をもたらしたと報告した。世界には推定5万人の患者がいるポンペ病 ポンペ病は、ライソゾーム酵素の1つである酸性α-グリコシダーゼ(GAA)の遺伝子欠損または活性低下が原因で生じる疾患。グリコーゲンが近位筋肉や横隔膜をはじめとする筋肉内に蓄積し、進行性の不可逆的な筋疾患が生じる。世界の患者数は約5万人と推定され、乳児期から成人後期のいずれの時期にも発症する可能性がある。 本症は、遅発型と乳児型に分類され、遅発型では1歳以降から成人後期までのいずれかの時期に発症する。遅発型の特徴的な症状は、呼吸機能の低下と筋力低下で、多くの場合、運動機能の低下に至る。患者は、歩行が困難となり、車椅子での生活を余儀なくされることが多く、呼吸困難が現れ人工呼吸器が必要となることもあり、主な死因は呼吸不全となっている。乳児型は生後1年以内に発症し、骨格筋の筋力低下に加え、心機能障害がみられる。 COMET試験の概要 今回報告されたCOMET試験は、無作為化二重盲検第III相試験で、20ヵ国56施設において治療経験のない遅発型ポンペ病の小児患者または成人患者100例が対象。患者を無作為化し、本剤群またはアルグルコシダーゼアルファ(標準治療薬)群に割り付け、いずれの群とも49週間にわたり1回20mg/kgの点滴静脈内投与を隔週で受ける。49週間後、非盲検の継続投与を行い、標準治療群については本剤20mg/kgによる治療に切り替える。 主要評価項目は、呼吸筋機能の変化で、立位での予測値に対する比率をパーセントで表した努力性肺活量(%FVC)に基づき評価した。本剤群の患者は、アルファグリコシダーゼの標準治療群の患者に比べ、%FVCが2.4ポイント改善し(95%信頼区間[CI]:-0.13/4.99)、試験計画で規定した非劣性の基準を上回る呼吸機能の改善を示した(p=0.0074)。ただ、主要評価項目の優越性については、本剤群は統計学的に有意な優越性を示すには至らなかった(p=0.0626)ため、試験計画で定めた解析の実施順序に従い、副次評価項目に関する正式な統計学的検討は行わなかった。主な副次評価項目は、6分間歩行試験による運動性の評価、呼吸筋力、運動機能と生活の質(QOL)を評価など。 本剤の安全性プロファイルは標準治療薬と同様で、49週間の二重盲検試験の期間中、本剤群44例、標準治療群45例に有害事象が現れた。重度の有害事象は、本剤群6例、標準治療群7例。重篤な有害事象が現れた患者数は、本剤群(8例、うち1例は投与との因果関係が否定できない重篤な有害事象)の方が標準治療群(12例、うち3例は投与との因果関係が否定できない重篤な有害事象)より少数だった。標準治療群では、4例が有害事象のため投与中止に至り、1例は急性心筋梗塞(投与との因果関係なし)のため死亡した。本剤群での投与中止や死亡はなかった。avalglucosidase alfaの概要 ポンペ病の酵素補充療法の目標は、筋細胞の中にあるライソゾームに酵素を送り届け、欠損しているか機能低下がみられる酸性α-グルコシダーゼに代わって筋肉内のグリコーゲン蓄積を防ぐことにある。本剤は、筋肉内、とくに骨格筋の細胞に酵素を送り届ける機能を高めるよう設計されていて、標準治療で用いられるアルグルコシダーゼアルファに比べ、-マンノース-6-リン酸の含量を約15倍に高めた物質で、酵素の細胞内への取り込みを向上させ、標的組織において高いグリコーゲン除去効果を得る目的で開発された。ただ、この差の臨床的意義は、まだ確認されていない。 同社では、「今回の試験結果により、avalglucosidase alfaをポンペ病の新たな標準治療薬として確立させるという目標に向けた歩みがまた一歩進んだ」と期待をにじませている。 また、今回のデータに基づき、2020年下半期に世界各国で承認申請を行う予定であり、米国食品医薬品局(FDA)は、ポンペ病と確定診断された患者に対する治療薬候補として画期的新薬として、ファストトラック審査の対象に指定している。

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NSCLC術後補助療法、ペメトレキセド+シスプラチンの有効性は?/JCO

 完全切除のStageII~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術後補助療法としてのペメトレキセド+シスプラチンの有効性について、ビノレルビン+シスプラチンと比較した第III相無作為化非盲検試験の結果が示された。静岡がんセンター呼吸器内科の釼持 広知氏らによる報告で、ペメトレキセド+シスプラチンの優越性は示されなかったが、補助化学療法として忍容性は良好であることが示されたという。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年5月14日号の掲載報告。 試験は、日本国内7つの臨床試験グループに属する50施設で行われた。被験者は、病理学的に完全切除が確認されたStageII~IIIA(TNM 7th editionに基づく)の非扁平上皮NSCLC患者で、ペメトレキセド(500mg/m2、day1)+シスプラチン(75mg/m2、day1)またはビノレルビン(25mg/m2、day1およびday8)+シスプラチン(80mg/m2、day1)のいずれかを投与する群に無作為に割り付けた。年齢、性別、病理学的ステージ、EGFR変異、試験地で層別化も行った。 割付治療は、3週間ごと4サイクルで計画。主要評価項目は、修正intent-to-treat集団(非適格患者を除外)において評価した無再発生存(RFS)であった。 主な結果は以下のとおり。・2012年3月~2016年8月に、804例が登録された(ペメトレキセド+シスプラチン群402例、ビノレルビン+シスプラチン群402例)。・適格患者は784例で、410例(52%)がStageIIIAで、192例(24%)がEGFR変異陽性であった。・追跡期間中央値45.2ヵ月時点で、RFS期間中央値はビノレルビン+シスプラチン群37.3ヵ月に対し、ペメトレキセド+シスプラチン群38.9ヵ月であった(ハザード比:0.98、95%信頼区間[CI]:0.81~1.20、片側検定のp=0.474)。・ビノレルビン+シスプラチン群のほうがペメトレキセド+シスプラチン群よりも、Grade3/4毒性(11.6% vs.0.3%)、および貧血(9.3% vs.2.8%)について報告頻度が高かった。・治療に関連した死亡は、各群1例ずつ報告された。

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『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』~気鋭の医師が提唱する未病の新たな概念

 医学書の範疇に収まらないユニークな著書を数多く持つ國松 淳和氏(医療法人社団永生会南多摩病院 総合内科・膠原病内科)の最新作は『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』。6月下旬に行われた出版記念セミナーにおいて、國松氏がコロナ禍の中で本書の執筆に至った経緯や読者に伝えたいポイントについて語った。 本の主題となる「シャムズ(CIAMS: COVID-19/Coronavirus-induced altered mental status)」は國松氏の造語。新型コロナウイルス感染症の流行下にあって、コロナに感染していないのに、不安から実際に体調を崩したり、他者に攻撃的になったりといったマイナスの変化が生じている人が増えたことに気づいた氏が、そうした状況と人を総称するために名付けたという。「よく間違われるのですが、シャムズは医学用語でも病名でもなく、概念に近いもの。『あれ、この人いつもと何か違うな』と周囲の人が気づくものであり、病気ではないので医師が診る必要も医療機関に行く必要もない」と國松氏は解説する。 コロナにまつわる不安が精神的加重となり、心身に変化が起きている状態がシャムズであり、その対応法は「周囲の人が気づき、話しかけること」に集約される、という。普段通りの何気ない会話が不安を取り除き、本来のその人に戻る手助けとなる。「シャムズが疑われる人だけでなく、周囲の人に誰かれ構わず話しかけてみて欲しい。そもそも職場にも家庭にも雑談が足りなさ過ぎる」(國松氏)。さらに、自己のメンテナンスとしてテレビからの過剰な情報を遮断し、ラジオや音楽を聴くことを推奨する。「シャムズは病気ではないものの、放置しておくと精神疾患、とくに重いうつと自殺につながる可能性がある。多くの人にこの概念を知ってもらい、他者への目配りと自分のケアをはじめてもらえたら」と國松氏は語る。 本書は、一般向けに平易にまとめられているが、最前線で新型コロナの対応にあたる医療者も読者として想定されており、診療現場と自らのケアの両面で役立つ内容が含まれている。章末には「医療従事者のみなさんへ」として、シャムズについて医学的な理解を助けるための章も付加されている。『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』(國松 淳和、金原出版、2020年6月)セミナーのご案内 ケアネットでは、7月8日(水)に國松氏と札幌厚生病院病理診断科の市原 真氏の対談をライブストリーミング配信します。◆Dr.國松とDr.ヤンデルの『また来たくなる外来』トーク◆ 配信日:7月8日(水)20~21時 (事前申し込み不要・どなたでも視聴いただけます) ※7月9~15日までCareNeTVにて無料配信予定 詳細はこちら 過去の配信 Dr.國松とDr.ヤンデルの大真面目コロナトーク(会員登録不要・無料公開中)

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トラネキサム酸、消化管出血による死亡を抑制せず/Lancet

 急性期消化管出血の治療において、トラネキサム酸はプラセボに比べ死亡を抑制せず、静脈血栓塞栓症イベント(深部静脈血栓症または肺塞栓症)の発生率が有意に高いことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のIan Roberts氏らが実施した「HALT-IT試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2020年6月20日号に掲載された。トラネキサム酸は、外科手術による出血を低減し、外傷患者の出血による死亡を抑制することが知られている。また、本試験開始前のCochraneの系統的レビューとメタ解析(7試験、1,654例)では、消化管出血による死亡を低下させる可能性が示唆されていた(統合リスク比[RR]:0.61、95%信頼区間[CI]:0.42~0.89、p=0.01)。一方、メタ解析に含まれた試験はいずれも小規模でバイアスのリスクがあるため、大規模臨床試験による確証が求められていた。トラネキサム酸の死亡抑制効果を15ヵ国164施設で評価 本研究は、消化管出血の治療におけるトラネキサム酸の死亡抑制効果を評価する国際的な無作為化プラセボ対照比較試験であり、15ヵ国164施設の参加の下、2013年7月~2019年6月の期間に患者登録が行われた(英国国立衛生研究所医療技術評価[NIHR HTA]プログラムの助成による)。 対象は、参加各国の成人の最小年齢(16歳または18歳)以上の上部または下部消化管出血で、臨床的に重篤な出血がみられる患者であった。重篤な出血は、死亡に至るリスクがある出血と定義され、低血圧、頻脈、ショック徴候のある患者、または輸血や緊急内視鏡検査、手術が必要となる可能性が高い患者が含まれた。 被験者は、トラネキサム酸またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。トラネキサム酸は、負荷投与量1gを10分間かけて緩徐に静脈内投与した後、維持用量3gを125mg/時で24時間かけて投与された。 主要アウトカムは、無作為割り付けから5日以内の出血による死亡とした。割り付けられた治療薬の投与を受けなかった患者、および死亡に関するアウトカムデータが得られなかった患者は、トラネキサム酸の死亡抑制効果の解析から除外された。トラネキサム酸群の静脈血栓塞栓症0.8% vs. プラセボ群0.4% 1万2,009例が登録され、トラネキサム酸群に5,994例(平均年齢58.1[SD 17.0]歳、女性36%)、プラセボ群には6,015例(58.1[SD 17.0]歳、35%)が割り付けられた。1万1,952例(99.5%)が、割り付けられた治療薬の1回以上のトラネキサム酸またはプラセボの投与を受けた。 試験期間中に1,112例が死亡し、無作為割り付けから死亡までの期間中央値は55時間(IQR:18.2~161.8)だった。 5日以内に出血によって死亡した患者は、トラネキサム酸群が5,956例中222例(3.7%)、プラセボ群は5,981例中226例(3.8%)であり(RR:0.99、95%CI:0.82~1.18)、両群間に有意な差は認められなかった。ベースラインの共変量を補正した場合(0.98、0.82~1.17)およびper-protocol解析(0.94、0.71~1.23)でも、結果はほぼ同様であった。 24時間以内の出血による死亡(トラネキサム酸群2.1% vs.プラセボ群2.0%、RR:1.04、95%CI:0.81~1.33)および28日以内の出血による死亡(4.2% vs.4.4%、0.97、0.82~1.15)にも、両群間に有意な差はみられなかった。 28日以内の全死因死亡率(9.5% vs.9.2%、RR:1.03、95%CI:0.92~1.16)に有意な差はなく、再出血率(24時間、5日、28日)も両群間でほぼ同等であった。また、手術、放射線治療、血液製剤の輸注を受けた患者の割合にも有意な差はなかった。 合併症については、動脈血栓塞栓イベント(心筋梗塞、脳卒中)の発生率は両群でほぼ同等であった(0.7% vs.0.8%、RR:0.92、95%CI:0.60~1.39)。一方、静脈血栓塞栓症イベントの発生率は、トラネキサム酸群で有意に高かった(0.8% vs.0.4%、1.85、1.15~2.98)。 著者は、「最新のCochraneレビュー(8試験、1,701例)では、トラネキサム酸の消化管出血による死亡の抑制効果が示されている(RR:0.60、95%CI:0.42~0.87)。今回の知見により、小規模試験のメタ解析は、信頼性が低いことが浮き彫りとなった」と指摘し、「静脈血栓塞栓症のリスク増大が明確となったことから、トラネキサム酸は無作為化試験以外では消化管出血の治療に使用すべきではない」としている。

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デキサメタゾンは小児心臓手術時の重度合併症を抑制せず/JAMA

 人工心肺装置(CPB)を使用する心臓手術を受けた生後12ヵ月以下の乳児において、術中のデキサメタゾン投与はプラセボと比較して、30日以内の重度合併症や死亡のリスクを低減しないことが、ロシア・E. N. Meshalkin国立医療研究センターのVladimir Lomivorotov氏らが実施した「DECISION試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年6月23日号に掲載された。米国のデータでは、1998年以降、CPBを伴う心臓手術を受けた先天性心疾患小児の死亡率は約3%まで低下しているが、重度合併症の発生率は30~40%と、高率のままとされる。CPBによって引き起こされる全身性の炎症反応が臓器機能を低下させ、長期の集中治療室(ICU)入室や、入院の長期化をもたらすことが知られている。この全身性炎症反応や合併症の低減を目的に、コルチコステロイドが広く用いられているが、その臨床的有効性は確実ではないという。デキサメタゾンまたはプラセボに小児患者を1対1で割り付け 本研究は、小児の心臓手術における、術中デキサメタゾン投与による重度合併症や死亡の抑制効果を評価する医師主導の二重盲検無作為化試験であり、3ヵ国(中国、ブラジル、ロシア)の4施設の参加の下、2015年12月~2018年10月の期間に患者登録が行われた(各参加施設の研究助成のみで実施)。 対象は、生後12ヵ月以下で、CPBを伴う待機的心臓手術が予定されている患児であった。これらの患児は、麻酔導入後にデキサメタゾン(1mg/kg)またはプラセボ(0.9%塩化ナトリウム水溶液)の静脈内投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、術後30日以内の死亡、非致死的心筋梗塞、体外式膜型人工肺の必要性、心肺蘇生法の必要性、急性腎障害、長期の機械的換気、神経学的合併症の複合とした。副次エンドポイントは、主要エンドポイントの個々の構成要素のほか、機械的換気の期間、変力指標、ICU入室期間、ICU再入室、入院期間など17項目であった。デキサメタゾンとプラセボは副次エンドポイントのすべてで有意差なし 小児患者394例(月齢中央値6ヵ月、男児47.2%)が登録され、全例が試験を完遂した。デキサメタゾン群に194例、プラセボ群には200例が割り付けられた。CPB時間中央値は、デキサメタゾン群が50分、プラセボ群は46分だった。 主要複合エンドポイントの発生は、デキサメタゾン群が74例(38.1%)、プラセボ群は91例(45.5%)であり、両群間に有意な差は認められなかった(絶対リスク減少:7.4%、95%信頼区間[CI]:-0.8~15.3、ハザード比[HR]:0.82、95%CI:0.60~1.10、p=0.20)。事前に規定されたすべてのサブグループで、両群間に治療効果の差はみられなかった。 主要エンドポイントの個々の構成要素を含む副次エンドポイントのすべてで、両群間に有意差はなかった。デキサメタゾン群で2例(1.0%)、プラセボ群で4例(2.0%)の小児患者が死亡した。急性腎障害はそれぞれ10例(5.1%)および14例(7.0%)で発生し、長時間の換気(24時間以上)は70例(36.1%)および84例(42.0%)で認められ、神経学的イベントは6例(3.1%)および13例(6.5%)で発現した。 感染症は、デキサメタゾン群が4例(2.0%)、プラセボ群は3例(1.5%)で発生した。デキサメタゾン群の3例で肺炎、1例で縦隔炎がみられ、プラセボ群の2例で肺炎(1例は創感染を伴う)、1例で深部胸骨感染が発生した。敗血症は認めなかった。 著者は、「本試験は、治療効果を過大評価している可能性があり、主要エンドポイントの群間差の95%CIの範囲内に、臨床的に意義のある最小変化量(15%)が含まれていることから、検出力が十分でない可能性がある」としている。

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