サイト内検索|page:561

検索結果 合計:36074件 表示位置:11201 - 11220

11201.

英語で「抗凝固薬」は?【1分★医療英語】第37回

第37回 英語で「抗凝固薬」は?Why do I need to take a blood thinner?(何で抗凝固薬を飲まなければいけないのですか?)Blood thinners are recommended to prevent blood clots from forming.(抗凝固薬は血栓が作られるのを防ぐために使われます)《例文1》What are the most common side effects of blood thinners?(抗凝固薬によくある副作用は何ですか?)《例文2》Are you on blood thinner medications?(抗凝固薬を服用していますか?)《解説》抗凝固薬は正式には“anticoagulant”ですが、患者さんへの説明には“blood thinner”を使います。日本語でも「血液をサラサラにする薬」と定番の言い方をするのと同様です。“blood thinner”を広義に「抗血栓薬」として、“antiplatelet”(抗血小板薬)を含むことも多く、患者さんへ抗血小板薬を説明する時は、“There are two different types of blood thinners, and antiplatelets  keep your platelets from sticking together.”(2種類の抗血栓薬があり、抗血小板薬は血小板がくっ付くのを防いでいます)と説明すると理解しやすくなります。“blood thinner”の副作用の確認には、“black or tarry stool”(黒色便やタール便 = 血便)、“prolonged nosebleed”(長引く鼻血)、“excessive bleeding gums”(過剰な歯茎からの出血)などの単語を使って説明します。ちなみに抗凝固薬のイグザレルト(Xarelto、一般名:リバーロキサバン)の発音は「ゼロート」という感じで、頭のXはZの音になるので注意が必要です。講師紹介

11202.

ASCO2022 レポート 肺がん

レポーター紹介2022年のASCOは久しぶりの現地開催とWeb開催のハイブリッド形式で実施された。肺がん領域については昨年にも増して大きな話題に乏しく、Phase I試験のExpansion、Phase II試験、さらにはサブセット解析などが主体で、PivotalなPhase IIIの公表はあってもNegativeという状況であった。本稿では、その中から重要な知見について解説したい。SKYSCRAPER-02試験ASCO2022の肺がん領域において、Positiveであれば肺がんだけでなく臓器横断的に大きなインパクトを残したであろう試験がSKYSCRAPER-02試験である。残念ながらProgression-free survival(PFS)、Overall survival(OS)ともにNegativeであったこの試験は、進展型小細胞肺がんにおいて、カルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブというIMpower133試験で確立された標準治療に、tiragolumab(抗TIGIT抗体)を上乗せすることの優越性を検証するために実施された。TIGIT(T cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)はT細胞やNK細胞に発現する免疫チェックポイント分子である。tiragolumabは非小細胞肺がんを対象に実施された無作為化Phase II試験であるCITYSCAPE試験の結果、PD-L1高発現の患者集団においてアテゾリズマブに対する上乗せが示され、大きな期待を集めていた。SKYSCRAPER-01試験では進行非小細胞肺がんPD-L1高発現群において、SKYSCRAPER-03試験では切除不能III期非小細胞肺がんの化学放射線療法後の地固め療法として、そして進展型小細胞肺がんにおいてはSKYSCRAPER-02試験が実施されている。その中で最も早く結果が公表されたSKYSCRAPER-02試験は、前述のとおりPFS、OSともにカルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブに対する上乗せを示すことができなかった。さらに、ASCO直前にSKYSCRAPER-01試験においても、PFSが統計学的にNegativeであり、OSの結果は追跡中というプレスリリースが発行され、大きな話題となった。SKYSCRAPER-01試験についても、PFSはNumerical improvementを示しているとされており、OSの結果は追跡中、さらにSKYSCRAPER-03試験は結果を待っている状態であり、今後の報告が待たれる。CITYSCAPE試験の成功以降、多数の薬剤が同時に開発される状況となった抗TIGIT抗体についても、今後、他の領域、他の薬剤の結果を含め注目したい。PD-L1高発現群に対するFDAのPooled analysis2021年前半にESMO virtual plenaryにおいて、Flatiron社の技術を用いた電子カルテデータの解析に基づき、免疫チェックポイント阻害薬単剤(IO-only)と、免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用療法(Chemo-IO)が、PD-L1高発現の集団において有効性に大きな違いがないことが報告され大きく注目された。今年のASCOにおいては、FDAがこれまでの臨床試験のデータのPooled analysis結果をまとめ、ASCO2022の進行肺がんOralセッションの1番目という栄誉を得た。Chemo-IOとしては、KEYNOTE-021試験、KEYNOTE-189試験、KEYNOTE-407試験、IMpower150試験、IMpower130試験、CheckMate9LA試験が、IO-onlyとしては、CheckMate026試験、KEYNOTE-024試験、KEYNOTE-042試験、IMpower110試験、CheckMate227試験、EMPOWER-Lung 1試験が対象となっている。これらの試験に登録された9,000例以上の患者から、PD-L1 50%以上のChemo-IO 455例、IO-only 1,298例が解析対象となっている。OSはIO-onlyで20.9ヵ月、Chemo-IOで25.0ヵ月、Hazard ratio(HR)は0.82(95%信頼区間[CI]:0.62~1.08)であり、わずかにChemo-IOで良いものの信頼区間は1をまたいでいるという結果であった。とくに、年齢別のサブセットで異なる傾向を認め、65歳以下ではChemo-IOが良好な傾向があるのに対して、75歳以上ではIO-onlyが良好であった。確かにPost-hocの解析であり、限界も多いものの、PD-L1高発現の集団において、IO-onlyの治療戦略の重要性が再度示される結果であった。ニボルマブ+イピリムマブに関連したフォローアップデータPoster発表ではあったものの、CheckMate227試験の5年アップデートの結果が公表された。抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法の、進行非小細胞肺がんにおけるベンチマークとなる報告である。今回の報告では、PD-L1 1%以上と、1%未満に大別した成績が報告されている。1%以上においては、5年OS割合が24%、5年PFS割合が12%であった。1%未満においては、5年OS割合が19%、5年PFS割合が10%であり、従来指摘されてきたように、PD-L1の発現によらず、ほぼ同等の成績が5年のデータとしても確認された。PD-L1 1%以上のKEYNOTE-042試験においては、5年OS割合が16.6%、5年PFS割合が6.9%とすでに報告されている。異なる試験の結果であり直接比較は難しいものの、ニボルマブ+イピリムマブの併用により長期生存にプラスに働く可能性があることが示唆される結果といえる。今回PD-L1高発現群でのサブセット解析の結果は示されていないため、KEYNOTE-024試験との比較や、KEYNOTE-598試験などで検証されているPD-L1高発現の部分については、新たな情報がなく、今後追加の発表が期待される。さらに、同じくPosterであるが、CheckMate9LA試験については3年のアップデート結果が報告された。PD-L1の発現によらない全体集団において、化学療法2サイクル+ニボルマブ+イピリムマブは、3年OS割合27%、3年PFS割合13%を示した。この傾向はPD-L1の発現によらず維持されており、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の特徴が表れている。CheckMate9LA試験についても今後5年のフォローアップデータなどが待たれるものの、おおむねCheckMate227試験を踏襲する傾向であった。ただ、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)で実施されているJCOG2007(NIPPON)試験において、化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ群の安全性の問題により登録が中断されており、実施に際しては免疫関連の有害事象を中心とした安全管理に留意が必要である(JCOG2007[NIPPON試験]における重篤な有害事象発生について)。周術期治療の話題切除可能非小細胞肺がんに対して、初めてニボルマブによる術前治療を実施した試験がNew England Journal of Medicine誌に掲載されたことを記憶されている方も多いと思われる。ASCO2022では、この試験の5年フォローアップデータがPosterセッションではあるものの報告されている。20例の対象患者全体において、5年のOS割合が80%、無再発生存割合が60%であり、ニボルマブによる術前治療によりMPR(Major pathologic response、切除検体でViable tumorが10%以下)を達成した9例の患者のうち、8例(89%)が5年無再発生存しているという良好な結果であった。確かに非常に限られた症例での報告ではあるものの、現在実施中、フォローアップ中のさまざまな周術期免疫チェックポイント阻害薬の試験の結果を先取りする内容として確認しておきたい。最近の試験としては、CheckMate816試験について、術前ニボルマブ+化学療法後の病理学的奏効に基づく、EFS(Event-free survival)のサブセット解析の結果が報告されている。本試験はすでにAACR2022において、EFSにおいて術前化学療法に対してニボルマブを上乗せする意義が証明されたとする報告が行われている。AACRでの発表においても、pCR(pathologic complete response)を達成した患者において、ニボルマブの有無にかかわらず明らかにEFSが良いという結果、すなわちpCRが術前治療後の患者にとって明確な予後因子であることが報告されている。今回の報告ではその点をさらに解析し、pCRやMPRだけでなく、70%以上、20%以上などのさまざまなカットオフで評価しており、おおむね病理学的奏効の深さとEFSの良さが相関することが示された。ESMOが主導する、ESMO Virtual plenaryシリーズは、通常開催の学会とは独立して、重要演題を速報的に公開する方法として徐々にその地位を固めつつある。今年のESMO Virtual plenaryにおける肺がん領域の話題は、完全切除後の非小細胞肺がんにおいて、術後補助療法としてペムブロリズマブの意義を検証する、Phase III試験であるEORTC-1416-LCG/ETOP 8-15(PEARLS/KEYNOTE-091)試験であった。本試験においては、何よりもPD-L1高発現の集団においてペムブロリズマブの優越性が示されなかった点が話題となり、今後さまざまな観点からの解析結果が待たれる状態である。ASCO2022においてはサブグループ解析が報告され、割付調整因子に含まれていた術後プラチナ併用療法の有無において実施群のほうで明らかにペムブロリズマブの追加が良い傾向を認め、探索的な結果ながらも術後プラチナ併用療法としてカルボプラチン+パクリタキセルを実施した場合にペムブロリズマブの追加の効果が乏しいことが示されている。本試験については今後もさまざまな追加解析が実施されると思われ、それらの結果からIMpower010試験のアテゾリズマブと合わせて、周術期免疫療法の理解が深まることを期待している。

11204.

第121回 脳の不調が続くCOVID-19患者に高圧酸素投与が有効

高圧室で100%の酸素を吸う高圧酸素治療(HBOT;hyperbaric oxygen therapy)が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染(COVID-19)後の不調(post-COVID-19 condition)に有効なことがプラセボ対照二重盲検無作為化試験で示されました1-4)。老化と関連する認知や身体機能の衰えの治療に取り組み、人が持てる力をHBOTを頼りに最大限に引き出すことを目指す病院Aviv Clinicsが試験を手掛けました。Aviv Clinicsの本拠は米国フロリダ州で、試験はイスラエルにあるその研究所Shamir Medical Centerで実施されました。集中できない、頭がもやもやする(brain fog)、忘れっぽくなった、目当ての単語や考えを思い出すのが困難といった認知症状(cognitive symptom)がSARS-CoV-2感染後3ヵ月超続く患者73人が試験参加に同意し、その約半数の37人がHBOTを受ける群、残り36人がプラセボ群に割り振られました。試験ではドイツのHAUX社製の高圧室(Starmed-2700 chamber)が使われ、HBOT実施群は2絶対気圧(2ATA)の環境でマスクから100%の酸素を吸う所要時間90分間の治療を週に5日の頻度で合計40回受けました。プラセボ群の患者は高圧室には入るもののHBOT群のような高圧にはせずいつもの気圧(1.03 ATA)で普段の酸素濃度(21%)の空気を吸いました。40回が済んでから1~3週間後に検査したところ、HBOT群の方がプラセボ群に比べて認知機能全般、注意、遂行機能がより改善していました。活力(energy)、睡眠、うつや不安などの精神症状、嗅覚、痛み指標も改善しました。それら体調の改善はMRIで調べた脳血流の改善と関連しました。また、HBOTに伴う脳前方領域の神経新生も認められました。神経新生が認められた領域は注意、精神状態、遂行機能を担います。HBOTの安全性懸念は認められず、副作用の発現率にプラセボ治療との有意差はありませんでした。副作用のせいで治療を止めた患者はいませんでした。研究者は今後取り組むべき課題を幾つか挙げています。1つはより大規模な試験を実施してHBOTが最も有効な患者特徴を割り出すことです。また、今回の試験の治療回数は40回でしたが、それが果たして最適な回数かどうかは不明であり、今後調べる必要があります。それに、今回の試験での効果は治療を終えてから1~3週間後のものであり、より長期の経過を調べなくてはなりません。なお今回の試験で使われたプロトコールや手順はAviv Clinicsや試験実施研究所Shamir Medical Centerから入手可能です2)。参考1)Zilberman-Itskovich S,et al. Sci Rep. 2022 Jul 12;12:11252.2)Effective treatment is now available for millions suffering with long COVID symptoms / GLOBE NEWSWIRE3)High-pressure oxygen treatment may help long COVID / Reuters4)Better brain function, fewer long-COVID symptoms after hyperbaric oxygen / University of Minnesota

11205.

双極性障害の入院予防、リチウム中止後の気分安定薬と抗精神病薬の有効性比較

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のM. Holm氏らは、双極性障害患者におけるリチウム中止後の精神科入院および治療失敗の予防に対する気分安定薬および抗精神病薬の実際の有効性を比較検討するため、双極性コホート研究を実施した。その結果、双極性障害患者のリチウム中止後の精神科入院を予防するためには、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬がとくに効果的であることが示唆された。また、著者らは、リチウムの再開は投薬変更のリスクが最も低くなる可能性があることを報告した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2022年6月25日号の報告。 フィンランドのヘルスケアレジスターを用いて、1987~2018年に双極性障害と診断され、リチウム治療を1年以上行った後に中止した同国内のすべての患者4,052例(中止前のリチウム治療期間:中央値2.7年)を特定した。精神科入院および治療失敗(精神科入院、死亡、投薬変更)リスクの調査には、個人内Cox回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・気分安定薬単剤療法のうち、バルプロ酸の使用は、気分安定薬未使用の場合と比較し、入院リスクが低かった(HR:0.83、95%CI:0.71~0.97)。・抗精神病薬単剤療法のうち、LAI抗精神病薬(HR:0.48、95%CI:0.26~0.88)およびchlorprothixene(HR:0.62、95%CI:0.44~0.88)の使用は、抗精神病薬未使用の場合と比較し精神科入院リスク低く、クエチアピン(HR:1.26、95%CI:1.07~1.48)および経口オランザピン(HR:1.23、95%CI:1.01~1.49)の使用は、抗精神病薬未使用の場合と比較し精神科入院リスクが高かった。・気分安定薬単剤療法のうち、リチウムの使用は、バルプロ酸の使用と比較し、治療失敗のリスクが低かった(HR:0.82、95%CI:0.76~0.88)。

11206.

膝OAへのヒアルロン酸注射、軽減効果はわずか/BMJ

 変形性膝関節症(膝OA)に対するヒアルロン酸関節内注射(関節内補充療法)は、プラセボと比較して痛みの軽減効果はわずかであり、両者間の臨床的意義のある差はごくわずかであるという強力で決定的なエビデンスが示されたと、カナダ・St. Michael’s HospitalのTiago V. Pereira氏らがシステマティック・レビューとメタ解析の結果、報告した。また、同様に強力で決定的なエビデンスとして、関節内補充療法はプラセボと比較して重篤な有害事象のリスク増加と関連することも示されたという。関節内補充療法は、50歳以上の膝OAの治療に用いられているが、その有効性と安全性についてはいまだ論争の的となっている。直近では、治療効果が従前に報告されたものよりも小さい可能性があるとのエビデンスが示唆されていた。著者は、「今回の検討結果は、膝OAの治療としての関節内補充療法の多用を支持しないものであった」とまとめている。BMJ誌2022年7月6日号掲載の報告。大規模プラセボ対照無作為化試験についてメタ解析 研究グループは、膝OA患者の痛みと機能に関する関節内補充療法の有効性と安全性を評価するため、無作為化試験を対象としたシステマティック・レビューとメタ解析を行った。 Medline、Embase、the Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)のデータベースで、各媒体創刊~2021年9月11日について検索。また、灰色文献(grey literature)と試験レジストリで未発表試験を特定した。適格試験は、膝OA治療として関節内補充療法とプラセボまたは未介入を比較した無作為化試験であった。 2人の研究者がそれぞれ関連データを抽出し、コクランバイアスリスクツールを用いて試験のバイアスリスクを評価した。事前規定の主要解析は、大規模プラセボ対照試験(各群被験者100例以上)のみをベースとして行った。要約結果は、ランダム効果メタ解析モデルにより入手し、ランダム効果モデル下で、累積メタ解析と逐次解析を行った。 事前規定の主要アウトカムは、痛みの強度。副次アウトカムは、機能および重篤な有害事象であった。痛みと機能は標準化平均差(SMD)で解析し、事前規定の臨床的意義のある群間最小差は-0.37SMDとした。重篤な有害事象は、相対リスクで解析した。痛みの強度の群間差は-0.08、重篤な有害事象リスク1.49倍 169試験・無作為化を受けた被験者2万1,163例のデータが特定された。 痛みと機能について、小規模試験の影響と出版バイアスのエビデンス(Egger’s検定のp<0.001、ファンネルプロットが非対称)が認められた。 24の大規模プラセボ対照試験(無作為化を受けた被験者8, 997例)において、関節内補充療法群はプラセボ群と比較して痛みの強度の低下は小さく(SMD:-0.08、95%信頼区間[CI]:-0.15~-0.02)、臨床的意義のある群間最小差を満たすことがないばかりか95%CI下限値をみても、わずかであった。その効果は、視覚的アナログスケールでみると群間スコア差は-2.0mm(95%CI:-3.8~-0.5)であった。また逐次解析で、2009年以降の痛みの試験について、関節内補充療法vs.プラセボの臨床的同等性の決定的なエビデンスがあることが示された。 同様の結果は、機能についても確認された。 重篤な有害事象リスクは、15の大規模プラセボ対照試験(無作為化を受けた被験者6,462例)において、関節内補充療法がプラセボよりも統計学的に有意に高いことが認められた(相対リスク:1.49、95%CI:1.12~1.98)。

11207.

米国、人種-民族間の健康格差、地域ごとに違いはあるか/Lancet

 米国の2000~19年の健康格差を体系的に分析したところ、5つの人種-民族別にみた平均余命の格差は広範かつ永続的に存在していたことを、米国・ワシントン大学のLaura Dwyer-Lindgren氏らGBD US Health Disparities Collaboratorsが報告した。米国の人種-民族間の平均余命には大きく永続的な格差が存在するとされていたが、これまでそのパターンが地域規模でどの程度異なるかは明らかになっていなかったという。今回、研究グループは、米国3,110郡について20年間にわたり、5つの人種-民族の平均余命を推定し、平均余命の時空間でみた変動および人種-民族間の格差を明らかにする解析を行った。Lancet誌2022年7月2日号掲載の報告。5つの人種-民族別に2000~19年の平均余命の変化を推定し評価 研究グループは、US National Vital Statistics Systemからの死亡登録データとUS National Center for Health Statisticsからの人口統計データを、新規の小規模エリア推定モデルに適用し、2000~19年の郡および5つの人種-民族(非ラテン・非ヒスパニック系白人[白人グループ]、非ラテン・非ヒスパニック系黒人[黒人グループ]、非ラテン・非ヒスパニック系アメリカ先住民/アラスカ先住民[AIANグループ]、非ラテン・非ヒスパニック系アジア・太平洋諸島系アメリカ人[APIグループ]、ラテン・ヒスパニック系アメリカ人[ラテン系グループ])で層別化した、年間性別死亡率と年間年齢別死亡率を推定した。 これらの死亡率について、死亡診断書で人種および民族の誤りを修正し、その後に簡易生命表を作成して出生時の平均余命を推定した。健康格差をなくし寿命を延伸するには、地域がカギ 2000~19年の平均余命の変動傾向は、人種-民族グループおよび郡で異なっていた。米国全体で平均余命の伸長が認められたのは、黒人グループ(変化:3.9歳[95%不確定区間[UI]:3.8~4.0]、2019年の平均余命:75.3歳[75.2~75.4])、APIグループ(2.9歳[2.7~3.0]、85.7歳[85.3~86.0])、ラテン系グループ(2.7歳[2.6~2.8]、82.2歳[82.0~82.5])、そして白人グループ(1.7歳[1.6~1.7]、78.9歳[78.9~79.0])だった。一方、AIANグループは変化が認められなかった(0.0歳[-0.3~0.4]、73.1歳[71.5~74.8])。 全米レベルでは、黒人グループと白人グループの平均余命の格差は対象期間中に縮小していた。しかしAIANグループと白人グループの同差は拡大していた。これらのパターンは、郡レベルにおいても広く認められた。 APIおよびラテン系グループと白人グループの平均余命の格差(白人グループのほうが平均余命は下回る)は、全米レベルでは2000~19年に拡大していた。しかし、郡レベルでみると、ラテン系グループは少数とはいえかなりの数(615/1,465郡[42.0%])でその差が縮小しており、APIグループは多数(401/666郡[60.2%])でその差が縮小していた。 すべての人種-民族グループで、平均余命の改善は対象期間の後期10年(2010~19年)よりも前期10年(2000~10年)のほうが郡全体にわたっており、大きかった。 結果を踏まえて著者は、「米国における社会的弱者の健康状態悪化と早期死亡の根本的原因に対処し、健康格差をなくして、すべての人の寿命を延伸するには、地域レベルのデータが不可欠である」と述べている。

11208.

ペルツズマブ併用HER2+乳がん術後療法、8年時の解析結果(APHINITY)/ロシュ

 ロシュ・ダイアグノスティックスは2022年7月15日付けのプレスリリースで、HER2陽性乳がんの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相APHINITY試験について、8年の長期フォローアップデータを発表した。なお、本データは欧州臨床腫瘍学会(ESMO)バーチャル・プレナリー(VP6-2022)で発表されたもの。トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群は再発または死亡リスクを23%削減 APHINITY試験は、HER2陽性早期乳がん患者の術後療法として、化学療法+トラスツズマブにペルツズマブを併用した際のプラセボ群に対する無浸潤疾患生存期間(iDFS)における優越性を検証した無作為化二重盲検プラセボ対照二群間比較試験。主要評価項目のiDFSについて、トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群の有意な改善が報告されている。 今回発表された、HER2陽性乳がんの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相APHINITY試験の8年時の中間解析結果は以下の通り。・追跡期間中央値は8.4年(101ヵ月)。・トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群では、プラセボ群と比較して死亡例が少なかった(168 [7.0%] vs.202 [8.4%]、ハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.68~1.02)。ただし、OSデータは未成熟であり、統計学的有意性はまだ達成されていない。・トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群では、プラセボ群と比較して乳がんの再発または死亡リスクを、ITT集団全体で23%削減し続けていた(iDFS;HR:0.77、95%CI:0.66~0.91)。・とくにリンパ節転移陽性患者で最も大きなベネフィットが観察され、トラスツズマブ+ペルツズマブ併用群では再発または死亡リスクを28%削減していた(iDFS;HR:0.72、95%CI:0.60~0.87)。・以前の解析結果と同様に、ホルモン受容体の状態に関係なくトラスツズマブ+ペルツズマブ併用群のベネフィットが観察された。ホルモン受容体陽性群での再発または死亡のリスクは25%削減され(iDFS;HR:0.75、95%CI:0.61~0.92)、ホルモン受容体陰性群では18%削減された(iDFS;HR:0.82、95%CI:0.64~1.06)。・心臓に対する安全性を含め、安全性プロファイルは以前の研究と一致しており、新たなまたは予期しない安全性シグナルは特定されなかった。

11209.

片頭痛の有病率や割合を日本人で調査

 片頭痛は、反復性の頭痛発作で特徴付けられる慢性疾患であるにもかかわらず、日本におけるその疫学や治療状況に関して、最近の研究は十分に行われていない。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本における片頭痛の有病率および治療状況を明らかにするため、健康保険協会員を対象に、レセプトデータおよび片頭痛・頭痛に関するオンライン調査のデータを用いて実態調査を行った。その結果、日本人片頭痛患者の80%が医療機関での治療を受けておらず、苦痛を感じながら日常生活を続けていることが明らかとなった。著者らは、革新的な治療アプローチが利用可能になることに併せ、片頭痛は単なる頭痛ではなく、診断や治療が必要な疾患であることを啓発していく必要があるとしている。The Journal of Headache and Pain誌2022年6月23日号の報告。片頭痛の有病率は女性が男性の4.4倍 データソース(DeSCヘルスケアのデータベースおよびオンライン調査)の組み合わせによる独自のアプローチを利用した調査を行った。主要アウトカムは、片頭痛患者の総数・割合、片頭痛の全体的な有病率、年齢や性別で層別化された片頭痛の全体的な有病率とした。副次的アウトカムは、医療利用状況、臨床的特徴、頭痛症状とした。 片頭痛患者の患者数や割合、有病率などを調査した主な結果は以下のとおり。・データの母集団は、2万1,480人。・可能性のある症例を含む片頭痛の全体的な有病率は、3.2%であった。・片頭痛の有病率が最も高かった年齢層は、30~39歳であった。・女性の片頭痛の有病率は、男性の4.4倍であった。・医師の診断を受けていない片頭痛患者の割合は、81.0%であった。・片頭痛患者の80%以上は市販薬を使用しており、処方薬を使用していた患者は4.8%であった。・頭痛症状が重症であると考えていた患者は、約52.9%であった。・片頭痛患者の大部分(72.9%)は、日常生活活動の障害程度が中等度~重度であると考えていた。

11210.

皮膚の色が濃いと酸素飽和度は高く表示される?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第214回

皮膚の色が濃いと酸素飽和度は高く表示される?pixabayより使用いつもふざけた態度で連載を書いているトンデモドクターみたいな扱いになっていることもありますが、たまには臨床的に大事なおどろき論文も紹介しましょう。皮膚の色が濃いと、酸素飽和度が正しく表示されないとして、2021年にFDA(米国食品医薬品局)から注意喚起が発令されました1)。この発令はNEJM誌2020年12月17日号に掲載された研究結果に基づいており、同研究において、黒人の患者の11.7%が、経皮的酸素飽和度が正常であるにもかかわらず、動脈血液ガス分析で酸素飽和度が88%を下回っている「隠れ低酸素血症」を有していることが示されています2)。さて、呼吸器内科のトップジャーナルであるEuropean Respiratory Journalで、人種ごとの経皮的酸素飽和度を調べた研究が報告されています。Crooks CJ, et al. Pulse oximeter measurements vary across ethnic groups: an observational study in patients with COVID-19.Eur Respir J. 2022 Apr 7;59(4):2103246.2020年2月1日~2021年9月5日の間に、ノッティンガム大学病院にCOVID-19疑いまたは確定で入院した患者のデータを収集し、30分の間に血液ガス分析による酸素分圧+パルスオキシメーターの経皮的酸素飽和度のペアが揃ったデータを、主要アウトカムとして使用しました。ICUのデータは入手できなかったため、それ以外の患者さんが対象となりました。動脈血液ガス分析と比較して、パルスオキシメーターで測定した経皮的酸素飽和度の平均差には差が確認され(p=0.02)、2種類以上の人種が混ざった集団で、最も差が大きいことがわかりました(+6.9%、95%信頼区間[CI]:−21.9~+35.8)。反面、白人(+3.2%、95%CI:−22.8~+29.1)がその差が最も低く、黒人(+5.4、95%CI:−25.9~+36.8)とアジア人(+5.1%、95%CI:−23.8~+34.0)は中程度の差異が確認されました。動脈血液ガス分析による酸素飽和度の測定値が90%未満の集団では、パルスオキシメーターはすべての人種において酸素飽和度を過大評価し、95%以上の集団では過小評価することがわかりました(p<0.0001)。混合効果線形モデルでも、白人と比較した場合、黒人・アジア人・2種類以上の人種が混ざった集団において、動脈血液ガス分析よりもパルスオキシメーターで測定した酸素飽和度の数値が高いことがわかりました。そのため、皮膚の色が濃い人は、真の酸素飽和度が90%未満というとても重要なゾーンにおいて、過大評価されがちであり、隠れ低酸素血症を見逃すリスクが高いことがわかりました。ちなみに、マニキュアは一般的に測定エラーを引き起こすため、真っ黒や真っ赤なものは、できるだけ避けることが望ましいですが3)、光が散乱するので低めに出たり高めに出たりします。1)Pulse Oximeter Accuracy and Limitations: FDA Safety Communication. 2022 Feb. 19, UPDATE 2022 June 21.2)Sjoding MW, et al. Racial Bias in Pulse Oximetry Measurement. N Engl J Med. 2020;383:2477-2478.3)真茅孝志, 他. パルスオキシメータにおけるマニキュア使用と外乱光の影響についての基礎的検討. 医科器械学. 2003;73(4):207.

11211.

第117回 なぜその情報が必要か―安倍氏銃撃事件から医療者や報道陣が学ぶべきこと

参議院選挙最中の7月8日、奈良県奈良市の近鉄大和西大寺駅前で選挙応援中だった安倍 晋三元首相が凶弾に倒れた。殺人未遂(後に殺人に切り替え)の現行犯で逮捕された容疑者は、母親が宗教団体に入信し、その寄付が原因で家庭が崩壊。この団体と安倍元首相が親しいと考え、安倍元首相を標的にしたとしている。安倍元首相は現場で応急処置後に救急車とドクターヘリを使って奈良県立医科大学(以下、奈良医大)高度救命救急センターに搬送されたが、同日午後5時3分、死亡が確認された。日本国内では明治期の内閣制採用以降これまで64人の首相経験者がいるが、在任中あるいは退任後に殺害されたのは、安倍氏を含め7人。第二次世界大戦後では安倍氏が初めてである。今回、この件を医療・報道の側面から振り返りたい。まず、事件が発生したのは8日午前11時31分ごろ。奈良県選挙区の自由民主党公認候補の応援演説のため、奈良県入りした安倍氏は近鉄大和西大寺駅前の横断歩道中ごろにあるカードレールで囲まれた安全地帯で午前11時29分ごろから演説を開始。その直後、背後の車道に侵入してきた容疑者が安倍氏の背後約3mの距離から自作銃で発砲し、爆音と白煙が発生。一瞬後方を振り返った安倍氏だったが、容疑者がすぐさま2発目を発射した直後、避難するかのようにうずくまったまま倒れ込んだ。その後のタイムラインは以下のようになる。▽午前11時31分:奈良市消防局に通報▽午前11時32分:救急隊出動▽午前11時36分:消防局がドクターヘリを要請▽午前11時37分:救急隊などが現場に到着▽午前11時54分:現場から安倍元首相を搬送開始▽午後 0時 9分:平城京跡歴史公園で搬送をドクターヘリに引き継ぐ▽午後 0時20分:ドクターヘリが奈良県立医科大学到着安倍元首相が搬送される直前、現場の写真がネット上に公開されているが、そこで写っていた安倍元首相の顔面は蒼白。当時、駆け付けた現場近くのクリニックの医師の証言では、すでに看護師と思われる女性が心臓マッサージ中で自発呼吸はなく、ほぼ心肺停止状態。眼球結膜が真っ白でかなり出血していると考えられ、瞳孔も開きかけていたという。さらに周囲の呼びかけにはすでに反応がなく、痛覚を確認するための爪床刺激にも反応はなかった。この医師は、クリニックにあった自動体外式除細動器(AED)を装着させるも、解析の結果、適応はないと判断されたと語っている。適応がないということはすでに心停止ということになる。そこで心臓マッサージが再開されたという。同時に脳に血流が少しでも行くように医師が下肢挙上を行った。その後は上記のタイムライン通り。死亡確認後に行われた奈良医大による記者会見で、高度救命救急センター長で教授の福島 英賢氏が語った内容を箇条書きにする。救急隊接触時・搬送時にすでに心肺停止状態右頸部に約5cm間隔で2ヵ所の銃創らしきもの、左肩に射出口らしき傷処置中に体内から弾丸は未発見心臓および大血管の損傷による心肺停止と推定心室にも損傷対応は外来処置室で実施処置内容は蘇生的開胸による胸部止血と輸血輸血量は100単位以上一部止血をできたところもあったが、凝固能が失われさまざまなところから出血死因は失血死奈良県警が同日午後10時40分から翌日早朝にかけて約6時間半にわたって行った司法解剖の結果では、銃弾による傷は首と左上腕部の計2カ所。奈良医大の会見で射出口の可能性があると説明されていた左肩は射入口で、右頸部の銃創と思われた2か所のうち、片方については県警の司法解剖では銃創であるかは判別できなかったという。そのうえで死因は「左上腕部射創による左右鎖骨下動脈損傷にもとづく失血死」とされている。前述の奈良医大の会見での質疑については、SNS上で医療関係者を中心に“質問内容が稚拙”と批判も多かった。この印象はほぼ私も同じだが、その一部を改めて振り返り論評を加えたい。まず、記者と福島氏との間では同じようなやり取りが何度か繰り返されている。 記者A 無くなられた時間は5時3分ということですが、家族が到着されていたのは確か5時過ぎだったような気がするのですが、到着されていた時はすでにお亡くなりになられていたということでしょうか?福島氏救急隊接触時からずっと心肺停止状態であられました 記者B 今回、撃たれた現場で即死したという理解でよろしいでしょうか?福島氏撃たれた現場で心肺停止状態になったという表現になるかと思います 記者C 搬送された時点で手遅れという言い方をしてもよろしいでしょうか?福島氏すでにかなり大きな怪我があったことには違いありませんので、一般的にはそういうご理解になるのかもしれませんが、われわれとしては心肺停止状態ということで対応しています 当初の報道では救急隊の現場到着時に意識があったとも伝えられていたが、前述の現場で対応した医師の証言や会見を聞く限りでは、救急隊到着時から心肺停止状態だったことは間違いないようである。意識があったという報道は、おそらく銃撃のまさに直後の周囲の呼びかけに対してだったのだろう。本サイトの読者に対しては釈迦に説法だが、心停止、自発呼吸の停止、瞳孔散大の3点を医師が確認して死亡と判定されるまでは、心肺停止と定義されることが多い。一般人からすると、この状態は「死亡判定を受けていない事実上の死体」と捉えられがちで、海外の一部ではこの状態では報道上死亡扱いをすることも少なくない。その点で実は日本の報道のほうがきわめて厳格な扱いをしている。にもかかわらず、会見で上記のようなちぐはぐな応答が散見されたのは、おそらく記者の配置上の問題だろう。この「死亡」と「心肺停止」の定義について最も敏感と思われるのが、事件、事故、災害時を担当する社会部の警察担当記者、あるいは科学部記者。しかし、今回の事件の重大さを考えれば警察担当記者はおそらく奈良県警察本部に詰めていただろうし、事件時に科学部記者が出動することは少ない。つまり奈良医大の会見では、そのどちらでもない記者が大勢を占めていただろうと推定される。それゆえのちぐはぐさが上記のやり取りには表れていると思う。なお、SNS上では奈良医大に到着した昭恵夫人の様子を聞き出そうとしたかのような質問をした記者と、そのことには触れなかった福島氏のやり取りについて記者を批判しているケースが少なくない。私個人としてはどちらの立場も正しいと敢えて言及しておきたい。記者は聞けることは、真空ポンプで空気を吸い取るがごとくすべて聞くのが鉄則。初めから「どうせ答えてもらえないだろうから」と尻込みする記者は記者とは言えない。一方で患者を治療した際の医学的側面のみを語り、みだりにプライバシーや推定を語らない福島氏の立場も医療従事者として当然かつ正しい在り方である。メディア全般に不信感を持つ人にとってはこの評価は「身内びいき」と思われるかもしれないが、取材とは例えは悪いが「狐と狸の化かし合い」が常である。そのうえでこのやり取りの記者側の意図を私なりに推測すると、単純にどれだけ搬送時の安倍氏の状態がどれだけ深刻なものだったかを知りたかったということだろう。たぶん私が会見場にいたら、回答が得られたかどうかは別にして搬送時の推定失血量を聞いただろう。銃創の場合、発生から10分以内に開胸が行える医療機関への搬送ができるか否かが救命のカギを握る。また、循環血液量の30%以上の出血があれば生命の危機となる。以前官邸ホームページで公開されていた安倍氏の身長は175cm、体重は70kgだったことから、おおよその循環血液量は体重の約13分の1である5.8L。約1.7Lの出血で致命的だ。会見時に福島氏が説明した輸血量100単位以上について、記者から100単位以上とは何mLか問われ、福島氏は現時点でわからないと回答をしている。これはたぶん輸血したのが赤血球濃厚液(1単位140mL)、濃厚血小板液(10単位約200mL)、新鮮凍結血漿液(1単位約120mL)が入り混じって使われたからだろうと推察される。100単位を単純計算すれば、赤血球濃厚液換算で14L、濃厚血小板換算で2L、新鮮凍結血漿液で12Lとなる。治療時間5時間ということを加味しても搬送時点ですでに生命の危機の失血量だったことはほぼ確実と言って良いだろう。ちなみに事件発生当初、搬送時に意識があったと誤報(あくまで結果論だが)されたこともあり、私個人はなぜ奈良医大に搬送したのだろうと考えていた。もちろん奈良県内で重篤な患者を受け入れる三次救命救急施設3ヵ所のうち、ドクターヘリも有している奈良県立医科大学附属病院高度救命救急センターが最高位にあることから考えれば、常道ではある。ただ、繰り返しになるが銃創は発生から10分以内に開胸が行える医療機関への搬送が救命の鉄則。そうした中で同県内の三次救命救急施設3ヵ所のうち奈良県立病院機構奈良県総合医療センター救急・集中治療センターが現場から車で15分ほどだったことから、当初は私は上記のように思った。しかしながら、前述の奈良医大の会見を聞けば、極端な言い方をすれば事件現場で開胸して止血・輸血でも行わなければ、救命の可能性を見いだすことは難しかっただろうと考えた。また、輸血量からしても奈良医大のほうがそのストックが多かったと考えられるので、その点からも最終的には合点がいった。また、奈良医大の会見で、ある記者が心臓への損傷が疑われる際のAED使用や心臓マッサージを行うことの是非について尋ね、福島氏が一般論として正しい処置だと答えた件について、SNS上では記者に向けてやや批判めいた言説が目立つ。これは福島氏の答え次第では現場で処置した人が非難されかねないことを危惧した言説だろう。ただ、一般人ならば心臓に損傷の可能性がある時に本当にこうした処置をしていいものか悩むのはある意味当然である。というか、一般人はそうした知識がほとんどない。そうしたことを加味すれば、このやり取りは一般人に応急措置に対する知識を普及する上では有用なものだったと個人的には考えている。一方、今回の事件に関して私が1つだけ完全にNGと思った報道人の言動がある。安倍元首相に関する著作もある元民放記者が安倍氏の死亡時刻の1時間半ほど前に「安倍さんがお亡くなりになった」とのタイトルでSNSに投稿を行ったことだ。当然ながらこの投稿は批判されたが、元記者は正式な死亡発表後に「(投稿した時点で)家族にもすでに情報が伝わっていた」と強弁。しかし、最終的には提供された情報が誤っていた(その時点で家族は知らされていなかった)として謝罪している。そもそも人一人の死を外部にどのように伝えるかは例え公人でもあっても相当な慎重さが必要である。まして元民放記者の投稿時点で安倍元首相の妻である昭恵夫人は奈良に向けて移動中で、報道でも移動状況が逐次報じられていた。元民放記者はSNS投稿時点ですでに昭恵夫人が奈良に到着済みと聞いていたとの弁解を後に投稿していたが、リアルタイムの報道で得られる情報すら確認できていなかったのはお粗末としか言いようがない。元民放記者本人が弁解として書いていた「『確認された情報は出来るだけ早く報道する』というジャーナリズムの基本に立ち返って」という点は完全には否定しないが、たとえ家族の死亡確認後であってもそれをいつ報じるかの判断は各方面への影響を考えると容易ではない。一例を挙げると、公人の死去の報道は株式市場に影響を与えることもある。報道というのはそうしたことなども多角的に踏まえて行う仕事であり、いかように元民放記者が弁解しようが今回の行動は唾棄に値する。すでに一部の人はSNS上で見聞きしているかもしれないが、安倍氏の容体については当日の午後2~3時に「蘇生はほぼ不可能」という情報が永田町界隈に駆け回っていたことを一部の記者が死亡の公表後に明らかにしている。これは確かに事実で、筆者も耳にしている。しかしながら、例え家族による死亡確認後であってもそれを公にすることは、報道人としての確実な事実確認に加え、社会的にも心理的にも、いくつものハードルを超えなければならない。そのためこの元記者のような言動には私個人は驚きを隠せないのが本音ではある。

11212.

医師の生活を破壊するインフレ!「あの方法」で乗り越えよう【医師のためのお金の話】第58回

ついにインフレが到来しました。バブル崩壊後30年もの長きにわたって続いたデフレがいよいよ終わろうとしています。持続的に物価が上昇するインフレの世界では、「これまでの常識」がまったく通用しません。数年単位の欧米への留学経験のある医師以外は、リアルなインフレ経験のある人はほとんどいないのではないでしょうか。私も含めて、ほとんどの日本人はデフレの世界が永遠に続くと思っていたはずです…。インフレになっても収入が増えれば問題ありません。ところが医師の収入は医療財政で規定されています。つまりインフレに連動して収入が増えるわけではないのです。収入が増えないのに支出が増える…。このピンチを乗り切るための対策を考えてみましょう。インフレの持つすべてを轢き潰す破壊力インフレの世界では、あらゆるモノが値上がりしていきます。しかも今年だけ2%上昇して終わりというわけではありません。来年も2%、再来年も2%というように物価が持続的に上昇します。投資の世界では「複利」が重要視されています。毎年の利子が少しずつ増加して雪だるま式に資産が増えていく複利効果は、長期投資が推奨される理由の1つです。物理学者のアインシュタインが「複利は人類最大の発明」と呼んだことでも有名ですね。毎年2%の利子が続くと雪だるま式に資産が増えていきますが、インフレではこれと逆の状況が発生します。つまり、年率2%のインフレが持続すると「雪だるま式に」物価が上昇していくのです。米国の物価は、私たち日本人の感覚からすると驚くほど高いです。2022年度版のビックマック指数(ビッグマック1個の価格を比較して各国の経済力を測るための指数)は、米国5.81ドルに対して、日本3.38ドルでした。3月以降の急激な円安進行のために、足元では差はさらに開いています。おおむね2倍程度と思ってよいでしょう。1990年のバブル経済絶頂期では日本の物価の方が高かったのです。その後30年の間、米国では毎年2~3%のインフレが続きました。一方、日本はデフレ経済が続いていたため、平均すると物価上昇率は0%台でした。わずかなインフレ率の差で、30年後の物価は2倍近くも開きました。2~3%のインフレでさえ、これほどの影響力があります。現在欧米で進行中の10%近いインフレが、いかに深刻な問題かがわかりますね。医師がインフレに弱い理由医師の収入は医療財政から捻出されています。しかし周知のように日本の財政は火の車。インフレに連動して診療報酬がアップするとは考え難いですね。つまり、医師の収入は増えないのにモノの価格だけ上昇する、という悪夢のような状況が現実化するのです。医師はバブル経済崩壊後で唯一の勝ち組でした。なぜ医師は勝ち組になれたのでしょうか。その理由は医師の収入が“減少しなかった”からです。決して収入が大幅に増加したからではないのがポイントです。大して収入が増加したわけではないのに医師が勝ち組と目されるのは、その他の職種の収入が減少したからです。さらにデフレが続いたために、医師の実質的購買力は増加しました。まさに医師にとってはわが世の春だったのです。ところが、デフレからインフレに転換するとすべてが逆回転し始めます。収入は増加しないのに物価は上昇する。しかも他の職種の場合、収入は上昇する余地があります。彼らの多くは国家財政に収入が規定されているわけではないからです。マーケットの海賊、インフレに打ち克つ方法インフレは投資の世界にも大きな影響を及ぼします。比較的インフレに強いと思われている投資の世界でさえ、インフレによって手痛いダメージを受けてしまいます。インフレは“マーケットの海賊”といわれるほどです。米国の研究では、株式投資の収益率は10%、債券投資の収益率は5%程度といわれています。ところがインフレが年率3%の場合、株式投資の収益率は7%、債券投資にいたっては2%にまで低下してしまいます。収入が減って購買力が低下した分を投資で補おうとしても意味がないのでしょうか? 私はそうではないと思います。確かにインフレは投資成果にも悪影響を及ぼしますが、それでもプラスを維持していることに注目すべきです。インフレ率が2%の状況では、何も対策を打たなければマイナス2%です。一方、米国のケースでは株式投資なら7%、債券投資でも2%と、立派にインフレに対抗できています。もちろん、日本株や日本国債ではもう少し収益率は低い可能性が高くはなります。とくに債券投資はマイナス圏に沈んでいる可能性も否定できません。しかし、株式投資であれば、インフレに対抗できる可能性が高いでしょう。そして、株式投資が一般的になっているのは喜ばしいことです。私たちの生活を破壊するインフレに対抗するには、何らかのアクションを起こさなければいけません。株式投資はその候補の筆頭といえるでしょう。今からでも遅くありません。しっかり勉強してインフレの世界に備えましょう。

11213.

この心電図、QT延長ですか? 休薬すべきですか?【見落とさない!がんの心毒性】第13回

抗がん薬の中にはQT延長に注意すべきものが21種類もあります[第6回]。顕著なQT延長は命を脅かす不整脈であるトルサード・ド・ポアント(TdP:torsades de pointes、倒錯心室頻拍)のリスクになるため、投与開始前および投与開始後も定期的に心電図検査が推奨されています。治療開始前にQT延長を認めたために抗がん薬を開始できない、あるいは治療中にQT延長が発生したことで抗がん薬を中断・中止しなければならないケースもあります。QT時間が患者の命運を左右しかねないため、測定する側の責任は重大です。心電計にはレポート機能が付いている物が普及しており、自動計測されたQT時間が表示されたり、“QT延長”と自動診断が表示されたりする物があります。心電図の自動診断に任せっきりにしていると、自動診断の間違えに気付かずにQT延長と診断し、不要な休薬を招くことがあるので注意が必要です。今回は知っているようで知らないQT延長診断の裏側について、クイズを通して学んでいきましょう。【問題】心電図のQT時間について正しいのはどれでしょうか? 3つ選んでください。a.QT時間の測定はII誘導とV5誘導が推奨されることがあるが、QT時間が最長となる誘導での測定が原則である。b.自動計測のQT時間は手動計測のQT時間よりも短くなる傾向がある。c.自動計測の精度が向上したため、医薬品規制調和国際会議において手動計測は推奨されていない。d.自動計測ではU波が存在することでQT時間を誤って測定することが少なくない。e.右脚ブロックではQT時間が長くなる傾向がある。講師紹介

11214.

創部の縫合後の処置【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q24

創部の縫合後の処置Q24症例とくに既往、アレルギー歴のない28歳男性、自宅でリンゴの皮剥きをしていた際に誤って左中指DIP腹側を切ってしまった。左中指DIP腹側に深さ3~4mm程度、長さ20mm程度の切創あり。明らかな神経障害や動脈性出血、腱損傷はなさそう。バイタルは安定しているが、止血をえられず、縫合処置が必要と判断される。非滅菌手袋もつけたし、指ブロックのうえ、創部を水道水でしっかり洗ったぞ。縫合自体は、過去と大きく変わりはないな。なんとか終えたぞ。処置後の創部は浸出液多いな。ガーゼと包帯で固定がよかったかな。乾燥させるとよいって習った気がするけども、合っていたかな?

11215.

インターネット依存に対する各種介入効果~メタ解析

 インターネット依存に対するさまざまな介入効果を評価するため、中国・Anhui Medical UniversityのXueqing Zhang氏らが、メタ解析およびネットワークメタ解析を実施した。その結果、インターネット依存にはほとんどの介入が効果的であるが、単一介入よりも組み合わせた介入のほうが、より顕著な症状改善が期待できることを報告した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年6月26日号の報告。 2021年8月までに公表されたインターネット依存に対する介入効果を評価したランダム化比較試験(RCT)を、各種データベース(PubMed、Cochrane、Embase、Web of Science、PsycINFO、ProQuest、CNKI、WanFang、VIP database、CBM)より検索した。バイアスリスクは、RCTのための改訂版コクランバイアスリスクツール(RoB2)を用いて評価した。従来のメタ解析およびネットワークメタ解析には、Rstudio SoftwareおよびStata 14.0を用いた。 主な結果は以下のとおり。・59件のRCT(3,832例)をメタ解析に含めた。・24件のRCTによる従来のメタ解析では、CBT、グループカウンセリング、スポーツ介入、インターネットベース介入などが、未治療の対照群との比較において、インターネット依存レベルを有意に低下させることが示唆された(SMD:-1.90、95%CI:-2.26~-1.55、p<0.01、I2=85.9%)。・さまざまなスケールに基づくネットワークメタ解析では、介入の組み合わせがインターネット依存に最適な介入である可能性が最も高いことが示唆された(IATに基づくSUCRA=91.0%、CIASに基づくSUCRA=89.0%)。

11216.

オシメルチニブのEGFR変異肺がん術後補助療法、ADAURA試験最新データでも高い有効性/AZ

 アストラゼネカは、2022年7月13日、第III相ADAURA試験において、オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)が、プラセボとの比較で、腫瘍完全切除後の早期(IB期、II期、IIIA期)EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法において、無病生存期間(DFS)の臨床的に意義のある改善を維持していることを発表。 第III相ADAURA試験の初期結果では、術後の早期EGFR遺伝子変異陽性肺がんにおいて、オシメルチニブがDFSリスクを有意に低下させることを示した。2年経過し、さらに蓄積されたDFSデータにおいても、オシメルチニブの治療ベネフィットは持続している。 これらの最終的なDFSデータは、今後の学会で発表される予定である。同試験は引き続き、副次評価項目である全生存期間(OS)の評価を継続して行う。

11217.

移植の予後に、筋肉の「質」が影響する可能性/京都大学

 造血器腫瘍治療で行われる同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)において、患者の筋肉の質及び量が移植後の予後に関係する可能性があるという。京都大学の濱田 涼太氏らによる本研究と結果はTransplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2022年6月19日号に掲載され、京都大学は7月12日にプレスリリースを発表した。 骨格筋量の減少は、移植後の生存に影響を及ぼすことが複数の研究グループから報告されているが、このような骨格筋量の減少はコンピュータ断層撮影(CT)などを用いて評価されるため、脂肪変性が進行した「質の悪い」骨格筋においては骨格筋量が過大評価されてしまい、正確な評価が出来ていない可能性があるという。 研究者らは、京都大学医学部附属病院で実施された同種造血幹細胞移植後の患者186例のデータを用いて、大腰筋の臍の高さの断面積と平均CT値から算出される大腰筋質量指数(PMI)とX線画像密度(RD)を用いて、それぞれ筋肉の量と質を判断した。 主な結果は以下のとおり。・17~68歳(中央値49)の成人患者186例を対象に 、同じ性・年齢群の中で最も低い四分位値(下位 25%)の患者を低 PMI 群と低 RD 群に割り付けた。46例(24.7%)が低PMI群に、49例(26.3%)が低RD群に割り付けられた。・初診からallo-HSCTまでの経過期間中央値は7ヵ月(範囲:2~46ヵ月)、95%の患者がECOG-PS(0-1)良好であった。・低RDは、移植後の非再発死亡率増加の有意な因子であった(調整後ハザード比[HR]:2.54、95%信頼区間[CI]:1.42~4.51、p

11218.

手首膨隆骨折での疼痛・機能差、包帯vs.硬性固定/Lancet

 橈骨遠位端骨折の小児において、包帯固定vs.スプリントやギプスによる硬性固定の3日後の疼痛は同等であり、6週間の追跡期間中、疼痛や機能に差はないことが、英国・Kadoorie Research CentreのDaniel C. Perry氏らが英国の23施設で実施した無作為化比較同等性試験「Forearm Fracture Recovery in Children Evaluation trial:FORCE試験」の結果、示された。手首の膨隆(隆起)骨折は小児に最も多い骨折であるが、治療は副子固定、ギプス固定、経過観察などさまざまで、議論が分かれている。著者は、「今回の結果は、橈骨遠位端の膨隆骨折の小児に対しては、包帯を巻いて帰宅させるという戦略を支持するものである」とまとめている。Lancet誌2022年7月2日号掲載の報告。包帯vs.硬性固定、3日後の疼痛を評価 研究グループは、橈骨遠位端膨隆骨折の小児965例(4~15歳)を、特注のウェブベースの無作為化ソフトウエアを用いて、包帯群または硬性固定群に1対1の割合で無作為に割り付け、6週間追跡した。除外基準は、受傷後36時間以降での診断、患側手首以外にも骨折がある場合などとした。治療を行った医師、患者およびその家族は割り付けに関して盲検化できなかった。治療に当たった臨床チームは追跡評価に参加しなかった。 包帯群にはガーゼロール包帯などの簡単な包帯を提供し、包帯の使用・中止の決定は家族の自由裁量とした。硬性固定群では、手首用スプリントまたは治療医師が成形したギプスなどが救急外来で装着された。 主要評価項目は、無作為化後3日時点の疼痛(Wong-Baker FACES Pain Rating Scaleにより評価)で、修正intention-to-treat(ITT)およびper protocol解析を実施した。3日後の疼痛は両群で同等、試験期間を通じて疼痛・機能に群間差なし 2019年1月16日~2020年7月13日の期間に、965例が無作為化された。包帯群489例、硬性固定群476例で、女児が379例(39%)、男児が586例(61%)であった。965例中、主要評価項目データが収集されたのは908例(94%)で、その全例が修正intention-to-treat解析に組み込まれた。 無作為化後3日時点の疼痛スコア(平均±標準偏差[SD])は、包帯群3.21±2.08、硬性固定群3.14±2.11であり、同等であった。補正後群間差は、修正ITT集団で-0.10(95%信頼区間[CI]:-0.37~0.17)、per-protocol集団では-0.06(-0.34~0.21)で、いずれも事前に設定された同等性マージン(±1.0)内であった。 試験期間中の他の評価時点(無作為化後1週時、3週時および6週時)においても、疼痛スコアは両群で同等であった。また、患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)を用いた機能についても、6週間の追跡期間中に群間差はなかった。

11219.

高齢者の4回目接種、オミクロン株への有効性は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])の4回接種は、3回接種と比較し、オミクロン変異株流行中の長期療養施設の60歳以上の入居者において、SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染(症状の有無を問わないRT-PCR検査陽性)、症候性感染および重篤なアウトカム(入院または死亡)の予防を改善することが、カナダ・オンタリオ州公衆衛生局のRamandip Grewal氏らによる検討で示された。また、4回目接種者はワクチン未接種者と比較し、重篤なアウトカムへの予防効果は高いことも示された。ただし、保護効果の持続期間は不明であった。これまでに、イスラエルにおける60歳以上を対象としたリアルワールドの有効性試験では、BNT162b2の4回目接種者は3回目接種者(4ヵ月以上前に接種)と比較して、オミクロン変異株への感染およびCOVID-19重症化がかなり予防できることが示唆されていた。BMJ誌2022年7月6日号掲載の報告。カナダ介護施設60歳以上の入居者約6万人について解析 研究グループは、カナダ・オンタリオ州の長期療養施設626ヵ所において、2021年12月30日~2022年4月27日の期間にSARS-CoV-2のRT-PCR検査を1回以上受け適格基準を満たした、60歳以上の入居者6万1,344例を対象に、検査陰性デザインによる症例対照研究を行った。1週間に少なくとも1回陽性となった入居者を症例とし、同じ週の検査がすべて陰性であった入居者を対照とした。 主要評価項目は、RT-PCR検査で確認されたSARS-CoV-2オミクロン変異株の感染、入院または死亡。 多変量ロジスティック回帰法を用いて、年齢、性別、地域、併存疾患、検査実施週、90日以上前のSARS-CoV-2陽性歴等で補正し、限界有効性(4回接種vs.3回接種)ならびにワクチン有効性(2回、3回および4回接種vs.未接種)を推定した。4回目接種は、3回目接種よりオミクロン株感染予防をやや改善 SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染陽性者は1万3,654例、陰性対照者は20万5,862例であった。 ワクチン接種後7日以上を経過した4回目接種(95%がmRNA-1273を接種)の、84日以上経過した3回目接種に対する限界有効性は、症状の有無を問わない感染に関して19%(95%信頼区間[CI]:12~26)、症候性感染が31%(20~41)、重篤なアウトカムに関して40%(24~52)であった。 ワクチン接種者の未接種者に対するワクチン有効性は、追加接種ごとに増加し、4回目接種では、症状の有無を問わない感染に関して49%(95%CI:43~54)、症候性感染が69%(95%CI:61~76)、重篤なアウトカムに関しては86%(81~90)であった。

11220.

生後6ヵ月~4歳へのコロナワクチン、国内製造販売承認を申請/ファイザー

 ファイザーは7月14日付のプレスリリースで、生後6ヵ月~4歳の小児に対する同社の新型コロナウイルスワクチン(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン[SARS-CoV-2]、商品名:コミナティ筋注)の製造販売承認を、厚生労働省に申請したことを発表した。 国内では、同社製の5~11歳に対する新型コロナワクチンが、2022年1月21日より承認されている。 なお米国では、6月17日に、生後6ヵ月以上に対する同社製のワクチンについて、米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)したことを発表している。

検索結果 合計:36074件 表示位置:11201 - 11220