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画像を拡大するTake home messageボリコナゾールによる副作用としては肝障害や幻視が知られているが、皮膚障害も重要である。光線過敏症や重症皮膚副作用に加え、長期使用では皮膚悪性腫瘍のリスクも報告されており、皮膚症状の早期発見と長期モニタリングが重要である。ボリコナゾールは侵襲性アスペルギルス症などの治療において中心的役割を担う抗真菌薬ですが、肝障害、幻視を中心とした眼科的副作用はよく知られています。今回は一歩踏み込んで、もう1つの重要な副作用である「皮膚障害」について学習しましょう。光線過敏症(Photosensitivity)ボリコナゾールの皮膚副作用で最もよく知られているのが光線過敏症です。発症機序は完全には解明されていませんが、投与量や投与期間に関連する可能性が指摘されています。とくに高用量使用、小児、メトトレキサート併用などがリスク因子とされています。発症時期は幅広く、1週間程度の早期から数年後までの報告があります。臨床的には日光曝露部位の紅斑、色素沈着、光線角化症様の病変として現れることがあり、遮光対策や皮膚科的フォローが重要です。重症薬疹(TEN、DRESS)まれではあるものの、TEN(中毒性表皮壊死症)やDRESS症候群などの重症薬疹が報告されています。これらはT細胞を介した免疫学的反応と考えられており、用量とは関連しないとされています。通常は投与開始1~8週間以内に発症しますが、再投与では1~4日で急速に再発することがあるため、注意が必要です。疑われた場合には速やかな薬剤中止と専門的治療が必要となります。皮膚悪性腫瘍(悪性メラノーマ、扁平上皮がん)長期使用において最も重要な副作用として、皮膚悪性腫瘍が挙げられます。とくに扁平上皮がんの発症リスクが高いことが報告されており、悪性メラノーマも重要です。平均発症期間は約3年とされています。リスク因子としては、高用量、長期使用、免疫抑制状態(とくに移植患者)、薬物代謝の個人差などが挙げられます。臨床では、光線角化症から扁平上皮がんへ進展するケースもあるため、長期投与患者では定期的な皮膚診察が推奨されます。ボリコナゾールは重篤な真菌感染症の治療に不可欠な薬剤ですが、皮膚関連副作用は多様であり、とくに長期治療では注意が必要です。投与前には光線過敏症の可能性を患者に説明し、長期使用例では皮膚病変の定期的な観察を行うことが重要です。また、新たな皮疹や皮膚変化を認めた場合には、早期に評価を行い、必要に応じてほかの抗真菌薬への変更も検討することが重要です。1)Voriconazole/UpToDate2)Williams K, et al. Clin Infect Dis. 2014;58:997-1002.3)Levine MT, et al. Clin Transplant. 2016;30:1377-1386.4)Tang H, et al. J Am Acad Dermatol. 2019;80:500-507.e10.