サイト内検索|page:751

検索結果 合計:35224件 表示位置:15001 - 15020

15001.

基礎インスリン週1回投与の時代は目前に来ている(解説:住谷哲氏)-1317

 1921年にカナダ・トロント大学のバンティングとベストがインスリンを発見してから来年で100年になる。1922年にはインスリンを含むウシの膵臓抽出液がLeonard Thompsonに投与されて劇的な効果をもたらした。同年に米国のイーライリリーが世界で初めてインスリンの製剤化に成功し、1923年にインスリン製剤「アイレチン」が発売された。また北欧での製造許可を得たデンマークのノルディスク(ノボ ノルディスクの前身、以下ノボ社)から「インスリンレオ」が発売された。膵臓抽出物から精製されたこれらのインスリンは正規インスリン(regular insulin)と呼ばれ、われわれが現在R(regularの頭文字)と称しているインスリンである。 レギュラーインスリンは作用時間が約6時間程度であり、血中有効濃度を維持するためには頻回の注射が必要となる。そこで作用時間を延長するための技術開発が開始され、最初に世に出たのがNPH(neutral protamine Hagedorn)で、これはレギュラーインスリンにプロタミンを添加することで作用時間の延長を可能とした。その後は遺伝子工学が導入されてインスリンのアミノ酸配列の変更や側鎖の追加が可能となり、われわれが現在持効型インスリンと称しているグラルギン、デグルデクが登場した。ノボ社のデグルデクはインスリン分子に脂肪酸側鎖を追加することでアルブミンとの結合を増強し、それにより血中有効濃度の維持を可能とした。この技術は同社のGLP-1受容体作動薬のリラグルチド、セマグルチドの開発にも応用された。とくにセマグルチドは週1回投与を可能としたものであり、この技術がインスリンに応用されるのも時間の問題であったが、本論文で週1回投与のinsulin icodecが報告された。 結果は、26週の観察期間において、毎日投与のグラルギンと比較して血糖降下作用、安全性の点で同等であることが明らかとなった。試験デザインとしてdouble-dummy法(被験者はグラルギン実薬毎日投与+icodecプラセボ週1回投与またはグラルギンプラセボ投与+icodec実薬投与のいずれかに振り分けられた)を用いることでmaskingは確保されているので、結果の内的妥当性に問題はない。 おそらくわが国では数年後にinsulin icodecが発売されると思われる。現在ある週1回投与のセマグルチドとの配合剤も遠からず登場してくるだろう。ひょっとすると月1回投与の基礎インスリンが登場するのも夢物語ではないかもしれない。一方で持続時間のより短い改良型超速効型インスリンもすでに2剤が発売されている。われわれ医療者はこれら多くの選択肢から目の前の患者に最も適したインスリン製剤を選択する腕が問われる時代になってきたといえるだろう。

15003.

身長-123【Dr. 中島の 新・徒然草】(350)

三百五十の段 身長-123米国大統領選挙はまだすったもんだしています。2000年の選挙でも、ブッシュ対ゴアで大揉めに揉めたんじゃないかな。あれから20年経っても全く進歩せず。トランプ氏はなかなか負けを認めませんが、この往生際の悪さが彼らしいともいえます。さて、ある日の総診外来。主訴はなんだか忘れましたが、妙に背の高い女性が現れました。背が高いだけでなくオーラがある。聞いてみるとバレリーナだそうです。どおりで姿勢がよく、存在感がありました。彼女によれば、バレリーナの適正体重は「身長-123」だとか。なので身長が167センチだとすれば体重はわずかに44キロ。毎日の食事摂取量を900kcalに抑えているそうです。患者「でも私はバレエ団のメンバーから外されたので、今は裏方の仕事をしています」中島「じゃあ、もう思う存分食べてもいいんじゃないですか?」患者「周囲に悪影響を及ぼさないよう、体形は保たないといけないんです」中島「厳しすぎる!」なんでまた急にバレエの話を始めたのか。それは、BBCのニュースで感動的なビデオを見たからです。アルツハイマーを患って、スペインの老人ホームに入居しているマルティナ・ゴンザレスさん。ヘッドフォンでチャイコフスキーの「白鳥の湖」を聴かせると、車いすに座ったまま両手で踊り始めました。彼女はキューバでバレエを学び、仲間とともに1960年代のニューヨークで公演を行ったそうですが、その時の記憶が戻ったのでしょう。認知症といえども、体の奥深くに刻み込まれた厳しい稽古の日々を消し去ることはできなかったということですね。残念なことに、このビデオ撮影からほどなくして彼女は亡くなりました。このビデオを見ていると、あたかもアルツハイマーという名の恐ろしい悪魔に苦しめられながらも精一杯生きようとするオデット姫を彼女が体現しているように思えます。是非、読者の皆さんも実際に御覧になって下さい。胸に迫る動画です。最後に1句秋湖(あきうみ)に 蘇りたる 白鳥や

15005.

第33回 今一つ広がらないオンライン診療、課題はどこに?

コロナ禍で注目されるオンライン診療。関連サービスを提供している企業とオンライン診療を行っている医療機関が11月7日、都内で開かれた「現場からの医療改革推進協議会」シンポジウムのセッションで、現状と課題を報告した。そこから診療報酬点数、医療機関の体制づくりや医師の意識、システム上の課題などが明らかになった。最初に登壇した北村 直幸氏(霞クリニック院長)は、遠隔画像診断システム「LOOKREC」を今年4月から無償提供しているエムネス(広島市)の副会長を務める。北村氏は、開業医が新型コロナの疑いがある患者の診断に迷った時、LOOKRECがあれば遠隔地の専門医と画像を共有し相談できるが、医師の反応は乏しかったという。なぜだろうか。オンライン診療に関する調査によると、「常勤で自施設の遠隔読影・治療計画が不可能」との回答が約7割に上った。その理由として、「遠隔読影の体制を整えたいが、病院上層部や医療情報部の理解・協力が得られない」「遠隔診断環境構築を診療報酬で評価してほしい」「遠隔診断を導入すれば、平時でも24時間読影対応を要求されそうで踏み出せない」といった意見が挙げられた。それでも北村氏は、オンライン診療により、高度診断技術をへき地にも提供できたり、産休育休中の医師が在宅で読影できれば医師不足の緩和に繋がったりすると指摘。コロナ禍でリモートワークが一気に広がったように、遠隔画像診断もスタンダードになることを信じて模索を続けているという。次に登壇した多田 絵梨香氏は、オンライン診療サービス「クロン」を提供しているMICIN(東京都千代田区)のパブリックアフェアーズ部プロデューサー。クロンは、予約から問診・受診、決済、処方箋の受け取りまでスマホを使ってオンラインで完結できるサービスである。多田氏によれば、オンライン診療自体は2018年度の診療報酬改定で保険適用されたものの、利活用は進まなかったという。その原因として、(1)診療報酬上の対象疾患の制約(2)点数の低さ(3)厳格な実施要件(4)服薬指導の対面原則―を挙げた。しかし今年2月以降、順次、疾患制限が撤廃されたり、初診でのオンライン診療が可能になったりしたことで受診者は増加傾向にあり、これまで利用できなかった小児科、皮膚科、婦人科、精神科の受診者が増えているという。調査によれば、医師側は、患者の不要不急の外出を防ぎ、医師やスタッフの感染リスクを抑えられたことに新たな価値を見出し、患者側の9割超が診療に安心感を持ち、8割が対面診療以上に相談がしやすかったと回答したという。多田氏は「さらなる技術革新により、診療の質を高める部分にもアプローチが可能になる」と述べた。コロナ禍による引きこもりの影響で、中高生の妊娠が増えていると言われる中、医療法人社団鉄医会(東京都立川市)の久住 英二理事長は、首都圏に展開するナビタスクリニックで行っている緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン診療について紹介した。まず、ベンダーごとに一長一短がある点を指摘。月額固定料金の有無、スマホやタブレットに特化/パソコンでも利用可能か、電子カルテとのパッケージなどによる差異を挙げた。また、クレジットカード決済がメインなので、未成年者や低所得者のオンライン診療はクレジットカード登録がハードルだと指摘。「たとえば、LINE Payで支払うことができれば、中高生でも利用できる」と述べた。今回のシンポジウムで上がった診療現場の声の多くは、山積するオンライン診療の課題の指摘だったが、解決できれば急拡大に転じるヒントでもある。国はこうした声に真摯に耳を傾け、体制整備を急いでほしい。コロナや来年の五輪開催など、先延ばしできる猶予はどれほどもない。

15006.

禁煙とうつ病~メタ解析

 禁煙は健康、とくにメンタルヘルスに好影響を及ぼす可能性がある。イラン・Baqiyatallah University of Medical SciencesのSohrab Amiri氏は、禁煙者におけるうつ病有病率を明らかにするため、検討を行った。Journal of Addictive Diseases誌オンライン版2020年10月21日号の報告。 PRISMAガイドラインを用いて、メタ解析を実施した。2020年7月までに英語で報告された研究を、PubMed、Scopusより検索した。うつ病の有病率に関連する結果を算出し、プールした。 主な結果は以下のとおり。・研究デザインの異なる49研究が抽出された。・禁煙者のうつ病有病率は18%(信頼区間[CI]:14~22%)であった。・うつ病の有病率が最も高かったのは、アジアと欧州、次いで米国であった。・禁煙者の大うつ病有病率は15%、うつ症状の有症率は17%であった。・禁煙者は、現在の喫煙者と比較し、うつ病のオッズ比が低かった(オッズ比:0.63、CI:0.54~0.75、I2=83.9%)。・出版バイアスは、ほとんど認められなかった。 著者らは「禁煙者のうつ病有病率は、非喫煙者や現在の喫煙者とは異なっていた。健康政策および禁煙を推奨するという観点から、メンタルヘルスへの好影響を考慮する必要がある」としている。

15007.

COVID-19への初期診療の手引きVer.3.0公開、改訂点は?/日本プライマリ・ケア連合学会

 日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)は、11月12日の同連合学会のホームページ上で冬季の診療に対応するために改訂した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き Ver.3.0」(ダウンロード可能)を公開した。新型コロナウイルス感染症でプライマリ・ケア従事者がすべきこと3点 今回の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き」の改訂では、最新の疫学データのほか、PCR検査を希望する患者への説明、各種検査法、医療従事者が暴露した場合の対応、参照資料の充実など変更されたほか、各章の図表などもアップデートされている。 手引きを作成した同学会の予防医療・健康増進委員会 感染症プロジェクトチームは、新型コロナウイルス感染症に関してプライマリ・ケア従事者がすべきこととして以下の3点と強調するとともに「医療体制の中で、プライマリ・ケアがゲートキーパーとしての役割を担う際に、プライマリ・ケアでの新型コロナウイルス感染症対策として、本手引きを適宜ご活用いただきたい」と期待を寄せている。〔プライマリ・ケア従事者がすべきこと〕・地域住民や患者に、感染拡大防止と健康被害を最小限にするための啓発を行う・発熱などの症状がある患者に、適切に診断検査治療を行う・私たち医療従事者自身が、新型コロナウイルスに感染しないよう努める また、同学会では、本手引きは重要な情報更新があり次第、できるだけ迅速な改訂を予定している。■主な改訂・追記点・新型コロナウイルスPCR検査を希望する患者への説明について「検査適応がないと判断した場合は患者に対して自宅療養の継続を適切に指導します」などプライマリ・ケアでの視点で記述。また、具体的な患者への説明内容を記載。・新型コロナウイルスの各種検査法について現在行われている「核酸増幅検査」「抗原定量検査」「抗原定性検査」の概要の説明のほか、検体として「鼻咽頭拭い液」「鼻腔拭い液」「唾液」の特徴と検体管理の注意点などの説明を記載。・医療従事者が新型コロナウイルスに曝露した可能性があるときについて適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護した場合、または新型コロナウイルス感染症を疑う症状を自覚した場合は、就業を制限し自宅隔離および健康監視を開始。観察期間および就業制限中の検査についてはリスクや症状に応じて実施するとし、職場復帰の基準も感染が確定している場合(発症後8日以降経過または解熱後および症状消失後3日以上経過)と確定していない場合(一定の退院基準を満たす)に分けて示している。

15008.

新型コロナ、どの国のワクチンを希望する?医師1,000人アンケート

 新型コロナワクチン接種の優先対象について、厚生労働省は11月9日の厚生科学審議会において、高齢者や基礎疾患がある人を優先的に接種する方針を固めた。今後はどのような基礎疾患を有する人を対象にするのかが話し合われる予定だ。今回の話し合いでは医療者への優先接種が見送りとなったが、医療者では接種を求める者と接種に抵抗を示す者はどの程度いるのだろうかー。そこで、ケアネットでは10月15日(木)~21日(水)の期間、会員医師1,000人に対し「医師のワクチン接種に対する心境について」に関するアンケートを実施。その結果、全回答者のうち接種を希望するのは61.2%だった。 本アンケートでは30代以上の医師(勤務医、開業医問わず)を対象とし、新型コロナワクチン接種希望の有無や投与する際の懸念点などについて調査、集計結果を年代や病床数、診療科で比較した。接種を希望する医師の年代や診療科に違いはほとんど見られなかったが、脳神経外科(44%)、神経内科(42%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(46%)、救急科(36%)で接種希望者が半数を下回っていた。  このほか、「どこの国が開発したワクチンを希望するか」「接種したくない理由」「接種希望者が投与する上で気になること」「これまでのインフルエンザウイルスワクチンの接種状況」などを聞いた。どこの国が開発したワクチンを希望するかで最多は国内開発 接種を希望すると回答した629例(61.2%)に対し「どこの国が開発したワクチンを希望するか(複数回答可)」を聞いたところ、日本国内で開発を進めるアンジェスに票を投じたのは396人、続いて英国(アストラゼネカ/GSK)231人、米国(ファイザー/モデルナ)222人と続いた。どこ国が開発したワクチンがいいかのアンケートでは、国内開発ワクチンへの期待の高さが伺えた。 接種したくない理由、接種希望者が投与する上で気になることについては、安全性などのエビデンス不足と回答した方が863人と圧倒的に多かった。次いで、安定性の供給(151人)、投与量・投与回数の問題(134人)と続いた。ワクチン接種優先対象の基礎疾患を有する医師は約2割 今回、ワクチン接種の優先対象に基礎疾患がある人が含まれたことを踏まえ、基礎疾患を有する医師数を把握するため「医師の持病の有無」についても調査した。その結果、持病があると回答したのは26.7%(274人)だった。年代別で見ると、30代、40代ではそれぞれ15%程度に留まっていたが、50代では30%、60代では47%、70代以上では半数の46%が持病を抱えながら医療に携わっていることが明らかになった。インフルエンザワクチンは医師の9割が毎年接種 インフルエンザワクチンの接種状況が新型コロナワクチン接種の希望にどの程度影響するかを見るため、これまでのインフルエンザワクチンの接種状況を聞いたところ、年代や診療科を問わず約9割の医師が毎年接種していた。 アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中

15009.

監視下隔離中に新型コロナクラスター発生、その原因は/NEJM

 米国海軍入隊者1,848人について調べたところ、入隊時の定量PCR検査でSARS-CoV-2陰性だった入隊者のうち約2%が、入隊2週間後の検査で陽性に転じていた。また、入隊時の検査を拒否した入隊者のうち、同2週間後の検査で陽性だったのは2%未満であり、さらに、入隊2週間後の検査で陽性と判定された入隊者のうち、検査前から症状が認められたのは10%に満たず大半が無症状で、毎日の検温や体調モニタリングによるスクリーニングでは、SARS-CoV-2感染者は検出されなかったという。ゲノム解析では、6つの感染クラスターが確認された。米国・Naval Medical Research CenterのAndrew G. Letizia氏らが、若年成人におけるSARS-CoV-2感染制御のための有効な公衆衛生対策の研究が不十分であることから本検討を行い明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年11月11日号掲載の報告。系統樹解析でクラスターや疫学的特徴を検証 研究グループは、自宅で2週間の隔離生活を行った後、休校中の大学構内で2週間の監視下隔離生活(マスク装着、ソーシャルディスタンス、体温・体調を毎日モニタリング)を送った米国海軍入隊者1,848人に協力を仰ぎ試験を行った。 被験者は、学校に到着直後と2日、7日後と隔離生活終了時の14日後に、それぞれ鼻腔スワブによる定量PCR検査を受けSARS-CoV-2感染の有無を調べた。また、検査協力を拒否した入隊者については、隔離生活終了の14日後のみ定量PCR検査を受けた。 感染が確認された被験者のウイルスゲノムについて系統樹解析を行い、クラスターの特定と、感染の疫学的特徴を検証した。ルームメイト、小隊内での感染を確認 大学到着2日後に定量PCR検査で陽性だったのは16人(0.9%)で、うち15人が無症状だった。同7日後または14日後には、さらに35人(1.9%)が陽性となった。14日後までに陽性だった51人のうち、定量PCR検査前1週間の間に症状が認められたのは5人(9.8%)のみだった。 同試験への自発的参加を拒否した入隊者で定量PCR検査結果が得られた1,554人のうち、14日後の検査で陽性だったのは26人(1.7%)だった。 毎日の体温・体調モニタリングの結果を踏まえて定量PCR検査を行った人からは、陽性者は確認されなかった。 32人の感染者から得た36のSARS-CoV-2ゲノムを解析したところ、18人について6つのクラスターを特定した。疫学的解析により、ルームメイトや同じ小隊内での感染など、複数の局地的感染の存在が確認された。

15010.

発症時間不明かつDWI-FLAIRミスマッチ脳梗塞、アルテプラーゼ投与は有益/Lancet

 発症時間不明で、灌流/拡散ミスマッチやMRI拡散強調画像-フレアー画像(DWI-FLAIR)ミスマッチが認められる脳卒中患者において、アルテプラーゼの静脈内投与はプラセボ投与または標準治療と比較して、90日後の機能的アウトカムは良好であることが示された。ドイツ・ハンブルク大学エッペンドルフ医療センターのGotz Thomalla氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果で、症候性頭蓋内出血リスクが高くてもすべての機能的アウトカムで、ネットベネフィットが観察されたという。アルテプラーゼによる死亡例はプラセボよりも多かったが、重度の障害または死亡の発生ケースは少なかった。発症時間不明の脳卒中患者は、以前は血栓溶解療法の除外対象とされていた。研究グループは、イメージバイオマーカーで救済可能な脳細胞範囲が特定された患者については、アルテプラーゼ静脈内投与が安全で有効であるかを確認するため本検討を行った。Lancet誌2020年11月8日号掲載の報告。90日後mRS 0~1の発生率を比較 研究グループは、2020年9月21日以前に発表された試験の個々の患者データを用いたシステマチックレビューとメタ解析を行った。発症時間不明の脳卒中で、MRI灌流-拡散画像、CT灌流画像、MRIでDWI-FLAIRミスマッチが認められた患者を対象に、アルテプラーゼ静脈内投与と標準治療またはプラセボ投与を比較した無作為化試験を適格とした。 主要アウトカムは、90日後の修正Rankinスケール(mRS)で0~1と定義した良好な機能的アウトカム(治療効果を推定するのに適した無条件混合効果モデルを用いて障害がないことを示す)だった。副次的アウトカムは、90日後のmRSの改善と、自立アウトカム(mRS 0~2)だった。安全性に関するアウトカムは、死亡、重度の障害または死亡(mRS 4~6)、症候性頭蓋内出血などだった。mRSスコア改善、自立アウトカムにも効果 適格基準を満たした4試験(WAKE-UP、EXTEND、THAWS、ECASS-4)、被験者総数843例について解析を行った。アルテプラーゼ投与群は429例(51%)、プラセボ投与または標準治療(対照)群は414例(49%)だった。 良好なアウトカムが認められたのは、対照群160例(39%)に対し、アルテプラーゼ群は199例(47%)だった(補正後オッズ比[OR]:1.49、95%信頼区間[CI]:1.10~2.03、p=0.011)。試験の異質性は低かった(I2=27%)。 アルテプラーゼ投与は、mRSスコア改善との有意な関連も認められた(補正後共通OR:1.38、95%CI:1.05~1.80、p=0.019)。自立アウトカムについても、アルテプラーゼ群が有意に高率だった(1.50、1.06~2.12、p=0.022)。 重度の障害または死亡は、対照群102例(25%)に対し、アルテプラーゼ群は90例(21%)と低率だったが有意差はなかった(補正後OR:0.76、95%CI:0.52~1.11、p=0.15)。死亡については、対照群14例(3%)に対しアルテプラーゼ群は27例(6%)だった(2.06、1.03~4.09、p=0.040)。また、症候性頭蓋内出血の発生は、対照群よりもアルテプラーゼ群で高率だった(11例[3%]vs.2例[<1%]、補正後OR:5.58[95%CI:1.22~25.50]、p=0.024)。

15011.

クロピドグレルは奇跡の薬(解説:後藤信哉氏)-1316

 近年でこそ分子標的薬は珍しくない。クロピドグレルは薬効標的不明のまま広く臨床使用された薬剤である。冠動脈、脳血管、末梢血管疾患の広い適応を目指したCAPRIE試験の成功により世界の抗血小板薬の市場を席巻した。チカグレロルは、プラスグレルと同様クロピドグレルの薬効標的P2Y12 ADP受容体クローニングに開発された。とくに、チカグレロルはP2Y12 ADP受容体の分子標的薬ともいえる。急性冠症候群を対象としたPLATO試験では、急性期治療方針決定前にランダム化する画期的方法を用いた。約10%の症例が緊急冠動脈バイパス術となり、重篤な出血イベントの総数が増えた。チカグレロルにより惹起される出血数は希釈されたので、試験の結果を雑駁にみると「クロピドグレルよりも血栓イベントが減少し、出血イベントが増えない」ようにみえた。 本研究は米国の実臨床の後ろ向きコホート研究である。症例の対象はPLATO trialに類似しているので、PLATO trialと同様にチカグレロル群にて血栓イベントが少なく、出血イベントも少ないことが期待された。しかし、実際には1年以内の死亡、虚血イベントはチカグレロルとクロピドグレルでは差がなかった。出血イベントは有意差はないが、チカグレロル群の数が多かった。 PLATO試験は急性症候群の標準治療をチカグレロルに転換するインパクトを欧州で示した。しかし、後ろ向き観察研究とはいえ、本研究で示されたクロピドグレルと同様の血栓イベント予防効果と多めの出血というのが本当のところと思う。PLATOに参加しなかった日本を中心に施行したPLATO mirror trialのPHILOではチカグレロル群では出血、血栓イベントともにクロピドグレル群よりも多めであった。最近出版されたTICA-KOREA trialもクロピドグレルの優越性を示している。特許切れにより市場価格が10分の1以下になる米国でもチカグレロルを選択することは困難になるだろう。 単一のランダム化比較試験の結果にて特許期間内のマーケット維持を図るメガファーマの戦略も破綻がみえる。有効、安全、安価となればクロピドグレルは奇跡の薬といえるかもしれない。

15013.

「ユベラN」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第26回

第26回 「ユベラN」の名称の由来は?販売名ユベラN®カプセル 100mgユベラN®ソフトカプセル 200mgユベラN®細粒40%一般名(和名[命名法])トコフェロールニコチン酸エステル(JAN)効能又は効果下記に伴う随伴症状高血圧症高脂質血症下記に伴う末梢循環障害閉塞性動脈硬化症用法及び用量ユベラNカプセル 100mg:通常、成人にはトコフェロールニコチン酸エステルとして1日300~600mg(1日3~6カプセル)を3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ユベラNソフトカプセル 200mg:通常、成人には1日3カプセルを3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。なお、トコフェロールニコチン酸エステルとしての用法及び用量は、通常、成人には1日300~600mgを3回に分けて経口投与する。ユベラN細粒 40%:通常、成人にはトコフェロールニコチン酸エステルとして1日300~600mg(細粒として0.75~1.5g)を3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)該当しない※本内容は2020年11月18日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2010年6月改訂(改訂第8版)医薬品インタビューフォーム「ユベラN®カプセル 100mg/ユベラN®ソフトカプセル 200mg/ユベラN®細粒40%」2)エーザイ:製品情報

15014.

第33回 誰もちゃんと説明してくれない…、ファイザー社ワクチン「90%以上に効果」の効果って何?

数字にまつわる「野球」と「ワクチン」の話題こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今週は数字にまつわる2つの大きなニュースがありました。11月11日、米メジャーリーグは今シーズンのサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を発表しました。最終候補3人にナショナル・リーグではシカゴ・カブスのダルビッシュ 有投手が、アメリカン・リーグではミネソタ・ツインズの前田 健太投手が残っており、日本人初のサイ・ヤング賞投手が誕生するのではと期待されていました(最新号の「Sports Graphic Number」誌はダルビッシュ特集です)。ダルビッシュ投手は、ナ・リーグ最多の8勝をあげており、「ひょっとすると…」と早朝からMLBサイトの生配信を観ていました。しかし、フタを開けてみるとシンシナティ・レッズで最優秀防御率1.73のトレバー・バウアー投手が27人の1位票(受賞は記者投票制)で受賞し、ダルビッシュは2位でした。一方、ア・リーグは主要3部門(勝利数、奪三振、防御率)を独占したクリーブランド・インディアンスのビーバー投手が満票で受賞しました。近年のサイ・ヤング賞は、投手主要3部門のうち勝利数はあまり重視されない傾向にあるようです。勝利は投手の力というよりもチーム力に左右される、という考え方です。それに代わりWHIP(1イニングに許した走者の数)、WAR(代替選手に比べてシーズンでどれだけ勝利数を上積みできたか)、FIP(疑似防御率)といった新たな指標が注目を集めています。計算式が複雑なものもあり、いいことなのか悪いことなのかわかりませんが、野球も数字・数字というわけです。さて、もう1つ、今週の数字にまつわる大きな話題はコロナワクチンです。米・ファイザーと独・ビオンテックは11月9日、開発中のmRNAワクチン(BNT162b2)で90%の有効性が示された、と発表しました。このニュースは全世界を駆け巡り、世界各国の株価にまで影響を及ぼしました。さらに11月16日には米・モデルナも開発中のmRNAワクチン(mRNA-1273)の臨床試験の暫定結果を発表、こちらは94.5%の有効性とのことでした。「90%」の意味をきちんと解説しないマスコミファイザーとビオンテックの発表直後、私も全国紙からNHK・民放ニュースまでいろいろチェックしましたが、どこも「90%以上」の意味をきちんと解説してくれないので、困ってしまいました。記者が理解できていないのか、あるいは難しいからあえて説明しないのか、それすらもわかりません。挙句の果て「打った90%の人に効いた」というよくわからないコメントを出す人まで現れて、もはやカオスです。さて、ここで問題です。この「ワクチンの臨床試験で90%以上に効果がある」とはどういうことでしょうか?以下の選択肢から選んでください。1)ワクチンを打った90%以上の人が新型コロナウイルス感染症を発症しなかった2)ワクチンを打った 90%以上の人に中和抗体ができた3)ワクチンを打った人の群と打たなかった人の群を比べて、打った人の群の発症が90%以上低かった発症94例、90%を超える発症予防効果誰も教えてくれないので、私もあちこち調べて勉強しました。マスコミの報道を読んだ、あるいは見た一般の人(政治家含む)の多くは1)か2)だと思ったのではないでしょうか。正解は3)です。当初、正解が3であることをきちんと解説していたメディアは私が読んだ限り、「日経バイオテク」の11月11日付の記事だけでした。ファイザーの発表では、今回の第III相試験は4万3,998例の被験者を対象として、ワクチン接種群とプラセボ接種群に1対1で割り付けた、ランダム化観察者盲検試験です。複数国で4万3,538例が登録され、3万8,955例がワクチンの2回接種を行いました。その結果、2回目接種から7日目以降(「7日後」という報道もあるようですが「7日目以降」が正しいようです)に新型コロナウイルス感染症を発症したのが94例で、ワクチン接種群とプラセボ接種群を比較して90%を超える発症予防効果が得られた、とのことです。ファイザーとビオンテックが発表した数字はここまでで、ワクチン接種群とプラセボ接種群それぞれの発症数は公表されていません。このことも解説や解釈を難しくした原因なのかもしれません。有効性はどれくらい発症を減らしたかを見た数字一般的に、ワクチンの有効性はワクチン接種群とプラセボ(もしくは非接種)群を比較して、それぞれの群における発症数を比較して出します。仮に、ワクチン群1万人中発症10人、プラセボ群1万人中発症100人だとしたら、本来100人発症するところを90人減らして10人に抑えた、ということで、ワクチンの有効性は90%となります。この考え方を今回の臨床試験の3万8,955例に当てはめると、発症したのが計94例、有効性90%超ということですから、ワクチン群の発症は8例以下、プラセボ群は86例以上という計算になります(仮に8例と86例とするなら、有効性は単純計算では[(86-8)÷ 86 ]×100=90.7%になります(2群が1対1で割り付けられた前提)。ちなみに、モデルナのワクチンの場合は、3万例を超える臨床試験の対象者のうち、ワクチン群の発症は5例、プラセボ群は90例ということですから、有効性は単純計算では[(90-5)÷90]×100=94.4%になります。まあ、投手の防御率[(自責点×9)÷投球回数]の計算くらいの易しさですね。ヒトでのチャレンジ試験のほうが簡単?今回のワクチンの臨床試験での「90%を超える」「94.5%」とは、概ね以上のような意味です。皆さん、理解していましたでしょうか?ファイザーとビオンテックの臨床試験は、参加者から感染者が164例発生した段階で最終解析を行う計画とのことで、あと70例の発症者が出るまで結論は出ません。各群の発症者がどれくらい出るのかはわからないので、90%以上という数字も大きく変わる可能性があります。モデルナも効果について「臨床試験が進むにつれて変わる可能性がある」としています。そもそも、感染症は感染しても発症しなかったりするケースがあるので、臨床試験が大変です。4万例近い被験者の臨床試験を組んで、わずか164例の発症者数で解析するというのはとても非効率に映ります。10月20日、英国政府はヒトでのチャレンジ試験(曝露試験)実施を支援するため、産官学が協力すると発表しました。チャレンジ試験とは、臨床試験の被験者にワクチンを接種したあと、新型コロナウイルスにあえて曝露させ、ワクチンの安全性や有効性を評価するというものです。こちらの方法であれば、少人数かつ効率的に結果を出せそうです。倫理的な問題も多々あるようですが、このヒトを対象としたin vivo試験の動きも注目しておきたいところです。

15015.

双極性障害の自殺リスクと関連因子

 双極性障害(BD)の重要な特徴の1つとして、非精神医学的合併症や自殺による過剰な死亡リスクとの関連が挙げられる。米国・ハーバード大学医学大学院のLeonardo Tondo氏らは、BDにおける自殺の状況をレビューし、自殺リスクを予防できる可能性を検討した。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年10月9日号の報告。 BDにおける自殺に関連する最近の研究報告についてセミシステマティックレビューを実施した。 主な結果は以下のとおり。・BDの自殺リスクは、ほかの多くの精神疾患よりも高くなる。・成人、青年の一般集団およびBD患者の自殺率は、それぞれ以下のとおりであった。 ●成人一般集団:約11/10万人年 ●青年一般集団:約4/10万人年 ●成人BD患者:200/10万人年以上 ●青年BD患者:100/10万人年・BD患者の自殺企図の割合は、一般集団と比較し、成人で20倍以上、青年で50倍以上であった。・BD患者の自殺の主なリスク因子は以下のとおりであった。 ●自殺行為歴 ●うつ病 ●興奮と不安の混合状態 ●急速な気分変化 ●衝動性 ●薬物乱用の併発・BDの自殺予防に対する治療法は、不十分であった。・いくつかの有用な治療法が発見されているが、リチウム治療を支持するエビデンスは、ほかの治療法よりも有望であった。 著者らは「BD患者のケアを行ううえで、自殺は重要な臨床的課題である。BD患者の自殺リスクと保護因子を理解し、適切なフォローアップを行うことで、自殺リスクの抑制につながると考えられる。とくに、BD患者の自殺予防を目的とし、適切に設計された科学的エビデンスの必要性が示唆された」としている。

15016.

PALB2病的変異を有する遺伝性乳がん、日本での臨床的特徴は/日本治療学会

 PALB2はBRCA2と相互作用するDNA修復に関連する分子で、PALB2遺伝子変異は乳がん、卵巣がんのリスクを増加させ、すい臓がんとの関連も指摘される。PALB2生殖細胞系列病的遺伝子変異(pathogenic or likely-pathogenic germline variant: PGV)を有する女性の70歳までの乳がんリスクは約35~50%、生涯の乳がんリスクは約5~8倍とされるが1)、その臨床的特徴に関する知見は限られる。樋上 明音氏(京都大学乳腺外科)らは、日本人乳がん患者約2,000例を調査し、PALB2 PGV症例の頻度と臨床的特徴について、第58回日本治療学会学術集会(10月22~24日)で報告した。PALB2に病的変異を有する乳がんの頻度は他国より低い傾向 対象は、2011年4月~2016年10月に京都大学医学部附属病院および関連施設で同意取得した1,995例。末梢血DNAを用いて乳がん関連11遺伝子についてターゲットシークエンスを行った先行研究2)のデータを元にPALB2に病的変異を認めた症例について乳がんの状況、診断時年齢、他がんの既往・家族歴等の臨床情報を後方視的に調査した。  PALB2に病的変異を認めた症例について調査した主な結果は以下のとおり。・1,995例のうち9例にPALB2遺伝子に病的変異を認めた(0.45%)。・診断時の年齢中央値は49歳(42~73歳)。サブタイプはLuminal typeが5例(55.6%)、Luminal HER2 typeが1例(11.1%)、TNBCが2例(22.2%)、DCISが1例(11.1%)であった。・第3度以内の悪性腫瘍の家族歴を有する症例は4例(44.4%)。乳がん・卵巣がんの家族歴があったのは1例で、2人の姉が乳がん、もう1人の姉に境界悪性卵巣腫瘍、母に子宮がんを認めた。膵臓がんの家族歴は1例であり、その症例では大腸がんの家族歴も認めた。その他の症例では肝細胞がん、肺がん、胃がん、大腸がんの家族歴があった。・9例のうち4例、3バリアントはClinVarでは未報告のものであった。・非保有者との間で、サブタイプの割合に差はみられなかった。・BRCA1/2PGV症例と比較して、PALB2PGV症例では若年発症者が少なく、乳がん・卵巣がんの家族歴を有する割合が少ない傾向がみられた。・9例についてCanRisk(家族歴、生活習慣や遺伝子変異、マンモグラフィ密度などによる乳がんまたは卵巣がんの発症リスクの計算モデル)3)を用いたリスク評価を行ったところ、BRCA1/2 遺伝子変異を有する可能性が5%以上(NCCNガイドラインにおける遺伝学的検査の評価対象基準)となったのは2例のみ(22.2%)であった。 樋上氏は、日本の先行研究4)においてPALB2遺伝子病的変異を有する乳がん患者の頻度が0.40%と本結果と同程度であったことに触れ、他国における結果(ポーランド:0.93%5)、中国:0.67~0.92%6,7))と比較し低い傾向を指摘。未報告のバリアントがみられたことも踏まえ、バリアントの地域差がある可能性について言及した。 また、NCCNガイドラインにおける遺伝的検査の評価対象基準8)を今回の9症例で検討したところ、4例は該当しなかった。同氏は「BRCA1/2と比較して発症年齢が高く、乳がん・卵巣がんの家族歴が少ないため、散発性乳がんに近く、ハイリスク症例の拾い上げが難しい」とし、パネル検査の増加に伴う診断症例の増加や、PALB2 PGV症例に対するPARP阻害薬適応についての研究が進む中、拾い上げ基準やサーベイランスの最適化が重要と考察している。■参考文献・参考サイトはこちら1)Yang X,et al. J Clin Oncol. 2020 Mar 1;38:674-685.2)Inagaki-Kawata Y, et al. Commun Biol 3:578, 2020.3)CanRisk Web Tool4)Momozawa Y, et al. Nat Commun. 2018 Oct 4;9:4083.5)Cybulski C, et al. Lancet Oncol. 2015 Jun;16:638-44.6)Zhou J, et al. Cancer. 2020 Jul 15;126:3202-3208.7)Wu Y, et al. Breast Cancer Res Treat. 2020 Feb;179:605-614.8)NCCN Guidelines for Detection, Prevention, & Risk Reduction「Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast and Ovarian Version 1.2021」

15017.

HPVワクチン、国は積極的勧奨を早急に再開すべき/日本治療学会

 7月に9価HPVワクチンが国内承認され、10月に4価HPVワクチンの有効性を確認した論文がNEJM誌に掲載されるなど、今年に入ってHPVワクチンに関連する動きが出ている。10月に開催された第58回日本治療学会学術集会では、こうした動向を踏まえ、会長企画シンポジウム「HPV関連の疫学からみる予防戦略」が開催された。 この中で、大阪労災病院の田中 佑典氏は「HPV感染から見る子宮頸の現在の問題点と予防対策」と題し、国内のHPVワクチン接種に関するこれまでの経緯を振り返り、今後の予防戦略をどう行っていくべきかをテーマに講演を行った。 冒頭、田中氏は世界的に見れば、HPVワクチンの接種率90%、子宮頸がん検診の受診率70%、子宮頸がんの治療率90%のラインを保てば、2085~90年までに子宮頸がんを撲滅できるというWHOの推計を紹介。一方で、国内では2010年に13~16歳の女性を対象にHPVワクチン接種の公費助成が開始され、2013年に12~16歳を対象に定期接種化したものの、直後からワクチンによるとされる副反応に関する報道が行われ、厚生労働省は積極的接種勧奨の一時差し控えの勧告を出して以降、関連学会による度重なる勧奨再開要望にも関わらず、状況は変わっていない現在の状況を振り返った。 「子宮頸がんによる累積死亡リスクは0.3%、一方でワクチン接種後の副反応は2価・4価ワクチンともに0.01%未満(医療機関から報告があったもののうち重篤なもの)。リスクの見極めを見誤っている状況だ」(田中氏)。実際、大阪府堺市における中学1年生のHPVワクチン初回接種率は2012年65.4%だったものが2013年には3.9%、2014年には1.3%まで激減している。 HPVワクチンの安全性については、厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)が大規模な追跡調査を行っており、副反応のほとんどは軽い痛みや注射部位の腫れ、めまいなどの一時的な症状であり、累積の重篤症例の発生頻度はおよそ0.008%であることが報告されている1)。名古屋市が行った調査2)においても「ひどく頭が痛い」「身体がだるい」といった24症状の発現頻度において、HPVワクチン接種者と非接種者のあいだに有意差は見出せなかったという。 一方、HPVワクチンの有効性についても国内外のデータが蓄積されつつあり、10月にNEJM誌に掲載されたスウェーデンの研究3)では、4価HPVワクチンの接種により、浸潤性子宮頸がんのリスクが大幅に低減され、同リスクは接種開始年齢が若いほど低いことが報告されている。国内では新潟大学による研究(NIIGATA STUDY)4)で、初交前に2価HPVワクチンを接種した場合の HPV16/18型感染予防の有効率は93.9%(95%CI:44.8~99.3、p=0.01)と極めて高く、31/41/52型に対する交叉防御効果の可能性も認められた。 7月には、4価ワクチンの6/11/16/18型に加え、31/33/45/52/58の5つの型も含めた9価ワクチンが製造販売を承認された。9価ワクチンは子宮頸がんの原因となるHPV型の9割に対応し、肛門がんなどほかのがんの予防効果もあるとして先進国では男性も接種対象となっている。 田中氏は「HPVワクチンの接種率が極めて低い状況が続けば、日本の子宮頸がんの罹患率は先進国の中で最も高い水準になると想定される」とし、1)国はHPVワクチンの積極的勧奨をすみやかに再開する、2)男児もHPVワクチンの定期接種の対象とする、3)9価ワクチンを定期接種に加える、4)国および医療従事者はHPVワクチンの有効性・安全性に関する正確な情報を国民およびメディアにわかりやすく提供する、という4つの提言を行った。

15018.

Moderna社の新型コロナワクチン、有効率94.5%を示す/第III相試験中間解析

 Moderna社は、COVID-19に対するワクチン候補であるmRNA-1273の第III相試験(COVE試験)の最初の中間分析において、ワクチンの有効率が94.5%と統計学的な有意差を示したことを11月16日に発表した。今後数週間以内に米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する予定という。 第III相COVE試験は、米国で18歳以上の参加者を対象に、用量100μgで28日間隔・2回投与でmRNA-1273の有効性を評価する無作為化1:1プラセボ対照試験。10月22日に3万人の登録を完了した。参加者には7千人以上の高齢者(65歳以上)、5千人以上の慢性疾患(糖尿病、重度の肥満、心臓病など)を有する患者が含まれる。 主要評価項目は症候性COVID-19の予防で、主要な副次的評価項目には、重症COVID-19の予防、およびSARS-CoV-2による感染の予防が含まれる。今回の中間分析は、ワクチンの2回目の投与から2週間後に確認されたCOVID-19症例の分析に基づき、独立データ安全性モニタリング委員会(DSMB)が実施した。95例のCOVID-19発症が確認され、そのうち90例がプラセボ群、5例はmRNA-1273群で観察され、ワクチン有効性の点推定値は94.5%であった(p<0.0001)。 副次評価項目として重症例を分析し、この最初の中間分析では11例の重症例(研究プロトコルでの定義による)が含まれた。11例すべてがプラセボ群で発生し、mRNA-1273ワクチン接種群では発生しなかった。中間分析には、DSMBによる安全性データのレビューが含まれ、重大な安全性の懸念は報告されていない。有害事象の多くは軽度または中等度で、1回目の投与後の頻度が2%以上のGrade 3の有害事象としては注射部位の痛み(2.7%)が、2回目の投与後は倦怠感(9.7%)、筋肉痛(8.9%)、関節痛(5.2%)、頭痛(4.5%)、痛み(4.1%)、注射部位の紅斑/発赤(2.0%)が含まれた。 今後の研究の進行に応じて、最終的な有効性の点推定値および安全性データは変更される可能性がある。2020年末までに約2千万回分を米国で、2021年に世界で5億から10億回分を製造する準備が整うと見込んでいる。 なお、同社はmRNA-1273の貯蔵について、標準的な家庭用または医療用冷蔵庫の温度である2~8℃(36~46°F)で30日間安定していることが確認されたと発表している。

15019.

添付文書改訂:フォシーガ適応に慢性心不全/フルティフォームに小児用量/メマリー副作用に徐脈性不整脈/ネオーラル内用液適応に川崎病【下平博士のDIノート】第62回

フォシーガ:SGLT2阻害薬で初の心不全適応<対象薬剤>ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物錠(商品名:フォシーガ錠5mg/10mg、製造販売元:アストラゼネカ)<改訂年月>2020年11月(予定)<改訂項目>[追加]効能・効果慢性心不全。ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。<Shimo's eyes>SGLT2阻害薬は、近年、心血管予後や腎予後の改善に関する報告が次々となされています。本剤は、20ヵ国410施設で左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者を対象に実施した無作為化二重盲検第III相試験「DAPA-HF試験」の探索的解析結果において、推奨治療への追加が、糖尿病の有無にかかわらず心血管死または心不全増悪のリスクをプラセボと比較して有意に低下させたことが示されました。今回の改訂により、わが国で初めての心不全適応を持つSGLT2阻害薬となります。作用機序は不明ですが、製造販売元のアストラゼネカは、体液量調節を介した血行動態に対する作用などが心不全の改善に寄与する可能性に言及しています。本剤は、HFrEF患者であれば、糖尿病合併の有無によらず、標準治療に併用して使用することができます。なお、左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)における本剤の有効性および安全性は確立していません。参考アストラゼネカのSGLT2阻害剤フォシーガ、DAPA-HF試験サブ解析で心不全悪化または心血管死の発現率の低下を示すフルティフォーム:新たに小児適応が追加<対象薬剤>フルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬(商品名:フルティフォーム50エアゾール56吸入用/120吸入用、製造販売元:杏林製薬)<改訂年月>2020年6月<改訂項目>[追加]用法および用量小児:通常、小児には、フルティフォーム50エアゾール(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして50μgおよびホルモテロールフマル酸塩水和物として5μg)を1回2吸入、1日2回投与する。<Shimo's eyes>本剤は、ステロイド吸入薬(ICS)フルチカゾンプロピオン酸エステル(商品名:フルタイド)と、長時間作用型β2刺激薬(LABA)ホルモテロールフマル酸塩(同:オーキシス)の配合吸入薬です。小児適応のある吸入薬は成人と比べるとまだ少ないですが、今回の改訂により小児気管支喘息の新たな治療選択肢が増えました。なお、高用量製剤(フルティフォーム125)には小児への適応がないので注意しましょう。小児は1回2吸入、1日2回の投与となっており、それ以上の増量はできません。また、5歳未満の小児では臨床試験が未実施のため注意喚起がされています。ボンベをうまく押せない場合は吸入補助器具(フルプッシュ)、吸気の同調が難しい場合にはスペーサーを用いるなど、適正に使用できるようにしっかりサポートしましょう。参考杏林製薬 添付文書改訂のお知らせメマリー:重大な副作用に徐脈性不整脈が追加<対象薬剤>メマンチン塩酸塩製剤(製品名:メマリー錠・OD錠 5mg/10mg/20mg、製造販売元:第一三共)メマンチン塩酸塩ドライシロップ(同:メマリードライシロップ2%、製造販売元:第一三共)<改訂年月>2020年6月<改訂項目>[新設]重大な副作用不整脈(頻度不明):完全房室ブロック、高度な洞徐脈などの徐脈性不整脈が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。<Shimo's eyes>国内で本剤との関連性が否定できない重篤な徐脈性不整脈関連の報告が集積したことから、「重大な副作用」の項に「完全房室ブロック、高度な洞徐脈などの徐脈性不整脈」が追記されました。めまい、気を失う、立ちくらみ、脈が遅くなる、息切れ、脈が飛ぶというような症状が現れていないかどうかの聞き取りが重要です。速やかな投与中止が求められる副作用ですので、異常が見られた場合はすぐに処方医に報告・相談しましょう。参考PMDA メマンチン塩酸塩の「使用上の注意」の改訂について第一三共 使用上の注意改訂のお知らせネオーラル内用液:効能・効果に川崎病の急性期が追加<対象薬剤>シクロスポリン製剤(製品名:ネオーラル内用液10%、製造販売元:ノバルティス ファーマ)<改訂年月>2020年2月<改訂項目>[追加]効能または効果川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)[追加]用法および用量〈川崎病の急性期〉通常、シクロスポリンとして1日量5mg/kgを1日2回に分けて原則5日間経口投与する。<Shimo's eyes>川崎病は、主に乳幼児が罹患する原因不明の血管炎症候群です。冠動脈が侵襲されることによる冠動脈病変(CAL)の合併が知られており、CALは突然死や心筋梗塞を引き起こすことがあります。急性期の標準治療として、静注用免疫グロブリン(IVIG)の単回静脈内投与とアスピリンの経口投与の併用療法が行われます。しかし、約20%の患児は十分な効果を得られず、CAL合併のリスクが高くなることが指摘されています。そこで、川崎病の過剰な炎症反応を免疫抑制薬で制御することで、CALの進行を抑制できるのではないかという考えから、本剤の国内第III相医師主導治験が行われました。その結果、CALの合併割合が、標準治療群の31.0%(27例/87例)に対し、本剤併用群では14.0%(12例/86例)と有意に低下したため、川崎病のIVIG不応例またはIVIG不応予測例には、従来の標準治療に本剤を併用できることになりました。なお、発病後7日以内に投与を開始することが望ましいとされています。参考ノバルティス ファーマ 添付文書改訂のお知らせ

15020.

臨床家・研究者として直面したニューヨークのコロナパンデミック【臨床留学通信 from NY】第14回

第14回:臨床家・研究者として直面したニューヨークのコロナパンデミック前回は、留学した大学関連病院で、メタ解析の方法を勉強して臨床研究を進めていることについてお話ししました。しかし、メタ解析だけでは米国にいるメリットを生かせません。そのため、渡米後3ヵ月程して業務に慣れた頃からは、日本から引き続き行っている単施設研究やPCI レジストリを用いた研究をまとめつつ、新たな臨床研究の模索を始めました。そんな中、先に渡米して循環器内科で活躍している同年代の人のツテで、心不全を専門としているギリシャ出身の循環器内科医とつながることができました。いくつかのメタ解析を用いた研究を通じてやり取りをした後、National Inpatient Sample、National Readmission Database、United Network Organ SharingといったNDBを用いた研究をする機会も得ることができ、非常に勉強になっています1)。米国の内科レジデントは当院の場合、1年目は2~4週間、2年目、3年目は概ね10週間ずつのElective rotationがあります。日本の研修医でいう選択期間に当たり、苦手な科目のRotationをしたり、場合によっては大学関連病院にいながら大学病院のClinical rotationを2週間単位で取ったりと、経営母体が同一のためフレキシブルに選択できます。私の場合、多くの時間をResearch electiveとしました。選択期間中に研究が許されるのも、米国ならではというところです。COVID-19対応のFront line providerとしての経験を還元したい臨床研究という名目で、平日昼間に研究室に出入りできるというのが、仕事をもらう上では重要になります。実際、Mount Sinai HospitalのDr. Roxana Mehranに大変お世話になり、いくつか研究をさせてもらっています2,3)。さらにそこから、Cardiovascular Research FoundationのDr. Gregg Stoneとも面識を得ることができました4,5)。そのきっかけも、先に渡米している日本人の助けがあってこそであり、渡米している人の中での繋がりの大切さを実感します。そういったInterventional Cardiologyのフィールドにおけるビッグネームの方々と仕事をする機会を通じて、リサーチについて勉強できる上、推薦状をもらうことができ、そういったこと1つひとつが米国でのキャリア形成に非常に助けになると考えます。また、Mount Sinai医科大学のPublic healthの方とも仕事をする機会に恵まれています。今年は、state databaseを用いた研究を模索している中でCOVID-19に見舞われ、統計ソフトも従来用いていたSPSSではなく慣れないSASとなり、なかなか進まないのですが、そこは気持ちを切り替えて、COVID-19研究にシフトチェンジしました。COVID-19パンデミックの中心となったニューヨークで、Front line providerとして働いた経験を何か還元できないかと模索しています。基本的にフルタイムの臨床をやりながらですが、自分の米国における価値を高めるためのさまざまな勉強を続けています。参考1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=toshiki+kuno+briasoulis&sort=date2)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=roxana+mehran&sort=date3)https://doi.org/10.1016/S0735-1097(19)31899-64)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=gregg+stone&sort=date5)http://www.onlinejacc.org/content/75/11_Supplement_1/192Column画像を拡大するCOVID-19が増加傾向です。欧州各地では、再びロックダウンに踏み切っており、日本の状況も懸念しています。ニューヨークにもじわじわと第2波が押し寄せている感がありますが、10月の段階では、自然史博物館は予約制で行くことができました。平時ならば観光スポットであるこうした博物館も、今はSocial Distanceを保つために人数を制限していることから、じっくり観て回ることができます。

検索結果 合計:35224件 表示位置:15001 - 15020