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コロナ関連急性呼吸不全の呼吸管理:高流量鼻腔酸素or ヘルメット型非侵襲換気?(解説:山口佳寿博氏)-1402

 新型コロナ感染症に惹起された急性低酸素性呼吸不全(ARDS)の病理/形態、分子生物学的異常は、本感染症が発生した2020年の早い段階で明らかにされた(Ackermann M, et al. N Engl J Med. 2020;383:120-128., 山口. CLEAR!ジャーナル四天王-1265)。その結果、コロナARDSの病理/形態学的特徴は;(1)ARDSの通常所見としてのDiffuse alveolar damage(DAD)、(2)特異的所見として、血管内皮細胞炎(Endothelialitis)、血管増生賦活遺伝子と抑制遺伝子の不均衡に起因する著明な血管増生(Angiogenesis)を伴う肺微小循環血栓形成(TMA:Thromboembolic microangiopathy)であることが判明した。 血管内皮細胞炎/血管増生は、コロナ以外の原因によるARDSでも認められるが(Osuchowski MF, et al. Lancet Respir Med. 2021;9:622-642.)、コロナARDSではとくに著明な現象である。これらの病理/形態学的異常から、コロナARDSの呼吸生理学的特徴は;(1)肺胞虚脱/無気肺に起因する右-左血流短絡(Shunt:VA/Q=ゼロ)を含む低VA/Q領域の形成、(2)TMAに起因する肺胞死腔(Alveolar dead space:VA/Q=無限大)を含む高VA/Q領域の形成、(3)肺胞中隔病変(肺胞膜、肺毛細血管)に起因する拡散障害(Diffusion limitation)と考えることができる。これら3要因によって重篤な低酸素血症が惹起されるが、拡散障害の寄与率は低い。 ここで注意しなければならない点は、微小血管損傷を伴わない低VA/Q領域では、低酸素性肺血管攣縮(HPV:Hypoxic pulmonary vasoconstriction)によって肺血流は損傷部位から正常部位に再分布し低酸素血症を是正するが、ARDS肺にあっては、低VA/Q領域のHPVが麻痺しており(HPV paralysis)、肺血流の再分布が起こらず低酸素血症の是正は簡単ではない(Yamaguchi K. Chapter 9, p.149-172, 2020. In: Structure-Function Relationships in Various Respiratory Systems -Connecting to the Next Generation, Springer-Nature, Tokyo, Japan.)。高VA/Q領域のTMA病変部位からはHPV paralysisに陥っている低VA/Q領域に肺血流が再分布し、低酸素血症をさらに悪化させる。すなわちHPV paralysisは、ARDS肺における低酸素血症を治療抵抗性に移行させる重要な要因の1つである。治療抵抗性の重篤な低酸素血症は、“Refractory hypoxemia”と定義される。 本論評で取り上げたGriecoらの論文(Grieco DL, et al. JAMA. 2021;325:1731-1743.)は、首から上をHelmetで覆い非侵襲的呼吸管理(NIV:Non-invasive ventilation)を行うHelmet型NIVと鼻腔を介する高流量酸素投与(HFNO:High-flow nasal oxygen)の効果を、イタリア4施設のICUにおける多施設ランダム化比較試験によって検討したものである(HENIVOT Trial)。対象患者は、両側肺に浸潤陰影を認め、PaO2/FIO2値が200以下のARDS患者で、基礎的薬物治療として低用量デキサメタゾン(サイトカイン産生抑制薬)が100%の患者に、レムデシビル(抗ウイルス薬)が81%の患者に投与されていた。HFNO群(54例)では、高流量酸素(60L/min)投与を少なくとも48時間継続した後HFNOを離脱する方法がとられた。Helmet型NIV群(53例)では、Peak inspiratory flow:100L/min、Pressure support:10~12cmH2O、PEEP:10~12cmH2Oの初期設定の下48時間の呼吸管理が施行され、その後、Helmet型NIVを離脱する方法がとられた。以上のような2群において、28日間の観察期間における呼吸管理に関連する種々の指標が比較された。 その結果、Primary outcomeである28日間における補助呼吸管理が必要であった日数においては両群間で有意差を認めなかったが、Secondary outcomesとして設定された治療失敗率(気管内挿管率)、侵襲的機械呼吸補助が必要な日数に関してはHelmet型NIV群において有意に良い結果が得られた。以上より、症例数が少ないために確実な結果とは言い切れないが、Griecoらの論文は、コロナARDSの低酸素血症の治療にはHFNOよりもHelmet型NIVを適用することがより妥当であることを示唆した。 Helmet型NIVは、通常のFace-mask型NIVならびにHFNOに比べ、患者の密閉度が高い、安定したPEEPを維持できる、会話可能などの患者耐用能が高い、呼吸筋仕事量を低く抑え呼吸筋疲労を抑制できる、などの利点がある。コロナなど種々の感染症に起因する呼吸不全の管理では、患者から排出される感染微生物の周囲環境への播種をどのようにして防御するかが、ICUなどの施設内感染を予防するうえで非常に重要な問題である。Helmet型NIVでは吸気側、呼気側に微生物除去用Filterを装着することによって患者をHelmet内に密閉・隔離できるので、ICU内感染防御の面からはFace-mask型NIV、HFNOに比べ確実に優れている。しかしながら、Helmet型NIVはCO2の再呼吸が発生しやすく、上肢浮腫の発生頻度が高くなる欠点を有する(Munshi L, et al. JAMA. 2021;325:1723-1725.)。 HFNOにおいても装置の改良が進み、現在では、吸入気酸素濃度を21%から100%の間で調節できる機種が臨床の現場で使用されている。HFNOにおいても高流量酸素吸入(30L/min以上)によって気道内圧が上昇しPEEP様効果が発現する。しかしながら、HFNOにおけるPEEPはHelmet型NIVなどによる通常のPEEPとは異なり、気道内圧の変動に伴う受動的なもので、呼気相の早期に肺胞内圧は上昇するが呼気終末には肺胞内圧は低下する。そのため、肺ガス交換の維持に必要な呼気終末の肺胞Recruitmentの程度は、Helmet型NIVに比べHFNOで低いと考えなければならない。 コロナARDSの呼吸管理において今後考えなければならない重要事項の1つは、肺損傷部位に発生するHPV paralysisに対する治療法の確立である。HPV paralysisは治療抵抗性の低酸素血症を惹起するので、いくら酸素投与法を工夫してもHPV paralysisを是正しない限り、肺のガス交換効率ならびに生体の酸素化状態を劇的に改善させることができない。HPVは細葉内に存在する直径100~300μmの筋性肺細動脈の収縮によって生じるが、ARDSなどの損傷肺にあっては、肺細動脈壁における種々の血管拡張物質合成酵素の過剰発現がHPVの減弱に関与する。過剰発現する血管拡張物質合成酵素の中で、構造型、誘導型のNO合成酵素(eNOS、iNOS)ならびに構造型、誘導型のCyclooxygenase(COX-1、COX-2)がHPV paralysisの発生に重要な役割を果たすことが判明しており、これらの酵素を阻害することでARDSのHPV paralysisは有意に回復することが動物実験レベルで示されている(Naoki N, et al. Eur Respir J. 2002;20:43-51.)。臨床的に安全に投与できるのはCOX阻害薬(インドメタシン、アスピリンなど)であるので、今後、これらの薬物投与下でHelmet型NIV、HFNOの効果を検証する治験を期待したい。 Chowらは、小規模の観察研究ではあるが(アスピリン投与群:98例、非投与群:314例)、コロナ感染症患者にあって侵襲的機械呼吸の導入率、ICU入院率、病院内死亡率が、何らかの理由でアスピリン投与を受けていた群で有意に低いことを示した(Chow J, et al. Anesth Analg. 2021;132:930-942.)。さらに、アスピリンがARDSの発症/進行リスクを低下させるという直接的報告も散見される(Erlich JM, et al. Chest. 2011;139:289-295., Chen W, et al. Crit Care Med. 2015;43:801-807. , Panka BA, et al. Shock 2017;47:13-21.)。これらの報告は、アスピリンがHPV paralysisを抑制しコロナ重症例の肺ガス交換異常を改善するという、本論評で展開した仮説を支持する臨床的知見として興味深い。 アスピリンは、上述した血管拡張物質産生抑制に加え、トロンボキサンA2合成阻害を介して血小板凝集に起因する血栓性病変の発現を抑制、さらには、IL-6の産生抑制を介してCytokine stormの進行を抑制する(Chow J, et al. Anesth Analg. 2021;132:930-942.)。すなわち、アスピリンはARDSの発症/進行を抑制、血栓性病変を予防、HPV paralysisを是正し肺ガス交換効率を維持する作用を有し、ARDSに対する“廉価な総合薬”と考えることができる。今後、古き廉価なアスピリンがコロナ感染症などに併発したARDSの分野において正しく再評価されることが望まれる。

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みんなの脳神経内科

“最短距離”で書かれた、“みんなの”ための1冊脳梗塞、認知症、てんかん、パーキンソン病、しびれなど、プライマリケア領域や救急で遭遇する脳神経内科領域の主要疾患について、神経診察や画像診断のポイントなど、実際に現場で使える知識や診断テクニックを中心に、研修医や非専門医に向け著者の豊富な経験を基に平易な言葉でわかりやすく“最短距離”で書かれた、“みんなの”ための1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    みんなの脳神経内科定価3,960円 + 税判型A5判頁数240頁 発行2021年5月著者山本 大介電子版でご購入の場合はこちら

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「ミオナール」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第55回

第55回 「ミオナール」の名称の由来は?販売名ミオナール®錠50mgミオナール®顆粒10%一般名(和名[命名法])エペリゾン塩酸塩(JAN)効能又は効果○下記疾患による筋緊張状態の改善頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛症○下記疾患による痙性麻痺脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症、術後後遺症(脳・脊髄腫瘍を含む)、外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、筋萎縮性側索硬化症、脳性小児麻痺、脊髄小脳変性症、脊髄血管障害、スモン(SMON)、その他の脳脊髄疾患用法及び用量錠50mg通常成人には1日量として3錠(エペリゾン塩酸塩として150mg)を3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。顆粒10%通常成人には1日量として1.5g(エペリゾン塩酸塩として150mg)を3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年6月9日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2015年12月改訂(改定第8版)医薬品インタビューフォーム「ミオナール®錠50mg/ミオナール®顆粒10%」2)Medical.eisai.jp:製品情報

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第61回 昭和大麻酔科で大量論文不正、MBA持つ元教授が「指導態度が高圧的」な講師を評価し続けた理由

約1年かけて100本以上の論文を調査こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末はMLBの中継を中心に、だらだらとテレビを観て過ごしたのですが、民放やNHKの報道番組などで、オリンピック関連の話題を若干肯定的に、明るい話題として伝えるようになってきたのが、気になりました。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身 茂会長に対するバッシングもなんなのでしょう。尾身氏のオリンピック開催によるリスク等に関する発言に、政権与党側が相当イラついているようです。菅 義偉首相がオリンピックに関して「平和の祭典」などとトンチンカンなコメントしかしないので、尾身氏が万全のリスク管理の必要性を説いたに過ぎないと思うのですが……。さて今回は、昭和大学(東京都品川区)の麻酔科医による論文不正について書いてみたいと思います。昭和大は5月28日、麻酔科学講座の講師だった上嶋 浩順医師が2015~20年に発表するなどした計142本の論文に不正があった、と発表しました。うち117本に捏造や改ざんがあったとして調査委員会(委員長:中村 明弘昭和大学理事、薬学部長)は論文の撤回を上嶋氏に勧告しました。また、昨年5月12日付けで上嶋氏を懲戒解雇、一部の論文で不適切に共著者になっていた同講座教授の大嶽 浩司医師を降格の処分としました。この論文不正は昨年3月、上嶋氏が論文を投稿したJournal of Anesthesia(日本麻酔科学会の英文機関誌)の編集長から同学会に報告があったことで発覚しました。同誌から調査依頼を受けた昭和大は調査委員会を設置して調査を開始、その直後、上嶋氏と大嶽氏が連名で執筆した論文計6本について、掲載した日米の学術誌が「不正があった」などとして撤回、その事実が昨年7月に新聞等で大きく報道され、表沙汰となりました。2人の連名の論文が100本以上に上ったことから調査委員会は約1年かけて不正の内容を調査し、今回の公表に至ったというわけです。142本の論文に不正、うち117本に捏造や改ざん昭和大が公表した「昭和大学における研究活動の不正行為に関する調査結果概要」によると、調査の対象となったのは論文147本と、執筆に関わった上嶋氏と大嶽氏、部下の医局員2名の計4名です。論文147本のうち、上嶋氏は原著論文9本、Letter to the Editor 74本、出版前の原著論文4本の捏造と、原著論文1本、症例報告1本の改ざんを認めました。さらに症例報告4本、Letter to the Editor 16本はデータがなく、捏造ではないことを証明できないため、調査委員会は捏造と認定しました。このほかに、本人が認めていない症例報告1報、Letter to the Editor2本を改ざん、症例報告1報、「関連領域と話題」1本、Letter to the Editor3本を捏造と認定しています。最終的に、捏造、改ざんがあった論文は合計117本に上りました。さらに、131本では論文作成に貢献していない人が共著者に入るなど、不適切なオーサーシップが認められたとして大嶽氏のほか、医局員2人の不正も認定しました。助教の1人は関係のない論文の著者となり学位を申請するよう指示され、それに従ったとのことです。2人については学位取り消しとなりました。なお、捏造・改ざんが認定された論文のデータ処理や解析は上嶋氏が単独で行っており、ほかの共著者については研究不正への関与は認められなかった、とのことです。元教授はMBAを持つ異色の麻酔科医上嶋氏は2004年関西医科大学卒で、同大、倉敷中央病院、埼玉医科大学国際医療センターなどを経て2015年から昭和大麻酔科で働いていました。気道管理と超音波ガイド下神経ブロックが専門で、多数の論文のほか、気道管理や神経ブロックの解説書の著書もあります。そんな氏が、なぜこのような大量の論文不正を行ったのでしょう。調査委員会の報告書によれば、不正の「発生要因」として「上嶋氏の研究不正に対する意識の欠如」「研究内容の確認体制の欠如」「著者としての責任に対する認識及び知識・理解の欠如」を挙げています。中でも、「研究内容の確認体制」はほぼ機能していなかったようです。報告書によれば、上嶋氏の臨床業務姿勢が極めて勤勉で、学外から臨床技術に対して高い評価を受けていたことから、大嶽氏が信頼に値する講座員と評価、共著者の選出を含めて一任しており、上嶋氏は「論文投稿前に相談や研究内容の確認を行わず、独断で論文投稿を行うようになっていた」とのことです。一方、大嶽氏も、上嶋氏が積極的に臨床研究を行い、多くの論文を執筆し、公表していることを評価しており、「研究内容の定期的な確認を行っていなかった」としています。その大嶽氏は1998年東京大学医学部卒、帝京大学医学部附属市原病院、シカゴ大学ビジネススクールMBA課程、帝京大学医学部附属病院、自治医科大学を経て2013年から昭和大学麻酔科学講座の教授を務めていました。MBAも持つ異色の麻酔科医で、マッキンゼー・アンド・カンパニーで経営コンサルタントの経験もあります。昭和大麻酔科講座教授に就任後も遠隔ICUのサービスを提供する会社の取締役も一時務めています。ひょっとしたら目線や興味が学外に向かう分、医局運営が他人任せで疎かになっていたのかもしれません。「意見を言うことで指導を受けられなくなることを恐れ」た部下たち報告書はそうした「発生要因」に加え、「講座内での不適切な指導体制」の存在も指摘しています。それによれば、上嶋氏は「末梢神経ブロックの若手医師への教育・指導を期待されて本学に着任。麻酔科学講座において他の医師へ末梢神経ブロックの指導を行っていたが、指導態度が高圧的であり、誰も意見を言えない状況であった」としています。さらに同氏が医局内の末梢神経プロックの指導対象者を自ら選出していたため、「意見を言うことで指導を受けられなくなることを恐れて指示に従わざるを得なかったと共著者は調査に対して回答している」と報告書は書いています。ひょっとしたら上嶋氏の下に付けば、論文数が少なくても学位はなんとかなる、といった評判でもあったのかもしれません。学位が取り消されてしまっては元も子もありませんが。背景に「業績に基づく組織運営体制」と麻酔科学会ところで、この事件については、日本麻酔科学会も5月28日に「上嶋浩順氏論文に関する調査報告書」を公表しています。Journal of Anesthesiaが日本麻酔科学会の英文機関誌であったことから、同学会は「上嶋浩順氏論文調査特別委員会」(委員長:川口 昌彦奈良県立医科大学附属病院教授)を組織、上嶋氏が所属した昭和大、埼玉医科大学国際医療センター、関西医大、岡山大に調査依頼を行い、それをとりまとめた報告書、という体裁です。この報告書では、昭和大時代の論文のみに捏造と改ざんが認められたとしています(昭和大の調査結果は同大報告書とほぼ同じ内容)。この報告書では、不正行為の発生要因として、「上嶋氏の研究公正に対する意識の欠如」「研究実施体制の不備」「研究データの管理体制の欠如 」「著者としての責任に対する認識欠如」など、昭和大の報告書と共通する要因が書かれている一方で、「業績に基づく組織運営体制」の問題点についても、次のように指摘しています。「多くの大学と同様に、昭和大学においても、診療科や個人の評価には、臨床業務実績や研究業績が用いられている。上嶋氏は、自身の昇進だけでなく、医局員の任期更新や医局員のリクルートのため、共著者としての論文提供が必要であった。そのため、研究への関与なく、筆頭著者、共著者となる習慣が医局内に認められた。麻酔科内の組織運営の責任者である大嶽氏は、このような体制を知りつつ、その体制改善の努力を怠っていたことは、今回の研究不正が継続的に行われてしまった背景要因として大きい」。どこの大学の医局にも大なり小なり存在するであろう、臨床業務実績・研究業績至上主義に触れているのは、興味深いところです。大嶽氏にとっても、大量の論文を発表する上嶋氏は「医局にとって役立つ」存在であったことは間違いありません。多少の人格的なマイナス面より“業績”を重視するのは、医学部にはよくあることです。昭和大の事件を聞いて、「そんなことあるよなあ」としみじみと思った大学病院の勤務医は少なくないのではないでしょうか。それにしても、この連載をはじめて1年余り、旭川医大、三重大、昭和大と、なぜこうも麻酔科医ばかりが目立った事件を起こしてしまうのでしょう。次また何か起こったら、腰を据えて取材してみようかと思います。

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ワクチン接種前の屋内大規模ライブ、抗原検査と予防策で感染者なし

 COVID-19感染拡大を防ぐため、多くの国で屋内での集団イベントが禁止され、経済に大きな影響を与えてきた。2020年年末にスペインで行われた、迅速抗原検査(Ag-RDT)を使った予防策の有効性を評価した試験の結果が、The Lancet Infectious Diseasesオンライン版2021年5月27日号に掲載された。 試験はスペイン・バルセロナのライブ会場で開催され、参加者登録はコンサート当日(2020年12月12日)午前中に行われた(この時点でのスペインのワクチン接種率はほぼ0%:編集部注)。鼻咽腔検体を使ったAg-RDT検査で陰性だった成人1,047例を5時間のイベントに参加する群と、帰宅して通常生活に戻る群に無作為に割り付け(年齢・性別で層別して無作為化)、イベント参加群465例、対照群495例を最終解析の対象とした。 スクリーニング会場とコンサート会場の入口では体温をモニターし、参加群全員にN95マスクを配布し、イベント中の着用を義務付けた。900人を収容する会場は十分な換気が行われ、会場内はソーシャルディスタンスをとる必要はなく、歌やダンスも可能とした。アルコールも提供され、飲みものを飲むときだけマスクを外すことが許可された。参加群のイベント滞在時間中央値は2時間40分だった。 抗原検査に使った鼻咽頭検体は、RT-PCR検査および細胞ウイルス培養により分析された。イベントの8日後に再度鼻咽頭検体を採取し、Ag-RDT、RT-PCR検査、およびTMA法で分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点で、実験群13/465例(3%)、対照群15/495例(3%)が、Ag-RDTで陰性だったにもかかわらず、TMA法で陽性となった。RT-PCR検査は両群で1例が陽性となり、細胞ウイルス培養は全例が陰性だった。・イベント8日後、対照群の2例(1%未満)がAg-RDTとPCRで陽性となったが、参加群はいずれも全例が陰性だった。 研究者らは、迅速に行える抗原検査とあわせ、マスク着用をはじめとした十分な感染防止対策をとることで、安全に大規模イベントを行える可能性があるとしている。

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PTSD患者に対するSSRIの治療反応と予測因子

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)治療に対しFDAより承認を受けている薬剤は、パロキセチンとセルトラリンである。両剤共にプラセボと比較し、有用性が示されているものの、すべてのPTSD患者にベネフィットをもたらすわけではない。デンマーク・コペンハーゲン大学のAnne Krogh Nohr氏らは、PTSD患者に対するSSRIによる治療反応の予測因子の調査および潜在クラス分析を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2021年4月26日号の報告。 対象は、PTSD患者390例。オープンラベルのセルトラリンまたはパロキセチンと二重盲検のプラセボによる治療を実施し、症状の重症度を12週間測定した。まず、治療反応に対する集団レベルの予測因子を推定するため、成長曲線モデリング(GCM)を用いた。次に、成長混合モデル(GMM)を用いて、治療反応の経過に基づき患者を潜在クラスに分類し、潜在クラスの予測因子を調査した。 主な結果は以下のとおり。・GCMを用いた集団レベルの治療反応は、性別、小児期の性的トラウマや性的暴行により緩和された。・GMMを用いた分析により、以下の3つのクラスが特定された。 ●早い治療反応者 ●治療前の症状重症度が低い治療反応者 ●治療前の症状重症度が高い治療反応者・クラスの予測因子は、トラウマから発症までの期間、うつ症状の重症度、不安の重症度であった。 著者らは「本結果は、併存疾患の重症度が治療反応の低下に影響を及ぼさないことを示唆しており、とくにトラウマから発症までの期間が長い患者では、セルトラリンまたはパロキセチンによる治療ベネフィットが高い可能性がある」としている。

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肝発がんのリスク評価で共同声明/日本肝臓学会・日本糖尿病学会

 5月20日~22日まで完全WEB開催で開催された「第64回 日本糖尿病学会年次学術集会」(会長:戸邉 一之氏)の中で「第7回 肝臓と糖尿病・代謝研究会」(会長:同)が22日に併催された。その中で、日本肝臓学会(理事長:竹原 徹郎氏)と日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎氏)の共同声明が発表された。 両学会は 2012 年より合同で委員会を設置し、研究会の開催のほか、共同研究として糖尿病外来における肝がんの発生実態の調査、糖尿病外来における肝がん高危険群の同定を目的とし、糖尿病外来における肝細胞がん発生の実態調査を行ってきた。 そこで、今回の研究会で両学会理事長による「肝がんのリスク評価指標に関する共同声明」が発表された。糖尿病患者で注意すべきがんの種類 糖尿病罹患によって全がん罹患のリスクは、1.2倍になるとされ、臓器別では、肝がん1.97倍、膵がん1.85倍、大腸がん1.4倍の順にリスクが高いことが報告され、悪性新生物は、糖尿病外来において注意すべき合併疾患とみなされていること、そして、最近ではウイルス肝炎を合併しない肝細胞がんが急増しており、背景に肥満・糖尿病患者の増加があると考えられている(日本糖尿病学会と日本学会の合同委員会による調査報告)。今後、糖尿病外来診療において、肥満関連肝障害およびそれを母体とした肝細胞がんの発生は、注意を払うべき合併疾患となりうることが提起されている。「FIB-4インデックス」が肝発がんのリスク評価に有効 糖尿病外来における肝がんの発生実態の調査、糖尿病外来における肝がん高危険群の同定を目的とし、両学会は2012年より合同で委員会を設置し、「糖尿病外来における肝細胞がん発生の実態調査を行ってきた」と報告。これを受けて、下記のように声明を行った。「糖尿病学会・肝臓学会双方の研修指定病院において通院歴のある2型糖尿病患者のうち、通院中に肝がんを発症したものを調査した。その結果、糖尿病患者における肝がんの発生率は、年0.1%程度であることが判明した。肝発がんの危険因子について分析したところ、『FIB-4インデックス』と呼ばれる肝臓の線維化を示す指標がリスク評価に極めて有効である事が判明した。有意な肝線維化を示す2.67以上で年発がん率0.6%、肝硬変を示唆する3.5以上で1.0%の高危険群を囲い込むことができる。FIB-4インデックスは、年齢、AST、ALT、血小板という日常臨床で用いられる項目のみで構成されており、日本肝臓学会のホームページでも計算できる」 糖尿病患者における今後の肝がん、肝炎の合併症の診療に活用いただきたい。

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アテゾリスマブの免疫関連有害事象と有効性の関係〜第III相試験プール解析/ASCO2021

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるアテゾリズマブの有効性と免疫関連有害事象(irAE) の関連を検討した第III相試験( IMpower130、IMpower132、 IMpower150)の統合解析の結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。 IMpower130、IMpower132、IMpower150はいずれも未治療Stage IV非扁平上皮NSCLCを対象にアテゾリズマブ含有レジメンを化学療法±ベバシズマブと比較した無作為化第III相試験。これらの試験のデータを統合し、治療(アテゾリズマブと対照)とirAE ステータスの関係を、Coxハザードモデルとランドマーク解析(1、3、6、12ヵ月)を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は2,503例で、アテゾリズマブ群1,577例、対照群926例であった。・全GradeのirAE発現は、アテゾリズマブ群48%、対照群32%、Grade3〜5の発現はそれぞれ、11%と5%であった。・irAE の発症までの期間中央値は、アテゾリズマブ群1.7ヵ月、対照群1.4ヵ月であった。・アテゾリズマブ群の全生存期間(OS)中央値はirAE(+)患者では25.7ヵ月、(ー)患者では13.0ヵ月(ハザード比[HR]:0.69、信頼区間[CI]:0.60〜0.78)、対照群はirAE(+)患者20.4ヵ月、(ー)患者12.8ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.68〜0.99)と、両群ともirAE(+)患者で良好であった。・アテゾリズマブ群の全奏効率(ORR)は、irAE(+)患者61.1%、(ー)患者37.2%、対照群ではirAE(+)患者42.2%、(ー)患者34.0%であった。・アテゾリズマブ群のOS HRをirAEの有無別にランドマーク解析でみると、1ヵ月では0.85、3ヵ月では0.81、6ヵ月では0.82、12ヵ月0.75と、いずれもirAE(+)患者で優れていた。・アテゾリズマブ群のOS HRをirAEのGrade1/2と3〜4に分けてランドマーク解析でみると、1ヵ月では0.78対1.25(Grade1/2 対Grade3〜4)、3ヵ月では0.74対1.23、6ヵ月では0.77対1.1、12ヵ月では0.72対0.87と、Grade1/2群で良好であった。

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ウパダシチニブ、単剤で中等症~重症アトピー性皮膚炎に有効/Lancet

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎の治療において、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬ウパダシチニブの単剤療法はプラセボと比較して、安全性および有効性が優れ、新たな治療選択肢となる可能性があり、ベネフィット・リスクのプロファイルも良好であることが、米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のEmma Guttman-Yassky氏らが実施した2つのプラセボ対照無作為化試験「Measure Up 1試験」および「Measure Up 2試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年5月20日号掲載の報告。2つの用量を評価する2つの反復的なプラセボ対照無作為化試験 これら2つの試験は、反復的な多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、Measure Up 1試験には日本を含む24ヵ国151施設が、Measure Up 2試験には23ヵ国154施設が参加し、それぞれ2018年8月~2019年12月および2018年7月~2020年1月の期間に患者の無作為化が行われた(米国・AbbVieの助成による)。 対象は、Hanifin/Rajka基準で診断された中等症~重症のアトピー性皮膚炎の成人(18~75歳)および青少年(12~17歳、体重≧40kg)であった。中等症~重症は、アトピー性皮膚炎が体表面積の≧10%、湿疹面積・重症度指数(EASI)のスコアが≧16点、担当医によるアトピー性皮膚炎の全般的な重症度の総合評価(vIGA-AD)のスコアが≧3点、最悪のかゆみの数値評価尺度(WP-NRS)のスコアが≧4点と定義された。 被験者は、ウパダシチニブ15mg、同30mgまたはプラセボを1日1回経口投与する群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、16週の投与が行われた。 主要複合エンドポイントは、16週の時点におけるEASIスコアのベースラインから75%以上の低下(EASI-75)を達成した患者の割合と、vIGA-ADの奏効(スコア0[消失]または1[ほぼ消失]かつベースラインから2点以上の改善)を達成した患者の割合とされた。2試験の2つの用量とも、EASI-75とvIGA-AD奏効が優れる Measure Up 1試験は、847例(平均年齢34.0歳、男性54%)が登録され、ウパダシチニブ15mg群に281例、同30mg群に285例、プラセボ群には281例が割り付けられた。また、Measure Up 2試験は、836例(33.6歳、56%)が登録され、それぞれの群に276例、282例、278例が割り付けられた。 16週の時点でEASI-75を達成した患者の割合は、Measure Up 1試験では15mg群が70%(196/281例)、30mg群は80%(227/285例)と、プラセボ群の16%(46/281例)に比べ、いずれも有意に優れた(プラセボ群との補正後群間差:15mg群53.3%[95%信頼区間[CI]:46.4~60.2]、30mg群63.4%[57.1~69.8]、いずれも名目上のp≦0.0001)。また、Measure Up 2試験のEASI-75達成割合は、それぞれの群で60%(166/276例)、73%(206/282例)、13%(37/278例)であり、ウパダシチニブ群が有意に良好であった(プラセボ群との補正後群間差:15mg群46.9%[39.9~53.9]、30mg群59.6%[53.1~66.2]、いずれも名目上のp≦0.0001)。 一方、16週時に、vIGA-AD奏効を達成した患者の割合は、Measure Up 1試験では15mg群が48%(135例)、30mg群は62%(177例)であり、プラセボ群の8%(24例)に比べ、いずれも有意に優れた(プラセボ群との補正後群間差:15mg群39.8%[95%CI:33.2~46.4]、30mg群53.6%[47.2~60.0]、いずれも名目上のp≦0.0001)。また、Measure Up 2試験のvIGA-AD奏効の達成割合は、それぞれの群で39%(107例)、52%(147例)、5%(13例)であり、ウパダシチニブ群が有意に良好であった(プラセボ群との補正後群間差:15mg群34.0%[27.8~40.2]、30mg群47.4%[41.0~53.7]、いずれも名目上のp≦0.0001)。 有効性のエンドポイントの結果は、青少年と成人を含むすべてのサブグループで一貫していた。 ウパダシチニブの2つの用量は、双方とも良好な忍容性を示した。重篤な有害事象や試験薬の投与中止の原因となった有害事象の頻度は、両群で同程度であった。最も頻度の高い治療関連有害事象は、ざ瘡(Measure Up 1試験:15mg群7%、30mg群17%、プラセボ群2%、Measure Up 2試験:15mg群13%、30mg群15%、プラセボ群2%)、上気道感染症(9%、13%、7%/7%、16%、4%)、鼻咽頭炎(8%、12%、6%/6%、6%、5%)、頭痛(5%、7%、4%/7%、7%、4%)、血中クレアチンホスホキナーゼ値上昇(6%、6%、3%/3%、4%、2%)、アトピー性皮膚炎(3%、1%、9%/3%、1%、9%)であった。 著者は、「これらのデータは、全体として、ウパダシチニブの15mgおよび30mgの1日1回経口投与は、成人患者に良好なベネフィット・リスクのプロファイルをもたらすことを示している。ウパダシチニブは新たな治療選択肢となる可能性が示唆される」としている。

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アルツハイマー病治療薬aducanumab、FDAが迅速承認/バイオジェン・エーザイ

 国内で承認申請中(2020年12月申請)のaducanumabについて、脳内のアミロイドβプラークを減少させることによりアルツハイマー病(AD)の病理に作用する初めてかつ唯一のAD治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)が迅速承認した。バイオジェンとエーザイが6月8日に発表した。この迅速承認は、臨床的有用性(臨床症状の悪化抑制)の予測可能性が高いバイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するaducanumabの効果を実証した臨床試験のデータに基づくもの。なお、今回の迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要とされており、もし、臨床的有用性を確認できなかった場合、承認取り消しの手続きが行われる。 本剤の有効性については、アミロイドの蓄積が確認されたADの初期段階(軽度認知障害および軽度認知症)の患者を対象とした第III相試験であるEMERGE試験とENGAGE試験の2つの試験で評価された。また、本剤の効果は、プラセボ対照無作為化二重盲検用量設定第Ib相試験であるPRIME試験においても評価された。これらの試験において、一貫してアミロイドβプラークの減少に対する用量依存的かつ投与期間依存的な効果を示し、ENGAGE試験では59%の減少(p<0.0001)、EMERGE試験では71%の減少(p<0.0001)、PRIME試験では61%の減少(p<0.0001)を示したという。 安全性プロファイルについては、1回以上投与を受けた3,000例以上で確認された。最も多く報告された有害事象は、MRIで観察されるアミロイド関連画像異常(ARIA)だった。ARIA(ARIA-Eおよび/またはARIA-H)は、aducanumab 10mg/kg投与群の41%で、プラセボ群では10%で観察された。ARIAを生じた患者のうち、aducanumab 10mg/kg投与群では24%、プラセボ群では5%が症候性であり、最も多い症状は頭痛だった。ARIAに関連するその他の症状としては、錯乱、めまい、視覚障害、吐き気などであった。アデュカヌマブ治療を受けた患者の少なくとも2%で報告され、かつプラセボ投与群よりも2%以上高い頻度で報告された有害反応は、ARIA-E、頭痛、脳表ヘモジデリン沈着、ARIA-H関連表在性せん妄、転倒、下痢、錯乱/せん妄/精神状態の変化/見当識障害が報告されている。 バイオジェンとエーザイは全世界的にaducanumabの開発ならびに製品化を共同で実施している。

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BRCA変異陽性HER2-早期乳がんへの術後オラパリブ、iDFS改善(OlympiA)/ASCO2021

 生殖細胞系列のBRCA遺伝子(gBRCA)変異のあるHER2陰性早期乳がんに対する、術後のオラパリブ投与が、無浸潤疾患生存期間(iDFS)および遠隔無再発生存期間(DDFS)を有意に改善した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、英国・The Institute of Cancer Research and King's College LondonのAndrew Tutt氏が、日本を含む23ヵ国420施設参加の第III相国際多施設共同無作為化プラセボ対照試験(OlympiA試験)の中間解析結果を発表した。なお、この結果はNEJM誌オンライン版2021年6月3日号に同時掲載された。・対象:初回局所療法および術前/術後療法が終了したgBRCA変異を有するHER2陰性 (TNBC またはHR+)高リスク早期乳がん患者 1,836例[術前化学療法グループ]TNBC:non-pCR、HR+:non-pCRおよびCPS-EGスコア≧3[術後化学療法グループ]TNBC:≧pT2あるいは≧pN1、HR+:陽性リンパ節数≧4・試験群:オラパリブ(300mg、1日2回)を1年間投与 921例・対照群:プラセボ(1日2回)を1年間投与 915例 ※ホルモン療法とビスホスホネート製剤の使用は認められていた・評価項目:[主要評価項目]ITT 集団における無浸潤疾患生存期間(iDFS)[副次評価項目]遠隔無再発生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)、QOL、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2014年6月~2019年5月に患者が登録され、オラパリブ群49.9% vs.プラセボ群50.3%が術前化学療法、50.1% vs.49.7%が術後化学療法を受けていた(アンスラサイクリンおよびタキサン系レジメンの術前[後]化学療法は94.6% vs.92.8%、プラチナベースの術前化学療法は26.8% vs.26.1%)。・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、平均年齢はオラパリブ群42(36~49)歳 vs.プラセボ群43(36~50)歳、BRCA1変異陽性が71.3% vs.73.2%、TNBCが81.5% vs.82.8%であった。・追跡期間中央値2.5年の中間解析における3年iDFS率はオラパリブ群85.9% vs.プラセボ群77.1%(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.41~0.82、p<0.0001)。あらかじめ設定された有意水準(p<0.005)を満たし、オラパリブ群で有意な改善が示された。・最初に登録された900例の追跡期間中央値3.5年における3年iDFS率(mature cohort)はオラパリブ群86.1% vs.プラセボ群77.5%(HR:0.61、95%CI:0.39~0.95)。・3年DDFS率はオラパリブ群87.5% vs.プラセボ群80.4%(HR:0.57、95%CI:0.39~0.83、p<0.0001)とオラパリブ群で有意な改善が示された。・3年OS率はオラパリブ群92.0% vs.プラセボ群88.3%(HR:0.68、95%CI:0.44~1.05、p<0.024)となり、あらかじめ設定された有意水準(p<0.01)を満たさなかった。・オラパリブ群で報告された1%を超えるGrade3以上の有害事象は、貧血 (8.7%)、好中球減少症(4.8%)、白血球減少症(3.0%)、疲労(1.8%)、リンパ球減少症(1.2%)。・重篤な有害事象(オラパリブ群8.7% vs.プラセボ群8.4%)、MDS/AML(0.2% vs. 0.3%)、新たな原発腫瘍(2.2% vs.3.5%)の発生率に差はなかった。・Grade4の有害事象はオラパリブ群1.9%、プラセボ群0.4%で発生。有害事象による治療中止はオラパリブ群の9.9%、プラセボ群の4.2%で発生した。・EORTC QLQ-C30によるQOLの評価結果は、術前化学療法グループおよび術後化学療法グループでともに両群における差はみられなかった。 ディスカッサントを務めた米国・Beth Israel Deaconess Medical CenterのNadine M. Tung氏はプラクティス・チェンジングな結果と評価。一方で、サブグループ解析においてHR+およびプラチナ製剤による治療歴のある患者で効果が若干低い傾向が示唆されている点に着目。より詳細な研究が必要かもしれないと指摘した。また、今後の検討課題として、術後オラパリブ投与の最適期間は1年か、より長期のフォローアップでもMDS/AMLの発生率に変化はないか、そしてOSベネフィットが得られるかといった点を挙げた。

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勤務医と開業医の二択じゃない!お金と時間が手に入るキャリアパス【医師のためのお金の話】第45回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。最近、友人の医師がラーメン店を開業しました!ラーメン酔拳「代打は俺」しかも、普段は医師の友人自らが店頭に立ってラーメンを作る、というガチ開業です。私が医師になった平成ひとケタ年台には考えられないキャリアパスですね。彼は決して医療で「詰んでしまった」わけではありません。むしろ、ラーメン店を開業する直前まで、基幹病院に勤務する脊椎外科医として第一線で臨床に従事していました。また、基幹病院の前職は大学のスタッフで、後進指導とアカデミアを極めるべく多忙な日々を送っていました。医師からラーメン屋へ。ここまで極端な例はまだ多くないですが、皆さんも今後のキャリアパスを考えるうえで参考になるのではないでしょうか。自分の人生を生きるため、勤務医を卒業友人が勤務医を卒業したのは決して衝動的なものではなく、5年ほど前から少しずつ計画していたそうです。今から6年前の2015年、彼は日本整形外科学会のトラベリングフェローに選出され、アカデミアのど真ん中にいました。しかし、その実態は大学の業務で多忙を極めており、予定がすべて医局行事で埋め尽くされていたのです。自分のやりたいことができない不自由さと拘束感はハンパではなく、一度限りの自分の人生を生きている実感を持てなかったそうです。そして、多忙は一種の麻薬です。ブラック企業でもそうですが、過度の業務は感覚を麻痺させてしまいます。自分で能動的に考える習慣がなくなってしまい、他人から与えられた仕事やスケジュールをこなすことが自分の幸せであると思い込んでしまうのです。そのような状態が続くと、気付かないうちにダメージが蓄積します。彼はそのような状態に陥ってしまい、自分の人生を自らの意志で生きるため、勤務医を卒業することを決心しました。なぜラーメン店?「4つのクワドラント」のどこを目指すか イメージ『金持ち父さん 貧乏父さん』(筑摩書房)で有名なロバート・キヨサキは、就業者のカテゴリーとして以下の4つを提唱しています。1)従業員(=勤務医)2)自営業者(=開業医)3)ビジネスオーナー4)投資家医師の場合、勤務医は1)従業員に、開業医は2)自営業者に分類されますが、両者とも時間の融通をつけにくい働き方です。一方、3)ビジネスオーナーと4)投資家は、お金と時間の自由を手に入れやすい属性だといえます。医師がキャリアパスを考えるうえでは、勤務医と開業医の二択と思われがちです。しかし、自分の人生を能動的に生きるためには、お金と時間の自由が手に入りやすいキャリアパスを考える必要があります。友人はラーメン店を多店舗展開することに成功すれば、ビジネスオーナーへの道が開ける、と考えたのです。医師免許を生かした「バーベル戦略」もう1つ、参考になる考え方が、ナシーム・ニコラス・タレブが著書『反脆弱性―不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』(ダイヤモンド社)の中で提唱した「バーベル戦略」です。医師の収入は安定していますが、青天井の報酬を受け取ることは難しいでしょう。一方で、医師の安定性を担保にして、ハイリスク・ハイリターンな人生を掛け合わせると、青天井の報酬にチャレンジできるというのがバーベル戦略の考え方です。要約すると、人は中庸なリスクを取りたがるが、「安全なものを多く」と「ハイリスク・ハイリターンのものを少し」を組み合わせることが最もリターンを得やすい、という理論です。友人はこのバーベル戦略を実践しており、ラーメン店を経営しながら医師としてのアルバイトを週1回続けています。この組み合わせによって、お店が赤字であっても家賃は医師のアルバイト代で賄える、という命綱を持った状況で開業しました。これは通常のラーメン店の店主とは決定的に異なる点です。勤務医を辞めても高額でアルバイトができる医師が起業するのは、通常よりもリスクが抑えられるのです。他者にチャンスを与え、自分も能動的に生きる友人は福岡県の糸島のラーメン店で自ら修業するなどして周到に開業準備をしただけあって、店は順調な滑り出しです。そんな友人が地味にうれしかったのは、店のアルバイトとして地元に雇用を生んだことだといいます。そして、「人生がなかなかうまくいかない」と悩む20代前半の彼らを見ていると、何か力になれないかと考えるそうです。「彼らが店長になって人生がうまくいくきっかけになれば大泣きしてしまうかもしれない」と言っているのを聞いて素直に感動しました。他人に人生のチャンスを提供して、自分の人生も能動的に生きることができる…。まさに彼の決断は、自分も含めて関わる人たちの人生に大きな影響を与えたことになります。キーワードは「自由な発想」医師免許という強力なツールがあれば、考え方を少し変えてみるだけで驚くほど大きな影響を、自分も含めた周囲に及ぼすことが可能です。日常の臨床に忙殺されて、その日を生きるのに精いっぱいの人も多いでしょう。しかし、人生は一度限りです。せっかく天から与えられた人生を能動的に生きるためにも、周囲にいる「少し変わった」人を観察して参考にするのもよいかもしれません。

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薬剤師がワクチンの「打ち手」になる日が来る!?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第69回

新型コロナウイルスワクチンが承認されて怒涛の接種ラッシュが始まると思いきや、意外とペースがゆっくりなのね…と感じている人も少なくないでしょう。接種ペースを上げて、より多くの人がより早くワクチンを接種して集団免疫を獲得するための打開策として、なんと「薬剤師をワクチンの打ち手に」というワードが急浮上しました。日本薬剤師会の山本信夫会長は5月19日、「要請があれば協力できるように研修内容の検討を始める」と発言し、前向きな姿勢を示した。内科医らでつくる民間団体が5月17日、薬剤師を活用することを求める署名約2万4,000人分を河野行政・規制改革相に提出。(ともに2021年5月19日付 読売新聞オンライン)河野太郎・行政改革相は5月18日、ワクチン接種の打ち手について「当然に薬剤師も検討の対象になる」との認識を示した。(2021年5月19日付 朝日新聞Digital)5月24日には日本薬剤師会の山本信夫会長が官邸に招かれ、医療従事者であり、免許取得者が30万人を超える薬剤師にも打ち手として期待を寄せる。(2021年5月26日付 日本経済新聞Web)コロナワクチンの接種率が高い米国では、薬局薬剤師がワクチン接種をしているという報道に影響されたのかな?と思いますが、国によって法律は異なるため、薬剤師が行える業務の範囲も異なることがしばしばあります。実際、米国や英国では薬剤師による注射が認められていますが、日本では医師法によって認められていません。しかし、このように薬剤師への期待が高まって署名が集まったことは、素直に大変うれしく思います。実現するには現行法を改正したり、医師に理解を求めたりする必要があるため時間がかかると思いますが、早くも日本薬剤師会は研修内容の検討を始めるとあり、実際に長崎国際大学薬学部では薬剤師向けに筋肉注射の研修会が開かれました。在宅対応で注射の調製を積極的にしている薬局はまだまだ少ないため、多くの薬局薬剤師は注射の扱いにあまり慣れてはいないでしょうし、日常的に調製や払い出しを行っている病院薬剤師であっても実際に注射を人に打ったことはないでしょう。ワクチンの打ち手になるとしたら相当の研修が必要になるため、これからの動きに注目したいと思います。今回は見送りでも、薬剤師による注射は「オーバーエクステンション」このように「薬剤師がワクチンの打ち手に」という話題は盛り上がりましたが、5月31日の厚生労働省の検討会によって、現時点では見送りとされました。誤解を恐れずに言うと、今回ワクチン接種の担い手になることがなくても、薬剤師がワクチン接種を想定して練習をしているということを示すことが、今後の薬剤師や薬局の役割を変えていくことにつながるのではないかと思います。経営学の用語で「オーバーエクステンション」という言葉があります。私の師匠の1人である伊丹 敬之氏が提唱した言葉で、その企業が持つ資源や能力を超えた事業に挑むという戦略で、短期的に見ればリスクがあるけれども成功すれば長期的な大きな利益が期待できるというものです。ワクチン接種は薬剤師にとってまさに「オーバーエクステンション」なのではないかと思います。リスクは実現しなかったときに、研修や勉強に費やした時間が無駄になることくらいでしょう。ワクチンの調製や経過観察にとどまらず、接種自体を多くの薬局薬剤師が行えるようになったら、もしかしたら来年には薬局でワクチン接種ということになるかもしれません。約6万店も存在して多すぎると言われ続けた薬局が活躍する日も近い!?と期待しています。

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第63回 変な抗体や抗原によるCOVID-19重症化を止めうる薬を同定

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化に寄与しているらしい非フコシル化抗体が悪さをしないようにする薬剤が見つかりました。また、COVID-19小児の重病MIS-Cに寄与しているとおぼしき過剰な抗原を食い止めうる薬剤が別の研究で見つかっています。重症COVID-19患者の過度の炎症反応をSyk阻害剤ホスタマチニブで防ぎうる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質(S)への非フコシル化抗体の過剰がどうやら重症化に寄与していることをこの2月に発表1)したチームのさらなる研究でその重症化を食い止めうる薬剤が同定されました2,3)。抗SARS-CoV-2抗体が炎症を誘発してしまうことはそれら抗体への糖の一種フコシルの付加が少なくて抗S抗体が大量なことを条件とし、マクロファージで発現するFcγ受容体(FcγR)の一つFcγRIII過剰活性化をおそらく介します。FcγRからの信号伝達にキナーゼSykを必要とします。ということは抗S抗体による免疫活性化をSyk阻害剤で防げるかもしれません。その予想はどうやら間違っておらず、Syk阻害化合物R406は重症COVID-19患者の抗S抗体による炎症促進サイトカイン生成を有意に減らしました。R406は免疫性血小板減少症(ITP)の治療として欧米で承認されているfostamatinib(ホスタマチニブ)の有効成分であり、重症COVID-19患者の抗S抗体による過度の炎症反応をfostamatinibで食い止めうると著者は言っています。ちなみに別のエンベロープウイルス・デングウイルス(DENV)感染の重症化と非フコシル化抗体が多いことの関連も示されており4)、抗体Fc領域への糖鎖付加はウイルスへの免疫反応を左右するようです5)。腸から漏れる新型コロナウイルス抗原が多臓器炎症症候群の引き金かもしれないSARS-CoV-2感染小児の多くは無症状かせいぜい軽い上気道症状で事なきを得ますが、感染がおさまってから数日か数週間後に川崎病に似てはいるものの異なる酷な免疫活性化症候群・多臓器炎症症候群(MIS-C)を時に発症します。そのMIS-Cに腸の防御機能の欠損が寄与しているらしいことが新たな研究で示唆されました6)。SARS-CoV-2が腸を住処とすることは成人の研究で知られるようになっており7)、重度のCOVID-19に陥ると共生微生物の混乱や胃腸の遮断機能の故障によって炎症が悪化します。腸粘膜の遮断機能は腸から血中に抗原が移行するのを防いでおり、細胞間密着結合(タイトジャンクション)を調節しているタンパク質ゾヌリンが多いことと腸の透過性亢進の関連がセリアック病、炎症性腸疾患(IBD)、川崎病などの自己免疫/炎症疾患の研究で知られています。そのゾヌリンが、胃腸症状を伴うことが多いMIS-Cでも上昇を呈することが今回の新たな研究で示されました。ゾヌリンは腸から血液中にSARS-CoV-2抗原がより漏れ出るようにして過剰な炎症反応を引き起こしているようです。新たな研究ではMIS-C小児19人、SARS-CoV-2感染小児26人、非COVID-19小児55人の計100人が調べられました6)。感染から数週間が過ぎてもSARS-CoV-2のRNAは胃腸から検出され、MIS-C小児はゾヌリンを他の小児より多く有していました。MIS-C小児の血漿にはSARS-CoV-2のスパイクタンパク質やそのサブユニットS1も多く、SARS-CoV-2のそれら抗原はゾヌリン上昇で腸の隙間がふえて漏れ出たものと考えらえました。腸の透過性亢進がMIS-Cの引き金かどうかはまだはっきりせずさらなる研究が必要です。しかしもしそうであるならゾヌリンを阻害して腸の透過性を正常化することはMIS-Cの治療法となりえます。そこで研究者は米国FDAの許可を得て生後17ヵ月のMIS-C小児にゾヌリン遮断薬larazotide(ララゾチド)を試してみました。larazotideはセリアック病を対象にした第III相試験段階にあり、これまでの試験でその安全性が確認されています。生後17ヵ月のMIS-C小児はステロイドや抗体静注などのいつもの治療では良くなりませんでした。しかしlarazotide治療で血漿のスパイク抗原が減り、症状が収まりました。MIS-C患者は何がともあれ最終的には回復することが多く、今回の一例だけではなんとも言えません。研究者はプラセボ対照試験が必要とわかっており、この秋には始めたいと考えています8)。参考1)Larsen MD, et al. Science. 2021 Feb 26;371:eabc8378.2)Why corona patients become critically ill / Universiteit van Amsterdam (UVA)3)Hoepel W, et al. Sci Transl Med. 2021 Jun 2;13:eabf8654.4)Bournazos S, et al. Science2021 Jun 4;372:1102-1105.5)de Alwis R, et al. Science. 2021 Jun 4;372:1041-1042.6)Yonker LM, et al. J Clin Invest. 2021 May 25:149633.7)Gaebler C, et al. Nature. 2021 Mar;591:639-644.8)SARS-CoV-2 Antigens Leaking from Gut to Blood Might Trigger MIS-C / TheScientist

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ヘルスケアベンチャー大賞への参加者募集【ご案内】

 日本抗加齢協会と日本抗加齢医学会は、今秋もヘルスケアベンチャー大賞を開催する。今年で3回目を迎える同大賞は『アンチエイジングからイノベーションを!』をテーマに掲げ、アンチエイジングに資するヘルスケア分野のビジネスプランやアイデアを募集している。 ベンチャー企業はもちろんのこと、起業準備中の個人や企業との連携を求める個人なども応募が可能。1次審査にてファイナリスト8名(社)を選出し、10月の最終審査で受賞者が決定する。大賞・学会賞受賞者は賞金授与だけではなく、来年6月に開催予定の第22回日本抗加齢医学会総会での発表機会も与えられる。開催概要は以下のとおり。[募集テーマ]アンチエイジングからイノベーションを!*アンチエイジングに資するヘルケア分野のビジネスプラン/アイデアを広く募集 生活習慣病の予防、老化による疾病予防、高齢者の自立、医療、介護、技術、 創薬、遺伝子治療、再生医療製品、食品、化粧品、AI、ヘルスケアIT、 ビッグデータ解析、ディープラーニング、ウェラブルデバイス、環境 など[募集期間] 2021年5月10日(月)~7月26日(月)[審査期間] 8月6日(金)~20日(金)[1次審査(ファイナリスト決定)] 8月30日(月)~9月3日(金)[ファイナリスト発表] 9月6日(月)[最終審査会] 10月29日(金)15:00〜17:00 開催形式:会場開催とWEBのハイブリッド、場合によってはWEBのみの開催予定 会場候補:日本橋ホール (東京都中央区日本橋二丁目5番1号)*開催方式は8月に最終決定[賞金]大賞:100 万円 学会賞:30 万円  ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞:20 万円 最優秀アイデア賞:15 万円 アイデア賞:10 万円[副賞]ファイナリスト企業を「日本抗加齢協会認定スタートアップカンパニー」に認定*起業支援サービス/大学発新産業創出プログラム(START)への推薦 など実行委員会:日本抗加齢医学会イノベーション委員会

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精神疾患に対する向精神薬の投与回数と臨床アウトカム~メタ解析

 慶應義塾大学の菊地 悠平氏らは、精神疾患に対する向精神薬の1日1回投与と分割投与の有効性および安全性を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2021年2月23日号の報告。 投与レジメンおよび向精神薬に関連するキーワードを用いて、2019年12月30日までに公表された文献を、MEDLINEおよびEmbaseよりシステマティックに検索した。精神疾患患者に対する向精神薬の1日1回投与と分割投与の臨床アウトカムを比較したランダム化比較試験を選択した。研究の中止、精神病理、治療による有害事象(TEAE)に関するデータを抽出した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした32研究(34件の比較検討、3,142例)をメタ解析に含めた。・向精神薬別の比較検討の内訳は、以下のとおりであった。 ●抗うつ薬:22件 ●抗精神病薬:7件 ●ベンゾジアゼピン:2件 ●気分安定薬:2件 ●抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用:1件・向精神薬の1日1回投与と分割投与における研究の中止では、有意な差は認められなかった。 ●すべての原因による中止(30件、2,883例、リスク比(RR):1.01、95%CI:0.94~1.09、p=0.77) ●効果不十分による中止(22件、2,307例、RR:1.06、95%CI:0.84~1.33、p=0.62) ●有害事象による中止(25件、2,571例、RR:0.93、95%CI:0.75~1.14、p=0.47)・精神病理に関しても、両群間に有意な差は認められなかった。 ●精神病理(8件、1,337例、標準化平均差:0.00、95%CI:-0.11~0.11、p=0.99)・これらの結果は、いずれの向精神薬においても同様であった。・TEAEに関しては、1日1回投与のほうが不安症状および眠気の頻度が低かった。 ●不安症状(4件、347例、RR:0.53、95%CI:0.33~0.84、p=0.007) ●眠気(3件、934例、RR:0.82、95%CI:0.68~0.99、p=0.04) 著者らは「本結果より、精神疾患に対する向精神薬の投与は、向精神薬の種類にかかわらず、臨床的に1日1回投与が採用可能であると考えられる」としている。

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片頭痛患者の頭痛日数が不安やうつに及ぼす影響

 片頭痛のマネジメントを行ううえで、高度な障害を有する患者または精神医学的併存疾患リスクの高い患者を特定することは重要である。片頭痛による苦痛は、頭痛の頻度と共に増加するが、1ヵ月当たりの頭痛日数がどの程度になると、障害の重症度が高まるのか、不安や抑うつ症状のリスクが上昇するのかは、よくわかっていない。スペイン・Clinica Universidad de NavarraのP. Irimia氏らは、片頭痛患者における不安や抑うつ症状、障害重症度、QOL低下などのリスクに影響を及ぼす1ヵ月当たりの頭痛日数を推定するため、検討を行った。Scientific Reports誌2021年4月15日号の報告。 片頭痛患者468例(平均年齢:36.8±10.7歳、女性の割合:90.2%)を対象に分析を行った。対象患者のうち、1ヵ月当たりの頭痛日数が15日以上であった患者の割合は、38.5%であった。 主な結果は以下のとおり。・1ヵ月当たりの頭痛日数と不安症状(r=0.273、p<0.001)、抑うつ症状(r=0.337、p<0.001)、障害重症度(r=0.519、p<0.001)との間に正の相関が認められた。・不安症状リスクは、1ヵ月当たりの頭痛日数が3日以上の患者で高かった。・抑うつ症状リスクは、1ヵ月当たりの頭痛日数が19日以上の患者で高かった。・1ヵ月当たりの頭痛日数が10日以上の患者では、障害重症度が非常に高かった。 著者らは「1ヵ月当たりの頭痛日数が10日以上の片頭痛患者では、非常に重度の障害を有しており、1ヵ月当たりの頭痛日数が3日以上の片頭痛患者では、不安症状に関するスクリーニングを行うべきであることを示唆している」としている。

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高齢の急性心不全入院患者、漸進的リハ併用で身体機能が改善/NEJM

 急性非代償性心不全で入院した高齢の多様な患者集団において、通常治療に加え、4つの身体機能領域を含む、早期の段階的で個別化された漸進的リハビリテーションを併用すると、通常治療単独と比較して、身体機能の改善効果が促進されるが、再入院や死亡の抑制効果には差はないことが、米国・Wake Forest School of MedicineのDalane W. Kitzman氏らが実施した「REHAB-HF試験」で示された。NEJM誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。介入による身体能力の改善効果を評価する無作為化試験 研究グループは、4つの身体機能領域を含む個別化された漸進的リハビリテーションによる早期介入は、身体機能を改善し、6ヵ月後の全原因による入院率を低下させるとの仮説を立て、これを検証する目的で単盲検無作為化対照比較試験を行った(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 対象は、年齢60歳以上、急性非代償性心不全(駆出率の値は問わない)で入院し、登録時に補助具の有無にかかわらず4m以上の歩行が可能で、入院前は機能的に自立しており、自宅退院が期待される患者であった。 被験者は、通常治療に加えリハビリテーションによる介入を受ける群または通常治療のみを受ける群(対照群)に無作為に割り付けられた。介入は、可能な場合は入院中に開始し、退院後はできるだけ早期に外来施設の段階へと移行した。1回60分の訓練が週3回、12週間(合計36回)行われた。 介入は、急性非代償性心不全でフレイルがみられる高齢患者向けに開発された、段階的で個別化された漸進的リハビリテーションプログラムで、4つの身体機能領域(筋力、バランス能力、移動能力、持久力)に重点が置かれた。訓練の強度や種類は、患者の能力に基づき個別に設定された。本試験の重要な目標は、持久力(歩行時間)の向上であったが、これを安全に行うには、筋力、バランス能力、移動能力の障害に対処する必要があるとの方針に基づいて実施された。 主要アウトカムは、3ヵ月の時点での簡易身体能力試験(SPPB、0~12点、点数が低いほど身体機能障害が重度)のスコアとした。副次アウトカムは6ヵ月後の全原因による再入院であった。97%がフレイル+プレフレイル、併存疾患数は5つ 2014年9月~2019年9月の期間に349例(平均年齢72.7歳、女性52%)が登録され、介入群に175例、対照群に174例が割り付けられた。ベースラインにおいて両群の患者は身体機能が著しく低下しており、97%がフレイルまたはその前段階(プレフレイル)であり、各群の平均併存疾患数は5つであった。 介入群では、介入の終了前に12例が死亡した。介入群における介入継続率は82%で、介入訓練の平均(±SE)完遂回数は24.3±1.0回、介入訓練への参加率は67±3%だった。 3ヵ月の時点におけるベースラインのSPPBスコアと他の背景因子で補正後SPPBスコアの最小二乗平均値は、介入群は8.3±0.2であり、対照群の6.9±0.2に比べ身体能力が有意に改善された(平均群間差:1.5、95%信頼区間[CI]:0.9~2.0、p<0.001)。 6ヵ月時の全原因による再入院率は、介入群が1.18、対照群は1.28であり、両群間に明確な差は認められなかった(率比[RR]:0.93、95%CI:0.66~1.19)。また、死亡は介入群で21例(心血管系の原因15例)、対照群で16例(同8例)みられ、全死因死亡率はそれぞれ0.13および0.10であり、両群間に差はなかった(RR:1.17、95%CI:0.61~2.27)。 著者は、「6分間歩行距離やフレイルの状態、QOL、抑うつについても、介入による臨床的な利益が示唆された。全原因による再入院や心不全による再入院、死亡の発生は、両群とも高率であった」としている。

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