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第49回 新型コロナ変異株報道が悲劇を生む前に伝えたいこと

最近、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に関して、ワクチンと並んで報道量が多いのが、変異株関連である。すでに多くの方がご存じのように日本国内では英国型(B.1.1.7系統:VOC 202012/01)、南アフリカ型(B.1.351系統:VOC 501Y.V2)、ブラジル型(P.1系統)が確認されている。これに加え、最近ではフィリピン型、PCR検査で検出しにくいと言われる仏・ブルゴーニュ型などの報告もある。ただ、先日この変異株に関連したある報道を見て、私はかなり違和感を覚えてしまった。その違和感を紹介する前に、これら変異株についての現時点までの情報を改めて整理しておきたい。現在、日本で一定数の感染者が報告されているのは英国型、南アフリカ型、ブラジル型の3つである。いずれもが感染力が増強するN501Y変異、加えて南アフリカ型、ブラジル型では免疫逃避のE484K変異を持っていることがわかっている。感染性については英国型では最大40%、南アフリカ型では最大50%、ブラジル型では1.4~2.2倍、増強していると報告されている。死亡率に関しては英国型で64%上昇するとの報告があるものの、その他の変異株については不明である。厚生労働省の発表では3月16日時点で、26都道府県の399人の変異株感染事例が判明しており、変異株別では英国型が374人、南アフリカ型が8人、ブラジル型が17人。都道府県別の報告数を見ると、多くの都道府県が英国型のみの報告で兵庫県が94人、大阪府が72人、新潟県が32人、京都府が24人、東京都が14人、北海道が13人、広島県が12人など。また埼玉県は57人が報告され、うち英国型が42人、ブラジル型が15人。神奈川県は28人で、うち英国型が24人、南アフリカ型が4人。岐阜県が南アフリカ型のみ4人、山梨県がブラジル型のみ2人となっている。さて私が疑問に思った報道とは、昨今神奈川県が発表した変異株感染者2人の死亡事例に関してである。国内で初の変異株感染者の死亡例であるため、各紙が一斉に報じた。「コロナ変異株で国内初の死者 神奈川の50代と70代」(朝日新聞)「変異ウイルスに感染、初の死亡事例…神奈川の70代と50代男性」(読売新聞)「コロナ変異株で男性2人死亡 国内で初確認 神奈川県が発表」(毎日新聞)「変異株で国内初の死者 神奈川の男性2人」(産経新聞)「変異ウイルス感染の2人死亡 神奈川県、国内初確認」(日本経済新聞)「変異株で国内初の死者、神奈川 70代と50代の男性」(共同通信)いつもと違い共同通信を加えたのは、地方紙各社などがこの記事を掲載することが多いためだ。さて私見で恐縮だが、この中で私が報じ方として不合格と考えるのが読売新聞と毎日新聞であり、一番高く評価できるのは日本経済新聞。この評価の軸は、死亡した感染者の医学的なバックグラウンドをどれだけ丁寧に報じたかどうかにある。より具体的に説明すると、読売新聞、毎日新聞では報じなかった、死亡者の50代男性は高血圧・脂肪肝の基礎疾患あり、70代男性は基礎疾患なし、さらに日本経済新聞で記述している70代男性は新型コロナの症状で入院に至っていたという情報はいずれも極めて重要である。端的に言ってしまえば、この情報からは、そもそもこの2人は野生株での感染でも重症化や死亡のリスクが高い事例と分かるからである。前述のように変異株での致死性に関しては、英国型で高いとのBMJに掲載された報告があるものの、それ以外は目立った報告はなく、現時点でほぼ不明と言わざるを得ない。ところが新聞報道で基礎疾患の有無などの情報がなければ、「変異株に感染したから死亡した=変異株はただただ恐ろしい」という誤解を与えかねない。この誤解が問題なのは、差別・偏見の温床になるからである。新型コロナパンデミックが始まった当初、感染者や感染者に接する医療従事者に対する差別・偏見事例が数多く報告されたことは記憶に新しい。今でも同様の差別・偏見はなくなっていないが、徐々に減っていると私は感じている。その根拠の一つは例えば匿名性の低いSNSのFacebookでは、最近は感染をカミングアウトする人が増えていることである。それだけ市中感染が広がったということでもあり、誰かが新型コロナウイルスに感染したという事実だけならば、かなりの人が慣れ始めている。ところがそうした状況では、新たに登場した異質なものに多くの人はギョッとする。まさに「変異株」はそうした存在である。余談になるが、慣れっこの世界で新たに感じた異質さは時に悲劇を生む。今は一時休業しているが、私は戦争現場の取材もしている。その中でも最も取材期間が長かった「ボスニア内戦」がまさに新たに感じた異質さが生み出した悲劇の典型である。旧ユーゴスラビアの一構成共和国だったボスニア・ヘルツェゴビナは1992年に独立を宣言するが、その直後から国内では血で血を洗うかのような過酷な内戦が始まった。ボスニア国内の民族宗教に基づく人口構成が、イスラム教徒のボスニャック人が5割強、キリスト教正教徒のセルビア人が3割強、カトリック教徒のクロアチア人が1割という民族宗教のモザイク状態であったため、この3民族が三つ巴戦を繰り広げたというのが内戦に関する通説である。この通説は間違いではないが、私の口からより具体的に説明するならば、「独立を巡って権力闘争を繰り広げた政治家たちが、たまたま民族・宗教の違いを持っており、それぞれが自らを有利にさせるためにその違いを利用して自らの勢力確保と敵対勢力への憎悪をあおり、殺し合いが始まった」となる。短くまとめるなら、民族という皮をかぶった政治家同士の権力闘争である。そしてその実相は、従来はとくに民族や宗教の違いなど意識せずに暮らしてきた者同士が、突如互いが違う、しかも相手は怖いやつらだと宣伝され、顔の見える者同士で殺し合った戦争なのである。私はこの戦争の取材を通じて、「違い」の気づき方次第で人は取り返しのつかない結果を招くという現実を学んだ。話を元に戻すと、変異株については感染性が増強していることはほぼ確実視されている。そのことは正確に伝えなければならず、それだけでも今後感染者の中でも変異株感染者を危険視する風潮が起こる可能性は高い。だが、だからこそ致死性に関しては、意図しなかったものだったとしても過剰な印象を与えるような報道をしてはならない。そのことが実態以上に変異株を危険視させ、差別・偏見を助長させる可能性が高いからである。今回紹介したような「変異株感染者が死亡した」というだけの一部の報道は誤報ではない。しかし、時として解釈のない事実のみを報じることは、正確性を欠く典型事例である。自分もこの報道に接して改めて気を引き締め始めている。最後にこの件に関する地元紙・神奈川新聞の報道は、地元紙という特性も影響したのか、かなり丁寧で正確かつ不安を助長させないよう心がけていると感じた。

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うつ病の再発予防に対する非薬理学的介入~ネットワークメタ解析

 うつ病に対する予防的介入を発見することは、臨床診療において重要な課題である。中国・重慶医科大学のDongdong Zhou氏らは、成人うつ病患者における再発予防に対する非薬理学的介入の相対的有効性の比較検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2021年3月1日号の報告。 再発予防に対する非薬理学的介入を調査したランダム化比較試験を検索し、ベイジアンネットワークメタ解析を実施した。95%信頼区間(CI)のエフェクトサイズをハザード比(HR)として算出した。非一貫性(globalとlocal)、異質性、推移性を評価した。積極的な治療群と対照群または抗うつ薬(ADM)治療群とを比較した結果について、信頼性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・36件の研究をメタ解析に含めた。・非薬理学的介入のほとんどは、さまざまな心理療法であり、その他は非侵襲的神経刺激療法(電気痙攣療法:3件、経頭蓋磁気刺激法:1件)であった。・ADM治療または心理療法後の単独での心理療法によるアウトカムは、対照群より有意に良好であり、ADM治療群との間に有意な差は認められなかった。・心理療法とADM治療との併用は、どちらか一方の単独療法よりも優れていた。・3つ以上前のエピソードを有する患者においても、結果は同様であった。・神経刺激療法は、単独療法またはADM併用療法において、対照群よりも優れていた。 著者らは「ADM治療または心理療法後の単独での心理療法は効果的であり、再発予防においてADM治療と同様に有用である。神経刺激療法も有望ではあるが、その有効性を確認するためにはさらなる研究が必要である」としている。

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潰瘍性大腸炎、患者の90%が持つ自己抗体を発見/京大

 潰瘍性大腸炎(UC)は、その発症に免疫系の異常が関連していると考えられているが、原因はいまだ解明されておらず、国の指定難病となっている。京都大学・塩川 雅広助教らの研究グループは3月9日、潰瘍性大腸炎患者の約90%に認められる新たな自己抗体を発見したことを発表した。現在、この自己抗体を測定する検査キットを企業と共同開発中。Gastroenterology誌オンライン版2021年2月12日号に掲載。潰瘍性大腸炎患者の大多数はインテグリンαVβ6に対する自己抗体を持っていた 本研究は、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者165例が登録された。潰瘍性大腸炎は、症状、内視鏡所見、組織学的所見、および代替診断の欠如の組み合わせによって診断。血清サンプルは、2017年7月~2019年11月までに京都大学医学部附属病院で採取され、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者155例が、それぞれトレーニング群と検証群に分けられた。 23の組換えインテグリンタンパク質を使用して、潰瘍性大腸炎患者と対照患者の血清に対して酵素免疫測定法を実施した。また、結腸組織におけるインテグリン発現とIgG結合を、それぞれ免疫蛍光抗体法と共免疫沈降法を使用し、自己抗体の遮断活性は、細胞接着アッセイを使用して調べた。 潰瘍性大腸炎患者の抗体を調べた主な結果は以下のとおり。・スクリーニングにより、潰瘍性大腸炎患者はインテグリンαVβ6に対するIgG抗体を持っていることが明らかになった。両群では、潰瘍性大腸炎患者の92.0%(103/112例)と対照患者の5.2%(8/155例)が抗インテグリンαvβ6抗体を持っていた(p<0.001)。・潰瘍性大腸炎に対する抗インテグリンαVβ6のIgG自己抗体における感度は92.0%、特異度は94.8%だった。・抗インテグリンαVβ6抗体価は、疾患の重症度と一致し、IgG1が主要なサブクラスだった。・免疫蛍光法により、結腸上皮細胞におけるインテグリンαVβ6タンパクの発現が示され、免疫沈降法が、潰瘍性大腸炎患者の結腸粘膜におけるインテグリンαVβ6へのIgG結合を明らかにした。潰瘍性大腸炎患者のIgGは、インテグリンαVβ6-フィブロネクチンの結合を阻害した。 研究者らは、「潰瘍性大腸炎患者の大多数はインテグリンαVβ6に対する自己抗体を持っていた。これは、高い感度と特異性を備えた潜在的な診断バイオマーカーとして役立つ可能性がある」と結論している。

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リスク低減卵管卵巣摘出術で乳がんリスクは減少するか/JAMA Oncol

 これまで不明であったリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)と乳がんリスクとの関連が明らかにされた。カナダ・ウェスタン大学のYun-Hee Choi氏らはケースシリーズ研究を行い、BRCA1またはBRCA2病的バリアント保持女性に対するRRSOは、術後5年間の乳がんリスク低下、ならびにBRCA1病的バリアント保持者での長期的な累積乳がんリスクと関連することを示した。著者は、「RRSOの主たる適応症は卵巣がんの予防であるが、RRSOの実施とそのタイミングに関する臨床的な意思決定を導くために、乳がんリスクとの関連を評価することも重要である」とまとめている。BRCA1/2病的バリアントを有する女性は、乳がんおよび卵巣がんの発症リスクが高いことが知られる。通常は集中的な監視を行いRRSOも考慮される。RRSOは、卵巣がんのリスクを低減することが知られているが、乳がんリスクとの関連は不明であった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年2月25日号掲載の報告。 研究グループは、1996~2000年に「Breast Cancer Family Registry」に登録されたBRCA1/2の病的バリアント保持家族について分析した。 RRSOと乳がんリスクとの時間的な関連を評価し、他の潜在的なバイアスを説明するため特別に設計された生存分析アプローチを用いた。 主要評価項目は、初回原発性乳がん発症までの期間で、2019年8月~2020年11月に解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、BRCA1病的バリアント保持498家族(2,650例、平均年齢55.8歳、白人発端者87.8%)、BRCA2病的バリアント保持378家族(1,925例、平均年齢57.0歳、白人発端者79.1%)の合計876家族。・RRSOは、術後5年以内のBRCA1/2病的バリアント保持者の乳がんリスク低下と関連していた(ハザード比[HR]:0.28、95%信頼区間[CI]:0.10~0.63/0.19、95%CI:0.06~0.71)。一方で、術後5年以降は、低下との関連が減弱した(HR:0.64、95%CI:0.38~0.97/0.99、95%CI:0.84~1.00)。・40歳でRRSOを受けたBRCA1/2病的バリアント保持者の場合、乳がんの特異的累積リスクは70歳まででそれぞれ49.7%/52.7%であったのに対し、RRSOを受けていない患者では61.0%/54.0%であった。

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COVID-19、英国変異株は死亡リスクが高い/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の英国変異株variant of concern 202012/1(VOC-202012/1)は、感染により死亡リスクが増加する可能性が高いことを、英国・エクセター大学のRobert Challen氏らがマッチングコホート研究の結果、明らかにした。VOC-202012/1は、2020年秋にイングランド南東部で初めて検出されたが、これまで流行している変異株より感染力があり、この変異株の出現は病床稼働率の上昇と死亡率の増加に関連することが知られていた。著者は、「今回の結果が他の集団に対して一般化できるなら、これまで流行している変異型と比較して、VOC-202012/1の感染は著明な死亡率増加の原因となる可能性がある」と指摘している。BMJ誌2021年3月9日号掲載の報告。地域住民を対象とした検査において、約10万人について解析 研究グループは、2020年12月に懸念のある変異株(variant of concern)に指定されたSARS-CoV-2の新しい変異株VOC-202012/1への感染が、他のSARS-CoV-2変異株と比較して死亡率に差があるかを検証する目的で、マッチングコホート研究を行った。対象は、2020年10月1日~2021年1月29日の期間に、TaqPathアッセイ(VOC-202012/1感染の代理測定)を使用している地域のCOVID-19検査センターにてSARS-CoV-2陽性が確認されたVOC-202012/1感染者5万4,906例、ならびにVOC-202012/1感染者と年齢、性別、民族性、貧困指標(index of multiple deprivation)、居住地域、検体採取日を一致させた従来株感染者(対照)5万4,906例であった。VOC-202012/1感染群と対照群は、スパイク蛋白遺伝子の検出有無のみが異なっていた。 主要評価項目は、最初にSARS-CoV-2陽性が確認された日から28日以内の死亡で、2021年2月12日まで追跡した。感染確認後28日以内の死亡リスクは英国変異株VOC-202012/1で1.64倍 追跡期間中における感染確認から28日以内の死亡は、全体で0.3%(367/10万9,812例)に発現した。VOC-202012/1感染群の227例に対し、対照群では141例であり、感染確認から28日以内の死亡のハザード比は1.64(95%信頼区間:1.32~2.04)であった。これは、死亡リスクが比較的低い地域住民集団において、1,000人当たりの死亡が2.5例から4.1例に増加することに相当した。 著者は、「今回の結果を受けて、医療供給体制および国内や国際的な感染管理政策はCOVID-19による死亡を減少させるため、さらに厳格な対策をとるべきと考えられる」とまとめている。

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心血管リスク因子のないSTEMIは死亡リスクが高い/Lancet

 標準的な心血管リスク因子(SMuRFs:高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、喫煙)のないST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者は、少なくとも1つのSMuRFsを有する患者と比較して全死因死亡のリスクが有意に高く、とくに女性で顕著である。オーストラリア・Royal North Shore HospitalのGemma A. Figtree氏らが、スウェーデンの心疾患登録研究であるSWEDEHEART研究を用いた後ろ向き解析結果を報告した。心血管疾患の予防戦略はSMuRFsを標的とすることが重要であるが、SMuRFsのない心筋梗塞はまれではなく、SMuRFsを有していない患者の転帰についてはよく知られていなかった。著者は、「早期死亡リスクの上昇は、ガイドラインで示された治療を追加することで弱まる。今回得られた所見は、ベースラインでのリスク因子や性別にかかわらず、心筋梗塞発症直後のエビデンスに基づいた薬物療法の必要性を強調するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年3月9日号掲載の報告。STEMI患者約6万2千例を対象にSMuRFsの有無別で死亡率を解析 研究グループはSWEDEHEART研究のデータを用い、SMuRFsの有無にかかわらずSTEMI成人患者の臨床特性と転帰について、全体および性別ごとに解析した。冠動脈疾患の既往歴がある患者は除外された。 主要評価項目は、STEMI発症後30日以内の全死因死亡、副次評価項目は30日以内の心血管死、心不全および心筋梗塞であった。各評価項目は、退院まで、ならびに12年間の追跡終了時まで調査。多変量ロジスティック回帰モデルを用いて院内死亡率を比較し、Cox比例ハザードモデルおよびカプランマイヤー法により長期転帰を比較した。 解析対象は、2005年1月1日~2018年5月25日の期間に登録されたSTEMI患者6万2,048例であった。このうち、診断を要するSMuRFsを認めなかったのは9,228例(14.9%)で、年齢中央値はSMuRFsあり群68歳(四分位範囲:59~78)、SMuRFsなし群69歳(60~78)であった。SMuRFsなしで30日死亡リスクは約1.5倍、とくに女性は一貫して死亡率が高い SMuRFsなし群はあり群と比較して、経皮的冠動脈インターベンション実施率は類似していたが(71.8% vs.71.3%)、退院時におけるスタチン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)/アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬の投与率は有意に低かった。 発症後30日以内の全死因死亡リスクは、SMuRFsなし群で有意に高かった(ハザード比:1.47、95%信頼区間[CI]:1.37~1.57、p<0.0001)。30日以内の全死因死亡率が最も高かったのはSMuRFsがない女性(17.6%、381/2,164例)で、次いでSMuRFsあり女性(11.1%、2,032/1万8,220例)、SMuRFsなし男性(9.3%、660/7,064例)、SMuRFsあり男性(6.1%、2,117/3万4,600例)の順であった。 SMuRFsなし群における30日以内の全死因死亡リスクの上昇は、年齢、性別、左室駆出率、クレアチニン、血圧で補正後も有意であったが、退院時の薬物療法(ACEI/ARB、β遮断薬、スタチン)を組み込んだ場合は減弱した。 さらに、SMuRFsなし群はあり群と比較して、院内の全死因死亡率が有意に高かった(9.6% vs.6.5%、p<0.0001)。30日時点の心筋梗塞および心不全は、SMuRFsなし群で低かった。全死因死亡率は、男性では8年強、女性では追跡終了時である12年後まで、SMuRFsなし群が一貫して高いままであった。

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セントラルドグマが崩れたのか(解説:岡村毅氏)-1363

 現代のアルツハイマー型認知症の病理のいわばセントラルドグマであるアミロイド仮説がかなり危なくなってきた。背景から説明したい。 アルツハイマー型認知症で亡くなった方の脳では、アミロイドが蓄積している。もっと詳しく書くと、後頭葉や側頭葉内側面から出現したアミロイドプラークが病気の進行とともに広がっていく(Braakらの研究)。このようにしてできたのが「アミロイド・カスケード仮説」である。この仮説は2005年から2010年にかけて行われたADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)によって生きているヒトの脳でも確認された。 なお、アミロイドの後にタウが広がってゆくが、ここでは深入りはしない。 近年の創薬は、アミロイド仮説を基盤にして、アミロイドを抑制するべく試されてきた。しかしながら、認知症になっている人にいくらアミロイドを抑制する薬を投与しても結果は芳しくない。 理由は、もの忘れの症状が出たときには、もうアミロイドは溜まった後だからである。ある著名な神経学者は、何ともワイルドな例えだが、「病気になってからアミロイドを除去するのでは、牛が逃げて行ってしまってから、牛小屋のドアを閉めるようなものだ」と述べている。そこで、アミロイドが溜まり始めているが、まだ症状がない人を対象に研究が進められてきた。プレクリニカル期にアミロイドを止めてしまえば、病気を止めることができるというわけだ。 しかしながら、失敗続きなのはご存じのとおりである。実は専門家たちは、だいぶ前から「アミロイドは原因ではないのではないか」という深刻な疑念を持っていた。確かに病状の進行とともにアミロイドは溜まる。だが、これは本質的な現象ではないのではないかということである。 つまりこういうことだ。肺炎になれば熱が上がる。もし熱が肺炎の原因であれば、熱を下げれば肺炎は治まるだろう。でも現代ではそう考える人はいないだろう。われわれは、細菌などの病原体が原因であると知っているからだ(つまり抗菌薬が必要だ)。アミロイドも、肺炎における熱のようなものだとしたら…(この例えが正鵠を得ているかやや自信がないが、文意を読んでください)。 さて、本論文は非常に賢い戦略をとる。さまざまな薬剤の治験のデータを集約し、アミロイドが除去されていることと、認知機能低下が抑えられたことの関連を見ている。個々の治験を集めて、巨大なデータベースを作ったということだ。各々の治験は、当然その薬剤が効いているかどうかに着目している。しかし治験を集めることで、アミロイドの除去が本当に認知機能低下を抑制しているかどうかを調べる巨大な研究をしたことと同じ解析ができる。 結果は…アミロイドの除去は認知機能に関係がないという結果であった。 本研究の結果から、認知症根本治療薬の開発は無理だ、という陳腐な結論を導くようでは、時代の流れを見失うであろう。良い結果が得られている治験があることも事実であり、またこの研究には組み込まれていない治験もある。冷静に事態を眺めたい。 謎は深まった。神経学者たちの探索は新たな領域に突入した。20世紀末、われわれはアルツハイマー型認知症の根本治療薬が開発されるいわば「夜明け前」にいると皆が信じた。しかし、実際にはまだまだ真夜中にいるようである。おそらく未来のある時点でそれなりの根本治療薬が開発されるだろう。老化や死はともかく、疾病性の強い比較的若年発症のアルツハイマー型認知症は抑制可能になる可能性は大きいと思われる。それが10年後か100年後か、それは誰にもわからないが…。神経学者たちの探求は続き、われわれはそれを大いに支援したい。

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遅ればせながら、ふるさと納税!【Dr. 中島の 新・徒然草】(366)

三百六十六の段 遅ればせながら、ふるさと納税!皆さん、確定申告は済みましたか?例年、締め切りは3月15日ですが、今年はコロナの影響で4月15日になりました。少し余裕ができましたが、私自身は早々に納税しないと落ち着きません。なので、3月15日に間に合うよう申告を済ませました。さて、脳外科外来に通院中の中年男性の患者さん。若い頃から難病があって病院通い。そこで、時間の融通が利く焼きいも屋さんをしていました。後になって別の致命的病気にかかり、今では働くことなど夢のまた夢。奥さんが家計を支えておられます。御本人は元々の性格なのか脳のダメージなのか、ひどく寡黙です。中島「最近、家内の母親が焼きいもに凝っていましてね」患者「そうなんですか」中島「サツマイモもいろいろありますけど」患者「……」中島「五郎島金時がいいですね」ふるさと納税であちこちからサツマイモを送ってもらっています。その中でも、我が家の一番人気は石川県の五郎島金時。抜きん出たホクホクさと自然な甘さ!中島「ところで〇〇さんは、家でも焼きいもを作ったりとか?」患者「いえ、道具は全部処分しました」中島「焼きいも屋さんの時は、どこのイモを焼いていたんですか」患者「鳴門金時です」中島「おお、上等なイモですね!」患者「美味しくないとお客さんがつかないですから」さすが本職!ちなみに徳島県の鳴門金時は、我が家では二番人気。五郎島金時との差は、単に好みの問題でしょう。中島「鳴門金時も美味しいですね」患者「いいイモは素人が焼いても美味しいんですよ」だんだん饒舌になってくる元・焼きいも屋さん。中島「何か玄人ならではのワザがあるんですか」患者「大きいイモは中を均等に焼くのが難しいんです」奥さん「今日はずいぶん盛り上がっているのね」そこにトイレから帰ってきた奥さんが加わって、さらにイモ談義。やはり仕事の話になると皆さん、熱が入ります。それにしても、ふるさと納税はすごいシステムですね。超巨大な通販カタログから、タダ同然の値段で選び放題みたいなモンです。宅急便の受け取りが問題ですが、常に家にいる義母に頼めば簡単。なにしろ大量に送られてくるので、半分は受け取った人に食べてもらっています。恥ずかしながら、私自身のふるさと納税デビューは昨年のこと。例年、確定申告でエネルギーを使い果たしてしまって余力がありませんでした。でも実際にやってみると、返礼品をもらうのも確定申告も超簡単!同僚に聞くと、4人中3人が活用していました。なんと、昨年が確定申告デビューのレジデントまでふるさと納税をしています。自分だけ乗り遅れているのが情けない。というわけで、ふるさと納税がまだの人。是非、御活用下さい。最後に1句納税も イモが来るなら また楽し

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第49回 日本の科学者が見いだしたイベルメクチンは、コロナ治療の新たな希望か

新型コロナウイルスのワクチンを巡り、不安材料が浮上してきた。世界的なワクチン争奪戦の影響などで、米ファイザー製のワクチンが計画通りに供給されない可能性が出てきたり、英アストラゼネカ製のワクチンにおける副反応疑いが報じられたりしているからだ。翻って、ノーベル医学生理学賞受賞者(2015年)の大村 智氏(北里大学特別栄誉教授)の研究を基にした抗寄生虫薬「イベルメクチン」について、日本発の新型コロナウイルス感染症治療薬として期待する声が上がっている。新型コロナ治療薬としては未承認だが、中南米やアフリカ、中東でオンコセルカ症(河川盲目症)や類縁の感染症の治療薬として毎年約3億人が服用し、約30年間、副作用の報告がほとんどないという。イベルメクチンは2012年から、さまざまなウイルスに対する効果が多数報告されている。ヒトの後天性免疫不全症候群(AIDS)やデング熱ウイルス、インフルエンザウイルス、仮性狂犬病ウイルスなどだ。世界25ヵ国が新型コロナ治療薬に採用北里大学では2020年9月から、新型コロナウイルスに対する治療効果を調べる臨床試験を行っている。すでに医薬品として承認されているため、第I相を飛ばし、第II相の治験が実施されている。日本を含め、世界27ヵ国で91の臨床試験が行われており(2021年1月30日現在)、25ヵ国がイベルメクチンを新型コロナ感染症対策に採用している(2021年2月26日現在)。米国FLCCC(Front-Line COVID-19 Critical Care)アライアンスの会長Pierre Kory氏が2020年12月8日、上院国土安全保障と政府問題に関する委員会に証人として登壇した際は、イベルメクチンを新型コロナに対する「奇跡の薬」と評し、「政府はイベルメクチンの効果を早急に評価し、処方を示すべきだ」と訴えた。強力な支持、一方で効果を問う最新論文も…FLCCCは、2020年春以降、新型コロナ治療薬としてのイベルメクチンに関する臨床試験情報を収集・分析し、Webに公開している。これまでの臨床試験から可能性が示唆されているのは以下の通りだ。(1)患者の回復を早め、軽~中等症の患者の悪化を防ぐ。(2)入院患者の回復を早め、集中治療室(ICU)入室と死亡を回避させる。(3)重症患者の死亡率を低下させる。(4)イベルメクチンが広く使用されている地域では、新型コロナ感染者の致死率が著しく低い。さらにKory氏は、WHOがイベルメクチンを「必須医薬品リスト」に入れたことを強調。NIHやCDC、FDAに対し、イベルメクチンの臨床試験結果を早急に確認のうえ、医療従事者らに処方ガイドラインを示すように求めた。一方で、イベルメクチンが新型コロナ軽症患者に対して改善効果が認められなかったという無作為化試験の結果が今月、JAMA誌に掲載された1)。新型コロナを巡っては、ワクチンも治療薬も現在進行形で研究・開発が進み、エビデンスの蓄積と医療者や世間の期待とのバランスが非常に難しい。イベルメクチンが、コロナ治療における新たな希望になり得るのか、今後の研究の行方を注視したい。参考1)イベルメクチン、軽症COVID-19の改善効果見られず/JAMA

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親または教師におけるADHDの診断精度

 小児や青年における注意欠如多動症(ADHD)の発見において親または教師の診断精度および親と教師における診断や症状の一致率について、トルコ・エーゲ大学のAkin Tahillioglu氏らが調査を行った。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月22日号の報告。 ADHD診断が行われていないコミュニティサンプルより6~14歳の小児および青年417人を対象に、半構造化された親および教師のADHD Rating Scale-IVを用いて評価を行った。ADHDの診断を確実にするため、障害の基準を考慮した。各カテゴリーのサンプルより、感度、特異性、陽性予測値、陰性予測値、診断精度の測定値を算出した。そのうえで、親および教師の報告内容の一致率を調査した。 主な結果は以下のとおり。・ADHDの診断精度は、親と教師で同程度であった。・男児、女児それぞれにおける親と教師の診断精度に差は認められなかった。・女児では、男児よりも、親と教師の診断精度が高かった。・教育レベルの低い親では、教育レベルの高い親および教師よりも診断精度が低かった。・親と教師の報告には、低~中程度の一致と相関が認められた。 著者らは「ADHDの診断精度は、親と教師で同程度であった。しかし、子供の性別や親の教育レベルがADHD診断精度に影響を及ぼす可能性が示唆された。臨床医は、正確なADHD診断を行うために、親と教師の報告を評価することは重要であろう」としている。

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