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イベント不明を伴うメタアナリシスではIMORによる感度分析をすべきだろう(解説:折笠秀樹氏)-1282

 メタアナリシスをしようとすると、関連する臨床研究を検索し、各研究からイベント有無の数値を拾い出します。イベント有無の人数に加えて、イベント不明(欠損)が含まれていることがあります。1年内のイベントの有無を数えるとき、中途脱落例ではイベントの有無は不明となってしまいます。このイベント不明を「有」にするのか、「無」にするのか、それとも除外してしまうのか、迷うわけです。100件のメタアナリシス論文を見ると、「有」としたのが2%、「無」としたのが3%、除外したのが3%、残りの93%は不明でした。欠損があるとき、いろいろな埋め合わせを試してみて、結論の安定性を確かめるのが基本です。感度分析と言います。実際にはいろいろな埋め合わせはしてなかったわけですが、著者らはそれを試したのです。なお、「埋め合わせ」は通常語であり、統計用語は「補完」です。 100件のメタアナリシス論文は、すべて統計学的有意差がありました。これらに対して、9通りの埋め合わせを試しました。Best caseではイベント不明をすべて「無」に、Worst caseではすべて「有」としました。Best caseでは結果はさらに有意の方向へ、Worst caseでは非有意の方向へ動きます。それ以外に、イベントを有か無にする比を1.5:1、2:1、3:1、5:1とする埋め合わせも試しました。この比のことを、IMOR(Informative Missingness Odds Ratio)と呼びます。5:1とは何か。イベント不明があったら、「有」にするか「無」にするかの比を5:1にすることです。「有」と「無」の相反するものの比、それはオッズ比と言います。5:1では「有」にする確率が高いので、Worst caseに近いと言えます。逆に、1.5:1だとBest case寄りのわけです。1:1だと「有」にするか「無」にするかは五分五分なので、除外するのと同じになります。これらの欠損値埋め合わせオプションは、汎用ソフトである「Stata」に搭載されているようです。 結果ですが、IMORによる欠損値埋め合わせをすることによって、非有意方向へ変わるのが80%以上ありました。実際に非有意へ変わってしまった割合も、6%(IMOR=1.5:1)~22%(IMOR=5:1)ありました。これは大問題です。メタアナリシス研究の22%は誤りだったかもしれないのです。有意差というのが誤りであれば、読者にバイアスを与えていたことになります。イベント不明を伴うメタアナリシスでは、IMORなどによる感度分析をすべきと言えるでしょう。

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事例009 同一日院内処方 + 院外処方の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例の患者は、熱発をみとめ、早朝時間外の救急外来を受診し、いったん帰宅。同日の時間内に再受診をしていました。時間外では院内調剤にて1日分の処方があり、時間内では院外処方箋にて時間外と同一薬剤を4日分投与されていました。このうち、院内調剤に係る手技料一式が事由B「医学的に過剰・重複と認められるものをさす」の「重複」として査定になったものです。院外処方箋の発行と院内調剤の同時併用、または同日併用は、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合を除き、原則算定は認められません。やむを得ない場合には、その理由と日付をレセプトに補記して併用することができます。この場合は、院外薬局との関連性を明確にするため、院外処方箋を優先させて算定します。なぜならば、処方箋料には調剤料、処方料、調剤技術基本料が含まれており、重複算定はできないとされているからです。したがって、同日の院内調剤分の薬剤料のみを算定します。今回は、救急診療科と内科の両受診であったことで、異なる診療科であれば両方が算定できるものとして保険請求されたものです。しかしながら、病名が同じであり、処方内容に同一薬剤が含まれていたために、一連の診療とみなされて査定されたものと考えられます。レセプトチェックシステムのアラートに見直しをかけて防止策としています。

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ALK陽性肺がん、アレクチニブ1次治療の5年生存は6割超(ALEX)/Ann Oncol

 未治療進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とする、アレクチニブとクリゾチニブの有効性を比較した「ALEX試験」の最終解析結果が、中国・香港中文大学のT. Mok氏らにより報告された。同試験については、初回データカットオフ(2017年2月9日)時点で無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が示されていた。Annals of Oncology誌2020年8月31日号掲載の報告。 研究グループは、未治療のIII/IV期ALK陽性NSCLC患者を、アレクチニブ群(1回600mg、1日2回経口投与、152例)またはクリゾチニブ群(1回250mg、1日2回経口投与、151例)に無作為に割り付け、病勢進行、毒性発現、同意撤回または死亡まで投与を継続した。 主要評価項目は治験参加医師の評価によるPFS、副次評価項目は奏効率、全生存期間(OS)、安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・治験参加医師の評価によるPFSの中央値は、アレクチニブ群34.8ヵ月、クリゾチニブ群10.9ヵ月と、アレクチニブ群で有意に延長した(ハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.32~0.58)。・追跡期間中央値は、アレクチニブ群48.2ヵ月、クリゾチニブ群23.3ヵ月。OSイベントの発生が37%の時点でのOS中央値は、アレクチニブ群が未達、クリゾチニブ群は57.4ヵ月であった(層別化HR:0.67、95%CI:0.46~0.98)。・5年OS率は、アレクチニブ群62.5%、クリゾチニブ群45.5%であり、それぞれ34.9%、8.6%の患者が治療を継続していた。・OSに対するアレクチニブのベネフィットは、ベースラインで中枢神経系転移を有する患者(HR:0.58、95%CI:0.34~1.00)でも有していない患者(HR:0.76、95%CI:0.45~1.26)でも認められた。・治療期間中央値は、アレクチニブ群が長かった(28.1ヵ月 vs.10.8ヵ月)。・安全性に関する新たな所見は観察されなかった。

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COVID-19での嗅覚・味覚障害、アジア人と白人で3倍の差:メタ解析

 新型コロナウイルス陽性例ではかなりの割合で嗅覚・味覚障害が認められる。しかし、発現率は報告によって大きく異なり、その理由は不明である。米国・ネバダ大学リノ校のChristopher S. von Bartheld氏らは、系統的レビューとメタ解析を実施し、嗅覚・味覚障害の有病率について統合解析を行ったところ、白人がアジア人の3倍高いことがわかった。ACS Chemical Neuroscience誌オンライン版2020年9月1日号に掲載。COVID-19の嗅覚・味覚障害の有病率は白人54.8%、アジア人17.7% 著者らは、米国国立衛生研究所のCOVID-19ポートフォリオを検索し、COVID-19患者の嗅覚・味覚障害の有病率を報告した研究を調査した。3万8,198例を含む104件の研究を適格と判断し、系統的レビューとメタ解析を行った結果、推定ランダム有病率は、嗅覚障害が43.0%、味覚障害が44.6%、全体で47.4%であった。 また、年齢、性別、疾患重症度、人種による嗅覚・味覚障害の有病率への影響を調べたところ、高齢者、男性、重症者(入院患者)で有病率が低かった。人種による差が最も大きく、白人(54.8%)がアジア人(17.7%)の3倍であった。 著者らは、ウイルス変異株(D614G)では感染力が異なる可能性のほか、宿主側ではウイルス結合侵入蛋白の人種別の変異株が嗅上皮および味蕾へのウイルス侵入を促進する可能性を挙げ、「どちらもCOVID-19パンデミックにおけるウイルス感染力、診断、管理に大きな影響を与える」としている。

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気分変調症とうつ病を合併した患者に対する治療~メタ解析

 うつ病と気分変調症を合併した二重うつ病(Double depression:DD)は、あまり知られておらず研究も少ないが、臨床においてうつ病患者の間に広がっている。そのため、DDに対する治療の有効性を把握することは重要である。米国・ノートルダム大学のDavid G. May氏らは、DDに対する治療の有効性を明らかにするため、メタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2020年7月8日号の報告。 抗うつ薬を使用したうつ病治療に関する研究のメタ解析を実施した。データベースをシステマティックに検索し、選択基準を満たす11研究、775例の患者を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・薬物療法前後での抑うつ症状の差を示す全体的なエフェクトサイズは1.81(95%CI:1.47~2.16)であり、治療後にうつ病患者の抑うつ症状は有意な軽減が認められた。・調整分析では、集団サンプル内のDDの割合が高いほど、エフェクトサイズは小さかった。・本結果に、出版バイアスの影響は認められなかった。・不均一性が高いため、エフェクトサイズの変動性が示唆された。・関連データの不足により、治療結果に対する潜在的なモデレーターは解明できなかった。 著者らは「DDの治療に薬物療法は有効であると考えられるが、うつ病または気分変調症単独の患者と比較し、治療が困難な場合がある。確実な結論を導き出すためには、DDの治療に焦点を当てた大規模なランダム化対照研究が必要とされる」としている。

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乳がんに対するsiRNA核酸医薬候補、医師主導治験開始/がん研有明病院

 がん研究会有明病院は9月2日、東京大学医科学研究所らと共同研究を進めてきたsiRNA核酸医薬候補の乳がん治療薬(SRN-14/GL2-800)を用いて、医師主導治験(First In Human 試験)を開始したことを発表した。 SRN-14/GL2-800は、幹細胞関連転写因子であるPR domain containing 14 (PRDM14)分子に対する、キメラ型siRNAとそのナノキャリアーから構成される化合物。川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)、東京大学、東京大学医科学研究所が共同で開発した。 治療標的となるPRDM14分子は、人体のほぼすべての正常組織では発現がないことから、その発現を押さえても副作用が少ないと考えられる。一方で、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を含む乳がんの症例の半数以上で発現が高いことが明らかになっている。腫瘍組織以外では、胚性幹細胞と原始生殖細胞に一過性に発現することが知られている。PRDM14 分子は細胞の核で発現する分子であることから、これを標的とする低分子化合物や抗体の開発は極めて難しく、遺伝子配列情報から開発が可能な核酸医薬品の開発が行われた経緯がある。 キメラ型siRNAとは、siRNA がRISC複合体上で mRNA と対合する際に最重要なシード配列に相当する部分を DNA に置換したsiRNA であり、siRNA とノックダウン効果が同等であることが証明されている。RNase に対する耐性が高く血清中で安定であり、免疫応答誘導性が低く、保護基を必要としないため代謝産物が生命体由来のものとなる。 SRN-14 は、特許出願技術であるsiRNA 配列探索プログラム1)を基盤に治療用配列を選定した、極めて標的分子に対する特異性が高い siRNA。核酸ナノキャリアーである、分岐型 PEG-ポリオルニチンブロックポリマー(GL2-800)は、核酸と単分散(均一の粒形分布)を示す安定な複合体を形成し、高い安全性、優れた血中滞留性とがん組織への高い集積性を示す2)。事前に実施された非臨床試験において、TNBC に由来する乳がん細胞を用いた同所移植モデル、肺転移モデルを作成し、治験薬である SRN-14/GL2-800 を静脈注射で投与したところ、乳がん細胞で形成される腫瘍サイズの縮小、および肺の転移巣形成の抑制が認められた。さらに、毒性試験において重篤な有害事象は見られなかった3,4)。 本治験は、SRN-14/GL2-800 を、ヒトに対して初めて投与する医師主導治験(第I相)で、治癒的切除不能または遠隔転移を有する再発乳がんで化学療法の全身投与適応となる患者に対して用量漸増法で行われる。主要評価項目である安全性、SRN-14/GL2-800 投与後の薬物動態の確認の他、副次的に SRN14/GL2-800 の薬効についても検討を行う予定となっている。

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高リスク喘息児、ビタミンD3補充は有益か/JAMA

 喘息を有するビタミンD値が低い小児において、ビタミンD3補充はプラセボと比較して重度の喘息増悪発生までの期間を有意に改善しないことが、米国・ピッツバーグ小児病院のErick Forno氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験「VDKA試験」の結果、示された。重度の喘息増悪は、重大な病的状態を引き起こし大幅なコスト増を招く。これまで、ビタミンD3補充が小児の重度の喘息増悪を低減するかは明らかになっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「所見は、今回の試験対象患児集団については、重度の喘息増悪の予防療法としてのビタミンD3補充を支持しないものだった」とまとめている。JAMA誌2020年8月25日号掲載の報告。血中ビタミンD値30ng/mLの喘息児を対象にプラセボ対照無作為化試験 VDKA(Vitamin D to Prevent Severe Asthma Exacerbations)試験は、6~16歳で低用量吸入コルチコステロイドを服用し、血漿中25-ヒドロキシビタミンD値が30ng/mL未満の、高リスクの喘息患児を対象とした。 米国7医療センターで参加者を募り、48週間のビタミンD3(4,000 IU/日)またはプラセボを受ける群に無作為に割り付け追跡評価した。なお、フルチカゾンプロピオン酸の服用は、176μg/日(6~11歳)、または220μg/日(12~16歳)にて継続された。 主要アウトカムは、重度の喘息増悪発生までの期間であった。副次アウトカムは、ウイルス誘発性重度増悪発生までの期間、吸入コルチコステロイドの服用量が試験期間中に半減した参加者の割合、試験期間中のフルチカゾン累積服用量などであった。 参加者の登録は2016年2月に開始。参加者数は400例を目標としたが、早期に無益性が明らかになり試験は2019年3月に中止となった。フォローアップの終了は2019年9月であった。重度増悪の頻度、発生までの期間ともにプラセボと有意差なし 合計192例(平均年齢9.8歳、女児77例[40%])がビタミンD3群(96例)またはプラセボ群(96例)に無作為に割り付けられ、そのうち180例(93.8%)が試験を完遂した。 ビタミンD3群は36例(37.5%)、プラセボ群は33例(34.4%)が、1回以上の重度増悪を呈した。プラセボ群と比較してビタミンD3群の、重度増悪までの期間は有意に改善しなかった。増悪までの平均期間は、ビタミンD3群240日、プラセボ群253日であった(平均群間差:-13.1日[95%信頼区間[CI]:-42.6~16.4]、補正後ハザード比[HR]:1.13[95%CI:0.69~1.85]、p=0.63)。 同様に、ビタミンD3群はプラセボ群と比較して、ウイルス誘発性重度増悪発生までの期間、試験期間中に吸入コルチコステロイドの服用量が減じた参加者の割合、またはフルチカゾン累積服用量についても、有意な改善は認められなかった。 重篤な有害事象の発生も両群で類似していた(ビタミンD3群11例、プラセボ群9例)。

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selpercatinib、RET変異甲状腺髄様がんに有効な可能性/NEJM

 RET変異を有する甲状腺髄様がんの治療において、selpercatinibは、バンデタニブまたはカボザンチニブによる治療歴の有無を問わず持続的な有効性をもたらし、主な毒性作用は軽度であり、既治療のRET融合遺伝子陽性の甲状腺がんでも同様の抗腫瘍活性を発揮することが、米国・マサチューセッツ総合病院のLori J. Wirth氏らが実施した「LIBRETTO-001試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年8月27日号に掲載された。RET変異は、甲状腺髄様がんの70%に生じており、他の甲状腺がんでRET融合遺伝子が発現することはまれだという。selpercatinibは、新規のATP競合的で高選択性の低分子RETキナーゼ阻害薬。実験モデルでは、V804残基における後天的ゲートキーパー抵抗性突然変異を含む多様なRET変異に対してナノモル濃度で効果を発揮し、脳内での抗腫瘍活性も確認されている。甲状腺髄様がんと甲状腺がんの第I/II相試験 研究グループは、RET変異陽性甲状腺がんの治療におけるselpercatinibの安全性と有効性を検討する第I/II相試験を行った(Loxo Oncologyなどの助成による)。 対象は、12歳以上(規制当局の許諾が得られない場合は18歳以上)で、バンデタニブまたはカボザンチニブによる治療歴の有無を問わずRET変異遺伝子を有する甲状腺髄様がんと、これらの薬剤による治療歴のない既治療のRET融合遺伝子陽性の甲状腺がんの患者であった。 第I相用量漸増試験では、selpercatinibが20mg(1日1回)~240mg(1日2回)の範囲で、経口投与(カプセルまたは液剤)された。第II相試験では、推奨用量(160mg、1日2回)が投与された。治療は、28日を1サイクルとし、病勢進行、死亡、許容できない毒性作用の発現、同意の撤回があるまで継続された。 主要エンドポイントは、独立判定委員会の判定による客観的奏効(完全奏効[CR]または部分奏効[PR])とした。副次エンドポイントは、奏効期間、無増悪生存、安全性などであった。髄様がんの約7割で奏効、1年無増悪生存率8~9割 2017年5月~2019年6月の期間に、12ヵ国65施設で162例が登録された。バンデタニブまたはカボザンチニブあるいはその両方による治療歴のあるRET変異甲状腺髄様がん患者が55例(A群:年齢中央値57歳、男性36例)、これらの薬剤による治療歴のないRET変異甲状腺髄様がん患者が88例(B群:58歳、58例)、これらの薬剤による治療歴のない既治療のRET融合遺伝子陽性甲状腺がん患者が19例(C群:54歳、9例)であった。 A群は、奏効割合が69%(95%信頼区間[CI]:55~81)で、このうちCRが9%、PRが60%であった。奏効期間中央値は評価不能(95%CI:19.1~評価不能)で、1年無増悪生存率は82%(69~90)だった。 B群は、奏効割合が73%(95%CI:62~82)で、CRが11%、PRは61%であった。奏効期間中央値は22.0ヵ月(評価不能~評価不能)で、1年無増悪生存率は92%(82~97)だった。 C群は、奏効割合79%(95%CI:54~94)、CR 5%、PR 74%で、奏効期間中央値18.4ヵ月(7.6~評価不能)であり、1年無増悪生存率は64%(37~82)だった。 全体で最も頻度の高いGrade3/4の有害事象は、高血圧(21%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇(11%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇(9%)、低ナトリウム血症(8%)、下痢(6%)であった。Grade5の有害事象は5件(喀血、出血、敗血症、心停止、心不全[各1例])認められた。 selpercatinibの投与を受けた全531例のうち、160例(30%)が治療関連有害事象のため減量し、12例(2%)が投与を中止した。 著者は、「RETの阻害から利益を得る可能性のある非家族性の甲状腺髄様がん患者を特定するには、生殖細胞性または体細胞性のRET変異を有する患者に対する効果的な分子スクリーニング戦略の実施が不可欠だろう」としている。

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新型コロナワクチンAZD1222、日本での第I/II相臨床試験を開始/アストラゼネカ

 9月4日、アストラゼネカは、新型コロナウイルスワクチンAZD1222の日本国内における第I/II相臨床試験を開始したことを発表した。国内の複数の施設で18歳以上の被験者約250名を対象に実施し、日本人に接種した際の安全性と有効性を評価していく。 AZD1222は、アストラゼネカと英オックスフォード大学と共に開発を進めており、世界各国で治験を行っている。現在、南アフリカで第I/II相試験、英国で第II/III相試験、ブラジル・米国で第III相試験を実施している。

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Digital Medicineの世紀:Apple Watchによる心房細動の検出(解説:香坂俊氏)-1279

自分は腕時計をしない。手洗いのときに邪魔だからとか、腕が片方だけ重いからとか、病院からプレゼントされるガラケーで時間を見られるからとかいろいろと理由はあるのだが、実は必ずどこかに忘れてきてしまうから、というのがその最大の理由である(ガラケーやスマホもよく忘れるが、こちらはなんとか追跡できる)。しかし、そんな自分でも最近のスマートウォッチの動向には興味を持っている。たとえばApple Watchには、Steve Jobsの意向を受けて脈拍計や心電計が装備されており、これが循環器領域でどのように活用されていくのか非常に興味を引くところである。とくに、こうしたデジタルヘルスケアデータは随時更新され続けるため、1回で終わってしまう外来での検査や診察室でのバイタルチェックと異なり、蓄積されるデータ量が根本的に異なる。こうしたことを踏まえ、最近米国で、Apple Watchの検出する不規則脈波と心房細動の一致を検討した大規模臨床研究Apple Heart Studyが行われた(スマートウォッチ活用、心房細動の陽性適中率は84%/NEJM)。この研究では、Apple Watchが心臓のリズムに異常を検出すると通知が表示され、動画での相談の後、携帯型心電図パッチによる継続検査を受けるというプロトコールで運用がなされた。実に40万人以上がこの研究に登録を行い、このうち心臓のリズム異常の通知を受信したのは参加者の0.5%であった(Apple Watchを利用するユーザーは比較的健康だった?)。しかし、特筆すべきはその精度であり、アプリから通知を受けたユーザーの34%が実際に心房細動であると診断された。この数値が高いか低いかというところは議論が残るところかと思われるが、自分は一度も医療機関を受診せずにこれだけの新規心房細動を検出できるというのは特筆すべきことであるように思う(Apple Heart Studyはアプリ上で同意を取得し、そのまま研究に参加となり、心臓のリズムに異常が検出されたときのみ正規の心電図検査をうけるため医療機関の受診を促される)。さらに言うならば、この電子的な介入での有害事象は0であった。今後こうしたデジタルデバイスは、個々の行動データ(歩行パターンや睡眠サイクルなど)とも連動し、医療の現場においてもさまざまな役割を果たしていくものと思われる。スマートウォッチには心拍変動も保存されており、1拍ごとの脈拍を十分な時間分解能で記録し続けられれば、自律神経の評価なども可能になるであろう。本研究はそのはしりとなるものと考えられる。

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第22回 急転直下の安倍首相辞任-振り返れば“異変”はアノ時からだった

先週の本コラムで、私の脳内で展開する『世界びっくり人間コンテスト』の対象者の一人として取り上げた安倍首相が、コラム公開前日の8月27日夕刻から始まった記者会見で突如辞任を表明した。会見では持病の潰瘍性大腸炎の悪化がその理由だと説明された。私も一応職歴26年のニュース屋の端くれであり、この会見が決まった後に首相が何を話すつもりなのか、ちょこちょこ探りは入れていた。しかし、この日の午前中まで“辞任”の“じ”の字すら聞こえてこない状況。そこから急転直下の「辞任表明の見込み」の一報が流れ、まさに青天の霹靂だった。そしてこうしたニュースというのは、発表後に「実はあの時は…」と振り返ることができる事象があることも少なくない。「異変」は7月中旬から始まった既に約1年半にわたって原則毎日運動する習慣を取り入れていた私は、午後5時から始まった安倍首相の会見を所属しているスポーツジムのトレッドミル(いわゆるランニングマシン)に一体化されたテレビのディスプレイにイヤホンを差し込み、走りながら聞いていた。午後5時の会見開始2分前からトレッドミルで走り出し、9分くらいになる時だった。安倍首相が自身の健康問題に触れ始めた。その中で安倍首相が言った次の言葉に私はハッとした。「先月中頃から体調に異変が生じ、体力をかなり消耗する状況となりました」ここでいう先月中旬とは7月中旬である。この頃、今考えれば不思議なことが起きていた。というのもこの時期に旧知の大手新聞社の記者2人(それぞれ別々の会社)から「親族がかかったので潰瘍性大腸炎について教えて欲しい」と連絡があったのだ。当時は何も思わずに基礎的なことを話した。一般人は“難病”という言葉で“数の少ない病気”と先入観を持ってしまうようだが、国内の潰瘍性大腸炎患者は20万人超で、俗に3大がんといわれる胃がん、大腸がん、肺がんのそれぞれの年間新規診断者数よりも多い一般的な病気である。実際、私の周辺には、仕事に関係なく出会った6人と関連して出会った4人の合計10人の潰瘍性大腸炎患者がいる。ちなみに私が医療を取材するようになってから、この病気に関わった機会は結構多い。最初は1997年。ちょうど5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤の中で、初めて大腸のみで成分が放出されるよう設計されたメサラジン(商品名:ペンタサ)の発売から約1年が経過し、その臨床での評価を取材して回ったのである。その後も折に触れてこの病気を取材する機会は少なくなかった。そんなこんなで新聞記者からの問い合わせにも5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制薬、免疫調節薬、生物学的製剤の特徴や日常生活での注意点などはとくに何も見なくとも一通り話すことはできた。突飛すぎる週刊誌記者からの依頼ところがそれから10日以上経った7月下旬、私の携帯電話にやはり旧知の週刊誌記者から着信があった。あいにく私は電話を受けることができなかったが、当人からすぐに「メールをお送りします」とのSMSが届いた。たまたま、メールは確認できる状態だったため、メーラーを立ち上げておいたところ、それから約15分後に次のようなメールが届いた。「首相が持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、9月にも退陣するという情報があるのですが、これに関連して、専門医に安倍首相の顔色や表情、皮膚の状態などから、病状を判断してもらおうかと考えています。そこでお願いですが、こうしたリクエストに応じてくれる医師をご存じないでしょうか。こちらも何人か当たっているのですが、なかなか応じてもらえません。心当たりがあれば、教えていただけませんでしょうか」旧知の記者なのに申し訳ないが、無茶苦茶な依頼である。そもそも潰瘍性大腸炎の診療経験値が極めて高い専門医でも、ぱっと見で重症度・病状が判断できるわけはない。私は次のように返信メールを書いた。「潰瘍性大腸炎は下痢や血便の頻度、血液検査、大腸内視鏡で病状を判断するものなので、ぱっと見で病状診断は無理です。見た目でこの病気の病状を診断するというのは、およそ星占いの1000倍以上当てにならない話です」また、潰瘍性大腸炎の専門医は国内に数百人程度で、大御所を中心にヒエラルキーが確立しているのは医療関係者なら周知のこと。その環境下でこの記者が要望するような非科学的コメントをする医師がいれば袋叩きにあってしまう。その旨も返信メールに記述し、協力は難しいと伝えた。そしてこの瞬間、私の記憶に蘇ってきたのは7月中旬の新聞記者からの問い合わせだ。一瞬、「もしかしてこのこと?」とは思ったものの、週刊誌記者からの依頼があまりにも突拍子もないものだったことの反動もあって、この時点では首相の体調悪化→辞任というシナリオもないだろうとの判断に傾いた。もっとも、やはり記者は自分が思うことでも一度は疑ってかかるもの。念のため、ある雑誌で長年政治取材をしている記者に8月上旬に連絡を取った。ちなみにこの頃、一部の週刊誌の誌面では「首相が官邸で吐血した」との情報が躍っていた。私が聞いた記者は次のように答えた。「あの吐血情報はどう考えても官邸から出てるんですよね。でももし事実ならば、絶対かん口令が敷かれるはずなんですが…」その後、2度にわたり安倍首相が慶應義塾大学病院を受診したことは報道されている通りである。まさかまさかの辞任表明そしてあの首相の辞任表明会見の前夜から、念のため何人かの記者や関係者に話を振ってみた。要は「辞任があるやなしや」という点である。皆一様に辞任を否定した。「いやいや、前回の政権投げ出し批判があるから、本人も周囲もことさら体調理由の辞任になることは絶対避けたいシナリオ。ここではないですよ」「結局、メディアがことさら騒いでいるだけで、会見も言ってしまえば『大山鳴動して鼠一匹』になりますよ」まあ、これで今回は何もないかと思った。28日午前にもある政治担当記者とやり取りすると、夕方の会見でも述べられた「指定感染症見直し」で厚生労働省と官邸側が話をつめているらしいとの情報のみで、やっぱり「今日はまず辞任はないと思います」との返事。実はかくいう私もそれらの情報を受け、原稿のやり取りをしている当コラムの担当編集者へのお昼直前のメールに次のように書いている。「本日の会見、今の時点でさすがに辞任はなさそうです」各種報道によると、安倍首相が辞意を明らかにしたのは、この日の閣議後に麻生副総理と2人で会談した場だったという。首相動静によれば午前11時過ぎ。それから2時間と経たずに空気は一変した。あとは冒頭に触れたとおりである。潰瘍性大腸炎と私の出会いちなみに首相の辞任表明会見後、7月中旬に私に電話をしてきた新聞社の記者に連絡を取ってみた。うち1人は「ノーコメ(ノーコメント)ということで…」とごまかし笑い。もう1人はいまだ電話を受けてくれていない(笑)。ちなみに私が初めてこの病気の患者と出会ったのは大学1年の時で、その患者は同級生である。彼とは実験などで同じ班だったが、時々、実験の最中に忽然と姿を消すことがあった。大学の実験はギリギリの人数でやっているので、そうそう姿を消してもらっては困る。姿を消した彼がひょっこり戻ってくると、同じ班のほかのメンバーが「おい、何してたんだよ」と詰める。彼はいつも苦笑いしながらぽつりと言った。「うん、ウンコ」そこで班内は爆笑になる。いつのまにか彼は陰で「ウンコ○○(○○は彼の名字)」と呼ばれるようになった。そんなある日、学食で私が一人で食事をしているとトレーを持った彼が「おう」と言いながら、向かいに座った。そして自らこう語り出した。「実はさ、しょっちゅうトイレ行くの病気なんだよね。潰瘍性大腸炎っていう」今のように医学の知識のなかった私はこう返した。「それって治るの」彼は私のほうも見ずにうどんをすすりながら言った。「いや、治らない」なんと返していいかわからなかった。彼はうどんを食べ終わると、私の前に大きなオレンジ色の錠剤を出して見せてくれた。「これが薬なんだ」当時は何もわからなかったが、今ならあれが初期の5-ASA製剤サラゾピリンだとわかる。男女問わず、尿や汗をオレンジ色にしてしまい、男性では精液にまで色を付けてしまうあの薬だ。そして今ならわかる。彼が堂々と笑いながら「ウンコ」と口にしたのは彼が身につけた防衛策だろうと。首相辞任会見を難病周知のきっかけに先週の安倍首相の辞任会見以来、この記事を執筆している今現在までに各紙・各週刊誌の記者とやり取りする中で、必ず話題になるのが首相の病気である潰瘍性大腸炎のことだ。そして20万人もの患者がいながら、案外この病気のことは知られていないことに驚く。ちなみにこの間、両手指を超える記者と話して、知り合いにこの病気の患者がいると答えたのは1人のみ。だが、そんなはずはない思う。身の回りで大腸がん、肺がん、胃がんの患者の話を聞いたことがない成人はいないと思う。潰瘍性大腸炎の患者はそうしたがんの患者よりも多いのだ。結局のところ排泄のことも関係するために多くの患者は周囲に言えないだけなのだろうと思う。その意味で私が仕事とは直接関係なく出会った潰瘍性大腸炎の患者の一部からはこういわれたことがある。「医療に詳しいみたいだから言っても問題ないかなと思って」そうした彼らの期待に今の自分が応えられているかと問われれば私も自信はない。だが、日本の国家元首自らのカミングアウトは、アンサングな患者たちのことに今一度思いをはせる良い機会ではないだろうか。もっともこの職業ゆえの余計な一言かもしれないが、安倍首相の政治的成果に対する評価は別途厳格に行わなければならないし、そこでは基本、鞭を打つ姿勢で臨むべきであり、手を緩める必要はまったくないと思っている。

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うつ症状のリスク低下に筋力が寄与~メタ解析

 ポルトガル・リスボン大学のAdilson Marques氏らは、成人の筋力と抑うつ症状との関係をシステマティックにレビューし、メタ解析を実施した。また、筋力と抑うつ症状との関係における統合オッズ比(OR)を算出した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年8月6日号の報告。筋力は抑うつ症状リスクの低下に寄与することが示唆された PRISMAガイドラインに従って、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。電子データベース(PubMed、Scopus、Web of Science)より、2019年12月までに発表された研究をシステマティックに検索した。包括基準は以下のとおりとした。(1)横断的研究、縦断的研究、介入研究、(2)アウトカムにうつ病または抑うつ症状を含む、(3)対象は成人および高齢者、(4)英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語で発表された研究。 成人の筋力と抑うつ症状との関係についてシステマティックレビューおよびメタ解析した主な結果は以下のとおり。・21件の研究が抽出され、対象となったのは、26ヵ国の18歳以上の成人8万7,508例であった。・システマティックレビューにおいて、筋力は抑うつ症状リスクの低下に寄与することが示唆された。・メタ解析では、筋力と抑うつ症状との有意な逆相関が認められ、ORは0.85(95%CI:0.80~0.89)であった。 著者らは「筋力の向上を目的とした介入は、メンタルヘルスを改善し、うつ病を予防する可能性が示唆された。メンタルヘルス改善とうつ病予防の戦略に、筋力の評価と向上を用いることは可能である」としている。

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高齢の早期乳がん、術後放射線療法は省略可能か?

 高齢の早期乳がん患者において、乳房温存手術後の放射線療法が省略可能かについては議論がある。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのFei Wang氏らは、70歳以上の乳がん患者11万例以上のデータを解析し、放射線療法実施の有無による生存への影響を評価した。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年8月24日号に掲載の報告より。高齢の早期乳がん患者の放射線療法の省略は死亡率の増加と関連 対象は米国国立がんデータベースに登録され、2004~2014年に乳房温存手術を受けた、70歳以上、T1-2N0-1M0の女性乳がん患者。多変量Cox比例ハザードモデルを使用して、3、5、10年時の死亡率と乳房温存手術後の放射線療法との関連についてハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 70歳以上の高齢女性乳がん患者の死亡率と乳房温存手術後の放射線療法との関連を評価した主な結果は以下のとおり。・11万5,516例のデータが分析された。・乳房温存手術後に放射線療法を受けなかった患者は、放射線療法を受けた患者よりも死亡率が高く(5年生存率:71.2% vs.83.8%)、3年死亡率の多変量補正後ハザード比(HR)は1.65(95%信頼区間[CI]:1.57~1.72)、 5年死亡率のHRは1.53(1.47~1.58)、10年死亡率のHRは1.43(1.39~1.48)であった。・この関連は、内分泌療法または化学療法の有無、期間やその他の臨床的特徴によるすべての層別化分析において、また90歳以上の患者においても観察され、放射線療法を行わない患者の5年死亡率は40~65%増加した。・内分泌療法を受けたT1N0およびエストロゲン受容体陽性の患者に限定した傾向スコア層別化分析においても、この正の関連性が持続した(5年死亡率のHR:1.47 [1.39~1.57])。 著者らは、本研究ではT1N0およびエストロゲン受容体陽性の患者においても、放射線療法の省略は死亡率の増加と関連したとし、乳房温存手術後の放射線療法の省略は普遍的な実践とはなりえないのではないかとまとめている。

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HPVワクチン啓発 産婦人科・小児科・行動科学の力を合わせて

 子宮頸がん等の原因となるヒトパピローマウイルスへの感染を防ぐHPVワクチンの有用性・安全性は医療者の間では既知の事実だ。諸外国では高い割合で接種されているが、日本は積極的接種勧奨が中止されたまま、接種率は1%と危機的な状況にある。この現状を変えるために医師たちが立ち上げたのが「一般社団法人 みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」だ。 8月25日に行われた設立説明会で、産婦人科、小児科、そして行動科学の観点からのこの状況を変えるための課題と団体の取り組みが共有された。 代表の稲葉可奈子氏は産婦人科医。子宮頸がんによって女性たちのライフプランが狭まってしまう現実を数多く見てきた。女性個人の人生、そして少子化の点からもHPVワクチンはなくてはならないという強い想いをもってこの団体を立ち上げた。 大きな課題は、接種年齢層に対するリーチが難しいことだ。HPVワクチンは予防接種法に基づく定期接種のワクチンで、12~16歳の女子を対象としている。 産婦人科では、これらの年齢層に関わる機会は少ない。そのため、小児科と連携し、かかりつけの小児科医からのアプローチが必須と考えている。 小児科医の今西洋介氏によると、HPVワクチンについては必要性を認識しているが、その詳細について説明をする自信がない小児科医は多いという。小児科にかかる児童の親に接するため産婦人科よりも説明機会には恵まれるが、大半の予防接種は10歳以下で実施するため、対象年齢が10歳以上のワクチンの啓発は小児科でも頭を悩ませるところだ。 医療機関に訪れる患者への情報提供だけではワクチンの普及は難しい。そこで、団体には行動科学の専門家も参画している。 たとえ有益な情報であったとしても科学的根拠を伝えるだけでは人の行動は変わらない。 一宮恵氏によると、人の行動を変えるためのポイントは、理解度・関心度に応じた情報提供だ。そこで、団体では、ワクチンを知らない層、接種を検討している層、接種したいと考えている層、そのそれぞれに適した情報提供を行い、HPVワクチンの認知度の向上を目指す。 団体の参画メンバー10人は完全非営利、無償で活動を行っている。そのため30日からクラウドファンディングを実施。達成金額ごとに、小児科での説明用パンフレット作成、ソーシャルメディア配信用の動画作成や電車内広告の実施などを計画している。

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免疫チェックポイント阻害薬、1次治療は75歳以上の高齢者でも有効

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)について、75歳以上の高齢者にも有効であることが、フランス・ソルボンヌ・パリ・ノール大学のThierry Landre氏らによる無作為化比較試験のメタ解析の結果、示された。ICIの有効性に対する加齢の影響については議論の余地があり、75歳以上の高齢者についてはこれまでほとんど知られていなかった。なお結果について著者は、「生存に対するベネフィットは主に1次治療で観察されたものであり、2次治療については不明なままである」と述べている。Drugs & Aging誌オンライン版2020年7月17日号掲載の報告。 研究グループは、75歳以上の高齢患者におけるICIの有効性を評価するメタ解析を実施した。進行固形がん患者を対象に、ICI(単独療法または併用療法)と標準治療を比較した無作為化比較試験のうち、2010年1月~2020年1月までの間に発表された論文を適格とした。 主要評価項目は、高齢患者(75歳以上)と非高齢患者(75歳未満)で比較した全生存(OS)期間。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)値を収集・プールして評価。副次評価項目は、1次治療および2次治療別のICI治療の影響とした。 主な結果は以下のとおり。・抗PD-1抗体(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)、抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ、アベルマブ)、または抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)を評価した、15件の第III相臨床試験を解析に組み込んだ。・登録患者は、非小細胞肺がん、腎細胞がん、悪性黒色腫、頭頸部扁平上皮がん、または胃がんであった。・15件のうち、1次治療に関する試験が8件、2次治療に関する試験が7件であった。・患者背景は、年齢中央値64歳、75歳以上が906例(1次治療552例、2次治療354例)、75歳未満が8,741例(1次治療4,992例、2次治療3,749例)であった。・1次治療における死亡HRは、75歳以上群0.78(95%CI:0.61~0.99)、75歳未満群0.84(95%CI:0.71~1.00)であった。・2次治療における死亡HRは、75歳以上群1.02(95%CI:0.77~1.36)、75歳未満群0.68(95%CI:0.61~0.75)であり、サブグループ間で統計学的に有意差が観察された(相互作用のp=0.009)。

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ACE阻害薬とARBがCOVID-19重症化を防ぐ可能性/横浜市立大学

 新型コロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を介して細胞に侵入することが明らかになっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とレニン-アンジオテンシン系(RAS)との関連が注目されている。ACE阻害薬またはARBの服用とCOVID-19患者の重症度を解析 今回、横浜市立大学附属 市民総合医療センター 心臓血管センターの松澤 泰志氏らの研究グループが、COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について、多施設共同後ろ向きコホート研究(Kanagawa RASI COVID-19 研究)を行った。Hypertension Research誌オンライン版2020年8月21日号での報告。 本研究では、2020年2月1日~5月1日の期間、神奈川県内の6医療機関(横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立循環器呼吸器病センター、藤沢市民病院、神奈川県立足柄上病院、横須賀市立市民病院、横浜市立大学附属病院)に入院したCOVID-19患者151例を対象に、病態に影響を与える背景や要因の解析が行われた。 追跡調査の最終日は2020年5月20日で、すべてのデータは医療記録から遡及的に収集された。高血圧症およびほかの既往歴の情報は、通院歴、入院時の投薬、およびほかの医療機関からの提供内容に基づいている。ACE阻害薬/ARBがCOVID-19患者の意識障害を減らす可能性 COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について研究した主な結果は以下のとおり。・平均年齢は60±19歳で、患者の59.6%が男性だった。151例のうち、39例(25.8%)が高血圧症、31例(20.5%)が糖尿病、22例(14.6%)にACE阻害薬またはARBが処方されていた(ACE阻害薬:3例[2.0%]、ARB:19例[12.6%])。・151例中、14例(9.3%)の院内死があり、14例(9.3%)で人工呼吸、58例(38.4%)で酸素療法が必要だった。入院時、肺炎に関連する意識障害は14例(9.3%)、収縮期血圧<90mmHgに関連する意識障害は3例(2.0%)で観察され、少なくとも13例において、新型コロナウイルス感染が原因とされた。22例(14.6%)がICUに入院した。・患者全体を対象とした単変量解析では、65歳以上(オッズ比[OR]:6.65、95%信頼区間[CI]:3.18~14.76、p<0.001)、心血管疾患既往(OR:5.25、95%CI:1.16~36.71、p=0.031)、糖尿病(OR:3.92、95%CI:1.74~9.27、p<0.001)、高血圧症(OR:3.16、95%CI:1.50~6.82、p=0.002)が、酸素療法以上の治療を要する重症肺炎と関連していた。・多変量解析では、高齢(65歳以上)が重症肺炎と関連する独立した要因だった(OR:5.82、95%CI:2.51~14.30、p<0.001)。・高血圧症患者を対象とした解析の結果、ACE阻害薬またはARBをCOVID-19罹患前から服用している患者では、服用していなかった患者よりも、主要評価項目の複合アウトカム(院内死亡、ECMO使用、人工呼吸器使用、ICU入室)における頻度が少ない傾向だった(14.3%vs.27.8%、p=0.30)。また、副次評価項目については、COVID-19に関連する意識障害が有意に少なかった(4.8%vs.27.8%、p=0.047)。 著者は「われわれの知る限りでは、これがわが国で初めてCOVID-19患者の臨床アウトカムを検討した研究だ。今回、炎症に対するRAS阻害薬の保護効果が、ACE阻害薬/ARBの使用と意識障害の発生減少を関連させる1つのメカニズムである可能性が明らかになった」と記している。

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PCI後、CYP2C19 LOFアレルに基づく薬剤選択vs.標準治療/JAMA

 急性冠症候群(ACS)または安定冠動脈疾患(CAD)で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けたCYP2C19*2/*3機能喪失型(loss-of-function:LOF)アレルの保有者において、遺伝子検査に基づき経口P2Y12阻害薬を選択する治療戦略は、遺伝子検査なしの従来のクロピドグレル療法と比較し、心血管死・心筋梗塞・脳卒中・ステント血栓症・重度虚血再発の複合エンドポイントに関して、統計学的な有意差を示さなかった。米国・メイヨー・クリニックのNaveen L. Pereira氏らが、無作為化非盲検比較試験「TAILOR-PCI試験」の結果を報告した。PCI後にクロピドグレルによる治療を受けたCYP2C19 LOFアレル保有者は、虚血性イベントリスクが高まることが示されている。遺伝子型に基づく経口P2Y12阻害薬の選択によりアウトカムが改善するかどうかは不明であった。JAMA誌2020年8月25日号掲載の報告。PCI後のACSまたは安定CAD患者約5,300例を無作為化 研究グループは2013年5月~2018年10月に、米国、カナダ、韓国、メキシコの40施設において、PCIを施行したACSまたは安定CAD患者5,302例を登録し、遺伝子型ガイド群または従来治療群に1対1に無作為に割り付け、2019年10月まで追跡した。 遺伝子型ガイド群(2,652例)では遺伝子検査を実施し、CYP2C19 LOFアレル保有者にはチカグレロルを、非保有者にはクロピドグレルを投与した。従来治療群(2,650例)にはクロピドグレルを投与し、12ヵ月後に遺伝子検査を行った。 主要評価項目は、12ヵ月時点の心血管死・心筋梗塞・脳卒中・ステント血栓症・重度虚血再発の複合エンドポイント、副次評価項目は、12ヵ月時点の大出血または小出血であった。主要解析はCYP2C19 LOFアレル保有者を解析対象とし、副次解析には無作為化された全患者を組み込んだ。CYP2C19 LOFアレル保有者で、有効性および出血の発現に有意差なし 無作為化された患者5,302例(年齢中央値62歳、女性25%)のうち、82%がACS、18%が安定CADで、94%が試験を完遂した。また、CYP2C19 LOFアレル保有者は1,849例であり、12ヵ月時点で、遺伝子型ガイド群は903例中764例(85%)がチカグレロルを、従来治療群は946例中932例(99%)がクロピドグレルの投与を受けていた。 12ヵ月時点の主要評価項目のイベント発現は、遺伝子型ガイド群のCYP2C19 LOFアレル保有者で903例中35例(4.0%)、従来治療群で946例中54例(5.9%)に認められた(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.43~1.02、p=0.06)。 12ヵ月時点の大出血または小出血の発現率は、遺伝子型ガイド群のCYP2C19 LOFアレル保有者1.9%、従来治療群1.6%で有意差はなかった(HR:1.22、95%CI:0.60~2.51、p=0.58)。そのほか事前に定義された副次評価項目11項目についても両群で有意差はなかった。 無作為化された全患者では、主要評価項目のイベント発現は、遺伝子型ガイド群2,641例中113例(4.4%)、従来治療群2,635例中135例(5.3%)で有意差はなかった(HR:0.84、95%CI:0.65~1.07、p=0.16)

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小児1型DM、クローズドループシステムvs.SAP療法/NEJM

 小児1型糖尿病において、クローズドループ型インスリン注入システム(人工膵島)はセンサー付きインスリンポンプ療法(SAP)と比較して、血糖値が目標値に達していた時間の割合が高かった。米国・バージニア大学糖尿病技術センターのMarc D. Breton氏らが、16週間の多施設共同無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。クローズドループ型インスリン注入システムは、小児1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月27日号掲載の報告。小児1型糖尿病患者101例をクローズドループ群とSAP(対照)群に無作為化 研究グループは2019年6月21日~8月30日に、6~13歳の1型糖尿病患者を、クローズドループ型インスリン注入システム群(クローズドループ群)またはSAP群(対照群)に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、持続血糖モニタリングで測定した血糖値が、目標値70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合であった。目標血糖値の時間の割合はクローズドループ群で有意に増加 計101例が無作為化を受けた(クローズドループ群78例、対照群23例)。ベースラインのHbA1c値は5.7~10.1%であった。 血糖値が70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合(平均±SD)は、クローズドループ群ではベースラインの53±17%から67±10%(治療を行った16週間の平均)に、対照群では51±16%から55±13%に増加した(平均補正後群間差:11ポイント[1日当たり2.6時間に相当]、95%信頼区間[CI]:7~14、p<0.001)。 血糖値が70mg/dL未満であった時間の割合は、両群とも低値であった(中央値:クローズドループ群1.6%、対照群1.8%)。 クローズドループ群において、システムがクローズドループモードであった時間の割合は中央値93%(四分位範囲:91~95)であった。糖尿病性ケトアシドーシスまたは重篤な低血糖症のエピソードは、いずれの群でも確認されなかった。 なお、著者は、社会経済的状況・HbA1c値・血糖コントロール機器の使用について、今回の試験対象集団が必ずしも一般集団を代表する集団ではなく、また、試験期間が4ヵ月間であり、治療効果が長期にわたり持続するかについては不明であると述べている。

16000.

AFIRE試験が世界に投げかけたこと(解説:香坂俊氏)-1281

AFIRE試験がNEJM誌に発表された。そのデザインや主要な結果に関しては、さまざまな学会や研究会で議論がなされており、その解釈に関しても広く議論がなされている。AFIREのデザインと主要な結果・心房細動を持つ安定冠動脈疾患の患者さんを対象に「リバーロキサバン(経口抗凝固 薬)単独」と「リバーロキサバン+抗血小板薬併用」との比較を行ったわが国の多施 設共同のランダム化比較研究。・2017年9月末までに2,240例が登録され、2年以上の観察期間を予定していたが、データ 安全性モニタリング委員会の勧告に基づき2018年7月に研究を早期終了。・最終的に2,215例(1,107例の単独療法vs.1,108例の併用療法)が研究解析対象となり、 患者さんの平均年齢は74歳、男性79%、PCI施行70.6%[CABG施行11.4%]) であった。・有効性主要評価(脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、血行再建術を必要とする不安定 狭心症、総死亡の複合エンドポイント)では、リバーロキサバン単独療法群がsuperior (優越)であり、さらに安全性主要評価(重大な出血性合併症)においても、 リバーロキサバン単独療法群が優越であった。さまざまなメッセージを含んでいる試験であるが、自分としては日本独自の用量設定を行った試験で世界に向けて結果を出した、というところに注目したい。リバーロキサバンは薬効動態評価の結果を踏まえて15mgあるいは10mgという日本独自の用量設定で認可されている(国際的には20mgあるいは15mgという用量設定)。自分はこうした国別の独自の用量設定というのにかなり懐疑的な人間であったのだが(国際的なRCTの結果のほうを信用する傾向がある)、ただ抗凝固薬や抗血小板薬が日本人に効きすぎるというのは帰国してからの日常臨床でも経験し、また自分達で出したデータでも確かにそのような傾向がみられた(Numasawa Y, et al. J Clin Med. 2020;9:1963.)。AFIRE試験は、このような事情を踏まえてわが国独自の用量設定を用いて行われた試験であるが、その結果がNEJMという最高峰のジャーナルに取り上げられたことの意義は大きい。とくに抗凝固療法・抗血小板薬(抗血栓薬として総称される)に関してはGlobalにも個別の用量設定を考えていかなければならないということを語ってくれているように思われる。この試験は、いろいろな場面における抗凝固療法の使い方に指針を示してくれたことも事実であるが、自分としてはわが国独自の抗血栓薬のDosingについて「世界はどう思うのか?」というより幅広い側面での議論の活性化も期待したい。

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