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統合失調症患者における抗精神病薬の剤型と自殺および死亡リスクとの関連

 統合失調症は、死亡リスクが高いことから、最も深刻な精神疾患の1つとして考えられており、この死亡リスクの減少に寄与する方法を明らかにするための研究が行われている。台湾・Bali Psychiatric CenterのCheng-Yi Huang氏らは、長時間作用型注射剤(LAI)とすべての原因、自然死、自殺による死亡リスクとの関連を調査し、新規統合失調症患者におけるLAIの早期使用の影響について、検討を行った。JAMA Network Open誌2021年5月3日号の報告。 台湾全民健康保険研究データベースを用いて、2002~17年に経口抗精神病薬(OAP)治療を行った統合失調症患者を対象に、人口ベースのコホートを構築した。本コホートにおけるLAI群の定義は、LAIへの切り替え、1年間で4回以上のLAI使用とした。LAI群は、同成分のOAP治療を行った患者と1対1でマッチした。抗精神病薬の投与経路変更、死亡、研究期間終了(2018年末)のいずれか早いほうまで、すべての患者をフォローアップした。データ分析は、2002年1月~2018年12月に実施した。主要アウトカムは、すべての原因による死亡率、自然死死亡率、自殺による死亡率、自殺企図とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は、LAI群2,614例(年齢中央値:30歳、四分位範囲[IQR]:23~39歳)、OAP群2,614例(年齢中央値:30歳、IQR:23~39歳)。両群共に、男性患者の割合は51.0%(1,333例)であった。・16年のフォローアップ期間中(中央値:14年、IQR:10~17年)におけるLAI群のすべての原因による死亡リスク、自然死死亡リスク、自殺企図発生率は、OAP群と比較し低かった。 ●すべての原因による死亡(調整ハザード比[aHR]:0.66、95%CI:0.54~0.81) ●自然死(aHR:0.63、95%CI:0.52~0.76) ●自殺企図(発生率比:0.72、95%CI:0.55~0.93)・OAP開始2年以内にLAIに切り替えた患者では、自殺による死亡リスクが47%低下した(aHR:0.53、95%CI:0.30~0.92)。 著者らは「新規統合失調症患者におけるLAI使用は、すべての原因による死亡リスクや自殺リスクの低下と関連していることが示唆された。さらに、OAP開始2年以内の早期にLAI治療を開始することで、自殺による死亡リスクの低下が期待できる。そのため、新規統合失調症患者に対する初期段階でのLAI使用は、積極的に検討する必要がある」としている。

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片頭痛治療に対するメマンチンの有効性~RCTのメタ解析

 片頭痛患者に対するメマンチンの有効性を評価するため、中国・Wenzhou People's HospitalのZhili Xu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Neuropharmacology誌2021年5月・6月号の報告。 2020年2月までに公表された、片頭痛治療におけるメマンチンとプラセボの効果を比較したランダム化比較試験を、PubMed、EMbase、Web of Science、EBSCO、コクランライブラリーデータベースより検索した。本メタ解析では、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・3つのランダム化比較試験をメタ解析に含めた。・全体として、メマンチンによる治療は、1ヵ月当たりの発作頻度、片頭痛日数およびMigraine Disability Assessment(MIDAS:片頭痛の障害評価尺度)スコアの大幅な減少との関連が認められた。 ●発作頻度(平均差[MD]:-2.14、95%信頼区間[CI]:-2.83~-1.46、p<0.00001) ●片頭痛日数(MD:-4.17、95%CI:-6.40~-1.93、p=0.0003) ●MIDASスコア(MD:-5.63、95%CI:-6.46~-4.79、p<0.00001)・一方、急性鎮痛薬への影響は認められなかった(MD:-1.23、95%CI:-4.63~2.17、p=0.48)。 著者らは「片頭痛をコントロールするうえで、メマンチンによる治療は役立つ可能性が示唆された」としている。

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早期乳がん、遺伝子診断を加えたリスク評価で術後内分泌療法も省略可能に?(MINDACT)/ASCO2021

 MammaPrintによるゲノムリスクが超低リスクの患者では、8年時の無遠隔転移生存率(DMFI)が97.0%と非常に高いことが明らかになった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのJosephine Lopes Cardozo氏が、第III相MINDACT試験から、超低リスク患者の長期生存についての解析結果を報告した。 本試験は、術後補助化学療法の対象の選択において、標準的な臨床病理学的判定基準に、70遺伝子シグニチャー検査を追加することの臨床的な有用性を前向きに評価する第III相無作為化試験。これまでに、臨床リスクが高いがゲノムリスクが低い患者において、化学療法が省略できる可能性があることを示唆する結果が報告されている。・対象:年齢18~70歳、リンパ節転移0~3個、遠隔転移のない切除可能な浸潤性原発乳がん(最大腫瘍径5cm)患者 6,693例※70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)の結果、超低リスク:1,000例(15%)、低リスク:3,295例(49%)、高リスク:2,398例(36%)と報告されている。・評価項目:MammaPrint評価による高リスク/低リスク/超低リスク患者における、5年および8年時のDMFIと乳がん特異的生存率(BCSS)。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は8.7年。・ゲノムリスクが超低リスクと評価された患者では、>50歳:67%、腫瘍径≦2cm:81%、リンパ節転移陰性:80%、Grade 1または2:96%、HR陽性/HER2陰性:97%であった。術後に全身療法を受けなかったのは16%、内分泌療法を受けたのは69%、化学療法を受けたのは14%だった。・超低リスク患者を臨床リスクでみると、高リスクが259例、低リスクが741例。臨床リスク高の患者は腫瘍径が大きく、Gradeが高く、リンパ節転移陽性の傾向がみられた。・5年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:98.1%(95%信頼区間[CI]:97.2~99.0)、低リスク:97.5%(97.0~98.1)、高リスク:92.5%(91.4~93.6)だった(p<0.0001)。・8年時のDMFIは、ゲノムリスクの超低リスク:97.0%(95.8~98.1)、低リスク:94.5%(93.6~95.3)、高リスク:89.2%(87.9~90.5)だった(p<0.0001)。・臨床病理学的特性および治療特性で調整後のDMFIのハザード比は、超低リスク vs.低リスク:0.65(0.45~0.94)、高リスク vs.低リスク:2.17(1.68~2.80)であった。・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化して8年時のDMFIをみると、やや差がみられた(臨床リスク低:97.6%[96.4~98.8]、臨床リスク高:95.0%[92.3~97.8]、p=0.02)。・ゲノムリスク超低リスクの患者について術後に受けた治療で層別化して8年時のDMFIをみると、全身療法なし:97.8%(95.3~100)、内分泌療法のみ:97.4%(96.1~98.7)、化学療法±内分泌療法:94.9%(94.4~98.7)だった(p=0.37)。臨床病理学的特性で調整後のDMFIのハザード比は、化学療法あり vs.化学療法なし:0.98(0.37~2.61)、内分泌療法あり vs. 内分泌療法なし:0.59(95%CI:0.27~2.13)だった。・8年時のBCSSは、ゲノムリスクの超低リスク:99.6%(99.1~100)、低リスク:98.2%(97.7~98.7)、高リスク:93.7%(92.6~94.7)だった(p<0.0001)。・ゲノムリスク超低リスクの患者について臨床リスクで層別化してBCSSをみると、差はみられなかった(臨床リスク低:99.7%[99.3~100]、臨床リスク高:99.2%[98.0~100]、p=0.96)。 演者のCardozo氏は、MammaPrintによる評価で超低リスクとなった患者では、臨床リスクによらず8年BCSSが99%を超え、8年DMFIが95~98%という優れた予後を示したとまとめ、超低リスク患者は治療のさらなるde-escalationが可能な候補者であるとした。ディスカッサントを務めたフランス・Gustave RoussyのFabrice Andre氏は、本解析だけでは症例数が少ないが、ゲノムリスクが超低リスクかつ臨床リスクが低リスクの患者については術後内分泌療法を省略できる可能性があるとして、より詳細な研究が必要と述べた。

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「リモート医事(iisy)」で医療事務作業を改善/ソラスト

 医療事務受託サービスを展開する株式会社ソラストは、医療従事者の業務負担の軽減や患者の待ち時間短縮など、これからの時代に即した医療DX(Digital Transformation)パッケージ「リモート医事(iisy)」に関するメディア発表会をオンラインで行った。 今回発表された「リモート医事」は、医療機関の医療事務作業を“リモートセンター”からリアルタイムにサポートするサービスであり、医療事務だけでなく、「診療サポート」「経営支援」「ITサポート」を包括的にDX化して支援する。iisyのリモート医事サービスで現場の負担を軽減する はじめに同社の代表取締役社長の藤河 芳一氏が、会社概要の説明とともに「リモート医事」について、これから日本が直面する労働人口減少社会でのDX化が医療機関の直面する課題であり、これらに対応するために開発を行ったと経緯を説明。「今回の製品“iisy”は最初のステップであり、将来的には『医療・介護のデータビジネス』へステップアップしていきたい」と今後の展望を述べた。 続いて、「リモート医事サービス」について大島 健太郎氏(同社スマートホスピタル開発部長)が概要を説明した。 医療事務の仕事は、受付からはじまり料金計算、会計、レセプト請求処理、カルテ管理など多岐にわたる。リモート医事サービスは、これらの業務をオンラインで集約化して、スタッフの生産性の向上をはかることができるという。 iisyのリモート医事サービスは主に診療所や中小病院を対象とし、リモート医事センターのスタッフがオンラインで「予約、問い合わせ対応、受付処理、料金計算、レセプト事務」を行うもので、患者あたりの従量制の料金が予定されている。また、セキュリティではISMS/ISO27001認証取得と関係する省庁の2つのガイドラインに準拠した環境でのサービスが提供される。 リモート医事のメリットとして、医療事務では「専門性の向上」「デジタルへの移行」、医師・看護師では「本来業務への集中」「労務管理の軽減」、患者では「接遇が厚くなる」「院内滞在時間の短縮」などがあげられる。サービスの提供開始は、本年6月から提供され、本格的な展開は10月を予定している。すでに実証試験を行ったクリニックでの結果は良好だったという。 大島氏は最後に「本年は100医療機関の導入を目指す」と抱負を語った。なお、iisyのリモート医事サービスの展開では、協働先としてソフトバンク、名古屋大学医学部附属病院、日本医師会なども名を連ねている。

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抗HER3-ADC薬、治療抵抗性EGFR変異NSCLCに有望/ASCO2021

 前治療としてのTKIやプラチナ製剤に抵抗性となったEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、HER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるPatritumab-Deruxtecan(HER3-ADC)は、新規治療薬として有望であるとの発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのPasi A. Janne氏よりなされた。  HER3-ADCのNSCLCでの推奨用量は第I相試験で5.6mg/kgとされた。今回は第I相試験用量拡大パートの報告である。 ・対象:オシメルチニブを含むEGFR-TKIとプラチナ製剤の治療を受け抵抗性となったEGFR変異陽性NSCLC81例・介入:HER3-ADC 5.6mg/kg投与57例と3.2~6.4mg/kg投与24例(脳転移の有無は問わず)・評価項目:[有効性評価項目]全奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間、奏効とHER3発現の関連など[安全性評価項目]全有害事象(TAE)、治療関連有害事象 有効性解析は57例を、安全性評価は81例を対象とした。  主な結果は以下のとおり。 ・患者背景は、年齢中央値65歳、脳転移あり47%、前治療の中央値は4ライン(オシメルチニブの投与は86%、プラチナ製剤投与は91%、免疫チェックポイント阻害剤既治療は40%)であった。・観察期間中央値10.2ヵ月(データカットオフ:2020年9月)時点でのORRは39%(CR1例)で、DCRは72%であった。・PFS中央値は8.2ヵ月で、奏効期間中央値は6.9ヵ月であった。・脳転移あり症例のORRは32%、PFS中央値8.2ヵ月、脳転移なし症例のORRは41%、PFSは8.3ヵ月と、脳転移の有無とは関連がみられなかった。・抗腫瘍効果は、EGFR変異や他遺伝子の変異を問わず認められた。・HER3発現とORRの間には相関は認められなかった。・Grade3以上の全有害事象は、血小板減少、好中球減少、倦怠感、貧血などで、治療関連死は無かった。治療関連の間質性肺疾患は全症例のうち5%に発現したが、Grade4/5はなかった。  発表者は「本剤は、臨床的に意味のある有効性を示しており、忍容性も確認された。他のNCSLCの治験も進行中である」と結んだ。

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進行上咽頭がん、化学放射線療法後のカペシタビンによるメトロノーム療法でFFS改善/Lancet

 ハイリスク局所進行上咽頭がんにおいて、根治的化学放射線療法実施後に遠隔転移のない患者に対し、メトロノーム投与法による経口カペシタビンによるアジュバント療法を1年間行うことで、転移のない3年治療成功生存率(failure-free survival)を有意に改善したことが、中国・中山大学がんセンターのYu-Pei Chen氏らが400例超を対象に行った、第III相無作為化比較試験の結果、示された。局所進行上咽頭がん患者においては標準治療後、完全奏効を得る患者の割合が高いにもかかわらず再発のリスクが高く、効果的なアジュバント療法が切望されている。Lancet誌オンライン版2021年6月4日号掲載の報告。カペシタビン経口メトロノーム療法を1年間行い、治療成功生存率を評価 研究グループは2017年1月25日~2018年10月25日に、中国の14病院で、組織学的に確認されたハイリスク局所進行上咽頭がん(StageIII/IVA、T3/4N0とT3N1は除外)で、根治的化学放射線療法実施後に局所領域疾患や遠隔転移のない18~65歳の患者を対象に試験を実施した。被験者は、ECOG PSは0/1で、血液・腎・肝機能はいずれも十分で、無作為化時点で最終放射線治療を受けてから12~16週間経過していた。 被験者を2群に分け、一方にはメトロノーム投与による経口カペシタビン療法(650mg/m2体表面積、1日2回、1年間)を行い(カペシタビン経口メトロノーム療法群)、もう一方は経過観察を行った(標準治療群)。無作為化はコンピュータ生成法にて行い(4サイズブロック法)、試験センターや導入化学療法実施の有無により層別化した。 主要評価項目は、治療成功生存率(無作為化から再発[遠隔転移または局所再発]または全死因死亡までの期間と定義)で、ITT集団により解析した。 安全性は、カペシタビンを1回以上投与または観察が開始されていた全患者について評価した。3年治療成功生存率、標準治療群76%に対しカペシタビン群85% 被験者数は406例で、カペシタビン経口メトロノーム療法群は204例、標準治療群は202例だった。 中央値38ヵ月(四分位範囲:33~42)の追跡期間中、再発または死亡はカペシタビン経口メトロノーム療法群29例(14%)に対し、標準治療群53例(26%)だった。 3年治療成功生存率は、標準治療群75.7%(95%信頼区間[CI]:69.9~81.9)に対しカペシタビン経口メトロノーム療法群は85.3%(80.4~90.6)と有意に高率で、層別ハザード比は0.50(95%CI:0.32~0.79、p=0.0023)だった。 Grade3の有害事象は、カペシタビン経口メトロノーム療法群35/201例(17%)、標準治療群11/200例(6%)で報告された。カペシタビン経口メトロノーム療法に関連する有害事象で最も頻度が高かったのは手足症候群で、18例(9%)にGrade3の症状が認められた。Grade4の好中球減少症の発生は、カペシタビン経口メトロノーム療法群の1例(1%未満)のみだった。治療関連の死亡は両群共に報告されなかった。 著者は、「これらの結果は、上咽頭がんのアジュバント療法として、カペシタビン経口メトロノーム療法を潜在的に支持するものであった」とまとめている。

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ワクチン2回接種で、デルタ株に90%超の入院回避効果

 ファイザー社とアストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンが、2回の接種でB.1.617.2系統の変異株「デルタ株(インド型)」による入院回避に非常に高い効果を示すことが明らかになった。英・イングランド公衆衛生庁(PHE)が、14日付のプレスリリースで発表した。 PHEでは、2021年4月12日~6月4日の間に「デルタ株」感染が確認された1万4,019例を対象に分析を実施。その結果、2回接種で入院治療を回避できる有効性は、ファイザー社のワクチンが96%、アストラゼネカ社のワクチンが92%であり、いわゆる英国型の変異株「アルファ株」に対する有効性と同等だったという。当局では、先のワクチンについて「デルタ株」感染による死亡を防ぐ効果についても研究を進めており、ほかの変異株と同様に効果は高いと予測している。

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D-ダイマー高値COVID-19入院患者、治療的 vs.予防的抗凝固療法/Lancet

 D-ダイマー値上昇の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者に対し、リバーロキサバンやエノキサパリンなどによる治療的抗凝固療法は、予防的抗凝固療法に比べ臨床アウトカムを改善せず、一方で出血リスクを増大したことが示された。米国・デューク大学のRenato D. Lopes氏らが、600例超を対象に行った多施設共同非盲検(評価者盲検)無作為化比較試験「ACTION試験」の結果で、著者は「経口抗凝固療法適応のエビデンスがない場合は、リバーロキサバンおよびその他の直接経口抗凝固薬の治療的投与は避けなくてはならない」と警鐘を鳴らした。COVID-19は、有害転帰につながる血栓形成促進との関連が示されているが、これまで治療的抗凝固療法がCOVID-19入院患者の転帰を改善するかどうかは不明だった。Lancet誌2021年6月12日号掲載の報告。治療的抗凝固療法としてリバーロキサバンを30日間投与 研究グループはブラジル31ヵ所の医療機関で、COVID-19で入院した18歳以上の患者を対象に試験を行った。被験者はD-ダイマー値上昇が認められ、無作為化時点でCOVID-19の症状継続期間が最長で14日だった。 被験者を治療的抗凝固療法群と予防的抗凝固療法群に割り付け、治療群には、臨床的安定な患者に対してはリバーロキサバン(1日20mgまたは15mg)を投与し、臨床的不安定な患者にはエノキサパリン皮下投与(1mg/kgを1日2回)または未分画ヘパリン皮下投与(目標抗Xa濃度:0.3~0.7IU/mL)を行った後にリバーロキサバンを30日間投与した。 予防群に対しては、入院標準治療のエノキサパリンまたは未分画ヘパリンを投与した。 有効性の主要アウトカムは、死亡までの期間、入院期間または30日目までの酸素補充を要した期間の階層的解析結果で、勝利比メソッド(比率1超は治療的抗凝固療法のアウトカムがより良好)を用いてITT集団で評価した。 安全性の主要アウトカムは、30日間の大出血、または臨床的に関連する非大出血だった。治療的抗凝固療法で出血リスクは3.64倍に 2020年6月24日~2021年2月26日にかけて、3,331例をスクリーニングし、うち615例を無作為化した(治療的抗凝固療法群311例、予防的抗凝固療法群304例)。臨床的安定な患者は576例(94%)で、不安定な患者は39例(6%)だった。治療群の患者1例が同意の取り下げでフォローアップが完遂できず、主要解析に含まれなかった。 有効性の主要アウトカムは両群で差が認められなかった(勝利比:0.86、95%信頼区間[CI]:0.59~1.22、p=0.40)。この傾向は、臨床的安定な患者と不安定な患者それぞれで、一貫していた。 安全性の主要アウトカムについては、大出血または臨床的に関連する非大出血の発生率は、予防群2%(7例)に対し、治療群8%(26例)だった(相対リスク:3.64、95%CI:1.61~8.27、p=0.0010)。試験薬のアレルギー反応は、治療群2例(1%)、予防群3例(1%)で報告された。

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進行胃・食道がん1次治療、ニボルマブ+化学療法でOS延長/Lancet

 未治療の進行胃がん・胃食道接合部がんまたは食道腺がんの1次治療について、ニボルマブ+化学療法の併用療法は化学療法単独に対して、全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、許容可能な安全性プロファイルが示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏らが、第III相国際多施設共同無作為化非盲検試験「CheckMate 649試験」の結果を報告した。進行または転移のあるHER2陰性の胃がんまたは胃食道接合部腺がんにおける、1次化学療法のOS期間中央値は1年未満である。CheckMate 649試験は、胃がん・胃食道接合部がん/食道腺がんの1次治療としての、抗PD-1阻害薬ベースの化学療法の評価を目的に行われた。本論はニボルマブ+化学療法vs.化学療法単独の有効性および安全性に関して初となる報告で、結果を踏まえて著者は、「ニボルマブ+化学療法は、これらの患者における1次治療の新たな標準治療である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年6月4日号掲載の報告。主要評価項目はPD-L1 CPS≧5の患者のOS、PFS CheckMate 649試験は29ヵ国175病院・がんセンターから、18歳以上の未治療で切除不能でありHER2陰性の胃がん・胃食道接合部がんまたは食道腺がんの患者を登録して行われた。PD-L1の発現は問わなかった。 被験者はウェブシステム(ブロックサイズ6)を介して、非盲検下で無作為に1対1対1の割合で次の3群に割り付けられた。(1)ニボルマブ(360mg[3週ごと]または240mg[2週ごと])+化学療法(カペシタビン+オキサリプラチン[XELOX、3週ごと]またはロイコボリン+フルオロウラシル+オキサリプラチン[FOLFOX、2週ごと])、(2)ニボルマブ+イピリムマブ、(3)化学療法単独。 主要評価項目は、PD-L1 CPS≧5の患者における、ニボルマブ+化学療法の併用療法vs.化学療法単独のOSまたはPFSであった。 安全性の評価は、割り付け治療を少なくとも1回受けた全患者を対象とした。OS、PFSを有意に延長、PD-L1 CPS≧1集団や全無作為化集団でも有益 2017年3月27日~2019年4月24日に、2,687例の患者が適格性の評価を受け、そのうち1,581例が無作為に治療に割り付けられた(ニボルマブ+化学療法群[789例、50%]、化学療法単独群[792例、50%])。OSに関する追跡期間中央値は、ニボルマブ+化学療法群13.1ヵ月(IQR:6.7~19.1)、化学療法単独群11.1ヵ月(5.8~16.1)であった。 最短追跡期間12.1ヵ月時点で、PD-L1 CPS≧5の患者において、ニボルマブ+化学療法群は化学療法単独群と比べて、OS(ハザード比[HR]:0.71、98.4%信頼区間[CI]:0.59~0.86、p<0.0001)およびPFS(HR:0.68、98%CI:0.56~0.81、p<0.0001)を有意に延長した。OS期間中央値は14.4ヵ月(95%CI:13.1~16.2)vs.11.1ヵ月(10.0~12.1)、PFS期間中央値は7.7ヵ月(7.0~9.2)vs.6.0ヵ月(5.6~6.9)であった。 また、PD-L1 CPS≧1の患者集団における解析でも、OSの有意な延長が示され(HR:0.77、99.3%CI:0.64~0.92、p<0.0001)、PFSにもベネフィットがあることが示された(HR:0.74、95%CI:0.65~0.85)。同様に全無作為化集団においても、OSの有意な延長が示され(HR:0.80、99.3%CI:0.68~0.94、p=0.0002)、PFSへのベネフィットも示された(HR:0.77、95%CI:0.68~0.87)。 治療を受けた全患者におけるGrade3/4の治療関連有害事象の発現は、ニボルマブ+化学療法群462/782例(59%)、化学療法単独群341/767例(44%)であった。最も頻度の高い全グレードの治療関連有害事象(25%以上)は、両群ともに悪心、下痢、末梢神経障害であった。 ニボルマブ+化学療法群16例(2%)の死亡、化学療法単独群4例(1%)の死亡が治療に関連していると見なされた。なお、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

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「ユリノーム」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第56回

第56回 「ユリノーム」の名称の由来は?販売名ユリノーム®錠50mgユリノーム®錠25mg一般名(和名[命名法])ベンズブロマロン(JAN)効能又は効果下記の場合における高尿酸血症の改善 痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症用法及び用量(1)ユリノーム錠 50mg1)痛風通常成人1日1回1/2錠または1錠(ベンズブロマロンとして25mgまたは50mg)を経口投与し、その後維持量として1回1錠を1日1~3回(ベンズブロマロンとして50~150mg)経口投与する。なお、年令、症状により適宜増減する。2)高尿酸血症を伴う高血圧症 通常成人1回1錠を1日1~3回(ベンズブロマロンとして50~150mg)経口投与する。なお、年令、症状により適宜増減する。(2)ユリノーム錠 25mg1)痛風通常成人1日1回1錠または2錠(ベンズブロマロンとして25mgまたは50mg)を経口投与し、その後維持量として1回2錠を1日1~3 回(ベンズブロマロンとして50~150mg)経口投与する。 なお、年令、症状により適宜増減する。2)高尿酸血症を伴う高血圧症 通常成人1回2錠を1日1~3回(ベンズブロマロンとして50~150mg)経口投与する。なお、年令、症状により適宜増減する。警告内容とその理由1.劇症肝炎等の重篤な肝障害が主に投与開始6ヶ月以内に発現し、死亡等の重篤な転帰に至る例も報告されているので、投与開始後少なくとも6ヶ月間は必ず、定期的に肝機能検査を行うこと。また、患者の状態を十分観察し、肝機能検査値の異常、黄疸が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。2.副作用として肝障害が発生する場合があることをあらかじめ患者に説明するとともに、食欲不振、悪心・嘔吐、全身倦怠感、腹痛、下痢、発熱、尿濃染、眼球結膜黄染等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、直ちに受診するよう患者に注意を行うこと。禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌(次の患者には投与しないこと)】1.肝障害のある患者 [肝障害を悪化させることがある。]2.腎結石を伴う患者、高度の腎機能障害のある患者 [尿中尿酸排泄量の増大により、これらの症状を悪化させるおそれがある。また、効果が期待できないことがある。]3.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人4.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年6月16日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年4月改訂(第5版)医薬品インタビューフォーム「ユリノーム®錠50mg/25mg」2)トーアエイヨー:製品情報一覧

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第62回 アデュカヌマブFDA承認、効こうが効くまいが医師はますます認知症を真剣に診なくなる(前編)

アミロイドβを減少させることが認められた世界初の薬剤こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は久しぶりに東京・下北沢の駅前劇場という小劇場に演劇を観に行ってきました。年に1回公演をするかしないかの劇団「動物電気」2年ぶりの公演です。緊急事態宣言下、ただでさえ小さな劇場がソーシャルディスタンスで客席もかなり間引かれていて、採算は合うのだろうか、役者の取り分はあるのだろうかと心配になりました。もっともお客さんの入りは上々で、くだらなくて下品な笑いがこれまでと同じように劇場に溢れていたのには安心しました。さて、この1週間の個人的な大ニュースは大谷 翔平選手のアリゾナ・ダイアモンドバックス戦での2連続ボーク、ではなく、アルツハイマー治療薬アデュカヌマブのFDA承認です。米国バイオジェンとエーザイは日本時間6月8日、共同開発した「ADUHELM」(一般名:アデュカヌマブ)が、米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認を取得したと発表しました。アルツハイマー病の原因の一つと言われるアミロイドβプラークを減少させることが認められた世界初の薬剤となりました。知人のベテラン医薬専門記者も「マジか!」と深夜に叫んでしまったというアデュカヌマブ承認。私もいくつか気になった点がありますので、それについて書いてみたいと思います。迅速承認に至るまでは紆余曲折FDAがアデュカヌマブを迅速承認した根拠は、アルツハイマー病の臨床症状の悪化抑制の予測可能性が高いバイオマーカー、アミロイドβプラークの減少が臨床試験で実証されたため、とされています。これまでの治験の経緯から、アデュカヌマブがFDAで承認されるかどうかは、専門家の間では否定的見解のほうが多かった印象です。迅速承認に至るまでは紆余曲折がありました。臨床第III相試験は中止となり、 その結果も「1勝1敗」だったからです。第III相試験としては、アルツハイマー病初期段階の軽度認知障害(MCI)と軽度認知症の患者を対象とした1,600例規模の2つの試験が行われましたが、結果はお互いに矛盾したものでした。一方の臨床試験では、高用量を投与された被験者で、臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes:CDR-SB)をはじめとする臨床的有用性の評価指標がすべて改善していたのに対し、他方の臨床試験では、高用量を投与された群で臨床的有用性の評価指標が悪化するなど、矛盾する結果が得られたのです。その後、バイオジェンは改めて事後解析を行い、高用量群で評価項目が有意に改善したデータなどと共に、昨年7月にFDAに承認申請しました。有用性を示せない場合は承認取り消し薬剤の有用性評価を巡ってFDAの諮問委員会でも厳しい評価であったアデュカヌマブが承認に至った大きな理由の一つは、迅速承認(Accelerated Approval)という米国独自の仕組みにあります。迅速承認とは、「重篤で医療ニーズを満たす薬剤がない疾患については、 薬剤の臨床的有用性を完全に証明できていなくても、有用性を合理的に予測できる代替エンドポイントを根拠に、 早期に承認する仕組み」のことです。真の臨床的有用性については市販後臨床試験で実証することになります。FDAはリリースで「代替エンドポイントとしての脳内アミロイドβプラークの減少に基づく迅速承認である」と説明しています。市販後の検証的試験において臨床的有用性を示すことができない場合は、承認は取り消されることになります。サブ解析を繰り返し、なんとかCDR-SBが改善するという結果を導き承認申請したものの、FDAはCDR-SBの評価では厳しいと判断、脳内アミロイドβプラークの減少という代替エンドポイントで評価し、迅速承認という言わば“裏技”で承認までこぎつけた、というのが大まかな流れとなります。承認に否定的見解を示していたFDA諮問委員会の11人の専門家のうち3人が抗議のために辞任したとの報道もありました。 適応は「アルツハイマー病」「アミロイドβが神経細胞を死滅させることでアルツハイマー病になる」というのが依然として仮説であること、CDR-SBという当初の主要評価項目がどこかにいってしまい、アミロイドβの減少だけでFDAが承認したこと、迅速承認でありこれから市販後の検証的試験が行われることなど、医学的にも不確定要素が多く、批判も多いアデュカヌマブですが、気になるのはその使われ方です。臨床試験は軽度認知障害(MCI)と軽度認知症を対象に行われましたが、承認された適応は「アルツハイマー病」になりました。「アルツハイマー型認知症」ではなく、アルツハイマー病となったということは、米国で用いられているアルツハイマー病の診断基準(NINCDS-ADRDAの診断基準など/認知症の症状とアミロイドβなどのバイオマーカーの蓄積で診断する)さえクリアすれば、症状がごく軽微の段階から重度まで広く治療の対象になる、ということです。もっとも、報道によればその治療費は1回412ドル、年間5万6,000ドル(体重74キロの患者の場合)と高額なので、患者が契約する保険会社や、公的保険制度であるメディケア(高齢者向け)、メディケイド(低所得者向け)がそれぞれ、アデュカヌマブをどの段階のアルツハイマー病患者まで使用を許可するかで、対象者は大きく異なってくるでしょう。ロイターの報道では、米国の民間保険会社の幹部は「ほとんどの保険会社は、同薬への保険の適用を臨床試験に参加した患者と同じような患者に限定するだろう」と話したとしています。日本の皆保険制度で使える薬なのか?このアデュカヌマブ、日本国内でも2020年12月にバイオジェン・ジャパンが承認申請しています。田村 憲久厚生労働大臣は6月8日の閣議後の記者会見で、アデュカヌマブのFDA承認について「大きな一歩だ」と語り、国内での承認について「画期的な治療薬だ」と評価した上で「安全性、有効性をしっかりと確認させた上で対応する」と述べたとのことです。同じく6月8日の共同通信は、「厚生労働省が年内にも承認の可否を判断する可能性があると明らかにした」として、加藤 勝信官房長官の「日本でも実用化されれば、認知症施策推進大綱が掲げる共生と予防の推進にも資する」というコメントを報道しています。エーザイの株価も一時ストップ高となったようですが、果たしてこれは本当にそんなにおめでたい話なのでしょうか。日本で承認され使われる場合、米国と違って国民皆保険という大きなハードルがあります。米国のように各保険会社が独断で適応を絞る、ということが皆保険下ではできません。あと、ただでさえアルツハイマー病をはじめとする認知症を真面目に診る医師がいない状況下、中途半端な薬剤が市場に出ることは、現場の認知症診療やケアを逆に妨げてしまう可能性もあります。来週は、日本での承認の可能性と臨床現場への影響についてもう少し考えてみたいと思います(この項続く)。

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長期使用中の外用ステロイドの塗布部位を確認して中止提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第38回

 外用ステロイドは皮膚の炎症性病変において汎用性が高い薬ですが、その使いやすさゆえに治療期限なく使用されるケースも散見されます。今回は、使用意図が明確でないまま、漫然と介護士や看護師から処方依頼が続いていた症例を紹介します。患者情報80歳、女性(施設入居)基礎疾患混合型認知症介護度要介護4服薬管理施設職員が管理障害自立度C認知症自立度IIIa処方内容1.ドネペジル錠5mg 1錠 分1 朝食後2.フロセミド錠10mg 1錠 分1 朝食後3.酸化マグネシウム原末1g 分2 朝夕食後4.ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏 50g Rp5と混合 1日2回 体に塗布5.ヘパリン類似物質油性クリーム 50g Rp4と混合 1日2回 体に塗布本症例のポイントこの患者さんは、背部と腹部の皮膚炎のため、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏とヘパリン類似物質油性クリームの混合軟膏を使用していました。訪問時に薬歴を確認したところ、処方が1年以上継続しており、ステロイドのランクダウンや塗布部位の変更もなく長期的に使用していることに疑問を持ちました。そこで患者さんの病状を確認すると、発赤や隆起した皮膚の様子もなく、治療内容と現状がマッチしていない印象を受けました。施設の介護スタッフに状況を確認すると、時折背中や腹部をかいている様子があるため、現行の軟膏の塗布を継続しているとのことでした。また、軟膏が少なくなったら医師の訪問診療前に連絡して処方を依頼しており、医師はその依頼どおりに処方していることも判明しました。処方提案と経過訪問診療に同行し、医師に患者さんの軟膏塗布部位を直接診察してもらうことにしました。その際に、長期的に外用ステロイドを使用しているものの皮膚の状態は安定しており、むしろ長期使用に伴う細菌・真菌感染の誘発やざ瘡・毛細血管の拡張、皮膚萎縮などの副作用の懸念があることを伝えました。また、病状が安定しているのであれば、ステロイドを中止あるいはランクダウンしてから中止し、皮膚の保湿のみでコントロールできないか相談しました。医師より、病状は安定しているため、もはやステロイド適応ではなく、皮膚乾燥部位の保湿剤の塗布と保湿ケアを介護士に指示すると回答を頂きました。外用ステロイドを中止して保湿剤のみのコントロールに変更しても皮膚炎の再燃はなく経過しています。薬物治療の効果や副作用判定をする際は施設の介護士や看護師から情報を収集することも重要ですが、実際に自分の目で患者さんの症状を確認したことで、医師への処方提案に深みが増した症例でした。

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皮膚病変からコロナ重症度もわかる?その具体的な症状とは

 新型コロナ患者での皮膚病変が報告されているが、具体的にはどのような症状なのだろうか。福田 知雄氏(埼玉医科大学総合医療センター皮膚科 教授)がメディアセミナーにおいて、「皮膚は健康のバロメーター ~意外と多いコロナの皮膚症状、爪からわかる健康状態~」と題し、皮膚病変が新型コロナ重症度判定にも有用な可能性を示唆した(主催:佐藤製薬)。蕁麻疹などの皮膚症状でコロナ重症度も判別できる 福田氏はまず、昨年3月にイタリアの皮膚科医が報告した論文1)を挙げ、「彼らは“新型コロナ(以下、COVID-19)病棟の多くの患者に皮膚症状が出ていた”ことに注目し調査を実施した。その結果、20.4%(18/88例)に皮膚症状(紅斑性皮疹、広範囲の蕁麻疹、水痘様皮疹など)が認められたことを報告した」と説明。しかし、この段階ではCOVID-19と重症度の相関関係は認められておらず、その後9月に発表されたドイツの研究者の論文2)で、COVID-19のリスク層別化などに役立つ可能性が示唆された。これを踏まえ同氏は、「ある症状はより軽度のCOVID-19の経過を示す臨床的徴候であり、別の症状はより重度の経過を示す赤旗であることが示された。つまり、どんな皮膚症状から何がわかるのか、皮膚症状の理解を深めておくことがCOVID-19の指標確認にもなる」とコメントした。 そこで、同氏はCOVID-19患者での注意すべき皮膚症状3)のパターンとして、斑状丘疹状皮疹、蕁麻疹、水痘様皮疹、点状出血、しもやけ、そして網状皮斑(リベド)を提示。なかでも“網状皮斑パターン”が見られる患者には新型コロナ重症例が多いことから、「皮膚病変からコロナを疑ったら血液検査にて凝固亢進などのチェックも必要」と注意を促した。 以下に新型コロナ重症度別の主な皮膚病変を示す。(軽症例)・凍傷様の浮腫および紅斑状の皮疹(Chilblain-like eruptions on fingers and toes) 若年層の軽症例に観察、平均して2週間後に消失。 手指より足趾/足裏に出現。・点状出血/紫斑を伴う皮疹(Rash with petechiae/purpuric rash) 鑑別診断には薬疹、他の細菌/ウイルス感染に伴う発疹など。・多形紅斑様皮疹(Erythema multiforme‐like rash) 軽症の経過をとる傾向がある。小児に多く見られる。 鑑別診断には単純ヘルペス感染症に伴う多形紅斑など。(重症例)・水痘様皮疹(Chickenpox-like rash) 中年患者の体幹に認められた。 イタリアの症例では、重症患者88例のうち1例で水痘様皮疹が観察された。・蕁麻疹様皮疹(Urticarial rash) 発熱を伴う蕁麻疹様皮疹は新型コロナと判断してよい。広範囲で見られるとCOVID-19が重症化する傾向。 蕁麻疹も重症ならCOVID-19も重症になる傾向。・斑状丘疹状皮疹(Maculopapular rash) 最も頻度が高い皮疹で、新型コロナの重篤な経過と関連。 小児ではまれ、成人では重篤な経過をたどる指標になる可能性がある。 鑑別診断には、はしか、EBウイルス感染症、薬疹、移植片対宿主病など・男性型脱毛症(Androgenetic alopecia) 男性ホルモンであるアンドロゲンは新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を促進するTMPRSS2プロテアーゼに関与するだけではなく、免疫抑制作用を持っている。男性型脱毛症の特徴的な症状である前頭部-側頭部および頭頂部の退行とCOVID-19による肺炎の発症に対し、関連性が示唆されている。 これらを総括し、「COVID-19の皮膚症状は、早期診断、陽性患者のトリアージおよびそのリスク層別化に役立つ可能性がある。凍傷様の肢端の皮疹、紫斑・多形紅斑様の皮疹は、無症状あるいは軽症の小児や若年成人の患者に認められる。対照的に、先端部の虚血性病変や斑状皮疹は、より重篤な経過をたどる成人患者に多く見られる。発熱を伴う蕁麻疹は、COVID-19が確認されていない場合の初期症状であるため、診断上の意義がある」とまとめた。 このほか、爪による健康状態の判別にも触れ、「健康な人の爪はきれいなピンク色で、艶があり、滑らかで押すとうっすら白くなる。爪は年齢、生活週間、基礎疾患など、爪に影響を与える因子は極めて多い」と患者の爪の健康状態の確認も重要であることを述べ、締めくくった。

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進行TN乳がんIMサブタイプの1次治療にfamitinib+camrelizumab+nab-パクリタキセルが有望(FUTURE-C-PLUS)/ASCO2021

 immunomodulatory(IM)サブタイプの進行トリプル(TN)乳がんの1次治療として、中国で複数のがんに承認されている抗PD-1抗体camrelizumabとnab-パクリタキセルの併用に、VEGFR-2、PDGFR、c-kitを標的とした経口チロシンキナーゼ阻害薬famitinibを追加することにより、有望な抗腫瘍活性および管理可能な毒性プロファイルを示したことが、前向き単群第II相試験のFUTURE-C-PLUS試験で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのZhi-Ming Shao氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。 camrelizumabおよびnab-パクリタキセルは、転移を有するIMサブタイプのTN乳がんに有望な抗腫瘍活性を示すことが報告されている(第Ib/II相アンブレラ試験のFUTURE試験で、複数の抗がん剤治療歴のある患者における奏効率52.6%)。一方、血管新生阻害薬は免疫チェックポイント阻害薬への反応を増強することが知られていることから、IMサブタイプのTN乳がんに対するfamitinib+camrelizumab+nab-パクリタキセルの3剤併用の有効性と安全性を評価した。・対象:治療歴のない切除不能な局所進行もしくは転移を有するIMサブタイプのTN乳がん・介入:camrelizumab(200mgを1、15日目に静注、4週ごと)+nab-パクリタキセル(100mg/m2を1、8、15日目に静注、4週ごと)+famitinib(20mg 1日1回を1~28日目に経口投与、4週ごと)を病勢進行もしくは耐容不能な毒性の発現まで継続(nab-パクリタキセルは最低6サイクル投与)・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2019年10月~2020年10月に48例が登録された。・奏効率は、ITT集団で81.3%(48例中39例、95%信頼区間[CI]:70.2~92.3)、per protocol集団で84.8%(46例中39例、95%CI:74.4~95.2)だった。・2021年4月30日時点で観察期間中央値は11.5ヵ月、PFS中央値は未到達で、9ヵ月でのPFS率は60.2%(95%CI:43.2~77.3) 、10ヵ月でのPFS率は53.5%(95%CI:37.6~69.3)だった。・奏効までの期間の中央値は 1.8ヵ月(95%CI:1.8~2.0)だった。・重篤な治療関連有害事象(TRAE)は2例(4.2%)、投与中止に至ったTRAEは3例(6.3%)に発現し、治療関連死亡はなかった。・Grade 3/4の有害事象として、好中球減少症(33.3%)、貧血(10.4%)、発熱性好中球減少症(10.4%)、血小板減少症(8.3%)、高血圧症(4.2%)、甲状腺機能低下症(4.2%)、末梢感覚ニューロパチー(2.1%)、ALT/AST上昇(2.1%)、蛋白尿(2.1%)、敗血症(2.1%)、免疫関連心筋炎(2.1%)がみられた。・バイオマーカー分析から、次世代シークエンサーパネルで検出されたBACA1、KAT6A、PKD1の体細胞変異が免疫療法の効果を予測できる可能性が示唆された。 現在、無作為化比較試験のFUTURE-SUPERが進行している。

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日本における統合失調症患者の早期再入院の減少につながる院内看護

 統合失調症は、精神症状の再発を特徴とする疾患である。統合失調症入院患者の15~30%は、退院後90日以内に自傷行為、他傷行為、セルフネグレクトにつながる症状の悪化により再入院している。椙山女学園大学の牧 茂義氏らは、統合失調症患者の早期再入院減少につながる院内看護の構造およびその予測因子を調査するため、横断的研究を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。 調査対象は、日本の精神科病棟に勤務する正看護師724人。統合失調症患者の早期再入院の減少につながる院内看護について評価するため、質問票を新たに作成した。質問票を用いて、項目分析、探索的因子分析を行い、早期再入院減少につながる院内看護の構造を調査した。 主な結果は以下のとおり。・早期再入院の減少につながる院内看護の因子は、以下の5つであった。 ●認知機能とセルフケアの促進 ●再入院の理由の特定 ●コミュニティーでの協力体制の確立 ●コミュニティー生活に関する目標共有 ●安らぎの空間・早期再入院の減少につながる院内看護を予測する因子は、以下の3つであった。 ●臨床実践における病棟看護師用尺度(nursing excellence scale)のスコア ●治療的な関心のスコア ●退院前カンファレンスへの地域ケア提供者の参加 著者らは「日本の精神科看護師は、早期入院の減少につながる5つの因子に基づいて看護を行っている。このような看護ケアは、看護師の優秀さだけでなく、看護師の環境的要因、とくに病棟の治療環境や退院前のカンファレンスへの地域ケア提供者の参加によってさらに促進されるであろう」としている。

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わが国のEGFR陽性NSCLCに対するゲフィチニブのアジュバント治療の結果(IMPACT)/ASCO2021

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の完全切除後の術後療法としてのゲフィチニブの有用性を検討した国内臨床試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、吹田徳洲会病院の多田弘人氏から報告された。 このIMPACT試験は日本のWJOGにより実施されたオープンラベルの無作為化比較第III相試験である。・対象:EGFR変異(del19またはL858R)を有する Stage II~IIIの完全切除後のNSCLC患者(T790M変異陽性症例は除外。年齢は75歳未満)・試験群:ゲフィチニブ(250mg/日)を2年間投与(Gef群)・対照群:シスプラチン(80mg/m2をday1)+ビノレルビン(25mg/m2をday1,8)を3週ごとに4サイクル投与(CV群)・評価項目:[主要評価項目]独立中央判定による無病生存期間(DFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、安全性、再発様式など有効性は6ヵ月ごとに、脳転移や骨転移の有無は12ヵ月ごとに評価 主な結果は以下のとおり。・2011年9月~2015年12月に234例が無作為化割り付けされ、232例がITT集団として解析された。・両群間に患者背景の差は見られなかった。女性が約60%、年齢中央値は64歳、非喫煙者も約60%、Stage IIAが約30%、IIIAが約60%であった。・Gef群(2年間)の治療完遂率は61.2%、CV群は77.6%であった。CV群に治療関連死が3例報告された。・観察期間中央値70.1ヵ月時点での、DFS中央値はGef群35.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:30.0~47.7)、CV群25.0ヵ月(95%CI:17.7~41.8)、ハザード比[HR]:0.92、p=0.63であった。2年時DFS率はGef群63.7%、CV群52.3%、5年時DFS率はGef群31.8%、CV群34.1%であった。DFSに関するサブグループ解析でも、両群間に有意な差を持つ因子はなかった。・OS中央値は両群とも未到達で、5年OS率はGef群78.0%、CV群74.6%で、HRは1.03、p=0.89であった。OSに関するサブグループ解析では、70歳以上と70歳未満での比較において、有意に70歳以上の症例でGef群が有効であった。(70歳以上のHRは0.314、70歳未満は1.438、p=0.018)・有害事象については、両群ともに新たな事象は認められず、Grade3以上の好中球減少や発熱性好中球減少がCV群で多く、Grade3以上の肝機能障害や皮膚障害はGef群で多く報告された。また、薬剤に起因する間質性肺炎の報告は両群ともに無かった。・再発部位は、局所再発については両群で差はなかったが、脳転移は、Gef群で26件、CV群で14件であった。(p=0.07)・再発後の治療では両群ともTKIの投与が大半を占めたが(Gef群67%、CV群93%)、オシメルチニブの投与は少なかった(Gef群14%、CV群2%)。 最後に多田氏は「今回の試験では予後の優越性は検証できなかったが、アジュバント治療としてのゲフィチニブは、シスプラチン+ビノレルビン投与が不適などの特定な患者層には有用であるかもしれない。」と結んだ。

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コントロール不良2型DM、CGMでHbA1c改善/JAMA

 食前インスリン療法は行わず、基礎インスリン療法でコントロール不良な2型糖尿病の成人患者の血糖測定法として、持続血糖モニタリング(CGM)は通常の血糖測定器(BGM)によるモニタリングと比較して、8ヵ月後の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が統計学的に有意に低下することが、米国・International Diabetes Center, Park Nicollet Internal MedicineのThomas Martens氏らが実施した「MOBILE試験」で示された。JAMA誌2021年6月8日号掲載の報告。米国のプライマリケア施設の無作為化臨床試験 本研究は、プライマリケア施設で基礎インスリン療法を受けている2型糖尿病成人患者におけるCGMの有効性の評価を目的とする無作為化臨床試験であり、米国の15施設が参加し、2018年7月~2019年10月の期間に患者登録が行われた(米国・Dexcomの助成による)。 対象は、年齢30歳以上、2型糖尿病でプライマリケア医の治療を受け、持効型または中間型基礎インスリンを1日1~2回投与され、食前インスリン療法は行っていない患者であり、非インスリン血糖降下薬の投与の有無は問われなかった。 被験者は、CGM(Dexcom G6 CGMシステム)またはBGMでのモニタリングを行う群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。CGM群は、間質液中のグルコース濃度を5分ごとに測定し、必要に応じてBGMでのモニタリングが行われた。BGM群は、空腹時および食後に、1日1~3回、血糖値が測定された。 主要アウトカムは、8ヵ月後の平均HbA1c値とした。目標範囲内時間の割合が高く、血糖値>250mg/dLの時間の割合は低い 175例(平均[SD]年齢57[9]歳、女性88例[50%]、平均HbA1c値9.1%[0.9])が登録され、CGM群に116例、BGM群に59例が割り付けられた。このうち165例(94%)が試験を完了した。 平均HbA1c値は、CGM群がベースラインの9.1%から8ヵ月後には8.0%へ、BGM群は9.0%から8.4%へと低下し、CGM群で有意な改善効果が認められた(補正後群間差:-0.4%、95%信頼区間[CI]:-0.8~-0.1、p=0.02)。 CGM群はBGM群に比べ、血糖値が目標範囲内(70~180mg/dL)の時間の割合(59% vs.43%、補正後群間差:15%、95%CI:8~23、p<0.001)、血糖値>250mg/dLの時間の割合(11% vs.27%、-16%、-21~-11、p<0.001)、ベースライン値で補正された8ヵ月後の血糖値(179mg/dL vs.206mg/dL、-26mg/dL、-41~-12、p<0.001)が、いずれも有意に良好であった(割合と血糖値は平均値)。 重篤な低血糖は、CGM群で1例(1%)、BGM群で1例(2%)に発現した。糖尿病性ケトアシドーシスは、CGM群で1例(1%)にみられた。 著者は、「本試験はプライマリケア施設で患者の募集が行われ、内分泌専門医は関与していないが、糖尿病専門医がプライマリケア医に助言を行っており、これは現在の標準的な診療形態ではないため、得られた知見の一般化可能性には限界がある」としている。

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1日1,600人にコロナワクチン接種、その秘訣とは?/高砂市医師会インタビュー

 全国的に集団接種が実施されているが、多くは被接種者が各ブースを周る形式である。だが、兵庫県高砂市では、接種~経過観察までの被接種者の移動をなくし、接種者が巡回する接種者移動型を採用した。なぜ、同市はこの『接種者移動型』システムを思いつき、ワクチンの供給開始(同市へのワクチン供給は4月中旬)とともに集団接種を始めることが出来たのかー。それには、早期より行政からの相談があり、同市医師会主導のもとでシステム構築したことに秘訣があったようだ。今回、医師会長の増田 章吾氏(増田内科医院)に実際の動線や関係者の内訳、そしてどのようにアイデアをまとめたのかインタビューした。日頃の行政との連携が実を結んだ 高砂市は兵庫県南部播磨平野の東部に位置し、東に加古川が流れ、南に瀬戸内播磨灘を臨む。総人口は8万9,452人。そのうち65歳以上が2万6,266人と人口の3割を高齢者が占める“超高齢社会”のため、優先被接種者が多い自治体である。 そこで、同医師会がワクチン接種の協議を始めたのは昨年末のこと。まずは医師会の理事会メンバー内で話し合い、年明けには医師会内でワクチン検討委員会を発足。内科、小児科などワクチン対応の知識に長けた医師らを軸に、集団接種会場の設営に向けた動きが始まった。増田氏は「医師会の会員数は現在114名。そのうち約95%の会員がこの集団接種に貢献してくれている」と説明。実際にこの接種会場では医師4~6名体制が敷かれており多くの医師会メンバーの協力が必要不可欠であったが、参加できない医師はなんらかの理由を抱えているため参加の強要はしていないという。この参加率について、「これはコロナ禍のワクチン接種を災害と同等に捉えるように周知した結果」だと話した。 兵庫県といえば26年前の阪神淡路大震災の被災地であり、日頃の災害に対する意識の高さが影響しているのかもしれない。今回の初動の早さについて同氏は「実は、災害対策については足踏み状態が続いている。しかし、今回の件は日頃からの行政との連携が取れていたからこそ。そして、理事会など小規模な会議を頻繁に開催していたこと、それぞれが意思を持って協力し合い物事を進めたことが今回の設営のスピードに大きく影響した」と強調した。集団接種で対応に慣れたら個別接種へ 接種会場では、監督責任のある医師、ミキシング・接種者の看護師、ミキシング・予診確認者の保健師、そしてミキシング・相談対応者の薬剤師らが各役割を担うが、多くの者は平日に通常業務を行っているため、現在も集団接種は土日のみ実施している。また、個別接種を先行せず集団接種を優先した理由として、「初めてのワクチンに医師1人で対応するのはリスクや負担が大き過ぎる。集団接種で経験を重ねれば個別接種でも対応がイメージできる」と説明した。さらに、「予約の混乱を避けるために年齢を区切って対応しており、現時点で80歳以上への1回目の接種を終了した。現在は75~79歳、65~74歳の接種を順次進めている」と話した。発案~準備期間はおよそ3ヵ月、各人が努力惜しまず 話し合いが進み、実際に準備に着手したのは2月頃。会場設営に関しては医師会では進めることができないため、「もちろん行政主導でお願いした。ただし、デモンストレーションを行った際には協力してくれた市民、市職員、医療者らもその場で問題点を数十項目ほど挙げるなど、改善するための意見は遠慮なく発言した。日頃から協力関係であったからこそ、準備でもお互いの主導権を尊重しながら進められた」と振り返った。 また、接種会場には医師だけではなく看護師や薬剤師の協力も欠かせない。一般的には医師会と行政がバラバラに依頼状を送ることも多いが、今回は連名で看護師や薬剤師会宛に協力依頼をかけたことで「必要な人員の確保も滞りなく済ませることができた」とも話した。<高砂市の設営状況・対応医療者数>◆実施方法:接種者移動型(接種~経過観察まで被接種者は着席し、接種者が移動する方式)◆1日あたりの接種人数:約800~1,600名・実施日:土日のみ(通常業務を行う医師が輪番制で行うため)・実施場所:総合体育館・最大収容人数:144名(72名×2エリア)・医師:4~6名・保健師:8名(6名:予診票確認・相談、2名:ミキシングなど) ・看護師:12名(6名:接種者[1群に各1名×6群]、4名:6群の見回り[2名×2エリア]、2名:ミキシングなど)・薬剤師:2名(ミキシング、相談)・事務職:12名(1群に各2名配備、接種看護師と共に2エリアを受け持つ)・救急救命士:3名(緊急配備)・救急車:1台(緊急配備、高砂市民病院へ搬送)◆その他、市民病院で1日あたりの接種人数:約600~1,200名 6月初めより各医療機関での個別接種も開始意外と重要、パーテーションは顔が見える高さに 接種時の工夫点については、「会場を設営した当初、個人保護などの観点でパーテーションは顔も隠れるほど高いものを使用していた。ところが、実際に使用してみると、被接種者の様子がまったくわからず、何かが起こっていても察知することが難しいことが判明した。そこで、行政を通じて業者に顔が見えるくらいの高さのパーテーションの準備をお願いし、現在はそれを使用している。われわれの設営会場では12人の被接種者を1群として、それを3~4名体制のもとで接種・見回りを行っているが、パーテーションの設えを変更したことで、被接種者の状態把握が容易になった」と語った。ワクチン接種で苦戦した点、実際の救急搬送例は意外にも… 80歳以上の高齢者の場合、約2割は会場で車椅子を利用したが、独歩可能な方が入り口や出口で転倒してしまった例があった。「アナフィラキシーなど万が一のために救急隊と救急車を常に配備しているが、それで出動した例は現時点ではない。しかし、転倒により頭部に擦り傷を負い、救急隊が対応を行った例が2件あった」と話した。 最後に、問題になっている余剰ワクチンについて伺うと、「ワクチンが廃棄されないようワクチン接種に協力いただいている保健師、看護師、薬剤師など、被接種者に接する機会の多い医療者を優先に対応を進めている」と語った。 今回の取材を通じて、医師会館と市の保健センターが隣接している土地柄、ワクチン接種での相談は直ぐに対応でき、行政と連携が図れるだけではなく、双方が協力関係を築く意識を持ち合わせている点が高砂市の強みであることもわかった。―――――――――――――――――――増田 章吾(ますた しょうご)氏兵庫県高砂市医師会会長・増田内科医院院長昭和58年神戸大学卒。同年神戸大学医学部附属病院第二内科入局し、兵庫県立成人病センター、加古川市民病院に勤務。平成8年に増田内科医院を開業。平成14年高砂市医師会理事、平成26年同市医師会副会長を経て平成28年より現職。―――――――――――――――――――

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世界初、がん疼痛に使える経皮吸収型NSAIDs「ジクトルテープ75mg」【下平博士のDIノート】第76回

世界初、がん疼痛に使える経皮吸収型NSAIDs「ジクトルテープ75mg」今回は、持続性がん疼痛治療薬「ジクロフェナクナトリウム経皮吸収型製剤(商品名:ジクトルテープ75mg、製造販売元:久光製薬)」を紹介します。本剤は、がん疼痛に適応を有する世界初の経皮吸収型NSAIDs製剤であり、簡便かつ効率的に疼痛をコントロールすることが期待されています。<効能・効果>本剤は、各種がんにおける鎮痛の適応で、2021年3月23日に承認され、5月21日に発売されました。<用法・用量>通常、成人に対し、1日1回2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部または大腿部に貼付し、1日(約24時間)ごとに貼り替えます。なお、症状や状態により1日3枚(ジクロフェナクナトリウムとして225mg)まで増量可能です。本剤使用時はほかの全身作用を期待する消炎鎮痛薬との併用は可能な限り避け、やむを得ず併用する場合は必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意する必要があります。<安全性>国内臨床試験において、臨床検査値異常を含む主な副作用として、適用部位そう痒感(5%以上)、適用部位紅斑、上腹部痛、AST上昇、ALT上昇、クレアチニン上昇(1~5%未満)などが報告されています。重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー、出血性ショックまたは穿孔を伴う消化管潰瘍、消化管の狭窄・閉塞、再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症、血小板減少症、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(SJS)、紅皮症(剥脱性皮膚炎)、急性腎障害(間質性腎炎、腎乳頭壊死など)、ネフローゼ症候群、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、重篤な肝機能障害、急性脳症、横紋筋融解症、脳血管障害が設定されています(いずれも頻度不明)。<患者さんへの指導例>1.1日1回、通常2枚を、胸、おなか、上腕、背中、腰、太もものいずれかの部位に貼って使用します。症状によって枚数が増えることもありますが、医師から指示された枚数を守り、一度に3枚を超えないように使用してください。2.創傷面または湿疹・皮膚炎などが見られる部位および放射線照射部位への貼付は避けてください。皮膚への刺激を減らすために、貼り替える際は、前回とは異なる部位を選択してください。3.この薬は1枚ずつ包装されています。貼る直前まで開封しないでください。途中で薬がはがれ落ちた場合は、ただちに新しいものを貼り、次の貼り替え予定時間には、再度新しいものに貼り替えてください。4.使用中に眠気、めまいが生じたり、かすみがかったように見えたりする場合は、自動車の運転など危険を伴う機械の操作には従事しないでください。貼った部位に赤みや痒みが出るなどつらいことがありましたら、早めにご相談ください。5.自己判断によるほかの消炎鎮痛薬との併用は避けてください。市販の風邪薬などを使用する場合は事前に相談してください。6.過去に風邪薬や消炎鎮痛薬を使用して喘息のような症状が現れたことがある方や、妊婦または妊娠している可能性のある女性は使用できません。<Shimo's eyes>本剤は、世界初のNSAIDsの経皮吸収型持続性がん疼痛治療薬です。同成分を含む局所作用型製剤ジクロフェナクナトリウムテープ(商品名:ボルタレン)とは異なり、全身投与型の製剤です。有効成分が全身の血中に移行するため、禁忌はジクロフェナク経口薬とほぼ同じように設定されています。NSAIDsなどの非オピオイド鎮痛薬は、「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)」において、軽度のがん疼痛に対する導入薬として推奨されています。中等度~高度のがん疼痛で、オピオイド鎮痛薬では十分な鎮痛効果が得られない、または有害事象のためオピオイド鎮痛薬を増量できない場合などでは、非オピオイド鎮痛薬とオピオイド鎮痛薬の併用が推奨されています。本剤は、1日1回の貼り替えで持続的な効果が期待できるため、患者・介護者の双方にとって利便性が高いと考えられます。3枚貼付時のジクロフェナクの全身曝露量が、同成分の徐放性カプセル剤(商品名:ナボールSRカプセル37.5)と同程度ですが、血中濃度が定常状態に達するまで7日ほどかかるため、効果判定のタイミングに注意が必要です。参考1)PMDA 添付文書 ジクトルテープ75mg

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慢性掻痒でピンッとくるべき疾患は?【Dr.山中の攻める!問診3step】第3回

第3回 慢性掻痒でピンッとくるべき疾患は?―Key Point―皮膚に炎症がある場合は皮膚疾患である可能性が高い82歳男性。2ヵ月前から出現した痒みを訴えて来院されました。薬の副作用を疑い内服薬をすべて中止しましたが、改善がありません。抗ヒスタミン薬を中止すると痒みがひどくなります。一部の皮膚に紅斑を認めますが、皮疹のない部位もひどく痒いようです。手が届かない背中以外の場所には皮膚をかきむしった跡がありました。皮膚生検により菌状息肉腫(皮膚リンパ腫)と診断されました。この連載では、患者の訴える症状が危険性のある疾患を示唆するかどうかを一緒に考えていきます。シャーロックホームズのような鋭い推理ができればカッコいいですよね。◆今回おさえておくべき疾患はコチラ!【慢性掻痒を起こす疾患】(皮膚に炎症あり)アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾皮症、虫刺され、乾癬、疥癬、表在性真菌感染(皮膚に炎症なし)胆汁うっ滞、尿毒症、菌状息肉腫、ホジキン病、甲状腺機能亢進症、真性多血症、HIV感染症、薬剤心因性かゆみ(強迫神経症)、神経原性掻痒(背部錯感覚症、brachioradial pruritus)【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】慢性掻痒の原因を見極める、診断へのアプローチ■鑑別診断その1皮膚に目立った炎症があるアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾皮症、虫刺され、乾癬、疥癬、表在性真菌感染家族や施設内に同様の掻痒患者がいる場合には疥癬を疑う。皮疹の部位が非常に重要である。陰部、指の間、腋窩、大腿、前腕は疥癬の好発部位である。皮膚に問題がない場合でも、慢性的にかきむしると苔癬化、結節性そう痒、表皮剥脱、色素沈着が起きることがある。■鑑別診断その2正常に近い皮膚なら全身性疾患によるそう痒を考え、以下を考慮する胆汁うっ滞、尿毒症、菌状息肉腫、ホジキン病、甲状腺機能亢進症、真性多血症、HIV感染症、薬剤薬剤が慢性掻痒の原因となることがあるかゆみを起こす薬剤:降圧薬(カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、サイアザイド)、NSAIDs、抗菌薬、抗凝固薬、SSRI、麻薬上記の鑑別疾患時に必要な検査と問診検査:CBC+白血球分画、クレアチニン、肝機能、甲状腺機能、血沈、HIV抗体、胸部レントゲン写真問診:薬剤歴■鑑別診断その3慢性的なひっかき傷がある時は、以下の疾患を想起すること心因性かゆみ(強迫神経症)、神経原性掻痒(背部錯感覚症、brachioradial pruritus)背部錯感覚症は背中(Th2~Th6領域)に、brachioradial pruritusは前腕部に激烈なかゆみを起こす。原因は不明。【STEP3】治療や対策を検討する薬が原因の可能性であれば中止する。以下3点を日常生活の注意事項として指導する。1)軽くてゆったりした服を身に着ける2)高齢者の乾皮症(皮脂欠乏症)は非常に多い。皮膚を傷つけるので、ナイロンタオルを使ってゴシゴシと体を洗うことを止める3)熱い風呂やシャワーは痒みを引き起こすので避ける入浴後は3分以内に皮膚軟化剤(ワセリン、ヒルドイド、ケラチナミン、亜鉛華軟膏)や保湿剤を塗る。皮膚の防御機能を高め、乾皮症やアトピー性皮膚炎に有効である。アトピー性皮膚炎にはステロイド薬と皮膚軟化剤の併用が有効である。副作用(皮膚萎縮、毛細血管拡張、ステロイドざ瘡、ステロイド紫斑)に注意する。Wet pajama療法はひどい皮膚のかゆみに有効である。皮膚軟化剤または弱ステロイド軟膏を体に塗布した後に、水に浸して絞った濡れたパジャマを着て、その上に乾いたパジャマを着用して寝る。ステロイドが皮膚から過剰に吸収される可能性があるので1週間以上は行わない。夜間のかゆみには、抗ヒスタミン作用があるミルタザピン(商品名:リフレックス、レメロン)が有効ガバペンチン(同:ガバペン)、プレガバリン(同:リリカ)は神経因性のそう痒に有効である。少量のガバペンチンは透析後の痒みに効果がある。<参考文献・資料>1)Yosipovitch G, et al. N Engl J Med. 2013;368:1625-1634.2)Moses S, et al. Am Fam Physician. 2003;68:1135-1142.

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