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第32回 遅れに遅れた地域の病院再編、コロナに乗じた「先延ばし」はさらなる悲劇に

冬を目前におでんも病院再編議論も本格化こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。東京も木枯らし1号が吹いて寒くなってきました。北海道をはじめ、新型コロナウイルス感染症のクラスターが全国各地で発生しています。「Go Toトラベル」「Go Toイート」で人々の行動が緩んだ中での冬の到来…。今後の患者数の増加が気になります。さて、寒くなるとおでんです。私はコンビニおでん、とくにセブン-イレブンのおでんがお気に入りで月に数度は食べていたのですが、友人から「今年はコロナでコンビニのおでんはないらしい」と言われ、がっくりきていました。が、近所のセブン-イレブンに行ってみると、なんとあるではないですか、カウンター脇にいつものおでん鍋が。ただし、鍋はアクリルのカバー付きで、客側からはおでんに触れず、飛沫も入らないつくりです。調べてみると、セブンイレブンはコロナ対策として、容器入りの電子レンジで温めて食べるおでんも販売したようです。でも、それではいろいろなおでんのエキスが煮詰まって美味しくなった、あのおでんつゆを味わえません…。私は今シーズンも店頭注文で行こうと思います。今回は始まりそうで始まらない、病院再編の議論の話題です。厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形 裕也・九州大学名誉教授)の第28回会議が11月5日に開催され、前回に続き「新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方」に関する議論が行われました。厚労省の事務局はこの日の会議で、「新興感染症などの感染拡大時の患者の受け入れ体制の確保」「公立・公的医療機関等に対する『具体的対応方針の再検証』の取り組みへの影響」「今後どのような工程で議論・取り組みを進めるか」などの論点を提示しました。「具体的対応方針の再検証」の報告期限は延期のまま厚労省がとにかく早く進めたいのは、新型コロナウイルスの感染拡大で遅れに遅れてしまった地域の医療機関の再編成です。公⽴・公的医療機関等に対する「具体的対応⽅針の再検証」を再開し、それを踏まえつつ、2025年以降も⾒据えた具体的な⼯程についての議論を開始したいというわけです。公立・公的医療機関等に対する「具体的対応方針の再検証」については、9月9日の本連載「第23回 実は病院経営に詳しい菅氏。総理大臣になったらグイグイ推し進めるだろうこと」でも詳しく書きました。各地で地域医療構想調整会議が進められる中、「公立病院だけでなく公的病院も対象に加えろ」という議論の流れとなり、2018年6月に「経済財政運営と改革の基本方針2018」の中に「公立・公的病院については、地域の民間病院では担うことのできない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療等に重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するために再編・統合の議論を進める」と明記されました。それを踏まえ、厚労省は急性期病床を持つ公立・公的病院のがん、心疾患などの診療実績を分析し、2019年9月には全国と比較してとくに実績が少ないなどの424病院(2020年1月に約440病院に修正)のリスト公表を敢行しました。公表とともに、急性期病床の縮小やリハビリ病床などへの転換などを含む地域の病院の再編・統合を各地で議論を行うことを要請し、今年9月末までに結論を出すよう定めました。これが上記の「具体的対応方針の再検証」です。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もあり、8月31日、厚労省は「具体的対応方針の再検証等の期限について」と題する医政局長通知(医政発0831第3号)を各都道府県知事に発出、全国約440の公立・公的病院を対象とする再編・統合について、都道府県から国への報告期限を今年9月末から10月以降に延期、11月11日現在も期限は決まっていません。「拙速だ」との異論が出て議論は前進せず厚労省の事務局は同日に「議論の整理に向けた考え方(案)」を提示しています。それは以下のような内容です。「感染拡大時の取組における新興感染症等の医療計画への位置付けなどの枠組みを前提としつつ、今後の人口構造の変化に伴う医療ニーズの質・量の変化や労働力人口の減少に対応しつつ、質の高い効率的な医療提供体制を維持していくための地域医療構想については、地域医療構想調整会議において、新興感染症等への対応の観点も踏まえて協議を行いながら、引き続き、着実に進める必要がある」。しかし、共同通信などの報道によれば、病院団体の委員から「拙速だ」との異論が出て、具体的な工程や方向性に関する議論は前進しなかったそうです。また、「どの医療機関がどのような機能を果たすのか、しっかり協議しないと方向性が見えない」「コロナ拡大で悪化した病院の経営状況のデータも踏まえた検討を」など、議論をさらに深めるべきだとの意見も相次いだとのことです。自治体、病院団体も病院の再編・統合に後ろ向き同様の考えは、地方自治体からも出ています。各紙報道によれば、10月29日に開催された「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」(全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体と総務省、厚生労働省が地域医療の体制整備について話し合う場)において、全国知事会で社会保障を担当する平井 伸治・鳥取県知事は病院の再編・統合に関し、「地方はコロナ対策に向き合わなければならない現実がある。スケジュール通りに物事を進めようとするとコロナ対策がおざなりになりかねない」として、丁寧な議論が必要だと訴えました。平井知事は11月5日に開かれた社会保障審議会医療部会でも同趣旨の発言をしており、医療計画、地域医療構想について議論されたこの日の同部会では、日本病院会会長の相澤 孝夫氏からも「今、地域医療構想を云々するのは良くない」旨の発言があったとのことです。先延ばしにしたら”傷口”はますます拡がる2025年を見据えた地域医療構想の策定や、公立・公的病院のリストラに待ったをかけるようなこうした議論は、コロナに乗じた「先延ばし」のようにも感じられます。確かに、新型コロナウイルス対応は重要ですが、だからといって病院再編の議論を先延ばしにする理由にはならないでしょう。コロナ禍にあっても各地の人口減少は確実に進んでいます。収益が悪化したままの公立・公的病院のリストラを1年、2年と先延ばしにしていたら、”傷口”はますます拡がってしまいます。10月中旬、千葉県東金市の独立行政法人・東千葉メディカルセンター(314床)の乱脈経営が内部告発によって明らかになり、現在、東金市と九十九里町では大騒動になっています。各紙報道によれば、毎年10億円以上の赤字にもかかわらず、県からの出向職員への高額な給与や、不明朗で高額過ぎる業務委託費などの問題が次々と明らかになっています。ちなみに、同病院は先の厚労省の約440病院のリストにも入っています。経営的にボロボロの公立・公的病院は全国に数多くあります。同病院のように、自治体の人口構成や財政状況などを顧みず、首長のメンツや、地域住民のエゴで新設された病院にとくに多い印象です。そうした病院がある地域では、今後、新型コロナウイルス対応も勘案しながら、病院機能再編の議論をできるだけ早くスタートすることが望まれます。病院が潰れてなくなったり、医師が辞めていなくなってしまったりしたら、それこそ悲劇です。ところで、コロナに乗じた「先延ばし」ということでは、75歳以上の医療費窓口負担を現行の原則1割から2割に引き上げる、という政府方針への反対もコロナに乗じた「先延ばし」感が拭えません。日本医師会は、新型コロナウイルスの感染拡大で医療機関の受診を控える動きが広がっている中、さらなる受診抑制が生じるとの考えから、引き上げの対象者を一部に限定するよう求めています。地域のため、患者のためと話す医療関係者・自治体関係者・政治家の多くの言葉が、コロナに乗じた詭弁に聞こえてしまうのは私だけでしょうか。

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COVID-19パンデミック前後、遠隔皮膚科診療は3倍増に

 本邦のコロナ禍における受診動向の変化については、2020年8月6日の「第10回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で、「令和2年4月~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証について」が発表され耳目を集めた。電話またはオンライン診療の受診者は10歳未満が最も多く、ほかの年齢では発熱での受診が最多であったが、10歳未満の受診は湿疹が最多(22.7%)で、受診科目は内科、小児科に次いで皮膚科が3番目だったことなどが報告されている。 本論は、COVID-19感染者数が米国に次いで現在世界第2位の、インド・R.D. Gardi Medical CollegeのShashank Bhargava氏らが、ウェブベースでグローバルに皮膚科医に診療形態の変化について行ったサーベイ調査の結果である。COVID-19パンデミック前後で、teledermatology(遠隔皮膚科診療:TD)の活用が3倍増になったことなどが報告されている。International Journal of Women's Dermatology誌オンライン版2020年10月12日号掲載の報告。 研究グループは、COVID-19パンデミックによる皮膚科診療の変化の大きさについては、十分に研究がされていないとして、同パンデミックの皮膚科診療への即時的および長期的影響を評価する検討を行った。評価対象には、臨床活動、診療行為の頻度および種類、TDの使用などを含んだ。Googleフォームでサーベイツールを作成し、2020年4月1日~20日に、とくに皮膚科専門医のソーシャルメディアサイトの研究者に電子的に配布された。 主要アウトカムは、対面診療、病院サービス、TD、処置の提供に関する回答者の割合。また、パンデミック時および将来的なTDの利用について、オッズ比(OR)に与える可能性がある要因をロジスティック回帰モデルで調べた。 主な結果は以下のとおり。・サーベイに応じた皮膚科医は733例であった。アジア系が47.6%、北米18.7%、中南米17.9%、欧州13.9%、その他1.9%であった。診療歴は10年以下が45.0%を占め、都市部従事者が78.6%、開業医47.2%などであった。・対面診療の提供に関する割合は、パンデミック前100%に対し、パンデミック中は46.6%に減っていた。病院サービスは52.8% vs.27%、処置100% vs.25.6%といずれも減っていた(いずれもp<0.001)。・一方で、TDは、3倍増となっていた(26.1%vs. 75.2%)(p<0.001)。・TD利用率は、パンデミック中および将来利用予測ともに、診療地域と有意に関連しており、とくに北米の回答者で最も高かった(いずれもp<0.001)。・パンデミック中のTD利用は、従前からのTD利用、操作能力、およびとくに色素性病変が疑われる場合の生検と正の相関性がみられた(いずれもp<0.001)。・パンデミック前のTD利用は、パンデミック中のTD利用の最も強力な予測因子であった(OR:16.47、95%信頼区間[CI]:7.12~38.06)。・サーベイ参加者のうち3分の2以上(68.6%)が、将来的にTDを利用するだろうと回答した。・将来的なTD利用予測についてOR増大が最も大きかった要因は、国内のCOVID-19感染者数が1,000例を超えた場合だった(OR:3.80、95%CI:2.33~6.21)。

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双極性うつ病に対する補助的ブライトライト光療法~メタ解析

 双極性障害の効果的な補助療法の1つとして、ブライトライト光療法(BLT)が報告されている。これまでのメタ解析では、光療法による補助療法が、双極性うつ病の重症度を有意に改善させることが示唆されている。しかし、メタ解析に含まれた多くの研究は、ケースコントロール研究であり、不眠症治療と組み合わせたBLTに焦点が当てられていた。大分大学の平川 博文氏らは、双極性うつ病に対する補助的BLTに関するランダム化比較試験(RCT)を抽出し、メタ解析を実施した。Brain and Behavior誌オンライン版2020年10月9日号の報告。 EMBASE、MEDLINE、Scopus、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature、Clinicaltrials.govの電子データベースより、2019年9月19日までに英語で発表された、薬物治療中の双極性うつ病患者に対する補助的BLTの有効性を検討したRCTを検索した。文献スクリーニング、データ抽出、方法論的質の評価は、独立した2人の研究者により実施された。主要アウトカムは、治療反応率と寛解率とした。メタ解析には、Review Manager 5.3ソフトウェアを用いた。 主な結果は以下のとおり。・4研究より、双極性うつ病患者190例(BLT群:94例、対照群:96例)を評価し、光療法の効果を検証した。・メタ解析では、双極性障害の治療反応率に対する光療法の有意な効果が確認された(リスク比:1.78、95%CI:1.24~2.56、p=0.002、I2=17%)。・しかし、寛解率に対する有意な効果は確認されなかった(リスク比:2.03、95%CI:0.48~8.59、p=0.34、I2=67%)。・重篤な悪影響は報告されていなかった。・躁転率は、BLT群で1.1%、対照群で1.2%であった。 著者らは「BLTは、双極性うつ病患者のうつ症状を軽減するうえで、効果的な治療法である」としている。

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持続性AFへのアブレーション+マーシャル静脈内エタノール注入併用が有効/JAMA

 持続性心房細動(AF)の患者の治療において、カテーテルアブレーションにマーシャル静脈内エタノール注入を併用すると、カテーテルアブレーション単独と比較して、6ヵ月および12ヵ月後の時点の双方でAFまたは心房頻拍が残存しない可能性が高まることが、米国・Houston Methodist DeBakey Heart and Vascular CenterのMiguel Valderrabano氏らが実施した「VENUS試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。持続性AFに対するカテーテルアブレーションの成功には限界がある。肺静脈隔離を拡大した手技による戦略は、一貫性のある改善効果を示せていない。マーシャル静脈には、逆行性エタノール注入によってアブレーションが可能となる神経支配やAFのトリガーが含まれるという。マーシャル静脈内エタノール注入の追加で結果を改善できるか評価 本研究は、カテーテルアブレーションにマーシャル静脈内エタノール注入を追加することで、持続性AFのアブレーションの結果を改善できるかを評価する無作為化臨床試験であり、米国の12施設が参加し、2013年10月~2018年6月の期間に患者登録が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]/国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 対象は、年齢18~85歳、1剤以上の抗不整脈薬に抵抗性で、症候性の持続性AF(>7日の持続)の患者であった。被験者は、カテーテルアブレーション単独またはカテーテルアブレーション+マーシャル静脈内エタノール注入を受ける群に、1対1.15の割合(マーシャル静脈内エタノール注入の技術的な失敗が15%あると想定)で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、6ヵ月および12ヵ月後のいずれの時点でも、抗不整脈薬を使用せずに、1回の手技でAFまたは心房頻拍が発現しない時間が30秒を超えることとした。副次アウトカムは12項目で、AF負荷、複数回の手技を行った後にAFがみられないこと、僧帽弁輪部のブロックなどが含まれた。マーシャル静脈内エタノール注入併用群の主要アウトカムは良好 無作為化された343例(平均年齢66.5[SD 9.7]歳、男性261例)のうち、316例(92.1%)が試験を終了した。マーシャル静脈内エタノール注入併用群が185例、カテーテルアブレーション単独群は158例であった。併用群の185例のうち、155例(84%)でマーシャル静脈内エタノール注入が成功した。 6ヵ月後と12ヵ月後に、1回の手技でAF/心房頻拍が発現しなかった患者の割合は、マーシャル静脈内エタノール注入併用群が49.2%(91/185例)と、単独群の38%(60/158例)に比べ良好であった(群間差:11.2%、95%信頼区間[CI]:0.8~21.7、p=0.04)。 12項目の副次アウトカムのうち、9項目には有意差はなかったが、AF負荷(負荷なしの割合:78.3% vs.67.9%、群間差:10.4%、95%CI:2.9~17.9、p=0.01)、複数回の手技後にAFの発現なし(65.2% vs.53.8%、11.4%、0.6~22.2、p=0.04)、僧帽弁輪部ブロックの成功(80.6% vs.51.3%、29.3%、19.3~39.3、p<0.001)は、併用群で有意に改善した。 有害事象の頻度は両群で同程度であった。全体で最も頻度の高い手技中の有害事象は、血管アクセス合併症(血腫/仮性動脈瘤、11件)および心膜液貯留(3件)であった。手技後に心膜穿刺によるドレナージを要する亜急性心膜液貯留が4例に発生した。手技後の脳血管イベントが7例、肺炎が7例で認められた。ドレナージを要しない症候性の炎症性心膜炎が、併用群11例、単独群6例で発生した。 著者は、「長期的な有効性を評価するには、さらなる研究を要する」としている。

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Pfizer社の新型コロナワクチン、接種28日目以降の予防効果確認/第III相試験中間解析

 Pfizer社とBioNTech社が開発している、SARS-CoV-2に対するmRNAベースのワクチン候補BNT162b2の第III相試験の最初の中間解析で、感染歴のないボランティアへの2回目の投与(初回から21日後)の7日目以降に90%以上のワクチン有効率を示した。これは、ワクチン接種の開始から28日目以降の予防効果が達成されたことを意味する。Pfizer社とBioNTech社が11月9日に発表した。11月第3週に米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する予定という。 BNT162b2の第III相試験は7月27日に開始。現在までに4万3,538人が登録され、そのうち3万8,955人が11月8日時点で21日間隔・2回目の投与を受けている。中間解析は、評価可能なCOVID-19症例数が94例に達した時点で外部の独立データモニタリング委員会により行われ、2回目の投与の7日目以降に90%を超えるワクチン有効率を示した。今後の研究の進行に応じて、最終的な有効率は変わる可能性がある。 この研究では、SARS-CoV-2への曝露経験者でのCOVID-19を予防する可能性および重症COVID-19に対する予防効果も評価する予定。主要有効性評価項目は、2回目の投与から7日目以降におけるCOVID-19発症で、最終解析には、副次有効性評価項目として2回目の投与から14日目以降のCOVID-19発症も追加された。安全性については引き続きデータを蓄積し、2回目の投与後2年間、長期的な予防効果と安全性について観察する。 試験への登録は継続中で、164例のCOVID-19症例が発生した時点で、最終解析が実施される予定。現在の予測に基づくと、2020年に世界で最大5,000万回、2021年には最大13億回のワクチンを生産予定と発表されている。

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COVID入院患者で注意しなくてはならないのは?(解説:香坂俊氏)-1314

COVIDは11月現在、まだ世界で猛威を振るい続けている。なかでも状況が深刻なのは米国であるが、かの国から興味深い報告がなされた(掲載されたのは珍しくBMJ[英国の雑誌]なのであるが…)。COVID-19の感染が確認された成人患者情報が68の病院のICUから集められ、合計5,019人の「集中治療を要した」COVID患者のデータが解析された。このうち14%が心肺停止となったとされ、このあたりの数値は武漢からの報告ともおおむね一致している(武漢のCOVID専属治療施設での重症例の心肺停止の頻度が20~25%程度であった)。院内心停止が発生した患者は高齢かつ、併存疾患が多く、ICU病床数の少ない病院に入院している傾向にあり、心停止の際にモニターでよく見られたパターンはPEA(無脈性電気活動:50%)とasystole(心静止:24%)であったただ、自分が最も注目すべき点として挙げたいのは、こうした院内心肺停止症例で蘇生行為を受けたのが57%にとどまったというところである。自分の経験でも米国の医療施設では、事前にDNRのオーダーが出ていない限り必ず蘇生行為が行われるので、それだけadvance care planning(ACP)が重症例に対して積極的になされていたと考えられる。それを裏付ける、という訳でもないのだが、蘇生行為を受けて助かり、退院までこぎ着けることができた患者はわずか12%にすぎなかった。このときの生存率は年齢によって異なり、若年者にfavorableな結果であったというのもこれまでの報告と一致している(45歳未満の患者の21%が生存しているのに対し、80歳以上の患者の生存率は3%)。こうした非常に大規模な研究により、COVID重症例での対応が徐々に明確になってきている。たとえば、PEAやasystoleが心肺停止の際に多くみられたということは、主に心臓以外の要因で亡くなる方が多いということが示唆される。また、今回のデータからも、重症COVIDで患者さんを拝見させていただく場合に(とくに高齢者や背景疾患が存在する方)、かなり早い時期からACPの議論を始めておく必要性は強調される。

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第33回 悪夢払いアプリを米国FDAが承認

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行食い止めのためのロックダウン6週目に4,275人を調べたところ睡眠時間は多くなっていたものの目が覚めてしまうことが増え、4人に1人以上(26%)は悪夢を見ることが多くなっていました1)。コロナ禍の矢面に立って負担を強いられている医療従事者はとくにそうなりがちらしく、スペインでの別の研究によると100人中38人(38%)が悪夢を報告しており、非医療従事者のその割合約21%を有意に上回りました(p=0.02)2)。先週金曜日、そんな安眠さえままならない医療従事者の苦悩を軽減してくれるかもしれないApple Watch(アップルウォッチ)/iPhone(アイフォン)アプリが米国FDAに承認されました3)。Nightwareという商品名のそのアプリは募る負担の現れである悪夢を遮って夜間の休息が続くようにします。NightwareはApple Watchのセンサーを使って睡眠中の体の動きや心拍数を把握し、サーバーにそれらの情報を送ります。サーバーは独自のアルゴリズムを使って患者の睡眠パターンを把握し、おそらく悪夢を見ていると判断したら目を覚まさせない程度にApple Watchを震わせて気を引いて悪夢の解消を目指します。アプリは賢くて学習機能があり、もし振動で目が覚めてしまった場合、次からはそうならないようにより弱く振動させます4)。70人が参加した無作為化比較試験の結果、振動する製品は振動しない模造品に比べて睡眠の質の自己評価指標Pittsburgh Sleep Quality Indexをより改善しました。Nightwareは悪夢障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)による悪夢に苦しむ22歳以上の患者に使うことができます。ただし、PTSD患者には他の治療と一緒に使う必要があり、NightwareだけでPTSDを治療することはできません。また、悪夢の際に眠ったまま歩いたり(sleepwalking)乱暴する人は使うことはできません。参考1)Pesonen AK, et al. Front Psychol. 2020 Oct 1;11:573961. 2)Herrero San Martin A, et al. Sleep Med. 2020 Aug 17;75:388-394.3)FDA Permits Marketing of New Device Designed to Reduce Sleep Disturbance Related to Nightmares in Certain Adults/PR Newswire4)NightWare製品説明

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好きな医療系漫画ランキング、あなたのお気に入りはありますか?

 最近、医療現場のリアルを描いた医療系漫画が注目され、話題作が次々と映像化されている。では、実際の医師はどんな医療系漫画を好んで読むのだろうか。 ケアネットでは、会員医師に協力いただき、好きな医療系漫画についてのアンケートを実施した。2020年9月17日~10月2日に1,600名を対象として、今年に入ってから医療系漫画を1冊以上読んだかどうかを聞き、「はい」と回答した方に好きな作品や印象的なエピソードなどを聞いた。若い医師ほど医療系漫画を読む傾向に 「今年、医療系漫画を読んだ」と回答したのは、1,600人中671人(41.8%)。年代が若いほど医療系漫画を読んでいる割合が高く、20~30代では61%、40代は48%、50代は37%、60代以上は31%だった。診療科別で見ると、半数を超えていたのは糖尿病・代謝・内分泌科、眼科、臨床研修医だった。1位は『ブラック・ジャック』、上位3作品は各年代で共通 「今までに読んだ医療系漫画の中で最も好きな作品」を3つまで挙げてもらったところ、『ブラック・ジャック』が427票を獲得しトップに、次いで医龍(270票)、ブラックジャックによろしく(137票)となった。 上位3作品はどの年代でも共通であり、『ブラック・ジャック』が不動の1位かと思いきや、20~30代では『医龍』が1位だった。4位以降に選ばれた作品は各年代での違いが見られた。 続いて、「今後、読んでみたい診療科」について聞いたところ、内科、循環器科、救急診療科、精神・神経科、産業医などに多くの票が集まった。コロナ禍のインパクトも相まって、メンタルヘルスへの関心が高まっているのかもしれない。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医療系漫画をよく読む診療科は?好きな漫画の第1位は? 年代別ランキング、とくに印象的なエピソード、自分が漫画家なら描きたいエピソードなど。

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成人ADHDに対するグアンファシン徐放性製剤の安全性、有効性~第III相延長試験

 昭和大学の岩波 明氏らは、成人の注意欠如多動症(ADHD)に対するグアンファシン徐放性製剤(GXR)の長期における安全性、有効性の評価を行った。BMC Psychiatry誌2020年10月2日号の報告。 本研究は、日本で行われた成人ADHDに対するGXRの非盲検長期第III相延長試験である。対象は、二重盲検試験から延長された成人ADHD患者150例および新規に登録された41例。1日1回のGXR投与を50週間継続した(開始用量:2mg/日、維持用量:4~6mg/日)。主要アウトカムは、治療による有害事象(TEAE)の頻度と種類とした。副次的アウトカムは、成人用ADHD評価尺度ADHD-RS-IV日本語版の合計スコアおよびサブスコア、コナーズの成人期ADHD評価尺度(CAARS)、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)、患者による全般印象度の改善度(PGI-I)、QOL、実行機能の0週目からの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・191例中180例(94.2%)で1つ以上のTEAEが認められ、38例(19.9%)がTEAEにより治療を中止した。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度から中等度であり、重度のTEAEは2例であった。また、死亡例は認められなかった。・患者の10%以上で認められた主なTEAEは、傾眠、口渇、鼻咽頭炎、血圧低下、頭位性めまい、徐脈、倦怠感、便秘、めまいであった。・ADHD-RS-IV合計スコアおよびサブスコア、CAARSサブスコアの有意な改善が認められた(p<0.0001)。また、CGI-I、PGI-Iスコアが大きく改善した患者の割合は増加した。 著者らは「成人ADHDに対するGXRの長期使用に、重大な安全上の懸念は見当たらなかった。また、GXR長期使用後、患者のADHD症状、QOL、実行機能の有意な改善が認められた」としている。

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COVID-19、家庭・職場で感染リスクが高い行動は?

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染リスクを減らすには何に注意すればよいのだろうか。シンガポール・National Centre for Infectious DiseasesのOon Tek Ng氏らが、COVID-19患者の濃厚接触者におけるSARS-CoV-2感染に関連する因子を調べた結果、家族内では「寝室の共有」「COVID-19患者から30分以上話されること」が、家族以外では「2人以上のCOVID-19患者への曝露」「COVID-19患者から30分以上話されること」「同じ車への乗車」が関連していた。一方、「間接的な接触」「一緒に食事すること」「同じトイレの使用」については独立した関連がみられなかった。Lancet Infectious Disease誌オンライン版2020年11月2日号に掲載。 シンガポールではCOVID-19と診断された患者すべてに、保健省による接触者のトレースやPCR検査、濃厚接触者の健康サーベイランスを実施している。本研究は、このデータを使用し、2020年1月23日~4月3日に診断されたCOVID-19患者の濃厚接触者すべてを調査した後ろ向きコホート研究である。家族内接触者はCOVID-19患者との同居者、家族外の濃厚接触者はCOVID-19患者から2m以内で30分間以上の接触者とした。シンガポールではCOVID-19患者は全員入院し、接するのは医療スタッフに限られ、濃厚接触者は全員14日間隔離し1日3回、電話で症状モニタリングを実施している。誤診の発生割合と無症候性SARS-CoV-2陽性者の有病率はベイズモデリングで推定し、SARS-CoV-2感染の危険因子は単変量および多変量ロジスティック回帰モデルで決定した。 主な結果は以下のとおり。・2020年1月23日~4月3日の間に、PCRで確認されたCOVID-19患者1,114例の濃厚接触者7,770人が特定された(家族接触者1,863人、職場での接触者2,319人、社会での接触者3,588人)。・症状に基づいたPCR検査で188例検出され、7,582人は陽性ではなかった。・濃厚接触者7,770人のうち全データが揃っている7,518人(96.8%)における2次的な臨床的罹患率は、家族接触者1,779人では5.9%(95%CI:4.9~7.1)、職場での接触者2,231人では1.3%(同:0.9~1.9)、社会での接触者3,508人では1.3%(同:1.0~1.7)であった。・濃厚接触者1,150人(家族接触者524人、職場の接触者207人、社会での接触者419人)の血液および症状のデータのベイズ分析の結果、症状に基づいたPCR検査戦略によってCOVID-19の62%(95%CI:55~69)を見落とし、感染者の36%(同:27~45)は無症候性だったと推定された。・家族接触者のSARS-CoV-2感染に関連していた因子は、寝室の共有(多変量オッズ比[OR]:5.38、95%CI:1.82~15.84、p=0.0023)、COVID-19患者から30分以上話されること(OR:7.86、95%CI:3.86~16.02、p<0.0001)であった。・家族以外の接触者では、2人以上のCOVID-19患者への曝露(多変量OR:3.92 、95%CI:2.07~7.40、p<0.0001)、COVID-19患者から30分以上話されること(多変量OR:2.67、95%CI:1.21~5.88、p=0.015)、同じ車への乗車(多変量OR:3.07、95%CI:1.55~6.08、p=0.0013)がSARS-CoV-2感染に関連していた。・家族接触者と家族以外の接触者のどちらも、間接的な接触(感染患者から物を受け取る、感染患者が触った面を直後に触る)、一緒に食事すること、同じトイレの使用については、SARS-CoV-2感染との独立した関連は示されなかった。

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持続的腎代替療法時の抗凝固療法、クエン酸 vs.ヘパリン/JAMA

 急性腎障害を伴う重症患者への持続的腎代替療法施行時の抗凝固療法において、局所クエン酸は全身ヘパリンと比較して、透析フィルター寿命が長く、出血性合併症は少ないが、新規感染症が多いことが、ドイツ・ミュンスター大学病院のAlexander Zarbock氏らが行った「RICH試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。欧米の現行ガイドラインでは、重症患者への持続的腎代替療法時の抗凝固療法では局所クエン酸が推奨されているが、この推奨のエビデンスとなる臨床試験やメタ解析は少ないという。ドイツの26施設が参加、試験は早期中止に 研究グループは、持続的腎代替療法施行時の局所クエン酸投与が透析フィルター寿命および死亡に及ぼす影響を、全身ヘパリンと比較する目的で、多施設共同無作為化試験を実施した(ドイツ研究振興協会の助成による)。本試験はドイツの26施設が参加し、2016年3月~2018年12月に行われた。 対象は、年齢18~90歳、KDIGOステージ3の急性腎障害または持続的腎代替療法の絶対適応とされ、重症敗血症/敗血症性ショック、昇圧薬の使用、難治性の体液量過剰のうち1つ以上がみられる患者であった。 被験者は、持続的腎代替療法施行時に、局所クエン酸(イオン化カルシウムの目標値1.0~1.40mg/dL)または全身ヘパリン(活性化部分トロンボプラスチン時間の目標値45~60秒)の投与を受ける群に無作為に割り付けられた。 フィルター寿命と90日死亡率を複合主要アウトカムとした。副次エンドポイントには出血性合併症や新規感染症が含まれた。 本試験は、596例が登録された時点で、中間解析の結果がプロトコールで事前に規定された試験終了に達したため、早期中止となった。フィルター寿命が15時間延長、死亡への影響の検出力は低い 638例が無作為化の対象となり、596例(93.4%、平均年齢67.5歳、183例[30.7%]が女性)が試験を終了した。局所クエン酸群が300例、全身ヘパリン群は296例だった。 フィルター寿命中央値は、局所クエン酸群が47時間(IQR:19~70)、全身ヘパリン群は26時間(12~51)であり、有意な差が認められた(群間差:15時間、95%信頼区間[CI]:11~20、p<0.001)。90日の時点での全死因死亡は、局所クエン酸群が300例中150例、全身ヘパリン群は296例中156例でみられ、Kaplan-Meier法による推定死亡率はそれぞれ51.2%および53.6%であり、両群間に有意な差はなかった(補正後群間差:-6.1%、95%CI:-12.6~0.4、ハザード比[HR]:0.79、95%CI:0.63~1.004、p=0.054)。 38項目の副次エンドポイントのうち34項目には有意差がなかった。局所クエン酸群は全身ヘパリン群に比べ、出血性合併症(15/300例[5.1%] vs.49/296例[16.9%]、群間差:-11.8%、95%CI:-16.8~-6.8、p<0.001)が少なく、新規感染症(204/300例[68.0%] vs.164/296例[55.4%]、12.6%、4.9~20.3、p=0.002)が多かった。 局所クエン酸群は、重度アルカローシス(2.4% vs.0.3%)および低リン血症(15.4% vs.6.2%)の頻度が高く、全身ヘパリン群は、高カリウム血症(0.0% vs.1.4%)および消化器合併症(0.7% vs.3.4%)の頻度が高かった。これら以外の有害事象の頻度は両群間に差はなかった。 著者は、「本試験は早期中止となったため、抗凝固療法戦略が死亡に及ぼす影響に関して、結論に至るに十分な検出力はない」としている。

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Dr.田中和豊の血液検査指南 総論・血算編

【総論】 第1回 検査の目的 第2回 検査の指標 第3回 診断過程における検査の役割 第4回 検査の選択とマネジメント 第5回 Bayes統計学【血算編】 第1回 白血球1 白血球増加症 第2回 白血球2 白血球分画異常症 第3回 白血球3 白血球減少症 第4回 赤血球1 多血症 第5回 赤血球2 貧血 第6回 赤血球3 正球性貧血・小球性貧血 第7回 血小板1 血小板増加症 第8回 血小板2 血小板減少症 第9回 血小板3 汎血球減少症 第10回 血小板4 TTP・HUS・HIT 【総論】すべてのベースとなる検査の基本からスタート。日々の診療で検査を行うことが目的になっていませんか?念のための検査をやっていませんか?何のために検査を行うのか、どのような検査をどのように行えばよいのか、また、その結果をどのように解釈し、マネジメントを行うのか。Dr.田中和豊流の“血液検査学”を理解するための前提の講義です。【血算編】白血球・赤血球・血小板の検査値をどのように解釈し、治療を行うのか。Dr.田中和豊式“鉄則”や、鑑別診断や経験的治療の“フローチャート”を用い、やるべきことをシンプルにレクチャーします。この番組を見ると、血液検査の数値を見たときに、実臨床で何をすべきかをしっかりと理解できるようになるはずです。※この番組をご覧になる際に、「問題解決型救急初期検査 第2版(医学書院)」ご参考いただくと、より理解が深まります。書籍はこちら ↓【問題解決型救急初期検査 第2版(医学書院)】【総論】第1回 検査の目的医学生、初期研修医 の皆さん!その検査は何のためにやっていますか?検査を行うことが目的になっていませんか?念のための検査をやっていませんか? そんな検査に、田中和豊先生が喝を入れます! 日々の診療で行う検査について、今一度、考え直してみましょう。【総論】第2回 検査の指標検査を行うためには、それぞれの検査の特性を知らなければなりません。傷病を診断するための検査の特性を示すいくつかの指標があります。例えば、有病率と罹患率、感度と特異度、精密度・再現性・信頼度、尤度比などです。それらの指標の考え方と意義、そしてそれらをどのように用いるのか?田中和豊先生が医学生・初期研修医向けにシンプルにわかりやすく解説します。【総論】第3回 診断過程における検査の役割診療において検査を行うとき、検査前にその疾患である確率と検査を行い、その結果による検査後の確率の変化について考えていきましょう。検査前確率と検査後の確率の関係はBayesの定理によってその関係式が導き出されます。また、検査前の確率から、検査後の確率を算出する方法は2つあり、それにはオッズ比と尤度比という指標を用います。今回は、これらの関係について、そして検査後確率の算出方法について、詳しく解説します。医学生・初期研修医の方は必見です。【総論】第4回 検査の選択とマネジメント今回は、検査の選択、検査計画、検査の解釈、診断、マネジメントについて解説します。 それぞれの場面において何を優先して考えるべきか、その結果から何を導き出すのか、Dr.田中和豊が示す“鉄則”を確認していきましょう!【総論】第5回 Bayes統計学今回はBayes統計学について考えます。Bayes統計学は、原因から結果という自然な時間の流れに逆行する“逆確率”であるということ、事前確率を推定する“主観確率”であるということから、異端の統計学とのレッテルを貼られ、一統計学の世界から抹殺されていた時期もありました。そして、現在どのようにBayes統計学をEBMに応用しているのか、その歴史と意義について詳しく解説します。【血算編】第1回 白血球1 白血球増加症血液検査の原則から確認しましょう。採血は痛い!だから患者のためには、きちんとした計画そして評価が必要です。 そして、いよいよ血算編。まずは3回にわたって白血球についてみていきます。今回は、白血球増加症について。白血球が増加しているとき、確認すべきステップと鉄則は?Dr.田中和豊がシンプルかつわかりやすくにお教えします。【血算編】第2回 白血球2 白血球分画異常症今回は、白血球分画の異常について取り上げます。白血球の分画の基準値は%で示されますが、実際の異常を診る場合には絶対数を計算して確認しましょう。 好中球増加症、リンパ球増加症、異形リンパ球、単球増加症、好酸球増加症についてぞれぞれの異常値とその原因についてシンプルにわかりやすく解説します。 好中球増加症で用いられる左方移動や右方移動についてもその命名の歴史からご説明します。【血算編】第3回 白血球3 白血球減少症今回は白血球減少症についてです。白血球減少症の原因は、産生低下と破壊亢進の2つ。そのため、通常、問診や診察で簡単に判断できます。 すなわち白血球減少症では、鑑別よりも、マネジメントが問題となります。 その中でもとくに重要な発熱性好中球減少症について詳しく解説します。 Dr.田中和豊式フローチャートに沿って対応すれば、慌てずに対処できます。【血算編】第4回 赤血球1 多血症今回から3回にわたって赤血球について解説します。 まずは、赤血球の基本から。 赤血球の指標には、RBC、Hb 、Hctがありますが、実は、この3つの指標はほぼ同じもので、どれを使用してもかまいません。 しかし、実際には、Hbを使用することが多いのではないでしょうか。 それは、赤血球を評価するためには、赤血球の機能である酸素運搬能を評価することとなり、その動脈酸素運搬能DO2を算出する際に直接比例するHbを多血症や貧血の指標として用いるのです。 Hbの指標を用いて、基準値、多血症について、考えていきましょう。※スライドの文字に修正があります。誤)多血症 polycythermia⇒ 正)多血症 polycythemiaとなります。【血算編】第5回 赤血球2 貧血臨床上、最も多く遭遇する病態である「貧血」について解説します。血液単位容積あたりのヘモグロビン量の減少を貧血と呼びます。 まずは、その貧血の定義と鑑別診断について考えていきましょう。MCV(平均赤血球容積)で貧血を分類し、その中で大球性貧血について詳しくみていきます。田中和豊式鑑別診断のフローチャートで体系立てて診断・治療をすすめていきましょう。【血算編】第6回 赤血球3 正球性貧血・小球性貧血赤血球の最終話は、正球性貧血と小球性貧血について解説します。 それぞれの鑑別診断とその後の対応について、田中和豊式フローチャートで解説します。小球性貧血の中でも頻度の高い、鉄欠乏性貧血については、著量なども含め、詳しく見ていきます。最後には赤血球に関するまとめまで。しっかりと確認してください。【血算編】第7回 血小板1 血小板増加症今回から4回にわたって血小板について解説します。血小板の異常は、数の異常と、機能異常がありますが、このシリーズでは、数の異常について取り上げていきます。まずは、血小板増加症から。血小板増加症は、一次性と2次性に分類されます。それらをどのような順番で鑑別していくのか、田中和豊式フローチャートで確認していきましょう。【血算編】第8回 血小板2 血小板減少症今回は血小板減少症を取り上げます。血小板減少症は、プライマリケアにおいて、遭遇することが多い疾患です。そのため、マネジメントを身に付けておくことが重要となります。Dr.田中和豊式フローチャートで手順をしっかりと確認しましょう。対応するうえで重要なポイントとなる「血小板輸血」、「敗血症」などについても詳しく解説します。最後に、Dr.田中和豊が実際に経験した症例「血小板数3,000/μLの29歳女性」について振り返ります。その時のDr.田中のマネジメントはどうだったのか!【血算編】第9回 血小板3 汎血球減少症今回は汎血球減少症、無効造血、溶血性貧血について取り上げます。それぞれの疾患の定義と鑑別疾患をシンプルにわかりやすく解説します。いずれも、鑑別疾患が限られる疾患ですので、しっかりと覚えておきましょう。【血算編】第10回 血小板4 TTP・HUS・HIT最終回の今回は、TTP:血栓性血小板減少性紫斑病、HUS:溶血性尿毒症症候群 、HIT:ヘパリン起因性血小板減少症について取り上げます。それぞれの診断のポイントと、治療例を解説します。 また、血小板に関してこれまでを総括します。重要なポイントをおさらいしましょう!

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第30回 来年9月、レセプト審査システムにAI活用で地域差解消へ

<先週の動き>1.来年9月、レセプト審査システムにAI活用で地域差解消へ2.将来的に、電子カルテ情報は全国の医療機関で共有されることに3.オンライン診療は映像必須など、ガイドラインの見直しへ4.地域医療構想、コロナ収束後に向けた議論も見直し進まず5.アドバンス・ケア・プランニング、介護報酬にも反映を1.来年9月、レセプト審査システムにAI活用で地域差解消へ10月30日、厚生労働省は「審査支払機能の在り方に関する検討会」を開催し、社会保険診療報酬支払基金(支払基金)によるレセプト審査結果の不合理な差異の解消、支払基金と国民健康保険団体連合会(国保連)のシステムのあり方について議論が行われた。毎月1億6,000万件のレセプト処理を手作業で行っている現状だが、今後、AIを導入することで支払いの効率化を図ることとなった。また、従来からある支払基金と国保連のシステムの二重投資については、審査プログラムの共通化、AIの活用により、2021年9月からは9割のレセプト審査がコンピュータチェックで完結するように準備を進めていることが明らかとなった。今後、レセプト審査の標準化により、これまで認められていた地域差が縮小し、レセプト審査費用の軽減などが見込まれる。(参考)医療費審査、地域差縮小へ 厚労省、来年9月にシステム統一 無駄な支払いを抑制(日本経済新聞)第3回 審査支払機能の在り方に関する検討会 資料(厚労省)支払基金改革 審査事務集約化計画工程表等を公表(支払基金)2.将来的に、電子カルテ情報は全国の医療機関で共有されることに厚労省は11月6日、「第5回健康・医療・介護情報利活用検討会及び第4回医療等情報利活用ワーキンググループ」をオンライン開催した。保健医療情報を全国の医療機関などで確認できる仕組みの拡大および電子カルテ情報などの標準化について話し合われた。今後、電子カルテ情報の標準化を進め、全国の医療機関で共有できる範囲については、診療情報提供書、退院時サマリー、電子処方箋、健診結果を含めることになった。その確認方法については、今年中をめどに具体化する見込み。また、患者がレセプトの傷病名を確認できることについて、患者への告知を前提とし、提供の仕組みは改めて検討される。さらに患者が受診の都度、情報公開に対する同意の有無でコントロールするなどの提案が出された。このほか救急時の情報閲覧の仕組みに関しても、患者がマイナンバーカードを持参し、顔認証付きカードリーダーなどを用いて本人確認を行い、情報閲覧への本人の同意を得た上で、医師らによる情報の閲覧を原則とすることとなった。政府は、2021年3月のオンライン資格確認の本格的な運用開始に合わせて、マイナンバーカードを利用した電子処方箋の仕組み構築も進めており、マイナポータルでは、同年3月から特定健診などの、2021年10月から薬剤などの情報の閲覧開始に向けた準備を着実に進めている。(参考)注視すべきデータヘルス改革(薬事日報)第5回 健康・医療・介護情報利活用検討会及び第4回医療等情報利活用WG資料(厚労省)3.オンライン診療は映像必須など、ガイドラインの見直しへ厚労省は11月2日に「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」を開き、オンライン診療の普及に向けたガイドラインの見直しについて検討を行った。2018年3月に発出された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、新型コロナウイルスの流行拡大により、初診患者についても規制緩和を行なっているが、今後、適切なオンライン診療の普及に必要な検討を進める。オンライン診療は対面診療を行なわないため、心筋梗塞などを見逃すリスクがある。このため安全性と信頼性を担保するため、オンライン診療は、電話ではなく映像を必須とすることになった。また、初診のオンライン診療は医師会側が兼ねてから要望している「かかりつけ医」が行うことについては、オンラインシステムのベンダーについて国側に管理を求める声も上がった。今後、各方面の意見を取りまとめ、年内にルールの大枠を定め、来年以降施行されることになる見込み。(参考)関心高まるオンライン診療 普及に医師・患者のリスク共有不可欠(SankeiBiz)第11回 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会(厚労省)4.地域医療構想、コロナ収束後に向けた議論も見直し進まず11月5日、「厚労省医政局は地域医療構想に関するワーキンググループ」を開催し、新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方について議論した。現状、各医療機関において新型コロナ対応を行なっているが、その間も人口減少・高齢化は着実に進み、地域の医療ニーズが徐々に変化するとともに、労働力人口の減少によるマンパワー不足も一層厳しくなるため、2025年の地域医療構想の実現は変わらず必要とされている。今後、地域医療構想の実現に向けた医療機能の分化・連携の取り組みの中で、コロナも含めた感染症病床の整備も踏まえた形での検討に時間を要することから、現時点ではスケジュールの具体化に関する議論は進んでいない。また、公立・公的医療機関などに対する再検証要請も、今年9月の期限を延長したものの明確な期限は示されていない。総務省では、10月29日に「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」を開催し、各都道府県の首長からは、現状のコロナ感染拡大でのスケジュールの見直しを求めている。今後の議論の行方次第では、地域医療構想の実現に影響が及ぶと考えられる。(参考)今後の地域医療構想に関する議論の整理に向けた考え方(案)(厚労省)新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の検討状況について(厚労省医政局)5.アドバンス・ケア・プランニング、介護報酬にも反映を厚労省は11月5日に「社会保障審議会介護給付費分科会」をオンラインで開催した。今後、最も年間死亡数が多くなると予測される2040年には、2015年と比べて約39万人の死亡数増加が見込まれる中、国民の多くは、「最期を迎えたい場所」について、「自宅」を希望している。充実した看取りへの対応が求められているとし、2018年3月に改定された「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に基づき、看取り・ターミナルケアに関して、ガイドラインの内容に沿った取り組みを行う介護サービス事業者への加算要件について検討することが提案された。今後、終末期医療や看取りの現場では、アドバンス・ケア・プランニングに基づいて患者が希望する医療・介護の実現が求められることとなる。(参考)第191回 社会保障審議会介護給付費分科会 【資料1】地域包括ケアシステムの推進(厚労省)「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について(同)

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「1日に70人の患者が来る診療所」を引き継いだはずなのに【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第4回

第4回 「1日に70人の患者が来る診療所」を引き継いだはずなのに…漫画・イラスト:かたぎりもとこ「私が引き継いだら、患者さん、どれくらい減りますかね…?」医業承継の現場で買い手の医師の方からよく聞かれる質問です。私たちの答えは「一般的に、引き継ぎ直後は2割程度の患者さんが離反しますが、その後、半年程度かけて旧院長が運営していた時代の外来数を上回るケースが多いですよ」というものです。想像できることですが、旧診療所に通う患者さんの一定数は旧院長の“ファン”であり、院長交代によって通院先を他院(より自宅に近い診療所など)へ変えてしまいます。ですが、その後、新院長がホームページを作成する、広告を打つなどの新規の患者さんがより集まるような対策や、電子カルテを導入する、スタッフの配置転換をするなど、患者さん1人当たりをより効率的に診療できる取り組みを推進していくため、患者さんが徐々に増えていくケースが多いのです。結果として、高齢で集患対策などをあまり行っていなかった旧院長時代の患者数を超えられる、というわけです(参考までに、医業承継において売り手の先生が紙カルテを運用しているケースは7割を超えています)。一方、引き継ぎ後の「平均2割」という数字を大きく超える患者離反が発生している場合は注意が必要です。外的要因、つまり「同時期に新しく競合の診療所ができた」というのも想定できますが、どちらかというと内的要因(自院の問題)によるケースが多いのです。よくあるのが、「旧院長と比較して、患者さんとのコミュニケーション方法が大きく異なる(要は怖い、厳しい、横柄などと思われてしまう)」というものです。こうした事象を防ぐために、承継前の面談時に旧院長の人柄やコミュニケーションスタイルを確認しておくこと、引き継ぎをしっかりと行って現在来院している患者さんの特性をきちんと認識しておくことが重要です。できれば、引き継ぎ期間を長く設けて自分がアルバイトする、もしくは引き継ぎ後に旧院長に週1、2回程度の非常勤勤務をしてもらう、などの緩やかな移行期間を設け、患者さんの離反数を最小化することが大切です。

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第31回 検定の落とし穴とは?【統計のそこが知りたい!】

第31回 検定の落とし穴とは?あまり意味のない差でも、サンプルサイズを増やしていけば、どこかで帰無仮説は棄却され、「統計学的に有意な差がある」ことになります。このような検定の落とし穴にはまらないためには、どこに注意すればいいのかについて解説します。■検定統計量t値の求め方t値は比較する平均値の差分を標準誤差(SE)で割った値です。t値を求めるときの分母となっている標準誤差(SE)は、対応のあるt検定の場合、次の式で求められる値です。注.標準偏差は個々のデータの差分について求めた値t値は統計学が定めた基準の値である棄却限界値と比較し、t値>棄却限界値であれば、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択します。つまり、t値は大きければ大きいほど帰無仮説が棄却されやすく、有意になりやすいということになります。では、上記の式をみて、どのような場合にt値が大きくなるのかを考えてみましょう。標本調査を多数回したとします。どの標本調査も比較する平均値の差分と標準偏差は一定で、サンプルサイズは異なるとします。サンプルサイズが大きい標本調査の標準誤差(SE)の値は、分子(標準偏差)は変わらず、分母(√n)が大きくなりますので、標準誤差(SE)の値は小さくなります。t値は、標準誤差(SE)が小さくなり、比較する平均値の差分は一定なので、大きくなります。ということは、検定結果はどうなるでしょうか。t値が大きくなれば、そのt値が偶然に観測される確率、すなわちp値はどんどん小さくなるので、帰無仮説は棄却されやすくなり、有意になりやすくなります。ということは、サンプルサイズは多ければ多いほどいいということでしょうか。たしかに、「とにかく有意差が出ればよい」という考え方であれば、サンプルサイズを増やせるだけ増やしたほうがよい、ということになります。しかし、「ほんのわずかな差しかなくても、サンプルサイズさえ増やしていけば、統計学的に有意になってしまう」ということになります。つまり、あまり意味のない差でも、サンプルサイズさえ増やしていけばそのうち統計学的に有意になってしまうということになるのです。統計で判断できるのは、「標本調査で観測された差分の値は母集団においても有意に差がある」といえるかどうかの判断だけであり、その差分の値が臨床的に意味のある値であるかどうかは、まったく別の話だということです。一例を挙げると、2型糖尿病治療薬を投与して24週後に空腹時血糖変化量がベースラインから-5.0mg/dL低下したのは、統計学的に母集団においても有意であったかどうかの答えは出せますが、「空腹時血糖変化量が-5.0mg/dL低下したことに意味があるのかどうか」の判断には、検定結果よりも、またp値よりも何よりも「-5.0mg/dL」という値そのものが一番わかりやすい基準となります。たとえば、t値が大きく、結果としてp<0.001といわれると、とてもよい結果が出たかのような落とし穴にはまりそうになりますが、「空腹時血糖変化量がベースラインから-5.0mg/dL減少した」というデータをきちんとみれば、あまり意味がないのではないかという判断ができます。つまり、統計解析の結果と臨床試験の結果の値、どちらも重要ということなのです。統計解析の結果に目を向けすぎると臨床試験の結果の値をおろそかにしてしまいがちになります。「本当に臨床的に意味のある値なのかどうか」を判断することは、統計以上にとても大事なことになります。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション8 信頼区間による仮説検定セクション9 t値による仮説検定セクション10 p値による仮説検定

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マンモ検診開始、40歳への引き下げは乳がん死を減少/Lancet Oncol

 40代から始めるマンモグラフィ検診の乳がん死への効果について、英国で行われた無作為化試験「UK Age試験」の最終結果が、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のStephen W. Duffy氏らにより公表された。40歳または41歳という、より若い年齢から始める毎年のマンモグラフィ検診は、乳がん死の相対的な減少と関連していることが示されたという。フォローアップ10年以降は有意差がみられなくなっていたが、絶対的減少は変わらなかった。結果を踏まえて著者は、「スクリーニング開始年齢を50歳から40歳に引き下げることは、乳がん死を減少すると思われる」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。 研究グループは、40~48歳時のマンモグラフィ検診の乳がん死への影響を推定する無作為化試験を行った。英国全土にわたる23ヵ所の乳がん検診施設で被験者を募り、39~41歳の女性を、一般医(GP)で層別化して1対2の割合で無作為に介入群と対照群に割り付けた。 介入群は、試験に包含された時の年齢から暦年で48歳に達するまで毎年マンモグラフィ検診を受けた。対照群は、国民保健サービスの乳がん検診プログラム(NHSBSP)から案内が来た約50歳時に初回検診を受ける標準ケアを受けた。介入群の女性への受診案内は郵送で行われた。また、対照群は試験参加を認識していなかった。 主要エンドポイントは、被験者のNHSBSP初回検診前の介入期間中の乳がん死(直接の死因が乳がんであるとコード化されていた)診断であった。 死亡への影響の時期を調べるため、さまざまなフォローアップ期間での結果を解析した。主要比較は、無作為化状況の準拠にかかわらず全女性を対象に行った(intention-to-treat解析)。本論では、長期的な解析が報告された。 主な結果は以下のとおり。・1990年10月14日~1997年9月24日に、16万921例の女性が試験に登録された。・5万3,883例(33.5%)が介入群に、10万6,953例(66.5%)が対照群に無作為に割り付けられた。・無作為化から2017年2月28日までのフォローアップの中央値は、22.8年であった。・フォローアップ10年時点で乳がん死の有意な減少が観察された。介入群83例vs.対照群219例(相対比[RR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.58~0.97、p=0.029)。・それ以降は有意な減少は認められなかった。介入群126例vs.対照群255例(RR:0.98、95%CI:0.79~1.22、p=0.86)。

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双極性障害とうつ病患者の白質異常と認知機能との関係

 近年、うつ病患者と双極性障害患者の白質線維の整合性(white matter integrity)を比較した拡散テンソル画像(DTI)の研究数が増加している。しかし、両疾患の白質異常の違いを調査した研究はあまりない。広島大学の増田 慶一氏らは、白質異常と認知機能との関係を調査するため、全脳トラクトグラフィーを用いて、健常対照者と寛解期うつ病患者および双極性障害患者の白質線維の整合性を包括的に評価した。Brain and Behavior誌オンライン版2020年10月3日号の報告。 健常対照者30例、うつ病患者30例、双極性障害患者30例を対象に、神経認知機能検査とDTIを実施した。3群間の白質線維の整合性と認知機能との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者は、うつ病患者や健常対照者と比較し、脳梁体部の異方性(fractional anisotropy:FA)が弱く、持続的注意力およびセットシフティングのスコアが低かった。・脳梁の左体部のFAは、双極性障害患者の持続的注意力と関連が認められた。 著者らは「双極性障害患者の脳梁における白質線維の整合性の有意な低下は、うつ病患者と比較し、持続的注意力低下との関連が認められた」としている。

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PCI後チカグレロルvs.クロピドグレル、NACEリスク差は?/JAMA

 日常臨床で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた急性冠症候群(ACS)患者の抗血小板療法において、チカグレロルとクロピドグレルには、1年後の純臨床有害事象(NACE、虚血性イベント+出血性イベント)のリスクに差はないことが、韓国・亜洲大学校のSeng Chan You氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。欧米の現行のガイドラインは、主に単一の大規模な無作為化臨床試験(PLATO試験)に基づき、ACS患者への優先的なP2Y12阻害薬としてチカグレロルを推奨しているが、PLATO試験では北米やアジアの患者におけるチカグレロルの有益性は明確ではなく、薬剤誘発性の呼吸困難や出血イベントなどの問題が残されている。また、最近の観察研究の結果からは、日常臨床においてチカグレロルはクロピドグレルに比べ良好な転帰をもたらすとの見解に疑問が投げ掛けられているという。チカグレロルのNACEリスクをクロピドグレルと比較 研究グループは、日常臨床でPCIを受けたACS患者における、チカグレロルの虚血性イベントおよび出血性イベントとの関連を、クロピドグレルと比較する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(韓国バイオ産業戦略的技術開発計画などの助成による)。 解析には、米国の2つの電子健康記録(EHR)に基づくデータベースと、韓国の1つの全国的な診療報酬請求データベースが用いられた。対象は、2011年11月~2019年3月の期間に、PCIを受けたACS患者のうち、チカグレロルまたはクロピドグレルを投与された集団であった。これらの集団について、大規模な傾向スコアアルゴリズムを用いてマッチングが行われた。 主要エンドポイントは、12ヵ月の時点でのNACEとした。NACEは、虚血性イベント(心筋梗塞の再発、血行再建、虚血性脳卒中)と出血性イベント(出血性脳卒中、消化管出血)で構成された。副次エンドポイントには、12ヵ月時のNACEまたは死亡、全死因死亡、虚血性イベント、出血性イベント、主要エンドポイントの個々の構成要素、呼吸困難が含まれた。変量効果メタ解析により、データベースごとのハザード比(HR)を統合し、サマリーHRを算出した。チカグレロルがクロピドグレルより有効かの判断にはさらなる研究要 3つのデータベースから合計18万3,579例(チカグレロル群4万3,578例、クロピドグレル群14万1例)が解析に含まれた。傾向スコアマッチングにより、両群から3万1,290組(年齢層中央値60~64歳、女性29.3%)の患者が抽出され、このうち95.5%でチカグレロルまたはクロピドグレルとともにアスピリンが使用されていた。 1年後のNACEのリスクは、米国の1つのデータベース(HR:1.06、95%信頼区間[CI]:0.90~1.24、p=0.52)と韓国のデータベース(1.02、0.96~1.09、p=0.50)の解析では、チカグレロル群とクロピドグレル群の間に有意な差はみられなかったが、米国のもう1つのデータベース(1.08、1.00~1.17、p=0.05)の解析ではチカグレロル群で有意に高かった。これらを総合した1年後のNACE発生率は、チカグレロル群が15.1%(3,484/2万3,116人年)、クロピドグレル群は14.6%(3,290/2万2,587人年)であり、両群間に有意な差は認められなかった(サマリーHR:1.05、95%CI:1.00~1.10、p=0.06)。 1年後のNACEまたは死亡(チカグレロル群16.8% vs.クロピドグレル群16.6%、サマリーHR:1.03、95%CI:0.98~1.08、p=0.21)、虚血性イベント(13.5% vs.13.4%、1.03、0.98~1.08、p=0.32)、虚血性脳卒中(0.7% vs.0.8%、0.93、0.76~1.13、p=0.46)、急性心筋梗塞の再発(8.1% vs.8.2%、1.01、0.94~1.08、p=0.81)、血行再建(4.3% vs.4.3%、1.08、0.85~1.38、p=0.51)、全死因死亡(2.0% vs.2.1%、0.97、0.81~1.16、p=0.74)には、両群間に有意差はなかった。 一方、チカグレロル群は、出血性イベント(0.3% vs.0.2%、サマリーHR:1.60、95%CI:1.10~2.33、p=0.01)、呼吸困難(27.3% vs.22.6%、1.21、1.17~1.26、p<0.001)、消化管出血(1.9% vs.1.4%、1.32、1.05~1.66、p=0.02)のリスクが高かった。 著者は、「評価不能な交絡の可能性を排除できないため、チカグレロルはクロピドグレルよりも有効かを判断するには、さらなる研究を要する」としている。

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臨床試験の利益相反、研究者の理解に大きなばらつき/BMJ

 臨床試験に関連する利益相反とは何か、どのような場合にそれを報告すべきかについての研究者の理解には、かなりのばらつきがあり、非営利的な金銭的利益相反(政治的な意図を持つ政府系医療機関による試験への資金提供など)の重大さを認識しつつも、その報告と管理は困難と考える研究者もいることが、デンマーク・オーデンセ大学病院のLasse Ostengaard氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年10月27日号で報告された。営利組織からの資金提供と、著者の金銭的な利益相反は、統計学的に有意な結果や好意的な結論の報告の頻度が高いことと関連する。また、利益相反は、試験のデザインや運営、解析、報告の仕方に影響を及ぼす可能性があるとの懸念が広まっている。利益相反が、試験の特定のデザインの特徴やバイアス、問題を最小化するための管理戦略に及ぼす適切でない影響に関連するメカニズムは、十分には理解されていないという。20人の研究者へのインタビューによる定性的研究 研究グループは、臨床試験の研究者は自分が携わった試験に適切でない影響を及ぼす利益相反をどのように認識しているか、その潜在的な影響を最小限に抑えるためにどのような管理戦略を行っているかを評価する目的で、インタビューによる定性的研究を行った(研究助成は受けていない)。 対象は、臨床試験の方法論や統計学の専門知識を持ち、10件以上の臨床試験に参加したことのある研究者であった。インタビューの対象となる研究者は、Web of Scienceの検索と機縁法(snowball sampling)で特定された。52人の臨床試験研究者に電子メールでインタビューを申し込み、20人(38%)が応じた。インタビュー時間中央値は24分(範囲:15~58)だった。 インタビューは、2017年12月~2018年7月の期間に電話で行われ、録音して逐語的に文字に起こされた。文字起こしは分析ソフト(NVivo 12)で読み込まれ、体系的にテキストを凝縮して解析された。半構造化インタビューは、金銭的および非金銭的な利益相反に重点が置かれた。利益相反の定義や閾値を使い分け、報告時期の基準も異なる インタビューの対象となった研究者が参加した臨床試験の件数中央値は37.5件(IQR:20~100)であった。20人の内訳は、医師が12人、他の医療従事者が2人、生物統計学者が4人、他の専門家が2人で、男性が18人、女性は2人だった。10人(50%)は企業が資金を提供した試験、19人(95%)は企業が資金を提供したが独立に運営された学術的試験、18人(90%)は非営利的な資金提供による試験を経験していた。主に薬剤の試験に参加した研究者が11人(55%)、主に薬剤以外の試験に参加した研究者が6人(30%)、薬剤と非薬剤の試験がほぼ同じ割合の研究者が3人(15%)だった。 事前に規定された2つのテーマ(利益相反の影響、管理戦略)と、2つの追加テーマ(利益相反の定義と報告)について検討した。利益相反の影響として認識された例には、質的に劣る比較対象の選択、無作為化の手順の操作、試験の早過ぎる中止、データの捏造、データへのアクセスの妨害、情報操作(spin、たとえば、結果の過度に好意的な解釈)などが挙げられた。 利益相反を管理する戦略の例としては、情報開示手続き、試験のデザインと解析からの資金提供者の除外、独立委員会の設置、データへの完全なアクセスを保証する規約、解析と報告に関して資金提供者による制限がないことなどが挙げられた。 また、臨床試験研究者は、利益相反と考えられることの定義や閾値を使い分けており、利益相反の報告の時期に関して異なる基準を示した。さらに、非営利的な金銭的利益相反(たとえば、政治的な意図を持つ政府系医療機関による試験への資金提供)の重大さは、営利的な金銭的利益相反(たとえば、製薬企業や医療機器企業による資金提供)と同等またはそれ以上であるが、その報告と管理はより困難と考える研究者もいた。 著者は、「これらの結果は、臨床試験における利益相反を評価するツール(TACIT)の開発のためのエビデンスの基盤として不可欠な要素である。TACIT(tool for addressing conflicts of interest in trials)は、臨床試験報告の読者に、利益相反の情報へのアクセスの仕方、その情報の処理の仕方の指針を示すことを目的とし、とくに系統的レビューを実施する際に、利益相反のある臨床試験の結果をどう解釈するかについての思考様式を提供するものである」としている。

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