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脂漏性皮膚炎に1日1回のroflumilast外用薬が有望

 脂漏性皮膚炎による紅斑、鱗屑、そう痒の治療において、1日1回塗布のroflumilastフォーム0.3%(泡[フォーム]を形成する製剤)は、良好な有効性、安全性、および局所忍容性を示した。米国・オハイオ大学のMatthew J. Zirwas氏らが第IIa相二重盲検溶媒対照並行群無作為化試験の結果を報告した。脂漏性皮膚炎に対する局所治療の選択肢は、有効性や安全性の観点から限られている。脂漏性皮膚炎はあらゆる年代にみられ、全世界の有病率は5%以上とされる。roflumilastは選択的ホスホジエステラーゼ(PDE)4阻害薬であり、抗炎症作用を有する。経口薬は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として承認されており(本邦未承認)、外用薬は2022年7月に慢性尋常性乾癬への適応で米国食品医薬品局(FDA)により承認されている。著者は、「今回の結果は、本剤の非ステロイド系外用薬としてのさらなる研究を支持するものである」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年5月3日号掲載の報告。 研究グループは、頭皮や顔、体幹に脂漏性皮膚炎症状を有する成人患者において、roflumilastフォーム0.3%の安全性と有効性の評価を目的として本試験を実施した。 本試験は、2019年11月12日~2020年8月21日に、米国とカナダの24施設にて行われた。対象は、脂漏性皮膚炎と診断されて3ヵ月以上、Investigator Global Assessment(IGA)スコア3以上(中等度以上)、症状が頭皮や顔、体幹、間擦部を含む体表面積の20%以下である18歳以上の患者であった。対象患者をroflumilast群(roflumilastフォーム0.3%)または溶媒群(vehicleフォーム)に無作為に割り付け、1日1回8週間塗布した。 主要アウトカムは、8週時のIGAに基づく奏効(IGAスコアが0[消失]または1[ほとんど消失]+ベースラインから2点以上減少で定義)とした。副次アウトカムは、2週・4週時のIGAに基づく奏効、Worst Itch Numeric Rating Scale(WI-NRS)のベースラインからの変化量などであった。安全性と忍容性も評価した。データ解析は、2020年9月~10月に行われた。 主な結果は以下のとおり。・合計226例(平均年齢±標準偏差[SD]:44.9±16.8歳、男性116例、女性110例)が、roflumilast群(154例)、溶媒群(72例)へ無作為に割り付けられた。・8週時において、roflumilast群は104例(73.8%)がIGAに基づく奏効を達成したが、溶媒群は27例(40.9%)であった(p<0.001)。・初回評価の2週時におけるIGAに基づく奏効率は、roflumilast群(33.8%)が溶媒群(14.7%)と比べて統計学的有意に高率であった(p=0.003)。・8週時において、WI-NRSのベースラインからの平均減少率(SD)は、roflumilast群59.3%(52.5%)、溶媒群36.6%(42.2%)であった(p<0.001)。・roflumilastの忍容性は良好で、有害事象の発現頻度は両群で同程度であった。

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初夏はとくに注意!熱帯夜で死亡リスク増~47都道府県のデータ解析

 高過ぎる気温は死亡リスク上昇につながることが示唆されているが、ほとんどの研究は最高気温や平均気温を使用している。しかし、気温上昇は最高気温より最低気温のほうが速い。今回、筑波大学のSatbyul Estella Kim氏らは、最低気温が高い熱帯夜と死亡リスクとの関連を検討した。その結果、熱帯夜により死亡リスクが有意に増加し、さらに晩夏より初夏の熱帯夜で死亡リスクが高いことがわかった。Environmental Health Perspective誌2023年5月号に掲載。 本研究では、日本の47都道府県における43年間(1973~2015年)のデータから、死因や地域別に熱帯夜の死亡率への影響を推定した。熱帯夜は、1日の最低気温が25℃以上の日またはその都道府県において研究期間中の1日最低気温の95パーセンタイル以上の日と定義し、熱帯夜が発生する季節(4~11月)における都道府県別の熱帯夜と死亡率の関連を推定した。さらに、ランダム効果メタ解析モデルを用いて統合累積関連を推定した。 主な結果は以下のとおり。・2,472万1,226例の死亡例を解析した。・熱帯夜ではない日に対する熱帯夜の相対死亡リスク(RR)は、最低気温25℃以上で1.09(95%信頼区間:1.08~1.10)、最低気温が95パーセンタイル以上で1.10(同:1.09~1.11)であった。・11の死因(心血管疾患、虚血性心疾患、脳血管疾患、脳出血、脳梗塞、呼吸器疾患、肺炎、COPD、喘息、腎臓病、高齢)による死亡率すべてが熱帯夜と関連していた。・熱帯夜と死亡率との関連の強さは都道府県によって異なっていた。・すべての地域で、晩夏と比べて初夏の熱帯夜の死亡リスクが高かった。 著者らは、この結果について「1日平均気温で説明可能な死亡率以上に、熱帯夜が死亡に影響するというエビデンスを裏付けるもの」としている。

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分娩後異常出血、ドレープによる早期検出と一連の初期治療が有効/NEJM

 分娩後異常出血について、目盛り付き採血ドレープによる早期検出と、子宮マッサージ、オキシトシンやトラネキサム酸投与などによる一連の初期治療により、重度分娩後異常出血や出血による開腹手術または母体死亡の複合リスクの低下に結び付くことが示された。世界保健機関(WHO)のIoannis Gallos氏らが、ケニア、ナイジェリアなど80の病院を対象に行った国際クラスター無作為化比較試験の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2023年5月9日号掲載の報告。重度分娩後異常出血、出血による開腹手術や母体死亡の統合リスクを比較 研究グループは、経膣分娩を行った女性を対象に、分娩後異常出血に関する多種の介入を評価した。介入は、分娩後異常出血の早期検出を目的とした目盛り付き採血ドレープと、一連の初期治療(子宮マッサージ、オキシトシン、トラネキサム酸、静脈内輸液、検査、エスカレーション)で、介入群の病院に対しては実施戦略によるサポートを行った。対照群の病院では、通常ケアが行われた。 主要アウトカムは、重度分娩後異常出血(失血量1,000mL超)、出血による開腹手術、出血による母体死亡の複合だった。主要な副次アウトカムは、分娩後異常出血の検出、一連の治療順守だった。主要複合アウトカムの発生率、通常ケア群4.3%に対し介入群1.6% ケニア、ナイジェリア、南アフリカ共和国、タンザニアの2次レベルの病院、合計80ヵ所で、経膣分娩を行った21万132例を対象に試験を行った。 データの得られた病院および被験者において、主要アウトカムのイベント発生は、通常ケア群4.3%に対し、介入群は1.6%だった(リスク比:0.40、95%信頼区間[CI]:0.32~0.50、p

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IPF標準治療へのziritaxestat追加、努力肺活量への影響は?/JAMA

 特発性肺線維症(IPF)でピルフェニドンまたはニンテダニブの標準治療を受けている患者、あるいは標準治療を受けていない患者において、開発中の新規オートタキシン阻害薬ziritaxestatの追加は、プラセボとの比較で臨床アウトカムを改善しなかったことが、2つの第III相無作為化試験で示された。米国・南カリフォルニア大学のToby M.Maher氏らが26ヵ国で行った「ISABELA 1試験」と「ISABELA 2試験」の結果で、両試験ともにデータ・安全性委員会の判定で早期に終了となった。IPFについては効果的で忍容性良好な治療の開発が待ち望まれている。JAMA誌2023年5月9日号掲載の報告。26ヵ国で約1,300例を対象に試験 2試験はアフリカ、アジア太平洋地域、欧州、中南米、中東および北米の26ヵ国で、IPF患者1,306例(ISABELA 1試験:106施設525例、ISABELA 2試験:121施設781例)を対象に、同一の試験デザインにて行われた。 研究グループは被験者を無作為に1対1対1の3群に分け、ziritaxestat(経口)600mg、ziritaxestat(経口)200mg、プラセボをいずれも1日1回、試験地域の標準治療(ピルフェニドン、ニンテダニブ、または何も投与せず)に追加して少なくとも52週間投与した。 主要アウトカムは、52週時点の努力肺活量(FVC)の年間減少率だった。主な副次アウトカムは、病勢進行、呼吸器関連の初回入院までの期間、SGRQ(St. George's Respiratory Questionnaire)総スコア(範囲:0~100、高スコアほど健康関連QOLが不良であることを示す)のベースラインからの変化だった。 2018年11月に試験登録が開始され、ISABELA 1試験は2021年4月に、ISABELA 2試験は2021年3月に終了となったため、いずれもフォローアップは早期に完了となった。FVCの年間減少率、両試験いずれの用量でも効果が認められず 試験終了時点で、ISABELA 1試験の被験者数は525例(平均年齢70.0歳[SD 7.2]、男性82.4%)、ISABELA 2試験の被験者数は781例(69.8歳[7.1]、81.2%)だった。独立したデータ・安全性委員会が、ziritaxestatのリスク対効果プロファイルが試験継続を支持しないものであると結論付けたため、両試験は早期に終了した。 両試験において、ziritaxestatはプラセボとの比較で、FVCの年間減少率を改善しなかった。ISABELA 1試験では、FVCの最小二乗平均年間減少率は、ziritaxestat 600mg群が-124.6mL(95%信頼区間[CI]:-178.0~-71.2)に対しプラセボ群は-147.3mL(-199.8~-94.7)であり(群間差:22.7mL、95%CI:-52.3~97.6)、同200mg群では-173.9mL(-225.7~-122.2)であった(プラセボとの群間差:-26.7mL、95%CI:-100.5~47.1)。 ISABELA 2試験でも、FVCの最小二乗平均年間減少率は、ziritaxestat 600mg群が-173.8mL(95%CI:-209.2~-138.4)に対しプラセボ群は-176.6mL(-211.4~-141.8)であり(群間差:2.8mL、95%CI:-46.9~52.4)、同200mg群では-174.9mL(-209.5~-140.2)であった(プラセボとの群間差:1.7mL、95%CI:-47.4~50.8)。 主な副次アウトカムについても、ziritaxestat群のプラセボ群に対するベネフィットは認められなかった。 全死因死亡率が、ISABELA 1試験ではziritaxestat 600mg群8.0%、同200mg群4.6%、プラセボ群6.3%、ISABELA 2試験ではそれぞれ、9.3%、8.5%、4.7%報告された。

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081)どこまで話す? 個人的な話【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第81回 どこまで話す? 個人的な話ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆日頃診察を行っていて、どうしてもある程度は時間がかかってしまうときがあります。たとえば、爪切りやたこ・魚の目の外来処置。患者さんと医師がお互いに楽な姿勢がとれるように、患者さんにはベッド上で横になってもらい、処置を行うことが多いのですが、話し好きな患者さんの場合、この時間がフリートークタイムに発展しがちだったりします(私だけ?)。足にまつわる相談事が話題のこともあれば、診察とはまったく関係のない、患者さん本人の身の上話が始まることも。とある話し上手の患者さんは、積極的にこちらの話を引き出して(?)こられる方で、私がランニングやマラソンをすること、ふだん朝ジョギングをしてから通勤していること、そのジョギングコースについて、など。気付けばどんどんと明かされていく、私個人にまつわる情報たち!?そのうち自宅の位置までも特定されてしまうのではと、ふと我に返るのでした。診察中の会話をより身近に感じてもらうようにと、こちらから自身の個人的な話を例に出して治療の説明を行ったりすることもありますが、今回のような場合だと、「あんまり素直に何もかも答えてしまわないほうがいいのかしら」と思ったりするのでした。ご本人に悪気はないのでしょうけどね。それでは、また。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その7【「実践的」臨床研究入門】第32回

検索式で研究デザインを限定する その2前回は、「研究デザイン」を「ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)」に限定するための検索式について説明しました。ただ、われわれのClinical Question(CQ)とResearch Question(RQ)(下記)の「研究デザイン」は「RCT」ではなく「観察研究」です。CQ:食事療法を遵守すると非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病患者の腎予後は改善するのだろうかP(対象):非ネフローゼ症候群の慢性腎臓病(CKD)患者E(曝露要因):食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守C(比較対照):食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守O(アウトカム):1)末期腎不全(透析導入)、2)eGFR低下速度の変化そこで、今回からは「研究デザイン」を「観察研究」に限る方法について解説したいと思います。まずは、PubMedの「Filterサイドバー」(連載第31回参照)の"ARTICLE TYPE"で"Observational Study"のFilterを使用する方法を紹介しましょう。デフォルトでは"Observational Study"は"ARTICLE TYPE"のリストには挙げられていません。したがって、初めに「Filterサイドバー」の下側にある"Additional filters"をクリックし、"ARTICLE TYPE"のリストから"Observational Study"を追加で選択します。それでは、われわれのRQの検索式に、"Observational Study"のFilterを加えてみましょう。PubMed Advanced Search Builderを用いて、これまで改訂してきたP、Eそれぞれの構成要素のブロック(下記)の検索式をANDでつなぎます(連載第27回参照)。PのブロックKidney Disease[mh:noexp] OR “diabetic nephropathy”[tiab] OR Diabetic Nephropathies[mh] OR Renal Insufficiency[mh:noexp] OR Renal Insufficiency, Chronic[mh:noexp] OR "chronic kidney disease*"[tiab] OR "chronic renal disease*"[tiab] OR CKD[tiab] OR predialysis[tiab] OR pre-dialysis[tiab]EのブロックDiet, Protein-restricted[mh] OR "low-protein diet*"[tiab] OR "protein-restricted diet*"[tiab]まずPubMed Advanced Search Builderで #1 AND #2 のResultsでヒットした論文数をクリックします。そして、メイン画面左側の「Filterサイドバー」の"ARTICLE TYPE"から、先ほど追加した"Observational Study"のFilterを選択します。すると、検索結果は表のとおりとなります(本稿執筆2023年5月時点)。表画像を拡大する最終的にヒットした論文の文献情報を確認すると、当たり前ですが、すべての論文で"Observational Study"であるという情報がPublication typeとして与えられています。それゆえ、Publication typeの情報が付与されていない論文は検索から漏れてしまう恐れがあります。そこで、次回は「観察研究」をさらに網羅的に捕捉するための「観察研究フィルター」の検索式を紹介します。

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第162回 止められない人口減少に相変わらずのんきな病院経営者、医療関係団体(後編) 「看護師に処方権」「NP国家資格化」の行方は?

ジャニーズの性加害問題報道でNHKが「反省」の弁こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末、メディアはG7広島サミットの話題に加え、ジャニーズ事務所の「謝罪」動画、歌舞伎役者の自殺未遂事件など社会部ネタが頻発し、バタバタだった模様です。ジャニー喜多川氏によるジャニーズJr.の少年への性的虐待については、この連載の「第155回 日本はパワハラ、セクハラ、性犯罪に鈍感、寛容すぎる?WHO葛西氏解任が日本に迫る意識改造とは?(後編)」でも簡単に触れたのですが、「謝罪」動画公開後の5月17日にNHKで放送された「クローズアップ現代」(クロ現)はなかなか興味深い内容でした。「“誰も助けてくれなかった” 告白・ジャニーズと性加害問題」と題されたこの回の「クロ現」では、元ジャニーズJr.の男性が実名で登場、自身が受けた性被害の詳細を語っていました。印象的だったのは、桑子 真帆キャスターが、「なぜこの問題を報じてこなかったのか。私たちの取材でもこうした声を複数いただきました。海外メディアによる報道がきっかけで波紋が広がっていること。私たちは重く受けとめています」と反省の弁を述べ、番組の最後に「私たちは、これからも問題に向き合っていきます」と語ったことです。日本で長年に渡って起こっていた性被害事件にもかかわらず、日本のメディアで報道してきたのは週刊文春などごくわずかです。英国BBCのドキュメンタリーが放映されたので渋々動きました、というのではNHKも報道機関としての存在意義が問われても仕方ありません。今回、NHKの顔とも言えるキャスターが番組で反省の弁を述べたというのは、とても大きな意味があることだと思います。逆に言えば、ジャニーズ事務所に忖度し、BBCのドキュメンタリーや今回の「謝罪」動画に関しても、お茶を濁した報道しかしていない民放(「クロ現」ではジャーナリストの松谷 創一郎氏が「民放の人たち、テレビ朝日やフジテレビなんかはとくにそうですけれども」と名指しして批判していました)は、報道機関としては完全に“失格”と言えそうです。人口減少に対する、医療関係団体の希薄過ぎる危機感さて、今回も4月26日に厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表した「将来推計人口」に関連して、日本の医療に及ぼす影響について考察してみます。前回は、一向に進まない地域医療構想や、病院の役割分担の明確化や病床削減などへ取り組みの遅れなど、医療提供体制における問題点について書きました。今回は、急速に進む人口減少が招くであろう医療・介護人材難に対して、日本医師会や日本薬剤師会といった医療関係団体の危機感が希薄過ぎる点について書きます。訪問看護ステーションに配置可能な医薬品の拡大案に「断固反対」と日本薬剤師会会長5月12日付のメディファクス等の報道によれば、日本薬剤師会の山本 信夫会長は5月10日に開かれた三師会の会見で、政府の規制改革推進会議で議論が進められている、訪問看護ステーションに配置可能な医薬品の拡大案について、「配置可能薬を拡大するということについては断固反対という立場だ」と述べたとのことです。この案は、規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキング・グループで3月6日、医師の佐々木 淳専門委員(医療法人社団 悠翔会理事長)と弁護士の落合 孝文専門委員が提案したものです。佐々木氏は関東を中心に在宅医療専門のクリニックを複数ヵ所運営する医療法人を経営しています。佐々木氏らが提案したのは、訪問看護ステーションに配置する薬剤の種類を増やし、訪問看護師がある程度自由に使用できるようにするための新しいスキームです。現状では看護師が薬局で薬剤を入手してから患者宅に向かうか、看護師から連絡を受けた薬剤師が薬剤を配達しているのですが、このスキームによって患者への薬剤提供が効率化される、としています。このスキームでは、薬剤師はオンラインで訪問看護ステーションに配置された薬剤を遠隔管理(倉庫室温、ピッキングの適切性、在庫など)し、薬局がステーションに随時医薬品を授与します。一方、ステーションの看護師は、必要に応じて医師の指示内容を薬局と共有、処方箋の写しに基づいてステーションの倉庫から薬剤をピッキング、患者に投薬します。なお、倉庫内に配置する薬剤としては、脱水症状に対する輸液、被覆剤、浣腸液、湿布、緩下剤、ステロイド軟膏、鎮痛剤などを想定しているとのことです。薬剤師の調剤権を著しく侵害することにつながり「極めて問題がある」現状、薬剤師法などで、調剤を行えるのは、医師、歯科医師、獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときを除いて薬剤師に限られています。山本会長は、この改革案は医師の処方権、薬剤師の調剤権を著しく侵害することにつながり「極めて問題がある」と述べたそうです。その上で、在宅医療の提供について、「チームを組んで医療を提供するのが本来の姿。専門職が集まってその患者さんに対してどんな医療が必要か、医師や看護師、薬剤師など各専門職種が議論していくことが大前提だ。それを抜きにして、ただ置けばいいという発想について私どもとしては大変断固反対だ」と述べたとのことです。他の医療・看護・介護拠点が薬局機能を代替して何が悪い?「薬局の遠隔倉庫」案と呼ばれるこの案、患者が薬剤を手に入れるまでの時間が短縮されるだけでなく、調剤をする薬局自体がない地域や、土日や夜間は営業しない薬局しかない地域では、とても便利で現実的な方策に見えます。「薬剤師の調剤権を侵害」「チーム医療が本来の姿」と山本会長は語っています。しかし、そもそも薬局薬剤師が機能しない地域や時間帯があるなら、ほかの医療・看護・介護拠点がその機能を代替して何が悪いというのでしょう。山本会長の発言は、薬剤師のことは考えているが、患者のことは考えていないように感じます。ちなみに、令和4年度の厚生労働白書によれば、2020年度において、無薬局町村は34都道府県で136町村あるそうです。「包括指示」の仕組みを活用、「訪問看護師に一定範囲内の薬剤の処方箋を発行できるようにする」案も規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキング・グループは先週、5月15日にも開かれ、佐々木氏は「薬局の遠隔倉庫」案をベースとした、もう一歩踏み込んだ改革案を提案しています。5月16日付のCBnewsマネジメントの報道によれば、佐々木氏は一定の条件下で訪問看護師が処方箋を発行して投薬できる規制緩和策を検討すべきだと提案したとのことです。具体的には、医師に連絡がついたものの処方箋を発行できない場合、看護師は医師の指示に基づいて処方箋を発行できる医師と連絡がつかない場合、看護師は医師の包括的指示に基づいて処方箋を発行できる24時間対応を標榜する薬局がある場合、薬剤師は迅速・確実に患者宅に薬剤を届ける。24時間対応の薬局がなければ訪問看護事業所に薬剤を配備し、看護師がその備蓄から薬剤を使用することができる24時間対応する薬局の有無にかかわらず、訪問看護事業所内への輸液製剤の配備を可能とするなお、佐々木氏は、これらの対象となる薬剤(輸液製剤を含む)の範囲をあらかじめ指定しておくことも提案しています。医師から看護師への「包括指示」の仕組みを活用して、「訪問看護師に一定範囲内の薬剤の処方箋を発行できるようにする」という大胆な提案です。日本薬剤師会が再び激怒しそうですが、働き方改革や人材難を背景に、タスクシフト/タスクシェア推進が叫ばれる中、とても理に適った提案ではないでしょうか。「NPを導入し、国家資格として新たに創設するというのは適切ではない、反対だ」と日本医師会政府の規制改革会議ですが、その議論や提案はいつもラジカルで、旧態依然とした医療関係団体を時折怒らせています。2月13日、規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキング・グループは、医師と看護師のタスクシェア、とくにナース・プラクティショナー(NP)について日本医師会等にヒアリングを実施しました。NPとは、端的に言えば、医師と看護師の中間的な技量を有した医療専門資格です。現行の特定行為研修を修了した看護師ができる医療行為の範囲を超えて、“医師のように”自主的に医療行為が行える新しい国家資格(NP)をつくろうというのがNPの国家資格化のコンセプトです。米国においてNPは医師の指示・監督がなくても診察、診断、治療・処方のオーダーができる資格として確立しています。この回のワーキング・グループに日本医師会から参加した常任理事の釜萢 敏氏は「外国で行われているものを日本に導入すれば必ずうまくいくというものでは決してない。特定行為研修の修了者を増やしていくという方向に大きく踏み出したので、まずそれをしっかり実現することが喫緊の課題。NPという新たな職種を導入し、国家資格として新たに創設するというのは、現状において適切ではない、反対だ」と述べました。日本医師会などが慎重な姿勢を示してきたため業務範囲の拡大は遅々として進まず医療・介護分野のタスクシェア・タスクシフトを巡っては、これまで日本医師会などが慎重な姿勢を示してきました。そのため、実際の医療現場での業務範囲の拡大は遅々として進んでいません。2021年5月の医療法等改正においても、業務範囲が拡大されたのは診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士のみで、“本丸”とも言える看護師には踏み込んでいません(「第66回 医療法等改正、10月からの業務範囲拡大で救急救命士の争奪戦勃発か」参照)。政府の規制改革推進会議が昨年5月に決めた令和4年度の最終答申には「医療・介護分野のタスクシェア・タスクシフトの推進」は記述されていますが、より本格的な検討は今期の同会議の“宿題”となりました。その後、議論を進めてきた規制改革推進会議は、昨年12月に当面の改革テーマに関する中間答申をまとめました。そこには、医師や看護師が職種を超えて業務を分担する「タスクシェア」の推進が明記され、医師の業務の一部を看護師らに委ねる「タスクシフト」も進めると書かれました。それを踏まえ、看護師らが担える業務の対象拡大を主要テーマとして、医療・介護・感染症対策ワーキング・グループが議論を進めてきた、というのがこれまでの流れです。6月にまとめられる規制改革推進会議の最終答申に注目それにしても、医師や薬剤師がタスクシェア・タスクシフトをこうも毛嫌いする理由はなんでしょう。自分たちの仕事が、「看護師ごときには対応できないほど高度なもの」とでも考えているのでしょうか。あるいは逆に、「意外に簡単で誰にでもできそうであることがバレるのが怖い」のでしょうか。確か、日本医師会は医師増(医学部新設)にも反対していましたから、単に自分たちの既得権を守りたいだけなのかもしれません。前回の冒頭で書いた青森の下北半島ではないですが、現状、医師確保にあえいでいる地域は全国にたくさんあります。人口減が今以上に進めば、無医町村も増えていくでしょう。そんな中、相応の資格を得た訪問看護ステーションなどの看護師が、処方を含む医療行為を自らの判断で行うことができるようになれば、地域医療に一定の安心感を与えるのではないでしょうか。また、老人保健施設や介護医療院は医師でなければ施設長になれませんが、高齢者医療を専門とするNPが施設長になることができれば、貴重な医師人材の節約にもつながります。今年6月にもまとめられる予定の令和5年度の規制改革推進会議の最終答申に、医師から看護師への包括指示の活用や、訪問看護師への処方権付与、NP国家資格化といった、ワーキング・グループで議論されてきた内容がどれくらい盛り込まれることになるか、注目されます。

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認知症のリスク軽減とスクリーニングに対する意識調査

 認知症に対する薬理学的および非薬理学的介入は進歩しており、将来の認知症予防において、対象を絞ったスクリーニングやライフスタイルの改善に組み込まれていくことが期待される。認知症予防を推進していくうえで、コミュニティの関与を妨げる潜在的な問題を解決することは、認知症予防へのアクセスや実現の可能性を最大化するために重要である。オーストラリア・認知症研究連携センター(DCRC)のNikki-Anne Wilson氏らは、認知症のリスク軽減とスクリーニングに対する現在の考えおよび問題点を調査した。その結果、認知症のリスク軽減行動やスクリーニングに対する意欲が社会人口統計学的要因と有意に関連していることが明らかとなった。Alzheimer's Research & Therapy誌2023年4月10日号の報告。 対象は、オーストラリア最大の有料データ分析サービス(ORIMA)から提供された18歳以上の成人607人。他の一般的な健康状態と比較した認知症のリスク軽減とスクリーニングに対する現在の考えおよび問題点を調査するため、54項目の多肢選択式調査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・認知症のリスク軽減行動に対する重大な問題は、経済的要因(p=0.009)、モチベーションの低さ(p=0.043)、時間不足(p≦0.0001)であった。・時間不足は、高齢者よりも若年者で高く(p≦0.0001)、女性は男性よりも経済的要因(p=0.019)、モチベーションの低さ(p=0.043)を報告する可能性が高かった。・二項ロジスティック回帰では、認知症検査の各手法を希望する意欲は、性別、年齢、社会経済性により大きな影響を受けることが明らかとなった。 【性別】遺伝子検査(p=0.012)、唾液検査(p=0.038)、修正可能なリスク因子のスクリーニング(p=0.003) 【年齢】認知機能検査(p≦0.0001)、血液検査(p=0.010) 【社会経済性】網膜イメージング(p=0.042)、修正可能なリスク因子のスクリーニング(p=0.019)・回答者の65%以上が、少なくとも1つの非認知症の健康状態のリスク軽減について十分な情報を得ていると感じたのに対し、認知症の場合は30.5%でした。・本調査結果は、認知症発症リスクの高い人を特定するための潜在的な手法へのアクセスや実現可能性に関する知見を示しているだけでなく、生涯にわたる認知症のリスク軽減行動への関与を、より適切に推進、サポートしていく必要性を示唆している。

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進行乳がんへのHER3-DXd、効果予測因子は?(ICARUS-BREAST01)/ESMO BREAST 2023

 HR+/HER2-の進行乳がん患者に対し、HER3を標的としたpatritumab deruxtecan(HER3-DXd)を投与した第II相ICARUS-BREAST01試験において、ベースライン時のHER3+の血中循環腫瘍細胞(CTC)数が多い患者、または1サイクル目でHER3+のCTC数が大きく減少した患者では、治療反応が早期に得られやすい傾向にあったことを、フランス・Gustave RoussyのBarbara Pistilli氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2023、5月11~13日)で報告した。 これまで、HER3+の再発/転移乳がん患者(HR+/HER2-、HER2+、トリプルネガティブ)に対する第I/II相U31402-A-J101試験において、HER3-DXdの有効性と安全性が示されている。この有用性はすべてのサブタイプで同様であり、HER3-DXdはHER3の発現量にあまり依存しない可能性が示唆されており、HER3-DXdに対する反応性/抵抗性のバイオマーカーは不明である。 そこで、本試験は複数治療歴のあるHR+/HER2-進行乳がん患者におけるHER3-DXdの予測因子を明らかにすることを目的として現在行われている。データカットオフは2023年2月15日で、今回は3ヵ月奏効率と安全性データが報告された。なお、IHCでのHER3発現状況の登録は、2022年4月21日より削除された。・対象:CDK4/6阻害薬+内分泌療法歴、1ラインの化学療法歴のあるHR+/HER2-またはHER2低発現の進行乳がん(切除不能の局所進行もしくは転移を有する乳がん)患者・試験群:HER3-DXd 5.6mg/kg 3週間ごとに静脈内投与(治療前、治療中、治療終了時に腫瘍生検) ・評価項目:[主要評価項目]奏効率[副次評価項目]無増悪生存期間、奏効期間、クリニカルベネフィット率、全生存期間、安全性 主な結果は以下のとおり。・データカットオフの時点で85例の患者が試験に参加し、うち56例が評価可能であった。・ベースライン時の患者特性は、年齢中央値56歳(範囲:28~82歳)、全例が女性、HER3+が51.8%、前治療のライン数中央値2(範囲:1~4)、HER3-DXdのサイクル数中央値8(範囲:1~20)であった。・3ヵ月奏効率は、部分奏効が28.6%(16例)、病勢安定が53.6%(30例)、進行が17.8%(10例)であった。・HER3-DXd投与1~2サイクル後に、主にHER3+のCTC数の中央値が減少した。・HER3-のCTC数と治療効果に関連はなく、病勢進行時もHER3-のCTC数の増加はみられなかった。・ベースライン時のHER3+のCTC数が多い患者、または1サイクル目でHER3+のCTC数が大きく減少した患者では、治療反応が早期に得られやすい傾向にあったが、統計学的な有意差は認められなかった。・治療関連有害事象(TRAE)は100%に生じ、多かったものは疲労89.3%、悪心75.0%、下痢46.4%、脱毛44.6、便秘26.8%であった。Grade3以上のTRAEは48.2%で、疲労14.3%、悪心3.6%、下痢3.6%、便秘5.3%であった。間質性肺疾患は1例(1.8%)報告された。 ICARUS BREAST01試験は現在も進行中であり、さらなる有効性と効果予測因子の解析が行われる予定である。

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進行腎細胞がん1次治療、カボザンチニブ+NIVO+IPIがPFS改善(COSMIC-313)/NEJM

 予後予測分類が中リスクまたは高リスクで未治療の進行腎細胞がん患者において、チロシンキナーゼ阻害薬カボザンチニブとニボルマブ+イピリムマブの併用療法はニボルマブ+イピリムマブと比較して、1年時の無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したが、Grade 3/4の有害事象の頻度は高かったことが、米国・ハーバード大学医学大学院のToni K. Choueiri氏らが実施した「COSMIC-313試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年5月11日号で報告された。国際的な無作為化プラセボ対照第III相試験 COSMIC-313試験は、北米、欧州、南米、アジアなどの諸国の施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年6月~2021年3月の期間に患者の無作為割り付けが行われた(米国・Exelixisの助成を受けた)。 年齢18歳以上で、未治療の進行淡明細胞型腎細胞がんを有し、予後が国際転移性腎細胞がんデータベースコンソーシアム(IMDC)の分類で中リスクまたは高リスクの患者を、ニボルマブ(3mg/kg体重、静注)+イピリムマブ(1mg/kg体重、静注)との併用で、カボザンチニブ(40mg/日、経口、実験群)またはプラセボ(経口、対照群)を投与する群に無作為に割り付けた。 ニボルマブ+イピリムマブは3週に1回、4サイクル投与され、その後ニボルマブ維持療法(480mg、4週に1回)が最長で2年間施行された。 主要評価項目はPFSであり、無作為化の対象となった最初の550例(PFS集団)について独立の審査委員会が盲検下で評価した。完全奏効率は両群とも3% 855例(intention-to-treat集団)が登録され、実験群に428例(年齢中央値61歳、男性76%)、対照群に427例(60歳、73%)が割り付けられた。PFS集団は、実験群が276例(61歳、77%)、対照群は274例(60歳、74%)だった。全体の約65%が腎摘出術を受けていた。 PFS集団における12ヵ月時のPFS達成見込みは、対照群が0.49であったのに対し、実験群は0.57と有意に優れた(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.57~0.94、p=0.01)。PFS中央値は、実験群が未到達(95%CI:14.0~未到達)、対照群は11.3ヵ月(7.7~18.2)だった。 また、盲検下の独立審査委員会によるPFS集団における奏効率は、実験群が43%、対照群は36%であり、このうち完全奏効率はいずれも3%であった。病勢コントロール率はそれぞれ86%、72%、奏効までの期間中央値は2.4ヵ月、2.3ヵ月、奏効期間中央値はいずれの群も未到達だった。 Grade3/4の有害事象は、実験群が79%、対照群は56%で発現した。対照群に比べ実験群で頻度の高かった有害事象として、ALT値上昇(27% vs.6%)、AST値上昇(20% vs.5%)、高血圧(10% vs.3%)が認められた。投与中止をもたらした試験薬関連の有害事象の割合は、実験群が45%、対照群は24%であった。 著者は、「先行研究と比較して両群とも完全奏効率が低かったが、これは腎摘出術を受けていない患者の割合が他の第III相試験に比べて高く、腎腫瘍の残存病変を有する患者が多かったためと考えられる。今後、長期のフォローアップで完全奏効率が上昇するかはわからない」としている。現在、全生存期間の解析のためのフォローアップが継続中だという。

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砂糖代替品に体重減少効果はなく、むしろ疾病リスク高める/WHOガイドライン

 世界保健機関(WHO)は、2023年5月15日付で、非糖質系甘味料(non-sugar sweeteners:NSS)に関するガイドラインを公開し、体重コントロールや非伝染性疾患(NCD)のリスク低減を目的としてNSSを摂取しないよう勧告する、と発表した。 この勧告は、新たな研究のシステマティックレビューの結果に基づいたもので、NSSの使用は、成人および小児の体脂肪を減らすうえで長期的な利益をもたらさないことを示唆している。さらにシステマティックレビューの結果として、成人の2型糖尿病、心血管疾患、死亡率のリスク増加など、NSSの長期使用による望ましくない影響の可能性が示唆されている。 「砂糖をNSSに置き換えることは、長期的には体重コントロールに役立たない。糖の摂取を減らすためには、果物のような自然に存在する糖分を含む食品や、無糖の食品・飲料を摂取するなど、ほかの方法を検討する必要がある」と、WHO栄養・食品安全担当ディレクターのFrancesco Branca氏は述べた。 この勧告は、糖尿病を持つ人を除くすべての人に適用され、製造された食品や飲料に含まれる糖類に分類されない合成および自然発生または改変された非栄養性甘味料、または消費者が食品や飲料に添加するために単独で販売されているすべての甘味料が含まれる。一般的なNSSにはサッカリン、ステビアなどがある。 この勧告は、歯磨き粉、肌用クリーム、薬品などのNSSを含む衛生用品、またはカロリーを含む糖または糖誘導体でNSSとはみなされない低カロリーの糖および糖アルコール(ポリオール)には適用されない。

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NPhAが24年度改定の要望書を提出、薬局の「不公平」解消へ?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第110回

日本保険薬局協会(以下、NPhA)から、次回の調剤報酬改定の要望書が提出されました。これによって、薬局が果たしている機能がきちんと評価されるようになるかもしれません。日本保険薬局協会は5月11日、24年度診療報酬改定に対する「要望書」を発表。重点事項として「薬局グループの規模に関わらず薬局が果たしている機能を公正に評価」と「医薬品の安定供給と後発品の継続的な使用促進に対する評価」が必要とした。グループ規模による評価に関しては、協会が「1丁目1番地」に掲げ、従来から要望している項目。調剤基本料1とそれ以外で格差がある地域支援体制加算を、要件・点数ともに「同一」にすることなどを求めた。(2023年5月12日付 RISFAX)NPhAは、比較的店舗数が多い中堅以上の保険薬局チェーンを中心とした団体です。NPhAは過去に実施した調査結果を根拠として24年度改定の要望書を提出しました。例示された根拠は、調剤基本料1を算定する薬局とそれ以外の基本料を算定する薬局の機能を比較すると、かかりつけ薬剤師の届出数や年間10件の在宅実績、無菌調剤、地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の取得数などが基本料1以外の薬局のほうが多いというもので、要望書では調剤基本料1とそれ以外で格差がある地域支援体制加算を要件・点数ともに「同一」にすることを求めました。薬局薬剤師はご存じだと思いますが、調剤基本料で最も点数が高いのが調剤基本料1の42点で、調剤基本料2が26点、調剤基本料3が21点または16点と下がっていきます。薬局グループの規模が大きかったり、集中率が高かったりすると調剤基本料1を算定することができません。大規模グループや集中率の高い薬局は効率的な経営が可能なため、小規模な薬局を守るために点数が下げられていますが、薬局の本来の機能自体が評価されていないのは薬剤師としては悲しい状況であると言わざるを得ません。地域体制加算の要件にも調剤基本料が関係NPhAは、地域体制加算の算定要件についても改善を求めています。地域支援体制加算は、2018年度改定で新設された加算で、それ以前の基準調剤加算を踏襲し、より地域医療に貢献する薬局を評価する目的で新設されました。しかしながら、点数が高い地域体制加算1および2を算定する要件として調剤基本料1の算定があり、調剤基本料1を算定できる小規模の薬局が実績や貢献度に深く言及されずに高い地域体制加算を算定できるとして、薬局内外から疑問や不満の声が挙がっていました。実は前回の報酬改定の際にも別のエビデンスで同様の動きがありました。今回採用されるかどうかはわかりませんが、もし採用されなかったとしても当たり前のことをきちんと主張するというのは大事なことだと思います。2024年度は、6年に1度の医療・介護・障がい福祉等のトリプル報酬改定になります。医療と介護に関わる関連制度の一体改革にとって大きな節目であることから、今後の医療および介護サービスの提供体制の確保に向け、さまざまな視点からの検討が重要になるとされています。年度末に向けて、また騒がしい日々が始まりそうです。

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米国医師国家試験に挑戦するなら今が絶好のチャンス!【臨床留学通信 from NY】第48回

第48回:米国医師国家試験に挑戦するなら今が絶好のチャンス!さて今回は米国医師国家試験(USMLE:United States Medical License Examination)についてのお話です。私が試験を受けた2011年ごろはUSMLE Step 1・2CK(clinical knowledge)、2CS(clinical skill)、そしてそれを終えるとECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)certificationが取得できて、その後にUSMLE Step3を受けるという仕組みでした。以前もお話ししましたが、USMLE Step 2CSは英語が不得意な私にとっては最難関。英語で問診し、英語で診察し、英語でカルテを書く、という日本語であったらなんでもないことを英語でするだけなのに、ものすごくハードルが高い試験でした。なんといっても英会話をまるでしたこともなく、ぬくぬくと受験勉強、大学生活をしていた私が、医者になって5年目に臨床業務の傍らひたすら英語の勉強をする羽目になったのです。しかも試験は米国に行って受けなければならず、試験費用(USMLEは1つ受けるのに10万円くらいするはずです)、KAPLANという語学学校のコース(5日で25~30万円くらいでしたでしょうか)での直前講習、滞在費などを含めると、高額な費用を余儀なくされました。情報は当時の記憶のままなので、そこは話半分に聞いていただきたいのですが、なんといっても、当時最もハードルが高かったUSMLE Step 2CSが、今は新型コロナの影響で中止となっているのです(いつまで中止かは不明です)。その代わりにOET(Occupational English Test)という医療英語試験が代用されており、渡米の必要もなく、試験もCSに比べれば楽、という話です。実際にCSに落ちた後、OETに切り替わった仕組みを利用してOET合格し、ECFMGを取得し、すでに渡米している人もいます。さらなる朗報はUSMLE Step1が無点数化になったことです。今までStep 1・2CKの点数が低く合格してしまうと、ECFMGは取れたものの、米国の病院とのマッチには世界中との競争に勝てず、とくに内科レジデント、外科レジデントなどレジデントから入る場合では、マッチできないというケースもありました。フェローから入る場合は診療科によって状況が異なることもあります。ただし人気の高い循環器フェローには、直接入ることは不可能と言ってもいいでしょう。Step 1はかなり曲者の試験で、いわゆる基礎医学の試験のため、国家試験を通った方でもかなり難しく、それが英語かつ高得点を要求されることから、敬遠していた人もいたと思います。Step 1が無点数化されたことで、世界中からこぞって受けているようです。その反面、ギリギリ合格を狙う人も多くなったため、合格率は下がっているようです。Step 2CKはそこまで難しいテストではないので、たとえ合格点すれすれでもStep 1をパスして、Step2CKで高得点を狙い、OETは現地での活動を見据えてしっかり英語の対策をすれば、ECFMG certificateの取得もできなくはない?ところが見えてきそうではないでしょうか。すでに受けようと決めている人には周知の情報ですが、ちょっと興味はあるけれど、くらいの人もぜひトライを考えてもいいのかもしれません。もちろん、お金と時間、労力、そしてECFMG取得後も困難なことは往々にありますが(今回の変更でより競争が激化していると思われますが)、資格がないことには米国で臨床ができないのも事実です。少しでも興味がある方はこのチャンスを活かすのもありかなと思います。Column第43回のコラムで紹介させていただいた、私がサポートしている先生方による、昨年12月に開催された日本循環器学会関東甲信越地方会での2つの発表は、お二方ともco-first authorとして無事に雑誌掲載されるに至りました1,2)。ECFMGは取得済みとのことですが、その後も険しい道は続くことは予想されますので、いろいろな形で後押ししていきたいと思います。 1)Yokoyama Y, et al. Eur J Cardiothorac Surg. 2023;63:ezad043. 2)Miyamoto Y, et al. Eur J Clin Invest. 2023 Feb 16;e13970.

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英語で「もう一度言ってもらえますか?」は?【1分★医療英語】第81回

第81回 英語で「もう一度言ってもらえますか?」は?Could you repeat it for me, please? (もう一度言ってもらえますか?)Sure.(もちろんです)《例文1》Could you say that again for me?(もう一度言ってもらえますか?)《例文2》Could you rephrase it?(別の言い方で言ってもらえますか?)《解説》英語でのやりとりで聞き逃したり、オンライン会議で聞き取りにくかったりという状況はよくあることかと思います。相手にもう一度繰り返してほしいときの表現はたくさんあります。一番使いやすく、シンプルかつ丁寧なのは、“Could you say that again?/Could you repeat it again?”などでしょう。“I’m sorry I didn’t get it/catch it.”(すみません、よくわかりませんでした/よく聞き取れませんでした)、または“I don’t(quite)follow”(よくわかっていません)と付け加えると、より丁寧かもしれません。また、言っていることは聞き取れたものの、単語や表現がわからないときには“Could you rephrase it?”(別の言い方で言ってもらえますか?)と言って言い換えをしてもらうよう頼んでみましょう。患者さんとのやりとりでも、スラングや非医療者特有の表現で意味が理解できない、といったこともしばしばです。聞いたことを正しく理解できているか自信がない場合には、“Do you mean〜?/Does it mean〜?”と言って、自分の理解が合っているかを確認するようにしましょう。講師紹介

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第164回 麻酔下の患者へのケタミン投与試験でプラセボに勝る抗うつ効果示せず

手術を控えた麻酔下の大うつ病患者にケタミンを投与するという一風変わった無作為化試験でプラセボに勝る抗うつ効果は残念ながら認められませんでした1)。試験で麻酔に使われたプロポフォールやイソフルランと同様にケタミンも麻酔薬で、自分の体を抜け出してしまうような感覚を生じさせる解離作用を有することが知られています。また、そばにいないはずの友人や家族の声が聞こえてしまうなどの幻聴や見えないはずのものが見える幻視を同剤はもたらすこともあります。ケタミンはそのようないわば「飛ぶ(trip)」感覚を求める人に不正使用されることがある一方で、精神疾患治療での応用も期待されており、治療抵抗性のうつ病を含む大うつ病患者へのケタミン投与と抗うつ効果の関連がいくつかの試験で示されています。それらの試験結果によるとケタミン静注は治療抵抗性うつ病患者の約5人に2人(41%)に有効で、約5人に1人(19%)は投与24時間で寛解に至っています。1回きりのケタミン静注を調べた無作為化試験での効果は投与後2時間以内に認められ、1週間後も持続していました。しかしケタミンの抗うつ効果がプラセボとどれだけ違うかを無作為化試験で調べることは困難を極めます。投与後にすぐに自覚しうる解離作用や幻覚などの精神作用のせいで被験者はケタミンとプラセボのどちらが投与されたかを知らされておらずともわかってしまい、完全な盲検がおよそ不可能だったからです。盲検が不完全だと被験者の期待に端を発する効果に偏りが生じる恐れがあります。その偏りのせいでケタミンの抗うつ効果が水増しされているかもしれません。そこでスタンフォード大学の研究チームは手術を受ける大うつ病患者を募り、被験者にケタミンをそうとは感づかれないように麻酔中に投与する無作為化試験を実施しました。試験には心臓や頭蓋内以外の手術を予定している40例が参加し、麻酔開始から手術開始までにケタミンかプラセボのいずれかが投与されました。被験者にどちらが投与されたかを後で推測してもらったところ正解率は50%に満たない40%足らずであり、試験のもくろみどおりケタミンはそうとは被験者に気づかれなかったことが示されました。肝心の効果はというとケタミン投与後3日間のうつ症状指標MADRSは改善しましたが、同様に改善したプラセボとの有意差は認められませんでした。寛解(MADRS点数12点以下)を達成した被験者の割合も両群とも40%で差がありませんでした。ではその抗うつ効果は果たして何に由来するのでしょうか? もしかしたら麻酔薬のおかげかもしれません。麻酔薬であるプロポフォールやイソフルランの抗うつ効果が先立つ試験で示されているからです。しかしそれらの試験では脳波を抑制するほどの量が複数回投与されており、脳波抑制が生じない範囲での標準的な麻酔が用いられた今回の試験とはだいぶ趣が異なっています。今回の試験報告の著者の1人Theresa Lii氏はケタミンも麻酔薬もうつ病緩和に大して貢献しなかったと考えています。医師とやり取りを繰り返し、気配りをしてもらいながら試験の手順を踏んでいったことが有益だったのであり、きっと良くなるという期待がケタミン投与群とプラセボ投与群のどちらでも醸成されて実際良くなったのだろうと同氏は述べています2)。ケタミンで「飛ぶ」ことができない環境での今回の試験結果によると大うつ病をすぐに改善する効果はケタミン自体にはないのかもしれません。次の課題としてLii氏は「飛ぶ」経験こそより有意義なのかどうかを調べたいと思っています。参考1)Lii TR, et al. medRxiv. 2023 May 01. [Epub ahead of print]2)Ketamine no better than placebo at alleviating depression, unusual trial finds / Science

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不眠症治療薬の有効性と安全性の比較~メタ解析

 不眠症のマネジメントにおいては、薬理学的治療が最も一般的に用いられる。しかし、不眠症に対する薬剤クラス間および各薬剤間の相対的な有効性および安全性、そのエビデンスの確実性を比較した研究は十分ではなかった。中国・蘭州大学のBei Pan氏らは、不眠症に対する治療薬の相対的な有効性、安全性、忍容性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、非ベンゾジアゼピンは、総睡眠時間、入眠潜時、中途覚醒に対する改善効果が認められた。他の不眠症に対する薬剤クラスおよび各薬剤においても、不眠症状の改善に対するベネフィットが認められた。著者らは、不眠症治療薬の選択に当たっては、不眠症の病態および各薬剤の安全性、忍容性に基づき治療薬を選択する必要があるとしている。Drugs誌2023年5月号の報告。 2022年1月10日までに公表された研究をPubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、PsycINFO、ClinicalTrials.govよりシステマティックに検索した。検索対象には、不眠症成人を対象とした不眠症治療薬とプラセボまたは実薬比較対照薬を比較した研究を含めた。分析にはランダム効果を伴う頻度論的ネットワークメタ解析、確実性の評価にはGRADEシステムを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした研究は148件(患者数:4万6,412例、薬剤クラス数:8、薬剤数:36、試験数:153)であった。・プラセボと比較し、主観的および客観的に測定された総睡眠時間の有意な改善が認められた薬剤クラスは、非ベンゾジアゼピン、抗うつ薬、オレキシン受容体拮抗薬であった。●非ベンゾジアゼピン【主観的】平均差(MD):25.07、95%信頼区間(CI):15.49~34.64、確実性:低【客観的】MD:22.34、95%CI:7.64~37.05、確実性:高●抗うつ薬【主観的】MD:54.40、95%CI:34.96~75.83、確実性:低【客観的】MD:35.64、95%CI:13.05~58.24、確実性:高●オレキシン受容体拮抗薬【主観的】MD:21.62、95%CI:0.84~42.40、確実性:高【客観的】MD:31.81、95%CI:2.66~60.95、確実性:高・薬剤別では、doxepin、almorexant、スボレキサント、レンボレキサントは、忍容性が良好で、有害事象リスクが低く、有効な薬剤であった。・主観的および客観的に測定された睡眠潜時の有意な短縮が認められた薬剤クラスは、非ベンゾジアゼピン、メラトニン受容体作動薬であった。●非ベンゾジアゼピン【主観的】MD:-10.12、95%CI:-13.84~-6.40、確実性:中【客観的】MD:-12.11、95%CI:-19.31~-4.90、確実性:中●メラトニン受容体作動薬【主観的】MD:-7.73、95%CI:-15.21~-0.26、確実性:高【客観的】MD:-7.04、95%CI:-12.12~-1.95、確実性:中・とくにzopicloneは、最も効果的かつ有害事象リスクが低かったが、忍容性は劣っていた。・非ベンゾジアゼピンは、中途覚醒時間の有意な短縮をもたらす可能性が示唆された。●非ベンゾジアゼピン【主観的】MD:-16.67、95%CI:-21.79~-11.56、確実性:中【客観的】MD:-13.92、95%CI:-22.71~-5.14、確実性:中

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TN乳がんへのHER3-DXd、CelTILスコアが有意に増加(SOLTI TOT-HER3)/ESMO BREAST 2023

 未治療のHER2-早期乳がん患者に対するHER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)patritumab deruxtecan(HER3-DXd)5.6mg/kgを単回投与した第II相SOLTI TOT-HER3試験(part B)の結果、病理学的完全奏効(pCR)の予測スコアとして開発されたCelTILスコアが有意に増加し、ホルモン受容体の発現状況にかかわらず約30%の奏効率(ORR)が得られたことを、スペイン・Vall d'Hebron University HospitalのA.M. Antunes De Melo e Oliveira氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2023、5月11~13日)で報告した。 昨年のESMO Breast Cancer 2022において、SOLTI TOT-HER3試験part Aの最終結果が報告され、未治療のHR+/HER2-早期乳がん患者に対するHER3-DXdの術前単回投与は、CelTILスコアの有意な増加と関連し、ORRは45%であった。今回報告されたpart Bでは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者も登録され、有効性と安全性が検証された。なお、part AではHER3-DXdは6.4mg/kgが投与されたが、part Bでは5.6mg/kgが投与された。<SOLTI TOT-HER3試験(part B)>・対象:未治療、HER2-、手術可能(超音波検査またはMRIで腫瘍径≧1cm)、Ki67≧10%の閉経前/後女性および男性乳がん患者・試験群:HER3-DXd(5.6mg/kg)を単回投与 37例(HR+/HER2-患者20例、TNBC患者17例)・評価項目:[主要評価項目]治療前と治療後(サイクル1の21日目)のCelTILスコア(-0.8×tumor cellularity[%]+1.3×TILs[%]:pCRと相関)の変動[副次評価項目]治療後の超音波検査によるORR、治療前のERBB3 mRNAレベルおよびIHCでのHER3タンパク質発現状況とCelTILスコアの変化など 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の患者特性は、年齢中央値:51歳(HR+/HER2-群51歳、TNBC群50歳)、閉経前:54%(60%、47%)、腫瘍径中央値:21mm(21.5mm、26mm)、cN0:76%(85%、65%)、Ki67中央値:30%(20%、70%)であった。・治療前と比較した治療後のCelTILスコアの変化は、全体では平均差+9.4(p=0.046)で、TNBC群(平均差+17.9)のほうがHR+/HER2-群(平均差+2.2)よりも顕著であった。・ORRは、全体32%、HR+/HER2-群30%、TNBC群35%で、part Aと同様にCelTILスコアの変化量はORRと関連していた(AUC=0.693、p=0.049)。・治療前のERBB3 mRNAレベルおよびIHCでのHER3タンパク質発現状況と、CelTILスコアの変化量やORRとの関連はみられなかった。・PAM50サブタイプは、治療前がLuminal A:9例、Luminal B:7例、HER2-Enriched:4例、Basal-like:17例で、治療後はLuminal A:10例、Luminal B:4例、HER2-Enriched:2例、Basal-like:8例、Nomal-like:6例、No residual tumor:7例であった。・Gradeを問わない治療関連有害事象(TRAE)は84%(31例)に生じた。多かったものは、悪心65%(24例、うち1例はGrade3)、疲労46%(17例)、脱毛27%(10例)、下痢22%(8例)、便秘14%(5例)、頭痛14%(5例)、トランスアミナーゼ値上昇14%(5例)などで、以前に報告されたものと一致していた。Part Aと比較して、血液毒性および肝毒性の発現率は低かった。間質性肺疾患は報告されなかった。 現在、HR+/HER2-乳がんを対象に、術前にHER3-DXdを5.6mg/kgを6サイクル投与する第II相SOLTI-VALENTINE試験が実施されている。

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新型コロナの発生状況、「定点把握」の発表開始/厚労省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、2023年5月8日から感染症法上の5類感染症の位置づけとなり、新規患者数の発生状況等の把握は、定点医療機関(全国約5,000ヵ所のインフルエンザ/COVID-19定点)からの報告に基づくものとなった。厚生労働省は5月19日に、これに基づく発生状況の発表を開始した。今回の発表では、5月8~14日の発生状況が報告された。今後、発生状況等については、毎週金曜日14時を目途に公表される予定。 なお、今回の発表では、5類感染症への位置づけ変更前となる5月7日までの推移も示している。ただし、これはHER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム)を活用してこれまで入力された定点医療機関による報告数を集計(5月17日17時時点)したものであり、各定点医療機関からの報告がHER-SYS上明らかでない場合は含まれないため、すべての定点医療機関による報告数が網羅されていない点に留意が必要となる。 5月19日時点での報告では、5月8~14日の新型コロナの定点医療機関報告数の総数は1万2,922件で、都道府県別で多い順に、東京都(994件)、北海道(964件)、神奈川県(838件)、埼玉県(783件)となっている。定点当たりの全国平均は2.63件であった。前週(1.80件)と比べて微増となっている。都道府県別の定点当たりの報告数は、多い順に、沖縄県(6.07件)、石川県(4.90件)、北海道(4.36件)、新潟県(4.30件)、山梨県(4.22件)、富山県(4.17件)となっている。 G-MIS(医療機関等情報支援システム)における新型コロナの新規入院患者数についても発表された。5月8日以降は、ICU入院中の患者数について独立した項目として報告される。今回の報告では、5月8~14日の新型コロナによるICU入院中の患者(7日間平均)は42例、ECMOまたは人工呼吸器管理中の患者は18例であった。

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SGLT2阻害薬の高齢者への処方の安全性-EMPA-ELDERLY/糖尿病学会

 5月11~13日に鹿児島で第66回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:西尾 善彦氏[鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 糖尿病・内分泌内科学 教授])が「糖尿病学維新-つなぐ医療 拓く未来-」をテーマに開催された。 本稿では、近年、心血管疾患への治療適応も拡大しているSGLT2阻害薬について、口演「日本人高齢2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジンの製販後試験」(矢部 大介氏[岐阜大学医学系研究科糖尿病・内分泌代謝内科学/膠原病・免疫内科学 教授])をお届けする。SGLT2阻害薬の高齢者への有効性・安全性について検討したEMPA-ELDERLY試験 日本糖尿病学会の「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」によれば、SGLT2阻害薬の位置付けは、肥満の有無(インスリンの分泌不全/抵抗性)にかかわらずStep1で選択されることになっている。また、併存疾患として慢性腎臓病、心不全、心血管疾患でも選択が表記されている(Step3)。その一方、SGLT2阻害薬の使用頻度が増す中で、高齢2型糖尿病患者への安全性は十分に確立されていない現状がある。 そこで矢部氏は、高齢糖尿病患者への有効性・安全性について検討されたSGLT2阻害薬エンパグリフロジンの国内第IV相臨床試験であるEMPA-ELDERLY試験の内容を報告した。 EMPA-ELDERLY試験は、わが国の2型糖尿病患者を対象に、SGLT2阻害薬エンパグリフロジンの長期投与と血糖降下への効果、安全性、体組成・筋力などへの影響をプラセボと比較した多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験である。【主たる組み入れ基準】・65歳以上の日本人2型糖尿病患者・食事療法、運動療法のみ、または経口血糖降下薬(ビグアナイド、DPP-4阻害薬など)で血糖コントロール不十分な患者【評価項目】主要評価項目:ベースラインから52週間後までのHbA1c変化量副次評価項目:ベースラインから52週間後までの体組成(筋肉量、体脂肪量、徐脂肪量など)の変化量、握力の変化量など【対象患者の背景】(127例)患者数:プラセボ(63例)、エンパグリフロジン(64例)年齢平均:プラセボ(74.0歳)、エンパグリフロジン(74.2歳)平均ベースラインBMI:プラセボ(25.4)、エンパグリフロジン(25.7)(*BMI22未満の痩身者は非対象として除外)罹病歴平均:プラセボ(11.8年)、エンパグリフロジン(12.4年)HbA1c平均:プラセボ(7.6%)、エンパグリフロジン(7.6%)EMPA-ELDERLY試験で高齢者でもSGLT2阻害薬が血糖コントロールを改善 SGLT2阻害薬の高齢者への有効性・安全性について検討したEMPA-ELDERLY試験の主な結果は以下のとおり。・ベースラインから52週間後までのHbA1c変化量推移は、プラセボ群と比べエンパグリフロジン群はHbA1cの低下が52週目まで続いていた。・HbA1c調整平均変化量では、プラセボ群-0.12%に対し、エンパグリフロジン群では-0.69%(調整平均の差-0.57%)とエンパグリフロジン群が有意に低下していた(p<0.0001)。・52週後のベースラインからの体重変化では、プラセボ群が-0.90kg、エンパグリフロジン群が-3.27kg(調整平均の差-2.37kg)とエンパグリフロジン群で有意に低下していた(p<0.0001)。・体組成では、体脂肪についてプラセボ群で+0.08kg、エンパグリフロジン群で-1.77kg(調整平均の差-1.84kg)と体脂肪で大きく変化がみられた(p<0.0001)。・筋力について、握力ではプラセボ群で-0.6kg、エンパグリフロジン群で-0.9kg(調整平均の差-0.3kg)と大きな差はなかった(p<0.4208)。また、5回椅子立ち上がりテスト(秒数)でもプラセボ群で-0.9秒、エンパグリフロジン群で-0.9秒(調整平均の差0秒)と差はなかった(p<0.9276)。・有害事象としては、重症度の軽い低血糖がプラセボ群、エンパグリフロジン群で各1例ずつ報告があったが、エンパグリフロジン群では死亡などは報告されなかった。 以上のEMPA-ELDERLY試験の結果を踏まえ、矢部氏は「高齢者においても、SGLT2阻害薬エンパグリフロジンは血糖コントロールを有意に改善した。また、脂肪量を減らすことで体重を低下させると同時に筋肉量減少などの変化は、プラセボ群と比較し、変化が認められなかった。エンパグリフロジンは忍容性も良好で、新たな有害事象もなかった」と報告をまとめた。

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膵頭十二指腸切除後の手術部位感染予防、TAZ/PIPCが有用/JAMA

 適応症を問わず、開腹による膵頭十二指腸切除術後の手術部位感染(SSI)の予防において、セフォキシチン(国内販売中止)と比較して、広域スペクトラム抗菌薬ピペラシリン・タゾバクタムは、術後30日の時点でのSSIの発生率を有意に抑制し、術後の敗血症や膵液瘻の発生頻度も低いことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのMichael I. D'Angelica氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年5月9日号に掲載された。北米のレジストリ連携型非盲検多施設無作為化第III相試験 本研究は、レジストリ連携の実践的な非盲検多施設無作為化第III相試験であり、2017年11月~2021年8月の期間に、米国とカナダの26施設(外科医86人)で患者の登録が行われた(米国NIH/NCIがんセンター研究支援助成などの助成を受けた)。 年齢18歳以上で、適応症を問わず待機的な開腹膵頭十二指腸切除術を受けた患者が、ピペラシリン・タゾバクタム(各施設の基準に従い3.375または4.5g、静脈内投与)またはセフォキシチン(2g、静脈内投与、対照)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。試験薬は、切開開始から60分以内に初回投与が行われ、手術終了まで2~4時間ごとに追加投与され、術後は24時間以内に投与を終えることとされた。 主要アウトカムは、術後30日以内のSSIの発現であった。30日死亡率、臨床的に重要な術後の膵液瘻、敗血症の発生などが、副次アウトカムに含まれた。 本試験は、事前に規定された中止基準に従い、2回目の中間解析により有効中止となった。30日死亡率には差がない 778例が登録され、ピペラシリン・タゾバクタム群に378例(年齢中央値66.8歳、男性61.6%)、セフォキシチン群に400例(68.0歳、55.8%)が割り付けられた。456例(58.6%)が術前に胆管ステントを留置され、273例(35.1%)が術前化学療法もしくは放射線療法を、488例(62.7%)が膵がんの切除術を受けていた。 30日の時点におけるSSIの発生率は、セフォキシチン群が32.8%(131/400例)であったのに対し、ピペラシリン・タゾバクタム群は19.8%(75/378例)と有意に低かった(絶対群間差:-13.0%[95%信頼区間[CI]:-19.1~-6.9]、オッズ比:0.51[95%CI:0.38~0.68]、p<0.001)。 術後の敗血症(4.2% vs.7.5%、群間差:-3.3%[95%CI:-6.6~0.0]、p=0.02)および臨床的に重要な術後の膵液瘻(12.7% vs.19.0%、-6.3%[-11.4~-1.2]、p=0.03)の発生率は、いずれもピペラシリン・タゾバクタム群で有意に低かった。 一方、30日死亡率(1.3% vs.2.5%、群間差:-1.2%[95%CI:-3.1~0.7]、p=0.32)には、両群間に有意な差はみられなかった。 著者は、「術後SSIリスクの低減は、術前の胆道ステント留置の有無にかかわらず認められた。本試験の結果は、開腹膵頭十二指腸切除術後のSSI予防における標準治療としてのピペラシリン・タゾバクタムの使用を支持する」としている。

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