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新型コロナワクチンAZD1222、日本での第I/II相臨床試験を開始/アストラゼネカ

 9月4日、アストラゼネカは、新型コロナウイルスワクチンAZD1222の日本国内における第I/II相臨床試験を開始したことを発表した。国内の複数の施設で18歳以上の被験者約250名を対象に実施し、日本人に接種した際の安全性と有効性を評価していく。 AZD1222は、アストラゼネカと英オックスフォード大学と共に開発を進めており、世界各国で治験を行っている。現在、南アフリカで第I/II相試験、英国で第II/III相試験、ブラジル・米国で第III相試験を実施している。

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Digital Medicineの世紀:Apple Watchによる心房細動の検出(解説:香坂俊氏)-1279

自分は腕時計をしない。手洗いのときに邪魔だからとか、腕が片方だけ重いからとか、病院からプレゼントされるガラケーで時間を見られるからとかいろいろと理由はあるのだが、実は必ずどこかに忘れてきてしまうから、というのがその最大の理由である(ガラケーやスマホもよく忘れるが、こちらはなんとか追跡できる)。しかし、そんな自分でも最近のスマートウォッチの動向には興味を持っている。たとえばApple Watchには、Steve Jobsの意向を受けて脈拍計や心電計が装備されており、これが循環器領域でどのように活用されていくのか非常に興味を引くところである。とくに、こうしたデジタルヘルスケアデータは随時更新され続けるため、1回で終わってしまう外来での検査や診察室でのバイタルチェックと異なり、蓄積されるデータ量が根本的に異なる。こうしたことを踏まえ、最近米国で、Apple Watchの検出する不規則脈波と心房細動の一致を検討した大規模臨床研究Apple Heart Studyが行われた(スマートウォッチ活用、心房細動の陽性適中率は84%/NEJM)。この研究では、Apple Watchが心臓のリズムに異常を検出すると通知が表示され、動画での相談の後、携帯型心電図パッチによる継続検査を受けるというプロトコールで運用がなされた。実に40万人以上がこの研究に登録を行い、このうち心臓のリズム異常の通知を受信したのは参加者の0.5%であった(Apple Watchを利用するユーザーは比較的健康だった?)。しかし、特筆すべきはその精度であり、アプリから通知を受けたユーザーの34%が実際に心房細動であると診断された。この数値が高いか低いかというところは議論が残るところかと思われるが、自分は一度も医療機関を受診せずにこれだけの新規心房細動を検出できるというのは特筆すべきことであるように思う(Apple Heart Studyはアプリ上で同意を取得し、そのまま研究に参加となり、心臓のリズムに異常が検出されたときのみ正規の心電図検査をうけるため医療機関の受診を促される)。さらに言うならば、この電子的な介入での有害事象は0であった。今後こうしたデジタルデバイスは、個々の行動データ(歩行パターンや睡眠サイクルなど)とも連動し、医療の現場においてもさまざまな役割を果たしていくものと思われる。スマートウォッチには心拍変動も保存されており、1拍ごとの脈拍を十分な時間分解能で記録し続けられれば、自律神経の評価なども可能になるであろう。本研究はそのはしりとなるものと考えられる。

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第22回 急転直下の安倍首相辞任-振り返れば“異変”はアノ時からだった

先週の本コラムで、私の脳内で展開する『世界びっくり人間コンテスト』の対象者の一人として取り上げた安倍首相が、コラム公開前日の8月27日夕刻から始まった記者会見で突如辞任を表明した。会見では持病の潰瘍性大腸炎の悪化がその理由だと説明された。私も一応職歴26年のニュース屋の端くれであり、この会見が決まった後に首相が何を話すつもりなのか、ちょこちょこ探りは入れていた。しかし、この日の午前中まで“辞任”の“じ”の字すら聞こえてこない状況。そこから急転直下の「辞任表明の見込み」の一報が流れ、まさに青天の霹靂だった。そしてこうしたニュースというのは、発表後に「実はあの時は…」と振り返ることができる事象があることも少なくない。「異変」は7月中旬から始まった既に約1年半にわたって原則毎日運動する習慣を取り入れていた私は、午後5時から始まった安倍首相の会見を所属しているスポーツジムのトレッドミル(いわゆるランニングマシン)に一体化されたテレビのディスプレイにイヤホンを差し込み、走りながら聞いていた。午後5時の会見開始2分前からトレッドミルで走り出し、9分くらいになる時だった。安倍首相が自身の健康問題に触れ始めた。その中で安倍首相が言った次の言葉に私はハッとした。「先月中頃から体調に異変が生じ、体力をかなり消耗する状況となりました」ここでいう先月中旬とは7月中旬である。この頃、今考えれば不思議なことが起きていた。というのもこの時期に旧知の大手新聞社の記者2人(それぞれ別々の会社)から「親族がかかったので潰瘍性大腸炎について教えて欲しい」と連絡があったのだ。当時は何も思わずに基礎的なことを話した。一般人は“難病”という言葉で“数の少ない病気”と先入観を持ってしまうようだが、国内の潰瘍性大腸炎患者は20万人超で、俗に3大がんといわれる胃がん、大腸がん、肺がんのそれぞれの年間新規診断者数よりも多い一般的な病気である。実際、私の周辺には、仕事に関係なく出会った6人と関連して出会った4人の合計10人の潰瘍性大腸炎患者がいる。ちなみに私が医療を取材するようになってから、この病気に関わった機会は結構多い。最初は1997年。ちょうど5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤の中で、初めて大腸のみで成分が放出されるよう設計されたメサラジン(商品名:ペンタサ)の発売から約1年が経過し、その臨床での評価を取材して回ったのである。その後も折に触れてこの病気を取材する機会は少なくなかった。そんなこんなで新聞記者からの問い合わせにも5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制薬、免疫調節薬、生物学的製剤の特徴や日常生活での注意点などはとくに何も見なくとも一通り話すことはできた。突飛すぎる週刊誌記者からの依頼ところがそれから10日以上経った7月下旬、私の携帯電話にやはり旧知の週刊誌記者から着信があった。あいにく私は電話を受けることができなかったが、当人からすぐに「メールをお送りします」とのSMSが届いた。たまたま、メールは確認できる状態だったため、メーラーを立ち上げておいたところ、それから約15分後に次のようなメールが届いた。「首相が持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、9月にも退陣するという情報があるのですが、これに関連して、専門医に安倍首相の顔色や表情、皮膚の状態などから、病状を判断してもらおうかと考えています。そこでお願いですが、こうしたリクエストに応じてくれる医師をご存じないでしょうか。こちらも何人か当たっているのですが、なかなか応じてもらえません。心当たりがあれば、教えていただけませんでしょうか」旧知の記者なのに申し訳ないが、無茶苦茶な依頼である。そもそも潰瘍性大腸炎の診療経験値が極めて高い専門医でも、ぱっと見で重症度・病状が判断できるわけはない。私は次のように返信メールを書いた。「潰瘍性大腸炎は下痢や血便の頻度、血液検査、大腸内視鏡で病状を判断するものなので、ぱっと見で病状診断は無理です。見た目でこの病気の病状を診断するというのは、およそ星占いの1000倍以上当てにならない話です」また、潰瘍性大腸炎の専門医は国内に数百人程度で、大御所を中心にヒエラルキーが確立しているのは医療関係者なら周知のこと。その環境下でこの記者が要望するような非科学的コメントをする医師がいれば袋叩きにあってしまう。その旨も返信メールに記述し、協力は難しいと伝えた。そしてこの瞬間、私の記憶に蘇ってきたのは7月中旬の新聞記者からの問い合わせだ。一瞬、「もしかしてこのこと?」とは思ったものの、週刊誌記者からの依頼があまりにも突拍子もないものだったことの反動もあって、この時点では首相の体調悪化→辞任というシナリオもないだろうとの判断に傾いた。もっとも、やはり記者は自分が思うことでも一度は疑ってかかるもの。念のため、ある雑誌で長年政治取材をしている記者に8月上旬に連絡を取った。ちなみにこの頃、一部の週刊誌の誌面では「首相が官邸で吐血した」との情報が躍っていた。私が聞いた記者は次のように答えた。「あの吐血情報はどう考えても官邸から出てるんですよね。でももし事実ならば、絶対かん口令が敷かれるはずなんですが…」その後、2度にわたり安倍首相が慶應義塾大学病院を受診したことは報道されている通りである。まさかまさかの辞任表明そしてあの首相の辞任表明会見の前夜から、念のため何人かの記者や関係者に話を振ってみた。要は「辞任があるやなしや」という点である。皆一様に辞任を否定した。「いやいや、前回の政権投げ出し批判があるから、本人も周囲もことさら体調理由の辞任になることは絶対避けたいシナリオ。ここではないですよ」「結局、メディアがことさら騒いでいるだけで、会見も言ってしまえば『大山鳴動して鼠一匹』になりますよ」まあ、これで今回は何もないかと思った。28日午前にもある政治担当記者とやり取りすると、夕方の会見でも述べられた「指定感染症見直し」で厚生労働省と官邸側が話をつめているらしいとの情報のみで、やっぱり「今日はまず辞任はないと思います」との返事。実はかくいう私もそれらの情報を受け、原稿のやり取りをしている当コラムの担当編集者へのお昼直前のメールに次のように書いている。「本日の会見、今の時点でさすがに辞任はなさそうです」各種報道によると、安倍首相が辞意を明らかにしたのは、この日の閣議後に麻生副総理と2人で会談した場だったという。首相動静によれば午前11時過ぎ。それから2時間と経たずに空気は一変した。あとは冒頭に触れたとおりである。潰瘍性大腸炎と私の出会いちなみに首相の辞任表明会見後、7月中旬に私に電話をしてきた新聞社の記者に連絡を取ってみた。うち1人は「ノーコメ(ノーコメント)ということで…」とごまかし笑い。もう1人はいまだ電話を受けてくれていない(笑)。ちなみに私が初めてこの病気の患者と出会ったのは大学1年の時で、その患者は同級生である。彼とは実験などで同じ班だったが、時々、実験の最中に忽然と姿を消すことがあった。大学の実験はギリギリの人数でやっているので、そうそう姿を消してもらっては困る。姿を消した彼がひょっこり戻ってくると、同じ班のほかのメンバーが「おい、何してたんだよ」と詰める。彼はいつも苦笑いしながらぽつりと言った。「うん、ウンコ」そこで班内は爆笑になる。いつのまにか彼は陰で「ウンコ○○(○○は彼の名字)」と呼ばれるようになった。そんなある日、学食で私が一人で食事をしているとトレーを持った彼が「おう」と言いながら、向かいに座った。そして自らこう語り出した。「実はさ、しょっちゅうトイレ行くの病気なんだよね。潰瘍性大腸炎っていう」今のように医学の知識のなかった私はこう返した。「それって治るの」彼は私のほうも見ずにうどんをすすりながら言った。「いや、治らない」なんと返していいかわからなかった。彼はうどんを食べ終わると、私の前に大きなオレンジ色の錠剤を出して見せてくれた。「これが薬なんだ」当時は何もわからなかったが、今ならあれが初期の5-ASA製剤サラゾピリンだとわかる。男女問わず、尿や汗をオレンジ色にしてしまい、男性では精液にまで色を付けてしまうあの薬だ。そして今ならわかる。彼が堂々と笑いながら「ウンコ」と口にしたのは彼が身につけた防衛策だろうと。首相辞任会見を難病周知のきっかけに先週の安倍首相の辞任会見以来、この記事を執筆している今現在までに各紙・各週刊誌の記者とやり取りする中で、必ず話題になるのが首相の病気である潰瘍性大腸炎のことだ。そして20万人もの患者がいながら、案外この病気のことは知られていないことに驚く。ちなみにこの間、両手指を超える記者と話して、知り合いにこの病気の患者がいると答えたのは1人のみ。だが、そんなはずはない思う。身の回りで大腸がん、肺がん、胃がんの患者の話を聞いたことがない成人はいないと思う。潰瘍性大腸炎の患者はそうしたがんの患者よりも多いのだ。結局のところ排泄のことも関係するために多くの患者は周囲に言えないだけなのだろうと思う。その意味で私が仕事とは直接関係なく出会った潰瘍性大腸炎の患者の一部からはこういわれたことがある。「医療に詳しいみたいだから言っても問題ないかなと思って」そうした彼らの期待に今の自分が応えられているかと問われれば私も自信はない。だが、日本の国家元首自らのカミングアウトは、アンサングな患者たちのことに今一度思いをはせる良い機会ではないだろうか。もっともこの職業ゆえの余計な一言かもしれないが、安倍首相の政治的成果に対する評価は別途厳格に行わなければならないし、そこでは基本、鞭を打つ姿勢で臨むべきであり、手を緩める必要はまったくないと思っている。

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血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)の標準的治療法を発表:PRIMEUR-IVL trial【Oncologyインタビュー】第20回

希少なリンパ腫の1つである血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)。中枢神経(CNS)浸潤のリスクが高く、予後不良となる例が多く、また、確立した治療法もなかった。このIVLBCLに対する有効な新レジメンが、PRIMEUR-IVL trialの結果としてLancet Oncology誌2020年4月号に掲載された。筆頭著者である名古屋大学医学部附属病院 血液内科の島田和之氏に研究の背景や新レジメンに至る経緯について聞いた。―この試験ではIVLBCLが対象となっていますが、この疾患にはどのような問題があるのでしょうか。IVLBCLはリンパ腫細胞が全身臓器の小血管内に選択的に認められる希な疾患です。悪性リンパ腫の特徴であるリンパ節腫脹が認められず、不明熱、LDHの上昇、血球減少といった症状が多くみられます。そのため、正確な診断がつくまでに時間がかかり、全身状態が悪化してからの治療となり、十分な効果が得られないことがあります。2000年代に入って、従来の骨髄検査に加え、ランダム皮膚生検という新たな検査が加わり、比較的早期に診断できるようになりました。今では前出の症状からIVLBCLを疑っていただけるようになりました。これは、今までこの疾患への診療および研究に従事してこられた先達の先生方の努力の結果だと思います。―IVLBCLには確立した治療がなかったとのことですが。IVLBCLには確立した治療法はなく、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と同様に、CHOP療法が主に使われていました。その後、2000年代、抗CD20抗体医薬であるリツキシマブが登場し、CHOP療法にリツキシマブを加えたR-CHOP療法がDLBCLの治療成績を著しく改善しました。IVLBCLについても、2008年のIVL研究会によるわが国の後方視的研究では、リツキシマブと化学療法との併用により無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が延長していることが示唆されました。―R-CHOP療法で成績が向上した中、今回の試験はどのような理由で実施されたのでしょうか。後方視的研究では、リツキシマブの登場で治療成績の向上が示唆された一方で、IVLBCL患者の生存率はおよそ60%に留まっていました。IVLBCL患者の10人中4人の治療成績は不十分ということになりますが、その4人のうち2人は二次性中枢神経(CNS)浸潤を来していました。一般的にDLBCLでの二次性CNS浸潤リスクは5%ですが、IVLBCLでは20~30%と二次性CNS浸潤のリスクが非常に高いのです。ご存じのとおり、二次性CNS浸潤は予後不良です。そこで、R-CHOP療法とCNS浸潤予防治療を組み合わせることで、さらなる治療成績の向上につなげようと考えました。治療の有効性を評価するためには、前方向視的臨床試験が必要になりますが、IVLBCLは非常に希な疾患であり、それまでに、IVLBCLを対象にして行われた前方向視的臨床試験はありませんでした。比較試験の実施は困難であるため、単群の臨床第II相試験として試験治療の有効性と安全性を評価することとしました。―CNS浸潤予防も鑑みて今回の試験レジメンになった訳ですね。画像を拡大する後方視的研究では、診断時に明らかなCNS病変がみられず、その後二次性CNS浸潤を発症した患者の約40%は、診断後半年以内に増悪を認めていました。病気の性質を考えると、臨床症状や明らかな浸潤像がなくても、CNS浸潤が始まっている可能性は捨てきれません。そこで、早期に何らかのCNS浸潤予防を目的とした治療(CNS-oriented therapy)の導入が必要だと考えました。具体的には、大量メトトレキサート(HDMTX)の静脈内投与とメトトレキサート(MTX)とシタラビン(Ara-C)およびステロイド(PSL)の髄腔内投与です。何が理想のCNS-oriented therapyなのか、まだ答えはないため、レジメンの作成にあたって、さまざまな議論がなされました。たとえば、髄腔内投与については、二次性CNS浸潤として髄膜浸潤を来した患者もみられたことから組み入れることとしました。HDMTX療法の投与の時期については、R-CHOP療法による病気の制御と早期のCNSへの治療を考慮して、R-CHOP療法の途中にHDMTX療法を組み入れることとしました。最終的にR-CHOP療法3サイクルの後に、HDMTX+リツキシマブ(R-HDMTX)療法2サイクルを挟み、R-CHOP療法3サイクルを行う合計8サイクルのレジメンとしました。PRIMEUR-IVL trial試験概要多施設(国内22施設)単群第II相試験対象:未治療でCNSに明らかな病変を認めないIVLBCL患者38例。年齢は20~79歳。PSは0~3。介入:患者はR-CHOP3サイクル後、R-HDMTXを2サイクル、その後R-CHOP3サイクル、R-CHOP投与中に髄腔内注射4回の投与を受けた。主要評価項目:2年無増悪生存割合(PFS)試験結果追跡期間中央値3.9年における2年PFSは76%(95%CI:58〜87)、2年OSは92%であった。有効性評価対象37例中完全奏効(CR)が31例に認められた(変化なし5例)。2年二次性CNS浸潤累積発症割合は3%であった。Grade3/4の発熱性好中球減少、白血球減少は全例に見られた。重篤なAEは低カリウム血症、低血圧を伴う発熱性好中球減少、高血圧、頭蓋内出血であった。治療関連死は認められず。―今回の試験の結果についてはいかがですか。フォローアップ期間(追跡期間中央値 3.9年)がそれほど長くなく、長期のフォローアップが必須となりますが、2年PFS 76%は良好な結果が得られたと考えています。また、二次性CNS浸潤も3%に抑えられており、これも良好な成績だと考えています。長期的なフォローアップについても実施していく予定です。更なる治療成績の改善が今後の課題です。―読者の方にメッセージをお願いします。このレジメンは、IVLBCLとして初めての前方向視的臨床試験で検討された治療法です。また、保険診療の範囲内で行うことが可能ですので、IVLBCLの治療法として選択肢の1つにしていただければと思います。また、血液内科の先生方は十分な経験をお持ちだと思いますが、毒性については、R-CHOP療法よりも若干強いという点にはご留意いただければと思います。原著Shimada K, et al. Rituximab, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, and prednisolone combined with high-dose methotrexate plus intrathecal chemotherapy for newly diagnosed intravascular large B-cell lymphoma (PRIMEUR-IVL): a multicentre, single-arm, phase 2 trial. Lancet Oncol.2020;21:593-602.参考Shimada K, et al. Retrospective analysis of intravascular large B-cell lymphoma treated with rituximab-containing chemotherapy as reported by the IVL study group in Japan. J Clin Oncol 2008; 26: 3189-95.Shimada K, et al. Central nervous system involvement in intravascular large B-cell lymphoma: a retrospective analysis of 109 patients. Cancer Sci 2010; 101: 1480-86.

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うつ症状のリスク低下に筋力が寄与~メタ解析

 ポルトガル・リスボン大学のAdilson Marques氏らは、成人の筋力と抑うつ症状との関係をシステマティックにレビューし、メタ解析を実施した。また、筋力と抑うつ症状との関係における統合オッズ比(OR)を算出した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年8月6日号の報告。筋力は抑うつ症状リスクの低下に寄与することが示唆された PRISMAガイドラインに従って、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。電子データベース(PubMed、Scopus、Web of Science)より、2019年12月までに発表された研究をシステマティックに検索した。包括基準は以下のとおりとした。(1)横断的研究、縦断的研究、介入研究、(2)アウトカムにうつ病または抑うつ症状を含む、(3)対象は成人および高齢者、(4)英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語で発表された研究。 成人の筋力と抑うつ症状との関係についてシステマティックレビューおよびメタ解析した主な結果は以下のとおり。・21件の研究が抽出され、対象となったのは、26ヵ国の18歳以上の成人8万7,508例であった。・システマティックレビューにおいて、筋力は抑うつ症状リスクの低下に寄与することが示唆された。・メタ解析では、筋力と抑うつ症状との有意な逆相関が認められ、ORは0.85(95%CI:0.80~0.89)であった。 著者らは「筋力の向上を目的とした介入は、メンタルヘルスを改善し、うつ病を予防する可能性が示唆された。メンタルヘルス改善とうつ病予防の戦略に、筋力の評価と向上を用いることは可能である」としている。

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高齢の早期乳がん、術後放射線療法は省略可能か?

 高齢の早期乳がん患者において、乳房温存手術後の放射線療法が省略可能かについては議論がある。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのFei Wang氏らは、70歳以上の乳がん患者11万例以上のデータを解析し、放射線療法実施の有無による生存への影響を評価した。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年8月24日号に掲載の報告より。高齢の早期乳がん患者の放射線療法の省略は死亡率の増加と関連 対象は米国国立がんデータベースに登録され、2004~2014年に乳房温存手術を受けた、70歳以上、T1-2N0-1M0の女性乳がん患者。多変量Cox比例ハザードモデルを使用して、3、5、10年時の死亡率と乳房温存手術後の放射線療法との関連についてハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 70歳以上の高齢女性乳がん患者の死亡率と乳房温存手術後の放射線療法との関連を評価した主な結果は以下のとおり。・11万5,516例のデータが分析された。・乳房温存手術後に放射線療法を受けなかった患者は、放射線療法を受けた患者よりも死亡率が高く(5年生存率:71.2% vs.83.8%)、3年死亡率の多変量補正後ハザード比(HR)は1.65(95%信頼区間[CI]:1.57~1.72)、 5年死亡率のHRは1.53(1.47~1.58)、10年死亡率のHRは1.43(1.39~1.48)であった。・この関連は、内分泌療法または化学療法の有無、期間やその他の臨床的特徴によるすべての層別化分析において、また90歳以上の患者においても観察され、放射線療法を行わない患者の5年死亡率は40~65%増加した。・内分泌療法を受けたT1N0およびエストロゲン受容体陽性の患者に限定した傾向スコア層別化分析においても、この正の関連性が持続した(5年死亡率のHR:1.47 [1.39~1.57])。 著者らは、本研究ではT1N0およびエストロゲン受容体陽性の患者においても、放射線療法の省略は死亡率の増加と関連したとし、乳房温存手術後の放射線療法の省略は普遍的な実践とはなりえないのではないかとまとめている。

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HPVワクチン啓発 産婦人科・小児科・行動科学の力を合わせて

 子宮頸がん等の原因となるヒトパピローマウイルスへの感染を防ぐHPVワクチンの有用性・安全性は医療者の間では既知の事実だ。諸外国では高い割合で接種されているが、日本は積極的接種勧奨が中止されたまま、接種率は1%と危機的な状況にある。この現状を変えるために医師たちが立ち上げたのが「一般社団法人 みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」だ。 8月25日に行われた設立説明会で、産婦人科、小児科、そして行動科学の観点からのこの状況を変えるための課題と団体の取り組みが共有された。 代表の稲葉可奈子氏は産婦人科医。子宮頸がんによって女性たちのライフプランが狭まってしまう現実を数多く見てきた。女性個人の人生、そして少子化の点からもHPVワクチンはなくてはならないという強い想いをもってこの団体を立ち上げた。 大きな課題は、接種年齢層に対するリーチが難しいことだ。HPVワクチンは予防接種法に基づく定期接種のワクチンで、12~16歳の女子を対象としている。 産婦人科では、これらの年齢層に関わる機会は少ない。そのため、小児科と連携し、かかりつけの小児科医からのアプローチが必須と考えている。 小児科医の今西洋介氏によると、HPVワクチンについては必要性を認識しているが、その詳細について説明をする自信がない小児科医は多いという。小児科にかかる児童の親に接するため産婦人科よりも説明機会には恵まれるが、大半の予防接種は10歳以下で実施するため、対象年齢が10歳以上のワクチンの啓発は小児科でも頭を悩ませるところだ。 医療機関に訪れる患者への情報提供だけではワクチンの普及は難しい。そこで、団体には行動科学の専門家も参画している。 たとえ有益な情報であったとしても科学的根拠を伝えるだけでは人の行動は変わらない。 一宮恵氏によると、人の行動を変えるためのポイントは、理解度・関心度に応じた情報提供だ。そこで、団体では、ワクチンを知らない層、接種を検討している層、接種したいと考えている層、そのそれぞれに適した情報提供を行い、HPVワクチンの認知度の向上を目指す。 団体の参画メンバー10人は完全非営利、無償で活動を行っている。そのため30日からクラウドファンディングを実施。達成金額ごとに、小児科での説明用パンフレット作成、ソーシャルメディア配信用の動画作成や電車内広告の実施などを計画している。

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免疫チェックポイント阻害薬、1次治療は75歳以上の高齢者でも有効

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)について、75歳以上の高齢者にも有効であることが、フランス・ソルボンヌ・パリ・ノール大学のThierry Landre氏らによる無作為化比較試験のメタ解析の結果、示された。ICIの有効性に対する加齢の影響については議論の余地があり、75歳以上の高齢者についてはこれまでほとんど知られていなかった。なお結果について著者は、「生存に対するベネフィットは主に1次治療で観察されたものであり、2次治療については不明なままである」と述べている。Drugs & Aging誌オンライン版2020年7月17日号掲載の報告。 研究グループは、75歳以上の高齢患者におけるICIの有効性を評価するメタ解析を実施した。進行固形がん患者を対象に、ICI(単独療法または併用療法)と標準治療を比較した無作為化比較試験のうち、2010年1月~2020年1月までの間に発表された論文を適格とした。 主要評価項目は、高齢患者(75歳以上)と非高齢患者(75歳未満)で比較した全生存(OS)期間。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)値を収集・プールして評価。副次評価項目は、1次治療および2次治療別のICI治療の影響とした。 主な結果は以下のとおり。・抗PD-1抗体(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)、抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ、アベルマブ)、または抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)を評価した、15件の第III相臨床試験を解析に組み込んだ。・登録患者は、非小細胞肺がん、腎細胞がん、悪性黒色腫、頭頸部扁平上皮がん、または胃がんであった。・15件のうち、1次治療に関する試験が8件、2次治療に関する試験が7件であった。・患者背景は、年齢中央値64歳、75歳以上が906例(1次治療552例、2次治療354例)、75歳未満が8,741例(1次治療4,992例、2次治療3,749例)であった。・1次治療における死亡HRは、75歳以上群0.78(95%CI:0.61~0.99)、75歳未満群0.84(95%CI:0.71~1.00)であった。・2次治療における死亡HRは、75歳以上群1.02(95%CI:0.77~1.36)、75歳未満群0.68(95%CI:0.61~0.75)であり、サブグループ間で統計学的に有意差が観察された(相互作用のp=0.009)。

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ACE阻害薬とARBがCOVID-19重症化を防ぐ可能性/横浜市立大学

 新型コロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を介して細胞に侵入することが明らかになっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とレニン-アンジオテンシン系(RAS)との関連が注目されている。ACE阻害薬またはARBの服用とCOVID-19患者の重症度を解析 今回、横浜市立大学附属 市民総合医療センター 心臓血管センターの松澤 泰志氏らの研究グループが、COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について、多施設共同後ろ向きコホート研究(Kanagawa RASI COVID-19 研究)を行った。Hypertension Research誌オンライン版2020年8月21日号での報告。 本研究では、2020年2月1日~5月1日の期間、神奈川県内の6医療機関(横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立循環器呼吸器病センター、藤沢市民病院、神奈川県立足柄上病院、横須賀市立市民病院、横浜市立大学附属病院)に入院したCOVID-19患者151例を対象に、病態に影響を与える背景や要因の解析が行われた。 追跡調査の最終日は2020年5月20日で、すべてのデータは医療記録から遡及的に収集された。高血圧症およびほかの既往歴の情報は、通院歴、入院時の投薬、およびほかの医療機関からの提供内容に基づいている。ACE阻害薬/ARBがCOVID-19患者の意識障害を減らす可能性 COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について研究した主な結果は以下のとおり。・平均年齢は60±19歳で、患者の59.6%が男性だった。151例のうち、39例(25.8%)が高血圧症、31例(20.5%)が糖尿病、22例(14.6%)にACE阻害薬またはARBが処方されていた(ACE阻害薬:3例[2.0%]、ARB:19例[12.6%])。・151例中、14例(9.3%)の院内死があり、14例(9.3%)で人工呼吸、58例(38.4%)で酸素療法が必要だった。入院時、肺炎に関連する意識障害は14例(9.3%)、収縮期血圧<90mmHgに関連する意識障害は3例(2.0%)で観察され、少なくとも13例において、新型コロナウイルス感染が原因とされた。22例(14.6%)がICUに入院した。・患者全体を対象とした単変量解析では、65歳以上(オッズ比[OR]:6.65、95%信頼区間[CI]:3.18~14.76、p<0.001)、心血管疾患既往(OR:5.25、95%CI:1.16~36.71、p=0.031)、糖尿病(OR:3.92、95%CI:1.74~9.27、p<0.001)、高血圧症(OR:3.16、95%CI:1.50~6.82、p=0.002)が、酸素療法以上の治療を要する重症肺炎と関連していた。・多変量解析では、高齢(65歳以上)が重症肺炎と関連する独立した要因だった(OR:5.82、95%CI:2.51~14.30、p<0.001)。・高血圧症患者を対象とした解析の結果、ACE阻害薬またはARBをCOVID-19罹患前から服用している患者では、服用していなかった患者よりも、主要評価項目の複合アウトカム(院内死亡、ECMO使用、人工呼吸器使用、ICU入室)における頻度が少ない傾向だった(14.3%vs.27.8%、p=0.30)。また、副次評価項目については、COVID-19に関連する意識障害が有意に少なかった(4.8%vs.27.8%、p=0.047)。 著者は「われわれの知る限りでは、これがわが国で初めてCOVID-19患者の臨床アウトカムを検討した研究だ。今回、炎症に対するRAS阻害薬の保護効果が、ACE阻害薬/ARBの使用と意識障害の発生減少を関連させる1つのメカニズムである可能性が明らかになった」と記している。

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PCI後、CYP2C19 LOFアレルに基づく薬剤選択vs.標準治療/JAMA

 急性冠症候群(ACS)または安定冠動脈疾患(CAD)で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けたCYP2C19*2/*3機能喪失型(loss-of-function:LOF)アレルの保有者において、遺伝子検査に基づき経口P2Y12阻害薬を選択する治療戦略は、遺伝子検査なしの従来のクロピドグレル療法と比較し、心血管死・心筋梗塞・脳卒中・ステント血栓症・重度虚血再発の複合エンドポイントに関して、統計学的な有意差を示さなかった。米国・メイヨー・クリニックのNaveen L. Pereira氏らが、無作為化非盲検比較試験「TAILOR-PCI試験」の結果を報告した。PCI後にクロピドグレルによる治療を受けたCYP2C19 LOFアレル保有者は、虚血性イベントリスクが高まることが示されている。遺伝子型に基づく経口P2Y12阻害薬の選択によりアウトカムが改善するかどうかは不明であった。JAMA誌2020年8月25日号掲載の報告。PCI後のACSまたは安定CAD患者約5,300例を無作為化 研究グループは2013年5月~2018年10月に、米国、カナダ、韓国、メキシコの40施設において、PCIを施行したACSまたは安定CAD患者5,302例を登録し、遺伝子型ガイド群または従来治療群に1対1に無作為に割り付け、2019年10月まで追跡した。 遺伝子型ガイド群(2,652例)では遺伝子検査を実施し、CYP2C19 LOFアレル保有者にはチカグレロルを、非保有者にはクロピドグレルを投与した。従来治療群(2,650例)にはクロピドグレルを投与し、12ヵ月後に遺伝子検査を行った。 主要評価項目は、12ヵ月時点の心血管死・心筋梗塞・脳卒中・ステント血栓症・重度虚血再発の複合エンドポイント、副次評価項目は、12ヵ月時点の大出血または小出血であった。主要解析はCYP2C19 LOFアレル保有者を解析対象とし、副次解析には無作為化された全患者を組み込んだ。CYP2C19 LOFアレル保有者で、有効性および出血の発現に有意差なし 無作為化された患者5,302例(年齢中央値62歳、女性25%)のうち、82%がACS、18%が安定CADで、94%が試験を完遂した。また、CYP2C19 LOFアレル保有者は1,849例であり、12ヵ月時点で、遺伝子型ガイド群は903例中764例(85%)がチカグレロルを、従来治療群は946例中932例(99%)がクロピドグレルの投与を受けていた。 12ヵ月時点の主要評価項目のイベント発現は、遺伝子型ガイド群のCYP2C19 LOFアレル保有者で903例中35例(4.0%)、従来治療群で946例中54例(5.9%)に認められた(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.43~1.02、p=0.06)。 12ヵ月時点の大出血または小出血の発現率は、遺伝子型ガイド群のCYP2C19 LOFアレル保有者1.9%、従来治療群1.6%で有意差はなかった(HR:1.22、95%CI:0.60~2.51、p=0.58)。そのほか事前に定義された副次評価項目11項目についても両群で有意差はなかった。 無作為化された全患者では、主要評価項目のイベント発現は、遺伝子型ガイド群2,641例中113例(4.4%)、従来治療群2,635例中135例(5.3%)で有意差はなかった(HR:0.84、95%CI:0.65~1.07、p=0.16)

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小児1型DM、クローズドループシステムvs.SAP療法/NEJM

 小児1型糖尿病において、クローズドループ型インスリン注入システム(人工膵島)はセンサー付きインスリンポンプ療法(SAP)と比較して、血糖値が目標値に達していた時間の割合が高かった。米国・バージニア大学糖尿病技術センターのMarc D. Breton氏らが、16週間の多施設共同無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。クローズドループ型インスリン注入システムは、小児1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月27日号掲載の報告。小児1型糖尿病患者101例をクローズドループ群とSAP(対照)群に無作為化 研究グループは2019年6月21日~8月30日に、6~13歳の1型糖尿病患者を、クローズドループ型インスリン注入システム群(クローズドループ群)またはSAP群(対照群)に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、持続血糖モニタリングで測定した血糖値が、目標値70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合であった。目標血糖値の時間の割合はクローズドループ群で有意に増加 計101例が無作為化を受けた(クローズドループ群78例、対照群23例)。ベースラインのHbA1c値は5.7~10.1%であった。 血糖値が70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合(平均±SD)は、クローズドループ群ではベースラインの53±17%から67±10%(治療を行った16週間の平均)に、対照群では51±16%から55±13%に増加した(平均補正後群間差:11ポイント[1日当たり2.6時間に相当]、95%信頼区間[CI]:7~14、p<0.001)。 血糖値が70mg/dL未満であった時間の割合は、両群とも低値であった(中央値:クローズドループ群1.6%、対照群1.8%)。 クローズドループ群において、システムがクローズドループモードであった時間の割合は中央値93%(四分位範囲:91~95)であった。糖尿病性ケトアシドーシスまたは重篤な低血糖症のエピソードは、いずれの群でも確認されなかった。 なお、著者は、社会経済的状況・HbA1c値・血糖コントロール機器の使用について、今回の試験対象集団が必ずしも一般集団を代表する集団ではなく、また、試験期間が4ヵ月間であり、治療効果が長期にわたり持続するかについては不明であると述べている。

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AFIRE試験が世界に投げかけたこと(解説:香坂俊氏)-1281

AFIRE試験がNEJM誌に発表された。そのデザインや主要な結果に関しては、さまざまな学会や研究会で議論がなされており、その解釈に関しても広く議論がなされている。AFIREのデザインと主要な結果・心房細動を持つ安定冠動脈疾患の患者さんを対象に「リバーロキサバン(経口抗凝固 薬)単独」と「リバーロキサバン+抗血小板薬併用」との比較を行ったわが国の多施 設共同のランダム化比較研究。・2017年9月末までに2,240例が登録され、2年以上の観察期間を予定していたが、データ 安全性モニタリング委員会の勧告に基づき2018年7月に研究を早期終了。・最終的に2,215例(1,107例の単独療法vs.1,108例の併用療法)が研究解析対象となり、 患者さんの平均年齢は74歳、男性79%、PCI施行70.6%[CABG施行11.4%]) であった。・有効性主要評価(脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、血行再建術を必要とする不安定 狭心症、総死亡の複合エンドポイント)では、リバーロキサバン単独療法群がsuperior (優越)であり、さらに安全性主要評価(重大な出血性合併症)においても、 リバーロキサバン単独療法群が優越であった。さまざまなメッセージを含んでいる試験であるが、自分としては日本独自の用量設定を行った試験で世界に向けて結果を出した、というところに注目したい。リバーロキサバンは薬効動態評価の結果を踏まえて15mgあるいは10mgという日本独自の用量設定で認可されている(国際的には20mgあるいは15mgという用量設定)。自分はこうした国別の独自の用量設定というのにかなり懐疑的な人間であったのだが(国際的なRCTの結果のほうを信用する傾向がある)、ただ抗凝固薬や抗血小板薬が日本人に効きすぎるというのは帰国してからの日常臨床でも経験し、また自分達で出したデータでも確かにそのような傾向がみられた(Numasawa Y, et al. J Clin Med. 2020;9:1963.)。AFIRE試験は、このような事情を踏まえてわが国独自の用量設定を用いて行われた試験であるが、その結果がNEJMという最高峰のジャーナルに取り上げられたことの意義は大きい。とくに抗凝固療法・抗血小板薬(抗血栓薬として総称される)に関してはGlobalにも個別の用量設定を考えていかなければならないということを語ってくれているように思われる。この試験は、いろいろな場面における抗凝固療法の使い方に指針を示してくれたことも事実であるが、自分としてはわが国独自の抗血栓薬のDosingについて「世界はどう思うのか?」というより幅広い側面での議論の活性化も期待したい。

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人間ドックの順番争い【Dr. 中島の 新・徒然草】(339)

三百三十九の段 人間ドックの順番争い秋が来たと喜んでいたら、再び灼熱地獄が戻ってきました。日なたに駐車していた車のハンドルなんか、熱くて触れたものじゃありません。そう思っていたら、今度は台風がやってくるのだとか。自然に翻弄されながら生活していくのは日本人の宿命ですね。そういえば、先週末には安倍総理大臣が辞意を表明されました。難病を持ちながらの8年近くの激務は、口で言えないほど大変だったはず。ぜひこれからは、療養に専念していただきたく思います。かくいう私も、自らの健康のため、先日、人間ドックに行ってきました。もう長いこと同じ医療機関を受診しています。1年に1回のことですが、世の中には人間ドックのプロが沢山いるようです。朝早く行ったのに大勢の人でごったがえしている、という経験が何度もありました。負けてなるものか、と私の受診時間も自然に早くなっていきます。以前は8時前だったのが、ついに今回は6時半頃に到着!喜んで受付順番表に名前を書いたのですが、それでも2位でした。私より前に来ている人がいたのは驚きです。無駄に早く着いたので、検査開始までの2時間、やることがありません。呆然とロビーのテレビを見て過ごします。当たり前ですが、過去の到着時刻と順位には綺麗な相関あり。相関係数を計算すると0.92でした。というか、ほかにやる事ないんかい、中島!ようやく始まった人間ドックの各部門は効率的に終了。でも、ロビーでの2時間のせいか疲労困憊しました。結局、早く着こうが遅く着こうが、病院滞在時間は同じみたいな気がします。それと、バリウムのせいか2日間くらいは腹の調子が悪い。急にトイレに行きたくなるのでヤル気がでません。そのうち失われた気力も戻ってくるのでしょう。あとは変な結果が出ないことを祈るのみ。若い頃は面倒なだけの人間ドックでしたが、年取って考えが変わりました。無事に生きた1年の証ですね。読者の皆様も、お身体を大切になさって下さい。最後に1句秋空に 今年もドックの 受診来た

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第22回 不倫スキャンダルの応酬で弔い合戦!?遺恨渦巻く日医会長選その後

6月27日の日本医師会会長選で、現職の横倉 義武氏の5選を制し、初当選した中川 俊男氏に、早くもスキャンダルが浮上している。強面の印象が強い中川氏について、日医は「中川会長は女性医師にも人気がある」とイメージアップを図ろうとしているが、その“人気”が女性問題ともなると話は別だ。週刊誌も裏取りの取材を進めており、船出したばかりの中川日医は早くも嵐を予感させている。その女性(以下、M氏)は、日医のシンクタンク・日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の幹部である。M氏に嫌われると出世の見込みはなくなると囁かれ、退職した研究員もおり、“日医総研の女帝”と化している。そんなM氏と中川会長は、時々日医会館周辺の飲食店に連れ立って訪れ、その様子は店員が「中川夫妻」と呼ぶほど親密なようだ。中川氏が日医常任理事に就いた2006年以降、シンポジウムなどで2人の名前を目にするようになる。例えば、同年に日医が主催した医療政策シンポジウムでは、パネルディスカッションの司会を中川氏が、講師をM氏が務めた。また、2008年の自民党の社会保障プロジェクトチームの第1回会合では、2人で講演している。日医の元役員によると、横倉氏の前任の原中 勝征氏が会長だった時(2010~12年)に、中川氏は露骨な動きをし始めたという。「M氏は優秀なので、転職してしまわないよう年俸を上げてほしい」と原中氏に要求。実際、M氏の年俸は1,800万円に上がったという。日医常任理事の本給が年額1,416万円、副会長ですら1,740万円であり、M氏の厚遇ぶりがうかがえる。先の日医会長選は、コロナ禍の下での実施がひんしゅくを買った上、日医内部が真っ二つに分かれる選挙戦となり、怪文書が流れる泥仕合の様相を呈した。結果は17票差で、わずか9人の動向次第では逆転していた可能性があったことから、横倉陣営に恨みが残った。中川執行部のうち、副会長の3人中2人、常任理事の10人中6人が横倉執行部からの留任組だが、「中川派になった者はほとんどいない」(元常任理事)という。そのため、中川氏も厳しい態度で臨んでおり、ある常任理事に対し会議で「あなたは出席しなくてもいい」と言い放ったというから穏やかではない。留任組の中には、会議のやり取りを録音している人もいるようで、両者の間に深い溝があることを物語る。中川氏も、横倉色の払拭を図っているようだ。日医の政治団体・日本医師連盟の組織内候補である自見 英子・厚生労働政務官(自民党参議院議員)と橋本 岳・厚労副大臣(自民党衆議院議員)との不倫スキャンダルが『週刊文春』8月6日号で報じられたのも、横倉氏に近い自見氏に対し、次期参院選で候補差し替えを狙って中川氏がリークしたのでは、との声が関係者の中で上がっている。一方、中川氏の不倫スキャンダル情報を週刊誌に流したのは横倉派ともいわれている。会長選が終わってもなお、コロナ禍を横目に両者の泥仕合は続いている(横目にでも入っていればまだマシなのだが)。

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統合失調症患者の肥満と白質微細構造障害との関連

 国立精神・神経医療研究センターの秀瀬 真輔氏らは、統合失調症患者の肥満(BMI 30以上)と症状、向精神薬、全脳構造との関連について調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年8月5日号の報告。 対象は、日本人統合失調症患者65例(平均年齢:37.2±11.3歳、女性:32例)で、全員が右利きであった。症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いた。肥満と灰白質および白質構造との関連を分析するため、ボクセル ベース形態計測(VBM)および拡散テンソル画像(DTI)を用いた。主な結果は以下のとおり。・肥満患者は非肥満患者と比較し、PANSSスコアに有意な差は認められなかったが、PSQIスコアは有意に高かった(p<0.05)。・肥満患者は非肥満患者と比較し、定型抗精神病薬の1日量が有意に多かった(p<0.001)。・VBNでは、肥満患者と非肥満患者の灰白質体積に有意な差は認められなかった。・DTIでは、肥満患者は非肥満患者と比較し、脳梁、放線冠、皮質脊髄路、上縦束、後視床放線の異方性(fractional anisotropy)の値が有意に低かった(補正p<0.05)。・肥満患者は非肥満患者と比較し、Axial diffusivityは有意に低く、radial diffusivityとmean diffusivityは同様であったが、より制限された脳領域においては有意に高かった(補正p<0.05)。 著者らは「統合失調症患者において、肥満は睡眠障害、定型抗精神病薬の1日量、局所的な白質微細構造障害に関連していることが示唆された」としている。

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COVID-19流行下、3次医療機関でのがん患者の入院は安全か/JCO

 オーストリア・ウィーンの3次医療機関で、COVID-19に対する政府や施設の感染対策実施後に、入院中のがん患者のSARS-CoV-2感染率を調査したところ、一般集団と同様であり、また、がん以外の患者よりも低かったことが報告された。今回の結果から、人口全体および施設の厳格な感染対策が実施された場合には、大規模な3次医療機関において積極的ながん治療や通院が実現可能で安全であることが示唆された。Medical University of ViennaのAnna S. Berghoff氏らによる報告が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年8月14日号に掲載された。 本研究の対象は、2020年3月21日~5月4日、当院で定期的に鼻腔または咽頭スワブを用いたRT-PCRによりSARS-CoV-2 RNAを検査していたがん患者。このコホートでの結果を、代表的な全国ランダムサンプル研究のコホート(対照コホート1)および当院のがん以外の患者のコホート(対照コホート2)のSARS-CoV-2の感染率と比較した。 主な結果は以下のとおり。・連続した1,016例のがん患者に1,688回のSARS-CoV-2検査を実施した。1,016例中270例(26.6%)がネオアジュバントまたはアジュバント治療を受け、560例(55.1%)が緩和療法を受けていた。・1,016例中53例(5.2%)がCOVID-19の疑われる症状を自己申告し、4例(0.4%)でSARS-CoV-2が検出された。SARS-CoV-2陽性の4例とも当科での検査時には無症状で、2人は症候性COVID-19から回復した患者であった。また4例中3例で、陽性判定から14〜56日後に陰性となった。・がんコホートの対照コホート1に対するSARS-CoV-2感染の推定オッズ比は1.013(95%CI:0.209〜4.272、p=1)、対照コホート2のがんコホートに対する推定オッズ比は18.333(95%CI:6.056〜74.157)であった。 著者らは「無症状のウイルス保有者を発見し、ウイルス蔓延を回避するために、がん患者の定期的なSARS-CoV-2検査が勧められる」としている。

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カナグリフロジンの下肢切断リスク、65歳以上CVD患者で増大/BMJ

 SGLT2阻害薬カナグリフロジンの下肢切断リスクについて、心血管疾患のある65歳以上において最も明白な増大が認められること、追加有害アウトカムの発生に関する必要治療数(NNT)は6ヵ月で556例(切断例はカナグリフロジン投与1万例当たり18例超)であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のMichael Fralick氏らによる検討で明らかにされた。GLP-1受容体作動薬投与群と比較した下肢切断リスクは1.73倍で、発生率の差は1,000人年当たり3.66であったという。先行研究のカナグリフロジンの心血管アウトカムを検討した試験「CANVAS試験」では、カナグリフロジン群がプラセボ群よりも下肢切断リスクが2倍近く高いことが確認されており、同試験対象者が従前試験よりも10歳以上高齢であったこと、またベースラインの心血管リスクが高かったことから、切断リスクの上昇は限定される可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、日常的ケアにおけるカナグリフロジン投与の、切断リスクを明らかにするものである」と述べている。BMJ誌2020年8月25日号掲載の報告。カナグリフロジンによる下肢切断リスクをCVDの有無と65歳以上・未満で検証 研究グループは、新たにカナグリフロジンを投与された成人における、年齢および心血管疾患別にみた下肢切断率を推算する住民ベースのコホート試験を行った。 2013~17年の、米国の2つの民間の保険請求データベース(MarketScan、Optum)とメディケア保険請求データベースを基に、新たにカナグリフロジンを処方された患者を抽出し、1対1の割合の傾向スコアマッチングで抽出したGLP-1受容体作動薬を新たに処方された患者と、下肢切断術の発生について比較した。 被験者を以下の4グループに分類し、下肢切断率についてハザード比(HR)と1,000人年当たりの率差を算出。(1)ベースラインで心血管疾患のない65歳未満、(2)ベースラインで心血管疾患のあった65歳未満、(3)ベースラインで心血管疾患のない65歳以上、(4)ベースラインで心血管疾患のあった65歳以上。 メタ解析にて、各グループの統合HRと1,000人年当たりの率差を求め評価した。カナグリフロジン群の下肢切断に関するHRは65歳以上CVD患者で有意差 3つのデータベースから傾向スコアマッチングで、新規のカナグリフロジン処方群または新規のGLP-1受容体作動薬処方群31万840例を抽出し、解析を行った。 カナグリフロジン群のGLP-1受容体作動薬群に対する、下肢切断に関するHRおよび1,000人年当たり率差は、グループ(4)「ベースラインで心血管疾患のあった65歳以上」で、HRが1.73(95%信頼区間[CI]:1.30~2.29)、率差3.66(同:1.74~5.59)と、いずれも有意差が認められた。 一方、その他のグループでは有意差は認められなかった。グループ(1)のHRは1.09(95%CI:0.83~1.43)、率差0.12(同:-0.31~0.55)、グループ(2)はそれぞれ1.18(0.86~1.62)と1.06(-1.77~3.89)、グループ(3)はそれぞれ1.30(0.52~3.26)と0.47(-0.73~1.67)であった。

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レムデシビル、中等度COVID-19への効果は?/JAMA

 中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、5日間のレムデシビル投与は標準的治療に比べ、11日目の臨床状態の改善が統計学的に有意であることが示された。10日間投与は標準的治療に比べ、同改善について統計学的な有意差は認められなかったという。ドイツ・ミュンヘン工科大学Rechts der Isar大学病院のChristoph D. Spinner氏らが、596例の入院患者を対象に行った国際共同無作為化試験で明らかにした。レムデシビルは、重症COVID-19患者を対象としたプラセボ対照試験で、臨床的ベネフィットがあることが示されているが、中等度の患者への効果は不明であった。なお、5日間投与で有意差が示された結果について著者は、「示された有意差の臨床的意義については不確実である」と述べている。JAMA誌オンライン版2020年8月21日号掲載の報告。レムデシビル5日、10日投与の有効性を標準的治療と比較 研究グループは、レムデシビル5日間または10日間投与の投与開始後11日時点の臨床状態について、標準的治療と比較する非盲検無作為化試験を行った。 2020年3月15日~4月18日に、米国、欧州、アジアの105病院で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による中等度のCOVID-19肺炎を発症した入院患者を登録した。中等度COVID-19肺炎の定義は、X線所見による肺浸潤と室内気動脈血酸素飽和度94%超とした。 被験者を1対1対1の割合で無作為に3群に分け、レムデシビル(初回200mg/日、翌日から100mg/日)10日間静脈投与(197例)、同5日間静脈投与(199例)、標準的治療(200例)を、それぞれ実施した。 主要エンドポイントは、11日目の臨床状態で、7ポイント順序尺度(死亡[カテゴリー1]~退院[カテゴリー7])で評価した。レムデシビル群と標準的治療群の差については、比例オッズモデルを用いてオッズ比(OR)を求めた。 最終フォローアップは2020年5月20日であった。レムデシビル10日投与群は標準的治療群と有意差なし、5日群で有意差 無作為化を受けた596例のうち、584例が試験を開始し、レムデシビル投与または標準的治療を受けた(年齢中央値57歳[四分位範囲:46~66]、女性227例[39%]、心血管疾患56%、高血圧症42%、糖尿病40%)。試験を完了したのは533例(91%)だった。レムデシビル5日群の投与期間中央値は5日、10日群は6日だった。 11日目の臨床状態は、レムデシビル5日群が標準的治療群に比べ良好で、7ポイント順序尺度で評価したORは1.65(95%信頼区間[CI]:1.09~2.48、p=0.02)だった。 一方で、レムデシビル10日群については、11日目の臨床状態は、標準的治療群と有意差は認められなかった(Wilcoxon rank sum検定のp=0.18)。 なお、28日目までに報告された死亡は、レムデシビル5日群2例(1%)、レムデシビル10日群3例(2%)、標準的治療群4例(2%)だった。また、レムデシビル治療群では標準的治療群と比べて、悪心(レムデシビル群10%vs.標準的治療群3%)、低カリウム血症(6% vs.2%)、頭痛(5% vs.3%)の発生頻度が高かった。

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