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皮膚の色が濃いと酸素飽和度は高く表示される?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第214回

皮膚の色が濃いと酸素飽和度は高く表示される?pixabayより使用いつもふざけた態度で連載を書いているトンデモドクターみたいな扱いになっていることもありますが、たまには臨床的に大事なおどろき論文も紹介しましょう。皮膚の色が濃いと、酸素飽和度が正しく表示されないとして、2021年にFDA(米国食品医薬品局)から注意喚起が発令されました1)。この発令はNEJM誌2020年12月17日号に掲載された研究結果に基づいており、同研究において、黒人の患者の11.7%が、経皮的酸素飽和度が正常であるにもかかわらず、動脈血液ガス分析で酸素飽和度が88%を下回っている「隠れ低酸素血症」を有していることが示されています2)。さて、呼吸器内科のトップジャーナルであるEuropean Respiratory Journalで、人種ごとの経皮的酸素飽和度を調べた研究が報告されています。Crooks CJ, et al. Pulse oximeter measurements vary across ethnic groups: an observational study in patients with COVID-19.Eur Respir J. 2022 Apr 7;59(4):2103246.2020年2月1日~2021年9月5日の間に、ノッティンガム大学病院にCOVID-19疑いまたは確定で入院した患者のデータを収集し、30分の間に血液ガス分析による酸素分圧+パルスオキシメーターの経皮的酸素飽和度のペアが揃ったデータを、主要アウトカムとして使用しました。ICUのデータは入手できなかったため、それ以外の患者さんが対象となりました。動脈血液ガス分析と比較して、パルスオキシメーターで測定した経皮的酸素飽和度の平均差には差が確認され(p=0.02)、2種類以上の人種が混ざった集団で、最も差が大きいことがわかりました(+6.9%、95%信頼区間[CI]:−21.9~+35.8)。反面、白人(+3.2%、95%CI:−22.8~+29.1)がその差が最も低く、黒人(+5.4、95%CI:−25.9~+36.8)とアジア人(+5.1%、95%CI:−23.8~+34.0)は中程度の差異が確認されました。動脈血液ガス分析による酸素飽和度の測定値が90%未満の集団では、パルスオキシメーターはすべての人種において酸素飽和度を過大評価し、95%以上の集団では過小評価することがわかりました(p<0.0001)。混合効果線形モデルでも、白人と比較した場合、黒人・アジア人・2種類以上の人種が混ざった集団において、動脈血液ガス分析よりもパルスオキシメーターで測定した酸素飽和度の数値が高いことがわかりました。そのため、皮膚の色が濃い人は、真の酸素飽和度が90%未満というとても重要なゾーンにおいて、過大評価されがちであり、隠れ低酸素血症を見逃すリスクが高いことがわかりました。ちなみに、マニキュアは一般的に測定エラーを引き起こすため、真っ黒や真っ赤なものは、できるだけ避けることが望ましいですが3)、光が散乱するので低めに出たり高めに出たりします。1)Pulse Oximeter Accuracy and Limitations: FDA Safety Communication. 2022 Feb. 19, UPDATE 2022 June 21.2)Sjoding MW, et al. Racial Bias in Pulse Oximetry Measurement. N Engl J Med. 2020;383:2477-2478.3)真茅孝志, 他. パルスオキシメータにおけるマニキュア使用と外乱光の影響についての基礎的検討. 医科器械学. 2003;73(4):207.

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第117回 なぜその情報が必要か―安倍氏銃撃事件から医療者や報道陣が学ぶべきこと

参議院選挙最中の7月8日、奈良県奈良市の近鉄大和西大寺駅前で選挙応援中だった安倍 晋三元首相が凶弾に倒れた。殺人未遂(後に殺人に切り替え)の現行犯で逮捕された容疑者は、母親が宗教団体に入信し、その寄付が原因で家庭が崩壊。この団体と安倍元首相が親しいと考え、安倍元首相を標的にしたとしている。安倍元首相は現場で応急処置後に救急車とドクターヘリを使って奈良県立医科大学(以下、奈良医大)高度救命救急センターに搬送されたが、同日午後5時3分、死亡が確認された。日本国内では明治期の内閣制採用以降これまで64人の首相経験者がいるが、在任中あるいは退任後に殺害されたのは、安倍氏を含め7人。第二次世界大戦後では安倍氏が初めてである。今回、この件を医療・報道の側面から振り返りたい。まず、事件が発生したのは8日午前11時31分ごろ。奈良県選挙区の自由民主党公認候補の応援演説のため、奈良県入りした安倍氏は近鉄大和西大寺駅前の横断歩道中ごろにあるカードレールで囲まれた安全地帯で午前11時29分ごろから演説を開始。その直後、背後の車道に侵入してきた容疑者が安倍氏の背後約3mの距離から自作銃で発砲し、爆音と白煙が発生。一瞬後方を振り返った安倍氏だったが、容疑者がすぐさま2発目を発射した直後、避難するかのようにうずくまったまま倒れ込んだ。その後のタイムラインは以下のようになる。▽午前11時31分:奈良市消防局に通報▽午前11時32分:救急隊出動▽午前11時36分:消防局がドクターヘリを要請▽午前11時37分:救急隊などが現場に到着▽午前11時54分:現場から安倍元首相を搬送開始▽午後 0時 9分:平城京跡歴史公園で搬送をドクターヘリに引き継ぐ▽午後 0時20分:ドクターヘリが奈良県立医科大学到着安倍元首相が搬送される直前、現場の写真がネット上に公開されているが、そこで写っていた安倍元首相の顔面は蒼白。当時、駆け付けた現場近くのクリニックの医師の証言では、すでに看護師と思われる女性が心臓マッサージ中で自発呼吸はなく、ほぼ心肺停止状態。眼球結膜が真っ白でかなり出血していると考えられ、瞳孔も開きかけていたという。さらに周囲の呼びかけにはすでに反応がなく、痛覚を確認するための爪床刺激にも反応はなかった。この医師は、クリニックにあった自動体外式除細動器(AED)を装着させるも、解析の結果、適応はないと判断されたと語っている。適応がないということはすでに心停止ということになる。そこで心臓マッサージが再開されたという。同時に脳に血流が少しでも行くように医師が下肢挙上を行った。その後は上記のタイムライン通り。死亡確認後に行われた奈良医大による記者会見で、高度救命救急センター長で教授の福島 英賢氏が語った内容を箇条書きにする。救急隊接触時・搬送時にすでに心肺停止状態右頸部に約5cm間隔で2ヵ所の銃創らしきもの、左肩に射出口らしき傷処置中に体内から弾丸は未発見心臓および大血管の損傷による心肺停止と推定心室にも損傷対応は外来処置室で実施処置内容は蘇生的開胸による胸部止血と輸血輸血量は100単位以上一部止血をできたところもあったが、凝固能が失われさまざまなところから出血死因は失血死奈良県警が同日午後10時40分から翌日早朝にかけて約6時間半にわたって行った司法解剖の結果では、銃弾による傷は首と左上腕部の計2カ所。奈良医大の会見で射出口の可能性があると説明されていた左肩は射入口で、右頸部の銃創と思われた2か所のうち、片方については県警の司法解剖では銃創であるかは判別できなかったという。そのうえで死因は「左上腕部射創による左右鎖骨下動脈損傷にもとづく失血死」とされている。前述の奈良医大の会見での質疑については、SNS上で医療関係者を中心に“質問内容が稚拙”と批判も多かった。この印象はほぼ私も同じだが、その一部を改めて振り返り論評を加えたい。まず、記者と福島氏との間では同じようなやり取りが何度か繰り返されている。 記者A 無くなられた時間は5時3分ということですが、家族が到着されていたのは確か5時過ぎだったような気がするのですが、到着されていた時はすでにお亡くなりになられていたということでしょうか?福島氏救急隊接触時からずっと心肺停止状態であられました 記者B 今回、撃たれた現場で即死したという理解でよろしいでしょうか?福島氏撃たれた現場で心肺停止状態になったという表現になるかと思います 記者C 搬送された時点で手遅れという言い方をしてもよろしいでしょうか?福島氏すでにかなり大きな怪我があったことには違いありませんので、一般的にはそういうご理解になるのかもしれませんが、われわれとしては心肺停止状態ということで対応しています 当初の報道では救急隊の現場到着時に意識があったとも伝えられていたが、前述の現場で対応した医師の証言や会見を聞く限りでは、救急隊到着時から心肺停止状態だったことは間違いないようである。意識があったという報道は、おそらく銃撃のまさに直後の周囲の呼びかけに対してだったのだろう。本サイトの読者に対しては釈迦に説法だが、心停止、自発呼吸の停止、瞳孔散大の3点を医師が確認して死亡と判定されるまでは、心肺停止と定義されることが多い。一般人からすると、この状態は「死亡判定を受けていない事実上の死体」と捉えられがちで、海外の一部ではこの状態では報道上死亡扱いをすることも少なくない。その点で実は日本の報道のほうがきわめて厳格な扱いをしている。にもかかわらず、会見で上記のようなちぐはぐな応答が散見されたのは、おそらく記者の配置上の問題だろう。この「死亡」と「心肺停止」の定義について最も敏感と思われるのが、事件、事故、災害時を担当する社会部の警察担当記者、あるいは科学部記者。しかし、今回の事件の重大さを考えれば警察担当記者はおそらく奈良県警察本部に詰めていただろうし、事件時に科学部記者が出動することは少ない。つまり奈良医大の会見では、そのどちらでもない記者が大勢を占めていただろうと推定される。それゆえのちぐはぐさが上記のやり取りには表れていると思う。なお、SNS上では奈良医大に到着した昭恵夫人の様子を聞き出そうとしたかのような質問をした記者と、そのことには触れなかった福島氏のやり取りについて記者を批判しているケースが少なくない。私個人としてはどちらの立場も正しいと敢えて言及しておきたい。記者は聞けることは、真空ポンプで空気を吸い取るがごとくすべて聞くのが鉄則。初めから「どうせ答えてもらえないだろうから」と尻込みする記者は記者とは言えない。一方で患者を治療した際の医学的側面のみを語り、みだりにプライバシーや推定を語らない福島氏の立場も医療従事者として当然かつ正しい在り方である。メディア全般に不信感を持つ人にとってはこの評価は「身内びいき」と思われるかもしれないが、取材とは例えは悪いが「狐と狸の化かし合い」が常である。そのうえでこのやり取りの記者側の意図を私なりに推測すると、単純にどれだけ搬送時の安倍氏の状態がどれだけ深刻なものだったかを知りたかったということだろう。たぶん私が会見場にいたら、回答が得られたかどうかは別にして搬送時の推定失血量を聞いただろう。銃創の場合、発生から10分以内に開胸が行える医療機関への搬送ができるか否かが救命のカギを握る。また、循環血液量の30%以上の出血があれば生命の危機となる。以前官邸ホームページで公開されていた安倍氏の身長は175cm、体重は70kgだったことから、おおよその循環血液量は体重の約13分の1である5.8L。約1.7Lの出血で致命的だ。会見時に福島氏が説明した輸血量100単位以上について、記者から100単位以上とは何mLか問われ、福島氏は現時点でわからないと回答をしている。これはたぶん輸血したのが赤血球濃厚液(1単位140mL)、濃厚血小板液(10単位約200mL)、新鮮凍結血漿液(1単位約120mL)が入り混じって使われたからだろうと推察される。100単位を単純計算すれば、赤血球濃厚液換算で14L、濃厚血小板換算で2L、新鮮凍結血漿液で12Lとなる。治療時間5時間ということを加味しても搬送時点ですでに生命の危機の失血量だったことはほぼ確実と言って良いだろう。ちなみに事件発生当初、搬送時に意識があったと誤報(あくまで結果論だが)されたこともあり、私個人はなぜ奈良医大に搬送したのだろうと考えていた。もちろん奈良県内で重篤な患者を受け入れる三次救命救急施設3ヵ所のうち、ドクターヘリも有している奈良県立医科大学附属病院高度救命救急センターが最高位にあることから考えれば、常道ではある。ただ、繰り返しになるが銃創は発生から10分以内に開胸が行える医療機関への搬送が救命の鉄則。そうした中で同県内の三次救命救急施設3ヵ所のうち奈良県立病院機構奈良県総合医療センター救急・集中治療センターが現場から車で15分ほどだったことから、当初は私は上記のように思った。しかしながら、前述の奈良医大の会見を聞けば、極端な言い方をすれば事件現場で開胸して止血・輸血でも行わなければ、救命の可能性を見いだすことは難しかっただろうと考えた。また、輸血量からしても奈良医大のほうがそのストックが多かったと考えられるので、その点からも最終的には合点がいった。また、奈良医大の会見で、ある記者が心臓への損傷が疑われる際のAED使用や心臓マッサージを行うことの是非について尋ね、福島氏が一般論として正しい処置だと答えた件について、SNS上では記者に向けてやや批判めいた言説が目立つ。これは福島氏の答え次第では現場で処置した人が非難されかねないことを危惧した言説だろう。ただ、一般人ならば心臓に損傷の可能性がある時に本当にこうした処置をしていいものか悩むのはある意味当然である。というか、一般人はそうした知識がほとんどない。そうしたことを加味すれば、このやり取りは一般人に応急措置に対する知識を普及する上では有用なものだったと個人的には考えている。一方、今回の事件に関して私が1つだけ完全にNGと思った報道人の言動がある。安倍元首相に関する著作もある元民放記者が安倍氏の死亡時刻の1時間半ほど前に「安倍さんがお亡くなりになった」とのタイトルでSNSに投稿を行ったことだ。当然ながらこの投稿は批判されたが、元記者は正式な死亡発表後に「(投稿した時点で)家族にもすでに情報が伝わっていた」と強弁。しかし、最終的には提供された情報が誤っていた(その時点で家族は知らされていなかった)として謝罪している。そもそも人一人の死を外部にどのように伝えるかは例え公人でもあっても相当な慎重さが必要である。まして元民放記者の投稿時点で安倍元首相の妻である昭恵夫人は奈良に向けて移動中で、報道でも移動状況が逐次報じられていた。元民放記者はSNS投稿時点ですでに昭恵夫人が奈良に到着済みと聞いていたとの弁解を後に投稿していたが、リアルタイムの報道で得られる情報すら確認できていなかったのはお粗末としか言いようがない。元民放記者本人が弁解として書いていた「『確認された情報は出来るだけ早く報道する』というジャーナリズムの基本に立ち返って」という点は完全には否定しないが、たとえ家族の死亡確認後であってもそれをいつ報じるかの判断は各方面への影響を考えると容易ではない。一例を挙げると、公人の死去の報道は株式市場に影響を与えることもある。報道というのはそうしたことなども多角的に踏まえて行う仕事であり、いかように元民放記者が弁解しようが今回の行動は唾棄に値する。すでに一部の人はSNS上で見聞きしているかもしれないが、安倍氏の容体については当日の午後2~3時に「蘇生はほぼ不可能」という情報が永田町界隈に駆け回っていたことを一部の記者が死亡の公表後に明らかにしている。これは確かに事実で、筆者も耳にしている。しかしながら、例え家族による死亡確認後であってもそれを公にすることは、報道人としての確実な事実確認に加え、社会的にも心理的にも、いくつものハードルを超えなければならない。そのためこの元記者のような言動には私個人は驚きを隠せないのが本音ではある。

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医師の生活を破壊するインフレ!「あの方法」で乗り越えよう【医師のためのお金の話】第58回

ついにインフレが到来しました。バブル崩壊後30年もの長きにわたって続いたデフレがいよいよ終わろうとしています。持続的に物価が上昇するインフレの世界では、「これまでの常識」がまったく通用しません。数年単位の欧米への留学経験のある医師以外は、リアルなインフレ経験のある人はほとんどいないのではないでしょうか。私も含めて、ほとんどの日本人はデフレの世界が永遠に続くと思っていたはずです…。インフレになっても収入が増えれば問題ありません。ところが医師の収入は医療財政で規定されています。つまりインフレに連動して収入が増えるわけではないのです。収入が増えないのに支出が増える…。このピンチを乗り切るための対策を考えてみましょう。インフレの持つすべてを轢き潰す破壊力インフレの世界では、あらゆるモノが値上がりしていきます。しかも今年だけ2%上昇して終わりというわけではありません。来年も2%、再来年も2%というように物価が持続的に上昇します。投資の世界では「複利」が重要視されています。毎年の利子が少しずつ増加して雪だるま式に資産が増えていく複利効果は、長期投資が推奨される理由の1つです。物理学者のアインシュタインが「複利は人類最大の発明」と呼んだことでも有名ですね。毎年2%の利子が続くと雪だるま式に資産が増えていきますが、インフレではこれと逆の状況が発生します。つまり、年率2%のインフレが持続すると「雪だるま式に」物価が上昇していくのです。米国の物価は、私たち日本人の感覚からすると驚くほど高いです。2022年度版のビックマック指数(ビッグマック1個の価格を比較して各国の経済力を測るための指数)は、米国5.81ドルに対して、日本3.38ドルでした。3月以降の急激な円安進行のために、足元では差はさらに開いています。おおむね2倍程度と思ってよいでしょう。1990年のバブル経済絶頂期では日本の物価の方が高かったのです。その後30年の間、米国では毎年2~3%のインフレが続きました。一方、日本はデフレ経済が続いていたため、平均すると物価上昇率は0%台でした。わずかなインフレ率の差で、30年後の物価は2倍近くも開きました。2~3%のインフレでさえ、これほどの影響力があります。現在欧米で進行中の10%近いインフレが、いかに深刻な問題かがわかりますね。医師がインフレに弱い理由医師の収入は医療財政から捻出されています。しかし周知のように日本の財政は火の車。インフレに連動して診療報酬がアップするとは考え難いですね。つまり、医師の収入は増えないのにモノの価格だけ上昇する、という悪夢のような状況が現実化するのです。医師はバブル経済崩壊後で唯一の勝ち組でした。なぜ医師は勝ち組になれたのでしょうか。その理由は医師の収入が“減少しなかった”からです。決して収入が大幅に増加したからではないのがポイントです。大して収入が増加したわけではないのに医師が勝ち組と目されるのは、その他の職種の収入が減少したからです。さらにデフレが続いたために、医師の実質的購買力は増加しました。まさに医師にとってはわが世の春だったのです。ところが、デフレからインフレに転換するとすべてが逆回転し始めます。収入は増加しないのに物価は上昇する。しかも他の職種の場合、収入は上昇する余地があります。彼らの多くは国家財政に収入が規定されているわけではないからです。マーケットの海賊、インフレに打ち克つ方法インフレは投資の世界にも大きな影響を及ぼします。比較的インフレに強いと思われている投資の世界でさえ、インフレによって手痛いダメージを受けてしまいます。インフレは“マーケットの海賊”といわれるほどです。米国の研究では、株式投資の収益率は10%、債券投資の収益率は5%程度といわれています。ところがインフレが年率3%の場合、株式投資の収益率は7%、債券投資にいたっては2%にまで低下してしまいます。収入が減って購買力が低下した分を投資で補おうとしても意味がないのでしょうか? 私はそうではないと思います。確かにインフレは投資成果にも悪影響を及ぼしますが、それでもプラスを維持していることに注目すべきです。インフレ率が2%の状況では、何も対策を打たなければマイナス2%です。一方、米国のケースでは株式投資なら7%、債券投資でも2%と、立派にインフレに対抗できています。もちろん、日本株や日本国債ではもう少し収益率は低い可能性が高くはなります。とくに債券投資はマイナス圏に沈んでいる可能性も否定できません。しかし、株式投資であれば、インフレに対抗できる可能性が高いでしょう。そして、株式投資が一般的になっているのは喜ばしいことです。私たちの生活を破壊するインフレに対抗するには、何らかのアクションを起こさなければいけません。株式投資はその候補の筆頭といえるでしょう。今からでも遅くありません。しっかり勉強してインフレの世界に備えましょう。

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この心電図、QT延長ですか? 休薬すべきですか?【見落とさない!がんの心毒性】第13回

抗がん薬の中にはQT延長に注意すべきものが21種類もあります[第6回]。顕著なQT延長は命を脅かす不整脈であるトルサード・ド・ポアント(TdP:torsades de pointes、倒錯心室頻拍)のリスクになるため、投与開始前および投与開始後も定期的に心電図検査が推奨されています。治療開始前にQT延長を認めたために抗がん薬を開始できない、あるいは治療中にQT延長が発生したことで抗がん薬を中断・中止しなければならないケースもあります。QT時間が患者の命運を左右しかねないため、測定する側の責任は重大です。心電計にはレポート機能が付いている物が普及しており、自動計測されたQT時間が表示されたり、“QT延長”と自動診断が表示されたりする物があります。心電図の自動診断に任せっきりにしていると、自動診断の間違えに気付かずにQT延長と診断し、不要な休薬を招くことがあるので注意が必要です。今回は知っているようで知らないQT延長診断の裏側について、クイズを通して学んでいきましょう。【問題】心電図のQT時間について正しいのはどれでしょうか? 3つ選んでください。a.QT時間の測定はII誘導とV5誘導が推奨されることがあるが、QT時間が最長となる誘導での測定が原則である。b.自動計測のQT時間は手動計測のQT時間よりも短くなる傾向がある。c.自動計測の精度が向上したため、医薬品規制調和国際会議において手動計測は推奨されていない。d.自動計測ではU波が存在することでQT時間を誤って測定することが少なくない。e.右脚ブロックではQT時間が長くなる傾向がある。講師紹介

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創部の縫合後の処置【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q24

創部の縫合後の処置Q24症例とくに既往、アレルギー歴のない28歳男性、自宅でリンゴの皮剥きをしていた際に誤って左中指DIP腹側を切ってしまった。左中指DIP腹側に深さ3~4mm程度、長さ20mm程度の切創あり。明らかな神経障害や動脈性出血、腱損傷はなさそう。バイタルは安定しているが、止血をえられず、縫合処置が必要と判断される。非滅菌手袋もつけたし、指ブロックのうえ、創部を水道水でしっかり洗ったぞ。縫合自体は、過去と大きく変わりはないな。なんとか終えたぞ。処置後の創部は浸出液多いな。ガーゼと包帯で固定がよかったかな。乾燥させるとよいって習った気がするけども、合っていたかな?

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インターネット依存に対する各種介入効果~メタ解析

 インターネット依存に対するさまざまな介入効果を評価するため、中国・Anhui Medical UniversityのXueqing Zhang氏らが、メタ解析およびネットワークメタ解析を実施した。その結果、インターネット依存にはほとんどの介入が効果的であるが、単一介入よりも組み合わせた介入のほうが、より顕著な症状改善が期待できることを報告した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年6月26日号の報告。 2021年8月までに公表されたインターネット依存に対する介入効果を評価したランダム化比較試験(RCT)を、各種データベース(PubMed、Cochrane、Embase、Web of Science、PsycINFO、ProQuest、CNKI、WanFang、VIP database、CBM)より検索した。バイアスリスクは、RCTのための改訂版コクランバイアスリスクツール(RoB2)を用いて評価した。従来のメタ解析およびネットワークメタ解析には、Rstudio SoftwareおよびStata 14.0を用いた。 主な結果は以下のとおり。・59件のRCT(3,832例)をメタ解析に含めた。・24件のRCTによる従来のメタ解析では、CBT、グループカウンセリング、スポーツ介入、インターネットベース介入などが、未治療の対照群との比較において、インターネット依存レベルを有意に低下させることが示唆された(SMD:-1.90、95%CI:-2.26~-1.55、p<0.01、I2=85.9%)。・さまざまなスケールに基づくネットワークメタ解析では、介入の組み合わせがインターネット依存に最適な介入である可能性が最も高いことが示唆された(IATに基づくSUCRA=91.0%、CIASに基づくSUCRA=89.0%)。

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オシメルチニブのEGFR変異肺がん術後補助療法、ADAURA試験最新データでも高い有効性/AZ

 アストラゼネカは、2022年7月13日、第III相ADAURA試験において、オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)が、プラセボとの比較で、腫瘍完全切除後の早期(IB期、II期、IIIA期)EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法において、無病生存期間(DFS)の臨床的に意義のある改善を維持していることを発表。 第III相ADAURA試験の初期結果では、術後の早期EGFR遺伝子変異陽性肺がんにおいて、オシメルチニブがDFSリスクを有意に低下させることを示した。2年経過し、さらに蓄積されたDFSデータにおいても、オシメルチニブの治療ベネフィットは持続している。 これらの最終的なDFSデータは、今後の学会で発表される予定である。同試験は引き続き、副次評価項目である全生存期間(OS)の評価を継続して行う。

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移植の予後に、筋肉の「質」が影響する可能性/京都大学

 造血器腫瘍治療で行われる同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)において、患者の筋肉の質及び量が移植後の予後に関係する可能性があるという。京都大学の濱田 涼太氏らによる本研究と結果はTransplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2022年6月19日号に掲載され、京都大学は7月12日にプレスリリースを発表した。 骨格筋量の減少は、移植後の生存に影響を及ぼすことが複数の研究グループから報告されているが、このような骨格筋量の減少はコンピュータ断層撮影(CT)などを用いて評価されるため、脂肪変性が進行した「質の悪い」骨格筋においては骨格筋量が過大評価されてしまい、正確な評価が出来ていない可能性があるという。 研究者らは、京都大学医学部附属病院で実施された同種造血幹細胞移植後の患者186例のデータを用いて、大腰筋の臍の高さの断面積と平均CT値から算出される大腰筋質量指数(PMI)とX線画像密度(RD)を用いて、それぞれ筋肉の量と質を判断した。 主な結果は以下のとおり。・17~68歳(中央値49)の成人患者186例を対象に 、同じ性・年齢群の中で最も低い四分位値(下位 25%)の患者を低 PMI 群と低 RD 群に割り付けた。46例(24.7%)が低PMI群に、49例(26.3%)が低RD群に割り付けられた。・初診からallo-HSCTまでの経過期間中央値は7ヵ月(範囲:2~46ヵ月)、95%の患者がECOG-PS(0-1)良好であった。・低RDは、移植後の非再発死亡率増加の有意な因子であった(調整後ハザード比[HR]:2.54、95%信頼区間[CI]:1.42~4.51、p

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手首膨隆骨折での疼痛・機能差、包帯vs.硬性固定/Lancet

 橈骨遠位端骨折の小児において、包帯固定vs.スプリントやギプスによる硬性固定の3日後の疼痛は同等であり、6週間の追跡期間中、疼痛や機能に差はないことが、英国・Kadoorie Research CentreのDaniel C. Perry氏らが英国の23施設で実施した無作為化比較同等性試験「Forearm Fracture Recovery in Children Evaluation trial:FORCE試験」の結果、示された。手首の膨隆(隆起)骨折は小児に最も多い骨折であるが、治療は副子固定、ギプス固定、経過観察などさまざまで、議論が分かれている。著者は、「今回の結果は、橈骨遠位端の膨隆骨折の小児に対しては、包帯を巻いて帰宅させるという戦略を支持するものである」とまとめている。Lancet誌2022年7月2日号掲載の報告。包帯vs.硬性固定、3日後の疼痛を評価 研究グループは、橈骨遠位端膨隆骨折の小児965例(4~15歳)を、特注のウェブベースの無作為化ソフトウエアを用いて、包帯群または硬性固定群に1対1の割合で無作為に割り付け、6週間追跡した。除外基準は、受傷後36時間以降での診断、患側手首以外にも骨折がある場合などとした。治療を行った医師、患者およびその家族は割り付けに関して盲検化できなかった。治療に当たった臨床チームは追跡評価に参加しなかった。 包帯群にはガーゼロール包帯などの簡単な包帯を提供し、包帯の使用・中止の決定は家族の自由裁量とした。硬性固定群では、手首用スプリントまたは治療医師が成形したギプスなどが救急外来で装着された。 主要評価項目は、無作為化後3日時点の疼痛(Wong-Baker FACES Pain Rating Scaleにより評価)で、修正intention-to-treat(ITT)およびper protocol解析を実施した。3日後の疼痛は両群で同等、試験期間を通じて疼痛・機能に群間差なし 2019年1月16日~2020年7月13日の期間に、965例が無作為化された。包帯群489例、硬性固定群476例で、女児が379例(39%)、男児が586例(61%)であった。965例中、主要評価項目データが収集されたのは908例(94%)で、その全例が修正intention-to-treat解析に組み込まれた。 無作為化後3日時点の疼痛スコア(平均±標準偏差[SD])は、包帯群3.21±2.08、硬性固定群3.14±2.11であり、同等であった。補正後群間差は、修正ITT集団で-0.10(95%信頼区間[CI]:-0.37~0.17)、per-protocol集団では-0.06(-0.34~0.21)で、いずれも事前に設定された同等性マージン(±1.0)内であった。 試験期間中の他の評価時点(無作為化後1週時、3週時および6週時)においても、疼痛スコアは両群で同等であった。また、患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)を用いた機能についても、6週間の追跡期間中に群間差はなかった。

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高齢者の4回目接種、オミクロン株への有効性は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])の4回接種は、3回接種と比較し、オミクロン変異株流行中の長期療養施設の60歳以上の入居者において、SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染(症状の有無を問わないRT-PCR検査陽性)、症候性感染および重篤なアウトカム(入院または死亡)の予防を改善することが、カナダ・オンタリオ州公衆衛生局のRamandip Grewal氏らによる検討で示された。また、4回目接種者はワクチン未接種者と比較し、重篤なアウトカムへの予防効果は高いことも示された。ただし、保護効果の持続期間は不明であった。これまでに、イスラエルにおける60歳以上を対象としたリアルワールドの有効性試験では、BNT162b2の4回目接種者は3回目接種者(4ヵ月以上前に接種)と比較して、オミクロン変異株への感染およびCOVID-19重症化がかなり予防できることが示唆されていた。BMJ誌2022年7月6日号掲載の報告。カナダ介護施設60歳以上の入居者約6万人について解析 研究グループは、カナダ・オンタリオ州の長期療養施設626ヵ所において、2021年12月30日~2022年4月27日の期間にSARS-CoV-2のRT-PCR検査を1回以上受け適格基準を満たした、60歳以上の入居者6万1,344例を対象に、検査陰性デザインによる症例対照研究を行った。1週間に少なくとも1回陽性となった入居者を症例とし、同じ週の検査がすべて陰性であった入居者を対照とした。 主要評価項目は、RT-PCR検査で確認されたSARS-CoV-2オミクロン変異株の感染、入院または死亡。 多変量ロジスティック回帰法を用いて、年齢、性別、地域、併存疾患、検査実施週、90日以上前のSARS-CoV-2陽性歴等で補正し、限界有効性(4回接種vs.3回接種)ならびにワクチン有効性(2回、3回および4回接種vs.未接種)を推定した。4回目接種は、3回目接種よりオミクロン株感染予防をやや改善 SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染陽性者は1万3,654例、陰性対照者は20万5,862例であった。 ワクチン接種後7日以上を経過した4回目接種(95%がmRNA-1273を接種)の、84日以上経過した3回目接種に対する限界有効性は、症状の有無を問わない感染に関して19%(95%信頼区間[CI]:12~26)、症候性感染が31%(20~41)、重篤なアウトカムに関して40%(24~52)であった。 ワクチン接種者の未接種者に対するワクチン有効性は、追加接種ごとに増加し、4回目接種では、症状の有無を問わない感染に関して49%(95%CI:43~54)、症候性感染が69%(95%CI:61~76)、重篤なアウトカムに関しては86%(81~90)であった。

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生後6ヵ月~4歳へのコロナワクチン、国内製造販売承認を申請/ファイザー

 ファイザーは7月14日付のプレスリリースで、生後6ヵ月~4歳の小児に対する同社の新型コロナウイルスワクチン(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン[SARS-CoV-2]、商品名:コミナティ筋注)の製造販売承認を、厚生労働省に申請したことを発表した。 国内では、同社製の5~11歳に対する新型コロナワクチンが、2022年1月21日より承認されている。 なお米国では、6月17日に、生後6ヵ月以上に対する同社製のワクチンについて、米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)したことを発表している。

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大事件発生【Dr. 中島の 新・徒然草】(434)

四百三十四の段 大事件発生2022年7月8日の午後、脳外科のカンファレンス室に行った時のことです。「奈良医大かな」「心肺停止みたいですね」皆がスマホを見ながら、それぞれに話をしていました。中島「何かあったわけ?」そう尋ねてみると、予想外の答えが返ってきました。同僚「安倍さんが撃たれたんですよ」中島「ええっ!」冗談かと思いました。同僚「散弾銃らしいです」中島「ホンマかいな!」後は皆さんご存じのとおり。その日の午後5時3分に、安倍 晋三元首相は亡くなりました。もうau通信障害の事件なんか、遠い昔のような気がします。さて今回の事件、最初は陰謀かと思わされました。でも、某宗教団体に対する恨みで安倍氏を銃撃したとのこと。しかも手製の銃で、です。理由と行動の間に飛躍がありすぎる!とはいえ、これまでにも妄想としか思えない理由で起こされた大事件は、いくつかあります。すぐに思いつくのは、元厚生事務次官宅連続襲撃事件や京都アニメーション放火殺人事件など。前者は34年前に飼犬を殺された、後者は応募した小説のアイデアをパクられた、という思い込みが犯行の理由になっています。それにしても、妄想で恨みを買うなどというのは恐ろしすぎます。知らないうちに、誰かから呪われているわけですから。とくに我々のように大勢の人を相手にする仕事だと、そういうことも、なきにしもあらず。さらに、AがBを恨んで放火したときに、たまたま自分が近くにいた、ということもあるでしょう。私なんかボーッとしていることが多いので、巻き添えになる可能性は十分あります。何か起こったときにはすぐに逃げる。その一択です。ということで、ずいぶん暗い話になってしまいました。何か起こったらすぐに逃げ出す心の準備。その一方で、いつ死んでも悔いのない生き方。そういったことが大切なのかもしれません。最後になりましたが、安倍 晋三氏のご冥福を心からお祈りいたします。混乱の中で1句炎天下 天に召された 元首相

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この仕事量はミッション・インポッシブル!? 1年目フェローだけの24時間オンコール【臨床留学通信 from NY】第35回

第35回:この仕事量はミッション・インポッシブル!? 1年目フェローだけの24時間オンコールさて、前回までは講義やローテーションの仕組みの概要を説明いたしました。今回からもっと実務的な内容をご紹介したいと思います。その中でも、24時間当直について説明したいと思います。米国では、医学教育プログラムのトレーニング内容は施設によって差はありますが、ACGME(Accreditation Council for Graduate Medical Education、米国卒後医学教育認定評議会)という団体が、内科レジデントや、循環器フェローなど、各教育プログラムをおおむね管理しており、施設の大きさや教育の仕組みなどによって、病院が雇えるレジデント、フェローに制限を設けています。全米でのフェローの枠が一定数に決まっているため、内科の中でも人気のある循環器フェローには、希望者の6割程度の人しか進むことができません。さらにACGMEは、当直したその次の日に働くことを原則禁止しており、24時間を最大の連続勤務時間とし、週80時間を最大勤務時間としています。抜け道として、自宅待機で電話でのオンコール対応をメインとしている病院のフェローは、次の日も働かなければならないようです。それはさておき、そのような時間制限が可能なのは、豊富な数のレジデントないしフェローがいるからなのです。日本より楽!?と思うかもしれませんが、やはりここはアメリカ。日本の忙しい病院で寝る暇もなく夜通し働いて、次の日も通常の8時間、いや12時間勤務、ということまでは確かにありません。しかし、瞬間的に裁く仕事量は日本より多く、物理的にほぼ不可能な量(医療ミスが起きてもおかしくないレベル)の処理をしなければならないこともあります。私は卒後10年以上経っていて、医学的判断に問題はないといっても、瞬間的な量が一気に降りかかってしまう時のストレスは、日本の時以上です。しかも英語ということで、疲れも倍増している気がします。24時間オンコールについて、具体的に説明します。土曜から日曜の勤務の場合、朝7時半に病院に来て、その前の晩に泊まっていたオンコールフェローから引き継ぎを受けます。そして、CCUの12人の患者のラウンドが8時半から2~3時間ほどあり、必要な中心静脈カテーテルやスワンガンツカテーテルを入れるのはフェローの仕事です。さらには、病院の中のすべてのコンサルテーションを一手に引き受けます。胸痛があってトロポニンが陽性なら循環器内科の介入が必要で、コンサルテーションは妥当だとわかりますが、敗血症に伴ったトロポニン陽性で、大した介入が必要でない人もいます。介入が不要な患者でもコンサルテーションしてくるのは、訴訟対策のためかもしれません。一方で、不整脈や心不全のサブスペシャリティもカバーしなければならず、ICD(植込み型除細動器)の誤作動、頸静脈ペーシングが必要な人への対応や、LVAD(左室補助ポンプ)のトラブルや、移植後の拒絶反応への対応などさまざまです。そのような対応が1日平均で15~20件あり、STEMI(ST上昇型心筋梗塞)が来たらその判断をして、STEMIチームを始動することなどもフェローの仕事です。正直、アメリカのレジデントを終わりたてのフェロー1年目には手に負えるわけもなく(多くは中心静脈カテーテルを数回入れたかどうかの経験です)、2~3年目フェローのバックアップや、それぞれの分野の指導医に電話で指示を仰ぎながら、なんとかこなしていくことで経験を積んでいきます。経験の浅い1年目フェローに経験を積ませることが目的だとしても、1年目フェローしかいない最も大変な土日の24時間オンコールは、ちょっと野蛮な仕組みではないかな、と思う次第です。Column画像を拡大する祝日を利用して、2泊3日で同じニューヨーク州のナイアガラの滝に行ってきました。手前がアメリカ滝、奥がカナダ滝、対岸がカナダです。きれいに2本の虹がかかっていました。同じ州といってもマンハッタンから650kmほど離れているので、車で7時間ほどかかりました。カメラはLeica M9を使用しています。

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介護施設での看取りにどう対応するか【非専門医のための緩和ケアTips】第31回

第31回 介護施設での看取りにどう対応するか在宅医療に関わる方であれば、介護施設における訪問診療を担当される方も多いと思います。そうすると、たびたび直面するのが「施設での看取り」です。長く過ごした施設で最期まで過ごさせてあげたい…。そんな家族やスタッフの気持ちの反面、在宅での看取りとは別の難しさもあります。今日の質問訪問診療で担当している施設の患者さんが、そろそろお看取りが近そうです。施設のスタッフはお看取りの経験がありませんが、長く過ごされていた患者さんであり、「最期まで施設で過ごさせてあげたい」という気持ちが強いようです。こうしたケースで注意するべき点は何でしょうか?私も施設への訪問診療をしています。長く過ごした施設で、スタッフの方の暖かなケアを受けながら最期まで過ごされ、良いお看取りになったと感じる患者さんもいらっしゃいました。その一方で、さまざまな理由で、看取りに対応するのが難しい施設もあります。「最後は入院してもらわないと…。こちらでは対応できません」といったやりとりもしばしば経験します。施設と一言で言っても、その種類や抱える事情はさまざまです。その中でわれわれ医療者ができることは何でしょうか?それは、「施設スタッフもケアの対象」と捉え、対話することです。看護師が在籍する施設でも、休日夜間は介護スタッフを中心に対応している施設が大半です。介護スタッフは介護のスペシャリストです。寝たきりの患者さんが褥瘡もなく、肌も綺麗にしているのは彼らの提供する介護やケアの賜物です。しかし、看取りが近い方について介護スタッフの方と話すと、多かれ少なかれ不安を感じています。「今後どうなるかわからない」「心配する家族から何か聞かれたらどうしよう」など、医療のプロでない彼ら彼女らが不安になるのは当然でしょう。緩和ケアにおいては、「ケアを提供する方もケアの対象」です。皆さんが施設での看取りに関わることがあったら、ぜひ施設スタッフの方への声掛けをお願いします。そして、取り組んでいるケアについて言語化し、ねぎらいましょう。私がよくする声掛けとしては、「お肌がすごく綺麗でびっくりしました。いつもケアしてくださってるんですよね?」といった、具体的なケアで気付いたことや、「ご本人はすごく穏やかな表情ですね。皆さんを信頼されてるんでしょうね。今、ご心配なことはないですか?」といったものがあります。施設での看取りについては、ぜひ施設スタッフもケアの対象として、関わってみてください。今回のTips今回のTips施設での看取りは、施設スタッフもケアの対象として声掛けや対話をする。

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第2回 第7波到来―アフターコロナの女神は微笑まない?

6月12日に当院の新型コロナ病床はゼロ床になりました(写真)。軽症中等症病床を担当していますが、これまで1,000人以上のCOVID-19を診療してきました。ほとんどが回復して元気に退院してくれましたが、この病棟の中で亡くなった人も少なくありません。ゼロ床になったとき、「このままアフターコロナを迎えるのかもしれない」という、そんな淡い期待がありました。しかし、そうは問屋が卸さなかった。写真. いったん閉鎖した新型コロナ病棟(国立病院機構近畿中央呼吸器センター、6月12日)期待は必ず裏切られる厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは6月30日、全国の直近1週間の10万人当たりの新規感染者数が約92人へ増加し、今週先週比は1.17になったことを報告しました1)。また、若者だけでなく、すべての年代で微増となっていることもわかっています。また、6月第5週に、保健所の知り合いからこんな連絡が来ました。「陽性者もじわじわ増えているけど、入院依頼も多そう。近々、そちらにも依頼が行くと思います」と。とはいえ、「増えても1人か2人程度だろう」と予想していましたが、6月第5週の1週間でなんと7人の入院依頼がありました。7月に入り、景色が少しずつ変わってきました。東京都のオミクロン株BA.5の割合は7月7日時点で33.4%に到達しました2)。入院要請数も増えてきて、高齢者だけでなく中高年層の入院も増えてきました。増加比は高く、東京都は4週間後の8月3日には新規感染者数が5万人以上と、第6波を超える可能性があるとしています。アフターコロナの女神は微笑んでくれず、かくも期待は裏切られました。コロナ禍では「こうだといいな」ということとは、たいてい逆のほうに物事が運ぶことが多いです。“Anything that can go wrong will go wrong.”というのはマーフィーの法則の基本理念。人類を、よくもまぁここまで翻弄してくれるな、と思わざるを得ません。オミクロン株の肺炎例は少ない関西では第4波のアルファ株、関東では第5波のアルファ株の下気道親和性が高く、肺炎の罹患率も相当高かったものの、オミクロン株以降では肺炎の頻度は極端に少なくなりました。酸素投与が必要な中等症IIは今のところいません。オミクロン株になってウイルスそのものが弱毒化していることと、ワクチン接種が進んだことの、両方の恩恵を受けていると考えられます。4回目のワクチン接種は重症化予防が主たる目的ですが、毎日COVID-19患者さんと接触機会がある医療従事者は全国にたくさんいます。重症化リスク因子がなくても重症化してしまう事例もありますので、廃棄されているワクチンがあるのなら、医療従事者を接種対象に含めてもよいのではと思います。このまま7月下旬にはBA.5に置き換わる予定です。BA.2との違いは、BA.5はスパイクタンパク質に69/70欠失、L452R、F486V変異を有していることです。しかし、現時点で既存のオミクロン株と比べて、重症度が増すというエビデンスはありません。ただし先日、東京大学医科学研究所から、BA.5は肺で増殖しやすく、BA.2と比較して肺炎が多いというデータが提示されています3)。これが本当ならば、「ただの風邪だから大丈夫だろう」となめてかかるとまずいことになります。「感染者数は多いが、肺炎はそこまで多くない」という状況がダラダラ続くのであれば、医療逼迫はそこまで起こらないかもしれません。しかし、過去最大の死者数を出したのは、直近の第6波です。決して油断できないと考えております。参考文献・参考サイト1)第89回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(2022年6月30日)2)(第92回)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議(2022年7月7日)3)Kimura I, et al. Virological characteristics of the novel SARS-CoV-2 Omicron variants including BA.2.12.1, BA.4 and BA.5. bioRxiv. 2022 May 26.

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認知症有病率の日本のコミュニティにおける20年間の推移

 認知症患者数は世界的に増加しており、とくに世界で最も高齢化が進む日本において、その傾向は顕著である。認知症高齢者の増加は、予防が必要な医学的および社会経済的な問題であるが、実情について十分に把握できているとはいえない。愛媛県・平成病院の清水 秀明氏らは、1997~2016年に4回実施した愛媛県中山町における認知症サブタイプ横断研究の結果を解析し、認知症有病率の経年的傾向について報告した。その結果、認知症の有病率は、人口の高齢化以上に増加しており、高齢化だけでない因子が関与している可能性が示唆された。著者らは、認知症高齢者の増加を食い止めるためには、認知症発症率、死亡率、予後の経年的傾向や認知症の増進・予防に関連する因子の解明および予防戦略の策定が必要であるとしている。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年6月26日号の報告。認知症有病率は年齢標準化すると有意に増加 愛媛県中山町に在住する65歳以上のすべての住民を対象とし、1997年、2004年、2012年、2016年の4回にわたり、認知症に関する横断的研究を実施した。すべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、その他/分類不能の認知症の有病率について、経年的傾向を調査した。 アルツハイマー病など認知症の有病率について経年的傾向を調査した主な結果は以下のとおり。・すべての原因による認知症の年齢標準化有病率は、有意に増加していた。・アルツハイマー病、その他/分類不能の認知症においても同様の傾向が認められたが、血管性認知症では有意な変化が認められなかった。【すべての原因による認知症の有病率】1997年:4.5%、2004年:5.7%、2012年:5.3%、2016年:9.5%(P for trend<0.05)【アルツハイマー病の有病率】1997年:1.7%、2004年:3.0%、2012年:2.5%、2016年:4.9%(P for trend<0.05)【血管性認知症の有病率】1997年:2.1%、2004年:1.8%、2012年:1.8%、2016年:2.4%(P for trend=0.77)【その他/分類不能の認知症の有病率】1997年:0.8%、2004年:1.0%、2012年:1.0%、2016年:2.2%(P for trend<0.05)・すべての原因による認知症とアルツハイマー病の粗有病率は、75~79歳および85歳以上の高齢者において、1997年から2016年に増加が認められた(すべてのP for trend<0.05)。・同様の傾向は、80歳以上の高齢者において、その他/分類不能の認知症で認められたが(すべてのP for trend<0.05)、血管性認知症では認められなかった。

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コロナワクチン、感染・入院・死亡者数をどれくらい抑制したのか/CDC

 米国疾病管理予防センター(CDC)のMolly K. Steele氏らが、米国の18歳以上の成人において、新型コロナワクチン接種によって予防された感染者数、入院者数、死亡者数を推定したところ、成人の67%がワクチンの初回シリーズ接種完了していた2021年9月において、ワクチン接種により、予想感染者数の52%、予想入院者数の56%、予想死亡者数の58%を防いだと推定された。JAMA Network Open誌2022年7月6日号に掲載。 本研究では、2020年12月1日~2021年9月30日における州、月、年齢層(18~49歳、50~64歳、65歳以上)ごとに、新型コロナによる入院者数のデータから、乗数モデルを用いて感染者数(無症候性含む)と死亡者数を推定した。これらの推定値をワクチンの接種率および有効性データと組み合わせて、感染、入院、死亡のリスクを推定し、18歳以上の米国人集団においてワクチン接種しなかった場合に予測される負荷を推定した。さらに、同集団でワクチン接種した場合の負荷の推定値を、ワクチン接種しなかった場合の負荷の推定値から差し引いて、ワクチン接種者における効果を推計した。なお、米国では、ワクチン接種プログラムを開始した2020年12月12日から2021年9月30日までに、18歳以上の67%がワクチン接種の初回シリーズを完了(ファイザー製ワクチンまたはモデルナ製ワクチンを2回接種もしくはヤンセン製ワクチンを1回接種)している。 主な結果は以下のとおり。・2020年12月1日~2021年9月30日において、18歳以上へのワクチン接種により、感染者数では約2,700万人(95%不確実性区間[UI]:2,200万~3,400万)、入院者数では約160万人(同:140万~180万)、死亡者数では約23万5,000人(同:1万7,500~30万5,000)を抑制したと推定された。・2021年9月1日~30日において、ワクチン接種により、予想感染者数の52%(95%UI:45~62)、予想入院者数の56%(同:52~62)、予想死亡者数の58%(同:53~63)を抑制したと推定された。 これらの結果から、米国におけるワクチン接種が、接種者における感染、入院、死亡を実質的に防御したことを示すと結論している。

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5~11歳へのコロナワクチン、43~84日後の感染予防効果は21.2%/Lancet

 イタリアの5~11歳児への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」(ファイザー製)の有効性は、12歳以上と比べて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染およびCOVID-19重症化について、いずれも低いことが示された。また、感染への有効性は2回接種後最大となるが、その後は低下する。イタリア・Istituto Superiore di SanitaのChiara Sacco氏らが行った、5~11歳児対象の試験では最大規模かつ米国外では初めてとなる検討で、2022年1月~4月に2回接種を受けた106万超のデータを後ろ向きに解析した。イタリアでは、ファイザー製ワクチンの承認から4ヵ月超(2022年4月13日時点)で5~11歳児の接種率は40%弱であったという。研究グループは、今後のワクチン接種方針と戦略を定義し公衆衛生担当部局に通知するために、オミクロン変異株(B.1.1.529)流行中における5~11歳児へのワクチン接種の有効性を推定する検討を行った。Lancet誌2022年6月30日号掲載の報告。対SARS-CoV-2感染と対COVID-19入院・死亡への有効性を評価 研究グループは、イタリアの全国COVID-19サーベイランス・システムと全国ワクチン登録名簿をリンクして、SARS-CoV-2感染と重症COVID-19(入院または死亡)に対するBNT162b2ワクチンの有効性を評価する、後ろ向き集団解析を行った。 適格としたのは、SARS-CoV-2感染歴のない同国5~11歳児で、2022年1月17日~4月13日に追跡した。ワクチン接種データに一貫性がなく、試験開始前にSARS-CoV-2感染が診断された児、居住地に関する情報がない児は、解析から除外した。 ワクチン未接種の児を参照群とし、ワクチンの部分接種(1回接種)および完全接種(2回接種)の有効性を推算した。感染予防効果、2回接種後0~14日で38.7%と最大も、43~84日後には21.2%に低下 2022年4月13日の時点で、2回接種を受けていたのは、試験に組み込まれた5~11歳児296万5,918人中106万3,035人(35.8%)であった。1回接種は13万4,386人(4.5%)、未接種は176万8,497人(59.6%)だった。 試験期間中に報告されたSARS-CoV-2感染は76万6,756例、重症COVID-19は644例(うち入院627例、IUC入室15例、死亡2例)だった。 全体的に、ワクチン2回接種の有効率は、対SARS-CoV-2感染が29.4%(95%信頼区間[CI]:28.5~30.2)、対重症COVID-19は41.1%(22.2~55.4)だった。ワクチン1回接種の有効率は、それぞれ27.4%(26.4~28.4)、38.1%(20.9~51.5)だった。 対SARS-CoV-2感染のワクチン有効性は、2回接種後0~14日で38.7%(95%CI:37.7~39.7)と最大化し、43~84日後には21.2%(同:19.7~22.7)へと低下した。著者は、「現行のプライマリワクチンサイクル(2回接種)の完遂後に、感染への有効性は低下すると思われる」と述べている。

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急性期疾患の静脈血栓塞栓症予防、中用量の低分子ヘパリンが最適か/BMJ

 急性期疾患で入院した成人患者への抗凝固薬は、症候性静脈血栓塞栓症のリスク低下と大出血リスクを考慮すると、中用量低分子量ヘパリンが最適と思われる見解を、オランダ・フローニンゲン大学のRuben J. Eck氏らが、被験者総数9万人超を対象としたシステマティック・レビューとネットワークメタ解析の結果、示した。未分画ヘパリン(とくに中用量)と直接経口抗凝固薬(DOAC)のプロファイルは最も不良であったという。BMJ誌2022年7月4日号掲載の報告。 エビデンスの質はCINeMAで評価 研究グループは、急性期疾患で入院した患者において、静脈血栓塞栓症の予防を目的とした抗凝固薬投与のベネフィットと有害性を抗凝固薬の種別および投与量別に評価するシステマティック・レビューとネットワークメタ解析を行った。 Cochrane CENTRAL、PubMed/Medline、Embase、Web of Science、臨床試験レジストリ、全国保健局データベースをデータソースとして2021年11月16日時点で検索した。適格試験は、急性期疾患で入院中の成人患者に対する静脈血栓塞栓症予防を目的に、低~中用量低分子量ヘパリン、低~中用量未分画ヘパリン、DOAC、五炭糖、プラセボ、または非介入を評価した公表/未公表の無作為化対照試験。 ランダム効果・ベイジアンネットワークメタ解析に用いた主要アウトカムは4項目で、90日時点(またはそれに最も近い時点)の全死因死亡、症候性静脈血栓塞栓症、大出血、重篤な有害イベントだった。 また、バイアスリスクは、コクランバイアスリスク2.0ツールで評価し、エビデンスの質はCINeMA(Confidence in Network Meta-Analysis)フレームワークでグレード付けした。大出血リスク、中用量未分画ヘパリンが2.6倍、DOACが2.3倍 44の無作為化試験、被験者総数9万95例が主要解析に含まれた。 いずれの介入もプラセボとの比較において、全死因死亡を低下しなかった(エビデンスの質:低度~中等度)。 症候性静脈血栓塞栓症の発症の軽減は、低いほうから五炭糖(オッズ比[OR]:0.32、95%信用区間[CrI]:0.08~1.07)、中用量低分子量ヘパリン(0.66、0.46~0.93)、DOAC(0.68、0.33~1.34)の順で、中用量未分画ヘパリン(0.71、0.43~1.19)が最も軽減する可能性が高かった(エビデンスの質:非常に低度~低度)。 大出血については、中用量未分画ヘパリン(OR:2.63、95%CrI:1.00~6.21)、DOAC(2.31、0.82~6.47)は、最も発症を増大する可能性が高かった(エビデンスの質:低度~中等度)。 重篤な有害イベントに関して、介入の違いによる差は認められなかった(エビデンスの質:非常に低度~低度)。 プラセボではなく非介入との比較では、いずれの実薬も静脈血栓塞栓症および死亡のリスクに関して好ましい結果が示されたが、大出血については好ましい結果は示されなかった。これらの結果は、事前に規定した感度・サブグループ解析でも一貫していた。 なお研究グループは、エビデンスの質が低度~中等度であること、事後処理の統計学的不一致などを主な理由として、今回の検討は限定的なものと述べている。

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医療略語が言葉の壁!?正しい病名はどれ?【知って得する!?医療略語】第15回

第15回 医療略語が言葉の壁!?正しい病名はどれ?ガイドラインや論文を調べていたら、似通った名前の疾患がこんなにありました!それぞれに異なる略語がついています。どれが正しいのでしょうか? 違いや定義が分かりません…。高浸透圧性高血糖症候群(HHS:hyperosmolar hyperglycemic syndrome)高浸透圧高血糖状態(HHS:hyperosmolar hyperglycemic state)高血糖高浸透圧昏睡(HHNK:hyperosmolar hyperglycemic non-ketotic coma)高浸透圧性非ケトン性糖尿病性昏睡(HONC:hyperosmolar non-ketotic diabetic coma/HNDC:hyperosmolar non-ketotic diabetic coma)非ケトン性高浸透圧性昏睡(NKHC:non-ketotic hyperosmolar coma)非ケトン性高浸透圧性症候群(NKHS:non-ketotic hyperosmolar state[syndrome])高浸透圧高血糖非ケトン性昏睡(HHNC:hyperosmolar hyperglycemic non-ketotic coma)意図している病態は同じ気がしますが、似通った表記が多いですね。今回は日本の医療言語について考えてみましょう。皆さんは「けいぶ」を漢字表現するとき、「頸」と「頚」のどちらで記載していますか? どちらで表記するのが正しいか教育を受けたことはありますか? 筆者は「くび」の表現をさほど気にしたことがなく、各電子カルテ端末の漢字変換任せだったので、どちらかを意識して使用してきたことはありませんでした。ちなみに日本工業規格のJISでは「頸」が採用されているようです。しかし、このように1つを表現するのにも複数の表記方法があることは、情報処理の観点では不都合が起こります。たとえば、ある論文データベースで検索すると、「頸部」と「頚部」で検索結果が異なるのです。筆者は論文を貴重な医療情報と捉えていますが、このような表記の揺れ、あいまいさはデジタル処理をする際にも支障を来します。上述のように漢字の字体レベルの問題であれば、臨床実務の上でさほど大きな支障はないでしょう。しかし、これが病名になると話は違います。1つの病態や疾患に複数の病名が付いていることは、皆さんもご存じだと思いますが、筆者は非常に混乱の元だと思っています。ガイドラインを頼りにしたくても、ガイドライン同士で表現や用語が異なることが少なくありません。医学的知見の蓄積で病名が変化すること自体は、やむを得ないでしょう。しかし、病名の新しい呼称と旧病名の使用管理をしないと、冒頭に挙げたように新旧入り乱れてさまざまな類似表記が多数存在し、どれが一体正しい表記なのか混乱を招きます。筆者はこのような用語の不統一を解消するため、各医学領域の垣根を越えた、医療言語を整備、管理、統一する組織が日本に必要だと考えています。海外を見れば、医療用語の整備組織として、SNOMED internationalが存在します。しかし、国ごとに参加費用が異なり、日本が参加するにはそれなりの額の費用負担が必要となります。この費用を誰が負担するのかも課題ですが、英語ベースの医療用語をそのまま日本に輸入できるかと言えば、そうではないと考えます。近年の各学会のガイドラインを見ていると、国際学会の直訳と思われる用言や表記が少なく、日本語に和訳する際にきちんと日本人が理解できるように和訳および表記される必要があります。一方で、適切な日本語訳がなく、アルファベットのまま独り歩きしている医療用語も存在します。現場の医療情報を利活用しようとする機運が高まる中で、大切なのは共通の医療言語を使用していくことではないでしょうか。欧米にはアルファベットしかありませんが、日本にはひらがな、カタカナ、漢字、そして英字と言語学的にも文字の種類が豊富です。このような言語背景を持つ日本だからこそ、医療言語の整備と統一は、日本の医療界が本気で取り組むべき大きな課題だと考えます。

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