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第102回 ファイザーCOVID-19ワクチンの5~11歳での感染予防効果、相次ぐ報告

小学生(5~11歳)ごろを含む小児の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの感染予防効果はかなり低いようで、オミクロン株優勢の昨今においては追加接種の出番が必要なようです。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株出現後の米国ニューヨーク州のデータを調べた査読前のmedrxiv掲載報告によると、5~11歳小児へのPfizer/BioNTechワクチンBNT162b2接種の感染(COVID-19)予防効果は接種が済んでから僅か1ヵ月ばかりで激減していました1,2)。先週末4日にMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)に発表された米国疾病管理センター(CDC)主催VISION Network試験の査読済み(reviewed)結果報告3)でもニューヨーク州データほどではないもののその年齢層の小児へのBNT162b2の効果の衰えは比較的早いらしいことが示唆されています。試験では救急や急診(emergency department and urgent care)を要した小児のCOVID-19とワクチン接種歴が検討され、5~11歳小児の2回目接種から2週後(14日後)~およそ2ヵ月後(67日後)のCOVID-19予防効果は46%でした。ニューヨーク州の試験では去年12月13日から今年1月2日までにBNT162b2接種済みの5~11歳小児の検討が含まれ、それら小児のSARS-CoV-2感染予防効果は接種が済んでから2週間(13日間)以内では65%だったのが約1ヵ月(28~34日)後には12%に低下していました(medrxiv報告1)のFigure 2)。より年長の12~17歳小児のBNT162b2接種の同期間の感染予防効果は76%と56%であり、5~11歳小児ほどは低下しませんでした。5~11歳小児への投与量はそれより年長の小児に比べて少ないことが効果の大方の消滅の原因かもしれないと著者は考えています。12~17歳小児への投与量は30μgで、5~11歳小児への投与量はその3分の1の10μgです。5~11歳小児のCOVID-19入院予防効果は感染予防の大方の消失とは対照的に比較的保たれました。オミクロン株検出が感染の19%であった去年12月13~19日の入院予防効果は100%、オミクロン株検出が感染のほぼ100%(99%超)を占めるようになった今年1月24~30日では48%でした。効果はおよそ半減したとはいえワクチンは重病を防いだ(was protective)と著者は判断しており、5~11歳小児への接種普及の取り組みを続けるべきと言っています。報告時点での米国のそれら幼い小児のワクチン接種率は4人に1人に満たない25%未満でした。同様にVISION Network試験でも5~11歳小児のBNT162b2接種の入院予防効果は感染予防効果よりどうやら高いと示唆されています。2回目接種から14~67日間のCOVID-19関連入院予防効果は74%でした。ただし、統計解析にデータは不十分でその95%信頼区間は0をまたぐ-35%~+95%であり、BNT162b2が5~11歳小児のCOVID-19関連入院をどれほど防ぐのかを更にデータを集めて検討する必要があります。加えて、5~11歳小児にワクチンをどう投与するかの検討も必要でしょう。感染予防効果は現状ではどうやら早く低下するようであり、工夫した投与方針を考えてその試験を実施すべきとニューヨーク州試験の著者は言っています1)。Pfizer/BioNTechはすでにその方向で事を進めています。去年12月の両社の発表4)によると、2歳以上5歳未満小児への両社のワクチン2回接種後1ヵ月間の免疫反応はワクチンの確かな効果が判明している青少年(16~25歳)の人のそれに残念ながら及ぶものではありませんでした。この結果を受けて両社は生後6ヵ月から5歳未満の小児を対象にした進行中の試験に3回目投与を含めることを決めています。3回目の用量は1回目と2回目と同量の3μgで、2回目から2ヵ月過ぎてから投与されます。3回目接種の検討が成功したら生後6ヵ月以上5歳未満小児への同ワクチン使用の米国FDAの取り急ぎの認可を今年前半に手にするのに必要なデータが揃うと両社は見込んでいます。その発表の際に両社は5~11歳の小児への3回目接種も検討することを明らかにしています。それら小児への3回目接種の用量もより幼い小児への投与がそうであるように1回目と2回目と同じ10μgです。参考1)Effectiveness of the BNT162b2 vaccine among children 5-11 and 12-17 years in New York after the Emergence of the Omicron Variant. medRxiv. February 28, 20222)Vaccine’s protection for kids dives / Science3)Klein NP, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022 Mar 4; 71;352-358.4)Pfizer and BioNTech Provide Update on Ongoing Studies of COVID-19 Vaccine / Pfizer

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オミクロン株亜種BA.2、短期間で再感染の可能性/デンマーク国立血清研究所

 現在、世界で最も優勢になっている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株は、変異の違いにより、いくつかの亜種に分類されている。日本ではBA.1と呼ばれる亜種が主流だが、BA.1より感染力が高いBA.2は「ステルスオミクロン」とも呼ばれ、英国や南アフリカ、ノルウェーなどで増加しており、日本国内でも感染が確認されている。デンマーク国立血清研究所は2月22日付のリリースで、BA.2の再感染に関する研究結果を発表した。同研究所が実施した全ゲノム解析の調査によると、まれではあるものの、オミクロン株のBA.1既感染者がBA.2に比較的短期間のうちに再感染し、とくにワクチン未接種の若年者に多く見られるという。オミクロン株は再感染までの期間が短い デンマークは、2月1日よりEU加盟国としては初めてコロナ関連の規制をほぼ全面的に解除しているが、同国では2022年初頭から、オミクロン株亜種BA.2の症例数が急激に増加し、2月中旬の段階では、BA.2が全体の88%を占めていることが確認されている。本研究は、査読前の論文のオンライン・アーカイブである「medRxiv」※2022年2月22日号1)にも掲載された。※今後、審査によっては論文内容が修正される場合あり 2021年11月21日~22年2月11日の間に、デンマークでは184万8,466例(デンマーク人口の32%)がPCR検査でSARS-CoV-2陽性と判定され、そのうち20~60日の期間中で2つの陽性検体があるものが1,739例確認された。全ゲノム解析に成功した263例中187例(71%)でオミクロン株亜種BA.2への再感染が確認された。このうち、140例(53%)がデルタ株からオミクロン株亜種BA.2への再感染、47例(18%)がBA.1からBA.2への再感染だった。 調査によると、デルタ株からオミクロン株亜種BA.2再感染140例の年齢中央値は16歳であり、95例(68%)がワクチン未接種だった。オミクロン株亜種BA.1からBA.2再感染47例の年齢中央値は15歳で、BA.1感染時に38歳以上の症例はなく、20歳以下が大多数で33例(70%)だった。ワクチン接種状況は、42例(89%)が未接種、3例(6%)が2回接種、2例(4%)が1回のみ接種だった。オミクロン株への再感染では、全体的に初感染と同程度の軽症であり、入院や死亡に至ることはなかったとしている。 研究期間中のSARS-CoV-2陽性者数が多いことから再感染率は低いと推定されるが、本研究によって、ワクチン接種による免疫の持続期間を継続的に評価する必要性を指摘している。また、最初の感染からオミクロン株亜種BA.2再感染まで期間が短いことから、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が定める、60日以上の間隔を空けて2回の陽性を検出するという再感染の定義についても再評価すべきとしている。

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高齢者に対するベンゾジアゼピン使用の安全性

 高齢者に対するベンゾジアゼピン(BZD)使用については、とくに長期使用に関して、各ガイドラインで違いが認められる。カナダ・トロント大学のSimon Jc Davies氏らは、高齢者に対する継続的または断続的なBZD使用に関連するリスクの比較を、人口ベースのデータを用いて実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2022年2月1日号の報告。 医療データベースよりBZDの初回使用で抽出されたカナダ・オンタリオ州の66歳以上の成人を対象に、人口ベースのレトロスペクティブコホート研究を実施した。初回使用から180日間の継続的および断続的なBZD使用は、性別、年齢、傾向スコアでマッチ(比率1:2)させ、その後最大360日フォローアップを行った。主要アウトカムは、転倒に伴う入院および救急受診とした。アウトカムのハザード比(HR)は、Cox回帰モデルを用い算出した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は、継続的なBZD使用患者5万7,041例およびマッチさせた断続的なBZD使用患者11万3,839例。・フォローアップ期間中の転倒に伴う入院および救急受診率は、継続的なBZD使用患者で4.6%、断続的なBZD使用患者で3.2%であった(HR:1.13、95%信頼区間:1.08~1.19、p<0.0001)。・股関節骨折、入院および救急受診、要介護による入院、死亡などのほとんどの副次的アウトカムリスクは、継続的なBZD使用患者で有意に高かった。手首の骨折では、有意な差は認められなかった。・BZD使用量の調整により、HRへの影響を最小限に抑制することが可能であった。 著者らは「継続的なBZD使用は、断続的なBZD使用と比較し、BZD関連の有害リスクが有意に上昇することが示唆された。有害リスクの評価は、BZDの使用期間が症状に対する合理的な選択肢であるかを検討するうえで、患者および臨床医の意思決定に役立つ可能性がある」としている。

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ナノリポソーム型イリノテカン、膵がん2次治療の新しい選択肢/日本臨床腫瘍学会

 膵がん治療においては、1次治療でゲムシタビンを含む化学療法を行った場合、2次治療の選択肢はFOLFIRINOX療法もしくはS-1単独療法の2つが選択肢であった。 昨年、イリノテカンをリポソームのナノ粒子に封入したオニバイドが発売されたことで、膵がんの2次治療に新しい選択肢が加わった。長期間新薬の承認がなかった膵臓がん領域における新規治療薬の実力は? 日本臨床腫瘍学会メディカルセミナーにおいて、国立がん研究センター東病院の今岡 大氏がオニバイドの海外第III相試験であるNAPOLI-1試験について解説した。 NAPOLI-1試験ではゲムシタビンを含む化学療法後に増悪した遠隔転移を有する膵がん患者417例を対象に、オニバイド+5-FU/LV群と5-FU/LV群を比較した。 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は治験担当医指標化に基づく無増悪生存期間(PFS)などであった。 主な結果は以下のとおりである。 OS中央値はオニバイド+5-FU/LV群で6.1ヵ月、5-FU/LV群で4.2ヵ月であり、オニバイド+5-FU/LV群で有意な延長が検証された。[ハザード比0.67(95%CI:0.49~0.92)] また、PFS中央値はオニバイド+5-FU/LV群で3.1ヵ月、5-FU/LV群で1.5ヵ月であり、PFSにおいてもオニバイド+5-FU/LV群で有意な延長が検証されている。[ハザード比0.56(95%CI:0.41~.75)]待望の新治療、気を付ける点は? 医療従事者だけでなく患者からのニーズも高かった新しい治療選択肢であるオニバイドであるが、適切な副作用マネジメントが必要である。 NAPOLI-1試験での副作用は5-FU/LV群で134例中93例、69.4%に対してオニバイド+5-FU/LV群では117例中107例、91.5%に認められている。オニバイド+5-FU/LV群での主な副作用は下痢、悪心、嘔吐であった。 Grade3以上の有害事象はオニバイド+5-FU/LV群で117例中90例、76.9%で認められ、主なGrade3以上の有害事象は好中球減少症や疲労、下痢などであった。 対応について、適切な支持療法を行うとともに、患者の状態を見極めて適宜オニバイドの減量を考慮する。その際の投与量について添付文書に記載されており、それらを参考に投与量を決定できる点もイリノテカンとの違いだと今岡氏は述べている。

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日本人再発・進行子宮頸がん患者に対するtisotumab vedotinの効果~innovaTV206試験~/日本臨床腫瘍学会

 子宮頸がんは子宮がんの約7割程度を占めるがんであり、日本国内では、毎年約1万人の女性が罹患し、約3,000人が死亡している。2000年以降、患者数も死亡率も増加しており、新しい治療薬の登場が待たれていた。 tisotumab vedotinは子宮頸がん細胞に発現するタンパク質である組織因子を標的とした、抗体薬物複合体(ADC)である。化学療法による治療中または治療後に病勢進行がみられる再発または転移性子宮頸がんを適応として、2021年に米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認を取得している。 今回、日本人再発・進行子宮頸がん患者を対象としたinnovaTV206試験の結果が、国立がん研究センター中央病院の米盛 勧氏より発表された。注目のADC、その効果は?~innovaTV206試験~ innovaTV206試験の概要は以下の通り。・対象:標準治療中、または標準治療後に進行した、もしくは1~2つの前治療を行った日本人再発・進行子宮頸がん患者17例・方法:腫瘍の進行、許容できない毒性、または何らかの理由で患者が離脱するまで、推奨される第II相試験で推奨された用量(tisotumab vedotin 2.0mg/kg)を投与・目的:安全性と忍容性、薬物動態と免疫原性、日本人の再発・進行子宮頸がん患者における抗腫瘍活性の評価 年齢の中央値は47.0歳、1次治療でベバシズマブの治療を受けていた患者は47.1%であった。 結果は以下の通りである。・奏効率(ORR)は29.4%(95%信頼区間:10.3~56.0)、病勢コントロール率(DCR)は70.6%(95%信頼区間:44.0~89.7)、奏効持続期間(DOR)は中央値で7.1ヵ月であった。・安全性については治験薬投与下で発現した有害事象(TEAE)が全例で見られた。Grade3以上のTEAEでtisotumab vedotinが関連している副作用は52.9%であった。多く見られたTEAEは貧血、吐き気、脱毛症などであった。今回の試験から示されたこと 米盛氏はこれらの結果から、tisotumab vedotinの安全性プロファイルは管理可能であり、臨床的に意義のある結果が示された、と述べた。 今回発表されたinnnovaTV206の結果は、欧州・米国で行われたinnnovaTV204試験の結果とも一致しており、現在進行中の第III相試験、innnovaTV301試験の結果が待たれる。

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ニボルマブ+化学療法の非小細胞肺がんネオアジュバント、FDAが承認/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2022年3月4日、切除可能非小細胞肺がん(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)成人患者に対する、プラチナダブレット化学療法+ニボルマブ(3週間ごとに3サイクル)のネオアジュバント療法について、米国食品医薬品局(FDA)が承認したと発表した。承認条件にPD-L1の状態は問われていない。 今回の承認は、非小細胞肺がんに対する免疫治療薬ベースのネオアジュバントで初めての肯定的な結果を出した、第III相CheckMate-816試験に基づいたもの。 CheckMate-816試験の主要評価項目は、無イベント生存期間(EFS)と病理学的完全奏効(pCR)などである。中間解析におけるEFS中央値は、ニボルマブ+化学療法群で31.6ヵ月、化学療法群は20.8ヵ月で、ニボルマブ+化学療法群が統計学的に有意な改善を示した(ハザード比[HR] 0.63、95%信頼区間[CI]:0.45〜0.87、p=0.0052) 。また、pCRはニボルマブ+化学療法群の24%に対し、化学療法群は2.2%であった(p<0.0001)。OSのHRは0.57(95%CI:0.38〜0.87)とニボルマブ+化学療法群で良好だが、統計学的有意差は示していない。 同試験のEFSの解析結果は、2022年4月に開催されるAACR2022で発表される。

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新型コロナ抗原定性検査(LFT)、感染見逃しが多い可能性/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)抗原のラテラルフロー検査(LFT)は、SARS-CoV-2感染者の検出において臨床的に重要な見逃しの割合が高く、この割合は検査の環境によってウイルス量の分布が異なるためばらつきが大きく、無症状者でより高い可能性があることが、英国・バーミンガム大学のJonathan J. Deeks氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年2月23日号で報告された。英国の抗原検査による感染見逃しのlinked data解析 本研究は、SARS-CoV-2感染リスクが高い集団におけるLFTの陰性率、およびこれに対する病期や重症度の影響を調査し、2つの有力な数理モデル(英国のEdmundsモデル、米国のMinaモデル)による予測と実証的研究の知見の比較を目的とするlinked data解析である(筆頭著者らは英国国立健康研究所[NIHR]の助成を受けた)。 解析データには、Innova LFT(英国で広く普及)の精度、ウイルス培養陽性の割合や第2次症例への伝播(2次感染)、異なる環境下におけるSARS-CoV-2のウイルス量の分布に関する実証的なエビデンスが含まれた。 次の3つの環境でLFT検査が実施された。(1)英国各地の国民保健サービス(NHS)の検査・追跡センターを受診した有症状者、(2)リバプール市の市営集団検査センターを受診した無症状の住民、(3)バーミンガム大学でスクリーニングを受けた無症状の学生。 主要アウトカムは、3つの環境下における、LFTで見逃されたウイルス培養陽性者と、LFTで見逃され2次感染の原因となった者の予測値とされた。これらの結果は、数理モデルによる予測値と比較された。数理モデルはLFTの感度を大幅に過大評価 解析の結果、ウイルス培養陽性者のうちLFTで見逃された者の割合は、NHS検査・追跡センターの有症状者が20%、リバプール市の集団検査センターの無症状者が29%、バーミンガム大学でスクリーニングを受けた無症状者では81%であった。また、LFTで見逃され2次感染の原因となった者の割合は、それぞれ38%、47%、90%だった。 2つの数理モデルはいずれも、見逃された感染者の数を過小に評価していた。すなわち、Edmundsモデルでは、LFTで見逃された者の割合はNHS検査・追跡センターの有症状者が8%、リバプール市の無症状者が10%、バーミンガム大学の無症状者は32%であったのに対し、Minaモデルでは、前提として感染者の見逃しは起こりえないとされていた。 著者は、「Innova LFTで見逃される感染性マーカーを有する者の割合は、検査対象集団のウイルス量の分布に依存し、無症状者の検査では感染者の割合が高いほど見逃される可能性が高いことがわかった。今回の実証的なデータの解析では、ウイルス量と感染性の関連に関する主要な数理モデルによる仮説の精度が低く、結果としてLFTの検査感度が過大に評価されていることが明らかとなった」としている。

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塩野義ワクチン、追加接種試験中間報告でコミナティに非劣性

 2022年3月4日、塩野義製薬は開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019のPhase 2/3追加免疫比較試験の中間報告の結果速報に関する説明会を開催し、東京品川病院副院長兼治験開発・研究センター長 新海 正晴氏より、中間報告においてS-268019群のコミナティ群に対する非劣性が確認されたことが報告された。 Phase 2/3追加免疫比較試験は、コミナティ筋注2回接種後6ヵ月以上経過した20歳以上の成人を対象として、3回目の追加接種に関してコミナティに対する非劣性を検証する目的で実施された。試験デザインは無作為化、オブザーバーブラインド、実薬対照であり、統計学的仮説検定は次の条件で行われた。<統計学的仮説検定> コミナティ群に対するS-268019群の中和抗体価の幾何平均抗体価(GMT)比の95%信頼区間[CI]の下限値が0.67よりも大きい、かつ、コミナティ群に対するS-268019群の中和抗体価の抗体応答率の差の95%CIの下限値が-10%よりも大きい場合、コミナティに対する免疫原性の非劣性が検証されたとする。 参加者の患者背景はS-268019群 103例、コミナティ群 102例であり、主要評価項目はDay29のSARS-CoV-2中和抗体価のGMTおよび抗体応答率であった。 以下の結果より、中間報告における主要評価項目の達成が確認された。・Day29のSARS-CoV-2中和抗体価のGMTはS-268019群 126.42、コミナティ群 108.20(95%CI:0.96~1.42)であり、S-268019群のコミナティ群に対する非劣性が検証された。・Day29のSARS-CoV-2中和抗体価の抗体応答率はS-268019群 100.0%、コミナティ群 100.0%(95%CI:-5.8~5.8)であり、S-268019群のコミナティ群に対する非劣性が検証された。 また、オミクロン株を含む変異株に対して、S-268019群はコミナティ群と同等の中和抗体価を示した。安全性についてはS-268019群、コミナティ群ともにほとんどがGrade 1あるいは2であり、コミナティ群と比較して、S-268019は特定全身/局所副反応の発現率が同等以下であった。

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第92回 オミクロン株の致死率はインフルエンザより高い/厚労省

<先週の動き>1.オミクロン株の致死率はインフルエンザより高い/厚労省2.2022年度診療報酬改定の柱は?留意事項など通知/厚労省3.勤務医不足は自由開業制が原因と指摘/社会保障審議会4.すべての病院は2023年度までに自院の機能・規模の再検証を/厚労省5.2022年度介護報酬改定、ベースアップ等支援加算で賃上げへ/社会保障審議会6.医師高齢化、2018年時点で開業医の約半数が60歳以上/厚労省1.オミクロン株の致死率はインフルエンザより高い/厚労省厚生労働省は2日に新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードを開催し、オミクロン型の致死率について「季節性インフルエンザよりも高い」とする暫定的な見解を公表した。今年1月〜2月下旬までのオミクロン型の致死率は約0.13%であり、野田 龍也准教授ら(奈良県立医科大学の公衆衛生学講座)は、オミクロン株と季節性インフルエンザの致死率の比較を試みた。「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」を用いて、2017年9月~2020年8月の3年間に季節性インフルエンザで医療機関を受診した患者を特定した結果、致死率は少なくとも0.006~0.018%と推計され、関連死を含めても0.01~0.052%だった。受診後28日以内の致死率は0.09%で、いずれもコロナの方が高い。オミクロン株は従来株(2020年1月〜2021年10月)の致死率4.25%と比較すると低い一方、季節性インフルエンザの致死率は依然として上回っており、感染対策の緩和には慎重になるべきだろう。(参考)オミクロン致死率「インフルより高い」専門家が見解(日経新聞)オミクロン感染の致死率は「インフルより高い」0.13%程度…厚労省助言機関(読売新聞)日本の医療データベースから算出された季節性インフルエンザの重症化率(奈良県立医科大学)2.2022年度診療報酬改定の柱は?留意事項など通知/厚労省厚労省は4日、2022年度の診療報酬改定を告示するとともに、診療報酬の算定の留意事項などを地方厚生局に通知した。新たな点数は原則4月1日から適用される。今回の大きな柱は、感染症対策の充実と機能分化による医療の効率化だ。新型コロナウイルスによってあらためてフォーカスされた感染症対策では、平時からの感染防止策を実施し、発熱患者の受け入れを促すため、院内感染対策に取り組んだ診療所への報酬を手厚くする。一方、重症患者への対応で、人工心肺装置(ECMO)を使用可能な経験豊かなスタッフを配置した集中治療室(ICU)を備えた高度急性期病院への報酬を充実させる内容となっている。さらに看護必要度では、心電図モニターを項目から外し、急性期一般入院基本料の段階的な評価に基づいて、軽症患者が多い急性期一般病棟に対して厳しいハードルを設け、入院単価が引き下がる内容となっている。また、医療の効率化のために1枚の処方箋を3回まで繰り返し使える「リフィル処方箋」を導入し、病状の安定した患者の受診回数を減らし、患者の外来受診の回数減少を目指す。紹介状なしで大病院に来院した患者に対する初診時の特別徴収は、今年の10月から7,000円以上に引き上げられる。大病院には高度な入院診療に特化するように求めており、より機能分化を進める内容となっている。(参考)22年度診療報酬改定を告示、留意事項通知も発出 厚労省、看護必要度の評価項目など見直し(CB news)スーパーICU評価する【重症患者対応体制強化加算】を新設、ECMOの処置料・管理料を設定―厚労省(Gem Med)令和4年度診療報酬改定内容説明動画(厚労省)3.勤務医不足は自由開業制が原因と指摘/社会保障審議会厚労省は28日に社会保障審議会・医療部会を開催し、医療従事者の需給に関する「第5次中間とりまとめ」をめぐって議論した。医師養成数は、2008年度から地域枠の医学部定員増により、全国で毎年3,500~4,000人ずつ増加しており、今後もこの傾向が続けば2029年頃に医師の需給が均衡する見込み。その後は人口の減少に伴って、医師の需要が減少するため、医師増加ペースの見直しが必要とされた。一部の委員からは自由開業制が続く限り病院の勤務医師不足が指摘されたが、日本医師会からは「開業医の数がどんどん増えているわけではない」と反論した。(参考)病院医師不足、自由開業制が続く限り「解消せず」社保審・医療部会で委員(CB news)第86回社会保障審議会医療部会(厚労省)4.すべての病院は2023年度までに自院の機能・規模の再検証を/厚労省厚労省は、2日に「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を開催した。2025年までに全国すべての二次医療圏で地域医療構想の実現を求めてきたが、今後はとくに生産年齢人口の減少に対応するマンパワーの確保や、2024年度から医師の働き方改革に伴う対応が必要になるため、地域医療構想を引き続き着実に推進し、人口構造の変化への対応を図ることが必要であるとした。今後は各都道府県で、第8次医療計画(2024~2029年度)の策定にあわせて、2022~2023年度中に民間医療機関も含めてすべての医療機関が、「自院の機能・規模が、地域医療構想に照らして妥当なものとなっているのか」の再検証を行い、検討状況について定期的に公表を行することについて合意がなされた。(参考)2022・23年度中に、民間含め全病院で「自院の機能・規模が妥当か」再検証を―地域医療構想・医師確保計画WG(1)(Gem Med)第8次医療計画、地域医療構想等について(厚労省)5.2022年度介護報酬改定、ベースアップ等支援加算で賃上げへ/社会保障審議会厚労省は28日に社会保障審議会の介護給付費分科会が持ち回りで開催され、2022年度介護報酬改定について答申を行った。その結果、2022年10月から「介護職員等ベースアップ等支援加算」を新設し、介護報酬で処遇改善(介護職員の収入を3%程度改善)を行うことについて承認された。ただし、加算を取得できるのは、【特定処遇改善加算】と同様に「現行の【介護職員処遇改善加算】(I)から(III)までを取得している事業所で、2022年8月から申請受付がスタートし、10月分からの支給開始となる。(参考)社会保障審議会が答申、22年度介護報酬改定 10月新加算「介護職員等ベースアップ等支援加算」に(CB news)介護職員の給与アップ新加算「介護職員等ベースアップ等支援加算」スタートに向けた審議へ(介護求人ナビ)2022年10月からの新たな【介護職員等ベースアップ等支援加算】の枠組み決定―社保審・介護給付費分科会(Gem Med)6.医師高齢化、2018年時点で開業医の約半数が60歳以上/厚労省2018年時点で診療所に従事する医師の約半数、病院では約15%が60歳以上だったとする集計結果を厚労省が明らかにした。過去20年で、病院の医師数は5.5万人、診療所の医師数は2.0万人増加しているものの、医師の平均年齢は診療所が60.0歳、病院は44.8歳で、診療を行う側も高齢化が進んでいる。2025年以降は、高齢者の減少と現役世代の急減が同時に起こる2次医療圏が数多く発生し、2040年には就業者数が大きく減少する中で、医療・福祉職種の人材は現在より多く必要となる中、どう対応できるだろうか。今後は、医師の働き方改革への対応と地域医療の確保の両立が必須となるだろう。(参考)診療所医師、60歳以上が約半数 病院では約15%、厚労省集計(CB news)第3回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(厚労省)

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059)皮膚科医を悩ませる写真と実物との差【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第59回 皮膚科医を悩ませる写真と実物との差ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆私の勤めるクリニックは、外来のほかに内科医が訪問診療を行っており、時折在宅患者さんの皮疹について相談を受けることがあります。普段、往診医とは電子カルテを介してやりとりをしていますが、「皮膚を診る」という皮膚科の特性上、非常に大事なポイントとなるのが、患者さんの臨床写真です。…なのですが、カルテの仕様上、写真を取り込む際に画像データが圧縮されてしまうようで、解像度が大幅に落ち、拡大して見たときに非常に残念なことになってしまいます。在宅の現場では、専用のカメラや照明がない所で写真を撮るので、自分が撮ってもおそらく満足のいく写真にはならないであろう、とは思うのですが、それにしても…な例が多くて困ってしまいます。こと写真に関しては、訪問看護師さんが渡してくれるデジタル写真の元データが頼りで、入手できない場合はカルテ上の粗い画像を拡大したり縮小したりしながら、最終的には心の目で診察しています。なかなか判断の難しい患者さんは、実際に受診してもらうこともあり、写真と実際の症状との違いに驚かされることも…。「見る」だけの科と思われがちな皮膚科ですが、意外と3次元(実物)から2次元(写真)に落とし込まれた際に、失われる情報は大きいなぁと痛感する瞬間です。こんなカルテ診も良い経験と思い、今後も日々精進いたします。それでは、また~!

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高血圧:脳心血管疾患の危険因子【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q5

高血圧:脳心血管疾患の危険因子Q5血圧レベル以外の脳心血管疾患の危険因子として、高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)で新たに追記されたのは次のうちどれか?男性喫煙アルコール多飲メタボリックシンドローム不眠症

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コロナ禍の生活変化の第1位は「毎日のストレス」/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染増加により、約3年にわたり私たちの生活には、さまざまな制約が発生した。これにより、私たちの日常生活に大きな変化は起こったのであろうか。 株式会社アイスタットは2月18日に全国アンケートを行った。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員30~69歳の300人が対象。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2022年2月18日対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(30~69歳/全国)を対象アンケート結果の概要・コロナ第1波(2020年3月~5月頃)~第6波(2022年1月頃~)のうち、生活に影響があった時期は「第1波」の39%が最多・コロナ禍生活で失ったものがある(ダメージを受けたものがある)割合は8割を超える・コロナ禍前と比べ、生活が変化(悪化)したこと第1位:日常生活のストレスの増加(54.7%)第2位:収入の減少(31.7%)第3位:体重の増加(28.7%)第4位:雇用・働き方の悪化(28.0%)第5位:食費・食生活の悪化(20.7%)第6位:同居者・家族との関係、コミュニケーション(17.7%)日常生活のストレスはいまだに解消されていない 質問1で「生活に影響があった時期」(複数回答)を聞いたところ、「第1波」(2020年3月~5月頃)の39.0%が最も多く、「第5波」(2021年7月~9月頃)が29.3%、「影響した時期はない」が29.0%の順で多かった。また、「生活に影響があった人」を回答データから分類してみたところ、「影響あり」は71%、「影響なし」は29%で、約7割の人が生活に「影響あり」と回答していた。 質問2として「コロナ禍生活で失ったもの(ダメージを受けたもの)」(単回答)について聞いたところ、「ややある」が36.0%で最も多く、「しいて言えばある」が25.3%、「まったくない」が15.7%の順だった。大きく有無別に分類すると「ある」は84.3%、「ない」は15.7%で回答者の多くが犠牲を強いられている結果だった。また、属性別に「とてもある」と回答した人は「30代」、「無職・主婦・その他」、「生活に影響があった時期は第3波(2020年11月~2021年3月頃)」が最も多かった。いわゆる社会的弱者などへの影響が考えられた。 質問3として「コロナ禍前との比較での生活の変化」について、6つの質問(単回答)を聞いたところ以下の結果だった。1)日常生活のストレス「増えた」(54.7%)、「変わらない」(42.0%)、「減った」(3.3%)2)収入「変わらない」(64.7%)、「減った」(31.7%)、「増えた」(3.7%)3)体重「変わらない」(63.0%)、「増えた」(28.7%)、「減った」(8.3%)4)雇用・働き方(無職・主婦は生活様式)「変わらない」(67.7%)、「悪くなった」(28.0%)、「良くなった」(4.3%)5)食費・食生活「変わらない」(69.7%)、「悪くなった」(20.7%)、「良くなった」(9.7%)6)同居者・家族との関係、コミュニケーション(単身では知人・友人との関係)「変わらない」(73.7%)、「悪くなった」(17.7%)、「良くなった」(8.7%) 生活の変化についてマイナス志向(悪化)の回答に着目すると、悪化率が最も高かった内容は「日常生活のストレスの増加」(54.7%)、「収入の減少」(31.7%)、「体重の増加」(28.7%)だった。 アンケートの結果から今後COVID-19そのものの治療だけでなく、心の治療への転換も待たれるところである。

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南アフリカ、オミクロン株流行前にIgG抗体陽性者が7割以上/NEJM

 南アフリカ共和国ハウテン州では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)B.1.1.529(オミクロン株)が優勢の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大前に、潜在的なSARS-CoV-2血清陽性が州全体に広がっていたことが確認され、オミクロン株感染増加とCOVID-19による入院や死亡は関連していないことが示されたという。南アフリカ共和国・ウィットウォーターズランド大学のShabir A. Madhi氏らが、ハウテン州で実施した血清疫学調査の結果を報告した。オミクロン株は、2021年11月25日に世界で初めてハウテン州で確認され、オミクロン株が優勢となったCOVID-19第4波以前のハウテン州におけるSARS-CoV-2 IgGの血清陽性率に関するデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2022年2月23日号掲載の報告。オミクロン株流行前の血清疫学調査を実施 研究グループは、2021年10月22日~12月9日の期間に、ハウテン州において血清疫学調査を実施した。対象世帯は、2020年11月~2021年1月に実施した前回の血清疫学調査時と同じ世帯とし、さらに、前回調査以降の転出や死亡等の可能性を考慮して前回と同じクラスターでのサンプリング対象世帯を10%増やした。 参加者から乾燥血液スポットを採取し、SARS-CoV-2スパイクタンパクとヌクレオカプシドタンパクに対するIgGについて検査した。 また、研究グループは、DATCOV(COVID-19による入院に関する積極的サーベイランスシステム)を含む南アフリカ共和国国立感染症研究所のデータベース等を用い、パンデミック開始から2022年1月12日までの患者数、入院、死亡、超過死亡を調査し、ハウテン州におけるCOVID-19の疫学的傾向について評価した。ワクチン非接種者でも68.4%がSARS-CoV-2血清陽性 検体を採取し分析された参加者は7,010例で、このうちCOVID-19のワクチン接種を受けていたのは1,319例(18.8%)であった。 SARS-CoV-2 IgGの血清陽性率は、全体で73.1%(95%信頼区間[CI]:72.0~74.1)であり、12歳未満の56.2%(52.6~59.7)から50歳以上の79.7%(77.6~81.5)の範囲にわたっていた。また、女性のほうが男性より(76.9% vs.67.9%)、ワクチン接種者のほうが非接種者より(93.1% vs.68.4%)、血清陽性率が高かった。 オミクロン株優勢のCOVID-19第4波では、第1~3波と比較して1日の患者数(人口10万人当たり)の増加が急激で、1ヵ月でピークに達した後、急速に減少していた。第4波の患者数(22万6,932例)は、第2波(18万2,564例)より多く、第3波(51万1,638例)より少ないが、第4波におけるCOVID-19による入院、死亡および超過死亡数は第3波以前より一貫して少なく、それぞれのピーク数も低かった。 すべての入院、死亡および超過死亡のうちCOVID-19が占める割合は、デルタ株が優勢の第3波では43.6%、49.3%および52.7%であったが、オミクロン株優勢の第4波ではそれぞれ11.2%、3.9%および3.3%だった。

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ニボルマブ+イピリムマブの食道扁平上皮がん1次治療、CHMPで推奨/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年2月25日、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が、PD-L1発現1%以上の切除不能な進行・再発または転移のある食道扁平上皮がん(ESCC)の成人患者の1次治療薬として、ニボルマブとイピリムマブの併用療法の承認を推奨したことを発表した。 この肯定的な見解は、第III相CheckMate-648試験の中間解析に基づくもの。同試験で、ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、フルオロピリミジン系およびプラチナ系薬剤を含む化学療法と比較して、PD-L1発現1%以上の切除不能な進行、再発または転移性ESCC患者において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)のベネフィットを示した(OSの中央値:13.7ヵ月 vs .9.1ヵ月、ハザード比:0.64、98.6%信頼区間:0.46~0.90、p=0.001)。 ニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告された試験のものと一貫していた。

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複雑性PTSD診断におけるICD-11導入後の期待

 複雑性PTSDはICD-11で初めて定義された疾患であり、PTSD診断の特徴であるトラウマ的症状に加え、自己組織化の障害(感情調節障害など)が認められる疾患である。デンマーク・オールボー大学のAshild Nestgaard Rod氏らは、複雑性PTSDの診断に対するICD-11の臨床的有用性について、調査を行った。European Journal of Psychotraumatology誌2021年12月9日号の報告。 ICD-11に含まれる国際的なフィールド調査、構成および妥当性の分析をレビューし、診断方法、国際トラウマアンケート(ITQ)、国際トラウマインタビュー(ITI)を調査した。複雑性PTSDと境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療、臨床的関連性の違いを明らかにするため、独立した分析を実施した。複雑性PTSD治療への影響は、既存のガイドラインと臨床ニーズを参照し、検討した。 主な結果は以下のとおり。・ITQおよびITIの検証では、複雑性PTSDのさらなる臨床診療への定着に貢献し、臨床的コミュニケーションと治療促進の双方に対する構成の的確な評価、意図された有益な価値が提供されていた。・経験的研究では、複雑性PTSDは、PTSDおよびBPDと鑑別可能であることが示唆されているが、BPDとPTSDの併存症例は、複雑性PTSDとされる可能性が認められた。・複雑性PTSDの診断治療において、自己組織化の障害を考慮したうえで、PTSDの確立された診断方法を用いる必要がある。 著者らは「複雑性PTSDがICD-11で定義されたことにより、治療介入へのアクセスが改善されるだけでなく、とくにストレス関連障害の研究により注目が集まるであろう。このような追加診断による臨床的有用性の価値は、ICD-11が臨床診断に導入される2022年以降、さらに明らかになると考えられる。今後、複雑性PTSDの症状評価や治療にベネフィットがもたらされることが期待される」としている。

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低リスク者を48時間以内に同定、新型コロナ予後予測モデル/BMJ

 単一施設のデータに基づいて構築された予測モデルを用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者のうち低リスク例を48時間以内に同定して早期退院を促すことで、データの共有なしに他施設でも良好な病床日数の削減効果が得られる可能性があることが、米国・ミシガン大学のFahad Kamran氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年2月17日号で報告された。臨床的な悪化の予測モデルを開発、妥当性を検証 研究グループは、電子健康記録データを用いて、医療施設間で共有できるCOVID-19患者の臨床的な悪化を正確に予測する簡便で移転可能な機械学習モデルを開発し、その妥当性を検証する目的で後ろ向きコホート研究を実施した(米国国立科学財団[NSF]などの助成を受けた)。 対象は、呼吸困難またはCOVID-19で入院した年齢18歳以上の患者であった。モデルの訓練には2015年1月~2019年12月に米国の1病院(ミシガン大学Michigan Medicine病院)に入院した患者のデータが用いられ、内的妥当性は2020年3月~2021年2月に酸素補給を要する状態で同病院に入院し、COVID-19と診断された患者のデータで検証された。外的妥当性の検証は、2020年3月~2021年2月に同病院以外の12施設に酸素補給を要する状態で入院し、COVID-19と診断された患者を対象に実施された。 モデル開発コホートでは、入院から5日以内の臨床的悪化の主要複合アウトカム(院内死亡または重症の病態を示す3つの治療[機械的換気、加温高流量鼻カニュラ、昇圧薬の静脈内投与])を予測するために、モデルの訓練が行われた。モデルは、電子健康記録の2,686個の変数(個々の患者の特徴、検査結果、看護記録データなど)から選択された9つの個々の患者の臨床的な特性変数に基づいて構築された。 内的妥当性と外的妥当性の検証の性能は、受信者操作特性曲線下面積(AUROC)と、予想較正誤差(ECE、予測リスクと実際のリスクの差)で評価された。 モデルによって同定された低リスク例を早期に退院させた場合に、病院が患者1例あたり何日の病床日数を削減できるかを計算することで、潜在的な病床削減日数が推定された。主要エンドポイントの発生は5%以下 モデルの妥当性の検証には、13施設における9,291件(内的妥当性の検証956件、外的妥当性の検証8,335件)のCOVID-19関連入院のデータが用いられ、このうち1,510件(16.3%)が主要アウトカムに関連していた。 モデルを内的妥当性コホートに適用すると、AUROCが0.80(95%信頼区間[CI]:0.77~0.84)、ECEは0.01(0.00~0.02)と良好な性能が達成された。モデルの外的妥当性の性能もほぼ同様で、各施設のAUROCの範囲は0.77~0.84(平均0.81)で、ECEの範囲は0.02~0.04であった。 1年(3ヵ月単位の4期)を通じた各施設のAUROCは、第1四半期から第2四半期にAUROCが大きく低下した2施設を除き、0.73~0.83の範囲であった。また、性別、年齢別、人種別、民族別の全サブグループのAUROCの範囲は0.78~0.84だった。 このモデルは、内的妥当性と外的妥当性のコホートの双方で、48時間の観察後に低リスク例を正確に同定することができた。モデルは、COVID-19で入院した低リスク例のうち、最良の施設で41.6%を、より緊急度の低い治療へ正確にトリアージし、この施設では早期退院によって患者1例当たり5.2日の病床日数が削減される可能性が示された。また、他の施設では、このモデルが入院患者のうち低リスク例を正確にトリアージする割合は低かったが、削減される可能性のある病床日数は最大で7.8日であった。 このモデルは、少なくとも95%の陰性的中率を維持しつつ、この性能レベルを達成した。すなわち、低リスクと判定された入院患者のうち、主要エンドポイントを満たしたのは5%以下だった。 著者は、「この外的妥当性の検証方法は、さまざまな患者におけるモデルの現実的で適切な評価の可能性を保持しつつ、データ共有の必要性を排除することで、患者の個人情報を取り巻く潜在的な懸念を軽減する。したがって、この研究は、単一施設における患者の悪化を予測するモデルの開発に資する可能性があり、データ共有への同意なしに外的妥当性の検証や多施設共同研究を行うことを可能にする」としている。

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ダロルタミド、転移前立腺がんのOS延長/NEJM

 転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)の治療において、標準治療であるアンドロゲン除去療法(ADT)+ドセタキセルに、経口アンドロゲン受容体阻害薬であるダロルタミドを併用すると、プラセボの併用と比較して、全生存期間が有意に延長し、有害事象の発現は増加しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのMatthew R. Smith氏らが実施した「ARASENS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年2月17日号で報告された。23ヵ国286施設のプラセボ対照無作為化第III相試験 研究グループは、mHSPCの治療における、標準治療へのダロルタミド追加の有用性を評価する目的で、国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施し、2016年11月~2018年6月に日本を含む23ヵ国286施設で参加者の登録を行った(BayerとOrion Pharmaの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、組織学的または細胞学的に前立腺がんと確定され、画像検査で転移病変が検出され、担当医によってADT+ドセタキセルによる治療が予定されている患者であった。 被験者は、ADT+ドセタキセルに加え、ダロルタミド(600mg[300mg錠剤2錠]、食事と共に1日2回経口投与)またはプラセボを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは全生存期間とされた。副次エンドポイントも5項目で改善 1,306例が登録され、このうち1,305例が最大の解析対象集団(FAS)に含まれた(ダロルタミド群651例、プラセボ群654例)。全体の年齢中央値は67歳で、71.1%はECOG PSスコアが0点であり、78.2%はGleasonスコアが8点以上であった。ベースラインで全例が転移病変を有しており、79.5%は骨転移(M1b)、17.5%は臓器転移(M1c)であった。86.1%は初回診断時に転移病変が認められた。血清前立腺特異抗原(PSA)中央値は、ダロルタミド群が30.3ng/mL、プラセボ群は24.2ng/mLであった。 主解析のデータカットオフ日(2021年10月25日)の時点において、ダロルタミド群はプラセボ群より治療期間中央値が長く(41.0ヵ月、16.7ヵ月)、治療継続中の患者の割合が高かった(45.9%、19.1%)。全生存期間のフォローアップ期間中央値は、ダロルタミド群が43.7ヵ月、プラセボ群は42.4ヵ月だった。 全生存期間中央値は、ダロルタミド群が評価不能、プラセボ群は48.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:44.4~評価不能)であり、死亡リスクがダロルタミド群で32.5%低下した(ハザード比[HR]:0.68、95%CI:0.57~0.80、p<0.001)。4年全生存率は、ダロルタミド群が62.7%、プラセボ群は50.4%だった。 副次エンドポイントの階層的検定では、次の主な5項目についてダロルタミド群で有意に良好な結果が得られた。去勢抵抗性前立腺がん発現までの期間(HR:0.36、95%CI:0.30~0.42、p<0.001)、疼痛増悪までの期間(0.79、0.66~0.95、p=0.01)、症候性骨関連事象のない生存期間(0.61、0.52~0.72、p<0.001)、症候性骨関連事象発現までの期間(0.71、0.54~0.94、p=0.02)、他の全身性の薬物療法開始までの期間(0.39、0.33~0.46、p<0.001)。 有害事象の発現は両群で同程度であった。最も頻度の高い有害事象の発生率は、両群ともドセタキセル投与と重なった時期に高かった。Grade3/4の有害事象は、ダロルタミド群66.1%、プラセボ群63.5%で認められ、最も頻度が高かったのは好中球減少症(33.7%、34.2%)であった。重篤な有害事象はそれぞれ44.8%および42.3%で発現し、試験薬の恒久的な投与中止をもたらした有害事象の割合は13.5%および10.6%、有害事象による死亡は4.1%および4.0%であった。 著者は、「ダロルタミドの生存ベネフィットは、プラセボ群で後治療として延命のための全身療法を受けた患者の割合が高かったにもかかわらず観察され、ほとんどのサブグループで一致して認められた」としている。

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「医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き」成果発表シンポジウム開催【ご案内】

 2022年3月24日、日本医療研究開発機構の研究開発推進ネットワーク事業が作成している「医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き」について、成果発表を行うためのシンポジウムが開催される。 国民が健康な生活を送り、医学系研究を促進するためには、研究者と一般市民の間にある研究に関する理解のギャップを減らすことが重要だ。しかし、医学系研究の理解には業界特有の用語の難解さや、研究に関する知識が一般的でないことを認識しておかなければ、研究者と情報の受け手側との間にコミュニケーションギャップが生じてしまう。日本医療研究開発機構はこの課題に対し、研究者が研究成果をわかりやすく発信するために配慮すべき観点と、用語の理解に関する実態調査に基づいた対処法を検討し、このたび「医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き」にまとめた。 シンポジウムでは、市民、メディア、研究者といった多様なステークホルダーがそれぞれの立場から意見を述べ、手引きの活用法や、継続的な課題改善について議論を交わす。 本シンポジウムは、Zoomウェビナーによるオンライン開催で、医師のみならず誰でも視聴できる。参加には事前の予約申し込みが必要で、ウェブの専用ページで受け付けている。【開催概要】「医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き」 成果発表シンポジウム〜研究成果を確かに発信する工夫〜開催日時:2022年3月24日(木)14:00~15:30(13:45開場)開催方法:Zoomウェビナーによるオンライン開催(視聴参加は事前登録制)参加(視聴)対象:臨床研究支援病院、大学等研究機関、大学病院、患者団体、一般定員:500名(定員になり次第、受け付け終了)参加(視聴)料:無料申し込み方法:参加申し込みフォームより事前登録【問い合わせ先】東京大学未来ビジョン研究センター データヘルス研究ユニット事務局(dh-jimu@ifi.u-tokyo.ac.jp)【プログラム】・開会・事業成果の説明井出 博生氏(東京大学未来ビジョン研究センター特任准教授)・それぞれの立場からのコメント山口 育子氏(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)田中 牧郎氏(明治大学国際日本学部専任教授)市川 衛氏(一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会研究開発部長)杉山 雄大氏(国立国際医療研究センター研究所糖尿病情報センター医療政策研究室室長) ・パネルディスカッション「医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き」の活用についてコーディネーター:山田 恵子氏(東京大学医学部附属病院助教)・閉会

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