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スタチン+降圧薬のポリピル、アスピリン併用で心血管イベント抑制/NEJM

 心血管疾患がなく、中等度以上の心血管リスクを有する集団において、スタチンと3つの降圧薬の合剤であるポリピル(polypill)とアスピリンの併用療法はプラセボ+プラセボと比較して、心血管イベントの発生率が約3割低いことが、カナダ・マックマスター大学のSalim Yusuf氏らが行ったTIPS-3試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年11月13日号に掲載された。世界では毎年、心血管疾患による死亡が約1,800万件発生しており、その80%以上を低~中所得国が占めるという。血圧上昇とLDLコレステロール値上昇は、心血管疾患の最も重要な修正可能なリスク因子であり、降圧薬と脂質低下薬を組み合わせたポリピルが有益な可能性が示唆されている。一方、アスピリンは、心血管疾患患者に対する有用性が証明されているが、心血管疾患の1次予防における単独での役割、あるいはポリピルに含まれる1剤としての役割は明らかにされていない。ポリピル単独とアスピリン単独とポリピル+アスピリン併用を比較 本研究は、2×2×2ファクトリアルデザインの二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、9ヵ国(インド、バングラデシュ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、コロンビア、カナダ、タンザニア、チュニジア)の86施設が参加し、2012年7月~2017年8月の期間に患者登録が行われた(Wellcome Trustなどの助成による)。 対象は、心血管疾患がなく、INTERHEARTリスクスコア(0~48点、点数が高いほど心血管リスクが高い)で中等度または高リスクの50歳以上の男性および55歳以上の女性であった。被験者は、ポリピル(シンバスタチン40mg、アテノロール100mg、ヒドロクロロチアジド25mg、ramipril 10mgを含有)またはプラセボを毎日、アスピリン75mgまたはプラセボを毎日、ビタミンDまたはプラセボを毎月投与する群に無作為に割り付けられた。 今回は、ポリピル単独とプラセボ、アスピリン単独とプラセボ、ポリピル+アスピリンとダブルプラセボの比較の結果が報告された。 ポリピル単独およびポリピル+アスピリンとそれぞれのプラセボとの比較における主要アウトカムは、主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心停止への蘇生術、心不全、動脈血行再建)の複合とした。アスピリンとプラセボの比較における主要アウトカムは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合であった。ポリピル+アスピリン併用群の主要アウトカム:4.1% vs.5.8% 5,713例が無作為化の対象となり、平均フォローアップ期間は4.6年であった。参加者はインドが47.9%と最も多く、次いでフィリピンが29.3%であった。ベースラインの平均年齢は63.9歳、52.9%が女性で、高血圧/血圧上昇が83.8%、糖尿病/血糖値上昇が36.7%で認められ、平均収縮期血圧は144.5mmHg、平均心拍数は77.0拍/分、平均LDLコレステロール値は120.7mg/dL(3.1mmol/L)だった。 試験期間中、ポリピル単独とポリピル+アスピリン併用を合わせた群はプラセボ群と比較して、平均収縮期血圧が5.8mmHg低く、平均心拍数が4.6拍/分少なく、平均LDLコレステロール値が19.0mg/dL(0.50mmol/L)低かった。 ポリピル比較の主要アウトカムは、ポリピル群(2,861例)が126例(4.4%)、プラセボ群(2,852例)は157例(5.5%)で発生した(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.63~1.00)。また、アスピリン比較の主要アウトカムは、アスピリン群(2,860例)が116例(4.1%)、プラセボ群(2,853例)は134例(4.7%)で発生した(HR:0.86、95%CI:0.67~1.10)。 ポリピル+アスピリン比較の主要アウトカム(初発)は、ポリピル+アスピリン群(1,429例)が59例(4.1%)、ダブルプラセボ群(1,421例)は83例(5.8%)で発生した(HR:0.69、95%CI:0.50~0.97)。初発と再発を合わせた主要アウトカムは、ポリピル+アスピリン群が64例、ダブルプラセボ群は93例で発生した(HR:0.68、95%CI:0.48〜0.96)。 副作用により試験を中止した参加者数は、ポリピル+アスピリン群とダブルプラセボ群で同程度であった(筋肉症状:5例、7例、消化管出血:3例、1例、胃腸症[dyspepsia]:3例、3例、胃炎:19例、22例、消化性潰瘍:3例、3例)。また、低血圧およびめまいの発生率は、ポリピルを投与された群が、それぞれに対応するプラセボ群に比べて高かった。低血圧およびめまいにより試験薬を中止した参加者は、ポリピル+アスピリン群が45例、ダブルプラセボ群は22例だった。大出血は、ポリピル+アスピリン群が9例、ダブルプラセボ群は12例で報告された。 著者は、「併用群の心血管イベントに関する有益性は、LDLコレステロール値と血圧の適度な低下に、アスピリンによる有益性が加わった場合に予測されたものと一致していた」としている。

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第32回 新型コロナと向き合う医療従事者を守る制度が発足

<先週の動き>1.新型コロナと向き合う医療従事者を守る制度が発足2.財政制度等審議会、受益者と負担のバランスを求める建議を提出3.政府、後期高齢者の窓口2割負担へ見直しに議論を加速4.経済財政諮問会議で、厚生労働大臣、令和3年度介護報酬改定に向けた方針を発表5.コロナ感染拡大第3波、患者団体から要望書相次ぐ6.医療計画の見直し、新興感染症に対する医療を6事業目に追加1.新型コロナと向き合う医療従事者を守る制度が発足新型コロナウイルス感染に対応する医療機関で働く医療従事者を支援する「新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度」が新しく11月より発足した。この制度は、新型コロナウイルスと向き合う医療従事者の支援として寄せられた寄付金を活用して、万が一コロナウイルスに感染した場合でも一定の収入を補償することを目的に、新型コロナウイルス感染症患者に対応した医療従事者が感染し休業した場合の支援制度(医療従事者支援制度)に対する補助を要望して発足したもの。医療機関の開設者・管理者から加入の申し込みによって、政府労災などの認定を受けて4日以上休業した場合、休業補償保険金20万円、死亡すれば死亡補償金最大500万円を受け取れる。保険料は医療従事者1名あたり1,000円/年と負担も軽く、医療資格者以外も補償対象となる。加入できるのは国内の病院や診療所(共に保険医療機関)、介護医療院、助産所、訪問看護ステーションで、募集期間は4期に分かれ、最終締め切りは2021年2月15日。詳細は下記を参照されたい。(参考)日本医療機能評価機構新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度特設サイト2.財政制度等審議会、受益者と負担のバランスを求める建議を提出財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会は、11月25日に2021年度予算の編成に向けて「秋の建議」をまとめ、麻生財務相に提出した。この中で、社会保障については、2022年に団塊の世代が後期高齢者となることを見据え、給付が高齢者中心・負担は現役世代中心となっている患者負担の仕組みの見直しを求め、後期高齢者の自己負担を、可能な限り広範囲で8割給付(2割負担)の導入と現役世代の拠出金負担の軽減を求めている。また、薬価については2021年度から毎年改定を行うため、初年度にあたっては全品改定の実施を求めている。このほか都道府県医療費適正化計画の見直し、国保の都道府県単位化の趣旨の徹底やデジタル化の推進、医療扶助については、頻回受診や長期入院への対策を求める内容となっている。(参考)令和3年度予算の編成等に関する建議3.政府、後期高齢者の窓口2割負担へ見直しに議論を加速11月24日、菅内閣は全世代型社会保障検討会議を首相官邸で開催し、75歳以上の後期高齢者が医療機関で支払う窓口負担をめぐる問題について議論を行い、1割負担から負担増となる後期高齢者の対象範囲について、菅総理からは「能力に応じた負担」について、年内に取りまとめる最終報告を求めた。日本医師会からは、後期高齢者は1人当たり医療費が高いので、患者負担の割合はすでに十分に高いとし、患者負担の引き上げによって、受診控えや負担増による必要な医療を遠慮する可能性を指摘していた。厚生労働省は11月26日に社会保障審議会医療保険部会を開催し、医療保険制度改革について討論し、現状の75歳以上の後期高齢者医療を支援するために、現役世代の保険料で負担を見直さないままでいると、今年度6兆8,000億円が5年後には8兆2,000億円になるという見通しを示した。会議では、現状の高齢者医療の持続可能とするために、現役世代の負担軽減を図る改革は待ったなしの課題としており、現行の窓口負担1割のままでは現役世代の負担が急増することから先送りは認めない、とする意見も出たものの、コロナ感染拡大の中、国民の不安を増す制度改正について異論が出され、結論は出ないまま引き続き検討を行なうこととなった。(参考)全世代型社会保障検討会議(第11回)配布資料 令和2年11月24日第135回社会保障審議会医療保険部会 資料 令和2年11月26日4.経済財政諮問会議で、厚生労働大臣、令和3年度介護報酬改定に向けた方針を発表11月27日、内閣府は経済財政諮問会議を開催し、この中で田村 憲久厚生労働大臣が医療・介護分野の取り組みを発表した。コロナ感染拡大下でも「地域医療構想」は、基本的な枠組み(病床必要量の推計等)を維持した上で、着実に取り組みを実施し、病床機能再編支援制度等に消費税財源を充当するなどの対応を実施するとした。また令和3年度介護報酬改定については、感染症や災害への対応力強化、地域包括ケアシステムの推進、自立支援・重度化防止の取組の推進、介護人材の確保・介護現場の革新を実現し、制度の安定性・持続可能性の確保を求めるために改訂を行っていくことを明らかにした。このほかオンライン資格確認、オンライン診療、後発薬の使用促進などについて述べた。(参考)第17回経済財政諮問会議  田村臨時議員提出資料 令和2年11月27日 令和3年度予算に向けた社会保障の課題・取組と今後の雇用政策の方向性第17回経済財政諮問会議 令和2年11月27日 会議資料5.コロナ感染拡大第3波、患者団体から要望書相次ぐ急速な新型コロナウイルスの感染拡大により、大学病院などの病床が逼迫しつつあることなどを背景に、がん患者や難病患者の団体は、治療継続が困難にならないよう、国に対策を求める要望書を提出した。2020年11月25日は難病患者の団体である日本難病・疾病団体協議会が、27日には全国がん患者団体連合会が、国に対し「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急要望書」を提出している。要望書では、感染対策強化と、手術や検査、オンライン診療の実施と拡充を求め、コロナ対策の病床確保のためにがん患者が転院せざるを得ない状況を回避するために、速やかに必要な施策をとることを求める内容となっている。(参考)全国がん患者団体連合会 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急要望書2020年11月27日日本難病・疾病団体協議会 緊急要望書2020年11月25日6.医療計画の見直し、新興感染症に対する医療を6事業目に追加厚生労働省は11月19日に「医療計画の見直し等に関する検討会」を開催し、現行の医療計画の5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患.)・5事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児救急医療を含む小児医療)に、新たに「新興感染症等の感染拡大時における医療」への対応を6事業目として加えることで合意した。今後は、医療法の改正し、2024年度に策定する第8次医療計画に盛り込まれることになる。また「外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等について」も議論され、医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関を明確にするために、各医療機関から都道府県に、外来機能のうち、「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)に関する医療機能の報告(=外来機能報告〈仮称〉)を行うこととし、これにより、地域ごとに、どの医療機関で、どの程度、「医療資源を重点的に活用する外来」が実施されているかの明確化を図ることになる。(参考)第23回 医療計画の見直し等に関する検討会 令和2年11月19日

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蟻の一穴が全身の代謝と機能不全を改善するとは(SGLT2阻害薬とHFrEFの話)(解説:絹川弘一郎氏)-1322

 EMPEROR-Reducedは心血管死亡を抑制できず、DAPA-HFほどのインパクトは正直なかったが、メタ解析しても本質的違いは認められず、SGLT2阻害薬は完全にクラスエフェクトかどうかは微妙だが、この2剤(とカナグリフロジンも?)を考えている限り、HFrEFのNYHA IIには必ず使用すべきものとなった。あらためて言うまでもないが、糖尿病の有無にはまったく関係ない。まず、EMPEROR-ReducedとDAPA-HFの違いを説明する。EMPEROR-ReducedでEF30~40%の患者で全然イベントが減っていない。これが差をもたらしている。DAPA-HFでのEF別解析を見ると微妙にEF40%近くでHRが1の方向に向かっており、DECLARE-TIMI58のサブ解析(ちなみにこの京大加藤先生のCirculationは素晴らしいの一言、読んでいない人は一読を!)でも示されているようにSGLT2阻害薬はどうやらHFrEF(あとはMI後―これはHFrEFと考え方は同じ―これもDECLARE-TIMI58のサブ解析でCirculationになってる)の薬剤であるようだが、さすがにEF35%で効きませんと言われたらびっくりである。これはEMPEROR-Reducedのエントリー基準が悪い。EFが30%以上の患者ではイベント発生率を均てん化するという目的でNT-proBNP高値(EF31~35%で1,000以上、36~40%で2,500以上)の患者しかエントリーしないとしてしまった。おそらくその場合NYHA的には重症であろうし、腎機能低下例も多いはずで、DAPA-HFはこのような訳のわからないことはしていない。EFもBNPも予後のサロゲートマーカーであり、イベント発生率を調整するために全体でEF<40%プラスNT-proBNP>600などとするのは最近一般化しているが、今回あまりにいじり過ぎで失敗したといえよう。そもそも1,000とか2,500になんの根拠があるのか全然わからない。なお、DAPA-HFとのメタ解析を見てもNYHA III-IVにはSGLT2阻害薬は予後改善効果がほとんどないので、あまりBNPが高い症例は不向きである。そのための薬剤はvericiguatとomecamtiv mecarbilが待っている。 上記でも触れたようにSGLT2阻害薬はそんなに重症でないNYHA IIのHFrEF患者がスイートスポットである。ある意味ARNIと同じくらい(もちろん、併用すべき)。EF別のDAPA-HFの解析を見てもEF<15%ではあまり効いていない。心筋梗塞後の少しEFが低下した症例などはミッドレンジEF40~50%でも効くかもしれない(これは今後検証される予定)。私はSGLT2阻害薬をHFrEF治療のファーストラインドラッグ(ARNI/β遮断薬/MRAに加えて)と考える理由は、この薬剤の有効性のメカニズムが交感神経系やRAAS系とほとんどオーバーラップしていないながら、HFrEFの予後改善の作法どおり、リバースリモデリングを起こしているからである。まずカプランマイヤー曲線を見ても投与直後から心不全入院を抑制するメカニズムはいろいろ考えてもやはり利尿しかない。交感神経系については利尿後に心拍数が上がらないところからある程度の抑制的作用があると思われるが、さほど強い交感神経抑制作用は今まで報告はないようである(仮にあってもβ遮断薬が要りませんということはありえない、ちなみにCANVASではβ遮断薬不使用でイベント抑制効果が消える)。RAAS系についてはこの利尿期にむしろわずかながら活性化されることは私たちも示しているが、他のグループも同様の結果を得ている(だからARNIとMRAは入れておく必要あり)。つまり、今までの神経体液性因子のストーリーとは別の作用点があるはずである。また遠隔期の予後改善効果を利尿一本やりではやはり無理がある。さらに急性期の利尿効果は(自明ともいえるが)血糖依存性であることはわれわれも示しており、non-DMの患者でのEMPEROR-Reducedの解析を見ると最初の3ヵ月心不全入院のカプランマイヤー曲線が分離していないことは非糖尿病心不全患者での急性期利尿作用の貢献度が相対的に低いことは感じられる。 ケトン体増加による心筋代謝改善については一定の役割はあると思われる。しかし、問題もある。糖尿病を有しないHFrEFで糖代謝依存になっているときにケトン体が代替燃料というのはわかりやすいが、そうたくさんはケトン体は増えていない。一方糖尿病患者ではSGLT2阻害薬でケトン体は増えるものの、インスリン抵抗性で糖代謝が減少しているときにそれで糖代謝が改善するというVerma論文のロジックがよくわからない。さらに糖尿病とHFrEFが共存するとき、代謝がどうなっているのか、ほとんど知られていない。心筋代謝は百人いれば百の説があるくらい混乱を極めており、まだまだこれからの分野である。 近位尿細管細胞のATP消費抑制とhypoxia改善によるHIF-1α減少と腎保護効果に合わせてエリスロポエチンとヘモグロビンの増加についてはHIF-2α増加を介するといわれてきているが、ヘモグロビンの増加自体は0.5程度であり、以前のRED-HF試験の結果(ダルベポエチンで1.5増加させた)を見てもその程度で心不全の予後は改善しない。補助的には効いているかもしれないが、ヘモグロビン値はHIF-2αシグナリングのマーカーと考えるのが良いと思われる。HIF-2αの活性化はSGLT2阻害薬による擬似飢餓状態のシグナリングSIRT1から来るようである(SIRT1シグナリングからオートファジーの活性化とか酸化ストレス障害の抑制とかなってくるとホント?感が強くなってくるが)。ここが臨床的に検証されるのはとても困難であろうし、この擬似飢餓状態シグナリングが心筋細胞でも生じるというのが必要であるが、少なくともエリスロポエチンとヘモグロビンとヘマトクリットが増えているという部分は間違いない事実であり、mediation解析でも心血管死を説明するのにヘモグロビンが最強の因子であるわけで、擬似飢餓状態のシグナリングが一番魅力的な仮説のように思われる。SGLT2阻害薬は近位尿細管にのみ直接作用点があるにしてはその蟻の一穴を通して全身への波及効果が力強く、糖尿病治療薬から脱皮して、今までに遭遇したことのないCKD治療薬(DAPA-CKD)と心不全治療薬となったようである。

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医業における「費用」、大きな部分を占める◯◯に着目せよ!【今さら聞けない!医療者のための決算書の読み方】第2回

<登場人物>実家の診療所を継ぐことを決め、病院で同期だったコンサルタントの田中に定期的に相談するようになった宮路。前回は病院の収益について学んだが、今回も気になっていることがあるようだ。宮路田中さん、この間はありがとう。財務諸表って今まで見るのも嫌だったけど、財務の構造を教えてもらったことで少しずつ勉強していく気になったよ。田中それはよかった。それで、今日はどうしたの?宮路この前は、医業利益の基になる収益について教えてもらったじゃない? でも、実家の病院の状況を考えると、すぐに収益を改善するのは難しそうで…。赤字を改善するためには、まずは費用について考えるべきなのかと思って。田中いい流れだね。じゃあ今回は、医業における費用の基本を押さえよう。田中からの解説前回に話したとおり、医療機関の損益計算書は収益も費用も、「医業」と「医業外」に分けることができる。そして、医療機関の収支で主要部分は「医業」部分だ。医業収益から医業費用を引いたものが医業利益(損失)となる。式にすれば、医業利益=医業収益-医業費用となる。だから、黒字化のために医業利益を上げるには、医業収益を上げるか医業費用を下げるかのどちらかとなる。医業収益を上げる方法は前回に話したので、今回は医業費用を見てみよう。損益計算書の医業費用の部分を見てみると、そのうち大きな部分を占めるのが給与費、つまり人件費であることがわかる(表1)。表1:損益計算書の医業費用部分の例(単位:億円)費用について分析する際は、まずは自院の人件費が適正な水準かを見てみよう。人件費の適正性を見る指標の1つが、医業収益に対する人件費の割合である人件費率だ。人件費率(%)=人件費/医業収益人件費率の目安は、病院の種別によって異なる(表2)。したがって、まずはこれらの種別の目安に対して自院の人件費率は高いか低いかを確認して、高い場合はその原因を確認する必要がある。表2:病院種別 人件費率の比較画像を拡大する人件費率が同カテゴリのほかの病院よりも高い場合には、原因として1)人員が多い2)1人当たりの人件費が高いの2つが考えられる。では、人員が多い、もしくは人件費が高いことが判明した場合、即座に職員を減らしたり、給与や賞与を減らしたりできるかというと、それは法令上からも組織運営上からもかなり難しい。だから、きちんとした採用計画を立てて人を採用したり、生産性向上に資する人材配置や業務改善をしたり、といった未来志向の対策が求められるんだ。宮路そうか。確かに費用の大半を人件費が占めるからといって、単純に人を減らすなんてできないもんなあ…。実家の病院も古くからのスタッフは給与が高いけれど、その医師や看護師を目当てに来院する患者さんも多いって聞くし…。田中そうだよね。一般的に、病院のように職員のサービス提供で収益を得るビジネスモデルは「労働集約型ビジネス」と呼ばれていて、労働集約型ビジネスでは人件費はコストの大半を占める一方で収益源でもある。経営改善のためには、収益性との兼ね合いも考慮して人材戦略を練ることが欠かせないんだ。宮路経営改善と人材戦略にそんな深い関わりがあるって考えたことなかったな…。今日も勉強になったよ。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー その1【「実践的」臨床研究入門】第2回

第1回では、クリニカル・クエスチョン(CQ)とリサーチ・クエスチョン(RQ)の違いと、臨床上の疑問をRQの代表的な「鋳型」であるPE(I)COにざっくりと流し込む手順について説明しました。第2回からは、PE(I)COを具体的にブラッシュアップする過程の最初のステップである、RQに関連する先行研究のレビューについて解説します。PE(I)COにならないRQRQの関連論文のレビューについて解説する前に、お断りしたいことがあります。実は、RQがPE(I)COにうまく当てはまらない臨床研究も多くあるのです。症例や患者集団などの臨床経過や治療内容などを含めた特徴を要約した、いわゆる記述的研究はPE(I)COになりません。なぜなら、記述的研究にはPE(I)COのC(比較対照)がないからです。症例(集積)報告、疾患分布や診療実態の調査などは記述的研究に分類されます。また、O(アウトカム)に関連するリスク要因を調べたり、Oを予測する、診断・予後などの予測モデルの開発やその精度を評価する臨床研究1)も、PE(I)COに当てはまりにくいです。これらの研究はOに関連する要因を探索的に検討することが目的であり、主たるE(曝露要因)やI(介入)とC(比較対照)を端的に表すことができないからです。一方、EもしくはIとOの因果関係(影響や効果など)の推論や検証を目的としたRQはPE(I)COの「鋳型」に流し込みやすく、現場の医療者の「臨床上の疑問」にシンプルに答えやすいRQです。本連載では、このPE(I)COによって定式化でき、診療ガイドラインでも多く使用されており臨床判断の参考にしやすい、「因果推論」や「仮説検証型」と呼ばれるRQに焦点を当てて解説することをご了承ください。先行研究を吟味する―巨人の肩の上に立つ下記は第1回で作成した架空の臨床シナリオに基づいたCQとPECOです。CQ:食事療法を遵守すると慢性腎臓病患者の腎予後は改善するのだろうか↓P:慢性腎臓病患者 E:食事療法の遵守C:食事療法の非遵守O:腎予後上記のように、あなたの「漠然とした臨床上の疑問」である CQ をPE(I)COで定式化された RQに、とりあえずは落とし込めたとしましょう。その次の段階であるRQのブラッシュアップの過程の最初のステップでは、RQに関連する先行研究を十分吟味する必要があります。データ収集、統計解析など、実際に「臨床研究を始める前」に、先行論文をレビューすることが重要です。まず、あなたのRQのテーマについて、これまでに、何がわかっているのか(”What is already known”)、まだわかっていないことは何か(”What is still unknown”)、をはっきりさせましょう。”What is already known”、”What is still unknown”は 、論文のイントロダクションを構成する重要な要素になります。世界4大医学雑誌のひとつに数えられるBMJの原著論文では、このパートを”What is already known on this topic”でまとめたうえで、新しい知見は何か(”What this study adds”)ということを、本文とは独立した”Summary boxes”として簡潔に記述することが求められています2)。「巨人の肩の上に立つ」(”Standing on the sholders of giants”)という言葉をご存じでしょうか。この言葉は、「万有引力の法則」を発見したアイザック・ニュートンの手紙の一節(下記)に由来するとされています。“If I have seen further it is by standing on the shoulders of giants.(私が遠くを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからです)”この言葉の解釈は、新しい科学の発見は先人が積み重ねた研究成果に基づいている、とでもなるでしょうか。先行研究の吟味、すなわち先人たちの研究成果を学ぶことによって、新たな臨床研究を行うための礎ができるのです。ちなみに、イギリスの2ポンド硬貨の側面には、このニュートンの言葉、”Standing on the shoulders of giants”が刻印されています。「臨床研究トリビア」?でした。 さて、PECOもざっくり決まっているし、早速PubMedでRQに関連する先行研究を検索、となりませんでしょうか。筆者は、個別の論文(1次情報)をいきなり!検索する前に、まずは質の高いエビデンスをまとめた2次情報を活用することをお勧めしています。第3回からは、2次情報を中心とした関連研究レビューの実際について解説します。1)Hasegawa T,et al. Clin Exp Nephrol. 2019;23:189-198.2)BMJ Guidance for Authors.1)福原俊一. 臨床研究の道標 第2版. 健康医療評価研究機構;2017.2)木原雅子ほか訳. 医学的研究のデザイン 第4版. メディカル・サイエンス・インターナショナル;2014.3)矢野 栄二ほか訳. ロスマンの疫学 第2版. 篠原出版新社;2013.4)中村 好一. 基礎から学ぶ楽しい疫学 第4版. 医学書院;2020.

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がん治療の進歩で注意すべき心血管リスクとその対策/日本医療薬学会

 近年、腫瘍循環器学という新しい概念が提唱されている。10月24日~11月1日にWeb開催された第30回日本医療薬学会総会のシンポジウム「腫瘍循環器(Onco-Cardiology)学を学ぼう~タスクシェア・シフト時代にマネジメントする薬剤師力の発揮~」において、腫瘍循環器領域の第一人者である向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科主任部長)が「腫瘍循環器学とは?臨床現場で薬剤師に求めること」と題し、腫瘍循環器学における新たな視点について語った。がん治療の進歩で注意すべき心血管リスクも変化 がん患者の心血管リスクは、がん治療時の急性期/慢性期心毒性をピークに回復・寛解期には一度低下傾向を示す。しかし、転移・再発に対するがん治療の開始やがんサバイバーとして生き長らえる中で、潜在的心血管リスクの増悪による晩期心毒性によりリスクは再び上向きに転じることが報告1)されている。向井氏はその1つとして、28種がんのがんサバイバーの治療経過と心臓病による死亡リスクの検討2)から、がん診断後から5~10年の時点で全領域のがんサバイバー、なかでも乳がん、皮膚がん(メラノーマ)、前立腺がん患者などの死亡リスクが上昇する報告を示した。同氏は「新規薬剤によるがん治療の進歩とそれに伴う生存率上昇の反面、心毒性が増加していることが影響している」と述べ、最新のがん治療にも心血管リスクが潜んでいる点を指摘した。投与終了後の経過観察は生涯必要 がん治療による心毒性・心血管リスクの歴史は1970年代に遡る。殺細胞系抗がん剤アントラサイクリンによる心筋症が明らかになって以降、2000年代には分子標的薬のトラスツズマブにより生じる心筋症が、近年では免疫チェックポイント阻害薬による劇症心筋炎と心血管合併症が問題になっている。さらに、血管新生阻害薬(抗VEGF薬)は心毒性リスクが投与用量に比して増加し、かつ経時的に変化する特徴があり、投与初期には毛細血管攣縮による血圧上昇、数ヵ月後に毛細血管循環障害(密度希薄化)による高血圧症や尿蛋白が出現する。その後、年単位の治療が継続されることでプラーク形成による血栓症・出血が発生し、3~5年の長期治療によって心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な心血管疾患発症に至る。このような症例を実際に目の当たりにした同氏は「がん治療が進歩する一方でこれまでにない晩期合併症が増加している」と危惧した。 心毒性発症の原因は多様性を示し、がん自体の作用、心血管疾患の既往、ゲノムの関与、そしてがん治療が影響していることから、「心毒性に対し循環器医の介入はもちろんのこと実際に薬剤を扱う薬剤師も、近年頻度が増加しているがん関連血栓症や動脈硬化血管障害(虚血性心疾患)、不整脈などを幅広く理解しておく必要がある」とも述べた。がんと循環器疾患の共通点、危険因子と発症機序 がんの危険因子を列挙すると循環器疾患の危険因子との共通項目が非常に多く、たとえば、喫煙、飲酒、食塩摂取、運動不足などが挙げられる。また、がんと動脈硬化発症の機序において、腫瘍が増殖する際の血管新生に影響を及ぼすVEGFは、循環器領域ではプラーク形成にかかわる血管新生や血管内皮障害を起こす。そのほかにもがんの進展と動脈硬化の発症メカニズムには多くの共通点が指摘されており3)、同氏は「遠い存在であったがんと循環器は共通の性格を持つ疾患である」とし、「いずれも生活習慣病として、遺伝子的因子、エピジェネティク因子、環境因子、生活習慣などが原因で酸化ストレス、炎症、増殖、アポトーシス、血管新生などを生じ動脈硬化やがんに発展する。心不全や血栓症などの晩期心毒性はこれらの危険因子を抑えることで発症予防につながることが期待されている」と話した。薬剤師によるがんサバイバーへの貢献に期待 このようにがんと循環器のリスクの共通性が解明される一方、増加するがんサバイバーへの対応は現在模索中である。しかし、がん診療をがん発症予防、診断と治療計画、がん治療、がんサバイバーの4つのステージに分けて考えた時、どのステージにおいてもこれから薬剤師が活躍すると同氏は期待を寄せる。とくにがん治療が終わった後のがんサバイバーは、自分を知っていてくれるかかりつけ薬剤師に調剤薬局やドラッグストアで接することになる。そこでは、がんサバイバーが直面する晩期合併症、なかでも晩期心毒性に対応するためにがん診療における薬薬連携による情報交換と幅広い理解が求められている。 最後に同氏は「腫瘍循環器学を学び、がんと循環器の共通点を知りタスクシフト・シェア時代に対応することで、がんサバイバーの不安を軽減し支援することができるよう薬剤師の皆さまに“薬剤師力”を発揮していただきたい」と締めくくった。

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新型コロナ、マスク着用率95%で米国死者数は3分の1に?

 米国では、2020年2月初旬に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による初の死亡者が記録されて以来、9月21日までの累計死者数は19万9,213人と報告されている。そんななか、米国ではマスクの着用について今でも論争の的となっており、米国居住者で“常に”公共の場でマスクを着用しているのはわずか49%である。州レベルで見ると、バージニア州、フロリダ州、カリフォルニア州での着用率は60%超の状況である。このように人口全体でのマスク着用率95%の達成および維持は高い閾値のように見えるが、ニューヨーク州のように達成している地域もある。 今回、社会的距離の確保やマスク着用などさまざまな生活規制がどのような効果を生み出すのかを検証するため、米国・IHME* COVID-19 Forecasting Teamの研究員らが独自のCOVID-19死亡数予測モデルを作成した。その結果、米国全土で2021年2月28日までにCOVID-19による累積死亡者数は51万1,373人(46万9,578~57万8,347)にのぼると予測された。*:IHME=Institute for Health Metrics and Evaluation 一方で、マスクの着用が普遍的となれば、2020年9月22日~2021年2月末までの間に12万9,574(8万5,284~17万0,867)の命を救うことができると研究者らは明らかにした。仮にマスク着用率を85%とした場合は、着用率95%よりは少なくなるものの、9万5,814人(6万731~13万3,077)の命を救うことができることから、公共の場でのマスク着用率95%、つまりユニバーサルマスクの達成が多数の州での流行復活の最悪な状況の打開策になることが示された。Nature Medicine誌オンライン版10月23日号掲載の報告。 まず、予測モデルを構築するために研究者らは3つの境界シナリオを確定。1つ目は州が社会的距離の規制を緩和し、人と人との接触の数が増加した場合の結果を予測した。2つ目は、州が再び社会・経済活動を人口100万人あたり8人の死亡率、つまり90パーセンタイルの閾値でロックダウンすると仮定して、パンデミックの進展を予測した。ここでは州が過去に社会的距離の規制を実施したときに観測された分布を分析し、社会的距離の規制が6週間で緩和することを前提とした。さらに、マスクの有効性に関する新たなデータが利用可能になったことから、3つ目にユニバーサルマスク実施時の予測を加えた。ここでの“ユニバーサル”を公共の場でのマスク着用者95%と定義したのは、これまでのCOVID-19パンデミック時の世界(とくにシンガポール)でのマスク着用の報道に基づいている。  このなかで、州が社会的距離の緩和を行ったという予測モデルでは、米国全体の累積死亡者数は2020年9月22日~2021年2月28日までに105万3,206人(75万9,693~145万2,397)に達する可能性があることも明らかにした。その死亡者の約3分の1はカリフォルニア州で14万6,501人(8万4,828~22万1,194)、フロリダ州で6万6,943(4万0,826~9万6,282)、ペンシルベニア州で4万6,943(4万826~9万6,282)と3州で発生することが見込まれていた。 研究者らはユニバーサルマスクや社会的距離の維持を達成すれば、多数の州で経済への損害を最小限に抑えながら多くの命を救える可能性があるとしている。

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“みえない”健康課題に対して、どのように向き合っていくか?

 2020年11月18日(水)に日本イーライリリー株式会社主催のオンラインプレスセミナーが開催され、“みえない多様性”について、社会医療法人 寿会 富永病院 副院長 脳神経内科部長・頭痛センター長の竹島 多賀夫氏が、職場に与える影響を片頭痛の事例から語った。また、日本イーライリリー コーポレート・アフェアーズ本部の山縣 実句氏からは、「“みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクト」の紹介があった。 竹島氏は、「片頭痛など、みえない健康課題を抱える人を理解し、職場環境の整備や発作時に配慮することが大切。仕事の生産性が向上するだけでなく、患者さんの人生にも良い影響を及ぼすだろう」と述べた。 「健康で働きやすい職場」の環境づくりを考えるうえで、このような啓発活動は重要であり、今後も広がっていくと考える。みえない健康課題の代表「片頭痛」が日常生活や職場に与える影響 片頭痛は女性に多く、症状として頭痛以外にも疲労や感覚過敏、光過敏などが生じることから、患者のQOLを著しく低下させ、日常生活に支障を来す。日常生活への支障を重症度で表すと、活動性精神病や認知症、四肢麻痺と同レベルの、重症度が一番高いところに位置する。片頭痛の患者では、日常生活や仕事への支障による生産性低下の割合も多くみられている。片頭痛を我慢して働く人は90%以上 片頭痛の症状が仕事に及ぼす影響に関して、日本イーライリリーが独自で実施したインターネット調査※では、疾患のつらさを我慢しながら働く人は90%以上いることがわかった。症状を我慢して周囲に伝達できない理由として、「伝える必要がないと思ったから」が49%、「伝える機会がなかったから」が36%と、1人で「つらさ」と向き合っている人が多いことも確認された。みえない「つらさ」を抱えながら働く人に、伝える機会やきっかけが必要とされている。“みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクトの発足 このようなことから、片頭痛をはじめ、さまざまな健康課題による痛みなどの症状や、周囲に理解されないことにより生じる当事者の「不安、支障、働きづらさ」は、“みえない多様性”と定義された。この“みえない多様性”があることを知り、当事者と周囲の人との相互理解を深めることで、一人ひとりが行動を変え、誰もが働きやすい環境をつくることを目的として、同社は健康経営に取り組む企業とともに「“みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクト」を発足させた。社員のみえない健康課題を理解するためのツール “みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクトでは、健康経営に関心がある人、管理職、健康課題を抱える当事者を対象とした、みえない多様性に関する解説・事例紹介・カードゲームを使用して議論しながら理解を深めていく啓発ツールが開発された。啓発ツールを使って片頭痛のみならず、さまざまな健康課題を抱える人にとって、働きやすい職場環境が社会全体に広がることが期待されている。まとめ “みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクトの活動が社会全体に広がっていくことで、健康に悩みを抱えていても、周囲の人へ伝えてよい、我慢しなくても大丈夫であるという安心感が生まれ、働くことに対して価値を見いだすことができるのではないだろうか。それが生産性の向上につながり、より良い社会の実現に必要であると考える。※インターネット調査の概要・調査名:「片頭痛、腰痛、およびアレルギー性鼻炎の患者さんの症状と仕事への影響に関するインターネット調査」(実施:日本イーライリリー株式会社)・調査期間:2020年10月5日~15日・調査手法:インターネット調査・調査地域:全国・調査対象と回収サンプルサイズ:合計674件(片頭痛:168件、腰痛:169件、アレルギー性鼻炎:165件)

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再発難治性多発性骨髄腫、ベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの成績(BELLINI)/Lancet Oncol

 再発難治性多発性骨髄腫に対するベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾン療法(VBd療法)の、第III相多施設共同二重盲検無作為化試験「BELLINI試験」の結果が、米国・メイヨー・クリニックのShaji K. Kumar氏らにより論文発表された。VBd療法は、第I相試験で忍容性と安全性が確認され、臨床効果が示唆されていた。BELLINI試験は16ヵ国90病院で行われ、VBd療法はボルテゾミブ+デキサメタゾン療法(Bd療法)と比較して、主要評価項目である無増悪生存(PFS)期間を有意に改善することが示された。ただし、主に感染症の発現増加によりVBd療法において死亡の増加がみられ、著者は「VBd療法については患者を適切に選択することが重要である」とまとめている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年10月29日号掲載の報告。 BELLINI試験は、ECOG PSが2以下で1~3レジメンの治療歴がある18歳以上の再発難治性多発性骨髄腫患者を対象とし、被験者はVBd群またはプラセボ+Bd群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。ベネトクラクスは800mg/日、ボルテゾミブは1.3mg/m2、デキサメタゾンは20mgとし、最初の8サイクルは1サイクル21日、9サイクル以降は1サイクル35日として、病勢進行、許容できない毒性発現または患者の同意撤回まで投与を継続した。 主要評価項目は、ITT集団における独立評価委員会判定によるPFS。安全性については、治験薬を少なくとも1回投与された患者を解析対象集団に包含し評価した。 主な結果は以下のとおり。・2016年7月19日~2017年10月31日に、291例がVBd群(194例)またはBd群(97例)に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値18.7ヵ月において、主要評価項目のPFS中央値は、VBd群22.4ヵ月、Bd群11.5ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.63、95%CI:0.44~0.90、p=0.010)。・主なGrade3以上の有害事象は、好中球減少(VBd群193例中35例[18%]vs.Bd群96例中7例[7%])、肺炎(30例[16%]vs.9例[9%])、血小板減少(28例[15%]vs.29例[30%])、貧血(28例[15%]vs.14例[15%])、下痢(28例[15%]vs.11例[11%])であった。・重篤な有害事象は、VBd群で93例(48%)、Bd群で48例(50%)に発現した。・治療下で発現した致死的感染症は、VBd群8例(4%)、Bd群0例であった。・VBd群の3例の死亡(肺炎2例、敗血症性ショック1例)は、治療との因果関係ありと判定された。Bd群で治療と関連のある死亡は報告されなかった。

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セマグルチド、NASH治療に有効な可能性/NEJM

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療において、セマグルチドはプラセボに比べ、肝線維化の悪化を伴わないNASH消散が達成された患者の割合が有意に高いが、肝線維化の改善効果には差がないことが、英国・バーミンガム大学のPhilip N. Newsome氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年11月13日号で報告された。NASHは、脂肪蓄積と肝細胞損傷、炎症を特徴とする重度の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)であり、肝線維化や肝硬変と関連し、肝細胞がんや心血管疾患、慢性腎臓病、死亡のリスク増大をもたらす。また、インスリン抵抗性は2型糖尿病と肥満に共通の特徴で、NASHの主要な病因とされる。2型糖尿病治療薬であるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチドは、肥満および2型糖尿病患者の減量に有効で、血糖コントロールを改善し、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値や炎症マーカーを抑制すると報告されているが、NASH治療における安全性や有効性は明らかにされていない。16ヵ国143施設が参加したプラセボ対照無作為化第II相試験 本研究は、セマグルチドが組織学的なNASHの消散に及ぼす効果を評価する目的で実施された二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験であり、日本を含む16ヵ国、143施設が参加し、2017年1月~2018年9月の期間に患者登録が行われた(Novo Nordiskの助成による)。 対象は、年齢18~75歳(日本は20~75歳)、生検でNASHが証明され、ステージF1、F2、F3の肝線維化を有し、2型糖尿病の有無は問われず、BMI>25の患者であった。被験者は、3つの用量(0.1、0.2、0.4mg)のセマグルチドまたはそれぞれに対応するプラセボを1日1回皮下投与する群に、各用量群とも3対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、72週の時点における肝線維化の悪化のないNASHの消散とした。NASH消散は、NASH Clinical Research Networkの分類で炎症性細胞の軽度残存以下(スコア0~1点)で、かつ肝細胞の風船様腫大がない(スコア0点)場合と定義された。副次エンドポイントは、NASHの悪化がなく、かつ肝線維化の1ステージ以上の改善であった。これらのエンドポイントの解析は、肝線維化がステージF2またはF3の患者に限定して行われ、他の解析は全ステージの患者で実施された。肝酵素や体重減少も用量依存性に改善 320例(肝線維化のステージF2、F3は230例)が登録され、セマグルチド0.1mg群に80例、同0.2mg群に78例、同0.4mg群に82例、プラセボ群には80例が割り付けられた。全体の平均年齢は55歳、61%が女性、62%が2型糖尿病であり、平均体重は98.4kg、平均BMIは35.8であった。肝線維化のステージ別では、F1が90例(28%)、F2が72例(22%)、F3は158例(49%)だった。 72週時において線維化の悪化がなくNASHが消散した患者の割合は、0.1mg群が40%、0.2mg群が36%、0.4mg群が59%で、プラセボ群は17%であった。0.4mg群のプラセボ群に対するオッズ比(OR)は、6.87(95%信頼区間[CI]:2.60~17.63)であり、0.4mg群で有意に優れた(p<0.001)。一方、72週時の肝線維化の1ステージ以上の改善は、0.4mg群では43%、プラセボ群では33%の患者で達成されたが、両群間に有意な差は認められなかった(OR:1.42、95%CI:0.62~3.28、p=0.48)。 ALTおよびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)は、いずれもセマグルチドの用量依存性に低下し、72週時のベースライン時に対する測定値の比は、0.4mg群が0.42であったのに対し、プラセボ群は0.81だった(比が小さいほど、低下率が大きい)。また、72週時の体重減少率は用量依存性に増加し、0.4mg群が12.51%、プラセボ群は0.61%であった。セマグルチド群では、2型糖尿病の有無を問わず、糖化ヘモグロビン値の低下率が大きかった。 0.4mg群はプラセボ群に比べ、悪心(42% vs.11%)、便秘(22% vs.12%)、嘔吐(15% vs.2%)の発生率が高かった。悪性新生物は、セマグルチド群で3例(1%)報告されたが、プラセボ群ではみられなかった。全体として、新生物(良性、悪性、詳細不明)の発生率はセマグルチド群で15%、プラセボ群では8%と報告され、特定の臓器での発生のパターンは観察されなかった。 著者は、「NASH消散と用量依存性の体重減少に関して大きな有益性が得られたとはいえ、肝線維化の改善に有意差がなかったという事実は予想外であった。肝線維化の重症度が高い患者が多かったことから、72週という期間では、肝線維化のステージの改善が明確になるまでの時間が十分でなかった可能性がある」としている。

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院外心停止・難治性心室細動、早期ECMO蘇生vs.標準的ACLS/Lancet

 院外心停止(OHCA)および難治性心室細動を呈した患者において、早期の体外式膜型人工肺(ECMO)を用いた蘇生法は、標準的な二次心肺蘇生法(ACLS)と比べて、生存退院率を有意に改善することが、米国・ミネソタ大学のDemetris Yannopoulos氏らによる第II相の単施設非盲検無作為化試験「ARREST試験」の結果、示された。OHCAや心室細動を呈した患者では、半数以上が初期の標準的なACLSに反応せず難治性心室細動を呈する。研究グループは、より高度な再灌流戦略の適応性、安全性および有効性を確認するため、OHCAと難治性心室細動患者を対象にECMO蘇生法と標準的ACLSを比較する、米国で初となる無作為化試験を行った。Lancet誌オンライン版2020年11月13日号掲載の報告。生存退院を主要アウトカムに、単施設無作為化試験 研究グループは、ミネソタ大学医療センターに搬送された18~75歳でOHCAおよび難治性心室細動を呈し、3回の電気ショック後も心拍再開なし、機械的CPR装置(Lund University Cardiac Arrest System:LUCAS)を使用、搬送時間が30分未満の患者を対象に試験を行った。 患者は病院到着時に、ランダムに変化するブロックサイズを有する置換ブロック法で作成された安全なスケジュールを使用して、早期ECMO蘇生法群と標準的ACLS群に無作為に割り付けられた。割り付けの秘匿を達成するため、情報を知るためには表面を削り取る必要があるスクラッチカードが用いられた。 主要アウトカムは、生存退院とし、副次アウトカムは、退院時および退院後3ヵ月・6ヵ月時点の安全性、生存率、機能評価であった。すべての解析は、ITTベースで行われた。本試験では、インフォームド・コンセントによる除外が認められていた。生存退院率、早期ECMO蘇生法群43%、標準的ACLS群7% 2019年8月8日~2020年6月14日に、適格患者36例が搬送され、6例を除外後、30例が標準的ACLS群(15例)または早期ECMO蘇生法群(15例)に無作為化された。早期ECMO蘇生法群の1例が退院前に試験から離脱した。 被験者の平均年齢は59歳(範囲:36~73)、25/30例(83%)が男性であった。 生存退院は、標準的ACLS群1/15例(7%、95%確信区間[Crl]:1.6~30.2)、ECMO蘇生法群6/14例(43%、21.3~67.7)であった(群間リスク差:36.2%[95%Crl:3.7~59.2]、ECMO優越性の事後確率:0.9861)。 ECMO優越性の事後確率が事前規定のモニタリング限界値を上回っていたため、被験者30例の登録後にData Safety Monitoring Boardから全会一致の推奨を受けて、米国国立心肺血液研究所(NHLBI)による初回の事前計画中間解析を行った時点で試験は終了となった。 累積6ヵ月生存率は、標準的ACLS群よりも早期ECMO蘇生法群が有意に優れていた(ハザード比:0.16、95%信頼区間:0.06~0.41、log-rank検定のp<0.0001)。予期せぬ重篤有害事象は観察されなかった。

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新人看護師の燃え尽き症候群が長期アウトカムに及ぼす影響

 看護師や助産師が、燃え尽き症候群を経験することは少なくない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のAnn Rudman氏らは、看護師のキャリア初期における燃え尽き症候群エピソードが、卒後10年間の認知機能、抑うつ症状、不眠症に及ぼす長期的な影響について調査を行った。EClinicalMedicine誌2020年10月5日号の報告。看護師キャリア初期の燃え尽き症候群は認知機能低下と睡眠障害と関連 本研究では、看護師を対象とした3つのコホート研究の縦断的観察研究として実施した。26件の看護プログラムより看護学生を募集した。燃え尽き症候群の症状は、卒後3年間は毎年調査し、卒後11~15年の長期調査を1回実施した。フォローアップへの参加に同意した看護師は、2,474人(62%)であった。燃え尽き症候群、認知機能、抑うつ症状、睡眠障害の測定には、それぞれ、Oldenburg Burnout Inventory、本研究特有の方法、うつ病調査票、カロリンスカ眠気尺度を用いた。キャリア初期の燃え尽き症候群と関連する因子は、フォローアップ時の燃え尽き症候群のレベルで調整した後、ロジスティック回帰分析を用いて特定した。 看護師のキャリア初期における燃え尽き症候群が及ぼす長期的な影響を調査した主な結果は以下のとおり。・卒後3年間で高レベルの燃え尽き症候群を報告した看護師は299人(12.3%)であった。・看護師キャリア初期の高レベルの燃え尽き症候群は、現在の燃え尽き症候群のレベルを考慮すると、10年後の認知機能低下、抑うつ症状、睡眠障害と有意な関連が認められた。・現在の燃え尽き症候群の症状やほかのアウトカム変数で調整した後、キャリア初期に燃え尽き症候群が認められた看護師は、認知機能低下と睡眠障害の頻度が高かったが、抑うつ症状との関連は認められなかった。 著者らは「看護師は、キャリアの早い段階から、慢性的であらがうことのできないストレスによって引き起こされる有害な問題を抱えており、早期より看護教育や新人研修の一部として予防的介入を進めるべきである」としている。

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米国で血圧コントロールが悪化した理由:われわれは何を学ぶべきか?(解説:有馬久富氏)-1321

 米国で継続的に行われている国民健康栄養調査(National Health & Nutrition Examination Survey:NHANES)の成績から、1999/2000年から2017/18年までにおける血圧コントロール状況の経時変化を検討した論文がJAMAに掲載された1)。血圧コントロール良好(血圧140/90mmHg未満)な高血圧者の年齢調整割合は、1999/2000年の32%から2013/14年の54%まで上昇傾向にあったが、2015/16年から減少傾向に転じ、2017/18年には44%まで低下した。論文では、2015/16年から血圧コントロールが悪化した原因として、2014年に米国の高血圧ガイドライン(JNC8)2)が改訂された際に、降圧目標が引き上げられたことを挙げている。また、2015年にSPRINT試験3)の成績が発表され、2017年に米国のACC/AHAガイドライン4)が降圧目標を引き下げたことから、2019年以降の血圧コントロール状況は改善するであろうとも予測している。 米国でみられた一時的な血圧コントロール悪化から、われわれは何を学ぶべきであろうか。JNC8が出版された当時、収縮期血圧130mmHg未満を目標とする厳格降圧の効果を検討した無作為化比較試験の成績は少なく、厳格降圧が脳心血管病を予防する可能性が示唆されていたものの統計学的有意差までは得られていなかった5,6)。一方、一部の観察研究からJカーブ現象(つまり治療中の血圧が低いと脳心血管病が増加する現象)が報告されていたこともあり、JNC8の降圧目標は引き上げられた3)。当時を振り返ってみると、エビデンスレベルの高い無作為化比較試験において厳格降圧が害をもたらす根拠はなかったので、観察研究を根拠に降圧目標を引き上げたのは適切な判断でなかったのかもしれない。ガイドラインの推奨ひとつで、国民の血圧コントロールを悪化させ、脳心血管病を増加させるような事態に陥る可能性があることを考えると、ガイドラインはその時点のエビデンスを包括的かつ公正に評価して作成される必要があると考えられる。私が執筆委員・システマティックレビュー(SR)サポートチームを務めさせていただいた高血圧治療ガイドライン20197)では、SRに基づいて透明性の高い推奨決定がなされた。今後発行されるガイドラインにおいても最新のエビデンスに基づいた公正な推奨を発信してゆくことが大切であると考えられる。文献1)Muntner P, et al. JAMA. 2020;324:1190-1200.2)James PA, et al. JAMA. 2014;311:507-520.3)SPRINT Research Group. N Engl J Med. 2015;373:2103-2116.4)Whelton PK, et al. Hypertension. 2018;71:e13-e115.5)ACCORD Study Group. N Engl J Med. 2010;362:1575-1585.6)SPS3 Study Group. Lancet. 2013;382:507-515.7)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編. 高血圧治療ガイドライン2019. 日本高血圧学会;2019.

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PD-L1高発現NSCLC、ICIへのベバシズマブのadd onを評価する:WJOG@BeStudy【肺がんインタビュー】 第56回

第56回 PD-L1高発現NSCLC、ICIへのベバシズマブのadd onを評価する:WJOG@BeStudy出演:九州がんセンター 呼吸器腫瘍科 瀬戸 貴司氏未治療のPD-L1高発現非小細胞肺がんにおける抗PD-L1抗体アテゾリズマブへのベバシズマブの上乗せ効果を検証した第II相WJOG@BeStudy。治験調整医である九州がんセンター 呼吸器腫瘍科 瀬戸 貴司氏に(ESMO Virtual Congress 2020)での発表を再現いただいた。

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大腸にテントウ虫を認めた1例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第175回

大腸にテントウ虫を認めた1例Wikipediaより使用基礎疾患のない59歳の男性の下部消化管内視鏡スクリーニング検査中、検査医はビックリしました。なぜって、横行結腸にテントウ虫がいたからです!!!えええええっ!Tahan V, et al.An Unusual Finding of a Ladybug on Screening ColonoscopyACG Case Rep J . 2019 Aug 15;6(8):e00174.ナミテントウですよ。横行結腸にいたのは。 ちょっと待って、口か肛門、どっちから入ったの!?テントウ虫を飲み込んだら普通、消化されますよね。 しかし、下部消化管内視鏡検査をしたら、大腸に虫がいたという報告は実はいくつかあります。 “異物界"で有名なのが「横行結腸のゴキブリ」です1)。これは、ゴキブリの外殻がうまく消化されないことがあって、ゴキブリの形が残ってしまうという現象です。 おええ。よくよく考えると、テントウ虫が肛門から入って、ヨイショヨイショと横行結腸まで来るというのは考えにくいです。となると、やはり上から来たと考えるのが妥当ですよね。例のごとく、著作権の問題があってココに画像を貼れないのが残念ですが、上にあるWikipediaの写真のような、かわいいテントウ虫が横行結腸に転がっていたのです。 ぜひ原文をチェックしてみてください。テントウ虫の生死については書いていませんでしたが、たぶん死んでいたと思います。考察には、処置前に飲んだポリエチレングリコールが、胃や小腸の消化酵素でテントウ虫を消化するのを防いだのかもしれないと書かれていました。「ladybug」をPubMedでタイトル検索すると、わずか18件しか見つからず、 そのうち異物として報告されたのは、これが初めての例になります。1)Kumar AR, et al. An unusual finding during screening colonoscopy: a cockroach! Endoscopy. 2010;42 Suppl 2:E209-10.

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第34回 「静かなマスク会食」前に正しいマスクの着脱法を身に付けよ

第3波とも言われる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者増加で、Go Toトラベルの札幌市、大阪市の除外、東京都では11月28日から3週間の酒類を提供する飲食店の営業時間短縮が決定した。今の局面を考えればやむなしというところだが、これに関連して最近時々報じられる、あるキーワードに強烈な違和感を覚えている。そのキーワードとは「マスク会食」である。提唱者は神奈川県知事の黒岩 祐治氏らしいが、菅 義偉首相もこれに便乗(?)して「静かなマスク会食」を呼びかけ、国が率先して宣伝までしている。そもそも今訴えるべきは、家族やごく親しい少人数の友人など、有体に言えば、万が一互いに感染して死の危険にさらされることがあっても恨みっこなしといえる関係がある者同士での最低限の会食以外は控えて欲しいということではないのか? もっとも好意的に解釈するならば、年末年始にかけて飲食機会の増加が避けられないことを踏まえた苦肉の策なのかもしれない。しかし、かなり実効性に乏しいのは多くの人の目から見て明らかだろう。食事中に会話をする時だけマスクをして、食べる時は外してなどという面倒なことを誰がするだろうか? 多少気を付けたとしても、飲酒で気分が高揚すれば、マスクはそっちのけの飛沫排出しまくりの会話になるのは目に見えている。それでも流行り言葉を使って「『静かなマスク会食』こそニューノーマルだ」としたり顔で言う御仁もいるかもしれない。だが、COVID-19パンデミック収束時、それまでニューノーマルと呼ばれた行動の中で真っ先にすたれるものは何か考えてみるといい。私ならば「マスク着用」を挙げる。同じような答えをする人は多いのではないだろうか? その意味でマスク着用はニューノーマルというより「テンポラリーノーマル」なものと言える。そのうえで今現在の市中でのマスク使用実態を思い起こしてみよう。屋外で誰とも会話しないと考えられる局面ですらマスクを着用している人だらけ。ちょっとコンビニで買い物をするだけの人が店内で会話をするのはせいぜいレジ前ぐらいで、レジカウンター前にはシールドが設置され、店員、客ともに飛沫を吸い込む危険性はほどんどない。だが、その局面でも客も店員も多くはマスクをしている。スポーツジムで壁に向かって設置され、左右に仕切りがあるトレッドミル(ランニングマシン)で走るならば、多少呼吸が荒くなっても他人の飛沫を吸い込む可能性はかなり低いはずだが、ジム側はマスク着用を義務づけている。極端な言い方をすれば限りなく3密に近い電車内でも、会話をせずに咳エチケットを徹底するならマスクは着用しなくとも限りなく感染リスクは低いはずだ。店舗の入口の客に対する呼びかけポスターに「咳エチケットを守りましょう」と「マスクの着用をお願いします」の両方が記載されているものを時々見かけるが、そもそも「咳エチケット」はマスクを着用していない人が突発的な咳やくしゃみの飛沫を他人に吸い込ませないための対策であり、細かいことを言えばこの2つの対策を並立で表記するのは矛盾しているといえる。さらに「静かなマスク会食」を訴えている現内閣閣僚の記者会見開始時のマスク着脱の様子をよく見てみよう。マスクの紐の部分ではなく、マスク正面外側を素手でつまんで外しているのを見かけることは少なくない。しかし、この着脱方法は接触感染予防対策から考えれば完全NGだ。何が言いたいかというと、マスクに関してこれだけメリハリのない使用実態が蔓延している中で、「静かなマスク会食」なるものは極めてハードルが高い行動様式なのである。掛け算の九九すら満足に覚えていない人に微分・積分を計算させるがごときである。医療従事者でも「不適切なマスク着用」や「過剰なマスク着用」に対する懸念を発信している人は一部にはいる。そしてその他の医療従事者や官公庁関係者でも、こうした発信には内心頷いている人も少なくないだろう。だが、こと過剰なマスク着用、つまりマスクをつけなくても良い局面に関しては情報発信量に変化があったという印象はない。その理由は単純に「感染リスクが低い局面が分かっていても、リスクはゼロではないから、断言的な発言で揚げ足を取られたくない」あるいは「一般人にとって感染対策やった感が満載のマスク着用で細かいことを言っても耳を貸してもらえない」と思うからではないだろうか。その気持ちは分からないわけではない。しかし、無症候感染者が一定割合で存在し、かつ症状発現前に感染性のピークがあるCOVID-19に関して、完全な防御は困難である。また、昨今、開発中のワクチンに関しては肯定的なデータも報告も多いが、これとて効果持続期間などを考えたらさらに未知数である。いずれにせよこのウイルスの特性を考慮して限りなくゼロリスクを求めるとするならば、私たちはこの先、生涯にわたってマスク着用を続けなければならなくなる。そんなこんなを考えると、この「静かなマスク会食」というある種、馬鹿馬鹿しい提唱がなされている今こそ、どのような局面ではマスクを着用しなくていいのかという情報発信量も高めていくことが必要なのではないか、メリハリのあるマスクの使用方法を推進することこそが真のニューノーマルなのではないかと個人的には感じている。

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睡眠の質に栄養バランスは関係あるか?

 日本人の成人男性において、不眠症の症状が栄養不足に関連していることが、お茶の水女子大学の松浦 希実氏らの研究によって明らかとなった。Sleep Health誌2020年4月号の報告。 睡眠と食事は健康維持のために欠かせないライフスタイル要因である。睡眠の質が特定の栄養素と食物摂取に関連していることは過去の研究で示唆されているが、栄養の適切性と睡眠の質との関係についてはわかっていない。そこで、日本人成人の睡眠の質(不眠症の症状)と適切な栄養素摂取量の関係について調査した。 2013年に実施された全国人口調査を基に18~69歳の1,997人を対象とした。 不眠症の症状は、アテネ不眠尺度(AIS)を使用して評価され、3つのグループ(なし、軽度、中等度~重度)に分類した。アンケートから食事摂取量を推定し、自己申告による摂取量を「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の2つの指標である推定平均必要量(EAR)およびライフスタイル関連を防ぐための暫定的な食事目標量と比較し、栄養素摂取量の妥当性を評価した。 不眠症の症状と栄養摂取の関係については以下のとおりである。・中等度~重度の不眠症は、男性21.8%、女性25.2%であった。・男性では、総食物繊維、ビタミンC、亜鉛などの不十分な摂取が不眠症の有病率と関連しており、不十分な栄養素の数も不眠症の症状に関連性があることが確認された。

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統合失調症患者に対する筋力トレーニングの効果

 統合失調症スペクトラム障害患者は、下肢の骨格筋力(最大筋力[1RM]、急な動き)が損なわれており、機能的パフォーマンスが低下しているといわれている。ノルウェー科学技術大学のMona Nygard氏らは、統合失調症スペクトラム障害患者に対する12週間の最大筋力トレーニング(MST)の効果について検討を行った。Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports誌オンライン版2020年10月28日号の報告。 12週間のMSTの効果について、次の3項目について調査を行った。(1)下肢の骨格筋力と機能的パフォーマンスレベルが基準レベルまで回復するか(2)患者の活動性やQOLを向上させるか(3)下肢の骨格筋力や機能的パフォーマンスレベルの改善と症状重症度、1日投与量、罹病期間、患者の活動性レベルとの関連。統合失調症スペクトラム障害の外来患者48例を対象に、トレーニング群(T群)または対照群(C群)にランダムに割り付けた。T群には、レッグプレスMSTを週2回90%1RMで実行した。C群は、2度の入門トレーニングセッションと独立したトレーニングを実施するよう勧めた。レッグプレス1RM、急な動き、一連の機能性テスト、精神の健康管理への積極性評価尺度(Patient Activation Measure-13)、健康関連QOL尺度(SF-36)を調査した。健康な対照者より下肢の骨格筋力と機能的パフォーマンスのベースラインテストを実施した。 主な結果は以下のとおり。・研究を完了した患者は36例(T群:17例、C群19例)であった。・T群では、1RM(28%)および急な動き(20%)に関して健康な対照者と同レベルまでの改善が認められたが(各々p<0.01)、C群では変化が認められなかった。・T群における急な動きの改善は、1日投与量と逆相関が認められた(r=-0.5、p=0.05)。・両群ともに、30秒間立位テストのパフォーマンス向上が認められ(p<0.05)、これは急な動きの改善と関連が認められた(r=0.6、p<0.05)。 著者らは「12週間のMSTは、統合失調症スペクトラム障害患者の下肢の骨格筋力を健康な人と同程度のレベルまで改善し、30秒間立位テストのパフォーマンスの改善が認められた」としている。

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がん治療は4週遅れるごとに死亡率が高まる/BMJ

 がん治療が4週間遅れるだけで、手術、全身療法、放射線療法の適応となる7つのがんで全体の死亡率が上昇する。カナダ・クイーンズ大学のTimothy P. Hanna氏らが、がん治療の遅延と死亡率上昇との関連を定量化する目的で実施したシステマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。がん治療の遅れは転帰に悪影響を及ぼす可能性があるが、その影響の標準推定値はなく、これまでのメタ解析で治療の遅れと死亡/局所管理との関連が示されていたものの、各報告のばらつきが大きくメタ解析に限界があった。著者は、「世界的にがん治療の遅れは医療制度に問題がある。がん治療開始の遅れを最小限にするシステムに焦点を当てた政策が、集団レベルでの生存転帰を改善できるであろう」とまとめている。BMJ誌2020年11月4日号掲載の報告。7種類のがん治療の4週間遅延ごとの全生存期間を評価 研究グループは2000年1月1日~2020年4月10日にMedlineで公表された、7つのがん(膀胱がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、子宮頸がん、頭頸部がん)に対する手術、全身療法または放射線療法の根治的、術前および術後適応の研究を解析に組み込んだ。 主要評価項目は、各適応症の4週間遅延ごとの全生存(OS)期間のハザード比(HR)であった。遅延は診断からがんの初回治療まで、または1つの治療の完了から次の治療の開始までで評価した。 主要解析は、主要な予後因子を補正した妥当性の高い研究のみを対象とした。HRは、OSに関する対数線形で推測され、4週間の遅延ごとの影響に換算された。併合効果は、DerSimonian-Laird変量効果モデルを用いて推定した。13の適応症でがん治療の遅延と死亡率上昇に有意な関連 解析には、17の適応症に関する34件の研究が組み込まれた(計127万2,681例)。放射線療法の適応となる5つのがん、または子宮頸がんの手術に関する妥当性の高いデータは確認できなかった。 がん治療の遅延と死亡率上昇との有意な関連性(p<0.05)が、17の適応症のうち13で確認された。 手術に関しては、4週間の遅延ごとの死亡のHRの範囲が1.06~1.08と、がんの種類を問わず一貫していた(例:結腸切除術は1.06[95%信頼区間[CI]:1.01~1.12]、乳がん手術は1.08[95%CI:1.03~1.13])。全身療法の推定値はばらつきがみられた(HRの範囲:1.01~1.28)。放射線療法の推定値は、頭頸部がんの根治的放射線療法のHRが1.09(95%CI:1.05~1.14)、乳房温存手術の術後放射線療法のHRが0.98(95%CI:0.88~1.09)、子宮頸がんの術後放射線療法のHRが1.23(95%CI:1.00~1.50)であった。 合併症または機能状態に関する情報が不足していたため、除外された研究の感度解析でも結果は変わらなかった。

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