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第109回薬剤師試験は合格率68%、ついに募集を停止する大学も…【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第130回

第109回薬剤師国家試験が実施され、2024年3月19日に合格発表が行われました。厚生労働省は19日、第109回薬剤師国家試験について、合格率は68.43%(前年度比0.57ポイント減)だったと発表した。合格者数は9296人と前年から306人減った。受験者数も1万3585人と330人減っている。新卒に限った合格率は84.36%、合格者数は7100人。新卒と既卒を合わせた合格率の最下位は千葉科学大学の30.95%、次いで下から青森大学33.33%、姫路獨協大学36.03%、奥羽大学38.28%、第一薬科大学38.68%の順だった。(2024年3月21日付 RISFAX)今春、新たに薬剤師になった方は9,296人とのことです。合格された方、おめでとうございます! 4月になり、すでに新しい環境で活躍されていることでしょう。第109回の受験者数や合格率は、ほぼ横ばいという感じです。合格率は68.43%で、4年連続で70%を下回っており、薬剤師国家試験の合格率は60%台、というイメージが定着してきたような気がします。新卒は84.36%、既卒は42.42%という内訳で、既卒の厳しさというのも例年どおりのようです。一方、こんなニュースも飛びこんできました。姫路獨協大学が2025年度から薬学部の入学者募集を停止すると発表した。在籍する全ての学生の卒業を見届けた後、廃部となる見通しという。全国の薬学部で募集停止は初めてとなり、新モデル・コア・カリキュラムがスタートしたばかりの6年制薬学部・薬科大学に衝撃が走った。(2024年4月5日付 薬事日報)冒頭の記事にもあるように、姫路独協大学の合格率は36.03%でワースト3位でした。同学部は定員100人に対して入学者が20人程度にとどまるなど、厳しい状況が続いていたようです。教育水準や生徒のレベル、国家試験合格率の低さ、生徒の少なさなど、卵が先かニワトリが先かという感じで要因は1つではないと思いますが、国家試験合格率の低い大学はこれからも厳しい状況が続くと考えられます。20年ほど前に薬学部の新設ラッシュがありました。薬学部を目指す人たちが入学できる枠が広がったという意味ではよかったと思います。しかしながら、それに加え薬学部が6年制になり、国家試験の合格率も厳しくなりました。私立の薬学部では、学費もばかになりません。6年という時間とその学費を費やしたのですから、やはり薬剤師の国家資格を得たいと思う人は多いでしょう。国家試験の合格率というのは、ある種のバロメーターになるだろうと想像します。1つの大学の薬学部の廃止のニュースですが、何かの始まりのような、そんな気がしてなりません。

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かゆい乳児湿疹が治まらない…、まず行うべきことは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第20回

かゆい乳児湿疹が治まらない…、まず行うべきことは?講師国立成育医療研究センター アレルギーセンター 総合アレルギー科 診療部長 福家 辰樹 氏【今回の症例】生後5ヵ月の男児。生後2ヵ月ごろから顔面に発赤と皮疹が目立ち、抱っこすると顔を擦りつける様子があった。近医で乳児湿疹と言われ、ステロイド外用薬(IV群)を処方されたが、良くなったり悪くなったりを繰り返している。次第に体幹や四肢関節部にもかゆみを伴う皮疹が出現し、一部はじくじくするため、当科を受診した。

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英語で「ワクチン接種はしていますか」は?【1分★医療英語】第127回

第127回 英語で「ワクチン接種はしていますか」は?《例文》医師Are you vaccinated? It looks like your new office requires it for all employees.(ワクチン接種はしていますか? あなたの新しい職場ではすべての従業員に対して求められているようですが)患者Yes, I have completed the vaccination series. I'll bring my vaccination card tomorrow.(はい、すべてのワクチン接種を[追加接種を含め]済ませてあります。明日、接種証明書を持ってきます)《解説》今回は“Are you vaccinated?”という表現の解説です。ここ数年間はコロナワクチンの登場によって「ワクチン」という言葉を聞かない日はなかったくらいでした。“vaccinate”は動詞で「ワクチンを(医療者が)打つ」という意味になります。そして、“Be vaccinated?”と受動態を使うことによって、「あなたはワクチン接種をしていますか?」という意味になります。意味は「ワクチンを打ちましたか?」ですが、あまり過去形は使われず、“Are you vaccinated?”という現在形の受け身の文で表現することが一般的です。医療現場でもこの表現はとてもよく使われています。会話例・例文に出てきた、“fully vaccinated”は「(推奨される)ワクチンをすべて接種している」という意味になり、“completed the vaccination series”は「数回接種が必要なワクチンをすべて完了している」という意味になります。“vaccination card”は「接種証明書」です。ぜひこれらも併せて覚えておきましょう。講師紹介

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臨床実習を味わう ケアネット動画Cafe

「医学生のみなさん、ケアネット動画Cafèにようこそ!」ケアネット プログラムディレクターこと私、民谷と一緒にケアネット動画を鑑賞するという企画です。コーヒーの滋味を最大限に引き出すバリスタのように、ケアネットにある膨大な医師向け動画のストックから、医学生にピッタリの最高の1本を選び抜き、味わい、臨床実習への活かし方をお話しします。Cafèの所在地はバーチャル空間。Zoomウェビナーで顔出しなしなので、気軽に参加できます。テーマごとに、(1)動画視聴 → (2)コメント欄で質問 →(3)民谷が口頭で回答 というパッケージで進行。「動画で学ぶ+疑問点を解消する」というスタイルですので学習効率も高まることでしょう。毎回、1本10分程度の動画を4テーマ4本視聴します。4つのテーマは、臨床実習に直結するものばかり。充実した臨床実習を過ごせるヒントを提供することをお約束します。バリスタ民谷が丹精込めて抽出する臨床実習のエッセンスを一緒に味わってみませんか?多数のご来店、お待ちしております。コーヒーはご持参ください。(笑)株式会社ケアネット メディア本部プログラムディレクター 医師 民谷健太郎株式会社ケアネット メディア本部 プログラムディレクター 医師 民谷健太郎<問い合わせ先>CareNeTV医学生向けプロジェクト事務局igakusei-prj@carenet.co.jp<注意事項>(1)個人情報の取り扱いについて本イベントにご参加いただく際には、参加者の氏名およびメールアドレスをご入力いただきます。当社は、ご入力いただいたこれらの個人情報を、本イベントの申込受付および運営上の管理のために利用し、本イベント期間中のみ、弊社にて保管いたします。なお、本イベント終了後は、速やかに削除・抹消いたします。*当社の個人情報保護規定は、以下をご確認ください。https://www.carenet.com/info/personal.html(2)著作権本講座にかかる映像、画像、テキスト、音声又は関連資料等の著作権は講師、主催者、その他の著作権者に帰属します。目的の如何を問わず、講座に関する情報の複製、送信、転載、その他二次利用行為はお断りさせていただきます。(3)その他講義の録画、録音および画面の撮影は禁止いたします。

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第211回 承認薬一つひとつの検討を含む個別化がん治療の試験成績が有望

血液や腫瘍から集めたがん細胞で多ければ125の承認薬一つひとつを新たな手法で検討し、ゲノム解析結果も加味して患者ごとに割り出した薬の組み合わせによる個別化がん治療が、米国のフロリダ国際大学(FIU)の研究者らによる試験で有望な成績を収めています1)。個別化治療で最も多く使われている手段は患者のがんのDNA解析です。昔ながらの方法で数千もの遺伝子を解析するには何週間もかかります。辛抱強く待ってその結果をようやく手にしたところで、治療手段が結局わからず仕舞いということもありえます。ゲノム解析結果のみをよりどころとして治療方針が決まったところでそれが有益であることは少ないようで、最近の報告によると成人患者のわずか10例に1例ほどに限られるようです2)。小児患者でのその割合はもっと低いでしょう。FIUのDiana Azzam氏らのチームが手掛ける個別化治療でもゲノム解析が実施されます。しかしそれだけではなく、患者の血液や腫瘍検体から集めた生きたがん細胞を使って承認薬の効果のほどを検討する薬剤感受性検査(drug sensitivity testing:DST)も含みます。Azzam氏らによる試験には再発/治療抵抗性の難儀な固形がんや血液がんの小児患者25例が組み入れられ、それらのうち21例がDSTでの薬のふるい分けを受け、20例はゲノム解析も行いました。DSTの結果判明までの日数の中央値は血液がんで9日、固形がんで10日でした。ゲノム解析の結果判明までの中央値は約27日です。最終的に6例がDSTとゲノム解析の両方に基づく治療を受け、それら6例中5例は奏効し、無増悪生存期間(PFS)は前治療を1.3倍上回りました。また、DSTとゲノム解析に基づかない治療を受けた8例にも勝りました。それら8例で奏効したのはわずか1例のみでした。とくに有効だった「患者番号13」FIUのニュースでは同試験の被験者の1人であるLogan Jenner君の経過が紹介されています。試験でLogan君は患者番号13(EV013)という扱いでした。しかし、Azzam氏は後にEV013がLogan君であることを知ることになります。そのきっかけはAzzam氏が出席した会(Live Like Bella Pediatric Cancer Research Symposium)でのことです。同会にたまたま居合わせたLogan君の母親がAzzam氏に「息子がどうやら試験に参加していたと思う」と話しかけ、その後の短い会話でAzzam氏はEV013がLogan君であることを悟りました。どの試験もそうであるように、患者の個人情報は厳重に保護されており、Azzam氏にとってほかの被験者はおそらく今後も匿名のままです。その出来事があった後にLogan君はFIUのAzzam氏の研究室を訪問し、いまやAzzam氏の研究室にいつでも出入りできる身となっています。Logan君、すなわちEV013はDSTとゲノム解析に基づく治療がとりわけ奏効した例として論文中でも特記されています。Logan君は3歳のときに急性骨髄性白血病(AML)と診断され、化学療法と骨髄移植を受けて、ひとまずは150日間の寛解期間を過ごしました。しかし運命は残酷で、それから14ヵ月が過ぎた5歳のときに再発に見舞われます。Logan君の担当医のMaggie Fader氏はほかでもないAzzam氏とともに試験を率いた1人で、より最適な治療を求めてLogan君を試験に招きました。Logan君には手の打ちようがある(clinically actionable)FLT3-ITD変異がありました。そこでどのFLT3阻害薬を使うべきかがDSTで検討され、ソラフェニブやポナチニブに比べてmidostaurinがより効果的と判明しました。また、midostaurinと併用する化学療法はフルダラビンとシタラビンで事足り、心毒性が知られるイダルビシンは不要と示唆されました。さらに、ステロイドによる急な細胞増殖が認められたことからその使用が省かれました。DSTとゲノム解析なしでは成し得なかったそのような治療方針の甲斐あって、Logan君は2年を超えてがんなしの生活を過ごせています。ゲノム解析に加えてDSTも行ってそれぞれの患者ごとに治療をあつらえることの力の程をLogan君の経過は見せつけました1)。Azzam氏らによる個別化医療の取り組みは歩みを進めており、小児に加えて成人も参加しているより大規模な臨床試験が進行中です。Logan君が笑って遊んでいるのを見るにつけ、がん治療の革新に向けてわれわれは正しい道を進んでいることを知る、とAzzam氏は言っています3)。参考1)Acanda AM, et al. Nat Med. 2024;30:990-1000. 2)O'Dwyer PJ, et al. Nat Med. 2023;29:1349-1357.3)New approach helped Patient 13 reach remission - could it revolutionize how cancer is treated? / Florida International University

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肺炎診療GL改訂~市中肺炎の改訂点は?/日本呼吸器学会

 2024年4月に『成人肺炎診療ガイドライン2024』1)が発刊された。2017年版からの約7年ぶりの改訂となる。第64回日本呼吸器学会学術講演会において、本ガイドライン関するセッションが開催され、岩永 直樹氏(長崎大学病院 呼吸器内科)が市中肺炎(CAP)に関する改訂のポイントを解説した。非定型肺炎の鑑別を大切にすることに変わりはない CAPへの初期の広域抗菌薬投与や抗MRSA薬のエンピリックな使用は予後を改善せず、むしろ有害であるという報告がある。そのため、エンピリックな耐性菌カバーは予後を改善しない可能性がある。そこで、今回のガイドラインでは、非定型肺炎の鑑別を大切にするという方針を前版から継承し、CAPのエンピリック治療薬の考え方を示している。そこでは、外来患者や一般病棟入院患者では抗緑膿菌薬や抗MRSA薬は使用せず、これらの薬剤は重症例や免疫不全例に検討することとしている(詳細は本ガイドラインp.34図4を参照されたい)。 近年、CAPではウイルスが検出されることが多いことも報告されている2)。そのような背景から、今後は同時多項目遺伝子検査の活用が重要となってくることが考えられる。そこで、今回のガイドラインでは、多項目遺伝子検査に関するクリニカルクエスチョン(CQ)が設定された。多項目遺伝子検査は従来法と比較して原因微生物の同定率が高く(67.5% vs.42.7%)、「行うことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」とされた(CQ19)。なお、多項目遺伝子検査の対象について、岩永氏は「主にCAPがターゲットとなると考えている。とくに免疫不全例では典型的な病像を呈さないことも多いため、これらの症例に有用性があるのではないか」と意見を述べた。CAPのCQとポイント CAPに関するCQとポイントは以下のとおり。・CAPの重症度評価の方法(CQ1) A-DROPスコアはCURB-65スコアやPSIスコアと同等の予測能を示した。A-DROPスコアによる評価は本邦でよく用いられており、簡便であることから「A-DROPスコアによる重症度評価を弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」となった。・注射用抗菌薬から経口抗菌薬への変更(スイッチ療法)(CQ2) CAPに対するスイッチ療法は注射用抗菌薬の継続と比較して、同等の肺炎治癒率を示し、副作用発現頻度は有意差がないが減少傾向で、入院期間を有意に短縮した。また、医療費についてはシステマティックレビュー(SR)を実施していないが、3件の無作為化比較試験(RCT)においていずれも低下させる傾向にあった。以上から「スイッチ療法を行うことを強く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])」となった。・短期抗菌薬治療(CQ3) CAPのアジスロマイシンによる治療とアジスロマイシンを含まない治療のいずれにおいても、短期治療(1週間以内)は標準治療(1週間超)と比較して、死亡率と肺炎治癒率に差がなかった。また、肺炎再燃率や副作用発現率も同等であった。医療費についても、SRは実施していないが、3件のRCTではいずれも低下させる傾向にあった。以上から「初期治療が有効な場合には短期治療を弱く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])」となった。ただし多くのRCTが軽症〜中等症を対象としており、重症例、集中治療を要する症例、高齢者などは注意が必要である。・β-ラクタム系薬へのマクロライド系薬の併用(CQ4) 重症例では、β-ラクタム系薬にマクロライド系薬を併用することで死亡率と肺炎治癒率の改善が認められた。1件の観察研究でコストは増加する傾向にあったが、耐性菌発生率は変化しなかった。非重症例では、併用療法により死亡率や肺炎治癒率、入院期間、耐性菌発生率のいずれも変化しなかった。また、1件の観察研究でコストは増加する傾向にあった。以上から、「重症例では併用することを弱く推奨する、非重症例では併用しないことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」となった。・抗菌薬へのステロイドの併用(CQ5) 全身性ステロイド薬投与は重症例では死亡率を低下させ、非重症例では死亡率を低下させなかった。CAP全体では、併用により肺炎治癒率は変化せず、入院期間が短縮した。以上から、「重症例では併用することを弱く推奨する、非重症例では併用しないことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」となった。

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レビー小体型認知症、受診診療科により治療ニーズが異なる

 大阪大学の池田 学氏らは、レビー小体型認知症(DLB)患者とその介護者の治療ニーズおよびその治療ニーズに対する主治医の認識が、患者が受診している診療科により異なるかを調査した。Alzheimer's Research & Therapy誌2024年3月14日号の報告。 多施設共同横断的観察調査研究のサブ解析を実施した。患者が受診している診療科に応じて、精神科群、老年内科群、神経内科群に分類した。患者と介護者の治療ニーズを「最も苦痛を感じている症状」と定義し、それぞれの回答頻度をまとめた。 主な結果は以下のとおり。・サブ解析には、精神科群134例、老年内科群65例、神経内科群49例の患者および介護者のペアが含まれた。・3群間で統計学的に有意な差が認められた項目は、次のとおりであった。●年齢などの患者特性●初期症状ドメイン●コリンエステラーゼ阻害薬、レボドパ、抗精神病薬、抑肝散の使用●ミニメンタルステート検査(MMSE)、Neuropsychiatric Inventory-12(NPI-12)、MDS-UPDRS Part IIおよびIIIの合計スコア・3群間で患者の治療ニーズに違いは認められなかったが、残留分析において、神経内科群では、パーキンソニズムが他の症状よりも問題であることが示唆された(p=0.001)。・3群間で介護者の治療ニーズに有意な差が認められた(p<0.001)。・患者に最も苦痛を与えた症状について、患者と主治医の一致率は、精神科群で42.9%(κ=0.264)、老年内科群で33.3%(κ=0.135)、神経内科群で67.6%(κ=0.484)であった。・介護者に最も苦痛を与えた症状について、介護者と主治医の一致率は、精神科群で54.8%(κ=0.351)、老年内科群で50.0%(κ=0.244)、神経内科群で 47.4%(κ=0.170)であった。 著者らは「DLB患者とその介護者の治療ニーズは、受診している診療科により異なることが示唆された。主治医は、専門分野に関係なく、このようなニーズに対する治療の必要性を認識していない可能性がある」としている。

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ミドル~シニアの女性臨床医が直面するジェンダーの障壁とは?

 米国のミドルからシニアクラスの女性臨床研究医を対象とした定性的インタビュー調査によると、アカデミックな医学界は男性中心的な制度であり、構造的不公平が女性のキャリア全体にわたって持続し、キャリアアップにおけるジェンダー格差のパターンに陥っていることが示唆された。本研究は、米国・ミシガン大学のLauren A. Szczygiel氏らによって実施された。JAMA Network Open誌2024年4月11日号に掲載。 本研究は、ミドルからシニアのキャリアを有する女性臨床研究医の日常的な職業経験において、キャリアを通じて経験したジェンダーに関連する障壁についての認識を調査することを目的とした。2006~09年に米国国立衛生研究所の若手臨床研究医のキャリア支援のグラントであるK08またはK23を受賞した女性臨床研究医で、調査に同意した60人のうち、無作為選択的サンプリングで31人が選ばれた。2022年1~5月に半構造化面接を実施し、テーマ分析のフレームワークアプローチを用いて2023年8~10月に解析した。 主な結果は以下のとおり。・女性臨床研究医31人の人種は、白人14人(45.2%)、アジア系8人(25.8%)、自身を医学界でマイノリティと認識している者9人(29.0%)。・年齢は、40代14人(45.2%)、50代14人(45.2%)、60代3人(9.7%)。・17人(54.8%)はケアが必要な子供がおり、7人(22.6%)はケアが不要な子供がおり、6人(19.4%)は子供がいなかった。・参加者は、助教授1人(3.2%)、准教授11人(35.5%)、教授14人(45.2%)、名誉教授1人(3.2%)、医学研究を辞めた者4人(12.9%)であった。・調査で得られた回答には、以下の4つの主なテーマが確認された。(1)職場と家庭におけるジェンダー化された期待による精神的負担 時間の不足と精神的負荷による、キャリアと家庭生活のトレードオフという考えが最も言及された。子育てが生産性への大きな打撃を伴い、キャリアに長期的な影響を与えると認識していた。(2)官僚的プロセスにおける女性の不公平な扱い 資源配分、補助金の申請と授与方針、昇進と在職期間のプロセスにおける不平等が原因で、キャリアの復帰や維持が困難であることが挙げられた。厳格な資金調達や昇進のスケジュールと、出産や子育ての責任との間に矛盾が生じていることが指摘された。(3)些細または些細でない女性に対する職業上の排除 組織内の専門家や社会的サークルから排除され、権力、指導、専門的昇進へのアクセスに影響を与えた例として、男性と女性が同じ指導者と交わす会話の種類に違いがあり、男性は科学的なトレーニングに基づいた指導を受けていたのに対し、女性は仕事と生活のバランスに重点が置かれていたことなどが挙げられた。また、女性には、組織内で報酬や権限と結びつかない奉仕指向の役割を果たすことへの高い期待を持たれたことが挙げられた。(4)共有されたアイデンティティ、経験、連帯感に基づいて構築されたコミュニティの価値 試験参加者が女性へのバイアスに直面した際、他の女性と経験を共有することが、ジェンダーバイアスに対処する重要な方法であり、他の女性から同様の経験を聞くことで「孤立感」が軽減され、女性たちが直面する課題は、女性自身の欠陥ではなくシステムレベルの不平等を表していることを理解するのに重要だったことが述べられた。同性のコミュニティにより解決への戦略的アドバイスがもたらされた。一方で、このようなネットワークを見つけ、維持することの難しさも指摘された。 本研究の結果、女性は医学界が女性のニーズに合わない男性中心のシステムであると認識し、それに伴う排除感、幻滅感、組織に対する信頼の喪失を感じていることが判明した。この調査結果は、家庭内での義務と、不寛容な組織環境とが重なり合うことで、女性臨床研究医がキャリアアップを達成することが困難になっている可能性を示唆している。著者は本結果について、医学界における女性の幸福やキャリアの維持に長期的な影響を及ぼしうるという見解を示し、教育機関などが現在の構造に対する取り組みを検討しなければならないと述べている。

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迅速承認の抗がん剤の臨床的有用性/JAMA

 米国では、食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の多くは、承認から5年以内に全生存期間(OS)または生活の質(QOL)に関して有益性を示せず、確認試験で臨床的有用性を示したのは半数に満たないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のIan T. T. Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月7日号で報告された。米国FDAが2013~23年に迅速承認したがん治療薬を調査 研究グループは、FDAによる迅速承認を受けたがん治療薬が最終的に臨床的有用性を示すかを確認し、通常承認への転換の根拠を評価する目的でコホート研究を行った(Arnold Ventures and the Commonwealth Fundの助成を受けた)。 迅速承認は、満たされない医療ニーズのある重篤な疾患の特定の治療薬について、代替評価項目の改善に基づいて承認を許可する優先審査制度。迅速承認を受けた医薬品の製造企業は、有効性を確認するために臨床評価項目の評価を行う承認後臨床試験の実施を求められる。 本研究では、公開されているFDAのデータを用いて、2013~23年に迅速承認されたがん治療薬を特定し検証した。確認試験で臨床的有用性を示したのは43% 2013~23年に129件のがん治療薬とその適応症の組み合わせが迅速承認を受けた。このうちQOLとOSの解析を行い、追跡期間が5年以上(2013~17年に承認)の適応症は46件(1次解析)で、そのうち通常承認へ変更された適応症は約3分の2(29件[63%])であり、10件(22%)は取り下げとなり、7件(15%)は6.3年(中央値)の時点で追跡を継続中であった。 確認試験で臨床的有用性を示したのは46件中20件(43%)であり、半数に満たなかった。取り下げまでの期間は9.9年から3.6年に短縮し、通常承認までの期間は1.6年から3.6年に延長した。患者に明確な情報提供を 通常承認への変更の決定を支持するエビデンスに焦点を当てた2次解析では、2013~23年に迅速承認を受けたがん治療薬と適応症の組み合わせは66件で、このうち48件(73%)が通常承認へ変更され、18件(27%)は取り上げられた。 通常承認へ変更された48件のうち、19件(40%)はOSを根拠とし、21件(44%)は無増悪生存期間、5件(10%)は奏効率(ORR)+奏効期間、2件(4%)はORRに基づくものであり、残りの1件(2%)は確認試験で有効性が示されなかったにもかかわらず通常承認を受けていた。 また、迅速承認と通常承認の適応症を比較すると、48件中18件(38%)は変更がなかったが、30件(63%)は適応症が異なっていた(たとえば、より早期の治療ラインへの変更など)。 著者は、「迅速承認は有用と考えられるが、がん治療薬の中には患者の延命やQOLの改善という有益性を示すことができないものもある。患者には、迅速承認制度の利用や患者中心の臨床アウトカムにおいて、有益性を示さないがん治療薬について明確に情報提供を行うべきである」としている。

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インスリン以外の血糖降下薬も先天奇形のリスクでない

 インスリン以外の血糖降下薬を妊娠中に使用しても、先天奇形リスクの有意な上昇は生じない可能性を示唆するデータが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のCarolyn E. Cesta氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Internal Medicine」に12月11日掲載された。 世界的に晩婚化が進み、妊娠時に2型糖尿病を発症している女性が増加している。2型糖尿病の血糖管理には一般的にまず非インスリン製剤が選択されるが、妊娠中は胎児の奇形リスクの懸念などのため、通常、催奇形性のないインスリン製剤が用いられる。しかし、計画妊娠によらずに妊娠が成立した場合には、妊娠に気付くまでの妊娠初期に、非インスリン製剤に曝露されることになる。このような場合に胎児の先天奇形リスクがどのように変化するのかは、これまで明らかにされていない。以上を背景としてCesta氏らは、妊娠成立時から妊娠初期の非インスリン製剤の使用が、先天性の大奇形(major congenital malformations;MCM)のリスク上昇と関連しているかどうかを検討した。 研究には、2009~2020年の北欧4カ国の医療データ、2012~2021年の米国の医療データ、2009~2020年のイスラエルの医療データが用いられた。それらのデータベースから2型糖尿病妊婦を抽出し、児の生後1年までの医療記録を追跡調査した。リスクを評価した薬剤は、スルホニル尿素(SU)薬、DPP-4阻害薬(DPP-4i)、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)、SGLT2阻害薬(SGLT2i)の4種。それらの薬剤が、妊娠の90日前から妊娠第1三半期に1回以上処方されていたケースを、曝露された症例とした。比較対照はインスリンのみによって治療されていたケースとした(アクティブコンパレータ)。主要評価項目は、MCMの相対リスクであり、年齢、併存疾患(肥満、高血圧、心血管疾患、糖尿病合併症、多嚢胞性卵巣症候群)、他の処方薬(降圧薬、脂質低下薬)などの交絡因子の影響は調整した。 MCMの標準化有病率は全体で3.7%であった。それに対して2型糖尿病妊婦の児では5.3%であり、SU薬に曝露された児では9.7%、DPP-4i曝露では6.1%、GLP-1RA曝露で8.3%、SGLT2i曝露で7.0%であって、インスリンのみで治療されていた群は7.8%だった。インスリンのみで治療されていた群を基準とした交絡因子調整後のMCM相対リスクは、SU薬曝露で1.18(95%信頼区間0.94~1.48)、DPP-4i曝露0.83(同0.64~1.06)、GLP-1RA曝露0.95(0.72~1.26)、SGLT2i曝露0.98(0.65~1.46)であり、いずれも非有意だった。 著者らは、「インスリン製剤によらない糖尿病治療の普及とともに、妊娠初期の非インスリン製剤への曝露が急速に増加している。われわれの研究結果は、そのような非インスリン製剤への曝露によるMCMリスクの有意な上昇を示しておらず、安心につながるデータが得られた。ただし、より正確なデータが必要であり、他の研究での検証が求められる」と述べている。 なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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心筋細胞障害により心筋梗塞を4つの病期に分類

 心筋梗塞(MI)は心筋細胞障害に基づいて4つの病期に分類され、最終的には心筋細胞死と微小血管死に至るとした専門家の共同声明が、「Canadian Journal of Cardiology(CJC)」に10月28日掲載された。 Northern Ontario School of Medicine University(カナダ)のAndreas Kumar氏らは、再灌流療法を伴うアテローム性MIに関する数十年にわたるデータに基づいた、カナダ心臓血管協会の急性MI分類について概説した。 同分類において、段階的に悪化する心筋細胞障害の4つの病期が特定された。すなわち、(1)心筋細胞壊死がないまたは最小限である防がれた心筋梗塞(aborted MI)、(2)明らかな心筋細胞壊死があるが微小血管障害はないMI、(3)心筋細胞壊死と微小血管機能障害に起因する微小血管閉塞(no-reflow)、(4)心筋細胞と微小血管の壊死による再灌流出血である。障害が進行すると、リモデリングが悪化し、臨床上の有害転帰が増加することが、臨床研究で認められている。微小血管障害は特に重要であり、出血性MIは梗塞の拡大と機械的合併症のリスクにつながる。 Kumar氏は、「新しい分類は、組織損傷の段階によって心筋梗塞を区別するのに役立ち、医療提供者は不整脈、心不全、死亡に対する患者のリスクをより正確に推定できるようになる。カナダ心臓血管協会の急性心筋梗塞分類は、最終的に心筋梗塞患者のより良い治療、より良い回復、より良い生存率につながると期待されている」と述べている。 なお複数人の著者が、産業界との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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健康的な食事による生物学的な老化の遅れが認知症予防に

 科学者たちはこれまで、健康的な食生活を送っている人には年を取っても脳の健康を維持している人が多いことは知っていたが、その理由は不明だった。このほど、その答えとなり得る研究結果が発表された。この研究によると、健康的な食事は生物学的な老化を遅らせ、それが脳機能の保護に役立っている可能性があるという。論文の筆頭著者である、米コロンビア大学アルツハイマー病・加齢脳タウブ研究所のAline Thomas氏は、「われわれの研究では、より緩徐な老化速度が、健康的な食事と認知症リスク低下との関係の一部を媒介していることが示唆された」と述べている。この研究の詳細は、「Annals of Neurology」に2月26日掲載された。 Thomas氏らは今回、健康的な食事は生物学的な老化を遅らせ、それにより認知症の発症リスクが低下するという仮説を立て、フラミンガム心臓研究のデータを用いてこの仮説を検討した。フラミンガム心臓研究は、3世代のコホートを対象に1948年に開始された継続中の研究である。今回の研究では、1971年に開始された第二世代コホートから、60歳以上で認知症がなく、食事、エピジェネティクス、および追跡データのそろう1,644人(平均年齢69.6歳、女性54%)が対象とされた。これらの対象者は、4〜7年おきに9回の追跡調査を受けており、調査ごとに身体診察を受け、ライフスタイルに関連した質問票へ回答するとともに、血液採取と、1991年以降は神経認知テストも受けていた。5回目(1991〜1995年)から8回目(2005〜2008年)の調査時の食事内容から、MIND(マインド)食の遵守状況の指標となるMIND食スコアが算出された。 MIND食は、生活習慣病の予防に良いとされる地中海食と高血圧予防を目的にしたDASH(ダッシュ)食を組み合わせた食事法で、アルツハイマー病の予防に効果があるとされている。MIND食では、全粒穀物、野菜、ナッツ類、豆類、葉物野菜、魚、家禽肉などの脂身の少ない肉を多く摂取する一方で、赤肉、砂糖の多い食品、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多い食品は避ける。 8回目の追跡調査から2018年までの記録を用いて認知症の発症と死亡について調査したところ、140人(8.5%)が認知症を発症し、471人(28.6%)が死亡していた。解析の結果、MIND食スコアが高いほど生物学的な老化速度が遅くなり、認知症の発症リスクが低下することが明らかになった。具体的には、MIND食スコアが1SD増加するごとにダニーデンPACEで評価した老化速度(エピジェネティッククロック)が0.20SD遅くなり、10,000人当たりの認知症発症例が33.6例減少するという結果だった。媒介分析からは、健康的な食事と認知症発症リスクの低下との関連性のうちの27%は老化の遅れに起因すると推定された。 論文の共著者である、コロンビア大学公衆衛生大学院のDaniel Belsky氏は、「認知症と栄養素の関連についての研究の多くでは、特定の栄養素が脳に与える影響に焦点が当てられてきた。これに対してわれわれは、健康的な食生活を送ることで体全体の生物学的老化速度が遅くなり、それが認知症の発症に保護的な効果をもたらすという仮説を検証した」と話す。 上記のような結果が得られたものの、Thomas氏は、「食事と認知症の関連については、まだ解明されていない部分があるため、十分に計画された媒介研究で、脳特異的なメカニズムについて引き続き検討する必要がある」と述べている。

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あなたの睡眠のタイプは?四つの睡眠パターンを特定

 平日は睡眠不足で週末に寝だめしたり、あるいは一晩中寝返りを打って過ごし、朝は頭がはっきりしないといったことがないだろうか。それとも、睡眠時間は十分に確保できているだろうか。米ペンシルベニア州立大学、睡眠・ストレス・健康(STEALTH)研究室のSoomi Lee氏らが、米国の全国調査参加者約3,700人を対象に、およそ10年の間隔を空けた二つの時点のデータを分析したところ、睡眠習慣は四つの異なるパターンに分類できることが明らかになった。この研究結果は、「Psychosomatic Medicine」に2月16日掲載された。 Lee氏は、「睡眠は、毎日繰り返し行う行動である。より良い睡眠習慣は、社会的な関係や仕事のパフォーマンスの向上から、長期的な健康行動や健康的な老化の促進まで、多くの重要な違いを生み出すことにつながる」と話す。 この研究では、Midlife in the United States研究のデータを用いて、研究参加者3,683人から、2004〜2006(T1)年と2013〜2017年(T2)の2回に分けて収集された睡眠習慣と慢性的な健康上の問題に関するデータの分析が行われた。データには、参加者の自己報告による睡眠の規則性や睡眠時間などの睡眠習慣、睡眠に対する満足度、覚醒度、慢性疾患の数や種類などに関する情報が含まれていた。 分析により、睡眠習慣によって対象者を以下の四つの異なるパターンに分類できることが明らかになった。・良い睡眠習慣保持者:二つの時点のいずれでも最適な睡眠習慣を維持している。・週末に睡眠を取り戻す人:睡眠が不規則で、平均睡眠時間は短いが週末や仕事のない日の睡眠時間は長い。・不眠症の人:睡眠時間が短く、日中はひどい疲労感に襲われ、入眠までに時間がかかるなどの不眠症の症状を抱えている。・昼寝の習慣がある人:夜間の睡眠は概ね良好であるが、昼寝をすることが多い。 対象者の半数以上は、不眠症であるか昼寝の習慣を持っていた。また、77%の参加者はT1とT2の間に同じ睡眠習慣を維持しており、特に不眠症か昼寝の習慣を持っている人は、時間の経過とともに睡眠習慣が変わる可能性が最も低かった。さらに、T1とT2の両時点で不眠症だった人では、両時点ともに良い睡眠習慣を維持していた人に比べて、心血管疾患、糖尿病、うつ病、フレイルのリスクが72〜188%高かった。この他、年齢は睡眠に関連しないようであった一方で、高齢者や定年退職者の中には昼寝の習慣を持っている人が多く、さらに、教育歴の低い人や失業者には不眠症の人が多いことも示された。 研究グループは、「この研究は、主に健康な成人を対象としているため、全人口を代表するサンプルではなかった可能性がある。それでも、ほとんどの対象者は最善の睡眠習慣を持っておらず、過半数が不眠症であるか日中に睡魔に襲われて昼寝をする人であった」と話す。 Lee氏は、「われわれが得た結果は、睡眠習慣を変えることは非常に難しいことを示唆している可能性がある。また、睡眠の重要性や睡眠の健康行動に関する理解が広まっていないことを表している可能性もある」と述べている。その上で同氏は、良質な睡眠の健康に関する教育の大切さを強調し、「寝る前にベッドの中で携帯電話を使わない、定期的に運動をする、午後遅くにカフェインを摂取しないなど、睡眠を改善するためにできる睡眠衛生行動がある」と説明している。 研究グループは、「良質な睡眠を促すための介入が大いに必要とされている。介入により睡眠の問題点を明らかにすることで、慢性疾患のリスクや経済的脆弱性などの要因に基づいて介入策のターゲットを絞ることができる可能性がある」と結論付けている。

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第191回 医師の地域偏在解消へ、財務省の提案に日医が反発/財政制度分科会

<先週の動き>1.医師の地域偏在解消へ、財務省の提案に日医が反発/財政制度分科会2.急増する医療機関の倒産・休廃業、背景に後継者問題/帝国データバンク3.退院前の指導不足で市民病院が逆転敗訴、約7,500万円の賠償命令/名古屋高裁4.患者受診せずがん告知が1年以上遅れ、大腸がんステージ進行/神戸市立医療センター5.医療機器メーカーとの癒着疑惑、整形外科医逮捕/東京労災病院6.元理事長への不正な麻薬処方、元副学長が医師法違反の疑い/日本大学1.医師の地域偏在解消へ、財務省の提案に日医が反発/財政制度分科会財務省は、4月16日に財政制度分科会を開き、この中で少子化対策のほか医師の偏在問題について議論を行った。2020年の医学部定員を前提とした厚生労働省の将来推計では、2029年ごろにマクロでは医師需給が均衡し、医師の供給過剰が見込まれ、今後は医学部の定員の適正化が必要と指摘された。現状のままでは大都市部において、医師や診療所数が過剰となり、地方はそれらが過小のまま続くとして、診療所の偏在是正のために都市部での新規開業を規制し、診療所が不足している地域での診療報酬の単価を引き上げることを提案した。これは地域や診療科ごとに医師の定員があるヨーロッパのシステムを参考にしている。武見 敬三厚労大臣は、今後の医師の偏在対策を「骨太の方針」に組み込み、具体的な方向性を年末までに示すと述べた。日本医師会は財務省提案に強く反対しており、医師の偏在は人口分布に起因する問題であり、診療報酬での調整は不適切であると主張している。さらに医師会は、地域枠など既存の対策を強化することが先決であるとしている。また、厚労省も地域医療の将来の姿や偏りの見直しを議論するために「新たな地域医療構想等に関する検討会」(座長:遠藤 久夫氏[学習院大学長])を立ち上げて議論を開始している。文部科学省も、医学部の特別枠を通じて医師を地方に派遣する新たなプログラムを提案し、これにより地域医療に貢献する医師の養成を目指している。これにより大学病院から地域への医師派遣を容易にし、地域医療の充実を図りたいとしている。これらの提案と議論は、わが国の医療システムの将来に重大な影響を与える可能性があり、医師の偏在解消を目指す一連の施策が、どのように進展するかが注目されている。参考1)こども・高齢化 財政制度分科会(財務省)2)第2回新たな地域医療構想等に関する検討会 資料(厚労省)3)医師の都市集中、解消探る 過剰地域の報酬下げ/開業規制 財制審提言(日経新聞)4)過剰地域の診療報酬下げ「受け入れられない」 医師会長(同)5)医師偏在問題、「都市部で開業規制を」と財務省提言 医師会は反発(朝日新聞)6)医師の偏在解消で「大学特別枠」、文科省が試案 大学病院から地域への派遣強化(CB news)2.急増する医療機関の倒産・休廃業、背景に後継者問題/帝国データバンクわが国の医療機関の休廃業・解散件数が2023年度(2023年4月~2024年3月)に過去最多の709件に達し、過去10年で2.3倍となった。そのうち診療所が23年度は580件と全体の8割超を占めていることが帝国データバンクの調査で明らかになった。医療機関の倒産・休廃業数は前年の517件から大幅に増加していた。同様に、歯科医院も110件と過去最多を記録。同社によれば、経営者の高齢化と後継者不在が主な原因であり、今後もこの傾向は続くと予測されている。また、2023年度には医療機関の倒産件数も過去最多を更新し、55件が報告された。これは2009年度の45件を上回る数であり、診療所と歯科医院がそれぞれ28件と24件で過去最多を更新している。これらの倒産は法的な手続きを経て確認されたもので、高齢経営者の健康問題などが倒産につながるケースもみられている。日本医師会の「医業承継実態調査」では、診療所の約半数が後継者不在と答えており、帝国データバンクの企業概要ファイルによると、2024年には診療所経営者のボリュームゾーンが65~77歳となっている。この高齢化が顕著な中で、診療所はコンビニの約2倍の数が存在し、狭い市場での競争が熾烈を極めている。こうした状況は、医療機関の持続可能性に深刻な影響を及ぼしており、とくに地域医療にも影響が出ている可能性がある。今後、後継者問題の解決や高齢経営者の支援策を強化することが急務となる。参考1)医療機関の「休廃業・解散」 動向調査(2023年度)(帝国データバンク)2)医療機関の休廃業・解散が過去最多、昨年度 計709件、診療所が8割超(CB news)3.退院前の指導不足で市民病院が逆転敗訴、約7,500万円の賠償命令/名古屋高裁気道確保のため「カニューレ」を装着していた6ヵ月の女児が、退院後に低酸素脳症を発症し、3歳で亡くなった事件について、名古屋高等裁判所は1審の判決を覆し、一宮市に約7,500万円の賠償支払いを命じた。裁判では、一宮市立市民病院が退院時の必要な救命処置の指導を怠ったことが問題視された。女児は、喉頭の組織が軟弱で、気管が塞がりやすく呼吸がしづらい「喉頭軟化症」であり、気管カニューレを必要としていた。入院中には装着器具が外れる事故が3回発生していたが、これについて病院側から十分な説明や指導が行われていなかったとされている。両親は当初、原因を自分たちに求めていたが、裁判を通じて同病院の責任が明らかになり、「娘の無念を晴らせた」と安堵の声を上げた。同病院は「判決文が届いていないので、現時点ではコメントを差し控える」と述べている。この判決は、医師の指導義務違反を問題視した点で重要な意義を持つ。代理人弁護士の森下 泰幸氏は、「気管カニューレが外れる事故は全国で相次いでおり、今回の判決を受け、退院時には必ず救命方法などの指導を全国の病院で徹底してもらいたい」と訴えている。この判決により、今後の医療機関における指導・教育のあり方に影響を与えると考えられる。参考1)“医師は指導義務怠る” 1審と逆 市に賠償命令 名古屋高裁(NHK)2)愛知・一宮市に7,400万円賠償命令 呼吸用器具の事故後に女児死亡(朝日新聞)3)気道確保の重要性など説明せず、3歳女児死亡 遺族が逆転勝訴(毎日新聞)4.患者受診せずがん告知が1年以上遅れ、大腸がんステージ進行/神戸市立医療センター神戸市立医療センター中央市民病院は、60代の男性患者が大腸がんと診断されたにもかかわらず、診断結果の告知が1年2ヵ月遅れるという重大なミスを病院側が公表した。2022年8月に内視鏡検査を受けた男性は、翌月に大腸がんと診断されたが、結果を説明するために予定していた受診日に来院しなかったため告知が行われなかった。その後も男性は、別の科で定期的に通院していたが、告知されなかったため治療開始が遅れ、男性のがんはステージ1からステージ3bまで進行していた。この事実が明らかになったのは、男性が2023年11月に別の疾患で入院し、脳神経内科の医師がカルテを確認したときであった。同病院では、未受診患者を管理するリストがあり、通常は診療終了後にリストから外されるが、今回の重大案件では、男性がリストから誤って外されていた可能性が指摘されている。この案件を受け、同病院では未受診の患者の管理方法を見直し、ルールの明文化を進めている。この重大案件は、病院内の情報管理システムの改善の必要性を浮き彫りにした。同病院は男性と補償についての協議を行っており、病院側は公式に謝罪している。参考1)大腸がんと診断された患者に1年2ヵ月告知忘れる…その間にステージ「1」から「3b」に進行(読売新聞)2)がん告知日に患者来院せず…そのまま1年超、ステージ3に 病院謝罪(朝日新聞)5.医療機器メーカーとの癒着疑惑、整形外科医逮捕/東京労災病院東京労災病院の整形外科副部長の医師(41歳)が、特定の医療機器メーカーの製品を使用することで現金約50万円の賄賂を受け取ったとして逮捕された。この事件では、逮捕された医師が同僚にも同じメーカーの製品の使用を勧め、それにより得たポイントを自身の利益に変換していたことが判明している。また、医師は医療機器の選定に影響を与えたとされ、医師が受け取ったポイントは現金に交換可能で、飲食代などの領収書を提出することで換金されていたと報じられている。警視庁は、このほかにも余罪があるか捜査を進めており、このスキームがどれほど広範に及んでいたのか、また、その影響についても調べている。贈収賄に関与したHOYA Technosurgical社および親会社HOYA社は、捜査に協力する姿勢を示している。同病院は再発防止策を講じ、職員の倫理教育を強化すると公表している。参考1)東京労災病院 医師を収賄容疑で逮捕 製品巡り50万円受け取りか(NHK)2)他の医師使用分も見返り収受 部下に贈賄側企業製品を推奨か 東京労災病院の汚職事件・警視庁(時事通信)3)東京労災病院副部長を収賄容疑で逮捕 「ポイント制」で業者から現金(朝日新聞)4)当院職員の逮捕について(東京労災病院)6.元理事長への不正な麻薬処方、元副学長が医師法違反の疑い/日本大学日本大学の「不正事案洗い出しのための特別調査委員会」は、元理事長の田中 英寿氏(故人)への医療用麻薬モルヒネを含む痛み止めの不正処方について報告した。田中氏は2021年8月~2022年4月にかけて、元副学長だった主治医により、医師3人を介して7回にわたり痛み止めが処方された。しかし、これらの処方はいずれも診療記録がなく、実際の診察は行われていなかった。調査委員会によれば、田中氏に処方された薬の診療記録は電子カルテシステムに一切残されておらず、元副学長は診療の有無について守秘義務を理由に説明を拒否。また、元副学長や関連医師は、田中氏の自宅で診療行為を行っていたが、これに関する記録も存在しなかった。医師法では、診療行為を行った場合、病名や治療内容をカルテに記載することが義務付けられており、違反した場合には罰則が科されている。調査委は元副学長の医師法違反の可能性が高いと結論付け、「厳格に管理すべき医療用麻薬が不適切に処方されていた悪質性は高い」と指摘している。同大学は監督官庁との協議を待っている状態で、元副学長からの回答は得られていない。参考1)日大の田中英寿・元理事長にモルヒネ処方、診察記録なし…主治医の元副学長は守秘義務理由に説明せず(読売新聞)

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緩和ケアでも身体疾患を考える重要性【非専門医のための緩和ケアTips】第74回

第74回 緩和ケアでも身体疾患を考える重要性緩和ケアって「コミュニケーション」や「スピリチュアルペイン」など、ほかの診療領域には、あまりない分野が注目されがちです。診療領域の特徴の1つなので当然のことではあるのですが、そうした面ばかりに目を向けると危険もあります。今回の質問在宅療養している患者の訪問診療に行った際のこと。高齢の認知症患者なのですが、いつもよりも元気がないように感じました。「もう生きているのがつらい」と話すので、スピリチュアルペインかと思い、いろいろ話を聞きました。時間をかけて話を聞いた後にバイタル測定をすると38℃の発熱があり、尿路感染症が生じていました。今回は発熱があったため気付いたものの、つらさの原因を気持ちやスピリチュアルにばかり向けていたら、疾患を見逃していたかもしれません…。こうしたことはありますか?はい、めちゃくちゃあります。心理的なつらさだと思ったら根底には身体疾患があった、というケースはよくありますし、私自身も身体疾患を見逃して反省したことがあります。緩和ケアを受けるがん患者が発熱した場合、その原因の多くが感染症だとされています。そうした意味では、「腫瘍熱」という診断に飛びつくのも危険です。がん患者の発熱で、腫瘍熱の頻度は5~10%ともいわれています1)。こうした「何となく」が原因と思いがちな病名には、注意が必要です。私自身が心掛けていることを紹介します。それは「それって本当?」と自問自答する、というやり方です。「うーん、がん患者だし、腫瘍熱かなぁ」と思った時に、「それって本当?」と別の私が問い掛けるという感じです。「気持ちのつらさが原因だろうなあ。しっかり傾聴しよう…」と思った時にも、一度立ち止まって「それって本当?」という思考を挟むようにしていると、身体疾患を疑うクセが身に付きました。実はこの技、救急でも活用できます。「軽症だから入院は必要ないな。帰宅させて経過観察で大丈夫」と思った時、「それって本当?」と「もう1人の自分」がささやきます。もちろん、たいていは元の判断で問題ないのですが、いったん立ち止まって慎重に検討できます。何度かこの作業に助けられたこともあります。この手法の注意点は、あくまでも「自分に対して行う」ことです。他者に「それって本当?」とやっては単なる「嫌なヤツ」ですからね。まして研修医など、若手指導の際は控えたほうがよいでしょう。ぜひ、自問自答で見逃しを防ぎましょう。今回のTips今回のTips患者のつらさは精神的なものとは限らない。身体疾患を見逃さないよう「それって本当?」と自問自答しよう。1)Toussaint E, et al. Support Care Cancer. 2006;14:763-9.

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事例046 特定薬剤治療管理料の算定漏れ【斬らレセプト シーズン3】

解説ある診療所のレセプト点検において、抗てんかん薬が2剤処方されている患者に、B001「2」特定薬剤治療管理料1(以下「同管理料1」)」が、1回のみ算定されている事例を数件確認しました。紙カルテを拝見したところ、2剤以上投与の患者に対しては、抗てんかん薬ごとに血中濃度を測定され、薬剤の投与量の判定が記録されていました。同管理料1の注4・注5とその留意事項には、「2種類以上の抗てんかん剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき投与量を決定する管理をしている場合、同管理料を同月内に2回まで算定できる。4月目からの減額も不要」との趣旨の記載があります。抗てんかん薬2種類分まで同管理料が算定できることがわかります。事例では、1種類分のみの算定でした。診察室では抗てんかん薬2剤以上投与の場合には、それぞれの薬剤の血中濃度測定値と簡潔な治療方針をSOAP記録にて記載していただくようにお願いしました。また、レセプト作成担当者には、同管理料の規程を説明し、抗てんかん薬が複数剤処方されている場合には、処方の種類と血中濃度について、必ず紙カルテを確認して算定することをお願いして対策としています。なお、各種のレセプトチェックシステムでは対応済みの項目ですが、警告の解消に手が回らず、算定漏れを来している事例も散見されています。

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脳卒中への酸素投与【日常診療アップグレード】第2回

脳卒中への酸素投与問題77歳男性。起床時から右上下肢の脱力と構音障害があり、救急室を受診した。意識は清明。血圧180/90mmHg以外のバイタルサインは正常である。酸素飽和度は97%(室内気)である。頭部CT検査を施行予定である。経鼻酸素を2L/分で開始した。

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オピオイド鎮痛薬による疼痛治療を円滑に進めるために重要なこととは?

慢性疼痛の治療目的は、痛みの管理を行いながら、患者の生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)を向上させることです1)。この治療目的を達成するために、薬物療法は重要です。しかし、慢性疼痛治療で使用される薬剤の中には、副作用の発現頻度が高いものもあります。副作用は、患者さんのQOL低下に繋がるだけでなく、疼痛治療の妨げになることがあるため、見逃さずに対処することが必要です。そこで今回は、副作用の発現頻度が比較的高いことで知られるオピオイド鎮痛薬で、特に注意が必要な副作用とそれに対する対処方法についてご紹介します。オピオイド鎮痛薬の副作用で頻度の高いものは?オピオイド鎮痛薬によって生じる副作用としては、悪心・嘔吐、便秘、眠気、掻痒感、めまい・ふらつき、排尿障害、発汗、せん妄、多幸感などがあり、80%の患者さんがこれらいずれかの副作用を経験しているとされています2)。私の経験からは、頻度の高い副作用は、悪心、便秘、めまいであり、いずれも約半数の患者さんに認められる印象です。悪心やめまいは、オピオイド鎮痛薬投与開始後あるいは増量後当日中に発現し、発症後数日から1~2週間で消失するため、継続的な治療が必要になることはほんどありません。ただ悪心に対しては、投与開始後1~2週間ほどオピオイド鎮痛薬と併せて制吐剤を予防的に処方しておくこともあります。一方便秘は、悪心やめまいに比べて見逃されやすい傾向にあるかもしれません。なぜなら、元々便秘のある方は、オピオイド鎮痛薬に起因する便秘でも「いつもの便秘」と判断し医師に伝えないことがあるからです。しかし、オピオイド鎮痛薬に起因する便秘が自然に軽快することは稀であるため、何らかの対処が必要です。便秘はオピオイド鎮痛薬の治療継続を妨げるオピオイド鎮痛薬による便秘(オピオイド誘発性便秘症:OIC)をそのままにしておくと、患者さんのQOL低下に繋がるだけでなく、疼痛治療の妨げとなる可能性があります。オピオイド鎮痛薬使用中の患者さんを対象に、OICが疼痛治療に与える影響を調査したところ、53%の慢性疼痛患者さんがOICによってオピオイド鎮痛薬での治療が妨げられたと回答しました。具体的には、オピオイドの使用を1回分飛ばした(30%)、短期間休薬した(30%)、オピオイドの使用量又は回数を処方より減らした(27%)などでした(図1)3)。画像を拡大するオピオイド鎮痛薬の急な減量・中止は離脱症状を誘発するオピオイド鎮痛薬を急に減量・中止すると、「そわそわする」、「冷や汗が出る」といった離脱症状が現れることがあります。そのため、患者さんの自己判断による減量・中止は避けていただかなければなりません。また、患者さんが自己判断で用量調整をしてしまうと疼痛管理がうまくいかなくなります。その結果、医師がオピオイド鎮痛薬の効果を誤って判定してしまう可能性があるという危険もあります。したがって、オピオイド鎮痛薬使用中は、副作用を予測・予防すること、また患者さんに治療継続の弊害となるような副作用は起きていないか、処方通りに服薬できているかをよく確認することが重要です。そして副作用が起きていれば対処し、オピオイド鎮痛薬の減量・中止が必要な場合は、医師の指導のもとで計画的に行います。OICへの対処法は?まずは便秘を見逃さないことが重要です。そのため、元々便秘のある患者さんに対しては、単に便秘の有無を尋ねるのではなく、「いつもの便秘が悪化していないか」などとオピオイド鎮痛薬の使用前後での変化を尋ねると良いでしょう。便秘の発現・悪化が認められ、OICと診断された場合には、「便通異常症診療ガイドライン2023-慢性便秘症」を参考に治療方針を検討します。本ガイドラインでは、「OICが疑われる患者さんには、浸透圧性下剤、刺激性下剤、ナルデメジン、ルビプロストンが有効であり、薬剤選択の際は個々の病態を鑑みながら、その安全性やコスト、投与されているオピオイドの種類なども考慮し検討すること」が推奨されています4)。私は、元々便秘があり普段から緩下剤を使用している患者さんには、まずは普段使用している緩下剤で様子を見ていただき、症状が改善しない場合にスインプロイク(ナルデメジン)を処方しています。緩下剤を使用していない患者さんや元々便秘がある患者さんで症状の悪化を懸念する患者さんに対しては、はじめからOICにはスインプロイクで対応しています。オピオイド鎮痛薬による円滑な疼痛治療のためにオピオイド鎮痛薬使用中の患者さんの多くが、何らかの副作用を経験します。便秘は副作用の中でも見逃されやすいうえに、オピオイド鎮痛薬での治療の妨げとなる可能性があります。そのため、医師は患者さんからの訴えがなくても、気になる症状はないか、便秘の発現・悪化はないか、よく確認することが必要になります。そして、OICが認められた際には、緩下剤やスインプロイクなどを用いていち早く対処することで、円滑な疼痛治療につなげていっていただきたいと思います。1)慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ編. 慢性疼痛診療ガイドライン:真興交易医書出版;2021.p25-26.2)日本ペインクリニック学会編. 非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン 改訂第2版:真興交易医書出版部;2017.p46.3)Varrassi G, et al. Pain Ther. 2021;10:1139-1153.4)日本消化管学会. 便通異常症診療ガイドライン2023-慢性便秘症:南江堂;2023.p101-102.スインプロイクの電子添文はこちら2024年4月作成SYP-LM-0005(V01)

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