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プロ意識に徹するドイツのナース【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第24回

ドイツは日本と似ていて、ヒエラルキー社会です。上司の言うことは割と絶対で、「俺がこう言ったからこうしろ!」の世界です。ですが、職種間にはタテ関係はありません。自己主張はしっかりしている国民性なので、同僚のナースさん達も「やらないものは、やらない」とハッキリとした態度で仕事に臨まれています。たとえば、朝の入院患者は10時に病棟に来るように伝えられているのですが、朝は10時から11時まで、ナースさんは休憩タイムを取っています。ですから、張り切って病棟に来られた患者さんたちは、意味もなく11時まで待合室に待たされることになります。しかしながら、患者さん達からは「ナースさんの休憩時間なら仕方ないね」と、特にクレームが来たこともありません。と言うか、こんな不合理なシステム、どう考えてもおかしいのですが…。私が働き始めの頃に「おかしくない?」と質問したことがあるのですが、ベテランナースさんにかなり怒られてしまいました。先日も、新しく着任した新人研修医が「このシステムはおかしくないか?」と質問して怒られていました。手術中に事件です!当院では、特にオペ室にはベテランナースさんが相当数存在します。手術の助手をするときは術者だけでなく、ナースさんのクセも覚えて対応していかなくてはなりません。「このナースさんはここで糸切ってくれるけど、このナースさんはハサミを渡してくる人。このナースさんは早めに道具を要求すると機嫌が悪くなる人」など、私の手術メモには、ナースさんの人柄についてもかなりの記載がしてあります。オペ室の、最も若いナースさん(左)とベテランナースさん(右)です。若いナースさんも、上級医相手に一歩も引かずに主張してきます。つい先日、執刀教授が術中の出血にイライラして、「持針器だろ! 早くしろ!」と声を荒げることがありました。その日は大御所ナースさんが担当だったのですが、教授にキレて、手術道具を全部患者の脚の上において、術野に背を向けちゃったことがありました。「後は自分で取れ」ってことで。教授はため息をつきながら自分で道具を掴んで止血していました。バツの悪そうな教授を見て、私は笑いが込み上げてしまいましたが…。その後、5分ほどしたら機嫌を直した大御所ナースさんが振り返って道具を元の台の上に戻し、手術は滞りなく進みましたが…その後、大御所ナースさんは私にしか話しかけてこなかったです。私はいつもより必死にドイツ語で場を盛り上げようと頑張りました。まるで「両親の喧嘩中に気を使う子供」みたいな構図になっていました。マイスターの国、ドイツでは、それぞれのスペシャリスト達が確固たるプライドを持って働いています。教授と言えど、他職種へのリスペクトなくして共に働くことはできないということです。

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事例017 廃用症候群リハビリテーション料の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説乳がん術後に伴う安静等によって身体能力低下を認めたため廃用症候群と診断してH001-2 廃用症候群リハビリテーション料(以下、「同項目」)を算定したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)で査定となりました。同項目の適用となるのは、同項目の通則1にある「急性疾患等に伴う安静等による廃用症候群の患者であって、一定程度以上の能力低下をきたしているもの」です。具体的には、同項目の算定留意事項(2)に、「急性疾患等(がんの手術を含む外科的手術又は肺炎等)に伴う安静(治療の有無を問わない)による廃用症候群であって、(中略)治療開始時においてFIM(Functional Independence Measure)115 点以下、またはBI(Barthel Index)85 点以下の状態のものをいう」と定義があります。( )内筆者注。レセプトを確認すると、添付もしくは摘要欄に記載しなければならない「廃用症候群に係る評価票(別紙様式22)」の項目のうち、治療開始時のBIが100点と表示されていました。「85点以下でないために適用がない」として査定となったことがわかります。レセプトチェックシステムでは、コメントの数値までチェックされていません。査定対策として、算定担当にはコメント入力時に基準値の確認を行うことを伝え、リハビリテーション部には同項目を実施するときには、FIMとBIの数値が規定以下であることを確認していただくようにお願いしました。

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COVID-19パンデミックによるメンタルヘルスへの影響~メタ解析

 COVID-19に関連したうつ病、不安神経症、不眠症、PTSD、精神的苦痛(PD)の有病率を推定するため、カナダ・オタワ大学のJude Mary Cenat氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2020年11月26日号の報告。 Medline、Embase、APA PsycInfo、CINAHL、Scopus、Web of Scienceより検索を行った。うつ病、不安神経症、不眠症、PTSD、PDの有病率について性別、医療従事者、調査対象地域におけるグループ間の違いを評価するため、ランダム効果メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・2,189件の研究をスクリーニングし、136件について評価した。その内、メタ解析の選択基準を満たした研究は、55件(18万9,159例)であった。・うつ病の有病率は、15.97%(46件、95%CI:13.24~19.13)であった。・不安神経症の有病率は、15.15%(54件、95%CI:12.29~18.54)であった。・不眠症の有病率は、23.87%(14件、95%CI:15.74~34.48)であった。・PTSDの有病率は、21.94%(13件、95%CI:9.37~43.31)であった。・PDの有病率は、13.29%(19件、95%CI:8.80~19.57)であった。・グループ間の違いは、非医療従事者と比較し、医療従事者における不眠症有病率の高さのみで認められた(z=2.69、p<0.05)。 著者らは「COVID-19による短期的なメンタルヘルスへの影響は、影響を受けた地域および性別において同様に大きいことが示唆された。しかし、医療従事者においては、不眠症の有病率が、非医療従事者よりも有意に高い」としている。

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COVID-19の症状悪化をフルボキサミンが抑制する可能性/JAMA

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬のフルボキサミンが、サイトカイン産生を調節するσ-1受容体を刺激することにより、軽度のCOVID-19患者の臨床的悪化を抑制する可能性が示唆された。米国セントルイス・ワシントン大学のEric J. Lenze氏らは、症状を有するCOVID-19の成人外来患者を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、フルボキサミンで治療された患者がプラセボより臨床的悪化が少なかったことを報告した。ただし、本研究はサンプルサイズが小さく観察期間が短いため、臨床効果を判断するために大規模無作為化試験が必要としている。JAMA誌2020年12月8日号に掲載。 本試験の対象は、セントルイス大都市圏(ミズーリ州とイリノイ州)に在住で、SARS-CoV-2感染が確認され7日以内にCOVID-19症状が発現し、酸素飽和度が92%以上の外来成人患者。2020年4月10日~8月5日に152例が登録され、9月19日まで追跡された。参加者は無作為にフルボキサミン100 mg(80例)またはプラセボ(72例)1日3回15日間投与に割り付けられた。主要評価項目は、無作為化後15日以内に「呼吸困難(すなわち息切れ)または息切れ/肺炎による入院」および「室内気で酸素飽和度92%未満または酸素飽和度92%以上に達するために酸素投与が必要」の両方を満たす臨床的悪化であった。 主な結果は以下のとおり。・無作為化された152例(平均年齢46歳[SD:13歳]、女性109例[72%])のうち、115例(76%)が試験を完了した。・臨床的悪化は、フルボキサミン群の80例中0例、プラセボ群72例中6例でみられた(絶対差:生存解析により8.7%、95%CI:1.8~16.4%、log-rank p=0.009)。・フルボキサミン群で重篤な有害事象1例、他の有害事象11例、プラセボ群では重篤な有害事象6例、他の有害事象12例が報告された。

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MSI-H大腸がん1次治療、ペムブロリズマブによるPFS延長証明(KEYNOTE-177)/NEJM

 抗PD-1抗体ペムブロリズマブについて、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の進行大腸がんの1次治療における有効性が示された。化学療法と比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、治療関連有害事象は少ないことを、フランス・ソルボンヌ大学のThierry Andre氏らが無作為化非盲検第III相試験「KEYNOTE-177試験」で明らかにした。これまでに、既治療のMSI-H/dMMR腫瘍に対するPD-1阻害の臨床的有効性は示されているが、MSI-H/dMMR陽性の進行・転移を有する大腸がんに対する1次治療として、化学療法と比較した有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2020年12月3日号掲載の報告。 研究グループは未治療のMSI-H/dMMR陽性・転移を有する大腸がん患者307例を、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと投与)群または化学療法(5-FU併用療法±ベバシズマブまたはセツキシマブ、2週ごと投与)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 化学療法群では、病勢進行後にペムブロリズマブ群へのクロスオーバーを可とした。 主要評価項目は2つで、PFSおよび全生存(OS)であった。 主な結果は以下のとおり。・第2回の中間解析時、追跡期間中央値32.4ヵ月において、ペムブロリズマブ群は化学療法群と比較しPFSが有意に延長していた(中央値16.5ヵ月vs.8.2ヵ月、ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.45~0.80、p=0.0002)。・追跡期間24ヵ月後の推定restricted mean survivalは、ペムブロリズマブ群13.7ヵ月vs.化学療法群10.8ヵ月であった。・データカットオフ日の時点で、ペムブロリズマブ群56例、化学療法群69例が死亡した。これは必要イベント数の66%で、OSについての評価は現在も進行中であり、最終解析まで盲検化されたままである。・奏効率は、ペムブロリズマブ群43.8%、化学療法群33.1%であった。奏効が得られた患者における24ヵ月後の奏効持続率は、化学療法群の35%に対し、ペムブロリズマブ群は83%であった。・Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群22%、化学療法群66%(死亡1例を含む)であった。

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すでに一度補助を受けた医療機関も対象、国による追加支援策/日医

 第3次補正予算案が12月15日に閣議決定され、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、医療機関に対する更なる支援策が講じられている。この中には、第2次補正予算による補助を受けた医療機関が、改めて対象となる支援策も含まれる。12月23日の日本医師会定例記者会見において、松本 吉郎常任理事が支援策の全体像を整理し、有効活用を呼び掛けた。診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援に100万円 都道府県の指定に基づき発熱患者等を対象とした外来体制をとる医療機関(診療・検査医療機関[仮称])については、100万円を上限とした追加支援が決定した:[診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援]対象医療機関:院内等で感染拡大を防ぐための取組を行う、都道府県の指定を受けた診療・検査医療機関(仮称)※ 「診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援」または「医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援」のどちらかの補助を受けることができる(両方の補助を重複して受けることはできない)。※ 二次補正予算による「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」の補助を受けた医療機関も補助対象。※ 令和2年9月15日の予備費による「インフルエンザ流行期における新型コロナウイルス感染症疑い患者を受け入れる救急・周産期・小児医療機関体制確保事業」の感染拡大防止等の補助を受けた医療機関は対象外。補助基準額:100万円を上限として実費を補助対象経費:令和2年12月15日から令和3年3月31日までにかかる感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用(従前から勤務している者および通常の医療の提供を行う者に係る人件費は除く)※ 感染拡大防止対策に要する費用に限られず、院内等での感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供するための診療体制確保等に要する費用について、幅広く対象となる。例:消毒・清掃・リネン交換等の委託、感染性廃棄物処理、個人防護具の購入、寝具リース、CTリース等医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援に25万円 診療・検査医療機関(仮称)以外の医療機関に対しては、病床数等に応じて以下の追加支援が行われる:[医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援]対象医療機関:院内等での感染拡大を防ぐための取組を行う、保険医療機関、保険薬局、指定訪問看護事業者、助産所※ 「診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援」または「医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援」のどちらかの補助を受けることができる(両方の補助を重複して受けることはできない)。※ 二次補正予算による「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」の補助を受けた医療機関も補助対象となる。※ 令和2年9月15日の予備費による「インフルエンザ流行期における新型コロナウイルス感染症疑い患者を受け入れる救急・周産期・小児医療機関体制確保事業」の感染拡大防止等の補助を受けた医療機関については、三次補正予算の「医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援」の方が補助上限額が高い場合は、差額分を補助。補助基準額:以下の額を上限として実費を補助・ 病院・有床診療所(医科・歯科) 25万円+5万円×許可病床数・ 無床診療所(医科・歯科) 25万円・ 薬局、訪問看護事業者、助産所 20万円対象経費:令和2年12月15日から令和3年3月31日までにかかる感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用(従前から勤務している者および通常の医療の提供を行う者に係る人件費は除く)※ 感染拡大防止対策に要する費用に限られず、院内等での感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供するための診療体制確保等に要する費用について、幅広く対象となる。例:消毒・清掃・リネン交換等の委託、感染性廃棄物処理、個人防護具の購入、寝具リース、CTリース等※ 看護師等が消毒・清掃・リネン交換等を行っている場合は、看護師等の負担軽減の観点から、本補助金を活用して、民間事業者に消毒・清掃・リネン交換等を委託することが可能。 小児診療や回復患者受け入れ医療機関への支援策を含め、補助内容の全体がまとめられた資料はこちら。申請に当たっての質問・相談等に対応するコールセンターについても案内されている。これまで金額の過少申請があった場合も、都道府県に相談を 12月22日には、厚生労働省から事務連絡が発出され、支援事業の対象となる費用や申請方法等についてQ&Aがまとめられた。医療機関が対象となる経費を誤認して金額を過少に申告した場合の再申請についても、「事業実施主体である都道府県に相談して、都道府県が認める場合、再申請することは差し支えない」と記載されている。

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国立がん研究センターの遺伝子パネル検査に基づく患者申出療養試験とは?/日本肺学会

 2019年6月に遺伝子パネル検査が保険適用になってから1年あまりが過ぎた。11月に行われた第61回日本肺学会学術集会では、「遺伝子パネル検査によって肺がん診療はどう変わったか?」と題したシンポジウムが行われた。 この中で国立がん研究センター中央病院 臨床検査科の角南 久仁子氏は「がん遺伝子パネル検査に基づく新たな治療選択肢としての患者申出療養試験」と題し、同院が行う試験の概要を紹介した。 現在の遺伝子パネル検査を取り巻く問題点の1つに「パネル検査を受けても、治療への到達性が低い」ことがある。治療に結びつく遺伝子異常が検出されても、承認薬や治験といった薬剤の選択肢が限られているためだ。この問題に対応するため、保険診療もしくは先進医療で遺伝子パネル検査を実施した患者のうち、一定の基準を満たした場合に患者申出療養制度のもと既存承認薬を適応外使用して有効性を見る、というのが今回の試験(通称:受け皿試験)の概要。現状でも患者申出療養制度を用いて適応外薬剤を使用するという選択肢はあるが、申請に時間がかかる、データが蓄積されない、等の問題点があった。 受け皿試験の主な適格基準は以下のとおり(2020年12月現在)。・16歳以上の固形がん患者・手術不適で進行性病変あり・実施中の治験や先進医療の対象外・PS0~1 主要評価項目は薬剤ごとの16週時点の奏効割合で、副次評価項目は薬剤ごとの病勢制御割合、全生存期間、無増悪生存期間、有害事象の発生とした。製薬会社から薬剤の無償提供を受けることで患者の費用負担を抑える。国立がん研究センター中央病院が調整事務局となり、がんゲノム医療中核拠点病院11施設と連携して試験を実施する。 受け皿試験の参加の適否については、エキスパートパネルにおいて、対象薬剤の有効性についてのエビデンスレベルが一定以上(がん関連3学会合同ガイダンスのエビデンスレベルでD以上)あることが前提となり、最終判断は試験実施施設の研究責任/分担医師が行う。 「エキスパートパネルによって判断基準が異なってくる可能性は否定できない。すり合わせを細かく行い、基準を標準化する必要があるだろう」(角南氏)。今回の試験で高い有効性が期待できる薬剤が見つかった場合は、今後の治験立案や承認提案の参考データとして使われる予定という。

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コロナ禍で増えた失業・自殺・労災請求、今後の見通しは?/日医

 日本医師会・松本 吉郎常任理事が、コロナ禍における今日の社会経済情報として、失業、自殺、労災認定などのデータを示しながら、日本医師会の見解を述べた。自殺者増は5ヵ月連続、失業率の上昇で今後さらに増える可能性も まず、完全失業率(季節調整値)のデータを示し、本年10月は男3.4%、女2.7%(男女計3.1%)と、コロナ流行以前の1月(男2.4%、女2.2%、平均2.2%)と比較して高い状況にあることを説明。完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は45万人と、前年同月に比べ22万人増加している。割合としては男性より低い女性も、完全失業者数は「15~24歳」を除くすべての年齢階級で前年同月に比べ増加していることを示した。 月別自殺者数の推移においては、5ヵ月連続で前年を上回っており、新型コロナ流行の長期化で生活苦や家庭などの悩みが深刻化していると分析。6月の緊急事態宣言の解除後にとくに増加していることを指摘し、その要因としては、コロナ禍で浮き彫りになった女性の非正規雇用者の失業やDVの相談件数の増加などが影響している可能性があるとした。 松本氏は、今後の見通しとして、失業率が1%増えると自殺者総数が1,000~2,000人増えるとの報告もあることに触れ、「コロナ感染そのものによる死亡者数よりも、数では大きくなることが想定される。また、失業率増加の後を追って自殺者数が増加することが多いため、雇用を守ることが命を守ることにつながることの啓発、失業者対策などの十分な広報、その不安に対するメンタルヘルスの実施と長期的継続が必要」との考えを示した。医療従事者はメンタルヘルスのハイリスク、新型コロナ感染も労災請求可能 新型コロナウイルスに関する労災請求件数は、医療従事者などで1,705件(医療業では1,332件)に上っている。なお、請求に対しては、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象とされる。厚生労働省は、集団感染が起きた事業所などは、積極的に労災申請するように求めている。 医療・介護従事者などは、従来から精神障害での労災が多いなど、メンタルヘルスの影響を受けやすいハイリスクとされており、日本医師会は、コロナ禍で過重な身体的・精神的ストレスが加わっていることに懸念を表明した。松本氏は、今後も日本医師会として、社会経済状況を鑑み、産業医の支援など、社会貢献していく姿勢を示した。

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COVID-19ワクチンに関する提言(第1版)を公開/日本感染症学会

 欧米では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種が2020年12月初旬に開始され、わが国でも接種開始が期待されている。日本感染症学会では、学会会員および国民に対し、現在海外で接種が開始されているCOVID-19ワクチンの有効性と安全性に関する科学的な情報を提供し、それぞれが接種の必要性を判断する際の参考にしてもらうべく、COVID-19ワクチンに関する提言(第1版)を作成し、12月28日、学会サイトに公開した。今後、COVID-19ワクチンの国内外における状況の変化に伴い、内容を随時更新する予定という。 日本感染症学会によるCOVID-19ワクチンに関する提言には、世界におけるワクチン開発状況、各ワクチンの特徴、mRNAワクチンやウイルスベクターワクチンの作用機序、ワクチンの有効性の評価方法、3つのワクチン(ファイザー社のBNT162b2、モデルナ社のmRNA-1273、アストラゼネカ社のChAdOx1)の臨床試験における有効率、1回目および2回目接種後の有害事象、日本での優先接種対象者、接種時における注意や求められる準備などが記載されている。

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新型コロナに対するRNA遺伝子ワクチンは人類の救世主になりうるか?【臨床編】(解説:山口佳寿博氏)-1335

 本論評(臨床編)では3種類の遺伝子ワクチン(RNA、DNA)の特徴について考察する。(1) RNAワクチンにあってPfizer/BioNTech社のBNT162b2に関しては初期試験が終了し(Walsh EE, et al. N Engl J Med. 2020;383:2439-2450.)、第III相試験の中間解析の結果が正式論文として発表された(Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020 Dec 10. [Epub ahead of print])。それを受け、12月2日に英国、12月11日に米国においてBNT162b2の緊急使用が承認され、医療従事者、高齢者、施設入居者などを対象としてワクチン接種が開始されている。カナダ、バーレーン、サウジアラビアでは完全使用が認可された。12月18日、Pfizer社は本邦へのワクチン導入を目指し厚労省に製造承認を申請した。 BNT162b2は、S蛋白全長の遺伝子情報(塩基配列)を自己増殖性のAlphavirus遺伝子(1本鎖RNA)に組み込み、脂質ナノ粒子(LNP:lipid nanoparticle)に封入し生体細胞に導入するもので、RNAワクチンの中で最も抗体産生効率が良いと考えられている(必要な1回ワクチン量は30μgと最も少ない)。本ワクチンの問題点の1つは、-70℃±10℃という非常な低温で保存しないとワクチンの安定性を維持できないことである。BNT162b2の第III相試験は16歳以上の若年者から高齢者までを対象として、米国、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ共和国、ドイツ、トルコの6ヵ国で施行され(4万3,548例、対照群:2万1,728例、ワクチン群:2万1,720例)、中間報告では、2回目のワクチン接種(1回目接種後21日目)後7日目以降の中間値で3.5ヵ月間におけるコロナ感染予防有効性を報告している。ワクチンの有効性は95%であり、人種/民族、性、年齢、併存症による影響を認めなかった(高齢者でも若年者と同等の有効性)。重症化した症例が10例存在したが、対照群で9例、ワクチン接種群で1例であり、ワクチンは重症化阻止効果を有することが示唆された。副作用/有害事象の内容・頻度は他のワクチン接種時にも認められる一般的なものであり、とくに問題となるものは存在しなかった。1回目のワクチン接種から2回目のワクチン接種までの間の感染予防有効性は52%であり、1回のワクチン接種のみでも有意な感染予防効果が得られることが判明した。本第III相試験では15歳以下の若年者/小児、妊婦、免疫不全を有する患者は治験から除外されており、これらの対象におけるワクチンの効果、あるいは、有害事象については今後の検討課題である。 ワクチンの有効性が最長でも2回目のワクチン接種後3.5ヵ月で判定されており、ワクチンを年間何回接種する必要があるかを決定するためには、もっと長期間にわたる液性/細胞性免疫の持続性に規定される有効性の観察が必要である。ワクチン接種後時間が経過すれば、ワクチン接種によって惹起された液性/細胞性免疫の賦活化は減弱し、それに伴い感染予防効果も低下するはずである。それ故、現時点で報告された感染予防有効性は、あくまでもBNT162b2ワクチンの最大効果を示す値と考えなければならない。 もう一点注意すべき事項は、ワクチン有効性の判定基準である。新規感染はコロナを疑わせる臨床症状の発現(有症状)に加え、呼吸器検体におけるPCR陽性をもって定義された。すなわち、無症候性症例は有効性の判定から除外されている。PCR陽性者のうち無症候性感染者(不顕性感染者)は約30%と報告されており(Lee S, et al. JAMA Intern Med. 2020 Aug 6. [Epub ahead of print])、社会におけるウイルス播種を考えるとき、無症候性感染に対するワクチンの予防効果に関する検討が必要である。 Pfizer/BioNTech社は、S1-RBDに関する遺伝子情報を組み込んだRNAワクチン(BNT162b1)も同時に開発していた。しかしながら、S蛋白全長の遺伝子情報を組み込んだBNT162b2のほうがウイルスの自然構造により近いこと、今後S蛋白領域で間断なく発生する自然遺伝子変異(2.5塩基/1ヵ月、Meredith LW, et al. Lancet Infect Dis. 2020;20:1263-1272.)によるワクチン能力の低下を考慮すると、BNT162b2のほうがより優れていると結論された(Walsh EE, et al. N Engl J Med. 2020;383:2439-2450.)。(2) Moderna社のmRNA-1273は自己非増殖性のLNP封入RNAワクチンであり、S蛋白全長に対する遺伝子情報が導入されている(1回のワクチン量は100μgでBNT162b2投与量の3.3倍、2回目のワクチンは29日目に接種)。本ワクチンは-4℃(通常の冷凍庫)保存で1ヵ月間は安定だと報告されている。本ワクチンに対する高齢者を含む初期試験が終了し(Jackson LA, et al. N Engl J Med. 2020;383:1920-1931. , Anderson EJ, et al. N Engl J Med. 2020;383:2427-2438.)、第III相試験(COVE試験)の中間解析の結果が、12月17日、米国FDAの審査書類の一環として発表された(FDA Briefing Document)。これらの書類を審査した結果、12月18日、米国FDAはmRNA-1273の緊急使用を承認した。本論評では米国FDAが発表したデータを基に考えていく。 治験対象者は18歳以上の3万418例で、25.3%は65歳以上の高齢者であった。妊婦は対象から除外された。感染予防有効性は、2回目ワクチン接種後14日目以降中間値で9週(2.3ヵ月)までの間で判定された。非高齢者(18歳以上~65歳未満)の感染予防有効性は95.6%、高齢者(65歳以上)のそれは86.4%であった(全年齢の平均:94.1%)。これらの値はPfizer/BioNTech社のBNT162b2と同等であり、性差、年齢、人種、併存症の有無に関係なく、ほぼ一定であった。また、重症化した症例は30例存在したが、すべてが対照群で発生し、ワクチン接種群では重症化症例を認めなかった。1回目のワクチン接種から14日以内(2回目のワクチン接種前)の感染予防有効性(ワクチン1回接種の効果)は50.8%であり、やはりBNT162b2と同等であった。副作用/有害事象に関しても、ワクチン接種時に認められる一般的なものが中心で特異的なものは認められなかった。ただ、ワクチン接種群にベル麻痺が1例発生し、米国FDAはワクチン接種と無関係だとは結論できないとしている。mRNA-1273の問題点は、BNT162b2で指摘した内容がそのまま当てはまる(治験対象から外れた17歳以下の症例、妊婦に対する有効性、ワクチン接種による液性/細胞性免疫の賦活化の持続時間とそれに規定される感染予防効果の持続時間、無症候性感染に対する予防効果など)。(3) AstraZeneca社のChAdOx1は、S蛋白の全長に対する遺伝子情報を、チンパンジーアデノウイルス(Ad)をベクターとして宿主に導入した自己非増殖性DNAワクチンである。本ワクチンに関する初期試験は高齢者を対象としたものを含め終了し(Folegatti PM, et al. Lancet. 2020;396:467-478. , Ramasamy MN, et al. Lancet. 2021;396:1979-1993.)、第III相試験の中間解析結果も正式の論文として発表された(Voysey M, et al. Lancet. 2020 Dec 8. [Epub ahead of print])。本ワクチンに関する第III相試験は英国、ブラジル、南アフリカ共和国において施行されたものを総合的に評価したもので、対象は18歳以上の1万1,636例(対照群:ワクチン群=1:1)であった。 本第III相試験はStudy designに種々の問題点が存在し、その結果の解釈には注意を要する。問題点として、(1)試験施行国での2回目のワクチン接種時期が、決められた1回目ワクチン接種後4週ではなく、それからかけ離れている症例が多数存在する。(2)1回目のワクチン量が国によって異なり、標準量(SD、5×1010 viral particles)の半量(LD、2.2×1010 viral particles)を接種した対象とSD量を接種した対象が混在している。(3)対照群に投与された偽ワクチンが、生食の場合とMeningococcal group A, C, W, Y conjugate vaccine(MenACWY)の場合が混在しており、偽ワクチンの差が感染予防有効性の最終結果をどのように修飾しているのかが判断できない。以上のような問題点を有する第III相試験ではあるが、ワクチンによる感染予防有効性を見てみると(2回目ワクチン接種後14日以上経過した時点での判断)、1回目LD量のワクチン接種、2回目SD量のワクチンを接種した群(LD/SD群)での感染予防有効性は最も高く90%であった。一方、SD/SD群の有効性は62%で、LD/SD群に比べ明らかに低い値を示した。 以上の結果は、ChAdOx1の場合、SD量を2回接種したとき(SD/SD群)には、“基礎編”で考察したように、1回目のSD量ワクチン接種後ベクターとして用いたチンパンジーAdに対する抗体が高度に形成され、その結果として2回目のSD量ワクチン接種時にAdの一部が破壊され遺伝子情報の宿主への導入量が減少、S蛋白関連の液性/細胞性免疫の賦活化が低めに維持された可能性を示唆する。一方、LD/SD群では、初回ワクチン量が低いためAdに対する抗体産生量も低く、2回目のSD量ワクチンに対する負の効果が弱められたのではないかと推察される。しかしながら、LD/SD群には65歳以上の高齢者が1例も含まれておらず、LD/SD投与の優越性が高齢者においても維持されているかどうかは不明である。 副作用/有害事象に関しては、ChAdOx1の治験中に横断性脊髄炎の発症が第I~III相試験を通して3例報告されている。うち1例は偽ワクチン接種後に発生していたことなどから、ChAdOx1接種とは無関係だと結論された。しかしながら、RNAワクチンでは横断性脊髄炎は報告されておらず、ChAdOx1接種後のみに2例の横断性脊髄炎が発生した事実は看過できない問題だと考えられる。ChAdOx1に限らず、RNAワクチンの報告も数ヵ月以内の短い経過観察におけるものであること、さらには、第III相試験でも数万人程度の接種人数であり、ワクチン接種が世界的規模で始まり億単位の人に接種された場合に、頻度の低い有害事象が出現する可能性があることを踏まえ、今後の確実な経過観察の継続が必要である。 AstraZeneca社のChAdOx1に関しては、以下の諸点について再考が必要と思われる。“基礎編”で考察したように、Adをベクターとするワクチンでは2回目のワクチン接種によって誘導されるブースター効果が弱く、単回ワクチン接種で2回接種の場合と遜色ない臨床的効果が得られる可能性がある。ワクチン接種に起因する副作用/有害事象の発現を考慮すると、単回接種の可能性を追求すべきかもしれない。第III相試験の結果からは、ChAdOx1に関する至適用量(LD量かSD量か)が決定されたとは言い難い。対照群に用いる偽ワクチンの固定化、2回目のワクチン接種時期を1回目ワクチン接種4週後に確実に固定したうえで、十分な人数の高齢者を治験対象に含め、LD/LD群(ワクチン半量2回接種)、LD/SD群、SD/SD群に関する新たな第III相試験を計画してもらいたい。これらの治験データが提出されない限り、ChAdOx1を臨床的に有効なワクチンとして受け入れることは難しい。ただ、本ワクチンは2~8℃(家庭用の冷蔵庫)の保存で少なくとも6ヵ月間は安定しており、利便性の面でBNT162b2、mRNA-1273より優れている。さらに、ChAdOx1のコストはBNT162b2、mRNA-1273に比べ安価だと報告されており(コーヒー1杯分の値段とのこと)、その意味でもChAdOx1の開発を成功させてもらいたいと念願するものである。 12月11日、AstraZeneca社は、ChAdOx1(チンパンジーAd)とロシア製Sputnik V(ヒトAd26でpriming、Ad5でboost)を組み合わせた臨床治験をロシアにおいて開始すると発表した。2種類のDNAワクチンを組み合わせることによって、新型コロナに対する感染予防効果を高めることができるかどうかの検証を目的とした治験である。

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第40回 新型コロナウイルスへの抗体やメモリーB細胞が感染後少なくとも8ヵ月間持続

無症状か軽症の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染(COVID-19)から8ヵ月を過ぎた患者のほとんどからSARS-CoV-2のスパイクタンパク質(S)やヌクレオカプシド(N)への抗体を検出することができました1,2)。検討されたのは韓国の58人で、それらのうち7人は無症状、残り51人は軽症でした。感染から8ヵ月時点で抗N Igは53人(91%)、抗N IgGは15人(26%)、抗S IgGは50人(86%)、抗S1 IgGは40人(69%)から検出できました。中和抗体も半数を超える31人(53%)から検出できました。さらに心強いことに、遭遇したウイルスを覚えておいて次の襲来時に素早く抗体を生み出すメモリーB(Bmem)細胞の少なくとも8ヵ月間の存続もオーストラリアのMenno van Zelm氏等のチームによる別の研究で確認されています3,4)。van Zelm氏等はCOVID-19患者25人の発症後4日~8ヵ月(242日)の血液中の抗体やBmem細胞を調べました。Bmem細胞はフローサイトメトリーを利用した手法で検出されました。まず抗体はどうだったかというと、スパイクタンパク質受容体結合領域(RBD)やヌクレオカプシドタンパク質に対するIgGは減りはしたものの韓国での研究と同様に全員から検出できました。一方、抗体がすぐに減り始めたのとは対照的にそれらSARS-CoV-2タンパク質に対するBmem細胞は100~150日後まで増え続け、8ヵ月後まで安定して存続していました。抗原減少につれて減っていく抗体に比べて長い間安定なSARS-CoV-2特異的Bmem細胞は長期免疫のより確実な指標の役目を果たすようであり、van Zelm氏等が開発したフローサイトメトリーによるSARS-CoV-2特異的Bmem細胞検出法はCOVID-19感染やワクチン接種後の長期免疫記憶の判定に役立つでしょう。重症のCOVID-19患者ほど臓器や免疫系を攻撃しうる自己抗体活性が高いSARS-CoV-2感染への免疫反応はジキル博士とハイド氏のような表裏があるようで、次に備える抗体やメモリーB細胞などの有益な免疫反応を引き出す一方で異常な免疫反応を誘発することも知られつつあります5)。米国・エール大学のCOVID-19研究で名を馳せるAkiko Iwasaki(岩崎明子)氏等がCOVID-19患者194人を調べたところ重症の患者ほど臓器や免疫系を攻撃、いわば誤爆しうる自己抗体活性が高いことが示されました5,6)。感染解消に必要な免疫細胞を攻撃してしまう自己抗体もあれば中枢神経系(CNS)・心臓・肝臓・胃腸・血管・結合組織を攻撃する自己抗体も検出されました。1型インターフェロンに対する自己抗体(抗IFN-I自己抗体)はCOVID-19入院患者の5.2%に認められ、重症の患者により集中していました。抗IFN-I自己抗体を有する患者はウイルス除去に支障を来しており、どうやら抗IFN-I自己抗体があるとウイルス複製がうまく食い止められなくなるようです。また、免疫細胞・B細胞やT細胞表面のタンパク質への自己抗体はそれらの細胞の枯渇と関連することも示され、抗IFN-I自己抗体と同様にSARS-CoV-2への免疫反応を害している恐れがあります。免疫系以外への自己抗体も数多く、たとえば脳の視床下部に豊富なオレキシン受容体・HCRTR2への自己抗体がCOVID-19患者8人に認められ、HCRTR2への自己抗体が多いことは意識低下(グラスゴー昏睡尺度点数低下)と関連しました。SARS-CoV-2感染を脱した後に長く続く後遺症(Post-Covid syndrome)が18~49歳ではおよそ10人に1人、70歳を超えるとその倍の5人に1人に生じると考えられています6)。Long Covidとしても知られるそれらのCOVID-19後遺症は長く体内に居座る自己抗体によって引き起こされている恐れがあると今回の研究を岩崎氏と共に率いたAaron Ring氏は言っています。それに、自己抗体が多岐にわたることはCOVID-19に伴う雑多な病態に寄与しているようです7)。英国や南アフリカで広まるSARS-CoV-2変異株の状況(25日時点)英国で広まるSARS-CoV-2変異株B.1.1.7〔別名variant of concern(VOC)202012/01、かつての名称はvariant under investigation(VUI)202012/01〕は心配なことに他のSARS-CoV-2に比べて15歳未満の小児に感染しやすいかもしれず、流行食い止め(maintain R below 1)のために学校閉鎖が必要かもしれないとインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者によるひとまずの解析で示唆されました8)。更なる調査の上で英国政府諮問委員会NERVTAGは判断を下します。18日のNERVTAG議事録によるとB.1.1.7感染者915人のうち4人は再感染者とみられています9)。南アフリカでも変異株が広まっていますが、21日の世界保健機関(WHO)発表によると英国での変異株とは別物のようです10)。南アフリカでの変異株はB1.351(501Y.V2)と呼ばれ、おそらく8月の終わりから出回り始めました11)。英国の変異株は9月に出現したと示唆されています12)。23日にModerna(モデルナ)社は英国で広まる変異株へのワクチンの検討を数週間のうちに始めると発表しています13)。参考1)COVID-19: Sustained Antibody Response / PHYSICIAN'S FIRST WATCH2)Choe PG, et al. Emerg Infect Dis. 2020 Dec 22;27. 3)COVID immunity lasts up to 8 months, new data reveals / Eurekalert4)Bartley GE, et al. Sci Immunol. 2020 Dec 22; 5: eabf8891.5)Diverse Functional Autoantibodies in Patients with COVID-19. medRxiv. December 19, 20206)'Autoantibodies' may be driving severe Covid cases, study shows / TheGuardian 7)Self-sabotaging antibodies are linked to severe COVID / Nature8)21 December 2020. NERVTAG/SPI-M Extraordinary meetingon SARS-CoV-2 variant of concern 202012/01 (variant B.1.1.7) / NERVTAG9)18December2020. NERVTAG meetingon SARS-CoV-2 variant under investigation VUI-202012/01 / NERVTAG10)SARS-CoV-2 Variant - United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland / WHO11)Confirmed cases of COVID-19 variant from South Africa identified in UK / GOV.UK12)COVID-19 (SARS-CoV-2): information about the new virus variant / GOV.UK13)Statement on Variants of the SARS-CoV-2 Virus / moderna

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軽度から中等度のアルツハイマー病に対する抗Aβ標的薬の有用性~メタ解析

 軽度から中等度のアルツハイマー病に対するAβ標的薬の有効性および安全性を評価するため、中国・広州中医薬大学のLiming Lu氏らが、メタ解析を実施した。Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry誌2020年12月号の報告。 2020年4月までの研究を各電子データベースより検査した。プールされた推定値の算出には、ランダム効果メタ解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ランダム化比較試験19件(バイアスリスクが低い研究17件を含む)、対象患者1万2,903例が抽出された。・メタ解析では、抗Aβ薬とプラセボとの間で、アルツハイマー病評価尺度(ADAS-Cog)の認知サブスケールの差は認められなかった(平均差[MD]:0.20、95%CI:-0.40~0.81、I2=99.8%、MID:3.1~3.8、エビデンスの確実性:中程度)。・ADAS-Cogの結果では、Aβのクリアランスを増加させる薬剤(MD:-0.96、95%CI:-0.99~-0.92)と、Aβ産生を減少させる薬剤(MD:0.78、95%CI:0.25~1.32)とでは、効果が異なる可能性が示唆された(交互作用のp<0.000001)。この違いは、MMSEやCDR-SOBの結果でも認められた。・プラセボと比較し、抗Aβ薬に関連する有害事象は、不安、うつ病、下痢、倦怠感、発疹、失神、嘔吐であった。 著者らは「現在の知見から、抗Aβ薬による介入が認知機能低下の抑制に重要な影響を及ぼす可能性が低いことが示唆された。サブグループ解析により、Aβのクリアランスを増加させる薬剤において有用性が示唆されたが、その信頼性は限定的であり、実際のベネフィットは非常に小さいと考えられる」としている。

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COVID-19の希少疾病患者・家族への影響/特定非営利活動法人ASrid

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、不要不急の外出制限がされたことで、全国的に通常診療の診療控えがみられる事態となった。 こうした社会情勢下でCOVID-19は希少・難治性疾患を持つ患者、その家族にどのような影響を与えたか、希少・難治性疾患分野における全ステイクホルダーに向けたサービスの提供を目的に活動する特定非営利活動法人ASrid(アスリッド)は、全国の患者とその家族、患者団体向けに調査を行い、「COVID-19 が希少・難治性疾患の患者・家族および患者団体に与える影響に関する調査報告書(一次報告)」としてまとめ、結果を発表した(なお、分析は欠損値を除外して実施している)。患者の9割がCOVID-19を「高い脅威」と感じている1)患者・患者家族について期間:2020年10月~11月回答数と属性:有効回答数363人(患者本人:251人、家族など112人)(1)回答者の関連する疾患(上位3つ) 神経・筋(30%)、免疫(18%)、代謝・内分泌(10%)(2)回答者の関連する障害(上位3つ) 肢体不自由(40.8%)、内部障害(20.4%)、言語・聴覚障害(7.2%)2)質問と回答(質問1)COVID-19への脅威の感じ方・COVID-19に対して患者が感じる脅威(n=251):「非常に高い脅威」(52%)、「高い脅威」(38%)、「低い脅威」(7%)「非常に低い脅威」(3%) ・COVID-19に対して家族からみた患者への脅威(n=103):「非常に高い脅威」(72%)、「高い脅威」(24%)、「低い脅威」(3.6%)(質問2)COVID-19による主治医との面談のキャンセル(中断)/延期「延期」(33%)、「経験なし」(42%)、「関係なし」(21%)、「キャンセル」(4%)(質問3)COVID-19による検査のキャンセル(中断)/延期「延期」(33%)、「経験なし」(42%)、「関係なし」(21%)、「キャンセル」(4%)(質問4)COVID-19以降の通院頻度の変化「長くなった」(26%)、「短くなった」(5%)、「変わらない」(69%)(質問5)治療の中断/延期は患者自身・家族にとって、どの程度、生命の脅威・健康に悪影響を与えたと認識しているか・患者自身の認識:「治療中断は生命の脅威」(58.3%)、「治療中断は健康に悪影響」(74.2%)・家族の認識:「治療中断は生命の脅威」(55.8%)、「治療中断は健康に悪影響」(75%)(質問6)オンライン診療の経験の有無とその評価・オンライン診療経験の有無:「経験した」(29%)、「経験していない」(71%)・オンライン診療の評価(「経験した」と回答した95人):「非常に役に立った」(56%)、「役に立った」(42%)、「あまり役に立っていない」(2%)(質問7)患者・家族のメンタルヘルスの課題および家族関係「よく感じた/しばしば感じた」で多かった項目は、「不満や憂鬱」、「家族との絆」、「問題への無力感」、「家族への不満」、「孤立感」の順番だった。  患者・患者家族への調査の結果、COVID-19への脅威は強く感じているものの、診療の中断や通院機会の減少などの影響は大きくなかった。また、オンライン診療は、3割程度にしか浸透していないが、受診者の満足度は高いことがわかった。患者団体はコロナ禍の下でも工夫して情報発信1)患者団体について期間:2020年10月~11月回答数と属性:有効回答団体69団体(1)回答団体の関連する疾患(上位3つ) 神経・筋(29%)、代謝・内分泌(10%)と染色体・遺伝子変化(10%)は同数(2)回答団体の会員数(上位3つ) 1~99名(35%)、100~499名(33%)、500~999名(12%)2)質問と回答(質問1)団体収入の規模(上位3つ)50万円未満(36%)、500万円未満(29%)、1,000万円未満(17%)(質問2)団体諸活動への影響「とてもネガティブに影響/少しネガティブに影響」した事項として「総会」「交流会・講演会・相談会」、「講演・講師活動」が多く挙げられた。(質問3)COVID-19に関連した新規活動の種類(n=65)「関連情報の展開・啓発」(23団体)、「アンケートの実施」(12団体)、「webinarの実施」(4団体)、「マスク・消毒液などの配布」(4団体)、「行政への要望活動」(5団体)(質問4)COVID-19に関連した団体の活動手法(上位3つ)「講演・交流会のオンライン化」(38団体)、「会議のオンライン化」(24団体)、「総会のオンライン化」(10団体)(質問5)団体活動・運営についての懸念事項(上位3つ)「イベント開催困難」(45団体)、「会員減少」(14団体)、「オンラインツール活用困難」(10団体)(質問6)Withコロナ時代の患者団体への支援ニーズ(ニーズを満たす上位3つ)「信頼できる情報源と専門知識の提供」(64%)、「web会議システム利活用トレーニング」(60%)、「患者のメンタルサポート」(42%) 各患者団体は、COVID-19禍の中で、密を避ける工夫をし、オンラインによるイベント開催を行っていた。また、各団体は、収入などが減少する中でも、関連情報の展開や啓発などポジティブな活動をしていることが判明した。 同団体では、最終報告に向けて、さらに分析を行うとしている。

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五十肩は関節内ステロイド注射が短期的に最も有効な治療

 五十肩(肩関節周囲炎)に対するさまざまな治療の有効性について、英国・グラスゴー大学のDimitris Challoumas氏らが65研究のメタ解析を行った結果、関節内ステロイド注射が他の治療(外科的治療を除く)と比べて短期での有用性が高く、その優位性は6ヵ月継続することがわかった。この結果から著者らは、五十肩には最初に関節内ステロイド注射が行われるべきとしている。JAMA Network Open誌2020年12月16日号に掲載。五十肩には関節内ステロイド注射が短期で他の治療より有用 本研究では、五十肩の治療について他の治療法やプラセボ/無治療と比較した無作為化試験を2020年2月にMedline、EMBASE、Scopus、CINHALで検索し、2名が独立して抽出した。主要評価項目は疼痛と機能、副次評価項目は外旋可動域であった。ペアワイズメタ解析の結果は、疼痛と外旋可動域の平均差および機能の標準化平均差として提示した。追跡期間について、短期(12週以下)、中期(12週超12ヵ月以下)、長期(12ヵ月超)に分けた。 五十肩に対するさまざまな治療の有効性について解析した主な結果は以下のとおり。・系統的レビューに含めた65の研究(4,097例)から、34の研究(2,402例)をペアワイズメタ解析に含め、39の研究(2,736例)をネットワークメタ解析に含めた。・ペアワイズメタ解析で統計学的に有意な結果はいくつかあったが、関節内ステロイド注射のみ、疼痛(無治療/プラセボに対する平均差:-1.0 visual analogue scale[VAS]ポイント、95%CI:-1.5〜-0.5VASポイント、p<0.001、理学療法に対する平均差:-1.1VASポイント、95%CI:-1.7〜-0.5VASポイント、p<0.001)および機能(無治療/プラセボに対する標準化平均差:0.6、95%CI:0.3〜0.9、p<0.001、理学療法に対する標準化平均差:0.5、95%CI:0.2〜0.7、p<0.001)において、短期で他の介入に比べ統計学的および臨床的に優位であった。・サブグループ解析とネットワークメタ解析で、関節内ステロイド注射に、簡単な運動・ストレッチ・理学療法(電気療法、モビライゼーション)を伴う自宅運動プログラムを追加することにより、中期でのベネフィットの上乗せがみられた(例 自宅運動を伴う関節内ステロイド注射の無治療/プラセボに対する痛みの平均差:-1.4VASポイント、95%CI:-1.8〜-1.1VASポイント、p<0.001)。 著者らは、「このメタ解析の結果は、1年未満の五十肩患者における早期の関節内ステロイド注射はアウトカムが良いことを示唆している。また、回復の可能性を最大化するために自宅運動プログラムを一緒に行う必要がある」としている。

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新型コロナワクチン、国産希望が約7割/アイスタット

 世界的に収まる気配のない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し、英国、米国、ロシア、中国などではCOVID-19ワクチンの投与が開始された。わが国でも国産ワクチンの開発・研究が進んでいるが、その道のりは険しい。 こうした社会の動きを踏まえ、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、12月20日に「新型コロナウイルス感染症のワクチンに関するアンケート調査」を行った。 アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール “Freeasy”に登録している会員で20歳~79歳の全員に調査を実施したもの。同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2020年12月20日対象:セルフ型アンケートツール“freeasy”の登録者300人(20~79歳)アンケート結果の概要・ワクチンの接種が日本でも開始された場合、受ける時期は「現時点では判断できない」(41.3%)が最多、次に「1ヵ月過ぎてから~3ヵ月以内」(14.7%)と続く・6ヵ月以内にワクチンを受ける理由の第1位は、「個人の感染症予防対策だけでは限界があるから」が65.0%・6ヵ月以内にワクチンを受けない理由の第1位は、「ワクチンの安全性がまだ十分に検証されていないから」が57.2%・どこの国(製薬会社)で開発されたワクチンを接種したいかは、第1位「日本」(67.7%)、第2位「アメリカ」(27.3%)、第3位「ヨーロッパ」(22.0%)と国産のワクチン希望者が多い・ワクチンの接種を開始した国について、「早急すぎると思う」が54%で過半数を超えているアンケート結果の詳細 「COVID-19のワクチンが日本でも接種できるようになった場合、ワクチンを『受ける』『受けても良い』と思う時期はいつか」という質問では、「現時点では判断できない」の41.3%が最も多く、次に「1ヵ月過ぎてから~3ヵ月以内」が14.7%、「3ヵ月過ぎてから~6ヵ月以内」が14.0%だった。また、年代別にみると年代が高いほど接種を希望する傾向がみられた。 「ワクチンを受ける時期で、『すぐに受ける』から『6ヵ月以内』を回答した人『その理由』」(複数回答)について質問したところ、「個人の感染症予防対策だけでは限界があるから」が65.0%と最多で、次に「新型コロナウィルスの感染状況が深刻だから」(51.7%)、次に「集団の感染症予防対策にはワクチン接種が有用だから」(45.0%)との回答が続いた。社会全体を意識した動機が上位を占めた。 「ワクチンを受ける時期で、『6ヵ月以内に受けない』『期間に関わらず絶対に受けない』『現時点では判断できない』と回答した人に『その理由』」(複数回答)について質問したところ、「ワクチンの安全性がまだ十分に検証されていないから」が57.2%と最多で、次に「副作用が怖いから」が50.0%、次に「ワクチンの有効性がまだ十分に検証されていないから」が36.1%、次に「臨床試験の進行が早すぎるから」が26.1%となっており、効果よりも安全性への懸念が強いことがわかった。 「COVID-19のワクチン接種に関わらず、どこの国(製薬会社)で開発されたワクチンを日本で接種できるのが良いと思うか」(複数回答)という質問では、「日本」が67.7%と最も多い結果だった。次に「アメリカ」(27.3%)、「ヨーロッパ」(22.0%)と続き、「わからない・決められない」も20.7%存在した。回答の結果は、日本製という安心感や日本人の体質にあったワクチンといったイメージがあると予想される。 「ワクチンの接種が開始された国について、この動きをどう思うか」という質問では、「やや早急すぎると思う」が37.7%で最も多く、「非常に」「やや」を足し合わせた「早急すぎると思う」の割合で54.0%を示した。 「政府は、現在、COVID-19ワクチンの準備を進めていますが、あなたが気になること」(複数回答)について質問したところ「安全性」が79.0%で最多であり、次に「副作用」が71.7%、つぎに「有効性」が51.7%と続いた。通常より早いペースで開発が進められているためか、多くの回答者が「安全性」を気にかけている実態が浮き彫りになった。 「(COVID-19ワクチンの接種希望の有無にかかわらず)ワクチン接種が開始されたとき、そのワクチンに不安はありますか」という質問では、「やや不安である」が51.7%で最も多く、「非常に」「やや」を足し合わせた「不安である」の割合でみると72.3%を示し、12月20日時点で、約7割の人が不安を伴うという結果だった。 「現時点で、日々増加しているCOVID-19の患者数を抑えるには、どうすればよいか」(複数回答)という質問では、「個人の予防対策の強化」「集団での予防対策の強化」が共に61.7%で最も多く、「全国的なGO TOキャンペーンの延期・中止」(43.3%)、「政府などからの不要不急の外出自粛要請・特別警報」(39.3%)と続き、「早急なワクチン接種の開始」は22.0%で、第7位だった。

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片頭痛の予防治療、rimegepantに発症抑制効果/Lancet

 片頭痛の予防治療において、rimegepantの12週間、隔日投与は、プラセボと比較して片頭痛発症の抑制効果が高く、忍容性は両群で同程度であることが、米国・Biohaven PharmaceuticalsのRobert Croop氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年12月15日号に掲載された。片頭痛の薬物療法は、一般的に、発作の発生時にこれを緩和するための急性期治療と、発作の頻度や重症度を軽減するための予防治療の2つに分類される。経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬rimegepantは、すでに急性期治療における有効性と安全性が確認されている。rimegepantの有効性の評価を目的として米国の92施設が参加 本研究は、片頭痛の予防治療におけるrimegepantの有効性の評価を目的とする二重盲検プラセボ対照無作為化第II/III相試験であり、米国の92施設が参加し、2018年11月~2019年8月の期間に患者登録が行われた(Biohaven Pharmaceuticalsの助成による)。この試験は、4週間の観察期、12週間の二重盲検下の治療期、52週間の非盲検下延長期から成り、今回は、観察期と二重盲検下治療期の結果が報告された。 対象は、年齢18歳以上、前兆の有無にかかわらず1年以上持続する片頭痛、または慢性片頭痛がみられ、初発時の年齢が50歳未満の患者であった。被験者は、rimegepant(75mg、隔日投与)またはプラセボを経口投与する群に無作為に割り付けられ、12週の治療が行われた。 有効性の主要エンドポイントは、4週間の観察期から、治療期の最後の4週間(第9~12週)における、片頭痛発症の平均日数/月の変化とした。有効性の解析は、試験薬の投与を1回以上受け、観察期のデータが14日以上あり、二重盲検下治療期における4週間ごとの3つの期間の少なくとも1つで14日以上のデータがある参加者で行われた。rimegepant群は第9~12週に月当たりの発症日数が4.3日減少 747例が無作為化の対象となり、このうち安全性解析に741例(rimegepant群370例、プラセボ群371例)が、有効性解析には695例(348例、347例)が含まれた。741例の平均年齢は41.2(SD 13.1)歳で、613例(83%)が女性であった。 ベースラインの全体の中等度/重度頭痛発作の既往歴は平均7.8(SD 2.7)日/月であり、446例(60%)が前兆のない1次性の片頭痛型、173例(23%)は慢性片頭痛と判定された。治療しない場合の発作持続期間中央値は24時間(IQR:12~48)であった。観察期間中に有効性の評価が可能であった参加者(rimegepant群348例、プラセボ群347例)の平均片頭痛発症日数/月は、それぞれ10.3(SD 3.2)日および9.9(SD 3.0)日だった。 4週間の観察期から治療期の第9~12週における片頭痛発症の平均日数/月の変化は、rimegepant群が-4.3日(95%信頼区間[CI]:-4.8~-3.9)と、プラセボ群の-3.5日(-4.0~-3.0)に比べ有意に優れた(最小二乗平均[LSM]の差:-0.8日、95%CI:-1.46~-0.20、p=0.0099)。 また、治療期の第9~12週における中等度/重度の片頭痛発症の平均日数/月の50%以上の低下(49% vs.41%、LSMの差:8%、95%CI:0~15、p=0.044)、および治療期の第1~12週における総片頭痛発症の平均日数/月の変化(-3.6日vs.-2.7日、-0.8、-1.3~-0.3、p=0.0017)についても、rimegepant群で有意に良好であった。 有害事象は、rimegepant群が370例中133例(36%)、プラセボ群は371例中133例(36%)で報告された。rimegepant群で頻度の高い有害事象として、鼻咽頭炎(4%)、吐き気(3%)、尿路感染症(2%)、上気道感染症(2%)が認められた。ほとんどの有害事象は軽度~中等度であった。rimegepant群の40例(11%)およびプラセボ群の32例(9%)で、試験薬関連の有害事象と判定された。それぞれ7例(2%)および4例(1%)で、有害事象による試験中止が報告された。死亡例はなかった。 著者は、「rimegepantの半減期は約11時間であり、モノクローナル抗体製剤の約1ヵ月と比較して短いため、より柔軟な治療がもたらされると考えられる。薬剤曝露の迅速な中止が求められる計画的または計画外の妊娠や、有害事象が発現した患者でとくに有用となるだろう」としている。

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第36回 タスクシフトで医師労働時間の短縮計画は実現できるのか?

<先週の動き>1.タスクシフトで医師労働時間の短縮計画は実現できるのか?2.医薬品メーカーに今、問われる安全性と安定供給3.コロナ禍でも着々と進められる社会保障制度改革4.マイナンバーのスマホ搭載でさらなるデータヘルス改革を目指す5.コロナに阻まれる地域医療構想の実現6.准教授の不正請求により再び問われた製薬企業の資金提供1.タスクシフトで医師労働時間の短縮計画は実現できるのか?2019年3月に取りまとめられた「医師の働き方改革に関する検討会」報告書に基づいて、2024年4月からは診療に従事する勤務医における年間の時間外・休日労働の上限は原則960時間以下とされる。2019年7月からは、実際に現場での働き方を改善するために「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で討論されてきたが、本年12月21日に中間とりまとめが発表された。過酷な労働環境で働く医師の働き方改革の必要性から、着実に労働時間短縮の取り組みを進められるように、地域医療確保暫定特例水準(B・連携B水準)と集中的技能向上水準(C水準)の対象医療機関の指定の枠組みや、追加的健康確保措置の義務化、履行確保に係る枠組み、医師労働時間短縮計画などについて必要性が指摘されてきた。今後、地域の医療機関は2023年までに地域住民の求める救急医療を提供しつつ、医師事務補助作業員や他職種とタスクシフティングをして、医師の労働時間短縮に取り組む必要がある。(参考)医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめの公表について(厚労省)2.医薬品メーカーに今、問われる安全性と安定供給製薬業界において、後発品の経口抗真菌薬に通常用量を超える睡眠剤が混入し、死亡者が発生した事件は記憶に新しい。これまで厚労省は、医療費を抑制するため薬価引き下げを続けてきたが、医薬品の製造承認時に定めた製造工程を守れていないメーカーが存在し、今回のような事件が発生した。患者さんに安心して薬物治療を受けていただくためにも、再発防止が望まれる。とくに、薄利多売を求められる後発品は、原薬の調達をインドや中国といった国々に依存しているが、昨年は原薬工場のトラブルにより、セファゾリンの安定供給が途絶えるなど、医療現場に大きな影響が出たばかりだ。医療安全の観点からは、医薬品の安定供給と安全性はコスト削減を実現しながらバランスよく行われるべきである。厚労省は、2020年9月に医薬品の安定確保について取りまとめを発表しており、ワクチンも含め、国民の期待に業界が応える必要がある。(参考)医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(取りまとめ)資料(厚労省)3.コロナ禍でも着々と進められる社会保障制度改革2020年、厚労省は、新型コロナウイルス感染症への対策を打ち出しながらも、2025年に向けた社会保障制度の改革について取り組み続けている。高齢者の自己負担増については、日本医師会から受診抑制への懸念が表明されたにもかかわらず、75才以上の後期高齢者の2割負担導入を決定した。この経緯からも、現役世代から後期高齢者支援への支出軽減というより、現行の社会保障制度を維持する目的が明らかで、一定金額以上の収入のある高齢者には負担増を求め、財政健全化を先送りせずに同時達成する「社会保障と税の一体改革」を実現するためとも言える。新型コロナ感染拡大による財政出動により、健全化の目標は遠のいたが、2025年には団塊の世代が後期高齢者となるため、高齢者医療の支出増に備えた社会保障費の支出マネジメントが、今後も政府の大きな課題となっていくと考えられる。今年の12月14日には、全世代型社会保障改革の方針(案)が取りまとめられており、少子化対策と並んで医療提供体制の改革が述べられている。今後、医療現場でもこの動きを受け止める必要がありそうだ。(参考)全世代型社会保障改革の方針(案)(首相官邸)4.マイナンバーのスマホ搭載でさらなるデータヘルス改革を目指す2020年、政府はマイナンバーの普及促進にさまざまな対策を行ってきた。1人あたり5,000円相当のポイント付与だけでなく、来年度の春から本格的にマイナンバーの利用が推進されることになる。診療所や病院についても、マイナンバー専用端末に補助金を交付し、マイナンバーによって医療機関や薬局において健康保険のオンライン資格確認が可能となる。このほか、マイナポータルを介して、処方箋データや健診データの閲覧など利用者の利便性を高め、複数医療機関での検査、医薬品の処方の重複などを防ぐなど、さらに活用促進を目指す。また、12月23日に開催された社会保障審議会医療保険部会では、マイナンバーカードをスマートフォンに搭載可能にする法改正の検討を行い、保険診療をマイナンバーカードなしでも受けられる方向性について了承を得た。今後のデータヘルス集中改革プランも明らかとなっており、医療現場でも診療情報の情報共有に利用が進むことが期待される。(参考)データヘルス改革の進捗状況等について(厚労省)健康保険証、スマホ搭載 マイナカード活用で可能に(日本経済新聞)5.コロナに阻まれる地域医療構想の実現2025年に向け、病床の機能分化・連携を進めるために、医療機能ごとに医療需要と病床の必要量を推計し、「地域医療構想」の策定を行うため2015年3月から進めてきた。二次医療圏によっては急性期病床が過剰となるため、「地域医療構想調整会議」で協議することとなっていたが、具体的には医療機関の統廃合を伴うため、進捗が遅々として進まなかった。このため厚労省は、2020年1月17日に各都道府県に対して、公立・公的医療機関の再編統合を伴う場合については、遅くとも2020年秋頃までとしていたが、今年は新型コロナウイルス感染拡大のため、延期を余儀なくされた。今年の9月には公立病院事業934億円の赤字の増加が報道されるなど、地方自治体にとっては運営が今後困難となることが予想される。政府は地域医療構想の実現のために、地域医療連携推進法人の利用や再編を支援する取り組みとして、優遇措置を来年度から開始するなど本格的なテコ入れに乗り出した。2023年度には各都道府県において第8次医療計画(2024~2029年度)の策定作業もあり、コロナの収束を待つ間もなく、議論を重ねていく必要がありそうだ。(参考)公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等について(厚労省)令和3年度厚生労働省関係税制改正について(同)6.准教授の不正請求により再び問われた製薬企業の資金提供今年も、麻酔科の元准教授が、実際には使用していない薬剤を手術中に使ったとしてカルテを改ざんし、診療報酬の不正請求を行っていたなど、製薬マネーを巡った大きな報道があった。第三者委員会を立ち上げた病院側によると、同医師は2018年から2年間で、2,800万円以上を不正請求していた。この事件発覚により、大学当局は同医師を懲戒解雇し、10月2日、津地検に刑事告発を行った。その後、12月23日に津地方検察庁から、公電磁的記録不正作出および供用の罪で起訴された。通常、奨学寄付金は製薬企業からアカデミアに対して研究助成目的に提供されるが、今回のように医薬品のプロモーション目的で提供される可能性があり、従来から行っているCOIの開示だけでなく、2020年10月12日に改定された日本製薬工業協会の「医療用医薬品等を用いた研究者主導臨床研究の支援に関する指針」に基づいて、適切に行われる必要性がある。(参考)当院における不正事案について(三重大学医学部附属病院)医療用医薬品等を用いた研究者主導臨床研究の支援に関する指針(日本製薬工業協会)

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有害事象にも目をやり、もう一歩進めたPCI適応に関する考察(解説:野間重孝氏)-1332

 評者自身がそうであったのだが、察するに多くの方々が果たしてこの論文のどこが新しくてJAMA誌に掲載されるに至ったのだろうかと、当初いぶかしく思われたのではないだろうか。FFRによって患者を選別することにより、虚血が証明された虚血例と虚血が証明されない非虚血例では血管インターベンション(PCI)の成績が異なり、虚血例では予後改善効果が期待できるのに対して、非虚血例ではそのような結果が期待できない。だから医学的側面からも、対費用効果の側面からもFFRを用いた患者の選別は有効であるということは、すでに結論の出た問題として扱われるべきだと考えられているからだ。この論文の新しい点は、こういう観点から一歩進んで、非虚血例に対してPCIを行うことは効果がないばかりではなく、有害であることを示唆したことにある。 わが国においても、米国におけるAUC(Appropriate Use Criteria)の導入を受け、2018年4月の診療報酬改定で安定狭心症に対する保険算定要件が変わった。従来は安定狭心症であっても一方向からの造影で75%以上の狭窄が認められれば算定されたものが、新たに機能的虚血診断が義務付けられた。この改定は、わが国において大きな意味を持っていた。海外では圧倒的に緊急PCIが多いのに対し、わが国では緊急PCIは15%程度で、85%が安定狭心症に対するものだったからだ。この改定によってそれまで3割程度にしか施行されていなかった虚血評価が急速に普及した。その結果わかってきたことは、一方向で90%に見える狭窄の場合でも機能的虚血評価では陰性を示す例もあれば、50%程度にしか見えなくとも陽性を示す例があるということで、PCIの適応の判断は“見た目”ではできないということだった。実際、日本心血管インターベンション治療学会が2012年から行ってきたCVIT-DEFER registryにおいて、血管造影上の狭窄の程度とFFR計測結果にはミスマッチがあることが明らかにされている。 この領域におけるランドマーク研究としてはDEFER研究、FAME研究、FAME2研究の3つが挙げられる。この論文評は総論ではないので、各研究の詳細について紹介することは控えるが、いずれの研究においても細目は異なるものの、FFR値が一定値以上を示す非虚血群とそれ以下の虚血群に割り付けがなされ、それぞれの群内でさらにPCIが行われた群と行われなかった群に分けられ、その予後が長期フォローされた。これら一連の研究によって、虚血群では心事故の発生頻度の低下が見られるのに対し、非虚血群では効果が見られないことが証明された。これらの結果から対費用効果についても論じられ、非虚血群に対してPCIを行うことは医学的に意味がないばかりでなく、医療経済的に不利益をもたらすことが示された。 こうした研究の背景には、多くの研究により、冠動脈バイパス術(CABG)が虚血性心疾患患者の予後改善をもたらすのに対し、PCIは急性心筋虚血例に対して施行されたものは予後の改善をもたらすものの、安定した虚血性心疾患の予後改善効果はCABGに劣るとする結果が提出され、これに対して反論を試みたいというアンジオグラファーたちの熱意があった。近年の考え方としては、機能的に虚血の存在がはっきり証明された症例において行われるPCIの予後改善効果はCABGに劣るものではないという考えが大勢を占めるに至っている。ただし、意地の悪い言い方をすれば、これは今まで必要のないPCIが多数行われてきたということも意味する。では、非虚血例に対して本来は必要がないPCIを施行するとどうなるのか。その視点で行われたのが本研究である。 これまでの研究では、非虚血例に対するPCIは予後改善をもたらさないという点にとどまっていた。本研究はそれから一歩進んで、非虚血例にたいするPCIは心事故の発生頻度を上げる、つまり、有害であるという結論を提出した。確かに“治療行為”というのは、見方を変えれば血管に傷を付ける行為でもある。であるとするならば、必要のない傷害は避けられるべきだという考え方には説得力がある。 はじめに述べたように、わが国においては安定狭心症に対するPCI施行例が圧倒的多数を占めている。本研究の提示した問題は、わが国においてこそ大いに研究されるべきテーマではないだろうか。予後改善というプラスの側面にばかり注目するのではなく、有害事象の発生というマイナスの側面に注目した研究が行われる必要があることを示したという点で、意義深い研究であったと評価できる。

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