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何もわかっていなかった私たち【Dr. 中島の 新・徒然草】(365)

三百六十五の段 何もわかっていなかった私たち今日(2021年3月11日)はあの東北大震災からちょうど10年。その瞬間のことは今でも覚えています。なんか眩暈がするなあ、と思っていました。ふと窓のブラインドが揺れているの気づき、「これ地震?」と呟いたら、周囲も一斉に「そうですよね」「やけにフラフラすると思ってた」と言い始めたのです。どこか遠くのほうで、ものすごく大きな地震が起こったのではないかと思っていたら、全くその通りでした。今では「地震が来なかった今日はラッキーな日だった」と思うくらいです。さて、コロナの方は緊急事態宣言を解除するとかしないとかで議論になっています。ある通院患者さんは、去年の今頃すでに出社は週1回でした。今年になってからは、1回も会社に顔を出していないそうです。患者「IT企業がリモートしていなかったら話になりませんからねえ」中島「仕事のほうはどうなんですか?」患者「会社の業績は好調です。リモートワークの普及で端末やネット回線の需要が大変なことになっていますから」彼女は20数年前に就職したのですが、実家のある田舎では誰も名前を聞いたことのない会社だったので親戚一同猛反対だったそうです。患者「今の会社を選んだのは私の人生の中で最高の決断でした」株式時価総額が絶対王者のトヨタすら脅かすほど成長すると誰が考えたでしょうか。実は私も全く予想できていませんでした。さすがに会社の名前は知っていましたが。というのも1990年代後半のこと。私は阪大の基礎工学部学生、〇〇君の卒論を指導していたのです。もちろん、情報工学の教官と共にです。何故、医師が基礎工学部の学生を指導するのか?皆さんご存じのように、医学の領域には解決すべき問題が大量にあります。一方、CTやMRIなどデジタルデータも色々あるので、ちょうど工学系の学生の卒論のテーマにぴったり。その時は、脳実質内にある病変部に最短距離でアプローチできる位置を頭皮上に確定せよという問題を設定しました。実際には、最短距離の場所に皮切や開頭を置くとは限らないのですが、有力な1つの候補にはなり得ます。これに対して〇〇君は、「その法線が病変を通過する頭皮上の位置」というものを計算で出そうとしていました。でも、これはあまり得策ではありません。そもそも頭皮上にどうやって法線を立てたらいいのでしょうか?やはりコンピュータには、単純な計算を力業でたくさんやらせるに限ります。そこで、すごく簡単に言うと「大量の候補位置の中から勝ち抜き戦で正解を絞り込む」という方法を考案しました。〇〇君はこのプログラムで卒論を書き、私は「開頭位置決めにはこんな方法もあるよ」ということで脳神経外科領域での論文を書くことができたので、皆ハッピーでした。ところが……中島「そういや〇〇君の基礎工学部卒業後は就職ですか、進学ですか?」教官「それが……ソフトバンクに就職するんです」中島「ええっ? もっと有名な大企業でも十分に行けるでしょう」教官「最近の学生は何もわかっていないんですよ」中島「そうですね」教官「だいたい去年卒業した××君も、就職したのは任天堂ですからねえ」中島「任天堂でしたか!」で、20数年後の現在。読者の皆様が知っているとおりの結末になったわけです。何もわかっていなかったのは、私たちのほうでした。今やソフトバンクの株式時価総額は、日本で2位、任天堂の方は8位です。あの時、私たちが頭の中に描いていた「有名な大企業」の中には、時価総額を語るどころか、もはや存在していない会社すらあります。もう若者の進路に口を出すのは止めておきます。やはり自分の将来は、自分で決めるのが一番。ちなみに、先に登場した情報工学の教官はどうなったのか。現在はAIを使った画像認識の研究をしておられます。まさに時代の最先端。皆さん、たくましい!ということで、あれこれ思い出したところで1句啓蟄や 将来描く それぞれが

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第48回 病院は格好のターゲット、コロナ過で急増するサイバー攻撃の狙いは?

コロナ禍で世界的に増えているサイバー攻撃。医療関連機関を狙った攻撃も増えている。時に患者の命に関わる危険もある攻撃に対し、どう立ち向かうべきか。NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストの松原 実穂子氏が2月1日、都内で行ったセミナー(主催:株式会社新社会システム総合研究所)において、サイバー攻撃の傾向と対策を語った。なぜ医療機関が狙われるのかイスラエルのサイバーセキュリティ企業チェックポイント・ソフトウェア・テクノロジーズによると、医療機関に対する攻撃は、昨年11月から今年1月までの間だけで45%も増えたという。攻撃の1つは、コロナワクチンや治療薬等の研究成果を盗むスパイ目的だ。2つ目は、身代金要求型ウイルスを使った金銭目的の業務妨害だ。身代金要求型ウイルスに感染すると、ファイルが暗号化され、ITシステムが使えなくなり、業務が中断されかねない。たとえば、患者の治療法や健康状態の入ったデータベースにアクセスできなくなれば、治療や投薬、入退院の手続きに支障が出る。最悪の場合、患者の命が危険に晒されることも考えられる。そのため、身代金を支払ってでも暗号を解く鍵を入手しようという窮地に追い込もうと、病院を狙った攻撃が続いているのだ。UCSFもターゲットに、1億2,000万円の被害米国では、2020年だけで約560もの医療機関が身代金要求型ウイルスによる攻撃を受けた。昨年10月、バーモント大学の医療部門のITシステムがウイルス攻撃によりダウンした際には、患者の治療を続けることが困難になった。このトラブルにより、同大学は医療スタッフ300人を一時解雇するまでに追い込まれた。被害額は、1日当たりで1億5,500万円近くにも上ったという。昨年6月に被害を受けた、カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部では、研究に不可欠な情報がサイバーウイルスにより暗号化され、最終的に約1億2,000万円の身代金を支払った。なぜ医療機関に対するサイバー攻撃が増えているのか。松原氏は以下の3つを挙げる。1つは、IT予算に占めるサイバーセキュリティ予算の割合が低いこと。例えば、サイバーセキュリティ対策に注力してきた金融業界の場合、IT予算に占めるサイバーセキュリティ予算の割合は6〜14%だが、医療機関の場合は3〜4%程度だという。2つ目は、サイバーセキュリティ対策が不足していること。サイバー攻撃で最も多く使われる手口の1つが「なりすましメール」だが、米保険会社Corvusによると、最も基本的なサイバーセキュリティ対策であるメールのスキャニング・フィルタリングツールでさえ、医療機関の86%以上が未導入なのが現状だ。なりすましメールが医療スタッフに対して届きやすい状況を生んでいるのは明白である。3つ目は、コロナ禍における医療資源の逼迫だ。コロナ禍以前ですら、サイバーセキュリティ対策が遅れていたのに、新型コロナウイルスの収束が見えない中、さらに対策が取りにくくなっている。NTT Ltd.がまとめた医療機関の地域別サイバーセキュリティ成熟度によると、アジア太平洋地域はほかの地域に比べて圧倒的に低い。南米大陸と比べても評点は3分の1程度で、欧州や同じアジア太平洋地域の豪州と比べても半分ほどだという。セキュリティ対策甘い日本の医療機関は格好のターゲット米サイバーセキュリティ企業CrowdStrikeによると、昨年4月以降、日本の複数のワクチン開発機関に対して断続的にサイバー攻撃が行われた。なりすましメールに新型コロナ関係のファイルが添付されていたという。同社は、中国のハッカー集団が行ったのではないかと推測している。身代金要求型ウイルスによる被害は、日本企業でも発生している。読売新聞によると、身代金要求型ウイルスに感染した塩野義製薬の台湾現地法人では、医療機器の輸入許可証や社員在留許可証がダークウェブで公開された。通常のブラウザではアクセスできない匿名性が高いサイトで、ドラッグや個人情報等違法取引が横行しているという。米国ではギリアド・サイエンシズが2020年4月、イランと見られるハッカー集団からのサイバー攻撃を受けた。モデルナも昨年7月、中国人とみられるハッカー集団に狙われている。コロナワクチンには低温物流が必要だが、ここに狙いをつけたのか、昨年後半から低温物流企業に対しても、知的財産を狙ったサイバー攻撃が行われ、国家の関与が指摘されている。低温物流世界2位のAmericold Realty Trust(米ジョージア州アトランタ)には2020年11月、身代金要求型ウイルスによる攻撃が行われ、業務が一時停止する事態に陥った。ワクチンの承認機関も攻撃を受けている。昨年12月、米ファイザーと独ビオンテック、モデルナが、欧州医薬品庁に承認を受けるために提出したワクチン情報が、サイバー攻撃で不正アクセスされてしまった。情報が文脈を無視した状態でオンライン上に流出し、同庁は「ワクチンの信頼性を損ねかねない」と懸念を表明した。動き出した各国政府・国際機関・企業の対応こうした状況に各国政府や国際機関は警告や非難声明を出している。事態を重く見た各国のサイバーセキュリティの専門家が立ち上がり、政府機関や司法機関と協力しつつ、医療機関を狙ったサイバー攻撃の手口やサイバーセキュリティ対策の取り方についての情報を無料で提供する枠組みを複数立ち上げた。一部の企業からも、被害を受けた医療機関へのサイバーセキュリティツールやコンサルティングサービスの無料提供が行われている。松原氏は、医療サプライチェーン関連組織の経営層に対し、サイバーセキュリティ強化を訴えた。医療業界では、医療ISAC(Information Security and Analysis Center)という情報共有の枠組みなどを通じ、攻撃の手口や対策についての情報共有が進められ、被害の最小化に努めている。世界を巻き込んだコロナ禍は、ウイルスとの闘いであると共に、サイバー攻撃との闘いまで強いられているのである。

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統合失調症に対するω3多価不飽和脂肪酸の影響~メタ解析

 統合失調症の治療では、症状改善のために単剤療法だけでなく増強療法が一般的に行われる。近年、精神疾患患者に対するω3多価不飽和脂肪酸のベネフィットを示唆する報告が増加しているが、その役割については、統合失調症治療のコンセンサスが十分に得られていない。台湾・台北医学大学のKah K. Goh氏らは、統合失調症患者に対するω3多価不飽和脂肪酸の有効性および安全性を評価するため、ランダム化比較試験のメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2021年2月15日号の報告。 MEDLINE、Embase、Cochrane、Scopus、Web of Scienceより、関連文献を検索した。主要アウトカムは、精神病理学的変化とし、副次的アウトカムは、代謝パラメータおよび安全性プロファイルの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、20件の二重盲検ランダム化比較試験(1,494例)を含めた。・ω3多価不飽和脂肪酸による増強療法は、統合失調症患者の精神病理、とくに総合精神病理と陽性症状に対する有意な改善効果との関連が認められたが、陰性症状に対しては認められなかった。・重度の患者においては、イコサペント酸を含むω3多価不飽和脂肪酸1g/日超の投与によって、有意な改善が認められた。・血清トリグリセライドに対するω3多価不飽和脂肪酸の好影響も観察された。・ω3多価不飽和脂肪酸は、統合失調症患者に対する忍容性、安全性の高さが認められた。 著者らは「統合失調症に対する潜在的な増強療法として、ω3多価不飽和脂肪酸の使用は、支持されるものであった。この根底にあるメカニズムを解明し、ω3多価不飽和脂肪酸の最適な投与量と正確な割合を明らかにするためには、大規模サンプルを用いたさらなる研究が必要とされる」としている。

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新型コロナ、感染リスクが高まる行動/CDC

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生後、感染防止のため、医薬品以外におけるさまざまなアプローチが検討・推奨されてきた。このうち感染防止に実際に有効なアプローチを観察研究で特定した研究が米国疾病予防管理センター(CDC)サイトに掲載されている。感染リスクはケースコントロール研究で検討し、感染者と非感染者の最近の行動を比較することによって特定された。 COVID-19感染者の2割が全感染の8割を引き起こし、感染の半数は無症候性または発症前の患者からと推定されている。無症状の感染者によって感染が拡大するリスクが高く、リスクの高い行動を周知することは依然重要となる。 米国において2020年半ばに外出禁止令が緩和された後、10州においてCOVID-19の検査を受けた18歳以上の成人を対象とした。検査時に有症状だった332例が登録され、最終的に314例を対象に電話調査を実施し、発症前14日間の行動を聞いた。 検査結果は、陽性154例・陰性160例となり、両者の行動を比較し、感染者との接触歴の有無(あり:89例、なし:225例)に分けたうえでオッズ比を算出した。オッズ比は人種/民族、性別、年齢、1つ以上の基礎疾患で調整した。 「感染者との接触歴なし」群で、COVID-19感染との関連が認められた行動は以下の2つであった。・バーまたはカフェの利用(調整オッズ比:3.88、95%信頼区間:1.49~10.05)・レストランでの食事(2.82、1.86~4.26) その他、調査した主な行動の調整オッズ比と95%信頼区間は以下のとおり(「感染者との接触歴なし」群の数値)。・教会などの礼拝集会(1.68、0.53~5.38)・ジムの利用(1.64、0.49~5.53)・公共交通機関の利用(0.93、0.21~4.05)・オフィスでの執務(0.91、0.46~1.80)・10人以下での在宅(0.87、0.57~1.32)・美容室等のサロン利用(0.78、0.32~1.86) 調査チームは、バーやカフェ、レストラン利用者の感染リスクが高いのは、マスクをし続けることが難しく、無症状の感染者に長時間接触するリスクが高いためだろうとしている。(ケアネット 杉崎 真名)■関連スライドはこちら新型コロナ感染に注意すべき行動

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肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療、日本人の5年生存率(KEYNOTE-024)/日本臨床腫瘍学会

 PD-L1発現(TPS≧50%)の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペンブロリズマブ単剤治療と標準化学療法を比較した第III相KEYNOTE-024試験。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、日本人サブセットの58.8ヵ月追跡結果を静岡県立静岡がんセンターの高橋 利明氏が発表した。・対象:転移を有する未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLC患者(305例)・試験群:ペムブロリズマブ200mg 3週ごと(154例)・対照群:治験担当医が選択したプラチナベース化学療法 4~6サイクル(151例)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]OSなど 主な結果は以下のとおり。・日本人患者40例がペンブロリズマブ群21例と化学療法群19例に無作為に割り付けられた。・データカットオフ時(2020年6月1日)の日本人サブセットの追跡期間中央値は58.8ヵ月であった。・19例中14例73.7%が化学療法から抗PD-L1療法にクロスオーバーした。・日本人サブセットのOS中央値はペンブロリズマブ群は未達、化学療法群は21.5ヵ月であった(HR:0.39、95%CI:0.17〜0.89)。5年OS率は、ペンブロリズマブ群50.8%に対し、化学療法群では21.1%(6.6-41.0)であった。・日本人サブセットのPFS中央値はペムブロリズマブ群14.6ヵ月、化学療法群4.1ヵ月であった(HR:0.21、95%CI:0.09〜0.50)。3年PFS率はペムブロリズマブ群35.9%に対し、化学療法群0%であった。・ペンブロリズマブ群の治療期間が長かったにもかかわらず(13.1ヵ月対3.5ヵ月)、Grade3〜5の治療関連有害事象は、化学療法に比べペンブロリズマブ群で頻度が低く、47%対19%であった。 これらの結果は、PD-L1(TPS)50%以上の日本人NSLC患者におけるペンブロリズマブ単剤療法の1次治療を持続的に長期OSの利益を提供し続けた。

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原発不明がん、NGSから原発を推定した治療の成果は?(NGSCUP)/日本臨床腫瘍学会

 原発不明がん(CUP)は全悪性腫瘍の2〜5%を占める。生命予後は不良、治療法は未確立であり、経験的にプラチナ製剤とタキサンの併用が行われている。最近の腫瘍ゲノム解析の進歩によりCUP個別患者の腫瘍の遺伝子発現/異常パターンから原発腫瘍を推定し、特異的治療を行う試みがある。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、未治療のCUPに対し次世代シークエンサー(NGS)による遺伝子プロファイリングから推定された原発疾患に対する標準的治療を行う多施設共同第II相試験の結果を千葉大学の滝口 裕一氏が発表した。 対象は未治療の転移を有するCUP患者110例(PS 0~2)。対象患者はNGS検査ののち、推定された原発腫瘍に対する標準治療を受けた。主要評価項目は1年全生存(OS)割合。副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効率、有害事象などである。事前に設定された1年全生存(OS)割合の95%信頼区間(CI)の下限は40%であった。 主な結果は以下のとおり。・97例が推定された原発腫瘍に対する治療を受けた。・NGSにより推定された原発腫瘍としては肺がん22%、肝臓がん16%、腎がん16%、大腸がん12%など、組織型は腺がん52.6%、低分化腺がん16.5%、未分化がん15.5%、扁平上皮がん9.3%であった。・1年OS割合は53.1%(95%CI:42.6~62.5)で、事前に設定された閾値を上回り、主要評価項目を達成した。・OS中央値は13.7ヵ月、PFS中央値は5.2ヵ月であった。・発見された遺伝子異常は、TP5346.4%、KRAS19.6%、CDKN2A18.6%であった。・事前に定義した有効な薬物療法がある腫瘍(大腸がん、乳がん、卵巣がん、腎がん、前立腺がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、胚細胞腫瘍、リンパ腫)と推定された患者はそれ以外と比べ、OS15.7ヵ月対11.0ヵ月(HR:0.634、p=0.078)、PFS5.5ヵ月対2.8ヵ月(HR:0.578、p=0.019)と、良好な生存期間を示す傾向が認められた。

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新型コロナワクチン接種完了者の行動指針を見直し/CDC

 米国疾病対策センター(CDC)は2021年3月8日、新型コロナウイルスワクチン接種完了者を対象に行動指針を見直した。この中では接種完了者同士であれば、マスクを着用せず、小規模な集まりが可能とされている。 「接種完了」の定義としては、ファイザーもしくはモデルナ製の2回接種ワクチンは2回目の接種から、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセン)製の単回接種ワクチンは接種から、それぞれ2週間後としている。 接種完了者に対して、変更された行動指針は以下のとおり。・接種完了者同士であれば、マスクを着用せずに屋内で会うことが可能。・接種完了者は、COVID-19重症化リスクが高い同居人がいない場合には、マスクを着用せずに、ほかの1世帯のワクチン未接種者と屋内で集まることが可能(全員が同居する親戚を訪問する、など)。・接種完了者は、COVID-19感染者と接触しても、症状が出ない限り、他人との接触を避けたり、検査を受けたりする必要はない(ただし、クラスター発生リスクの高い環境[刑務所・拘置所、高齢者施設等]に居住し、COVID-19感染者との接触歴がある場合には、無症状であっても14日間の隔離と検査を受ける)。 接種完了者に対しても、引き続き推奨される行動指針は以下のとおり。・公共の場、複数世帯のワクチン未接種者との集まり、重症化や死亡リスクが高い、またはリスクの高い人と同居するワクチン未接種者と会う場合には、マスク着用・他人と2m以上距離をとる・人ごみや換気の悪い場所を避ける、といった従来の感染予防策を行う。・中~大規模の集まりを避ける。・国内および海外旅行は延期する。・COVID-19の症状を確認する。とくに周囲に体調の悪い人がいる場合は検査を受け、他人との接触を避ける。・職場のガイダンスに従う。

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アミロイド低減治療、認知機能改善は認められず/BMJ

 アミロイド値の低下と認知機能の変化について報告されている入手可能な試験データをプール解析した結果、薬物治療によりアミロイド値低下は、実質的に認知機能を改善しないことが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のSarah F. Ackley氏らが14の無作為化比較試験を対象としたメタ解析の結果、明らかにした。これまで行われたアルツハイマー病におけるアミロイドを標的とした薬物治療の試験の大半で、認知機能についての統計的に優位な有益性は示されていない。一方で、個々の試験では、アミロイド値低下の認知機能低下への潜在的な影響について決定的となるエビデンスも示されておらず、アミロイドを標的とした複数試験のエビデンスは体系的に評価されていなかった。BMJ誌2021年2月25日号掲載の報告。14試験についてメタ解析 研究グループは、アミロイド値の低下が認知機能を改善するかどうかを確認するため、アミロイドを標的とした薬物療法の試験を評価する操作変数メタ解析を行った。 「ClinicalTrials.gov」を基に検索し、アミロイド値のコントロールとアルツハイマー病の予防または治療に関する14の無作為化比較試験を特定し評価した。 被験者の条件は各試験によって異なるが、典型的なものとしては、ベースラインで50歳以上、軽度認知機能障害またはアルツハイマー病の診断を受け、アミロイド陽性だった。 主要アウトカムは、アミロイドPETで測定した脳内アミロイド値の変化と、各治療群について1回以上行われた認知機能テストスコアの変化で、解析は情報が入手できた試験を包含して行われた。アミロイド値の標準取込値率減少とMMSEスコア改善は関連なし 14の無作為化試験のプール解析の結果は、個々の試験の推定値より精度が高かった。 アミロイド値の標準取込値率(SUVR)が0.1標準偏差減少することによるミニメンタルステート検査(MMSE)スコアの改善は、0.03ポイント(95%信頼区間[CI]:-0.06~0.1)だった。 なお同研究グループは、ウェブ上でアプリケーションを公開し、アミロイド値とアルツハイマー病に関する新たな試験結果が出た際には、その結果を入力し新たな推定値の算定を可能にしている。また、プール解析による推定値によって、アミロイド値低下と認知機能改善の関連を示すために必要となる新たなエビデンスについても解説している。

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COVID-19への回復期患者血漿による治療、アウトカム改善効果なし/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に対する、回復期患者血漿による治療は、プラセボまたは標準的治療と比べて全死因死亡や入院期間、人工呼吸器の使用といった臨床アウトカムのあらゆる有益性と関連しない。スイス・バーゼル大学のPerrine Janiaud氏らが、これまでに発表された10試験についてメタ解析を行い明らかにした。エビデンスの確実性は、全死因死亡については低~中程度で、その他のアウトカムについては低いものだったという。JAMA誌オンライン版2021年2月26日号掲載の報告。ピアレビュー前・後のRCTを対象にメタ解析 研究グループは、ピアレビュー、出版前あるいはプレスリリースされた無作為化試験(RCT)で、回復期患者血漿による治療vs.プラセボまたは標準的治療の臨床アウトカムを評価する検討を行った。 PubMed、Cochrane COVID-19試験レジストリ、LOVE(Living Overview of Evidence)を2021年1月29日時点で検索し、システマティック・レビューを実施。COVID-19の疑いまたは確定診断を受けた患者を対象に、回復期患者血漿による治療とプラセボまたは標準的治療を比較したRCTを特定しメタ解析を行った。 主要解析はピアレビュー済みのRCTのみを対象に行い、2次解析は、出版前やプレスリリースを含む、公表されたあらゆる試験結果を対象に行った。 主要アウトカムは、全死因死亡、入院期間、臨床的改善、臨床的増悪、人工呼吸器の使用、重篤な有害事象だった。レビュー済み4試験とレビュー前6試験を対象に分析 解析には、ピアレビュー済みの4つのRCT(被験者総数1,060例)と、ピアレビュー前の6つのRCT(被験者総数1万722例)が含まれた。 ピアレビュー済み4 RCTの解析において、回復期患者血漿による治療の、全死因死亡に関する要約リスク比(RR)は0.93(95%信頼区間[CI]:0.63~1.38)、絶対リスク差は-1.21%(95%CI:-5.29~2.88)で、データの不正確性によりエビデンスの確実性は低かった。 ピアレビュー前の6 RCTを含めた10 RCTの解析において、全死因死亡に関する要約RRは1.02(95%CI:0.92~1.12)で、非公表データを包含したエビデンスの確実性は中程度だった。 また、ピアレビュー済み4 RCTにおいて、入院期間に関する要約ハザード比は1.17(95%CI:0.07~20.34)、人工呼吸器の使用の要約RRは0.76(0.20~2.87)であり(絶対リスク差-2.56%[95%CI:-13.16~8.05])、両アウトカムに関するデータの不正確性によりエビデンスの確実性は低かった。 臨床的改善、臨床的増悪、重篤な有害事象に関するデータは限定的で、有意差はなかった。

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BRACE-CORONAにより“COVID-19とRA系阻害薬問題”はどこまで解決されたか?(解説:甲斐久史氏)-1360

 2020年9月、欧州心臓病学会ESC2020で発表され、論文公表が待たれていたBRACE-CORONAがようやくJAMA誌に報告された。COVID-19パンデミック拡大早期から危惧された「レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬が、新型コロナウイルス感染リスクおよびCOVID-19重症化・死亡に悪影響を与えるのではないか?」というクリニカル・クエスチョンに基づく研究である。2020年4月から6月の間に、ブラジル29施設に入院した軽症および中等症COVID-19患者のうち、入院前からアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を服用していた659例がRA系阻害薬中止群(他クラスの降圧薬に変更)と継続群にランダム化され、入院後30日間の臨床転帰が比較検討された。主要評価項目は、30日間の生存・退院日数。副次評価項目は、入院日数、全死亡、心血管死亡、COVID-19進行(COVID-19悪化、心筋梗塞、心不全の新規発症または増悪、脳卒中など)であった。主要評価項目およびいずれの副次評価項目についても両群間に差はなかった。また、年齢、BMI、入院時の症状・重症度などのサブグループ解析でも主要評価項目に差はみられなかった。以上から、軽症/中等症COVID-19入院患者において、RA系阻害薬をルーチンとして中止する必要はないと結論付けられた。 本研究は、“COVID-19とRA系阻害薬問題”に関する初めての多施設ランダム化臨床試験(RCT)である。これによって、何らかの症状を有した急性期COVID-19の重症化・予後悪化に関してのRA系阻害薬悪玉説は否定されたと考えてもよいだろう。ただし、本研究の対象は高血圧患者で、心不全は約1%(1年以内に心不全入院を有するものは除外)、冠動脈疾患は約4.5%しか含まれないことには注意したい。とはいえ、心不全や冠動脈疾患はCOVID-19重症化・予後悪化の危険因子であり、また、パンデミック下での臨床経験から重症COVID-19による心不全治療においてもRA系阻害薬は有用とされる。したがって、これらの病態を対象に、あえてRA系阻害薬を中止するRCTを行う必要は、理論的さらには倫理的観点からもないであろう。一方、ARB新規投与がCOVID-19入院患者および非入院患者の急性期予後を改善するかについて、感染拡大早期からそれぞれRCTがなされていた。今年2月にようやく症例登録が終了したようである。RA系阻害薬善玉説の観点からの検討であり、その公表が待たれる。 しかし、われわれが最も知りたいことは、このような急性効果ではない。高血圧、腎疾患、さらには心不全や冠動脈疾患といった心疾患に対して、日頃から長期間処方しているRA系阻害薬により、患者さんを感染や重症化のリスクに曝していないかということである。ワクチンや抗ウイルス薬とは異なり、従来の大規模な多施設RCTによる検証は、RA系阻害薬長期服用の感染予防・重症化予防に関してはなじまないであろう。この命題に関しては、中国での感染拡大初期から、単施設や小規模コホートでの後ろ向き登録研究が多くなされた。中にはRA系阻害薬の有用性を強調した報告もみられる。しかし、欧州・米国さらにわが国からの大規模な後ろ向きおよび前向き登録研究、それらを含めた観察研究のメタ解析が次々に報告され、感染確認前のRA系阻害薬服用は、SARS-CoV-2検査陽性、COVID-19重症化や死亡のリスクを増大させることも抑制させることもなく、明らかな影響を与えないことが示されている。有用性評価には依然検討の余地があるが、RA系阻害薬は感染性増大や重症化・予後悪化といった有害事象を増加させないという点では、コンセンサスが得られるのではなかろうか。 そもそも、“COVID-19とRA系阻害薬問題”は、ACE2に関する基礎研究において、「RA系阻害薬がACE2発現を増加させる」「SARSなど急性肺障害モデルにおいてRA系阻害薬が臓器保護的に働く」といった一部の報告が強調され、それぞれ、悪玉説と善玉説の根拠とされている。しかしながら、別稿で詳述したように、これまでの基礎研究を網羅的かつ詳細に検討すると、いずれの主張もその根拠はどうも薄弱なようである(甲斐. 心血管薬物療法. 2021;8:34-42.)。急性期COVID-19に関しては、両仮説ともその妥当性から見直す必要があるかもしれない。最近、急性期に無症候性であった患者も含めて、味覚・嗅覚異常、脱毛、倦怠感、brain fogといった精神症状、息切れなどの症状が数ヵ月間持続するlong COVIDに注目が集まっている。心臓MRIで慢性的な心筋炎症がみられるなど、long COVIDには全身の慢性心血管炎症が関与する可能性が示唆されている。今後、long COVIDの発症予防・治療に対するRA系阻害薬を含めスタチンなどの薬剤の有用性についてRCTを含めた検証を進める意義があろう。 “COVID-19とRA系阻害薬問題”を通じて、質の高い観察研究・ビッグデータ解析の必要性が痛感された。実際にCOVID-19パンデミックをきっかけに、電子診療データやAIを活用したデータの収集、スクリーニング、解析などの各分野に目覚ましい革新が引き起こされている。災い転じて、臨床疫学によるエビデンス構築の新時代を迎えようとしているようである。ちなみに、BRACE-CORONAは、ブラジル全国規模のCOVID-19 registryに基づくregistry-based RCTである。電子診療データなどのリアルワールドデータシステムの枠組み内にRCTを構築することにより、膨大かつ検証可能なデータプールから、自動的に対象症例を抽出し、経時的にデータを収集することができるのみならず、1つのシステム内に複数のRCTを走らせることも可能となる。わが国も遅れをとらないように、情報インフラ・診療情報データベース構築を推し進めなければならない。

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「スーパーの値引き品」で節約した気になっていませんか?【医師のためのお金の話】第42回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。資産をつくるうえでは、「守りが重要」といわれています。「守り」という言葉から、「スーパーの値引き品を狙う」など日々の小さな節約を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、今回お伝えしたい「守り」は節約ではありません。日々の生活でコツコツと節約をしても、時々訪れる大きなお金が動くイベントでミスをすると、大きな損失を被ってしまいます。今回は私の身に起こった具体例も交えながら、大きなお金が動く際での「守り」の態勢づくりがいかに重要なのかをお話ししたいと思います。旅行時の判断ミスは、スーパーの節約100回分私は旅行好きなので、例年は年2回ペースで海外旅行に行っていました。しかし、昨年からはコロナ禍のために国内旅行に転向しました。国内は気楽に行けるため、2~3ヵ月に一度のペースで旅行を楽しんでいるのですが、その時に役立つのが格安航空会社(LCC)です。LCCは航空券代が安く、さまざまなオプションを組み合わせることもできます。自分に必要なオプションだけを選べるのでリーズナブルなのですが、どこまでオプションを付けるかを迷いがちです。私はいつも余分なオプションを一切付けず、最低価格を選択することが多いのですが、先日は何を思ったか、無料で日程変更が可能なプランを選択してしまいました。柄にもなく、「いつ呼び出されるとも限らないし…」と考え、そのような状況にも対応できるプランにしたのです。しかし、よくよく考えてみると、「無料で日程変更ができるプラン」の追加料金と、「最低料金プランで日程を変更する手数料」は1.5倍ほどの差です。日程を変更する可能性がきわめて低いにもかかわらず、割高な無料変更可能プランを選択するのは確率論的に言えばばかげています。冷静になって少し考えればわかることなのですが、忙しさにかまけて深く考えないと、このような要らぬ費用を払ってしまうことになります。自分だけならたいした金額ではなくても、家族分を合わせれば数万円単位の出費です。5万円の余計な出費があれば、夕方のスーパーマーケットで値引き品によって500円得したとしても、それを100回続けなければ取り返すことができません…。税金対策ミスは、スーパーの節約数千回分私はいくつかの法人を運営していますが、昨年度にその中の1社が決算を過ぎてから大きな利益を出していることに気付きました。この法人は資産所有法人なので、例年の決算はあまり変動がありません。しかし、2020年度は新型コロナウイルス感染症が発生したこともあり、事業内容に比較的大きな変更を加えました。それにもかかわらず、収益性のモニタリングを怠っており、決算を過ぎてから税理士から決算概要の報告を受け、ようやく青ざめることになりました。経営セーフティ共済などを用いた基本的な税金対策をしておけば、納税によるキャッシュアウトをある程度防げたにもかかわらず、それをしていなかったのです。税理士報酬の何年間分ものキャッシュアウトを計上し、意気消沈しました。このように、大きなお金の動くところで少しでも油断すると、日々の生活で節約した金額をはるかに上回るキャッシュアウトを招きます。今回のケースは、スーパーの値引き品500円のおトクに換算すると、数千回分の損失となりました。自動車保険の「弁護士特約」という落とし穴自動車を運転する人は、自賠責保険以外にも任意の自動車保険に加入していることと思います。損保各社から魅力的な商品が出ていますが、この中で「弁護士特約」というオプションプランをご存じでしょうか?「弁護士特約」とは、自動車事故の被害に遭った場合、加害者との訴訟にかかる弁護士費用や弁護士への相談費用に対する保険金が出る、というものです。このオプションは4,000~5,000円の追加で付帯できますが、このお金を惜しんで弁護士特約なしにすると、万一の自動車事故の際に大きな損失を被ります。特約で支払われる費用は300万円までとなっていることが多いのですが、不幸にも重い後遺障害を負ってしまった場合には、この費用をはるかに上回る賠償金が支払われるケースが多くなります。たとえば、年収1,000万円の30歳の医師が8級の後遺障害を負った場合、慰謝料と逸失利益を合わせると1億円を超えます。自分で優秀な弁護士を雇う預貯金があればいいのですが、数百万円をすぐに用意できる人は限られるでしょう。また、交通事故の訴訟は専門的で、その分野に強い弁護士を自分で探すのも大変です。「持ち出しゼロ」をうたう弁護士事務所もありますが、実際のところ、お金にならない案件は門前払いされてしまうのが実情です。結局のところ、弁護士特約によって優秀な弁護士とつながり、保険金が弁護士の積極的な介入の原資となり、加害者側との交渉において絶大な威力が発揮されるのです。これがない場合、賠償金が大幅減額、もしくは後遺障害等級が認定されないケースすらありえるのです。数千万円の損失となれば、もうスーパーの値引き品のおトクで取り返すことはできないでしょう。「守り」は大きなお金が動く場面に集中すべきこのように、少し慎重に物事を考えたり判断したりすることで、目先のお買い得品を購入するのとは比較にならないレベルのキャッシュアウトを防ぐことが可能となります。人は生活感のある価格帯では節約家になりやすいものです。しかし、資産形成で成功するためには、大きなお金が動く可能性のある場面で、大きな失敗を防ぐことのほうがよほど重要です。ことの軽重を考えながら、快適な人生を過ごしたいものですね。

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第48回 新型コロナと東日本大震災(前編) あの時の経験は今、医療現場でどう役に立っているか?

東日本大震災から10年こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。3月11日で東日本大震災から10年になります。テレビではいろいろな特集を組んでいるようですが、NHKは例年よりドラマが多い印象です。実際の災害に基づくドラマは、「リアリティに欠ける」場合、視聴者が敬遠する恐れがあります。また、被災地以外の人たちが、このコロナ禍の中、どれだけ東日本大震災に関心を寄せるかという問題もあります。3月7日の夜にNHKで放送されたドラマ「星影のワルツ」は、遠藤 憲一の抑えた演技もよく、シンプルで見応えがあるドラマでした。南相馬市の自宅で津波にのまれ、3日間海を屋根に乗って漂流した男性の実話を基につくられたものです。過度に感傷的にも感動的にもならず、かといって説明的でもなく、海の上を漂流し、ただひたすら生き延びようとする様を淡々と描いていたのが印象的でした。それにしても、10年という時間が経過したことで、東日本大震災については、記事を含めた報道も、ドラマや映画も、つくるのが難しい局面になってきているのかもしれません。私自身、10年前は医療媒体の記者として、被災地に何度か足を運び、医療現場の奮闘や復興の足取りなどを報道しました。震災の1ヵ月後にレンタカーを借りて周った時に見た、三陸沿岸の街の惨状は今でも忘れられません。今回はあの時の現場を思い出しながら、東日本大震災における災害保健医療や医療支援が、今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大にどんな形で役立っているか、について考えてみたいと思います。津波による溺死9割、やることがなかったDMAT新型コロナウイルス感染症の感染拡大は「感染災害」だ、という考え方が定着してきています。実際、各都道府県の対策本部の中枢には各地域のDMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)のメンバーたちが充てられ、活動しています。DMATがこのコロナ禍の中、各地で重宝されるのは東日本大震災での経験があったからだ、という見方がもっぱらです。DMATは1995年の阪神・淡路大震災での初期医療体制の遅れの反省を踏まえ、2005年に発足しました。ただ、そのDMAT、東日本大震災では活躍の場が限られました。その理由は、亡くなった方の死因の9割が大津波による溺死だったためです。元々「発災から概ね48時間以内、急性期での活動を想定」し、重症患者の救援が主たる目的だったDMATは、被災地に到着してもやることがほとんどなかった、と言われています。大規模な自然災害においては、超急性期や急性期だけではなく、亜急性期や慢性期の医療や、避難所の衛生環境などを保つための保健活動も重要であること、多種多様な支援チームの調整が必須であることが、東日本大震災によってクローズアップされたのです。こうした教訓から、2012年3月の厚生労働省医政局長通知では「救護班(医療チーム)の派遣調整等を行うために、災害対策本部の下に派遣調整本部を迅速に設置できるよう事前に計画を策定」することが求められました。さらに2016年の熊本地震の教訓を踏まえ、2017年7月には厚労省は各都道府県知事宛に「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」という通知を発出、「各都道府県における大規模災害時の保健医療活動を行う体制に関して、保健医療活動チームの派遣調整、保健医療活動に関する情報の連携、整理及び分析等全体的な調整を行うための保健医療調整本部の整備」を求めるに至っています。こうした調整本部の中核を担うことが期待されたのが「統括DMAT」(厚労省が実施する統括DMAT研修を修了し、登録された者)と呼ばれる災害保健医療の専門家たちです。阪神・淡路、東日本、そして熊本と大きな地震を経験し、超急性期対応だけでなく、さまざまな局面でのコーディネートの経験積を積んできたDMATが、新たな災害である「感染災害」として今直面しているのが新型コロナ、というわけです。「感染災害」にDMAT出動コロナでのDMATの関与は中国・武漢からの邦人退避チャーター便での活動を政府から要請されたことにはじまり、その流れでクルーズ船ダイヤモンド・ プリンセス号における活動につながったとされています。厚労省の第21回「救急・災害医療提供体制の在り方に関する検討会(検討会)」(2020年8月21日)では、コロナでのDMATの活動が報告されています。それによれば、中国の武漢市からの邦人退避チャーター便について、厚労省からDMATの派遣要請がなされ、邦人の宿泊場所で健康チェックや感染管理に当たっています。この時の活動期間は1月31日~3月3日、全国から医師、看護師ら151人が集まっています。その後、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号にも派遣要請がされ、DMATと他医療チームの調整、熱発外来、患者の搬送トリアージなどを行っています。この時の活動期間は2月8日~3月1日、全国から医師、看護師ら472人が集まりました。ダイヤモンド・プリンセス号という、コロナ医療の最前線において感染管理やクラスター対策を学んだDMATのメンバーたちは、活動終了後にはそれぞれが所属する病院に戻り、今度は地元でコロナと対峙することになりました。患者搬送コーディネーターに統括DMATをダイヤモンド・プリンセス号での活動実績などを評価した厚労省は2020年3月26日、「新型コロナウイルス感染症の患者数が大幅に増えたときに備えた入院医療提供体制等の整備について(改訂)」と題する事務連絡で、コロナ対応におけるDMATの最大限の活用を各都道府県に要請しました。事務連絡は、「都道府県調整本部には、集中治療、呼吸器内科治療、救急医療、感染症医療の専門家、災害医療コーディネーター等に必要に応じて参加を要請するとともに、搬送調整の中心となる『患者搬送コーディネーター』を配置すること。(中略)その際、円滑な搬送調整実施のために、患者搬送コーディネーターのうち少なくとも1人は、自然災害発生時における『統括DMAT』の資格を有する者であることが望ましい」とし、「都道府県調整本部については、統括DMATなどの関係者との協議の上、都道府県の実情を踏まえてDMATメンバーの参画も考えられる」としています。45都道府県でDMAT登録者が調整本部に参画そういった経緯から、ダイヤモンド・プリンセス号以降も、DMATは「厚労省本部地域支援班」として各地のクラスターの現場対応にあたったり、各都道府県の調整本部において現場の指揮や患者搬送のコーディネートにあたったりしています。第22回検討会(2020年12月4日)の資料によれば、45都道府県でDMAT登録者が調整本部に参画し、27都道府県に常駐(最大時)しているとのことです。東日本大震災とその後のさまざまな災害対応で得られた教訓を糧に調整力や対応力を高めてきたDMATが、このコロナ禍の中、全国でその役割を存分に発揮しているわけです。ただ、震災などの自然災害との大きな違いは、コロナは災害が局所的ではなく、全国で起きていることです。あるDMATの医師はこんなことを話していました。「大災害が起こると、各地のDMATの仲間の間で色んな情報が飛び交うのだが、今回はそれがほとんどない。それだけ、それぞれの地域でDMATがいっぱいいっぱいで頑張っているからだろう」。東日本大震災以来の大災害とも言える新型コロナ。この「感染災害」を乗り越えたとき、日本の災害保健医療は、またもう一皮剥けているに違いありません。

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ファイザーの新型コロナワクチン副反応疑い、2回目に多い?/CDC

 2021年2月時点の米国での新型コロナウイルスワクチン(以下、新型コロナワクチン)の有害事象について、Pfizer/BioNTech社とModerna社のワクチンに関する有害事象を収集した結果、ワクチン副反応報告システム(VAERS)に報告されたレポートの90%超は非重篤なものであった。また、分析期間中のアナフィラキシーの発生は、接種100万回あたり4.5例で、インフルエンザワクチン(100万回あたり1.4例)、肺炎球菌ワクチン(100万回あたり2.5例)の範囲内であることも明らかになった。米国疾病予防管理センター(CDC)が2021年2月19日にMMWR Early Releaseとして発表した。 米国では、食品医薬品局(FDA)が2020年12月11日にPfizer/BioNTech ワクチンを、同年12月18日にModernaワクチンに対して、緊急使用許可(EUA)を発行した。両ワクチンとも接種回数は2回で、まず医療従事者および介護施設(LTCF)の居住者に投与が行われた。 CDCはこれらの安全性モニタリングに、VAERS、有害事象自発報告システム(SRS)、V-safe*などのアクティブな監視システムを使用し、接種の最初の期間(2020年12月14日~2021年1月13日)の安全性データの記述的分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・期間中、1,379万4,904回のワクチンが接種された。このうち843万6,863回(61.2%)は女性に接種された。・VAERSは有害事象に関する6,994例のレポートを受信した。これは非重篤6,354例(90.8%)、重篤640例(9.2%)に区分された。113例(1.6%)が死亡したが、うち78例(65%)はLTCF居住者だった。・VAERSに報告された症例の年齢中央値は42歳(範囲:15~104歳)で、最も報告された症状は、頭痛(22.4%)、倦怠感(16.5%)、めまい(16.5%)だった。・死亡診断書、病理解剖報告、診療記録、およびVAERSと医療者からの報告によると、これらの死亡とワクチン接種に因果関係は示唆されなかった。・アナフィラキシーの報告は62件で、Pfizer/BioNTechは46件(74.2%)、モデルナは16件(25.8%)だった。・V-safeに報告された有害事象のうち、Pfizer/BioNTechワクチンを接種していた症例では、1回目より2回目投与後のほうが多く、発熱と悪寒の割合は2回目の投与後のほうが1回目よりも4倍以上高かった。 研究者らは「アナフィラキシーの出現頻度は他のワクチン接種後に報告されたものと同等の割合で稀なことから、今回の報告は医療提供者ならびに市民に対し安全性の促進に一役買うのでは」と言及している。*:V-safeとは、 CDCが新型コロナワクチン接種プログラムのために特別に確立した安全監視システム。ワクチン接種後の個々の健康状態を把握するため、テキストメッセージとWebで調査するためのスマートフォンベースのツール。ワクチン接種後の最初の週に、登録者は局所注射部位と全身反応に関する調査を毎日行う。登録者は、欠勤の有無、日常生活の可否、症状が出現した場合に医療者からケアを受けたかなどを尋ねられる。

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診療に役立つLGBTQsの基礎知識

 LGBTという言葉を聞いたことはありますか? これは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった言葉で、セクシュアルマイノリティの総称として使われています。多様性を強調するためにQuestioningを加えて、LGBTQsと表現することもあります。 性の多様性に関する知識は診療にも必要不可欠です。当事者が声を上げ始め、各自治体による同性パートナーシップ制度の成立などの社会変化もある今、知らないでは済まされない時代になりつつあります。今回はCareNeTVで配信中の「診療に役立つLGBTQsの基礎知識」講師で、川崎協同病院総合診療科・にじいろドクターズの吉田 絵理子氏に医師が知っておくべきことを聞きました。なぜ性的マイノリティの人々についての理解が必要なのでしょうか? 性的マイノリティの人々は、差別や偏見、いじめといった社会的困難に遭遇しやすいことを背景として、国内外においてさまざまな疾患リスクが高いことが報告されています。例えば、性的マイノリティ全般においてうつ病や自殺企図、物質依存のリスクが高い1)ことが報告されています。また、男性と性交渉する男性のHIV感染リスクが高い2)ことは広く知られていますが、学校での性教育は異性愛を前提としているため、同性間でのセーファーセックスに関する知識を得る機会が限られているといった課題があります。さらに安心して定期的に性感染症のチェックを受けられるような医療機関は非常に限られているのではないでしょうか。日常診療でLGBTQsの方々に出会っているのでしょうか? 電通ダイバーシティ・ラボが2018年に行った調査結果では、回答者の約9%がLGBTQsに相当したと報告しています3)。この数値をそのまま当てはめられるわけではありませんが、外来では1コマあたり1人以上のLGBTQsの患者さんを診ているかもしれないということです。何科の医師であっても、診療している患者さんの中にはLGBTQs当事者の方がいると考えられます。LGBTQsの人を診たことがないのではなく、診ていることに気付いていないのです。すべての人にかかわるSOGIという概念とは? SOGIとは、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認) の頭文字をとった言葉です。性的指向は性愛・恋愛の対象、性自認は自分の性をどう認識しているか、です。SOGIはLGBTQsの人だけではなく、すべての人にかかわる概念です。あらゆるSOGIの人が受診しやすい環境を整えること大切です。また職員の中にも性的マイノリティの人はいますので、あらゆるSOGIの人が働きやすい環境作りも同様に重要です。問診で必要な情報を聴取するには? 当事者の中には、医療者から差別的対応を受けたことをきっかけに、セクシュアリティに関係する事柄を医師に話さない・話せない・話したくない、と思う方もいらっしゃいます4)。さらに深刻な場合は、受診自体を控えるケースもあります5)。 例えばうつ病で通院していても性的指向・性自認についての悩みを話せていないという声もありますし、同性・異性それぞれのパートナーがいる患者が性感染症を心配して受診した際に、性行為についての正確な情報を医師に開示できないために、適切な診断や予防医療の提供、セーファーセックスの指導が行われていない、といったことも起きています。セクシュアリティにかかわらず使える問いかけは? こういったことを防ぐには、多様なセクシュアリティの人が受診しているということを前提とした問診の基本を知っておく必要があります。 例えば、「結婚していますか」「(女性に対して)彼氏はいますか」という質問は異性愛を前提としていますが、「パートナーの方はいますか」というジェンダーに中立的な聞き方であれば異性・同性どちらも含まれます。セクシュアルヒストリーについて聴取する際にも異性間の性交渉を前提とはせずに、「正確な診断をする上で必要なので皆さんに伺っているのですが、性行為の相手は男性ですか女性ですかそれとも両方ですか」といった問いかけ方をするとよいでしょう。 性的指向、性自認、性行動について決めつけてしまうことが診療の妨げになりうるということもぜひ押さえてほしい事柄です。例えばトランス男性(出生時に割当てられた性別が女性で、性自認が男性)の人が、女性を好きになるとは限りません。トランス男性でゲイという人もいますし、男性との性交渉で妊娠することもありえます。 問診には技術も必要ですが、最も大切なことは、個人的な感情がどうあれ、医師として患者さんのあり方を尊重しサポーティブな態度で接することだと思います。施設単位で受診ハードルを下げる工夫は? 施設単位で行えることもあります。トランスジェンダーの方が受診しやすくなるように、問診票の性別欄を男女の二択ではなく自由記載ができるようにする、呼び入れを番号で行う、または通称名の使用ができることをわかりやすく伝えるといったことができます。トイレや入院着などもジェンダーで分けずに使えるものを準備することも大切です。 ハード面の工夫もさることながら、とくに重要なのは、スタッフの守秘義務の徹底です。セクシュアリティについて、患者の家族であっても本人の同意なく開示しないこと。どこまで自身のセクシュアリティを開示するかはあくまで本人が決めることです。関係するスタッフの間で対応が統一されるよう、とくに注意を要する事柄です。今後の展望をお聞かせください LGBTQsといってもセクシュアリティごとに健康リスクは異なります。あらゆるセクシュアリティの人が、日本全国どこででも、予防も含めた適切な医療サービスを安心して受けられるよう、そうした知識も広げていきたいと思っています。今までLGBTQsに馴染みがなかった先生方が、多様なセクシュアリティに配慮した環境を整備するのはハードルが高いと思われるかもしれません。すべてではなく、できること1つでも取り組むことから始めていただければ、それは多くの方の安心につながっていきます。ぜひ、一緒に取り組んでいきましょう。吉田 絵理子氏(川崎協同病院総合診療科・にじいろドクターズ)2003年京大理学部卒後、阪大医学部に学士編入。07年卒業。川崎協同病院での初期研修、聖隷三方原病院で後期研修ののち、11年より現職。総合診療医を中心とした「にじいろドクターズ」では、主に医療従事者を対象に性の多様性と医療に関する学びの場などを提供している。■関連コンテンツCareNeTV「診療に役立つLGBTQsの基礎知識」■参考文献・参考サイトはこちら1) King.M, et al. BMC Psychiatry. 2008;8:e1-17.  Haas AP, et al. J Homosex. 2011;58:10-51. .2) 厚生労働省エイズ動向委員会.2018年エイズ発生動向年報.2018.3) 株式会社電通コーポレートコミュニケ―ション局広報部. dentsu NEWS RELEASE 2019. 4) 性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会. 性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第3版). 2019.5) 浅沼智也ら.GID/トランスジェンダーの医療機関に関するアンケート調査結果. GID学会 第21回研究大会・総会プログラム・抄録集; 43. 2019.

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救急でのてんかん重積状態に対するベンゾジアゼピン投与戦略の評価

 全身痙攣重積状態(GCSE)の治療に特定のベンゾジアゼピンを投与することがガイドラインで推奨されているが、一般的には少用量で投与されている。米国・サウスカロライナ大学のKyle A. Weant氏らは、救急受診したGCSE患者の初期マネジメントにおけるベンゾジアゼピン投与戦略について、評価を行った。The American Journal of Emergency Medicine誌オンライン版2021年2月6日号の報告。 GCSE治療のために救急科でベンゾジアゼピン投与を受けた患者を対象に、レトロスペクティブにレビューした。初回ベンゾジアゼピン治療後に発作の改善を達成した患者の特徴を評価した。救急受診した患者222例に対し、ベンゾジアゼピンは403回投与されていた。そのうち、推奨事項を順守していた割合は1.5%であった。 主な結果は以下のとおり。・1次治療では、ベンゾジアゼピン平均投与量1.6mg(0.02mg/kg)であり、患者の86.8%に良好な反応が認められた。・早期に発作が改善した患者とそうでない患者との間に、投与量の差は認められなかった(p=0.132)。・早期に発作が改善した患者では、以下の割合が有意に低かった(各々、p<0.05)。 ●ベンゾジアゼピン追加投与 ●挿管 ●集中治療室または病院への入院・早期に抗てんかん薬治療を受けた患者では、以下の割合が有意に低かった(各々、p<0.05)。 ●ベンゾジアゼピンの追加投与 ●挿管 ●集中治療室または病院への入院 著者らは「入院前や救急受診環境におけるベンゾジアゼピン投与は、ガイドラインで推奨されているよりも少用量であった。早期の発作改善や早期に抗てんかん薬を投与された患者では、いくつかの重要な臨床アウトカムと関連していることが明らかとなった。今後は、ベンゾジアゼピンの最適な投与戦略や早期の抗てんかん薬投与の影響を調査する必要性がある」としている。

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非扁平上皮NSCLC、KEYNOTE-189のOSおよび日本人試験のアップデート/日本臨床腫瘍学会

 転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療における、ペムブロリズマブ+化学療法の第III相KEYNOTE-189試験。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、関西医科大学の倉田 宝保氏が全集団の全生存期間(OS)と日本人サブセットのアップデートを発表した。・対象:再発・転移のある無治療のStageIV非扁平上皮NSCLC患者・試験群:ペムブロリズマブ+化学療法(カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセド)3週ごと4サイクル後、ペメトレキセド3週ごと最大35サイクル)(ペムブロリズマブ+Chemo群)・対照群:プラセボ+化学療法(ペムブロリズマブ併用群と同一用法・用量)(Chemo群)・評価項目:[主要評価項目]OS、無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性[探索的評価項目]PD-L1発現(TPS)別OS、PFS、ORR、2次治療後までを含めたPFS(PFS2)など 主な結果は以下のとおり。・全集団のOS追跡期間中央値は46.3ヵ月、日本人サブセットの追跡期間中央値は33.8ヵ月であった。・全集団のOSはペムブロリズマブ+Chemo群22.0ヵ月、Chemo群10.6ヵ月、3年OS率はペムブロリズマブ+Chemo群31.3%、Chemo群17.4%であった(HR:0.60、95%CI:0.50~0.72)。・全集団のPFSはペムブロリズマブ+Chemo群9.0ヵ月、Chemo群4.9ヵ月、3年PFS率はペムブロリズマブ+Chemo群11.8%、Chemo群1.3%であった(HR:0.50、95%CI:0.41~0.59)。・40例の日本人患者はペムブロリズマブ+Chemo群25例、Chemo群15例に無作為に割り付けられた。・日本人のOS中央値はペムブロリズマブ+Chemo群は未達、Chemo群25.9ヵ月であった(HR:0.44、95%CI:0.19〜1.04)。・日本人のPFS中央値はペムブロリズマブ+Chemo群17.4ヵ月、Chemo群は7.1ヵ月であった(HR:0.76、95%CI:0.37〜1.55)。・日本人のORRはペムブロリズマブ+Chemo群56.0%、Chemo群は33.3%であった。・全集団のGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)発現率はペンブロリズマブ+Chemo群52.1%、Chemo群42.1%、日本人集団のGrade3以上のTRAE発現率はペンブロリズマブ+Chemo群60.0%、Chemo群46.7%であった。

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筋症状によるスタチン中止、関連性を見いだせず/BMJ

 スタチン投与時の重症筋症状の既往があり投与を中止した集団に、アトルバスタチン20mgを投与しても、プラセボと比較して筋症状への影響は認められず、試験終了者の約3分の2がスタチンの再開を希望したとの調査結果が、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のEmily Herrett氏らが実施した「StatinWISE試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月24日号で報告された。スタチンと、まれだが重度な筋肉の有害事象との因果関係はよく知られている一方で、筋肉のこわばり、筋痛、筋力低下などの重度ではない筋症状に及ぼすスタチンの影響は不明だという。また、非盲検下の観察研究の結果が広く知られるようになったため、多くの患者が筋症状の原因はスタチンと考えて治療を中止し、結果として心血管疾患による合併症や死亡が増加しているとされる。英国のプライマリケア施設の無作為化プラセボ対照n-of-1試験 研究グループは、スタチン投与時の筋症状の既往歴を持つ集団において、スタチンが筋症状に及ぼす影響を評価する目的で、2016年12月~2018年4月の期間にイングランドとウェールズの50のプライマリケア施設において無作為化プラセボ対照n-of-1試験を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術計画などの助成による)。 筋症状のためスタチン投与を中止または中止を考慮中の200例が対象となった。試験期間は1年で、参加者は6回の二重盲検下の投与期間(各2ヵ月)に無作為に割り付けられた。6回の投与期間のうち3回はアトルバスタチン20mgが、残りの3回はプラセボが投与された。最初の2回の投与期間は、1回がスタチン、もう1回はプラセボが投与され、3回連続して同じ薬剤の投与期間に割り付けられないようにした。 参加者は、各投与期間の終了時に、視覚アナログ尺度(0~10点。0点:筋症状なし、5点:中等度筋症状、10点:最も重度と考えられる筋症状)で筋症状の評価を行った。主解析では、スタチン投与期とプラセボ投与期の症状スコアを比較した。中止理由のうち筋症状は少ない 200例の参加者の平均年齢は69.1(SD 9.5)歳、115例(58%)が男性で、140例(70%)は心血管疾患の既往歴を有していた。総コレステロール値中央値は5.3mmol/L(IQR:4.4~6.2)だった。151例(76%)が、スタチン投与期とプラセボ投与期のそれぞれ少なくとも1回の症状スコアを提供し、主解析の対象となった。 主解析には、392回のスタチン投与期の2,638件のデータと、383回のプラセボ投与期の2,576件のデータが含まれた。視覚アナログ尺度による平均筋症状スコアは、スタチン投与期がプラセボ投与期よりも低く(1.68[SD 2.57]点vs.1.85[2.74]点)、両群間に有意な差は認められなかった(平均群間差:-0.11、95%信頼区間[CI]:-0.36~0.14、p=0.40)。 スタチンが筋症状の発現に影響を及ぼすとのエビデンスは得られず(オッズ比[OR]:1.11、99%CI:0.62~1.99)、筋症状は他の原因に起因しないとのエビデンスもなかった(1.22、0.77~1.94)。一般活動性、気分、歩行能力、日常的な作業、他者との関係、睡眠、生活の楽しみについても、両投与期で筋症状の影響に差はなかった。 試験終了から3ヵ月後の調査では、試験終了者の88%(99/113例)が「試験は有益だった」と回答し、66%(74/113例)は「スタチン投与をすでに再開または再開の予定」と報告した。また、プラセボ投与期よりもスタチン投与期で平均筋症状スコアが1単位以上高く、スタチンが筋症状の原因の可能性があると知らされた17例(15%)のうち、9例(53%)はスタチンを再開する予定とし、スタチンが原因の可能性はないと知らされた96例のうち65例(68%)が再開予定と回答した。 80例が投与を中止し、このうちスタチン投与期が34例(43%)、プラセボ投与期は39例(49%)であった。中止の理由のうち筋症状は少なく、忍容できない筋症状で投与を中止した参加者は、スタチン投与期が18例(9%)、プラセボ投与期は13例(7%)であった。試験期間中に13件の重篤な有害事象が報告されたが、試験薬に起因するものはなかった。 著者は、「n-of-1試験は、集団レベルで薬剤効果の評価が可能で、個々の治療の指針を示すことができる」とし、「今後は、他の種類のスタチンや高用量スタチン、一過性の有害作用を伴う他の薬剤のn-of-1試験に重点的に取り組むことが考えられる」としている。

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脳卒中データバンク2021

「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立、ますます活用が期待されるデータブック1999年に始まった日本脳卒中データバンクの登録患者数は、2019年ついに20万例を突破!大規模データからしか得られない興味深い解析結果を満載した、大好評のデータブックの最新版。『脳卒中データバンク2015』では2012年までの登録データ約10万例を集計したが、今回は、急性期脳卒中17万例(脳梗塞12.6万例・脳出血3.3万例・くも膜下出血1.1万例)、一過性脳虚血発作1.2万例など、2018年末までに登録された19万9,599例の情報を基に執筆された。脳卒中・循環器病対策基本法が成立し、今後ますます活用が期待される。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    脳卒中データバンク2021定価5,000円 + 税判型AB判頁数200頁 2色刷発行2021年3月編集国循脳卒中データバンク2021編集委員会

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薬剤師がコロナワクチンを希釈・充填 手技は大丈夫?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第64回

いよいよ新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりましたね。今はまだ医療者の先行接種の段階ですが、高齢者や一般の方に接種が広がった場合の「どこで?」「どのように?」というのはワイドショーなどでも取り上げられて話題になっています。そんな中、2月16日に、厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.0版)」を発出しました。現時点で想定されているワクチンは「コミナティ筋注(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)」で、一般の方々に接種する場合の準備や手順などが記載されています。この中で薬剤師に関する記述がありましたので、紹介します。「医療機関以外でワクチン接種を行う場合」接種方法や会場の数、開設時間の設定により、必要な医師数や期間が異なることから、地域の実情に合わせて、必要な医療従事者数を算定する。具体的な医療従事者などの数の例:予診・接種に関わる者として、予診を担当する医師1名、接種を担当する医師または看護師1名、薬液充填および接種補助を担当する看護師または薬剤師1名を1チームとする接種後の状態観察を担当する者を1名置く(接種後の状態観察を担当する者は、可能であれば看護師などの医療従事者が望ましい)検温、受付・記録、誘導・案内、予診票確認、接種済証の発行などについては、事務職員などが担当するこれはあくまでも一例ですが、このようなことを想定していますよ、という感じで記載されています。しかしながら、「やば! 薬液充填わからん…」という薬剤師も少なくないのではないでしょうか。そのような不安をくみ取ったのか、地域によっては薬剤師会などでワクチンの希釈・充填の研修がすでに始まっています。薬剤師もワクチン接種に協力しますよ!という積極的なアピールにもなり、とてもいい動きですね。具体的にどのような業務を行うかは地域のワクチン接種の運営方法によると思いますが、まずは得意な領域である添付文書を読んで副反応を想定し、その対処としてエピペン(一般名:アドレナリン注射液)などの在庫や使い方を確認しておくとよいのではないでしょうか。その知識はワクチン接種に不安を抱いている方のサポートにもなると思います。今後の学会などでは、ワクチン接種への薬剤師サポートに関する報告が多数行われるのではないかとワクワクしているうさこでした。参考1)「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.0版)」厚生労働省

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第50回 COVID-19ワクチン接種後数日してからの皮膚反応

接種後の遅れ馳せ(Delayed)の皮膚反応への心づもりが必要新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質を作るmRNAが成分のModerna(モデルナ)社のワクチンmRNA-1273を接種した12人に接種後すぐではなく何日か(4~11日;中央値8日)してから生じた遅れ馳せの皮膚反応を米国ボストン市の著名病院・Massachusetts General HospitalのチームがNEJM誌に報告し1)、皮膚感染症と混同して抗生物質で無闇に治療してはいけないと注意を促しています2)。提供:Massachusetts General Hospital腫れ、痒み、痛みなどを伴う上の写真のようなそれら皮膚反応は接種後すぐの局所や全身の症状が解消した後に注射部位近くに広く生じ、5人の病変の直径は10cm以上ありました。主に冷やすか抗ヒスタミン薬で治療され、何人かにはステロイド(グルココルチコイド)が使われました。また1人は蜂巣炎と推定されて抗生物質が投与されました。症状は発生から2~11日(中央値6日)で解消しました。そのような皮膚反応が遅延型かT細胞を介した過敏反応らしいとの著者等の見立ては報告された12人と同様に遅れ馳せの広域皮膚反応を呈した別の1人の皮膚検体の解析で支持されています。検体の表層血管周囲や毛胞周囲には好酸球や肥満細胞(マスト細胞)を含むリンパ球浸潤が認められました。遅延型過敏反応や注射部位反応を呈した人への2回目接種は禁忌ではないことから12人には2回目の接種を案内し、全員が2回目の接種を済ませました。2回目の接種後に半数の6人は1回目と同様か1回目より軽度の反応を再び被りました。2回目の接種後の皮膚症状はより早く、接種から1~3日(中央値2日)後に発生しています。mRNA-1273ワクチンへの遅れ馳せの局所反応に心づもりができていない医師がいるかもしれませんが、今回の報告はそれらの反応がおよそ恐れるに足るものではないことを改めて示しています2)。著者によると遅れ馳せの皮膚反応は免疫が良好に働いていることをどうやら意味しており、ワクチン接種の妨げにはなりません。今回の報告が不必要な抗生物質使用を減らしてワクチン接種の全うを助けることを著者は望んでいます。皮膚病変はSARS-CoV-2感染でも生じうるワクチンのみならずCOVID-19と種々の皮膚異変の関連も示唆されており、たとえば足のつま先によく生じる3)ことから”COVID toes”として知られる凍瘡(しもやけ)様病変がCOVID-19流行に伴って小児や若い成人患者にとくに多く認められています4)。COVID toes患者の鼻や喉の拭い液のPCR検査でSARS-CoV-2が検出されることは少なく4)、まったく検出できなかった報告5,6)ではSARS-CoV-2感染との関連はなさそうと結論されています。しかし組織を生検した幾つかの試験ではSARS-CoV-2スパイクタンパク質が検出されており、それらの断片が皮膚の内皮細胞のACE2に結合して取り込まれて血管内皮炎を誘発するのかもしれません7)。スパイクタンパク質はPfizerやModerna 社のワクチンが体内で作り出す成分でもあり、スパイクタンパクと内皮細胞のACE2の相互作用がどういう顛末をもたらすのかをさらに調査する必要があります。参考1)Blumenthal KG,et al. N Engl J Med. 2021 Mar 3. [Epub ahead of print]2)MGH researchers call for greater awareness of delayed skin reactions after Moderna COVID-19 vaccine / MGH3)Magro CM, et al.Br J Dermatol . 2021 Jan;184:141-150. 4)Colmenero I, et al.Br J Dermatol. 2020 Oct;183:729-737. 5)Herman A, et al. JAMA Dermatol. 2020 Sep 1;156:998-1003.6)Roca-Gines J, et al. JAMA Dermatol.2020 Sep 1;156:992-997.7)Ko CJ, et al. J Cutan Pathol. 2021 Jan;48:47-52.

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