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<先週の動き>1.新型コロナ定点感染者数を初公表、緩やかな増加傾向/厚労省2.国内で麻疹患者を複数確認、国内でも流行を懸念/厚労省3.GLP-1ダイエットの健康被害、日本医師会も問題視4.国立健康危機管理研究機構の設立へ、衆議院を通過/国会5.高度急性期偏重の診療報酬改定で、2次救急医療に悪影響か/中医協6.次世代医療基盤法改正案が成立、医療ビッグデータの利用促進へ/内閣府1.新型コロナ定点感染者数を初公表、緩やかな増加傾向/厚労省厚生労働省は、5月19日に定点把握による新型コロナウイルス感染症の感染状況データを初めて公表した。全国の約5,000の医療機関から報告された1週間の感染者数は1万2,922人で、1医療機関当たりの平均患者数は2.63人だった。東京、神奈川、埼玉、千葉の推移をみると、都道府県ごとの感染者数は増加しており、特に沖縄県が最も多い6.07人だった。厚労省はこれまでの感染者数と比較して、緩やかな増加傾向が続いていると分析している。また、新たに始められた「新規入院者数」の発表では、1週間で2,330人の新規入院があり、前週と比べてほぼ横ばい。厚労省では、今後も定点把握を通じて感染状況を把握し、対策を進める方針。(参考)新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報:発生動向の状況把握(国立感染症研究所)新型コロナ「緩やかな増加傾向」 厚労省が定点把握で初発表(東京新聞)コロナ定点把握 5類変更後初めて公表 新規患者数 8-14日の1週間分 厚労省(CB news)新型コロナ「定点把握」全国の感染状況データ 初の発表 厚労省(NHK)2.国内で麻疹患者を複数確認、国内でも流行を懸念/厚労省感染力が強い「麻疹」の感染者が国内で複数確認され、厚生労働省が注意喚起を行っている。今月に入って確認された感染者は、インドから帰国した30代男性と、東京都在住の男女2人で、同じ新幹線の車内にいたことで感染経路が特定されている。海外との往来の増加により、国内での感染例が増加する可能性が懸念されており、厚労省は海外渡航者へ注意喚起とワクチン接種を呼びかけている。麻疹は非常に感染力が強く、免疫力のない人が感染するとほぼ100%発症する。感染経路は空気感染のため、手洗いやマスクでは予防できない。麻疹の治療は対症療法であり、ワクチン接種が有効とされている。しかし、国内でのワクチン接種率は目標の95%を下回っており、国内での流行の懸念が高まっている。加藤厚生労働大臣は、5月16日の記者会見で麻疹の症状を有する場合は麻疹を疑い、医療機関を受診のための移動の際は公共交通機関の利用を控えるよう呼び掛けている。厚労省は、自治体や医療機関に対し、麻疹に対する注意喚起を行い、同省のホームページやSNSなどで国民に向けた情報の提供をしている。(参考)加藤大臣会見概要[令和5年5月16日](厚労省)国内での麻しん流行を懸念、発熱や発疹のある者は麻しんを疑った行動・診療を!医療従事者は2回の予防接種歴確認を-厚労省(Gem Med)「麻しん疑われる時は受診前に医療機関に連絡を」相次ぐ感染者の確認を受け 加藤厚労相(CB news)はしか、国内で複数の感染者確認 同じ新幹線車両に乗り合わせ(朝日新聞)はしか相次ぎ、厚労相「症状あれば交通機関の利用控えて」…感染者が不特定多数と接触か(読売新聞)3.GLP-1ダイエットの健康被害、日本医師会も問題視糖尿病治療薬のセマグルチド(商品名:リベルサス)が「飲むだけで痩せられる薬」として処方され、健康被害が相次いでいることが5月18日に一般報道された。ダイエット目的でのGLP-1受容体作動薬の処方は、美容クリニックやオンラインクリニックで行われている。しかし、吐き気やめまいなどの副作用が出現するほか、急性膵炎で入院する人も報告されている。本来、セマグルチドは糖尿病の治療薬であり、ダイエットの薬としての厚生労働省の承認はなく、適応外使用となる。オンライン診療での医師の診察は短時間で行われ、医師とは対面もなく検査もされないまま処方薬が自宅へ配送されており、TwitterなどのSNSでも副作用の訴えが多く寄せられている。現在、美容クリニックやオンライン診療での糖尿病の薬の処方は自由診療で行われているため、現状では規制が難しい状況であり、日本医師会もこれを問題視し、繰り返しこの行為の問題を表明している。同会では今後、処方を正しく行うための法整備が必要と訴えている。(参考)「飲むだけで痩せられる」糖尿病の薬を“痩せる薬”として処方 副作用で吐き気やめまいなど健康被害相次ぐ…入院する人も(TBS)自由診療における糖尿病治療薬の不適切使用に対する見解示す(日医)自由診療におけるオンライン診療の不適切事例について(医薬品の適応外使用)(同)4.国立健康危機管理研究機構の設立へ、衆議院を通過/国会次の感染症に備えるため、アメリカのCDC(疾病対策センター)をモデルとして、内閣感染症危機管理統括庁や厚生労働省に科学的知見を提供するため、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して新たな専門家組織「国立健康危機管理研究機構」を設立する法案が国会に提出されていた。この5月18日に衆議院本会議で採決が行われ、自民、公明党などの賛成多数で可決された。今後、参議院に送付されて採決で成立すれば、法案に基づいて設立される。設立は令和7年度以降に予定されている。(参考)国立健康危機管理研究機構について(厚労省)国立健康危機管理研究機構(仮称)と地方衛生研究所等の連携強化(同)国立健康危機管理研究機構法案(衆議院)日本版CDC法、衆院通過 司令塔新設案、参院審議へ(東京新聞)5.高度急性期偏重の診療報酬改定で、2次救急医療に悪影響か/中医協厚生労働省は5月17日に中央社会保険医療協議会(中医協)の総会を開催した。来年度から始まる第8次医療計画のうち新興感染症を除く5事業について、診療報酬の在り方の議論を始めた。診療側が問題提起したのは救急医療。去年の診療報酬の改定では、高度急性期医療を評価する「急性期充実体制加算」の新設によって、「総合入院体制加算」(診療科として精神科、小児科、産婦人科の標榜が施設基準)から急性期充実体制加算の算定に移行するため、医療機関側が精神科や産科を廃止するなど地域の2次救急の維持・運営に支障が生じていると指摘があった。本来は100万人に1つの3次救急施設を整備する方針だったが、すでに国内には300施設存在し、さらに増加傾向が続いており、診療側は医療計画がゆがんでいないか、診療報酬以外の財政措置も考慮すべきだと主張した。また、診療報酬の評価方法を見直し、2次救急の評価を充実させる必要があると訴えた。その他、高齢者の救急患者については、急性期以外の医療機関での対応を促す仕組みを強化すべきだと指摘があった。(参考)総合入院体制加算の届け出1年間で35%減 厚労省、周産期医療への影響を注視(CB news)二次救急医療機関への評価充実要望、中医協で診療側 支払側「高齢の救急患者は急性期以外で」(同)総合入院体制加算⇒急性期充実体制加算シフトで産科医療等に悪影響?僻地での訪問看護+オンライン診療を推進!-中医協総会(Gem Med)中央社会保険医療協議会 総会[第545回](厚労省)6.次世代医療基盤法改正案が成立、医療ビッグデータの利用促進へ/内閣府医療ビッグデータの利用を促進するため、今国会に内閣府が提出していた次世代医療基盤法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律)の改正法案が、5月17日に開かれた参議院本会議で可決・成立した。この法律は、病院などから提供された医療情報を加工し、研究開発などに活用するために、個人情報保護法の特例法として平成29年に制定されていた。現行法では個人情報の保護のため制限があり、これまでの利用実績は20数件と少なく、新薬の研究開発などに活用しにくいという課題があった。このため経団連や日本製薬工業協会などからは改正を求める声が上がっていた。新たに成立した改正次世代医療基盤法では、匿名化したままでより精緻な医療データを新薬の開発などに利用に活用することが可能となる。具体的には、血圧や体重などの検査値の提供範囲を拡大し、創薬や副作用の早期把握などに活用することが期待されている。また、個人情報保護のため新たな制度が導入され、元の医療情報から患者本人を直接特定できないように、個人情報の保護と情報漏えいの防止強化にも取り組むことになる。(参考)「次世代医療基盤法」とは(内閣府)精緻な医療データを製薬利用へ 法改正、個人情報は配慮(日経新聞)医療データ活用へ 改正次世代医療基盤法 参院本会議で成立(NHK)世代医療基盤法の見直し(経団連)