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第60回 昔なじみの抗うつ薬が抗がん免疫を助ける/持参のCOVID-19抗原検査で楽々帰国

昔なじみの抗うつ薬と抗PD-1薬の併用でいっそうの抗腫瘍効果抗うつ薬として昔なじみのモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)が免疫細胞によるがん駆除を助ける働きを担い、PD-1阻害薬と併用すればそれら単独投与以上の腫瘍抑制効果を発揮することがマウス実験で示されました1,2)。ペムブロリズマブやニボルマブ等のPD-1阻害薬は腫瘍細胞が免疫攻撃から逃れるために利用するT細胞表面分子を阻止します。PD-1阻害薬はうまくいけば何年も腫瘍を食い止めますが誰にでも効くというわけではなく、その効果を補う薬の標的探しが続けられています。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のがん免疫学者Lili Yang氏のチームもその一つで、抗腫瘍免疫との関わりがこれまで知られていなかったモノアミン酸化酵素(MAO)の一つ・MAO-A遺伝子が腫瘍のT細胞で意外にも発現していることを突き止め、どうやらPD-1阻害薬の併用薬の標的として有望なことを見出しました。MAO-Aはドパミンやセロトニンなどの気分向上神経伝達物質を分解します。MAO-A活性が低い男性と攻撃的な振る舞いの関連が示されていることからMAO-A遺伝子は戦士の遺伝子として知られます3)。Yang氏等の新たな研究によるとMAO-AはT細胞の戦士化にもどうやら寄与しているらしく、マウスのMAO-A遺伝子を封じたところT細胞の抗腫瘍免疫が強力となり、腫瘍増殖が抑制されました。MAO-A阻害薬フェネルジン(phenelzine)も同様の効果があり、マウスの腫瘍を増殖し難くしました。また、MAO阻害薬とPD-1阻害薬の併用はいっそうの抗腫瘍効果をもたらしました。T細胞はセロトニンを作って抗腫瘍免疫を底上げし、MAO-Aはそのセロトニンを分解することで腫瘍のT細胞回避を助けてしまうようです。その回避路を断つMOA阻害薬とPD-1阻害薬の併用が試験で検討されることをYang氏は望んでいます。安上がりでどこでも手に入るMAO阻害薬はあわよくばがん患者の抑うつもついでに取り去ってくれるかもしれません。そのような併用試験をするなら前立腺がんは候補の一つになりそうです。というのもMAO-A は前立腺がんで過剰発現し、がん細胞や腫瘍開始細胞(がん幹細胞)の増殖を促して前立腺がんの発生を促すことが示唆されているからです4)。ただしMAO-A は必ずがんに味方するというわけではなさそうで、肝細胞がん、胆管がん、褐色細胞腫、神経芽腫、腎細胞がん、肺腺がんなどでは逆にがんと敵対する腫瘍抑制因子として働くと示唆されています5)。MAO阻害薬の試験ではMAO-Aに備わるせっかくの腫瘍抑制効果を意図せず妨げることがないように注意する必要があるでしょう。ユナイテッド航空がアボット社のCOVID-19抗原検査で楽々帰国できるようにするユナイテッド航空がAbbott(アボット)社と手を組み、海外旅行者の米国帰還の際に必要な新型コロナウイルス感染(COVID-19)陰性証明をよりすんなり取得できる仕組みを提供します6)。ユナイテッド航空の乗客はアボット社の抗原検査BinaxNOW Home Testを携えて出国し、海外滞在中にわざわざ検査センターに赴かずともそれを使って検査することで米国に帰還可能かどうかを判断できるようになります。遠隔医療が使える環境で旅行者がBinaxNOW Home Testのような抗原検査を自ら実施し、海外から米国への飛行機に搭乗するのに必要な陰性証明にその検査結果を使うことを同国は最近許可しています。BinaxNOW Home Testは手帳ほどの大きさで軽量であり、バッグに場所を取らず収めることができます。どっちつかずの検査結果となってしまった場合に備えて1つきりではなく幾つか持っていった方が良いようです。参考1)Wang X, et al. Sci Immunol. 2021 May 14; 6:eabh2383.[Epub ahead of print]2)An old antidepressant helps the immune system fight tumors in mice / Science3)Mentis AA, et al.Transl Psychiatry. 2021 Feb 18;11:130.4)Liao CP, et al. Oncogene.2018 Sep;37:5175-5190.5)Huang Y, et al. Front Oncol. 2021 Mar 8;11:645821.6)United and Abbott Partner to Make Return to U.S. Worry Free for International Travelers with Home-Testing Kits / PRNewswire

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片頭痛予防に対する抗CGRPモノクローナル抗体の付加価値

 35年間のトランスレーショナルリサーチにより、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の伝達を阻害することによる片頭痛治療への新しい道が開かれた。短時間作用型のgepant系CGRP受容体スモールアンタゴニストの後に開発された、CGRPまたはCGRP受容体をブロックするモノクローナル抗体(CGRP/rec mAbs)は、片頭痛治療のパラダイムシフトを起こした。トリプタンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のような一過性の効果を有する古典的な急性期治療薬とは異なり、CGRP/rec mAbsは、三叉神経血管系の末梢部分でのみ長期間作用するため、持続性のある治療を行うことができる。これは、主に片頭痛の病態生理における上流で作用する古典的な予防薬とは異なる。CGRP/rec mAbsであるeptinezumab、erenumab、fremanezumab、ガルカネズマブのランダム化比較試験(RCT)では、数千人の患者を対象としており、最も広く研究されている片頭痛予防薬となっている。これらの結果によると、CGRP/rec mAbsは、プラセボよりも有意に優れていることが認められており、Dodick氏により包括的なレビューが行われている。ベルギー・リエージュ大学のJ. Schoenen氏らは、これらのRCTよりプラセボ減算アウトカムおよび治療必要数(NNT)について要約し、エフェクトサイズ、効果発現、持続性、患者サブグループにおける治療反応、安全性、忍容性、費用対効果に焦点を当て、その後公表された新たな事後研究について分析を行った。また、CGRP/rec mAbsの1つを用いた限定的な実臨床経験について要約した。Revue Neurologique誌2020年12月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・方法論的違いや直接比較試験が欠如しているため、比較における信頼性は低いものの、4剤のCGRP/rec mAbsは、全体として有効性および忍容性プロファイルの違いは少ないと考えられる。・片頭痛の軽減に対するプラセボ減算50%治療反応率の平均値は、反復性片頭痛(NNT:4~5)で21.4%、慢性片頭痛(NNT:4~8)で17.4%であった。・改善率が50%超の患者はまれであり、持続的な頭痛を伴う慢性片頭痛患者では治療反応患者が少なく、片頭痛の予兆の改善は認められなかった。・効果発現は、投与後1週間以内に認められ、1ヵ月でほぼ最大となった。・その効果は、長期間持続し、治療終了後数ヵ月間継続する場合もあった。・CGRP/rec mAbsは、過去に予防的治療で奏効しなかった患者や薬物乱用患者に対しても有効であったが、そのエフェクトサイズは小さい可能性が示唆された。・CGRP/rec mAbsは、片頭痛による問題や医療資源の利用を有意に減少させる。・CGRP/rec mAbsの副作用プロファイルは、いくつかのまれな例外を除き、プラセボの副作用プロファイルと同様であり、虚血におけるCGRPの保護的作用に関連するにもかかわらず、現在までに治療に関連する血管系の有害事象は報告されていない。・利用可能な片頭痛の予防的治療の観点からみると、CGRP/rec mAbsの主な利点は、優れた有効性よりも、有害事象の少なさであると考えられる。・費用対効果に関しては、erenumabの予備的な薬理経済分析において、未治療またはonabotulinumtoxinAによる治療と比較し、慢性頭痛に対する費用効果の高さが認められている。しかし、発作の頻度が少ない反復性片頭痛では、費用効果が低い可能性がある。

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COVID-19予防効果のある薬剤は?RCT11件のメタ解析/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染およびCOVID-19に対する薬剤の予防効果について、カナダ・マックマスター大学のJessica J Bartoszko氏ら研究グループが、WHOのCOVID-19関連データベースを基に、新たなエビデンスを継続的に組み込むリビングシステマティックレビュー(LSR)とネットワークメタ解析により検討したところ、ヒドロキシクロロキンについては、入院および死亡率にほとんど影響がない上、有害事象のリスクを増大する可能性が示された。イベルメクチン単独およびイベルメクチン・イオタカラギナン併用は、バイアスリスクが大きい上、不正確性も極めて高く、確かな根拠が得られなかった。本研究は、BMJ誌2021年4月26日号に掲載された。 本研究には、2021年3月25日までのWHOのCOVID-19データベースと、2021年2月20日までの中国のデータベース6件が用いられた。このうち解析対象としたのは、9件のランダム化試験。6件がヒドロキシクロロキン(6,059例)、2試験がイベルメクチン単独(540例)、1試験がイベルメクチン・イオタカラギナン併用(234例)を検討したもので、いずれもCOVID-19予防効果について標準治療またはプラセボと比較する試験デザインだった。 主な結果は以下のとおり。・ヒドロキシクロロキンは、COVID-19による入院(リスク差:1,000例当たり-1例、95%信用区間[CI]:-3~4、高度の確実性)や死亡(1,000例当たり-1例、95%CI:-2~3、高度の確実性)にほとんど効果がないか、あってもごくわずかだった。・ヒドロキシクロロキンは、検査で確定したSARS-CoV-2感染リスクの低下に対する効果がなく(1,000例当たり+2例、95%CI:-18~28、中等度の確実性)、有害事象による投与中止が増える可能性があり(1,000例当たり+19例、95%CI:-1~70、中等度の確実性)、SARS-CoV-2感染(疑い、可能性、検査確定)に対しても効果がないか、あってもごくわずかだった(1,000例当たり-15例、95%CI:-64~41、低度の確実性)。・イベルメクチン・イオタカラギナン併用による検査確定COVID-19への影響(1,000例当たり-52例、95%CI:-58~-37)、イベルメクチン単独による検査確定感染(1,000例当たり-50例、95%CI:-59~-16)、疑い、可能性、検査確定(1,000例当たり-159例、95%CI:-165~-144)への影響は、バイアスリスクが大きく不正確性も極めて高いため、根拠の確実性が非常に低かった。

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FDA、HER2陽性胃がんペンブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法の1次治療迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年5月5日、局所進行または転移を有する切除不能HER2陽性胃・胃食道接合部(GEJ)腺がん患者の1次治療に、トラスツズマブ、化学療法(フルオロピリミジン+プラチナ)およびペンブロリズマブの併用を迅速承認した。 この承認は、上記患者の多施設無作為二重盲検プラセボ対照KEYNOTE-811試験の中間解析に基づいたもの。  この試験での主要有効性評価項目である、盲検化独立したレビュー委員会評価の全奏効率は、ペンブロリズマブ群74%、プラセボ群52%と、統計的に有意な差を示した(片側p<0.0001)。奏効期間中央値は、ペムブロリズマブ群10.6ヵ月、プラセボ群9.5か月であった。

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高齢の早期乳がん患者への化学療法の効果は?

 高リスクの早期乳がんでは化学療法によりアウトカムが改善されるが、高齢者にはほとんど投与されない。今回、英国・The Royal Marsden Hospital NHS Foundation TrustのAlistair Ring氏らは、高齢の高リスク早期乳がん患者の化学療法による効果を検討したところ、転移を有する再発のリスクは化学療法で低下したが、生存期間延長が示されたのはエストロゲン受容体(ER)陰性乳がんのみであった。また、QOLへの影響は大きかったが一時的だった。British Journal of Cancer誌オンライン版2021年5月10日号に掲載。 本研究は、70歳以上の手術可能な原発性浸潤性乳がん(T1-3および一部のT4b、N0-1、M0)患者を対象とした多施設前向き観察研究で、化学療法(±トラスツズマブ)の使用と生存期間・QOLについて調査した。ベースライン時の年齢・健康状態(fit/vulnerable/frail)・病期の相違について傾向スコアマッチングで調整した。 主な結果は以下のとおり。・英国の56センターで2013~18年に3,416例が登録され、手術を受けた2,811例のうち1,520例(54%)が高リスクの早期乳がんで、2,059例(73%)で健康状態がfitだった。・高リスクの早期乳がんでfitだった1,100例中306例(27.8%)が化学療法を受けた。・年齢・病期・健康状態をマッチさせていない高リスク例(1,498例、調整後ハザード比[HR]:0.36、95%CI:0.19~0.68)およびマッチさせた高リスク例(541例、調整後HR:0.43、95%CI:0.20~0.92)において、化学療法により転移を有する再発のリスクが減少した。しかし、どちらも全生存期間(OS)および乳がん特異的生存期間(BCSS)の改善はみられなかった。・ER陰性乳がん患者では、化学療法により生存率が改善した(OSのHR:0.20、95%CI:0.08~0.49、BCSSのHR:0.12、95%CI:0.03~0.44)。・QOLに一時的な負の影響がみられた。

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脳梗塞後の上肢運動機能障害、リハ+迷走神経刺激で改善/Lancet

 虚血性脳卒中後の長期にわたる中等度~重度の上肢運動機能障害の治療において、リハビリテーション療法との組み合わせによる迷走神経刺激療法(VNS)は偽(sham)刺激と比較して、Fugl-Meyer Assessment上肢運動項目(FMA-UE)で評価した上肢運動機能障害の改善効果が優れ、新たな治療選択肢となる可能性があることが、英国・グラスゴー大学のJesse Dawson氏らが実施した「VNS-REHAB試験」で示された。Lancet誌2021年4月24日号掲載の報告。9ヵ月以上経過した患者の三重盲検sham対照比較試験 本研究は、英国と米国の19の脳卒中リハビリテーション施設が参加した三重盲検擬似的処置(sham)対照比較試験であり、2017年10月~2019年9月の期間に参加者の無作為化が行われた(米国MicroTransponderの助成による)。 対象は、年齢22~80歳、登録前の9ヵ月~10年の間に片側のテント上虚血性脳卒中を発症し、中等度~重度(FMA-UEの総スコアが20~50点)の上肢運動機能障害を有する患者であった。 参加者は、リハビリテーション療法とVNSを受ける群またはリハビリテーション療法と偽刺激を受ける群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。全例に、全身麻酔下に迷走神経刺激装置が植え込まれた。VNS群は0.8mA(不快感がある場合は低くする)、100μs、30Hzの刺激パルスを0.5秒間、対照群は0mAのパルスを受けた。 また、参加者は、院内で6週間(3回/週、合計18回)のリハビリテーション療法を受けた後、自宅で運動療法を行った。VNS/偽刺激は、院内と自宅を通じて行われた。参加者、アウトカムの評価者、療法士には、治療割り付け情報がマスクされた。90日目の臨床的に意義のあるスコア変化の達成割合が約2倍に 108例(intention-to-treat集団)が登録され、VNS群に53例(平均年齢59.1[SD 10.2]歳、女性36%)、対照群に55例(61.1[9.2]歳、35%)が割り付けられた。106例が試験を完了した(両群1例ずつが完了できなかった)。 ベースラインから院内治療終了後1日目までのFMA-UEスコアの変化(主要評価項目)は、VNS群で5.0(SD 4.4)点上昇し、対照群の2.4(3.8)点の上昇に比べ有意に良好であった(群間差:2.6点、95%信頼区間[CI]:1.0~4.2、p=0.0014)。 院内治療終了後90日目の臨床的に意義のあるFMA-UEスコアの変化(6点以上の改善)の達成割合は、VNS群が47%(23/53例)と、対照群の24%(13/55例)に比し有意に優れた(群間差:24%、95%CI:6~41、p=0.0098)。 少なくとも1件の有害事象を発現した患者は、VNS群が81%(43/53例)、対照群は76%(42/55例)であった。死亡例はなかった。重度の有害事象は、VNS群の2例に3件(尿路感染症、低ナトリウム血症、不眠症)、対照群は2例(頭痛、失神)にみられた。対照群の1例で、手術関連の重篤な有害事象として声帯まひ(5週後に解消)が発生した。 著者は、「今後は、このアプローチの実臨床への導入方法や、より重度の上肢運動機能障害を含め、他の機能障害にVNSが使用可能かを検討する必要がある」としている。

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東京五輪での医師ボランティア募集、8割が否定的/会員アンケート結果

 コロナ禍で医療崩壊が叫ばれ東京オリンピック・パラリンピックの開催自体が危ぶまれる中、同競技大会組織委員会が日本スポーツ協会公認のスポーツドクターからボランティア約200人を募集していたことが明らかとなった(募集は5月14日で締切、応募総数は393人)。この募集に対して、当事者となる医師たちはどのような心境だろうかー。スポーツドクターの資格有無を問わず、8割超が「応募しない」と回答 本アンケートは、スポーツドクターの有資格者が多い診療科(整形外科、救急科、リハビリテーション科)かつ競技会場となる9都道県(北海道、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県)在住のケアネット会員医師を対象に実施[5月7日(金)~12日(水)]。ボランティアへの応募意向をはじめ、参加時に心配な点や募集に対して感じたことなどを伺った。 本ボランティアの活動期間は3日間程度でも可能、1回当たりの活動時間は約9時間(休憩含む)であるが、応募希望について、Q2で『東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が、日本スポーツ協会公認のスポーツドクターを対象に医師200人程度をボランティアとして募集していますが、応募を考えていますか?』と質問したところ、スポーツドクターの資格有無を問わず、全回答者の86%(215人)が「応募しない」と回答。主な理由を以下に抜粋した。 「現在の社会情勢を考慮していないと考える(30代、200床以上)」 「明らかにコロナ対応を意味しているのに、スポーツドクター募集に違和感。開催の是非で未だに揉めている大会に参加したくない(40代、100~199床)」 「ワクチン接種の医師が足りないと言っていながら、医師募集とは矛盾している気がする(50代、200床以上)」 「付け焼き刃的。非現実的(60代、100~199床)」 また、今回のように専門職をボランティア募集しておきながら大会組織委員には日当が出ることに疑問を感じている医師も一定数いた。 このほか、スポーツドクターの資格を持ち、実際に応募したという医師からも、今回のオリンピック開催については、「コロナにリソースを傾けるべき時に、逆のことをしていると思う(30代、200床以上)」などの否定的な声もみられた。一番の不安要素は「自身の出勤制限」だが、日当があれば参加する? Q3『もしボランティアに参加した場合、心配な点はありますか?』では、「自身の出勤制限」「施設内の医師不足」「給与/売上」の順で回答が多かった。また、Q4『Q2で「応募しない」と回答した方に伺います。どのような条件なら応募しますか?』では、多数が「日当があれば」と回答、多くが「10万円以上」を希望していた。国内のスポーツドクター数は約6,400名 日本スポーツ協会の定めるスポーツドクターの受講条件は、「受講開始年度の4月1日時点で日本国の医師免許取得後4年を経過(受講開始年度の4年前の4月1日以前に取得)し、当協会または当協会加盟(準加盟)団体から推薦され、当協会が認めた者」で、現在のスポーツドクター登録数は6,420名(令和2年10月1日現在)である。登録者の専門診療科は整形外科をはじめ、救急科、リハビリテーション科、形成外科、リウマチ科などで、今回応募した約390名はこの登録者の6.1%にあたる。また、スポーツ医に該当する資格はこのほかにも、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本医師会認定の健康スポーツ医などがある。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。『東京五輪の医師ボランティア募集、どう考える?』

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自閉スペクトラム症に対する小児精神薬理学~システマティックレビュー

 自閉スペクトラム症(ASD)は、一生涯にわたる重度の神経発達障害であり、社会的費用が高く、患者やその家族のQOLに大きな負荷を及ぼす疾患である。ASDの有病率は高く、米国においては小児の54人に1人、成人の45人に1人が罹患しているといわれているが、社会的およびコミュニケーションの欠陥、反復行動、限定的な関心、感覚処理の異常を含むASDの中核症状に対する薬理学的治療は十分ではない。イタリア・メッシーナ大学のAntonio M. Persico氏らは、ASDに対するベストプラクティスの促進、今後の研究のための新たな治療戦略を整理するため、小児および青年期のASDに対し、現在利用可能な最先端の精神薬理学的治療についてレビューを行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年4月20日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・多動性、衝動性、興奮、気質性立腹、自己または他者への攻撃性に対する介入では、リスペリドンやアリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬が第1選択薬として用いられている。・三環系抗うつ薬は、有効性が不確実であり、重大な有害事象が懸念されるため、使用が減少している。・SSRI、とくにfluoxetineとセルトラリンは、反復行動(不安症状や強迫症状)や過敏性/興奮の治療に有効である可能性があり、ミルタザピンは睡眠に問題を抱える患者に役立つ可能性がある。・低用量のbuspironeと行動介入との併用は、限定的かつ反復的な行動に対し、ある程度の有効性が示唆されている。・精神刺激薬(程度は低いがアトモキセチン)は、ASDとADHDが合併した症例においても多動性、不注意、衝動性の軽減に効果的であるが、特発性ADHDと比較すると、有効性はやや劣り、副作用発現率は増加する。・クロニジンとグアンファシンは、多動性や情動行動に対し、ある程度の有効性が期待できる。・他の薬剤については、症例報告や非盲検試験で有効性が報告されており、ランダム化比較試験は実施されていない。 著者らは「ASDの小児精神薬理学の研究は、依然として少なく、2つの大きなハードルがあると考えられる。1つはASD患者では、臨床反応と副作用の感受性に個人差が大きい点があり、この低レベルの予測には、薬剤選択をサポートするうえで、症状固有の治療アルゴリズムやバイオマーカーが寄与する可能性がある。もう1つは、ASDの中核症状を直接的に改善する向精神薬はなく、併存症状の軽減や間接的な改善がいくつかの薬剤で報告されているにとどまっている点である」としている。

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第54回 予防効果94%のモデルナワクチン、大規模接種会場で活用

<先週の動き>1.予防効果94%のモデルナワクチン、大規模接種会場で活用2.高齢者ワクチンの7月終了見込みは全国で85.6%、首都圏に遅れ3.検査キットを病院・介護施設に800万回分無償配布/厚労省4.介護保険料が20年で倍加、全国平均が月額6,000円台に5.ドラッグラグ再燃に懸念、薬価引き下げ制度の見直しを/中医協6.オリンピックの開催中止を求める声明/全国医師ユニオン1.予防効果94%のモデルナワクチン、大規模接種会場で活用河野 太郎規制改革担当相は、13日の参議院内閣委員会において、厚労省で現在審査中の米・モデルナ並びに英・アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、5月下旬には承認される見通しを明らかにした。さらに、東京都と大阪府に開設された大規模接種会場では、モデルナのワクチンを使用すると説明。モデルナワクチンも2回接種が必要で、接種間隔は4週間。予防効果はファイザー製95%に対して、ほぼ同等の94%とされる。なお、イギリスのオックスフォード大学の研究者らによって、ファイザー製ワクチンとアストラゼネカ製のワクチンを併用すると有害な副反応が増えることが発表されており、今後、接種に際しては注意が必要だ。(参考)モデルナ製ワクチンの有効性、ファイザーと遜色なく 大規模接種で使用(日本経済新聞)ワクチン併用で副反応増加、重症化はせず 英国治験の暫定結果(産経新聞)2.高齢者ワクチンの7月終了見込みは全国で85.6%、首都圏に遅れ総務省と厚労省は、12日に各市区町村における高齢者ワクチン接種の終了見込みを発表した。政府が目標とする7月末までに終了する見込みだと回答した自治体は85.6%で、全国の高齢者人口に占める割合は84.5%。この中で、岩手・新潟・富山・石川・福井・岐阜・京都・兵庫・奈良・和歌山・鳥取・島根・山口・徳島・愛媛・長崎・大分の17府県では、7月末までにすべての市町村で接種が終了する見込み。一方、東京都67.7%、埼玉県73%、千葉県66.7%、神奈川県84.8%と首都圏で遅れが目立ち、最も低かったのは秋田県で56%に留まった。これに対して、菅総理は「1日も早く接種できるように取り組みたい」として、7月末までの接種完了に向けた自治体への支援を強化することを明らかにした。ワクチン接種をめぐっては、当初は供給量が問題とされたが、現時点では人員不足が課題となっており、厚労省は医療人材向けの求人情報サイト「医療のお仕事 Key-Net」で人材募集を支援するなど取り組みを強化している。(参考)高齢者コロナワクチン接種、7月末終了見込みは85.6% 総務省・厚労省が取りまとめ公表(CBnewsマネジメント)資料 高齢者に対する新型コロナワクチン接種について(厚労省)医師・看護師・医療人材の求人情報サイト「医療のお仕事 Key-Net」(同)3.検査キットを病院・介護施設に800万回分無償配布/厚労省政府は、14日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部において、感染が急速に拡大している地域で、医療提供体制のひっ迫も見られることなどから、N501Y変異株スクリーニング検査の実施や、変異株などの全国的な監視体制を継続することを明らかにした。また、厚労省は同日に「新型コロナウイルス感染症の検査体制整備に関する計画」を発表した。PCR・抗原検査を1日最大77.2万件程度まで充実させるため、コロナウイルス抗原キットを病院や介護老人保健施設、特別養護老人ホームなどに800万回分を配布し、検査体制の拡充を図る。(参考)PCR・抗原検査、緊急時は1日77万件の分析可能に(読売新聞)厚労省、抗原検査キット配布を「可能な限り早く進める」 介護施設など対象(JOINT)資料 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針 5月14日変更(新型コロナウイルス感染症対策本部)4.介護保険料が20年で倍加、全国平均が月額6,000円台に厚労省は14日、介護保険料が今年度より改定され、全国平均が月額6,000円を超えたことを公表した。高齢化とともに介護保険料は年々上昇しており、介護保険制度が発足した2000年度の平均支払額2,911円と比べると2倍以上になっている。現在、65歳以上で介護や支援が必要と認定された人は667万人で、65歳以上の保険者に対する割合は18.7%だが、今後2025年には20.5%、2040年には22.8%と介護費用の増大が推測される。政府は、全世代型社会保障改革について討議を進めており、介護については、保険者の努力支援制度の強化と介護インセンティブ交付金の強化を行うなど、持続可能性の高い介護提供体制の構築を目指している。(参考)介護保険料2.5%上昇 65歳以上で初の6000円超え(日経新聞)資料 第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について(厚労省)5.ドラッグラグ再燃に懸念、薬価引き下げ制度の見直しを/中医協厚労省は、12日に中央社会保険医療協議会薬価専門部会と総会を開催し、2022年度の薬価制度改革に向け製薬団体から意見を聴取した。日本製薬団体連合会からは、新薬の特許期間に市場実勢価格に応じた薬価引き下げが行われており、研究開発投資の削減と競争力低下、日本市場の魅力低下によりドラッグラグが再燃する懸念を挙げ、特許期間中の新薬について薬価を維持する新薬創出等加算の見直しや、薬価引き下げに用いられる市場拡大再算定ルールの見直しを求めた。総会では、年間販売額が350億円を超え、承認時に予測していた基準年間販売額2倍超の要件を満たしたテセントリク、ビンダケルなど医薬品10品目に対し市場拡大再算定を行い、8月1日からの薬価引き下げを了承した。(参考)特許期間中の薬価維持を‐製薬協など新薬加算見直し要望(薬事日報)中医協総会 テセントリク、ビンダケルなど5成分 市場拡大再算定適用で薬価引下げへ(ミクスonline)6.オリンピックの開催中止を求める声明/全国医師ユニオン13日、勤務医らで作る労働組合が東京オリンピック・パラリンピックの中止を訴え、国に要請書を提出した。新型コロナウイルス感染拡大が十分にコントロールされていない中開催することで、新たな変異株の脅威に晒されるなどの懸念を表明した。全国医師ユニオン代表の植山 直人医師は会見で「選手にはつらい話だが、大会中止は誰かが言い出さなければならない。医療従事者は声を上げることが求められていると思うので、あえて要請を行った」と語った。(参考)「東京五輪・パラ中止を」勤務医の組合が国に要請書(NHK)医師ユニオンが五輪中止を要請「新たな変異株生む恐れ」(朝日新聞)要請書 危険な変異株ウイルスを拡散し新たな変異株を生みだす危険性が高い東京オリンピックの開催中止を強く求める(全国医師ユニオン)

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新型コロナウイルスワクチンと血栓症には関係があるのか?:Ad26.COV2.S(Janssen)の場合(解説:後藤信哉氏)-1390

 新型コロナウイルス禍の克服の鍵の1つがワクチンである。人類は科学技術の英知を結集して驚くべき速さにて新型コロナウイルスに対するワクチンを複数開発した。予後の悪い疾病に対する治療と異なり、健常人に接種するワクチンには高い安全性が要求される。有効かつ安全なワクチンの開発には一般に長い年月がかかる。複雑精妙な人体の調節系は完全に理解されていない。薬剤であれ、ワクチンであれ、投与後の反応を個別予測する演繹的方法は確立されていない。拡大する新型コロナウイルス感染、感染すれば致死率は2%に至るとされる。人類全体として見ればワクチンによる免疫の獲得は感染の拡大速度を減少させ、医療崩壊を防ぐ効果を期待できる。現在も感染の第4波が拡大し、地域によっては医療崩壊にひんしている日本では感染拡大速度を減少させるワクチンを急速に拡大させたい。集団としての視点から日本国内のワクチン接種に反対するヒトは少ないと思う。しかし、予防介入、治療介入には副作用がある。安全性の高いワクチンであっても、ワクチン接種直後に心筋梗塞、脳梗塞などを偶然発症する場合もある。副作用なのか、偶発症なのか、個別のイベントにおける判断は難しい。 今回JAMA誌に掲載されたのはAd26.COV2.Sワクチン接種後、6~15日にて60歳以下の症例に発症した12例の脳静脈洞血栓症の報告である。脳静脈洞血栓とは聞き慣れない名前である。もともと中年女性に多いとされるが、ワクチン接種の6~15日に起こればワクチン接種と関係がありそうである。ワクチン接種と無関係の偶発症と、ワクチンによる副作用の弁別は困難である。本論文に報告された症例は12例と多くはないが、ワクチン接種との関係性が示唆される。まず、一般社会における静脈洞血栓が少ない。さらに、この12例のうち11例に免疫的血栓症であるヘパリン惹起血小板減少・血栓症の抗体が陽性と報告されている。ヘパリン惹起血小板減少・血栓症も治療困難な疾患である。実際、60歳以下の症例であっても3例が死亡、3例にICU入院が必要となった。 本論文では個別の症例の情報を多く記載している。ワクチンがよいとか悪いとかの結論でもない。ワクチン接種と関連しそうな特殊な血栓症があるので、本質を追求しようと結論している。 繰り返すが人体は複雑精妙な調節系である。筆者はワクチン接種により新型コロナウイルス感染拡大速度の低減に期待している。しかし、人体への介入に対する結果の予測は困難である。個別にはワクチン接種により不可逆的疾病が惹起される個人がいるかもしれない。ワクチン接種による人類全体の長期的反応も未知である。一見不都合に見える結果も公表し、少数ではなく、多数の意見にてベストを見いだそうとする米国の姿勢は筆者には好ましく思える。皆さんはどう思うだろうか?

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事例026 いぼ等冷凍凝固法(4箇所以上)の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説「伝染性軟属腫」の患者に、冷凍凝固法にて軟属腫の除去を行いました。除去した軟属腫は10数ヵ所を数えたと診療録に図示されていました。行われた治療法の冷凍凝固法をキーワードに診療報酬を探し、留意事項に何も記載されていないことを確認、軟属腫も「いぼ等」に該当するものとして「J056 いぼ等冷凍凝固法」の4ヵ所以上を算定しました。ところが、A事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定となりました。点数表をよくみると、次の項目に「J057 軟属腫摘除」があり、留意事項に「伝染性軟属腫の内容除去は、軟属腫摘除として算定する」とあります。伝染性軟属腫の単なる除去の場合に算定するものと解していましたが、除去法の種類にかかわらずこちらを適用するとされ、かつ「いぼ等」には、伝染性軟属腫は含まれないと判断されているようです。したがって本事例では、いぼ等冷凍凝固術に対する病名不足として査定になったものと考えられます。軟属腫摘除の点数分は認めていただいても良かったかなと思いましたが、コンピュータ審査ではバッサリと対応されるようです。医師にはその旨を伝え、了承の上、コンピュータチェックシステムにエラー表示をさせるよう設定し、今後の査定対策としました。

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アントラサイクリン心筋症 見つかる時代から見つける時代へ【見落とさない!がんの心毒性】第2回

連載の第1回では、循環器医ががん医療に参画し始めた背景について向井先生が解説しました。第2回ではアントラサイクリン心筋症・心不全にも新たなアプローチが求められていることについて、大倉が解説します。重篤な心不全で見つかる時代から、そうなる前に見つける時代になったことを感じていただければ幸いです。アントラサイクリンによる心不全は3回予防できるドキソルビシンが1975年にわが国で使われ始めて、もうすぐ半世紀が経とうとしています。よく効くので、今尚がん医療の現場で広く使われています。心毒性があるため心機能異常またはその既往歴のある患者には禁忌です。とはいえ心臓病でもアントラサイクリンを使わざるを得ない状況は患者の高齢化とともに増加傾向にあります。献身的ながん医療の成果が10年生存率の改善(58.3%)という形で表れています。一方、一部のアントラサイクリン使用患者では、心毒性により化学療法を中断したり、QOL(生活の質)が損なわれたりしています。心不全で亡くなることもあります。循環器医は“アントラサイクリンによる心不全は早期発見で3回予防できる”と考えています。(1)心機能の低下予防 (2)心不全の発症予防 (3)慢性心不全の増悪予防の3回です(図)。実際のところ、がん医療の現場でこの考え方はあまり共有されていません。そのため1回も予防されずに重症化した心不全がん患者を診ることもあります。(図)心不全の進展ステージとアントラサイクリン心筋症の予防機会画像を拡大する2021年3月、“脳卒中と循環器病対策基本法”の行動計画の核心である脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画が公表されました1)。心不全は重要3疾患の1つに掲げられ、悪性腫瘍に合併する心不全の管理も重点項目として指定されました。“心不全は予防と早期発見”という考えが国民に向けて発信されることで、がん医療にも徐々に馴染んでゆくものと思われます。発生率と危険因子アントラサイクリンによる心機能障害は用量依存性に発生します。ドキソルビシン換算で累積投与量が 400 mg/m2で3~5%、550 mg/m2で7~26%、700 mg/m2で18~48%に起こります2)。累積投与量以外にも、65歳以上の高齢者、小児、胸部・縦隔への放射線照射、トラスツズマブなど心毒性を有する他の薬剤の使用、基礎心疾患の既往や合併、心血管リスク(喫煙、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満)の合併などで、起こりやすくなるため注意が必要です。この段階で併存心疾患や心血管リスクを治療し心機能低下を予防します3)(図:1回目の予防)。近年、ゲノムワイド関連解析(GWAS:genome-wide association study)により、拡張型心筋症の原因となる遺伝子変異の一つで、サルコメア蛋白のタイチンをコードする遺伝子の切断型変異(Titin-truncating variants)があると、アントラサイクリンの心毒性に対して脆弱になることが報告されました4)。5ヵ年計画にはファーマコゲノミクス(PGx)の推進が盛り込まれており、抗がん薬の心毒性に関与する遺伝子を5年間に2個同定しようとしています。Onco-cardiologyの分野でもゲノム医療が始まろうとしています1)。心毒性の機序アントラサイクリンは一部の患者に不可逆的な心筋障害を起こします。失われた心筋細胞が復活することはありません。ミトコンドリアの鉄の蓄積と活性酸素の過剰な産生を惹起し、ミトコンドリアや細胞内小器官が障害されます。DNAの修復に欠かせないトポイソメラーゼIIβを阻害し、DNA二重鎖切断とアポトーシスを誘導します。心筋細胞の恒常性に欠かせない周囲の血管内皮細胞も障害され、後々の心筋細胞の適応性や生存性の低下に繋がります。心筋の線維芽細胞や前駆細胞も複雑に関与しています4)5)。経過・治療古典的には心毒性は急性、慢性早期、慢性晩期に分類されていました(表1)。(表1)アントラサイクリンによる心毒性の古典的な臨床分類画像を拡大する現在では、詳細な経過観察により、心筋細胞レベルの障害が最初に起きて、それが潜在進行性の心機能低下を惹起し、代償機転が破綻して心不全に至るという連続性が確認されています。心不全を起こす患者では、アントラサイクリン投与後に、血清トロポニンが一過性に上昇し、左室駆出率(LVEF)が低下します。心保護薬で治療すると、ほとんどの患者でLVEFは不完全ながら回復傾向を示しますが、一部の患者はLVEFが悪化して、心不全を発症します。Cardinaleらによれば、アントラサイクリン投与後に9%の患者に心毒性(LVEF50%未満への低下)が認められました。心毒性の98%は化学療法終了後1年以内(中央値3.5ヵ月)に現れました。エナラプリルとカルベジロールで治療をすると82%に回復傾向を認めました6)。無症候性心機能低下(図:ステージB)のうちに発見し、心保護薬で予防をすることで悪化を食い止め、心不全(図:ステージC)を予防できます(図:2回目の予防)。そのため、ここでの介入が最も効果的と考えられています。しかし、この予防機会を失えば、心不全を発症します。こうなると、非可逆的な心筋障害であるため、治療に難渋し、ステージDへの進行を防げない可能性があります。潜在患者の早期発見に有用な検査定期的に全員に心エコーをすれば早期発見は可能ですが、医療資源は限られているため、ハイリスク群を優先することが欧米の腫瘍学会でコンセンサスを得ています(表2)。(表2)最新ガイドラインに見るアントラサイクリン使用に関連した強い推奨[A、B]画像を拡大するリスクの層別化には、アントラサイクリン治療後のトロポニン測定に期待が寄せられています。上昇しない患者はその後の心不全が起きにくいことが分かっており、心エコーの頻度を減らすことができます7)。一方、上昇し、その後も上昇が持続する患者では、心不全が起きやすいため、心保護薬を開始したり、心エコーの頻度を増やしたりします。わが国の保険制度ではそのようなトロポニンの使われ方は認められておりません。採血のタイミングやカットオフ値の標準化については今なお研究段階です。アントラサイクリン治療を終えて数ヵ月以上経過している患者の心不全の早期発見は、危険因子による層別化や、BNPやNT-proBNPによる補助診断に頼ることになります。フラミンガムの一般住民を対象にした疫学調査によると、BNP はLVEF40%以下の心機能低下に対する感度は良好でしたが、LVEF50%前後に対してはよくありませんでした8)。ステージBの中でもCに近い患者の検出には使えそうです。BNP検査によるアントラサイクリン心筋症の早期発見については、小児やAYA世代のがんサバイバーでの有用性については否定的な報告があります9)。それでも特性を理解すれば、たいへん便利な検査ですので、BNP検査については正書や学会ホームページをご覧ください10)11)。心エコーでは、無症候性心機能低下(ステージB)の中で、更に早い段階の異常を捉えようとしています。スペックルトラッキング法を用いたGlobal longitudinal strain (GLS)は、薬剤性心筋障害をLVEFよりも早期に感度良く検出できるようです。欧米の腫瘍学会ガイドラインでも測定を推奨していますが、人間の感覚を超えた領域なので慣れるのに時間がかかりそうです12)。心機能低下はがん治療終了後1年以内に始まるので、半年後と1年後の心エコーを推奨していますが、異常を見落としたり、その後に異常が明らかになることもあるため、その後のフォローも欠かせないでしょう。フォローの内容や間隔については、危険因子が多いほど綿密にします。なぜ重症化してから見つかるのか?「患者や医師が、息切れ、むくみ、疲れ易さを、がんのせいと勘違いする」「医師や薬剤師が累積使用量の上限を超えなければ心不全は起きないだろうと油断もしくは勘違いする」「がん治療が済んで患者がフォローアップされなくなる」「フォローされてもクリニックの先生方と心不全への懸念が共有されない」などが原因で、発見が遅れ重症化の引き金になると考えられます。慢性晩期のアントラサイクリン心筋症には、認識不足や連携の脆弱さといった医療システムの問題が少なからず関係しています。心不全全般に言えることですが、脳卒中や心筋梗塞や糖尿病と比べ、心不全についての認知度が低いことは、かなり前から指摘されており世界共通の課題でした13)。アントラサイクリンで治療した患者に、心不全のセルフチェックを促すには、心不全についての知識の普及が肝要です。心不全発症に早めに気づいて治療することで重症化が予防できます(図:3回目の予防)。今、試されるチーム力最新のESMOガイドライン2020では“がんサバイバーから目を離すな”とうたっています。アントラサイクリンで治療した乳がん患者で薬剤性心筋障害を起こすのは、3~6%程度ですが、軽んずることなく解決への道を開けば、将来の患者の利益になります。院内ではがん診療科と多職種の連携が解決への糸口となり14)、晩期障害の早期発見にはクリニックの先生方の協力が不可欠です。地域医療への知識の普及には、大学や医師会の役割りが大きいです。システムの問題が心不全に関与しているのならば、システムを修正すれば良いのです。心不全についての知識は一般の方には伝わりにくいことが世界共通の課題ですが、“脳卒中と循環器病対策基本法”の下、行政による後押しで国民への啓蒙が始まろうとしています。高齢化に伴い、がん患者の心臓病が増加しています15)。がんと心不全の古くからの関係は新しい時代を迎えました。1)日本脳卒中学会・日本循環器学会編. 脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画 ストップCVD(脳心血管病)健康長寿を達成するために. 20212)Zamorano JL, et al. Eur Heart J. 2016;37:2768-2801.3)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社;2020.p10-11.(赤澤 宏 心機能障害/心不全 アントラサイクリン系薬剤)4)Garcia-Pavia P, et al. Circulation. 2019;140:31-41.5)Kadowaki H, et al. Circ J. 2020;84:1446-1453.6)Cardinale D, et al. Circulation. 2015;131:1981-1988.7)Cardinale D, et al. 2004;109:2749-2754.8)Vasan RS, et al. JAMA. 2002; 288:1252-1259.9)Michel L, et al. ESC Heart Fail. 2020;7:423-433.10)猪又孝元ほか The Manual心不全のセット検査. メジカルビュー社;2019.11)日本心不全学会:血中BNPやNT-proBNP値を用いた心不全診療の留意点について12)日本心エコー図学会編.抗がん剤治療関連心筋障害の診療における心エコー図検査の手引13)Okura Y, et al. J Clin Epidemiol. 2004;57:1096-1103.14)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社;2020.p.176-178.(大倉 裕二、吉野 真樹 腫瘍循環器診療における連携のコツと工夫 多職種連携)15)Okura Y, et al. Int J Clin Oncol. 2019;24:983-994.講師紹介

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オシメルチニブのEGFR陽性肺がん術後アジュバント、欧州で承認勧告/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、欧州連合(EU)において、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が、腫瘍完全切除後の早期(IB期、II期およびIIIA期)EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の治療薬として、製造販売承認が勧告されたと発表。 今回の欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)の肯定的見解は、第III相ADAURA試験の結果に基づくものである。同試験において、オシメルチニブは主要評価項目であるII期およびIIIA期のEGFR変異陽性NSCLC患者における無病生存期間(DFS)、ならびに全対象症例におけるDFSにおいても、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した。 NSCLC患者のおよそ30%は、治癒切除可能な早期ステージに診断されるが、早期ステージと診断された患者においても術後再発率は依然として高いままである。これまでに、IB期と診断された患者の半数近く、IIIA期では4分の3以上もの患者が5年以内に再発を経験している。

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転倒を繰り返す高齢者のリスク因子

 高齢者の再発性転倒のリスク因子は、バランスと可動性、投薬、心理的、感覚および神経筋に分類される可能性が明らかになった。1年に2回以上繰り返し転倒する高齢者は、機能低下と死亡のリスクがあるため、これらの脆弱性マーカーを特定することが転倒予防への近道になりうると考えられる。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のDeborah A. Jehu氏らによるこの研究の詳細は、Maturitas誌2021年2月号に報告された。 再発性転倒のどのリスク因子が最も重要なのか理解することは、転倒の2次予防戦略を立てるうえで助けとなる。さまざまな転倒リスクに対する再発性転倒の相対リスクを検証するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。 2019年4月25日にMEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHLデータベースを検索し、抽出した論文には60歳以上の再発性転倒に寄与するリスク因子を調査した前向き研究を含めた。各リスク因子は、Lordらの転倒リスク因子分類を用いて(1)バランスと可動性、(2)環境、(3)心理的、(4)医学的、(5)投薬、(6)感覚および神経筋、(7)社会人口学、いずれかのドメインに分類し、各ドメインの相対リスクの概算とバイアスのリスク評価および研究の質的評価を行った。 主な結果は以下のとおり。●本システマティックレビューとメタ解析には22件の研究が含まれた。●以下の4つのドメインが再発性転倒を予測した。・バランスと可動性(相対リスク:1.32、95%CI:1.10~1.59)・投薬(相対リスク:1.53、95%CI:1.11~2.10)・心理的(相対リスク:1.35、95%CI:1.03~1.78)・感覚および神経筋(相対リスク:1.51、95%CI:1.18~1.92)●これら4つのドメインは、脆弱性マーカーとして見なしうる。●バイアスのリスクは低く、また、研究の質は高かった(最低:19/22)。●虚弱性マーカーを呈する高齢者は、転倒を繰り返す可能性が最大53%高くなる。

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ファイザー社ワクチン、無症候性感染も予防か/Lancet

 2020年12月から英国において、ファイザー(BNT162b2mRNA)およびアストラゼネカ(ChAdOx1nCOV-19)の新型コロナウイルスワクチン接種が急速に進められている。今回、SIREN Study Groupに所属するオックスフォード大学のVictoria Jane Hall氏らは、両ワクチンの適用範囲に関する因子を特定することを目的に、無症状で定期的な検査を受けている医療従事者を対象者としてBNT162b2mRNAのワクチン効果を記録した。その結果、BNT162b2mRNAワクチンが症状の有無にかかわらず生産年齢人口の感染を予防できることを明らかにした。また、今回の対象者は変異株B1.1.7流行時にワクチン接種されており、この変異株に対しても有効性を示していた。Lancet誌2021年4月23日号掲載の報告。 SIREN Studyは、英国の公立病院で働くスタッフ(18歳以上)を対象とした前向きコホート研究。参加者は陽性群(抗体陽性または感染歴あり[過去の抗体検査またはPCR検査で陽性])と陰性群(過去の抗体検査またはPCR検査で陰性)のいずれかに割り当てられた。ベースライン時点の危険因子は登録時に収集、臨床経過は2週間ごとに収集された。ワクチン接種の有無は全国予防接種管理システムとアンケートを紐付けて収集した。参加者は隔週で PCR検査と毎月の抗体検査を受け、SIREN以外のすべての検査(症状を有する人の検査を含む)も受けた。フォローアップ期間は2020年12月7日~2021年2月5日だった。 主要評価項目は、ワクチン接種を受けた参加者のワクチン接種範囲の分析結果とPCR検査によるワクチンの有効性の確認だった。 主な結果は以下のとおり。・2万3,324例がこの分析の選択基準を満たし、英国の104サイトに登録された。・参加者の年齢中央値は46.1歳(IQR:36.0~54.1)で、1万9,692例(84%)が女性だった。・分析開始時に8,203例(35%)が陽性群に、1万5,121例(65%)が陰性群に割り当てられた。・総追跡期間は丸2ヵ月で110万6,905人日(ワクチン接種:39万6,318、ワクチン未接種:71万587)だった。・2021年2月5日時点のワクチン接種率は89%、そのうちの94%がBNT162b2ワクチンを接種していた。・ワクチン接種率の低さは、既感染、性別、年齢、民族性、職業、 Index of Multiple Deprivation(IMD:イギリスの各地域の相対的豊かさをデータに基づき数値化した指数)のスコアに関連していた。・フォローアップ中、ワクチン未接種の参加者で977例の新規感染があった(感染発生密度:14例/1万人日あたり)。・ワクチン接種済みの参加者は、最初の投与から21日以上経過の後に新規感染が71例(発生率:8例/1万人日あたり)発生、2回目の投与から7日後に9例が感染(感染発生密度:4例/1万人日あたり)した。・ワクチン未接種の参加者では、543例(56%)が典型的な新型コロナ症状を示し、140例(14%)は無症状もしくはPCR検査14日前の時点で無症状だった。一方で、ワクチン接種済みの参加者では29例(36%)は典型的なCOVID-19症状を示し、15例(19%)が無症状だった。・本研究対象集団において、BNT162b2ワクチンの初回投与から21日後では70%(95%信頼区間[CI]:55~85)、2回の投与では7日後に85%(95%CI:74~96)のワクチン有効性を示した。

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糖尿病の発症年齢が若いほど認知症になりやすい?/JAMA

 2型糖尿病の発症年齢が下がるほど、その後の認知症リスクは高くなることが示された。フランス・パリ大学のClaudio Barbiellini Amidei氏らが、英国の前向きコホート研究Whitehall II参加者を対象とした追跡期間中央値31.7年のデータを分析して明らかにした。2型糖尿病については若年発症者が増加する傾向がみられる。これまで2型糖尿病の若年での発症と血管合併症との関連は知られていたが、認知症との関連は不明であった。JAMA誌2021年4月27日号掲載の報告。糖尿病と認知症リスクの関連を30年以上追跡 研究グループは、糖尿病の発症年齢が下がるほど認知症発症との関連が強くなるかを住民ベースの試験で調べた。 Whitehall II(英国の公務員を対象に主に郵送調査を用いた大規模前向きコホート)に1985~88年に最初に登録された1万95例(男性67.3%、1985~88年に35~55歳)について、1991~93年、1997~99年、2002~04年、2007~09年、2012~13年および2015~16年に行われた臨床検査データを集め分析した。最終フォローアップは2019年3月31日であった。 2型糖尿病は、臨床検査による空腹時血糖値が126mg/dL以上と定義し、医師が2型糖尿病と診断し糖尿病治療薬が投与されたか、または1985~2019年の病院の記録に糖尿病とある場合とした。 主要評価項目は、電子健康記録で確認された認知症の発症とした。糖尿病の若年発症は認知症発症と有意に関連 被験者1万95例に関する追跡期間中央値31.7年の記録において、1,710例の糖尿病と639例の認知症が確認された。 70歳で非糖尿病であった被験者の認知症発症率は、1,000人年当たり8.9だった。70歳で直近5年以内に糖尿病を発症した被験者の認知症発症率は、1,000人年当たり10.0、6~10年前の糖尿病発症者については同13.0、10年以上前発症者の場合は18.3だった。 多変数調整解析において、70歳で非糖尿病被験者と比較して、10年以上前に糖尿病を発症した被験者の認知症発症に関するハザード比(HR)は2.12(95%信頼区間[CI]:1.50~3.00)、6~10年前発症者は同1.49(0.95~2.32)、5年以内発症者は同1.11(0.70~1.76)だった。線形傾向検定において、2型糖尿病の発症年齢と認知症には段階的な関連性があることが示された(p<0.001)。 また、社会人口学的要因、健康行動、および健康関連測定値を調整した解析において、70歳被験者では、2型糖尿病の発症年齢が5歳ずつ低下するごとの認知症発症のHRは1.24(95%CI、1.06~1.46)であり、有意な関連が示された。

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貧血のある透析患者へのバダデュスタット、安全性・有効性は?/NEJM

 貧血を有する透析治療を受けている慢性腎臓病(CKD)患者において、経口投与の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬バダデュスタットは、ダルベポエチン アルファと比較して、心血管安全性とヘモグロビン(Hb)値の正常化および維持に関して非劣性であることが示された。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のKai-Uwe Eckardt氏らが、2件の第III相無作為化非盲検非劣性試験(被験者計3,923例)の結果を報告した。NEJM誌2021年4月29日号掲載の報告。新規または長期の透析CKD患者についてダルベポエチン アルファと比較 試験は、貧血を有する新規または長期の透析CKD(DD-CKD)患者を対象に、ダルベポエチン アルファと比較したバダデュスタットの安全性と有効性の評価を目的に行われた。 安全性に関する主要評価項目は、初発の主要有害心血管イベント(MACE:全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)で、2件の試験(新規DD-CKD試験、長期DD-CKD試験)を統合し、time-to-event解析により評価した(非劣性マージン:1.25)。主な副次評価項目は、初発のMACE+入院(心不全あるいは血栓塞栓イベントによる)であった。 有効性に関する主要評価項目および主な副次評価項目は、24~36週および40~52週の2つの評価期間におけるHb値のベースラインからの平均変化量とし、2件の試験それぞれで評価した(非劣性マージン:-0.75g/dL)。初発MACEの発生に関するハザード比0.96 2試験の計3,923例が1対1の割合で無作為化を受け、バダデュスタット群またはダルベポエチン アルファ群に割り付けられた。新規DD-CKD試験集団は369例、長期DD-CKD試験集団は3,554例であった。 プール解析において、初発MACEの発生は、バダデュスタット群355例(18.2%)、ダルベポエチン アルファ群377例(19.3%)であった(ハザード比:0.96、95%信頼区間[CI]:0.83~1.11)。 新規DD-CKD試験集団において、Hb値変化量の両治療群の平均群間差は、24~36週時評価で-0.31g/dL(95%CI:-0.53~-0.10)、40~52週時評価で-0.07g/dL(-0.34~0.19)であった。長期DD-CKD試験集団では、同平均群間差はそれぞれの評価時点で、-0.17g/dL(-0.23~-0.10)、-0.18g/dL(-0.25~-0.12)であった。 バダデュスタット群の重篤な有害事象の発現は、新規DD-CKD試験集団で49.7%、長期DD-CKD試験集団で55.0%であった。ダルベポエチン アルファ群では、新規DD-CKD試験集団で56.5%、長期DD-CKD試験集団で58.3%であった。

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monarchE試験で報告されたアベマシクリブの3つの重要なAE、その特徴と転帰/ESMO BREAST 2021

 monarchE試験において、ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の高リスク早期乳がんに対する術後内分泌療法(ET)とアベマシクリブの併用は、無浸潤疾患生存期間(iDFS)の有意な改善を示した。同試験では、ET単独群と比較してアベマシクリブ併用群で静脈血栓塞栓症(VTE)、アミノトランスフェラーゼ上昇(EAT)、間質性肺疾患(ILD)が頻繁に報告されており、その特徴と転帰についての詳細解析結果を、京都大学の戸井 雅和氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で報告した。monarchE試験のアベマシクリブによるAEの詳細 安全性解析の対象は、少なくとも1回の投薬を受けた5,591例(アベマシクリブ併用群2,791例、ET単独2,800例)で、VTEの病歴のある患者は除外された。アベマシクリブによる治療期間中央値は19.1ヵ月(データカットオフは2020年7月8日)。試験プロトコルにはあらかじめ有害事象(AE)の管理ガイダンスが含まれていた。 monarchE試験でアベマシクリブによるAEの特徴と転帰について解析した主な結果は以下のとおり。[VTE]・ET群16例(0.6%)に対しアベマシクリブ群67例(2.4%)でVTE が報告され、37例(1.3%)がGrade3以上、主に肺塞栓症(0.9%)であった。・肺塞栓症発症者の約1/3が重篤ではなく、入院の必要はなかった。死亡例も報告されていない。・VTEイベントはほとんどが単回の発生であった(88.1%)。・多くの患者でVTE発生後もアベマシクリブ投与が継続され、57%が用量変更なしだったが、19.4%で主にGrade3以上であったことを理由に投与が中止された。・94%の患者に抗凝固薬が投与され、管理は良好であった。・最初のETでタモキシフェンが投与された患者では、アロマターゼ阻害薬が投与された患者と比較してVTE発症が多かった(4.1% vs.1.7%)。・Grade3以上のVTEは、BMI≧25の患者でBMI<25の患者と比較して多く発生する傾向がみられた(1.8% vs.0.6%)。・最初のVTEイベント発生までの期間中央値は両群とも6ヵ月以内であった。[EAT]・ET群181例(6.5%)に対しアベマシクリブ群356例(12.8%)でEATが報告され、87例(3.1%)がGrade3以上、85%が単回の発生であった。・多くの患者でEAT発生後も投与が継続され、Grade3以上の患者の71%が用量変更なし/減量で継続、16%で投与が中止された。・Grade3以上の患者は全員、用量変更あるいは投与中止により回復し、薬物性肝障害を起こした患者はいなかった。・Grade3以上のEAT発生までの期間中央値はアベマシクリブ群3ヵ月以内、ET群4ヵ月以内であった。・アベマシクリブ群でのGrade3以上のALT/AST上昇は、安全性解析集団全体と比較してアジア人集団で多い傾向がみられた(2.4%/1.8% vs. 4.2%/3.1%)。[ILD]・ET群34例(1.2%)に対しアベマシクリブ群82例(2.9%)でILDが報告されたが、多くが無症候性で軽度であった。重篤なILDイベントはアベマシクリブ群で14例(0.5%)発生し、1例が死亡した。・両群でほとんどのILDが単回の発生であった(>97%)。・多くの患者でILD発生後もアベマシクリブ投与が継続されたが、23%で主にGrade2以上であったことを理由に投与が中止された。・アベマシクリブ群のILD発症者の52%でステロイド/抗生物質が投与された。・アベマシクリブ群で、Grade2以上のILDは47%が最初の180日間に発現していた。・アベマシクリブ群でのILDは、安全性解析集団全体と比較してアジア人集団で多い傾向がみられたが、無症候性が多く、Grade2以上やSAE、治療中断の発生率は全体と同程度であった。 VTE、EAT、ILDの多くは最初の6ヵ月間に発生しており、アベマシクリブによる長期的な治療の累積影響やリスク増加は認められず、用量調整と標準的な薬物治療により管理可能と結論づけられている。

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統合失調症維持療法における経口剤とLAIとの比較~メタ解析

 統合失調症に対する抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)と経口剤を比較したエビデンスでは、研究デザインが一貫していない。慶應義塾大学の岸本 泰士郎氏らは、臨床的意思決定における情報を整理するため、抗精神病薬LAIと経口剤のベネフィットを比較した3つの研究デザインのエビデンスを評価した。The Lancet. Psychiatry誌2021年5月号の報告。 統合失調症に対する抗精神病薬のLAIと経口剤を比較したランダム化比較試験(RCT)、コホート研究、事後分析研究について、包括的なシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。MEDLINE、PubMed、Cochrane Library、Scopus、Embaseより、2020年3月13日までに公表された研究を、言語制限なしで検索した。未公表の研究およびClinicalTrials.govについても検索した。統合失調症および関連障害を有する成人を対象として、6ヵ月以上継続した研究を選択した(参加者の80%以上)。penfluridol(LAIまたは毎日の経口投与でないため)を用いた研究、症例報告、患者数が20例未満の症例シリーズは対象研究より除外した。独立した2人の研究者がデータを抽出し、3人目の研究者が不一致性を改善した。必要に応じて、研究著者に連絡し、追加情報を入手した。主要アウトカムは、抗精神病薬のLAIと経口剤による入院または再発のリスク比(RR)とし、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った(再発よりも入院を優先して使用)。2次分析により、入院と再発の優先順位を入れ替えて、入院リスクおよび再発リスクを個別に評価した。副次的アウトカムは、メタ解析可能なすべてのデータとし、有効性、安全性、QOL、認知機能、その他のアウトカムにより分類し、研究デザインごとに分析を行った。2値アウトカム(dichotomous outcome)はプールされたRR、連続アウトカム(continuous outcome)は標準平均差(SMD)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・1万4,687件のうち、選択基準を満たした137件(39万7,319例)の研究を分析した。・分析対象研究の内訳は、RCT 32件(23.4%、8,577例)、コホート研究65件(47.4%、37万7,447例)、事後分析研究40件(29.2%、1万1,295例)であった。・バイアスリスクに関する研究の質については、研究デザイン間および各研究デザイン内で低~高の範囲でさまざまであった。・3つの研究デザインそれぞれにおいて、抗精神病薬のLAIは、経口剤と比較し、入院または再発リスクが低かった。 ●RCT:29研究、7,833例、RR=0.88、95%CI:0.79~0.99、p=0.033 ●コホート研究:44研究、10万6,136例、RR=0.92、95%CI:0.88~0.98、p=0.0044 ●事後分析研究:28研究、1万7,876例、RR=0.44、95%CI:0.39~0.51、p<0.0001・この関連性は、入院と再発の優先順位を入れ替えて評価した場合および入院リスクを個別に分析した場合でも、同様であった。再発リスクに関しては、事後分析研究のみで同様であった。・有効性、安全性、QOL、認知機能、その他のアウトカムに関連するすべてのアウトカムにおいて、研究デザイン間で分析した場合、LAIが経口剤よりも有益であった研究は328件中60件(18.3%)、LAIと経口剤で同様であった研究は252件(76.8%)、LAIが経口剤よりも有益でなかった研究は16件(4.9%)であった。・3つの研究デザインのすべてにおいて、有意な不均一性が認められた。・コホート研究と事後分析研究では、明らかな出版バイアスが認められ、エフェクトサイズは、trim-and-fill分析後も同様であった。 著者らは「研究デザインには、観察研究の質の低さなどの長所と短所があるものの、統合失調症の再発および入院に対し、一貫したLAIの有意なベネフィットが認められた。このことは、LAIの臨床使用の増加に伴い、統合失調症の治療転帰を改善する可能性があることを示唆している」としている。

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