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低体温療法、冬の時代(解説:香坂俊氏)

低体温療法に関してはネガティブな結果の臨床試験の発表が続いている。以前取り上げたTTM2試験(「Question the Status Quo―ACLSの「常識」に挑んだ臨床試験」)において、院外心肺停止症例に関してtargeted hypothermia DID NOT lead to a lower incidence of death by 6 months than targeted normothermiaという結果が得られ、今回のHYPO-ECMO試験において対象とされたVA-ECMOを要した心原性ショック患者においても、early application of moderate hypothermia for 24 hours DID NOT significantly increase survival compared with normothermiaという結論となった。ただ、TTM2試験が、院外心肺停止症例に関して決定的ともいえる症例数(1,900例)をランダム化して半年間追跡したのに対し、このHYPO-ECMO試験の登録は374例にとどまり、かつ院内予後のみの評価しか行っていない。論文の結語の中にも、症例数の限界があるため有効な結論を出せない状況であるとの記載がなされている(these findings should be considered inconclusive)。心原性ショックは、循環器内科を専門とする者にとって苦い思いをさせずにはいられない疾患である。なかなか画期的な進歩がないまま20年が経過しようとしているが(SHOCK Trialによって急性心筋梗塞例で早期再灌流が良いとされたのが、最後のGood Newsではなかったか?)、今回のこのHYPO-ECMOの結果を踏まえ、より大規模なRCTが組まれるものと考えられるが、そこに期待をかけたい。

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第96回 2022年診療報酬改定の内容決まる(前編)オンライン診療初診から恒久化、リフィル処方導入に日医が苦々しいコメント

中医協総会で診療報酬改定の答申行われるこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この連休は気心が知れた山仲間数人で、八ヶ岳の東天狗岳に渋の湯、黒百合ヒュッテ経由で登ってきました。前日までの降雪でいい具合の積雪となった八ヶ岳は、待ってました!とばかりに登山者も多く、頂上直下は行列もできるほどでした。とはいえ厳冬期の八ヶ岳、1月には遭難も起こったルートです。極寒の中、程よいスリルと緊張感を味わって無事下山しました。さて、2月9日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、2022年度診療報酬改定の答申1)が行われ、項目の詳細と点数が明らかになりました。今回の診療報酬改定、ニュースなどでは不妊治療(体外受精、顕微授精など)の保険適応が着目されていますが、ここではこのコラムでも触れてきた政策的な意味合いが大きいいくつかの項目について、その内容を見てみたいと思います。看護職員の処遇改善でプラス0.2%、不妊治療の保険適用でプラス0.2%今回の診療報酬改定率は、「第92回 改定率で面目保つも「リフィル処方」導入で財務省に“負け”た日医・中川会長」でも書いたように、医師らの人件費などにあたる「本体」部分を0.43%(国費で3,000億円相当)引き上げる内容となりました。このうち、看護職員の処遇改善でプラス0.2%、不妊治療の保険適用でプラス0.2%相当分の財源を使うことになります。一方で、リフィル処方箋の導入・活用促進でマイナス0.1%、小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来でマイナス0.1%の医療費低減を見込みます。結果、実質的な本体の増分はプラス0.23%とされています。なお看護職員の処遇改善は、2022年2~9月までは2021年12月20日に成立した2021年度補正予算で賄い、2022年10月以降に診療報酬で対応することになっています。財源的には0.2%分が不妊治療の適用に充てられ、今改定の岸田政権の目玉的存在として報道されています。現在は一部を除き公的保険外の不妊治療について、「人工授精」「体外受精」「顕微授精」などが新たに保険適用となりました。一般マスコミではこのほか、オンライン診療の見直しやリフィル処方箋の導入などを取り上げるところが目立ちました。時限的・特例的措置終了でオンライン診療初診から恒久化へコロナ禍となって普及・定着が求められてきたオンライン診療。本コラムでは、「第24回 オンライン診療めぐり日医と全面対決か?菅総理大臣になったらグイグイ推し進めるだろうこと」や「第29回 オンライン診療恒久化の流れに「かかりつけ医」しか打ち出せない日医の限界」などで取り上げて来ました。オンライン診療の初診は、コロナ流行期の時限的・特例的措置として2020年4月から認められています。菅政権では「オンライン診療の恒久化」が掲げられ、岸田政権でもそれを受け継ぐ形で議論が進められて来ました。2021年11月29日、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」が、「かかりつけ医による診察を原則として、コロナの流行期に限らず初診からオンライン診療が行える」新指針案を了承、今年1月28日に、その新指針2)を公表しました。新指針は時限的・特例的措置が終了(新しい診療報酬が適用される4月1日)次第、適用される予定です。推進派と慎重派が対立、公益裁定で決定今改定に向けての中医協の議論でも、オンライン診療と推進派(経済界、保険者、オンライン診療システム事業者など)と、慎重派(日本医師会など)の間では激しい対立がありました。推進派は「規制は可能な限り緩めるべき」「点数は対面診療と同一にすることも含め、大幅引き上げを行うべき」などと主張、一方、慎重派は「安全性・有効性を確認しながら徐々に規制を緩めていくべき」「サービスの質が劣るため、対面診療よりも低い点数を維持すべき」などと反論してきました。対立は中医協論議の最終局面になっても収まらず、最終的に公益裁定(中医協委員の支払側と診療側で議論がまとまらないときに、公益側委員が中立・公正な立場で裁定すること)で点数等が決定しました。初診は251点で対面の初診料の約87%具体的な改定内容は、現行のオンライン診療料(71点)を廃止した上で、初診料、再診料(外来診療料)の中で「情報通信機器を用いた場合」として新たに点数を設定するというものです。オンライン診療による初診は251点で対面の初診料(288点)の約87%となり、現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下で時限的・特例的に認められている電話・オンライン診療による初診料(214点)から大幅に引き上げられます。オンライン診療を行った場合に評価する14種類の医学管理料についても対面での評価の約87%に設定されます。再診料は73点で、対面診療と同じ点数になります。さらに、現行のオンライン診療料では、「日常的に通院または訪問による対面診療が可能な患者を対象」という距離要件、「オンライン診療の実施割合が1割以下」という実施割合要件が設けられていますが、今改定でこれらが撤廃されます。対面診療を提供できる体制を有することは求めた上で、オンライン診療で対応できない場合に、他の医療機関と連携して対応できる体制を有することなどが算定要件となります。「患者の安心・安全が損なわれたり、地域医療の秩序を混乱させるような事象が生じたりした場合には見直しを要請」と日医・中川会長日本医師会の中川俊男会長は2月9日、診療報酬改定の答申を受けた会見で、「公益委員の裁定による決着となったが、オンライン診療では対面診療との比較において、触診・打診・聴診等が実施できないことが明示されたことを受けて、対面診療とオンライン診療とでは診療の対価に差を設けることは適当であるとされた」と総括、その上で、「患者の安心・安全が損なわれたり、地域医療の秩序を混乱させるような事象が生じたりした場合には、期中であっても速やかに診療報酬要件の見直しを要請する」と述べたとのことです。オンライン診療は、コロナ禍でそのニーズが高まっているにも関わらず、点数設定や各種規制などによって普及が今ひとつであるのが問題視されています。対応できるのは2021年6月時点で全医療機関の約6%でした。大幅な点数増もあり、今回改定でオンライン診療はこれまで以上に普及しそうですが、推進派の掲げた要望はその一部が実現したに過ぎません。次期改定に向けて規制緩和の議論がまだ続きそうです。リフィル処方は1回29日以内で処方箋料の減算なしこのコラムの第92回で書いたリフィル処方ですが、4月から処方箋様式が下図のように変更され、「リフィル可」「調剤実施回数」の項目が追加、一定期間内、処方箋を反復利用できるようになります。新たな処方箋様式画像を拡大するリフィル処方の対象となるのは、「医師の処方により、薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復利用が可能である患者」で、留意事項として「総使用回数の上限は3回まで」、「1回当たり投薬期間及び総投薬期間については、医師が、患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間」、「投薬量に限度が定められている医薬品及び湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない」などの要件が定められています。リフィル処方箋導入に合わせ、その普及を後押しするため処方箋料も見直されます。現在の処方箋料は、「1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合は、所定点数の100分の40の点数」になりますが、この一部が対象外になります。具体的には、「処方箋の複数回(3回までに限る)の使用を可能とする場合で、処方箋の1回の使用による投与期間が29 日以内」の投薬が対象から外れます。日本医師会を刺激しないよう大人しめのコメントの日薬・山本信夫会長日本薬剤師会にとって“悲願”とも言われたリフィル処方の導入。1月18日の都道府県会長協議会で日本薬剤師会の山本 信夫会長は、「薬剤師が担う役割は大きいものがあり、その判断や決断は重たくなる。覚悟を持って取り組まなければならない一大事業になる」と熱く語っていました。ただ、2月10日に開かれた三師会の会見では山本会長は、「どんな形の処方箋かによって職能が変わることはない。これまで同様に、きちんとした対応していくことに変わらない。これまでも薬剤師の職能が発揮されてきたからこそ、医師にも信頼され、地域の方々からの信頼を受けいまの状態がある。これをさらに進めていく」と、薬剤師と医師の関係の重要性を改めて強調するに留めました。リフィル処方導入に一貫して反対してきた日本医師会を刺激しないよう、大人しめのコメントにしたようです。日医・中川会長「リフィル処方箋を出すかどうかは医師が決める」と強調一方、日本医師会の中川 俊男会長は2月9日の答申を受けた会見で、過去10年近くにわたって「骨太の方針」等でその導入を求められてきたことや、今回の診療報酬改定の議論に先立って、2021年6月の「経済財政運営と改革の基本方針2021」でも、改めてリフィル処方の導入が明記されたことに触れた上で、「日本医師会は症状が安定している慢性疾患の患者さんであっても、定期的に診察を行い疾病管理の質を保つことが重要であると主張してきた。日本では医師法により医師に処方権がある。今回の診療報酬改定では、厚生労働大臣・財務大臣両大臣合意でリフィル処方箋の導入が決まったが、両大臣合意でも『医師の処方により』行うものであることが明示されている」と語り、「リフィル処方箋を出すかどうかは医師が決める」と強調しました。そして、「今回、両大臣合意を踏まえたリフィル処方箋の導入ということになったが、患者さんにとって、適切な治療が行われることについて、十分配慮した運用が現場でなされることを期待している。現行制度において、投薬日数は医師の裁量とされている。ただ、これまでも繰り返し主張しているとおり、長期処方にはリスクがあり、不適切な長期処方には是正が必要と考えている」と長期処方のリスクに言及。「新しい仕組みを導入する際には、患者さんの健康に大いに関わるため、慎重の上にも慎重に、そして丁寧に始めることが望ましい」と語ったとのことです。「先生、私もリフィルで」と言い始めたら医師は抵抗できるか?中川会長のコメントからは、改定率と引き換えに受け入れてしまったリフィル処方に対する苦々しさが伝わって来ます。「処方するのは医師だ」という当たり前のことをあえて強調しなければならないほど、リフィル処方の導入を恐れているのでしょう。今回の診療報酬改定でのリフィル処方の影響は、再診料、処方箋料の減少などで改定率にしてマイナス0.1%と言われています。しかし、以前のコラムでも書いたように、もし国民がその割安感と利便性に気づいたら、それ以上の影響が出てくるかもしれません。日医が今恐れるのは、リフィル処方の仕組みや利用の仕方をテレビや一般マスコミが大々的に取り上げることではないでしょうか。患者がその割安感や利便性に気づき、「先生、私もリフィルで」と言い始めたら、医師は果たして立派な根拠を持って抵抗できるでしょうか。リフィル処方の今後の広がりが気になります。次回は、「かかりつけ医機能」について考えてみたいと思います。(この項続く)参考1)中央社会保険医療協議会 総会/厚生労働省2)オンライン診療の適切な実施に関する指針

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ステロイド配合錠の減薬提案時にヒヤッとした事例【うまくいく!処方提案プラクティス】第45回

 今回は、ステロイド・抗ヒスタミン配合錠を中止する際に注意すべきポイントを紹介します。ステロイドを長期投与中に急激に減量・中止した場合、コルチゾールの需要増大により急性副腎不全に似た離脱症状(withdrawal症候群)が出現する恐れがあります。ステロイド配合錠でも同様に考える必要がありますが、減薬提案時にそれを見落としており、ヒヤッとした事例でした。患者情報69歳、男性(介護施設入居)基礎疾患アルツハイマー型認知症、うっ滞性皮膚炎服薬管理施設職員処方内容1.クエチアピン錠25mg 1錠 分1 就寝前2.チアプリド錠25mg 6錠 分3 毎食後3.クエチアピン錠12.5mg 3錠 分3 毎食後4.ルパタジン錠10mg 1錠 分1 就寝前5.ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠 4錠 分2 朝夕食後本症例のポイントこの患者さんの2回目の訪問診療時の血液検査結果はHbA1c:7.5%で、初回介入時よりも上昇していました。医師は糖尿病の基礎疾患こそないものの、長期的なステロイド使用により血糖異常に至っていると判断しました。うっ滞性皮膚炎の掻痒感も安定していたことから、医師と相談し、ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠を中止し、炎症や掻痒感の強い部分に関しては外用ステロイド薬の塗布で対応することになりました。薬局に戻り、同行時の記録を見直していたところ、以前書籍1)で読んだベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠(ベタメタゾン0.25mg/錠)の中止により離脱症状を来した事例を思い出し、今回の急激な中止は問題ではないかと気付きました。ベタメタゾン1mg(4錠分)=プレドニゾロン換算約6mgに相当し、数年間服用していたことから、この患者さんは副腎が萎縮(副腎機能低下)している可能性があります。もしこのまま急に中止した場合、全身倦怠感、脱力感、食思不振、悪心、嘔吐、不穏、頭痛、筋痛、関節痛などのステロイド離脱症候群が生じ、患者さんの負担になる恐れがあると考えました。漸減するにしても、副腎の回復を念頭に置いて時間をかけて慎重に行う必要があるため、トレーシングレポートとしてまとめることとしました。処方提案と経過下記のトレーシングレポート内容を医師に提出し、医師が話せる時間帯に電話で指示を確認することにしました。対象薬剤ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠報告内容本剤の急激な中断で副腎不全による離脱症候群が出現し、全身倦怠感、脱力感、食思不振、悪心、嘔吐、不穏、頭痛、筋痛、関節痛などの症状が生じる懸念があります。過去に別の事例で、長期的に服用していたプレドニゾロン換算5mgの中止に伴う下痢と食思不振が副腎不全の影響であったことを思い出しました。本件の現行量がプレドニゾロン換算約6mgに相当しますので、長期投与していることから副腎萎縮の可能性があります。訪問診療時にお伝えできず申し訳ございません。提案内容副腎不全の懸念から、下記(1)→(3)の段階的な減量はいかがでしょうか。(1)ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠 2錠 朝食後に減量。2週間様子見。(2)ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠 1錠 朝食後に減量。2週間様子見。(3)ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠 中止。その後、トレーシングレポートを確認した医師より電話があり、提案の内容で指示変更の承認を得ることができました。その後の患者さんの様子ですが、リバウンドで皮膚炎の症状が悪化することはなく、また離脱症状の出現もなく無事にベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠を中止することができました。1)矢吹拓. 薬の上手な出し方&やめ方. 医学書院;2020.2)PfizerPRO「ステロイド・プラクティス」

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ウパダシチニブ+TCS、日本人アトピー性皮膚炎患者への安全性確認

 日本人のアトピー性皮膚炎(AD)の治療として、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬ウパダシチニブ+ステロイド外用薬(TCS)併用の安全性を検討した、京都府立医科大学の加藤 則人氏らによる第III相無作為化二重盲検試験「Rising Up試験」の24週の中間解析結果が発表された。ウパダシチニブに関する既報の知見と、概して一致した結果が示され、安全性について新たなリスクは検出されなかったという。JAAD International誌2022年3月号掲載の報告。 Rising Up試験は、12~75歳の日本人の中等症~重症AD患者を対象とし、被験者を無作為に1対1対1の3群に割り付け、(1)ウパダシチニブ15mg+TCS、(2)ウパダシチニブ30mg+TCS、(3)プラセボ+TCSをそれぞれ投与した。安全性は、有害事象と検査データに基づき評価した。 主な結果は以下のとおり。・272例(成人243例、未成年29例)が無作為化を受けた(治療開始は2018年11月17日)。・重篤な有害事象の発現頻度は24週時点で、ウパダシチニブ+TCS投与の両群がプラセボ+TCS群よりも高率であったが、用量間では類似していた(15mg+TCS群:56%、30mg+TCS群:64%、プラセボ+TCS群:42%)。・ウパダシチニブ+TCS投与群はプラセボ+TCS群と比べて、にきびの発現頻度が高かった(すべて軽症~中等症、治療中止となった症例なし)。発現頻度は、15mg+TCS群13.2%、30mg+TCS群19.8%、プラセボ+TCS群5.6%。・さらに、15mg+TCS群よりも30mg+TCS群で、帯状疱疹(30mg+TCS群:4.4% vs.15mg+TCS群:0%)、貧血(1.1% vs.0%)、好中球減少症(4.4% vs.1.1%)の発現頻度が高かった。なお、これらのイベントはプラセボ+TCS群では報告されなかった。・血栓塞栓性イベント、悪性腫瘍、消化管穿孔、活動性結核、死亡の発生は報告されなかった。

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統合失調症患者に対する薬物誘発性パーキンソニズム、遅発性ジスキネジアの影響

 薬物誘発性パーキンソニズムや遅発性ジスキネジアは、統合失調症の健康関連QOLの低下と関連しているといわれているが、これらの相対的な影響を調べた研究はこれまでほとんどなかった。シンガポール・Institute of Mental HealthのGurpreet Rekhi氏らは、統合失調症における薬物誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジアと健康関連QOLとの関連を調査し、比較を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2022年1月3日号の報告。 対象は、統合失調症患者903例。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、Simpson-Angus 錐体外路系副作用評価尺度(SAS)、異常不随意運動評価尺度(AIMS)を用いて評価した。健康関連QOLの評価には、以前検証したアルゴリズムよりPANSSスコアに基づいたEQ-5D-5Lを用いた。 主な結果は以下のとおり。・薬物誘発性パーキンソニズムのみは160例(17.7%)、遅発性ジスキネジアのみは119例(13.2%)、その両方は123例(13.6%)に認められた。・健康関連QOLは、薬物誘発性パーキンソニズムと遅発性ジスキネジアの両方が認められた患者で最も低く、次いで薬物誘発性パーキンソニズムのみの患者、遅発性ジスキネジアのみの患者であり、いずれも認められなかった患者で最も高かった。・健康関連QOLスコアは、4群間で有意な違いが認められた(F[3,892]=13.724、p<0.001、η2p=0.044)。・薬物誘発性パーキンソニズムのみ、または薬物誘発性パーキンソニズムと遅発性ジスキネジアの両方が認められた患者の健康関連QOLは、いずれも認められなかった患者と比較し、有意に低かった。・健康関連QOLとの関連において、薬物誘発性パーキンソニズムと遅発性ジスキネジアの有無との間に有意な関係は認められなかった。 著者らは「薬物誘発性パーキンソニズムは、統合失調症患者の健康関連QOLの低下と関連する主な抗精神病薬誘発性の運動障害であった。臨床医は、統合失調症患者の健康関連QOLの最適化を図るため、薬物誘発性パーキンソニズムの予防、検出、効果的なマネジメントに焦点を当てる必要がある」としている。

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片頭痛に対するアルコール、コーヒー、喫煙の影響

 アルコール、コーヒーの摂取および喫煙が片頭痛の発症リスク因子であるかを評価するため、スウェーデン・カロリンスカ研究所のShuai Yuan氏らは、メンデルランダム化研究を実施した。Pain誌2022年2月1日号の報告。 大規模ゲノムワイド関連解析におけるP<5×10-8の潜在的なリスク因子に関連する独立した一塩基多型を操作変数として用いた。選択した一塩基多型と片頭痛との関連についてのサマリーレベルのデータを、FinnGenコンソーシアム(片頭痛患者:6,687例、対照群:14万4,780例)およびUKバイオバンク研究(片頭痛患者:1,072例、対照群:36万122例)のデータより抽出した。FinnGenおよびUKバイオバンクのコホートより得られた推定値は、固定効果メタ解析を用いて組み合わせた。 主な結果は以下のとおり。・遺伝的に予測されたアルコール摂取、コーヒー摂取、喫煙開始との関連性を示すエビデンスが認められた。【アルコール摂取】オッズ比(OR):0.54/1週間当たりの対数変換アルコール飲料のSD増加、95%信頼区間[CI]:0.35~0.82、p=0.004【コーヒー摂取】OR:0.56/コーヒー摂取量50%増加、95%CI:0.45~0.70、p<0.001【喫煙開始】OR:1.15/喫煙開始の1SD増加、95%CI:1.01~1.31、p=0.038・多変数メンデルランダム化解析での相互調整を含む感度分析においても、これらの関連性は変わらなかった。・メンデルの逆ランダム化解析では、片頭痛に対する遺伝的な影響は、アルコール摂取と逆相関が認められたが、コーヒー摂取および喫煙開始との関連は認められなかった。 著者らは「片頭痛に対する適度なコーヒー摂取の保護的影響と喫煙の有害な影響を示唆する遺伝的証拠が発見された。アルコール摂取と片頭痛リスクとの逆相関は、因果関係の逆転が影響している可能性がある」としている。

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パキロビッドパック投与時の注意点、薬物治療の考え方13版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、2月10日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第13版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 今回の改訂では、2月10日に製造販売に関し特例承認を取得した経口抗ウイルス薬ニルマトレルビル錠/リトナビル錠(商品名:パキロビッドパック)などの追加記載が行われたほか、最新の知見への内容更新が行われた。 以下に主な改訂点について内容を抜粋して示す。【3. 抗ウイルス薬等の対象と開始のタイミング】・「図 COVID-19の重症度と治療の考え方」を変更【4. 抗ウイルス薬等の選択】・総論にニルマトレルビル/リトナビルを追加・各薬剤につき、わが国で適用承認されている薬剤は商品名を追加(抗ウイルス薬)ニルマトレルビル/リトナビルの追加・機序ニルマトレルビルは、SARS-CoV-2のメインプロテアーゼに作用し、その働きを阻害することによりウイルスの増殖を阻害する。リトナビルは、ニルマトレルビルの代謝を遅らせ、体内濃度をウイルスに作用する濃度に維持する目的で併用。・国内外での臨床報告国内外で実施された多施設共同、プラセボ対照、ランダム化二重盲検試験において、重症化リスクのある非入院COVID-19患者の外来治療を対象にニルマトレルビル300mg/リトナビル100mgまたはプラセボを1日2回、5日間経口投与する群に1対1で無作為割付。主要有効性解析集団とされたmITT集団のうちプラセボ群(385名)の28日目までの入院または死亡が27名(7.0%)に対し、治療群(389名)では3名(0.8%)と相対的リスクが89%減少した(p

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ctDNA検出のMRDが術後NSCLCの再発予測バイオマーカーに?

 近年、非小細胞肺がん(NSCLC)における周術期治療において、さまざまな薬剤の臨床試験が進行しており、今後治療が変化していくことが予想される。しかし、アジュバントによるメリットを受ける患者層を特定するためには、再発リスクを評価するためのバイオマーカーが必要である。 中国・四川大学のLiang Xia氏らは、周術期の循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA:ctDNA)が、分子残存病変(MRD)の早期発見と、術後再発予測のバイオマーカーとなりうるか、検討を行った。Clinical Cancer Research誌オンライン版2021年11月29日号掲載の報告。ctDNAベースのMRDはRFS予測への寄与率が高かった 本研究では、LUNGCA研究(手術適応となるNSCLC患者におけるctDNAの動的モニタリングに関する前向き多施設コホート)に基づき、StageI〜IIIのNSCLC患者330例の周術期3時点(術前、術後3日、術後1ヵ月)で得られた血漿サンプル950件を登録した。カスタマイズされた769遺伝子のパネルを用いて、腫瘍組織および血漿サンプル中の体細胞変異を次世代シーケンサーで同定し、ctDNAベースのMRD解析に活用した。 ctDNAがMRDの早期発見と術後再発予測のバイオマーカーとなりうるか検討を行った主な結果は以下のとおり。・術前のctDNA陽性は、無再発生存率(RFS)の低下と関連していた(ハザード比[HR]:4.2、p<0.001)。・MRDの存在(術後3日および/または術後1ヵ月時点のctDNA陽性)は、強力な再発予測因子であった(HR:11.1、p<0.001)。・ctDNAベースのMRDは、TNMを含む、どの臨床病理学的変数よりも、RFS予測への寄与率が高かった。・MRD陽性集団では、アジュバント治療を受けた患者は、アジュバント治療を受けなかった患者よりも、RFSが改善した(HR:0.3、p=0.008)。・MRD陰性集団では、アジュバント治療を受けた患者は、アジュバント治療を受けなかった患者よりも、RFSが低下した(HR:3.1、p<0.001)。・臨床病理学的変数で調整した後も、アジュバント治療の有無は、MRD陽性集団におけるRFSの独立因子であったが(p=0.002)、MRD陰性集団ではそうではなかった(p=0.283)。 周術期におけるctDNA解析は、NSCLCのMRDの早期発見と再発リスクの層別化に有効であり、NSCLC患者の管理に役立つ可能性がある、と著者らは結論付けている。

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進行食道扁平上皮がんの1次治療、ニボルマブを含むレジメンが有望/NEJM

 進行食道扁平上皮がん患者の1次治療では、抗プログラム細胞死1(PD-1)モノクローナル抗体ニボルマブ+化学療法の併用と、ニボルマブ+抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)抗体イピリムマブの併用は、化学療法単独と比較して、いずれのレジメンも全生存期間を有意に延長することが、大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学の土岐祐一郎氏らが実施した「CheckMate 648試験」で示された。新たな安全性のシグナルは確認されなかったという。研究の成果は、NEJM誌2022年2月3日号に掲載された。3群を比較するアジア主体の国際的な無作為化第III相試験 本研究は、進行食道扁平上皮がんの1次治療における免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用、および免疫チェックポイント阻害薬2剤併用の有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2017年6月~2019年11月の期間に、日本を含む26ヵ国182施設で参加者の登録が行われた(Bristol Myers SquibbとOno Pharmaceuticalの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、根治治療の適用がなく、進行病変に対する全身療法の治療歴のない切除不能な進行、再発、転移性の食道扁平上皮がん患者であり、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)の発現の有無は問われなかった。 被験者は、ニボルマブ(240mg、2週ごと、静脈内投与)+化学療法(4週を1サイクルとして、1~5日目にフルオロウラシル800mg/m2[体表面積]を静脈内投与し、1日目にシスプラチン80mg/m2を静脈内投与)、ニボルマブ(3mg/kg[体重]、2週ごと、静脈内投与)+イピリムマブ(1mg/kg[体重]、6週ごと、静脈内投与)、化学療法単独の投与を受ける3つの群のいずれかに、1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、全生存期間と無増悪生存期間とし、盲検下に独立の中央判定委員会によって判定された。検定は階層的に行われ、最初に腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者で、次いで患者全体(無作為に割り付けられた全患者)で実施された。 970例が無作為化の対象となった。ニボルマブ+化学療法群に321例(年齢中央値64歳、男性 79%)、ニボルマブ+イピリムマブ群に325例(63歳、83%)、化学療法単独群に324例(64歳、85%)が割り付けられた。680例(70%)がアジア人で、PD-L1の発現率が1%以上の患者は473例(49%)であった。奏効率と奏効期間も、ニボルマブを含むレジメンで良好な傾向 最も短い追跡期間が13ヵ月の時点における全生存期間中央値は、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者では、ニボルマブ+化学療法群が15.4ヵ月、化学療法単独群は9.1ヵ月(ハザード比[HR]:0.54、99.5%信頼区間[CI]:0.37~0.80、p<0.001)で、患者全体では、それぞれ13.2ヵ月および10.7ヵ月(HR:0.74、99.1%CI:0.58~0.96、p=0.002)であり、いずれもニボルマブ+化学療法群で有意に優れた。 また、全生存期間中央値のニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法単独群との比較では、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者(ニボルマブ+イピリムマブ群13.7ヵ月vs.化学療法単独群9.1ヵ月、HR:0.64、98.6%CI:0.46~0.90、p=0.001)および全体(12.7ヵ月vs.10.7ヵ月、HR:0.78、98.2%CI:0.62~0.98、p=0.01)のいずれにおいても、ニボルマブ+イピリムマブ群で有意に良好だった。 一方、無増悪生存期間は、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者では、ニボルマブ+化学療法群が化学療法単独群よりも有意に延長した(6.9ヵ月vs.4.4ヵ月、HR:0.65、98.5%CI:0.46~0.92、p=0.002)が、全体では、両群間の差は事前に規定された有意差の境界(p=0.015)を満たさなかった(5.8ヵ月vs.5.6ヵ月、HR:0.81、98.5%CI:0.64~1.04、p=0.04)。 無増悪生存期間のニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法単独群との比較では、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者(ニボルマブ+イピリムマブ群 4.0ヵ月vs.化学療法単独群4.4ヵ月、HR:1.02、98.5%CI:0.73~1.43、p=0.90)において統計学的有意差の基準を満たさなかったため、全体(2.9ヵ月vs.5.6ヵ月、HR:1.26、95%CI:1.04~1.52)での検定は行われなかった。 客観的奏効率(PD-L1発現率1%以上の患者:ニボルマブ+化学療法群53%、ニボルマブ+イピリムマブ群35%、化学療法単独群20%、全体:47%、28%、27%)はニボルマブ+化学療法群で最も高く、奏効期間中央値(8.4ヵ月、11.8ヵ月、5.7ヵ月/8.2ヵ月、11.1ヵ月、7.1ヵ月)はニボルマブ+イピリムマブ群で最も長かった。 Grade3または4の治療関連有害事象の発現率は、ニボルマブ+化学療法群が47%と最も高く、ニボルマブ+イピリムマブ群は32%,化学療法単独群は36%であった。重篤な治療関連有害事象はニボルマブ+化学療法群が24%、ニボルマブ+イピリムマブ群は32%にみられ、化学療法単独群の16%よりも高率であった。免疫学的原因の可能性がある治療関連有害事象の多くはGrade1または2だった。 著者は、「この研究は、ニボルマブ+化学療法とニボルマブ+イピリムマブの比較や、特定のサブグループにどの治療を用いるべきかを評価するようにはデザインされていない。ニボルマブを含む2つのレジメンの有効性を予測する人口統計学的因子の特性やベースラインの疾患特性を同定するには、新たな探索的な事後解析が、これに資する可能性がある」としている。

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特発性拡張型心筋症、家族の有病率30%・罹患リスク19%/JAMA

 特発性拡張型心筋症(DCM)は家族内での発症がみられるため、リスクのある家族構成員を早期に発見することで、末期の病態に至る前に治療開始の機会をもたらす可能性があるが、米国ではDCMの家族内の有病率などの詳細なデータは知られていないという。米国・タフツ大学のGordon S. Huggins氏らは、今回、米国のDCMコンソーシアム参加施設で調査(DCM Precision Medicine Study)を行い、DCM患者の家族の約30%がDCMに罹患しており、家族が80歳までにDCMに罹患するリスクは19%と推定した。研究の詳細は、JAMA誌2022年2月1日号で報告された。米国の25施設の横断研究 本研究は、DCM発端者の家族のDCM有病率および第1度近親者における人種/民族別、年齢別のDCM累積リスクの評価を目的とする家族ベースの横断研究であり、米国の心不全プログラムに参加する25施設のコンソーシアムによって実施された(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成を受けた)。 対象は、DCM患者(発端者)とその第1度近親者であった。DCM発端者は、通常の臨床的原因を除外したうえで、左室収縮機能障害(LVSD)と左室拡大(LVE)が認められる患者と定義された。2016年6月7日に参加者の登録が開始され、DCM発端者の登録は2020年3月15日に、家族の登録は2021年4月1日に終了した。 主要アウトカムは、家族性DCMおよび広義の家族性DCMの発現とされた。家族性DCMは、少なくとも1人の第1度近親者にDCMが認められる場合、広義の家族性DCMは、少なくとも1人の第1度近親者にDCM、あるいは原因不明のLVSDまたはLVEが認められる場合と定義された。黒人発端者は白人よりも有病率が高い 試験には発端者1,220例(年齢中央値52.8歳[IQR:42.4~61.8]、女性43.8%、黒人43.1%、ヒスパニック系8.3%、第1度近親者数中央値4人[IQR:3~6])が登録され、1,693例の第1度近親者でDCMのスクリーニングが行われた。1家族当たり、生存している第1度近親者のうち中央値で28%(IQR:0~60)が、スクリーニングを受けた。 発端者における家族性DCMの粗有病率は全体で11.6%、広義の家族性DCMの粗有病率は全体で24.1%であった。米国の典型的な高度心不全プログラムで、生存する第1度近親者のすべてがスクリーニングを受けた場合の、発端者における家族性DCM有病率のモデルに基づく推定値は全体で29.7%(95%信頼区間[CI]:23.5~36.0)で、広義の家族性DCM有病率のモデルに基づく推定値は全体で56.9%(50.8~63.0)だった。 家族性DCM有病率の推定値は、黒人の発端者が白人の発端者よりも高かった(39.4% vs.28.0%、群間差:11.3%、95%CI:1.9~20.8)が、ヒスパニック系と非ヒスパニック系の発端者の間に有意な差は認められなかった(28.6% vs.30.0%、-1.4%、-15.9~13.1)。 登録時の年齢別の疾患の状態に基づく、米国の典型的な高度心不全プログラムにおける第1度近親者のDCM推定累積リスクは、80歳までに19%(95%CI:13~24)に達し、部分的な表現型を含む広義の家族性DCMの有病率は80歳の時点で33%(95%CI:27~40)であった。 また、DCMのハザードは、非ヒスパニック系黒人発端者の第1度近親者が、非ヒスパニック系白人発端者の第1度近親者よりも高かった(ハザード比:1.89、95%CI:1.26~2.83)。 著者は、「これらの知見は、DCM患者では家族性DCMの有病率が実質的に高くなっており、第1度近親者ではDCMの生涯リスクが増大していることを示唆する」としている。

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添付文書改訂:アクテムラが新型コロナ中等症II以上に適応追加/ジャディアンスに慢性心不全追加/エフィエントに脳血管障害の再発抑制追加/アジルバに小児適応追加/レルミナに子宮内膜症の疼痛改善追加【下平博士のDIノート】第92回

アクテムラ点滴静注用:新型コロナ中等症II以上に適応追加<対象薬剤>トシリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:アクテムラ点滴静注用80mg/200mg/400mg、製造販売元:中外製薬)<承認年月>2022年1月<改訂項目>[追加]効能・効果SARS-CoV-2による肺炎酸素投与、人工呼吸器管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うこと。[追加]用法・用量通常、成人には、副腎皮質ステロイド薬との併用において、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを点滴静注します。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、同量を1回追加投与できます。<Shimo's eyes>本剤は、国産初の抗体医薬品として、2005年にキャッスルマン病、2008年に関節リウマチの適応を取得して、現在は世界110ヵ国以上で承認されているヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体です。今回、新型コロナによる肺炎の効能が追加されました。これまで中等症II以上の患者に適応を持つ、レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注用)、バリシチニブ(同:オルミエント錠)、デキサメタゾン(同:デカドロン)の3製剤に本剤が加わり、新たな治療選択肢となります。新型コロナ患者の一部では、IL-6を含む複数のサイトカインの発現亢進を特徴とする炎症状態により呼吸不全を起こすことが知られており、同剤投与による炎症抑制が期待されています。参考中外製薬 薬剤師向けサイト アクテムラ点滴静注用80mg・200mg・400mgジャディアンス:慢性心不全(HFrEF)の適応追加<対象薬剤>エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス錠10mg、製造販売元:日本ベーリンガーインゲルハイム)<承認年月>2021年11月<改訂項目>[追加]効能・効果慢性心不全ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。[追加]用法・用量通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前または朝食後に経口投与します。<Shimo's eyes>SGLT2阻害薬としては、すでにダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が慢性心不全の適応を2020年11月に追加しており、本剤は2剤目の薬剤となります。2022年1月現在、添付文書には「左室駆出率の保たれた慢性心不全(HFpEF)における本剤の有効性および安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者(HFrEF)に投与すること」と記載されていますが、HFpEF患者を対象とした第III相試験においても、2021年8月に良好な結果1)が報告されています。なお、本剤25mg錠には慢性心不全の適応はありません。参考エンパグリフロジンの慢性心不全への承認取得/日本ベーリンガーインゲルハイム・日本イーライリリー1)エンパグリフロジン、糖尿病の有無を問わずHFpEFに有効/NEJMエフィエント:脳血管障害後の再発抑制が追加<対象薬剤>プラスグレル塩酸塩(商品名:エフィエント錠2.5mg/3.75mg、製造販売元:アストラゼネカ)<承認年月>2021年12月<改訂項目>[追加]効能・効果虚血性脳血管障害(大血管アテローム硬化または小血管の閉塞に伴う)後の再発抑制(脳梗塞発症リスクが高い場合に限る)[追加]用法・用量通常、成人には、プラスグレルとして3.75mgを1日1回経口投与する。<Shimo's eyes>『脳卒中治療ガイドライン2021』では、非心原性脳梗塞の再発抑制に対しては抗血小板薬(クロピドグレル、アスピリンまたはシロスタゾール)の投与が勧められていますが、本剤の適応は、「大血管アテローム硬化または小血管の閉塞を伴う虚血性脳血管障害後の再発抑制」に限定されました。なお、適応追加の対象は2.5mg錠および3.75mg錠のみです。今回の改訂で、空腹時は食後投与と比較してCmaxが増加するため、空腹時の投与は避けることが望ましい旨の記載が追記されました。用法に「食後投与」は明記されていないので注意しましょう。既存薬のクロピドグレルは、主にCYP2C19によって代謝されるため、遺伝子多型による影響を受けやすいことが懸念されていますが、本剤は、ヒトカルボキシルエステラーゼ、CYP3AおよびCYP2B6などで代謝されて活性体となるプロドラッグであり、遺伝子多型の影響を受けにくいとされています。参考第一三共 医療関係者向けサイト エフィエント錠アジルバ:小児適応追加、新剤型として顆粒剤が登場<対象薬剤>アジルサルタン(商品名:アジルバ顆粒1%、同錠10mg/20mg/40mg、製造販売元:武田薬品工業)<承認年月>2021年9月<改訂項目>[追加]用法・用量<小児>通常、6歳以上の小児には、アジルサルタンとして体重50kg未満の場合は2.5mg、体重50kg以上の場合は5mgを1日1回経口投与から開始します。なお、年齢、体重、症状により適宜増減が可能ですが、1日最大投与量は体重50kg未満の場合は20mg、体重50kg以上の場合は40mgです。<Shimo's eyes>アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)であるアジルサルタンに、小児に対する用法および用量が追加されました。また、新剤型として顆粒剤も発売されました。顆粒剤は、成人にも小児にも適応がありますが、小児の開始用量である2.5~5mgを投与する際に便利です。参考武田薬品工業 医療関係者向けサイト アジルバレルミナ:子宮内膜症に基づく疼痛改善の適応が追加<対象薬剤>レルゴリクス(商品名:レルミナ錠40mg、製造販売元:あすか製薬)<承認年月>2021年12月<改訂項目>[追加]効能・効果子宮内膜症に基づく疼痛の改善<Shimo's eyes>本剤は、経口GnRHアンタゴニストであり、2019年1月に子宮筋腫に基づく諸症状(過多月経、下腹痛、腰痛、貧血)の改善で承認を取得しています。子宮筋腫に続き、子宮内膜症患者を対象とした第III相試験の結果が報告されたことから、今回新たな適応が承認されました。本剤は下垂体のGnRH受容体を阻害することにより、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を阻害します。その結果、エストロゲンおよびプロゲステロンが抑制され、子宮内膜症の主な症状である骨盤痛を改善します。参考あすか製薬 医療関係者向け情報サイト レルミナ錠40mg

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米国オミクロン株流行はピークアウト?循環器科医として気付いた診断の難しさ【臨床留学通信 from NY】番外編9

米国オミクロン株流行はピークアウト?循環器科医として気付いた診断の難しさ日本では、2月2日の時点で1日の新型コロナ新規感染者数が約10万人と、人口が似ている欧米主要諸国とほぼ同等の推移となっています。こちら米国では、1月上旬の1日140万人をピークに、入院患者数のピークもほどなく迎えました。EDに来た人のテスト陽性率も50%を超え、EDはコロナ患者で埋め尽くされた状態で、日本のように厳格に隔離することは当然できません。EDに心臓疾患の診察に行く際は、仮にその患者が陽性でなくても、EDに行く=コロナ患者だらけの場所に飛び込むという感覚です。何人かの同僚もコロナで戦線離脱していたため、なるべく自身が感染しないことが何より重要で、コンサルテーションを受ける側としても不必要な患者診察を避け、カルテレビューのみで見解を伝え、治療方針を提案するE-consultも行いました。ただ、第1波のパンデミック時は、コロナそのものが原因と見られる心筋障害が多かったのですが、今回はそれ以外に、たまたま非ST上昇型心筋梗塞の人がコロナ陽性だったり、コロナによる症状、肺炎、炎症を引き金に非ST上昇型心筋梗塞が起きた人、コロナでたこつぼ心筋症になった人がいたりしました。ピットフォールとしては、心電図は肺塞栓っぽくないものの、ルーティンのD-dimerが異様に高い上、コロナの過凝固による肺塞栓で右室への負担からトロポニン陽性の人など、十分な診察なしに判断するのはなかなか難しいところでした。日本ならば、救急外来から循環器科医としてコンサルテーションを受けたら、5分程度の簡単な心エコーによって、たこつぼ、ACS、肺塞栓くらい鑑別はすぐに可能かと思います。しかしながら、ここが米国の医療の良くないところかと思いますが、救急医、循環器科医いずれも、よほどのことがない限り心エコーをしない、あるいは技師さん任せでもともとしない風潮、あるいは忙し過ぎて時間がない、あるいは正確に判断できない可能性もあり、訴訟などの責任を逃れるためしない、等々の理由で、「ひとまず心エコーをしてみる」ことはありません。そのことによる治療の遅れもあるかもしれませんが、プラクティス、風習の違いと考えれば、こんなところにも日米の違いは見られます。いずれにせよ、米国では1月中旬をピークにコロナによる入院患者数は減り続け、全体の病床の3~4割を占めていたのが、2月に入って1~2割となり、EDでの陽性率も15%くらいまで下がりました。毎回、変異株が出るたびにこうなってしまうとなかなか骨が折れるな、と実感した次第です。画像を拡大する

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小声の患者さん、実は“ふるえ”が潜んでる!?【Dr.山中の攻める!問診3step】第11回

第11回 小声の患者さん、実は“ふるえ”が潜んでる!?―Key Point―安静時の振戦はパーキンソン病でみられる両上肢を前方に挙上するときに観察される姿勢時振戦は本態性振戦で起こる治療可能なふるえを見逃さない症例:75歳 男性主訴)右手がふるえる現病歴)3年前から両手のふるえを自覚するようになった。1年前から次第に手のふるえがひどくなっている。2週間前、役所で書類にサインを求められたが、手がふるえて字がうまく書けなかった。既往歴)高血圧症薬剤歴)アムロジピン生活歴)焼酎1合を週に2回、喫煙なし身体所見)体温:36.7℃ 血圧:128/62mmHg 脈拍:86回/分 呼吸回数:16回/分 SpO2:96%(室内気)安静時振戦なし。両上肢を前方に挙上させると両手に振戦を認める。自分の名前を書かせると、右手に振戦が出現し字が大きく乱れる。経過)パーキンソン症候群を疑う症状と身体所見なし。本体性振戦と診断しプロプラノロールを処方した。◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!病的振戦では本態性振戦が最も多く、次にパーキンソン病が多い書字やコップを使用して飲水する時に起こる運動時振戦は、日常生活に支障をきたすリチウム、バルプロ酸Na、テオフィリン、カフェイン、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などは薬剤性振戦を起こす1)【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】振戦を分類する2)(1)安静時振戦安静時にみられる。左右差が見られることが多い。動作により振戦は消失する。姿勢保持後、10秒くらいして振戦が再出現することがある(re-emergent tremor)。暗算負荷などの精神的緊張で増悪する。パーキンソン病、パーキンソン症候群が代表疾患(2)動作時振戦(a)姿勢時振戦両上肢を前方に挙上するときに観察される。重力に抗した姿勢で出現しやすい。代表疾患は本態性振戦、生理的振戦、甲状腺機能亢進症で、薬剤性やアルコール離脱などが原因で生じることもある。(b)運動時振戦書字やコップで水を飲む時に起こる。日常生活に支障をきたす。本態性振戦、小脳疾患、脳血管障害で起こる(c)企図振戦 目標に近づくほど振戦が増大する。小脳障害、多発性硬化症、ウィルソン病でみられる*本態性振戦とパーキンソン病の患者ビデオ(Stanford Medicine 25)【STEP3-1】本態性振戦とパーキンソン病の特徴的症状があるかを確かめる2)病的な振戦では本態性振戦(有病率:2.5~10%)とパーキンソン病(有病率:0.1%)が多い。画像を拡大するパーキンソン病の安静時振戦は逆N字型(またはN字型)に進行する。たとえば、右手→右足→左手→左足(下図参照)(図)パーキンソン病では無動、固縮(歯車現象、鉛管様固縮)を認める。非運動症状(レム睡眠行動異常、うつ症状、嗅覚低下、倦怠感、起立性低血圧)がある3)本態性振戦は小脳失調を合併することがある本態性振戦からパーキンソン病に進展するケースもある【STEP3-2】ほかの鑑別診断を考える徐々に発症するときは生理的振戦、本態性振戦を考える●生理的振戦緊張すると姿勢時振戦を起こす。低振幅、高振動数。カフェイン、β刺激薬で悪化●ジストニア特定の姿勢や動作で誘発される。書痙●心因性振戦突然発症する。気をそらせると消失●二次性振戦甲状腺機能亢進症、低血糖、尿毒症、薬剤(リチウム、バルプロ酸Na、テオフィリン、カフェイン、SSRI)、中毒(マンガン、鉛、水銀)●アルコールやベンゾジアゼピンの離脱症状としても振戦が起こる【治療】ストレスを軽減させる生活指導振戦のため書字が困難なら、できるだけ太いペンを使用する本態性振戦にはアロチノロール、プロプラノロール(商品名:インデラル)、プリミドンを処方するパーキンソン病には抗コリン薬が有効なことがあるが、幻覚や認知機能障害が出現する場合があるMRガイド下集束超音波治療(FUS)<参考文献>1)Elias WJ, et al. JAMA. 2014;311:948-954. 2)望月秀樹. 日本内科学会雑誌. 2017;107: 464-468.3)Kalia LV, et al. Lancet. 2015;386:896-912.

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英語で「体重が増えました」は?【1分★医療英語】第15回

第15回 英語で「体重が増えました」は?How’ve you been since the last time I saw you?(その後いかがですか?)I’ve put on loads of weight in the last few months.(この数ヵ月でだいぶ体重が増えました)《例文1》I gained some weight during lockdown.(ロックダウン中に太りました)《例文2》Changing your eating habits is the best way to lose weight.(食習慣を変えるのが、一番良い体重の減らし方です)《解説》「体重が増えた」という表現は、“put on weight”や“gain weight”、“grow heavier/fatter”などと表現されます。一方で「体重が減った」場合には、“lose weight”や“slim down”、“become thinner”などの表現があります。米国、英国では、体重や身長を“pound”、“feet”、“inch”を使って表現します。1ポンド=約0.45kg、1フィート=30.48cm、1インチ=2.54cmです。また、とくに体重を表すときに、“stone”という単位もよく使われます。“stone”は14ポンド(約6.36kg)のことで、“To lose a stone”で「6.36kg減る」という意味になります。“I’ve put on 2 stones in the last year.”(ここ1年で約13キロ増えました)という感じで使います。講師紹介

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医療マンガ大賞2021 言葉にしないと伝わらないこと(医師視点)ささき かずよ氏

医療マンガ大賞2021 言葉にしないと伝わらないこと(医師視点)ささき かずよ氏ケアネット部門受賞者・ささき かずよ(ぴよ)氏からのコメントこの度は部門賞をいただきありがとうございます。私は看護師をしているため、医療のデリケートな面も日頃から多分に感じ取っています。原作エピソードは、医師と患者のコミュニケーションの重要性について日々感じていることとマッチしたので、気持ちを込めて描きました。この漫画を通して、テーマ「言葉にしないと伝わらないこと」を伝える一助となれば幸いです。医療マンガ大賞に応募できたこと、原作者さま、お読みいただいた皆さま、すべてに感謝いたします。原作エピソード『医療に関する言葉にしないと伝わらないこと(医師視点)』はこちら看護師/NHA認定トレーナーが看護・介護にNHAをお届けします!

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排泄リハビリテーション 理論と臨床 改訂第2版

排泄に関連するすべての領域を網羅した成書 待望の改訂第2版!排泄リハビリテーションとは、排泄障害をもつ人が排泄の自立やQOLの向上を目指すとともに、その人の社会的統合の達成を目的とするものである。これを進めるうえで必要となる解剖や生理、障害を引き起こす疾患などの知識はもとより、治療・ケア、社会環境や医療経済について、多くの最新情報をもとに解説をアップデートした。 改訂第2版にあたって1)新しいガイドラインに基づいた知見を詳述2)排泄にかかわる解剖と生理を分かりやすい図を用いて解説3)排泄障害をもつ人に対し、どのような検査・アセスメントを行い、どのように治療・ケアを行っていけばよいかを詳述4)排泄障害に用いる製品の最新の情報を網羅5)「脳腸相関」「ディスバイオーシス」「仙骨神経刺激療法」「がん終末期の排泄ケア」「多職種連携・病診連携」などを新項目として追加6)改訂しても価格は据え置きの定価9,680円!!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    排泄リハビリテーション 理論と臨床 改訂第2版定価9,680円(税込)判型B5判/並製頁数576頁発行2022年2月編集後藤 百万(独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院)本間 之夫(日本赤十字社医療センター)前田 耕太郎(藤田医科大学病院 国際医療センター)味村 俊樹(自治医科大学)

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第99回 オミクロン株亜種BA.2を相手しうる治療抗体はたった1つ?

世界に広まった新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン(Omicron)株の発見国である南アフリカではその亜種BA.2(B.1.1.529.2)が先立つBA.1型に取って代わって優勢となっています1)。同国政府の顧問を務める生物統計研究者Tulio de Oliveira氏によると不気味なことにいまや同国でのSARS-CoV-2感染(COVID-19)の実にほぼすべてがBA.2によるものとなりました2)。オミクロン株の発見の報告者としても知られるDe Oliveira氏はオミクロン株が後ろ盾の感染流行の第二波をBA.2がもたらしうるとかつて述べており、同国のCOVID-19のほぼ100%がBA.2になったことはその予想通りです。BA.2への既存の抗体薬の効果の検討が早速始まっています。感染症治療薬を開発する米国のバイオテクノロジー企業Vir Biotechnology社の先週9日の発表3)によるとBA.2を阻止する中和活性を同社がGlaxoSmithKline(GSK)と協力して取り組んでいる抗体sotrovimab(ソトロビマブ、S309)が幸いにも備えていました。ただし中和活性がどれほどのものかの具体的な説明はなく、代理ウイルスを使ったその実験結果の詳細は近々bioRxivに掲載されるとVir社はその発表に記しています。時を同じくして先週9日にbioRxivにすでに掲載済みのコロンビア大学の別の研究でもソトロビマブがBA.2中和活性を有することが確認されています。しかし残念なことにその活性はかつて流行した野生型D614G代理ウイルス(wild-type D614G pseudovirus)に対するのと比べて27分の1ほどでしかありませんでした4)。bioRxivへの提出後の追試でのソトロビマブのBA.2中和活性はさらに低かったと研究リーダーDavid Ho氏は言っています5)。一方、ソトロビマブとは対照的にEli Lilly社の抗体bebtelovimab(ベブテロビマブ、LY-CoV1404)はBA.2にも歯が立ち、野生型D614G代理ウイルスに対するのとほぼ同等にBA.2を中和しました。また、AstraZenecaの抗体一対cilgavimab(COV2-2130)/tixagevimab(COV2-2196)の片方cilgavimabもbebtelovimabには劣るもののBA.2とどうやら張り合うことができるようです。bebtelovimabのBA.2中和活性は野生型D614G代理ウイルス中和活性の1.1倍でほぼ同じだったのに対してcilgavimabのそれは2分の1ほどでした。コロンビア大学の研究ではそれら3抗体を含むあわせて19の抗体が検討され、結論としてそれらのうちBA.2に対抗しうるのはLillyのbebtelovimabとAstraZenecaのcilgavimabのみであり、GSK/Vir社のソトロビマブを含む他の17の抗体はBA.2阻止活性を全く持ち合わせていないか酷く損なっていました。折しも先週末11日に米国FDAはBA.2に勝ち目があるLillyのbebtelovimabを取り急ぎ認可しています6)。重症化する恐れがある外来の軽~中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者への使用が許可され、米国政府は少なくとも7億2000万ドルを払って同剤最大60万回投与分を購入します7)。同剤の投与は1回8)なので最大60万人分に相当します。BA.2を相手しうるもう1つの抗体cilgavimabを成分とするAstraZenecaの抗体薬も米国FDAに取り急ぎ認可されていますが、認可されたのはCOVID-19予防用途です9)。治療に使うことは認められていません。よってFDAがCOVID-19治療に使うことを認可した抗体のほぼすべてがBA.2におよそ歯が立たず、勝負できそうなのは今のところLillyのbebtelovimabのみであり、果てなく進化し続ける脅威・SARS-CoV-2を抑える新たな手段をわれわれも絶えずひねり出していく必要があるようです4)。参考1)Omicron BA.2 sub-variant dominant in S.Africa, says CDC / Reuters2)Omicron BA.2 Sub-Variant Close to 100% Dominant in South Africa / Bloomberg3)Data Suggest Sotrovimab Retains Neutralizing Activity Against Omicron Subvariant BA.2 / GlobeNewswire4)Antibody Evasion Properties of SARS-CoV-2 Omicron Sublineages. bioRxiv. February 09, 20225)Spreading version of Omicron resists all but one new drug / Reuters6)Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Authorizes New Monoclonal Antibody for Treatment of COVID-19 that Retains Activity Against Omicron Variant / PR Newswire7)Lilly's bebtelovimab receives Emergency Use Authorization for the treatment of mild-to-moderate COVID-19 / PR Newswire8)FACT SHEET FOR HEALTHCARE PROVIDERS: EMERGENCY USE AUTHORIZATION FOR BEBTELOVIMAB9)AZD7442 request for Emergency Use Authorization for COVID-19 prophylaxis filed in US / AstraZeneca

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追加接種でオミクロン株での入院が未接種の23分の1/CDC

 米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡での調査によると、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株優勢期におけるCOVID-19による入院率は、ワクチン未接種者では2回接種+追加接種者の23.0倍、2回接種者の5.3倍だった。ロサンゼルス郡公衆衛生局のPhoebe Danza氏らが、CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年2月4日号に報告。 ロサンゼルス郡公衆衛生局は、COVID-19サーベイランスおよびCalifornia Immunization Registry 2のデータを用いて、2021年11月7日~2022年1月8日の年齢調整14日間累積感染率と入院率について、新型コロナワクチン接種状況および各変異株の優勢期ごとに調査した。SARS-CoV-2感染は、核酸増幅検査もしくは抗原検査で確認した。対象は18歳以上の成人で、BNT162b2(ファイザー製)、mRNA-1273(モデルナ製)、Ad.26.COV2.S(Johnson & Johnson製)の最初の連続接種が終了した日から14日後に2回接種完了とみなした。また、2回接種完了者が追加接種を受けた日から14日後に追加接種完了とみなした。 主な結果は以下のとおり。・2021年11月7日~2022年1月8日に報告されたSARS-CoV-2感染者42万2,966人のうち、ワクチン未接種者は14万1,928人(33.6%)、2回接種+追加接種者は5万6,185人(13.3%)、2回接種者の22万4,853件(53.2%)だった。・デルタ株優勢期の最終期である2021年12月11日までの14日間で、ワクチン未接種者の感染率は、2回接種+追加接種者の12.3倍、2回接種者の3.8倍で、入院率は、2回接種+追加接種者の83.0倍、2回接種者の12.9倍であった。・オミクロン優勢期(2022年1月8日で終わる週)では、ワクチン未接種者の感染率は、3回接種者の3.6倍、2回接種者の2.0倍で、入院率は、2回接種+追加接種者の23.0倍、2回接種者の5.3倍であった。・全解析期間において、ICU入院、人工呼吸器装着、死亡は、ワクチン未接種者が2回接種+追加接種者、2回接種者より多かった(p<0.001)。・感染率、入院率とも、いずれの時期においても未接種者が最も高く、2回接種+追加接種者が最も低かった。

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治療抵抗性うつ病の負担と課題

 治療抵抗性うつ病は、公衆衛生上の重大な問題である。ギリシャ・Psychiatric Hospital of AtticaのCharalampos Touloumis氏は、治療抵抗性うつ病に関する現状や課題についての報告を行った。Psychiatriki誌2021年12月号の報告。 主な報告は以下のとおり。・うつ病エピソード(単極性または双極性)を有する患者の約20~40%は、抗うつ薬治療に臨床的な治療反応(症状スケール50%以上低下)を示さないと考えられる。・症状が改善した患者の約半数は、機能の悪影響や再発の可能性が高まる残存症状が認められる。・うつ病エピソードの初回治療を受けた患者の20~40%は寛解が認められる(STAR*D研究では36.8%)。・治療目標として、症状重症度70%以上の低下またはHAMDスコア7以下/MADRSスコア10以下を目指す必要がある。・うつ病患者は、寛解達成後も回復や病前の職業的および社会的状態に戻るまでには、長い期間を有することが少なくない。また、良好な状態を維持するためには、長期にわたる治療が必要となる。・治療抵抗性うつ病は、高血圧、糖尿病、心不全などの併存疾患発生率が高く、入院率が2倍、入院期間が36%延長される。・治療抵抗性うつ病患者の自殺リスクは、治療反応が認められるうつ病患者と比較し、7倍であった。・治療抵抗性うつ病患者は、治療反応が認められるうつ病患者と比較し、死亡率が高く、すべての原因による死亡率は、29~35%上昇する。死亡率の高さは、13歳以上および非うつ病患者との比較でも同様であった。・治療抵抗性うつ病は、その発生率やうつ病治療において重要な問題であるにもかかわらず、専門家の考える基準は明確ではない。・治療抵抗性うつ病の最も一般的な基準は、コンプライアンスを確認したうえで、適切な用量および期間による2種類以上の異なる抗うつ薬(同クラスまたは異なるクラス)による治療に対して抵抗性を示すとされるが、有意な臨床的な結果を示すことはできない。・虚無主義を改善するための難治性うつ病、心理療法やECTなどの非薬物療法を併用する必要がある薬物治療抵抗性うつ病、複数の治療抵抗性うつ病、致死的なうつ病などを治療抵抗性うつ病として考える場合もある。・治療抵抗性うつ病に対する治療は、すべての臨床医にとって課題である。・治療抵抗性に対し不十分な治療レジメン、併存疾患(不安障害、摂食障害、パーソナリティ障害、薬物乱用や依存、PTSDなど)、治療不適合、未確認の有機的および慢性期的なストレス原因を除外した後、利用可能な治療法は、治療の最適化、注意深い経過観察、過去の治療反応、併用療法、追加療法、ECT、TMS、迷走神経刺激、光線療法、心理療法、脳神経外科的治療である。

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