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成人の不眠症、アルコール摂取とADHD症状との関係

 薬物使用障害や不眠症は、成人の注意欠如多動症(ADHD)患者でよくみられる。ノルウェー・ベルゲン大学のAstri J. Lundervold氏らは、不眠症やアルコール摂取とADHD症状との関係を調査した。Frontiers in Psychology誌2020年5月27日号の報告。 成人ADHD患者235例(男性の割合:41.3%)と対照群184例(男性の割合:38%)を対象に、不眠症、アルコール摂取、ADHD症状をアンケートで収集した。不眠症はBergen Insomnia Scale(BIS)、アルコール摂取は飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)、ADHD症状は成人ADHD自己記入式症状チェックリストを用いて評価した。対象の大部分(95%)より、小児期のADHD症状はWender Utah Rating Scaleを用いて追加情報として収集し、内在化障害の生涯発生に関する情報は、背景情報の一部に含めた。 主な結果は以下のとおり。・ADHD患者は対照群と比較し、不眠症の頻度が高く、アルコール摂取量が多く、内在化障害の頻度が高かった。・不眠症を有する患者は、不眠症を有さない患者と比較し、現在および小児期のADHD症状がより重度であった。・ADHD症状のスコアは、不眠症や内在化障害の影響を受けていたが、アルコール摂取からは対照群に限定的であった。 著者らは「不眠症、アルコール摂取、内在化障害は、機能的影響が大きいことが知られている。本研究では、ADHD症状との関係に焦点を当てたことにより、機能的影響との強い関連は、ADHDの臨床診断を受けた成人に限定されないことがわかった。このことから、ADHD症状と併発する問題の測定基準を含む、さらなる研究が求められる」としている。

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セルメチニブが希少疾病用医薬品に指定/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社は、セルメチニブ硫酸塩(以下「セルメチニブ」という)が希少遺伝性疾患の神経線維腫症1型(以下「NF1」という)の治療薬として、わが国で希少疾病用医薬品指定*を取得したと発表した。*希少疾病用医薬品指定とは、患者数が5万人未満で、アンメットメディカルニーズが高い疾病の治療を目的とした医薬品に対して行われている指定。通常の保険適用とは異なる。幼児期から始まり、平均余命も削る希少疾病 NF1は3,000~4,000人に1人が罹患する遺伝性疾患。NF1遺伝子の自発的あるいは遺伝的変異により発症し、皮膚あるいは皮下の柔らかい塊(皮膚の神経線維腫)、皮膚色素沈着(カフェ・オ・レ斑)、および患者の30~50%にみられる叢状神経線維腫(以下「PN」という)を含む多くの症状を伴う。これらのPNは、外見の変化、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害、腸や膀胱の機能不全および変形などの病的状態を引き起こす可能性がある。PNは幼児期に始まり、重症度は多岐にわたる。また、この疾患により、平均余命が8~15年短縮する可能性もある。がんの活性化を抑えるセルメチニブの特徴 治療薬として期待されるセルメチニブは、同社とMSDが共同開発、商業化を進めている薬剤で、2020年4月に「症候性かつ手術不能なPNを有する2歳以上のNF1小児患者に対する治療薬」として米国では承認されている。また、PNを有するNF1を適応症とする承認申請が欧州医薬品庁によって受理・審査中であり、その他の地域でも承認申請を検討している。なお本剤はわが国では現在未承認。 同薬剤は分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1/2阻害剤)である。MEK1/2タンパクは、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)経路の上流調節因子で、MEKとERKはともに、RASによって調節されるRAF-MEK-ERK経路の重要な構成要素であり、さまざまな種類のがんで活性化されることが多い。単剤投与で66%の客観的奏効率 米国国立がん研究所の米国治療評価プログラムによるSPRINT試験(手術不能なPNを有するNF1小児患者を対象にセルメチニブ単剤療法を行い、客観的奏効率や患者報告アウトカムおよび機能転機への影響を評価するもの)の第I相および第II相のStratum1における客観的奏効率(ORR)は、セルメチニブ単剤を経口投与(1日2回)したPNを有するNF1の小児患者において66%(50例中33例、部分奏効を含む)を示した。ORRは、完全奏効または20%以上の腫瘍縮小を評価基準とする部分奏効が確認された患者数から算出している。 同社では、「NF1は、ほとんどの国でその治療選択肢は限られており、今回の指定は、NF1に対する初の治療薬を日本の小児患者に提供できる重要な一歩となる」と今後の発展に期待を寄せている。■関連記事コロナワクチン接種率の違いで死亡率に大きな差/JAMA

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GLP-1受容体作動薬適応外使用への警告/日本糖尿病学会

 近年、GLP-1受容体作動薬が痩身やダイエットなどの目的で使用される目的外使用が問題となり、一般報道などでも取り上げられている。その多くは、個人輸入や一部のクリニックでなされているものであるが、こうした事態に対し日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、「GLP-1受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」を7月9日に公表した。 本見解では、現時点で「一部のGLP-1受容体作動薬については、健康障害リスクの高い肥満症患者に対する臨床試験が実施されているが、その結果はまだ出ていない。したがって、2型糖尿病治療以外を適応症として承認されたGLP-1受容体作動薬は存在せず、美容・痩身・ダイエットなどを目的とする適応外使用に関して、2型糖尿病を有さない日本人における安全性と有効性は確認されていない」と述べるとともに、「医師とくに本学会員においては、不適切な薬物療法によって患者の健康を脅かす危険を常に念頭に置き、誤解を招きかねない不適切な広告表示を厳に戒め、国内承認状況を踏まえた薬剤の適正な処方を行っていただきたい」と強く適正な使用を要望している。

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早産児のApgarスコアは、新生児死亡リスクと関連するか/NEJM

 在胎期間は、早産児における新生児死亡(生後28日以内の死亡)の主要な決定因子だが、在胎期間とApgarスコアの組み合わせの新生児死亡リスクへの影響は明確でないという。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSven Cnattingius氏らは、新生児死亡率は在胎期間が短くなるに従って実質的に増加することから、Apgarスコアに関連する新生児死亡率の絶対値の差(新生児の超過死亡数)は、早産児の在胎期間が短いほど増加するとの仮説を立て、検証を行った。その結果、出生5分後と10分後のApgarスコア、および5~10分後のスコアの変化は、5つに分けた在胎期間のすべての早産児で、新生児死亡率と関連することが示された。NEJM誌2020年7月2日号掲載の報告。早産児の在胎期間別に、Apgarスコアと新生児死亡の関連を評価 研究グループは、スウェーデンの医療出生登録のデータを用いて、1992~2016年に出生した11万3,300例の早産児(在胎期間22週0日~36週6日)を同定し、解析を行った(スウェーデン保健・労働生活・福祉研究評議会などの助成による)。 これらの早産児は、在胎期間によって5つの群(22~24週、25~27週、28~31週、32~34週、35~36週)に層別化された。出生5分後と10分後のApgarスコア、および5~10分後までのApgarスコアの変化に基づき、新生児死亡の補正後の相対リスクと、新生児死亡率の絶対値の差(出生100人当たりの新生児の超過死亡数)を推算した。 Apgarスコアは、5つの要素(心拍数、呼吸、筋緊張、反射、皮膚色)から成り、それぞれ0~2点で評価する。最高点は10点で、点数が高いほど、新生児の身体の状態が良好であることを示す。 アウトカムは新生児死亡であり、出生から27日が終了するまでの死亡と定義された。すべての在胎期間の早産児の健康評価に有用 新生児死亡は、11万3,300例中1,986例(1.8%)で発生した。新生児死亡率は、在胎期間が短いほど増加し、0.2%(在胎期間36週)~76.5%(在胎期間22週)の幅が認められた。また、新生児死亡率は、Apgarスコアが正常(7~10点)の範囲内であっても、5分後と10分後のApgarスコアが低下するに従って増加した。さらに、新生児死亡の補正後相対リスクは、在胎期間が短縮するに従って、また5分後、10分後のApgarスコアが低下するに従って実質的に増加した。 5つの在胎期間のすべてにおいて、低いApgarスコアは、新生児死亡の相対リスクが高いこと、および新生児死亡率の絶対値の差が大きいことと関連した。たとえば、在胎期間28~31週の出生児では、5分後のApgarスコアによる補正後の絶対値の差は、9~10点の出生児を参照群とした場合、0~1点で51.7(95%信頼区間[CI]:38.1~65.4)、2~3点で25.5(18.3~32.8)、4~6点で7.1(5.1~9.1)、7~8点で1.2(0.5~1.9)であった。 5分後から10分後までのApgarスコアの上昇は、この間のスコアに変動がない場合に比べ、新生児死亡率が低く、新生児死亡率の絶対値の差が小さかった。 著者は、「Apgarスコアは、すべての在胎期間の早産児において、新生児死亡のリスクに関して重要な情報をもたらすことが明らかとなった。これらの知見は、すべての在胎期間の早産児の健康の評価において、Apgarスコアは有用であるとの仮説を支持するものである」としている。

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COVID-19でみられる後遺症は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、回復後もなお、しつこく残るだるさや息苦しさを訴えるケースが多くみられるが、その実態は不明である。イタリア・ローマの大学病院Agostino Gemelli University PoliclinicのAngelo Carfi氏ら研究グループは、COVID-19回復後に退院した患者の持続的な症状について追跡調査を行った。その結果、COVID-19発症から約2ヵ月の時点においても87.4%の患者が何らかの症状があることがわかった。COVID-19を巡っては、これまでもっぱら急性期に焦点を当てて研究や分析が進められてきたが、著者らは、退院後も継続的なモニタリングを行い、長期に渡る影響についてさらなる検証を進める必要があるとしている。JAMA誌2020年7月9日号リサーチレターでの報告。 本研究では、2020年4月21日~5月29日までの間に、COVID-19から回復し、退院した患者179例が対象となった。このうち、研究への参加を拒否した14例およびPCR検査陽性の22例を除く143例の患者について追跡調査を実施した。COVID-19の急性期における症状の有無を遡及的に再評価し、各症状が調査時も持続しているか尋ねた。また、患者自身にCOVID-19の前および調査時のQOLを0(最低)~100(最高)のスコアで評価してもらった。  主な結果は以下のとおり。・患者143例の平均年齢は56.5(SD 14.6)歳(範囲:19~84歳)、男性90例(63%)で女性53例(37%)だった。・COVID-19症状発現から平均60.3(SD 13.6)日後に患者を評価したところ、評価時点で無症状だったのは18例(12.6%)で、患者の32%は1~2つの症状があり、55%は3つ以上の症状が見られた。・患者の44.1%でQOLの低下が見られ、とくに倦怠感(53.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)を訴える人の割合が高かった。このほか、咳、臭覚の異常、ドライマウス/ドライアイ、鼻炎、目の充血、味覚の異常、頭痛、喀痰、食欲不振、咽頭痛、めまい、筋肉痛、下痢といった症状を訴える患者もいた。・本研究では、COVID-19から回復した患者の87.4%が何らかの症状を有していた。 著者らは、143例という比較的少数の患者による単一施設の研究であること、ほかの理由で退院した患者の対照群がないことなど研究の限界として挙げ、これらの所見が必ずしもCOVID-19によるものとは限らない可能性があるとしている。

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第15回 医師過労死の長崎みなとメディカル、控訴から一転和解へ

<先週の動き>1.医師過労死の長崎みなとメディカル、控訴から一転和解へ2.日本医師会、「骨太の方針2020」(原案)に対する3つの懸念3.情報ギャップを解消し、信頼できる医療情報へのアクセスを支援/Google4.コロナに直面する医療機関の経営支援を!超党派議連が発足5.がん疑い3例、診断遅れによる死亡を旭川医科大学病院が公表1.医師過労死の長崎みなとメディカル、控訴から一転和解へ長崎市立病院機構・長崎みなとメディカルセンターに勤務して過労死した医師の遺族が損害賠償を求めていた裁判で、病院側に1億7,000万円の支払いを命じた1審判決に対し、控訴を取り下げ、和解することとなった。今回、過労死を認めないとの方針を大きく変えたのは、理事長、病院長の交代を機にメンバーが一新された理事会において、当時、過労死水準をはるかに超える異常な長時間労働に当該医師が従事していたことを大学側が認め、遺族との和解に至った。医師の働き方改革により、2024年4月以降は医師の時間外労働の上限規制が強化される。病院の勤務医に限らず、労働者の働き方改革については大きな関心が寄せられており、今回の動きはほかの医療機関にも大きく影響を与えると考えられる。(参考)当院の医師の過労死事案について(長崎みなとメディカルセンター)医師の働き方改革について(厚生労働省医政局 医療経営支援課)2.日本医師会、「骨太の方針2020」(原案)に対する3つの懸念日本医師会の中川会長は、政府が現在取りまとめに動いている「骨太方針2020」の原案について、「薬価調査・薬価改定」、「医療機関経営」、「オンライン診療」の主に3点に関する見解を10日に取りまとめた。薬価調査・薬価改定については、新型コロナで予断を許さない状況下、製薬企業や医薬品卸の営業が医療機関にほとんど訪問できていないため、薬価調査を実施できる環境ではないとしている。また、医療機関の経営状態については、コロナ感染拡大に伴い、受診抑制など深刻な影響が出ており、新型コロナウイルス感染症重点医療機関などを支えるための支援も不可欠とし、追加支援を求めている。最後に、オンライン診療についても、原文に「診察から薬剤の受け取りまでオンラインで完結する仕組みを構築する」とあることに対し、ただちに現状と平時の対面診療とを比較できるわけでないため、合意形成しながらの仕組み構築を要望した。(参考)「経済財政運営と改革の基本方針2020(仮称)」(原案)について(日本医師会)3.情報ギャップを解消し、信頼できる医療情報へのアクセスを支援/Google検索エンジン大手Googleは、信頼できる医療情報へのアクセスを支援するために、新たなツール「Question Hub (クエスチョンハブ)」を設け、7日から運用を開始した。これは、ユーザーが適切な情報にたどり着けていないと考えられる検索キーワードを自動的に収集し、表示するもの。今回はβ版として、新型コロナウイルス感染症に関する未回答のキーワードを集め、医療従事者および専門家、メディカルノート、メドレーのプロジェクトチームと協力することで、情報ギャップの解消を目指す。(参考)より信頼できる医療情報へのアクセスを(Google Japan Blog)4.コロナに直面する医療機関の経営支援を!超党派議連が発足7日、有志の国会議員による「コロナと闘う病院を支援する議員連盟」の設立総会が開かれた。新型コロナウイルス感染拡大により、経営が悪化している医療機関への財政的な支援を求める目的で設立された。当日は会場に100名以上の国会議員、秘書などが集まった様子が、参加した議員などから報告されている。今後は日本医師会、日本病院協会からヒアリング、病院の視察など実施し、具体的には省庁予算概算要求の前の8月までに提言の形で政府に申し入れをする見込み。メンバーは自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会以外にも超党派のメンバーにより形成され、共同代表に中谷 元氏(自民党)、富田 茂之氏(公明党)、羽田 雄一郎氏(国民民主党)が選ばれ、幹事長には増子 輝彦氏(国民民主党)が就いた。(参考)超党派「コロナと闘う病院を支援する議員連盟」(仮称)の設立趣意書(案)5.がん疑い3例、診断遅れによる死亡を旭川医科大学病院が公表10日に、旭川医科大学病院が開催した記者会見において、がんが疑われた8人の患者のうち、診断が遅れて3人が死亡していたことが発表された。大学側によると「がん疑い」の画像診断報告書がありながら、主治医に共有されていなかったことが原因であったとし、今後は医師の確認漏れを防ぐために、未読の報告書があれば、自動的に通知が届く新たなシステムを導入するなど再発防止に努めるという。日本医療機能評価機構によれば、医師が画像診断の報告書などを確認しないまま、病気を見逃して治療が遅れたケースは、2012年から8年間で125件報告されている。厚労省は、2019年12月に「画像診断報告書等の確認不足に対する医療安全対策の取組について」として、「医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究」の事務連絡を医政局総務課医療安全推進室より発出している。(参考)旭川医大病院 診断遅れで陳謝(NHK)「画像診断報告書の確認不足(第2報)」(医療安全情報No.138)(日本医療機能評価機構)「医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究」報告書資料(厚労省)

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第21回 めまい part1:回転性か浮動性かで分類すればいいんでしょ? 【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)前失神か否かをcheck! 2)持続時間を意識し良性発作性頭位めまい症(BPPV)か否かをcheck!
3)安静時に眼振があったらBPPVではない!
【症例】68歳女性。来院当日の起床時からめまいを自覚した。しばらく横になり、その後トイレにいこうと歩き始めたところ、再度症状が出現し、嘔気・嘔吐も伴い救急車を要請した。病院到着時、嘔気の訴えはあるがめまい症状は消失していた。しかし、病院のストレッチャーへ移動すると再びめまいが。。。●受診時のバイタルサイン意識清明血圧158/85mmHg脈拍95回/分(整)呼吸18回/分SpO298%(RA)体温36.1℃瞳孔開眼困難で評価できず既往歴高血圧、脂質異常症、虫垂炎めまいという言葉が含むもの「めまい」は研修医を始め若手の医師の誰もが苦手とする症候の1つでしょう。実際に私が全国の研修医の先生へ「苦手な症候は?」と聞くと、必ずといっていいほど「めまい」と返答があります。それはなぜでしょうか?医学生時代、必ず見るのがめまいを「末梢性」と「中枢性」に分類した表です。回転性めまいならば末梢性、浮動性めまいならば中枢性と習い、それぞれ代表的な疾患がBPPV・前庭神経炎、そして脳梗塞です。しかし、この分類は実際の臨床現場では役に立たないどころかエラーの原因となっていることは、誰もが感じていることでしょう。患者さんが「ぐるぐる回る」と訴えるから回転性と思ったら…、「フラフラ、地に足がついていない感じがする」と訴えるから浮動性と思ったら…、なんてことがよくありますよね。さらに、重症度が潜んでいる可能性のある前失神をめまいと訴えることもあります。患者さんがめまいを訴えて来院した場合には、めまいという言葉を使わないで症状を表現してもらいましょう。血の気が引くような症状であれば前失神、寝返りを打つだけで目の前がグラッと揺れるような症状であればBPPVに代表される回転性めまい、まっすぐ歩けず傾いてしまうのであれば小脳梗塞など中枢性病変が考えられるでしょう。もちろん、これ単独で判断はできませんが、前失神を見逃さないことはできるはずです。ちなみに、完全に意識を失ってしまう失神と比べると、前失神は重篤でないと考えがちですが、そんなことはなくリスクは同等です。前失神であっても、失神と同様の対応が必要となります(失神は第14回の項を確認してください)。めまい患者のアプローチめまいを訴える患者さんを診る場合には、前述の通りめまい以外の言葉で表現してもらい、原因疾患のらしさを見積もりますが、具体的にどのようにアプローチするべきでしょうか。STEP(1):中枢性めまい、前失神を除外頻度が高いのはBPPVなどの末梢性めまいですが、早期に拾い上げたいのはこれらの疾患です。最終診断は検査結果などを確認しなければ判断が難しいことが多いですが、前失神を示唆する病歴に加えて吐下血/血便を認める、貧血を示唆する所見を認める場合や、頭痛や麻痺、注視眼振や垂直性眼振など中枢性病変を示唆する所見を認める場合には、その時点でめまいのフローチャートではなく、消化管出血や脳卒中疑いとして対応する必要があります。STEP(2):BPPVか否かを判断頻度の高い疾患を確実に診断することができれば、前失神や中枢性めまいを過度に心配する必要はありません。BPPVの特徴を理解しズバッと診断、治療してしまいましょう。詳細は後述します。STEP(3):末梢性めまいの鑑別BPPV以外の末梢性めまいで頻度が高いのは、前庭神経炎です。持続するめまいの代表である脳梗塞とともに急性前庭症候群と分類されますが、HINTSやHINTS plusを用いて鑑別を進めましょう。STEP(4):帰宅or入院の判断末梢性めまいであれば帰宅可能と考えがちですが、症状が持続している場合には慎重に対応する必要があります。嘔気・嘔吐を伴うことも多く、食事が摂れない場合には要注意です。また、歩行が難しい場合にも末梢性のように思っても中枢性である場合や、転倒のリスクとなるため入院管理が適切といえるでしょう。BPPVの最大の特徴めまい患者の約50%はBPPVです。BPPVの特徴をきちんと理解しなければ、めまい診療は非常に難しくなります。頭部CTやMRI検査が必要なときもありますが、急性期の脳梗塞は必ずしも画像で陽性所見が認められるわけではなく、画像に依存しすぎるとエラーが生じます。「BPPVの最大の特徴は何か?」。このように研修医に質問すると、「頭を動かしたときに増悪するめまい」と返答があることが多いですが、これは違います! BPPVの正式名称が「良性発作性頭位めまい症」ですから、頭位が最大の特徴と思いがちですがそうではありません。前庭神経炎によるめまい、脳梗塞によるめまい、薬剤に伴うめまいも頭位を変換させれば症状は増悪するでしょう。最大の特徴、それは「持続時間」です。BPPVによるめまいは、安静にしていれば1分以内に治まります。耳石がぐわんぐわんと動いているのが原因ですから、その動きが横になるなど一定の姿勢をとり、止まることで症状も治まります。前庭神経炎や脳梗塞によるめまいは、症状の増悪はあってもゼロになることはありません。最も楽な姿勢をとってもめまいが持続していれば、その時点でBPPVではないのです。持続時間の確認の仕方持続時間はどのように確認するべきでしょうか? 患者さんに「症状はどれぐらい続きますか」と聞いてはいませんか? このように聞くと、たとえBPPVの患者さんであっても、「ずっと続いています」と答えることがあります。なぜだかわかりますか? BPPVは、安静にするとすぐに治まる、しかし動くと潜時を伴って、また、めまいが生じるという経過を辿ります。症状が治まり大丈夫かと思い動いたにも関わらず、再度症状を認めるため、患者さんは症状が続いていると訴えるのです。そのため、1回1回のめまいの持続時間に注目して聞くようにしましょう。「1回1回のめまいは横になるなど一定の姿勢をとると1分以内に治まりますか? そして、動くとまた始まる、そんな感じでしょうか?」と聞くと、BPPVの患者さん達は「そうそう」とよくぞわかってくれたといった反応を示すことが多いでしょう。安静時の所見に注目BPPVは安静時には耳石が動かないため症状も治まっています。眼振も認めません。救急外来でしばしば経験するのは、ストレッチャー上で右側臥位や座位で安静にしているときには、けろっとしている、そんな感じです。たとえ症状が軽そうで、安静にしているにも関わらず症状が持続している場合には、その時点でBPPVではありません。前庭神経炎を事前の感染徴候の有無で判断している場面に時々遭遇しますが、存在するのは50%程度と言われています。前庭神経炎かBPPVかは、めまいが持続しているか否か、特徴的な眼振の存在で判断しなければなりません。次回後編では、めまいの実践的なアプローチに関してお話します。1)坂本壮. 救急外来ただいま診断中. 中外医学社;2015.2)坂本壮. プライマリ・ケア. 2020;5:21-27.

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第27回 ANOVA(Analysis of Variance)とは? その1【統計のそこが知りたい!】

第27回 ANOVA(Analysis of Variance)とは? その1前回第26回では、多重比較法の1つとしてボンフェローニを解説しました。多重比較では、いくつかの手法の組み合わせを行いますが、最初に行われるのが「分散分析」(Analysis of Variance:ANOVA)です。分散分析は3群以上の集団の平均値に違いがあるかどうかを、データを変動させる要因、つまり「分散(バラツキ)」の大きさの違いで調べます。今回は文献でもなじみ深い「ANOVA」について紹介・解説します。■t検定とANOVAの違いt検定とANOVAの違いは「扱う群の違い」です。t検定は2群間の比較の検定ですが、ANOVAは3群以上の比較に使う検定です(図1)。図1 多群比較で使われる検定画像を拡大するANOVAとは「分散分析法」のことです。分散分析には、一元配置法、二元配置法などいくつかの手法があります。では、2つのテーマを示します。(1)薬剤の違いが薬剤の効果に影響するか(2)薬剤の違いと被験者の年齢の2つの要素が薬剤の効果に影響するか要素は、(1)では「薬剤」の1つ、(2)では「薬剤」と「年齢」の2つです。(1)の分析を一元配置法、(2)の分析を二元配置法といいます。一元配置分散分析法のことを、“One-way Factorial Analysis of Variance”と言います。■分散分析:比べるのはそれぞれの群の平均値分散分析は、分散を分析するのではありません。分散を用いて3つ以上の群(3つの薬剤別)の効果の平均値を解析し、3つの薬剤による効果が母集団においてもあるか否かを把握します(図2)。図2 分散分析の事例なぜ、各群の平均の比較なのに分散分析と言うのか。その理由は「分散(=データのバラツキ)を2つに切り分けて評価する分析」なので「分散分析」と呼称されます。■2つのバラツキとはデータ全体のバラツキの中には次の2つがあります。(1)薬剤X、Y、Zの違いによるバラツキ(群間のバラツキ)(2)同じ薬剤の中での効果の違いによるバラツキ(群内のバラツキ)(1)の群間のバラツキ(群間変動)と(2)の群内のバラツキ(群内変動)の大きさを比較します。(1)の群間変動が大で、(2)の群内変動が小なら「3つの薬剤の効果に違いがある」、(1)の群間変動が小で、(2)の群内変動が大なら「3つの薬剤の効果に違いがあるかどうかわからない」という結論を出します。図3 群間のバラツキの事例画像を拡大するこのように分散分析法は、データの持っている全体のバラツキ(変動)を、群間のバラツキ(群間変動)と群内のバラツキ(群内変動)に分けて、3つの薬剤別の効果を調べることです。データの全体変動を群間変動や群内変動に分けることを「変動の分解」といいます。第28回では、どのような方法で変動を分解するのかを解説します。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決!一問一答質問6 比較する群が3つ以上ある場合の母平均の差の検定方法は?(その1)質問6(続き) 比較する群が3つ以上ある場合の母平均の差の検定方法は?(その2)質問25 F検定とは?

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ヨーロッパの空手【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第13回

東京でのオリンピック、パラリンピック、延期になっちゃいました…。今回は「空手」が初の競技種目に選ばれて、期待していただけに今後の動向が気がかりです。タイトルでガッツリアピールしていますが、私も学生時代から空手をやっています。大学6回生のときに、フランスの世界大会と台湾のアジア大会の代表に選出され、大学に休学届を出したことがあります。どうしても1年、「本気で空手で勝負してみたい」と突っ走った結果です。ですが、休学の意向を学生課に伝えた、まさにその日の午後に、当時アジアを中心に流行していた重症急性呼吸器症候群(SARS)のために、上記の大会が中止になったと連絡を受けました。慌てて学生課に休学の撤回を申し出たら、まだ書類は学生課で止まっていて、何とか差し止めることができました。まあ、結局は学外病院実習先などに多大な迷惑をかけることになりましたが。今思い出しても、申し訳なさと恥ずかしさで布団の中に潜り込みたくなるような思い出です。当時の私はいろんな意味でギリギリであり大学に戻り、(たくさんの人にコッテリ絞られましたが…)留年することなく無事医師になることができました。しかし、もう引き返せないところまで追い込まれた状態でオリンピックが延期になって、その開催すら危ぶまれている中、モチベーションを切らさずに準備をしている選手たちのことを思うと胸が苦しい気持ちになります。ヨーロッパのアスリートも魅了される空手空手は日本の沖縄が発祥とされています。ですが、今や空手は世界中に広がり、「空手母国日本」と言えど、世界で勝つことは簡単ではなくなっています。実はヨーロッパでも空手は盛んで、ここドイツでも至る所に空手道場があり、たくさんの愛好者が汗を流しています。その他もフランスやスペイン、イタリアなども強く、いつもメダル争いに絡んできます。現在の空手競技はヨーロッパが中心と言っても過言ではありません。下の画像はミュンヘンで通っていた道場です。現役ヨーロッパチャンピオンも在籍していました。そんなドイツの空手界で長く君臨し続けている一人の空手家が“Ilja Smorguner”です。マイナー競技の空手なので、知っている人は極めて少ないと思いますが…。もう10年以上、世界大会の上位常連として空手雑誌でもしょっちゅう写真で登場する選手です。下のツーショット、左が私で、右がIljaです。念のため。ず~っと世界のトップ選手でやってきた彼も今年で36歳。引退しないの? の質問に、「やっぱオリンピック出たいしね。無理してでも」とのことでした。一流アスリート達が人生を懸けて挑むオリンピック…ですが、今年はそれどころじゃないかな~。せめて来年、オリンピックが開催できるようになっていることを、心から願っています。

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リナグリプチンの心血管・腎の安全性/日本ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、心血管疾患の既往もしくは心血管イベントリスクのある、アジアの早期成人2型糖尿病患者を対象としたCAROLINA試験のサブグループ解析の結果を発表した。 発表によれば、本解析においてグリメピリドと比較し、リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)は心血管疾患の既往もしくは心血管イベントリスクのあるアジアの早期成人2型糖尿病患者において心血管リスクを増加させないことが明らかになった1)。 また、心血管や腎イベント、またはその両方のリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象としたCARMELINA試験とともに、アジアの幅広い2型糖尿病患者におけるリナグリプチンの心血管および腎の安全性のプロファイルが示された2)。CAROLINA試験でリナグリプチンの安全性を評価 世界に糖尿病患者は約4億6,300万人おり、うち半数以上の2億5,100万人が東南アジアと西太平洋地域の患者と推定されている。糖尿病治療の目標は、合併症を予防し、健康人と変わらないQOLの維持、寿命の維持とされている中で合併症の進展防止は大きな課題となっている。 今回発表されたCAROLINA試験は、成人2型糖尿病患者において、リナグリプチンとグリメピリドを比較する心血管アウトカム試験で、43ヵ国600以上の施設から6,033人が参加し、中央値6年以上にわたり観察を行う多施設共同無作為化二重盲検実薬対照試験。心血管疾患の既往もしくは心血管イベントリスクのある、成人2型糖尿病患者に対するリナグリプチン(5mgの1日1回投与)の心血管安全性への影響について、SU薬のグリメピリドを対照として評価することを目的として計画されている。 この試験のサブグループ解析では、全参加者の15.5%にあたるアジアの成人2型糖尿病患者933人が解析対象とされた。その結果、リナグリプチン投与群では、グリメピリド投与群と比較して、低血糖の発現率が低値だった。すべての重症度分類の低血糖の発現率は、グリメピリド投与群の42.1%に対し、リナグリプチン投与群では13.1%。リナグリプチン投与群では、グリメピリド投与群と比較して、体重の増加は認められず、グリメピリド投与群との体重差の平均値は-1.82kgだった。 また、リナグリプチンは長期安全性に関する包括的な臨床データとして、本試験とCARMELINA試験の2つの心血管アウトカム試験のエビデンスを有している。 CARMELINA試験は、心血管イベントあるいは腎イベント、またはその両方のリスクが高い成人2型糖尿病患者において、リナグリプチンの心血管および腎アウトカムへの影響を評価する試験で、27ヵ国600以上の施設から成人2型糖尿病患者6,979人が参加し、中央値2.2年にわたり観察を行う多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験。この試験でも心血管イベントあるいは腎イベント、またはその両方のリスクが高いアジアの成人2型糖尿病患者において、リナグリプチンがプラセボに対して心血管および腎イベントのリスクを増加させないことが示された。そして、これらの結果は、CARMELINA試験の全体集団の結果と一貫していた。リナグリプチンの特徴 成人2型糖尿病患者での血糖降下作用をもつ、1日1回投与のDPP-4阻害薬。年齢、罹病期間、人種、BMI、肝機能および腎機能に関係なく、同一用量で成人2型糖尿病患者に処方ができる。本剤は、すべてのDPP-4阻害薬の中で最も低い腎排泄率を示している。なお、本剤は、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーのアライアンスによって開発・販売されている。

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セロトニン5-HT2B拮抗作用と選択的セロトニン再取り込み阻害作用の影響

 これまでの研究では、抗うつ作用に対するセロトニン2B(5-HT2B)受容体の関与が示唆されている。アリピプラゾールは、治療抵抗性うつ病に対し選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)との併用で有効性が認められており、すべての受容体のうち5-HT2B受容体への親和性が最も高い薬剤である。しかし、治療抵抗性うつ病の補助療法において5-HT2B受容体拮抗作用の潜在的な影響はあまり知られていなかった。カナダ・オタワ大学のRami Hamati氏らは、SSRI存在下における5-HT2B受容体拮抗作用の神経ニューロンに対する影響を検討した。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2020年5月30日号の報告。 麻酔後のSprague-Dawleyラットに5-HT2B受容体リガンドを単独またはSSRI(エスシタロプラム)との組み合わせで投与し、腹側被蓋野(VTA)のドパミンニューロン、背側縫線核(DRN)のセロトニンニューロン、内側前頭前野(mPFC)および海馬の錐体ニューロンのin vivo電気生理学的記録を行った。 主な結果は以下のとおり。・5-HT2B受容体の発火活性ではなく、SSRI誘発のドパミン減少は、選択的5-HT2B受容体拮抗薬(LY266097)の2日間併用投与により回復した。・mPFCにおいて、SSRIの14日間単独投与では錐体ニューロンの発火やバースト活性に影響を及ぼさなかったが、アリピプラゾールを単独またはSSRIとの組み合わせで14日間投与すると、錐体ニューロンの発火やバースト活性の増加が認められた。・LY266097の14日間単独投与または14日間のうち最後の3日間にSSRI追加投与では、錐体ニューロンの発火やバースト活性の増加が認められた。・これらの結果は、5-HT2B受容体が少なくとも部分的に、この増強に関与していることを示唆している。・海馬では、BW723c86による5-HT2B受容体の活性化が、SSRIによるセロトニン再取り込み阻害を減少させたが、5-HT2B受容体拮抗薬により回復した。 著者らは「5-HT2B受容体拮抗作用は、SSRIで治療中のうつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法の治療効果に寄与すると考えられる」としている。

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重症大動脈弁狭窄症の弁置換術、Portico弁vs.既存弁/Lancet

 外科的人工弁置換術ではリスクが高く、臨床的に経カテーテル大動脈弁置換術が適応の重症大動脈弁狭窄症患者の治療において、弁輪内自己拡張型Portico弁(Abbott製)は市販の弁輪内バルーン拡張型弁または弁輪上自己拡張型弁と比較して、安全性および有効性の複合エンドポイントはそれぞれ非劣性であるが、30日時の死亡や重度血管合併症の頻度が高い傾向がみられることが、米国・シダーズ・サイナイ医療センターのRaj R. Makkar氏らが行ったPORTICO IDE試験で示された。この結果には、試験期間の前半における新規デバイスへの習熟度が関連している可能性があるという。Portico経カテーテル大動脈弁システムは、ウシ心膜組織の弁尖を有する自己拡張型経カテーテル心臓弁で、植込み部位での完全なリシース(弁を送達カテーテルに戻す)とリポジション(弁の再留置)が可能であるため、留置の正確性が改善されるという。Lancet誌オンライン版2020年6月25日号掲載の報告。市販の弁に対する非劣性を検証する無作為試験 本研究は、外科的人工弁置換術ではリスクが高く、臨床的に経カテーテル大動脈弁置換術が適応の重症大動脈弁狭窄症患者において、Portico弁と市販(FDA承認済み)の経カテーテル心臓弁システムの安全性と有効性を前向きに比較する無作為化対照比較非劣性試験である(Abbottの助成による)。 対象は、年齢21歳以上、NYHA心機能分類クラスII以上で、各施設の集学的ハートチームによって、外科的人工弁置換術では術後の死亡や重篤な合併症のリスクが高い、またはきわめて高いと判定された重症大動脈弁狭窄症患者であった。 被験者は、第1世代のPortico弁とその送達システム、または既存の市販弁(弁輪内バルーン拡張型のEdwards-SAPIEN、SAPIEN XT、SAPIEN 3弁[Edwards LifeSciences製]、または弁輪上自己拡張型のCoreValve、Evolut R、Evolut PRO弁[Medtronic製])を用いた経カテーテル大動脈弁置換術を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 安全性の主要エンドポイントは、30日以内の全死因死亡、後遺障害を伴う脳卒中、輸血を要する重篤な出血、透析を要する急性腎障害、重度血管合併症の複合とした。また、有効性の主要エンドポイントは、1年以内の全死因死亡または後遺障害を伴う脳卒中であった。最長2年までの臨床アウトカムなどの評価も行った。非劣性マージンは、安全性の主要エンドポイントが8.5%、有効性の主要エンドポイントは8.0%だった。次世代Portico弁の臨床試験が進行中 登録の中断を挟み、2014年5月30日~9月12日と、2015年8月21日~2017年10月10日の期間に、米国とオーストラリアの52施設で750例が登録され、Portico弁群に381例、市販弁群には369例が割り付けられた。全体の平均年齢は83(SD 7)歳、女性が395例(52.7%)であった。 30日時の安全性の主要エンドポイント(intention to treat[ITT]解析)の発生率は、Portico弁群が52例(13.8%)と、市販弁群の35例(9.6%)より高く、非劣性の基準を満たしたが、優越性は認められなかった(群間差:4.2%、95%信頼区間[CI]:-0.4~8.8[信頼区間上限値:8.1]、非劣性のp=0.034、優越性のp=0.071)。30日時の全死因死亡(3.5% vs.1.9%)、後遺障害を伴う脳卒中(1.6% vs.1.1%)、重篤な出血(5.9% vs.3.8%)、急性腎障害(1.1% vs.0.8%)、重度血管合併症(9.6% vs.6.3%)は、Portico弁群で高い傾向がみられたが、有意な差はなかった。 1年時の有効性の主要エンドポイント(ITT解析)の発生は、Portico弁群が55例(14.8%)、市販弁群は48例(13.4%)であり、Portico弁群は非劣性の基準を満たしたが、優越性は示されなかった(群間差:1.5%、95%CI:-3.6~6.5[信頼区間上限値:5.7]、非劣性のp=0.0058、優越性のp=0.503)。 2年時の全死因死亡(Portico弁群80例[22.3%]vs.市販弁群70例[20.2%]、p=0.40)および後遺障害を伴う脳卒中(10例[3.1%]vs.16例[5.0%]、p=0.23)の発生率は、両群で類似していた。また、事後解析では、Portico弁群の2年死亡率は、SAPIEN 3弁より高く(18例[22.7%]vs.30例[15.6%]、p=0.03)、Evolut RやEvolut PRO弁と類似していた(28例[26.1%]、p=0.54)。 1年時の中等度以上の弁周囲逆流(21例[7.8%]vs.4例[1.5%]、群間差:6.3%、95%CI:3.0~10.3[信頼区間上限値:9.2%]、非劣性のp=0.571、優越性のp=0.0005)や、30日時の恒久的ペースメーカー植込み術(88例[27.7%]vs.35例[11.6%]、16.1%、10.0~22.2、p<0.001)の発生率は、Portico弁群で高かった。 著者は、「今回の試験では、第1世代Portico弁と送達システムの、他の市販の人工弁を超える利点は示されなかった。一方、第1世代Portico弁と新たなFlexNav送達システムの単群試験では、安全性アウトカムの向上が確認されており、現在、次世代Portico弁と送達システムの臨床試験が進められている」としている。

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肺炎小児へのアモキシシリン推奨は妥当か/NEJM

 5歳未満の非重症肺炎小児の治療において、治療失敗の頻度はアモキシシリンよりもプラセボのほうが高く、この差はプラセボの非劣性マージンを満たさないことから、現在の世界保健機関(WHO)の推奨は有効であることが、パキスタン・アガカーン大学のFyezah Jehan氏らが実施した「RETAPP試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年7月2日号に掲載された。WHOは、頻呼吸を伴う肺炎患者に経口アモキシシリンを推奨している。一方、この病態の治療にアモキシシリンを使用しなくても、使用した場合に対して非劣性である可能性を示唆するデータがあるという。プラセボを試験レジメンとする無作為化非劣性試験 研究グループは、パキスタン・カラチ市のHIV感染がなく、マラリアの発生率が低い低所得地域の1次医療施設を受診した小児を対象に、頻呼吸を伴う肺炎の管理におけるプラセボのアモキシシリンに対する非劣性を検証する目的で、二重盲検無作為化対照比較試験を行った(英国国際開発省、英国医学研究評議会[MRC]、ウェルカム・トラストの共同グローバルヘルス試験計画[JGHT]などの助成による)。 対象は、頻呼吸を伴う非重症肺炎がみられ、WHOの基準を満たす生後2~59ヵ月の患児であった。被験者は、アモキシシリンシロップ(実薬対照)またはプラセボ(試験レジメン)を投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 アモキシシリンは、WHOの総合的小児疾患管理(WHO-IMCI)の体重別の用量に従って、3日間投与された(体重4~<10kg:500mgを12時間ごと、10~<14kg:1,000mgを12時間ごと、14~<20kg:1,500mgを12時間ごと)。14日間のフォローアップが行われた。 主要アウトカムは、3日間の投与期間中の治療失敗とした。治療失敗は、患者が死亡またはWHOの定義による危険な徴候や下部胸壁の陥凹が発生した場合、患者が入院した場合、新規感染症や重篤な有害事象のため担当医が試験薬を変更した場合とされた。事前に規定された非劣性マージンは1.75ポイントだった。PP解析とITT解析で、ほぼ同様の結果 2014年11月9日~2017年11月30日の期間に、4,002例が無作為化され、プラセボ群に1,999例(平均年齢16.5±13.9ヵ月、男児53.9%)、アモキシシリン群には2,003例(16.4±14.0ヵ月、51.1%)が割り付けられた(intention-to-treat[ITT]集団)。このうち、プラセボ群の1,927例(96.4%)およびアモキシシリン群の1,929例(96.3%)がper-protocol(PP)解析に含まれた。 PP解析では、治療失敗はプラセボ群が1,927例中95例(4.9%)、アモキシシリン群は1,929例中51例(2.6%)で発生した(群間差:2.3ポイント、95%信頼区間[CI]:0.9~3.7)。非劣性マージンを超えていることから、プラセボ群のアモキシシリン群に対する非劣性は示されなかった。この95%CIは、アモキシシリン群の優越性を示唆するものであった。ITT解析でも、同様の結果だった(4.8% vs.2.5%、群間差2.3ポイント、95%CI:0.9~3.6)。 探索的解析では、アモキシシリン群はプラセボ群に比べ治療失敗のリスクが低かった(オッズ比[OR]:0.52、95%CI:0.37~0.74)。治療失敗の他の独立の予測因子として、呼吸数(45回/分以上)、喘鳴、発熱、発熱の既往歴、下痢の既往歴、室内空気の質の悪さが挙げられた。 14日目までに、再発はプラセボ群40例(2.2%)、アモキシシリン群58例(3.1%)で認められた(平均群間差:0.9ポイント、95%CI:-2.1~0.3)。3日目までに、有害事象はプラセボ群63例(3.3%)、アモキシシリン群43例(2.2%)で発現した(1.0ポイント、-0.2~2.2)。両群1例(<0.1%)ずつが死亡した。また、1件の治療失敗の予防に必要な治療数は44例(95%CI:31~80)だった。 著者は、「これらの知見は、現行のWHOの推奨が妥当であることを示唆する」とまとめ、「1件の治療失敗を防ぐのに必要な治療数(44例)は比較的高く、この数値は多くの小児は抗菌薬の投与が不要である可能性を示唆するが、その一方で抗菌薬治療を必要とする重症のサブグループも存在する。これらを判別して標的治療を行うことで、不必要な抗菌薬使用を抑制できると考えられる」と指摘している。

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アトピーの「痒み」に対するnemolizumabの有効性、第III相試験で確認/マルホ

 マルホ株式会社(大阪市、代表取締役社長:高木 幸一)は7月9日、中等度~重度のアトピー性皮膚炎に伴うそう痒を対象に、国内で実施したnemolizumabの第III相臨床試験の結果、主要評価項目である投与開始16週後のそう痒VAS変化率が、プラセボ群と比べ有意に低下させたことを発表した。本結果はThe New England Journal of Medicine誌オンライン版2020年7月9日号に掲載された。 nemolizumabは、中外製薬が創薬した抗IL-31レセプターAヒト化モノクローナル抗体。IL-31は、そう痒誘発性サイトカインで、アトピー性皮膚炎、結節性痒疹および透析患者におけるそう痒発生に関与していることが報告されているほか、アトピー性皮膚炎の炎症惹起および皮膚バリア機能の破綻についても関与が示唆されている。同薬は、IL-31とそのレセプターの結合を競合的に阻害することで、IL-31の生物学的作用を抑制する。2016年9月、マルホ株式会社が皮膚科疾患領域における国内ライセンス契約を締結している。 本試験について、論文の筆頭著者である椛島 健治氏(京都大学大学院医学研究科 皮膚科学教室教授)は、「アトピー性皮膚炎の患者さんは、かゆみによる仕事や学業における集中力の低下や睡眠障害などのQOL低下に苦しんでいる。本試験は、アトピー性皮膚炎の患者さんとその家族の苦しみ、そしてアトピー性皮膚炎がもたらす社会的損失の軽減につながる可能性がある」と述べている。

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緑茶は乳がんの予防になる?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第166回

緑茶は乳がんの予防になる?ぱくたそより使用最近緑茶にハマッてまして、個人的にもいろいろ調べているんです。緑茶って万物の長かっていうくらいたくさんの臨床試験が実施されています。PubMedで「Green Tea」で検索してみてください。恐ろしい数の文献がヒットしますから。もちろん、論文の質自体は玉石混交なのですが、乳がんに対するメタアナリシスを報告したのがこちら。Yu S, et al.Green tea consumption and risk of breast cancer: A systematic review and updated meta-analysis of case-control studies. Medicine (Baltimore). 2019 Jul;98(27):e16147. doi: 10.1097/MD.0000000000016147. なんでもかんでも論文を登録するとワケがわからなくなるので、オッズ比やリスク比を報告している中国語か英語の症例対照研究で、緑茶と乳がんリスクの低減効果を調べたものを対象としました。14研究がメタアナリシスの選択基準を満たし、計1万4,058人の乳がん患者と1万5,043人の対照被験者が登録されました。結果、緑茶を飲む習慣のある個人は、将来の乳がんリスクと負の関連があることが判明しました(オッズ比:0.83、95%信頼区間:0.72~0.96)。ただ、異質性がかなり高いことが、本メタアナリシスのリミテーションです(P<0 .00001、I2=84%)。Newcastle-Ottawa Scale(NOS)、研究実施地域、登録患者数などで層別化したサブグループ解析でも、同様の結果が得られました。なお、日本の乳診療ガイドライン1)においては、「これまでの研究結果にばらつきがあり、近年の信頼性の高い論文はその関連を否定するものが多く、日本人の研究に限ってもそれは同様である。以上より、緑茶の摂取が乳発症リスクを減少させるかどうかは、結論付けられないと判断した。」と記載されており、今回のメタアナリシスが、今後のガイドラインに影響を与えるのかどうかは不明です。いずれにしても、保護的な効果は臨床で実感するほどのものではないと確信しています。1)日本乳学会. 乳診療ガイドライン.

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第14回 日医8年ぶりのトップ交代、診療報酬のツケが行く手を阻む?

「人が決まって嘘をつく時。それは狩りの後、戦争の最中、そして選挙の前」といったのは世界史の教科書で『鉄血宰相』の異名でも取り上げられるドイツのオットー・フォン・ビスマルクである。先日の東京都知事選で圧勝した現職が前回選挙時の公約実現率ほぼゼロという現実は、まさにこの言葉を体現したとも言えるが、それ以上に今回の結果は、今から10年以上前の同選挙のある候補が金切り声をあげて政見放送で言った「所詮選挙なんか多数派のお祭りに過ぎない」との言葉を体現した、といったほうが良いかもしれない。そんな白けた選挙の直前には手に汗握る極めて興味深い選挙があったことは、このサイトの読者ならばよくご存じだろう。日本医師会(日医)会長選挙である。結果は、5選目を目指した横倉 義武氏が174票、これに挑んだ中川 俊男氏が191票。中川氏側から9票動けば横倉氏の勝利となっていたわけだから、ボクシングでいうところのスプリット・デシジョン*である。だが、この近年まれに見る接戦となった会長選挙の結果は、今後日医という組織に瞬殺のアッパーカットのような強烈なダメージを与える可能性がある。*:ボクシングの試合判定で、3人の判定が2対1に分かれること既に各所で報じられているように当初、横倉氏は中川氏に会長職を禅譲する予定だったが、中川氏に代替わりすることを懸念した政治・官僚サイドが横倉氏を慰留。結果、横倉氏が翻意したが、こうした横倉氏の姿勢や官邸・自民党と距離の近さゆえ、政治と妥協的姿勢を図ることへの嫌悪が中川氏が接戦を制した要因と分析されている。中川氏の会長当選後の第一声が「国民の健康と命を守るためならどんな圧力にも決して負けない、そして堂々とものを言える新しい日本医師会に変えていこうと思っている」だったのも、この勝因を意識したものに映る。中川氏側だったある日医の代議員は次のように語る。「横倉会長時代の診療報酬改定では本体は常にプラスだったが、実際のところそのほとんどが0.5%前後。原中 勝征会長時代とは比べ物にならず、結果として現場の運用次第ではマイナスだった」どうやらこの代議員の頭にあるのは、横倉氏の前任だった原中会長時代の2010年度改定の本体改定率1.55%プラス、2012年改定の本体改定率1.379%プラスという数字らしい。しかし、当時の状況を知る人からすれば、この数字こそ異例というのが正しい認識なはずだ。そもそもこの2回の改定時は旧民主党政権時のこと。「聖域なき構造改革」を掲げた自民党・小泉 純一郎政権下での2006年の診療報酬・介護報酬同時改定時の本体1.36%マイナスに対する政治的アンチテーゼとして行われたのが2010年、2012年のプラス改定である。その意味では2018年の診療報酬・介護報酬同時改定時は将来の財源不安なども考慮すれば、本体マイナス改定が必至の情勢で、財務省もそこにはギリギリまでこだわった。にもかかわらず、この時0.55%プラスでおさまったのは、「勝つには勝つが、一人勝ちはしない」という「横倉マジック」で無い袖を振らせた結果だった。逆に言えば、本来マイナスすべきだったツケがたまっているのが現下の状況とも言える。しかも、2025年の地域包括ケア完成に向けて、残すところは2022年の診療報酬改定、2024年の診療報酬・介護報酬同時改定の2回しか残されていない。日医が「堂々とものを言う」方法を間違えれば、財源論と世論を味方に本体マイナス改定という「伝家の宝刀」が抜かれる可能性は否定できない。このように言うと、「日医の集票力を自民党も無視はできない」としたり顔で口にする面々が登場する。戦後、日医会長として25年の長期政権を維持した武見 太郎会長時代は「医師のかばんの中には10票が入っている」と言われ、日医の組織内候補への集票力は100万票超と称されてきた。しかし、その集票力はもはや蜃気楼である。2019年参議院選挙(参院選)で日医組織内候補だった自民党の羽生田 俊議員(元日医副会長)の得票は15万2,807票。日本看護協会、日本薬剤師会の組織内候補よりも得票数は下回り、2013年参院選に初当選した時の24万9,818票から大きく減らした。そもそも日医は2000年代半ばごろからは、病院建設などで激しく対立してきた徳洲会関係者から全国比例区で3~4万票分の支援を受けてもいる。旧民主党政権への失望から国政選挙で保守系野党の得票が伸び悩み、なんとなく空気で自民党が大勝を続ける今、17万人超の会員平均1票にも満たない日医の集票力はとても政治的山を動かせる原動力にはなり得ないのが現実だ。実際、今回の日医選挙の結果に永田町界隈では「中川会長のお手並み拝見」とのささやきも聞かれる。つまるところ、舌鋒の鋭さで知られる中川会長率いる日医の新執行部の言動が傍目に「欲張り村の村長」にしか見えない状況が続くようになれば、巨大なブーメランの直撃を受ける可能性は少なくないといえる。

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循環器内科専門医の私が内科レジデントからの再スタートを決意できた理由【臨床留学通信 from NY】第9回

第9回:循環器内科専門医の私が内科レジデントからの再スタートを決意できた理由こちらニューヨークは、今回のCOVID-19で未曾有の感染者と死亡者を出し、私もここ数ヵ月はコロナ対応に日夜追われていました(ぜひ本連載の番外編をご覧ください)。収束にはまだしばらく時間を要する状況ですが、いずれコロナが落ち着いたら、再び米国への臨床留学を志す方もいらっしゃるであろうことを考え、引き続き本連載で私自身の留学までの道のりをご紹介したいと思います。レジデントからのスタートも受け入れられるようになった理由とは?私は2006年に医学部を卒業し、09年に一念発起して臨床留学したいと思い至り、臨床の合間を縫って地道に勉強を続けた結果、卒後5年経った11年3月にECFMG certificateを取得しました。しかし、直後に赴任した病院で、私の専門であるカテーテル治療が学べることもあり、そのまま臨床と論文執筆に注力して数年が過ぎていきました。この間、専門医や学位を取得し、充実した日々を送っていましたが、17年夏になり、再び留学に向けて動き出すことを決意しました。なぜか? それは、カテーテル治療医としてある程度の修練を積んだという手応えがあり、逆説的ですが、初心に戻って米国のECFMG certificateを生かすならレジデントからの留学でも構わないという覚悟ができたからです。しかし、ここで大きな問題がありました。すでにその時点で卒後12年目だったのですが、卒後年数が経過しているIMG(International Medical Graduate:外国での医学部卒業生)のマッチングは相当不利、というより、ほぼ確率的に無理という現状でした。その事実を全く知らなかったため、決意したものの早々に厳しい現実を突き付けられました。そこで、6年ぶりに東京海上日動メディカルサービス主催のN program でアドバイザーを務める西元 慶治先生を訪ね、改めて留学したい旨を相談しました。N programは、米国の教育病院の臨床医学レジデンシー・プログラムに日系の若手医師を派遣する民間のプログラムで、30年近い実績があります。N programは、独自の1次面接および2次面接があり、まずはこの年の9月に実施される1次面接に向けて準備に入りました。同時に、ERAS(electronic residency application service)というサイトにPersonal Statement、推薦状、CV(履歴書)などのアップロードも必要な準備です。また、出身医学部にMSPE (medical student performance evaluation)という書類を作成してもらわなければなりません。経験を積んだ年数はプラスになる?それとも足かせ?N programの1次面接の準備で重要なのは、TOEFLとPersonal Statementです。TOEFLは、アメリカの大学で授業を受けるために必要な英語力が要求され、単語や内容もかなり特殊で私は苦手でした(試験対策には、旺文社の『英単語3800』を使用しました)。プログラムが求めるレベルは100点/120点満点でしたが、最終的に92点止まりでした。しかしながらTOEFL試験はよくできた試験で、客観的に英語力を測るにはうってつけであり、英語力向上の良い目標になります。Personal Statementについては、自分が何をしてきていて、何がしたいのかを見つめ直し、伝えるためのもので、実際に面接でも聞かれることがあります。私の場合、大きく3つの項目を挙げ、自分のしたいことを、(1)臨床研究(2)医学教育(3)先進的なStructural heart diseaseのinterventionとしました。書類やネット上の申請は煩雑で、自分だけではわからないことも多く、大学の後輩でひと足先に現地で働いていた山田 悠史先生にも多くの面で助けてもらいました。書類を揃えた後、面接を受けたい病院を100件以上申し込むのですが、私の場合、卒後年数がかなり経過している上、USMLEの点数や強力なコネクション(月単位での長い実習期間など)ないことから、1件もインタビューに呼ばれないという絶望的な状況に追い込まれました。やはり、レジデンシーをしたい場合は卒後5年前後まで、およびUSMLEの高得点が必要なんだと改めて痛感しました。そうなると、あとはN programだけが頼りでした。6年越しに受けたN programの1次面接では、英語力にさほどの進歩がなかったのですが、Personal Statement等は6年の回り道で得た臨床・研究の経験が功を奏したのか、何とか突破することができ、2次面接となりました。2次面接はプログラムディレクターとの面接です。当然、英語での面接なので、言いたいことを文章にして用意し、ある程度暗記して臨みました。面接の焦点となったのは「医師の経験年数が10年を超えてからレジデントをやるメリットは?」ということでしたが、そこに関しては「研究と教育です」と押し切りました。最終的に、多少の臨床研究の実績が考慮されたのか、何とか2018年3月にマッチとなり、採用してもらうことができました。留学しようと決意し、USMLEの勉強を始めてから9年近く経過しており、決まった瞬間は本当に感無量でした。Column画像を拡大するこちらニューヨークは、コロナがだんだんと落ち着き、平常運転になりつつあります。外来も急遽、Tele Medicine/Video Visitが始まりつつも、Face to Faceの外来も再開しています。2021年のFellowshipのapplyもほぼ通常の日程で始まり、Residentのapplyの時と同じように、3年越しでまた書類を揃えていく作業を進めています。3年前はまさに“惨敗”でしたが、今回はいかに…?

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アルコール摂取と自殺リスク~メタ解析

 アルコール摂取はいくつかのアウトカムと関連するが、その1つに自殺リスクの増加がある。イラン・Baqiyatallah University of Medical SciencesのSohrab Amiri氏らは、アルコール摂取と自殺との関連を明らかにするため、コホート研究のメタ解析を実施した。Journal of Addictive Diseases誌2020年4~6月号の報告。 コホート研究30件をメタ解析に含めた。分析は、変量効果モデルに基づき実施し、その後、さまざまな変数を基にサブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・分析の結果、アルコール摂取と自殺との関連が認められた。・アルコール摂取と自殺のリスク比(RR)は、1.65であった。・プールされたRRは、男性で1.56(95%CI:1.20~2.03)、女性で1.40(95%CI:1.11~1.77)であった。 著者らは「アルコール摂取は、自殺のリスク因子であることが示唆された。アルコール摂取の予防や抑制は、メンタルヘルスの促進に有効であると考えられる」としている。

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進行胃がんに対するレンバチニブ+ペムブロリズマブの効果(EPOC1706)/Lancet Oncol

 進行胃がん患者における、レンバチニブ・ペムブロリズマブ併用療法の有効性および安全性を評価する、単施設での第II相試験「EPOC1706試験」の結果が論文発表された。国立がん研究センター東病院の川添彬人氏らによる検討で、良好な安全性プロファイルと有望な抗腫瘍効果が認められたことを報告した。先行研究で、PD-L1陽性(CPS≧1以上)の進行胃がん患者において、抗PD-1抗体薬ペムブロリズマブは約15%の奏効率を示すことが報告されている。一方で、VEGF受容体および他の受容体チロシンキナーゼのマルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブは、腫瘍関連マクロファージの顕著な減少とCD8 T細胞浸潤の増加によりPD-1阻害薬の抗腫瘍活性を高めることが、in vivo研究で示されていた。Lancet Oncology誌オンライン版2020年6月23日号掲載の報告。 研究グループは、20歳以上の転移を伴う再発胃がん・胃食道接合部腺がん患者を対象に、レンバチニブ(20mg/日 連日)およびペムブロリズマブ(200mg/日 3週ごと)の併用療法を病勢進行、許容できない毒性の発現または同意撤回まで継続した。 主要評価項目は、奏効率(RECISTに基づく)で、1回以上治療を受けた患者を解析対象とした。 主な結果は以下のとおり。・2018年10月15日~2019年3月25日に、1次治療または2次治療として29例が登録された。・データカットオフ日(2020年3月20日)における追跡期間中央値は、12.6ヵ月であった。・29例中20例で奏効が得られ、奏効率は69%であった。・主なGrade3の治療関連有害事象は、高血圧症(11例、38%)、蛋白尿(5例、17%)、血小板数減少症(2例、7%)であった。・Grade4の治療関連有害事象、重大な治療関連有害事象および治療関連死亡は認められなかった。

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